中央環境審議会 自然環境部会 野生生物小委員会 第18回議事録

日時

 平成30年1月18日(木) 14:00~16:13

場所

 環境省第1会議室

出席者

(委員長)

石井 実

(委員) 新美 育文 山極 壽一
(臨時委員) 石井 信夫 尾崎 清明 小泉  透
宮本 旬子
(専門委員) 磯崎 博司 神部 としえ 桜井 泰憲
高橋 佳孝 マリ・クリスティーヌ
(環境省) 亀澤自然環境局長
永島総務課長
奥田自然環境計画課長
堀上野生生物課長
西山鳥獣保護管理室長
番匠希少種保全推進室長
曽宮外来生物対策室長

議事

【事務局】 予定の時刻となりましたので、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会を開催させていただきます。

 本日、クリスティーヌ委員がまだ到着されておりませんが、所属の委員・臨時委員9名のうち7名、専門委員5名の出席をいただいておりますので、中央環境審議会議事運営規則による定足数を満たしております。本委員会は成立しております。

 続きまして、お配りしております資料の確認をさせていただきます。

 議事1関係の資料として、資料1-1から資料1-3、資料1-2につきましては、委員のみの配付となっております。委員会終了後、この資料は回収させていただきます。資料3につきましても、パブリックコメントの昨日までの結果の速報版を委員のみに配付させていただいております。こちらも会議終了後、回収させていただきます。議事2関係の資料ですが、資料2-1から2-3、参考資料といたしまして1から4。議事3関係ですが、資料3-1、3-2、資料4となっております。

 資料に不備がございましたら、事務局までご連絡ください。

 それでは、局長の亀澤よりご挨拶を申し上げます。

【亀澤自然環境局長】 本日は新年何かとお忙しい中、小委員会にご出席をいただきまして大変ありがとうございます。

  本日の議題としては、諮問案件1件、審議案件1件のほか、報告案件2件を用意しております。

 まず諮問案件につきましては、種の保存法に基づく国内希少種の追加についてでございます。これは5年前になりますけども、2013年の通常国会での法改正の際の附帯決議で求められました2020年までに300種の追加指定という目標につきまして、これまでも毎年4、50種ずつ計画的に追加してきておりますが、その一環で29年度分に49種を追加しようというものでございます。

 続きまして審議案件は、希少野生動植物種保存基本方針についてであります。これは前回、昨年10月に概要をご説明いたしましたが、種の保存法の改正を受けまして、法に基づく基本方針を見直すものでございます。昨年末までに2回開催いたしました検討会で変更案をまとめていただいておりますので、それについてご意見をいただき、その結果をもってパブコメにかけたいと考えております。

 それから報告案件ですけども、一つ目は、第五次環境基本計画の策定についてでございます。これは現在取りまとめ中の原案について概要等、スケジュールをご説明いたします。

 それから、報告案件2件目は、改正されました種の保存法を今年6月に施行すべく、現在関係政省令の準備を進めておりますけども、その主な内容についてご報告するものでございます。

 本日も限られた時間ではありますけども、忌憚のないご意見をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局】 それでは、この後の議事進行につきましては、石井委員長にお願いいたします。よろしくお願いします。

【石井委員長】 それでは皆さん、こんにちは。何かとお忙しいこの時期にお集まりいただきありがとうございます。

 今日は二つ目の議題にかなり時間がかかりそうなので、手際よく進めさせていただきたいと思います。ご協力よろしくお願いします。

 それから、1件目と2件目の議事の間になりますけども、資料の3で入っている第五次環境基本計画に関するご報告があるとお聞きしております。

 それでは早速ですけれども、議事の1に入りたいと思います。国内希少野生動植物種の追加等についてでございます。

 まず、事務局からご説明お願いします。

【説明者】 自然環境局野生生物課希少種保全推進室室長補佐をしております奥田と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

 まず議題1につきまして、資料1-2は委員のみの配付となっておりますので、前の画面を見ていただきたいのですけれども、こちらに沿って説明していきたいと思います。

 タカネキマダラセセリ赤石山脈亜種等49種の国内希少野生動植物種の追加等についてご説明いたします。

 まず、種の保存法について少し復習したいと思います。

 初めに、国内希少野生動植物種とは、絶滅のおそれのある野生動植物種の保存に関する法律の第4条第3項に定義されたその個体が本邦に生息し又は生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種であって、政令で定めるもののことを言います。

 これらのうち、商業的に個体の繁殖をさせることができ、かつ、国際的に協力して種の保存を図ることとされていないものであって、政令で定めるものを特定国内希少野生動植物種と言います。

 これらに関する政令の制定又は改廃に当たっては、中央環境審議会の意見を聴くこととされておりまして、本日の野生生物小委員会において諮問事項につきご審議いただければと存じます。

 国内希少野生動植物種、以下短く国内種と申しますが、これに指定された場合には、種の保存法に基づきまして、捕獲・採取等、あと譲渡し・陳列等が原則として禁止されます。

 また、種の保存のために必要がある場合、その生息地や生育地を生息地等保護区に指定し、工作物の設置等の行為に制限をかけることができます。

 さらに、種の保存のために積極的に個体の繁殖を促進し、生息地等の整備等の事業を進める必要がある場合は、保護増殖事業計画を策定し、保護増殖事業を実施することができます。

 どのような種を国内種に指定するかにつきましては、種の保存法の基本方針において選定要件として定められております。人為の影響により存続に影響を来す事情が生じている種であって、アとして、個体数が著しく少ないもの。イとしまして、全国の大部分で生息地等が消滅しつつあるもの。ウとしまして、限定的な分布種で生息環境が悪化しているもの。またエとしまして、限定的な分布種で、過度な捕獲、採取がなされているものといったものを選定しております。

 また、平成26年に環境省が取りまとめました絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略では、我が国に生息する絶滅危惧種の保全を全国的に推進することを目的としまして、保全の優先度等の基本的な考え方と早急に取り組むべき施策を示しており、絶滅危惧種の保全の推進策の一つとして、先程局長が挨拶で申したとおり、国内種を2020年までに300種新規指定することを目指すとしております。

 この目標を達成するためには、年間40から50種程度を目安として指定を進める必要がございます。前述の保全戦略におきましては、指定の対象となる種は、1として、種の存続の困難さ、すなわちレッドリストのカテゴリー。2として、対策効果の大きさ、すなわち生態学的な重要性などの二つの観点から検討することとしております。

 さらに、平成26年9月に開催されました野生生物小委員会におきましては、分類群ごとの種指定の取組方針についてご検討いただいておりまして、例えば維管束植物につきましては、絶滅危惧種の約5割を占めることから、指定可能性が最も高い分類群であるとのご助言をいただいております。

 こうした検討に必要な調査、情報収集についてですけれども、種指定の検討を進める際には、その種の生息・生育状況について詳細な情報を収集する必要がございます。まず分類学上の位置づけが明確となっており、学名が確定していることや、個体数や分布情報がある程度そろっていることが必要となってきます。

 また、説明しましたとおり国内種は比較的厳しい規制を伴うものでありますから、科学的な観点のみならず、土地所有者や利害関係者等との慎重な調整が必要となります。

 そのような検討に必要な情報を整えた上で、野生生物小委員会の委員数名と候補種の分類群について知見を有する専門家を加えた国内希少野生動植物種の指定に関する検討会を開催し、科学的な知見を尊重して指定候補種を検討しております。

 今回の指定候補種につきましては、候補種の分類群に照らしまして、今ここに示した委員によって検討をしていただきました。ありがとうございました。

 ここからは、これまでの国内種の追加指定の経緯をご説明いたします。前述の保全戦略におきましては、種の存続の困難さと対策の効果の大きさという二つの観点から①として、絶滅危惧ⅠA類で保全措置が不十分なもの。②としまして、絶滅危惧Ⅰ類で捕獲圧・採取圧のあるもの、または個体数増加が困難なもの。③といたしまして、重要な生態系や固有種の多い地域に生息・生育するもの。そして、④としまして、緊急の対策が必要なものにつきまして、種指定の検討を進めていくこととしました。この保全戦略ができた時点で89種が国内種に指定しておりました。

 平成27年5月には、トカゲモドキ類など、沖縄諸島の爬虫類、西表島の植物、小笠原諸島の昆虫類や陸産貝類など41種を指定し、計130種としました。

 続きまして、平成27年12月には、サンショウウオ類4種を追加指定しまして134種とし、さらに平成28年3月には、トゲネズミ類、オキナワイシカワガエルやイボイモリなどといった沖縄諸島、奄美諸島の哺乳類、両生・爬虫類その他の島嶼に分布する植物種41種を追加指定し、175種としました。

 そして平成29年1月には、クメジマホタルといった沖縄諸島などの島嶼部に分布する33種を追加して208種としまして、今から4カ月前の平成29年9月には、既に指定されている鳥類37種のうち、オオタカを解除するとともに、新たに3種を追加指定しまして、国内種の総計が210種となっております。

 今回ご検討いただく種は、49種ですので、これらを加えますと国内種の総計が259種となります。

 今回提案している49種を加えた259種の国内種全体をご覧いただきたいと思います。黒字で示しておりますのが、その300種の追加指定前に、すなわち平成26年に既に指定されていた89種でございます。青字で示しましたのが、平成27年以降に指定した119種で、緑の字が昨年9月にオオタカを指定解除した際に追加指定した鳥類3種、そして赤字は今回の指定候補種を示しております。

 昆虫類が3種追加となりまして、計44種。陸産貝類が2種追加となりまして、19種追加されることとなります。

 それから、今回の指定候補種の多くが植物でございまして、現在の78種に44種が追加され、合計で122種の植物が国内種となります。

 さて、それでは、ここから今回の指定候補種について個々にご説明いたします。詳細な説明につきましてはお配りしました資料もご参照ください。

 まずは、陸産貝類の2種についてご説明いたします。

 オオアガリマイマイ、ヘソアキアツマイマイは、それぞれ南大東島、北大東島にのみ分布する固有種でございます。もともとは各種開発に伴う生息地の減少により、その生息が脅かされてきましたけれども、近年では、外来種であるニューギニアヤリガタリクウズムシによる捕食や外来植物による植生変化によってもその存続が脅かされておりまして、環境省のレッドリストにおいては、絶滅危惧ⅠA類に分類されております。

 続きまして、昆虫類3種について説明いたします。

 タカネキマダラセセリ赤石山脈亜種、そしてヒメチャマダラセセリは、それぞれ南アルプス、日高山脈のアポイ岳等のみに分布する鳥類です。各種開発や植生変化、シカの採食による食草の減少等により、生息環境が悪化しておりまして、どちらも環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠA類に分類されています。

 また、ほかの亜種の例ではございますけれども、タカネキマダラセセリにつきましては、インターネット上の標本の取引も確認されておりまして、採取による影響も懸念されております。

 また、オガサワラセセリは、その名のとおり、小笠原諸島に生息しておりますけれども、各種開発や外来植物による植生変化に伴う生息地の減少、それからグリーンアノールによる捕食等により生息が脅かされております。こちらは環境省のレッドリストでは、今のところ絶滅危惧Ⅱ類となっておりますけれども、今年度実施しておりますレッドリストの見直しの中ではランクアップする見込みでございます。

