中央環境審議会 自然環境部会議事要旨 (第20回)

1.開催日時

平成25年12月24日(火)14:00~17:00

2.開催場所

環境省第二会議室AB(19階)

3.議事

  1. (1)慶良間諸島国立公園の新規指定について(諮問・答申)
  2. (2)特定外来生物被害防止基本方針の変更について(答申)
  3. (3)「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」(審議)
  4. (4)その他

    第1回アジア国立公園会議の結果について(報告)

4.議事経過

諮問事項である議事(1)及び(2)について審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。そのほかの議事については事務局説明に基づき、議論がなされた。なお、主要な発言は以下のとおりである。

(1)慶良間諸島国立公園の新規指定について(諮問・答申)

委員:陸域で指定された渡嘉敷村の慶伊瀬島、チービシは、特にアジサシ類の集団繁殖地になっており、指定は非常に有意義である。ただ、既に観光業者が入っている場所があり、公園の指定によって人が増えることと、アジサシ類は基本的には人をあまり好まず、人がいるところでは繁殖しないため、その辺りの整合性が難しいと考える。

委員:海だけでなく、陸域の植生も非常に特異なものが多い。海は非常に大事が、陸域の地形・地質・植生等の調査をする必要がある。

委員:慶良間諸島は、地域を担う産業のほとんどが観光業である。保全をする側と観光を進める側の人たちがイコールではない。文化や産業まで含めた国立公園としてのストーリー性を持たせること、それを伝えるインタプリタの養成等、国立公園の価値を守り、保全活動を進める方々を紹介し、観光が保全活動に結びつくような国立公園のあり方を目指していただきたい。

委員:チービシの辺りは、島の面積は小さく地形的に脆弱性が高いので、地形を維持するために土砂を管理するということを適正に今後も実施していただきたい。そうでないと、長期的に維持するのは難しい。

委員:パブリックコメントで、慶良間諸島の自然資源を守り、地域の持続可能な社会づくりに寄与することを打ち出してほしい、という意見に対して、今後の慶良間諸島国立公園の管理運営に当たり参考とさせていただく、と回答している。前回の三陸復興国立公園の指定においては、地域の文化的な側面、地域社会の振興にも結びつけるというカラーを打ち出しており、それに続く第一弾の新規の指定になるため、そのカラーを引き継いでいくかどうかを明確にさせた方がよいのではないか。

事務局:三陸復興国立公園に次いで、慶良間諸島国立公園においても自然だけでなく、その地域の伝統や文化、歴史も含めて打ち出し、訪れた方に伝えていく。ここはエコツーリズムの協議会も設立しており、全体構想もできているので、このことも含め対応していく。

部会長:慶良間諸島国立公園予定地には、審議会委員で視察を行った際、海域や陸域の調査のさらなる必要性、陸域の地種区分の見直し、文化・歴史等の反映等、様々な意見をいただいた。指定後のよりよい管理につなげるためにも、特に調査の部分は必要である。陸域についても、今後再検討が必要。文化、地域の活性化等の議論ももっとする必要がある。
そこで、諮問に添付された慶良間諸島国立公園の指定書及び公園計画書のとおり、新たな国立公園を指定することについては、中央環境審議会からの答申として、次の措置を講じられたい旨、付記することを提案したい。内容を読み上げる。
慶良間諸島では、サンゴ礁生態系やザトウクジラの繁殖海域など、海域の多様な生態系を有するとともに、陸域において雄大な海食崖、慶良間諸島成立の地種を考える上で重要な地質の露頭、優れた植生を有する景観が見受けられる。このため、国立公園指定後においても、海域及び陸域の自然環境の把握に努め、それらを公園計画の見直し及び適切な管理に生かすこと、を付記することで皆さんにお諮りしたい。
あわせて沖縄海岸国定公園の公園区域及び公園計画変更書のとおり、沖縄海岸国定公園の区域及び公園計画の変更についてお諮りしたい。これらについて、異議ないか。

委員:異議なし。

(2)特定外来生物被害防止基本方針の変更について(答申)

事務局:今回の基本方針の変更は、第183回国会において成立した外来生物法の改正内容及び、平成24年12月に中央環境審議会より環境大臣及び農林水産大臣に対してなされた意見具申の内容を受けたもの。外来生物法だけでは対応出来ないものについては外来種被害防止行動計画(仮称)、侵略的外来種リスト(仮称)にて対応すべく、環境省にて作業中。

委員:変更案の8ページ、繁殖制限について言及している10~11行目の記述を削除してしまうと、法律の目的と逆の趣旨になってしまわないか。

事務局:8ページの記述は愛玩目的における飼養等許可の考え方を記述したものであるが、完全に削除したのではなく、7ページ17~18行目に記載場所を変更したものである。現に飼養等している個体に限定していることから変更はない。

委員:変更案の11ページ36~38行目、放出等による防除にあたって、放出等による被害と防除の効果の大小が評価されるのは生態系に対する被害のみか。

事務局:法律の目的で防止しようとしている「生態系等に係る被害」とは、生態系、人の生命若しくは身体又は農林水産業に係る被害を言い、放出等による防除に際しては生態系以外の被害も考慮される。

委員:農薬取締法等、他法令との関係はどうなっているか。

事務局:特定外来生物を特定農薬として使用するといったことは想定されない。生態系等に係る被害を及ぼすおそれがないと認められた場合に限定して放出に係る防除を行うことが想定される。

(3)鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について(審議)

委員:答申素案はかなり積極的な方針という印象。質問が2点。1点目は、都道府県が策定する管理捕獲等事業計画を誰が評価するのか。2点目は、事業者に求める資格・専門性はどのようなものを想定しているのか。農林業被害対策と生態系被害対策は目標が異なるため、数値目標を立てるのみでは不十分であり、管理捕獲等事業計画の進め方の基本指針が必要。科学的な目標を立てるための調査研究に対する予算措置はどうなるのか。これまでのように各々の研究者に頼るのか。

