自然環境部会自然公園等小委員会 (第43回) 議事録

1 開 会

2 議 事

(1)尾瀬国立公園の公園区域及び公園計画の変更(第1次点検)(諮問)

(2)阿寒摩周国立公園の公園計画の変更(一部変更)(諮問)

(3)日光国立公園(日光地域)の公園計画の変更(一部変更)(諮問)

   及び日光国立公園日光地域生態系維持回復事業計画の策定について(諮問)

(4)国立公園事業の決定、廃止及び変更について(諮問)※50件程度

(5)自然公園法の施行状況等を踏まえた自然公園制度の今後の在り方について

(6)その他

3. 閉 会

4.議事録

午前9時30分 開会

○司会(国立公園課課長補佐 清武) 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会を開会いたします。

 本日はお忙しい中、当審議会にご出席いただき、ありがとうございます。

会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。

本日は、所属の委員、臨時委員9名のうち、WEBでのリモート参加も含め、7名の方のご出席をいただいておりますので、本委員会は成立しております。

次に、本日の会議運営につきまして3点ご連絡いたします。

リモート参加につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、今年の2月に中央環境審議会武内会長にご承認をいただき、当面の間、WEB会議システムによる参加についても出席とみなすこととなっております。リモート参加の委員におかれましては、音声等で不都合等がございましたら、事務局までお電話いただくか、チャット機能でお知らせください。

傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、傍聴用のWEB会議システムを用意し傍聴できるようにしております。本日は、報道機関関係者の方を含め、数名の方がWEB会議システムにて会議を傍聴されておりますので、ご承知おきください。

 また、本日、ご説明する資料につきましては、ペーパーレス化の取組を推進するため、会場にお集まりの委員につきましては、お手元にございますタブレット端末の中に格納してございます。タブレット端末の不具合などがございましたら、事務局の者にお申しつけください。

それでは、自然環境局長の鳥居からご挨拶申し上 げます。

○鳥居自然環境局長 皆さん、どうもおはようございます。

新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が出ている中、こういう形でまた今日もオンラインと、対面の併用で開催させていただきます。お忙しい中、ご参加いただきました下村先生をはじめ、関先生は本日は会場に来ていただいておりますが、WEBでのご参加の先生も含めまして、本当にありがとうございます。

 本日の委員会は、大きく三つの項目をご審議いただきます。

一つ目は、公園計画の変更等でございますが、これは阿寒摩周国立公園において、満喫プロジェクトを推進するための適正利用の推進に係る公園計画の変更でございます。

また、尾瀬国立公園におきましては、尾瀬を取り巻く社会情勢、自然環境が変化したことを踏まえまして、指定後初の点検ということで公園計画の変更をご審議いただきます。

それから、日光国立公園の日光地域におきまして、シカの被害を軽減するための生態系維持回復事業計画についてご審議いただきます。

そして二つ目が、国立公園の事業決定、あるいは、その変更、廃止に関することでございまして、これも阿寒摩周国立公園等をはじめとした合計46件の公園事業についてご審議をいただくことになります。

そして最後、3番目が、自然公園法の施行状況を踏まえた制度全般の見直し、在り方等でございます。

これまで夏以降、3回のこの検討会の小委員会でもご審議いただきまして、パブリックコメントの結果がまとまりましたので、それを踏まえた修正箇所の説明、または、その答申の取りまとめということでご審議いただければというふうに思っております。限られた時間ではございますが、忌憚のないご意見をいただければと思いますので、本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

○司会(国立公園課課長補佐 清武) それでは、ここからの議事進行につきましては、下村小委員長にお願いいたします。

 なお、リモート参加の先生方におかれましては、ご都合の許す範囲で結構ですので、ビデオはオンにしていただき、先生のお顔が見られる状態にしておいていただければ幸いです。

 それでは、下村小委員長、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 皆さん、おはようございます。

ただいま局長からご紹介があったとおり、本日は大きくは3種類の議題がありまして、答申につきましても最終案を取りまとめるという作業になります。いささか長丁場になる可能性があるとは思いますが、よろしくお付き合いのほどをお願いいたします。

 今日の会議録は後ほど事務局で作成いたしまして、本日ご出席の委員の了承を頂いた上で公開することになります。

また、議事の要旨につきましては、事務局で作成したものを私小委員長が了承した上で公開することになりますので、この点もご了解願いたいと思います。

 それでは、もう早速参ろうと思います。

まず、議事としては五つあるのですが、一つ目の計画変更に関わるもので、尾瀬国立公園、阿寒国立公園、日光国立公園、これらを一とおり事務局のほうで説明をしていただいて、その後、まとめてご質問、ご意見を伺うという形で進めたいと思います。

それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) 本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。環境省国立公園課の安藤でございます。これから阿寒摩周国立公園、尾瀬公立公園、日光国立公園の公園計画の変更及び生態系維持回復事業計画の策定につきまして、まとめてご説明をさせていただきます。

そうしましたら、まず初めに、阿寒摩周国立公園の概要からご説明させていただきます。本公園は日本最大のカルデラ地形、火山、森、湖が織りなす広大な景観が阿寒摩周国立公園のテーマとなってございまして、指定は昭和9年の12月まで遡ります。国立公園としての指定の第2期生でございまして、非常に古い公園の一つでございます。

昭和9年に指定されてから、平成29年には自然環境部会のほうでご審議いただき、阿寒国立公園から阿寒摩周国立公園への名称変更を行っておりまして、広く阿寒地域、それから、屈斜路、摩周湖がある摩周地域の2地域に分かれて指定をされてございます。

今回の一部変更ですが、国立公園満喫プロジェクトを推進するために必要な変更を行うということで、一部変更とさせていただいておりまして、大きく変更点が3点ございます。

一つ目は、保護規制計画の変更ということで、屈斜路湖の動力船規制や西別岳の植栽等規制植物及び区域の指定、二つ目は満喫プロジェクトに基づく取組を推進するための利用施設計画の見直し、最後に三つ目ですが、保護施設計画の追加を行います。まず保護規制計画の変更についてご説明をさせていただきます。

まず、乗入れ規制区域の設定でございますが、現状、この黒い車線で区切られている範囲、それから、特別保護地区に関しては、車馬等の乗入規制が既にかかっております。それに加えまして、今回、屈斜路湖において、乗入規制区域の追加を行うというものでございます。

経緯といたしましては、今まで屈斜路湖において、水上バイクであったりだとか、釣り船等の動力船による一部の暴走行為であったりだとか、湖岸各所への無秩序な発着等が十数年来繰り返されておりまして、風致上であったり、利用の安全性の観点から非常に危険があったということでございまして、大体、1990年代の前後から、こういった事例が見られるようになってきたというふうに聞いております。

その後、屈斜路湖の適正利用の連絡協議会というものが立ち上がりまして、そこで自主ルールを策定し、HP、発着場(ウォータースポーツ交流公園)での案内やその関係各所で合同巡視を行いまして、ルールの遵守を呼びかけてきましたが、その中でもルールを守らない利用者というのが跡を絶たなかったということで、2018年以降は、そのルールが守られない場合には、屈斜路湖の動力船の利用そのものを制限する可能性についても、この協議会でずっと言及をしてきていたということだったのですが、そのような状況の中でも、依然としてルールを守らない利用者というものが減らなかったということで、今年度の8月開催された屈斜路湖の適正利用の連絡協議会において、乗入れ規制区域及びその規制期間を設けるよう環境省へ要請することについて弟子屈町長のほうから表明がございました。

こちらが屈斜路湖の適正利用連額協議会の自主ルールを抜粋したものでございますが、こういったものをHPで公開する、あるいは、現地において適正な利用を呼びかける等をして、普及啓発してきたというものでございます。

こういった経緯を踏まえまして、屈斜路湖の全域においてモーターボートや、動力がついた釣り船といったものに関して屈斜路湖の全域において規制をするというものでございます。

主に、利用上の問題が生じていたのは、一部のモーターボートや釣り船なので、期間に関しては結氷しない時期、4月~12月に限って動力船規制を行うというものでございます。

指定に当たっては、これまでずっと動力船の利用ができるような状態だったので、告示から効力発動まで期間を設けまして、その間に十分に周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

続きまして、植栽等規制植物及び区域の追加でございますが、こちらに関しては、実は植栽等規制植物及び区域の追加というのは、これが国内で初めての、自然公園法に基づくこの取組に関しては初めての事例でございまして、本来そこにいついてなかった植物に関して、その植栽であったり、その種子の播種を規制するものでございますが、今回、摩周湖の南東側に位置する西別岳において、その区域を新たに追加するというふうな変更案でございます。

もともと、西別岳においては、コマクサが自生していなかったのですが、近年、コマクサが人為的に持ち込まれて、実際に生育が確認されているというふうな事例がございました。

道内においても支笏洞爺国立公園の樽前山であったり、羊蹄山、あるいは、天塩岳においてコマクサが播種され、それが定着に結びついたというような事例ございまして、こういった山域では、実際にコマクサの除去を行っているということでございます。

これらの山域と同様に、その高山帯における風衝荒原が西別岳においても山頂付近に存在しておりまして、実際にコマクサがそこで見つかっているのですが、今後、実際、西別岳においても、これらが定着する可能性というのが否定できないということで、実際に専門家のヒアリング等も踏まえまして、予防原則の観点から初期段階での対応が必要であろうということで、今回、植栽等規制植物と区域の追加を検討するに至りました。

区域の指定案でございますが、西別岳周辺において、人為的な持込みの可能性が特に考えられる範囲、実際に登山道が通っている範囲と、その周辺部を植栽等規制区域とし、こちらの区域内で、コマクサの播種であったり、植栽を規制するというものでございます。

実際に、左下に写真掲載しておりますけれども、登山口においてコマクサを播種しないでくださいというような、普及啓発を既にさせていただいております。

続きまして、利用施設計画の変更でございますが、1点目がまず集団施設地区の変更でございます。

こちらは新たな整備を伴うような変更ではございません。右側にある図面でございますが、阿寒湖畔エコミュージアムセンターの附帯として整備された森のこみちというものがございます。こちらについては、阿寒湖畔集団施設地区の一つである阿寒湖畔エコミュージアムセンタと同様に一体的に管理いていくべき歩道だったのですが、一部、その集団施設地区の区域から外れていたということで、一帯の事業として見るために、森のこみちが含まれている範囲をその集団施設地区として拡張いたしまして、一体的に管理するというふうな整理の案件でございます。