 また、国立公園の特別保護地区に分布しておりまして、そこでは捕獲規制はかかっておりますが、一方で、インターネット上の標本の取引といったものも確認されております。

 続きまして、指定候補の主な植物種について説明いたします。

 今回44種ありますので、生育地や分類に沿って説明したいと思います。

 まず世界自然遺産として重要な地域である小笠原諸島についてです。ここに掲げましたマルバタイミンタチバナ、セキモンノキ、ムニンミドリシダ、ナガバキブシにつきましては、環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠA類、またはⅠB類となっておりますが、これらは温暖化等に伴う乾燥化やノヤギ等による食害、環境の変化など人為を含め、複合的な要因により減少傾向となっております。

 また、日本植物園協会加盟園により生息域外保全がなされている種もありますけれども、マルバタイミンタチバナのように生息域外保全がなされていない種もあります。これらの種は、100個体を切っているものがほとんどでございます。

 既に小笠原では、絶滅ランクの高いものとして12種がこれまで国内種に指定されておりますけれども、それらの種に加えまして、ここに掲げた4種を含む12種を今回新規に指定し、今後保全対策の検討のためのDNA情報の取得等を含め、保全対策を考えていきたいと考えております。

 続きまして、同じく世界自然遺産として保全上重要な屋久島の種についてでございます。

 今回屋久島に生育する植物はここに掲げた種のほか、ヤクシマヤツシロランを含め、4種を指定候補種としております。これらはシカの増加やまた各種開発等、主に人為的な影響により減少傾向にあるものでして、今後、生育環境の維持が重要となる種でございます。

 種として記載されたのが、近年のためにまだ環境省のレッドリストに掲載されていない種がここにも出ているとおりありますけれども、これらの種につきましては、今年度のレッドリストの見直し時に掲載する予定でございます。

 そのほか、絶滅確率が高いと評価されている種が分布する保全上重要な地域として南西諸島、伊豆諸島、北海道の種を幾つか取り上げておりまして、それがここに掲げた種となっております。いずれも環境省のレッドリストにおきましては、絶滅危惧ⅠA類とされておりまして、種指定により保全上重要な地域において採取規制の強化や保全の推進が期待されるものでございます。

 続きまして、カンアオイ・テンナンショウ類について説明いたします。

 これらの種は、コレクションとして園芸栽培が盛んな種群でございまして、採取圧が大きな減少要因となっております。このため、希少性や採取抑制の効果から、指定の優先度が高いと考えられる種に加えまして、それらの種と栽培の手法や姿が似ていたり、分布域が近いことから、同じく採取圧が高まる可能性の高い希少種もあわせて指定することとしました。これらは合計15種となります。

 右の写真は個体数が極めて少なくて、採取圧の高いイチヅチテンナンショウでございますけれども、これと形態的に類似していて、同所的に分布しているツルギテンナンショウも今回一緒に指定しております。

 冒頭、商業的に個体の繁殖をさせること等ができる種について特定国内希少野生動植物種として指定できることを説明いたしましたけれども、今回これらのカンアオイ・テンナンショウ類を中心に19種を人工増殖個体の流通が可能となる特定国内希少野生動植物種に指定しております。そして、それらは実際販売されております。

 人工増殖個体の流通によって容易に入手が可能であれば、多くの方を野生個体ではなくて、増殖個体を求めるだろうと、法を犯して野生個体を採取に行く人は減少するだろう。さらに増殖技術の向上が図られて、市場価格も下がるだろうと考えております。

 ただし、増殖に時間、金銭がかかる場合や、野生個体の販売につながる可能性があるため、特定国内希少野生動植物種に指定するのは、比較的増殖が容易な種に限定しています。個別の種の指定については、以上でございます。

 続きまして、指定後の保全策ですけれども、これはこれまでも説明してきたことでございますけれども、積極的な事業の実施による保全効果が高いと考えられる種については、保護増殖事業計画の策定を行い、小面積であっても生息地、生育地を保護することが有効な種につきましては、生息地等保護区の指定を検討していきたいと考えております。

 また、種の保存法の枠組みにとらわれず、鳥獣や外来種対策等を効果的に活用して、国だけではなく、多様な主体と連携して保存を進めていく考えです。

 また、国民からの提案制度でございますけれども、こちら平成26年度より環境省ホームページにおいて国内希少野生動植物種の選定に関する提案を受け付けております。

 平成29年11月末までに受けた提案47種のうち9種につきましては、最新の環境省レッドリスト2017において準絶滅危惧種以下のランクでございまして、また16種については、既に種として指定しております。さらに今回指定候補種のヒメチャマダラセセリにつきましては、平成26年度にご提案をいただいた種でございます。

 まだ指定していない提案種のうち、主に絶滅危惧種、こちら21種ございますけれども、につきましては、来年度以降も検討していたいと考えております。

 最後のスライドとなりますけれども、2014年に定めた2020年までに300種を追加指定すると、目標に向けた現状報告と、昨年の種の保存法改正の附帯決議で求められた2030年までに合計700種を指定することを目指した今後の種指定について説明いたします。

 今回の49種の指定ができれば、今年度は昨年9月に指定した鳥類3種を加え、52種の指定となりまして、その結果、追加指定種の総数は171種となります。このため、300種まで残すところ129種となります。

 目標年次までは、残り3カ年度ですので、今後45種程度ずつ指定できれば、2020年までの目標につきましては、達成できる状況となります。

 その後につきましては、昨年の法改正により新設された特定第二種希少野生動植物種を含めた指定も本格化することになると考えておりますけれども、2030年までに700種とするためには、引き続き、毎年30種程度の指定が必要となってまいります。

 指定に当たっては、様々な調整が必要となりますところ、簡単ではございませんけれども、しっかりと進めていきたいと考えております。

 それに加えまして、当然ながら、ただ国内希少種として指定しただけでは効果が見込めない種も多くありますので、種の保存法の目的である種の保存を図るために今後保全対策の推進もあわせて図っていかなければならないと考えております。

 スライドについては、以上でございます。

 続きまして、資料1-3としてつけさせていただきました、今回この新たな追加指定種のパブリックコメントを先週の金曜日から本日まで行っております。

 委員の方には速報をつけたのですけれども、昨日までの時点で9通のご意見をいただいておりまして、今回の政令案に係る意見として6件、その他の意見として3件を受け取っております。ここに来る直前も見てきましたが、また今日も入っていると思いますので、もう少し意見数は増えるものと考えております。以上でございます。

【石井委員長】 どうもご説明ありがとうございました。

 ご意見、ご質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。いつものように名札を立てていただきますようお願いします。

 新たに、国内希少種49種を追加するという案件でございます。

 特に無いでしょうか。今日の資料として資料番号がついてない資料の束が入っていると思います。国内希少野生動植物種に追加する種の概要についてということで、個々の種について選定理由をかなり細かく書いているものです。これも参考にしていただければと思います。

 では、特にご意見がないと考えまして、お諮りしたいと思います。

 事務局のご提案どおり、本件について適当と認めてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【石井委員長】 異議なしということで賛同いただきました。適当と認めたいと思います。

 今後、事務局におきまして部会長に結果を説明いたしまして、中央環境審議会会長に報告するということにしたいと思います。

 どうもご説明ありがとうございました。

 それでは次に、報告事項を挟みたいと思います。

 今日は環境計画課の方に来ていただいておりまして、資料3、環境基本計画の見直しについてご報告をいただきたいと思います。では、よろしくお願いします。

【説明者】 環境基本計画の策定要件についてご説明させていただきたいと思います。

 私、総合環境政策統括官グループ環境計画課で計画官をしております山田と申します。総合政策部会の事務局を担当してございます。現在、第五次環境基本計画の検討を行っておりまして、明日も総合政策部会が開催され議論される予定となっております。

 第四次環境基本計画が平成24年にできたものでございまして、そこから5年が経過し、現在検討を進めております。

 今年の春に取りまとめ閣議決定をしたいと考えてございます。

 第四次環境基本計画までは、総論部分につきまして、総合政策部会で作成しておりましたが、重点分野と呼ばれる各論の部分は、各部会に作成をしていただいていたという事情がございました。

 第五次環境基本計画、現在策定中のものでは、計画全体の一貫性をとりたいという観点も踏まえまして、各部会事務局からの情報をいただいた上で、総合政策部会が案をつくっているという状況でございます。

 ということで現在各部会に対し、総合政策部会側から状況について順次説明をさせていただいているということでございます。

 既に複数の部会でご説明をさせていただきました。自然環境部会につきましては、自然環境部会自体は、当面開催の予定がないと聞いておりまして、一方で、野生生物小委員会については、このタイミングで開催されるということも踏まえまして、また自然環境部会のメンバーと重複しているという方もいらっしゃるということもありまして、今回この場で説明させていただきたいと考えております。

 また、環境基本計画その策定後の点検についてでございますが、点検の際は、第四次計画までと同様に、まずは自然環境部会を含む各部会において担当範囲の施策について各重点戦略、重点戦略を支える各環境政策の趣旨に沿って施策が進捗しているかどうかというのをチェック、確認をしていただき、その後、総合政策部会において、全体として環境・経済・社会の統合的向上が進んでいるのかという観点で改めて点検を行い、中央環境審議会としての点検としたいと考えてございます。

 それでは資料の説明に移らせていただきます。資料3-1を用いて、資料としては3-1、3-2ございますが、主に3-1で説明させていただきたいと思います。

 今スライドにございますように、我が国が抱える環境・経済・社会の課題ということで挙げさせていただきました。

 環境の課題、経済の課題、社会の課題それぞれございます。環境の課題の中では、温室効果ガスの大幅排出削減が必要ですということですとか、資源の有効利用が必要ですということですとか、あと生物多様性関係では、生物多様性の保全はもちろんですけど、森林・里地里山の荒廃、野生鳥獣被害などといったような問題があるということです。

 また、経済の課題といたしましては、地域経済の疲弊、新興国との国際競争、AI、IoTなどの技術革新への対応などといった課題がございます。

 社会の課題といたしましては、少子高齢化・人口減少、また働き方改革、巨大災害の備えなど、いろいろな面でその課題があると思っております。

 それぞれが相互に連関・複雑化をしておりますので、環境の課題だけ解決をするということではなく、環境・経済・社会を統合的向上と申しておりますが、ともによくしていく、つまり、Win-Winの関係にもっていくということが求められていると認識をしてございます。

 次のスライドとなりますが、ページ番号で言うと、右下の2ページのところです。このような統合的に問題を解決していこうというような動きは、我が国だけではなく、国際的な潮流になっておりまして、代表的なものが、ともに2015年の動きでございますが、SDGs、それからパリ協定の採択といったようなものがあると思います。

 これらについては、それぞれ目標が設定されておりますが、目標を達成していくためには、これまでの対策の延長ではなく、環境・経済・社会をともに変えていき、持続可能な社会を目指していくということが必要ではないかと考えております。

 次の3ページに移らせていただきます。

 こういった国内の課題、世界的な潮流を踏まえまして、第五次環境基本計画をつくっていきたいと思いますが、基本的方向性といたしまして、目指すべきものを三つ考えてございます。

 一つは、「地域循環共生圏の創造」ということで、この右上に図がございますが、自立分散型の社会、地域同士の支え合いという表現をしてございます。地域循環共生圏といいますのは、農山漁村、都市それぞれで自らが持っている資源を最大限活用し、外への余分なお金の流出を防いだりとか、資源を有効利用していくということをしつつ、それでも足りない部分につきまして、例えば農山漁村であれば、自然資源や生態系サービスといったようなことを都市に供給し、都市からは資金・人材などの提供をするというような形で、うまい循環をつくっていく、農山漁村も都市も活かすようなやり方を環境側から提案できないかと考えてございます。

 二つ目ですが、「世界の範となる日本」の確立ということで、公害を克服した歴史、高い環境技術、「もったいない」などの循環の精神や自然と共生する伝統を有する我が国だからこそできることがあるのではないかと考えてございます。

