中央環境審議会 自然環境部会 野生生物小委員会 第21回議事録

日時

 令和元年10月9日(水) 10:01~11:42

場所

 環境省第1会議室

出席者

(委員長)

石井 実

(臨時委員) 石井 信夫 小泉  透 小菅 正夫
白山 義久 高橋  徹 宮本 旬子
(専門委員) 磯崎 博司 神部 としえ 桜井 泰憲
高橋 佳孝
(環境省) 鳥居自然環境局長
白石大臣官房審議官
庄子総務課長
中尾野生生物課長
川越鳥獣保護管理室長
堀内希少種保全推進室長
北橋外来生物対策室長

議事

【事務局】 本日はお忙しいところ、ご出席を賜り、誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会を開催いたします。

 全委員17名中11名ご出席を賜っております。このうち、所属委員・臨時委員11名のうち7名のご出席をいただいております。本日、白山委員、今こちらに向かわれている模様です。中央環境審議会議事運営規則に照らし定足数を満たしていることから、本委員会は成立していることをご報告いたします。

 なお、新見先生と福田先生の席がございますが、お二人、急遽ご欠席されることをお伺いましたので、ご了承ください。

 次に、本日の資料につきましては、環境負荷削減の観点から審議会のペーパーレス化の取組を推進するため、委員の皆様のお手元にございますタブレット端末の中入っております。操作につきましては、説明の担当者が説明の際に解説させていただきます。また、委員の皆様の後ろに担当がおりますので、ご不明の場合はお声がけください。

次に、環境省の人事異動により事務局関係者の交代がございましたので、ご紹介させていただきます。

まず、自然環境局長に鳥居。

【鳥居自然環境局長】 鳥居でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 自然環境局担当の大臣官房審議官に白石。

【白石大臣官房審議官】 白石でございます。よろしくお願いします。

【事務局】 総務課長に庄子。

【庄子総務課長】 庄子でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 野生生物課長に中尾。

【中尾野生生物課長】 よろしくお願いいたします。

【事務局】 鳥獣保護管理室長に川越。

【川越鳥獣保護管理室長】 川越でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 希少種保全推進室長に堀内がそれぞれ就任しております。

【堀内希少種保全推進室長】 堀内でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 本日は小笠原自然保護官事務所とウエブ上で回線をつなげておりますので、その点をご承知おきくださるようお願いいたします。

それでは、自然環境局長の鳥居よりご挨拶を申し上げます。

【鳥居自然環境局長】 ご紹介にあずかりました鳥居でございます。大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

本日は、諮問事項といたしまして、国指定鳥獣保護区の小笠原の鳥獣保護区、これがちょうど設定期日が迫っておりますので、その延長と一部変更がございますので、それについての諮問でございます。

また、報告事案といたしましては、ワシントン条約第18回締約国会議、そして種の保存法に基づく国内希少種の指定状況、また、昨年から非常に問題になっております豚コレラについての概要についてご報告をしたいと思っております。

 今日は諮問事項が小笠原ということで、小笠原の自然保護官ともつながっているらしいということでございます。本当にうまく機能するのかどうか、私もよくわかりませんが、何かありましたら現地からも答えが返ってくるということでございますので、よろしくお願いいたします。

 以上をもちまして挨拶とさせていただきます。どうもよろしくお願いいたします。

【事務局】 それでは、報道関係者の方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

それでは、これ以降の議事進行につきましては、石井実委員長にお願いいたします。よろしくお願いします。

【石井委員長】 皆さん、おはようございます。委員長を務めております大阪府大の石井です。

今日はタッチパネルを使って、さらにペーパーレスの取組、そして現地とつないで意見交換というハイテクな会議のようです。前のタッチパネルに関しては、発表者のとおりに動くようです。多分、難しいこともあるかもしれませんけど、後ろに説明者がいますので、もしもタッチパネルの操作で困ったら声をかけてくださいと、先ほど説明がありました。

それでは、議事進行させていただきます。本日の議題につきましては、議事次第のとおりで、諮問案件が1件、それから、報告事項3件となっています。

 では、審議案件の国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について、事務局からご説明をお願いいたします。

【説明者】 野生生物課の篠﨑と申します。座って説明させていただきます。

 説明はお手元のタブレットで参考資料1を私が操作して説明させていただきます。今、左下に小さい画面で写っている場合は、そちらをタップしていただくと大きな画面になります。また、私が説明している資料を小さくしたい場合は、またタップしていただくと小さくなりますので、不明な点等は後ろにいる職員に聞いてください。

まず、鳥獣保護区の制度について説明いたします。鳥獣保護区は、鳥獣保護管理法に基づきまして、環境大臣が指定する区域です。国際的、全国的な鳥獣の保護の見地から重要と認める区域を鳥獣保護区として指定しておりまして、鳥獣保護区内については、原則、狩猟が禁止されます。存続期間については、法律で20年以内を限度に存続することができることになっております。

 鳥獣保護区の中で特に鳥獣の保護や生息地の保全を図るために必要があると認める区域を特別保護地区として指定することができます。この区域内では狩猟の禁止に加えまして、工作物の設置や水面の埋め立て、また木竹の伐採等が規制されることになります。この特別保護地区を指定するときは審議会に諮問することとなっております。

なお、希少鳥獣生息地の特別保護地区におきましては、人の立ち入り、車両の乗り入れ等により、保護対象となる鳥獣の生息、繁殖等に悪影響が生じるおそれのある場所につきましては、特別保護指定区域を指定することができることとなっておりまして、特別保護指定区域につきましては、特別保護地区の規制に加え、施行令第2条に基づき、植物の採取、動物の捕獲、火入れまたはたき火、車馬の使用、動力船の使用、犬を入れること、撮影、録画、野外レクリエーション等の行為も環境大臣の許可を受けなければしてはならないこととされております。今回はこの指定区域を期間を設けて指定することとしております。

次に、国が指定する場合の鳥獣保護区の指定区分ですが、大規模生息地、集団渡来地、集団繁殖地、希少鳥獣生息地の四つとなっております。

現在の鳥獣保護区の指定状況です。北はサロベツから南は与那国まで全国86カ所が指定されている状況です。そのうち特別保護地区は71カ所、特別保護指定区域は2カ所指定されております。

鳥獣保護区の特別保護地区は、自治体、利害関係人等との調整をもとに、指定の案を作成し、その案について公告縦覧、パブリックコメント、公聴会を開催しまして、本日の中央環境審議会への諮問後、官報告示をし、指定することとなっております。

今回、諮問するのは小笠原群島鳥獣保護区の特別保護地区の存続期間が終了しましたので、こちらの再指定の1件となります。場所はこちらです。

今回は存続期間終了後の再指定で、鳥獣保護区自体は区域の変更はせずに更新するため、諮問対象ではありません。特別保護地区の区域を拡張して再指定することとしております。

特別保護地区の面積を増やすため、指定後の鳥獣保護区ですが、数のほうに変更はございませんが、特別保護区地区の面積が増えることとなります。

それでは、小笠原群島鳥獣保護区特別保護地区について説明いたします。

小笠原群島鳥獣保護区は、伊豆諸島の南側に位置しておりまして、小笠原群島である聟島列島、父島列島、母島列島を鳥獣保護区にしております。

そのうち、特別保護地区は父島列島の父島の一部と孫島、東島、南島、巽島、そして聟島列島の全域、母島については、向島、鰹鳥島等の属島を特別保護地区に指定します。

小笠原群島鳥獣保護区特別保護地区は、オガサワラオオコウモリやアカガシラカラスバト等の希少鳥獣の生息地の保護を目的に希少鳥獣生息地として指定いたします。特別保護地区は、今回53haを拡張して再指定いたします。

現在の小笠原群島鳥獣保護区特別保護地区は、鳥獣保護区とともに10年間を存続期間としておりますが、今回は鳥獣保護区を20年間とし、特別保護地区も20年間を存続期間といたします。

また、聟島列島、父島列島、母島列島は、鳥獣保護区のほか、小笠原国立公園に指定されておりまして、世界遺産地域でもあります。

小笠原群島は、海洋島で独自の生態系を有しておりまして、鳥獣においてもアカガシラカラスバトやオガサワラノスリ、オガサワラオオコウモリ等の小笠原群島の固有種で希少な種が鳥獣保護区、特別保護地区ともに生息していまして、また、環境省のレッドリストにも掲載されているコアホウドリやセグロミズナギドリ等の海鳥も繁殖が確認されております。

