中央環境審議会 土壌農薬部会(第30回)議事録

日時

平成25年10月11日(金)13:30~16:13

場所

環境省第1会議室

出席委員

部会長 中杉 修身
委員 浅野 直人大塚  直
岡田 光正藤井 絢子
臨時委員 浅見 真理稲垣 隆司
上路 雅子太田 信介
梶原 泰裕五箇 公一
佐藤  泉佐藤 福男
白石 寛明染  英昭
田村 洋子築地 邦晃
根岸 寛光山本 廣基
吉田  緑和気 洋子

(欠席は、相澤委員、岡崎臨時委員、小倉臨時委員、平田臨時委員)

委員以外の出席者

環境省

小林水・大気環境局長、平岡大臣官房審議官、真先総務課長、森下放射性物質汚染担当参事官、更田農薬環境管理室長、柳田土壌環境課課長補佐、荒川土壌環境課課長補佐、渡邉農薬環境管理室室長補佐、林農薬環境管理室室長補佐

議題

  1. (1) 土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について(諮問)
  2. (2) 小委員会及び専門委員会の設置について
  3. (3) 報告事項
    1.  ①最近の土壌環境行政について
    2.  ②最近の農薬環境行政の動向等について
    3.  ③放射性物質の除染の状況について
  4. (4) その他

配付資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿
資料2 土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について(諮問)
資料3 中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について(改正案)
資料4 中央環境審議会土壌農薬部会土壌環境基準小委員会の構成(案)
資料5 中央環境審議会土壌農薬部会の専門委員会の設置について(案)
資料6 中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度専門委員会の構成(案)
資料7 最近の土壌環境行政について
資料8 最近の農薬環境行政の動向等について
資料9 放射性物質の除染の状況について
参考資料1 中央環境審議会関係法令等
参考資料2 土壌の汚染に係る環境基準について

議事

(更田農薬環境管理室長)
 定刻となりましたので、ただいまから第30回中央環境審議会土壌農薬部会を開催させていただきます。
 まず、本日の委員の出欠の状況でございますけれども、本日は委員総数25名中21名の委員にご出席いただけるということで、中央環境審議会令第7条3項により準用する同条第1項の規定に基づき、定足数を満たしており、本部会は成立しておりますことを、まずご報告申し上げます。
 前回の開催が昨年の12月ということで、その間所属委員の改選がございました関係で、本日は委員の方々をご紹介させていただきます。
 まず、部会長には引き続き中杉委員が中環審会長より指名されております。
 次に、土壌農薬部会にご所属いただきました委員・臨時委員の先生方を名簿の順にご紹介させていただきます。
 まず、北里大学名誉教授の相澤委員ですが、本日はご欠席と連絡をいただいております。
 続きまして、福岡大学教授の浅野委員でございます。
 早稲田大学教授の大塚委員でございます。
 放送大学教授の岡田委員でございます。
 NPO法人菜の花プロジェクトネットワーク代表の藤井委員でございます。
 続きまして、国立保健医療科学院の浅見臨時委員でございます。新たに土壌農薬部会にご所属いただくことになりました。
 それから、前愛知県副知事の稲垣臨時委員でございます。
 日本植物防疫協会技術顧問の上路臨時委員でございます。
 全国農村振興技術連盟委員長の太田臨時委員でございます。
 石川県立大学教授の岡崎臨時委員でございます。本日はご欠席と連絡いただいております。
 それから、鉄鋼連盟の小倉臨時委員も、ご欠席と連絡をいただいております。
 それから、日本経団連の環境リスク対策部会長の梶原臨時委員でございます。
 国立環境研究所主任研究員の五箇臨時委員でございます。
 弁護士の佐藤臨時委員でございます。
 元秋田県農林水産技術センターの佐藤臨時委員でございます。
 国立環境研究所フェローの白石臨時委員でございます。
 大日本農会会長の染臨時委員でございます。
 新たに土壌農薬部会にご所属いただくことになりました、全国地域婦人団体連絡協議会理事の田村臨時委員でございます。
 同じく、新たに部会にご所属いただくことになりました、岩手県農業研究センターの築地臨時委員でございます。
 同じく、新たに部会にご所属いただくことになりました、東京農業大学教授の根岸臨時委員でございます。
 続きまして、和歌山大学の平田臨時委員ですが、本日はご欠席との連絡をいただいております。
 大学入試センター理事長の山本臨時委員でございます。
 国立医薬品食品衛生研究所の吉田臨時委員でございます。
 慶應義塾大学名誉教授の和気臨時委員でございます。
 それから、この度改選によりましてご退任された委員の先生方を、順に紹介させていただきます。
 岸井委員、西崎委員、平松委員、細見委員、眞柄委員、松本委員、森田委員、渡部委員の8名の先生方は、ご退任となっております。
 続きまして事務局ですが、本来小林局長、平岡審議官、来る予定だったんですけれども、若干業務で遅れております。
 放射性物質担当参事官の森下参事官でございます。
 私、農薬環境管理室長の更田と申します。よろしくお願いします。
 また、総務課長につきましても、遅れて出席いただく予定となっています。
 本来であれば、ここでご挨拶申し上げるところですけれども、局長が参りましたら、改めてご挨拶をさせていただきたいと思います。
 では、次に議事に入ります前に、本日の資料の確認をさせていただきます。
 まず、資料1が委員の名簿でございます。資料2が、本日の諮問分の写しに係る資料でございます。資料3から6が土壌農薬部会に小委員会と専門委員会を設置する関係の資料でございます。資料7、8、9が報告事項に関する資料でございます。
 参考資料1、2が、中央環境審議会関係法令と土壌汚染に係る環境基準に関する参考資料をお配りさせていただいています。もし欠落等がございましたら、事務局まで申しつけていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、これよりの進行は、中杉部会長によろしくお願いいたします。

(中杉部会長)
 本日は皆様、ご多用の中ところ、ご出席いただきましてありがとうございました。
 この2年間もあと1年半ぐらいですけれども、部会長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは議事に入らせていただく前に、中央環境審議会令第6条第5項により準用する第4条第3項に基づき、部会長に事故があるときは部会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理することになっております。私から部会長代理には岡田委員をお願いしたいと思っております、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に先立ちまして、本日の会議及び資料の公開と議事録の扱いについて、説明しておきたいと思います。
 土壌農薬部会の運営方針では、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい影響、支障を及ぼすおそれがある場合や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合など、部会長の判断に基づき会議及び資料を非公開とすることとされています。
 本日の会議はいずれもこれに該当しないことから、公開とします。また、今回の議事録につきましても、事務局で調整した後、発言内容を委員にご確認いただいた上で、後日公開させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 よろしいでしょうか。

(異議なし)

(中杉部会長)
 それでは、議事次第に従って議事を進めたいと思います。
 1番目の議題でございますけれども、土壌汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について(諮問)でございます。
 本件につきましては、10月7日付で環境大臣より中央環境審議会会長に対して諮問がなされ、土壌農薬部会に付議されています。それでは事務局のほうから資料2、土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について、説明をしてもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。

