中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第43回)議事録

日時   

平成26年12月17日(水)13:30~15:10

場所   

中央合同庁舎5号館 環境省第1会議室

出席委員   

委員    

中杉 修身

臨時委員  

上路 雅子

五箇 公一

白石 寛明(委員長) 

築地 邦晃

根岸 寛光

山本 廣基

吉田  緑

専門委員  

浅野  哲

内田又左衞門

森田 昌敏

(欠席は、浅見臨時委員、染臨時委員、田村臨時委員、稲生専門委員、細見専門委員)

委員以外の出席者

環境省

更田室長、渡邉室長補佐、林室長補佐、岡係長、松田主査

(独)国立環境研究所

農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室

(独)農林水産消費安全技術センター

議題

  1.  (1)水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  2.  (2)水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  3.  (3)その他

配付資料

 資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第42回)議事録(案)

 資料2 諮問書(写)及び付議書(写)

 資料3 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)

 資料4 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)

 資料5 水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について

(ばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬)(案)

 資料6 水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について

(微生物農薬)(案)

 資料7 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値(案)に対する意見募集の実施結果について(案)

 資料8 水質汚濁に係る農薬登録保留基準値(案)に対する意見募集の実施結果について(案)

 参考資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第42回)議事要旨

 参考資料2 農薬評価書ベンフルラリン(食品安全委員会資料)

 参考資料3 独立行政法人農林水産消費安全技術センター微生物農薬検討会資料(委員限り)

議事

【更田室長】 定刻となりましたので、ただいまから第43回土壌農薬部会農薬小委員会を開催させていただきます。

 本日の委員のご出席の状況でございますけども、本日は、浅見臨時委員、田村臨時委員、染臨時委員、稲生専門委員、細見専門委員からご欠席との連絡をいただいておりますが、小委員会の開催定足数を満たしておりますことを、ご報告いたします。

【林室長補佐】 それでは、続きまして本日の配付資料について、ご確認いただきたいと思います。お手元に配付資料一覧がございますので、議事次第の下についておりますが、そちらをご覧いただければと思います。

 資料は1~8まで、参考資料は1~3までとなっております。参考資料2の食品安全委員会の農薬評価書、参考資料3の農林水産省消費安全技術センター微生物農薬検討会資料、お手元のパソコンに電子媒体としてご用意をさせていただきました。参考資料3は、委員限りですので、委員の方のパソコンにのみ入っております。資料の過不足やパソコンのトラブル等ございましたら、審議の途中でも結構でございますので、事務局までお申しつけいただければと思います。

 なお、オブザーバー及び傍聴者の方々につきましては、資料が大部となりましたため、資料1の前回の議事録、参考資料2は配付してございません。お近くの席にファイルにつづったものをご用意しておりますので、そちらをご参照いただければと思います。

 また、委員の皆様方のお手元には、ピンク色のファイルにとじた資料が置いてあります。こちらについては、検討会におきます過去の審議で定めました考え方などをまとめたものでございます。過去の整理などを振り返る際に、ご参考にしていただきたいと思います。

 こちらの資料につきましては、適宜差しかえをしておりますので、会議が終わりましたら、机の上に残しておいていただければと思います。

【更田室長】 それでは、議事に入らせていただきます。白石委員長に議事進行をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 本日は、皆様、ご多用のところご出席いただきまして誠にありがとうございます。

 本日の農薬小委員会は、議事次第にございますように、主に三つの議題に関する審議が予定されております。慎重かつ活発なご審議をお願いいたします。

 まず、本日の審議の公開の扱いについてでございます。

 土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、委員長の判断に基づき、非公開とするとされています。

 今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書等、企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由に当たらないため、公開とさせていただきます。

 さて、議事に先立ち、前回10月28日に開催した第42回農薬小委員会の議事要旨及び議事録のご確認をいただきたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。

【林室長補佐】 まず参考資料1をご覧ください。こちら議事要旨でございますけれども、中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、委員長にご了解をいただければ公開できることとなっております。既にこの内容で環境省ホームページで公開をしておりますので、ご報告をいたします。

 続きまして、資料1の議事録についてでございます。こちらは事前にメールで各委員の皆様方にお送りしまして、ご確認をいただきまして、ご指摘がありましたら修正をしたものでございます。

 説明は、以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。特段ご意見ございますでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 議事要旨はもう既に公開されておりますが、議事録につきましてもご意見ないようでしたら、ご了解されたものとさせていただきます。

 なお、この議事録につきましても、土壌農薬部会の運営方針に基づき、公開することとしております。

 それでは議事に入りますが、初めに農薬小委員会の決議の取り扱いについて、ご説明させていただきます。

 中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置についての土壌農薬部会決定により、農薬小委員会の決議は、部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とされることになっております。したがいまして、この農薬小委員会後には、農薬登録保留基準の設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の中杉部会長の了解をいただいて、部会としての結論としていくことになります。

 では、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。

 事務局から諮問書をご紹介ください。

【岡係長】 資料2をご覧ください。こちら諮問書と付議書となってございます。まず諮問書ですが、平成26年11月28日付で、環境大臣から中央環境審議会の会長宛てに諮問がなされております。

1ページめくっていただきまして、2ページ目が別紙1となっておりまして、こちらが告示第3号の環境大臣が定める基準であります水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準のご審議をしていただく農薬でございます。今回9農薬書かれておりまして、本日全てご審議していただきたいと考えてございます。

 続きまして、3ページ目が別紙2となっておりまして、こちらが告示第4号の環境大臣が定める基準であります水質汚濁に係る農薬登録保留基準のご審議をしていただきたい農薬でございます。こちら1農薬を記載されておりまして、本日、この農薬についてご審議していただきたいと考えております。

 4ページ目が付議書となっております。平成26年12月1日付で、中央環境審議会の会長から、土壌農薬部会の部会長宛てに付議されております。

 説明は、以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。

それでは、議事1、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入ります。

 この件につきましては、農薬小委員会に先立ち、水産動植物登録保留基準設定検討会において、基準値の設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や、公表文献情報について精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定し、基準値案を作成していただいております。

 事務局から資料の説明をお願いいたします。

【岡係長】 それでは、資料3をご覧ください。こちら水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値案に関する資料でございます。

 本資料につきましては、水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして、一度ご審議いただいております。ですので、本日は作用機構等と総合評価につきまして、重点的にご説明させていただきまして、その後で、水産検討会でどのような指摘、審議が行われたかについて、簡単にご紹介させていただければと思います。

 それでは、1ページ目のジフルメトリムから、ご説明させていただきます。

 まず、ジフルメトリムですが、物質の概要につきましては、記載のとおりでございます。

 作用機構等ですが、ジフルメトリムは、アミノピリミジン骨格を有する殺虫・殺菌剤でありまして、その作用機構の詳細は不明ですが、病原菌の胞子発芽及び菌糸伸長を阻害するとともに殺虫活性も示すということでございます。

 本邦での初回登録は1997年でございます。

 製剤は乳剤が、適用農作物等は花き及び樹木がございます。

 原体の国内生産量と各種物性につきましては、記載のとおりでございます。

 それでは、1ページめくっていただきまして、2ページ目からの水産動植物への毒性についてでございます。

 こちらの農薬は、魚類につきましてはコイ、甲殻類につきましてはオオミジンコ、藻類につきましては緑藻を用いての試験成績が提出されてございます。それぞれの試験条件及び試験結果につきましては、2ページ目の表1から4ページ目の表3に記載されているとおりでございます。

 それでは、5ページ目、水産PECでございます。

 こちらの農薬は、非水田使用農薬ということで、下の表4に記載されております使用方法及びパラメータを用いまして、PECを算出いたしましたところ、0.0079μg/Lとなってございます。これの結果から、水産PECとしまして0.0079μg/Lとしてございます。

