中央環境審議会 自然環境部会(第19回)議事録

開催日時

平成25年8月29日(木) 10:01~12:01

開催場所

環境省第一会議室

出席委員(16委員)

議題

1.開会

2.議事

【審議事項】
(1)特定外来生物被害防止基本方針の改正について(諮問)
(2)絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略について
【報告事項】
(3)鳥獣保護管理のあり方検討小委員会における検討状況について

3.閉会

配付資料

議題(1)関係

資料1-1
特定外来生物による生態系等に係る被害を防止するための基本方針の変更について(諮問)
資料1-2
特定外来生物による生態系等に係る被害を防止するための基本方針の変更について(付議)
資料1-3
特定外来生物被害防止基本方針の変更について
参考資料1-1
外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について(意見具申)(平成24年12月13日)
参考資料1-2
外来生物法の一部を改正する法律の概要(平成25年6月12日公布)
参考資料1-3
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
参考資料1-4
特定外来生物被害防止基本方針(平成16年10月閣議決定)

議題(2)関係

資料2-1
「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略」経緯及び今後のスケジュール案
資料2-2
「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略 構成案」の修正案
資料2-3
絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略(骨子案)の概要
資料2-4
絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略(骨子案)
参考資料2-1
レッドリスト(レッドデータブック)とは
参考資料2-2(1)
代表的な減少要因(環境省第3次レッドリストの点検)
参考資料2-2(2)
代表的な減少要因別の保全対策状況
参考資料2-2(3)
希少野生動植物の保護にかかる都道府県条例について
参考資料2-2(4)
点検結果を踏まえた今後の絶滅のおそれのある野生生物の保全について(我が国の絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する点検会議 提言)
参考資料2-3
絶滅のおそれのある野生生物の保全につき今後講ずべき措置について(答申)
参考資料2-4(1)
種の保存法の一部を改正する法律の概要(平成25年6月12日公布)
参考資料2-4(2)
絶滅のおそれのある野生生物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
参考資料2-5(1)
絶滅のおそれのある動植物種の生息域外保全に関する基本方針の概要
参考資料2-5(2)
絶滅のおそれのある野生動植物種の野生復帰に関する基本的な考え方

議題(3)関係

資料3
「鳥獣保護管理のあり方」に関する検討状況について
参考資料3
統計処理による鳥獣の個体数推定について

議事

○事務局 予定の時刻になりましたので、中央環境審議会自然環境部会を開催させていただきます。
本日は、部会所属の委員、臨時委員25名のうち、16名のご出席をいただいております。中央環境審議会議事運営規則第8条第5項による定足数を満たしておりますので、本部会は成立しております。
続いて、お手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。議事次第でございます。裏面に資料一覧が付いております。委員名簿でございます。
議題(1)関係としまして、資料1-1、裏面になりまして、資料1-2、資料1-3、参考資料1-1、参考資料1-2、参考資料1-3、参考資料1-4。
議題(2)関係でございます。資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料2-4、参考資料になりますが、2-1、参考資料2-2(1)、参考資料2-2(2)、参考資料2-2(3)、参考資料2-2(4)、参考資料2-3、参考資料2-4(1)、参考資料2-4(2)、参考資料2-5(1)、裏面に、参考資料2-5(2)でございます。
議題(3)関係で資料3、参考資料3です。
資料の方は以上でございますが、もし配付漏れ等ございましたら、事務局に申し出願います。
今月1日付で委員の交代がございまして、大日本猟友会の佐々木委員が退任され、後任に高橋委員が就任されておりますので、ご紹介させていただきます。
高橋委員でございます。

○高橋委員 ご紹介をいただきました高橋でございます。大日本猟友会の総務委員会の委員をしております。高知の猟友会の会長もしております。主に趣味で始めた狩猟でございますが、40年になるところです。かなり議論も進んでおりますが、佐々木会長から任を拝しましたので、委員として参加をさせていただきました。委員の皆さんのご意見をいただきながら、聞きながら、また猟友会としての意見を出させていただきたいと思いますので、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 座席表につきまして記載漏れがありましたので、ご紹介させていただきます。部会長の方から見ていただきまして左手の方に、中静委員、涌井委員の隣にお座りいただいております。その反対に、石井実委員の隣に小泉委員にお座りいただいております。座席表の方の訂正をお願いいたします。申し訳ございませんでした。
それでは、環境省側の職員をご紹介させていただきます。
星野自然環境局長です。
江口総務課長です。
亀澤自然環境計画課長です。
中島野生生物課長です。
総務課、岡本調査官です。
関根外来生物対策室長です。
堀内鳥獣保護管理企画官です。
それでは、星野局長よりご挨拶を申し上げます。

○自然環境局長 どうもおはようございます。自然環境局長を先月7月より務めております星野でございます。
今回、自然環境部会、今年度の第1回目ということでございますので、自然環境局関連の今年度の動きについて簡単にご報告をさせていただきたいと思います。
今年5月には、三陸復興国立公園の指定をいたしました。これは、岩手県を中心とした陸中海岸国立公園、これを母体に、東日本大震災を受けて、復興の意味合いも込めて、さらに震災の記憶をとどめる、そして地域の人々、地域の伝統文化にも触れ合う、そういう場をつくるというような復興の意味合いも込めた国立公園でございます。今回は、青森県側に拡張いたしまして、三陸復興国立公園という名のもとに指定をいたしまして、今後南側へ伸ばすことで検討を進めているところでございます。
6月には、本日の審議にも関わりますけれども、種の保存法、そして外来生物法、二つの法律の改正をさせていただいたところでございます。
また、11月になりますけれども、仙台でアジア20カ国以上の国立公園関係者を集めたアジア国立公園会議を開催いたします。これは、三陸復興国立公園の考え方を広く発信するとともに、アジアの国立公園の管理、地域の暮らし、伝統文化を生かした形での国立公園管理についての共通認識、さらにはアジアの間でのネットワークづくりをしようという目的の会議でございます。
そして、年末になりますけれども、奄美・琉球、これを次の世界自然遺産の候補と考えて準備を進めているところでございます。今年の1月に、政府としての、この地域を暫定リストに載せるんだという意思決定をしたところでございますけれども、どの地域を候補地とするかという絞り込みを、現在、科学委員会という組織でやっておりまして、年末までには区域の絞り込みをして、本申請に向けた準備を加速させるということでございます。
また、沖縄の関連で申し上げますと、慶良間諸島、ここを年度内には国立公園にしようということを考えております。現在、国定公園でございますけれども、海域の保護区を大幅に増やして、新たな国立公園として指定をしようという準備を進めているところでございます。
また、鳥獣の管理のあり方の検討、これは3月の部会で小委員会の設置を承認いただきまして検討を進めているところでございますけれども、来年度には法改正も視野に入れた制度のあり方、検討をさせていただいているところでございます。
こういったところが、今年度自然環境局関連の動きでございます。
本日は、議題が三つございます。一つ目は、諮問の案件でございます。特定外来生物被害防止基本方針の改正という点でございます。これは、昨年末に意見具申をしていただいた内容、さらには6月の法改正の内容を踏まえ、基本方針の見直しが必要になったということで、諮問をしてご審議をいただくという内容でございます。
二つ目は、絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略についてでございます。これは、現在私どもで作業を進めて、本日骨子案というものをお配りしておりますけれども、内容についてのご審議をいただき、ご助言を賜ればと思っております。
三つ目の議題は、報告の案件でございます。鳥獣保護管理のあり方検討小委員会で、現在制度のあり方についての検討をいただいておりますので、その検討状況についてのご報告をさせていただくという件でございます。
以上、三つの議題につきまして、ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○事務局 この後の議事進行につきましては、武内部会長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○武内部会長 それでは、議事を進めさせていただきたいと思います。
本日の議題は、今、局長からもお話がございましたように三つございます。審議事項は2件、それから三つ目は報告事項ということになっております。
それでは、早速でございますが、審議事項の特定外来生物被害防止基本方針の改定について(諮問)ということで、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 外来生物対策室の東岡と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、資料1-1をご覧ください。こちら諮問文になります。諮問第357号、平成25年8月23日付になります。ここから読み上げさせていただきます。
中央環境審議会、会長、武内和彦殿。
環境大臣、石原伸晃。農林水産大臣、林芳正。
特定外来生物による生態系等に係る被害を防止するための基本方針の変更について(諮問)。
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律第3条第4項において準用する同条第1項の規定に基づき、特定外来生物による生態系等に係る被害を防止するための基本方針の変更について、貴審議会の意見を求めます。
諮問理由は、資料1-3とあわせて説明させていただきます。
次のページ、おめくりください。資料1-2でございます。これは、この諮問を受けまして自然環境部会に付議されたものというものでございます。
それでは、資料1-3をご覧ください。この基本方針の変更についての経緯でございます。
平成17年に施行された外来生物法の施行状況につきまして、平成24年5月より中央環境審議会で審議が行われ、平成24年12月に同審議会から環境大臣及び農林水産大臣に意見具申がなされております。この意見具申を踏まえまして、25年6月に外来生物法の一部を改正する法律が成立、公布されております。こうした状況を踏まえまして、「特定外来生物による生態系等に係る被害を防止するための基本方針」を変更する必要がございます。基本方針の変更の案の作成に当たりまして、主務大臣は中央環境審議会の意見を聞くこととしております。同審議会自然環境部会に設置されている外来生物対策のあり方検討小委員会で具体的な検討を行いたいと思っております。
1枚めくっていただきまして、別紙1をご覧いただけますでしょうか。別紙1のところで、意見具申について簡単にご説明をさせていただきます。
この意見具申につきましては、三つの観点から意見をいただいております。
まず、資料の左ですが、制度の枠組みに関すること、今回法律の改正に関することでございます。これまで特定外来生物につきましては交雑個体が指定できなかったんですが、それらの規制と防除等に係る法的位置づけを整理しなさいということ。それから、これまで特定外来生物の放出というのは一切認めていなかったわけですが、防除の推進に資する学術研究等を目的とする特定外来生物の野外への放出の許可制度を検討しなさいということ。その下、輸入品等に混入・付着して非意図的に導入される特定外来生物の消毒等を法的に徹底できる措置を検討しなさいと、そういうような意見具申を法律改正に関していただいております。
それを踏まえまして、後ろのページになりますが、参考資料1-2をご覧ください。カラーの法律の概要の1枚のポンチ絵です。
こうした意見具申を踏まえまして、この参考資料1-2の下の黄色い改正内容というところをご覧ください。この法改正によって大きく三つの点を改正しております。
一つ目が、外来生物の定義を改め、特定外来生物が交雑して生じた生物についても特定外来生物に指定できることとする。二つ目が、防除の推進に資する学術研究のための特定外来生物の放出については、環境大臣等が許可できることとする。三つ目が、輸入物資に付着・混入している特定外来生物の消毒方法の基準を定めるとともに、環境大臣等が輸入者に対し消毒等の措置を命令できることとする。こうした内容の法改正を6月に成立、公布されております。
また、先ほどの別紙1に戻っていただけますでしょうか。別紙1の意見具申の説明に戻らせていただきます。
この意見具申の二つ目の観点ですが、法律に基づく施策の運用に関することでも意見をいただいております。
一つ目が、予防的観点に立って、特定外来生物につきましては、積極的に指定していきなさいということ。特定外来生物を緊急に指定できる体制を確保しなさい。飼養等許可を受ける者に対する適正管理のための指導強化をしていきなさい。非意図的に導入される特定外来生物の侵入経路の特定、モニタリングを強化しなさい。国と地方公共団体における情報交換や成果の共有等の枠組みの構築をしなさい、こういった観点のご意見をいただいております。
先ほどの法律の改正に関すること、また法律に基づく運用に関することにつきまして、今回基本方針の変更で反映させていきたいと思っております。
それ以外の観点が右側になります。外来種対策全般に関すること、これは特定外来生物以外の外来種、例えば国内由来の外来種などについての意見もいただいております。
こちらについては、現在、国土交通省、農林水産省、環境省の3省で策定を進めております行動計画ですとか、環境省と農林水産省で愛知目標達成のためにリストづくりをしている侵略的外来種リストの策定、それから国内由来の外来種に対する対策の推進、あと生物の導入による遺伝的攪乱に関する科学的知見の蓄積、普及啓発、そういったことが意見具申されております。
また、資料1-3の1ページ目に戻っていただけますでしょうか。先ほど意見具申をいただいたことについて、外来生物法の改正に伴う変更と、あと意見具申を踏まえた変更、この二つの観点の変更が主なポイントとなります。
この資料をめくっていただいて、2ページ目をご覧いただけますでしょうか。今後のスケジュールでございますが、本日の自然環境部会で外来生物対策のあり方検討小委員会での検討をご了承いただいた場合は、9月に外来生物対策のあり方検討小委員会の1回目、それからパブリックコメントを挟んで2回目を11月に開催しまして、その結果を12月の自然環境部会に、基本方針の変更案の取りまとめをしたいと考えております。
説明は以上でございます。

