カルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会(平成30年度 第2回)議事録

1.日時

平成30年8月20日(月)13:30~16:00

2.場所

経済産業省別館1階 108号会議室

3.出席者

(座 長) 大澤 良

(委 員) 穴澤秀治、伊藤元己、岩下和裕、内田恵理子、神田忠仁、

      佐藤 忍、田中伸和、中村崇裕、真下知士、八神健一、山本 卓

(専門委員会の委員として)磯崎博司

(関係省庁)財務省池永専門官、文部科学省廣谷専門職、

      厚生労働省稲角課長補佐、農林水産省吉尾課長補佐、

      経済産業省小出室長

(環境省) 永島総務課長、堀上野生生物課長、北橋外来生物対策室長、

      八元外来生物対策室室長補佐、岡本移入生物対策係長

      山口外来生物対策係

4.議事録

○事務局 予定の時刻より少々早いですが、皆様お集まりのようなので始めさせていただきます。それではカルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会、平成30年度第2回を開催させていただきます。

 本日の検討会は平成30年7月11日、遺伝子組換え生物等専門委員会決定、カルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会の運営方針についての1(1)に基づき、一般傍聴の方も含む公開の会議となっております。議事録につきましても、委員の皆様にご確認いただいた上で公開となりますので、ご承知おきください。

 それでは本日の検討に先立ちまして、自然環境局野生生物課長の堀上よりご挨拶申し上げます。

○事務局 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、第2回の検討会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

 8月7日に第1回検討会を行いまして、そこでゲノム編集技術の中で、カルタヘナ法で規定される遺伝子組換え生物等を作出する技術につきまして整理をしていただいたところでございます。また、カルタヘナ法の対象外というものの取扱いにつきましても、その際にいろいろご意見をいただいたところでございます。

 先生方からいただいたご意見をもとにしまして、事務局側で前回資料の修正案と、それから法の対象外とされたものの取扱いの案を作成いたしました。本日は、このことにつきましてご議論をいただきたいというところでございまして、遺伝子組換え生物等専門委員会に報告する内容を、本日固めていただければというふうに考えております。大変限られた時間ではありますけれども、どうぞ本日はよろしくお願いいたします。

○事務局 申し訳ございません。報道関係の方、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。また、その他の方につきましても会議中の撮影、録画・録音についてはお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 では、出席者についてご紹介させていただきます。

 本日は鎌形委員がご都合により、ご欠席されておりますので、12名の検討会の皆様にご出席をいただきました。また、本検討会の親委員会である遺伝子組換え生物等専門委員会から磯崎委員のご出席を賜っております。今回は2度目の検討会ですので、前回、ご欠席だった委員のみご紹介させていただきます。

 佐藤忍委員でございます。

○委員 よろしくお願いします。

○事務局 農林水産省及び当省に係る第一種使用について審査にご協力をいただいております。皆様どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、資料を確認させていただきます。

 お手元にお配りしていると思いますが、1枚表紙がありまして、資料一覧、出席者一覧が、資料1から足元に通し番号を振っておりますが、資料1と次5ページからが資料2、その後9ページに横表が入っております。その後、参考資料1が11ページから。参考資料2が15ページから17ページまで、以上になります。

 不足している資料がございましたら、事務局にお申し出ください。

 それでは以降の進行を座長にお願いしたいと思います。座長、よろしくお願いいたします。

○座長 それでは皆さんよろしくお願いいたします。

 早速、議題に入っていきたいと思います。議題1のゲノム編集技術のうちカルタヘナ法で規定される遺伝子組換え生物等を作出する技術に該当する技術の整理についてということで、本日の議題に移っていきたいと思います。

 前回の検討会では、この議題1といたしまして、ゲノム編集技術のうち、このカルタヘナ法で規定される遺伝子組換え生物等を作出する技術に該当するかどうかを皆さんでご検討いただいたと。遺伝子組換え生物等専門委員会、この検討会の前に開かれました専門委員会で了承されたたたき台をもとに前回ご議論いただいております。

 その結果、今日お配りいただきました参考資料2にもございますけれども、また随時ここを振り返りながら使っていきたいと思いますが、SDN-1の中にもいろんな技術がある、いろいろ方法がある。しかし一過的にでも細胞外で加工した核酸を移入した場合には、最終産物、最終的に得られた生物に核酸が残存していないことを科学的に確認した上で、カルタヘナ法の対象外として扱い、確認されるまでの間は、カルタヘナ法に規定される遺伝子組換え生物として扱うと、こういう点で合意されたというふうに理解しております。

 また、これにつきまして、もう一度改めて事務局から説明がありますので、その時点で今私の申し上げましたこと、不正確な部分がありましたらご指摘いただきたいと思います。また、たたき台につきましては、科学的知見を根拠に、より正確に記載するということ。核酸の残存について科学的に確認を行った上で規制対象外とする旨、これをちゃんと記載してくださいと。ある特定の技術のときにのみ、その確認ではなくて、全て科学的に確認された状況で核酸がないということであるならば、このカテゴリはカルタヘナ法外であろうと、そういう理解です。ただ、それをきちっと記載することというご意見をいただき、事務局がその改正案を準備してくれております。

 本日は、事務局が準備しておりますこの資料に基づいて、さらにご意見をいただきまして、本検討会の最終報告ということでまとめられたらいいなというふうに考えております。先に結論ありきではありませんので、本来事務局が用意したもの、それが前回の私どもの意見がきちんと反映されているか、そこもよく踏まえた上で、あるいはこの2週間の間、先生方もいろいろお考えになって付け加えるべきことがあるか、それも踏まえまして、進めていきたいと思います。

 それでは早速ですけども、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局 それでは事務局から説明させていただきます。

 まず、今先生から話がありました参考資料2を見ていただきます。15ページになります。前回検討会でいただきましたご意見、まず資料1に関するご意見としましては、SDN-1のような、細胞外で加工した核酸が最終産物に含まれない状態にする技術により得られた生物については、そのことが科学的に確認された場合は、カルタヘナ法の規制対象外として扱うということで合意されたものです。「最終産物に」というところを入れないと不明確であったので、ここはちょっと訂正させていただきたいと思います。

 これを踏まえまして、資料1を修正しましたので、資料1をご確認ください。最初のほうからどこを訂正したかというところを説明させていただきます。

 まず資料1、1ページ目の1番、(1)ここは人工ヌクレアーゼの説明をしているところですけれども、人工ヌクレアーゼには2種類あって、①のほうは宿主のDNAと結合する部分及び切断する部分、両方ともタンパク質であるものと、②の結合する部分は核酸、DNA切断する部分はタンパク質という、タンパク質だけでできているものと核酸とタンパク質でできているもの、2種類があるという説明をさせていただきました。

 ①のほうですけれども、接合部分というのは両方ともタンパク質ではあるんですが、ただ宿主の細胞に入れる際に、RNAの核酸の状態で入れることも可能だということですので、その①の括弧書きを加えておりまして、ZFNやTALENであっても核酸の状態で移入する場合は②に分類されるということを明記しました。

 続きまして3番、法律上の整理ということで2ページ目になります。前回の説明では、ゲノム編集技術の中にはSDN-1とSDN-2とSDN-3と、大きく分けて三つありますという説明をしまして、SDN-1というのは人工ヌクレアーゼで切るだけのもの、自然修復が行われて変異が発生するというもので、SDN-2とSDN-3につきましては、人工ヌクレアーゼで切った上で、さらに、外で加工した核酸を入れ込むというものです。3.(1)(2)のところで、SDN-1とSDN-2、SDN-3とで分けて書いていたんですけれども、先生からのご意見で、例えばSDN-1、SDN-2、SDN-3、明確に分けられない、中間的なものもあったり、あとは人工ヌクレアーゼを使わないでも編集できるような技術もあるといったご意見いただきましたので、この(1)(2)の整理のところでは、法律上の文言で整理させていただきたいと思いまして、得られた生物に細胞外で加工した核酸が含まれない場合、例えばSDN-1のようなときということと、3ページの(2)では、得られた生物に細胞外で加工した核酸が含まれる場合、例えばSDN-2やSDN-3の場合などというふうに記載をしました。

 (1)の細胞外で加工した核酸が含まれない場合については、①~③の人工ヌクレアーゼの入れ方によって、いろいろなケースが考えられることを記載しているんですけれども、それぞれにおいて核酸で入れる可能性があるということですけれども、最終的に核酸が取り除かれていることが確認されていれば、対象外となるということですので、③の下のところになお書きで追加しております。いずれの場合も作製の過程において、細胞外で加工した核酸を移入するものについては、得られた生物に当該核酸が残存していないことが確認されるまでの間は、遺伝子組換え生物等として取り扱い、カルタヘナ法に基づく適切な措置を講ずる必要があるということを明確に記載しました。ですので、核酸を入れた場合につきましては、必ず確認をするまでは遺伝子組換え生物等として取り扱うことが必要だということです。

 続きまして、(2)得られた生物に細胞外で加工した核酸が含まれる場合につきましては、ここはもう明らかに外で加工した核酸を宿主に組み込んでいますので、遺伝子組換え生物等に該当するということで整理をしております。

 前回の検討会の中で、最終的に得られた生物においては、SDN-1でつくられたものもSDN-2でつくられたものも同じ場合があり得るだろうというご意見があったんですけれども、ここはまずは法律上整理をしますと、明らかに細胞外で加工した核酸を入れている状況、SDN-2の状況につきましては、法律上の整理としましては遺伝子組換え生物等に該当するということで、そのような取扱いが必要と考えております。

 資料は次の議題のところで説明する資料なんですけれども、9ページのところに、ちょっと簡単に表にしてまとめているところがありまして、今の説明をざっくりおさらいしますと、ゲノム編集技術にはSDN-1とかSDN-2とかSDN-3といった方法がありますけれども、宿主に細胞外で加工した核酸を移入していないということであれば、カルタヘナ法の対象外となります。右側で宿主に細胞外で加工した核酸を移入している場合につきましては、カルタヘナ法の対象となります。ただ、そのうち細胞外で加工した核酸が得られた生物から残存していないことが確認されたものについては、カルタヘナ法の対象外となり、残存していれば、当然、カルタヘナ法の対象となるということです。

 以上で資料1の説明は終わります。

○座長 どうもありがとうございました。

 ただいまの事務局から前回の先生方のご議論を反映した、カルタヘナ法におけるゲノム編集技術の利用により得られた生物の規制対象範囲(案)をご提示いただきました。これにつきまして、まず何かご質問はございますでしょうか。

 事務局の今の説明を大きく説明いたしますと、1.特に法律上の扱いのほうが問題になろうかと思うんですが、加工した核酸が含まれない場合と含まれる場合、まず大きく分けて二つある。含まれない場合においても①②③のケースが考えられて、それぞれ該当はしない。しかしながら、それについていずれも、なお書きのところは少しご議論いただくべきところかなと思いますけれども、いずれの場合も過程においては移入するものについては得られた拡散が残存していないことが確認されるまでの間は遺伝子組換え生物等として扱うべきであるということです。これが(1)の一番大きなポイントかというふうに思います。

 また(3)につきまして、今後、新たに開発され得る技術。これも前回いろいろな、オンタイムでどんどん技術が変わっていくものですから、対応をどのようにしていくかというときも、現行のカルタヘナ法における規制対象ということを考えると、これについても上記の(1)(2)これを基本的な考えとして仕分けて、しばらくは対応できるんではなかろうかということが事務局の本日のご提案であり、我々の意見を反映した取りまとめということになります。

 何かどなたからでも結構ですけども。

○委員 一つ、技術のところで、人工ヌクレアーゼの種類ということで、今回、括弧書きで「(ただし、ZFNやTALENであっても、RNA(核酸)の状態で移入する場合は、②に分類される。)」という、この文言は、ちょっと違和感があって、そもそも、これはヌクレアーゼの種類が全然違うものなので、RNAの形状で入れても1であることには何も変わりはないと思いますので、この文言はないほうが自然かなというふうに思うんですけれども。

