中央環境審議会土壌農薬部会 土壌汚染技術基準等専門委員会第7回議事録

1.日時

平成17年11月22日(火)14:00~16:27

2.場所

経済産業省別館825会議室

3.出席委員

委員長 森田 昌敏
委員 櫻井 治彦
臨時委員 中杉 修身
細見 正明
眞柄 泰基
専門委員 鈴木 規之
平田 健正
三木 博史

(欠席は、大塚委員、浅野臨時委員、佐藤専門委員、冨永専門委員)

4.委員以外の出席者

環境省

 坪香水環境担当審議官、鏑木土壌環境課長、尾川地下水・地盤環境室長、太田土壌環境課課長補佐、佐藤土壌環境課課長補佐

5.議題

(1)油汚染対策ガイドライン(案)について
(2)その他

6.配布資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会(第6回)議事録(案)
資料3 油汚染対策ガイドライン(案)
参考資料1 TPH試験法
参考資料2 対策技術参考図写真集((社)土壌環境センター提供)

7.議事

(太田土壌環境課課長補佐)
 それでは定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会土壌農薬部会第7回土壌汚染技術基準等専門委員会を開催させていただきます。
 本日は、浅野委員、大塚委員、佐藤委員、冨永委員より御欠席との御連絡をいただいております。また、三木委員それから坪香水環境担当審議官におきましては、所用によりまして会議の途中で退席させていただきますことをあらかじめ御了承願います。
 それでは、まず本日の配付資料につきまして御確認いただきたいと思います。議事次第の配付資料の一覧に沿って資料番号順に御説明させていただきます。
 まず資料1といたしまして、本専門委員会委員名簿、資料2といたしまして前回の本委員会の議事録(案)、資料3といたしまして油汚染対策ガイドライン(案)。参考資料でございますが、参考資料1といたしましてTPH試験法、参考資料2といたしまして対策技術参考図写真集で、本日お配りいたしました資料は、以上でございます。過不足等ございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。よろしいでしょうか。
 それでは、これ以降の議事進行を森田委員長にお願いしたいと思います。森田先生、よろしくお願いいたします。

(森田委員長)
 早速ですけれども、これから議題の方に入りたいと思いますが、本日はガイドライン(案)というのを御議論いただくことになっております。それを議論する前に、まず前回の議事録の確認をしておきたいと思います。
 前回の議事録につきましては、事前に事務局の方から各先生方にお配りをしておりまして、御確認をいただいたものを本日お配りをしております。しかしその後お気づきになった点でさらなる修正がもしございましたら、御確認をしたいというところでございますが、いかがでしょうか。特段の修正なしということでよろしいでしょうか。

「なし」

(森田委員長)
 特に声が上がらないようでございますので、とりあえず修正なしということで確認ということにしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

「了承」

(森田委員長)
 ありがとうございました。それでは、早速ですけれども、議事の方に入りたいと思います。
 議題の1番目、油汚染対策ガイドライン(案)についてであります。これが本日の一番重要なポイントになりますが、資料3がございますので、資料3に基づきましてまず事務局の方からご説明をお願いしたいと思います。このガイドライン、構成が目次として第一から第四までになっておりますし、そのほかにやや各論的に議論されておりますので、構成及び内容のまず全体像についての御説明をお願いいたします。

