中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会議事要旨 (第17回)

開催日時

平成21年7月9日(木)13:00~15:05

開催場所

都市センターホテル  3階 コスモスホール

議事

(1)国立・国定公園の公園計画の変更について
 ・白山国立公園          [点検]
 ・大山隠岐国立公園(大山蒜山地域)[点検]
 ・西海国立公園          [点検]
 ・阿蘇くじゅう国立公園(阿蘇地域)[点検]
 ・西中国山地国定公園(島根県地域)[一部変更]

(2)国立公園事業の決定、変更及び廃止について

議事経過

 諮問事項すべてについて審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。
 なお、主な発言は以下のとおりである。

(1)国立・国定公園の公園計画の変更について

委員: 白山国立公園について車道が歩道になる箇所があるということだが、そもそも車道が歩道になるというのは物理的な話で、車道と歩道はずいぶん違う。車道にするためには苦労がある話で、それを使えていないから歩道にするというのはいかがなものか。もう少し詳細な説明がほしい。
事務局: 現状は、歩道の管理者がゲートを設置し、車両の通行を禁止しており、車両が入れないような状況になっているので、今回削除するものである。
委員: 現状はそうかもしれないが、公園利用としての歩道には、標識等の整備は必要であり、役割として車道から歩道へ位置づけをし直し、計画上整備していくことが必要。車道は土砂が流れ出たり、崩れたり、メンテナンスが面倒なもの。それを歩道として管理していく場合は、車道ではなく歩道として管理するという考え方が必要。車道として計画していたが未整備なものを計画変更し、歩道として整備していくのなら分かるが、単純に車道から歩道として変更し、管理するというのは無理がある。
事務局: 現在、国土交通省の砂防の関係の作業道路としてのみ使用されている。道路の形態はしているが、一般の車道ではない。それを車道として整備するのではなく歩道として整備していくというもの。
委員: 路体の管理者は歩道の管理者ではないのか。
事務局: そのとおり。
委員: 反対するつもりはないが、林業をしている者の立場から、たくさん道を作りながら作業している。幅にしても水の管理にしても、車道と歩道では大きく異なるので、少し心配はあるという意見で終わらせていただく。
委員: 阿蘇くじゅう国立公園について、根子岳登山道の一部削除について、代替の別ルートがあるのか。
事務局: 頂上までのルートは今までどおり残す。今回の一部削除は、あくまでも崩落等の危険個所を削除するのみである。
委員: 大山隠岐国立公園について、大野池周辺の単独施設の削除が多いが、計画レベルでの削除なのか、実際に施設があっての削除なのか。
事務局: 大野池周辺は計画されていたが、実際には未整備の状態である。近隣に類似した施設が整備されており、また利用者の動向も変化してきているので、このまま計画を残しても今後の整備の見込みがないので削除するもの。
委員: この計画は、国立公園課側が計画した施設なのか、民間の施設を指定するものなのか。
事務局: 国立公園の管理の立場から、利用形態を考慮して当初計画したものであるが、その後の動向の変化から計画を残しておいても整備させる可能性が低いので削除したもの。
委員: 阿蘇くじゅう国立公園について、4つの単独施設を追加しているのは分かるが、ほぼ同様の地域で多くの単独施設の削除がされている。利用形態が全く変化したということなのか、以前の計画が全く現状に対応していないということなのか。事務局:説明の簡略化のためまとめて説明してしまったが、赤水運動場及び長草野営場については近隣に類似施設がすでに整備されている等、施設毎にそれぞれ個別の削除理由がある。公園指定当時と比較すると利用状況も変化してきており、車道が整備されドライブの利用が主体となっていることから野営場の必要性がなくなっているなど、現状の利用形態に計画を合わせ、整理したもの。
委員: 他の近隣地域の施設のほうが整備されたということは、計画が他の施設に駆逐されたということなのか。当初の計画が甘かったのか、計画は良かったが、その後の動向で今回は大幅な削除となったのか。そのあたりの理由が分かれば、今後の計画の参考になるのではないか。
事務局: 削除の理由が施設毎に違うということは説明したとおりであるが、これまでは、地元などからの要望や長期的な視点から整備の可能性があるところは幅広く公園計画に取り入れていた。主体性を持って全体の利用を考えて点検するという観点で見直した結果、このようになったと解釈していただきたい。古い計画をどのようなタイミングで現状にあわせるかは、公園によっても異なるが、公園計画を地域の目指すべきあり方に合わせて抜本的な見直しを実施すれば、きれいに整頓されてしまう。阿蘇くじゅう国立公園は、今回がその時期であった。
委員: 理解した。
委員: 計画段階では事業主体も見えていないので、予算の問題、例えば当初は補助金の活用を予定していたが、予算がなくなったので誰もやる人がいなくなったとか、ここは直轄でやりたいとか、そのあたりは事業決定の説明の際にはうまく説明していただきたい。
委員: 今回、長距離自然歩道に関する案件があるが、整理計画や路線の決定については、どのような手続きで進んでいるのか。
事務局: 今回の件については、それぞれの県が自然歩道を見直し、計画路線として提案し、協議している段階。今後はこの協議を受け、国立・国定公園内での整理をし、その後路線の決定という段階になる。
委員: 長距離自然歩道になるメリットは。
事務局: 長距離自然歩道に一体的に計画に位置づけることにより、標識等、利用者にわかりやすく整備することができる。

