中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会議事要旨 (第19回)

開催日時

平成22年7月21日(水)13:30~15:50

開催場所

経済産業省別館 8階 827会議室

議事

  • 国立・国定公園の公園区域及び公園計画変更について
  • 生態系維持回復事業計画の策定について
  • 国立公園事業の変更について

議事経過

 諮問事項について審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。
 なお、主要な発言は以下のとおりである。

国立・国定公園の公園区域及び公園計画の変更について>
<生態系維持回復事業計画の策定について

委員:
知床五湖の利用調整地区の仕組みについて3点質問。
  1. [1]事前のレクチャーは一度に何人ぐらい受講可能か。
  2. [2]事前申し込み制の具体について。
  3. [3]ガイドは必要条件か。
事務局:
  1. [1]一度にレクチャーを受講することができる人数の上限は、概ね50人程度。
  2. [2]【ヒグマ活動期】と【植生保護期】で異なる。
    【ヒグマ活動期】は事前予約。利用者は引率者に連絡をとり、引率者が立入りに関する事前予約を行った上で引率者と一緒に入る仕組み。
    【植生保護期】は、事前予約ではなく当日受付。各自で申請して、レクチャーを受け、認定書を受け取って入る。
  3. [3]ガイドについては、【ヒグマ活動期】のみの義務付けとなり、【植生保護期】については義務付けしない。
委員:
このような取組について中国語での対応は考えているのか。
事務局:
知床五湖でも、近年海外の利用者が増えており、看板、事前レクチャーについても多言語での対応を想定している。
委員:
実際に知床の利用調整地区に入りたい時に、どうすれば良いのか。手数料も含めて。
事務局:
【ヒグマ活動期】と【植生保護期】で異なる。
【ヒグマ活動期】では、利用者は現地を案内できる引率者にツアーの申し込みをし、引率者が代表して指定認定機関に対して認定の手続きをして手数料を支払う。引率者が責任を持って利用者達を案内する。
【植生保護期】については、当日受付になるので、利用者には知床五湖に直接行って頂き、現地で申請して、レクチャーを受け、認定書をもらって入ることができるようになる。手数料も各人で支払って頂く。
委員:
環境大臣が指定する指定認定機関は、地元のツアー会社になるのか。
事務局:
指定認定機関については公募を行って、申請のあった団体から最もふさわしい団体を指定する予定。詳細については、今後検討する。
委員:
ヒグマ活動期のガイドに要求されるガイドのレベルについて。
事務局:
高度な自然解説技術は、環境省としては特に求めていない。環境省としては、1)同行者を完全に誘導できるか、2)同行者にヒグマに悪影響を与えない行動を取らせることができるか、3)ヒグマに対して適切に対処できるかの3点を気にしている。
引率者については、環境省で養成のためのレクチャーを実施することを考えており、養成カリキュラムを履行してもらい、その後で適切なヒグマの対処がとれるか、知床五湖の地理的な状況等をしっかり理解しているか等を審査する。
委員:
【植生保護区】にあたる8月~10月は観光シーズンであるが、当日に申し込みで対応できるのか。旅行会社がツアーを組み、混雑が生じた場合に当日に行っても入れるか入れないか分からない状況が想定されないか。
事務局:
観光シーズンであっても利用が集中する時間帯は限られるので、混雑する時間帯を過ぎれば、利用できるものと考えている。どうしても入れない場合は、高架木道を利用してもらう。また、利用が集中する時期以外の利用を促し、利用の分散を図りたい。
委員:
指定認定機関は、どのような条件を付けて公募するのか。何かしらの資格を持った人がいなければならない等、資格要件について考えているか。
事務局:
指定機関の認定に際しては、申請者の審査を適正に実施できる体制があることが要件となる。構成員の資格についてまでは、要件として考えていない。
委員:
指定認定機関と引率者との関係はどのように考えているか。
事務局:
基本的には指定認定機関と引率者とは切り離して考えている。
委員:
引率者の講習の実施については、何らかの資格制度や免許制度のようなかたちをとるのか。また、その人しか引率できないという根拠は制度としてどのように取るのか。
事務局:
引率者には、環境省が実施するカリキュラムを受講してもらい、ヒグマに対して適切な対処ができるかどうかを審査する。審査の結果、引率者として認められる者について名簿を作成し、公表する。根拠については、告示の中で、「環境省がヒグマに対処できる者として認めた者が引率できる」というふうに定め、それに基づいて、地方環境事務所長が引率者の登録をする。
委員:
希望する人が年に数回、講習を受けられる条件を設定しておかなければならない。最初の段階では限られた人が受講することになると思うが、それが新しいガイドビジネスとして有効だと判断されれば、当然新しい参入者が出てくる。そうすると、競争的な価格が生まれるので、ある程度新規の方が参入できるような状況を作る必要がある。最初の制度設計が重要である。
事務局:
引率者の認定は現地の地方環境事務所長が行うが、これまで知床五湖でのヒグマの対処については長年に渡っての蓄積があり、地元の方が懸命に体を張って事故が起きないようにしてきた。蓄積してきたノウハウを十分生かしながら、募集、認定をしていきたい。現在ガイドをしている人に限定するのではなく、講習や現場での技術試験を受けて、能力があると認められれば追加的に引率者に入っていただく。この仕組みを動かしていくためには、有能な引率者を確保できるかどうかが重要である。指定認定機関の公募は、公平に、かつ適切な機関を指定するようにしたい。
