中央環境審議会 自然環境部会議事要旨(第34回)

1.開催日時

平成29年6月13日(火)10:00~12:00

2.開催場所

三田共用会議所 4階 第四特別会議室

3.議事

(1)阿寒国立公園の公園区域及び公園計画の変更について【諮問】

(2)自然環境保全に関する最近の動向について【報告】

(3)その他

4.議事経過

 諮問事項すべてについて審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。また、報告事項について説明がなされ、質疑応答が行われた。

 主要な発言は以下のとおりである。

(1)阿寒国立公園の公園区域及び公園計画の変更について【諮問】

○委員:既存のスキー場の夏期利用というのがあったとが、それは具体的にどういう夏期の利用をされるのか。

⇒事務局:白湯山から阿寒湖がきれいに眺望されるため、展望利用を地元としてはさせたい。また、リフトで上がったところでくつろいで頂くための休憩所もあわせて整備を進めるとのこと。

○委員:3点あるが、普通地域として設定された場所がカラマツの人工林だということで、神の子池も含めた自然をちゃんと維持できるような管理がされるのか。神の子池の園地は、どんな園地をつくられることを計画されているのか。施設の廃止というのは、廃止後どんな形で元に戻すのかというのがきちんと担保されているのか。

⇒事務局: 1点目、今回の拡張範囲が全て国有林で、大規模な建物といった、構造物は建てられないというふうに認識している。要は景観に配慮した森林施業を行っていくつもりであると現場では調整されている(岡本国立公園課長 補足)。2点目として、神の子池周辺には清里町によって木道が整備されている。また、林道から終着点付近、神の子池から1㎞ぐらいのところに駐車スペースがあり、トイレもある。今回、車道事業としても位置付け、ここの森林景観を見ながら、神の子池園地に接続する一つの観光のメニューも地元は考えている。最後に原状回復について、昨年の3月に事業廃止に伴って、原状回復を既に行っている。

○委員:阿寒国立公園の主な経緯の上段の真ん中辺りに、乗り入れ規制地域とあるが、統一的な規則が国立公園・国定公園にあるのか、あるいは個々のケースについて規制を考えていく指針があるようでしたらご教示いただきたい。

⇒事務局:乗入れ規制区域は、特別地域の中で風致景観を構成する、例えば脆弱な植生や、野生生物の貴重な生息地になっている部分などの中で例えばスノーモービルなどの乗入れを規制する必要がある地区について計画している。

○委員:然別湖でも、全般に外来ザリガニが広がっているが、駆除後の流通についても啓蒙しながら活用して、駆除をしていく取組もしていただきたい。

⇒事務局:ご指摘ということで、今後の業務の参考にさせていただく。

○委員:アトサヌプリが頂上に行けなくなるような感じになっているが、最終的には解除の見込みはあるのか。

⇒事務局:平成12年辺りに登山者が落石事故に遭って死亡するという事故が発生した。それを踏まえて、危険なため立入禁止にしようということで、それ以降現在まで立入禁止の状況が続いている。一方で、地元住民からは、安全なルートをちゃんと選んで、立入禁止を解除したいという声が上がっており、新たなルートを展開していこうと今検討しているところ。今回、計画からは削除するが、地元としてはこれからもルートの検討は進めていく予定。

○委員:摩周湖の周辺を第2種から第1種にということだが、この周辺は国有林野になっているという理解。国有林としての経営や、林業との関係は、今後も含めどうなるのか。

⇒事務局:全て国有林の中ということで、適切に森林の施業を図っていき、第1種特別地域に相当の国有林としての経営を図っていくことになっている。

○委員:シカの食害が少しあるようだが、現状と、今後の対応をとるとしたらどういったことが考えられるのか。シカの生息状況等について、お聞きしたい。

⇒事務局:阿寒国立公園のシカ対策に関しては、生態系維持回復事業計画を策定しており、それをもとに進めている。

(2)自然環境保全に関する最近の動向について【報告】

○委員:国立公園の利用に関して、外国人数の把握の有無と、把握されていればその割合。また、今後外国人観光客の入込を促進させるためには外国語対応が重要と考えるが、その促進の行政的な指導の状況。そして、その促進によるリスク(自然破壊等)が想定されるため、モラルもセットで提供するプログラムの開発が行われているか。

