自然環境部会自然公園等小委員会(第44回)及び自然公園等小委員会・温泉小委員会合同会議(第1回)議事録

1 開 会

2 議 事

1.自然公園等小委員会(第44回) 9:31~

(1)利尻礼文サロベツ国立公園の公園区域及び公園計画の変更(第2次点検)(諮問)

(2)上信越高原国立公園の公園計画の変更(一部変更)(諮問)

(3)越後三山只見国定公園(福島県地域)の公園区域及び公園計画の変更(第1次点検)(諮問)

(4)国立公園事業の決定、廃止及び変更について(諮問)※40件程度  

(5)自然公園法改正に伴う政省令改正について(報告)

2.自然公園等小委員会・温泉小委員会合同会議(第1回) 11:08~

(1)国立・国定公園内における地熱開発に関する基準等について

(2)地熱開発に関する温泉法上の掘削許可の判断基準の考え方等について

3. 閉 会

4.議事録

自然公園等小委員会(第44回)

午前9時31分 開会

○事務局(清武) それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会を開会いたします。

 本日はお忙しい中、当審議会にご出席いただき、ありがとうございます。

 会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日は、所属の臨時委員9名のうち、WEBでのリモート参加も含め、9名の方のご出席をいただいております。本委員会は成立しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症対策として、中央環境審議会においては、当面の間、WEB会議システムによる参加についても「出席」とみなすこととなっておりますので、ご理解、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の会議運営につきまして、ご説明いたします。

 まず、先般、本小委員会の改選があり、新しく3人の先生の方にメンバーになっていただきましたので、私のほうからお名前をご紹介させていただきます。

 本日、リモート参加していただいている愛甲哲也先生、苅谷愛彦先生、牧野光琢先生になります。今後のご審議、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、傍聴用のWEB会議システムを用意し、傍聴できるようになっております。本日は、報道機関関係者の方を含め50名程度の方がWEB会議システムにて会議を傍聴されておりますので、ご承知おきください。

 また、本日、ご説明する資料につきましては、会場にお集まりの先生につきましては、お手元のタブレット端末の中に格納し、リモート参加の先生方に対しては、事前にメールにて送付させていただいております。タブレット端末の不具合などございましたら、事務局の者にお申しつけください。

 なお、リモート参加の先生方におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時、ビデオボタンをONにし、先生のお顔が見られる状態にしておいていただけますと幸いです。

 それでは、自然環境局長の鳥居からご挨拶申し上げます。

○自然環境局長 皆さん、どうもおはようございます。ご紹介にあずかりました鳥居でございます。

 今日は、本当にお忙しい中、またリモートという形ですけれども、一部の先生、下村座長をはじめ、こちらに来ていただいている先生方もいらっしゃいます。

 今日は、まず公園計画の変更につきましては、利尻礼文サロベツ国立公園の海域公園地区の指定を含む点検ということで、これは18年ぶりのことになります。また、上信越高原国立公園の公園計画の変更、これは本白根山の噴火に伴う対応というものがございます。それから、ふくしまグリーン復興構想を踏まえまして、只見柳津県立自然公園を越後三山只見国定公園に編入して、地域の復興への一助にしようということで、公園計画の変更は3件ございます。

 また、事業決定、そして変更等が全部で40件、今日は、そのうち主なものをご説明するわけでございますけども、そういうものもございます。

 そして、3点目は、さきの国会で改正自然公園法が成立いたしましたので、それに基づきまして、今、政省令の見直しというのをやっているところでございますので、そのご報告をさせていただきたいというふうに思います。

 今日から、新たに愛甲委員、そして苅谷委員、牧野委員の3人の新たな委員の先生方にもご参画いただきまして、いろいろディスカッションしていただきます。

 限られた時間ではございますが、ぜひ忌憚のないご意見をいただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

○事務局(清武) それでは、ここからの議事進行につきましては、下村小委員長にお願いいたします。

 下村委員長、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 皆さん、こんにちは。今、ご紹介いただきしました下村でございます。

 今期も引き続き時間管理させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。

 今日は、今、鳥居局長からご紹介がありましたとおり、自然公園小委員会としても多くの議題がございますし、その後、合同委員会という形で、今日はとても長丁場でお願いすることになるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

 早速始めてまいりたいと思います。

 会議資料につきましては、公開となります。

 また、会議録は、後ほど事務局で作成いたしまして、ご出席の委員の了承を取った上で、公開することになります。

 また、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、小委員長が了承した上で公開することになりますので、その点もご了承願いたいと思います。

 先ほど局長からご紹介がありましたが、今回の議事といたしましては、1から3が国立・国定公園における公園区域及び公園計画の変更に関して、それから、議事4が事業決定に関する議事、それから議事5が、昨年、前期、ご検討いただきました自然公園法の改正等に伴う政令の改正等です。それらに関しての報告事項となります。

 それから、また、今回初めての試みでして、時間管理のことも含めまして、資料の事前送付を行いまして、その際に質問を受け付けております。時間も限られていますので、事務局には、委員の皆様からの質問への回答も心がけながら説明をお願いしたいと思います。

 それでは、早速議事に参りたいと思いますけれども、議事の1から3について、一通り事務局から説明をお願いしようと思います。その説明の後、まとめてご質問、ご意見を伺うという形にしたいと思いますので、まずは事務局より説明をお願いしたいと思います。

○事務局(藤井) 環境省国立公園課計画係の藤井と申します。

 それでは、早速ではございますが、議事の1につきまして、資料1-3を用いてご説明をいたします。

 画面にて資料を共有しておりますが、ご覧いただけますでしょうか。

 まず、議題の1としては、利尻礼文サロベツ国立公園の公園区域及び計画変更のご説明をさせていただきます。

 本日、説明時間の都合上、用意した資料のうち、要点を絞っての説明となりますが、ご容赦いただけますと幸いです。

 まず、利尻礼文サロベツ国立公園の概要のご説明になります。

 国立公園では、当該公園の指定理由を分かりやすく伝えるため、傑出性の高い景観の特徴を簡潔に示した「テーマ」というものを決めております。こちらが当該国立公園のテーマとなっております。

 利尻礼文サロベツ国立公園は、北海道の北西部に位置する、我が国最北の国立公園です。離島である利尻及び礼文両島と、北海道本土側の海岸及びサロベツ原野にわたる地域の、三つの地域に分かれてございます。

 これまでの当該公園の公園計画の見直し状況としましては、昭和49年に指定をされておりまして、平成15年に一度1次点検が行われて、このとき、サロベツ地域が拡張をされております。今回の変更については、2次点検に該当するものとなっております。

 では、続きまして、今回の変更内容についてご説明いたします。

 まず、点検とは、国立公園や国定公園で、地域単位で概ね5年ごとに実施する公園計画の見直し作業のことを「点検」と呼んでおります。当該公園についても、平成15年の1次点検から18年が経過しており、その間の社会ですとか地域の諸情勢の変化を踏まえまして、公園区域や計画の点検を行うものとなっております。

 今回の変更に当たりましては、幾つか景観上重要な地域について、公園区域に編入を行うとともに、それらの地域を中心的に保護規制計画ですとか、利用施設計画についても見直しを行っているものです。

 続きまして、今回、変更で地種区分ごとの面積がどのように変化したかという概要になります。陸域では、地種区分ごとの増減が少しずつあるんですけれども、全体で68ヘクタール、公園区域を増加しております。海域につきましては、これまで指定のなかった海域公園地区の指定を行っておりますので、こちらは3,356ヘクタール増加しておりまして、また、一部区域を、拡張を行いましたことから、公園区域全体として、海域について522ヘクタール増加となっております。

 ここからは、公園区域と保護規制計画の変更について、利尻・礼文・サロベツのそれぞれ地域ごとに変更点をご説明していきます。

 まず、礼文島にある海域公園区域の拡張です。こちら、場所については、スライドの左側にございます地図の赤枠のほうをご確認ください。これまで、こちらの公園区域は、スコトン岬と書かれている岬から続くトド島という島がございまして、こちらの周辺まででしたが、今回、トド島からさらに4km程度離れた種島等の岩礁群についても、スコトン岬のから見た際の一体的な景観をなす区域として、岩礁周辺522haを普通地域として拡張を行っているところです。

 続きまして、礼文島の海域における海域公園地区の指定です。礼文島の西海岸といいますのが、高さ200m程度、南北20kmにわたる海食崖地形の地形となっておりまして、主要な景観資源となっております。沿岸部の海域というのは、コンブやウニをはじめ、海藻類が豊富に生育をしている場所になりまして、周辺の岩礁につきましては、アザラシの休息地や海鳥の繁殖地にもなっている場所となってございます。これらの地域といいますのが、現在、濃い青色で示しているところ、現在は普通地域になっているのですが、これら3,200haについて、礼文島西海岸の陸域と海域の景観を一体的に維持をして、保全をしていくため、今回、海域公園地区に指定したいと考えているところです。

 続きまして、資料の11ページ、12ページにつきましては、こちらスライドで示しているとおり、公園区域外から第3種特別地域に編入を行っているものですが、今回、ご説明は割愛させていただきます。

 次に、資料のスライド、13ページになりまして、こちらは礼文島の陸域における保護規制計画の変更となっております。こちら、写真で地図の中に岩が見えているかと思うのですけれども、こちらの矢印で示している岩が、礼文島の南部に位置する桃岩という景観資源になっております。

 こちら、周辺の保護規制計画の変更になりまして、まず、赤色の枠で囲んだ場所につきましては、現在、普通地域となっておりますが、こちらの写真の桃台・猫台展望台といった、展望台も位置しているような場所になりますので、この地域の景観を、連続性を持って保全をするために、今回、第2種特別地域に変更をしております。

 一方、こちらの青色の枠で囲んだ区域につきましては、昭和49年の指定当初から現在まで、畑地となっておりまして、こちらの茶色の写真があるんですけれども、このように、地域の集落の方が自家用に作物を育てている場所とになっておりますので、今現在は特別保護地区なんですけれども、そこから第2種特別地域へ変更をしまして、地種区分の適正化を図るとともに、こちらについて、一体的に景観の保全を図っていくものとなっております。

 続きまして、14ページについても、こちら普通地域から第1種特別地域に変更を今回行っているのですけれども、説明のほうは割愛させていただきます。

 続きまして、利尻島の区域及び計画変更点についてご説明をいたします。

 まず、1点目は、利尻島北部の海域における海域公園地区の指定となっております。こちらは図面のとおり、利尻島の北部に位置しているのですが、写真のような、ポンモシリ島という島がございます。こちらのポンモシリ島は、ウミウ、オオセグロカモメといった、海鳥が繁殖をしている場所になっておりまして、周辺海域は採餌場となっております。また、こちらは夕陽ヶ丘という場所が近くに位置しており、夕陽ヶ丘や富士野園地といった、展望台から望む海岸というのが、海食崖地形が広がっておりまして、特に夕陽ヶ丘は陸域と一体となった海域を含めて夕日を眺望できる、重要な眺望点となっているところです。このような理由から、図の黒枠で囲んだ範囲につきまして、現在、普通地域であるところ、海域公園地区として指定を行うものとなっております。

 こちらは、先ほど説明にありました夕陽ヶ丘について、これまで公園区域外であったところ、第2種特別地域として拡張するという内容を示したものとなっております。

 利尻島における公園区域の2点目です。こちらは利尻島の南部のほうに位置をしておりまして、南浜湿原という高層湿原がある場所になっております。この南浜湿原というのが火山地形の一つであるマールの窪地に形成された珍しい湿原になっておりまして、これまで公園区域に含まれていなかったところ、今回、第2種・第3種特別地域として指定をするものとなってございます。

 続きまして、サロベツ地域における保護規制計画の変更になります。サロベツ地域については、1点になっております。

 こちら北海道本土側のサロベツ地域の海岸部、赤枠で囲った場所になっておりまして、勇知川の下流に位置する浜勇知地区という場所になります。こちら、もともと集落があり、昭和40年頃までは民家があった場所になるのですけれども、平成15年の点検時においては、普通地域となっておりました。ただ、現状、もう民家はなくなっておりまして、こちら、民地との調整もついたため、周辺一帯と同様、第2種特別地域として、今回変更するものとなっております。

 では、続きまして、施設計画のうち、保護施設計画の説明に移ります。

 今回、礼文島で3か所、利尻島で1か所、植生復元施設を追加しておりまして、いずれも環境省による直轄事業を予定しております。

 礼文島の3か所につきましては、レブンアツモリソウの群生地になっており、現状、柵で覆われて保護されているような、保護区の場所となっております。今、環境省でも、植生維持のために、ササ刈りを行っているのですが、このような取組を公園計画上も位置づけるものとして、植生復元施設を計画しております。

 利尻山山頂につきましては、こちらも現状、環境省でも、山頂部の植生復元業務ですとか、固有種の交雑問題に対応しているところ、これらの取組について、公園計画に位置づけるものとして計画をしております。

 では、続きまして、利用施設計画の変更の説明に移ります。

 礼文島につきましては、設置の見込みのない単独施設の削除ですとか、歩道の路線変更を行っているところです。

 こちら、車道の計画の変更になるのですが、車道についても、使用されていない路線の削除ですとか、道路の実際の路線の変更に伴いまして、計画上の路線も変更を行っております。

 続きまして、利尻島の利用施設計画の変更なのですが、こちら、拡張しました地域の利用施設の追加ですとか、実態を踏まえた変更・削除を行ったものとなってございます。

 最後に、サロベツ地域です。こちらについては、自然再生事業を行っているところですが、こちらに伴い、撤去した歩道や施設がございますので、計画上も削除を行うこととしております。

 パブリックコメントの対応ですけれども、こちらの公園計画の変更については、意見はございませんでした。

 議題の1については、以上になります。

 では、続きまして、議事2の上信越高原国立公園の公園計画の変更の説明に移ります。資料2-3をご覧ください。

 まず、こちらの国立公園の説明ですけれども、テーマは、「山と高原が彩るレクリエーションワールド」がテーマとなっている公園です。

 上信越高原国立公園は、昭和24年に指定をされておりまして、公園計画上は幾つかの地域に分かれて作成をされておりますが、今回の変更は、草津・万座・浅間地域と須坂・高山地域になりまして、これまで見直しの状況としては、それぞれ平成19年と22年に再検討が実施されている場所になっております。