(更田農薬環境管理室長)
 では資料2でございますけども、資料2の元紙、これが諮問の写しでございますが、恐縮ですが最後のページ、4ページ目の参考を見ていただければと思います。
 土壌汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等についてということで、まず1ポツが土壌汚染に関する環境基準の見直しに関するものでございます。環境基準につきましては、環境基本法第16条第1項の規定に基づきまして定められておりまして、人の健康の保護、それから生活環境の保全ということで、維持することが望ましい基準として定められております。
 対象とする項目につきましては、関連する諸基準、水の環境基準とか地下水の環境基準ということで、こういったものに即しまして設定するということになっていまして、現在27項目が設定されております。水の環境基準ですとか、地下水の環境基準につきましては、平成22年から23年にかけて、ここにあります表の物質、例えば1,4-ジオキサン、塩ビモノマーといったものにつきましては、1,4-ジオキサンは水の環境基準、地下水基準、それから塩ビモノマーにつきましては地下水基準ということで、基準が設定されております。それから、シス-1,2-ジクロロエチレンにつきましては、地下水基準につきましてシス体とトランス体の合計値にするということで、0.04以下という基準が定められております。それから1,1-ジクロロエチレン、これにつきましては0.1以下といったことで、基準の緩和ということで見直しがなされております。それからカドミウムとトリクロロエチレンにつきましては、いずれも基準の強化ということで、変更がなされております。これらの改正を踏まえまして、土壌環境基準の見直しについても検討が必要だといった状況にございます。
 2ポツ目でございますけれども、土壌環境基準の設定並びに見直しがなされますと、土壌汚染対策法に定めます特定有害物質の指定、それから特定有害物質の指定に係る基準、これは地域指定の基準ですけども、こういったものについて見直しをする必要があるといったことと、これに伴う法制度の運用について検討する必要があります。1ページ目に戻っていただきますけども、この土壌環境基準の見直しと、それから土壌汚染対策法に定める特定有害物質、それから土壌の特定有害物質による汚染状態に係る基準の見直し、その他土壌汚染対策の運用に関する事項について、貴審議会の意見を求めるということで諮問させていただいております。
 ちなみに、今回の諮問につきましては、2ページにあります今申し上げました六つの物質について、土壌汚染に係る環境基準と土対法の制度についてご審議いただくということを予定しておりまして、3ページ目にありますように、同日付で中央環境審議会長から土壌農薬部会長に付議がなされているということでございます。
 説明は以上でございます。

(中杉部会長)
 ありがとうございました。資料2のご説明をいただきましたが、何かご質問等ございますでしょうか。いかがでございましょうか。
 土壌農薬部会で、これらのものについて検討をしなければいけないということでございます。特段のご質問がないようでしたら、一応そういうことがまず、この土壌農薬部会、最初の仕事ということでございます。ご理解をいただければと思います。
 それでは、それに関連してでございますが、議題の2に移らせていただきます。
 小委員会及び専門委員会の設置についてでございます。それでは事務局のほうから小委員会及び専門委員会の設置について説明をしてもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。

(更田農薬環境管理室長)
 まず、資料3をご覧いただきたいと思います。資料3の裏ページが、新旧対照表という形になっております。
 中央環境審議会議事運営規則の規定に基づき部会に小委員会と、専門委員会を置くことができることになっておりまして、小委員会につきましては、部会長の同意を得て小委員会の決議が部会の決議とすることができるとされています。これまで土壌農薬部会には、農薬小委員会を置いてご議論いただいてまいりましたが、今般、先ほど諮問の説明をしましたように、土壌環境基準の審議をいただく体制が必要だろうということで、土壌環境基準小委員会の設置をご提案させていただいております。
 審議事項といたしましては、3ポツにありますように、環境基本法第16条第1項の規定に基づく土壌の汚染に係る環境基準の設定及び改訂に関する専門的事項について調査審議するということであります。こちらの土壌環境基準につきましては、化学物質の毒性ですとか、分析法ですとか、そういった専門的な事項について調査、ご審議いただくということですので、部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができる小委員会として設置させていただければと考えております。
 続きまして、資料5でございます。
 こちらが中央環境審議会土壌農薬部会の専門委員会の設置についてといったことでありまして、こちらは調査事項としまして2ポツにありますように、土壌汚染に係る環境基準の設定及び改訂が行われた場合の土壌汚染対策法の運用等について調査審議するといったことでさせていただいております。
 こちらのほうにつきましては、土壌汚染対策法に基づき、現場で実際対策を講じているとか、いろんな諸規制が行われているといったことで、これにつきましては産業界ですとか実際現場で運用されています自治体の方ですとか、法律関係の方とか、幅広い方のご意見を伺ってご審議をいただく必要があるだろうと考えております。また、専門委員会で審議した結果、改めて部会でもご審議いただいて、慎重に結論を出していただく必要があろうということで、専門委員会として設置をご提案させていただいております。
 いずれも部会の規定にのっとりまして、委員長代理といったものを置くことができるような規定も設けているところでございます。
 説明は以上でございます。

(中杉部会長)
 資料3で小委員会の設置について、資料5で専門委員会の設置について、二つの委員会を設置するということの提案でございます。ただいまのご説明に対してご質問、ご意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。
 これは、今回の仕事に関してといいますか、諮問に対しての設置ということで、また必要があると、これを変えていくということになりますよね。

(更田農薬環境管理室長)
 はい、そうでございます。

(中杉部会長)
 よろしいでしょうか。

(なし)

(中杉部会長)
 特段ご意見がないようですので、この資料3及び資料5のように、土壌農薬部会に土壌環境基準小委員会及び土壌制度専門委員会を設置したいと思いますが、いかがでございましょうか。

(異議なし)

(中杉部会長)
 異議がございませんようなので、小委員会及び専門委員会設置については、そのように決定させていただきます。
 それでは、設置のご了承をいただきました小委員会及び専門委員会の構成についてでございます。
 中央環境審議会議事運営規則第8条第2項の規定に基づき、小委員会に所属すべき委員、臨時委員、専門委員は、部会長が指名することとされています。私のほうから土壌環境基準小委員会に所属いただく委員、臨時委員、専門委員は、資料4を見ていただければと思いますが、資料4のようにしたいと思いますが、いかがでございましょうか。一応ご意見をいただいて。

(異議なし)

(中杉部会長)
 それでは、このようにさせていただきます。
 次に、この小委員会の委員長でございますが、中央環境審議会運営規則第8条第3項の規定に基づき、小委員会に委員長を置き、部会長の指名によりこれを定めるとされております。この小委員会の委員長につきましては、私が兼任させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

(中杉部会長)
 ありがとうございます。
 次に、専門委員会の構成でございます。先ほどご承認いただきました中央環境審議会土壌農薬部会の専門委員会の設置についてということで、この専門委員会に所属する委員の構成は、資料6のようにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

(中杉部会長)
 このような形で委員会の構成をさせていただければと、私のほうから指名させていただいたということにさせていただければと思います。
 次に、専門委員会の委員長でございますけれども、中央環境審議会議事運営規則第9条第2項の規定に基づき、専門委員会に委員長を置き、部会長の指名によりこれを定めるとされております。
 専門委員長には大変ご苦労をおかけしますけど、浅野委員にお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

(異議なし)

(中杉部会長)
 それでは浅野委員、よろしくお願いいたします。
 それでは、局長がまだ来られていないので、局長のご挨拶は来られたところで少し合間にしていただくということにして、本日の審議を予定した事項は、以上でございますので、次に議題(3)の報告事項に入りたいと思います。
 三つについての報告をいただきます。
 最初に、最近の土壌環境行政についてでございます。それでは、事務局のほうから説明お願いいたします。