(鏑木土壌環境課長)
 それでは、御説明をさせていただきます。説明が長くなりますので、失礼して座らせていただきます。
 まず1ページ目といいますか、最初の表紙でございますが、ここに目次がございます。ここで全体の構成をまずお話させていただきますが、最初に「はじめに」というのがございます。第一として本ガイドラインの基本的考え方、第二といたしまして油汚染問題に対する対応の考え方、第三が状況把握調査、第四が対策、こういう組み立てになってございます。第一につきまして、2ページから始まりますが、その前に、めくっていただきまして1ページ目に「はじめに」がございます。ここからお話をさせていただきます。
 この「はじめに」で書かせていただいておりますのは、前回の専門委員会で眞柄委員から石油というのはもう、あちこち使われている。鉱油類というのはさまざまな種類があって、日常生活から切っても切り離せない状況にあるということがございました。そのことをまず書いてございます。それから二つ目の段落のところでございますが、油はとても幅広い用途に使われていて、いろんな場面で使われている。したがって、それを扱っている人の中には、例えば製油所で働いておられる油のプロもいらっしゃるし、そうでもない方もいらっしゃる。そこで、三つ目の段落の「例えば」ということでございますけれども、真ん中あたりの3行目の「一方、」というところでございますが、油を日常的に使っている人たちであっても、地面に油臭があるとか、そういうときに何をすればいいか、どうすればよいのかが分からないということになるかもしれないというような背景を書いてございます。
 それから、切れ目のあるところの一つ上の「そこで、」という段落でございますけれども、このガイドラインとして何をつくろうとしたかという考え方を書いてございまして、このガイドラインは、油そのもの、油臭や油膜といった問題、あるいは土壌汚染の対策技術などに関する知識や技術情報に日ごろ触れることがない多くの事業者の皆さんに、油漏れなどで油を含む土ができて、その場所が油臭いとか敷地内の井戸水に油膜があるとかというときにどのようなことをすればよいのか、そのヒントを与えたいと考えて作ったということを書いてございます。
 次の固まりの段落でございますけれども、油を使う工場は様々ありますし、使っている油の種類も様々ある。さらに油は土に漏れてから変化いたしますので、土地の油臭などの油汚染問題の処方箋というのは、どんな現場にも全国共通画一のものでよいということはない。地形などの状況とか、土に含まれている油の状態とか、地面の臭いに敏感にならざるを得ない土地の使い方かどうかとか、使っている井戸水があるかどうかなどを見て、現場に合った対応策をとるということでございます。このため、このガイドラインに何らかの基準値や規制値のようなものが決められているわけではありません。さらに油の感じ方、油は現場に漏れている状態で様々な変化もしておりますし、多様性があるということで油臭や油膜を総体としてとらえることができる人の感覚、人が感じるかどうかに基本を置いているということを述べております。
 早速でありますが、2ページ目の本ガイドラインの基本的考え方、こちらにまいります。四角の中でございますが、四つございます。まず本ガイドラインは鉱油類を含む土壌に起因して、その土壌が存在する土地の地表、あるいはその土地にある井戸の水や池・水路等の水に油臭や油膜が生じているときに、土地の所有者等が、その土地においてどのような調査や対策を行えばよいかなどについて、基本的な考え方と、取り得る方策を選択する際の考え方などを取りまとめたものでございます。
 油臭や油膜を生じさせる鉱油類には様々な種類があって、成分も多くて、また環境中で性状も変化いたします。そのため土壌中の鉱油類全体の濃度や、いずれかの成分の濃度によって油臭や油膜の程度を一律に表現することはできない。そのため、人の感覚によって総体としての油臭や油膜をとらえるということを基本としております。
 油臭や油膜の感じ方に影響する土地の利用方法、鉱油類を含む土壌が存在する土地における井戸水等の利用状況、周辺の土地や井戸水等への影響のおそれなどの現場ごとの状況に応じた対応方策の検討に活用できるものとしております。
 本ガイドラインの記述に当たっては、一般的な工場・事業場の敷地や市街地を想定しておりまして、線路・道路等の施設での対応、タンクローリーの転倒などの事故直後の対応、水道管や下水道管への油の進入などへの対応などにつきましては、本ガイドラインに記述した調査・対策の検討に当たっての考え方をそのまま用いることは適当ではないと、このような4点を四角の中に挙げております。
 その下に書いてございますのは、それをさらにブレークダウンした内容になりますが、これは前回の専門委員会でお示しをいたしましたガイドラインのイメージというものを基本的に使っておりまして、この油汚染問題の定義はそのまま同じでございます。(2)の鉱油類による油臭や油膜の特徴とそのとらえ方ということなんでございますけれども、次のページ、3ページに一体主な石油製品というのはどのような物性と用途があるのか、それから製油製品の沸点範囲と炭素数というのはどういうものなのかという参考図を図1、図2といたしまして、これは財団法人の石油産業活性化センターがおつくりになった石油汚染土壌の浄化に関する技術開発の報告書の中から、それをもとに作成をした図、二つでございます。このようにさまざまな石油製品があり、用途があり、それはさまざまな炭素数のところに分布しておりますけれども、図2をごらんいただきますと、炭素数の少ないもの、ガソリンとか灯油、軽油がございますが、炭素数の多いものとしてはアスファルトとか重油、潤滑油とか、そういうようなものがございます。
 前回の専門委員会でも、これもまた眞柄先生からの御指摘でございましたけど、アスファルトというのはもうかなり再利用などが進められているし、実際、油臭とか油膜とかいった場合に生活環境保全上の問題というようなことを考えた場合には、むしろ炭素数の多いアスファルトとかというものよりは、灯油とか軽油とか重油とか、そのあたりのものを考えるということを御示唆いただいたわけでございまして、そのようなことがわかるような炭素数と沸点の図にしております。
 また2ページの方に戻らせていただきまして、1の(2)[1]が今申し上げたようなことであります。[2]でございまして、一番下でありますが、油汚染問題の原因となっております油含有土壌に含まれる鉱油類、これは1種類とは限らないということでございますし、環境中で酸化・還元などによって性状が変化し、経時的な性状変化の程度は多様であるということでございます。
 これは4ページに続いておりまして、そのため、油含有土壌に起因する油臭や油膜の程度というのは、新しい鉱油類がそれぞれの種類と濃度に応じて生じさせる油臭や油膜の程度とは異なるということでございます。経時的な性状変化を反映いたしまして、油含有土壌中の油濃度によって一律に表現できるというものでもないということでございます。いろいろな種類、それから成分、それと性状変化、いろいろございますし、四角の中でも書かせていただきましたけれど、濃度で油臭や油膜がはっきりわかる、一律に表現できるというものでもない、ということでございます。
 [4]でありますが、地表や井戸水等に油臭や油膜があると感覚的に把握できたとき、これはその成分の分析を待つまでもなく、不快感や違和感があるということなどの生活環境保全上の支障となると考えております。そのようなわけで油臭や油膜を生じさせている鉱油類の様々な状態を総体としてとらえる人の感覚であります嗅覚と視覚で油臭等を把握するということをまず基本とした、ということを述べております。それから[6]は、これは前回も御説明しましたが、動植物油類についてはこのガイドラインの対象外としているということでございます。
 (3)にまいりまして、(3)は油汚染問題の発見の契機ということでございます。油汚染問題は、これは5ページに概念図がございますが、地上とかあるいは井戸の水、あるいは池の水などに油臭や油膜が見られるというこの図3の(a)、これが敷地内で起きるような問題、これを土地の所有者等がどのように対応するかと、こういうようなことがこのガイドラインの主な中身ということでございます。4ページにまた戻りまして恐縮ですが、(3)の1)[1]ですが、本ガイドラインは、主に、今ごらんいただきました図3の(a)に示しますように、油含有土壌が存在する土地の地表で油臭や油膜が生じているとき、あるいはその土地にある井戸水等に油臭や油膜が生じていて、その土地の所有者等がその土地においてどのような調査や対策を行えばよいかなどにつきまして、基本的な考え方と、取り得る方策を選択する際の考え方などを取りまとめたものであるということを書いてございます。
 これまた図4というのが6ページにございますが、これも前回のイメージの中でお示ししたものをベースにしております。前回お示ししたものと若干変えたところがございます。一つはこの図4の一番右の下のところに「関係者への説明、協議等」というのがございます。前回ここに「リスクコミュニケーション」という用語を入れていたのでございますけれども、前回も御説明しましたようにリスクコミュニケーションというと、どうしても健康リスクである、今の土壌汚染対策法の対象としているもの、これを想起してしまうので、今回そういう用語を余り注意せずに使うといけないのではないかという御議論もございまして、そこでここを「関係者への説明、協議等」というふうに変えさせていただいております。
 それから、この「契機」というところでございますけれども、契機につきまして前回御説明をしたときは油汚染問題に対応する契機というような意味合いで、「契機」という言葉を使っていたわけでございます。けれどもよくよく考えてみますと、これは中杉先生からその後また御指摘をいただいてなるほどそのとおりと思ったんでありますけれども、これは発見の契機であるということで。そういたしますと「当該土地の地表又は井戸水等に油汚染問題を認識」するという、そういうものの下にありましたもの、これは「周辺地の地表又は井戸水等に油汚染問題があるとの指摘」というのが前からあったわけでございますけれども、これはそのような指摘があって指摘が妥当であると判断をすると。そのあと上にまいりまして、確かにこの土地にそのような油汚染問題があるのだということを認識するという箱の中に入ってくると。そういう流れだろうということで、矢印の入る場所を変えました。それから「指摘が当を得ていない」という場合もあるわけでございまして、そのような場合は「環境行政担当者等が行う原因を究明するためのヒアリングや資料収集に協力」をするのだということで、ここを直しております。また元に戻らせていただきまして4ページでございますが、そのようなわけでこの油汚染問題の発見の契機といたしまして想定している主な契機、これは先ほど申しましたように[1]に書いてあるようなものであるということであります。
 それから、1)の[2]でありますけれども、「井戸水等」という言葉でありますが、これは飲用井戸とか散水等の雑用に用いる井戸等の井戸の水、あるいは修景用の池の水、敷地内の水路を流れる水などを想定しております。工場・事業場の敷地の中には排水処理施設があって、油水分離層がある、この中の水というのは当然に油臭や油膜があるということでございますから、そのようなものを想定したわけではないということを、入念的に書いてあるということであります。
 その他の契機として、先ほど御説明いたしました周辺の土地又はその土地にある井戸水等を使用する人たちから、「自分の土地で油汚染問題が生じている」と。この油汚染問題というのは、鉱油類を含む土があって、つまり油含有土壌に起因いたしまして、油臭や油膜があることです。自分の土地で油臭や油膜を生じさせている油含有土壌があって、油臭や油膜が生じている。だけども、自分は油を使っていない。この原因はあなたの土地に存在する油含有土壌にあるのではないかという指摘を受けると。その指摘が当を得たものであると判断をして、みずからの土地の油汚染問題を認識すると。そういう油汚染問題発見の契機もあるのではないかということを書いてございます。
 これは口で言っているとわかりにくいので、5ページの図3の(b)というのをごらんいただきますと、左側にあります「敷地内」と書いてありますところに、地下のタンクを描いてございます。このようなところから油が漏れたとして、それが地下水を通って、隣の、これは人家の絵でございますけれども、住宅の使っている井戸水に油臭や油膜を生じさせた。あるいはがけの下にあります人家の地表に出てまいりまして、油臭や油膜がそこに見られると。こういう油臭や油膜が「敷地内」と書いてあるところの油汚染問題の発見の契機になるというような絵でございます。
 また4ページに戻りますと、このガイドラインは油臭や油膜による生活環境保全上の支障が生じている土地における油含有土壌についての調査や対策の方法を提案しているわけでございますが、同時に、5ページの図3の(b)のこの人家におきまして油臭や油膜があったときにどうすればいいかということを考えるときの参考にもなるのではないか。ただメインは(a)のような絵の対応であると。こういうことを書いてございます。
 それから7ページにまいりまして、一方で想定していない契機というのもございます。これも前回御議論いただいたところでございますけれども、実際、土壌汚染、土壌環境ということで考えてみますと、油汚染問題の原因となる鉱油類が地下水等によって移動してきて、移動してきた場所で何か油汚染問題を引き起こすというと、それはこのガイドラインの対象になってこようかと思います。
 一方、5ページの図で申しますと「敷地内」というところで書いてあるところの油臭として空気中に出たものがにおってきたというようなこともあるかもしれない。ただ、何か空気中を漂ってくるにおいがあったというときに、一体その原因が何であるのか、あるいはそれをどう考えたらよいのかということについては、これはなかなか難しい問題だろうと考えております。
 こういうようなもの、油らしきにおいがある、だけど実際自分の土地には、このガイドラインで言えば油汚染問題は起きていない。そんなときの隣の敷地あるいはもっと遠くから油らしきにおいが空気中を漂ってきたというような場合の評価方法や防止対策等については、このガイドラインでは記述しておりませんし、それはなかなかまた難しい。事業場からの悪臭の防止という専門の分野での対応が必要だというふうに考えておりますので、それについてはこのガイドラインで記述している油汚染問題の発見の契機として取り扱っておりません。
 なお、地方公共団体の環境行政担当者等が近隣で生じている油臭問題の原因究明のためにヒアリング調査とか資料収集等を行うという、そういう場合も考えられるわけでございます。そのような場合は事業所内における鉱油類の管理状況などの情報を提供するなどの協力を行うことが望ましいとさせていただいております。
 次に、本ガイドラインの策定の背景とねらいでございます。この背景に書いてございますのは、前回御説明をした平成13年に環境省が土壌環境センターに発注して行ったアンケート調査のことをまず書いてございます。この時点ではまだ土壌汚染対策法がなくて、土壌中に油が存在するか否かの調査を受注しますと、これは「油汚染」の調査であるというふうに回答している事例が多かったわけでございます。また、同じアンケート調査では、調査や対策を行う上での寄る辺となる目標が設定されていないということが現場の企業の問題意識として示されているということでございます。この当時は、ベンゼンのような有害物質による健康リスクの話なのか、油臭等による生活環境保全上の支障なのか、それについても明確に区分されないというままに土壌の「油汚染」と認識されました。そのため、具体的なリスクや支障がなかったとしても、鉱油類を含む土壌が存在しないようにするということ以外の目標は設定しにくかったという、そういうことではなかったかと考えられます。
 土壌汚染対策法ができましてどう変わったかということでございますが、[4]にございますように、土壌汚染対策法というのは健康リスクという新しい考え方を導入した法律でありまして、この健康リスクのところの括弧内に書いてございますが、これは有害性×暴露可能性です。有害物質を含む土壌であっても、その有害物質に人が暴露されなければ健康リスクはないんですという考え方でできているということでございます。また[5]でありますが、鉱油類の成分となっている化学物質に係る人の健康保護という観点からの土壌汚染対策、これにつきましては、ベンゼン等の有害化学物質については、特定有害物質として必要な調査対策の枠組みが既にできているということでございます。8ページにまいりまして、今後とも個々の化学物質について科学的な知見を集めて、必要な場合は規制項目の追加というような措置ができるということでございます。
 ところが油臭や油膜ということになりますと、これは感覚的に把握できたときには成分の分析を待つまでもなく不快感や違和感があるということになってしまう。そういう生活環境保全上の支障が認識できるわけですが、どのような調査や対策を行えばこの支障を除去できるかについてはこれまで示されてきていない。そこで本ガイドラインのねらいでございますが、そのようなことについての対応をしようということでございます。
 (2)[2]にございますが、本ガイドラインでは油臭や油膜といった生活環境保全上の支障の除去を対象とすることとしたと。油含有土壌の存在自体ではなくて、それによって生じている油臭や油膜を対象としましょう。地下水があっても井戸水等として利用されていない、油臭等が問題となっていないということであれば、油汚染問題としてとらえるということではないというようなことを書いてございます。
 それから3番に、本ガイドラインの活用の場面と留意事項ということでありますが、このガイドラインはどういうときに使うということを想定しているかということであります。
 まず[1]ですが、本ガイドラインは、油汚染問題があったときに、その土地の所有者等が土地の利用方法や、敷地内での井戸水等の利用の状況、周辺の井戸水等への影響のおそれなどの現場ごとの多様な状況に応じた対応方策の検討に活用するということを想定しております。この対応方法は現場の状況に応じて個別に検討するということになりますし、またそうでないとなかなかその対応がうまくいかないということでありまして、いかなる現場にも画一的規制的に用いることができるようなものとしてこのガイドラインをつくるという考えではありません。
 また、本ガイドラインにおいては、嗅覚などの感覚を補完するための手段として、後ほどまた御説明をいたしますが、全石油系炭化水素、「TPH」というものを用いましょうということにしておりますが、この数値、TPH、分析すればそれは出てくるんでありますけれども、その数値も土壌環境基準や土壌汚染対策法に基づく指定基準のような使い方をするのではなくて、それぞれの現場における調査や対策において通用する目安として見るべき数値として考えております。
 その次のページですが、このように、本ガイドラインは、現場の多様な状況に応じて油汚染問題への対応を円滑かつ的確に実施できるように、参考となる考え方それから調査や対策に係る技術情報などをわかりやすく提供するものとなるように、また、油汚染問題があった土地の所有者等が、その周辺の土地の所有者等に説明等を行う場合にも参考として活用できるようなものとすることを意図して作成をしたということであります。
 実はこの2行目にあります「調査や対策に係る技術情報等をわかりやすく提供する」と言っているこの「技術情報等」につきましては、まだ本日の案では、作業の途中にございまして、余りこれは盛り込まれておりません。これにつきましては、図とか表とかを使いましてわかりやすい資料をつくりたいというふうに思っておりまして、それを先取りしたような格好で、そのようなものをわかりやすく提供するものとなるようにしたいということを書かせていただいております。
 それから、留意事項であります。まず想定しているケース、想定していないケースでありますが、このガイドラインの記述に当たりましては、一般的な工場・事業場の敷地とか市街地を想定しております。したがいまして、例えば油を塗った線路、これは保守のために油を塗るというようなことがあるのではないかという御指摘が前回ございました。保守のために油を塗った線路とか、アスファルト舗装をした直後の道路、こういうものの油臭などについての対応とか、タンクローリーの転倒などの事故直後の対応とか、水道管や下水道管への油の進入への対応、こういったものにつきましては、本ガイドラインに記述した調査対策の検討に当たっての考え方をそのまま用いることは適当ではないというふうに考えております。
 本ガイドラインには、化学物質による人の健康リスクの防止という観点は含まれておりません。例えば鉱油類を中心とした使用済み油に含まれる有害化学物質については、このガイドラインによる対応を行うか否かにかかわらず、土壌汚染対策法でありますとか、条例等に基づきまして必要な措置を講ずることが必要であるということでございます。
 次に、例えば、新たな土地利用を行うために土地の改変工事を行う、建物の基礎工事を行う、そういう際に油臭や油膜が地下から発見されるというようなこともございます。こうした場合、周辺に影響を及ぼすおそれがなくて工事のために掘削した場所はすぐに埋め戻してしまうというような場合、このような対応は土地利用が続けられる地表部の油汚染問題の対応とは異なるものとなるということを想定しております。これまた後ろの方で出てまいります。
 それから、本ガイドラインが対象とする油臭や油膜には、生活環境保全上の支障の除去、これは使用される土地の表面や井戸水等の使用している水について行うということでございまして、油臭や油膜の問題を生じさせていない鉱油類の存在そのものの除去は対象としていないということでございます。
 ただ、先ほどの基礎工事のときに出てきた油臭や油膜、これについてもどういうふうに埋め戻せばよいかというようなことを考える際に、本ガイドラインで対象としております、例えば地表に出てきたときに盛土による油臭の遮断をするというときの考え方は、これは参考として活用できるのではないだろうかというようなことを書いてございます。
 それから、油含有土壌がある土地の周辺の土地における対応であります。このガイドラインでは油含有土壌が存在し、かつ油汚染問題が生じている土地というのは、以下「調査地」という名前で呼んでおります。その「調査地」というのは、ある土地の広い敷地があったとして、一部分で油含有土壌があって、そこで油臭や油膜がある、その場所が「調査地」ということであります。その調査地がある土地の敷地内全体において行う地表や井戸水等の油臭や油膜への調査・対策について述べてございますが、その敷地の周辺における調査や対策については直接的には言及しておりません。
 その周辺の土地にも油が行って、そこが調査地となるということになりますと、また調査地についての調査・対策の内容に戻ってくるということでございます。
 [8]でありますが、調査地における油汚染問題の原因となっている鉱油類が、調査地がある土地の敷地の周辺の土地あるいはその周辺の土地の井戸水等に影響を及ぼすおそれが大きい場合、この場合には周辺の土地に拡散させないようにするためにガイドラインの活用、これができるようにしたいということでございます。
 次は、現場の状況に応じたフレキシブルな対応ということであります。繰り返しになりますけれども、油汚染問題の対応というのは現場ごとにその状況に応じて行うことが必要だということで、このガイドラインはいかなる現場にも画一的規制的に用いることができるものとして作成したものではないし、何らかの基準値や規制値のようなものを決めているものでもないということであります。そのような特徴を踏まえると、もし仮に地方公共団体の方が油汚染問題があった土地の所有者などから、あるいは住民の方から相談を受けた場合にも、そのような特徴を踏まえた対応が必要なのではないでしょうか、つまりはこのガイドラインが規制的な制約とならないように自主的な取り組みをむしろ促進するということも必要なんじゃないでしょうか、というようなことを書いてございます。
 それから11ページにまいりまして、油汚染問題に対する対応の考え方、これが「第二」でございます。四角の中でありますが、油汚染問題に対する対応の基本は、地表や井戸水等の油臭や油膜という、人が感覚的に把握できる不快感や違和感が感じられなくなるようにすることでございます。鉱油類には種々の種類がございますし、油汚染問題を生じさせている油の状態も様々でございます。油の濃度が同じでも油臭や油膜の状況が異なるということでありまして、油含有土壌に起因する油臭や油膜の把握、これは嗅覚や視覚といった人の感覚によることを基本として、それらを補完するものとして、関係者の共通の理解を得るための手段としてTPH濃度を使うという考え方で書いてございます。
 調査地の土壌が含む鉱油類が油汚染問題の原因であるということが判明いたしましたならば、調査地の履歴とか設備等の状況とか、それから敷地内の他の場所や井戸水等における油臭等がないかどうか、こういうものを調べまして、油臭等が生じている土地の範囲を特定するというようなことをする。これ全体を状況把握調査というふうに考えております。油汚染問題に対する対策は、問題の状況とか土地の現在の状況、その土地の現在の利用の目的や方法、それから予定されている利用の目的や方法によって適切に選択するということが必要でございます。
 地表での問題に対しては、例えば盛土、舗装などによる油臭の遮断、油膜の遮蔽、井戸水等の問題に対しては、遮水壁やバリア井戸による油臭や油膜を発生させている油分の拡散防止、こういうものが基本的な対策となるだろうということでございます。
 それから、6番目は違う話ですが、油汚染問題の発見から調査、調査結果を基にした対策の検討、対策効果の確認までの対策の内容などにつきまして、それらを記録して保存しておきます。そのことが関係者への説明や協議にも役に立ちますし、発見の契機から対策完了までの間、必要に応じてそのような説明・協議を行うことが油汚染問題の円滑な解決に有効であろうということを書いてございます。
 これまたブレークダウンして下の方に書いてございますけれども、まず対応の目的ですが、現在及び予定されている土地の利用状況に応じまして、油臭や油膜による生活環境保全上の支障を除去することを目的として行う。不快感や違和感がそれでありますから、それらが感じられなくなるようにするということです、これが対応の目的です、ということであります。
 対応のフローでありますが、これは前回のイメージにありましたようなことなのですが、まず鉱油類によるものであるかどうかの確認、油臭や油膜がありましたといってもそれが鉱油類かどうかの確認をする。それから、この確認の後、12ページにまいりまして、調査地における油臭・油膜の発生状況、同一敷地内の状況、これを把握する現地調査とか、土地の履歴調査とか設備等の状況などの資料等調査、さらにそれらの調査によって得られた情報を整理・解析して対策を検討するスキームを設定する。こういう様々な調査メニュー、これを状況把握調査といたしまして、このガイドラインの「第三」に書いてございます。
 状況把握調査としてどんな項目をやるのか、あるいはどんな内容をするのかということにつきましては、油汚染問題の程度とか土地利用の状況、あるいは方針によって異なり、また調査地に関する既存資料の入手の容易さによっても異なります。現場の状況に応じて状況把握調査としてどのような項目及び内容の調査を行うかを判断しなければならぬということでございます。またその状況把握調査を通じまして得られた情報、これは対策検討スキームまで、状況把握調査の中で役立てるということでありますが、これを基にしまして現在の、あるいは予定されている土地利用の目的や方法に応じた対策の方針を立てて、計画的に対策を行っていくと。それらのことを記録保存しておくと。こういう流れであることはイメージでお示ししたとおりであります。
 それから3番の油汚染問題であるか否かの確認と油汚染問題の程度の把握ということであります。人の感覚によって油汚染問題を総体としてとらえましょうということなのですが、ただ、人の感覚でございますので、関係者それぞれが私はにおう、私はにおわないということもあるかもしれませんし、第一、油汚染問題の原因が鉱油類かどうかという確認も必要でございます。そこで[3]でありますが、状況把握調査におきましては、油汚染問題の原因が鉱油類かどうかの確認、それから油含有土壌の存在範囲の把握という二つの場面でTPH濃度というのを使ってはどうかということを想定して書いてございます。
 [4]でございます。これは後ほどまた別に御説明いたしますが、TPHの試験法という参考資料を別に用意しております。TPHの試験法としては様々な方法がございます。それぞれに特徴があります。油汚染問題の原因が鉱油類かどうかの確認を行う際には、これはGC-FID法によるTPH試験で得られるクロマトグラムの形状とか、TPH画分毎の濃度組成による推定で行うとよいと考えております。一方、油含有土壌の存在範囲の把握ということになりますと、まず最初にGC-FID法を用いて得られた鉱油類の情報とか、調査地において使用した鉱油類に関する情報などを参考としまして、現場の状況に適したTPH試験法を選択して用いるとよいのではないか。ただ、様々な試験法があるといいましても、それをしっかり、どのような試験法を用いてTPH濃度を得たか、これは非常に重要な情報でございます。そこで、13ページにまいりますが、どの試験法を用いてTPH濃度を得たかにつきましては、その後の状況把握調査結果の整理とか解析に不可欠でありますし、対策段階で追加的な対策調査を行う場合にも必要な情報でございますので、記録して保存するということを書いてございます。
 次に、土地利用の目的や方法に応じた対応ということでございます。冒頭、その土地利用によっていろいろ考え方が変わってくるでしょうということを申しておりました。これは油臭や油膜というのは人の感覚でとらえられるものでございますから、油汚染問題がある土地の土、それと土地を使用する人との位置関係、土地の使用方法によりまして、地表面での油臭や油膜が問題となる程度が異なってくると考えております。
 具体的に言うと、例えば[2]でありますが、裸地で使用することを前提として、子供が土で遊ぶということを想定しなければならない、これは当然そういうことを想定しなければならない児童公園などでは、地表に寝転んでも油臭がしないような状態を達成して、それを長期的に維持管理するということが対策目標として設定されることが考えられます。一方、公園等のような、公の管理というのは期待できない用途、追加的な対策が後ほどになって必要になっても、その対応は難しい用途、例えば戸建て住宅の用地としてその油汚染問題がある土地を売却するとなると、そのような場合には売却後に掘削などの形質変更が行われても油汚染問題が出てこないように、油含有土壌を掘削して除去したり浄化したりするということが対策目標として設定されることが考えられます。
 一方で、一般の都心部の事務所や駐車場用地のように、ビルを建てる、あるいはコンクリートで覆って用いる、そういう土地の利用方法でございましたならば、コンクリートで覆ったところの下に油含有土壌があっても、土地を使用する人が油臭や油膜を感じないという場合もございます。このように、同じ状態の油が同程度含まれている土壌であっても、土地の利用方法によって油臭や油膜がどの程度問題になるかというのは異なってまいります。こういうことから、土地利用の目的や方法によって、対策方法を適切に選定するということが必要となると考えられます。
 井戸水等の油臭や油膜でございますが、調査地がある土地の敷地内の井戸水などにつきまして、そこに油臭や油膜があるというのは油汚染問題発見の契機もあります。
 対策の目標としては、そのような油臭や油膜を除去することとか、可能であれば井戸等を廃止するとかということが検討されることが想定されます。鉱油類が地下水によって周辺に拡散しないようにするということも対策の目標になると考えられます。
 一方で、地下水があっても、それが井戸水等として利用されていない土地のモニタリング用井戸、こういうところで油臭や油膜が発見された場合、これは地表の油臭や油膜などの他の油汚染問題が生じたり、地下水中の鉱油類が公共用水域を汚染するおそれがあるような場合は別といたしまして、特別の対策を講じる必要がないということが想定されます。
 また、新たな土地利用を行うための工事の際に油臭や油膜が発見されるというようなこともございます。このようなときは、次の工事工程で、例えばコンクリート床版が施工されたり掘削された場所が埋戻されるということによりまして、油臭が遮断され油膜も遮蔽されるということであれば、敷地内で井戸水等の使用がなく、周辺に影響を及ぼすおそれも考えられないという場合は、別途特別の対策を講ずることが必要ないということになろうかと思います。
 「第三」の状況把握調査でございます。まず四角の中でありますが、状況把握調査は、土地の所有者等が、所有している土地の地表又は井戸水等に当該土地の油含有土壌に起因した油汚染問題が生じていると認識した場合に行うということでございます。内容は、今まで申し上げましたように、鉱油類であるか否かの確認、それから対策の要否、内容等の検討に必要な情報を取得し整理するということでありまして、現場確認からの一連の調査項目についてやるわけですけども、状況に応じて必要な項目の調査を行えばよいということでございます。
 下にまいりまして、現場確認の際まずやらねばならぬことは、油汚染問題があり、油臭や油膜が鉱油類に起因するものであるかどうかのTPH試験による確認。それと、資料等調査によって、ポツが三つほど並んでおりますけれども、調査地における鉱油類の取り扱いの履歴とか油種、取扱設備の設置状況、管理の記録等、調査地の地質、地層、地下水の存在状況や流向、調査地における過去の油汚染問題の履歴など、これを調べて、それをもとに現場踏査をしまして、油汚染問題の発生状況と人の感覚によって概括的に把握をします。
 あわせて、[4]でございますけれども、調査地がある敷地の油汚染問題の全体の状況を把握する。つまり、地表で油臭があったときに井戸水等はどうか、あるいは井戸水等に油膜があったときに地表はどうか、このようなことについて把握する。
 2番で油含有土壌の存在範囲の把握等ということでございます。これも平面方向と深度方向に油含有土壌の分布状況を、現地踏査による人の感覚と、補完する土壌TPH試験によって概括的に把握します。油臭や油膜の原因となっている油含有土壌は、平面的にあるいは深度的にどのぐらい分布しているのかというようなことの把握ということであります。
 16ページにまいりまして、その際児童公園などのように利用者が地表の土に触れることが想定される土地利用については、地面のすぐ上で油臭があるかどうかという観点で、油臭があるかどうかを調べることになるだろう。その他の土地利用では、大人が立った状態で歩けば油臭があるかどうかということが認識されて、土地利用にもそれは応じたものになるだろうというようなことを書いてございます。
 [3]でありますが、調査地がある土地の敷地内の井戸水等においても油汚染問題が生じているという場合には、その原因となっている油含有土壌の存在状況につきましても、データをとったりいたしまして把握するということでございます。その次の[4]でありますけれども、周辺に油汚染問題を生じるおそれが大きいか否か、これを敷地境界における地下水の状況等の情報をもとに把握をするということで、把握する主な情報につきまして、その次にまた並べております。
 なお、[5]でありますが、井戸水等に油汚染問題が生じているのに地表には油汚染問題が生じていない、かつ、資料等調査によって敷地内では油の使用履歴がないということがわかったという場合は、油汚染問題の原因がその敷地の外にあると推定することが妥当な場合ということになるのだろうというふうに考えております。
 その次に対策を検討するスキームの設定でありますけれども、これはこの状況把握調査の最後の段階になります。今まで調べてきたことをもとにいたしまして、土地の利用方法をもとにどのようにやるのがよいか。[2]でございますけれども、2行目のア)というところですが、対策を検討する対象となる油含有土壌の範囲の設定、周辺の井戸水等への影響を意識した対策の必要性の検討、現状及び今後の土地利用方法から想定される対策方針の制約条件等を整理いたしまして、調査地における対策の検討スキームとしてとりまとめるということになろうかと思います。このような状況把握調査結果のみならず、当該調査を行うことを通じて得られたデータや資料につきましては、対策の検討が必要となった際に参照できるように、また、対策後に保存する記録の作成に用いることができるように、現場確認の段階のものから経時的に整理して保存するということでございます。
 最後、「第四」の対策であります。まず四角の中ですけれども、対策は、調査地においてその土地利用状況に応じ、油含有土壌に起因して生ずる油臭や油膜による生活環境保全上の支障を解消することを目的として行う。例えば、一般の工場・事業場の敷地などにおきましては、舗装などによる地表の油臭の遮断、油膜の遮蔽、井戸水等に油臭や油膜を発生させている油分の拡散防止が基本となります。しかし、特に戸建て住宅や公園など、土地を裸地のまま利用することが普通である土地利用につきましては、油臭や油膜の原因となる油含有土壌の掘削除去や浄化が必要となる。あるいは、裸地ではない土地利用方法への変更も考えられるかと思います。対策に当たりましては、まず、土地利用方法に応じた対策方針を策定して、計画を立てて計画的にやっていきます。その計画の立案、あるいは方針の策定の際には、必要があれば補完調査も行います。対策後には記録の保存というようなことも必要でしょう。また対策内容や土地利用方法に応じてですが、もしモニタリングが必要であれば、そういうものをしていくのでしょうということを書いてございます。
 対策方針の策定、これは対策目標の設定と対策方法の選定と、それから対策調査の実施というそういう流れを書いてございます。対策目標の設定としてはまず調査地内の油含有土壌についてのみやればよいのか、調査地のある敷地内の井戸水等についても対策が必要か、周辺の井戸水等を意識した対策が必要かなどの基本的な要件を踏まえて対策目標を設定しましょうと。対策方法の選定ですが、これもまた、今までいろいろ調べてきたようなことをもとにいたしまして、土地利用の方法に応じた対策方法は何か、その方法の他に代替案があるのか、候補となった対策方法ごとの費用対効果はどうか、対策後の土地の状況が土地利用上の障害とならないか、地形・地質の関係から見て施工性に問題はないかなどにつきまして検討して、油臭や油膜を適切に解消でき、かつ、効果的で経済的に合理性が高い対策方法を選定する。これは、例えば一般の工場・事業場の敷地などにおきましては、舗装とか油分の拡散防止ということが基本でしょう。18ページにまいりまして、しかし、特に、戸建て住宅や公園など、土地を裸地のまま利用することが普通だという土地利用につきましては、これまたちょっと考え方が違って、油臭や油膜の原因となる油含有土壌の掘削除去や油含有土壌中の油分を分解あるいは抽出する浄化が必要となるんじゃないでしょうか。
 このような浄化等をする場合の中でもまた二つに分けていまして、公的な管理を行える、追加的な対策が必要となったときにそれを行うことが可能な土地利用、この場合には油臭や油膜による生活環境保全上の支障が解消される程度の深さあるいは広さについて浄化等をすればよいのではないか。一方で、一発勝負といいますか、戸建て住宅などのように公的な管理が見込めないという土地利用の場合は、特段の管理を行わなくても長期的に生活環境保全上の支障が生じないようにすることができるように、例えば油含有土壌を通常の土地利用で露出しない程度まで掘削して除去するということによって、必要な範囲の油含有土壌について浄化等をするということが望ましいのではないかと。ただ、通常の土地利用であっても、地下階がある場合とか、地下に油により劣化しやすい材料を用いた配管等が埋設されている場合、それらに留意して対策方法を選定する。
 それから、周辺に油汚染問題を生じさせるおそれが大きいことが把握されているときということですが、この場合は敷地外への鉱油類の拡散防止策、敷地境界付近の地下水のモニタリング等のような、周辺の井戸水等を意識した対策が必要となろうということでございます。対策調査を実施する、追加的に必要であればそれをやる、対策計画を策定して計画的に事業を進める、対策を実施したらその措置の状況、これを確認をいたしましょうということなのでありますが、その前に18ページの一番下に書いてございますのは、対策工事の実施に当たって周辺への悪臭防止などの環境保全上の措置を適切に講ずる、工事に伴って生じた油含有土壌については適切に処理をするというようなことを書いてございます。
 参考資料2というのがお手元にございまして、この参考資料2は社団法人土壌環境センターにお願いをして、いただいたものでございます。対策技術の参考図写真集ということであります。1ページ目に覆土とか舗装の概念図とかありますけれども、2ページ目の真ん中あたりに掘削除去の施工状況というので、非常に暗くて見にくいですが、この掘削除去をしている現場の周りをテントで覆って、悪臭が周辺に出ないように防止しているような絵がございます。このようなことを先ほどの18ページのところでは対策工事の実施に当たって周辺への悪臭防止などの環境保全上の措置を適切に講ずるとともに、工事に伴って生じた油含有土壌については適切に処理をする。この参考資料2でいいますと、2ページ目の図4の上の油含有土壌を掘削しました、これを搬出・処分をする、こういうことを言っております。
 19ページにまいりまして、一方で油含有土壌を敷地外に搬出して処理をする場合、それが途中で変なところに行って不適切に投棄等されて、新たな生活環境保全上の支障を生じさせてはいけないということで、搬出した土壌が運搬先まで確実に届けられたことを記録し把握することが可能な伝票等を用いて、物流を管理するということを書いてございます。また、処理を委託するという場合が考えられますが、そのような場合は適正に処理することが確実にできる者であるかどうかを確認して行って、これまた二次的な環境汚染の発生を未然に防止するということが必要であるということでございます。対策完了後は、油臭や油膜による不快感や違和感が感じられなくなったかどうかの確認をする。それで記録をつくって保存をするというようなことを書いてございます。
 では、続きまして参考資料1につきましての説明をさせていただきます。

