中央環境審議会土壌農薬部会 土壌制度小委員会(第12回)議事録

日時

平成21年7月29日(水)10:02~11:14

場所

環境省第1会議室

出席委員

委員長 松本 聰 臨時委員 佐藤 雄也
委員 浅野 直人 鈴木 英夫
大塚 直 高橋 滋
佐藤 洋 中杉 修身
臨時委員 石原 一郎 中野 璋代
稲垣 隆司 藤井 絢子
河内 哲 細見 正明
岸井 隆幸 専門委員 市川 隆治
佐藤 泉

(欠席は、和気委員、眞柄臨時委員、斎藤専門委員)

委員以外の出席者

環境省
鷺坂水・大気環境局長、伊藤水環境担当審議官、木村総務課長、田中土壌環境課長、是澤地下水・地盤環境室長、足立土壌環境課課長補佐、今野土壌環境課課長補佐、天野土壌環境課課長補佐、近藤土壌環境課主査

議題

  1. (1)  改正土壌汚染対策法の政省令事項について
  2. (2)  その他

議事

(田中土壌環境課長)
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第12回中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催させていただきます。委員の皆様方にはお忙しい中ご出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠の状況でございます。和気委員、それから、けさ、眞柄先生からご欠席との連絡をいただいております。したがいまして、本日は委員、臨時委員の総数18名中16名の出席が予定されております。ただいま、15名が出席されておりますので、小委員会開催の定足数を満たしているということをまずご報告をさせていただきます。
 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料についてご確認をいただきたいと思います。
 配付資料は議事次第の下の方についておりますけれども、資料1・委員名簿、資料2・政省令案事項の素案、それから資料3として修正点、それから、参考資料として諮問書、付議書、それから参考資料2として小委員会設置の取り決めについて添付をしております。足りないものがございましたら、事務局の方にお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。
 続きまして、事務局の方に交代がございましたので、お知らせをしたいと思います。
 7月14日付で水・大気環境局長として鷺坂が就任いたしましたのでご紹介をさせていただきます。

(鷺坂水・大気環境局長)
 7月14日付で水・大気環境局長を拝命しました鷺坂でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。また、委員の皆様方には日ごろより土壌環境問題につきましてご指導を賜っておりますことを、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
 本日、土壌汚染対策法の改正に伴いまして、政省令事項の素案をご議論いただくということでありますけれども、本日取りまとめいただきましたら、環境省といたしましても、その答申を踏まえまして政省令案を作成していきたいと、このように考えているところでございますので、どうかよろしくご審議のほどお願いしたいと思います。
 土壌環境をめぐる事情ということを見てみますと、最初の市街地の土壌汚染対策法ということで、2002年新法ができ、その後、法律の中だけではなくて、法律の外側におきまして非常に自主的な調査件数もふえてきている。土壌環境をめぐる状況の中で国民の関心というものが非常に高くなってきているのではないかと、このように考えているところでございます。
 環境省といたしましても、今回の法改正を機に、またそういった国民の関心も踏まえ、土壌環境の適正な対策というものを含め、適切に対応をしていきたい、このように考えているところでございますので、先生方のさらなるご指導、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げまして、私からの局長就任のあいさつを兼ねましてのあいさつにさせていただきます。
 本日はどうぞよろしくお願いしたいと思います。

(田中土壌環境課長)
 それから、7月15日付で水・大気環境局の総務課長として木村が就任いたしましたので、ご紹介をさせていただきます。

(木村総務課長)
 よろしくお願いいたします。

(田中土壌環境課長)
 それから、同じく7月15日付で土壌環境課長ということで、申しおくれましたが、私、田中でございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
 それから、私の前任の笠井課長から一言ごあいさつを差し上げたいと思います。

(笠井自然環境局総務課長)
 15日付で自然環境局の総務課長に異動しました笠井でございます。1年間どうもありがとうございました。
 御挨拶させていただくのも恐縮ではありますが、恐らく7月1日に素案を示しておきながら何で変わったんだということではないかと思います。いろいろ引き継いでおきましたが、今回の法改正のポイントというのは一言で言うと、やっぱり「みんなで成ろう届出区域」ということではないかと思います。汚染が見つかったということだけで大騒ぎをされるんですけれども、その程度の汚染だったら理科の実験室にあるとか、室内にあるとか、果てはもともと自然にあったものもあるということで、見つかったことだけで騒いでいるという状態を変えないことには、きちんとリスクの管理はできないんじゃないかというのが1年間の議論ではなかったかと思います。
 きちんとした管理ということの中には、当然持ち出しをやるのであれば、どこに持っていって、どういう処理をされたかという追跡をきちんとされていなければ、かえって汚染を広げることになるだろうというご指摘もございました。それも踏まえまして処理業の許可制度も入れられることとなりました。結局、一定規模以上の土地の形質変更の際に、必要があれば調査を命じることになったわけですけれども、20年前、40年前、そういうようなことについてどの程度記録が残っているかということになると、行政の側でも心もとないところがあって、だからといって事業者、一般の方に、自分が買う前の土地のことまでシラミつぶしに調べろと言えるのかというと、やっぱり言えないなというところがございまして、結局は、調べていて見つかったら報告をしてもらって、みんなで管理していこうじゃないかと。さらには、この委員会でもご発言があったんですけれども、持ち出すとか、土壌をいじる時に注意が必要なんだったら、一々調べなくても、進んで規制に服しますというようなご発言もあって、ほかに例のない自主申請の制度というのが設けられております。
 処理の能力とか、そういうものに限界があるということを考えると、きちんと見つかったら届出をしていただいて、届出区域になっていただく。それで、皆さんで国民の共有財産であるリスクに関する情報をたくさん手に入れて、キチンと管理をしていこうというのが今回の改正のメインではないかと思っております。大切なのは、いかに気持ちよく申請をしていただけるかです。土壌汚染が見つかったからといって慌てることはなくて、届出をした方がこれからも安心して事業活動をやれるんだというふうに思ってもらえることが必要ではないかと思っております。
 私は自分で納得をしないとなかなか動かない人間なので、前局長にたしなめられるようなところがありましたけれども、納得するまで先生方と議論をさせていただいて、非常に自分自身のためにもなりましたし、世の中もこれでちょっと良くなってくれればいいのかなと思っております。
 どうもありがとうございました。