 要は形状をどうするかという問題のことを、2番目にご説明いただいた形では整理できていると思うんですけれども、ここが分類分けをするところで、Zinc FingerやTALENをRNAの形で入れるだけのことをここだけ取り上げるのは、すごく違和感があって。それで2になるわけではないので、決してRNAがヌクレアーゼになるわけではありませんから、単にその途中の形状のRNAとして入れるだけのことをここで書かれると、何となくバランスも悪いですし、ここも削られたほうがいいと思います。

○座長 これに関しまして、単純に事務局としては、この「核酸」という文言で入れるわけですね。だからそこがかえって誤解を招くのであれば、もちろん取ってもいいと思うんですけども、そこで少し私自身も判断非常に難しいかなと思うんですけども。ほかの先生方からこれに関しましてご意見はございますでしょうか。

 先生の言われるとおりかなとは思うんですけども、その「核酸」という名のついたものが、一時的にも細胞内に入るのは、事実があるということにすると、そうしておいても問題ないのかなと。

○委員 書かれるのはいいんですけど、2に分類されるというところが、サイエンス的にはすごく違和感が出ます。これに変わりますよという意味に、僕は取ってしまったので。

○座長 なるほど。

○委員 ここは、まだ人工ヌクレアーゼの種類のことを言っているところだけなので、その扱いをどうするかという議論をここですると話が混乱してしまうと思います。

○座長 どうぞ。

○委員 (1)は人工ヌクレアーゼの種類であって、(2)に人工ヌクレアーゼを宿主に導入する方法という項目がありますので、多分タンパク質で入れる方法と、それからmRNAの形で入れる方法があるということは、(2)のほうに書くべきことかと思います。そこがかなり(1)と(2)がごっちゃになっているという気がします。

○座長 そうですね。多分書き方の問題で居場所が悪いということですかね。

○委員 そうですね。

○座長 まず整理としては、ヌクレアーゼの種類では、「ただし」以降は全部要らない。つまり、(1)には入れないということですか。先生が言われたように(2)に入れるんですか。

○委員 (2)のほうに、mRNAで導入する方法が書かれていないので、タンパク質かベクターかということのみなので、その間のものとして、mRNAがあると思います。

○座長 それでよろしいでしょうか。正確に言うと、やはりこちらに入るのかなと思いますので、方法として、今、先生も整理していただきましたように人工ヌクレアーゼ、mRNA、ベクターとちゃんと方法を全部ここに併記すると。事務局、それでよろしいでしょうか。

○事務局 はい。そのような整理にして、ただし書きの部分というのは(2)のほうに入れるようにしたいと思います。ありがとうございます。

○座長 ほかにこの整理で、どうぞ。

○委員 質問というか、疑問というか教えていただきたいんですけども、このセルフクローニングの点が今回述べられていなかったんですけども、セルフクローニングの場合は同種のもののDNAを入れた場合において、組換え体に属さない。実験、研究者あるいは企業の方がやる、野性型に戻すということがよくあると思うんですけれども、いわゆるそういう野性型のものに戻した場合においては、できてきた産物、プロダクトで考えたときには、それが組換え体に属さないという理解でよろしいのでしょうか。そこのところが不明瞭だったのでちょっとお聞きしたいんですけども。

○事務局 野性型に戻すというのは、結局、入れた核酸がもうなくなるという状況ですか。

○委員 入れた核酸は残ります。プロセスベースで考えたときにはDNAで入れて、例えば1塩基を変えて戻したときに、変異型の自然で起きたような変異体があって、それを、核酸を入れて戻す、そのときは、作業は組換え実験になると思うんです。できてきた産物が野性型に戻ってきて、組換え体にしたときに、それが組換え体なのか、例えばそのときに人の遺伝子変異を入れたときには違う種類の遺伝子変異が入っているということで、組換え体だと思うんです。ただし、もともと持っている生物自然変異でできたやつを元に戻すような場合に、それが組換え体なのかどうかというところがお聞きしたい。

○事務局 最終的に、もともとある野性型と全く同じものということであれば、これまでどおり、セルフクローニングというのは対象外となっておりますので、対象外という扱いになります。

○委員 文科省的に言えば、今おっしゃった、要するに自然界にあるものと同じものであれば、それはナチュラルオカレンスです。セルフクローニングというのは、結構慎重に扱っています。というのは、例えば同じ生物から強いプロモーターを取ってきて、それを自身の別の遺伝子の発現に使ったりすると、コンポーネントとしては外来のものは入っていないのだけれど、性質の違う生物になるので、要するに研究開発レベルで扱っている場合には、セルフクローニングは、個別にケース・バイ・ケースで見ています。だから先生が今おっしゃったのは、セルフクローニングというよりも、ナチュラルオカレンスです。自然界に全く同じものがあるということさえ証明されれば。それは、文科省の立場としては査読システムのある論文で公表されている。あるいは現実に取れたか、それを学会等が認めると、そういう状況のものは組換え生物から外しています。

○事務局 補足です。先生がおっしゃったように、しっかりと証明されたものについては対象外となるということでよろしくお願いします。

○座長 今の問題に関しまして、特にご異論ございますか。どうぞ。

○委員 野生型の定義ですけれど、自然界というのがどこまでを指すかというと、つまり作物ですよね、例えば稲なんかで耐性を持っている変異がありますよね。それを別の品種に同じような変異を導入するというのは、これはどちらに当たるのでしょうか。野性型に戻すということになるんですか、それとも新しい新たなものをつくったということになるのでしょうか。

○座長 どうですか。では委員。

○委員 その場合、同じ生物種の中でそういう変異が見つけられていて、それが論文で紹介されていて、実際に物があるということで、ほかの生物で同じHomologと言われる遺伝子で、そういう変異があるからというので、それを入れてしまえば、それは別の生物の遺伝子を入れることになりますので、その生物で、その変異があるかどうかということではないかと思うんですけれども。

○座長 先生の質問は、野性型の定義を聞いているんですね。

○委員 そうです。この前、農作物分科会のほうで問題になって、野性型というのは、自然界にそのままあるものじゃないかという先生がおられたので、そうじゃなくて農作物なんかだと、育種の過程でいろいろなものが出てきていますよね。それを真似るようなというか、模倣するような変異を入れた場合、どうなるかというようなことを今聞きたかったんですが。

○委員 僕の動物バックグラウンドだと、やはり自然にあるものということなので、そういうmutagenesisとして出てきたものというのは少し感覚が違うかもしれない。植物の先生方に聞いたほうがいいんじゃないですか。

○座長 先生、どうぞ。

○委員 おっしゃられるとおりです。農作物にも、かなりmutagenesisが入っている状態で、今のカルタヘナ法のくくりで考えるということになると、それ以前のものに関しては、一応、自然界に存在し得るもの、今までの技術で作出し得るものということですので、栽培種に関しても、今あるものに関しては、一応、自然という言い方がおかしいとは思うんですけれども、自然界に存在し得る生物という認識で考えております。

○座長 これに関してよろしいでしょうか。本質的には野性型という言い方は非常に難しい、定義そのものが分野でまた若干違ったりしますので。どうぞ。

○委員 カルタヘナ法では、いわゆるガンマーフィールドとか、化学触媒とか、つくった品種改良等をやったものはカルタヘナ法の対象になっていないんです。そうやってできた、いわば人工的な株の遺伝子をほかの種に入れたとしても、ほかの種はまずいんですが、同じものであれば、それはナチュラルオカレンスの概念にはまると思います。

○座長 ありがとうございました。

 両方の先生、多分同じことをおっしゃられていたと思うんですけれども、野性型は、あまりにも狭く捉えてしまうと、何を模したのかにとって非常にハードルが高いことになりかねないです。

 そういう意味では、自然に存在し得るものというような意味であるならば、先ほどの先生の言われたものは、先生の言われた定義に基づいて言えば入らないと。遺伝子組換えではないという理解でいいのかと。野性型に戻したらというと、その野性型は、非常に作物の場合は別種だったりすると、本当の意味の野生という意味では、それはごちゃごちゃになるので、ここでは先ほど先生の整理していただいた文科省のこれまでの見解ということでよろしいでしょうか。あまり狭い意味で使わないほうがいいよというような意味ですよね。

○委員 そうです。

○座長 はい。ほかにそれでは、この規制対象範囲につきまして、再度、法律上の整理も含めて、何かご意見ございますでしょうか。どうぞ。

○委員 この2ページから3ページにかけてということですけど、真ん中辺りのなお書きのところで、「いずれの場合も作製の過程において細胞外で加工した核酸を移入するものについては、得られた生物に当該核酸が残存していないことを確認されるまでの間は、遺伝子組換え生物として取扱い、カルタヘナ法に基づく適切な措置を講ずる必要がある」と。これは前回、私のほうでも、この辺のところについて議論していただきたいということで、かなり明確になったというふうには思います。

 基本的に法律的な解釈で、これでいいというふうに私も思いますが、実際のこの後の作業で、これはタンパク質を導入する場合というのは、もう最初から外れているということにはなるので、それはそれで解釈的にはいいとは思うんですけど、実務的にこれを行えるかどうかというところが、非常に懸念されるところかなと思います。

 ただ、そうかといって、本来、外来の核酸を導入していないものについて、カルタヘナ法の対象にするということについては、明らかに対象外といっていいだろうというふうに思うのですが、最終的に実務的な問題として、最初からタンパク質を使った経緯を外していいかどうか。要するに管理上の問題でこれをどういうふうに扱っていくのかというのは非常に、ちょっと心配されるところかなとは思っています。

 それで特に前回も先生おっしゃったような病原体等に関しまして、それは明確にこのカルタヘナ法から外れるというもの、方法的に外れるということであったとしても、いわゆる管理上で何らかの縛りといいますか、何らかの方法で拡散防止措置をとるとか、そういうことを担保しておく必要があるのかなと思いまして、その辺についての何らかの追記といいますか、それが必要ではないのかなというふうには思うのですけど、ここについて法律的なところと実務的なところを分けて考えるべきなのか、その辺について、ちょっと議論をしていただけるとありがたいと思います。

○座長 ありがとうございました。とても重要なご指摘だと思います。

 第1の課題の議題1におきましては、私はあくまでもカルタヘナ法において、これは、法律的にまず外れるか、外れないか、ここをきちっとピン止めしないと、右に行ったり左に行ったりしても、延々と議論が続いてしまいますので、まずここはきちっと。今の先生のご懸念は、この制度において対象外となった技術について、どのように取り扱うべきかという、議題2でもう少し議論をしたいなと思うんですけど、それでいかがでしょうか。

○委員 ということは、ここではこういう形の文章といいますか。

○座長 はい。あくまでも私の理解としては、遺伝子組換え生物等専門委員会からはお題としまして、カルタヘナ法の中で整理しなさいというのがありまして、まずその中で整理すると。ただし専門委員会においても、だからといって野放し的なようなものでは困る。何らかの形をこの検討会で、何らかの対応策まで一歩踏み込んで提案いただけないかというのがお題だったと思いますので。まず1番の法的にカルタヘナ法という中で、我々、遺伝子組換え生物等を扱っておりますので、あるいはその上位の生物多様性条約という中で扱っておりますので、これに関して、まず、きちっとピン止めしたいなと思います。

 よろしいですか。

 どうぞ。

○委員 私は、この部分についてはよく理解しているつもりではありますが、ここには、そういったただし書き的なものは書かないということで進められるということで理解してよろしいでしょうか。

○座長 この法律上の整理という意味では、私は、それはもうこれでいいのかなと。ただしという、ただし書きをここの整理においては、ただし書きはつけられないのかなというように。ただし、その懸念があるものについてはというところ。いつまでも一体どっちなんだいになってしまうんじゃないかと思うんですけれども。

○委員 じゃあ、そこのところはこういう形になって。

○座長 それはいかがでしょうか。私が決めたことになるのはあまりよろしくないことですので、どうぞ。

 じゃあ、先生どうぞ。

○委員 要するにカルタヘナ法は、細胞外で加工した核酸ないしは、その複製物を持つ生物を規制する法律なので、もうこれ以上の整理はできないんです。つまり、そういうものが入っていなければ、カルタヘナ法の対象にならないというのは、これ以上にクリアなことはないので、むしろこの後の議論で先生も今おっしゃったように、僕も同様の懸念を持っていますが、どう扱うかということです。そういうふうになるのだと思います。

