中央環境審議会 自然環境部会 野生生物小委員会 第20回議事録

日時

 平成30年10月2日(火) 14:00~16:01

場所

 環境省第2・3会議室

出席者

(委員長)

石井 実

(臨時委員) 尾崎 清明 小泉  透 小菅 正夫
宮本 旬子
(専門委員) 磯崎 博司 神部 としえ 桜井 泰憲
高橋 佳孝 広田 純一 福田 珠子
(環境省) 正田自然環境局長
永島総務課長
堀上野生生物課長
西山鳥獣保護管理室長
番匠希少種保全推進室長
北橋外来生物対策室長

議事

【事務局】 予定の時刻になりましたので、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会を開催させていただきます。

 本日、所属の委員・臨時委員9名のうち5名の出席をいただいておりますので、中央環境審議会議事運営規則による定足数を満たしており、委員会は成立しております。

 なお、広田専門委員は遅れて到着される旨ご連絡を受けております。ご了承ください。

 続きまして、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。

 資料の議事次第の裏面に配付資料一覧という資料がございます。こちらのとおり、お手元の資料、議事1の資料、2の資料、3の資料とございまして、それぞれ1の資料に関しましては、資料1-1のから資料1-3の3種類、参考資料1-1から3までの3種類。議事2に関しましては、資料2-1から資料2-10、参考資料2-1と2-2。それから議事3に関しましては、資料3-1から資料3-4までとなっております。

 資料に不備がございましたら、事務局にお申し出ください。

 前回の委員会以降、人事異動により自然環境局長が亀澤から正田へ交代しましたので、ご紹介申し上げます。

 局長の正田より、ご挨拶を申し上げます。

【正田自然環境局長】 本年7月の異動によりまして自然環境局長を拝命いたしました正田でございます。本日までご挨拶が遅れまして、大変申し訳ございません。亀澤前局長同様、今後とも先生方からご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 また、本日は当審議会にご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。本日の議題でございますが、議事次第にございますように諮問案件が2件、その他といたしまして報告案件が4件となってございます。

 一つ目の諮問案件でございますが、えりも地域ゼニガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画に係る計画期間の延長についてお諮りするものでございます。本計画につきましては、平成27年度に策定に関しましてご審議をいただき、平成28年度から3年間の計画期間として運用をしております。当初の予定でございましたが、今年度中に来年度からの第2期計画に向けた改定作業が必要になりますが、後ほどご説明いたしますが、昨年、一昨年とサケ類が記録的な不漁となってございまして、このため同計画による漁業被害軽減対策に係る効果が十分に検証できない状況でございます。このため、必要なデータを収集した上で、対策結果等を評価して、これを持って見直し等を行って第2期計画に臨むと、このために現行の計画を1年間延長したいということをお諮りするものでございます。

 二つ目の諮問案件でございますが、国指定鳥獣保護区の指定等及び同特別保護地区の指定についてでございます。これは今月末に存続期間が終了いたします釧路湿原、小佐渡東部、浜甲子園、霧島、仲の神島特別保護地区の再指定のほか、釧路湿原及び小佐渡東部鳥獣保護については区域を拡張いたします。また、葛西沖三枚洲鳥獣保護区を新規に指定いたします。これらについてお諮りするものでございます。報告案件といたしましては、池間鳥獣保護区での鳥獣保護管理法に基づく保全事業の実施、ラムサール条約締約国会議COP13の開催に合わせた湿地の登録、トキの提供、認定希少種保全動植物園等の状況、これらにつきまして、それぞれご報告をするものでございます。

 本日お願いする案件は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

【事務局】 それでは、この後の議事進行につきましては石井委員長にお願いいたします。

【石井委員長】 そうしましたら皆さん、こんにちは。石井でございます。お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

 台風がよく来て交通機関が止まる中、今日の開催ができたので本当によかったと思っております。

 それでは早速ですけれども、議事に入らせていただきたいと思います。

 本日の議題ですけれども、先ほど局長から紹介がありましたように、諮問案件が2件、それから報告案件が4件となっています。

 では最初、一番目の議題ですけれども、審議案件のえりも地域ゼニガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画に係る計画期間の延長について、まず内容の説明を事務局からお願いいたします。

【説明者】 環境省鳥獣保管室の鎌田と申します。私から議事1について、ご説明をさせていただきたいと思います。

 まず、本日のこのゼニガタアザラシの希少鳥獣管理計画の延長についてですけれども、こちらの計画については先ほど挨拶でもありましたように、27年度に一度ご議論いただいて、28年度から計画運用を開始させていただいております。こちらのほうは少し時間が経っていることもありますので、まず、希少鳥獣管理計画がどのような背景から策定されたかというところもあわせまして、今回延長理由をご説明させていただきます。

 まず、ゼニガタアザラシは、太平洋・大西洋の北部沿岸に広く分布している種で、北海道に生息する亜種はアリューシャン列島から襟裳岬の沿岸に分布しております。こちらは生態としては1年中沿岸地域に生息しておりまして、岩礁上で出産しております。今回計画の対象地域になる襟裳岬というのは、北海道における主要な繁殖場になっております。主にミズダコやスルメイカや沿岸の底生魚類を捕食しております。

 生息状況については、1940年代、推計で1,500頭程度いたのではないかと言われており、乱獲や沿岸生息環境の悪化により、1970年代は400頭未満に数を減らしたと推測されております。近年は上陸数も増えておりまして、生息環境が回復してきているところです。

 また、襟裳岬の最大上陸頭数というところで、1970年代に大体150頭が上陸ということで、こちらは一番数が少なかったのではないかと言われるときです。現在は400~600頭襟裳岬のほうで上陸頭数が確認されているので、推定生息数としては概ね1,000頭程度はいるのではないかというような推定がされております。

 これがこの管理計画を策定する上での背景になるところですけれども、数を減らしたものが順調に回復しているところではありますが、それに伴い、漁業被害が発生しており、えりも地域においてゼニガタアザラシと漁業の共存というところで軋轢が生じているところであります。

 このゼニガタアザラシの保護管理の動きというところで、こういった生息数が回復してきて、また漁業との軋轢が生じてきているというところで、その生息数というのは回復してきたという傾向は当時確認されていたのですけれども、それを科学的に評価しようということで、1970年代から調査・天然記念物に向けた活動がされておりまして、1980年代、ゼニガタアザラシ研究グループによる調査が開始されて、2000年代、東京農大・環境省等による調査、試験捕獲の動きというように、科学的なデータというのが積み重ねられてきたところであります。もう一つ地域における活動というので、さまざまな民間団体、ボランティア団体等がえりものゼニガタアザラシの調査についてご協力していただいてきたところです。

 こちら、存続可能性を科学的に評価しようというところで、現在はゼニガタアザラシ科学委員会というものがあります。こちらは積み重なってきたデータを用いて個体群のシミュレーションを実施し、1974年以降の長期的な個体数観測や近年の詳細な個体数調査、またヘリセンサスや発信機を用いた調査等を含めますと、リスク評価のシミュレーションによりえりも地域の個体群は疫病の発生等不確実性を考慮しても、今後100年間における絶滅確率が10%以上にはならないということが示されました。これが絶滅危惧Ⅱ類の評価基準になります。こちらのデータをもとに平成27年に開催されたレッドリスト検討委員会で絶滅危険度の再評価がされておりまして、その当時までは絶滅危惧ⅠA類に選定されていたところですけれども、準絶滅危惧という再整理がされたところです。

 そもそも希少鳥獣というものですけれども、基本的に鳥獣保護管理法では対象種、全ての捕獲を基本的に規制しております。ただ、一方で許可捕獲というものがありまして、その希少鳥獣については許可権限者が通常であれば都道府県知事、市町村というところですけれども、国が許可権者なります。よって、例えばゼニガタアザラシを捕獲する場合は、より慎重に捕獲について検討する必要がある種というような形でイメージしていただければと思います。

 平成14年の法改正により希少鳥獣という枠ができまして、この際にえりも地域のゼニガタアザラシは希少鳥獣に指定されました。その後、平成26年の法改正で特定希少鳥獣管理計画制度というものが創出されました。こちらですが、希少鳥獣というのは本来捕獲に対して、今もそうですけれども、慎重に検討しなければいけない。そもそも捕獲ということに慎重にならなければいけないというところはありますけれども、一部地域において甚大な被害が発生しているというところで、そういった人の生業と希少鳥獣の共存を図る観点で管理計画を定めなければいけないというところで、希少鳥獣に指定されていますけれども、特定の地域でそういった管理の施策を進めなければならないという際に策定される計画であります。

 えりも地域で生息数の回復に伴って漁業被害というものが発生している経緯を踏まえまして、えりも地域限定でゼニガタアザラシの管理計画を策定させていただいたというところです。

 本来であれば準絶滅危惧という形になるので、希少鳥獣に指定するかしないというような議論もありますけれども、ゼニガタアザラシについては、やはりまだ十分な管理手法というのが確立されていないというような観点も含めまして、準絶滅危惧というようなランクの選定ではありますけれども、こちらはまだ希少鳥獣に残してこのような管理計画を策定して管理をさせていただいているところです。

 こちら、この希少鳥獣関係計画と実はその前に任意計画がありまして、管理計画も含めてどういった計画に、具体的にどういったものを実施しているかということを説明させていただきたいと思います。まず、前段の任意計画も現期間の特定希少鳥獣管理計画でも、目的としてはえりも地域におけるゼニガタアザラシの個体群と漁業を含む地域社会の共存というような目的で各施策を実施させていただいています。

 基本的に主に三つの対策・施策を実施させていただいておりまして、まずは個体群の管理ということで、前段の任意計画の際には先ほどご説明させていただいたように、まず集まっていた科学的なデータに基づいて、当時のゼニガタアザラシというのが個体群の状況、存続可能性も含めてどれくらいの状態にあるのかというのを科学的なデータを収集して評価させていただいたところです。

 一方で現計画、特定希少鳥獣管理計画では、具体的に持続可能な個体群の維持、一方で個体群を維持していくという観点ともう一つ被害を軽減するために被害軽減に向けて捕獲を開始していこうというところで、この希少鳥獣管理計画からは捕獲を実施しております。

