中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第32回) 議事録

日時

平成24年10月30日(火)13:55~17:11

場所

中央合同庁舎5号館 環境省第1会議室

出席委員

委員長
森田 昌敏
委員
中杉 修身
臨時委員
上路 雅子
白石 寛明
五箇 公一
染  英昭
平松サナエ
細見 正明
山本 廣基
吉田  緑
専門委員
浅野  哲
井上 隆信
内田 又左衞門
築地 邦晃
根岸 寛光

(欠席は、眞柄臨時委員、渡部臨時委員)

委員以外の出席者

環境省
水・大気環境局審議官、農薬環境管理室室長、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室係長、農薬環境管理室係員

議題

  1. (1)水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  2. (2)水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  3. (3)その他

配付資料

資料1中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第31回)議事録(案)
資料2諮問書(写)及び付議書(写)
資料3水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)
資料4水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)
資料5フェントエート(PAP)の水質モニタリングデータと当面のリスク管理措置(案)
資料6水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について(ばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬)(案)
資料7非食用農作物専用農薬に係る水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定方針(案)
参考資料1中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第31回)議事要旨
参考資料2農薬評価書 アセフェート(食品安全委員会資料)
参考資料3農薬評価書 アラクロール(食品安全委員会資料)
参考資料4農薬評価書 エトフェンプロックス(食品安全委員会資料)
参考資料5農薬評価書 ジチアノン(食品安全委員会資料)
参考資料6農薬評価書 シフルフェナミド(食品安全委員会資料)
参考資料7農薬評価書 シロマジン(食品安全委員会資料)
参考資料8農薬評価書 ピリミノバックメチル(食品安全委員会資料)
参考資料9農薬評価書 フェンブコナゾール(食品安全委員会資料)
参考資料10農薬評価書 ブタクロール(食品安全委員会資料)
参考資料11農薬評価書 フルアクリピリム(食品安全委員会資料)
参考資料12農薬評価書 メトミノストロビン(食品安全委員会資料)
参考資料13農薬評価書 ヨウ化メチル(食品安全委員会資料)

議事

【農薬環境管理室長】 定刻より少し早いですけれども、本日、当初からおそろいになる先生全員ご出席いただいておりますので、第32回の中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会を開催させていただきます。
本日は会議の冒頭に、9月に着任いたしました環境省水・大気環境局の平岡審議官より、ご挨拶申し上げます。

【環境省水・大気環境局審議官】 水・大気局で水環境担当の大臣官房審議官を拝命いたしました平岡と申します。よろしくお願い申し上げます。
 土壌農薬部会農薬小委員会の先生方には、日頃からいろいろご指導をいただいておりまして、改めてお礼を申し上げます。本当にご多用の中、大変熱心に審議をしていただいていると伺っておりまして、心よりお礼を申し上げたいと思います。
 本日の農薬小委員会では、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準並びに水質汚濁に係ります農薬登録保留基準の設定につきまして、ご審議をお願いするわけでございますけども、本当に熱心にご審議をいただいておりまして、これまでに水産動植物につきましては、180農薬について、また水質汚濁につきましては144農薬につきまして基準値の設定をしていただきましたし、さらに67の農薬につきましては基準値設定が不要という形で評価をしていただいたという状況でございます。この作業は大変高度な議論の中で進めていく必要がございまして、本当に委員の皆様方の熱心なご指導により、何とか軌道に乗ってきているかなと事務局では思っております。まだ続くわけでございますけれども、今後もご審議をお願いしたいと思っております、よろしくお願い申し上げます。
 この基準の設定だけでなく農薬の環境管理という行政課題につきましては、大変多岐にわたる課題がございます。環境省といたしましては、関係府省とも連携しながらしっかりと積極的に取り組んでまいりたいと思っておりますので、今後とも引き続きのご指導をお願いしたいと思います。
 簡単でございますが、私からのお礼のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

【農薬環境管理室室長】 ありがとうございました。それでは委員の出席の状況について、確認させていただきます。本日、委員のご出欠でございますけれども、眞柄先生、それから渡部先生からご欠席の連絡をいただいております。細見先生は若干遅れられるとご連絡をいただいております。従いまして、本日15名の委員の先生にご出席いただく予定になっておりまして、委員、臨時委員総数の12名のうち、10名のご出席をいただいており、小委員会開催の要件を満たしておりますことをご報告いたします。
 それから事務局の方で、10月9日付で人事異動がございまして、平林にかわりまして岡係長が参りました。よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、本日の配付資料についてご確認いただければと思います。1枚目に置いてあります議事次第の下に、配付資料一覧がございます。資料は、資料1から資料7までの7種類でございます。
それから、参考資料につきましては、参考資料1が前回の議事要旨、参考資料2から参考資料13までが食品安全委員会の農薬評価書で、12農薬について参考資料をつけさせていただいております。また委員の先生方には、水産動植物の登録保留基準の設定に係る過去の審議会や検討会の報告等もファイルで配付させていただいております。なお、そのファイルにつきましては、次回以降も用いますので、会議後、会場に残していただきますよう、よろしくお願いいたします。
それから、傍聴者、オブザーバーの方には資料1の議事録、参考資料2から参考資料13までの農薬の食品安全委員会の資料につきまして、かなり大部でございますので、資源削減のため資料の配付はいたしておりません。ファイルに綴じたものを机上等に置いておりますので、必要があればご覧ください。
もし足りないもの等ございましたら、会議途中でも結構でございますので、事務局までお申しつけください。
 それでは、議事に入らせていただきます。森田先生、議事進行、よろしくお願い申し上げます。

【森田委員長】 これから、会議に移りたいと思いますが、ご多用のところ、本当にご出席いただきまして、ありがとうございました。
本日の農薬小委員会は、議事次第にございますように、主に二つの議題に関する審議が予定されております。慎重かつ活発なご審議をお願いいたします。
では、まず本日の審議の公開の扱いについてであります。これはいつもその都度申し上げているのですけれども、土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらす恐れがある資料などは、委員長の判断に基づき非公開とするとされております。今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書等、企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由に当たらないため、今回の農薬小委員会については、公開とさせていただきます。
さて、議事に先立ちまして、前回9月7日に開催いたしました第31回小委員会の議事要旨のご確認をいただきたいと思います。事務局よりご説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 参考資料1をご確認ください。中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨については委員長に了解をいただければ、公開できることとなっております。本日の参考資料1の内容で、既に環境省ホームページで公開しておりますので、ご報告いたします。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。

【森田委員長】 では、続きまして、前回の議事録についてであります。こちらは、事前にメールで各委員に確認済みということでございますけれども、資料1で配付しております。
特段のご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 これらにつきましては、土壌農薬部会の運営方針に基づき公開することとしております。既に一応のチェックを受けているかと思いますが、今改めて何もなければ、そのように進行いたします。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、(案)を取らせていただきます。
それでは、これから議事に入りますが、初めに農薬小委員会の決議の取り扱いについてのご説明をさせていただきます。
中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置についての土壌農薬部会決定により、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができることになっております。従いまして、この農薬小委員会後には、農薬登録保留基準の設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の中杉部会長のご了解をいただいて、部会としての結論とすることになります。
それでは、議事次第に従いまして、これから議事を進めたいと思います。
農薬取締法第3条第2項の規定に基づき、環境大臣が定める基準の設定についての件につきましては、平成24年10月3日付で環境大臣から諮問があり、同日付で土壌農薬部会に付議されております。
事務局から、諮問書のご紹介をお願いします。

【農薬環境管理室係長】 資料2をお願いします。
平成24年10月3日付で、1ページ目にありますように、諮問されております。
 裏面が別紙1となっておりまして、告示第3号の環境大臣が定める基準であります、水産動植物の被害防止に係る登録保留基準の設定をご審議いただく農薬です。今回は8農薬ございます。
続きまして、3ページ目が、別紙2となっておりまして、告示第4号の環境大臣が定める基準であります水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定をご審議いただく農薬です。今回は12農薬ございます。
4ページ目をお願いします。4ページ目は付議書でございまして、平成24年10月3日付で中央環境審議会会長から土壌農薬部会長に付議されております。
以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございます。
それでは、議事の1番、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入りたいと思います。
この件につきましては、農薬小委員会に先立ちまして、水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や公表文献情報等について精査を行うとともに、これらのデータに適応する不確実係数なども設定し、基準値案を策定していただいております。
事務局から資料の説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料3をご覧ください。
資料3は、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準案に関する資料でございます。本資料のご説明ですが、水産動植物登録保留基準設定検討会において一度ご審議いただいているものでございますので、当委員会では作用機構等と総合評価を重点的にご説明させていただき、その後、検討会でどのような指摘・審議が行われたかを、簡単にご紹介させていただきます。
まず、資料3の1ページ目、インダノファンからご説明させていただきます。
インダノファンは、オキシラン環とインダジオン構造を合わせ持つ除草剤で、その作用機構は、超長鎖脂肪酸の生合成阻害による細胞分裂及び伸長阻止と考えられております。本邦での初回登録は1999年となっております。
製剤には粒剤、水和剤が、適用作物は稲、麦及び芝がございます。
原体の国内生産量及び各種物性につきましては、記載のとおりでございます。
2ページ以降、水産動植物への毒性でございます。
本剤につきましては、コイ、オオミジンコ、緑藻を用いた毒性試験が行われております。各試験の条件及び結果は、表1から表3に記載しているとおりでございます。
続きまして4ページ、環境中予測濃度でございます。本農薬は水田使用及び非水田使用のいずれの場面においても使用されるものとなっております。そのため、それぞれの使用場面ごとに、水産PECが最も高くなる使用方法について、表4、表5のパラメーターを用いまして、水産PECを算出いたしました。その結果、水産PECTier1は2.3㎍/Lと算定されております。
6ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は、魚類の96hLC50が4,570㎍/L、甲殻類が48hEC50で7,860㎍/L、藻類が72hErC50で2.92㎍/Lとなっております。
これらから、それぞれの急性影響濃度を算出いたしまして、最小となります藻類急性影響濃度より、登録保留基準値を2.9㎍/Lと提案させていただきます。
リスク評価でございますが、環境中予測濃度は水田PECTier1が2.3㎍/Lでございますので、登録保留基準値案2.9㎍/Lを下回っていることを確認しております。
なお、本剤について水田PECTier2を算定いたしましたところ、0.061㎍/Lと、基準値を十分下回るものとなっておりました。
本剤につきましては、2012年10月2日の、平成24年度第3回水産検討会においてご審議をいただきました。審議において、特段の問題となるご指摘はございませんでした。
以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
それでは、五箇先生、一言ご説明をお願いします。

【五箇臨時委員】 オキシラン系の除草剤なのですが、ここにも書いてありますようにオキシラン環とインダジオン環が両方くっついているという、非常に農薬化学的には珍しい構造式を持っておりまして、細胞分裂そのものを阻害するという剤のため、藻類に対しても非常に高い毒性を示す物質です。従いまして、非常に水田PECと登録基準値が近いという微妙なところにはありますけれども、登録保留基準値の方が高いということになっております。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段ございませんか。それでは最後の総合評価、6ページですけれども、ここだけ確認をさせていただきたいと思います。登録保留基準値案は、藻類の生長阻害が一番低いところへ効いてきて、藻類急性影響濃度から2.9㎍/Lというのが導出されてきます。並行して行っていますリスク評価では、水田PECで2.3㎍/L、念のためにおやりになったTier2だと0.6㎍/Lということであり、登録保留基準値の2.9㎍/Lを下回っているという評価になっております。いかがでしょうか、これ。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段、異論がございませんので、それでは原案どおりにしたいと思います。
それでは、引き続きまして、次の剤にいきます。オキサジアルギルです。ご説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 7ページをご覧ください。
オキサジアルギルは、ダイアゾール系除草剤であり、この作用機構につきまして、事前に委員の先生方にお送りした案に対しまして、内田委員よりご指摘をいただきまして、修正しております。その作用機構は葉緑体及びミトコンドリアの光合成に係るプロトポルフィリノーゲンオキシターゼ(Protox)阻害となっております。本邦での初回登録は2002年でございます。
製剤は粒剤、粉粒剤及び水和剤が、適用作物は稲、樹木、芝等がございます。
原体の輸入量及び各種物性につきましては、記載のとおりでございます。
8ページ、水産動植物への毒性でございます。本剤につきましては、コイ、オオミジンコ、緑藻を用いました毒性試験が実施されておりまして、それぞれ表1から表3の条件で試験が実施されております。
続きまして10ページ、環境中予測濃度でございます。本農薬は水田使用及び非水田使用のいずれの場面においても使用されるものとなっております。それぞれの使用場面ごとに、水産PECが最も高くなる使用方法として、水田については表4、非水田については表5のパラメーターを用いて、水産PECを算出いたしました。結果は11ページになりますが、環境中予測濃度として、水田PECTier1が0.75㎍/Lと算定されております。
12ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は、魚類の96hLC50が890㎍/L超、甲殻類の48hEC50が351㎍/L超、藻類の72hErC50で7.30㎍/Lと算定されております。
これらから急性影響濃度を求めまして、最小となります藻類急性影響濃度より、登録保留基準値を7.3㎍/Lと提案させていただきます。
リスク評価でございますが、環境中予測濃度は水田PECTier1が0.75㎍/Lでございますので、登録保留基準値7.3㎍/Lを下回っていることを確認しております。
なお、水田PECTier1についてTier2を計算いたしましたところ、0.01㎍/Lでございました。
本剤については、2012年10月2日の、平成24年度第3回水産検討会でご審議をいただきました。審議において、特段問題となるご指摘はございませんでした。
以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
それでは五箇委員、追加のご説明をお願いします。