(田中土壌環境課長)
 それでは、ここから松本委員長の方に議事進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

(松本委員長)
 本日は大変蒸し暑い中を早朝からお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。本日の小委員会でございますが第12回目になります。議題は改正土壌汚染対策法の政省令事項についてでございます。
 まず、本日の審議の公開の扱いについて説明をしておきます。今回の小委員会は、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれや、特定の者に不当な利益または不利益をもたらすおそれがございませんから、公開とさせていただきます。
 それでは、議事次第に沿いまして議事を進めてまいります。
 7月1日に開催しました第11回土壌制度小委員会では、中杉委員、細見委員、佐藤雄也委員から政省令事項素案についてご説明をいただきまして、委員の皆様からいろいろと貴重なご意見を賜ったところでございます。本日は、この政省令事項素案について答申としてまとめるためのご議論をお願いしたい、そういうふうになっております。
 なお、本会議終了後、政省令案について速やかにパブリックコメントの手続に入りたいと考えておりますので、本日この場で政省令事項についての答申を固めたいと、そういうふうに思っております。
 まず、前回ちょうだいいたしましたご意見などを踏まえた政省令事項素案の修正部分について、修正の趣旨を事務局からご説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

(田中土壌環境課長)
 それでは、資料2、資料3を使いましてご説明をしたいと思います。
 今、委員長の方からご発言がございましたけれども、前回7月1日の小委員会において改正土壌汚染対策法の施行に係る政省令事項の素案ということをお示しをさせていただきました。前回は3つのパートに分けて、それぞれご担当いただいている委員の先生の方から、その時点の案ということでご説明をいただいたわけでございます。小委員会における活発なご意見、それから、その後、また書面で委員の方からご提出をいただきました。それも踏まえて、また、この3人の担当の先生方のもとでワーキンググループなどでご議論をしていただきました。それから、また関係者のご意見なども伺って、主に前回の積み残した事項、その後提出いただいた論点を中心に深めてまいったわけでございます。
 きょうの資料2は、その点を見え消しという形で1日の案に比べてどこが変わったかということがわかるようにしておりますので、見ていただきますとかなりエディトリアルな修正もたくさんございますけれども、主に内容にわたる変更点、これについて簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。
 まず2ページをごらんください。ここは3条1項の関係で土壌汚染状況調査の方法ということで、それぞれのステップを踏んで、こういうような方法でやるというようなことでございますが、[5]試料採取等の実施という中で1つ付け加えております。「土壌ガス調査を省略してボーリング調査を実施することができるものとする」ということでございまして、これまで土壌ガス調査を行ってボーリング調査というような段階だったわけでございますが、最初からボーリング調査を実施するというような場合もあるということでございますので、これもこの方法の中に位置づけるということでございます。
 3ページをごらんください。[7]試料採取等の省略というところでございます。現行の規則におきましても一部の過程の省略というようなことを定めておりますが、その省略の方法を拡大するということでございます。この[7]の一番上にありますのは「土壌汚染のおそれの把握、試料採取等の対象とする特定有害物質の種類の確定」といった最初のところから省略をすることが可能となるというようなものでございます。ただし、この場合におきましては区域全体について土壌含有量、それから第二種溶出量基準に適合しない汚染状態にある土地として、その後さまざまな法律上の適用関係は扱っていくというようなことにしております。
 その次でございますが、ここももう一つの省略の形態でございまして、区域の分類及び試料採取等を行わないというような、次に大きな省略の方法ということでございます。この場合も、その物質の種類については土壌含有量基準、それから第二溶出量基準に適合しない、そういうふうにみなすというようなことでございます。
 以下の「さらに」以降については前回お示ししたものでございます。
 それから4ページをごらんください。これは法4条の関係で土壌汚染のおそれがある土地の形質の変更が行われる場合の調査ということでございますけれども、ここは、たしか前回の小委員会でご意見があったというふうに聞いておりますけれども、土地の所有者等が当該形質の変更を行うことに同意していることを証する書面を届出書に添付していただくということで、それがしっかりと裏づけられるようにしておこうということで、ご意見をここに書き込んでいるものでございます。
 それから、しばらく行っていただきまして7ページでございます。ここで新しく表の中に講ずべき汚染の除去等の措置と、それから同等の効果を有すると認められる汚染の除去等の措置ということ、場合に応じてそれぞれどういう措置かということをまとめた表でございますけれども、ここで一番右の欄でございますけれども、幾つか修正があります。土壌汚染の除去というのを、順番を一番後ろに持っていった方がよいというご意見がございましたので、そういう順番に全体として並びかえているということでございます。
 それから8ページをごらんいただきますと、[4]ということで1つ項目がふえているように見えますけれども、これは第一種特定有害物質とか第三種特定有害物質については欄を分けて、第二溶出量基準に適合しない場合と第二溶出量基準には適合している場合と、それぞれ二つ欄をつくって書き分けていたのですけれども、第二種特定有害物質については今までは1つの欄の中で、措置の中で少し注書きをしていたということなんですが、これも書き分けたということでございますので内容については変更はございません。
 9ページをごらんください。(7)のところで、それぞれの指示措置等についての技術的基準をまとめているところでございます。現在あるそれぞれの措置については少し修正を加えて、ここの表2にあるとおりとしておりますけれども、新たに[8]の欄を今回加えているということでございます。前回お示ししているわけでございますが、(7)の本文のところにも、そのことを明示して、地下水汚染の拡大の防止の実施の方法については、この表の[8]にあるように追加しますよということを本文にも明示をしたということでございます。
 それから12ページをごらんいただきたいと思います。これは法9条の関係で要措置区域内における土地の形質の変更の禁止に関する省令事項案でございます。
 ここで、基本的には[1]にあるように次のいずれにも該当しない行為ということで例外を設けるわけでございますが、それに加えて[2]は指示措置等と一体として行われる土地の形質変更であって、汚染の拡散を生じさせないものなんですけれども、ここを少し明らかにして環境大臣が定める基準に適合する旨の確認を受けたものということで明らかにしようということ。
 それから[3]全体が今回付け加わっておりますけれども、地下水のモニタリングあるいは地下水汚染の拡大の防止といった措置が講じられている、実施されている、そういう要措置区域内で行われる場合でございますけれども、そういう場合の土地の形質の変更であって、その工法から見てこれは大丈夫だと、汚染の拡散を生じさせない、そういうものだということで環境大臣が定める基準に適合する、そういう確認を受けたものについては、これを認めていこうというような趣旨の追加でございます。
