中央環境審議会自然環境部会 自然公園のあり方検討小委員会(第8回)議事録

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
  3. (1)自然公園法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について
    (2)その他

  4. 閉会

議事録

午前10時01分開会

○事務局 予定の時刻になりましたので、中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会を開催させていただきたいと存じます。
 本日の出席委員数でございますが、所属委員11名のうち、8名の委員のご出席をいただいており、定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
  資料等の不備がございましたら、途中でも構いませんので、事務局までお知らせください。
 それでは、熊谷委員長、よろしくお願いいたします。

○熊谷小委員長  それでは、ただいまから中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会を開催いたします。
 本日の委員会は公開で行いますので、報道関係者や傍聴の方も同席されておられます。
 会議録は、後ほど事務局で作成いたしまして、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することとなります。なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、委員長が了承した上で公開することをご了承願います。
 本日の議題は、必要な措置に関する検討を行うこととしております。
 それでは、事務局から資料1の説明をお願いいたします。

○自然環境計画課長 自然環境計画課長、渡邉でございます。
 11月5日に開催されましたこの小委員会を踏まえまして、鹿野委員から次のようなコメントをいただきました。シカによる自然植生への被害その他、これまで国立公園での課題として説明を受けてきた状況と同様の事態が、自然環境保全地域でも発生、または発生するおそれはないのか。もしこうした状況等があるならば、この際、自然環境保全法の関連部分についても、あわせて見直す必要はないのか。本小委員会の目的は、自然公園についての検討であることは承知しているが、自然環境保全地域は国立・国定公園と同様に、我が国の生物多様性の保全を図る骨格の一つでもあることから、事務局において検討していただきたいといった内容でございます。
 このコメントを踏まえまして、事務局において、国立・国定公園における必要な措置に関連した自然環境保全地域の現状と課題について整理しました。その内容について、担当よりご説明いたします。

○自然環境計画課長補佐 自然環境計画課の櫻井と申します。
 それでは、資料1に基づきまして、国立・国定公園における必要な措置に関連した自然環境保全地域等の現状と課題についてご説明させていただきます。
 まず、自然環境保全法の概要についてご説明させていただきます。
 この法律は、自然公園法その他の自然環境の保全を目的とする法律と相まって、自然環境を保全することが特に必要な区域等の自然環境の適正な保全を総合的に推進することにより、広く国民が自然環境の恵沢を享受するとともに、将来の国民にこれを継承できるようにし、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することが目的とされております。
 さらに、法律に基づきまして、自然環境保全基礎調査、これはいわゆる緑の国勢調査とも呼ばれておりますが、これを5年ごとに行ってきております。また、自然環境保全基本方針が昭和48年に閣議決定されております。この中で、自然環境の保全に関する基本方針や、自然環境保全地域等に関する基本的な事項として、指定方針や保全施策が定められております。さらに、原生自然環境保全地域や自然環境保全地域の指定や保全に関する規定も定められております。
 なお、この法律で、原生自然環境保全地域と自然環境保全地域という名称がございますが、本日の説明では、自然環境保全地域等と「等」をつけた場合には、この2種類を合わせたものとしてお聞きいただければと存じます。
 続きまして、自然環境保全地域等と自然公園の違いについて簡単にご説明申し上げます。
 まず、法目的の違いでございますが、自然環境保全地域等は、すぐれた自然環境の保全を専らの目的としております。自然公園は、優れた自然の風景地を保護し、保護できる範囲の中で利用も増進していくところが大きな違いでございます。
 また、具体的な施策の違いといたしましては、自然公園と比べまして、自然環境保全地域等では、より厳しく各種開発行為を規制するとともに、施設整備に関しましても、公園のように、利用ではなく保全を目的とする巡視歩道や標識など、必要最小限の整備と管理を行うことになっています。
 次に、原生自然環境保全地域と自然環境保全地域の違いを簡単にご説明申し上げます。
 原生自然環境保全地域では、自然環境が人の活動によって影響を受けることなく、原生状態を維持している区域、いわば手つかずのところを指定することになっています。一方、自然環境保全地域は、高山性植生や天然林などの特定の自然環境を維持するため、特に必要な地域を指定することになっており、優れた自然ではありますが、原生ほど人の手が入っていないということにこだわらないと言えると思います。
 続きまして、自然環境保全地域等の指定に関して。原生自然環境保全地域ですが、面積は基本的には1,000ヘクタール以上、ただし、海に面しているところでは300ヘクタール以上となっています。所有は、国有地、公有地のみとなっています。指定手続は、環境大臣が、知事、それから審議会の意見を聞いて指定することになっています。
 一方、自然環境保全地域ですが、種類ごとに面積要件が異なっております。[1]高山性植生は1,000ヘクタール以上、[2]天然林は100ヘクタール以上、[3]地形地質、[4]海岸、湖沼、[5]海域、[6]野生生物の生息域では、それぞれ10ヘクタール以上が必要となっております。土地所有は、民有地も含むことが可能でございまして、後ほど出てまいりますが、わずかながら民有地が指定されております。また、指定手続は、環境大臣が地方公共団体の長と審議会の意見を聞いて指定するということになっています。
  次に、保全計画についてご説明申し上げます。
 原生自然環境保全地域の保全計画でございますが、全域が厳しく規制されておりますが、さらに、必要に応じて立入制限地区を指定することができます。また、保全施設につきましては、巡視歩道、管理舎、標識を整備できることになっております。
 一方自然環境保全地域ですが、特別地区を指定すること、さらにその中に、特定の動植物を保護するために、野生動植物保護地区を必要に応じて指定できることになっております。また、海域においては、必要に応じて海中特別地区を指定することができることになっております。これらに含まれない地区を普通地区としております。
 それから、自然環境保全地域の保全施設といたしましては、原生で先ほど申し上げたものに加えまして、植生復元施設、砂防施設、給餌施設なども整備できることになっております。これは、原生が自然の推移にゆだねるということを基本としているのに対しまして、自然環境保全地域では、自然災害や人間活動によって損傷が生じた際には復元を図るなど、適正な管理が必要な場合は、自然環境を回復させるための保全事業を実施することがあるということをあらわしております。
 次にまいりまして、これはただいまご説明したものを概念図として示したものです。原生の例として、遠音別岳原生自然環境保全地域を図化してございます。知床国立公園と隣接した知床国立公園の南西部に位置しています。
 それから、自然環境保全地域の例がありますが、白神山地の例でございます。中心部の赤色の斜線のところですが、規制の厳しい特別地区に指定されております。それから、それを取り巻く水色の格子状のところが普通地域に指定されております。
 さらに、海中特別地区の例として、沖縄の西表島に崎山湾自然環境保全地域がございます。ここは、全域が海中特別地区として指定されています。
 続きまして、行為の規制についてご説明申し上げます。
 原生ですが、全域が、工作物の新築、土地の形質変更等、こういった行為については、学術研究等の特例を除いて原則禁止となっております。さらに、必要に応じて、人の立ち入りを禁止する地区を指定することになっております。
 一方、自然環境保全地域ですが、支障がないとして許可を受ければ、工作物の新築といった行為も認められることになっております。しかし、かなり人里を離れたところが指定されているため、実際には、学術研究以外の許可はほとんど出されておりません。また、特別地区内の野生動植物保護地区では、指定動植物の採捕等は原則禁止となっております。
 さらに、海中特別地区では、工作物の新築、それから海底の形質変更や海面の埋め立てといった行為に加えまして、熱帯魚やサンゴ、海藻など、指定された動植物の採捕についても許可を要することになっております。
 また、普通地区では、一定規模以上の行為については届け出が必要となっております。
 続きまして、指定状況について簡単にご説明申し上げます。
 原生自然環境保全地域は全国に5カ所指定されております。それから、自然環境保全地域が全国に10カ所指定されております。その下に、都道府県自然環境保全地域がございますが、これは各県の条例に基づきまして、全国で536カ所指定されております。箇所数から言いますと、都道府県分も含めると、500以上と多いですが、国土面積に対する割合は、それらを合わせましても0.3%弱です。
 自然公園、すなわち国立・国定公園、都道府県立自然公園の3種類を合わせますと、国土の14%以上を占めますので、それと比べますと、限定された地域指定となっています。
 各地区の指定状況を簡単にご説明申し上げます。、原生の指定状況はここにあるとおりです。真ん中に南硫黄島というのがありますが、これのみが全域立入制限地区に指定されております。この5カ所すべて、土地所有は林野庁所管国有林です。
 それから、10カ所あります自然環境保全地域の指定状況です。北半分の5カ所を示したものですが、それぞれ全域あるいは一部が特別地域、それから野生動植物保護地区に指定されています。
 これは、南側の5カ所を示したものです。笹ヶ峰には民有地が指定されております。ただし、民有地の面積はわずか2ヘクタールとなっております。また、崎山湾は、海中特別地区に全域指定されております。
 これは、近年の許可件数を示したものでございます。それぞれ、えんじ色が原生自然環境保全地域の許可件数、ピンク色が自然環境保全地域の許可件数をあらわしています。全国の国立公園の許可件数が毎年四、五千件あるのと比べますと、極端に少ない件数となっていますが、これは面積的に小さいことに加えて、そもそも人里離れたところにあり、人為活動等がほとんどないことなどが理由として考えられます。また、行為の内容も、ほとんどが学術研究などの動植物の採捕や土石の採取になっています。
 次に、第3次生物多様性国家戦略の行動計画ですが、ご承知のとおり、昨年11月に閣議決定されました第3次国家戦略の行動計画の中で、自然環境保全地域に関する記述を抜粋したものです。
 まず、現状と課題としては、自然公園と相まって、国土の生態系ネットワークの核となる部分を形成すること、それから、総指定面積は決して広いとは言えず、優れた自然環境をすべて包含してはいないことが挙げられております。
 また、下の具体的な施策としては、国土の生態系ネットワーク形成を促進するため、自然環境保全基礎調査の結果等の科学的知見や、都道府県自然環境保全地域の指定状況等を踏まえ、全国的に生物多様性を保全する上での見地から、配置や規模などについてレビューを行い、必要に応じて、自然環境保全地域等の指定または拡張に向けた取り組みを進めること。
 それから、既存地域については、生態系の変化をモニタリングし、管理のために必要なデータの蓄積を図る。また、保全状況等の現況を継続的に把握し、標識整備や巡視強化等により適正な管理を進めるといったことを挙げております。
 次に、先ほど鹿野委員からご指摘があった国立公園での課題と同様の事態が自然環境保全地域でも発生している、または発生するおそれがないのかといった点についてご説明申し上げます。
 まず、ニホンジカによる生態系の変化についてですが、これまで当審議会で、全国の国立・国定公園で顕在化しているとの報告がありました。自然環境保全地域でも、ここにございますように、熊本県にある白髪岳自然環境保全地域で、下層植生が余り見られないという状況になっています。また、本来いなかった動植物が侵入したり、持ち込まれることによって生態系の変化が起こってしまうことも、国立・国定公園で説明がありましたが、これは自然環境保全地域等においても同様に懸念がございます。
 続きまして、海域に関する国立・国定公園と共有する課題につきまして、海域保全の充実についてです。
 まず、制度的な観点ですが、自然環境保全地域の海中特別地区は、海中に生息、生育するサンゴや熱帯魚、海藻などの動植物を含む自然環境を保全する役割を持っております。
 2点目、この海中特別地区は国立・国定公園の海中公園地区と同様に、指定が海中に限定されております。
 3点目、採捕規制の対象となる熱帯魚、サンゴ、海藻などの指定動植物につきましては、海域ごとの状況に合わせたきめ細かい種指定ができないことになっています。これらを踏まえまして、海中のみならず、海上も含めた海域での優れた自然環境の保全を図るための措置を充実することが課題となっております。
 以上、自然環境保全地域等の整備や指定状況、課題について説明させていただきました。
 最後に、これまで当小委員会で説明があった国立・国定公園の状況、それから課題を踏まえまして、自然環境保全地域等における検討の方向性につきましては、国立・国定公園と同様に、1点目にある、予防的順応的な手法による生態系管理の充実といたしまして、シカ等の食害や他地域からの動植物の侵入、持ち込みによる生態系の変化に対応するため、生態系管理の枠組みの構築など、必要な措置を充実していくこと。
 また、2点目の海域保全の充実といたしまして、自然環境の保全上重要な海上を含む海域において、保全措置の充実や海域ごとの状況に応じたきめ細かい自然環境の保全を図るため、必要な措置の充実を検討してまいりたいと考えております。
 今後、国立・国定公園における必要な措置を整理するのに合わせまして、自然環境保全地域等についても検討してまいりたいということでございます。
 