(柳田土壌環境課課長補佐)
 土壌環境課の柳田でございます。資料7に基づきまして、最近の土壌環境行政についてご報告をさせていただきます。
 1枚おめくりいただきまして、まず2ページをご覧になっていただきたいと思います。土壌汚染対策法の概要ということでございます。ご存じのとおりですが、目的といたしましては、土壌汚染の状況の把握に関する措置及びその保全による人の健康被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護するということとされております。そのための制度といたしまして、まずは土壌が汚染されているかどうかといった調査を行います。法律ができた当時は、有害物質使用特定施設の使用の廃止時に調査を行うということとされておりましたが、平成21年の改正におきまして、一定規模、3,000m2以上でございますけれども、そういった土地の形質の変更の届け出の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めた場合も、新たに調査の対象ということになりました。
 そのほか、右側になりますが、自主調査におきまして土壌汚染が判明した場合において、その土地の所有者が、都道府県知事等に区域の指定を申請するということも可能な仕組みになりました。そういった調査を行った結果、土壌の汚染状況が基準に適合しない場合には、2種類の区域の指定といったものがございます。一つ目が要措置区域といったものでございます。土壌汚染の土地につきまして、その摂取経路というものがあり、例えばこの土地の近くで地下水を飲用するとか、あとは立ち入って直接その土を摂取するといったリスクがございますと、そういったことで健康被害が生ずるおそれがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域を、要措置区域として定めております。
 もう一つが形質変更時要届出区域ということでございます。土壌汚染がされているけれども、摂取経路がなく健康被害が生ずるおそれがないという土地でございまして、直ちに汚染の除去等の措置が必要ではないという区域でございます。その場合は土地の形質の変更をするというときに、都道府県知事に計画の届出が必要になるという場合でございます。これらの土地につきましては、汚染の除去が行われた場合には、指定を解除するという仕組みになっております。
 また、例えばこういった汚染の除去の際に、汚染土壌を搬出する場合の規制がかかっておりまして、これも平成21年度の改正の際、新たに加わった事項でございますが、こういった土壌の搬出をする際に事前届出を行うこと、また届出の際に計画が不適切な場合には変更命令をかけたり、またそれらの運搬の業者については、運搬基準を遵守しなくてはならないとか、あとは処理の義務に違反した場合には、措置命令がかかるということになっております。
 また、そういった汚染土壌の搬出については、管理票を交付することによって、汚染土壌が適切に処理されているということを確認する仕組みになっております。また、汚染土壌を処理する業者につきましては、許可制度を設けております。また、それらの許可業者についても処理基準がかかっておりまして、それらに違反した場合には改善命令をかけたり、あとは悪質な場合には廃止といったこともあるという形になっております。そのほか21年改正の際に、指定調査機関の信頼性の向上ということで、指定調査機関、これは先ほど言った調査を実際に行う機関になりますけれども、そういったところに指定の更新制度を設けたり、また技術管理者を設置したりするということになっております。
 次をめくっていただき、3ページ目でございますが、土壌汚染状況調査の件数でございます。施行時から、どれだけ法に基づく調査が行われてきたかといったことを示したものでございます。これまではずっと法施行後法3条、有害物質使用特定施設の廃止に伴って調査を行ってこられまして、大体年間200から300件ぐらいの報告件数がございます。そのほか法4条や14条という新たに加わった調査につきましても、22年から行われておりまして、法4条に基づく調査命令件数が22年と23年の2カ年で450件、法14条に基づく申請件数が22年と23年あわせて330件ということになっております。
 続きまして、4ページ目の改正土壌汚染対策法施行以降に指定された区域数でございます。まずこれは調査契機別ということでございまして、それを見ますと14条に基づく指定というものが、今年の9月末までに605件ということでなっておりまして、そして第3条に基づく指定が377件で、4条に基づく指定が319件ということになっております。それぞれの詳細につきましては、次のページに載っているところでございまして、現在の指定区域件数が993件ということになっております。
 続きまして、6ページ目は区域別でございます。要措置区域と形質変更時要届出区域別に指定された区域をグラフに表しております。これも今年の9月末までに要措置区域は223件、形質変更時要届出区域は1,107件が指定されております。
 次のページが、それぞれの月ごとの件数でございます。これ先ほどと同様、現在指定されている区域は993件でございまして、うち要措置区域が107件、形質変更時要届出区域が886件ということになっております。それらの指定がされた場合、汚染土壌に対して対策を実施するということになります。
 それぞれどのような対策がなされたかということをまとめたのが8ページでございます。実施の内容といたしましては、まず土壌を直接摂取するというリスクに対しては、舗装、立入禁止、土壌入換え、盛土といったような対策がございます。地下水の摂取等によるリスクに対する対策といたしましては、地下水の水質測定、封じ込め等、地下水汚染の拡大の防止、不溶化といった対策がございます。土壌汚染の除去の対策といたしましては、掘削除去や原位置浄化といったものがございまして、平成23年度に実施された対策の実施件数は346件でございます。
 それぞれの対策が何件行われたというのは、そこに書いてあるとおりでございますが、一つの区域において複数の対策が行われることもございますので、それぞれを合計すると346を上回りますのは、そういった理由に基づくものです。これをご覧になっていただきますと、対策のうち掘削除去というものが、大体346のうち276で行われているということで、もともと平成21年の改正というものが、掘削除去に偏っているということで、そこを改善するための改正を行ったということなんですけれども、まだどちらかというと掘削除去が多いという状況になっているところでございます。
 続きまして、9ページ目でございます。汚染土壌処理業の許可件数でございます。例えば、先ほど言ったように掘削除去されて搬出された土壌につきましては、処理業者におきまして適切に処理することが必要になっております。これも9月末までの時点では、これまでに許可した件数のうち、分別等の処理を行うのが36カ所、そして埋立処理を行うのが33カ所、浄化措置を行うのが31カ所、そしてセメント製造を行うのが18カ所というふうになっております。それぞれ月ごとの推移の詳細は、次の10ページ目に載っております。許可した後に廃止したりしているのもございますので、現在許可されている施設数は計88件ということになっております。
 続きまして11ページ目が、認定調査の実施状況でございます。認定調査というものが、要措置区域内の土地でございますけれども、こういったものについても汚染されていない部分があるというところもございますので、その土壌を法の対象から外すための調査というものを認定調査というふうに呼んでおりますが、それにつきまして平成22年度に認定した件数は5件でございます。平成23年度に認定した件数は15件ということでございます。それぞれの認定された自治体とそれぞれの土壌の量につきましては、下の表に載っているとおりでございます。
 次に12ページ目は、自然由来等特例地域等についての説明でございます。これは先ほどもあったように汚染された土地につきましては、要措置区域と形質変更時要届出区域の二つに分かれるわけでございますが、平成23年7月に土壌汚染対策法施行規則が改正されまして、新たに形質変更時要届出区域の中で、特別な区域を設けたところでございます。それぞれ自然由来特例区域、埋立地特例区域、埋立地管理区域ということで、それぞれ特例というのを設けておりまして、通常の黄色い一般管理区域、形質変更時要届出区域につきましては、形質変更をするときに基準不適合土壌が帯水層へ接しないようにするということが必要になります。それが一番右側にある省令53条第2号適用というものになっておりますが、そういった規定につきまして、自然由来特例区域、埋立地特例区域、埋立地管理区域については特例を設けていたり、適用除外したりしているところでございます。
 それぞれの件数につきましては、次の13ページに載っておりますが、指定された件数が自然由来特例区域が46件、埋立地特例区域が6件、埋立地管理区域が33件というふうになっております。
 次に14ページが、技術管理者試験の実施状況でございます。技術管理者試験というのは、先ほどもありました指定調査機関について信頼性を向上するということで、その指定調査機関には、必ず試験に合格した技術管理者を置かなければならないということとされております。それで、これまで22、23、24と3回試験を行ってまいりまして、受験者、合格者数は表のとおりになっております。
 そういったことで、必ず技術管理者を置かなければならないということで、法の施行が平成22年4月でございまして、これまで3年間、猶予期間がございました。25年4月1日以降は技術管理者が置いていないところは廃止しなければならないということになりましたので、25年3月時点では1,352社あった指定調査機関が、今年の8月時点では649社に減少しているということになっております。
 次が、15ページ以降はその他の取組、最近の取組でございますが、まず一番目が汚染土壌処理業の許可審査等に関する技術的留意事項でございます。今年の8月2日にこれを公表したところでございます。処理業については、処理業に関するガイドラインというものを別途作成しているところなんですけれども、これは都道府県等の担当者が汚染土壌処理業の許可審査を行う際に、その施設が許可に係る基準に適合しているかどうかということを確認する際に、留意すべき技術的事項を記載したものでございまして、技術面を中心にまとめたものでございます。これをまた許可の際の参考とするだけではなくて、事業者が汚染土壌処理施設の申請を行う際に、事前に確認する場合の参考として活用することも可能というものでございます。
 次16ページ目が、低コスト、低負荷型土壌汚染対策技術検討調査ということですが、これはずっと継続的に行っているものでございます。目的といたしましては、土壌汚染の状況を把握するための調査や、汚染の除去等の措置につきましては、非常に多額の費用を要しましたり、また環境中に負荷をもたらすということもございます。ですので、そういったことを下げるために、いろいろ技術を実用化して普及させるということを目的として行っております。これは実際に公募によって提案されたご技術というものを、学識者から成る検討会において審査しておりまして、その最終的な評価結果はプレスリリース等で公表しております。過去11年間、昨年度平成24年度までに61件の実証試験を実施し、評価、公表を行っているところでございます。その技術の中身につきましては、例えば土壌汚染の調査に係る簡易迅速な測定技術や浄化技術や封じ込め技術などが対象となっているところでございます。
 最後のページが、東日本大震災による土壌汚染の現状把握調査でございます。これ前回の部会の際にも、ちょっと報告させていただいたところでございますが、東日本大震災に伴う工場等からの特定有害物質の流出等による土壌汚染の有無や、程度を把握するための調査というものを、平成23年度から実施しているところでございまして、昨年の部会の際には1次調査、2次調査の結果というものを報告させていただいたところでございます。
 その結果、例えば津波等由来や人為的原因による土壌汚染の可能性が指摘されたのが3地点ございました。その3地点につきまして、第1次、第2次よりも広い範囲について汚染範囲を確認するとともに、汚染原因を解析するということを目的といたしまして、昨年12月から第3次調査を実施したところでございます。
 その調査の結果でございますが、各調査対象地につきまして、基準値を超過した超過地点といったものが一部ございましたが、津波由来等による土壌汚染とは確認されなかったところでございます。また、周辺や飲用井戸の有無や調査地点の土地利用の状況もあわせて確認いたしまして、地下水摂取や土壌の直接摂取のおそれがないということを確認したところでございます。これにつきましては、本年6月11日にプレスで公表しておりますので、詳細についてはまたそちらもご覧になっていただければと思います。
 以上でございます。