それでは、特別保護地区に指定する場所について説明いたします。

父島列島です。南島につきましては、カツオドリ、アカアシカツオドリの主要な繁殖地であるほか、アナドリやオナガミズナギドリ等の小型の海鳥が繁殖地として利用していまして、海鳥が利用する場所として重要なことから、引き続き特別保護地区に指定します。南島以外の父島の属島においても、海鳥が繁殖地として利用しておりまして、今回、孫島、東島、巽島を新たに特別保護地区に指定いたします。

孫島ですが、クロアシアホウドリの繁殖が近年確認されました。アホウドリ類の繁殖地は小笠原群島の中では聟島列島以外での初の確認であることから、アホウドリ類の繁殖地の保護を目的に、今回、特別保護地区に新たに指定いたします。

東島につきましても、特別保護地区に新たに指定いたします。ここでは海鳥の繁殖が確認されておりまして、中でも2011年に新種として登録されたオガサワラヒメミズナギドリの唯一の繁殖地であることが確認されています。そのため特別保護地区に指定し、オガサワラヒメミズナギドリを初めとした海鳥の繁殖地の保護を図っていきます。

巽島につきましては、オーストンウミツバメ等やアナドリ等の小型海鳥の繁殖地となっておりまして、こちらも新たに特別保護地区に指定するものです。

次に、父島の扇浦地区について説明いたします。

父島の扇浦地区には樹林がまとまって分布しておりまして、小笠原諸島の唯一の固有の希少種であるオガサワラオオコウモリが当地に集団でねぐらを形成し、繁殖にも利用している場所です。そのためオガサワラオオコウモリの安定した生息を保護するために引き続き特別保護地区に指定いたします。ピンク色が既存の特別保護地区でして、今回黄色で示している部分、0.2haを拡張いたします。

こちらは左下に写真を載せておりますが、写っている樹林の場所が特別保護地区で、今回、特別保護地区に指定する場所です。オガサワラオオコウモリは、この線で囲んであります一帯で冬季に集団でねぐらを形成していまして、特に濃い黒い丸で示した部分はコウモリの利用が集中している場所です。オオコウモリは風の状況等でねぐらを変えることがありまして、そのような場合には、この周囲をねぐらとして利用しております。今回は、このオオコウモリが集中的に利用する場所を特別保護地区に新たに加えるものです。

特別保護地区に指定していない場所におきましても、オオコウモリの冬季のねぐらの利用が確認されているため、よりオオコウモリの保護を図るために、オオコウモリが冬季ねぐらとして利用している場所の特別保護地区の指定を検討、調整を今後もしていきますが、この一帯がオオコウモリにとって重要な場所であることは地域でも理解を得られておりまして、また、小笠原の観光事業者さんは観光事業者さん同士で作成したオオコウモリのガイドラインに沿ってオオコウモリの生息に配慮した観光ツアーを行っていることから、こちらは特別保護地区には指定はできておりませんが、地域と連携しながらオオコウモリの保護を図っていくこととしております。

オオコウモリのねぐらでの集団の様子ですが、こちらは3匹がまとまって固まっていますが、このように複数の個体がだんご状になってねぐらを形成しているということです。

こちらはオガサワラオオコウモリの集団ねぐらの場所を、より保護を図っていくために、今回、新たに指定する場所を含めたオオコウモリが集中的に利用している場所を特別保護指定区域に指定いたします。濃い赤で示した部分です。既存の濃い赤で示した部分については引き続きの指定でして、今回新たに特別保護地区に指定しましたオレンジの部分については、今回、特別保護地区に指定し、特別保護指定区域にも指定するものです。特別保護指定区域に指定する期間はオオコウモリがねぐらを形成する冬季の12月から6月とし、特別保護指定区域に指定することで、写真撮影等で人が立ち入ることを規制いたします。

次に、聟島列島です。聟島列島は、引き続き特別保護地区に指定いたします。ここは海鳥が繁殖地として利用しておりまして、聟島では現在、東京都が山階鳥類研究所に委託し、アホウドリの保護増殖事業を実施しております。

平成20年から24年までアホウドリのヒナを伊豆諸島の鳥島から移送し、人工飼育を聟島で行っております。このときの個体が平成28年から聟島で繁殖に成功しておりまして、今年度も聟島での繁殖が確認されているところです。また、あと、媒島、嫁島においてもアホウドリのヒナが確認されております。現在、種の保存法の国内希少野生動物種のアホウドリ、レッドデータリストの絶滅危惧ⅠA類のコアホウドリ、クロアシアホウドリの3種が聟島を繁殖地として利用していることから、希少な海鳥の繁殖地として重要であるため、引き続き特別保護地区に再指定するものです。

母島につきましては、母島の属島を特別保護地区に引き続き指定いたします。母島の属島では、小笠原固有のハハジマメグロが繁殖しておりまして、また海鳥も繁殖に利用しております。そのためハハジマメグロ等の希少種と海鳥の繁殖地の保護を目的に特別保護地区に引き続き指定いたします。

指定いたしました特別保護地区につきましては、前回と同様の管理方針で管理を行っていきます。

鳥獣類のモニタリング調査等を通じて、区域内の鳥獣類の生息状況の把握に努めるとともに、国の関係機関等と連携協力し、鳥獣以外の生物を含む島ごとの生態系の保全を図ることを基本として、外来植物の根絶、鳥獣を捕食する可能性のあるノネコの排除や鳥獣にとって重要な生息地への侵入防止等の必要な保全対策を講じていきます。

鳥獣類の集団ねぐらや集団繁殖地への無秩序な立入、ごみの散乱等による鳥獣類の生息への影響を防止するため、国の関係機関等と連携協力し、巡視や普及啓発活動に取り組んでいきます。

オガサワラオオコウモリの冬季ねぐら形成地及びその周辺につきまして、関係地方公共団体とも連携協力しながら適切な保全を図っていきます。

鳥獣類の生息に影響のない範囲で、環境学習等の場として活用を図っていきます。

こちらの管理方針は前回と同様になりますが、現在の管理状況ですけれども、鳥獣保護管理員による鳥獣調査、制札の点検のほか、環境省職員、東京都の職員も巡視を行っております。

また、写真の右下になりますが、こちらは特別保護地区ではございませんが、母島の南崎には、母島の南崎の南端で繁殖するカツオドリの繁殖地を保護するためにノネコの侵入防止柵を設置しております。

また、オオコウモリ、アホウドリ、アカガシラカラスバトにつきましては、種の保存法の保護増殖事業を策定しておりまして、保護増殖事業を実施しております。

外来種の対策といたしましては、ノネコの捕獲やノヤギの駆除を行っております。ノネコが減ったことでアカガシラカラスバトが増えたという話を聞いております。

小笠原の世界遺産センターでは、小笠原の自然環境について展示等で紹介しておりまして、小笠原が抱える野生動物の課題でしたり、野生動物に関することもこのセンターで紹介しております。

今回、特別保護地区に指定するに当たって、審議会の前に公聴会を開催しました。公聴会においては、反対の意見はございませんでした。公聴会は利害関係人を公述人として呼んでおります。

公告縦覧、パブリックコメントにおいて広く意見を求めたところ、パブリックコメントにおいて意見が1件ありましたが、特別保護地区の指定に関する内容ではございませんでした。

今回、このような内容で小笠原諸島鳥獣保護区の特別保護地区を指定することとしております。

説明は以上です。

【石井委員長】 ご説明、ありがとうございました。

 そうしましたら、ただいまのご説明ですけれども、ご意見、ご質問を受けたいと思います。

今の説明はパワーポイントによるものでしたけれども、委員の皆さんには既に関連の資料も送られていますので、お読みになっていただいていると思います。それらの資料を見るためには、一度タップして、左上にある「戻る」という文字をタッチするのですね。

【説明者】 タップしていただくと、左下に小さな画面になると思うのですが、そこで上の「戻る」を押して下さい。後ろのスタッフがお手伝いします。

【石井委員長】 そういう操作で戻ることができますので。

 それでは、ご質問等がある方、また名札を立てていただきましょうか。順番に指名いたします。

 それでは、まず、磯崎委員から行きましょう。

【磯崎委員】 先ほどの説明でオオコウモリのところで、今回、南東の部分を拡張ということですが、南西部分に同じように空白のところがあります。先ほどの説明で、今後も増やしてということでしたので、増やすのがこの南西部分のことなのかなというのが一つ目です。

それから、二つ目ですが、南西部分は、現在、入っていない理由が土地利用の関係なのか、何が理由でこの南西の部分が入っていないのか。この図で見ると、ほかと比べてかなり等高線がぎっしり入っているので、急斜面だと思うのですが、そこで何か営業が行われているのかどうかも含めて知らせてください。

