中央環境審議会土壌農薬部会 土壌制度小委員会(第1回)議事録

日時

平成20年6月11日(水)9:57~11:37

場所

環境省 第1会議室

出席委員

委員長 松本 聰 臨時委員 鈴木 英夫
委員 大塚 直   高橋 滋
  佐藤  洋   中杉 修身
臨時委員 石原 一郎   中野 璋代
  稲垣 隆司   細見 正明
  岸井 隆幸   眞柄 泰基
  佐藤  泉 専門委員 市川 隆治
  佐藤 雄也   斎藤 政賢

(欠席は、浅野委員、藤井委員、和気委員、河内臨時委員)

委員以外の出席者

環境省
白石水環境担当審議官、坂川土壌環境課長、藤塚地下水・地盤環境室長、高澤土壌環境課課長補佐、今野土壌環境課係長

議題

  • (1) 小委員会の開催について
  • (2) 土壌環境施策に関するあり方懇談会報告について
  • (3) 今後の土壌汚染対策の在り方について
  • (4) その他

配付資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会 委員名簿
資料2 今後の土壌汚染対策の在り方について(諮問書及び付議書(写))
資料3 中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について
資料4 中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針について
資料5 今後の大まかなスケジュール(案)
資料6 土壌環境施策に関するあり方懇談会報告(平成20年3月31日)
資料7 土壌環境施策に関するあり方懇談会報告補足説明資料

議事

(坂川土壌環境課長)
 皆さん、おはようございます。委員の先生方皆さんおそろいでございますので、ただいまから中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催させていただきます。お忙しい中、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠の状況でございます。浅野委員、藤井委員、和気委員、河内臨時委員より御欠席との御連絡をいただいておりますが、それ以外の委員の先生方の皆さん御出席いただいております。したがいまして本日は、委員、臨時委員総数18名中14名が出席されておりますので、小委員会開催の定足数を満たしております。
 ここで議事に先立ちまして、審議官の白石よりごあいさつ申し上げる予定だったんでございますが、ちょっと国会用務が入りまして、出かけておりますので、後ほど会議の最後にごあいさつさせていただきたいと思っております。
 次に、本日の配付資料を御確認いただきたいと思います。本日の配付資料は議事次第の1枚紙の下の方にリストがありますけれども、資料1が小委員会の委員名簿、資料2が中央環境審議会への諮問書の写しでございます。資料3が小委員会の設置について、資料4がこの運営方針についてというものです。それから資料5が今後の大まかなスケジュール(案)です。資料6が土壌環境施策に関するあり方懇談会報告、そして資料7がその補足説明資料ということになっております。もし足りないものがありましたら、事務局までお申しつけいただきたいと思います。なお、資料6のあり方懇談会の報告でございますが、これに関しましては次回の会議以降も適宜御参照いただくことになるかと思いますので、次回の会議以降も御持参いただきますようによろしく御協力をお願いいたします。
 続きまして、本小委員会の委員構成であります。資料1をごらんいただきたいと思います。ここに名簿があるわけでございますが、本小委員会の委員、それから臨時委員につきましては、土壌農薬部会の委員及び臨時委員の中から部会長に御指名をいただいたものでございます。また、専門委員につきましては、今回新たに2名、部会長から御指名いただきましたので、ここで御紹介させていただきます。
 まず、全国中小企業団体中央会専務理事の市川専門委員です。

(市川専門委員)
 市川でございます。よろしくお願いいたします。

(坂川土壌環境課長)
 社団法人不動産協会環境委員会委員長の斎藤専門委員でございます。

(斎藤専門委員)
 斎藤でございます。よろしくお願いいたします。

(坂川土壌環境課長)
 よろしくお願いいたします。
 なお、本小委員会の委員長につきましては、松本土壌農薬部会長に御就任いただくことになっております。それでは、これよりは松本委員長に議事進行をお願いいたします。

(松本委員長)
 本小委員会の委員長をおおせつかりました松本でございます。よろしくお願いします。本日は早朝よりお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
 本日の小委員会でございますが、第1回目ということもございまして、まず小委員会の設置について御確認いただきます。その次に、土壌環境施策に関するあり方懇談会報告のおさらいを兼ねまして、事務局から同報告のポイントなどを簡単に御説明をお願いいたします。そしてその後に委員の皆様方から、懇談会の報告に関する感想についてコメントをいただきたい、こういう順序で進めてまいります。
 まず本日の審議の公開の取り扱いについてでございます。今回の小委員会におきましては、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれや、特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがないことから、公開とさせていただきます。
 それでは議事次第に沿いまして、議事を進めてまいります。
 議題1でございます。議題1は小委員会の開催についてでございます。資料2、3、4及び5について、事務局から報告をお願いいたします。

(高澤土壌環境課課長補佐)
 それでは、資料の2、3、4、5と続けて説明をさせていただきます。
 まず、資料2についてでございます。こちらは本年5月2日付で環境大臣から中央環境審議会会長に対しまして、「今後の土壌汚染対策の在り方について」ということで諮問がされた文書の写しでございます。次、裏になりますけれども、その諮問が5月9日付で中央環境審議会会長から土壌農薬部会長に付議されているということでございます。
 続きまして資料3でございます。こちらの方、5月14日に開催されました土壌農薬部会において決定されたものでございます。本決定によりまして、土壌農薬部会に土壌制度小委員会が設置されまして、本日第1回目の開催ということになりました。内容についての説明は省略させていただきます。
 続きまして資料4でございます。こちらの資料、土壌農薬部会の運営方針についてでございますが、特にこれまでとの変更はございません。裏の方に小委員会に関する記述が書かれておりまして、内容につきましては、会議や資料の公開に関しまして、公正な審議に著しい支障を及ぼす場合に小委員長の判断により非公開とすることができることでありますことや、会議録の公開に当たりましては、出席委員の了承を得ることなどが書かれているところでございます。
 続きまして資料5でございます。土壌制度小委員会の今後の大まかなスケジュール(案)についてでございます。本日第1回目ということで、今後およそ月1回程度のペースで小委員会の開催を考えております。また、既に委員の皆様方に7月、8月の御予定を伺いまして、第2回目、第3回目の日にちにつきましては決定をさせていただいているところでございます。
 次回2回目以降から、各論について御検討いただきたいと考えておりまして、とりあえず懇談会報告を踏まえまして、大きな課題と考えていますものを三つほど各論検討[1][2][3]ということで挙げさせていただいております。また、今後委員の皆様方の御意見なども踏まえて、今後の審議状況を見ながら、その他の課題についても御議論いただければと考えております。今のところ各論の検討を3回程度開催ということで予定として書かせていただいております。その後でございますけれども、10月以降に答申の取りまとめに向けて、小委員会を数回開催させていただきたいと考えておりますが、開催回数等につきましては、審議の進行状況などを見ながら考えていきたいと思っております。
 簡単ではございますが、以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それではただいまの説明に関しまして、御質問おありの方、どうぞお願いします。ございませんか。
 それでは今後、これらの運営方針などに沿って、本土壌制度小委員会の審議を進めてまいりたいと思います。
 続きまして議題2でございます。議題2は懇談会報告についてでございます。環境省では、昨年度土壌環境施策に関するあり方懇談会を開催いたしまして、議論されているところでございます。5月14日の土壌農薬部会におきましても、懇談会報告について説明がございましたけれども、改めまして事務局から懇談会報告のポイント等についての説明と、補足的な説明をお願いしたいと思います。
 それでは事務局の方、よろしくお願いします。