(中杉部会長)
 ありがとうございました。以上についてご質問、ご意見をいただくところでございますけれども、局長が来られましたので、ここで局長にご挨拶を先にいただこうかと思います。

(小林水・大気環境局長)
 環境省水・大気環境局長の小林でございます。途中でのご挨拶になりまして、大変恐縮でございます。
 今日は政府を挙げまして、原子力防災訓練を展開しておりまして、原子力規制委員会・規制庁が中心でございますが、環境省も従来よりもこういったことについても大きな役割を果たしていかなきゃいけないというようなことで、それと重なりましたものですから、遅れましたことをご容赦いただければと思います。
 改めましてでございますが、土壌農薬部会の先生方におかれましては、お忙しい中をご出席賜りまして、ありがとうございます。また、2月の中央環境審議会の委員改選から初めての開催ということでございまして、今日も課題になっておりますような数々のテーマがございますので、引き続きぜひ、ご指導いただければ大変ありがたいと思っているところでございます。
 今日の一番大きな課題は、既にご審議をいただいたということでございますが、土壌環境基準を定めたり、改訂をするというような大きな仕事がございます。またそれに対応して、どういう対応をとっていくかということにつきまして、ぜひご審議を賜りたいということでございましたが、もうこれについては新しい体制についてもお決めをいただいたということでございまして、事務局もしっかりやってまいりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思っております。
 また、今も担当から話をさせていただいたところでございますが、改正土壌法についての施行、これもしっかりした形でやり、またご指摘を賜って、いい形での施行に努めていく必要があると思っております。農薬のほうも数々の課題がございまして、これも精力的に小委員会で審議をいただいたところでございますので、これについてもこの後ご報告を申し上げたいと思います。
 また、新しい課題としては、放射能に汚染された土壌などの除染、こういったことも関連する行政としては、ますます力を入れてやっていかなきゃいけないと、こういうようなところでございまして、土壌農薬部会でも大きな形で見ていただいて、ご指摘いただきたい課題が大変多いわけでございます。
 新体制のもとで、ますます審議の回数が増えてまいりますので、その辺は大変恐縮でございますが、しっかり取り組んでまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

(中杉部会長)
 ありがとうございました。それでは改めまして資料7、今ご説明いただきました最近の土壌環境行政についてということでございますけれども、このご説明に関してご質問ありましたら、名札を立てていただければと思います。
 それでは、浅野先生から。

(浅野委員)
 最近の運用状況がわかりまして、ありがとうございました。
 対策の実施内容というところです、8ページですが、法改正のときの一番の狙いというか課題であった点は、リスク管理という観点からの土壌汚染対策をすればいいのに、ややもすれば必要以上の対策が行われていて、国民経済上も無駄が多い。だから極力必要最小限のことをやってもらえればいいということを徹底させようではないか、こういうことで改正をしたつもりであったわけですが、しかしやはりふたをあけてみると、平成23年にしてみても、掘削除去といったようなところに対策が集中しているということは、必ずしも法改正の目的が達成できていないのではないかという印象も受けるのです。これはそう単純に印象だけで断定するわけにもいかないのですが、どのくらい細かく内容についてお調べになっているのか、お尋ねをしたいと思います。
 今すぐに答えをいただくことはむずかしいかもしれませんから、いずれ専門委員会でまた、詳しくお尋ねをすることになると思いますが、例えば原因者が誰であるのかということが、この場合個々について当然自治体では把握できているはずです。自らが原因者である場合と、それから他に原因者がいる場合、その仕分けがどうなっているかということは結構重要なことです。つまり、自分が原因者である場合土地の値打ちを考えて徹底的にお金をかけることは勝手ですから、それは一向に構わないのですが、他に原因者がいる場合には、負担が法の趣旨に照らして適正かどうかが問題です。
 ですから、知事が指示を出すときに原因者に対して指示をするときは、所有者との合意がなきゃいけませんというふうにしてありますので、後日求償の問題でトラブルが起こらないようにという手当てをしてあるわけですが、実態どうなっているか大いに気になります。直感的には多分他の原因者が直接この作業をされるというような場合に、どうしてもやっぱり掘削除去とかというようなところにいくのではないかなという感じですが、この辺の情報が得られると、さらに今後はどうすればいいかということが分析できるでしょう。より具体的には、本当に土壌汚染の除去がその場合必要だったかどうかというようなことがわかると、なおいいのですが、そこまではなかなかわからないとしても、今後の検討の材料としては、誰が工事を施工したのか、原因者なのか所有者なのか。それからそもそもその汚染の原因が誰が原因だったのかといったようなところが分析されていると、今後の議論がやりやすくなると思います。