委員:
捕獲したニホンジカは駆除するのか。利用することはできないのか。
事務局:
基本的には駆除する。活用できるものは一部活用する。シカは大型獣であるため生け捕りは難しい。シカについては、ある程度捕獲しなければ、他の希少植物や土壌へ深刻な影響を与える可能性がある。今回、自然公園法を改正し、生態系維持回復事業を位置付けたのも、シカが増えてしまい、もとの植生がなくなってしまうという事態に端を発している。ただし、国立公園内はできるだけ自然を維持したいというなかで、野生生物も自然のひとつの要素であるから、議論になっている部分でもある。
委員:
自然公園法の改正は、野生生物保護と生態系を維持することの兼ね合いということなのか。
事務局:
そのとおり。尾瀬が良い例で、尾瀬はもともと全くシカがいなかった場所であり、そもそも自然の状態に戻すためにはシカがいないほうがいいという発想、知床もそんなに多くのシカはいなかったので、今の状況が異常である。
委員:
尾瀬が異常な状態だというのに、現行の駆除のやり方では遅いという印象を受ける。柵のでの対処ばかりシカを誘導する等という方法はとらないのか。
事務局:
仕切り柵を設置して広域的にシカを捕獲する以外に、特に被害が深刻な尾瀬沼周辺では、括りわなでの捕獲、銃で撃つ等の方法も実施している。尾瀬におけるシカ捕獲は今年で3年目となり、徐々に効率も上がっている。今後さらに活動を拡大していき、シカによる影響を抑え込んでいきたい。
委員:
知床の利用調整を行う期間以外は、今まで通り自由に入って良いということか。
事務局:
そのとおり。知床五湖は11月まで利用できるが、11月以降は利用者が非常に少ないため、利用調整期間を設定しなくても問題ないという判断をしている。知床五湖は、4月の下旬あたりから雪が溶けて、知床五湖まで車で到達できるようになる。
委員:
引率者のスキルはどのぐらいなのかというイメージがわかない。また、引率者の数はどのぐらいを想定しているのか。
事務局:
引率者のスキルについては、クマとの相互回避能力を最重要視している。具体的には、森林に近づく時には声を出すなど合図を送ることで、クマとの突発的な出会いを防ぐという技術、万が一クマと遭遇した場合には、状況を把握して戻ってくる技術等が挙げられる。もともと知床では、ヒグマが多く生息する中で、バックカントリー利用のガイドがたくさんおり、その中で無事故を維持しているので、そこで培われた技術が引率者に求められる。
今年は26名の引率者で試験運用を実施したが、利用調整地区制度が開始され終日運用していくとすると、2、3倍の引率者が必要な見込みである。知床でガイド実績がある人に限定せず、募集については間口を広げるため、研修を受けた上で現場でインターン活動をすれば、翌年から参加できる仕組みにする予定。平成23年度からのスタートは26名となる見込みだが、24年度からは更に引率者を増やすことを目指している。
委員:
生態系維持回復事業は知床と尾瀬だけなのか。他の公園でも計画を立てる予定があるのか、今後の見通しは。
事務局:
国立公園に限ってみても、日光、南アルプス、霧島屋久等、全国的にシカ問題は発生しており、それぞれの公園で調査等に着手し、必要に応じて防鹿柵の設置をしているところ。生態系維持回復事業については、ある程度準備をしつつ計画を立てられるところまで固まったところから順次、計画として位置付けていきたい。
公園だけではなく全国的に考えると、基本的に鳥獣保護法で鳥獣の管理をしているが、自治体に権限がある。そして、特定鳥獣保護管理計画は都道府県が中心となって定めている。また、鳥獣保護法とは別に、鳥獣被害対策特措法ができ、市町村レベルで計画を立てて、駆除等の事業ができるようになっている。国立公園の外を管理しているのは周辺自治体であるので、周辺部の特定鳥獣保護管理計画と連携を図り、協議会を作って情報交換を密にしながら進めていきたい。
委員:
尾瀬の生態系維持回復事業について、尾瀬は民間電力会社が土地を多く所有しているが、以前と違って森林管理を計画的にやり始めている。そことシカ問題について協力体制を構築することは、森林の生態系維持の観点で非常に意味がある。比較的規模の大きい森林所有者との連携について説明いただきたい。
事務局:
尾瀬については、現地で協議会を持っており、その中で公園内外含めて、関係者で連携してシカ対策を実施するということで話し合いをしている。そのメンバーには電力会社、山小屋などの関係者に入っていただき、連携を図れる体制になっている。
委員:
愛知高原国定公園について、公園計画変更の場所はどのように設定されているのか。また、湿原等のデータはどこから取っているのか。
事務局:
拡張地域については、貴重な湿原植生があるところ、もしくは利用者が多く公園利用上重要であるところについて、地元から公園計画の変更の要望があった場所を選んでいる。湿地については、小規模ではあるが現在の国定公園区域の周辺に数多く点在している。今後は環境省でもどのような湿地がどのような場所にあるか、また、地元での保護管理の体制等についても調査する予定である。その内容を基に公園計画の点検の機会をとらえて、有効な保護規制をかけていくことに挑戦したい。
委員:
小規模だが貴重な湿地は他地域にもある。今回は愛知高原国定公園であるが、今後は飛騨木曽川国定公園の計画でも検討していただきたい。