○武内部会長 それでは、ただいまの説明に関しまして、ご意見、ご質問がございましたらお願いしたいと思います。札を立てていただければと思いますが。

(なし)

○武内部会長 よろしゅうございますか。もし特段のご意見がないようでございましたら、この議題についてお諮りをしたいと思います。
特定外来生物被害防止基本方針の変更については、小委員会で議論を進めるということで、皆さん同意いただけますでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 どうもありがとうございます。
それでは、皆さんのご賛同をいただきましたので、本件については、外来生物対策のあり方検討小委員会において議論を進め、その結果を報告していただくことにしたいと思います。この外来生物対策のあり方検討小委員会に所属する委員等及び委員長については、中央環境審議会議事運営規則に基づき、部会長、私が指名することになっております。
早速ですが、これから事務局よりその名簿を配付させていただきます。

(資料配付)

○武内部会長 今、配付をさせていただきましたが、私のほうから指名させていただく小委員会の委員の構成については、この配付された資料のとおりでございます。委員長につきましては、石井信夫委員にお願いしたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、引き続きまして、議題の(2)絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略について、本部会で進めていくということでございましたが、その後の状況について、事務局より説明をお願いしたいと思います。

○事務局 野生生物課の荒牧と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料2-1からご説明をさせていただきたいと思います。この保全戦略の経緯及び今後のスケジュール案でございます。
平成23年度の生物多様性国家戦略2010、一つ前の国家戦略の記述を受けまして、絶滅危惧種の保全の状況について点検を行い、結果を取りまとめてございます。
これを踏まえ、24年度に入り、新しい国家戦略におきまして、環境省として絶滅危惧種の保全の進め方やその優先順位づけ等について盛り込んだ戦略を策定するということが記述をされてございます。
昨年12月には、野生生物部会で絶滅危惧種の保全の今後講ずべき必要な措置について諮問をさせていただいたこととあわせて、一度保全戦略の骨子案をお示ししてございます。
3月のこの自然環境部会で答申をいただきまして、この際には保全戦略の構成案を簡単にご説明させていただいたという形で、本日は骨子案のほうをご議論いただきたいと考えております。
3月から今日までの間に、種の保存法の改正がございまして、改正に伴っての議論も多々ございました。このため、12月時点で野生生物部会にお示しした骨子案から大分いろいろと変更が生じている状況でございますので、本日はその変更点を中心に骨子案をご説明したいと思っております。
今後のスケジュールでございますが、秋から冬にかけて、次の部会におきまして案という形で再度お示しして、パブリックコメントをかけた上で、年度内にこの戦略を環境省の戦略として公表したいと考えております。
ここで、すみません、参考資料のほうを簡単にご説明させていただきたいと思います。これまでの経緯のこともあわせまして、一通りの参考資料をご用意させていただきました。
参考資料2-1がレッドリストの概要で、絶滅のおそれの評価をした基礎資料ということでございます。裏面をめくっていただきますと、この2月に公表いたしました第4次レッドリストの掲載種数を記載しております。主として陸生の生物を扱ったレッドリストで、10分類群の合計が、黒枠で囲われているところがいわゆる絶滅危惧種ということになってまいりますけれども、3,597種が該当していると。括弧書き、前回の種が3,155種ということで増加しているという状況でございます。
参考資料2-2のシリーズが、23年度の点検時に整理をしたものでございます。本来であれば少し丁寧にご説明をするべきところではございますが、恐縮ながら駆け足でどういった資料かをご説明させていただきます。
これは、23年度時点のものですので、第3次のレッドリスト3,155種を対象に整理、分析をさせていただいたものでございます。資料2-2の(1)が、レッドデータブックから抽出をして、それぞれの種にどういった減少要因がきいているのかということを整理したものでございます。2枚目に、各分類群毎にどういった影響がかかっているのかということで表にしてございます。
続きまして、2-2の(2)が、それぞれの影響要因を踏まえて、それに対応するような対策がどの程度かかっているかということで、捕獲規制と、あとは保護地域のカバー状況というものを分析いたしました。分類群と、あるいは対策によっては比較的カバー率の高いものもありますが、ばらつきがあるということと、そもそもの情報として、分布情報等の不足というところから大まかな傾向だけを見られる状況ということが明らかになった次第でございます。
資料2-2の(3)、この点検時におきましては、都道府県の政策についても確認をさせていただきまして、47都道府県のうち31の団体で希少種の保護に関する条例が策定されているという状況が整理をされたところでございます。
2-2の最後になりますが(4)、これらを踏まえまして、点検会議での提言をいただきました。主に、やはり絶滅危惧種を守っていくに当たってその優先度をしっかりと考えていくべきだということで、優先度の考え方を初めとした、保全に当たってのいろいろな考え方を整理していただいたという状況でございます。
参考資料2-3が、審議会からいただいた今後講ずべき措置ということの答申でございます。点検を受けて、早急に講ずべき措置として流通管理に関しての規制制度の見直しということと、この保全戦略について、しっかりと書き込んでいくべきということを答申いただいております。
それから、参考資料2-4のシリーズでございますが、これが法律改正の概要と、それに伴いました附帯決議でございます。法律は、特に流通関係の規制の強化ということで、罰則の強化をはじめとして、希少種の流通管理を強化する制度の改正を行っているという状況でございます。それにあわせて、種の保存法についての国会審議におきましては、国内に生息する絶滅危惧種をどれだけ守っていくのかということも多々ご審議いただいたというところで、保全戦略を総合的なものとして策定するということですとか、あるいは今後、絶滅危惧種のうちの希少野生動植物種について、当面2020年までに300種を新規指定することを目指すといったようなことが記述をされております。
最後、参考資料の2-5でございますが、表の(1)が、生息域外保全に関する基本方針、裏が野生復帰に関する基本的な考え方ということで、域外保全及び野生復帰につきましては、技術的なところが多々ございますので、環境省で検討会を立ち上げて整理をしてきたというものでございます。
参考資料の中身は以上でございます。ご参考としてご活用いただければと思います。
メーンの資料に戻っていただきまして、資料2-2でございます。これまでの経緯を踏まえまして、前回の12月時点の構成案から、今回、どのように修正をしたかということの構成の修正案をお示ししております。
この保全戦略は、基本的に国内、我が国の絶滅危惧種をどういうふうに守っていくかということを示しているものですので、3章のところの現状と課題においても、点検の際に、国内希少種の保全の部分にフォーカスしてご議論いただいた部分についてのみ記述をしておりましたが、流通管理に関しましても、国内種の捕獲ですとか流通もあわせてございますので、そこは整理をして追記をさせていただきました。
第4章の基本的な考え方、中身は大幅な変更はございませんけれども、5章の施策の展開の構成とあわせて、少し整理をさせていただきました。これまで3から5で分けていた項目について、計画的な保全対策の実施の考え方ということで、三つの項目にくくり、これが5章の1ポツから3ポツまでのそれぞれの項目に該当するという整理とさせていただきます。
5章の施策の展開のところで大きく変更しておりますのが、2ポツの保全対策の推進のところで、種の保存法の改正も踏まえまして、種の保存法による取組と、それ以外の制度を活用した取組ということで、内容を整理させていただいて充実をさせております。3ポツについては、内容が膨らんできたということもありまして、大きく二つの項目に整理をさせていただきました。
資料2-3でございます。大まかな保全戦略の全体の流れをこちらでご確認いただければと思いますけれども、骨子案の概要、一枚紙でございます。
第1章が背景、第2章がこの戦略の目的ということになります。我が国に生息する絶滅危惧種の保全を全国的に推進するための基本的な考え方と施策の展開を示していくものでございます。
第3章が、点検を踏まえて、現状と課題を整理しております。
第4章、基本的な考え方、こちらについては、点検時の提言ですとか、これまでまとめてきた基本的考え方等を整理して、環境省だけではなく、多様な主体が保全を進めていくに当たって基本的に考えるべきことという観点から主に整理をしてございます。
5章につきましては、これらを踏まえて、環境省としてどのような施策を展開していくのかということを示しているものでございます。
それでは、骨子案の本体をご覧いただければと思います。
まず最初に、下線が引いてあるところが、12月時点で野生生物部会にお示しした骨子案から変更した事項ということになっております。第1章の背景におきましては、12月以降、法律改正等々、それまでの動きを追記させていただいて、あわせて経緯も冒頭に整理をさせていただきました。