【五箇臨時委員】 こちらはダイアゾール系の除草剤でして、作用機構が今ご説明ありましたとおり、クロロフィルとミトコンドリアのProtoxという酵素を阻害するということによって、それぞれクロロフィル及びヘムの生合成を阻害しまして、光合成と呼吸の両方を遮断するということで、最終的に草を枯らすという除草剤になります。どちらも必然的に藻類にも効いてしまう作用機構ということで、藻類に対しては活性があるということになります。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
それでは委員の先生方、この剤につきまして、ご質問、あるいはコメントございませんでしょうか。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段のご意見が上がっておりません。それでは12ページの総合評価を見ていただきまして、再度確認をしたいと思います。登録保留基準値案としましては、藻類の急性影響濃度のEC50が7.3㎍/Lということに鑑みまして、最小の影響濃度から登録保留基準値として7.3㎍/Lとするというものであります。
なお、リスク評価といたしましては、環境中の予測濃度は、水田のPECTier1で0.75㎍/Lになりまして、登録保留基準値7.3㎍/Lを下回っているという結果になっております。
以上が総合評価ですが、これでよろしいでしょうか、ご異議はございませんか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。特に異議もないということでございますので、この原案どおりにしたいと思います。
それでは、引き続きまして次の剤に行きたいと思います。ジメトモルフ、ご説明お願いします。

【農薬環境管理室係長】 それでは13ページ目、ジメトモルフですが、E体とZ体がございまして、その比率がE体/Z体=40/60~50/50となっております。
 作用機構等ですが、ケイ皮酸誘導体の殺菌剤でございまして、菌糸の細胞壁形成阻害による菌糸発育及び胞子形成の阻害作用であると考えられています。本邦での初回登録は1997年でございます。
製剤としましては水和剤がありまして、適用作物は果樹、野菜、いも及び豆がございます。
原体の輸入量及び各種物性は、記載のとおりとなっております。
続きまして14ページ目をお願いします。水産動植物への毒性についてでございます。ジメトモルフにつきましては、ニジマス、オオミジンコ、緑藻を用いた試験成績が提出されております。ニジマスにつきましては14ページの表1、オオミジンコにつきましては15ページの表2のとおりとなっております。藻類につきましては、15ページの表3の結果なのですが、50,000㎍/L以上の試験の濃度区で、試験調整時に少々懸濁が確認されまして、被験物質が溶解していないということが考えられていましたので、その下の設定濃度としまして25,000㎍/Lの結果を用いて、ErC50を計算しております。
続きまして16ページ目、環境中予測濃度でございます。本剤は非水田使用農薬でございまして、水産PECが最も高くなる使用方法としまして、表4のパラメーターを用いて、PECを算定しました。その結果、非水田PECTier1が0.028㎍/Lとなっております。
続きまして17ページ目、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50を計算しまして、魚類としましては96hLC50が6,790㎍/L、甲殻類としまして48hEC50が10,600㎍/L、藻類としまして72hErC50が18,900㎍/L超となっております。
これらの結果から、各生物種の急性影響濃度を算出しまして、最小となります魚類急性影響濃度より、登録保留基準値案を670㎍/Lと提案させていただきます。
リスク評価でございますが、環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.028㎍/Lでありまして、登録保留基準値の670㎍/Lを下回っております。
検討結果としましては、以下のとおりでございます。以上でございます。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。

【農薬環境管理室室長】 ただいまのご説明で、藻類の50,000㎍/L以上の試験区については、懸濁条件で実施され試験としておかしいということで採用しないことになっております。資料としては50,000㎍/L及び100,000㎍/L を落として、最終的に今日お出しするべきだったのですが、事務局で誤って出してしまいまして、この部分を削除してご検討いただければと思っております。以上でございます。

【森田委員長】 それでは五箇委員、追加のご説明をお願いします。

【五箇臨時委員】 こちらの化合物は、タンニンなどで知られる、自然界にありますケイ皮酸と言われる物質から誘導された抗菌物質になります。糸状菌の細胞壁の中に含まれるキチンの合成を阻害するということで、細胞壁の合成を阻害して菌の成長をとめるという物質になります。作用機構が菌に特化しているものですので、水生生物に対しての毒性は示されておりません。
 以上です。

【森田委員長】 委員の先生方、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段、ご意見出てきておりませんが、それでは17ページの総合評価をご確認いただきたいのですが、魚に対する急性影響濃度、LC50を10分の1で割った679㎍/Lというのが計算結果です。一応2桁を使うということで、最小のEC濃度というものから、登録保留基準値としては670㎍/Lとするというものであります。
なお、環境中の予測濃度は、非水田PECで0.028㎍/Lであり、登録保留基準値670㎍/Lを下回っているという結果であります。
この総合評価全体としては、これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段のご異議がないということでございますので、この原案どおりということにしたいと思います。先ほど西嶋室長から説明がありました、訂正の必要がある部分については修正をしていただいて、そして総合評価はこのままということにしたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、その次の剤に行きたいと思います。トプラメゾンです。次のお願いいたします。

【農薬環境管理室係長】 18ページ目、トプラメゾンでございます。
トプラメゾンは、ベンソイルピラゾール構造を有する除草剤でございまして、その作用機構はp-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ酵素を阻害することによるカロチノイド生合成の阻害でございます。本邦では未登録でございます。
製剤は液剤が、適用作物は飼料作物として、登録申請がされております。
各種物性は、記載のとおりでございます。
続きまして19ページ目、水産動植物への毒性でございます。コイ、オオミジンコ、緑藻を用いた試験成績が提出されております。コイにつきましては、19ページ目表1、オオミジンコにつきましては表2、緑藻につきましては20ページ目の表3の記載のとおりでございます。
続きまして21ページ目、環境中予測濃度でございます。本農薬は非水田使用農薬でございまして、水産PECが最も高くなる使用方法としまして、表4のパラメーターを用いてPECを算定しました。その結果、非水田PECTier1が0.00021㎍/Lとなっております。
続きまして22ページ目、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50を計算しまして、魚類としましては96hLC50が99,700㎍/L超、甲殻類としましては、48hEC50が95,800㎍/L超、藻類としましては、72hErC50が75,600㎍/Lとなっております。
これらの結果から、各生物種の急性影響濃度を算出しまして、最小の甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値9,500㎍/Lと提案させていただきます。
リスク評価でございます。環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.00021㎍/Lでございまして、登録保留基準値9,500㎍/Lを下回っております。
検討の経緯は記載のとおりでございます。
以上でございます。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
それでは五箇先生、お願いします。

【五箇臨時委員】 この薬も、かなり選択性が高い薬剤となっておりまして、広葉雑草にだけ効くというふうに理解をされております。そういうこともあって、除草剤ですけれども、藻類に対する毒性は低い剤として開発されています。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
それでは委員の先生方、この剤につきまして、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段のご意見が出ませんか。それでは最後の総合評価、22ページ、ご確認をお願いします。登録保留基準値案といたしましては、甲殻類の急性毒性のデータが、48hEC50が95,800㎍/L以上という、ここを使いまして、従って、その10分の1ところが急性影響濃度ということと、影響がないという濃度で、9,580㎍/L、そして2桁にいたしまして、登録保留基準値案としては9,500㎍/Lとするというものになっております。
なお、リスク評価としては、環境中の予測濃度は、非水田のPECが0.00021㎍/Lでありまして、登録保留基準値の9,500㎍/Lを大幅に下回っているという評価になっております。
総合的な評価としては、このようにまとまっていますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。それでは原案どおりにしたいと思います。
それでは、引き続きまして次の剤、フェノキサスルホン、ご説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 23ページをご覧ください。フェノキサスルホンは、イソキサゾリン環を有する除草剤であり、その作用機構は植物の構造の維持に必要な超長鎖脂肪酸合成酵素の活性を阻害し、枯死させるものと考えられております。本邦では未登録です。
製剤は粒剤、適用作物は稲として登録申請されております。
各種物性は、記載のとおりでございます。
24ページ、水産動植物への毒性でございます。本剤につきましては、コイ、オオミジンコ、緑藻を用いた毒性試験成績が提出されております。コイにつきましては、24ページの表1、オオミジンコにつきましては24ページ表2、緑藻につきましては25ページ表3に試験条件を記載しております。
26ページ、環境中予測濃度でございます。本剤は水田使用農薬でございまして、表4のパラメーターを用いまして、第2段階水産PECを算出しております。結果は0.056㎍/Lでございました。
27ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は魚類が96hLC50で275㎍/L超、甲殻類が48hEC50で302㎍/L超、藻類が72hErC50で0.937㎍/Lとなっております。
これらから急性影響濃度を算出いたしまして、最小となります藻類急性影響濃度より、登録保留基準値を0.93㎍/Lと提案させていただきます。
リスク評価でございますが、環境中予測濃度は水田PECTier2が0.056㎍/Lでございますので、登録保留基準値0.93㎍/Lを下回っていることを確認しております。
本剤につきましては、2012年10月2日の、平成24年度第3回水産検討会でご審議をいただきました。審議において、特段問題となるご指摘はございませんでした。
以上です。よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
それでは五箇委員、追加のご説明をお願いします。

【五箇臨時委員】 こちらも植物の生長に必須の超長鎖脂肪酸の合成酵素というものを阻害するという作用機構を持っておりますので、藻類に対してもこの酵素は必須ということになりますので、非常に高い活性というか毒性を示すという剤になっております。
 以上です。

【森田委員長】 それではこの剤につきまして、委員の先生方からご質問、ご意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特にございませんか。それでは総合評価、27ページを再度確認のために見ていただきたいと思います。藻類に対する毒性が一番強く現れていて、0.937㎍/Lが生長阻害の濃度ということになります。そこから導出される数値としては0.937㎍/Lで、有効数字2桁に丸めまして、0.93㎍/Lが登録保留基準値と計算をされております。
なお、リスク評価は、環境中の予測濃度が、水田PECTier2で0.056㎍/Lでありますので、登録保留基準値0.93㎍/Lを下回っているという、そういう結論になっております。いかがでしょうか。これも総合評価、これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段ご異議もないようでございますので、原案どおりということにしたいと思います。
それでは、引き続きましてフェントエート(PAP)、ご説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 28ページをご覧ください。フェントエートについて、ご説明させていただきます。フェントエート、別名PAPは、有機リン系の殺虫剤でございまして、その作用機構は中枢神経系のアセチルコリンエステラーゼ活性を阻害するものでございます。本邦での初回登録は1963年でございます。
製剤は粉剤、水和剤及び乳剤が、適用作物は稲、麦、雑穀、果樹、野菜、いも、豆、花き等がございます。
原体の国内生産量及び各種物性につきましては、記載のとおりです。
29ページ、水産動植物への毒性でございます。本剤につきましては、コイ、オオミジンコ、ミナミヌマエビ、ニッポンヨコエビ、セスジユスリカ、緑藻を用いた試験成績が提出されております。コイにつきましては29ページの表1、オオミジンコにつきましては表2、ミナミヌマエビにつきましては表3、ニッポンヨコエビにつきましては表4、セスジユスリカにつきましては、31ページ表5、緑藻につきましては31ページ表6に、それぞれ試験条件と結果を記載しております。
32ページ、環境中予測濃度でございます。本農薬は水田使用及び非水田使用のいずれの場面においても使用されるものとなっております。それぞれの使用場面ごとに、水産PECが最も高くなる使用方法として、水田につきましては表7、非水田については表8のパラメーターを用いて、水産PECを算定いたしました。その結果、最も高かった水産PECは、非水田PECTier10.069㎍/Lでございました。
34ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は魚類が96hLC50、1,850㎍/L、甲殻類につきましては、オオミジンコ急性遊泳阻害試験の結果が最も小さく、48hEC50で0.232㎍/L、藻類につきましては72hErC50が、7,040㎍/L超となっております。
これらから、急性影響濃度を計算いたしまして、最も小さくなる甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を0.077㎍/Lと提案させていただきます。
環境中予測濃度につきましては、非水田PECTier1が0.069㎍/Lでございまして、登録保留基準値0.077㎍/Lを下回っております。
本剤の検討経緯でございますが、平成24年7月の平成24年度第2回水産検討会、10月の第3回検討会と、2回の検討を経ております。これにつきましては、セスジユスリカ幼虫急性毒性試験において、用量-反応曲線に横ばいの部分が見られたということで、供試する個体の抵抗性について申請者に確認をいたしました。抵抗性個体が混入しないように飼育されていたということを確認して、検討会に報告をしております。また、これからご説明いたしますが、かなり環境中予測濃度と登録保留基準値が近いということで、環境中モニタリングとそれからフェントエートの普及率についてご議論がございました。
それでは、引き続きまして資料5で、この剤についての水質モニタリングデータと当面のリスク管理措置(案)について、ご説明させていただきます。本剤につきまして、環境中モニタリングデータを確認いたしました結果、一部で水産基準値案を超えたモニタリングデータが見られましたので、当面のリスク管理措置として資料5を取りまとめております。
まず、フェントエートの水質モニタリングデータでございますが、本剤については、水道統計における原水水質調査と、環境省が平成19年に実施したいわゆる黒本調査、それから平成21年度に実施した農薬残留対策総合調査の三つの調査がございました。水道統計につきましては、平成19年から21年度に延べ1,254地点でフェントエートを測定しております。このうち検出された地点が3地点で、資料5の後ろ、別紙に場所と水源名を記載しております。この別紙の表のうち、石川県と佐賀県の2地点につきましては、今回の基準値案である0.077㎍/Lを上回っておりましたが、これはかなり定量下限に近いレベルでの検出でございます。このうち佐賀県につきましては、近傍に環境基準点がない地点で、翌年度以降の調査では定量下限値未満の結果でございました。また、石川県におきましては、翌年度以降の調査がございません。
これらの地点の水田適用剤の普及率は、平成19年で0~3.8%程度と低く、平成21年にはさらに下がっております。なお、フェントエートの国内出荷量は近年、年々減少しておりまして、資料5の6行目に記載しておりますけれども、水田適用があります製剤についての全国普及率は、平成19年度から年々減少している状況にございます。
こうしたデータを踏まえまして、2の当面のリスク管理措置をまとめております。リスク管理措置といたしましては、今後も水道統計等の結果と都道府県ごとの普及率の確認を継続的に行うとともに、農薬残留対策総合調査の対象農薬としてモニタリングの実施を検討し、それらのデータを見ながら、引き続きリスク管理措置が必要かどうか、検討してまいりたいと考えております。
本剤についてのご説明は、以上でございます。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
五箇委員、追加のご説明をお願いします。

