中央環境審議会自然環境部会(第18回)議事録

開催日時

平成25年3月26日(火)15:00~17:10

開催場所

環境省第一会議室

出席委員

(17委員)

議題

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)小委員会の廃止及び設置について(審議)
    2. (2)絶滅のおそれのある野生生物の保全につき今後講ずべき措置について(答申)
    3. (3)絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略について(審議)
    4. (4)「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」 の審議方法について(報告)
    5. (5)三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興プロジェクトの進捗状況について(報告)
    6. (6)三陸復興国立公園の指定について(諮問・答申)
  3. 閉会

配付資料

○議事(1)関係

資料1:
中央環境審議会自然環境部会所属小委員会の廃止及び設置に関する資料
1-1
中央環境審議会自然環境部会所属小委員会の廃止及び設置について
1-2
「自然公園小委員会の設置について」の改正について(案)
1-3
自然環境部会小委員会の廃止について(案)
1-4-1
野生生物小委員会の設置について(案)
1-4-2
野生生物小委員会の運営方針について(案)
1-5-1
外来生物対策のあり方検討小委員会の設置について(案)
1-5-2
外来生物対策のあり方検討小委員会の運営方針について(案)
1-6-1
鳥獣保護管理のあり方検討小委員会の設置について(案)
1-6-2
鳥獣保護管理のあり方検討小委員会の運営方針について(案)

○議事(2)関係

資料2:
絶滅のおそれのある野生生物の保全につき今後講ずべき措置に関する資料
2-1
絶滅のおそれのある野生生物の保全につき今後講ずべき措置について(諮問)
及び(答申パブコメ案)
2-2
「絶滅のおそれのある野生生物の保全につき今後講ずべき措置について(答申案)」に対する意見募集(パブリックコメント)の実施結果について
2-3
絶滅のおそれのある野生生物の保全につき今後講ずべき措置について(答申案)

○議事(3)関係

資料3:
絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略 構成案
参考資料
絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略 骨子案(前回審議会提出版)

○議事(4)関係

資料4:
鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について(諮問)

○議事(5)関係

資料5:
グリーン復興プロジェクトの進捗状況
参考資料1
三陸ジオパーク推進協議会パンフレット
(青森・岩手・宮城 めざそう!!世界の三陸ジオパーク)
参考資料2
東北太平洋沿岸地域におけるラムサール条約湿地潜在候補地の資質検討会の結果について
参考資料3
東北地方太平洋沿岸の自然公園等の指定状況

○議事(6)関係

資料6:
三陸復興国立公園の指定に関する資料
6-1
三陸復興国立公園の指定(陸中海岸国立公園の公園区域及び公園計画の変更)
について(諮問)
別添:三陸復興国立公園 指定書及び公園計画書(案)
6-2
三陸復興国立公園の指定案の概要
6-3
三陸復興国立公園の指定に関する説明資料
6-4
「三陸復興国立公園」の名称について
参考資料
三陸復興国立公園に係る中央環境審議会自然環境部会現地視察における
委員意見の概要

○その他

アジア国立公園会議の概要に関する資料

議事録

午後3時00分 開会

○事務局 お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会を始めます。
  本日、臨時委員の先生方のお手元には、委員の任命通知書、所属部会指名通知書がありますので、御確認よろしくお願いいたします。
  開会に先立ちまして、本日の出席委員のご報告をいたします。
  本日は、所属の委員、臨時委員25名のうち、13名の委員の先生方にご出席をいただいておりますので、本委員会は成立しております。
  本日、お手元にお配りしております資料につきまして、資料一覧のとおりとなっております。確認させていただきます。
  まず、議事次第、資料一覧、それから名簿、座席表がありまして、次に資料があります。
  議事(1)関係、資料1-1、1-2、1-3。1-4-1、1-4-2が両面になっております。1-5-1、1-5-2も両面になっております。次に、1-6-1、1-6-2になります。
  次に、議事(2)の関係。資料2:絶滅のおそれのある野生生物の保全につき今後講ずべき措置に関する資料ということで、2-1、2-2、2-3になっております。
 議事(3)の関係。資料3:絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略、構成案。参考資料としまして、骨子案がついております。
  議事(4)関係、資料4:鳥獣の保護狩猟の適正化につき講ずべき措置について(諮問)になっております。
  議事(5)の関係。資料5:グリーン復興プロジェクトの進捗状況。参考資料1として、ジオパークのパンフレット、参考資料2と参考資料3、A3の図面であります。
  続いては、議事(6)の関係、資料6:三陸復興国立公園の指定に関する資料。6-1、6-1別添、6-2、6-3、6-4、それと参考資料としまして現地視察の委員の先生方の意見の概要。
  最後に、アジア国立公園会議の概要に関する資料ということになっております。
  配付漏れ等がございましたら、事務局にお申し出くださいますようお願いいたします。
  それでは、初めに自然環境局長、伊藤よりご挨拶を申し上げます。

○自然環境局長 自然環境局長の伊藤でございます。本日は、年度末のお忙しい中、中央環境審議会自然環境部会にご出席賜りまして、まことにありがとうございます。
  中央環境審議会につきましては本年2月に委員の改選が行われましたが、それとあわせて体制の見直しも行われました。その結果、従来の野生生物部会と自然環境部会が統合されまして、新たな自然環境部会が、この自然環境部会が設置されたわけでございます。
  また、この新たな自然環境部会長には、中央環境審議会の会長に選任されました武内会長に本部会長を務めていただくということになりました。私ども、事務方としても非常に心強く思っているところでございます。よろしくお願い申し上げます。
  今後、本部会では、自然公園行政と野生生物行政に関する横断的な課題など、重要な事項についてご審議をお願いすることになります。委員の皆様方におかれましては、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  今回は体制改正後の初めての部会でございますので、本部会に所属する小委員会の廃止や設置などの体制整備について、まずお諮りしたいと考えております。
  また、今日は大きく二つの重要な審議をお願いしたいというふうに考えております。
  一つは、三陸復興国立公園の指定についての答申でございます。平成23年3月に発生した東日本大震災から2年がたちました。本審議会では震災発生後から復興の考え方についてご審議いただき、平成24年3月には三陸地域の自然公園等を活用した復興の考え方について答申いただきました。
  環境省では、答申に基づきまして三陸復興国立公園の創設を核とするグリーン復興プロジェクトに関する取り組みを進めてまいりました。昨年11月には三陸復興国立公園の創設に向けて、本審議会の部会長を初めとする委員の皆様による現地視察を行っていただき、さまざまなご意見を賜りながら準備を進めてまいりました。委員の皆様には深くお礼を申し上げますとともに、この三陸復興国立公園が東日本大震災の復興に貢献する大きな一歩となるというふうに思っております。本日、何とぞ新たな国立公園の指定について慎重にご審議のほどをよろしくお願い申し上げたいというふうに考えております。
  また、もう一つは、絶滅のおそれのある野生生物の保全につき今後講ずべき措置について、これは野生生物部会でこれまでご議論いただいていたことでございますけれども、この諮問についての答申について、ご議論いただきたいというふうに考えております。これにつきましても、法改正にも直結する事項だと考えられる非常に重要な事項でございます。よろしくご審議を申し上げたいと思います。
  今回は極めて重要な案件ばかりでございます。忌憚のないご意見をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○事務局 それでは、本日は委員の改選後、初めて行われます部会でございますので、事務局に本日ご出席の先生方をご紹介させていただきます。私のほうでお名前を読み上げさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、中央、武内部会長です。よろしくお願いいたします。

○武内部会長 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、武内部会長の右手側から順にお願いいたします。
 石井実委員でございます。

○石井(実)委員 石井でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、石井信夫委員でございます。

○石井(信)委員 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、磯部雅彦委員でございます。

○磯部委員 どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、尾崎清明委員でございます。

○尾崎委員 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、小菅正夫委員でございます。

○小菅委員 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、桜井泰憲委員でございます。

○桜井委員 よろしくお願いします。

○事務局 佐々木洋平委員でございます。

○佐々木委員 よろしくお願いします。

○事務局 佐藤正敏委員でございます。

○佐藤委員 よろしくお願いいたします。

○事務局 部会長を挟みまして、下村先生は、ちょっと遅れておりまして、続きまして白山義久委員でございます。
  高村典子委員でございます。

○高村委員 よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、中静透委員でございます。

○中静委員 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、浜本奈鼓委員でございます。

○浜本委員 よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、宮本旬子委員でございます。

○宮本委員 よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、山極壽一委員でございます。

○山極委員 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、最後に涌井史郎委員でございます。

○涌井委員 よろしくお願いいたします。

○事務局 どうぞ、よろしくお願いいたします。
 それでは、これよりの議事進行につきましては武内部会長にお願いいたします。
 武内部会長、よろしくお願いいたします。

○武内部会長 今回、新しい自然環境部会として最初の会合でございますので、一言ご挨拶をさせていただきたいと思います。
  先ほど、伊藤局長よりお話がございましたように、2月の中環審の総会で私が会長ということでご指名を受けました。その際に様々な部会の部会長について私が指名させていただいたわけでありますけれども、この部会については、私は大変な思い入れもございましてみずからを指名させていただきました。
  石原大臣の大変強いご意向もございまして、これまでの部会の数を減らす方向での見直しがございました。実はそれ以前にも少し部会を減らそうという動きはあったのですが、最終的には13の部会が9の部会になりました。大気環境部会と騒音振動部会が一緒になったのは、これは大気現象を通じて騒音が伝播するというふうに解釈すればいいのでしょうけれども、なかなか学術的に説明するのが難しいように思いますが。
  それに対して、私は、旧の野生生物部会と旧の自然環境部会というのは、例えば世界遺産を考えるときに、ランドスケープを考えなければいけないということと同時に、外来種駆除が非常に大きな問題になってくるというふうに、相互に非常にかかわりのある対象ではないかと思っておりまして、そういう意味で、これを一つ大きな機会ととらえて、野生生物の議論と自然環境の議論を皆さんの議論の中で、つなげていくような方向でご検討いただければ幸いだというふうに思っております。
  人数についても大分見直しがございまして少数精鋭ということでございますので、お一方お一方の発言の重みが増しておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
  本日の案件も、野生生物の関係の答申が一つ、それから国立公園の答申の関係が一つということで、従来ですと二つの部会で行ったことを一つの会議でやろうとしているということでございますので、私としてもできるだけ議事進行をスピーディに進めて、時間内に終わるようにしたいというふうに思っております。
  実は、今日この部会で答申がいただければ、私のほうから石原環境大臣にお渡しするということも予定されておりますので、ぜひ皆さん方には闊達なご議論をいただくと同時に、取りまとめの方向でぜひご審議いただければというふうに思っております。
  また、さはさりながら、これから説明がありますけれども、やはり専門的な議論というのはかなり突っ込んでやる必要もございますので、その点については別途小委員会等で議論していただくということで体制の見直しも図ってまいりますので、その点もあわせてどうぞよろしくお願いしたいと思います。
  それでは、本日の委員会は公開で行いますので報道関係者や傍聴の方も同席されておられます。会議録は、後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の皆さん方の了解をいただいた上で、公開するということにさせていただきます。
  なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、部会長が了承した上で公開することをご了承いただきたいと思います。また、会議資料についても公開となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、最初の議題でございますが、先ほど私が説明させていただきましたが、小委員会についてですが、その廃止及び設置について、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○総務課長 自然環境局総務課長の上河原でございます。よろしくお願いします。
  小委員会の廃止及び設置につきまして、資料1-1から資料1-6に沿ってご説明いたします。
  まず、資料1-1をごらんください。
  中央環境審議会におかれましては、より効率的な運用を行うため、議事運営規則が平成24年2月14日に改正されました。これまでの野生生物部会と自然環境部会が統合され、新たに自然環境部会が設置されたところでございます。これを受けまして、武内部会長とご相談して、本部会に属する小委員会についても見直しを行い、資料1-1のとおり廃止や設置を行うことが必要ではないかと考えております。
  小委員会は、部会決定によって廃止及び設置を見定めておりますので、お諮りする次第でございます。
  まず、自然公園に関する事項のうち、恒常的な審議事項については、資料1-2により改正される自然公園を小委員会で支援することといたしまして、国立公園の新規指定などの重要案件については本部会でご審議いただければと考えております。
  なお、自然公園のあり方検討小委員会については所要の調査が既に終了しておりますので、資料1-3により、これを廃止させていただきたいというふうに考えております。
  さらに、旧野生生物部会に設置されていた外来生物対策小委員会と、鳥獣保護管理小委員会につきましては、資料1-3により廃止させていただきたいと考えております。
  従来、野生生物部会で審議してきた案件のうち、野生生物行政にかかる恒常的な審議案件及び詳細審議の必要な案件につきましては、資料1-4により新たに設置する野生生物小委員会で審議することとし、それ以外の重要案件を本部会でご審議いただきたいと考えております。
  また、外来生物対策や鳥獣保護管理の制度のあり方、そして、施策の基本的な方針など、詳細な検討審議をするため、資料1-5により外来生物対策のあり方検討小委員会、及び資料1-6により鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を新たに設置させていただきたいと考えております。
  これにつきましてご承認いただきたく、よろしくお願いいたします。

