中央環境審議会 自然環境部会 自然公園等小委員会(第34回)議事録

1.開催日時

平成29年8月23日(水)10:00~12:00

2.開催場所

中央合同庁舎5号館(環境省) 22階 第一会議室

3.議題

1.開会

2.議事

(1)富士箱根伊豆国立公園における公園計画の一部変更及び生態系維持回復事業計画の策定について【諮問】

(2)耶馬日田英彦山国定公園における公園計画の一部変更について【諮問】

(3)国立公園事業の決定、廃止及び変更について【諮問】

・阿寒摩周国立公園    ・支笏洞爺国立公園   ・日光国立公園

・富士箱根伊豆国立公園  ・南アルプス国立公園  ・上信越高原国立公園

・瀬戸内海国立公園    ・大山隠岐国立公園   ・霧島錦江湾国立公園

・奄美群島国立公園    ・やんばる国立公園  (計11国立公園、20件)

(4)その他

3.閉会

4.議事録

午前10時00分 開会

○司会(国立公園課課長補佐 杉山):おはようございます。定刻少し前でございますけれども、先生方おそろいということで、審議会を開催させていただきたいと思います。委員の先生方には、本日はお忙しい中、当審議会にご出席をいただきまして、ありがとうございます。

 ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会を開催いたします。

 会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日は、所属の委員、臨時委員18名のうち13名のご出席をいただいておりますので、本委員会は成立いたしております。

 次に、本日お手元にお配りしております資料についてですが、配付資料一覧のとおりとなっております。読み上げてまいりますので、ご確認いただければと思います。

 資料1-1、国立公園及び国定公園の公園計画の変更について(諮問)。資料1-2、箱根地域生態系維持回復事業計画の策定について(諮問)。資料1-3、富士箱根伊豆国立公園(箱根地域)の公園計画の変更案及び箱根地域生態系維持回復事業計画の策定案の概要。資料1-4、生態系維持回復事業の仕組みと策定手順について。資料1-5、富士箱根伊豆国立公園(箱根地域)公園計画の変更(一部変更)及び生態系維持回復事業計画の策定に関する説明資料。参考資料1-5-1、富士箱根伊豆国立公園(箱根地域)の公園計画の変更等に関するパブリックコメントの実施結果について。

 それから、資料2-1でございますけれども、こちらは、資料1-1の最初の諮問文書の再掲となっております。

 資料2-2、耶馬日田英彦山国定公園(福岡県地域)の公園計画の変更案の概要。資料2-3、耶馬日田英彦山国定公園(福岡県地域)の公園計画の変更(一部変更)。それから、参考資料2-3-1、耶馬日田英彦山国定公園の公園計画の変更に関するパブリックコメントの実施結果について。

 次に、資料3-1、国立公園事業の決定、廃止及び変更について(諮問)。それから、その別添3として、国立公園事業の決定書、廃止書及び変更書(案)。資料3-2、国立公園事業の決定・廃止・変更諮問案件一覧。資料3-3国立公園事業の決定・廃止・変更案件に関する説明資料。

 次に、資料4-1、国立公園満喫プロジェクトに関する資料。資料4-2、国立公園のブランド強化に向けた統一マーク等の発表について、です。

 それから、すみません、一つ飛ばしてしまいました。資料2-1、諮問文書の再掲のところに戻っていただきまして、別添2として、耶馬日田英彦山国定公園(福岡県地域)の公園計画変更書(環境省案)が、先生方のお手元に配付されているかと存じます。

 資料については以上でございます。不足、落丁等ございましたら、お申し出いただければと存じますが、いかがでしょうか。

(なし)

○司会(国立公園課 杉山補佐):よろしければ、続きまして、7月14日及び8月1日付けで、自然環境局幹部の異動がございましたので、ご紹介させていただきます。

 まず、大臣官房審議官、米谷でございます。

 次に、総務課長の永島でございます。

 続きまして、国立公園課長の田中でございます。

 以上でございます。

 それでは、自然環境局長の亀澤よりご挨拶申し上げます。

○亀澤自然環境局長:皆さん、おはようございます。本日は大変お忙しい中、この小委員会にご出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、大きく分けて二つのテーマで審議をいただきたいと思っております。一つ目はシカ対策でございます。議事で申しますと、(1)と(2)になりますけれども、富士箱根伊豆国立公園と耶馬日田英彦山国定公園において、いずれもシカによる食害等への対策を講じるために、公園計画に生態系維持回復計画を定めるものでございます。

 二つ目は、国立公園事業の決定、廃止、変更についてであります。ことし3月に新たに指定をいたしました、奄美群島国立公園のほか、満喫プロジェクトに関連する事業など、11の国立公園について、案件を用意しております。

 それから、その他としては、八つの国立公園で先行的に取り組みを進めております満喫プロジェクトの進捗状況ですとか、それに関連して作成をいたしました、国立公園の統一マークなどについてご報告したいと思っております。本日も限られた時間ではございますが、ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○司会(国立公園課課長補佐 杉山):報道関係者の方のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 それでは、これより議事進行につきましては、下村小委員長にお願いいたします。下村小委員長、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長:皆様、おはようございます。あいにく昨日からまた暑くなりまして、特にきょうは35度になるということのようです。暑い中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

 それでは、時間もまた限られていますので、早速議事を進めてまいりたいと思います。

 本日の小委員会は公開で行いますので、報道関係者や一般の方も傍聴しています。会議資料につきましても公開となります。また、会議録は後ほど事務局で作成いたしまして、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することになります。

 なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、小委員長が了承した上で公開することをご了承願います。

 それでは、先ほど亀澤局長より、きょうの議事の概要についてはお話をいただきましたけれども、議事1、2が、生態系維持回復計画に関するものです。

 1は国立公園ですので計画と事業、2の耶馬日田英彦山のほうは国定公園になりますので、事業まではここの範囲ではなくて、計画までというようなことになっております。冒頭で、そのあたりの概要については、事務局よりご説明をいただくことになると思います。

 それから、議事3が、事業の決定、それから、変更、廃止。11公園、20項目ということですので、これも効率よく進めてまいりたいと思います。

 それではまず、順次、議事の1から始めてまいりたいと思いますが、議事の1につきまして、富士箱根伊豆国立公園における公園計画の一部変更及び生体系維持回復事業計画の策定についてということですが、事務局から説明をお願いします。

○事務局(国立公園課計画係長 瀧口):おはようございます。国立公園課計画係の瀧口と申します。今回の審議会の総括をさせていただいております。着座にて説明をさせていただきます。

 まず、議事の1ですけれども、富士箱根伊豆国立公園の公園計画の一部変更と事業計画の策定という件になります。

 資料をおめくりいただきまして、資料1-1になります。こちらは国定公園もあわせて諮問ということにしていますので、富士箱根伊豆国立公園と耶馬日田英彦山国定公園、この二つについて審議を求めるという大臣からの諮問になります。

 もう一枚おめくりいただきまして、資料1-2になります。こちら、富士箱根伊豆国立公園の公園の計画を定めた後に、事業計画というものを定めます。今回、それを議事1の中であわせてご説明をさせていただきますが、こちらは農林水産省と共同の作成になってございますので、両大臣から中環審会長への諮問という形になっております。

 おめくりいただきまして、資料1-3でございます。こちらは富士箱根伊豆国立公園の今回の公園計画の変更案の概要をつけております。これをもって、パブリックコメント等を実施いたしました。

 具体的な説明としましては、私から資料1-4で説明させていただきたいと思います。

 まず、生態系維持回復事業の仕組みと策定の手順、今回、ご審議いただく内容というものが、公園の計画ですとか、事業の計画の中でどのような位置づけになるのかというところを説明させていただきます。

 まず、公園の計画なのですけれども、大きく分けて規制計画と事業計画、この二つに分かれます。

 議事の3であります主な利用計画というものは、事業計画の中でも、こちらの施設計画に位置づけられておりますけれども、今回、議事の1と2で諮問させていただくものは、生態系維持回復計画という、こちらの分類になっております。

 今回、二つの公園で、回復計画という公園計画を定めるもの、富士箱根伊豆については、この事業計画についても、今回、審議案件とさせていただいております。

 下村委員長より冒頭にご説明ありましたとおり、国立公園と国定公園、その計画の決定ですとか、事業の決定の権限が違います。そのところを説明させていただきますけれども、まず上段、こちらが計画の決定、公園の計画、その公園の大もととなる、ビジョンとなる計画です。今回、ここについて、議事1で計画を決定します。同じ説明の中で、計画の決定というものも説明をさせていただきます。

 一方で、国定公園については、公園の計画までは環境大臣が県の申し出により計画をしますけれども、その後の事業計画については、県の中で作成をいただくということになりますので、今回、こちらの耶馬日田英彦山の公園の事業計画については、諮問の対象にはなってございません。

 生態系維持回復事業計画の構成についてですけれども、大きく策定者、今回、農林水産省との共同作成です。事業期間ですとか、目標、区域というものを定めます。

 事業の内容といたしましては、現在の状況の把握、監視ですとか、防除、または維持・改善、また、保護増殖を図ること。普及啓発を図ること。上記1から5までに関する調査ですとか、事業を行うということ。これに基づいて、こういった計画を定めることになっております。

 これまでの策定の状況を取りまとめております。直近ですと、阿寒の国立公園で、シカですとか、外来魚のための生態系維持回復計画というものを作成しております。国定公園については、これまで2カ所で策定をしております。

 続きまして、具体的な諮問案件に移ってまいりますけれども、資料1-5になります。富士箱根伊豆国立公園(箱根地域)の公園計画の変更(一部変更)及び生態系維持回復事業計画の策定について、担当からご説明させていただきます。

○事務局(国立公園課生態系事業係長 松木):生態系事業係長の松木と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは、資料でいいますと、資料1-2の富士箱根伊豆国立公園箱根地域生態系維持回復事業計画(案)の中身について、前のスライドを用いてご説明してまいります。よろしくお願いいたします。

 まず、スライドの写真は今回の計画地内である芦ノ湖と天然記念物の仙石原湿原の写真になっております。

 富士箱根伊豆国立公園の概要ですが、「太平洋の島々から霊峰富士を繋ぐ大火山群、火山地形と文化が創り出す多様な景観」とありますように、本州は、富士山地域、箱根地域、伊豆半島地域、伊豆諸島地域を含む国立公園で、昭和11年に富士箱根国立公園として指定され、その後、伊豆半島、伊豆諸島と編入されました。面積は12万1,695ヘクタールとなっております。

