中央環境審議会土壌農薬部会 土壌汚染技術基準等専門委員会第6回議事録

1.日時

平成17年 10月5日(水)10:00~11:45

2.場所

経済産業省別館825会議室

3.出席委員

委員長 森田 昌敏
委員 大塚 直
櫻井 治彦
臨時委員 細見 正明
眞柄 泰基
専門委員 佐藤 洋
鈴木 規之
冨永 衞
平田 健正

(欠席は、浅野臨時委員、中杉臨時委員、三木専門委員)

4.委員以外の出席者

環境省

坪香水環境担当審議官、鏑木土壌環境課長、尾川地下水・地盤環境室長、太田土壌環境課課長補佐、佐藤土壌環境課課長補佐

5.議題

(1)土壌汚染対策法の施行状況について(報告)
(2)土壌の油汚染対策について
(3)その他

6.配布資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会委員名簿
資料2 土壌汚染対策法の施行状況について
資料3 「油汚染」サイトにおける土壌汚染調査・対策事例について
資料4 油汚染対策ガイドラインのイメージ
資料5 土壌汚染技術基準等専門委員会の審議スケジュール(案)
参考資料1 中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会で検討して頂きたい事項等(平成17年6月24日中央環境審議会土壌農薬部会(第19回)資料)
参考資料2 環境省組織の再編について(通知)
参考資料3 地方環境事務所(パンフレット)
参考資料4 水・大気環境局の設置に伴う関係通知の扱いについて(通知)

7.議事

(太田土壌環境課課長補佐)
 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会土壌農薬部会第6回土壌汚染技術基準等専門委員会を開催させていただきます。
 まず、議事に先立ちまして、坪香水環境担当審議官より一言ごあいさつ申し上げます。

(坪香審議官)
 ただいま御紹介いただきました、この10月1日付で水環境部の廃止に伴いまして水環境担当審議官を拝命いたしました、坪香でございます。第6回中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。
 雨の中、またお忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。今申し上げましたように、10月1日から組織換えがございまして、従来の環境管理局の名前が変更になりまして、水・大気環境局が設置されました。水環境部がその中に統合されまして、それに伴いまして、私、水環境担当審議官を拝命いたしまして、従来のとおり水環境並びに土壌環境を担当することになりました。よろしくお願いいたします。
 当専門委員会におきましては、平成14年5月に土壌汚染対策法が国会で成立した後、施行に至るまでの間、その技術的な事項につきまして、非常に積極的な御審議をいただきました。その結果、非常に短い期間ではございましたが、必要な基準等の技術的事項を具体的に盛り込むことができました。心よりお礼申し上げます。
 本日は、法施行後、2年半が経過しておりますが、その間の法律の施行状況について御報告申し上げるとともに、油を含みます土壌に起因する油臭あるいは油膜といった生活環境上の支障が生じた場合の調査並びに対策につきまして、その内容についての御審議をお願いしたいと思っております。できることならば、本年度内を目標に、油汚染対策に対するガイドラインを取りまとめていきたいというふうに思っております。
 どうか、皆様方におかれましては活発な御審議を賜りますようお願い申し上げまして、簡単でございますが、あいさつとさせていただきます。本日は、よろしくお願いいたします。

(太田土壌環境課課長補佐)
 本日の専門委員会は、第6回目でございますが、前回の委員会より約3年ぶりの開催でございまして、また、今回、本専門委員会の委員長の交代がございましたので、改めまして委員の皆様方を事務局より御紹介させていただきます。
 お手元の資料1の本専門委員会の委員名簿を御参照ください。この順番に御紹介させていただきたいと思います。
 まず、委員長の森田昌敏先生でございます。中央環境審議会の委員を御退任された村岡前委員長の御後任といたしまして、6月24日に開催されました第19回土壌農薬部会におきまして、部会長の御指名により選任されています。
 それから、大塚委員でございます。
 櫻井委員でございます。
 細見委員でございます。
 眞柄委員でございます。
 佐藤委員でございます。
 鈴木委員でございます。
 冨永委員でございます。
 平田委員でございます。
 なお、本日、浅野委員、中杉委員、三木委員からは、所用により御欠席との御連絡をいただいております。
 引き続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
 先ほどごあいさつ申し上げました、水環境担当審議官の坪香でございます。
 土壌環境課長の鏑木でございます。
 地下水・地盤環境室長の尾川でございます。
 土壌環境課課長補佐の佐藤でございます。
 最後に、私、同じく土壌環境課課長補佐の太田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 引き続きまして、本日の配布資料について御確認をお願いしたいと思います。議事次第の配布資料一覧に従って、御確認いただきたいと思います。
 まず、資料1でございますが、先ほどもございました専門委員会の委員名簿でございます。資料2といたしまして、土壌汚染対策法の施行状況についてでございます。資料3といたしまして、「油汚染」サイトにおける土壌汚染調査・対策事例についてでございます。資料4といたしまして、油汚染対策ガイドラインのイメージでございます。この資料、クリップどめをしておりまして、最後に1枚、横長のフローがございます。後ほど、説明の際に用いさせていただきます。それから、資料5といたしまして、土壌汚染技術基準等専門委員会の審議スケジュール(案)でございます。
 続きまして、参考資料の方にまいりますが、参考資料1は、中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会で検討していただきたい事項等でございまして、これは6月24日に開催されました第19回の土壌農薬部会の資料でございます。本専門委員会では、油による土壌汚染の対策についてのガイドラインについて御検討いただき、まとめていただくとともに、土壌汚染対策法の基準等の運用状況について御報告させていただき、御意見をいただきたく考えております。
 次に参考資料2でございますが、環境省組織の再編についての通知でございます。参考資料3は、地方環境事務所のパンフレットとなっております。最後に、参考資料4でございますが、水・大気環境局の設置に伴う関係通知の扱いについてという通知でございます。資料に過不足等がございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。
 それでは、これ以降の議事進行を森田委員長にお願いしたいと思います。
 森田先生、よろしくお願いいたします。

(森田委員長)
 土壌農薬部会長の松本先生からの御指名を受けまして、本委員会の委員長を務めさせていただくことになりました森田でございます。
 本委員会の役割というか審議事項につきましては、お手元の参考資料1の方に書かれておりますけれども、内容的には、油による土壌汚染の対策についてのガイドライン化すべき内容について、及び土壌汚染対策法の基準等の運用についての御報告をいただくという内容でございます。これからかなり短い期間にガイドラインにつきましては取りまとめの方向で進めていきたいということもございますので、皆様方の御協力をぜひよろしくお願いいたします。
 それから、会議に先立ちまして、本委員会を公開にするかどうかについての取り扱いについての確認をしておきたいと思います。
 これまでと同様に、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合には一部非公開するということはあり得ますが、原則として、会議及び会議資料は公開、会議録及び議事要旨は公開として公開性を高めていきたいと思いますが、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

「了承」

(森田委員長)
 ありがとうございます。
 それでは、本委員会の公開の取り扱いにつきましては、先ほど述べたとおりの形で進めさせていただきたいと思います。
 それでは、お手元に議事次第がございますが、それに従って議事を進行させたいと思います。
 1番目の議題は、土壌汚染対策法の施行状況についての御報告でございます。まず、最初の議題の施行状況につきまして、事務局から、資料2を使って御説明をお願いいたします。

