自然環境部会自然公園等小委員会(第42回)議事録

1 開 会

2 議 事

3. 閉 会

(1)自然公園法の施行状況等を踏まえた自然公園制度の今後の在り方について【審議】

(2)その他

4.議事録

午前10時00分 開会

○事務局(清武) 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会を開会いたします。

 本日はお忙しい中、当審議会にご出席いただき、ありがとうございます。

 会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日は、所属の委員、臨時委員9名のうち、WEBでのリモート参加も含め、7名の方のご出席をいただいておりますので、本委員会は成立しております。

 次に、本日の会議運営につきまして3点ご連絡いたします。リモート参加につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、今年の2月に、中央環境審議会武内会長にご承認をいただき、当面の間、WEB会議システムによる参加についても出席とみなすこととなっております。リモート参加の委員の先生におかれましては、音声等で不都合等がございましたら、事務局までお電話いただくか、チャット機能でお知らせください。

 傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、傍聴用のWEB会議システムを用意し、傍聴できるようにしております。本日は、報道機関関係者の方を含め、数名の方が、WEB会議システムで会議を傍聴されておりますので、ご承知おきください。

 また、本日ご説明する資料につきましては、ペーパーレス化の取組を推進するため、会場にお集まりの委員の先生につきましては、お手元にございますタブレット端末の中に格納しております。タブレット端末の不具合などがございましたら、事務局の者にお申しつけください。

 それでは、自然環境局長の鳥居からご挨拶申し上げます。

○鳥居自然環境局長 皆さん、どうもおはようございます。今回もリアルとオンライン併用の小委員会ということでございます。

 自然公園制度の見直しについての検討、8月、そして11月、そして12月ということで、今日は3回目になるわけでございますけれども、本日は前回いただいたご意見を踏まえたものをお示しいたしまして、今日のご意見を踏まえまして、また直したものでパブリックコメントに付すというような段階に来ております。

 まだまだ新型コロナウイルス感染症の拡大が、もう報道されているとおりでございますし、一方、またカーボンニュートラル2050年の実現に向けて、もう社会情勢が大きく変わっている中で、自然公園、国立公園というものをどういうふうに管理運営していくかということで、今回の制度の見直しというのは非常に意味のあるものだというふうに思っています。

 大変、師走のお忙しい中、お集まりいただきまして、ご参加いただきましてありがとうございます。ぜひ、限られた時間ではございますが、忌憚のないご意見をいただければと思いますので、今日はどうかよろしくお願い申し上げます。

○事務局(清武) 事務局から1点補足させていただきます。リモート参加の先生につきまして、先ほど9時54分ぐらいに本日の会議資料について、改めてメールを送らせていただきました。メールでURLを、リモート参加の先生につきまして送らせていただきましたので、そのURLを開いていただけると本日の資料が見られることができますので、どうぞよろしくお願いします。

 あと、リモート参加の先生方におかれましては、ご都合の許す範囲で結構ですので、常時ビデオボタンをオンにして、先生のお顔が見られる状態にしておいていただけると、事務局としていろいろ気づくことができるので、幸いでございます。

 それでは、ここからの議事進行につきましては下村小委員長にお願いいたします。小委員長、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 皆さん、おはようございます。下村でございます。

 先ほど、鳥居局長からお話がありましたとおり、今日はほぼ最終というか、パブコメにかける素材の議論をしていただきたいというふうに考えております。前回、かなり活発にご意見をいただいて、事務局とのやり取りもしていただきましたので、今日は早く終われるものなら、早く終わりたいというふうに考えております。それでも、まだまだお気づきの点がございましたら、今日、ご指摘をいただいて、さらにブラッシュアップしたものをパブコメにかければありがたいというふうに考えております。

 これから、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事次第に従いまして進めさせていただきますが、会議資料につきましては公開ということになります。また、会議後は、後ほど事務局で、会議録を事務局で作成いたしまして、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することとなります。また、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、小委員長が了承した上で公開することをご了承願いたいと思います。

 今回の議事は、もう1本ですね、自然公園法の施行状況等を踏まえた自然公園制度の今後の在り方ということになりますので、存分にご議論いただきたいというふうに思います。

 それでは、今日の議事の本題です。資料に基づきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局(三宅) 環境省国立公園課の三宅です。今日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 私のほうから、資料1と資料2について、説明をさせていただきたいと思います。会場の皆様はタブレットのほうに格納されておりますので、そちらをご確認いただくか、あるいはこちらに映しておりますけれども、スクリーンのほうでも該当箇所を映したいと思いますので、見やすいほうでご確認いただければと思います。WEB参加の皆様、先ほどご案内がありましたとおり、環境省のホームページのアドレスを先ほどお送りしておりますので、そちらで見ていただいたほうが資料は見やすいかもしれません。WEB会議システムのほうでも映しますので、どちらか見やすいほうでご確認いただければと思います。

 それではまず、資料1についてご説明をさせていただきます。こちらの資料ですけれども、前回、この審議会でご議論いただいて指摘を修整させたものとなっております。赤字の部分は皆様からいただいたご意見を踏まえて修正した箇所でございますので、主に赤字の部分を中心に全体的な説明をさせていただきたいというふうに思っております。

 それでは、資料1の1ページ目です。国立・国定公園をめぐる現状と課題という部分でございます。

 1ページ目の下の段、今回の施行状況を踏まえて今後講ずべき必要な措置を検討する上での現状と課題がここの部分はいろいろ記載されているところで、一番冒頭の部分は少子高齢化・人口減少社会、それから観光立国戦略みたいな話が記載されておりますけれども、前回、吉田委員のほうから新型コロナウイルスの関係で、影響に、利用者が減っているというだけではなくて、グリーンリカバリーみたいな視点もここに書き込んではどうかというご提言をいただきましたので、この赤字の部分を追記しております。公園利用者の回復を図っていく必要があるといったようなところで記載をさせていただきました。

 続きまして、めくっていただきまして2ページ以降でございます。その他、背景的な情報として関連法制の改正の状況、それから旅行形態のシフトといった状況、それからIT、デジタル技術の進展みたいな背景情報が記載されていて、17行目以降からは震災復興の話が記載されています。前回、深町委員からEco-DRRの関係でもう少しここの記載を充実させてはというご指摘をいただきました。ちょっと、ここにも若干だけ文言を追記しておりますけれども、もう少し後ろのほうにも追記をさせていただきましたので、後ほど、併せてご説明をさせていただきたいというふうに考えております。その他、環境基本計画の話ですとか、生物多様性条約の話が背景情報としては記載しているといったような状況になっております。

 続きまして、資料については3ページとなります。引き続き、現状と課題の部分で、今度は個別のテーマに対応したような現状と課題をそれぞれ記載している箇所となっております。3ページの一番冒頭は利用の在り方について、現状と課題を記載している部分で、従前、公園の利用ということでいきますと、施設計画、ハードのみとなっていたんですけれども、今後ソフト的な部分も充実させていく必要があるといったところで、前回、江﨑委員のほうから利用実態の把握の重要性も少しここにきちんと追記してはというご指摘をいただきましたので、その点を修正しております。

 それから、続きまして、利用関係の現状と課題ということで、利用ルール・マナーの強化みたいな話、それから利用者負担の重要性みたいなことを記載しております。

 それから3ページの後段部分、(2)公園事業・集団施設地区に関する状況と課題という部分でございます。ここについては、特段、前回から修正はありませんけれども、集団施設地区ということで、いわゆる国立公園の中の温泉地みたいなところが旅行形態の変化に伴って廃屋化が進んでいるといったような課題が記載されていて、4ページに行っていただきますと、公園事業の部分というところで、事業の実態の把握がなかなかできておらず、適切な指導ができていないといったようなこと、それから環境省のほうで取りまとめた宿舎事業の在り方についての報告書について簡単に紹介をしております。

 それから4ページの(3)今度は保全・管理に関する状況と課題といったような部分となっております。新規指定の部分、こちらは、すみません、こちらの、事務局側の単純なミスで、中央アルプスの新規指定の記述が抜けておりましたので、それを今回追加しております。

 あと、管理体制の部分ですけれども、現地管理体制、近年充実を図ってきておりますけれども、まだまだ不十分であるといったような課題として記載をしております。それから、管理有効性評価についても、ここで検討状況を触れている形となっております。

 また、4ページから5ページにかけては、気候変動への適応という部分で、近年の気候変動への影響の状況について、課題という形でこちらに記載をしております。この辺りは、前回から特段変更のない状況となっております。

 続きまして、6ページ、資料の6ページでございます。今後講ずべき必要な措置という部分で、ここからが近年の状況を踏まえて、これからどういう対策をしていくべきだという審議会からのご提言の中心部分という形になります。

 6ページの2行目以降につきましては、全体的な大きな方向性を記載している部分となっております。観光立国政策の重要性、それから保護と利用の好循環といった考え方の重要性、それから満喫プロジェクトの展開みたいな部分を記載しております。13行目から14行目にかけての部分ですけれども、前回、広田委員、それから敷田委員のほうから関心人口という部分であるとか、そういった人々が保全管理の担い手にも寄与するという視点をご指摘いただきましたので、それに従って修正を行っております。