(坂川土壌環境課長)
 それではまず資料6の懇談会報告の報告書をごらんいただきたいと思います。5月の土壌農薬部会のときに、この報告を御説明いたしましたので、今日は詳細な説明は省略させていただきまして、ごく簡単にしたいというふうに思っております。
 それでは、目次のページをごらんいただきたいと思っております。目次をごらんいただいたように、まずこの懇談会報告では、土壌汚染の特徴と、それから土壌汚染対策法の考え方について、これを整理するというところから始めたわけでございます。土壌汚染対策法は6年前にできたわけでございますけれども、そのときの考え方を一たんここでもう1度整理をしたと。その上で現状と主な課題について整理をしていただきました。
 そこで挙げられました課題として、(1)から(4)ということになっているわけでございますけれども、まず(1)といたしましては、土壌汚染の調査と土壌汚染対策法の対象についてということでございます。全国で土壌汚染の調査、かなりたくさん行われています。また土壌汚染対策法に基づく調査、対策というものも行われているわけでございますけれども、それらの中で土壌汚染対策法の対象の部分というのは必ずしも広くない、狭いというようなことが指摘されておりまして、また法の対象の範囲外のところで土壌汚染が判明することも多いということが書かれております。
 また(2)は、土壌汚染対策の傾向についてです。土壌汚染に関しましては大気や水質の汚染と異なりまして、有害物質が比較的移動しにくいということで、摂取経路を適切に遮断をするということが法の基本的な考え方になっているわけでございます。そこで、盛土でありますとか封じ込めといったような対策が可能な場合が多いわけですが、しかし実際には掘削除去が行われることが非常に多いと、そういうようなことになっております。そのような状況は必ずしも好ましくはないのではないかというふうに報告書に書かれております。その結果として、ブラウンフィールド問題が深刻化するおそれがあるということでありますとか、またさらに搬出される汚染土壌の適切な処理の確保といったことが課題になってくるということが書かれています。
 そういったことを踏まえまして、今後の土壌環境施策のあり方についても、おまとめをいただきました。それが4番です。ここで挙げられましたのは、まず(1)としてサイトごとの汚染状況に応じた合理的かつ適切な対策の促進方策についてということでして、国民の皆様の理解をさらに進めていくといったことと同時に、より理解がされやすいような制度にしていくということも必要ではないかということが指摘されております。
 また(2)では、法制度と自主的な調査・対策の関係のあり方ということです。まず[1]として法律の対象範囲、これについて見直しを含めて検討すべきであるとされておりますが、また一方で過重な負担にならないような配慮というものも必要であるというようなことも書かれているところです。さらに自主的な調査を促進するための施策、また法律の第4条調査についても検討が必要であるということです。
 そのほか土壌汚染に関する情報の集積・公開、土地売買における情報の引き継ぎ、さらに搬出汚染土壌の適正処理を確保するための制度の充実、次のページにまいりまして、調査・対策の信頼性の確保、調査・対策手法の充実。(6)では対策を推進するための各方面における経済的な方策について。さらに土壌汚染の未然防止、操業中からの対応の促進、施策対象とする項目等について、その他ということで、大変幅広く今後の施策のあり方についておまとめをいただいたわけでございます。
 そこで、この報告書の中で少しわかりにくいところもあったのではないかと思いますので、本日はその補足説明資料というものを用意させていただきました。資料7でありますので、次にこちらの方を御説明させていただきたいと思います。この資料7の1ページ目からは土壌汚染対策法の概要ですが、法律の仕組みの中でちょっとわかりにくかったと思われるところを改めて御説明させていただきます。
 まず最初に、1ページの下の方に法の概要の図があるわけでございますが、ここで一番上の方に「調査」という欄がございまして、どういう場合に調査をしなければならないのかということが、ここで定まっているわけであります。ここで基本的には、有害物質使用特定施設の使用の廃止時に調査をするということになっているわけでありますが、この有害物質使用特定施設というものがどういうものであるのかというところを御説明したいと思います。2ページをごらんいただきたいと思います。2ページの上の方のところですが、「有害物質使用特定施設とは、水質汚濁防止法第2条第2項に規定する特定施設であって、特定有害物質をその施設において製造し、使用し、又は処理するもの。」と、このように定義されております。ここで水質汚濁防止法の特定施設とはどういうものかというものでありますが、それは「別表に示すとおり」と書いてありますけれども、この別表が4ページからずっと11ページまでありますけれども、このように水質汚濁防止法の政令で定まっているものでございます。これらの特定施設では、必ずしも有害物質を排出しないもの、使わないものも含まれておりますので、この中で「特定有害物質をその施設において製造し、使用し、又は処理するもの」が有害物質使用特定施設であると、こういうことになるわけでございます。
 そこで次に、特定有害物質というのは何なのかということですが、これは「土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの」と、こうなっておりまして、これらに関して指定基準が定められているわけでございます。この指定基準については、その2ページの下から3ページにかけて、表を載せております。この指定基準については、まずグループ分けをしておりまして、最初が第一種特定有害物質というものです。主として有機塩素系の化合物でございますが、第一種特定有害物質に関しては、土壌の溶出量基準が定まっております。そしてその次の3ページの上の方では、第二種特定有害物質、主として重金属類でございますが、これに関しては、土壌の溶出量基準と含有量の基準が定まっています。そして一番最後が第三種特定有害物質でありますが、これは主として農薬に関するものでありますが、これについては土壌溶出量基準が定まっていると、このようなものが特定有害物質になるわけでございます。そして、法律に基づいて調査をして、その結果指定基準を超えていますと指定区域に指定されるということになります。さらに指定区域になりますと、まず土地の形質の変更の制限といった制度が適用されるわけでありますけれども、さらに土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると認めるときには、汚染の除去等の措置を都道府県知事が命ずることができると、こういう仕組みになっています。
 それでは、その土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがある場合はどういう場合であるのかということ、それからどのような命令がかけられ得るのかということについて御説明します。それが3ページの下の図であります。まず「土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがある場合」、これはどういう場合かということであります。これには二つの種類があります。まず最初に土壌の直接摂取の観点でございます。これに関しては含有量基準を超過しておりまして、かつその土地が一般の人が立ち入ることができる状態となっている場合、そういう場合に土に直接触れるということになりますので、土壌の直接摂取の観点から健康被害が生ずるおそれがある場合とみなされるわけであります。もう一つが、地下水の飲用等の観点でありまして、溶出量基準を超過していて、かつ周辺の地下水が飲用に利用されている等の状況にある場合、そのような場合には地下水の飲用を通じて健康被害が生ずるおそれがあると、このように判断されるわけでございます。
 そしてこれらの場合にどのような措置が必要になるかということですが、まず直接摂取による健康被害を防止するための対策といたしましては、盛土が原則ということになっております。ただし、※印にありますように、「乳幼児の砂場等の土地であって、土地の形質の変更が頻繁に行われることにより盛土等の効果の確保に支障が生ずるおそれがあると認められる場合には「掘削除去」」ということになっております。
 さらに、その下の地下水の飲用等の観点です。この場合に必要とされる対策でありますが、これはまず二つに分かれます。まず最初、その現場で地下水の水質を測定してみまして、その結果として地下水が汚染されていないという場合には、そこではモニタリングをすればよいと、こういうことになっております。一方で地下水が汚染されていた場合、そういう場合には封じ込め、または土壌汚染の除去が原則となっております。この場合、土壌汚染の除去といいますのは、掘削除去、または原位置浄化といいましてその現場で浄化をするというものでございますが、この土壌汚染の除去が求められる場合は、揮発性有機化合物、これが第一種の特定有害物質でございますが、これに関して第二溶出量基準に不適合な場合に求められます。その第二溶出量基準といいますのは、先ほどの土壌溶出量基準よりも、もう少し数字が大きなものでございまして、この土壌溶出量基準よりも10倍、または30倍の数字のものが定められております。つまり第二溶出量基準に不適合な場合というのは、汚染の程度がかなり高いと、そういう場合になるわけでございます。このように、土壌汚染対策法ではどういう場合に健康被害が生ずるおそれがあって、その場合にどういう対策が必要であるのかということが定められているわけでございます。
 次に12ページをごらんいただきたいと思います。懇談会報告の中で、今後の方策として指定区域を分類することを検討してはどうかということが書かれております。この指定区域を分類するというのがどのような理由で、どういうふうにその分類をしていけばいいのかということで、わかりにくかったと思いますので、その一つの例として、今回資料をつくってみたものです。まず現行の上の方をごらんいただきたいと思いますが、現在の制度では、先ほど御説明しましたように、指定基準を超えておりますと指定区域に指定されるわけでございます。その中で人の健康被害のおそれがあり、対策が必要な場合には措置命令が発出されるということですが、そこの部分を今、赤い四角で囲っております。そしてそういう区域は必ず対策をしなければいけませんし、現実にはそれ以外の区域でも対策を講ずる場合がありますので、緑のラインはその赤よりも少し幅広くなっているわけであります。
 そこで対策が実施されますと右側に行くわけでありますが、汚染の除去を行った場合には指定区域が解除されるということになっています。ただし、対策を講じてもその対策の内容が盛土であるとか、または封じ込めなどでありまして、そこに汚染が依然として存在する場合には引き続き指定区域のままであると、こういうことになっております。これは結局そこに汚染が残っていれば、将来的にまた何かそこで土地の形質変更がありまして、例えば土壌がほかの場所に搬出されるとか、そういうこともあり得ますので、そういう場合に備えてそこは引き続き指定区域としているというのが現在の制度の考え方です。
 そこで、こういうことになりますと、問題点が二つ考えられるだろうと。最初の問題点[1]でありますが、左側の方で、人の健康被害のおそれがあり対策が必要な区域と、それ以外の区域の区別がないということで、すべての指定区域が危険であるかのような印象を受けるということです。それからもう一つの問題点は[2]の方でありますが、盛土・封じ込め等の対策を行った場合、当該土地には汚染が依然として存在いたしますので、指定区域として管理されるわけです。このため、人の健康被害を防止するための対策が行われているにもかかわらず、対策が行われていない区域と同様の危険性があるかのような、そういう印象が残るということであります。
 そこで、これを解決するための一つの考え方として分類をするということでありますが、その分類の考え方として書きましたのが下の図になります。まず左側の方でありますが、人の健康被害のおそれがあって、対策が必要な区域とそれ以外の管理が必要な区域と、ここを分けてまず指定をするということです。そしてさらに対策が実施された場合に、その対策の内容によって、汚染の除去を行った場合は解除すると、ここは現行制度と変わらないわけでありますが、盛土・封じ込め等の対策を行った場合には、そこは対策が実施済みであるということを明らかにする、そういうふうにしてはどうかという、こういう考え方だったわけであります。
 それからもう一つ、13ページでありますが、懇談会報告の中に、対策発動基準を指定基準とは別に設けると。さらに、その際に土地の利用用途別に設けることも検討すべきであると、このようなことが書かれております。それの意味するところなのでありますが、それをちょっと図で模式的にあらわしたものがこの13ページの図であります。
 この図の見方なんですけれども、縦軸は汚染の程度でありまして、上の方に行けば行くほど汚染の程度が高いと、これは一応含有量を想定してつくっております。下の方は汚染が余りないということですから、含有量基準を下回っていればそれは指定されることはない。その含有量基準を超えれば指定区域として指定されるという、そういうことになります。そしてこの横軸は、その土地の利用の状況でございまして、現在の制度でも人の立ち入りがない区域は含有量基準を超えても、指定区域には指定されますが、特に対策は必要ないと、こういうことになるわけでありますが、人が立ち入る可能性がある区域、そこについては、この含有量基準を超えれば対策が必要であるというのが現在の制度です。
 しかしこれを少し修正してはどうかということでございまして、含有量基準を超えても、そこの人の立ち入りの状況によってこの対策が必要な、対策発動基準というふうにここでは書いておりますが、対策が必要とされる基準を変えることが可能ではないかと、こういう考え方でございます。ここでは人が住んでいる区域と、それから住んでいないが人の立ち入りがある区域と、とりあえず二つに分けてみて考えておりますけれども、ここをどのように分けるのかということについては、まだ別の考え方もそこはあるかもしれないというふうには考えておりますが、一つの例として、このようなものをお示しした次第でございます。対策発動基準というのは、このような考え方で懇談会では整理されたところでございますが、これについても今後検討をいただければというふうに思っております。
 以上が、あり方懇談会報告の補足的な説明でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それではただいまから今の説明に対して、質疑応答の時間に入りたいと思います。どなたからでも結構でございます。御意見、御質問をお願いしたいと思います。
 大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 簡単な確認の質問で申しわけありませんが、ちょっと1点伺います。今の御説明の12ページのところですけれども、最初の指定区域のところで問題点[1]というふうにお書きになっておられるんですけれども、これはその最初に指定区域を指定するときは、人の健康被害のおそれがあって対策が必要なところだけを指定するということも考え方としては全く不可能ではないような気もするんですけれども、そうすると多分虫食い的な指定の仕方になるので、ちょっと無理だということが前提にあるというふうに考えさせていただいてよろしいでしょうか、それ以外の区域というのが、最初からもしわかっているのであれば、そもそも指定しなければいいというような議論もあるいはあるかもしれませんので、一応ちょっとお伺いしておきます。