 では、続きまして、今回の変更の説明になります。

 今回の変更は、先ほどの利尻礼文サロベツのような点検ではなく、当該地域における平成30年の本白根山の噴火といった突発的な事情ですとか、須坂地域の総合型協議会のアクションプランに基づいた利用施設の整備を進めるため、一部変更というかたちで行うものとなっております。こちらのスライドにあるような、下記3点の利用施設計画の変更のみの変更となっております。

 まず、1点目なのですが、草津町における本白根山の噴火を踏まえた変更となっております。平成30年の本白根山の噴火ですとか、その後の火山活動を受けまして、草津町が、噴火をした本白根山の火口の周辺にあるロープウェイやリフト、駅舎について、施設の廃止をすることを決めております。これを踏まえまして、今回、索道運送施設2か所、公園計画上も位置づけられていたのですけれども、こちらを、計画上も削除を行うというものになっております。こちらの施設、廃止された後は、町が作成した施設の撤去計画に基づきまして、段階的に施設撤去が行われて、原状回復も適切になされる予定となっております。一方で、こちらは冬の利用がかなり減少をしてしまっておりますので、麓のスキー場につきましては、夏の利用を促進するために、索道運送施設と野営場について、今回、計画上に位置づけるものとなっております。こちら、索道運送施設のリフトにつきましては、もともとスキー場事業として執行され、現在も使われているものになりますが、夏の利用を行う場合は、別途、索道運送施設として計画上に位置づける必要があるという運用になっておりますので、今回、変更を行うものとなってございます。

 続きまして、こちら、嬬恋村における夏季利用促進のための変更になっております。同じ地域に属している嬬恋村についても、冬季の利用者の減少が顕著となっておりますので、村の総合計画において、スキー場の夏の利用の推進ですとか、受入環境の整備を掲げているところです。これを受けまして、こちら、もともとスキー場事業が計画をされていて、現在、リフト建設中の場所になっておりますが、夏の利用を促進するというところで、索道運送施設を計画上位置づけるものとなっております。また、六里ヶ原の野営場につきましても、既存の芝生広場があるのですが、こちらも、また夏の利用を促進するという点で、野営場の計画を位置づけております。

 続きまして、3点目ですけれども、こちら、赤枠で囲っている須坂地域になります。須坂地域は、国立公園の総合型協議会がございまして、アクションプランを策定しているのですが、こちらアクションプランの中で、米子大瀑布という滝がございまして、この滝から浦倉岳という山までの登山道整備が掲げられております。この歩道について、計画上も位置づけるというところで、今回、2本位置づけてございます。根子岳と浦倉岳に至る歩道というのは、既に既存の歩道がございまして、今後は須坂市が事業執行をしていく予定となっております。また、地図上の記載はないのですけれども、同じ須坂地域の五味池破風高原において、既存の野営場になるのですが、公園計画として計画上に位置づけるため、追加の変更を行っているところです。

 上信越高原のパブリックコメントにつきましては、2通意見ございまして、内容については、お手元の参考資料2のほうに、意見と対応を載せておりますので、ご覧いただけますと幸いです。

 議題2については以上になります。

 では、すみません、ちょっと駆け足ですが、続きまして、議題3の越後三山只見国定公園の公園区域及び公園計画の変更の説明に移ります。

 まず、越後三山只見国定公園の概要について、ご説明します。

 こちらの公園は、昭和48年5月に指定をされております。ちょうど、この公園の真ん中の辺りを県境が走る形で、福島県と新潟県にまたがって指定をされております。越後山脈ですとか、三国山脈の一部というのが指定の範囲となっているところです。昭和48年の指定以降、今回が初めての点検となっておりまして、今回は当該公園のうち福島県地域について点検を行うものとなっております。

 続きまして、今回の変更の概要について、ご説明します。

 今回の変更のポイントとしましては、越後三山只見国定公園と地理的な連続性及び風景の一体性、利用の連続性といったものを踏まえまして、隣接する只見柳津県立自然公園の全域とその周辺部について、国定公園として拡張するものとなっております。この公園区域の拡張に合わせまして、保護規制計画と利用施設計画についても変更を行っているところです。

 こちら、図の青枠で囲んだ範囲が、現在の国定公園の範囲となっております。こちらの赤枠で囲んだ範囲につきましてが、概ね水色で表示されている地域になるのですが、こちらが只見川となっておりまして、河川沿いに、現在、只見柳津県立自然公園が指定をされていて、ここはその区域となっているところです。今回、この赤色の枠で囲んだ地域につきまして、国定公園に編入をする形で国定公園の区域を拡張したいと考えてございます。

 今回の変更の経緯なのですが、平成31年4月に、福島県と環境省で「ふくしまグリーン復興構想」を策定したことがきっかけとなってございます。本構想といいますのが、福島県の国立公園・国定公園の魅力向上や、歴史や文化、食、温泉といった、地域資源を取り入れまして、自然公園間を広域的に周遊するような仕組みづくりを行うことで、適正に利用を促進し、交流人口の拡大を目指すことで福島県の自然環境を生かして復興を進めるというものになってございます。

 この構想の三つの柱の一つ、赤枠で囲んだ場所になりますが、この一つとして、只見柳津県立自然公園について、国定公園の編入を見据えた調査・検討に取り組むことが記載をされております。

 本構想を受けまして、令和元年度から、福島県が主体で、当該国定公園と県立自然公園とその周辺について、自然環境調査、関係機関との調整を実施しているところです。調査の結果、国定公園部分も含めた本地域の景観の特徴としては、国内有数の豪雪地域となっておりまして、急峻な山岳において雪食の地形ですとか、世界的にも珍しい独特の自然景観が広がっているということが挙げられます。また、只見川の周辺ですが、自然と共生した地域の暮らしが溶け込みまして、独特な里山景観ですとか、幻想的な風景がつくり出されているというところが特徴として挙げられます。

 また、植生、動植物のほうの特徴なのですけれども、越後山脈の南部及び三国山脈の一部には、人為による影響をほとんど受けていないブナ林などの自然林が残されておりまして、大型哺乳類や希少な猛禽類の生息地となっているところです。また、只見川の流域というのも、ブナを含む自然林が広範囲に広がっているような場所となってございます。

 続きまして、利用の特徴としては、浅草岳や蒲生岳といった登山利用ですとか、只見川を活用したアクティビティ、田子倉湖における周遊船の運航などがございます。また、只見川や阿賀川沿いには、磐越西線や只見線、あと道路が走っておりまして、各種交通手段を利用した公園内の景観資源を巡る周遊利用や、鉄道と只見川周辺の人の暮らしがつくり出す景観の撮影地巡りといったものも、この地域の重要な利用形態の一つとなっているところです。

 以上のような特徴をまとめますと、本地域は、広大なブナの自然林に希少な生物が生息する傑出した自然林生態系ですとか、豪雪がつくり出した雪食地形等の特異な自然景観に加えまして、只見川や阿賀川の河川景観が複合的かつ一体となった景観を風景型式とした我が国の代表する地域となっているところです。

 只見柳津県立自然公園につきましては、越後三山只見国定公園との地理的な連続性や風景の一体性、並びに利用の連続性というのを踏まえて、現状の越後三山只見国定公園と一体のものとして保護することがふさわしいというふうに考えております。

 今回、変更を行いまして、地種区分ごとの面積の変化なのですが、県立自然公園部分は編入前と同様、普通地域での指定となっておりますので、今回普通地域が大きく増加してございます。

 もともと国定公園であった地域につきましては、保護規制計画の変更は今回しておらず、県立自然公園の編入に当たって、一部特別地域の指定をしているので、その分特別地域の面積が増加しているという状況になっております。

 こちら、今回、編入する県立自然公園区域を代表する景観の写真となっております。

 では、ここからは簡単ではありますが、今回変更の詳細についてご説明いたします。

 まず、公園区域の拡張についてです。こちらは、県立自然公園から変更した点になっておりまして、こちらの1の点線で囲った場所につきましては、もともと左側にある地図のように、只見川と阿賀川の間が一部途切れるような形の公園区域となっておりましたが、今回の連続性をもって河川を保全するというところで、この間をつなげる形で拡張を行っております。

 また、2から5の変更につきましては、こちら、当該公園の主要な展望地や景観資源といったものが存在している場所になりますので、こちらは新たに公園区域に含めた上で、利用施設計画を計画するよう変更をしているところです。

 続きまして、公園区域の拡張区域につきまして、特別地域を指定している場所についてご説明をします。

 こちら、右上の沼沢湖という場所になりますが、こちら、沼沢火山の火口湖となっておりまして、沼沢湖の周辺に位置する森林と湖面が一体となった優れた自然景観を形成しておりますので、第1種及び第3種の特別地域に指定をしております。また、こちらは、蒲生岳という会津のマッターホルンと呼ばれるような山岳景観を持った山があるのですけれども、蒲生岳とその一帯については、これまで県立自然公園に入っていなかったところ、公園区域に拡張した上で蒲生岳の稜線部については第2種特別地域を指定しているところです。

 3点目になりまして、こちら沼ノ平という場所になりますが、こちら、沼ノ平湿原が存在していて、そこと連続した湖沼群があるような場所になっておりますので、水生生物の生息環境として、保護をするといった理由もあり、県立自然公園の際は普通地域だったのですが、今回、第3種特別地域に指定をしているところです。

 最後に、利用施設計画になります。県立自然公園の区域の編入に当たりまして、新規計画として、沼沢湖の集団施設地区一つを含む施設計画を計画しております。また、現行の国定公園地域につきましても、こちらに記載の施設について計画の見直しを行っているところです。

 県立自然公園区域の編入に当たっての新規計画をする考え方としましては、まず、こちらの只見川沿いに、先ほどもあったような只見線が走っておりまして、その只見線の駅舎とその周辺にある道の駅といった場所は、公園利用に関する情報発信の機能を有する利用拠点として整備を図っていきたいと考えているため、「広場」の事業を、黄色の丸になりますが、計画しているところです。

 また、もう一つ、少し見えづらいのですが、緑色の丸に関しましては、只見川や沼沢湖といった優れた眺望地点の場所には、展望施設ですとか、園地といった計画をしまして、本地域の風景を楽しむことができる場所を提供して、その眺望景観についても適切に維持していくため、施設を計画しているところです。

 パブリックコメントの結果ですが、こちらについては意見の提出が1件ございまして、参考資料のほうに掲載をしておりますので、そちらをご覧いただければと思います。

 駆け足になりましたが、議題1から3について、事務局の説明は以上になります。

○下村小委員長 ご説明ありがとうございました。

 本日の議題3の越後三山只見国定公園の公園区域の拡張に関しまして、拡張域である福島県から担当者の方がいらっしゃっています。国定公園の変更に当たり、県のほうからも一言お願いいたします。

○福島県自然保護課長 音声大丈夫でしょうか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○福島県自然保護課長 福島県自然保護課長の橋本と申します。ご発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 先ほどご担当者の方からもご説明いただきましたが、今回の国定公園の編入につきましては、一昨年の4月に環境省の皆さんと共に共同で策定をいたしました、ふくしまグリーン復興構想、こちらの大きな柱の一つとして位置づけられているものでございます。

 ふくしまグリーン復興構想につきましては、福島県の自然環境の魅力を生かしながら、本県の復興と創生につなげていこうというものでございます。

 今回の国定公園編入の中心でございます奥会津地域につきましては、全国有数の豪雪地帯でありまして、雪食地形に代表される雄大な自然環境や日本の原風景が残る町並みなど、とても魅力的な地域でございます。

 ただ、一方で、今、人口減少と高齢化が課題にもなっております。そのような中、今回の国定公園の編入につきましては、地域のさらなる魅力向上と地方創生に向けまして、来年、再開通予定の只見線とも併せまして、地域の皆様の期待は非常に大きいものがございます。

 これまで様々な調整につきまして、ご支援、ご協力をいただいていてまいりました鳥居局長をはじめ、環境省の皆様にこの場をお借りまして、深く感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 それでは、議題の1から3、まずは、利尻礼文サロベツ国立公園の2次点検、それから上信越高原国立公園の一部変更、そして今の越後三山只見国定公園の公園区域の拡張です。これも1次点検ですか、につきまして、ご質問、ご意見を賜りたいと思います。

 いつものとおり、会場のお集まりの委員の皆様におかれましては、名札を立てていただきたいと思います。それから、リモート参加の委員の皆様におかれましては、WEB画面上で参加者リストのご自身の名前の横に表示されている挙手ボタンがございますので、それを押していただいて、挙手の表示をお願いいたします。

 それでは、ご意見、ご質問お願いをしたいと思います。

 それでは、まずは会場のほうから中静委員、江﨑委員がいらっしゃっていますので、こちらから伺ってまいりたいと思います。

 どうぞ、中静委員お願いします。

○中静委員 サロベツのところで2つと、それから只見で1個質問があるのですが、サロベツの説明のパワーポイントの7ページで、特別保護地域11ヘクタールが減少したという、そこが畑だったというふうにご説明いただいたように思うのですけれど、そうすると、昔、特別保護地域なのに畑だったという、その事情がどういう事情だったのかなというのをちょっとご紹介いただけるとありがたいなと思いました。

 それから、礼文島のスコリア崩壊で工事をするということなのですけど、レブンアツモリの保全上は、ちょっとした崩壊地が必要だという議論になっているのだと思うのですが、それとの整合性はどうなっているのでしょうというのが二つ目です。

 それから、三つ目、只見のほうは大変広げていただいていいことだなと思ったのですけど、水害で大分橋梁が落ちていると思うのですが、その新たな指定によって、その橋梁の規制とか、何かが変わるのでしょうかという点が三つ目です。

○下村小委員長 それでは、江﨑委員、お願いします。

○江﨑委員 ありがとうございます。

 二つあるのですけれども、意見というよりお願いというかなんですけれども、まずサロベツのほうで礼文島のところなのですけれども、カヤックや釣りの利用というのをすごく重要ということで書いていただいていたと思います。そのときに、私も最近すごく思うのですけれど、やっぱり現場の人がこの国立公園であるとか、こういう海域公園として指定されたとかということを、なるべくお客様というか、に伝えていただくというようなことを意識して取り組んでいただきたいなというのが一つです。

