第22回環境省独立行政法人評価委員会会議録

日時

平成19年8月27日(月)14:40~15:30

場所

合同庁舎5号館共用第8会議室(6F)

議題

(1)
独立行政法人整理合理化(案)について
(2)

その他

配付資料

資料1 経済財政改革の基本方針2007(抄)
資料2 独立行政法人整理合理化計画の策定に係る基本方針について
資料3 環境省独立行政法人整理合理化(案)の概要
資料4 独立行政法人の整理合理化案
参考資料1 環境省所管の独立行政法人
参考資料2 「独立行政法人の中期目標期間終了時の見直し及び業務実績評価に関する当面の取組方針」の送付について
参考資料3 環境省独立行政法人評価委員会委員名簿
参考資料4 関連法規

出席者

委員: 関連法規 佐野角夫委員 有田芳子委員 磯部 力委員
沖 陽子委員 熊谷洋一委員 佐和隆光委員 高木勇三委員
高月 紘委員 三橋規宏委員    
環境省: 総合環境政策局 西尾局長
大臣官房 石野審議官
総合環境政策局 後藤総務課長
吉井総務課調査官
立川環境研究技術室長
尾﨑環境教育推進室室長補佐
廃棄物・リサイクル対策部 木村産業廃棄物課長
環境保健部 上野企画課調査官
馬場石綿健康被害対策室室長補佐
国立環境研究所 加藤企画部長
村川総務部長
環境再生保全機構 能登総務部長
柳橋総務部次長

議事

【吉井調査官】 それでは、定刻の14時50分の時間を若干過ぎましたので、ただいまより第22回環境省独立行政法人評価委員会を開催いたします。
 会議に先立ちまして、総合環境政策局長の西尾よりごあいさつ申し上げます。

【西尾局長】 総合環境政策局長の西尾でございます。
 本日はご多忙中、たくさんの委員の方々のご出席をいただきまして、ありがとうございます。本年度の第2回の環境省独立行政法人評価委員会を開催させていただきます。
 また、再生機構、それから国環研のそれぞれの部会もございまして、暑い最中に、そちらの方のご参画もいただきまして、また、段取りも錯綜しておりまして、いろいろご迷惑をかけたり、タイトな時間でご出席いただくことになりましたのをおわびいたしますとともに、感謝を申し上げます。
 きょう、第2回の評価委員会を開くということになりましたのは、8月10日に閣議決定が出されまして、整理合理化計画の策定に関する基本方針が示されたということでございます。それで急ぎ、整理合理化のご議論をしていただくということもございまして、お願いする次第であります。
 元来、環境省、2つの独立行政法人の所管をいたしております。環境保全再生機構、国立環境研究所ともに、懸命にその業務をやっていると思っておりますが、国立環境研究所は昨年度から新たに2期目の中期目標に入ったところであったわけでございます。
 また、平成16年度4月に発足した環境再生保全機構の場合、現中期目標期間が来年度までであるけれども、今年に閣議決定いたされました「骨太の方針」において前倒しで業務全般について見直し・検討するとの方向が示されました。更に全部で101あります独立行政法人すべてにつきまして、その業務全般の検討を行う、「独立行政法人整理合理化計画」を策定するということになりましたわけでございます。そういうことでございますので、両法人につきましても、原点に立ち返った業務全般の検討を行うということにされたところでございます。
 まことに短い時間でございますけれども、当省の、現時点でお示しできます両法人の整理合理化につきまして、ご説明をさせていただきますので、よろしくご審議・ご指導を賜りますようにお願いを申し上げます。
 簡単でございますが、以上、本日のあいさつにさせていただきまして、よろしくご審議賜るようお願いを申し上げます。

【吉井調査官】 本日は、委員15名のうち10名のご出席をいただいておりますので、環境省独立行政法人評価委員会令第6条第1項の規定により、定足数の8名を満たしておりますことをご報告申し上げます。
 これ以降の議事進行につきましては、松尾委員長にお願い申し上げます。

【松尾委員長】 どうも皆さん、お忙しいところ、大変暑いところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。議事は議題が2つあって、一つとその他ですので、大きなのは一つであります。「独立行政法人整理合理化(案)」についてということであります。
 本来、独立行政法人の組織業務全般についての検討は、中期目標期間の終了とともに行われるとなっているということでありますけれども、今般は、特別に独立行政法人に対して業務への見直しを行い、独立行政法人整理合理化計画を策定することが閣議決定されたということであります。
 そういう意味では、時期を少し早まったりすることになりますけれども、2つの環境省関係の独立行政法人が、あるべき姿について鋭意試案を提案すると、こういうことになったわけであります。そういう意味では、事務局から、そのいきさつ等も含めて、この間の時間の流れの中での様子もご説明いただきながら、案についてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【吉井調査官】 それでは、お手元の資料1と資料2をまずご説明させていただきます。
 独立行政法人整理合理化計画の策定に至った経緯でございます。
 まず、資料1でございますが、本年6月19日に閣議決定されました「骨太の方針2007」がございます。ここの中で「独立行政法人等の改革」ということがうたわれておりまして、改革のポイントといたしまして、「全ての独立行政法人101につきまして、民営化や民間委託の是非を検討し、独立行政法人整理合理化計画を策定する」というのが閣議決定されております。
 では、どういうふうに進めていくんだということでございますが、具体的手段のところで3原則がございます。
 第1の原則は「官から民への原則」ということでございます。民間にゆだねた場合には実施されないおそれがある法人及び事務・事業に限定する。それ以外は、民営化・廃止または事務・事業の民間委託・廃止を行うということでございます。
 それから原則の2でございますが、「競争原則」でございます。法人の業務独占については、民間開放できない法人及び事務・事業に限定するということでございます。
 それから原則の3でございます。他の改革との整合性、公務員制度改革・政策金融改革・随契見直し等々でございますが、他の改革との整合性を確保するということでございます。
 それで、めくり返していただきまして(2)でございますが、そういう独立行政法人の整理合理化計画を19年内を目途に策定しなさいということが閣議決定されております。
 それから(3)でございますが、存続する法人については、市場化テストの導入の検討対象とするということがうたわれております。
 それから、見直しの進め方でございますが、まず(1)の3原則を踏まえまして、政府として整理合理化計画の具体的な策定方針を速やかに決定する。これは資料2で、後でご説明申し上げます「整理合理化計画に係る基本方針」でございますが、これを速やかに決定し、その上で各主務大臣はその方針に沿って整理合理化案を19年8月末を目途に策定するということとされておるところでございます。
 それでは、次に資料2「整理合理化計画の策定に関する基本方針」の概要をご説明させていただきます。これは整理合理化計画の、まさに基本方針ということで位置づけられているものでございまして、8月10日に閣議決定をされたところでございます。
 概要でございますが、閣議決定の案文で説明いたしますと時間がかかってしまいますので、1枚紙の概要で、ご説明を簡潔にさせていただきます。
 大きく2つのパーツに分かれていまして、一つ目が総論。横断的な視点ということであります。
 まず、その大きな柱の1つでございますが、独立行政法人の徹底的な縮減を図りなさい、事務・事業・組織の見直しをしなさいということでございます。
 1つ目が、事務・事業をゼロベースで見直す、廃止するべきものは廃止しなさいということでございます。
 それから2点目、事務・事業の民営化を検討しなさい。
 それから3点目でございますが、官民競争入札等の積極的な適用や、他法人への業務移管等を検討しなさいということでございます。
 官民競争入札等につきましては、閣議決定本文の3ページをあけていただきますと、「官民競争入札等の積極的な適用」ということでございまして、[1]、[2]と書いてあります。原則として官民競争入札等の対象とする業務につきましては、「施設の管理・運営」・「研修」・「国家試験等」・「相談」・「広報・普及啓発」などが挙げられています。それから官民競争入札等の対象とする方向で検討する事務・事業ということで、「検査検定」と「徴収」という事務が挙げられています。
 また、一番最初に戻っていただきまして、(1)でございますが、その次に非公務員化を検討しなさいということでございます。環境省所管の両法人については、既に非公務員化されているところでございます。それらを踏まえたところで、法人の廃止・民営化、業務の一部譲渡、法人同士の統合など組織面の見直しをしなさいということでございます。
 次が、独立行政法人の効率化ということでございます。人件費の削減、それから関連法人との間の資金の流れに関する情報公開、あるいは随意契約の見直し、保有資産の見直しについて取り組みなさいということでございます。
 独立行政法人の自律化でございますが、ガバナンスの強化のようなことでございます。中期目標の明確化のための具体的な指標の設定等が掲げられております。
 それから次、各論に移りまして、法人の類型別の視点ということでまとめられてございます。各法人の事務・事業につきまして6つの業務のパターンで分けているところでございまして、1つ目が「公共事業執行型」、2つ目が「助成事業等執行型」、3つ目が「資産債務型」、4つ目が「研究開発型」、5つ目が「特定事業執行型」、6つ目が「政策金融型」ということでございます。環境省所管の法人について申し上げますと、「環境再生保全機構」につきましては特定事業執行型、そのうち「地球環境基金業務」が助成事業等執行型に該当するとされております。それから「国立環境研究所」につきましては研究開発型の法人ということで位置づけられてございます。
 取り急ぎ、時間の関係もありまして手短な説明で恐縮でございます。以上でございます。

