中央環境審議会 自然環境部会 野生生物小委員会 第23回議事録

日時

 令和2年11月11日(水) 16001801

場所

 Web会議システムにより開催

出席者

(委員長)

石井 実

(臨時委員) 石井 信夫 尾崎 清明 小泉  透
小菅 正夫 白山 義久 高橋  徹
宮本 旬子 広田 純一
(専門委員) 磯崎 博司 神部 としえ 桜井 泰憲
高橋 佳孝 マリ クリスティーヌ
(環境省) 鳥居自然環境局長
大森大臣官房審議官
奥山総務課長
中尾野生生物課長
川越鳥獣保護管理室長
山本希少種保全推進室長
北橋外来生物対策室長

議事

【事務局】 本日はお忙しい中、当審議会にご出席くださいましてありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまより、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会を開会いたします。

 会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日は、所属の委員・臨時委員11名のうち、現時点で9名のご出席をいただいておりますので、本会は成立しております。

それでは、開催に当たり連絡事項を申し上げます。本会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、Web会議システムにより開催いたします。会議の様子はユーチューブチャンネルによりライブ配信を行います。Web会議中は、委員の先生は、全員カメラをオンのままとしてください。ただし、通信環境に著しく負荷が生じた場合はカメラをオフとするお願いをさせていただく場合がございます。

オンラインでご出席の委員の皆様は、ご発言時のみマイク機能をオンとし、それ以外では周囲の音を拾わないようマイクをミュートに設定してください。ご発言の際は、画面右側のご自分のお名前の行にあるところにマウスのカーソルを合わせますと挙手ボタンが現れます。その挙手アイコンをクリックしてご発言をするようお願いいたします。挙手アイコンは黒から青色に変わると挙手した状態になります。ご発言の意志はこのマークで確認させていただきます。委員長からご指名がありましたら、マイクのミュートを解除してご発言ください。挙手アイコンは事務局でオン、オフを操作できませんので、ご発言が終わりましたら挙手アイコンをお忘れなくクリックし、青から黒に変えてくださるようお願いします。

本日の資料につきましては、委員の先生方にホームページでお知らせしておりますが、事務局で画面上に同じ資料を掲載しながら進行しますので、ご承知おきください。

傍聴者の皆様におかれましては、本日の資料を環境省ホームページの自然環境部会野生生物小委員会のページにアップロードしておりますので、そちらをご覧くださるようお願いいたします。

それでは、自然環境局長の鳥居よりご挨拶を申し上げます。

【鳥居自然環境局長】 皆さん、紹介にあずかりました鳥居でございますけど、聞こえていますでしょうか。大丈夫ですか。丸ですか、よかったです。コロナの影響でこういう形で小委員会をさせていただいていますけれども、本当にうまく会議が回ることを願っております。

本日は、保護増殖事業計画、三つの種についてご審議いただくというのがあります。それから、もう一つは、出水・高尾野鳥獣保護区の特徴についてでございます。また報告案件も数件ございますので、限られた時間ではございますけれども、Webでの開催ということでございますが、ぜひいろいろご意見をいただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

【事務局】 改めてお知らせを申し上げます。本日、会議の様子はユーチューブチャンネルによりライブ配信を行いますので、ご承知おきください。

それでは、これよりの議事進行につきましては、石井実委員長にお願いすることといたします。

石井委員長、よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 そうしましたら、皆さん、こんにちは。皆さん聞こえていますでしょうか。ありがとうございます。久々の委員会でございますけれども、皆さんお元気そうで、うれしく思います。

コロナ禍の中で、今回の会議はオンラインでさせていただいておりますけれど、委員長の私は、実は環境省に来ておりまして、これはどこでやっているかというと、26階の自然環境局長室でございます。私の前には鳥居局長、それから大森審議官、中尾課長をはじめとして、環境省の事務局メンバーの方がそろっておられます。それで、私の前に大きなスクリーンがありまして、今、委員の皆さんのお顔が勢ぞろいしているということでございます。

ということで、ちょっと変わった環境ではございますけれども、とはいえど、しっかりと議論は尽くしたいと思っておりますので、いつものように、皆さん、活発な議論をお願いしたいと思います。

それで、本日の部会ですけれども、先ほどからご案内があるように、ユーチューブチャンネルにおいてライブ配信されています。どのくらいの方が視聴されているか分からないですけれど、報道関係者、それから一般の方々もご覧になっているということで、ご留意いただきたいと思います。

会議録につきましては、後ほど事務局で作成いたしまして、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開するということにいたします。なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを私、委員長が了承した上で公開するということで、この辺についてはご了解いただければと思います。

また、会議資料につきましても公開ということになってございます。

本日ですけれども、議事次第に従いますと、諮問案件が2件ございます。そして、その後、報告事件が4件というふうになってございますけれども、円滑な会議の進行にご協力いただければというふうに思います。

皆さん、今日もよろしくお願いします。

それでは、1件目でございます。諮問事項で、ミヤコカナヘビ、フサヒゲルリカミキリ、ウスイロヒョウモンモドキ保護増殖事業計画策定ということで、まず、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【説明者】 最初の議事につきまして、希少種保全推進室、川瀬のほうから説明させていただきたいと思います。資料のほうは、Web上には1-1~1-8が上っておりますが、画面にお示ししております1-2を使って説明させていただきます。

 1-1は諮問・付議の文書、1-3~1-8は各種の種の概要、それから保護増殖事業計画の本文となっております。資料1-2のほうで説明をさせていただきます。

まず、今回の保護増殖事業計画、3種ございますが、保護増殖事業計画の事業について、そもそものお話になりますけれども、現在、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種、356種が指定をされておりまして、種指定を受けますと、個体等の取扱いの規制を受けるということになっております。

また、プラスして、生息地等保護区の指定をしますと、工作物等の行為規制が発生する、あるいは、立入制限地区の指定といったことも可能となってきます。

さらに、個別の事業によって個体の繁殖、それから生息地、生育地の整備等の事業を図る必要があるものについては、一番下にございます保護増殖事業による保全を図っていくという流れになってございます。

3枚目になりますが、保護増殖事業計画の策定については、今、この小委員会で審議をいただいておりますけれども、中央環境審議会の意見を聞いて定めるということ、それから、中身については、目標、区域、その内容を定めていくというふうに法に規定をされております。

さらに、基本方針のほうで、どういった種を対象に作っていくかということについては、国内希少野生動植物種のうち、その個体の繁殖の促進、その生息地等の整備等の事業を推進することが必要な種を対象として実施するということで規定をされております。

 現在、保護増殖事業計画、64種を対象に51計画策定されてきてございます。最初の指定から、長いものではもう四半世紀たってございますけれども、事業計画策定後に絶滅危惧種としてのランクが下がった種、いわゆる状況が改善された種については10種、より悪くなった種については2種ということになっておりまして、17の事業で個体数の増加傾向、特に集中的に、先行的に資源が投入されてきた鳥類で個体数の増加傾向が確認されているということでございますけれども、事業の目標を達成して事業を終了した種はないという状況になってございます。

 右側のグラフにございますように、近年は、策定数がなかなか伸び悩んでおりました。3年ぶりに、今回、三つの計画を立てるということになってございます。

 また、下に策定種を載せてございますけれども、今回、最初に説明しますミヤコカナヘビ、爬虫類ですけれども、爬虫類では今回初めての策定ということになります。

 今、現在、進んでおります保護増殖事業のそれぞれについては、この画面にお示ししてありますように、各協会さんとの協定あるいは連携というもので域外保全を取り組んでいるものが多くございます。

 一番上の日本動物園水族園協会については、平成26年に協定を結びまして、実際に、今日、後ほど説明しますミヤコカナヘビについても、この協定に基づいて域外保全に取り組んでいただいているという状況でございます。

 それから、日本植物園協会さんとの協定も平成27年に結ばれております。

 それから、一番下の全国昆虫施設連絡協議会、こちらは法人ではございませんので、まだ協定という形ではございませんけれども、連携という形で数年前から展開をしておりまして、この連携に当たっては、委員長の石井先生のほうにも各種ご指導いただきながら進めてきておりまして、下線が引いてありますけれども、今回、二つの昆虫、フサヒゲルリカミキリとウスイロヒョウモンモドキということで、この連携によって域外保全が取り組まれてきた種について保護増殖事業が進んできたという状況になってございます。

 それでは、一つずつの種について説明させていただきます。

 まず一つ目が、ミヤコカナヘビでございます。こちら、名前にございますように、宮古諸島の固有種でございます。2016年に国内希少種に指定をされておりまして、写真を見ていただければ分かりますように、一様に鮮やかなグリーン、緑色をしておりまして、尻尾が体長の75%を占める長い尻尾を持っているということで特徴的な種になっておりまして、過去にはペット等でも捕獲をされてきた経緯がございます。

 食性としましては、昆虫類、それからクモ類などを食しているということでございます。

 背景の部分と少しかぶりますので、次の背景の部分を説明いたしますが、ミヤコカナヘビについては、沖縄県宮古諸島に分布する日本固有種であり、草地、それから藪に生息しております。かつては宮古諸島の至るところで見られた種でございましたけれども、現在は、確認地点数はかなり減ってきているということで、個体数全体は把握できておりませんが、激減しているのではないかというふうに考えられております。

その要因としましては、土地の開発、農薬の使用、宮古島における外来種、インドクジャク、国内外来種であるニホンイタチ、それから乱獲等の影響が指摘をされてございます。

環境省では、この事業計画策定に先立って、沖縄県、宮古島市、琉球大学等と協力をして調査を行ってきております。それから、域外保全については、日本動物園水族館協会(JAZA)さんと協力をして、現在、円山動物園、それから上野動物園さんで域外保全に取り組んでいただいているという状況でございます。

今回の計画の概要でございます。策定省庁は環境省の単独での策定になっております。

目標については、各種一様に同じ文言になっておりますけれども、自然状態で安定的に存続できる状態とすることを目標とするとなってございまして、区域については宮古島市の本種の生息地、それから、飼育、人工繁殖等を行っていく区域となってございます。

第3事業の内容ということで1~6まで書いてございますが、こちら、かみ砕いて次のスライドから説明させていただきます。

一つ目が生息状況等の把握ということで、本種の生息状況を調査していく。

それから、環境の調査・モニタリングをしていくということが(2)です。

それから(3)に減少要因の把握ということで、外来種、それから土地利用の変化等も含めて把握をしていくと。

それから、宮古諸島に生存する種ではございますが、その中で遺伝的多様性が見られる部分もございますので、保全単位の検討も同時に進めていくということになっております。

それから、2番としまして、生息地における生息環境の維持、改善です。二次的な草地環境、それから隣接する森林等を使いますので、そういった環境を守るために定期的な草刈り、それから間伐等を実施していくということ。