○座長 ありがとうございます。どうぞ。

○委員 一つだけ確認をさせていただきたいんですけれども、9ページの表がございますが、ここのSDN-1等の中で「得られた生物に移入した核酸又はその複製物が残存していない」という項目が入っていないということを、多分、先生は気にされているのかなというふうにも思うんですけど、この表の位置付けが、今、議論のところに入っていなければ、これがこの次の議論の中で議論されるということであれば、これでいいと思いますが、そこはいかがなんでしょう。

○座長 SDN-1等であっても、この表で言うと、これは両方に存在します。細胞外で加工した核酸を移入していない場合も、移入している場合もある。両方ともSDN-1等はあって、その下で、さらにそれがない場合はという仕分けになっている、そういうふうに読むのかなと。

○委員 ええ。それで実際の管理上でTALEN等を使う場合でもプラスミド等で加工していくわけですから、そういった核酸が混入している可能性があることは否定できない。ということで、先生からのご提案としては、管理上のご提案をされたと思うんです。この表が、今の議論の1ページの中の資料1(案)の中に含まれないのであれば、議論は次に移ってもよろしいんではないかと思います。

○座長 その懸念については、また次のところで整理させていただきたいなと。この図の表も含めまして。

 それで、先ほど先生が最後に言われたことが、法的には、もうこれでクリアなのかなと。ただし私たちの役目としては、だからといって、もう以上ということではないということを、まずここで確認した上で、この取扱い方針については、一度ここできちっと検討会として、まとめてみたいと思うんですけども。よろしいでしょうか。

 先生、これ法的には、シンプルに読んで、それは、もうそのプロダクトはSDN-1と同じかどうかという、それはともかくとして、入れたものがあるならば、これはもうカルタヘナ法の対象内ですと。それは対象外ですと、まず法的にはきちっとそこで決めるという理解でよろしいでしょうか。

○委員 はい。そのとおりです。

○座長 それでは、この議題1につきましては、先生、先生、先生のご意見は次のところでもう少し詳しく、いろんなご意見を頂戴したいと思います。

 それでは議題1に関しましては、そのようなまとめ方と、この本検討会としてはそういうふうに整理させていただきたいと思います。

 それでは、それをまとめでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○座長 ありがとうございます。

 それでは続きまして、その整理におきまして、カルタヘナ法の対象外となった技術、こういうものにつきまして、どのように取り扱っていくかということに議論を進めたいと思います。

 それでは、事務局から資料2に基づきまして説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料2の説明の前に、参考資料2を見ていただきます。15ページです。

 前回の検討会では、対象外とされたものについての取扱いに関するご意見を、この議題(3)のところで書いてございます。ご意見としましては、各分野における実態や、それを踏まえた知見の集積が必要だというご意見があったと認識しております。これを受けまして、資料2の取扱方針の(案)を作成しましたので、資料2、5ページをご覧ください。

 まず資料2、冒頭はこれまでの経緯をまとめてございます。本年7月に開催されました「中央環境審議会自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会」における議論を受けまして、8月に本検討会を開催しまして、ゲノム編集技術の利用により得られた生物について、カルタヘナ法で規定された「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物が作出され得る、ということで整理しました。

 また、カルタヘナ法の対象外となった生物の取扱いについても検討を行いました。以下のとおりということで、資料1を1番のカルタヘナ法の規制対象範囲というところで、別添としてつけたいと思っております。

 2番、カルタヘナ法の対象外とされた生物の取扱いにつきましては、「生物の多様性に関する条約」及び「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」の趣旨、目的を踏まえ、1においてカルタヘナ法の対象外と整理された生物については、ゲノム編集技術により得られた生物に関する知見を収集するとともに、作出経緯等を把握できる状況にしておくことが必要であるということで、参考資料3、最後の16ページ、17ページに、ここで用いている生物多様性条約とカルタヘナ議定書の引用を載せてございます。

 この趣旨・目的というのが何かといいますと、16ページの一番下のところ、生物多様性条約の第8条(g)のところには、バイオテクノロジーにより改変された生物であって、環境上の悪影響を与えるおそれのあるものの利用・放出に係る危険については、規制し、管理し、制御するための手段を設定し、また維持することということが述べられております。

 また、その下のカルタヘナ議定書の第1条、目的のところにも、中段、現代のバイオテクノロジーにより改変された生物であって、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるものについては、十分な水準の保護を確保することが必要であるという、こういった目的・趣旨を踏まえまして、対象外と整理されたものについても、まずは知見を収集して作出経緯を把握できる状況にしておきたいということで、資料2にまとめました。

 続きまして3番、これの具体的な取扱方針につきましては、カルタヘナ法の対象外とされた生物の指標等に当たっては、生物多様性への影響に係る知見の蓄積と状況の把握を図る観点から、当面の間、以下により取り扱うこととするということで、(1)と(2)はカルタヘナ法に基づいて「拡散防止措置」がとられていない環境で使用する場合と、(2)の「拡散防止措置」がとられている環境で使用する場合と、2パターンに分けて説明しております。

 まず(1)「拡散防止措置」がとられていない環境で使用する場合、この「拡散防止措置」というものは、カルタヘナ法で規定されておりまして、その下に注書きで遺伝子組換え生物等の使用に当たっては、施設等を用いることその他必要な方法により施設等の外の大気、水または土壌中の当該遺伝子組換え生物等が拡散することを防止するためにとる措置です。ですので、簡単に言いますと、開放的な環境で使用する場合ということになります。

 6ページ、めくっていただきまして、まずカルタヘナ法に規定される所管省庁は、事業者に対して、ゲノム編集技術の利用により得られた生物のうち、カルタヘナ法の対象外とされた生物を「拡散防止措置」がとられていない環境中で使用する場合については、カルタヘナ法では、いわゆる第一種使用と言われているものですけれども、これについては、使用に先立って、その生物の特徴及び生物多様性影響が生じる可能性の考察結果等について、情報提供を求める。ただし、所管省庁へ情報提供された生物を改変等せず、このまま使用する場合にあっては、情報提供された項目に変更がない限りにおいて、この限りではないということにしております。

 続きまして、情報提供を求める項目として、関係省庁で議論しまして、こういった項目が必要ではないかというもので、まず(a)カルタヘナ法に規定される細胞外で加工した核酸またはその複製物が残存していないことが確認された生物であること。これが大前提になると思われますので、ここは必ず必要かと思っております。

 引き続きまして、改変した生物の分類学上の種。(c)改変に利用したゲノム編集の方法。(d)改変した遺伝子及び当該遺伝子の機能。(e)当該改変により生じた形質の変化。(f)(e)以外に生じた形質の変化があれば、その有無。またどういった変化かということもここに記載していただきます。(g)当該生物の用途。(h)当該生物を使用した場合に生物多様性影響が生ずる可能性に関する考察。この生物多様性影響が生ずる可能性に関する考察というものにつきましては注書きで書いてございますが、例えば遺伝子組換え生物等の第一種使用等による生物多様性影響評価実施要領というものがございますが、ここに具体的な項目が挙げられています。そういったところを考慮して可能性があるか、ないかというところを考察した結果を書いてもらうということです。

 続きまして、②生物多様性影響が生じるおそれに関し、その情報提供をいただいた内容の中に、生物多様性影響が生ずるおそれに関して疑義が生じた場合につきましては、所管省庁は当該事業者に対して必要な追加情報を求めるとともに、必要であれば、必要な措置をとるということです。

 ③所管省庁は、毎年4月1日から翌年3月31日までに①に基づいて提供された情報を、翌年4月中に環境省のほうに情報を提供する。

 それを受けまして④環境省はこれらのいただいた情報の中から、公表できるもの、生物の種ごとに一定の情報を現在日本バイオセーフティクリアリングハウスというウエブサイトの中に、遺伝子組換え生物の情報を載せているんですけれども、そこに年度ごとに載せたいと考えております。

 次のページ、7ページにいきまして、⑤事業者は、得られた生物によって生物多様性への影響が生ずるおそれがあると判断した場合は、直ちに必要な措置をとるとともに、速やかに所管省庁に報告する。所管省庁及び環境省は、公益上の必要性を考慮し、必要な措置をとる。これが今申し上げた開放系で使用する場合の情報提供に関するものです。

 続きまして、そうはいっても遺伝子組換え生物等を扱う「拡散防止措置」がとられている環境で使用している場合については、しっかりと「拡散防止措置」はとられていますので、(2)①所管省庁は、事業者がゲノム編集技術により得られた生物のうち、カルタヘナ法の対象外とされた生物を、「拡散防止措置」のとられている環境中で使用する場合は、情報提供等の対応は求めない。

 ただし、万が一、事故等で拡散防止措置をとることができなくなった場合については、必要な措置をとるとともに、速やかに所管省庁に報告する。所管省庁及び環境省は、生物多様性影響の観点から、公益上の必要性を考慮して必要な措置をとる。

 今のところが、情報提供に関する提案なんですけれども、そのほか生物種いろいろなものがありますけれども、所管省庁によって、さらに求めたい情報というものがいろいろ異なるものがありますので、そういったものに関しては(1)(2)以上の対応を事業者等に求めることについて妨げるものではないと、必要なものがあれば各所管省庁において、より具体的なものを検討していただければと思っております。

 以上が資料2の説明になりますが、3点ほど我々のほうで懸念している事項があるので、そこを先生方にご議論いただければと思っていることがございます。

 1点目は、この資料2には「情報提供」というふうに書いているんですけれども、関係省庁で話している中では、「情報提供」という言葉がいいのか、もしくは「報告」という言葉がいいのか、「届け出」という言葉がいいのか、いろんな言葉が出てきたんですけれども、最終案としては「情報提供」ということになってございますが、この法規制の対象外のものについて、こういったことを求める場合に、どういった言葉が適切なのかというところについて、先生方のご意見をいただきたいと考えております。

 2点目につきまして、情報提供を求める項目の(a)の6ページのところなんですけれども、ここには法律に基づいて細胞外で加工した核酸又はその複製物が残存していないことが確認された生物ということを事業者に対しては、それを宣言してもらうことにしているんですけれども、その確認方法については、前回の検討会でも生物種によって、いろいろな範囲、いろいろなやり方があるというお話がございましたので、そういった具体的なところ、こういうものについては、こういう確認方法があるのではないかとか、そういったところ、ご意見があればいただければと思います。

 また、3点目ですが、先ほど開放系については、第一種使用ということで、カルタヘナ法上は第一種使用とされているのですけれども、開放系ではなくて、拡散防止措置がとられているものというのは、カルタヘナ法上では第二種使用として定められていまして、省令の中で、具体的な拡散防止措置というものが、こういうものですというものが定められているんですけれども、物によっては定められていて、物によっては定められていない。定められていないものについては、その都度、大臣確認をすることが決められています。

 今回、対象外とした生物については、拡散防止措置が定められていないものに該当する場合もあるということでして、資料9ページ、もう一度見ていただきたいのですが、ここでカルタヘナ法の対象外とされた右側の白抜きの部分、そして閉鎖系のところには、まず「拡散防止措置」のとられている環境中で使用する場合は、情報提供等は求めない。開放系の場合は情報提供を求めるとしたんですけれども、この上の閉鎖系のところで、拡散防止措置がとられていると、環境省としてはこう整理することが精一杯なんですけれども、対象外となった時点で拡散防止措置が、今現時点で定められていないものについては、大臣確認をするすべがなくなってしまうという状況が生じます。ただそういったものについては個別に必要な情報等々いろいろあると思いますので、そういったところは各省庁の分科会なり、専門の先生方を集めた検討会のような中で個別に議論していただくのが一番いいのかと。

 今カルタヘナ法上の整理の中でそれを入れ込むというのは、ちょっと話が細かいところもありますので、まずざっくりと大枠をここで決めまして、その後、各生物種、また用途によって、そういったところを具体的に拡散防止措置、どういうものが必要なのかとか、そういったところは議論していただければいいのかなと思っておりますが、ご意見ありましたらお願いします。

 資料2の説明は、以上になります。

○座長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局より説明がありました外れる場合の措置、まさに今日一番重要な話題ではなかろうかと思うんですけども、ます初めに幾つか課題、事務局からも、この検討会で議論してほしいという点もありましたけども、まず事務局の用意した資料につきまして、その文言等何かこれについて不明瞭であるとか、あるいはそういうことがございましたら、ご発言いただきたいと思います。