 公園計画については、昭和50年に再検討がなされた後、昭和58年から平成27年3月にかけて、第1次から第5次の点検が行われてきております。

 箱根地域の概要に移ります。箱根地域については、面積が約1万1,000ヘクタールとなっています。この地図の範囲になります。典型的な複式火山でして、各種の火山地形が見られるといった特徴がございます。

 自然の特色なのですけれども、標高800メートル以上では、ブナ等の自然林が広がっておりまして、ハコネコメツツジ、マメザクラ、サンショウバラ等の富士火山帯固有の植物が生育しております。

 そして、この下の右の写真が仙石原湿原です。神奈川県唯一の湿原となっておりまして、希少植物、昆虫の生育・生息地となっております。この写真を見ていただいたらわかりますように、これは山焼きをした後に草を刈った後の写真なのです。このように人の手が入って、維持されている半自然草地になっております。

 今回、公園計画に生態系維持回復計画を追加するポイントはニホンジカによる被害が本格化する前に、予防的な取り組みを実施し、影響を低減し、生態系の維持、回復するということです。

 箱根地域のニホンジカの状況について、ご説明いたします。箱根では、過去の強い捕獲圧によって、100年以上にわたってシカが生息していなかったと考えられていますが、1980年代から目撃が目立つようになりまして、この写真にありますように、平成25年では、仙石原湿原でも活動していることが判明しております。これらの個体のDNA分析を行ったところ、富士山地域、丹沢地域、及び伊豆半島から侵入してきていると推定されております。

 続いて、シカの生息密度です。この図は、2014年に環境省で推定した全国のシカの密度マップです。四角で示した部分が箱根地域です。全体に(密度が低いことを表す)ブルーの色になっていまして、箱根地域の生息密度は、周辺山域に比べて低い状況となっています。

 そして、次の図は、神奈川県の糞塊密度調査による結果です。青色の四角で囲っているのが箱根地域になります。赤色で示されている部分が糞塊の多いところなのですけれども、(箱根地域の)周辺域で多数見られていたのが、徐々に減ってきているという状況なのですが、箱根地域では、逆に増えてきているという状況でございます。

 このようにシカが増加している状況でございますので、今後、箱根地域ではシカによる踏み荒らし、採食圧の高まりですとか、仙石原湿原を初めとした貴重な希少湿原植物の食害、農林業被害などが懸念されるところです。これは湿原ではないのですけれども、ハコネコメツツジへの影響なども懸念されます。

 ほかの国立公園、例えば、釧路湿原国立公園の湿原などを見てみますと、2004年と2010年で、黄色く塗ってあるのがシカ道なのですけれども、シカ道がふえてしまって、踏圧による湿原の裸地化ですとか、植生の変化が生じているところです。

 続きまして、計画の具体的な中身について、ご説明をしてまいります。

 今回の計画は、農林水産省と共同策定することとなっておりまして、事業の期間は、平成29年10月を予定しており、目標が達成されるまでとしています。

 事業の目標ですけれども、平成29年度と比較して、植生劣化が起きない程度にシカの密度を維持し、あるべき生態系を維持し、希少植物の地域絶滅を防止することで生物多様性を保全していくこと、そして、観光業及び農林業への影響を最小限にするということを目指します。

 仙石原湿原におきましては、シカの影響を完全排除するということを事業計画の中に盛り込んでおります。さらに、今後、現状を把握した上で、具体的な数値目標も設定してまいります。事業の区域については、先ほど図でお示ししたとおりです。

 具体の中身について説明いたします。まず、モニタリングですが、今回の計画はシカの対策がメインですけれども、近年、侵入が確認されているオオハンゴンソウですとか、オオブタクサ、オオアワダチソウなどの外来植物などの対策もあわせて行います。

 植生調査等により、外来植物を含め、植生の経年変化を把握し、糞粒調査、自動撮影カメラ、DNA解析、発信機等により、シカの生息数、行動特性等を把握してまいります。そしてモニタリング結果を検証してまいります。(スライドでは)赤字と青字で分けているのですけれども、赤字は既に着手しているもので、青字が今後着手していきたいという内容になります。

 続いてシカの防除については、既に試験柵を設置しております。さらに罠等による捕獲手法の検討を進めてまいりまして、植生防護柵を設置いたします。外来植物については、除去や、種子除去マットの設置を実施していきたいと考えております。最後に、生息生育環境の維持・改善については、これらのモニタリングの結果を踏まえて実施してまいります。

 次のスライドが設置を予定しております植生保護柵の図になります。この仙石原湿原がこのエリア一帯になりますけれども、そこを囲うように設置を予定しております。右の写真はモニタリングカメラの様子です。

 続きまして、普及啓発については、インターネット、パンフレット、広報チラシ、シンポジウムによる地域住民、公園利用者及び観光事業者への普及啓発に努めてまいります。

 そして、評価及び見直しについては、5年をめどに総括的な評価・検証を実施いたします。植生、シカ、観光の専門家で構成する科学委員会を設置した上で、そういったことを実施してまいります。そのほか、関連計画との連携性を図りながら進めてまいります。

 実施体制としましては、協議会を設置して、その中では合意形成をしながら進めてまいります。既に今まで専門家の方に入っていただいて、提言をいただいておりますので、その提言に基づいて実施していくという流れになります。

 箱根地域の生態系維持回復事業計画のご説明については以上となりますが、国立公園におけるシカ対策の数値目標の設定について、最後にご説明いたします。

 平成28年12月26日の第33回の小委員会では、こういったシカ対策を実施するに当たって、達成度を測るための指標、目標達成までの段階をあらかじめ設定し、政策を評価すべきだというご意見を複数の委員の方からいただいております。また、目標について、きちんと設定のあり方を検討すべきとのご指摘をいただいておりました。

 昨年度、シカ対策に係る有識者との意見交換会などを実施しまして、シカの影響を受けやすい国立公園等では、捕獲数だけにとらわれずに、多様性や希少種の保全、生態系サービスの低下防止の観点から目標設定をすることが重要だとのご意見をいただきました。また、そういった中で、段階的な目標を設定して、モニタリングを欠かさずに行うべきとのことでした。具体的な(対策効果の)測定指標についても幾つかご提案をいただきました。

 それを受け、今年度、本省国立公園課において、保全対象に焦点を当てた国立公園との標準的なモニタリング手法を検討してまいりたいと考えております。作業スケジュールなのですけれども、29年度のうちに、下層植生衰退度の広域評価などの手法がありますので、そういったやり方がいろいろな国立公園に適用できるのか試してまいりまして、課題を整理いたします。一方で保全対象だけではなくて、シカの密度についてもきちんと検討していかないといけないということで、シカの密度に関してもどういった手法を用いるかといった検討を進めてまいります。

 平成29年度の検討を踏まえ、シカ対策を(全国の)国立公園でどう進めていくのかというのを決めていき、平成30年度から実際にシカ対策地域において、指標のベースラインを把握するための調査を実施し、具体的な数値目標を設定していきたいと考えております。

 また、一方で守るべきところをきちんと抽出するという作業も進めてまいります。

 説明は以上ですが、本件については、パブリックコメントを実施しておりまして、4月28日から5月29日まで実施しており、特段ご意見はいただいておりません。詳細は資料をご覧ください。

○下村小委員長:どうもありがとうございました。生態系維持回復計画及び事業の位置づけについてと、それから、富士箱根伊豆国立公園における公園計画の変更関連ですね。それから、最後にこれまでいろいろご指摘のあったシカ対策の目標設定ですね。これをどうしていくかということについて、事務局からご説明をいただきました。

 計画変更、それから事業計画書は、別添1-1、別添1-2ですね。これについて、具体的にはご審議をいただくということになります。

 それでは、いつものスタイルに従いまして、まず、委員の先生方から質問をお受けして、まとめて事務局から答えていただくという形にしたいと思います。ご質問、ご意見のある方はまた、名札を立てていただいて、それで順次進めてまいりたいと思います。いかがでしょうか。

 それでは、まず、中村委員、そして、小泉委員からいただきましょうか。

○中村委員:ありがとうございます。このことについて興味があって、前も多分、私が言ったのだと思うのですけれども、ここで出てくる下層植生の衰退度という問題と、シカの密度推定というのは並列して書かれているのですけど、多分指標という議論をしていくと、何らかの形でこの二つの関係性を見ているのかなという感じがしているのです。その辺がちょっと見えなかったので、教えてください。前のスライドでは、捕獲数だけにとらわれず、多様性や希少性の保全、生態系サービスの防止低下の観点からと言いかえてあって、それと今あった次の図がどういう形でつながるのかがちょっとわかりづらいと思います。その辺をもう少し説明していただければと思いました。

○小泉(透)委員:ありがとうございます。計画全体の流れに違和感はありませんけれども、少し考えていただきたいのは、全国的に見ると、超高密度になっているシカに対する対策と、それから、今回、特別にご提案いただきました箱根のように低密度にあって、その低密度を維持するということが主要な目的になっている場合とでは、計画の内容が大きく異なるということにご留意いただきたいと思います。たくさんいるシカを、ひとまずこのぐらいの密度まで抑えましょうというところは、恐らく環境省の中にノウハウがあると思うのですが、全国的に見て、低密度の個体群を低密度のまま維持するにはどうしたらいいかというところは、ほとんど実績がないという状態です。

 特に注意をしていただきたいのは、モニタリングはいいのですが、モニタリングの解像度というところに着目していただきたいと思います。低密度個体群を管理する上では、解像度の高い、細やかなモニタリングが必要だと考えておりますので、その点、ご留意いただきたいと思います。

 以上です。

○江﨑委員:ちょっと視点が違うお話ですみません。7ページに、普及啓発のところとか、その前にも、観光に影響が余りないようにとか、公園利用者及び観光事業者への普及啓発と、そういう理解というものを進めるような類のことを書いていただいているのはすごくいいなと思っているのですけれども、今まで私たち国民が何気なく使っている自然とか、そういうものの背景に、どんな努力があるのかということをしっかり理解していただくという取り組みというのは、すごくこれから大事だと思うのですね。人口が減っているからこそ、意識をたくさん持っていただくというのがすごく重要だと思うので、具体的に何か考えていらっしゃるのかどうかというところが少し聞きたいなということと。