 この捕獲という考え方ですけれども、大前提としてはやはり個体群の維持ということで、安定的に個体群を維持させなければいけないので、そこは推定生息数の8割の個体群を縮小させるというような計画で必要な捕獲数のほうを算定して、捕獲をして、科学的に評価をして、今後個体群が8割に個体数を縮小させるということともに、個体群が維持していくような形で管理捕獲を実施しております。

 もう一つ、防除というところで、管理、捕獲だけではなく、防除というのも被害を軽減するために大切な取り組みであることから、まずはゼニガタアザラシの現地での被害はといいますと、海底に設置されている定置網というところにサケが入りますけれども、その網にアザラシも入ってしまって、その網に入ったサケを食べてしまうというのが漁業被害ですけれども、一つはアザラシが入りにくい網というものを開発しております。それを実際に試してみて、評価をしているというのが一つの被害防除の取組であります。

 もう一つ、忌避音波の検討というところで、アザラシが嫌がるような音波装置を海底に設置して寄せつけないというような取組をしております。

 もう一つは、やはり被害というのは全くゼロにするというのは難しいので、アザラシの生息に関する情報の収集はもちろんのこと、観光や教育の活用等、地域社会、アザラシ、どういうふうに関わりをもっていくかということも同時に検討しております。

 このように前段の任意計画から現在の特定希少鳥獣管理計画まで、えりも地域におけるゼニガタ個体群の漁業を含む地域社会の共存という目的を達成するために、個体群管理、被害防除、生息環境・地域社会、これら三つの施策を実施しているところです。

 こちらが特定希少鳥獣管理計画、今の計画の策定に至る背景というところですけれども、こちらは平成27年度にご議論していただき、平成28年度から3年間の計画というところで実施させていただきました。当時、この3年間という計画の期間ですけれども、通常、鳥獣の管理計画というのは5年というものがスタンダードなところではあるのですけれども、やはりまだ防除手法が確立されていないことであったり、1期計画というところもあったので、そこを3年という通常よりも短い期間に設定させていただきました。よって、28、29、30の計画となっております。

 こちらですけれども、本来であれば今年に2期計画に向けた議論を行い、平成31年度から2期計画を開始させていただくところですけれども、先ほどご挨拶でも説明させていただきましたが、参考資料の1-2の18ページをご覧いただければと思います。

 こちらは図16となっておりまして、えりも地域における定置網の被害状況というところで漁獲日数と被害日数が記載されております。簡単に申しますと、16、17が記録的な不漁というところで、数字上は減っているところですけれども、それが網に入る絶対数の魚が少なくなっているので、見かけ上被害が軽減されているのか、それともきちんと対策に効果があったのでこれらの数が減っているのかというところで、正確な評価がしづらい状況であります。こちらとしては2期計画を策定する際には、やはり個体数を削減させたことによって、具体的に、どれくらい被害が客観的に少なくなったかというような明確な数値根拠ともう一つ、やはり地元における被害の感情といいますか、どれくらい被害を許容できるか、調整できるかというようなところをあわせて2期計画の目標や進め方というのを策定・検討していきたいと考えております。

 そのような形で、やはり正確な漁業被害の軽減効果というデータが欲しいところではあるのですけれども、やはり記録的な不漁というようなところもありまして、今十分な情報が集まっていない状況であります。

 そういった十分なデータが集まっていない状況ということもある中で、やはり試行的に3年間という当初の計画の策定期間があったので、やはりずるずると漁業被害のデータが集まるまで何も検討しないというようなことは、やはりそれもまた問題ではあるので、そういった形で十分なデータを集めるというところと、早急に2期計画というのを議論・検討するため、まずは1年間というような延長というところで、今回計画の1年間延長というところで諮問させていただいたところです。

 こちらとしては、まず1年間計画期間を延長させていただき、今年度まで集まったデータをもって現地に協議会がありますので、そういったところと科学的に、客観的にどれくらい漁業被害が削減されたかというところをもって2期計画の目標というところも踏まえて、こちら計画のほうを検討させていただき、来年度また野生小委で新しい2期計画についてご議論させていただければと考えております。

 説明は以上となります。

【石井委員長】 どうもご説明ありがとうございました。

 ということで今回は1年延長するということでございます。皆さんからご意見を伺いますけれども、まずは科学委員会に参加されている桜井委員からコメントがあったらお願いできればと思います。よろしくお願いします。

【桜井委員】 私、えりものゼニガタアザラシについて、かれこれ10年くらい関わっていますけれども、まず一つ説明したいのは、参考資料1-2の2ページ目をご覧になっていただきたいのですが、ここの定置網というのは、えりもの岬のところにこういう網がかかっていますが、大事な点は漁業者がアザラシを殺したくないということで、最後の金庫網は沈んでいないですね、つまりこの網の中に入ったとしても、アザラシは生きているという状態で、なんとか共存したいという漁業者の願いがあります。そこで、これが一個今ここにありますように、菱目の格子網がありますけれども、これを使いますとサケは入るけれども、アザラシが入らないという形でサケに被害が出ないように、アザラシも入らないように、この工夫を今繰り返しております。

 それから、もう一点は、細かいデータは別にしまして、次に6ページに忌避装置ということで、水中で音を出してアザラシが網に近づかないようにしようということもやっております。これも多少効果がありますけれども、やはり慣れるということで、非常に苦労しております。

 それから8ページ。これが一番重要ですけれども、現在31年度の計画でも個体数は約140程度になっていますけれども、ヒグマと同じようにこの網の中に入ってサケを食べて、それで逃げてしまう。いわゆる非常に賢いアザラシがいまして、カメラをつけてみますと同じ個体が1日に何回も出入りしていると。船が近づくと逃げていくということで、そういった網についたアザラシをこらしめようということで、このような形、特に下の方の網ですけれども、中にすっと入ったら外に出られないという形で、一番被害を与える個体だけを間引こうというやり方も考えております。つまり、個体数だけではなくて、被害を出すアザラシをこらしめようという形で、今徐々に徐々にこういうことをやっております。こういう方法は漁業者もやはりアザラシと共存したいという意志が強いので、個体数を減らすというだけではなくて、漁業が存続しながらアザラシもやはり観光資源としてえりものシンボルですから、これを維持したいという中で考えております。

 あと、先ほど少し紹介がありましたが、サケが捕れないという話があります。これは18ページ、この原因は実ははっきりしていまして、2016年、17年ですから、これは2013年、2014年に海に降りたサケが海の水温が低過ぎて生き残れなくて、北洋から帰ってきたサケが戻ってこなかった。昨年はご存じのようにイクラが1個5円までに上がってしまったと。今予測していますけど、2015年以降は春の水温が上がりまして、今年も3歳、4歳の魚が去年の1.8倍くらい帰ってきています。ですから、もう少しサケがたくさん捕れるような状況の中で被害防除ができるかということをもう一度検証したいというのが平成31年度の結果です。

 途中でそういう個体数の管理の中で被害を与える個体を適正に間引くことができるようになれば、個体数管理の考え方もまたもう一度変わってくると思います。いずれにしても、順応的にかつ科学委員会等が機能して、地元とも協議して最善の方法を考えております。絶滅させてはいけませんので、それを前提にやっております。

 以上です。

【石井委員長】 どうもご説明ありがとうございました。そうしましたら、委員の皆さんからご意見、ご質問があったら受けたいと思います。いつものように名札を立てていただいて、順番に私から指名させていただきたいと思います。

 私も2、3年前に現地へ行かせていただきました。漁業者のお怒りは相当なものでして、私もこの委員長をやっている立場でいろいろ説明しましたけれども、どうしてもサケが金庫網の中に入って、そうしてサケを食べたい放題食べて逃げていくというのがよくないと。それで、先ほど桜井委員から説明があったようなさまざまな取組を今やっているところです。その効果を試しているところですけれど、残念なことに18ページにあるように、海温が低かったというような桜井委員の説明ですけれども、2013年、14年の放流個体が戻ってくる個体数がすごく少なくなってしまったようです。サンプルサイズが少ないために、絶対数の被害数は減ったのにもかかわらず、被害割合というようなグラフが右肩上がりになってしまっているということで、これはもう少しいろいろ調査を繰り返さなければいけないのかなということで、今回のご提案かなと思っております。

 何かご質問等があったらお願いいたします。

 では、高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】 専門でないので全くわからないのですけど、漁業者の方と一緒にやられているってすごいことだなと思います。漁業者にとっての問題というのは、網の中に入ることだけでしょうか。あるいは、それ以外にもたくさん問題があるのかどうか。それから、協議会というのをつくっていらっしゃるという話でしたので、その中には漁業団体、関係者、ほとんど全てが入っていらっしゃるのかどうかということ。それから、絶滅の危険度が今は10%以上にはならないだろうというお話だったような気がするのですけれども、例えばアザラシ自身、えりもだけじゃなくてよその国にもいるのかもしれないですけど、そういう関係もあろうかと思うのですけれども、例えば存続可能な個体数みたいなものがはっきりしているのかどうか、あるいは単に絶滅確率から比較的安全だろうと判断されているのか、その辺りはわかりますでしょうか。

【石井委員長】 意見は全部聞いてからにしたいと思いますけれども、ほかの委員の皆さんは特によろしいでしょうか。高橋委員が代表質問したような形になっていますけど、大体言い尽くしているところでしょうか。

 そうしましたら、事務局あるいは桜井先生から説明いただければと思います。

【桜井委員】 まずサケが入った網の件ですね。これについては、やはり漁業者としては入る魚が少なくなるとよく見えます。特に、ここのアザラシの特徴は頭を食べます。どうも頭を食べているのは子どもの幼獣らしくて、親は外で見ていて、魚を捕る練習をさせているような感じです。先ほど言った大きいのは中に入ってサケを丸ごと食べて出てきちゃいますので、跡形もなく無いです。カメラを入れておくと、そういう大きいのが入っているとわかりました。ということで、やはりいたずらをするやつはこらしめようというのが私の考え方ですね。これは漁業者も理解をしています。