 それと、もう一つは、福島の件なのですけれども、せっかくお越しいただいていると思うので、ちょっとお聞きしたいのですけど。質問でしたね、環境課さんの方が来ていただいていると思うのですが、課長さんに来ていただいていると思うのですけれども、その役場の中での横の連携というのが図られているのかどうかというところを、特に地域振興は重要だと思いますので、そのための、それこそが目的だと思うので、観光課さんだとか、ほか、市民課さんとか、そういうところとの連携というのはどうなっているのかだけお答えいただければと思います。

○下村小委員長 WEB参加の委員はご質問よろしいでしょうか。いただくときにまとめていただきたいと思っておりますけども、深町委員、それから苅谷委員ですね、お願いします。

○深町委員 深町です。

 福島の国定公園の拡張をとてもいいことだというふうに思うのですけれども、この対象地域はすごく地元の方と関わり合った、いろんな森林の文化だとか、森林資源の利用などがかつてからあったところというふうに理解しております。そういうような観点、里山という言葉もありましたが、貴重な自然という観点だけではなくて、もう少し人と関わった自然としての価値だとか、利用の方向がどうなるかという、あたりを教えていただきたいというのが一つ目で。あと、13ページのところだったと思うのですけれども、今まで別々だったところをコリドーのような形で結ぶというふうなご説明だったと思います。川沿いだとか、新しい展望地等を結ぶときに、そのつなぐときの植生としてのまとまりだとか、土地利用とかの特徴とか、その辺をどういうふうに考えて範囲を決めたのかというふうなところが気になりますので、その点について、補足いただければと思います。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、苅谷委員、それから愛甲委員、広田委員、お願いします。

 まずは、苅谷委員。

○苅谷委員 苅谷でございます。音声は大丈夫でしょうか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○苅谷委員 まず1点目、利尻サロベツなのですけれども、既に、これから述べることは質問というよりはコメントに近いかと思うのですが、利尻サロベツにつきましては、やはり火山島であるということと、それから火山地形がバラエティーに富んでいて、これが生物の成り立ちの場として重要であるということを一段と強調していくように、今後、現時点では難しいとしても、今後そういったことを追記、情報追加していただきたいということが利尻サロベツについてはございます。

 それから、議題の3番目の越後三山只見に関しましては、拡張されたということで大変よいことだと思うわけですが、現段階では、只見川に沿った、本当に水域のところだけが注目されているという点がやや気になるところでございまして、やはり水の周辺の谷の斜面も含めて、今後拡張、あるいはそういった自然に目を向けていただけるような方策というものを示していただきたいと要望であります。

 とりわけ、雪食地形、雪に関する地形の重要性が強調されております。これは、それで結構かと思うのですが、実際この地域には、今日ご紹介もありました活火山としての沼沢火山、これは5400年前に噴火をしているわけですから、これは立派な活火山ですけれども、こういった点も強調していただければと思いますし、それから雪食地形というよりは、むしろこの地域をよく見てみますと地滑りが大変多い場所であります。この地滑りが沼をつくり、湿地をつくり、そこにブナが成立し貴重な動植物が入ってくるといった、こういった連携をさらに情報提供すると。こういったことを要望したいと思います。

 以上であります。

○下村小委員長 それでは、愛甲委員、お願いします。

○愛甲委員 愛甲です。ありがとうございます。

 質問とコメントがあるのですが、まず、礼文島の特保のところの農地だった件については、私もここはどういう状況だったのか確認したいと思います。

 それから、利尻島の登山道の植生復元の土壌の保護等の部分について、この対象になっている分岐点から山頂までの区間以外にも非常に激しく崩落しているところが沓形コースとかにありますので、そちらに対して将来的にやる可能性があるのかどうかということ。

 それから、先ほど苅谷委員がご指摘になったように、私も只見川の流域が非常に細く指定されているのが気になっています。今回これが加えられて、国定公園に加えるというのは、非常にすばらしいことですが、ユネスコのエコパークにも指定されているところであって、これをもう少し区域を拡張するというようなことが、今後予定されるかどうかということをお伺いしたいと思っています。

 それから、この点検の結果の共有についてお伺いしたいのですけど、点検をした結果、公園計画等を変更するのについて、こうやって審議会に、部会に出てきて諮られることになると思うのですけど、点検した結果、大丈夫だったというか、要は変更する必要がないと判断したとか、そういうものについては、この部会とか、審議会とか、あと関係者に対して、どういう情報の共有がされているかというのを、質問したいと思います。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、広田委員、お願いします。ミュートかな。

○広田委員 失礼しました。2点あります。聞こえていますか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○広田委員 1点は、皆さんから出ている礼文島の桃岩周辺の畑地の地種区分の変更なのですが、現状の土地利用を追認というような形かなと思うのですが、それはそれとして、やはり風致景観だとか自然環境の視点から、この変更が妥当なのかどうかという評価は必要だと思います。ここに限らず、現状、点検して、現状がこうだからそれに合ったように地種区分の適正化を図るというのはよくあるパターンなのですが、ここは少し影響が大きいかなと思いますので、仮に当初の地種区分のときの特別保護地域のとき、もう既に畑地であったとしても、現在の視点から見て、やはり景観と自然環境の点からここはどうあるべきかという評価が必要かなと思います。これは、ちょっとコメントです。

 それから2点目も、先ほど出ている奥只見の件なのですが、ちょっとこまい話なのですけども、「地理的な連続性」という表現が出てきています。この地理的なというのはちょっと曖昧なのかなと、地理の中に含まれるのは自然地理と言われる地形地質だとか、植生、気象だとかという話と、あとは文化地理と呼ばれる歴史、文化、それを両方とも含むと思うのですが、そこは両方含むから、あえて地理的連続性というふうな表現をされているのかどうかというのを、ちょっと念のために確認したいということです。

 以上、2点です。

○下村小委員長 ありがとうございました。よろしいですね。

 それでは、事務局からお答えお願いします。

○事務局(藤井) ご質問いただきましてありがとうございました。それでは、順にお答えさせていただきます。

 まず、利尻礼文サロベツの地種区分の変更で、桃岩周辺の畑地のところになるのですけれども、こちらは指定当初の昭和49年付近の航空写真などを確認しましても畑地として利用されているのが確認をできまして、指定当初から畑地であったというところが現状となっております。

 現実の状況としては、そういった状況になっているのですけれども、先ほど広田委員からもその妥当性ですとか、今後の地種区分の変更で妥当なのかというところをコメントいただきまして、こちらとしては今後大きな開発なども予定されての変更ではないというところもあって、第2種特別地域として、これまで普通地域であった場所も含めて一体的に保全していければというところで考えているところです。

 すみません、もし現地の北海道事務所のほうからここについて補足がありましたら、お願いできますでしょうか。

北海道地方環境事務所 もしもし。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

北海道地方環境事務所 特に補足はなくて、今の事務局の回答のとおりでございます。

○下村小委員長 ありがとうございました。

○事務局(藤井) ありがとうございます。そうしましたら、次に2点目、中静委員からいただいていました礼文島の植生復元施設につきまして、山頂部のスコリア崩壊とレブンアツモリソウの関係がどうなっているのかというところだったのですけれども、こちら、環境省でも直轄事業でいろいろと植生復元の取組をしている場所になりまして、こちらも北海道の現地のほうから補足があればいただきたいのですが、お願いします。

北海道地方環境事務所 事務局のご回答のとおり、いずれも必要性に応じて環境省が直轄で登山道、植生の復元とか、斜面の崩壊等を検討しているところです。

○中静委員 たしか、レブンアツモリソウの個体群維持のためにある程度の崩壊が必要だというのが結論だったと思うのです。だから、それと、この今回の工事というのはどういうふうに関係しているのかという話をお聞きしたかったのですけど。

北海道地方環境事務所 すみません、稚内のほうで回答できますか。

稚内自然保護官事務所 稚内自然保護官事務所の柴原ですけども、聞こえますか。

○下村小委員長 はい、大丈夫ですよ。

稚内自然保護官事務所 お答えさせていただきます。

 レブンアツモリソウの関係なのですけども、ある程度の崩壊地が必要というふうにおっしゃられたのですが、一方で今現状として、ササ刈りという方法によって個体数の回復が図られております。そういった意味では、今回新たにできた、指定させていただいたところは、崩壊地というよりはササ刈りを進めていくという意味での施設計画になっております。

 以上です。

○下村小委員長 よろしいですか。

○中静委員 分かりました。

○下村小委員長 いずれにしても、中静委員のご指摘の点について、実施の折にはご検討いただければと思います。

○事務局(藤井) ありがとうございます。

 続きまして、3点目の只見の国定公園の橋梁について、今回の変更によって規制が変わってくるのかというところだったのですが、只見線については、既に復興の工事は着手されているところかと思いまして、復旧に今回の指定が影響してくるということはないと考えております。

 4点目に行きます。江﨑委員からいただきました礼文島の海域公園地区の指定につきまして、海域公園地区として指定されたということを利用者の方にも伝えてほしいというところだったかと思いますので、利用者にも伝わるように、現場でも適切に管理をしていきたいというふうに考えております。

 5点目、福島県さんの役場の中での連携というところだったのですが、この後、また国定公園のほうで幾つかご質問いただいておりますので、そちらと、まとめて福島県さんにご回答をお願いしたいと考えております。

 6点目、広田委員、深町委員からいただいておりました福島の国定公園の関係で、こちらの地域については、地域の人と関わり合った里山景観といったものも景観の一つとして重要なのではないかというところだったのですけれども、今回、県立から、普通地域のままの指定となっておりまして、そういった里山景観ですとか、人がこれまで営んできたような文化的なところも含めて規制がかかるようなことはないと考えているところです。そういった利用の在り方の伝えていき方というところもあるかとは思いますので、今後、福島県で管理していくに当たって、そういったところも重要視しながら普及啓発ができればというふうに考えてございます。

 続きまして、7点目のコリドーで結ぶような拡張した区域の結び方の考え方につきましては、こちらは、もともと指定をされていなかった範囲も河川に沿っておりまして、今回の区域の拡張としましては、只見川から阿賀川に合流するような、これまでつながっていなかった範囲についても河川に沿って区域を設定した形となってございます。

 では、続きまして、苅谷先生からいただきました利尻礼文サロベツのところにつきまして、火山島や火山地形の成り立ちといったものについても重要であるので、そういったところも強調してほしいというコメントをいただいておりました。こちら、先生のほうから事前のご質問でも用語の使い方を含めてご指摘いただいていたところですので、変更書のほうで用語の使い方を適切にした上で、そういった特徴もあるというところを変更できれば加えていきたいというふうに考えてございます。

 続きまして、越後三山只見の拡張について、こちら、ほかの委員の先生からもいただいていたところでございますが、今回水域の河川沿いの地形が主な指定地域となっておりまして、その周囲の地形ですとか、ブナ林といったものもこの地域にはほかに重要な場所やよいところがあるので、その辺りも含めた拡張を考えられないかというところであったかと思います。こちら、福島県さんがされている事前の調査においても先生方からご指摘いただいたとおり、河川区域だけではなく、その周囲一帯も含めた地形や植生といったものもかなり重要なものが残されているというところが分かっております。ですので、今回国定公園に含めて編入をしまして、点検など、今後行っていくに当たっては、十分に国定公園の素質がある場所かと思いますので、そういったところも含めて拡張について、福島県さんとも検討していければというふうに考えてございます。

 こちらまた最後に福島県さんのほうからコメントもいただければと思いますが、続きまして、愛甲委員からいただきました礼文の特別保護地区については先ほどの回答のとおりです。

 分岐から山頂以外でも崩落している場所があるかと思うので、今後そういったところについても植生復元の事業を行っていく想定があるのかといったところをいただいておりました。こちらについては、現状も、町のほうでも、また登山道の維持というところで、コマドリプロジェクトといった取組も行っている場所になります。

 今後の可能性というところについて、現地のほうから補足いただけますでしょうか。

北海道地方環境事務所 それでは、札幌からお答えしますけども、先ほどお答えしたとおりで、9合目から下の部分、崩壊している部分あろうかと思いますけども、必要性に応じて、植生復元や登山道の補修を地元自治体等と調整しながら、どこをやっていくかということを検討していきたいと思っております。

○事務局(藤井) 続きまして、愛甲委員からいただきました区域の拡張は、またまとめて後で福島県さんにお願いするというところで、13点目の公園計画の点検をした結果、大丈夫であったというところも、どのように共有されているかというところなのですけれども、審議会の説明は、こういった場所の変更があるといったところを中心としたご説明になっておりますので、なかなか網羅的にここは大丈夫であったというところまでなかなか伝わっていないところがあるかと思います。ただ、そういった点も重要であると思いますので、今後、事務局から委員の先生方にお伝えする中で、どういった点をお伝えするのかというところについてはもう少し検討したいと考えております。

 続きまして、広田委員からいただきました礼文の特別保護地区の変更については先ほど回答した点です。只見の国定公園の地理的連続性の用語の使い方についてはその地形地理的なところにあっても、文化的なところにあっても、尾瀬の源流から只見川の下流に向けて阿賀川と合流するところまで、地理的にも文化的にもつながりがあると考えているところです。

 ただ、語句の使い方としまして、そこまで意識した使い方というのができていなかったかと思いますので、今後使う上では、十分に考えた上で用語を使っていきたいと考えております。

 すみません、全てお答えできたかどうか分からないのですけれども、福島県さんのから拡張の点について、補足をお願いしてもよろしいでしょうか。

○福島県自然保護課長 福島県です。音声大丈夫でしょうか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○福島県自然保護課長 ご質問にお答えしたいと思います。

 最初、横の連携という話が最初にあったと思います。横の連携という部分につきましては、昨年の11月に環境省の皆さん、さらには関係市町村、さらに観光協会など、地元の観光協会など含めまして、関係の皆様と共にグリーン復興推進協議会という協議の場を新たに設定したところでございます。そのような中で、まさにこういう議論をしながら進めているというところであります。

 先ほども国定公園の拡張の話もいただきました。ありがとうございます。まず、今回の国定公園の編入に当たりましては、事前に十分に地元の市町村の皆様とも協議をしながら、基本的には従来の県立公園の部分を引き継ぎながら、一部若干拡張もしているところでございますが、今ほど非常に前向きなご意見をいただきましてありがとうございます。

 そういったご意見も踏まえまして、先ほどのグリーン復興推進協議会の場で関係の皆様とも共有、議論しながら検討してまいりたいと思います。

 以上でございます。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 また挙手がありますので、敷田委員、中村委員、お願いします。