(太田土壌環境課課長補佐)
 それでは、続きまして、参考資料1に基づきまして、資料3のガイドライン(案)の中で出てまいりましたTPH、全石油系炭化水素の試験方法について御説明させていただきます。
 本ガイドラインではこのTPHの試験を行う場面といたしましては、下に書いてございますとおりに四つの場面が想定されております。1番目といたしましては油臭や油膜の原因が鉱油類か否かということの確認及びその油種の同定。2番目としまして油含有土壌の平面及び深度方向の存在範囲の把握。この二つは状況把握調査の中での場面になります。それから[3]としまして、対策範囲の把握。[4]としまして対策完了確認。これにつきましてはガイドラインの中では余り触れておりませんでしたけれども、対策の中でこういったTPHの試験を行う場面というふうに考えております。こうしたTPHの試験につきましてはさまざまな試験方法がございますけれども、ここにおきましては油臭や油膜の発生に関係する鉱油類について試験する方法について取りまとめております。
 それで、主なTPHの試験方法といたしましては、水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC-FID法)、ガイドライン(案)の中でもGC-FID法という言葉で出てきておりましたが、それと赤外分光分析法(IR法)、それから重量法(ノルマルヘキサン抽出法)というものが主なTPHの試験方法としてございます。これらにつきまして、表1にその概要についてまとめさせていただいております。
 まずGC-FID法から御説明いたしますが、原理といたしましては試料中の油分を溶媒で抽出し、それに熱をかけて気化させて、それを水素炎イオン化検出器によりまして水素炎中の油分が燃焼時にイオン化し、電極間に流れる電流の量がTPHの成分量に比例するということを利用したTPHの濃度を求める方法でございます。分析操作の概要といたしましては、土壌試料を無水硫酸ナトリウムで脱水後、二硫化炭素等で振とう抽出し、これをGC-FIDに導入して分析するというものでございます。
 定量下限といたしましては100mg/kg程度、それからこの方法の特徴及びTPH試験における留意事項ということとしましては、まず定性法といたしましては標準物質とこの試料のクロマトグラムを比較することによりまして、鉱油類であるか否かの判定や油種の判別ができるということ。定量法といたしましては、クロマトグラムで得られた対象範囲の面積を合計して求めることができる。なお、高沸点のTPH成分につきましては、高温側で分離性が悪化するという点がございます。
 それから次に、赤外分光分析法(IR法)でございますが、原理といたしましては、試料中の油分を溶媒に抽出した後に、油分の持つC-Hの伸縮振動を、3000cm-1前後の赤外線吸収強度を測定することによってTPH濃度を求めるといったものでございます。
 この分析の操作手順の概要といたしましては、土壌の試料を測定域に吸収をもたない溶媒、例えばS316などでございますが、振とうまたはソックスレー抽出を行いまして、カラム処理で鉱油類を分離し、これをIRに導入して分析するといったものでございます。この方法の定量下限としましては10mg/kg程度でございます。
 特徴及び留意事項でございますが、抽出につきましては振とう法は簡便な方法でございます。それから混合油の場合ですと、各レンジごとに分けて定量はできないということもございまして、鉱油類の油種の判別はできません。それから、赤外線の吸収があるC-H結合をもつ溶媒は、抽出溶媒としては使用はできないということがございます。それから測定対象物質の組成、例えば芳香族ですとか脂肪族とか、そういったものに沿った標準を用いる必要があるということ。それからTPH成分以外の影響につきましては、カラム処理により軽減ができるというものでございます。
 それから三つ目の重量法(ノルマルヘキサン抽出法)でございますが、これは有機溶媒でございますノルマルヘキサンに試料中の油分を抽出した後に、このノルマルヘキサンを揮発させて残ったものの重量を測定してTPH濃度とするといった方法でございます。この分析操作手順の概要といたしましては、試料をノルマルヘキサンで振とうまたはソックスレー抽出した後に、フロリジルカラムで鉱油類を分離し、加熱して脱溶媒した上で残留する成分をTPHとして秤量するものでございます。この定量下限としましては、100mg/kg程度でございます。
 この方法につきましても、先ほどのIR法と同様に、振とう法はソックスレーに比べて簡便、また鉱油類の場合は各レンジに分けて定量できず、油種の判別は難しい。それから、これは80度ぐらいで加熱して脱溶媒を行いますので、この温度以下の揮発するガソリン中の低沸点成分は一緒に揮発してしまいまして測定ができないということ。また、ヘキサンに可溶の有機物や硫黄化合物は正の誤差となりますが、このうち動植物油類はフロリジルカラム処理によって軽減できるといった特徴がございます。
 2ページ目でございますが、この各試験法の特徴と適用に当たっての留意事項ということで、もう少しつけ加えの説明をさせていだたいております。なお、各試験方法におきましては、乾燥・抽出といった前処理によりまして誤差が生じることがありますので、先ほどもございましたように前処理方法を分析結果に明示するなど、どのような方法でこの試験を行ったかということについては留意をし、また記録等を残す必要があるものと考えられます。
 まずGC-FID法について補足いたしますけれども、このGC-FID法は、炭素数(Cの数)の範囲で区分されるTPH画分、先ほどの資料3でございますと、3ページの図2のところに炭素数と沸点を各油種ごとの大まかな状況を書いてございますけれども、こうした炭素数の範囲で区分されるTPH画分、例えばガソリンレンジですとか、軽油レンジ、オイルレンジといったものがございますが、それ毎に濃度を求めることができますので、油種及び経時的な性状変化の程度を大まかに把握することや、複数の油種が土壌に含まれている場合に両者を区別することができるといった方法でございます。また試験結果として得られるクロマトグラムのパターン等からも、鉱油類であるかどうかの判定や油種の同定をすることは可能な方法でございます。
 なお、本ガイドラインでは、鉱油類のうち、油臭や油膜の発生に関係するガソリン相当分から重油相当分までをほぼカバーできる範囲のTPHというものを対象としておりますから、この方法におきましては、炭素数の6から44までの範囲が測定の対象となると考えられます。
 それから、2番目のIR法でございますが、この方法はこれまで海洋投入処分を行うことができる産業廃棄物に含まれる油分の検定方法として、産業廃棄物等に含まれる油分を測定する際に使われてきた公定法でございます。なお、この溶媒抽出-IR法におきましては、従来から使用されてきました四塩化炭素や代替品のフレオン-113、これらはオゾン層破壊物質ということで、一般的用途につきましては1996年までに製造・輸入が全廃されているものでございますが、これの使用も、そういったこともございましてやめていく方向にあるということから、新たな抽出溶媒の選択ということがこの方法では課題になっているというものでございます。このIR法におきましては、揮発性の低い炭素数の44を超える炭素数の範囲の炭化水素を含んだ、より広い範囲の鉱油類の濃度が測定されること、また、土壌中の鉱油類以外の有機化合物の影響もあるということに留意して測定する必要があるというものでございます。
 それから3番目の重量法でございますが、これはこれまでに、そこに書いてございますとおりに水質汚濁に係る環境基準で、これは付表9とありますが、現在のもので言うと付表10になっておりますけれども、ノルマルヘキサン抽出物資(油分等)の測定方法として、海域等の油分を測定する際に使われてきた試験法、公定法でございます。
 これにつきましては、先ほども御説明いたしましたが、低沸点成分の油が揮散されるために、油汚染問題の原因となっている油にガソリンが含まれている場合には、そういった誤差が生じることはございます。また、土壌や石油製品に含まれている硫黄化合物や土壌中に含まれるヘキサン可溶性の有機物の影響で測定値にプラスの誤差が生じることがあるため、試験結果の評価においてはそれらの影響に留意する必要がある、と。こうした測定方法でございます。
 今までが代表的なTPHの測定方法でございましたが、これ以外にもTPHの濃度を測定する方法といたしましては、各種簡易方法がございまして、それらのうちの主なものを3ページの表2にまとめさせていただいております。主なものとしましては、揮発したガス成分を測定するもの、抽出した油分を測定するもの、それから、センサーを原位置で土壌中に挿入して直接探査するもの、こういったものに大きく分かれるかと思います。こういったさまざまな方法がございます。これらの方法につきましては、測定の原理、適用範囲、測定精度等が、方法や機器によってさまざまでありますから、その適用を検討する場合にはそれらの特徴をよく考慮した上で、適用可能な場面において適切な形で使用すべく、できれば専門家に相談する方が望ましいと考えられるものでございます。
 TPH試験方法についての御説明は、以上でございます。

