中央環境審議会動物愛護部会 第55回議事録

1.日時

 令和2年1月23日(木)14:00~16:00

2.場所

 環境省 第1会議室

(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館 22階)

3.出席者

 新美 育文  中央環境審議会動物愛護部会長

 松本 吉郎  委員

 浅野 明子  臨時委員    打越 綾子  臨時委員

 太田 光明  臨時委員    近藤 寛伸  臨時委員    

 佐伯  潤  臨時委員    武内 ゆかり 臨時委員

 永井  清  臨時委員    西村 亮平  臨時委員

 藤井 立哉  臨時委員    水越 美奈  臨時委員 

 山口 千津子 臨時委員    山﨑 恵子  臨時委員

 脇田 亮治  臨時委員    

 

4.議題

(1)動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等のあり方について(第1次答申案)

(2)改正動物愛護管理基本指針の素案について

(3)その他

5.配付資料

資料1   動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等のあり方について(第1次答申案)

資料1-2 第1次答申案における動物愛護管理法省令事項素案からの主な変更点とその理由

資料1-3 パブリックコメントの意見概要とそれに対する考え方について

資料2-1 改正動物愛護管理基本指針(素案)

資料2-2 動物愛護管理基本指針の見直しにあたって~用語の定義について~

参考資料1 動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等のあり方について(諮問)

参考資料2 動物愛護管理法省令事項素案(第54回部会資料1)

参考資料3 動物愛護管理基本指針(骨子案)(第54回部会資料2)

参考資料4 改正法の施行に向けた政省令等都基本指針の改正検討スケジュール)(予定)について(第54回部会資料3-1)

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、第55回中央環境審議会動物愛護部会を開催させていただきます。

 本日は、当該部会の委員、臨時委員17名のうち、15名のご出席をいただいております。ご欠席は佐藤委員と稲垣委員でございます。過半数の定足数を満たしておりますので、本会は成立しております。

 それでは、開会に当たり自然環境局長の鳥居よりご挨拶申し上げます。

【鳥居自然環境局長】 皆さん、どうもこんにちは。

 大変お忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうございます。

 前回のこの動物愛護部会12月6日に行われましたので、一月ちょっとがたっているわけでございますけども、前回この場でご協議いただきましたのは、動物愛護管理法の改正省令の案についてご議論いただいております。そのときのご意見、あるいはその後パブリックコメントを行いましたので、それを踏まえまして、今日、修正案といいますか、答申案といいますかをご説明させていただきます。

 また、前回の部会では、基本指針の骨子案についてもご議論いただきましたけども、その際いただいたご意見を踏まえまして、今度は素案という形で今日お示しさせていただきます。また、その前提となる用語の定義に関する資料にも参考にご議論いただければというふうに思っております。

 限られた時間ではございますが、ご意見をいただければというふうに思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

【事務局】 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 お手元にお配りしております資料の議事次第の裏面をご覧ください。配付資料一覧とございます。上から順にならべておりますが、議事次第1の関係につきましては、1-1から1-3までの指針の1次答申に関する資料、それから、1次答申案における前回の素案からの主な変更点とその理由、1枚紙、そして、大部でございますが、パブリックコメントの意見、概要とそれに対する考え方についての3点でございます。

 議事2に関しましては、二つ、資料2-1として、改正動物愛護管理基本指針の素案、それから、2-2といたしまして、指針の見直しに当たっての用語の定義についてという資料でございます。あとは、参考資料1から4まで上から配ってございます。

 それから、委員の皆様には、このほかに参照資料として、直近の部会議事録や、関係法令の資料を青い冊子で配布してございます。資料等に不備がございましたら、事務局のほうにお申し出願います。不備等ございませんでしょうか。

 なお、本部会の資料及び議事録は、後日環境省ホームページにおいて公表されますことを申し添えます。

 それでは、この後の議事進行につきましては、新美部会長にお願いいたします。部会開催の報道発表であらかじめご案内しておりますが、カメラ撮りについては、会議の冒頭のみ、ここまでということで、これからのカメラ撮りについては、ご遠慮ください。

 では、新美部会長よろしくお願いいたします。

【新美部会長】 新美でございます。

 それでは、議事の進行役を務めさせていただきます。

 今日は、大きく分けて議事二つございますが、その第1として、改正省令等について事務局から説明をお願いして皆様方にお諮りしたいと思います。

 それでは、よろしくお願いします。

【事務局】 事務局の小高と申します。

 まず、動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方(第1次答申案)についてご説明を申し上げます。

 資料1-1をご覧ください。

 あわせて、資料1-2と資料1-3もお手元にお願いいたします。

 資料1-1については、全体で18ページ、項目としては、大きく7つございます。順番にご説明申し上げます。

 まず、1ページ目の項目1番、第一種動物取扱業者の登録拒否事由の追加に関してでございます。こちら、法律の第12条関係でございます。諮問の項目でいうと6番から8番に関係する項目でございます。(1)から(3)までございますけれども、今回のパブリックコメントや再度精査した結果を受けて修正した部分は(3)でございます。それぞれ簡単に考え方をご説明申し上げます。

(1)については、「不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由があるものとして環境省令で定めるもの」ということで、こちらについては、行政手続法に基づく聴聞の通知後、廃業等の届出を行い、事実上不利益処分を免れようとする業者について、新たな登録を一定期間行わせないようにすることを目的として規定することとしたものでございます。内容については、前回の部会でお示しした素案どおりの内容でございます。

 この(1)に関連するパブリックコメントの意見は、№1から№16でございます。これらの意見に対して基本的な考え方を申し上げれば、法律の条文に既に規定されている欠格要件の範囲を超える内容を、このおそれ条項で書くべきではないということ、もう一つが、運用上明確に判断できる内容を規定すべきであること、すなわち、記載内容が曖昧、あるいは、バスケットクローズ的な内容は規定すべきではないと考えております。

 次に、(2)の「環境省令で定める使用人」の規定でございますが、こちらも内容は素案から変更はございません。(2)に関連するパブリックコメントの意見は、№17から№19でございます。ご意見の中には、使用人の定義を従業員まで広げるべきといった意見もありましたが、他法令の用例を踏まえ、法制的に慎重に検討した結果、素案のままが適切だと考えておりますので、こういった内容になってございます。

 (3)の様式の部分は、再度精査した結果、様式第7の変更届出書についても措置が必要であるということが確認できたため、追加で記載しています。

 おめくりいただた2ページ目、3ページ目に施行規則の新旧対照表、法律の参照条文を掲載しております。参照条文の赤字箇所は令和元年の改正法によって変わった箇所、下線を引いた部分は省令への委任規定等を表しております。以降も同じような形式で赤字と下線を引いています。

 続いて、4ページ目をお願いいたします。4ページ目は、項目としては、2番、「周辺の生活環境が損なわれている事態、虐待を受けるおそれがある事態」ということで、法律の第25条の関係でございます。こちらは、諮問の項目でいうと、11番と12番に関連するものでございます。

 まず、(1)の「周辺の生活環境が損なわれてい事態として環境省令で定める事態」、これは法律の第25条第1項と第2項に関連するものでございます。こちら、基本的な考え方としては、1ポツ目にございますように、その地域の事情により、複数の苦情がなくとも対処すべき事態、例えば、複数の苦情の申出等がなくとも、特定の個人に健康被害が生じている事態といったことも想定されることから、こうした事態に対しては、都道府県等が必要な指導等を行う対象とすべきであるというふうに考え、鍵括弧でありますとおり、「周辺住民の日常生活に特に著しい支障を及ぼしているものとして特別の事情があると認められる事態」という内容を追記することとしたものでございます。

 なお、「特に著しい」や、「特別の事情」の解釈ですが、その地域の実情、あるいは個別の事案によってケース・バイ・ケースとなってくるところでございます。いずれにせよ、法律の第25条第1項の指導・助言規定などは、必然的な規定ではなく、できる規定でございますので、この規定を発動する判断というものは個別事案ごとに自治体が判断するといったように、一定の裁量を自治体に付与する規定ぶりにすることが適切であるというふうに考えております。

 次に2ポツ目の給餌・給水の部分でございますが、改正法により、周辺の生活環境が損なわれている事態が生じたことの起因となる活動に「給餌・給水」が、法律の文言として追加されたところでございます。こちら、施行規則にも同様の措置を行おうと考えているものでございます。これらに関連するパブリックコメントの意見は、№21から№28でございます。例えば、№21に、この給餌・給水のところで、地域猫活動を除くといったような記載をすべきというご意見もいただいているところでございます。法律第25条第1項の規定については、そもそも周辺の生活環境が損なわれているかどうかで、指導又は助言を行うか判断するものであるという趣旨の規定でございまして、具体的な活動や行為によって判断するということを趣旨とする規定とはなっていないところでございますので、結論としては、この答申案に書いたような内容で考えております。

 次に5ページの(2)、「虐待を受けるおそれがある事態として、環境省令で定める事態」、これは、法律第25条第4項に関連するものでございます。パブリックコメントのナンバーで言えば、29番から43番に関連してくるところでございます。こちら、施行規則に文言の適正化等の所要の措置を講ずるというふうに書かせていただいたところでございますが、今回の法改正では、このパブリックコメントでも、この虐待のおそれがある自体のところは、様々な考え方、こういったものを追記してほしいというようなご意見をいただいていたところでございます。今回の法改正では、この法律第25条第4項の部分については、実質的な改正措置が行われていないところでございますので、今回の省令・告示の改正においては、当該規定の改正は考えていないところでございます。

 次に、6ページ目の所有者不明の犬猫の引取りを拒否できる場合と、それに関連する告示についてです。

 諮問の項目で言いますと、13番に関連してくるところでございます。

 これに関連するパブリックコメントの意見は、№44から№46でございます。所有者の判明しない犬猫の引取り拒否規定については、適切な方法により、地域猫活動等を実施している場合など引取り以外の対策・対応によって、生活環境被害を防止する方法がとられる場合もあり、地域の実情や、個別事案に応じて法を運用することが可能となる規定とする必要があると考えております。これを踏まえ、①、②について規定することと書いていますが、この①、②の内容自体は、前回の部会でお示しした素案からは変更があるものではございません。

 次に、7ページ(2)の、「犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について」でございますけれども、これに関連するパブリックコメントの意見は№47から№59でございます。こちら何点か素案から修正を施しておりまして、あわせて資料1-2、番号で言うと2番から4番をご覧いただければと思います。

 この資料1-2の2番ですけれども、答申案でいう7ページの一番下のところです。「第1 犬及び猫の引取り」の5、一番下のところに下線で、「所有者がいる可能性があることに十分留意して対応することとし」という記載が追記されていますが、これについて素案の段階では特段改正はないというふうになっていたところでございますが、この答申案では、当該部分が追記されております。こちらは、パブリックコメントの意見、具体的には、№50の意見を踏まえて規定することとしたものでございます。

 二つ目は、答申案の8ページ、告示の「第5 死体の処理」というところでございます。これは、関連するパブリックコメントの意見としては№58になります。元々、「化製その他の経済的利用に供しようとする者へ払い下げる場合はこの限りでない」という言葉が書いていたところでございますが、この規定を削除するほか、文言の整理を行うとしたところでございます。そもそも、当該規定については、経済的利用を行おうとする者へ払い下げる場合を許容する規定でありますが、動物の遺棄や飼養の途中放棄を是認するというような趣旨の規定ではございませんので、記載内容の趣旨について、誤解が生じないような形で文言の適正化を図ることとしたものでございます。