 それから、15行目以降は保護面の話について記載をしております。現地管理体制の充実ですとか、気候変動の話を記載している中で、前回桜井委員のほうから里海というところももう少しフォーカスを当てて、国立公園の中でもしっかり検討していく必要があるというご指摘をいただきましたので、これ以降の分も含めて、里地里山に加えて、里海という部分も記載を追記させていただきました。

 それから、6ページの(1)、ここからが個別の課題に対する対応方針を記載している箇所となっております。

 (1)は、国立・国定公園における利用環境の充実という部分でございます。

 まず、冒頭は利用の在り方の具体化ということで、利用のゾーニング、国立公園の自然資源ですとか、利用実態、アクセスみたいなものから、利用についてもゾーニングをしていく必要があるといったような部分の記載となっておりますけれども、25行目の部分ですね、前回、広田委員から、そういったゾーニングを進めていくために多様な利用ニーズがあると、そういったことを尊重するということを考え方としてはきちっと書いておいたほうがいいのではないかというご指摘をいただきましたので、その部分を25行目で追加をしております。

 それから33行目から34行目にかけてですけれども、前回、新美委員、それから宮本委員から自動車、あるいは自転車の利用についてもこういった中で検討していく必要があるといったようなご指摘もいただきましたので、そういったものの導線の検討ですとか、利用の適正化という視点も重要であるといったようなところで、こちらに修正をさせていただきました。

 それから、続きまして、資料は7ページでございます。自然体験プログラムの促進と適正化という部分で、こちらで中心的な記載となるのが、13行目以降ですけれども、自然体験プログラムの促進や適正化について、自然公園制度の中で位置づけることを検討すべきといったような中身になっております。地域関係者や環境省が一体となった協議会において、公園計画に基づき自然体験プログラムを促進・適正化する事業計画をつくって、それに基づいて各団体が必要な事業を実施するといったところと、それらに対する手続の簡素化、財政支援等のメリットを付与することが考えられるといった部分が、こちらの部分の中心的な記載になるかというふうに考えております。

 修正点につきましては、19行目以下、そういった事業計画制度を考える上での留意点を幾つか記載をしておりますけれども、まず、小泉透委員から、人材の育成と活用ということをしっかり明記したほうがよいというご指摘をいただきましたので19行目を修正しております。

 それから、23行目のところですけれども、前回、吉田委員から、コロナでガイド事業者さんたちが大変になっているので、そういった方々の事業継続とか、雇用確保みたいなことも重要性をご指摘いただきましたので、一文追加をさせていただきました。

 それから、28行目の部分です。もともとリスク管理、安全対策の視点は書いていたんですけれども、広田委員からもう少しここを書き足したほうがよいのではないかというご指摘をいただきました。なかなか、ちょっとどういう形で書き足すかは難しかったんですけれども、主にリスク管理、安全対策を求められるのはガイド事業者ですとか、施設管理者でございますので、そういった方々が負うべき責任という部分で、若干、記載の追記を図っております。

 それから、36行目の部分ですけれども、こういった国立公園の中での自然体験プログラムの促進・適正化という部分を進めていく上でビジターセンターの重要性というところを佐々木委員からご指摘いただいておりましたので、ビジターセンターでそういった各種プログラムに関する情報提供機能を強化するといったような形で記述を修正しております。

 続きまして、資料は8ページとなります。8ページの5行目以降、前回、利用のコントロールという部分でルール・マナーの話ですとか、利用調整地区の話の記載をしておりました。敷田委員から、コントロールでなくてマネジメントという用語のほうが適切でないかというご指摘をいただいておりましたので、全般的に用語の見直しを図っております。

 それから、8ページの9行目の部分でございます。知床でのヒグマに対する餌付けですとか、人馴れという部分を課題として記載をしておりました。小泉透委員から、かなり現場の知床財団をはじめとしたスタッフが頑張っているといったご指摘をいただきましたので、地域における様々な努力にもかかわらずというところで記載を追記させていただいております。

 ここの部分につきましては、地域独自のルール・マナーの内容をというのを現場の法律に基づかない指導ではなかなか限界がある部分があるので、法律に基づく命令の規制ですとか、利用調整地区制度の柔軟な運用の対策の必要性を検討する必要があるといったような形の内容になっております。

 それから、13行目以降、利用調整地区制度の話でございます。利用調整地区をより柔軟に運用していく必要があるといったような中身になっておりますけれども、その観点の一つとして予防的な観点からの利用調整地区の指定という部分、敷田委員から必要性をご指摘いただきましたので、修正をしております。その他としては、従前からの記載ですけれども、利用の質というところに着目した利用調整地区制度の運用といった部分の必要性を記載しております。

 それから、22行目以降ですけれども、利用調整地区制度に限らず、また法令や条例、土地所有者の権限を含めて、地域の関係者との連携協力の上で適切な手段を選択していくことが重要であるといった形に修正をしております。この点、前回中村委員から、なかなか利用者のマネジメント、コントロールというのは環境省だけではできないので、多様な主体の連携というところをもう少し分かりやすく記載したほうがよいのでないかというご指摘をいただきましたので、そちらを踏まえて表現を修正しております。

 それから、8ページの27行目以降が利用者負担の部分でございます。前回、敷田委員から、利用者負担、単純にお金をただ払ってもらうということではなくて、公園管理に参画してもらうという、そういった考え方もあるというご指摘をいただきましたので、タイトルについては修正を図っております。内容については、特段、前回から変更はありませんけれども、従前から国立公園では利用者負担の取組はいろいろ進んできておるということ、それから地域自然資産法の活用をはじめとした利用者負担の仕組みづくりを公園の中でも積極的に検討していく必要があるといったような中身となっております。

 それから、9ページ以降でございます。(2)公園事業・集団施設地区の再生・質の向上という部分になっております。集団施設地区の再生について、7行目以降に記載をしております。特段、前回から変更はありませんけれども、ここの部分の重要な点といたしましては、13行目以降ですかね、先ほど同様、地域が環境省と一体となって協議会をつくって、それに基づいて温泉街をはじめとした地域の廃屋の撤去ですとか、その場所への新たな投資、それから公園利用に係る機能の充実、景観デザインの統一、無電柱化等を計画的に推進することが考えられると。その場合、マスタープランを制度の中に位置づけることを検討するというところ、それからマスタープラン作成、それから再整備を促進するために財政支援、関係法令との連携、自然公園法に関する手続の簡素化等のメリットを付与することが考えられるといったような部分が、この部分の中心的な記載になるかというふうに考えております。

 その他、9ページの33行目以降は、新たな廃屋化の防止というところで、前段でご説明をした廃屋の撤去みたいな取組だけではなくて、既存の旅館とか、そういった宿舎事業者の方々の経営状態の確認をして、廃屋化を防ぐような対策についても知見のある者との連携によって検討していく必要があるといったような中身が記載をされております。

 説明は10ページに行きますけれども、それから14行目以降の土地や建物等の権原の譲渡、所有・経営・運営の分離への対応というところで、近年、特にホテル、旅館をはじめとした公園事業の事業形態がかなり多様になっておりますので、そういった点にも対応したような手続の見直しといったような部分が、ここについては記載をされております。

 以上、この辺りについては、特段、前回もご指摘ありませんでしたので、前回と同じ記載となっております。

 それから、10ページの32行目以降、(3)国立・国定公園の保全・管理の充実及び関連施策との連携といった部分となっております。33行目以降の国立・国定公園総点検事業に関する検証・追加検討という部分については、特段、前回から変更がありませんけれども、総点検事業が10年ということで、今、一区切りを迎えていますので、今後の方向性について検討する必要があると、その際に二次的自然ですとか、文化的景観ですとか、気候変動、それから国際的な認証制度といったような視点も加味して今後の検討を進める必要があるというところ、それから海ですね、沿岸域の指定の考え方についても整理をしていく必要があるといったような中身が記載しております。

 それから、11ページに行きまして、国立・国定公園の管理の充実強化という部分になっております。人口減少社会の中で公園の担い手不足というのは今後ますます懸念される状況となっております。管理体制の充実強化のためにアクティブレンジャーですとか、公園管理団体、それからパークボランティアですとか、ボランティアツーリズム、多様な形態が管理体制の充実強化のために考えられるかと思いますけれども、その際に、地域における受入れ体制をきちんと整備することで、都市部から地方への関係・関心人口の増加として貢献することも期待できると、小泉透委員から地域における受入れ体制整備の重要性をご指摘いただきましたので、その点を修正しております。

 それから、17行目以降、公園管理団体の部分を記載しております。18行目、特段、前回ご指摘いただいていないんですけれども、ちょっと事務局のほうで公園管理団体がより充実していくための方策の中、具体的なことをもう少し記載できないかと思いまして、事務の見直しや予算措置等ということで追記をさせていただきたいというふうに思っておるところです。

 その他、ここに関しましては、公園管理団体については、営利企業にもその指定対象を広げて、そういった民間の方々にも公的な位置づけを付与するといった改善が必要であるといったような記載をしております。

 また、24行目以降は環境省と林野庁との連携の重要性ということを記載しております。

 また、27行目以降ですけれども、管理有効性評価について、今後の活用という部分で記載をしております。

 それから、32行目以降ですけれども、ITやデジタル技術の活用という部分で、前回、吉田委員から、ルール・マナーの周知といった点についても、こういった技術を活用する必要があるのではないかというご指摘をいただきましたので、追記をしております。