【松尾委員長】 ありがとうございました。これに関連してご質問はございましょうか。
 重要なことは急いでやれという、結論を求められるというのは往々にしてあるわけでありますが、8月末までに、かなり重要な決定をして、決断をしなければいけないということでございます。ご質問いかがでしょうか。
 それでは、国の方針がこうだということでありますから、それを引き受けて、どういうふうに、具体的に今、環境省関係の法人について案を考えていくかということになろうかと思います。
 では、事務局の方からその辺について、具体的な考え方についてのご説明をいただきたいと思います。これは一応、「主務大臣が独立行政法人の組織・業務全般の検討を行う際には、評価委員会の意見を聞くこととされているもの」、そういうことで、ある種の手続として、きょう、この委員会が位置づけられているということでありますので、委員の先生方は、そういう意味での責任も大きくなりますので、よろしくご審議いただきたいと思います。
 それでは、資料について説明してください。

【吉井調査官】 それでは、ご説明を申し上げます。お手元の資料3に基づいてご説明させていただきます。ただいまご説明申し上げました「骨太の方針2007」、それから8月10日に閣議決定されました「独立行政法人整理合理化計画の策定に係る基本方針」に基づきまして各省で独立行政法人の見直しを8月末までに検討しなさいということとされております。環境省としての所管独立行政法人に係る整理合理化(案)の概要は、以下のとおりでございます。
 まず、それぞれの法人の業務なりを「・」で書いてございます。
 独立行政法人環境再生保全機構でございますが、少し経緯を申し上げますと、平成16年度に発足をいたしておるところでございます。旧公害健康被害補償予防協会・旧環境事業団と統合いたしまして、統合に際しては事務・事業の見直し――例えば建設譲渡事業等の廃止をある一定時点までにするというようなことをやっておるところでございます。
 統合に伴いまして、人的な面でも人員を削っているところでございます。
 さらに、18年3月には一連の石綿の健康被害への対応問題もございまして、いわゆる石綿関連業務が業務として追加されたという経緯でございます。
 業務の内容でございますが、大気汚染などの公害健康被害や、石綿による健康被害者に係る賦課金等の徴収など、被害者救済などに不可欠な役割を果たしているということでございます。
 それから(2)でございますが、独立行政法人国立環境研究所でございます。
 こちらの法人は、平成13年4月に独立行政法人として発足いたしまして、18年4月、中期計画の2期目に入りましたところで非公務員型へ法人の組織面での見直しをさせていただいたということでございます。業務のポイントを一言で申し上げますと、環境研究の中核的な存在であり、IPCC――気候変動に関する政府間パネルの報告書への貢献など国際的な環境研究の核を担っているというところでございます。
 それでは次に、2.整理合理化(案)の概要をご説明いたしたいと思います。
 まず(1)でございますが、運営の徹底した効率化を実施していきたいということでございます。中期計画に基づく人件費総額の削減や中期計画に基づく一般管理費・業務費について引き続き削減をしてまいりたい。
 それから随意契約につきましては、国立環境研究所につきましては、契約額が少額なために随意契約とする限度額が国の基準に比べまして高い部分がございますので、限度額を法人の業務の実態を勘案しながら引き下げていくということでございます。
 それから環境再生保全機構につきましては、公害健康被害の補償のため企業から徴収しております賦課金の徴収業務について、現在民間委託については、随意契約によって行っておるところでございますが、これを競争的な契約方式に移行することを進めていきたいということでございます。
 めくっていただきまして2ページ、裏のページでございますが、事務・事業の見直しについてでございます。この個別の事業について若干触れながらご説明した方がよろしいと思いますので、こちらの方は資料4に基づいてご説明をさせていただこうかと思います。A3の横紙でございます。2枚紙になっています。
 独立行政法人環境再生保全機構につきましては、まず公害健康被害補償業務という業務を行っています。これは公害のばい煙発生施設等の設置者から、汚染負荷量賦課金を納付してもらう。一部税財源も負担するところでございますが、賦課金の徴収を行い、都道府県に対して納付金を納めるという事務・事業でございます。
 現在も5万人の公害患者がいるという状況でございまして、廃止された場合には公害患者の補償に著しい支障を来すということでございます。
 これを民営化しなさいということにつきましては、公権力の行使により賦課金の徴収等を行う必要があるということ等から、公的機関において厳格かつ公正な制度運営を行う必要があるというふうに考えております。
 それから官民競争入札等の適用につきましてでございますが、業務の一部について引き続き民間開放するとともに、契約方式について競争的な契約方式に移行するということでございます。公権力の行使にかかわるものについては、公的機関において責任を持って行う必要があるというふうに考えております。
 それから他法人への業務移管でございますが、類似の事務・事業を行っている独法は存在していないということでございます。
 次に、公害健康被害予防事業でございます。これは大気汚染による健康被害を予防するため、国と事業者から拠出された拠出金及び出資金による運用益により事務・事業を行っているものでございまして、昭和62年の公健法改正により、公害患者の認定を打ち切るかわりに、地域住民の健康被害の予防を強化するというため設けたものでございます。
 現状、なお、ぜんそく患者が増加傾向にあるということでございまして、引き続き継続していくということが不可欠であると考えております。
 次に、民営化についてでございますが、健康被害補償制度との一体的な確保ということが事務・事業の性格や経緯からいくと不可欠でございますし、また、収益性がないということでございますので、公的機関において責任を持って実施する必要があるということでございます。
 それから官民競争入札等の適用でございますが、広報とか研修とか、先ほど検討する対象に挙げられていたかと存じますが、これらは助成事業等と一体として行う必要があるということでございまして、したがいまして公的機関において責任を持って実施する必要があるということでございます。
 それから他法人への移管についてでございますが、類似の事務・事業を行っている独立行政法人は存在しない。また、補償制度と一体的に運営する必要があるというふうに考えております。