 もう一点、この告示で「第6 報告」のところでございますが、答申案の8ページ目の一番下、「、これらの処分及び収容中の死亡の状況」と改正されていますが、こちらは、再度精査した結果、犬、猫の引取り数、小動物の収容数及びそれぞれの処分数、収容中の死亡数、これらを報告させることの趣旨が明確になるよう文言の整理を図ったところでございます。

 続きまして、答申案の10ページ目に移らせていただきたいと思います。「動物に関する帳簿の備付け等を要する取扱いの追加」についてでございます。こちらは、法律の第21条の5関係でございますが、こちら、諮問事項ではなく、その他意見聴取事項としてご意見を聴取させていただいていたところでございます。こちらは、資料の1-2でいうところの5番が関係します。また、パブリックコメントの意見で言うところの№60から№66が関係してきます。

 考え方をもう一度申し上げます。改正法により帳簿の備付け等の対象となる動物が、犬、猫から第一種動物取扱業が対象とする動物全般に拡大されたことに加え、対象の業態も拡大されました。これを踏まえ、施行規則に措置を講ずるということでございます。他方で「個体ごとに記載する」との文言が改正法により法律の条文から削除されています。このため、個体識別や、個体管理が難しく、複数の個体を仕入れ、個体群ごとに関する場合があることなどを考慮したものであることに鑑みて、帳簿の記載方法については、犬猫については従前どおりの個体ごと、そして犬猫以外の動物については、その所有、または占有する動物の品種等ごとの記載を業者に求めるところでございます。

 最後のポツ、3点目ですけれども、前回の素案にはなかった部分ですが、こちらは、資料1-2の5番に記載をさせていただいております。今回の答申案では、第二種動物取扱業が取扱う動物に関する帳簿の備付け等に係る規定を新たに追加しています。これは、再度精査をしました結果、改正法による改正後の法第24条の4第2項に準用規定がございますので、第二種動物取扱業についても帳簿の備付けを行うことを施行規則に規定したものです。具体的には、答申案の11ページの一番下に下線が引いてある第10条の10になります。

 続きまして、答申案の13ページ、5番の動物取扱責任者等に関する要件の追加、こちらは法律の第22条関係でございます。資料1-2で言うと6番が関係します。これらに関連するパブリックコメントは、№67から№86でございます。

 こちらも、再度考え方を申し上げれば、改正法により第一種動物取扱業による適正飼養等をさらに促進していくため、選任要件が、十分な技術的能力及び専門的な知識経験を有する者となっていることから、双方備えていることを要件とすること施行規則において明確化するというものです。また、獣医師と愛玩動物看護師についてもあわせて規定するものでございます。現に動物取扱責任者に選任されている方についての経過措置でございますけれども、改正法の施行の日から3年間は従前の例によるとする経過規定を設けたいと考えているところでございます

 パブリックコメントの中で、特にご意見が多かったところは、例えば、この答申案の13ページの第9条の1号のイ、ロ、ハ、ニの部分です。実務経験が半年のみでは不十分であるとの指摘等も改正法の議論の中であったことから、実務経験のみならず、資格要件もあわせて要件として満たすことを趣旨とする規定が加わったものです。双方が問われることになったため、教育機関の卒業であったり、客観的な試験のみでは、選任要件を満たせなくなったということを踏まえて、新たに、飼養経験を要件に追加したところでございます。

 次に、答申案の14ページ、15ページに関係するところ、(2)の動物取扱責任者研修についてでございます。こちらは、資料の1-2の6番に記載していますが、パブリックコメントの意見を踏まえて修正した箇所がございます。修正点を申し上げますと、15ページの新旧の左側の1号、2号、3号、4号の部分、こちらは、素案の段階では、全て削るというような形で書いてございましたけれども、パブリックコメントのご意見も踏まえて、研修の項目については、答申案にあるとおり、1号、2号、3号、4号に記載のとおり規定することというふうにしたものです。

 次に、16ページ、特定動物の飼養及び保管の禁止の特例についてです。これは、法律では第25条の2関係、パブリックコメントで関係するのはナンバーとしては№87になります。こちらは、素案の段階から変更はしておりません。飼養の禁止の適用除外として、これまで許可不要の規定として列記されていたものを、全体としては、まず、そのまま規定をし、これに加えて国の職員が遺失物法の規定に基づく業務に伴って特定動物の飼養又は保管をする場合というものを規定することにしたものでございます。

 最後に、答申案の17ページから18ページ目でございます。特定動物の飼養又は保管の目的、許可の基準等についてでございます。法律でいうところの第26条から第28条関係でございます。こちら、資料の1-2でいうところの7番、パブリックコメントの意見でいうと№88から№99に関連するものがございます。考え方を申し上げますと、改正法により愛玩目的での特定動物の飼養等が禁止されたところでございますけれども、改正前の飼養者について、社会通念上合理的と考えられる場合も想定されることから、これらに配慮し、環境省令で定める目的を定めることとしたものです。この1ポツについて、例えば、下の新旧の14条の1号から3号あたりがこの記載の表現をしたところでございます。

 2ポツ目は、愛玩目的での飼養等であっても改正法附則の経過措置等により、改正法施行日以降の継続的な飼養が可能であるが、許可の有効期間が満了した場合、引き続き飼養等を行うことが可能となるよう留意することとしたものです。また、この場合、継続して飼養等を行える特定動物は、現に飼養等を行っている当該個体に限るよう規定することとしたものでございます。こちら、条文上は4号に記載しているとおりでございますけれども、前回の部会でお示しした素案においては、経過的な特定目的として、要素として概要を記載していただけにとどまっていたところでございますが、今回条文の形にいたしました。経過的な特定目的として、このように規定することとしていた項目、具体的には、許可の有効期間満了時の更新、加えて、所在地の変更などの変更許可にかかわってくる部分、これらの事由が発生した際、現に飼っている個体についてのみ、継続的な飼養を認めるものでございます。さらに言えば、継続飼養というものが認められる個体については、4号のイ、ロに規定しているとおりでございますけれども、改正法の附則第4条第1項又は経過措置整備政令によって、施行後の飼養が認められた特定動物ないしは交雑種の個体に限りますということが、このイとロで表現されております。

 最後18ページの(2)の部分、こちらは資料1-2の7番に書いてあるとおり、こちらも再度精査した結果、様式第19の変更の届出書の部分についても、手当てが必要であるということが確認されたため、素案のときには、様式14と18しか書いておりませんでしたが、様式第19の改正という内容を加えたところでございます。

 駆け足ではございますが、第1次答申案について、資料1-1についてご説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【新美部会長】 ご説明ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問、あるいはご意見ございましたら、どうぞよろしくお願いします。打越委員お願いします。

【打越委員】 資料1の7ページと、それからパブリックコメントの17ページを見ながら、気になったところなんですけれども、まず資料1の7ページの一番下の5です。都道府県知事は、引き取った犬や猫については、きちんと台帳に記入すること、この場合において、所有者が判明していないときは、所有者がいる可能性があることに十分に留意して対応することとすると書いてある箇所、これは、パブリックコメントを参照して入れたというお話だったと思うんですけれども、そのパブリックコメントの意図がどういう意図だったんだろうと。パブリックコメントの17ページを見ますと、要は、庭で悪さをしたとか、いたずらをされたから、こんな猫迷惑だと言って、捕獲檻をしかけて持ってきてしまうような人がいるのを防ぎたいという趣旨なんだろうなと、パブリックコメントのほうはそうだろうと思いました。ただ、この5のところに書いてあるところですと、引き取った犬や猫について、所有者がいる可能性を十分に留意して対応することとして、通知を市町村に出したりしてと書いてありますと、所有者がいる可能性というのは、引き取った後に相当意識しなければいけない。もちろん飼い主の方がいるかもしれないので、安易な殺処分を控えるということも含めて、飼い主がいる可能性に留意するというのは、大事なことなんですが、しかしそうしますと、今度は、譲渡ができない。個人譲渡も団体譲渡も所有者が引き取った犬や猫が飼い主がいる可能性、所有者がいる可能性を十分に留意というふうにかなり念押しをされてしまうと、今度は、譲渡時の所有権がどうなるという話になってくる。自治体の担当者として見れば、団体譲渡でお願いしますということがやりにくくなってきてしまって、逆に自治体でいつまでも飼ってなきゃいけなくなったりとかする可能性があるなと。資料1の8ページの5のラストのところには、明らかに所有者がいないと認められる場合等にあってはというふうに書いてあって、今度は明らかに所有者が、所有者不明と持ち込まれた、引き取った場合があるということですね。だけど所有者がいる可能性があることに十分に留意しなきゃいけなくて、しかし明らかに所有者がいないと認められる場合もある。このあたりの線引きをどうするのかというのを、少し考えないと、処分もできない、譲渡もできないという状況が長く続いてしまうんじゃないかと、少し懸念します。もう一度パブリックコメントなんですけれども、パブリックコメントの意図として見れば、そういう迷惑だからと言って、無理やり捕獲して近隣の住民が猫を連れてくるのを抑止したいということで、本当は第3項のところに所有者がいる可能性を加味して入れてくれというパブリックコメントだったようなんですが、環境省側の判断で告示第1の5のほうに反映するという形になったので、引き取った後に、さらにその所有者がいる可能性を十分に考慮するという形になっている。ここをもう少し丁寧に見ないと、現場で混乱を招くのではないかなと思いました。言葉を補ったり、少し論点を整理すれば、環境省の意図も悪くないですし、パブリックコメントの出してきてくださった方々の趣旨も共感できるところなんですが、所有権に係るところなんで、混乱しないようにと感じています。

 以上です。

【新美部会長】 これで、事務局のほうはいかがですか。

【事務局】 ご指摘ありがとうございます。まさに、実態については、打越委員からご説明をいただいたとおりだというふうに考えております。これは、もともと非常に重要な課題だったということで、一昨年数回にわたってこの動物愛護部会でご議論をいただきました動物愛護管理をめぐる主な課題についての論点整理の中でも、独立した項目として取り上げてご議論をいただいたところでございます。まさに所有者不明の猫の引取りに関しては、今回改正ではなくて、前回改正の際の附帯決議の中に、駆除目的の引取りというのは、動物愛護の趣旨からできないなという規定がある一方で、自治体に対しては、引取りの義務が除外規定なしに置かれていたということでございます。今回改正によって引取りを拒否できる場合があることが規定をされているということで、通知についてもあわせて改正をしたということでございますけれども、この論点整理の際に、まさにここについて取りまとめた際には、その附帯決議については、法の施行に当たって留意すべき事項であるけれども、これは引取り義務を否定するものではなくて、やむを得ず引き取る際には、所有者を確認しつつ、関係者の意向も踏まえた上で引取り後に譲渡の機会が得られるよう、最大限努めるという趣旨だということを整理をさせていただいたところでございます。

 一方で、自治体によっては、さまざまな現場の状況を勘案をしまして、所有者からはぐれた猫を保護するといった観点から、引取り以外の対策・対応がとられる場合もございまして、これについて一律に、必ずどんな事情があっても引き取らなければならないという判断をするということも、また自治体の現場に即した対応を妨げることになるのではないかというふうに考えたところでございまして、先ほど、ご説明をいたしました省令に関する部分でもこういったことを考慮しているところでございます。したがいまして、基本的な考え方としましては、生活環境被害等の救済策あるいは飼い主への返還という観点から、一旦引き取った上でしっかりと所有者を確認をしていくというのが、やはり通知の中では重要になってくるというふうに思っております。一方で、その虐待につながりかねないおそれのある捕獲方法等については、別途通知等で自治体に注意喚起を図っているところでございまして、それらについてもしっかりと取組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