2ページ目、第2章、目的でございます。この本戦略は、国家戦略2020に基づいて環境省が自らの取組を中心に策定をするというものでございます。本戦略では、国家戦略の国別目標のうち、絶滅危惧種の保全に係る部分の目標の達成に向けて、その保全を全国的に推進するために、基本的な考え方と施策の展開を示すということでございます。この保全戦略の進捗について、点検と見直しをしていくという際には、国家戦略の点検及び見直しにあわせて行っていくと。また、次の国家戦略の見直しの際には、ここに示された施策等を適切に反映していくということを記載しております。
最後に、なお書きで書いてあります種の保全の目的ということ、これは前回も記載させていただいたんですけれども、全体の構成の整理の関係で、なお書きという形にさせていただいております。
第3章が、我が国の絶滅危惧種の現状と課題ということで、レッドリストの評価結果として、先ほど申し上げましたように、現時点でも絶滅危惧種が3,597種ということで、依然として厳しい現状にあるということでございます。
2ポツ、3ページ目が我が国の絶滅危惧種の現状と課題を整理したもので、これは点検を受けての課題というものを整理させていただいています。下線部、追加しておりますのは、当時もシカ等の中大型の哺乳類の影響というものをご指摘いただいていたんですけれども、ここで明記をされておりませんでしたので、追記をさせていただきました。
4ページ目が、それぞれの減少要因に対応した施策の中身と関連する制度、それから23年度の点検で整理をしたカバー状況の割合というものを一覧で整理したものでございます。
それから5ページ目、3ポツ、国内流通に関する現状と課題ということで、国際希少野生動物種も含めまして、国内での流通を規制しているところではございますが、これらについて、不適切な流通に対して、罰則が弱いということをご指摘いただきまして、今年、平成25年の6月の法改正によって罰則の強化や広告の規制等がなされました。また、今般の改正法では、施行後3年後に、登録制度も含めた法規定の検討を加えるということになっておりますので、今後必要な調査や対策の検討を継続して行うということを追記してございます。
第4章の基本的な考え方です。大幅な変更はございませんが、全体として少し記載を、丁寧に記述させていただきまして、例えば域外保全の基本方針ですとか、野生復帰の基本的な考え方といったものも、既存の基本的指針が何なのかということを明記させていただいたという状況でございます。
進みまして、6ページ目から、種の状況を踏まえた効果的な保全対策の考え方というところでございます。
7ページ目のところに、地域との連携を図りながらの取組が重要であるということで、農林水産被害があるような場合への被害の軽減ということを記述していたのですが、ここの部分について、少しどういったケースが考えられるのかということについて、少し丁寧に追記をさせていただきました。
それから、(2)域外保全と野生復帰の考え方のところでは、野生生物部会の委員の先生から幾つか技術的な助言をいただきまして、特に野生個体からファウンダーを確保していくような場合であったりとか、絶滅種でないものの野生復帰につきましても、非常に丁寧に対応していく必要があるというご意見を多々いただきましたので、中身について少し丁寧に記述をしてございます。
8ページ目でございます。計画的な保全対策の実施の考え方として、知見及び技術の集積と共有というところでございますが、集積のところを主に記述をさせていただいたんですけれども、それをどのように活用していくのかという点を少し充実して書かせていただいております。なかなか取り扱いに注意を要する情報が、絶滅危惧種の場合にはある状況ではございますが、必要なものに必要な情報が提供できるような体制ということが重要であるということで、考え方として示しております。
それから、現在の保全の進捗がどういうふうな状況になっているのかということをわかりやすく把握するための指標等を検討していくということも重要ということを示してございます。各種の制度の効果的な活用につきましては、表1にありますように、種の保存法を初めとしてさまざまな制度がございますので、それを踏まえて、いろいろな制度を活用した上で、絶滅危惧種を保全していこうということの記述をしております。多少文言の修正、丁寧な説明、追記等ございますけれども、内容に大幅な変更は加えてございません。
それから、第5章、施策の展開でございます。ここから少し、中身が追加になっている部分が多くございますけれども、まず情報及び知見の充実というところで、先ほども考え方のところで述べております基本的な情報の整備を進めるということとあわせて、適切な管理の上で関係主体との共有を図っていくことということを追記してございます。
それから、10ページ目、情報の収集の内容としまして、あとはレッドリストと、あと重要地域の抽出、それから絶滅危惧種の保全状況の分析と、四つの項目を立てておりますが、(4)の絶滅危惧種の保全状況の分析について少し表現を丁寧にして、どういったことをやるのかということを整理させていただきました。その種をどういうふうに保全をしていく必要があるのかということを把握するために、その生息状況に加えて、今の保全状況がどうなっているのか、不足している対策がどういったものなのかということを把握するための絶滅危惧種保全カルテを作成していくということを述べているものでございます。
それから、2ポツ、保全対策の推進でございますが、ここがまず一つ、種の保存法による取組について、大幅に追記をさせていただきました。国会審議等々でも議論がありましたように、今後国内希少種については、当面2020年までに300種の追加指定を目指し、それ以降も同様のペースで指定の推進を図るということとしております。これについて、優先度の考え方を踏まえまして、特に絶滅のおそれの高いCR、絶滅危惧IA類というもののうち、保全が図られていない種から、その指定の有効性を検討していくといった方針を記述してございます。
また一方で、我が国として重要な生態系に見られる種の保全の観点ですとか、あるいは捕獲圧が高い場合や、個体数の増加の困難な種ということに関しましては、IB類、あるいはI類といったことも含めて有効性を検討し、対策を推進していくということとしております。
また、その種の選定に当たっては、国民による提案を、規制が必要な根拠とともに受け付ける体制を整備していくということを記載しております。具体的な提案の様式といったものについては、ホームページで今後整理をして明らかにしていきたいと考えておりますが、その得た提案については、中央環境審議会の野生生物小委員会に諮って、候補種を検討していくということを整理してございます。
11ページ、14行目から、指定種の保全の取組ということでございますが、指定した種についても対策の進行状況について定期的な点検・見直しをし、追加的な措置や関係者との連携も含めた効果的な保全手法を進めていくとしてございます。それにあわせて、生息地等保護区の設定についての考え方、また、保護増殖事業についての考え方、推進のあり方について整理をさせていただいております。
 12ページ目でございます。種の保存法に関連しまして、もう一つ、解除の考え方についても整理をさせていただきました。種の保存法に基づく「希少野生動植物種保存基本方針」というものがございます。こちらに書いてある選定に関する基本的事項に該当しない場合については、その指定を解除していくということになっていきますけれども、考え方としまして、環境省のレッドリストカテゴリーから外れた場合は指定を解除すると。また、カテゴリーが準絶滅危惧へダウンリストをして、それが継続的にランクが上がってこない場合ということについては、解除による種への影響も含めて、指定解除についての検討を開始するというふうに整理をしてございます。また、当然ながら、解除によってカテゴリーが上がり、また危ない状況になるということになった場合には、再度指定することを検討するということを記載してございます。
それから、(2)としまして、種の保存法以外の制度等の活用としまして、さまざまな制度、事業等の活用も検討して、関係主体との連携を図っていくということとしております。内容としては、国指定鳥獣保護区ですとか、あるいは国立公園における指定植物、指定動物の関係、また国立公園内でのシカ対策等を初めとする生態系維持回復事業の取組と、それから海洋生物については、海洋保護区の効果的な設定といったこと、それから渡り性の鳥類についての国際的な枠組みを活用した保全の取組といったことを追記、整理をさせていただいております。
(3)の手法・技術の開発と普及というところでございます。内容として、少し追加をさせていただきましたのは、やはり技術的に蓄積が重要な生息域外保全というところと野生復帰に関しまして、少し記述を追記させていただきました。日本動物園水族館協会とは、特に域外保全に関しての協力を図っていくということで、協定書を今後結んでいくということを検討しているところでございます。
最後になります。多様な主体の連携及び社会的な理解の促進ということで、主体の連携につきましては、地方公共団体との連携については、連絡会を開催することなどによりということで、具体的な取組を少し追記させていただいております。
それから、14ページになりますが、里地里山における連携の取組についても、新たに追記をさせていただきました。
また、社会的な理解の促進として、環境省として取り組めるということで、実際の保全活動においての連携ですとか、ガイドラインの作成を通じた人材育成や、教育の教材としても活用可能なパンフレットの作成等々の取組を記述してございます。また、具体的な取組として、例えば優良事例の紹介といったものを行っていくことを記載してございます。
それから、関係する飼育団体関係園館との連携等を記載しておりますのと、あとは草の根の取組に対しての評価や支援も、応援ということも重要ということですので、環境省で行っている表彰ですとか、あるいは取組の発表の場といったものを今後もしっかりと継続して取り組んでいくということを記載してございます。
駆け足になりましたが以上でございます。