 あと、格子網をつけてサケが入る、それからアザラシが入らないというのも映像を撮りまして、漁業者にお見せして、最初は漁業者も嫌がりました。こんなものをつけたら魚は入らないということで。でも、それを見せることによって漁業者が理解して、ああ、こういうものだということで、今は積極的に自分たちでつけるようになった。そういう工夫を始めたという。

 それから、地域の協議会ですけど、これは漁業者も観光協会の方も全部入って、実は私が会長をやっていまして、1年に2回行きますけれども、現状、特に海の環境の現状とか、魚の現状とかが、アザラシがどうなっているかということを説明しながら、膝詰談判で話をするという方式を採っております。

 それから、ゼニガタの位置づけですけれども、このゼニガタアザラシというのは、唯一国内で繁殖するアザラシです。あとのアザラシは全部氷の上で繁殖しているもので、たまたま流氷が北にいるというタイプです。ですから、非常に貴重なアザラシです。まずこれが一つですね。

 それから、あとは道北でゴマフアザラシが非常に増えておりますが、こちらはロシアから来て、餌を食べてまた帰るというタイプです。

 それから、個体数管理については、かなり専門の方も入ってやっております。ただ、一つの問題点としては、年齢分析とかそういった部分で標本の中ではとらえ切れない、それから、ご存じのようにえりもというのが結構ガスがかかるものですから、全個体を網羅して全て測って何頭というのはできないので、どうしても目視とか、それからいわゆる上空から見た部分の中で、見えている部分の割合を推定しながら全個体数を吸い出せるということで、そこは若干ちょっと推定がありますので、ですから先ほど紹介しましたように、次年度この個体数管理をする場合にも、途中での調整ですね、順応的に調整するという手法は絶対外してはいけないと思っております。

 以上でよろしいですか。

【高橋委員】 はい。

【石井委員長】 事務局から何か補足はありますでしょうか。

【説明者】 大丈夫です。

【石井委員長】 わかりました。では、ほかはいかがでしょうか。では磯崎委員。

【磯崎委員】 先ほど、サケの漁獲量の減少との関わりが説明されたのですが、1年のばしただけで、科学的に立証できるような形になるのかどうか、例えば1年ではなくて、2年間さらに必要かどうかという、その辺の1年のばせば科学的なデータができるという、その判断について知らせてほしいのと、あともう一点ですが、この参考資料1-2の18ページのグラフで見ると、黄緑色の線ですが、右側の率で見てもせいぜい2%から5%の間、増えたといっても5%くらいなのですね。実際に漁業者の方、あるいは漁業をしている方たちとのこの協議会の場で、この割合というのがどの程度のパーセンテージだったら受入可能であるというような、そういう数字というのは出ているのでしょうか。その数字と比べて、2%が5%に増えているというのが、どの程度の重みがあるのか、そういうことがわかるのでしたら教えてください。

【石井委員長】 そうしたら事務局または桜井委員、お願いします。

【説明者】 こちら1年間延長させていただいて、確かに十分なデータはそろわないというところは、こちらも承知しているところですけれど、そういった不確実性なところを踏まえて、2期計画というのは議論する必要があると考えております。そういった形で、データも少ないという中で次の計画の計画期間であったり、その際こちらの対策ですけれども、まずは特定計画というような中期的な目標というものを立てた上で、実施計画という単年度の計画も策定しております。なので、大まかな中期計画の中で毎年数字というものを実施計画という中で見直して評価して、次の翌年度の実施計画に反映させておりますので、そこは今後中期的な目標というのは、今年度1年間延長させていただいて見直し、ただ、その評価というのは毎年数字を更新して次の計画に評価させていただく形をとっております。

 もう一つ、割合というところでどこまで被害数が許容できるかというところですけれども、こちらは今そういったものを来年度以降議論するためにも、現地において漁業者の方へのアンケートを実施するというところを検討しております。こちらについてまずアンケートを実施させていただいて、そういったものを取りまとめて来年度以降被害防除による効果と、そういったアンケートから得られたデータというところをもって具体的にどういった目標にしていくかというところを検討していきたいと考えております。

【石井委員長】 桜井先生、何かございますか。

【桜井委員】 特に大丈夫です。

【石井委員長】 はい。本当は次の計画に移りたいところを今回は1年というような説明だと思います。

 それでは、ほかになければ時間も押してまいりましたので、この議題についてお諮りしたいと思います。1年間この計画を延長するということでございますけれども、事務局案のとおり適当と認めてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【石井委員長】 ありがとうございます。ご賛同いただいたと思います。

 適当と認めたいと思います。

 今後、事務局において部会長に結果を説明させていただき、中央環境審議会会長に報告することといたします。

 それでは、次の議題でございます。国指定鳥獣保護区の指定等及び同特別保護区の指定についてということで、まず事務局からご説明をお願いいたします。

【説明者】 野生生物課の篠崎と申します。座って説明させていただきます。

 お手元の資料ですけれども、諮問案件として本日9件ございまして、資料2-2から2-10となります。説明は参考資料2-1で行います。こちらは前のスクリーンに映して説明させていただきます。

 まず、鳥獣保護区の制度について説明いたします。国指定鳥獣保護区は鳥獣保護管理法に基づきまして、環境大臣が指定する区域です。国際的、全国的な鳥獣の保護の見地から重要と認める区域を鳥獣保護区として指定しておりまして、鳥獣保護区内については原則狩猟が禁止されております。存続期間については、法律で20年以内を限度に存続できるということになっております。

 鳥獣保護区の中で特に鳥獣の保護、または生息地の保護を図るために必要があると認める区域を特別保護地区として指定することができまして、この区域内では狩猟の禁止のほか、工作の新築、水面の埋め立て、干拓、木竹の伐採という行為が規制されることになっております。

 次に国が指定する場合の鳥獣保護区の指定区分ですが、四つありまして大規模生息地、集団渡来地、集団繁殖地、希少鳥獣生息地ということになっております。

 現在の鳥獣保護区の指定状況ですけれども、北はサロベツから南は与那国島まで全国85箇所が指定されている状況です。

 鳥獣保護区の指定案は自治体、利害関係人との調整を元に作成し、この指定案について公告縦覧、パブリックコメント、公聴会を開催し、中央環境審議会へ審問することとなっておりまして、諮問後、官報告示をし、指定することとなっております。

 今回の諮問対象は鳥獣保護区の新規指定が1件、変更が2件、特別保護地区の新規指定が1件、再指定が5件となっております。

 こちらの赤で示している鳥獣保護区が今回諮問する対象でして、釧路湿原鳥獣保護区、小佐渡東部鳥獣保護区、浜甲子園特別保護地区、霧島、仲の神島で、新規指定として葛西沖三枚洲鳥獣保護区の6カ所で、諮問対象としては9件となります。新規指定の葛西沖三枚洲鳥獣保護区以外につきましては、今年10月31日に存続期間が満了となりますので、必要な変更を行って更新と再指定を行うものです。

 赤字が前回の指定と変更する部分となりますが、釧路湿原鳥獣保護区につきましては、鳥獣保護区と特別保護地区の区域を拡張いたします。小佐渡東部鳥獣保護区につきましても、区域を拡張いたします。小佐渡東部鳥獣保護区、浜甲子園鳥獣保護区につきましては、前回の指定よりも存続期間を延長して、今回存続期間を設定しております。

 今回は新規指定と区域拡張があるため、指定後につきましては、鳥獣保護区は85箇所から86箇所、特別保護地区は70箇所から71箇所となりまして、面積もそれぞれ増えることとなっております。それでは、それぞれの鳥獣保護区について説明いたします。

まず釧路湿原鳥獣保護区ですが、こちらは区域拡張をし、特別保護地区を再指定いたします。釧路湿原鳥獣保護区は北海道の東部に位置する釧路湿原でして、主にタンチョウを対象とした希少鳥獣生息地の保護区として鳥獣保護区を指定しております。

 今回、鳥獣保護区の存続期間を更新するタイミングで鳥獣保護区を5,815ha、特別保護地区を2,895ha拡張することとしていまして、この図の赤い斜線の部分が特別保護地区です。わかりにくいのですが、こちらは点線よりも外側の部分が今回拡張する部分となっております。

 釧路湿原鳥獣保護区は湿原を中心とした区域でして、釧路湿原国立公園と区域が重複しており、またラムサール条約にも登録されております。湿原でタンチョウが営巣しているほかにも、環境省のレッドリストに掲載されていて、種の保存法で国内希少種にも指定されているシマフクロウやオジロワシ等の希少種も生息しております。今回はタンチョウの生息に適した場所の保護を図り、タンチョウの生息地分散化を促進することを目的に鳥獣保護区を拡張することとしていまして、こちらの図の薄く色が塗られている部分の円の中でタンチョウの営巣が確認されております。こちらは釧路自然環境事務所が調査したものですが、鳥獣保護区の区域の周辺でもタンチョウの営巣地が増えてきていることが明らかになりましたので、今回この調査の結果を元にタンチョウの営巣地、タンチョウの生息に適している場所を鳥獣保護区に含めるもので、こちらは図に示している区域のうち、この緑色が鳥獣保護区として今回新たに指定する部分、こちらの赤色が特別保護地区として拡張する区域となっております。

 こちら、北側の拡張する部分の釧路川ではオジロワシの生息が確認されておりまして、南側のこの右岸堤防のところでは、チュウヒの生息も確認されております。

拡張する区域の写真です。いずれも湿原を有する場所となっております。

 釧路湿原鳥獣保護区では、前回の更新時に策定した管理方針に沿って随時巡視だったり、傷病個体の救助、野生生物に関する普及啓発を行っておりまして、これからも引き続き現在の管理方針と同じ管理方針で管理することとしております。また、鳥獣保護区内で国立公園の生態系維持回復事業として、エゾシカの個体数調整の捕獲、希少野生動植物種の事業として、オジロワシ、オオワシ、シマフクロウ、タンチョウの保護増殖事業も実施しております。