(鏑木土壌環境課長)
 土壌環境課長の鏑木でございます。説明が長くなりますので、申しわけございませんが、座らせていただきたいと思います。
 資料2の御説明をさせていただく前に、恐縮でございますが、参考資料の2、3、4、これらについて、非常に簡単ではございますが御紹介をさせていただきたいと思います。
 環境省の組織が再編されまして、参考資料2は、その環境事務次官の通知でございます。この事務次官通知の本文の中には、別添のとおり概要とかいろいろ出てまいりますが、2枚目をごらんいただきますと、地方環境事務所の概要というものが出てまいります。今までの自然保護事務所と地方環境対策調査官事務所を再編いたしまして、地方環境事務所が7ブロックにできております。これは、別にパンフレットがございまして、参考資料3でございますが、地方環境事務所ということで行います仕事の内容と、その地方環境事務所が置かれている位置、こういう図面がございます。後ほどまた御覧いただければ、ありがたく存じます。
 それから、参考資料4でございますが、今まで出しました通知につきましては、環境管理局の局長名で出したものは水・大気環境局の局長名で出したものとか、そのような関係を言っておりますが、今までの通知は生きておりますというのが結論でございます。
 資料2に戻らせていただきまして、土壌汚染対策法の施行状況について御説明をさせていただきます。
 土壌汚染対策法でございますが、もう御高承のとおり、平成15年の2月15日に施行されたわけでございますけども、それから2年間の施行状況を簡単にまとめたものが資料2でございます。この法律の中では、法3条に基づきます調査義務がかかっている場所についての調査、それから、法4条の調査命令に従いましての調査、それを受けて指定区域にするかどうかを考えて、法第5条でその指定区域として指定をするというようなことが法律の大事なところだと思っております。2枚目をごらんいただきますと、法3条の施行状況を絵にしたものがございます。法3条第1項で、土壌汚染状況調査をしなければならない、これは有害物質使用特定施設の使用が廃止されたような場合でございますが、この調査件数が221件、15年の2月15日から2年間の間に、221件ございました。そのうち指定区域に指定されたところが54件、指定区域に指定されなかった件数が167件ございました。指定区域に指定された54件のうち人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがある場合として汚染の除去等が必要とされたものが10件でございます。この10件につきましては、すべて自主的に措置が講じられた、あるいは、講じられることになったために法7条の措置命令を出すに至りませんでした。54件指定された区域のうち、指定区域が全部解除されたもの、既に全部解除されたものが20件ございまして、これは皆、掘削除去による対応でございました。指定区域の一部が解除されたところは4件ございまして、これもすべて掘削除去によるものでございました。指定区域が未解除のところがしたがいまして30件、こういう状況にございます。
 その裏をごらんいただきますと、今のところをもう少し詳しく書いてございます。実はその調査を行ったところが221件と、先ほど申しました。有害物質使用特定施設の使用廃止件数は1,254件ございましたが、そのうち、この時点つまり平成17年2月14日現在では、調査実施済が221件、実施中が33件。一方で、法3条調査を猶予する、これは第1項ただし書きが適用されたものでして、それが915件、その確認中の手続をしているようなものが65件、あわせて980件ございました。有害物質使用特定施設の使用廃止件数1,254件のうち980件が法3条の調査を猶予している、あるいは猶予する方向で確認中であると、こういう状況にございました。「その他」は、例えば地主さんが2人いて、一つの施設が廃止されたときに調査を2人で実施するような場合がございますが、そのような調査を実施するか確認の手続を行うか検討中のものなどが56件あったという実施状況でございました。
 一方で、その次のページでありますが、法第4条の調査についてのものでございます。これは、都道府県知事が人の健康に被害が生ずるおそれがあると認めるときに都道府県知事による調査命令がかかるということでありますが、2年間の間に調査命令がかかった件数が4件ございました。そのうち2件が指定区域に指定されましたけれども、指定区域に指定されなかった件数が2件ございます。指定区域に指定された2件につきましては、これは今まだ自主的な措置が講じられているわけですけれども、措置命令には至っておりませんで、この時点ではまだ未解除でございました。
 参考でございますが、その次のページに土壌汚染の調査件数の推移等ということで、平成15年度の数字まで入れたグラフを掲載させていただいております。これは、もちろん法律によるものだけではございませんで、というか、それはあまり数が多くないのは先ほど申し上げたとおりでございますが、自主的に行われた調査などで都道府県が把握しているもの、あるいは条例に基づいて行われた調査で都道府県が把握しているもの、こういうようなものの件数の和でございます。調査の件数、基準超過の件数ともに年々増加していると、こういう状況にございます。その下にあります表でございますけども、ここでどのような物質が見つかったか示したものです。この表は、超過事例につきまして物質に分けておりますが、平成14年度の累積でVOCが286件で、重金属等が435件、複合汚染が84件、このような数でございました。
 それから、その次の一番最後のページでございますけども、有害物質別の基準超過件数のグラフと土壌汚染の調査が行われた事例の判明契機の表でございます。この判明契機を見てみますと、やはり多いのが事業者等による調査というものでございまして、これはいわゆる条例、要綱等に基づく調査とか、その他の自主的な調査とかでありますが、これが1,372件ほどありまして、行政による調査、これは立ち入り検査も入れておりますが457件あるということでございます。行政による調査の契機は、この表の下の方でありますけれども、住民からの苦情とか土地利用者からの異常の訴え、相談等、そのようなものが多いようでございます。
 簡単ではございますが、以上が資料2の説明でございます。

(森田委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、今御説明いただきましたものにつきまして、御質問、御意見ございませんでしょうか。

(平田専門委員)
 第4条の調査命令は、4件かけて、そのうち2件は指定区域、2件は何もなかったということなんですね。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。これは4件出まして、2件が指定区域に指定されたのですが、2件は指定区域に指定されませんでした。これは実際に、私どもが決めております調査の方法では、調査命令に従って、深さ10メートルまで調べなさいという話になっておりますけれども、1件はそういうような深さがそれでよかったのかと、そういう、私どもが決めております内容についての改善が必要な点がないかどうか、そういう検討を今年度フォローアップしているところでございます。そのほかにも、いろいろな基準等の改善が必要な点がないかどうか、これも今年度フォローアップをしているところでございます。その結果がまとまりましたら、また専門委員会に御報告をして、次の対応が必要かどうか検討していただくことがあろうかなというふうに考えております。

(森田委員長)
 ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見ございませんでしょうか。

「なし」

(森田委員長)
 どうもありがとうございました。第1番目の議題の土壌汚染対策法の施行状況についての御説明を終わったということにしたいと思います。
 引き続きまして、議題の2番目に移りたいと思います。
 次の議題は、土壌の油汚染対策についてであります。これは資料3から5まで、結構あります。
 事務局から「油汚染」サイトにおける土壌汚染調査・対策事例、油汚染対策ガイドラインのイメージ、さらには本専門委員会の審議のスケジュール案について御説明をお願いいたします。