 それから、35行目以降は、前回、宮本委員からご指摘をいただきました、南西諸島の国立公園で、固有種、希少種の違法採取が確認されているといったようなことを踏まえて、規制の実効性の確保という点、それから他法令や関係省庁と連携した販売等の規制、それから水際対策についても検討する必要があるという形で修正をしております。

 続きまして、資料は12ページに行っていただきまして、12ページの1行目から中央環境審議会の件について追記をしております。この点、下村委員から委員会終了後にご指摘をいただいた部分ですけれども、国立公園事業の決定等に伴って、現在、中央環境審議会の意見を聴くこととされていますけれども、新たな開発行為が想定されない場合など、実質的に意義に乏しい事例も少なくないので、審議会への意見聴取手続の簡素化について検討する必要があるといったようなところを追加させていただいております。

 それから、12ページの6行目以降、山小屋との連携という部分です。特段、ここについて記載の変更はありませんけれども、山小屋、民間の山小屋ですね、山岳地域における環境保全ですとか、登山者の安全確保、登山道整備において重要な役割を担っているという山小屋の重要性を記載しておるというところ、それから山岳トイレの補助の必要性について記載をしております。加えて、利用者負担といったことの重要性についても記載をしているところとなっております。

 それから、12ページの21行目以降、国立・国定公園における気候変動への適応といった部分となっております。気候変動への適応というところで、生態系維持回復事業等を一層活用して、シカ対策ですとか、外来種駆除を進めていくといったようなこと、それから公園の指定の際に考慮するですとか、将来の分布予想等を踏まえて適応オプションの検討ですとか、順応的管理について記載をしているところです。ここについて、深町委員からの前回のご指摘を踏まえて、現存の生態系の保全・管理ですとか、劣化した生態系の再生等による生態系を活用した防災・減災の取組について、地域の伝統的知識も活用しつつ進める必要があるといったようなところで一文追加をさせていただきました。

 それから、32行目以降でございます。もともと地域循環共生圏の創出というタイトルでしたけれども、カーボンニュートラルの実現というところを、前回、こちらでのご意見も踏まえて、追加をさせていただきました。

 主な部分は13ページとなっております。6行目以降ですけれども、政府として2050年カーボンニュートラルを目標に掲げる中という全体的な社会の流れを改めてこちらにも記載をさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、もともとインバウンド利用者がこういったサステナビリティーに関心が高いといったような記載をしておりましたけれども、追加する形で国立公園等でのEVの優遇とか活用を進めるということ、それから自然と調和した自家消費型再エネ施設の設置、それからサステナブルツアーの実現等によって、カーボンニュートラル実現のいち早い創出を目指すということが必要であるといったような記載をしております。守るべき自然を守りつつ、地域での合意形成を図りながら、周辺地域も含めた適地で適切な規模の再生可能エネルギー施設が設置・活用されるように促していくといったようなところで、需要側のカーボンニュートラル対策と、それから発電のほうの部分についても記載として触れる形にしております。前回、吉田委員、それから長野県の猿田部長、それから大黒委員からこういった脱炭素化に向けた記載の必要性をご指摘いただいたところですので、ちょっと事務局のほうで記述を検討して、追記をさせていただいているところとなっております。

 それから、14行目以降は、むしろその再エネ施設を設置する際にどういったことに留意していく必要があるという保全側の視点についても記載をしていたところですけれども、桜井委員から太陽光発電、風力発電という具体的な名称をきちっと書いたほうがいいというご指摘をいただきましたので追記をしております。

 それから、宮本委員、桜井委員から斜面とか水辺ですとか、沿岸海域に設置される場合にも十分に留意する必要があるというご指摘をいただきましたので、その点を追記しているというところ。それから、同じく宮本委員から防災面に与える影響というのも考慮する必要があるといったご指摘をいただきましたので、その点も追記をしております。

 あとは、中村委員からは発電終了後の撤去というところも十分配慮する必要があるというご指摘をいただいておりました。現在でも撤去については指導をきちっとしているところではあるんですけれども、引き続き、その重要性について留意するということで記載を追記しております。

 それから、13ページの周辺地域との施策の連携という部分でございます。保護、利用面での周辺地域との連携の重要性というところを記載しております。26行目、地方自治体、関係部局を含めたということで追記をさせていただきました。宮本委員から外来種、なかなかごみ処理の問題もあってという前回ご発言をいただきましたので、そういった廃棄物部局とかも含めて連携をするということで追記をしております。

 それから、31行目以降は、利用面での周辺地域との連携ということになっておりますけれども、辻本委員から、特に駅・空港を有する近隣都市と国立公園でのネットワーク化といったような部分、ご指摘いただきましたので、33行目、34行目に記載を追記させていただいております。

 以上で、資料1の、主に修正点を中心にご説明をさせていただきました。

 それから、資料2につきましては、従前から出している資料で、特段変更はないんですけれども、8月、11月とこれまで審議をいただいてきておりまして、本日も審議をいただいた上で、パブリックコメントをかけて、1月26日にまた小委員会を開催させていただきたいと思っておりまして、そこで報告書については取りまとめさせていただきたいというふうに考えております。

 続きまして、参考資料につきまして説明をさせていただきたいと思います。

○事務局(中山) 国立公園課の中山です。おはようございます。

 私のほうからは、参考資料5を用いて、国立公園における脱炭素化の取組について話題提供させていただきます。

 冒頭、鳥居局長のほうからも2050年カーボンニュートラルの目標のお話がございましたし、前回の小委員会でも委員のほうから脱炭素化に向けた発言がございました。

 これまで小委員会でご報告する機会はなかなかなかったんですけども、国立公園においても環境省、それから地方自治体、地域の事業者のほうで様々な取組が進められているところでして、特に需要側の取組ということで、交通、それから施設に関する取組が進められていたり、それから国立公園内の施設についての再エネ活用の取組というのも進められているところでございますので、その辺りについて、事実関係を紹介させていただきます。

 スライドをご覧ください。

 まず、交通関係でございます。ご存じのとおり、国立公園内、地域の関係者で協力して道路交通法等に基づいて、マイカー規制を一部期間で実施しておりますけれども、そのうち、富士箱根伊豆国立公園の富士山では、既に3路線でマイカー規制期間中に電気自動車、燃料電池自動車については通行可能にするという需要側の優遇策を実施しているところでございます。

 また、環境省の補助金、その他補助金を用いまして、多くの地区においてEVバスを導入したり、ハイブリッドなどを含む低公害車をそのマイカー規制期間中のバスとして活用しているというような事例がございます。

 そのほかにも優遇措置としましては、箱根や伊豆の4路線の有料道路でEV等の低公害車の場合は半額割引を実施すると、そのような優遇策も実施されております。海外の場合、高速道路とか、様々なところでEV等の優遇措置が実施されているところですけども、環境省のほうでも今後そういった取組をいろいろと検討していきたいと思っているところでございます。

 次のスライドをお願いします。

 次のスライドは、日光国立公園とその周辺地域の交通の脱炭素化の取組の事例でございます。

 日光駅周辺から中禅寺湖に上がって、奥日光に至るまでのエリアで交通の脱炭素化に向けた取組が栃木県や地域の事業者等で進められているところです。

 地域の課題としては、一部の公共交通機関で経路検索サービスが未対応であるということ、それから渋滞等もございますので、いろは坂の渋滞が名でございますけれども、そういったところでの満足度は低いと、環境負荷も増加しているということがございまして、交通の脱炭素化を進めて「環境に優しい観光地」としての日光地域ブランドを強化してと、低炭素化を進めていくと、そういったことを検討しているというふうに聞いています。既に電動アシスト自転車が各地、各ポイントに設置されていますし、環境省の補助金も活用してEVバスの導入がマイカー規制期間では使われています。

 それから、先般、10月に東武グループと、それからJTBさんのほうで発表されましたけども、EVのカーシェアと、あと鉄道の予約と検索を全て一本化にしたようなMaaS事業について、具体的には来年度からそういったシステムを始めるべく検討が開始されるということで、EVみたいなものも活用して、脱炭素型の交通を進めていこうというような取組がいろいろと進められているところでございます。

 次のページをお願いします。

 こちらは、環境省の今年度の第一次補正予算でツアー、イベントの実施やワーケーションに関しての事業者支援の予算がございましたけども、それを用いまして、様々な公園でE-bikeを使った誘客ツアーの取組が行われています。E-bikeというのは、右下に写真がございますけれども、マウンテンバイクにEV機能というか、電動アシスト機能がついたものでございまして、国立公園の中ですと、どうしても坂が多かったですと、島でしたりとか、山でしたりとか、そういったところはなかなか車で移動しないといけないようなところもあったりしたんですけれども、そういったところをこのE-bikeを活用することによって、車を使わなくてもゆっくりと楽しめると、そういったものを推進するということも大事ではないかなと思っています。

 こちら、大山隠岐国立公園の隠岐の事例でございます。アップダウンが激しいところなので、E-bikeに適したところかなと思います。

 次、お願いします。

 いわゆるグリーンスローモビリティと言われているような低速度で走ります小型の一人乗り、二人乗りのEVでございます。こういったものも環境省の補助金等を使って活用されています。このジオコムスというものは、山陰海岸の国立公園、世界ジオパークエリアで使われているものでございまして、鳥取砂丘等を回ることができるんですけども、大変人気だというふうに聞いています。