○委員 開放系で使う場合は、いわゆるカルタヘナ法の第一種使用、環境影響評価書みたいなものと非常に似ているので、僕はこれである程度の規制はできると思います。拡散防止措置がとられている場合というのは、少なくとも病原体を含む微生物の場合はレベルが4段階あるんです。適切なレベルがとられているということが必要であって、そういう情報提供の対応は一切求めないというのは問題ではないかと僕は思います。その拡散防止措置の四つのレベルというのは、要するに土壌細菌を新たに捕まえてきたり、コウモリから新しいウイルスをとってきたりすると、リスク分類がまだ不明なんです。そういう病原体に対して、どういうレベルで拡散防止措置をとればいいかというのは、かなりまじめなの議論をしなきゃいけないので、そういうのをカルタヘナ法から外れているから情報提供を求めないというのは、相当ひどい穴だと思います。

 つまり、もしただし書きをつけるとしたら病原微生物等とするか、微生物等とするか、それは事務局で考えてくれればいいと思うんだけれど、「適切な拡散防止措置がとられていなければいけない」ということを文言として入れるべきです。適切かどうかという判断がクリアな場合はもちろんいいんですが、クリアではない場合は、大臣確認を求めると。カルタヘナ法では、基本的には事業者の安全委員会がこのレベルでいいとか、悪いとかいうのを判断して、責任を持つ状況になっています。その枠組みを全部外してしまうというのは、かなり乱暴のような気がします。

○座長 委員。

○委員 かなり実際的なご提案が出てきたと思います。自然界から分離してきたものに関しましては、日本が得意な微生物探索技術という、自然界の土壌などから役に立つ微生物をとってくるという技術の根幹に関わるところですので、今、実際にどうやっているか、少し事業者の立場からお話しさせていただきたいと思います。

 ある目的の活性を持つ微生物を見つけようとする際には、土壌を薄めて寒天培地に薄めてコロニー形成させたり、液体培地に希釈して生育させるという、微生物を希釈して、その中から狙った活性を持つ微生物を探すという方法論を採ります。その段階では、基本的にはクローズの実験系です。どこの大学でもやっておられますように、いわゆる4段階の微生物封じ込めレベルでいうとP2、LS2のレベルで普通は実験をやっております。

 その中でだんだんいいものだということが絞られてきますと、その微生物の分類を確定させます。分類については、しょっちゅう分類方法や基準が変わるので、難しいのですが、それと同じ種の中に病原菌がいる。つまり病原性が報告されている微生物が同じ種の中にあった場合には、その微生物は基本的には開発対象にはしません。ただ最近では遺伝子のシークエンスが簡単に、安くできるようになってきていますので、その時点で諦めないでシークエンスをして、病原性をもたらす遺伝子、あるいはそれをもたらしそうな遺伝子を見つけるか、チェックするというようなことをやる企業もありますけれども、基本的には危なそうなものが分類上近くにいる場合には、それは使わないという方針でやっています。

 したがいまして、土壌など自然界から探してくる場合には、そういうチェックポイントを設けてやってきております。今まで、特に日本が成功してきた理由は、その辺にあるんじゃないかなと思っております。このように、海外に比べると非常に手間をかけたステップを踏んで、微生物探索はやられてきております。

 今、先生のご提案のところですけれども、カルタヘナ法のほうに関するところにいきますと、病原微生物か、微生物でないかということに関しては、今お話ししたような方法論で各企業は開発研究途中でチェックしているのが普通です。あくまでも普通であって、やらないところはいたではないかと言われるとちょっと困りますが、基本的にはそういうことをやっています。

 もう一つ、ここからは私の質問になります。ゲノム編集技術によって、得られた生物のうち、カルタヘナ法の対象外とされた生物の取扱いということです。このゲノム編集技術というのは、今議論されている人工的な核酸を使って作った微生物、核酸を加工したり、あるいは遺伝子の染色体を切って、そのまま戻したりというような技術、さらに、従来の遺伝子組換え技術におきましても、今議論されておりますように、ナチュラルオカレンス、同種の中で加工した遺伝子を使った場合には、セルフクローニングの範疇ということで対象外にしてきたわけですけども、そこまで含んでいると考えてるのかどうか。確認させていただきたいところであります。

 企業の立場から申しますと、従来あるルールにプラスアルファの技術が加わることは絶対避けたいと思っております。最初に申しましたように、このゲノム編集技術というのは、遺伝子組換え技術に加わった新しい技術ですが、考えられるリスクをどんどん下げるいい方法と考えております。つまり従来の遺伝子組換え技術の方法でつくったセルフクローニング、ナチュラルオカレンスの概念を新しい技術が出てきたからといって、従来あるルールに新しいルールを加えるようなことは絶対ないようにしていただきたいと思っているところでございます。

○座長 どうもありがとうございました。どうぞ。

○委員 閉鎖系のお話もあったのですけれども、バイオセーフティの概念が開放系のほうでも含まれていないというところは、同様にちょっと問題かなと思います。開放系であってもバイオセーフティの定義が入っていませんので、バイオセーフティ上、問題のあるような微生物のゲノム改変編集をやってもいいのかというのはちょっと考えるべきなのではないかな。逆に言いますと、バイオセーフティのレベルを考えれば、産業利用をする微生物のハードルというのはかなり考慮して低くしてもいいんではないかというふうに考えます。

○座長 ありがとうございます。

 最初の先生からのご疑義といいますか、ご心配といいますか、これに関しましては、要するに、もう一つのとられている環境中で使用する場合は求めない。これは、ざっくばらんにはざるになっていないかという、それを誰も確認せずに防止措置がとられているかどうかもわからずに、その情報提供すらしないというと、結局、これは何も求めていないのと同じになるんじゃないかという、そういう理解ですね。

○委員 そうです。

○座長 それに対しまして、先生は具体的には事業者であって、開発していても、それは基本的にはやっているものだよということですよね。ですから、これは、実際、届け出は求めない、情報提供は求めないというのはどういうふうに、どこにかかっているかは、よく曖昧かなというふうに。

○委員 要するに企業の人が安全に配慮しながら物づくりをやるのはいいんです。僕が懸念しているのは、例えば感染症の研究をやるような研究所とか、長崎大学に、今度BSL-4ができますが、もうエボラウイルスだって使える状態で、このまま行くとエボラウイルスにゲノム編集技術で変異を入れた、変異エボラウイルスはカルタヘナ法の対象にならなくなってしまう。

 つまり、バイオセーフティという概念をおっしゃってくれたけれど、まさにその部分です。企業が物をつくるときにそんな危ないものを使うなんて思っていないので、もともとカルタヘナ法では病原性がないものはクラス1というふうに分類して、極めてレベルの低い拡散防止措置しか求めていないんです。ところが実際に我々に病気を起こすようなインフルエンザとかHIVだとかポリオだとか、サルモネラ菌とか、ありとあらゆるものの病原性のレベルに応じて適切な、だんだん厳しくなる拡散防止措置のレベルが求められているのです。

 大臣確認の大半は、その中で自立増殖可能なウイルスとか、バイオセーフティ上のリスクの高いものに関しては、自分たちはこういうレベルで想定して、拡散防止措置をとっていますが、これでいいですよねという確認を文部科学大臣に求める、そういうシステムになっているんです。その部分は残したいというのであって、産業利用している人たちに余計な規制をかけようということは、みじんも言っておりません。

○座長 多分、それは先生も、そこはご理解されているんじゃないかと思うんですけども、過剰な規制というのは、これまでの規定の中にないものをというのは、少し先生もそこまでおっしゃっていない。

○委員 全然。

○座長 これは文部科学省の方が、今日いらしていると思うんですけれども、基本的に研究レベルでもありますよね。かなりベーシックな部分でそれをどういう。それは多分遺伝子組換えという以前の問題も含む、つまりどういう菌をどのように扱うかとか、これ両方まざってしまうと、ちょっと難しいなと思うんですけども。

○委員 要するにカルタヘナ法でバイオセーフティに関して関わっているのは、まさに文科省の研究開発の部分で、研究開発はまさに研究開発ですから最終産物の性状がまだよくわからない、その段階でどう安全に取り扱うかということでやっているんです。よく調べられて、素性がわかって、これが産業が役に立つと、もう明確なものや品種改良いいですねというものが、農水や経産省のハンドリングしている部分に回るんです。

 だからバイオセーフティという観念では文科省が責任を持っているんです。その部分をその他の(3)で読もうとされたんだというふうに、そこで扱ってくれということだと思うんだけれど、その前の(2)の①で外してしまうと(3)はその他ですから、僕は①のところに、病原性のある微生物に関してはとか、何らかこれまでの文部科学省の規制システムに準じるとか、何か入れるべきだったと思います。それを完全に外して情報提供等の対応を求めないというのは、少し誤解を招くかな。

 もともと前回のときにも言ったけれど、病原体をいじるときはバイオセーフティの考え方があるので、各研究所や事業所で、それなりに対応はするんです。しかし組換え体で、もともと例えばタミフル耐性のインフルエンザウイルスなんて、アミノ酸が1個か2個変わるだけでつくれるので、あるいはインフルエンザの強毒株だって、あれはアミノ酸1個、2個変わるだけです。したがって、組換え技術を使ってつくった変異体に関して、適切なレベルかどうかというのは、文科省が持っている専門委員会でそれなりに議論をして、これはP3にレベルアップしましょうとか、P2のほうでいいですねとかやっているわけ。それを完全に抜けてしまうのはどうかなという、僕はそういう危惧です。

○座長 先生。どうぞ。

○委員 バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の文言を見ますと、「現代のバイオテクノロジーにより改変された生物」ということで、その中身として、「生体外における核酸加工の技術」とありますけれども、これはこの時点での現代のバイオテクノロジーにはゲノム編集は想定されていなかったわけですが、現在のゲノム編集生物は、この「現代のバイオテクノロジーにより改変された生物」ということになりますので、カルタヘナ法そのものはゲノム編集生物の中で該当するものと、しないものが、どうしてもこの法律の解釈上は出てきてしまうのですが、該当しないものであってもカルタヘナ法に準じた形での取扱いというのが必要なのではないかと、私は考えたのですが、いかがでしょうか。

○座長 どうぞ。

○委員 まさに、その点、先ほど私が言うべきところはここだったんだと思うんですけれども、結局、このSDN-1で細胞外で加工した核酸を移入していないということになると、これを見る限りにおいては、先ほどから先生も言われているとおり、ざるといったら変ですけども、大きなところが抜けているというか、何をやっているかわからないような状況になると困るということで、これは、一つは各機関等に対する自主規制的なところを求められてもいないというところが、やはり懸念されるところかなと思います。

 ですから、例えばガイドラインとして何らかのものを出されるということであれば、これは環境省さんの中でやるのか、もしくは文科省さんのほうでやるのかというところはあると思うんですけど、少なくとも研究開発の場合において、このSDN-1の核酸移入していないものについて、放置というわけにはいかないだろうというふうには、私どもは考えている次第です。

 ですから、その辺についての各機関での規制といいますか、自主的な取組といいますか、そういったものをどこかでやはり要求していかないと、機関によってはこういった技術に慣れていないようなところもあるかもしれないので、ですからそういった縛りというのが、どこかに明記されているというのが必要なのかなと思います。

 それから、もちろん病原体等に関しては、またもう一つきちんとした対応をすべきということで、それはカルタヘナから外れているから、ほかの法律でということになることもあるのかもしれないですけども、その辺についても、やはり、ただし書き等で何らかの文言を加えていくということで、抜けがないといいますか、漏れがないところの取扱いを前提とする必要があるのかなというふうには管理をするサイドでは思います。

 実は、この自主規制というのは非常にくせ者で、これまでも機関で各それぞれ何らかの対応をしてくださいというふうに、私ども、大学遺伝子協というところでは呼びかけていますけども、それこそまちまちで非常に緩い対応をしているところと、もうそれこそ組換えと同様の対応をしているところもあるので、ただ最低限のところが必要であるというふうになると思います。ですから、そこをどうするかということで、それは機関に投げられると非常に困るような状況にはなると思うので、最低レベルのところの基準といいますか、そういったところが今度、ガイドライン等を作成されるのであれば、書き込んでいただくなり、そういうことは必要かなとは思います。