○武内部会長 それでは、ただいまの説明、とりわけこの戦略の骨子案を中心に、皆さんからご意見をいただきたいと思います。また、これに関するご質問もあわせてお受けしたいと思いますが、ご質問に対しての回答は、後ほど皆さんのご意見、ご質問を伺ってから、一括して事務局のほうから回答をするという形にさせていただきたいと思います。
それでは、どうぞご意見、ご質問のある方、札をお立てください。
石井実委員、お願いします。

○石井(実)委員 ありがとうございます。大分まとまりがよくなって、全体的にはよくなったのではないかなと思います。私もこの以前の検討の段階から関わっている者なんですけれども、だんだんわからなくなってくるのが、環境省が言われている保護増殖という概念と生息域外保全の概念の整理です。例えばわかりやすいのが、6ページの下の図の1なんですけど、この図の1は以前も何か議論があったところですが、左側の隅のほうの四角に、「生息域内保全」と書いてあって、それで下に注釈が出ているんですね。この生息域内保全の注釈を読むと、生息域内保全には保護増殖事業というのも含まれているということで、そうなってくると、この上の図の1の説明は、絶滅危惧種の保全対策の相互関係となっています。これ全部が絶滅危惧種の保全対策で、その中には生息域内保全があって、保護増殖があってと、こういうふうに読むんですけど、注釈の見方はそうではなくて、この全部が生息域内保全であって、この中には保護増殖も、一番右の端にある捕獲・流通の規制も全部入っているということになっているんですね。それで、私からの提案なんですが、左の隅の四角にある生息域内保全というもの、鍵括弧がついている言い方をやめて、例えば「生息環境の維持再生」ぐらいにしておいて、それで、これとは別に全体に枠をもう一つかけて「生息域内保全」と書くなりしないと、下の説明と合わなくなってくるんじゃないかと思います。要するに、環境省さんの考え方は、生息域内保全という概念が大きくて、その中の保護増殖の一部に生息域外保全があるというふうに説明しているんだと思うのですが、この辺ちょっとお聞かせいただければと思います。

○武内部会長 ありがとうございます それでは、中静委員、お願いします。

○中静委員 大変たくさんの問題を検討していただいたんだと思います。東日本大震災の後に、希少種ですとか、絶滅危惧種が今までなかったところに出てくるということをたくさん経験しているんですね。それをどういうふうに保全するかというのは、現場では非常に大きな悩みでして、例えば今まで田んぼだったところを津波の堆積物が被って、その後、地盤沈下などで環境が変化したこともあって、そういうところにたくさん希少植物、希少動物が出てくるというようなことが起こっているわけですね。震災の復興はしなくてはいけないのですが、そういう場合にどういう判断をすればいいのか。これからこういうことがどのぐらい起こるかというのは、予測するのは難しいですが、そういう場合の基本的な考え方が述べられていると、今後の指針としても非常に役に立つのかなというふうに思いました。
それと、似たようなケースなんですけど、いわゆる里山の生物というのは、かく乱を受けた場所に出現するものが多い。何もしなければ出てこなかったんだけれども、開発などで攪乱したために出てくるというようなことが時々あるんですね。そういうときに、希少生物の保全の考え方をどういうふうにやっていったらいいのかというのは、少し整理していっていただかないと、現場のアセスメントも非常に困る部分がありますし、保全上も非常に問題になるケースが出てくるんではないかなというふうに思っているところです。その辺もぜひ整理していただけるとありがたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。
高村委員、お願いします。

○高村委員 すみません、10ページ、施策の展開の(4)番の絶滅危惧種の保全状況の分析で、「絶滅危惧種保全カルテ」をつくって、積極的に効果的な対策を検討すると書き入れていただき非常にありがたいと思っていますが、科学言い換えると、研究にフィードバックできるようなカルテの内容にしていただきたいと思います。これだけですと、どういうふうなカルテをつくるのかイメージができません。例えば哺乳類と昆虫と植物では、保全手法が異なります。特に昆虫ですと、生息域の環境の具体的中身がバラバラであったり、生物自体のモニタリングにしても、必ずしも科学として使えるデータになっていない場合があります。例えば努力量がばらばらであるというようなことが起こります。そうした場合、カルテの中身をあらかじめ専門家がチェックすることで、非常に有効なデータがとれるという場合もあります。また、水草などの植物の場合は土壌シードバンクがありますので、植物体が消えても、異なった視点での保全が可能な場合もあります。
ですから、絶滅危惧種保全のカルテの中身も、具体的な保全につながるような情報を、どういう情報がやはり必要なのかというふうなことを考えたうえで対象とする生き物ごとに整理していただいて、ある方向性を持ってつくっていただければありがたいなと感じました。

○武内部会長 それでは、石井信夫委員、お願いします。

○石井(信)委員 ありがとうございます。2点ほど、きちんと読んでいないので、どこにということは言えないのですけれども、少し記述を加えていただければいいなと思うことをお話ししたいと思うのですが、一つは、この文章だと、絶滅のおそれのある種の減少要因というのが大体わかっているというような前提で書かれていますが、例えば私の知っているツシマヤマネコでも、何で減っているのかよくわからないというところがあるんですね。要因はいろいろ列記されていますけれども、どれが一番重要かとか、そういうこともわかっていないのが多いのではないかというふうに思います。それで、絶滅のおそれを高めている要因についての調査研究というんですか、もう少し精査というのをしなければいけないんだということをどこかに加えてもらえないかと思います。
それに関連して、要因で恐らく重要なのは、多分、生息環境の消失とか減少とか変化だと思うんですが、そうすると、ハビタット管理をしないと保全ができないということになりますが、この戦略の中には、どちらかというと、保護地域をつくるとか、保護地域の中で管理をするというような書き方が多いようなんですけれども、保護地域外、そこでもいろいろできることはあると思いますので、法律の裏づけがなくても、こういうことをいろんな産業活動の中でも配慮してほしいとか、少し9ページの14から15に、広域分布種についてはそういうことが考えられるというふうなことが書いてありますが、もう少しほかの種についても、保護地域外でできる、多分いろんなものを全部カバーできるような保護地域システムというのは難しいと思いますので、そういう保護地域外でできることというのを、どこかでちゃんと考えられるような記述というのがもう少しあるといいなと思いました。
以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。
それでは、尾崎委員、お願いいたします。

○尾崎委員 10ページの中ほど、下のほうに「23年度に実施した政策の全般的な点検」というのがありまして、ちょっと私は全容がつかめていないので、とんちんかんな質問になるかもしれませんが、これは既に何か一般の方が見られるような形で出ているものでしょうか。
もう一つ、その中に、第3次のレッドリストの見直し、点検ですか、先ほどご紹介いただいた参考資料が入っているということだと思うんですが、少なくとも第4次がもう出ていますので、その第4次に関して、ここの記述だと、10年程度でということですから、すぐにはやらないという逆の読み方ができると思うんですけども、第4次のレッドリストの点検、この参考資料で書いていただいているような点検は、むしろ進めたほうがいいのではないかと思います。ほかの部分の、全体的な点検がもっともっと大変なことになるのであればそれは難しいと思いますけども、少なくともレッドリストに関しては、更新されるたびに点検をされたほうが、チェックをされたほうがいいかなというふうに思います。

○武内部会長 それでは、白山委員、お願いします。

○白山委員 ありがとうございます。大変広範にわたる戦略かと思いますけれども、先ほどの石井委員のご発言にちょっと関係するんですが、1ページに、いわゆる多様性の国家戦略のほうで「積極的な種の保全や生物多様性の保全に配慮した持続可能な農林水産業の推進による」という言葉が入っているんですけれども、この「持続可能な農林水産業の推進」というのは、これは非常に重要なキーワードじゃないかと私は考えているんですが、この中には、ほとんどこれに関する記述がないんですね。戦略として、この持続可能な農林水産業の推進をサポートしようという姿勢がほとんど全体として見られないので、例えばですけれども、林業とか水産業で、いわゆる持続可能な林業とか水産業の認証制度みたいなものがございますけれども、必ずしも国がやっているわけではないけれども、まさに多様性の保全、あるいは種の保全にそれなりの貢献をしてくれる可能性は十分あると思いますので、その辺り、少し積極的な記述をしていただけるとありがたいと思います。
以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。
それでは、桜井委員、お願いします。