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明について、ご質問等がありましたらお願いをいたします。
 それではまず、鹿野委員、そして原委員、それから大澤委員という順でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員 ありがとうございます。
 前回の説明を踏まえて、私のほうから、ただいま事務局から説明がありましたように、幾つか国立・国定公園の検討とあわせて、自然環境保全地域も検討したほうがいいという意向を出させていただきました。
 今、説明ありましたように、第1点は、何といっても海域の保全に力を入れろと、いろいろなところで言っているにもかかわらず、自然環境保全地域では、わずか崎山湾の百二十何ヘクタールしか指定がないということで、やはり重要な海域の生態系、少なくとも幾つかのパターンはちゃんと指定してほしいなという思いです。
 それからもう一点は、シカに代表されるのですが、生態系保全みたいなところで、やはり人の手で自然を守る必要が自然環境保全地域でももう出ているのではないかということです。先ほどの説明にありましたが、日本でこれまで指定された自然環境保全地域の相当部分は、実は自然公園から振りかえて指定したものです。ですから、ほとんどの地域は自然公園に隣接しているか、甚だしい例は、周りを自然公園に囲まれている保全地域の形になっているわけです。ですから、当然のこととして、シカの問題ですとか、まだ事例は聞いておりませんが外来種の問題ですとか、そういう問題が今後いろいろ出てくると思いますので、ぜひそういうところについては、この自然公園の課題の検討とあわせて、保全方法について手を入れるということになるかと思いますが、あわせて検討していただきたいというお願いをしたものです。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 それでは、三人のご質問なりご意見を聞いてから、事務局にお答えをお願いしたいと思いますので、原委員、お願いいたします。

○原委員 初歩的な質問で申し訳ないのだけれども、今の鹿野さんの後半の部分のご指摘で、自然環境保全地域と国立・国定自然公園と、ダブるというか、重なっているところと重なっていないところなんていうのは、この10ページの中で示していますがこれはみんな独立的にあるところではないのですか。

○自然環境計画課長 重複はありません。

○原委員 ない。そうですか、分かりました。そうすると、ここだけ単独にこういう形でという理解でいいわけですね。

○自然環境計画課長 重複しないような仕組みになっております。

○熊谷小委員長 大澤委員、お願いいたします。

○大澤委員 自然環境保全地域等を指定する目的として、非常に古い言葉で、恵沢を享受するとともにというようなこととか、これは法律の文章だからしようがないとは思うのですが、その言葉を言いかえると、最近では、ミレニアム・アセスメントなどで使われている生態系サービスという言葉、あるいは、かつては公益的機能というような言い方が林野関係ではよく使われていたと思うのですけれども、そういうことを具体的に、何のために保全するのかというときに、必ずしも生物多様性を守るためというだけではなくて、そういう視点をきちっとその都度発信していくといいますか、そういうことが必要なのではないかなという気がします。
 それから、指定してから既に30年ぐらいたっているわけですよね。そうすると、日本の自然環境、特に原生的な自然環境を指定して保全していく体制として、現状で十分なのかということです。指定地域のネットワークといいますか、体系性というか、国土の自然環境の保全を図る上で十分なのかということについて、やはり一定の期間ごとには見直していくということが必要になるのではないか。
 それからもう一つは、具体的にこの自然環境保全地域を保全管理していく体制はどうなっているのかということです。例えば、国立公園だったら、自然保護官事務所があるわけですけれども、現状はどうなっているのかということです。
 それから、原生自然環境保全地域は、確か私の記憶では、5年ごとに調査をすると法律で書かれていたように思います。当初指定したときには、2回ほどはモニタリングといいますか、調査をやりましたが、その後は、モニタリング調査的なものは全くやられていないのではないかと思います。最近、南硫黄島も、首都大学のチームで調査をしたりというようなことはありますが、モニタリングは法律で義務づけられていたのではないかということを確認をしたいのですが。
 それから、地域の現状が、指定当時とは随分状況が変わっているのだと思うのですけれども、例えば、稲尾岳は周りを人工林に取り囲まれていますが、その周辺地域が、現状の指定範囲で保全を目的としたときに機能し得るような形になっているのか、国立公園でなされているような指定地域の見直し的なことを、この自然環境保全地域等についてもやっていく必要はないのかということについて、お伺いしたいと思います。

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 それでは、事務局のほうでお答えが出る範囲でお願いしたいと思いますが、では、計画課長からお願いいたします。