 三つ目ですが、これらを通じた、真に持続可能な「循環共生型社会」いわば「環境・生命文明社会」というものを実現していきたいと考えてございます。

 これらの目指すべきもののために取り組むべきこととして、また三つ考えてございます。

 一つ目が、SDGsの考え方を活用し、環境・経済・社会の統合的向上を具体化していくということでございます。その具体化の内容ですが、いろいろな課題が複雑に絡み合っているという状況を踏まえまして、経済や地域、国際などの諸課題を同時に解決していくということを図り、中長期的な成長につなげていくために、分野横断的な6つの重点戦略を設定したということでございます。

 二つ目は、あらゆる関係者と連携していきたいということでございまして、環境の中だけで閉じこもるのではなく、経済・社会の関係者とのパートナーシップの充実・強化させていくことが必要であると考えています。

 三つ目ですが、地方部の地域資源を持続可能な形で最大限活用し、経済・社会活動を向上ということで考えております。地方部の維持・発展にもその環境側から貢献できる部分があるのではないかということで、環境で地方を元気にしたいということを考えてございます。

 次のページに移ります。

 こういう基本的な考え方の中で、第五次環境基本計画の展開の方向性ということでございますが、六つの重点戦略を考えてございます。経済、国土、地域、暮らし、技術、国際とございますが、一見しますと、環境から遠そうなものもあるかもしれないですが、これらのそれぞれの枠組みには全て環境政策が入ると我々思っておりまして、環境政策をやりながら経済システムを構築していったりですとか、環境政策をやりながら環境対策はもちろんですけど、持続可能な地域づくりをやっていくというような発想をしていくということが重要ではないかと考えてございます。

 また、重点戦略を支える環境政策ということでございますが、従来からやってございました気候変動対策、循環型社会の形成、それからこちらの小委員会でも担当しております生物多様性の確保・自然共生といったようなもの、さらには、水・大気・土壌の環境保全、化学物質管理、環境保健対策といったような環境リスクの管理などの基盤的な施策、さらに東日本大震災からの復興・創生及び今後の大規模災害発災時の対応といったようなものもございますが、こういった環境政策の根幹となる環境保全の取組は揺るぎなく着実に推進ということで考えてございます。

 こういった重点戦略を支える環境政策は、木でいいますと、幹や根であったりということに対して、先程の重点戦略の部分は、花であるのではないかと我々考えておりまして、幹と根と花の部分、それぞれ一体的に進めていきたいと考えてございます

 下のほうに計画の効果的実施とございますが、計画はつくっただけではなく、点検をしていく必要がございますが、重点戦略に係る点検については、優良事例のヒアリングということを中心にやっていきたいと思っております。また、環境保全施策の体系ということで、環境基本計画は総合的な計画ということですので、全体像を把握できるように構成しているということでございます。簡単ではございますが、以上でございます。

【石井委員長】 ご説明ありがとうございました。

 では、ご意見等あったらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

 これは来年度から始まる第五次の基本計画、計画としては5年が期間ですね。

【説明者】 そうですね。計画といたしましては、その5年間の計画で、1年検討期間を経て、新たな計画をつくるという流れになっております。前回の第四次計画は平成24年にできたものですので、平成29年ぐらいまでがその期間でして、今その1年の検討期間を経て、来年度、ですから今年の4月以降です。余り厳密には決まっておりませんが、その辺りからこの新たな計画を発動させていきたいと考えてございます。

【石井委員長】 ありがとうございます。ご意見等あったらお願いいたします。

 ではクリスティーヌ委員、お願いします。

【マリ・クリスティーヌ委員】 すみません。非常にいい試みだと思いますので、徹底的にやっていただきたいと思いますが、私国連のほうでも、SDGsについて色々と講演またはワークショップをやっており、日本語で持続可能な開発目標になっているのですが、この開発という言葉の訳し方が非常に私は良くないと思いまして、やはり本来であれば持続可能な発展と捉えるべきであって、開発はもうしてはいけない時代になっているのに、でも発展というのはすごく重要なことで、特に先進国にとっては、開発よりはどう発展させるかというと、今お話しされたような形でのこの制度で発展させていかないといけないと思います。

 それで、今環境ということの視点から考えるときに、とても重要だと思いますのは、今やっています生物多様性にしても、希少動物の問題も含めてですけれども、結局連鎖反応がたくさんあるわけですので、やはりもとというのが非常に重要だと思います。毎日のようにインターネットを見ていても、例えばこういうプラスチックのキャップの輪のところが、まだ小さかった魚の首にひっかかって、その魚が首に絞めたまま大きくなってしまったということと、ですから、やはり私たちが環境に対して与えているたくさんの負荷が、結局自然にちゃんとつながっていて、なおかつそういうものがもう一回私たちがそれを食べてしまったときに、今度また私たちに返ってくるということです。特に環境ホルモンとか、今はもうアメリカでも禁止されたのですけれども、マイクロボールを歯磨き粉の中に入れて、プラスチックですから溶けないので、それが魚の中にたくさん入ってしまって、それがまた環境ホルモンで私たちがそれを食べていると。

 ですから、これは経済と社会とが全てにおいてまたがると、横断的にと書いてあるだけに、例えば物のパッケージングとか、プラスチックが自然分解するプラスチックですとかいいながら、海にもうたくさん入っていって、もうカメにしても、イルカにしても、鯨にしてもみんな食べてしまったりという、ですから、そういう先進国であるからこそ、もっと厳しい規制をそういう経済発展も重要でありながら、別の素材をもっときちっと考えて、日本は昔からそれこそ竹の葉っぱとか、自然に戻るもので生活をしていた循環型のちゃんとした循環型社会を日本が持っていたものが、やはり新建材であったり、新しい素材がたくさん環境に入っていくことによって大きな問題を起こしていると思うので、私はぜひ環境省のほうから、もっともっとこういうものをきちっと伝えて、それがちゃんと経済産業省とか、ほかのそれこそ建設省とか、国土交通省でもつくっている建材の物の使い方とか、リサイクルの仕方とか、そういうものをもうちょっと厳しく考えていただけるような、本当に日本が世界の模範になるような形のものにしていただけたらいいなと思います。

【石井委員長】 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。

 では宮本委員、お願いいたします。

【宮本委員】 すみません。3ページの目指すべきものの3番目ですけれども、括弧の中のいわば「環境・生命文明社会」という、この言葉を初めてお聞きしたので、ざっくりとご説明いただけるとありがたいのですが。環境で切れて、生命文明社会なのか、環境と生命を何かするような文明を持っている社会なのか、てにをはを補っていただければありがたいのですけど、ご享受いただければと思います。

【石井委員長】 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。

 それでは、クリスティーヌ委員と宮本委員からいただきましたけれども、何かご意見、また、宮本委員に対するご説明をお願いします。

【説明者】 ご質問いただきました環境・生命文明社会の意味ですけれど、これは内容といたしましては、環境と生命、その両方を合わせた文明の社会というような分け方になっております。

 今作成しております本文の中でも少し触れようとしておるところですけれど、環境を考えるときに、人間を環境と切り離して考えているということは、今まであったのではないかと思っております。ただ一方で、人間もまた環境の一部であるということを考えますと、そこのところを強調するために、自然の中に動物とかがいる中で、人間だけが環境と切り離されたというような考えではなく、人間も含めて環境全体の中で循環や共生といったようなことをやっていくことが必要ではないのかということで、そこを強調するために生命というものを入れさせていただいたということでございます。

 また、この文明ですが、これは今このパリ協定ですとか、SDGsといったようなものが、今までの持続可能な流れの中から、ようやく結実してきたということもありまして、そういう時代の転換点とのパラダイムシフトの時期であるということもやっぱり認識しておく必要があるだろうということで、ここをあえて文明という表現で、今Society5.0みたいな考え方もありますけれど、ここで文明の転換期といってもいいのではないのかという気持ちでここに書かせていただいたということでございます。

 あともう一ついただきました、SDGsに対する対応ですとか、後はマイクロプラスチックの話ですとか、後は生活の中での環境の負荷といったようなことにつきましては、ご指摘のとおりだと思いますので、実際に環境基本計画ができた後に、我々そういったことを十分肝に銘じながら進めていきたいと思っております。ありがとうございました。

【石井委員長】 あとクリスティーヌ委員が言われていた、2ページの一番上の行にある持続可能な開発ではなく発展のほうがいいのではという点はいかがでしょうか。

【説明者】 すみません。十分ご存じのことでおっしゃっていただいておりますけど、我々あくまで訳に忠実に、Developmentですので、従来から使っている開発としておりますが、おっしゃるとおり発展というような意味合いというか、昔は開発といって、開発をすることと、後は自然を破壊することにつながるということがつながっていたということだと思いますが、今もちろんそういう面も少しあるかもしれないのですが、それよりも経済発展もそうですし、社会を発展させるということもそうですし、Developmentの意味合いということをもう少し広く捉えてということは、我々もよく意識していきたいなと。表現ぶりとしては、政府で使っている表現になってしまうのですけれど、十分意識していきたいというふうに思っております。

【石井委員長】 ほかはよろしいでしょうかね。では、神部委員、お願いいたします。

【神部委員】 3ページのところに、環境で地方を元気にという言葉で一つ思い出したことがございまして、私もう16年前になりますか、大分県の山の中の中学校の校歌をつくるということをしたことがあります。そのときに、校歌をつくるために9回ほど山の中の村といわれているところに通ったのですけれど、本当に水も空気もすばらしくて、私は大変感動してすばらしいと地元の方にお伝えしたのですけれど、もうそんな冗談をおっしゃってと、皆さん本気になさらない方が多かったです。林業をされている方々がほとんどだったのですけれども、その当時は、林業が大変もうこれからなかなか危機的で、子どもたちは林業をさせたくないというようなことをおっしゃっている大人の方が多かったのですけれども、でもこのすばらしい自然というものは、絶対本当にもうかけがえのないものだからと私は行く度にお話をしていました。その村が、去年ユネスコのエコパークに指定されました。

 それから、そのことがとてもうれしくてご連絡して、祝福もさせていただいたのですけど、ぜひとも15年ぶりに来て、また子どもたちと一緒に校歌を歌い、講演会をやってくれないかということで、大変うれしいというお話と、以前皆さんとお話ししたときは、水と空気がいいということしかないとても恥ずかしいところだとおっしゃる大人の方がいらしたけれども、でも子どもたちからもらった手紙には、自分たちの育ったこのふるさとはとても自然がすばらしいということをちゃんと書いていました。それを私はもとにして校歌をつくってほしいと言われたので、そういう校歌をつくりました。そういうご縁があって、今回行ってきたのですけれども、15年ぶりに皆さんにお会いしましたら、物すごく生き生きされていました。林業はこれから今すごくいい状況になっているということもおっしゃっていましたし、大人たちが、何かそのとき自然に対する何か価値観が余り感じられないというようなことはなく、皆さんに認知されたということが大きな自信になったということはもちろんですけれども、非常により一層誇りを持っていらしたことが大変私はうれしく思いまして、そのことは何かご褒美をいただいたら人間頑張るのはもちろんあるのですけど、それだけではないけれども、でもやはりそういうことを目の当たりにしまして、非常にそういうことでここに環境で地方を元気にということを書かれてありましたので、ぜひこれは、これから環境省の皆様もそういうことをご検討いただきまして、何かこういうところはたくさんあると思います。そのことによって、子どもたちが外へ出ていかなくても親の家業を継ぐことができる、農業、林業色々なものにつながっていくと思います。伝統的なものに、そういうことが非常に日本の国土の豊さ、文化、自然、それにつながっていくという、非常に大きなことだと本当に身を持って感じたものですから、ぜひとも環境省の皆様、これからそういう一つのご褒美を下さいというわけではないのですが、そういう一つの例を見ても、本当に皆様が生き生きされている姿というものを私は体験させていただけたことが非常にありがたく、うれしく思いましたので、ぜひとも、そういうこともこれからご検討いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 ご意見をいただいたということにさせていただきます。