(鏑木土壌環境課長)
 それでは、引き続き御説明をさせていただきます。
 資料の3、4、5の順番でお話をさせていただきますが、資料3は背景でございまして、これも簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 資料3は、平成13年度に社団法人土壌環境センターに環境省から委託いたしまして、センターの会員企業138社、これは土壌汚染の調査とか対策とかを行っておられる企業の方が中心でございますけれども、そういう方々を対象といたしまして、「油汚染」サイトの調査・対策に関するアンケート調査を行いました。この際、かぎ括弧つきの「油汚染」となっておりますが、油汚染とは何ぞやという、そういう定義を余りがちっと決めずにアンケート調査をしているんでございますけども、その油汚染がある土地について調査を行った実績があると、会員企業で回答してくださったのが49社、実績数では779件ございました。
 ただ、このアンケート調査は、土壌汚染対策法制定前に行ったものでございますから、回答者の方々の土壌汚染についての認識は、土壌汚染対策法で、例えばベンゼン、PCBなどが特定有害物質として規制された後のものとは異なるのではないかと思っておりますし、またその油汚染というのは何ぞやということにつきましても、調査・対策の発注者あるいは回答者によってばらつきがあると考えております。例えば、回答された事例の中には、ベンゼンによる汚染を意識したものもありますし、油臭や油膜の存在を意識したものもございます。一方で、土壌に油が含まれた状態にあるかどうかだけを意識したものもございます。このアンケート調査は、したがいまして件数が779ありましたというその数には余り意味があるということではございませんのですが、土壌汚染対策法制定以前に「油汚染」の発見の契機などがどうであったかという状況とか、あるいは調査・対策事業を受注した土壌汚染調査対策事業者の意識、これらを知ることができるものだと考えております。
 表1、次のページでございますが、ごらんいただきますと、この調査・対策を行う契機となったのは何かということを書いてございます。一番多いのが一番上の状況把握ということですが、土地を売買するために調査をした、あるいはISOを取得するためにその調査をした、このようなものでございます。これは比較的油があるかどうかだけこれに意識をして調べているようなものが多かったわけでございますが、一方で汚染が発見されたというのもございました。これは掘削工事中に発見されたとか、あるいは敷地内での異常が発見されたとか、これ、油臭とか変色とか、あるいは次の汚染発見の周辺住民からの苦情等というのがありますが、それと自治体による発見もありますけども、油臭とか油膜でございますね。こういうものの発見による調査、発見を契機とした調査というものがございました。
 下の図1あるいは次のページの図2でありますが、この回答者が油汚染土壌の処理においてどういうことに問題があったかという意識でございます。多いのは、法規制がないとか、あるいは汚染の判断についてのメルクマールがないとか、処理の目標がないとか、そういうようなことでございましたが、おかげさまで土壌汚染対策法ができて、有害物質については法規制もあり、判断の基準とか処理の目標とかいうのも明確になっているというふうに考えておりますけれども、上の表1にありますような油臭・油膜についてのこのような目標とか判断のメルクマールと、こういうものがまだ示されていない状況にあるというふうに考えております。
 3ページにあります図3でありますが、汚染サイトの業種でございます。これは、「油汚染」というのがどういう定義かというのは回答者によってばらつきがあるというのは、先ほど申し上げたとおりでございます。特に、土地の売買のための調査が多いので、ガソリンスタンドが27%あるという話になってございますけど、注目していただきたいのは、それ以外の業種もたくさんあるということです。つまり、建設業とか、機械器具の製造業とか、化学工業とかガス業とかいろいろなところで「油汚染」というものが意識されたというようなことがございましたという資料でございます。
 このようなことを考えまして、資料4でございますが、油汚染対策ガイドラインのイメージという資料をつくってございます。クリップを外していただきまして、1枚、「油汚染問題への対応フロー」というフロー図が後ろについておりますので、それをあわせてごらんいただきながら、御説明させていただければと思います。まず資料4の油汚染対策ガイドラインのイメージ、趣旨というところでございます。広い、いわゆる広義の土壌汚染対策ということになりますと、人の健康保護という観点から講ずるものと、生活環境保全という観点から講ずるものがあると考えております。私どもが所管しております法律は、三つありまして、農用地土壌汚染防止法、土壌汚染対策法、ダイオキシン類対策特別措置法でありますが、そのうち農用地土壌汚染防止法は健康保護とそれから生活環境保全というのが法目的になってございます。一方で、土壌汚染対策法とダイオキシン類対策特別措置法は、これは健康保護でございます。油といいますと、さまざまな化学物質によってでき上がっているものでございますから、その成分それぞれにつきまして、人の健康保護という観点からの土壌汚染対策につきましては、これは今も継続してずっとやらせていただいておりますけど、個々の物質についての科学的な知見を集めて、土壌汚染対策法に基づく規制項目の追加等の措置を講ずると。基準の項目追加ということをやっていく努力、これを続けていくということだと思っております。
 一方で、土壌汚染対策法は、人の健康の保護を目的とした法律でありますから、油を含んだ土壌に起因する、その土地あるいはその周辺の土地、さらには井戸水や水域の水における油臭や油膜につきましては直接の対象となっていないと思われます。中にベンゼンが含まれていればどうかというと、それはまた別だとかという話はありますけれども、油臭や油膜があるからといって、この法律がすぐ措置を講ずるという話にはならない。ただ、油臭や油膜があったというときには、それは感覚的に把握できるものでございますので、これはその成分の分析を待つまでもなく、不快感やあるいは違和感というようなことで、生活環境保全上の支障になるのではないかと考えております。そのようなことを踏まえまして、それと先ほどの平成13年度の意識の調査、こういうようなものも踏まえて考えてみますと、鉱油類を含む土壌に起因して、その土壌が存在する土地あるいはその土地にあります井戸の水とか池、水路等の水を、その土地あるいはその周辺の土地を使用しているまたは使用しようとしている人に油臭や油膜による生活環境保全上の支障を生じさせている問題、これを「油汚染問題」というふうにこのペーパーの中では定義させていただいておりますが、そういう油臭や油膜が土地の表面、地表とかあるいは井戸水とか池・水路等の水に感じられるそういう問題があったときに、どのような調査をし、どのような対策をすれば生活環境保全上の支障を除去できるか、その支障を解消できるかにつきまして油汚染対策ガイドラインとして取りまとめて公表することにしたいと考えたわけでございます。
 のっけから「鉱油類」というふうにしておりますが、動植物油はその対象外とする考えでございます。と申しますのも、今まで報告例で挙がっておりますもので見ますと、これは鉱油類であって、動植物油が土壌に含まれたときの油臭や油膜についての知見がちょっと乏しいということにございます。
 それで、2ページ目でございますが、そういうガイドラインをつくりたいということなのですが、目的とか期待する効果とか、運用に当たっての留意事項はこのように考えておりますというのが2ページ目でございます。
 これは、ある土地で油汚染問題がありましたときに、その土地あるいはその周辺の土地におきまして行う調査や対策について、その目標を設定しやすいように、またそれを円滑に実施しやすいようにするために参考となる考え方あるいは技術情報をわかりやすく提供できるようなものにして、広く参考にしていただきたいと考えております。何かとわかりにくい文章をつくってしまう癖があるのが役人でありますけども、できるだけわかりやすいものとしたいというふうに思っておりますのと、本文のほか参考となる技術資料を掲載することにしたいと考えているところでございます。それから、現場はそれぞれ多様な状況もございますので、その多様な状況に応じて利用者が的確に用いることができるようなものにしたいと考えております。この多様な状況といいますのは、まず典型的なのは、油臭あるいは油膜を生じさせている油の種類、成分、これはさまざまになりますし、また、油といいますのは、一遍環境中に出ますと酸化・還元などの作用を受けまして、経時的に性状が変化していくということでございますので、いつの時点で漏れたものかということによっても、油臭・油膜ということはさまざまになってしまうと。また、同じ油が同程度含まれている土壌ということになりましても、土地の利用方法によって、油臭があるかどうかは異なるというようなことがございます。例えば、裸地で使用することが大前提となっておりますような児童公園、それから、高層ビルを建ててその周辺をコンクリートで覆うことになっている事業所、こういう違いは当然あるわけでございます。それから、地下水がありましても、それが井戸水として利用されるというようなことがなければ、油臭や油膜が問題とされることがないという土地もございます。例えば、海浜にあります工業地帯にある工場などはそうなります。油臭や油膜だと思っても、油が原因であるとは限らないということがございます。そのようなことをいろいろ、その多様な状況がありますものですから、画一の規制的なものとして誤解されないようにするということが重要だと考えております。例えば、本文中に数値を記載することがあったとしても、その数値がひとり歩きしてしまうというようなことがないようにしたいと考えております。また、もともとその油、油臭とか油膜とかいいますのは、非常に感覚でとらえやすい、あるいは感覚でとらえることになるものというふうに考えておりますが、油の状態、これはさまざまでありますから、それを総体として、とらえられるようにするためには、人間の感覚である嗅覚とか視覚、これをもととするということになるのだろうと。ただし、人によって違うというようなことになりますので、それを補完し、関係者が共通の理解に立てるようにTPH(トータル・ペトロリアム・ハイドロカーボン)を利用すると。こういう調査方法を使って、共通の理解に立てるようなことにしていったらいいのではないかと考えております。
 それから、土地の利用の方法あるいは目的によって対応方策が適正に選定できるような、そういったものにしたい、わかりやすいものにしたい、技術的な情報も盛り込みたいというふうに考えております。土地に油臭や油膜がなければ、その敷地の地下に油が眠っていても対策をしなければならないということにはならないということでありますけども、周辺の井戸や水域に油臭や油膜を生じさせることがないかどうか、これは一定の調査や対策を行うということは必要ではないかと考えております。ただし、これが過重な負担になるというのはよろしくないのではないかと思います。例えば、井戸等がないということがわかっていれば不必要にするとか、例えばガソリンスタンドがあって、そこで何か油臭・油膜があったとして、その周辺の家を一軒一軒訪ね歩きなさいというようなことは不必要とするとか、そういう合理的な対応の範囲を検討していったらどうかというふうに考えております。
 それから、油臭・油膜であると疑わしい臭い等があったときには、まずTPHで鉱油類が原因であるかどうかを確認するということにしたらどうかと考えております。
 その次に、油汚染問題がある土地の所有者の皆さんがどのような目標を立ててどのような調査・対策をすればいいかということの参考になるというのが一番だろうと思いますが、その周辺の土地の所有者などとのリスクコミュニケーションを行うに際しましても、参考として活用できるものにしたいと考えております。
 また、油汚染問題がある土地の所有者やその周辺の住民等から相談を受ける自治体、この自治体の皆さんにも参考として活用していただけるものにしたいというふうに考えております、
 それから、一方で、既に油を含む土壌に対する自主的な対応指針を持っている、また実際に実施してもおられる、そういう皆さんで、このガイドラインが達成しようとすること以上の対応を行うという事業者につきましては、その方が自社で持っておられるような対応指針に基づいて自主的な取り組みを行うことを阻害しないよう、そういう運用上の留意は必要かなというふうに考えております。
 また、他者の土地に対して油臭や油膜を生じさせないということであるならば、その工場・事業場の敷地として使い続けられる土地において行われる自主的な対策、土地取引の際の当事者同士の合意に基づく対策につきまして、このガイドラインができたがゆえに、よりうまく進まなくなってしまったということにならないようにしたい、あるいは規制的な内容とならないようにしたいというふうに考えております。
 それから、油汚染問題の発見から対策までの大まかな流れ、これは油汚染問題への対応フローというものを御覧いただきながら、御説明をさせていただきたいと思います。まず、ここで考えておりますフローの左側の方に契機というのがあります。契機は、当該土地の地表または井戸水等に油汚染問題を認識というのが、まず大きな入り口になってございます。これは、先ほどの資料4の3ページの3のアにございますように、土地の表面あるいは井戸水等において油臭が感じられる、あるいは油膜が視認される。こういう感覚による把握が、まず入り口だろうというふうに考えております。ただ、建物の基礎工事などで表面に出た土壌にそういうものがあったというようなこともあろうかなと思っております。まずはその土地の表面とか井戸水等であろうと。それがあったときに、資料4の3ページでありますけども、まず、鉱油類が原因であるかどうか、鉱油類がその問題なのかどうかということをTPHで確認するということになろうかと思います。
 4ページにまいりまして、鉱油類が原因だということになった場合には、油臭が感じられる範囲、これを現地踏査などによって大まかに把握する。その範囲内の、あるいはその周辺部のTPHを測定する。つまり、なんかにおうぞ、それじゃ、本当に鉱油類かどうかをTHPで確認をする。そのTPHで確認した範囲、TPHの数値というのは、その絶対的な数値があるというわけではないと思います。といいますのは、その油は環境中で酸化や還元を受けていろいろ性質が変わってきているようなことがありますので、その同じ成分の油が漏れたとしても、いつ漏れたかによってにおいが感じられる範囲は変わってくる。それで、油臭が感じられる範囲は、やはりその現場を、平たく言えば、歩き回って、やる。ただ、それの数値を、その範囲を皆さんが共通の理解に立てるようにする必要があるだろうと思います。調査の発注者、それから受注した人、こういう人たちが共通の理解に立つ必要があるだろうということで、そのにおいが感じられる範囲内のTPH、それからにおいが感じられないところのTPH、こんなものを測りまして、いわゆる総体的にこの範囲であればどうも臭いという、そういうものとして、その土地の状況を把握したらどうかと。
 絵でございますけども、ウで測定いたしましたTPHの値、それから嗅覚による油臭との相関性に基づきまして、その現場において油臭を生じさせる油が存在する。平面的な範囲のTPHの等高線で図上に示すなんてことがあるんじゃないかと。深さ方向につきましても、同じようにTPHを測っていけば、その範囲が大体わかるんじゃないかと。
 カでございますが、深さ方向の油の存在状況、敷地内の井戸水の状況、周辺における地下水の利用状況、土地の使用履歴などによりまして、油汚染問題の原因となっている油を除去あるいは浄化する必要性の程度、それらを行う場合の仕事量と効果、対策に要する費用、こういうものを検討したらいんじゃないかと。