 えてして、こういうのはそもそも興味のある人にしかなかなか普及ができないということがあるので、富士箱根という地域柄もあって、やはりいろいろな方がいらっしゃると思うので、少しでも今まで興味を持っていない方とか、そういうことに意識が少ない方にも、少しでも、実は環境省とか、地元の人たちがここまで、今の景観を守るために努力しているのだということが価値として伝わるような取り組みをしていただけたらなと思いました。

○大黒委員:3ページなのですけれども、箱根の個体群が、富士山、丹沢及び伊豆半島地域由来であるということですけれども、外から入ってきて増えてきているということだと思うのですけれども、この取組で、箱根地域の外、事業計画区域外との取組の連携についてお伺いしたいということと。

 それから、メインではないと思うのですけれども、外来植物に関して、現在、どの程度侵入、拡大が広がっているのかという現状について、何か情報があれば教えていただきたいと思います。

○敷田委員:1点質問させていただきます。先ほども発言があった普及啓発事業なのですが、毎回この計画のときにはメニューに入ってきていると思いますが、普及啓発の内容が、一般的には、こちらから関係者に出す、一方通行のメニューが並んでいるだけです。むしろ、例えば、観光が関連するようなケースでは、関係者がどのようにかかわっているかという聴取のほうが必要なデータになるように思います。自然環境の場合は、判断に必要なデータをたくさんとるのですが、社会的な面では、発信する一方ということでは非常にバランスが悪いと考えております。そこら辺を一度ご検討をいただけないかということです。

 例えば、前々回でしたか、阿寒のオンネトーの場合は、展示施設に関わっているNPOの人とかと関係を持って、いろいろな対策をするというご説明もあったと思います。あわせて、この点をご回答お願いします。

 以上です。

○辻本委員:先ほどもお話が出ましたけれども、高密度と低密度をどういうふうに管理するのかという話、それからもう一つは、DNA分析でどこどこ由来というものが見えてきたときに、その地域、その地域で活動を制御するということ以上に、どの地域からどの地域へ、どういうふうに移動しているのか、移動経路を押さえるということが非常に重要かと思うのですけれども、その辺について少し検討とか、それに根差した対策みたいなものをどう考えられているのか、お聞かせ願えられたらと思います。

○宮本委員:外来植物に関してお伺いしたいと思います。資料1-5の6ページに、外来植物についての除去、あるいは種子除去マットの設置と書かれているのですけれども、これについては箱根地域全体を対象としているのか。それとも、シカ対策と同様に、仙石原湿原を特に優先的に行うのかという点について教えていただきたいと思います。

 植物につきましては、例えば、柵で防除するということはできないわけで、周辺地域での密度の低減というのが非常に重要だということを聞いたことがございますが、仙石原湿原を特にやるということでしたら、その周辺についても何らかの措置をとるということが計画されているのかどうかということについても、あわせてお伺いしたいと思います。

○下村小委員長:関連する質問、ご意見もありましたけれども、順次、事務局からお答えてください。

○事務局(国立公園課生態系事業係長 松木):では、順番に中村委員のご質問から回答していきたいと思います。

 まず、このスライド(資料1-5の15枚目)ですけれども、ここで保全対象に焦点を当てた標準的なモニタリングと言っている一方で、こちら(資料1-5の最終16枚目)では密度の話も出てきて、それらのリンクがどうなるのかといったことかと思います。

 まず、昨年の有識者との意見交換会のときに言われたことは、国立公園として何を守るべきなのかというのをきちんと明確にしなさいということでした。そのあたり(の目標設定の考え方が)ちょっと薄いのではないかというご指摘でございました。農地などでしたら、農林産物を保護して、被害が出ないようにとういう目標があり、例えば、被害額という指標があるわけなのですけれども、それを国立公園で(どういう目標を設定し、)どうやって測っていくかといったときに、やはり国立公園であれば、生物多様性といったことをきちんと見ていかないといけないというご指摘でありました。今までそのあたりの視点が薄かった面がございますので、下層植生の衰退度評価ですとか、そういったわかりやすい手法を検討してまいりたいと考えております。

 一方で、保全対象を守るためには、それと同時並行で、シカについてもその数を調べていかないと、どれだけシカを減らさなければいけないのかといったことがわからないので、2段構えにしております。ただ、それをどのようにリンクさせていくかというのは、かなり難しい問題ですので、その検討を、この3段目の国立公園におけるシカ対策の方針検討ということで、「こういうデータを使って、こういうふうにシカの密度を下げていきましょう。達成するためには、こういった取り組みが必要ですね。」というのをきちんと整理をしていきたいと考えているところです。

 続けて回答いたします。小泉先生からは、超高密度と低密度で、計画の内容が全然違うのだから、その点注意するということと、モニタリングの解像度について、細やかにやっていくべきだと。

 先ほど申し上げた、下層植生の衰退度評価を実際に行っているのは兵庫県なのですが、このようにかなり広範囲で実施しており、解像度としては多分荒い方になるのかなと思っております。しかし、そこは費用対効果といいますか、どれだけのコストをかけて何を見たいのかというのをきちっと整理をした上で、こういった手法が適用できるようであれば、こういった手法を適用したいと考えております。

 ただ、一方で、これまでの対策の中でも、実際、現地にコドラートを設置して、植生の調査をしたりといったかなり細かいモニタリングなどはずっとやってきておりますので、そういったものについては、別にすべて下層植生の衰退度モニタリングに変えると言っているわけではなくて、それ(既存の詳細なモニタリング)も継続しながら、必要に応じて強化したり、こちら(下層植生の衰退度)に移行したりとか、そういったことをきちんと先ほどの国立公園におけるシカ対策の方針検討の中で進めてまいりたいと考えております。

 続いて、江﨑先生と敷田先生から普及啓発のことについてご質問がありました。実際、現場でどういったことが行われているのかというのがあると思うのですけれども、これまでも観光事業者も交えたシンポジウムを実施したり、そういった取り組みをしてきているところです。シカ対策、生き物の専門の方ばかりではなくて、民間の方が入って(そういったシンポジウムが開催されている)というのはなかなか珍しい事例ではないかと思っております。そういったことは、今後も引き続き続けていきたいと考えているところですが、現場から補足等があればお願いします。

○事務局(箱根自然環境事務所長 澤):今のシンポジウムの件です。シンポジウムをやっているのは去年度なのですけれども、そこに来ていただいている方々は、生き物系の方ばかりではなくて、観光事業者さんなども来ていたと聞いています。僕の前任がやったことなので、僕は直接見ていませんが。

 その後、仙谷原の観光協会さんなども非常に関心を示されていて、シカ対策、どうにか一緒にやっていこうよということを言っていただいています。

 仙石原は、観光客にも使ってもらえる、町の湿生花園という植物園が一緒に併設されていまして、そういう意味からも、地域の関心が非常に高いところになります。ですので、地域連携という意味で、生き物をやっている方ばかりではなくて、観光業者との連携というのは、これからますます大事なので、シンポジウムだけではなくて、湿生花園の場所を借りた広報の仕方とか、そういうのを一緒に地元と考えようと思っています。

○事務局(国立公園課生態系事業係長 松木):すみません。ご紹介が遅れましたが、箱根自然環境事務所の所長の澤からご説明申し上げました。

 続きまして、大黒先生からDNAの結果から(対策地域の)外との連携について、どうなっているのだということでしたけれども、今回の対象地域である箱根地域の北部にあたる富士山、丹沢地域や、南部にあたる伊豆半島地域で(シカが)多いということがわかっております。そこでは、既に神奈川県ですとか、静岡県が特定計画を定めて、対策を実施しているところですので、それらの計画との連携を図りながらやっていきたいと考えております。

 いろいろな計画があって、そことの連携が必ずしも十分ではなかったというところがありますので、今のご指摘も踏まえて、きちっと整合をとっていきたいと考えております。

 外来植物の現状について現場からお願いします。

○事務局(箱根自然環境事務所長 澤):箱根の外来植物で、特に注目されているのは、オオハンゴンソウかなと思います。湿生植物群落に入り込んでいるものです。それについては、地元の方と連携をして、あとは環境省のアクティブレンジャーなども体を出して、現場で引き抜きの作業とかを進めています。

 質問にあったマットの話なのですけれども、基本的に守りたい場所を湿生植物群落だとすると、湿原に一般の方が入れなくて、先ほど言った湿生花園という町の施設からしか入れないのですね。なのでマットを置くとしたら、そういう限られている入り口の特定ができますので、そういうところに入れていくのかなと思っています。

 箱根全体での外来植物は、ほかに入り込んでいるかというと、そんな大きなダメージは今のところ見られないかなと思いますので、基本的には仙石原を考えておけばいいかなとは現場では考えています。

○事務局(国立公園課生態系事業係長 松木):宮本委員のご質問についても大体ご説明できたかと思います。

 最後に、辻本委員からご質問があった移動経路の件です。これについて、どう対策をしていくかということなのですけれども、まず移動経路を把握するためのGPS首輪を装着した移動経路の把握調査ですとか、そういったことを箱根地域においても実施していく予定としております。

 ほかの国立公園ですけれども、例えば、日光ですとか、そういったところでは、移動の遮断柵を使った対策、移動を遮断して追い込んで捕獲すると、そういったことも行われておりますので、そういった知見も共有しながら進めていきたいと考えております。

 以上です。

○下村小委員長:かなり丁寧に答えていただきましたけれども、よろしゅうございますか。

○中村委員:ありがとうございました。お願いというか、先ほどの最後と、その前のスライドのつながりから考えると、最後が下層植生という形で完全に決められてしまっているのですけれども、あるときには樹木種の問題だって当然あるでしょうし、そういう意味では、生態系サービスというならば、水土保全の問題が丹沢などでも起こっていると思います。そういう意味では、下層植生指標が全国のプロトコルみたいな形に見えてしまうので、そうではなくて、上図との結びつき、さまざまな多様性の保全とか、生態系サービスの低下の観点というのはごもっともだと思いますので、それとうまくつながった形での目標設定が各国立公園において、それぞれあるべきなのかなと思いました。

 それから、植生との関連性の部分なのですけれども、シカ密度と植生の部分で、これは例えば、小泉さんの森林総研であったり、北海道であれば道総研であったり、既に何もない状態ではないと思うのです。さまざまな知見はある程度積み上がっているので、順応的管理という形で考えていくならば、やはり仮説的なものをきちんと立てて、その中で密度を落として、本当にそうなるかといった考え方が必要です。ゼロからの出発ではなくて、今までの知見を生かした形でやっていただけるのがいいのかなと思いました。コメントです。