 それでは6ページ目、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50です。まず魚類につきましては、コイを用いての急性毒性試験結果から96hLC50が100μg/L、甲殻類等につきましては、オオミジンコを用いての急性遊泳阻害試験結果から、48hEC50が35μg/L、藻類につきましては、緑藻を用いての生長阻害試験結果から、72hErC50が480μg/Lとなってございます。

 それぞれの結果から、各種の急性影響濃度を算出いたしまして、最小の甲殻類等急性影響濃度を採用いたしまして、登録保留基準値案としまして、3.5μg/Lとご提案させていただきます。

 リスク評価ですが、水産PECが0.0079μg/Lですので、登録保留基準値案の3.5μg/Lを超えていないということを確認してございます。

 こちらの農薬につきましては、平成26年11月25日の平成26年度水産動植物登録保留基準検討会の第4回でご審議いただきました。

 その水産検討会では、報告書として幾つか不足しているところがあるということでご指摘をいただきました。例えば魚類、ミジンコ等ですと、試験に用いられた希釈水の水質を確認しているのですが、その結果が提出されていないとか、藻類ですとErC50を出すときの濃度阻害率曲線の書き方が、ガイドラインと違っているというところでご指摘をいただいたのですが、それらを踏まえても、算出されている毒性値に大きな影響はないということで、毒性値としてはそれぞれ記載されている値を認めていただいたというところでございます。

 そしてもう1点、作用機構等のところで、詳細は不明ということだったのですが、ミトコンドリアの複合体Ⅰの阻害ではないかということで、情報をいただいたところでございます。ただ、こちらは農薬抄録のほうには詳細は不明ということですので、こちら評価書のほうにはそのまま「詳細不明」と記載したところでございます。

 説明は以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。ご審議は1剤ずつお願いしたいと思います。

まず、ただいまのジフルメトリムにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等ございましたら、お願いいたします。

殺虫殺菌剤ということで、ミジンコにも毒性が表われているとありますけど、いかがでしょうか。

五箇先生、特段ご議論、今説明あった以上のものはなかったということでよろしいですか。

【五箇臨時委員】 事務局の説明のとおりでございます。

【白石委員長】 いかがでしょうか。PECのほうでも特によろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、総合評価をご確認いただきたいと思いますが。登録保留基準値としましては、ミジンコの急性毒性をもとに3.5μg/Lとするということで、これが水産PECであるものを超えていないということでございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、この案をお認めしたことにさせていただきます。ありがとうございました。

 では、次に移らせていただきます。次お願いいたします。

【林室長補佐】 それでは、資料3の7ページ、ストレプトマイシン硫酸塩でございます。

 物質概要は表に記載のとおりです。7ページ目の下のところをご覧いただければと思いますけれども、こちらの硫酸塩は水中で解離をします。ということで、登録保留基準値はストレプトマイシン[遊離塩基]、これは硫酸が外れたもので、これで設定することとしたいということで、構造式等を表に示しております。

 続いて8ページでございます。作用機構等でございますけれども、本剤は、広範囲のグラム陽性菌及び陰性菌に対して抗菌作用を示す殺菌剤でありまして、その作用機構は、植物体内に浸透、移行した後、病原菌のリボソームの30S粒子に結合することによるタンパク質の合成阻害でございます。

 本邦での初回登録は1957年です。

 製剤は水和剤及び液剤が、適用農作物等は果樹、野菜、いも、花き、樹木、芝等がございます。

 原体の国内生産量及び輸入量、また各種物性は記載のとおりでございます。

 9ページから水産動植物への毒性でございますが、本剤は魚類についてはコイ、甲殻類等についてはオオミジンコ、藻類については緑藻を用いて試験が実施されておりまして、その条件及び結果は9ページの表1から10ページの表3のとおりです。

 続いて11ページ、水産動植物被害予測濃度でございます。

 本剤は、非水田使用農薬ということで、表4にあります使用方法及びパラメータを用いまして算出いたしましたところ、水産PECとして0.022μg/Lと算出されてございます。

 続いて12ページの総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきましては、コイ急性毒性試験より96hLC50が54,300μg/L超、甲殻類等につきましてはオオミジンコ急性遊泳阻害試験より48hEC50が42,000μg/L、藻類につきましては、緑藻生長阻害試験より72hErC50が419μg/Lとなっておりまして、それらより、急性影響濃度を算出いたしまして、そのうち最小の藻類の結果より、登録保留基準値案として410μg/Lと提案させていただきます。

 リスク評価でございますが、こちらのストレプトマイシン[遊離塩基]としての水産PECは0.022μg/Lでございまして、登録保留基準値410μg/Lを超えていないことを確認いたしております。

 本剤も、平成26年11月25日に開催されました、第4回水産検討会でご審議を賜りまして、主な論点といたしましては、7ページに戻っていただきまして、こちらの下の表についてでございますけれども、この遊離塩基の記載はこれでいいのかというご指摘がございました。水中では3H+がどこかにくっついているのではないかといったようなご指摘がございました。

また、基準値も硫酸塩として基準値を設定すればよいのではないかといったご意見が出されまして、ご審議いただきましたところ、結局は測るとなれば遊離塩基で測るしかないということで、それを考えると基準値設定はこの遊離塩基ベースでいいのではないかというお話がございました。ただ、やはり水中ではH+がpHによりましてどこかに幾つかはくっついているだろうということが確認されましたので、この注の文章を誤解がないように「水中で解離する」ということで、一旦区切って、登録保留基準値は遊離塩基として設定することとするというような書きぶりに修正をしたところでございます。

 続いて、主な論点の2点目といたしまして、10ページ目の藻類の生長阻害試験をご覧いただければと思うのですが、こちらの濃度、阻害率曲線については、各連ごとの阻害率をプロットすることになっているのですけれども、こちらについては平均値がプロットされているというご指摘がございました。ただ、毒性値は大きく異なることはないということで、お認めをいただいたところです。

これとあわせまして、前回の小委でご指摘をいただきました生長阻害率の書きぶりなのですが、最小値から最大値となっているものと、平均値だけを書いているものの二通りがありまして、どちらかに統一すべきだといったご意見もいただいていたのですが、それについてもあわせてご議論いただきまして、本来、最小値・最大値についてはデータのばらつきを確認できるけれども、平均値で統計的に示すべきだということで、最小値・最大値のみではばらつきが統計的に有意かどうかわからないといった話がございました。けれども、必ず平均値を申請者さんに出してねというのも、なかなかテストガイドラインでの報告事項の必須事項となっていないこともありますので、難しいなという話がありましたので、平均値が出ていればここに記載するし、なければ最小値・最大値という記載にしようということで、整理を改めていただいたところでございます。

 説明は以上です。ご審議をよろしくお願いします。

【白石委員長】 ありがとうございました。

ただいまのストレプトマイシン硫酸塩につきまして、ご質問、基準値案についてご意見等、お願いいたします。

基準値案、遊離塩基として設定すると。いかがでしょうか。初回登録が大分古いものでございます。毒性的には藻類に特異的に毒性を示すという結果になっておりますけども。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいでしょうか。書きぶりにつきましても、これまでどおりということで、テストガイドライン上も求めていないこともあり、最大・最小値であるものは最大・最小値、今日、細見さんがいらっしゃらないからあれですけども、そういうことだということですが、よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 それでは、非水田使用時のPECということで、PECが求められておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 特にご意見がないようでしたらば、総合評価をご確認ください。藻類の急性影響濃度をもとに、その値、これは2桁にすると410ということとするということでございます。水産PECがこれを超えていないということをご確認されるということで、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、基準値案をお認めいただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。