【打越委員】 では、所有者がいる可能性を十分に留意しというと、例えば、大人の猫で非常に人慣れをしていて、この子飼い主いたかもしれないと。だけど、もしかしたら、飼い主が遺棄したかもしれない、それが運び込まれた。できれば、早く動物愛護センターから引き出して、丁寧な団体譲渡とか、個人の新しい飼い主を見つけてやったほうがいいかもしれないけど、所有者がいる可能性がというところで、痛しかゆしなんですよね。所有者がいる可能性があるからこそ、丁寧に対応すべきであるとともに、所有者がいる可能性がある限り、新しい飼い主に譲渡するということの根拠が弱くなるので、ここのジレンマを意識しておかないといけないんじゃないかなと。そういう意図で5項に入れるのが難しいなと。批判しているわけではないんですけど、何か対処法が必要かなと思いました。

【新美部会長】 どうぞ、事務局のほうから。

【事務局】 この告示そのものの条文の全体像がお示しできてない中でご議論いただくとちょっとわかりにくいんですが、委員の先生方には、お配りしております水色のファイルの155ページのところに、今回のこの改正に係る告示がございます。この告示の中の、155ページでございます。この4ポツのところで、引き取った犬または猫についてというところがございまして、ここに所有者がいる可能性があることに十分留意して対応することとしというふうにしておりますので、所有者がいる可能性があるので、安易に例えば譲渡をしてはいけないというところまでいってしまいますと本当に自治体は何もできなくなってしまいます。引取りもできない、譲渡もできないということでも困りますし、引取り義務だけ適用して引き取ったものが、ずっと飼い続けないといけないということになっても困りますので、ここについては、留意して対応することとしとして、具体的に、対応する方法については、例えば台帳に細かく記載をするですとか、狂犬病予防法に係る措置を講じるとか、具体的なことは、ここに示されているところで、ここに書いてあることだけをやれば必ずそれでいいということではありませんけれども、具体的な対応を支えるという意味で書いているつもりでございまして、やはり個々のケースに応じては、当然問題が出てくる場合もあると思いますし、所有権の問題は、今回の法改正の中でも解決ができなかった難しい重要課題でもございます。そういったことも踏まえて、また、遺失物法に基づく規定の適正な運用といったこともかかわってまいりますので、ここについては、警察庁ともよくご相談をしながら対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。どちらにしても、この通知につきましては、ここまでの書きぶりにとどめていく必要があると思っておりますけれども、生活環境被害を受けている方の保護、それから、所有者に対しても犬猫の返還の促進、そして、所有権も含めたさまざまな権利の適切な取扱い、こういったこと全て含めて考えていくという意味では、この通知のみならず、実際の制度運用に当たっての各自治体さんの意見を踏まえた対応というのを進めてまいりたいというふうに思っております。

【打越委員】 この所有に関する告示の限りの表記であって、また、そこから先の譲渡とかに関しては、また別の形で定めているのだと区切ったほうがよいということですよね。

【新美部会長】 今の所有権の問題で、事務局からありましたように、所有権をどうするかというのは、動物愛護管理法で処理できる問題でもないわけですので、所有者がわからないということを前提として、どういうふうに対応するのかということですので、所有者の証明があったら、どんなに譲渡されても返せと言われればかえさなきゃいけないのが民法の規定ですから、遺失物等の規定がない限りは、所有権を奪うことはできませんので、それを前提にした上での動物愛護管理法での処理ということで、今、考えていくしかないんじゃないかというふうに思います。はい、どうぞ。

【浅野委員】 今のに関連して、「犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について」というのは、今回、改正する可能性はあるんでしょうか。そこが、今の35条の7項に基づく通知が措置ということなんですけど、この第1の3で遺失物法について今触れられているんですけど、ここで触れられている趣旨というのは、あくまで遺失物法が平成18年に変わったときに、動物愛護管理法で処置してほしいといった拾得者については、遺失物法を適用しないということについての、都道府県警察との間の協力体制構築という点かと思うんですね。ここにもしも、本来こういうことができるのかわからないんですけど、遺失物法に従って、公告をすると所有権の問題というのは、民法240条で解決されるわけですので、例えば、遺失物法の中では、警察署長が所有権を取得して処分するとか、いろいろそういうことはできる構造にはなっているので、その遺失物法に従った処理の問題についても、都道府県警察との間で、協力体制を構築するというような、何かそういう文言というのを入れることはできないんですか。

【事務局】 ありがとうございます。遺失物法の運用と動物愛護管理法第35条の引取りの運用は、非常に親和性も高くて、日々警察庁と情報共有をしながら、現場の運用に資する助言等を行っているところでございます。

 今の浅野委員のご指摘の点なんですけれども、実は、この告示で今の現告示の第1の3で遺失物法について触れられていますけれども、この遺失物法に関連してくる現場での運用の話については、また別途警察庁と共同して、現場向けの事務連絡を出しております。今回もこの第35条の3項に引取り拒否規定が加わったところでございますので、こちらの告示をいじるというよりも、現場向けの通知ですね、そちらで今後、警察庁とも協議をしながら、考えを現場に伝えていきたいというふうに考えています。

【浅野委員】 ありがとうございます。そうしますと、できれば、地方によっては実情によると思いますけど、遺失物法で処理することを優先するとか、そういうことも適宜協議していっていただけたらと希望します。

【新美部会長】 ほかに。それでは、この問題は以上で、ほかにございましたらどうぞ。いかがでしょうか。他は特にございませんか。はい、どうぞ。

【浅野委員】 すみません。施行規則の特定動物についての26条1項で許可を出すときの施行規則15条の様式14というのがあるかと思うんですけど、特定動物の許可を申請するときのところに、現在のところは管理責任者ですとか、その方の住所とか、飼養保管という項目があるんですけれど、この様式14を変えるときに、今回、特定動物の愛玩飼養目的ができないということになったことに鑑みて、管理責任者の特定動物の種の取扱い経験ですとか、そういうことの聞き取りを、聞き取りというか許可申請のところに、何か項目を追加するというようなお考えはありますか。また、それを私としては希望しているんですけれど、お考えをお聞かせください。

【事務局】 ありがとうございます。パブリックコメントの中でも、今、ご指摘いただいたような意見がございました。飼育経験の部分については、当然技術的には、申請書様式に落とし込むことが可能ですが、現時点では、許可基準と関連してくる項目ではありませんので、追加する根拠が、不明確と思いますので、あってもいいと思いますが、現行の許可基準に照らし合わせれば、特段、今、追記は不要であるというふうに考えております。

【浅野委員】 すみません。それで、なぜそう思ったかというと、様式15のほうで許可証を出すんですが、ここに管理責任者の下に6で条件というのが書かれているので、何かその方の飼育経験ですとか、動物の数等に照らして、何か条件をつけることがあるのかなと思ったものですから、その条件をつける際に、やはりある程度経験を聞いといたほうがわかるのかなということで、申し上げました。

【新美部会長】 よろしいでしょうか。今、ありますように、大もとの法のほうでそういうことを要求していないということから、その規定でどこまで書けるかということですが、読み方としては、飼養目的が何であるかということをきちんと見ていけば、誰が管理者責任者かということもおのずと限定されてくると思いますので、その辺は運用の中で少し対応できるのではないかというふうには考えますので、今の点は、ご要望と、今後の問題としてのご要望ということで伺っておきたいと思います。

 ほかにございますか。はい、どうぞ、山口委員。

【山口委員】 前回もお願いしたんですけれども、特定動物、やはり継続飼養をする方いらっしゃるわけですので、それに対する飼養基準ですね。今のところ、飼養基準は逸走しないようにというのがメーンの使用基準になっていますので、特定動物であれ、この法律で定められている動物ですから、生理、生態、習性に配慮した飼養管理基準に沿ってやらなければなりません。その点、継続飼養する人がいる及びこの一部は動物園その他の類する施設における展示とかには、結構縛り的なものがあるんですが、ペット動物として継続するという方については、同じ特定動物なのに、なぜこれほど飼養管理に関しての対応が違うのかというところがとても気になるところで、やはり逸走しないようにだけではなくて、しっかりと生理、生態、習性を反映した飼育管理にすることも、先ほど浅野先生がおっしゃられた新たな条件に入れていただけたらなというふうに思います。

【新美部会長】 どうぞ、事務局お願いします。

【事務局】 ありがとうございます。特定動物の飼養保管基準ないしは、その下の細目に関しての見直しについてもあわせて検討していくべきではないかといったご趣旨のご意見というふうに承知しました。特定動物は、ご指摘のとおり、堅牢さを追求するあまり、あまりに小さくなったり無機的な施設になってしまうというようなおそれがあるということが常にご指摘としてはございます。あくまで、現行の動物がどう飼われているかということに留意して考えていくべき問題だというふうに思います。この改正法の1年後の施行の中では、特定動物の飼養保管基準細目については、見直しはする予定ではないんですけれども、そういったご指摘も踏まえて、中長期的に検討していく課題だというふうに認識しております。

【新美部会長】 よろしいでしょうか。ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。特定動物についての細目等について今後考えていきますということでいいと思いますけども、ほかにございましたら。特にございませんか。次の議題もございますので、急ぐわけではありませんが、特になければ、このパブリックコメントを受けた後の答申案をご議論いただきました。これについて、本日いただいたご議論を踏まえた上で、必要な修正を行って、その答申(案)の案をとらせていただいて、中央環境審議会の会長に報告を行った上で、会長のほうからご答申いただきたいというそういう手続に入りたいと存じますが、いかがでしょうか。もちろん今日いただいたご意見をきちんと反映できるということは、私も事務局とともにチェックをしてまいりますが、そのような処理でご了承いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、そのような手続を踏ませていただきます。どうもありがとうございました。なお、答申を受けましたら、環境省におかれましては、施行に向けて速やかに交付の手続を進めていただきたいと思います。地方自治体や、事業者等に制度の周知徹底、あるいは普及に努めていただくようよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、議事の2です。改正動物愛護管理基本指針の素案について、事務局からご説明をよろしくお願いいたします。

【長田動物愛護管理室長】 それでは、資料2-1、横長の資料でございます。改正動物愛護管理基本指針(素案)というものをご覧いただければというふうに思います。

 前回の部会で基本指針の骨子案についてご議論をいただきました。今回、素案という形で、具体的な基本指針の文章の形にさせていただいたものをご説明をいたしまして、ご議論をいただきたいというふうに思っているところでございます。資料の体裁といたしましては、右側にございますのが、現在適用されております指針、平成25年に改正が行われたものでございます。左側にございますのが、前回お示しした骨子案について、一部委員のご指摘を踏まえて修正をしたものを案として作成しております。素案という形になっております。順次ご説明してまいりたいと思いますけれども、本日のご意見等を必要な部分について反映をした上で、速やかにパブリックコメント等に入ってまいりたいと思っているものでございますので、どうぞよろしくお願いします。

