中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会(第22回)議事録

開催日時

平成23年12月22日(木)10:30~12:30

開催場所

環境省第1会議室

出席委員

(6委員)

議題

  1. 1.開会
  2. 2.議事(諮問案件)
    1. (1)国立公園の公園計画の変更について
      • ・阿蘇くじゅう国立公園
      • ・琵琶湖国定公園
    2. (2)生態系維持回復事業の策定について
      • ・霧島錦江湾国立公園(仮称)
      • ・屋久島国立公園(仮称)
    3. (3)国立公園事業の決定及び変更について
  3. 3.その他
  4. 4.閉会

配付資料一覧

○議事(1)関係

  • 資料1:国立公園等の公園計画の変更に関する資料
    • 1-1: 阿蘇くじゅう国立公園の公園計画の変更の概要
    • 1-2: 阿蘇くじゅう国立公園 公園計画書(案)
    • 1-3: 阿蘇くじゅう国立公園の公園計画の変更に関する説明資料
    • 1-4: 琵琶湖国定公園の公園計画の変更の概要
    • 1-5: 琵琶湖国定公園 公園計画書(案)
    • 1-6: 琵琶湖国定公園の公園計画の変更に関する説明資料
  • 資料2:生態系維持回復事業の策定に関する資料
    • 2-1: 霧島錦江湾国立公園(仮称) 霧島生態系維持回復事業計画(案)
    • 2-2: 屋久島国立公園(仮称) 屋久島生態系維持回復事業計画(案)
    • 2-3: 生態系維持回復事業計画の策定に関する説明資料
  • 資料3:国立公園事業の決定及び変更に関する資料
    • 3-1: 国国立公園事業の決定及び変更案件の概要(一覧)
    • 3-2: 国立公園事業の決定書及び変更書(案)
    • 3-3: 国国立公園事業の決定及び変更案件に関する説明資料

議事録

午前10時37分 開会

○事務局 それでは、大変お待たせいたしました。
 ただいまより、中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会を始めたいと思います。
 開会に先立ちまして、本日の出席委員数のご報告をいたします。本日は、所属の委員11名のうち6名の先生方にご出席をいただいておりますので、本委員会は成立となっております。
本日の審議のためにお手元にお配りしております資料につきまして、配付資料一覧になっております。資料の確認をさせていただきます。
まず資料1、国立公園の公園計画の変更に関する資料、1-1、阿蘇くじゅう国立公園、阿蘇地域の公園計画の変更案の概要、A4、1枚。それから1-2、阿蘇くじゅう国立公園公園計画書(案)、冊子になっております。1-3、阿蘇くじゅう国立公園(阿蘇地域)の公園計画の一部変更に関する説明資料、A4が2枚になっております。1-4、琵琶湖国定公園の公園計画の一部変更(案)の概要、A4が1枚になっております。続きまして、1-5、琵琶湖国定公園公園計画書(案)、冊子になっております。1-6、琵琶湖国定公園の公園計画の一部変更に関する説明資料、A4が2枚になっております。
続きまして、議事(2)の関係、資料の2に関するものでございます。2-1、霧島錦江湾国立公園(仮称)霧島生態系維持回復事業計画(案)、冊子になっております。2-2、屋久島国立公園(仮称)屋久島生態系維持回復事業計画(案)、冊子になっております。2-3、生態系維持回復事業計画の策定に関する説明資料、A4が7枚になっております。
続きまして、議事の(3)の関係、資料3、国立公園事業の決定及び変更の諮問資料について。資料3になっておりまして、1枚めくっていただきますと、3-1、国立公園事業の決定及び変更案件の概要(一覧)、これがA4の2枚になっておりまして、3-2、国立公園事業の決定及び変更書(案)、これが冊子になっております。最後に、3-3、国立公園事業の決定及び変更案件に関する説明資料、これがA4、8枚になっております。
資料の漏れ等がございましたらお申し出いただければ、お願いしたいと思います。それでは、よろしいでしょうか。
 それでは、初めに、審議官の小林よりごあいさつを申し上げます。よろしくお願いします。

○小林大臣官房審議官 おはようございます。自然環境担当の審議官をしております小林でございます。
 本日は国会審議がございまして、渡邉局長はそちらに呼ばれております関係で、局長にかわりまして一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、年末のお忙しい中を中央環境審議会自然環境部会の自然公園小委員会にご出席をいただき、誠にありがとうございます。
 御高承のとおり、昨年の生物多様性条約COP10を受けて、自然公園政策につきましても、ますます力を入れてやっていかなければならない。そういう大きな流れの中にございまして、今回の小委員会では、国立・国定公園の公園計画の変更、生態系維持回復事業計画の策定、国立公園の事業決定や変更につきまして、諮問をさせていただくものでございます。公園計画の変更につきましては、阿蘇くじゅう国立公園におけるエコツーリズムの拠点整備、琵琶湖国定公園におけるヨシ群落の再生を進めていくために必要な計画を位置づけたいと考えているものでございます。
また、生態系維持回復事業につきましては、霧島屋久国立公園の霧島地域と屋久島地域におきまして、各地同様でございますが、シカによる植生の衰退、固有種の減少等、生態系への被害が顕著でございまして、その対策を行いたいというものであります。
なお、霧島屋久国立公園につきましては、霧島錦江湾国立公園と屋久島国立公園に再編成していきたいと考えておりまして、これは午後の自然環境部会でご議論をいただくことになっておりますので、資料におきましては、想定される名称を仮に用いさせていただいております。
さらには、国立公園の適正な利用を進めていくための公園事業の決定・変更につきましてもお諮りをしたいということで、盛りだくさんでございますが、いずれも国立・国定公園を管理していく上で大変重要な課題でございます。どうぞ慎重のご審議を賜れば、幸いでございますので、よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、これよりの議事進行につきまして、下村委員長にお願いいたします。
 下村委員長、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 皆様、おはようございます。暮れも押し迫った慌ただしい時期にお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 今日は、午後にも自然環境部会があり、そちらと併せて1日ご出席の委員もいらっしゃるとは思います。大変長丁場で恐縮でございますけれども、よろしくご審議のほどをお願いいたします。
 先ほど小林審議官のほうからご紹介がありましたとおり、今日は、公園計画の変更の諮問案件が2件と、生態系維持回復事業の策定の諮問案件が2件、それから、事業決定や変更に関する案件が8件ありますので、都合12件と、大体1件当たり10分という短い審議時間になりますが、的確な審議にご協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 本日の委員会は公開で行いますので、報道関係者や傍聴の方も同席しておられます。会議録は、後ほど事務局のほうで作成いたしまして、本日ご出席の委員の了解をいただいた上で公開することとなっています。
 なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、小委員長が了承した上で公開することも、あわせてご了解いただければというふうに思います。また、本日の会議資料につきましても公開ということです。
 それでは、もう時間もありませんので、早速、審議に入ってまいりたいと思います。
まず諮問案件、阿蘇くじゅう国立公園、琵琶湖国定公園の公園計画の変更について、この2件をまとめて事務局から内容の説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○事務局 国立公園課の計画第二係長の桝と申します。よろしくお願いいたします。
2件まとめてということで、まず初めに、阿蘇くじゅう国立公園の公園計画の変更についてご説明をさせていただきます。
阿蘇くじゅう国立公園は、世界最大級のカルデラを持つ阿蘇山を中心に、そのすそ野は非常に広大な高原となっている阿蘇地域と、北西の大分県側には、この火山群と高原地帯が広がるくじゅう地域の二つの地域に分かれています。今日のトピックは阿蘇地域のほうになります。
昭和9年に指定をされました日本初の国立公園の一つで、面積は約7万3,000ヘクタールです。
これまでの経緯ですが、昭和9年に阿蘇地域が国立公園として指定されて以降、昭和28年と昭和40年に、くじゅう地域の公園区域を拡張してきました。昭和54年には、阿蘇地域の全般的な見直しを行いまして、その後順次、公園計画や公園区域の点検を実施してまいりました。この点検の中で、阿蘇くじゅう国立公園に名称を変更し、平成17年度には、自然再生施設を公園計画に追加いたしまして、放牧や採草などのなりわいの衰退によって減少した阿蘇の自然環境を再生するという取組に、この公園全体として力を入れているという状況でございます。
その中で、今回は阿蘇山の北麓に位置する普通地域の中のうち、遊水池を中心とする7ヘクタールを第2種特別地域という形に格上げして、そこに小里園地という園地計画を追加するものです。
変更のポイントですが、この地域には内牧遊水池という遊水池がありまして、ハタケテンツキとかベニイトトンボといった希少な野生動植物が見られるほか、カモ類を主体にしていろんな水鳥が飛来してくる地域です。さらに、先ほど冒頭の写真でもお見せいたしました、阿蘇山、阿蘇五岳やその外輪山を見渡せるというすぐれた風致を有する地域となっております。ここに遊水池や阿蘇山を見渡し散策できる園地を位置づける計画でございます。
阿蘇地域では、火山の地形・地質を生かしたエコツーリズムの取り組みを多くの事業者が行っており、それを地域ぐるみで取り組んでまいりました。そうしたことも評価されて、平成21年10月に日本ジオパークに認定をされております。こうした動きを踏まえて、この園地を阿蘇地域全体のエコツーリズムの推進の拠点という形で位置づけまして、将来こうした活動を促進する施設の整備をしていこうとして、この園地計画を位置づけるというものでございます。
誠に簡単ではございますが、以上が阿蘇くじゅうの国立公園の公園計画の変更の内容になります。
続きまして、琵琶湖国定公園の公園計画の一部変更のご説明をさせていただきます。
琵琶湖国定公園は、我が国最初の国定公園として指定された公園です。琵琶湖を中心として、琵琶湖を望むさらにその周辺の山々、例えば伊吹山とか、賤ヶ岳とか、比叡山とか、そういった琵琶湖を望む山々も含む国定公園です。面積は約9万7,000ヘクタールです。
これまでの琵琶湖国定公園の経緯ですが、国定公園の指定後、特に動きはなかったのですが、平成4年に、不明確な区域線を明確化するため全般的な見直しを行っております。その後点検を経まして、平成17年には、琵琶湖のうちの長浜市を対象として、ヨシ群落を再生するために自然再生施設を追加しております。今回の公園計画の変更に関係するのは、この部分です。
なお、平成20年の自然再生施設の追加というのは、伊吹山の山頂の場所を中心としたお花畑が、その利用者による踏みつけとか、旧来から行われていた採草、草取りが行われなくなったことによる植生遷移の進行などから回復するための自然再生施設となっております。
今回の公園計画の変更に話を戻しますが、平成17年7月に長浜市の部分に追加した自然再生施設の対象地を、琵琶湖全体に広げるというものです。公園計画の手続上、1回追加した施設を削除しまして、全体を対象としたものをまた追加するという形となっております。
琵琶湖の湖岸には、かつて、ヨシ群落がたくさん分布しておりました。しかし、昭和28年には260ヘクタールあったものがどんどん減少して、平成4年には127ヘクタールとなりました。その原因は、河川改修をはじめとして、いろんな治水事業によって土砂供給が減少してきたことが大きな要因として挙げられます。
ヨシの意義ですが、魚類とか鳥類の重要な生息場所になっている、湖の湖岸の侵食を防止する水質の保全の機能を果たすとか、さまざまな多様な機能を有するとともに、古来より人との生活の関わりで、屋根とかすだれとか、生活の中で利用されてきた、この地域としては非常に重要な資源でございます。
滋賀県では、このような機能を有するヨシを保全し、再生する取組を続けてまいりました。平成17年から5カ年をかけて、長浜市のほうでヨシ群落の再生をしてきまして、木杭などの自然素材を使って土砂を安定させたり、補植をしたりしました。これについて一定の成果が見られましたことから、そこの場所での取組を一区切りといたしまして、これを琵琶湖全体に対象を拡大していくというものです。
公園計画上、全体という形で拡大するんですけれども、来年度、具体的に考えておりますのは、野洲市を対象として、長浜市で実施したのと同様な手法で、再生を行うことを検討しております。
このヨシの再生の取組は、本来ヨシが生えていた場所、ヨシがあるべき場所に、自然素材を使った地盤の安定化を中心に、ヨシが持つ自ら再生する力を助けてあげるというような方針で実施をすることとしております。
説明は、以上になります。