 それから13ページの(2)[3]でございますが、そういう幾つかの確認をするプロセスというのを置きましたので、その前提条件がなくなった場合には、その確認を取り消そうというような規定でございます。
 それから14ページをごらんください。14ページは自主的に指定の申請を行う場合の手続ということでございますけれども、申請者が土地の所有者ではない場合、管理者あるいは占有者である場合でございますけれども、それがきっちりと、そういう地位に基づいて行われているということをはっきりしていただくために、その旨を証する書類をご提出いただくということを明らかにしているものでございます。
 それから16ページをごらんいただけますでしょうか。これは区域の汚染土壌の搬出をするときの届出手続でございますけれども、搬出の際にその運搬を容易にするために、当該要措置区域と一筆の土地であって隣接する土地で、例えば水分が多い場合の含水比の調整を行うような、そういう処理を行う場合があるというように伺っておりまして、そういうような場合には非常に限定的にこういう例外措置を認める必要があるだろうということで、ただし、それをきちんと届け出を出してもらうという必要がありますので、これを書類の中で明らかにしていただくと。記載事項としてこれを位置づけているということでございます。
 それから17ページをごらんいただきますと、こちらは運搬の関係の基準でございます。運搬につきましては、試験研究のために運搬する場合、これを法律上は例外措置ということになっておりますので捕捉することはできないわけでございますが、一方で運搬に関する基準自体はこうした試験研究のための運搬行為にも適用があるということでございますので、原案ですと、どういう場所におろせるか、どういう場所で引き渡せるかというようなことが書かれておりますが、これを、届出はないんですが、基準が適用される試験研究にもきちんとうまく運べるように基準が適用されるようにこれを明らかにしたということでございます。
 それから大きなところを中心に申し上げますと、21ページをごらんください。処理業の許可の申請の関係でございます。ここの人的能力に関する幾つかの、何を出すかということでございますが、ここで許可の取消し等の場合の措置に要する費用の見積額を記した書面及び当該見積額の支払いが可能であることを示す書面というのを加えております。この許可が取り消されて、直ちに必要な措置を講じていただく必要がありますので、少なくとも申請に当たって、これに相応する財産、費用を賄うだけの財政的な能力があるというようなことをお示しいただくという趣旨でございます。
 それから、同じく施設の構造に関しての必要な書類の中でございますが、同じように、もし許可の取消し等があった場合に、いろいろ調査を行いますが、調査の結果、土壌汚染があるということになった場合、法第14条に基づいて自主的に申請を出していただくということを考えておりますので、その場合、もし所有者が他にいる場合、その方々の合意を取りつける必要があります。そのときになって慌てても困りますので、申請の時点において、いざというときにはそういう自主申請を行うんだというような道筋をきちんとつけておいていただく、そのことを書類としても出していただくという趣旨の規定でございます。
 それから23ページでございます。処理業の、今度は処理の基準として幾つか書いております。
 (2)のところは関係法令をきちんと遵守しましょうということで、これは当たり前と言えば当たり前なんですが、当たり前の例示として下水道法、それから海洋汚染防止法を付け加えております。
 それから、(3)のところは汚水の適正な処理、地下浸透の防止というところでございますが、[4]のところで地下水の下流の方の水質を3月ごとに測定をしてくださいというような規定がございました。ここにただし書きをつけておりまして、1年間地下水基準に適合していれば、この頻度について1年ごとでよろしいですよというようなことを加えております。
 さらに[5]、もう一つの例外規定でございますけれども、埋立処理施設以外の汚染土壌処理施設であって、きちんと地下浸透防止のための措置を講じているということがきちんと確認できれば測定を要しないというように書いておりまして、逆に言えばそういう措置がきちんと講じられるようにしていこうということでございます。
 それから、(4)の方は、施設から排出されるガスの適正な処理について書いているところでございます。
 [1]は変更はございませんが、[2]の方で、ここにまず[1]に掲げられておりますような、主に大防法で既に規制を受けているような物質、これについて3カ月ごとにきちんと測定をしていただくということでございます。この頻度をめぐって、少しご議論があったというふうに承知しておりますが、先生方のご議論を踏まえて、3カ月ごとにはかっていただくと。ただし、その基準に適合しているんだということがわかった状態になれば、その後は1年ごとでいいのではないかということでございます。
 それから、もう一つ、[2]のイからチに掲げているような物質につきましては、これにつきましては大防法の規制がある物質ではございませんけれども、少なくとも測定をしていただこうということで、1年ごとにこれを測定してくださいというようにしてございます。
 24ページでございます。(5)の搬入された汚染土壌等の管理というようなところで、管理票の議論が前回の小委員会でもあったというふうに承っております。法定の管理票とは法的には位置づけが違うということで、それに準じてということで(5)[2][3]のところの書きぶりを正確にしているということと、[4]のところの汚染土壌処理業者が、その写しを汚染土壌の搬出を行った者に送付しなければならないという、2種類の管理票があるわけでございますが、最初の搬出者のところに二次的な管理票についても写しを送付すべきだというご議論を踏まえて、それを追加したものでございます。
 26ページをごらんください。許可の取消し等の場合の措置義務ということで法律27条1項にございます。その措置義務の1つとして、(2)ですけれども地下水の汚染状況の測定、2年間継続して汚染がないということを確認してくださいということでございます。
 ただしということで要措置区域に指定された場合ということが前回ございましたが、これに加えて、地下水の汚染状況を測定して、地下水の汚染はないことが確認され、かつ、調査の結果、土壌が基準に適合しているということが判明した場合、その場合はそれ以降、地下水汚染状況の測定をやめるということができるようにただし書きを加えているものでございます。
 27ページ、指定調査機関の指定ですが、これは指定申請の際に、どこで事業を行うかということを明らかにしていただくというようなことでございます。他の規定にも同様の追加をしている部分がございます。
 以上が、前回以降の先生方のご議論を踏まえまして、僭越ながら担当の先生方のご指示を仰ぎつつ、事務局の方で原案を1つにまとめて、今回提示させていただいたものでございます。
 資料3の方につきましては、前回の主なご議論、ご意見を表にまとめております。それぞれについて、どういうふうに考えているかということ、それから、前回以降、書面にてご提出いただいたご意見もございます。大変ありがとうございました。これにつきましても、対応についてここに書かせておりますし、一部意見につきましては今回の素案の中に修正ということで手を加えさせていただいております。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは、ただいまご説明いただきました資料につきまして、ただいまから質疑応答並びに議論の時間に入りたいと思います。特段、部分ごとに区切りませんので、自由にご意見を賜りたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