 では、ダゾメットについてお願いいたします。

【岡係長】 それでは、13ページ目からのダゾメットについてご説明させていただきます。

 まず、物質概要につきましては、記載のとおりとなってございます。

 作用機構等ですが、ダゾメットは、殺線虫・殺菌・除草剤でありまして、その作用機構は、土壌中で速やかにメチルイソチオシアネート(MITC)に分解し、そのMITCが土壌中の微生物等と接触して、それらのSH基を阻害するということでございます。

 本邦での初回登録は1978年でございます。

 製剤は粉粒剤が、適用農作物等は果樹、野菜、いも、豆、花き、樹木、芝等がございます。

 原体の輸入量及び各種物性につきましては、記載のとおりとなってございます。

 それでは、15ページ目からの水産動植物への毒性についてでございます。

 まず魚類につきましては、コイとニジマスで試験がされてございます。申請者から提出されたデータとしましては、コイで試験がされております。そして環境省が収集した文献でニジマスのデータがありましたので、記載してございます。そして、甲殻類につきましては申請者から提出された試験、環境省が収集したデータ、両方ともオオミジンコで試験されているものがありました。そして、藻類につきましては緑藻を用いての生長阻害試験が実施されております。それぞれの試験条件及び結果につきましては、15ページ目の表1から19ページ目の表5に記載されているとおりでございます。

 それでは、20ページ目、水産PECでございます。こちらの農薬は非水田使用農薬ということで、下の表6に記載されております使用方法及びパラメータを用いまして、PECを算出してございます。その結果ですが、0.58μg/Lと算出されてございます。

 それでは、21ページ目、総合評価でございます。まず各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきましては、申請者データのコイを用いての急性毒性試験結果から96hLC50が36,000μg/L、もう一つ文献データのほうで、ニジマスを用いての急性毒性試験結果から、96hLC50が16,200μg/Lとなってございます。続きまして甲殻類等ですが、まず申請者のデータ、オオミジンコを用いての急性遊泳阻害試験結果から、48hEC50が19,000μg/L、文献データのほうでは、48hEC50が11,900μg/Lとなってございます。藻類につきましては、緑藻を用いての生長阻害試験結果から72hErC50が615μg/Lとなってございます。

 それぞれの結果から、急性影響濃度を算出しております。まず魚類につきましては、魚類[ⅱ]の文献データのニジマスのLC50を採用いたしまして、それを不確実係数10で割った値として算出してございます。甲殻類等急性影響濃度につきましては、両方ともオオミジンコの試験ですので、それぞれの試験の農薬テストガイドラインへの適合状況等を勘案しまして、[ⅰ]のほうの申請者のデータの値を採用いたしまして、EC50の19,000を不確実係数10で除して算出してございます。藻類につきましては、ErC50を採用いたしまして、それが藻類の急性影響濃度となってございます。それぞれの結果から、最小の藻類急性影響濃度を採用いたしまして、登録保留基準値案としまして、610μg/Lとご提案させていただきます。

 リスク評価ですが、水産PECが0.58μg/Lでしたので、登録保留基準値案の610μg/Lを超えていないということを確認してございます。

 こちらの農薬につきましても、11月25日の第4回水産検討会でご審議いただいたところでございます。そして、その水産検討会ですが、13ページ目にありますとおり、こちらは土壌中で分解して、MITCになるというところがございましたので、その辺りも含めてご審議をいただいたというところでございます。まずこちらMITC自体もまだ未評価なのですけども、登録があります。またその他、今回のダゾメット以外にもMITCに分解される農薬でカーバムというものがありまして、まだこちらも未評価なのですけれども、そちらのほうも登録がありますので、それぞれの現段階の登録内容から、それぞれのPECを算出いたしまして、それらが全てMITCになった場合の合算のMITCのPECを出しまして、あともう一つMITCの現状でわかっている毒性データのほうから、想定される毒性値のほうから想定されるMITCの登録保留基準値案というのと、合算したMITCのPECを比べまして、現状でもMITCのPECのほうが登録保留基準値案を超えていないということを確認しまして、こちらをお認めいただいたというところでございます。

 説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。

では、ただいまのダゾメットにつきまして、基準値案についてご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。

ダゾメットは割と加水分解性が高くて、半減期が短いみたいなのですけども、魚類のコイが半止水式の試験がやられていて、他は全て流水式の試験になっているということでございます。半止水式でも割と残っていたということでしょうか。分解物として、MITCができますが、親として評価をしていただきたいということです。よろしいでしょうか。分解物のMITCにつきましては、幾つかの農薬から出てくるものであるらしいのですけども、暫定的に計算したPECも超えていないということでございます。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

どうぞ。

【山本臨時委員】 大変細かな話で恐縮なのですが、18ページ、表4のキャプションが、その前の表3はミジンコ類急性遊泳阻害試験と書いてあって、ここはオオミジンコ急性と書いてあるのだけども、このキャプションは大体ミジンコ類云々と書くのが通常ではなかったですかね。

【岡係長】 すみません。18ページの表記が誤っておりますので、修正いたします。

【白石委員長】 これは文献値なのですか。環境省が収集した文献ということ。

 他いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたらば、21ページになりますけども、総合評価をご覧ください。登録保留基準値は、藻類の急性影響濃度をもとに610μg/Lとするということでございます。PECは非水田Tier1による算出結果ですけども、0.58μg/Lということで、これを超えていないということが確認されたということ。よろしいようでしたら、この案を認めていただいたということにさせていただきます。

(異議なし)

【白石委員長】 ありがとうございました。

 では、次をお願いいたします。

【林室長補佐】 それでは資料3の22ページ、テブフェンピラドでございます。

 物質概要は表に記載のとおりです。

 作用機構等でございますが、本剤は、メチルピラゾール骨格を有する殺ダニ剤でございまして、その作用機構は、ミトコンドリア電子伝達系の阻害であると考えられてございます。

 本邦での初回登録は1993年です。

 製剤は水和剤、乳剤及びくん煙剤が、適用農作物等は果樹、野菜、豆、花き、樹木等がございます。

 原体の国内生産量及び各種物性は記載のとおりでございます。

 続いて、23ページ、水産動植物への毒性ですが、本剤は、魚類についてはコイ、甲殻類等についてはオオミジンコ、藻類については緑藻を用いた試験が実施されておりまして、その条件及び結果は、23ページの表1から24ページの表3のとおりです。

 続いて25ページ、水産動植物被害予測濃度でございます。本剤は非水田使用農薬ということで、表4に記載の使用方法及びパラメータを用いて計算したところ、水産PECとしては0.011μg/Lと算出されてございます。

 続いて26ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50でございますが、魚類につきましては、コイ急性毒性試験より96hLC50が18.0μg/L、甲殻類等につきましては、オオミジンコ急性遊泳阻害試験より48hEC50が46μg/L、藻類につきましては、緑藻生長阻害試験より72hErC50が2,000μg/L超と算出されてございまして、これらから急性影響濃度を計算しまして、このうち最小の魚類の急性影響濃度を用いまして、登録保留基準値案として1.8μg/Lと提案させていただきます。

 リスク評価でございますが、水産PECは0.011μg/Lであり、登録保留基準値案1.8μg/Lを超えていないことを確認してございます。

こちらも水産検討会第4回でご審議をいただきまして、主な論点といたしましては、24ページの藻類生長阻害試験をご覧いただければと思いますけれども、これの設定濃度5,000と10,000のところでは、水溶解度以上となっているということで、阻害率が逆に下がっているということがありまして、混乱を招くかもしれないといったような点が指摘をされましたけれども、全体としてはお認めをいただいております。

 以上です。ご審議をよろしくお願いします。

【白石委員長】 ありがとうございました。

では、テブフェンピラドにつきまして、ご意見、ご質問、基準値案について、その他のお気づきの点がありましたら、お願いいたします。

メチルピラゾール骨格を有する殺ダニ剤ということで、作用機構がミトコンドリア電子伝達系の阻害であるということでございます。ということで、魚類、甲殻類に対して毒性が強いように見えますけども、いかがでしょうか。