○敷田委員 敷田です。

 私のは単純で、先ほどの礼文のところですけども、礼文のスコトン岬の変更のところです。共有で見せていただくと、理由のところは、自然海岸からの連続性ということで書かれていますが、海岸部を見ると自然海岸ではない漁港区域、漁港が建設されていますので、何か別の理由があるのではないかという確認です。

 以上です。

○下村小委員長 では、中村委員、お願いします。

○中村委員 この委員会でも何度か、多分同じような質問をしているのですけど、特に利尻礼文のほうの施設計画の変更のところで、例えば野営場の施設とか、特に気になるのは車道側、削除という形で書かれるのですけれども、実際削除され後どうなるのかというのがほぼ説明がありませんでした。いわゆる原状復帰的な形の事業を行うのか、それは多分ほかの場所で言われている植生復元とか、自然再生に似たような事業になっていくと思うのですけど、その辺を教えてほしいと思います。単純に削除と言われても、一体その後どうなるのかがちょっと見えませんでした。

 以上です。

○下村小委員長 深町委員は何か追加のご質問ですか。

○深町委員 はい、お答えいただいたことに関連してなのですけども、質問の意図としましては、里山だから規制がかかるのではとかというふうなことではなくて、貴重な自然を生かしていくということも大事ですけれども、里山だとか、いろんな森林の文化があることを今回の拡張だとか、国定公園になることを機に、もっとそういう部分を大事に視点として取り入れて、実際の利用だとか、地域の人との連携に生かしてほしいというふうな、そういう観点があるのでしょうかということでしたし、それから、つないだところの河川沿いというのは、もちろん分かっているのですが、河川沿いと言っても広田先生もおっしゃっていたように、単純に河川から何メーターとかというのか、あるいはいろんな土地利用だとか、地域としてのまとまりを考えたときに、その範囲をどういうふうな基準でとか、ということを大事に思って入れたかというようなところを教えてほしかったというところです。

 以上です。

○下村小委員長 それじゃあ、事務局、またお願いします。

○事務局(藤井) ご質問、ありがとうございました。

 最初にいただきました礼文島のほうのスコトン岬の1種特別地域の変更の点ですけれども、こちらもともと普通地域であったところで、先ほど言っていただいたような漁港である場所というのは、おっしゃっていただいたとおりの場所です。ただ、こちら、今回変更しているのが、この場所と、あと斜線で囲ったこちらにもございまして、ここについては、指定当初はこちらも耕作地であった場所であったと確認をしているのですけれども、40年以上時間が経過しまして、植生がこちらの写真のような周囲と特に遜色ないような景観となっておりますので、今回、第1種特別地域に指定しているところで、ほかの理由が特にあるわけではございません。

 もう一点、中村委員からいただきました車道の削除の観点です。今回の変更場所につきましては、もともと礼文島のこちらの車道について、車道で計画がされていて、林道となっているような場所なのですけれども、現状、もう一般の車両は通行はしないような場所となっており、歩道としての利用がある場所となっておりますので、今回車道計画としては削除するという場所になってございます。

 また、適切に原状復帰などがされているのかといったところも説明してほしいということであったかと思います。今回こちらの変更箇所では、路線の変更があった場所に関しては適切に原状回復を執行者で行っていただいているところです。今後の説明に当たっても、そういったところもご説明できるようにしていきたいと思っております。

 また、深町委員から、ご質問いただいた事項について、私が適切に捉えて回答ができていなかったというところで、申し訳ありませんでした。ご意見いただいたとおりだと思っておりまして、里山の文化ですとか、景観といったものも今後の自然公園の観点としては重要な考え方だというふうに捉えております。全体的なところとしては、そういった考え方を今後、公園計画作成要領などに落としていくことも考えておりますので、そういった面で対応していきたいと考えております。

 また、今回の只見の国定公園についても、そういった重要性というのを指定後も伝えていけるようにしていきたいと思います。

 では、河川のつないだ場所の考え方なのですけれども、単純に河川区域ではなくて、どういった考え方かというところであるのですが、こちら、福島県さんから、補足していただきたいのですけれども、お願いしてもよろしいでしょうか。

○福島県自然保護課長 福島県です。音声大丈夫でしょうか。

○下村小委員長 はい、どうぞ。

○福島県自然保護課長 じゃあ、ちょっと補足をさせていただきます。

 まず、先ほど自然環境だけはなくて、里山の魅力なども併せて検討してはいかがかというご意見をいただきまして、まさにそのとおりかなと思います。今後、先ほど言ったグリーン復興推進協議会の場で関係の市町村の皆様と共に、今年度国定公園の編入に当たりまして、管理運営計画というものを定めていきたいなと思っておりまして、そういった計画策定の中でそのようなことも含めて議論をしていければなと思っております。それが1点目でございます。

 2点目の河川の部分につきましては、この只見川下流、また阿賀川につながる部分につきましては、多様な魚類の生息環境や景観に連続性があるのかなということで、只見川の河川区域沿いにつきまして、今回拡張したいという考えでございます。なお、地元の市町村の皆様とも協議をしながらこのような形で今回提案をさせていただいたという次第でございます。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 ちょっと時間が押していますので、先生方のご質問もご意見的な側面は事務局のほうで承っておきたいと思います。

 何か、どうしても聞きたいと、承認に当たって、ここだけはクリアしたいというところはありますか。よろしいでしょうか。

 広田委員、お願いします。

○広田委員 すみません、時間のない中、先ほどの礼文島の桃岩の地種区分の変更、ちょっと納得できないなと思いまして。そもそも特別保護地区に指定されたのは、何らかの価値づけが行われたはずですよね。ですから、その価値というのがどういうものであったかというのは、やはり明示すべきですし、仮に今回、第2種に、ある意味の格下げをするに当たっては、その価値自身は第2種にしても守れるのだというような理屈も必要かと思うのです。こういった公的な計画のマネジメントについては、やはり理由とか根拠が非常に重要でして、その単に現状を追認してということ以上の説明が求められると思いますので、今、答えられないのであれば、ご検討いただければというふうに思います。

 以上です。

○下村小委員長 では、課長から一言お願いします。

○国立公園課長 国立公園課長の熊倉でございます。

 非常に重要な点、ご指摘いただいていまして、そこはしっかり説明を尽くさないといけないと思っております。ちょっとこの点は保留をさせていただいて、小委員長のほうにお預けをいただいた上で、先生にもご確認の上で、答申という丁寧なプロセスを踏みたいと思います。ありがとうございます。

○下村小委員長 よろしいでしょうか。

○広田委員 はい、了解しました。

○下村小委員長 それでは、議事3点、適当と認めて答申を、もちろん今言いましたとおり、ちょっと小委員長預かりの点もございますけれども、それも含めまして、適当と認めて答申をしていきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

下村小委員長 それでは、お認めいただきたいと思います。

 では、続きまして、次の議題、国立公園事業の決定、廃止及び変更についてということで、事務局から説明お願いいたします。

 12公園、それで42件がございますが、今日は重要だと事務局のほうで想定されるもののみの説明になりますが、後ほどの承認は全てをまとめて承認していただきたいと考えております。

 それでは、事務局お願いいたします。

○事務局(内海) これから事業決定、変更、廃止についてご説明をさせていただきます。国立公園課事業係の内海と申します。よろしくお願いいたします。時間も押しておりますので、コンパクトに説明をさせていただければと思っております。

 まず、今回の案件の概要なのですけれども、諮問案件40件ございます。そのうち、開発が伴うようなものを中心に5件を説明させていただければと考えております。その他の案件につきましては、資料をもって説明と代えさせていただければと思います。

 なお、以前お送りした資料から説明案件を少し絞っております。その点もご了承いただければ幸いです。

 それでは、個別案件、5件について説明をさせていただきます。

 まず、先ほどの議事にもございました利尻礼文サロベツ国立公園の公園計画の変更に伴いまして、新たに新規に追加された利用施設計画、鉄府園地について、説明をさせていただきます。

 こちらにつきましては、先ほど現地からもありましたとおり、ササ刈りなどをして、レブンアツモリソウの保護に努めている地域となっております。今回決定するのは1.2ヘクタールとなっておりまして、今回、整備する内容としましては、現在レブンアツモリソウを観察するために踏みつけなどが起こっているため、その踏みつけを防ぐために園路を新規整備する予定です。こちらにつきましては地道となります。約200メートルの新規整備となります。こちらにつきましては、レブンアツモリソウの生育状況を把握した上で、園路の整備が当該種の保護増殖に支障を及ぼさぬよう、レブンアツモリソウ保護増殖検討会の意見を聞きながら路線設定等にも配慮をする予定です。

 ちょっと早いですが、次の案件に進ませていただきます。

 続きましては、日光国立公園の八方ヶ原園地になります。こちらにつきましては、この地域の特徴的な景観として位置づけられているレンゲツツジの群生地が見られるエリアになっております。特に、大間々という地区については、大きなツツジ群落がございまして、駐車場もあることから利用が集中しております。

 今回の変更では、矢板市の執行予定範囲を2.6ヘクタール増やすというような内容になっております。こちらの執行地の拡大についての理由につきましては、ツツジ群落の保護が主要な理由になっております。先ほど申しました利用の中心となっている大間々駐車場横に広がるツツジ群落地については、シカなどの食害が散見されておるため、防鹿柵の設置を行うことなどを考えております。

 今回、防鹿柵の設置をするとともに、被圧をしている高木類の伐採も考えております。こちらにつきましては、もともとこの土地が放牧地であったことから、残ったツツジが群落となっているという成り立ち上、高木類が育ってくるとツツジのほうが負けてしまうという状況になっておるため、ツツジ群落を重要な景観として保護するために高木類の伐採を考えているところです。

 また、事前に小泉委員からイノシシもいるのでイノシシも対応できる柵にしたほうがいいのではないかとコメントをいただいております。

 それでは、次の案件に移ります。

 続きましては、秩父多摩甲斐国立公園の十里木小河内線道路になります。こちらについては、画面でいうと西側に檜原村の中心部があるのですが、檜原村にあきる野市等から行くときの生活のアクセス道路になっております。こちらは、その檜原村と近隣の都市を結ぶ唯一の生活道路でもあるとともに、公園利用者が利用できる唯一の主要な道路でございます。

 こちらにつきましては、令和元年の台風19号等で現在の青色のラインの道のほうが土砂流出等により、一次通行止めになる等の被害が発生しております。そのため、安全確保と地域の防災性向上のために、今回赤色のラインように路線を変更しようと考えております。こちらにつきましては、2か所ほどトンネルを整備しまして直線で考えておりますが、旧道のほうにつきましては、道路沿いに商店や地域住民の住宅があることから引き続き利用していく予定となっており、赤いほうの道を主要道路として使うとともに、青色の道路も生活道路として残すような予定にしております。

 また、こちらにつきましては、東京都のほうで自然環境調査・影響調査を実施しておりまして、自然環境保全計画書を作成しております。いろいろと自然環境への配慮をした工法を採用しているのですけれども、特にこの中で上げておくとすれば、トンネル工事等で出る土砂は、国立公園区域外の再利用施設へ搬出・処分予定であることですとか、周囲にオオタカやクマタカ等の希少猛禽類の生息の可能性があるため、生息についてモニタリングを行い、施工方法の参考にするというようなことを考えております。

 それでは、次の案件に行きます。

 続きましては、中部山岳国立公園の大観台園地になります。こちらにつきましては、環境省直轄整備となっておりまして、称名滝を展望するための園地を再整備する予定です。こちらにつきましては、立山黒部アルペンルート沿いにございます。

 こちらの園地は、施設の老朽化が深刻になっており、園路や展望地のユニバーサルデザイン化を含む再整備、また現状バスは停まらないのですけれども、バス利用に対応するための駐車帯の整備を行う予定です。

 整備内容としましては、崖地に面している展望広場に転落防止策を設置し、園路については、ルートの付け替えを行い、全体の再整備を行います。また、この園路につきましては、バス停車場から広場まで車イス利用が可能になっております。

 こちらにつきましては、有識者ヒアリングを実施しまして、切り株や高木といった自然環境の保護上重要な樹木を避けるようなルートを設定しております。また、園路が木の根を切断しないよう配慮したり、古い切り株をできる限り残すなどの配慮をしております。

 それでは、最後の案件に参ります。

 続きまして、霧島錦江湾国立公園の御池皇子港園地になります。こちらにつきましては、御池では舟周遊場や園地などの利用が盛んなのですけれども、現在、利用者が年間4万人ほどいる中で、園地の中には既存駐車場が普通車15台程度しかないというところがございまして、地元の自治体が駐車場整備を予定しております。

 こちらは、現状の園地の様子です。

 駐車場の整備予定地につきましては、現状植生のない場所となっておりまして、整備に当たっては周囲の自然環境へ与える影響は最小限であると考えております。また、現在も駐車をされておりまして、轍ができるなどしております。現状でも土砂の御池への流れ込み等がありますため、利用環境の改善及び御池への土砂流入防止のために、駐車場にアスファルト舗装を行う予定です。

 以上で、事務局からの案件の説明は終了させていただきます。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 それでは、今、ご説明いただいた5件を含めまして、全体で40件合わせてですが、何かご質問、ご意見ございましたお伺いしたいと思います。

 また、こちらでご参加の委員の方につきましては名札を立てて、あとオンライン参加の委員は挙手ボタンを押してお願いいたします。いかがでしょうか。

 それでは、宮本委員ですね。お願いします。

○宮本委員 ありがとうございます。

 日光国立公園の件なのですけれども、レンゲツツジの保護のために高木を伐採するということなのですが、非常に一般的なお話で結構なのですけれども、高木が育つとか、それから遷移が進むというようなことがあったときに、それをある意味遷移を止める方向で行くのか、それともそうではなくて、高木も含めて保護をして遷移が進んでもよしとするのかというようなことを決める、何か一般的な方針といいますか、基準のようなものがあるのかどうかということをお教えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 ほかはよろしゅうございますでしょうか。

 それでは、会場から中静委員、それからあと敷田委員、苅谷委員ですね。

○中静委員 今の八方ヶ原の件なのですけど、防鹿柵を作るぐらい、もうレンゲツツジもシカにやられているという理解だと思うのですが、防鹿柵を作ると、今度は逆にそのレンゲツツジ以外の低木もすごく増えてくることが予想されるので、その管理上の指針をつくっておくべきかなと思います。それは意見あるいはコメントとしてです。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 それでは、敷田委員、お願いします。