【五箇臨時委員】 フェントエートです。これは有機リン剤として有名な殺虫剤でして、従いまして、かなり選択性は低く、特に甲殻類に対しては非常に高い毒性を示します。唯一今回4種試験したうち、4種目のユスリカだけは少し活性が低いと同時に、今の説明にありましたように濃度勾配が一部見られない部分がある。ちょうど1.71㎍/Lから556㎍/Lのところで、10分の6でずっと寝ている状態になっていまして、これが検討会では抵抗性を持っている集団の死亡率曲線に非常によく似ている。しかもセスジユスリカということもあって、抵抗性が実はもうついている有機リン系殺虫剤抵抗性系統なのではないかということで、問い合わせをさせていただいたのですが、残念ながら感受性データではなくて、きっちり閉まっているところで飼育しているので混入はないという説明だったのです。それでこのデータを採用しているということになっております。今の説明にありましたけれども、非常に環境中予測濃度と登録保留基準値も近いということもあって、有機リン系殺虫剤なので仕方のないところなのですけれども、ルールを適用しまして、これも一応登録保留基準値は、これで設定するということで、検討会ではそのように結論を出しております。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
それではこの剤につきまして、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。

【中杉委員】 この剤そのものについて、評価というのは今回の評価で構わないと思うのですけれども、五箇先生に伺いたいのだけれども、有機リン剤に共通するコリンエステラーゼ活性の阻害ということですね。そうすると、有機リン剤を構成する特定の箇所が影響しているのだろうと思うので、そういう意味でいくと、他の有機リン剤も総合的にあわせてみたときにどうなのかということを、少し検討してみる必要があるのじゃないか。
どういうふうに使われているかということと、それらの有機リン剤と合わせてみたときに、どうなのかということを少し見ていく必要があるのではないかと。これは将来的な課題といいますか、有機リン剤がなくなっていけば、そういうことは問題ないと思うのですけれども、いろんな有機リン剤がかけられると、それは合算したもので影響が出てきているのじゃないかということが、少し懸念をされるので、今回モニタリングで上がってしまっているということもありますから、そういうふうな可能性がないのかどうかということを、別途検討していただくと方が望ましいかなと思います。

【森田委員長】 ありがとうございました。ほかにご意見、ご質問、ございませんでしょうか。
いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段ございませんか。それでは、まずここの案件につきましては、総合評価のところでご確認をいただきたいと思いますが、34ページであります。一番低い濃度で影響が出てきておりますのは甲殻類、特にオオミジンコの急性遊泳阻害かと思いますが、一応そのほかのヌマエビ、ヨコエビ、セスジユスリカ、4種類の生物種を使っての評価ということをやったときに、それの不確実係数が4種類ですので、3という数字になりまして、それを援用いたしますと、0.077㎍/Lというのが基準値ということになるということであります。
 それから非水田のPECにつきましては、Tier1が0.069㎍/Lでありまして、一応下回ることは下回っているという結果になっております。
 それから、追加の説明として、環境中のデータも調べるということも含めまして、資料5を使っての事務局からのご説明がありました。従って、ある種の管理措置みたいなものを念頭に置きつつ、この物質を扱っていきたいということかと思います。従いまして、総合評価はこれでよろしいでしょうか。リスク評価を含めて34ページ、原案どおりということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。ご異議がないようです。そして、あわせてリスク管理措置というものを考えると。それからさらに長期的には有機リン化合物全体を見たような、そういうことも対策として、これから考えていかなくてはいけないのではないかという、中杉部会長のご指摘もありましたので、それは長期的な課題として考えるということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきましての審議を終わりたいと思います。
続きまして、フラメトピル、ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室係長】 それでは、35ページ目、フラメトピルでございます。
フラメトピルは、酸アミド系殺菌剤でございまして、その作用機構は、担子菌の呼吸系の電子伝達系複合体Ⅱの阻害であると考えられております。本邦での初回登録は1996年でございます。
製剤は粉剤、粒剤及び水和剤がございまして、適用作物は稲、芝等でございます。
原体の国内生産量及び各種物性は、記載のとおりでございます。
36ページ目をお願いします。水産動植物への毒性でございます。コイ、オオミジンコ、緑藻の試験成績が提出されておりまして、コイにつきましては表1、オオミジンコにつきましては表2、藻類につきましては次の37ページ目、表3の記載のとおりとなっております。
続きまして38ページ目、環境中予測濃度でございます。本剤は水田使用及び非水田使用、いずれの場面においても使用される農薬でございますので、それぞれの使用場面ごとにPECを計算しました。水田使用につきましては、38ページ目の表4のパラメーターを用いまして、非水田のものにつきましては、次の39ページ目の表5のパラメーターを用いて計算しました。その結果、水田PECTier1が9.0㎍/Lとなっておりまして、これが環境中予測濃度となっております。
続きまして40ページ目、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきましては、96hLC50が1,470㎍/L、甲殻類につきましては、48hEC50が23,500㎍/L、藻類につきましては、72hErC50が44,900㎍/L超となっております。
これらの結果から、各生物種の急性影響濃度を算出しまして、最小の魚類急性影響濃度より、登録保留基準値としまして、140㎍/Lと提案させていただきます。
リスク評価でございます。環境中予測濃度は水田PECTier1が9.0㎍/Lでございまして、登録保留基準値140㎍/Lを下回っております。

【農薬環境管理室室長補佐】 検討経緯としては、2012年10月2日の、平成24年度第3回水産動植物登録保留基準検討会におきまして、各試験で試験液の被験物質濃度が測定されていなかったことについて、審議がございました。これについては、水中安定性試験等の結果から試験設定濃度と同程度と考察されるということで、ご了承いただいております。
本剤につきましてのご説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 追加のご説明をお願いします。

【五箇臨時委員】 こちらの薬は、呼吸系に効くということで、ミトコンドリアのコンプレックスⅡと言われる複合体に作用して、電子伝達を阻害するという呼吸阻害剤になります。それによって菌の生長を阻害するという剤ですけれども、ミトコンドリアに効いてしまうということですので、結果的に急性影響濃度の方も、コイが一番よく効いているという結果、魚にも若干効果があるというのは、そういった作用機構に起因するものと考えられます。
 以上です。

【森田委員長】 それではこの剤につきまして、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。
では、私から。コイに対する急性毒性がミジンコに比べてかなり強く出ているようなことがあるのですが、何かご感想ございませんか。

【五箇臨時委員】 体への入りやすさというのがあって、必然的に甲殻類と魚類で違ってきますので、この剤に関しては、むしろ魚体の方が浸達性が良かったのであろうというふうに考えられますね。イメージ的には魚類にも効くなら、甲殻類にも効くというところもあるのですが、ちょうど呼吸する部位が魚の場合はエラでして、甲殻類の場合も同じエラとかを使うのですが、構造が全く違ってきますので、その部分の細胞との親和性等により薬の浸達性が異なる影響ではないかと考えられます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは委員の先生方、ほかにご質問、ご意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段のご質問、ご意見がなさそうですので、それでは総合評価のところに戻っていただきまして、40ページです。魚類の急性影響濃度、これが一番低く現れるということで、LC50の10分の1から、147㎍/Lという数字が導出され、有効数字2桁をとりまして、登録保留基準値としては140㎍/Lとするというものであります。
なお、環境中予測濃度は、水田PECTier1で9㎍/Lでありまして、登録保留基準値の140㎍/Lを下回っているという、そういう評価になっております。
全体を通しまして、この総合評価でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段ご異議がございませんので、原案どおりにしたいと思います。
引き続きましてヘキサジノン、お願いします。

【農薬環境管理室係長】 40ページ目、ヘキサジノンでございます。
ヘキサジノンは、トリアジン系の除草剤でございまして、その作用機構は葉緑体膜の電子伝達阻害による光合成阻害であります。本邦では1987年に初回登録されましたが、その後1999年に失効しております。今回改めて登録申請がされております。
製剤としましては粒剤及び水溶剤が、適用作物としては樹木等として登録申請がされております。
各種物性は、記載のとおりでございます。
続きまして42ページ目、水産動植物への毒性でございます。コイ、オオミジンコ、緑藻を用いた試験成績が提出されておりまして、コイにつきましては表1、オオミジンコにつきましては表2、藻類につきましては次の43ページの表3の記載のとおりとなっております。
続きまして44ページ目、環境中予測濃度でございます。本農薬は非水田使用農薬でありまして、水産PECが最も高くなる使用方法につきまして、下の表4のパラメーターを用いて計算しましたところ、非水田PECTier1が0.036㎍/Lとなっております。
続きまして45ページ目、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50を計算しまして、魚類としまして96hLC50が99,200㎍/L超、甲殻類としまして48hEC50が99,200㎍/L超、藻類としまして72hErC50が41㎍/Lとなっております。
これらの結果から、各生物種の急性影響濃度を算出しまして、最小の藻類急性影響濃度より、登録保留基準値41㎍/Lと提案させていただきます。
リスク評価でございます。環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.036㎍/Lでございまして、登録保留基準値の41㎍/Lを下回っております。
検討経緯としましては、2012年10月2日の、平成24年度第3回水産動植物登録保留基準設定検討会において審議していただきまして、特に指摘なくご審議いただきました。
以上でございます。

【森田委員長】 それでは五箇委員、追加をお願いいたします。

【五箇臨時委員】 こちらも、典型的なトリアジン系の除草剤ということで、光合成阻害剤となります。従いまして、同じく葉緑体を持って光合成をしております藻類にも悪影響を及ぼす、毒性があるということで、こういった登録保留基準値になっております。
 以上です。

【森田委員長】 この剤につきまして、ご質問、ご意見ございましたら、お願いいたします。

【内田専門委員】 1点だけ確認なのですが、評価には関係ないのですけど、水溶解度が3.07×107㎍/Lと、1Lに30gも溶ける、だから数字間違いの可能性があるのと違うかなと思います。確認だけして、もし必要があれば訂正してください。

【農薬環境管理室室長補佐】 確認させていただきます。

【森田委員長】 それはご確認をいただくと。他にご意見ございませんか。でも、これトリアジン系だから、結構溶けるのでしょう。違いますか。前にもっとすごく溶けるのがありましたね。

【農薬環境管理室室長補佐】 確認いたしましたところ、30.7g/Lと書かれておりますので、これで間違いないと考えております。

【森田委員長】 他にいかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段ございませんか。それでは最後の総合評価のところをご確認いただきたいと思います。45ページです。藻類の急性影響濃度から、41㎍/Lというのが導出されまして、登録保留基準値としては41㎍/Lとするというものであります。
なお、環境中の予測濃度は、非水田のPECを使いまして、それが0.036㎍/Lでありますので、登録保留基準値41㎍/Lを下回っているということでございます。
こういう総合評価でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特にご異議ございませんので、それでは原案どおりということで決めたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、水産動植物の被害防止に係る登録保留基準値の設定についての審議を終了したいと思います。
それでは引き続きまして、議事の2、水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入りたいと思います。事務局の方からご説明をいただきたいと思います。

【農薬環境管理室係員】 資料4をご覧ください。
資料4は水質汚濁に係る農薬登録保留基準値案に関する資料でございます。作用機構等と総合評価を重点的にご説明させていただきます。
 それでは資料の1ページをご覧ください。アセフェートについて、ご説明させていただきます。この剤の物質概要は、1ページの表のとおりです。
 作用機構でございますが、アセチルコリンエステラーゼ活性を阻害するものでございます。本邦での初回登録は1973年でございます。
製剤には粒剤、水和剤、水溶剤、乳剤、液剤、エアゾル剤等が、適用作物は果樹、野菜、いも、豆、飼料作物、花き、樹木、芝等でございます。
原体の輸入量は、記載のとおりです。各種物性につきましては、2ページの表のとおりです。
続きまして3ページ、安全性評価でございますが、食品安全委員会は、平成22年7月22日付で本剤のADIを0.0024㎎/kg体重/日と厚生労働省に通知いたしております。この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.24㎎/kg体重/日を、安全係数100で除して設定されたものでございます。
この食品安全委員会の農薬評価書につきましては、参考資料2として添付しておりますので、ご確認ください。
続きまして4ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は、水田、非水田いずれの場面でも使用される農薬でございますので、3、4ページの表に示します使用方法及びパラメーターを用いまして、水濁PECを算定いたしましたところ、水濁PECTier2として0.0045㎎/Lと算定しております。
続きまして5ページ、総合評価でございます。ADIが0.0024㎎/kg体重/日により表にございます算出式により、登録保留基準値を算出いたしまして、0.0063㎎/Lを公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤につきまして、水質に関する既存の基準値等は、旧水濁基準値が0.8㎎/L、そして水質管理目標設定項目が0.08㎎/L、そして、ゴルフ場暫定指導指針が0.063㎎/Lでございます。
続きましてリスク評価でございますが、水濁PECTier2は0.0045㎎/Lでございますので、登録保留基準値案0.0063㎎/Lを超えないことを確認しております。