○下村小委員長 どうもありがとうございました。
2件ご説明をいただきました。阿蘇のほうは、エコツーリズムの拠点等をねらって、園地計画を配置するために普通地域を2種特別地域に格上げするというもの。それから、琵琶湖のほうは、ヨシの再生というものをターゲットに自然再生施設を、これは国定公園のほぼ境界全域ぐらいの設定になるのですね。

○事務局 琵琶湖を中心に。

○下村小委員長 に設定するというものでした。いかがでしょうか。ご質問、ご意見ありましたら。
まず阿蘇にいたしましょうか、阿蘇に関して何かございますでしょうか。

○岡島委員 変更のポイントの2番目のほうのエコツーリズムの拠点というところなのです。これ、具体的な計画などはあるのですか。

○事務局 すぐ、来年度に何か具体的な施設を建て始めるということではなくて、環境省としてここに施設を設置しようという意思を持っている状態です。今後、予算の確保に必要な調整、それよりも、また地域の人と一緒に、どういった施設を具体的につくっていくのかというのを、これから議論していくという状況になっております。

○岡島委員 わかりました。
 部会の議論では、大体動物を守るなどの議論のほうが多くて、利用計画がなかなか、あまり出てこないような気がします。このエコツーリズムというのをきちんとやっていただけると。生物多様性国家戦略からずっともう十何年以上、利用ではなくて、生物保護が議論の中心だったような気がするのですね。ようやくここに来て、エコツーリズムをはじめとする利用計画についてきちんとした形でやっていただければと思うのです。阿蘇という場所もいいしね。世界からも利用者が来る可能性もあるし、健全な形での利用ということを今後も検討していただければと思っております。
以上です。

○下村小委員長 どうもありがとうございました。
ほかに何か、よろしいですか。では、まず高橋委員。

○高橋委員 阿蘇のことなので、発言しないといけないのではないかと思っています。
阿蘇は今、再生協議会を立ち上げて約220の構成員で、草原再生のほうをやっております。その中で、エコツーリズムは非常に重要な役割を果たしているわけです。実は、利用その他をするに当たって、利用価値のある景観や自然が維持できないという状況になっているわけですね。
ですから、私どもは本音を言うと、ツーリズム、非常に結構なんですけれども、その再生活動の拠点が欲しいんです。できれば、ツーリズムの拠点を、もっと広範囲に、より効果があるような形に発展できればいいなという、こちらの勝手な希望を持っているということが一つ。
 それから、公園区域を考えたときに、もう一つ重要な点は、国立公園は今、すぐれた風景の保護だけではなく、生物多様性の保全にも大きな影響を果たすと明言されています。この資料の中にもありますが、阿蘇には極めてたくさんの珍しい動植物がいるわけですね。植物に至っては草原区域内で600種もあって、その中で大陸系の遺存種をはじめとする希少な植物が集中して生えている場所があるわけですね。ただ、その場所は、ほとんどが国立公園の外なのです。
ですから、この地図で言えば、この南側になるのですね、高森とか波野のほうになるのですけれども。そういうところは、国立公園でないということで、環境省の具体的な、特にハードに関するような事業というのはまず入らない状況にあるのです。しかし、この地域こそ今一番疲弊しているところで、守るべき草原域が全く危ない状況にあるのです。それをどうするかというのは非常に大きな問題だと思うので、公園区域にすべきなのかどうかというのは別の問題として、何らかの形で野生生物の保護という観点から、管理とか、利用とかという面と一緒にリンクして、何か仕組みをつくるようなことに早急に着手してほしいというのが、現場にいる者としての希望なのですけれども、一応この二つを。

○下村小委員長 では、ご意見を先に伺ってから、まとめて最終的にお答えをいただくと。
 どうぞ。

○敷田委員 岡島委員のご指摘に関連して、私もエコツーリズムの拠点と位置づけるところについてですけれども。1点目は、これ、現場に近いところだと思うのですが、エコツーリズムの推進拠点だと別に現場でなくても、関係者がたくさんいらっしゃる、まちに近かったり、観光客がアクセスしやすい場所につくったほうがいいと思うんですが。
エコツアーの拠点なのか、エコツーリズムの拠点なのか、しっかり区別して計画を立てたほうがいいと思うんです。その点はどういうふうにお考えかを教えていただければと思うんです。エコツアー拠点でしたら、現場に近いほうが、もちろん、ビジターセンターのような意義もあるし、よろしいと思うんですが。
 もう1点は、ここの拠点とするためという選定をした理由を教えていただけますか。こちらの資料を見ると、ほかにも開発可能性、施設の設置可能性がある場所が非常に多いのですが、ここを客観的に選んだ理由というのを、対外的に説明できるようにしてあるかというのを教えてください。