【石井委員長】 では、後でお答えはいただくことにしたいと思います。先ほどあったように、いざとなったら小笠原とつないで回答が返ってくるということなので、頼もしい限りです。何でも聞いていただければと思います。

 それでは、小菅委員、お願いします。

【小菅委員】 同じくオガサワラオオコウモリの件です。オガサワラオオコウモリの生息数ですけども、現状どのようになっているのかというのを教えていただきたいです。このように増えているということがあれば、こんなうれしいことはないのですが。

 私、何年前だったかな、六、七年ぐらい前に行ったときに、NPO法人の方がたしか4頭ほどのオガサワラオオコウモリを飼育していたのです。その飼育環境は決していいものではなくて、以前この会議の席で、飼育繁殖を試みるべきではないのかという意見を述べたことがありまして、それで、そのときはまだできないというご回答だったのですが、4頭飼っていて、飼育することには何ら問題ないのと、あと、沖縄を中心としてオリイオオコウモリが飼育下でかなり繁殖していますので、その繁殖形態がオガサワラオオコウモリと違うとはとても思えないので、もしも、顕著に生息数が増えていけていないのであれば、現時点である程度の飼育下個体数を確保して繁殖に取り組むのも一つの方策かなと思うのですが、その辺についてのご意見をお聞かせください。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 それでは小泉委員、お願いします。

【小泉委員】 特別保護地区の指定というよりは、特別保護地区の管理というスライドを見せていただいて、特別保護地区に指定したことによる機能、効果というものの情報発信がもっと意識されていいのではないかと感じました。例えば、ノネコを捕獲することによってアカガシラカラスバトが増加するというような成果が上がっているのであれば、それは積極的に情報発信していくべきであろうというふうに思います。

 小笠原はご存じのように世界遺産でもありますし、エコツーリズムが盛んなところです。地元の業者さんも自主的なガイドラインをつくって特別保護地区を守っていこうという機運があるわけですから、そういうところにどんどん情報を発信するという機能がもっとあっていいのではないかというふうに感じました。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 では、もう一つ、磯崎委員。

【磯崎委員】 今の管理に関する意見と重なります。何年か前に指摘があって、説明が行われていたと思うんですが、今回はちょっと外れてしまっています。特に更新の場合はこれまでの指定管理のレビュー、指定管理の20年間、その期間内で管理の過程でどんなことがあって、どんなことが改善されたり、問題として残ったのか。それを前提にして新しい管理計画は、こういう問題があったから、ここを変えるとか、今の指摘のように、こういう形で運用していて、メリットがあったから同じことを今後も続けるというような、これまでの管理の状況、実態を踏まえて記すこと。管理計画が全く同じになっても構わないけれども、そこに積極的な根拠の説明が必要です。計画書そのものには書けないかも知れないですが、この場で説明するときの説明の根拠としては、そうした内容が入っていたほうがわかりやすいと思います。

 それと、同じようなことで、これも前に指摘したことですが、法律の32条について、非常に紋切り型の説明が書いてあります。実際は通常の補償というのはしていなと思います。ですから、まず、この該当する支払いというのが、これまでの期間であったのか、なかったのか。次に、今後も通常の場合はこのような支払いは生じないという説明があったほうがわかりやすいと思います。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 ほかはよろしいでしょうか。

 ちょっと私からも1点あるのですけれど。オガサワラオオコウモリはフルーツバットなので、ちょっと触れていましたけれど、農作物被害もきっとあると思うんですね。それがどのぐらいのもので、今後どのような対策をとられるのかということをお聞きしたいと思います。

 そのほか、委員の皆さん、よろしいでしょうか。

 それでは、いろいろ意見も含めてありましたけれども、事務局のほうからご説明をお願いします。

【説明者】 まず、父島の扇浦地区の特別保護地区の拡張についてですが、今、スライドのほうで出していますけども、黒く囲んだ部分一帯がオガサワラオオコウモリが集団のねぐらを形成している場所でありますので、今、ご指摘のありました南西側も今後特別保護地区に指定し、より保護を図っていくために区域拡張を検討・調整していくことにしております。

 また、こちらは特別保護地区に指定されていない理由ですが、土地の所有者さんとの調整が終わっていないところでして、ただ、土地の所有者さんの中にはこちらがオガサワラオオコウモリが利用している場所で大変重要な場所であるとは理解を得られている方もいるため、自分たちは開発をしたいと思っているわけじゃないようなご意見もいただいているんですが、特別保護地区には、指定できていない状況です。

 オオコウモリの生息数の現状ですけども、今、東京都さんがオオコウモリにGPSをつけて、ねぐらを形成するエリアの調査は行っているんですが、具体的な頭数の調査というのはしていないところです。ただ、後で現場の保護官ともつなげますが、現場の保護官の感触でもオオコウモリの数は増えているのではないかというのは聞いております。

 情報発信に関するご指摘ですが、我々も鳥獣保護の管理でしたり、あと希少種の保全、また外来種対策と、いろいろ野生動物に関する取組を行っておりますので、引き続き世界遺産センターでしたり、ホームページ等を通じて情報発信のほうはして、我々がやっている取組がどのような効果を発揮しているかというのは、広く発信していきたいと思います。

 また、管理方針につきましても、先ほど、管理方針について説明させていただきましたが、前回の管理方針と同様に今回も同じ管理方針といたしますけれども、前回管理をしていた中で、オガサワラオオコウモリもちょっと感覚としては増えてきているのではないか、アカガシラカラスバトも増えてきていると。また、聟島列島等においてもアホウドリの繁殖が確認されておりますし、父島列島においても新たにアホウドリ等の鳥獣の繁殖が確認されたりとして、この管理方針で概ね鳥獣保護区の生息地としての保護が図られていっているところから、今後も引き続き同様の管理をして、海鳥だったり希少種の繁殖地として利用している場所としての保護を図っていくこととしたものです。

 今後も我々も今回の審議会でしたり、地域の方々と鳥獣保護区についてお話をしていくときには、管理の結果、こうだったというようなものも説明しながら、より鳥獣保護区について理解を得ていきたいと思います。

 あと、オガサワラオオコウモリの農作物への被害につきましては、周辺の畑において、やはりフルーツの被害があるとのことで、あと、特別保護地区内に亜熱帯農業センターというものがあるのですが、こちらの農業センターの中でも被害が少し見られるということです。

 こちら、オガサワラオオコウモリの農業被害につきましては、文化庁さんも対策等を講じておりまして、今後も関係者と連携しながらオガサワラオオコウモリの保護に向けて、こういった農作物の被害がある方々の理解を得ていきたいと考えているところです。

 農作物の被害につきましては、指定計画書の中に書いていますが、父島と母島のほうで被害が見られているところです。

 それで、今回、オオコウモリについて、小笠原の事務所からも話を聞きたいと思います。

 小笠原の事務所から、オオコウモリの生息状況について説明をお願いします。

【小笠原自然保護官】 つながっていますか。小笠原自然保護官事務所の黒江です。よろしくお願いいたします。

 オガサワラオオコウモリの生息状況ですけれども、父島で大きな集団ねぐらが確認されていまして、近年、微増傾向というのは確認されております。そのほか、聟島ですとか、あと、南硫黄島などにも生息が確認されていまして、最近だと、母島で、今、環境省で調査していますが、母島でも個体が確認されているような状況になっております。

そのほか、農作物の被害状況についてですけども、父島のほか母島でも、今、少し被害が出ているような状況があります。先ほど、篠﨑係長からも話がありましたが、文化庁さんの補助事業を受けまして、小笠原村でコウモリ被害防止のためのネットで果樹を囲むような事業も行っておりまして、そういったところで、まずは文化庁さんの補助の事業を受けて、今、被害対策を行っているというところです。それに対して関係機関がいろいろと協力をしているような対応の状況となっております。

小笠原からは以上です。

【説明者】 あと、最後に法律第32条の損失の補償につきまして支払ったことは過去にはございませんが、今後もないようにしてまいります。

【中尾野生生物課長】 申し訳ありません。今の損失補償の条項に係る部分ですけれども、今のところ、これを適用したものはないということでございます。今後、どのような状況が発生するかわからないので、これを適用させる、させないというのは、今の時点で特段申し上げることはなくて、補償すべき事項が起きたら補償するということになると思います。

【磯崎委員】 恐らく法律や行政の専門家はわかると思います。計画書でも4枚目ぐらいの5番のところで同じことが書いてあって、これを一般の人、あるいは野生動物保護をしている分野の人たちが読むと、通常生じる損失を補償すると書いてあるので、いろんな行為規制が保護区設定で、あそこにこれは許可が必要と、ずっと書いてありますから、ほとんどのところで通常の損害、損失が生じていると、受け取ってしまうと思います。だけど、現実には通常生じる損失というのは、そういうことではないというのが法律の解釈ですし行政対応です。そこの何かギャップを埋めるようなことを、例えば、今までは実はそれに該当する例はなかったし今後も想定されないと書いてあれば、一般の人が考える、「通常」よりもう少し厳しい条件なんだとわかると思います。特にこの文章が「通常生じる」と言っているので、そこのギャップが出てきているという感じがあります。