 その次に、当面予定されている土地の利用方法に応じまして、盛り土や舗装による油臭の遮断が可能かどうか、その他の代替策があるかどうか、それらの方策を採用した場合に生活環境保全上の支障が除去できるかどうか、こういうものを検討いたしまして、対策に要する費用を検討すると。そのような検討の結果、現場の状況に応じた適切な対応・対策方法を選択いたしまして対策をするということになるわけですが、仮にその方法が敷地内の油を除去しないで、将来また別の土地利用が行われるというときに、あるいは土地の改変が行われるときに、また一から調査をするというようなことになるのも大変でしょうから、将来行われる土地改変時の対応を容易にするために、上記の検討の結果、それから対策の方法の選択の理由、こういうものを記録として保存しておいて、後で活用できるようにしたらいいんじゃないかと。
 それから、もちろん、対策を行った後はその効果がどうであったかということを確認するということになるわけで、その確認は油汚染問題が解消されたかどうかの確認ということになるのではないかと。また、そういうようなことをすることによって、その記録も残せば、万一同じ敷地内で別の油汚染問題が見られた場合、あるいは周辺で油汚染問題が見られた場合に備えることもできるので、調査や対策の内容を記録として保存しておけばいいのじゃないかと。
 そういうのを大まかな流れとして考えているんですが、フロー図をごらんいただきますと、契機の右の方に状況把握調査、そのまた右の方に対策方法の検討・実施という、そういう大ぐくりの内容を書いてございます。まず、先ほど契機を申し上げました。当該土地の地表あるいは井戸水等に油汚染問題が認識されたと、こういう入り口でございます。状況把握調査として、まずその現場の状況、これを現地踏査等で、油臭・油膜の発生状況を把握する。鉱油類かどうか、TPHの程度はどうか、平面方向・深度方向の分布はどうか、周辺に油汚染問題を生じさせるおそれが大きいか否か。こういうことの状況把握をすると。
 右側にいきまして、その土地における対策を検討するスキームを設定していくと。この対策を検討するスキームを設定していきますときに、右の下の方の土地の利用方法の情報というのがございます。二重の枠で囲ったところですが、今の現状はどうか、今後の予定の有無と内容はどうか、こういうものも含めまして、対策のスキームを検討する必要があるんではないかと。対策を検討する対象となる土壌の範囲はどうか、周辺の井戸等を意識した対策を必要とするかどうか、こういうことを検討いたしまして、そこまでが状況把握調査というふうに考えているものでございます。
 それを字にしましたのが資料4の5ページ以降なんですが、まず基本的な考え方でございますが、状況把握調査というのは、油汚染土壌に起因して当該土壌が存在する土地あるいはその土地にある井戸水等を使用する人に油臭や油膜による生活環境保全上の支障を生じさせていると。そういう認識があったときに行うということになります。何度も申し上げて恐縮ですが、まずはその油臭等が鉱油類によるものであるか否かの確認に始まるのだろうと。油汚染問題の発生状況を現地で確認するなど、種々の事項を調べまして、その油汚染問題についての対策方針、対策内容の検討に必要な資料を整理する。そこまでの一連の調査を状況把握調査という一つの固まりと考えております。
 なお、土地の所有者が周辺の土地あるいはその土地にある井戸水等を使用する人、つまり、例えば隣の土地あるいは隣の土地の井戸水を使用する人から、どうもおたくの土地で油汚染問題が生じていて、それが自分の土地にも何かその問題を起こしているんじゃないかという指摘を受けたような場合、その指摘が当を得たものであるかどうかということを確認することになると思いますけども、その当を得たものであるということが確認できたならば、きっかけは隣からの指摘でありますけれども、状況把握調査、同じ調査をやっていくのだろうというふうに考えております。ただ、それが、自分の土地じゃないぞと、どう考えても油なんか使っていないとか、そういうような場合、その後の環境行政担当者の調査に協力をするというようなことになろうかと。それから、自分でも油のタンクを持っていますがその管理の記録から見ても漏れているというようなことは全然ないし、観測をしても全然そんな漏れているというようなことはありませんというようなこともあろうかと思います。そういうような場合も、その後行われる環境行政担当者の調査に協力すると。こういうのが土地の所有者の立場かなというふうに考えております。
 それから、(2)でありますけれども、状況把握調査を行う契機、このきっかけが地表の油臭・油膜であったという場合であっても、井戸水等の油臭・油膜であったという場合であっても、その現場確認をしていくということになると。[2]でありますけども、油汚染問題の存在が認識された土地、これは、以降、このペーパーでは「調査地」と言っておりますが、その調査地において油臭等の原因が鉱油類であるか否かをTPH試験のクロマトグラムの形状等で判定をする。それから、平面方向・深度方向の油含有土壌の分布はどのような状況にあるか、これを人の感覚とTPH試験の組み合わせによって把握をする。
 6ページにまいりまして、現場確認の際にあわせて、これ、敷地に実際行くわけでありますから、調査地全体の油汚染の発生状況を把握することになろうかと思います。例えば、地表で油臭があったといって現場調査に行ったときに、その井戸水等でも油汚染問題が生じていないのか、あるいは逆に、井戸水等に油膜があったときに地表でも問題はないのかと。こんなことを把握するというのがまずあろうかと。
 あわせて、資料等調査によりまして、調査地における鉱油類の取り扱いの履歴――油臭とか取扱設備の深さとか構造あるいは管理の記録、こういったものを調べまして、それから調査地の地質、地層、地下水の存在状況、流向など、それから調査地における過去の油汚染問題の履歴、こういったものを把握するということになろうかと。
 (3)にまいりまして、地表の油汚染問題につきましては、油臭・油膜の原因となっている油含有土壌の平面方向と深度方向の分布状況、これを概括的に、先ほど申し上げました人の感覚とそれを補完する土壌TPH試験によって把握するということになります。一方で、調査地の井戸水等においても油汚染問題が生じているという場合には、もう少しデータを補足しないといけないといった場合があろうかと思います。最初の地表の問題だけであれば、歩き回れば大体わかるみたいなものを、TPH試験で深さ方向にも、どのぐらいまでいっているのかなということを概括的に把握するというようなことを考えているんですが、井戸水の問題がありますよというようなことであれば、実際、井戸水にどこから油が流れていったのかみたいなことも、もう少し詳しく把握する必要があろうかということで、追加の土壌TPH試験を行って、データを補足して把握するということになろうかと。
 [3]でありますが、問題はその周辺の土地に油汚染問題を、人さまに御迷惑をおかけするかどうかというようなことのおそれの大きさということであろうと思いますけれども、これは当該調査地において油汚染問題を生じさせている油含有土壌の平面方向・深度方向の分布状況で、そういったものが敷地境界からどれだけ離れているか、さらにその調査地の井戸水等の状況は実際どうなのか、地下水の存在の状況はどうか、その流向はどうなのか、調査地の地質、地層あるいは地下水、流向の下流側の境界線における地下水の油の存在状況、こういったものをもとにしまして、おそれの大きさを把握をするのだろうと。ここの部分で資料等調査の内容が生きてこようかと、あるいは現場を歩き回ったその現場調査の結果が生きてこようかというふうに思っております。
 [4]でありますが、なお、その調査地の地表には油汚染問題が生じていない、資料等調査によって、調査地に油の使用履歴もない。にもかかわらず、井戸水等で油汚染問題が生じている、例えば、土地の境界線の近くにある観測用井戸で油汚染問題を生じている。そのような場合には、ひょっとしたら、外側に汚染源があってそこから流れてくるということを推定するのが妥当な場合もあるのではないかというふうに思います。
 それから、(4)の土地の利用方法の情報の把握等ということでございますが、同程度の油含有土壌の存在状況であっても、土地の利用方法によって油臭を感じやすいか否かなどの生活環境保全上の支障の生じやすさは異なるわけでございます。また、同じく土地の利用方法によっては、例えば、地表を舗装することができないとか、地下を掘り下げた土地利用にならざるを得ないとか、油臭や油膜を感じなくするための対策方法を選択する上での制約となる要因があり得ると考えております。そのようなことから、現状の土地利用と油汚染問題に対する対策後の土地利用の予定の有無、その内容についての情報を把握いたしまして、調査地の油含有土壌の存在状況、周辺への影響のおそれの程度等との関係もあわせて考えて、対策のスキームをつくっていくんだろうと。
 それで、(5)でございますが、そのようなことを調査いたしました結果につきましては、調査地における対策を検討するためのスキームを設定するために使うということになりますので、対策を検討することが必要な油含有土壌の存在状況、周辺の井戸水等への影響を意識した対策を必要とするかどうかの検討結果、それから、現状と今後の土地利用方法から想定される対策方針の制約条件などをわかりやすくとりまとめて、その調査の最終的な結果だけではなく、その調査を行うことを通じて得られたデータと資料、これについても将来参照できるように、あるいは対策後に保存する記録の作成に用いることができるように、経時的に整理をして保存したらどうかというふうに考えております。
 このような調査によりまして次は対策にいくということになるわけでございますが、対策につきましては、基本的な考え方として、まず、調査地におきまして、その土地利用状況に応じて油含有土壌に起因して生ずる油臭や油膜による生活環境の保全上の支障を除去することを目的として行うと、対策の目標というのは、その油汚染問題となっている油臭・油膜が解消するということではないかということであります。この方法はいろいろあろうかと。
 地表での油汚染問題については、盛り土、舗装、こういうものによって、油臭・油膜を遮断するということが基本ではないかというふうに思っております。一方で、井戸水等の油汚染問題については、遮水壁とかバリヤー井戸によって、油臭や油膜を発生させている油分を遮断するということが基本ではないかと。ただ、これをその土地の利用状況あるいはその土地の利用の計画によりましては、油臭や油膜の原因となる油含有土壌も掘削除去しましょうとか、あるいは油含有土壌中の油分を分解しましょう、抽出しましょうという浄化対策とか、これを必要とする場合があろうかというふうに考えますので、どうも土地利用方法ということを考えながら対策を考えなければいけない。それと、状況把握調査で把握された油含有土壌の存在の状況とか、敷地境界線からの距離とか、隣に御迷惑を及ぼすかどうかみたいなこともあわせて対策方針を立案する必要があるだろうと。そのようなことをまず立案をいたしまして、それを具体化するための対策計画を立案する。それらの立案のためにもし必要があるならば、状況把握調査を補完する調査をここで行うということになろうかと考えております。また、対策後には、対策効果の確認、記録の作成、保存、対策内容や土地利用方法に応じて必要となるモニタリング等を行うということかなというふうに考えております。
 対策方針の検討についてもう少し付言いたしますと、対策を検討する対象となる土壌の範囲、それから、土地の利用方法に応じた対策方法選定の考え方を検討するというのが、この方針である。この際、まず、調査地内の油含有土壌についてのみ対策をすればよいのか、あるいは調査地の井戸水等についても対策が必要なのか、周辺の井戸等を意識した対策が必要なのかというような、対策目標設定の基本的な要件を設定する必要があろうかと考えております。
 油含有土壌の対策をすれば、土の対策をすれば水に与えるいい効果もあるだろうというようなことだとかを勘案しながら、地形や地質などの自然的条件と当面の土地利用情報などをもとにいたしまして、基本的対策方法である盛り土や舗装による油臭や油膜の遮断が可能かどうか。その他の代替案があるかどうか。あるとすれば、その方策を採用した場合の費用対効果はどうか。対策後の土地の状況が土地利用上の障害とならないのかどうか。地形、地質の関係から見て、施工性に問題はないか。などにつきまして検討いたしまして、効果的で経済的に合理性が高い、そういう対策方法を選定するんだろうと。
 状況把握調査の結果、その周辺の土地、井戸水等に地下水を経由した影響を与えるおそれが大きいというような場合は、敷地外への影響拡散防止策を講じるという方針を立てる、また、その敷地境界線付近の地下水のモニタリングを行うという方針を立てるということになろうと思います。このような、ここの部分は何々を検討するじゃなくて、これこれを講ずるとともにモニタリングを行うと書いてありますのは、方針としてそれはもうやるのだということになるのだろうということで、そのような書き方をしております。
 また、周辺の土地の生活環境保全上の支障を生じさせることが明らかだという場合、もう、何か土地の境界線を見てみたら隣の土地にどんどんいってそうであると、これはかなり御迷惑をおかけしていると思われるみたいなときがあろうかと思いますが、そのようなときには、土地の所有者等は保健所あるいは環境行政担当者に報告をしていただく。報告を受けた環境行政担当者等は、周辺に井戸があるかどうかとか、井戸がある場合には周辺の井戸水に油汚染問題が生じていないかどうかを調査・把握するとか、そういったようなアクションになろうかということでございます。
 対策計画の検討でございますが、方針を立てました、それに応じまして対策計画を立てていくということになります。選定された対策方法を考慮して、必要なデータ等を収集しまして、計画を作成する。どんなデータかといいますと、対策方法の実施設計、工程管理、品質管理、などなどございます。対策を行う際の環境等のモニタリングの計画、緊急時の対応計画、そういったものもあろうかと思います。
 (4)で対策の実施と完了確認ですが、こういう計画に基づきまして計画的に遂行していく。実施に当たりましては、周辺への悪臭防止などの環境保全上の措置を適切に講ずる。それから、工事に伴って生じた油含有土壌について適正に処理をする。こういう油含有土壌を敷地外に搬出して処理をしましょうというときは、汚染土管理票を用いて物流を管理するとか、処理を委託する場合には確実に適正処理ができるような人であるかどうかを確認して行って、二次的な環境汚染の発生を未然に防止するということが必要だろうと。
 対策完了というのは、対策後に生活環境保全上の支障が解消されて、油汚染問題が解決されたということを確認することによって行う。関係者がその土地を踏査することによって確認する。つまり、もともと、臭いとか、見えるとか、そういう感覚でございましたので、やはり現場に入って、それを確認するということが基本だろうと。関係者間で効果確認がうまくできないという場合には、リスクコミュニケーションによる解決を図るということになるんじゃないかと。調査・対策を実施した人が、そのために必要な、客観的な根拠データを提示するということになるんだろう。
 おしまいでありますが、対策の記録・作成あるいはその保存ということなのでありますが、万一同じ敷地内で別の油汚染問題が見られた場合とか周辺で油汚染問題が見られた場合、これに備えるために、また、その敷地内の油を除去しないという場合、将来行われる土地の形質変更時の対応を容易にする。そのために、その土地の所有者等が調査内容、対策検討経緯、実施した対策の内容、対策完了の判断根拠、こういうものを記録として作成して保存する。
 [2]はリスクコミュニケーションでありますけれども、これは対策の検討から対策完了までの間に適宜リスクコミュニケーションを行うということが円滑な問題解決に有効ということもあろうかと思いますが、その際、その記録もきちんと保存しておくということが必要なんじゃないかと。このようなリスクコミュニケーションは、通常、調査地の所有者等とその周辺の土地の所有者等などで行われる、あるいは行う必要がある場合にやるということになると思いますけれども、必要に応じて、環境行政担当者等が参加した場合には、環境行政担当者等においてもその記録を保存しておいていただくということが必要なんじゃないか。そんなことを考えておりまして、以上のような内容をガイドラインとして、もう少し技術的な内容も入れ込んで、まとめていっていただければありがたいなというふうに考えているところでございます。
 長くなりましたが、資料の説明でございました。

