中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会(第19回)議事録

開催日時

平成22年7月21日(水)13:30~15:50

開催場所

経済産業省別館8階 827会議室

出席委員

(9委員)

有路 信  臨時委員
川名 英子  臨時委員
隅 研吾  臨時委員
小泉 武栄  専門委員
小林 寛子  専門委員
鹿野 久男  小委員長
田部井 淳子  委員
速水 亨  臨時委員
原 重一  専門委員

議題

  1. 開会
  2. 議事(諮問案件)
    1. (1)国立・国定公園の公園区域及び公園計画の変更について(3公園)
      ・知床国立公園[一部変更]
      ・尾瀬国立公園[一部変更]
      ・愛知高原国定公園[第1次点検]
    2. (2)生態系維持回復事業計画の策定について(2公園)
      ・知床国立公園   ・尾瀬国立公園
    3. (3)国立公園事業の変更について(3公園)
      ・中部山岳国立公園 ・雲仙天草国立公園
      ・霧島屋久国立公園
  3. 報告
    ・国立・国定公園の総点検の取組みについて
  4. その他
  5. 閉会

配付資料

○議事(1)及び(2)関係

資料1:
知床国立公園に関する資料
1-1
知床国立公園の公園計画の変更及び生態系維持回復事業計画の策定の概要
1-2
知床国立公園 公園計画書(案)
1-3
知床国立公園 知床生態系維持回復事業計画(案)
資料2:
尾瀬国立公園に関する資料
2-1
尾瀬国立公園の公園計画の変更及び生態系維持回復事業計画の策定の概要
2-2
尾瀬国立公園 公園計画書(案)
2-3
尾瀬国立公園 尾瀬生態系維持回復事業計画(案)
資料3:
愛知高原国定公園に関する資料
3-1
愛知高原国定公園の公園区域及び公園計画の変更の概要
3-2
愛知高原国定公園 指定書及び公園計画書(案)
3-3
愛知高原国定公園区域図
資料4:
公園計画等の変更及び生態系維持回復事業計画の策定に関する説明資料

○議事(3)関係

資料5:
国立公園事業の変更の諮問案件について
資料6:
国立公園事業の変更案件の概要(一覧)
資料7:
国立公園事業の変更書(案)
資料8:
国立公園事業の変更案件に関する説明資料

○報告関係

資料9:
国立・国定公園総点検事業の進め方
資料10:
生態系タイプを代表する重要地域の抽出方法
資料11:
国立・国定公園の新規指定等検討対象地域の選定の考え方(案)

議事録

午後1時29分 開会

○国立公園課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会を始めたいと思います。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員数のご報告をいたします。本日の所属委員12名のうち、現在8名ですが、速水委員が今タクシーでこちらへ向かっているということですので、9名ということで、本日の委員会は成立いたしております。
 本日の審議のためにお手元にお配りしております資料につきましては、配付資料一覧のとおりとなっております。お手元の資料をご確認ください。
 議事1、2関係で資料1から資料4、議事3関係で資料5から資料8、さらに、報告関係で資料9から資料11となっております。配付漏れ等がございましたら事務局にお申し出くださいますようお願いいたします。
 それでは初めに、環境省鈴木自然環境局長よりご挨拶申し上げます。

○自然環境局長 ご紹介にあずかりました鈴木でございます。きょうは本当に暑い中、またお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日は、いくつか議題がございますが、1つは、シカの害に対応するということで、ご承知のとおり、全国各地でシカの食害が厳しい影響を与えておりまして、特に、国立公園等の核心的な部分にまでシカの害が及んでいると。このまま放置しては、貴重な生態系や植物、動植物の保護もなかなか先行きが非常に懸念されるということで、こうした問題に抜本的に取り組んでいく必要があると思っておりますが、そうした一環で、国立公園の中で生態系維持回復事業というのを法律改正して制度をつくりましたので、こうしたものも利用して、シカに対応していきたいということで、その関係の案件もご説明させていただきます。
 それから、もう1つは、自然と人間の観光をどう調和させていくかということなんですが、遺産地域等については、非常に観光客の方がいっぱい入られるのですが、そうした観光の方の利便性を確保しながら、やはり貴重な自然も守って、また安全に見ていただくという形での利用調整の制度、実は、これは既に大台ヶ原で導入しておりますけれども、本当に利用の多いところでの活用ということで、知床の利用調整制度をつくろうということで、お諮りするところがございます。
 また、いつものとおり、公園事業の変更等につきましても、ご相談させていただきます。
 それから、最後に、ご報告事項ということにしておりますけれども、この秋のCOP10で、全体の世界目標の中で保護地域の拡充が議題になるということになっておりまして、国内的にもそうした新たな世界目標の変更等を踏まえて、公園の区域を拡充していく必要があるという課題も出てまいります。
 そうした中で、これまでやってきております総点検のご説明をしながら、今後どういう方向で取り組んでいくかということも、またご意見を伺えればと思っております。
 非常に盛りだくさんの課題でございますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。

○国立公園課長補佐 それでは議事進行に入ります前に、小委員長の解任及び指名についてご報告申し上げます。
 前回、鹿野委員が体調不良で欠席されたため、熊谷委員を小委員長に指名させていただきましたが、今回鹿野委員が出席しておりますので、再度小委員長に指名されることになったものでございます。
 それでは、これよりの議事進行につきましては、鹿野小委員長にお願いいたします。
 鹿野小委員長、よろしくお願いいたします。

○鹿野小委員長 それでは、これから審議会を始めたいと思います。
 ただいま事務局から説明ありましたように、私、前回体調を崩しまして欠席させていただきました。一旦解任されたのですが、また再任されましたので、皆さんご協力よろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会を開催いたします。
 本日の委員会は、公開で行いますので、報道関係の方、傍聴の方もおられると思います。
 また、会議録は後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開するということになります。
 なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私小委員長が見させていただいて、公開したいということでご了承願いたいと思います。
 また、本日、膨大な会議資料が配られておりますが、この会議資料につきましても公開となりますので、ご承知おきください。
 それでは、早速審議に入りたいと思います。
 本日の諮問案件は、先ほど局長からお話がありましたように、3つの国立・国定公園の公園区域及び公園計画の変更に関する案件、2つの国立公園の生態系維持回復事業計画の策定に関する案件、また、3つの国立公園の公園事業変更に関係するものでございます。
 それでは、早速、事務局から説明していただきたいと思いますが、議題の1、国立・国定公園の公園区域及び公園計画の変更と、2の生態系維持回復事業計画の策定、これは2公園ですが、この2つの議題は極めて関連いたしますので、事務局の説明はまとめてお願いしたいと思います。