 鳥獣保護区を区域拡張すること、特別保護地区を再指定することにつきまして、公聴会、公告縦覧、パブリックコメントで反対の意見はございませんでした。公聴会におきましては、エゾシカによる農業被害への配慮について意見がありましたので、捕獲許可の対応、環境省の国立公園の事業として実施しているエゾシカの捕獲について説明しております。

 それでは、次に小佐渡東部鳥獣保護区の区域拡張及び特別保護地区の再指定について説明いたします。

 鳥獣保護区を拡張し特別保護地区は変更せずに再指定するものです。場所は佐渡島の小佐渡地域で、トキを対象とした希少鳥獣の生息地として鳥獣保護区に指定しております。今回点線の部分になりますが、こちらは鳥獣保護区を337ha拡張し、赤のこちらの斜線部分、特別保護地区は変更せずに再指定するものです。こちらは平成20年からトキの再導入を行っておりますが、小佐渡東部鳥獣保護区は野生のトキが最後まで生息していた場所でして、再導入されたトキも水田で餌を採ったり、林をねぐらにするなどの利用をしております。

 こちらが小佐渡東部鳥獣保護区の概況で、トキが生息しているほか、サドモグラ等の佐渡島の固有種も生息しております。

 こちらの写真は特別保護地区を撮影したものですが、小佐渡東部鳥獣保護区の特別保護地区は標高600メートル程度の場所で、トキの営巣に適した高木が広がっておりまして、野生最後のトキが利用していた場所となっております。

 今回の拡張する区域は再導入、放鳥したトキが高頻度で利用している場所を新たに鳥獣保護区に含めるものでして、こちらは拡張した後の小佐渡東部鳥獣保護区の区域となりますが、この青い部分が今回拡張する部分で、放鳥したトキが高頻度で利用している場所だということがわかります。また、今回こちらの赤い部分を拡張するのですけれども、こちらを拡張することでこの緑色の部分、県指定の鳥獣保護区と国指定の鳥獣保護区が接することとなることから、拡張することにより、トキが利用する区域を県指定鳥獣保護区とあわせて一体的に管理することができるようになります。

 拡張する区域の様子です。トキが利用する水田だったり、ねぐらで利用する林も見られます。

 こちらは前回の更新時に策定した小佐渡東部鳥獣保護区の管理方針です。管理方針に沿ってモニタリングや普及啓発を行っておりまして、これからも引き続き現在と同じ管理方針で管理を行っていくこととしております。

 鳥獣保護区を区域拡張すること、特別保護地区を再指定することにつきまして、公聴会、公告縦覧、パブリックで反対の意見はありませんでした。公聴会においては、トキの利用場所と鳥獣保護区、特別保護地区は必ずしも一致していないとのご意見がありましたので、トキの生息状況を踏まえて、今後適宜区域は見直していくと説明しております。

 小佐渡東部鳥獣保護区は存続期間を10年としておりますが、これはトキの生息状況を見ながら小まめに区域の見直しを行うということから、このように設定しているものでして、現在の存続期間も7年と短く設定しているところです。

 それでは、次に新規指定の葛西沖三枚洲鳥獣保護区及び特別保護地区の指定について説明いたします。

 場所は東京都と千葉県の境を流れる江戸川の河口で、東京都が葛西海浜公園として整備している場所です。隣接する陸域は葛西臨海公園として整備されております。現在この場所は集団渡来地の保護区として都指定の東京港鳥獣保護区に指定されております。

 こちら、環境省モニタリングサイト1000のガン・カモ類調査の葛西臨海公園での調査結果ですが、この調査では今回指定する区域とその周辺で1万羽から2万羽近いガン・カモ類の飛来が確認されております。こちらの中には観察された種を記載しておりますけれども、絶滅危惧Ⅱ類のトモエガモの飛来が確認されております。また、シギ・チドリ類につきましては、今回指定する区域では700羽近いシギ・チドリ類が毎年確認されておりまして、シロチドリ、セイタカシギ、ホウロクシギ、アカアシシギといった絶滅危惧種も飛来しているところです。

 このように当該区域には多くの渡り鳥が集団飛来し、餌を採ったり、休憩の場として利用していること、絶滅危惧種が飛来していることから、鳥類の生息地として全国的に重要な区域であると認めることができますので、都指定の東京港鳥獣保護区の一部を国指定鳥獣保護区に振り替えて特別保護地区を指定するものです。

 指定する範囲ですが、葛西海浜公園の一部となります。こちらの黒い線が葛西海浜公園でして、今回はこの青い線で鳥獣保護区を指定します。ここには西なぎさ、東なぎさと呼ばれる人工干潟がありまして、西なぎさについては潮干狩り等のレジャー利用がされており、東なぎさでは野鳥の生息地として東京都が立ち入りを制限しております。そのため、西なぎさについては特別保護地区には指定せずに、それ以外のこちら水色で塗っているエリアを特別保護地区に指定いたします。

 指定の内容ですが、ガン・カモ類等の渡り鳥が多く飛来していることから、集団渡来地の保護区として指定することとしておりまして、面積は鳥獣保護区が380ha、特別保護地区は367ha。存続期間は30年10月15日頃から20年間を予定しております。

 またこちら、特別保護地区については、ラムサール条約の登録を予定しています。指定後は関係者と連携協力した管理、鳥獣保護区管理員の巡視、モニタリング調査により鳥獣の生息状況の把握に努めていきます。さらにラムサール条約の登録で、野鳥観察や環境教育等のワイズユースの取組が期待されるところです。

 今回の指定につきましては、3月に公聴会を実施しました。反対のご意見はありませんでしたが、漁業の影響についてご意見があったため、漁業に影響が及ぶことはないと説明しております。

 また、2月に実施したパブリックコメントでは、鳥獣保護区の指定を反対する意見、また関係者との調整ができていない等の鳥獣保護区の指定に関して否定的な意見の提出もありました。これらの意見につきましては、対応を公表するとともに、鳥獣保護区の指定やラムサール条約の登録について、関東地方環境事務所、また東京都から意見の提出があった方々の理解を得られるように説明をしております。また、公表したパブリックコメントへの対応につきましては、参考資料2-2としてつけております。ラムサール条約の指定については、次の議題で説明させていただきます。

 それでは、次に浜甲子園鳥獣保護区特別保護地区の再指定についてです。

 浜甲子園鳥獣保護区は干潟を指定しておりまして、干潟を利用するシギ・チドリ類が多く飛来することから、集団渡来地の保護区として指定しております。集団渡来地の保護区として鳥獣保護区を更新し、特別保護地区を再指定するもので、主に干潮時に干潟となる陸に近い区域を特別保護地区としていまして、現在存続期間は10年のところ、今回は20年間に設定いたします。

 浜甲子園鳥獣保護区の特別保護地区は西宮市の自然と共生するまちづくりに関する条例に基づく生物保護地区に指定されておりまして、この条例により鳥類が多く飛来する4月から5月は立ち入りが規制されております。こちらは大阪湾に残された数少ない干潟の一つですが、平成7年の阪神大震災の影響で地盤が沈下したことで干潟が減少し、鳥類の利用環境が悪化しているところです。

 こちらが干潟の状況ですが、こちらが震災前の平成6年、こちらが震災後の平成9年の干潟の状況ですが、こちらは赤い線が鳥獣保護区の区域になりますけれども、こちらは丸く着色している部分に干潟の形が書いてありますが、こちらと比較し平成9年は干潟が減少していることがわかります。干潟の減少は震災のみが影響しているものではありませんが、鳥類の生息環境を失いつつありますので、浜甲子園鳥獣保護区では平成22年度から鳥獣保護管理法に基づく保全事業を実施しております。保全事業は鳥獣保護区指定後の環境変化等により、鳥獣の生息環境が悪化した場合に、その生息地の保護を目的に実施するものでして、浜甲子園鳥獣保護区では、鳥類の生息環境を改善し、良好に維持していくために、干潟の造成を行っております。

 平成22年度から28年度まではこの着色されている部分において、保全事業で干潟を小規模で造成しておりました。今年度につきましては、こちらは浜甲子園鳥獣保護区の特別保護地区になりますけれども、兵庫県が河川の掘削工事で発生する土砂をこの保全事業を実施している区域に搬入していただけることになっております。県の事業で保全事業ではないのですが、この土砂の搬入で大きな規模で干潟を造成することとなっておりまして、こちらの県の作業は始まっているところです。環境省については、土砂の搬入による造成された干潟を鳥類が利用することができるように、餌となる底生生物を干潟に定着させる取組を保全事業として実施することとしております。

 管理状況といたしましては、管理方針に沿って保全事業、巡視、普及啓発を行っており、今後も現在の管理方針で引き続き管理していくこととしております。

 再指定に係る公聴会では、賛成の意見のみでした。今まで存続期間が10年間だったところを今回の更新で20年間にすることについて、長い期間保護が図れることから嬉しいとのご意見を地元の自然保護団体さんからいただきました。

 公告縦覧、パブリックコメントにおいての意見はありませんでした。

 次に、霧島鳥獣保護区特別保護地区の再指定についてです。

 霧島鳥獣保護区は宮崎県と鹿児島県にまたがっておりまして、前回の指定と内容を変更せずに再指定をするものです。

 霧島山と呼ばれている韓国岳だったり、えびの高原からなる火山群を中心とした地域となっております。1,936haの広範囲な大規模生息地として再指定いたします。

 全域は霧島錦江湾国立公園でして、最高峰の韓国岳の1,700mから標高600m程度までの広範囲であることから、標高毎に異なった自然環境を有していまして、森林性の鳥類のほか、火山湖ではカモ類も見られます。また、タヌキやウサギ等の獣類も多く生息しておりまして、さまざまな鳥獣が生息している保護区となっております。

特に、鳥獣保護区の東側のこちら御池におきましては、国設御池野鳥の森が設置されております。こちらは国有林のレクリエーションの森となっていますけれども、国有林が国有林として管理するとともに、環境省と地元の高原町で歩道やキャンプ場を整備し、野鳥観察を主とした自然とのふれあいの場となっております。御池ではカモ類が見られるほか、クマタカも観測することができまして、また特徴的なのは絶滅危惧ⅠB類のヤイロチョウが繁殖していることです。利用者が野鳥の観察ができるように観察小屋や歩道を整備しておりますが、ヤイロチョウの繁殖期は繁殖地への立ち入りの自粛を森林管理署、環境省でお願いしているところです。