○下村小委員長 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、事務局、お願いできますか。

○事務局 それでは、まず最初に、今回阿蘇に追加する園地を自然再生の形の拠点にもすることも、検討する必要があるのではないかという点です。確かに、現場での自然再生の取り組みの中で、拠点が不足しているというようなお話も聞いております。当然、エコツーリズムの推進拠点という形での整理はいたしますけれども、自然再生のほうにも目を向けた形で、それにも使えるような形での整備というのをその地域の人、皆さんの意見を聞きながら、どんどん計画に盛り込んでいくというような流れで考えております。
具体的には、野焼きのボランティアさんの研修の場とか、そういった道具置き場とか、そういったさまざまな自然再生での活動の取り組みの場所が不足しているというような状況を伺っておりますので、施設の整備の予定については、自然再生にも活用できるような形での計画に練り上げていきたいというふうに考えておるところです。
 あと、阿蘇の南側のほうにも、希少な野生動植物など多く存在をするので、その保全を、どのように考えていくのかという点です。これについては、阿蘇くじゅう国立公園計画の区域の変更・点検を定期的に行っておるところです。今回の変更では、園地計画の追加のみとなってしまいましたが、公園区域に風景地があるということであれば、そうした地元の地域の皆さんからのご要望・ご指摘について、現場を管理する地方環境事務所のほうで承っておりますので、ご意見を聞きながら、そこをどうしていくかしっかりと検討していかないといけないと思っております。ぜひ、どんどん情報もお寄せいただいて、現在の公園区域が本当に適切かどうかというのをしっかり、今後も引き続き考えていきたいと思っております。
 エコツーリズムの推進拠点について、エコツアーの拠点なのか、エコツーリズムの拠点なのかで位置づけは異なるので、その点をどのように考えるのかということです。あと、拠点を整備する場所の選定理由を対外的に説明できるような形で教えていただきたいという点です。
阿蘇のエコツーリズムについては、どちらかというと、南阿蘇のほうが中心になってさまざまな事業者が独自のそれぞれの施設を使ってやってきたところでした。阿蘇の北側には、利用の好適地があり、また、街もありますから各事業団体さんの団体の拠点でもあります。そのような北側に整備をすることによって、利用の分散を図り、その結果阿蘇地域を全体として、エコツーリズムを活用していこうというような考えです。

○下村小委員長 よろしいでしょうか。

○国立公園課長補佐 下村先生、ちょっと今のを補足させていただきたいと思いますけれども。桝係長からご説明させていただいた件ですけれども。それで、高橋委員からご意見をいただいた熊本県の高森町、阿蘇くじゅう国立公園の南部の高森町でも希少な植物がたくさん生えているところが国立公園の網かけから漏れているのではというご指摘なんですけれども、自然公園法とはまた別の法律で、種の保存法という法律がございますけれども、その種の保存法に基づく生息地等保護区で、面積的には非常に少ないですけれども、1.13ヘクタールを山迫ハナシノブ生育地保護区ということで網かけをさせていただいて、そこの保護を図りつつ、そのあたりの環境、刈り取り等の実施によって植生の遷移を抑制することが必要で、そういう取り組みを行うようなところとして考えているということで。また、自然公園法だけでなくて、種の保存法とまた相まって保護を図っているところですということをちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。

○下村小委員長 どうもありがとうございました。

○高橋委員 よく存じております。しかし、その多くは、もはや担い手が高齢化して、本当に守れるのかという状況にあります。種の保存法で、二次的自然の管理まではできないと思うのですよ。
そういう意味では、重要な野生種があるとすれば、単に公園区域云々というのではなくて、もっと広い範囲で、その野生種を守るために、どういう管理や計画を地域の中で実行できるかという仕組みを、環境省のほうとしても考えていただきたい。
それから、ハナシノブだけの問題ではなくて、この山東原野というのは極めて貴重な種がほかにもたくさん、いわゆるホットスポットのように集中的に分布しているところなんです。それでいて、ほとんどが杉の植林地になったところでもあるわけです。種を守ろうとしたときに、再生ということが非常に重要な場所なのです。そういう意味で、ちょっと要望させていただいた次第です。

○国立公園課長補佐 ありがとうございます。

○下村小委員長 また、案件とは少し外側のエリアですので、協議を続けていただければと思います。
よろしゅうございますか。

○敷田委員 先ほどのことに関連して。このエコツーリズムの拠点整備は非常に重要なことだと思うんですけれども。そろそろフェーズとしては、とりあえず拠点をつくるというときから、立地やそういうものをですね、お客さんの来訪を意識したり、エコツーリズム推進のための関係者の仕組みづくりのための集会なんかをする利便性とかを考慮して、目的に従って建設をする時期に来ていると思うので。現場に対してこういう計画が出てきたときに、間接的にそういう要素も検討するようにという指示をしていただけないでしょうか。
エコツーリズムやエコツアーが免罪符となって、勝手にいろんな開発や施設整備が行われる時代ではもうなくなっているはずなので、成熟してきているので、そういう配慮をお願いしたいと思います。

○下村小委員長 どうもありがとうございました。
利用の計画をもう少し綿密にというか、意識を持って進めていただければということだったと思います。
小里の園地は、先ほどの高橋委員から、資源管理というような側面でも可能性があるというご紹介でしたので、そういう意味では、ツアーとかんでということで、ツーリズムとしての拠点にもなり得るんだと思います。北側の拠点として、うまく整備をしていただければというふうに思います。
よろしゅうございますでしょうか。
(なし)

○下村小委員長 続いて、琵琶湖のほうはいかがですか。こちらは自然再生施設、特にご意見ございませんでしょうか。
(なし)

○下村小委員長 それでは、先に進めさせていただきたいというふうに思います。
諮問させていただきました阿蘇くじゅう国立公園、琵琶湖国定公園の公園計画の変更については、適当と認めることにご異議ございませんでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
(異議なし)

○下村小委員長 それでは、適当と認めることにしたいと思います。

○事務局 ありがとうございました。

○下村小委員長 では、続きまして、霧島錦江湾国立公園(仮称)ですね、及び屋久島国立公園(仮称)における生態系維持回復事業計画の策定についてという諮問に移りたいと思います。
 先ほど小林審議官のほうからもご紹介がありましたけれども、ちょっと国立公園名としては初めてのものが出てきております。霧島屋久国立公園を霧島錦江湾国立公園と屋久島国立公園の二つに再編成するというのが、午後の自然環境部会での審議が必要となります。
ただ、スケジュールの都合上、部会のほうの開催は午後になってしまいましたので、順番が前後することになってしまいまして、申し訳ございません。ですから、ここでご審議いただきますけれども、正式決定は、午後の自然環境部会での審議終了と同時ということになりますので、この点はご了解をいただければというふうに思います。
 それでは、事務局、説明をお願いいたします。