○事務局(佐々木) 国立公園課の佐々木と申します。
 まず、最初の国立公園等の公園計画等の変更と生態系維持回復事業計画の件を説明させていただきます。座って失礼いたします。
 今回、国立公園の知床と尾瀬で公園計画の変更を行って、知床では利用調整地区というものを全国で2例目となりますが、指定したいという案件になります。それから、知床で、シカ対策の生態系維持回復事業計画を策定したい。また、尾瀬では、生態系維持回復事業計画、こちらもシカ対策がメインになりますが、策定したいということになります。また、国定公園は、愛知高原国定公園で区域を拡張したり、公園計画を変更して、主に湿地の保全について強化したいという案件になっております。
 それでは、順を追って、まず知床からご説明させていただきます。
 知床国立公園の概要ですが、昭和39年に指定され、陸域が38,000ha、海域が22,000haぐらいです。
 特徴としては、大変自然度の高い原生的な景観で、知床連山の火山連峰とか、海蝕断崖、それから流氷などが見られるのが特徴となっております。
 今回諮問させていただくのは、利用調整地区と生態系維持回復事業の2つで、最初に利用調整地区からご説明をさせていただきます。
 利用調整地区は、知床五湖という場所で設定したいと考えております。知床五湖なのですが、非常に自然性の高い針広混交林が分布していて、そこに5つの名前のとおり湖があり、その5つの湖を回りながら散策することができるという場所になっています。重要な野生生物の生息地にもなっております。また、年間約50万人ほどが利用する場所となっておりまして、知床国立公園の中でも最も利用者数が多い場所となっております。
 資料4を見ていただきながらご説明をさせていただければと思います。資料4がパワーポイントのスライドを印刷したものになっております。
 ただいま5枚目のスライドを映しております。まず、知床五湖の状況ですが、知床五湖はここに一湖、二湖、三湖、四湖、五湖という5つの湖がありまして、それを巡るように地上歩道と私たちは呼んでおりますが、歩道がついております。地上歩道はこの一湖から二湖、三湖、四湖、五湖を巡る大きなルート、大ルートと呼んでおりますが、こちらが約3kmあるところを回るルートと、それから、一湖と二湖をめぐって、またこちらの駐車場のところに帰ってくる小ルートという2つの利用のされ方がなされております。それとは別に、こちらは高架木道と言いまして、クマなどと遭遇しないように安全性に配慮した木道というものも整備しております。利用拠点としては、こちらの駐車場とインフォメーションの施設などがある場所があって、ここを中心に地上歩道に入ったり、高架木道を利用していただくというような利用のパターンになっております。
 知床五湖の利用状況なのですが、世界遺産に登録されたのが平成17年ですので、そのときの影響もあって、利用者数が非常に増えておりましたが、最近は徐々に落ち着いてきております。高架木道は、平成18年度から一部区間の供用が開始されていて、最初は利用が多くて、徐々に落ち着いてきているという状況です。
 ただ、知床五湖の地上歩道なのですが、時間当たりの利用者数等を見ても、時期によっては非常にたくさんのお客さんが押しかけるというような状況になっております。時間当たり300人を超えるような利用の状況になりますと、こちらのように非常に長い列ができまして、混雑した状況になっております。主に混むのは8月の夏休みの期間、それから9月、10月の連休の期間などが非常に混むということが過去の調査から分かっております。
 このように混んでいる状態になると、皆さん歩道を踏み外して周りの植生を傷つけてしまったりとか、もしくは、ショートカットをして歩道でないところを歩いて裸地が広がっていくという状況が確認されております。
 一方で、地上歩道ではもう1つ困っていることがありまして、ヒグマが出没する場所になっておりますので、ヒグマが目撃されたりとか、それから、発信機で調査しているクマがいますので、それがこの地上歩道に近づいた場合は、安全面の観点から地上歩道を閉鎖しております。供用しているのが全部で214日あるのですが、大ルートも小ルートも両方閉鎖されるのが23.5日、それから大ルートのみが閉鎖されるのが109日という状況になっていて、お客さんが来ても閉鎖されていて利用できないというような状況も起きております。利用機会が減少して魅力が損なわれていくと。また、ヒグマが目撃されたり、発信機がついているクマが来たら閉鎖をするのですが、それでも茂みに潜んでいたクマがいきなり出てくるとか、そういった危険が常にある場所でして、ヒグマに対して知識のない方がたくさん入っていくということに対しては、非常にリスクの高い状態になっているのが現状です。
 また、利用者の方々には、現地で周知を徹底はしているのですが、それでもソフトクリームを持って食べ歩きをして入っていこうとする人がいたり、ヒグマを誘因してしまうような利用者の行動も見られます。
 知床五湖の地上歩道で起こっている課題としては、ここに挙げたとおりでありまして、利用集中による植生の荒廃、それによって、混雑するので静寂な利用環境とは言いがたい状態。それから、ヒグマが出没するので利用機会が減少していたり、それから、食べ歩きとかをしてしまって、それにクマが誘因されてしまう。そういったことがあると、ヒグマの生態も乱れていくことになります。また、利用者の安全面も心配されるような状況になっております。
 そこで、知床五湖の利用のあり方協議会という協議会を、環境省が事務局になって現地で開催をしてまいりました。こちらは平成21年の2月から開催している協議会でして、この中で知床五湖の利用を今後どうしていくべきかということをずっと話し合ってきました。
 ヒグマが多く生息する場所に不特定多数の利用者が入ろうとすることには限界があるということ、それから、利用集中による良質な自然体験の質の低下、これは混雑して騒がしい、植生が荒れる、ヒグマの生態を乱す、そういったおそれがある。一方で、年間50万人も訪れる知床五湖は、地元から見れば非常に重要な観光地でありまして、この利用環境を維持し続けて地域の活性化に貢献していくということも大切なこととなっております。
 そこで、空間をゾーニングして、2つの利用環境を選択できるようにということで、対策案を考えてまいりました。1つは、安定的にかつ安全に、だれでもいつでも利用できる空間として高架木道を整備します。もう1つは、一定の人数を制限して、それからルールをしっかり守っていただいた上で、良質な自然体験ができる場所として地上歩道を使っていく、こちらが利用調整地区の指定を検討したいというところになります。
 こちらについては、キャッチフレーズ「野生を育む、知床五湖。共生へ、新しいふたつの歩き方」ということで提案をしたいと思っております。
 高架木道は、平成22年度から全線が開通しております。こちらは、このようにかなり頑丈な歩道となっていまして、不特定多数の人が安全で安定した利用を確保できる場になっています。地上歩道は、原生的な自然環境を体験する場として利用調整地区の指定を平成23年度を目標に検討を進めていきたいと考えております。
 こちらが高架木道なのですが、このように2mから5mぐらい地上から高いところに木道が走っておりまして、全長が8kmぐらい、車いすの走行も可能になっております。この柵の脇には電気柵が設置してありまして、ヒグマが登ってきても柵の中に入れないような構造になっております。
 こういった高架木道を整備して、こちらは自由に無料で誰でも利用していただける場所として整備しました。一方、地上歩道は、全員にヒグマ対策、植生保護の観点からもレクチャーを受講してもらうと。守っていただきたいルールを徹底して理解していただき、その上で入っていただく。それから、ヒグマが多く出没する時期とそうでない時期とあるのですが、ヒグマが多く出没する時期は、確実にヒグマに対処できる人間が同行することを義務づけたいと考えております。また、立ち入り人数を制限して混雑感を解消して、植生保護とヒグマとの軋轢を防止し、良質な自然体験を提供していくということをやりたい。
 これを解決するために、さまざまな利用のコントロールの手法を協議会の中で検討を行ってまいりましたが、結果として、利用調整地区の指定が最も良いだろうということになりまして、利用調整地区を指定することとして検討を進めてまいりました。
 利用調整地区の制度のご説明ですが、自然公園法の23条に規定されております。国立公園の特別地域、また海域公園地区の中で利用調整地区を環境大臣が指定することができます。指定をすると、この中で一定のルールと利用者数の上限を定めて、自然環境に悪影響が出ないような利用をしていくということになります。
 利用者は、ここに入るときには立ち入り申請をする。そして、認定を受けてから立ち入るという流れになるのですが、指定認定機関という環境大臣が認定する民間の機関に、その認定事務を任せることができるような規定になっております。利用者は、立ち入り申請のときに、どうしても指定認定機関の事務手数料が発生しますので、その手数料を払った上で認定証を受け取って立ち入るということになります。
 知床五湖の利用調整地区は、このように特別保護地区の中の5つの湖がすべて含まれて、地上歩道がすべて含まれるような区域として56.4ヘクタールを指定したいと考えております。一部高架木道敷と重なるところがあるのですが、高架木道敷は利用調整地区には指定しないで除くこととしております。
 ここまでが今回の諮問案件となるのですが、ここから先は利用調整を具体的に行うときの細かいルールになってまいります。こちらのルールについては、自然環境事務所の所長が利用適正化計画というものを定めることになっておりまして、その中で、利用調整を行う期間ですとか、利用者数の上限、利用上のルール、守ってほしいルールなどを定めていくことになります。それらの中で大事なもの、規制に大きく関わるものとして、ご説明差し上げたとおり、期間、利用者数の上限、それから利用上のルールなどについては、別途告示でも定めることとされております。
 ここからは、告示で定めるような中身、利用調整適正化計画の中で定めるものを現在協議会のほうで、ほぼ地元で合意がとれておりますのでご紹介して、どのような運用になるのかというのをご説明したいと思います。
 利用調整を行う期間は、5月10日から10月20日を考えております。ヒグマが非常に多く出没するヒグマ活動期と植生保護期に分けまして、5月のヒグマが多く知床五湖に来るヒグマ活動期については、利用の量と行動を十分にコントロールしたいと思っております。植生保護期については、ヒグマがそれほど高頻度で出てくる時期ではないので、利用の量をコントロールして植生を守る。それから、利用のルールの周知を徹底して行うということで対応したいと考えております。
 知床五湖の利用調整地区に入るときの基準、守っていただくルールということになりますが、全期間共通の基準としては、事前のレクチャーを受けていただく。これは例えば、歩道を外れて植生を踏み荒らさないでくださいですとか、ヒグマを目撃したときにどのぐらいの距離感だと逃げなければならなくて、どのぐらいの距離感だと静かに通行すればいいのかとか、そういった基本的なルールをレクチャーします。また、食べ歩きなども禁止したり、一方通行なども徹底するということをやっていきたいと思います。
 ヒグマ活動期のみ適用される基準としては、1日当たり300人を上限として、立ち入る者もしくは団体の代表者がヒグマの対処法を習得した者であるとして環境省が認めた者であるということ、それから、団体の代表者を含め1チーム、1団体11人までで、地上歩道上の同時滞在数は8チーム以下というような、わりと厳しいルールを適用しようと考えております。それから、植生保護期の基準については、1時間当たり300人で、1日当たり3,000人という基準で考えております。
 供用開始までのスケジュールとして現在想定しているものとして、今回利用調整地区の指定に係る諮問が行われまして公園計画変更の告示がされましたら、利用適正化計画、それから注意事項などの告示を行って、認定事務を実際に行う指定認定機関の指定に関する告示、それから、現地でレクチャーを行うための施設の整備などを行って、平成23年5月に利用調整地区をスタートさせたいと考えております。
 以上が知床五湖の利用調整地区の説明となります。
 続きまして、生態系維持回復事業の中身をご説明させていただきます。
 この制度は、昨年6月に自然公園法を改正しまして、今年4月から施行されておりまして、今回初めて知床国立公園と尾瀬国立公園で計画を策定するというものになっております。自然公園法の38条に生態系維持回復事業の規定がございます。
 生態系維持回復事業は、近年シカとかオニヒトデとかによる食害の深刻化などによって、国立・国定公園内の生態系が衰退したり、優れた自然の風景地が損なわれているということに対して、生態系を維持回復するための管理を行っていくという流れになります。
 まず、公園計画に生態系維持回復計画というものを位置づけます。この公園計画には、区域ですとか、全体の方針を位置づけます。その後に、別に生態系維持回復事業計画というものを策定することになります。こちらには、さらに踏み込んだ目標ですとか、事業の具体的な中身を決定することになります。策定する主体は、国の関係省庁が連携して策定することとなりまして、その計画に賛同して一緒にやりますという地方公共団体、民間の方は、環境大臣による認定を受けていただくということになります。そして、いろいろな主体が連携して公園内で生態系維持回復事業を実施していくという流れになります。
 この計画を策定したり、また、地方公共団体の方などが認定を受けるメリットとしては、個別の、例えば特別保護地区の中で動物や植物を捕獲するとか、調査や捕獲のための機材を設置するといった、公園法上の個別の許可が不要になります。また、環境省では別途予算措置もしておりまして、さまざまな対策を打っていくことが可能になります。このようなメリットがあります。
 イメージとしては、今回はシカの計画ということで、シカの例を持ってきたのですが、シカの分布が拡大してきまして、近年は非常に山の高いところなどや湿原などにもたくさん進出してくるようになりましたので、樹皮剥ぎですとか、お花畑だったところがシカが食べない植物だけになってしまったりとか、湿原をシカが食べたり掘り返してしまったり、また、踏み荒らしたり、ヌタ場といって、ごろごろ転がって湿原が破壊されてしまったりというような事態が起きています。これに対して防鹿柵を整備して、貴重な植物をシカに食べられないようにガードしたり、シカを捕獲するなどの生態系被害を防止するための事業を実施していくという流れになります。
 では、知床国立公園のシカの生息状況ですが、1970年代に知床半島でシカが見られるようになりまして、1986年にこの岬の地区で53頭ぐらい確認されていたのが、98年には592頭ぐらいまで増えて、近年非常に急速に知床半島でのシカの生息数が増えてきており、非常に高密度な状態が続いております。また半島全体では、4,000頭から6,000頭ぐらいの生息数と推定されております。
 具体的にどういう被害が出ているかといいますと、これは知床半島の先端部の岬のところなのですが、昔はこのように人の背よりちょっと低いぐらいの高茎草本の群落があったのが、今はこのように背丈の低い草原になってしまって、植生が大幅に変わってしまった。また、シカが食べない外来植物のアメリカオニアザミですとか、そういう植物が繁茂していく、また、知床にしか生えていないと言われているシレトコスミレが食害を受けてしまっている。シカによる樹皮剥ぎで植物の木が枯れてしまったり、そういったことが起きております。