○委員:国立公園満喫プロジェクトに関して、レンジャーが人材育成され、プロジェクトを遂行できるかが課題であるため、充実した人員の補充や地域それぞれの特色に合わせた仕事を大事にしていただきたい。

○委員:インバウンドで非常にたくさんの方が来られて様々な問題が起こると思うが、マナーの問題について、どのように考えているか。

⇒事務局:外国人観光客の割合が、国立公園全体の年間約3億人の利用のうち約500万人が外国人。また、多言語化による情報発信、あるいはマナー等については強化を図っていきたい。さらに、ガイドの育成等も国際化に向けて、地域と連携しながら環境省でやっていきたい。

次にレンジャーの人数、体制の強化を図ってまいりたい。特に、ただ数を増やすだけではなく、しっかりと現場で対応できるような育成もあわせてやっていきたい。

最後に、マナーの点について、オフィシャルパートナーシップを各企業と結んでおり、企業との連携をしながら、例えば事前にマナーや規制について伝えていただいたり、個人の旅行客は、今、ネットで事前に情報をつかんでいただいたり、ビジターセンターの強化をやっていきたい。

○委員:自然遺産全体の管理運営と同様に、個別の地域の問題にどう対処していくかが非常に大切。現在ある世界遺産の科学委員会、作業部会という体制をもう少し検討して、この島嶼型にうまく溶け込むような管理運営の仕方をご検討いただきたい。

○委員:地方に行くと、自然環境行政に環境省が見えてこない。各自治体が取り組むべき生物多様性の保全ついて、まだまだ理解が非常に低い。仕組みの強化をお願いしたい。

○委員:近年、海洋の生物多様性保全で非常に深刻な問題になっているプラスチックの問題について、途上国にプラスチックの流出を抑制する手段や援助を行っていく必要もあるのではないか。プラスチック対策も、生物多様性保全施策の中に今後考慮していただきたい。

○委員:昨年カンクンで開かれたCOP13に出席したが、その場でも愛知目標は課題も多いがまだ時間もあるという意見を様々な国の方からいただいた。したがって、ポスト愛知目標を考えていくに当たってのこの1年間というものが、非常に重要な期間だと認識している。また、SDGsの文脈の中でどう捉えていくのか等も含めて、この1年、しっかりとした論議ができる場をつくっていただきたい。

⇒事務局:まず、管理運営の仕方については現地の事務所とも連絡をとりながら、今のご意見を踏まえて、しっかりした管理体制を構築していきたい。

二つ目、地方での体制の問題は、国立公園や具体的な野生生物の事業をやっているところでは、かなり地域にも浸透しているが、地域戦略等を促進させながら、地方でも事務所が地域の自治体にうまく入り込んでいくようにこれからも連携を図っていきたい。

三つ目、ご意見ということで承るが、例えば日本海で言うと、NOWPAPという枠組みで環日本海の国での協力事業を行っている。そういったところとも連携を図りながら、生物に対する問題として十分認識をしていきたい。

最後に、愛知目標の、まだ時間があるので、この1年の検討が重要じゃないかというご指摘、まさにそのとおりだと思います。SDGsとも絡めながら、今年、具体的にどういった形で検討するかというのは、しっかりとした意見交換、議論を行えるように考えていきたい。

○委員:鳥インフル関係で、例えば希少種については、一定の条件であれば特段処分等を各園館で考えることなく、マニュアルを環境省の方で策定して示していただきたい。

⇒事務局:現在、動物愛護管理室、鳥獣保護管理室、希少室など関係課室が中心となり、専門家の意見を聞き、殺処分の判断基準や動物園等の再開までの手順を含めた対応マニュアルについて、現在検討を進めている。

(3)その他