(森田委員長)
 それでは、ガイドラインの本体、それから若干の参考資料としてTPHの試験法、それから参考資料2もございますけれども、対策の形みたいなものを示すような資料というのを含めて、全体を御説明いただきました。それで、これから各部門について御議論していただきたいんですが、とりあえず、まず全体の構成について御意見あるいは御質問をいただくところからスタートしたいと思います。全体を見ていただいて、いかがでしょうか。

(三木専門委員)
 すみません。全体の構成で議論すべき問題なのか、わかりませんが油臭・油膜が感じられないというのがアバウトな対策目標ですけれども、私が以前経験した河川に工場の油、タールが堆積していて、そこの臭気対策をやろうとしたのですが、覆土ではとてもにおいが消えないんです。巨費を投じて固化し、それから遮水壁をつくり、遮水シートを張って、ようやくにおいがおさめられるというようなケースもあるわけで、簡易な対策で済まないケースがある。そういうときでも、やっぱり対策の目標は高くとらないといけないのかというのが素朴な疑問なんですけれども。
 それから、例えば14ページですと、公共用水域を汚染する場合は特別な対策を講ずる必要があると読めるのですが、そこも法的にどうなのかなと。私の経験ではそれも基準値がない。そういう場合でも、どこまでどの程度の対策をやればいいのかということをガイドラインで何とかしてほしいというのが、前回欠席しましたけれど、土壌農薬部会から我々の専門委員会に与えられた課題だと思います。議事録を読ませていただくと、眞柄先生も同じような議論をされたようですけど、やはり難しい課題だと思うのです。そこで、今回はそういう難しいというところを前面に出したうえで、生活環境をよくするためにこういう調査の手法があり、こういう対策の目安があり、経験を踏まえて将来、基準値、あるいは規制をかけていくというようなスタンスにとどめておいた方がいいのかなと思います。強制力もない、対策目標もアバウトで、費用がどの程度かかるかもわからない、費用負担者も明確でないというような状況ですから、やはり最初の基本的考え方のところに、「はじめに」でもいいですけれども、きちんとそういうこと、すなわち、限界と現在置かれている状況と、しかし今後こういうことは目指しているということをしっかり書いていただかないと、たくさん読んでみてよく見たらそういうことだったのかと、全部見てわかるというのは不親切だと思います。全体を通した話と、ちょっとそれているのかもしれませんけど。

(森田委員長)
 ありがとうございました。
 とりあえず、ほかの先生方からも御意見いただいて。

(中杉臨時委員)
 今の三木委員の御意見に関連してなんですけれども、これはあくまでもガイドライン、事業者の方が使って自分が所有している土地の中で何とかする。それで油問題が片づくわけでは決してない。当然のことながら、もう過去に敷地の外に流れ出してしまっているものというのは、これのガイドラインの全く外なんですよ。

(三木専門委員)
 それは対策外なのんですか。

(中杉臨時委員)
 それは外までというようなことは書いていないんです。一切、その敷地の中で何か対策をすると、漏れ出さないという考え方で、実際問題にして、油汚染の場合、非常にほかの汚染と難しいのは、油自体が敷地の外まで流れ出していってしまってたまり込んでいるという例がある。そこについてはこのガイドラインは一切対象にはしていない。だからこのガイドラインで油汚染問題と、こういうふうに言っていますけれども、地下水の油がきれいになったり、公共用水域に流れ出している油が全部きれいになるというたぐいのものではないというふうに私は認識しています。