 構成といたしましては、この1ページから2ページ目にございますように、第1に基本的考え方を示し、第2に今後の施策展開の方向として、主要4項目、そして第2の2番目に施策別の取組として、10項目を掲げておりまして、そして第3に都道府県が策定をします動物愛護管理推進計画の策定に関する事項、第4に点検及び見直しという形でございまして、主要10項目、施策別の取組については、一部名称の変更が行われておりますが、それ以外については、構成としましては、現行の指針を踏襲するということでございます。

 2ページから3ページにかけまして、まず、基本的考え方として、動物の愛護、管理、そして合意形成というふうに続いてまいりますけれども、動物の愛護の部分でございます。この資料の中で下線を付した部分がございますけれども、現行規定右側について、それから新しい素案について、それぞれ下線を付しているところについては、主な変更部分ということでございますので、ご確認をいただければと思います。

 基本的な愛護の考え方については、現行の規定を踏襲をしているところでございます。少し、かたい大上段に振りかぶったような書きぶりではないかというご指摘もございました。また後ほど、少しご説明しますけれども、それらの用語が用いられた背景等についても確認をした結果としまして、一部を除いては、やはり現行規定の書きぶりを維持したいというふうに考えているところでございます。

 また、動物愛護の基本というところから始まりますけれども、動物の尊厳を守るとか、それから修正を考慮するというところについては、もう少し丁寧に生理、生態、習性等を考慮して適正に取扱う。そして、人と動物が生命的に連続した存在である、生きとし生けるものを大切にする心を踏まえ、命に対して感謝、畏敬の念を抱くといった規定は、維持をしたいと考えております。

 また、愛護の最後の部分ですが、社会における生命尊重、友愛、平和の情操の涵養を図るためには、命あるものである動物に対して優しいまなざしを向ける態度が求められるというところで、ここは委員から、そういう態度なくしては、困難であるという、二重否定の表現になっていたけれども、もっと素直に書けばいいのではないかというご意見もあったところでございまして、それを反映をしているところでございます。

 続きまして、動物の管理でございます。こちらにつきましては、所有者は、人の生命、身体、財産の侵害や、それから生活環境保全上の支障というものをしっかり書きたいと、こういうことを防止をするという必要がありますということで、社会的責任の自覚について触れておりまして、3ページから4ページにかけましては、この際に、動物の行動等に一定の制約を課す必要が生じる場合があるということも触れております。所有者がいない動物についても恣意的な餌やり行為等が望ましくない状態を引き起こす場合があるということも、現行規定どおり書いているところでございます。

 また、我が国では、幅広い世代にわたる国民がペットを飼養しておりと、ここは15歳未満の人口を超えるという書きぶりをしておりましたが、むしろその性質としては、こういったことに触れたほうがいいのではないかというご指摘を踏まえまして、多くの世代がペットを飼っているということにしております。そしてペットは、生活に欠かせない存在になっていると。それから令和元年の世論調査の例も引いておりまして、適切に飼うことが、求められる一方で、ペットが人に与える影響については、肯定的な回答が多い一方で否定的な回答も一定数ある。特に、ほえ癖や臭気などによる迷惑や被害の加害者の意識が希薄な傾向があり、被害者の置かれた状況を認識するということが大事だということで、これも現行規定にほぼ同様の規定がございますけれども、ほえ癖や臭気という例示を入れたことと、また、ここについては、加害者、被害者という表現がきつ過ぎるのではないかというご指摘もございましたけれども、実際に被害が生じている場合に、その被害そのものに対する自覚を促すという観点で言いますと、被害者側にも、非があるような表現を使うことは適切ではないというふうに考えておりまして、少し強いわけですけれども、基本的な認識として、やっぱり加害、被害という記載にこだわりたいというふうに思っているところでございます。

 合意形成でございます。これも現行規定どおり国民が動物に抱く感情、意識、千差万別であるということ、あるいは動物の資源利用、5ページにまいりますけれども、野生動物等の捕獲行為、例えば、安楽殺処分、こういったものについても、法の精神や法そのものに抵触するものではないということについても触れた上で、現実には、殺処分等に対する賛否両論があるということも触れた上で、ここでも世論調査を引かせていただいておりますが、例えば、我が国では、けがや病気で回復の見込みがない場合に殺処分を許容できるとする回答が全体の4割ということで、諸外国と比べると低いということもございます。このように、動物の愛護管理の考え方は多様だということに触れた上で、また、ペットの視点に偏り過ぎではないかというご指摘もありましたので、ここで改めて、実験動物や家畜の利用等についても、その適切な取扱いがなされるならば、人と動物の共生のあり方の一つだということを触れた上で、また、動物が社会や自然環境に及ぼす正と負の側面に関する知見の蓄積、人間の営みが動物の世界に与えている影響など、新たな視点に留意した対応というものを触れているところでございます。

 ここについては、ペットの飼育が高齢者の健康寿命の延伸につながるという事例をご説明しましたが、ほかの事例もあるのではないかというご指摘もいただいたところでございます。確かにそのとおりでございますけれども、ここについては、まず、基本的な考え方として、動物が社会に与えるプラスの影響、マイナスの影響双方について、しっかり認識していく必要があるということに触れるということで、あまり個別の事例にこだわることなく、包括的な表現にさせていただきました。

 6ページでございます。重要な考え方として、合意形成につきましては、人と動物の共生する社会の実現に向けた将来ビジョンの形成というのを目指していくために、動物観の特質、海外との違い等を踏まえた丁寧な議論が重要だということについて触れております。

 そこから先は、第2、今後の施策展開の方向で、まず四つの視点を示しているところでございます。まずは、国民的な動物の愛護及び管理に関する取組の推進ということでございまして、まず適切な愛護管理というものに関する国民共通の理解の形成には、まだ至っていないということに触れた上で、6ページの下のほうでございますけれども、全ての当事者が必要な取組を推進する。考え方は多様であるということを前提にしながら、行為規範のあり方については、中長期的に検討していくということについて触れております。また、(2)では、長期的視点からの総合的・体系的アプローチとしまして、まず現行の指針のとおり、施策の対象というのが幅広く、また広範囲にわたっていて、それぞれ関係法令に基づく施策等も進められている一方で、動物の愛護管理に関する問題というのも、施策効果がすぐにあらわれないものも多いということに触れた上で、骨子等でお示ししましたとおり、Evidennce Based Policy Making、こういったこともしっかり推進していくことが求められている。あるいは、科学、法律、倫理・動物観、生活・経済等の多角的な視点から、動物の取扱いを検討し達成手段等も設定して総合的、体系的に取組を進めていく必要があるということに触れさせていただいているところでございます。

 (3)は、関係者間の協働関係の構築でございます。関係者が協力しながら施策展開を図っていくというところでございますが、8ページ中段につきまして、少し追加をしているところがございます。地域の実情も踏まえて効果的に取組むために、自治体間、あるいは自治体の部局間の連携、それから、動物愛護推進員や地域ボランティアの協力が重要だということ、協力をする関係者として、業界団体に企業というのを追加し、また、地域ボランティアというのも追加をしております。最後のところですけれども、多様な関係者の参画・協働によって、地域づくり、社会福祉、公衆衛生といった動物愛護管理以外の社会課題の同時解決を図るという視点が必要だということに触れさせていただいているところでございます。

 9ページでございます。施策の実行を支える基盤の整備でございますが、地域拠点としての動物愛護管理センターというものの役割を明示をしております。また、国が科学的、客観的な知見やデータの蓄積、ガイドライン作成、研修会開催等によって、施策の実施体制の強化を図る必要があるということに触れた上で、この2からの10項目の施策別の取組みに入ってまいります。

 施策別の取組、(1)でございます。ここは、普及啓発というタイトルから、普及啓発・多様な主体との相互理解の醸成というふうに変更しておりますが、まず現状と課題の書きぶりとしては、冒頭は現行の指針と同様に、国民が動物の適正な取扱いに対して、正しい知識、理解を持つことが重要だということ。そして、10ページにまいりまして、普及啓発がまだ十分ではないということ。また、先ほどの合意形成のところにも書いたところと一部重複いたしますけれども、国民の動物に対する考え方が多様であることを前提として、動物の愛護管理に関する議論を深めていく必要があるということに触れております。

 その先は、現行規定と同様ですが、動物との触れ合いや、適正飼育の研究が重要であるということ、あるいは、動物愛護推進員というのもここに追加をしていたり、普及活動や広報活動に取組む必要性を述べております。具体的な施策としましても、関係者の中にアのところで、動物愛護推進員を加えたり、イのところで、行為規範、社会規範としての行為規範について、幅広い関係主体の議論を活性化し、中長期的に検討していくということを新たに入れております。

 ウの動物の触れ合い利用につきましてですけれども、こちらについては、展示利用全体について、利用形態ごとの意義だけではなく、課題についても整理をする。また、その意義に関連する部分ですが、効用を効果的にもたらすこと。それから、課題に関連する部分では、感染症、疾病の予防等、健康、安全の確保、こういった観点から取扱いに関する基本的な考え方を整理するということと、学校飼育動物についても同様の検討をしていくということが盛り込まれたところでございます。

 11ページから12ページにかけましては、適正飼養の推進による動物の健康及び安全の確保、並びに返還・譲渡の促進という部分を、今回項目名として追加しておりますけれども、12ページのところに、引き取り数、殺処分率の実態を書いております。平成16年度の42万頭から9万頭に引取りが減り、殺処分率は94%から42%に減ったということで、一方で、殺処分を減らすということを優先した結果としての、咬傷事故の発生、特定の団体における過密飼育の問題、こういったことにも触れ、また改正法による引取りの拒否規定等もあることも踏まえ、また、野犬等が多く収容される自治体もあるということにも一定の認識を示しつつ、その適正飼養を推進する必要があるという現状認識を書いているところでございます。

 講ずべき施策としましては、譲渡時、販売時等に原則として繁殖制限をしなければならないということを説明するということ、それから、マイクロチップの装着等による所有者明示、引取りのさらなる減少を、こういったことによって図っていくということを触れております。

 イのところにつきましては、前回、目標の具体的な数値を示しておりませんでした。部会の中では、数値目標は要らないのではないか、あるいは書くのであれば、②に属する個体、つまり、海外では、リホーマブルと言われるような、家庭で飼養できる、そういう個体の目標値だけではなくて、全体を設定すべきではないかということでございました。それを踏まえまして、今回平成30年度比50%となる殺処分数の目標数値2万頭というのを事務局としてお示しさせていただいております。全体としましては、この②の区分だけではなくて、①、③についても減らしていくわけですけれども、特に②の個体の返還・譲渡を積極的に進めるという考え方を示しております。

 14ページから、主に犬猫に関する規定でございますが、ウのところは、猟犬が多い地域等では、捕獲を実施することによって、短期的に引き取り数や殺処分数が増加することもあり得るということに触れています。エのところにつきましては、適正な団体譲渡の推進に向けた現状課題の重要性、オにつきましては、動物愛護管理センターの機能を拡充するための施設整備の推進、カのところにつきましては、虐待の通報の義務化等を踏まえて、対応の明確化や体制構築を行うということ、そして、キにつきましては、先ほども議論がございましたけれども、終生飼養につきましては、飼い主が最後まで責任を持って飼育することを求めるけれども、譲渡や引き取りが否定されるものではないということ、それからクにつきましては、不適正飼養に関連して、報告徴収・立入検査が今回改正で可能となったということ等も踏まえて、自治体の指導監督の強化に向けた環境を整備するということに触れているところでございます。