(大塚委員)
 私も同じところをお伺いしようと思っておりました。
 もともと2009年の改正前から掘削除去は8割程度だったので、これも8割なのでほとんど変わっていないということに残念ながらなってしまうんですけれども、私の聞きたいところは、これに対処するために改正法では形質変更時要届出区域と要措置区域に分けて、要措置区域についても知事が指示をして、掘削除去は必ずしもしなくていい場合が多いということを明らかにしたんですけども、そうしてもやっぱり効果が発揮されていないということなんだと思うんですが、知事から指示があってもそれ以上のことをやってしまうということなんでしょうか。8割になっているその背景というか、状況をちょっと教えていただきたいということです。

(中杉部会長)
 もう既に浅野先生が答えを言っていただいているようなところがあるんですが、今の段階でわかっていることがありましたら。

(柳田土壌環境課課長補佐)
 今の段階では、対策の実施内容について、この表以上のものはちょっと出てこないんですけれども、アンケートをとっておりまして、それぞれの対策について汚染原因者が誰とか、誰が施工したかということもちゃんと把握はしておりますので、そこはきちんと整理して、今後の検討のための資料として作成していきたいと思います。
 また、どうしても土壌掘削をやってしまう背景につきましては、なかなかこういった数字だけからは、ちょっとわかりにくい部分もありますので、どういった調査ができるのかということも含めて考えさせていただきたいと思います。

(中杉部会長)
 これは法何条の調査なのか、その調査をやった契機が施設の廃止といっても、その後どうなるのかという、経済的な理由が一番大きいんじゃないかなというふうに、私の単純な想定は。他人に売るときにはきれいにしないと買ってもらえないなんていう話が、多分出てくるんだろうと思いますが。この辺のところは浅野先生が先ほど言われましたけれども、土壌制度の専門委員会でご議論をいただくべきことで、そちらのほうでもう少し詳細なデータを出していただいて、この土壌農薬部会にも次回辺りにそこら辺も出していただければと思いますが。多分、大塚先生に対するお答えもそういうことになるかと思いますけど、よろしいでしょうか。
 それでは、藤井委員どうぞ。

(藤井委員)
 ありがとうございます。報告の中は多分件数という形で報告するというのが従来のやり方、それはもう存じ上げているんですが、例えば3ページの法第4条、それから法第14条に基づく平成22、23のところの件数がありますが、改正の後の件数ですので、例えば具体的にどんなケースがあったかというのが幾つかわかれば知りたいと思います。
 同じく13ページの自然由来の特例区域についても、これも件数だけですが、ここも基本的にはあまり具体例ではこういう形で報告しないのだなと思いながら、口頭でも結構ですので、例えば自然由来であったり埋立、3項目でこんなケースがあったという、少し具体的にイメージをつかむために、もし情報がおありでしたら報告いただきたいと思います。

(中杉部会長)
 現段階でお答えできる部分があれば。
 もしないようでしたら、専門委員会のほうでまずご報告いただく。それを後で土壌農薬部会にも報告いただくということにしたいと思います。今度制度を考えていく上で、どうしても必要なことになると思いますので。

(柳田土壌環境課課長補佐)
 もう少し細かい分析等の方法について、後ほどどういった形で調べてほしいかということを、お伺いさせていただければと思います。それにあわせて、これはアンケート調査でやっておりますので、そのアンケートの結果の範囲内ということにはなりますが、できるだけやっていきたいと思います。

(浅野委員)
 藤井委員のご質問で1点だけ答えることができるのは、土対法をつくったときに、はっきり言って立法上のミスをやっているわけです。つまり、公有水面埋め立てのときに、海洋汚染防止法上、投入していい土砂の質が決まっているわけです。その基準をちゃんと考えないで、土対法は土対法で勝手に基準をつくってしまった。そのために海洋汚染防止法上は何の問題もない浚渫土砂などを使って公有水面の埋め立てをしたにもかかわらず、竣工後、海でなくなった瞬間に、土対法にひっかかるという事態が起こったわけです。これは、ある意味では本当にまずかったなと思っておりました。単純に水の環境基準をもとにして作られた土壌の環境基準だからこれを土対法でも採用すれば足りると考えて基準をつくってしまって、そういう事態が起こったわけです。ですから、その後始末みたいなのがこの埋立地特例ということになるわけだと思います。
 しかし、実際に土対法の基準を超える土砂をほじくり返してどこかよそに持っていかれれば、またそこに汚染が起こりますから、それはだめなんですけれども、当面そこで直ちにどうしてください、こうしてくださいという話にはならないというようなことがあるわけです。多分ここにあるのはその手のものが多いのだろうと思います。

(中杉部会長)
 浅野先生にご説明いただいた部分、やはり大きいと思います。実際には実は土対法が改正されたのは21年で、改正法の中では附帯決議として5年後に見直しを行いなさいということがつけられています。それを考えますと26年には見直しをしなきゃいけない。そこに向けてどういうところを見直していかなきゃいけないかという議論が次に始まると思います。
 そういう意味では、土対法のここら辺のところの規定については私も関わっていますので、責任を感じているわけですけれども、もう少しリスクベースで考えるべき余地があるのかなと。そういうところも、土壌制度の専門委員会で議論をしていただいて、土壌農薬部会にかけるような形にしていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 ほかにいかがでしょうか。佐藤委員どうぞ。

(佐藤(泉)臨時委員)
 13ページの自然由来特例区域について伺います。
 自然由来の特例区域として46件が指定されているというふうに記載されておりますが、全国の分布として大体どういう地域が特に多いのか、あるいは、全国的に平均して指定されているのかということについて伺いたいんですが。

(柳田土壌環境課課長補佐)
 すみません。これはどこが指定されているかということは、整理はしているんですけれども、今手元にないものでございますので、それについてはまた後ほどご連絡させていただきたいと思います。

(佐藤(泉)臨時委員)
 追加で意見を述べさせていただきます。自然由来特例区域というのが新しくできたわけですが、この区域のあり方、あるいは活用のされ方というのが、私はよくわからないというふうに思っております。土壌汚染対策法は、もともとは自然由来の土壌汚染を発見するために作った制度ではないんですけれども、現在は自然由来が見つかった場合には区域に指定するという形になっていると思います。
 しかし、その近傍には自然由来ですので、相当広がりのある面で自然由来があるだろうと想定されるわけです。そうすると自然由来特定区域があるところで指定された場合、その近傍について、その存在が4条の調査命令の有無又はその指定物質に影響するのかが問題となります。自然由来特定区域を国としてできるだけ広く探して、発見された場合には指定していくということなのか、それともたまたま見つかったところだけが、飛び地のように点々として指定された状態で、ある意味で見つかった人は運が悪いというような感じで運用されていくのでしょうか。自治体にとっては非常に大きな問題だと思いますし、地域住民にとっても大きい問題だと思いますので、このあり方については私としては疑問を持っているところであります。
 本来は、自然由来というのは日本の国土そのものでありますから、あまり過剰な対策とか嫌悪感とかが発生しないような、また土地の所有者に過度の負担が起きないような扱いをして、それで国土に関する情報ですので、地域で情報を共有して、リスク管理をするというようなことがいいのではないかというふうに思っております。