○桜井委員 多分私もこれに関連するんですけれども、ここでは、1ページの今の指摘がありましたところでは、要するにレッドリストからダウンしていくものがありますね。こういったものが増えていくということを目標としているわけですね。そうすると、この全体の書きぶりの中からすると、保全ということが前面に出ていますけれども、ダウンさせていくという努力をしたときに、その結果が見えたときに、次のステップで何をするかということの具体性、これはさっきの、いわゆる農林水産業との関連もありますけれども、人が生活する生活圏の中でのどういう維持管理をしていくかという部分が、ちょっと見えない部分があります。
それから、それに関連して言いますと、7ページの11行目からのところもありますけども、ここの、これ私非常に言いづらいんですけれども、その途中に「農林水産業や生活などへの被害があるような場合には、生息地の分散等による被害の軽減などの管理」とありますね。これは恐らくタンチョウとか鳥を意識されていると思いますけども、本当に増えてしまって困っている方がいるときに、分散したら被害が逆に散らばるだけで何も管理にならないということがありますよね。それについて、もうちょっと配慮していただければと思うんですね、文章の書きぶりに。
それからもう一点は、12ページで、保護の解除、これは非常に重要だと思うんです。ここでもしこれが解除されていくということは、じゃあどういうことがあって保護が解除できたのかということの追跡調査をしておかないと、万が一減ってしまったときに、今度はまた管理できないので、やはりここについても、もう少し具体的にモニタリング等も含めて、なぜ増えたのかということ、その後どうするんだということも含めた管理の方向をもう少し明記していただきたいということです。
それから、あともう一件は、ちょっと多くて申し訳ありませんが、12ページの海洋保護区の話がありますが、これも書いていただくことは非常に嬉しいんですけれども、全く具体性がなくて、じゃあどうするのといったら、全くないんですよね、これ。ここについても、もうちょっと踏み込めればいいなという希望ですけれども持っております。
以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
次は、柴田委員、お願いいたします。

○柴田委員 どうもありがとうございました。全体の方向性については賛同申し上げます。私は法律家ですので、科学と法律の接点で、かつ私は国際法ですので、国際法ないしは国際政策と国内法、国内政策の接点の辺りに関心があるんですが、そのような観点からどちらかといいますと、ご教示くださいという趣旨のコメントを二つに関してさせていただきます。
一つは、2ページのところの第3章の1のところの最初に出てくる下線のところなんですが、絶滅の「おそれの度合い」という概念が出てきたのに私は着目いたしました。このおそれ、スレッテンドというこの言葉は、法律ないしは行政が介入するスレッシュホールドで、しきいの概念として大変大事でありまして、例えば生物多様性条約のもとで最近成立しました名古屋・クアラルンプール補足議定書、これは遺伝子組み換え生物による生物多様性への損害を扱っているものですが、この議論の中でも何がおそれなのかと。どの時点で行政ないしは法律が介入すべきかという、そのしきいの概念としてのおそれという概念が大変議論になっていたわけですが、そういうおそれについて、度合いを評価するというこの考え方、大変興味深いので、少し立ち入って、もう少しご説明いただければと思いました。
絶滅の動植物に関するワシントン条約においては、附属書Iの種はスレッテンド、つまりおそれがあるもの、他方で附属書IIについては、おそれはないけれども、メイビカム、その可能性があるものという、この二つの分け方をしていますが、それとの関係があるのかどうか、もしそのおそれがあるというものだけについて議論しているんであれば、その中について程度を定めるというのは、どういう意味を持つのかという辺りに関心を持ちましたので、もしよろしければご教示いただければと思います。
もう一つのご教示いただきたい点は、7ページから8ページにかけての野生の復帰という概念なんですが、私は科学の専門ではありませんので、復帰という概念が、例えば回復するという、レストアするという概念とどのように関係しているのかというのはよくわからないんですが、この問題も先ほどの例でいきますと、名古屋・クアラルンプール補足議定書においては、これも遺伝子組み換え生物ではありますけれども、損なわれた生物多様性を元に戻すということが義務化されているわけです。したがって、生物多様性というのは、毀損されれば元に戻すのがいいことだというのが全体的な、国際的な風潮であるんですが、その中において、7ページの一番下のところのパラグラフもそうですが、それ以上に、次の8ページの一番上の絶滅してしまった場合の復帰の仕方について、かなり慎重な姿勢を示されているところが私としては興味を持ちました。その2行目において、つまり絶滅してしまった後について、現在の生態系、絶滅してしまった後の現在の生態系にも価値があるんだという考え方に基づいて、それとの関係で再導入することはどうであろうかということを、いろいろな要素を加味して慎重に検討したほうがいいというそういう姿勢なんですが、これ自体はなるほどと私は思ったんですが、他方で、先ほど申し上げたような国際的な風潮としては、少なくとも私が知る限りでは、毀損してしまったものは元に戻すほうがいいんだというようなことで、全般的な傾向があるように思いますので、この辺りの考え方の哲学ですか、もう少し教えていただくと、私もそういう国際的な場においての議論において参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

○武内部会長 ほかに。
石井信夫委員は二度目でしょうか。いいですか。わかりました。
ほかに。よろしいでしょうか。

(なし)

○武内部会長 それでは、事務局のほうから、今いただいたご意見、ご質問に関してのコメントをお願いいたします。

○事務局 ありがとうございます。ちゃんとお答えできるか、なるべくしっかりご説明させていただきたいと思いますが、まず最初に、石井実委員からご指摘、ご質問がありました6ページの表なんですけれども、すみません、恐らく注釈の書きぶりがわかりにくくて誤解を招いてしまう形なんだと思っておるんですが、生息域内保全がどこを示しているかなんですが、この横の実線の部分が生息域内保全というところで、保護増殖事業については、生息域内で行われる取組も域外で行われる取組も、その種に着目した取組として考える対策ですので、両方あるという形になっております。ですので、域内保全の観点から見たときに、種に着目した取組である保護増殖事業ですとか、あるいは捕獲の規制といったものが想定されて、それ以外にも、場に着目した自然再生といったようなことも域内保全では考えられるだろうということで、横の実線が、縦の対策とかぶるところがあるのと、外れてしまうところがあるというものを表現したかったところでございます。
保護増殖事業は、そういう意味では、完全に域内保全だけにはとどまらない、域外保全も含めてさまざまな施策を種に着目してやれるということで考えているところでございます。ちょっと注意書き等の書きぶりも、少し検討させていただければと思っています。
それから、中静委員のほうからは、これまでなかったところにですとか、あるいは里山の攪乱ということで出てくる絶滅危惧種のことでご指摘をいただきました。正直、これをどういうふうにしていくのかということを整理していこうと思うと、もう少し検討の要る重たい話かと思いますので、すぐにこの保全戦略で書き込めるかというとなかなか難しいかと思います。今後検討させていただければと考えております。
高村委員から、カルテでどういった情報が必要なのか、科学とのフィードバックも考えて、方向性を持って進めてほしいというご意見をいただきました。まさにカルテの中身をどうしていくのが効果的なのか、今後少し考えていく必要があると思っております。ご意見を参考とさせていただきたいと考えているところでございます。
石井信夫委員から、減少要因がわかっていないものが多く、その調査や研究の必要性ということと、ハビタット管理ということで、保護地域以外でできることが考えられるように記述ができないかということでございました。まさに減少要因をどう捉えるかというところが、入り口として非常に重要なところだと思いますので、どのようにして書き込めるか少し考えさせていただきたいと思います。保護区以外での取組ということになりますと、今のところガイドラインですとか、技術的なところを示していくというところが内容として近いかなというふうに思いますけれども、考え方のところでももう少し、その重要性について書けるように考えていきたいと思っています。
尾崎委員から、第4次レッドリストについての点検を進めたほうがよいというご意見をいただきました。それはまさにおっしゃるとおりで、特に減少要因がどういうふうになっているかということについては、内々整理を進めているところでございますが、なかなか難しいのが、保護区域のカバー状況というところになってきますと、分布情報が非常に古いものしかないという状況になっておりますので、これは今後の情報の整理も含めて、どういうふうやっていけるかを考えた上で、点検は適切にやっていきたいと考えております。
白山先生から、農林水産業の推進のお話でご指摘をいただきました。環境省の施策というところでいきますと、なかなか直接に書くところは難しいんですけれども、基本的な考え方の中で、少しどのように書き込めるか検討させていただければと思っております。
同様に、桜井委員のほうから、ダウンリストの次のステップとしてどういうふうな取組をしていくのか、そのダウンリストしたときの分析の重要性、なぜ増えたのかということのモニタリングの必要性ということと、コンフリクトがある場合、安易に分散したら被害が広がることの問題点というご指摘をいただきました。ここはちょっと記述を考えたいと思います。
それから、海洋保護区のお話も、書きぶり、すみません、少し検討させていただければと考えております。
柴田委員からは、二つご質問をいただきました。絶滅のおそれの度合いの評価ということで、参考資料2-1に、レッドリストのカテゴリーというものが書いてあるんですけれども、絶滅のおそれの度合いを評価しているのがレッドリストなんですけれども、絶滅危惧種に該当すると言われているものが、大きく三つに分けることができております。絶滅危惧I類というものがIAとIBに分けられて、これが絶滅の危機に瀕している種ということと、それから絶滅危惧II類と呼ばれるものが、絶滅の危険が増大している種ということで、これらをあわせて現在絶滅危惧種というふうに整理をしているところです。それから、その枠外に準絶滅危惧種というもののカテゴリーがございまして、こちらは現時点では、絶滅危惧度はそれほどではないですけれども、将来的に「絶滅危惧」のランクに移行する可能性がある種という形で、基本的には国際的な指針のIUCNの定量基準と、あと環境省独自の定性基準で専門家の方々に評価をしていただいているという形になっております。
CITESのお話がありましたが、CITESの場合には、絶滅のおそれとあわせて、取引による影響というものも考慮されるということがございますので、例えば国際的なIUCNのレッドリストの評価とCITESの評価がイコールかというと、必ずしもそうではないというふうな形になってございます。
それから、野生復帰の回復とはどういうことなのかということでご指摘をいただきました。骨子のほうの5ページに、これは過去に整理しました域外保全の基本方針で多くの定義を整理したところなんですが、5ページの下の文章以外のところに、そのときの定義を少し整理させていただきました。ここで言っている野生復帰というのは、生息域外に置かれた個体を自然の生息地に戻して定着させるという段階のことを記述しておりまして、本来の姿に回復するというところまでは範疇に入っていない。人の行為として、復帰をさせるというところまでという整理にしております。やはり、特に絶滅してしまった種については、まず新たに導入しようとした場合に、その種が本来そこにいた種と同じであるのかどうかですとか、同じであったとしても同じ特性を持っているのかということで大分状況が違っていまして、なかなか、場合によっては予想もしなかった種への影響、最悪の場合、外来種的な役割を担ってしまう可能性といったことも考えられ得るところですので、その辺は、どの時点の環境が本来あるべき環境なのかということ自体を決めることが難しいことかとは思いますけれども、新たな影響がどうなのかというのは、やはり考慮していく必要があるのかなと考えております。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
私、今のちょっとお答え聞いて、多分、委員の方、ちょっとフラストレーションがたまるような回答じゃなかったかと思うんですね。これは、私も前から言っているんですけれども、基本的に自然環境政策のあり方に関わる考え方として、従来は、場としての自然環境を議論するという、これが自然環境部会で議論してきて、その中に国立公園があったりしている。もう一つが、この野生生物を議論してきて、こちらは場ではなくて、個体や個体群を議論してきたと。今までの議論というのは、こちらはあまり議論しないで、とにかく貴重な種は残したほうがいいという前提のもとで絶滅種というものを考えて、そして、もう絶滅しちゃったら野生復帰も考えるという、こういう非常に静的な議論がされてきたと。
今、これ部会が、二つが一つになったという状況の中で、この二つが実は物すごい動的な関係にあると。だから、希少種だと思っているものが、場を変えることによって、よみがえってくるということがあるというのが攪乱によってという、そういうつながりでこの二つがつながってくるわけですよね。それで、野生復帰にしても、何でトキはよくてオオカミはだめなのかということについて、ちゃんとした説明はできていない。これもやっぱり場と生物種の関係ですよね、そういう動的な。
そういうふうなことを考えていくと、場のほうは、最近は農林水産省と一緒にやろうというふうな雰囲気が出ていて、国立公園にしてもそういう話が出ていると。ところが、こちらのほうは、今のお答えだと、農林水産省の施策はちょっとうちでは書き込めませんと、こういうふうに言っていることが本当にいいのかどうかというところを、もう一度考え直してもらった上で、もちろん時間もあると思いますので、全部が全部施策として具体的に展開できるとは思いませんけれども、その辺の原理的なところをきちっとこの文章の中で見直してもらわないと、今のような形で、とにかく委員の言ったことはちょっと考えてみますというふうなことでは、私はちょっとだめなんじゃないかと思うんですが、どうですか、局長。