○事務局 環境省国立公園課生態系事業係長の柴原です。
 今回ご審議いただきます案件、諮問番号319番、霧島生態系維持回復事業計画の策定、続きまして諮問番号320番、屋久島生態系維持回復事業計画の策定、この2件についてご審議いただきたいと思います。該当する資料は、資料2-1から3となります。ご説明する資料は、資料の2-3になります。
 今回説明させていただきます内容については、三つでございます。最初に、生態系維持回復事業について、次に、霧島及び屋久島についての各生態系事業についてご説明をさせていただきます。
 まず、生態系維持回復事業についてです。近年、国立公園を含めまして、シカや外来植物など特定の生き物の急激な増加が問題視されております、シカに至っては、1978年から、約1.7倍生息地を拡大しています。また、特定外来生物、外来種といわれているものですが、オオハンゴンソウや北日本の湖沼などで繁殖しているウチダザリガニといった特定の外来生物が増殖しています。また、海では、オニヒトデが異常繁殖しており、サンゴなどへの影響が問題視されています。
こういった特定の生き物の急激な増加によりまして、以下のような問題が生じております。希少種の個体数の激減や生息地の減少と、生態系自体が変わってしまい従来の公園景観の消失ということがあげられます。上の写真はシカによる下層植生の衰退している状況を示した写真ですが、上の木をご覧いただきますと、もう完全に展葉している、葉っぱが開いている状態ですが、林床では、全くもって下草が生えていないような状態になっています。
右の写真は、白化したサンゴを示した写真です。オニヒトデの食害によってサンゴ自体が損傷してしまいまして、サンゴが死滅してしまい、サンゴ礁としての景観が失われているおそれがあります。
あと、続きまして、希少種への問題ですが、左下の写真です。ご審議いただく霧島の写真ですが、ノカイドウという固有種の生息地の写真です。この写真に写っている白色のチューブ、これはヘキサチューブと申しますが、この中にノカイドウが入っておりまして、その周りをシカが採食しているといった状態です。このチューブがなくなりますと、完全にノカイドウの稚樹というのは食べられてしまうそういった状態です。
右の写真は、オオヤマレンゲという、花としてはモクレンの仲間の、白い可憐な花でを咲かせる植物の自生地だったのですが、すべて枯死してしまい、この白い枯死した骨のような枝が、かつてのオオヤマレンゲの残骸というようなことになっています。
このような事態に対して、国立公園で対策すべく、平成21年の法改正により、生態系維持回復事業制度が追加されました。公園計画に基づいて行う事業であって、国立公園、国定公園の生態系の維持又は回復を図るものとして定義されています。また、国立公園においては、国が実施するととなっており、国立公園の生態系を維持回復する必要がある場合については行うこととなっています。
生態系を維持回復するというところに対しての課題と解決へ向けた対応についてのスライドです。生態系は、非常に不確実なものでして、予測することが困難なものです。課題としては、主なものが三つ挙げられています。
生態系に関する十分な情報が収集できない。
あと、非常に広域にわたって移動する生き物がいます。たとえばシカなどは、県境または所有界などを大きく行き来しますので、一つの事業体による単独の事業、たとえば国だけの事業、県だけの事業、もしくは民間の農家さんたちの自衛とか、そういったものの単独の事業では解決が困難な場合があります。
またシカを捕獲したからといって必ず当初の植生が戻るかということに対して、実施結果に対する不確実性を伴います。そういったところの不確実性が伴うという課題がございます。
それに対して、生態系維持回復事業は以下のような対応をしています。常にモニタリングを実施し、それによって生態系の状態を把握するということ。あと、この生態系維持回復事業計画の策定者は国になりますが、さまざまな主体が参画することができます。自治体、民間団体の参画によって、こういった広域の生き物に対して、スクラムを組んで取り組むということが可能になります。
また、結果の不確実ということに対しては、常にモニタリングを実施することとしています。最初に申し上げましたが、モニタリングの実施によって、環境の変化、どのように変化していくのかということに対して機敏に対応する、順応的な対応をする、フィードバック管理といった対処ができるということになっております。こういった点が生態系維持回復事業の特徴でございます。
続きましてご審議いただきます、霧島及び屋久島の生態系維持回復事業に入りたいと思います。
霧島錦江湾国立公園(仮称)霧島地域の概況でございます。
霧島ですが、宮崎県と鹿児島県の南部にまたがる九州中央山地の南部で、韓国岳を主峰とする23の火山からなる山々、火山と霧島連山とえびの高原からなる地域と。皆様ご存じかもしれませんが、ミヤマキリシマが一面に咲き誇る地域ですし、また、ミヤマキリシマ、キリシマエビネなどの霧島の名前を冠した、名前を持った植物、もしくはノカイドウという、ここにしか生育しない植物があるなど、生物多様性の面からも重要な地域です。
お手元の資料に入っておりませんで恐縮ですが、霧島の位置図です。このような形で、鹿児島県と宮崎県の県境のところ、およそ、面積については2万キロヘクタール、この全域が生態系維持回復事業計画の対象地域となります。ここで起きている生態系への問題は今、高密度にシカが生息しております。えびの高原では、最大100頭、平方キロメートル当たりに棲んでいる状況です。鳥獣に関する特定計画、県が定めている計画においては、1万7,000頭生息していると言われています。そういった形で、過密に棲んでいるというところです。
次に、もう一つ、ここの問題であるのが、人慣れしたシカというところが問題です。このような形で、宿舎事業のところでシカが常に食んでいるというような形で、野生生物と人間との関係というのが非常に密接になってきているということが、問題として生じております。
こういった事態に対しまして、生態系維持回復事業を実施しようとしているところです。共同策定者である、農林水産省・環境省が実施し、5年間の実施計画としております。
事業地域は、先ほど申し上げましたとおり、霧島地域を対象としていす。
目標としては、ニホンジカの採食圧の低減と餌付け禁止ということで、霧島生態系の維持回復を図るということとしています。
事業の内容です。事業の内容は4つ挙げられます。植物やニホンジカの生育のモニタリング。どのような形でシカが行動し、植生や生態系に影響を与えるかというモニタリングを実施するということです。このような形で、シカの行動圏や植生を把握しております。
続きまして、ニホンジカの防除という形で、駆除と、柵で囲うという植生保護という、この2点を柱にして進めております。
次に、減少している植物の保全ということです。前述より申し上げておりますノカイドウの保全というのが象徴的なところですが、こういったものの生育地の改善や保護増殖を図っていくというものです。
次に、ここで霧島での大きな特色的なところになるのですが、野生生物と人間との関係をいかに健全にしていくかということで、餌やりの禁止などの普及啓発について行いたいということです。今現在も進めておりますが、これについて強化を図っていきたいということです。
この実施体制ですが、生態系維持回復事業の特徴であるモニタリングとフィードバック。これを常に行いながら、関係機関と連携を進めていくものです。シカという動物、鳥獣保護管理計画によって頭数などを定められておりますが、そういったものとの連携をし、公園のみでなく、霧島地域全体でどのように取り組んでいくかということと連携しています。
実施体制として、国、策定者である農林水産省、環境省のほかに、地方自治体の組織、ここで挙げられますのは、環霧島協議会といわれている霧島山を取り巻く5市2町から構成された協議会、この中にもシカ問題検討会というものが設置されておりまして、そういった中での取り組みということで実施をしていきたいと考えています。
引き続き、屋久島生態系維持回復事業についてです。
屋久島の概況です。ご存じかもしれませんが、九州の南方60キロの洋上に浮かぶ宮之浦岳を主峰とする、島嶼です。植生の特色としては、亜熱帯から冷温帯の植生の連続した地域となっておりまして、ほぼ1,900種の動植物が生育している島です。このような自然景観が評価されまして、平成5年に世界遺産に登録されております。
これも抜けておりまして大変恐縮でございますが、屋久島の位置図です、屋久島全体となっております。なお、口永良部島は、今回の生態系維持回復事業の対象とはしておりません。屋久島における問題です。屋久島でもシカの生息が高密度化をしております。島全体の面積が504キロ平米に対して、およそ1万2,000から1万6,000頭生息し、昭和30年から50年の2,000頭から3,000頭という頭数に対して、かなり増大しています。こういった中での植生の衰退、固有種などの衰退が生じています。左下の写真ですが、同じ場所において柵が設置されている場所と、されていない場所の植生の違いを表した写真です。右側は柵に囲われた箇所でシダ植物が繁茂していますが、左側はほとんど岩が露出したような状態となっています。こういった状態が各所で見られておりで、世界遺産として評価された生態系に影響があるのではないかと、危惧をされています。
屋久島の計画についても、共同策定者は同様に農林水産省と環境省。期間は、当年から28年までの5年間で、屋久島に係る地域となっております。ここでは、ヤクシカの影響を低減して、生態系の維持又は回復を図ることを目標としております。ここも霧島と同様で、ほぼ四つの内容で、内容、事業を進めていくこととしています。
まず、モニタリング。シカの行動と植生への影響の把握ということです。シカの影響を排したときと排していない場所でどのような影響があるかという。あとGPS発信、急峻な山岳地形ですので、シカの行動圏を把握するということには、このようなGPS発信機をつけたシカで行動を把握するというふうにしております。
続きまして、捕獲などの措置、ここでは先ほどお示ししましたのは麻酔銃ですが、こちらはくくりわななどによる捕獲。あと植生保護柵の設置ということを実施しています。
普及啓発についてです。植生保護柵を設置していないところでは、屋久島は非常にコケが多いため、植生が非常に貧弱であっても緑に見え、なかなかシカによる影響というものが可視化しにくいというところがあります。そこで柵の設置により、シカによる影響がどのように表れるかについて説明するなどをしています。また、世界遺産センターにおいてシカの生態について説明を行っています。ヤクシカは屋久島に昔からいる固有種ですので、ヤクシカと島の生態系の関係についても、普及啓発を図っていくということとしています。
続きまして、実施体制です。ここの実施体制というところについては、先ほどのフィードバック、順応的管理とあわせまして、検証には、屋久島世界遺産地域科学委員会ヤクシカワーキンググループの助言を得るということとしております。ここの世界遺産委員会において、ヤクシカについてどのように扱うかということを審議の場にしております。
同様に、連携する計画、こちらもシカを捕るということになりますので、鳥獣保護管理計画、あと町策定の鳥獣被害防止計画、これは、島内でのシカ対策についてどのようにしていくかということを図っております。このような形で、ヤクシカワーキングにおいて、生態系維持回復事業についても審議され、内容について設定されております。
実施体制は、農林水産省及び環境省のほかに、町、民間団体など、屋久島全体での取組みということを維持すると。また、協議の場として世界遺産の連絡会、ヤクシカワーキンググループ、屋久島町が主催しております野生生物保護管理ミーティング、これは農林業被害とかを受けて、町主催で行っているミーティングですが、これらを用いて、ヤクシカについてどのようにしていくか検討するというふうな形の実施体制としております。
以上です。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 どうもありがとうございました。
霧島錦江湾に関しましては、ニホンジカの影響の低減を中心に生態系の回復を図る。
屋久島については、ヤクシカの影響を低減させて、生態系の維持回復ということで、それぞれ生態系維持回復事業計画の策定について諮問いただいています。それぞれの計画書は、資料の2-1が霧島ですね。それから2-2が屋久島ということになっております。
ご質問、ご意見ございませんでしょうか。まずは霧島錦江湾、いかがでしょうか。ニホンジカですね。特にございませんでしょうか。
(なし)