(2)国立公園事業の決定及び変更について

委員: 今回の事業決定において、既存施設の把握という案件が何件かあった。計画や事業としての位置づけがないのに、既存の施設があったり、新たに公園事業にしたりというのはどういうことなのか。また、事業として位置づけるメリットは何か。
事務局: いくつかのパターンがあり、例えば、今回諮問した赤埴山索道運送施設事業については、今まではスキー場事業の付帯施設(冬期のみの稼働)として利用していた施設を、夏季にも使用するために、新たに索道事業として位置づけるというもの。また、計画や事業として位置づけのない既存の施設は、主に小規模な施設であり、一律の規定の中で高さ制限などの基準に則して設置を許可されたものである。これを公園事業として位置づけることにより、積極的な利用を促進するための整備が可能となる。また、公園事業者に対しては、事業の執行に対して指導・監督等を行うことができるため、よりよい施設運営が行われることとなる。
委員: 尾瀬の植生復元施設の中で木道を撤去するという案件があったが、撤去することで植生復元ができるのか。
事務局: 指摘の箇所については、以前整備された木道が、水流を誘導し、洗掘が起きているため、その部分の木道を撤去するもの。木道については必要に応じて代替のものを新たに整備する。
委員: シカの被害について、シカ自体が減らなければ解決にならないのではないか。
事務局: シカの被害は10年来の問題であり、調査を実施している。H12には地元の自治体とシカの管理方針を策定し、捕獲の方法や捕獲場所などを定めている。それに基づいてシカ柵を設置し、地元猟友会との協力で数十頭を捕獲した。同時にシカ道の調査なども行っている。
委員: 植生保護とシカの捕獲を同時進行してもらえればいい。民間との協力はしているのか。
事務局: 先述の長距離シカ柵については、東京電力の土地を借りて実施している。
委員: 利尻礼文サロベツ国立公園の円山園地について、既存の場所に設置してある木道はどうなるのか。
事務局: 一部は撤去するが、半分はモニタリングや植生観察用として残置する予定。
委員: 以前の事業決定の資料には、事業費が載っていたと思うが、今回は載っていないようだ。尾瀬に関しては国立公園設立の際に関わっていたので、今回の植生復元施設については、どのくらいの規模のものにどれだけの事業費がかかるのかを知りたい。またシカ被害は全国的な問題なので、その投資効果について示すことは、その指針にもなるのではないか。
事務局: 以前は載せていたが、未確定の金額であり、あくまでも参考事項であったため、今回は割愛した。午前中に説明した今回の法改正においては、シカ対策を念頭に置いた生態系維持回復事業を創設しており、今後のモデルとなるよう推進していきたい。
委員: 40年前の札幌オリンピック時の恵庭岳スキー滑降コースの例からいっても、植生復元についてのフォローアップや、経過報告など積極的な情報開示が必要ではないか。
事務局: 本日諮問した尾瀬のアヤメ平に関しては、復元途中の段階である。ビジターセンターでの情報提供等、積極的に啓発をはかってまいりたい。

問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-3581-3351)

課長上杉 哲郎(内線6440)
課長補佐中山 隆治(内線6443)
係長青柳 信太(内線6449)<公園計画関係>
係長中島 治美(内線6447)<公園事業関係>