 次に、地球環境基金業務でございますが、国際協力を推進するということでございまして、国の出資金と民間からの寄附金によって造成された基金の運用益と国からの運営費交付金により、環境保全に取り組む民間団体の活動を支援するために行っている事業が中心でございます。
 こうした事業でございますが、国の環境政策と整合的に進めていく必要がある、こうした民間団体の活動を支援していく必要があるというのが第3次環境基本計画でも定められているところでございまして、環境省としては必要不可欠な事業であるというふうに考えております。
 また、こうした環境政策と整合的な助成が必要であるという考え方でございまして、国の政策実施機関に行わせるべき事務・事業であるというふうに考えております。
 それから官民競争入札等につきましてですが、研修・広報などが対象になり得ると思われますが、これらにつきましても助成事業と一体的に行うということが必要であるというふうに考えておりまして、公的機関において責任を持って確実に行う必要があるというふうに考えております。他法人への移管につきましてでございますが、類似の事務・事業を行っている法人はないということでございます。
 次に裏に参りまして、2ページ目に参りまして、PCB廃棄物処理助成業務でございます。これは国と県からの補助金、それから産業界から出えんされた出えん金からなるPCB廃棄物処理基金によりまして、環境大臣が指定した処理業者に対し助成し、中小企業等が保管するPCB廃棄物の処理費用の軽減等を行うための業務でございます。こうした業務でございますが、やはり住民の健康・安全という観点からいたしますと、こうした処理業務というのは喫緊の課題であり、あわせて全国的・広域的な処理体制の確保を公的機関が責任を持って実施するという必要があるわけでございます。したがいまして、必要な業務というふうに考えております。
 また、民営化につきましては、民間や地方公共団体では実施困難な全国的・広域的な処理体制の確保を公的機関が責任を持って行うべき業務であるというふうに考えております。
 それから官民競争入札等についてでございますが、基本方針において対象となっている業務がないと認識しております。類似の業務を行っている法人はございません。
 それから次、最終処分場維持管理積立金業務でございます。最終処分場の設置者が処分場の埋め立て終了後、その適正な維持管理に必要となる費用を埋め立て期間中に積み立ててもらうという事務・事業でございます。
 そうしたものでございますので、設置者の倒産等による不在となった場合には、当該費用が賄えず、維持管理が適切に行われないおそれがあるということでございます。こうしたことから、公的機関が責任を持って実施する必要があるということでございます。
 民営化につきましては、当該積立金の管理は公正に行う必要があるということでございまして、公的機関において実施していく必要があるというふうに考えております。
 それから官民競争入札等でございますが、基本方針において対象とされている業務はないということでございます。類似の事務・事業を行っている法人は存在いたしません。
 それから石綿健康被害救済業務でございますが、石綿健康被害者は今後とも増加されると予想されることでありますので、仮に廃止ということになれば石綿健康被害者の救済ができなくなり、公共上の見地において著しい悪影響があるというふうに考えております。
 それから民営化につきましてでございますが、これも国が行政的な救済措置を講ずるものであり、公的機関において責任を持って実施する必要があるというふうに考えております。
 それから市場化テストにつきましては、対象業務は本体の事務・事業と一体的に行うということが不可欠であるというふうに考えております。他法人との統合は、類似の事務・事業となっている独立行政法人は存在しないということでございます。
 引き続きまして、国立環境研究所に移らせていただきます。
 環境研究に関する業務でありますが、これらを廃止いたしますと、地球温暖化対策等の環境問題の解決や国民生活に対して著しく悪影響を及ぼすというふうに考えております。
 それから、この業務についての民営化でございますが、まず業務の目的とか事業の裨益の相手方という観点でございますが、環境政策目的の達成を使命とする以上、広く国民等の利益に合致するということが目的でありまして、受益範囲というのは、まさに一般国民であるということであります。
 それからあと、収入につきましては、自前収入の向上ということでございますが、知的財産の活用等に努力はしているものの、多額の対価収受は非常に困難な状況にございます。
 それから、3点目でございますが、現状10カ国を相手国として、合計33件の共同研究を行っておりますが、国際的な環境政策を進めているということでございまして、こうした国の中には国立のステータスというのを強く求めるというところもございます。そういうことで国立の試験研究機関のステータスが不可欠であるというふうに考えております。
 それから官民競争入札等でございますが、基本方針において適用対象とされている業務はないと承知しておりますが、清掃・警備に加えまして、実験室や高度な計測機器等の点検整備など、引き続き民間開放していきたいというふうに考えております。
 それから他法人への移管ということでございますが、環境問題に関し、このように多角的・総合的に研究しているという法人は他に存在しないというふうに考えております。
 それから、2つ目の業務でございますが、環境情報の収集・整理・提供に関する業務でございます。仮にこうした事務を廃止いたしますと、研究者、企業、民間団体等への環境情報が途絶えてしまうということでございまして、環境保全活動に対する影響が出てくるということでございます。
 それから民営化につきましてでございますが、環境研究の実施には、その前提として正確な環境情報の整理・収集が不可欠でございます。それから環境情報の整理・収集が、例えば大気汚染の状況のデータなど、長年にわたり集積しているものでございまして、環境行政のいわば基礎的なインフラというべきものでありまして、こうした事務・事業は責任を持って公的機関において実施する必要があるというふうに考えております。
 官民競争入札等の適用についてでございますが、施設管理につきましては、清掃・警備等において引き続き民間開放するということでいきたいと考えております。それから類似業務を行っている独立行政法人は他に存在していないということでございます。
 足早になりましたが、整理合理化案の概要は以上のとおりでございます。