事務局:1点目について、基本的には管理捕獲等事業計画の策定・評価は都道府県の事務ということになるが、国としても全国的観点から評価をしていく。調査・研究に関する資金確保も必要と認識しており努力する所存。2点目について、認定事業者については、地域の鳥獣管理の担い手としてマネジメントやコントロールを行う者になることを期待しており、研修や専門員の配置などで質を維持していく。公的機関からの依頼で捕獲を行うことが多くなることが予想されるため、事業発注者である都道府県が事業者の活動の評価を行う流れを考えている。

委員:答申素案の個別の措置には異論はないが、深刻な被害があって都道府県が捕獲を進めることについて、当事者たる中山間地域の人々は理解できるが、都市部の人々に対してはシカが増えた理由、被害対策が遅れた理由を説明しないと理解が追いつかない。生物を大切にしなければならないという一方で、シカを殺すのはなぜか。被害が深刻化し、駆除しなくてはならない状況に至った原因をより詳細に追求し、国民に周知・普及すべき。

事務局:ご指摘はしっかり受け止めたい。現在把握している情報は答申素案に反映するとともに、今後もしっかりと調査を行って参りたい。

委員:科学がベースになっていない印象。影響が少ない水準で維持するのも大事だが、生態学分野におけるメタ個体群モデル等の考え方も念頭に、出来る範囲で仮説を立てながら現実的にモデル構築していくことも大事。科学的とは、単に適切な個体数を決めるのではなく、捕獲圧をかけ、モニタリングし、現実にあうように対策を変更していくことである。

事務局:管理技術の開発は重要と認識。科学的な進め方に関しても、研究者との連携に努力していく。

委員:個体数が小さい状況における対策を検討すべき。また、都道府県ごとに事業を行うとされているが、山系や国立公園など県境を超えた地域で取り組んだ方がコントロールしやすい。県境を越えた自治体同士で協働して行う点を強調すべき。

事務局:密度が低いうちに対策をとることは効果的だが、捕獲は難しい。こういった場合の捕獲技術の開発も含め、調査研究は重要と認識。また、国立公園については、来年度予算を増額して計上しており、今後もしっかり取り組む。自治体を超えて協働していく点についても配慮していく。

委員:今回の答申素案はとにかく緊急にシカ・イノシシに対応していく点に重点を置いている。現行制度では対応しきれておらず、新たな仕組みが必要。本答申に記載した各制度は必要なものであり、各地での事例を踏まえているので実現性はある。ただし、各制度を運用する上での科学的な根拠についてはまだ抽象的な段階。研究者や学会が、新しい制度に積極的に関与・貢献していただき、運用していくことが重要。保護から管理へと考え方を大きく転換している。パブコメも踏まえてなるべく具体的に書いていきたい。

委員:狩猟免許取得者が少ない現状において事業者認定制度のスキームについてイメージがわかない。経営が成り立つのか。現状の狩猟者のみで足りるのか。若い人の参入のための教育的な施策も考えているのか。

事務局:技術・成果を伴ったプロ集団を作り上げる方向。まずは実績によって、事業者を活用することの効果を説明できれば、さらに事業者の活用が進み、事業者の数も増えると考えている。制度導入の初期には人材確保やトレーニング等に対する公的な支援など、実績づくりを支援できないか検討したい。今の狩猟者にとっても、新規参入者にとっても魅力的な制度としていくことが大事。

委員:重大な転換点と認識しているが、獣害のコントロール以外に、生息環境管理(土地利用の問題)や自然共生社会(人と鳥獣の共生の推進)などへの対応はどのように位置づけているのか。

事務局:今回は緊急的対応に注力した形。捕獲だけを進めるのは適切ではないことは認識している。自然共生社会については、(鳥獣小委員会ではなく)自然環境部会で議論していただくべき事項と考えており、現時点でも生物多様性国家戦略に記載されている事項ではあるが、今後の課題として切り分けて考えている。

委員:事業者は利益をあげる必要があり、予算措置による裏付けが必要。高度な技術を有する者の育成には時間がかかるため、認定制度がすぐに効果をもたらすとは考えにくい。薬物を活用した個体数調整など、具体的な事例・効果を示していく必要がある。

事務局:現在も農林水産省が交付金等の予算を持っているため、まずはそれを活用していただく。また、当面は、事業者が急に増えることは考えにくいため、現状の狩猟者にもご協力いただいて、捕獲数を増やしていくのが現実的だと考えている。薬物による個体数調整の技術についてはまだ確立されていない現時点での手法は捕獲のみ。

委員:狩猟者が高齢化する中、農家や狩猟者への教育や研修などを進め、やりたいと思えるように促すことが大事。狩猟がお金になるとなれば、若い人が参入してくる。獲物の搬出が大変でモノレールを設置している地域もあるが、それに補助金を出す制度などはどうか。専門学校に国が補助することも考えられる。柵は防除のためだけではなく、捕獲にも活用すると効果的。

事務局:研修やシンポジウムなどについてはすでに各地で行っており、わな免許取得者は少しずつ増えている。また、その先に仕事があることを見せるのが若い人へのインセンティブになるとも考えており、事業者認定制度は意味がある。公的な技術認定も考えていきたい。農水省の交付金は、様々な用途に使える。知床では環境省の事業で、柵を活用して誘導・捕獲を行う事例もあり、技術開発も含めて推進することが重要。

部会長:今後も審議を継続していただきたい。パブコメには誠実に対応していただきたい。

(4)その他 第1回アジア国立公園会議の結果について(報告)

意見・質問なし

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