(岸井臨時委員)
 16ページのところでお尋ねしたいんですが、搬出をする際の届出書の記載事項ですが、5番目に新しい項目が入っておりまして、日本語がわかりにくいので教えていただきたい。「汚染土壌がある要措置区域等と一筆の土地であって、これこれの機器の中で調整を行う場合には、機器の構造と設置場所を書きなさい」と。まず、「一筆の土地であって」という条件をつけている理由と、「土地であって、行う場合には」というのが、やや日本語としてはおかしいかなという気もするんですが、どうしてこうなっているのかというのをご説明いただきたいと思います。

(松本委員長)
 それでは、ただいまのご質問に対して事務局の方で回答をお願いします。

(田中土壌環境課長)
 この追加の点についてですけれども、まず趣旨としては、現場でまさに指定された区域の中でそういう必要な調整を行っていただくことができれば、それにこしたことはないという大原則があると思いますけれども、非常に運びにくいような汚泥状のような土壌がある場合に、これの含水比調整を行う、その他必要な作業を行う場合があるというふうにお聞きしておりますので、これを隣接する土地でやっていただくことはやむを得ないような現実があるというふうに伺っております。
 それでは、次に、それをどこで行っていただくことが社会的にも許されるのだろうかということになるわけでございまして、それをどういうふうに決めていくかという問題だと思いますけれども、今、書いておりますのは土地のそういう状況を外形的にも最も明らかにできるやり方として、その要措置区域と一筆であるというようなことが最も客観的にできるのではないかということでございます。
 先生方のご指摘で、例えば区域が必ずしも一筆じゃないんじゃないのというようなご指摘もあるわけでございます。その場合は、恐らく要措置区域の中に幾つかの筆があって、それぞれと、また一筆の土地が要措置区域の外、隣接地にもあるのではないかということになるわけでございますけれども、余りここを広げますと、本当に大丈夫なのかというようなご議論がございますので、現在の案は、最も客観性にすぐれているやり方を提示をさせていただいているということでございます。
 書きぶりについては、また省令を書く段階できっちりと書く必要があるかなというふうに思っております。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。どうぞ、岸井委員。

(岸井臨時委員)
 届出書の記載事項でありますので判断基準を示すわけではないとも思うのと、「要措置区域等と一筆の土地」という意味がいま一つわかりかねるというのと、そこに限定をする必要は、この段階ではないんじゃないかというふうにも感じます。どうしてここを限定をして、ここに書く必要があるのかというのがよくわからないということでございます。

(松本委員長)
 じゃあ、それについて。浅野委員。

(浅野委員)
 委員は、よく案を見ておられてのご指摘だと思うのですが、法律の本体は要措置区域から物をともかく出しちゃいけないということを大前提としております。だから、その大前提から言うと、とにかく汚染土壌の取り扱いは要措置区域の中で全部やらなくてはいけないということになるわけですが、とはいうものの、現実にはそうもまいりますまいというわけです。
 こういう調整作業的なことが行われるとすれば、必然的にそこで汚染土壌が、一時的にというか臨時的に区域外へ動くということも否定できないので、それはしょうがないので許容する、ということを、法文上は正面きっては言えないので、ここに言う届出という形をとりながら、これは例外として認めざるを得ないということを暗に示し、しかし、それが際限なく広がらないようにという、ぎりぎりのところで枠をはめている、そのための一種の工夫というふうに理解していただきたいわけです。
 ですから、委員がおっしゃるように何か判断基準を決めているというよりも、これは要措置区域内の処理であるという、そのように「みなす」と言うことに近い表現なんだと、こんなふうに理解していただくということでもあるわけです。
 問題は、一筆というのは不動産登記法上の1枚の登記ファイルに記されている土地を言いますので、このような整理で、果たして現場で本当にうまくいくかどうかという問題は残ると思われます。というのは、一筆というときには、何も大きさには何の制限もないので、極めて小さい一筆もあれば、極めて大きくて広い一筆もあるでしょうけれども、恐らく現実に、この適用を受けるようなサイトは多くの場合工場でありましょうから、工場・事業場で、要措置区域になるような場所が完全に一筆であるかどうかはよくわからないわけです。例えば、用地を後で追加取得したような場合には、それを一々合筆はしないでしょうから、登記簿上は複数の筆にまたがるということがあるだろうと思われます。その場合には、運用上一団として使われている工場、事業場の敷地内の一筆という概念を若干広げざるを得ないということがあるかもしれませんけれども、そこまで厳密にここでぎちぎち書き出すと切りがないので、とりあえずこういう書き方しかないかなということです。
 その意味では、若干不明瞭であることは否めないと思います。他の法律では、もっともこういうような場面じゃなくて、化学物質管理なんかの場合には「一団の工場の敷地」みたいな言い方をする例もあるのですけれども、この場合はそこまで広げてしまうと、何しろ広大な敷地の中のどこでやってもよろしいということになりかねないので、余り好ましくない。やはり、要措置区域に極めて隣接するという、「近接する隣の場所」というようなところがぎりぎりの例外でしょうというニュアンスを出すために一筆という表現をとっていると理解せざるを得ないだろうと思います。
 これをまた、何メートルかってメートルで数量表示をすると現実には運用不可能になってしまうということがあるでしょうし、それから、もう一つは地権者がだれであるかという問題が出てきますので、その点は一筆と言っておく限りは同一所有者の所有に属するということが明確ですから問題を防ぎやすい。仮に、さらにこれを運用上、若干目をつぶって広げるとしても、同一所有者の持っていない土地まで持っていくことはだめである、それは完全に場外搬出という扱いにせざるを得ないということにはなると思うので、まあこういう書きぶりでしょうがないかなというふうに考えます。