○自然環境局長 以前、自然環境部会、野生生物部会があって一つになったということで、まさに今、武内先生おっしゃるような視点で新たな検討をしていくということだと私どもも思っております。この保全戦略自体、希少種を保全するために、環境省としてどういう取組をやるんだということで、今までなかなか踏み込めなかったところまで含めて積極的な方針をご議論いただいて書いていこうという趣旨でやっています。今日幾つかご意見を出されたように、もちろん場の保全というのが表裏一体になってくるわけです。
佐渡でも、トキの野生復帰をしましたけれども、その前提は、野生の状態にトキが行ったときに、そこで自ら餌を食べられるか、そういう環境がつくられているかというのが一番の重要な点でして、もちろん人工繁殖の技術が改良して数が増えたというのもありますけれども、放した後の生息環境がしっかり確保されている。それに当たっては、国土交通省、農林水産省、そして地元の自治体、農民、皆さんの協力が必要なんで、そういう枠組みをつくった上でやっと野生復帰といったわけでございまして、ご指摘のように、そういう観点が少しここには入っていないかと思います。
ただ、私ども全くそういう自分たちの殻にこもって、今までどおりやっていけばいいという考え方ではなくて、野生生物の保全というのは、特に里地里山は絶滅危惧種の多くがある。その里地里山の保全をどうしていくかというのは環境省としても大きな課題としてありますので、農林水産省なり国交省なり、それぞれ大きな省庁が大きな予算を使ってやる事業を、うまく野生生物という観点からも貢献できるような、そういう施策に誘導していくと、そういう観点もこの戦略の中で、先生方のご意見を伺って書き込んでいきたいというふうに思います。

○武内部会長 追加して二つ申し上げたいと思うんですけど、一つは、かなり大事なのは、この絶滅種とか希少種みたいな話が、一見自然科学的だけに決まっているように見えるけれども、実は結構社会が決めるという側面があるわけですよね。例えば、野生復帰をその地域の人が支持しているのか支持していないのかということは、科学的にそれを再導入して野生復帰させるべきかどうかということとあわせて非常に重要なことですよね。ですから、そういうふうなことというのは、今まであまり重要視してこなかったけれども、そういうところも重要視する必要があるという。
それから、この施策の中に農林水産省の施策を入れても、入れて悪いということはないんでしょう。

○自然環境局長 ちょっと相談をしながらやっていきたいと思います。勝手には書けないというところがございますので。

○武内部会長 もちろん勝手に書けないと思うんですけど、今、農林水産省のほうでも、生物多様性の新しい取組を今これから議論しようというふうになっているので、ややその時期の前になりますけれども、そういうところで意見交換をしながら、施策を書き込むというふうなむしろ積極的な姿勢でやっていただけると、今、皆さん方のおっしゃったような話が十分入り得るんじゃないかと私は思うんですよね。実際に、農林水産省の施策の中では、希少種を取り戻す農業的な利用を推進するということをさまざまにやっていて、その結果として補助金も出ているし、認証米制度のようなものとか、ほかの認証制度というのは出てきているわけで、そこいらはむしろ、先ほど来申し上げている場と、それから個体というものの関係に関しては、むしろ積極的に使っていける手法になるんじゃないかと思うので、あっちが大きいからちょっと避けるというのではなくて、大きいからこそ入れ込むという格好にしたほうが私はいいと思いますけれども。
どうぞ。

○佐藤委員 今の話とも関連すると思うんですが、最後のところに、社会的な理解の促進というところにあるのは、もう本当に、絶滅危惧種をどうするかという話ばかりになっていますけど、やっぱりここの中で本当に理解してもらわないといけないのは、生物多様性の話だと思うんですね。じゃないと、思考停止をしてしまって、何かを絶滅、ある意味ではそれを駆除するみたいな話になっているわけですから、そこの前提になるもの、当然入っているからということでここには書いていないと思いますけど、その精神があって初めてそういういろんなことをすることになるわけなので、その基本的な精神をきちっと、先ほども生物多様性の話がちょっと、最初だけじゃないかというお話がありましたけど、特にこういう社会に対して言うときは、そこがすごく大事だと思うんです。でないと、逆に抵抗感を持つ方もまだ当然いらっしゃると思いますから、全体の中の調和、バランスということを理解していただくための記述みたいなものも入れていただいたほうがいいんじゃないかなというふうに思います。

○武内部会長 ほかに。
特に先ほど発言された白山先生、何かどうですか。

○白山委員 武内部会長のご指摘、非常に心強く思いますし、星野局長の答えも、多分私の思いは伝わっていると思いますので、ぜひその方向でお願いいたします。

○武内部会長 中静先生も何か、もしコメントがございましたら。

○中静委員 難しいのは大変よくわかっていますが、例えばアセスメントの現場では一体どうすればいいのかという点で混乱した状態にあるのも確かで、結局、その場その場で状況に応じて対処せざるを得ないのが実情です。攪乱に依存しているような生物の取り扱いについては、科学的な面も含めて、基本的な考え方を整理する必要があるのではないかと思います。

○武内部会長 ほかによろしいでしょうか。
この保全戦略は、あくまでもこの部会の総意でつくり上げていくものですので、できるだけ、困ったときは委員の方に相談して、場合によっては委員の方に書いてもらうということも含めて、次までに案を固めるような形にしていただければと思います。
それでは、どうもありがとうございました。
それでは、よろしいですか。何か発言があったらどうぞ。