○自然環境計画課長 ご指摘ありがとうございました。
 鹿野委員からありました部分も含めて、今後全国を見渡して、自然環境保全地域の追加指定の検討、いろいろな生態系のパターンがカバーされているかどうかというご指摘だったと思います。この点については、第3次国家戦略でも挙げましたように、全国の自然環境の新しい情報も蓄積されてきていますので、そういった情報を見ていく。あるいは、現在の指定状況、都道府県の自然環境保全地域の指定状況も含めてレビューをして、追加していける部分があるかどうかというのを、レビューの作業を今後していきたいと思っています。
 大澤委員からもありました、ネットワークとして十分カバーされているのかといったご指摘についても、その中で検討していきたいと思っています。どうしても、人手の入っていないところ、あるいは人為的な影響が少ないところ、人為的な影響を受けにくいところをこれまで指定をしてきたということで、指定範囲が限定的な状況になっているという性格はあると思うのですけれども、全国の自然環境の状況と今の指定状況を重ねながら、レビューする作業をしていきたいと思っています。
 それから、原委員の自然公園と自然環境保全地域の重複については行わないという制度的な仕組みになってございます。
 大澤委員からありました管理の体制の関係でございます。鹿野委員からもありましたように、多くの原生や自然環境保全地域が国立公園から振りかえて指定したというようなところもありまして、国立公園の管理をしている自然保護官事務所のレンジャーが、近傍の原生自然環境保全地域なり、自然環境保全地域の管理を担当しています。頻度はなかなかそう高くはないのですけれども、巡視活動、調査などにも必要に応じて現場に行っている状況でございます。
 それから、原生自然環境保全地域の5年ごとの調査、法律上の規定があるのではないかということですが、法律の中に出てくるのは、全国の自然環境の状況を5年ごとに調査しなさいという規定で、これは、自然環境保全基礎調査の実施で対応してきています。原生自然環境保全地域の調査なりモニタリングについては、大澤委員からもありましたように、1回あるいは2回、原生なり自然環境保全地域について総合的な調査をやっています。その後、3回目に至っているのはまだないですが、例えば環境省の試験研究費を使った調査であるとか、都道府県が行っている調査ということで、その後も、場所によっては調査が行われてきているという状況です。
 私たちも、原生及び自然環境保全地域について、定期的にその自然環境に変化がないかどうかという調査をしていくことは非常に重要な課題だと思っています。現在、世界自然遺産地域が3地域ございます。それは、原生なり自然環境保全地域を含んでいる地域ですけれども、まずその場所でどういうモニタリングをしていったらいいか、温暖化の影響をとらえられるというようなことも含めて、順応的な管理をするために必要な調査なりモニタリングの方法の検討を進めていきたいと思っています。そのモニタリングの手法を確立した上で、遺産地域の中の自然環境保全地域は、もちろんモニタリングしていくわけですけれども、その他の原生なり自然環境保全地域についても、その遺産地域で考えたモニタリングの手法も生かしながら、定期的な状況の把握の作業ができるように検討をしていきたいと思っています。
 

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 鹿野委員、お願いいたします。

○鹿野委員 ただいまの説明の直接の質問ではないのですけれども、最近、白神山地でいろいろ木を傷つけたりとか、かなり話題になっていました。何か20年前の崎山湾のアサミサンゴ事件でしたか、KY事件と呼んだりするのですが、あれを彷彿させますが、今回の白神の問題に対して、どういうような対応をとろうということなのでしょうか。

○熊谷小委員長 いかがでしょうか。計画課長、お願いいたします。

○自然環境計画課長 ご指摘の白神山地の被害でございます。まず、被害の内容としては、世界自然遺産地域にも含まれている白神山地の自然環境保全地域の区域内でございます。区域内で数十本のブナを中心とした樹木の幹に、深い掘り込みの傷がつけられるという悪質な被害がありました。その被害があったことが、今年の9月から10月にかけて現場で確認されて、報道でも取り上げられたところでございます。
 この被害が起きたことを受けて、10月の半ばに、世界遺産地域の地域連絡会議を現地で開きまして、東北地方環境事務所、東北森林管理局、青森県、秋田県の両県が連携をして実施してきました巡視を強化していく、あるいはマナー遵守の呼びかけを徹底していこうということで、再発防止に向けた対策を進めているところです。環境省として、関係機関とも連携を図って、引き続き巡視なりマナー遵守の呼びかけ、そういったことを徹底していくことによって、現状の把握と再発防止に努めたいと考えています。
 あわせまして、白神山地のような貴重な自然の地域で、今回の白神のような事案が起こることを防いでいくために、どのような形で保全管理の充実を図っていけばいいかということで、法的な規制も含めて、いろいろな手段について総合的に検討を進めているところでございます。

○熊谷小委員長 。
 鹿野委員、続けてお願いいたします。

○鹿野委員 ありがとうございました。たしか20年前くらいの、KY事件のときは、それをきっかけにして、自然環境保全法も公園法も規制を強めることになったのだと思います。多分、自然環境保全地域とか、国立公園、国定公園とか、そういう指定地域での保全レベルがどうあるかという、国民一般の方々の認識は、法の規定、例えば規制などよりももっと高いところにあるのではないかというような気がいたしております。ぜひその辺を踏まえて、しっかり検討していただきたいと思います。
 もちろん、林業ですとか、その他の生業、それから財産権その他の公益というものとの調整が大変だということは分かりますけれども、そういうことで自然が破壊されることのないように、しっかり検討していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○熊谷小委員長 大澤委員、お願いいたします。

○大澤委員 資料の6ページ目に、自然環境保全地域等の保全計画というのがあります。その保全計画は、いずれにおいても、規制と施設という2つの柱から成っているのですけれども、先ほどご説明あるいはご返答の中にもあった温暖化対策を含めたモニタリングとか、自然環境の現状を把握するといったようなことについて、それはこの保全計画の中ではどこに入るのでしょうか。

○熊谷小委員長 計画課長、またお願いいたします。

○自然環境計画課長 調査やモニタリングを通じて、何か保全対策として手を打たなければいけないといったときに、例えば6ページでいきますと、自然環境保全地域の保全事業の中身には、巡視歩道なり標識というのは、指定したときには、必要なものをまずは整備するということで入れられているわけですけれども、調査やモニタリングを通じて、植生が悪化しているというようなときに、植生復元施設の計画を追加していくような形で、調査、モニタリングの結果を受けながら、保全計画として、追加あるいは見直しが必要かどうかを検討していく形になろうかと思います。
 先ほど大澤委員から稲尾岳の例がありました。自然環境保全地域の中及びその周辺の状況が変わっていくことで、管理上問題が起きたようなときに、そういう問題が起きて、対応策をどうとっているのかという質問もありましたけれども、そういったことも調査、モニタリング、それから担当している自然保護官が現場を見に行った中で、管理方策の改善なり強化が必要な場合には、そういった検討をし、保全計画に反映させ、植生復元施設などの追加が必要であれば保全計画を直していくというような関係性を考えてございます。

○大澤委員 最近問題になっているシカの問題にしても、周りでいろいろ騒ぎ始めて、それで対策を検討するというのでは手おくれなので、本来の自環地域の目的からすると、しかるべくモニタリングを、それを全部環境省サイドでやるということは無理だと思いますので、研究者とか各都道府県等の担当と連携して、モニタリングをするということを定義づけておかないと、何か法律で禁じられていることがやられていないかというようなレベルでの規制、あるいはそれに対応する施設づくりみたいなことだけでは、こういう自然環境を守っていく方法としては少々不足するのではないかなという気がするのですね。
 逆に言うと、国民に対しても、自然環境保全地域が一体何を目指しているのだということが明確に伝わらないと、今話題になった植物を傷つけたり、取ったりという行為ともつながってしまったりすることもあると思うので、国立公園や世界遺産はネームバリューもあるから、皆さんよくご存じだとは思うのですけれども、自環地域についても、環境省が国土の自然の体系的な保全を目指して指定して設定したものだということを調査、研究を通じて発信していくということも必要ではないかという気がします。
 それから、先ほど5年ごとのモニタリングは都道府県が基礎調査の中でやっているというお話でしたけれども、例えば都道府県が調査をしたりするときの費用については、国が面倒を見るような形になっているのでしょうか。それとも、都道府県が独自に自分たちの考え方で計画して実施するという形でしょうか。それを、例えば環境省サイドでその成果を吸い上げて、保全管理の上に役立てているとか、そういう体制はできておられるのかなという気がするのですが。

○熊谷小委員長 計画課長、お願いいたします。

○自然環境計画課長 一番最近の例では、小笠原、東京都が実施をしまして、これは東京都の独自の予算で実施をいたしました。ただ、実施に当たっては、環境省もいろいろな連携、協力をして、実際調査に行くときには、南硫黄島を担当している小笠原の自然保護官が調査に同行して、一緒に現地の調査を行いました。
 それから、研究者の方々が自然環境保全地域で調査、研究、モニタリングをする際に、環境省の試験研究費を活用していただいて、調査、研究を行ってもらっているというような状況もございます。大澤委員ご指摘のように、都道府県の調査、モニタリング、あるいは研究者の人たちで行っているデータを、私たちも連携を深めて、そういった情報で何か異変があるかどうかといったことが、情報として私たちも共有できるようにネットワークをつくっていきたいと思っていますし、私たち自身も自然環境保全地域、原生の調査、モニタリングの仕組みを、うまく状況をキャッチできるように設計をし、先ほど出ましたようなシカによる被害が起きる前に、未然にそういった危険を察知することができるような調査、モニタリングの仕組みを少し総合的に考えていきたいと思っています。

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 では、桜井委員と土屋委員からご質問をお受けして、最後にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○桜井委員 8ページの自然環境保全地域の中で、海中特別地区とあります。これは恐らく1例しかないので、多分違うのかなと思いますけれども、陸域では特別地区と普通地区という分け方をしていて、世界遺産の場合でも普通地区という形で区分しています。海域に関しては、海中特別地区という、自然環境保全地域に関してはこれしかないということでしょうか。