(松本委員長)
 今の浅野委員のご説明でご納得いただけましたでしょうか。

(岸井臨時委員)
 法文上の表現でありますので私がどうこう言うことではないんですが、「要措置区域等と一筆」というのが、どう理解するのかというのはなかなか難しいだろうと思うのと、その後に「隣接する土地に設置された機器」というような表現があるので、非常に混乱をしそうな文章だなというのが印象でございます。

(松本委員長)
 それでは、河内委員、どうぞ。

(河内臨時委員)
 今の話で、私は、「隣接する土地」とここまで書く必要があるのかどうか疑問に思います。要は飛散とか汚染の拡大とか、そういうことにつながらなかったら認めるべきではないか。例えば工場の中で隣接した土地にそのような設備を置けなかったら、少し離れたところで処理をして戻してくるというのは通常あり得る話なので、リスクから見てこれは大丈夫だとだれが見ても判断できるようなときは、そういうのを認めるということの方が現実的な処置じゃないかなと思うんですけれども。

(浅野委員)
 「隣接」という表現が一種のニュアンスというふうに考えて、例えば地役権のようなものは常識的には隣接してというように言っていますけれども、全然離れた場所についても地役権が成り立ちます。ですから、それは国語的解釈の範囲内で運用の妙ということにならざるを得ないのではないでしょうか。
 要は、しっかりと一体的に管理ができるかどうかということと、それから、全く異なる地権者の所有する土地にまで持ってこられるのは防がなきゃいけない。この2点がポイントだと思います。
 ここは多分、河内委員には、自治体の運用がばらばらで困るというご心配が背景にあってのご発言と推測いたしますが、この手のものは多分、実施通知のような形で隣接しているものについては、何が目的なのかというのを、地理的な近接性ということよりも、管理の的確性ということにポイントがあるのだということを明確に示してもらうということではないかなと思います。
 なお、この小委員会の私の発言も記録に残るでしょうから、それが参考になるのではないかと思います。

(松本委員長)
 どうぞ、そのほかお願いいたします。ただいまの点でも結構です。
 それでは、中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 前回議論をしたところでないところで気がついてしまって、気になってしまったところがございます。
 これは、パブコメ案としてはパブコメを受けた後で、もう一回議論をするものがありますので、このままで結構だと思いますが、15ページのところの10の汚染土壌の搬出時の届出等というところでございますけれども、届出をしなくてもいいときに調査をしなさい、調査の方法が決めてございます。ここで調査する対象項目が、いわゆる全体をやりなさい、それを確認しないとだめですというので、これはコスト負担がそんなにかからなければ、やっていただくのが望ましいということで、いいのではないかというふうに思うんですが、そこのところの少し見きわめが必要だろうと。と言いますのは、土壌汚染がある区域と言いましても、その土壌汚染がある区域の土壌については、地歴調査をやった結果、汚染のおそれがあるという物質に関しては、特定有害物質に関してはほかの一般の土地と区別されるべきだろうけれども、それ以外の項目については、ほかの一般の土地と余り変わらないのではないか。そうすると、ほかの一般の土地はそういうことも全くなしに運び出せるのに、この汚染土壌の土地については、汚染土壌はほかの項目での汚染土壌であるから、そのほかの項目にしてもすべて確認しないと出せないというのは少し酷かもしれないというふうな感じがいたします。
 この辺のところは少し実際にこういうふうなことをやったことによって、どのぐらいの負担がかかるかということを少し見きわめながら議論をする必要があるのかなと。論理的に言って、少し過大かもしれないなという感じはいたします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 そのほか、どうぞ。それでは、高橋委員、どうぞ。

(高橋臨時委員)
 先ほどの[5]の議論をお聞きしていて、この文言とは別の観点のことを気がつきました。水を抜くわけですよね、多分機械かなにで。この[5]というのは。その点について、まず、お聞きしたいんですけれども。

(田中土壌環境課長)
 含水比調整ということですので、そのやり方はいろいろあるんだと思いますが、そのやり方として、例えば固化剤みたいなものを使うというようなこともあるというふうに聞いております。石灰などということです。

(高橋臨時委員)
 じゃあ、水を抜く処理は基本的にしない方法だということでしょうか。

(松本委員長)
 そこは括弧書きの中で、「水が漏洩または飛散することが防止できる機器内に限る」ということになっているので、少なくとも水を抜くとしても、それが漏洩するということはだめということになっている。だから、場外サイトでそれをやった場合に、そこがまた新たな汚染をもたらすようなことは、そもそも機器の構造の上で認めないという押さえになっているという理解でいいんだね。

(田中土壌環境課長)
 基本的に、排水を伴うような中間処理になりますと、今度はもう一つ別のプロセスでやっていただく必要があるかと思いますので、先ほどの河内委員のお話も全く違うようなところで、全く違うプロセスでやるのであれば、むしろ、それなりのきちんとした手はずを踏んでやっていただく必要があろうかと思いますので、ここはあくまでも石灰などを使って排水を外に出さないような形で含水比調整を運びやすいように行うものというふうに説明をさせていただきたいと。