○小長谷委員 内容に関わることではなくて、表現に関わることです。絶滅危惧種を通じて生物多様性全体をということを社会的に認知してもらいたいと思ったら、日本語として成り立っているということも必要なので、もう少し意味がわかるようにしなければならないと思います。例えば、1ページ目の3丸目というのが、一つの文章が何十字あるでしょうか。これは普通だったら三つぐらいの文章が一つになっているんですね。せっかく、重要なキーワードである「危惧」を「おそれ」というふうに表現したりして全体に浸透しやすいことに考えていこうという努力がなされているわけですから、重要なキーワードだけではなく表現全体ももうちょっと普通に読んでわかってくれるようにすべきでしょう。法律的な文章は一般的な日本語にする必要はないという見方もありえますけれども、これは法律ではないから、内容をどんどん増やしていくにつれてわかりにくくなっていると思います。以上、中身ではなく表現のことでした。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
それでは、今日の皆さん方の意見を踏まえ、次回部会で、パブリックコメントに向けた案を示していただきたいと思います。ちょっと大変だと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
次に、報告事項、1件についてに移らせていただきます。鳥獣保護管理のあり方検討小委員会における検討状況について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 野生生物課の山本と申します。よろしくお願いいたします。資料3をご覧ください。資料3で、「鳥獣保護管理のあり方」に関する検討状況についてご説明をさせていただきます。
経緯でございますけれども、まず法の施行、前回の改正後5年を経過しているということで、今年の3月、前回のこの自然環境部会におきまして、鳥獣保護管理のあり方について今後講ずべき措置について諮問いたしまして、鳥獣保護管理のあり方検討小委員会で議論を深めることについてご了承をいただいたところでございます。その後、石井信夫委員に委員長になっていただきまして検討を進めてきております。本日は、その検討状況についてご説明をいたしまして、ご意見がございましたら、今後の議論にも反映させていただきたいと考えております。
本検討の課題としましては、諮問のときにもご説明をしておりますけれども、シカやイノシシなどの野生鳥獣の生息域の拡大、個体数増加に伴って、希少な高山植物の食害など、自然生態系への影響、農林水産業への被害が深刻化しているという状況にございます。
また一方で、鳥獣捕獲の中心的な役割を果たしてきた狩猟者の減少・高齢化が著しく、鳥獣捕獲の担い手不足が課題となっております。こういったことで、鳥獣保護管理に携わる人材の育成、また将来にわたって適切に機能し得る鳥獣保護管理体制の構築が必要ということが挙げられております。
ここで、参考資料3を簡単にご紹介したいと思います。こちら、前回の小委員会におきまして、これらの課題の検討の参考ということでお示しをしたものでございます。シカとイノシシの個体数推定の結果についてお示しをいたしました。本日は、詳しく説明をする時間はございませんけれども、捕獲数や狩猟者当たりの捕獲数などの情報をもとに、統計処理を施して個体数を推定したというものでございます。統計処理の性質上、かなり幅のある数字にはなっておりますけれども、2ページ目で、シカの生息数、北海道を除いて261万頭、イノシシが88万頭、いずれも中央値でございますけれども、そういった推定結果が出ております。シカにつきましては、シミュレーション、今後どういう動態、どういう推移になるかということも試みてみたところ、このままの捕獲率で捕獲を続けると、2025年度には、中央値で500万頭まで増加するという結果が出ております。この算定の意味というのは、また推定でもございますし、絶対数ということよりも、傾向に意味があると考えておりまして、特にシカについては、明らかな増加傾向が続くということで、しっかり捕獲体制を整えていくということが重要だというふうに言えると思います。小委員会では、こういった結果も念頭に置きながらご議論を行っていただいているところでございます。
それでは、資料3に戻っていただきまして、4のこれまでの検討の経緯と今後のスケジュールでございますけれども、5月13日の第1回小委員会以降、現地調査や関係団体ヒアリング、関係法令などのご説明などをいたしまして、8月7日の小委員会で主な論点などについてご議論を始めていただいております。
それでは、論点について、次の別紙でご紹介をさせていただきます。この資料は、8月7日の小委員会に提示をした資料でございます。それまでの3回の小委員会での議論ですとかヒアリング内容、都道府県の要望を踏まえまして整理した論点で、それぞれの検討方向を示しております。今日は、その際にいただいたご意見も、適宜補足しながらご説明させていただきます。なお、前回の小委員会では、この論点の全体にご意見をいただいたのとともに、1から3について個別の議論を深めていただいたところです。次回以降、4以降についても詳細な議論を進めていくこととしております。
それでは、論点を個別に、簡単にご説明をさせていただきます。
論点1でございますが、鳥獣保護法を鳥獣保護管理を担う法律に転換する必要があるのではないかということです。これまで鳥獣保護法は、捕獲を規制するということが鳥獣保護であるというような形で構成されていたんですけれども、時代としては、そういったことが鳥獣保護であった時代から、種によっては積極的に捕獲をしなければいけないということに移ってきておりますので、鳥獣保護法が果たす役割は大きく変化をしているのではないかということが指摘をされております。そういうことで、「捕獲規制」による鳥獣の保護という考え方に、「管理(マネジメント)」の視点を加えて全般の見直しを行っていくということが一つの論点でございます。
二つ目の論点ですけれども、こちらは役割分担についてでございます。鳥獣保護管理の役割というのは単純に整理できるものではない、全てが国ということもないですし、全てが都道府県ということもない、市町村であったり、農村であったりと、いろんな人たちの役割があるということではございますが、役割分担の基本的な考え方を示して、連携して取り組むこと、そういった仕組みを構築していく必要があるのではないかということが二つ目の論点でございます。
三つ目ですけれども、三つ目は、ここから具体的な制度に関する論点に入ってまいります。被害を及ぼしている鳥獣の保護管理というのは、個体群管理と生息環境管理と被害防除の三本柱を総合的かつ効果的に実施するということが重要とされてございます。とはいっても、中でも緊急性ということでいけば個体群管理、捕獲をしっかりやっていかなければいけない状況でございますけれども、それについては、制度上改善すべき点が多いという状況かと思います。ということで、捕獲を効率的、効果的に行うことができる仕組みや体制を構築する必要があるのではないかという大きな論点がございます。
この中にも細かく三つございまして、一つ目は、狩猟免許のあり方についてということでございます。現在の狩猟免許制度というのが、狩猟者登録をして行う許可の要らない捕獲を前提とした制度なんですけれども、これが許可捕獲のためにも活用されているということで、これが現状のままでよいのかどうかという議論をしております。ただ、この点については、前回の小委員会ではさまざまなご意見がございまして、中長期的な課題とするということも検討しているところでございます。
次のページをお願いいたします。2点目は、従来個人の狩猟者に頼って捕獲を行ってきたということがございますけれども、これを、新たな捕獲従事者を創出するということを考えていかなければいけないということでございます。鳥獣捕獲を専門に行う事業者を、法人をイメージしておりますけれども、それを制度化しまして、必要に応じて規制を緩和していくということも検討していくということが一つでございます。
3点目については、農林業者が自衛のために自分の事業地内で捕獲をするといった場合には、規制を緩和することで捕獲を促進するといったことも考えていく必要があるだろうということでございます。
四つ目の論点としましては、鳥獣保護管理のうち、「管理」を促進する手段を法的に位置づけることを検討する必要があるということで、こちらは、都道府県が自ら特定計画に基づいて行う捕獲事業を設定しまして、まずその事業については捕獲などに関する規制緩和を検討していって、都道府県による捕獲を推進していくということでございます。
論点5につきましては、広域に分布する鳥獣で、被害が甚大で個体数の増加が著しい種については、国がより指導力を発揮するべきであるという論点でございます。具体的には、全国における鳥獣保護管理の実施状況の評価など、必要な施策を講じることができるようにする必要があるという論点でございます。
小委員会では、ここではその調査や評価だけではなくて、予算的な支援も行うべきであるといったご意見ですとか、国が許可権限を有する種については、指導・助言という形ではなくて、国自らが法定計画をつくれるようにすべきといったようなご意見がありましたので、次回の論点として追加をしていく予定でございます。
論点6としましては、狭義の狩猟、私的に狩猟者登録をして捕獲をするという、狭義の狩猟による個体数調整機能も非常に重要ということで、狩猟者を減らさずに新規参入を促進するための措置も検討する必要があるのではないかということでございます。
論点7ですけれども、より効果的・効率的に鳥獣の保護管理を進めるためには、科学的な保護管理の推進を図る必要があるということでございます。具体的な例としましては、行政機関が専門的知見を有する者を積極的に活用していくことですとか、捕獲情報を正確かつ迅速に収集できる仕組みを構築して、分析・評価を行うといったようなことが挙げられております。
次のページをお願いいたします。論点8でございますが、ここまでご説明したように、非常に大きな課題を抱えているということで、これらの対策をしっかり進めていくためには、国民の理解をしっかり得ていくことが重要ということで論点に挙げております。小委員会では、理解を得ていくためには、正面から鳥獣保護管理の重要性だけを説くということではなくて、生物多様性の保全の重要性ですとか、国土保全の観点で必要であるとか、そういったところから、多面的な説明で理解を得ていくことが有効ではないかというご意見をいただいておりますので、そういった観点も踏まえて今後議論していきたいと思っております。
ここまでが、主として積極的な管理に関する論点でございますけれども、そのほかにも検討が必要なものとして以下を挙げております。例えば、一つは、鳥獣の鉛中毒への対応ということで、今後どんどん捕獲数が拡大していくにつれて、鉛弾による鳥獣の鉛中毒といったことも心配になってまいります。そういうことで、鉛弾の使用について今後どうしていくかといったことも一つの論点となっております。
そのほか、狩猟鳥獣の定義の整理ということで、狩猟鳥獣というのは、本来は種の保存に影響のないように、持続可能な捕獲を前提としているんですけれども、現在は外来種も含めて指定をしているので、そういった現状も踏まえて定義を変更することを検討していくということでございます。
そのほか、狩猟制度の円滑な運用ということで、都道府県が制度を円滑に運用していくために、現在ではちょっと問題のある点などがあれば、そこは対応を検討していくということでございます。
駆け足で、少し長くなってしまいましたけれども、以上でございます。よろしくお願いします。