○熊谷小委員長 土屋委員も続けてご質問お願いします。

○土屋委員 ありがとうございます。
 質問というより、多分次の課題のところで話題になるかと思いますので、コメントのような形で発言させてください。
 草食性の動物に対しては、かなり厳しいことをしなければ保全はできないのではないかということは、多くの人が持っている印象だろうと思いますが、世界的に見ると、重要なところをフェンスで囲って、草食動物が入れないようにして効果を上げているというところは多いわけです。そういう事例等も勉強をしながら、日本もこういう地域の保全に役立てていただければと思います。
 それからもう一つ、ぜひ自分たちの反省も含めて申し上げたいことは、人材を育成しなければいけない。いろいろなところに出かけていきますと、博士の学位を持った人が管理に多くかかわっていたり、それから旅行ツアーにもかかわっていたりするのですが、その点において、日本は非常に遅れている。これは、私たち大学にいる人間の責任でもありますので、大いに反省するところですけれども、環境省としてどういうことができるかということも考えながら、管理をする人、それからその地域を訪れる人、地域に住んでいる人に対して、どのような教育的なことをするかということも気にしながら、これから議論を進めたいと思います。
 

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 時間の関係もございますので、いただきました今までのご質問、ご意見について、最後に計画課長のほうから、お答えできる範囲でお願いしたいと思います。

○自然環境計画課長 桜井委員の海の自然環境保全地域の仕組みですけれども、制度としては、海域については、海中特別地区に指定するか、指定しないところは普通地区という両方の指定ができるようになっています。実態としては、海の自然環境保全地域は崎山湾が1つでありまして、そこは全域が海中特別地区に指定されています。

○桜井委員 あるけれども、適用例はなし。

○自然環境計画課長 制度として普通地区はあるけれども、適用例はないというのが実情です。
 また、土屋委員のご指摘や、今日いただいた意見を受けて、自然環境保全地域についても保全管理の充実について、いろいろな角度から検討していきたいと思います。
 

○熊谷小委員長 
 今回の自然公園のあり方検討に非常に関連の強い自然環境保全法についても、貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。
 では、そうしたことも踏まえまして、資料2及び資料3について、事務局より説明をお願いいたします。

○国立公園課長補佐 それでは、国立公園課の中澤よりご説明します。
 資料2及び資料3につきましては、前回の資料をもとに、これまでいただいたご意見、それからご説明をさせていただいた内容を整理・記述したものです。資料2は、前回資料の論点の整理の中で、現状について書き出したものについてまとめて整理しているもの。資料3は、前回の資料5の中から、課題と方向性の検討を整理して記述しています。
 それではまず初めに、資料2をご説明させていただきます。
 状況と課題の整理です。
 まず総論的に最初のところで述べてございます。「概観している」と述べておりますけれども、今回の検討の背景、これまでの動きを生物多様性の保全に関しては、国家戦略や生物多様性基本法が成立、策定されている中で、生物多様性保全の推進の観点から、さらなる施策の充実を国立・国定公園に関して求められています。
 次が海のことです。海洋基本法や海洋基本計画の策定によりまして、海域の生物多様性保全の取り組みが求められていること。さらに国際的な動向についても、総論的に書いています。
 次に、三位一体改革を踏まえて国と地方の役割分担が図られました。自然公園等事業においても、そういった見直しを行いまして、環境省直轄で国立公園の保護上あるいは利用上重要な公園事業について整備をする。それで、国立公園の中での環境省、国の役割が一層拡大している状況だということです。
 その次が、環境省の地方支分部局の整理、体制の強化について書かれています。国立公園の管理についても、野生生物の保護、外来種対策等と連携した総合的かつ効果的な保護管理の推進を図るための組織的基盤が構築されているという状況です。
 さらに、一番下のパラグラフですが、西表石垣国立公園の拡張、尾瀬国立公園、丹後天橋立大江山国定公園の指定など、我が国の生物多様性保全の屋台骨としての国立・国定公園の区域の拡充が行われているような背景をご説明しております。
 2ページ目です。(1)保護に関する状況と課題です。
 海域の保全につきまして述べております。最初のパラグラフでは、陸域の保全の状況をご説明しています。重要な地域についてカバーしている背景があること。一方、次のパラグラフですが、海域においては若干弱い状況があること。干潟については、指定の状況が1割に満たないとか、一方でほとんどが普通地域になっているようなことでございます。
 「また」で続きます次のパラグラフですけれども、陸上でいえば特別地域とか特別保護地区、そういった保全措置を有するのですけれども、海域につきましては海中のみに特化した海中公園地区に限定されています。保護対象が海中に限定されているために、陸域に比べて十分な保全を担保できるものとはなっていないような状況があるということで整理しています。
 次が、生態系の維持回復です。
 まず国家戦略で示している第1の危機、いわゆる人間活動への対応につきましては、一定の効果を規制的手法によって上げてきているという経緯があります。ただ、最近の課題として、これまでもご説明させていただいておりますシカによる自然植生の被害等が発生していることが課題になっています。もう一方で、自然公園地域に本来生息・生育しない動植物が持ち込まれ、そういったものの繁殖・成長によって、先ほど地域の自然環境への影響が大きくなるという課題を指摘しております。
 こういった状況を踏まえますと、従来の規制的手法にとどまらない能動的管理の考え方を取り入れた保全の取り組みの必要性があるのではないかということで整理をしております。
 その次が、風致景観の阻害要因対策ですけれども、民間の宿舎ですとか休憩所等、公園事業でいろいろと実施されているものがあるのですけれども、こういったものについて近年、経営破綻等の理由によって放置され、また極端な場合は廃屋化して風致景観上支障になっている事例があることを報告させていただいております。
 その次が、生態系ネットワークの構築です。
 これは国家戦略にも記述されていますけれども、国土レベルでの生態系ネットワークの形成を進めることが重要です。このために、国立・国定公園総点検事業を着実に実施しながら、生態系ネットワークの構築におけるコアエリアとか重要なコリドーとしての役割を積極的に担う観点が重要であるといったことを整理しております。
 それから、地球温暖化の影響対策です。
 地球温暖化が進行した場合に、自然公園に深刻な影響が生じることが懸念されています。そこで緩和措置の観点から、いわゆるシンクとして森林とか湿原とか、そういったものがきちんと保全されれば、自然公園を保全することによって、そういった緩和措置にもつながっていくこと。それから、適応策の観点から、国立・国定公園の配置とか関連施策等との連携等を中長期的な課題として検討していく必要があるのではないかといったことを整理しています。
 その次が、(2)利用の件について整理したものです。
 まず海域利用の多様化への対応でございます。
 近年、優れた自然環境を有する海域におきまして、自然とのふれあいを目的とした利用が多様化、増加している傾向がある。そういった海域につきましては、ふれあいの場としての価値が高まっている中で、海域利用の集中、一カ所に集中しているようなこと、それから動力船による不適切な利用の状況が発生しています。そういった中で、利用調整等の仕組みの検討が必要ではないかということを整理しています。
 最後の項目は、公園利用者に対するきめ細かいサービスの提供です。
 これにつきましては、国民の皆様から自然とのふれあいを求める要請が大きい状況、世論調査の結果もご説明させていただいております。一方で、不満は施設の整備が不十分であるとか、施設管理が行き届いていないといった不満も寄せられている状況。そういった中で、外国人の方にもっと日本に来ていただくような政策とか、バリアフリー化、障害者対応への考え方なども今いろいろと言われ、環境省直轄事業の重要性が増加している中で、こういったさまざまな利用者の満足度を高める施策が必要であるといったことを、ここで整理しています。
 以上が資料2について、駆け足的にご説明させていただきました。
 次が、必要な措置の整理資料3です。
 (1)国立・国定公園における生物多様性保全の充実[1]海域保全の充実でございます。
 最初に、総論的に書いています。国立・国定公園は、我が国の生物多様性の屋台骨である。これは海域においてもそういった役割を積極的に担っていく必要があるということ。また、第三次生物多様性国家戦略におきましても、必要に応じて海域の適正な保全及び利用を進めるために自然公園を見直すこととされているといった背景がございます。
 海域におきましては、これまでも委員の方々からご指摘をいただきました漁業をはじめ、多様な利用が行われている。保護施策、制度の充実に当たりましては、これらの海域利用、特に漁業との共存が重要ではないかといったご指摘をいただいております。
 海域の環境及び生物多様性の保全につきましては、漁業を含めた地域社会に幅広い生態系サービスの受益をもたらせるものであること。そういった観点をもって、施策を進めていくことが必要ではないか。さらには森から海のつながりのご指摘もいただいております。水の流れだけではなく、砂の流れも海域の生物多様性の生息域の源になっているといったことも含めて、流域全体を視野に入れた観点が重要ではないかというご指摘をいただいております。
 その次の、海中から陸域に連続した海域保全から各論で説明しております。
 まず干潟、藻場、サンゴ礁、岩礁等の浅海域は、自然とのふれあいの場としての重要性も高まっている中で、海中のみならず海上の景観も含めて一体的に保全する必要があるということ。こうした海域の適切な保全を図るには、海中から陸域に至る連続的な海域の景観を保全する新たな施策、措置を講じることが必要ではないかといったことを整理しました。
 次のパラグラフですが、利用の集中ですとか動力船による不適切な利用が起きていることから、海域保全と適切な利用の調整を図るための必要な措置を講じる必要があるのではないかと整理しております。
 次のページにまいりまして、きめ細かな海域の保全でございます。
 現行、海中公園地区におきまして、海中景観の維持のための動植物の採捕規制につきましては、国立・国定公園ごとにその対象種を定めることになっております。これにつきまして、海中公園地区での採捕規制の対象種を国立公園または国定公園ごとに一律に定めるのではなくて、必要な海域にきめ細かく規制することを可能とする措置が必要ではないか。そういったことによって、現地での調整もしやすくなるのではないか、保全と漁業との共存が図られるのではないかということでございます。
 その次が[2]予防的順応的な手法による生態系管理の充実等です。
 そこに最初に総論的に書いているところで、生物多様性の第2の危機、それから第3の危機への適切な対応が求められている。これにつきましては、規制的手法中心の保護管理では限界があるということ。生態系の管理を適切に進めるには、モニタリングを基礎して、その結果に基づき生物多様性の維持、回復が必要な地域において、対策を幅広い参画を得ながら実施していくような、新たな枠組みが必要ではないか、そういった措置を講じる必要があるのではないかと書いてございます。
 それから、各論にまいりまして、包括的な生態系の管理の実施です。
 こうした生態系の管理に関する事業につきましては、例えばこれまで中心的に行われてきた行為規制、さらには、自然再生とか公園事業でつくる施設的なもの等さまざまに取り組まれています。こうした取組には、当該地域に生息・生育する複数の種の相互作用も考慮しながら、モニタリングの結果に基づいて生態系の維持回復のための適切な計画の下で総合的に実施することで、効果的かつ効率的な推進を図ることが重要です。このために、生態系管理の対象となる区域と必要な管理の内容等を定めた計画を策定するとともに、こうした計画に基づいて生態系の維持ですとか回復のための事業、モニタリングを含めて幅広い参画のもとで実施していくような措置を講じる必要があるのではないかと書いてございます。
 その際は留意事項として、順応的な手法を用いること、ボランティアの協力を得ることが重要であること、野生鳥獣の保護管理を実施する場合には、公園内だけではなく当該動物の地域個体群の広がりも視野に入れながら、市町村や都道府県等が実施する鳥獣保護法等に基づく農林業被害関連施策とも連携した広域的な対応が重要であるということを書いてございます。
 3ページ目にまいります。生態系管理上必要な規制の拡充です。
 本来、生息・生育しない動植物の放出につきまして、国立・国定公園の特別保護地区においては、既に導入されています。近年、特別地域でも必要な事例が生じているということで、第三次生物多様性国家戦略においても、既に規制が行われている特別保護地区に加えて、特別地域における当該制度の導入について検討することとされています。外来生物法では対応できないような国内における本来地域に生息・生育しない動植物による自然環境への影響に対応するためにも、必要な規制の措置を講じる必要があるのではないかと整理しております。
 [3]中長期的課題への対応で、生態系ネットワークの構築とか、地球温暖化対策について整理して書いています。
 国土レベルでの生態系ネットワークの骨格として、国立・国定公園は重要な役割を担っていること。その中で、将来にわたって生物多様性が確保される国土の実現を図る観点から、区域のあり方ですとか必要な保全施策について検討していく必要があるということです。これは、総点検事業で対応していくことになると思います。また、地球温暖化への対策についても触れております。こうした観点を踏まえながら、総点検事業を着実に実施していくこと。国立・国定公園の全国的な指定の見直しを進める中で、生態系ネットワークを考慮した指定区域を講じていく必要があるのではないかとしております。
 それから、地球温暖化に対する我が国の生物多様性への影響については、モニタリングの実施が重要であること。国立・国定公園の重要なモニタリングサイトとしてその保護を図りつつ、調査体制の確立とか継続的な調査を行う必要があると書いてございます。
 (2)風致景観の保護のための施策の充実、先ほど現状のところでご説明させていただきました廃屋等が生じているといったことについて、廃屋化しているような公園事業施設が発生しないように、強制力を持って公園事業者に適切な指導、措置を求めるための措置が必要ではないかと書いております。
 4ページにまいります。安全で快適な利用の推進の観点からの施策の充実のつながりですけれども、環境省で公園施設の整備とその他管理運営を通じまして、きめ細かい利用者サービスを実現する必要があること。そういった利用者サービスに当たっては、バリアフリー化とか外国人の方にきちんとその情報を伝えること、訪日する外国人の方々が日本の美しい自然環境に触れて、我が国生物多様性保全への取り組みに対する理解を促進するためにも、表示等にきちんと取り組みを強化していく必要があるのではないか。さらには、海域利用における利用調整、利用環境の保全と、安全で快適な利用の推進を図るといったことを述べています。
 適正な海域利用の推進ということで整理しています。
 まずここで、利用者の集中とか動力船による不適切な利用による自然環境の影響へ配慮しまして、対応として利用調整に関する措置を講じていく必要があるのではないか整理しています。
 その下が、公園事業施設における公園利用者サービスの充実です。
 最初のパラグラフにおきまして、整備した施設においては、利用者のニーズに対応するなどの満足度を高めて、またその安全で快適な利用の推進の観点から、管理運営の充実を図る必要がある。その次のパラグラフで現場に即した創意工夫とか国立公園に密着した活動を行い、周辺の自然環境等にも精通している公園管理団体等の参画、そういったものを活用しながら、きめ細かで質の高い管理運営を可能とする仕組みについて検討を行う必要があるのではないかと整理しています。
 (4)必要な措置の拡充に伴う現地管理体制の充実です。
 これまでの国立公園を主とした管理体制、地方事務所が環境省の地方支分部局で主として地方環境事務所になり、その下に自然環境事務所とか自然保護官事務所といった体制が、とられております。正職員のレンジャーのほかにアクティブレンジャー、さらにはボランティアの方々などの活動により、管理しているところでございます。今後ともこういったさまざまな新しい課題に対応する必要がある中で、施策の重点化を進めるとか一層の事業の効率化を図りながら、さまざまなボランティア活動を行っている団体等の広範な関係者との連携を図りつつ、国立公園体制の充実のための努力を継続させていくべきと整理しております。
 (5)その他自然環境保全法との連携でございます。
 冒頭に、資料1のところでお示しした自然環境保全地域、または原生自然環境保全地域でございます。こういった地域におきましても、国土の生物多様性保全の観点から自然公園とともに重要な役割を担っています。しかし、先ほどの説明にもありましたとおり、一部の地域ではシカによる自然植生への被害が生じています。また、国立・国定公園では似たような課題が生じるおそれもある状況があります。自然公園施設において今後措置する事項につきましては、自然環境保全地域制度においても必要な措置を講ずることが必要ではないかと、まとめています。
 資料2と資料3につきまして、大変駆け足で恐縮でございますけれども、ご説明をさせていただきました。