【農薬環境管理室長】 参考のところに、食品経由の農薬推定一日摂取量という形で、まだ厚生労働省で検討中と書かせていただいております。これまで水濁基準につきましては、厚労省で食品中の残留基準の案ができた段階でご説明させていただいておりましたけれども、この剤は平成22年にADI設定されてから、厚生労働省で引き続き検討されていまして、まだしばらく時間がかかるということで、それから食品安全委員会で決められたADIが0.0024ということですけども、従前のものが0.03で、10分の1以下にADIが下がったということもありまして、まず食品の基準がいつになるかわからないので、水濁基準を先につくった方がよかろうということで、イレギュラーではありますけれども、厚労省の食品残留基準を待たずに、水濁基準を今回ご提案させていただいております。
以上でございます。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。それではこれは吉田先生、毒性についてのご意見をお願いします。

【吉田臨時委員】 毒性について申し上げます。事務局からご説明がありましたように、有機リン系のもので、ADIの設定根拠はラットの2年間の発がん性試験ですけれども、ターゲットといたしましては、もちろんアセチルコリンの抑制と、それからラットですけれども、鼻に炎症性の変化が出ます。発がん性等はありません。このADIの設定根拠となった試験で見られた変化は、脳及び赤血球のコリンエステラーゼの阻害です。あとこちらは先生方のご専門かと思いますけれども、こちらの代謝物としてメタミドホスが知られております。メタミドホスの方が、コリンエステラーゼの阻害は、この本体よりも親化合物よりも強いということになっております。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。それではこの剤、アセフェートにつきまして、ご質問、ご意見をお願いいたします。

【井上専門委員】 水産PECの場合には、登録保留基準と水産PECが近傍している場合の対応についてというのが決められているのですけれども、水産PECの場合だと近接の範囲にあるのですが、水濁の方はその場合の対応は何か決められているのでしょうか。

【農薬環境管理室長】 すみません、最後の説明が抜けておりました。こちらも水産と同じように、PECと基準値が近接しておりますので、モニタリングの方のデータを確認いたしております。これも古くから使われている剤なので水道統計で調べられておりまして、直近の3年間について検出がない状況でございます。それから要調査項目になっておりますが、それについても検出がないということで、モニタリングデータの確認をさせていただいております。抜けまして申し訳ございませんでした。

【森田委員長】 他にいかがでしょうか。細見委員、お願いします。

【細見臨時委員】 この剤はれんこんに使われるのですか。そのときに水濁PECのいろいろ水の使用量だとかというシナリオというのが、そのまま稲の場合と同じように使われるのでしたか。

【農薬環境管理室室長補佐】 使っております各種パラメーター、流出パターンなどは水田のものを想定して、面積についても水田の面積を用いまして、算定をしております。

【細見臨時委員】 作物をつくるときに、稲と同じような水の利用形態であれば、私はそれで良いのかなと思いますが、水の使われ方だとか、レンコンをつくる場合というのは、これはどうなのでしょうか。逆に質問させていただきます。

【農薬環境管理室長】 基本的にれんこん栽培は、水稲のように水を常時かけるような形ではなくて、大体湛水したような状況にしていて収穫時に水を落とすというような形で、どちらかというと水稲よりは水は排出させないような形態で、湿田に近いような、水はけが悪いようなところで栽培されているものが多いので、逆に水を入れるというよりは、入れた後、そのまま置いておくという形で栽培されている形態が多いです。
それから、PECの計算で申し上げますと、先ほど吉川室長補佐から申し上げましたけれども、水田の比率が水稲と同じになっています。実際は水稲作付面積と比べるとれんこんは相当作付面積が低い。オーダーが二つまでは違わないと思いますけれども、水稲が100何万haに対して、恐らくれんこんは1万haいっていたかどうか、私も正確には存じ上げないですけれども、かなり低いので、水の使用形態、それから作物の作付状態から見ると、安全側に見ているとは思っております。

【細見臨時委員】 恐らくそうだと思うのですが、1点、れんこんは割と集中的につくられていて、例えば霞ヶ浦の周辺だとか特異的に集中して使われると、今、言われたような比率が水田とれんこんの全国比率でいいのかどうか。やや特異なケースがあっても、水を少なくとも水田のように流出させないという栽培方式であれば、私もそれでいいのかなと思います。

【中杉委員】 さっき室長からモニタリング結果の説明がありましたが、そのモニタリングデータをとっている場所が、今、細見先生が言われたようなことと、どういう関係にあるのかというを見られたらどうですか。例えば細見先生が言われたように、霞ヶ浦周辺でも特に土浦辺りにれんこん畑がたくさんあるわけですから、そういうところの近くで実際に測ったデータというのがあれば、より安全性が見えるだろうと思いますし、そういう配慮も必要かもしれないと思います。

【農薬環境管理室長】 ご指摘ありがとうございました。先生がおっしゃられるように、れんこんについて全国で産地として集中的にあるのは海岸に近いところでして、恐らく内陸部にある大産地は霞ヶ浦周辺ぐらいです。海岸に近い産地についてはあまり水道で使われるような水源はないと思われますが、霞ヶ浦は水源として使われているでしょうからデータはあると思われます。、恐らくご指摘のように全国というよりは地域の問題というところもあろうと思いますので、個別のモニタリングのデータを確認させていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございます。それから私の方からですが、今までの水質の基準値が例えば水質汚濁であれば旧農薬登録保留基準値に比べて、今回、随分小さい数字に移行する格好になりますね。今までのモニタリングも、恐らくこういう登録保留基準などの数字をある程度意識しながら分析をされてきたと思われますので、こういう厳しい数字になったときに、モニタリングもあわせてどうするかも考えなくてはいけないところがあるかもしれませんね。
 しかし、全体としては、今かなり低い数字に移行しつつあるという状況で、そしてあわせて水濁PECが基準値とかなり近接するということが今起こりつつあるということです。それでは全体を通しまして総合評価を見ていただきまして、ご確認をいただきたいと思います。ADIが改定されたことにあわせまして、登録保留基準値の案として0.063㎎/Lとなっております。そして、水濁PECTier2を計算すると、0.0045㎎/Lとなります。一応、登録保留基準値を下回っているという状況でありますが、少し近接をしているということもあり、ある種のリスク管理的なモニタリングといったものも必要ではないかという意見もあったかと思います。
 ということですが、総合評価としてはこの文面でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段の異議がございませんので、全体の総合評価としては原案どおりということにしたいと思います。どうもありがとうございました。あと委員の先生方からいただいた意見は、参考にしていただくということにしたいと思います。
 それでは引き続きまして、次のアラクロールに行きたいと思います。ご説明お願いします。

【農薬環境管理室係員】 それでは、資料の6ページをご覧ください。アラクロールについて、ご説明させていただきます。この剤の物質概要は、6ページの表のとおりです。
 次に作用機構でございますが、超長鎖脂肪酸の合成阻害により、細胞分裂を阻害すると考えられております。本邦での初回登録は1970年でございます。
製剤は粒剤、乳剤及びマイクロカプセル剤が、適用作物は雑穀、果樹、野菜、いも、豆、飼料作物、芝等がございます。
原体の輸入量は、記載のとおりです。各種物性につきましては、7ページの表のとおりです。
続きまして7ページ、安全性評価でございますが、食品安全委員会は平成23年8月25日付で本剤のADIを0.01㎎/kg体重/日と、厚生労働省に通知いたしております。この値はイヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量1㎎/kg体重/日を、安全係数100で除して設定されたものでございます。この食品安全委員会の農薬評価書につきましては、参考資料3として添付しておりますので、ご確認ください。
続きまして8ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は、非水田使用農薬でございますので、8ページの表に示します使用方法及びパラメーターを用いまして水濁PECを算出いたしましたところ、0.00024㎎/Lと算定されております。
続きまして9ページ、総合評価でございます。ADIが0.01㎎/kg体重/日により、表にございます算出式により、登録保留基準値を算出いたしまして、0.02㎎/Lを、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤につきまして、水質に関する既存の基準値等は、まず水質管理目標設定項目が0.01㎎/L、そしてWHO飲料水水質ガイドラインが0.02㎎/Lでございます。
続きましてリスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.00024㎎/Lでございますので、登録保留基準値0.02㎎/Lを超えないことを確認しております。
また、参考として食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、農薬理論最大摂取量は0.0144㎎/人/日、そして対ADI比で2.7%と、8割を超えないことを確認しております。
本剤につきましては以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 それでは吉田委員、毒性について補強してください。

【吉田臨時委員】 このアラクロールは、本日もう1剤審議いたしますブタクロールとほぼ同じ毒性のプロファイルを示します。酸アミド系です。
この剤は、ADMEからいきますと非常に赤血球の結合が強く、また代謝に種差が大きく認められます。毒性の主なプロファイルといたしましては、主に肝臓、鼻腔、腺胃、目、甲状腺と、色々なところに毒性を示しますけれども、それぞれの農薬の評価書をご覧になればおわかりになるように、かなりメカニズム試験が詳細に行われている試験でもあります。催奇形性、遺伝毒性もございません。ただ、腫瘍が鼻腔、腺胃、甲状腺に認められます。特に有名なのが鼻腔と腺胃でございます。いずれもラットに認められます。ラットの鼻腔の腫瘍につきましては、非常に詳細なメカニズム試験が行われておりまして、その場所で遺伝毒性がないということと、DNAとの結合はないということは、コメットアッセイで確認をしております。恐らくこの場所で代謝をされ、活性の高い、いわゆる酸化ストレスのようなことが起きて、炎症が起きて、炎症が持続した結果、そこで腫瘍が出たのであろうという結論になっております。サルではこのようなことは認められておりません。
 もう一つ有名なのが、胃における腫瘍の発生でございます。この胃の腫瘍の発生につきましては、結論としてはオメプラゾール等と同じにはなるのですけれども、最初に粘膜の委縮が起きるために、胃酸が低下をいたしまして、そのために胃のpHを上げようとしてガストリンが高くなり、抗ガストリン血症の結果、エンテロクロマフィンセルの腫瘍が出るというメカニズムが知られております。ただ、若干オメプラゾールと違って最初に胃の粘膜の萎縮が起きますので、100%同じメカニズムかどうかということはわかっておりませんが、遺伝毒性は全て陰性ですので、これも閾値のある変化であろうというように考えられております。甲状腺の腫瘍につきましては、ラットで非常によく見られる肝肥大に伴う肝の代謝酵素の誘導によって、甲状腺の刺激ホルモンが持続的に上がるというものでございます。
 ご説明は以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。それでは各委員の先生方、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段ございませんか。それでは総合評価のところに戻りまして、9ページです。ご確認をいただきたいと思います。
 この物質のADI、それを用いまして定例の10%配分、飲料水摂取量、平均体重を計算いたしますと、0.02665㎎/Lで、その頭の部分をとりまして、基準値としては0.02㎎/Lと計算されています。なお、この基準値案と対応するような格好で、水質管理目標設定項目では0.01㎎/L、それからWHOの飲料水水質ガイドラインが0.02㎎/Lという数値になって、この数字は今回の登録保留基準値と同じ措置ということになります。
 それから並行してリスク評価になりますが、水濁PECTier1が0.00024㎎/Lでありますので、農薬登録保留基準値の0.02㎎/Lを超えないことを確認されるということであります。
 以上なのですが、総合評価を含めまして、この原案どおりでよろしいかどうか、ご意見をいただきたいのですが。

(異議なし)

【森田委員長】 よろしいでしょうか。特段のご異議がないと思いますので、それでは総合評価、原案どおりということにしたいと思います。
 それでは次の剤、ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室係員】 それでは、資料の10ページをご覧ください。エトフェンプロックスについて、ご説明させていただきます。この剤の物質概要は、10ページの表のとおりです。
 作用機構でございますが、神経軸索におけるナトリウムチャンネルの正常な働きの阻害によるものと考えられております。本邦での初回登録は1987年でございます。
製剤は粉剤、粒剤、水和剤、乳剤、油剤、マイクロカプセル剤が、適用作物は稲、麦、雑穀、果樹、野菜、いも、豆、花き、樹木、芝等がございます。
原体の輸入量は、記載のとおりです。各種物性につきましては、11ページの表のとおりです。
続きまして11ページ、安全性評価でございますが、食品安全委員会は平成21年11月19日付で本剤のADIを0.031㎎/kg体重/日と、厚生労働省に通知いたしております。この値はマウスを用いた2年間発がん性試験における無毒性量3.1㎎/kg体重/日を、安全係数100で除して設定されたものでございます。この食品安全委員会の農薬評価書につきましては、参考資料4として添付しておりますのでご確認ください。
続きまして12ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は、水田、非水田いずれの場面にも使用される農薬でございますので、12ページの表に示します使用方法及びパラメーターを用いまして、水濁PECを算出いたしましたところ、水濁PECTier1として0.018㎎/Lと算定されております。
続きまして13ページ、総合評価でございます。ADIが0.031㎎/kg体重/日によりまして、表にございます算出式により、登録保留基準値を算出いたしまして、0.082㎎/Lを、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤につきまして、水質に関する既存の基準値等は、まず旧水濁基準値が0.8㎎/L、そして水質管理目標設定項目が0.08㎎/L、そしてゴルフ場暫定指導指針が0.082㎎/Lでございます。
続きましてリスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.018㎎/Lでございますので、登録保留基準値案0.082㎎/Lを超えないことを確認しております。
最後に、参考として食品経由の農薬推定一日摂取量でございますが、農薬推定一日摂取量は0.44㎎/人/日と、そして対ADI比で26%と、8割を超えないことを確認しております。
なお、水濁PECTier2の値につきまして、0.00052㎎/Lとして試算をしております。
本剤につきましては以上です。ご審議のほど、よろしくお願いします。