どうぞ。

【内田専門委員】 この評価自体は、いいと思うのですけど、22ページの作用機構等の4行目、適用農作物、果樹、野菜、豆、花き、樹木等、これ「樹木等」というと、また別の意味が出てくる。すなわち樹木類と樹木等では、定容作物が異なり、等とすると別な非農耕地の登録みたいなのがあるので、ここでは花きと樹木と入れかえたりしたほうがわかりやすい。私からすると。ちょっとその辺が気になります。最後に樹木を持ってくると、樹木等というのは、別の登録になってしまう可能性があるということです。

【白石委員長】 ありがとうございます。

事務局よろしいでしょうか。これ順番は何か意味があるのですか。

【更田室長】 我々の作成するマニュアルでは、こういう順番で書くと決まっているものですから。ただ、あくまでも運用上の話なので、ご懸念の点はわかりますので、ではちょっと検討させていただければと思います。

【白石委員長】 ではご検討いただくということでよろしいですか。これまでも結構こういうのがあるということでしょうか。わかりました。

 他の点でいかがでございましょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 藻類の試験結果はよろしいですか。特に溶解度以上のものですけど、これ均一に分散していたというふうに思って、そういう結論なのですね。

 その他いかがでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 ないようでしたらば、また総合評価をご覧ください。これは魚類の毒性試験をもとに、登録保留基準値を1.8μg/Lとするということでございます。PECのほうは非水田のTier1のPECですけども、0.011μg/Lということで、これを超えていないということでございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、基準値案をお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 では、次のヒメキサゾールについてお願いいたします。

【岡係長】 それでは、27ページ目からのヒメキサゾール(ヒドロキシイソキサゾール)についてご説明させていただきます。

 まず、こちら物質概要につきましては、記載のとおりでございます。

 作用機構等としまして、ヒメキサゾール(ヒドロキシイソキサゾール)は、イソキサゾール骨格を有する土壌殺菌剤・植物成長調整剤でありまして、その作用機構は明らかになってはおりませんが、土壌中のピシウム属等の菌に活性を示すとともに、発根促進等の作用を示すものでございます。

 本邦での初回登録は1969年でございます。

 製剤は粉剤、水和剤、液剤及び複合肥料が、適用農作物等は稲、雑穀、野菜、花き、樹木、芝等がございます。

 原体の国内生産量及び各種物性につきましては、記載のとおりでございます。

 それでは、29ページ目からの水産動植物への毒性についてでございます。

 こちらは、コイ、オオミジンコ、緑藻を用いての試験が実施されております。それぞれの試験条件及び試験結果につきましては、29ページ目の表1から30ページ目の表3に記載されているとおりでございます。

 それでは、31ページ目からの水産PECについてでございます。こちらの農薬は水田使用及び非水田使用、両場面で使われるものですので、それぞれの場面でPECを算出してございます。まず水田使用についてですが、31ページ目の表4に記載されております使用方法及びパラメータを用いまして、PECを算出いたしましたところ、6.8μg/Lとなってございます。

 続きまして、非水田使用でございます。32ページ目の表5に記載されております使用方法及びパラメータを用いまして算出しましたところ、0.047μg/Lとなってございます。これらの結果から、値の大きい水田使用時のPECの値を採用しまして、本剤の水産PECとしましては6.8μg/Lとなってございます。

 それでは、33ページ目、総合評価でございます。まず各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきましては、コイを用いての急性毒性試験結果から96hLC50が100,000μg/L超、甲殻類等につきましては、オオミジンコを用いての急性遊泳阻害試験結果から、48hEC50が28,000μg/L、藻類につきましては、緑藻を用いての生長阻害試験結果より72hErC50が9,900μg/L超となってございます。

 これらの結果から、それぞれの急性影響濃度を算出いたしまして、最小の甲殻類等急性影響濃度を採用いたしまして、登録保留基準値案としまして、2,800μg/Lとご提案させていただきます。

 リスク評価ですが、水産PECは6.8μg/Lでしたので、登録保留基準値案の2,800μg/Lを超えていないということを確認しております。

 こちらの農薬につきましても、11月25日の第4回水産検討会でご審議いただいたところでございます。その審議内容ですが、まず30ページ目の藻類生長阻害試験のところでご審議いただきまして、こちら試験としましてはP種とD種の比較試験ということで、かなり珍しい試験だったのですが、ただ、その試験内容としましては、本試験の前に行われるレンジファインディング試験、いわゆるどのぐらいの濃度幅で、どのような影響が行われるかという、本試験の前に行われる試験に近いようなやり方で実施されておりましたので、その結果をもって、この毒性値を出すのはどうなのかというところでご審議いただいたところでございます。試験のやり方は確かに本試験のやり方と違っているというところがあったのですが、ただ、72hErC50として出されている9,900超という、その数字自体は科学的に考えてもそんなにおかしな数字ではないというご結論をいただきましたので、藻類としまして、この値を採用したというところでございます。

 もう1点、PECのところで苗代で使われるというところがございましたので、そちらのPECの算出についても事務局のほうで整理した案をご審議いただいたというところでございます。ただ、最終的に水田使用も非水田使用の場面、両場面においても一番高いPECということにならなかったので、評価書のほうには記載されておりませんが、その苗代のPECの算出についてもご審議いただいて、最終的に記載されているPECの値より小さかったというところを認めていただいたというところでございます。

 説明は以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。

ヒメキサゾールにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等、お願いいたします。

 藻類の試験がレンジファインディングというか、かなり区間が広い試験がなされていますけれど、五箇委員、何かここでコメントございましたらお願いいたします。

【五箇臨時委員】 先ほど事務局からもご説明がありましたけれども、レンジファインディング試験という形でデータが出されていて、テストガイドラインに従った毒性値を出したことになるかどうかという点は疑問に当たるということで、一応議論させていただきまして、本質的にはテストガイドラインにのっとっていないので、このデータそのものを毒性値とみなすということには問題はあるのですが、既に既登録剤ということもありますし、その辺も含めて出ているデータ自体がサイエンティフィックに非常に異常な値であるとは言えないということから、この値を使うということで、検討会では結論しております。

【白石委員長】 ありがとうございます。

ご意見等ございましたらお願いします。

どうぞ。

【内田専門委員】 ちょっとお伺いしたいのですけど、どういう議論があったかということで、これ例えば「9,900以上」という表現だと、活性がないみたいな印象を受けるので、でも、これもう少し濃度を高くすれば100%阻害するわけですね。だから、その辺の表示の方法なんかは如何なものか等に関してどういう議論があったか、ちょっと教えていただければと思います。

【五箇臨時委員】 ご指摘のとおりでございまして、結局レンジになってくるのです、このデータそのものを見てしまいますと。ただ、記述の方法として、そういう記述をするというふうにはなっていませんので、ここではこういった記述が限界かなというところになってきます。ただ、結構上のほうに行くとご指摘のとおり、ただ、その幅があまりにも広過ぎるのです。オーダーとしまして。本質的には水溶解度をはるかに超えるというもので試験されておりますので、本当ならばこういうデータの出し方はあまり好ましくないというか、していただかないほうが検討するほうも楽だなというのが本音のところになります。

【白石委員長】 確定値を出すのは忍びないというか、確定値は出すことができないということで、以上ということになっておりますが、そんな感じでよろしいでしょうか。9,900以上ということで。このデータそのものは、評価書は出ていくので、毒性はあるということは残るというふうに思いますけど、試験結果として。よろしいでしょうか、他コメントございましたら、お願いいたします。

(発言なし)