【中尾野生生物課長】 ご指摘どうもありがとうございます。今、先生からご指摘いただいた点を考慮し書きぶりを工夫できないか考えたいと思います。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 追加ですね。では、小菅委員、お願いします。

【小菅委員】 今、小笠原からのお話をお伺いしたんですけども、微増という話をしていましたけど、微増というのは、例えば200頭のものが210頭になったら微増ですよね。2,000頭のものが2,010頭になっても微増とは言わないわけですから。その根拠となる、もともとどのぐらいいるのかというのは、ある程度把握しておかなかったら、これは微増、微減と言っている間に、本当にどうなってしまうかわからないというふうに思ってしまうんじゃないかなというのが一つ。

 それから、集団ねぐらを示していましたが、集団ねぐらがあるということは、調査官がそこへ行けば、ある程度、これ以上は生息していそうだという数はつかめるはずですから、先ほどの小笠原からの連絡でも、多分、そこが大きな集団ねぐらなんでしょうから、ここの数をしっかり抑えておいて、あと、それから、その同じ時期にこの地域にもいた、この地域にもいたという数字を押さえれば、それこそ大体このぐらいはいるということで、ものすごく安心できるんじゃないですかね。その数が10年間で微増した、微減というようだったらわかるんですけど、母数がわからなくて、微増、微減といっても、なかなかこれは説得力がないというふうに思います。

 それと、もう一つ、食害の問題ですけれども、私が行ったときに聞いた話だと、レモンの栽培を始めたんですって、そこの地域で。それまでにないレモンだから食べないだろうと思ったら、喜んでそれを食べにきているという話を聞きました。それでネットをかけてみたんだけど、ネットに絡まる事故が結構あって、その対策をとらなきゃならないんだということを現地で聞いてきたんですけど、その辺はきちっと対策をとれているかどうかというしつこい質問です。すみません。

【石井委員長】 ほかの委員、追加のご意見とかございますでしょうか。

 オガサワラオオコウモリで相当盛り上がっていますが、委員の皆さん、ほかの観点はないですか。

 じゃあ、石井信夫委員お願いします。

【石井(信)委員】 私、オオコウモリの保護増殖事業の検討会のメンバーでもあるので、もう少し詳しいことを知っているんですけど、定期的に個体数調査もされていて、数はわかっていて、ただ、東京都の調査なので、それが環境省のほうに伝わっているかどうか確認できないんですが、かなり過去からの個体数の変動というのはデータがあります。

 それと被害対策についても、かなり問題になっているので、十分ではないところがあると思うんですけども、それなりの検討が進んでいて、ただ、具体的なデータは私も持っていないので、それ以上は説明できないんですけど、小菅委員が気にされているようなデータはかなりあるというところをつけ加えておきます。

【石井委員長】 そうしましたら、神部委員、お願いします。

【神部委員】 非常に初歩的な質問になりますが、この場所が幾つかございますけれども、コウモリはすごく飛びますよね。そういう意味で、個体がまざり合っていたり、そういうことを識別はどのようにされているのかなというのが、ちょっとわからなかったものですから、もしかして、そこでダブっているものを数えていたりとか、そういうことがあるのでしょうかということも、もしおわかりになれば教えてください。よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 ほかはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、今、追加の部分があったので、回答できるところがあったらお願いいたします。

【説明者】 小笠原の事務所からオオコウモリの調査の方法について説明をしていただきます。

【小笠原自然保護官】 小笠原の事務所です。

 すみません、頭数が微増とだけお伝えしましたが、10年前に作成した計画書の中では130頭というような数を出しております。今の最新の生息状況調査を踏まえますと、大体400~500頭ぐらいが確認されているということで、やや増えているという傾向があるというのが確認されております。

 ネットの絡まりの関係ですけども、ネットに絡まって被害、傷病個体が出ているというような状況については、文化庁の補助事業で設置したものではなくて、農業者さんとか、あと家庭菜園をされている方が独自に漁網をかけられて、やわらかい素材ですので、それに絡まってしまうという被害が多数生じているような状況です。そういった状況もありますので、もう少しかたいネットの素材のものを使って、文化庁の補助事業でコウモリハウスのようなものを設置しているというような対策を、今、行っております。

【石井委員長】 今、神部委員のほうから、我々生物研究者の領域に踏み込んだ質問ですけど、どのようにカウントしているのか、ダブルカウントはないのか、個体識別とか、技術論ですけれど、回答できればお願いします。

【小笠原自然保護官】 特に集団ねぐらが形成されています父島の扇浦地区については、月1回一斉カウントというのを行っておりまして、NPOの団体の方を中心として調査の方が各所定の場所に配置して、そこでカウントを行っているというところです。ダブルカウントが全くないかというと、そうでない可能性はありますけども、ある程度、カウント数で生息状況、ねぐらの中の個体数の状況というのは押さえているという状況になっております。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 進行が少し遅れ込んでいます。ちょっと盛り上がり過ぎたかもわかりません。

 中継に関しては、大変フレッシュでわかりやすかったと思います。今後も、できたらこういうこともやっていただきたいなと思いながら聞いておりました。

 それでは、特に反対のご意見はなかったと思います。こんなふうにしたらいいというようなご提言もありましたが。それでは、この議題についてお諮りしたいと思います。

 本件につきまして事務局案のとおり適当と認めてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【石井委員長】 どうもありがとうございます。ご賛同いただいたということで、適当と認めることといたします。今後、事務局におきまして、部会長に結果をご説明して、中央環境審議会会長に報告するということにいたします。

 それでは、続きまして、報告事項3件の説明を続けてお願いいたします。

 荒牧補佐、中山補佐、川越室長の順でよろしくお願いします。

【説明者】 荒牧です。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、私のほうからはワシントン条約のCOP18、第18回締約国会議の結果と、それを踏まえて、現在、種の保存法のほうで動いていることについてご紹介をさせていただきたいと思います。

 本年8月17日から28日までジュネーブで絶滅のおそれのある野生動植物種の国際取引に関する条約になりますワシントン条約の締約国会議が開催されたところでございます。具体的な国際取引を規制する種を定めているのが附属書というものでございますが、こちらの改正が審議されたほかに条約そのものの運用ですとか、個別の種の保全についての決議といったものが議論されて、採択がなされたという状況になっております。

 非常に多くの提案がなされまして、さまざまな議論、変更がございましたけれども、主なものということでピックアップさせていただきましたのが、1ポツの附属書改正のところでございます。コツメカワウソ、ビロードカワウソ、それから、カメの仲間といった国内でもペットとして飼育が確認されるような種についても幾つか商業目的の取引が規制されます附属書1へ掲載がなされました。それから、大きな哺乳類の中ではキリンといったものが新たに附属書Ⅱ、これはまだ商業取引は可能な状況ですけれども、国際取引の流通の推移を見ていくということで、キリンなどの掲載もなされたところでございます。また、トカゲモドキ属につきましては、国内でも国内希少種のトカゲモドキ属がございますけれども、日本の個体群ではない個体群が附属書Ⅱに掲載されたという状況がございますので、日本としても、今後、個別に附属書Ⅲ、これは各国の状況に応じて国際取引についての規制を締約国に協力を求めるという形になりますが、掲載を予定している状況でございます。

 附属書の改正以外では、大きな話題として象牙の国内市場を閉鎖すべしという決議案が一部のアフリカ諸国から提出されたという状況になっております。これは前回のCOP17でも同様の審議がありまして、大きくは一度コンセンサスの合意がなされた決議が存在しているという状況であることも踏まえて、この決議は採択はされませんでしたが、国内市場を有している締約国については管理の取組について条約の締約国に報告を求めるという決定がなされたところでございます。

 2ページ目、先ほどの附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの説明等が入っておりますが、参考の一番最後の部分を見ていただければと思いますけれども、附属書Ⅰに掲載されまして、国際取引、商業目的では禁止されるというものにつきましては、国内の流通に関しても種の保存法の国際種に指定をしていくということになっております。これを踏まえて、現在、種の保存法の政令を改正する作業を行っておりまして、今、パブリックコメントを行っている段階に来ております。

 次のページに行かせていただきますが、大きなところでは、附属書Ⅰに掲載をされましたのが今回この16種、亜種を含めてこれらの種が掲載をされたことになりましたので、これらを国際希少野生動植物種として国内の流通の規制をしてまいりたいと思っております。