続きまして、満喫プロジェクトに関係するものでございますが、阿寒摩周国立公園ステップアッププログラムの中に、その「地域の魅力を生かしたロングトレイルの設定」を進めるというふうなものがございまして、こちらが実際にそのステップアッププログラムを抜粋したものでございますが、2021年以降、さらに展開してく取組として、このトレイルネットワーク、歩いて長期間滞在する、旅行を推進するためのトレイル整備というものをやっていくということが掲げられてございまして、地域において環境省も関わりを持ちながら、ロングトレイル構想というものを進めてきました。

その中で、こちら図面を出させていただいていますが、道東3空港を繋ぐロングトレイル構想というものを地域で作りまして、根室、女満別、それから、釧路空港を繋ぎながら、その国立公園の中を楽しんでいただくというような構想を立ち上げてございまして、今回はこの構想に基づいて設定された歩道に関して、必要な部分を公園計画に位置づけていくというような変更点でございます。

一つは、屈斜路・阿寒カルデラ縦走線と避難小屋計画の追加でございますが、これまで阿寒湖を主体とする阿寒地域と屈斜路・摩周湖がある摩周地域をつなぐ歩ける道というものが今まで存在していなかったのですが、その地域の一体性を高めていくためにも、その屈斜路・阿寒カルデラを繋ぐ道というのが今後必要になってくるであろうということで、新たに今回計画に追加するというものでございます。

こちらは道がかなり長いので、避難小屋計画を同時に策定しまして、道中、避難できる場所というものを確保するというような計画でございます。

それから、神の子池摩周湖探勝線と美留和摩周湖線ですが、こちらもそのトレイルネットワークに基づいて、主に摩周湖周辺に関して歩いていただける道を確保していくというものでございます。

それから、屈斜路湖周辺におかれましても、外輪山、それから、屈斜路湖の内部というか、湖岸沿いを歩ける道を今回計画に位置づけて、屈斜路湖周辺を周遊して楽しんでいただく道を今回位置づけるというものでございます。

これまでにご説明した路線は、現地の職員が地域の関係者と一緒にこの当該地を実際に歩きまして、基本的には旧作業道や、既に歩かれているフットパスがあるような場所を主に選定して歩道計画に位置づけているのですが、一部区間においては、実際にもう笹がかなり生い茂っていて、笹刈りをしなければならないような区間も存在しているというふうに聞いております。そういったところに関しては地域と連携いたしまして、笹刈り等の管理をしながら歩道の管理をしていくということを今後検討していくふうに考えております。

また、川湯温泉周辺においては、一つは川湯硫黄山線、こちら路線の延長になりますが、硫黄山を楽しんでいただく歩道を新たに計画上追加いたします。こちらに関しては弟子屈町がメインになりまして、硫黄山を実際に歩いていただくものです。硫黄山は火山帯ということもあって危険も伴うので、ガイド付に限定した利用を今後推進していくということで、今回新たに計画に位置づけます。

赤エゾマツの森探勝路線に関しましては、こちら既に一般の方が歩かれている既存の道がありまして、そこをきちんと今回は計画に位置づけて、事業決定、事業執行をしていくというようなものでございます。

最後、保護施設計画の変更でございますが、こちら阿寒湖のシュリコマベツ湾で、マリモ生育地再生のための施設を追加するものでございます。

阿寒湖は現在、世界で唯一、大型の球状マリモが生育する湖でございますが、右側に図面を載せておりますシュリコマベツ湾では、20世紀初頭の森林伐採、あるいは電源開発で、その土砂の流入や湖水面の低下によって、球状マリモの群生地がこちらで消失しております。

その後、マリモの衰退に危機感をもった現地で、マリモの保全管理計画というものを策定しているのですが、その中で、シュリコマベツ湾におけるマリモ生育地の復元再生と当該地を「マリモを学ぶ場」とすることについて言及しています。

 今回、そういった取組を進めていくために、同時に満喫プロジェクトの中で、そのマリモの生育地再生のための取組を体験するプログラムの開発を検討しておりまして、今後、マリモを市民参加型の体験プログラムとして生育地再生を進めていくために、今回新たに植生復元施設を追加いたします。こちらはマリモを丸めて湖の中に固定して、それが生育していく様子を観察するとか、実際に研究するというものなのですが、そういった取組を今回は計画上に位置づけるというものでございます。

最後、パブリックコメントですが、今回、電子メールによるものが61通来ておりまして、事前に配付させていただいた資料の中にパブリックコメントを一式つけてございます。

基本的には、屈斜路湖の動力船規制に関する賛成のご意見、それから、反対のご意見を多くいただいておりまして、それぞれ回答をさせていただいてございます。

阿寒摩周国立公園については以上になります。続きまして、尾瀬国立公園でございます。

尾瀬国立公園に関しては、第1次点検になります。日本の自然保護運動発祥の地ということでございまして、こちらも指定は昭和9年まで遡りまして、日光国立公園の一部として尾瀬地域が指定されております。平成19年に日光国立公園から分離独立して、尾瀬国立公園として誕生しました。今回、尾瀬国立公園としては初めての点検になります。

実は、指定されてから10年以上が経過しており、尾瀬国立公園を取り巻く様々な状況の変化というものがございました「新・尾瀬ビジョン」というものが2018年に新たに策定されました。 

そういった中で、公園計画に関しましても、このタイミングで実際に点検を進めておいたほうがよいということで、今回諮問させていただくということに至りました。ただ、実際に点検作業、地域の皆様も含めて進めてみたのですが、変更すべきところがあまりなく、今回の変更に関しては非常に軽微なものになってございます。

こちら新・尾瀬ビジョンの概要でございますが、2006年に尾瀬ビジョンが誕生していまして、それにも記載されているとおり、分離独立を果たし、今回、2018年から新たに今後の20年後の将来を見据えたビジョンとして、こういったものを策定しております。こちらはご参考です。

今回の変更点に関しまして、非常に軽微なのですが、一つ区域の明確化がございまして、こちらは実際に線形そのものが変わるわけではないのですが、定義の修正、県界から300m界と言っていたものを国立公園界から300m界に修正するというものが1点。

それから、利用施設計画の変更でございますが、集団施設地区に計画目標、それぞれの集団施設地区、計画目標というものを記載しておりますが、それを実態に合わせて、例えば、自然体験や施設の充実に関して追記を行うというもので、集団施設地区の区域等の変更を行うものではございません。

また、利用施設計画に関して、歩道の削除、実際に供用されていない、または今後、供用される見込みのない会津駒ヶ岳登山線の一部や小沢平裏燧線の一部について計画の削除を行います。

 また、単独施設に関しても、下ノ原園地、それから、渋沢温泉園地に関しては、実際に供用されておらず、今後、整備の見込みがない場所に関して削除を行うというものでございます。

パブリックコメントに関しては1通来てございまして、お手元に配付した資料のとおりでございます。

続きまして、日光国立公園の生態系維持回復事業計画の策定についてご説明をさせていただきます。

説明者は、私から代わって木村のほうからご説明をさせていただきます。

○司会(国立公園課課長補佐 清武) 今、準備しておりますので少々お待ちください。

○事務局(国立公園課生態系事業係 木村) 失礼いたしました。国立公園課の木村と申します。

 まず、今回の生態系維持回復事業についてですが、公園計画における生態系維持回復計画というものを策定しまして、今般、その中に生態系維持回復事業計画を策定いたします。それによりまして、この計画に基づく確認及び認定を受けた地方公共団体及び民間の行為については、自然公園法の手続が不要になるという制度でございます。

 今回が12例目ということになります。 

 日光国立公園ですが、今回は二ホンジカを対象とした計画になっておりまして、もともと二ホンジカが生息している地域なのですが、昭和59年、大雪が降っていた時期は定期的にニホンジカが減るということだったのですが、大雪が降らなくなってからはニホンジカが増加するということが確認されておりまして、高山植物、それから、湿原植物、林松の植生等に大きな影響を与えているという状況でございます。

 これまでの取組としまして、1993年にシラネアオイの保護のための電気柵を設置したことを皮切りに、2001年には戦場ヶ原、小田代原を含む、周辺森林域を囲む防護柵を設置しております。これは環境省で設置しておりまして、総延長17kmという膨大なものになっております。

 2019年には、尾瀬と日光の広域連携をするために、尾瀬・日光国立公園ニホンジカ対策協議会を設置いたしまして、2020年にはその実施計画であります尾瀬・日光国立公園ニホンジカ対策方針を定めておりまして、こちらは関係13団体からなる計画というふうになっております。

 これまでの取組としましては、行動圏の把握、生息状況の把握、植生の影響の把握、植生の保護、それから、ニホンジカの捕獲というものでございます。個別にご説明いたします。

 まず、行動圏の把握ですが、これはニホンジカにGPSの首輪を取付けまして、その季節移動について記録を取ったものでございますが、まず夏から秋については、この地域のニホンジカの群れは尾瀬ヶ原周辺によりまして、それが冬になりますと、日光、足尾といった地域に移動するということでございまして、またポイントとして集中して通過する場所があるということが分かっております。

 越冬地として、男体山、足尾で個体数が多いということも把握されております。

 また個体数の把握ですが、近年の傾向としましては、ほぼ横ばいでありますが、足尾地域の個体が多いということが把握されております。

 続きまして、植生の面的な把握ですが、やはり個体数が多い足尾地域で植生の被害が大きいということが分かっております。こちら赤色が特に植生の影響が大きい場所ということでございます。

 そして、植生保護柵ですが、戦場ヶ原、それから、小田代原周辺で設置しておりまして、平成13年の設置から草本の植被率が回復している傾向が見てとれるかと思います。

 そして、その柵の構造はこのようになってございます。

 ニホンジカの捕獲ですが、日光地域よりも広くカバーしております。この協議会での対策の地域としましては、現在は2,000頭程度で推移しているという状況でございます。日光地域はこの辺りでございます。