(坂川土壌環境課長)
 そこは、今の法律の考え方としては、例えば人が立ち入ることがなく、かつ地下水の飲用もないというところについては、とりあえず今すぐに対策が必要というわけではないのでありますが、ただそこが土地の形質の変更というものが将来あり得るわけでありますから、土地の形質の変更に伴って汚染が拡散したり、またはそこから搬出される土壌が適切に処理されるように確保される必要があるというようなことから、そこは指定区域として指定をした上で、土地の形質の変更の制限というものを適用すると、こういう考え方で現在の制度は成り立っているわけでございます。そこについて、さらにその区域を分類するというのが懇談会報告の中での考え方だっただろうと思います。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。どうぞ眞柄委員。

(眞柄臨時委員)
 これも確認というか、よくわからないので、専門外のことですから、教えていただきたいのですが、この懇談会報告の10ページに、いろいろな条例が掲げられておりまして、都道府県レベルの条例とそれから市町村レベルの条例が書いてあります。そして、すべからくこれらの市町村に関しては、「地方公共団体」というお言葉を使っておられるんですが、なぜ殊さら「地方公共団体」という言葉を使っておられるのか。地方自治法で言えば地方自治体だろうと思いますし、条例の場合には地方公共団体という言葉は成立しないようにも思うんですが、それがなぜなのか。この法律の特殊な理由で「地方公共団体」という言葉を使っておられるのか。
 それから2番目に、この法律とそれから今御説明があった懇談会の新たな視点において、いわゆる国と地方との役割分担がこれからどういうふうに変わるのか、それを御説明をいただきたいと思います。
 それから、ついでに言っておきます、もう1点。この今の資料7にありましたように、特定施設が具体的な対象になるわけですが、特定施設でなくなった土地、例えば廃鉱山の鉱砕の埋め場等は、この法律の対象にならないのか、あるいは埋め立て処分地、一廃の。これは先回のときにありましたが、例えば東京の若洲のゴルフ場、あれはもうまさに夢の島そのものです。あれに汚染のおそれがあるかないかというのは、私よくわかりませんけども、要するに処分地は処分の指導が終わった後は普通の土地になってしまう。つまり特定施設でなくなると、そういう施設に関してこの法律は適用されるのか、されないのか。
 三つお願いします。

(松本委員長)
 それでは、よろしくお願いします。

(坂川土壌環境課長)
 まず今眞柄委員が御指摘になったのは、報告の参考資料の方の10ページでありまして、本文の方の10ページではないと思いますけども、まず「地方公共団体」というのは、私の記憶では地方自治法上は地方公共団体という用語を使っていたと思いますので、余り大きな意味はないんですけれども、地方自治体と同じような意味では使っております。特にそこは区別しているわけではございません。
 それから土壌汚染対策法では、法律は当然国が定めますけれども、これに基づく政令・省令などで基準なども、国が定めておりますけれども、そういった制度を実際運用するのは都道府県または政令市と、こういう仕組みになっておりまして、ですから、その土地の所有者などを指導するのは都道府県または政令市、いわゆる地方公共団体が行うと、こういう考え方で法律ができております。これを、私どもとしては特にこれを大きく変える必要はないのではないかと思っておりますが、懇談会の中では、特にそこに関する議論はなかったというふうに思います。
 それからもう一つ、埋め立て処分場の問題でありますけれども、ここは廃棄物処理法に基づく最終処分場に関しましては、その跡地について管理する制度ができております。数年前に、ちょっと何年か正確には覚えていないんですが、廃棄物処理法が改正された際に、最終処分場の跡地を指定しまして、都道府県で台帳を整備するということとともに、そこで何らかの形質変更がある場合にはまた届け出をするとか、そういうような、ある意味で土壌汚染対策法の指定区域とよく似た制度が既にでき上がっておりますので、そこを土壌汚染対策法で新たにどうこうするという必要はないのではないかというふうに考えています。

(松本委員長)
 廃鉱、鉱山跡地ですね。

(坂川土壌環境課長)
 廃鉱のところは、ちょっと調べてまた御説明させていただきます。

(眞柄臨時委員)
 国と地方の役割のことですけども、土地の登記関係は国の業務ですよね。今回こういうふうに指定の要件というふうで指定する場合には、登記と連携するというふうに、私はその方がスムースじゃないかなと思うんですが、地方にすべからく権限を与えてしまうというのは、懇談会で議論されたかどうかということと、それから従来の、今までの法律の枠組みから比べると、今度の法律を検討した結果、多分地方の役割が多くなるだろうと。となったときに地方の役割が多くなることに関して、地方交付金等を含めて、地方にその財政支援が考えられるのかどうか、いかがですか。