 次、お願いします。

 出雲大社周辺でもそういったものが活用されていますし、こちらは国定公園の例ですけども、九州の玄海国定公園では、このグリーンスローモビリティと、それによるツアーと、あとワーケーションを組み合わせたようなパッケージプランというのも地域の旅行会社の協力を得て販売に至っているというふうにも聞いています。こういった事例も環境省の補助等を使って増えているというふうに聞いています。

 続きまして、施設側の取組でございます。

 環境省のほうでは、エネルギー特別会計を用いまして、国立公園のホテル、旅館等の宿舎事業における省CO2改修支援というのを行っています。具体的には、空調、給湯設備、そういったものに対しての脱炭素化を進める場合に補助をしているものでございます。

 続きまして、再エネの活用の例ですけれども、国立公園のビジターセンター、観光船・マイカー規制中の通行車両等から排出されるCO2については、実はオフセットする取組というのが、既に2017年から進められています。国立公園周辺等での省エネ・再エネ施設の設置や森林管理によって発生したJ-クレジットによって関係する企業でしたり、自治体の協力の下にオフセットをすることができていると。単にオフセットするだけではなくて、ボーイスカウトにもその取組に入っていただきまして、そういったオフセットの取組を、ビジターセンター等を拠点にいろいろとPRしていただくということをしています。教育にもつなげるというような取組を関係者連携でやっているところでございます。

 続きまして、国立公園での「自然の感動×ゼロカーボン」温泉地づくりでございます。

 温泉を活用した熱供給や発電事業は、地域主体で、地域の自然や社会と共存しやすい自立・分散型エネルギーとして有望と考えています。例えば、磐梯朝日国立公園の土湯温泉ではそういったバイナリー発電が活用されていて、観光にも活用されているというふうに聞いております。

 そこで、環境省が所管する国立公園内の温泉地において、環境省が事業者と地元の関係者との間のコンサルテーション支援を行いつつ、モデル的に温泉熱を活用するような取組が進められないかというふうに考えております。今年度、ポテンシャルサイトを全国から洗い出しまして、モデル地域を選定して、どのような支援が可能なのかというのを今後検討していくことを考えております。

 最後のスライドでございますけど、こちらは離島のゼロカーボン化に向けた事例でございます。

 屋久島国立公園を有する屋久島は、実は60年前から水力発電で電力を賄う自立・分散型の再エネ地産地消を実施しているところでございます。その結果、島内では99%が水力由来の再エネ電力を活用していまして、残りの1%はバックアップの火力発電という状況で、電力供給だけ見ると、かなり脱炭素化に近い状況でございますけど、交通、施設等、様々なところでCO2は発生するところでございますので、鹿児島県さんのほうがいろいろ支援事業をやっておりまして、「屋久島CO2フリーの島作り」というのを目指して、EVの導入でしたりとか、急速充電器、普通充電器、そういった充電施設を島内に導入ということを進めておられるというふうに聞いています。

 国立公園の中だけではなくて、この島の例に代表されるように、周辺の地域を含めてエリアとして適地適切な再エネ施設を活用して脱炭素化を進めていくということが大事かと思っていますので、こういった事例も我々のほうでもしっかりと見ながら、いろいろ検討を進めていきたいと思っているところでございます。

 以上でございます。

○下村小委員長 どうもありがとうございました。

 報告書、この小委員会というか部会から提示する、パブコメにかける報告書の素案につきまして、皆様からのご意見、それから全体の概要も踏まえて説明いただきました。特に12ページ、13ページ辺りで今度は脱炭素化の話が、文章が加わってきていますので、それにつきまして、公園内で展開されている事業について、追加の説明をいただいたということになります。

 前回、非常に多様なご意見をいただきましたので、それを一番適切だと考えられる箇所に赤字で今回修正いただいたものを説明いただいています。ということで、この後は皆様のご意見が十分に反映されているかどうか、あるいは、さらにお気づきの点等につきまして、ご意見をいただいて、報告書の素案をブラッシュアップしていきたいというふうに思います。

 会場にお集まりの委員の皆様はいつものとおり名札を立てていただくと。それから、リモート参加の委員の皆様におかれましては、前回もそうでしたけれども、WEB画面上の参加者リストのご自分の名前の横に表示されている挙手ボタン、それを押していただいて、挙手の表示をお願いいたします。

 ということで、議論を、ご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。どなたからでも結構です。

 それでは今、中村委員、宮本委員、それから新美委員、中静委員の挙手がありますので、順次、回りたいというふうに思います。まず、中村委員からお願いしますかね。中村委員、宮本委員、新美委員という順で進めたいと思います。どうぞ。

○中村委員 中村です。聞こえますか。

○下村小委員長 はい。大丈夫です。

○中村委員 たくさんのいろんなコメントをうまく直していただいたと思うんですけど、もう一度読んでみて、いまいち、直したほうがいいんじゃないかと思うところが、8ページの27行目のタイトルの日本語なんです。多分、敷田委員から訂正があった、意見があったところだと思います。公園管理の参加という意味も持つんだということはよく分かるんですけど、そのタイトルのところで「利用者の費用負担による公園管理への参加」というのは、何か主語が、これは多分、利用者がそれによって公園管理へ参加されるということだとは思うんですけど、ちょっと分かりづらい表現だなと。誰が公園管理に参加するのかという意味が分かりづらいタイトルで、しかも内容を読んでみると、ほとんど公園管理への参加の内容は書いていないんですよね。内容はほとんど利用者負担に関することが書かれているので、こういうタイトルにすると、公園管理への参加が中心の内容なのかなと思うんですけど、実際の内容はそうなっていないので、ちょっと気になりました。文章をどうするか、タイトルをまた戻すのか、ちょっとその辺をご検討いただけたらなと思いました。

 それから、座長が後でコメントされたと書かれていた12ページの一番上の赤字のところなんですけれども、1行目から4行目で、ちょっと意味がよく分からなくて、何度読んでも、「環境大臣が国立公園事業を決定等する際には中央環境審議会の意見を聴くこととされているが、国立公園事業の決定等に伴う新たな開発行為が想定されない場合等、中央環境審議会の意見を聴く実質的な意義に乏しい事例も少なくない。そのため」「簡素化する」と書いてあるんですけど、言わんとしていることが分かりづらいので、一般の方、国民に例えば読んでいただく場合に分かりづらい文章だなというふうに思いました。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 まず、ご意見を伺ってから、事務局に対応してもらおうと思います。

 続いて、宮本委員、お願いします。

○宮本委員 ありがとうございます。二つございます。

 一つは、防災に関してなんですけれども、例えば2ページの17行目から23行目辺りのところで、生態系を活用した防災・減災については言及があるんですが、ごめんなさい、気候変動に関してですね、気象災害に関しての言及はあるんですけれども、少し緊急性が高い地殻変動に伴う災害、例えば地震とか火山の噴火などについて、特に人的な被害が出ないように配慮する、情報提供するとかについての記述を入れていただいたほうがいいのではないかなというふうに思います。実際に九州地区では阿蘇とか霧島で、噴火に関する情報提供をビジターセンターでしていただいているというような実績がありますので、それを踏まえた上で何らかの言及をいただいたほうがよろしいのではないかというふうに思います。

 2点目は、野生動物に関しての病気のことです。人畜共通感染症などもありますけれども、例えば今問題になっている鳥インフルエンザを持っている野鳥がいるとか、あとは豚熱というんでしょうか、CSF、以前は豚コレラと言っていたものですけれども、それがイノシシに感染するというようなお話もございましたので、野生動物が人間社会のほうに影響を与えるような病気を持つということを踏まえて、それに関して例えば情報収集するというようなことも、どこかに記述いただいたほうがいいのかなというふうに思います。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、新美委員、中静委員の順でお願いします。

○新美委員 ありがとうございます。新美でございます。

 まず、ログインが遅れたことをお詫び申し上げます。その意味では、少し遅れて参加しましたので、当初の議論を聞いておりませんので、多少ぼけていることがあるかもしれないのをあらかじめお許し願います。

 私のコメントは、全体に、この報告書がよく目を配っているということはよく分かりましたが、私の観点から申しますと、11ページのところで、管理団体と協議会との、ある意味で協働型のシステムを作るべきだということが述べられております。この考え方自体は、私は非常に賛同するものですけれども、法律家の立場から言いますと、協働するという言葉について、きちんとした中身を定義しないと、お互いにうやむやになって、責任の押しつけ合い、あるいは任務の押しつけ合いということが生じることがありますので、協働型の管理というときにはどんな体制でやれるのかというのを、幾つかの方向性を示したほうがいいのではないかと思います。

 この報告書でそこまで書くかということになるかもしれませんが、何らかの形で、抽象的に書くとしたら、協働することについての明確な合意なり、明確な仕組みをつくった上でやるというようなことを、一般論としてでもいいですけれども、きちんと書いておくほうが適切であるというふうに思いますので、せっかくのいいアイデアですので、きちんと動くようなことを少し書き込んでいただければありがたいと、そのように思います。