 今回、計画の内容になりますが、農林水産省と環境省の共同策定、農林水産省は林野庁が対象になります。事業の期間は、告示の日から平成27年3月31日まで。事業の目標としては、エゾシカの採食圧による影響の低減を通じて、公園内の原生的な生態系の維持回復を図るということになります。目標としては、北海道のエゾシカは一度、明治のころに絶滅寸前までいって、かなり個体数が減ったのですが、その後また増えてきておりますので、近代的な開拓が始まる前の明治以前の生態系を目標として維持していくのが良いのではないかということで、現地で議論をされているところです。
 維持回復事業計画の内容ですが、まず、区域は公園全域としております。また、事業の内容は、こちらに挙げた1から5までですが、これは自然公園法の施行規則で、これらのメニューを行うこととされているものをそのまま引用しているものになります。
 では、1から5までの具体的な中身について説明させていただきます。
 生態系の状況の把握及び監視ですが、こちらは基本的には、エゾシカの生息状況をしっかり把握することです。増えているのか減っているのか、移動していくルートはどうなっていて、越冬地はどこにあるのか、そういった情報を集めていきます。それから、守るべき生態系のモニタリングをやるという中身になっています。これの守るべき生態系として、いろいろな植物の生育状況、植生調査。それから、哺乳類、鳥類、両生、は虫類などの動物の生息状況の把握。それから、シカが通っていくことでシカ道ができたりして土壌浸食が心配されていますので、土壌浸食の状況も把握しようということで計画を考えております。
 それから、生息・生育環境の改善については、海岸性植物群落の改善手法、先ほど知床岬のところで高茎草本が様変わりしてしまった写真をご覧いただきましたが、そういったところでの植生を戻していくための様々な検討、実証試験を行っていくということ。それから、エゾシカの越冬環境の改変として、特に道路の法面などで外来の牧草などを吹きつけてしまうと、冬の間も割と寒い時期まで緑が残っているものですから、シカの越冬中のえさ環境として非常に良いものになってしまうので、なるべく道路の法面などで冬に青々としているような植物を植えないように誘導していく、そういったことを計画として考えております。
 それから、シカの防除。なるべく効率的な捕獲をしていこうということで、仕切り柵や餌づけ器具などのいろいろ工夫をしながら獲っていく。それから、ガードするための防鹿柵や樹皮保護ネットを設置していくということを考えています。また、シカが植物を食べることで、シカが食べないアメリカオニアザミなどが増えているところもあるので、大事な場所についてはシカが食べない植物を抜いていく、特に外来植物については抜いていくということを考えております。
 それから、普及啓発については、当然地域の方や公園利用者には理解していただかなければいけないので、普及啓発と様々な調査、なるべく効率的なデータの取得方法ですとか、繰り返し捕獲でエゾシカが学習して、捕獲効率が低下しないような手法の検討などを行います。また、適正に実施されるために他の計画、鳥獣保護管理計画、北海道が策定している狩猟の計画ですとか、そういうものとの整合性、また関係機関と連携してやっていく。それから、この計画自体を定期的に見直していくといったことが計画に盛り込まれております。
 参考として、現在環境省が実施している事業の紹介ですが、これは岬のところにある防鹿柵でこのように囲って、シカが食べないようにすることで、どのぐらい植物が回復してくるかというのをモニターしているところです。やはり柵で囲うと植生が回復してきて、シカによる影響を排除すれば、もとの植物群落に戻っていきそうだということが確認され始めております。
 それから、捕獲です。今は知床の先端の知床岬で重点的に捕獲をしているのですが、密度操作実験といって集中的に捕獲をして、低密度にするためにはどういうふうにしていったらいいのかというのを検討しているところです。こちらも3ヶ年の事業で実施して、2007年から2008年の冬にかけて最初に開始したのですが、徐々に成果が得られてきているという状況になっております。今後この岬地区では、より効率的な捕獲をするために、仕切り柵をこのように設置して、シカをなるべく追い込んで、効率的に捕獲できるようなものを設計するようなことも考えております。
 そのほか、林野庁でもこのように柵を設置して、シカの影響を排除するような区域をつくって、植生がどのように回復していくのかモニターをしています。斜里町でも同じようなことをやっております。そのほか、いろいろな主体が既に事業を着手している、または今後やろうとしておりまして、役割分担はこのようになっております。公園の区域内と公園の周辺でそれぞれやっていく。特に北海道とか、羅臼町、斜里町などの自治体の方々には、公園の外での取り組みも大変力を入れてやっていただいているところです。
 以上が、知床国立公園の生態系維持回復事業計画のご説明となります。
 続きまして、尾瀬国立公園の計画になります。
 尾瀬国立公園は、平成19年に指定がされておりまして、面積が37,000ha、本州最大の高層湿原と山の山岳景観が特徴になっております。
 尾瀬国立公園のシカの生息状況ですが、1990年代までは尾瀬にシカはおりませんでした。90年代の半ばになってシカが確認されるようになってまいります。
 ライトセンサスという方法でシカの生息数をずっと調査しているのですが、何日間か調査して、その平均値と最大値と最小値をとるという方法で調査していますが、98年頃に比べて、2008年では約3倍になっていて、最近、尾瀬で非常にシカが増えているという状況になっています。
 このライトセンサスの結果を尾瀬の湿原全体に当てはめて推定してみると、平均値で98年に90頭ぐらいいたのが、2008年に305頭、最大値で換算すると、98年に258頭いたのが、2008年には862頭ぐらい尾瀬にシカが生息しているということが推定されました。
 尾瀬国立公園のシカの生息状況ですが、春になると尾瀬にシカが入ってくるようなことが確認されております。尾瀬ヶ原ですとか、尾瀬沼ですとか、あちこちに点在している湿原などでいろいろな植物を食べて生活して、冬になると標高の低い方に移動していくということが分かってまいりました。GPSをシカに取りつけて季節移動を追跡したり、雪の上に残った足跡を調査することで移動経路などを調査しますと、こちらに尾瀬ヶ原と尾瀬沼があるのですが、このようにどんどん南の標高の低いほうに逃げていくというか、越冬地を求めて移動していくということが分かります。
 シカの最終的な移動地点は共通ではなくて、いろいろな越冬地に落ち着いていくというような状況がつかめてきたのですが、場所によって、このようにいろいろなところからシカが集まってくるような、移動経路の幹線になっているようなルートもわかってまいりました。ですから、こういったところで対策をすれば、効率的に対策が打っていけるんじゃないかということを考えております。
 尾瀬国立公園のシカの被害状況ですが、ミズバショウですとか、ニッコウキスゲ、リュウキンカなどの尾瀬を代表するような植物が食べられてしまうということが起きております。以前は、木道から離れた林の淵のあたりの食害が多かったのですが、最近では木道の付近まで出てきて植物を食べていくというふうに、だんだんシカの食べる範囲が広がってきているというのが確認されております。
 植物を食べるほかに、シカが歩いてシカ道になってそこの植物がなくなってしまう、またヌタ場といってごろごろ背中を地面にこすったりするようなところでは植生がはげてしまうというような被害も出ております。このように攪乱されているところが尾瀬でどのぐらいあるかというと、こちらが尾瀬ヶ原で、尾瀬沼なのですが、この赤丸で囲ったところがシカによる攪乱、食べられたり、裸地になってしまったりしているところです。20年度の空中写真の判読だと、151haのうちの1.26ha、約0.8%が攪乱されているということがわかっております。この攪乱は年々広がる傾向が見えておりますので、大分シカが増えてきているなということが、このようなデータからもうかがえます。
 尾瀬国立公園の計画の内容ですが、こちらも林野庁と環境省の協同策定、事業の実施期間は26年3月31日まで。事業の目標は、尾瀬の構成する重要な生態系を守り、ニホンジカの影響の低減をして、原生的な生態系の維持回復を図ることを目標としたいと考えております。
 尾瀬国立公園は、基本的には、昔はシカがいなかったということで、できることならば尾瀬からシカを排除したいと考えているのですが、なかなかそこは一足飛びには難しいことなので、まず当面はシカの影響をなるべく低減していくという目標を考えております。
 区域は、尾瀬国立公園の全域となっておりまして、事業内容は、施行規則に書かれているものを題目に挙げております。
 中身としては、基本的な構造は知床国立公園と同じような感じでして、シカの生息数、動態の把握をしていく、それから、影響を受けている植生の調査をしていくという流れになります。また、生息環境の改善としては、シカの攪乱で植生の回復が見られないような箇所については、植生を回復させるための対策を打っていくというようなことを考えております。
 それから、シカを具体的に捕獲ということで、こちらも仕切り柵の設置などによる効率的な捕獲、それから防鹿柵の設置とか、樹皮保護ネットで守るということを考えていきたいと思っています。
 また、地域住民や公園利用者の理解の普及啓発、事業を適正に評価するための監視手法のようなものを調査研究、実証試験を進めていくということと、既存の計画との連携、この生態系維持回復事業計画そのものの見直し、それから、関係する主体との連携を盛り込んでおります。
 尾瀬国立公園で具体的に進められている取り組みのご紹介ですが、先ほど尾瀬国立公園全体でどのぐらい攪乱地があるかなどの把握をしておりましたが、空中写真を使いまして、攪乱状況を把握するというようなことをやっております。これで経年的に攪乱地がどのように広がっていくのかなどをしっかり押さえているということをやっております。
 先程シカが集中して通る幹線があるという話をさせていただいたのですが、そのような場所にこのような仕切り柵を設置しまして、そこで移動してくるシカを一網打尽にとってしまう。または、尾瀬国立公園に入り込んでくるシカをその柵で仕切って入れないようにするということをやっております。
 また、福島県では、わりと積極的に尾瀬の中でシカの対策をやっていただいておりまして、シカの攪乱地の調査をしていただいたりとか、またはこれは福島県だけではなくて、周りの県の皆さんにやっていただいていますが、シカの捕獲技術を狩猟者の方にレクチャーして、どんどん捕獲効率が上がるようにというような講習会などを開いていただいてもおります。
 こちらは参考ですが、公園の中と外で、特に外は県の協力がたくさん得られているところなのですが、連携してシカの対策を打っていくというようなことを現在役割分担として想定しております。
 それでは、続きまして、愛知高原国定公園の計画変更についてご説明させていただきます。
 こちらは公園区域の変更の公園区域を広げる拡張が32ha、それから保護規制計画の変更として、第2種特別地域に新しく格上げするところが81ha、それから第3種特別地域にするところが6ha、第3種特別地域から普通地域に格下げをするところが84ha、それから利用施設計画の変更として2施設を追加することを考えております。
 資料の3-3のところに、公園区域全域と各変更箇所が落ちているところがございますので、そちらを見ていただきながら、公園全体のどこの位置にあるのかというのを把握していただければと思います。
 まず、公園区域の変更についてですが、こちらは隠山池というところで、1番でして、資料の左上にあります。ジュンサイですとか、ヒツジグサ、タヌキモといった植物が生えている良好な池がございます。こちらは市街地に近いこともあって、市民の憩いの場ともなっています。こちらの池のところを1ヘクタール拡張するという中身になっています。
 それから2番目が、恩真寺の湿地になります。資料3-3では、中央のあたりにございます。こちらは東海丘陵要素と呼ばれている、愛知県とか東海地方に特徴的な、東海地方にしかないような植物ですとか、隔離分布するような植物などで構成されている植物群がございます。それが生育している湿地が含まれているエリアになります。具体的には、ミカワシオガマとか、シデコブシといった特徴的な植物がこの湿地に生えておりまして、周囲の森林の部分、アカマツとコナラの自然林ですが、こちらとあわせて約26haを拡張して、第2種特別地域として保護していくということを考えております。
 それから、3番、京ヶ峰というところですが、こちらは先ほどの2番の左のあたり、西のあたりにあるところです。こちらも豊田市が自然観察の森として、市民の自然観察などの拠点として活用している場所でして、その一部区域、自然観察の森は既に公園区域に含まれているところもあるのですが、今回は、公園区域に含まれていないところも全部公園区域に含めようということで拡張することになります。こちらはクロマツ、コナラ等の良好な林がありまして、都市近郊の貴重な緑地がある区域となっております。こちらは周りが第3種特別地域なので、それに合わせて第3種特別地域で指定するということを考えております。
 これから先は格上げ、規制を強化するということになります。
 まず、9番の築水池、こちらは資料3-3の一番左上になります。こちらも東海丘陵要素であるシデコブシが生息していたりとか、ハギソウとか、トキソウといった希少植物が生えている池とその周りの湿地ですね。周辺はアカマツ、コナラ林となっていて、こちらも市民の自然と触れ合うような重要な場所として、第2種特別地域で指定することを考えています。
 また、10番、矢並湿地というところで、こちらは資料3-3の真ん中よりちょっと南西のあたりにございます。先ほどの豊田市の自然観察の森の一部となっておりまして、こちらも東海丘陵要素の植物、ミカワシオガマ、シラタマホシクサといったようなものが生えているところでして、周辺のコナラ林とあわせて第2種特別地域に格上げして、保護を強化するということを考えております。
 それから、11番、六所山というところになります。こちらは資料3-3の中央の下のほうにございます。こちらはモミ、ツガなどの常緑針葉樹の原生林、ブナ、ミズナラの落葉広葉樹林が混生しているような場所で、市民が自然環境と親しむような場所として活用されているような場所です。こちらも規制を強化したいと考えております。
 それから、規制を第3種特別地域から普通地域に下げるところですが、まとめて説明させていただきます。4番から8番までになります。
 こちらは住居とか工場が立ち並んでしまいまして、特別地域に値するような良好な自然環境が保持されていないということで、特別地域から普通地域に下げるというようなことを考えております。
 それから、利用施設計画の追加になります。
 三河湖といいまして、資料3-3の中央のちょっと右下あたりに44番と45番がございます。三河湖は四季を通じて観光利用がされている場所でして、既に駐車場ですとか園地といったものが公園事業として整備されています。ここを豊田市で、さらに整備をして利用を増進していくということで、休憩所と展望施設を計画として追加して整備を図っていくということを計画しているものとなります。
 以上で、公園計画と生態系維持回復事業計画に関する説明を終わらせていただきます。審議のほうをよろしくお願いいたします。