○敷田委員 聞こえていますか。敷田です。

○下村小委員長 はい。

○敷田委員 これも細かいことなのですが、資料の中の説明に共通する点なのですが、自然環境への影響のところの表現として、周辺環境に与える影響は最小限とか、周辺の自然環境に与える影響は最小限とか、いろいろな表現が取られていますが、この最小限というのが何か具体的にこういう状態である、例えば回復可能とか、判断基準があると思うのですが、この表現に共通する点を教えていただければと思います。

○下村小委員長 ほかはよろしいですか。

 それでは、事務局、お願いします。

○事務局(内海) 事務局から回答させていただきます。ご質問いただきありがとうございました。

 まず、宮本委員からご質問のあった一般的に遷移を止める方向、進んでいく方向、どちらにするか方針みたいなものはあるかというところだったと思うのですけれども、こちらにつきましては、その地域でどのような景観ですとか、自然環境ですとかが理想かというのを地域のほうで合意形成を取っていって、その中で進むほうがいい、止めるほうがいいということで地域ごとに合意を取りながら進めているところかと存じております。

 今回の八方ヶ原園地につきましては、矢板市のほうが事務局をしております観光振興協議会において、地域の関係者の合意を得ております。また、矢板市としても地域の観光資源として大きくツツジの保全のほうに期待を寄せているところでございます。一般的な方針としては、このようになっております。

 続きましては中静先生のご質問につきましても、こちらの八方ヶ原園地についてだったと思うのですけれども、おっしゃるとおり、確かに低木のほうが増えてきますので、その管理のほう、いろいろコストの面も含めてあると思いますので、それについては地元のほうに返したいと思っております。

 また、最後、敷田先生のご質問につきましては、資料の最小限ですとか、自然環境への配慮のところの文言について、何か共通性があるかというところだったのですけれども、こちらにつきましては、基本的には現地のレンジャーですとか、現地の地方自治体ですとかというところと、どの工法がいいかですとか、どの手法がいいかということを比較検討した際に、比べた中で一番、例えば伐採本数が一番最小限の方法であるとか、そういったことで比較をした上で、一番低いもの、小さいものということを選んでいるところでございまして、共通性としてはそのような考え方のところにはなってしまうのですけれども、ちょっと定量的なところではなくて申し訳ないのですが、それが回答になります。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 ご意見含みの質問につきましては、委員長としても了解をして事務局とよく相談をしてまいりたいと思います。

 特にご質問は、ほかございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、議題4につきまして、諮問に付されました変更書及び計画書のとおりとすることにご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○下村小委員長 それでは、本件につきましては、適当と認め答申としたいと思います。ありがとうございました。

 それから、最後の報告なのですが、実はちょっと時間も押しておりますので、文書でのご報告にさせていただきたいと思いますが、何か事務局一言、お願いします。

○国立公園課長 国立公園課長でございます。

 ちょっと時間も押しておりまして、政省令の改正案についてのご報告は書面でとなりまして、大変申し訳ございません。昨年度、この小委員会でもご議論いただいた自然公園制度の見直しを受けまして、5月6日、自然公園法の改正が国会で成立をいたしました。ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。

 来年度早々に施行するということで、政令、省令、それから通知類の改定の作業を、今、進めてございます。今日の時点は、まだご報告でございまして、今後検討を進めてまいります。事前にもご質問、ご意見いただいていますし、恐縮でございますが、今日以降もございましたら事務局としてお受けして検討したいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○下村小委員長 それでは、ありがとうございました。

 一番目の自然公園小委員会につきましては、これで審議を終了したとして、進行を事務局にお返ししたいと思います。

○事務局(清武) 下村委員長、ありがとうございました。

 本日は、この後引き続き自然公園等小委員会・温泉小委員会合同会議(第1回)に移りますが、5分ほど休憩を挟みたいと思いますので、申し訳ございません、今、11時2分ですので、11時7分頃から始めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 傍聴の方も申し訳ございません、11時7分頃から始めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

午前11時02分 閉会

自然公園等小委員会・温泉小委員会合同会議(第1回)

午前11時08分 開会

○事務局(清武) それでは、定刻を過ぎておりますので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会・温泉小委員会合同会議(第1回)を開会いたします。

 本日、前の会議が遅れました関係で定刻を過ぎてしまい、申し訳ございません。自然公園等小委員会の先生方におかれましては、引き続き、どうぞよろしくお願いいた します。

 会議に先立ちまして、出席委員数の報告です。

 本日は、所属の臨時委員10名のうち、WEBでのリモート参加も含め、10名の方のご出席をいただいておりますので、本委員会は成立しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症対策として、中央環境審議会においては、当面の間、WEB会議システムによる参加についても「出席」とみなすこととなっておりますので、ご理解・ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、本日の会議運営につきましてご説明いたします。

 まず、先般、温泉小委員会の改選があり、新しく3人の先生の方にメンバーになっていただきましたので、私のほうからお名前をご紹介させていただきます。

 本日、リモート参加していただいている浅沼宏先生、大海靖治先生、そして本日会場にお越しいただいている安川香澄先生になります。今後のご審議、どうぞよろしくお願いします。

 また、傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、傍聴用のWEB会議システムを用意し、傍聴できるようにしております。本日は、報道機関関係者の方を含め、50名程度の方がWEB会議システムにて会議を傍聴されておりますので、ご承知おきください。

 また本日、ご説明する資料につきましては、会場にお集まりの先生につきましては、お手元のタブレット端末の中に格納し、リモート参加の先生におかれましては、事前にメールにて送付させていただいております。

 なお、リモート参加の先生におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時、ビデオボタンをONにして、先生のお顔が見られる状態にしておいていただけますと幸いです。

 それでは、自然環境局長の鳥居からご挨拶申し上げます。

○自然環境局長 どうも、皆さん、こんにちは。鳥居でございます。

 自然公園等小委の先生方におかれましては、引き続きの会議ということで、また、温泉小委の先生方におかれましては、私も初めてお会いすることになる方々も多いかと思いますけども、今回、合同小委員会という形を持たせていただきました。

 ご案内のように、再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースというのが4月27日に開かれまして、この背景は、ご承知のように、昨年の菅総理の2050年カーボンニュートラルというのがあり、また、この春には、2030年までに温室効果ガスを46%削減するというような目標が掲げられたということでございます。これは、もう世界的な脱炭素に向けた大きな流れで、日本が目標を掲げて取り組む、政府一体となって取り組んでいくということでございます。

 ということから、このタスクフォースにおいては、日本地熱協会及びタスクフォースの委員の先生方から、地熱開発促進の観点から、自然公園法と温泉法の運用に関する各種ご要望やご提案をいただいたということ、これを受けまして、地熱開発に関する基準等の概要や、検討の進め方について、この小委員会においてご意見をいただくとともに、別途、有識者の方々から成る検討会を来月立ち上げまして、9月末までの間に、順次結論を得ていきたいというふうに思っております。

 脱炭素に向けた大きな流れの中で、国立公園・国定公園、そして温泉地における地熱開発、その他脱炭素に向けたいろんな取組について、どのように取り扱っていくかということを、先生方のご意見も踏まえながら考えていきたいというふうに思っておりますので、本日は、特に限られた時間ではございますが、ご意見をいただければというふうに思います。

 最後になりますが、そういうお願いをしておきながら、大変心苦しいのでございますけども、私、7月1日で退職ということになってございまして、引き続き、私の後任には、元計画課長のオクダというのが参りますので、この課題につきまして、引き続きご意見をいただきながら、よりよき結論を得ていきたいというふうに思っておりますので、どうかよろしくご検討のほどお願いしたいと思います。

 簡単ではございますが、私のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

○事務局(清武) それでは、今回、合同会議(第1回)になりますので、環境省側の出席者についてご紹介いたします。

 先ほどご挨拶いたしました、鳥居自然環境局長。

○自然環境局長 よろしくお願いいたします。

○事務局(清武) 大森大臣官房審議官。

○大臣官房審議官 よろしくお願いします。

○事務局(清武) 熊倉国立公園課長。

 佐藤自然環境整備課長。

○自然環境整備課長 よろしくお願いします。

○事務局(清武) 岡野温泉地保護利用推進室長。

 以上になります。

 それでは、下村委員長、以降の進行をお願いいたします。

○下村小委員長 皆様、ご参集いただきまして、ありがとうございました。今期、小委員会の進行を務めさせていただきます下村と申します。よろしくお願いいたします。

 先ほど局長のご挨拶の中でありましたとおり、内閣の動きが重大かつ急を要するものでございまして、今回は自然公園小委員会と合同で開催をさせていただくという形になりました。自然公園小委員会の委員の皆様は引き続きになりますが、ご審議のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、時間が限られていますので、議事次第に従って進めてまいりたいと思います。

 会議資料につきましては、公開となります。

 また、会議録につきましては、後ほど事務局で作成いたしまして、本日ご出席の委員のご了承をいただいた上で、公開するということになります。

 それで、今日の議事でございますけれども、1点目は、国立・国定公園内における地熱開発に関する許可基準、審査要件の明確化等についてと、それから、議事の2といたしまして、地熱開発に関する温泉法上の掘削許可の判断基準の考え方等についてという2件になります。この二つの議題、まとめて事務局からご説明をいただいた上で、委員からのご質問・ご意見を伺うということにしてまいりたいと思います。

 では、事務局、説明をお願いいたします。

○国立公園課長 国定公園課長の熊倉でございます。よろしくお願いいたします。

 今日、議題になっています自然公園法と温泉法に係る基準の検討につきまして、資料1に沿ってご説明いたします。

 冒頭、局長からお話ありましたように、今、脱炭素に向けて政府全体が動いてございます。昨年10月、菅総理が、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆるカーボンニュートラルというものを宣言されました。また4月には、2030年の目標として、46%の排出削減をするということを表明されてございます。これに向けて、様々な取組がされていくわけですが、そのうち規制改革などの政策の総動員ということも触れられていますし、それを受けまして、再生可能エネルギーの最大限導入ということが今進められてございます。

 次のページ、ご覧ください。

 こういった政府全体の動きの中で、小泉環境大臣も、今、再生可能エネルギーの促進ということに努められてございますが、今回、テーマになっています自然公園と温泉法については、地熱発電がテーマになってございます。地熱のポテンシャルが公園内に多いということや、温泉法との関係が深いということで、再生可能エネルギーのうちの地熱について、テーマになってございます。

 今日ご議論いただく運用の見直し等の実施に加えまして、さらに環境省自ら率先して行動ということを表明しておりまして、今国会で成立した改正地球温暖化対策推進法に基づく促進区域の指定であるとか、とりわけ温泉事業者など、地域の不安の払拭のための科学データの収集・調査といったものを打ち出してございます。

 大臣からは、リードタイム10年以上かかるところを2年程度短縮する。また、現在稼働している、これは公園外も含めて、小さなものも含めてですけれども、60程度ある現在の地熱施設を倍増すると。これを2030年までに実現するということを表明されてございます。

 次のスライドでございます。

 これは過去の経緯でございます。地熱開発は、国立・国定公園内で長く認めてこなかったわけでございますが、地球温暖化対策の重要性に鑑み、過去2回、大きな規制緩和を行っています。平成24年の規制緩和におきましては、まず、普通地域は個別判断で認めるとし、さらに第2種・第3種特別地域につきまして、小規模なものは認める。小規模でないもの、大規模なものとかについても、優良事例の形成について検証して、真に優良事例としてふさわしいものについては認めると。また、外からの傾斜掘削についても、個別に認めるという緩和をしてございます。

 これに加えて、平成27年におきましては、さらに第1種特別地域について、地表に影響がないことを条件に、地下への傾斜掘削を認めると。さらに、高さの制限につきましても、公共性があるものについては、13mにとらわれずに運用できるという規制緩和を行ってございます。

 次のページは参考ですが、諸外国では、ニュージーランド、アイスランド、アメリカといったところでは、国立公園の中では地熱開発は認めてございませんけれども、日本の地理的状況に鑑み、先ほど申し上げたような一定の条件の下に、日本では地熱開発を認めているというところでございます。

 この次のページをお願いします。

 先ほど申し上げたように、それぞれの地種区分に応じた対応というのを行ってございます。

 次のページをお願いします。

 先ほど申し上げた地熱通知の抜粋でございます。後ほど論点になりますので、触れておきますと、1.の(3)というところで、小規模なもの、要するに支障がないものは認めるというのがあるのと、2.の(1)で、特保・1特は認めないというのとか、あと(2)、第2種・第3種については、1.(3)のものを除き認めないとしつつ、ただし、傾斜掘削については個別判断で認める。また、真に優良事例としてふさわしいものについては認めることができるというような記述になってございます。これが現在の通知でございます。

 優良事例というのがキーワードになってございます。優良事例であれば、2特・3特、個別に認めるとなっております。優良事例というのは大きく四つありまして、一つは地域関係者との合意形成がしっかり図られている。二つ目は自然環境、風致・景観等への影響が最小限である。三つ目は地域への貢献に事業者の方が努力されている。また、様々なモニタリングであるとか、情報を開示・共有していると。こういったものを優良事例と称してございます。

 次のページをお願いします。

 こういった規制緩和を受けまして、公園内でも地熱の開発が進捗してございまして、国立公園で47件、国定公園で15件の案件が今動いてございます。大規模なものですと、国立で9件、国定で8件動いてございます。

 ただ、非常にリードタイムが長いということで、規制緩和からまだ10年もたっておりませんので、大規模なものの操業まではまだ至っておらず、大規模なものですと、今、アセスが国定公園で1件終わっているというものがトップランナーの状況というところでございます。

 次のページですが、地図に落としたものですけれども、現在開発中の大規模案件のうち、黄色いところが国立・国定公園の案件でございまして、全体47か所中の29か所、約6割が公園内で現在進んでございます。

 続いて、温泉についてでございます。

 温泉については、温泉法という法律がございまして、都道府県知事が掘削の許可をするという仕組みでございます。温泉法での地熱発電の取扱いについては、平成24年、地熱発電を推進するため、許可の判断基準の考え方を示すことを目的として、ここにあります温泉資源の保護に関するガイドラインというのを策定して、都道府県に通知をしてございます。