 私の意見は以上でございます。ありがとうございました。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 それでは中静委員、それから広田委員の順で行きましょう。

○中静委員 私は2点あって、一つは11ページの今の新美さんのご意見に近い点です。管理充実のところでボランティアガイドが必要というのは本当にそうなんですけど、あまりその部分を強調し過ぎると、地元の適切な産業化という点もにらんだ人材育成をしないと、なかなか公園の担い手というのは育たないと思います。文章を読むとボランティアという言葉が3回ぐらい出てきます。ボランティアを協調し過ぎるのは、かえって人材育成の面などから少しバランスを欠くのではないかなという気がしました。

 もう一点は、先ほどご紹介いただいた13ページのカーボンニュートラルのところです。紹介していた事例に良いものがたくさんあったので、そういう事例をもっと強調したほうがいいんじゃないかなと思います。東日本大震災の後に、地熱の利用が騒がれたことがあって、国立公園の中で使う電気だけではなくて、地熱の場合は外の地域社会にとっても期待された部分がありました。その時の議論と今回の議論との整合性を保つことが必要だと思います。ここの文章を直すというほどのことはないのかもしれませんけれども、太陽光とか風力発電については書いてありますが、地熱のような、あの当時問題になったようなものに対して、これからどういうふうに考えてやっていくのかということについても、少し明記したほうがいいのかなと思いました。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 それでは広田委員、江﨑委員、敷田委員の順で参りましょう。

○広田委員 私のほうから、まず、前回指摘させていただいた点は上手に直されていると思いますので、その点については了解しました。その上で、2点あります。

 一つは、1ページ目の2番、国立・国定公園をめぐる現状と課題の29行目以降の文章全体なんですけれども、いろいろ足したり引いたりした結果だと思うんですけれども、ちょっと文章がこなれていない感じがしまして、接続詞の使い方等も必ずしも最善ではないような感じで、具体的にどこをどう直すかという指摘をこの場ではちょっとできないんですが、もう一回、事務局の皆さんで通して読んでいただいて、ちょっと文章全体が、ぎくしゃくしている感じがあります。ちょっとそこが気になりました。そこが1点です。

 それからもう一点は、3ページ目の28行目、29行目、集団施設地区等の文章なんですが、冒頭の30行目、31行目のところで、「集団施設地区等における公園利用に係る機能の充実や良質な街並みは、滞在環境を上質なものとしている」という、この部分なんですが、ちょっと違和感がありまして、集団施設地区の宿泊施設だとか土産物屋の中には、決して良質な街並みとは言えないようなものも少なくないような気がするんですよね。要するに、昔ながらの、何というんですかね、観光旅行客向けのような、そういう施設も少なからずあるわけで、滞在環境を上質なものにしているというほど、すばらしいところばかりかなというのは、やや違和感がありまして、ここの2行はなくても、要は、次に廃屋の問題が出てきているわけで、殊さら、これがなくてもいいのかなという気がしました。この辺りはいろんなご意見があると思うんですけれども、要は既存の集団施設地区の全てが良質な街並みというふうに言い切れるのかという辺りが、ちょっと気になったところです。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、江﨑委員、お願いします。

○江﨑委員 ありがとうございます。

 前回のときに関係人口と関心人口という言葉を入れていただいたことに関わるんですが、全体として読んでいたときに、管理と利用促進ということを積極的にというのは分かるんですけど、それがゆえに情報戦略というか、知ってもらうとか、プロモーションとか、必ずしも観光客を増やすことばかりではなくて、国民に利用してもらうこと、管理してもらうことを促していく割には、それを知ってもらうということについて、ほとんど書かれていないなということに気づきまして、もし書くとするならば多分10ページ、11ページ辺りで、関連のところかなと。恐らく、いろんな方面から周知していくことが一番ふさわしいんじゃないかなと思って、・・・保全・管理、保全のところに入るのか分からないんですが、ちょっとそういう情報整理に持っていったほうが積極的に見えるんじゃないかなという気がしました。

 今さらすみません。ありがとうございます。

○下村小委員長 それでは、敷田委員、辻本委員、それから会場の小泉委員、吉田委員に参りましょうか。

○敷田委員 よろしいですか、敷田です。

○下村小委員長 はい、どうぞ。

○敷田委員 私の発言は、先ほどの中村委員のご発言と関連する部分です。支払、負担金と、それから参加のところですが、中村委員がご指摘のとおり、タイトルを変えていただいたことでよくはなっていますけれども、内容との不一致があると思います。解決方法としては、もっと参加について大きく取り上げた上で、参加の方法として幾つかあるよという書き方のほうが妥当のだと思います。

 関連して、11ページにボランティアのことが書いてありますが、例えばボランティアも公園管理への参加の一つの在り方、ルートだと思いますので、幾つかを拾ってくれば一つの節が形成できるのではないか、まとまったブロックがここで書ける、形成できるのではないかと思います。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 それでは、辻本委員、お願いします。

○辻本委員 私の指摘したことについてはうまく、周辺の空港とか都市とのネットワークについてはうまく書いていただきました。

 今回、新たに付け加えられたのがカーボンニュートラルの話のところで、そこが少しまだ十分に練れていないなというのを感じました。中静委員もおっしゃいましたけれども、今日、せっかく付録で、資料2でいろんな取組を見せていただきました。きっと自然公園での取組というのは、決してカーボンニュートラルを達成するために、ある部分を占めるんじゃない、何らかの形で貢献する、あるいはシンボル的に。自然公園というのはカーボンニュートラル以上に、あるいはそれも含めて目的を持っているわけで、カーボンニュートラルという視点に限ると、それの達成への貢献というのはやっぱり限られているわけですね、全体の。そうすると、国の政策としてカーボンニュートラルを達成していくということになると、どれだけそれを進捗するために努力したのかという視点から議論されると、非常に微々たるものなんだけれども、どういう意味合いを持っているか、シンボル的な意味合いを持っている、例えばオフセット的な意味合いもあるし、少し意味合いが違うと思うんですね。その辺がうまく付録のところに、私も、中静委員がおっしゃったように、書かれていたと思うんですね、オフセットの話もそうだし、自然公園でそういうことをやることの意義みたいなもの、そういうふうな意味合いから、そこの作文をされたほうがいいんじゃないかなという気がしました。すなわち、こういうことをするのが必要であるというのは、カーボンニュートラルを達成するために、国として達成するために、あるパーセンテージを達成するために必要なのではなくて、シンボル的に、あるいはオフセット的に必要なんだということをうまく書けるように、少し工夫されたほうがいいのかなと思いました。

 文章中にある、今映っているところのすぐ下なんですけれども、こういうことをすることが必要であると書いてあるけど、こういうことをしてもカーボンニュートラルというものの実現にはほんの僅かな貢献しかしないわけだから、そこのところの誤解がないような書き方にしていただけたらと思います。少し文章を考えていただくことと、今日、付録で説明していただいた取組をうまくそこに書き込めればいいかなと思いました。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、深町委員、それからその次に小泉透委員へ行きましょうか。

○深町委員 深町ですけれども、最初は、9ページ目にあります集団施設地区に関連する再生とか質の向上に関してですが、ここのところの内容を見ますと、廃屋とか施設をどうするかというのがかなり中心に、重点的に書かれているように思うんですが、全国のいろんな場所、集団施設地区を見ますと、確かにここに書かれていることが中心の課題にはなっていると思うんです。一方で、集団施設地区とはいいながら、いろんな自然の要素があって、そういうものがうまく生かされていなかったり、自然再生が必要だったりというような、いろんな地域の事情に応じた課題、あるいはビジターセンターの話などもありましたが、そもそも集団施設地区というふうに指定されて、なっているものの、ほとんどそういった機能がなかったりだとか、利用の拠点としての役割がほとんどうまくできていないような場所もあったりするので、もう少し全国、全体を見たときに、どういった集団施設地区の状況があって、どういう課題を地域の事情に応じながら対応していくのかというような視点がもう少し見えるほうがいいかなというふうに思いましたので、もし可能であればその部分も、足せるのであればなんですけれども、ご検討いただければというふうに思いました。

 それから、カーボンニュートラルの話で具体的な事例とかも、非常にいろんな取組を紹介いただいたんですけれども、基本的な部分として、やはり地域にある、例えば山だとか森だとか水辺だとか、そういうものをうまく利用した暮らし方だとか、産業の在り方というのが大事で、こういったEVバスだとか電気自動車とか、そういうのも大事かもしれませんが、そもそも地域にある資源をどううまく利用していくかということの視点があまり表に出てきていないように思うので、事例の紹介などもそうですし、各自然公園での取組についても、地味ではあっても、うまく自然の資源を上手に使っているところを応援できるような、そういうところがもうちょっと注目されるといいなというふうに思いました。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、小泉透委員。

○小泉(透)委員 ありがとうございます。もう何人もの方がカーボンニュートラルを話題にされていますので、私もこの点について、触れさせていただきたいと思います。

 私は、カーボンニュートラルというのは、CO2対策の初期にあったように、それぞれが何をできるか、皆で取り組むという態度がまず大事なのではないかというふうに思っています。したがって、いろんな分野でカーボンニュートラルに関わっていくという宣言がまず大事なのではないかというふうに考えています。