 管理状況ですが、管理方針に沿って巡視や普及啓発等の管理をしており、再指定後も引き続き同様に管理を実施することとしております。

 再指定に係る公聴会では、賛成27名、条件つき賛成1名でした。条件はニホンジカ、イノシシの鳥獣被害対策を強く求めるというものでして、公聴会においても鳥獣保護区内でも許可なしにニホンジカの捕獲を行うことができるようにして欲しいとの、ニホンジカの対策に関するご意見がありました。こちらの意見につきましては、捕獲申請に迅速に対応すること、また環境省でも国立公園の生態系維持回復事業でニホンジカの捕獲を実施していることを説明しています。こちらの鳥獣保護区は存続期間を10年としていまして、ニホンジカやイノシシの生息状況を見ながら、小まめに鳥獣保護区の見直しを検討していくこととしております。

 パブリックコメント、公告縦覧では意見はありませんでした。

 最後に、仲の神島鳥獣保護区、仲の神島特別保護地区の再指定についてです。仲の神島は沖縄県のこちら西表島の南西およそ15キロメートルに位置する無人島で、島全体が海鳥を対象とした集団繁殖地として鳥獣保護区、特別保護地区に指定をしております。今回、これを前回の指定と内容を変えずに再指定するものです。

 仲の神島は全域が西表石垣国立公園で、また史跡名勝天然記念物にも指定されております。また、全域が国有林です。オオミズナギドリやセグロアジサシ等の海鳥が繁殖地として利用しておりまして、1970年代に島全体が天然記念物に指定され、1981年に鳥獣保護区として指定されました。

仲の神島につきましては昭和61年、1986年に林野庁、沖縄県、環境省の3者で「仲御神島海鳥繁殖地の取り扱い方針」を作成しております。こちらは釣りや海鳥の撮影等を目的とした島への立ち入りが多く、海鳥の繁殖に影響を与えると考えられたことから作成したものでして、この方針では島への立ち入りは原則として認めないとしております。この方針は法的規制ではないものの広く周知されていることから、立ち入りが減ってきているとのことです。

 こちらは鳥獣保護区管理員でもあり、1970年代から仲の神島で海鳥の調査をされている方の調査結果ですが、方針を作成したころの1980年から仲の神島でのカツオドリの営巣数ですが、徐々に増えてきていることがわかります。また、同様にセグロアジサシにおきましても、成長した鳥の数、雛の数が増えていることがわかります。作成した取り扱い方針の効果を見ることができます。

 管理状況ですが、巡視や普及啓発を行っており、再指定後も同様の管理を行い、海鳥の集団繁殖地として保護を図っていくこととしております。

 公聴会、公告縦覧、パブリックコメントではそれぞれ意見はございませんでした。

 議題2についての説明は以上です。

【石井委員長】 ご説明ありがとうございました。今回は6カ所、9件ということになると思いますけれども、ご意見を伺いたいと思います。そうしたら、小泉委員から行きましょうか。お願いします。

【小泉委員】 教えていただきたいのですけれども、浜甲子園鳥獣保護区は干潟を造成するというのが入っていますけれども、これは干潟を造成するようなやり方はあまりないように思うのですが、今回は特別に、こういう工事を認めたということになるのですか。

【石井委員長】 まとめて全部ご意見を伺います。では尾崎委員、お願いします。

【尾崎委員】 指定に関しては結構なことだと思います。

 二つぐらい質問があります。一つは、これは国指定の鳥獣保護区ですが、県とか都指定の鳥獣保護区との関わりと、区別を教えていただきたい。

 それから、鳥獣保護区の看板について。今回の施設整備で見ますと、たくさん看板が予定されているところと、一つくらいしか無いところとがあります。これはおそらく地形とかいろいろな条件が違うからそういうことだろうとは思います。また、霧島などは国立公園などとの関わりもあるのかと思います。同じ国の指定するものの中にいろいろな看板があるので、統一などの必要性も感じました。

 鳥獣保護区の看板は大きさとか材質とか決まっていると思うのですが、海岸につける看板は非常に腐食しやすいです。ぼろぼろになって、ポールがもう壊れてしまって、看板がどこに行ったかわからないような状態のものも私は何度か見た記憶があります。例えばこの仲の神島などの看板は、腐食しないような特殊なものができるのでしょうか。

 また、仲の神島は実際に上陸する場所だけでなく、上陸するために出航する港があると思います。石垣島などそういう拠点になるようなところに案内板や、鳥獣保護区であるということをきちっと明示するようなことも考えられるのではないか。特にこういう離島みたいなところは工夫の必要があると思います。

【石井委員長】 はい、ありがとうございます。それでは磯崎委員、お願いします。

【磯崎委員】 2点ですが、最初のポイントは、先ほどの小泉委員と同じところで、公有水面の埋立法などの手続はどうなっているのかです。

 それから二つ目ですが、小佐渡との関連で、スライドの22、それからスライドの23で、異論があるわけではないですが、県指定の保護区との連結性というところです。22のデータで、今回の対象区域、保護区域の外での出現頻度というのが出ていないですけれども、この外側にも恐らく出現していると思います。それで、これと同じような基準でのデータがあるのかどうかです。この22のスライドだと、右側は海岸ですから、この外側はないはずですけど、左側、さっきの県の保護区域のところですが、この辺りに出現しているとあると、そして特に県保護区、23スライドの緑色のところに、同じように濃い赤色があると、説明がすんなりわかると思いますので、その辺のデータがあったらいいなと思います。

【石井委員長】 では続いて、桜井委員、お願いします。

【桜井委員】 葛西沖ともう一つ、浜甲子園、これは自然公園小委員会でもご指摘したのですが、海になりますと、どうも真っ青1本で、1発で終わっちゃうんですね。陸のほうはいろいろ地形があるのですけれども、ちょっと気になるのは、例えば、葛西沖でもこれは恐らく、底質はシルトかもしれませんが、水深が変わったり、少し入りくんでいるはずです、河口ですから。そういった地形が見えないと、何でここの場をこういうふうに四角く切ったのかという理由がわからない。看板がありますけれども、当然、そういうふうに一応見ていただきたい。

 それから、もう片方の浜甲子園のほうは、これから少し埋め立てをするような、少し泥を入れる形になりますけれども、やっぱり海底の形質と地形が今どうなっていって今後どうなるかということをみるためには、ここもやっぱり真っ青では理解できないので、何らかの形でそれが見えるような形にしていただければと思います。以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。続けて広田委員、お願いします。

【広田委員】 3点あります。一つは、スライドの13ページの釧路湿原ですが、右上のグリーンのところの拡張区域のすぐ右側に、ちょっと中途半端に拡張しない区域が残っています。これはたしか釧路川の自然再生事業で、かつて直線化したところを曲線化するような事業が行われていたのではないかと思うのですが、そうであるのかどうかの確認です。また仮にそうだとすると、この拡張区域の境界がこのように一見中途半端になっている何か理由があるのか教えていただきたい。

 それから二つ目は、小佐渡東部の23スライドで、拡張区域の赤い点線の区域は、たしか水田と集落だったと思いますが、農家とか住民の方の意見は聞かれているのかどうかということです。トキは昔、田んぼを踏み荒らしてけしからん鳥というような見方もあったわけで、ここに住んでいらっしゃる方とか農家の意見を聞かれたかどうかということです。

 それから最後に浜甲子園ですが、干潟のあるところ辺りで、先日の台風で高潮の被害がなかったかということです。この少し西側の芦屋川の河口のところでは被害があったように聞いています。そういう事実があるかどうかという確認です。以上3点です。

【石井委員長】 ありがとうございます。では宮本委員、お願いします。

【宮本委員】 二つございます。8ページですけれども、存続期間が10年間と20年間というのがありまして、先ほどのご説明の中でも、10年後に見直す、小まめに見直すために10年としましたというようなお話がございましたが、逆に言うと、20年間のものというのは、見直しは20年後でも大丈夫というようなお考えなのかどうか。この10年、20年というのをどのように区別するのかという基準がもしありましたら教えていただきたいと思います。

 それから二つ目ですけれども、例えば葛西沖とか浜甲子園とか、沿岸にある保護区の海側の線引きというのはどのように設定されるのか、何か基準があるのだろうかというのが気になりました。陸のほうでは、例えば地形とか、地権者さんとの関係とか、もろもろで線が引かれるというのは理解できるのですけれども、海岸の場合、直線的によく線が引いてございますが、それはその干潟の出方とか海の深さとか、そういうもので決まるのか、それともほかに何か人間活動との関係で決まるのか、その辺り、もし差し支えない範囲で教えていただければと思います。以上です。

【石井委員長】 では小菅委員、お願いします。

【小菅委員】 質問ですけれども、スライドの25番、小佐渡東部鳥獣保護区の管理状況ということですが、それの3点目、テン等のトキを始めとする云々という、有害鳥獣駆除を図ると書いてあるのですけれども、これを見て、僕は何年か前にトキの飼育施設の中にテンが入り込んでトキを捕食してしまったということを思い出したのですけれども、それは明らかに施設の設置者のミスであって、そのことが原因でこれが制定されるということは絶対ないとは思うのですけれども、それで質問ですが、実際にこのテンが野生のトキを捕食しているという事実は確認されているのでしょうか。そういう調査研究がされているのかどうかということと、実際にそれを有害鳥獣捕獲というのが行われているのかどうか。あともう一つは、主体がどこなのか。この3点をお聞きしたいと思います。

 それとあと、非常に細かいことですけれども、資料2-2の釧路湿原のところの11ページに、上のほうにキジ目でキジと書いてあるのですけれども、これは恐らく北海道ですからコウライキジではないかと思います。コウライキジは猟友会が以前から狩猟を目的として、今やっているかどうかは知りませんけれども、放野して定着したキジだと思うので、そういうものについては、どこかにこれは外来種ですよというような表記をしなくていいのかどうかということも教えてください。後ろのほうに行ったら何か特定の場合は特定外来種と書いてあるのですけれども。その2点をお願いします。