○武内部会長 どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に関しまして、特段のご質問、ご意見がございます方は、よろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  よろしゅうございますか。

(なし)

○武内部会長 それでは皆さん方のご了承をいただいたということで、小委員会の廃止及び設置について、それぞれ適当と認めることにさせていただきます。
  なお、小委員会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は、部会長が指名することとなっております。いまだ所属する委員が未定の小委員会につきましては、私の責任で指名させていただいて、事務局を通じて連絡をさせていただきたいと思います。
  次に、絶滅のおそれのある野生生物の保全につき、今後講ずべき措置についての答申と、絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略についての説明をお願いいたします。

○野生生物課課長補佐 野生生物課の山本と申します。よろしくお願いいたします。
  議題の2と3をあわせてご説明をさせていただきます。まず、資料2-1をお手元にお願いいたします。昨年の11月に絶滅のおそれのある野生生物の保全につき講ずべき措置について、環境大臣より中央環境審議会に諮問をしております。そして12月の野生生物部会において審議の上、答申案をまとめていただいております。その際の答申案が、1枚めくっていただいた後ろについてございます。
  概略ご説明をいたしますと、環境省では、23年度に絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する点検を実施しておりまして、その点検をもとに内容をまとめる形になっております。大きく二つに分かれてございます。
  一つ目には、早期に講ずべき措置といたしまして、希少野生生物の国内流通管理についてまとめてございます。ワシントン条約の付属書の1に掲載されている個体等が国際希少野生動植物種ですが、主にそういったものの個体等について、種の保存法では、適法に入手したものであれば、環境大臣の登録等を受けて譲り渡し等を行うことができるということになっております。その仕組みについて幾つか改善を求めております。これが(1)の部分でございます。
  例えば、インターネット販売における登録票情報の明記について、当初の法律ができたころには、インターネット販売は一般的ではございませんでしたので、その点を明らかにすることですとか、あとは、記載情報に変更があったときの手続方法が明確でなかったということで、その整理を行っていく必要があるということでいただいております。
  また、(2)では、これらの種は高額で取引をされていることが多いわけですけれども、違法取引や再犯事例が後を絶たないということで、違法行為の抑止に十分な効果を発揮する程度に懲役や罰則の強化を検討すべきということを案でいただいております。
  もう一つ、2番で示しておりますのが、国内の絶滅のおそれのある野生生物の保全について必要な措置でございます。
  わが国の絶滅危惧種の数は、昨年来更新したレッドリストで3,500種を超えておりまして、これらの適切な保全対策を推進するためには、種の保存法はもちろんですけれども、その他の法令も活用するとともに、幅広い関係者が連携をする必要があるということで、次のページで、これらの取り組み方針について絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略を作成して取り組んでいくことというような内容でいただいております。
  この内容につきまして、パブリックコメントを実施しております。資料2-2をごらんください。
  パブリックコメントを12月20日から1月18日まで実施し、14の個人、団体からご意見をいただきました。延べ112件の提出をいただいております。
  意見を取りまとめたところ、おおむね33件に集約されておりまして、それぞれの意見への対応は、1枚めくっていただいた別添をごらんください。
  資料は事前にお送りさせていただいておりますので、ピックアップしてご説明させていただきますので、ご了承いただければと思います。
  まず、答申の1の(1)で示しておりました登録票の管理方法等の改善について、幾つかご意見をいただいております。
  意見番号の1では、登録票の制度に関する各種規定を、さまざまな形で強化をすることというご意見がありました。
  2番目では、登録票について、期限を設けること、また、3番目では、その種に応じて徹底した個体識別措置を設けることといったようなことを、ご意見をいただきました。
  特に1番の関係ですけれども、一部については今回の答申でもご提言をいただいているところでございます。例えば、状況に変更が生じたときには、その変更手続を必要とするといったようなことですけれども、そういったことで、一部は対応しておりますけれども、登録票の期限の設定ですとか、個体の識別の措置というのは、なかなか難しい問題でございまして、検討すべき課題が多く残っている。具体的な課題というのは表の右側にお示ししているので、ごらんいただきたいと思います。まだ難しい課題が多く残っておりますので、今後も引き続き検討することとしたいと思っております。
  また、制度的な強化ということでご意見をいただいておりますけれども、そこも十分検討していかなければいけないことではございますが、限界もあるということで、今回は、意図的な違法行為に対しては罰則の強化という形で対応をしたいというふうに考えてございます。
  別添をめくっていただきまして、登録票以外にも、例えば5番目の意見では、今は、譲り渡しの規制をしておりますけれども、所持自体を規制すべきといったようなご意見ですとか、6番では、交雑種も規制対象とすべきですとか、7番目のご意見では、ワシントン条約付属書2、3の種なども含めて規制対象を広げるべきですとか、また、8番では、容易に識別できないものについても規制対象とすべきといったご意見もいただいております。
  先ほどもご紹介しました23年度に実施した点検の中では、こういった課題についても議論がなされておりまして、それぞれ検討すべき課題が多く残っているといったご指摘になっております。具体的な中身はこの右側にお示ししておりますけれども、今後、可能性も含めて整理していかなければいけない課題だろうというふうに考えてございます。
  また、9番目、10番目、13番目で、特定国際種事業についてのご意見をいただいております。これについては、主に象牙の取引、管理に関する事業ですけれども、この個別の対応案についてお示ししているとおりですけれども、23年度の点検においては、この事業については特段の課題はご指摘いただいていないということで、いただいたご意見は今後の参考とさせていただきたいと思っております。
  続きまして、次の11番、12番のご意見でございますが、希少種の取扱業者を登録制にすべきというようなことですとか、監視体制の強化をすべきといったご意見をいただいております。ただし、国際希少野生動植物種の取引というのは非常に少量で、多くの種が流通しているということで、業の管理というよりも、個々の個体の流通管理のほうが効果的というふうに考えて制度がつくられておりますので、ここでご意見をいただいている監視体制の強化などについては今後の課題と考えてございます。
  14番目では、国内希少野生動植物種を傷病鳥獣と偽って不適切な取り扱いがなされるケースといったことがご指摘されております。それらの種の登録票制度を適用すべきというようなご意見でございますが、国内種は傷病目的での譲り渡しを認めていないということで、それは適当ではないと考えておりますけれども、ご指摘は今後の参考とさせていただきたいと思っております。
  それから、答申案の2番目でお示ししている、わが国の絶滅のおそれのある野生生物の保全に関して講ずべき必要な措置ということで、特に国内の種についてですけれども、これについてもさまざまなご意見をいただきました。例えば、外来種対策を徹底すべきですとか、希少種指定、保護増殖事業計画策定の手続に関する規定を設けるべきですとか、渡り鳥の保全を推進すべき、地域個体群の保全に関するご意見ですとか、生息地等保護区制度に関するご意見、市民や学者のご意見を反映する仕組みづくり、人材育成などなど、さまざまなご意見をいただいておりますけれども、これらの意見を踏まえまして、今後策定する保全戦略づくりに取り組んでいきたいと思っております。ご意見は参考にさせていただきたいと思っております。
  また、32番では、今からつくろうとしている保全戦略については、法定計画にすべきといったようなご意見がございますけれども、政府全体の法定計画としましては生物多様性国家戦略がございますので、その下に位置づくものということで考えております。ただ、法定計画か否かにかかわらず、着実に進めていきたいというところは変わりございません。
  33番では、種の保存法の目的条項ですとか、法律面についてのご意見もございますけれども、法案そのものというのは審議会の審議事項とは少し異なりますので、今後の参考にさせていただきたいと思っております。
  これらのご意見を受けまして、資料2-3をごらんいただけますでしょうか。
  答申案を少し修正しております。赤字になっている部分が今回修正を加えた部分でございます。国内流通管理の制度のあり方について、さまざまなご意見をいただいておりますので、早期に講ずべき措置に加えまして、「また、」以降で「また、国内流通管理の制度のあり方について、社会的な要請を踏まえながら今後も検討を進め、必要に応じて改善を図ることが重要である」という一文をつけ加えております。
  また、(1)の後段の部分ですけれども、「もともと整理を行うことが適当である」といったところですけれども、整理・改善を行うことが必要であるというふうに変更しております。
  続きまして、資料3。これが、議題3に相当する部分でございますけれども、資料3についてご説明を申し上げます。
  先ほどから申し上げている絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略の構成案をお示ししております。
  本保全戦略自体は、12月に開催された野生生物部会においても骨子をお示ししておりまして、それも参考資料でこの後におつけしております。既に議論を始めていただいておりますけれども、自然環境部会として改めて次回以降で審議をいただく予定でございます。
  今回は、これまでお示ししている項目案と、パブリックコメントでいただいた意見をどの項目で検討するかということを対応させてお示ししております。ここについて、今回は詳細のご説明を申し上げませんけれども、次回以降でしっかり審議をいただきたいと思っております。
  事務局からの説明は以上でございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。議題の2と3をあわせて説明していただきましたけれども、3の保全戦略については、先ほど説明がございましたように、次回以降の部会でしっかりと議論していくということで、きょうは主に答申案についてのご審議をお願いしたいと思います。
  それでは、ご質問、ご意見がございます方は、札を立てていただきたいと思います。
  石井信夫委員、お願いします。

○石井(信)委員 ありがとうございます。
  資料2-3の答申案には二つの大きな項目があるのですが、1番目の希少野生生物の国内流通に関する検討の取りまとめにかかわりましたので、少し意見を言っておきたいと思います。
  パブリックコメントを拝見していると、制度の精緻化によって違法な行為を排除できないかという観点からの意見が多かったと思うのですが、これにはどうしても限界があると考えています。どういうふうに精緻化しても必ず抜け道が見つかるということで、むしろ、ここに書いてある(2)の罰則の強化、違法な行為かどうかというのは法律に照らして明らかになるわけですから、それを明らかにして、罰則の強化でそれに対応するということで、かなり違法な行為の抑制効果が期待できると思います。
  あと、登録票の管理方法については、やはり現在の状況に照らして、運用上いろいろと直さなければいけないことは確かにありますので、この修正のように、「整理改善が適当である」としていたのを、「必要である」というふうに直していただいたのはよろしいかと思います。以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。そうしたら、事務局のほうから何か今のご意見に関してございますか。