 まとめですが、日光地域については、植生保護柵の外については、ニホンジカによります植物の被食によりまして、ニホンジカが好まない植物が増えているという状況が確認されておりまして、柵の中については植物が回復しているという状況が分かっております。

 そして、越冬地になっております日光地域の足尾地域では個体数が多いということで、今後、捕獲を強化していく必要があるというふうに考えられています。

 尾瀬と日光で広域協議会というのを設置しておりますが、そもそもどのような連携をしているかということでございますが、まず生態系維持回復事業計画におきまして、尾瀬国立公園との広域連携について記載をしております。そして、その中で両公園を包括する実施計画であります尾瀬・日光国立公園ニホンジカ対策方針におきまして、関係団体、機関が連携して捕獲等の対策を行うということにしております。

 また、モニタリングの調査におきまして、両公園を行き来しているシカの個体群の季節移動を把握しておりまして、その情報を定期的に関係団体に提供することによりまして、種の捕獲であったり、有害保護区等に生かしていただいているというような状況でございます。

 また、各種データの様式を共通化することによって、データの蓄積、それから、事業の目標達成に向けた進捗の把握を行っているところでございます。

 このように、既に日光地域では様々なニホンジカの対策を行っているところではございますが、新たに生態系維持回復事業計画を策定する理由としまして、既に行っている対策方針の法定計画化によりまして広域連携の実効性を担保しようということが一つ。

 それから、戦場ヶ原のシカ防護柵に加えて、高標高域でのシカの捕獲が必要というふうに言われておりますので、法定計画化することによりまして、関係機関での予算担保につながるということ。

 それから、生態系維持回復事業計画の「確認」という手続を受けることによりまして、栃木県、それから、日光市の取組に関わる自然公園法の手続が省略できるということによりまして、事業の迅速化が図れるというふうに考えております。

 生態系維持回復事業計画の内容でございますが、目標としましては、日光地域におけるニホンジカの生息密度を低減させて、適切な生息密度を保つことによって、健全な植生の維持・更新に支障がない状態を維持するということとしております。

 策定としましては、農林水産省、環境省の共管になりまして、日光国立公園の日光地域全体をカバーする内容となっております。

 具体の内容でございますが、基本的には既存の取組の継続という形になりますが、ニホンジカによる植生の影響の把握として、柵の内外での影響について調査を行います。

 それから、ニホンジカの個体数や季節移動のルート等について調査を行います。

 また、銃器、くくりわな等におきましてニホンジカの捕獲を行ったり、戦場ヶ原の侵入防止策の管理を継続いたします。

 それから、それらに附随する取組についても実施いたします。

 この計画につきましては5年を目途に点検を行って、必要に応じた見直しを行うこととしておりまして、また関係法令等の連携、整合性についても図ることとしております。

 それぞれの役割分担については以下のとおりとなっておりまして、林野庁とは重複が多いのですが、林野庁は、良好な天然林、または人工林で被害が多い森林を対象としておりまして、環境省では戦場ヶ原の湿原とか、その周辺の森林域で行うということとしておりまして、森林域については一部両省で対応が重なるところもあるのですが、こちらについてはニホンジカの影響が大きく出ているというところでもありますので、双方で連携して捕獲圧を高めるという計画をしております。

 説明は以上になります。

○下村小委員長 どうもありがとうございました。

 阿寒摩周国立公園、それから、尾瀬国立公園、そして、日光国立公園につきましては今ご説明がありましたとおり、生態系維持回復事業計画の策定をして、それを公園計画に位置づけるというものでございました。

 それでは、この三つの議題につきまして、ご質問、ご意見を賜りたいと思います。会場に来ていただいている関委員につきましては名札を立てていただいて、それから、リモート参加の委員の皆様におかれましては、Web画面上の参加者リストのご自身の名前の横に挙手ボタンがございますので、それを押していただいて、挙手の表示をお願いしたいと思います。

 それでは、質疑応答に参りたいと思います。ご意見のある方は挙手をお願いします。いかがでしょうか。

それでは、大黒委員、それから、広田委員の順に参りましょう。

大黒委員、よろしくお願いします。

○大黒委員 ご説明ありがとうございます。1点、阿寒摩周国立公園の西別岳のコマクサの問題について質問です。

 これ予防原則の観点から、その範囲を指定したということですが、具体的にこの範囲をどのように定めたのか、予防の原則ということであれば広めの設定が必要なのではないかというふうに考えるのですが、この区域の指定だけで十分なのかということを確認させていただきたいと思います。

 それから、もう1点、既に道内で羊蹄山や天塩岳において、もう既に人為的に移行播種が行われて定着している事例があるということですが、これは現状、どのように扱っているのか、あるいは、何か既に生態系に対して問題が起きているのかということについてお聞かせいただければと思います。

○下村小委員長 それでは、広田委員、お願いします。

○広田委員 屈斜路湖の湖面利用の規制についてですが、その規制に反対するというパブコメの意見の内容とその背景を補足説明をいただきたいです。

○下村小委員長 それでいいですか。

それでは続いて、宮本委員、それから、吉田委員、お願いします。

○宮本委員 宮本です。発言の機会をいただき、ありがとうございます。

 私も阿寒摩周のコマクサの件についてお伺いしたいと思います。

 このように人為的に播種等で保護区の中に植物が植え込まれて、それを規制するという事例は非常にめずらしいことなのか、それとも、ほかの国立公園等でも、かなりこういう規制は現在も行われているのかというようなことについてご説明をお願いしたいと思います。

 背景にございますのは、20年~30年ぐらい前になりますが、農学系の研究者の一部の方を中心にして、人為的に希少植物を増やして植え戻そうというような研究や事業が活発化した時期があるということを記憶しております。

 私以外にも、この中環審の委員を以前務めておられた生態学の研究者の方等が協力を求められて、そのときに、そういうことは非常にまずいのではないかというようなお話をしたのですが、善意でやっていらっしゃることだったり、結構大きい事業もあったかと思うのですが、全国的に、例えば、フクジュソウ、カタクリ、エビネのようなランを人為的に増やして、植栽し直そうというようなことをやっていらっしゃった方、あるいは、やろうとなさっていた方はかなりいらっしゃったかと思います。現在はそういったものは規制するという方向に行っていて、例えば、阿寒摩周の例のように区域を定めて、ここにはもうこれを植えては駄目だというようなことをアピールすることは、非常に重要だと思うのですが、それがかなり一般化しているのかどうかということについて教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 続きまして、吉田委員、お願いします。

○吉田委員 屈斜路湖のところで、水上バイクや釣り船等に関して自主ルールを作っても、これを守らない人たちが多くて、今回、保護規制計画の変更ということになりました。これはこれで問題ないと思いますが、ここを規制すると、ほかのところに屈斜路湖の利用者が行ってしまい、また新たな問題を起こすというような可能性について、おそらく既に検討されているとは思うのですが、何かそういう懸念などがあれば、教えていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 それでは、まずここで切りましょう。事務局、お願いします。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) ご質問、ご指摘等ありがとうございました。

 まず、大黒委員からご質問ありました阿寒摩周国立公園の西別岳の関係ですが、ご指摘のとおり、予防原則の観点を踏まえまして、範囲を広めに設定してございます。

 具体的には国有林の林班界であったり、行政界を活用して線を引いており、それに関しては管理上のやりやすさの観点から線を引いているのですが、その線を選定する根拠としては、まずはその登山道が入っている範囲であったり、風衝草原やその周辺のダケカンバ林などを少し広めに設定をしてございます。

 また、事例に関してですが、道内、例えば羊蹄山、あるいは、樽前山で実際にコマクサが播種され生育をしておりますけれども、そちらに関しては、環境省のほうで例えばパークボランティアと一緒に、コマクサの除去活動を毎年行っているというふうには聞いてございます。

 それから2点目は、広田委員からご質問のありました動力船規制に関するパブコメのご意見ですが、配付した資料に網羅的に書かせていただいていますが、主にその賛成意見に関しては、屈斜路湖周辺に住まれている方、あるいは、事業としてカヌーで実際にガイドをされているような方などから、実際にそういった利用をしていくに当たって、動力船がうるさかったり、あるいは、利用上のあつれきがあったりしたというふうなご意見がありました。

 また、他方で反対意見といたしましては、そのプレジャーボートの愛好家の方々から、実際に屈斜路湖の中で、確かに、そういう暴走行為に近いようなこともあるが、他方でルールを守って実際に動力船を楽しまれている方もいるというふうなことで、今の段階で動力船規制をかけるということは、少し早いのではないかというようなご意見もございました。

 そちらに関して回答といたしましては、従前よりご説明の中で申し上げたとおり、適正利用の協議会の中で議論をしてきたということを踏まえて、今回、その状況をずっと見守ってきたけれども、なかなかなくならなかったということで規制をかけさせていただきますというような回答をさせていただいております。屈斜路湖の動力船規制のパブコメに関しましては、そのような形でございます。

 また、宮本委員からご質問のありましたコマクサの関係なのですが、こちらに関しましては、平成21年の法改正の中で、その特別保護地区に関しては、特別保護地区であれば自動的に植物の植栽、あるいは、播種が規制されるとございます。

 特別地域に関しては、今回初めてやらせていただく案を示させていただきましたが、こういった環境大臣が指定する区域内において、特定の種に関して播種、あるいは、植栽が規制されるというものでございます。

 道内、先ほど申し上げた樽前山や羊蹄山に関しては、山頂付近が特別保護地区になっておりますので、もう既に規制がされているというものでございます。

 最後に、吉田委員からご質問のありました、規制をすることで新たな問題が道内他地域で生じるのではないかというふうなご質問がございましたが、こちら実はパブリックコメントの中でもそういったご意見がございました。

 まずは、その屈斜路湖において問題が生じているということで、取り組ませていただいてますが、例えば、道内にはほかにも湖があるので、そういったところに利用が移っていった場合には、そちらのほうでまた個別にご検討をしていく必要があるのかなというふうに考えております。