 (3)は、周辺の生活環境の保全と動物による危害の防止ということでございまして、もともとは、動物による危害や迷惑防止というふうになっていましたけれども、危害の防止をひっくり返して後ろに持ってまいりまして、中身の記述と書いている順番をあわせております。あわせて、迷惑問題の防止ということにつきましては、生活環境の保全、法律の文言にあわせたような書きぶりにしております。

 現状と課題でございます。改正法を受けまして、給餌給水というのにも触れております。それから、下線の部分ですけれども、所有者不明の犬猫について、引取りを拒否できる規定が追加されたということ。そして、15ページの下のほうですけれども、行政主導によるルールづくりまたはルールづくりに対する支援等が必要だということ、そして、その地域の実情にあわせた対応・対策が必要だということを書いております。

 それから、特定動物については、法改正によって規制が強化されたということについても触れております。講ずべき施策としましては、まず地域猫活動のあり方に関して検討を加えて、適切な情報発信を行うということ。それから、イにつきましては、犬猫に対する後先を考えない無責任な餌やり行為が望ましくないことについて、普及啓発を強化すると。この餌やり行為、どういう餌やり行為が望ましくて、どういう餌やり行為が望ましくないかということをもっと明確に書けないかというご指摘もいただいたところでございますけれども、これ明確に定義をするのは極めて困難でございまして、やはり餌やり行為が引き起こす結果について考慮をするというのが最低限必要になってくるということが前提であるということで、口語的な表現ではございますが、「後先を考えない」という表現にさせていただいているところでございます。

 ウにつきましては、多頭飼育問題などの関係でございますが、福祉部局との連携の強化、ガイドラインの作成について触れております。

 エにつきましては、特定動物の規制強化についての周知・遵守を推進するということ、オについては、販売事業者に対しての指導を適切に行う。そしてカにつきましては、地方公共団体の人材育成の支援ということでございます。

 (4)所有明示措置の推進でございますけれども、まず冒頭のところで、現在の所有明示を行っていない所有者の割合について触れさせていただいております。所有明示をめぐる諸種の課題について触れた上で、18ページでございますが、今回改正で販売される犬猫へのマイクロチップが義務化されたということについて触れております。講ずべき施策といたしましても、義務化を受けた制度運用に向けた必要な検討、それから義務化対象外の犬猫の所有者に対しても啓発を推進し、義務対象の範囲について検討していくということを触れているところでございます。

 (5)は動物取扱業の適正化でございます。現状を触れた上で、講ずべき施策として、新たな規制の着実な運用。イとしまして、規制の実効性の確保のための国による地方公共団体の支援について。ウとしましては、こちらは、動物取扱業者や事業者団体が社会において果たすべき役割を自ら考えるというような、そんな主体的な取組を促進するということに触れております。

 (6)は実験動物の適正な取扱いでございます。現状と課題としまして、実験動物の飼養保管基準の遵守状況に係る部分、それから、基準の改正のこと、点検結果の公表、検証の実施、それから解説の作成周知等に触れた上で、3Rの原則の徹底が必要とされているということにも触れています。

 講ずべき施策としましては、実験動物を取扱う関係機関、関係者に対して、遵守の徹底を進めるとともに、その遵守状況について定期的な実態把握と公表を行っていくということをまとめております。

 また、イのところで、今回の改正法の附則の規定を引用いたしまして、関係省庁と連携して、機関管理体制についてまずレビューを行い、その結果を踏まえて必要な検討を行うということに触れております。

 (7)は、産業動物でございます。産業動物についても、OIE、国際獣疫事務局の勧告が順次採択されているということに触れた上で、我が国の状況として、アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方の通知の発出、それから、飼養管理指針の作成、改定、普及・定着というようなことに触れた上で、その産業動物の飼養及び保管に関する基準については、見直していく必要があるということを触れています。

 講ずべき施策として、アのところでは、今回の法改正で、畜産部局と公衆衛生部局等との連携強化が盛り込まれたということで、効果的なそのあり方について検討を行う。それから、飼養保管基準の内容については、周知徹底について効果的な手法を検討実施するということを書いています。

 (8)災害対策につきましては、同行避難の考え方については、ある程度普及したけれども、飼い主の適正飼養管理の重要性、それから、同行避難についても徹底し、あるいは避難所等での受け入れは依然として課題だというところを22ページから23ページにかけて書いておりまして、広域的な協力体制も必要だということでございます。

 講ずべき施策としましては、都道府県以外の地方公共団体においても、地域防災計画等への位置づけが明確化されるよう促すということ、そして避難所、応急仮設住宅、復興住宅等での対応等に必要な体制整備を推進するということでございます。

 イのところは、ペットを連れた防災訓練の実施等という例示をしておりますけれども、避難対策の必要な体制整備について触れた部分でございます。

 ウにつきましては、広域的な協力体制についての事前の体制整備、エにつきましては、産業動物を初めとする、ペット以外の動物の災害対策についても、関係省庁間の連携・情報共有を図りながら対応を推進するということを、包括的に記載をしているところでございます。

 (9)は、人材育成でございます。下線の部分でございますが、法改正によって、都道府県、政令指定都市、中核市が動物愛護管理担当職員を置くということが規定をされています。それ以外の市町村もこれを務めるという規定が置かれました。こういったことも踏まえまして、取組を推進していくということ。それから、動物愛護推進員につきましては、いまだ委嘱のない地方公共団体もあるということに触れておりまして、講ずべき施策として、国が自治体の専門的な知識、技術の習得について支援する。協議会の設置や、推進員の委嘱が推進されるよう取組む。それから、虐待については、客観的な判断や、監視指導、専門的な知識や技術の習得に関する支援を行うということも触れております。

 ウでは、普及啓発教材の作成、配布や講演会等について記載しております。

 (10)が、調査研究の推進というところでございまして、調査研究の推進の必要性について触れた上で、26ページから27ページにかけて、具体的な取組を記載しています。アは虐待でございますけれども、虐待、遺棄等の事例や罰則の適用状況の集積、分析・評価でございます。

 イは、アニマルウェルフェアの考え方と諸外国における制度運用実態について、情報収集をし、その考え方、課題、留意点等について整理をするということでございます。

 ウは、脊椎動物の苦痛の感受性、これは、附帯決議に盛り込まれた事項でございますけれども、こういったものについて諸外国等における調査研究、情報収集を行うということ。

 エにつきましては、動物の殺処分の方法について、国際的に動向に十分配慮するという改正規定が置かれましたので、これを踏まえまして、諸外国等における科学的知見や制度等について情報収集を行い、従事者の安全性や心理的な負担等も考慮して、基本的な考え方や具体的な手法について、再整理するということでございます。

 オにつきましては、諸外国の制度、科学的知見に関する文献、国内の動物の飼養保管の実態、ペットの飼育による社会的効用や新たな社会需要等に関する情報収集を行うということを記載をしております。

 第3のところは、都道府県が策定をいたします、動物愛護管理推進計画に関する事項でございます。基本的な記載は、現在の規定をそのまま踏襲をしておりますけれども、かいつまんでご説明をさせていただきたいと思います。

 計画期間としましては、令和3年4月1日からの10年間。対象地域は、当該都道府県の区域、計画記載項目としては、読みにくいですけれども、動物の適正な飼養保管を図るための施策、災害時における施策、普及啓発、必要な体制の整備、あるいは、地域の実情に応じて、記載事項の追加なども考えられるという書き方になっております。

 策定及び実行という項目がございます。(1)のところでは、合意形成について触れております。検討会を設置するということや、パブリックコメントを行うということが記載されております。

 (2)は、関係地方公共団体の協議ということで、都道府県の計画でございますので、市長村の意見をあらかじめ聞くというところが中段あたりに書いておりますけれども、これは、打越委員のご指摘だったと思いますけれども、関係地方公共団体、都道府県と都道府県以外の自治体の施策が整合が図られる必要があるということがございました。そういったところも計画を策定すべきではないかというご指摘もあったわけでございますけれども、法律上基本的には、この推進計画自体は、都道府県が策定をするということになっておりますので、そこまで踏み込んだ記載は難しいと考えておりますが、策定をする際に意見を聞くことの趣旨として、施策の整合を図るということに触れさせていただいております。

 (3)は、計画の公表、そして(4)は、年間実施計画の作成、(5)は、点検、見直しということでございまして、最後に第4というところで、この基本指針そのものの点検、見直しに係る規定がございまして、これまでもそうでしたけれども、策定後概ね5年目に当たるときを見直しの目途とするということでございます。これが、基本指針でございまして、あわせまして資料2-2について少しご説明をさせていただきたいと思います。

 前回、骨子案の検討に当たって、やはり用語の整理が非常に重要ではないかというご指摘をいただいたところでございまして、今回主要な用語について、事務局として一定の整理を試みたところでございます。用語についての十分な議論が行われていないために、解釈する人によってさまざまな受け止めが行われているということで、ここについては、少し整理をしていきたいということでございます。

 まず、動物の愛護と管理というところについては、1ポツでございますけども、もともと動物保護管理法が最初の改正、平成11年に動物愛護管理法になったということで、囲みの図になっておりますのは、今の動物愛護管理法1条の規定を構造的に読み砕いたものでございます。これを見ますと、動物の愛護というのは、左上の四角、動物の虐待遺棄の防止、動物の適正な取扱い、その他の健康安全の補充を指していると。管理については、定義がないですけれども、管理をすることによって下の四角、動物による人の生命、身体、財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止するということになっております。もともと保護だったものが条文そのままに、保護が愛護に置き換えられた、その考え方については、(2)のところに下線を引いておりますが、意味は変わらないんだけれども、人と動物のよりよい関係づくりを通じた生命尊重、友愛な情操の涵養というところに、よりふさわしいと考えられたというふうに、当時の整理でなされております。

 2ページのところには、動物愛護管理基本指針が最初に策定をされた平成18年のときの整理が書いてあります。愛護とは、生命に対する感謝と畏敬の念を反映させることなのだと。ワイズ・ユースの考え方にも通ずるということが書いてあったり、管理につきましては、下の四角ですけれども、動物の飼養者が責任を自覚し責任ある行動をとることだというふうに書かれております。こういったことを踏まえて、動物の愛護というものを具体的に議論をしていく必要があると思っております。

 また、たくさん意見をいただきました動物福祉とアニマルウェルフェアについては、2ページの下の部分から整理をしております。例えば、動物福祉という文言、アニマルウェルフェアと同義ではないかとか、アニマルウェルフェアの五つの自由について、基本指針に書くべきではないかと、さまざまなご意見がございました。例えば、その五つの自由については、苦痛や恐怖というものを特定をしていく必要がございますけれども、動物愛護管理基本指針そのものは、通則的な部分につきましては、全ての動物を対象にしているということで、この例えば、五つの自由をどういうふうに書き込むかというようなところで、課題があると。また、福祉という言葉は、日本では、やはり人で言うところの生存権の確保の手段として受け止められているというところがありまして、動物自体は、法体系の中では、権利の主体として認められていないということとの整理等も必要になってくるのではないかということでございます。

 この部会で行いました論点整理における対応の方向性というのを、(1)に書いておりますけれども、ここに書いたようなことについては、基本指針の中で少し整理をして盛り込ませていただいているところでございます。

 (2)は、アニマルウェルフェアの考え方に対応した採卵鶏の飼養管理指針、公益社団法人畜産技術協会さんが、採卵鶏に限らずですけども、さまざまな畜種についてこういった指針を定めておりますが、この中でなぜあえて片仮名のアニマルウェルフェアを使っているかということが触れてありますので、参考までに。