国立公園事業の変更について

委員:
先日、上高地から岳沢へ行ったときに、雪崩による倒木があり、登山道が非常に分かりにくかった。あの登山道は誰が管理しているのか。
事務局:
国立公園内で事業執行されている歩道は管理者が決まっているが、ご指摘の歩道は事業執行されていない。山岳地域の登山道は事業執行されていない場合も多い。ご指摘の歩道については、山小屋や山岳会等と協力して、最低限の維持管理をしているものと考えている。
委員:
岳沢の宿舎のデザインに問題ないか。国立公園内の建物については色彩や屋根勾配等の規制があるのではないか。
事務局:
国立公園管理計画において色彩や屋根形状等の基準を定めている。当該宿舎は管理計画に適合したデザインとなっている。屋根形状については、積雪状況や地形等も考慮して、片流れも可としている。
委員:
阿寒国立公園のコンビニの看板について、色や形状は法律に違反していないから問題ないと言われたことがあるが、明らかに景観上問題がある。これらの問題には柔軟な対応が重要である。
事務局:
環境省では、地域ごとに国立公園管理計画を作成し、許可基準等を定めている。これは、地域の関係者で検討会を設け作成しているもので、定期的に見直しをしている。
環境省としては、自然保護官が現場を見て判断することを最重要視しており、本省と現場が情報を共有して、ご指摘のようなことがないようにしていきたい。

問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-3581-3351)

課長上杉 哲郎(内線6440)
課長補佐中山 隆治(内線6443)
公園計画専門官佐々木 真二郎(内線6438)<公園計画、生態系維持回復事業計画>
事業係長中島 治美(内線6447)<公園事業>
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