 本日、阿寒摩周国立公園の管理事務所からもWeb会議で参加しておりますので、今の私の説明に関して補足等あればいただきたいのですが、阿寒摩周事務所、聞こえていますでしょうか。

○事務局(阿寒摩周国立公園管理事務所長 笹渕) 少しだけ補足をさせていただきますが、まず、コマクサの規定をする範囲の指定について、十分に範囲がカバーできているのかというような趣旨のご質問だったと思っていますが、事務局からの説明で問題はないのですが、1点、その地図上で見ると、西別岳の隣に摩周岳という山があって、そこも高山帯でコマクサがもしかしたら生育できる可能性がある場所なのですが、そちらについては先ほど安藤係長からも説明あったように、特別保護地区に指定をされているので、今回もその植物等の規制区域に加えなくても、既に規制がかかっているということでカバーができているというふうに言えると思っております。

 それから、屈斜路湖の乗入れ規制につきましては、ここはかなり地元でも長年懸案として議論をされてきたところでして、かなり住民の方、あるいは、その地元のガイドの方から動力船の規制を何とかしてほしいと声があがりました。

 地元の弟子屈町の町長のほうもずっと検討はしており、うまく共存できるように自主的なルールを作って守るように呼びかけてきたのですが、なかなかそういったことが守られずに、事故等もずっと続いており、悪い状態も続いているというようなこともあって、弟子屈町のほうでも、国立公園の制度の中で規制をかけてほしいというふうな要望もありまして、環境省のほうで今回の制度を検討したということでございます。

 補足については以上になります。

○下村小委員長 ありがとうございました。広田委員お願いいたします。

○広田委員 はい、では、簡単に。

 よほどひどい状況だろうなというのは理解できるのですが、パブコメも読ませていただいて、恐らく、自主規制をある程度守っている利用者の方からの意見なのかなという気がしたので、少し質問をさせていただいたのですが、多くの人はその動力船の利用自主ルールを守っているが、一部の不心得者がいるのか、あるいは、もう大半のプレジャーボート等がそういう自主ルールみたいなものを守ってないのか、そこら辺はどうなのですか。

○事務局(阿寒摩周国立公園管理事務所長 笹渕) そこは統計的にどのぐらいの割合というのは、なかなかお示しすることは難しいのですが、基本的にはきちんとやっている方がいるということは我々も把握していますが、そういう方のほうが一部で、多くの方はやはりマナーが悪い方が多いというところで、非常に一部のマナーを守ってしっかりと利用されている方にとっては、すごく忸怩たる思いがあり、今回のパブコメでも意見を頂いたのかなとは思っておりますが、仕方がない状況に追い込まれてしまったということかと思います。

○広田委員 はい、ありがとうございました。結構です。

○下村小委員長 ほかの先生方はよろしいですか。

 それでは、失礼しました。桜井委員、質問をお願いします。

○桜井委員 ありがとうございます。

 屈斜路湖ですが、たしか20年代に漁業組合が廃止された後、ある意味では、自主的なルールで釣り等も規制されていると思うのですが、先ほど言いました、動力船は駄目だが、非動力船での釣りは可能なのか、また、湖岸での釣りに対するルールがあるのか。ここにはヒメマス、アメマス、サクラマス、それから、ニジマスと、かなりいろんな魚種がいるのですが、一応放流はルール化されているようですが、何かそれに関連した情報があれば教えてください。

 以上です。

○下村小委員長 では、敷田先生、お願いします。

○敷田委員 私も関連してですが、この屈斜路湖の規制ですが、規制の理由になっているのは、風致、これも曖昧ですが、それと利用の安全性ですが、これを根拠に今回進めるということでよいかという確認です。

 それと、この説明資料の9ページだと、動力船で混雑する様子となっているのですが、動力船じゃないものがたくさん映っているのですが、混雑の状況というよりも、事故が起こるとかそういうことなのでしょうか。説明と説明資料との関係を教えてください。

 あと2点目なのですが、ウォータースポーツ交流公園ということなのですが、恐らく動力船の発着場所のアクセスとコントロールのほうが重要だと思うのですが、この点、町は努力をしたのかとか、その関連のところを教えてください。

 以上2点、お願いします。

○下村小委員長 ほかはいらっしゃいませんでしょうか。大丈夫ですか。

 では、追加質問ですね。よろしくお願いします。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) まず、桜井委員からご質問のありました漁業の関係につきましては、笹渕所長のほうからご説明いただいてもよろしいでしょうか。

○事務局(阿寒摩周国立公園管理事務所長 笹渕) では、まず漁業の件についてお答えしますが、桜井委員のご指摘によると、現在は漁協が廃止されて屈斜路湖ではないという状況です。なので、通常であれば、こういった湖だと漁協があって、そこを中心にルールを作ってやっているのですが、屈斜路湖については、その適正利用協議会というところで自主的なルールを定めてやっています。

 ただ、キャッチ・アンド・リリースですとか、そういったことはあるのですが、どこで釣っていいとか駄目とか、どのぐらいの量だったら構わないとか、そういった具体的なルールがあるわけではなくて、ただ、現在は屈斜路湖のほうで、これからその利用を適正化していく上でも、やはりその漁協が必要だろうという質問にはなっておりまして、町のほうでその漁協を作って、改めてそういった釣りも含めたルール作りに、これからしっかりと検討していくということで聞いております。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) 続きまして、敷田委員からご指摘のございました、屈斜路湖、説明資料の関係ですが、こちらご指摘のように、写真では動力船で混雑する様子ということで、奥のほうに実は動力船が映っているのですが、手前にはご指摘のとおりで非動力船が映っております。この写真でご説明したかったのは、当然、その計画書に書かせていただいているとおり、そのモーターボート等が走ることによって生じる音の関係であったり、あるいは、実際にスクリューによって植物への影響が確認されているというところで、そういった風致上の問題もあれば、他方でこういう非動力船への利用とのあつれきといったようなことも確認されているということを表現させていただきたくて写真を掲載いたしました。

 また、発着場のコントロールに関しては、ご指摘のとおり、ウォータースポーツ公園がございまして、そういったものも含めながら、利用ルールの中には記載されておるところでございまして、この点に関して、笹渕所長のほうから補足等あればいただきたいのですが、よろしいでしょうか。

○事務局(阿寒摩周国立公園管理事務所長 笹渕) ウォータースポーツ交流公園は、弟子屈町が整備をして、基本的にはその動力船の乗入れについては、ウォータースポーツ公園からのみ発着を認めるという自主ルールで呼びかけをしていたのですが、湖岸のあるキャンプ場から直接ジェットスキーで乗り出したりだとか、屈斜路湖の北側の林道の見えないところから動力船を出したりだとか、かなり無秩序にやられていましたので、年に何回かは弟子屈町議会や警察も含めて、巡視活動を実施し、呼びかけ等もやってはきたのですが、そういった状況がなかなか改善をしないという状況でございました。

○下村小委員長 いかがですか。桜井委員、敷田委員、よろしいでしょうか。

○敷田委員 はい。細かくなってすみませんが、ほかの委員の疑問もここらから出ていると思うのですが、利用の安全性を根拠にコントロールをかけていいということなのですね。利用の安全性というのも曖昧で、誰にとっての安全確保なのかという問題はあると思います。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) 指定の根拠としては、風致上の支障でございまして、ほかの公園利用者が利用するに当たって、その動力船が走っていることによって影響を受ける、風致上の影響があるというものでございます。なので、根拠としては風致への影響です。

○敷田委員 ありがとうございます。であれば、明確に書いていただくほうがよいかと思いますが。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) 失礼いたしました。そのようにいたします。説明資料に関して、分かりにくい点がありまして申し訳ありませんでした。

○下村小委員長 では、それは公開に際しては明示的に書いていただくということに変更いたしましょうか。ありがとうございました。

 ほかはよろしいですか。ありましたら、挙手ボタンを押していただくとありがたいのですが、よろしいでしょうか。

 辻本先生でしょうか。では、辻本先生、お願いします。

○辻本委員 シカ害のところで、防護柵を作っているところの植生と防護柵の外の植生の違いについてご説明がありました。

 それで、防護柵の中でシカに食われるような植物が回復してきたというふうなことで、防護柵の効果というものが非常に大事だということなのですが、防護柵の外では、まだシカ害があるというふうな視点があるというお話でしたが、シカの生息数と、それから、防護柵の外も含めた植物のその数のバランスといいますか、シカの数も含めて、植生の本来の姿として目指しているところをもっておられるのでしょうか。そういうものを目指す対象があるのかどうかということを、簡単に教えていただければと思います。

○下村小委員長 それでは、事務局、お願いします。

○事務局(国立公園課生態系事業係 木村) ありがとうございました。目標について、どういった指標をもっているのかということかと思いますが、事業計画上は、健全な植生の維持更新に支障がない状態を維持することを目標とするというふうに記載しておりますが、これについては、現地においてはニホンジカの影響が低減して、下層植生や小低木の増加、回復が確認されている状況というのが一つの目安になるというふうに考えておりますが、その場所ごとによって植生等については違うと思いますので、専門家等の指示を仰ぎながら考えていきたいというふうに考えております。

○辻本委員 特に数値目標をもっているわけではなくて、数の回復が見られたらというふうなことを目安にして専門家の意見を聞くというふうに伺いましたが、そういうことでよろしいでしょうか。数の目標というのは、特に地域ごとに置いているというようなことはないのですね。

○事務局(国立公園課生態系事業係 木村) 数値目標はおっしゃっていただいたとおりございませんが、やはり、その植生のモニタリングを行っていくことが大事だとは思っておりますので、柵内外の植生の変化とか、それから、県のほうで下層植生衰退度調査というのを広域で行っておりますので、そういったものの変化によって、どのような回復が行っているかということを、引き続きモニタリングすることによって、目標の達成条件について判断していきたいというふうに考えております。