○下村小委員長:ありがとうございました。よろしゅうございますか。

○敷田委員:普及啓発について、説明ありがとうございました。シンポジウム等、工夫されているということですが、普及啓発という言葉からくるイメージは、どなたが聞いても一方通行なので、できる機会に連携参加というふうに、双方向であるという事業に誘導していただければと思いますし、最終的にはステークホルダーマネジメントを進めていただくことをコメントとして出させていただきます。

 以上です。

○下村小委員長:ありがとうございます。事務局、また、いろいろご意見を受けとめていただきたいと思います。

 それでは、お諮りするのは、富士箱根伊豆国立公園における公園計画の一部変更及び生態系維持回復事業計画の策定についてということで、諮問に添付されました先ほどの変更書、計画書のとおりということでよろしゅうございますか。

(異議なし)

○下村小委員長:それでは、本件については適当と認めたいと思います。

 続きまして、議題2ですね。諮問の耶馬日田英彦山国定公園における公園計画の一部変更についてということで、事務局よりご説明をお願いいたします。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 秋山):おはようございます。国立公園課の計画係におります、秋山と申します。本日は耶馬日田英彦山国定公園、同じく生態系維持回復事業計画のご説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。着座して失礼いたします。

 耶馬日田英彦山国定公園の概要からご説明させていただきます。

 指定は、昭和25年7月29日で、我が国初めての国定公園として指定された一つの国定公園です。昭和45年7月に公園計画の変更ということで、特別地域の指定を行い、平成14年10月に再検討をしております。総面積は約8万5,000ヘクタールで、福岡県、あと熊本県、大分県、3県にまたがる国定公園となっております。うち福岡県地域は、その1割ほどの面積になりまして、8,269ヘクタールという形になっております。

 ここの景観の特徴としましては、火山活動、河川浸食からなる山岳景観ということで、信仰の山として有名な英彦山・犬ヶ岳地域という場所があります。そこは溶岩台地とか、溶岩浸食で有名な鷹ノ巣山なども含んでおりまして、この3山地は、数百万年前の火山活動でできた、かなり古い時代の火山帯になっております。ここのエリアは、冬の季節風の影響をすごく受けやすくて、雪がかなり積雪するものですから湿潤であって、コケ類も多く、浸食による複雑な地形のため、英彦山の特徴であるブナ、シオジ林とかも見られまして、豊富な植生が見られるエリアになります。

 今回変更のポイントとしましては、生態系維持回復計画の追加ということで、近年、公園内において自然災害や、シカの食害に起因する絶滅危惧植物の個体数の減少というのが生じておりまして、それに伴って、森林の疎林化、草原化、あと林床植生の貧弱化等の被害が生じていることから、これらの対策として、まず、公園計画に生態系維持回復計画を追加しようというものです。

 この写真は、そこの現地の様子です。林床植生を採食するシカが見られたり、あとは、リョウブはシカに樹皮をはがされている等、被害が多く見られます。

 今、福岡県内のシカの生息区域の拡大と個体数の増加ということが言われておりまして、県内において、5キロ四方のメッシュで、シカの生息状況として糞粒調査を実施しております。昭和53年度に県内に13%ほどに広がっていた個体の分布域が、今は平成23年度時点ですけれども、約3倍に増加して、36%ほどにふえてきております。

 県内の生息数なのですけれども、平成26年度末で2万5,300頭と推定されておりまして、この右の図を見ていただきますと、今回、英彦山・犬ヶ岳、ここら辺が国定公園のエリアになるのですけれども、そこの生息数がかなり多くなっているということがわかります。生息密度は平均約20頭という形で、1キロ平方メートル当たり適正が5頭と言われているので、農林業の被害と林床植生の劣化というのが危惧されているところです。

 現在のシカ対策の状況なのですけれども、平成25年度以降に管理捕獲支援の強化から捕獲数は年々増加しています。平成27年は9,600頭が捕獲されています。推定個体数の約4割ほどです。近年、英彦山・犬ヶ岳でも、今までは捕獲を進めていなかったのですが、植生影響が確認されていることを受けて、平成28年度より福岡県で捕獲を進めているところです。捕獲の個体数の推移としては全体で増加しているところです。

 現状の英彦山・犬ヶ岳地域の植生影響なのですけれども、今までの衰退の経緯としてご説明させていただきますと、1960年代初めは、シカは犬ヶ岳で見られる程度で少数であり、そこから平成3年、ここの地域は台風の影響を受けまして、英彦山山地において自然災害が発生しました。それにおいて、千本杉というスギが壊滅的な影響を受けて、あとは山頂部のブナ林の倒木、立ち枯れ被害というのが生じました。ここが被害を受けたときの状況の写真になります。

 そこから森林の自然再生を開始して、英彦山の山頂部でブナ林の植栽などをしているのですけれども、平成18年から、シカの食害がよく見られるようになりまして、平成19年には、食い荒らしが顕著になって、平成26年には、山頂部のササ植生の衰退、草原化が顕著になり、景観の変化までもが生じており、シカによる植生の影響が顕著になっているというところです。

 これが、ブナ群落が消失しかけている英彦山の北岳の鞍部の様子なのですけれども、ブナの高木はまず枯死、疎林化していたり、中には草原化しているエリアも見られるようになって、かなり被害が大きくなっているというところです。

 あと希少性の高い植物への影響も見られておりまして、福岡県のRDBの危機の要因がシカ食害とされております。代表的なものを三つだけ掲載していますが、これ以外にも約60種程度、福岡県で調査のうえ、影響があるといった報告がされているものです。

 こういった上記の種を含めて、食害だけではなくて、ブラウジングライン、ディアラインと呼ばれるところの林床の風通しがよくなって、ここの地域は、一番初めに特性として湿潤の環境があって、そういった湿潤な環境から見られる植物も多いですけれども、そういったところへの影響、湿生植物の減少というのが懸念されているところです。

 それを受けて、生態系維持回復計画を追加したいということを今回、審議させていただきたいと思います。

 今回、国定公園になりますので、審議事項としては計画の追加という形になるのですけれども、本計画を追加の上、福岡県にて下記の事業計画を策定する予定であり、今はまだ案の状態ですけれども、今回計画を追加した後に、福岡県で事業計画を策定する内容を簡単にご説明させていただきます。

 まずは現状の調査といたしましては、小規模の防護ネットを、既存で設置してある箇所が何カ所かあるのですけれども、そのネット内の絶滅危惧植物の分布や、食害状況調査というのを継続して実施していくという予定になっております。

 あとは、ニホンジカの防除。福岡県では指定管理鳥獣捕獲事業を実施しており、積極的な捕獲事業を行い、英彦山・犬ヶ岳地区でも平成28年度から始めているということで、今後も継続して、それも進めていくということです。

 あとは植生の保護のための防鹿柵の設置というのを検討しておりまして、国有林野が周辺区にあるのですけれども、そこは森林管理署と連携して、保護対策を実施と。それ以外の地域については、本計画に基づいて、防鹿柵の設置を予定しています。

 最後に事業効果検証のためのモニタリングも同時にやっていくということで考えておりまして、全県的なシカの生息密度調査に加えて、ライトセンサスとか、カメラトラップ調査も実施した上で、今回、計画の追加で事業をやっていく上で、どういった効果があらわれているかというところも情報を収集し、分析を行うという予定になっております。

 以上で説明を終わらせていただきます。

○下村小委員長:どうもありがとうございました。本小委員会に諮問されているのは、別添2-1にあります公園計画の変更書ということですので、2ページ、3ページにありますように、文書を加えるだけですけれども、小泉委員ご指摘のように、かなり高密なエリアだということで、県が立案する事業計画についても、踏み込んでご説明いただきました。

 何かご質問、ご意見ございますか。

 では、小泉委員、それから、広田委員という順番でまいりたいと思います。

○小泉(透)委員:先ほどの箱根とやや対照的に、実は森林総研九州支所が、県の協力をいただいて九州全域の密度調査の結果を取りまとめ、九州全体のシカの密度分布を定期的に作成しております。それを見ますと、今回、ご説明いただいたところというのは、九州の中でも、相当に密度の高いところ。そこで対策を講じていくという認識を環境省さんと県で共有される必要があると思います。特に県境にありますので、大分県側も含めて、非常に高密度なエリアができておりますので、そういうところで管理を始めるのだということを全体で理解を共有していただきたいと思います。

 それから、先ほどの箱根の説明の中で、これからの効果として、捕獲数だけではないのだというご説明がありました。大変大事な視点だと思います。したがって、ここにおいても、何頭とったかという実績ではなくて、最後にご説明のありましたモニタリング、どのくらい減ったのかということが事業の達成度の指標になるということで、県と、これも理解を共有していただきながら進めていただきたいと思います。何頭とったという時代では、もうなくなってしまったということをご認識いただきたいと思います。

○広田委員:今のご質問にもあったのですけれども、大分県側の現状、課題。それから、福岡県と大分県が連携、共同してやるべきことがあるような気がするのですが、そこら辺の現状をわかれば教えていただきたい。

○中村委員:小泉委員の議論と関連するのですけれども、5ページにあるニホンジカの防除と、事業効果検証のためのモニタリングというのが、もう少し、例えば、どのくらいとるのかということも含めた、いわゆる密度ですよね。それが目標値として何も示されていないというのが聞く側としては不安で、それによって効果というのは、何の効果を見るのかなと。今の話で個体数が減るということを効果として見るのか。いやそうではなくて希少な植物がある程度の残されている密度になっているという状態を目標値として定めているのか。その辺が見えなかったと思います。もし答えていただけるなら、お願いします。

○下村小委員長:まだ、今後のこともあるだろうと思います。質問とご意見もあったと思いますが。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 秋山):ありがとうございました。まず、小泉委員から、九州全体の密度分布で、かなりここは高密度なエリアで、捕獲数だけでなく、きちんとモニタリングをして検討していくことは大事ということでご意見をいただきまして、そのように、国としてもここの国定公園域の生態系については、そういった理解で進めさせていただきたいと思っております。