【石井委員長】 よろしいでしょうか。神部委員。

【神部委員】 とても基本的な質問で申し訳ないのですけれども、葛西沖と、それから浜甲子園、この2カ所は言ってみれば東京湾、そして大阪湾という、非常に大都会にすごく近い場所であるというところで、非常に特別な場所かなという感覚を持って、今全体を聞かせていただいておりました。

 ここの場所はもちろん今非常に埋め立てが進んでいて、そして工場があってというイメージばかりが先行しておりますが、かつてはやはり漁業があった場所であるということを踏まえますと、先ほどゼニガタアザラシの生態と漁業の問題という話があったばかりなので、余計そこの対比というものをちょっと考えてしまったのですけれども、この2カ所に関しては、今はほとんど漁業の皆さんとの摩擦というか、問題は全くないということでしょうかという非常に基本的な話でございます。そして、きれいになった暁には、いつかは漁業も復活するようなこともあるのでしょうかという、非常に基本的な質問でございますが、現時点の将来に対する目標というわけではないのですが、どのようにその辺を捉えていらっしゃるのかということを教えていただければありがたく思います。

【石井委員長】 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。では、高橋委員。

【高橋委員】 動物や鳥を扱うということになると、いつも気になるのが防疫のことなのですが、例えば、孤立している島全体が保護されるような場合の防疫体制というのは、これは鳥獣保護とは別の枠組みなのかもしれませんけれども、そういうものはなされているのか。あるいは特別保護地区でもそうですよね。

 それから、最近はイノシシの豚コレラの話がニュースでも盛んに出ているように、オープンなところはもっと難しいとは思うのですけれども、動物、鳥辺りの防疫というのは、意外と見過ごされるようなところがあるのかなと普段から感じているのですが、その辺りはどうなのか教えていただければということと。

 先程もいろいろと話があったように、ものの評価というのは外側からの目と内側からの目というのがやはりあって、もちろん外側からの科学的見地というのはとても重要だと思うのですけれども、そこの生活者がどう感じるかというのはまた一方でとても重要になってくるので、やはり何か協議会のような中で、その辺のうまくお互いが理解し合うような仕組みづくりというか、長くかかるかもしれないけれども、ずっと続けていかなきゃいかないことだろうなというのは、私自身も協議会をやっていて思うことがあります。そうなると、先ほどの5%とか2%という話もまさしくそうだろうなと、想像しています。

 それで、2%、5%の数字の意味を、どのように論議すればいいのかというのは、科学者のほうからはある程度の考え方があるかと思うのですが、実際に携わっている人にとってみれば、わずかなものでも増えればけしからんという世界がやはりあって、そういう内側からの目と外側からの目というのは、やはりいつも意識していないといけないのかなと、そういう意味では非常に大変だろうと思いますけれども、エールを送りますので頑張っていただけたらと思います。

【石井委員長】 福田委員、よろしいですか。いいですか。

 そうしましたら、随分たくさんありますが、ランダムでも順番でもいいですのでお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

【説明者】 それではまず、小泉委員からございました、浜甲子園の保全事業、干潟を造成することにつきましては、干潟を造成すると表現させていただきましたけれども、こちら、鳥獣保護区特別保護地区でこのような工事をすることについては、埋め立てではございませんので、特に法律で規制しているものではございません。

 さらに磯崎委員からも質問がありましたが、公有水面の埋め立ての手続きですが、こちらは県が事業を実施するものでして、県がこちらの管理しているところに確認したところ、こちらは地番が設定されていることから公有水面ではないとのことで、埋め立ての手続が必要な場所ではないとのことです。それ以外の法律の手続上のことは、県のほうが確認して、必要なものはやっていると聞いております。

 浜甲子園の干潟の造成ですけれども、小規模ではありますが、平成22年度からやっているものです。保全事業として実施しているものです。

 続きまして、尾崎委員の国指定と県指定の鳥獣保護区の違いですけれども、こちら、最初のスライドで指定区分として四つ挙げさせていただきましたが、鳥獣保護区の指定区分といたしましては、こちら、四つのほかにも森林鳥獣生息地の保護区、生息地回廊の保護区、身近な鳥獣生息地の保護区というものがありまして、全部で七つあるのですけれども、七つのうちこちらの四つに該当するもので、特に全国的、国際的に重要な場所は国指定鳥獣保護区にしようと。残りの森林鳥獣生息地の保護区、生息地回廊の保護区、身近な鳥獣生息地の保護区については、県が指定する鳥獣保護区となっております。

 管理の状況ですが、国指定の鳥獣保護区は国が、県だったり都だったり道がする鳥獣保護区はそれぞれが管理をしている状況です。

 また、看板につきましては、確かに霧島鳥獣保護区だったり釧路湿原鳥獣保護区のような国立公園が重複している場所ですと、いろんな看板がごちゃまぜになっているというのはご指摘のとおりかなと思いますが、鳥獣保護区の赤い看板を目印に、やはり鳥獣保護区と認識している方々もおられますので、今後、国立公園だったり鳥獣保護区だったり、看板の設置につきましては、状況を見ながら考えていきたいと思います。

 また、看板がよく腐食してしまっているというお話ですが、仲の神島につきましては、腐食というよりもよく来る台風でよく倒れているとのことで、保護区管理員さんが行くたびに直していただいている状態です。確かに海岸沿いの鳥獣保護区は看板の腐食が進行するのが早いなとは思うのですが、こちらは設置するのは地方環境事務所が設置しているのですけれども、いろいろと工夫をされていると聞いておりまして、木製のものを使っていたりする場所もあるようです。

 仲の神島の上陸につきましては、確かに港は多分石垣だったり西表だったりしますので、こちらの港でどのような周知がされているかというのは、こちらも確認していきたいと思います。

 続きまして、磯崎委員からありました、小佐渡東部鳥獣保護区ですけれども、まず、こちらの図につきましては、今回保護区を指定する場所の部分を抜粋しているものでして、実際、こちらのパンフレットにはなってしまうのですが、全島的に同じような出現頻度の色塗りをしているものはありますので、確かにご指摘のとおり、そちらのマップを使って今回説明をしたほうがわかりやすかったかなと思います。こちら、今回、県指定の鳥獣保護区と一体的に管理すると説明させていただきましたが、ちょっといい地図がないのですが、こちらと同じくらいの赤い色で、ここはちょっと湖があるのですが、ここの部分も同じ赤色で頻度が表わされていますので、今回拡張する区域、国指定鳥獣保護区と県指定鳥獣保護区も同じ程度でトキが利用していると考えております。

 次に、桜井委員の海の表示の仕方についてですが、今後どのように表示していくかは検討していくことといたします。

 広田委員の釧路湿原の、北側の釧路川の拡張する区域ですけれども、こちらは確かに国土交通省さんが、釧路川の河川工事、直線を蛇行に直した場所でして、恐らくこちらの部分を言われていると思いますけれども、鳥獣の生息状況を見ながら、適宜適当なところを指定してきたいのは山々ですけれども、全部が全部環境省の土地ではございませんので、地域の方々とお話し合いをしながら区域を決めていくところもありまして、このような線になったのかなとは思うのですが、ちょっと具体的にどうしてこのような線になったのかというものを、今ちょっと出てきませんので、調べてまたご回答いたします。

 小佐渡東部の拡張する区域につきましては、こちらの地域の方々が住まわれている場所であったり畑等がある場所ですけれども、こちらについては、住民一人一人の方に意見を聞いてはいませんが、こちら、指定の案をつくる際に、農業協同組合さん等、団体さんのほうに意見を聞いておりまして、そちらからこちらの区域の方々の意見という形で聞いているところでございます。

 宮本委員の存続期間の10年、20年の話ですけれども、もちろん20年の存続期間の鳥獣保護区においても、必要に応じて区域の見直しや保護管理方針の変更は行うこととしておりますが、当分は、今回は20年でも大丈夫ではないだろうかというところです。

 葛西沖、浜甲子園の沿岸区域の線の設定の仕方ですけれども、鳥獣保護区なので、こちらの管理できる範囲でしか指定できないこともありまして、葛西沖三枚洲につきましては、今現在、東京都さんが公園として整備しているところの範囲、この範囲であれば管理できるであろうということで指定しているものです。浜甲子園につきましても、同様に沿岸に近いところを特別保護地区、その少し奥側を鳥獣保護区としておりますが、この陸から見える範囲というところで、あと、指定するに当たってやはり関係者さんとの意見を調整した結果、こちらの範囲になったというところです。

 あと、小菅委員のトキのテンの捕獲に関してですが、まず今回、こちら、テン等の管理方針の中で、テン等のトキを初めとする鳥獣の生息環境に影響を及ぼすおそれのある鳥獣については、有害鳥獣捕獲を図るものとするとありますが、これは今年度、佐渡の保護官事務所と、新潟県のほうでテンの捕獲をしたと聞いております。センターの周りに罠をしかけて捕獲をしたということです。

【番匠希少種保全推進室長】 補足いたします。希少種保全推進室の番匠です。

 この小佐渡のところのテンですけれども、佐渡島では外来種になります。もともと林業被害のウサギか何かを減らしたいということでテンを導入したと聞いております。それで、今、環境省と関係省庁で立てておりますトキの保護増殖計画においては、営巣地周辺でのテンの排除についても書かれておりまして、島内全体ではないですけれども、営巣地、繁殖地に関してはそういった対策もとるとしておりまして、現在も保護官事務所などで対策をとっているというような状況になっております。

【説明者】 あと、釧路鳥獣保護区のキジに関する記述に関しましては、確認して修正が必要であれば修正をすることといたします。修正が必要ということですよね。

【小菅委員】 そうすると、これは在来種ではないという記載になるのですか。

【説明者】 その場合、備考欄に外来と書くことになっておりますので、

【小菅委員】 外来種と、はい。たぶんウズラもそうみたいだと思うのですけど、ちょっと自信はないですけど。

【説明者】 わかりました。再度確認いたします。申し訳ございません。

 あと、神部委員の葛西沖三枚洲鳥獣保護区、浜甲子園鳥獣保護区においての漁業との関係ですけれども、まず浜甲子園につきましては、大々的な漁業というのが行われているような場所ではなく、ただ釣りはやはり行われています。ただ、釣り糸に絡まる鳥類がやっぱり後を絶たないことから、こちらとしては釣りの自粛をお願いしているところですが、特段それに関して何か意見があるような状況ではございません。