(森田委員長)
 御説明いただきまして、ありがとうございました。
 スケジュールについても御説明ください。

(鏑木土壌環境課長)
 失礼いたしました。資料5でございますが、本日は第6回と一番上のところにありますものでございます。
 既に日程を先生方にお示しをさせていただいておりますが、11月22日に次回の第7回、ここでガイドラインの案をお示しをしたい。それから、1月に、また議論を続けてお願いをしたい。その後パブリックコメントをかけさせていただきまして、3月にはそのパブリックコメントの概要と対応について御説明をさせていただき、御審議をいただいて、専門委員会の報告書としておまとめをいただければというふうな検討スケジュールを、案として考えております。

(森田委員長)
 ありがとうございました。
 スケジュールなども少し頭に入れていただきながらとりあえずこの本体の議論をするのですが、その前に、鏑木課長の方から今御説明いただきましたイメージを含めて、対応フローを一応のスキームとしてお示しいただいていますけども、この内容についての御質問がございましたら、そこからスタートしたいと思います。

(眞柄臨時委員)
 土壌が油で汚染されて、生活環境上の障害を来したことについて何らかの対策をとろうという趣旨はそれで結構ですが、かなり難しい。いろいろなケースがあるわけですね。
 それで、例えば、かつてこういうケースがあったわけです。水道用のトンネルの何十メートルか上の土地の軽質燃料油のタンクに穴があいていて、コンクリートの割れ目から水道の水に油が入った。これは、恒常的というよりもかなり一過的なものですよね。そのときにとられた対策は、水道の方がトンネルの中にもう一本鉄のパイプを入れて、油汚染があっても水道に支障がないような対策をとったわけですね。それで終わりですよ。上のタンクは、もちろん撤去して、なくなった。ところが、これは油は残っているわけですね。これはこの対象になるのかどうか。
 それからもう一つは、似たような例で言うと、ガソリンは非常に税金が高いから、皆さん、量の管理をしっかりやっておられるのですが、軽質の燃料油というものはほとんど税金がかかっていないので、割とルーズなんですね、扱いが。
 それから、中小の機械工場では潤滑油がかなり使われていますね、御存知の方もいらっしゃると思うんですが。その周辺の水道管は塩ビ管を使えないわけですが、それは油が染み込んでしまうからです。そういう例は対象になるのかどうかということが一つあります。
 それから、もう一つは、要するに、潤滑油関係を使っている企業は油送関係、車両ですよね。一番わかりやすいのが、レールに油を塗りますよね。そしたら、油ひたひたひたとやって、土が汚れていますよね。線路の横を歩いたら、油のにおいがしますよね。これはどうするんだと。
 それから、これは僕は大塚先生にお答えいただいた方がいいと思いますが、米軍基地の中は随分油を使っているわけですよ。兵器を保存するときには油づけにして、演習のときには軽質の油を使って、それを落としている。でも、確実に、私はこぼれていると思います。そういうものもこの対象になるのかどうか。
 今お話を聞いていて、幾つか、非常になじみにくいけれども、その油で汚染された土がどこにあるかというようなことを考えてみると、今の三つぐらいのことが、とりあえず、環境省としてどうお考えになっていらっしゃるのかなと。その上でいかないと、要するにこのガイドラインをつくったときにどこまで範囲を広げるかというところを規定しておかないと、どんどんどんどん走っていってしまうので、その辺のところをちょっとお伺いしたかったということです。

(森田委員長)
 よろしいですか。

(鏑木土壌環境課長)
 先ほどフローで、中途半端な説明になってしまって申しわけなかったんですけども、このフローの下側のところに周辺土地の地表または井戸水等に油汚染問題があるとの指摘がありました。それで、右側にまいりまして、原因が当該土地にあると確認したら当該土地の状況把握と、こうございますけども、この当該土地というのは、自分の土地といいますか、ここでいっている苦情を言った方の土地ではなくて、言われた側の人、つまり、油汚染の問題が生じているのではないかという、油含有土壌がそこに存在していると思われる土地のことでございまして、今回つくろうとするガイドラインでは、仮に隣に何か影響を及ぼしているかもしれない、隣で何か、人の土地で影響があったかもしれないという場合の扱いにつきましては、このガイドラインでは当事者同士のお話にゆだねますということで、このガイドラインの主な対象は油含有土壌が存在する、まさにその土地ということで考えています。したがいまして、例えば水道局が塩ビ管が使えない、そのために少しコストの高いパイプを入れざるを得ませんというような場合であっても、水道局に対して何々をしてあげなければならないとか、何々をしなければならないとかいうようなことは、このガイドラインに決めないのかなというふうに思っています。
 それと、先ほどの山の中のお話。確かに水道のメインパイプに油がぽたぽた落ちてきたら、そりゃびっくりという話でありますし、水道局は一生懸命対応しなければならないということになるだろうと思います。それはそれで、汚染の原因者というか、そういう原因をつくった人と水道事業者との間で、よく補償問題として解決していただくことが必要になってくるだろうと思っていますが、ただ、今回の油ガイドラインで対象とする油臭・油膜ということで言えば、地中に油が残っていても、それが実際その油臭・油膜という生活環境保全上の問題を生じさせないということであれば、このガイドラインが対象とする油汚染問題ではないというふうに整理をしようかと考えております。土壌汚染対策法も、例えば、ある重金属なりVOCなりがそこに存在している、存在はしているけれども人への健康リスクがない状態になっているということであれば、それでよいと。先ほどの3条調査でも、盛り土とかで抑えられるのであれば、対策方法としてそれでもよい。ただ、そういう情報を記録として、ずっと保存しておくということは必要かというふうに思っています。
 それから、基地の話ですが、今回のガイドラインはガイドラインという性格がそういうことなんだろうと思いますけれど、利用できる人は利用していただければいいと思っていますので、防衛庁でも利用しようと思えば利用していただくということだろうと思っています。
 一方で、同じ基地でも、ほかの国の基地はどうするかという話があるのですが、ほかの国の基地は、これは日米地位協定の問題になってこようかなというふうに思っていまして、かようなものができまして日本ではこんな対応をしていくことにしましたよということは情報として提供する場面もあろうかと思うんですけども、その後、米軍の基地でどういうふうなことが行われるかは、それはほかの環境法規よりは弱いガイドラインですので、特にこれでやってもらうということにはならないかもしれません。