○鹿野小委員長 説明どうもありがとうございました。
 ただいま知床国立公園、尾瀬国立公園、そして愛知高原国定公園と3公園についての公園計画の変更と生態系維持回復事業の策定についてご説明いただきました。この3件につきまして、ご質問、ご意見等ありましたらお願いしたいと思います。

○田部井委員 知床五湖の利用のところなんですけれども、ページでいくと20ページになりますか。事前のレクチャー受講は何人ぐらい可能なのかということと、事前の申請というのでしょうか、事前に申込制になっているのか、来た順から入っていくのか、その辺をちょっと教えていただきたい。
 それから、1チーム11人までになっていますけれども、10分おきにどんどん入れていいのか、ガイドはつけないのかその辺も教えてください。

○事務局(佐々木) まず、レクチャーを同時に受講できる人数ですが、概ね50人程度入る部屋を用意しまして、そこでレクチャーを受けて入っていただくということを考えております。もちろんこれは植生保護期の利用者の利用数が3,000人という、多いほうの時期を想定したもので、そのような設定を考えております。
 具体的には、ヒグマ活動期につきましては、引率される方と一緒に入っていただくというのをルールにしますので、事前予約という形で、引率される方の名簿などを公表しておいて、その方々に利用者の方がアクセスしていただいて、その方のガイドで入っていくというような流れを考えております。なので、ヒグマ活動期については、その引率者の方が代表者となって利用の申請を行って、まとめて認定を受けて、レクチャーを受けてから入っていただくという流れになります。
 一方、植生保護期につきましては、引率者が同行することを義務づけませんので、こちらは事前予約ではなく、当日受付で、来た人がそこで申請書の様式をもらって書いて、レクチャーを受けて認定証を受け取って入っていくという流れを想定しております。
 それから、ガイドは、ヒグマの活動期のみ義務づけとなりまして、植生保護期、8月1日から始まる時期については、義務づけをしないこととしております。こちらはヒグマの出没頻度が8月以降は非常に下がるということが経験的にデータとして得られるということから、そのようにしております。

○田部井委員 昨日まで層雲峡にいましたら、露天風呂では日本語は聞こえなくて中国語ばっかり聞こえてくるのですけれども、中国語で対応できるようなことも考えておられますか。

○事務局(佐々木) はい。知床五湖でも近年、海外のお客さんが増えていると言われておりまして、現地での看板ですとか、それからこの事前レクチャーについても多言語で対応しようということで、中国語ですとか英語ですとか韓国語といったものでレクチャーが受けられるということを想定しております。実際に海外の方で利用ルールとか、文化が違うというところもあるのですが、ちょっと日本人ではやらないようなことをやってしまうなどと、現地では問題が起きているとも聞いております。

○鹿野小委員長 ちょっと私から。今のお話の中で、例えば、私どもが今の知床五湖の利用調整地区に入りたいと、そうしたら実際にどうするのですか。ちょっと教えてください。手数料の振り込み等を含めて教えてほしいのです。

○事務局(佐々木) まず、植生保護期に行くかヒグマ活動期に行くかでやり方が変わるのですが、ヒグマ活動期に行くときは、現地を案内できるガイドさん、引率者の方々に、利用者はツアーの申し込みという形でしていただいて、そのツアーのガイドさんが代表して手続をして、手数料も支払って、代表者、引率者の方が責任を持って団体を案内して入るという流れになります。なので、事前予約という形です。
 植生保護期については、事前予約ではなくて当日受け付けになりますので、当日、知床五湖に車なりシャトルバスで行っていただいて、そこで入りたいですという申請を窓口でしていただくと申請書をもらえるので、それに記入して提出して、レクチャーを受けて手数料を払うと認定証がもらえるので入れるというような流れになります。

○鹿野小委員長 はい、ありがとうございました。
 ほかに。小林委員。

○小林委員 私も知床五湖の利用調整のところが非常に興味があったので、ここをちょっと質問させていただきたいのですが、このパワーポイントで言うと18ページのところに、利用調整地区の概要のところに、利用者と環境大臣と指定認定機関というところがありますが、今のお話でいくと、この指定認定機関というのは、いわゆる地元のツアー会社ということになるのでしょうか。

○事務局(佐々木) こちらの指定認定機関については、まだ現在決定はしておりませんで、ツアー会社などでもなる資格はあります。
 今後、この公園計画の変更が無事できることになりましたら、指定認定機関としてやりたい方を公募する形になります。やっていただける方の中で、手を挙げていただいた中で最もふさわしい方を選びまして、指定認定機関として指定するという流れになります。

○小林委員 基本的に、ヒグマの活動期には必ずガイドが必要だということは、その要求されるガイドというのは、いわゆるネイチャーガイドが必要なのか、それともいわゆる観光ガイドというか、添乗員程度の引率者、例えば地元のおじさんだとか、学校の先生だとか、クオリティーですごく差が出るんじゃないかなという気もするのですけれども、それは環境省で何らかのスタンダードをお決めになるつもりがあるのか、既に決めていらっしゃるのか。

○事務局(佐々木) まず、この利用調整地区の設定に当たりまして、そのあたりを実験というか、どういう方ならいいのかというのをいろいろ現地で議論をしてまいりました。基本的には、ガイドの技術は、環境省では、特に審査の要件としては考えておりません。やはりヒグマに対してきちっと対処できるということが大事な観点になってまいります。同行者をしっかり安全に誘導できるか、また、ヒグマに悪影響を与えないような行動を利用者にとらせることかできるかというような形で考えております。
 こちらの引率者、なのでガイドという言葉ではなくて、なるべく引率者という言葉を私供は使うようにしているのですが、こちらの引率者につきましては、環境省で、まず養成のためのレクチャーというものを過去も実験的に実施しておりますし、今後も実施していくことを考えています。
 養成のカリキュラムを受講していただいて、その後にしっかりヒグマに対して対処できるかどうか、また知床五湖の地理的な状況などをしっかり理解しているかどうかというものを審査します。それに合格した人を、この人は知床五湖でヒグマに対処できる引率者として登録しましょうという流れを考えております。

○小林委員 ありがとうございました。いいですか。もう1つ。その植生保護期もちょっと気になるのですけれども、この時期に、例えば立ち入る場合に、1日に3,000人というふうになっていますよね。当然この時期8月から10月は観光シーズンですので、旅行会社などがツアーで人を送り込みたいということを考えた場合に、どうしてもやはり高架柵のところではなく、この植生保護期に入りたいといった場合に、当日に申し込みをしなければだめなのか、事前に何人かの枠をもらえるのか、あるいは行ってみたけどだめだった、今日はいっぱい人がいたので入れなかったというがっかりするような状況があるのか、その辺もちょっと教えていただけますでしょうか。

○事務局(佐々木) こちらのスライドを見ていただきますと、時間単位でどのぐらい入っているのかというところなんですが、基本的には利用が集中する時間帯というものがございます。逆にしばらく待っていただければ時間単位での制限がなくなるので、ちょっと待っていただければ入れる可能性は十分あります。それでも1日当たりの上限などがありますので、どうしても入れない日などは出てきてしまう可能性もあります。ただ、そのためにも高架木道は確実に利用できるということで準備を進めてきたということと、なるべくならば、やはり利用が集中する日ではないほかの日にも分散していただけたらという誘導を図っていきたいなということを考えております。

○速水委員 私も知床のところで伺いたいのですが、パワーポイントの16ページのところで、先ほど質問は同じなんですけれども、指定認定機関というのは公募でどこか1カ所選ばれるという話なんですが、基本的に何か条件を設定して公募されるわけですか。

○事務局(佐々木) そうですね。利用適正化計画の中に、どのような認定をするのかとか、手続的なものを定めておりますので、それが確実に実施できるかどうかというのが、まず審査の要件になります。

○速水委員 何らかに資格要件を要求しているというふうなこともあるわけですか。例えば、指定認定機関として申し込めるのは、こういう資格を持った人がいなければいけないとかというふうな形は考えていらっしゃるのですか。

○事務局(佐々木) そこまでのものは考えていないですね。ちゃんと審査が実施できるような体制があるかどうかを書類でチェックするということになります。

○速水委員 微妙なところだと思うんですけれども、しっかりした組織じゃなきゃいけないし、公募をやる以上、きっちりした公募の形になっていないと、将来いろんなところで問題が起きてくるのだろうと思いますので、その辺の条件設定を、微妙なバランスの中で公募の公開性と、それと指定機関の持っている能力という部分のバランスをしっかりとったような公募をやっていただかなきゃいけないなと思っています。
 それと、ガイドと指定機関との関係はどうなるのでしょうか。ガイドというか、さっき何とおっしゃいましたか。引率者。

○事務局(佐々木) 引率者は、基本的には、指定認定機関とは切り離された存在になりますので、関係がないということになります。

○速水委員 引率者の試験というか、講習を行うとおっしゃられているのですけれども、そこは何らかのきっちりとした資格制度とか免許制度のような形で、引率者をはっきりと区別するような形にされるのでしょうか。

○事務局(佐々木) そうですね。この人はちゃんと対処ができるということで、環境省がリスト、名簿を作成して公表しますので、そこははっきり明確になります。

○速水委員 そこは何かの根拠があるわけですか。

○事務局(佐々木) そこは環境省が実施するカリキュラムをちゃんと受講していただいて、その後、チェックをしまして対処ができるかどうかを審査して。

○速水委員 いや、そのやり方はわかるのですけど、その人しか引率してはいけないよというのは、特権的な権利になるわけですね。それに対する何か根拠づけは、どこかでとられているのですか。制度として。

○事務局(佐々木) そうですね。まず告示の中で、環境省がヒグマに対処できる者として認めた者を入ることができるというふうに定めたいと考えております。それに基づいて、地方環境事務所長が、この者はヒグマに対処できる者として登録するという手続を踏みたいと思っております。

○速水委員 それならそれで結構なので、なるべく習いたい、そういうことをやりたいという人が、年に1回なり2回なりの講習がきっちり受けられるような条件を設定しておかなければいけないんだろうと思うんですね。最初の段階では、限られた方々がそこに登録されていくけど、もしそれがひとつのガイドビジネスとして有効だとなれば、新しい参入者が当然出てくるだろうし、そうすると、ガイドのコストの問題だとか、そういう競合的、競争的な価格が生まれてくるというふうな形にしていかければ意味がないと思いますので、そういう意味では、ある程度新規の方がそこに入れる状況はオープンにして、必ず確保しておかなきゃいけないと思うんですね。既存の権利としてずっと残ってしまってはまずいと思いますので、その辺を最初の制度設計のときに十分に注意をしてやられることが大事だろうというふうに思います。

○審議官 ご指摘を受けて、運用の方法というのをつくっていきたいなと思っているのですけれども、まず、引率者の認定は、現地の自然環境事務所長が認定をするという形をとるのですけれども、これまで知床五湖でヒグマと利用者の事故が起きないように、随分長年にわたって蓄積があります。地元の方が本当に懸命に体を張って事故が起きないようにしてきたという歴史と、そこで蓄積されてきたノウハウがあるので、事務所長が認定するに当たっては、そういう現地に蓄積されているノウハウを十分生かしながら講習も行っていきたいと思いますし、認定にもそういうことを反映させていくようにしていきたいのが1つ。それから、今のガイドしている人で限定というわけじゃなくて、速水委員がおっしゃるように、そういう講習なり、それから現場での対処技術の試験を経て、能力があると認められれば追加的に引率者に入っていただく。この仕組みを動かしていくためには、十分な量の引率者が確保できるかどうかというのは大変ポイントにもなっていますので、そういう追加的な引率者の認定ができるような運営をしていきたいなと思います。
 それから、最初の点、指定認定機関の公募はまさにこれからなので、その辺の公平性の確保とか、しかしながら、ちゃんとした認定機関じゃないと動かせない、その両面がカバーできるような公募の仕方を配慮していきたいと思います。以上です。

○川名委員 エゾシカもニホンジカも多くなると捕獲とありますけれども、捕獲したものは全部駆除しちゃうのですか。

○事務局(佐々木) はい。基本的には駆除になります。

○川名委員 駆除ですか。食べることもいいかもしれませんけれども、要するに、駆除することについての何か法に触れるとか何とかというのはないんですか。

○事務局(佐々木) 撃ったシカを運び出すのも非常に大変な場所なんですね。車もないようなところでシカを撃ったりするので、そういった苦労は当然あるんですが、できるだけ活用できるものは、特に北海道の事例はそうなんですけれども、肉として食べられるようなことも検討して、実際にそちらに回すということもやっております。