【松尾委員長】 ありがとうございました。今の2つの独立行政法人に関する考え方でしょうか、置かれている状況についてご説明があったわけでありますが、これから皆さんのご審議いただくことに当たって、進め方についてご了解いただきたいと思いますが、今の、この整理合理化案の、あるいはそれぞれ機能について等の事実関係についての質疑等があれば、実は両法人のいるところで議論を進めたい。
 この法人が必要か否かとか、ある意味で非常に基本的な存立いかんの分については、申しわけないけど、両法人にはご退席いただいて、その後、委員の先生方と環境省の本省の関係者との間での議論に移りたいというふうに考えますので。
 まず、今の事務的なご説明で、それぞれの法人や仕事の中身についての説明があったわけですが、その中身について何か、これはもう少し確かめておきたいという事実確認をしたいということがあれば、この場でご質問をいただきたいと思います。その質問が終わった後で、もう一度、委員の先生方から評価については伺おうと思いますので、最初は疑問を確認するということに絞ってご議論いただきたいと思います。どうぞ、ご自由に。

【佐和委員】 ページ数が打っていないのですね。資料3の2ページ目なんですけども、国立環境研究所に関連するところです。
 (2)の[2]のところで、何か表現上、誤解を招くところがあると思うんですね。まず、「環境政策の形成・立案と一体的な環境に関する研究を行っており、また、広く国民等の利益のため、企業利益に結びつかない業務を遂行している。」というのは、企業も納税者なわけですから、企業利益に結びつかないというのは、つまり企業にとっても国立環境研究所での研究というのは十分役に立つというのですか、利益とまで言わなくてもですね。
 だから、つまり、ここのところの表現が、今とっさにはどう変えるのがいいか。「企業利益が結びつかない」といったら、「企業のためにはならないことをやっている」というふうに聞こえがちですよね。
 ですから、ここのところを何か上手に書かないと、「広く国民及び企業の利益」とかですね。企業利益というと、ある特定のカンパニーの利益というふうになりますが、企業にとっても、ここの研究は十分役に立っているんだということは、企業も納税者であるという点から工夫がいる。
 それから、その下に、これは後の説明を受けて初めてわかったんですが、「さらに、共同研究など国際的な環境政策を進める上で、国によっては国立のステータスを強く求めることもある」というのは、これはわかりにくいですね。これは、「共同研究に参加する条件として国立のステータスが求められる場合がある」ということでしょ。ですから「国によって」というのは、その共同研究を仕切るというか、提案するというか、それをそういう国によっては、とも書けないかもしれないけど、参加国の中身、ちゃんと国立のステータスがないと困りますよということを言う国もありますよということですね。
 だから、ここのところ、「国によっては国立のステータスを強く求めるところもあることから」というのは、ここも表現上の工夫をしていただかないと、最初読んだとき、何のことかよくわからなかったことは事実ですので。
 以上です。

【松尾委員長】 どうでしょう。

【立川環境研究技術室長】 どうもありがとうございます。
 より丁寧にA3判の資料で書かせていただきましたが、A3判の資料のご指摘のところにつきましては、前段の部分、A3の一番最後のページの「環境研究に関する業務の民営化」のボックスでございますけれども、上から5行目ぐらいですが、「広く国民等の利益に合致することを目的としており、受益範囲はそれ以上には特定されない」。こういう趣旨で書きたかったのでありますが、書いた内容がそれと必ずしも一致しておりませんので、こういう趣旨だということで、A4判の方も修正させていただきます。
 また、共同研究の方も同じA3の方に丁寧に書かせていただいておりますけれども、佐和先生のおっしゃるとおり、もう少し丁寧に書くべきだと思いますので、この辺も修正させていただきたいと思います。
 以上です。

【佐野委員】 資料4の3ページ目の「官民競争入札等の適用」の欄に、国立環境研究所については、非常に詳細に、清掃とか警備等、施設の管理運営について民間開放するというようなことがありますけれども、機構の方についても同様なことがあるんじゃないかと思って、同様な書き方が必要ではないかと思うんですが、どうなんでしょうかね。

【柳橋機構総務部次長】 施設につきましては、我々テナントに過ぎなくて、大きなビルが管理しておりますので、なかなか、そこの業者がどうのという権限は我々にはございません。

【佐野委員】 そういう意味ですか、なるほど。

【柳橋機構総務部次長】 自分のビルもなければ、テナントで入っているわけですから。

【佐野委員】 それでこういう

【柳橋機構総務部次長】 我々、持ち物は何もございません。

【松尾委員長】 ほかにはいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【磯部委員】 少々理屈っぽい話で恐縮なのですが、主として機構の方に関わる話なのですが、これは要するに民営化には適さないのであるという理屈を述べる論拠として、一つには公権力の行使ということが言われますね。これはこういう場面で昔からよく使われてきてはいる論拠ではあるけれども、それさえ唱えれば、そこはもはや聖域になってしまって突破できないかというと、必ずしもそうでもなくなってきているように思われます。その辺についてどのようにお考えなのか、ちょっと確かめのご質問です。それから公権力の行使とは別に、例えば廃棄物処分場の積立金管理業務というのは、最終的な責任を問うのは国でしょうという理屈なのですか。もしも、こういう理屈が使えるならば、それでは公健被害の補償もアスベストも、最終的には国の責任であるという同じ理屈でいけるのか、それとも何か違うのか、そこがまだ詰まっていないような印象を持った次第です。
 つまり石綿の話は、これはもともと国がやるしかないでしょうと言っているようにも思えますね。本来、国がやるべきものなのだから、民営化なんてできないでしょうと言っているわけですね。だから、ちょっとずつニュアンスが違うようにも思うのですけれど。
 それから、またちょっと別のことですが、「公権力行使」と、もろに正面から言えるのは、公健被害補償の賦課徴収という場合、その徴収のところだけなのでしょうか。賦課をするということ自体のところも、「あなた幾ら払いなさい」という賦課決定には行政処分性があるという理解なのか、それともそれは金額としては決まっているのであって、それを払わない人がいるという場合に強制徴収するということが公権力の行使だと言っているのでしょうか。
 そしてまた、そうやって公権力行使が出てくる場面というのは、機構の全業務の中でここに限定されていて、それしかないという理解でよろしいのか。これは確かめの質問です。
 ちょっとわかりにくいことを申し上げているみたいですが、最初に申し上げたかったのは、業務を民営化できないというときの理屈にも、組み立て方が何層かあると思うんですね。国が最終的に責任を持たなければならないという話もあれば、そもそも他の組織がやる可能性はないでしょうと言っている話もあれば、公権力の行使があるんですという話もあるわけで、それらがどういう順番で最終的な論拠になるのかなというところが、なかなかに興味深いので、もっぱら好奇心から、伺わせていただけたらと思うんですが。