 このガイドラインでは、掘削申請に係る手続の早期化を目的として、温泉資源の影響を判断するために必要な情報や判断方法を地熱開発の各段階ごとに整理をしてございます。

 次のページをお願いします。

 また、本ガイドラインでは、協議会の設置、それから情報公開、モニタリングの実施など、地域の合意形成に向けて有効な取組や事例なども整理して、関係者による密接なパートナーシップの構築を促してございます。

 次、お願いいたします。

 これは今実施されています内閣府の再生可能エネルギータスクフォースの取りまとめ結果でございます。

 局長、冒頭ご挨拶で申し上げましたとおり、ゼロカーボン、カーボンニュートラルを2050年目指すというために、規制改革をする場として、河野大臣主催の下に、内閣府にこのタスクフォースが設けられ、太陽光であるとか、風力であるとか、様々な電源の種類に応じて審議が進んでございます。

 地熱発電については、4月にヒアリング、環境省ございまして、自然公園法と温泉法がメインのテーマでございました。議論の結果、下にありますように取りまとめがされ、今月、規制改革実施計画の一部として閣議決定がされてございます。

 項目は大きく五つございます。左上が目標の設定ということでありまして、先ほど小泉大臣が発表した地熱施設の全国での倍増というのも記述がございます。また、右上でございます。地熱通知の考え方についてでございますけれども、先ほど2特・3特は原則としては認めないというフレーズがあったと思いますが、むしろ優良事例については積極的に容認して、地熱開発の加速化に貢献していくというような趣旨、姿勢が明確になるように考え方を整理せよというものでございます。左の真ん中が許可基準・審査要件の明確化でありまして、どのような立地や設計であれば、自然環境への影響が少なくて容認されるのか、そこがより分かりやすく具体的に伝わるように、明確化をせよというものでございます。右側の真ん中でございます。現在、温泉法という仕組みで温泉の保護・管理をしていますが、さらに、温泉だけではなく、地熱資源全体として管理をするような新しい制度、これを現状把握した上で検討するというものでございます。一番下が温泉法の話で、都道府県において、離隔距離規制とか本数制限というものを行っていますが、これについて点検をして、今後、ガイドラインの中で、検討した結果を反映するというものが規定されています。

 赤字でタイムスケジュールが示されておりますが、令和3年度上期というのが9月、今年の9月末までに検討し、結論し、措置するというものが多くなっております。

 次のページをお願いします。

 今回、合同小委員会にお話ししていますのは、先ほどの検討に当たって、専門家、それから事業者団体等々、様々なご意見を聞いた上で検討するということになっております。特に本日については、以下に述べるような内容について、具体的な内容、また、検討の進め方についてご意見をいただきたいと思ってございます。

 自然公園法に関しては、先ほどのタスクフォースの取りまとめにありましたように、地熱通知の基本的考え方をどうするか、また、許可基準の明確化の観点から、どのような立地、または設計であれば容認するか、優良事例の考え方、こういったものでございます。また、地熱発電は初期調査、調査井の掘削、生産井の掘削、建設といった、各段階がございます。各段階に応じた確認事項というのはどうあるべきかと。また、傾斜掘削という言葉が多かったと思うんですけれども、地表に影響を与えない傾斜掘削というのはどういうものかというところが検討事項かと思ってございます。

 また、次のページですが、温泉法関係ですと、先ほどタスクフォースの取りまとめ結果にありましたように、離隔距離規制とか、本数制限、これについての科学的な在り方、考え方、それから資源としての地熱の管理の新たな制度の必要性、こういったところが論点になると考えてございます。

 次のページ、今後の予定でございます。

 非常に制度に関わる重要な論点ですので、審議会のご意見が必要ということで、本日、キックオフということで、ご意見を聞きたいと思っております。ただ、内容が非常に技術的でございまして、地熱の専門家であるとか、あと利害関係者である事業者団体、そういったところとの意見交換も必要になってまいりますので、そういった方々から成る検討会をつくりたいと思っております。よろしければ、来月にも設置をし、開催し、概ね月1回程度、計3回程度開催をしたいと思っております。その結果については、また9月に、この審議会にご報告して、了承をいただきたいと。その上で、役所としての結論、そして措置をすると。これをできるだけ9月末までにしたいというタイムスケジュールでございます。

 非常に短い時間で恐縮でございますが、ぜひ忌憚のないご意見をよろしくお願い申し上げます。

○下村小委員長 ご説明ありがとうございました。

 それでは、議事の1と2をまとめて、ご質問・ご意見を伺ってまいりたいというふうに思います。

 本日は多くの委員にご参加をいただいていまして、また、ご意見をいただく機会も、今回と、それから先ほど説明がありましたように、9月に、もう一度開かれる合同会議の2回になります。できるだけご意見を伺いたいと思いますけれども、時間に限りがございますので、できるだけ手短に、要点のみのご発言でお願いをしたいと思います。

 それで、合同ではありますけど、まず、温泉小委員会の委員の先生方からご意見を伺って、その後、自然公園小委の先生からご意見を伺うという手順にしてまいりたいと思います。

 会場にお集まりの委員の皆様におかれましては、ご発言がおありの方は、名札を立てていただきまして、それで私のほうから指名をさせていただきます。また、リモート参加の委員の皆様におかれましては、WEB画面上で、参加者リストの自身のお名前の横に挙手ボタンがございますので、その挙手ボタンを押して、挙手の表示をお願いしたいと思います。

 それでは、まずは温泉小委の委員の皆様から何かご意見・ご質問ございますでしょうか。いかがでしょうか。

 それでは、会場にお越しの石川委員、それから前田委員、まずは口火を切っていただきたいと思います。石川委員からどうぞ。

○石川委員 石川です。

 ご承知のとおり、この小委員会、久しぶりなものですから、私も地熱問題と温泉の関係は、非常に、温泉評論家として、また地域学会の会長でずっとやってきて、非常に危惧をしています。これまでも申し上げましたので、基本的な、先ほど課長からご説明のあったカーボンニュートラルと、その中での自然エネルギーの開発の在り方とか、流れについては理解していますが、ちょっとやっぱりこれを、今まで環境省さんは非常に頑張ってこられて、国立公園の保護や温泉の保護ということでやってきたので、それは非常に理解しているんですが、私は、やはり日本が世界でも地熱資源量3位と言っていますけれども、ご承知のとおり、インドネシアや、1位のアメリカもそうですが、やはり地熱開発をしているところは、先ほど説明にもありましたように、国立公園や温泉地自身は避けています。

 私も海外はかなり回って、40年間回っていますけれども、アメリカでも、ご承知のとおり、カリフォルニアのカイザーズの辺り、地溝帯ですよね。当然、イエローストーンで膨大な温泉がそのままあふれさせているわけですが、ここで地熱エネルギーがあるからといって開発をしたわけではありませんね。ニュージーランドでも、最大のロトルアの温泉地では、もちろん開発は、計画はありましたけれども、しないで、ワイラケイの湾中のタウポの付近、そこで開発をしています。イタリアも、ほとんど回りましたけれども、トスカーナ地方、最大の温泉資源があるトスカーナの中でも、南西部のラルレデロですか、周辺地に温泉地はありません。有名な湯滝があったり、本当に地熱のすばらしい噴気地帯から避けたところで開発して、アーバノのほうでも、最初、地熱開発はあったけど、やめていますね。そういうふうな形で、やはり世界の流れはそのようになっています。

 日本で、3位のエネルギーといっても、これはもう極めて古代から、その地熱エネルギーの大半、かなりの多くは、当然、膨大な世界有数の湧出量と、高温湧出泉の、この温泉熱エネルギーという形で利用されてきたわけですから、もちろん、そのことを理解した上で、共存というか、バランスというものを考えていかければいけないんじゃないかと思うんですね。

 でも、現実に、よく地熱の説明の中でキャップロックですね、帽岩の話があって、本当にこのようにうまくなっているんだろうかというふうに思うんですが、現実に、八丁原の大分、それから、昔、日本温泉協会さんと一緒に参加させていただきましたけど、八幡平ですね、秋田の、そこでも、もう数を上げれば、トロコや銭川や東トロコ、それから大沼発電所と地熱の発電所と、澄川ができた以降の、澄川、赤川と。もう、そういう温泉地は全部一軒宿ですけども、なくなっています。八丁原でも、周辺にあった、自然湧出で成り立っていた、小さな、そういう意味では、事業者さんからは、もう目にも触れないようなことかもしれませんけど、温泉地はなくなっています。

 その前に、地表での噴気地帯の自然湧出減少と、噴気地帯ですね、いわゆる地獄と言いますけれども、そういう現象は全部なくなっています。ですから、帽岩で区別されているということではなくて、よく使われる絵にもありますけれども、やはり微妙なバランスの上で、やっぱり熱エネルギー、地熱エネルギーが使われ、そして、細々とした形も含めまして、温泉で利用されているわけですね。

 しかも今、政府も含めまして、ずっとインバウンドで、ご承知のとおり、外国人が2度目に来たいときの日本での利用の3位には温泉が入っているわけですから、こうしたインバウンド。歴史的には、日本の国民にとっての健康資源、そして観光資源、そして歴史文化資産である温泉地というものをどのようにやっぱり尊重しながらバランスを取っていくのかということ、くれぐれもやっぱり考えていただきたいというふうに切に願います。

 それから、これは、もう基本的な考え方として、カーボンニュートラルと言っていますけれども、やはり私は、本来ならば、熱エネルギーと発電量からいっても、むしろ、やはり風力発電の中でも、イギリスは今トップに躍り出てきていますけれども、洋上での浮体を使った風力発電、こうしたことへの技術開発こそが、日本の産業にとっても、新しいやっぱりイノベーションになっていくんじゃないかというふうに考えていますので、やはりそれに比べたら地熱は、事業者さんがどんなに努力されても、最大5万キロワットのやっぱり小さいものを、幾らこれから倍にするといっても、そんなに残念ながらカーボンニュートラルに寄与するとは思えないんですね。そういう意味では、むしろ国家戦略として風力発電、特に洋上での浮体を使った発電、そうしたものへむしろ自然エネルギーの中でも転換を考えていく、戦略的に考えていくべきではないかというふうに思います。

 そして、基本的に地熱の開発というのは、これは、温泉熱エネルギーの開発もそうですけれども、やはりむしろ地域還元型の私は利用ではないのかと。要するに、原発に代わるような形で地方から大都市圏へというような電力利用の形ではなく、地域で開発し、利用していく、還元していくというような、そういう小規模な形がむしろふさわしいのではないかと思いますので、すみません、長くなりましたけれども、なかなか発言の機会がありませんでしたので言わせていただきます。

○下村小委員長 はい。ただ、手短にお願いできればと思います。

 前田委員、どうぞ。

○前田委員 では、手短になるかもしれませんが、やっぱり地熱発電の構造を考えてみると、生産井からくみ出すのは分かるんですけれども、還元井のところがそれより違うところに入れるというようなことで、やっぱり地中の構造は崩れてしまうというような、恐らく、これは確かだろうと。

 地熱開発については、地表部において影響がなくというふうなことを言ってるんですけれども、やっぱりある程度、下のほうから、地中から変わると地表も当然変わってくるということがありますので、その辺の配慮がぜひ必要なんですけれども、いろんなことを書いてあるんですが、例えば還元井を生産井に近づけるというふうに書いてあるんですけれども、冷たくなったそういった水を入れて、そしてまた熱源を得て、そういうことはきっとできないかなと思います。つまり、熱は温かいほうから冷たいほうへ行くので、そういったことを考えるということが一つあります。

 それから、二つ目は、いろんな物質が、蒸気だけを利用するというふうにおっしゃっているんですけども、蒸気のほかにいっぱいあるということで、諸外国というか、日本では硫化水素を中和するとか、そういうふうな考えをお持ちなんでしょうけれども、その他もいっぱいあるということは、それは周知のごとくだと思います。カドミウム、フッ素、調べられるだけでは、らちが明かないぐらいいっぱいあって、それが本当に人間に対していいのかなというような私、医者の立場で言っているんですけど、そんなようなこと放置していいのかなと。また、くみ出した後、一般のところ、川へ流してしまうとか、そういうことは本当に正しいのかというようなことを、ぜひそういったところの検討が人間の住む地域で必要かなというふうには思っております。

 それから、まず、これを開発するのに、3番目は地方自治体に対して補助金とか、そういうのは入ってくるというようなこともお聞きしましたけど、そういうことをすると、やっぱり自然の、我々、学問的なところをやっていますけれども、そういったような補助金と、そちらのほうへ流れるのはやっぱりこれは筋違いだろうというふうには思っております。

 そんなことを意見としては申し上げたいというふうに思います。以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 自然公園小委の先生方が、結構、手を挙げられていますので移っていきたいと思いますが、まず安川委員、それから佐藤委員ですね。お二人に伺ってから自然公園小委に行きたいと思います。

 安川委員、どうぞ。

○安川委員 すみません。まず、地熱開発を国内で進めるべきかどうかという点に関して、一つ言いたいんですけれども、やはり自然エネルギーはそれぞれ特徴があり、地熱発電というのは、安定して稼働できるという、それが最大のメリットだと思っています。

 ライフサイクルCO排出量で見ても、原子力より少ないのは、今のところ、地熱と小水力だけというのもありまして、そういった優れた特徴を持つ地熱発電ですので、それをどうやってうまく開発していくかということが一番重要だと思います。

 それで、地熱発電は稼働率が高いことから長く続けていくと発電コストもかなり低くなる発電方法ですけれども、やはり初期段階の調査を行っても開発できるかどうか分からないという、リスクがある中で初期投資を行いますので、そういった面では、政府の援助がないとなかなか難しいというのが関係者一般の認識です。

 実際、私も諸外国の例も見たんですけども、やはり政府の支援があった時期はかなり進むけれども、そうでない時期は停滞するというのが、本当にどこの国でもはっきり表れています。そういった意味では、やはり政府の援助がないと、という点がまず一つあると思います。

 それは資金的なことになるわけですけれども、掘削の補助金、調査の補助金というものがあると、年度内にやるという問題もあるので、限られた時期にしか調査や掘削、いろんなことができないために、何かの問題があるとすぐに1年、2年延びてしまう、そうすると、またコストがかかる。コストが高くなると、結局、国民の税金をそういったところに回さなくちゃいけないということになるので、いかに安く、しかも周りに影響を与えずに安全にできるか、その辺のバランスを取ることが重要だと思っていまして、もちろん環境も重要ですけれども、やはりコストも国民にかかってくることなので、その辺がうまく動くようなルールをつくることが重要と思っています。