【白石委員長】 ないようでしたら、総合評価のほう、ご覧いただきたいと思いますけども。3種の試験が行われて、ここでは最小のオオミジンコだけ毒性値が出ていますけども、これをもとに登録保留基準値を2,800μg/Lとするということでございます。水産PECのほうは非水田ですけども、Tier1による算出結果で、他に用途があったのですけども、それはこれを超えないということでよろしいですね。0.047μg/Lということで、登録保留基準値を超えていないということでございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 ご意見ないようでしたら、本案をお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 では、次をお願いいたします。

【林室長補佐】 それでは資料3の34ページ、フェンピロキシメートでございます。

 物質概要は表に記載のとおりです。

 作用機構等ですが、本剤は、フェノキシピラゾール骨格を有する殺ダニ剤であり、その作用機構は、ミトコンドリア電子伝達系阻害であり、幼虫・若虫・成虫・卵の各ステージに対し高い活性を示し、加害、産卵を阻止するものでございます。

 本邦での初回登録は1991年。

 製剤は水和剤が、適用農作物等は果樹、野菜、豆、花き等がございます。

 原体の国内生産量及び各種物性は記載のとおりです。

 続いて、35ページ、水産動植物への毒性でございます。魚類についてはコイ、甲殻類等についてはオオミジンコ、藻類については緑藻を用いた試験が実施されておりまして、その条件及び結果は、35ページの表1から36ページの表3のとおりでございます。

 続いて37ページ、水産動植物被害予測濃度でございます。本剤は非水田使用農薬ということで、表4に記載の使用方法及びパラメータを用いまして算出いたしましたところ、水産PECとして、0.0055μg/Lとなってございます。

 続いて38ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきましては、コイ急性毒性試験より96hLC50が5.5μg/L、甲殻類等につきましては、オオミジンコ急性遊泳阻害試験より48hEC50が3.26μg/L、藻類につきましては、緑藻生長阻害試験より72hErC50が99,800μg/L超となってございまして、それらから急性影響濃度を算出いたしまして、最小の甲殻類等の急性影響濃度を用いまして、登録保留基準値案として、0.32μg/Lと提案させていただきます。

 リスク評価でございますが、水産PECは0.0055μg/Lであり、登録保留基準値案0.32μg/Lを超えていないことを確認いたしております。

本剤も平成26年11月25日開催の水産検討会第4回でご審議を賜りました。主な論点といたしましては、35ページに戻っていただきまして、水溶解度のところですが、本剤は15μg/Lということで、難水溶性農薬であるということですけれども、36ページの藻類生長阻害試験のところをご覧いただければと思いますけれども、こちらで高い濃度で水溶解度を超えて試験を行っているのはいかがなものかといったご指摘をいただきました。ただ、現状のテストガイドラインでは許されているので、否定することもできないということで、お認めいただいたところです。

 説明は以上です。ご審議をよろしくお願いします。

【白石委員長】 ありがとうございました。

フェンピロキシメートにつきまして、ご意見、ご質問等お願いいたします。

これもミトコンドリア電子伝達系阻害剤ということで、コイとミジンコに毒性が認められています。いかがでしょうか。

検討会、藻類のところはまだコメントございますか。

【五箇臨時委員】 先ほどの4番目のテブフェンピラドもそうだったのですけど、これ同じような系統の薬になりますが、藻類の生長阻害試験ですごく溶解度以上の、非常に高い濃度で無理くり試験しているので、結果的にはデータがややこしいデータになってしまうということで、特にテブフェンピラドのときは、あまりに高濃度なので、逆に濃度が高くなると阻害率が減少してしまうというような逆勾配が起きてしまったり、こちらのほうは逆に恐ろしいほど高濃度にしているのに、用量反応が得られるという、それ自体が信用できないという意見もあったりして、むしろこういう混乱を招くのであるならば、あまり水溶解度を超える、はるかに高い濃度でやるということの意味は、少し考えたほうがいいのではないかということは、検討会では議論しております。多分にこれどちらもミトコンドリアの電子伝達系という、どちらかというと呼吸阻害剤という形にすると、非選択的な作用機構になるので、安全性を示すという意味では、コイ・ミジンコが非常に毒性値が低いという反動で、藻類は逆に全く効きませんということを証明したかったのではないかという意見もありまして、その辺はちょっと現状では事務局が説明ありましたように、テストガイドラインでは、そこは許容してしまっておりますので、今後の検討課題ということになるかと思います。

【白石委員長】 ありがとうございました。

これは実測濃度と設定濃度が合っているということもあって、割と分散しやすかったということなのですかね。助剤もDMSOで、界面活性剤を使っていない状態でこういったことが認められたということで、そういった性質を持っている農薬ではなかろうかと思いますけども。いかがでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 特段ご意見がないようでしたらば、また総合評価のほうをご覧ください。3種の試験がなされておりまして、これもミジンコが最小値となって、これをもとに登録保留基準値を0.32μg/Lとするということでございます。水産PECは非水田のTier1になりますけども、この値が0.0055μg/Lで、これを超えていないということでございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、基準値案をお認めいただいたということにさせていただきます。

 では、次のフルスルファミドについて、お願いいたします。

【岡係長】 それでは、39ページ目からのフルスルファミドについて、ご説明させていただきます。

 まず物質概要ですが、記載のとおりでございます。

 作用機構等ですが、フルスルファミドは、ベンゼンスルホンアニリド誘導体の土壌殺菌剤でありまして、根こぶ病菌の休眠胞子の発芽を抑制し、根毛への感染を阻害するとともに、主根及び側根への感染も抑制し防除すると考えられております。

 本邦での初回登録は1992年でございます。

 製剤は粉剤、粉粒剤及び水和剤が、適用農作物等は野菜及びいもがございます。

 原体の国内生産量及び各種物性につきましては、記載のとおりでございます。

 それでは、40ページ目からの水産動植物への毒性についてでございます。

 本農薬につきましては、魚類につきましてはコイ、甲殻類等につきましてはオオミジンコ、藻類につきましては緑藻を用いての試験が実施されております。それぞれ試験条件・試験結果につきましては、40ページ目の表1から41ページ目の表3に記載されているとおりでございます。

 それでは、42ページ目、水産PECでございます。こちらの農薬は非水田使用農薬ということですので、下に書かれております表4の使用方法及びパラメータを用いましてPECを算出してございます。その結果ですが、0.00071μg/Lと算出されました。

 それでは43ページ目から総合評価でございます。まず各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきましては、コイを用いての急性毒性試験結果から96hLC50が300μg/L、甲殻類等につきましては、オオミジンコを用いての急性遊泳阻害試験結果から、48hEC50が290μg/L、藻類につきましては、緑藻を用いての生長阻害試験結果より72hErC50が3,800μg/L超となってございます。

 それぞれの結果から、各種の急性影響濃度を算出いたしまして、最小の甲殻類等急性影響濃度を採用いたしまして、登録保留基準値案としまして、29μg/Lとご提案させていただきます。

 リスク評価ですが、水産PECが0.00071μg/Lでしたので、登録保留基準値案の29μg/Lを超えていないということを確認しております。

 こちらの農薬につきましても、11月25日の第4回水産検討会でご審議いただいたところでございます。この水産検討会では、41ページ目の藻類のところでご審議いただきまして、こちら試験自体は3連でされておるのですが、初期生物量のところを見ていただくと記載があるとおり、7.79×103~1.46×104ということで、試験が始まる前から2倍ほどの初期生物量に差があったというところで、この試験自体の試験結果の振れというのが、農薬テストガイドラインに記載されている振れの範囲より外れていたというところがありまして、そこでどうなのかというところでご議論いただいたところですが、ただ、それをもっても、一番濃いところ、設定濃度10,000μg/Lのところの生長阻害率でも38%、その下の4,600μg/Lのところでも41%ということで、50%を超えていないということで、数字自体の3,800超というのが科学的に問題ないということで結論いただいて、この数字を認めていただいたというところでございます。