 また、実際に国際取引についての脅威がないということで、附属書Ⅰから削除されたネズミの仲間もございますので、これらの削除ということですとか、あるいはビクーナは附属書Ⅰに引き続き掲載されているんですけれども、幾つかの地域の個体群の生息状況が改善し、流通が認められた地域があるということで、そういった除外エリアの拡大ということなどを予定しているところでございます。

 それから、最後、分類学の整理として名称が変わったということで、ルソンカラスアゲハの学名の変更ということを設定しているところでございます。

 これらは附属書Ⅰの改定される国際的なルールが11月26日をもって執行されるということになっておりますので、それに合わせる形で国内の取引についても規制をすべく進めてまいりたいと考えております。

 私のほうからは以上です。

【中尾野生生物課長】 すみません。先ほど報告させていただきましたワシントン第18回締約国会議でございますけれども、石井信夫先生にも代表団の中に入っていただきましてご参加いただきましたので、もし、よろしければ、補足等あれば、お願い申し上げたいと思います。

【石井(信)委員】 補足というよりは、もし何か委員の方からご質問とかあれば、できる範囲でお答えをしたいと思います。

 今の説明で概要はよいかと思います。

【石井委員長】 報告を全部受けてからにしましょうか。議事進行上、そうさせてください。

 それでは、続けてお願いします。

【説明者】 希少種保全推進室の中山です。よろしくお願いします。

 私のほうからは国内希少野生動植物の指定状況についてご報告いたします。先日、自然環境部会のほうでご報告させていただいた内容と同じものになります。皆様のタブレットのほうですと、資料2-2が出ているところかと思います。

 皆様、ご承知のとおり、種の保存法に基づきまして、我が国の絶滅危惧種のうち、国としてしっかり保護を図っていく必要があるものにつきまして国内希少種野生動植物種として定めまして、その捕獲等を禁止することや保護増殖事業等により種の保存を図っているところでございます。

 2013年に種の保存法を改正したときの附帯決議におきまして、2013年時点で89種が国内希少種野生動植物に指定されたところ、さらにプラスで300種の新規指定をするということが求められまして、環境省としても絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略にその目標を明示し、それを受けまして、グラフを見ていただきますとわかりますように、2014年以降、それまでのペースより大分増やしまして、毎年30~50種程度の種を新規に指定しているところです。また、2017年の法改正時の附帯決議におきましては、さらに2030年までに合計で700種の指定というところが求められているところでございます。

 2018年度からは、2017年の法改正に基づきまして、科学的知見を尊重した種の指定を推進するため、「希少野生動植物種専門家科学委員会」を設置し、種指定についての諮問を開始しました。

 昨年度の指定分につきましては、こちらの科学委員会のほうに諮問して答申をいただいて、もう既に指定しているところでございまして、今年度以降は科学委員会の種指定の結果につきまして、こちらの小委員会のほうでもご報告をさせていただくというような形になります。

 昨年度には、これはオガサワラオオコウモリとは別の種類になるんですけれども、エラブオオコウモリ等の36種につきまして国内希少種として追加をいたしました。このうちオガサワラヌマエビにつきましては、国民提案が法定化されましたので、その手続に基づきまして指定しております。また、シマハヤブサ、ウスアカヒゲの2種につきましては確認例がなく、絶滅とされていますので、こちらは削除をしています。この結果、国内希少野生動植物種は合計293種となっておりまして、この300種追加目標の達成に向けて残り93種の新規指定が来年度中までに必要ということで、今後、その指定を目指していく予定となっております。

 以上でございます。

【川越鳥獣保護管理室長】 では、鳥獣保護管理室より豚コレラの発生状況とその対応についてご説明をさせていただきます。資料2-3をご覧いただきたいと思います。

 まず、豚コレラの発生状況ですが、平成30年9月、昨年の9月となりますが、岐阜県の養豚場で26年ぶりに発生をいたしました。野生イノシシにおきましても、同年9月に発生しておりまして、現状、養豚場では9府県、45事例、野生イノシシにつきましては、10県、1,279とありますが、昨日も群馬等で発生しておりまして、今、1,281頭の陽性が確認されているという状況でございます。

 一方、豚コレラとは別の疾病でございますが、アフリカ豚コレラというのがございまして、そちらも家畜伝染病予防法に基づく疾病になっておりますが、アジア地域では広くまん延しており、先月、韓国においても発生しております。今、アジア地域で発生していないのが日本と台湾のみということで、極めて水際対策というものが重要な疾病となってございます。

 下のほう、現在の対応でございますが、主立ったものを三つ掲げさせていただいております。

1番目、農場にウイルスを入れないということで、これはまさに飼養豚を守るということで、農水省、都道府県が中心となりまして農場の飼養衛生管理基準の遵守等をさらに進めています。さらには農場の囲いというものを、今、整備を進めているというところでございます。

 2番目が野生イノシシ対策の推進ということで、こちらは農水省のほか環境省、あと自治体が連携してやっておりますが、一つとしては、野生イノシシの捕獲を強化しまして、個体数を減らす、そして生息密度を減らすことによって感染リスクを減らしていくということ。2番目として、自衛隊等のご協力をいただきまして、豚に効くワクチンをトウモロコシの粉に包んで、それを食べさせて、要は抗体を持たせることによって感染拡大を防ぐというようなことを、経口ワクチンの散布というものをやっていくものでございます。

今、ワクチンベルトというものを、当初、感染区域の外側につくるようなことで検討していましたが、この前、群馬でも発生してしまったので、今、どこに構築するかというのは見直しをしているところでございます。

3番目は、予防的ワクチン接種の準備ということで、こちらは農水省の取組となりますが、従前の取り扱いですと、予防的なワクチンというものは豚には打てないということになっておりましたが、今般、防疫指針の改定をしまして、予防的ワクチンの接種を可能とすべく、検討が進められているところでございます。こちらのほうは今月の7日までパブリックコメントが実施されていましたので、間もなくこういった改定案が出てくるかと思いますが、そういったものが今後改定されれば、豚に対して予防的なワクチンを打っていくというようなことがなされるものと思っております。

それにあわせまして、備蓄ワクチンの増産ですとか、ワクチン接種の仕組みの検討、さらに豚の輸出国との輸出継続に向けた協議等々のことを農水省が今中心となって進めているということでございます。

次のページ、今、ご説明しましたものですが、こちらは養豚場での発生状況を地図にしたものでございます。黄色のところが養豚場での発生県というふうになっておりまして、当初、岐阜、愛知を中心とした中部地方が発生の中心でございましたけれども、埼玉等にも今は飛んでいるというような状況でございます。

次が野生イノシシの発生状況でして、こちらは岐阜、愛知を中心としたエリアの地図になってございますが、黒色のところが発生が確認されたところでして、まさに岐阜、愛知等が爆心地という言い方はふさわしくないかもしれませんが、かなりの発生が見られるという状況でございます。

次のページが北陸のほうですが、そういったところから富山、石川、長野というところにも感染が拡大しているというものです。

次が関東圏でございますけども、赤色は養豚場の位置で、発生した場所ではないんですが、中央の左側に黄色の点が打ってございますが、上野村や藤岡市、そちらで先週ですか、野生イノシシでも豚コレラ発生が確認されたということで、中部北陸地方から、今、関東のほうへと拡大しているというような状況になってございます。

環境省における対応についてご説明をさせていただきます。

先ほど少し触れましたが、野生イノシシの捕獲強化という点で、我々も対策をしておりまして、1点目として、捕獲重点エリアというものを設定してございます。こちらのほうはどういったことかと申しますと、当初、感染確認地点を中心として半径10km以内で捕獲調査というものを中心に行っていたのですが、そういった場合、やはり、養豚場の周りですとか、あと、地形等から見て、イノシシの侵入・拡散の経路となるような場所というものが、必ずしも捕獲されていなかった、そういったことから、これまでの捕獲状況ですとか、あと経口ワクチンの散布状況、地形等の情報をもとに、効果的な捕獲を図っていくために捕獲重点エリアというものを設定しましょうということで、今、各県にも出向きまして設定をしているところでございます。

下の地図の左側がイメージ図でございますけれども、それをもとに右側に愛知県の例を出させていただいていますが、これは5kmメッシュのメッシュ図に落としてございますが、こういったところで、色がついたようなところでは捕獲をちゃんとやっていくというようなことで、今、捕獲を進めていただいているところです。