【森田委員長】 それでは吉田先生、毒性ご説明をお願いします。

【吉田臨時委員】 本剤は、ピレスロイド系の殺虫剤で、殺虫作用としてはナトリウムチャンネルに効くという神経系のものなのですけれども、毒性試験では神経系への影響は認められません。主に認められたターゲットは腎臓です。このADI設定となった根拠も腎炎の変化をとって、ADIが設定されております。
 生殖発生毒性が認められないのですが、発達神経毒性におきまして、母体毒性が出る量におきまして、若干次世代への影響が認められるといった様子です。発がん性におきましては、ラットの2年間の発がん性試験で甲状腺の腫瘍が認められますが、先ほどのアラクロールと同様に、肝臓が腫れて代謝酵素活性が誘導されたことによってTSHが上がり、その刺激によって甲状腺の腫瘍が出るという、人には外挿されないメカニズムで腫瘍が起きます。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。それではこの剤につきましてご質問、ご意見ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段のご意見が出ておりませんので、総合評価をご確認いただきたいと思います。13ページになりますが、水質汚濁に係る登録保留基準値の案といたしまして、0.031㎎/㎏のADIから導出される基準値案が0.082㎎/Lとなっています。なお、参考にありますように、水質管理目標設定項目として水道法で目標とされている数字が0.08㎎/L、それから従前の旧水質汚濁に係る農薬登録保留基準値及びゴルフ場農薬の暫定指針が0.8㎎/L付近にありましたけども、それが10分の1ぐらいの厳しい数字になるという流れになっております。
 あわせてリスク評価ですけれども、水濁PECで計算される数字が0.018㎎/Lで、これは登録保留基準値の0.082㎎/Lを超えないということが確認されたという状況にあります。
 以上、総合評価ですが、この原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段のご異議が出ないようでございますので、それでは原案どおりということにしたいと思います。
 引き続きまして、次、ジチアノン、ご説明お願いします。

【農薬環境管理室係員】 それでは、資料の15ページをご覧ください。ジチアノンについて、ご説明させていただきます。この剤の物質概要は15ページの表のとおりです。
 作用機構でございますが、酵素タンパクなどのSH基と不可逆的に反応して、菌の代謝経路を阻害するものと考えられております。本邦での初回登録は1962年でございます。
製剤は水和剤が、そして適用作物は果樹及び野菜がございます。
原体の輸入量は記載のとおりです。
各種物性につきましては16ページの表のとおりです。
続きまして16ページ、安全性評価でございますが、食品安全委員会は平成22年6月17日付で本剤のADIを0.01㎎/㎏体重/日と厚生労働省に通知いたしております。この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量1㎎/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。この食品安全委員会の農薬評価書につきましては、参考資料5として添付しておりますのでご確認ください。
続きまして17ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は、非水田使用農薬でございますので、17ページの表に示します使用方法及びパラメーターを用いまして水濁PECを算出いたしましたところ、水濁PECTier1として0.00044㎎/Lと算定されております。
続きまして18ページ、総合評価でございます。ADIが0.01㎎/㎏体重/日により、表にございます算出式により、登録保留基準値を算出いたしまして0.02㎎/Lを公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤につきまして、水質に関する既存の基準値等はございません。
リスク評価でございますが、水濁PECTier1が0.00044㎎/Lでございますので、登録保留基準値案0.02㎎/Lを超えないことを確認しております。
また、参考として、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、農薬理論最大摂取量は0.22㎎/人/日、対ADI比で41%と8割を超えないことを確認しております。
本剤につきましては以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
それでは、吉田委員、またご説明をお願いします。

【吉田臨時委員】 本剤の毒性の標的は種を超えて肝臓でした。また、げっ歯類では、腎臓にも影響が認められております。
肝臓の影響毒性はあまり強いものではなく、肝細胞が腫れるといった程度のものでございます。しかしげっ歯類においては腎臓の影響が特にラットで強く、長期になりますと腫瘍が発生してまいります。この腎臓を用いてコメットアッセイが行われておりますけれども、このコメットアッセイでは陰性であるので、非遺伝毒性の発がんメカニズムによって腫瘍が発生するものと考えられます。
特に、この腎臓におきまして、代謝活性の高い髄質外帯に腫瘍が発生します。メカニズム試験といたしましては、腫瘍の発生に先立ってミトコンドリアの障害、あるいは細胞障害が認められますので、この細胞障害から細胞増殖が起き、それが持続した結果、この部位に腫瘍が発生するというようなメカニズム試験が行われております。
生殖発生毒性等は認められておりません。
 本剤につきましては以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、ご質問、ご意見をお願いいたします。いかがでしょうか。井上委員、お願いします。

【井上専門委員】 違うかもしれないのですが、今までADIが1桁であれば基準値も1桁にするというふうなルールになっていたと思うのですが、そのADIのもとを見ると、体重で割って1㎎/㎏になっているのですが、そのもとの投与したのが20ppmと書いてあって、そうすると体重が1桁で測っているとは思わないので、2桁を2桁で割って1という値を出しているのであれば、2桁にすることも可能かと思うのですが、いかがでしょうか。

【森田委員長】 事務局、今のご質問に対してどんな計算をしているかというのを確認してくださいますか。

【農薬環境管理室室長補佐】 わかりました。確認させていただきます。

【井上専門委員】 評価書の23ページのところに2年間慢性毒性、ラットの試験の概要が書かれています。

【農薬環境管理室室長補佐】 評価書の無毒性量20ppmということで、ご指摘のとおり、恐らく試験報告書等までさかのぼっていけば、もっと無毒性量の有効桁数を確定できるのかとは思うのですが、私ども事務局では、今まで食安委の農薬評価書で1桁で書かれていれば、それはもう食安委が1桁と判断したというように考えまして、機械的にこちらの有効桁数が1桁であれば、そのように水濁基準の方も取り扱わせていただいております。

【森田委員長】 いいですか。

【中杉委員】 今までも同じような議論があって、事務局から同じお答えをいただいているので、ここではもうそういう整理をしていると考えています。

【森田委員長】 ありがとうございます。いかがでしょうか。他にご意見ございませんか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段ご意見がないようですので、一応、総合評価のところをもう一回ご確認をいただきたいと思います。18ページです。
ADI、0.01㎎/㎏体重/日というのから導出される数字が0.0266㎎/Lで、基準値案としては0.02㎎/Lになると。それでリスク評価といたしましては、水濁PECTier1が0.00044㎎/Lであり、登録保留基準値を超えないということを確認したということでございます。いかがでしょうか。この原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、原案どおりということで案をとらせていただくことにしたいと思います。
 では続きまして、シフルフェナミドのご説明をお願いします。

【農薬環境管理室係員】 それでは、資料19ページをご覧ください。シフルフェナミドについてご説明させていただきます。
この剤の物質概要は19ページの表のとおりです。
作用機構でございますが、作用機構は明らかではないですけれども、胞子発芽や菌糸伸長に及ぼす影響は既存剤と形態的に異なること等から、新規の作用機構と考えられております。
本邦での初回登録は2002年でございます。
製剤は水和剤、くん煙剤が、適用作物は麦、果樹、野菜、花き、樹木等がございます。
原体の輸入量は記載のとおりでございます。
各種物性につきましては、20ページの表のとおりです。
続きまして、20ページ、安全性評価でございますが、食品安全委員会は平成23年7月21日付で本剤のADIを0.041㎎/㎏体重/日と厚生労働省に通知いたしております。この値は、イヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量4.1㎎/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
食品安全委員会の農薬評価書につきましては、参考資料6として添付しておりますのでご確認ください。
続きまして21ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は非水田使用農薬でございますので、21ページの表に示します使用方法及びパラメーターを用いまして、水濁PECを算出いたしましたところ、水濁PECTier1として0.0000065㎎/Lと算定されております。
続きまして22ページ、総合評価でございます。ADIが0.041㎎/㎏体重/日により、表にございます算出式により登録保留基準値を算出いたしまして0.10㎎/Lを公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤につきまして、水質に関する既存の基準値等はございません。
リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.0000065㎎/Lでございますので、登録保留基準値案0.10㎎/Lを超えないことを確認しております。
また、参考として、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、農薬理論最大摂取量は0.11㎎/人/日、対ADI比で5.0%と8割を超えないことを確認しております。
本剤につきましては以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、吉田委員、ご説明をお願いします。

【吉田臨時委員】 本剤の毒性は、共通して肝臓、腎臓等に認められます。肝臓の毒性はあまり強いものではなく肝肥大程度で、腎臓におきましては尿細管の空胞化、あとはラットですが、心筋炎及びこれは肝臓の肥大に関わっていると思いますが、甲状腺の過形成等が認められます。
 また、イヌだけですが、短期の試験で、かつ高用量群におきまして、大脳の空胞化といった所見が認められますが、亜急性の神経毒性試験におきましては、神経毒性は認められておりません。
 また、生殖発生毒性も認められておりません。
 この無毒性量の設定根拠は、イヌで認められたALPの上昇という軽度の肝炎の影響が設定根拠となっております。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、この剤につきまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

【築地専門委員】 記載ミスかと思うのですけれども、21ページの各パラメーターの値で農薬の総使用回数3回となっていますけれども、これ、2回ではないでしょうか。

【農薬環境管理室室長補佐】 適用表を確認いたしましたところ、2回以内となっておりました。記載ミスですので訂正させていただきます。ご指摘ありがとうございました。

【森田委員長】 これ、2回で計算を、水濁PECの算出のところで、結果の数字はあまり変わらないと考えてよろしいのでしょうか。

【農薬環境管理室長】 非水田使用時の水濁PECで、左側に総使用回数2回で、右側のところも2回と書くべきところを間違えて3回という形で書いていますが、PEC自身は2回で計算しておりますので、この3のところを2に変えればということでございます。すみません、失礼いたしました。

【森田委員長】 ありがとうございます。他にご質問、ご意見はございませんでしょうか。特段はございませんか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、22ページの総合評価をご確認いただきたいと思います。0.041㎎/㎏体重/日のADIから導出される数字が0.109㎎/Lという数字になり、そして、そこから0.10㎎/Lという数字で基準値は設定されたということであります。それから、水濁PECTier1は0.0000065㎎/Lと非常に低い数字になっておりまして、登録保留基準値を超えないということでございます。全体として総合評価はこれでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段ご異議がないようでございます。それでは、基準値案をとらせていただいて、先ほどご指摘のあったこの資料は修正ということにしたいと思います。よろしくお願いします。
 では引き続きまして、シロマジンをお願いします。

【農薬環境管理室係員】 それでは資料の23ページをご覧ください。シロマジンについてご説明させていただきます。
 この剤の物質概要は23ページの表のとおりです。
 作用機構ですが、主に幼虫に対する脱皮阻害と前蛹及び蛹に対する変態阻害でございます。
本邦での初回登録は1996年でございます。
製剤には液剤が、適用作物には野菜、花きがございます。
原体の輸入量は記載のとおりです。
各種物性につきましては、24ページの表のとおりです。
続きまして24ページ、安全性評価でございますが、食品安全委員会は平成19年11月29日付で本剤のADIを0.018㎎/㎏体重/日と厚生労働省に通知いたしております。この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量1.81㎎/㎏体重/日を、安全係数100で除して設定されたものでございます。
この食品安全委員会の農薬評価書につきましては、参考資料7として添付しておりますのでご確認ください
続きまして25ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は非水田使用農薬でございますので、25ページの表に示します使用方法及びパラメーターを用いまして水濁PECを算出いたしましたところ、水濁PECTier1として0.000015㎎/Lと算定されております。
26ページ、総合評価でございます。ADIが0.018㎎/㎏体重/日により、表にございます算出式により、登録保留基準値を算出いたしまして0.047㎎/Lを公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤につきまして、水質に関する既存の基準値等はございません。
リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.000015㎎/Lでございますので、登録保留基準値案0.047㎎/Lを超えないことを確認しております。
また、参考として、食品経由の農薬推定一日摂取量でございますが、農薬推定一日摂取量は0.23㎎/人/日、対ADI比で24%と8割を超えないことを確認しております。
本剤につきましては以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、吉田委員、またご説明をお願いします。

【吉田臨時委員】 本剤は毒性が弱く、種を超えて認められる変化は体重増加抑制というもので、特にこの臓器といった標的臓器への強い毒性というのは認められません。
 ADIの設定根拠となりました試験はラットの2年間の発がん性試験ですけれども、一番低い量で認められた毒性も体重増加の抑制です。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 この剤につきましてのご質問、ご意見がございましたらお願いします。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、総合評価26ページをもう一度ご確認いただきたいと思います。ADIは0.018㎎/㎏体重/日で、ここから導出される数字が0.0479㎎/L、そこから予測濃度に対する基準値としての登録保留基準値としては0.047㎎/Lとなります。リスク評価ではPECTier1が0.000015㎎/Lですので、登録保留基準値0.047㎎/Lを超えないことを確認しております。全体の評価としてはこういう形になりますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段ご異議もないようでございますので、それではこの案を承認するということにしたいと思います。
このまま続けてよろしいでしょうか。お疲れになりましたか、大丈夫ですか。引き続きいきます。
次の剤、ピリミノバックメチルです。ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 27ページをご覧ください。ピリミノバックメチルについてご説明させていただきます。
 本剤の物質概要は27ページに記載のとおりです。
 作用機構でございますが、本剤はピリミジルオキシ安息香酸系除草剤であり、その作用機構はアセト乳酸合成酵素の阻害による生育阻害であると考えられております。
本邦での初回登録は1996年です。
製剤は粒剤、水和剤が、適用作物は稲がございます。
原体の国内生産量から各種物性につきましては、評価書案記載のとおりです。
28ページ、安全性評価でございます。食品安全委員会は平成22年4月1日付でピリミノバックメチルのADIを0.02㎎/㎏体重/日と設定し、厚生労働省に通知しております。この値は、ラットを用いた2世代繁殖試験における無毒性量2㎎/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
本剤についての食品安全委員会の農薬評価書については、参考資料8としておつけしておりますので、あわせてご覧ください。
29ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は、水田使用農薬でございまして、29ページ記載の表が最も水濁PECが高くなる使用方法ということで、こちらを用いてPECを算出いたしましたところ、水濁PECTier1が0.0032㎎/Lでございました。
30ページ、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案ですが、表の算出式によりADI、0.02㎎/㎏体重/日から登録保留基準値を算出いたしまして0.05㎎/Lを公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤の水質に関する基準値でございますが、(旧)水質汚濁に係る農薬登録保留基準が0.2㎎/Lでございました。これは、昔、従前のADIの方が0.009㎎/Lとなっていたことを受けたものでございます。
リスク評価でございます。水濁PECTier1は0.0032㎎/Lでございましたので、登録保留基準値0.05㎎/Lを超えないことを確認しております。
参考でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.0093㎎/人/日でございまして、対ADI比が0.87%と80%を超えないことを確認しております。
本剤についてのご説明は以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、吉田委員、追加をお願いします。