(三木専門委員)
 そう書いてほしいですね。

(眞柄臨時委員)
 いや、法の趣旨から言えば中杉先生が言われるとおりで、先回申し上げたのですが、実際に油汚染が現にある場所は、三木さんが言われたような公共の土地の部分になるから、現実にそういう場所があるわけですよ。あるいは、かつてあった。しかしそれは対象外だということをあきらかにしておかないと、ついついそっちの方まで何とかなるんじゃないかと誤解される。そういうことなんですよ。初めのところに、今の中杉先生が言われたようなことを書いておいてくださるといいということです。
 それからもう一つは、これは1ページの一番最後のところに、問題に直面した人たちにそれぞれの実情に応じて適切にというふうに書いてありますけれども、後ろの方で記録を保存するとか等が書いてあります。だれが保存するのかよく分からない。だからスキームの6ページの油汚染問題への対応フローというところで、多くはまさに当事者――土地の所有者あるいは土地の権利を譲渡された人が当事者だろうけども、環境行政担当部局の役割が若干不鮮明である。それについて書かかれていないと、どうしたらいいのかと思われるところがあるように感じました。

(中杉臨時委員)
 これ自体で私自身納得してこんなものかなと思っているのは、そこら辺は別のガイドラインが当然つくられるのだろうと私は認識しています。これだけで油問題が片づくとはとても思えない。記録を保存するというのも、当然その事業者が保存したらどうですかということをこのガイドラインは言っているだけであって、保存してとっておきなさいということを義務づけてもいないわけですね。ですから、最初にガイドラインのところでちゃんとその性格をつくっておかなきゃいけない。前回、私、欠席したんですが、前に事務局とお話をしたときに、そこのところを明確に書かないと、これ、非常に誤解を受けると。このガイドライン自体は、事業者の方が自分のところの土地の中で何かをやる話です。そうすると、眞柄先生が言われるように、それじゃこれに対して地方自治体がどういうふうにするかということは、一切ここでは触れていません。だからそれを本当はそういうのをもう一つ別なところにつくらないと、油汚染問題は解決しない問題だと。そういう性格のガイドラインだというところは、最初のところで明確に書いておく必要があるというふうに思います。

(森田委員長)
 ありがとうございました。実は議論は、「はじめに」とかガイドラインの基本的な考え方の方に進んでしまっておりまして、もう少しその議論は深めたいと思うんですが、とりあえずこの目次に書いてあります全体の構成みたいなものでしょうか。それについてはどうでしょうか。どうぞ。

(細見臨時委員)
 構成については私はこれでいいと思うんですが、具体的な資料として参考資料だとか、あるいは対策の参考図写真集とか、多分、恐らく本編というかガイドライン(案)に、第一、第二、第三、第四と、こう書かれた内容プラス、具体的な分析方法だとか、それから対策の、エッセンスの図だけがかいてあって、これに文章をつけたり、あるいはこれに数値とか具体的な経験値だとかが多分入ってくるんだろうと思われますので、それによって構成としてはまずこのままでよくて、それプラス附属資料というのが適切と思われます。

(眞柄臨時委員)
 参考資料。

(細見臨時委員)
 参考資料でしょうか。本編とそれをひっつけるような形の構成がいいのではないかと。

(櫻井委員)
 先ほどもちょっと大量漏洩による著しい汚染の後を引いたことについてお話がありましたけれど、それは想定していないわけですよね。ほとんどこれは油臭・油膜が主な話なので、油汚染対策ガイドラインというとちょっと広過ぎるかなと。最初にまずその大量漏洩を考えちゃうおそれもあるので、例えばこのタイトルですね。「油臭・油膜を中心とする油汚染への対策ガイドライン」とかにするというのも一つの案かなというふうに感じました。

(森田委員長)
 ありがとうございました。そのほかに、全体の構成についていかがでしょうか。とりあえずこの構成で行くといことで進めさせていただいて、それで中身をもう少し深める過程でまた修正があればということで進んでよろしいでしょうか。

「了承」

(森田委員長)
 それでは、先ほどから出ておりますいろんな議論の中で、幾つかの「はじめに」から第一、第二ぐらいのところを議論しておきたいんですが、櫻井先生のおっしゃったのはやや本質的で、やっぱり名前というのは体をあらわすので、名前をちゃんとしておかないとよろしくないということだと思いますが。これは事務局で少しどういうふうな名前にしておくとよいかというのをもう一度考えていただくことにして、きょう決定してしまうというのは難しいかなという感じがしますので、もう少しもんでいただくことにしたいと思います。
 それで、多分櫻井先生のおっしゃっている一つは、油汚染といったものをここではこういう狭い空間の、しかも小規模なものについて考えていますが、その一方で「油汚染」という言葉について少し違うイメージで問題をとらえるのが市民感覚としてやっぱり十分にあり得るのではないかと。多分その中には大量の汚染というのもありますでしょうし、それから油汚染での健康問題もあるんじゃないかとか、そういう議論もひょっとしたらあるかもしれません。そういったものと違うんだという位置づけを、タイトルの中で明示した方がよろしいんじゃないかという、そういう御意見のようでございます。名前につきましては、ただこの名前は既にいろいろなところで使われてきて動いているところもあると思いますので、少し御相談を。

(中杉臨時委員)
 今、櫻井先生が言われたようなこととあわせて、先ほど眞柄先生、三木先生が言われたような話も、当然これだと誤解を受ける、そこは考えて、もっとやわらかい言葉でもいいのかもしれませんね。油土壌汚染を書いたときに、事業者がみずから何とかかんとかという、言葉はちょっと長くてもいいから、丁寧にわかりやすく書いた方がいいと思いますね。

(細見臨時委員)
 私自身はこの油汚染問題という定義は、前回からしていただいておりますし、これは定義を見れば理解されるわけですが、確かに大きなガイドライン、油汚染対策ガイドラインというと、多少そういう懸念もありますので、もし可能であれば副題的に示すというのがよいと思います。

(森田委員長)
 ありがとうございます。いいアイデアかもしれません。先生方からいろんなアイデアを出していただいて、それで事務局で一番いいのを考えていただくということにとりあえずしたいと思うのですが、おっしゃったように油汚染ガイドラインパート1とか、そんな感じでしょうか。さらに、油臭・油膜問題と、いろんなことがあるかもしれません。とにかくそれは考えておくことにしまして、とりあえず、次の議論に進みたいと思うんですが。
 まず、「はじめに」というところから第一それから第二。第一は本ガイドラインの基本的な考え方、それから第二は油汚染に対する対応の考え方という、やや基本的な理念みたいなところがここに書き込まれていますが、このあたりを一通りもう一度詰めるような議論をしていただきたいと思うんですが。既に議論は始まっておりますけれども、どうぞ御意見をいただきたいと思います。

(細見臨時委員)
 眞柄先生、三木先生、いろいろ言われましたけれども、前回の案と比べるとかなり限定的に適用する範囲というのを、例示もしていただいて、私自身は明確になったというふうに思います。それから、だれがこのガイドラインを使って主に利用するのかということに関しては、「はじめに」という文章のところでもきっちり書かれていて、トーンは別にしても内容的には書かれているし、それからガイドラインの基本的な考え方の1番目に、まず土地の所有者とかがどうするかということについて述べたものであるというふうにはっきり謳ってあるので、ある程度私は、その問題が最後まで読んで初めてわかるというものではないんじゃないかというふうに理解いたしますけれども。

(眞柄臨時委員)
 この1ページの「はじめに」の5段落目、「そこで、このガイドラインは、」というところがあります。これが一番最初に出てくれると良いと思います。つまり土壌汚染対策法というのは、基本的には敷地というか、特定の土地の範囲の中の有害物質も含め、今回の油も含めということで、ここで書いてあるのは要するに油漏れなどで油を含む土地ができ、その場所が敷地内の井戸水に油膜があるようなときにどうすればいいかという、そこらが一番最初に出てくる。上の方に書いてあるのは油の一般論です。だから、もともと、この委員会の仕事は、そういう用途に対しての油対策ガイドラインですから、適用の範囲を一番最初に書いてくれれば良い。だから、そういう意味では、要するにこのガイドラインの適用の範囲というのを最初に書かれていて、なぜガイドラインが必要だというと、その上の方に書いてあるように油はいろいろなところに使われているし、事例も多いでしょうから、これをつくったんですよというふうにしてくれると、うん、そうかというのがよくわかるというのが私の感じです。でも、細見さんが言われたように、先回よりはここを書いてくれたから、非常にわかりやすくなっていますよ。

(細見臨時委員)
 この「はじめに」というところは、確かに一番最初にやっぱり適用範囲を明確にするという意味では、これ多少の修文で今の意見を組み込めると思います。まず、せっかくここのところを強調したいがために今までの流れを持ってきたわけですけれども、逆に最初にぼんと強調すべき点、あるいは適用するべき、一番最も今回言いたいポイントを最初に述べるという方式のほうが理解されやすいかもしれませんので、そこはちょっと修文をよろしくお願いしたいと、私もそうしたいと思います。

(三木専門委員退室)

(森田委員長)
 いかがでしょうか。それからあと、油汚染問題に対する対応の考え方というセクションがありますけれども、第二の方ですが、このあたりでいかがでしょうか。

(平田専門委員)
 これは質問とかいうんじゃなくて確認なんですが、土地利用のあり方に対して対策をどうするかというのは、これは非常に難しい話なんだけれども、ここでは土地利用を見たときにどこまできれいにするかという、その程度で差をつけようという、そういう理解ですよね。抽象論的な表現が非常に多いんですよね。そういう意味で、多分いろいろ現場が混乱するということはあると思うんですけれども、将来、これはマニュアル的なものをしっかりつくっていくとか、そういうことは考えられているんですか。こういうふうな、さっき細見さんからも意見がありましたよね、もう少し濃度が入ってくるんじゃないのという話。恐らくTPHなんかたくさん使うと思うんですが、どういうふうにするのという話がすぐ出てくると思うんです。そういったものに対してどういうふうにお考えなんですか。

(鏑木土壌環境課長)
 今のご質問についてですが、まず後ろの方に技術編、参考技術編みたいなものをつけたいと思っていますが、これはガイドラインの別添資料というか、参考資料みたいなものとして、まず必要なエッセンスみたいなものをまとめていく部分だろうなと思っています。ただ技術は日進月歩というのがありますので、そのほかに何かもっと詳しい技術資料みたいなのが必要かもしれないと思っていまして、そういう新しい技術とか今一般に用いられている技術についてどんどん差しかえ可能みたいな、ガイドライン本体の改正だみたいな話ではないような、そういうフレキシブルな対応がタイムリーにできるようなそういう工夫が、出版物として世の中に出すようなことがあれば、そのときにはできるのではなかろうかなどと思っています。
 それと、すみません、先ほどの三木先生の質問に対してですが、三木先生がいらっしゃらなくなってあれなんですけれども、費用負担者が不明確とか、どこまでやるのかというのが不明確ということをおっしゃっておられました。今回のこれは土地の所有者等が自分の土地の中に油含有土壌があってそれで問題が起きているという場合に、その土地の所有者等がどうするかということを書こうという話でありまして、公物管理者である河川管理者がどこかの土地から流れ出てきた油で公物が汚染されてしまいましたという場合に、公物管理者としては、これ参考にしていただければ、やはりある程度のことが解決できるようになるといいなと思っていますけど、費用負担の問題、あるいは損害賠償の責任をだれが負うのかというような問題、これはまたこれで非常に難しい問題があろうと思います。それについてはこのガイドラインで取り扱うということはちょっと難しいかなと思っていまして、それはまたそれで、また別の議論ではなかろうかと。
 そういった意味で、このガイドラインはどういう場合に使うのかとか、どういうふうに活用するのかといったときの書き方として、これも後ろの方に書かれているからということがあろうかと思いますけど、8ページの3番の本ガイドラインの活用の場面と留意事項というのがございますけど、(1)で油汚染の[1]で、本ガイドラインは、油汚染問題があったときに、その土地の所有者等がどうするかこうするかみたいな活用をすることを想定したというふうなこと、これと同じような内容はこのガイドラインの結構あちこちに登場してまいります。ひとつご参考までにといいますか、そういう御説明を追加的にさせていただきました。

(中杉臨時委員)
 確認をもう一つしておきたいんですけれども、TPHを使うという方法が、TPHがいろんな方法を使いますよ、測定法を使いますよというのは、TPH自体は具体的に目安みたいなものにつくりませんよという話をしていることと裏腹なわけですね。何かそういう目安をつくるのならばその方法が決まっていないといけないという話になって、もう一つはこの油汚染問題の難しさは、これはこれももろ刃の刃的なところがあるんですけれども、幾ら低くてもにおいがしちゃったらだめだという話があるので、その現場、現場であわせた方法でいろんな方法を使って、においがない、この範囲だったらにおいがないということを証明してもらって、後で使って、その判断基準としてTPHを使っていただくと、そういう考え方で整理をしていこうと。これは多分、次回どういうふうにそこを判断するのかというのは細かい技術編というんですか、参考資料の中で出てくるんだろうと思いますけれども、そういうものだという認識だということでよろしいですね。

(鏑木土壌環境課長)
 そうですね。これもまた8ページなんですけれども、8ページの一番下の行から3行目ぐらいなんですけれども、TPH濃度というのを「補完するための手段」、嗅覚などの感覚を補完するための手段として使いますということですが、この数値が絶対値として何ぼであればいいとかというのが一律に決められるとか、そういうものとして使うわけではないんです。しかし、全く目安でないかといえばそうではなくて、現場、現場の状況に応じて、その場所での調査とか対策で、油臭いよというようなところがあったと、その真ん中ではかってみるとTPH濃度は何ぼだと、においがしないよというところではかってみるとTPH濃度が何ぼだということで、油臭いところというのが大体どの範囲だというのをこのTPHの濃度をはかって、それを目安として特定するというような、そういう目安として使うのかなというふうに思っています。
 においということで非常に難しいというのは、確かにおっしゃるとおりだと思います。そこで11ページの油汚染問題に対する対応の考え方の四角の中の1番でありますけれども、土そのものにもにおいがあろうかと思いますし、いろんなところににおいというのはあろうと思いますので、一切無臭にしましょうというような誤解をされるとぐあいが悪かろうと思いまして、油汚染問題に対する対応の基本は人が感覚的に把握できる不快感や違和感が感じられなくなるようにする、というような書き方をさせていただきました。