 また、葛西沖三枚洲の鳥獣保護区につきましては、当初は漁業関係者の方から、ちょっとご意見があったようですが、こちらは鳥獣保護区に指定したことで漁業が規制されるものではないということを説明し、理解していただいているところでして、漁業関係者との目立った摩擦というものはないかなと。ただ、漁業が復活するのかとかありますが、特段そういった大きく漁業をされている場所ではございませんので、復活をするとかそういうところではないかなと考えています。

【西山鳥獣保護管理室長】 鳥獣保護管理室の西山でございます。高橋委員から、防疫体制についてご心配いただきまして、ありがとうございます。これについては、全ての感染症を防ぐということではなくて、感染症の種類に応じて、また国内の発生状況等に応じて、必要があれば考えていくということになろうかと思います。

 現在、岐阜市のほうで、豚コレラが国内発生しておりまして、9月9日に岐阜市内の養豚場で、国内では26年ぶりに発生が確認されて、その後、9月14日以降、野生のイノシシにも確認されています。昨日までに11事例まで増えておりますが、これにつきましては、豚コレラは、日本にいる動物としては豚とイノシシにしかかからないということもありまして、今のところ、豚にこれ以上悪いことが起こらないようにということで、イノシシの監視サーベイランスも含めて農水省と県の畜産部局中心に対応しているところです。

 一方で、鳥インフルエンザについては、もともと鳥にとってごく普通の病気ではあるのですけれども、家禽に入って変異等をしているうちに高病原性のようなものができてしまい、それがまた野生下に出て鳥が運んでしまう可能性が高いということもありますので、こちらは野鳥の発生の場合は環境省がしっかりと監視するということになっております。

 例えば、鹿児島県の出水というところがありまして、鳥獣保護区にも一部なっているのですけれども、冬になるとナベヅル、マナヅルというツルが集団で来て越冬していくという場所ですが、そこに鳥インフルエンザが、既に過去のシーズンには発生しておりまして、ツル自体もかかって死んだりしています。そういった場合は、鳥獣保護区の計画等の中にも防疫、鳥インフルエンザ対応というものを入れていかなくてはならないということになります。つまり、全ての感染症をあるエリア(鳥獣保護区、あるいは島等)に絶対に入れないということではなくて、病気の種類ごとに、必要があれば計画等で配慮していくということになろうかと思います。

【説明者】 広田委員から質問がありました、浜甲子園での保全事業での台風の影響ですけれども、今年度、工事を開始する準備をしている最中に台風が来るということでしたので、まだ土砂を入れる前なので、その土砂自体には影響は出ておりません。

【石井委員長】 ほぼ全てだと思いますけれども、一つ、高橋委員からもう一つあったような。生活者ですね、地元との関わりというので、協議会というものを設置しているとかいうのはありますかというのが、たしかそうでしたね。

【説明者】 はい。鳥獣保護区に関する協議会というものは、なかなか、現在85カ所、今回新規指定を入れれば86カ所になりますけれども、鳥獣保護区の協議会というものは、設置されているところはなかなか無いかなと思いますが、鳥獣保護区内で、例えばラムサール条約に登録している場所であれば、ラムサール条約に関する協議会が設置していて、そこで鳥獣保護区の管理にもつながるようなお話、地域住民さんとの意見交換の場というものが図られていることはあります。また、国立公園が重複しているエリアもありますし、ラムサール条約、国立公園ではなくても、例えば希少種等の協議会等で地域の方々のご意見だったりを聞くような場を設けているところはあるかと考えております。

【堀上野生生物課長】 網羅的に全て調べているわけではありませんけれども、そういう地域での意見交換ができる場というのは設置しているところがあります。

 先ほどお話があったように、やはりいろんな社会的な状況が変わってきておりますので、農業被害についても、それから鳥インフルエンザについても、気にされる方も非常に多くなってきておりますので、国指定鳥獣保護区については、指定をしっ放しということはなく、地域の声についても、自然環境事務所、地方環境事務所を中心に、地域で状況を確認しながら、調整できるところは調整していくという形でやっていきたいと思っております。

 そういう意味では、存続期間20年というのは、ちょっと今、いろんなところで長いかなと言われていますけれども、そちらはそちらでできれば長く保全したいという気持ちもありますので、地域の方と相談しながら、いい形をつくっていきたいと思っております。

 それからもう一点、桜井委員からあった、海の中の様子ですけれども、実際の干潟などですと、鳥獣、特に渡り鳥がいる場所を中心に線を引いていくことになります。ですから、あまりこの底質というところを見ているわけでは実は無いですけれども、実際には底質の様子で餌がどうなっているかということの連動で線が決まってくるところがあります。

 葛西沖三枚洲については、もともと海浜公園ということで、その区域線があったものですから、そのエリアを切って、今回特別保護地区に、あるいは鳥獣保護区にするという形にしております。

【石井委員長】 よろしいですか、丁寧に答えていただいたかと思います。

 それでは時間も適当になっておりますので、お諮りしたいと思います。ほかはよろしいですね。ではこの議題、6カ所9件、2件の新規を含んでおりますけれども、この案件ですが、適当と認めてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【石井委員長】 では、ご異議がないということとしてご賛同いただきました。ありがとうございました。今後事務局におきまして、部会長に結果を説明いたします。それから中央環境審議会会長に報告することとしたいと思います。

 それでは、最後のその他ですけれども、ここは報告事項が4件あるということですので、これは続けてお願いいたします。

【説明者】 続けて説明させていただきます。資料は3-1となります。こちらを前のスクリーンに映して説明させていただきます。

 鳥獣保護管理法では、環境変化等によって、鳥獣の生息環境が悪化した場合は、必要に応じて鳥獣の生息地の保護を図ることを目的とした事業を行うこととなっております。

 先ほど説明させていただいた浜甲子園の保全事業ですけれども、今回、沖縄県の池間鳥獣保護区においても保全事業を実施することとしましたので、今回報告させていただくものです。

 保全事業を実施する場合は、保護に関する指針の変更、鳥獣保護区の計画書に保全事業の項目を追加し、官報告知した後、中央環境審議会へ報告することとなっております。保全事業の項目を追加した計画書は、資料の最後の部分につけております。

 池間鳥獣保護区ですが、沖縄県の宮古島の北西部に位置する島でして、こちらは全域を平成23年に鳥獣保護区に指定しました。渡り鳥のカモ類やサギ類が多く飛来するので、集団渡来地の保護区として鳥獣保護区に指定しております。クロツラヘラサギやサシバといった鳥種も飛来している場所です。この島の中でも特に中心部に位置する池間湿原には、特に多くの水鳥が飛来しておりまして、野鳥の観察場所としても親しまれている場所です。こちら、渡り鳥に利用されている池間湿原ですけれども、近年、腐植土の堆積や水草の繁茂により開放水面が減少していることから、カルガモやヒドリガモ、オナガガモ等の水面を利用する鳥類の生息環境が悪化している状況であるため、渡り鳥の生息環境の回復を目的に、今回、保全事業を実施するものです。

 こちらの保全事業では、池間湿原に土砂流入防止と浚渫工事を行って湿原の回復を図ります。こちら、少し小さいのですけれども、赤い線で囲ってある部分が、池間湿原として本来湿原の機能を有していた場所だったと。ただ、現在はこの青い場所のみこのように水面が現れていなくて、鳥が十分利用できる状況はこの青い部分のみであるとのことで、今回、保全事業におきましては、このオレンジ色と緑色の部分は水草が繁茂していたり陸地化が進行している部分ですけれども、こちら、全域ではありませんけれども、浚渫工事を行って、鳥類が利用することができる開放水面を広げるものです。

 湿原整理は、今年度から実施する予定でして、浚渫の効果を確認するためのモニタリングも実施していくこととしております。

 以上です。

【石井委員長】 続けてお願いします。

【説明者】 続きまして、資料3-2のラムサール条約湿地の新規登録候補地及び登録区域拡張候補地について、説明させていただきます。こちらもスライドを使って説明させていただきます。

 まず、ラムサール条約についてですけれども、こちらは特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約が正式名称でして、生き物の生息生育地として国際的に重要な湿地と、そこに生息生育する動植物の保全、そしてその湿地の賢明な利用を促進することを目的とした条約です。日本は現在50カ所を登録しておりまして、湿地の保全、そこに生息生育する動植物の保全、そしてその湿地の賢明な利用、環境学習であったり、環境に優しい農業促進等というものをこちらの50カ所で進めているところです。

 登録している50カ所の湿地は、湿原、干潟、水田、海域等、多様となっております。

こちらは、ラムサール条約の湿地に協力するための我が国の要件ですが、三つありまして、三つ全ての項目が満たされていることが必要です。この内、①の国際的に重要な湿地であることにつきましては、このようになっておりまして、国際的に重要な湿地を特定するための9つの基準として九つあるところです。こちらの九つのうち一つでも該当すればよいということになっております。

 それでは、今回登録する湿地の説明です。

 新規指定が、宮城県南三陸町の志津川湾、あと東京都江戸川区の葛西海浜公園の2件でして、登録区域の拡張が、兵庫県の円山川下流域・周辺水田となります。

 まず志津川湾についてですが、場所は三陸海岸、三陸復興国立公園の海域公園区域となっておりまして、志津川湾は、先ほど説明した国際的に重要な湿地の基準、9つの基準のうち、五つの基準に該当します。環境省レッドリストに絶滅危惧Ⅱ類として掲載されているコクガンが、日本で越冬する個体群の1%以上が志津川湾に飛来すること、またIUCNのレッドリストに掲載されている種を含む4種のアマモが生息していることで、五つの基準に該当するため、今回、登録の候補地としております。