 というところで、具体的に申し上げますと、13ページの6行目から11行目に書かれている部分は、1ページ、2ページの大きな見出しの2、課題の部分に入れ込んでいいのではないかというふうに思いました。実は今朝まで、この部分を具体的に取り上げることがあるだろうかと迷っていたんですが、先ほど追加の説明をいただいきましたので、1ページ、2ページのところに取り組むべき課題としてカーボンニュートラルを書き込んで、実が伴うと思いましたので、ご検討いただきたいと思います。

 それから、全体を通してです。いろんな意見があって、それぞれに丁寧に対応いただいたおかげで、全体で何をアピールしたいのかというところが少しぼけてしまったような感じがします。全体の文章としてはこれでいいと思います。

 ということで、今でもポンチ絵というのでしょうか、概略を説明する資料を作成する中で、何をアピールしたいのかを明確に示していただきたいと思いました。ご検討いただければと思います。

 それから最後に、感想です。私はシカを中心とした野生動物管理に関わっていますが、計画がどんどん洗練されていく一方で、現場の力がどんどん先細ってきて、問題の解決が遅れていくという現状があります。今回これを読ませていただいて、国立公園、国定公園もそうなってはいけないなというふうに感じています。

 ということで、大変志の高い計画をつくるのであれば、それに見合った実行力が必要だと。その部分を、この中には書かなくても、これからの政策の中で十分に配慮いただければなというふうに感じました。

 以上です。

○下村小委員長 それでは吉田委員、続いてこちらの小泉委員、その次に大黒委員も挙げておられましたよね。という順で参りましょう。

 じゃあ、吉田委員、お願いします。

○吉田委員 皆さん、いろいろと13ページのカーボンニュートラルのところについて、ご意見をいただいており、重複するところもあると思いますけれども、私からもコメントさせていただきます。

 コメントの主要な2点というのは、電動車という言葉の使い方と、あと再エネ、再生可能エネルギーに関しては蓄電と組み合わせる視点、そして小規模分散型という視点、それが防災とかにも役立つわけです。自然公園のように遠隔地においては特にそのような視点が重要かと思いますので、そういった視点を加えてほしいと思います。

 少し先に戻りますけれども、広田先生がご指摘いただいたことと全く同じで、EVなどを使ったいろいろな事例をご紹介いただいてありがとうございました。広田先生はシンボルという言葉を使われましたけれども、まさにそのとおりで、国立公園というのはショーケースであり、シンボルになるというのが重要ではないかなというふうに考えております。

 私個人の経験で言いましても、例えば、国立公園とはやや性質の異なるものですけれども、十数年前にインドのタージマハルを訪ねたときに、大理石が大気汚染で汚れていっているので、その近くのラスト・ワンマイルに相当するエリアに関しては電動車か人力車を使うというようなことをしていたと記憶しております。そういった試みを貫徹しているのを見ると、外国から訪れた観光客などは、やはりインドというのはこういった点に配慮しているんだなと認識することが出来ます。確かに街中の大気汚染はひどいけれども、やはり重要な文化財、あるいはこれを自然資本に置き換えて考えてもよいのですが、そういったところをしっかり保全していくのだという姿勢が見えます。

 例えば、福島側から尾瀬にアクセスする際には、やはりシャトルバスに乗り換えてアクセスすることになりますが、そういう対応を見ることによって、観光客の間にも自然保護や環境保全への意識が醸成されると思います。先ほどのタージマハルは文化財ですけれども、そういったことに対する意識が芽生えるなど、これから再びインバウンドが増えたときに、外国人に対してもアピールになるのではないかと思います。自然公園の中でカーボンニュートラルを達成することによる温室効果ガス削減量というのは非常に小さな割合でしかないと思いますが、ショーケースやシンボルとしてぜひ利用していただきたいと考えております。

 ようやくカーボンニュートラルに関する議論が出てきましたので補足しますが、国立公園は自然共生型社会を考える上での最前線だと思いますが、それと脱炭素社会や低炭素社会の組合せ、シナジー効果という考え方がここで明確化することは非常に良いことではないかと思います。

 一つだけ、少し定義を明確にしたほうがいいかなと思うのは、13ページの9行目の電動車という言葉です。最近、2050年の脱炭素化宣言の後に、今はまだ明確ではないですが、2030年代半ばに日本も全部電動車にするという方向性が示されています。EUとか中国とか、いろいろな先行する国々の後を追いかけて、日本も方向性を打ち出しつつあります。東京都は前倒しで2030年代にはと言っておりますけれども、電動車の中にハイブリッド車を入れるかどうかというのは世界各国で、大きな議論になっています。中国はハイブリッド車を外すと言っておりましたが、最近では、やはりハイブリッド車なしではなかなか立ち行かないので、ハイブリッド車を入れるとなりつつあります。日本は当然ながらハイブリッド車、もう普通車では50%を超えていますから、ハイブリッド車を主流に据えてやっていくというようなことになっております。ここでの電動車という言葉と事例を見ていると、どちらかというとゼロエミッション車という言葉の方が近いのかなと思います。そこを明確に、FCVMIRAIも最近、新型車が出ましたし、そういったところを優遇していく、あるいは小型の電動モビリティを優遇していくといったふうに書かれたほうが、間違いがないのかなと思います。そこの定義は、かなり最近では議論になっているところかなと思います。

 次ですけれども、再生可能エネルギーに関してはどうしても、私も自然保護の話を考えていると、メガソーラーとか、あるいは風力発電による騒音とかバードストライクとか、景観上の問題とか、ネガティブに捉えがちな面もあります。しかしながら、異常気象が続き、気候災害が続いている中で自立・分散型の小規模な再エネは、これは電動車との組合せも非常によくて、蓄電システムを確保することによって、災害時に一時的に孤立した中でもしっかりと電力を確保できるというのは、これは自然公園をショーケースとして使うには非常に良い事例かなと思いますので、ぜひ再エネをネガティブにだけ捉えないように、ポジティブなところも少し加えていただけるとありがたいというふうに考えております。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、小泉委員。

○小泉(武)委員 私は7ページの自然体験プログラムというところについて、ちょっとコメントを申し上げたいと思います。

 実は自然体験プログラムと書いてあるんですけれども、実際は観光客の行動をみんな含むんじゃないかと思うんですね、見ていくと。中を見ていきますと、例えば国立公園のテーマやストーリーが大事だとか、地形や地質のことだとか、エコパーク、ジオパークのこと、いろいろなことをみんな書いてくださっていて、とてもありがたいんですけれども、これだけを読むというか、タイトルを見ますと、普通の観光客が何かするというよりも、例えば観光地に行ってキャンプをしたり、それからジオパークのあれに参加するとか、そんな感じを受けちゃうんですよね。でも、普通に観光客が行うのは、景色を見て、ああ、よかったなということだとか、温泉に入ってすっきりしたとか、そういうこと。それから、本当に山へ登って、ああ、よかったねと、そういうところが多いと思うんですけど、これはすごく限定されたイメージがついちゃう気がします。最初から自然体験プログラムと書いてあると、これは俺には関係ないということで読まなくなっちゃう人がいそうな気がするんですね。もしできたら、例えば、普通の観光のことは書いていないんですけれども、それがちゃんと分かるような形のものを追加してもらったほうがいいと思います。

 私はよく、この頃、知的観光といって、頭を使ったり、体を使ったりする観光をしましょうということを言っているんですけれども、ここの中にはそういう話が出ているんですよね。ですから、もしできたら、このタイトルをちょっと変えていただいたほうがいいような気がします。ガイドつきのツアーとか、そういうものだけじゃなくて、知的観光をやっていこうということですから、ここには書いていないんですけど、例えば、前回、私が申し上げたようなガイドブック、非常に良質の、国立公園はこんな形でできてきたんだとか、そういうことがちゃんと分かって、こうだったのかと。景色を見た、それだけではなくて、ある意味で頭を使って、そこの自然のすばらしさを楽しむ。そういうのができることが大事だと思うんですよね。知的観光の推進というようなことになるのかもしれないんですけれども、そのようなことを、この中にもう少し分かりやすい形で入れていただくとありがたいと思います。

 中身そのものは、私がいつも言っているようなことは、みんな入っているんですよね。ですから、それについて云々じゃないんですけれども、タイトルがちょっと分かりづらいというのと、すごく限定されたことになっちゃいそうだということで申し上げました。どうもありがとうございます。

○下村小委員長 それでは、大分お待たせしました。大黒委員、お願いします。

○大黒委員 どうもありがとうございます。

 前回の様々な指摘を非常にバランスよく入れていただいて、とてもよくなっているというのが全体的な印象です。前回、私もカーボンニュートラルのところは指摘させていただいて、繰り返しになるんですけれども、13ページの、特に6から11行目の辺りは非常に内容も加えて、よくなっていると思います。

 ただ一方で、前回、中村委員が最後に指摘されたような負の側面ですね、そこに対してどう対応するかというところ、これが多分12から20行目の辺りに入っていると思います。環境省としてカーボンニュートラルの問題に対して、アクセルをかけるところと、一方でブレーキをしっかり踏むという、二つの側面で重要な役割を持っているかと思います。それに加えて、辻本委員もおっしゃったような環境省ならではの視点ということが重要になってくるかと思います。