○下村小委員長 それでは、もう一方の屋久島のほうはどうですか。これ、ヤクシカのようですが、固有種ですね。どうですか。

○敷田委員 屋久島だけではないかもしれませんが、この事業の実施の体制及び連携というところが、説明がございましたけれども、中を見ると、助言を得たり、連携をしたりということが書いてあるのですが、実際にどういうふうに進めるのかというのがよくわからないので。重要な事業であれば、連携とか助言だけではなしに、総合的な事業計画が必要なんではないかと思うのですけれども。もう一度説明をいただけないでしょうか。

○事務局 屋久島ですが、この計画というのは大きな枠組みでございまして、実施計画というような細かな細部計画というものを各事業体がつくるということになっております。この事業体がつくった計画について、報告、計画などの提出などをもって、助言を得るというような体制をとっております。

○敷田委員 それはわかるのですが、先ほどの説明だと、動物も移動しますしという話であると、行政のそれぞれの管理区域とか、権限を越えて対応が必要だと思うのですが。この資料から見る限り、それが確認できないというふうに思うのですが。その実施体制をどうしようという話ではなしに、具体的に誰が主体で、どういうふうな仕組みで進めるのだというのを教えていただきたいと思います。

○事務局 先ほどの、具体的にシカの行動圏は多岐にわたっておりまして、重点分布、屋久島の場合ですと3地域に分けております。3地域に分けて、シカの密度が高密度、低密度、増えている地域というふうな形にしておりまして、まずそこについて、増えている地域について集中的に行っていこうというふうに情報共有をして、各持ち場でやっているというような形です。

○敷田委員 分割して事業をするということですが。統合的にやるという事業ではないのですね。それぞれに持ち分がありますよ、やってくださいねという依頼をするということなんですね。

○事務局 分割してやることはあるんですけれども、生態系維持回復事業の中に含まれて、枠割分担をしていくというイメージなのですが。

○敷田委員 ばらばらでやると、例えばフィードバックをした管理というのも統合的にやらないと、生物も移動していますし、刻々変わる内容ですから、実効性が非常に危ういと思うんですが。

○国立公園課長 具体的に、シカの捕獲に携わる機関がこれこれあり、それぞれでどのようにやって、それをどのような方法で事業の中に位置づけているかという形でご説明できますでしょうか。

○敷田委員 そうですね、環境省がどういう立場をとらえて、主体的にそれをまとめていくのだとか、事業を統合的に整理をするのだとかという、その推進体制の問題です。

○事務局 推進体制として、一番大きな捕獲の実施の推進体制でいきますと、国有林ですと、林野庁のところが自主的に行っておりまして、昨年度は1,500以上の捕獲を実施しています。環境省の立場としては、これをとりまとめるという役割をしております。

○国立公園課長 そのほかに、屋久町や鹿児島県の関係についても説明して下さい。

○事務局 屋久町は、農林業被害に対する有害鳥獣の捕獲という面で公園外などのところの捕獲をしているというところです。

○下村小委員長 恐らくご質問は、この計画を進める上で全体的な推進体制ですね、環境省とそれから国のほかの機関もありますし、それから自治体なんかもあります。それから、NPOなんかもきっとあるわけですね。そういったものがどういう形で連携して、一つの計画を進めていけるのかということに対してのご質問だったと思うのですけれども。
何か協議会ですとか、それから、あるいは計画の進行チェックですとか、そういったものをどういう形で、対象として進められるかというご質問だと思います。

○事務局 協議会としての位置づけは、ヤクシカワーキングがそういった位置づけになります。

○事務局 屋久島を例にとりますが、世界遺産の科学委員会の下にヤクシカワーキングという専門家、それから林野庁とか、県、市、それから地元のNPOの方々とかを含めて皆さんが参画されて、検討会の場を持っております。
その中で、各主体がそれぞれ自分たちの、自分の土地の中でやる話ですとか、狩猟でやる話ですとか、もしくは公園区域外でやる話とか、食肉を加工する話とか、とったシカを活用する話まで含めて、それぞれ自分たちの得意分野で事業の実施の計画を立てて、会議に持ち寄ります。その中で、皆さんで議論をして、事業を走らせていくわけですが。
当然その中で、ここが足りないとか、あと、まず今シカの対策を全体的に進めるには、ここをまずたたかなければいけないという、そういう問題意識の共有ですとか、そういったものを会議の場でまず行います。そうすることで、皆さんが得意分野を持っている中で、どこに集中して労力を割いたらいいのか、資金を投入したらいいのかということの方針が統一されてきますので、そういう中で、効率的に作業をみんなで連携して行っていくということができるようになっていきます。実際に、屋久島ではもうそういった取り組みが進んでおりまして、先ほども説明がありましたとおり、地域を大きく三つに分けております。その中で、最初にたたかなければいけない地域はここだというのを決めまして、そこで関係者が一丸となって、集中的に捕獲を実施するなど。国立公園の中はもちろん環境省も支援しているのですが、外のほうは猟友会にお願いしていく仕組み、もしくは林野庁さんのほうにお願いしていく仕組みを構築したり、そういった連携体制をとって進めていっております。
もちろんその中で、シカを捕る話だけではなくて、調査のほうの話もありますので、環境省もお金を出して調査などをしておりまして。シカの全体の密度がどのように変化していくのかとか、そういうのを把握しながら、年度ごとに動向を確かめて、効果が上がっているのかどうかというのをチェックしながら、きめ細かな対応で進めていくということで取り組みを進めているところでございます。

○下村小委員長 ここは世界遺産地域ですので、恐らく世界遺産の管理計画の問題があって、科学委員会のほうは世界遺産のほうですね。ですから、そことの国立公園のほうの生態系維持計画の推進と、世界遺産の管理計画のチェック機構である屋久島ワーキンググループ、これはだから助言という言い方になっているのだと思うのですが。その両方で走っていかなきゃいけないというところがちょっと、ここの難しさであり利点であるということではないかと思います。
恐らく、ですから世界遺産のほうの組織体制と、それから国立公園の生態系維持回復事業のほうの組織体制との連携をうまく図るというようなことで進んでおるのだというようなことだと思うのですが、そのあたり。

○敷田委員 この手の事業というのは、今お話があったとおり、いろんな組織や、またNPOもというお話がありましたが、横断的に進める事業が多いと思いますので。事業実施に当たって、それを主体になれというわけではないのですが、環境省としてコーディネートしたり、リードをして、うまく協働させていくのが役割だということをもう一遍位置づけていただいて、それがはっきり出るように説明をいただけるといいと思います。
 また、予算要求とか、事業着手前には、そういうコーディネートをする準備期間というのが環境省としては必要であるというふうにお考えいただいて、最初からファシリテーションやコーディネーションを準備していただく、それを説明していただくと、環境省の今のご活躍がしっかりと説明ができると思います。
以上です。