○座長 ありがとうございました。特に実験段階、研究段階での閉鎖系においても、この文言だけでは、少しどうとでもとれるということかなというふうに思います。それで、これについてどのようにご検討が進んでいるか、まだ結論ではないと思いますけども、文部科学省はいかがでしょうか。

○文部科学省 文部科学省でございます。

 今先生方からご指摘いただいた、拡散防止措置が定められていない生物というのが確かにあることは認識しております。表に整理されている生物の中には作成の段階であらかじめ法に定める大臣確認を受ける必要があると思いますが、一方でタンパクのみを導入するものについては、対象外となった際に適切な拡散防止措置のレベルが定まっていないというのは確かにあると思います。

扱う生物に応じて適切な管理をするひつようがあるとかんがえておりますので、今回のご議論を踏まえて、漏れのないように対応していきたいというふうに考えております。

○座長 ありがとうございます。わかりやすいためにこの図を、テーブルをつくっていただいたんですけれども、少し省略し過ぎたかなというところでもあろうかと思うんです。ただ拡散防止措置がとられている環境中という、ここがまた少し曖昧であるというご指摘も今日ありましたので、どういうただし書きでこれを対応するか、あまり厳密にしても、全て汎用性がなくなってしまって、きちきちになってしまうというようなところもありますので、せっかくですので、ここについて、ほかの委員の先生方からご意見ありましたらお伺いしておきたいんですけれども。

○委員 私もこの表を見たときに、ちょっと驚いたというのが正直なところなんですけれども、基本的にやはり機関の中でという取扱いについては、きちんとガイドラインが必要だと思いますし、先ほどご意見いただいたようにゲノム編集のガイドラインとして、全体を見られるような形を将来的にはつくっていただかないと、結局、親委員会のほうからカルタヘナに当たるか、当たらないかということで、どうしてもその視点からいってしまうと漏れが出てくる可能性があるんじゃないのかなというのが率直な印象です。

 やっぱりゲノム編集の特性として、いろんなところに変異を入れるというところが、社会需要で、一番、皆さんが気にされているところですので、それが自然突然変異とどれだけ違うんだということはあるにしても、その技術の安全性をある程度のレベルできちんと評価をするという項目も、そういうガイドラインには入れるべきか思います。僕が全体的にゲノム編集を見たときにはそういう印象を受けました。

○座長 ありがとうございます。

 ほかに、どうぞ。

○委員 ゲノム編集の場合、何回か出ているとおり、最終的にプロダクトを見ただけではどういうプロセスでつくったものかというのが看過できない。自然、突然変異種でつくったものとゲノム編集技術でつくったものというのは、全く看過できないと考えたときに、悪意をもってこれを流通させようとした人たちをどういうふうにするかということが、多分できないんだと思うんです。同じプロダクトのものをつくってしまうと。

 であれば、法令遵守の精神でこういう情報提供をしている人に対して、何かしらbenefitになるようなガイドラインでなくてはいけないと私自身は思っています。だから、それを受けることで、例えば消費者の方が、ある程度、それは安全性、方法、製造過程というのがtraceableな状態であって、安心設計がよくわからない。私にはScientificじゃないですけども、ある一定基準では安全性をクリアしたものであるというようなものでないと、遺伝子組換えと同じように、非常に受け入れがたいものになってしまうんじゃないかという懸念を覚えています。

 というところから来たときに、情報提供というのがどういう具体的な施策を考えていらっしゃるのかということと、あと途中でお話ししていらっしゃいましたカルタヘナに批准していない国が、もしくは法令遵守しないつもりの人たちが来たときに、これは対応できないんだろうなとは思っているんですけれども、できると思っていらっしゃるのかどうかというと、そういうしている人としていない人がいる中で、それをどうしていくのかというところが懸念点です。

○座長 ありがとうございます。

 皆さん、ご議論の中で一つ大事なのは閉鎖系と開放系というのを、少し、みんな全部ごっちゃにしちゃうと、そういうものができたときに、いきなり開放系でやるわけがない。ただ何もわからずに外でやるという人はまず無理です。まずは閉鎖系でやるんだろうと。ただその閉鎖系においてはすごく大事なところをきちっと押さえてなきゃいけないんじゃないかというのが、皆さんのご意見なのかなというふうに思います。

 先生は、世界を見回したとき何が起きるか、それはちょっと想定できない部分もあるんですけども、一応、我が国で開発される、あるいは我が国できちっとこれからイノベーティブにやっていこうというときに、そこを、どこを押さえればいいのかなと思うんです。何かそれを悪用しようとする人のところまでやると、あれは問題があるかなと。

 あとbenefitというのは、多分、社会的に制裁を受けるかどうかで非常に大きな問題がある。違反した場合、何かをやってしまった場合、それは遺伝子組換えでも言われていますので、そこに何かbenefitとpenalty的なものは、現時点では難しいのかなと思います。ただ、先ほど先生が言われたように、SDN-1がカルタヘナ法の外か内かだけで議論を進めてしまうと、僕、ここ少し乱暴な図になってしまうのかなというところはございます。先ほど文科省の方から、要するに通常上位に来るもの、さらに例えば感染症法とかいろいろある、僕よく知らないんですけども、ほかに押さえられるものがあるのか、それをうまく組み合わせてやれということなのか、そこら辺はゲノム編集でやってしまうと、そういうのは全部すり抜けてしまうのか、先生どうですか。

○委員 これは育種とか品種改良においては、非常に重要な技術で、恐らく自然界における、例えばガンマーフィールドなんかで起こした新種、つくった新種を加速させるような技術であって、特段の問題もないし、要するに遺伝子組換えだという定義をはめると新しくつくった作物でも何か組換え食品は嫌だという人たちが結構いて、僕はあまり根拠がないと思っているんだけれど、そういう人たちというか誤解なんです。遺伝子組換え技術を使って何とかという言葉が多分ひとり歩きすると、新しい技術でつくられた、ほとんど従来の技術でつくった品種改良と変わらないようなものに、つまらんイメージがつきまとうのはよくないと僕は思います。だから遺伝子組換え生物の規制に関するカルタヘナ法の対象か、対象でないかというのを区分けして、対象でない有用な作物等を社会に還元していくということ自身に、妨げになるような法律をつくるべきでないとは思います。

 ただし、先生がおっしゃってくれたと思うんだけれど、要するにバイオセーフティというのは、実はもう一つ上の概念なんです。そのバイオセーフティに関して、組換えウイルスとか組換え病原体に関しては、カルタヘナ法が我が国では唯一の規制している法律なんです。感染症法や何か、組換えは全く規制していませんから。その法律から外れる現代のバイオテクノロジー技術で改変した病原体等を漏らさずにしてほしいというだけなんです。感染症法とか何とかいろんなものを組み合わせてやるというのは、やはり大変なので、それは今のカルタヘナ法をつくるときの議論で、技術で網をかけようというのは、そういう意味で大きな議論をしてつくった法律なんです。その精神は、多分、今でも新しいバイオテクノロジー技術で作出した、これまでにない生物というようなくくりの中でバイオセーフティと、一方ではbenefitのほうをしっかり考えるというのとで整理したらいいんじゃないかなと思います。

 皆さん拡散防止措置をとるというと、P1AかP1Pしかやったことのない人たちだと思うので、P3まで知っている人たちがあまりいなくて、組換え微生物が病原性を上げることがあるんだという、その辺も考えると、そこだけ丁寧に漏れないように文章を考えてくれれば、僕は別に反対しているわけじゃないんです。

 基本的な考え方はこの新しい技術を使って、世界で品種改良等は競争になったわけでしょう。それに日本の研究者につまらない足かせをかけるということをしないほうがいいに決まっていて、この技術の特質性をもっときちっと広報して、使い方によっては、これは従来の遺伝子組換えとは違うんだという一方で、その技術が病原体等微生物に使われたときには、カルタヘナ法の規制対象から漏れる病原体をつくり得るから、これはきちっと規制しましょうという、そういうことなんじゃないかというふうに僕は思います。

○座長 ありがとうございます。

 前半部分は、まさに育種とか、benefitのほうを中心に考えると、過剰な規制は不要であると。ただし忘れちゃいけないのは病原性微生物とかウイルスとか、これに関しての漏れている、それをただし書きで書けるのか。多分、単純に閉鎖系において、これをどうしたらいいのかというのは、この上位概念でバイオテクノロジーによって、先ほど先生からありましたように、バイオセーフティの問題というのがあって、これを人の健康に対する危険も考慮しながら使えというのが生物多様性条約の上位概念にあります。先生、そういう上位概念がある場合に、カルタヘナ法外であるが、「しかし」というただし書きで、例えば人に危害を与え得る病原性に関してはとか、運用でどこまで書くことが可能なのでしょうか。ほかの先生たちのご意見伺う必要があるとは思うんですけれども。

○委員 言い方が難しいですが、否定はされないです。条約があって議定書があって、それぞれの目的規定に入っていて、ただし日本のカルタヘナ法自体の中では、その部分が明記はされていないですが、議定書を受けてつくられている法律であるということです。

 既に説明がありましたけども、そういう目的を持っている議定書を国内で実施するときに、医療やそのほかも含めてカルタヘナ法だけではなくて、議定書が国内で実施されるという形で動いてきています。その中で、先ほどからの議論のように、実際の場面で外れてしまっているところがあり、カルタヘナ法でも受けていないし、そのほかの法律でも受けていないというときに、直結する法律のもとで、本来は条文改正とかの手続が必要になるかと思います。

 ただし、今回は、それを変えないで、現行法とそれから施行規則の範囲内で考えて、その中から当面の運用ということで行政的な合意が、行政庁の間でできるということであれば、否定はされないということです。ただ、確かに法律上一番すっきりするのは、それが本当に問題であれば、条文改正や施行規則の改正ということです。そういう意味では、この検討会は、科学技術面からの検討と提言をするということですので、先ほどからのように特に病原体とかについて、どの法律を見直すべきかの指摘も選択肢だと思います。そういう対応や検討をする必要があるという指摘をつけ加えておくこともできるかと思います。

○座長 ありがとうございます。

 本検討会は、そういう問題点を洗い出して、上部の委員会に上げることが役割なので、私たちで条文を変えられないので、そういうご意見があったということです。

 委員、どうぞ。

○委員 ちょっと教えていただきたいんですけど、SDN-1は一つの変異原ですけども、病原微生物に変異原を使って変異を入れるという実験自身はどういう規制がかかっているんですか。

○委員 変異有機剤のようなもので、例えばウイルスが増殖している細胞にNTGをかませて変異させるような、出てきた変異体に関しては今カルタヘナ法では規制していません。つまりカルタヘナ法は細胞外で加工した核酸という縛りがあるので、実際、そういうランダムな変異というのは、最近はあまり何十年もはやっていなくて、狙ったところに入れるんです。ということは、そういう変異断片をつくっておいて、それを埋め込むものですから、今のウイルス学等でmutationを入れる研究というのは、カルタヘナ法の定義に、もうばっちり該当します。したがって、昔風の先生がおっしゃった変異原でやるような、つくった変異体はカルタヘナ法では規制されていない。

○委員 カルタヘナ法というわけではなくて、一般的には、そういう実験というのは規制が今かかっているのでしょうか。

○委員 それは病原体に関しては、各機関が独自のバイオセーフティの規則を持っていて、それは、ほとんどが感染研の規則、それから細菌学会、ウイルス学会が提案している規則に従って、この病原体を使うときにはバイオセーフティレベル2でやりなさいというふうになっているんです。変異誘起剤でつくった変異体を扱うときは、カルタヘナ法のP2というのではなくて、そのままBSL-2という概念のもとで規制されているんです。だから、おっしゃった、自主規制です。

