中央環境審議会自然環境部会 自然公園のあり方検討小委員会(第8回)議事要旨

開催日時

平成20年12月4日(木)

開催場所

中央合同庁舎5号館 共用第9会議室

議題

  1. 自然公園法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について
  2. その他

議事経過

  • 事務局から自然環境保全法の施行状況等について報告がなされた。
  • これまでの小委員会での検討を踏まえた状況と課題及び必要な措置の整理を行った。

 なお、主要な発言は以下のとおりである。

(1)資料1 自然環境保全法の現状と課題関連

委員 海域における自然環境保全地域については、今後、いくつかの重要な生態系のパターンを指定していくなど、保全に力を入れるべき。また、シカの食害に代表される生態系保全上の課題についても、自然公園の課題とあわせて検討すべき。

委員 自然環境保全法の目的に「自然環境を保全することにより、広く国民が自然環境の恵沢を享受する」とあるが、なぜ自然環境を保全する必要があるのか、といったものをその都度発信していくことが必要なのではないか。自然環境保全地域は、指定から既に30年程を経過し地域の現状が指定当時とは変わっていると思うが、国土の自然環境のネットワークを確保する上で十分なものとなっているか。国立公園のように、一定期間ごとに指定地域を見直していくことが必要ではないか。自然環境保全地域を管理する体制は、現状でどのようになっているか。原生自然環境保全地域は、法律で5年ごとに調査をすると定められていたように思うが、指定当初に2回程調査された後は、調査が実施されていないようだが。

事務局 自然環境保全地域の追加指定の検討については、第3次生物多様性国家戦略でも挙げたように、最新の自然環境の情報や現在の都道府県自然環境保全地域の指定状況等を踏まえ、レビュー作業をしていきたい。自然環境のネットワークの確保についても、この作業の中で検討したい。管理体制については、自然保護官事務所が、近傍の自然環境保全地域等を担当し、巡視等を実施している。法律に規定された5年ごとの調査は、全国を対象にした自然環境保全基礎調査であり、これとは別に、自然環境保全地域等については、これまでに1,2回程度の調査を実施してきている。自然環境保全地域等の自然環境の変化をモニタリングしていくことは重要な課題であり、まずは世界自然遺産地域に含まれる3地域において、温暖化の影響をとらえることも含めて、順応的な管理のために必要なモニタリング方法の検討を進めていきたい。

委員 最近、白神山地における樹木の損傷行為が話題になったが、この問題に対して、どのように対応していくことを考えているか。

事務局 当該行為を受けて、10月半ばに現地で開催した白神山地世界自然遺産地域の地域連絡会議の結果を踏まえ、現在、これまで関係機関が実施してきた巡視の強化、あるいはマナー遵守の呼びかけの徹底など、再発防止に向けた対策を進めているところ。あわせて、どのような形で保全管理の充実を図るべきか、法的な措置も含めて総合的に検討を進めているところ。

委員 自然環境保全地域や国立公園等の保護に対する国民の意識は、非常に高いところにあるのではないかと考えており、その辺を踏まえ、対策をしっかり検討してもらいたい。

委員 自然環境の現状を把握するような調査やモニタリングについて、保全計画上の位置づけはどのようになっているか。自然環境保全地域等の現状を把握するため、研究者や各都道府県等と連携してのモニタリング体制を確立すべき。

事務局 調査やモニタリング、巡視を通じて、保全方策の改善や強化が必要な場合には、植生復元施設等を保全計画に追加するといったような関係である。都道府県や研究者と連携を深め、情報共有できるようなネットワークを構築していきたい。

委員 草食性の動物から生態系を保全するための対策については、海外事例等を踏まえ実施していくべき。また、地域における人材育成は重要な課題である。

事務局 いただいた意見を踏まえ、自然環境保全地域における保全管理の充実について、様々な角度から検討していきたい。

(2)資料2 状況と課題の整理(案)及び資料3必要な措置の整理(案)関連

委員 講ずべき必要な措置はどの範囲までを考えているのか。「景観」がキーワードになっているが、生態系の保全の観点から考えると狭いのではないか。また、規制の対象種が一律に不必要なところまで指定されてしまうのは法制度上の問題なのか。廃屋の問題は議論する価値がある。