それから、外来種の侵入防止、人為による悪影響の排除等を実施していく内容となってございます。

3番が飼育下繁殖、野生復帰の実施ということで、こちら、先ほどご説明しましたように、円山動物園等の動物園にて飼育繁殖に取り組んでいただいておりまして、安定して累代飼育できる技術が確立されているというところでございます。

四つ目が、生息地における違法な捕獲等の防止ということで、違法捕獲の対策について、例えば港での普及啓発等を含めて実施をしております。

それから、普及啓発の推進、効果的な事業のための連携の確保ということで、なかなかこのミヤコカナヘビという種自体は、実は、宮古島の島民の皆様も、3分の2の方は知らないということが言われておりまして、本種の認知度をまず上げていくということで、来週から島内の市の施設をお借りして、ミヤコカナヘビの生体展示を実施します。これはJAZAさんと共催で、市、WWFさんと連携をして生体展示を10日ほど実施する予定でございます。

また、今回、宮古諸島単独では初めての保護増殖事業計画の策定ということになりますし、爬虫類でも初ということで、市の全体のビジョンの中でも固有種というものを捉えていただいて、一つの島のシンボル種としてこの保全に取り組んでいただく方向性を関係者でつくっていきたいというふうに考えてございます。

以上がミヤコカナヘビになります。

2種目、フサヒゲルリカミキリの説明に移らせていただきます。こちら、2016年に国内希少種に指定をされておりまして、写真を見ていただきますと、触覚に房状のものが見られるということが特徴的で名前の由来にもなっているというところでございます。

分布のところに書いてございますが、現在、確実に生息が確認されているのは岡山県のみという状況でございます。

少し飛ばさせていただき背景という部分に移らせていただきます。フサヒゲルリカミキリについては、これも二次的自然環境、草地、それから湿地に生息するような固有種でございまして、現在は、岡山県真庭市の蒜山高原の一部のみの生息確認となってございます。

減少の要因としましては、草原環境の消失、それから、幼虫期の寄主植物として必要なユウスゲ、こちらの減少が考えられます。また、種自体の乱獲等も指摘をされてございます。

この岡山県の生息地においては、日本チョウ類保全協会等によって生息環境の維持等が取り組まれております。また、域外保全については、環境省と昆虫施設の連携の中で、足立区生物園、それから伊丹市昆虫館さんに飼育下繁殖に取り組んでいただいているところでございますが、なかなか越冬技術の確立が難しいということで安定した累代飼育にはまだ至っていないという状況でございます。

計画の概要でございますが、今回、生息地の近傍に国有林がある、あるいは、シカ対策を面的に取り組んでいく必要があるというところで、農林水産省さんとの共同策定ということで、2省の共同策定となってございます。

目標については、先ほどと同じ、自然状態で安定的に存続できる状態とすること。

事業の区域については、中国地方の本種の分布域、及び飼育、生息域外保全を行う区域となってございます。

内容について、次のスライドから、また個別に説明いたします。こちら、骨格は先ほどのミヤコカナヘビとほぼ一緒になりますが、まずは生息状況、それから生息環境の把握をしていくということ。

また、本種の生息地においては、山焼きが近傍で行われているということもございますので、その山焼きとの関係性を含めて把握をしていくという内容になってございます。

それから、2番目が生息地における生息環境の維持ということで、先ほど申し上げましたように、ユウスゲが寄主植物になっておりますので、そのユウスゲが使われるように周囲の草刈り、あるいは火入れなどを行っていくという管理が想定されております。また、ユウスゲの株を積極的に増やしていくということも考えられるかと思っております。

3番の生息域外保全については、先ほど申し上げましたように、足立区生物園と伊丹市昆虫館さんで取り組んでいただいております。生息地が1か所ということもございますので、ご協力をいただきながら、できるだけ早期に飼育下繁殖技術を確立していきたいというふうに考えています。

4、5、6については、先ほどの構成と一緒になってございます。連携の確保という部分においては、真庭市さん、それから日本チョウ類保全協会さん、それから足立区生物園さんにおいては、環境省で持っております生物多様性保全推進支援事業の交付金を活用いただいて、本種の取組を進めていただいているところでございますので、そういった地元団体、あるいは民間団体の活動を支援していくという側面も含めて連携をしていきたいと思っております。

3種目、ウスイロヒョウモンモドキでございます。こちらも2016年に国内希少種に指定をされておりまして、写真を見ていただきますと、全体的にオレンジ色のレンガ状の斑紋が見られるというのが特徴的な種でございます。

こちら、国外にも生息が確認されておりますけれども、国内では、本州にかつては広く分布をしておりましたが、現在、生息が確認されているのは岡山県と兵庫県のみとなっております。

また、幼虫期にはオミナエシやカノコソウを食べるということ、それから、成虫期には吸蜜植物としてオカトラノオを使うということが分かっておりまして、繁殖としては年1回の発生となってございます。

 背景に移りますが、こちらも国内では中国山地を中心に広く分布していた草原性のチョウでございましたが、現在では、草原環境の消失等によって生息地、生息数が激減をしているということ。岡山県と兵庫県と申し上げましたが、兵庫県のほうは、かなり絶滅が危ぶまれていて、日本チョウ類保全協会が試験的に放チョウをしておりますけれども、その個体が翌年に残っているということは確認できておりますが、野生個体群として自然発生が確実に行われているかというと、なかなか難しい状況でございまして、自然発生が確認されているのは岡山県の生息地のみとなってございます。

 地元の兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会、それから、日本チョウ類保全協会等によって、飼育のほうは数年前から取り組まれてきたということでございますが、より組織的に取り組むということで、現在、箕面公園昆虫館さんと伊丹市昆虫館のほうで飼育下繁殖に取り組んでいただいておりまして、こちらのほうは累代飼育を確実に進めていただけているという状況でございます。

 計画の概要になりますけれども、こちらについても生息地近傍で国有林がございますし、またシカ対策という側面もございますので、農林水産省さんと連携して共同策定ということになってございます。

 目標については先ほどと同じになります。

 区域については、生息地を列記してございます。

 3の事業の内容については、次のスライドから説明をさせていただきます。

 こちらも骨格がほぼ一緒でございまして、まずは生息状況、生息環境の把握をしていく。特に、この種については寄主植物が明確に分かってございますので、その種に着目をした環境調査をしていくということになります。

 それから、生息地の維持管理ということで、こちらも草原環境の維持ということになってございます。また、ニホンジカの侵入防止という意味では、柵の設置等を実施していくということでございます。

 また、箕面公園昆虫館さんと伊丹市昆虫館さんで生育域外保全に取り組んでいただいているということで、必要に応じて野生復帰というものも考えていくということになってございます。

 4、5、6は、先ほどと同じように、違法捕獲の防止、普及啓発の推進等が列記されておりまして、こちらも、今、生息が見られなかった地域も含めて、地域の保護活動団体が精力的に活動を行っていただいているところでございますので、そういった保護団体の活動を支援していきながら事業を進めていきたいと思っております。

 資料の説明については以上になります。

【石井委員長】 ご説明ありがとうございました。希少種室の川瀬補佐からご説明いただきました。

 そうしましたら、順番にご意見を伺いますけれども、冒頭にご説明があったように、皆さんのお名前の横にある挙手のスイッチを黒から青に変えていただくか、チャット欄がありますので、チャット欄に意見がありますと書いていただければというふうに思います。

 順番に私のほうから指名したいと思います。いつものように、先にご意見、ご質問を伺って、それで環境省の事務局側のほうからご回答等があったらお願いするというふうにさせていただきたいと思います。

 それでは、順番に参りたいと思います。まず、尾崎委員、挙手いただいていますので、よろしくお願いします。

【山本希少種保全推進室長】 尾崎先生、マイクがミュートになっています。

【尾崎委員】 これで大丈夫ですか。

【石井委員長】 はい、聞こえました。オーケーです。

【尾崎委員】 この3種の保護増殖事業、異論はありませんが、幾つかお伺いしたいことがあります。保護増殖事業が幾つか立ち上がっていくことは、保全のために重要なことだというふうに理解をしていますけれど、それは種数の目標だけではなくて、質的で具体的な、数値目標が必要になってくると思います。それは、ほかの、現行の保護増殖事業でも言われていることで、どこまでやればよしとするかという目標をもう少し明確にする必要があります。それと並行して、保護増殖事業の数が増えていくと、当然、費用がかかっていくということがあります。この三つの保護増殖事業は、どのくらいの予算規模を想定されているのか、もし分かれば教えていただきたい。また当然、そういう予算規模を増やしていかないと、保護増殖事業は成り立たないと思いますが、その辺りのご説明はありませんでした。今の保護増殖事業の全体枠、あるいは、今回のこの三つの保護増殖事業のはどれぐらいを想定されているのかというようなところを教えていただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 そうしましたら、次は磯崎委員、挙手されていますので、お願いいたします。

【磯崎委員】 ありがとうございます。ミヤコカナヘビなんですが、ほかの二つの計画は農水省との共管になっているんですけれども、絶滅というか、悪影響の原因の一つに農薬散布が挙げられていますので、なぜ農水省と一緒ではないのか、あるいは、農業団体や農水省との関係はどうなっているのか、それについて説明をいただければと思います。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 では、続きまして、小菅委員、挙手されていますので、お願いいたします。

 ミュートになっています。

【小菅委員】 大丈夫ですか、これで。聞こえますか。

【石井委員長】 聞こえています。

【小菅委員】 ありがとうございました。よろしくお願いします。

 ミヤコカナヘビについてなんですけれども、円山動物園のほうで繁殖等々をやっているんですけれども、非常に順調に繁殖していまして、最初に始めた2017年の年にもう既に繁殖して、そのときには、野生個体とF1個体が円山のほうに全部で12頭かな、来たんですけれども、現在で、そろそろ6世代目が誕生するようなところまでいっています。

 それで、今は上野動物園とも一緒にやっていて、2園で300頭ほど確保しているんですね。それで、でも、今回、先月でしたか、野生個体が円山動物園のほうにやってきて、私、びっくりしたんですけれども、皆さんが資料で見ているあの色が野生個体だったんですよね。動物園で飼育している個体はもっと青っぽいんですよ。もしかしたら、私どもが考えているのは、要するに季節変動でカロチノイド、カロテン系が多く含まれているような餌を、昆虫を食べているときにあんな色になって、またそれが違う色になっていくのかどうかちょっと分からないものですから、野生を観察している方には、ちょっとその辺の季節変動を、ひとつ、きちんと観察してほしいなというのが1点です。