○座長 どうぞ。

○事務局 少し補足させていただきますと、今回、この表に書いておりますところなんですが、基本的に法律の規制対象外とされた技術あるいは生物につきましても、我々の思いとしては閉鎖系というのは、これまでのカルタヘナ法でやってきたこととなるべく同じようにとりたいという思いでつくっております。そこに当てはまらないものについては、開放系として情報提供を求めるのだと、当然そのときには安全性に対するような検討もされたものが対象になるということなんですけど、ただ法律上のつくりとして、先生もおっしゃっていましたけれども、現行のカルタヘナ法の中では、大臣確認を個別に行っている拡散防止措置というのがあるので、そこのところをどういうふうに書けば、この対象外の部分での閉鎖系というのが、うまく表現できるかというのは、正直我々の中でも議論になっているところなんですが、ちょっと時間の関係もあって書き切れなかった、固め切れなかったというのが正直なところです。だからうまく表現できるものがあれば表現したいなとは思っております。

 その上で、先ほど先生もおっしゃっていましたけれども、遺伝子組換えの話を規制しているのか、それとも病原性のものを規制するのかという話もあって、我々もここの話をしているときに中で議論になったんですけれど、例えば放射線で病原性微生物を改変するときというのは、何か決まりごとがきっとあると思うんですけど、例えばこういうものを準用するというようなことで明記できるんであれば、そんな形でできればいいなと思っているんですが、いかがでしょうか。

○委員 今の先生の質問と基本的に同じだと思うんですが、放射線も含めて変異源でつくる変異体、それは全部もとの宿主にかかるバイオセーフティのレベルを勘案して、実験室あるいは研究所ごとにルールがあって規制されているはずです。つまりカルタヘナ法ではそういう変異ウイルス等は定義されていないです。だからカルタヘナ法で言うところのP1、P2、P3、P4ではなくて、BSL-1、BSL-2、BSL-3、BSL-4の考え方で網がかかっていると、そういう状況です。

○室長 そうすると、ここに、今、米印で法の対象と対象外のもの、全く同じ書きぶりになっているんですけれども、対象外のほうについては、カルタヘナ法第2条7項に基づくもののほかに、これこれを遵守していればいいよというような書きぶりができるのですか。

○委員 多分、拡散防止措置そのものが、「適切な拡散防止措置」というような表現をすると、P1、P2、P3、P4のどれかという、そういう意味です。「適切な拡散防止措置」というのは。そういうふうに、多分、大学等の研究者は思うはずです。

 それと、もう一つ決定的に違うのは、カルタヘナ法は法律なので、これは守らないと文科省は研究費の差しとめとか、科研費の申請を何年間か止めるとか、これは、しかも罰則もありますし、立入検査したり。それから、もっと言うとP2、P3という施設がちゃんとP2、P3の要件を満たしているかどうかの立入検査までやれます。これは法律だからです。ところがバイオセーフティレベルの1、2、3と、この話は自主規制なので、彼らが、あくまで感染研のシステム等を参考にしてやっているだけで、文科省のほうが立ち入って何かという、これはできなくなります。要するに、できればカルタヘナ法の枠の中というか、それに準じるような格好で、拡散防止措置のレベルを決めるシステムがあって、それは文科大臣が必要に応じて確認できるような仕組みが残っていれば、非常に強力です。それを外すと全部自主規制になってしまうからできれば残してほしい、残すべきかなというのは僕らの考えです。

○座長 どうぞ。

○委員 今の議論を聞いていますと、何かカルタヘナ法に、カルタヘナ法でやること以外のものも求めているというような気がするんです。本来だったら、そちらの病原性のものに関しては、文科省なり厚労省なりがきちっとルールをつくって法律を決めるべきなものが、それがないのでその部分をカルタヘナ法に押し付けているような感じがします。

 前回も言ったんですけど、微生物の遺伝子組換えのことを議論したときに、やはり、そこのところは一番問題になって、我々ちょっと恐ろしくなったと言ったのは、ほかに法律がないんです。止める法律がないので、これはちょっと難しいなというのがそこで出てきた全体の考えです。ですから本来だったら、ここのカルタヘナ法にそれを押し付けるんではなくて、厚労省なり文科省なりできちっと法律を決めるということが必要なんじゃないでしょうか。

○委員 追加コメントですけれど、今回のこのSDN-1というのはランダム変異ではなくて、より安全な変異の一つなんです。なのに、今ランダム変異のほうに関して規制がないわけです。それでカルタヘナ法で今やろうとしているより安全なものに対して規制が出てくるのが何かよくわからないなという話です。

○委員 多分、ウイルスに限ってわかりやすく話すと、自然界でランダムにいろんな変異が起きます。病原性が高くなったウイルスというのは、淘汰されて自然界ではいなくなります。つまりウイルスは宿主がいて、そこで増えない限り、自然界に生き残れないので、病原性の高いウイルスというのはいなくなっちゃうんです。ただし、そういう進化は、例えばネズミにとって病原性がないウイルスが例えばネズミに順化したウイルスがいて、それが人に感染すると、人にひどい病気を起こすというような、これは人獣共通感染症といいますが、全てのウイルスは順化した病原性を示さない宿主がいて、だから自然界で維持されているのです。

 ランダム変異であろうがゲノム編集だろうが、人工的につくった変異体は、増やすのは培養細胞で増やすわけですから、そういう自然界で実際に感染が起きて淘汰される、そのプロセスは全部スキップします。だから決して先生がおっしゃられるように、より安全なということは、僕らは感じないです。つまり何でもできるということに、しかも何でも大量につくれるということが問題に思います。自然界で高病原性の何とかというのが生じると、宿主がぱたっと死んで終わりです。インフルエンザの問題は、あれ養鶏場があるから、普通だったら、あれは水鳥のウイルスですから水鳥の中で生じた変異で病原性が強いやつは水鳥を殺すんです。だから渡っていく途中の水飲み場みたいなところで、たまに鳥が死んでいて、そこでちょっと広がることがあっても、それがメジャーな種になることはないんです。

 ところが、それが養鶏場に入り込むと、養鶏場には感受性のホストが異常なくらい密集しているわけでしょう。商業動物である鶏にえらい影響がいくので、どう止めるかというのは問題で、日本では全部殺処分するでしょう。ところが中国等ではワクチンを使っています。ワクチンを使うと、要するに完璧に感染しないのはいいんだけれど、不完全だから生殺し状態になって、ウイルスが全部鳥を殺して、そこでウイルスもいなくなるという、そういう自然界で起きている淘汰システムが働かないんです。それで問題です。だからウイルスが進化して病原性を高めるということは、基本的にはないんです。そういうやつはいなくなってしまう。そのメカニズムが働かないという問題がある。

○委員 僕はそちらの問題を言っているわけではなくて、本来規制しなくちゃいけないものを規制がちゃんとないために、カルタヘナ法にそれを押し付けるのは問題ではないかということを言っているわけです。

○委員 だから人工的にウイルス等をつくる技術として、カルタヘナ法の対象になっている遺伝子組換え技術がこの法律をつくったときには最強の、もしかすると人工的に自在にできるという意味では唯一無二の技術だったんです。だから、それをカルタヘナ法で、バイオセーフティも含めて規制をかけるというのは、別に何か余計なことをやっているということではなかったはずです。

○委員 でもランダム突然変異は規制されないわけですよね。それはどうするんでしょう。

○委員 それは要するに、自在に病原体に変異を起こせるという意味では、カルタヘナ法の規制対象になっている人工核酸、断片を入れる方法というのは、これがベスト。

○委員 だけどPCRを使ってランダムに変異を入れる方法も幾らもあるんですよ。それは全部カルタヘナ法の対象になっています。つまりバイオテクノロジーとして、非常に進歩している中で、先生がおっしゃる今さらニトロソアミジンで変異を入れるということをやらない時代になっています。

○座長 どうぞ。

○委員 よろしいでしょうか。植物畑の人間からすると、私たちscientistの考えている拡散防止状況のためのカルタヘナ法というものと、消費者が思っている遺伝子組換え、特に食品みたいなものというものの認識の乖離が著しいと認識しています。なので、僕らがカルタヘナ法の中にはめようとしても、多分、一般の方は違う意味で規制をかけているんじゃないかという、個人的に非常に懸念しておりますというので、おっしゃられたように、カルタヘナには強力なルールで、だけれども、そこに全てを押し付けてしまったときに、本当にこの技術と、先ほど安全という話が出たんですけど、よりcontrollableに僕らがいろいろなことができる技術で、間違いなくこれは産業の競争力にも役に立つし、多分、日本の国民を幸せにする技術だと思うんです。

 それを今まで遺伝子組換えというので、正しく伝わらなかったところにはめてしまうというのに非常に違和感というか、危機感を感じていますので、僕としては、やはりバイオセーフティなり、また別のところで規制をつくっていただいたほうが開発者としては、非常にありがたいと思っております。

○委員 かなり専門的な話に移行しているんですが、話題を先ほどの自主規制のところに戻させていただきたいと思うんです。

 それで、先ほど私のほうで自主規制という話をしましたし、文科省さんなり環境省さんがガイドラインなりを想定されているのかなと思うんですけど、要はSDN-1について、カルタヘナから外れたものについては、今後どういうふうに規制するかといいますか、自主規制か何かをとらざるを得ないと思うんですけど、基本的に、実は我々の大学遺伝子協というところで、なかなかゲノム編集の取扱いについて、国から決まったことを言っていただけなかったんで、一応、自主規制的なことでお願いをしたという経緯があります。

 実は、そこにはこうしてくださいというふうには見聞きはしていません。各機関で、それぞれ考えられて、適切な措置をしてくださいという言い方をしているんですが、内々では、やはり、それまでカルタヘナの規制をかけた、特に宿主に細胞外で加工した核酸を導入したというケースにおいては、基本的にそれ以降も同様な、要はカルタヘナに準じた拡散防止措置を続けるというのが、多分、適切ではないかという、そういうふうな言い方を常々しているような状況で。ですから自主規制をするにしても、特に閉鎖系の場合の規制のかけ方というのは、ある日、突然カルタヘナから外れたからといって、すぐにそれを屋外になれば第一種使用等になりますが、そうでない限りは、恐らく現実的に場所として、やるところというのは、それまでやってきたところだろうというようなところに落ちつくんだろうなというふうには考えられるかなと思います。

 あえて、そこのところを書き込まれるかということになると、ここは議論も必要なのかもしれませんが、基本的には、引き続き、それまでと同じような拡散防止措置をとるのが多分望ましいのかなというふうに管理する側としては考えるというところにはなろうかと思います。

 そういう意味では、SDN-1というところの核酸を移入していないというところに関しては、そもそもが最初から出だしで拡散防止措置をする必要がないということにもとられかねないので、それについての扱いについては、例えば細胞外で加工した核酸を導入したような形のものと類似した形で維持するというようなことが管理するサイドとしてはやりやすいのかなというふうには思うんですけども、これはあくまでも我々の管理サイドの話ですので。

○座長 どうもありがとうございます。

○事務局 今の話なんですけども、表の中で一番左端、そもそも核酸を移入しないタンパク質のみで加工した場合のSDN-1についてですが、その場合に閉鎖系でやる必要がないとは一切思っていないです。表にも書いてありますように、あくまでもカルタヘナ法に基づいたような閉鎖系でやる場合については、報告を求めないと言っているわけで、それに基づかない中途半端なものであれば、当然、開放系として扱って情報提供を求める対象になるというふうに考えています。

○委員 そういう意味では閉鎖系という、この閉鎖しているという状況が何かということが、実は重要だと思いまして、これは私の個人的な考えですけども、逆に言うとターゲットがしっかりして、形質が明確であれば、それまでの拡散防止措置よりもちょっと下げられるというと変な言い方ですけども、例えばP1Pであれば、特定の網室に持って行けるかどうかという話になってくるので、ある意味、それまでの拡散防止措置と本当に同一の必要があるかというところは、考えるところがあるのかなとは思います。

 これはあくまでも私の個人的な考えで、実際は実験をする流れでいけば、先ほどおっしゃった「閉鎖系」と明記されていれば、恐らく、それまで使われてきた実験場所が引き続き使われる。ただし、その対象物に関しては、もはやカルタヘナの対象外であるということから、それについて何らかの扱い方については、カルタヘナで規制されないような状況で使うということも可能ではないかなと。ただ、それがどういうものかというのはわかりませんけども、いずれにしましても一番わかりやすいのは、多分「準じた」という言い方というのが一番わかりやすいのかなと思います。