 では、よろしいでしょうか。時間もありますので、2番目の議題に参りたいと思います。

 希少野生動植物種保存基本方針についてということで、前回の委員会で方向性の議論を始めて、その後、検討会議を二度ほどやっております。その結果をご報告いただいて、さらにご意見を伺えればということでございます。

 それでは、事務局からご説明をお願いします。

【説明者】 希少種保全推進室の松尾と申します。よろしくお願いいたします。

 資料は2-1から2-3、そしてその後に続く参考資料1から4が関連の資料ということになっております。資料2-1からご説明をいたします。

 種の保存法に基づく基本方針の変更についての検討ということで、前回10月にもこの委員会でざっと概要をご説明させていただいておりますが、改めて経緯からご説明をいたします。

 この基本方針の変更に係る経緯といたしましては、まず昨年6月に種の保存法の一部改正法が公布されております。その改正法の内容につきまして、同じくこの法に基づく基本方針に反映をさせる必要があります。そして改正法に係る中環審の答申や改正法案への附帯決議の中でも絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略、これを基本方針に反映をさせて閣議決定をするということが求められております。

 こういった経緯を踏まえまして、改正法の内容、そして保全戦略の内容を基本方針に反映をさせるために、今回基本方針の変更について検討をするものであります。

 この変更案の作成に当たっては、中環審の意見を聴くこととされております。

 それで、その下に米印でも書いております保全戦略の内容は、かなり個別具体の事例も入っているのですが、基本方針の中には少々なじまないということで、そういったものを除いて基本方針に反映をさせる作業をしてきております。

 そういった意味で、保全戦略の中身が100%基本方針にそのまま乗るということにはなりませんので、保全戦略自体は引き続き活用を図るという位置づけにしております。

 下のほうの点線の囲みで、基本方針と保全戦略それぞれどういったものという位置づけをご参考までに載せておりますが、今の基本方針ということで参考資料1として付けています。こういった構成の原文を今回変更していくということで参考資料を付けております。

 参考資料2が、保全戦略の概要とその本体として付けております。

 参考資料3と4は、改正法の概要とその改正法のもとになりました中環審でのご議論の結果、答申としていただいたものです。こういったものを踏まえて変更の作業をしてきているということになっております。

 ここで先に資料2-2でご覧いただければよりわかりやすいかと思いますので、こちらをご覧ください。資料2-2につきまして、今ご説明したような種の保存法の改正の内容というのが、この資料の左上に書いてありますけれども、色々な制度の創設等を示しています。これをまず反映をさせるということが1点、そしてこの資料の右下の青い枠で囲った保全戦略の内容、これにつきましても今回反映をさせるということで、右上の赤く囲った基本方針につきまして、色々と盛り込んでいっているという状態です。

 基本方針はもともと1から6までの大項目で構成されておりましたけれども、先の法改正によって、大項目の3と7、こういった項目も追加をされて、さらに細かい項目については、色々と追加で盛り込んでいるというような状況になっています。

 資料があちこちいって恐縮ですが、資料2-1の2ページ目をご覧ください。

 この基本方針の変更の検討につきましては、昨年10月にこの委員会で諮問と変更事項の案などについて確認をいただいております。その後、11月と12月に環境省で検討会を設置いたしまして、それぞれ検討をしてきております。そこで関係団体のヒアリングをしたりですとか、変更原案の取りまとめをしていただいたりしてきております。

 本日、パブコメの前の段階のものということでご審議をいただきまして、それを踏まえてパブコメにかけて、また3月ごろに小委員会の中で最終的な取りまとめをいただきたい、それを経て、各省協議を経た上で閣議決定というような流れで進めていきたいと考えております。

 3ページ目につきましては、11月と12月に開催しました検討会の委員の方々を載せております。この小委員会からも何名か加わっていただいて議論をいただきました。

 ということで、資料2-3がその変更案の本体ということになりますのでご覧ください。1ページ目と2ページ目は全体の目次構成です。そして、赤い色でアンダーラインを引いているところが今回の変更の作業の中で追加をしている項目というふうにお示しをしています。ほとんどが法改正を受けて、大項目も含め項目を追加しているものですとか、あるいは保全戦略の内容を受けて項目を新たに追加しているものになっております。

 3ページ目からの本体は分量が多くて申し訳ないですが、順次説明させていただきます。

 同じく赤色が今回変更の作業として追加をしている部分です。また、表現を適正化するために言いかえをしているような部分も赤い色にしております。

 最初は、種の保存に関する基本構想という大きな項目の中で基本認識という項目で始まっております。野生動植物が非常に重要な存在であるということですとか、その種の保存が喫緊の課題であると、そういった文脈ですけれども、3ページ目の11行目、個体群のところに赤い線を引いてありますが、これはもともと文章の並びとして個体群の後に種が来ていたのですが、これは並びとして種の後に個体群のほうが適正じゃないかというような検討会でのご指摘があったので、そこを反映させたものになっています。

 次に12行目は、多様性を確保というところに赤が引いてありますけれども、これももともとは多様性の保護という言葉だったのですが、生物多様性基本法の中でも多様性には確保という用語を一般的に使っているので、それに合わせたものになっています。

 19行目、なお書きのところですけれども、これは種の絶滅の防止に当たっての目標というものは、こういうものだということを今回新たに明記しております。これは保全戦略に示されていた内容です。個体数の減少を防止し、回復を図ることで、絶滅を回避して、本来の生息地等における種の安定的な存続を確保することを目標としております。

 24行目からが、二つ目の項目として、保存の施策の基本的考え方です。ここで最初に種を圧迫している主な要因を色々と挙げております。これまでは過度な捕獲・採取ですとか、生息地の消滅等だけだったのですが、今回里地里山などの利用・管理不足ですとか、外来種や化学物質による汚染、こういったものも明確に示すということにしました。

 その後、種を絶滅の危機から救うためにはと赤い字で続いておりますが、この辺りの文はもともとあった文と同じですが、文章のつながりをよくするために文章を入れかえている部分があって、それで赤くなっているものなので、内容は変わっておりません。

 31行目のこのための段落についても赤い色になっていますが、これも文章を入れかえているというだけなので、内容としては今までどおりになっています。

 4ページ目に移っていただきまして、3行目からの段落ですが、ここは調査研究を推進していくといったような文脈の段落ですけれども、ここに4行目の中ほどから、今までなかったのですが、絶滅危惧種に係る基礎的な資料として、いわゆるレッドリストを作成するということを今回新たに追記しています。今まではなかったのですが、現在、広く絶滅危惧種の基礎的な知見ということで認知もされておりますし、こういったものを明確に示すということにしております。

 7行目からは、以上の施策は、と始まって、普及啓発についての文脈ですが、保全戦略の中でもかなり強調をされている関係者との連携ですとか、関連制度の活用、こういったものをはっきりと明示をしているということと、最後には普及啓発だけでなく国民の参画も促進するということを明記しています。

 続けて3として、保存の施策の基本的進め方という項目を立てています。これは保全戦略のメインの考え方をこの項目の中に全て集約しているような形にしています。

 (1)として、取り組む種の優先度を決定するということで、基本として種の存続の困難さと施策の効果の大きさの二つの視点を基本とすると、ただし、対象種の施策の実施状況ですとか、特性等も考慮するという柱書きをした上で、その下に、ア、イ、ウとそれぞれ少し詳しく書いています。

 アとしては、種の存続の困難さによる視点、これをどういうふうに考えるかということで、種の存続の困難さは、レッドリストにおける評価に加えて、生態的特性などの生物学的知見に基づいて判断する。そして絶滅のおそれが特に高い種から検討を行うとしております。なお書き以下は、種の特性ですとか、減少要因などなど様々ですので、絶滅のおそれが高いと言ったとしても、その優先度が異なる場合もあり得るということを留意事項として書いておりますのと、緊急対策を要するというものについても優先して検討を行うということを書いています。

 28行目のイ、施策の効果による視点ということで、要するに、効果が大きいと考えられるものを優先してやるということで、①から③まで挙げております。

 ①は、生態学的に重要性が高く、その種を保存すれば分布域の生態系全体の保全にも効果があるようなもの。②につきましては、認知度とか地域住民の関心が高いので、色々な協力が得られるとか、そういう効果が期待されるような種で、③番目といたしまして、複数の絶滅危惧種が集中をしているような場所で、単一の種の保存の施策であっても、ほかの絶滅危惧種の保存にも寄与するというものとしています。

 5ページ、3行目にウとして、考慮すべき事項を挙げています。これは施策の効果とか、種の絶滅のおそれとか、そういったものを基本としながらも、全国で取り組むに当たってはということで、考慮すべきことを①から⑤まで挙げております。

 ①としましては、捕獲・採取圧が減少要因となって全国的に流通する可能性があるもの。②では、固有種が多く生物多様性が豊かな島といったところに分布する種。③については、都道府県境をまたぐような広域に分布する、あるいは移動する種。④としては、さらに国境を越えて移動するなど、国際的に協力する必要がある種。⑤は有効かつ汎用性のある施策の手法や技術を確立するために先駆的に取り組む意義のある種としております。

 15行目から、なお書き以下ですけれども、絶滅危惧種の中でも特に絶滅のおそれが高いとは認められないようなものについても、施策の方向性を示すということが大事な種について①から③で表現をしております。

 ①が、かつては広域的にごく普通に見られていたのに、全国的に減少をしてきているようなもの。②といたしましては、自然海岸とか、河口などに生息しているのですけども、その環境の消失、劣化に伴って全国的に減少傾向にあるようなもの。③といたしまして、個体数は安定をしているけれども、人為的要因で生息地等が一カ所に集中をしているなど、脆弱性が高いような種としております。

 26行目からは、(2)ということで、どういった種を優先的にやっていくかという考え方を整理した上で、保存施策の選択と実施をしていくという考え方をまとめております。

 27行目からが、全体的な考え方ですけれども、施策は様々ありまして、種に着目したもの、生態系に着目したようなもの、いろいろ種の保存に資するものがたくさんあるということ。ただ、施策を効果的に実施するためには、目標をできる限り明らかにして色々な施策を組み合わせる、また適切に選択をするということが重要、そのためには種の特性や減少要因等々の情報を蓄積し、必要な条件が整ったものから推進していくとしております。

 ざくっとした書き方ですけれども、例えば種が減少している要因として非常に捕獲が効いているとかであれば、捕獲を規制する、流通を規制するという施策をとりますし、あるいは非常に分布が狭いような種で開発によってその生息がどんどん奪われているということであれば、保護区のような施策がマッチするでしょうしと、そういった減少要因等に応じて施策を考えていくということを述べているところです。