 もう一つ、今300頭を確保していますけれども、これをこのままずっと維持するということは、将来的には極めて遺伝的な多様性のことを考えると心配なんですよね。そこで、今後、飼育下個体を例えば10頭放野して、そして1頭野生個体を入れるということを継続してやっていけば、飼育下個体も遺伝的な多様性を維持できると思うんですよね。そういうことをしっかりと計画の中でやっていただきたいなというふうに思っています。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 では、続きまして、高橋委員、手が挙がっていると思います。よろしくお願いします。

【高橋(佳)委員】 ありがとうございます。質問でもよろしいでしょうか。

【石井委員長】 はい、どうぞ。

【高橋(佳)委員】 ウスイロヒョウモンモドキとフサヒゲルリカミキリの食草が普通の種ですよね、特別な種というわけじゃなくて。そういう意味では全国至るところにあるわけですけれども、分布域は相当に限られているその理由というのがやっぱりあるのかなと思って、質問をさせていただく。

 例えば、食草をするときの葉や花の状態がどういう状態であるとか、あるいは、日陰の葉なのか、日向の葉なのか、ステージはどうなのかとかですね。あるいは吸蜜植物についても、その辺りはどうなのかということと、それから例えばユウスゲなんかですと、野焼きや山焼きだけというよりは、むしろ刈り取った草地(山焼き+刈り取り)のほうが多くなるというのが一般的なのですが。

その辺りで、草の利用の仕方というのが、そういうものと影響しているのかどうかというのが一つと、もう一つ実際興味があるのは、最近の気候変動の影響というのはないのかどうかですね。例えば、両方とも、どちらかというと比較的冷涼地を好むものですし、温暖化で例えば雪が少なくなってきたとか、積雪が少なくて植物の芽立ちが早い。そうすると、植物の生育季節というのは早まっていくわけですが、一方、昆虫のほうはそれに対応できているのかどうか、あるいはその逆もありですね。その辺りの齟齬が生じている可能性はないかどうか、あるいは、今後、生育地をより標高の高いところに移動していくようなもくろみもあるのかどうか、その辺りについて少し教えていただければと思います。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 そうしましたら、次が石井信夫委員、挙手されていると思います。よろしくお願いします。石井信夫委員、聞こえていますでしょうか。

通信が切れちゃったりすることがあるので。

石井委員、お願いします。どういう状態かな。

石井信夫委員、聞こえていますでしょうか。お願いいたします。

【石井(信)委員】 聞こえますか。

【石井委員長】 今、聞こえました。

【石井(信)委員】 すみません。ちょっと通信環境が悪いみたいで、途切れ途切れになってしまっていますけれども。

 質問、よろしいですか。

【石井委員長】 どうぞ、お願いします。

【石井(信)委員】 ミヤコカナヘビなんですが、説明の中で外来捕食者の影響の話が出てきます。それで、イタチとクジャクについては言及があるんですが、恐らく、野外にいるネコの影響もあるんだろうと思います。いずれにしても、イタチとクジャクについては、これ、保護増殖事業とは別になるかもしれませんが、コントロールの対策というのが必要じゃないかと思います。それから、ネコについても対策が必要なので、ほかの事業と連携するか、この保護増殖事業の中で捕食者対策というのをもう少し、影響を調査するというのは書いてありますけれども、対策まで踏み込んだような内容にしていただければと思います。

 それから、ヒョウモンモドキについても、シカ管理は何か別の事業というようなご説明だったんですが、こちらもそういうシカの問題があるのであれば、その管理に関わる事業との連携というのが重要になってくると思うので、そこら辺を踏まえた事業計画にしていただければと思います。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 チャットで、挙手ボタンはどこにあるんですかと聞かれている人がおられるんですけれど。

【山本希少種保全推進室長】 最初からあるので大丈夫です。

【石井委員長】 大丈夫ですね。分かりました。じゃあ皆さん、ほかはご質問、ご意見等、よろしいですか。

 では、ないようでしたら、事務局のほうからご回答をお願いします。

【山本希少種保全推進室長】 ご質問、ご意見ありがとうございます。希少種保全推進室長の山本でございます。

 尾崎委員のご質問については私からお答えして、その後、また川瀬からお答えしたいと思います。

 尾崎委員からのご指摘、ご質問ですけれども、数が増えていくのに当たっての予算の増額といった、そういったところも必要というようなご指摘かなと思います。

現状としましては、今、保護増殖事業に関連する予算、かなりいろいろ入れて、7億強といったところかと思います。その中には、アクティングレンジャーの人件費といったようなところも含めての金額がそういった予算。また、その中でも大きいもの、トキとかですね、鳥類、ほ乳類だとかなり一種、一種に大きなもの、予算がかかっているという印象でございます。

 今回の3種につきましては、明確に幾らということは申し上げられませんけれども、全体の中ではかなり小さな額で地元の協力もいただきながらやっていただいているというような状況でございます。

予算の確保の重要性については、我々も強く認識をしておりますので、今後努力をしていきたいと思っております。

 それでは、次、以降、川瀬からまた。

【説明者】 続きまして、冒頭、尾崎先生からいただいた目標の明確化が必要じゃないかという点についてでございます。

 まさに問題意識としては、我々も同じく思っておりまして、昨年度、科学委員会でも保護増殖事業のあり方について議論をいただきました。その中でレビューを実施しまして、全事業のうち、具体的な目標、定量的な目標を置いているのが全体のうち8種のみとなっておりまして、残りの四十数種については具体的な目標がまだ定められていないという状況でございました。

 その中で、特に進んでいるものとしては、例えば北海道のシマフクロウについては、個体群といったまとまりも意識しながら、四つの地域にそれぞれに24つがい以上になるといったような、そういった具体的な目標設定をしてございますし、あるいは、トキのように短期間の数値目標というものを掲げているものもございます。あるいは、奄美の種については、レッドリストからのランクダウンを図るといったような表現で目標を定めているというところがございまして、これらの目標は、いずれも保護増殖事業計画ではなくて、その下の下位の計画、実施計画等で定めているところでございます。

 おそら保護増殖事業計画を最初に定めるときには、なかなか知見とデータがないものでございますので、それをやりながら分かってきた段階でその目標を、その下位の計画で年度、年度で見直しながらつくっていくというのがいいのではないかと考えておりまして、その点、昨年の科学委員会の議論も踏まえて、各地方環境事務所にも、その事業終了を見据えた具体的な目標設定の重要性という部分を意識しながら進めていただくようにということを通達しております。

 その中で、個体数だけではなくて、やはり遺伝的な多様性の多様度の健全性とか、あるいは生息地の数であるとか、そういった部分、多様な複数の視点をきちんと把握しながら目標をつくっていってくださいということでまとめて通達をしているというところで、そのように考えてございます。

 それから、磯崎先生からいただきましたミヤコカナヘビについて、農薬が懸念されておりますけれども、農水省は今回、共同策定ではないという点でございますが、基本的に農薬というもので書いてございましたが、こちら、明確なデータがあるということでは今のところございません。実は、過去に農薬を使い始めた時点と、宮古諸島のサトウキビ畑からミヤコカナヘビが減っていった時期が同一だったというようなことから、疑われてはいるんですけど、なかなかそこの明確なデータがなかったというところでございます。土地の関係も林野庁さんの管理する国有林がないというところもございましたので、今回については農水省との共同策定には至っていないというところでございます。より研究が進んだ段階で、確実な情報を得た段階で、明確な減少要因として把握されるということであれば、そこはぜひ相談をしていきたいなというふうに考えてございます。

 それから、小菅先生からも飼育下個体群の話をいただきました。大分色が違うということも、我々も写真をいただいてかなりびっくりしたんですけれども、季節変動等の影響も含めて、野外の状態をきちんと把握をしていきたいと思います。

 また、遺伝的多様性を考えながら野生復帰、それからファウンダーの確保をしていくべきだという意見についても、まさにそのとおりだと思っておりまして、宮古諸島の中でも幾つか生息地が分かってきておりますので、そこから保全個体群というものをきちんと見いだして、どの個体群をどのくらいというのをきちんと計画立てて飼育繁殖していきたいと思っております。

今現在、円山動物園と上野動物園で飼っていただいているものが、実は由来不明の個体を始祖としておりますので、先日、円山に入った個体というのが唯一、初めて由来が分かっているということで、その個体を基にしてまずは保険個体群を増やしていきたいというふうに思っておりますが、現状はまず、先行して技術確立ができたという点での成果かなと思っております。

それから、高橋委員からございました、フサヒゲルリカミキリの食草が普通種なのに分布域が限られている理由、それから、そういった草の利用の仕方とかが関係あるんじゃないかという点については、後ほど現地の中国四国地方環境事務所のほうから説明させていただきたいと思いますので、少し飛ばさせていただきたいと思います。

最後の、石井信夫先生からいただきましたミヤコカナヘビにおける外来種の影響です。イタチとクジャクについては、まさにコントロールが必要だというところで、こちらについては、県と市が主導しながら、まず、捕獲手法の検討というものを数年前から進めていただいているところでございますが、なかなか個体数の管理というまでに今現在至っていない状況でございますので、連携を深めながら進んでいきたいと思っております。

また、猫の影響についても、猫については、確実にミヤコカナヘビを食べているという証拠がまだ出ていないものですから、今回この記載には至っておりませんでしたけれども、実態把握を進めて、そこでの影響度合いを含めて本計画で把握をして、この計画についても下位に実施計画を具体的に定めていく予定でございますので、その中で具体的に作業を進めていきたいと思ってございます。

それでは、すみません、私のほうからは以上なんですが、中国四国地方環境事務所の横田課長のほうからフサヒゲルリカミキリの関係をお願いします。

【説明者】 中国四国地方環境事務所の横田です。

 フサヒゲルリカミキリの食草であるユウスゲなんですけれども、これは、草原の利用が行われなくなると、ススキの草丈が非常に高くなって、生育も密になってユウスゲが非常に少なくなっていって、この昆虫の食草が減っていったということが原因だと見ていますけれども、実際に、現在の生息地である真庭市の蒜山においては、草刈りを頑張ってやるとユウスゲは復活して、かなり本数も増えてきております。また、真庭市は、雑木林も草原に戻すというような取組を一生懸命やっていただいていまして、今の状態ですと、ユウスゲの数はかなりあって、それを利用する昆虫の数が追いつかないというような状況になっていると認識しております。

 高橋先生がおっしゃられた気候変動の影響については、その開花時期がそう大きく変わったという話は聞いてはおりませんですけれども、その気候変動の関係はちょっと不明であります。

 以上でよろしいでしょうか。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 事務局のほうから回答をいただきましたけれども、何か補足等があったら委員のほう、いかがでしょうか。