 関係者から聞いた話で、例えば傾斜掘削に関しては個別に判断というふうに書かれていますけれども、個別に判断というと担当者のさじ加減がかなりあるといううわさを聞いております。そのために、駄目と言われたのでなかなか先に進めず、1年延ばしになるというようなうわさも聞いておりますので、個別に判断というところがどういう基準なのか、その辺が分かるような新しいルールづくりをしていく必要があると思います。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 私どものほうから申し上げますと、先ほど、石川先生のほうからお話のありましたとおり、実は、今回、非常に問題になっているのは、特に従来の温泉法との関わりをどうするんだというところがあろうかと思います。

 実は、温泉法そのものについては、皆さんご存じですから細かなことは申し上げませんけども、科研の実施事業案件になっているはずです。そうしたときに、今回の離隔距離規制、それから本数制限の無制限と、こういうことについては、日本温泉協会としましてはあってはならない方法ではないかと。

 なぜなら、いわゆる、これはJOGMECさん、安川さんのセクションと、かなりここ三、四年、日本温泉協会とすれば詰めてきたはずです。そういうことを全部取り払って、じゃあ今、カーボンニュートラルの案件もあって、それを急ごうということ、そのこと自体、分からないわけではありませんけども、従来積み重ねてきた協議会その他の確立とか、そういうことも含めた中で、本当にそれほど急ぐことが、今必要なんだろうかと。必要だというんであれば、それなりの科学的、技術的な中身が確立できるような状況に今なっているんだろうかということが問われて久しいんですよね。

 どういうことなのかといいますと、探査方式と言いますけれども、重力探査その他、いろんな方策ありますよね。MT法とかですね。それから、GDS法とか。でも、これとて、安心・安全な温泉地の湧出湧水、そういうものが確立できるのか、保証できるのかということが本来あってしかるべきなんですね。そういうことを全く棚上げにして、実際、そういうこととは関係なく、国策の一環としてやっていくんだということだけで処理できる問題では、私はなかろうと思います。

 先ほど、石川先生がおっしゃったように、地産地消型であれば、ある程度の地元に対する問題があったにしても、国策の一環としてやるというんであれば、少なくとも国がやっぱり賠償責任その他の減温減水とか、そういう案件が生じたときに、それなりの補償というものが裏にあってしかるべきだと思うんですね。しかし、そういうことはないままに、じゃあ今後、こういう形で強引にやって大丈夫なんだろうかと、ましてや本来、日本のだって国内事情から言えば、もう私は福島県に生きて、ここ10年、原発の後処理を見てきましたけども、本当の意味で、これで大丈夫なんだろうか。今でもそのことに苦しみ、あえぐ人たちが多くいることを、私知っています。

それだけに、そういう裏補償もないままに温泉法の一部見直しみたいな話が公然と出てくるということには、到底耐えがたいです。そのことをとにかく、私ども、今日、特に地熱貯留層、温泉帯水層等々の距離規制をどうするのだという、皆さん、簡単にこれ、絵図では見ますけども、これを決めるのはどうやって誰が決めるのですか。そのことが、もし安心・安全というパイに移行できないということがあったときに、誰がどう補償するのかということが問われて久しいのだろうと思います。

 だからこそ、日本温泉協会とすれば、少なくとも北海道から九州までの単に温泉事業者を守るためだけに申し上げているつもりは、私はありません。そこを真剣になって、やっぱりもう少しお時間をいただく、時間を短くすることについて、私、反対はしません。ですが、中身の不確定な内容があまりにも多過ぎる段階で、そこを決めてしまっていいんだろうかということについては、もっと慎重であるべきだというお願いをしておきたいと、そんなふうに思っております。

○下村小委員長 はい。ありがとうございました。

 それでは、多田委員、それからあと中静委員、江﨑委員に移ってまいりたいと思います。

○多田委員 私の括弧書きが温泉協会の方になっていますけど、もう一つの看板が、全国旅館環境衛生生活同業組合という1万5,000軒の旅館の会員がおる組織の束ねということもやっておりまして、実はこれ、ちょっと今までの論点に加えて、ちょっとどろどろした話ですけれども、実際、生活を営んで、そして多くの国民が利用する温泉地としての営業を行っているところが半分ぐらいございます。そうすると、その会員のやっぱり生活というものを考えなきゃいけないということで発言をさせてもらうのですが、自然公園がこういう形で非常に手が入るというような法案の問題なのですが、我々も密接な営みを行って、先祖からずっと来ているところが結構ございます。

 どうも地熱の問題で一つ悩ましいのが、その地域が開発ということに決まりますと、賛成派と反対派に非常に二分してしまう。これが遺恨を残して田舎の選挙のように、もういまだにあのときの賛成派、反対派、こういうことが分断化というような嫌なしこりが残るということが一番見られます。

 私どもの組織は、厚生労働省ですから、安全・安心ということで、まさにそういうことで国民の健康を守るために病気にさせちゃいけないから衛生管理をしながらやっていくということがもう一つの肩書なんですけども、一つは、商売がちゃんと持続できるということが大変大事でございます。

 そうすると、今回のような二分化しないような形を何とか取れないかというと、将来に対する、やはり営業者の心配する問題、この辺をしっかりと片づけるような形でのきちんとした説明、あるいは裏づけの文言が入った形でワンパッケージを行わないと、反対派というのは絶対になくなりませんし、要するに生活に対する営業の不安、これを払拭しない限りは、大丈夫ですよというだけの説明では絶対納得しないわけです。石川さんも先ほど言われたように、どうもそういう影響が出るということが、もう当たり前のようにみんな知っていますから、そうなった場合、どうするか。あるいは、地域の魅力であるような、そういうフィールドで湯気が出なくなったと、じゃあもう湯気も出しましょうというぐらいの、そういうバックアップがなければ、要するに観光の一つのそういうフィールドで活動する我々としては将来がなくなる、したがって、先ほどあったように、少数ですから、いなくなっちゃう。要するにモチベーションも下がって、やっていったってしようがないよと、声が届かないということでやめてしまうというところが出ます。今回もコロナウイルスで国は大変いろいろ我々のほうにやってはくれておりますが、間違いなく、こういう衝撃の中でなくなる旅館施設が大変多うございます。

 そういう意味合いでは、この本来の営みの元である温泉に影響が出ないなら、出ないとしっかり言えるなら、その辺の安全・安心を、安心のほうをしっかりと文言にしていただく。これが私は必要じゃないかと。ただ、口で安全ですからだけではとてもじゃないけど賛成できない地域が当然出て、二分化して係争の元になると。悲しい結果ですから、カーボンニュートラルは政府が決めていますので、それに抗うということじゃないのですが、一つの、推進するなら安全な方法できちっと文字に入って、補償がされているということで、何かがあっても大丈夫ですよと、こうならないと、なかなか難しいのではないかというふうに思います。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 それでは、自然公園小委ですね。中静委員、お願いします。

○中静委員 パリ協定とか、カーボンニュートラル以来、気候変動に対するミティゲーションが大きな国際的な動向となっています。例えば石炭なんかは非常につらい立場になってきているわけですけど、カーボンニュートラルとか気候変動に対するものだけではなくて、最近は、生物多様性とか自然に対するものに対しても非常に厳しくなっている。例えばTCFDというような形で企業がどれだけ二酸化炭素を出しているかというものに対しての情報開示って、すごく求められているわけですけど、同じようにTNFDで自然とか生態系に対して、どれぐらいインパクトをかけているかというのも、これから、厳しく企業には求められるようになってきています。ここで思い切って気候変動だけに舵を切るというのは、将来的にも得ではないと僕は思っているのですね。そういうこともよく考えたほうがよくて、平成24年とか27年の条件というのは、かなりぎりぎりのところで、保護地域を守るというところまで来ていると思うのですね。ほかの例えばエネルギーでも、自然に大きなインパクトをかけた再生可能エネルギーでも、もしかすると買ってもらえないというような事態になる可能性も僕はあると思っています。そういうことを考えると、今の規制をさらに緩めることは企業側にとっても利益にならない可能性があると思います。

 それから、規模を考えると、やっぱり先ほどから出ているように、地域還元型だったり、地域利用型だったりするというのが重要だと思いますし、そういうところで地域住民とのあつれきを生むというのは、非常にマイナスであろうというふうに思いますので、そういうことに対する配慮は最大限必要だというふうに思います。

 以上です。

○下村小委員長 はい。それでは、江﨑委員からご意見いただいて、それから吉田委員、深町委員に参りましょう。

○江﨑委員 ありがとうございます。ふだん、私も国立公園に住んでおりますので、そういう立場も踏まえてなんですけれども、個別のこれからの案件に対して、どういうふうに基準を考えるのかとかというお話かなと思っています。

 今、温泉小委員会の皆さんのお話を聞いていて、本当に切実なご意見とかを聞いていて、私も本当にそうだなと思いますし、実際、各地域の話を聞いているとやっぱり不安が大きかったりとか、どちらかというと、やっぱり国立公園とか観光地では、そういうのをやめたいという意見のほうが多いかなと思っています。

 私も実際のところは、そう思う部分があるんですけれども、これを国全体として進めていくときに、国立公園でどうなのかということを考えると、そもそも国立公園というのは地元の要望があって国立公園に指定されているものかなと思っているんですね。国立公園、地元の要望イコール、国立公園はそもそも保護という観点はもちろんありますが、自然資源を観光利用していくという観点がすごい大きいので、皆さんの意志としては、その地域を観光利用していくという戦略を大きな意志として持っているという、そういう地域の意志がそこに表れているのかなというふうに私はそもそも思うんですね。

 どういうふうに土地利用をしていくのか、資源利用をしていくのかというのは、その地域の戦略に基づいていると思いますので、それと併せて国が判断しているのが、この国立公園というものになっているので、その大きなベースをまず外さないということが一つ大事だと思います。

 自然エネルギーの活用は本当に大事なんですが、正直、国立公園内で自然エネルギーというのは風力であっても洋上であっても温泉のエネルギーであっても、全て大体景観には何らかの影響がありますので、どれを取ってもみんな嫌だという意見が必ず出てくるというのは間違いないかなと一つ思っています。

 それと、ちょっと思ったのが、優良事例という言葉がすごく気になっていまして、優良事例と簡単に一言で言ってしまうと、確かに優良事例なんですが、多分、今言われている優良事例というのは、設計段階での優良事例かなと思うんですけれども、その設計段階というか、計画段階で優良事例とされたものが、何年かたってきているうちに実態はどうなのかとか、やっぱりそこで分かってくることがあると思いますので、一旦、計画段階とか設計段階で優良事例とされたことをモデルケースとして、利用段階でどうなのかという整理に基づいて、影響がないではなくて、今考えられる影響はないけれども、未知の影響はあるはずなので、そこに対してのやっぱり技術、技術革新だとか、そういうことに対して、やっぱり民間事業者が投資していることが多いと思いますので、本来、国とかが事業としてやるならもう少し安心なんですが、民間事業者がやるという部分の不安感もありますし、そこの補填が太陽光発電でも思ったんですけど、やるときはもうどこでもやっちゃうし、できるところ全てに日本中やってしまうという傾向もあるので、やめるときにどうするんですかとか、もっと新しい技術革新をしていくときに、大体民間で問題になるのは、新しい技術革新がなされたときにより効果的だったりとか、もっといいものに変えたくても、逆に投資ができなかったりとかということもあると思うので、そういうやる人たちから技術革新とか、そういうことのために常々基金としてお金を集めておくみたいな仕組みもつくって、そうすると、新しい問題が起きてきたときに、ちゃんとそこからの利潤で投資ができたりとか、あとは、やめたくなって、例えば水蒸気を使うかもしれませんけど、もしもそれが枯渇して、じゃあもうやめますといったときに、その施設、どうするんですかって、民間がもしかしたら放置していく可能性だってあるので、そういう後始末に回せたりとか、やっぱりそういう危機マネジメントのところに使える仕組みというのも考えて、それもちゃんと責任を持って将来の自分の会社とかのリスクに備えるところまで補填した上で参加するというようなことまで考えていただくような基準にしてもらったほうがいいかなというふうに私は思いました。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 ちょっと大事な案件ですので、お時間を延長することをご容赦願いたいと思います。ただ、会場もあと30分しかないようですので、それで少なくとも7名の委員が挙手をされていますので、できるだけ手短にご意見を端的にお願いしたいと思います。

 吉田委員、深町委員、広田委員という順で参ります。

 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 ありがとうございます。非常に手短に説明させていただきます。

 私自身、中静先生のご意見にすごく賛同していて、私が言いたいことを全部、中静先生がおっしゃっていただいた気がしますので、もう一点だけ付け加えさせていただきます。やはり太陽光発電で課題が指摘している部分は十分に検討し直さなければいけないなと。3.11の後に太陽光を増やそうとして、固定価格買取制度とかを実施したのですけれども、その後の全世界的なコスト低減の見通しが若干甘くて、コストをかけ過ぎてしまい、先ほどのご意見にもありましたように、全国各地に太陽光発電のパネルが広がっていったというようなことがありました。

 何が言いたいかと言いますと、地熱発電というのはかなり長い期間がかかりますので、その間に他の再生可能エネルギーを含めて、どの程度のコスト低減がなされるのか、そうしたときに地熱発電は本当に経済的にメリットがあるのか、あるいは地域分散型のエネルギー源として役立つのかという点を慎重に検討していかなければいけないなというふうに考えております。

 その論点の一つとして、自然資源とか温泉資源というのは、多分、不可逆なんですね。一度失われてしまうと、なかなか元に戻しにくいんですけれども、エネルギーというのは特に発電というのはいろんなソースがありますので、代替的なものもあると。そういったこともありますので、そういった点、ぜひ地熱発電を考える上で、我々、気をつけていなければいけないというふうに考えております。

 以上です。

○下村小委員長 はい。深町委員、どうぞ。

○深町委員 国立公園・国定公園というのは、日本を代表する、あるいは都道府県を代表するとっても大切な自然環境であり、景観だということですので、常にどの事例においても、やはり自然公園としての価値と再エネ、自然エネルギーの利用から生み出す価値というのは両立しないといけないんじゃないかというふうに思います。