○下村小委員長 どうもご助言ありがとうございました。

○国立公園課長 では、ちょっと私のほうからご説明をさせていただきます。私、国有林のほうにおりましたときには、実際にシカ対策のほうもやりまして、中部森林管理局におりましたときは、長野県あたりとも協力して取り組んだりしておりました。国有林としましては、職員もおりますし、事業を行う能力もありますので、獲るのは獲ります。しかし、逆に言うと、モニタリングとか調査という点では大変手薄で、理屈を言うより、先にとるという形になってまいります。
そういう点でいいますと、やはりこういう事業によりまして、地域全体として捕り過ぎないように、しかし、ちゃんとした捕獲の成果が上るようにという形でコーディネートしていくことは、大変重要だと考えております。
また、当然のことでございますが、有害鳥獣駆除でやる場合は、具体の農林業の被害がないとそういうことはできませんし、また国有林であれば、当然国有林の外側では一切活動ができませんので、そういうところの調整というのも出てこようかと思います。そのあたりにつきまして、今ご助言をいただいたことも含めて、本当にファシリテーションなり、コーディネーションの実が上るような形で進めてまいりたいと思っております。

○下村小委員長 ほか何か、ご質問ございますでしょうか。

○高橋委員 よく把握していないので変な質問かもしれないのですけれども。
シカの生息云々というときは、多分、集落単位で相当の綿密な調査が必要じゃないかなと思うんです。各農家の方が、あるいは住民の方が、どこでシカを見て、何を食べて、いつの時期何をしたかというデータを積み上げることが、多分重要になってくるんじゃないかなと。
それは、ここにあるように餌付けの禁止とか、普及啓発とも関わるからですよね。そういう意識のもとで一緒にやることで初めて効果が上るわけで、1件でもそれをやらずに、餌付けをしてしまったら、また、もとに戻ってしまうという世界があってですね。そうなると、かなり農林水産省あたりの事業とも関わって、難しい面もあると思うのですけれども。
例えば霧島だったら、私は、あくまでこれは予測範囲であれなんですけれども、牧場はかなり餌付け場になっている可能性があるんじゃないかと思うんですよ。そうしたら、そういう管理者についても、ある程度一緒に話ができるような仕組みをとっていかないといけないんじゃないかなと思います。
やはり、集落単位で、綿密な聞き取りをするということが基本になるような気がします。これはこのレベルでの話ではなく、非常に難しいところかなという印象があるんですけれども。

○事務局 ありがとうございます。
 国立公園外も含めてということで、環霧島会議というのがシカ問題というところでも、そういった集落単位というところの、いわゆる農林業被害についても、どのようにしていくかという話し合いをしています。
 説明が不足して申し訳ございません。この餌付けというのは、直接的な餌付けでして、観光客の方がいらして、パンをまくといったような、本当の餌付けの状態になっています。ですので、そういった餌付け場となる場所で、かわいいからえさをやるといったような、そういった誤った野生生物との関わり方を是正する普及啓発と農林地での取組の両方を進めてまいりたいと思います。

○下村小委員長 今の高橋委員のご指摘は、恐らく、調査のですね、疎密というか、非常に重要なところはしっかり調査をして、それから全体としてのそういうものの位置づけをしていただくという。どちらかというと、しっかりデータ収集をしていただきたいというご指摘かと思いますので、よろしくお願いします。
 ほか、よろしゅうございますか。

○岡島委員 話がそう来たもので、ちょっと二つ。一つは、シカは日本全国で起こっている話ですね。ですから、ここはここで特別な場所ですけれど、全体の対策というのは、林野庁や農水省でも結構やっているわけだから。そういうのとの連携を、今おっしゃったように。むしろ向こうがいっぱいやっているから、そこの知恵をかりるという方法はやっぱりかなり大事なことだと思いますね。全部の、日本全国を考えてみれば、屋久島はそのほんの一部であって、日本中で今、対策が練られているわけですので、それが1点と。
 先ほどちょっと利用の話がちょっと出たので、ついでなので申し上げたいのですけれど。利用するということは、ただ一般的には、踏み荒らして、壊していくみたいなイメージがありますけれど、そうではなくて、利用することを、うまくそういうことによって普及啓発につなげるということが非常に大事だと思うのですね。
ですから、今、餌付けの問題も、今お話があったように、それから観光客が増えてきて壊してしまう。こういうのも利用が不適切に行われているからそうなるのであって、適切な利用を推進するということは、即、守ることにつながるのだという感覚でもって利用を進めませんと、だめだだめだ、白神山中へ入っちゃいけない、こっちはだめだ。そうなってしまったら、普及啓発もまた滞ると思うんです。そこの辺のところをぜひいろいろ検討いただいて、適切な利用の方法というのを、普及啓発につなげるという姿勢を持っていただきたいなと思っております。
以上です。

○下村小委員長 どうもありがとうございました。
ほかにご意見、ございませんでしょうか。
それでは、諮問のありました霧島錦江湾国立公園(仮称)及び屋久島国立公園(仮称)における生態系維持回復事業計画の策定については、適当と認めることにご異議ございませんでしょうか。
(異議なし)

○下村小委員長 それでは、ご意見等を踏まえていただきまして、本件は適当と認めることとしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、国立公園事業の決定及び変更についてということで、七つの国立公園に関しまして、8件の案件がございます。まとめまして、事務局から内容の説明をお願いしたいと思います。よろしく、どうぞ。