2番目として、交付金による捕獲支援ということで、鳥獣保護管理法を改正したときに合わせ、指定管理鳥獣捕獲等事業交付金という制度をつくっておりますが、その交付金も使いまして、各発生県の要望を踏まえて、今、捕獲強化というものを進めていただいております。具体的には、今、岐阜県と愛知県でうちの交付金を使って捕獲を進めていただいております。

3番目として、捕獲に関する防疫措置ということで、やはり、獲ってもその獲ったことによって感染を広げてはいけませんので、そういった捕獲強化に向けた狩猟の考え方ですとか、防疫措置の実施に関して通知等を発出しているほか、現在、防疫措置に関する手引きというものを作成しておりまして、年内には完成して、研修等もやっていきたいというふうに考えてございます。

また、野生イノシシにおける豚コレラ感染確認検査への協力ということで、1点目は、鳥獣行政担当部局等への協力依頼ということで、今、都道府県が中心となって浸潤状況の調査というものを実施しておりますが、その際に鳥獣担当部局、あとは大日本猟友会に対してもぜひ協力をしてほしいということを依頼しております。

2番目となりますが、環境省による感染確認検査への協力ということで、やはり、今般、かなり感染が確認されていることもありまして、農水省、あと都道府県だけではなかなか浸潤状況調査ができないというようなお話を農水からいただいております。したがいまして、環境省としましてもイノシシに関して感染確認検査というものを協力して実施すべく、今、予算要求をするとともに、次年度からの実施に向けまして、サンプルの採材のマニュアルの作成ですとか、あと検査体制の整備、あと獣医師の雇用に向けた準備、そういったものを、今、内々進めているところでございます。

3番目、豚コレラのまん延防止に向けた周知・広報ということで、1番目として、ごみ置き場等における野生動物の接触防止等の周知徹底ということで、今回、豚コレラが発出した原因として、特に1例目に関しては、汚染された肉製品が持ち込まれ、それを野生イノシシが摂取したことによって感染が広がったのではないかというふうに言われております。そういった野生イノシシ由来のウイルスというものが今の感染確認でも全て出ているというようなことですから、まず、そういったごみ置き場における接触防止というものを徹底してくださいということを依頼してございます。

加えまして、2番目、一般を対象とした周知・広報ということで、やはり、我々も自分たちでもできることがあるということで、今、海外からの観光客も含めて多言語によるポスターを作成しておりまして、次ページで、ちょっと文字が多くなっていますが、1番目として、ごみの管理はちゃんと徹底してくださいということ。2番目として、やはり、ウイルスを拡げないということで、野山等に入った場合、靴についてウイルスを持ち出してしまう可能性もあるということで、こういったできることをやってくださいということ。さらに、3番目として、死亡イノシシを見つけたら連絡をということで、今、全国で死亡イノシシについては監視を行っておりますので、そういったものを見つけたら、ぜひ連絡をしてくださいということで、このようなチラシをつくりまして、都道府県に配るとともに、あと、我々のホームページからも、皆さんが、自由にダウンロードしていただけるようにしているというもの。さらには、昨日かと思いますが、環境省のツイッターでもこういったものを出して、今、広報というところを努めているところでございます。

恐らく、1年、2年で終わる対策ではないと思いますが、引き続き環境省としても豚コレラ対策に努めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 ワシントン条約のCOP18のご報告、それから、国内希少種の指定状況、そして、豚コレラの発生状況と対応ということでした。

それでは、この3件のご報告について、どこでも結構ですので、質問がおありの方は名札を立ててください。

 それでは、まず、高橋(佳)委員、お願いします。

【高橋(佳)委員】 私、農水関係の試験場の畜産が専門だったものですから、この手の類に非常にトラウマのようになっています。一番大きなのは口蹄疫のときで、宮崎で口蹄疫が発生して、偶蹄類の家畜等にはものすごい防除の問題が出たわけです。豚コレラの場合も経済的な損失という点では、農場の方を具体的にどうするかということがあるというので、かなり農水省が主体的にやっていらっしゃると思いますが、これはあくまで農場を守るという防除のレベルの対策、役割にとどまっているか、あるいは、もうちょっと積極的なやり方を農水省としても考えていらっしゃるのか、お聞きしたいということ。それと、もう既にイノシシまで入っているということは、農水省だけではどうしようもない世界だと思うんです。その中で、これは省庁横断的にかなり大きなプロジェクトとしてやらない限りは、今でさえ、どんどん感染している状況の中で、果たして防げるのかなという非常に危惧があります。

口蹄疫の場合は、幸い宮崎近辺でとどまったんですけど、これはもう間違いなく全国に広がっているわけで、かなり深刻な問題になりそうだなというのが、もう一つ。

それから、今、やはり、どんどん外国からの訪日客が多くなってきていますので、汚染国を含む不特定多数の人が、里山も含めて山の中も全て歩き回る世界ですよね。その中でウイルスを持ち込まないようにしましょうと、泥は落としてください程度のことで、果たして大丈夫なのかなというのが、非常に危惧されます。農場に入るときだったら、多分、消毒とか、石灰をまいたりとか、牧柵をつくったりとかという形があるのですけれども、その辺、具体的な提示をしないと、なかなか一般の方には浸透していかないのではないかという懸念が若干あります。

それで、豚コレラに関しては、どこの省庁が主体的にこれはやっていくという構図を考えていらっしゃるのか、その辺りをお聞きしたいと思います。

【石井委員長】 ありがとうございます。

では、磯崎委員。

【磯崎委員】 ワシントン条約関連ですけれども、トカゲモドキ属との関連で、附属書のⅢを活用するということで、はい、非常にいい施策だと思います。

その関連で、ちょっとうろ覚えで、今、手元にないんですけれども、トカゲモドキ属と同じようなイボイモリだったかな、沖縄で、同じように日本個体は入っていないものが登録されたと思うんですか、こちらのほうの対応はどうなのでしょうか。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 では、宮本委員。

【宮本委員】 豚コレラについて伺いたいと思います。経口ワクチンの散布をやっているということなんですけれども、野生イノシシについて経口ワクチンを広域に散布することによって、国の中、日本国内、あるいは外国でも封じ込めに成功した例というのはこれまでにあるのか、どのぐらい効果があるものなのかということについてご教授いただきたいと思います。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 では、小菅委員、お願いします。

【小菅委員】 コツメカワウソがCITESでⅡからⅠへ引き上げられたということを聞いたんですが、その際、新聞の報道なんですけども、日本は引き上げることに反対したというふうに書いてあったんですけども、その辺の事情について教えていただければと思います。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 では、小泉委員、お願いします。

【小泉委員】 豚コレラに関してですが、野生イノシシの捕獲強化というのが環境省の対応になるわけですけれども、ウイルスが付着したものが移動することを防止するということが大事なのではないかと思います。野生イノシシの捕獲に関わった人、車、それから、捕獲個体が移動することによってウイルスが広がらないようにしなければいけないと思います。さきほど高橋(佳)委員のほうからも指摘がありましたけれども、この辺の拡散防止と消毒体制に環境省はどういうふうに関わるのかについて教えていただきたいと思います。

【石井委員長】 ほかの委員、いかがでしょうか。

私からも1点質問ですけれど、素人の質問で恐縮ですが、アフリカ豚コレラと豚コレラは、どれほど違うのかということと、多分、アフリカ豚コレラはかなり恐れられていると聞いていますので、その対策はどんなふうにお考えなのかという点をお聞きしたいと思います。

では、他になければ、とりあえずここのところまでお願いします。

【説明者】 それでは、先にワシントン条約関係のご質問から答えさせていただければと思います。

 磯崎委員のほうからイボイモリについてご指摘をいただきました。ありがとうございます。おっしゃるとおり、イボイモリにつきましても、日本の国内希少種に指定されておりますものと同属のものが中国の個体群については附属書Ⅱに掲載されたという状況になっております。ご説明の際、省略させていただいてしまいましたけれども、トカゲモドキ同様附属書Ⅲの掲載を考えていきたいということで事務的な作業を進めているところでございます。

それから、小菅委員のほうからコツメカワウソに対しての日本の対応ということでご質問をいただきました。科学的なクライテリアで見ますと、ちょっとコツメカワウソの生息状況が附属書Ⅰに合致するかというと、実はそこまでの状況ではないという認識を持っておりまして、事務局も事前に各提案に対してのスタンスというものを発表しておるのですけれども、それにおいても附属書Ⅰに掲載する根拠にはなっていないのではないかというような状況でございました。そういった、何らか背景があってというは、クライテリアに合致するかしないかというところを考えた際に、そこは該当するような状況にはないだろうという判断をしまして、日本としては反対の立場をとったという状況になっております。