(坂川土壌環境課長)
 懇談会の場では、特段地方と国の役割分担についての議論はなされていなかったというふうに考えております。それから今後の制度改正、これがどうなるかというのはまだわからないわけですが、仮に地方の事務が増えるということになれば、どの程度増えるのかにもよりますけれども、例えば交付税措置を考えていくとか、そういったことの検討が必要になるというふうに思います。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。

(眞柄臨時委員)
 ありがとうございました。

(松本委員長)
 そのほか。稲垣臨時委員、どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 ちょっと確認だけをさせていただきたいのですけれど、資料7の12ページでございます。現行は指定地域、対策をとった地域であっても、引き続き将来的に汚染が残るということで「指定地域」という言葉を今使っているわけです。下は対策済み地域といっても、相変わらず汚染が残っておるのは事実であるんですね。ですから今の法律上の指定地域の考え方は、こういう名前を使っても継続するという理解でいいわけですね。それでないと、あたかも対策が済んじゃっておるようで、その県民の方、国民の方から行くと安全だというふうにとられてしまうというのは、非常に問題があると思うんです。将来的に汚染が残っているのは事実でございますので、そこをどういうふうに理解するかをしないと、名前を変えるだけではちょっと問題があるんじゃないかなという気がするんですが、そこをちょっとどういうふうに議論されたか、教えていただければと。

(松本委員長)
 じゃあよろしくお願いします。

(坂川土壌環境課長)
 そこのところは、懇談会でもいろんな意見がありましたけれども、つまりここで必ずしも解除はしないというようなことだったというふうに考えておりますので、そういう意味でそこに汚染が残るということは、やはり何らかのそこの管理は必要であると。ただ、一定の対策が講じられたこと、これについてはきっちりと明示した方がより理解がスムーズではないかと、こういう議論だったと思います。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。

(稲垣臨時委員)
 わかりました。

(松本委員長)
 はい、じゃあそれでは、あと一つだけにお願いします。どうぞ。

(中杉臨時委員)
 質問ということではないんですが、いいですか。

(松本委員長)
 はいどうぞ。

(中杉臨時委員)
 この懇談会にもかかわりましたので、その懇談会の議論を踏まえて、私の個人的なコメントでございます。全体についてではございませんが。
 多分土壌汚染対策法の今回の見直しというの、法の中で見直ししなさいということを決められていて、議論をしたということがあるんですが、一番は土壌汚染対策法をうまく運用されているかどうかというところの問題点を整理しようということが大きかったと思うんです。で、ブラウンフィールドの問題等もありますけれども、一番の大きな問題は、土壌汚染対策法によって土壌汚染が、土壌汚染対策法のもともとの目的は、土壌汚染が存在している場所を知って、そこについてそれにさわらないようにしようと、それで影響をなくそうという考え方でやっていたんですが、実際には土壌汚染の存在を知るというところが、まだこの法制度の中では十分ではないというのが一つ大きなポイント。それからもう一つは、さわらないことで対応していこうと思っていたのが、それ以上の過剰なというと語弊がありますけども、掘削除去ないし汚染物質を除去するという対策まで進んでいってしまっていると。この二つの問題が大きな問題だというふうに私は認識しています。
 ここら辺のところをもう一つ、特に後者の方の話ですけれども、やはりもう一つの大きな問題としては、その裏に残っているのは土壌汚染対策法に対する理解が十分でない。そこのところをどうするかというのが一つの大きなポイントだろうというふうに思います。そういう意味で今度の指定区域の分類というのは、今の法制度の中でも例えば溶出量基準2のところは掘削除去しなさい、子供の遊び場のところは対策しなさいということは書いてあるんですけども、これはそういうふうなレベルでしか書いていないんで、表に見えてこないんですね。そういう意味では、もう少しそこら辺をはっきりさせるという意味が、指定区域の分類という言い方になるのかわかりませんけれども、あるんではないかというふうに思います。これは多分土壌汚染対策法に対する理解を進めるという意味では、物すごく大きな意味で、最初に申し上げた土壌汚染の調査の対象を広げようということに対しても、いろいろ御意見があるようですが、そこに対してもある程度の理解を得られるような方向に行くんではないかというふうに思うんです。
 もう一つそういう意味で行くと、この土壌汚染対策の指定区域ですね、指定区域を何のリスクに基づいて指定しているのかというところが明示的でないんですね。そこら辺のところが一つポイントではないのだろうか。どういう名前をつけるかによりますけれども、指定区域の第一種、第二種、第三種にして、それぞれのところはこういうふうなリスクについて、例えば封じ込め等の措置をしたところは、今のところは形質変更のときの搬出によるリスクというのが主である、そういうところだよという指定をする方法がありますし、それから地下水に流れていくものがそういう、地下水に流れて摂取するリスク。そうすると、例えば地下水を飲用していないところでは、そういうリスクは余り高くないという話になって、そこは例えば土壌を摂取するときのリスクだということになる。
 そこら辺を踏まえて、もう一つは先ほど言いました溶出量基準といいますか、汚染のひどいところはまた違うと。そういう意味で、摂取の暴露の可能性とそれから汚染の程度の両方を組み合わせたことによって幾つかの分類ができないか。そこをはっきりさせることによって、理解を得られるという方法があるのではないかというふうに思います。この辺のところどうするかこれから議論するわけですけれども、ここのところはやはり指定区域を何らかの形で分類して指定していくということが必要ではないかというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。まだ御意見ある方もいらっしゃると思いますけれども、時間の進行具合から、議題(2)につきましてはこの辺で一旦打ち切らせていただきまして、次に移らせていただきます。
 先ほどのようなコメントは、この次の委員の方からコメントをちょうだいしますので、その場で御披露していただければと思います。
 それでは、これから各委員の皆様方から、土壌環境施策に関するあり方懇談会についてのコメントをちょうだいしたいと思います。あるいは感想をちょうだいしたいと思います。また、今後の審議に当たりまして、必要な情報、データなどがございましたら、ぜひこの場でそのようなことを触れていただきまして、具体的な点につきましては事務局の方にぜひお知らせいただきたいと思います。時間の上で大変恐縮でございますが、お1人当たり3分程度で御発言をお願いいたします。
 それでは最初に、本日途中で退席をされる予定でございます髙橋委員からお願いをしたいと思います。

(髙橋臨時委員)
 すみません、同じ時間帯に会議が設定されておりますので、途中で退席させていただきます。
 その関係で、最初に幾つか述べたいと思います。まず第1点、眞柄委員の御指摘に関係するものだと思いますが、新しい法制度ができた場合の条例との関係というのが、これは行政法で言うと法令の先占という話です。要するに新しい制度をつくったときに、例えば上乗せ、横出しが自治体はできるのかと、こういう議論だと思いますが、結局これはできた法律の内容によると思います。制度の趣旨が全国的統一を確保するためのものなのか、さらには自治体の自由な上乗せ、横出しを認めるようなものなのか、これはやはり、できた結果としての内容を考えなければ決まりません。ただその際には、現在地方分権の第二次改革がやられておりますし、事務づけ、枠づけの議論もございますので、そういう全体の流れの中でどういう制度にしていくかというのが今後の議論だというふうに思っております。それが第1点。
 それから第2点は、私は懇談会の座長をさせていただきました。その意味では報告の内容を全体として、法制度として、実現していただきたいと思っております。そして、特に12ページでございます。この懇談会の報告の12ページにございますが、搬出汚染土壌の対策の問題というのは、これは特にぜひ実現していただきたい課題だと思っております。特に現行法は9条で、指定区域における形質の変更だけをつかまえる制度になっているわけですが、これだけでは指定区域外については把握できないということになっております。さらに言うと、汚染土壌というのは、ここには不法投棄と似たような状況というふうに書いてありますが、むしろ形状ではなかなかわかりにくいわけですから、不法投棄がされた場合には発見しにくいという点が、汚染土壌に固有の困難な問題としてあると思います。
 現に、参考資料では、例えば7ページ以下にデータがあります。平成18年から19年にかけて少し調査しただけでも、かなりの不適正処理の事案が出ております。そういった意味では、この搬出汚染土壌の対策制度をつくり上げるというのは重要だと、私は思っております。また、運び出されるときにきちんと法により把握するということも重要だというふうに思っておりますので、そういった意味では、対象契機、発見の契機の拡張という法の対象の範囲の拡張という議論とも連動しております。これらの点については、第4回で議論されると思いますが、制度化の方向で皆様の合意をぜひ深めていただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは石原委員から順次、御意見をちょうだいしたいと思います。どうぞ。