(なし)

  今のご意見は答申そのものに反対ということではなかったと思いますので、答申の内容を特に変える必要はないということで理解させていただいて、ご意見として承りたいと思います。
  ほかにございませんでしょうか。

(なし)

○武内部会長 それでは、答申「絶滅のおそれのある野生生物の保全につき今後講ずべき措置について」これは、適当と認めることにご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 ありがとうございます。それでは、本件については適当と認めることにさせていただきます。
  次に、鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について審議方法について、説明をお願いいたします。

○野生生物課課長補佐 それでは引き続きましてご説明させていただきます。資料4をお願いいたします。
  これも先ほどの野生生物の案件と同じように、昨年の11月に諮問を行っております「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」という案件でございます。これは、当時の野生生物部会に付議がされております。
  本件の鳥獣保護法が施行後5年経過しているということと、鳥獣による被害が深刻な状況になっているというようなことなどから、審議会に意見を求めているところでございます。
  野生生物部会は12月に開催されましたけれども、諮問のみを行っておりまして、まだ議論は始めておりません。当時設置されていた鳥獣保護管理小委員会での審議を行うということでご了承いただいていたものでございます。
  議題1のところで、部会の内容の整理の中では、こういった制度にかかる根幹的な審議については、基本的には自然環境部会で行うということになってございますけれども、詳細にわたる審議、議論につきましては、先ほど設置のご説明がありました鳥獣保護管理のあり方検討小委員会で行うこととさせていただきたいと思っております。4月以降に小委員会で議論しながら、随時こちらの部会のほうにもご報告して、審議をいただくことにしたいと思っておりますので、ご了承いただきたく思います。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
  一番最初に資料1-1がございまして、この中で、自然環境部会そのもので議論するものと、それから小委員会、あるいは暫定的といいますか、そのテーマについて特別設ける検討小委員会という、これで議論の仕分けをしていきたいということでございますが、先ほどの保全戦略については部会そのもので引き続き議論していく。そして、今説明のありました鳥獣保護管理のあり方については検討小委員会で議論をいただくという形の仕切りをさせていただきたいということでございます。
  特に、この件に関して何かご意見ございますか。よろしゅうございますか。

(なし)

○武内部会長 それでは、そういうことで、小委員会で進めていただくということにさせていただきたいと思います。
  次に、三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興プロジェクトの進捗状況について及び三陸復興国立公園の指定について、事務局から説明をお願いいたします。

○自然ふれあい推進室長 自然ふれあい推進室長兼国立公園課課長補佐の堀上でございます。
  私と国立公園課の佐々木専門官と二人で説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。基本的に、私からは資料で説明させていただきますので、その後、佐々木のほうから、またパワーポイントを使います。
  昨年の3月9日に中央環境審議会自然環境部会におきまして三陸地域の自然公園等を活用した復興の考え方について答申をいただいたところでございます。環境省では、これを踏まえまして三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興のビジョンを公表して、今スクリーンにありますような七つのプロジェクトを進めているところでございます。
 本日は、その進捗状況につきまして、お手元の資料5に基づいてご説明させていただきたいと思います。
  まず、1ページの1番ですけれども、三陸復興国立公園の創設ということで、最初のプロジェクトですが、自然公園を再編成していくということでございます。本日の部会で、この後、種差海岸階上岳県立自然公園を陸中海岸国立公園に編入して、国立公園の名称を変更するということで新たな三陸復興国立公園の指定ということの諮問をさせていただきます。
  この部会の後で自然公園小委員会が予定されておりますけれども、その中で三陸復興国立公園の公園事業、計画に基づく事業決定あるいは変更について諮問させていただくことにしております。
  それから、その後、指定について答申を得られましたら、指定の告示を行いまして、正式に指定ということになります。少し時間を要しますけれども、告示をして、正式な指定という段取りになります。
  それから、陸中海岸国立公園の南に位置しております南三陸金華山国定公園につきましても、プロジェクトの中では編入して三陸復興国立公園の中に編入するということにしておりますけれども、本年秋以降に、これにつきましては準備をした上で諮問させていただくということで考えてございます。これが1番のプロジェクトでございます。
  それから、2番の里山・里海フィールドミュージアムと施設整備でございますが、まず、公園利用施設の整備に関してですが、津波で被災しました陸中海岸国立公園の利用施設の復旧につきまして、昨年、審議会の先生方にもごらんいただいておりますけれども、岩手県の浄土ヶ浜、あるいは宮城県の気仙沼大島につきましては、歩道、トイレなどを速やかに再整備しまして、供用を開始しております。
  それから2ページ目でございますけれども、宮古市の姉ヶ崎ですが、ここはもともと環境省で野営場を整備していたところでございますけれども、津波で大きく被害を受けました。ここにつきましては、野営場の跡地に津波で残った炊事棟、あるいはトイレの一部を災害遺構として保存しまして、自然の脅威を学ぶ場としての広場を平成25年度に整備するということにしてございます。
  それから、大船渡市の碁石海岸につきましては、防災機能を有した野営場の整備、あるいはインフォメーションセンターを新築するということで予定してございます。
  そのほかの施設ですが、新しく国立公園に編入したいと考えております八戸市の種差海岸地区にも、地域の自然を解説したり情報を提供するようなインフォメーションセンターを整備していきたいと考えてございます。
  また、③ですが、災害廃棄物の再活用としまして、災害廃棄物由来の材料、コンクリート殻、津波堆積土、そういったものを公園施設の復旧整備に積極的に利用していきたいということで考えてございます。
  (2)の里山・里海フィールドミュージアムの整備でございますが、これは3ページをごらんいただきたいのですけれども、赤い点線で囲まれた宮城県の南三陸町、それから登米市、石巻市にまたがる地域を対象として考えてございます。志津川湾と追波湾の間で北上川沿いの地域でありますが、内陸部を含めてフィールドといたしまして里山・里海フィールドミュージアムということで、現在、基本計画を検討中でございます。
  森里川海のつながりを感じられるような自然体験活動を推進するということで、そのための施設、あるいはソフトの整備を重点的にしていくということで、今、基本計画を検討中というところでございます。
  2ページのほうに書いてありますけれども、国立公園内に利用拠点を整備ということで、ここはまだ南三陸金華山国定公園のエリアではありますけれども、国立公園の中に編入したときに利用の拠点整備を速やかにしたい。それから地域と協働による管理運営をしていく。国立公園の外の地域との一体的な利用を推進するということで考えてございます。
  次に4ページでございますけれども、エコツーリズムについてでございます。まず、モデル事業としまして沿岸の5地域です。岩手県洋野町と久慈市は一つのエリアとして見まして、それから山田町、気仙沼市。気仙沼市は唐桑半島地区です。それから塩竈市の浦戸諸島、それから、相馬市の松川浦。この地域につきまして3カ年のモデル事業を実施するということで考えてございます。地域の資源調査から、ガイドの育成、それからツアープログラムの検討・試行まで、地域の状況に応じて行いまして、地域の復興に資するようなエコツーリズムのモデルを示すこととしてございます。
  また、(2)のところですけれども、環境省におきましては、エコツーリズムに取り組む地域の団体を直接支援する地域コーディネーター活用事業というものを行っておりまして、これは事業費の2分の1を交付するという支援事業でございます。三陸のエリアにおきましては、①、②のこの三陸ジオパーク推進協議会、それから三陸環境再生協議会、この二つの団体に支援をしてございます。
 三陸ジオパーク推進協議会についてですけれども、もともとは「いわて三陸ジオパーク」でしたけれども、昨年11月に青森県、八戸市、階上町、気仙沼市が加わりまして、三陸ジオパークというふうに協議会名が変更されております。この事業の中で、ガイドの養成、モニターツアー、あるいは地域のワークショップなどを行うほかに、パンフレットの作成というものが行われておりまして、本日、参考資料としてパンフレットをおつけしております。これは後ほどごらんいただければと思います。
 それから、②の三陸環境再生協議会につきましては、これは震災後、水中のがれき撤去をボランティアで行ってきた団体が核になってございますけれども、地域の漁業者とも連携しながら漁場の調査を行ったり、あるいは秋に遡上してくるサケの生態観察などを水中で行うツアーのプログラムなども、この事業の中で試行しているということでございます。
  それから、5ページでありますけれども、4番ですが、ロングトレイルについてでございます。トレイルにつきましては、基本計画を昨年の12月に策定をしまして公表しました。下のほうに基本計画の概要ということで書いてございます。
  基本的には既存の道を活用するということで、それをつないで青森県の八戸市から福島県の相馬市までの距離を一本の道でつないでいく。一本の道を一つの本線としまして、その周囲に支線を設けつつ、それ全体として、トレイルとして構成をしているということでございます。一部ではありますけれども、津波発生時には避難路としても活用するということにしております。
  本年度は、各地域でトレイルにかかる意見交換会を行ってまいりました。東京においても行っております。路線設定につきましては、岩手県久慈市を、特に今年度はモデルにしまして、地域の方々とワークショップを行いながら路線検討、あるいはルールづくり、サポーターの体制づくりといったものなども検討を行ってまいりました。
  トレイルは、単に道を整備、それで看板を整備するということだけではなくて、地域の関係者の方々が参加する形で維持管理、あるいは運営まで参加できるような仕組みが重要と考えてございます。そういう意味で、地域の意見を取り入れながら進めているところでございます。
  それから、トレイルの愛称とシンボルマークですが、これを一般募集しまして、選考し、先週3月22日に公表いたしました。
  トレイルのコース設定のために、大学生1人に情報収集を行うモニターとして全線歩いていただきました。昨年の12月からことし3月半ばまでかけて歩いていただきまして、若者の視点で地域の魅力をとらえて、WEB上で日記を発信してもらっています。道中いろいろな地元の新聞ですとかテレビのニュースでも多く取り上げていただきました。
  平成25年度につきましては一部路線の開通を行う予定です。それは、八戸市から岩手県久慈市までの区間について、今年の秋ごろを目途に、メインルートを決定し、土地所有者の了解を得て、維持管理体制も確保した上で、一部開通としたいと考えてございます。
  6ページの下に、ホームページのトップページを入れています。ここで、今後も情報発信をしていきたいと考えておりますし、先ほどの大学生のモニターの日記についても、ここでずっと公開してまいりました。
  7ページでありますけれども、上のところにトレイルの愛称と、それからトレイルのシンボルマークを掲載いたしました。愛称は「みちのく潮風トレイル」になります。それから、シンボルマークはこの右側のマークでありますけれども、これは地域のコースの地形を図案化したものでありまして、東北の「と」を意識してつくられたものが選ばれております。それから、人が並んで歩いているような、横顔が重なっているようにも見えるということで、今後、パンフレットあるいはコース上の標識に活用していくということで考えてございます。
  多くの方々に東北の自然に入っていただくという意味で、今年の秋ごろには一部開通ということで考えておりますので、先ほどのエコツーリズム等とあわせながら地域を盛り上げていければということで考えてございます。
  それから、下の5番目、森・里・川・海のつながりの再生でございますけれども、今年度は、特に宮古湾のアマモ場の再生検討と、陸前高田市の小友浦という湾の干潟再生に関する調査を行いました。
 宮古湾につきましては、アマモ場が回復の兆しが見られるということでございまして、当面は、その回復過程をモニタリングしていくということにしております。
  それから、陸前高田の小友浦につきましては、干潟の自然再生の可能性について地域の方々にヒアリングをしたり、現地の調査をしたりということで検討を行っております。地元の住民説明会におきましては、自然環境を再生することに前向きな意見が多く見られたということでございました。8ページの上に示しております。今後も自然再生等に必要な内容について調査、検討していきたいと考えてございます。
  それから、8ページの6番ですが、持続可能な社会を担う人づくりの推進でございます。これにつきましては、三陸復興国立公園の主な利用拠点、ここに書いておりますとおり、種差海岸、北山崎、宮古姉ヶ崎、浄土ヶ浜、気仙沼大島、この周辺地域をフィールドとしまして、ESDの視点を取り入れた環境教育プログラムを作成しているというところでございます。プログラムの中身は、小学生向けと企業向けの両方作成をしているということでございます。
  それから7番ですが、地震・津波による自然環境への影響を把握ということで、自然環境モニタリングを幾つか示しております。
  これにつきまして、(1)ですが、ラムサール条約湿地の潜在候補地というものが7カ所この地域にありまして、ここが津波でどういうふうになったのかということについて資質検討会を行いました。その結果、全ての候補地において、最低でも一つの基準は維持されているという結果になりまして、今後もモニタリングを継続して情報収集をしていこうということにしてございます。9ページの上に潜在候補地の図を載せております。
  非常に湾が幾つもありますけれども、海藻の観点で重要な地域、あるいはアマモの観点で重要な地域、野鳥の飛来地、そういったところで重要な湿地があるということでございます。
  それから、9ページの下でありますけれども、震災後の自然環境の変化を把握するために、新たな調査を開始しております。それと、環境省以外の主体が行った調査研究の情報もあわせて、WEBサイトで結果については公開しているところでございます。
  10ページですけれども、新たに開始した調査としましては、まず海岸調査ですが、これは、1970年代、それから2000年代、そして震災後と3時期の汀線の変化を解析してございます。それから、その次の旧版地図でありますけれども、昔の地形等を地図で判読しまして、過去の地形、あるいは生態系についての関係を見てきております。それから、震災前後の植生図を作成して、植生の改変状況というものも確認してまいりました。こういったものを今後活用して、地域の生態系がどういうふうに変化していくのかということについても解析していきたいと考えてございます。
  それから、11ページですけれども、生態系監視調査ということで、もともとモニタリングサイト1000ということで幾つか調査地点はあって、定期的に調査をしてまいりましたが、その地点をふやして、過去の調査結果と比較できやすいような、そういった形で調査を再構成しています。そのほかにも、既存のモニタリングサイト1000ですとか、ガンカモ調査、巨樹・巨木調査により、自然環境の変化を把握するように努めているところでございます。得られたさまざまな情報につきましては、WEB上で発信し、関係機関にもそれを提供して、いろんな形で活用していただきたいというふうに考えてございます。関係する機関、特に調査関係の機関とも連携をしていきたいというふうに考えてございます。
  プロジェクトとしては以上でありますけれども、12ページの下のところに、その他としまして情報発信ですとか、あるいは機運醸成のための取り組みを少し紹介させていただきました。
  (1)では、国際的な情報発信といたしまして、フォーリン・プレスセンターにおきまして三陸復興国立公園の説明を武内部会長にしていただきました。
  それから、(2)では、今回編入を予定している八戸市の種差海岸を中心に八戸市主催のシンポジウムをやっているということにつきまして紹介をさせていただきました。
  (3)につきましては、宮城県の取組として、三陸復興国立公園に指定された際の利用に関する取組を検討しているのですが、そのことにつきまして、検討状況、あるいはこのシンポジウムの中身を紹介させていただいているところでございます。
  今後も、これらのプロジェクトを復興期間中に積極的に進めていって、地域の復興に役立てていきたいと考えているところでございます。随時、審議会の部会にはご説明させていただきたいと考えております。
  以上、グリーン復興プロジェクトの進捗状況に関する説明です。
  続きまして、諮問案件についてご説明したいと思います。