 小菅先生、挙手されていますか。お願いします。

【小菅委員】 よろしいでしょうか。

 今現在、繁殖して300頭いるミヤコカナヘビは、あれはもう野外に放せるという話じゃないというのはもちろん分かっていまして、現在、今、今回入ってきたやつを増やして、それとの遺伝子交換をしていっていただきたいというのが一つと、今300頭いるこの個体を、できればいろんな動物園、水族館等で展示に使って、ミヤコカナヘビの状況というのを多くの人に知ってもらうというために、公開して展示していく方向にいっていただきたいなと思っているんですけど、その辺のことはどうお考えでしょうか。

【石井委員長】 事務局、いかがでしょう。

【説明者】 まさにそのように考えてございます。今の新しく得られたファウンダーを基に、そこから増やしていった場合に野生復帰というものも考えていきたいと思いますし、現地からもやはりそういった外来種等の影響のない区域をつくって、そこに放して増やしていくということも含めて議論が進んでおりますので、そこは検討を進めていきたいと思っております。

 また、飼育下個体群も増えてきておりますので、ほかの動物園への分散飼育、それから、先ほど説明しましたように、来週から宮古島市内で展示を初めて行うということで、まずは現地で行えたということですので、今後、もしかしたらほかの島外で公開、展示をしていくということについても地域の合意、同意も得ながら進めていければなというふうに考えております。またご指導いただければと思っております。

【石井委員長】 よろしいでしょうか。

 そうしましたら、特に反対のご意見ではなく、いろいろなご質問だったり、ご提言だったと思います。

 神部委員、挙手されていますか。お願いします。

【神部委員】 よろしいでしょうか、ちょっと質問なんですけれども。神部です。

【石井委員長】 はい、どうぞ。

【神部委員】 質問なんですけれども、聞こえますでしょうか。

【石井委員長】 聞こえています。大丈夫ですよ。

【神部委員】 今、フサヒゲルリカミキリの岡山県真庭市のみということなんですが、これ、もともとこの辺りにいたので、そこが色濃く残っているのでしょうか。それとも、本当に少ないからということで、例えば地元の皆さんが強くこれを思って、残そう、保存しようということを強く思って、何か協力的に運動されているというようなことでここに一部に残っているという現状なのでしょうか。ということをちょっとお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。

【石井委員長】 よろしいですか。事務局、お願いします。

【説明者】 まず、フサヒゲルリカミキリですが、現在は岡山県真庭市のみとなっております。実は、近年まで長野県の中でも生息が確認されておりまして、長野県で条例等を策定していただきながら、かなり精力的に地元の団体も含めて保護をしていただいておりましたが、ここ二、三年見つかっていないという状況でございます。という状況が長野県にもございましたので、そちらの調査も引き続き続けたいと思います。

岡山県真庭市のほうの生息状況については、現地の情報になりますので、中国四国地方環境事務所の横田課長のほうからご説明をお願いいたします。

【説明者】 横田です。

 真庭市は、草原再生を非常に強く望んでいまして、今そういった協議会の立ち上げも行っているところです。地元が熱心に取り組んでいるということもあって、生き残ってこられていると思っております。

【石井委員長】 では、神部委員、よろしいですね。

【神部委員】 はい、ありがとうございました。

【石井委員長】 それでは、皆さんにお諮りしたいと思います。本件につきまして、事務局案のとおり答申するということでお認めいただけますでしょうか。この意思表示が難しいんですけれど、手で丸をつくるとか、5秒ほど画面が遅れるので、ちょっとそのまま維持しておいていただけますか。

(異議なし)

【石井委員長】 ありがとうございました。それでは、お認めいただいたということで、次の議題に移りたいと思います。

 二つ目の諮問案件でございます。国指定鳥獣保護区特別保護地区の変更等についてということで、これは野生生物課の福田係長からご説明をお願いいたします。

【説明者】 野生生物課の福田と申します。よろしくお願いします。

 資料については、資料2になります。資料2に関して、概要と計画書があります。説明は参考資料2のほうで行います。

 国指定鳥獣保護区特別保護地区の変更等についてご説明いたします。

 まず、鳥獣保護区の制度について説明いたします。鳥獣保護区は、鳥獣保護管理法に基づいて環境大臣が指定する区域です。国際的、全国的な鳥獣の保護の見地から重要と認める区域を鳥獣保護区として指定しております。

鳥獣保護区内については、原則、狩猟が禁止されています。

存続期間については、法律で20年以内を限度に存続できることになっております。

鳥獣保護区の中で特に鳥獣の保護、または生息地の保護を図るために必要があると認める区域を特別保護地区として指定することができ、この区域では狩猟の禁止に加えて、工作物の設置、水面の埋立、干拓、木竹の伐採が規制されることになります。この特別保護地区を指定するときは、審議会に諮問することとなっております。

 なお、希少鳥獣生息地の保護区の特別保護地区において、人の立入り、車両の乗り入れ等により保護対象となる鳥獣の生息、繁殖等に悪影響が生じるおそれのある場所については特別保護指定区域を指定することができることとなっており、この指定区域については、特別保護地区の規制に加えて、植物の採取や動物の捕獲、火入れまたはたき火等の行為が、環境大臣の許可を受けなければしてはならないこととされています。

 次に、国が指定する場合の鳥獣保護区の指定区分ですが、大規模生息地、集団渡来地、それから集団繁殖地、最後に希少鳥獣生息地の四つとなっております。

 現在の国指定鳥獣保護区の指定状況です。北はサロベツから南は与那国まで、全国86か所が指定されている状況です。そのうち特別保護地区は71か所、特別保護指定区域は2か所となっております。

 鳥獣保護区の特別保護地区は自治体、利害関係人との調整を基に、指定の案を作成し、この案について公告縦覧、パブリックコメント、公聴会を開催し、本日の中央環境審議会への諮問後、官報公告をして指定することとなっております。

 今回、指定を諮問させていただくのは出水・高尾野鳥獣保護区、赤で示された鳥獣保護区になります。この出水・高尾野鳥獣保護区は、鳥獣保護区と特別保護地区があり、今回、面積としては鳥獣保護区が842haから867haへの変更、それから、鳥獣保護区特別保護地区は53から453haへの変更を計画しています。

 指定後の鳥獣保護区の指定状況になりますが、箇所数は変わりません。面積に関しては、鳥獣保護区が25ha増加、特別保護地区は453ha増加となります。

 これから出水・高尾野鳥獣保護区の概要の説明に入らせていただきます。

 出水・高尾野鳥獣保護区は、鹿児島県の出水市に指定されていまして、主にツルの集団渡来地として指定されています。今回、鳥獣保護区を拡張すると867ha、それから特別保護地区は453haとなります。

 存続期間に関しては、平成29年に更新をしていますので、今回は更新内での変更を諮問している次第です。

 他法令による規制区域等としてラムサール条約湿地の登録を予定しております。基本的には、その出水・高尾野鳥獣保護区に来るツルは、ナベヅルとマナヅルがメインになっています。

 出水・高尾野鳥獣保護区の現在の指定状況です。鹿児島県の北西部に位置していて、右の図を見ていただきたいのですが、赤で囲まれた枠が鳥獣保護区になっております。真ん中の川を挟んで二つの区域となっており、赤で塗られた地域が特別保護地区、現在の特別保護地区になっております。

 実際、変更後の特別保護地区と鳥獣保護区の地域になります。川で挟まれた両方の区域が出水干拓と呼ばれていますが、出水干拓の東と西、両方の大部分の面積を特別保護地区にする予定です。緑で塗られた部分になります。その中央の紫で塗られた部分が鳥獣保護区の拡張部分になります。これは高尾野川と呼ばれていて、干潮になると干潟が出現して渡り鳥等の給餌や休息の場所になっております。

 それでは、具体的に鳥獣の生息状況と取組等を説明させていただきます。基本的に先ほど申したとおり、ナベヅル、マナヅルの飛来地となっていまして、世界の90%のナベヅル、それから、マナヅルについては生息数の50%が飛来する状況となっています。

 下の図は、IUCNの2020の図になりますが、世界の生息数が1万1,600となっているところ、越冬地として日本では1万羽が飛来している状況です。マナヅルに関しては、世界の生息数が7,000弱となっているところが、日本での越冬地、IUCNの数値では5,750、韓国と併せて5,750となっていますが、出水市の調査では2,300羽が飛来しているとしております。

 保護区を取り巻くこれまでの経緯を説明させていただきます。

 昭和62年に出水・高尾野鳥獣保護区が指定されています。

 それから、平成9年に53haの特別保護地区がこの鳥獣保護区内に指定されて、ツルのために土地の借上げやねぐらの整備、それから給餌等が開始されています。下のグラフをご覧ください。実際、左に書かれていますが、ツルへの給餌については、大正時代からツルの保護を目的として飼料費が国から交付されて、文化庁等がツルの給餌を始めておりました。グラフの真ん中のオレンジの線がナベヅルの増加数になっていますが、このナベヅルに関しては、給餌を開始してから増加傾向が止まっていない状況になっております。マナヅルに関しては、現在、増加して、2,000羽前後で推移しているところです。

 一旦、上のポツに戻っていただきたいのですが、これら1万羽を超えるツルが飛来するということで、平成13年にツルの集中が問題だということで、環境省、農水省、文化庁合同で分散化の検討を開始しています。

 平成26年には、「ナベヅル、マナヅルの新越冬地形成等に関する基本的考え方」というものが公表されて、基本的にツルの分散を進めましょうということで合意されています。その後、平成28年、平成30年とワーキンググループ、科学委員会、それから検討会などで分散化を議論してきた次第です。

 次に、近年の、最近の取組についてご紹介いたします。近年の取組においても、目標としては分散化を進める、それから給餌に頼らず生息できる越冬環境を形成、維持するということで取り組んでおります。

 令和元年度以降の取組として、分散化を図る手法の一つとして期待される給餌の調整、主に給餌を削減することです。これを、地域の合意を得て実施することで目指しています。そしてラムサール条約湿地への登録に向けて関係機関が連携して実施をしようとしています。この令和元年度に、出水ツル保護管理連絡会の設置、それから、鹿児島県ツル保護会総会で給餌調整、給餌削減の試行を決定することができています。出水市ラムサール条約登録推進協議会の設置も行われており、現在、この三つの機関で取組を進めているところです。

 今後の検討事項としては、ツルと人との共生のための在り方及び取組の検討、それから、 給餌調整に関するモニタリングと評価手法の検討、科学的なデータを取ることです。あとは、越冬候補地、九州に限らず全国でツルが飛来する可能性がある地域と連携をしていかなければいけないということを検討事項としています。