 次に、広田委員からの大分県側からの現状と課題ということなのですけれども、今回、福岡県側で生態系計画の追加ということですけれども、大分県とも調整を行っておりまして、これは公園計画図なのですけれども、ちょうど英彦山のエリアが特別保護地区というエリアになっておりまして、ここの稜線をまたいで、こちら側が大分県のエリアになります。こちら側は第3種特別地域になっておりまして、こちらとは植生が異なっているという状況です。

 特に福岡県側に自然林の分布が高いエリアがありまして、そこに、先ほど申し上げた希少な植生がかなり残っているということで、大分県でも調査は行ってはいるものですが、今、目に見えてシカによる食害の影響を受けているような結果はなく、今後、大分県とも捕獲等はもちろん連携して行っていくのですけれど、今の時点で、シカによる食害の影響があり、重要性の高い福岡県地域から計画を策定させていただきたいと考えているところです。

 今後も大分県と調整を行いながら、必要性があるということであれば、大分県側でも計画を追加して、連携して事業を行っていければと思い、調整させていただいているところです。

 最後に、中村委員からご指摘のあった防除とモニタリングというところ、適正密度ということですけれども、本日、福岡県からご担当者の方が来ていらっしゃっていますので、お願いします。

○事務局(福岡県自然環境課 山口):福岡県の自然環境課の山口です。よろしくお願いします。

 捕獲の目標の話なのですけれども、今、英彦山の地域には2,000頭前後シカがいると考えていまして、メッシュでいいますと、一番多いところで50頭以上のメッシュになっているところもあります。適正密度は5頭とされていますので、それを考えますと、将来的には300頭程度まで減らすことが必要と考えておりまして、10年程度、指定管理鳥獣捕獲等事業の計画を立てておりますので、最初は500頭程度の捕獲を進めていきまして、一定数が減ったところで頭打ちになりますので、捕獲頭数は減っていきますけれども、大体10年後に300頭前後を目指すという計画で捕獲の目標、計画を立てるところでございます。

 以上でございます。

○下村小委員長:ありがとうございました。

○辻本委員:私も、先ほど移動の話をしたのだけれども、メッシュでも、福岡県側はきっちり書いてあるのだけれども、大分県側は全然メッシュのデータもないですね。多分移動という形で、そのエリアだけでプラスマイナスだけではなくて、周辺からの移入というのが非常に大きな課題かなと思いますので、こういうときに、大分県側のデータも出すような形で見たほうがいいし、そのときに大分県との連携も必要だねという話が出てくる。すなわち今のお答えも、メッシュ300頭だから幾らに減らすと言っているけれども、そのメッシュはメッシュの中で収支がとれているのではなくて、実は周辺のメッシュとの移動というブラックスがどれだけあるのか。その辺の把握が必要かなと思いました。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 秋山):ありがとうございます。今後、そういったところは課題として、きちんと今のご意見を踏まえさせていただき、今後、県で事業計画を立てられると思うのですけれども、両県調整しながら、全体での移動経路とかの把握をしながら、どこの捕獲をまず進めたほうがいいのかとか、そういった戦略的な対策を練っていければと考えておりますので、貴重なご意見、ありがとうございました。

○下村小委員長:それでは、ご説明がありました耶馬日田英彦山国定公園における公園計画の一部変更ですね。よろしゅうございますか。

(なし)

○下村小委員長:それでは、これをお認めいただいたものといたします。

 また、だんだん押してまいりましたけれども、議題3の事業計画の決定・廃止及び変更についてということでまいりたいと思います。国立公園の中で使っております事業計画が、いわゆる整備を伴うものだけではなくて、施設の規模ですとか、位置の決定の変更といったことも含んでおりますので、そのあたりの全体も含めて、事務局から今、説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局(国立公園課事業係長 藤井):国立公園課事業係の藤井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座って失礼いたします。

 今回、事業決定の案件は20件になっているのですけれども、個別の審議に入る前に、今回、どの部分を委員の皆様に審議していただきたいのかが伝わるように、先に公園事業の制度について、簡単ですが、ご説明させていただきます。

 国立公園の公園事業というのが執行に至るまでに幾つかステップがありまして、まずは公園計画というものを定めます。公園計画、事業決定、事業執行の三つのプロセスを踏むことになっております。

 公園計画の指定、事業決定、事業執行、それぞれ公園法の法律に定められたプロセスとなっているのですけれども、公園計画と事業決定、1番目と2番目については、審議会に諮ることと定められておりまして、今回については2番目の事業決定になっております。

 事業決定に関しましては何を定めるのかといいますと、公園計画で大まかな位置や整備方針について定めているところ、公園事業の決定で、より具体的な位置ですとか、路線距離、区域面積、収容人数などの規模を決定していくとなっております。

 その事業決定を行う際に規模を決めるときには、国立公園の利用動向ですとか、利用上の必要性、風致景観上の支障の程度などを考慮して適正なものとすることと要領には書かれておりまして、そういった観点から、今回、事業決定の案件をご審議いただければと思っております。

 次に、具体の20件に移っていきたいのですけれども、画面がまだ出てきていないのですが、先に資料3-2をごらんいただければと思います。今回、20件でして、いつもは公園で北から順に説明をさせていただいているのですが、よりご審議していただきやすいようにと思いまして、今回は事業決定、変更、廃止とカテゴリー分けをさせていただいて、その順にご説明をしていきたいと考えております。

 今回、先生方に審議いただくのが諮問書の内容になってくるのですけれども、諮問書には、種類ですとか、位置、規模といったものしか書かれておりませんので、そちらを説明する資料として、今回、パワーポイントの資料3というのを用意させていただいております。

 それでは、説明に移ります。

 まず、最初の4件ですが、こちらは事業決定のうち、新規公園の案件となっております。

 1件目が、今年の3月に国立公園に指定されました、奄美群島国立公園の大棚湯湾線道路(車道)となっております。路線の距離につきましては、18.1キロ、有効幅員が4~9メートルとなっています。

 こちらの位置なのですけれども、奄美大島の中部に位置しておりまして、大和村から宇検村にまたがって、標高200から600メートルにかけての起伏に富んだ山岳地を通る路線となっております。

 マテリアの滝や奄美フォレストポリスといった、野営・休憩の拠点となる施設、また、湯湾岳の登山口といった、利用拠点を結びながら、公園の境界から境界まで繋がっている路線となっております。こちらについては、近年、利用者が増えており、観光バスやレンタカーなどの交通量が増加傾向にあります。道路が一部狭い場所がございますので、ここに限って、今回、再整備を行う予定がございます。

 整備の箇所としましては、こちらのとおり、工事場所については、全長18.1キロのうち4キロ、こちらの1.5キロ、1キロ、1.5キロに関して再整備を行う予定となっております。

 ここの道路については、奄美の中でも希少な動植物が見られている場所ということで、再整備に当たりましては希少種、固有種が生息・生育している可能性が高いため、環境影響調査の実施ですとか、専門家へ助言を求めることとしておりまして、整備による影響を最小限に抑えるための対策を講じることとしております。

 続きまして、2件目に移ります。同じく奄美群島国立公園の長雲峠園地です。奄美大島の北部に位置しております。龍郷半島の尾根部に位置しておりまして、250から300メートルの緩い傾斜地にあるような場所となっております。周囲には、こういった亜熱帯照葉樹林が広がっております。

 こちらの区域の決定規模は、10.4ヘクタールになっています。もともと園地として既存施設があるところで、龍郷町が昭和58年に整備をした奄美自然観察の森という施設が存在しております。この施設に関する10.4ヘクタールの規模を決定するものです。

 現状、こういった遊歩道ですとか、展望台、駐車場などが既に整備をされております。こちらの施設は、森林を気軽に探勝できる施設として広く利用されておりまして、28年に関しては9万6,000人が利用しているということです。また、近隣に他の利用拠点もありませんので、こちらを園地として決定することで、奄美の森林の魅力を伝えることができる施設として、公園の利用にも資すると考えております。

 こちらに関しては58年に整備をしたということで、一部施設で老朽化が見られておりまして、安全性確保ができないといったところもあるということですので、再整備を行うとともに、野鳥観察施設などを新しく整備しまして、自然観察、解説機能などの充実を図っていきたいと考えております。

 執行者はそのまま龍郷町が執行する予定です。再整備に当たって、自然環境への影響なのですけれども、整備に当たっては、地形の改変を伴わないこととしております。また、今のところ、希少な植物の生息地などは確認されてはいないのですけれども、そういったところも考慮しながら、整備を進めていくこととしております。

 3件目は、やんばる国立公園に移ります。4件目の事業と関連する事業になってくるのですけれども、やんばる国立公園の辺戸岳線道路(車道)です。路線距離は1.4キロ、ここの赤い線になります。辺戸岳に麓から山頂につながるような形で1.4キロ、有効幅員が6メートルとなっております。現在のところ、国頭村が執行する予定となっております。この道路というのが、こちらに幹線道路が通っておりまして、この幹線道路から分岐をして、ここに園地があるのですけれども、この園地に至るために用いる道路となっております。周辺の自然環境なのですけれども、カルスト地形となっておりまして、こういった植生が見られる場所となっております。

 こちらの道路につきましては、既に整備をされているものを今回事業として把握するものとなっておりまして、車道の終点に駐車場が整備をされていないので、ここの園地を利用する利用者は麓の駐車場にマイカーをとめて、ここから園地に至るには、園地を経営している民間の会社が運営するマイクロバスに乗車をして、園地へアクセスするような形となっております。

 自然環境への影響といたしましては、既に整備をされている道路を把握するものですので、新たな工事は行わないこととしていまして、周辺の環境に与える影響は少ないと考えております。

 4件目に移ります。こちらも同じくやんばる国立公園の宜名真園地でして、先ほどの車道の終点に位置した園地となっております。こちらにつきましても既存の施設でして、この施設の範囲として、19.1ヘクタールを今回決定いたします。

 決定の区域図としましては、こちらの赤い線で囲まれた範囲となっております。先ほどの車道に沿うような形で園地の歩道が通っておりますので、こういった形になっております。

 民間が既に経営をしている園地でして、利用者数は年間7万人です。園地の利用としましては、こうしたカルスト地形が見られますので、石灰岩特有地の植物の観察を目的として供する施設となっております。

 こちらも既にこういった駐車場ですとか、トイレや休憩所、展望施設などが整備をされていますので、現状、新たな整備は考えておりません。したがって、今回の決定に関しては、自然環境へ与える影響は少ないものと考えております。