○熊谷小委員長  それでは、ただいまの事務局の説明について、ご質問やご意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 磯部委員、お願いいたします。

○磯部委員 前回欠席しておりまして、既に済んだ議論も入ってしまうのかもしれないですが、質問も含めお伺いします。
 最初に今回講ずべき必要な措置の射程ですけれども、きょう前半で自然環境保全法制度との関連という問題意識は説明されましたが、つまり、現行法を客観的に見ると、制度が展開してきた経緯を考えるとこうなっているのは無理もない面もあるのですが、例えば学生に現行の自然環境保全制度について説明するときに、一方で自然公園法があり、環境保全法があり、生物多様性の基本法ができたとか、あるいは景観法があるとか鳥獣保護法もあるというのは、なかなか印象としては雑然として、もっと整理してくれたらいいのにと思います。もし制度の見直しをしようというなら、どこかでもう少し過不足のない使いやすい制度にするということはあるだろうと思います。
 今日の前半のご説明との関係で、この際、自然公園、例えば海域に関して自然環境保全の海中特別地区と、この国立公園の海中の関係とを整理しようというような、法制度の基本的な仕組みといいますか、相互関係に関する見直しまで射程に入っているのか。当面はなかなか難しいので、それぞれの一種、縦割り的なものは前提としつつ、もう少しうまく連携しようという話なのか。それは後者だろうとは思うのですけれども、一言聞いてみたいというのが第1点でございます。
 それから、海域というのはそういう意味では、本当にあらゆる点で一番難しい対象であって、総合的にやるべきですけれども、まさに行政、法制上は非常に縦割りになっている。ちょっとやそっとで手をつけたら偉いことになるという状況であることは確かですけれども、少なくともこの環境省のフィールドの中で、この資料3の説明で言うと1ページのところで海域保全の充実、それから森から川を通して海へのつながりという、こういう認識の必要性は少なくともここにおられる方は、だれも文句はないと思ういます。
 その後、1ページの下の方で、海中から陸域に連続した海域保全、ここでは海中のみならず海上の景観を含めて、もっぱら「景観」がキーワードになってくるのですけれども、これは現行制度ではそうでしたか。景観ということと、その次のページの採捕規制などや、もちろん景観と海の海中生物そのものの多様性の保全あるいは生態系の保全も、密接、連関しているだろうと思いますけれども、法律論的に何が法益なのかと言い出すと、ぎりぎりした議論をするなど、狭過ぎるような気もするのですが、その辺はどうお考えなのかなということも質問です。
 ついでに、これは蛇足かもしれません。2ページの一番上のきめ細かな海域の保全の中で、対象種を一律に指定すると不必要なことまで指定されてしまうというのは法制度の問題ですか。環境省の範囲内で、もうちょっとうまく柔軟にやればいいだけの話なのではないのかなという気もするのですけれども、何か法制度上の限界があるのかというのは、補足的に伺いたいと思います。
 あと、全体として現行法制として規制手段が法的な道具が足りないからもっと増やそうという話なのか、規制ではうまくいかないレベルに来ているので、もうちょっと地元と柔軟に何でもやれる仕組みにしようか、法律屋の視点からの質問で恐縮ですけれども。それは、やれるのではないですか。規制手法で何か増やすことがあるならば、それはどんなポイントだろうか、具体的に何をしたいのかと。
 面白かったのは廃屋です。応用問題的なのかもしれないですけれども、これはすごく今後増えそうな話でして、かなり地元の県でも、市町村でも困っているのがある。観光地でいい場所に、幽霊屋敷みたいなものが建っていたりする。これを壊せという命令を、自治体限りで条例でやろうとしてもなかなか難しいわけで、そこは環境省に頑張っていただいて、法律上の根拠を与えてあげれば随分違うだろうなと思うのですけれども。これは議論するに値する問題かなと思っております。