 関連して、深町委員から地域資源の持続的利用という視点をここに加えるというご指摘がありましたけど、まさに、ここの項、ちょうど12ページの33行目から13ページの5行目にかけて記載されている地域循環共生圏の創出と、ここの中に続けてカーボンニュートラルの記載がある、ここの流れは非常にいいと思うんですよね。ですから、前半と後半をうまくつなげる中で、環境省としてのカーボンニュートラルに対するユニークな視点といいますか、独自の視点というものをもう少し強調してアピールしていけるんじゃないかというふうに私は考えております。

 以上です。

○下村小委員長 今日は長野県の猿田部長に代わって、今井自然保護課長にご参加いただいています。今井課長からも挙手がありますので、今井課長、お願いします。

○今井長野県自然保護課長 長野県自然保護課の今井と申します。環境部長の猿田に代わりまして、出席させていただいております。

 13ページの9行目から11行目の間なんですけれども、他のページですと国立・国定公園というような記述になっていますが、国立公園等、国立公園という形で、若干記載が様々になっておりまして、いずれ統一されるのかなというふうに私は推察しているところです。

 私のほうから1点、意見として述べさせていただきたいのは、12ページの国立・国定公園における山小屋との連携の部分になります。今年は新型コロナウイルス感染症の流行によりまして山岳利用、山小屋利用の方法も大きく変化いたしまして、県内各山域の山小屋の経営者の方ですとか支配人の皆さんと、私どもも例年以上に意見交換を行わせていただきました。その中で、山小屋の皆さんの公益的機能を再認識することとなりまして、環境省さんも来年度の概算要求の中で山岳環境保全、安全対策事業の充実を検討されておりまして、私ども長野県としても地方公共団体として山小屋支援の強化を検討しているところでございます。

 それを考えますと、12ページの7行目、「民間の山小屋は、山岳地域における環境保全や登山者の安全確保、登山道整備等において重要な役割を担っている」というふうになっておりまして、これは18行目のところでも同様に、重要な役割という記載になっております。ただ、前段には環境保全や安全確保、登山道整備というふうになっておりますので、ここは、私どもとすると公益的機能を有しているというふうに置き換えていただいてもいいのではないかなと思って、一歩踏み込んだ記載をお願いできると、地方団体としても前向きな取組が可能になるというふうに思っております。ご検討をお願いできればと思います。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 一通りご意見をいただきましたが、かなり高度な、それぞれの文章の背景というか、意義づけに関するところの加筆が多くて、事務局がすぐに答えられるかどうかがちょっと分からないんですが、ともかくたくさんいただきましたので、今どう考えているかというようなことについて、ちょっと事務局のほうのご対応をお願いします。

○事務局(三宅) ありがとうございます。下村先生にも温かいご配慮をいただきまして恐縮です。国立公園課の三宅でございます。幾つかいただいた点につきまして、今の考えを述べさせていただきたいと思います。

 まず中村委員から、8ページの27行目のタイトルの部分で主語、述語の関係が分かりにくいというご指摘をいただきましたので、ちょっとタイトルの修正は検討したいと思っています。ちなみに趣旨だけ説明させていただければと思うんですけれども、8ページの31行目の辺りに利用者負担によって利用者にも公園管理に参画してもらうという、そういう意識啓発につながるという部分で若干の公園管理への参画という要素があるのかなと思っていたんですけれども、先ほど敷田委員のほうからもご提言をいただきましたので、全体的な中身の修正も含めて、ご指摘を踏まえて対応したいと思っております。

 それから、12ページのところの記載がちょっと分かりにくいということだったんですけれども、すみません、分かりにくくて申し訳ありませんでしたが、記載させていただいている趣旨としては、この審議会の場で公園事業の決定について、いろいろご審議いただいているところではあるんですけれども、新しい開発行為が想定されないような事業の決定というのが最近は増えておりまして、一番分かりやすい例でいきますと、そこにホテルがあるものを、既存のホテルをベースにして事業決定すると。いわゆる制度上は事業決定されるんですけれども、実際には既存のホテルがそのまま公園事業に位置づくというところでございますので、新しい開発行為を伴う場合がなくて、そもそも公園事業の決定をこの審議会で意見を聴く意義としましては、公園の保護と利用のバランスをいかに取っていくかというところでご意見を伺っているという点ですので、そういった点で、新しい開発行為がない場合は意義が乏しいということで書かせていただいたところです。いずれにしても、ちょっと記載をもう少し分かりやすくできないかというところは検討させていただきたいというふうに思っております。

 それから宮本委員から、2ページの17行目ですかね、気候変動とかに限らず、災害情報の発信といったようなことも追記してはというご指摘をいただいておりました。2ページは現状と課題なので、そういった情報発信を積極的にやっていく必要があるといった積極的な施策を書くのであれば、後段のほうがいいのかなというふうに思っております。例えば、11ページに管理の充実強化といったところがございますので、どちらに記載するかは、こちらで改めて考えさせていただきたいと思っておりますけれども、そういった火山とか地震情報の発信といったようなことにも、どこかしらで触れる形を考えていきたいというふうに思っております。

 それから、人獣感染症といったようなこともあるので、情報収集の重要性をどこかに記載してはといったところでご指摘をいただきました。そういった意味でいきますと、人獣感染症に限らず、自然情報をきちんと把握して蓄積して、それを有効に活用するというのは重要な視点だと思いますので、もう少し広い観点も含めて、情報収集といったようなところをどちらかで書かせていただくような形でいかがかなというふうに思っているところです。

 それから、新美委員から11ページですね、管理の充実強化という部分で、協働する上での合意とか仕組みというのをきちんと位置づけていく必要があるといったご指摘をいただきました。14行目、15行目に書いてあります協働型管理運営のための協議会というのが、まさに協働のための合意を図る場であったり、仕組みとして協働型の管理運営をこれまで進めてきているというところなのかなと思っておりまして、ご指摘も踏まえて、こういった協働型管理運営のための協議会の意義ですとか意図しているところとか、そういったものをもう少し追記するような方向で考えさせていただきたいというふうに思っております。

 それから中静委員から、11ページでボランティアの記述をあまり強調し過ぎる必要はないんじゃないかというご指摘をいただいております。敷田委員のほうから、先ほどの8ページの利用者負担のところにボランティアの話も含めてはというご提案もいただいたので、一部そちらに移すようなことも含めて、少しボランタリーな部分の記載は減らす方向で考えたいと思っております。

 それから、カーボンニュートラルの件については、後ほど中山のほうから説明させていただきたいと思います。

 それから、広田委員からいただきました1ページ、29行目以降、ちょっと文章の接続が悪いというところで、すみません、改めてこちらでも見直してみたいと思います。

 それから、3ページ目の集団施設地区のところです。確かにここはご指摘のとおりで、我々も別に、現状の集団施設地区が全て良質な街並みだと認識しているわけでは決してなくて、仮定の話を実はここではしていまして、公園利用に関する機能の充実とか、街並みが良質なものになれば、滞在環境が上質なものになりますよねという意図でしたので、もう少しそういった意図が分かるような形、仮定のものだということが分かるような形に修正したいというふうに思っております。

 それから、江﨑委員からご指摘いただきましたが、ややWEBの音声が途切れていて聞きづらかったので、認識に間違いがあれば、また訂正していただければと思うんですけれども、公園の利用とか、そういったものをきちんと進めていく上で知ってもらうことが大事なので、そういった情報発信の戦略みたいなものを10ページ、11ページ辺りのどこかに書いてはといったようなご指摘だったのかなというふうに受け取っております。先ほど宮本委員からも災害情報の発信といった面もいただきましたので、そういった点も含めて、ちょっとどちらに記載するのが適切かを考えた上で、情報発信というものをどこかに入れていくような形にしたいというふうに思っております。

 それから、敷田委員からは8ページの利用者負担の話のところで、公園管理への参画という要素を出すために、ボランティアみたいな要素をこちらにもう少し移してきてはというご指摘をいただきましたので、ちょっとそのような形にしたいと思っております。

 ちなみに、敷田委員に改めて用語のご相談をしたいなと思っているのですけれども、利用者負担とかボランタリーな参画というのを入れると、8ページの27行目以降が、ややマネジメントという中身にも近くなってくるのかなという気もしていて、8ページの5行目のほうをコントロールに戻して、27行目以降をマネジメントに変えるというようなこともあり得るのかなと、ちょっと思ったりしたんですが、用語の使い方について、もしご示唆があれば、改めていただければありがたいなというふうに思っております。

 それから、辻本委員から脱炭素の件についていただいたのは、後ほど説明させていただきたいと思います。

 深町委員から、9ページの集団施設地区の部分ですね、自然環境の状況ですとか自然再生の必要性ですとか、あるいはビジターセンターといった機能強化みたいなところも全体的な課題として整理したほうがよいというところでご指摘をいただいております。課題については、3ページの29行目以降のほうに課題として整理していますので、こちらにもう少し、公園利用としての機能の強化ですとか、あるいは地域の自然、そういった背景を十分に考慮する必要があるとか、いただいたご指摘を踏まえた課題を追記するようなことで考えたいというふうに思っております。