(高橋臨時委員)
 そういう理解なら、つまり排水を伴わない作業に限定されるということですね。どうもありがとうございました。

(松本委員長)
 どうぞ、そのほか、お願いいたします。鈴木委員。

(鈴木臨時委員)
 今のところですけれども、法令審査的に細かいことを申し上げますが、この「一筆の」というのがひっかかると思うんです。ですから、「要措置区域と一体的に管理できる土地であって」とか、「隣接する等一体的に管理し得る」とかというような表現にはならないのかなという気がします。
 それから、この「の中で」という表現ですが、文章上、「機器の中で」というのは違和感がある表現で、「機器を用いて」というような表現にした方がいいんじゃないかと思いますけれども。以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。今のご指摘、いかがでしょうか。

(田中土壌環境課長)
 「機器を用いて」は、それはそのとおりです。

(松本委員長)
 ですよね。「機器の中で」じゃないですね。

(天野土壌環境課課長補佐)
 ご説明いたします。「機器」と書かせていただきましたのは、基本的には、その土地に機器を設置して、その中でやっていただくということを想定して文章として書かせていただいております。現実では鉄板をひくだけとかでやっている現場もあるように聞いておりますが、鉄板をひくだけではその継ぎ目から漏れるとかいう問題があります。これはゼネコンさんで一番多くありましたので、いろいろ議論を重ねたところ、パッカーの台のような、ちゃんと遮へいされた状態の機器を設置して、その中でやる場合を容認していただきたいというお話でしたので、まず、「容器の中」という意味で「機器の中」と。あくまで土を入れない容器の中と。
 当然、高橋先生からご指摘があったように水が外に出ないような容器、中から一切水が出ない容器という浅野先生がご指摘されたような内容の容器という意味の容器の中にまず土を入れる。その中で作業をやる。かつ、その機器を設置する場所については、その要措置区域等の隣接のそばで置いていただく。そうしなければ、遠いところまで運んでいくということになると、その途中の経路における運搬の基準を守ってもらうという問題がまた出てしまいますので、あくまでそばでやってもらう。
 「一筆」とさせていただきましたのは、浅野先生からご指摘がありましたように、基本的に、原則は持ち出さないで中でやっていただくことが望ましい、これが原理原則でございます。それを容認して例外的に認めるということであるので、被害の拡大が一番防止できて、ミニマムで容認するとすると一筆ということで条件を加えていった次第でございます。

(松本委員長)
 ただいまのご説明で……、佐藤泉委員。

(佐藤(泉)臨時委員)
 私も今までの意見とほぼ同じですが、「一筆」という記載は余り環境法とは関係ない観点でございますので、環境を確保する観点から合理的な範囲ということにすべきだと思います。「一筆」ということで法令に書き、これを通知によって運用面で緩和するというのは、本来は逆転であります。一筆の土地に限るという合理的な理由はないと思います。

(松本委員長)
 その点は、少し事務局の方で文言を含めてお考えいただいて。

(田中土壌環境課長)
 この後、省令をつくりますが、省令をつくる際に多分、これの「てにをは」は随分変わると思います。その中で趣旨を体して規定をするということでお許しいただくのであれば、今の発言を尊重させていただきたいというふうに思いますが、それではだめだと、どうしてもここを直すのだというのであれば、今、ぜひ先生方からご提示をいただいて、他の委員にもご議論をいただきたいと。

(松本委員長)
 どういうふうに変えたらいいかという、そういう。

(浅野委員)
 いろいろ代替案を考えてはみたのです。なかなか適切に表現しづらい。それから、どれをとっても一長一短ということになるわけです。「一筆」という表現であれば所有者が同一であるということがまず明確になっている。それから、常識的にはそんなに遠くに離れていませんということのように見えますけれども、現実には一筆の土地が何ヘクタールあったって一向に構わんのだから、物すごく広いということもあり得るわけですね。逆に言うと、物すごく狭隘な土地が一筆という場合もありますから、その意味ではいろいろ問題があることは事実です。
 ただ、「隣接」というような書き方で縛りをかけるかというと、これまた距離の問題があって、そう単純には表現できないということになりますし、それから、そもそもそんな狭隘な場所で全く他人の土地を借りてこんな調整をしてもらうぐらいだったら、何とかこんなことはやめてくださいよということになるかもしれません。いろんな想定されるケースをさまざま考えてみて、こういう場合もある、こういう場合もあるんだと。大体どのぐらいを想定したか、10通りぐらいのケースは想定して、それで汎用性のある表現はこれかなということに落ちついていますので、なかなかここは辛いところだと思われます。
 ですから小委員会は、ポイントがどこにあるんだということをはっきりさせておけば、きょういろいろ出ている意見を総合すれば、最終的に政省令の表現のやり方についても何らかの工夫ができるんだろうと思います。きょうのところは、これは「近接する」とかというようなことでも茫漠とし過ぎてということなので、この表現だということにしておいてはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。

(松本委員長)
 それでは、大塚委員。

(大塚委員)
 私も浅野先生のおっしゃるとおりでよろしいかと思いますけれども、「一体的に管理できる土地」とかというのだと、どうも明確でないということを恐れて、こういう「一筆の土地」という言葉にしていて、これ以外は絶対だめとかということではないと思いますけれども、限定をするための明確な方法というのはほかになかったということだと思います。環境法的では確かにないんですけれども、これは、しかし法令の1つですので、別に民事法の言葉を使っても構わないのではないかという趣旨だったかと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞ、そのほか。