(中杉部会長)
 ありがとうございました。この件に関しては先ほど申しましたように、新たな土対法の見直しという中で議論をしていかなきゃいけないことだと思いますけども、基本的には今も自然由来特例区域から動かさない。動かすことが問題である。ほかに動かしたときにそれが動かした場所で汚染を起こさないかどうかというところに焦点が当てられていて、そこにある状態ではそのままであるということで、特段の地域の指定がされるから、それがもちろん影響するということはあるかと思いますが、そこら辺は専門委員会のほうで議論をしていただければと思います。

(佐藤(泉)臨時委員)
 土砂を動かさないというと、その土地を活用できないということになりますので、広範囲の平野で自然由来があるとすると、そのところの土砂が動かさないということは、実質上土地の利用ができないにかなり近いと思いますので。

(中杉部会長)
 はい。ですから、そこはどういうふうにしたらよろしいかという議論が当然あるんだろうと思います。どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 愛知県は、ご承知のとおり自然由来による土壌汚染が大きな問題となっております。その原因は御嶽山が爆発した火山灰によりヒ素、あるいはフッ素等が入っているわけです。どの場所を動かしても、これらの物質は検出されるわけです。
 この議論があったときから、私は自然由来のものは(他の人的由来のものと)少し考え方を変えるべきじゃないかということを言ってきました。しかし、そうは言っても現実にそれが動けば土壌汚染には違いないものですから、先ほど来、浅野先生とか大塚先生が言ってみえますように、それを全部除去するのではなくして、処理の方法としてそこで封じ込めてしまうとか、そういうようなことができないだろうかというようなことを提案させていただいております。
 現に、実は第二東名をつくっているところというのは、非常にヒ素の土壌汚染がありまして、現実にそれを全部どこかへ持っていこうと思ったら場所と費用が大変問題となります。そのため、今はほとんどその場所の路盤の下へ封じ込めるという工事が実際になされているわけです。そういうようなことをやりながら対応していくしかないのかなというふうに思っております。

(中杉部会長)
 多分、絶対動かしてはいけないという話ではないと思います。どこへ持っていく、今どこへ持っていきなさいという指定も何もないわけです。この地域ならばリスク評価をして問題がない地域があればそこに持っていって処分をするという形も一つの方策としては考えられないかと。
 ですから、この地域が全体として土壌の汚染があるとしても土壌の場合は深さ方向で当然汚染状況が違ってきますので、そこの議論もありますから、そういうものをどうしたらいいだろうかということを議論していく必要があるだろうと。土壌制度の専門委員会では、とりあえずは土壌環境基準を変えたことによって、生ずる問題について議論していただきますけれども、その後はそういう議論が続いてくるだろう、この土対法の見直しということに関して、少しそこら辺に先生方のご意見をいただきながら、見直し案を固めていく必要があるだろうというふうに考えています。これは今後そういう方向で議論をさせていただくことになりますけれども。ほかの先生よろしくお願いいたします。

(浅野委員)
 あまり話をひっくり返したくないんですけども、この話はある意味ではもう環境省始まって以来というよりも、公害対策基本法以来の積年の課題、まだ哲学的には解決できていない問題にも関わりがあると思います。
 つまり環境基準というものは、そこがその状態であることを問題にするのか、そもそも公害なんだから、人の事業活動に伴うということに限定して議論するのかと、そこが曖昧模糊としていて、そのままです。ですから、例えば温泉はどうするのだという話が必ず出てきますし、環境省の発表している大気汚染で硫黄酸化物の濃度が環境基準を超えている地点の一覧表をご覧になったらわかるように、それは全部鹿児島市内です。
 ですから、環境という面から言えば、環境基準を超えていることは間違いありません。だけどこれが公害かと言われたら公害ではない。だからその辺の問題が含まれてしまうので、一体どうするのだということを一遍どこかでちゃんと考えなきゃいけないと前から考えています。問題意識としてはあるわけですが、なかなか答えは出ないと思います。
 それから、土対法についても、これははっきりしているのですが、立法時から日本の国土全部を津々浦々全部調べて、土壌がどうだということを調べるために法律をつくるわけではありません。それはそう宣言しているわけです。だからこそ最初は事業廃止時にのみ調査義務づけというふうに限定したんですけれども、それじゃもたなくなったので前回改正で義務づけ範囲を広げたわけです。しかしやっぱり何かその土地をいじくり回さなきゃいけないということが起こったときに、そこで国民の健康リスクを最小化するために、何かやらなきゃいけないということを考えているだけであることに変わりはありません。
 その辺はもう、この環境行政という枠の中で考えたときには、ある種の限界かなというふうにも思っています。もっとそもそも論を言い始めると、日本は地下水についての賦存状況をはじめとする環境の状況についてのデータがほとんどない国ですから、そんなところに全部響いてくるわけです。
 というわけで、これはなかなか難しい、だから中杉先生からしっかりやれよと言われても、やれるところまでしかやれませんとしか答えようがありませんと、こういうことです。

(中杉部会長)
 少し土壌制度の専門委員会で、今の土壌環境基準改訂に伴う対応を議論していただく、次の課題の議論に入っていきたいと思います。そういう方向で少し議論をしていただこうというふうに思います。
 ここでこの話は打ち切らせていただきまして、ほかにご質問、ご意見等ございましたら。よろしいでしょうか。

(なし)