(石原臨時委員)
 懇談会報告、御苦労さまでした。最初の立法のときに関与しました観点から、昔を思い出しながら、お話をさせていただきたいと思います。
 土壌汚染対策というのは、水、あるいは空気に対する規制とかなり違っております。水・大気の方は汚染の発生源のポイントに規制を加えるというものです。そういう意味では、規制はきつければきついほど環境はきれいになると、こういう構造のものです。一方土壌汚染というのは、もともと汚染はどこから来たかというところはあるんですが、溶出基準の物質であればそういう物質を使っていた、含有基準の物質であればだれかが落としたということになることから、法制度としては、現にある汚染をどうやって除去するかという形で仕組んであります。
 あと、水とか大気というのはある程度先が見えるというところがありますが、土壌の汚染というのは根本的に五感でわからない。それと、一寸先は闇という言葉がありますが、1ミリ先ですらわからない、というところがございます。そういうことから、汚染をどう見つけていくかというところから始まっているところがあります。国会の審議の過程でよく言われたのは、ばく露経路の遮断というのがわかってもらいづらかったです。立ち入り禁止なり盛土でいいんだと、あるいは水路の溶出を止めるというような封じ込めでいいんだということが、非常にわかってもらいづらかったと思います。
 浄化を求めるというのが多いという報告結果は、そういうところからもわかります。なぜ浄化を求めないんだというような意見は非常に強かったと思います。ただ、土壌というのは土地という私有財産そのものですし、コストも非常にかかる。それともう一つは、先ほどの髙橋委員、あるいは中杉委員と重複する部分があるんですが、どこかに持っていってしまうと、もう全くほかの土と見分けがつかないということがございます。そういうことから、まず捕捉の仕方、それからどうやって対策をとるかというのが非常に難しい面があって、懇談会での御検討でもいろいろ御迷惑をかけていることになっているのかなという気もしているんですが。
 指定区域の指定基準を分けるというのは、一つの考えであろうかと思うんです。本来的には、土壌については、ばく露経路の遮断でいいんだという国民意識を徹底させるというのが、一番重要だと思うんですけれども、なかなかそこが難しいとなれば、指定基準を分けるのも一つの方法かなという気はします。それと、土壌汚染対策としては掘削除去というのが多かった。多かったというのは制度をつくる前に条例なんかを見ましても、そういうのが割と多かったわけです。ただ、土というのはほかの物質と違いまして、消えてなくなるものではありません。要するに汚染土壌をどこかへ持っていけば、制度的にはそうなっていませんが、指定地域が別のところに移っただけと、こういうことでしかないわけです。そういう意味ではむしろ土壌汚染に関しては汚染土壌をどこかへ持っていくとかという以前に、まずそこにあるものだとしてリスクをコントロールするというような形で対応しないと、かえって汚染土壌を拡散するというようなことになるんじゃないかということを懸念します。
 水・大気の排出ポイントの規制と違いまして、現実にそこに存在しているものをきれいにするということですから、かつ私有財産ということですから、経済的な合理性を持って処理できる処理方法が確立できる必要があるんだろうと思っています。報告の中で一番気にかかりましたのは、汚染の処理の仕方だったんですが、セメント工場で処理できているということで、それならそれで拡散じゃなくて消えているということになっているのかなとは思うんですけれども、現在は最初の汚染発見の契機が特定施設の廃止時とされていてますが、それを広げるということは、発見の機会が増えてきれいになる機会が増えることではあるんですが、どの場合でも浄化、掘削除去をするということが直らないと、規制を拡大してきれいにするつもりが汚染土壌が薄く広く広がりかねないという懸念を持ちます。そういう意味では、そういう汚染土壌の処理がサイクルとして回るような形で制度を考えていく必要があるだろうと思っております。
 指定区域の基準で、例えば対策が必要なものと、それ以外のものとに分類したからといってこういう意識が直るのかというのはかなり疑問なところがありまして、どうしてもきれいにするに越したことはないという考えでよそへ持っていこうとする発想になりやすいんですが、よそへ持っていくとよそが汚れているだけと、こういう発想のもとに、啓発するなり、あるいは公的団体が対策に取り組むことが多いんですが、公的団体も掘削除去になりやすいことがあって、かえってよくないという言葉も変なんですが、土壌の処理に関しては適切でないことになるんじゃないかということを懸念いたします。感想でございます。以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは次に稲垣委員、お願いします。

(稲垣臨時委員)
 私も感想になりますけれども、大変うまくまとめていただいているなというふうに思っておりますが、ブラウンフィールドの検討会にも一部参画させていただいて、その当時のことを思い出したんですけど、それと私どもいま条例でいろいろな規制もさせていただいております。法律の対象のところと比べますと、10倍から20倍の対策をやらなければいけないというのが、今実態になってきておりますが、やはり県民の感情を見ると、今の段階ですよ、私自分の周辺に土壌汚染があるということになれば、ほとんどが今掘削除去されているのが実態であります。
 そういう意味からいいますと、ブラウンフィールド問題がこれはもうどんどんどんどん顕在化してきている、そういう中でやはり将来的にも問題ないような用途で使われているようなところは封じ込めをやるとか、そういうことをやらにゃいかんと思いますけれども、この報告の9ページの一番上に書いてあることが、県民の方々から言えば、やはりきちっとリスクコミュニケーションをやるような、この制度をつくらないと、いつまでたっても自分の番に有害物質があるんだったら嫌だなということはぬぐい切れないと思います。ですから、こういう制度をつくるときには、やはり一方ではこういうリスクコミュニケーションの制度もきちっと整理した上でやらないと、この土壌汚染問題というのは解決しないんじゃないかなというふうに思っております。
 それともう一つ、これは私ども愛知県の実態でございますけれど、この土壌汚染に自然由来のものと人工由来のものがあります。ここをきちっと整理しないと、愛知・岐阜の辺は、御承知だと思いますけれども、御嶽山が爆発したときの自然由来の土壌汚染というのは非常にございます。だからここは整理しないとやはり問題かなと思います。ですからそういうものも含めて検討をしていきたいなというふうに思っております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは次に岸井委員、お願いします。

(岸井臨時委員)
 私は専門が都市計画なものですので、ブラウンフィールドの話に少し絞って感想を申し上げます。
 東京都区部の2倍弱ぐらい汚染地がございまして、これまでの中でどれぐらいが処理されたのかなというのを、その件数では評価されている。面積がわからなかったので、考えてみると、恐らくこの件数からすれば非常に微々たるものであるというふうに言わざるを得ないだろう。そういうところで何が起きるかということについてしっかりと把握をしておかなければいけない。除却も含めて処理費用が高いと使えないということは書かれていますが、実際にそれぞれの土地でどういうことが起きるんだということについて、少し認識しておきたいと思うんですね。ですから今度の資料の中に、もし可能であれば、用途地域別に非常にうまく行ったと思われる事例と、うまく行かなかった事例と、したがってその後どうなったのかを示していただきたい。うまく行かなかった事例は結局不良資産化する、市場に出せないので、その人が使い続けるしかないという状況、いわば潜在化するだけの話で決していい方向へ向かっていない。部分部分で資金力があるところとか、ロケーションによっては転用されると、いわばモザイク状になっているだけでして、なかなかうまく行かないんじゃないかなと。それがどの辺にどういうふうにあって、そのどういうケースは何が問題かというのを、できるだけ生の形で理解しなければいけないと思います。恐らくは1968年の改正の前、用途地域は3種類しかないわけですから、工業系地域と言われているところは東京で言えば城東の川沿いか、城南の臨海部ですね。ですから川沿いあたりに恐らく広がっている工場の跡地になりそうなものは、ほとんど関係あるだろうなという気がするわけです。
 したがって、そういうところで具体的にどういう手段をとればこの問題は解決できるのかというポジティブな発想に立たないと、結局は潜在化する。可能性として二つ、三つあると思いますが、一つは都市再生の中でやっている公共貢献のメニューにそのことを入れる、つまり川沿いの風の道でありますとか、川沿いのオープンスペースは大変意味があるわけですので、そういったものに隔地の、つまり飛んでいる敷地の都市再生プロジェクトの中の評価として取り上げるというのが一つあるかな。もう一つは、URが防災公園制度で立替やっていますので、自治体今お金ないですから、立替をするという制度を考えると。三つ目は特に東京、大阪のようなスーパー堤防の事業とより一体的に考えると、その辺ぜひお考えいただければ。環境省の政策だけでおさまらないところなんで難しいと思いますが、総合的にやらなければ、後を追っていって結局追えなかったときには潜在化して見えなくなるということなのではないかという気がします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは次に佐藤泉委員。