(眞柄臨時委員)
 輸送車両用の油の関係はどうか。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。確かに輸送車両で、機械が、線路に塗った油がちょっと臭いかもしれないとか、線路の横、よく鉄道の駅なんかで、ちょっとにおうかなというのもあろうかと思うんですね。それが生活環境保全上の支障であるというような認識を持った場合に、やはり事業者である鉄道の事業者には対策をしていただくのが望ましいというふうに思うんです。思うのですが、ただ、果たして生活環境保全上の支障を感じる人がいるかどうかというのは、基本的な違いはあるのかなというふうには思います。要するに、線路の際って、人家がたくさんあって、人家が、臭い、臭いと言えば、もう既に対策はとられていると思いますし、そうでないということであれば、余り気にする人もいないという場所の線路なのかもしれないし、ちょっとここのガイドラインで考える典型的なケースとは違うかなというふうに思います。

(大塚委員)
 御指名がありましたので一言申し上げるのと、あと、私も一つちょっと質問をしておきたいところもありますが、眞柄先生、いつもいろいろ教えていただきまして、私、非常に感銘を受けているんですけど、きょうもどうもありがとうございます。
 今、課長の方からお答えいただいたことで尽きていると思いますけれども、駐留している米軍については地位協定の話になりますので、これは多分、もし環境省が努力していただくのであれば、もう一頑張りして、別にしていただくことが必要になってくると思います。基地においては、土壌汚染に関しても大問題であり、東ドイツからソ連軍が出ていったときも大変な土壌汚染の問題がありました。アメリカの中の米軍基地の問題についても、環境保護庁(EPA)は基地の土壌汚染については通常の土壌汚染とは別に特有の対応をしていますので、もし防衛庁の方でそういうことをやることが必要であれば、環境省とも協力していただいて、別のものをつくるというようなことが将来必要になってくるんじゃないかと思います それは、一つは生活環境の保護ということを考えたときに、基地というのは、生活環境の保護に直結するかどうかはよくわからないところがあるということがございますし、また、は非常に汚染が集中していますので別扱いにした方がいいのではないかと思っております。
 それから、別に質問ですけども、これは、先ほど自治体に対して、使ってもらうとか、対行政、自治体に対してというのがあちこちに顔を出していたと思いますけども、ガイドラインとしてお決めになったときにどういう形をとるのでしょうか。単にガイドラインということでだれが使ってもいいですよという形にされるのか、あるいはほかの形式をとることも同時にやるということをお考えなのかというあたりを、お伺いしておきたいと思います。
 以上です。

(鏑木土壌環境課長)
 これをガイドラインとして決めた後は、私どもブロック別ぐらいが希望ではあるんですけども、説明会ということで自治体の皆さんとディスカッションをするといいますか、ガイドラインの内容をお示しして、これはこういうような考え方でできていますと、こういうその役割をやっていただきたい、みたいなことをお話をしていきたいなと思っています。
 それから、別の形で、例えば何かにするという規制をするみたいなことを今考えているわけではありませんが、ただガイドラインを出したならば、それをフォローアップする、それが実際現場でどのように使われていて、現場で使っていく上で何か難しい問題があるかどうかとか、こういうふうにした方がいいんじゃないかという改善点があるかどうか、このようなことはチェックしながら、フォローアップをしながら、もし必要であれば改善していくということにしていきたいと思っております。

(大塚委員)
 別の形と言ったのは、例えば通知とか、告示までいくかはわからないのですが。そういうことを考えていただけないでしょうか。

(鏑木土壌環境課長)
 すみません。通知はするつもりでございます。

(森田委員長)
 ほかにいかがでしょうか。
 私の方も一つだけあるんですが、油汚染という、極めて一般的な名称が使われていますね。これが例えば鉱油汚染だとすると、もうちょっと違ったイメージが出るかもしれないですけど、しかし油汚染というと、もう少し広い意味の言葉が使われていて、その油汚染で市民が感じるイメージとしては、このような石油の汚染みたいなもののほかに、有害物質を含んだ油みたいなものをイメージする方もいるかもしれませんね。つまり、有害物質のある場合にはキャリアであったり、あるいは廃油なんていうのは本来は焼却処分されるべきはずのものですけれども、投げ出されてしまったものをイメージされる方もいるかもしれません。そういう意味で、ここの仕事は、とりあえず、鉱油の汚染ですよと。しかも、それは生活環境の保全という切り口でとにかく整理して作業しましょうというのがとりあえずの提案で、それは一番効率のいいやり方かもしれませんが、しかし同時に、有害物質と生活環境の保全というのは、そんなにこう、きちっと線引きがされない可能性も結構ある。例えば、その有害物質かどうかというのは、有害物質としての名前が挙がったものだけで、ものすごくたくさんのそういう油状の物質が存在をして、有害物質としての名前が挙がるまでの間あるいは指定されるまでの間というのは多分ここで取り扱ってしまうことになるかもしれないですけど、そのあたりの線引きをどう考えておくか。そのあたりも若干、ここで1回、議論をしておいた方がいいかなという感じはするんですが、この辺はいかがでしょうか。

(鏑木土壌環境課長)
 有害物質、いわゆる基準項目の追加ということについては、実は私どもも、毎年毎年予算を使って、順次調べているところであります。ただ、なかなか、まだこれが成果ですというのはお出しできないのがちょっと申しわけないんですけれども、大分たくさんの物質の中からの絞り込み作業というのを進めてきて、かなりその絞り込みが進んできたという状況にはあるかなと思いますけれど、ここから先が、むしろ、時間がかかっちゃうかもしれないというような感じでございます。

(眞柄臨時委員)
 WHOの飲料水のガイドラインで、油分がいずれ入ることになっており、ドラフトがもうWHOのウェブに載っているだろうと思うんですけども。先ほど御説明があったように、油膜の部分に注目して油汚染があるかないかという判断をするのか、1キログラムあたりの何で溶出するのか、水で溶出するのか何かわかりませんけれども、そのときに何ppmあったら油汚染だ云々という、その判断条件を決めるのがかなり難しいと思うんですが、これは場合によれば、どういうお考えかやはり決めておかないと、お互いに責任、油汚染がある、ないとかいう話になって、油の場合は本当に油膜がちょっとあっただけでも、におったり、不快感を及ぼすわけですよね。それはもう、水で言えば、本当に表層の覆水。それを見るのか、あるいは全体としてどう見るのかというところが、非常にこのガイドラインが活用されるかされないかの瀬戸際に近いんじゃないかと思うんですが、それに対するお考えを聞かさせていただきたい。
 それから、いわゆる交通事故で油のタンカートラックがひっくり返って、それが流出して水域に出てくるというのは、非常に頻繁に起きているわけですが、その水域に出るまでの土壌の部分がはがれてくるので、そういう事故はこのガイドラインの対象になるのかどうなのかという、その二つを最初に確認しておきたいので、お考えを聞かせてください。

(鏑木土壌環境課長)
 このガイドラインでは、今の最初の飲料水ガイドラインの油分、飲み水として使う地下水の基準をどうするかとか、あるいは地下水の水質汚染をどうするか、環境基準をどうするかというようなことについては、外に置いて考えています。地下水室長がいますので彼が答えた方がいいのかもしれませんけども、それは地下水の問題として取り組む話かなと思います。したがいまして、1キログラムあたりの溶出試験をこういうふうにやるというアプローチではなくて、結果として油臭とか油膜とかが井戸水で生じているところがあったら、じゃあ、その井戸水で生じている油臭・油膜と、土の油含有量というのはどういう関係にあるのかというようなことを調べて、油を含有している土壌についてどのように対応しようというようなことを、その場所で、対策の方針の立案とか対策の計画というようなことで対応していくというようなことで考えております。
 それから、二つ目の事故時の対応について、これも水質汚濁防止法の体系で行われているようなことがございますので、その表面で油が流出してしまって、流れていって、下流の水道の取水口で問題を起こしたかとかいうようなものについては、このガイドラインというよりは水濁法の世界で考えてもらうのかなと思っております。

(眞柄臨時委員)
 いや、そのひっくり返ったタンカートラックが油をこぼすわけでしょう。それが流れ流れて水域に入るわけであり、その間の土地、つまり土壌はどうなるのかということ。

(鏑木土壌環境課長)
 その土については、これもその事故が起きて、その土地の持ち主が、今度はよそからもらった汚染といいますか、それで被害を受けてしまったということになるんでしょうけど、そのときは、自分は被害者の立場ですから加害者と話をして、どういうふうな対応を望むのかを言った上で、交渉して対応するんだろうと思います。このガイドラインは、はじめににおいがしても、においがしなくなればいいんだということで、じゃあ、土で覆いましょうというようなことでもいいではないですかというようなことになると思うのですけど、多分事故で自分の土地を汚されちゃったとかいうときに、ふたをすればいいですよということになるかどうかわからないので、そこはそれで、少々対象がまた違うかなと思います。

(眞柄臨時委員)
 そういうときに役に立つガイドラインにもなるわけですね。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。いろんな対策をすればこういうような効果がありますとか、こういう調査をすればこんなことがわかりますとかのような技術的な資料を盛り込みますので、役に立つと思います。

(眞柄臨時委員)
  はい。

(森田委員長)
それでは、櫻井委員。

(櫻井委員)
 この9ページの状況把握調査の[4]のところあたりで、「土地所有者等は、保健所や環境行政担当者に報告する。報告を受けた環境行政担当者等は周辺に井戸があるかどうか、井戸がある場合には周辺の井戸水に油汚染問題が生じていないかどうか調査・把握すると書いてありますが、これは報告するというよりは、もちろん努力義務とかなんとかというのではなくて、あくまでガイドラインですから、自主的に報告することを期待しているということなのかなと思いますけども、報告を受けた場合には、行政が調査するその費用の負担はどうなるのかということについて何かお考えがありましたら、お答えいただきたい。