 5件目に移ります。ここからの案件に関しましては、既存公園の案件でして、計画自体は既に落ちていたのですけれども、その計画が落ちてから事業決定されるまでに期間があいた案件となっております。

 5件目が、支笏洞爺国立公園の壮瞥温泉舟遊場になっております。こちらの区域面積は、今回1ヘクタールで決定することとしております。こちらが洞爺湖のある場所でして、洞爺湖と有珠山の間にあるような湖岸沿いに位置しております。壮瞥温泉周辺の利用形態としては、有珠山の登山ですとか、洞爺湖でのモーターボート、カヌー、また温泉の湯治や観光といった利用をされております。近年、外国人の旅行者が増加しているということで、利用者が急激に伸びてきているということです。

 こちらの区域なのですけれども、ここに既に船着き場が営業をされておりまして、船着き場に関しては、昭和46年からボートの貸し事業を行っています。洞爺湖周辺では水上レジャーを楽しむ来訪者も多いので、ここを事業として決定することによって、公園としての利用の推進が図られることと思っております。

 既存の施設に関しては、0.1ヘクタールの施設規模となっているのですけれども、今後、駐車場ですとか、新規事業者の執行区域を確保するために、今回、1ヘクタールでの事業決定となっております。

 既存施設があるものですので、今後、増強などは検討しているのですけれども、大きな改変をする見込みはないと聞いております。

 続きまして、6件目に移ります。瀬戸内海国立公園の六甲山頂園地です。区域面積は5ヘクタールで、執行予定者は神戸市です。六甲の山頂の最高峰付近に位置しておりまして、登山道ですとか、ドライブを楽しむ利用者が利用している園地となっております。

 こちらに関しても、既に市で簡易なトイレを整備しているのですけれども、今回、市でトイレの改修を予定しておりまして、この5ヘクタールについてはもともと民間の所有者がいらっしゃったのですが、公園区域で公園のために使うのであればということで、今回、土地の売却に至ったということで、市が所有している土地となっております。今回、市の土地所有となりましたので、もともとのトイレのあった区間だけではなくて、園路なども今後整備を予定しているということです。そういったところについて、5ヘクタール、この赤い区域になりますが、事業決定を行うものです。現状、こういった園地ですとか、園路、公衆トイレというものが整備をされているのですけれども、こちらを把握するものとなっております。

 今回、トイレの再整備が予定されているのですが、再整備に当たりましては、こういった写真の場所を予定しておりまして、今回、地種区分が高い地域にはなっているのですけれども、もともと裸地の部分を利用するということで、新たな改変は伴わない予定となっております。

 排水に関しましては、今後、必要な規模ですとか、浄化処理方法の調査検討を行いまして、汚水を流す際には、問題ない適切な形で放流するように考えております。

 7件目に移ります。7件目が、大山隠岐国立公園の駒鳥避難小屋です。大山山系の東南側、川が流れているのですけれども、その上流に位置しております。こういった駒鳥避難小屋という小屋が既に建っておりまして、鳥取県が整備をしたものなのですけれども、今回、事業決定をした後も、引き続き県が管理をしていく予定となっております。この既存の小屋に関しては、昭和28年に建築をしておりまして、昭和50年に公園計画に位置づけられたのですけれども、そのまま事業決定をされずにここまで来ていたものを、今回、事業決定を行うこととなっております。

 位置としましては、上級者向けの登山道の中継地点にありまして、利用者は年間500人ほどと聞いております。年間の利用者数は決して多くはないのですけれども、荒天時の避難施設として重要な位置に存在しています。

 設置から68年が経過しているということで、屋根ですとか外壁について、施設の老朽化が著しいので、今回、県が再整備を行うこととしております。

 自然環境への影響といたしましては、今回、再整備をするに当たって、施設に接地している樹木を数本伐採することを予定はしているのですけれども、最小限とするようにいたします。施設の資材の搬入に関して、ヘリコプターを予定しているのですけれども、希少な鳥類の目撃情報などもありますので、野鳥の保護団体ですとか、そういった関係者の方と綿密に協議を行った上で、飛行ルートなどは選定することとしております。

 ヘリポートの設置については、近くに広い川がありますので、そこを利用しまして仮設ヘリポートをつくりまして、工事完了後は撤去する予定としております。施工機械につきましては、極力音の小さいものを使用するようにして、周辺の騒音漏れを最小限に抑える対策を検討しております。

 8件目になります。霧島錦江湾国立公園の栗野岳温泉園地の事業決定となります。区域面積は3ヘクタールで、執行予定者は湧水町を予定しております。こちらの位置は、霧島連山があるのですけれども、霧島連山の栗野岳の西側に位置しておりまして、こういった活発な地獄現象が観察できる貴重な場所となっております。また、周辺にレクリエーション村ですとか、そういった利用施設がありますので、周遊的な利用も想定される場所となっております。ここに関して計画は落ちていたのですけれども、これまで民間の土地所有者の方による簡易な整備で供用されていたのですが、こちらの公園が満喫プロジェクトに選定されまして、町でもここをどういったように活用していくのかといった議論が進んでいく中で、今回、再整備の計画が立ちまして、事業決定に至ったものとなっております。

 こちらにつきましては園地を整備することになっておりまして、現状、トイレですとか、案内板なども整備をされておらず、地獄現象を観察するといっても、なかなか利用しにくい状況となっており、そこの魅力を十分に伝えられていない状況になっておりますので、町が計画をしまして、園路ですとか、解説機能の標識などを整備すると予定をしております。また、駐車場ですとかトイレに関しても再整備を図ることとしております。

 自然環境への影響としましては、新設する歩道についてはもともと地獄現象があるところですので、植生の乏しい場所ではあるのですけれども、そういった場所を中心に路線を決めまして、幅員は地形や植生の保全を優先することとしております。

 一部では支障木の伐採も発生すると思いますが、希少種などは現状では確認されていないということです。駐車場に関しては、既存する3カ所の駐車場がありますので、こちらを再整備することとしておりまして、新たな地形の改変は行いません。また、公衆便所に関しても新設をするのですけれども、浄化槽を用いて、処理水を循環させる構造として、検討をしております。

 次に移ります。ここからの案件に関しては、変更の案件になってきます。事業決定が既に行われている場所で、その規模を拡張するものについて、これからご説明をいたします。

 9件目が、日光国立公園の塩の湯宿舎になります。現状の区域面積は、1.8ヘクタールなのですけれども、今回、2.3ヘクタールに拡張するものとなっております。栃木県の塩原温泉街の中心地から少し南にそれた場所にありまして、渓谷沿いのこういった温泉集落となっております。現状3事業者が執行をしております。

 こちらの計画としましては、一つ目は駐車場を新たに整備するというものです。こちらにある宿舎に関しては、収容人数が249人なのですが、駐車場の台数は15台ということで、もともとは公共交通機関を想定していて、駐車場に関しては大きな整備をしていなかったのですけれども、やはりマイカー利用者が多くなってきて駐車場が必要だということで、今回、65台分についてこちらに、1,200平方メートル規模を拡張して整備する予定としております。

 もう一つが、こちらに宿舎が一つ既存で建っているのですけれども、こちらの宿舎は休止をしているものでして、今、営業されていないものなのですが、こちらの執行者が今回再整備を行って、また宿舎事業を再開するということで、この向かい側の黄色で囲った場所に関しても再整備を行いたいということから、こちらに関しても含めて今回事業決定を行って、2.3ヘクタールの拡張を行う予定です。

 新たにこちらに予定している駐車場の場所に関しては、こういった人工林のスギとなっております。希少種なども確認されていない場所にはなっておりまして、道路などからも見えにくい場所となっています。また、宿舎の再整備を行う場所に関して、現状は宿舎の跡地となっておりまして、石垣ですとか階段が残っている場所になっています。ここの宿舎に関しても駐車場の整備を行う予定と聞いております。

 10件目に移ります。10件目が、富士箱根伊豆国立公園の小涌谷宿舎になります。こちらは20ヘクタールであるところを25ヘクタールに拡張するものとなっております。執行予定者は民間の事業者です。位置としましては、箱根の小涌谷に位置しております。ロープウェイですとか、箱根登山鉄道の駅にも近い場所となっておりますので、非常に利用者が多い場所となっておりまして、利用形態としては、近くにある千条の滝ですとか、鷹ノ巣山の探勝や温泉での湯治といった利用がされている場所となっております。

 黒い枠で囲っております20ヘクタールが決定をされているのですけれども、今回、ここに新たな執行者が入ってくるということで、赤枠の5ヘクタールを追加して、拡張するものとなっております。箱根に関しましては、観光客数が年間2,000万人ということで、そのうち宿泊者数が450万人となっております。平成27年に火山の活動の活発化がありまして、これまで少しずつ微増していたところが一旦減ってはいるのですけれども、現在また回復傾向にあるといったところになっております。こういった利用の多い場所ですので、箱根地域に関しては多様な利用のニーズに応えられる利用者層に応じた施設が必要と考えておりまして、今回の施設もそういった公園の利用に資するものになるのではないかと考えております。

 新しく整備をする予定になっているのが、こちらの図面にある建物となっております。民間事業者が予定しているところとしては、箱根地域の自然や文化体験を目的としている観光客を対象に、質の高いサービスを提供できるような、富裕層を目的とした施設を計画しております。受け入れ態勢を強化しまして、滞在型の自然探勝など、ソフト事業に関して、今後考えていきたいと検討しているようです。こちらは平面の図面で、上から見た図面になっておりますので、高さがわからないかと思うのですが、一番高いところでも4階建てで15メートルと聞いております。

 自然環境への影響なのですけれども、この図を見ていただければわかるとおり、地域としては、地種区分としては半分以上が普通地域となっている場所です。また、既にこういった開発計画があった場所でして、一部道路などが整備されているほか、温泉施設なども残っている場所となっております。現状は緊急時のヘリポート場として使っている場所です。周囲からの眺望もされにくく、また普通地域なので、周辺にも人工物が存在している場所となっております。また、今回の計画で一部伐採などもあるのですけれども、スギやヒノキの針葉樹、外縁部は緑地として残す計画としているので、なるべく自然環境に与える影響は小さくするという計画となっております。

 続きまして、11件目になります。こちらは上信越高原国立公園の鬼押出園地となっております。12件目の浅間高原園地と同じような案件になってくるのですけれども、浅間高原の麓に位置している場所です。ここに関しては、溶岩による奇形な岩場が観察できる場所として、鬼押出し園と浅間園という二つの施設がございます。