(佐藤泉臨時委員)
 土壌汚染はストック汚染とか負の遺産とかというふうに呼ばれているわけですけれども、今後の土壌汚染対策法の運用については、できるだけ情報管理、それからリスクコミュニケーションというふうな法律に移行していくということを私は希望しております。そういう意味では今回の報告書はその方向で非常にいい方向ではないかというふうに思っております。
 それで、その中でも、土壌汚染対策法の現在の目的には未然防止が入っておりませんけれども、これを目的の中に明確に位置づけていただくということ、それから対策というものについてもばく露防止の法律であるということを条文の中にやはり書いていただくということによって、大分意識が変わってくるんではないかというふうに思っております。
 それから、今回のあり方懇談会報告の中で、未然防止として操業中の工場への対策促進という項目が入っておりますが、これは基本的には非常に大事なことだというふうに思っておりますので、ぜひこれを進めていただきたいというふうに思っております。
 以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは次は鈴木委員どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 この報告書は、問題点を非常に的確にまとめていただいていると思い、敬意を表したいと思います。
 今後この問題は理論的・実態的に合理的な、あるいは説得的な制度の構築というのが非常に大事でありまして、みんながなるほどと思って、積極的に協力できるような制度の構築をしていただく必要があると考えます。まさにそのためには、報告書の7ページに書いてありますように、サイトごとの汚染状況に応じた合理的かつ適切な対策をつくり上げていくということが何よりも大事でありまして、そのためにはやはり科学的知見を一層集積すること。それに基づく正確な知識を広報・普及していくということが大事であります。やりませんと、さもないと全部掘削除去といった方向に流れてしまいまして、非常に過剰な投資、あるいは国民経済上も非常にマイナスだということになりますので、ここにぜひ主眼点を置いた検討をしていただきたいというふうに思っております。
 今現実的に大部分の企業はこの問題については真剣に取り組んでおります。コンプライアンスの問題もありますし、土壌汚染があったら積極的に公開をして、積極的に対応しているというのが現実であります。一部問題があるところがあるかもしれませんけれども、余り一律な規制によってそういう企業の自主努力を阻害する、あるいは意欲を損なうようなことのないように、実態に応じた制度の構築というのをぜひ目指していただきたいというふうに思っております。どうもありがとうございました。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは次に佐藤雄也委員、お願いします。

(佐藤雄也臨時委員)
 指定区域の分類化ということで、これは基本的にぜひ検討を進めるべきだと考えております。ただ、名称の問題というのは情報の開示と表裏一体をなすものですから、今や汚染を隠して汚染地を売り抜けるという、そういう時代ではありませんので、土地の買い手といいますか、利用者から実態がよく理解できるような名称に変更すべきであると考えます。そうすることによって、対策として割高な掘削除去を何が何でも選択するということが改善していくでしょうし、さらには潜在的な汚染地の対策が推進するようになると思います。また汚染地をめぐる紛争防止に役立つと思います。そういうことで対策コストの軽減の面からも役立つと思います。
 以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは大塚委員、お願いします。

(大塚委員)
 先ほど中杉委員がおっしゃったように、今回のこの懇談会の報告は2点大きなところがございまして、一つは法律に基づく調査の契機を広げるという観点でして、もう一つは過剰な掘削除去に対してどう対処するかということだと思います。もう一つあるとすれば、先ほどから議論が出ています搬出汚染土についてどうするかという、その3点ぐらいが特に重要な点ではないかと思います。
 時間ございませんので、特に第1点についてと第3点について若干、ここでは申し上げておきたいと思います。調査の契機についてでございますけれども、前回とか今回、御議論がありましたように、法の対象というのは現在行われている調査の3%ぐらいしかないということがございまして、圧倒的に少ないという問題がございますので、これに対してどういうふうに広げていくかということが、非常に重要なポイントになっていると思います。自治体ではかなり条例ができているところが、最近になってまた増えてきていますので、そういうところもぜひ、施行状況も踏まえて、ここで事務局に提示していただけると大変ありがたいと思います。先行事例がございますので、そういうものを参考にして議論をしていくということが非常に重要ではないかと考えています。
 この中の報告にもありますように、土地の改変とか土地の売買のときを契機として、履歴等調査など、何らかの調査をしていただくということが考えられるわけですけれども、土地改変時につきましては例えば東京都、大阪府、愛知県、埼玉県等と、幾つか既に調査をすることになっていますし、土地の売買のときというのは、これはニュージャージー州とか神奈川県とかで調査をすることにしておりますので、そういうのを踏まえて議論をしていくのが重要ではないかと思います。土地の売買のときに、なぜ調査を何らかの形でするかというと、これは土地の円滑な取引ということがあるわけだと思いますし、また土地を市場に出す人の何らかの意味での責任ということがあるんだろうと思いますけれども、これをどの程度のものと考えるかを明らかにすることが必要でございます。
 土地の改変時については、これは土地の改変時に汚染土が拡散する可能性があるということが一つの大きな理由ではないかと思いますけれども、そういう調査の契機の拡大というのが非常に重要な問題ではないかと思います。この点は先ほど来御議論がございます、調査の結果を情報として管理するという仕組みが必要だということとも関連することだと思います。
 それから搬出汚染土壌について若干申し上げますけれども、先ほど来髙橋委員もおっしゃったように、これは前回の法制定のところからの宿題になっているところですので、ぜひ何らかの対応をしていただきたいということでございまして、懇談会報告にも書いていただいているところでございます。これについては、まず、汚染土の管理票を法律上のものとして位置づけることが重要だと思いますが、さらに搬出汚染土はばらまかれると、廃棄物以上に全く目には見えない、よくわからないものになってしまいますので、是正措置というのも非常に重要でございますし、施設を含めた規制とか、あるいは事前に汚染土を搬出する際の何らかの意味でのチェックというのが重要ではないかと思います。
 あと最後に一つだけ申し上げますけれども、懇談会の報告にもありますけれども、汚染対策のときの方法というのは、現在全く公的な関与がないという状況なんですけれども、これでいいのかどうかというのは一つの問題でして、自治体が何らかの意味で関与するとか、チェックするということが必要ではないかという問題があると思いますし、さらに、何らかの意味でその公的機関がこれでいいというような、もちろん掘削除去じゃないものを含めてですけれども、認定をするということをすれば、ブラウンフィールド問題もある程度減るのではないかと考えております。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは次に佐藤洋委員、お願いします。

(佐藤洋委員)
 報告書を読ませていただいたり、あるいは今までの議論を伺っていて、感想みたいなものなんですけれども、やはり土壌汚染対策にしても、土壌汚染対策法がもたらしたいろんな問題を解決するにしても、大事なことというのは情報の共有とか公開とかだろうと思うんです。特に既に御意見も出ていますけれども、対策というのが土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがある場合に対策をとるということが前提だとすれば、健康リスクに関するリスクコミュニケーションが非常に大事だろうというふうに思います。
 私この数年、内閣府食品安全委員会を中心にして食品のリスク評価というのをやらせていただいているんですけれども、その中で印象的だったのは魚介類のメチル水銀の話なんですね。これは覚えていらっしゃる方もおいでかと思いますけれども、平成15年に厚生労働省が魚の摂取制限というのをぼんと出して大騒ぎになったわけなんです。その後議論の場が食品安全委員会になって、その議論を公開の場でかなりやって、何年か前に耐容摂取量を設定させていただいたわけです。その中で、やっぱりかなりこういうリスクはあるんだよという話は、私どもさせていただいたと思うんですけれども、その耐容摂取量が出て、その後魚の摂取基準をもう一度厚労省が出したときには、本当に受けとめ方が静かであったということなんですね。最近、カドミウムの耐容摂取量も出したんですけれども、これはもうなんか我々気が抜けるほど注目されていなくて、むしろがっかりしている部分もあるんですけれども、それはそれでいいのかなというふうに思います。そういう意味で、やはりリスクコミュニケーションが非常に大事だろうというふうに思いました。
 それからもう1点、これちょっと報告書とは離れるんですけれども、それでここで申し上げる議論ではないと思っていますけれども、最初この委員会のこと聞いたときに、私「土地制度」って頭の中で思ったんですね。環境省でそういう委員会をやるわけないなと落ちついて考えてみて思ったんですけれども、土壌汚染の対策ということを考えた場合に、やっぱり最終的には土地の制度というか、何人かから御指摘もあったかと思いますが、私的な所有について根本的に考えていかないと、未然防止も含めて最終的な解決にならないんじゃないかと。ただこれはすごく時間のかかることだと思いますし、大きなことだろうというふうに思っていますけど、リスクコミュニケーションが大事だというもう一方で、最終的にはそういうところまで行かないといけないのかなという感じがしております。
 以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは中杉委員、お願いします。