○国立公園課公園計画専門官 それでは、引き続きまして三陸復興国立公園の指定について国立公園課佐々木から説明させていただきます。
  今までの説明は、グリーン復興プロジェクト、国立公園の創設も含めた7本の柱のプロジェクトについて、ご報告ということだったのですが、ここからは、実際の諮問、そして答申をいただく内容となってまいります。自然公園法に基づく国立公園の区域の拡張等に関する諮問となります。
  資料6-1の別添として、お手元に、この白表紙の冊子が配られております。こちらが、国立公園の指定書と計画書がセットになったものとなっております。こちらの内容について、本日ご説明を差し上げることとなります。
  それから、資料6-1の別添の前のところに、環境大臣から中央環境審議会の会長に対して、三陸復興国立公園の指定について諮問をする旨の文書がつけております。
  それから、資料の6-2のほうに指定案の概要ということでまとめたものがございます。今日は、こちらをベースにするのではなくて、資料6-3のパワーポイントの資料のほうを使って皆様にご説明していきたいと考えております。
  それでは、具体の中身の説明に入ってまいります。
  これまで、震災発災以降、国立公園の再編成をするということでやってきたのですが、そのまず中核になっている陸中海岸国立公園の概要についてご説明いたします。
  陸中海岸国立公園は、こちらにございますような、いわゆる海食崖、海のがけの景観が非常にすぐれているということで指定されている国立公園です。この区域の中には、浄土ヶ浜のように岩と砂浜の景色が非常に美しいところが含まれていたり、気仙沼等南の地域ではリアスの海岸線が非常に美しいという点が陸中海岸国立公園の風景の特徴でございます。
  陸中海岸国立公園の経緯ですが、指定は昭和30年に行われております。陸中海岸国立公園の指定のきっかけになった動きが、昭和8年の三陸大津波のときに震災の学術調査師団が来られまして現地を視察したことです。その学術調査団が、国立公園の審議会委員を兼務しておりましたもので、当時の宮古町長が浄土ヶ浜を国立公園に指定してほしいというふうに要望したことが、実は陸中海岸国立公園の出発点だったそうです。
  そのため、今回の津波を受けて国立公園の見直しを行うということとなり、そういう津波と切っても切れないものがある地域だなということがわかります。
  昭和30年に陸中海岸国立公園が指定されました後、昭和39年と46年に、それぞれ南部と北部のほうを拡張しております。
  お手元の資料5についていた参考資料3のほうに、地域の市町村名とそれから国立公園とか県立自然公園のエリアが入った図面がございますので、こちらのほうをごらんいただきますと大体どのあたりのエリアを南部と北部として拡張したのか、それから今回対象になっている種差海岸階上岳県立自然公園の位置ですとか、今後検討する南三陸金華山国定公園の位置などがごらんいただけるようになっております。
  陸中海岸国立公園は昭和46年に現在の区域になりまして、その後、何回か検討を行っているというふうな状況でございます。ちなみに、陸中海岸国立公園の利用者数は、平成22年は407万人ほどおりましたが、平成23年は震災の影響もあり、統計上は約46万人と非常に数が減っております。
  先ほど、堀上のほうから説明いたしましたが、三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興として、考え方をこの審議会で取りまとめていただきましたが、震災からの経緯をちょっとご説明いたしますと、まず、平成23年7月、震災発災から4カ月ぐらいたったときに、政府の方針として東日本大震災からの復興の基本方針が策定されています。これの中に、国立公園を再編成して三陸復興国立公園をつくっていくことですとか、長距離のロングトレイルを整備していくことなどが盛り込まれております。
  この政府の方針を受けて、中央環境審議会でご議論いただいて、震災から1年後の平成24年3月に、三陸地域の自然公園等を活用した復興の考え方を答申いただいています。それを受けて環境省のほうではビジョンのほうを5月に策定しております。
  これらの答申やビジョンの中に、今回の国立公園の再編成についての記述がございます。それをちょっとご紹介いたしますと、国立公園の区域につきましては陸中海岸国立公園を中核として、北は青森県の八戸市の蕪島から、南は宮城県石巻市、女川町の牡鹿半島までと、その周辺の自然公園を対象に再編成を行っていくことが方針として出されております。自然公園の区域、それから保護管理のための地域区分、これは規制の強弱を示す地種区分でございますが、それについては復興に貢献する観点から、迅速に再編成を進めたほうがよいということで、既存の県立自然公園や国定公園の地種区分を踏襲して進めるということが盛り込まれています。
 ただ、将来的には復興がある程度落ちついて、地域の方々の生活が安定してきたら、復興の過程で変化する自然環境にふさわしい地種区分に見直していくということも、この答申の中に書かれていることです。
  また、利用のための公園計画については、もちろんこれまでの県立自然公園とか国定公園で入っていたものも含めていくのですが、新たな取組として、長距離のトレイルですとか、エコツーリズムにも対応して利用計画を見直していくということを考えています。また、国立公園の名称につきましては、復興に貢献していくという観点、それから国内外から多くの支援を受けて注目していただいて、多くの支援を受けるというためにも、三陸復興国立公園としてまずは指定して、復興の状況を見て将来的にふさわしい名称を再度検討していくことが適当であるということが、昨年の3月の時点で答申いただいた内容でございます。
  続きまして、三陸復興国立公園の指定のポイントになります。今回の諮問のポイントになります。
  今回は、先ほどお話にありましたとおり、陸中海岸国立公園と、北部の青森県の部分である種差海岸階上岳県立自然公園を三陸復興国立公園として、まずは最初の指定として新規指定したいと思っております。
  国立公園の指定理由ですが、八戸市の蕪島から牡鹿半島まで北上山地が一つ大きなかたまりとしてありますが、北上山地が太平洋に接しているエリアということで、地形の形成史、それから地質が一体的な地域であるということで、この範囲を指定することとしました。国立公園は日本一すなわち、我が国でも傑出した自然の風景地であるというのが指定の要件ですが、もともと陸中海岸国立公園の指定区域であった海食崖-海のがけのすばらしい景観を有する区域、宮古市以南のリアス海岸の複雑で入り組んだ優美な海岸線の景観を有する区域、この二つを併せ持った、日本でも傑出している区域ということで三陸復興国立公園の指定を行いたいと考えております。
  ちょっと言葉が難しいかもしれませんが、風景形式というのは、日本の風景をいろいろな地形とか植生とかに基づいて分類したパターンのことで、国立公園はその中で日本一のものということです。三陸復興国立公園の風景形式は先ほど申し上げた海食崖とリアスの海岸ということになります。
 その中で、主な見どころとしては、海食崖、リアスの海岸線、砂浜マツ林、海岸植生、それから、北上山地自体が非常に古い地質で構成されているので化石もたくさん出ます。それから海鳥の繁殖地、それから津波の痕跡、それから文化景観、そういったものを見どころにしていきたいと考えておりまして、国立公園として追及していきたいテーマ、皆さんに知っていただきたいものとしては、自然の恵みと脅威、それから、人と自然との共生によって育まれてきた暮らしと文化、そういったものが感じられる国立公園を目指していきたいと考えております。
 今回の指定のポイントの3番として、新たに編入される種差海岸階上岳地域については、面積が2,400ヘクタール程度、海域が1,900ヘクタール程度の拡張となります。これは県立自然公園の区域をそのまま踏襲して保護する区域、そして一部、小さな面積ではございますが、公園利用の観点からこれまで県立自然公園の区域ではなかったところを国立公園に編入する部分もございます。
  具体的に、保護のための規制計画、地種区分の話をさせていただきます。
  こちらが蕪島という島になりまして、この写真があるところでございます。蕪島は、ウミネコの繁殖地として非常に有名なところでして、3月から8月が繁殖期です。約4万羽とも言われますが、ウミネコが来て繁殖するということです。
  その繁殖のときが、人が歩いているところのすぐ足もとでも、ウミネコが人を恐れないで繁殖している。国内でも非常に珍しい場所でございます。こうしたところを第1種特別地域として国立公園に指定したいと考えているところです。
  それから、大須賀海岸です。こちらは海浜性のお花畑が非常に美しいところでございます。夏に霧を伴う冷たい冷害を引き起こしてしまうやませという風が吹くのですが、その影響もあって、ハマナスなどの植物にまじって、ハナショウブ、ニッコウキスゲ、スカシユリ、サクラソウなどの花も咲く、非常に美しい海岸線です。
 また、大須賀海岸の南部のほうは非常に広大な砂浜が広がっておりまして、鳴き砂の浜としても有名なところです。こちらは第2種特別地域で指定する考えです。
  種差海岸は、第1種特別地域及び第2種特別地域として指定します。この写真にあるとおり芝生地になっておりまして、これは、かつて馬の放牧によって維持されてきた草原でございます。一部、樹齢90年以上のクロマツが広がっているところもあります。種差海岸と階上岳地域を代表する景観として有名なところでして、古くから東山魁夷とか、司馬遼太郎。それから鳥瞰図をつくることで有名だった吉田初三郎など、多くの文人、画家の方々に愛されていた地域でもございます。
  それから、こちらの館越については、すみません、お配りした資料では第2種特別地域と書いてありますが、第3種特別地域の誤りでございました。大変失礼いたしました。
  館越の地域はクロマツ林が生えているところでございます。こちらは大須賀海岸のあたりから見るとちょっと標高が高いもので、クロマツの林がこんもりと見えるところなので、風景を維持するということから、第3種特別地域で指定します。
  続きまして、もう少し南のほうに移っていきます。この金浜海岸というところは第3種特別地域で指定しようと考えているところですが、こちらの写真にあるとおり、比較的広い砂浜海岸となっていて、砂浜のすぐ汀線から陸側に海浜植生があって、その後背部に葦原があって、その後ろにクロマツ林があるという、連続した植生が見られるところです。
  それから、こちらの榊平の海岸のところですが、岩礁海岸に芝生などの塩生湿地の植生が偏在している場所でございます。それから、小舟渡は、こちらは第2種特別地域での編入を考えていますが、この写真にございますとおり一帯が芝の草原になっていて、丘の上から非常に美しい風景が見渡せるような場所でございます。
  次に、少し内陸部に入ったところにある階上岳の地域です。階上岳は北上山地の最北の山で、標高が740メートルです。ニホンカモシカとか、キツネ、タヌキ、野ウサギなどの動物が生息しております。この階上岳の山頂部のところ、ここは第1種特別地域で保護しようと考えています。大開平というところがございまして、こちらからは太平洋ですとか、種差海岸、八甲田連峰が遠望できます。また、大開平から少し南に下がったあたりに山頂がございますが、山頂からは北上山地の山々も遠望できます。山頂部にはヤマツツジ天然の群落などもありまして、花がたくさん咲いて美しいところでございます。
  それから、少し北側につくし森というところがございます。こちらも第1種特別地域で編入を考えています。クリ、コナラなどの広葉樹林からなっていまして、林床に野生のランなども見られるところでございます。
  それから、階上岳の残りの部分は第3種特別地域として編入する予定です。こちらはミズナラ、コナラ、シラカバなどの群落の中に人工林も割と多く含まれております。それから、一部、芝の草地が点在しているところです。落葉広葉樹林の林床には、フクジュソウ、カタクリなどの花とか植物も見られるところでございます。
  続きまして、今度は規制のほうではなくて、利用計画を説明させていただきます。まず、種差海岸のところに集団施設地区を設定したいと考えています。これは、施設を集合的に整備して国立公園の利用拠点にするもので、面積は14.9ヘクタールでございます。
  整備の目標としては、こちらは国立公園の北の玄関口でございますし、八戸市内からも非常に到達しやすいところでございますので、草原と海岸景観の観賞とか、それから、みちのく潮風トレイルの中継地としても重要な意味を持つ場所として、施設を整備していくことを考えています。
  これまでも八戸市のほうで展望施設とかキャンプ場を整備しておりますが、今後、環境省のほうでもインフォメーションセンター、案内所を整備しまして、種差海岸の利用案内ですとか、それからトレイルの情報提供、それから、この地域の自然の恵みや脅威というものを伝えていくための施設を整備する予定で、平成25年度に整備に着手したいと考えています。  また、施設の周りには駐車場も整備する予定です。
  こちらは、環境省が案内所を整備するだけではなくて、八戸市さんと連携して、その隣に物を売る物産館、物販をする施設を併設することで、より利用者にとって利便性の高い施設を目指していこうということも考えています。そうすることで、物を売る施設があるということで、地域の経済にも貢献していくということを目指していきたいと考えています。
  また、この施設の前の広場のところでは、例えば市場を開くですとか、地域で主催するさまざまなイベントをやってもらって、種差海岸をにぎやかにしていくというようなしかけができればということを考えております。
  集団施設地区の設計に当たっては、こちらの種差海岸と、それから、既存の陸中海岸国立公園にある集団施設地区、宮古姉ヶ崎とか浄土々浜、碁石海岸、気仙沼大島などがございますが、これらの整備方針の中にユニバーサルデザインを積極的に導入していくことですとか、災害時の避難誘導への配慮、それから再生可能エネルギーを積極的に使っていくこととか、災害廃棄物由来の資材を積極的に活用していくということも、今回新たに位置づけることにいたしました。
  次に、個別の利用施設の計画でございます。
  まず、この北の蕪島の園地。先ほども見ていただいた蕪島の神社の下のところですが、こちらは津波の被害をかなり強く受けておりますので、今後、八戸市が中心になって復旧を進めていくことを考えております。
  この園地は、平成25年度に八戸市のほうで設計する予定となっているのですが、こちらは国立公園の北の入り口でもございますし、それからトレイルの入り口でもございますので、エントランスとしての整備を、環境省も連携して進めていくことを考えております。
  それから、鮫角宿舎、葦毛崎の園地、蕪島白浜線道路(車道)、白浜園地、大蛇園地計画を配置しますが、こちらのほうは基本的にこれまでも市や町によって、トイレとかあずまやとか、もしくは民間によって宿舎が整備されてきておりますので、県立自然公園の事業をそのまま国立公園の事業として引き継いでいくという形で進めたいと考えています。
  それから、こちらは小舟渡の園地です。こちらにつきましては、これまでも階上町と青森県のほうでトイレや駐車場を整備しているのですが、標識類がちょっと古くなっていたりするので、国立公園の編入後に、環境省でトイレやあずまや、標識といったものを追加整備することを考えております。
  それから、階上岳の地域ですが、こちら山頂の園地です。こちらのほうも、これまで階上町のほうで整備されてまいりましたが、標識類が不足していることから、環境省で直轄の施設を整備する予定です。また、寺下観音園地、野営場から車道につきましては、これまでも、町のほうで整備してきたものを、国立公園の事業施設として環境省が引き継ぐ形で考えております。
  先ほどの説明でちょっと漏らしてしまいましたが、みちのく潮風トレイルの路線につきましては、蕪島から続いて南に行きまして、一部ちょっと公園区域から出てしまうので、公園計画には載っていませんが、みちのく潮風トレイルの路線としては公園区域外も検討します。それから、階上岳のエリアについても入れております。
  なお、こちらは、実は先ほどの堀上の説明でもあったとおり、まだ地元と路線の詳細を検討中でございまして、暫定ということで入れさせていただいています。今後、地域との相談で路線を見直した際に、出入りがあったりするかもしれませんが、そのときは改めて路線の変更ということで、審議会のほうにお諮りすることを考えております。
  それから、既存の陸中海岸国立公園のエリアについても一部見直しを図りたいと思っています。こちらは、岩手県の田野畑村で船舶運送施設を追加することを考えています。小型の漁船のサッパ船というものがございまして、こちらの写真がサッパ船なのですが、このサッパ船で地元の漁師さんがガイドになって、海岸線の美しいところや、地元の自然の特徴ですとか暮らしを解説するガイドツアーをやっておりますので、それを今回、公園の事業として位置づけたいと考えております。
  こちらに机浜というところがございます。ここは、以前、番屋群があったところで有名でして、水産庁の「未来に残したい漁業、漁村、歴史文化・文化財100選」にも選ばれていたのですが、今回津波で全部流されてしまいました。これは、地元のほうで今、復旧を進めておりまして、船舶運送施設の拠点として地域で再生を図っていくことを考えています。
  それから、こちらに明戸浜というところがございます。こちらは、やはり同じように津波の被害を受けたところなのですが、防潮堤が津波の影響でごろんとひっくり返って、底だったところが今、海面の上に見えているような状態になっているところがございます。これを、地元ではそのまま保存していく計画がございまして、保存することが決まりましたら、この船舶運送施設で解説するときの一つの大きな目玉になるのではないかと考えております。
  それから、同じく小型の漁船を使った観光事業として碁石海岸。岩手県の大船渡市になりますが、碁石海岸のところにも船舶運送施設を追加します。
 碁石海岸には、M字型をして穴が開いた、穴通磯という岩があったりとか、雷岩といって波が当たったときにどんと大きな音がするような岩があったりするので、そういったところを、こちらも小型漁船で漁師さんがガイドになって案内するための船舶運送施設を追加したいと考えております。
  それから、こちらは削除の計画ですが、長磯というところに震災前から計画されていた園地、宿舎、水族館、舟遊場の事業につきましては、震災の影響を受けて、今後整備の予定がなくなり、また、沿岸部における危険性の観点なども含めて、今回、利用施設計画から削除することを考えております。
  三陸復興国立公園の指定を受けて、これまでの国立公園とは違うどのような新しい取組をするかということについて、少しご説明させていただきます。
  指定の記念式典や各種イベントを行うことで、地域の関係者の機運醸成とか利用増進をしていくということも考えています。また、実は環境省は、これまであまり積極的に国立公園の利用情報を発信してこなかった点もございます。なので、三陸復興国立公園でさまざまな利用情報を積極的に発信し、利用を推進していく。公園事業者との連携もさらに強化していく。そういった中で、地域の経済に貢献して、復興に貢献していくということを目指していきたいと考えております。
  それから、グリーンワーカー事業といって国立公園のきめ細かい管理を行うための予算があるのですが、それを活用して、外来植物の除去ですとか、展望地の景観が見えるように配慮する修景伐採をやっていくなど、きめ細かい管理も推進していきます。
  それから、先ほどグリーン復興プロジェクトでご説明したエコツーリズムの取組についても、公園の資源を活用した新たな利用として推進していく。それから、トレイルについても推進していくことを考えています。
  また、先ほど船舶運送施設の追加について御説明しましたが、もともと陸中海岸国立公園を指定したときに、「この公園は海の上から見るのが実はすごくいいんだよ」ということを、国立公園の父と呼ばれている田村剛博士も薦めていました。その後、海から見る利用は時代の流れもあって活発にはならずに数が減ってしまったところなのですが、震災を機に、もう一度、海からこの雄大な景色を眺めるという利用を推進していきたいと考えております。
  それから、自然の脅威を学ぶ、それから伝えていく場としての整備として、先ほど堀上から説明がありました、宮古市の被災した野営場を遺構として残していくこと。それから、震災の廃棄物とか再生資材を有効活用していくことなども考えていきたいと思います。
  それから、南三陸金華山のエリアについては、平成25年秋以降に編入について諮問できるように作業を進めてまいりたいと思っております。
  今回のこの諮問に先立ちまして、昨年11月に2泊3日の行程で、自然環境部会の委員の方々に、編入する青森県八戸市及び階上町、それから陸中海岸国立公園の区域について、ご視察いただいております。
  資料6関連の参考資料のところに、委員の方々がご視察いただいたときの意見の概要を取りまとめております。一部ご紹介いたしますと、個別の地域の魅力を解説するということに加えて地域のガイドの方々が国立公園全体としてのストーリーをしっかりと説明できるようにしていくことでよりよい公園の解説ができるのではないか、文化面や食といったものを掘り下げて魅力として伝えていくことをもっとやらねばならない、それから、トレイルももっとサービスがよくなるようにしなければいけない、南北に非常に長い公園になりますので協働型の管理体制を構築していくのが課題である、ということが指摘されております。
 こちらが、視察のときの様子でございます。
  パワーポイントのほうはこれで最後になりますが、資料6-4のほうに、国立公園の名称についてということで準備いたしました。
  国立公園の指定に関係する県、市町村に意見照会をしまして、国立公園の名称に「復興」 というものを入れることについて聞いております。全部で関係する県が3県、それから14の市町村がございますが、1県5市町村からは意見が返ってきております。一部反対という意見もございますが、基本的には、時限的であればしようがない、やむを得ないという意見ですとか、地域の中では、いつまでも復興ではないという気持ちなので、復興を遂げたときには「復興」を取ってほしい。そういった意見が中心でございます。
  資料の裏面名称の考え方を少し整理いたしました。多くの方々からいろいろ意見を聞いた中では、肯定的な考え方と否定的な考え方に整理できるものと考えております。肯定的な考え方としては、やはり復興にこの国立公園は貢献していくのだ、なので、名前にも当然「復興」を入れて、わかりやすくするべきだと。それから、国外も含めて多くの関係者が支援を受けるために、当面の間は「三陸復興国立公園」という名前を使ったらどうか。将来的には、ふさわしい名前を検討すればよいのではないか、という考え方です。
  逆に、心配されることとして挙げられたのが、名称を「三陸復興国立公園」に今回して、それから、また将来的に見直すということで、2回変更することになりますので、労力や財政的な負担が出てしまうのではないか。それから、普遍的な価値をもって指定される国立公園の名前に「復興」というのをつけるのはそぐわない。被災地はいつまでも「復興」ではない。そういった意見が出ております。
  これらを踏まえまして、今回、諮問会議へ、名称につきましてもご議論いただければと考えております。
  私のほうの説明は以上で終わりになります。どうぞよろしくお願いいたします。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
  それでは、報告事項のグリーン復興プロジェクト、それから諮問事項の国立公園の指定、さらに、今ございました名称の問題について、審議をさせていただきたいと思います。
  ご意見、ご質問のある方は札を立てていただければと思います。
  山極委員。