○座長 ほかに、よろしいでしょうか。

 先生、どうぞ。

○委員 私もこの閉鎖系と開放系の考え方で、特に拡散防止措置をとっている中での、ここで届け出をしているということの中で、コントロールしてきているという意味かなと。中途半端というか、開放系、それ以上の開放系においては、届け出をするという意味で、これでもコントロールできるのかなと、そういうふうには思うんです。

 一方でゲノム編集という技術が本当に進歩が激しくて、言ってしまえば一般の人にすごく近くなってきている。あるいは本当に状況として、みんなが使えるような状況になってきているかなと。その中で一般の人がこの実験を特にSDN-1、遺伝子ノックアウトするようなこともできてしまうということはあるのかなと。そのときに、当然一般の人がやられるので、閉鎖系でやることはほぼないと踏まえていいのかなとは思うんです。それは登録されてやる人もいるかもしれないですけど。

 あと開放系になったときに二つ、どうやってコントロールするのかなというところがちょっと疑問に思う点で、開放系にしたときに二つ意味があると思うんです。誰か悪意を持って、それをばらまくといったら変ですけども、そういったことをどうコントロールしていくのか、それからいい意味で言えば、みんな身近になってきて、この技術を利用してよりよい社会をつくっていくということも非常に有効かと思います。あるいは中学校、高校とかだったら「教育」という意味で文科省になると思うんですけども、一般の人がよりよくするために使うような場合にどういったところが管轄していくのかというところを、ちょっと疑問に思ったのと。

○座長 どうもありがとうございます。先生、どうぞ。

○委員 今の開放系の話ですが、開放系の情報提供を求める項目の(a)として、「核酸またはその複製物が残存していないことが確認された生物であること」というのがあるのですが、この確認方法を情報提供してもらうことが、非常に重要だと思います。それは前回もちょっと紹介したようなlarge insertionとかlarge deletionが起こるような場合に、通常の確認方法では確認ができない可能性もあるからです。

 そういう場合に、確認されたと(事業者等は)言ってはいても、本当に、それが核酸を持っていないということが、それで証明されるのかどうかということを、例えば情報提供された内容を審査というか各省庁で判断をする必要があり、「疑義があった場合は(必要な追加情報を求めるとともに、必要な措置を執る)とありますけれども、この辺の手続として届け出さえすれば使えるのか、届け出をして一定期間経って審査等で回答が得られないと使えないのかとか、そういう手続は各省庁で決める形で考えているのでしょうか。あと、先ほども途中で話がありましたけれども、カルタヘナ法は法律なので縛りがある、罰則規定もりますが、これはあくまでも法律ではないので、届出等をしなくてもできてしまうというところをどのように考えるかということが、問題としてあるかと思いましたが、あまりその辺の話が今回出なかったのですが、その辺はいかがでしょうか。

○座長  一つ少し整理させていただきたいと思いますけども、最後の先生の残存性については、これいきなりぽんとどこかにあるんじゃなくて、多分、各省庁、各生物種において、厚労、経産、農水、環境省にコンサルティングみたいな形できちっと出すと、そういう書類に基づいて判断してということになると思います。それで、そもそもSDN-1なのかSDN-2なのかと。そのエビデンスではSDN-1であるというふうには認められませんとなった時点では、組換え体なので、もうそれでカルタヘナの中であると。

 それがいいかどうかは各生物で、これは議論によって、full sequenceをすぐ読めるようなものと、小麦みたいにどこまで読んでも、あと個体別に全部違うような、それでも、またやり方が違うかなと。問題は、各省庁がどのような形でそのシステムをつくるかという、その意味だと思うんです。疑義があった場合は、各省庁で受けるということです。

 あと、途中で出た悪意については、遺伝子組換えだろうが何だろうが、もうそれは別の問題ではなかろうかと。カルタヘナ法において、悪意のある改変を防ぐことはできません。ただし、生物多様性条約はそれを防げるんです。人に影響のあるような改変等についてはあると。そういう意味で言うと、途中で先生にお聞きしたときに、カルタヘナ法の上位に生物多様性条約がある場合に、カルタヘナ法だけでは不十分であると。例えば微生物において、そういう問題が出ているんであれば、それは親委員会にきちっと上げて、何らかの施行等でやるとか、今ここで結論は出せないのかなと思います。それは事務局、どうでしょうか。

○事務局室長 そうですね、先ほど1点目おっしゃっていただいた、入っていないことの確認というのは、分類群でも相当確認できることも変わってくるでしょうし、ご報告をいただいた中で、つまり今回は使用に先立ち報告をいただくということになっていますけれども、法律は違いますので、例えば30日前に出してとか、回答するまでは使用できないとか、そういうふうにはできないんですけども、あらかじめ、そのものに応じて、ちょっとでも、これは怪しいなと思ったら、それはやはりご相談いただいて確認をとった上で法律対象外であることを確認して、そういうふうな扱いにしていただくしかないのかなというふうに思っております。

 それから2点目は、今、委員長にまとめていただいたとおりでございます。

○座長 要するに、先生、微生物を扱っている先生方のプロダクトが、我々が考えているbenefitだけの方向ではないよという場合に、それをどういうふうに、ただ、しかもカルタヘナでかろうじて、それもあるみたいで、厳密に言うとおかしいこともあるのかもしれませんけども、カルタヘナでP1、P2、P3と縛っていたと。それが外れるような場合に何が起きるのかというご指摘だと思うんです。ただ、それがこういう文言だけにしてしまうと、そこら辺が全部フリーになってしまうかのように捉えられる。ですから、ここは、少し関連省庁を含めて微生物、農作物等々でこれは書きぶりが大分変わると思うんで、微生物だけただし書きというのもおかしいなと思いますので、少したたき台を練っていただけないかなと思うんですけど。

○事務局 相当、具体的な、取扱いの話になると思いますので、そこは各省庁でちょっと連携して整理してみたいと思います。

○座長 多分、我々の委員会に出すときに、そこはどこまで踏み込んだ議論をしていると。先生がご指摘のように、それは別途法律改正等々、施行が必要ならば、それを上げたいと思うんです。

 そうではなくて、今の運用でいける範囲でどこまでいけるのかは明記しておいて、運用の中においても安全性は担保しなければいけないので、当然のことながら。ですから、そこがわかりやすくこの図を書く場合に少し足す方向でいかがでしょうか。曖昧な言い方になりますが、あまりきちきちに書くと、微生物だけ縛ります、ゲノム編集において微生物だけということはおかしいので、我々は全生物、微生物、動物、植物、全て含めて共通のコンセンサスの中で、いかに安全を確保するかですから、微生物だけ残すことは、やはりおかしい、あり得ない。

 ただし状況が大分違うので、アドバンスエフェクトというのが、あまり植物とかでは考えてはいないのも事実、ご指摘のとおりだと思います。それを担保できるような文言で、なおかつ「運用」という言葉でよろしいでしょうか、現行法の運用の中で、またそれから外れるとしても、生物多様性条約という中で、こういうプラスアルファの情報、これは情報提供は求めないというふうにぽんと言い切ってしまうのはいいのかどうかも含めて、ここ最終案としては修正して、先生方にまた見ていただいて、親の委員会で上げていくという方向にしたいと思うんですけども。

 どうぞ。

○委員 確認なんですけれども、ガイドラインのようなものをつくって、その中で、特に閉鎖系での扱いについて届け出等をやっていくという、その方針はよくわかったんですけれども、そのガイドラインというのは、施行規則とつながるような位置付けにはなるんですか。そうならないと対象外と言っておいて、何を根拠にそのガイドラインをつくるのかがイメージがわかないんです。何らかの形で法律はともかく、施行規則と、このガイドラインがつながるような仕組みがとれるのかどうか、そこを確認したいんですけど。

○座長 最後のご確認としては難しいところのご確認なんですけども、そのとおりで、何か。

○事務局 今のは拡散防止措置に関するお話ですか。

○座長 ではなくて、拡散防止措置のみではなくて、運用適用外であるといったものについて、例えば閉鎖系で、実際にそれを実験等研究するに際して、ガイドラインを出したとしても、これはやはり先ほどから出ている自主規制の範囲を出ないだろうと。その自主規制の範囲しか言えないのか、もう一歩踏み込めるのかというご質問だと思うんですけども。各省庁では、例えばこういうケースについて、何か今現時点でのお考え。方向性がございますでしょうか。各省全部そろっていなくても、現時点でいいと思うんです。

 経産省。

○経済産業省 経産省でございます。

 現在のところ、当省では、まず当省関連で出てきそうなものというと、微細藻類です。微細藻類については、ガイドラインを今どうやったらいいかということで考えようとしているところです。ただ、ここで実は本検討会でコメントをいただきたい案件がありまして、うちの件に関連するものですから、ここでコメントを求めたいんですけども、5ページ目の2のところで、カルタヘナ法の外であるんですけれども、知見を収集するとなっています。

 この理由についてコメントいただきたいと思っております。といいますのは、その理由によって、次のページの6ページ目の(a)から(h)まで情報を求めるとなるんですけども、この中身は決まってきますので、その中身によって、実はうちのガイドラインも大幅に変えないといけないかなというふうに思っておりまして、今、確かにうちで微細藻類について自主規制の形でガイドラインをつくろうとしておりますけども、今申し上げたとおり、この(a)から(h)どのようなものを集めていくかについて、2番のところ、技術的な技術の位置付け、これについて、皆さん、委員の先生方のコメントをいただいて、それを反映したいと、そんなふうに考えております。

 以上です。

○座長 まず1点目については、経産としては藻類を今対象にして、フォーカスを決めてガイドラインをつくっているということですね。

 2点目につきましては、なぜ、この情報を求めるかですか。

○経済産業省 いえ、情報を求めるときにどのような理由でその情報を求めるのかというコメントをいただきたいなと。技術的に、これはこういう技術だからこういう情報が要るんですというのも、委員の先生からコメントをいただければ、我々としては、それをベースに微細藻類のガイドラインの(a)から(h)の具体的な情報、どういう情報を収集していくかということを検討していきたいと思いますので。

○委員 今ここに書かれている情報の求める項目というのは、カルタヘナ法で求められているものと全く同じなんです。ですから、これを完全に求めるということは、ほぼ外していないというのと同等だと思います。だから、これがどういう根拠で書かれたかというのは、多分、安全なほうに振ってあるということとしか思いません。

○委員 今の情報提供を求める項目の中で、一番注目しているのは(e)です。当該改変により生じた形質の変化というところですけれど、これは、多分、何がかかったかというところが一番重要であって、形質というのは何を求めるかというところが、それぞれゲノム編集で作出された生物種によって大きく違うんだろうなとは思うんですけれども、これについては各省庁でどういう形質を求めるかとか、そういったことが考えられます。例えば恐らく、植物であれは、多分環境影響かという話になると思うんですけれど。微生物であれば、どういう代謝系が変わったからこういう生産物ができるとか、こういう形だからこれができるなどを堂々と書いていただきたい。

 ほかの生物種に関しても、やはりゲノム編集をしたから、こういうアドバンテージがあるということが、これが組換えと違うといったら変ですけども、その辺もきっちり明示して、ゲノム編集技術が非常に有用であるということを、こういうところの中でも書き込んでいくというのは重要なのかなというふうな気はします。

○座長 ありがとうございます。

 両方の先生のおっしゃられたこと、この(a)から(h)どこまでの深さで求めるかという問題もあろうかと思います。テキストで十分であるというならそれでいいと思うんですけど、それは今ここで決めることではないと思うんですが、カルタヘナ法において、ずっと考えてくる、それがベースです。つまり、これが生物多様性影響というものに関して考えた場合にどういうことが懸念されるかという観点で書いていますから、生物多様性影響はないと判断できるというエビデンスでしかない。その意味で、これを求めることになろうかと思います。

○委員 先ほど先生からのご発言、非常に重要だと思っておりまして、通常の安全性の高い産業微生物を考えると、情報提供を求める項目というのは、非常に厳しいことになっている。ナチュラルオカレンスと判断されるようなケースについても、この情報を求めているということになると理解できます。ナチュラルオカレンスと同じ変異が起こっているようなものにも、この情報を求めているということが言えるということになりますので、特に(h)の項目というのは、ある種の微生物というか、安全性の高い産業微生物にとっては、非常に厳しい項目であろうというふうに思います。

