中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会議事要旨 (第20回)

開催日時

平成22年10月4日(月)15:00~18:00

開催場所

経済産業省別館 10階 1014会議室

議事

  1. (1)国立・国定公園の公園区域及び公園計画の変更について
  2. (2)生態系維持回復事業計画の策定について
  3. (3)国立公園事業の決定、廃止及び変更について

議事経過

諮問事項について審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。
なお、主要な発言は以下のとおりである。

<国立・国定公園の公園区域及び公園計画の変更について>
<生態系維持回復事業計画の策定について>

委員:
上信越高原国立公園(妙高・戸隠地域)で、富士見峠に避難小屋をつくるのか。
焼山から何時間ぐらいかかるのか。
事務局:
焼山から下りで1時間弱程度。
委員:
トイレの整備も行うのか。
事務局:
そのとおり。
委員:
野尻湖周廻線道路(自転車道)から野尻湖周回線道路(歩道)にするということだが、どのように変更するのか。
事務局:
現在整備されている区間には大きな変更はない。周回線という名称になっているが、周回していないので、必要な区間を整備していく。
委員:
道のでき方は自然のままか。
事務局:
整備方針は今後、地域の中で議論していくことになるので、現時点ではまだ固まっていない。
委員:
白山国立公園で、種子除去マットを敷くことの効果について。登山道の入口など一箇所に大勢の人が通るところに設置しても、前の人が落とした泥が後から来た人に付いてしまうのではないかという心配がある。誰かが常駐して、マットの土を回収しているのか。
事務局:
地域(環境省、県、地元の方)で協力して、泥を払ったり回収したりしている。
委員:
これからも継続していくのか。
事務局:
これからも継続していくが、メンテナンスがより楽な方法を検討していく必要がある。
委員:
蔵王国定公園について、芝草平で植生が復元されるまで入山は禁止するのか。
事務局:
入山の禁止は考えていない。現在は、木道が整備されているので、利用者が木道上を通行する限りは、植生に影響はないと考えている。過去に植生が損失した箇所の復元を行うもの。
委員:
上信越高原国立公園(妙高・戸隠地域)について、戸隠連峰縦走線道路(歩道)の一部区間を削除するということであるが、以前と比べて通れないという状況なのか。
事務局:
必ずしも通れないという状況ではない。
委員:
状況の変化に伴って計画から外すというのであれば理解できるが、それなりの対策を講じて残すべきなのか、一般登山者は通さないという意思表示なのか、そのあたりが分からない。
事務局:
危険度の高い箇所の利用をどう捉えていくかという問題。地元の遭難対策協議会あるいは観光協会においては、今回削除する区間は、危険度の高い箇所を含んでいるルート、いわゆるバリエーションルートであり、一般登山者向けではないという扱い。観光協会は、このようなルートについて、ガイド付き登山を推奨している。このような状況下、県や市を含めた地元と相談した結果、公園計画上明確に一般向けとの位置付けにしないほうがよいという議論を踏まえ、一部区間を公園計画から削除するもの。戸隠については、地元との話し合いのうえでこのような判断をしたものであり、北アルプスなど他の地域については、山域の特性を見ながら、個別に検討していく。
委員:
白山国立公園について、オオバコが生息する標高が高くなっているメカニズムを環境省ではどのように理解されているか、また、種子除去マットの効果を伺いたい。もっといろいろなところでこのようなマットを敷いたほうがいいのではないか。また、八ヶ岳中信高原国定公園の霧ケ峰は、元々草原だったのか。
事務局:
オオバコが生息する標高が高くなっている理由のひとつに、登山者によって種子が運ばれるということと、運ばれた種子が歩道上で生育して増加しているということがある。また、確実な関係性は不明であるが、地球温暖化により山の上の気温が上昇していくことが影響する可能性がある。白山山頂付近の温度は夏場で平均14℃強であるが、オオバコは15℃を超えると発芽率が上がるというデータがある。
種子除去マットの効果については、主要な2つの登山口で設置した結果、2カ月で22種類、12,000粒程度の植物の種が回収できた。その数が全体としてどのぐらい効果があるのか、靴の洗いがどのぐらいできているのか、データを踏まえながら、手法の改善について検討していきたい。
霧ケ峰がいつから草原だったのかは分からない。平坦な地形、冷涼な気候、土地がやせているということ、また、草原環境に適応してきた生き物がいることからも古くから草原として活用されていたことが推測される。このような里山的環境をどのような形で維持していくかについては、地域の目指す方向性による。地元で自然再生のための協議会を設置しており、地域の関係者が合意して草原景観を次の世代に引き継いでいこうとしている。
委員:
生態系維持回復事業は白山国立公園以外では実施しないのか。
事務局:
日本の山の国立公園では、多かれ少なかれ外来植物問題が起きている。今回白山で計画を作成したのは、地元が熱心にデータを蓄積しており、外来植物問題に積極的に取り組んでいるから。今後は、他の公園でも策定して参りたい。
委員:
白山のようにデータを蓄積しているような公園はそんなに多くはないと思うが、環境省は従来の自然を守る意味からしても、十分なデータがなくてもそこに外来種が生育していることだけでも問題であるため、事業を展開すべきである。大きな仕組みがなければ生態系維持回復事業計画を策定しないというのではなく、少しでも異常が見られたら対処療法的にでも事業を始めてほしい。
委員:
生態系維持回復事業計画について、ことに外来植物については明確な方針と目標を持ってほしい。放置すると外来植物はどんどん増えていくと思われるが、国立公園内における外来植物対策はしっかりした方向性を持って、本気で取り組んでいる姿勢を見せたほうがよい。事業が増えていくなかで、方針がしっかりしていないと予算付けが難しくなる。
事務局:
非常に重要な問題なので、計画を策定していく上では、公園ごとに特徴が異なるなかで、管理目標や管理水準を設定し、その中で外来種についてどうするかを考えていきたい。例えば、管理計画の中で外来種対策をどうするかを設定して、事業を優先させるべき所については、優先度の高いところから実施していく。
委員:
ボランティアの参加は非常にいいことだが、環境省として国立公園では外来植物は退治するという意思表示をして、その中で、個々の公園の個別計画を立てる必要がある。順序としては、大きい観点から環境省における国立公園の外来植物への対策をどうするかを明確にしておく必要がある。
委員:
確か尾瀬が一番先に外来植物の除去に着手したはず。1970年代はオオバコがかなりはびこっていたが、長年取り組んできたので、最近はあまり見なくなった。だから、対策を講じることはやはり必要なので、断固たる方針を持ってしつこくやっていただきたい。
委員:
尾瀬の対策は具体的に何をやったのか。マットの効果がありそうだとなると、他の登山道の入り口でもどんどんやっていくほうが、1カ所で実施するよりも意味があると思われるが。
事務局:
白山や尾瀬に限らず、できるところだけではなく、全国で外来植物の問題があるところについては取り組みたい。白山は車道があまりなく、登山道対策が中心的というあたりがモデル的である。どのようなことが効果的なのか、他の公園でも応用できることがあるかを検討したい。
委員:
この方法で効果があると分かった時には、至る所で外来植物に侵されている可能性が高いのではないか。方針を明確にしたら、実施可能なところから予算措置などの具体的施策を施すべき。
事務局:
登山に係るもので言えば、全国的にこまめにいろいろなところを見る予算措置が最近充実してきたところ。車道に係る部分については、関係省庁の検討会や研究会を立ち上げており、牧草のインパクトなど外来植物について対応を考えている。