(鏑木土壌環境課長)
 ここで、報告するというのは、ガイドラインでありますので、おっしゃるように、ある意味、サービスになろうかなというふうに思います。報告を受けた環境行政担当者等、これは住民の健康を守らなければなりませんとか、住民の生活環境を守らなければなりませんという立場で井戸の水を調べてみたりするということを想定しておりまして、行政が持っている予算でやってもらうということを想定しています。

(大塚委員)
 先程の眞柄先生の御質問になられたことは大変興味深かったので、ちょっと私も追加してお話をしておこうかと思います。
 土壌汚染対策法の対象になれば、今、眞柄先生がおっしゃった議論というのは、ほかのところから流れてきた有害物質についても、その受けたところの土地の所有者が浄化とか除去等をしなくではいけないということになっていて、だから、対象になればそうなるはずなんですけども、油は対象になっていないので、その議論が使えないのでどうするかということになります。今回のガイドラインはそこは直接には対応できないので、技術的にこういうものがありますから自主的にやってくださいねとか、ガイドラインにできるだけ沿ってやってくださいねという、そこまでですよね。だから、抜本的な対策はできないんだと思うのですが、そのきっかけをつくるということではないかと思っております。
 それから、今、櫻井先生がお伺いになったところについては、モニタリングの補助金の問題がやはりかかわってくると思うんですけども、それはもう、自治体にお任せするしかないんですね。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。

(櫻井委員)
 10ページの、対策完了、リスクコミュニケーションも、当然、それで解決を図ることを期待しているんだろうと思いますが、客観的な根拠データの中に、例えばその油臭というのはなかなか難しいと思うんですけど、官能検査等もお考えの中に入っているんでしょうか。

(鏑木土壌環境課長)
 それをやることを否定するというものではないのですが、それをやらねばならないというとちょっと重いかもしれないと思っています。

(森田委員長)
 今度は冨永先生。

(冨永専門委員)
 資料3で油汚染のアンケートをしておられるんですが、これの中で、いわゆるここのガイドラインの対象になっている鉱油類はどれぐらいあったのか。それに対して油臭とか油膜を感じたかどうか。生活環境上の支障とかいうのがもしあれば、それを確認したいと思います。
 それから、今問題になっていたところで、その辺の生活環境保全上の支障というのがどこまで、つまり、油臭とか油膜で生活環境保全上の支障を来すということが具体的にどういうものかとなると、非常に、両方とも感覚的なもので、見た目が悪いということだけでこういう申告をされるということによって非常に混乱されるんじゃないかと思うんです。片一方でTPH試験をしてそこで数値を出してくるというときに、これは逆に、下手すると、例えば油臭とか油膜が非常にローカルなところ、非常にスポット的なところで、しかも個人差があることなので、あるいは油膜にしても、非常に狭いところで見るものと広く拡大したところで見るものと両方あると思うので、そういうときにTPH試験をすると、今度は逆に矛盾してこないかという問題がある。そこの整合性をとっておかないと、ちょっと、非常に混乱するんじゃないかなと思うんですね。なおかつ、それで生活環境保全上支障を来すという。これも、受ける側によっては、見た目が悪いからということで支障を来すと言われればそれまでで。そういうことも考えて、非常に、もう少しここのところを具体的なものにする必要があるんじゃないかなと思います。

(鏑木土壌環境課長)
 生活環境保全上の支障と書いておりますが、悪臭防止法でいう生活環境の保全を図りましょうというのと、このガイドラインで考えておりますこととは、ちょっと違う点がございます。悪臭防止法の場合には、工場の敷地があって、敷地境界で、その敷地境界の外側に、何かその一定の被害あるいは影響を与えるかどうかということに規制をかけているというふうになっておりますけれども、ここでいっている生活環境保全への支障は、土地の、例えば工場があって、その工場の中で油含有土壌が存在していて、その敷地の中にある油含有土壌によって、工場の中で人が臭いと思うかどうかみたいなことでありまして、隣の敷地にその影響を与えていなければ問題ないとか、そういうのではないものですから。したがいまして、土地の持ち主が自分の土地で油臭い、あるいは自分の土地の中にある井戸水にちょっと油膜が浮いていて、違和感があるとか、これは問題があるんじゃないかと思うとか、そういったようなことを考えております。だから、何というか、隣に影響を及ぼす程度をはっきり、何か試験方法をかちっと決めて、その数値をはっきり決めて規制をするというようなものとはちょっと違うので、油臭がするとかしないとかというのを、まず、感覚で見る。いわゆる臭気指数というよりは臭気強度のような、そんな感覚であろうかなというふうに思っています。そんなことで、TPHを補完的に使うと言っておりますのも、TPHの数値を絶対的な数値としてばしっと決めてこれでやるんだという意味ではなくて、におうという場所についてTPHで油の存在状況を調べる。それで調べた結果を一つの試験方法で、こういうような結果が出ていますよということで、相対的なものとして。というのは、その場所で臭いという場所と、臭くないという場所でTPHでこれだけ違いますよというものとして使うことを考えているものですから、そんな意味でちょっと、余り、厳密な悪臭防止法の規制とは違うようなことを考えています。
 それから、平成13年度のアンケートでありますけれども、回答があって油臭がはっきりしていますというもののうち、単一の油種による汚染が236件あったということなんですけど、不明というのが13件あったんですが、そのほかは鉱物、鉱油類です。それから、複数の油種による汚染と回答があったのは761件ありまして、これも不明が44件ありましたけれど、そのほかは鉱油類でございました。

(平田専門委員)
 調査あるいは現状把握についてたくさん書かれているんですが、基本的にこれは、ある今までの、いわゆる調査の契機に地下水汚染発見型とか現況把握型とか汚染発見型とかありますけども、これは敷地の中での油臭・油膜発見型が基本というふうに考えてよろしいんですね。そういうことですよね。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。

(平田専門委員)
 そういうふうに明確に書いておかないと、自治体がどう絡んでくるか。多分これは大塚先生もいろいろ言われているんですが、やはり一般環境に入ってしまいますと、自治体の協力なしには何もできないということにもなってきますので、自治体とのやりとりの文章が幾つか出てくるんですけれども、どういう場面でどういうふうに自体体が絡むのかということは明確にしておいていただいた方が、現場は混乱しないで済むのかなという気がいたします。

(鏑木土壌環境課長)
 はい。

(森田委員長)
 もう、御質問を通り越して議論に半分入ってきて、どんどん質問も議論もまぜていいんですが、御発言いただければと思います。
 眞柄先生が先ほどおっしゃった、つまり水道というのは、一つの主な汚染の行き着く先の影響のあらわれで一番大きなセクターかもしれないんですが、そちらから眺められて、あるいは水道のその少し上流部分にある土壌汚染というものは、何らかやっぱり手当てされた方がいいかもしれないという認識ではよろしいですか。

(眞柄臨時委員)
 いや、そういう認識で結構なんですが、できればもう一歩進んで、何リットル以上油を貯蔵しているとか、そういう場所のある種の地図というかインベントリーをつくっていただいた方がよいのではないか。それがあれば、どこか汚れているとすれば、多分あの辺だろうとかというのはわかるわけですよね。実際に、スピルした油を考えることもそれは大事ですけども、やろうとすれば、例えば何リットル以上保有しているというのは、例えば準特定施設みたいな扱いをすると、さっきの地方自治体もアクションを起こすときに起こしやすいんじゃないかな。ですから、そういうところまで、土そのものに限定するのは、土壌環境課としては、たしかにそうですけど、原因のところまでいくとやっぱり何リットル以上使っているというような、ある種の制約条件かあるいは判断状況を入れていただくと、使いやすいのかなという認識を持っています。

(森田委員長)
 それからもう一つ、先生の御指摘にありましたWHOの水道の基準かガイドラインか知りませんが、その中にある種のこの種の油の項目が入り、そうするとそれに供給している環境の水の側はどう考えておくかということが、地下水側と土壌側とでそれぞれ独立して動いて、独立をしてそれぞれ違うものをビルディングを立ててしまうと、ちょっと何かつながらないところもちょっとあると思うんですが。その辺は、特に分析の方法とか、あるいは大体このぐらいとか、そのあたりをつかめますか。

(眞柄臨時委員)
 それは難しいと思うんです。

(森田委員長)
 そうですか。

(眞柄臨時委員)
 だから、TPHということは、実は、要するにフィンガープリントでやっていかないと、わからないわけですよね。そのフィンガープリントをするぐらいまで、対応する、あるいは対応しなければならない問題なのかどうかというところがあって。昔みたいにノルヘキでやるという話も、これはまた、ちょっと、もう時代おくれだろうし。どうやって判断条件をつけるのかなというのが、実際に運用する段階になったら、そこが一番難しい問題になるんじゃないかなという認識は持っています。

(森田委員長)
 ちなみに、WHOの水道水のガイドラインとの関係はどうなっているのか。

(眞柄臨時委員)
 油の方は、ISOの関係でフィンガープリントです。ハイドロカーボンの数を1個ずつ足して、何ppmと出しているが、そんなのできるわけないだろうと思う。だから、僕、反対なんです、それには。個人的にはね。

(森田委員長)
 それで特に、例えば、ハイドロカーボンはいいんですが、エンジンオイルとか、違った種類のものも使われているようなケースを想定しないと。

(眞柄臨時委員)
 全部、ハイドロカーボンを測るでしょう。だから、それはもう、要するに、そんなガイドラインつくったって絵にかいたもちで、運用なんかできっこない。そんなものやめろというのが僕の判断なんですね。そのうちにパブコメが出てくるので、そんなものやめた方がいいという意見が多いんじゃないかと思うんですけど。