 留意点として36行目から色々と挙げております。

 アといたしましては、生息に悪影響を与えている要因、必ずしも明らかではない場合も結構あると思いますので、そういった場合には、まずは種を取り巻く問題の適切な把握に努めるべき。イといたしましては、同一の種であっても地域によって減少要因が異なるような場合も多いということで、地域によって異なる対策を講ずるということも考慮すべきであるということ。ウとして、種の分布とか遺伝的多様性の状況に配慮をして、施策の対象とする適切な個体群の範囲を明確化すべきであるということ、これは非常に広範囲に色々な環境を利用するような渡り鳥であったり、あるいは水系ごとに遺伝的多様性が変わっているようなものですとか、そういった色々な状況はあると思いますので、そういうものを踏まえて、保存の施策の対象とする個体群の範囲を明らかにしようという趣旨です。6行目のエといたしまして、気候変動の話ですとか、外来種による影響、こういったものも把握に努めて、その上で施策のあり方を検討していく必要があるということ。オといたしまして、地域の人の生活との関連性など、社会的な側面も十分に考慮をして、共存を図るということが、その種の保存の観点からも重要であるということ。最後カですけれども、保護地域以外にあっても土地や資源の利用の方法に配慮することなどで種の保存に貢献できることは多いと考えられるということで、保護地域以外における施策の方向性を示すことも重要であるということを挙げております。

 14行目からは、(3)といたしまして、いわゆる生息域外保全と呼んでおります、生息地の外でやる対策の考え方ということになっております。

 15行目からですけれども、まずこの種の保存の施策は、自然の生息地において行うことが基本であるということで、いわゆる生息域外保全、または野生復帰というものについては、自然の生息地等における施策の補完として活用するという前提を明示しております。

 その後に生息域外保全の対象種の選定に当たっては、現時点でどの程度の種の存続が困難なのかという視点に加えて、将来的に今後ますます絶滅のおそれが高くなっていくのではないかということがあるかどうかも考慮をして、もし、早目に手を打つほうが良いものであれば、そういう観点で対策を行うという趣旨です。

 21行目からの段落では、域外保全の進め方ということですけれども、種の保存の目標の達成に必要な場合において、緊急避難ですとか、保険としての種の保存、つまり保険個体群として位置づけるですとか、科学的知見の集積ですとか、目的をちゃんと設定をして取り組むと。また野生復帰させることを想定して取り組むということを書いています。

 24行目からは、野生復帰といっても、やはり、考え方が幾つかあるということです。補強とか再導入とか言われているような考え方があるということも踏まえて、実施する場所の生態系や個体群に対する遺伝的多様性などの悪影響の可能性も十分に検討して、必要性の評価をした上で計画的に実施する必要があると。よって、それぞれ域外保全と野生復帰については、実施計画を作成するよう努めるとしています。

 29行目からは、なお書きですけれども、本邦において絶滅をしてしまった種について、国外に同種の個体群がいるという場合、そこから個体を本邦に持ち込むことで、対象種を本邦に定着させると、そういう可能性も考えられる一方で、やはり、本邦の生態系とか、地域社会に様々な悪影響を及ぼすおそれもあるということですので、もし実施をする場合には、多面的かつ慎重な検討を行うとしています。

 続けて、第2といたしまして、希少種の選定に関する事項ということで、7ページをご覧ください。先程、最初の議題でもありましたけれども、国内希少種の指定の要件ですとか、そういったものを色々とまとめている項目になっております。7ページ目の21行目、(3)として、今までなかったところですが、国内希少種に指定された種についての解除についての考え方を新たに入れています。これは保全戦略の中で位置づけられていたエッセンスを取り込んでおります。

 指定された種については、個体数の回復等によって、(1)に掲げる、要するに、種の選定の要件に該当しなくなったと認められるものについては、種の指定を解除すると。そして、その解除についての検討については、絶滅のおそれがなくなった状態が一定期間継続している種について行う。そして、解除による影響、特に個体数減少の可能性については、十分な検証に努めるということ。また、解除後に、もし、また再び絶滅のおそれが生じたと判断される場合には、再度、国内希少種への選定を検討するとしています。

 続けて8ページ目をご覧ください。12行目ですけれども、法改正によって新たに創設されました特定第二種の希少種についても、どういったものを選定するかという考え方をお示ししています。これは、今までの希少種のように、一律に厳しい規制というわけではなくて、販売目的の捕獲のみを規制するというような、比較的緩やかな規制がかかる希少種のカテゴリーとして新たに設けられたものです。(1)といたしまして、特定第二種については、国内希少種のうち、以下のいずれにも該当するものを選定するということで、アからエまで要件をお示ししています。このアからエまでは、法律の本体にも条文が四つありまして、それぞれに対応するような形で、ア・イ・ウ・エと記載をしています。

 アにつきましては、前の7ページですけれども、9行目と11行目に、それぞれ示している要件を書いています。国内希少種の選定要件のうちで、生息地の消滅等についての要件、こういったものに合致をするものということです。イにつきましては、存続に支障を来す程度に個体数が著しく少ないものではないという種。ウにつきまして、生息の環境が良好に維持されていれば、繁殖による速やかな個体数の増加が見込まれる種。エにつきましては、ワシントン条約附属書Ⅰに掲載された種及び渡り鳥等保護条約に基づき通報のあった種以外の種。これらを全て満たしたものを特定第二種の対象としております。

 続けて、9ページをご覧ください。希少種の選定について、学識経験者の知見を活用すると。これも法改正の中で新たに措置された内容についてということです。2行目からですけれども、国内希少種、国際希少種、そして特定第一と第二の希少種の選定、こういうのに当たっては、その種の生態的特性などに関して、専門の学識経験を有する者の意見を聞く。また、緊急指定種の指定に当たっても、こういった学識経験者から意見を聞くよう努めるという、法律の趣旨をそのまま記載をしております。

 6行目からは、なお書きとして、この学識経験者から種の選定に当たっての議論の中で、個体数の回復の目標ですとか、必要な施策の意見があった場合には、そういった意見も踏まえた対応を種の選定とあわせて検討するとしています。

 最後、9行目からは、検討の経緯等についは可能な範囲で公開するとしています。

 13行目からは、第三といたしまして、国内種の提案募集に関する事項ということで、これは今も運用上で実施しておりますが、こちらについても法改正の中ではっきり位置づけられているものということで、今回、追加をしています。1番目として、募集する提案の内容といたしまして、広く国民から募集をするということ。そして、きっちりと提案されたものについては、希少種の選定とか解除に係る検討対象として受け付けるとして、アからオまで、こういったものを提案してくださいというふうに並べております。

 アは、国内希少種として新たに選定すべき又は今、指定されている種から解除すべき種の和名及び学名。イとしまして、そういった種に関する基礎情報、分布情報ですとか、生息状況ですとか、そういったものを書いてくださいとしています。そして、ウにつきましては、選定又は解除とすべきとする理由と根拠も、あわせて出していただきたいということ。エといたしましては、今現在で、その種についての保存のための取組がどういったことがされているか、あるいは、今後、何か予定があるか、こういったものも書いてほしいと。オにつきましては、新たに選定すべき種については、選定後に効果的だと考えられるような保存の施策、こういったものも提案をしてほしいということで挙げております。

 その受け付けた提案につきましては、適切な情報管理をした上で、減少要因ですとか、施策の効果などについて、先程申しました学識経験者の意見も聞いた上で、選定あるいは解除の検討をする。また、そういった検討の経緯等は可能な範囲で公表するとしています。

 続きまして、10ページ目です。こちらは、特に国際希少種の個体等の取扱いについての記載の部分で、16行目から新たな記載を追加していますが、これは国際種の個体の登録について、今まで有効期間などなかったのですが、法改正で有効期間を設けるということがありましたので、それを反映させているということ。そして、個体識別措置を、原則としては講じるというような考え方になっておりますので、その個体識別措置をこういったものは講じる。ここで、すみません、書いているのは、技術的に困難な種ですとか、原産国での問題が生じているとの情報がない種ですとか、こういったものは除いて個体識別措置を講じた個体に限って、その登録を認めるというふうにしております。

 その下に行きまして、事業等の規制という項目で、31行目のところです。これも国際希少種については、個体とその器官ですとかそういったものは、製品の原材料として使用しているような場合があります。そういったものを譲渡し等することができるという場合を示しておりますけれども、その考え方の中に、31行目ですけれども、「種の保存に支障がないか等を考慮して」という文言を新たに追加しています。

 32行目からは、譲渡し等の管理が特に必要となるようなもの。これは象牙のカットピースなどを扱うようなものを考えており、特別特定器官等と言っておりますけれども、これを扱って事業を行う者については、今まで届出制でしたけれども、登録制にすると。登録を求めるということ、そして、それ以外の特定器官等を扱う、今までもありました特定国際種事業というものを行う者については、届出を求めるとしています。

 11ページ目の2行目からです。先程の象牙製品等を扱っている事業者ですけれども、こういった事業者については、一定の大きさ、かつ重量以外の特別特定器官等を得た場合については、その入手の経路等を明らかにした管理票の作成を義務とするという趣旨を入れております。また書き以降は、今までの運用と同じものを書いております。

 続けてまいります。11ページ目の27行目、以降、生息地等保護区の考え方に入っています。29行目からですけれども、生息地等保護区をどのように指定をするかという方法の部分です。今まで個別の種ごとに指定するということだけ書いていたのですけれども、複数の国内種の重要な生息地が重複しているような場合については、複数種を対象として一括で生息地等保護区を指定することもできるということをはっきり書いております。

 で、その後、32行目からは、生息地等保護区の期間を設けるという、これも法改正で新たに措置されているところですけれども、一定期間の広域性、その他の保存の施策によって、指定種の個体数の安定的な回復が見込まれることその他の事情がある場合は、必要に応じて保護区の指定の期間を設定する。その期間の満了時において、個体数が安定的に回復していないと認められた場合は、指定の期間の延長を検討するとしています。

 その後、「また」以降につきましては、今まで生息地等保護区がどういう種を対象とした保護区なのかというのを明示することになっておりましたが、必ずしも明示をしなくてもよいと。その違法な捕獲等、採取等を防止するために必要がある場合には、明示をしない保護区として指定をするというふうにしております。

 12ページの2行目です。また、生息地等保護区の区域、これが、従前から人の管理行為で維持されているといったような場合もあります。そういった場合には、生息地等保護区の中に、規制が強い管理地区というものを指定できるのですが、人の管理行為で維持されてきたような環境では、厳格な行為規制をするということよりもその管理行為の継続の方が重要であるという場合には、管理地区の指定を伴わない保護区の指定について、積極的に検討をするとしています。

 7行目からは、実際に生息地等保護区として指定をする生息地等の選定の方針ということで、これはほとんど、今までと同じ考え方ですけれども、11行目の後半に、指定の効果を考慮するという何度か申し上げている考え方をはっきりと入れているということ。そして、12行目の後半にも、複数の絶滅危惧種が集中して分布している場所は、積極的に選定をする、こういう考え方を入れております。

 その次、25行目。これは、実際に保護区の区域をどのように決めるかという文脈で新たに追記をしたところです。複数の国内種を対象とした保護区を指定する場合は、その区域は、各種の個体の保護を図るべき区域の全域を基本とするということを明記しています。

 30行目も赤い線を引いておりますけれども、管理地区を指定する場合ということで、先程、指定をしない場合もあるというふうに明記をしたということで、指定する場合とあえて入れているということと、繁殖地というものもこれまで営巣地とか産卵地という言い方をしていましたが、技術的に繁殖地でよいだろうということで言いかえをしています。

 13ページ目です。32行目に、こういった保護区の指定に当たって留意すべき事項というところですけれども、今回、指定種を明示しない保護区の指定ということも、考え方を示しました。指定種を明示しない保護区であっても、土地の所有者等には、ちゃんとその指定種を適切に周知するということを入れています。