 (3)については、OIEのアニマルウェルフェアの定義でございます。

 (4)につきましては、平成24年の法改正で、アニマルウェルフェアの五つの自由をどう考えたかということで、これは、論点整理に触れられた部分の引用でございます。

 (5)は、アニマルウェルフェアの用例として、現行の動物愛護管理基本指針の中では、ほとんど出ていないのですが、認知度に関する記述、それから、飼養管理指針の固有名詞を引用しているというところにとどまっていたということでございます。

 文献における定義としまして、テキストですとか、有識者のアニマルウェルフェアの受け止めについてもここで少し紹介をさせていただいております。

 3ポツのところは、畏敬の念について、やはり最初の動物愛護管理基本指針を整理したときの考え方を少し、先ほどのものの再掲ですけども、引用しているのと、4番は終生飼養、こちらも先ほど説明したような考え方でございます。5番は、人と動物の共生というものが、どの段階で法律の中に入ってきたかというようなことを書いているところでございまして、これについても明確な定義をしていくというのはなかなか大変なことかもしれませんけれども、用語の整理というのは非常に重要だというふうに考えておりまして、本日の中で、具体的な方向性を定めるとか定義を決めるということではなくて、引き続きこの部会の中でもご議論をいただけたらというふうに考えているところでございます。

 こういったことを踏まえまして、今回アニマルウェルフェアという文言につきましては、国際的動向の収集等の調査研究の部分で用語として片仮名のまま使わせていただいております。

 また、動物福祉や五つの自由については、そのまま記載をすることは今回の段階では見送りまして、動物の種類、習性、生態等に配慮した適正な取扱いを進めるという記述にさせていただいたところでございます。

 説明長くなりましたけれども、以上でございます。

【新美部会長】 どうも説明ありがとうございました。それでは、資料2-1及び資料2-2につきまして、ご質問、ご意見ございましたらどうぞよろしくお願いします。打越委員、お願いします。

【打越委員】 基本指針の第1の部分と、それから第2-1、つまり総論に当たる部分に関しては、全く異存ないというか、たくさんのリクエストをぶつけてしまった立場ではありますけれども、とても平易な日本語に変わってきているので、読んでいて違和感がない、読みやすい文章になったと思うので、全く違和感がありません。

 また、第2の施策別の取組の(3)についても、動物による危害や迷惑問題の防止という表現から、周辺の生活環境の保全と、動物による危害の防止という、少し穏当なやわらかい表現に変えていただいたということで、多頭飼育問題に向き合うときにも扱いやすくなったなと感じております。その上で、この第2の施策別の取組の細かいところについて4点ございますので、お伝えしていきたいと思います。

 まず、1点目は、16ページ。16ページの②のウの多頭飼育問題のところなんですけれども、不適正な飼養による迷惑問題に対応するためというところですけれども、確かに迷惑な問題といったほうが、行政組織内で関係者を動かすときに説得力が増す、地域住民が苦労しているのだから、何とかしなければならないという意図から、こんなに迷惑をしている人たちがいるというふうにいったほうが動かしやすい部分はあるんですけれども、ただし多頭飼育に関しては、多頭飼育をしている、不衛生であるからこそ飼い主の健康が悪化するとか、やっぱり動物虐待というか、ネグレクトの状態がすさまじいというようなこともありますと、その周辺への迷惑という形で論点を絞るよりも、さまざまな地域的な課題に対応するためと、要は迷惑もそうですけれども、飼い主自身の健康悪化もあるし、ネグレクトという動物虐待の側面もあるしというようなことを加味するために、少し迷惑という表現をぼかして、さまざまな地域的課題に対応するためという表現に変えられないかなとちょっと思ったんですけど、最終的には、事務局にお任せしたいと思います。

 2点目は、実験動物に関するところで、21ページになりますが、21ページのイのところですけれども、代替法の活用、真ん中あたりですね。代替法の活用、飼養数の削減等による動物の適正な利用のあり方について、検討を加えることが規定されたことからと、ここまでは全くそのとおりだと思うんですけれども、関係省庁と連携し、現行の体制、自主管理がうまくいっているかをレビューして、その結果を踏まえて必要な検討を行うことという、ここの書きぶりについて、若干違和感をお伝えしたいと思います。というのは、もちろん代替法が開発されたのであれば、それを利用するというのは基本なんですけれども、現時点で代替法が進まないというのは、むしろ、代替法がないからであって、代替法があるのに、マッドサイエンティストが動物を犠牲にするのにこだわっているなんていうことは全くないのであります。代替法の開発であるとか、開発した後のむしろ例えば、厚生労働省であるとかの通知のほうがどこまでうまくいっているのかというところを、要は、研究機関の側をチェックしたり反省させるよりも、まずは、厚生労働省なり、文部科学省なりが、自分たちの襟を正さなきゃいけない部分もかなりあるのではないかと。

 また、特に、飼養数の削減に関しては、例えば、厚生労働省の通知で人間の臨床試験に入る前に、こういう動物実験の成果を出すことというのが規定されているからこそやっている部分もありますので、研究機関をレビューして自主管理ではうまくいってないから行政が監視するという視点はいかがと。もちろん、そういう可能性もあり、劣悪な施設がありますので、その点は残しといてもいいんですけれども、そもそも文部科学省、厚生労働省、農林水産省が動物実験に対して、どのような姿勢を持っているのか。また環境省も含めて、これまで関係各省庁が議論を十分にしてこなかったということのほうが、私は、反省すべきことではないかと思っておりますので、そういう点も少し書いたほうがいいんじゃないかなというふうに思っています。研究機関をただ監視するというものではないと考えたのが2点目であります。

 3点目は、22ページの産業動物のところでございます。22ページ、産業動物②の講ずるべき施策、畜産動物に関する飼育環境の改善という観点で、②の講ずべき施策のところで、ア、地方公共団体により畜産部局と公衆衛生部局の連携強化が大切、そのとおりであります。これ、犬や猫などの動物愛護の問題というのは、比較的都市部、もちろん農村地域でも起きるんですが、都市で起きる人間関係、それに比べて、畜産の問題は、農村地域で、農家さんと向き合うということで、住民に向き合うときのカラーというか、職員の文化も全然違うものでありますので、ここの連携強化というのは、とても大事で、価値観のすり合わせとかから入っていかなきゃいけなくなるだろうと思います。ただ、前回の骨子のときには、農林水産省とか、いろいろ書いてあったんですけども、やっぱり自治体が連携するためには、農林水産省と環境省での連携を進めるとか、話し合いの場を進めるというのも、もう少ししっかり書いていただきたいなと思っているのが一点です。また、講ずべき施策に、これを入れるべきかどうか悩むんですが、消費者教育のことについて、全く触れなくていいのかなと。飼育環境の問題だけ取り出して、農家は努力すべしではなくて、やはり今、倫理的消費という言葉が時代の流れになりつつある。もちろんそれだけが全てではなくて、やはり収入に応じた畜産物、酪農製品を買う自由があってもよいとは思いますが、可能な限り、例えば、倫理的消費という話が出てきていますので、畜産動物の飼育基準を考えるに当たっては、それを最終的に選んでいくエンドユーザーとしての消費者にも、牛や豚であっても、その適正な状況で飼われるというのは、大切なことだという教育が入ってもいいのかなというふうに思います。基本指針の改正が次は5年後、6年後と思いますと、今、入れないで次に初めて入れるとなると時代遅れになるかなという印象です。

 最後に、人材育成のところでありまして、24ページになりますけれども、これは、改行であるとか、接続詞の問題もあると思うんですけれども、動物愛護の担当職員をおくのに務めるとか、置くこととされということが入った後に、「しかし」という流れで来たので、要は獣医師職員が足りないとか、そういう話にくるのかと思ったら、今度は、動物愛護推進員の話につながっていて、その人材育成で行政職員の確保という部分と、それから、民間人の連携によって、動物愛護推進員の活用を目指していくというのが、ワンパラグラフでちょっとぐちゃぐちゃしている感じがするなと思いました。行政職員の人数の確保と、またその資質の向上、研修という問題と、官民連携の論点が少しまざっている気がしますので、書き分けたほうがいいのかなと感じた次第です。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。今の点について、事務局のほうは何かございましたら、お願いします。

【長田動物愛護管理室長】 まず、実験動物とか産業動物についてのご指摘につきましては、関係する省庁も複数にまたがりますので、現行の取組状況等も含めて、私ども全てを把握しているわけではございませんので、少し盛り込めることがあるかどうかについては、調整協議を図ってまいりたいと思います。

 人材育成につきましては、基本的には、この基本指針としては、自治体の体制確保のために国としてやるべきことを中心に書いておりますので、自治体の人材育成の支援というような観点から研修や技術習得といったことを書いているところでございますが、少し現状と課題の書き方が、少しぐちゃぐちゃしているんじゃないかというところについては、改めて精査をして改善できないかどうか検討してみたいと思います。

 一方で、自治体のその職員数の確保ということになりますと、これ完全に自治体の代表的な自治事務の一つですので、そういう課題自体は、認識しておりますけれども、要は、人を増やすというようなことについて、基本指針に国が書いても、その具体的な実現の手だてがないというところが課題だと思っておりまして、本来は、自治体のマンパワーを考慮して、優先度を踏まえた政策の展開を図っていくということが重要なんだろうとは思っておりますけれども、それは、全体に通ずることではあろうかとは思いますので、常日ごろ意識はしておりますけれども、その人材確保というのをストレートに記載をしていくというのは、若干難しいのかなというふうに思っているところでございます。

 多頭飼育問題、すみません、順番が逆になりましたが、最初にご指摘いただいた16ページあたりの多頭飼育問題のところでございますけれども、迷惑問題というよりも、多頭飼育問題の特徴として、さまざまな課題につながるというご指摘でございましたので、ここは、知恵を絞ってみたいというふうに考えております。

 以上です。

【新美部会長】 ほかに。今のところ、知恵を絞ると言ったんですけども、15から16、これタイトルが周辺の環境生活の保全と動物による危害の防止ということですから、打越委員が言ったことを全部含めると、ここの項目のタイトルと違ってくるので、その辺を留意をしていただきたいと思います。

 あと、ほかにご意見、ご質問ございましたら。はい、どうぞ。山口委員。まず、山口委員で、その後、太田委員お願いします。

【山口委員】 指針のほうと用語についてと2点ございます。指針のほうにつきましては、考え方のところで、お聞きしたいことがございます。今までの指針のところには、科学的知見という言葉が入っておりましたけれども、新しいほうには、科学的知見が考え方のところには抜けているんです。後ろのほうでは、科学的知見は出てきているんですけれども、考え方のところからしっかりと科学的知見に基づいた生理、生態、習性に配慮した飼育管理ということで、やはり科学的知見ということは、動物福祉を考えて行く上で、適正な飼育管理を考えて行く上で、大切なことだと思いますので、抜かないで入れていただきたいなというふうに思います。