 今回は、町が営業をしております浅間園に関して規模の拡張を行うものとなっております。現状145ヘクタールなのですが、300ヘクタール、255ヘクタールの町有地を新たに事業区域に加えるものとなっております。

 こちらの拡大の理由なのですけれども、浅間山北麓ジオパークが日本ジオパークの認定を受けまして、この認定を受けたことで、町が新たに基礎調査を行ったところ、こういった場所に既に事業決定されている場所と同じような植生ですとか、地質資源の存在が明らかとなりましたので、ここも一体的に園地として事業決定をすることで、環境教育などに活用していきたいということで拡張するものです。拡張に伴いまして、園路の整備を予定しております。新たに5.2キロということで、こちらの図面にあるような園路の整備を予定しております。設置に関しては、現況の地形ですとか、植生に応じて実施をすることとしております。

 現状、登山道ですとか、サイクリングロードなどが整備されている場所ですので、新たに今回整備をするのは、ここの赤色の新設区間と書かれている1.2キロの場所となっております。こちらの整備に関しても、風致景観や自然が損なわれないように検討を行うこととしております。園路を整備をした後には、施設のガイドを同伴させた形で、利用を認める形で考えております。安全対策についても、火山が近い場所ですので、ヘルメットの貸し出しなどを行って、注意したいと考えております。

 12件目に移ります。同じ公園の浅間高原園地という場所になります。こちらに関しては、浅間牧場という県営の牧場がございまして、その区域に関して拡張するものです区域に関しては30ヘクタールから今回800ヘクタールと大きいのですけれども、拡張を予定しております。こちらの牧場に関しましても、先ほどと同じ長野原町が執行を予定しておりまして、現状は青い範囲の区域となっております。ここから赤い線で囲まれた範囲に拡張を予定しております。こちらに関しても、同じく浅間山北麓ジオパークとして認定されたことを受けて、町が調査を行い、県や地元関係者が構成する委員会で議論をして、ここの一帯の利用を考えたときに、牧場全域800ヘクタールを一体的にハイキングコースなどで利用を図っていきたいということで、今回拡張するものとなっております。

 整備に関しては、園路を新設することとなっているのですけれども、既存の牧場の作業道がこの点線のところにありますので、そちらを利用する形で検討をしております。また、売店と駐車場を新設することとしているのですけれども、牧場事務所がある場所に設置する予定ですので、支障木の伐採などは伴わないということです。先ほどの作業道に関しても、現状あるところを園路として一般に開放するといった形になっております。

 続きまして、13件目に移ります。霧島錦江湾国立公園の夷守台大幡池線道路という歩道になっております。こちらの図面の緑色の点線が計画に落ちているところなのですけれども、ここの赤色の点線に関して、0.7キロにはなりますが、こちらの枝線を追加するというものになっております。

 こちらに関しても満喫プロジェクトに選ばれた公園ということで、ここの夷守台という場所がプロジェクトのビューポイントに設定されたことを受けて、今回の変更の話が出てきたということです。こちらは、今回、拡張する枝線に関しても既存の歩道となっております。既に枝線があるのですが、こちらは決定されていなかったので、加えるというもので、この枝線の延長した先にキャンプ場などがあるので、ここの利用者の方がこちらの大幡池に至る歩道を利用するということで、枝線に関しても変更をして含めるということで、今回上がってきています。

 また、駐車場と休憩所をそれぞれ設置することを予定しております。自然環境の影響としては、既存の登山道ですというところと、駐車場や休憩所の予定箇所に関しては空き地となっておりますので、影響は最小限であると考えております。

 次に移りまして、ここからの案件が変更②ということで、手続上の整理に当たる案件と書かせていただいております。こちらに関しては、ここの場でご審議いただくというよりも、手続上で必要になってきたところが大きいように思いますので、簡単に説明させていただければと思っております。

 14件目が、阿寒摩周国立公園の裏摩周線道路(車道)です。こちらに関しては、前回の阿寒摩周の国立公園の計画変更を行ったのですけれども、その際に、赤色の場所の車道に関しても計画に指定されましたので、今回、それにあわせて事業決定も行うといった場所になっております。路線距離は3.7キロメートルから10.1キロメートルに変更となっております。この道路に関しては、ここに神の子池があるので、ここに行くための利用者を想定しております。既存の道路を把握するものでして、今後工事などは予定をしておりません。

 簡単ですが、次に移らせていただきまして、15件目になります。こちらは富士箱根伊豆国立公園の本栖運動場です。16件目の野営場と関係してくる案件になりますので、まとめて説明させていただければと思うのですけれども、こちらの運動場に関しましては、この赤と黒で囲んだ区域を一帯とした運動場として決定をしていたのですけれども、自然公園法の通知の中で、運動場の中に野営場が含まれてはいけない、附帯施設として見ることができないという規定がありまして、今回、運動場の再整備に当たって現状を把握したところ、運動場の中に野営場が入っていることがわかったので、今回、運動場に関しては規模を縮小する形で、ここの野営場の大きさを取り除くような形で変更をしまして、野営場に関しては、近隣に野営場の計画がもともと落ちておりましたので、こちらとあわせて6.6ヘクタールということで、もともと運動場の一部であった野営場を把握するという案件になっております。

 こちらについても、再整備は行うのですけれども、既存の施設を利用するものですので、大きな改変などは伴わない予定です。

 次に移らせていただきます。17件目が、南アルプス国立公園の駒赤石山系縦走線道路(歩道)です。こちらに関しては58.4キロメートルから75.4キロメートルに路線距離を変更いたします。こちらについて、南アルプスの公園を縦走するような形で決定されている路線、歩道なのですけれども、今回は青色の区間について決定を行うものです。事業執行者としては、地元の伊那市を予定しております。ここに関しては、こちらにある起点から、この地図では切れているのですけれども、終点まで、今回決定をする区間を除いては、既に決定がされておりまして、ここが抜け落ちるような形になっていたのですけれども、今回、執行者のめどが立ったということで、新たに決定をするものとなっております。こちらに関しても、整備については現状予定をしておりません。

 次に移らせていただきまして、18件目になります。日光国立公園の三斗小屋温泉峰の茶屋線道路(歩道)になります。こちらに関しては、既存の歩道がある場所となっているのですけれども、こういった路線でして、起点から終点まで、現状2.5キロメートルということで見ておりました。ここに関して、線形の把握を執行者である県が再度行ったところ、正しくは2.5キロメートルではなくて、2.9キロメートルだったと今回わかりましたので、正しく路線を把握するという意味で、2.9キロメートルで今回拡張を行っている場所となっております。

 続きまして、最後2件になりますが、廃止の案件になっております。こちらの2件に関してもまとめてご説明をさせていただきたいのですけれども、阿寒摩周国立公園の仁伏野営場ともう一つが舟遊場ということになっております。こちらの2件に関しては、前回の国立公園計画の変更で、既に計画上から廃止されているものでして、公園計画の廃止を行っても、事業決定の廃止手続きも行わないといけないので、今回上がってきている案件です。ここについては、既に施設があったものも、執行者によって撤去がされている場所となっております。また、公園計画からも、既にご審議いただいて廃止となっている場所となっております。

 最後、駆け足になりましたが、事業決定の説明は以上です。

○下村小委員長:ありがとうございました。今回は手続別に整理をして、ご紹介をいただきました。わかりやすく頭に入れていただいたのではないかと思います。

 それでは、ご質問、ご意見を受けたいと思いますが、10分ばかり押していますので、できるだけ端的に短くお願いをしたいと思います。いかがでしょうか。

 それでは、佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員:2点ほどお願いいたします。一つは5ページ、奄美の既存施設、園地の整備なのですが、これは全然問題ないとは思うのですけど、どこかで利用者の増加があると、その前かな、説明していたのですけれど、どのような需要の予測があって、こういった再整備の計画を立てるのか。つまり整備したはいいけれども、駐車場が不足して、その周りにとめられてしまうのではないかというおそれがあるので、その辺の説明をお願いいたします。日光でも駐車場の増加の計画もあるので、なおさら気にかかった次第です。

 もう1点ですけれども、南アルプス、28ページ目の登山道なのですけれども、これもこれでいいと思うのですが、ここは県境でして、伊那市が引き受けたというのだったら、それでいいのですけれども、登山道というのは結構県境をまたいで、どちらか一体、どちらか一体にしますので、伊那市と山梨北杜市ですか、あともう一つ静岡県と書いていますけれども、たしか静岡市ですか、どんな形でこれはまとめられて、これも伊那市が十分に行えるようになったのか。ひょっとしたらもめて、途中でうまくいかなくなるのではないかという心配がありまして、それでこの2点伺いたいと思います。

 以上です。

○敷田委員:2点質問させてください。一つ目は、9ページの支笏洞爺国立公園の冒頭の事業ですが、モーターボート事業と書いて説明していただいたのですが、モーターボートは湖面の利用なので、非常に自由度が高いので、一回オーケーをすると、よくわからなくなると思うので管理が難しいと思うのですが、モーターボート事業の内容を教えていただけますか。

 もう一つは箱根の小涌谷宿舎の件なのですけれども、説明の中で、多様なニーズに応える利用者層に応じた施設が必要ということで、この施設がつくられていると思うのですが、施設の説明、18ページを見る限り、ごく普通の施設に見えて、これだと300人ぐらいの宿泊者数がふえて終わりというように私には理解できるのですが、一体どんな施設であるのかを教えてください。自然や文化体験を目的とする観光客というのはほぼ全員だと思いますので、限定が難しいと思います。

 あと富士箱根は、今、450万人の宿泊と説明をいただきましたが、1日当たりにするとすごい数になりますよね。1万何千人になると思うのですが、箱根町の人口は1万3,000人ほどしかいないはずなので、これだけ利用圧がかかっているのにまだ増やすというのは、地元で公園管理上、何か話はされていると思うのですが、その点についてコメントをいただきたいと思います。

 以上です。

○関委員:私は意見になりますけれども、なかなか表には出てこないのですが、多様なニーズに応えられる施設などということで、年々複雑な環境を維持する運営にはなってきていると思うのですが、同じように施設だけではなくて、それを支える人材の養成にぜひ目を向けていただいて、地元でもされている方は多いと思うのですけれども、講演をしていただいたり、何かしらの支援をしていただいたり、そういったことをご検討いただけるとありがたいです。