 14ページ目の6行目、第六として、保護増殖事業の事項の中で追記をしています。13行目ですけれども。これもどういう対象種を保護増殖事業としてやっていくかという考え方を新たに入れています。「特に」として、将来的に絶滅のおそれが急激に高まることが想定されるので、早期に保護増殖の技術等の開発が必要な種又は保護増殖の手法や技術、体制などがある程度整っており、事業効果が高いと考えられる種から優先的に取り組むとしています。

 21行目、これも保護増殖事業の関連ですけれども、保護増殖事業の計画の考え方として、事業の目標を記載することになっておりますけれども、その事業の目標については、対象とする国内種の指定の解除等を目指しと、どういった状況を目指すのかというところを明確に一つ挙げているということです。

 この14ページの最後、36行目以降ですけども、第七として、認定動植物園等の制度に関する事項を追記しています。これも法改正で新たに設けた制度です。最初にその認定の趣旨を書いております。15ページの1行目からです。動植物園等については、絶滅危惧種の繁殖等に重要な役割を有しているということ。そして、種の保存の充実のためには、こういった公的な機能の明確化ですとか、その機能を十分に発揮できる体制を構築するということが有効であるという考え方。また、このような見地から、動植物園等について申請を受けるという形で、認定の申請をしていただいて、その動植物園等が扱っている希少種の扱いが、種の保存に資するものということで一定の基準に適合したものであれば認定をするということを書いています。

 7行目のなお書きでは、申請の対象とする種については、その動植物園等において取り扱う全ての種とし、認定を受けた動植物園等による当該種の個体の適切な移動については譲渡し等の規制を適用しない。法律で新たに設けた制度の趣旨をこう表現しています。

 11行目からは、実際の認定についての審査ですとか、認定後の取り扱いを簡潔にまとめております。で、ア・イ・ウ・エというふうに書いてあるところですが、こういった観点で認定にふさわしいかどうかを審査するということにしています。

 アといたしましては、種の保存のために、取り扱っている希少種が適切に取り扱われているかということを確認するために、飼養等、譲渡し等の目的や体制、あるいは施設について審査をする。イといたしまして、希少種の飼養等及び譲渡し等が、目的に応じて、種の保存のために適切かつ確実に実施されるものであるかどうか、これを確認するために、種ごとに計画をつくって出していただくということになっておりますので、その計画について審査をする。ウといたしまして、種の保存の観点から、希少種の繁殖についての取り組みがどうなっているか、あるいは、その生息地等における生息成育状況の維持改善にどのように取り組んでいるか。または、傷病・疾病への対応ですとか、普及啓発に係る展示の方針、個体の取得経緯等について審査をする。エについては、申請者が、欠格事由に該当していないかといったものもちゃんと見るということにしています。

 26行目からは、認定を受けた者に対する考え方として、認定を受けた者については、飼養等とか譲渡し等に関する記録や報告を定期的に求めていくということ。そして、認定を受けた者が、不正な行為などを行っていると認められたような場合は、認定の取り消しも検討するとしています。

 31行目、第八です。調査研究の推進ということで、これも今まであった項目ですが、保全戦略の内容のエッセンスを取り入れております。16ページのア・イ・ウとしている部分です。

 アといたしましては、調査研究によって絶滅危惧種の保存の施策の推進に必要な情報、手法、技術を蓄積し、関係主体との間で共有をするということ。

 イといたしましては、個々の種の生物学的知見に加えて、絶滅危惧種の集中する地域ですとか、今、実施されている施策の状況、または、不足している対策などを我が国全体として把握すべきであるということ。

 ウといたしましては、気候変動や外来種の影響についても把握をするということ。

 11行目からは、各種制度の効果的な活用ということで、これも今までなかったんですが、種の保存の施策を推進するという上では、種の保存法だけではなくて、関連の他法令の制度や事業も効果的に活用していくべきだという考えを示しています。

 15行目、「このため」ということで、幾つか関連する制度の例示として、鳥獣保護区であったり、自然公園であったりと関連するようなものを例示して、関係主体と連携をしつつ、複数の施策の組合せも含めた効果的な活用を目指すとしています。

 その次、多様な主体の参画と連携。こちらも、新たに盛り込んでいるものです。非常に種の保存の施策をどんどんやっていくためには、多様な主体の参画がもう不可欠であって、かつ連携が重要であるという、理念的な部分を書いた上で、例えば、じゃあ、どんな主体と連携をしていくべきかという関係主体を列記しているものです。

 28行目から、これが最後ですが、国民の理解の促進と意識の高揚ということで、普及啓発に関する内容です。33行目からのア・イ・ウ・エということで、普及啓発等に当たっての留意事項として掲げております。

 アといたしましては、国民の理解を深めるために、科学的知見を踏まえつつ、教育活動、広報活動等を推進するということが重要ということ。

 イといたしましては、担い手の育成も必要があるということ。

 ウといたしましては、成功の事例を広げていくのはもちろんですけれども、よかれと思ってやった人工繁殖個体の安易な放逐などが、逆に遺伝的な撹乱ですとか、病気を持ち込んだりとか、そういった悪影響を及ぼす可能性もあるので、そういったことも広く普及広報が求められるということ。

 最後、エですけれども、種の保存の取組を公開して、理解と関心を高めるということも考えていくべきだと思いますが、その取り組みの公開をする場合には、影響と効果を勘案して、地域の住民の方や関係者との合意形成を図る。そして、公開の方法を検討する必要があるとしています。

 すみません。非常に長くなってしまって恐縮です。

【石井委員長】 ご説明、お疲れさまでした。結構長かったので大変だったと思います。

 検討会に入った委員の皆さんは、もう何度もご覧になっていただいていますけども、初めてこの部分を見られる方もおられると思います。様々なご意見があると思いますので、賜りたいと思います。

 この後でパブリックコメントに進むという理解ですね。ということで、また、名札を立てていただいて順番にお聞きしたいと思います。

 それでは、小泉委員からお願いします。

【小泉委員】 ありがとうございます。3点あります。一つは、3ページ目です。3ページ目の24行以降ですが、ここに野生動植物種の種を圧迫している主な要因として三つ挙がっているのですけれども、生物多様性を脅かす要因って、普通、四つ挙がっていると思います。気候変動の影響というのが枕言葉のように入ってくるかと思いますが、ここに入っていなかった特別な理由がありましたら、ご説明いただきたいと思います。6ページですとか、16ページに気候変動という言葉が入っていますので、この点を不思議に思いました。

 それから、7ページの21行以降の解除要件ですが、これは、今説明をいただいたところ、私、十分に理解していないかもしれないですが、解除要件に関しては、募集する提案の中で解除していいのではないかという提案があった場合に、検討するというふうに理解したのですが、保護増殖事業が順調に進んで個体が十分に回復した場合も、解除の対象になるのではないかと思ったのですが、この解除要件のところがうまく理解できませんでしたので、ちょっとご説明いただきたいと思います。

 それから、3点目は、15ページの認定動植物園に関する点ですが、15ページの11行以降の認定に関して、「取消しを検討する」という項目が入っていますが、認定に一定の期間を設けて更新する。その時々において必要な資質を満たしているかどうかというような認定の進め方というのは検討されているのか、その点を教えていただきたいと思います。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。今、小泉委員がやったように、ページと行数を行っていただくと大変助かります。

 順番に行きましょう。石井信夫委員、お願いします。

【石井(信)委員】 私は、この検討委員会に入っていたので、今ごろ言うのはちょっと問題ですけども気がついたことがありまして、小泉委員のご意見と関係があります。6ページの6行目ですね。ここに気候変動、外来種等との交雑・競合という影響要因が出てきます。それで、ほかのア・イ・ウ・オ・カについては、留意事項としてここで出てくるのはわかるのですけど、ここで特定の要因がエとして挙げられているのは、どういう理由かなと思いました。

 というのは、最初の3ページのところに、主な要因として列記されている中に気候変動が入っていないので、気候変動についても留意すべきという意味で、ここに出てくるのかなと思いました。で、それと関係して、後ろの16ページの7行目にも、同じように気候変動と、それから、外来種との交雑・競合というのが、特に取り上げられています。

 それで、この前の基本方針を見ると、最初のところには、圧迫している主な要因の中に、気候変動と外来種というのが入っていないのですね。で、今回それが、気候変動は入っていないけども外来種だけ入りました。で、そうすると、前は入っていなかったので、この後ろのほうで留意事項として出てきたけれども、外来種が前のほうに入っているのに、なおかつ、ここで気候変動はいいですけど、外来種の影響が出てくるというのは何というか対応関係がよくないと思って、一つのやり方は、初めのところに外来種の補食・採食影響という一番目立つ影響ですね、それを挙げて、外来種影響でなくて、外来種の捕食・採食影響と挙げておいて、あと、最初に挙げていないけれども、気候変動と交雑・競合というのも実は重要な、目立たないけれども要因ですよという形にするか、全部、小泉委員の提案みたいに気候変動と外来種影響というのを前に出して、後ろのほうでは特に触れないというやり方とどちらかかと思いました。

 ということで、ご検討いただければと思います。以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。では山極委員、お願いいたします。

【山極委員】 大変新しい、色々な施策を組み込んでいただいてありがとうございます。ただ、ちょっとざっくりした話をしたいのですが、環境省のミッションはどこまで及ぶのか。つまり、これだと、まさに希少動物種を認定し、その保護増殖の施策を提案しというところまでみたいに見えるわけね。で、多様な主体というのはわかるのだけど、一体どこまで環境省が拘束力をもって、保護増殖施策というものを推進できるのかというところが曖昧です。ちょっと逃げているような感じがするわけね。

 例えば、9ページの下のほうで、募集する提案の内容、これアからオまでありますよね。これは結構具体的に提案してもらっているのだけど、その提案の取り扱いで、選定または解除すべきかを検討すると。これだけかと思っちゃいますよね。つまり、この提案というのは、色々な施策を提案してもらっているのにも関わらず、それについては、反映したものを何も、こう、検討するとは言っているけど、書いていないですよね。じゃあ、その選定または解除すべきか検討するための提案なのかと。それにしては余りにも色々な広範囲にわたって提案してもらっているよねという気がします。

 それから、例えば14ページの下のほうで、保護増殖事業の進め方、これは、真ん中辺に「必要な対策の時機を失することなく、計画的に実施するよう努める。また、対象者の個体の生息又は成育の状況のモニタリングと定期的な事業効果の評価を行い」。これはいいですが、前はもっと踏み込んでいたのではないかと思います。私の記憶では、例えば、絶滅危惧種のカルテをつくって、その施策というのは、種ごとに、あるいは生態系ごとに方策をつくって、それを推進するみたいなことがあったような気がするのだけど、そういうのは今回消えていて、そして、16ページですか、のところで、各種それぞれの効果的な活用とか、多様な主体の参画と連携というのはわかるけど、一体、環境省はどういう役割を果たすのか。要するに、環境省は主体ではありませんよと言っているファシリテーターであるけれども、保護増殖を進める主体ではありませんよと丸投げしている気がする。

 例えば、それを義務づけるとまで言わないまでも、この種については、この生態系については、この個体群については、こういう保護増殖施策を提案するとか、あるいは、評価まで行っているのだから、そういう施策を出させた上で年度計画を立てて、その評価を行い、それによってどうのこうのというぐらいまで踏み込んでもいいのではないかと思う。これだと、いつまでも環境省は認定や施策の枠組みを提案するだけで、やるのは地方自治体とか、NGOとか、科学者コミュニティとか、そういう話であって、結局、結果を踏まえて次のものに乗り出せない気がします。これも仕方がないかもしれないけど、もうちょっと踏み込めないのかなというのが正直な感想です。