○山極委員 ありがとうございます。
  大変しっかりした計画で、これから随分大きな期待ができるものだと思っております。
  1点だけ、エコツーリズムについて、少しご質問とご要望なのでございますが。
  私は今、アフリカでエコツーリズムを立ち上げようというプロジェクトをやっています。JICAとJSTが支援してくれているのですけれども、大変苦戦しています。それは、これが大きなビジネスチャンスになり得るためです。ですから、科学的なデータに基づいてルール作りをする前にいろいろな観光事業者がこぞって参加してくる可能性があり、それをどうしようか関係各機関と協議しているところです。。
  今回の計画でも、事業者の参入に関する規制、ガイドの認証制度、利用者数の規制、あるいは観光税の導入とか、いろいろな新しい提案が今できる時期だろうと思うのですね。そういう法律や仕組みというものを最初に考えておかないと、いろいろな企業が参入してエコツーリズムが始まってからでは、そのような規制等はできません。
  ですから、最初に十分に検討していただきたいということと、それから、やはり観光ということをかなり重視して国立公園を運営していくためには、人材育成が重要です。これは、資料にも書いてはありますが、その人材を持続的に雇用していく資金が必要なわけです。その辺は、どう考えておられるのか。
  地域コーディネーター事業があってこれは非常に重要だと思うのですけれども、また、もちろん県や市町村との予算の協力関係も重要でしょうけれども、国立公園としてこのような新しい事業に取り組む際に、復興という名目で、かなりの予算がつくものだと期待しておりますけれども、持続的な人材雇用という点では、どの程度の見通しがあるのか、ちょっとお聞きしたいです。