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。磯部委員にはお答えできる範囲で今お答えをして、それからまた次のご質問をいただきたいと思います。
 では公園課長からお願いします。

○国立公園課長 ご説明いたします。
 まず第1点の今回の検討範囲、全体の制度と今回の検討の射程はどうなのかというご指摘についてお答えします。今回基本的には諮問させていただいている内容が、自然公園法の見直しということでございまして、これまでも自然公園法にかかるいろいろな周辺の情勢についてはご説明をし、その中でご検討いただいていたということでございまして、その射程はやはり自然公園法。生物多様性の屋台骨という大層を占めているという意味もありますけれども、射程を絞らせていただいています。ただ、その中でも生物多様性の戦略という中で共通的に自然環境保全地域と考えないといけない部分がございます。制度的にも関連もございますので、今回、自然公園法の中で抽出された課題の中で、関連して自然環境保全地域制度のほうでも、同様の課題があればそのときあわせてやるという意味で、基本としての射程は自然公園ですけれども、関連として自然環境保全地域についても、あわせて今回ご説明をし、検討の中に含めていけたらと考えている次第でございます。
 それから、一つは法益と景観を守るというものとどういう関係があるのかということです。一つは自然公園法の射程にしておりますのは自然の風景地、風致、景観ということでございます。ただ、それを構成するものは、ご案内のとおり自然の事物でございまして、植物であり、動物であり、海であればさまざまな生物であり、サンゴ等を含めた生物であるということでございます。その風致景観を守るということは、基本的には動植物、その生息環境を守るということを通じ行っているということでございます。
 海の場合はどうなっていたかということでございますけれども、先ほど来ご説明しましたように、海中の景観を構成するものについての保全措置はこれまで担保されてきたけれども、海域の風致景観は海中だけではございませんので、そういう意味で、その幅を広げる必要があるのではないかという議論がなされてきておりまして、そのための何らかの措置が必要だというような議論の流れになってきております。
 景観というのは最近、法律上も景観法という形で出てきたりしておりまして、それと自然公園法の景観は一致しないところがございまして、景観法の景観はどちらかというと、ビジュアルという言葉で包含され、説明されてしまうのですが、これまで自然公園法で景観保護のための制度としては、海中公園地区と、それから陸域の特別保護地区という制度がございますが、これは基本的には生態系を守るということを通じて、その現れる現象=景観を示すということとしております。生態系というものを人間が体験する場合、それが景観という形となるのだと、こういう解釈をしておりましたので、必ずしもビジュアルということではないというのが自然公園法の世界の「景観」という使い方でございます。
 それから、海域の一律な採捕規制ではなくて柔軟に採捕できるものの趣旨は何かという話でございます。一つには、同じ国立公園の海域であっても、それぞれ性格が違う地域が、同じ島の周囲であっても、それぞれの基盤によって生態系が違っている場合がございます。それぞれの特徴において、海中景観が優れているということがあるわけでございまして、そうしますと、それぞれの景観というのはそれぞれの生態系を基盤にしております。その生態系を構成しているのは、それぞれの動物の種であるということになりますと、それは国立公園の中の全部が同じだというのは、いささか乱暴な議論ではないかと。要するに、一つの国立公園の周辺の海域がすべて同じ生態系、同じ生物構成要素であるというのは、やや乱暴な議論ですので、それをきめ細かく対応を考えるべきとしているところです。
 それから、実務的に申し上げますと、海域でやはり保護区を指定する場合に、漁業との共存が非常に重要な部分でございます。その中で保全すべきものを吟味し、かつ漁業と共存するためには、場所、場所によって保全するものについて、限定というか、特に保護すべきものを抽出して保護する。そういうことで漁業と共存を図ることができるのではないかと考えております。
 さまざまな海域の価値に照らして保護する上で、一律よりも柔軟性をもって対処するのがよいのではないかと考えております。
 それと、法制上の話ということでございましたけれども、現在の法令で、採捕規制をかけるのは国立・国定公園ごとでございます。
 それから、廃屋の問題につきましては、まさに先生がご指摘のとおり、現在の時点で法律に基づく強制的な命令が、公園事業の場合できない現状がございます。それを強制力を持った形で制度化できないか考えていきたいということでございます。

○熊谷小委員長 それでは桜井委員と、それから石坂委員にもご意見、ご質問をお願いしたいと思います。まず桜井委員お願いします。

○桜井委員 海域の件で、恐らくきめ細やかな海域の保全というところで、これは一つ前にも言っていると思うのですけれども、いわゆる海面といっても、ごく沿岸域だけに限定したとして、漁業権のある海域と漁業権のない海域があります。それで、当然そうなりますと、これは以前、日本自然保護協会の方も提言されていますように、各省庁の管轄が違う。漁業権があるところは水産庁、、港湾ですと国交省と管轄が違います。まずその前提で、もし国定公園がそこにかかっている場合に、当然そこの法令あるいは規制、規則というものを適用しないといけないことになりますね。その場合に、例えば漁業権のある海域ですと、いわゆる沿岸についてはかなり厳しい規制がされていますよね。採捕に関する規制とか採草、海草類をとっちゃいけないとか、アワビとっちゃいけない、ウニとっちゃいけないなど、かなり逆に厳しいぐらいの規制があるのですね。そういうルールがあるものをどうやって使うか。あるいは漁業法がないところでは別の法律がありますね。だから、今回この海域の保全に、もし何か採捕規制の対象について、各場所に一律ではないものをかぶせるとしても、既存のそういうルールがあります。
 それから、もっと細かくいいますと、例えば自主的な管理、自主的な取り決め、これは各漁業間での取り決めで、ここからここはうちは入らないとかありますね。そういったものもありますので、具体的に海域の特性にあわせて、海域の保全、海洋保護の概念をつくらざるを得ない。ただ、全部に細かなところで変えるのではなくて、ちょうど日本自然保護協会の方が書かれていますように、日本で海洋保護区と、いわゆるMPAを適用する場合にカテゴリーを6つ、7つぐらいありますけれども、それをそのまま適用するのか、日本型の海洋保護区の概念を、ある程度、ここの海域利用の現実を踏まえてつくって、それを適用すると。その中には既存の各省庁が持っている法律、都道府県が持っている法律、なおかつそれにこれをかぶせるというのか。その辺のところは確かに複雑ですけれども、どこかで整理していかないと、常に環境省が出す自然公園法の中の海域のものと、それから別の海域を利用する漁業者サイドのものとぶつかることを繰り返しますので、ここはどこかで調整はすると思うのですけれども、これはお願いになりますが。

○熊谷小委員長 いかがでしょうか。石坂委員も、ご意見ご質問をお願いしたいと思います。ほかの委員の方も、ぜひお願いしたいと思います。

○石坂委員 意見と思ってお聞きいただければと思います。この文章についていろいろな意見が今まで委員の方々から出されましたけれども、網羅的に取り上げていただいていますし、全体としては欠けるところがなく、よく書けていると思います。
 ただ、幾つか基本的なところで、私はやや具体性に欠けるのではないかという気がしておりまして、報告としてそれでいいのかどうかということを、これは委員長の所管すべきお話かもしれませんけれども、よくお考えいただければと思います。
 この資料3の1ページ目の2行目に「海域においてもその役割を積極的に担っていくことが必要である」ということが書いてある、それはそのとおりですけれども、それに応じて、国立・国定公園において海域についてどうするのだと。つまり、公園地域を広げていくのかどうか、新しく指定していくのかどうかということについて書いていないのです。これがないと全体がどういう方向を向いて走っているのだということが分からないと思います。
 それから、後段2つ目と3つ目でしょうか、漁業者を含めた地域社会との幅広い生態系サービスの受益をもたらすものであるとの観点が重要である、これはそのとおりです。こういうことで漁業者と調整していかなければならないでしょうし、それから流域全体を視野に入れた保全の観点が重要である、これもそのとおりだと思うのですけれども、その観点を入れたときにどういう対応をとれば、この観点を充足して、そうした海域における公園を増やしていけるのかという、どうしたらいいのだと。観点はいいのですけれども、観点に従ってどうするのだというところが書いていないです。それ以外に具体論というのが2つ括弧であるのですが、これは、いずれも答えにはなっていないと思います。ここは書けるのか書けないのかという問題があるので、よく事務局でも検討していただいたらいいと思います。
 それから、2ページ目で、予防的順応的な手法による生態系管理の充実等、これはいいです。そして、これも要は同じ問題ですが、「新たな生態系管理の枠組みにおいて措置を講ずる必要がある」と書いてあります。確かに、それについて包括的生態管理の実施、規制の拡充というのが書いてあるのですけれども、どうも何かぴたっと来ないような気がします。「新たな生態系管理の枠組み」というのは、一体どういうものを考えているのかということが、いまひとつはっきりしないと思います。もう少し具体性をもって書いたほうがいいのでないかと。
 それから、4ページ、私が今申し上げているのは、いずれも最初に、この自然公園法を改正するについての論点として上げられた点だから申し上げているのですけれども、2つ目の括弧、利用者のサービスの充実。これも(4)の上のところ、「より、きめ細かで質の高い管理運営を可能とする仕組みについて検討を行う必要がある」。これは全くそのとおりですけれども、ではどういうことを想定しているのだということが、余り判然とはしていない気がします。
 それから、これは今申し上げた話とは違うことですけれども、4番目のレンジャー、それからアクティブレンジャーの充実ということが書かれていまして、これは極めて重要な話だと思うのですね。これからいろいろな施策を展開していくにおいて、やはり人間、専門家がいなければ管理ができない。それは量の問題であると同時に、質の問題としてもあると思うのですね。国家公務員を増やすことは、なかなか今の情勢でできませんから、そうではなくて、一体どうやってこれを拡充するのだという具体性をもう少し書いておかないと、これをもとにして予算要求をしようと思っても一層の拡充しか書いていない、手がかりがないのではないかと思うのですね。そういう意味で、一貫して申し上げたいのは、もう少し具体性を持って書いたらどうかということです。