事務局 今回の諮問内容は自然公園法の見直しであり、この検討の中で自然公園法において課題とされたことについても、自然環境保全法で同様の課題があればその範囲内で検討を進めたい。自然公園法の保護の対象は、自然の風景地、風致景観であり、生態系を守ることを通じて景観を守るとの考え方。現行の自然公園法では、採捕規制は国立・国定公園毎に指定されることになっており、海域で保護区を指定する場合に、その場所で特に保護すべきものを抽出することで、漁業との共存を図りたい。公園事業施設の廃屋化への対応は、現在、法律に基づく強制的な命令が出来ないので、これを出来るような制度化を検討しているところ。

委員 きめ細かな海域の保全に関しては、漁業関連の採捕規制等、既存の制度と調整していくことが必要。

委員 資料は全体的に網羅しているが、具体性が欠ける。国立・国定公園の海域を拡大していくのか、その方向性がない。生態系サービスが漁業を含めた地域社会に幅広い受益をもたらすことや、流域全体を視野に入れた保全についても、具体的な対応が書かれていない。新たな生態系管理の枠組み、きめ細かで質の高い管理運営についても、もっと具体的に書いた方がよい。管理体制の充実は重要であるが、国家公務員を増やすことが困難な今の情勢を考えると、質の向上を図る点も重要ではないか。これをもとに予算要求するにしても、具体的に書かないと手がかりにならないのではないか。

委員 海域の保全に関しては、海中から海域に上へと拡大していく話と、保護区を面的に横に拡大していく話の2点を整理して記述するべき。また、面的にどこを増やしていくのか、海域の生物多様性保全と漁業は資源管理の点からは同じ方向を向いていることについても記述するべき。生態系管理の新たな枠組みの中で実施するモニタリングと、国立公園の通常の管理行為の一環として実施するモニタリングとの関係も分かりやすく記述するべき。生態系ネットワークの構築は、上位計画の整理があった上で、国立・国定公園がどのように配置されるべきかとの関係であるから、中長期的課題であり、海域での保護区を増加していくような具体的な話とは異なる。

委員 措置を受けた具体策が気になる。「生態系サービス」や「生態系ネットワーク」については、分かり易いように解説を付けた方がよい。保全のために指定した地域と、そのバッファゾーンの関係も気にしておく必要がある。

委員 新しくできる仕事のイメージがわくような具体的な記述が必要。集団施設地区にある廃屋への環境省の対応を強化して欲しい。以前、漁業、港湾、観光等の関係者が集まって、今後の海の利用は「海業」だとなったので、一度整理しておくと良い。今回をきっかけに、慶良間等、具体的な事例でケーススタディーをしてほしい。

委員 モニタリングに関して、国立・国定公園で何が足りなくて、どのような体制を構築するべきか、分かるように記述して欲しい。

事務局 海域保全については、海中だけでなく海域に拡げていくことが課題。その際に、きめ細かな対象種の指定が漁業等との調整手段になると考える。具体性が欠ける点については、次回に向けてまとめていきたい。現時点で海の保全に関して検討しているのは、海中公園の指定について、海中景観だけでなく、海中を含む海域の風致景観の保護を図るために、指定の対象地域を海中から拡大すること。国立・国定公園で一律に定められている採捕規制の対象種を、必要な場所に必要な種を指定できるものとすること。必要な場所で動力船の規制を可能とすること。生態系管理については、モニタリングを含めた必要な事業等を計画に定めた上で、こうした行為については自然公園法の規制対象とは違う促進する対象に位置付けることを、種の保存法では保護増殖の計画に基づく事業は規制の対象外としている制度も参考にしながら、検討を進めている。公園事業施設のサービス向上については、現在、国有財産管理は、公園管理団体等による管理や、管理における創意工夫が活かしにくい仕組みになっており、こうしたことに対応できる新たな仕組みを検討しているところ。生態系ネットワークの位置付け上位計画との関係も含めて検討したい。指定地域とバッファゾーンの関係については、陸域と海域を一体的に保全することで対応したい。廃屋となった公園事業施設への対応については、法律上の強い権限に基づく命令を措置したいと考えている。さらに、事務局の案として提示しているものは、慶良間をはじめ様々な地域でのケーススタディをもとにしており、引き続き、現場の実務を踏まえた必要な制度を検討していく考え。

委員長 事務局において、本日の各委員からのご意見も踏まえ、パブリックコメントにかける案を作成して次回の小委員会で提示して欲しい。

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