 説明は以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。

では、ただいまのフルスルファミドにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等、お願いいたします。

スルホンアニリド系だから、溶解度はpHによって変わるのですね。アルカリ性でよく溶けている。いかがでしょうか。藻類生長阻害試験で初期生物量、これ幅があるらしいのですけども、重大な影響ではないというか、毒性が認められないのでよろしいということでよろしいですか。

【五箇臨時委員】 検討会でもご指摘がありましたけれども、根本的にこの剤自体がそれには影響しないということで、一応認めるということにしております。

【白石委員長】 よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 他にご意見がないようでしたらば、総合評価に移ります。甲殻類のオオミジンコ急性遊泳阻害試験の結果をもとに、登録保留基準値を29μg/Lとすることということでございます。水産PECのほうが非水田Tier1による算出結果ということで、0.00071μg/Lということになっておりますが、これを超えていないということでございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 特段ご意見がないようでしたら、案のとおりとさせていただきます。

 では、続きましてベンゾビシクロンについて、ご説明をお願いいたします。

【林室長補佐】 資料3の44ページをご覧ください。ベンゾビシクロンでございます。

 物質概要は表に記載のとおりです。

 作用機構等ですが、本剤は、ビシクロオクタン骨格を有する除草剤でありまして、その作用機構は、雑草の根部、幼芽部、茎葉基部から吸収されて茎葉部、根部への移行後のカロテノイド生合成の阻害でありまして、クロロフィル量が減少し、白化、枯死を引き起こします。

 本邦での初回登録は2001年でございます。

 製剤は粒剤及び水和剤が、適用農作物等は稲がございます。

 原体の国内生産量及び輸入量、また各種物性は記載のとおりです。

 続いて、45ページから水産動植物への毒性でございますが、本剤は魚類についてはコイ、甲殻類等についてはオオミジンコ、藻類については緑藻を用いて試験が実施されておりまして、その条件及び結果は、45ページの表1から46ページの表3のとおりです。

 続いて、47ページ、水産動植物被害予測濃度でございます。本剤は水田使用農薬ということで、表4に記載の使用方法及びパラメータを用いまして算出いたしました結果、水産PECといたしまして、4.5μg/Lと算出されてございます。

 続きまして、総合評価でございます。48ページをご覧ください。各生物種のLC50、EC50については、まず魚類につきましては、コイ急性毒性試験より96hLC50が1,740μg/L超、甲殻類等につきましては、オオミジンコ急性遊泳阻害試験より48hEC50が341μg/L、藻類につきましては、緑藻生長阻害試験より72hErC50が223μg/L超と算出されておりまして、これらより急性影響濃度を求めまして、最小の甲殻類等急性影響濃度を用いまして、登録保留基準値案として34μg/Lと提案させていただきます。

 リスク評価でございますが、水産PECは4.5μg/Lであり、登録保留基準値案34μg/Lを超えていないことを確認してございます。なお、こちらについては値が近接しているということで、第二段階のPECを事務局で算出いたしましたところ、0.0049μg/Lということで、下がっていることを確認してございます。

こちらも水産検討会第4回でご審議をいただきました。主な論点といたしましては、45ページに戻っていただきまして、こちらも水溶解度が52μg/Lということで、難水溶性農薬でございます。それに対して各試験が水溶解度を超えるところで実施されているということで、浮遊物などがあるということについては、ちょっと問題であるというご指摘がございました。こちらも先ほど五箇座長から補足いただきましたとおり、今後の課題ということで、ピンクファイルのほうにも整理ペーパーを挟み込んでおりますけれども、現状のテストガイドラインでは100mg/Lが濃度の上限というふうにしておりますけれども、これに加えて助剤を用いて溶ける最大濃度か100mg/Lのどちらか小さいほうまでという方向性は出していただきまして、今後これに向けて調整していきたいということで、ご説明申し上げまして、お認めいただいたところでございます。

 以上です。ご審議をよろしくお願いします。

【白石委員長】 ありがとうございました。

これも難水溶性の物質で、試験上、若干問題が認められたものかもしれませんけども、ご意見等をお願いいたします。

コイの試験は、例えば助剤が1g/Lぐらい使われているというところがございますが、いかがでしょうか。本物質は加水分解が非常に早くて、分解性が高い物質でございます。試験は半止水式で行われているということですか。これはもう懸濁しているから、そういうことなのですか。分解せずにそのままずっと残っている状態で試験がされていたということです。いかがでしょうか。

この加水分解の主要なところは、構造式で言うとフェニルにSがついたところですか。チオフェノールが出てくるような形になるかと思うのですけども、そういった物質であろうというふうに思いますが。いかがでしょうか。

難水溶性につきましては、今検討会のほうで議論されているので、また追ってご報告があると思いますが、現状、こういった試験結果でお認めいただくということになりますけども、よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたらば、総合評価をご覧ください。これはミジンコだけ毒性値が得られておりまして、これをもとに登録保留基準値を34μg/Lとするということでございます。水産PECのほうをご覧いただくと、これは水田のTier1ということで、割と近接しているのですが、分解性も高いということだと思いますけども、土壌吸着性が高いこともあって、Tier2を計算すると非常に小さな値になる。0.0049μg/Lになるということでございます。いかがでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 特段ご意見がないようですので、この基準値案をお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 では、次に移らせていただきます。メチオゾリンにつきまして、ご説明をお願いいたします。

【岡係長】 それでは、49ページ目からのメチオゾリンについて、ご説明させていただきます。

 まず物質概要ですが、記載のとおりでございます。

 作用機構等ですが、メチオゾリンは、イソキサゾール系の除草剤でありまして、その作用機構の詳細は不明ですが、主に雑草の根部から吸収されて植物体内に移行し、植物細胞壁の生合成を阻害することにより、雑草の生育を阻害・抑制し枯死させるものと考えられております。

 本邦では未登録でございまして、製剤としては乳剤、適用農作物等としては芝として登録申請がされているものでございます。

 各種物性につきましては、記載のとおりでございます。

 それでは、50ページ目からの水産動植物への毒性についてでございます。

 まず、魚類につきましてはメダカを用いた試験が実施されております。甲殻類等につきましてはオオミジンコ、藻類につきましては緑藻を用いての試験が実施されております。それぞれの試験条件及び試験結果につきましては、50ページの表1から52ページの表3に記載されているとおりでございます。

 それでは、53ページ目の水産PECでございます。こちらの農薬は非水田使用農薬ということで、下の表4に記載をされております使用方法及びパラメータを用いまして、PECを算出しております。その結果ですが、0.0039μg/Lと算出されてございます。

 それでは54ページ目、総合評価でございます。まず各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきましては、メダカを用いての急性毒性試験結果から96hLC50が2,190μg/L、甲殻類等につきましては、オオミジンコを用いての急性遊泳阻害試験結果から、48hEC50が1,980μg/L、藻類につきましては、緑藻を用いての生長阻害試験結果から、72hErC50が2,840μg/Lとなってございます。

 それぞれの結果から、急性影響濃度を算出いたしまして、最小の甲殻類の値を採用いたしまして、登録保留基準値案としまして、190μg/Lとご提案させていただきます。

 リスク評価ですが、水産PECは0.0039μg/Lでしたので、登録保留基準値案の190μg/Lを超えていないということを確認しております。

 こちらの農薬につきましても、11月25日の水産検討会の第4回でご審議いただきました。その際に、51ページ目のオオミジンコの試験のところでご審議いただきまして、こちら試験条件としまして、テストガイドラインから定められております試験水温の温度より少し下回っておったのですが、その辺りにつきまして温度が下がると毒性値として高く出る、いわゆる効きが弱くなるのではないかということでご質問いただいたのですが、実際にはそのテストガイドラインの範囲よりかなり低くなっているというのではなくて、少し下回っているだけでしたので、あまり毒性値には影響がないということで結論をいただきまして、この値を認めていただいたというところでございます。