【吉井調査官】 まず、2点目の質問からお答え申し上げますと、幾ら納めなさい、それからあと、滞納した場合に、具体的に取りに行く仕事、両方とも公権力の行使であるというふうに認識しておりますが、そのうちで、では事業者との間の相談業務とか、その他もろもろ、民にゆだねられる分について、現状、商工会議所に相当する部分を委託しているという状況でございます。
 それで、1点目の理論的な話でございますが、これは、なかなか公権力の行使という問題だけでは足りないんじゃないのかということでありますが、私どもは、やはり公権力の行使というのは、まず公的な主体で行うということが責任を持った対応であるというふうに考えております。あともう一つ、やはり全国の事業所から漏れなく高い徴収率を確保するということが非常に重要なスキームであると。徴収率は99.9%でございます。
 これだけ確実に徴収しておりますことをもって、その公害の健康被害者に対して給付を行っているという制度でございます。
 例えば、ほかの制度について申し上げるのも、ややいけないのですが、保険とか共済のようなシステムで、似たような、強制徴収ということでやっておるような業務があろうかと思いますが、それらは受益と負担がいわば一致している世界でございますが、こちらは受益と負担が対立するという、コントラバーシャルな関係にあるということでございまして、そういうことを考えますと、やはり高い徴収率ということを、まず最初に考えていかざるを得ない。この高い徴収率というのを実現できるというのは、基本的には現在の環境再生保全機構が中心となるということでございます。環境再生保全機構をおいてほかにないということでございます。
 文章の方は、余り、そういう趣旨をくどくど書き過ぎますと、くどいなというふうに考えまして、そのあたりのことを必要最小限のつもりで書いているのですが、ややそうしたところが伝わりづらかったのかもしれません。

【磯部委員】 アスベストとか処分場の維持管理費や積立金とかいう場合にも、もし不払いの人がいたときには、やはり強制徴収するとかということにはならないのでしょうか。つまり公権力を行使する場面があるかということですが。

【馬場石綿健康被害対策室室長補佐】 石綿も同じで強制徴収できることになっております。

【磯部委員】 そうだとすればそういうものも、形式的には同じ書き方をしておく必要はないのでしょうか。公害健康被害のところだけに出ていたように思ったものですから。

【柳橋機構総務部次長】 補償業務の方は、企業からお金を徴収するというのが主業務でございます。石綿の方は患者さんの認定をするというのが主業務でございまして、徴収する部分というのは、ごく船舶の部分で千数百万というような額でございまして、そういう意識の違いから、我々としては、こんなふうな表現の違いになっているものと思っています。

【磯部委員】 実質論としてはそういうことになるのでしょうが、法的な形式的な理屈で行けば、あまり差はないわけですね。その辺はどう書けばよいのかわかりませんけれど、突っ込まれないように、必要十分な理論武装があった方がいいように思います。
 いずれにせよ、難しい話だとは思います。公権力の行使という事柄にもいろいろな段階があるのではないかと思いますし。きちんとした立法で対処したら、公権力行使の一部については十分に民営化できるはずではないかというような議論も、いろいろな理屈がまた出てきているだろうとは思います。

【高木委員】 この議事録、公的なもので残るので、あえて言わせていただきますけど、今の吉井さんの、ほかの保険とかと比肩されるようなご説明というのは、私は全く納得できませんので、これは制度自体が根本的に違いますので、保険とかを比喩にされて、どうのこうの、99.9%というふうな話をされるのは不適当ではないかということだけ申し上げておきたいと思います。

【西尾局長】 済みません、ちょっと気持ちがあふれましたので。また制度のことは関係を横へ置いていただいて、99.99%だというのは高いということもありますけど、この制度をスタートしたときに、こういう、全国から、ぜんそく患者のお金を集めるということで、しかも申告納付制にしたものですから、本当に集まるのかしらという議論がございました。
 当時、環境省で煤煙発生施設の設置状況というので、大体把握しているのが5,000事業所ぐらいだと思いましたが、この前身の協会がスタートいたしまして、いろいろPRをいたしましたり協力してもらいまして、厳密にやっていくと8,000事業所もあるということをきちんとつかみまして、そういうことを数年がかりでやって、そのほとんどのところから協力していただけるというところまでやって来ましたというようなことでございますので、そういう面では徴収機関として環境省からしても非常に大切だと。それは公権力の行使ということを背景にしておるわけでございますけれども、その制度を円滑に動かすということでございましたので、言葉がすべったところはご容赦いただきたいと思います。

【松尾委員長】 ほかに。はい、どうぞ。

【三橋委員】 国立環境研究所のところなんですけど、例えば環境研究に関する業務、このA3の紙ですね。廃止のところで、例えば「廃止すると地球温暖化対策等の環境問題解決や国民生活に対して著しく悪影響を及ぼす」という個別的な書き方でいいんでしょうか。
 やはり国立環境研の環境研究というのは、いわば環境研究の公共財的な、科学的知見を研究するような機関が、その役割を果たしてしまうことによる悪影響が大きいというような趣旨の話を書くべきなんじゃないかなと思うんだけど、これはいいんですかね、温暖化だけに絞り込んだ話で。

【立川環境研究技術室長】 ここでは温暖化等ということで、一つ具体的な例を手短に書いたわけでございますが、三橋委員おっしゃいますとおり、廃止すると、こういった個別の問題以外にもさまざまな悪影響をもたらすという部分は、確かにご指摘のとおりございますので、また、少しその辺の、どういうような表現があるのか、事務局の内部でも少し検討させていただきたいというふうに考えます。

【松尾委員長】 どうぞ。

【沖 委員】 資料3の最後のところの行になると思うのですが、1ページ目ですね。随意契約の見直しというところがございますね。
 この随意契約なのですが、我々、国立大学法人も非常に難しいところがございまして、なかなかやりたいようにやれないところでございます。また、社会一般からも非常に厳しい目のあるところですが、国環研では資料4のA3には「競争入札等の適用の対象となる業務ではない」と書いていらっしゃるのですが、資料3には、そういう書き方ではなくて、「契約額が云々」だけで終わっていますね。この辺のところ、要するにどういうスタンスで読ませていただければいいのかなという、疑問をもちました。