○川名委員 それも駆除のひとつですか。

○事務局(佐々木) そうですね。殺したものをそうやって活用するという。

○鹿野小委員長 川名さんの質問はもっと素朴な疑問で、シカを撃ち殺していいんですかということだと。

○川名委員 そうです。

○事務局(佐々木) 基本的にシカは非常に大型の動物になりまして、生け捕りにするというのは大変難しいものだと考えております。
 日本人は、昔からシカをとって食べるということをやってまいりましたし、ある程度の数をとるということは、逆にそれをやらないと国立公園の中のほかの希少植物が全滅してしまったりとか、もしくは、ひどい場合になると土壌が崩壊して山が崩れていってしまう、そういったことも可能性としては考えられますので、やはりある程度は仕方ないところかと考えております。

○国立公園課長 スライドで言うと34ページのところに、特定鳥獣保護管理計画ということが書いてございます。これは北海道庁が作成をしているものなんですけれども、もともと北海道内でもシカがものすごく増えまして、農林業被害も含めて大変被害を及ぼしているということで、国立公園に限らず道内一円でかなりシカの数を減らす努力をそもそも行っております。これはもちろん鳥獣保護法という自然公園とは別の法律体系に基づいて実施をされておりまして、それは国立公園にかかわらずやっているということなんですけれども、特に国立公園内は自然をできるだけ維持したいという中で、こういう野生生物もその要素のひとつですから、そこをどうするかというのは大変議論があるところでございます。
 ただ、今回、自然公園法を改正して生態系維持回復事業を位置づけたのは、そもそもこういう知床のような場所で、植生にものすごく被害が起こってしまっている。その原因がやはりシカが非常に増えてしまったことにある。通常の自然の状態をはるかに超えるような、もともと知床で維持されていたような植生がなくなってしまうという恐ろしい状態が生じていることに端を発して、法も改正して制度を新たにつくったということでございます。そういう意味で、やむを得ずある程度コントロールするということを、今回は自然公園法に基づいてきちっと位置づけたいという中身になっております。

○川名委員 野生生物保護と普通の生態系を維持するということの兼ね合いをここでちゃんとしていくということなんですね。

○国立公園課長 はい。もっとわかりやすいのは尾瀬のほうだと思うんですけれども、もともとここは全くシカがいなかったところで、シカが増えて、入ってきてしまったという場所ですので、そもそも自然の状態に戻すのにはシカがいないほうがいいという発想の場所ですし、知床もそんなに数がいなかったはずでありますので、今の状態は大変異常な状態であるというのが前提になっております。

○隈委員 尾瀬のほうは、異常な状態だという割には今の駆除のやり方は逆にスローのようにも感じるのですが、そんなにたくさん除けと言っているわけじゃないんですけれども、今は柵があるわけですよね。その柵の外にどんどん誘導するなり何なりの手段はとりようがないんですか。これを見ていると、偶然見つかったものは撃って、自然に長い年月かけて減ればいいなみたいな感じだから、ちょっとその異常な状態という割にはのんびりした感じを受けたんですけど。

○事務局(佐々木) ちょっとご説明をさせていただきます。
 まず、先ほど尾瀬で仕切り柵を設置して、そこで効率的にとっていこうという話をやっているのは、具体的には、こちらの場所で柵を設置して移動してくるシカをまとめて捕獲するということをやっております。そのほかに、尾瀬沼の周りで、足くくりのわなでシカを捕獲したりとか、また、銃で撃つということも実際にやっております。
 尾瀬でシカをとるというのは、始まって今年で3年目になるのですが、徐々に効率的な手法が編み出されたりして、捕獲できる数が増えてきておりますので、今後、さらにそれを拡大していくことで何とか影響を押さえ込んでいきたいと考えております。

○有路委員 非常に簡単な質問をしますけれども、知床の利用調整を行う期間は、5月10日から10月20日とありますが、それ以外は自由に入って良いということなんでしょうか。

○事務局(佐々木) 知床五湖の場合は、4月の下旬あたりから雪が解けて知床五湖に車で到達することができるようになります。4月の下旬あたりから5月10日までは基本的には自由に入れる。また10月以降、11月まで利用ができるのですが、そのあたりも自由に入れる時期になります。特に11月は、利用者数が毎年、非常に少ないということがありまして、利用調整期間を設定しなくても大丈夫だろうという判断をしています。

○有路委員 それから、先ほどいろいろお話があった引率者の点なんですけれども、スキルがどれぐらいなのか全然イメージがわかないのですが、今お考えになっている引率者の全体数というか目標数、どれぐらいの人がいれば、ここのガイドが十分にできるかどうかというのは何かお持ちなんでしょうか。あるいはそのスキルを持っている人は今現在どのぐらいいるか、そのあたりのことをちょっとお聞かせください。

○事務局(則久) 釧路自然環境事務所、則久と申します。
 この利用調整、スキルの話ですけれども、もともと知床にはヒグマがたくさん生息する中で、バックカントリー利用のガイドをやっているガイドさんは、かなりたくさんいらっしゃいます。その中で、今までずっと無事故で来ているという実績があり、その方々の中から引率をしていただくということを想定しております。非常にここは森林の深い地域ですので、いわゆる見通しの悪いところで、あらかじめ人間が近づくときに声を出すとか、合図を送ることによって、クマにこれから人が行くよとちゃんと知らしめていくと。要するに、突発的な出会いをまず避ける、そこが徹底してできるかどうか。要するに、この先危ないなと思うときに、必ずそこで声を出すなり何なりをして、お客さんを留めながら行けるような技術を持っている方であること。そして、万が一出会ったときに、クマの様子と状況を判断して戻っていく。まずは安全に戻ってきましょうと。地元で議論している中には、将来的にはクマが目の前にいてもクマが移動するのを待って、すり抜けて通ってくれるぐらいのハイレベルなガイドさんもできないかという議論もあって、実際そういうガイドさんも何人かはいらっしゃるのですが、いきなりスタート時点で全員そういうレベルで求めると、本当に2人か3人しか入れなくなるということもあって、まずは見たら引き返します。特にその相互回避を徹底してやれるというところを今のところは最重要視しております。
 こういった方々ですけれども、知床で数十名ガイドさんいらっしゃる中で、知床五湖の今回のシステム、今年も試験運用を1カ月間やりましたけれども、これに26名のガイドさんが協力をしていただいて、この方々は大丈夫だろうというような見込みでおります。ただ、利用調整が本当に始まって終日回すとすると、やっぱりこの人数では回りませんので、さらにこの倍なり3倍ぐらいを回さないと、彼らもこの五湖だけでやっているわけではなく、いろんな地区でガイドがおりますので、せっかく行っても入れないということが生じますので、そこはガイドの養成をしていきたいと。
 ちょっとご説明が長くなりますが、もともと知床でガイド実績のある方に限定してこのシステムに乗ってもらおうとしていたのですが、ここは外部のガイドさんから、地元ガイドによる資源の囲い込みだという批判と、住民の方からガイド優遇だという批判があったので、そこは間口を広げました。しっかりした研修を受けて、現場のインターンとして何回も活動していただける方であれば、そのインターンを1年やって、1年で数回なんですけれども、それをやった方であれば、翌年から参加できますということで、基本的にだれでも1年間そこでトレーニングを受けて、次の年から始めるという仕組みに変えまして、ですから、23年のスタートは当面、今やっていただいている恐らく26名からのスタートになりますが、今年の秋にも新規募集開始しまして、来年から養成を兼ねながら、24年度からさらに引率者の人の数を増やしていくということを目指しております。

○有路委員 ありがとうございます。
 それと、生態系維持回復事業計画のほうなんですけれども、個人的にはもっとやってほしいなと思うぐらいなんですね。なぜ知床と尾瀬だけこの計画をつくられたのか、あるいは、たまたま今回はこの2地区だけれども、ほかの公園でも同じような計画を立てようとされているのか、あるいはその見通しみたいなことを決めていただいたらと思うんです。
 それは、先ほどの話じゃないですけれども、尾瀬から追い出せばいいという問題じゃなくて、尾瀬から追い出せばほかのところにまたシカの被害が出るわけですよね。だから、そういうことを考えていると、絶対数が今非常に多いんだろうと思うので、個別の公園の対策だけじゃなくて、何かそんなような対策が本当は必要なのではないかなと個人的には思うんですけれども。

○鹿野小委員長 今の質問の、こういうことをほかの公園で考えているかどうかということと、もう一つは、鳥獣法の特定事業を、特定計画をもうちょっと説明していただかないと、根っこが皆さんに理解できないと思います。よろしく、どうぞ。

○国立公園課長 国立公園に限って見ても、ほかの公園でも大変問題を生じているところが増えてきております。例えば、尾瀬国立公園のすぐ隣の日光国立公園の戦場ヶ原なども昔から問題になっておりますし、それから、南アルプスですとか、あるいは霧島、屋久島、全国いろんな国立公園で問題が生じてきています。
 今それぞれの公園で調査等にも着手しておりますし、必要に応じて防鹿柵等の設置なども取り組みを進めているところでして、そういう意味で、この生態系維持回復事業については、ある程度準備をしつつ、計画がある程度立てられるところまで、熟度の高まったところから順次公園計画に位置づけていきたいというふうに考えております。
 一方で、公園だけではなくて、全国的にどう考えるのかという話でございますけれども、基本的に、鳥獣保護法で鳥獣の管理をするというのは、実は自治体に権限がおりています。それで、先ほどの特定鳥獣保護管理計画も、基本的には都道府県が中心になって定めているというものであります。
 鳥獣法とはまた別に、鳥獣被害対策特措法という法律ができまして、これは市町村レベルでも計画を立てて、駆除等の事業もできるという新たな法律もできておりまして、これは農林水産省が中心になりまして、そういう駆除のための事業の予算措置も含めて、かなり取り組みが進められてきているところだと思います。
 今回は、被害の大きい国立公園サイドの目から見てどうかというご説明をしたところですけれども、全国的にはシカだけじゃなくてイノシシなども増えたりということで、問題が生じている部分については、鳥獣保護法なり鳥獣特措法なりに基づいて対策はそれぞれとられていると思います。
 先ほどの尾瀬から追い出したらどうなるかということで言えば、周辺部のそういう意味では、この特定鳥獣法、保護管理計画と連携をうまく図って、周辺は、なかなか国立公園サイドから公園の外に出ていくことは難しいのですけれども、実際そこをやっているのは自治体でありますので、協議会をつくって情報交換を密にしながら、連携しながら進めていくという形をとっていきたいと思っております。

○速水委員 今の尾瀬の生態維持回復事業なんですけれども、尾瀬の中も含めて、民間の電力会社が随分大きく持っていらっしゃいますね。近年、私ちょっとそこと森林管理のほうで関わりがあったんですけれども、以前と異なりまして、随分森林管理を計画的にやり始めていることがあって、そことシカの問題との協力体制というのは非常に大きいと思うんですね。それは公園自体の回復も大事ですし、森林管理をやっているほうにとっては、森林の生態をどう維持していくかというところも非常に大事なところで、その辺、林野庁との連携あるいは国有林との連携は図られているのですけれども、そういう比較的規模の大きな民間の森林所有者との連携というのを少しご説明いただければありがたいなと思います。

○事務局(佐々木) 尾瀬については、やはり現地で協議会を持っておりまして、その中で、公園の中も外も含めて関係者で連携してシカ対策をやろうということをテーマにして、話を進めております。その協議会のメンバーにも電力会社の方ですとか、山小屋の方々とか、そういった方々に入っていただいて、当然シカをとるということになれば、山小屋の利用者の方々に周知していただかないといけないので、協力をお願いしたりとか、そういった諸々の連携が徐々にできるような形になってきております。今後もさらにしっかりやっていきたいと思っております。