【吉田臨時委員】 本剤は、E体とZ体で構成されている農薬です。比率が4対1と5対1ぐらいのものだと思います。
 本剤の主な毒性といたしましては、肝臓等に認められます。本剤はラットにおきまして、いくつか腫瘍が認められました。特に白血病、今回はF344という系統を使っておりますが、F344で非常に好発するLGLの白血病、あとは雄だけですが肝細胞線維腫、そして肝細胞線維腫はメスマウスでも認められました。また、メスラットでは、子宮がんの発生が増加いたしました。
 肝臓腫瘍のメカニズムですけれども、恐らく、本剤では薬物代謝酵素誘導がありますので、それに何らかの関連があるものだろうと考えられております。
 また、子宮がんの増加ですけれども、こちらは、恐らく総体的な抗エストロゲン状態が続いたことによって子宮がんが増加したものと考えられております。
また、LGLの白血病ですけれども、同名のものがヒトにもございますけれども、その発がんのメカニズムや特性というものが、かなりラットとヒトでは違いますので、このLGLの白血病が増えたからといって、これがヒトに即、外挿されるものではないというように評価上は考えられております。
 本剤は、2世代の繁殖毒性試験の値をもとにADIが設定されております。恐らく、これは、低用量と中用量が非常にあいているために、このような低い値になったというように思われます。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、この剤につきましての委員の先生方からご質問、ご意見がございましたらお願いします。いかがでしょうか。特段ございませんか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは引き続き総合評価、30ページですけれども、見ていただきたいと思います。ADIが0.02㎎/㎏体重/日と設定されておりまして、これから導出される数字が0.0533㎎/Lという数字が出てきますが、ならしまして0.05㎎/Lという数字に基準値案はなっております。
なお、旧水質汚濁に係る農薬登録保留基準として計算されておりましたのは、0.2㎎/Lですけれども、これが約4倍厳しい数字になったという感じになります。
リスク評価ですけれども、水濁PECTier1で0.0032㎎/Lという数字でございます。登録保留基準値の0.05㎎/Lを超えないということが確認されたと、そういうコンテクストになっております。
この総合評価につきまして、これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段のご異議がないようでございますので、それでは、原案どおりということにしたいと思います。
引き続きまして、フェンブコナゾール、ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは資料の31ページをご覧ください。フェンブコナゾールについてご説明させていただきます。
フェンブコナゾールはトリアゾール系殺菌剤であり、その作用機構は菌類の細胞膜を構成する主要成分であるエルゴステロールの生合成の阻害であると考えられております。
本邦での初回登録は2001年でございます。
製剤は水和剤、乳剤が、適用作物は麦、果樹、花き等がございます。
本剤の原体の輸入量及び各種物性につきましては記載のとおりです。
32ページ、安全性評価でございます。食品安全委員会は、平成24年3月29日付でフェンブコナゾールのADIを0.03㎎/㎏体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量3.03㎎/㎏体重/日を、安全係数100で除して設定されたものでございます。
本剤の食品安全委員会による農薬評価書につきましては、参考資料9としておつけしておりますので、あわせてご確認ください。
33ページ水質汚濁予測濃度でございます。本剤は非水田使用農薬でございます。33ページに示します表のパラメーターより、水濁PECを算出いたしましたところ、0.000019㎎/Lでございました。
34ページ、総合評価でございます。表に示す算出式によりADI、0.03㎎/㎏体重/日から登録保留基準値を導出いたしましたところ、0.079㎎/Lを公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤について、水質に関する既存の基準値等はございません。
リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.000019㎎/Lでありますので、登録保留基準値0.079㎎/Lを超えないことを確認しております。
また、参考でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.20㎎/人/日でございまして、対ADI比で12.6%と80%を超えないことを確認いたしました。
本剤についてのご説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 吉田委員、ご説明をお願いします。

【吉田臨時委員】 フェンブコナゾールは、他のトリアゾール系と同様の毒性のプロファイルが主なものです。主なプロファイルといたしましては、肝臓の肥大及び空胞化で、長期投与いたしますと、ラット及びマウスで肝腫瘍が発生いたします。
 この腫瘍のメカニズムといたしましては、恐らく何らかの酵素誘導が関わる細胞増殖の刺激であろうと考えられております。
 また本剤は催奇形性はございませんが、2年間の繁殖毒性試験におきまして分娩遅延が認められました。こちらにつきましては、メカニズム試験が行われております。その結果から、恐らくステロイドの合成系の障害によって分娩末期に増加するエストロゲンの増加とプロゲステロンの低下というのが起きるのですが、これが起きなかったため、すなわちエストロゲンとプロゲステロンの比が抑制されたために分娩遅延が起きたのだろうというメカニズム試験が行われております。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、この剤につきましてのご質問あるいはご意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段、声が上がってきませんので、それでは、最終的な総合評価のところをご確認いただきたいと思います。34ページですけれども、ADI、0.03㎎/㎏体重/日と、これから導出される数字が0.0799㎎/L、そこから2桁にいたしまして、0.079㎎/Lという数字になります。これが、農薬登録保留基準値案となります。並行してリスク評価で水濁PECTier1の数値は0.000019㎎/Lであり、農薬登録保留基準値の0.079㎎/Lを超えないことを確認したということであります。なお、他の基準値等はないということでございますが、いかがでしょうか、この総合評価でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段ご異議がないということでございます。では、この案で承認ということにしたいと思います。
引き続きまして、次、ブタクロール、ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 35ページをご覧ください。ブタクロールついてご説明させていただきます。
 本剤は酸アミド系除草剤であり、その作用機構は超長鎖脂肪酸の合成の阻害でございます。
本邦での初回登録は1973年でございます。
製剤は粒剤、水和剤及び乳剤が、適用作物は稲といぐさがございます。
原体の輸入量については記載のとおり、各種物性については次のページに記載のとおりでございます。
36ページ、安全性評価でございます。食品安全委員会は平成23年8月25日付でブタクロールのADIを0.01㎎/㎏体重/日と設定し、厚生労働省に通知しております。この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量1.0㎎/㎏体重/日を、安全係数100で除して設定されたものでございます。
37ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は水田使用農薬として37ページの表に示すパラメーターを用いて水濁PECを算定いたしました。その算定結果は、38ページにございますが、水濁PECTier2として0.00021㎎/Lでございます。
なお本剤の適用作物として直播水稲がございまして、使用方法として、乾田時の散布がございます。こうしたものは通常、流出モデル非水田相当として算定をするのですが、この剤は水濁PECが最も高くなるのは移植水稲であるということで、その使用方法について水濁PECを算出いたしました。
39ページ、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案ですが、表に示す算出式によりADI、0.01㎎/㎏体重/日から登録保留基準値を算出いたしましたところ、0.026㎎/Lを公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤に関する既存の水質基準値等ですが、旧水質汚濁に係る農薬登録保留基準がございまして、0.3㎎/Lでございました。
リスク評価でございますが、水濁PECTier2は0.00021㎎/Lですので、登録保留基準値案0.026㎎/Lを超えないことを確認しております。
また、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、0.037㎎/人/日と、対ADI比で7%と8割を超えないことを確認いたしました。
本剤についてのご説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、吉田委員、追加の話をいただければと思います。

【吉田臨時委員】 このブタクロールは、先ほどご説明申し上げましたアラクロールと同様の毒性プロファイルです。ADIも同じ値になっております。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

【細見臨時委員】 このときのTier1の値はいくらぐらいになるのかということと、それから、これは水質汚濁性の試験をしていただいて、37ページにあるように、こういう減衰曲線をたどると。加水分解性もないし、光分解性もそれほどないのが、こういうふうに1週間でかなり減っているので、何か非常に分解しやすいのかどうか。水質汚濁性試験のデータがあるから水濁PECTier2で評価すると低い値になっているので、少しその分解性に関する情報みたいなのがありましたら教えてください。

【農薬環境管理室室長補佐】 まず、ご質問いただきました水濁PECTier1ございますが、算定いたしましたところ、0.041㎎/Lでございました。
それから、分解性に関する情報でございますが、本剤は、分解性のところを36ページに書かせていただいておりますとおり、加水分解性については分解せずということなのですが、水中光分解性の方は半減期が15日から17日という状況にございます。また、土壌吸着係数が比較的高いということで、その辺もあって水質汚濁性試験の結果がこのようになっていると考えられます。
事務局からは以上でございます。

【森田委員長】 他に続けてどうぞ。

【細見臨時委員】 KFOCというか、多ければ、多分3日目ぐらいでかなり減っているかなと思うのですけど、3日目から7日目のところだけがワンオーダー下がるというのが、吸着だけで説明できるとすれば、もう少し違ったような曲線というか、減衰曲線になると思いますけど、すごく生分解性が高ければ、それも理解できると思いますけど、生分解性に関する何か情報みたいなのはあるのでしょうか。

【農薬環境管理室室長補佐】 確認いたしましたが、加水分解性試験、それから水中光分解性試験、いずれも滅菌したものを使った試験データのみしか提出されておりませんので、ご指摘のような生物活性によるデータというのが提出されていない状況でございます。

【森田委員長】 今、細見委員から出されている疑問は、この分解というか、水質汚濁性試験の成績はこうなっているけれども、どのくらい信頼性があるのだろうかという、そういうことになりますか、一言で言えば。

【細見臨時委員】 今、山本委員に粒剤の特徴を教えていただいたのですが、少なくとも加水分解性は全くないということと、光分解だと半減期が15日なので、これだけ減るというのは、少なくともその二つで減っているわけではない。なので、吸着か生分解かということになろうかと思うのですけど、生分解であれば、通常もう少し減り方も対数的に減りそうなのだと思うのですが、試験結果を疑っているわけではなくて、ですが、もう少し生分解性があるのだとかというのがわかれば、非常に理解しやすいかなと思います。

【森田委員長】 とりあえず、他の質問に移りたいと思います。何かご質問ございませんか。

【築地専門委員】 記載ミスだと思いますけれども、37ページの各パラメーターの値で、農薬の総使用回数1回となっていますが、2回ですね。

【農薬環境管理室室長補佐】 申し訳ございません。記載ミスです。

【森田委員長】 この剤は、結構古い薬剤で、しかも現在でも結構使われているので、環境動態を含めた情報は、結構あるような気もするのですが、先ほどの細見委員から出された疑問を含めて、環境動態についてここにいらっしゃる先生方の感想は大体どんなものでしょうか。

【山本臨時委員】 水濁試験、ライシメーターでやる試験で、粒剤ですから、今さっき細見委員がおっしゃったように、次の日ぐらいが高く、ピークになっていますよね。そこからだんだん吸着するのは吸着していくというような形の減り方で、そんなに変なデータじゃないかなというふうに私は感じます。
 あと土壌中での生分解ですけれども、これ、残留土壌試験が恐らくあるのでしょうね。それを見れば大体どのくらい生分解するかというのがわかると思うのですけどね。

【上路臨時委員】 ブタクロールの農薬評価書の20ページを開いていただきますと、ここに好気的湛水土壌中運命試験というのが行われています。ですから、これは、いわゆる湛水条件の土壌に入れてあったと。そうすると、水相中の放射能が処理直後に85.8%あったのだけれども、処理7日目には1%TAR以下になるということで、比較的速やかに土壌の方へ移行するというような結果が出ているのだと思うのですね。だから、水相中にはそれほど残らないという結果だというふうに思います。それがどういうふうに分解したのかというのは、もう少しちゃんと見なくちゃいけないのですけれども、かなり分解物というのは長期でないと出てこないような気がします。

【森田委員長】 ご解説いただいたので、細見委員、よろしいですか。

【細見臨時委員】 要は、土壌に吸着するということで、この試験がそのように推定されるということで、はい、結構です。

【森田委員長】 他にご意見ございませんか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段なければ、先ほどの総合評価に移りたいと思います。39ページですが、ADIが0.01㎎/㎏体重/日となり、それに合わせて計算をされていくと、0.0266㎎/Lという数字、そして2桁をとって0.026㎎/Lというのが基準値案となります。この数字は、従前の登録保留基準の0.3㎎/Lをほぼ10分の1にされたという、そういう数字になっております。
あとリスク評価なのですが、水濁PECTier2が0.00021㎎/Lで登録保留基準値0.026㎎/Lを超えないという状況にあるということであります。ということで、この総合評価でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段のご異議がないようでございますので、原案どおりにしたいと思います。
 では、次の物質に行きたいと思います。フルアクリピリム、ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料の40ページをごらんください。フルアクリピリムについてご説明させていただきます。
 本剤の物質概要は記載のとおりです。
 本剤は殺ダニ剤であり、その作用機構はミトコンドリアにおける電子伝達系酵素複合体Ⅲの阻害による呼吸阻害作用であると考えられております。
本邦での初回登録は2001年でございます。
製剤は水和剤が、適用作物は果樹がございます。
原体の製造及び輸入量、それから各種物性につきましては、記載のとおりです。
41ページ、安全性評価でございます。食品安全委員会は平成20年10月16日付でフルアクリピリムのADIを0.059㎎/㎏体重/日と設定し、厚生労働省に通知しております。この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量5.9㎎/㎏体重/日を、安全係数100で除して設定されております。本剤の食品安全委員会による農薬評価書は、参考資料11としておつけしておりますのでご確認ください。
42ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は非水田使用農薬でございます。非水田農薬として水濁PECが最も高くなる使用方法として42ページ記載の表のパラメーターから水濁PECを算定いたしましたところ、0.000025㎎/Lと算出されております。
43ページ、総合評価でございます。表に示します算出式によりADI、0.059㎎/㎏体重/日から登録保留基準値を算出いたしましたところ、0.15㎎/Lを公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤について、水質に関する既存の基準値はございません。
リスク評価でございますが、水濁PECTier1が0.000025㎎/Lでございますので、登録保留基準値案0.15㎎/Lを超えないことを確認しております。
参考でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は、0.085㎎/人/日と、対ADI比で2.7%となっておりまして8割を超えないことを確認しております。
ご説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、吉田委員、ご説明をお願いします。