今後の体制構築になりますが、地元自治体、それから地元住民、有識者、あとは越冬候補地と総合的な取組体制を構築しなければいけないと考えております。

具体的に昨年度、今年度で九州事務所と出水市で進めた取組をご紹介します。

一つは、ツルと共生した新たな地域づくりとして、ツルフェスタというものを平成28年度から開始しております。これは、主に三つ書かれていますが、メインとしては鳥インフルエンザの蔓延防止を目的として、平成28年度から社会実験として、利用する人の制限をかける、入域制限をして、ツルの案内としてバスガイドを、子どもたちがするという、そういった取組をしています。1月から2月の土日の4日間程度で、非常に好評でやっている取組になります。

 それを出水市が発展させて、ツル越冬地利用調整事業として、令和2年度からツルフェスタを発展させて、ツル越冬地利用調整事業として新たな取組を開始しました。利用調整は、ツル類の適正な保護管理及びツルと共生した新たな地域づくりを推進することを目的に、不特定多数の入域をコントロールする利用調整を試行的に実施すると位置づけています。1月から2月に、16日間連続で実施しています。今回は利用調整ですが、将来的には出水市で条例を策定することを目指しています。

 最後になりますが、ラムサール条約湿地への登録を目指して、ツルの保全と地域づくりを進めることをやっています。

 もう一つ大きな取組が、ツルの給餌調整になります。目的としては、出水以外の国内複数箇所に長期的な越冬地を形成する。出水においても、できる限り給餌に頼らず生息できる良好な越冬環境を形成・維持するということで、今年度より新たな越冬地の分散を促すための適正な給餌調整を実施することとしています。

 こちらに関しては、現状で特別保護地区になっている東干拓において、給餌の総量を農業被害の拡大が懸念されない範囲の量として、少しずつ減らしていく。現在の数値目標としては、毎年1割、5年後に半減させるというような形で考えております。何かしらの問題が生じた場合には、関係機関で相互に情報共有を図り、柔軟に見直しながら進めるとしています。

 給餌調整に当たっては、文化庁と一緒に、文化庁が荒崎というところで実施している給餌と連携して実施することとしています。これに関しては、出水ツル保護管理連絡会等の場を活用して、行政間でその計画及び実施状況について情報共有を図りながら進めることとしています。こちらについては、今まだ行政機関の間で地域の合意を取って進めることが決まった段階で、これから有識者等にご意見を伺いながら進めたいと考えております。

 公聴会に関しては、8月26日に出水市役所で実施しております。主な意見としては、特別保護地区が拡張した際に、農業、それから水産、漁業に影響がないようにというような意見が出されています。それから、給餌量が減ったことによって、ツルの被害が各地に分散しないかというような懸念も示されております。

 これに関しては、農業、水産業とも、鳥獣保護区、それから特別保護地区が拡張した際にも、特に問題に当たるような場所は含まれていないとしています。それから、もし有害鳥獣等の必要があれば速やかに許可を出すような形で合意をいただいております。また、現在ツルの被害防止に関しては、農業被害の対策として、ツルが降り立たないようなテープを張ったり、畦の改修を行っていることを引き続きやっていきますと答えております。

 最後に、パブリックコメントなんですが、1件寄せられております。管理方針のところで「努める」とか、「目指す」という表現が多いが、もう少し具体的に書けないかということですが、こちらに関しては、書いてある内容が明確であるため、特に関係機関で目指すところについて、曖昧なところはないとして回答をしております。

 以上で、鳥獣保護区の説明を終わります。

【石井委員長】 どうも、ご説明ありがとうございました。この諮問案件ですけれども、それでは委員の皆さんのご質問、ご意見を受け付けたいと思います。

 では、先ほどと同じように、お名前の横の挙手のボタンを使うか、チャットで挙手の意思を示してください。

 山極委員が挙手、最初にされていますので、では山極委員、お願いします。

【山極委員】 山極です、聞こえますでしょうか。

【石井委員長】 はい、聞こえています。

【山極委員】 大変いい計画だったと思うんですけれども、分散、いろんな地域に分散をして保護をするという計画、これはコウノトリなんかに見られるように、どんどんいろんな湿地に分散するというのは、それはいいことだと思うんですが、地域の村おこしだとか地方創生にとっては、例えばコウノトリが、兵庫県の豊岡市でコウノトリ米だとか、いろんな名づけをして、地域住民が非常に熱心に共生するようになっていますよね。だから、出水でもそういったことはないのか。分散する候補地というのは、どの程度の場所を想定しておられるのか、地域の合意は得られているのか等々、少しその辺のパースペクティブをお聞きできればなと思います。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 それでは、2番目に尾崎委員、挙手されています。尾崎委員、お願いします。

【尾崎委員】 聞こえますでしょうか。

【石井委員長】 聞こえています。

【尾崎委員】 大丈夫ですか、聞こえますでしょうか。

【石井委員長】 聞こえていますよ、大丈夫ですよ。

【尾崎委員】 三つほど、質問します。まず、計画書の中で管理方針、3ページだったと思いますけども、そこで今回、特別鳥獣保護区になるということで、従来、鳥獣保護区だったものが、特別になった場合に、何か大きな変わりがあるかということです。特に私が知りたいのは、この出水の地は1万羽を超えるツルが来るということで、国際的にも非常に重要な越冬地になっているので、ツルのモニタリングというような意味で管理を特別にされるかどうかです。例えば、鳥獣保護区の管理員が管理のための巡視というのが当然あるわけですけども、特別保護区になると、より充実した調査等が行われるのでしょうか。

 次に、鳥獣保護区、あるいは特別鳥獣保護区は、ツルだけではなくて様々な鳥が生息するということで重要視されているわけです。私は、長年ここで調査をしてきて、非常に残念なことがあります。ツル以外の鳥に関しては非常に冷たく扱われていて、例えば河川敷のアシ原とか、そういうところには多くの種類の小鳥類が飛来するわけですけれども、そういう場所はことごとくなくなってしまっています。今回の特別鳥獣保護区の中でも、西干拓の西側のほうの江内川の河口近くで、従来広いアシ原があったところが、最近ソーラーパネルが張られたり、あるいは土砂の捨場になって、全くアシ原がなくなってしまいました。そういう意味で、ツルだけではなくて、多くの種の鳥類が越冬できるような環境という視点を取り入れた鳥獣保護区、特別鳥獣保護区の管理をしていただきたいと思います。

 それと、干拓地の海側は保護区には入りませんけども、その海側がノリの漁場になっていて、ノリひびがあります。近年は確認していないので、もしかすると改良されているかもしれませんが、数年前までは、このノリひびに来るカモを防除するために、テグスの網が何十枚、100枚も張ってあって、これに多くの野鳥が絡んで死んでいるというような状況がありました。特に国外から来たバードウオッチャーから、これは何だというような質問を受けたことがあります。片やツルを保護する裏で、カモは来てほしくないということは分かりますけれども、そのノリひびを保全するための張り網、つまりカモ網のようなものですので本来は張ってはいけないような状況がみられました。そんな状況が鳥獣保護区、特別鳥獣保護区のそばにあるというのは、非常に残念な思いがしていますので、今後そういったことに関しても、ぜひ検討を加えていただきたいと思います。

 それからもう1点、ツルへの給餌量の調整は、従来、私どもぜひそうしてほしいということを申していましたので、もちろん賛成ではあります。ただ、今年からというのはちょっと急だと思っております。給餌量を調整するには、当然、事前にきちっとした科学的な調査、どのぐらいツルが餌に依存しているかとか、どのぐらい食べているかというようなことを実施したうえで、例えば1割ずつ減らしていくとどうなるかというようなモニタリングが必要だと思います。今回、突如今年から、もう既に減らしておられるかどうか知りませんが、という話は、ちょっと乱暴ではないでしょうか。今からでも結構ですけども、農作物に対する害というような意味だけではなくて、ツルそのものの生息状況のモニタリングを実施しながら、結果によっては、計画も変更するという柔軟な姿勢も必要だと思います。

 ツルの大規模な越冬地は、国内ではほとんど唯一ですが、最近、韓国でもナベヅルなどの数が増えてきていますので、出水での給餌の調整をした場合に、韓国に対する影響ということも当然あると思います、あるいは中国も。ですから、そうした国内だけではなくて、国外の越冬地の状況等の把握も、ぜひ環境省主導で進めていただいて、適正に管理していただきたく思います。よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 では、続きまして、クリスティーヌ委員、挙手されていますね。お願いします。

【マリ・クリスティーヌ委員】 すみません、ありがとうございます。ごめんなさい、途中から入ってしまったので、最初のところがちゃんと聞けなかったんですけれども。

 幾つか、今回の生物多様性会議が、今年中国で行われるはずだったのが結局来年まで延期になってしまったということが一つあるんですけども、今日の湿地帯のお話もそうなんですけれども、鳥の話もそうなんですが、私、インターネットでラムサール条約に対しても、今日ラムサールのお話もよく出たんですけれども、日本のラムサール条約に対するアップトゥーデートというのが2018年が一番最近のものであって、毎年計上できてないということが、ちょっと私も心配なところがあるわけなんです。

 日本の中でも、私、たまたまこうやって委員をやらせていただいている中で、今までラムサール条約の中に入ってこられていた、例えば芳ヶ平とか、有明の肥前鹿島干潟とか、東よか干潟とか、涸沼池とか、そういうところに対しての、全部ラムサール条約の中に入っているわけなんですけれども、じゃあ、そういうところはちゃんとやっているのかどうかとか、どういう状態にあるのかということの情報ということよりは、次々へと行くわけなんですけれども、今までやってこられたところがちゃんと保全されていて、きちっと守られているのか。2018年のレポートがある中で、なぜラムサール条約、日本の中でちゃんと実施していくのが難しいのかということが、日本政府から出ている理由は幾つか書かれているんですけれども、やはり人々が、もう人がいないと、ちゃんと守る人々が非常に欠けているということと、あとそれに対してマネジメントするだけの費用が、やはり日本政府が出せていないということが非常に大きな視点だと思うんです。

 それと、やはりそういう外来性のものとか、あと水の質がどんどん落ちているということも含めて、あともちろんオーバーツーリズムというところの中で人々が行き過ぎてしまっているという、ですからいろんな課題があるわけですので、私は、こういうことはもっときちっとPRするべきだと思いますし、例えばディスカバリーチャンネルとかナショナルジオグラフィックなんかを見ていますと、たまたま日本における生物に対して、海外のメディアが興味があると、ちゃんと取り上げてくれたりするわけなんですけれども、もっとこれは私たちの生活にとって、特にSDGsも含めて、13番、14番でしたか、非常にそこの中にも加わってくるわけで、このモメンタムというものを失わずに、PRをきちっとしていただけるような状況で、何でこういうものを守っていかなければいけないのかとか。