一方で、国際的な合意のもとで附属書Ⅰということが決定いたしましたので、これに対してはしっかりと国内法の改正も含めて対応していきたいと考えております。

【石井委員長】 今のところは、ワシントン条約関係なので、石井信夫委員、何か補足はありますか。

【石井(信)委員】 コツメカワウソについては、今、説明していただいたことで大体いいんですけれども、もう少し言いますと、ワシントン条約のベースにある考え方というのは、例えば個体数が非常に少なくなって絶滅のおそれが高いので、商業取引の対象にはできないので禁止するということですね。コツメカワウソの生息状況ついては、減少しているという報告はあるんですが、分布域もまだ広くて、個体数については調査が難しいので全然わかっていないんですけれども、絶滅のおそれが種全体として高くなっているという証拠はないということが、Ⅰに掲載するのは不適切であるということの根拠になっています。

 最近のワシントン条約の傾向として、絶滅のおそれがそんなに高くなくても、特にコツメカワウソの場合など、ペットとして個人が飼育するような対象としては適当でないというような、生物学的な根拠に基づいて附属書掲載を判断するというよりは、そういう何か、そもそもペットに向いているのかとか、そっちの考え方の影響が強くて、環境団体によっては、そちらのほうを強く主張するということに多くの締約国が賛同したということで、生物学的な根拠はないけれども、もう禁止してしまおうということになったというのが実際の結果だというふうに私は解釈しています。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 では、続けて、事務局のご回答をお願いします。

【川越鳥獣保護管理室長】 では、豚コレラの関連に関して回答させていただきます。

 高橋(佳)委員からご意見がございました、まず、どこの省庁が主体かというところから少し入りますが、こちらは家畜伝染病予防法に基づく疾病に指定されておりますので、省庁としては農林水産省が家畜伝染病予防法に基づき主体となって取り組むということになろうかと思います。

 省庁横断的にやっていくべきではないかという点についても、まさにご指摘のとおりでございまして、先般も関係閣僚会議が開催されるなどしておりまして、農水省のほか環境省、あと官邸も含めて、今、横断的に作業をしておりまして、自衛隊等にも、今、ご協力をいただきながらやっていこうというような形になってございます。

あと、農場を守るだけの部分でサポートしているのかどうかというようなお話がございましたが、農水省がこちらの主体となりますが、当然、今、豚に関しては殺処分等もされておりますので、そういったものに対する補償ですとか、そういった部分でも農水省のほうで、今、対応をしていただいているところでございます。

あと、里山に入ったら泥を落とすだけで大丈夫かというのは、それはそれだけではやはり大丈夫ではなく、当然、流通の規制ですとか、狩猟の規制、さらには全体としての消毒を含めた防疫体制というものが必要かと思いますが、我々のほうでは、やはり、総合的にやっていくにしても、一般の方もできることということで、先ほど、靴の泥ぐらいは最低落としてください、ということでご説明をさせていただきましたが、やはり、防疫措置というものは、いろいろな可能性というものを考え、総合的に対策をしていくということが必要だというのはご指摘のとおりだというふうに考えてございます。

あと、宮本委員からいただきました経口ワクチンの散布によって封じ込めができた例があるかということですが、今使っている経口ワクチンはドイツから輸入しているものなんですが、ドイツのほうで一応封じ込めたという実例がございます。ただし、その際もたしか20年近く散布をして、その結果、ようやく封じ込めたというようなことですので、やはり、我が国においても、かなりの年数、そういったものをまいて、かつ密度も下げてというようなことを一緒に取り組みしていかなければいけませんし、ある程度の年数というものを要するのではないかというふうに考えてございます。

あと、小泉委員からご意見をいただきましたウイルスが付着したものをどう出さないかということが大切ということにつきましては、まさにそのとおりだというふうに考えておりまして、獲ったにしても、それでウイルスをばらまいては仕方ございませんので、そういった獲った個体をいかに安全に処理をするか、さらに運搬等をする場合もございますので、そういったときは、人、車を含めて消毒というものを徹底してやっていくということでやっております。

基本的には、まず、農水省のほうで豚コレラに関する防疫指針というものをつくってございまして、その中でどう扱うかというのが書かれてございます。ただし、かなりさらっと書いているところも多いので、そういった点では、今、発生県、岐阜とか愛知などではもうつくっておりますが、各県で従事者向けの防疫措置マニュアルみたいなものをつくって、それを例えば、猟友会の方々のように捕獲に従事される方に見ていただいて、しっかりやっていただくというような形になってございます。

ただし、今はそういったマニュアルをつくっているのが岐阜、愛知等となるんですが、必ずしも、今、イノシシで感染が確認されている10県全部ではできていないという状況でございます。取り急ぎ、今、各県でつくっているようなものは関係県も含めて都道府県で共有をさせていただいておりますが、環境省としても捕獲事業を自らやってございますので、そういった捕獲事業も念頭に置きまして、環境省としての防疫措置マニュアルというものを、既存のマニュアルも含めて、今、作成をしております。今の予定ですと、11月の頭ぐらいまでには、まずバージョン1ということで完成させまして、そういったものをもとに研修なんかも捕獲者向けに実施しながら、より防疫措置というものの徹底を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

あと、石井委員長から豚コレラとアフリカ豚コレラは、どう違うのかというようなお話がございました。いずれも豚、イノシシに感染して、人には感染しないというところでは共通でございますけども、豚コレラに関して、今、国内で確認されているものについては中程度の病原性というふうに聞いておりますが、必ずしも高い致死率には至っていなくて、だらだらと生き延びてしまうようなものが多い。したがって、発生確認が速やかにできないため、まん延しているというようなことを伺っています。

あと、豚コレラに関しましては、有効なワクチンがあるんですが、アフリカ豚コレラに関しては、そういったワクチンとか治療法はないというふうになっておりますので、アフリカ豚コレラが入ってしまった場合には、まず入らないということが大事ですけれども、入った場合には、それに対して講じる対策というものが豚コレラ以上に選択肢は少ないということになります。

あと、病原性も豚コレラに比べますと、アフリカ豚コレラのほうが強いというふうに言われていますので、万が一、入ったとすると、かなり急速に広がり、致死に至る豚、イノシシというものも増える可能性があるというふうに考えてございます。

 以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございました。

大体説明していただいたと思うんですけれど、ほかに追加の質問等があったらお受けします。

神部委員、お願いします。

【神部委員】 今、伺っていて、また質問なんですけれども、豚コレラについて、ワクチンを散布ということですが、そのワクチンに関して、ほかの生き物たちへの影響や害がやはり非常に心配になるんですが、その辺りに関してはいかがでしょうか。

【石井委員長】 ほかはいかがですか。よろしいですか。

 高橋(佳)委員、お願いします。

【高橋(佳)委員】 ここで質問することじゃないのかもしれませんけれども、イノシシに限らず鳥獣害が今どんどん増えてきています。個体数が増えたことによって感染機会も増えているという仕組みはないのですか。ですから、個体をいかに管理していくかということを一方でやらなきゃいけないだろうと思うのですけども。それが一つと、今、鳥獣害対策を兼ねた地域振興を考えたときに、あちこちでジビエをやっていますよね。イノシシなどの肉をどうやって食べて経済価値をつけるか。そういうものに対する影響というのは、今回のものは考えられないのかどうか。さらに言うには、例えば、ヤンバルでもイノシシが増えていると聞いています。そういう類のところは結構コアな場所に出ていますけれども、その辺りはどうお考えになるのかなと。

【石井委員長】 豚コレラに集中していますけれども、それでは、川越室長、お願いします。

【川越鳥獣保護管理室長】 神部委員からご質問のありました、ほかの生き物への影響についてでございますけれども、先ほどドイツのものを使っているということを申し上げましたが、そのドイツの製薬会社による影響評価書をもとに影響がないということを専門家に確認していただいて、今、国内でも使っております。ただし、国内で使うと、生き物も違うので、そういったものはモニタリング、専門家によるチェックをしていきましょうということで、農水省のほうで委員会もつくってやってございますけれども、今のところ、特にそれをほかの生き物が摂取して何か死に至ったとか、何か変なことになってしまったというような例は確認はされていませんが、やはり、トウモロコシの粉でくるんだものですので、甘いにおいがして、それに熊が誘引されたり、ほかの動物が摂食しているという事例は確認をされてございます。

したがって、今、まく場合につきましても、ただ地上の中にばらばらとまくのではなくて、ちゃんと土の中に埋める、それをイノシシが掘り返して食べれば、食べたねというような形にはしてございます。ただし直接的な影響というものは、今のところ確認はされていないというふうに聞いてございます。