(浅野委員)
 21ページの追加された[3]のハです。こういう追加でしょうがないかなと思います。それで、これは念のためにという発言というふうに聞いていただきたいのですが、当該土地の所有者全員の合意書をあらかじめ徴したとしても、その後、所有者が交代するということがありますから、その後、所有者が変わってしまえば、この合意書というものはあくまでも合意をした所有者についての合意でしかない。ですから、ここには物権効はないわけです。といって、こういう効力をもたせるというようなことを政省令で規定することは不可能ですから、これは法律本文の中に入れておかなきゃいけなかったのでしようがない。今ごろ気がついて遅かったということなんですね。
 そこで、これは物権効がないのですが、ただし、申請を行うことについて所有者が合意をしているわけですから、その合意というものは債権的な効果として残りますので、その土地を取得した者は取得者として当然前主の債務を承継する余地はあり、ということになる。少々強引なんだけれども。
 だから、場合によっては、その所有者全員の合意書というときに、もうちょっと一工夫が、ここには書けないか。少なくともその債務をちゃんと承継させるということができるようにしておかないといけないということがあるかもしれない。
 つまり、多くのこの許可を申請する業者、処理業者というのは、資力もあり、技術力もあり、最も問題のない人たちですから、あんまり問題ないと思うのですが、ただ、将来的には、表現は悪いのですが、やや一匹オオカミ的なフリーライダーが入り込まないとも限らない。そういう人たちが、しかも自分の所有地でないところでこんなことをやって、同意書だけとっておいて、後はさっさと所有権が移ってしまって、最後にお手あげというようなことになるという危険性がないわけじゃない。その辺をどう防ぐかということは非常に難しいところですが、この所有者の合意書というのは、所有権が将来譲渡されたような場合でもその義務を承継するということも義務づけておいてくださいという、そのぐらいのことを運用上は考えなきゃいけないのかもしれないと思います。

(松本委員長)
 大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 先生のご心配なことがあると思いますけれども、これは承継効は法律でないと無理だと思いますので、運用上も無理じゃないかと思っていて、まず、ここは所有者じゃない人が申請するので、所有者の合意ぐらいとっておけという、そういう趣旨で後で所有者が変わったときには確かにそこは無意味になるというふうに私なりに理解しております。
 そういう意味では、やや早手回しのような感じもしないではないんですけれども、そのぐらいのことは自分が所有者でない場合はしてくれという、そういう趣旨だと思いますけれども。

(高橋臨時委員)
 今の話は、指定申請で結局指定されることになると思うのですけれども、その前に変わるというときのことをご心配されているんでしょうか。

(松本委員長)
 その後ですね。

(高橋臨時委員)
 その後は別に指定されるというのは、公法上の規制ですから。

(浅野委員)
 いや、廃止するときに義務を課されるから、その問題が。

(高橋臨時委員)
 要するに、多分、公法上の話なので、ここは私法上の議論はあんまり気にしなくていいかなとは思いますが。この点は、事務局でご検討頂きたいと思います。

(田中土壌環境課長)
 ありがとうございました。確かに、いきなり効力を第三者に及ぼすのは、なかなか難しかろうと思いますが、できるだけ、そういうような指導というのか、働きかけというのか、そういうことは必要だと思いますし、この許可を将来またやっていく際にも、その時々でこの状況というのは確認をしていく必要があるだろうと思いますので、そういう運用面においてできるだけ配慮をしていきたいなというふうに思っております。

(松本委員長)
 そのほか。稲垣委員。

(稲垣臨時委員)
 基本的には今回の政省令については大変うまくまとめていただいておりますので、ありがたく思っておりますが、最後ですので、一、二点だけ確認をさせていただきたいと思います。
 まず23ページ、これは事前に聞いておりますので、あんまりここで言うのは何かと思いますけれども、今回、(4)で有害物質等についてこういう形の数値が決められております。[1]の部分については大気汚染防止法のばい煙、[2]については、それ以外のVOCあるいはPCB、ダイオキシン類が入っているわけですけれども、[1]のばい煙については、大防法のばい煙と同じですので、これはやむを得んのかなというふうに思っておりますが、ただ、この基準が、大防法をつくられたときの基準からいって、本来ここで言うセメント焼成炉等の基準じゃないものが入っている。この辺はきちっとご理解をいただいて運用をしていただきたいなという気がしております。
 特に窒素酸化物については、これは確認ですけれども、セメント焼成炉の基準を持ってみえたというふうだと思いますが、[1]は浄化処理施設も入っております。ばい煙以外のものも入ってくるということですので、この辺をきちっと整理して説明をしっかりしていただかないと、ご理解いただけない部分があるんじゃないかなというふうに思っております。
 それと、[2]について、VOC、炭化水素系のものを五つに限られた理由がわからんのですけれども、これをどういうふうに、なぜこの五つに限られたかということだけ教えていただければありがたいなと思います。
 それと、もう一点は、15ページ、これは前の小委員会でも少し、私は質問させていただきましたけれども、15ページの欄外の星印の14、「消除した情報は、第61条第1項の規定に基づき収集される」というふうになっておりますが、これはそのとおりだと思います。ですから、通知を出されるときには、消除されたものについては61条の収集をきちっとやってくださいよということを通知書に明確にしていただけるとありがたいなというふうに思います。
 その2点です。

(松本委員長)
 それでは、ただいまの稲垣委員のご質問あるいはご要望に対して意見、どうぞよろしくお願いします。

(天野土壌環境課課長補佐)
 まず23ページの[2]の項目でございます。これは細見先生を中心にした検討、先生方もご協力をいただきまして、各このメンバーの代理の方にも出ていただきました検討会の中で、[2]の物質についても現在は、基本的に[2]の物質を選んで記載の理由は現在何らかの形で監視項目等、環境基準等で一定の数値について目安があるとか、環境基準として見るべきものだということで位置づけられているものは、土壌汚染対策法で指定された25物質のうちで、そういった環境基準等がある大気に関して基準があるものについては入れようじゃないかというのがスタートでございます。それプラス、その25物質を一定の燃焼等の処理をした場合に、発生し得るものという意味で、この[2]の物質を抽出しております。それが1点目でございます。
 また、61条の1項の取り扱いにつきましては、基本的には、法律上はあくまで努力義務ということで自治体さんにお願いをするというか、努めてくださいという書き方になっていますので、省令上はやりなさいという形はちょっとできないんですが、施行通知等ではそういうふうな情報の整理をしていただきたいという旨の通知書は出したいというふうには考えております。以上でございます。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。
 それでは、そのほかどうぞ。大塚委員、先ほどの問題ですね。