 ついこの間も、そこのチョウチョウでシジミ、何とかシジミ、対馬のシジミでしたっけ。

【石井委員長】 いや、オガサワラシジミ。

【マリ・クリスティーヌ委員】 オガサワラシジミが、あんなきれいなチョウチョウが結局なくなってしまって、それでなおかつ一生懸命やっていたところが、それを結局もうやめなければいけなくなってしまっているという。でも、それはチョウチョウだけの問題ではなくて、むしろそうやってバランスが取れなくなってしまっている、私たちは自然環境について、もっと日本国民にきちっとした形で、ちゃんとした正しい情報を伝えなきゃいけないし、私がオガサワラシジミなんて話をしたところで、何それっていうふうに言われること自体がおかしくて、オガサワラという名前がついているぐらいに日本にとって特殊なものであることは、なぜ日本人がもっと知っていないんだろうと。

 ですから、ツルもそうですし、日本においても、やはり、こうやって私たちは生活する上において、生物多様性の重要さと、やはりみんなにもっとこういう啓発をしていくということが重要ではないかと思うので、もちろんこの中でいろんなことを決めていくということもすごく重要ではあるんですけれども、こういう決めなくてはならないような状態になる前に、もう少し早くに手をかけられるものに対しては、ちゃんとした教育の中でやっていただけたほうが、日本にとってもいいのではないかなという感じがしましたので、今日いろいろお話を伺っている中で、何でだろうというところのほうが非常に大きく、もちろん私、専門家ではないんですけれども、親としても、自分の子どもに伝えるのならば、日本のこういうすばらしいものを伝えてあげたいという気持ちのほうが、私は一般の市民のほうが求めるのではないかなと思います。すみません。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 続きまして、新美委員、お願いいたします。

【新美委員】 ありがとうございます。私は、基本的には、拡張していく、変更するという方向には賛成なんですが、ちょっと気になるのは、先ほどモニタリングということで提案があったんですが、その前に、拡張したときに一体どういう影響が出るのかということの予測というのがきちんとなされているのかどうかです。例えば、今、先ほどもありましたように、拡張したときに、変更したときに、飛来数は変化するのかどうか。あるいは、地域が広がることによって農業への影響はどれぐらいになりそうなのか、あるいは先ほどあったように、ノリの養殖に対してどんな影響があるのかということを、取りあえずは予測した上で、それが予測どおりなのかどうかというモニタリングをするということは大事なので、その辺の予測はできているのかどうか、ちょっと疑問になりましたので、お伺いした次第です。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 では、続きまして、小泉委員、お願いいたします。

【小泉委員】 ありがとうございます。聞こえていますでしょうか。

【石井委員長】 聞こえています。

【小泉委員】 鳥インフルエンザについて、お伺いしたいと思います。ツルフェスタについてご説明がありましたけれども、鳥インフルエンザのサーベイランス体制、それから発見されたときの緊急対応体制がどうなっているのか、それが今回の変更に伴って何か変更があるのか、計画があれば教えていただきたいと思います。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。以上ですけれども、追加でご発言のある人、おられますか。

 じゃあ、宮本先生、お願いします。

【宮本委員】 ありがとうございます。出水は一応地元ですので一言発言させていただきたいと思うんですけど、先ほど尾崎委員からもご指摘があった給餌量を減らすということですが、これは分散を促すということが目的に入っているであろうというふうには思うんですが、実際に給餌量を減らしたときに、どの程度分散がうまくいくかというモニタリングをどういうふうにやるんだろうというところに興味を持っています。

 といいますのは、私、かなり県内あちこち植物の調査で歩きますけれども、万羽鶴になったときは、かなり広範囲で、特に海岸線付近でツルを見かけることがあります。もし、こういうツルがいたときに、例えば大都市圏ですとニュースになったり、大騒ぎになったり、あっちで見た、こっちで見たという情報が集めやすいと思うんですが、鹿児島県の方は珍しくないものですから、ツルがいてもあまり関心を持たないので、どこまで広がって行動しているかという情報を非常に集めにくいのではないかと思います。そうすると、農業被害が出たところからはクレームが来ますので、そこまで行ったという情報はあると思うんですけども、それ以外の例えば農地で、被害が出ていないとか、よく分からないところ、あるいは自然の中で餌を取っている場合に、その情報を収集できるのかどうかというのは、ちょっと気になっているところです。

 私の研究室で、植物に関して開花期の調査とかをするときに、インターネットの情報がかなり有効だと。いろんな一般の方が写真を撮っていらっしゃいますので、それをある程度集めてきて統計を取るという方法を今試しているところなんです。今、人力でやっているんですけど。そういうような方法で、ツルを一般の方が写真をぱっと撮ってインターネット上にアップしたというようなものから、行動範囲とか、日にちとか、そういうのを集めていく方法というのも、ちょっと今後ご検討をいただけないかなというふうに思っております。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございました。ほかになければ、では、環境省のほうから、ご回答があったらお願いします。

【中尾野生生物課長】 すみません、野生生物課長の中尾です。

 様々なご質問、ご指摘、どうもありがとうございました。クリスティーヌ先生からご意見いただいたラムサールについて、私からご説明をしまして、出水に特化した話については福田、あるいは九州事務所のから回答したいと思います。また、鳥インフルエンザについては川越室長から回答したいと思います。

 まず、ラムサール条約の関係ですけれども、ご指摘ありがとうございます。湿地の重要性というのは、このラムサール条約、我が国でも釧路で締約国会議を開催させていただいて以来、徐々に認知度は上がってきているのですけれども、まだまだPRが足りないと思っております。また、ラムサール登録湿地については、自治体の皆様、あるいはNGO

の方々が非常に頑張ってくださっておりまして、関係市町村会議というネットワークもできてございます。

 PRの部分ですけれども、国際観光旅客税を活用しまして、個々の登録湿地を紹介するウェブサイトを、これもまた関係者の方々のお力をいただいてつくっているところでございます。和文、英文両方でつくっております。なるべく速やかに環境省のサイトからも飛べるような形にするほか、より海外とつながったサイトのオペレーターの方とも協力してPRできるようにしていきたいと思っております。

 簡単ですが、以上です。

【説明者】 続きまして、福田のほうから回答をさせていただきます。

 まず、山極先生からいただいた、地域の村おこし、コウノトリ米のような取組が出水でされているのかという観点ですが、この後、九州事務所にも補足をいただきたいと思っていますが、出水地域でのツルの歴史は相当深くて、皆さんがトキやコウノトリでやっているような新しい観点での質を、価値を創出するというような観点での発想というのが、なかなか生まれづらかった地域ではあります。最近になって国、県、それから出水市が一体となって、このツルに関して何ができるかということを、給餌量の削減の話も基に、いろいろ話をして、そういった付加価値をつけた取組を今やっております。

 特に成功しているのが、子どもたちを取り込んで、先ほどのツルフェスタの話なんですが、子どもたちからツルのガイドをしてツルのことを知ってもらう。それから、さらに農家さんにガイドになってもらい地域のよさを伝えてもらうというような取組は徐々にでき始めているので、そういった人の動きを中心に今進めているところになっております。

 それから、尾崎先生からいただいた質問になります。まず1つ目ですが、特別保護地区になったときに何が変わるのかということになります。先ほど説明したとおり、管理の行為規制などの変更はもちろんなのですが、特にその地域の重要性が増しますので、モニタリングがこの地域で十分になされ、この保護区として一体的な重要性というのは、すごく増してくると考えております。この特別保護地区になった部分のモニタリングというのは、もちろんやっていくことになります。そのほかにも、特別保護地区として必要なことがあればその都度検討していく、また皆さんにご意見をいただきながら進めたいと考えております。

 2つ目の、様々な鳥が来て、残念なことにツル以外の鳥に冷たいというところなのですが、これは最後のその後の質問にも関わってきますが、今回いただいたご指摘等も真摯に受け止めて、特に今後ラムサール登録湿地を目指すという意気込みがありますので、鳥全体としての保護区ということを目指すということは間違いないと思います。十分地元と連携して取り組んでいきたいというふうに考えております。

 ノリの漁場のカモ網のようになってしまっているというところに関しても、同じように鳥獣保護区としては価値あるものを目指すので、そういったところがあれば十分調整をしていきたいというふうに考えております。この部分に関しても、また後ほど九州事務所で補足があれば、お願いしたいと思います。

 それから、最後の給餌量の調整に関しては、今まで、平成30年まで検討会まで開催して分散化を検討してきた中で、地域の合意がない中で国が勝手に進めてはいけないというようなご指摘を受けて、その部分、言ってみればパズルで「地域の合意」というピースが抜けていた部分を埋める作業をしてきたところです。地元九州事務所がこの給餌量の調整をしてもよいという、そういうところまで地元と調整をしてきました。この機を逃さずに、まずは少量ということもありますし、取組を始めることとしました。そういったところで今年度からということになっていますが、もちろん今後は、これまでやってきたような有識者との意見交換の場を設けて、それを基に進めたいというふうに考えています。

 それから、新美委員からいただいた、モニタリングに関して、保護区が拡張してどう変わるかというご質問になりますが、ツルの保護区全体の現状は、カウントによって把握しているところです。それがどうなるかというのは、もちろんモニタリングしていく予定です。飛来数の変化等も、保護区が広がることでツルの飛来地域が変わるというようなことにはならないと思いますが、十分この特別保護地区の拡張に合わせて、モニタリングの地域を検討して進めていきたいというふうに考えております。

 それから、最後に、宮本委員から、給餌量削減でどの程度分散がうまくいくか、モニタリングの方法等、情報を収集できるかということですが、インターネットの情報収集については、ぜひ取り入れてやっていきたいと思います。

 それから、現在考えているのは、まずは周辺に分散するだろうということで、定点調査、出水周辺の定点調査で、出水市内は出水市が基本的には調査すると聞いていますので、それ以外の周辺地域に人を配置して、ツルが来るかどうかということをモニタリングする予定であります。それから、もちろん宮本委員の説明にもありましたけど、農業被害の把握もしていって、ツルが飛んで来た、来ないという評価ができるような、そういったことも考えております。この部分も、もし九州事務所で補足があれば、お願いしたいと思います。

 私からは、以上になります。

【川越鳥獣保護管理室長】 では、鳥獣保護管理室の川越でございます。

 小泉委員からありました鳥インフルエンザの件に関して、お答えをしたいと思います。まず、鳥インフルエンザのサーベイランスの関係ですが、今回の鳥獣保護区の拡張の有無にかかわらず、サーベイランスは全国均一で実施しておりまして、そこは引き続きやっていくという形になります。