○辻本委員 ありがとうございました。

○下村小委員長 それでは、阿寒摩周国立公園、尾瀬国立公園、日光国立公園の計画変更につきましては、適当と認めることとしたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、議題の4になります。国立公園事業の決定、廃止及び変更についてということで、15の国立公園、46件の案件がありますが、また、重要な部分というか、大きな影響が考えられるものにつきまして事務局のほうから説明をいただいて、事前に他のものについては皆さんにお送りしておりますので、併せてご了解を得るという形で進めたいと思います。

 では、事務局、説明をお願いいたします。

○司会(国立公園課課長補佐 清武) 準備しておりますので少々お待ちください。

○事務局(国立公園課事業係長 鎌田) 国立公園課の鎌田と申します。これから、国立公園の事業決定等についてご説明させていただきます。冒頭、下村先生からご説明していただいたとおり、事業決定等については、大きく開発が伴うような案件についてのみ、今回ご説明させていただき、その他の案件については、資料をもって説明と代えさせていただきます。

 今回の案件については、資料4-2のほうに一覧表を用意しております。こちらのほうの今回の事業決定では、合計で46件案件があります。そのうち、5件について今回は説明案件とさせていただきます。説明案件については、資料4-3のほうにまとめておりますので、こちらをもとにご説明させていただきます。

 それでは、よろしくお願いいたします。まず1件目、支笏洞爺国立公園の支笏湖園地になります。こちらは、支笏湖地区は支笏湖ビジターセンターにおいて、年間26.8万人の利用があるなど、この支笏洞爺国立公園において主な利用の中心地であります。

 今回、こちらのほうはどういう事業決定かというと、区域面積を変更するものであります。こちらのほうは、千歳川の河川敷のほうで新たに赤い区域線のほうが拡張しております。こちらのほうへの園地事業として拡張する事業であります。

 こちらが、どのように拡張するかというところですが、先に現在の利用状況ですが、このように親水、河川敷で水遊びをするような人及びカヌー利用や水上アクティビティなどの活用がされているところです。ただ、水辺で遊ぶ人とカヌーの発着、そういった動線が重なっているので、安全性の問題であったり、水上アクティビティの利用、マナー等の問題も出てきており、地元の団体においてそれらの利用ルール等の活用の検討がされているところです。そういった状況を踏まえて、戻りまして、今回、現状利用されている親水エリアのほうの再整備を行うというものです。

 整備内容については、大きく2点あります。もともとこのように駐車場があるようなところですが、これが計画、基本設計図面となります。現在問題となっておりますように、水上エリア、水上アクティビティと水遊びをする人たちと動線が重なっているということなので、親水エリアと公共の桟橋というような形でまず利用のゾーニングを行います。

 もう一つ、こちらの写真で赤い区域のところ、現在既に第5駐車場ということで、二つの駐車場があるような状況となっております。こちらは、収容量的に片方の駐車場で現在収まる状況ですので、もう一方の片方の駐車場のほうは、芝生広場にして、親水エリアや桟橋と水上アクティビティを楽しんだ方たちが芝生広場において休息等ができるようにというような整備を行います。なので、既存二つある駐車場の片方の部分を芝生広場にするというものです。

 整備については、このようにまず親水エリアについて、桟橋と水辺に親しめるような親水エリアに利用のゾーニングを行うということと、より遊んだ人たちがその後広場で休めるようにということで、既存駐車場の一つを芝生広場にするというところです。

 安全対策というところで、当該地域については、土砂災害警戒区域から当然外れているとともに、下流に水力発電ダムがあることから、現在この地域というのは、比較的水量が安定しており、当然この地域については、まずそういった土砂災害等の、災害等からの可能性が非常に低い地域であると。それに加えて、現在地元団体等によって、この区域をどういうふうに使用するかというようなものも検討が始まっておりますし、それを踏まえて、地域全体でどのような注意喚起や普及啓発を行うかという点、そのソフト面の対策等も今検討されているところです。

 続きまして、秩父多摩甲斐国立公園の青梅塩山線道路について説明させていただきます。今回は、路線距離変更なしということで、この赤い線のところが既に決定され、執行されている青梅塩山線道路(車道)というところになります。今回の事業決定においては、路線変更箇所というような形で四角く枠をしているところの線形を変えるといったような変更でございます。

 こちらは、この区間、どういった問題があるかといいますと、非常に狭小でかつ急勾配、そういった曲がり区間も多く存在しており、山側は急峻な地形で法面も多く、露岩や浮石等も多く、現在非常に落石等が多い状況です。また、カーブも続くことから、冬季の積雪・凍結に対する安全対策も必要な状況といったような、安全上かなり課題があるようなところです。

 ただ、こちらのほうは、現在地形上どうしても拡幅工事、改良がこれ以上ちょっと難しいと。それによって、危険箇所が抜本的に解決できないというような状況がありまして、そういった地形上の状況等も考慮して、拡幅工事ではなく、トンネルや橋梁によるバイパス化を実施するというところです。

 要は、青い線が現在の線形になっているのですが、次は赤い区間にトンネルバイパス路を設けるというところで、旧路線、青い部分のほうは原状回復して、森林に回復するということになります。

 こちらは、どうしてこういうふうになるか、直線距離でどうしても結べないかというふうなところではあるのですが、どうしても地形上勾配であったり、カーブの角度であったり、道路法令上の基準を満たすためには、どうしてもこの線形でなければならないというところで、少し蛇行しているようなところがあるのですが、こちらが道路法令上の基準を踏まえた最小限の長さというようなことになります。

 工事に当たっては、支障木として道路の接続部分や仮説ヤード区間を含めて、ケヤキ・ナラ等の樹木が1,200本程度伐採されることが現在想定されているのですが、どうしてもこの部分は工事の必要最小限を踏まえた伐採で1,200本というふうになります。

 これらの伐採範囲には、特に希少種等の確認はされていないところです。渓谷斜面や周辺の山岳等に希少猛禽類の生息の可能性があるというふうなところ、そういったところや、あとレッドデータブックの絶滅危惧種等についても山梨県の各種団体等のヒアリングや指導を受けることで、工事に至ってはそういった指導を踏まえて、工事を実施するといったことを行ってまいります。

 次に、富士箱根伊豆国立公園の須走口新五合目園地になります。こちらの富士山側の須走口登山口の今、登山拠点となっているところです。こちらの事業決定は、決定ということで、新たに園地というものを事業決定するのですが、背景としては三つありまして、一つは、集中している登山者利用をこちら側にも分散させようという観点と、現在、こちらの登山口からどうしても弾丸登山であったり、誤って吉田口から登った登山者の方が須走口に下りてしまったりといったようなところがあるので、弾丸登山の人にはきちんと注意喚起であったり、必要な登山情報であったりを提供するといったようなところであったり、間違って下りた方には、帰りの案内をするといった必要があるといったところと、三つ目、現在既にバスがあるのですが、転回スペースがないので、そういったバスの転回と、登山者が近接するような事態、非常に危ないようなところがあるので、そういったもろもろの課題を踏まえて、集約をするような園地を整備するところです。

 インフォメーションセンターの整備といったようなところで、既に観光案内所、網掛けで黄色になっている部分があるのですが、そちらは解体後、先ほど申しました登山者への情報普及施設とともに、インフォメーションセンターに集約して整備すると。跡地については、バスの転回がスムーズにできるように、新たにバスの転回場や乗降場所を整備するといったことになります。

 こちらはインフォメーションセンターの図面になります。現在の1月時点案で、今後変更の可能性はあるということなのですが、大きなものをつくるといったようなものではなく、これぐらいのものになります。

 戻りまして、建設される部分は、主に火山の砂礫のようなところになっているので、基本的に何か新しく植物を大きく伐採するといったようなものではなく、何か土地造成、法面の仕上げ、盛り土についてもインフォメーションセンターで出た残土等を利用して、なるべくこの地域の土砂を利用することによって、外来種等の対策等を行う予定です。

 基本的にはそのような形で、工事内、敷地内の残土を利用するような形になるのですが、やむを得ず外部の土砂を利用する場合は、公園外からの種子混入がないように、そういった部分については十分配慮して実施する予定であります。

 次に、中部山岳国立公園の双六池宿舎でございます。こちらは、北アルプスのメインの登山ルートになり、槍・穂高連邦や奥黒部方面へと向かうメインルートであり、非常に利用者も多いような場所であります。

 今回、既に決定してある区域面積を0.05ヘクタール拡張するといったようなもので、なぜ拡張するかというと、コロナ対策というところで、現在、母屋で従業員も宿泊している状況でして、こちらのほうは、別棟に従業員宿舎を新たに別棟でつくることによって、利用者のキャパシティー、収容力に余裕をもたせるといったようなところと、南側から非常に強風対策といったようなところで、敷地の南側に石垣を整備するため、この面積の区域を拡張するといったようなものです。

 図面はこちらになるのですが、実際に特別保護地区ということなので、建てたらどういうふうになるのかというようなものの検討も行っておりまして、2点、従業員宿舎の見え方と石垣の見え方というところで、まず従業員宿舎の見え方というところで、こちらは現状このような形になっております。こちらについては、基本同系色で母屋より低いものを既存建築物付近に設置し、風致景観への影響というのを最小限にする予定です。次に、石垣になります。こちらは、現状このようになっておりまして、自然素材、石を使用することで、周辺の自然景観と調和するようにし、新たな風致景観上の支障というようなものを最低限にする予定です。既に周り等にもある程度石積みがありますので、そういったものと調和するような形、自然素材を使うといったようなところを検討しております。

 現状、大きくモンタージュのような形で検討しておりますので、今後これは設計する際、具体的にどういう素材をどういう色でというようなところで、もう一段階風致景観により支障を与えないような材料であったり、具体的な母屋の高さであったり、壁面の後退線であったりといったようなことをさらに検討する予定でございます。

 次に、住用博物展示施設という施設でございます。こちらは、奄美市が整備した道の駅「奄美大島住用」の敷地内でございます。現在、奄美群島国立公園が指定されてから、国立公園に利用拠点施設がないような状況です。こちらについて、新たに博物展示施設といったようなものをつくる予定です。