【立川環境研究技術室長】 失礼しました。実は、こちらの、運営の徹底した効率化に絡んで、いわゆる随意契約の見直しというものもやっていかなければいけないわけでございますが、こちらの方は、実は、まだ、9月末までに提出せよということで、必ずしも、こちらの資料4、A3の方に落とし込んで表現するということになっていないものですから、こちらのA3ではうまく表現できていないものでございます。
 いずれにしても、運営の徹底した効率化を図るというようなお話が出たときに、国立環境研究所においては、先ほど冒頭の説明があったとおり、まだ契約額が少額なために随意契約でオーケーという部分がございますので、それが原因で少し随意契約の割合が高いのかなという部分がございますので、こういった点について、もう少し随意契約の可能な限度額を引き下げることをやって、随意契約の割合を落としていくというようなことをしていきたいというふうに考えてございます。

【沖 委員】 わかりました。そうしますと、確かに随意契約というと、非常に問題が多く、整備していかなければいけないところだと思っておりますけれども、余り、そこばかり厳しくやっていきますと、今度は本末転倒になりまして研究がうまくいかないという状況もあるのではないかと我々は考えております。慎重にこの辺のところをご検討いただきたいという希望でございます。

【松尾委員長】 まさにそうだと思いますね。角を矯めて牛を殺すようなことになってはいけないのは当然ですね。
 ほかにはいかがでしょうか。

【有田委員】 資料4の地球環境基金業務のところなんですけれども、民営化というところに対して、この表現ですと弱いような気がしています。実際には企業が助成金を出して環境活動を支援するようなところも今はあるのですけれども、その助成とは全く違って、やはり国というか、こういう公平で中立的ということは重要です。あとコミュニティーの活動というのですか、環境保全活動というか――ここはNGOだけになっているのですが、民営化のところは。資料3の方は、たしか違いますね。
 参考資料1の方は、NGO、NPOと書いてあるのですが、いわゆるNPO法人の取得をしていない民間団体に向けても、丁寧な指導を今もされていると思っているので、これが廃止されますと私は環境活動も後退するというふうに思っているので、もう少し、何か「NPOなど地道な活動の支援が今後も必要であり」とか、何か、継続的な支援は必要とされているというようなことも含めて入れていただく方がいいと思います。表現が非常に弱い感じがして、この様な事は民間がやっているので必要がないと言われてしまうような気もします。

【能登機構総務部長】 以前からも、民間との違いをそういうふうに話をしているので、一応、書きようとしましてはこのように書いてありますけれども、実際は研修とか、講座とかをやっていまして、そういう方々の需要に対応しておりますので、先生のおっしゃるとおり、それも含めてやっていきたいと思っております。

【松尾委員長】 よろしいですかね。大分時間が、きょうは、どうしても、おくれがちになるのは許していただかないとできないと思っていますが。
 非常に重要な議論になっていまして、どうでしょうか。事実関係というか、仕事の中身についての直接的なご質問ということで、今、お願いしていますが。

【有田委員】 「公権力」なんですが、読みようによっては非常にマイナスイメージがありまして、意味はわかっているのですが、表現を変えるというのは、やはりできないでしょうかね。
 何か、お上が押さえつける、そういうことではなくて、もっと違った、やはり公平で中立で、そういう部分が見えてくるような表現というのはできないんでしょうか。

【吉井調査官】 ここに書いてありますところは、「国民の権利に対して一定の強制力を持って受認義務を課す」という趣旨で公権力という言葉が使われています。

【有田委員】 それはわかっていますけれども、何か余りよくないイメージだなというふうに。

【吉井調査官】 ですから、恐らく、書いていけば書いていくほど、ということでございます。

【松尾委員長】 それは、また後で少し議論させていただきましょうか。
 ほかには、どうですかね。

【佐野委員】 これは本当、8月10日、整理合理化の基本方針をやって、まとめろというのは、どだい無理な話なんですよね。私はこの程度しかできないと、文章的にもね。
 そういうのは十分わかるんですが、ここは、どうも耳障りも余りよくないんじゃないかなと思って。可能ならば言葉については、ほかに選択肢があれば、やわらかいものがあればその方がいいと思うんだけれども、そういうものはないんでしょうか。

【吉井調査官】 強制的な徴収とか、そういう表現であれば、あると思います。

【佐和委員】 さっきおっしゃったとおり、「公的強制力」でいいんじゃないですか。

【吉井調査官】 「公的な強制力」、可能だと思います。

【西尾局長】 「業務を行うために必要な費用を確実に」、集めたものを強制的に、かなり強制的に賦課金をちょうだいすると書いておけば、もう意味は通じますよね、民間ではそんなことは無理だということは。そこは、本当の中身を素直に書くということで。

【佐野委員】 そうですね、この際、ぜひお願いします。

【松尾委員長】 それでは、そういうことで。
 それから、私は環境研の国立のステータスという意味なんですけど、ナショナルセンターということになると、学術会議なんかでも今、ナショナルセンターとして学術会議の部門が国際機関に登録されるようなことをやっていますよね。ですから、何かセンターとしての機能だけじゃなくて、実際にも研究するわけですよね。
 だから、そこが国民生活に対して著しい影響を及ぼすんじゃなくて、やらないと国の基本的な基礎研究ができないんだというか、何かもっと強い必要があって、私は必ずナショナルセンターなくちゃいけないと思うし、それで実質的にやるセンターがないとだめで、名目上のセンターは学術会議なんかでもできちゃう可能性がありますよね。
 その辺は、ですから、もうちょっと実質的に研究データを残していくことが必要で、それを国のレベルできちんと維持することが必要なんだというのが私はあってもいいんじゃないかというふうに思うんですけどね。
 それは、若干ひいき目に見過ぎていると言われるかもしれないけど、私はそういう機能がなくなったら国として非常に今後まずいんじゃないかというふうに思うんですけど、感想ですがね。
 ほかはどうでしょうか。

【有田委員】 化学物質など多様な問題について、情報を含めて重要な機関であるというふうに位置づけ、例えば、ほかの省の関連するような研究機関があったとしても、双方から同様な研究データの比較ができるということも重要なことと私は思っていますので、そういうところが書かれていないのが残念です。

【松尾委員長】 それでは、質問の時間で、いろいろご意見も出ていますが、いかがでしょうかね。よろしいでしょうか。
 それでは、これで事実関係に関する質疑の時間は、一応、終わりにさせていただきたいと思います。そういう意味では、両法人の事務局あるいは関係者、いろいろご参加いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、ここで両法人の皆さん方については退席をお願いして、あと、委員と本省の方の関係者で、さらに少し議論を進めたいと思います。どうも皆さん、きょうはありがとうございました。

(退 席)

【松尾委員長】 それでは、改めて委員の先生方に、この資料4に出てきているような案、こちら側というのもおかしい言い方ですけれども、この評価委員会も含めてですが、2つの独立行政法人に対する、こういうことが仕事なんだと、こういうことをやっているんだという報告でしょうか、そういうことになると思うんですが、これに関連してご意見あれば、いただきたいと思います。いかがでしょうか。