○座長 あまり座長が意見を言ってはいけないんですけど、これは恐らく、先ほど先生が言われたように、改変したものは改変できたというのは、きちっと記載すると。あと、その過程でいろんな変異が生じたとしても、ここに情報提供はなぜ求めているかというところでこういうものができる。この過程で、このぐらいの幅の変異というのは生じ得るよというのが蓄積されていくことがより今後のためにはプラスになるというぐらいだと思うんです。

 もともとナチュラルオカレンスを込み込みで培養変異が起きました。これは大問題であるという議論ではないと思うんです。ここで求めているのは単にそういうものをずっと蓄積すると、こういうゲノム編集等をやった場合に、これぐらいの変異が生じ得るというエビデンスをずっと集めておきたいというのが環境省の意図である。ですから、微生物のほうの情報はわからないんですけど、少し増殖率が変わったから大問題だということを議論するためではない。これをもって許可する、許可しないという問題でもないと思います。

 従来の幅を出ていないならば、恐らく、これは私ども植物での経験ですけども、この(h)も多様性影響が生じるとは考えられないというのは、簡単に結論が出てくる話かなと思います。今細かいところまでずっと私たち議論しなければいけないんですけども、問題点幾つかあって、一つは先ほどからもう一度整理させていただきますけども、先生を初め、微生物をやられている先生方からの懸念というのは、確かに丁寧さが少し欠けていた部分があります。それに対するコメントをいただきたいということです。農水省は例えばどういう対応をこれから考えようとしているのかです。

○農林水産省 農林水産省です。

 農林水産省でいいますと、遺伝子組換え生物であれば、多分、環境中での使用が一番多い分野、遺伝子組換え農作物が多いのかと思います。今後もゲノム編集でもそういったものが出てくるのかと。また、動物用医薬品として使われる微生物など、非常にその種類、分野、多岐にわたっているところです。そういった意味では、情報提供いただいた後に、非常に専門性が高い分野がありますので、そういったところの確認の仕方とか、どういうことができるのかというのは検討していかないといけないかなというふうに思っております。

○座長 文科省は、研究分野では一番肝になると思うんですが、僕が大学にいるから文科省に任せているわけではないですよ。やはり研究分野というのは、基本的に先生方文科省ベースということで、それは合意が得られましたので、どういう方向性を考えているか、ぜひお願いします。

○文部科学省 文科省は、基本的に二種での使用がメインになってくるかと思います。現状、大幅な改変をということであれば、SDN-3を、変異を導入するということであればより効率的なSDN-2を用いていると考えております。細胞外で加工した核酸を導入した生物は、遺伝子組換え生物等として、法に基づいて大臣確認がなされるような仕組みになるのではないかと思っております。そういう意味ではチェック機能は働いていると考えております。

 一方で、今先生方からご指摘のあった病原性については、これは、確実に漏れのないようにするべきだと思いますし、特に扱っている大学機関や所管している団体に対しては、きちんと周知徹底を進めていきたいというふうに考えております。

○座長 でも要するに機関承認だとしても、そこで文科省として縛るという言い方はおかしいですけど、コントロールすることは可能という理解でよろしいですか。

○文部科学省 これまでの遺伝子組換えのほうでも、あらかじめ省令に定めているものは機関承認という形で、各機関での責任の下使用しているところもあり、一方で省令の中で別表に掲げているものについては、大臣確認申請という形で審査を要するということになっております。

○座長 ありがとうございます。

 厚労省、病原菌を。

○厚生労働省 厚生労働省でございます。

 まずカルタヘナ法におきまして、厚労省は産業利用という形の段階で確認をしているということでございまして、病原微生物の研究ということはあまり現時点で考えていませんでした。今考えている範囲といたしましては、まず基本的に開放系で使う場合、想像されるのは遺伝子治療に使うベクターですけども、そういったものにつきましては別の法律ですとか、規程に基づきまして、事前に情報をいただくというスキームが別途ございます。その段階でいただく情報は、(h)の部分を除きまして、大体ご提出いただいているような情報と重複しているのかなと思っておりますので、あまり特別にこれに限ってということは考えていないところでございます。重複して使える情報は、逆に使うべきというふうに考えております。

○座長 ありがとうございます。

 各省庁、対象生物で、いろいろ状況が違うのと、あと産業利用に近いか近くないかでもまた違うと思います。そこでこの表はひとり歩き、これからしていく表です。ひとり歩きしちゃいけないんじゃなくて、これできちっと整理されるので、ここで誤解がないように少しブラッシュアップしていく。今日の意見をぜひ反映させた形で、ただし書きを入れても構わないと思います。

 多少、文書はついたとしても、誤解のないように各生物種においての閉鎖系利用、もちろん、これがそのまま開放系にも流れていくわけですけども、誤解がないように文言を足していただきたいと思います。それを足したものを委員会に上げていく。委員会の委員の先生方もそこが議論された上で、それを足した上で判断するということが重要かなと思いますので、それは事務局のほうで各省庁、横断的に、ぜひお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

 先生、何か足すことございますか。親の委員会に行ったときも、あまり省略系ではなく、丁寧に書いてある形のほうが議論はしやすい。どうぞ。

○委員 先ほど環境省からの説明のときに質問が幾つかあって、それへの発言は出ていません。報告とか届け出とか情報提供には、法律上はあまり区別はないです。届け出は、一般的に緩い制度という感じがあると思います。

実際は少し違っていて、それは許可制度と比べたときの届け出制度についてです。どちらも禁止が前提とされています。あることを行うことは勝手にやってはだめだとされているときに、許可制度は、報告や申請をさせて行政庁が許可をして初めてできるようになります。届け出制度は、やはり同じように勝手にやってはだめなんですが、行政庁が審査して許可というのはなくて、届け出さえあればやってもいいという制度です。そういう意味で、許可制度と比べると何となく緩く感じるわけです。けれども、本件の場合は、禁止されていて、届け出をすれば、その改変生物を使うことができますということではないので、届け出というのはちょっと合わないかなと思います。

 報告は、通常義務的色彩をもって法律で定められることが多いので、報告義務ということになりますが、ただ任意で報告できるという書き方もありますので、結局、義務的報告と書くか任意報告と書くかなので、「報告」という言葉自体が厳しいということではないと思います。

 一方で、情報提供はあまり法律条文では出てこないですけれども、この分野と非常に類似したので、名古屋議定書に対応するための国内指針の中で、実は「情報提供」という言葉が使われています。「報告」も使われています。報告は義務的な場合で、情報提供は、もう少し広い意味で、情報収集を含めて行政庁側が情報を出してほしいという、そのときの用語として使っています。そういう意味では、本件の場合も「情報提供」という言葉のほうが似ているような感じはありますが、さっきも触れましたけど、別に報告と書いて任意だとすれば、それはそれで緩くはなります。

 それから重要なところかなと思うんですが、資料2についても事務局からさっき質問があった7ページの(2)の②のときの、この書き方についてです。ここについては「必要な措置」としか書いていないので、この検討会の委員の方々でご自分の分野において、ここまで求められては困る、あるいは必要な措置というのがここまで来ては、というような、もしそんな認識がある場合は知らせてもらうとわかりやすいと思います。いや、必要な措置は必要な措置でいいということだと、行政文書、法律文書ではこういう書き方もよくありますので、これはこれで構わないと思います。

○座長 どうもありがとうございました。

 特に。この表でも情報提供を求めるというのは、多分、行政側からの名古屋議定書と同じぐらいの意味を持つ情報提供の要請だというふうに理解しています。なので、逆に情報提供を求めないというのも、かえって強く感じてしまうんですね。要らないというふうになってしまうので、少し誤解を招くんだろうと思います。そういう意味で、今の先生のご意見も踏まえて、ここ少し修正をお願いしたいと思います。

 それから、最後の2の②の「必要な措置を執る」、これ多分書くのは簡単ですけども、実際一体何なんだということになろうかと思うんです。ただ全く書かないわけにもいかないのかなということですけども。多分、植物をやっている人で植物、微生物、動物、昆虫、藻類全部含めて必要な措置とは何ぞやと。これが出ますと、必要な措置はとることになりますのでどのように考えますか。今日は別にここでご意見をいただくだけです。いろんな意見をいろんな生物を扱っている先生方に集まっていますので、実際そういう状況は起こり得るかも含めて、何か。

○委員 それは今のカルタヘナ法で定められている必要な措置は各分野で決まっているはずなので、基本はそれなんじゃないんですか。

○座長 要するに、これアドバンスエファクト、何かよくない影響があった場合の遺伝子組換えの措置は決まっていますよね。そういう理解でよろしいでしょうか。それ以上のことは求められないので、多分、それが一番現時点で世界的に見てもきちっと厳しい状況での措置というのは決めてありますので、もうそういう理解ということでよろしいでしょうか。

○事務局 基本的にはなるべく自主的な運用だけれども、カルタヘナに沿ったようなことをやっていただくという趣旨でつくっております。

○座長 ありがとうございます。

 これは検討会なので、今日いろいろな先生方からご意見いただきましたけども、これに基づいて委員会あるいは中央環境審議会に上がってきますので、どういうふうにまとめるか、これは事務局も少し工夫していただきたいと思います。

 もう一つ大事なのは、我々はカルタヘナ法のもとで、ずっと経験を積んできていて、それに基づいた考えで、それから外れる、外れないという議論は今回1回もしていないはずなんです。概念としてはカルタヘナ法というものがあって、それに入るのか入らないのか、そこがまず整理できたのかなと思います。技術的なものの最終プロダクトとして。ただ、それに対する次のステップのところは、今日の事務局の出したたたき台としては、少し緩いというか甘いというか、誤解を招くといいますか、いろんな解釈を持たせてしまうような文章がありますので、そこは丁寧に書く、先生方にもご意見をいただいて、ただし書きでもいいと思うんですが、まだ委員会で、またもう一回議論しますので、それは漏れがないような形でつくっていただきたいなというふうに思います。

 高等植物、あるいは藻類、微生物、病原菌、動物とか、全然違いがありますので、ただ、それを全部網羅的に書くのは、なかなか難しい作業ですけども、検討会としての役目としては、そこまで、こういう問題点があると。あとここは現時点においては、そういう運用では、この限りまでであるというようなこと、明確にして上に上げればいいかなと思いますので、また事務局から先生方に全部たたき台が流れますので、それに対して、率直なご意見をいただければと思います。

 また例によって、少し押してしまいましたけど、大変申し訳ございません。議題としては、その他というのがございますけども、今日は議題2のところで、運用だけではなくてゲノム編集をこれからどういうふうに我が国で利用していくかということを踏まえて、いろんなご意見をいただきましたので、それを議事録に上げるということで、その他ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○座長 また、できたものを見て、言ったことが足りないということがありましたら、上げていただければと思います。

 それでは、一応、議題3まで終了ということでさせていただきたいと思います。

 では、事務局。

○事務局 座長、ありがとうございました。

 今回の検討会の委員の中には、専門委員会の委員も何名かいらっしゃいますので、この場でちょっとお伝えしたいと思いますが、次回の専門委員会、第2回になりますけれども、日程ですとか資料等につきましてはメールベースでご連絡をさせていただきます。また、当然、座長からもお話ありましたが、今日のまとめとさらなる修正案につきましても、メールベースでご相談させていただきます。

 それでは最後に野生生物課長の堀上より閉会のご挨拶を申し上げます。

○事務局 本日も熱心なご議論をいただきまして、ありがとうございました。

 現場でいろいろな研究をされている先生方ですし、また審査にも関わっていらっしゃる先生方、幅広くさまざまな観点でご意見をいただきましたので、大変短い中で恐縮ではありましたけれども、いただいたご意見、整理しまして、事務局側で関係省庁と調整をして、先ほどの表も含めて手直しをした上で、委員の方々にもご確認をいただければと思っております。できた案を次の専門委員会にかけて議論していただいた上で、パブリックコメントにかけると、そういうことで考えておりますので、今後ともお世話になると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日はどうもありがとうございました。