○鹿野小委員長 ほかにございませんでしょうか。

○小泉委員 今までの話と全然違ってよろしいですよね。今度は愛知高原国定公園のほうにちょっと話を持っていきたいと思います。よろしいですか。
 愛知高原国定公園を拡げていただいて、とってもありがたく思っています。ちょっとお聞きしたいのは、ここにいろんなところ、湿原とか挙げられていますけれども、このデータはどこからとられたのでしょうか。

○事務局(佐々木) データといいますと。

○小泉委員 場所の選定ですね。

○事務局(佐々木) 今回は特に地元で保護活動などがされていて、もしくは利用上とても利用者が来るところで、公園として重要になるだろうというところを選んでいって、区域として取り込んだというのが実情でございます。
 ただ、実は、このような湿地は小規模なんですけれども、たくさんこのあたりの地域に分布しているということがわかっておりまして、今後、環境省でも少し調査を入れまして、どのあたりにどういう湿地が分布していて、どういう植物が生えているのか、地元での保護管理の体制がどうなっているのかといったことを調べて、また公園の点検の機会をつかまえて取り組んでいくとか、保護の規制をかけていくといったことに挑戦していきたいと思っております。

○小泉委員 それで、追加でお願いしたいのですが、実は土岐や多治見や中津川にも結構いいところがたくさんあるんですね。ですから、今回は愛知高原国定公園に入れたのですけれども、もしこれから検討していただけるのでしたら、飛騨木曽川国定公園に瀬戸から土岐、多治見、それから中津川ですか、あのあたりを入れるような形で検討していただけると私はありがたいのですけども。ぜひその辺はよろしくお願いしたいと思います。

○鹿野小委員長 その辺は一番最後の報告のところでも少し触れますかね。

○事務局(佐々木) はい、わかりました。

○審議官 有路委員から一番最初にあった質問で、利用調整期間の5月10日から10月20日のその前はということで、その前は利用は自由ですという説明だったのですが、利用調整時期の仕組みからすれば、5月10日より前は利用調整の対象にはしないということなんですけれども、現場的には、地上歩道については、クマが地上歩道に出ていれば閉鎖することはあり得るということで、利用調整時期の仕組みは5月10日からという状況です。

○鹿野小委員長 それでは、ただいまご審議いただきました、国立・国定公園の公園区域及び公園計画の変更について、また、国立公園における生態系維持回復事業計画の策定については、適当と認めることでご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○鹿野小委員長 ありがとうございました。
 それでは、本件については、適当と認めることといたします。
 次に、国立公園事業の変更について、3つの公園をまとめてご説明お願いします。

○事務局(中島) ありがとうございます。
 国立公園課の中島です。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、自然公園法第9条第5項の規定に基づきまして、中部山岳国立公園を初めとする3つの国立公園の3件の国立公園事業の変更について諮問をさせていただきます。
 本件に関する資料は、お手元の資料5から資料8となっております。まず資料5が、今回諮問させていただく件数の内訳でございます。裏面が、今回の諮問案件に関連する国立公園の位置を示した全国地図となっております。資料6が、案件一覧、A3のものでございます。資料7が、冊子のものでございますが、本審議会の諮問事項となります国立公園事業の変更書です。各事業の説明につきましては、資料8のパワーポイントを用いて行わせていただきますので、それをご覧いただければと思います。
 それでは、前面スクリーンをご覧ください。座って失礼いたします。
 まず、国立公園事業に関する制度について、簡単にご説明をさせていただきます。
 先ほど、議題1でご審議をいただいたところでございますが、各国立公園におきましては、風致景観を維持するための方針を明らかにしまして、あわせて公園として利用上必要な施設の整備方針を示すことにより、公園の適正な運営を行うために、公園計画を作成しております。
 これは、今、小笠原の父島の公園計画図を映しておりますけれども、第1種から第3種の特別地域であるとか、また普通地域など、公園区域内を区分いたしまして、特性に応じた保護や利用を図るものを規制計画と呼んでおります。また、利用の増進を図るための園地ですとか宿舎、また車道等に関する計画が利用施設計画でございます。また、植生復元であるとか自然再生などを行いますのが、保護施設計画でございます。
 公園事業は、この施設計画に基づいて執行される事業のことでございまして、施設計画によって、大まかな位置であるとか整備方針が示されましたものに関しまして、詳細な規模などを決めることを公園事業の決定と呼んでおります。
 決定する規模につきましては、事業種ごとに決められておりまして、この表に示しますとおり、車道であれば幅員と路線距離、園地であれば区域面積、また宿舎であれば面積と最大宿泊者数を決めることとなっております。
 公園事業の決定要件といたしましては、まず1つ目に、事業の内容が公園計画に適合していること。また、2つ目が、事業の内容が風致景観の保護上支障のないこと。そして3つ目が、国立公園事業の執行の見込みがあることとしております。この決定した内容につきまして変更の必要性が生じた場合には、事業決定の変更、そして、対象事業を行う必要性がなくなった場合には、事業決定を廃止することとしております。この決定・変更・廃止、いずれにつきましても審議会に諮問させていただくこととなっております。環境省が実施をします直轄事業につきましては、この事業決定に基づきまして執行しております。また、環境省以外の民間の方や自治体が事業を行う場合には、この決定規模に応じて環境大臣が認可等を行うこととなっております。
 先生方には、事業実施に伴う自然環境への影響評価や、事業の位置や規模の適切性について、ご審議をお願いしたいと考えております。前回の秋の審議会では、46件と大変件数が多かったのですが、今回3件だけでございまして、いずれも過去に決定した内容を変更する内容のものでございます。
 それでは、それぞれの案件について、ご説明をさせていただきます。
 まず1件目が、中部山岳国立公園の岳沢宿舎でございます。岳沢宿舎は、新潟、富山、長野、岐阜の4県にまたがります中部山岳国立公園の南部地域、穂高岳の中腹の標高約2,230mに位置をしております。東側に明神岳、北側に奥穂高岳、西側に西穂高岳の3岳に囲まれました岳沢と呼ばれる沢の最奥部にありまして、特別保護地区に指定されております。
 今回、この岳沢宿舎の区域面積につきまして、現在決定されています1,500m2に両側にあります、既存の休憩スペースとへリポートのスペース0.1haを追加いたしまして、0.25haに拡張しようとするものでございます。この単位の変更につきましては、近年、順次統一を図っているものであり、特別な意味があるものではありません。
 まず、岳沢宿舎でございますが、日本の代表的な山岳景観として利用者に多く親しまれております、上高地から穂高岳、槍ヶ岳へ至る槍穂高岳連峰の縦走線を北に約3km登った穂高岳の中腹にございます。この写真は、よくご覧になる上高地の河童橋ですけれども、この左下が、河童橋から岳沢を見た写真です。右側が、奥穂高岳の写真です。穂高岳の主峰の奥穂高岳には、年間約3万人の登山者があります。
 この岳沢宿舎には、昭和31年から民間の宿舎が事業執行されておりまして、長年にわたり、縦走登山者の方の中継基地として、また休憩の利用施設として、また山岳部での遭難救助の拠点として重要な役割を担ってきたのですが、平成18年に発生しました大規模な雪崩によって、この宿舎は全壊してしまいました。その後、先ほど申し上げたとおり重要な施設であるということから、登山者からの要望などもあり、事業者の方を変えまして同じ位置で事業が執行されることとなりました。その新しい事業者の方につきましては、昨年度、既に事業執行の認可を受けていらっしゃいまして、新しい宿舎の建築が進められております。整備はほぼ終了しておりまして、今週の23日からオープンと聞いております。
 今回建築される宿舎自体は、前にあった宿舎とほぼ同様の規模で同じ場所につくられるので、この宿舎を新築するに当たっては事業決定の変更は必要なかったのですが、今回新しい方が事業執行されるということになったときに、土地を所有しております林野庁とも調整をいたしまして、旧宿舎の時代からヘリポートと休憩スペースとして利用されていた敷地に関しても、国立公園事業の敷地として正しく把握して管理をしていくことが適当と考えられましたため、今回この範囲を加えまして執行区域を0.25haに拡張しようとするものでございます。
 今までご説明をさせていただきましたとおり、ヘリポートや休憩スペースは、旧宿舎の時代にも同じ用途で使われてきたものでございますので、土地の改変等は加えられません。宿舎の執行者による適切な管理が期待されます。
 本件については、以上です。
 そして、2件目になります。
 次は、雲仙天草国立公園の雲仙温泉集団施設地区にある雲仙温泉園地の事業決定の変更となります。
 この雲仙温泉園地につきましては、昨年度秋の審議会において、雲仙市が行う園地の再整備を理由とする区域の拡張についてご審議をいただきまして、異存なしとの答申をいただいたところだったのですが、この審議会の後に再度、雲仙市において整備計画に関する検討が行われまして、さらに園地として追加をしたい区域が挙がってきましたので、再度ご審議をいただいて追加をしたいと考えているものでございます。
 まず、この雲仙温泉園地について簡単に説明をさせていただきますが、雲仙温泉園地は、集団施設地区の中心部の雲仙温泉街の中にあります。園地内には、この地区の利用拠点であります雲仙地獄がございまして、環境省と長崎県と雲仙市がそれぞれ役割分担をして、歩道や四阿、また足湯広場などの施設を整備しております。隣接地には、雲仙温泉宿舎、ホテルなどやビジターセンター等の施設がございます。
 この雲仙温泉の集団施設地区には、10年ほど前には300万人程度の利用があったのですが、平成20年には181万人まで減少してきている状況です。このような現状を受けまして、地元の雲仙市が、小規模な旅館や商店などが点在する北側の古湯地区を中心に、建物がなくなってしまって穴あき状態になっているような土地に園地を拡張いたしまして、水路や散策路の整備、オーバーレイによる歩道補修や案内板の整備等を行うことにより、利用拠点としての魅力アップを図ろうと考えているものです。
 先ほど申し上げましたとおり、昨年度の秋の審議会で区域を拡張したところですが、今回、県営バスセンターが平成19年に取り壊され、今はコンクリート張りの更地となっているところも園地として拡張し、園地として一体的な利用を図りたいということで、この区域を追加をさせていただこうと考えているものでございます。この区域は、県営バスセンター跡地と後背地を含みまして、0.5ha程度です。今回の園地については、多目的広場として活用を図りたいと考えておりまして、植栽やベンチ、看板等の整備をしたいと考えているものでございます。コンクリート張りの更地を再整備するものでございますので、自然環境への影響は最小限と認められます。
 最後の案件になりますが、霧島屋久国立公園屋久島地域にあります主要縦走路の宮之浦岳縄文杉線道路(歩道)の路線距離を24.5kmから25kmに変更するものです。
 この宮之浦岳縄文杉線道路(歩道)は、宮之浦岳や縄文杉が存在します山岳部をめぐる屋久島の主要縦走路となっておりまして、淀川登山口を起点として、高層湿原の花之江河、そして黒味岳、宮之浦岳の頂上を通過をいたしまして、縄文杉、そして終点の荒川登山口に至る登山道でございます。この歩道の利用者は、年間10万人を超えておりまして、屋久島でも利用上最も重要な歩道といえます。この登山道は、平石という地点までを環境省が、ここから先、終点までを鹿児島県が管理をするという役割分担を行っております。また付帯施設として縄文杉の近くに、町が管理している避難小屋、林野庁が管理をしております展望デッキが2基ございます。
 今回は、この歩道本線の支線になる黒味岳に至る歩道約400mを環境省が直轄で整備をしたいと考えておりまして、このために路線を延長しようとするものでございます。
 この黒味岳は、翁岳稜線の南に位置しまして、山頂からは、北に永田岳、宮之浦岳、栗生岳、南の眼下に花之江河、南線に高盤岳と360度の展望が楽しめる標高1,831mの山でございます。先ほど申し上げました本線の分岐から30分程度で頂上まで到達できることもあって人気の山で、淀川登山口からの入山者の約3分の1に当たります年間5,000人の利用者が登山に訪れているというデータがあり、近年この利用者も増加傾向にあります。
 このような利用者の増加もあって、一部侵食が進んで荒廃が見られていたのですが、登山道の管理者が不在であったため、この対策がとられていない状況にありました。これを受けまして、特別保護地区内であること、屋久島の利用において重要な歩道であるということに鑑みまして、今回環境省で直轄整備をすることとしたものでございます。
 整備の詳細につきましては、今年度行っております測量設計において決定をしていく予定でございますけれども、侵食が起きている箇所に、石積みや階段工など、必要最小限の整備をすることを予定しておりまして、利用者の安全上重要なものであると考えています。
 ということで、3件のご説明は、以上でございます。