○武内部会長 ありがとうございました。回答は一括でお願いしたいと思いますので。
  白山委員、どうぞ。

○白山委員 ありがとうございます。
  視察にも参加させていただきまして、非常に夢のある計画だと思うのですが、一つは、ご質問ですが、海域普通地域が1,900ヘクタール増えたとご報告があるのですけれども、どこがふえたのかよくわからないので、教えてほしいというのが一つ。
  それから、三陸復興国立公園というのを英語に直すとどういうふうにする予定かというのを伺いたい。まもなく開催されるアジア国立公園会議にも、きちんとした英訳を出す必要があるだろうと思いますので、その2点について伺いたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。
  宮本委員、お願いします。

○宮本委員 ありがとうございます。
  私も、その「復興」というのを英語で言ったときに、この単語を推奨するというのがありましたら、ぜひお伺いしたいと思います。
  2点目なのですけれども、自然の脅威を学ぶ場という言葉が出てくるのですが、この国立公園の予定地内で、震災で亡くなられた方々を慰霊する場のようなものが既に設けられているところがあるかどうか。あるいは、そのような場を設けたいというご要望が地元から出ているようなことがあるか。もし、そのあたりをご存じでしたら教えていただきたいと思います。

○武内部会長 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 2点あります。
  まず1点は、海の関係ですけれども、今、地図を見ましたら、海域については大体、海岸1キロになっていますね。これは、国立公園としては、普通地域として海岸から1キロというのが普通のルールなのでしょうか。
  それから、あとよく見ますと、非常に重要な湾の中が外れていたりしているのですけれども、せっかくの国立公園をこれだけ大きくするわけですから、海に対しても、もう少し配慮していただけないかなという、これは要望です。
  それからもう一つは、これだけ大きな国立公園になりますと、おそらく問題は、今は多分レンジャーが何人か配置されていると思いますけれども、そういった人的な整備ということも、どうしようとされているのか、この二つをお聞きしたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。
 磯部委員、お願いいたします。

○磯部委員 この東北でトレイルができるという言葉が出てきましたけれども、それができたらすばらしいと思います。
  お聞きしたいのは、現状でどうなっているかということなのですけれども、三陸海岸なので、私などが海岸の近くで歩こうとすると、景色のいいところはものすごいアップダウンがあって、健脚でないと歩けない。内陸に入ってしまえば大丈夫ですけれども、それはそれで普通に歩いているに過ぎないということなので、景色のよさということと歩きにくさということについて、どういうイメージでトレイルというのができるのかなと思っているので、その辺の現状についてちょっと教えていただけたらと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。
  石井実委員、お願いします。

○石井(実)委員 大変すばらしい計画だと思っております。
  生物多様性の観点から少しご質問と、そして、お願いなのですけれども。
  一番最後のほうのご説明で、新たな取組に関する説明があったと思いますけれども、その中でグリーンワーカー事業等による外来植物の除去というものがございました。これは実際に、どのような外来植物が対象なのか、特に特定外来生物に限られたものなのか、さらに大きな範囲で帰化植物等も対象にするのか。例えば、それに依存する昆虫等に影響が出てくる可能性もあるのかなと思いますので、対象範囲をお聞きしたい。
もう一つ、同じ箇所の説明で展望地における修景伐採という言葉が出てくるのですが、修景伐採というのは、どのようなものなのか、できたら生物多様性の配慮をお願いしたいということでございます。

○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、涌井委員、お願いいたします。

○涌井委員 ご提案の趣旨は、非常にチャレンジャブルだと私は思うのですね。だから、高く評価させていただきたい。
  ただし、この「復興」という名称を冠するのであれば、これまでの指定・規制・管理というところにウエートを置いた国立公園行政から一歩進んで、アクションプランを持ったものにしてほしい。しかも、ロングトレイルが指定されるということになると、やはり集団施設地区をしっかり位置づけて整備して、後背地との関係を明確に、コミュニティも含めてしっかり見せていく必要がある。三陸の場合に、幾つか典型的なケース、里山と里海が連関しているというケースが非常に多いわけです。そうした断面も、ぜひ見てほしい。
  参考にしていただきたいのは、1929年に世界大恐慌が起きたときに、ルーズベルト大統領がCCCというのをつくったのです。これは何かといいますと、シビリアン・コンサーベーション・コークスという、いわば国土保全自然保護部隊で、このような部隊を創設して25万人から50万人の人間をキャンプで教育したのです。これは、実は若者の失業対策。これが、ナショナルフォレスト、あるいはナショナルパークのストラクチャーのマニュアルが、それによってできたと。今でも使われているのですけれども、その大きなポイントになった。
  したがって、単に、今申し上げたように指定・規制・管理という静的な対応だけではなくて、復興というところに、ひとつのアクション、行動を伴わせた新しい国立公園行政のあり方みたいなものを、ぜひ織り込んでほしいというのが、私の意見であります。

○武内部会長 ありがとうございました。
  佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 今回の基本方針の中に、森と里と川と海のつながりを強めるということが書いてありますが、現地に伺ってみますと、先ほど、現地視察における委員意見の概要で書かれているように、防潮堤を初めとする構築物が、もうかなりできあがっているわけであります。
  そういう意味で、森と川と海をつなぐところが遮断されつつあるわけでございますが、国立公園指定を早くやることにより、逆にそういうものの進捗をくいとめることができるのでございましょうか。そこをちょっと伺いたいと思います。

○武内部会長 どうもありがとうございます。
 それでは、中静委員、お願いします。

○中静委員 これは要望なのですけれども、一つは、みちのく潮風トレイルは大変いい計画だと思うのですけれども、トレイルを設定して利用されないということは、本当によろしくないことなので、利用しやすいようないろいろな仕組みを考えていただきたい。
 例えば、海から見るという観点からつないでいくとか、あるいは、時々来て少しずつ歩くとか、ある程度の距離を歩いてまたいろいろな旅を続けられるような仕組みを考えていただくのがいいのかなと思います。
 もう一つは、今、佐藤さんのご質問にもありましたけれども、森・里・川・海のつながりの再生ということが行動計画の中にも盛り込まれていますけれども、いまいち、その部分の設定が弱いなというふうに感じることです。これに関しては、将来的に公園の区域を見直すということも、僕はあっていいと思っていますし、三陸の小流域は、そういう可能性を秘めたところがあると思うので、あせらずでいいと思うのですが、ぜひ、その概念を生かし得るような公園設定と、それからアクションプランも考えていただければというふうに思います。

○武内部会長 ありがとうございました。
  浜本委員。

○浜本委員 同じく、森・里・川・海のつながりの再生という、このグリーン復興プロジェクトの中でも一番柱となるところではないかと思いますが、エリアとして国立公園を指定して、そこを多くの方たちが利用しようという今までの国立公園のあり方と、森・里・川・海のつながり、つまり、人のくらしをベースとするエリアとして復興していくというエリアが重複していることが、今までの国立公園と本当に大きく違うと考えます。
 海がだんだんと形をかえて復興していくということは、そこでまた漁業が営めるということです。今後そういう場所も出てくるでしょうし、それを通じまして、内陸のほうでは森林や田畑なども復興していくということになります。こうした時間の流れに配慮しつつ、国立公園の中でこのような森・里・川・海のつながりを形として見せていくということは、人のくらし、強いて言えば第一次産業の復活というものも、環境省でありながら、長い時間の流れの中で考慮に入れた上での国立公園内のアクションプランを立てていかないといけない。
 それを支えるのは多分、今までのようにただ単に自然体験が重視されるエコツーリズムではなく、生活の体験やまちの復興を重視したエコツーリズムであり、そういうものも、このアクションプランの中に入ってくるのではないかと思います。そのあたりをもう少しわかりやすく具体例を入れて、モデル地区をつくるようなことも書いてありましたので、具体的に進めていったらいかがかというふうに考えます。