【高月委員】 そもそも論になるんですけども、この合理化案が出てきた背景が、どれぐらい強いものなのか。例えば101ある法人に対して、本当にどれぐらいに絞り込むのかというのは、大まかな方向性みたいなものは何かあるのでしょうか。
 それに対して、とりあえずは、廃止はしないということで返答して、そのまま通るような話なのか、その辺が、覚悟の程がよく読めないんですけども。

【吉井調査官】 現時点のところ、明示的に示されておりますのは、先ほどご説明申し上げました8月10日の閣議決定に尽きると考えております。
 では、具体的におっしゃったのは、法人の数を減らすとか数値目標的な話でございますが、報道であったことは承知しておりますけれども、具体的には示されておらないという状況です。

【高月委員】 恐らく当然ですけども、一たん、こうやって回答をすることになるかと思うのですが、その後、また当然向こうからも、これでは不十分というような回答が出てくる可能性が非常に強いでしょうか。これぐらいで出しておけば、それなりに進むものなのか。それであれば、それほど深刻にならなくてもいいとか思うんですけども。
 その辺が、見通しがわからないものですから、表現の方法も、かなり今はディフェンス的な表現が強いんですけども、逆に松尾委員長がおっしゃったように、もう少し積極的に必要だというようなことを述べることもあり得るかなと思うんですけども。

【吉井調査官】 秋口の議論がどういうふうになるのかということについては、ここで何か申し上げた内容以上は本当にございません。それからあと、ここで、きょう、いろいろ文章でご指摘賜りまして、つたないところも多々あったかと存じますが、書いている心としては、私ども、この基本方針を踏まえて自然体で考えていくと、じゃあ不要な仕事はあるのでしょうか、それから民にゆだねられる業務はあるのでしょうかというふうに、閣議決定で行革事務局から提示されたものを、いわばテストというのですか、そういうテストをして基準に当てはめていった結果、ちょっとそういうことではないのかということで、本日お示しした案をつくったところでございます。

【高月委員】 やってみないとわからないという感じですね。

【松尾委員長】 だから、余りディフェンシブになって、みんなが必要だ、必要だと、結局、多分そういう書類は上がっていくんでしょうね。そのときに、「何だこれは」という話になって、どういうふうに、その次が出てくるのかという辺が、いろいろな意味で難しくて、実際問題としては、あの評価委員会は何だと。お先棒を担いでいるだけじゃないかと、こういう話にまでなるのか、その辺は、ちゃんと見ているのかと、こういう、ざっくばらんな言い方ですけどね。その辺が一番気になるところだけども。
 私は、さっき公権力、なぜ公がやらなければいけないかという部分が一つ、理論武装としてですね。公といったときに、では地方自治体ではなくて、なぜ国なのかという辺も一つポイントとしてあるのだと思うんですよね。ですから、なぜ公か。公はなぜ国でなければいけないのか、地方には任せられないのか。
 それから、もう一つは政策と整合性のあることをやらなければいけないんだというのがあるけど、では、それはやっぱり公的なものではないとできないのか。政策に整合性を持つためには、公でなければいけないのかと。その辺がもう一つ、ある意味で理論的というのか、建前の議論でいいんですけどね。何か、そこが整理されていると、このケースは、どの公なんだ。逆に言うと、僕が一番やりにくいのは政策との整合性というのを主張するときに、ほかの民間だったらそれはできないのかというところが、当然、上から示して、その政策に従うことをやればいいのではないか。やる主体は民であってもいいのではないかというところが、幾つかの議論の中で考えておく方がいいのかなというふうに、素人なりに思ったんですけどね。
 その辺、専門の方がおられるのではないかと思うのでちょっとお聞きしたいけども、どうでしょうか。
 地方行政法人というのもありますよね。下水道なんだけども。要するに下水道の主体は自治体がやるんだからって、自治体で法人をつくればいいじゃないかという格好で。

【西尾局長】 これからどうだろうということで、私どもは政府の一員でございますから、示された整理合理化方針に従って、できるところはできるだけやるというのが基本姿勢だと思っています。
 ただし、最も根本のところは、例えば廃止とか、バサッと民営化できるかとか、統合できるかということについては、多分、これは勝手に申してはいけませんけど、そういうことを言われたら、実は、私ども行政としては、あしたから困っちゃうと思います。
 もう再生機構の方は、幾つかの業務がありますから、どれの業務が、強弱はあるかもわかりませんけれども、基本的に、特に被害者救済の業務はお金を集めてこなければいけない。それから、石綿は直接認定するかしないかということまでやっているわけです。
 これは本来、国が直轄でやってもいいような仕事だと思うのですが、どうしてそういうことになっているかというのは、これは民間のお金を集めても――国だけのお金なら、またそれでやってもいいんですけど、民間のお金も集めて、きちんとプールをしておいて、そういうものを行政上の決定行為とともに動かすというのは、これは何かの公共性のお財布がないと今の仕組みでは動きません。
 しかも、これは全国から集めてきますが、特定の大都市に患者がいるとか、石綿の方も、特定の工場の周辺にはいるんだけど、全国に可能性があるから、お金は全国から集めてくるとかという形ですので、地域で完結をしていないというのがポイントとしてあると思います。ほかのやつは、似ている程度が幾つか違う面もあるとは思うのですが、ほかの業務は割にPCBとか廃棄物とかも、やっぱり一地方だけで任せておくと動かないのかなと。幾つかこれは議論があるかもわかりません。
 全体に共通しているのは、民間の金も集めてきて、それで物を動かすという形になっています。それはお出しになる方も、やっぱり公的機関ではないと、ちょっとということになっているのだと思います。
 研究所の方は、ナショナルセンターというのは、ここ表現があれなのかもわかりません。例えば、言うたらいけませんが、お隣の大きな国とか、データはなかなか出してくれないとか、ちゃんとやれますよね。その上、国立の名のもとに、そんなチームを組んでやるからということでやっとやれている部分と、それからもう一つは、国内的に本当に、例えば環境ホルモンだと、こういうような議論があったようなときでも、国環研にそれなりの今まで基礎研究があって、そういうパニックのようなときも慌てずにちゃんと基本にあって、きちんとした答えをある程度導き出せるというのが本質ではないかと思いますが。
 わかるように書いていないのではないかというのは、8月10日にいただいてから慌てて書いたということで、まことに申しわけなく思っていますけれど。

【佐野委員】 一つ、PCBについても、事業者側で長年この保管で苦労してきて、何十年として各企業の自己責任で膨大な費用をかけて全国で管理してきているわけなんですね。
 これが、ようやく国として方針が決まって、具体的に動き出したというのは、非常に明るい兆しなんですね。これは、まさに広域の許認可が二重、三重、四重とありますし、民間では全くできないというのは明白でして、だれもやる気もないと思いますし。ということが実際ありますし、私は皆さんに迎合した意見を出すとか、そういう感じは全くありませんので、マスコミ等で、評価委員会は、いろいろ役所の方向に甘んじて受けて意見を出せというのは、全く、私は反論を十分できる覚悟をしていますので、そういう意識は持っていないということも明確に固持しておきたいと思っております。