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 それでは、鹿野委員、土屋委員、原委員とご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員 ありがとうございます。
 私が申し上げたかったのは、石坂委員のお話に出たことと割と似ているのですが、特に海域ですが、やはり文章の中にいろいろなものが入ってしまって、何を言いたいのかがわからない。例えば海中で、海面とか上に行かない。要するに、海中から海域に脱皮したいわけですよね。もう一個は水平的な話で、面的な話で、もっと保護区域を増やしたいわけですね。そういうことが、何か一つの文の中にぐちゃぐちゃと書かれていて、これを読み取るのは大変だと思います。もう少し分かりやすくしていただきたいと思います。
 特に、私は面的に増やしていくというのは賛成ですが、そういう場合に一体どういうところを増やしていくのかが一つもなくて、最も実現が難しい流域的に一緒に考えなさいと書いてある。これは一番実現の難しいところだと思うのですが、一番難しいことだけが例示で書かれていて、当面とっかかりたいようなことは例示されていない。だから、そのことがなかなか読み取りにくい。
 もう一つの漁業との調整は、一番最初のところに書いてあったのですかね。海域の保護というのは漁業とぶつかるものではなくて、少なくとも資源保護をというところでは、同じ方向を向いているのだから手を携えて頑張れとなっているのですが、特にそういうところも新しい海域指定をしていくに当たっては、そういう視点も重要だと。だから、どこを保護地域にするのかというのは、同じ方向を向いている人と一緒に考えていくということが必要だと思います。
 それから、生態的な管理、包括的な生態系管理の話ですが、一生懸命読むと、モニタリングを含めた管理の計画とか保全事業の計画とか、そういうものを何か計画の中に位置づけたいと書いてあるようにも読めるのですが、何かその辺もねらいとしているところがもう一歩、よく読めないですね。モニタリングはその事業ではなくて、当然管理行為の一部です。そういう中で、多分管理計画は重要になるのだと思いますが、そういうことを明らかにしていただきたい。
 もう1点、これはここにふさわしくないと実は思っていることがあります。生態系ネットワークの構築についてですが、先ほど自然環境保全地域の説明でも出てきましたけれども、生態系ネットワークというのは、自然環境保全地域も鳥獣保護区も含めて、国のいろいろな保護制度で全体で構成されるものだと思っています。ましてや国土レベルのネットワークもあり、地方レベルのネットワークでありということからすると、国家戦略、最近では国土形成計画の中でそういうことがうたわれているのですから、それの具現化に向けての何かがあって、それのもとで公園がどう配置されるべきか考えられるべきで、そちらがないうちに先に公園が出ていくというのは何か変だなと、こう思っています。
 それは、後段のほうに書いてあります、いろいろなところのほかの保護地域と連携してという、そういうことが一緒ですが、そういった国土全体で保護地域をどうするかという、まさに国家戦略を受けてとか国土形成計画を受けてとか、そういうものはここの同列に出てくるのではなくて、ずっと違うところ、計画レベルでは上位レベルに出てくる、それを受けて動くと思っております。だから、ここはふさわしくないなと。中長期課題として横に置くならいいと思いますが、同じほかの海域を増やしたいというのと同じレベルではないかと思っています。

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 それでは、土屋委員、お願いいたします。

○土屋委員 私もそれぞれの記述の具体策については、かなり気になっておりまして、いろいろなことをやっていこうと書いてあります。措置を講ずると書いてありますけれども、具体的なところをその後にお示しいただくと、さらにわかりやすいという気が強くいたしました。具体的なところは申し上げる情報を持ってはいないですけれども、より分かりやすく書いていただけるといいと思います。
 それから、言葉の問題で、この前、全然分野の違う人と話をしていたときに「生態系サービス」とか「生態系ネットワーク」という言葉を使いましたら「それは何だ」と聞かれ、説明するのにかなり時間を要してしまって、ほかの言いたいことが言えないという状況に陥ったことがありました。多くの人にこれは見ていただかなくてはいけませんので、よりわかりやすい表現も、必要に応じて解説も加えてまとめられたらいいと思います。
 それから、3番目は自然公園法の中でどこまで言及できるのかどうかわからないのですが、保全すべき地域を指定した場合に、周辺との関係が気になります。経験した事例ですと、海岸を持っている、ある陸域を立ち入り禁止にしたら海側から人がいっぱい入ってきて、動力船とか、それに伴う汚染とか、波浪による影響とか、逆の問題がいっぱい生じてきて困っているという例を耳にいたしました。ですから、バッファゾーン等のことまで、どこまで盛り込めるのかわからないのですけれども、気にしておく必要があろうかと思って発言をいたしました。
 

○熊谷小委員長 ありがとうございました。原委員、お願いいたします。

○原委員 発言としてはダブるかもしれませんけれども、今度のこの法律を補強するとか見直すことによって、具体的に担当される皆さんの仕事が円滑に、こういうことができる、ああいうことができるとうイメージが湧いてこない。それで、恐らく皆さんそういうことを持っていらっしゃるのだから、具体性のあるものにしておいたほうがいいのではないかというのは皆さんがおっしゃっているとおりで、そのときに具体性という中でいうと、集団施設地区のくたびれたところをどうするかというのは、せめて更地にするまでに国の金をつぎ込むことができるようにしてくれというのが、僕の具体的にここ数年、国立公園にお願いしていることであります。
 それから、この提案の中に、せっかく前回、沖縄とかさまざまなところの事例をご披露していただいたのですから、この提案の中にもそういう個別のスタディーをもうちょっときちっとして、アウトプットをわかりやすくするというか、そういうことをどこかで記述しておいたほうがいいのではないかという感じがします。
 それから、漁業との問題で言うと、昔々、国土庁の時代に、我々の分野と観光とかレクリエーションとかリゾート部門と、港湾の人たちとか漁業の人たちが集まって、いろいろ海をみんなが利用できるようにと、何回か議論をしたことがあります。
 その中で、神奈川県の三浦の市長さんが、漁業じゃなくて、我々は今度は「海業」だと。海の業って、いろいろなものが共存できるような、そういう業で海と対応したいということで、これはかなり受けたというか、そうだよなという話になって、レポートが国土庁の海洋何とか室というのがあったと思うのですけれども、そこでかなり数年にわたって議論して、かなり法律が錯綜する話も随分勉強して、アウトプットとしてはこういうことができる、メキシコではこうやっているとか、さまざまな提案ということもやりました。そういうことをもう一度、海に関しては整理したほうがいいかなと。
 最後に、僕はこれをきっかけに、ぜひ慶良間は、この間、垣花さんが来てご説明しましたけれども、あそこは島も陸域も海洋面も含めて、全域を生物多様性の国家戦略の中で、具体的にみんなが共存できるにはどうしたらいいかということも具体的に考えるにはいい事例だと思いますので、そこを個別解の一つとしてスタディーする機会をつくっていただければ、いろいろなアウトプットが出てくるのではないかと。
 僕は法律をつくることも大事だろうと思うのですけれども、個別解を幾つか積み重ねて、最後にそれを法制化するということが一方であってもいいのではないかなという、現場に近いところで解決するということをもう少し積み重ねていくことを、ぜひおやりになったらいかがかなと思います。