(櫻井委員)
 このTPH試験法の定量下限というのを、私は分析のことをよくわからないのに言うのはちょっとおこがましいかなと思いますが、100mg/kgとかって、割合高い数値ですよね。ですから、これは数十あるものを全部一つ一つ足し合わせるというようなことなのかなと。トータルのものを質量として把握しようとしたら、方法としてはもっと下げられるのかなと、どうなんでしょうか。つまりにおいはするし油膜はあるけれども、分析に定量下限以下ということがぼろぼろ出てくるんじゃないかという気がしたものですから。

(太田土壌環境課課長補佐)
 ここの数字につきましては、もちろんトータルで土壌を見たときの定量下限ということになるかと思いますけれども、ただ実際に確かにものすごく近づけてかいでしまうような場合で、においがする、しないとなりましたら、TPHを測れないようなケースもあるかと思いますが、これまでの経験上ではある程度のものは測れるというような理解でおります。

(櫻井委員)
 わかりました。

(鏑木土壌環境課長)
 今回のものは、何か試験法をかっちり決めて、これで調べてこういう数値が定量できて、この数値で何かばしっと切るとかいう、そういうものでないものですから、必ずしも定量下限を下回るような状態のものを、これはNDであったというふうに表記する必要はないのではないかと思っていまして、はかってみました、出ましたよ、というものとして、何か相対的に比較するときに使うというような使い方もあるのかなというふうに思っています。

(森田委員長)
 櫻井先生、定量下限をこんなところで設定していて、もっと下をはからなくてよいのかという御議論が一つあるかもしれませんですね。多分私は、ここのところはいろんな方がいろんな意見をお持ちかもしれませんが、TPHという尺度で対策を具体的にとらなきゃいけないようなケースとして、TPHはどのぐらいが、それを越すと問題になるかというのは、何となく普通の油汚染である種の相場感があって、それが例えば1000ppmとかあるいは数百ppmの上ぐらいのところが、ある種、実際に対策をとられているケースが多いようなんです。それを考えると、100ppmあれば全体としては把握できるという、そういう認識だろうと思います。
 そんなので、大体よろしいでしょうか。

(中杉臨時委員)
 多分大まかはそうだろうと思いまして、地表に立つやつは、地下水に行っているやつというのはちょっとそこには合わないので、要するに検出下限以下でにおいがしちゃう場合はTPHは基本的にはそれは残念ながら使えないと、代替法としては使いにくいということですね。NDでも、だから全部になってしまいますから。

(鏑木土壌環境課長)
 通常、定量的な数字としては意味を持たないということになるんです。けれども、TPHは何か油があると。

(櫻井委員)
 この量が気になりましたのは、多分こういう問題の場合、健康リスクという言葉がどこかに出ていまして、その中で、有害化学物質については本ガイドラインによる対応は考えない。それは別に対応する、と。
 それと、もう一つ危険性というのがありますよね、爆発性で。こういうオーダーだったら爆発というのは全く考えないでいいんだろうと思いながら、例えば1000mg/kgあったとして、どこか比較的密閉された空間にそれが露出していたらどうなんだろうと。爆発までは行かない、それは全然考えなくていいならいいで……。

(中杉臨時委員)
 全体としては地下室云々の話というのも当然あるんだと思いますけれども、これは一つのあれとしては新たに起こってすぐにというのは余り、そういう場合もあったら何か問題が起こるかもしれませんが、かなり形状的に経過しているようなところが考えられるんだろうと思います。それともう一つは、櫻井先生が言われたような話は、さっきの参考資料2の方で掘削の図がありました。2ページの写真2、掘削除去の施工状況という。

(櫻井委員)
 ええ、写真2。

(中杉臨時委員)
 これは多分、条件によっては爆発の危険性があり得る。こういう場合にはここでユンボが動いていますけれども、防爆型が必要になってくるケースがないわけではない。実際に油汚染では必ずしもでないですけれども、油を含んだ廃棄物の不法投棄の場所で小屋をつくってやるときには、中で動く重機は防爆型の重機を使ったという経験がありますから、そういう際にはそういうことも少し考えてやらなきゃいけないよというのがガイドラインの参考資料の方には多分書かれてくる。爆発限界に入っているかどうかをモニタリングしながらという話になるんだと思います。

(櫻井委員)
 そうですね。先ほどその写真を見て、私も作業安全計画、一応18ページの対策計画の作成というところの[2]で、作業安全計画とちゃんと書いてありますし、その中では当然爆発とか、あるいはもしガソリン汚染だとノルマルヘキサンとか比較的C6ぐらいのやつもあったりすると有害性が強くて、ガソリンですと労働衛生上のばく露限界値、数百mg/m3ぐらいだったと思うんですが、それぐらいには簡単に行っちゃうと思うんですね。ですから、割合新鮮な、これがほとんど古い汚染だったらもうそういうのはどこかへ行っちゃっているんだと思うんですけれども、比較的新しい汚染だったら気になるよという点もございますので、よろしくお願いします。

(鏑木土壌環境課長)
 ありがとうございます。いろんなことを記述するときに、今回ガイドラインとして考えているわけですけれども、例えば土壌汚染対策法との関係はどうなのかというのは書かせていただきましたけれども、そのほかに消防法の関係ですとか、労働安全衛生法とか、いろんな法規がある。これはガイドラインですから、その法規とのデマケみたいなものをするのもちょっとおこがましいと。そんな意味でいろんな法律の規制がかかっていれば、それは当然守っていただいて、さらに油臭や油膜というような感覚のときにどうするかみたいなことを書いたつもりでした。ただ、せっかく御指摘いただきましたので、いろんな法律、考えなきゃいけないものがあるよと、そういうようなものについては対策をするときなどには考えなければいけませんよというのを書くというのはあるかなと。また検討させていただきます。

(森田委員長)
 ありがとうございました。
 今、議論は三、四にも入っておりますので、どうぞ、三、四も含めて、さらに御意見。御質問も含めて、いただきたいんですが。

(鈴木専門委員)
 先ほど細見先生が言われた質問とも少し近い、同じなのかもしれないんですが、ガイドラインとしての一般的な内容と参考資料の非常に技術的な内容と、何か随分違うレベルのことがあって、もし技術的な部分で用意される予定のものというのは、この参考資料の1と2の内容だけという方針ということでよろしいんでしょうか。それとも、今後技術的な部分について、あるいは別な形で、それがどのようなものか全くわかりませんが、もう少し詳細なガイドラインか、何か資料みたいなものをつくられることを考えておられるんでしょうか。

(鏑木土壌環境課長)
 対策の部分と調査の部分と、ございます。それぞれについて状況把握調査と書いているところで、例えばTPHを総体的なものとして使って囲い込みをするみたいなことをさっき申しましたけど、それって一体どういうことなのかと聞いたときになかなかぴんとこないので、そういうようなのはこういうふうにやったらどうでしょうかというようなことをわかりやすく解説するようなことも含めて、何か資料としてつくってみたいと思っています。それらのものの中でこのガイドラインの附属資料としてくっつけることがふさわしいものと、それから日進月歩でどんどん進んでいく技術に即するようなものとが多分あると思いますので、より詳細なものについてはより詳細なものとして、今まで私どももかなり長いこと調査の事業をやってきましたので、そこで得られたデータみたいなのも含めて、何か残せるものは残したい。そういう目的で整備するものとガイドラインの附属資料としてつけるものと両方考えたいと思っていまして、今作業をしているというような状況であります。

(鈴木専門委員)
 参考資料に相当するものについては、この場かどうか知りませんけれども、もう少し内容を膨らませた形でどこかで議論がなされると。議論か何かわかりませんが。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。ガイドラインにくっつけようと思うものにつきましては、次回に間に合うように用意をしたいと思っています。

(森田委員長)
 そのことと関係して、鈴木先生、何かこんなものがやっぱり要るんじゃないかという御意見はございますか。

(鈴木専門委員)
 いや、とりあえずTPHの試験法だけぽっと出されても、どうやって使うのということはおそらく始まればすぐ問題になるような気がしますので、データの例とかいろいろなものを本当はあった方がいいんだろうなと思って。それだけじゃないと思いますが、対策もあると思いますが、これだけ見てやれと言われても、いや、できるでしょうけれども、フレキシブルにということですので、余り決めちゃいけないのかもしれませんが、ある程度きちっともう少し決めないと大変だろうなと思って、一応質問いたしました。

(森田委員長)
 なるほど。とりあえずは、とにかく状況の把握、油汚染問題の程度を把握するための言葉として、TPHという概念が出てきて、それに必要な資料が出ているのが一つと、それから対策方針でどんな対策があるのかといったものが聞かれたときに、とりあえず、この土壌環境センターから提供いただいたイメージの写真みたいなものをつけているということが二つ載っているんですが、これをもう少し詳細にした方がいいんじゃないかという御意見ですか。それとも、もうちょっと、何かこういうふうな技術指導とか、そういうのも付随的に要るという趣旨でしょうか。

(鈴木専門委員)
 いえ、詳細にしろという意味では必ずしもないんですが、それは多分あるいはそれをお示しになるのかどうかという質問、お示しになるとそれがきっとどのぐらいまで具体的にはこのガイドラインでやり方を詳細に決めるかという例になると思ったので、一応質問してみたんですね。というのは、私とすればどっちかといえば技術屋の感覚が強いので、技術的な事例としてのガイドラインがどの程度の詳細度、深さで決まってくるかということで、実際のやり方がかなり左右されるだろうなと思いますので、ここのところは多分、資料をつけられるのであれば、そのバランスはかなり重要なんじゃないかなと思います。

(鏑木土壌環境課長)
 いずれにしても、理想ですけど、いろんな方法を並べて、それを選択できるように、そういうものを用意したいなというふうに思っています。

(眞柄臨時委員)
 3ページに石油製品の物性と用途ですとか、沸点範囲とか炭素数とかというのが出ていますが、実際に石油製品は原油からそれぞれの留分を取り出したものだけじゃなくて、実際にはそれと同時に何らかの混合物としてマーケットに出回っているわけですよね。あるいは多分アスファルトの中に分類されているだろうと思いますけれども、例えばタールのようなものもあるわけです。あるいはかつてのトリクレン、パークレンの有機溶剤の使用目的は、油を除去するために使っていたというわけで、実際にこういうフィールドで油があったときに、油だけじゃない成分があるはずです。
 それに関してどうしたらいいか私もよくわからないんですが、先ほどの8ページか、その次のページか、土壌汚染対策法に基づく規制項目の追加等の措置ということがあるのですが、今私が申し上げたようなことが現にあるかもしれないよということを想定されて書かれていらっしゃるのかもしれないけれども、何か事例か参考資料のときに油のほかに何があったような事例があったとか、なかったとかというようなことを書いていただくと、案外このガイドラインというのはユーザーにフレンドリーになるんじゃないかなという感想を持ちました。

(森田委員長)
 はい。大変ありがたい御指摘でございます。

(中杉臨時委員)
 眞柄先生が今言われた話にもう一つ追加すると、油臭が不快なにおいというのは、炭化水素、TPHに由来しているかどうかというのは、これはわからない。多くの場合はその中に溶け込んでいる微量な悪臭成分が原因である。でも、それを一々取り上げてここでは議論しているわけじゃなくて、それはTPH全体で考えていけば何か対応ができるだろう。だから先ほどのにおいとTPHの濃度との関係も、その現場、現場でやってというような形で、そういうものだということであるということは認識しておいていただく必要があると思いますね。眞柄先生が言われたいろんなものが入ってきて、例えばここではTPHでにおいとの関連で押さえていきますけれども、それ以外のものもTPHで押さえることによって全部対応していきましょうという、包括的にとらえているんだというふうなことは十分認識していただく必要があるので、そこをぎりぎり言ってしまって、このにおいは炭化水素じゃないと言って、だから対応しなくていいんだと言われてしまうと、これはちょっと難しい話だろうと思います。だから、鉱物油といったときには一応そこら辺のところも踏まえた形で議論しているんだというふうな理解だということにしていただかないと、そこだけ細かく議論されると、えらい問題が起こるというふうに思います。

(森田委員長)
 ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。
 今、眞柄先生のおっしゃった部分は、なぜこのガイドラインをつくらなきゃいけないというような必要性みたいなものも理解しやすいような形で、もっと例を挙げてはどうかというふうにおっしゃったのかなと思ったりしたんですが、それは事務局で少しお考えいただくことは可能ですか。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。今書いている内容は、中杉先生がおっしゃってくださったように、油臭とか油膜というのを感覚でとらえますというのは、感覚で総体としてぐるっと、まるっととらえちゃうというようなことでございますので、内容を個々に分析して、こういうものがあったらどうだとか、ああいうものがあったらどうだというんではなく、においがする、だったらにおいがしないようにするにはどうすればいいかという、そういう対応というのがこのターゲットですということでありますので。なかなか、成分分析をまずやってみるとこういうようなことがあるはずであるというのは、ちょっとガイドラインの範囲の外に出ていくかもしれないなとは思います。むしろ、そういうようなものについて個々の物質の科学的な知見が集積されたら、有害物質であれば有害物資としての対応をするということだろうなと思うので、ここはこのぐらいの感じかなと思っています。