(森田委員長)
 これはいかがですか。ガソリンスタンドの跡地の実際の分析は、やっぱりそういうトータルのペトロリアム・ハイドロカーボンというだけではなくて、フィンガープリントの分析は実際やられているんでしょうね、きっと。どのように……。

(眞柄臨時委員)
 ガソリンスタンドのガソリンのスピルはないんですよ。ガソリンスタンドで使う他のマシン油が残っているんです。ガソリンにはものすごいガソリン税がかかっていますから、もうがちがち管理されていますから。だから、ガソリンは問題ないのです。ガソリン以外の油が、ガソリンスタンドの、要するにガレージの周りのコンクリートや割れ目から染み込んでいる、そういうケースが多いと僕は認識しています。

(森田委員長)
 細見さん、何かありましたらお願いします。土環センターで随分いろんなことをやられてきたでしょうから。

(細見臨時委員)
 さっきのそのフィンガープリント法というのは、具体的に言うとどういうものか。

(森田委員長)
 GC分析です。

(細見臨時委員)
 GC分析ですね。基本的には、そのTPHで油汚染土壌を分析することによって、冨永先生が言われたように、本当ににおい、油膜、油臭とTPHとの関係というのは、一時的になかなか決められないということを、今までいろんな実際の現場の土壌だとかについて議論しました。やはり油汚染の置かれている状況、経過時間だとか、そういうものが異なっていますので、できれば今、環境省の方から提案のあった、その場に応じてサイトスペシフィックにその関係を求めていく方法しかないんではないかと思います。一律に、油含有量と油膜・油臭との関係が認められる曲線というか直線を描くというのは、どのサイトにも通用するというのはなかなか難しいのではないかと。これが今までの、一律規制の土壌汚染対策と違う生活環境影響という意味では、今回ちょっと新しい一方法ではないかと考えられます。
 それから、周辺の土地利用の状況に応じて対策の濃さも含めて考えたいということですが、確かにいろんなケースが考えられて、はっきりと今こうだと言い切れる部分が多少ない部分もあるかもしれませんが、基本的にはその土地の所有者が、土地を売買するときとか、またISOで自分の土地を評価する際に、油汚染土壌と言えるか言えないか、油汚染に対してどういう対策をとるべきかということを調べるのが今回の主要な目的のひとつかと思います。油汚染が敷地外へ出て第三者に云々という場合には、平田先生も言われたように、地方自治体の関係というんでしょうか、その周りのかかわり方が一つのキーポイントになってくるのかなと思いますが。
 それから、分析については、種々の油汚染土壌に対して、ノルマルヘキサンの抽出方法だとか、先ほどのTPHでも、すべてCの数を全部足していくというやり方をやって、油含有分析値とにおいとの関係も随分議論しましたけれども、やっぱりなかなか難しい。一律にすべての油に対して、例えば軽油とかガソリンぐらいだったらできそうですけれども、今の鉱物油だとかそういうものにもすべて適用するというのはなかなか難しい。そういう意味で、現場、現場に応じるというのが基本かなというのが、私の意見であります。

(森田委員長)
 ありがとうございました。
 まだ、御発言されていない方。では、鈴木さん。

(鈴木専門委員)
 全体の枠組みについては、多分、先生方の御議論で、特に大きな指摘はないので追加で申し上げたいのですが、多分、油臭・油膜の汚染状況を把握する要というのは、今議論されたTPHとフィンガープリントのある意味二つしかないのですけども、私なんかは幾つか、どちらかというと排水という立場で油の成分というのを随分拝見していたんですが、要するに、全部それで測れるのかなと思うような成分も、潤滑油にはかなりあるような気もしますし、現場を見ていないのでわかりませんが、鉱油といっても、ものすごく幅はあると思いますね。可能な成分とそれに対応可能な、あるいは対応例のあるような、可能な手法のリストみたいなものをこのガイドラインの中できちっとつくっておいた方がいいのではないかなという気はいたしました。

(佐藤専門委員)
 これを見ますと、幾つかリスクコミュニケーションという言葉が出てくるんですけれども、リスクコミュニケーションのイメージがちょっとわいてこないんですね。恐らくこのガイドラインが対象というか考えているのは土地の所有者ということですから、恐らくこの場合の事業所とかなんとかなるんだろうと思うんですけど、そのリスクコミュニケーションの主体がそういう汚染しているところの事業所の事業主になるというのは、どうも、ちょっとイメージがわかないんですね。そういう意味で、行政がどう絡むかというのは大事な問題だろうと思いますし、それから、そもそもリスクコミュニケーションするといっても、この汚染した油のリスク評価そのものがどこでなされているのかというのも、よくわからないんですけれど。

(鏑木土壌環境課長)
 リスクコミュニケーションという言葉をこの場合使うことがふさわしいかどうかということについても考えなきゃいけないかなと、実は思っています。土壌汚染対策法の体系でリスクコミュニケーションというと、やはり健康リスクの、本当に環境リスクがあるか、曝露可能性がどうか、そういうような話になってくるので、ここでは関係者間で、におうとかにおわないとか、ここはこのぐらいの感じだからこういうふうにしますとか、あるいはあなたの土地に行きそうなのでとりあえずとめましたよと、間に遮断をしましたので、というようなことを言ってもらうとか、そういう、何というか、説明に近いような、そんな感じもあるなと思っています。

(佐藤専門委員)
 情報の公開とか情報の交換とか、そういうことですよね、恐らく。

(鏑木土壌環境課長)
 ええ。多分、いわゆる土壌汚染対策法のリスクコミュニケーションとはやっぱりちょっと違うので、これは誤解招くかもしれないなとは思っていまして。それはまた考えてみたいと思っていたところでございます。

(森田委員長)
 ありがとうございました。ほかに御議論、御意見、何でもございませんでしょうか。日程的にも、次回の11月22日に、とりあえず、少し、たたき台のようなガイドラインを事務局につくっていただいて、それをベースの議論を次回以降にやるんだと思うんですが、それに織り込むべき内容とか、あるいは、これは外側にあるとか、その議論は少しこの場である程度やっておいた方がいいかなという状況になります。何かこういう考え方が必要ではないかとか、いろんな意見を、この場でもし御発言がありましたら、お願いします。どうぞ。

(大塚委員)
 きっと、表現だけの問題なんですけれども。7ページの(4)の土地の利用方法の情報の把握等で、これ、情報の把握が基本ですので、いいのかもしれませんが、基本的に土地の利用方法との関係の問題というのは、8ページの(1)の[4]あたりに書いてあるように、土地の利用方法に応じた対策方針を立案して計画を立てていただくということだと思うんですね。7ページの(4)のところで、[2]のようなことをわざわざ書くのかというのは、ちょっと私はよくわからないところもあって。まあ、そうなんでしょうけど、ガイドラインとしてこういうのは前提にしながら、情報を把握するということをとにかく書けばいいので、これは確かにそうなんでしょうけど、ちょっとこういうことを一々ガイドラインで書くのかなというのは、これはイメージですから、別にいいのかもしれませんが、少し疑問を感じました。
 以上です。

(森田委員長)
 ほかに御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。

(眞柄臨時委員)
 少しくどいかもしれないんですが、アスファルト、タール、あれは今はもう、循環使用をどんどんやっていますよね。あれの置き場は、要するに今、ぼんぼん出ているわけですよね。だから、鉱油と言っても、油膜というと、もういっぱい出てくるので。だから、やっぱりこのガイドラインを出すときには、やはり適用条件をぜひ明解にしていただかないと、いろんなところで、まさに油というのは世の中の潤滑油ですから、いろんなところで使われて、いろんなところで結局は環境に排出されているのが実態ですので、そういう意味では、このガイドラインを適用するものの範囲というか、適用範囲でしょうね。ここはやっぱり、もうちょっと、今のこのペーパーだけではなくて、もうちょっと、せっかくつくるんだったら、そこをやっぱり出しておいてもらいたいな。自分たちが油のにおいだとか、あるいは油膜が出ているとかというのは、いろんなところで日常的に見ているわけです。その日常的に見ている事柄について一々と言ったら悪いんですけど、一々話題になってきたら地方自治体もまさにパンクしちゃうので、そういう意味では常識的なガイドラインの適用範囲というのをぜひ考えていただきたいと思います。

(森田委員長)
 ほかに御意見ございませんでしょうか。
 多分、先ほど鈴木先生がおっしゃったのは、油汚染の定義までするかどうかは別として、どういうものを考えないといけないかというふうな全体の構造みたいなものをやっぱり少し理解する必要があるし、さらにこのガイドラインとして絞り込むんであれば、どういう理由でここに絞り込む、それが社会生活とどう調和するかというような視点で物を考えなきゃいけないと、そういうことかなという感じがしますが。今、ちょっと、何というか、広い意味の意見もかなり出ておりますが、それなども参考にして、とりあえずガイドラインの原案を事務局につくっていただくということでよろしいでしょうか。

「異議なし」

(森田委員長)
 ありがとうございました。
 これで、きょうは大体作業は終わったんですけれども、最後にその他という議題があります。これにつきまして、事務局の方からございますか。

(太田土壌環境課課長補佐)
 はい。その他の議題は、特にはございません。
 なお、次回の本専門委員会でございますが、先ほども御説明いたしましたとおりに11月22日火曜日14時から17時の予定で、本日と同じこの会場で開催する予定でございますので、よろしくお願い申し上げます。

(森田委員長)
 はい。ありがとうございました。
それから、先ほど最初に申し上げました、公開、非公開の話ですけれども、本日の会議資料は、これは基本的に全文公開ということでよろしいでしょうか。

「異議なし」

(森田委員長)
 それでは、全資料は公開ということになります。
 それでは、どうも、熱心な御討議、ありがとうございました。
 これをもちまして、第6回土壌汚染技術基準等専門委員会を閉会させていただきます。ちょっと早いんですけど、ありがとうございました。

(鏑木土壌環境課長)
 どうもありがとうございました。