○武内部会長 ありがとうございました。
  下村委員。

○下村委員 私は意見と要望ですが、先ほど、涌井委員から、非常にチャレンジャブルに取り
組んでおられるというようなご評価をされましたけれども、私もそう思います。
 国立公園、自然公園はちょうど転換期を迎えていると思うのですけれども、復興という名称のもとに、このグリーン復興プロジェクトを見させていただくと、現行の国立公園という制度の中で最大限踏みだそうとされているなというのが受けとれます。
 利用ということをベースに、地域の社会的な復興と、森・里・川・海のつながり、自然環境の再生というようなことも織り込みながら、自然公園というものを新たなフェーズに展開されていこうということだと思いますので、当面は、復興という言葉を使いながらぜひ精力的に進めていただけるといいかなというふうに考えております。
 その際に、実際に今、自然公園も、我が国でいえば80年ですし、世界的には140年というようなオーダーの中で、転換期を迎えているのだと思うのですけれども、そういう中で、環境省さんのほうでも、例えばエコツーリズム推進法なんかで全体計画の枠組みをたてたり、あるいは協働型管理の検討も進められておられますので、そういったものと上手にリンクさせていただいて、これを様々な仕組みの中で上手に活用していきながら進めていただけるとありがたいなというふうに考えております。
 以上です。

○武内部会長 他に、よろしゅうございますか。
 それでは、事務局のほうから、いただいたご質問に対して、ご回答をお願いします。

○自然ふれあい推進室長 私のほうから、全体的なことと、それからグリーン復興プロジェク
トに関わる話をお答えしたいと思います。
  まず、エコツーリズムでありますけれども、山極委員のお話で自然環境の保全と利用のバランスということが非常に大事なのは、エコツーリズムは言うまでもないわけですが、実際、ビジネスチャンスという、ある意味、観光客にはどんどん来ていただきたいという側面は、もちろんございます。
 そういう意味では、最初の段階から、地域の自然環境を保全しながら活用していくというのはどういうことかということを、きちんと地域の方々とお話をしながら、その仕組みづくりに向けてモデル事業を構築していきたいというふうに考えています。
  その延長には、環境保全と利用のバランスをどう図るかという具体的な議論があり、それが規制になるのか、あるいは取組の中でできるのかというところは、地域の状況によって異なると思いますので、そういうものを今回のモデル事業でもきちんと出しながら、さらにそれを他の地域にも活用していければと考えてございます。
 それから、桜井委員から、人的整備についてお話がありましたが、これは、後ほど調査官のほうから話をしていただきたいと思います。実際には、かなり手当をしていきたいということもございます。
 それから、涌井委員から、非常に大きな、新たなチャレンジ的な取組だということでございました。既存の国立公園のエリアで考えますと、なかなか大きく変えるというのは、実は難しい面もございます。ですが、公園内と外とのつながりということも考えた上で、例えばフィールドミュージアムということも新たに立ち上げようとしております。実際に、その公園の中である程度できることと、それから外の民間的な取組とのつながりが必要というところもありますので、今回協働型運営ということを念頭に、少しモデル的にやっていきたい。それは、下村先生がおっしゃったことと通じると思いますけれども。全国的な展開を図る前に、幾つか国立公園でもモデル的な取組をしていきたいと考えておりますので、そういう意味で、東北の三陸復興国立公園からモデルを発信していきたいということを考えてございます。
 それから、防潮堤に関する話がございましたけれども、既存の国立公園のエリアでということでありますと、なかなか大きく物を言うということにはならない面もございます。実際、指定をしたとしても、今のエリアを今すぐ大きく変えるということにはならないものですから、我々としては、その地域にきちんと生態系なり、あるいは地形なり、そういう情報があるので、そうした重要な情報についてはどんどん出していきたいと思っています。その上で、自然再生の試みについてもっと議論を深めて、その地域の今後の自然環境をどうするのかという議論を、場所によってはその地域に入ってやっていければと考えます。また、そういう状況を見ながら、他の地域についても広げていくことができればと。
そういう意味で、今はいろいろ試行的に検討を進めているという段階であるということを、まずご理解いただければと思います。
 それから、中静委員から、トレイルについて利用されるような仕組みということで、これもかなりチャレンジしていくことになろうと思います。非常に長い、700キロ以上という地域をつないでいくわけですが、その拠点、拠点においては、エコツーリズム的な要素、あるいは自然再生的な要素も入れながら、協働型の運営というものを打ち出して地域の観光に資するような、例えば1泊2日ぐらいの予定が組めないかとか、そういう中身も含めることができればと考えております。
 浜本委員からございました再生につきましても、先ほどお話をしているとおりですが、協働型の体制というのは地域の理解が非常に重要になりますので、エコツーリズムのモデル事業の中でも、その地域の理解を得ながら、一緒に再生も含めた取組ができるかどうかというところを、特にモデル事業の中でもやっていきたいと考えております。
 総括的には以上のようなところ。あと、技術的な部分の説明をさせていただきます。

○国立公園課公園計画専門官 それでは、順番にお答えしていきたいと思います。
 まず、山極委員からございました持続的な雇用を考えていかないといけないということで、ご意見をいただいた件です。
 このことにつきましては、大変私どもも苦慮をしているというのが正直なところでございます。国立公園の管理予算の中で、地域の方々を、しかも持続的に雇用するという制度が、今までおそらくないという状況でございます。
 環境省のできることとして、まず、三陸復興国立公園で考えたいのは、なるべく地域の方々が持続的に国立公園の観光資源を活用して、観光で食べていける。それから、観光業と連携して一次産業のほうが元気になっていくということを、まず目指す。その中で、地域が持続的に動いていく。そして、国立公園をしっかり活用して持続的に回していくというような自然と共生した社会というものを、この三陸の沿岸の地域になるべく広くつくっていくことができれば、環境省が直接フォローするという形ではないのですが、持続的な雇用につながっていって、復興を果たした後の持続可能な社会を築くために必要なことに貢献していけるのではないかと考えているところでございます。
 それから、白山委員からございました、海域はどこがふえたのかということでございます。
 こちらは、先ほどのスライドの中でご説明いたしました種差海岸のエリアの図で、こちらが海域です。途中が写真とか字とかで切れているのですが、このエリアが海域の普通地域でございまして、これをずっとつなげますと1,900ヘクタール、海岸線から1キロメートルというところが含まれております。これを新たに階上岳県立自然公園から国立公園に編入して、海域が増えました。
 それから、白山委員と宮本委員からありました、この国立公園の英語名ということでございます。
  英語につきましては、こちらで英語のパンフレットというものもつくっております。三陸「復興」はローマ字で「Fukko」と書きます。「Sanriku Fukko」の後に括弧で「Reconstruction」を入れて、次に「National Park」をつける形で、今は使用しております。
 それから、慰霊する場所があるのか、もしくは、そういうものが出てきているのかということですが、今のところ、環境省に直接、公園の施設として、そういう慰霊の場とかをつくってほしいという要望は、私が承知している範囲では聞いておりません。各自で、恐らくそれを思っている方はいるのかもしれませんが、把握していない状況でございます。
 それから、桜井委員から、海は1キロメートルというのがルールなのかということですが、これは、現行の国立公園のルールとして公園計画作成要領という通知がありまして、その中で海岸に接している特別地域がある場合は、そこから1キロメートルを普通地域で編入するということがルールになっていて、それに基づいて全国で施行されているものです。
 それから、湾内が公園区域から外れていてもう少し配慮できないのかということですが、こちらにつきましては、実態として確かに湾内が外れております。もともとリアスの湾奥の
エリアというのは人々の生活圏になっていて、漁港や港湾が整備されていてという場所でございますけれども、どちらかというと自然環境を守る場所としてではなくて、人々の生活の場として、これまでは使われてまいりました。ただ、近年、海域の生物多様性の重要性ということで、特に干潟ですとかアマモ場といったものが注目されるようになってきております。
 私たちも、この国立公園の中で、そういった環境については非常に重要なものだと認識していて、どこにどういうものがあるのか。どういうふうにそれらが震災の影響を受けて、これから回復してくるのかをモニタリングしております。なので、地域の方々と相談する中で、そういった漁業資源の存続のためにも資するような重要な場所というものを、今後、国立公園の区域に含めていくことができないかという相談は、継続して行っていきたいと考えております。
 それから、磯部委員からありましたが、トレイルはすごいアップダウンがあって大変なのではないかということでございます。実際に大変でございます。
 北山崎の辺りなんかは相当ハードなアップダウンがあったりするところもございます。そうかと思えば、仙台湾の沿岸辺りは割と平坦でなだらかなところがずっと続くような感じで、その地域、地域の風景といいますか、地形の特色ですとか、そういったものを歩くことでより深く理解できるようなトレイルとなっております。それから、700キロという距離も、非常にチャレンジするのに挑戦心をかき立てるものもあると思うのですが、その中に、そういう厳しい自然環境に立ち向かうエリアがあるということが、また一つ、トレイルの魅力を上げるものになるのではないかと思いまして、できれば、もちろん路線は地域と一緒に検討していくのですが、可能であればそういう厳しいところもトレイルの路線に組み入れていきたいと、私たちは考えております。
 それから、石井委員からありました外来植物の駆除について、特定外来かどうかなどの話がありました。
 今回考えているのは、オオハンゴンソウでして、特定外来生物だと思います。国立公園で、一般的に外来植物の駆除ということで広く全国的にやられているものは、特定外来生物以外にも帰化植物的なもの、もしくは国内で他地域から侵入してきたものも含めて幅広く対応している状態です。この場合は、地域によってさまざまですが、専門家の意見を聞きながらやるとか、そういった体制を設けているところも多くございます。
 それから、修景伐採というものは、確かに、伐採という言葉を使うと大規模に切り開かれてしまうのではないかというイメージを持たれてしまうこともあるのですが、例えば展望台に上ったときに、目の前に木がばっと茂っていて何も見えない。そういったときに展望台の、例えば目線のところだけを、すき切りみたいな感じで切る等、自然にかなり配慮した形で、実際に現地のレンジャーが現場に立ち会って、「この木と、この木を抜き切りにしよう」とか、そういうきめ細かい伐採計画を立てて実施するものでございます。
  以上で、私のほうからは説明は大体終わりだと思います。あとは、調査官のほうから。

○総務課調査官 先ほど、環境省の人的な整備についてご質問がございました。
 今の説明の中で、何度か「レンジャー」という言葉が出てまいりましたが、環境省の職員が国立公園の現場に張りついておりまして、総称してレンジャーと呼んでおります。これは、正式な職員でございます。
 全国に260名ほど、地方環境事務所の所長等を含めておりますが、現在の陸中海岸国立公園につきましては、仙台に東北地方環境事務所という事務所がございまして、そこの所長の監督のもとに、さらに現場として宮古、それから大船渡にレンジャーがおります。
 さらに、震災後に、今回拡張いたします八戸市にレンジャーを新たに配置いたしまして、今回のこの拡張の計画に当たりましても、実際に若手レンジャーが現場に住んで、それで地元の方々、地域の方々と一緒に公園計画の策定と、そのお話をさせていただいたということが、非常に地元の方々にとっても、私どもの考えを聞いたり、環境省の考えを伝えていくという上で、非常に大きかったというふうに考えています。
 今後でございますけれども、国家公務員の定員につきましては削減傾向にございますので、
大変厳しい状況ではございますが、さらに今後は近い将来、条件が整いましたら石巻に配置したいと考えております。正式な国家公務員、常勤の国家公務員とあわせまして、全国に自然保護官の補佐、レンジャーの補佐をするアクティブレンジャーという非常勤職員を配置しております。現在は宮古に1名いて、なるべく現場をほうぼう回りながらレンジャーを補佐するという立場で勤務しております。
 こういったアクティブレンジャーの制度も含めながら、やはり私どもとしては国立公園は、現地で直に地元の方々とおつき合いをさせていただきながら公園を管理していくということが重要だと思っておりますので、厳しい中ではございますけれども充実を図っていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○武内部会長 どうぞ。