(中杉部会長)
 それでは、次にいきまして、最近の農薬環境行政の動向についてでございます。それでは、事務局のほうから説明をお願いいたします。

(更田農薬環境管理室長)
 では、資料8のほうをご覧いただければと思っています。
 農薬の案件でございますけども、農薬は事前に登録検査といったものを受けまして、いろんな検査項目を合格しないと登録できない、使えないということになっておりまして、その農薬を登録していいかどうかを判断する基準として、ここにある水産動植物の被害防止、水質汚濁防止、それからこのほか土壌残留、作物残留でありまして、作物に残留して人が食べた場合のリスク評価、それから土壌に残留した農薬が作物を経由して人健康の影響に結びつくリスクと、こういった四つの基準につきましては、環境大臣が定めるということになっていまして、さらに水産と水濁につきましては、個別の農薬ごとに基準値を定めるということになっております。
 資料の6ページをご覧いただければと思っております。これが水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の仕組みということでありまして、一応評価方法としましては、農薬の成分物質、これ有効成分ですけども、これが公共用水における環境中予測濃度、PECといっていますが、環境中予測濃度と水産動植物の毒性試験に基づき、環境大臣が定める基準と比較しまして、PECのほうが基準値より大きいといった場合は登録保留、基準値より小さくなっているといった場合には登録できるという仕組みになっています。
 基準値につきましては、右の登録保留基準値の箱にありますように、魚類急性毒性試験、それからミジンコ類急性遊泳阻害試験、藻類生長阻害試験等がありまして、その三つの毒性試験の最小値を用いるということになっております。環境中予測濃度につきましては、数値による少し安全側に立ったTier1というもの、それをクリアできないとTier2、Tier3というふうに進むというような仕組みになっております。
 7ページでございますけども、ここに基準設定数の推移といったことが書いてありまして、右のほうの平成25年2月6日の12剤、これが昨年12月に答申を受けておりまして、ここまでが前回の土壌農薬部会でご報告した農薬数ということでして、その後25年3月18日に8、6月13日に11、9月11日に10と、それぞれ告示し、29剤登録基準を設定しております。
 それから、中央環境審議会の農薬小委員会につきましては、3月、5月、7月、9月とやっていまして、9月11日告示のものは5月までのものなんですけれども、そのほか7月に10剤、9月に5剤の審議が終了しております。
 それから次のページが、登録保留基準設定不要といったことで、この場合は例えば天敵農薬とか、温室とかにつるして使うフェロモン剤とか、そういった水系に出てこないといったようなもの、毒性が低いものといったものは、登録基準設定不要としていまして、この間2剤について結論を出していただいております。
 それから9ページ目、これが水質汚濁に関する登録保留基準ということでして、これも環境中予測濃度に比較するというところでは同じなんですけども、基準値としましてはこれは人への慢性影響ということで基準を設定することになっていまして、右にありますようにADI、これは食品安全委員会で制定された場合はそれを用いますし、非食用で食品安全委員会で設定されない場合は環境省の非食用農薬安全性評価委員会で、定めたADIを用いましてそれに国民の平均体重、それから飲料水の配分0.1それから摂水量ということで基準値を定めております。これと環境中の予測濃度を比較するという仕組みになっています。
 それから左のほうに、食品衛生法第11条云々とありますが、これは水質汚濁の登録保留基準は汚濁された水を直接利用するだけじゃなくて、その汚濁された水の中にいる水産動植物が汚染されて、それを食べて人健康に影響が生ずるおそれといったものも考慮することになっていまして、水産動植物の残留量が食品衛生法で定める規格に適合しないと、登録保留になるといったようなことで、この二重でチェックするような仕組みになっております。
 10ページ目が同じように、その後設定した農薬でありまして、同じように平成13年3月18日告示日以降のもの、31剤について新たに設定しております。それから7月24日に6剤、9月25日に1剤といったことで設定をさせていただいております。登録保留基準設定不要にしたものは、水産動植物と同じ扱いになっております。
 また、1ページ目に戻っていただきまして、水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準設定に係る微生物農薬の取り扱いといったことで、農薬につきましては化学合成農薬だけではなくて、天敵生物ですとか微生物を農薬として使用するといった場合があります。これにつきましては、ちょっと登録保留基準設定要否が整理されていませんでしたので、25年5月の農薬小委におきまして、この①にありますように、河川等の水系に流出するおそれが極めて少ないと認められる場合、または②の微生物農薬の安全性評価基準に基づき、人や環境生物の毒性が認められない場合は、登録保留基準値の設定を行う必要はないといったことで、考え方を整理いただきまして、今後、個々の剤ごとに確認をしていただくということになっております。
 それから続きまして2ページ目でございます。土壌残留に係る登録保留基準ですけれども、土壌残留につきましては、土壌中半減期といいますが、土壌のほ場試験を行いまして、半減期が180日といったところで、登録保留基準の扱いが異なっておりまして、平成17年にこの土壌残留に係る登録保留基準、今180日と申し上げましたが、従前は1年だったものを180日に変更するという見直しを行った際に、食品安全委員会に諮問しまして、その際、方向性はいいけれども、土壌残留試験の成績の普遍性の向上のための方策を検討すべきといった指摘を受けておりました。平成24年度に土壌残留リスク管理手法検討小委員会を開催し、報告書を取りまとめていただいたところでございます。その報告書の中身につきましては、12ページをご覧いただければと思っております。
 まず、試験ほ場の扱いなんですけれども、従来は2例以上ということで、それ以上特段の規定はなかったんですけども、一応条件の異なる2例以上ですが、畑地では黒ボク土、水田の場合は灰色低地土を含めるといった結論をいただいております。それから従前は、作物を栽培した状態で農薬を散布して、半減期を算出したんですが、作物があると、その影響を受けるということで、原則として作物を栽培しない裸地条件で試験すべきといった報告を取りまとめていただいております。
 それから土壌の採取ですけども、1サンプル4カ所だったものを8カ所に増やすとか、採取方法とか深さといったものを明確化いただくような取りまとめをいただいております。
 それから被検物質の取り扱いなんですけども、できるだけ均一にまくとか、従来農薬の使用方法で複数回まく場合は、複数回散布してということだったんですが、裸地条件で行うよう見直すものですから、単回処理を原則とすると、こういったような考え方を取りまとめていただいております。
 それから13ページ目、特定農薬でございますけれども、特定農薬をちょっとご紹介させていただきます。
 2枚ほどめくっていただいて、16ページをご覧いただければと思います。16ページの1に現行制度の概要とありまして、冒頭申し上げましたように農薬といいますものは、農林水産大臣の登録を受けなければ、製造も使用もしてはならないといったことになっております。これは平成14年の法改正で、そうなったんですけれども、農業現場では自らがつくった防除資材といったものを農薬として使っている場合があるといったことで、これが一切使えなくなると混乱するだろうということで、原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして、農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬は、登録が不要といったような整理がなされています。
 これにつきましては、指定する際は食品安全委員会に意見を聞くことになっていまして、括弧が二つありますけれども、下のほうの括弧で、食品安全基本法制定以前に、農林水産省の農業資材審議会と中央環境審議会の合同会合で食酢、重曹それから使用場所と同一の都道府県内、いわゆる土着天敵が、特定農薬として指定されております。その際に700を超える候補資材があったのですが、その後検討を進めてきまして、薬効がなく農薬でないものとか、使用実態ないというものを外してきまして、現在35資材が残っております。
 その中で、ここに書いてあります、電解次亜塩素酸水、それからエチレン、焼酎につきまして、合同会合で特定農薬として指定して良いという結論をいただきまして、今年の3月に、食品安全委員会に諮問したところ、18ページにありますように、3剤とも農薬として想定し得る使用方法に基づき通常使用される場合に限りにおいては、食品に残留することにより人の健康に悪影響を及ぼすおそれはないと考えられるといったような答申をいただきました。
 これを受けまして、また2ページ目に戻って、この矢印の下のほうですが、本年9月25日の農薬小委員会で、この3資材を特定農薬として指定することにつきまして、環境大臣から中央環境審議会に諮問させていただきまして、小委員会では指定して差し支えないというご結論をいただいております。今後パブリックコメントを募集していまして、所要の手続を経て告示を改正するということを予定しております。