 それと、もう一つ、3ページの一番下のところに、動物の係留、これは全然変更ないんですけれども、言葉的に考えますと、係留と言いますと囲いの中に入れるとか、あるいはつなぐとかということで、その係留の言葉自体で今までいろんなことが起こっております。短い鎖に繋がれて、寝ることも首だけが上につり上げられているというふうな状態とか、いろんな状況が起こっておりますので、この一定の制約を課すというところに、しっかりとこの生理、生態、習性、あるいは快適性とか、あるいは動物福祉に配慮したという言葉をしっかり入れない限り、この一定のという解釈がいろんな解釈をされて、今起こっていることの改善にはつながらないように思いますので、その辺をお願いできたらなというふうに思っております。

 それから、資料2-2のところですけれども、2ページの中に、(3)第1次動物愛護管理指針の策定時における整理と、動物の愛護:定義及び目的というところに、対象動物の違いによって「愛護」の具体的な形や方向性は変化するとありますが、家庭動物、展示動物は、プラス要因の付与があって、実験動物、畜産動物はマイナス要因の排除というふうに区別されているんですけれども、リスボン条約等では、この家庭動物、展示動物とか実験動物、畜産動物というふうに分けて書いているわけではなく、動物というところで、感覚、感受性があるというふうにされておりますので、実験動物であれ、畜産動物であれ、このプラス要因の付与ということは、やはり重要なことになっていると思います。ですので、この分け方自体を変える必要があるというふうに思います。

 また、動物にとって、日本的な考え方というのは、よく言われることで、ある程度わかりはするんですけれども、日本にいる動物が、東洋にいる動物、西洋にいる動物と違うか、苦痛を感じないかと言ったら、これ全てどこにいる動物でも、苦痛は感じるわけです。心身ともに。それを考えますと、東洋だから、西洋だからという分け方は、しないほうがいいように思います。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。今の点について、事務局のほうからございましたら、お願いします。

【長田動物愛護管理室長】 まず、1点目、3ページ、基本指針の資料2-1のほうの3ページにございます2行目の科学的な知見、これは、重要だから残すべきではないかということでございます。ここにつきましては、もともとの記述、その3ページ右の2行目ですけれども、ご覧いただきたいんですけども、人と動物は生命的に連続した存在であるとする化学的な知見というふうに書いてございます。当時、どういう意図でここにこういう記述がなされたのかということを確認しましたところ、ここでは、生物多様性の概念とか自然との共生的な概念とか、食物連鎖とか、さまざまなことを想定をして、あるいは、宗教的な意味でいうと輪廻転生とか、さまざまな意味を包含する表現として、生命的に連続した存在と書いたということでありましたので、ここであえて科学的な知見ということを強調する必要はないのではないかと考えまして、科学的知見の重要性については、基本指針全般に表現をしているところでございますので、今回、この機会にあえてそこに限定しない書きぶりにしたということでございます。

 2点目の動物の係留につきましてですけれども、これも適正な管理が重要だというところは、相当程度基本指針のあちこちに書いていますので、ここでは、動物の取扱いの中で、一定の制約を課す必要が生じる場合があるということをまず書いて、またその次は、短期的にというか、近視眼的に見れば動物にいいと思うことがマイナスになることがあるということについて書いているということで、ここは、趣旨としては、動物の行動に一定の制約を課すことが必ずしもその動物にとって、あるいは人と動物の共生する社会の上でマイナスでないというか、必要性がある場合があるということを触れているところなので、ただ、今、係留についてさまざまな問題が現場で生じているということであれば、この書き方がいいのかどうかということ、あるいは、係留そのものを殊さらに強調して必要性に触れることがいいのかということは出てくるかもしれませんので、そこは預からせていただいて、整理をいたしたいと思います。

 用語に関してでございますけれども、先ほどのご指摘、その利用目的によってプラス要因の付与、マイナス要因の排除と分けることは不適切ではないかということでございます。恐らく最近、これ13年前の資料の引用でございますので、その後の知見の集積等によっても、こういった整理は今は一般的でないのかもしれません。当時基本指針をつくる際の審議会に議論等を整理する上での資料ということでございますので、ここについては、また新たな状況を教えていただきながら、より時代に即した整理の仕方をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。ありがとうございます。

【新美部会長】 太田委員お願いします。

【太田委員】 質問です。17ページ、所有明示の措置の推進で、現状と課題の中で、アンダーラインがふってあるところ。この令和元年度の民間団体の調査では、犬が24.8%、猫が49.7%、これはどこの団体で、これ正しいですか。この値。

【長田動物愛護管理室長】 こちらについては、前々回、11月25日の審議会で動物愛護基本指針の点検においてご説明をさせていただいたことがございました。その際にご紹介した数字を新しい数字がまた出ましたので、リバイスをさせていただいたものでございますけれども、これは、一般社団法人のペットフード協会さんがWEB調査で行ったものでございます。調査の手法によって、この数字というのは変わってくることがあると思いますけれども、一定の客観性を持って行われた調査だというふうには認識はしております。

【太田委員】 行っていない所有者ではなくて、行っている所有者といったふうにはなりませんか。

【長田動物愛護管理室長】 ここでは、そのまま、その調査の結果そのものを引いて、裏返して未回答等もあるかもしれないので、確認をする必要があるとは思いますが、行っている所有者というふうに表現することができれば、それも一つの方法だとは思います。

【太田委員】 悪くはないけど、何でそうしたのかなと思いました。資料の2-2で、アニマルウェルフェアの概念というのは、この五つの自由をなくして、アニマルウェルフェアの概念はないので、この五つを削ってしまったらアニマルウェルフェアの説明がつかない。どこかで入れないと。その二つです。

【長田動物愛護管理室長】 もう一度、所有者明示のところについては、多分聞き方と、それから、この所有明示を行っていない人の割合を減らしていくという観点、逆に言えば、行っている人を増やしていくということなんですけども、そういう意図と含めて、今、こういう記述にしておりますが、多分アンケート調査の結果のまとめ方に、そのまま即して整理をしたんだと思います。また、改めてこの位置づけも確認しながら、「行っている所有者」にしたほうがいいのかということは検討をいたしたいと思います。

 五つの自由あってのアニマルウェルフェアだということについては、一定の理解をしているところでございます。今回は、基本指針の中では、アニマルウェルフェアにつきましては、まず、諸外国のアニマルウェルフェアに関する取組状況などの情報の収集を図るといった調査研究の部分で取組みを進めて行くということにしておりますので、当然ながら、五つの自由の扱いについても含めて考えていくということでございます。少し説明が舌足らずだったかもしれませんけれども、例えば、アニマルウェルフェアを適用する上でイギリスの動物福祉法等においては、通常苦痛を感じる動物、脊椎動物と一部の軟体動物、そういうものを対象としまして、そこに五つの自由というものをかけてくるというようなことがあるわけでございまして、その対象動物によって、その五つの自由の適用のあり方とか、例えば、恐怖及び苦悩からの自由というのがございますけれども、恐怖や苦悩を感じる能力がどの分類の動物までにあるのかとか、そういったことについても、国際的に、今どこまで検討が進んでいるのかというようなことも整理をした上で、やはりアニマルウェルフェアというのを使うということも重要であるというふうに考えておりまして、そのあたりについては、附帯決議等を受けた環境省の宿題だというふうに認識をしていますので、今後まずは情報収集に取組んでまいりたいというふうに思っております。

【太田委員】 一つだけ、ペットフード協会のデータが正しくないとは言いません。ただ、それを国が引用して使うのは、はばかられるのではないか。それと、例えば4ページに、幅広い世代にわたる約3割の国民、これもひょっとしたらペットフード協会。それも気になるんですよね。

【長田動物愛護管理室長】 おっしゃること、よく理解します。実は、これ、告示でございますので、たしか民間調査の結果をどこまで引用すべきかというところは、私どもも悩んだところでございます。簡単に申し上げますと、実は世論調査をやりたかったわけですけれども、今回、世論調査については、今回の基本指針の中で触れております3問しか国民の皆様に質問することができなかったという事情がございます。環境問題に関する世論調査として、包括的に行った調査の中に動物愛護管理の観点から3問だけ何とかおよそ10年ぶりに質問項目を入れることができたというのが実情でございまして、なかなか私どもが把握をしたいデータを世論調査で明確に把握するということが困難な中で、国勢調査のような世論調査のようなものでなくとも、ここに数字を引用するのがいいのか、不確実性があることを踏まえてあえて書かないほうがいいのか、あるいは、ある程度幅を持たせるために少し丸めた数字を書くのがいいのかというところについては、さまざまな判断があり得ると思っておりますので、この部会でのご意見等も参考にさせていただきながら、判断をしていきたいと思います。

【新美部会長】 よろしいでしょうか。それでは、水越委員。その後、山﨑委員。

【水越委員】 太田委員と同じ部分なんですが、ペットフード協会といった民間のデータを使うか、使わないかということ以前に、たしかこのペットフード協会のデータは、所有者明示の中に首輪、単純に首輪が入っていたように思います。個体識別と考えると、ただ首輪をつけるというのは、個体識別ではないと考えます、これは私の認識かもしれないのですが。そうすると、この所有者明示のパーセントが個体識別措置という項目にあっているかどうかということが、大きな問題なのかなと。個体識別ということであれば、迷子札、鑑札、済票、マイクロチップ、その三つであって、単純な首輪は含まれないのではないかと思います。実際、平成22年の世論調査も首輪が含まれていたように思うのですが、個体識別措置の調査になぜ首輪が含まれるかということは、かなり以前から違和感があったところでもありますので、この数字が目的にあった数字なのかということを考えていただければと思います。

【新美部会長】 何か事務局ありますか。よろしいですか。それでは、今度は、山﨑委員お願いします。

【山﨑委員】 幾つかございますけれども、まず、最初に先ほど山口委員が言った、犬はどこでも苦しむところは全然普遍的で、東洋と西洋を分ける必要がないというふうにおっしゃいましたけれど、その同じ路線上で、私、特にこの基本指針の中で、気になる文言がございます。何ページなどと言わずに抜粋してあげてみると、「普遍性及び客観性の高いものでなければならない。日本人の動物観の特殊性や海外の違いを踏まえ、丁寧な議論が必要である。国民のライフスタイルや、価値観等のあり方に深くかかわるものであるという性質を有する。」このようなものを拾っていくと物すごくたくさん実はあるんですね。これは、別に日本国の法律でございますから、日本人を無視しろということではないのですが、国民の動物に対する考え方は多様である、そういったことなどもいろいろ書かれている中で、やはり、確かにこの法律に関しては、これは、アニマルセントリックではなくて、ヒューマンセントリックであらざるを得ないというような議論がここでもなされていますけれど、同時に、やはり普遍性というのは、国民としての普遍性ではなくて、やはり動物という生き物に対する生命倫理の普遍性ということではないでしょうか。これは、日本国に限ったことではないので、それを文言でどういうふうに変えるべきか、どうすればいいかという答えは、私も正直言って出ておりませんけれど、もう少し我が国では、我が国ではという主張をトーンダウンする必要性があるのではないかというふうに感じております。生き物に対する対応というのは、これは、普遍性というのは、まさにユニバーサルという言葉で、本当の意味でのユニバーサルであれば、これは、先ほど山口委員がおっしゃったようなリスボン条約の内容云々というところに起因していかなければいけないというふうに感じます。