 こちらは、道の駅なのですが、既に道の駅の芝生広場になっているようなところに、博物展示施設をつくるので、これによって、また何か新たに森林を伐採するといったようなものではありません。既に、この道の駅は利用拠点にもなっており、ここの道の駅の敷地内からカヌー、トレッキング等のアクティビティを利用できる状況であります。

 具体的な展示のポイントですが、現在、この博物展示施設と道の駅というのが併設して建設されるような、既に道の駅はあるのですが、併設されるような形になるので、役割分担をしていこうということで、こちらの環境省が整備する博物展示施設については、奄美大島の特有な姿や生態など、生き物の魅力に様々な角度から触れられるような展示といったようなところで、ここの展示やあと奄美群島国立公園の各種利用拠点、そういった情報を提供することによって、各種ここを拠点として、各利用拠点に向かった際の体験の進化だったり、そこでの注意行動やマナー行動の徹底等を促すような展示をしていく予定であります。

 こちらは詳細な図面でありまして、現在既に道の駅、先ほども申しましたが、カヌー体験等もしているような場所で、詳細な図面等によってはこのような形の配置を予定しております。

 こちらが施設の立面図でございます。

 道の駅との役割分担というところで、先ほど申しましたように、こちらの住用の博物展示施設については、そういった形で大きく奄美群島全体的な動線の案内であったり、全体を通した普及啓発というような観点である一方、道の駅については、その道の駅で既にカヌー等のアクティビティ等もできることから、特にマングローブツアーやトレイルコースといったようなところで、これから向かう人が向かった先で、より理解が深くなるようにマングローブのハンズオン展示だったり、触れて学べるような展示をすることによって、アクティビティのさらなる深度を高めるような、そういった形で各施設については、連携しながら利用の促進を進めていきたいと考えております。

 以上で、説明案件5件です。

○下村小委員長 はい、ありがとうございました。比較的改変の大きな5件につきまして、資料4-3を使って説明を頂きました。

 リストは4-2でございまして、あと残りのものは資料4-4に同じような形態で各委員のお手元に届いているかと思います。

 それでは、今のご説明、あるいは公園事業の計画変更につきまして、ご質問がありましたら、また挙手ボタンを押して、お手を挙げていただき、また会場の席には名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。ご質問、ご意見はございますでしょうか。

 それでは、広田委員、吉田委員、深町委員、中村委員の順で質問をお願いします。

 どうぞ、広田委員。

○広田委員 支笏湖園地について一つ質問なのですが、計画図がありまして、小さくて見えにくいのですが、親水エリアと公共埠頭エリアを分けて、現在の利用の競合の問題を解決するというようなことだったのですが、この地図を拡大して見たのですが、公共埠頭のほうは、恐らくカヌー等をここに運び入れるのだと思うのですが、せっかく駐車場を整備するのであれば、カヌーを運び入れる人たちは、そこの公共埠頭に近い駐車場に多分とめられると思うので、何か狭苦しい感じがするのですが、ここら辺のレイアウトなどは、十分に検討された結果がこの計画図というふうに考えてよろしいのか。以上です。

○下村小委員長 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 富士箱根伊豆国立公園の須走口の件です。私自身も吉田ルートから登って、須走のほうに下りて来たときに、香港の方が迷っていて、早朝にすごく困っておりました。それで結局、友人が吉田ルートを下りていったため、そちらへ向かいたいと慌てていたのですが、東京で待ち合わせた方が早いため、須走口から公共交通機関を使って東京案内して来たことがあります。こういうインフォメーションセンターができて、外国人もきちんと利用できるようになると非常にありがたいなと個人的に思いました。

 実際に、誤って下りてしまう人というのは、何人ぐらいいるのかとか、その必要性ですね。あと、ご来光を見た後ですと暗がりの中、外国人の方が途中で吉田ルートから須走のほうに行くのを間違ってしまうようなケースが結構あると思いますので、多言語対応をしっかりと、早朝でも利用可能なようによろしくお願いしたいと考えております。以上です。

○下村小委員長 それでは、深町委員、お願いします。

○深町委員 秩父多摩甲斐国立公園についての質問なのですが、大きな工事になるような計画で、これからいろんな猛禽類のことや、希少種については検討しながらということですが、こうした線形を決める上で、どれぐらい事前情報として、動植物の分布の状況だとかというところを押さえて検討ができたのかというところと、それから、法面については、そのままにして、 周囲の森林から飛来した種子ということですが、このような場所で最終的に法面がどういう植生になるかということを前提として、こうしたやり方をとっているのか、周辺の状況とかでなかなか法面の緑化とか、自然の回復というのは難しいというふうな状況もあると聞いているのですが、その点についてはどんなものでしょうかという2点です。以上です。

○下村小委員長 それでは、中村委員、お願いします。

○中村委員 まず、支笏湖のほうでは、建物の場所が多分説明されて、私が聞き逃したのかもしれないのですが、現在建物がある場所まで区域が延長される形になるのですが、この建物についてどういう形になるのか教えてください。

 それから、深町さんから秩父多摩についてお話がありましたが、私が気になるのは、旧道がどんな形で回復されるのか。一応、ここには森林回復を図る予定と書いてあるのですが、いわゆるアスファルトを貼ったような旧道があるとすると、それをどうやって森林回復を図るのか。その辺の具体的な案があれば教えてほしいのと、あとは、よく最近トンネル技術が発達したのか、トンネルを掘るケースが多いのですが、その廃土が結構問題で、北海道の新幹線もやはり廃土問題を抱えていて、そういう意味では、ここには何か区域外に持っていくとか、普通地区に持っていくと書いてあるのですが、その廃土をどうするのか、あまり外に持っていくことも、ちゃんとした場所があればいいのですが、廃土の中には様々な有害な物質が含まれているケースも結構あるので、その辺のことを教えていただければと思います。 

 それから、写真のイメージなので、こうはならないのかもしれないのですが、中部山岳の石垣のイメージからすると、あまりにも圧迫感があって、何かもう少しこんなふうにならないようにしていただきたいなと思いました。以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、事務局、ご回答をお願いします。

○事務局(国立公園課事業係長 鎌田) まず、広田委員からあった支笏湖園地の件についてですが、こちらは現在基本設計というところなので、おおよそこのような形で、イメージで設計するようなところでございます。具体的にそういった動線上を踏まえて、さらに詳細な設計、実施設計、こちらのほうをしていくこととなりますので、そういった細かいところまで検討していないような、現在の基本設計の案というようなところになります。状況としては、これについては。なので、今後はもちろん広田委員からのご指摘もごもっともですし、地元でもいろいろとどういった具体的な整備をするか、実施設計の段階で当然もっと細かな検討はされると思うので、事務所には広田委員のご指摘等もお伝えしながら、進めていきたいと思います。

○広田委員 追加で恐縮ですが、このあずまや、ヤードと書いてあるのは、何か休憩施設というイメージなのでしょうか。

○事務局(国立公園課事業係長 鎌田) そうですね。あずまやは、基本的に休めるところと、あとヤードといったようなところで、カヌー等を一時置きできるようなところといったようなところをイメージしています。

○広田委員 基本設計ということで、了解しました。せっかく整備するのであれば、ぜひ利用者にとって使いやすいレイアウトにしたらいいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

○事務局(国立公園課事業係長 鎌田) はい、承知しました。

 次に、吉田委員からあった須走についてですが、現在、具体的にどれぐらい間違って下りてきた方がいるといったような数については把握できていないところです。ただ、問題となっているのは確かなところかなといったような感じで把握できておるので、今後必要に応じて、どういった状況があるかといったようなところも踏まえながら、それに応じて、必要なソフトといったようなものを検討する段階に移るのかなと思います。 

 もう一方で、外国人の多言語対応というようなところなのですが、当然、ここに限らず、全体的にインバウンド利用を促進するといったようなことで、多言語対応を充実させていくような方針でありますので、こちらについてもその方針に従って、多言語対応のほうにも力を入れるといったような方向性にはなるかと思います。

 次に、深町委員からの秩父多摩甲斐の国立公園なのですが、こちらは、現在、基本的な設計の段階であるので、どういった調査をしているかといったようなところ、詳細なところは現在把握しておらず申し訳ないのですが、恐らく資料の確認といったような段階であると思います。こちらは、過去の文献やヒアリングを通して、イヌワシやクマタカが生息している可能性があるところであったり、レッドデータブックや各種の調査記録からハナネコノメやミヤマスミレの分布等が確認できているといったような資料調査の段階であるといったような段階ではないかと思います。

 今後、では具体的に工事を着工するに当たって、どういったふうな施工をしていくかということについては、実際、ヒアリング等を進めながら、必要に応じて猛禽類の繁殖と調査をしながら、植物については踏査し、何があるかといったようなところを検討していくような形になるのかと思います。

 次に、法面であったり、過去の旧道、そういったものをどういった形で復旧していくかということについてですが、こちらについても現在検討中ということで、なぜ検討中かというと、具体的にどの方法が一番ベストなのかといったようなところ、まるっきりここの部分のアスファルトを全部剥がして、元に戻すといったようなものが可能かといったような議論も当然ありますし、非常に急峻な地形でありますので、周辺の種子からの自然的な植生回復に任せて問題ないのかといったような議論もありますので、そういった安全面上の問題であったり、技術的な問題であったりといったようなものを現地の状況を踏まえながら、では具体的にどういった方法が一番ベストな森林復旧になるのかといったようなことを踏まえながら検討していくような形になるかと思います。

 次に、中村委員からありました支笏湖、こちらの北側の既存施設についてなのですが、説明が不足したようで申し訳ありません。こちらは、ここの上に支笏湖温泉地区といったような形で、このスライド上に写真があります。ここの既存施設を範囲に含めるといったようなところで、既にお土産屋さんやその食堂等が運営されていたのですが、ここは集団施設地区に指定される前から存在していた施設でして、こちらは、事業者さんと公園事業として運営していくという調整が済みましたので、今後公園事業として申請していただくため、既存施設の部分を囲むように、公園事業として運営、申請できるように、範囲に含めるといったようなものであります。