○事務局 国立公園課の速水です。今日はよろしくお願いいたします。
 本日は、最初に委員長のほうから話がございましたとおり、知床国立公園をはじめとする7国立公園、計8件の公園事業の決定又は変更について諮問させていただきます。
 まず、公園事業の決定についてですけれども、公園計画には、こちらにございますように、規制計画と施設計画がございまして、この施設計画に基づいて執行される事業を国立公園事業と申します。施設計画において決められて、大まかな位置ですとか、整備方針について決められてございますが、より具体的な規模を決めることを事業の決定と言っております。
決定すべき規模というのは、各事業の種類によってそれぞれ異なっておりまして、道路で、車道であれば路線距離と幅員、歩道であれば距離、園地であれば区域、宿舎であれば区域面積と最大宿泊者数という形になっております。
公園事業の決定の要件でございますが、事業の内容が公園計画に適合していること、事業の内容が周囲の風致景観の保護上支障のないこと、また、公園事業の執行の見込みがあることが定められております。
それを踏まえまして、本日の諮問案件についてご説明させていただきます。本日は8件ございまして、1件は大雪国立公園の糠平博物展示施設が新たな事業決定で、ほかは事業の決定の変更ということになっております。
まず、知床国立公園での羅臼湖道路(歩道)の事業決定の変更でございます。
当該歩道は、知床半島を横断しております国道334号線に登山口を有しております。こちらに詳細図がございますが、こちらに羅臼湖がございまして、そこに至るまで五つの沼がございます。また、高層湿原が広がっておりまして、年間で3,000人ほどの利用がございます。現在、この赤い線のとおり、事業が執行されておりまして、北海道が執行しているところでございます。この歩道について、歩道沿いの洗掘ですとか泥の流入が進みまして、周囲の自然植生に影響を及ぼしているということで、歩道の付け替えというのを関係者の中で検討してまいりました。今回歩道を付け替えて、環境省と林野庁で分担し、北海道が執行していた区間を新たに事業執行していくということが方針として決まりまして、ルート変更によって距離が若干長くなることから、変更するものでございます。
具体的な状況としましては、主に3カ所ございまして、1カ所目、小さくこの青いのが今回、変更する路線ですけれども、写真のとおりみずみちになったり、洗掘が激しい部分があります。あと、2番目の沼の、南のほうでございますが、沼のほうに歩道が非常に近く設置されていることから、沼に泥が入り込んでしまったりといったことですとか、湿原に泥が流入したりしているということが見られます。また、3カ所目でございますが、高層湿原の重要な植生の真ん中を木道が走っているという状況になっておりまして、周囲の自然植生への影響が懸念されております。
こういった青い線の路線へ歩道を移設するということで方針が決まっておりますが、移設がある場合は、主にササの植生や樹林帯に移すということを検討しております。また、移設を行った後の旧歩道については、原則、植生復元施策を行うということとしております。
二つ目が、ホロベツ園地の事業決定の変更でございます。
こちらも、横断の国道沿いと、そこから知床五湖のほうに走る道路の分岐点にございます。既に、フレペの滝という、崖から海に直接滝が流れる景勝地がございますが、そこへの遊歩道を北海道が執行しております。この黒い部分でございます。
知床自然センターも隣接してございまして、その隣接地で、斜里町のほうが現在ナショナルトラスト運動を実施し、その事業を紹介する知床100平方メートル運動ハウスというのが既存の施設でございます。こちらは今、決定区域外になっていますので執行されてございませんが、これを斜里町のほうで執行して、さらに周辺に、園路ですとか、あるいは駐車場を新たに整備して、斜里町が行っているナショナルトラスト運動の紹介ですとか、あるいは環境学習を行う場として整備をしたいということがございます。
新たに整備される区間というのは、既存の施設ですとか、あるいは既に未舗装の駐車場がここにございまして、そういった場所ですので、新たに自然環境へ影響を及ぼすといったことはございません。
むしろこの整備と知床自然センターと連携を図ることによって、自然環境保全活動の普及啓発の充実ですとか、野外レクチャー実施といった新たな利用方法を提供することで、この園地周辺に一定の時間滞在していただいたりですとか、あるいはより知床の自然を感じていただくといったことが期待されるところでございます。
三つ目が、大雪山国立公園、糠平博物展示施設の事業決定でございます。
現在糠平の集団施設地区がこちらにございまして、糠平湖というのがこちらにございますが、湖の散策ですとか、あるいは東大雪の登山ですとかスキー、温泉の保養地として、当該土地には利用者が多く来られております。
一方で、層雲峡ですとか、あるいは旭岳温泉といったビジターセンターが既にあるところとは違って、東大雪のこういった地区に自然情報を発信する場所ですとか、自然環境プログラムの拠点となるような施設がございません。そういったことから、既にここに糠平の博物館というのは上士幌町のほうで執行はしているのですけれども、これを廃止しまして、既存の野営場、園地、北海道自然歩道の近くに上士幌町と環境省で連携した、そういった利用拠点となるような施設をつくろうということになりまして、今回新たに事業決定、0.5ヘクタールを行うものです。
こちらの既存の博物館というのがこういったものでございます。この博物館はもちろん撤去した上で、跡地については植栽をして園地で活用するなり、植林をするなりといった形で検討していくこととしております。
予定している博物展示施設の整備場所というのは、建物の跡地になっておりまして、ここに町と環境省の連携施設をつくると。さらにこういった野営場ですとか園地と連携して、利用動線を確定して、ここでより大雪の自然を感じていただける場所とする予定です。あるいは、既に大雪のほうではNPO法人等が自然環境学習等の活動を行っておりますので、その利用拠点として使用していただいて、さらに東大雪のそういった利用の推進を図るということを検討しているところでございます。
4件目が、支笏洞爺国立公園でございます。
ヒメマスの動物繁殖施設です。支笏湖には北海道原産のヒメマスが生息しております。明治時代に導入されたものですけれども、貧栄養ですとか、夏季の水温が低いといった諸条件が整わないとなかなか生息ができないような動物でして、現在では支笏湖の自然を構成する重要な要素となっております。
既にこちらの既存区域というところに、ヒメマスの監視場が札幌市によって執行されております。それが0.5ヘクタールございます。その周辺に、公園指定前から整備されておりますヒメマスのふ化場等がございまして、こちらを札幌市のほうが既に執行している施設と一体的に、今回老朽化に伴って整備することとなりました。こちらは本来、その監視場と連携して事業も行っておりますし、本来公園事業として位置づけられているべきということで、今回新たに公園事業として位置づけるものです。
区域面積は、0.5ヘクタールから0.7ヘクタールに変更することにしたいと考えております。
ヒメマスの個体数維持にとってはこういった施設は非常に重要ですし、これらの施設が一体的に管理されるということは、この周辺の風致景観に配慮した形で適切に維持していくように、指導が可能ということになります。
5件目が小笠原国立公園の母島北神線道路(車道)の変更でございます。
母島を、南北に縦断する道路になっておりまして、周辺は、アカギですとかギンネムといった外来種がほぼ純林を形成しております。始点のほうには、こういった海を望めるような箇所がございます。
この車道ですけれども、現在3メートルという車幅になっておりまして、非常に狭く、軽自動車ですとか、そういったものが何とか離合できるような車幅になっています。主に地域の住民の方が生活道路として利用されておりまして、今回、世界遺産に登録されて、利用者のほうも増えることが想定はされますけれども、連続したカーブが多くなっておりまして、正面衝突ですとか、あるいはガードケーブルに衝突する事故も多く見られております。そのため、今回特に車両通行が危険なこのカーブ区間、4区間だけ3メートルから4メートルへ車幅を拡幅するということに伴い、決定規模の車幅も広げるものでございます。
車道の拡幅予定箇所の周辺については、アカギですとかギンネムといった外来種の純林ですので、小笠原固有種等の希少な動植物等に対する影響は最小限というふうに考えております。また、山側を切土するのではなくて、谷川に盛土という形で、行う予定にしておりまして、やむを得ず擁壁等も設置することがございますが、必要最小限の規模とするように指導しているところでございます。住民ですとか、あるいは公園利用者の安全確保のためには、最低限必要なものというふうに考えております。
6件目が、南アルプス国立公園でございます。
南アルプスの北部、山梨県と長野県の県境にございます北沢峠ですが、甲斐駒ヶ岳ですとか、仙丈ヶ岳の登山の宿泊基地となっているところでございます。年間4万人ほどが訪れておりまして、非常に利用者が多い場所でございます。そのうち宿泊している人数としては、開山期間である半年で9,000人程度でございます。
現在、ここには二つ山小屋がございまして、一つ、仙水小屋は、北杜市のほうが既に執行しております。もう一つ、北沢駒仙小屋という南アルプス市が運営しているものでございますが、こちらが公園事業に位置づけられておりませんでした。これは、公園指定の前から存在しているもので、これを今回老朽化に伴って建て替えをすることに伴って、宿舎事業として位置づけるべきだということで、今回、決定区域を0.1ヘクタールから0.25ヘクタールに拡大するものです。また、宿泊人数も、60人から110人へと変更するものです。
周囲の登山者に対しては必要な宿舎ですし、公園事業としても把握すべき事業でございます。また、もともとあったもので、敷地面積ですとか宿泊ニーズというのも、現在の収容量を維持するべきものと考えております。再整備に伴いまして、規模の見直しをした結果、やはりこういったものも事業に位置づけて、既存の、実質必要とされる面積と宿泊人数に、決定規模のほうを変更するということで考えております。
事業として位置づけられることで、利用のため、あるいは第1種特別地域にもなっておりますので、そういった場所の建物として適正に維持管理されるということになります。
7つ目が、瀬戸内海国立公園における鳴門宿舎の事業決定の変更です。
これも既に宿舎がございまして、こちらは、どちらも執行されております。ただ、駐車場が、宿舎と一体的に利用されているものなのですけれども、公園事業に位置付けられておりませんでした。やはり宿舎と駐車場というのは、駐車場の収容力という点で宿舎に対応するものですので、一体的に管理するべきということで、駐車場も公園事業のほうに位置づけるように指導しているところです。そういった中で、執行区域を広げると0.3ヘクタールになるということで、今回、決定規模を広げさせていただくというものでございます。なお、宿泊者数については、変更はもちろんございません。
最後に、雲仙天草国立公園の雲仙温泉宿舎の変更でございます。
これは、島原半島の中央にありまして、雲仙温泉の市街地、雲仙温泉街にございます。こういった地獄景観ですとか、こういった温泉施設、あるいはその周辺の山への登山といった形で利用されているところです。
現在、この黒い線で事業決定されているのですけれども、この赤い部分に、今、民間の旧保養所がございまして、廃墟化している建物がございます。これを新たな所有者の方が宿舎として執行するという意向が事業者にあります。最大宿泊人数というのは、現在6,200人でして、温泉街のほうで約20件宿舎が執行されておりますが、その合計もまだ5,500人ということで、最大宿泊人数というのは、例えばこれが執行されたとしても、6,200人のままで問題ないというふうに考えております。
ただ、区域のほうが、こちらは区域外になっておりまして、そこを決定しなければならない。また、その際に全体を見直した中で、今後、執行の見込みがない場所というのはやはり削除していかなければいけないということで、今回この青い部分を削除しました。これは、雲仙浄化センターというのがございまして、今後執行の見込みがないということで削除して、区域面積も変わらず、宿泊人数も変わらず、区域線のみ変更させていただくという形になっております。
こういった廃墟が宿舎として執行されることで、外観も茶色くするというふうに指導する予定ですし、やはり適正に運営されるということで、公園の重要な利用拠点の施設として適切に維持管理するように指導が可能となります。また、雲仙温泉全体の雰囲気の改善にもつながりますし、当地区の宿泊受け入れ人数がまだ6,200人に満たないということで、その充実ですとか、滞在型の利用の促進への寄与というのが期待されているところです。
以上、少し長くなって大変恐縮ですが、計8件をご説明させていただきました。審議のほどよろしくお願いいたします。