【吉田臨時委員】 本剤は、イヌではどちらかというと臨床症状は軟便等で、げっ歯類で肝臓への影響が認められております。
長期投与におきまして、ラット及びマウスで肝臓に腫瘍が増えております。また、マウスだけですけれども、盲腸及び十二指腸に影響が認められ、十二指腸では長期投与により、十二指腸の過形成から腫瘍までが認められております。
 このメカニズムですけれども、非遺伝毒性のメカニズムと考えられており、恐らくアポトーシス、細胞死が抑制されていることから、それによって増殖が上がり、ずっと増殖の刺激がかかっていることがこのような腫瘍を形成しているのではないかという考察がされています。
生殖あるいは催奇形性への影響はございません。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
それでは、この剤につきましてご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

【細見臨時委員】 申請者によると、原体の製造とか輸入はなされていないということは、全くこれは日本にはないということなのですか。これはどういうことなのですか。これは上路委員に聞いた方が良いのかわかりませんけど。

【上路臨時委員】 私も気になりまして農薬要覧を探ってみました。この3年間、さらにもう少し手前ぐらいからか、ずっと記載ゼロで、ですから、日本の中での流通がなかったと思われます。ですが、登録はあると。メーカーさんは失効させないで3年間隔での登録の再申請をしているのでしょうけれども、失効はさせていないということだと思います。

【細見臨時委員】 恐らく使われていないと。

【上路臨時委員】 使われていないから原体の製造・輸入という記録はないということだと思います。ただし、メーカーさんが登録自体は落としていないで、ずっと再登録を続けているというふうに思います。いつの時点で3年目かはわかりませんけど、そのように思いました。

【農薬環境管理室長】 先ほど上路委員からもお話がありましたけれども、農薬要覧になければ、実際、申請者に聞き取りをして、確認して、それで出させていただいておりましす。多分、実態は、上路委員がおっしゃられたような形だとは思います。

【中杉委員】 これ、日本でつくっていないということですけれども、この農薬を輸入して使うことに関しては、一応登録されているから、農薬取締法違反にならないということで理解してよろしいのですか。以前、日本で登録していない農薬を個人的に輸入して使っているから、使用も制限しましょうと規制が新たに作られましたが、これは、登録しているから使えるという理解でよろしいのですか。

【農薬環境管理室長】 基本的に、原体ではなくて製剤としてきちんと国内で登録された剤が仮に輸入されれば、それについては大丈夫ですけれども、勝手に日本で製剤として登録されていないものを輸入して使うことは農薬取締法で引っかかります。

【中杉委員】 いや、この同じものだったら構わないということですよね。

【農薬環境管理室長】 いえ、違います。原体じゃなくて製剤ごとに登録をされておりますので、例えばこの原体を持ってきて勝手に調合して……。

【中杉委員】 そうではなくて、この製剤自体が他でつくられていたら、それはどうなのかという意味合いです。

【農薬環境管理室長】 製剤もここのフルアクリピリムをつくられている申請者が登録をしたものを輸入されれば大丈夫です。国内でも使えるという状況です。

【中杉委員】 これは、登録というのをどういうふうに捉えるのかという話なのですけどね。前に個人がというか、各農家が製剤として輸入していたものは使えないようにしようというので、製剤使用に関しても規制をつくるということにしましたよね。

【農薬環境管理室長】 はい、それは引き続きそうなっていますので。

【中杉委員】 だから、製剤というのは、同じものでも日本で登録しないとだめなのかという話で、そこの議論です。

【農薬環境管理室長】 そうです、もちろんそうです。日本で製剤として登録されているものではないとだめです。

【中杉委員】 いや、この登録をしたというのは、それはどこまで拘束力があるかということなのですけどね。例えば、極端な例を挙げてしまうと、この業者が海外で同じものをつくった。それを業者じゃなくて個人的に海外から輸入したというのはどうなるのでしょうかという、それは登録していないとみなすのか。

【農薬環境管理室長】 この申請者が海外でつくったものを、国内で登録を受けた製剤として輸入をした場合は、使えるという形ですけれども、国内で登録をしていないような製剤であれば使えないということだと思いますけど。

【中杉委員】 ここで登録したということの意味は、どこまで波及するのか、国内で製造したりその業者が輸入しなければ、一切該当しないというふうに考えるのか。

【農薬環境管理室長】 基本的には国内です。国内での使用という意味です。

【中杉委員】 そうすると、海外でつくった農薬というのは、個人的に輸入して使ってはいけないということになりますか。

【農薬環境管理室長】 それが、例えば、国内で申請した製剤を輸入した場合は大丈夫、農薬取締法上問題ないと思いますけれど。

【内田専門委員】 登録番号がないから、多分、それはだめだと思います。

【築地専門委員】 今の疑問に直接答えることではないのですけれども、実はこの薬剤、今つくられていないということのようなのですが、新しく出たときにうちの県でもよそでも、防除指針に採用したのですけれども、残念ながらダニの抵抗性がもう既に出ていて、新しく出たときから効果が低いということで使われなくなった事情があったようです。

【五箇臨時委員】 今、確認しましたけど、タイタロンフロアブルという名前で2003年から発売しています。ちょうどそのころ、私は薬剤抵抗性の試験をしていたのですけれども、今ご指摘があったように、特に外国のハダニに全然効かないので、それで恐らく国内でもあっという間に抵抗性が発達したみたいです。多分、原体は回収されたか何かで、もう使われていないという状況になっているみたいです。要するに、原体もこれ以上はつくっていないという状態になっています。商品としては、一旦、発売はされています。

【森田委員長】 登録はされていても使われていないというケースもあるということで、とりあえず理解しておきましょうか。
 それでは、最後の総合評価のところをご覧になってください。これは、ADIが0.059㎎/㎏体重/日でありまして、ここから導出される数字が0.157㎎/L、そして2桁に丸めて0.15㎎/Lというのが登録保留基準値であります。並行して行っております水濁PECTier1が0.000025㎎/Lですので、登録保留基準値の0.15㎎/Lを下回っているということが確認されたと。こういう総合評価になっておりますが、いかがでしょうか。これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段の異議もないようでございますので、原案どおりとしたいと思います。
それでは、その次、メトミノストロビン、ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料の44ページをご確認ください。メトミノストロビンについてご説明させていただきます。
 本剤は、ストロビルリン系殺菌剤であり、その作用機構は、ミトコンドリア内のチトクローム電子伝達系遮断による呼吸阻害と考えられております。
本邦での初回登録は1998年でございます。
製剤は粒剤、適用作物は稲がございます。
原体の国内生産量及び各種物性については、記載のとおりです。
45ページ、安全性評価でございます。食品安全委員会は、平成22年3月4日付でメトミノストロビンのADIを0.016㎎/㎏体重/日と設定し、厚生労働省に通知いたしました。この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量1.6㎎/㎏体重/日を、安全係数100で除して設定されたものでございます。
46ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は水田使用農薬でございまして、水濁PECが最も高くなる使用方法として表のパラメーターを用いて水濁PECを算出いたしましたところ、水濁PECTierⅠが0.024㎎/Lでございました。
47ページ、総合評価でございます。表に示します算出式により、ADIを0.016㎎/㎏体重/日を用いて登録保留基準値を算出いたしましたところ、0.042㎎/Lを公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
本剤についての水質に関する既存の基準値として、旧水質汚濁に係る農薬登録保留基準がございまして、0.4㎎/Lでございました。
リスク評価でございますが水濁PECTier1は0.0024㎎/Lであり、登録保留基準値0.042㎎/Lを超えないことを確認しております。
なお、本剤についてTier2を試算いたしましたところ、0.0011㎎/Lと登録保留基準値の2.5%でございました。
参考でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.12㎎/人/日と、対ADI比で14%となっておりまして8割を超えないことを確認しております。
本剤についてのご説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは吉田委員、ご説明をお願いします。

【吉田臨時委員】 本剤はストロビルリン系の殺菌剤です。本剤の主な毒性の標的臓器は、肝臓及び腎臓です。長期投与におきまして肝臓に腫瘍ができますけれども、恐らく薬物代謝酵素に関連する細胞増殖が関連しているのであろうというように思われます。また、肝臓の薬物代謝酵素誘導によって甲状腺へも過形成という変化が認められてまいります。
 長期投与ですけれども、肝臓の腫瘍のほかにラットにおきましてLGLという白血病が増えてまいります。これは、先ほども申し上げましたが、発がん性試験に用いました系統が、このLGLという白血病を非常に好発するFischerラットという系統であるということが一因であると思われますが、この発生機序は、ヒトには外挿されないということですので、この増加は、ヒトには外挿されない変化であろうというように現在は解釈されております。
 このストロビルリン系の農薬というのは、そのほかにアゾキシストロビンとかオリサストロビンとあるのですけれども、これらでは十二指腸に腫瘍ができましたが、本剤ではそのような変化は認められておりません。
 以上です。

【森田委員長】 それでは、この剤につきまして、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。
いかがでしょうか。ございませんか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、総合評価47ページをご確認いただきたいと思います。ADIが0.016㎎/㎏体重/日ということ、そこから導出される0.0426㎎/L、ここから有効数字2桁でとって0.042㎎/Lが登録保留基準値であります。なお、PECは0.024㎎/Lであり、登録保留基準値の0.042㎎/Lよりも低いということを確認したということであります。いかがでしょうか。特段ご異議はございませんか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、原案どおりということにしたいと思います。
それでは、引き続きまして、最後の剤です。ヨウ化メチル、ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料の48ページをご覧ください。ヨウ化メチルについて説明させていただきます。
本剤は、脂肪族ハロゲン化物の殺虫剤であり、その作用機構は、蒸気として土壌、作物又は木材内部に拡散し、塩基性要求核中心と反応することでピルビン酸脱水素酵素やコハク酸脱水素酵素などの必須酵素を阻害するものと考えられております。
本邦での初回登録は2004年でございます。
製剤はくん蒸剤が、適用作物は果樹、野菜、花き等がございます。
各種物性につきましては、49ページに記載のとおりです。
安全性評価でございますが、食品安全委員会は平成23年2月10日付でヨウ化メチルのADIを0.005㎎/㎏体重/日と設定し、厚生労働省に通知いたしました。この値はラットを用いた90日間亜急性毒性試験における無毒性量5㎎/kg体重/日を安全係数1,000で除して設定されたものとなっております。
 本剤についての食品安全委員会の農薬評価書は、参考資料13としておつけしておりますので、あわせてご確認ください。
50ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は非水田農薬として水濁PECが最も高くなる使用方法として、表のパラメーターを用いて水濁PECを算出いたしました。評価書に片括弧が一つ余計に入っております。失礼いたしました。その算出結果は0.00043㎎/Lとなっております。
51ページ、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案ですが、表に示す算出式よりADI、0.005㎎/㎏体重/日を用いて算定いたしましたところ、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として、0.01㎎/Lを基準値案として提案させていただきます。
リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.00043㎎/Lであり、登録保留基準値0.01㎎/Lを超えないことを確認しております。
参考でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.0016㎎/人/日と、対ADI比で0.6%と80%を超えないことを確認しております。
本剤についてのご説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 どうもありがとうございました。
それでは吉田委員、ご説明をお願いします。

【吉田臨時委員】 本剤はくん蒸剤です。本剤は非常に目及び皮膚に刺激性が強いという剤でございます。さらに本剤はくん蒸剤なものですから、餌に混ぜて投与するということがなかなか難しく、強制経口あるいは吸入毒性試験で毒性を見ております。果たして慢性毒性試験が必要だったかというような議論もございました。
本剤は刺激性があるものですから、げっ歯類等につきまして刺激性の日的な変化が起きております。また本剤はヨウ素なものですから、甲状腺への影響も認められております。
ただ、催奇形性はないのですけれども、ウサギの発生毒性試験におきまして胎児毒性が母毒性より低い用量で認められましたが、これはそういった臨界期に高い用量のヨードが摂取されたことによって視床下部・下垂体・甲状腺軸が何らかの形で乱れたのであろうという考察がされております。
この評価書の52ページ、表44をご覧いただきますと、どういった投与方法だったかということが一覧でご覧になれるかと思いますけれども、強制経口を行いましたラットの90日での無毒性量が値として低い値が得られたので、この値をもとにADIを設定しております。
長期の試験は吸入で行われたということを追記いたします。
以上です。

【森田委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、この剤につきましてのご質問、ご意見をいただければと思います。

【中杉委員】 このヨウ化メチル自体は、自然界でも生成をするものなので、例えば公共用水域の基準値だとしてぽんと出したときに、バックグラウンドの値がどのくらいなのかというのを確認しておいていただいた方がよろしいのかなと思います。たまたま測ったら超えてしまったというのでこれは大変だという話になるので、少しそういう面でも見ていただければ、例えば淡水だけじゃなくて公共用水域というと海水も入ってきますので、そういうところのレベルがどのくらいなのかというのを少し見ておいていただいて、そこに対してもこれを設定しておいても十分大丈夫だよという話であればいいのですけれども、抵触してくるような話だと、少しこの出し方を考えて、何か留意をつけないといけないのかなと思いました。私も実際にどのくらいの濃度かというのは、情報を持ち合わせていないので確認をいただければと思います。