○鹿野小委員長 ありがとうございました。
 ただいまご説明のありました国立公園事業の変更について、3件ございますが、どれからでも結構でございます。ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。

○田部井委員 屋久島の黒味岳の歩道は、もうてっきり入っているのかなと思ったら入っていなかったというのが分かってびっくりしましたが、よろしくお願いしたいと思います。
 それから岳沢のことなんですけれども、私、今年の連休にここに行ってまいりましてびっくりしたのは、途中の山道は雪崩で倒れた樹木で非常に道がわかりにくいんですけれども、そこの整備というのは入っていないんでしょうか。

○事務局(中島) 上高地から上がるところですね。ここの歩道は、今、黒味岳と同じように事業執行者がいない状況になっております。今のところ管理者、事業執行者はいない状況です。

○国立公園課長 山岳地域の登山道につきましては、過去から、山小屋の方、あるいは山岳会の方などが、かなり維持・補修をやってきていただいているという実績があります。路線によっては環境省だったり、あるいは地方自治体だったり、場合によっては林野庁さんだったりということで、路線ごとに管理者が決まっているケースもございます。今説明しましたように、岳沢の部分については、そういう管理者がしっかりしていない、はっきりしていない路線だということで、必ずしもだれかが責任を持って直ちに整備するという状況にないわけですけれども、通常ですと、山小屋の関係者、あるいは山岳会の関係者と一緒になって、例えば、環境省でいいますとグリーンワーカー事業というような事業がございまして、そういう仕組みを使いながら、個別に必要なところを応急的に直すということをお願いしている段階だと思います。そういう意味で、ちょっと現場に行っていないのでよくわからないのですが、ある程度迂回をできるところはするとか、除かなきゃいけない木をある程度除くとか、最低限の登山道の確保の措置だけが、とりあえずやられているという状況かなというふうに思います。

○隈委員 岳沢なんですけども、岳沢ヒュッテは写真で見たときに、周りに似合わないようなデザインと感じたんですが、ここを勾配屋根の指定とか、あとアルミサッシで銀色のサッシがあって、その辺というのは国立公園内で指定がないんですかね。

○事務局(中島) 色などの指定はございまして、それに適合した色合いになっています。また、屋根も基本的には切妻ということにしていますが、雪崩への耐久性を高めるということもありまして、屋根の形状に関しては、片流れとなっています。

○隈委員 片流れでも一番下は勾配が緩過ぎるんじゃないの。勾配の指定もありますよね、何寸以上とか。

○事務局(中島) そうですね。ただ、ここの区域につきましては、勾配の指定まではなかったですね。屋根は1対10の勾配はとっています。

○隈委員 その1対10の指定というのについて、僕は前からちょっと疑問に思っていて、1対10というのはほとんどフラットにしか感じないので、勾配の指定をする意味があるのかどうか、どうせ勾配の指定をするんだったら、逆にもう少しはっきり勾配とわかる指定にしないと実質上は効果がないと思うんですね。

○事務局(中島) わかりました。ありがとうございます。

○鹿野小委員長 ほかには、どなたかございますか。

○速水委員 せっかく今、隈先生がおっしゃられたので、前も国立公園の中の建物に関して、いろんな建物があるんですけど、特にこういう山岳部での建物の色だとか、先生がおっしゃられたように屋根勾配だとかサッシの問題、あるいは材質の問題等、一時、前も議論された覚えが私は記憶としてあるんですけど、せっかくなら、より国立公園として、コストは余り上がっても困るんでしょうけれども、適切なものの検討は、今後国立公園の魅力を維持していくためにも、少し真剣に考えていったほうがいいんじゃないかなという気がするんですね。集団的に開発地域のところの色合いとか、前も問題になったと思うんですけど、そこらを含めて、少し何か専門家の皆さん等で、そういう部分の検討がそろそろ行われていってもいいと私は以前から思っていて、国立公園を見るたびに寂しい思いをするので、何かここでせっかく隈先生が意見を出されたので、明日というわけにはいかないでしょうけれども、ちょっとそういう方針があってもいいんだろうと、私は前から思っております。

○鹿野小委員長 ちょっと課長から一言。

○国立公園課長 今、隈先生と速水先生からのご指摘については、しっかりと受けとめて、我々も国立公園の中の建物が風致景観を維持する上で大変重要な要素であるということは、重々承知しているつもりでありますけれども、いろんな先生方のご意見を実際にお伺いしながら、どんな形の色なり材料なり、あるいは形状も含めてですけども、さらに検討、研究したいと思っております。
 この岳沢のことだけで見ると、雪崩の話がありましたけども、積雪条件だとか地盤の勾配の話だとか、いろいろ条件的に厳しい場所であるという前提があったのかなという感じもするんですけれども、それにつけても、現場でできるだけ工夫できるような、デザイン面でもできるだけ現場にふさわしいもの、こういうことを我々も意識して管理に当たっていきたいと思います。ありがとうございました。

○原委員 具体的に今の色とか形状の問題でいうと、例えば、僕は阿寒湖温泉にずっと関わっているんだけど、そこにローソンができたわけ。ローソンは必要ないんじゃないとか、そういう話の中で、法律に違反していないからという話になるわけ、見た目よりも。例えば、あの看板のブルーは全体に調和しないんじゃない、おかしいよという話。ブルーは法律に違反していないからと。
 それから、今、たまたまだろうけども、課長が中部山岳の話で、現場は承知していないけども云々という、現場を承知していないと困るんだよね。現場を承知していないで事を決めていくと、現場の不信感てものすごく強くなるわけ。だから、そういう発言は安易にしちゃいけないんだよね、こういう場で。ちゃんと現場を見てきて、見ている限りは、支障ないとか問題ないということだったら納得するかもしれないけどね。その辺は、今、利用者もある意味では厳しく見ている人たちというか、熟練者が多くなってきているから、環境とか景観とかに一言も二言も言う方々が増えてきて、それはセンスとか感覚の問題だから、最終的にどうするかというのはいろいろあるけれども、80%とか90%の人が見て違和感があるというのは、やっぱりおかしいんだよね。その辺のところは、条例とか霞ヶ関じゃなくて現場で解決するという柔軟性を環境省は積極的にやらないと、これから、現場に行ってみたけど、もうどうにもしようがないような景観というか、たたずまいのところが増えてくるということは承知しておいたほうがいいし、それに対する対応は、本当に現場感覚で考えておかないと、ぐちゃぐちゃになっちゃうんじゃないかという感じがしますね。ちょっと蛇足ぎみだけどね。

○鹿野小委員長 それぞれの我々許認可と呼びますけれども、これはたしか本省にあがってくるだけで何百件とかありますので、今の制度では、今の本省の課が一個一個現場を確認するんじゃなくて、現地の審査にお任せしている。それから現地では、例えばデザインだとかそういうのを、地域の人たちと一緒になってデザインポリシーを掲げたり色を決めたりしていると思うのですが、ちょっとその辺、課長から補足説明をお願いしたいと思います。

○国立公園課長 法律に基づきまして、こういう公園事業の場合ですと、民間の施設であれば認可をするし、それから公園事業整備じゃない普通の住宅などであれば許可という形になるわけですけれども、それぞれ法律上で規模ですとか建ぺい率などの許可の要件というのは、ある程度定められています。ただ、デザインですとか色、材料などのある意味基準として一律に法律上で定めにくいものについては、地域ごとに管理計画というものをつくりまして、その中である程度、先ほどの屋根の勾配の割合ですとか、あるいは色、どういう色にするのか、そういうことについては定めています。その管理計画については、通常のやり方としましては、地域の関係者、特に市町村ですとか、あるいは観光協会などの地元の関係者、あるいは地域にかかわりの深い学識経験者の方に入っていただいて検討会を設けながら、ある意味では、そういうデザインポリシーみたいなことも含めて議論しているという形で、ある程度地域ごとに、その地域にふさわしいデザインについても議論する場を設けています。
 ただ、今ご指摘がありましたように、それがいろんな人から見て本当に納得できるものかどうかということについては、我々も常に見直しをするといいましょうか、いろんな意見を勘案して、より地域ごとにふさわしい基準づくり、そういうことに当たっていかなきゃいけないだろうというふうに思っています。我々もできるだけ現場はもちろん確認しつつやりたいということはあるわけですけれども、基本的に現場の処理というのは、一番近いところにいる自然保護官が中心になって、そういう現場にふさわしい建物になっているかどうか、もちろん基準に合致しているかどうかというのを、まずチェックする体制になっておりまして、当然、現場にいる自然保護官は、すべて現場を見た上で判断するということになっておりますので、現場を見ないままに判断するということはない仕組みになっております。

○原委員 現場を見た人が、ふさわしいと判断しているかどうかというのは、具体的な現状を見てみれば、明らかにおかしいという事例が幾つもあるわけですよ。課長みたいなのが現場に行っていればそういう間違いはないんだろうけども、必ずしもそうではないという現実があるということは踏まえてやらないとだめなんじゃない。

○国立公園課長 結果的に納得できないようなものができているというお話になっていると思うんですね。

○原委員 それは、俺個人が納得しないという話じゃないと思う。それはおかしいとかという話があるけど、80%、90%の人が見たときにおかしいというのは、やっぱりおかしいんだよ。

○審議官 ご指摘ありがとうございます。環境省の国立公園の管理、現場が第一だと思っていますので、現場に人を置いて、現場を見ながら判断するということを最重要視していて、でもそれがなかなかうまくいっていない局面というのは出てくるわけなので、環境省、本省と現場の事務所と情報を常に共有してやりとりしながら、原委員のおっしゃるようなことができるだけないようにしていきたいと思いますし、さっきのデザインポリシーにしても、今日出てきた雲仙の例でも、地域の人と環境省と専門家の人に入ってもらって、原さんにも入ってもらって、徹底的な議論をしてルールをつくって一つ一つ実現してきた。そういうのがうまく効果が上がっているような場面もあると思うので、地域地域の特徴というのも大事なので、管理計画をつくる中で地域の関係者、専門家の人、それから行政機関が議論を重ねて、その地域の魅力を高めるようなデザインポリシーをつくって、それを許認可の中で反映させていけるような、そんな公園の管理がもっと充実するように、私たちとしても努力をしていきたいなと思っています。よろしくお願いいたします。

○鹿野小委員長 他にはございませんでしょうか。

(なし)

○鹿野小委員長 それでは、ただいまご審議いただいた3件の事業決定の変更については、これは諮問どおり異議ないということでよろしゅうございましょうか。

(異議なし)

○鹿野小委員長 はい、ありがとうございました。
 ただ、事務局のほうに、最後のほうにも議論になりましたが、施設のデザインだとか、そういう風致への影響、そういうのにより慎重な審査をお願いしたいと思います。
 それでは、これで本日の諮問事項については、審議を終了いたしました。審議のご協力ありがとうございました。
 この自然公園小委員会の決議は、後ほど部会長の同意を得て、自然環境部会の決議とすることとなります。ご承知おきください。
 次に、事務局から、国立・国定公園の総点検の取り組みについて、ご報告がございます。先ほどの小泉先生のご質問ですか、それとも若干関係すると思いますので、よろしくどうぞ。