 緊急対応の体制はどうかということですが、もし出水で高病原性鳥インフルエンザが発生したのであれば、その発生地点の周辺10キロを野鳥監視重点区域に指定して、県と協力して緊急調査を実施するということで、これは鳥獣保護区か否かにかかわらず、全国いずれも同じスペックで調査をさせていただきます。

 今回の指定で何か変わるのかというところにつきましても、今までのご説明のとおりで、特に指定の有無にかかわらず、鳥インフルに対しては、引き続きちゃんとやっていくということになります。

 一応、鳥インフル関係については、以上でございます。

 あと、山極委員からあった分散の予定地に関するお話ですが、従前からいきますと、山口県のほうですとか、あと高知の四国のほうで、分散でぜひ来てくれないかという取組をしておりますが、なかなか行かないという状況でございます。そういった中では、もう既に文化庁が給餌量をかなり減らしていますが、まだまだ飛んでいっていない状況で、環境省が少し減らしたところでいきなり変わっていくかというところもありますが、少しそういった動きも見ながら、どういった感じで本当に新しい越冬地というものを形成していくのがいいのかという点について、先生方のご意見もお聞きながら、議論をしていくフェーズに今後移っていければというような考えでおります。

 私からは、以上でございます。モニタリング等につきまして、九州地方事務所からありましたら、よろしくお願いいたします。

【説明者】 こんにちは。九州地方環境事務所、蒲池と言います。

 それでは、先ほど本省から説明があったとおりですけども、一部補足をさせていただきます。

 まず、尾崎委員からありました海岸のノリひびに張ってある縦網ですけども、現在それは、設置はされていません。

 あと、宮本委員からありましたモニタリングの件ですが、より多くの人の目、例えばネット、写真、そういうのも活用するということは大変参考になります。今後、モニタリング業務を進めるに当たりまして、活用させていただきたいと思います。ありがとうございます。

 あと最後に、最初に山極委員からご質問がありました、出水における地域づくりについて、簡単にご説明をいたします。先ほど本省から説明がありましたように、地元出水ではツルと共生した新たな地域づくり、これが行われております。この背景としましては、皆さんご存じのとおり、出水鳥獣保護区はほぼ農地です、農地の中にツルが生息しております。こういった中で農業とツル、鳥類、それの共生というのが非常に課題になっております。その中で適切な保護管理を行うに当たって様々な課題がありますけども、そういった課題というのを地域の住民の方、あるいは一般の観光客にまず知っていただく、それが重要かと思っております。

 そういったことを実現するために、平成28年度から、いわゆるツルフェスタということで、一般の方の立入りを制限して、立入りを希望する方は指定されたバスに乗って、指定されたルートを走って、そこでバスから降りない、ツルと少し距離を取ってツルを観察すると、そういった取組をしてきました。現在それが定着してきまして、資料にありますように、今年度からツル越冬地利用調整事業ということで、これは出水市が主導となって事業を行っております。そういったことで、地元の資源を生かしていこうという機運が改めて盛り上がっております。

 また、あわせてラムサール条約湿地登録を目指しておりますので、地元でラムサール条約登録推進委員会というのができておりまして、毎月地元の方が参加して開催をされております。そういった中で、どうやってこの地域資源を生かしていくか、そういった議論も盛り上がっております。そういう状況です。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございました。私もチェックして聞いていましたけれども、ほとんど委員の皆さんにお答えいただいたかと思います。何か補足とかございますか。大分時間が押してしまいました。聞こえますかとやっている時間が無駄なのかもしれませんけれど。

 特にないようでしたら、この件、国指定鳥獣保護区、出水・高尾野地区ですけれども、保護区と特別保護地区の変更ということで、お認めいただけますでしょうか。

 では、また丸で。

(異議なし)

【石井委員長】 ありがとうございます。それでは、お認めいただいたということにさせていただきます。

 では、続けて4件の報告なんですけど、大分時間が押しちゃったので、少しずつコンパクトにお願いできればというふうに思います。シベリアイタチの希少鳥獣指定、これが遠矢補佐、それから特定外来生物の新規指定ということで北橋室長、それからワシントン条約附属書Ⅲの掲載について(とかげもどき属、いぼいもり属)ということで、これは中西係長、それからオガサワラシジミの生息域外個体群の繁殖途絶についてということで、これはまた川瀬補佐ということでお願いいたします。

では、続けて4件行きますので、お願いします。

【遠矢補佐】 鳥獣保護管理室の遠矢と申します。

 私からは、シベリアイタチの希少鳥獣指定について、簡単に今後の進め方ということで、ご報告させていただきます。最初にちょっとお詫びしておくんですけども、申し訳ありません、法律名がちょっと古いままになっておりまして、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律ということで、平成26年に改正されたものでございまして、申し訳ありません。最初にお詫びしておきます。

 令和2年3月に環境省レッドリスト2020が公表されまして、この中でシベリアイタチ、もともとの和名、チョウセンイタチと書いてありますけども、そちらが絶滅危惧ⅠB類になったというようなことで、今回、鳥獣保護管理法に基づく希少鳥獣の指定と、それに伴う狩猟鳥獣の見直しであったり、狩猟鳥獣捕獲等禁止の解除を行いたいと考えております。

 希少鳥獣についてでございますけれども、1ポツにございますとおり、法律の第2条4項に基づきまして、国際的または全国的に保護を図る必要がある鳥獣を希少鳥獣として指定しているところでございます。こちらについて、希少鳥獣に指定されますと、捕獲または殺傷については環境大臣の許可対象となることになっております。

 また、希少鳥獣の指定の考え方については、こちらは法定指針のほうで、絶滅危惧ⅠA、ⅠBまたはⅡ類に該当する鳥獣を対象とすることを基本としておりまして、レッドリストの見直しに合わせて対象種を見直すということになっております。

 現状は、シベリアイタチについて、どのような生息状況かということを2ポツに書かせていただいております。こちらのレッドリスト2020から引用しているものでございますけれども、ツシマヤマネコの生息状況の把握を主な目的としたセンサーカメラ調査などの結果とか、あとは糞などの痕跡調査です。こういったものの結果から、近年急激に個体数が減少しているということが示唆されたということで、今回、準絶滅危惧から絶滅危惧ⅠB類に評価が見直されたということでございました。

 和名についても、チョウセンイタチからシベリアイタチに変更されております。

 これは対馬の個体群についてということで評価対象になっておりまして、実は対馬以外にも西日本に広く生息しているものがございまして、こちらについては飼育個体に由来する外来鳥獣というふうにされているところでございます。

 今回の見直し(案)の概要でございます。今回レッドリストカテゴリーが見直しされるということで、シベリアイタチ、対馬に生息するものについて希少鳥獣として指定することを予定しているところでございます。

 また、今回レッドリストの評価対象はあくまで自然分布域である長崎県対馬市の個体群のみということで考えておりまして、対馬以外の地域では、現在も狩猟であったり、あと許可捕獲などでの捕獲実績もありますので、それ以外の地域については、引き続き狩猟鳥獣として取り扱いたいと、こう考えております。和名については、チョウセンイタチからシベリアイタチに変更したいと考えております。

 また、今現状で狩猟鳥獣となっているシベリアイタチについては、長崎県対馬市では、やっぱり保護が必要な鳥獣ということで、今、捕獲等の禁止がなされているところでございます。ただ、今回希少鳥獣に指定されることになりますので、こちらの捕獲等の禁止の制限を解除しまして、希少鳥獣として保護していくという形になると考えております。

 その後、希少鳥獣の指定と狩猟鳥獣の変更、そして対象狩猟鳥獣の捕獲等禁止の解除、こちらについては、このように施行規則のほうを見直していきたいと考えております。

 最後、今後のスケジュールについてでございますけれども、今後パブリックコメントの実施、あとは公聴会等を開催いたしまして、改めて野生生物小委員会へ諮問させていただければと考えております。それらを踏まえまして、改正省令の施行をしたいと思っております。

 法律に基づきまして、公聴会の開催と中央環境審議会の諮問に関しては、狩猟鳥獣の見直し、解除等についてのみ対象となっておりますので、こちらについてご諮問させていただきたいと、こう考えております。

 報告は、以上になります。

【石井委員長】 じゃあ、続けてお願いします。

【北橋外来生物対策室長】 続けまして、外来生物対策室の北橋です。よろしくお願いします。

 外来生物法に基づきまして特定外来生物の指定を行い、輸入、販売、飼育、放逐等、各種行為を規制しているところでございます。今回、専門家会合で各分類群における検討をしていただきました結果、昆虫類、それからその他無脊椎動物と植物の3分類群について新規指定を行っております。

 まず、昆虫類等についてですけれども、全てアリ類でございます。一つ目のハヤトゲフシアリは人を刺したりするわけではないですが、生態系被害、あるいは不快害虫としての害があるということで指定されております。こちらは、まだ日本各地の港湾地域等で何か所か見つかっている状況でございます。その下の○○種群と書いてあるものですけども、こちらにつきましては、従来からヒアリ、アカカミアリという人を刺傷します有毒のアリ類が指定されていることは皆さんご承知と思いますけれども、生物学的に非常に近い分類群を今回まとめて指定いたしまして、あわせて交雑種も規制をかけたという状況でございます。

 それから、無脊椎動物につきましては、基本的にはザリガニの関係です。これまでも、ウチダザリガニですとか、幾つかのグループのザリガニが規制されていたところですが、今回アメリカザリガニ以外の外来ザリガニを全て指定するということになりました。これにつきましては、ペットとして飼っている人もかなりいらっしゃるというようなこともあり、あるいはアメリカザリガニとのややこしさなんかもあったので、専用のチラシですとか、Q&Aを含む特別ホームページ等をつくりまして、あるいはアクアリウムの雑誌ですとか、観賞魚協会等、業界を通じていろいろとPRを図っているところです。

 今飼育している人については、来年の5月までに許可を取ってもらって、継続飼育してもらう、そういうふうな流れになってございます。

 最後に植物ですけども、エフクレタヌキモという、水生植物でかつ食虫植物というタヌキモの仲間なんですけれども、こちらにつきましても3種類合わせまして、生態系被害の観点から新規指定をしたというところでございます。

 簡単ですが、以上で説明を終わります。

【石井委員長】 じゃあ、続けてお願いします。

【中西係長】 野生生物課の中西と申します。

 私からは、ワシントン条約附属書Ⅲの掲載について、ご報告させていただきます。

 既に海外に存在する個体の国際取引が国内の違法捕獲及び我が国からの密輸出を誘発することがないように適切な管理を図るため、国内希少種であるとかげもどき属6種といぼいもり属1種について、ワシントン条約事務局に対して附属書Ⅲへの掲載を先般要請いたしました。今後、ワシントン条約事務局より締約国に対して通知がなされまして、その90日後に附属書へ掲載される見込みでございます。