国立公園事業の決定、廃止及び変更について

委員:
奥入瀬の自然環境を守るためにトンネルのバイパスを整備することは大英断と考える。ただ、残土埋立地の景観や水処理が問題になるのではないか。また、環境省は事業の内容に対してコメントをするだけでなく、財政的な補助やデザインの指導などもっと積極的にかかわっていくべきではないのか。
事務局:
残土は高さ3m程度埋め立てることになるが、仮囲いをすることで景観への対策を行う計画になっている。また、水処理については沈砂池を設置することで濁水の流出を防止するとともに、水質調査を実施し、問題が確認された場合は必要な措置を講じることになっている。
事務局:
補助金制度は平成17年の三位一体改革により廃止され、国定公園の事業に対する交付金のみになってしまった。デザインや安全面に関しては指導をしている。また、地域によっては利用を推進するための協議会があり、環境省も参加するなど協力できる部分で連携していきたいと考えている。なお、奥入瀬では関係機関が奥入瀬渓流利用適正化協議会を設置し、マイカー規制を試行的に実施している。
委員:
トンネル整備とマイカー規制の関係がよく分からない。
事務局:
現在、奥入瀬渓流区間でマイカー規制を試行的に実施しているが、トンネルができることで本格的なマイカー規制を実施する土台が整うという意味である。
委員:
このバイパス構想は昭和50年代から検討が始まったが、バイパスの重要性からすると工事の進捗が遅すぎる。
委員:
国の直轄事業としてはできないのか。
事務局:
これだけの大規模な事業になると環境省ではできないことから青森県が執行することになっている。環境省としては早急に工事に着工するように働きかけをしていきたい。
委員:
トンネルができることで奥入瀬渓流区間への車の通行を物理的に止めることが可能になる。トンネル完成までに、奥入瀬渓流区間の交通規制のあり方や歩道利用のあり方の議論を進めていただきたい。
委員:
工事の着工予定や工事期間はなぜ事業決定書に明記されないのか。
事務局:
工事の着工予定や工事期間は、工事の認可申請で確認するようになっており、事業決定では明記していない。