【三橋委員】 2つの独立行政法人のうち国立環境研は、やはり、それだけの存在意義みたいなものが十分主張できるわけですね。
 それで独立行政法人環境再生保全機構、これは2つの法人が合体してできたという点で、この公害健康被害補償業務予防事業、これについても、やはり国しかできない意義というようなことの主張が非常にできるわけですね。恐らく、この地球環境基金の問題については、ほかと合併したらいいじゃないかとか、いろいろな、恐らく攻め方が当然出てくると思いますね。これに対して、しっかりした考え方というものを詰めておく必要があると思うのですよね。なくたっていいじゃないかという主張をされた場合に、「第3次環境基本計画でも言っているんだから」程度では、とてもしのげないような感じがしますね。
 今まで地球環境基金がやってきたことは、途上国との関係というのを非常に重視してやってきましたよね。例えば、そういうところに、さらに特化していくとかですね、そうじゃないと、恐らく類似の活動をしているようなところがあるので、「それは民間だって十分できるよ」ということに対して、そうじゃないんだという説明をしているというのは、非常に、ここの部分は、こういう時代になってくると難しいような感じもするんですよね。
 だから相当の、この程度ではない書き方が必要になってくるのではないかなというふうには思いますね。

【有田委員】 佐野さんが、迎合しないとおっしゃったんですけど、別に私も迎合するつもりは全然ありません。ただ、やはり先ほど申し上げたように、今、おっしゃった地球環境基金業務のところは、多分、書き方が弱くて、何か言われるのではないかなというのがあるのです。
 ただ、私が手を挙げた理由というのは、環境省の関係の、こういう法人は2つですよね。ほかの省と比べることはどうかとは思うのですけれども、非常に多いような省もあって、これ以上、環境省のそういう法人がなくなってしまっていいのだろうかという、もう、ぎりぎりまで来ているような気がしているので、それを、もっと危機感を持って書いていただけないかなというふうに思っています。迎合しているのではなくて、ほかとの関係で言えば、そういうふうに思っているという意見です。

【松尾委員長】 ありがとうございます。
 佐和先生、帰られる前に何か一言どうですか。

【佐和委員】 今のご意見に私も賛成でして、他の省で、こんなにたくさん挙がっていいのかどうだというような独立行政法人が、特に研究面に関しても複数個、幾つも持っているところがありますね。そういうところは、ある程度、統廃合というのでしょうか、そういうことが必要だとされるでしょうし、環境省の方は、たった2つしかないわけですね。いわゆる研究法人が1つと、それから、それ以外の独立行政法人が1つと。
 他方、それ以外のどの省を見ても、研究所も多過ぎるし、少なくとも数が多いし、少なくとも統廃合すべきだというふうに、我々が全く素人が外から見ていても、そのように思える省附属の研究所といいますか独立行政法人研究所が少なくないと思うんです。
 それからもう一つは、独立行政法人であって、今度は、いわゆる行政に近い独立行政法人の場合でも、どうしても、そういうのは時代の拘束性があって、昔は必要だったけれども、今は必要がないというようなものが少なくないと思うのですね。
 ですから、そういう意味では、私はきょう、ご説明のあった2つの法人、国立環境研究所ともう一つの法人に関しては、総務省に対しても十分な説得力がある内容になっているというふうに、先ほどの「公権力」とかという妙な言葉は、ああいうアナクロニズムな言葉を修正していただければ、十分説得力のある内容になっているというふうに思います。

【松尾委員長】 ありがとうございました。

【沖 委員】 この文で私はいいと思って読ませていただいていましたが、やはり環境問題というのは、これから身近なものからグローバルなものまで、日本という国が音頭を取っていかないといけないということを、世界に向けて発信するためにも、少なくとも、この2つの法人というのは、ナショナリズムとは全然関係ないと思います。
 国としてこういうふうな政策のもとに、この研究があってということが強く打ち立てられるような形で進めていただきたいと。でないと地方行政の方もそれに則って動いておりますので大変です。
 ですから、そういう意味では、もう少し、ここを積極的な言葉で書いていただきまして、強く出ることに対しては、私はもう、幾ら強くてもいいのではないかと。その辺よろしくお願いいたしたいと思います。
 以上でございます。

【松尾委員長】 ありがとうございます。
 大分時間が、予定よりおくれていまして恐縮ですが、それでは、基本的に廃止ということはあり得ないというのは、皆さんの一致したご意見だと思うんですね。それから民営化についても、非常に合うものではないと。
 それから官民競争入札等の適用については、部分的にあるかもしれないけれども、基本的には、この組織自体がそういうものではないということだと。他法人等への移管・一体的実施といっても、事実上、ほかにやっているところがないので、この分野をそれぞれ守っていくということで、2つの法人については進めていくという基本原則は、ご理解・ご了解いただけたというふうに思いますので、その線で、具体的な言葉の表現とか、字句については、もう一遍、きょうのいろいろなご意見、事務局の方で勘案していただいて、不適切な用語は避けた方がいいとか、もうちょっと積極的に書いてもいいのではないかというところがあったと思いますので、そういうことで進めていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「はい」と呼ぶ者あり)

【松尾委員長】 それでは、そういうことで議題1の重要な問題ですが、8月末までの期限つきの仕事であるので、大変だと思いますが、それでお進めいただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 次の議題ですが、その他ですけども、よろしいでしょうか。

【吉井調査官】 お手元に、参考資料2として「独立行政法人の中期目標期間終了時の見直し及び業務実績評価に関する当面の取組方針」をお配りしておりますが、これは総務省にあります政策評価・独立行政法人評価委員会が、各省において今後の評価や見直しの視点として活用されるよう取りまとめたものでございます。
 後ほど、ごらんいただければと存じます。
 それから、本日お配りしました会議資料につきましては、退席される際、テーブルの上にそのまま置いていただきますれば、後日、郵送させていただきます。
 以上でございます。

【松尾委員長】 ありがとうございます。
 それから、佐野先生には、全体の総務省の方の委員会があって、そこに出ていただくということになっているようでありますが、ひとつ多分いろいろな意味で、こういう議論も改めて出てくるのかもしれませんが、よろしくお願いします。

【佐野委員】 言いたいことがたくさんありますので、それを皆さんのかわりに十分主張してこようと思っておりますので、また、よろしくお願いします。

【松尾委員長】 そういうことでありますので、それでは、もし文案ができたら、また個別に先生方にお配りいただいて。

【吉井調査官】 ご相談申し上げますので。

【松尾委員長】 そうですね。よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、どうも、きょうはありがとうございました。