○国立公園課長 国立公園課長でございます。補足的にですが、申し上げさせていただきます。
 まず、英語の名称なのですけれども、これは本当に私どもも大変悩みました。「復興」 をどのように訳すかということで、最終的に、いろいろと考えた結果、その中身を考えて、「Reconstruction」という言葉を使ったわけでございます。
 最後にご説明させていただきますが、アジア国立公園会議というものを今年の秋に開催する予定でございまして、その関係もございまして、いろいろな場所で、既にこの「Sanriku Fukko (Reconstruction) National Park」という形でのご説明をさせていただいております。
 例えば、昨年9月に韓国で開かれました世界自然保護会議でも、そういう名称でご説明させていただきまして、終わった後に少々、私どもも聞いて回ったのですけれども、大体、皆さん特にご異論はなく、これで理解いただけたご様子でございますので、この名前でこれからも使わせていただきたいと思っております。
 それから、中静先生のほうから区域のお話も少々ございましたけれども、今回の指定が全てということではございませんで、先にも申しましたように、南三陸金華山のところもございますし、当然、その先には、私どもとしましても内陸部の、例えば県立自然公園に指定されているところを含めて、逐次可能なところについて、もしくは指定する値打ちがあるところについては考えてまいりたいというふうに思っております。
 それから、あと、これはご参考でございますが、山極先生のほうから予算のこともちょっとお話がありましたので申し上げますが、大体、国立公園課が持っております予算というのが、年間ソフトで10億円、ハードで10億円ぐらいしかございません。この他に、参事官室というところで施設整備の予算が70億円ぐらいあるというぐらいで、それが本当に私どもの予算の全てでございます。
 今回は、復興特別会計の中から使わせていただくわけでございますけれども、現在、これから国会でご審議いただきます25年度の予算で申し上げると、復興特別会計の予算が、ソフトで5億円弱、ハードで21億円ぐらいというところでございまして、それほど大きな金額ではございません。ですから、どうしても先に行くことを考えますと、先ほどおっしゃられたような地元の方の雇用でございますとか、あるいは一次産業の振興というようなものにつきましては、これは基本的に観光を通じて盛り上げていただくということが大変重要なのかなと思っております。
 浜本委員のところからも、一次産業の復活、復興という話もございましたけれども、食というのは、東北のこの三陸エリアの観光の中で大変重要な要素でございますので、そういうところを大いに盛り上げていくような形で、私どもとしても貢献ができればと考えております。
 以上、補足でございます。

○武内部会長 どうぞ。

○尾崎委員 海域から1キロと先ほど明言されたので、ちょっとお願いがあるのですけれども。
 実は、この地域には重要な海鳥の繁殖地が幾つかありまして、鳥獣保護区にも指定されておりますが、それらの採餌海域というのは、1キロ内にはとどまらず、5キロないしは遠くからは10キロぐらいまであります。
 ですから、地域指定として1キロがやむを得ないということは、よくわかりますが、そうした採餌海域が何らかの形で守られるような配慮は、ぜひお願いしたいと思います。
  特にこの地域は、重要な種類もおりますし、その他、例えばアホウドリだとかミズナギドリといったものは、わざわざここまで餌を取りに来るものもかなりおりますので、そういう、ここに繁殖するものだけではない採餌海域としての価値は非常に高いということを、ぜひご理解いただきたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。
 小菅委員。

○小菅委員 お願いが一つあります。
 種差海岸集団施設地区のところで、エネルギー源を再生可能エネルギーにしたいというふうにおっしゃっていましたけれども、これは、もしも風力発電を考えているのであれば、北海道で今、非常に大きな問題になっている大型猛禽類のバードストライクの問題がありますので、そこら辺は、現状ではそう見えるのだけれども、どのくらいの鳥類がどのくらいエリアに入ってくるか、実際にはわかっていないと思うのですよね。
 この地域は、今、尾崎さんもおっしゃったとおり、本当にさまざまな鳥類や藻場も利用している場所だと思いますので、もしも風力発電を考えているのであれば、その辺のことに十分配慮して考えた上で、取り決めていただきたいというふうに思います。

○武内部会長 どうぞ。今のことも含めて。

○国立公園課公園計画専門官 まず、尾崎委員の1キロの件につきましては、私どもとしても、
この海域に注目が集まる時代で、そぐわないのではないかということで、現在、通知を見直
していく過程の中で、少し見直していくことができないかということで検討しており
ます。
 いずれ、あと1カ月か2カ月後ぐらいには、その通知をまとめて、1キロではなくてもう少し広く取るのをベースに基本とするというようなことで、全国の国立公園の計画を見直ししていくことに着手していきたいと考えております。
 それから、小菅委員からありました再生可能エネルギー、こちらは、風力は考えていないのです、この地域では。やはり、鳥類への影響ですとか、それから、どうしても垂直方向に高い構造物は、国立公園の景観としてなかなかなじまないということもありまして、太陽光ですとか、あとはバイオマスチップの活用とか、ボイラーのような形で活用するとか、そういったものをこの三陸の沿岸地域では入れていきたいと思っております。

○武内部会長 よろしゅうございますか。
  いいですか、事務局。

(なし)

○武内部会長 それでは、大変いろいろなご意見をいただきまして、ありがとうございました。
  また、今日、皆様に決めていただくのは、本当に第一次の指定でございまして、国立公園自体が狙っているというのは、もうちょっと奥深いところまで区域に入れることを実現していくということです。これは、むしろこれからの課題であるということで、そこを見越して、第一弾として、今日、提案させていただいた形でぜひご理解いただければと思います。
 名称についても今日は特段のご意見はございませんでしたが、何といっても、先ほど課長のほうから説明があったように、なぜ復興予算が獲得できるのだというと、これははっきりわかるのですね。「復興」という名前が入っているものですから。
 そういうふうなこともありまして、地元の方々の中には、これが固定化されることに対する懸念の声もあるということは、私どもとしては十分承知した上で、そこは、復興のめどがたった機会に、この公園を大々的に名称変更して宣伝していくというプロセスだと、もう今からそのように仕組んでおくのだという考えで取り組むほうがいいと思っております。
私個人的にですけれども、例えば国連生物多様性の10年のクロージングイベントにかけてこれをやるということも考えていけばいいのではないかというふうに思っております。
 それから、本当に、海岸部には巨大な壁ができてくるということが連日の問題になっておりまして、そういう意味で、おっしゃったように早目に国立公園として、我々として手を打って、守るべきところを守るということをやっていくことが、結局は自然保護だけではなくて、地域の財産、資産、自然資本を大事にしていくということにつながるというふうに思っておりますので、今日、ぜひ、第一弾として、この答申ということでお願いしたいというふうに思います。
 それでは、名称を含め、諮問で添付された三陸復興国立公園の指定書及び公園計画書のとおり、新たな国立公園を創設することについて、ご異議はございませんでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 どうもありがとうございます。
 ということで、先ほど申し上げましたように、この後、私から私へこれを渡し、さらに会長としての私が環境大臣にお渡しするということにさせていただきたいと思います。
  これは今日一日で諮問して答申ということなのですが、実際にはご承知のように、前回の、前期の自然環境部会で長い時間をかけてご審議した結果の、今日、取りまとめたということでございます。また、これからの指定区域の拡大、特に森・里・川・海の連環というようなところに非常に大きく関わる部分の拡大について検討してまいりますので、委員の皆様には引き続き、この議論にご協力いただければというふうに思います。
 以上で、本日の諮問事項についての審議は終了いたしました。皆様方の審議へのご協力について、心より感謝申し上げます。
 それでは、進行を事務局にお返しいたします。
  どうもありがとうございました。

○事務局 ありがとうございました。
  では、ここで委員の皆様に、アジア国立公園会議の概要につきまして、国立公園課長のほうからご説明をさせていただきたいと思います。

○国立公園課長 国立公園課長でございます。資料の一番下に1枚紙がございまして、アジア
国立公園会議の概要と書いた紙でございます。裏表に印刷されております。
  保護地域を代表するものとして「国立公園」という言葉を用いておりますけれども、国立公園に限らず、全ての保護地域を対象として、それについての取組、あるいは知見を共有するための会議として開催するものでございます。また、アジア地域でこの種の会議を開くのは最初でございます。
  環境省とIUCN-国際自然保護連合により主催をいたしまして、宮城県仙台市の仙台国際センターにおいて、平成25年11月13日から17日まで5日間開催させていただく予定にしております。初日の13日は開会式及び基調講演を行います。
  対象となりますのは、東アジア、東南アジア、南アジアの各国で、この地域の範囲はIUCNが定義するアジア地域とあわせております。
  参加の人数は500名程度を想定しておりまして、言語は英語を基調の言語とするということで考えております。
  裏側のほうに目的などが書いてございます。アジアの保護地域における成功例を世界に紹介するとともに、多様な関係者との関係を深める。アジア地域の経験を共有するとともに、世界全体への貢献を推進する。あるいは、アジアの保護地域のための行動指針を定めるというようなことが書いてございますけれども、いわゆる140年前にアメリカで始まった国立公園、いわゆるアメリカ・カナダ・ニュージーランドのような営造物公園というのはアジアにもございますけれども、人口が稠密で、また歴史も古いアジア地域では、なかなか保護地域が保護地域だけのために占有するというのは難しい状況でございます。
 人と保護地域の関係、あるいは保護地域と地域の発展の関係、そういうことを含めていろいろと苦労しているのが、このアジアの中でございますけれども、そうした苦労は、また世界で同様の苦労をしている他の地域にも大変参考になるのではないかということを含めまして、アジアとして今後保護地域はどうあるべきなのか。また、現在のすぐれた取組としてどのようなものが取り組まれているのか。そういうことについて認識を共有し、また、新しい考え方を発信していきたいと思っております。
  その翌年にオーストラリアで、第6回の世界国立公園会議が開催されます。アジア国立公園会議はアジアの視点や意見を大いに発信するための世界国立公園会議の準備段階としても、位置づけたいと思っております。
  また、日本が東日本大震災からどのように復興しているのか。特に保護地域において、どのような取組をしているのかということに対して、準備会合の段階で他の国からも大変強い関心が寄せられており、仙台で開催することにより三陸復興国立公園を初めとする我が国の国立公園についての紹介の場としても使っていきたいと思っております。
  特に東南アジアや南アジア地域では、8年前ですか、インド洋大津波と保護地域の復興ということについて、今でも大きな課題として受け止めておりまして、そういう意味で、日本がどのように取組をしているのかというのは大変強い関心を持たれているところでございます。
  テーマは「国立公園がつなぐ」ということでして、アジア保護地域憲章などを初めとする幾つかの成果品をここで仕上げることを考えております。
  ホームページは今、立ち上げたばかりで、まだ内容があまり充実しておりませんし、また、大変残念なことに、グーグルやヤフーで検索をかけても、今のところ全く引っかからない状態でございます。
  まことに申し訳ございませんが、ご覧になりたいときは、このアドレスを直接打ち込んでいただいければと思います。聞くところによりますと、そうやってアクセスされる方がふえてくると、だんだん検索にも引っかかってくるというお話でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○事務局 長時間にわたり、ご審議いただきまして、ありがとうございました。
  本日配付の資料につきましては、郵送ご希望の委員の方がおられましたら、お手元の用紙にご記入の上、机の上に置いていただければ、事務局から送付させていただきます。
  本日は、長い間、本当にご協力ありがとうございました。

午後5時13分 閉会