○下村小委員長 どうもありがとうございました。
8件、さまざまなケースがあったようですが、審議に諮りたいというふうに思います。順に参りましょうか。
まず知床は2件、道路の変更ですね、歩道の延長とそれから園地の変更ですね。施設等の組み込みを含めて拡張するということですが、この件はいかがでしょうか。何かご意見、ご質問。
知床。よろしゅうございますか。利用の充実を図っていくということかと思います。
(なし)

○下村小委員長 続きまして、大雪ですね。これは博物館の博物展示施設を旧来のものを壊して、別のところに新しくつくるというものですね。これは決定になりますが、いかがでしょうか。

○敷田委員 大雪のこの施設に関して、町の施設と一体で建設ということですよね。それまでは決定しているのですね。

○事務局 環境省のほうでも、やはりここにそういった拠点が必要というふうに前々から考えておりましたし、町のほうも博物館を廃止するということで、展示している物等について継続して展示したいということで、連結した施設を設置するということで今調整を進めておりまして。そういった建物をつくるということについては、ほぼその方針になっております。

○敷田委員 町の施設というのは、どういう内容でしょうか。

○事務局 町の施設は、東大雪周辺の自然環境を紹介しているようなパネルですとか、あるいは、例えば大雪に生息するエゾシカの剥製を置いたりですとか、あるいは、そこの周辺の調査の報告書を置いたりですとか、そういった貯蔵的な役割も兼ねているような施設というふうに聞いております。

○敷田委員 展示内容とか施設の利用に関しての調整は、進んでいると考えていいのですね。

○事務局 今ちょうど調整しているところです。維持管理ですとか、あるいは、機能の部分をどういった形で役割分担するかを国と町のほうで今詰めているところです。

○敷田委員 ありがとうございました。

○下村小委員長 ほか、何かよろしゅうございますか。質問、ご意見。
それでは4点目ですね、支笏洞爺。これは動物繁殖施設の変更ということで、拡張するということですね。ヒメマスの養魚地、こういうものも動物繁殖施設になるのですね。いかがでしょうか。これも特にございませんか。
(なし)

○下村小委員長 それでは続いて、小笠原国立公園ですね。これは車道幅の、特にカーブ地の車道の拡幅に関する変更です。これもいかがでしょうか、よろしゅうございますか。
(なし)

○下村小委員長 それでは続いて、南アルプス国立公園ですね。こちらは宿舎の変更ということで、旧来からあった宿舎を公園事業として位置づけていくと。これも、ある意味で広げるということになるのだと思うのですが。いかがでしょうか。
(なし)

○下村小委員長 では続いて、瀬戸内海国立公園ですね。これは宿舎の駐車場をも取り込んで宿舎事業として位置づけていくということですが、これもよろしゅうございますか。
(なし)

○下村小委員長 それから8件目が、雲仙天草国立公園で、これもほとんど活用されていない宿舎にかわって、新しい宿舎を指定して変更するということのようですが。いかがでしょうか。これもよろしゅうございますでしょうか。

○堀内委員 新たな経営者が新しい施設を整備されるということなのですが、なかなか、まあ、長期にわたって経営をしていただければありがたい話だと思うのですが。その辺の事業者の内容等についてはかなり、しっかり調査をされているのですか。

○事務局 執行に際して、その執行能力、財務的な収支ですとか、あるいは今後の事業計画といったところは、しっかりチェックはしていく予定でございます。決定された後、執行という形になりますけれども、現段階でも執行の見込みということでお諮りさせていただいているところですので、執行能力については、現場の保護官がしっかりチェックし、執行の能力については問題ないと考え、諮問させて頂いているものでございます。

○堀内委員 やはり、続けてもらうということが大事なことですので、その辺はしっかりとチェックはしていただきたいと思います。

○下村小委員長 どうもありがとうございました。
 ほかに、雲仙天草、よろしゅうございますか。
(なし)

○下村小委員長 8件通して、幾つかケースはありましたけれども、何か。特にございませんでしょうか。

○敷田委員 小笠原の案件ですけれども、カーブ部分の勾配の急なところの改善というふうに理解をしているんですけれども、ほかの部分については今後、計画があるんですか。この部分だけ直して、今後やらないという話で事業が進んでいますか。教えていただけますか。

○事務局 こちらのほうで確認しているところでは、ほかの部分での拡幅というのは、現段階ではないというふうには聞いております。もちろん、今回4メートルになりますので、そういったところでは、もし他の区間についても同様の工事の話が上がってきたとしても、十分に審査をさせていただくなり、調整をさせていただくなり、場所が悪ければ、適切な指導をさせていただくという形で考えております。

○下村小委員長 よろしゅうございますか。

○敷田委員 私、聞き漏らしたかもしれませんが、事業執行者は?

○事務局 事業執行者は、東京都です。

○敷田委員 東京都ですね。

○事務局 はい。

○敷田委員 この整備計画というのが既にあって、それを東京都が変更して、これを出してきたということですか。

○事務局 そうです。今回カーブの部分の工事をするということで、設計をしているというふうには聞いています。

○敷田委員 向こうの計画を変更したわけではないんですね。道路整備計画とか、何か持っていると思うんですけれども。

○事務局 ちょっとそこまでは現在把握しておりません。

○敷田委員 後で教えてください。ありがとうございました。

○事務局 はい、また調べてご連絡させていただきます。

○下村小委員長 よろしゅうございますでしょうか。
(なし)

○下村小委員長 それでは、8件の国立公園事業の決定及び変更については、適当と認めることにご異議ございませんでしょうか。
(異議なし)

○下村小委員長 それでは、本件については、適当と認めることといたしたいと思います。
 最初ちょっと、時間の問題があって焦りましたが、むしろ時間を余してしまいましたね。何か全体を通して、先ほど来、利用の計画の充実等のご指摘等もありましたし、あとはモニタリングですとか、そういったもののしっかりと充実というようなこともございましたけれども、何かほかに、特に宮本委員、今日はご発言がございませんが、特によろしゅうございますか。
(なし)

○下村小委員長 どうも審議へのご協力ありがとうございました。
 今日は、非常に的確に審議をいただけたんではないかと思います。ご協力ありがとうございました。
 本日の自然公園小委員会の決議は、後ほど部会長の同意を得て、自然環境部会の決議とすることになります。特にご意見がないようであれば、事務局にお返しをしたいと思いますので、連絡事項等あれば、お願いいたします。

○事務局 どうもありがとうございます。
 長時間にわたりご審議いただきまして、ありがとうございました。本日の会議資料、取扱いは公開でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

○国立公園課長 私から、ちょっと一言申し上げさせていただきます。
 本当にご審議ありがとうございました。また、説明の中で一部不備、不手際などございましたことを、今後の説明に当たりましての参考とさせていただくことにいたします。
 また、今回ご審議いただいた中で、いろいろと幅広いご意見をいただきました。特に国立公園の管理運営のみでは解決できないような問題。例えば野生動植物の保護について、公園外についてのお話でございますとか、あるいは逆にシカ対策のような問題で、私どもだけではやれないようなお話ということについてもご意見をいただいております。こういうことにつきましては、自然環境局の中の関係課と連絡をして、あるいは農林水産省なり、他省庁とも連携をしながら、取り組むように今後、努めてまいりたいと思っております。
 また、利用というものをもう少し推進するべきだと、さらにその中で、きちんとした普及啓発をして、よりよい利用、あるいはよりよい自然の認識をしていただくということに結びつけていくべきだというご意見、あるいは一方では、そういうことについて悪乗りをしないように、しっかりとした目的に沿った方向に進めるべきだというようなご意見もいただきましたので、そちらのほうにつきましても、今後とも、私どもとしてもよく考えてまいりたいと思います。
 また、一つ難しい問題でございますけれども、二次的な自然の担い手、どうするのかというお話がございまして、私どもも先般、阿蘇のグリーンストックの方からお話を聞いたりして、承っておるわけでございますが、これはなかなか難しい問題でございまして、どのような形で担い手の方を育てていくのか。あるいは、それについて国立公園としてどのようなご協力ができるのか。今現在、国立公園における協働型管理運営のあり方ということで、検討会・勉強会も進めておるところでございますが、こういう中でも、そういう担い手の問題のことも頭に置きながら、今後とも取り組みを進めてまいりたいと思っております。
 本日は、本当に貴重な意見をいろいろと賜りまして、ありがとうございました。

午後 0時16分 閉会