高橋委員からご質問のありました鳥獣が増えていることによって感染の可能性が増えているのではないかという点ですが、正直、豚コレラに関しても、平方キロ2頭ぐらいであれば感染というものはなくなってくるというふうに言われていますが、我が国においてイノシシは平方キロ10頭から20頭ぐらいの密度というものは平気でございますので、そういった点ではリスクという点では高いのかもしれませんが、その因果関係というところまで、我々としてまだ把握はできてございません。

 ただし、一方では、管理ということでイノシシ、シカに関しては2023年までに半減目標ということで、今、管理に向けた取組をしておりますので、そういったものをちゃんとやっていくということで、そういったリスクというものも減らしていくことができる可能性はあるのではないかというふうに考えています。

あと、地域振興でジビエ等をやっているところがあると思うが、その影響はどうかということで、まだ現時点でストックした肉なんかを使っている場合もあると思いますので、明らかに影響が出ているかどうかというところまで確実に把握はできておりませんが、感染確認県では、そういった捕獲したイノシシの流通というものは全部制限しておりますので、そういった点では当然供給が今失われている。それでジビエというのは基本的に地元でとれた肉を地元で加工して使うということが基本だと思いますので、今後、そういったジビエ振興に対する影響というものは出てくるというふうに考えてございます。

これらについても、今、農水省のほうとも一緒にやってございますけども、状況も確認しながら、どういったことができるのかというのを考えていく必要はあろうかというふうに考えてございます。

あと、ヤンバルのほうでもイノシシ等が増えて、リュウキュウイノシシだと思いますが、そういったものが増えているということで、そういったものに対して感染するリスクというのは、イノシシが自ら移動するだけではなくて、人とか車、そういった人的な行為によっても感染というものは拡大していくということが、今も確認されています。そういった点では必ずしも島が離れていればうつらないということではないと思いますので、まず、防疫措置、水際対策というものを豚コレラに関してもしっかりやっていくということが大切だと思いますし、個体数の管理というのは、それぞれ、今、感染していない県でもやっていただいておりますけれども、そういった中でしっかり管理をしていく。そういった中で、まだまだ十分ではないんですが、生息状況というものもできる限り把握に努めていく、これらのことをあわせてやっていくことが感染していない県でも大事ではないかというふうには考えております。

以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 それでは、高橋徹委員、それからあと、石井信夫委員もですね。では、お願いします

【高橋(徹)委員】 ご説明ありがとうございました。どうもご苦労さまでございます。

 資料の中に大日本猟友会というお話もございましたので、猟友会での理事会等でも特に岐阜県の猟友会長さん、それと愛知県の猟友会長さん、早くから豚コレラについての防疫体制についてご意見がございました。お二人とも農水省の対応の遅さ、このことについての指摘がございました。

それとワクチンについてのご説明も先ほどあったんですが、岐阜県の会長さんからは、そういったワクチンの接種が可能になるのなら、なぜもう少し早くそういったことに国として対応ができなかったのか、そういったご意見もございました。

それと、せんだって、防疫体制についても、先ほど説明があったんですが、シカについても、シカも当然移動するわけですので、シカについての菌の移動があるわけなんで、シカについても捕獲の推進をしなきゃならんのではないかなというご意見がございましたので、ご報告をしておきたいと思います。シカについての移動等々についての環境省としてのご意見があれば、お聞きをしておきたいと思います。

以上でございます。

【石井委員長】 それでは、石井信夫委員、お願いします。

【石井(信)委員】 私はコメントで、さっきコツメカワウソについて少し話をしましたけれども、ちょっと一方的な考え方だけを紹介したかなと思って、少し補足したいんですが、コツメカワウソに関しては、先ほど言いましたように、生息状況から見ると、取引に耐えられないレベルではないという事務局の専門家としての意見に日本は従ったというか、尊重したということだと思います。附属書Ⅰにしてはどうかという考え方の背景に、ペット云々ということと、もう一つはコツメカワウソについては現地での密猟とか、それから日本を舞台にして摘発があるわけですけれども、違法な密輸というようなことがあって、考え方としては、Ⅰにして商業目的の合法取引を全部禁止してしまえば、商業取引というのは全部違法な行為になるということで、違法なことが見つけやすいというような考え方もあったかと思います。

 ただ、ここからは私の個人的な意見ですけれども、附属書Ⅱでも原産国が合法的な輸出を生息状況から判断して認めたくないと思えば、輸出枠はゼロにできるんですね。それから、密輸とか密猟の実態についても非常に情報が不足していて、事例数を見ると、そんなにひどく多いわけでもなく、もう少し実態を把握して、コツメカワウソの保全という観点からできることはあるのではないか、いきなりⅠにするのは少し乱暴ではないかというふうに個人的には思いました。

それで、ただ、Ⅰになった場合は、日本国内でも取引とか譲渡の場合には全部登録が必要になるわけで、そのことによる違法行為の抑制効果はあるかもしれません。そういうことと、あとは附属書Ⅰになったということを通じて、現地でのコツメカワウソの生息状況の改善とか保全にどういう効果が実際出てくるのか、附属書Ⅰにしたことで効果が上がったのか、あるいは全然関係なかったのかということをこれから注意深く見ていくのが、とても重要だと思います。

以上です。

【石井委員長】 ありがとうございました。

そうしましたら、1点、シカについて菌の移動、菌ではなくウイルスですかね。その移動について環境省の見解をということですので、よろしくお願いします。

【川越鳥獣保護管理室長】 ありがとうございます。先日も愛知県、岐阜県の猟友会長さんにはお話を聞く機会がありまして、いろいろご指導いただいてきたところでございます。

 今、ご意見のございましたシカに関しても捕獲を推進すべきではないか、環境省としての意見を聞かせてほしいということだったかと思います。ウイルスが付着して運ぶ可能性としては、当然、シカもヌタ場なんかを通れば、ついたものを運ぶ可能性はあると思いますが、それは実はシカに限らず、小動物、ネズミ等も含めて可能性があるというふうに考えておりますし、現にこれまでの養豚場での感染事例において、疫学チームの調査によりますと、そういったネズミ等の小動物による可能性というものも幾つかの事例で確認はされているところでして、実は動物全般に関してそういった可能性はあるのではないかというふうに考えてございます。

そういったときに、シカに限らずなんですが、イノシシにつきましてはまさに感染を自らイノシシがして、それがウイルス供給源となって、さらにばらまくというところで、今、捕獲というものをしているんですが、シカも含めて、ほかの動物まで全部というわけにはなかなかいかないものですから、シカに関しては特に豚コレラ対策ということで捕獲強化ということを今していく予定はないのですが、もともとイノシシとシカに関しては、2023年までに半減目標として2011年比で半分の生息数にしていこうということで、今、捕獲強化を進めておりますので、そういった一環の中でシカに関しても捕獲強化というものを引き続きやっていきたいというふうに考えています。

ただし、そういった際に、当然シカにもウイルスがついている、シカをとるときにも立ち入ったりするというようなことも考えて、シカの捕獲に当たっても防疫措置というものをちゃんとして、決して、せっかく獲っていただいた方々が自らウイルスを持ち出すようなことはしない、シカから出ていくようなことはしないというようなことはしっかり徹底して、捕獲強化というものをシカについて進めていきたいというふうに考えているところです。

以上です。

【石井委員長】 どうもありがとうございました。

 いかがでしょうか、今日はゆったり目にやらせていただきました。珍しく時間に余裕がある会議だったかなと思います。

それでは、委員の皆さんから、これ以外のご意見等がなければ、そろそろ閉会とさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 では、最後に、白石審議官よりご挨拶いただければと思います。よろしくお願いします。

【白石審議官】 本日はさまざまな観点からご審議、ご助言いただきまして、誠にありがとうございました。

 最初の議題でございます鳥獣保護区の指定につきましては、細かい文言につきましては、後刻、小委員長にも諮りながら手続を進めさせていただきたいと思います。基本的には事務局の原案のとおり、文言の調整はございますけれども、おまとめいただきましたので、今後、事務局におきまして答申案としてしかるべき手続を進めさせていただきたいというふうに考えてございます。

それから、思ったよりもたくさん豚コレラにつきましてもご意見を頂戴いたしましたし、我々も引き続き農林水産省と協力して、野生イノシシ対策その他できることを進めてまいりたいなと思ってございます。

ワシントン条約等につきましても、貴重なご指摘、ありがとうございました。

ということで、すみません、また、引き続き野生生物対策ということで、我々の市民生活にもかなり影響があるということがございますので、気を引き締めて進めてまいります。

 本日は、誠にありがとうございました。

【石井委員長】 それでは、以上をもちまして、本日の委員会は閉会といたします。皆さん、お疲れさまでした。