 掲載要請種についてです。いずれの種も日本固有種でございまして、生息地は沖縄県、鹿児島県の島嶼の森林に限られております。環境省レッドリスト及びIUCNレッドリストでは、いずれの種も絶滅危惧種と評価されております。また、いずれの種も種の保存法の国内希少野生動植物種に指定されておりまして、既に捕獲や国内での流通、諸外国への輸出というのは原則禁止されております。掲載種は、こちらの表の7種となります。

 今回の掲載要請種については、既に日本の国外に存在する個体の第三国間の流通状況を把握できるようにするという趣旨から、ほかの締約国の協力が必要であると認める種として、迅速に各国へ協力要請を行うために、この附属書Ⅲへの掲載を表明することといたしました。

 補足ですけれども、これらの種の分類には幾つか考え方はございますが、ワシントン条約事務局との調整の上、IUCNレッドリストに基づく分類に基づいて学名を記載しております。

 また、掲載対象は、種の保存法に合わせて、これら7種の個体及び卵に限ることとしています。

 こちら参考として、各附属書の種類と規制内容について示しているんですけれども、ポイントとしましては、附属書Ⅲというのは、掲載手順としていつでも要請が可能です。一方で、附属書ⅠとⅡというのは、締約国会議にかける必要がございます。また、規制の内容ですけれども、附属書Ⅲについては、商業目的の国際取引は可能です。ただし、日本を原産地とする輸出入は政府の発行する輸出許可書が必要であったり、日本以外の国を原産地とする個体の輸出がなされる場合には、原産地証明が必要というような規制内容になっております。

 要請対象種について、参考までに資料をつけておりますが、これらの7種となっております。

 では、私からの報告は以上となります。ありがとうございます。

【石井委員長】 では、続けてお願いします。

【川瀬補佐】 続きまして、最後の報告になりますが、資料3-4、オガサワラシジミの生息域外個体群の繁殖途絶についてという紙で説明させていただきます。

 先ほどクリスティーヌ委員からも言及いただきましたけれども、今年の8月にオガサワラシジミの生息域外個体群の繁殖途絶について報道発表いたしました。チョウの一種で、小笠原諸島の固有種でございますが、飼育下の全ての個体が死亡し、繁殖が途絶えたということで、保護増殖事業として実施している生息域外個体群が途絶えたのは初めてということでございました。

 本種の生息域外保全については、平成17年から東京都が開始をしておりまして、多摩動物公園で飼育下での繁殖の取組に着手しておりました。その後、環境省としましても、平成20年に種の保存法に基づく国内種に指定をして、21年に保護増殖事業計画を策定しました。

 その後、なかなか野外の個体数も多くない中で、域外の飼育下の個体群というのも、なかなか累代飼育に成功していなかったところでございましたが、平成29年になってから、前年に捕獲をしたメス2頭から始まっておりますけれども、繁殖でき、1年以上、累代飼育に成功したということでございました。

 その後、数を増やしてきておりましたので、危険分散などを目的に、昨年の10月になりますけれども、多摩動物公園から新宿御苑にも分けて、飼育下繁殖を開始したところでございました。その後、詳細は資料の後ほどにも出てきます報道発表資料に書いてございますが、今年の4月になって有精卵率が急激に下がりまして、7月に新宿御苑の個体群が絶滅しまして、今年の8月25日には多摩動物公園の個体群も絶滅をしたということで、最初の世代から考えると20世代目での途絶ということで、非常にショッキングな出来事となっております。

 現時点では、繁殖途絶に至った原因は不明でございますが、専門家による調査の結果、新宿御苑の個体については、オスの精子量が極端に低下をしていたということが観察されましたので、遺伝子の近交弱勢というものが、その要因の一つではないかと指摘をされてございます。

 一方、野外の個体群についても、平成30年6月を最後に、唯一の生息地とされている母島でも個体が確認されていないという状況が続いてございます。

 このオガサワラシジミ自体の種の保存に関わりますし、種として非常に危険な状態ということもございます。また希少種保全全体に教訓とすべきことが多々あるかと思っております。今後の対応については、資料の最後にも載せてございますが、石井委員長、それから保護増殖検討会の大河内先生からの談話もいただきまして、ここに3点書いてございます。

今回の内容について、有識者を交えて科学的に検証をして、途絶えた原因について分析を実施するということ。

 それから、生息域内においては、モニタリングをまだ引き続き進めて、もし生息が確認されるようなことがあれば、生息域外保全をはじめとする保護対策に速やかに取り組んでいくということ。

 それから、早期の保護増殖事業の策定・実施の重要性が再認識をされたということを踏まえて、ほかの種についても関係機関と連携しながら絶滅危惧種の保全対策に取り組むということで、危機感を持ってそれぞれの種に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

 報告、以上になります。

【石井委員長】 ありがとうございました。続けて4件やっていただきました。本当は5時半までの予定だったのかな。6時まででしたかね、あと5分ありますね。少し、延びるかなと思いますけれども。

 そうしましたら、ただいまのご報告ですけれども、ご質問、ご意見、お受けしたいと思います。また挙手をお願いします。

 桜井委員、挙手されていますので、お願いします。

【桜井委員】 私、挙手してないです、間違えていました。

【石井委員長】 そうですか。じゃあ、石井信夫委員、お願いします。

【石井(信)委員】 ありがとうございます。とかげもどきといぼいもりの附属書Ⅲについてコメントしたいんですけれども、昨年の8月の締約国会議で、日本にいるとかげもどきといぼいもり以外のものは、附属書Ⅱに掲載されることが決まったわけです。これ、事前に、日本に何で相談してくれなかったのかなと思うんですが、日本のだけが、ワシントン条約の規制がかからないということで、今回の附属書Ⅲという仕組みを使って、ほぼ附属書Ⅱに掲載した状態と同じような規制をかけられるということになりました。このことによって海外での取引状況というのがデータとして上がってくるということになったわけですけれども、今回この附属書Ⅲというのは、日本は初めて適用したわけですけれども、資料の準備とか、手続とか、いろいろご苦労が多かったんじゃないかと思うんですけれども、条約の仕組みをうまく活用した大変適切な対応だったと思いますので、私としては、とても評価できるというふうに考えています。

 課題としては、今回、なぜ附属書Ⅱの提案国が日本に事前に相談してくれなかったのかなと思うわけですが、取引状況によっては、属全体を附属書Ⅱに載せるという、もう少しシンプルなやり方も考えられますので、その対応を今後考えていく必要があるかなと思うのと、あとは、今回のようなことが起きないように、どうしたらいいかというのは難しいんですけれども、ほかの国との連絡というのをもう少しできるようにならないかというふうに思っています。でも、いずれにしても、現在日本が取れるベストなアクションを起こしたと思いますので、この点はとてもよかったと思います。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。ほかは、特によろしいですか。

 じゃあ、クリスティーヌ委員、手を挙げていますね。

【マリ・クリスティーヌ委員】 ごめんなさい、何度も申し訳ないです。今おっしゃっているように、やっぱりもっと、日本にとってこれだけ多様な生物があることは、すごくすばらしい豊かさでもあるわけで、やはり、どのように保護しているかとか、どういうことになっているかということを、もっときちっと伝えるべきだと思うんです。こういうことをして、どこからもたたかれることはないわけじゃないですか。だから、もっとやっぱり国からの予算をいただきながら、こういう日本のすばらしいもののPRを世界中にもしながら、日本国民もちゃんとそれを知識として得られるようにしていただくことがとても重要だと思うので、守るだけに予算をつけたりとか、守るだけのことしかやらないということは、私は非常に残念に思うので、もっともっと一般の方たちの目に触れるところでぜひやっていただきたいと思うので、よろしくお願いします。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 そうしましたら、神部委員、挙手されました。お願いします。

【神部委員】 時間が迫っている中、恐縮ですけれども、やはりオガサワラシジミの報告を以前、環境省からいただいたときには、かなりショッキングな形で受け取りました。やはり絶滅を危惧して、皆さんが心配して、いろいろブロックをかけていたんだけれども、それも駄目であったということになりますと、今後いろんなことにおいても、やっぱり何か非常に不安が募ってしまうというか、そういうことってかなり深刻なことだなと思ったので、もっともっと皆さんに知っていただきたいなと思います。そういう状況なんだということを、広く広くもっと一般の皆さんにも知っていただきたいなというふうに、非常にこのオガサワラシジミについてのこの一件は、もう本当に氷山の一角だと思うんですが、そういうことを大変思いましたので、少し述べさせていただきました。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。ほかはよろしいですね。

 今のはコメントだったとは思うんですけど、何かお答えはありますか。よろしいですね、特に。

 では、ご意見を承ったということで・・。

 小菅委員、挙手されています。お願いします。

【小菅委員】 やっぱりオガサワラシジミのことなんですけども、何度も言っているかもしれませんけども、飼育を開始して繁殖に至るまでってものすごく時間がかかるんですよね。今回の場合も相当時間がかかっていますし、そういうことを当然見越して、とにかくスタートする時期をいかに早くするかだと思うんです、僕は。だから、要するに危ないと言ってからではもう遅いので、そろそろといったときからもうスタートしないと、なかなかこれはうまくできません。

 それともう一つです。飼育下でうまく繁殖したのはいいけど、最近、僕、ミヤコカナヘビのときに見ましたけども、それ、飼育下の個体と自然の個体との交流をきちんとやっていかないと、飼育下個体群がどんどん何か矮小化されていってしまうというような気がするんです。そういうふうにして、二つとも大事だということを、しっかりとやっぱり踏まえて、やっぱり事業をなるべく早くやって交流をしっかりしていくというのがポイントだというふうに、僕は思っています。

 以上です。

【石井委員長】 オガサワラシジミについては私も同じですけど、まだ生息地のほうで絶滅と決まったわけではございませんので、これは何が何でも探していただきたいというふうに、思っているところです。

 ほかは、よろしいですね。

 それでは、コメントを賜ったということにいたします。その他のところですが、ほかには、事務局、ないですかね。よろしいでしょうか。

 それでは、全ての議題を終了いたしましたので、進行を事務局にお返ししたいと思います。

【事務局】 石井委員長、議事を進行してくださり、誠にありがとうございます。委員の皆様も長時間にわたりご審議くださり、誠にありがとうございます。

 なお、本日は、最終的に委員16名全員のご出席をいただきましたことを、ご報告いたします。

 それでは、以上をもちまして、第23回野生生物小委員会を終会といたします。皆様ありがとうございました。