【石井委員長】 はい、ありがとうございます。それでは桜井委員、お願いします。

【桜井委員】 これを読んでみて感じたことですが、どうも水の色が見えないですね。陸の生き物ばかりよく見えるけど、前、いわゆる絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略の中では、かなり水の中の生き物、いわゆる河川、湖沼、沿岸域、汽水域、こういったところの生物もにらんで、なおかつ、海洋保護区の議論もしていますね。そういったものが、これを見ると平成4年のものを踏襲しているということで、それ以降の水系に関する色々な進展、海洋の生物多様性に関するとかとやっていましたものが全部消えていて、それをそのまま踏襲して書かれているので、水の中の生き物が全く見えてこないです。

 例えば、最初の3ページ目の最初、26行目ですか、里地里山などのということで簡単にこう、上がっていますけども、実際にはこれ、ほかの国の施策なんかを見ても、これだけじゃなくて、湖沼とか沿岸とか河川とか、色々なものが入っているはずですね。それがもう、十把一からげに里地里山でくくられてしまっていると。そうすると、どうも陸だけ見ているのかなという感じが一つしました。

 それからもう一つ、5ページ目の、これは19から24の辺りにあるところにも、ここが突然、自然海岸、河口というのが出てきますけど、むしろもっと大きいのは河川、湖沼とか、沿岸とかあるはずだけども、余りにも水域が特定され過ぎてしまっていると。で、このように見ていくと、どうも水の中のものはあまりさわりたくないというような感じに見えます。

 そして、もう一つ言えることは、今度は、14ページの第七の「認定希少種保全動植物園等に関する」。ここも動植物園で一つにくくっていますけども、ほかの今までの絶滅のおそれのあるあれで、水族館、動物園及び植物園という形で書かれていて、もしこれを省略するのであれば、それ以降は動植物園と略すとか何かして、くっつければいいですけども、何かここでも消えているという形で、例えば水系のアリモドキとか、マリモとか、あるいはウチダザリガニの外来種とかありますけども、そういったことも、何かこう、少し見えるような形にしていただかないと、意識がもう陸に偏っているという、もうてきめんにそういうのは、私の、水サイドからしますと見えていますので、ちょっとそこを意識して、いわゆる日本は陸だけではなくて、そういう水のあるところもあるので、それをもうちょっと含めた形で意識して、きちっと書いていただかないと、平成4年からそこが抜けてしまっていますので、それがまた抜けるということになるとまずいなと思いました。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 では、高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】 基本方針について十分理解や認識していないので、感想のようなことになってしまいますけれども、具体的に言ったほうがいいということで、9ページの6のところに、学識経験者の知見を活用すると。種の選定に関わることだからということなのかもしれませんけれども、選定以外でも十分に活用できるのではないかというのは、そういう言い方もできますけど、それ以上に、これまでずっと、例えば、里地里山なんかを想定した場合に、生活や歴の中で自然を活用してきて種が守られたということであれば、地域の人の在野知だとか、共有地だとか、経験とか、例えば盆花だとか、あるいは茶花というのがあると思いますけれども、そういうものが意外と種の絶滅との関連性が高いものがあるのではないかと思います。

 あるいは、先程の水。猟師さんの知恵だとか、それから、先程の漁業者ですね、釣りをされる方とか、そういう伝統的な知恵みたいなものは、どこかで基本方針の中にも入れてもいいかなという印象がありました。

 それから、二つ目は12ページのところ。あんまりよく理解できなかったのですけど、管理地区の指定を伴わない生息地等保護区の指定があってもいいと具体的に書かれているのですけども、そのとおりだと思いながら、逆に言えば、管理地区というのは、これまで行われてきた生活活動や保全活動以外の規制もされるわけですよね。そうすると、下手をすると、管理行為も、例えば、高齢化や人手不足でできなくなった上に、規制もないよというような状況にならないか。そういう意味では、管理行為は、ちゃんと担保するのだけれども、規制するところはちゃんと規制するというスタンスでもいいかという感じがしました。

 それから3番目は、最後のほうの16ページから17ページ。人工繁殖して安易な放逐をやるとだめだというような、まさしくそのとおりだと思うのですが、逆に、社会的認識という点では、非常に遅れているのではないかなと。例えば、マスコミが取り上げる自然保護というのは、大体、増殖して、それから子どもさんと参加して学習の中で植え戻しましたという、そういう賛美されることが、無秩序に賛美されることが非常に多いというのが、現場レベルでの印象ですよ。そういう意味では、マスコミに対する啓発、啓蒙というのがとても重要じゃないかなって、普段から感じているのですけど、そういう社会的認識を変えるには、相当なエネルギーが必要になってくる。そうすると、ある意味、価値観が全然逆のことをこちらから提案しなきゃいけないような状況になってくるので、かなり力を入れない限りは、なかなか理解すら進まないのかなと。

 それからもう一つは、先程の外来種も関係するのですけども、景観とか、生態系、あるいは土地利用と言ってもいいのかもしれませんけど、そういうものが変革したり、なくなったりしても、種の絶滅というのは、もう少しタイムラグがありますよね。もう少したってから種が絶滅してくる。そういう意味では、種が絶滅しているなと思ったときは、もう遅い事態が結構多いのではないかと。そういう意味でも、地元の人の感覚や知恵というのは、やっぱり必要なのかなという印象を持ちました。

 すみません。感想です。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 大体、一当たりお聞きしましたが、ほかはよろしいですか。

 では、クリスティーヌ委員、どうぞ。

【マリ・クリスティーヌ委員】 すみません。これは絶滅危惧種とか保護ばかりがあるのですけれども、繁殖し過ぎちゃったものもここに入るのですか。それとも、繁殖はまた別なところの部署ですか。

 というのは、ニホンジカがすごく多くなってしまったりとか、色々な種が多くなって、捕らえないと生物多様性のシステムが破壊するので、それもここに入れるものなのかと。分野がわからないので。

【石井委員長】 それでよろしいですか。

 それでは、ここまでのところで、事務局から回答できるものがあったら回答をお願いいたします。

【説明者】 多数のご意見ありがとうございます。答えられる範囲でお答えします。

 まず、小泉委員から、気候変動の影響が最初の要因に入っていないという話と、あと、石井先生も、それに関連してということでいただきました。

 気候変動については、ここで3ページ目の種の圧迫の要因として挙げているのは、今、今日と冒頭で書いていますように、今現在でわかっている、明確に種を圧迫しているとわかっているようなものということで、科学的にちゃんと、それなりに裏づけのあるようなものということで書いているというふうに認識をしておりまして、そういう意味ではちょっと、気候変動というものがどこまで個々の種に圧迫をしているとか、そういったところが書けるのかなというところもありまして、あえてここでは明記をしておらず、「等」というようなところに含めてもいいかなと思っておりました。その辺の書きぶりは、石井先生のご指摘も踏まえながら、もう少し全体の整合もとれるような形で工夫できればと思っております。

 続いて、河川・湖沼が入らないのかという、桜井先生からのご意見。水辺は入らないということを意識してつくったわけでは全くありませんで、保全戦略の中にも、もちろんご指摘のようないろいろな水に関することも記載はされておりました。ただ、個別具体の事例は余り反映させないという方針を踏まえながら、水のところはあえて書かなくても、陸域、水域関係なく共通するような内容というふうな認識で、ここは全部お示しをしたつもりではありましたが、やはり水に関する例示が恐らく少なかったと印象を持たれたのかなと思いますので、そこはしっかり、保全戦略の内容を反映できるような形でもう少し内容を精査したいと思います。

 戻りますけれども、解除の考え方として小泉先生からいただきました提案の募集で解除の提案があれば、解除の検討を始めるのかというようなご指摘だったかと思います。その提案の募集の中で解除すべきだと提案があったときに、附属する色々な情報も、あわせてお願いしますということで提案をしていただきたいと思っています。で、そういった附属するような情報も、色々と加えた上で、その上で7ページの解除の考え方に合致しているかどうかとか、そういったものも加えてといいますか、そこはあわせて考えて解除の検討をしていくようにしたいとは思っております。なので、提案があったからすぐさま解除の検討に入るということでは必ずしもなくて、提案も含めて解除の対象になるかどうかを、この解除の要件と照らし合わせながら考えていきたいというふうに思っています。

 あと、その提案の募集に関連して、色々な提案を受け付けるのに検討するのは、指定とか解除だけなのかというご指摘も、山極先生からいただいております。で、ここは、法律上ですとか、この制度、提案募集の制度の考え方からして、基本的には種の選定に関しての提案を受け付けるということを基本に考えてきていました。ただ、あわせて、どういった施策が必要になるのかとか、そういったものも一緒にご意見をいただければ、もちろんあわせて、学識経験者の方々にご提示をして意見をいただいて、それを踏まえて、じゃあ、あわせてどういう施策が必要かということも、ご意見をいただいて検討していくという流れを考えておりましたが、この文章上の表現で恐らくわかりにくかったのかなと思っているところですので、どこまで書き切れるかはわからないので、また検討させていただきたいと思っています。

 関連して、環境省としてどこまで主体的にやるのかが見えない、ほかの多様な主体との連携とか、そういったところで、あまり環境省がどこまで先頭に立ってやるのかが見えにくいというご指摘もありました。ここは、何といいますか、ちょっと、意識として環境省がこれで、この基本方針を位置づけて、あまりこれからは主体的にやりませんということでは全くなくて、環境省は、引き続き希少種を指定していって、その指定とともに保全の対策も考えながらやっていくという方針は変わっておりませんが、やはり、環境省だけではできない部分が、正直言って多いというのは、これまでの経験上からも、非常にある話ですので、そういったところで色々な方々のお力をいただいて、かつ、色々な制度も生かしながら、やっていきたいという趣旨で書いたものであります。

【山極委員】 それはわかっているのですけど、その地点に踏みとどまっていては、これ以上進まないということを、私は、あえて言わせていただいたのです。評価を行うのだったら、そして事業の見直しをするとしたら、もっと積極的に、どういう主体にどういうことをやっていただきたいかということを提案すべきであって、例えば、グッドプラクティスに関しては、公表して表彰するとか、もう少し具体的に環境省のイニシアチブを盛り込むような基本計画というのをつくっていただきたい。そういうつもりで意見を申し上げたわけです。

【説明者】 どういった表現ができるかは、考えさせていただきたいと思います。

 続けて、動植物園等について、水族館等が入っていない。それは先程申しましたように、水の観点が見えるような形や表現は考えたいと思います。

 「認定の取消しを検討する」という部分で、認定の期間を設けて、更新のときに、適切性を確かめるようなことを考えるべきではというようなご指摘いただきまして、法律の制度としては、そのようになっておりまして、あえて書いていなかっただけですので、そういった趣旨もきっちりわかるように少し追記をしたいと思います。

 あとは、すみません、水族館が入っていないといったお話は、ちゃんと水族館も入っては、法律ではありますので、そこは文字として見えるように配慮したいと思います。

 それで、専門家の知見だけではなくて、地域の伝統的な知見といったものを生かすべきではないかというご指摘もありました。この基本方針で書いているのはあくまで法律の趣旨を反映させるということで、今回、学識経験者の知見の活用というのは、法律の条文にのっとった形で書かせていただきました。地域の知恵が入らないとか、そういうことでは全くありませんで、例えば、個別の取り組みにおいては、各地で協議会を設置して、その種の保存の保護増殖の取り組みもそうですけれども、地域の関係の方々にも、ご参加をいただいてご意見をいただきながら進めております。ただ、法律の趣旨を反映させるという性格上、なかなかその地域の方々の知見という表現をストレートには入れにくいかなと思っております。