○武内部会長 それでは、ただいまの報告に関しまして、ご質問あるいはご意見がございましたらお願いしたいと思います。
中静委員、どうぞ。

○中静委員 鳥獣保護管理のあり方については、最近考えさせられる問題が多いので、こういう問題を整理していただくのは大変いいことだなと思っています。
もう一つ、ぜひご議論していただいて、整理していただくといいかなと思う点は、鳥獣の分布の変化の問題です。例えばシカは数が増えているというだけではなくて、シカ・イノシシは従来いなかったところまで入っていくという場合もあります。白神山地の管理を考えていく上でも、白神の世界遺産地域のすぐ手前までもシカが来ているという事実はあるんですが、一方で、江戸時代にはシカがいたということもわかっていて、そういう分布の変化に対して、どこでどういう判断をすべきかというのは我々も非常に悩んでいるところです。遺産地域に入る前に防ぐべきだという議論がありながら、一方では、もともとはいたんだから、分布域の拡大も臥せぶのはおかしいという考え方もあり、この問題をどういうふうに考えてやるかというようなことも悩みです。白神の世界遺産の管理の問題として、どこでどういう判断をすべきかということを考えるわけですが、社会の問題としてどういうふうに考えていったらいいのかという点も問題になります。イノシシもそうだと思うんですけれど、これから温暖化が起こって、分布は確実に変化するだろうというふうに言われている中で、そういう問題についても整理していただくと、ありがたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございます。
ほかに。
どうぞ。

○浜本委員 もうこの問題は小委員会のほうでほとんど論点が出ているので、今更という感じもあるんですけれども、この鳥獣保護の問題こそ、まさにほかの省庁との兼ね合いというのがとても大きなものになってくるんではないかなと思います。今、中静委員からありましたけれども、人が住まなくなってきているところ、人口が減ってきているところの集落に、今まで出てこなかった鳥獣が、鳥獣被害がすごく増えて、ますますそこで生活することができなくなるという、これはもう、特に農林水産業のほうでは、それがゆえに集落を捨てなければいけないというところも日本国中もういろんなところに出てきております。そういう面と、あと直接人に害が出てくる、分布の仕方が変わってきているという広い観点から、ただ単に鳥獣を捕獲したり、いろんな形でコントロールするということだけではなくて、人が日本国内の土地を使ってこれからもずっと生きていく上で、ほかの野生生物との接点、その中の一番がこの鳥獣保護のあり方ではないかなというふうに思いますので、そういうところをパブリックコメントの中でも特に拾い上げて、最終的なところに持っていっていただきたいなというふうに思います。

○武内部会長 福島の避難区域の問題なんかも、今のような話と非常に関係した話で、これも環境省として早急な対策が求められているところだと思いますけれども、そういう、やはりいろんな新しい状況に的確に対応していくということもあわせて必要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
ほかはよろしいでしょうか。
どうぞ、小泉委員。

○小泉委員 シカの害は今大変な問題になっていますが、いろいろなところで聞くと、やっぱりまだ規制が多く、それも駆除が進まない原因になっているようです。網を使ってとるのがだめだとか、自分の畑を荒らすシカを農家の人が捕獲できないとか、いろいろ問題があるようです。そういった面での規制は早く撤廃すべきだと思います。
もう一つは、産業化ということです。シカはとってもすぐに血を抜かないとだめになってしまうので、捕った後が問題だそうです。たまたま一昨日、九州の傾山という山に行っていたのですが、猟師の人に聞いたら、すごく歩どまりが悪くて、70キロぐらいのシカをとっても、実際使えるのは14キロか17キロくらいだというんです。あとは、みんな捨てるか、埋めるかしなければいけない。また歩どまりが悪いだけでなく、捕ったシカをおろすのも重くてとても大変だといいます。狩猟する人が年をとってしまって、担いでくるのもままならないのです。いろいろ問題があるんです。ですから、産業化したいといっても、何せ山の上の話で、おろすのが大変なため、なかなかうまくいかないというんです。しかし場所によっては、東京の奥多摩町のように、モノレールを山に設置して、射殺した死体をそれに乗せてすぐに降ろしてきて、解体してというようなことをやっているところもあります。ですから、あまり被害のひどいところでは、そういう部門に補助を出して産業化を促進するということが大切になってくると思います。
またその猟師によれば、狩りがうまくいくかどうかは、7割位は猟犬にかかっているということです。優れた猟犬の育成も今後の問題になりそうです。
それからもう一つ。たまたま私の知り合いの若者で、狩猟免許を取ったのがいるんですが、普通は、狩猟免許をどうやって取っていいか、さっぱりわからないといいます。例えば狩猟免許を取りたい場合、どうやったら取れるか、それから取った場合にどんな場所で働けるかとか、そういう点について広報してもらえると、新しい人がそこに参入してくるような気がします。その辺りもぜひ検討していただきたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。
高橋委員、何か長年の経験でコメント、もしございましたら。

○高橋委員 皆さん、どうもご苦労さまでございます。佐々木会長の後任です。佐々木会長がどういった議論をされてきたのかが、二人で協議ができていませんので、少しコメントしにくいのですが、先ほどのシカの件なんですが、高知県の場合ですが、シカは当然かなり重量もありますのでおろすのは大変です。猟師さんからは、やっぱり山もとまでおろすには、そういった資金を出すべきではないかという意見も多くあります。
それと同時に、個体の処理なんですが、高知県では多分、捕獲頭数の24年度が1万5,000頭ぐらいだと思うんですが、約2%から3%しか山もとにおろして有効利用されていないんです。というのは、シカはイノシシから比べれば、やっぱり食したときにあまりおいしくないんです。イノシシは、皆さん食べていただけますので、ほとんどが有効利用されています。そういった部分で、猟師さんからは当然1万6,500円、狩猟税を払って狩猟に参加しています。
それで、農業者については、狩猟免許を取らなくても狩猟が、農地を守るために捕獲できるようにしてください、したらどうだろうと、こういった全国的な議論があるんですが、ご案内のように、狩猟は銃器を使っての捕獲がほとんどでありましたが、今、わな猟も盛んに行われていますが、危険なんですね。そのために、猟友会員は、赤い帽子をかぶり、目につくチョッキを着て狩猟に参加しています。それでも我々猟友会としては、事あるごとに事故のないように、違反のないように、そういったことも呼びかけているんですが、毎年何件かの事故が新聞報道でもされています。山に入って、捕獲をする、そういった作業に従事するのであれば、資格をしっかり取る事、また、シカ・イノシシの生息する今の現状は山が崩壊していろんな問題があるのですが、我々狩猟者としては、事故のない、楽しい狩猟をするということが前提でございますので、それからすれば、やっぱり一つの勉強をし、資格を取って、それと狩猟者には狩猟者の昔から仁義があります。お互いのそういった連携がすごく必要なんです。山というのは、少し谷を外れれば姿が見えませんので、そういった事から、お互いが知識を得て参加していくということだろうと思います。
シカについては、近年民家の近くまでおりて餌を求めています。山奥でシカが暮らせる環境、そういった生態系をつくっていく、例えばスギ・ヒノキ、そういった樹木については、国策として伐採をして、そういったところにシイであるとか、ドングリであるとか、そういった動物がすめる状況も、片方でつくっていくということも大事ではないかということが議論されています。
少し長くなりましたが、簡単に我々の状況を説明させていただきました。よろしくこれからのご審議のほどお願いをいたします。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
涌井委員、もう時間がありませんので、どうぞテレビのように簡明に。

○涌井委員 簡単に言います。部会長がおっしゃったこと、非常に重要だと私は思っております。二つの部会がたまたま一つになったんではなくて、野生生物のシステム、すなわち生態学的な議論のほかに、やっぱり人間社会のシステムと、それがどうお互いに共存し合えるのかというところがこの部会の合同された大きな意味だろうと。要するに鳥獣保護の話も、全てそこに係ってくるので、もう一度他省庁との関係も、せっかく国家戦略を立てているわけですから、その国家戦略に基づいた判断というものをやっぱりしっかり進めていくべきだし、もう一つは、この両方の部会が一緒になったというところについての意義をビヘイビアとしてしっかり整理しておく必要もあるんではないかなと、このことだけ1点申し上げたかったのです。

○武内部会長 どうもありがとうございました。ぜひその方向でお願いしたいと思います。
 それでは、ちょうど時間になりましたので、この辺で議論を終了させていただきたいと思います。
その他について、何かございますでしょうか。
それでは、なければ、中島課長にご挨拶をお願いします。

○野生生物課長 野生生物課長の中島でございます。本日は、熱心にご審議、ご助言をいただきまして、誠にありがとうございました。
最初の議題であります特定外来生物被害防止基本方針の改正につきましては、今後小委員会におきまして、基本方針の変更案をおまとめいただいて、改めて自然環境部会でご審議いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
次の議題であります絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略につきましては、たくさんのご意見をいただきました。本日の意見を踏まえまして、かなり重い課題もございましたけれども、事務局において一回検討整理いたしまして、次回の部会では、パブリックコメントに向けた案をお諮りしたいと考えております。
また、鳥獣保護管理のあり方小委員会における検討状況につきましても、いろんなご意見をいただきましたけれど、これについては小委員会でまたご審議をいただきまして、改めて部会にご報告をさせていただきたいと考えております。
本日は、誠にありがとうございました。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
これにて散会させていただきたいと思います。