(中杉臨時委員)
 ちょっとフライングしてしゃべってしまいましたので、簡単にさっき申し上げたことのほかで。

(松本委員長)
 お願いします。

(中杉臨時委員)
 土壌汚染の先ほど二つのリスクがあると申し上げましたけれども、その中で最も多い地下水経由のリスクというのが非常に厄介である。掘削除去するにしても、これも大変なんですけれども、直接摂取の場合、表面の比較的浅いところを除去すれば済むという話になるということと、あとで覆土すればもう完全に遮断ができるという形で言えるんですけれども、地下水の場合、非常に難しい問題がある。そういう意味ではそこをどうするかという話なんですね。地下水の場合は多分一方で地下水の方の法制度があります。それとどう絡めるかという、この懇談会の際にも私がそう申し上げて入れていただいていますけれども、そこら辺のところ非常に重要なポイントになるだろうと。それはもう一つ言うと、法4条の調査が、これも一つ議論になっていませんけれども、なかなか進んでいかないというところも、基本的には恐らくあれ、地下水から来るわけですね。だからその地下水に対する水質汚濁防止法の浄化措置命令とどういうふうに絡めるかという話が、一つのポイントになるわけです。
 それから、地下水について非常に対策が長くなってしまうので、今、リスク低減措置をするときに、浄化措置命令をかけると。低減措置の命令をかけるときに、自治体がある期間を限ってしまうと非常につらいことになる。これ土壌地下水汚染の問題というのは、非常に長い時間がかかるという認識を、社会が持たなきゃいけないんだろうと思うんです。そこの辺のところどういうふうにしていくかということが、一つ重要な話になるだろうと。残しておくといっても、分解しないものはそのまま残りますけれども、ほかのものは少しずつなんかの形で拡散していったりして薄くなっていくわけです。もうそのぐらいの本当は気持ちを持たないと、この問題というのはどうにもならないのであると。そういう意味で地下水の方との、政策の方との絡みが非常に重要になるだろうということだけ申し上げておきます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは次は中野委員、お願いします。

(中野臨時委員)
 懇談会の報告事項、ありがとうございました。県民の一人として思いを述べさせていただきます。
 土壌汚染は目に見えないので、しっかりとそれに対しての対策が一番大切であると思いますし、盛土、それから封じ込めなど、そのまま中に汚染が残っていて、それが結局は水質汚染にもつながっていくと思います。掘削除去は先ほど石原委員がおっしゃったように、それをどこに持っていくかというのが大きな問題であり、それをその場でそれが対策が講じられたらうれしいなと思います。前回にも申しましたように、まず先ほど佐藤さんがおっしゃったようにも、未然防止のチェックが一番大切ではないかな、経済的にも大切ではないかなと、このように思います。よろしくお願いします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。続いて細見委員、お願いします。

(細見臨時委員)
 研究の面でも汚染土壌の対策だとか調査とかにかかわっている者として、少しその面からまず意見を述べさせていただきたいと思いますが、まず一般の人でも、我々にとっても、土壌汚染というのはすぐ見た目でもわからない。今まで何人かの委員が言われていますように、実は土壌汚染を正確に把握するというのが非常に難しいことだと思いますし、あるいはその調査結果に対しても信頼性を持たせるべきだというふうに思います。その意味で、この懇談会の報告にありますように、調査結果の信頼性を確保するというのは、非常にリスクコミュニケーションをやる上でも必要になってくるんじゃないかと思います。そういう意味でこの13ページに書かれていますように、指定調査機関が今現在、調査をすることになっていますけれども、およそ1600社ぐらいあるんでしょうか、そのぐらいの数が指定されておりますけれども、できるだけある一定のレベルに信頼獲得ができるようにある種の資格制度だとか、あるいはここにうたわれていますように資格の更新制度だとか、そういうものがぜひ今回の見直しのときに反映されるようにしていただきたいなというふうに思います。
 それから、土壌汚染を処理する研究もやっていますと、確かに掘削処理をして埋め立てだとかあるいはセメント工場に行っている。特にセメント工場に関しては、指定区域の汚染土壌はセメント工場には今現在行っていないんです。その他の自主的な調査だとか対策に基づく場合にセメント工場に行っているということがありますので、そういう搬出、汚染土壌の管理の仕方についても、今まで何人かの先生が言われたように、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 それから、最後に自主的な調査に対して、私はできるだけ、鈴木委員も言われましたけれども、水を差さないような仕組みを考えていくべきだろうと。逆に言うと、積極的に出していただいて、それが法の調査とみなせるような仕組みをつくっていければ、と思います。ぜひ調査や対策で自主的にやられた部分を、より多くの人が情報として共有できれば、土壌汚染の実態というものが多くの方が理解できるようになるんではないかというふうに思います。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。続いて眞柄委員、お願いします。

(眞柄臨時委員)
 少しラジカルな表現かもしれませんが、土壌対策汚染、この法律、あるいは先ほど中杉さんが言われた地下水汚染の状況を見ますと、日本のこの国土の中でどこで土壌汚染があっても不思議がないわけですね。そういう観点からすると、埋蔵文化財とか遺跡とかというのは、土壌の改変のときに必ず調査するわけですね。そういう観点から言うと、土壌汚染の実態がいかんということについては、国全体、国民全体の責任だと、そういうふうにまで私はもう考える時代に来ているんだろうと思います。ですから、そういう意味では特定施設云々じゃなくて、自然由来であろうがいわゆる人為的な由来でも、我々の国土は今一体どうなっているか、それはその土地を持っている人たち、あるいは国がそれを支援するのが必然的な事柄じゃないだろうかという認識を持っております。
 その上でどういう対策をとるかということを考えるべきであって、最初の我々がどれだけリ スクを持っているかということをわからないまま、この法律をさらに厳しくするのか緩くするのか知りませんけれども、考えるんじゃなくて、その入り口のところをもう一度考え直してこの法律の運用の仕方を考えていただきたいというふうなのが、私の懇談会のレポートを読んだ感想です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。続いて市川専門委員、お願いします。

(市川専門委員)
 本日からの参加になりますので、よろしくお願いをいたします。我が国の企業の99.7%が中小企業ということで、その数約430万社ということでございますが、その中でおよそ工場で物づくりをしておりますと、種々の化学物質を使い、土壌汚染をする可能性というものも否定はできないというふうに思っております。ただ、最新設備の工場では、完璧な排水処理がなされており問題はないというふうに思っておりますが、昔ながらの工場、事業所については、特にメッキ、印刷、クリーニングを初めとして、あらゆる業種にこの土壌汚染の問題というものは関係するのではないかというふうに思っておりまして、そうした中小企業の声を伝える代表として参加をさせていただいていると、こういうふうに認識をいたしております。
 ちょうど一昨日も、東京都鍍金工業組合、メッキの組合でございますが、幹部の方々と意見交換をする機会がございました。経済状況は大変厳しいと、原油価格の高騰、あるいは鋼材等の建築資材、あるいは穀物、飼料の原材料の値上がりというような、中小企業の経営にとってはかつてないほど厳しい状況の中でございます。そうした中で、こういった土壌汚染対策というような環境規制対策については、大変大きな負担となっているというような御意見がございました。
 先ほどもその火山灰云々というお話もございましたが、自然由来と申しますか、そういったもの以外にも、例えば東京都でありますと、戦時中の焼夷弾であらゆるところが焼夷弾による汚染というものがあるのではないかと。あるいは水道管の上にコンクリがある場合に、雨水がアルカリ性を帯びて水道管が外側から溶けて、鉛が溶け出すというようなこともあるんではないかというような御意見もございましたし、それから、自治体によって上乗せ規制がまちまちでございまして、そうしたところからも一律の対策というのがなかなか難しくなっていると。特に東京都の場合には区にその辺を任せているというような場合に、区の場合は非常に杓子定規に考えるというようなこともございまして、苦労しているというようなお話もございました。
 また潜在化する危険というようなことも、先ほど御意見出ましたんですけれども、結局コスト負担が大き過ぎて対応できないというような場合に夜逃げをすると。夜逃げをするとその土地はもうほったらかしにされて、かえって汚染がそのままになってしまうというようなこともあるんではないかというような意見もございました。
 建築基準法の改正がいわゆる官製不況を引き起こしたというようなことは記憶に新しいところでございますけれども、この土壌汚染対策も、やり方によっては中小企業に新たなコストアップ要因を引き起こし、第2あるいは第3の官製不況の原因ともなりかねないのではないかということで、土壌汚染対策につきましては、国の経済に及ぼす影響についても十分考える必要があるんではないかなというふうに思う次第でございます。
 また、土壌汚染のリスクとその対策に要する費用というようなあたり、これも定量的にしっかり検証をする必要があるんではないかなということを考えております。掘削除去が非常にコストが高いので、ほかの方法もあるんではないかと、リスクの程度によってはほかの方法もあるんではないかというような御議論で、幾つかの方法が提案をされているわけでございますけれども、そのほかの方法も、これも結構コストが高いんだというあたりも先般の意見交換の場で出ておりました。
 この懇談会報告につきましては、中小企業の主張もある程度取り入れていただいたものというふうに認識をしております。特に私どもが注目しておりますのは、法制定時の中小企業に対する配慮事項が基本的には維持されているということ、それから二つ目は汚染状態に応じた合理的かつ適切な対策についての国民の理解を深めることと、こういう記述があると、この辺の国民の理解、これは非常に重要なことではないかなというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは斎藤専門委員どうぞ。