(大塚委員)
 すみません、高橋先生のご発言についてですけれども、これはわかりにくいんですけれども、この21ページの[3]のハというのは、申請者というのは処理業の許可の申請者なので、その後、取り消すかどうかは全然わからないんです。
 取り消した先のことまで考えて、本当に早手回しなんですけれども、もし取り消したらということまで考えて最初から所有者全員の合意書を出しておけという、かなり早手回しな話なので、先ほど浅野委員も疑問に思われて、私も思っていましたけれども、許可のときに許可の取り消しのことまで考えるということなので、その間に所有者が変わっちゃうことがあるものですから、それをどうするかという話です。先ほど浅野先生が聞かれて、私がお答えしたようなことで多分いいと思うんですけれども、そういうことですので、一応申し上げておきます。

(松本委員長)
 まだご意見あるいは議論を続けたいところでございますが、時間もございますので、ただいまの、いわゆるお示しいただいた点で大幅に改正あるいは意見を異にするというところはなかったように思います。そういうことで、大きな修正はないということで、ご議論いただきました省政令につきましては土壌小委員会の方でこれをもってまとめとしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、ただいま非常に数々の貴重な意見を委員の方からいただいたわけでございますので、これをパブリックコメントを出す前に本文に反映すべき修正部分として確認しておきたいと思います。事務局から確認をお願いいたします。よろしゅうございますか。

(田中土壌環境課長)
 本日のご議論を踏まえますと、政省令を具体的に書く際に、いろいろ気をつけなければならないことを幾つかご指摘をいただきましたので、それを踏まえて、また、これを縦書きにする作業を進めていきたいと思いますが、今回の本文につきましては原案においてということといたしておりますがよろしいでしょうか。

(松本委員長)
 それでは、ただいま事務局の方で確認しました修正点、各委員から出されたいろいろな問題を本文に反映するということで、それでよろしゅうございますか。

(異議なし)

(松本委員長)
 それでは、ほかにございませんでしたら、本日議論いただきました政省令事項素案について、最終的には私の方で事務局に修正を指示させていただきたい、そういうふうに思います。
 それでよろしゅうございますか。

(異議なし)

(松本委員長)
 ありがとうございます。そのほか、ございませんでしょうか。

(なし)

(松本委員長)
 それでは、今後の手続について、説明をさせていただきます。
 参考資料2としてつけておりますが、「中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について」によりますと、土壌制度小委員会の決議は部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができると、こういうふうになっております。したがいまして、土壌農薬部会長である私、松本が同意することによりまして、この土壌制度小委員会の決議は土壌農薬部会の決議にいたします。
 その後、私の方から中央環境審議会の鈴木会長に報告を行いまして、鈴木会長の同意を得た上で中央環境審議会の答申として、斉藤環境大臣に答申が行われることになります。このような手続で進めてまいりたいと思います。委員の皆様におかれましては、どうかご承知のほどお願いを申し上げます。
 また、答申終了後、事務局は答申を踏まえ、政省令案を作成し、パブリックコメント手続を開始していただきたいと、そういうふうに思います。
 最後に、本日の資料の取り扱いについてでございます。土壌農薬部会の運営方針におきましては、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益または不利益をもたらすおそれがある資料などは、小委員長の判断に基づきまして非公開とすることとされておりますが、本日配付いたしました資料は、いずれもこれに該当しないことから、公開といたします。
 また、今回の議事録につきましては、事務局で調整いたしました後に、発言委員等への確認をお願いすることになっております。その節はどうぞよろしくお願いします。
 それでは、これで進行を事務局の方にお返ししたいと思います。

(田中土壌環境課長)
 ありがとうございました。事務的なご連絡の前に一言、伊藤審議官の方からごあいさつ申し上げます。

(伊藤水環境担当審議官)
 先生方におかれましては、法律についての答申に引き続きまして、政省令事項について非常に短時間でご審議いただき、まことにありがとうございます。
 法律の審議の際、できるだけこの法律は一日も早く施行する必要がある、こういうふうなことは与野党を問わず強い指摘がなされたということもありまして、非常にタイトな時間でご審議いただいたということでございます。本当にありがとうございました。
 本日いただいた意見、政省令あるいは通知の発出をする際に十分踏まえた上でやっていきたいと思います。
 それから、この新しい改正法の施行を遺漏なきようにしたいと思いますので、いろんな場面で今後も先生方のご指導をいただきたいと思いますが、新しい法律の施行後もまた5年後の見直しということになっております。恐らくは、今、我々が想定していないようないろんなことが生じてくるんじゃないかというふうなことも十分考えられますので、ぜひよろしくご指導をいただきたいというふうに思います。
 それから、この点も国会で与野党を問わずご指摘されたことでございますけれども、土壌汚染から人の健康を守るというのは当然ですけれども、そもそも土壌汚染をしないように、未然防止対策をきちっとやれということが与野党を問わず強く指摘がなされました。この点につきましては地下水の汚染の未然防止ということと一体として考えていく必要があると思いますが、この点についても、施策の充実・強化を図ってまいりたいというふうに考えております。ぜひ先生方のいろんなご指導も賜ればというふうに思っております。
 本当にこれまで、笠井課長じゃないですけれども、いい法律ができそれから、いい政省令になっていくんじゃないかなと自負しております。本当にどうもありがとうございました。

(田中土壌環境課長)
 それでは事務的な連絡をさせていただきます。次回の小委員会でございますが、9月18日金曜日、15時から17時、午後3時から5時までを予定しております。場所などにつきましては、追って正式にご連絡を差し上げたいと思います。
 それから、今回、部会決定としておまとめいただきましたので、予定としては本日中にも答申をいただくということで手続を進めてまいります。答申をいただきましたら、政省令案をつくっていくということになります。それと、パブリックコメント等所要の手続を進めていくということになりますので、今の予定では、あすからでもパブコメを開始したいと思っております。
 委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、非常に短期間に熱心にご議論いただきました。ここに答申案を取りまとめていただきました。本当にありがとうございました。
 引き続き、今、伊藤審議官からも申し上げましたが、施行に向けた準備を早急に抜かりなく進めていきたいと思いますので、引き続きご指導のほどをよろしくお願いしたいと思います。
 以上をもちまして、第12回土壌制度小委員会を閉会させていただきます。ありがとうございました。

(了)