 そういう意味で、優良事例としての項目、四つ挙げてありますけれども、これら全てが数字にできることもあるし、数字にならなくても実際の世界の中で見えていくものというのがありますので、これらが誰が見ても分かるように公平に丁寧にそういった持続性も考えながらしっかりと環境省、中立な立場で大事な自然公園を引き続いていくというような観点でこれからも臨んでいってほしいなというふうに思います。

 以上です。

○下村小委員長 はい。それでは、広田委員、どうぞ。

○広田委員 はい。こういう事案について、バランスとか両立が重要だということは理解した上でなんですが、どうも景観、風致景観に対する理解、開発側の理解がやっぱり乏しいかなというのが一番の不安です。

 具体的には2点ありまして、ある場所の開発が景観上、評価する際に重要なのは、この場所の持つ性格によってその評価が変わるんだという認識がすごく重要だと思うんです。具体的に言いますと、人工物が全くないような景観のところにそういう開発を行えば、物すごく違和感があるし、規制は物すごく厳しくしなくちゃいけない。その一方で、何か類似した人工物がたくさんあるようなところに一つあるんであれば、そこは両立の余地があるということですよね。

 ですから、自然公園の中に地種区分がされているというのは、そういうこともあるわけですから、何か資料を見ますと、登山道からの見え方について厳し過ぎるじゃないかというのがありましたけれども、そもそも、そういう理解が開発側にあるのかというところがちょっと不安です。それが第1点。

 それから、第2点が、仮に立地を見て回るにしろ、修景の方法についても場所性というのが非常に重要です。資料の中に例えばログハウス風にするみたいな、ありましたけども、そのログハウス風がいいかどうかは、まさにそこの場所性によるわけで、例えば類似する観光施設だとかビジターセンターがログハウス風であれば、それは許容されるんでしょうけども、そうじゃなければ、ログハウス風がいいかどうかというのは何とも言えないわけです。

 その修景については、やっぱり世の中全体が非常に誤解があって、なんか自然環境ならログハウス風みたいな紋切り型の修景の捉え方が非常にあります。そこが非常に懸念されるところで、もうちょっと風景の価値というもの、その性格というのをやっぱり正確に開発側も理解した上で両立を図るというところがないと、やっぱりちょっと一方的な、あるいは紋切り的な対応になってしまうかなという気がしました。

 以上です。

○下村小委員長 はい。それでは、続いて愛甲、中村、苅谷委員の順に参りましょう。

 愛甲委員、どうぞ。

○愛甲委員 はい。愛甲です。

 短く3点、意見を述べさせていただきます。

 一つは、現行の基準もそうですが、特別保護地区と第1種特別地域、それから第2種、第3種特別地域の間に引いている線ですね。このまず設定の仕方自体に問題があるんではないかという意図での発言が1点です。

 そもそも、この区分自体は、国有林と国立公園等の保護規制との関係の中で生まれてきた線引きで、農林業を特別地域の中で認める場合に第2種、第3種特別地域を使うということだったと思います。風致景観上の影響を考えて、拓跋にするか、皆伐を一部認めるかというような基準になっていて、先ほど中静委員とかもご指摘されているような、現在、求められている生物多様性の観点から線引きをきちんとしているわけではないと。なので、そもそもこれを、地熱を認めるか、認めないかというときの基準に使うこと自体が、実はそもそも間違っているというのがまず1点目の指摘です。

 2点目は、そのことも考えると、逆に、これ、国立公園に指定されている場所、それから現行で特別保護地区に指定されている場所等も全て、もともとは土地所有者の意向をかなり反映した形で地種区分がされています。なので、実際には、生物多様性を保全する上で非常に重要な場所が、その守るべき場所に含まれていない可能性も非常に多くて、実際にCOP10のときにやったギャップ分析の結果などでも、公園区域外にもそういった区域があるということが分かっていますので、そういったことを踏まえなければ、公園区域内だから特別保護地区ではないからいいだろうというようなことにもならないというふうに考えていて、きちんと最新のデータを用いた生物多様性を守るということは、これは先日のG7で合意された「Nature Compact」でも言われている観点で非常に重要ですので、そういう意味でも国際的にも求められているところですし、その調整も必要だと思います。

 それからもう一点は、これは実際に起きたことですけど、事前の地表調査等で、これ、実際にニセコであったんですけど、地表調査をした際に、調査をされた業者さんが非常に大きくハイマツ等を刈り込んでしまったという問題が起きて、私もその後の復旧の計画を立てたりするものの少しアドバイスをしたりしましたが、その辺がやっぱりきちんと基準があるのか、ないのかというのもはっきりせず、事前に調査も含めて配慮がかなり必要だというふうに思います。

 その3点です。以上です。

○下村小委員長 それでは、中村委員。

○中村委員 愛甲さんが今おっしゃられたことは、多分、長期の考え方として、すごく重要だと思いますし、私も同意したいです。

 ただ、今回の多分ミッションは、もっと現在ある法律の中でどうやって、この地熱の問題を解決していけばいいかという議論になりそうな気がするので、その観点から述べます。私は今回のターゲットは、第2種、第3種特別保護地区になるのではないかなという感じがしました。間違っていたら、コメントをいただきたいのですけども、事務局のほうから。

 特別保護地区と第1種については、やはり明確な基準があって、第2種、第3種については、それまでの土地利用というか、林野との関係の中で決めてきた歴史があるので、そういう意味では、第2種、第3種で一体何を保全しなくちゃいけないかというのがいま一つ文面からははっきり見えてこないという感じがします。そういう意味では、そこをもう少し具体化するということも必要なのかなという感じがしました。

 それから、現状で考えた優良事例というのが一体どういうものであるのかをちゃんとレビューしていただきたいなと思いました。既に認められている優良事例ということで、それは重要なベースラインになるとは思うので、どんな事例が認められて、どんな事例は認められなかったというのは、導入したい側としても知りたいし、また保全する側としても、そこをある程度はクリアにしていかないとやっぱり解決まで行かないのではないかなという感じがしました。

 最近起こることは、緩和策、いわゆるCOを削減するために、どちらかというと、適応的に重要な自然環境、グリーンインフラとしても重要な自然環境が劣化するという事例が結構見られます。これは、太陽パネル設置のために斜面の森林を伐採して土砂が流出するみたいな例も含めて、今回の地熱の問題についても、やはり少なくとも特別保護地区という形で指定された理由は、自然環境が豊かであるということであると思うので、それをマイナスインパクトを当ててまで地熱開発するというのは、原則避けるべきだと思います。

 要望書の中には原則とその例外を入れ替えてほしいと、つまり、原則を認めて、例外的に認めないといったようなことが書かれているのですけど、それはあまりにも筋違いじゃないかなと思うので、やはりCO削減のために現在の自然環境を壊してしまうということは、トータルとしてのインバウンドであったり、もしくは、先ほどのエネルギーとしての価値であったり、そういうものを下げることになると思うので、その辺はよくよく考えていただきたいなと思いました。

 以上です。

○下村小委員長 はい。あと、挙手が苅谷委員、関委員ですね。お二人。

 苅谷委員、どうぞ。

○苅谷委員 苅谷です。

 地形地質を専門としている立場から一言申し上げたいんですが、今回頂いた資料、あるいは、ご説明の中でやはり火山は災害の巣であるといった観点がかなり欠けるのではないかというふうに感じました。

 火山の災害といいますと、マグマが噴き出て噴火をするといったことをイメージされる方が多いのだと思いますが、実際には、斜面崩壊、あるいは土石流、山体崩壊といった噴火と直接関係のない災害も多発するわけです。特に、地熱地帯ですと、温泉のいわゆる熱水風化といった形で地盤が緩くなっている、また、そういった条件のところに近年増えている雨が、あるいは台風が襲うと一体どういうことになるのか、それによって発電設備が壊滅的なダメージを受けた場合に、どのようなことが起こるのかといった、こういった視点がどうも今日、聞いた限りではないように思われました。ぜひそういった観点で評価をしていただいた上で、国立公園、規制をかけなければいけませんけれども、一方で地熱の利用といったこと、議論をしていただきたいと思います。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、関委員、どうぞ。

○関委員 手短に申し上げます。

 先生方、もう既にたくさんおっしゃっていただいていることとかなり重なっているんですけれども、今回のこのお話、私も前提としては2種、3種の利用の中でということをターゲットにしているのかなと考えて読ませていただいているんですが、優良事例です、やはり。最後の四つ目のモニタリング、情報開示というところがありますけれども、やはりこの部分、操業後にも続けていただけるものなのか、そこまで視野に入っているのかというところを確認させていただければと思っています。

 また、今もお話がありましたが、想定外のリスクというのが確実にあるかどうか分からないですけども、そういったものが視野に入っているかどうか、例えば、操業を停止しなければいけないという、その段階の歯止めはどのようにルール化されるのかというところですね。その部分が優良事例に盛り込んでいただけると、読んでいるほうも分かりやすいかなと思いました。

 以上です。

○下村小委員長 はい。ありがとうございました。

 ほかに何か追加のご意見、ご質問ございますか。

 時間を見計らって、チャットでご意見をいただいている委員がございます。ただ、まだ会場、許されると事務局から聞きましたので、簡単にお願いしたいと思います。小泉委員ですね。それから大海委員もですね。

 はい、どうぞ。

○小泉委員 小泉です。ありがとうございます。

 チャットに書きましたように、私、意見、質問、疑問も含めて、事前にお送りしましたので、参考にしていただきたいと思います。

 ちょっと気になっているのは、資料1の13ページに主な検討事項、四つありまして、私、全く基本的な知識がないので傾斜掘削の考え方についてはコメントできませんというふうにしましたけれども、実は、この傾斜掘削というのは非常に大きな重みを持ってくるのではないか、指定地外から掘削が可能であるというようなことで議論になっていくのではないかとちょっと心配をしております。ここについて、検討会できちんと議論し、その内容は小委員会の中で開示されるということを期待したいと思います。

 以上です。どうもありがとうございました。

○下村小委員長 ありがとうございました。先ほどちょっと失礼しました。浅沼委員ですね。

○浅沼委員 産総研の浅沼でございます。

 チャットでも流したんですけども、私、モニタリング関係の仕事をしておりまして、温泉のモニタリングでありますとか微小地震、あるいは物理探査データの解析等を行っておりますけれども、やはり地熱発電がほかの環境、あるいは温泉等に影響を与えるか、与えないかということはきちんとした科学的データを取って、それを中立的な立場できちんとコンパイルをする。さらに、一番難しいのは、どのレベルに達したら影響があったというのか、あるいは影響があったといった場合に、どういう体制で補償なりを行うのかというところの枠組みをきちんと立てた上で、みんな同じテーブルで、同じデータを見ながら議論ができるようなベースを整えていくということが重要なんじゃないかなというふうに感じております。

 以上です。

○下村小委員長 はい。あと、お二人で切りたいと思いますが、敷田委員、それから宮本委員ですね。

○敷田委員 敷田です。

 皆様からいろんな意見が出ているので、それを前提としてお話をしたいと思いますが、最初に説明をされました優良事例のところは非常に象徴的だと思うんですが、この優良事例の検討は、地元関係者との合意形成ということで、開発側と地元という基本的な対立構造をそのまま残したままということで進めるという設定になっています。ダイレクトに言いますと、開発する人と、それに対して守る人と、開発されるのであれば、それに対する補償をという構造が簡単に出来上がる進め方になっているので、これをどういう視点で開発するのか、先ほどから地元関係者の意志とか意図、希望とかという話が出ているのであれば、この地域関係者の合意形成ではなしに、地域との合意形成という説明になると思います。

 このような点をもう一度整理をしていただきたいということと、一番の懸念は、この開発をした後、うまくいかなかった場合に誰が責任を取るかということがはっきりしていればいいということだと思います。ほとんどの開発行為というのは、うまくいけば文句は出ないですけど、うまくいかなかった場合に非常に大きな禍根を残すので、施設の撤去も含め、開発の預託金の制度をつくるとかという厳格な管理が必要だと思います。

 以上です。

○下村小委員長 宮本委員、お願いします。

○宮本委員 2点だけコメントしたいと思います。

 私、国土審議会の委員もやっているんですけれども、6月21日に出てきた資料で、国土の長期展望専門委員会というところの取りまとめ資料というのを拝見しました。そこで、再エネの利用の適地と需要地が不一致であるので、広域で電力を融通し合うというプレートが出てきていましたので、そういうことを考えますと、先ほど、ほかの委員がおっしゃった地産地消というのではなくて、ほかの地域に電力を供給する場となり得るのかなということをちょっと懸念しています。

 それともう一つは、つくる前からこういうことを言うとなんですけれども、太陽光発電でも、数十年後の廃棄物のことについて懸念があるということが言われておりますので、こういう大規模設備ですと、閉鎖したときにその廃棄のコストですね。それはどのようになっているのかということが気になりましたので、何かの折に教えていただければありがたいと思います。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。様々な観点からご意見をいただきましてありがとうございました。ただ、時間もございますので、ともかくご意見を事務局のほうで承って、検討小委員会のほうでさらに検討して、また、こちらにご報告、ご議論いただく形にするということにしたいと思います。

 事務局のほうで何か今のコメント、ご意見等で何かお答えしていただくことはございますか。

○国立公園課長 国立公園課長でございます。

 非常に貴重なご意見、それぞれのお立場でいただきまして、本当にありがとうございました。今後さらに事業者団体も含めた検討会を開きたいと思っておりまして、技術的な面も含めて検討を深めたいと思いますが、当然、今日いただいたご意見をしっかり受け止めて、それも反映できるような結論に向けて検討していきたいと思っております。

 また、結論の前に、またこの小委員会のほうに状況はしっかりご報告をしてご審議いただこうと思ってございます。今後ともよろしくお願いいたします。

○下村小委員長 どうもいろいろとご意見をいただきましてありがとうございました。特に自然公園小委員会の皆様におきましては、非常に長い会議になりましたこと、議論を続けていただきましたこと、お礼申し上げたいと思います。

 それでは、ここで議論を閉じさせて、終了とさせていだきまして、進行を事務局にお返しいたします。

 皆様、どうもありがとうございました。

○事務局(清武) 下村委員長、ありがとうございました。

 委員の皆様におかれましても長時間にわたりご審議いただきありがとうございました。

 それでは、会議は以上になります。本日はありがとうございました。

午後0時23分 閉会