○熊谷小委員長 大澤委員、お願いいたします。

○大澤委員 皆さんが既にご指摘されたこととダブるのですけれども、特に(1)生物多様性保全の充実について、もう一度意見を申し上げておきたいのですが、文章としては記述されているのですけれども、具体的に、そのために何が必要なのかということが見えてこないという部分が多いように思います。
 例えば2ページ目の予防的順応的な手法による生態系管理の充実等というところに、それを適切に推進するためには、一番最後のところ、モニタリングによる自然環境の状態を把握することが重要であり云々というのがあるのですけれども、こういうことは前から言われているというか、当然そのためにはそういうことを考えていかなければいけないし、国土調査、緑の国勢調査みたいな5年ごとにやるという調査も、こういうことを目指していたはずなのですが、それが今回新たに国立・国定公園という範囲を限定したとしても、では国立・国定公園でこういうことをやろうとするときには何が足りなくて、どういう体制を構築すれば現実になされるような形になるのだという、そういうことが少し見えてくるような言い方をしておかないと、あえて見直しをした意味がないような感じします。
 だから、その具体的な内容として、恐らく包括的な生態系管理の実施というあたりで言おうとしているのだろうと思うのですけれども、そこで新しいと思うのは、幅広い主体の参画のもとで総合的にというふうになって、具体的に何を目指すのかというのが見えにくいと思うのですね。だから、どこまでそれを書き込めるのか、今の段階で分からないのですけれども、もう少し先へ進めるための必要な措置というか、それを具体的に絞り込むような書き方をできればしていただきたいなという気がします。
 

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 一応、一通り委員の方々からご意見を伺いました。それでは、石坂委員からあったように、具体性と実現性とかということで、ここを中心にご質問が多かったので、実際には報告書は16日までにまとめて、もう一回ご意見をいただくわけですから、今日の段階で無理な部分については、それまでに検討し、かつ整理をしていただくということで、余り無理に今お答えにならなくてもいいと思いますが、お答えできる範囲では全てお答えをしていただけたらと思います。事務局のほうでよろしくお願いいたします。
 では、国立公園課長からお願いいたします。

○国立公園課長 それぞれのご質問にお答えできたらと思います。
 まず桜井委員から、漁業との調整の話、海には沢山のいろんなルールがあると。の法律もあるし、自主規制もあると。それとどういうふうに共存していくかというようなことが課題だというようなご指摘だったと思います。私どもが今具体的ではありませんが考えているものは、まさにこういうことに順応的に対応できるような制度はできないかということでございます。現在の海中公園地区というものが、いわば先生のご指摘のあったようなところに、合いにくいということが課題だと思っておりますので、そのためには、目的として広げるのは海中にとどまらず、幅を広げたい。海上であり、海の中にとどまらない自然、風致景観の保護だということで広げるのですけれども、そのときにその手法としてきめ細かな採捕規制が一つのツールになるのではないかなと。要するに、場所を定めて必要な採捕規制をきめ細かくやっていくことによって、さまざまな自主ルールも含めて、そういうものと調整をしやすくするという制度設計を考えていきたいということでございます。
 それから、石坂委員から全般的に具体性がないとご指摘を再度いただきました。今後、委員長のお話のように、さらに具体的に記述できるようにまとめていきたいと思いますけれども、現時点で海で何がしたいのかというと、現在の海中公園という指定目的を広げて、海中景観のみならず、海域と、海中を含む海に対する風致景観を保護するための保護区の対象の拡大を図りつつ、それから採捕規制が国立公園一律になっているものを、必要な場所に必要な対象を指定していく形に変えられないかということを考えております。
 更に、動力船の話が書いてございます。動力船による自然環境に影響を及ぼしている例がありますので、動力船の規制というのは陸上にもございますので、そういった海域の保護区の拡大とともに、動力船規制というものを考えていかなくてはいけないのではないかと考えているところでございます。
 それから、この後のほうでご指摘があった、生態系の管理の具体的な方策でございます。鹿野委員からもご指摘がありましたモニタリング、管理行為を何か新たに位置づけをするのだろうというようなご指摘でございました。これにつきましては、まず1つは、生態系の管理が必要な部分の対象を決めて、どういうモニタリングをやるかということ、それからどういう行為が必要か、どういう事業が必要かを定めた上で、それを環境省、その他国だけではなくて、地方自治体あるいは民間が参入しやすい制度を考えていきたい。そのためには何が要るかといいますと、今自然公園法では、そういった生態系管理のための必要な行為についても、すべからく規制対象となっているわけですので、それを生態系管理のために必要なものについては、違った位置付け、規制対象とは違う、促進する対象に位置付けをかえていく。例えば。現在、種の保存法では、種の保存のために必要な動植等の事業につきましては、同様な仕組みで保護、増殖のために必要な計画に基づく事業については、野生生物の保護に関する規制を除外するというような制度を持っていますので、その辺も参考にしながら、検討を進めているところでございます。
 それから、石坂委員のもう一つご指摘のあった、公園事業施設のサービスの充実のために、具体的にどういう仕組みを考えているのかとの質問です。まず直轄施設が重要な役割を担ってきているということです。国有財産管理の制度におきましては、非常に厳しい規定がございまして、なかなかきめ細かな民間、特に地元の公園管理団体等の管轄がしにくいような仕組み、それからアイデアが生かしにくいような仕組みに現実上なっています。それについて、何らかの形で国有財産の管理にそういった団体が参画しやすいような、財産管理の新たな仕組みを考えていけたらということで、現在検討を詰めているところです。
 それから、鹿野委員の意見どおり、例えばモニタリングが現在いわば生態系管理のためのモニタリングであっても、自然公園の中の場合はすべて規制行為になると。何か調査のために採捕する、あるいはその調査のために必要な機材を設置するというのは、すべて規制だというような取り扱いにございまして、促進するという枠組みがございません。その辺を新たな位置づけにするのは、ご指摘のとおりでございます。その具体的な内容については、先ほどご説明したとおりです。
 生態系ネットワークについて、もっと上位があるべきで、それを受ける形で、自然公園、国立・国定公園があるべきではないか。この辺、ちょっと記述の仕方については位置づけを踏まえて検討してまいりたいと考えております。
 土屋先生から具体的にということについては、共通でございます。
バッファゾーンのこと、指定地域とその周辺の関連のことについてご指摘があったと思います。直接ではないのですけれども、例えば本来の私どもの考えている措置、必要だろうと思っている措置の海の拡大というのは、まさに陸と海、陸はしっかり保全できているけど、海のほうが抜けていると。また、逆がないようにというようなことで、両方とも保全、担保措置をそろえる必要があるという考え方でございますので、一体的な管理という意味で、ご指摘の部分の一部はお答えができるのではないかと思います。
 それから、公園とその周辺の公園を核として、公園は独立して存在する自然ではございませんので、その周辺の保全と連携してやるべきというのは、ご指摘のとおりだと思います。さまざまな仕組みも考えて、対応も考えていきたいと考えております。
 原委員からの廃屋の話について、更地になるまで国でできるような、そういった対策が必要ではないかということでございます。その一歩として、今回、法律的に強制的な手段が導入できないかということで、法律の強化を図っていきたいと考えております。特に公園事業施設について、現在は法律に基づく命令ができないことになっていまして、政令に基づく命令しかできませんので、罰則もかけられないという点について、それを法律上の強い権限にしていきたいと考えております。
 今回の検討につきましては、ご提示申し上げたもの以外にも、海域のいろいろなケーススタディーを内部的にはしておりまして、その一つのアウトプットといたしまして、事務局でさまざまな案を提示させていただいています。その一つには、海域の保全措置の充実という話でありますし、それから動力船の規制の話でございますし、それから利用間の調整の仕組みが必要であるのが、これはそれぞれ全国的なケース、慶良間も含む、そういったケースも含めまして検討させてきていただいたものでございまして、引き続き、そういった現場の実務を踏まえた必要な制度のあり方については、今後とも検討していく考えでございます。
 大澤委員からも、具体が足らないというお話がございました。生物多様性の充実の部分のモニタリングの重要性をどのように担保するのか、具体性がない。包括的生態系管理の実施がどういうものかわからないということでございますけれども、まず計画を立てる、必要なモニタリングの計画、もしくは措置のゴールとか、状況とか、そういう人為的に必要な行為について計画を立て、それについてさまざまな参加者、自治体、NPOあるいは研究組織でも結構でございますけれども、そういうところが参画いただくというような枠組みをつくり、それについては自然公園法上の法的な位置付けをして、規制をするという立場ではなくて、それを促進する立場で、私どもは連携をしていく仕組みを考えていきたい。いずれにいたしましても、次回にできるだけ具体化してご提示させていただきたいと考えております。

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。まだご質問なり、ご意見がおありの委員の方いらしたら、お伺いしたいと思いますが。よろしいでしょうか。
 それでは、議論は尽きないようでございますけれども、時間の関係もありますので、このあたりで質疑応答については終わらせていただきたいと思います。
 事務局におかれましては、本日ご欠席の委員の方々に本日の資料をお送りして、ご意見をお伺いするようにお願いしたいと思います。また、本日の各委員からのご意見を踏まえまして、事務局においてパブリックコメントにかける報告書案を作成し、次回の小委員会に提出をお願いしたいと思います。
 次回の小委員会までの時間が余りありませんが、作業をよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の自然公園のあり方検討小委員会は閉会といたします。

○事務局 本日は、長時間のご審議ありがとうございました。
 次回の小委員会でございますが、お手元に開催案内を置かせていただきましたが、12月16日火曜日、10時から三田共用会議所で開催させていただきたいと思います。
 本日はありがとうございました。

午後0時07分閉会

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