 もう一つは、近年はAIですとか、ITですとか、そういったことを組み入れることで、大分コストがかからないような方法で人々に活躍していただくというようなことも、ほかの分野ではたくさん事例が出ていますので、そういった視点も入れていただけるとありがたいです。

 以上です。

○広田委員:2点、意見になると思います。まず、全体として、資料が以前に比べると非常にわかりやすくて、何のためにどういうことをするかというのが理解しやすく説明されていてすごくいいなと思いました。

 その上で、1点目は3ページ目、奄美の大棚湯湾線道路ですか、この中身に異論があるということではないのですが、道路の狭小部等々の改良を行うことによってもたらされるメリットをもう少し書き込んだほうがいいのではないかと。公園の保護や利用の促進に、恐らくこの道路の改良が寄与するものだと思うのですけれども、もうちょっと具体的に、例えば、こういう改良をすることで、これまで通りにくかった車が通りやすくなるだとか、時間が何分ぐらい短縮されるので、観光客、利用客の行程が組みやすくなるとか、書かれるといいのではないかなと思います。

 それから第2点目、これは7ページのやんばる国立公園の既存施設の把握の件なのですが、園地、駐車場、トイレですね。この写真だけで判断すると、失礼なことを言ってしまうのかもしれないのですが、かなり昔に民間の方が整備された施設というのは、他の国立公園内にもいろいろあって、行ってがっかりすることもよくあるわけですよね。今回の場合は既存施設の把握ということなので、それはそれでいいのですけれども、今後に向けて、今の設備とか施設が、本当に国立公園の価値を高めるものになっているのかというのを見直していけるといいと思っています。さきほどのジオパークの話だとか、霧島のご説明のところで、そこの場所の魅力を高めるとか、あるいは見えるようにするという対策が説明されていましたが、これは非常に重要だと思っています。つまり、より国立公園の魅力を高めて、その価値を分かりやすく伝えるような施設だとか、サインだとか、こういうのをぜひ推し進めていってほしいと思うわけです。たまたまここの場所を取り上げましたけれども、一般論として、ちょっとそういうところを感じました。

 以上、2点です。

○宮本委員:3ページから5ページ、6ページぐらいにかけてなんですけれども、私は個人的に奄美あるいは南西諸島を調査地としているので、1点だけコメントさせていただきたいと思います。

 駐車場の整備というのが、南西諸島関係の国立公園・国定公園で何件か、このところ出てきているように思うのですけれども、最近観光客が増えてきて、レンタカーを借りにくいという状況が生じております。逆に言いますと、それがネックになって、不法駐車が行われにくいということになっているのではないかと思うのですけれども、業者さんに伺いますと、これからレンタカーをかなり増やす予定だというようなことを耳にしております。

 こういう資料の中に、年間の利用者数ということで人数を掌握されているようですが、駐車場等の整備に関して重要なのは、入り込み数というよりも、地元にある車に加えて、外からどのくらい台数が入ってくるのか、あるいはレンタカーがどのくらいあるのかというような車事情はないかと思われます。レンタカーに関して、あるいはフェリー等で入ってくる外来の車両につきましての情報というのも、今後ある程度調査されたほうがいいのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長:それでは事務局、ご意見がかなりあったので、それはお受けしますということでよろしいかと思いますが、どうぞコメントをお願いします。

○事務局(国立公園課事業係長 藤井):まず、佐々木委員からご指摘がありました奄美の件だったのですけれども、整備をするに当たって、利用予測はどうなっているのかというところだったかと思うのですが、奄美に関しては、こちらで把握している利用の状況というのが奄美の島全体の利用者数でして、こちらが28年で43万1,000人ちょっとというところでして、この数が5年前に比べて1.2倍というところで、現状でも増えてきていると把握しております。

 これからまた世界遺産の登録なども目指しているというところもありまして、地元では、利用者数が増えていくところに対応するというところもあるかと思っております。

 駐車場についてもご意見いただいていたかと思うのですが。

○下村小委員長:宮本委員のご意見とかなり重なっていたと思います。

○事務局(国立公園課事業係長 藤井):すみません。レンタカーのところでして、今後、世界遺産を目指していく中で、公園として利用の計画を考えていく際に、地元とも一緒に話していく場というのが、協議会などであるかと思うのですけれども、そういった場で利用者数を把握していて、どういった公園にしたいのかといったときには、そういったレンタカーのこれからどう増えていくのかですとか、先ほど宮本委員からもあったフェリーから入ってくる情報など、そこの視点も参考にさせていただいて、そういった情報を活用しながら、検討していくようにしていきたいと思っております。

 2点目が、南アルプスの登山道の観点だったかと思うのですけれども、こちらのほうは、どうして伊那市が今回整備することに同意をいただいたというか、そういう話になったのかという背景が、今、南アルプスのほうでエコパークの取組が盛り上がっていまして、そういった自然環境に対する認識が高まっているところと、あと市長さんが登山道とかの管理にとても興味をお持ちというところで、そういった面もあって、今回登山道の保全をしていこうと。

 これまでも、事業の執行はしていなかったのですけれども、登山道でもし危険な場所などがあった際には、許可行為で土留めの整備を行うような軽微な補修などは少し行ってきたところで、そういった軽微な補修をするのであれば、事業決定して、公園事業の執行者としてやっていこうという話に今回なって、行うことになったと聞いております。

 前後については、山梨県側と静岡県側で分かれているのですけれども、それぞれの市の区域に沿って、それぞれ上側に関しては北杜市が、下に関しては静岡県が執行者になって、棲み分けを上手に行っているので、ここの地域に関しては、今後その棲み分けの中で適切に執行していってもらえると、こちらでは考えております。

 次が、敷田委員からご意見いただきました支笏のモーターボートの関係だったのですけれども、モーターボート事業の概要ということで、ここに関しては船着き場の事業の執行となっているのですが、またここの施設がもともと既存の施設で、これまでモーターボート事業は行ってきた場所となっております。

 また、洞爺湖、支笏湖とあるのですが、洞爺湖に関しましてはモーターボート、プレジャーボートの使用に関しまして、町の観光協会と町が一緒になって対策協議会というものを立ち上げておりまして、そこの中でルールを定めていて、16項目ほどあるのですけれども、ふかしはしないとか、そういったところで細かくルールを決めていて、それに沿って事業を行うという話し合いをして、その中で行っているところです。また、その協議会には環境省の保護官も参加しておりますので、そういったところで、適正な公園利用が図られるように、こちらで確認しながら、そういった利用の面でも、適切な利用の範囲で利用者の方に楽しんでいただけるように進めていっているところになっております。

 続きまして、小涌谷の関係に関しまして、多様なニーズが必要というところをご説明したのですけれども、どういった施設なのかというところと、あと現場の利用者が増えているところで利用圧がかかっているのではないかというところだったのですけれども、こちらは現場の所長にお願いします。

○事務局(箱根自然環境事務所長 澤):箱根自然環境事務所長の澤です。

 ご質問いただいている多様なニーズというのはどういうことかということなのですけれども、箱根の地域は自然探勝の他に、例えば美術館みたいなものがたくさんあって、その美術館めぐりをされている方、あるいは湯治、温泉も当然ありますので、温泉に浸かられる方、多様なニーズというのは本当にあります。いらしている方も、日本人はもちろんなのですけれども、外国の方もたくさんいらしています。

 一つの施設が、利用のニーズとか、利用者層に応えることができないということもありまして、このホテルを計画している民間事業者さんにお伺いすると、基本的には今、箱根の特徴として、一時、噴火の影響で減った観光客が戻りつつあるという傾向と、外国人来訪者が増えているという傾向を考えて、その中でも特に値段を高めに設定して、利用者層もお金をたくさん持っていらっしゃる層をイメージした運営をしていきたいということを考えていらっしゃるようです。

 利用過剰ではないかというご指摘ではあるのですけれども、もともと箱根は、噴火の前は470万人とか、その規模の宿泊者数があって、一時期、平成27年に噴火したときには370万人まで落ちていて、その後、また回復基調にあるということで、民間のホテル事業者の間では、ホテルの交替ですね、一回撤退したところがまた入ってくるとか、そういうことがあります。その流れの中で、特に既に開発されているような場所にもう一度ホテルが出るとか、今回の場合は、既に昔に開発計画があったところを購入されて、ホテルを建てるような計画がありますので、特に利用過剰という文脈では、ここのホテルは考えにくいかなと思っています。

 あと、多様なニーズに応えられるような人材を育てる必要があるのだというご指摘は、そのとおりかと思いますので、特に今、大涌谷へ行かれたことがあるかわかりませんけれども、あそこの噴火の影響で一時期、人が立ち入れないようになっていて、今でも一部利用が制限されている場所があります。そこの開通に当たって、安全に人を誘導する仕組みはどういうことが考えられるか、そういうところが地元では課題になっておりますので、箱根全体でそういう人材、特に外国人の方の対応を検討するような枠組みは考えてまいりたいと思っております。

○下村小委員長:そんなところですかね。ご意見で、ちょっとずれているようなところは、またご担当に言っていただくとして、承認に当たって、ここだけはどうしても聞いておきたいということが、さらにございますか。

(なし)

○下村小委員長:それでは、時間も過ぎておりまして、先を急いで恐縮ですけれども、議題3、国立公園事業の決定・廃止及び変更について、適当と認めてよろしゅうございますか。

(はい)

○下村小委員長:それでは、議題3につきましては、お認めをしたいと思います。

 あと、その他ということで、報告で満喫プロジェクトと、それから、いよいよ統一のロゴマークをお考えになるということについて、ご説明をいただくということだったのですけれども、もう時間が過ぎておりますし、資料を見ていただければわかるということのようですので、それをごらんいただいて、またご質問等ございましたら、直接事務局にお寄せいただければと思います。よろしゅうございますか。

(はい)

○下村小委員長:それでは、今日の審議はこれで終了いたしますので、進行を事務局にお戻ししたいと思います。

○司会(国立公園課課長補佐 杉山):下村小委員長、それから委員の皆様、長時間にわたるご審議、まことにありがとうございました。

 本日の配付資料につきまして、郵送をご希望の委員の先生は、お手元の用紙にご記入の上、机の上に置いていただければ、事務局から後日郵送させていただきます。

 最後になりましたが、本日はどうもありがとうございました。

午後12時08分 閉会