【番匠希少種保全推進室長】 すみません。若干補足をさせていただきます。

 大方回答させていただきましたが、山極先生からいただいたご意見、まず、カルテとかいろいろ例を挙げてご意見をいただきました。カルテは、保全戦略の中でしっかりと明記をされておりまして、今回、閣議決定をする基本方針ということで、個別の施策については保全戦略に残すという整理をしております。カルテについては、引き続き活用するというような方針でやっておりますので、その部分については、保全戦略の部分に残っていくというような形になります。

 一方で、環境省のイニシアチブが見えないというようなところのご意見があったかと思います。これを作成するに当たって、種指定、法律で国内希少種に指定しますと、どちらかというと、私たちは、地方自治体の方などから、国が指定したのだから、もう後は国でやってねと。国がやるなら手を引くからと言われるようなことに日々悩まされておりまして、そういったような思いがあってこのような文書になってしまったと感じております。ご意見も踏まえまして、特に、多様な主体の参画連携を得るに当たって、環境省がどのような方針を示すとか、何かそういった表現がつけ加えられないかというのは検討させていただきたいと考えております。

 あと、高橋先生から色々な地域の人の知恵というようなお話がありました。どちらかというと、伝統的に知恵をもっと尊重するというようなことを入れたらどうかというようなご意見かなと解釈させていただいたのですけども、ご指摘は非常に重要なことと思っておりまして、ただ、今この場でここに入れられそうだというご回答ができないというところにあります。ご趣旨はよく理解をいたしましたので、ぜひ検討をさせていただければと思っております。

 あと、クリスティーヌ委員からいただいたご質問ですけども、ニホンジカに関しては、希少種とはまた別で、鳥獣管理ということで検討しておりますので、この枠組みとは全く別物ということで環境省として取り組んでおりますので、ご理解いただければと思います。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 実は、4時に終わることになっていて、今、4時になってしまったので申し訳ないのですけど、特にご意見なければ、この後、パブリックコメントが入った後で、この委員会にもう一回、多分、修正案の形で戻ってまいります。3月に議論しますので、そこの場でまた少しと、議論するということになるかなと思います。

 ということで、特になければ、ここで終えてよろしいですかね。

 あと10分ほどお時間をいただきまして、最後の部分のご報告をいただきたいと思います。今の内容、改正種の保存法に関わることですけれども、改正種の保存法の施行に向けた関係省令の整備についてという内容でご報告いただきます。資料の4ですね。

【説明者】 ありがとうございます。佐藤と言います。よろしくお願いいたします。

 私から、資料4を用いまして、基本方針とあわせて、今年の6月に向けて施行を迎える予定であります改正種の保存法の政令・省令の整備について、概ねのラインナップをご説明差し上げたいと思っています。

 大きく1囲みと2囲みにしてございますけれども、1囲みの平成30年、今年の1月中を目処として公布を予定する政令及び省令ということで、こちら、10月にも審議会で詳しくご説明をしてございますが、改めて簡単にご説明したいと思います。

 まず1番目については、去年の11月から今年の初め、1月4日にかけてパブリックコメントを既に実施をしてございます。(1)と(2)が政令でございますけれども、まず一つ目として、改正法の施行期日を今年の6月1日と規定することを考えてございます。それから、(2)のところですけれども、今回、国際種の個体の登録にあたって個体識別措置や更新制度を設けたこと、それから、象牙を取り扱う事業者の登録・更新制度を設けたことに伴いまして、手数料の規定の新設等をしてございます。これは政令で定められます。それから、象牙事業者については、事業登録が必要となるという旨を政令で規定することを考えています。

 また、象牙事業者について、管理票の作成がこれまで任意ではありましたが、1キロ以上かつ20センチ以上の象牙については、管理票を義務化するということを政令で定めることを考えています。

 それから、(3)のところで、特定国際種事業に係る省令の改正ということで、こちらは、現行、届出制にしていました象牙とべっ甲でございますけれども、まず1ポツ目としまして、べっ甲については、届出制を維持する予定です。ただ、国が、実際に取り扱っている事業者の情報を公表したりとか、あるいは、実際にべっ甲を売るときに、事業者からも、例えば氏名でしたりとか、住所だったりとか、そうしたことを表示させることをもって、消費者から、その事業者がちゃんとした者であるということを確認できるようにする予定ですので、そうした公表・表示項目などを規定することを考えています。

 それから、2ポツ目の特別国際種事業。こちらは象牙取扱事業を新しく登録制にするものでございますけれども、その審査が必要になってきますので、登録に当たっての申請事項でしたりとか、あるいは、国による事業者登録簿の公表項目、こういった細かい内容を省令で規定することを考えてございます。

 それから、(4)としまして、特定国内種事業に係る届出の省令の改正ということで、こちらは、特定国内希少野生動植物種を扱う事業者について、現行届出をさせているものでございますけれども、これも、べっ甲事業との並びで、国により事業者情報を公表させるととともに、事業者の側からも、特定国内種を売るときには、ちゃんと事業者情報を表示してもらうことになりますので、省令ではこの細かい内容を規定することを考えています。

 次に、大きく四角囲みの2でございますけれども、こちらは、平成30年の、今年の3月末から4月ぐらいにかけて公布を予定する省令でございます。種の保存法の施行規則が大きな内容となっていますけれども、まず①としまして、法改正で新しく動物園の認定制度を設けておりますので、1ポツ目としまして、認定の申請主体となる動植物園等の定義を決めることを考えています。法律では、動物園・植物園・水族館が決められていますけれども、例えば、飼養と展示、これを主な目的とする施設として、昆虫館でしたりとか、動物園・植物園・水族館に類する施設を規定することを考えています。ただ、ペットショップのように、動物を販売していたりでしたりとか、プロデュースがメインになっているような会社、それから、動物カフェのような、動物園とは、社会通念上ちょっと違うかなと考えられるものについては、定義から除くことを考えています。

 それから、2ポツ目としまして、認定の具体的な基準として、次のものを規定することを考えています。飼養と譲渡しの実施体制でしたりとか、施設、計画、これが、譲渡しなどの目的に応じて種の保存上適切に取り扱うことができると認められるものであること。例えば、繁殖目的であれば、育雛施設があることでしたりとか、そうした基準を考えてございます。

 2ポツ目として、展示の方針その他の事項として、1番目、展示の方針が取り扱う希少種の生息状況などについて適切な啓発に資すると認められるものであること。それから、裏面に行きまして、2番目としまして、動物園がその取り扱う希少種のうち一定の要件を満たす種、これは、例えば特定国内種のように容易に繁殖ができるものなどを除いて、その他の種について一種以上繁殖をさせること、またはそれに寄与すると認められるものであることを要件としたいと考えています。

 3番目としまして、動植物園等が取り扱う、特に国内種のうち一種以上について、域内での繁殖でしたりとか、生息地の整備、こういった生息域内保全に寄与すると認められるものであること。

 それから、4番目としまして、動植物園等で取り扱うものが適法に取得されたと認められるものであること。

 また、5番目としては、その他バスケットクローズ規定として、取り扱う希少種を適切に取り扱うことができないと認められるものでないこと。

 それから、②といたしまして、こちらも法改正関係でございますけれども、国際種の個体の登録の関係になっています。改正法の中では、個体識別措置を一定の個体について構ずることとされていますので、技術的な観点などから、次に掲げている種の生きている個体については、マイクロチップでしたりとか、脚環を入れることと規定することを考えています。例えば、哺乳綱のうち、陸域を中心として生息するものにはマイクロチップ。水棲のものですと、ややマイクロチップの読み込みなど技術的に難しいところがあるかと思いますので、このように規定しています。それから鳥綱の全種。これはマイクロチップか脚環。そして、次が、爬虫綱のうち、技術的に余りに小さいものですと入れることができませんので、一定以上の大きさのもの、それから両生綱のうち、オオサンショウウオ属の全種については、マイクロチップを義務づけることとしています。これらについては、年齢などに関わらず、個体識別措置が入っていないと登録できないとする予定でございます。

 それから、2ポツ目としては、個体識別措置を講じた個体の取扱いとしては、疾病、けがなどをしている場合を除いて、取り外してはいけないこととします。また、新たに取りつけられるようになったときには、すぐに取りつけることと規定します。

 3ポツ目としまして、新しく更新制度を設けてございますので、こちらは生きている個体について、5年間ごとに更新をすることと規定する予定です。

 それから、③としまして、国内種に係る提案募集ですけれども、基本方針の中でも、考え方自体を書いてございますけれども、省令の中では、細かい手続的な事項として、少なくとも毎年度一回、相当な期間をインターネットなどで公表することによって行うこととすると規定することを考えています。

 それから④として、その他として法改正関係ではないですけれども、今回の施行規則の改正に合わせて入れ込む内容として規定をしています。これは、背景としましては、特に大型の鳥類などでは、傷病、けがをしてしまって、その個体を動物園などで引き受けていただいているという状況でございます。これについて、例えば、その後、どうしても適切に野外に放野できなかったり、あるいは、動物福祉の関係上、そのまま飼い続けるのはなかなか、動物にとっても負担である、あるいは、実際にそれを飼養等している動物園などでも、なかなか容量的に満杯になってしまって、次の個体を引き受けられないという背景がございますので、一定の要件を満たした場合について、こうした個体については、捕獲・殺傷の規制を外すということを規定する予定です。具体的には、丸ポツで書いてございますけれども、国または自治体が、傷病により緊急に保護を要するため捕獲をした国内種であって、傷病その他の理由で生息地に適切に放つことができないもので、かつ、繁殖でしたりとか、種の保存に資する目的で飼養することができないと認められるものを、どうしてもやむを得ず殺傷する場合については、捕獲・殺傷の規制がかからないようにしたいと考えてございます。

 私からは、以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございました。種の保存の改正に関わる政令と省令等の整備ということでございました。

 特にご意見ございますでしょうか。 宮本委員、お願いします。

【宮本委員】 言葉の問題ですけれども、資料4の裏面の下から2行目ですが、「やむを得ず殺傷する」の「殺傷」というのは、もう法律用語で決まっているのでしょうか。殺処分ではなくて、「殺傷」ということでよろしいのでしょうか。

【説明者】 法律上は「殺傷」と定義されてございますので、そのとおり施行規則の中でも規定することを考えています。

【石井委員長】 ほかはよろしいですか。

 無いようでしたら、以上で議事終了ということにさせていただきたいと思います。

最後に堀上課長から、閉会のご挨拶をいただきたいと思います。

【堀上野生生物課長】 本日は、熱心なご審議、ご意見賜りましてありがとうございました。国内希少野生動植物種の追加等につきましては、事務局案のとおりということでおまとめいただきました。今後、事務局におきまして、答申案としてしかるべき手続をとらせていただきます。

 なお、法律の改正のことでありましたけれども、国内希少種の指定につきましては、改正法の施行後は、科学委員会にご意見を伺うということになりますので、恐らく予定としましては6月以降ですので、次の指定のときには、この審議会ではご意見を賜ることがなくなると思います。本当に、これまで大変どうもありがとうございました。

 それから、希少野生動植物種の保存基本方針でございますけれども、たくさんのご意見いただきましたので、本日のことを踏まえまして整理をさせていただきまして、パブリックコメントにかけます。その結果を踏まえて、答申案を3月8日、またこの小委員会を開かせていただきますので、そちらでお諮りをさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、誠にありがとうございました。

【石井委員長】 それでは、以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。

 資料1-2と1-3ですけども、回収しますので机の上に置いて帰っていただきますようお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。