(眞柄臨時委員)
 だから、そういう意味で、環境基準のBODとかCODとか、あるいは大腸菌か大腸菌群数みたいな油汚染の総合的なというか、総括的な指標としてTPHをという表現をしていただくとユーザーの方はわかりやすいという感じがします。

(鏑木土壌環境課長)
 TPHは、どっちかというと、共通語にする手段みたいな感じなので。

(中杉臨時委員)
 BOD、CODと対応してしまうと、ちょっと誤解を招くので、そこら辺のところは眞柄先生が言うように、そういうような形のとらえ方。
 それから、ちょっと話が別になるんですけれども、5ページの図3に敷地の話を入れていただいて、油汚染問題の契機としてこの図を入れていただいているんですが、今回の議論の対象になっているのは上の(a)のところですよね、何かをやるというのは。契機は(b)が入るけれども、そこら辺のところまた後ろの方、実際にやる対応の範囲という説明のときにも、こんなような図をつくっていただくと、それを明示していただくとわかりやすい。ここだけ二つあると、これも全部ひっくるめてという話にまた誤解を招くといけないので、何かそこら辺をうまく、この範囲について何らかの対応をするためのガイドラインですよというふうなことを、やっぱり図示でしていただくといいんではないかというふうに思います。

(森田委員長)
 恐らくこの問題は非常にケース・バイ・ケースの話がたくさんあって、それを全部書いていたら切りがないし、代表的な形でどうやって抽象化するかというのが一つのポイントではあったんですが、だけど抽象化し過ぎるとわかりにくくなるという、そういうジレンマを若干抱えておりますね。

(細見臨時委員)
 さっきの中杉先生のことで伺いたいんですが、確かに今の、契機に実際に対応するエリアというか範囲はどういうものだというのはこのガイドラインの一つの命というか、そこにもありますので、一番最初がいいのかこの対応する範囲にするのか、どっちがいいかな。どうでしょうか、いかがですか。多分、概念的には、図の内容としては図3の敷地内と敷地外を含めて実際するのは敷地内のことだよということがわかるような図があればいいんですね。

(中杉臨時委員)
 どこがいいかというのは私も明確にならないんですけれども、図3で(a)と(b)だけこの図だけ出てくると、またそれを見て大きな誤解を招くといけないという意味で、やはり対応する先はここだよというのを、この図をそのまま使うというのがいいかどうかも別ですけども、何かやはりつくっておいていただいた方がわかりやすいんではないかという意味で申し上げました。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。8ページの活用の場面の[1]がそれを言っておりますので、そのあたりで入れたらどうかなと思っておりますので、検討します。

(細見臨時委員)
 そうですね。

(森田委員長)
 細見先生、油汚染の現場を時々回られたりして、大体こういう形である程度カバーできると、ガイドラインを。そういうふうにお感じになっていますか。

(細見臨時委員)
 恐らく基本的なこの考え方とか範囲の特定をはっきりさせて、それで具体的なイメージは、やっぱりこの附属資料というのか、参考資料というんでしょうか、それが多分、鈴木先生も言われたようにこれほど単純なものではなくて、もう少し本当に流れが具体例に近いような土壌環境センターで今まで蓄積されているような情報をここに入れることによって、イメージというか理解が深まるんではないかと。

(森田委員長)
 そのとおりなのかもしれませんが、ガイドラインの本体側をどの程度わかりやすくしておくかというのが、今ちょっと課題になっているような感じですね。本体を厚くしてどんどん各論を入れ込んでいくのか、それとも、本体は全体の憲法みたいなものだから、こういう程度のコンパクトさにしておいて、技術資料でふやしていくのかという、若干路線の違いがあるかもしれませんけれども。ただ、本体側を厚くしきれないかもしれませんね。そうすると、例えば図にしても非常にわかりやすいやつを少ない数載せて、それで理解を助けるというふうな形に、多分なるかもしれませんね。

(細見臨時委員)
 ええ。森田先生が今おっしゃったような形で、本日出していただいたこの案というのは、ある種の憲法というか、考え方と対応の仕方、範囲を決めたもので、それで、特に中杉先生から今あったような対応の図というか、恐らく8ページだろうと思いますけれども、活用の場面の対応図が明確にされれば、このガイドラインの使い方というのがより明確になるのかと思います。

(森田委員長)
 スケジュール的にはこのガイドラインをもう一度御議論をいただいた後、修正を行った後、多分、最後はパブリックコメントを求めて外に出すということになりますね。そのときには、ガイドラインとそれから技術資料がついた形で外に出る。そのときの構造みたいなものはやっぱり今から予測しておいた方がいいんだけど、今は先ほど来の説明を見ますと、このガイドライン(案)と、それから今ついております技術資料をもう少し丁寧に書いてというのが多分中心になるかなという、そういうことですね。よろしいですか。

(眞柄臨時委員)
 6ページのところに、指摘が当を得ていないと判断された場合に、「環境行政担当者等が行う原因を究明するためのヒアリングや資料収集に協力」というのがあって、その結果がどこに行くか書いていないんですよ。私は北海道の公害か調停かの委員をしていますが、悪臭のときに一番問題になるんですよね。悪臭の場合に特に困るのは、地方自治体が悪臭防止法を適用するかどうか地方議会で決めるわけですけれども、決めていないところで問題が出てくるわけですよね。そうすると、そこで今度は環境行政担当部局が測定するわけです、行政費用で。その費用で結果が出てきたときに、確かに一般的な悪臭防止法の環境基準を超えているといったときには、要するに適用になっていないけれども調停をせざるを得ないという事態が生じているわけです。
 この今の場合も、その周辺の土地を使用している者に油臭や油膜による生活環境の保全という、要するに近所の人が油臭いといったときに、いやそんなことないよというふうにだれが判断するかわからない、環境部局が判断して確かにそうだと言ったときには、指摘が妥当であるという方向に矢印が行ってもよさそうなんですけれども、この矢印だとこれでもう終わりになるのではないでしょうか。

(鏑木土壌環境課長)
 指摘が当を得ていると、妥当であると判断し……。

(眞柄臨時委員)
 したら、問題になるわけですよ。

(鏑木土壌環境課長)
 というところに、当を得ていないと判断をして環境行政担当者がやっぱり妥当だよと言った場合ですね。

(眞柄臨時委員)
 そうです。

(鏑木土壌環境課長)
 実はそれ、環境行政担当者がいろいろ、まず、臭いと言っている人の指摘、実際に油汚染問題があって、何か油臭・油膜が井戸水でしていると……。

(眞柄臨時委員)
 いや、井戸水じゃなくて、臭いがする場合を想定したのですが。

(鏑木土壌環境課長)
 単に、隣の家から流れてくる空気がくさいみたいな。

(眞柄臨時委員)
 くさいという。

(鏑木土壌環境課長)
 それはなかなか、これはちょっとこのガイドラインの対象とするのは難しいかなと思って除いちゃっていますよというようなことにしています。

(眞柄臨時委員)
 その下に、アスタリスクの1)に、「その周辺の土地を使用している………者に油臭や油膜」って、においが入っています。

(鏑木土壌環境課長)
 ええ。すみません。これ、油含有土壌に起因してというのは、油含有土壌から鉱油類が隣の土地に地下水などに乗っかって流れていって、隣の土地でも油汚染問題を生じさせちゃったというのは含んでいますと、そんなことなんですが。

(細見臨時委員)
 眞柄先生、これはこの図で説明されたらよろしいのでは。ここは、油臭は隣の敷地からそちらに出てきた、といった場合には含まない。契機としない。

(眞柄臨時委員)
 含まない。今、ここだね。前のページの油汚染問題発見の契機で、井戸がなくて、ここの家の人が隣の敷地から漏れてきたにおいで油臭いと言ったときは対象外。

(平田専門委員)
 対象外って、どこか、中に書いてありましたっけ。

(眞柄臨時委員)
 いや、書いてない。

(平田専門委員)
 いやいや、ここではないんだけど。

(眞柄臨時委員)
 だって、6ページの油汚染問題で「鉱油類を含む土壌に起因して、その土壌が存在する土地」、これは敷地でもいいんだよ。図4の*1)のところの「において、………その周辺の土地を使用している………者に油臭や油膜」。だから、「油臭による生活環境保全上の支障を生じさせている」。該当するんじゃないのですか。

(鏑木土壌環境課長)
 7ページの方の想定していない契機なんです。実際の鉱油類の移動はないと。

(眞柄臨時委員)
 [5]か。

(鏑木土壌環境課長)
 はい、[5]です。油らしいにおいが空気中を漂ってきたというような場合の評価方法とか防止対策等というのは、これはなかなか悪臭の……。

(眞柄臨時委員)
 扱わないのか。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。

(眞柄臨時委員)
 分かりました。

(森田委員長)
 だけど、この図の4ですね。ここのところはちょっと明確にしておいた方がいい。とりあえず、今、指摘が妥当であると、あるいは妥当でないという判断をするのは環境行政担当者等と。違うんですか。

(鏑木土壌環境課長)
 いえ。

(森田委員長)
 違いましたっけ。

(眞柄臨時委員)
 だから、当事者なんですよ。

(森田委員長)
 当事者ですか。

(眞柄臨時委員)
 要するに環境行政担当部局はヒアリングをして、資料収集に協力する。その後の判断はしないんだよね。

(森田委員長)
 そうすると、妥当かどうかの判断は、要するに当事者ですか。

(眞柄臨時委員)
 当事者です、あくまでもこのシナリオで行くと。

(森田委員長)
 当事者。当事者の意見がスプリットしたときは。

(鏑木土壌環境課長)
 そういう場合は、これもまた7ページになりますけれども、[6]の方ですが、これは近隣で生じている油臭問題と、こういう話だろうと、ここら辺で何か臭い感じですねと言ったときに、その原因究明をするというアクションがあって、これはどうもやっぱり油がどこかで漏れているんじゃないのという話になって、ヒアリング調査とか資料収集等を環境行政担当者などが行う、と。そういった場合に鉱油類の管理状況の情報を提供するなどの協力を行うということが想定されますよね。それで、やっぱり漏れていましたということも結果として生じる場合はあると思います。ただ、この土壌汚染のガイドラインでは、土壌をやっぱり経由している場合という、土に漏れちゃったという場合、これを対象とするのかなと思っていて、空気がにおうといってもそれは本当に土がそうなっているのか、それともそうじゃないのか、あるいは隣から来るような気がするけど、実は反対側から来ているのかとか、結構それは難しいんだと思うので、そこはそれで、やっぱり悪臭の防止という専門の分野での対応が空気の方は別途図られるのかなと思いましたということで、このガイドラインでは実際に油が流れてきて問題を起こした場合ということをとらえてやろうと。

(森田委員長)
 相当難しいところに入る。入ってしまえばいいんでしょうけど、何というか素人には非常にわかりにくいところだと。

(中杉臨時委員)
 そこでよく地方環境行政担当者が指摘を受けて、それで事業者が納得する場合がある。納得する場合があれば当然上へ行くという、単純な話。納得しない場合にどうしろということは、ここでは書いていない。

(眞柄臨時委員)
 だから、地方行政担当部局の人は資料収集に協力して、そこから先はどうするのでしょうか。

(鏑木土壌環境課長)
 というか、すみません、地方環境行政担当者の方が事業者が行う資料収集に協力するんではなくて、事業者が地方環境行政担当者に……。

(眞柄臨時委員)
 に、協力するのか。

(鏑木土壌環境課長)
 はい、そうです。行政が公平に判断したときに、やっぱりこっちだねと。でも、それは悪臭問題だねというのか、あるいはこの油汚染問題なんだねというのかというのはシチュエーションによるのだろうと思っています。

(眞柄臨時委員)
 それは環境行政担当者がやることもあり得る。

(鏑木土壌環境課長)
 はい、それはあると思います。

(眞柄臨時委員)
 確かにそうでしょうか。

(平田専門委員)
 すみません。余りその辺を書くとまたややこしい話になって、今の土壌汚染対策法でも、敷地から出た後については全くというかほとんど、若干は立ち入ってはいるけれども、出たものについてはもう全然、今だって多少できていないですので、そこを余り書き込んじゃうと、中と外の関係が、いろんなところではっきりしてくると思うんですよね。

(眞柄臨時委員)
 いや、だから、要するに臭わないわけです。今度はにおいというのが一つの指標になっちゃっているから。

(平田専門委員)
 伝わっていくからね。

(眞柄臨時委員)
 だから、その辺が微妙なことになるんじゃないかなという懸念があって申し上げている。しかし、それは常識的に、当事者と環境行政担当部局が相対されればいいということであれば、それはそれでいいと思います。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。これはこういう絵を描いていまして、環境行政担当者が、何か、これでいうと指摘が当を得ていないということで、土地の所有者がこれは違うんですと言ったと。環境行政担当者がここら辺ででも油臭問題が起きているからと、いろいろお調べになったと。調べて、それでまた当事者にこれこれこういうようなことでどうもあなたのところしか考えられないですと言って、ああなるほど認識しましたといって認識して情報把握調査に入るというようなことも、それはあるだろうと思います。その場合は多分、はいはい、指摘が妥当であると。わかりましたと。あなたの方、うんなるほど、行政の説明はごもっともとかいうそういうことで。この上の矢印がこの四角に入っていくという場面はあるだろうと。ただ、いずれにしても隣の土地に油汚染問題があったときに、その問題の原因を作った土地の所有者にあなたは隣の土地に入っていってきれいにしなければなりませぬということを書いているわけじゃなくて、あくまでも自分の土地の中でやる。だから、隣の土地に油が拡散しないようにするというようなことは範囲に入ってくる。それは当然そうなんですが、でも、隣に入っていって土をいじる、これはないという組み立てになっています。
 それと、やっぱりにおいの問題でなかなか難しいのは、くさいじゃないかというようなことを感覚で臭いじゃないかと言われた側、その側が何でもかんでもとにかく、言われたら最後、土地を調べ尽くさねばならぬというのはちょっと行き過ぎだろうと思っているものですから、そこは油が実際に地下水かなんかに乗っかって隣の土に行っちゃった。そこで問題を引き起こしている、そういう場合にどうするかというのがこの図の3(b)のようなケース、こういう場合は敷地内のところで遮断するとか、そういう対策を打つということで、ガイドラインとしては完結するのかなと思っています。