 それから、実験動物に関する部分でございますけれど、関係機関がちゃんとやっているのであればその報告等かを受けるのはよいのですが、実験者レベルまで関係機関がチェックを入れたり情報を徹底させたりということをやっているというか、関係機関が承知しているものが、徹底されているかというのは、実は調べる方法が今のところないように感じます。関係機関が基準を設定して、そしてそれの認証云々を行っているということに関して、それのいわゆるオンブズマンが全然いないというのが現状なので、そこをどういうふうにしていくか。動物実験に関しては、動物の利用に関しましては、畜産も含め、やむを得ずやらざるを得ないことでやるということは、基本指針の中に書いてあって、私は、それに反対するものではございませんけれど、やはり先ほどの打越委員がおっしゃったエシカルコンシューマーという概念から言えば、実験動物に関して、あるいは動物実験に関しても、国民にわかりやすく意義ばかり目立たせるのではなくて、実際にどのような形で実験動物、動物実験の世界に対して、オンブズマンが置かれているのかというところの可視性が今後必要になってくると思います。例えば、3Rの達成度はどうなっているのかとか、そういったところですね。

 先ほどの代替法の関連で、実は、私は前回出席できませんでしたが、11月25日の会では、代替法の質問を、実験動物学会の先生にさせていただきました。実質的には、既に日本が加盟しておりますOECDでこの代替法ははっきりと認められて使うことができます。使ってくださいという指針が出ているわけですよね。それに関しては、達成度というものを国が何らかの形で介入するということは十分にOECDメンバー国としては可能である。ただ、これは環境省よりも、むしろ厚生労働省関連の課題ではないかと思いますが、代替法というのは、ファジーなものではなくて、実質的に日本もかかわって開発され継承されたものが世の中にはあるということを、まずここの事実を皆様方にぜひ認識していただきたいというふうに思います。

 先ほど山口委員も、アニマルウェルフェアのところで、資料2-2でお話しいただきました。アニマルウェルフェアというのは、確かに日本の定義を見ますと、福祉という定義がどうしても人間を中心とした社会福祉の概念ということになってしまいますけれど、実は、最近、私、この動物の福祉という概念をどういうふうに検討したらいいかということで、名古屋大の情報文化学部の伊勢田先生という方が書かれた文章を幾つか読ませていただきました。伊勢田先生がおっしゃっていることを、ちょっとここでかいつまんでお話しますと、まず、彼は例えば動物実験に関しては、過激な活動家や、センチメンタルな慈善団体の存在を理由に実験者が全体を敵視、軽視するべきことは避けるべきだというふうにいっておられる。アニマルウェルフェアに関しては、基本的道徳率の自然な拡張、すなわちホモサピエンスという種の境界で終わりにしないということではないかとおっしゃっているのですね。大半の文化、個人の倫理観や根底的な部分では自分がしてほしくないことは相手にしてはならないと、当たり前に考えられている。他者をむやみに苦しめてはならない、ということも当たり前に文化や個人の倫理観の中で考えられている。倫理は歴史的に相手、他人、他者の範囲を拡張してきたということを彼はおっしゃっています。ですから、そういう意味では、動物福祉ということは、何かを要求する能力があり、危害をこうむる能力があり、苦しむ能力があれば、配慮の対象になるはずである。動物福祉の根底は人間の福祉と同じように拡張していけばここに至るというふうにおっしゃっているので、これは、例えば、日本の定義では云々ということよりも、動物を例えば守るという法律を持っていらっしゃる環境省が、動物福祉とはというところでリーダーシップをとって、こういったところをもっと探っていただきたいなというふうに思います。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。何かございますか。環境省のほう何かあれば。

【長田動物愛護管理室長】 あまりあれですけども、すみません。実験動物については、さまざまなご意見をいただいておりますので少し交通整理をしてまいりたいと思っておりますけども、エシカル消費のお話、確かに産業動物にも実験動物にも関連するというところございますが、もう少し、広げて考えてみると、恐らくペットの購入などにおいてもエシカル消費と観点が出てくるんだろうというふうに思いますので、場合によっては、包括的に書けるべきところがあるかというようなことも含めて考えてみたいと思いますが、論点整理でもご議論いただきましたように、倫理というのは法律で国民の行動を規定をするべきものかどうかということもございます。もちろん基本指針は、法規制、そのものだけについて触れたものではありませんし、政策の今後の方向性について触れているところで、比較的自由度もあると思いますけれども、具体的な実現手段を持たないことは、あまり無責任に書いてもいけないということもあると思いますので、そういったことも含めていただいたご意見について、どのような対応ができるかというのを考えてまいりたいと思います。

 また、動物福祉については、やはりさまざまなご議論があるという認識を持っておりますので、今後重点的に整理をしてまいりたいというふうに思います。ありがとうございます。

【新美部会長】 それでは、西村委員お願いします。

【西村委員】 要望です。用語の定義は、極めて重要なことだと思います。今後ここでこのような議論をする上で、10年、20年後にも議論する上で、言葉の定義というのは、非常に重要だと思います。ですから積極的にこの作業を進めていただいて、この言葉はこういうことを指すんだというのを早く決めていただきたい。さらにもっと広い範囲の言葉を決めたほうがいいと思います。例えば、殺処分、安楽死、安楽殺が何を指しているかというのを、曖昧に議論するというのはよくないと思いますので、この作業を今後積極的に進めていただければと思います。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。ほかにご意見。はい、どうぞ、佐伯委員お願いします。

【佐伯委員】 お願いが二つなんですけども、資料2-1の22ページのところの災害対策の現状と課題のところなんですが、一応獣医師会の代表としてきておりますので、同行避難の考え方、ある程度普及し、動物愛護団体等による動物救護活動も活発に行われるようになっているとあるんですけれども、やはり、今、都道府県の動物救護本部等でも、やはり獣医師会が中心になって救護活動も行っておりますので、ちょっと獣医師会というのも入れていただいたほうがいいのかなと、ぜひお願いいたしますということと、それから、25ページの、講ずべき施策のところ、それから調査研究の推進のところなんですが、特に26ページの調査研究の推進のところの講ずべき施策の中で、動物虐待等の事例の集積、客観的な判断に資するようということがあるんですけど、この領域については、まだ非常に日本の中では、確立していない部分がたくさんある中で、やはり学術的なこととあわせていかないと、単なる事例の集積、分析だけでは、客観的な判断ができるかという疑問を持ちます。ですので、適当な言葉かわかりませんが、科学的な知見に基づく分析評価というような表現にしていただけたらという二つのお願いです。よろしくお願いいたします。

【新美部会長】 これは、要望ということで。ほかに。じゃあ、藤井委員お願いします。

【藤井委員】 用語の定義のことについてなんですけれども、基本指針のところの7ページに政策立案でEBPMというのが出ているんですけれども、EBPMそれ自体は、別に動物愛護管理法に限ったことではなくて、一般的なやり方の問題だとは思うんですけれども、実際に動物愛護管理法に基づいて、いろんな政策を立案するときに具体的に何をするのかということを用語の定義の中でも解説を加えていただけるといいかなというふうに思います。例えば、動物福祉の改善については、動物の状態がどのように変わるかということで、ここの委員会でも何回か登場していますが、アニマルベースメジャーというようなことが、用語として出てきます。ですので、例えば、適正飼養基準を定める際に、アニマルベースメジャーでやるんだということであれば、じゃあ、アニマルベースメジャーというのは、具体的に何を見なければいけないのかというようなことも含めて、解説をしていただけると、例えば、施行規則だけではなくて、地方自治体の条例などにおいても、こういう手法で、こういうものを見て、政策を考えて事前に評価をしていけばいいということが明確になると思いますので、そういうことも入れていただければというふうに思います。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。そういう方式をとったらどうかというご提案だと思いますので。

 あとほかにございませんでしょうか。予定した時間、若干過ぎておりますが、いかがですか。特にコメントしておきたいということがあればお伺いしますが。よろしいでしょうか。

 それでは、今、非常に広範にわたって、またかなり突っ込んだご意見をいただきましたが、それを踏まえた上で、事務局と私との調整の中で、パブリックコメントの対象の文章をつくりたいと思いますが、当部会としてご了承いただけるかどうかということですが、いかがでしょうか。

【事務局】 事務局から。先ほどのアンケート調査と言いますか、太田委員からありました、所有明示のところの部分の点について、事務局の認識、あとそれから基本指針の構造と言いますか、その性格上、一点お伝えしておきます。

 当初の基本指針の策定の段階から、できる限り定量的に客観的な目標を設定して基本指針施策を進めていくことという視点であります。そして、この基本指針、5年を目処に見直すのですが、30ページのところにありますように、毎年度、指針の達成状況を点検して施策に反映することというふうになっていますので、指標が適切なものかどうか、水越委員からご意見もありましたとおり、そういう精査が必要と思いますが、22年の段階から所有明示がどういう状況にあるかというのを見る、推移を見る必要があるという観点で入れさせていただいているというところを補足させていただきます。

【新美部会長】 今の、ちょっと戻っちゃいますけど、環境省が調査した場合には、何をメルクマールにしてどういう判断をしているかというのがわかるんですが、他者の調査結果を利用する場合には、何をメルクマールにして、どういう判断をしているかというのは、ちょっと注意深く抑えておいたほうがいいと思います。引用するなという趣旨じゃなくて、何をどういうふうに解釈して、こういうふうにやっているのかというのは、ちょっと注意深くやったほうがよろしいかと思います。これは、先ほどのご指摘のとおりだと思いますので。それでは、それを踏まえた上で、パブリックコメントにかけるのは、それも踏まえたことを相談しながらつくりますが、この点につきまして、当部会として、私にご一任いただけるということでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは、そのような手順で進めてまいりたいと思います。

 あと、時間が過ぎていますが、せっかくお集まりいただきましたので、全体にわたって何かコメントがございましたら、手短でお願いしますけれども、あったら、どうぞよろしくお願いします。

【打越委員】 アニマルウェルフェアの定義のところです。五つの自由という理念については、私も全くもって賛同しているところです。ただグローバルゼーションで欧米と言葉をそろえるのも大事かもしれませんけれども、多くの日本人に伝えていくときに、飢え、渇き及び栄養不良からの自由という表現は、やはり日本人には、なじまない。適切な給餌・給水とか、それから、苦悩や恐怖からの自由というよりは、やはり精神的ストレスのない環境という表現のほうがよいと思いますので、欧米のフリーダムフロムという表現をただそのまま列記するのではなくて、やはり多くの日本人が理解しやすい表現を模索していくのも環境省の役割かと思っていますので、このまま五つの自由という言葉をただ使い続けることは、私は、検討の余地があると思っております。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。私も今の意見に近いんですけれども、これは、ウェルフェアに対する一つの見解に基づいた提案で、これは間違いと言うつもりはありませんので、同じようにウェルフェアという場合には、多様な指針と言いますか、ゴールと言いますか、そういうものがありますので、これは、むしろ環境省なり、この動愛法のもとでどう考えていくかというのは、今後この部会で議論していくべきことだと思いますので、あまりこの五つの自由で突っ走っちゃうのはちょっと早計かなと思います。間違いではないんですけども、ほかにもありますよと言われることはありますので、打越委員に尻馬に乗った形で私も意見表明させていただきました。

 ほかになければ、今日、非常に多様なかつ深い議論をいただきましたので、議論はこれにて終了したいと思います。

 この後、事務局のほうに進行をおかえしいたします。

【事務局】 委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところ長時間にわたり、活発なご議論をいただきまして、まことにありがとうございました。

 次回の部会に関しましては、3月25日水曜日、1時30分からを予定しておりますが、同じ、ここ第一会議室で開催をする予定でございます。

 以上をもちまして、本日の部会は閉会といたします。本日は、まことにありがとうございました。