 次に、青梅塩山線道路の廃土についてなのですが、こちらはそういった観点のほうもあったといったようなところで事務所にはお伝えし、施工者は県にはなると思うのですが、きちんと県に指導して、実際こちらのほうでも、そういった問題となっていることについて、きちんと検討、報告させるようにしながら、慎重にそちらの部分については、委員からの指摘も踏まえ、施工をさせるように指導してまいります。

 次に、石垣のほうなのですが、申し訳ありません。写真の色合いが悪く、圧迫感のあるような感じにはなっているのですが、どういった石材を使うかといったようなものは、当然、今後設計、実際に設計・施工という段階で、さらにもう一段階検討するようなところにはなりますので、現在決まっているのは、自然素材を使って、石材等を使って、この塀を建てようと、石垣を建てて、風致景観上の支障を軽減させようという趣旨のもので、実際このようになるものではないので、事務所にもなるべく圧迫感のないようにというようなご指摘があったということは伝えて、実際設計の段階で、どういった石材を使うかといったようなところ、より風致景観に影響がないような設計等を指導していきたいと思います。

 以上となります。

○下村小委員長 先生方、よろしいでしょうか。何かご趣旨等で追加がありましたら。

○中村委員 すみません、中村です。全体としては分かったのですが、旧道の回復の問題とか、そのトンネル問題とか、今後でいいのですが、何か開発行為をするときに、その場所ではなくて、結果的にその場所から出た廃棄物などをどこに持っていって、その持っていった場所ではきちんと環境を壊さないといった、出口まできちんと説明されたほうがいいと思います。そういう時代になっていると思いますので。リニアであれ、北海道の新幹線であれ、そういったトンネルの廃土の問題は多々起きているので、ぜひ環境省としてはその辺まで見通してほしいと思います。以上です。

○下村小委員長 はい、ありがとうございました。

○深町委員 深町ですが、よろしいでしょうか。

○下村小委員長 はい、どうぞ。

○深町委員 手続に沿ってきちんとやっていかれるとは思うのですが、資料の書き方だけの問題なのか分かりませんが、例えばですが、自然環境保全に留意した工事の検討実施を行うということなので、配慮はしますが、工事はしますというようなところが強く出ているような気がして、先ほど中村先生がおっしゃったように、やっぱりこの事業全体としてどれだけ環境に対して負荷を与えないとか、このことをやることでどういうふうな植生を目指すだとか、自然再生を目指すかというような部分が非常に曖昧で、さらに本当にそれが実施されるんだろうかというような、少し心配な気持ちになるような印象を紙の情報からですけども、受けたので、そういった部分をしっかりと最後までやっていただくような、何か強い思いというか、方針みたいなものが欲しいなというふうに思いました。以上です。

○下村小委員長 はい、ありがとうございました。あとはよろしいですか。

 事務局、今お二方から、特に秩父に関しては、少しまだ工事として大きいですし、この段階でももっと検討できることがあるだろうということだったと思うのですが、何かございますか。

○事務局(国立公園課事業係長 鎌田) はい、一定の配慮事項、通常守られるような配慮事項であったりといったようなものは当然踏んで検討はしてきたところですが、確かに2委員からのご指摘といったようなことはごもっともだと思いますので、現状まだ着工といったような段階は随分先のほうになってくるとは思いますので、現状まだ時間がある状況ですので、今回審議会でそういった指摘をもらったといったようなところで、当然もちろん県と調整をしながら事業を進めていくようなこととなると思いますので、委員からのご指摘等を踏まえながら、現場のほうにお伝えして、そういった配慮事項といったようなものをさらに確認しながらなるべく施工できるようにといった形を検討していきたいと思います。

○下村小委員長 はい。恐らく委員としては、当初からそういう取組をして、ここで説明する際にもそういった側面について配慮しているという書き方であれば、安心して了解ができるということではないかと思いますので、その点も併せて配慮願いたいと思います。

 ほかはよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。貴重な意見も頂き、事務局としても対応してくれるものと思います。

 それでは、議題4につきまして、今のご説明のありましたものだけではなくて、46件全体に対してお諮りしたいと思います。何かご異議はございませんでしょうか。

 それでは、本件につきましては、適当と認めることといたします。ありがとうございました。

 続きまして、三つ目の議題ですね。自然公園法の施行状況等を踏まえた自然公園制度の今後の在り方についてということで、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

 この間、パブリックコメントをかけて、77件のご意見を頂いておりますので、それへの対応と、最終的にどういう形で答申書をまとめるかということについて説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○事務局(国立公園課課長補佐 三宅)国立公園課の三宅です。よろしくお願いいたします。資料の投影の準備をしますので、少しお待ちいただければと思いますが、毎度のことで申し訳ありませんが、またワードの資料になっておりまして、画面上では非常に見にくくなってしまっていますので、委員の皆様、もしよろしければ、リモートでご参加の皆様、昨日、安藤のほうからメールで資料をお送りしておりますので、よろしければそちらのほうを併せてご確認いただければと思います。

 資料としては、5-1から5-3までご用意させていただいておりまして、まず5-1のほうでパブリックコメントの結果を、主な意見をかいつまんだものを簡単にご説明させていただきたいと思っております。

 その上で、5-2のほうで答申案の具体的な修正箇所についてご報告をさせていただきます。

 5-3につきましては、前回、小泉透委員からもご指摘いただいた概要版ですので、こちらはご参考までに見ていただく程度かなというふうに思っております。

 それでは、まず5-1のほうをご確認ください。前回、小委員会で様々なご意見を頂きまして、そのご意見を反映させたもので、12月18日から1月16日までパブリックコメントを実施いたしました。結果、合計77件ということで意見を頂いております。

 全体としては、特にいわゆる自然保護寄りの意見といいますか、今回はかなり利用面に重視した内容になっているのですが、あるいは、再生可能エネルギーみたいなことについても記載をさせていただいておりますが、そういったものを進めていく上で、自然環境の保全、保護への配慮というのがきちんとなされるのかといったところを確認するような意見が多かったかなといったような印象を持っております。

 特に、本文修正をするようなもの、あるいは代表的なようなものを簡単にご紹介をさせていただきます。

 資料の見方ですが、一番左側に意見の通し番号を振っております。私のほうでご説明させていただく意見、ページ数と左側の通し番号を申し上げたいと思いますので、そちらで順次追っていっていただければというふうに思っております。

 まずは、3ページのほうに進んでいただきまして、意見の番号5番ですが、管理体制のところで、登山道の管理があまり十分に行われていないといったような中身を記載したほうがよいのではないかというご意見を頂いておりますので、答申のほうにつきまして、登山道の環境整備、維持管理についても一言記載をしたいというふうに思っております。

 それから、意見の番号6番ですが、気候変動への適応ということで、ササ刈りや外来種の駆除など、現在実施しているものもあるので、現状に含めてはどうかといったようなご意見をいただきましたので、一部修正を図りたいというふうに思っております。

 それから、7番、これは結構数が多かったのですが、今回、気候変動への適応策について記載をしているところですが、緩和策としても国立・国定公園が果たしている役割、機能についても述べるべきではないかといったようなご意見をいただきましたので、自然環境が炭素の吸収・固定に役割を果たしているということ、自然環境の保全が緩和にも資するといった中身を答申のほうにも追記させていただきたいというふうに思っております。

 それから、番号9番ですが、基本的な方向性みたいな部分を書いているところで、自然環境保全の必要性をよりきちんと記載してはといったようなご意見がありましたので、こちらも答申案の修正を図りたいというふうに思っております。

 それから、続きまして、資料5-1の5ページに進ませていただきます。17番の意見でございます。利用の推進みたいな部分を書いている部分ですが、利用を進めるに当たっての自然環境への悪影響が生じないように配慮するということが大事であると。自然環境や、その環境収容力みたいなことをきちんと考慮する必要があるといったようなご意見でございましたので、自然環境の保全への配慮ということは、きちんと明記をしていきたいというふうに考えております。

 それから、続きまして、6ページに行っていただきまして、意見の番号23番でございます。先ほどと同様の意見ですが、自然体験プログラムみたいなことを進める上でも、自然環境及びその環境収容力について追記すべきということでしたので、同様に対応したいと思っております。

 それから、続きまして、意見の番号の27番、6ページから7ページにかけてですが、利用のルール、マナーみたいなところの部分への意見でございまして、利用形態が多様化していることで、利用環境にいろいろな支障が生じているという部分だったのですが、自然環境についても悪影響が生じているということを記載すべきというご意見でしたので、自然環境についても追記をしたいというふうに思っております。

 それから、意見の29番ですが、知床でのヒグマへの餌付け行為が問題であるといったような記載の部分でございましたが、餌付け行為だけではなくて、必要以上に接近することによるリスクという部分について意見として頂きましたので、こちらも追記をしていきたいというふうに思っております。

 それから、意見の番号30番です。利用者負担の部分についての意見でして、利用者負担について記載している部分について、本来国立・国定公園の保護というのは、国及び地方公共団体が担うべきものであるということを明記すべきということでしたので、公的資金ということの役割を答申のほうにも記載をしたいというふうに思っております。

 それから、続きまして、資料5-1は8ページに進ませていただきます。意見の番号37番です。国立・国定公園の総点検の部分についての意見でして、我が国の景観を代表すると共に、世界に誇りうる傑出した自然の風景であるということを追記したほうがいいのではないかといったようなことでしたので、対応していきたいというふうに思っております。

 それから、9ページに進みまして、意見の番号39番です。管理の充実・強化という部分についての意見でしたが、管理の質という部分に着目して、適切に評価をする必要があるといったようなことで意見を頂いていますので、少し表現の修正を図っていきたいというふうに思っているところです。

 それから、9ページの意見の番号44番ですが、山小屋事業者が行う環境保全とか登山者の安全確保、登山道整備等の公共性の高い事業への支援というのを検討するのではなくて、早急に行うべきといったようなご意見を頂いていますので、答申のほうの表現も少し修正をしたいというふうに考えております。