 次の候補地は、葛西海浜公園です。こちらは、先ほど説明いたしました葛西沖三枚洲鳥獣保護区の特別保護地区となります。

 葛西海浜公園は、多くの渡り鳥が越冬地として利用していること、ガン・カモ類については2万羽以上が飛来すること、またスズガモ、カンムリカイツブリが東アジア個体群の1%飛来することから、国際的に重要な湿地の基準の三つに該当するため、登録候補地とするものです。

 最後は、兵庫県豊岡市の円山川下流域・周辺水田の拡張についての説明です。こちらは、コウノトリの生息地となっておりまして、平成24年にラムサール条約に登録しております。今回はその区域を拡張するもので、この赤い矢印から右側の部分、地図で言うと上が北ですけれども、南側の部分を今回拡張します。こちらの拡張する区域につきましては、昨年10月に円山川下流域鳥獣保護区を拡張し、特別保護地区に指定しております。

 今回拡張するのは、こちらの平成24年に指定したときの基準であります基準2と8のこの基準2の該当種であるコウノトリが利用する範囲が広がったためでして、これらの区域もあわせてラムサール条約に登録するものです。今回、こちらの赤で示している部分が、今回拡張する部分でして、コウノトリの利用が確認されております。

 円山川下流域・周辺水田では、平成24年にラムサール条約に登録されておりますけれども、ワイズユースの取組として、コウノトリ育む農法や環境教育が行われておりまして、区域拡張後は、このような取組が地域でより広範囲に促進されることが期待されます。

 また、先に説明しました志津川湾、葛西海浜公園においても、登録後にはこのようにワイズユースの取組が行われ、湿地がよりよく保全されることを期待しているところです。

 これらの三つの湿地につきましては、官報に条約の指定湿地を指定することを告示した後、ラムサール条約事務局に湿地を通報し、ラムサール条約の指定湿地の名簿に登録されることとなります。認定証授与式は、ラムサール条約の締約国会議が10月20日から行われるのですけれども、こちらの会議中に行う予定です。

 以上です。

【番匠希少種保全推進室長】 続いて、トキの提供についてご説明したいと思います。資料3-3になります。

 5月9日に日中首脳会談でトキの提供に合意がありまして、中川環境大臣が覚書に署名いたしました。それで、11年ぶり中国からの新たなトキの提供が決まったという状況になっております。

 日中間協力の経緯については、1ポツのところの赤字のところを見ていただければと思いますが、1998年の友友、洋洋の贈呈、さらには2000年の美美の提供、2007年の華陽、溢水の提供、合計5羽のトキから、現在、野生復帰を進めておりまして、これに新たに2羽が加わるというような予定になっております。

 現在の日本のトキの個体種の推移ですが、3ポツのところを見ていただきますと、現在、飼育下のトキが197羽、野生下のトキが353羽まで増えております。合計550羽という状況になっております。

 野生復帰、初めて放鳥いたしましてから10年経ちまして、野生下のトキが353羽となったという状況ですけれども、裏面、次のページに、野生復帰から10年たちまして記念式典を行うということで計画をしております。10月4日に記念式典、記念フォーラム、さらに2日目に放鳥式をするということで、どちらも眞子内親王殿下のご臨席を賜って行う予定にしております。 以上がトキの関係です。

 次に、資料3-4、希少種保全植物園の認定についてご説明をいたします。

 平成29年の種の保存法の改正によって創設された制度ですが、その際には大変審議会の先生方にお世話になりました。今年の6月1日から施行されておりまして、この認定希少種保全動植物園への申請が来ている状況でございました。この認定希少種保全動植物園につきましては、種の保存に資するものとして一定の基準を満たす動植物園を認定するということになっておりまして、期待される効果としましては、生息域外保全の推進、さらには普及啓発の促進などが期待されるというようなところになっております。

 先月になりますが、9月13日付で、初めてこの認定希少種保全動植物園が誕生しました。富山市ファミリーパークと、岐阜県の世界淡水魚園水族館、この2園館が認定園となったというような状況になっております。

 以上、簡単ですが報告させていただきます。

【石井委員長】 ありがとうございました。4件続けて報告いただきました。

 それでは委員の皆さん、何かご意見とかご質問等があったらお願いいたします。いかがでしょうか。

 トキですけれど、トキってもらっているのですか、借りているのですか、どっちですか。

【番匠希少種保全推進室長】 ちょっと難しいご質問なのですけれど、提供されたトキの子どもをどんどん繁殖させていくわけですけれども、子どものうちの半数を中国に返還するという取り決めになっています。日本に残された半数の子どものさらに子ども、いわゆる孫世代につきましては、全て日本のものというような契約というか、合意になっています。

【石井委員長】 わかりました。ちょっと答えにくいことを聞いたようですみませんでした。借りるというか、中国から来るトキには名前がついているみたいですけれども、日本のトキは名前をつけているのですか。

【番匠希少種保全推進室長】 最初はつけていた時期がありましたけれども、その後、つけない形で、基本的には番号で管理をさせていただいている状況です。

【石井委員長】 それでは、神部委員、何かございますか。

【神部委員】 トキのことで、引き続き。日本の最後のトキはキンという名前だったように記憶しておりますけれども、私、ちょうど去年でしたか、佐渡の環境フォーラムで講演会をさせていただきまして、そのときに、環境省の皆さんと、その日の午前中ですが、ご一緒に観察、モニタリングに同行させていただきまして、遠くからだったのですけれども、本当に大空に羽ばたくトキをたくさん見せていただくことがありまして、大変感動いたしました。とにかくトキは本当にその前に行ったときには、トキの繁殖センターで、最後のキンがなくなったらもういないのだという、非常に危機感を持って佐渡に行ったものですから、それから10年たって佐渡に行ったときには、本当に田んぼの上を、もう本当にたくさんのトキが飛んでいて、そしてその美しい翼を写真にも撮らせていただいたのですけれども、それでそのときに随分数が増えたということで、非常にこれはうれしいことだなと思っておりました。でも今のお話ですと、半数はお返しにならなきゃいけないとか、いろいろあるのでしょうが、私は、国内で完全に自分たちだけで自立して、トキは大丈夫なのかなというような印象を持って帰ってきたわけですが、ここに水を差すわけではございません。新たなトキを中国から提供ということが11年ぶりにあるということは、やはりまだまだ危機的な状況なのかなと捉えておりますが、それはやはりそのように捉えたほうがよろしいのでしょうかということでございます。

【石井委員長】 番匠室長、どうぞ。

【番匠希少種保全推進室長】 ありがとうございます。佐渡のトキの状況は、非常にここ数年いい状況になっておりまして、実際に野生下にいる353羽のうちの半数以上は野生で生まれたものになります。ですから、今年も野生下で60羽繁殖して増えておりますし、安定的に野生下で増えるような状況になってきたと言えるかなと考えております。

 ただ、それのもとを辿ると、このお話しした5羽が全てもとでして、いわゆる5羽の遺伝子からしか増えてきていないという状況で、遺伝的多様性が低いのではないかというような心配をしております。

 そういったこともありまして、環境省では、ここ最近ずっと中国側に、新たなトキを下さいと。これまで日本にいただいたトキとなるべく血統的に離れたトキを提供くださいということをお願いしておりまして、それが今年実現しそうというような状況になっているということです。

【石井委員長】 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。磯崎委員。

【磯崎委員】 池間湿原ですが、3番のスライド、あるいは10番のほうが大きいですね。この水色の区域は、いつごろの開放水面でしょうか。4番のスライドで、一番左の、小さくて見にくいですけれども、赤い細い線が引いてあります。この赤い線と3番または10番の水色を囲んでいる線とは、ちょっと違っています。この水色の線がいつごろので、そして開放水面を回復したいと言っているときは、この10ページの水色のことを言っているのでしょうか。ちょっと関係がわからないので。それと、開放水面だけではなくて、10ページの図だとわかりやすいのですが、南側の尻尾のようになっているところの右側に書いてあるマークからすると、この辺に湿原状態のところがあると思えます。そうすると、開放水面を確保するということと、この島の中心部の湿原全体の管理ということ、それらはどう関わっているのか、そこをお知らせいただければと思います。

【説明者】 まずこちらの地図ですけれども、この青いものはちょっとこちらが地図を作成したものではないので申し訳ないのですが、いつの時代かは把握していないのですが、スライドのほうに出している小さい図面につきましては、この左側のこれは、平成24年、25年ごろにこちらの事業で測量して作成したものでして、その際にこの赤い線がかつて湿原であったであろうという線を引いているものです。そのため、先に示している図面と、形が異なっております。

 こちらですが、開放水面を保全事業によって回復させると説明させていただきましたけれども、水面の周りにはもちろん湿原がございまして、現在、この水面以外でも、水草が生えている部分でも鳥が利用しているのが確認されていることから、開放水面を創出するために、水草の除去はしていきますが、草が残っている湿原部分も残していくこととしておりますので、今、こちらの緑色とオレンジ色で塗り潰している部分が、今、水面になっていない部分ですが、水面をつくるとともに、全部を掘削するのではなくて、一部湿原のような環境も残すようなことを考えております。

【石井委員長】 よろしいでしょうか。

 それでは大体予定した時間になりました。特にご意見なければ、本日の議題は以上とさせていただきたいと思います。

 最後に永島総務課長からご挨拶いただければと思います。

【永島総務課長】 本日は様々な観点から熱心なご議論をいただきまして、誠にありがとうございました。えりも地域ゼニガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画に係る計画期間の延長について及び国指定鳥獣保護区の指定等及び同保護区特別保護区の指定については、事務局案のとおりまとめていただきました。ありがとうございます。

 今後、事務局において答申案としてしかるべき手続をとらせていただきます。

 その上でとなりますけれども、本日もご議論ありましたとおり、保護をするにしても管理をするにしても、地元の理解と協力を得るということが非常に大事だと環境省としても認識しておりますので、また引き続きご指導、ご助言をいただければと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

【石井委員長】 それでは、以上をもちまして本日の委員会を閉会といたします。皆さん、お疲れさまでした。