(斎藤専門委員)
 私どもは、不動産協会という、不動産業事業者を代表いたしまして、このあり方懇談会の報告書に対し申し上げさせていただきます。
 不動産業界におきましては、この土壌汚染問題は日常的に流通の段階、あるいは開発の段階で関係してくることでございまして、この懇談会の報告書の中でよく整理されていると思います。中でも、土壌汚染に関する情報の集積、あるいは公開、土地売買における情報の引き継ぎというようなことは、現在まちまちにやっておる状況でございますので、これをオープンに、どういうふうに整理すべきか、という課題が浮かび上がってきております。しかし、現場で混乱が生じてはいけませんので、それがどういうふうになされるかが重要なポイントだと思います。あるいは、13ページに記載されております調査対策の信頼性の確保等、こういうことも、リスクコミュニケーションをするときに、しっかりとしたガイドラインみたいなものがありませんとコミュニケーションになりませんので、そこら辺がどう形成されるのかを考えなければならないところと認識しております。これらの問題点の議論を深めていただいて、具体的にいい方向に持っていっていただければというふうに期待している次第でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 各委員の方々から、それぞれの立場から極めて重要な、適切なコメント、意見をちょうだいいたしました。私といたしましては、当小委員会が土壌汚染対策防止法の見直しに当たりまして、国民に対してより明確でより具体的で、そしてより実効性のある、そういうたたき台の提示ができれば、そういうふうに思っております。どうか今後ともよろしくお願いいたします。
 それではここで白石審議官が国会からお戻りになりましたので、ごあいさつをお願いいたします。

(白石水環境担当審議官)
 お時間ちょうだいしてありがとうございます。国会用務で遅刻いたしまして、失礼いたしました。
 途中から皆様方の御議論を伺っておりまして、早速にいろいろな熱のこもった御議論が展開されていて、大変ありがたく思います。皆様方、改めまして、本委員会の委員を御受託いただきまして、本当にありがとうございます。委員長の方からもお話し、多分あったかと思いますけれども、去る5月2日に鴨下環境大臣の方から中央環境審議会の鈴木会長に対し、「今後の土壌汚染対策の在り方について」という形で諮問がなされております。これを受けまして、本委員会は土壌農薬部会のもとに設置されております。
 御案内のように、今年の2月15日だったと思いますが、土壌汚染対策法が施行満5年を経過いたしました。法律の附則の方には、10年のところでの見直しということがあり、また法制定当時の衆参両方の委員会の附帯決議におかれましては、10年ではあるけれどもいろいろな状況を見据えて、それより早く見直すということも考えるようにという御指摘も受けておりました。そういった中で、この5年の中で、法律の施行を通じていろいろ浮かび上がってきた課題があります。あるいは法制定時に指摘をされた課題で、今後まずはやってみてそれで考えましょうというふうなことで、前回御指摘のままでとどまっている事項というものもございまして、私ども環境省といたしましては、この時期に今後の土壌汚染対策の在り方につきまして考え直すべきかなということで、今御説明の補足の形でもありました懇談会の報告をちょうだいをいたしております。これを参考としつつ、またそれにとらわれませずいろいろな御指摘をちょうだいいたしまして、御審議をいただいていきたいというふうに考えております。
 今途中でお話の中にも出ておりましたような、サイトごとの汚染状況に応じたいろいろな対策の合理的かつ適切な対策の促進ということ、あるいは法律の対象範囲のあり方、それから搬出汚染土壌の適正処理の確保等々ということが大きな課題では想定されておりますけれども、今幾つか御指摘のあったような、これにとらわれませず、土壌汚染対策についての御意見をいただければ幸いでございます。
 もちろん中央環境審議会、また環境省という立場でございますので、現実にそのいろいろ御答申をちょうだいした際に、私どもだけでやれることというものにはある程度の限りは当然ございますけれども、しかしそれだとしてもそういう御指摘を踏まえたということであれば、政府が一体となって取り組むべき方向を示していただくということが、政府全体にとって、また国民にとっても大事なことだと思いますので、ある程度の相場感というのはあるでしょうけれども、余りそう限定されずにいろいろな議論を深めていった中で、最終的に御議論を集約していただければというふうに、勝手ながら思っております。その意味で、実は私どもの後ろの方にも、環境省の事務方にとどまらず、関係する省庁の方も毎回必ず傍聴していただくようにしておりますので、そういった意味でも関係省庁とも連携を図りながら、必要な制度改正ということを考えていきたいと思いますので、本日以降、引き続きよろしくお願いをいたしまして、私のごあいさつといたします。どうもありがとうございました。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、議題3に関しまして、何か先ほど発言のところで少し追加したいとか、そういうこと、ございませんか。

(なし)

(松本委員長)
 ございませんでしたら、それでは、次の議題(4)その他で、これからの会議日程等について事務局から御説明をお願いします。

(今野土壌環境課係長)
 先ほど眞柄臨時委員から、廃鉱山について御質問がありましたので、それについて簡単な説明を先にさせていただきたいと思います。
 鉱山の施設につきましては、特定施設に該当するものがあれば、廃止されれば法第3条による土壌汚染状況調査の対象となることになります。問題は、眞柄先生がおっしゃった、土壌汚染対策法の施行前に既に廃止されたもの、廃鉱山についてどうなるのかということですが、それについては対策法の第4条というのが適用されまして、土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあるということであれば、都道府県知事が調査を命令することができるということになっております。ただし、廃鉱されてから、法律の言葉で言えば鉱業権が消滅してから、5年以内のものに関しましては、鉱山保安法というものがございまして、その中で産業保安監督部長が鉱山から生じた危害、鉱害の防止についての命令を出すことができるというふうに担保されてございますので、鉱業権消滅後5年以内であればそちらに行くと。それ以降であれば、土壌汚染対策法の4条に戻ってまいりますので、そちらでもって、基本的にはその土地所有者に調査命令を出すことができるということになっています。
 それと、次回の日程でございます。既に御連絡させていただきました第2回は7月16日の水曜日の午前ということにさせていただきたいと思っております。その後第3回につきましては8月7日木曜日の午後と考えております。場所と時間については正式に決定次第、改めて皆様に御連絡を差し上げます。
 以上です。

(松本委員長)
 日程等について、再度お伺いしますが、よろしいですね。

(異議なし)

(松本委員長)
 それでは、最後に私の方から、本日の資料の取り扱いにつきまして、説明をさせていただきます。
 土壌農薬部会の運営方針では、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益、もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、小委員長の判断に基づきまして、非公開とさせていただいております。本日配付いたしました資料は、いずれもこれに該当しないことから、公開といたします。   また、今回の議事録につきましては、事務局で調製いたしました後で、発言委員の皆様方にお 伺いをする、確認をするということでございますので、その節はよろしくお願いいたします。
 それでは、その他本日の審議全体を通しまして、つけ加えたいこと、意見を述べることを忘れたこと、ありましたらどうぞ。ございませんか。

(なし)

(松本委員長)
 それでは、特にないようでございますので、以後の進行は事務局に戻します。

(坂川土壌環境課長)
 それでは、本日はいろいろ御議論いただきまして、大変ありがとうございました。本日の土壌制度小委員会を閉会させていただきます。ありがとうございました。

(了)