【森田委員長】 委員の先生方から、今の中杉委員のお話もありましたし、ほかのご経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思うのですが、ご意見ございませんでしょうか。
 いかがでしょうか。
 もちろんヨウ化メチルというのは海水からも結構大気中に放出されていますので、そういう物質であることは間違いがないのですが、しかし今、農薬の評価をやっているときに、どこまでそういうことを考えるかというのあるのですけれども、何かご意見ございませんか。
 話は飛びますが、これ、私から吉田委員にお伺いしたいのですが、昔、発がんの議論をやったときに、いつもメチル化剤というのが発がん物質のある種のカテゴリーに入っていて、そして、DNAのメチル化などが昔の教科書には重大なように書いてあったのですが、最近は、そういうことはあまり問題にならなくなってきているのでしょうか。

【吉田臨時委員】 私は遺伝毒性の専門家ではないので、正しいお答えができていないかもしれないのですが、一応、遺伝毒性のバッテリーでin vitro試験等で遺伝毒性がなく、かつin vivoでもなければ、これはもう生体にとって遺伝毒性はないというようなことで解釈して評価をしていると判断しておりますので、特にメチル化の有無で遺伝毒性は判断していないと考えております。

【森田委員長】 いずれにしましても、食品安全委員会が提示されている毒性の評価書があり、今それに基づいて農薬登録保留基準値を決めようという作業をやっていますので、毒性に関する部分は、本来、そちらに折り込まれているということではあると思いますが、他の委員の先生方から何かございますか。

【山本臨時委員】 今さらそんな話をしてもしようがないのですけれども、こんなに大きな蒸気圧のものを同じような考え方でPECを出すかというのが何か非常に奇異な感じがします。これはまた今後の課題かもしれませんけれども、こういったようなものについて、特に水濁、水の中にどれだけ残るのか。揮発したものがもう一遍溶けるということもあるかもしれませんけど、それならもう全然シナリオが違いますから、この同じようなシナリオで評価していっていいのかという感じはしました。今日のところはもちろんやむを得ないと思うのですけれども、将来的な課題になるという印象を持ちました。

【森田委員長】 これ、室長、ございませんか。

【農薬環境管理室長】 まず、中杉委員からのご指摘ですけれども、モニタリングについては基準値とPECが近いものを中心に考えていきますが、仮にこれを調べるという形になれば、おっしゃるとおりバックグラウンドを調べないと、何を調べているのかわからなくなります。そこのところは、注意してやっていかないといけないと思っています。
それと、山本委員からのご指摘ですけれども、これは確かにくん蒸剤ではあるのですけれども、非常に水に溶けやすいものですので、くん蒸した場合に地下水の方に浸透すること考えられますし、厳密に言って公共用水域にどうだというより地下水から行くのではないかという可能性があるかもしれません。そのような意味で、確かにPECの計算上はかなり課題があります。しかし、基本的に、恐らくこういうくん蒸剤というのは、何か誤った使用をした場合に地下水に溶け込んで、その地下水を飲んだ場合の影響も考えられるので、基準値として設定するのは意義があるのではないかと思っています。PECの関係については、おっしゃるとおり、どちらかというとかなり過大な計算になるのではないかと思っております。

【山本臨時委員】 飲み水の安全という意味では、今おっしゃるとおりだと思うけれども、それではそれでこのPEC算定のシナリオが全然違うものになるはずなのですよね、恐らく。そこがどうかということです。

【農薬環境管理室長】 山本委員おっしゃるとおり、公共用水域での評価という意味では、蒸気圧を考えればかなり過大なばく露評価になるというのは事実だと思っておりますので、現状でそういったようなことも認識をしながら基準値設定をしていくことが必要ではないかと思っております。

【森田委員長】 他にご意見はございませんか。

【中杉委員】 今の山本委員のお話も含めてですけれども、農薬については、大気汚染に関しては農薬取締法でやってくださいということになっているので、くん蒸剤がそういう面での課題を抱えているというのは一つあるだろうという、これは、今検討をいろいろとされているけれども、そういうことを一つ十分考えておかないといけないというのと、地下水汚染という話で言えば、室長が言われたように、クロルピクリンでも地下水汚染の事例が何カ所かでありますので、そういうことは考えていかなきゃいけない。そのときにどうするのだというのを、また別なもう一つの課題ですね。どういう場所でくん蒸するか、水が浸透しやすいところで作物をつくっている場合が結構ありますので、そういうところで本当にそういうものを使ってくん蒸していいのかどうか、これは、実際にどう使われているか分かりませんけれども、そういうところの考え方も少しずつ考えていかなきゃいけないのかもしれませんね。
むしろ、公共用水域で取水した水を飲むときには、公共用水域に入った後で揮発してしまうので、そんなに問題ないだろうけど、地下に入ると揮発ではなかなか抜けないということがあって、それもまた処理をしないで飲むことになるので懸念が残り、将来的な課題の一つかというように思いました。

【森田委員長】 とりあえず、今、農薬の登録保留基準値を決めているのですが、そこに関してはいいですか。

【中杉委員】 先ほどのバックグラウンドを少し確認していただいて、何らかの問題が起こるのであれば、これはこういう使い方をするので、この公共用水域に対する基準値というのがひとり歩きしないように十分注意してもらう必要があると、そういうコメントをつける必要があるのだろうと思うのですね。
たまたま公共用水域ではかった測定結果を持ってきて、水質環境基準の基準値はないが、農薬で公共用水域の飲料水については基準をこういうのをつくっていると、それで超えているじゃないかという議論をされると、これはまたつらいものがあるので、少しそこら辺を確認していただければ、多分、そう高いのはないのだろうとは思うのですけれども、気になったものですから。

【森田委員長】 他にご意見ございませんか。

【農薬環境管理室長】 中杉委員のご指摘で、モニタリングデータでヨウ化メチルについて個別に公共用水域等のデータがありましたら確認いたします。それほど高い値は、多分ないのではないかと思いますけれども。
 実際に、基準値に近いような数字があるのであれば、個別に注意喚起のような形で評価書の中に、例えば注意書きでモニタリングでは、実際にヨウ化メチルを使ったと思えないようなところで自然界でこういうデータがありますというのを括弧書きで書くとかというようなことも検討はしてみたいと思います。

【森田委員長】 付加的な情報をつけるということで、登録保留基準としては、これでよろしいですか。だけど、山本委員は、おかしいのじゃないかと、この計算の仕方そのものがという問題も提起されておられましたが。

【山本臨時委員】 室長も言っておられたとおり、課題にはなっている。だけど、こういうルールでやってきているわけで、しようがないのですけれども、こういったくん蒸剤のような蒸気圧が高いものは別のシナリオを考えるというようなことについても、将来的には検討をしなきゃいけないんじゃないでしょうかという、そういった提案というか、指摘というか、そういうことです。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 室長からもおっしゃられましたが、結構、水溶解度があって、それが気になるということであるかもしれません。
それでは、最後の総合評価を見ていただきまして、ADIは非常に低く設定されております。0.005㎎/㎏体重/日という、それから、計算される基準値が0.01㎎/Lという、そういう数字になっております。一応、農薬散布に基づくリスク評価として計算される水濁PECTier1は0.00043㎎/Lでありまして、保留基準値を超えることはないという、こういう総合評価になっておりますが、これ自体は、これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 どうもありがとうございました。それでは、特にご異議がないということで、あと少し提起された問題が二つあります。
一つは、環境中濃度はどうなっているかを調べて、そしてこの0.01㎎/Lというものと比べられたときに、自然由来がどうかということについてきちんとコメントができるようにしておいてほしいというのが一つです。
私の予想では、恐らく灌水の中にかなり高いものがある可能性があります。ご存じのように、ヨウ素というのは、地下水の中で結構見られます。それはなぜ起こっているかというと、もともと海藻類がヨウ素を集めて、それが地下の中で無機化して、通常はヨウ素-あるいはその他になっているのですが、その一部がヨウ化メチルで存在するというのはあってもおかしくないですし、それから、バイオメチレーションというのは環境で起こっている非常に広い反応でありますので、例えば海水中のヨウ素もメチル化されて大気中に出てという循環系を持っていますので、そういうのもあるいはあるかもしれない。ついでに分析について言いますと、ヨウ化メチルは、GCのECDにすごく感度が高いので、結構データがあるはずなのです。ということもありますので、それを含めて環境データについては少しウォッチをしていただくということにしたい。
 それから、山本委員から提示された問題は、揮発性のすごく高いものについては、水だけでいいのかという議論に行ってしまうことがあるかもしれませんし、とりあえず、こういう基準値をつくるときの勉強材料というか、それを少しこの際だから始めておいてはどうかということでいいかなと思いますが、勉強の仕方を含めていろいろお教えいただけると。
 本日の基準値の設定につきましては、全て原案どおりということになりましたのですが、これで、基準値設定の話は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、この一連のことにつきましては、事務局から今後の予定をご説明いただけますでしょうか。

【農薬環境管理室係員】 本日ご了解いただきました農薬の登録保留基準については、行政手続法の規定に基づき、今後パブリックコメントを1カ月ほど実施します。その結果、もし仮に何か意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度、農薬小委員会で審議を行うかどうかご相談して、ご判断いただくことにしたいと思います。
 再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得て部会報告となり、さらに中央環境審議会長の同意が得られれば、答申となります。そして、答申後、告示として基準値を公布させていただきます。

【森田委員長】 それでは、最後のその他という議題になります。議事のその他といたしまして、2件の案件がございます。
 最初に水産動植物の被害及び水質汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を及ぼすおそれが極めて少ないと認められる農薬の取り扱いについて、事務局からご説明をお願いします。

【農薬環境管理室係長】 それでは、資料6をお願いします。水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬についてということで、ご検討いただきたい農薬が1剤ございまして、インフェルアという農薬でございます。
2ページ目の別紙1をお願いします。今回のインフェルアなのですけれども、該当項目のところ「封入」となっておりまして、別紙3の参考の(6)の①、6ページ目にあります①の分類によりますと、アに分類される、封入に該当するものでございます。
具体的な使用方法としましては、ロープ状のディスペンサー(当該剤を封入したポリエチレンチューブ)を対象作物の上部に張り渡すという使用方法でございます。
4ページ目の別紙3の2の②に記載しております「暴露のおそれが極めて低いと認められる」に該当すると考えられることから、水産及び水濁の登録保留基準の設定は不要であると整理してよいと考えております。
ご検討をよろしくお願いします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
この件につきまして、委員の先生方、ご質問あるいはコメントがございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段、異議もないようでございますので、それでは、原案どおりにしたいと思います。
 それでは、その次、その他の二つ目といたしまして、非食用農作物専用農薬に係る水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定方針の案につきまして、事務局からご説明をお願いします。

【農薬環境管理室長】 それでは、資料7をご覧いただけますでしょうか。
前回の小委員会でこの資料につきましてご説明をさせていただいたところ、各委員の先生方から幾つかご指摘をいただきまして、それを踏まえて、今回、再度提案をさせていただいております。前回から修正した部分を下線で示させていただいております。
まず、前段の部分でございますけれども、染委員から、これまでの平成20年の設定方針の4、5をどうするかが明記されていないというご指摘がございました。そういったご指摘も踏まえまして、「このため」以下のところ、下線部を書かせていただいておりますけれども、従前の水濁方針の4、5につきましては、今回の方針に変えることを明記させていただいております。
 それから、名称ですけれども、1番、非食用農作物専用農薬に係る水濁基準のところで、非食用のADI、この名称がおかしいのではないかということで、眞柄委員からご指摘をいただきまして、「非食用農薬ADI」という形で名称を変更させていただいております。今日、眞柄委員はご欠席でございますけれども、事前に眞柄委員にもご説明をさせていただきまして、この方針の修正についてはご了解をいただいております。
 それから、2番目でございます。非食用農作物専用農薬安全性評価検討会の安全性評価の手続ということで、中杉委員から、実際にこの検討会での議論の順番のとおりにしたほうがいいのではないかというご指摘をいただきまして、厚労省の資料など既存の資料があればそれらを使いますというのが(1)、それから従前(3)でございました部分を、(2)に変えさせていただいております。慢性毒性等、申請者からデータがあった場合は、それを使うということ、現状でも非食検討会では、そういった形をしておりますので、その順番に合わせまして(2)という形にさせていただいております。
 それから、従前(2)であったものを(3)に変えさせていただいております。利用できるデータが亜急性の経口毒性等に限定されている場合には、原則として安全係数1,000という形で、現行の非食用の検討会での検討順に変更をさせていただいております。
 以上、修正させていただきました。ご検討をよろしくお願い申し上げます。

【森田委員長】 今、事務局からご説明がありましたこの件につきまして、ご意見ございますでしょうか。
 吉田委員、何かございますか。

【吉田臨時委員】 いえ。

【森田委員長】 他の先生方、いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 では、特段のご意見がないようでございますので、この事務局が出された案で、これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段のご異議はないようでございますので、それでは案をとらせていただくということにしたいと思います。
 それでは、本日の議題は一通り終わりました。そのほかの審議全体につきまして、ご意見等ございますでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特にないようでございます。
それでは、後は事務局にお返しいたします。

【農薬環境管理室室長】 本日も非常に数多くの剤について、長時間にわたってご審議いただきましてありがとうございました。
 以上をもちまして農薬小委員会を終了させていただきます。次回の第33回の委員会につきましては、年明け1月15日火曜日に予定いたしておりますので、ご出席の方、よろしくお願いいたします。
 本日は長時間のご審議、ありがとうございました。

(以上)