(森田委員長)
 ここのところですね。要するに図の4の、私が余りしゃべってもよくないのかもしれませんが、印象としますと、一番左下から周辺の汚染のある指摘がまずある、と。指摘があって、その指摘が妥当であるかどうかという判断を当事者がやる、あるいはその当事者以外に、あるいはまれに環境行政担当者が介在する場合もあるかもしれないが、そこで妥当であると判断されると上に行くと。それから、当を得ていないと判断すれば、ここでもう状況調査をやらないというふうな流れかなという感じもするんですが。だから、したがってここの右側に、指摘が当を得ていないという判断のところと、環境行政担当者が行う原因を究明するためのヒアリングや資料収集に協力するというのが、多分二つ違う内容のものが一つの箱に入っちゃっているのでわかりにくいかなという感じがちょっとしたんです。これはもう、感じ方だけですので、何か含みがあれば、またそれでいいと思いますが。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。わかりにくいのであれば、このフローに書くことでわかりにくくなるのは全く意味がないので、「指摘が当を得ていないと判断」というのをむしろ切っちゃった方がいいかもしれませんですね。そうすると、非常にシンプルに。

(森田委員長)
 なりますね。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。

(平田専門委員)
 それと、またほとんど同じことなんだけれども、要は民間、民民でやってくださいという、そういう基本のスタイルがそうですよね。流れが。そのときに、やはり眞柄先生もおっしゃる、私も気になるんですが、データというか資料を多分事業者が保管をされるんです。それが恐らく開示はされないという、いや、ここに書きなさいということじゃなくて、そういうような感じがしますねという。だから、もし、その辺のところは少し、将来どうなるのかなという、そういう気はするんですけれどもね。ただ、もともとは自分の敷地の中だけでやりましょうという話であれば、民民で大抵は解決してくださいという、そのためのガイドラインですよという、そういうのであれば変に地域の行政がどうのこうのというのも入れない方がすっきりすると、私は思います。入れちゃうと今度、じゃあ、地下水はどうなのとか、いろいろどんどん広がっていっちゃうと思うんですよね。

(中杉臨時委員)
 ちょっとよろしいですか。今の平田先生のお話で、私はそういうふうに解釈はしていない。それでこれは民民であるか民民でないかというのは、一切そういうの関係なし。事業者が自分の土地の土壌に油の汚染を見つけた、そういう認識をした。そうしたときにどうするかで、そこまでの線しか行っていないガイドラインなんですよ。だから、そういう意味では、あとこれを使って民民がどうのこうのという話じゃなくて、自分のところで見つけたときに最後、記録を保存しておきなさいというような、ひょっとしたら民民でやるかもしれないし、行政が出てくるかもしれないし、将来土地を売ろうとするときに問題になるかもしれないからそういうものは記録して持っておいた方がいいですよということを書き込んであるだけである、というふうに私は解釈していますけれども。

(鏑木土壌環境課長)
 記録の保存につきましては、19ページの4番の[1]のところに一つ書いてございまして、万一同じ敷地内で別の油汚染問題が将来見られたというときに、その対策をみずからやった事業者さん、土地の所有者さんは、自分で何をしたかというのがわかっていないと、また一から、最初からやると。これは非常にコスト的にも時間的にもばかばかしいですよねということと、それから、別の話で周辺で油汚染問題が見られましたと。これはあなたのところに違いないと言われたときに、いや実はそうじゃないんですよねと、私はもう徹底的にあれを除去しちゃったんですなんていうこともあるかもしれませんし。敷地内の油を除去しない場合で将来行われる土地の形質変更時の対応、この場所に池を掘るとろくなことはない、ここは池はやめて駐車場にしておいた方がいい、こういう判断をしておけば油汚染問題の再発はないわけですから、そういう非常に経済合理性の高い対応もできるだろうと。また、むだに同じことの繰り返しということにもならないだろうというような意図がございます。
 一方で16ページの方に、一番下のところの4番ですが、状況把握調査結果の取りまとめと保存というのがございます。これは対策の検討、実際、状況把握調査をしてみて、対策をする必要があるかどうかということを判断しなければならんということに土地の所有者はなるわけです。対策を検討するときには調査結果を見てこれはどうしようかと考えるわけです。そのときの判断が、後になって土地の利用を変えましょうとか、土地の改変のための基礎工事をやりましょうというときに、ずっとそのまま使えるかどうかというか、そのときに行った判断がそのまま通用するかどうかわからないわけで、土地の改変というのは行われるものとして想定して考えれば、そのときにこの調査結果、対策をやらなくても調査結果だけでも保存しておけば役に立つというようなことで考えています。
 どちらかといえば、このガイドライン、こういう調査の結果あるいは対策の結果を把握して保存したら、行政にも提出して監視に役立ててもらうということではなくて、むしろ土地を所有している人が調査や対策を自主的にどういうふうに進めていくか、それは、自分がまた土地の改変をすることもあるし、土地を売ることもあるし、あるいはまた、土地の中の使い方を変えるという、そういうこともあるだろうし、そんなときに役に立つ情報として持っておくといいねというのがまず第一義的にはあるんだろうということで、書いています。

(森田委員長)
 それでは、どうでしょうか。大体、全体的にはこういう方向で行って、もう少しわかりやすくしなさいということを含めて、いろいろな意見が出た状態だろうと思いますので、とりあえず、事務局においてガイドラインの修正を少しやっていただくのかなという状態なんですが、何かまだよくわからんかったと、何を修正しろと言われているかわからなかったとか、そういうことがもしありましたら、ちょっと今いただければもう一回確認をしますけれども、どうでしょうか。

(鏑木土壌環境課長)
 まずタイトルについて、サブタイトル、これをくっつけて名は体をあらわすという、そういう工夫を。それから、「はじめに」のところですが、このガイドラインはこういうものでありますというのをまず書いて、それを思ったのはこういう理由ですとかいうふうに書く。そのことによってよりわかりやすくした方がいいというお話。ということであったかと思います。
 それから6ページの図4の対応フロー。これは指摘が当を得ていないと判断とかいうのが前の名残で残っていますけれども、あるとわかりにくいと。確かにそうかもしれないということで、これは落とさせていただく方向で検討させていただきたいと思います。それから、後ろの方は、とにかく技術編としてくっつけていくものを、このガイドラインの附属資料みたいにしてくっつけるものと、それから、そうではない、端的に言って各社のカタログに近いようなものが最新の技術情報みたいになっちゃうと思うんですけれども、それはさすがにガイドラインにそのままくっつけるわけにいかないでしょうから、やっぱりそこはこんなやり方というのをまとめた格好でガイドラインに附属資料としてはくっつけるということになると思いますので、そういった意味でガイドラインにくっつけることがふさわしい技術情報について、さらに検討してくっつけたいと思っています。それは調査編も対策編も両方あると思っています。それとは別に、最新の技術情報みたいなものを何か将来、もしこれをパブリッシュするようなことがあれば、そこにくっつけて出すのはどうかなというアイデアを今は持っています。
 それから、8ページの対応ですね。8ページのこの活用の場面のところに、5ページの図がございますけれども、これをこのままではなくて、実際に活用してどういうことをするのか、これは対策編の方に書く内容を先取りするみたいな図になっちゃうかもしれませんけど、こんな隣に行こうとする油を拡散防止をしますだとか、そんなことも含めて何かうまく表現するような、1枚では済まないかもしれませんが、考える。それとあと、全体にもう一度推敲してわかりやすくする努力をする。それと、わかりやすくする努力の中には絵とか写真とか、何かそんなものも使えないだろうかと。多分小学生とか中学生とかのこういう読本に出てくるようなわかりやすい絵みたいな、そういうものが仮にもし手に入れば、よりわかりやすくなるかもしれないので、それはさらに可能性を追求していきたいと思っています。
 と思っていますが、そんなものでございましたでしょうか。

(森田委員長)
 眞柄先生がおっしゃった、油はいろいろなまざり物だとか何かという記述を、ちょっとどこかに入れておいた方がいいというのがあるかもしれませんね。

(鏑木土壌環境課長)
 では、この技術資料編の方に、できましたらまた関係者に御相談をして入手できたらということになりますけれど、油のつくり方とか、石油としての石油製品のつくり方みたいなものは、何かないだろうかというのがあるんですけれども、そこに先ほどおっしゃったような溶剤というのはこんな用途があるんですとかいうようなことが入ればいいかなと思うんですけれども、廃棄物となった廃油とか……。

(中杉臨時委員)
 多分ですね……。

(森田委員長)
 とりあえず、2ページのところに鉱油とはと書いてあるんですが、

(中杉臨時委員)
 これもどこまで提供いただけるか、実際の汚染事例で油の汚染があったと、ここで言っている炭化水素、TPHの汚染があったと。そのときにどういうものが付随して出てきた例があるかというのを提示すればそれでいいんじゃないでしょうか、眞柄先生が言われた話は。それがどこからも出てこないという話になると困るんですけど、こんな例がありました、こんな例がありましたというふうなことを、こういう例もありましたということで例示すればよろしいんじゃないでしょうかという感じがしました。

(森田委員長)
 そこまで入りますか。

(眞柄臨時委員)
 例えばハイオクだとMTBEだとか、それからジェット燃料だったら、場合によればヒトラジンまで行っているかどうかわからないし、それから金属も入っているし、タールで言えば多環芳香族も入っているし、いろいろありますよね。だけど、それはどこまで書くかというのは私も判断つかないので、そういう方面に詳しい中杉先生に、適切な御配慮をお願いします。

(中杉臨時委員)
 それは行政の判断にお任せしますので。

(森田委員長)
 とりあえず石油製品というのはこの図の1、2でかいてあるような単純なものではなくて、こういったもののミクスチャーだったり、そういうことがありますというのだけは図の中にちょっと1行入れておけば、あとの詳細は技術資料等にあればいいのかもしれませんね。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。それでは、今の2ページの1の(2)の[1]の次に、いろんな、「いずれも多くの構成成分の混合物であり、それぞれを構成する成分も数多い」と[1]に書いてあるわけですから、ここを何かもうちょっと詳しくするような工夫を、いろんな添加物もありますよみたいなお話……。

(森田委員長)
 ちょっとそんな感じですね。

(鏑木土壌環境課長)
 それと、[2]のところで「油含有土壌に含まれる鉱油類は一種類とは限らず、」と書いていますので、それじゃどんなことを想定しているのかというようなことをもう少し書いてみるとか、そういう工夫を考えてみます。

(眞柄臨時委員)
 ぜひお願いします。

(森田委員長)
 案外そういうことが、すごく後で重要になってくるような気がします。

(眞柄臨時委員)
 だから、かえって、そういうのが書いてあると、やっぱりちゃんとやらなきゃいけないという気持ちになってもらえる可能性もあるかな。

(森田委員長)
 それでは、どうもありがとうございました。本日いただいた御意見を踏まえて、再度事務局においてガイドラインの修正をやっていただきたいと思います。次回の本専門委員会では、技術的な参考資料の部分なども含めてパブリックコメントにかけるガイドライン(案)として御議論をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 議題の(2)はその他ですが、ございますか。

(太田土壌環境課課長補佐)
 事務局の方として議題は特にはございません。次回の日程についてですが、昨日までに先生方の方から次回の日程ということで御都合を聞かせていただいておるところでございまして、今のところ12名中9名の先生方から御都合を伺っているところでございますが、現段階のところで申しますと、次回8回は1月に予定しておりまして、今のところ多くの先生が御出席可能な日程といたしましては、1月17日の午前中が9名中8名、それから18日の午前中が9名中8名という御回答をいただいております。

(森田委員長)
 それでは、17の午前中か18の午前中にちょっと仮予約を入れていただいて。

(眞柄臨時委員)
 17日はちょっと都合が悪い。

(森田委員長)
 17はだめ。じゃあ、とにかく18日仮予約を入れていただいて。

(太田土壌環境課課長補佐)
 それでは、一応18日の午前中仮予約とさせていただきたいと思います。
 あと、それから3月の方ですが、9名中9名が出席可能との御連絡をいただいているのが、3月7日の午後と3月8日の午前です。今のところ御回答いただいている先生すべて出席可能ということでございますので、この両日につきまして残る3名の先生方の御意見も聞きつつ決めさせていただきたいと思います。

(森田委員長)
 とりあえず、じゃあ、3月7日の午後か8日の午前に……。

(太田土壌環境課課長補佐)
 7日の午後か8日の午前。

(森田委員長)
 仮予約を入れていただいて、残りの先生方の御都合を聞いて、早目に全体予約を入れてしまうということにしましょうか。

(太田土壌環境課課長補佐)
 そうさせていただきます。ほかの先生方のご都合も聞きまして、速やかに日程を御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

(森田委員長)
 はい。
 それでは、本日は第7回ですけれども、専門委員会を閉会させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(鏑木土壌環境課長)
 ありがとうございました。