報告

国立・国定公園の総点検について
なお、主要な発言は以下のとおりである。

委員:
地域振興というか、環境教育やエコツーリズムなどが盛んになるように道筋をつける。そして、地域がこぞって公園化を望むようになると良い。また、国家として研究機関を要所要所に配置し、知見を集積しないと説得力がない。これを実現し、維持していくことを同時に考える必要がある
委員:
日本の国土の美しさを世界にPRする非常にいいチャンスだと思う。また、既存の国立公園の見直しもきちんとやっていただきたい。
事務局:
日本の国立公園制度は、地域の意識が非常に重要で、地域に期待される国立公園にならないとうまくいかない。その際に、様々な人々の自然に対するニーズに応えられる利用体系を十分に考えたうえで、国立・国定公園の指定を進めていきたい。既に指定されている公園の見直しもきっちりとやっていきたい。その際には、どのような利用がふさわしいのか、そのために何ができるのかを十分に考えていきたい。
もう一点の研究の蓄積について、公園管理のベースとなる自然環境のデータ、大学等研究者とのネットワークづくりが重要。世界自然遺産の知床及び屋久島を中心に、データも充実してきて体制づくりも進んできている。こうしたモデルを参考に多くの国立公園でデータ収集も進めたい。
委員:
環境省でも研究体制をきちんとつくったらどうか。つまり、国家としていくつかの国立公園に研究機関を配置してはどうかということ。
事務局:
地域の理解を得る上でも、利用面の対策も含めてやらなければいけない。今年はエコツーリズムを進めるうえで必要なコーディネーターの派遣や一定の施設整備をセットでできる仕組みづくりを予算要望している。ハードとソフトを一緒に提供して、国民に大切な自然を楽しんでいただきたい。
特に生態系等については、科学的な分析を充実しなければならない。今回、すべてのところを国立公園でカバーするわけではないので、希少種の分布なども含めて、今後どういう形で守っていくか抜本的に検討をする。
国際的には生物多様性版のIPCCをつくるという動きもあるので、IPBESの設立についても日本として積極的に関わって、アジア地域の生態系の分析などについても寄与したい。
事務局:
COP10において、今回のギャップ分析について各国の方に紹介するためのパンフレットをつくっている。いろいろな形で国際的に日本の取組をアピールしていきたい。
委員:
国立・国定公園の保護地域の面積の拡大について、国土面積に対する割合などの目標値はあるのか。
事務局:
生物多様性条約の保護地域作業計画と、2010年目標という条約全体を進めるための目標がある。陸域・海域を合わせて、国立・国定公園を含む保護地域全体を各国において10%以上とする目標。COP10ではポスト2010年目標について議論されるが、2020年までに陸域は15%または20%、海域は数値を示さずに議論される予定。
国内においては、パーセンテージを明示するほどデータをまだ十分に有していない。しかし、現在、国立・国定公園の面積は国土の約9%であるが、全ての候補地を指定できた場合は2桁には乗ることは期待できる。
委員:
今後10年間の保護対策をはっきりと打ち出し、守るべきところは守るという意思表示が必要。また、他省庁とも早めに調整しなければ、いざ国立公園指定・拡張というときに今回の調査が劣化してしまう。その結果、国民の財産が失われていくことになるので、そうはならないようにしていただきたい。
委員:
前回(1971年)の国立公園指定候補地の一つであった会津駒ヶ岳等が、2年ほど前にようやく尾瀬国立公園に指定された。前回の候補地も約10年間で、ほとんどが指定されたが、幾つかこのような積み残しがあった。
委員:
今回の候補地については、まだ地元に具体的な話をしていないということだが、できるだけ現場に近いところに情報を提供し、地域の賛同者を増やしていく方法を取ったほうがよい。
事務局:
現場の事務所もあるので、対象地域には情報を早めに伝えたい。保全の視点だけではなく、いかに資源を活かして良い地域にしていくかという点も含めて地域と一緒に検討し、具体的な公園指定につなげていくことはとても大事。
委員:
1970年に計画したことが最近になって実現したということだが、世の中の環境が変わっているのではないかと思う。そういう大きな世の中の動きを考慮に入れた国立公園のあり方も検討してほしい。
事務局:
10年の間にも社会のニーズは大きく変わっていく。その動向をとらえ、ふさわしい国立公園にしていかなければならない。自然環境保全に対するニーズが高まっていく中で、18地域以外でも対象地域になりうる場所も出てくると思われる。18地域以外も社会のニーズを見ながら、対象になりうるところは対象にしていきたい。

問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-3581-3351)

課長上杉 哲郎(内線6440)
課長補佐中山 隆治(内線6443)
公園計画専門官佐々木 真二郎(内線6438)<公園計画、生態系維持回復事業計画>
事業係長中島 治美(内線6447)<公園事業>
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