 説明は以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。

ミジンコの試験で軽微な逸脱があったということですけども、試験結果にそれほど大きな影響を与えるものではないという結論だそうですが、いかがでしょうか。メチオゾリンにつきまして、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。

よろしいでしょうか。これは全て毒性値が得られております。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、総合評価をご覧ください。これは最小のオオミジンコの毒性試験をもとに、登録保留基準値を190μg/Lとするということです。水産PECが非水田のTier1になりますけども、0.0039μg/Lということで、これを超えていないということでございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようですので、この基準値案をお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。

 これで、議題1は終わりましたが、大分予定よりも進んでおりますが、どうしましょう、続けますか、休憩入れますか。

【更田室長】 休憩を入れさせていただきます。

【白石委員長】 では、休憩を10分入れたいと思います。では、50分開始ということでお願いいたします。

(休憩)

【白石委員長】 そろそろ時間になりましたので、再開したいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは議事の2番目になります。水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入ります。

事務局から資料の説明をお願いいたします。

【松田主査】 では、資料4をお手元にご用意ください。資料4は水質汚濁に係る農薬登録保留基準値案に関する資料でございます。作用機構等と総合評価を重点的にご説明させていただきたいと思います。

 本日ご審議いただくのは、ベンフルラリン(ベスロジン)の1剤でございます。資料の1ページからご覧ください。1.物質概要については、こちらの表に記載のとおりでございます。

 2.作用機構等につきまして、ベンフルラリン(ベスロジン)は、ジニトロアニリン系の除草剤でありまして、その作用機構は、雑草の幼芽及び幼根から吸収されて分裂組織に移行後の細胞分裂中期における隔膜と紡錘体の形成阻害と考えられており、細胞分裂を阻害し、雑草を枯死させるものでございます。

 本邦での初回登録は1968年です。

製剤は粒剤及び水和剤が、適用農作物等は芝がございます。

 原体の国内生産及び次のページの各種物性等につきましては、こちらに記載のとおりでございます。

 続きまして、2ページ目のⅡ.安全性評価の部分でございます。本剤につきましては、国内では非食用専用農薬ということで、登録されているものでございますけれども、海外におきましてはレタス等を対象として、農薬登録があるため、平成22年度に食品安全委員会で食品健康影響評価が実施されております。

お手元のピンク色のファイル中の水質汚濁に係る農薬登録保留基準設定関連参考資料の、資料の5番目をご覧いただければと思うのですけれども、こちらは平成24年10月30日の農薬小委員会でご了承いただきました非食用農作物専用農薬に係る水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定方針です。この2ページ目の3.(1)において、非食用農薬専用農薬について食品安全委員会でADIが設定された場合の対応が記載されており、こちらに従いまして非食用農作物専用農薬安全性評価検討会でご審議をいただいたものでございます。食品安全委員会での食品影響評価の結果と国内の農薬登録に当たって提出された農薬抄録を比較して検討いたしましたところ、毒性に大きな差がないということでございまして、食品安全委員会で設定されたADIを水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定に用いることとされました。

 食品安全委員会の方では、平成22年10月14日付で、ベンフルラリンのADIを0.005mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省宛てに通知しております。なお、この値につきましては、ラットを用いた2年間慢性毒性・発がん性併合試験における無毒性量0.5mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。

 続きまして、3ページ目のⅢ.水質汚濁予測濃度(水濁PEC)に関してでございます。本剤は非水田のみの使用ということでございまして、こちらに書かれている表中のパラメータを用いて水濁PECを算出しております。その結果、2.の一番下に書かれているとおり、水濁PECにつきましては、0.00014mg/Lと算出されました。

 4ページ目の総合評価に移らせていただきます。1.水質汚濁に係る農薬登録保留基準値につきまして、食品安全委員会で設定されたADIが0.005mg/kg体重/日ということでございまして、こちらに書かれている式を用いて登録保留基準値を算出いたしましたところ、0.01mg/Lと算出されました。なお、その下に参考といたしまして、各種水質に係る基準値等を記載しております。本剤については、水質管理目標設定項目として0.01mg/L、ゴルフ場暫定指導指針として0.1mg/Lという値が設定されてございます。

 最後、2.リスク評価のところでございます。水濁PECは0.00014mg/Lでありまして、登録保留基準値0.01mg/Lを超えないことを確認いたしました。また、参考といたしまして、国内では芝のみに適用でございますけれども、海外でレタスについて使用されているということで、残留基準値が設定されていますが、それに関しまして農薬理論最大摂取量を厚生労働省のほうで算出したところ、0.0003mg/人/日ということで、対ADI比が0.1%と、80%を超えないことを確認しております。

 以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。

では、ただいまのベンフルラリンにつきまして、ご質問、基準値案についてご意見お願いいたします。検討会のほうでご議論あったと思いますので、説明お願いいたします。

【吉田臨時委員】 では、ご説明申し上げます。

 先ほど事務局からのご説明もあったのですけれども、ルールがございまして、それに合っているかどうかということを、2カ月前の非食の検討会で検討をいたしました。そういたしましたところ、今回私たちは抄録をもとに評価した、そのデータパッケージと、食品安全委員会はUSEPAとカリフォルニアEPAの資料をもとにした評価書評価でしたので、若干どうもデータパッケージが違うようだということがあったのが、今回の少しややこしい点でした。事務局が一覧表等をつくってくれまして、わかりやすいようにしていただき、大変ありがたかったと思います。

 その中で、まず毒性のプロファイルが違うかどうかということを、最初に議論いたしましたけれども、標的は肝臓、腎臓、あるいは全身への褐色色素沈着という点で、毒性プロファイルが違わないということを確認いたしました。その上で最も低いNOAELはどこにあるかということだったのですが、私どもがいただいた資料からは、ラットの90日間反復投与毒性試験の3.2mg/kg体重/日というのが一番低いNOAELでした。ところが一方、食品安全委員会には別の試験、2年間のラットの慢性毒性・発がん性試験のデータがございまして、このNOAELが0.5という6分の1低い値でした。今回、非食の検討会で提供された発がん性試験はマウスのみで、ラットのものはございませんでした。ということから、より長期ばく露の指標として、こちらのほうがもちろん適切だということもございましたし、ルールもございましたので、こちらの0.5を採用いたしました。

 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。

ご検討いただいた結果、食品安全委員会のADIを採用するということでございます。よろしいでしょうか。ご意見等ございましたらお願いします。

どうぞ。

【中杉委員】 この物質は、BCFが1,000をちょっと超えているので少し高いのですけども、今のところ食品経路の理論最大というものが0.1%で非常に低いので、そこはあえて議論する必要はないと思います。これがだんだん将来増えてきて、天井に近くなってくると、魚濃縮の話も少し議論しなければいけなくなるのではないかというふうに思いますので、将来のことですけども、見ておいていただければと思います。

【白石委員長】 ありがとうございました。

他いかがでしょうか。

物性として生物濃縮性が高いほうに入るので、将来的に見直しがあるかもしれないということですかね。現在のところ対ADIが0.1%ということで、議論はしなくてもよろしいでしょうということであります。いかがでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、総合評価をご覧ください。登録保留基準値を0.01mg/Lとするということでお認めいただいたとさせていただきたいと思います。水濁PECは0.00014であり、これを超えていないということであります。

(異議なし)