 小泉透委員からいただきました概要資料については、何かちょっと、次回、分かりやすいものをお示しできるように、用意させていただきたいと思っております。

 それから、現場の実行力は大事だと。まさにそのとおりだと思っておりまして、今回も例えばガイド事業者さんの人材育成ですとか担い手確保とか、そういった部分も少し追記したところですけれども、政策面ではもちろんやっていきたいと思っておりますし、もう少し提言全体を、そういった観点でも改めて見直していきたいというふうに思っております。

 それから、小泉武栄委員からいただきました、7ページのプログラムという用語の使い方です。確かにご指摘のとおりで、ここに書いてあることというのは公園利用、観光利用全体のことを書いていますが、一方で、これまで検討を進めてきた経緯というのは、国立公園の中でそういったソフト事業をきちんと位置づけてレベルアップさせていく必要があるといったような意識でも進めてきましたので、プログラムは例示しつつも、全体の観光でも読めるようなタイトルの修正というのをちょっと考えさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、今井委員からいただきました、全体として国立・国定公園と国立公園の用語の統一というのは改めて見直していきたいと思っております、というところと、山小屋の点ですね、12ページの18行目、公益的な機能を有していることを追記ということでしたので、そのように対応したいというふうに思っております。

 私からは以上です。

○事務局(中山) 国立公園課の中山です。続きまして、カーボンニュートラル関係について、答えいたします。

 様々なご意見をいただき、ありがとうございました。いずれも参考になる意見と思っていますので、十分検討したいというふうに思っています。

 まず、中静委員のほうからいただいたご意見ですけれども、地熱発電についてですけれども、2017年までに過去2回、規制緩和しまして、地域での合意形成、地域関係者への還元ということを含めた優良事例の形成に向けて、各地で取組が進められているところでございますし、既に国立公園内には地熱発電所がございますので、そういった取組も進めているところですので、書けることについて、検討したいというふうに思っています。

 それから辻本委員のほうから、国立公園が脱炭素、世の中の脱炭素全体に占める割合というか、達成度というのは限られるけれども、シンボル的、オフセット的な取組を進めるべきということで、吉田委員からもショーケース的に進めていくということで、観光客の観光保全に対する意識向上にもつなげていくような、そういったことをしていくことが重要というご指摘をいただきましたので、その点を書き加えたいなというふうに思っているところでございます。

 また、深町委員のほうからは、地域の自然資源をうまく活用して再エネ施設というのも使っていくべきだというご指摘をいただきまして、大黒委員のほうから、最後のほうに、地域循環共生圏の取組と、今、文章で書かれているような適地適切での再エネ施設の設置活用というところをうまく組み合わせて書くのがいいのではないかというご指摘もいただきましたので、ご提案を踏まえて書きたいと思っています。

 それから、小泉透委員のほうからは、カーボンニュートラルについてはそれぞれの分野でできることが重要ということで、まずは課題のほうにも書くべきということでご指摘をいただきましたので、1から2ページの現状と課題のところへ書き加えることについて、検討したいと思っております。

 それから、吉田委員のほうからは電動車に関してご指摘がありました。これはおっしゃるとおりでして、電動車といいますとハイブリッドとかPHEVとか、そういったものも入って、広く捉えられることがございますけれども、優遇措置として実はここでイメージしているのは、いわゆるEVFCV、電気自動車と燃料電池自動車でございますので、そこが分かるように修文したいというふうに思っています。

 蓄電池を活用して小規模の自立分散型の仕組みをつくっていくというのは災害対応等でもポジティブな側面があるというのはおっしゃるとおりでして、国立公園内でもそういう事例ができていますので、そういったものも分かるような記述にしたいと思っています。

 そういったことも含めてポジティブなこと、それから地域での迷惑施設にもなってしまっているような事例もあるというネガティブなこと、そういうのをもうちょっとうまく、バランスよく組み合わせて記述するような工夫をしたいと思っております。

 それからもう一つですけれども、宮本委員のほうから人獣共通感染症のお話がありまして、豚熱の話がございました。情報収集の観点もお話があったと思いますけど、実はビジターセンター等でも、キャンプ場でごみを出さない、肉が放置されると、それで広がってしまう可能性があったり、来るお客さんにとってもリスクがあるということで消毒したり、そういったこともしていますので、情報収集だけでなくて発信の観点も恐らく大事だと思っていますので、追記するときには、その観点も加えたいというふうに思っております。

 以上でございます。

○熊倉国立公園課長 国立公園課長の熊倉でございます。

 いただいたご意見、賛同できる部分が非常に多くて、その方向で修正したいと思っていますが、2点だけ申し上げたいと思ったのが、8ページの利用者費用負担のところでありまして、公園行政上、費用負担の話は長年の議論、課題になっているところで、方向性は概ね賛同いただける方が多いので、今は仕組みづくりというところで一生懸命頑張っているところであります。そういうことで、協力金の話とか地域自然資産法の話とかを書かせていただいているので、ここはそういった費用負担の仕組みづくりについて記述させていただいて、いわゆるボランティアみたいな、公園管理に参加するような話は別のところで、そこは分けて記述させていただきたいと思います。例えば、公園管理の体制の話が後ろに出てきますので、そこに含めて考えるというような形で、ここは利用者の費用負担ということでまとめさせていただけないかと思っております。

 それから、小泉武栄先生からご指摘のあった、7ページの自然体験プログラムという言葉なんですが、もともとは従前の公園利用が、見て帰るみたいな周遊型が中心で、実際に自然を満喫するような、理解するような、そういったソフト面での取組は弱かったのではないかという課題認識から、満喫プロジェクトの中で今ソフトの事業を展開しておりまして、一般的に我々は自然体験プログラムとか自然体験コンテンツといって、満喫で進めています。そういう意味で、従来型の見て帰るだけというものではない、そういったものの促進というのを表現したいと思っておりまして、今は自然体験プログラムという言い方をしていますが、ご指摘の登山とか温泉とかもこれに含まれると。実際、自然のすばらしさを肌で感じて、感動して、理解する、そういう広い意味でご理解いただけたらどうかと思っております。

 以上でございます。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 事務局のほうで皆さんからのご意見を概ねというか、中に組み込めそうだと。これから少し、パブコメに向けて修文、修正いたしますということの方向性をいただきました。ただ、今回の報告書の中で強調したい部分が弱くなってしまってもいけないところがありますので、そこのバランスを踏まえて修正を進めるということのお答えだったというふうに思います。

 皆さんのほうで何か、今の対応を踏まえて、こんなふうにというようなこと、あるいはこの点がまだ十分じゃなさそうだという辺りのご指摘がありましたら、ご意見をいただきたいんですが、いかがでしょうか。

 それから、事務局から敷田委員に、表現についての質問があったようですけれども、その辺りも踏まえてお答えいただけるとと思うんですが、どうでしょうか。

○事務局(三宅) 内部の意思統一が不十分で申し訳ありません。ちょっと私の発言は訂正させていただいて、タイトルは利用者の費用負担というタイトルでお願いできればというのが、すみません、こちらの考えですが、いかがでしょうか。

○下村小委員長 先ほどの今回強調したい部分ということもありますので、あるいは今後進めるところをより明示的に分かるようなタイトルというのも重要かと思いますので、その点は、最終的には修正で大分いろいろ変わってくるとは思いますが、私にご一任いただくような形で、皆さんのご意見を踏まえて修正させていただきたいと思いますが、何か特にございませんでしょうか。よろしいですか。

 どうぞ。

○小泉(武)委員 資料の中に国立公園の図とかが出ているんですけど、中央アルプスがまだ載っていませんので、申し訳ないけど追加してください。

○下村小委員長 ちょっと確認ですけど、パブコメは資料1、それだけで、先ほど小泉透委員からポンチ絵とか、そういうような話もあったり、委員会を進めている段階では資料として使ったようなものもあったと思うんですけれども、今回はそれは使わずに、資料1の文章だけでパブコメにかけるということですね。

○事務局(三宅) 基本的には、それでお願いできればと思っております。次回の審議会で対外的にPRするような、分かりやすい資料を別途ご用意させていただきたいというふうに思っております。

○下村小委員長 よろしいでしょうか。

○敷田委員 先ほどの件ですが、修正は結構だと思います。ただ、修正する際に、利用者負担をする意味を明確にしておいていただけないでしょうか。今も書いていただいていますが、恐らく国立公園というのは地域に立地しているので、地域外から来て利用する人たちにも負担してもらうということが明確に書かれていたほうがいいと思います。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。その点も踏まえまして、修正をと思います。

 それでは、たくさんご意見をいただきましてありがとうございました。ほかに追加ということはなさそうですので、この件の議論はこれで終了させていただこうと思います。本日いただいたご意見を事務局が反映させたものを私、小委員長が確認した上でパブリックコメントを行いたいというふうに考えていますので、ご了承いただければ幸いです。

 次回以降の小委員会では、パブリックコメントの結果を受けて、最終的な答申の取りまとめを行いたいというふうに考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 以上で本日予定しておりました案件の審議は終了いたしました。審議へのご協力ありがとうございました。

 それでは、進行を事務局にお返しいたします。

○事務局(清武) 下村小委員長、ありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議いただき、ありがとうございました。

 それでは以上になります。どうもありがとうございました。

午前11時47分 閉会