 それから、続きまして、10ページでございます。番号46番、気候変動への適応の部分でして、動植物の分布変化と景観の変化、そういったことをモニタリングをするということはきちんと書くべきではないかといったようなご意見をいただきましたので、データ収集という形で答申のほうは追記をさせていただきたいというふうに考えております。

 それから、11ページに行きまして、番号52番、それから53番ですが、ここは再生可能エネルギーの部分でございます。守るべき自然は守りつつ、地域にある資源を有効に活用するため、合意形成を図りながら、再エネ設備の設置を進めていくという部分なのですが、そういった再エネ設備の設置を進めていくに当たって、自然を守るための具体策というのを入れておく必要があるのではないかと。環境アセスメントをきちんと実施して、自然への影響を軽減ということを考えるべきではないか。

 あるいは、53番については、そもそも国立公園でそういった再エネ施設の設置・活用というのは不適切ではないかといったようなご意見をいただいております。

 考え方としては、そもそも再エネ施設の設置というのは規制がされておりまして、特別地域の中では個別に自然環境へ与える影響というのを審査して、必要があれば、いわゆる任意アセス的な動植物への影響調査みたいなものを求めて、自然環境への影響がないように対応というのは行ってきておりますし、自然と調和した再生可能エネルギーというものもあるのかなというふうに考えておるところでございます。

 それから、12ページに行きまして、55番です。こちらは単純に表現の修正でして、再エネ設備の設置に当たっての様々な影響を適切に評価する必要があるということでしたので、答申のほうは修正をしたいというふうに思っております。

 あとは、14ページに進んでいただきまして、66番の意見でございます。国立・国定公園が生物多様性の屋台骨としての機能を持っているんだということで、重要地域の買い上げを積極的に進めていく必要があるのではないかというご意見を頂きましたので、こちらも答申案のほうに特に重要な民有地の買い上げについて、現在でも行ってはおりますが、引き続き推進していく必要があるという形で修正を図らせていただきたいというふうに考えております。

 その他、各種意見も頂いておりますので、また必要に応じてご参照いただければと思いますが、主な意見ということでご紹介をさせていただきました。

 続きまして、資料の5-2のほうで、具体的な答申の修正案をご説明させていただきたいというふうに思っております。

 前回の小委員会でのご指摘を踏まえまして、パブリックコメントをかけたバージョンが黒字になっておりまして、そこからパブリックコメントの意見を踏まえて修正した箇所が赤字部分という形になっております。

 前回の小委員会では、特に大きな修正点としては、1ページの2ポツの現状と課題の部分、構成が大分分かりにくいというご指摘を頂きましたので、全体の構成を組み替え直しているといったようなところ、それから、あとは再生可能エネルギーの部分で、かなりいろいろなご意見を頂きましたので、その部分については前回の小委員会のご意見を踏まえて追記をしているというところ、あとは、一番最後に、情報発信という項を新しく立て直して、情報発信について追加で追記をしておりました。そういった前回の小委員会からの修正を踏まえて、パブリックコメントを実施したところとなっております。

 もうかなり何度も皆様にご確認を頂いておりますので、修正点だけ中心にご説明をさせていただきたいというふうに思っております。

 まずは、6ページでございます。6ページの3行目、3番で施工状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置というところで、冒頭にこれから取り組むべき中身の全体的な方針を書いているところでした。すぐれた自然環境の保全の必要性、普遍的であるものの新たな魅力を発見し、これを活用することでさらに価値を高めることができると、好循環を生み出していくといったようなことで書いた部分だったのですが、保護・保全についてもさらに強化が必要であるというパブリックコメントの意見を踏まえて修正をしたというところと、活用するという部分ももちろん国立公園でございますので、適正に活用するということで、自然環境に配慮しながら活用していくということを明確に、こちらの答申のほうでもしていきたいというふうに思っております。

 それから、6ページの26行目の部分でございます。利用環境の充実という部分で、自然環境の保全に配慮するありますが。当然のことでありますので、パブリックコメントの意見を踏まえて、こちらも追記をしたいというふうに考えております。

 それから、7ページの修正点も同じような観点ですが、自然体験プログラムの促進と適正化のための事業計画みたいなことを今回答申案に盛り込んでいただいておりますが、そういったものを考える上でも、自然環境の保全に配慮するというのも当然必要だと思っておりますので、11ページに追記をしておりますし、また地域の皆様がそういった自然体験プログラムの促進、適正化に取り組んでいただくときに、フィールドの保全という部分についても併せて考えていただけるとよいと思っておりますので、23行目のほうに保全ということで、特に自然環境の保全という部分、こうした利用関係を進めていく上でも重要だということを明確にしていきたいというふうに考えております。

 それから、8ページの1行目以降です。パブリックコメントで意見のあった登山道の整備、若干追い付いていない部分もありますので、環境整備や維持管理ということについても、ここで言及させていただきたいというふうに思っております。

 それから、8ページの10行目、地域で定めているいろいろなルールが守られないことによる利用環境への悪影響ということがあるのですが、当然自然環境にも悪影響があるということで、自然環境という文言を追記しているというところと、ヒグマの部分について、接近行為というものも追記をしております。

 それから、8ページの32行目、利用者負担の部分は公的資金というところを少し追記させていただいております。

 それから、少し進んでいただきまして、11ページです。総点検事業の部分、国立公園、国定公園、我が国を代表する自然の風景地であるということをパブリックコメントの意見を踏まえて追加をしているというところと。11ページの16行目、管理の質の向上という表現に意見を踏まえて修正をしております。

 それから、11ページの34行目以降ですが、民有地の買い上げということの重要性を改めてここにおいても記載をしたいというふうに考えております。

 それから、また進んでいただきまして、12ページの24行目、山小屋についての記載の部分ですが、山小屋事業者が行う環境保全や、登山道整備等の公共性の高い事業への支援というのも、検討ではなくて行うというより強い表現に修正をしております。

 それから、12ページの気候変動への適応の部分ですが、適応の取組が一部進んでいるということは、33行目のほうで明確に分かるようにしたいというふうに考えております。

 また併せて、37行目にモニタリングデータ収集ということで、データ収集という文言を追加したいというふうに思っております。

 それから、13ページの30行目です。先ほど申し上げた自然環境の保全が気候変動への緩和にも資するというような部分を1文入れさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、13ページの38行目から14ページの冒頭にかけてですが、再生可能エネルギーの設置に当たって、様々な留意点がございますので、そういったものを適切に評価するということで、こちらも意見を踏まえた表現の明確化を図っていきたいというふうに思っております。

 修正点は以上となっております。

 あとは、資料の5-3については、ご参考までにご覧いただければという形かなというふうに思っておりますが、今回の答申案はかなり文章自体が長くなってしまって、どこがポイントか分かりにくくなってしまっておりましたので、全体概要が分かるような資料を作成しております。

 冒頭、オレンジの囲みのところは基本的な考え方みたいなものを記載しておりまして、自然資源の潜在的な魅力や新たな魅力を発見して活用することで、さらに価値を高めることができるということ。それから、保護と利用の好循環を生み出すということが全体のコンセプトとして、まず記載をしています。そのほか、現地管理体制の充実、気候変動、それから地域循環共生圏というところに冒頭では触れております。

 下の緑の枠につきましては、答申の構成、章立てに沿って、(1)が利用環境の充実、(2)が公園事業・集団施設地区の再生・上質化、(3)が保全管理の充実及び関連施策との連携というところで、下の箇条書きの部分も基本的には章立てごとにそれぞれポイントとなる中身を簡単に整理して記載をさせていただいております。

 私からは以上となります。よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 ご説明ありがとうございました。

 それでは、また質疑に参りたいと思います。ご意見等がございましたら、先ほどと同様に意思表示をしていただいて、ご発言を頂きたいと思います。いかがでしょうか。パブコメへの対応の仕方、あるいは、それを踏まえて最終的な答申案、それから、概要版も今回作成をしていただきましたが、よろしいでしょうか。

 もう何度もご議論は頂いてきたものではありますが、パブコメが大分出てまいりまして、自然環境への配慮の問題、保全の問題というのをもっとちゃんと追記をしてくれと、念のために書いてくれというご指摘がかなり多かったものですから、それを加えていただいたということです。

 よろしいでしょうか。ありがとうございました。これまで随分と議論して頂きましたので、これで答申案として、2月1日の部会がでお諮りをして、了解を頂いた上で、答申としていくということにしたいと思います。

 はい、どうぞ。事務局からも何かあるそうです。

○事務局(国立公園課課長補佐 三宅) せっかく時間がありますので、ご紹介だけさせていただきます。

 資料の5-1で意見の番号71番で、過去25年間に出された自然公園法に関わる答申の中で一番すぐれた答申であるというご意見を頂いておりますので、皆様のご協力に感謝したいと思います。ありがとうございます。

○下村小委員長 いろいろな観点に目配りをしていただいておりますし、答案のポイントについてもの分かりやすくするために概要版もつけていただきましたので、全体としてバランスよくかつしっかりした答申になったと思います。あとは、実施に向けてしっかりと、今回実働するようにぜひ持っていっていただきたいと考えております。

 議題6のその他について、事務局から報告がありましたらお願いします。

○事務局(国立公園課課長補佐 三宅)今ご議論いただきました答申案につきましては、1日に自然環境部会が予定されておりますが、そこでは基本的に報告という形をとらせていただきたいと思います。もう既に武内部会長のほうにはご説明をして、ご了解を頂いているところでございますので、本日のご議論をもって、こちらの答申で確定ということで進めさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○下村小委員長 分かりました。部会からむしろ付託はされておりますので、これでもって答申ということであります。

 ほか、その他はよろしいですか。

○司会(国立公園課課長補佐 清武)その他の議事はございません。

○下村小委員長 円滑な進行にご協力いただきまして、ありがとうございました。予定より大分早く今日はすんなり終わりましたので、大変ありがたく感じております。

 それでは、今日の部会の議論については、これで終了させていただきまして、進行を事務局にお返しいたします。

○司会(国立公園課課長補佐 清武) 下村小委員長、ありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議をいただきありがとうございました。

 本日は以上になります。どうもありがとうございました。

午前11時32分 閉会