○事務局(佐々木) また、公園課の佐々木が説明させていただきます。座って失礼いたします。
 資料としましては、資料9、10、11を使ってご説明させていただきます。パワーポイントは、使用しないで進めていきます。
 前回の小委員会でも、国立・国定公園の総点検事業ということでご説明をさせていただきましたが、今回は、その後の進捗状況のご報告になります。
 まず、資料9を開いていただきたいのですが、国立・国定公園、最近、生物多様性の観点も含めて風景地の評価というものが多様化してきているということがありまして、直近では、第3次生物多様性国家戦略のほうで、国立・国定公園の資質に関する総点検を行って、全国的な指定の見直しや再配置を進めますということが明記されております。また、海外では、生物多様性条約の締約国会議などでも、保護上の生物多様性の観点で重要な地域を抽出しまして、保護地域として選定していくことを進めなさいというようなことを指摘されているところです。
 平成19年と20年に、まずは準備ということで、さまざまな検討やデータの収集の試行などをやりまして準備を進めていって、平成21年度、昨年度に、全国的な自然環境に関するデータ、こちらは既存のデータを全国的に整っているものを極力収集していくという形をとりましたが、データを集めて分析しまして、生物多様性保全上重要な地域を抽出して、現在の国立・国定公園との重複状況を確認して分析していくということをやりました。また、国立・国定公園として、今後新しく指定したり、大規模に拡張していくというような地域を選定する際の考え方を検討して、それから具体的な候補地を絞り込むという検討を進めました。また、一部の指定候補地となり得るような場所については、現地の調査も含めて実施しまして、公園計画の見直しに向けた作業を開始している地域もございます。
 今後、平成22年度、今年の10月に生物多様性条約の締約国会議がございます。そこのところで、国立・国定公園の新規指定や拡張候補地を選定していく際の考え方ですとか、生物多様性保全上重要な地域と呼ばれている地域のうち、どの程度日本の国立・国定公園はカバーしていくのか、そういった目標値の設定、それから、指定候補地の大まかなエリアの抽出、こういう地域を対象に新規の指定や拡張を行っていきたいということを表明できるところについてはしていくといったことを目標として作業を進めております。
 資料10は、具体的に全国レベルで生物多様性の観点で重要な地域を抽出して、既存の国立・国定公園との重複状況を分析するというものをやった資料になります。具体的に集めた資料は、まず陸域の生態系と、それから陸水域の生態系と、汽水・沿岸海域の重要地域というものの3種類に分かれます。
 陸域のほうは、植生から見た重要地域として、大規模な自然植生があるところですとか、特異な環境要因によって成立するような植生の分布域、湿原とか火山高原ですとか、そういったものが含まれているようなところを抽出しております。また、植物種の生息環境から見た重要地域として、こちらは(1)の[2]のAですが、国立科学博物館で取りまとめられたデータを活用させていただいて、日本固有種で絶滅危惧種となっているものが集中しているような場所ですとか、それから、谷原先生、松田先生が取りまとめられた植物のホットスポット解析で上位に上がってくるような絶滅リスクの高いとされる地域を抽出したりしております。また、動物の観点では、広域を生息環境として活用しているツキノワグマ、ヒグマ、カモシカといった動物の生息しているエリア。それから、二次的な生態系に依存している種としてツシマヤマネコ、トキ、コウノトリといったシンボリックな生き物が生息しているエリア。それから、鳥類の生息地として重要な地域として、野鳥の会が選定している重要野鳥生息地。それから昆虫学会が編さんしています昆虫類の生息地として重要な地域など抽出しております。
 それから、陸水域につきましては、環境省で選定しております重要湿地500に選定されている河川、それから湖沼といったものを抽出しております。
 また、汽水・沿岸海域の重要地域としては、マングローブ、干潟・塩性湿地、それから藻場、サンゴ礁。それから、海棲動物の生息環境から見た重要地域として、アザラシ、スナメリ、ジュゴン、ザトウクジラ。それから、海鳥の繁殖しているエリア、島とかそういうところですね。それからウミガメの産卵地とその周辺海域。それから、砂堆と言いまして、海の底が砂で、砂質の状態になっていて、イカナゴとかそういういろんな生物がそこで生息して、たくさん生き物が増える場所となっているようなエリアを抽出しております。
 これらのエリアを抽出しまして、国立・国定公園と重複状況を確認したのが、最後にございます、A3の重要地域の分布の試案というもので、今回取りまとめさせていただきました。
 国立・国定公園が、黒縁で灰色とか茶色の回りについているようなエリアがなっていまして、その他の重要地域がざっと並んでおります。ちょっと判例を見やすくするために、一部の例えば陸生動物などは同じ色で表示したりとか、まとめているところもございます。
 これらの地域すべてが、国立・国定公園に指定できるというわけでは当然ございません。これだけ広大なエリアにもなりますのでできないのですが、これらを見ていくと、非常にいろんな重要地域が重複して集中して落ちているようなエリアですとか、幾つもの重要地域が重複して分布していて重要だなというような場所が確認できました。その例として挙げられるものとして、奄美とか、それから沖縄島の北部地域といったところは、さまざまな重要地域が集中して落ちておりまして、生物多様性保全の観点では、とても重要な場所だということが見てとれたわけです。
 これらの中から、今後、地元の関係者ですとか、そういったところと調整をしまして、国立・国定公園として指定できるところはどこで、そうでないところは、じゃあ、ほかの保護地域制度でやるのか、それとも、既存の公園の近くにあるので拡張して取り込んでいく必要があるのか、そういった精査をしていく必要があると考えております。その考え方を整理したのが、次の資料11でございます。
 こちらは、ちょっと長い回りくどい名前なんですが、新規指定等検討対象地域を選定するための考え方の案として、現在検討会で検討を進めている資料になります。
 まず、2番の作業手順の[1]のところなんですが、代表性・傑出性の考え方でございます。国立公園というからには、やはり日本の中で傑出している、日本を代表する地域であるといったものが必要になると考えております。なので、このような代表性というものを、どのような評価軸で評価していけばよいのかというのをちょっと考えているところです。そこの下の四角の中で囲った代表性・傑出性の考え方の(1)から(3)までが、今、案として上がっているもので、例えば固有種が集中して分布している地域というのは、固有種というのは日本にしか生息しないようなものですので、日本の宝と考えることができるであろうとか、日本の地形地質の形成過程を反映して非常に特殊な生態系が成立している、そういった場所も日本のほかの地域にはないような生態系が成立している地域なども傑出していると評価できるのではないか。また、例えば釧路湿原などは、日本で一番大きな湿原ということで指定されているわけですが、別に一番であるという要素が例えなくても、二番手、三番手の要素であっても、それらが複合的に集中して分布している、その生態系の多様性が非常に優れているような地域というものも評価の対象になるのではないかということで、このような観点で、日本全国の中で、国立・国定公園の新規の指定を行ったり、もしくは既存の国立公園の周辺で、大規模にまだ重要な地域が確保されていないところは大規模に拡張していく、そういった地域をまず全国図の中から抽出していくということを考えております。
 ただ、そうは言いましても、生物多様性保全上重要な地域というのは他にもたくさんございまして、小規模なものですとか、大規模ですけど1個しか資源が落ちていないようなところなどもございます。これらの地域の考え方としましては、次のページの[3]のところの説明になりますが、例えば付近に公園がなくて、既存の保護制度で保護がされていないような地域というもので、例えば先ほどの代表性・傑出性の観点で、国立公園ほどではないんだけどそれに準ずるような地域というふうな評価ができるところは、国定公園の新規指定の検討地域として選ぶことができるのではないか。また、さすがに近くに公園がなくて、でも保護されていないような地域があるという場所については、やはり国立・国定公園以外の、その自然公園制度以外の、例えば鳥獣保護区ですとか、そういったほかの保護制度で担保ができないかといったことを検討していく地域として、振り分けていくことができるんじゃないかと考えております。また、近くに既存の国立・国定公園があるような場所で指定理由とか、公園の持っている特性、風景地としての一体感ですとか、そういったものを評価して、編入が可能なのではないかと考えられる地域については、国立・国定公園を拡張していく候補地として選定していくということができるのではないかと考えております。
 また、既存の国立・国定公園の中で、たくさん重要地域というものがリストとしてあがってきております。これらについては、既存の国立・国定公園の指定理由ですとか、現在の規制状況というものが、果たして正当に評価されているのかというものをチェックして、こういうものを守るためには規制がまだ足りないとか、そういったものがある場合につきましては規制を強めるといったこともできるんじゃないかと考えております。
 今後、これらの重要な地域を、そのような観点で新規の指定ができるところ、ほかの保護地域制度にお願いしなければならないところ、拡張でやっていくところなどを振り分けていきまして、特に新規指定ですとか大規模拡張をするようなところは、地元の関係者の方々と調整を行って、またその利用のあり方とか、地形地質の観点では評価がどうなっているのか、それから、現地の管理体制や地域の方々の熱意など総合的に判断して、候補地として打ち出していくというようなことを考えております。
 以上で、総点検事業の現在の進捗状況の報告を終わらせていただきます。

○鹿野小委員長 ありがとうございました。
 この総点検、見方によっては、新しい候補地をどう選ぶかという話でございます。この審議会としましても、多分、過去の国立・国定公園の指定の歴史を見ても、審議会が候補地を選んで、それから順次指定を進めてきたということもございます。そういう意味からすれば、これが今後どうなっていくのかというのは非常に重要だと思います。それなので、たくさん意見をいただきたいのですが、実はこの地図を1枚見ても、1日かけても多分議論は終わらないだろうと思います。それで、きょうは私の不手際で大変申しわけないんですが、時間も大分オーバーしております。事務局にお聞きしたいのですが、これは今回限りじゃなくて、まだこれについて、例えば審議会の場で議論をしたりとか、そういう場面というのは何度も出てくるんでしょうか。

○国立公園課長 資料9でちょっと書いておりますけれども、COP10が10月の半ばに名古屋で開催されます。ひとつの目処といいますか目安として、COP10、せっかく日本で開くものですから、日本としてもちゃんとギャップ分析をして、国立・国定公園でもいろいろ考えているということを何らかの形で表明したいなとは思っています。関係者との調整がまだありますので、どこまで言えるかどうかはちょっとはっきりしておりませんけれども、それに向けて、これはまだ今、詰めている段階の途中段階のものであるという位置づけでございます。審議会との関係でいいますと、今、我々が考えていますのは、通常秋の審議会と言っている審議会を、できればCOP10前にできないかと思っていまして、今回、ちょっといろいろございまして7月になってしまって、次が9月か10月というと期間が短いんですけども、そこでも再度、こういう形の総点検事業についてはご報告をして、ご意見を伺う場をもちろん設けたいというふうに思っております。

○鹿野小委員長 ありがとうございました。
 時間はあるようで、途中でCOP10に環境省として何らかのアウトプットで出すということになりますと、ちょっと重大な意見があれば急ぐということでございますので、きょうは時間がないので大変申しわけないのですが、特に資料11の考え方などについて、皆さまご意見がありましたら、ぜひ事務局に出していただけたらと思います。
 なお、これは審議会とは別に、検討会で、たしか熊谷委員長が座長の検討会があります。そういう場もありますので、意見とすれば幾らでも吸い込む時間はありますから、ぜひ、いろいろご意見をいただけたらと思います。
 よろしいでしょうか、事務局。
 それでは、きょうは、時間がオーバーして大変申しわけございませんでした。きょうの審議と、それから事務局からの報告事項をこれで終わりにしたいと思います。
 あとは事務局でお願いします。

○国立公園課長補佐 長時間にわたりご審議をいただきまして、ありがとうございました。本日の会議資料の取り扱いは公開でございます。次に、本日配付の資料につきまして郵送をご希望の委員の方は、お手元の用紙にご記入の上、机に置いていただければ、事務局から後日郵送させていただきます。
 本日は、どうもありがとうございました。

午後3時51分 閉会