【白石委員長】 では、案のとおりとさせていただきます。ありがとうございました。

以上で、水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定についての審議を終了いたします。

 事務局より今後の予定について、ご説明をお願いいたします。

【松田主査】 本日ご了解いただきました農薬の登録保留基準については、行政手続法の規定に基づきまして、今後パブリックコメントを1カ月ほど実施いたします。その結果、もし何か修正等を求める意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うかどうか、ご相談をさせていただきまして、ご判断いただくことにしたいと思います。再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得まして、中央環境審議会長に部会報告を行い、さらに会長の同意を得て環境大臣に答申いただくことになります。そして答申後、基準値を告示させていただきたいと思います。

【白石委員長】 ありがとうございました。

続きまして、議事のその他といたしまして、3案件ございます。まず水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について(ばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬)(案)について、ご説明をお願いいたします。

【岡係長】 それでは資料5をご覧ください。こちら水産基準と水濁基準の設定を不要とする農薬について、ご審議いただきたい農薬でございます。

 まず今回ご審議いただきたい農薬は、記以下のところに記載されておりますコッシンルアというものでございます。こちらの農薬の成分としましては、その右の化学名のところに書かれております成分でございます。こちらの主要目的としましては、交尾阻害ということで、その使用方法としましては、有効成分が入ったもの、封入されたロープ状のプラスチックのチューブを作物の枝に設置するということでございます。

 それでは1枚めくっていただきまして、真ん中の辺りに図1ということで、これは違う剤なのですが、どういう農薬かということで、チューブの写真が載っていると思うのですが、このような長めのプラスチックのチューブの中に、有効成分が封入されたものでございます。それを下の図2のところ、果樹での使用例ということで記載されておりますが、そのチューブを枝に巻きつけたり、枝から垂らしたりして使うというものでございます。

 それでは1ページに戻っていただきまして、このように使われる農薬ですので、河川等の水系に流出するおそれが極めて少ないということで考えられるということで、水産基準及び水濁基準の両基準につきまして、設定不要ということにしていただきたいということで、今回ご提案させていただいたというところでございます。

今回、水産基準、水濁基準の両基準とも設定不要ということで認められたとしても、その後、今回の作物の枝からぶら下げたりというような使用方法とは異なる使用方法の製剤が登録申請された場合につきましては、再度両基準につきまして、そのまま設定不要でいいのか、もしくは設定をしなければいけないのかということで、その必要性について改めて検討することというふうにしたいと考えておりますが、今回につきましては、設定不要ということでご審議していただきたいということでございます。

 説明は以上です。よろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。これは既登録内容とは異なる使用方法の登録申請がなされたということですね。

【岡係長】 ではなくて、今回この形で申請は初めてです。

【白石委員長】 初めてですか。

【岡係長】 初めてです。

【白石委員長】 わかりました。

コッシンルアというこの農薬につきまして、ばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬としたいということですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。封入したロープ状のプラスチックチューブを作物の枝に設置するという方法です。

(発言なし)

【白石委員長】 ご意見ないようですので、案をお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。

 それでは次の2件目としまして、微生物農薬ですか。水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について(微生物農薬)についての(案)をご説明ください。

【林室長補佐】 それでは資料6をご覧ください。本日ご審議いただきたい農薬は6剤ございまして、2ページ目と3ページ目に書かせていただいております1番、2番の農薬については、糸状菌による殺菌剤、また4ページ~6ページまでの3番~5番の農薬については、糸状菌による殺虫剤、そして7ページの6番の農薬、これは細菌による殺菌剤でございます。

 これらの1番~6番の農薬、いずれにつきましても、環境生物に対する影響試験ということで、淡水魚影響試験、また淡水無脊椎動物影響試験、植物影響試験の結果より、毒性等が認められておりません。また、ヒトに対する安全性試験の結果より第二段階以降に進む要件とされております毒性・感染性・病原性・生残性が認められず、登録がなされているという状況でございます。

 なお、1番目の微生物農薬につきましては、一番下の欄の箱のところになお書きで書かせていただいておりますけれども、CDラットを用いた単回経気道投与試験で死亡例があったということなのですが、これについての原因を考察されたところ、菌体と培地による呼吸不全によると考えられたということで、人体への影響を及ぼす可能性はほとんどないと考えられるとされておるところでございます。

 1ページ目に戻っていただきまして、このように1番~6番の微生物農薬については、独立行政法人農林水産消費安全センターの微生物農薬検討会で淡水魚、淡水無脊椎動物、植物及びヒトに対して毒性、病原性、感染性等は認められず、影響はないと判断されて、第二段階以降の試験を求めることなく登録されているということで、水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る登録保留基準の設定を行う必要がないといたしたいと考えております。

 ご審議をよろしくお願いします。

【白石委員長】 ありがとうございました。

ただいまのご説明にご質問、ご意見等ございましたらよろしくお願いします。

どうぞ。

【根岸臨時委員】 あまり本質と関係ないところかもしれませんけれども、今日こちらのコンピュータのほうに入っているやつです。これの3ページのところにタラロマイセス フラバスの生活史という図があるのですが、これが多分違うのではないかなと思うのです。もともと検討会の資料ですので、こちらのほうの事務局で作成されたものではないと思いますが、有性生殖と書かれた四角い枠の上のところにある、これは接合菌の完全時代の作成ですし、左端は「子のう果」と書いてあるけど、多分これは藻菌の遊走子のうか何かの絵ではないかなという感じがするので、もしできるものでしたら、正確なものと差しかえたほうがよろしいかなという気がします。タラロマイセスですので、恐らく不完全時代はペニシリウムというふうに確か書いてありますけれども、一番右側のところもペニシリウムの分生子の形状と、ちょっと違うかなという気がいたします。

【白石委員長】 事務局のほうで、何か。絵があるところですね。

【根岸臨時委員】 恐らくいろんなものが組み合わさって、みんな間違っているという、そういう絵になっていると思います。

【林室長補佐】 では、確認をさせていただきたいと思います。

【白石委員長】 これはもう公開されているものではないのですね。

【林室長補佐】 公開はされておりません。

【白石委員長】 このものについて正しいものに、適当な修正をしていただく。

【林室長補佐】 そうですね。確認の上、もし間違い等あれば、そのような方向でお願いしてまいりたいと考えております。

【白石委員長】 わかりました。他いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 微生物農薬、農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬とするということですが、1~6番までですか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、案のとおりとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それではその他の3件目としまして、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改正案に対する意見募集の実施結果について、ご報告をお願いいたします。

【松田主査】 それではお手元に資料7と資料8をご用意ください。

 これにつきましては、前回10月に開催いたしました第42回農薬小委員会で審議されました水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値の9品目と、水質汚濁に係る農薬登録保留基準値の1品目について、今年の11月10日から12月9日までご意見を募集した結果を示しているものでございます。

本件につきましては、水質汚濁に係る農薬登録保留基準値の方に1件、ご意見がございましたけれども、事前に白石委員長にご相談をいたしまして、本件に直接関わるご意見ではなかったことと、基準値案の再検討を要する意見ではなかったことから、基準値設定の手続を進めつつ、今回の委員会で報告させていただくことといたしました。

 なお、当該基準値を定める環境省告示については、現在省内での手続を進めているところでございまして、パブリックコメントの意見募集結果につきましても、当該告示日と同日付で環境省のホームページや電子政府の窓口で公開することとしております。

【白石委員長】 ありがとうございました。

意見募集の結果を見させていただきましたけれども、全く関係のないもので、こんなものが増えてくると困るなという感じはしましたけども、そういったものでございました。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 それでは、本日の審議一通り終了しましたが、全体を通じて何かございましたら、お願いいたします。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいですか。大分早いですが、ご協力のたまものでございますけれども、特段ご意見がないようですので、事務局に進行をお返しいたします。

【更田室長】 本日は熱心にご審議いただきまして、ありがとうございました。

 以上をもちまして、土壌農薬部会農薬小委員会第43回を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。