 なお、食品安全委員会において、標準的な使用方法というものは指針を作成すべきだといったような指摘がなされておりまして、9月6日に中環審と農業資材審の合同会合を開催いたしまして、まず電解次亜塩素酸水について周知すべき使用方法についてご検討いただきました。11月1日に、また改めて合同会合を開きまして、エチレン、焼酎等について検討する予定になっています。また、残された木酢液とかそういったものにつきましても、引き続き検討を進めていくというような予定になっております。
 それから3ページ目ですけども、住宅地等における農薬使用についてといったことで、これにつきましては、我が国は農地と住宅地が混在している場合もありまして、農地の周辺住民とかは、マスクとか防御をしていない状態でして、農薬が飛散してきて暴露をするおそれがあるといったことで、農薬使用基準省令というのがございますけども、そこで住宅地及びこれに近接する土地で、農薬を使用するときは、必要な農薬飛散防止措置を講じるよう努めなければならないといったような規定を設けて、なるべく人に危険を及ぼさないような努力をするといったことにしております。
 そのより具体的な内容としまして、平成19年に「住宅地等における農薬使用について」という通知を発出しまして、周辺住民に周知するとか、なるべく物理的防除であるとか、農薬を使用しないような防除に努めるとか、そういったようなことを通知しております。
 ただ、それでもなかなかまだまだ、もう少ししっかりと書いてほしいというようなご要望もありまして、本年4月に改めて通知を発しました。その際には公園等と住宅地周辺農地とで、それぞれ書き分けまして。例えば、公園ではバラとか害虫が発生しやすいものではなくて、害虫が発生しにくい植栽等もありますので、そういったものを植えて公園をつくるとか、そういった具体的な手法を盛り込んで、改めて周知に努めているところであります。
 それから4ポツ目、公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアルですが、これも住宅通知を踏まえまして、平成22年5月にマニュアルというものを環境省として作成して、周知に努めてきました。ただ、実際そのマニュアルを使ってやっても、なかなか取組が苦慮しているといったような声もありましたので、その参考としてもらうために、優良事例を調べて、例えば、このマニュアルを使った講習会とか、物理的防除の例とか、そういった例を収集しまして、本年4月に公表したということであります。
 それから5番目、ゴルフ場使用農薬の暫定指導方針ですけども、これは平成初頭といいますか、昭和の終わりから平成にかけてリゾート法もありまして、ゴルフ場がどんどんつくられてきたといった際に、ゴルフ場で使用される農薬が公共水域に流れて水を汚染しているといったような問題が起きまして、その際に、排水から出る農薬の量はどの程度以下ならいいのかといったことの指針なかったものですから、平成2年に「ゴルフ場での使用される農薬による水質汚濁の防止に関する暫定指導指針」といったものを、当時の環境庁の水質保全局長通知で定めたところでございます。当初25農薬でスタートしております。
 これにつきましては、平成25年6月18日に改正しまして、主な改正点としましては、水質汚濁に関する登録保留基準、これは芝とかに適用ある場合も、従前は水田で使用される農薬だけだったんですが、畑地で使用される農薬も基準値を設定するといったことですので、これを指針に用いると。一応排水基準ですので、水濁基準の10倍の値を暫定指針値としてみなしましょうといったことで、この措置によりまして、対象農薬の数が、限度の75から220といったことで、増加させてございます。
 それから農薬の数もかなり多くなりまして、これら全てモニタリングするのも大変だということですので、一応、農薬使用基準省令に基づきまして、ゴルフ場で農薬を使用する場合は、農薬使用計画というものを、農林水産省に提出することとなっていまして、これがホームページで見られるようになっております。これを活用して、効率的な調査を進めるといったようなことで、新たな通知を発出したというところであります。このゴルフ場の調査につきましては、毎年調査をしていますけれども、平成15年度以降は排水口から指針値を超えて検出された事例はないといったことで、一応、水質汚濁防止の効果は出ているというような状況だと考えております。
 続きまして、6番の農薬の大気経由における影響評価といったことでございます。これにつきまして26ページをご覧いただければと思います。
 これは、大気経由による影響評価の事業のポンチ絵なんですけれども、一応農薬につきましては冒頭申し上げましたように、作物系ですとか水系とか、いろいろな環境媒体経由でリスク評価するんですけども、大気を経由して人への悪影響といったところは、なかなか見切れていないといったところでございました。
 この関係では、特に航空防除といいますものは、周辺住民に影響を及ぼすんじゃないかということで、平成9年に航空防除に使う農薬について気中濃度評価値というのを定めたところです。その後、散布形態が有人のヘリコプターから無人ヘリに変更しているということ、それから薬剤も大分変わってきているということで、この事業を平成22年度から始めたところであります。具体的なリスク評価方法なんですけども、吸入毒性につきましては28日間の反復吸入毒性試験の無毒性量を用いまして、それの100分の1を許容の1日経気度暴露量ということにしまして、それを成人ないしは小児、1日の呼吸量で割って気中の評価値といったものを算出しております。一応大人と子どもで低いほうということですので、いずれも子どもの値で評価値を定められています。
 それから、暴露量評価なんですけれども、これはモニタリングと、シミュレーションによる推計ということにしていまして、毒性評価期間、28日なんですけども、農薬散布後、大気中の農薬の量はすぐに減衰するだろうということで、安全サイドに立ちまして、その10分の1を3日間の平均濃度というものを出しまして、また風速も2.6mほど吹いているといった状況、それから夏の28度という、揮発しやすいような条件下で、暴露量を推計して比較するといったことで、取り組んでおります。一応、平成25年3月に週間報告書を取りまとめまして、その結果、経気道の経路の暴露では新たにリスク管理措置を講じなければならないような状況はないということとされております。
 今後、経皮経由といいますか、実際体にかかってしまったといったところのリスク評価の手法を今年度取り組んでおります。それからこのシミュレーション手法なんですけれども、これにつきましては、農薬メーカーとかが使えるようなツールとしてほしいといったことが、この事業の中の検討会で言われておりまして、そういったツールとして提供できますれば、開発段階からこういった大気への影響評価というものをした上で、リスク削減が実質的に農薬メーカーで取り組まれるんじゃないかといったことで、こういったことにも取り組んでいるといったところでございます。
 それから、29ページに行っていただければと思いますが、鳥類の農薬リスク評価・管理手法マニュアルといったものを策定したといったことであります。農薬取締法では水産動植物といったところで、水域生態系は影響しているんですけども、陸域生態系は十分見ていないといったことで、これについても検討が必要だとされておりまして、これにつきましては、陸域生態系の高次生物であるということで、鳥類を対象にしまして、鳥類に対するリスク評価管理手法を開発しました。これも農薬メーカーが事前に活用して、それで鳥類にリスク評価をして薬剤の検討をしていただこうというものであります。
 30ページをご覧いただければと思いますけども、一応毒性評価につきましては、農薬リスクによります鳥類の急性毒性試験結果を用いまして、この場合の鳥類はスズメを対象にするといったことにしていまして、スズメの体重が22gぐらいですので、そういったものを考慮した上で評価値というものを出しております。暴露経路はお米を食べる場合とかですね、果実、種子それから農薬にかかった昆虫とか、田面水とか、そういったところ、一応農薬が暴露したという前提で残留農薬濃度を設定しまして、これと毒性評価値を比較しまして、ばく露量と毒性評価値、これがトリガー値を10としまして、ばく露量が毒性評価値の10分の1より大きい場合は、何らかのリスク削減措置を求めるといったことで、マニュアルとしてまとめているところでございます。
 ちょっと長くなって恐縮ですが、続きまして31ページなんですけども、実は本年5月に欧州委員会のほうで、一部のネオニコチノイド系農薬の使用制限措置といったものが公表されました。その経緯について整理したので、ご説明させていただきたいと思います。まず56ページをご覧いただければと思います。
 56ページに、ネオニコチノイド系農薬とはということで、冒頭にご説明させていただきます。これは、神経のシナプス後膜にあるニコチン性アセチルコリン受容体と結合して、神経興奮を遮断して害虫を麻痺、死亡させる溶剤ということでして、ウンカとかアブラムシとか、幅広い害虫に対して高い防除効果を有する。それから接触毒作用もあるんですが、浸透移行性を有するので、例えば水稲の育苗箱に農薬を散布し、その散布した農薬が稲の根から吸われて植物の中に移行しまして、それを吸汁した害虫が退治されるといったことで、残効性も高く散布も楽だということで、広まってきたというものであります。
 ここにありますように、我が国では1992年にイミダクロプリドという農薬が登録されて以来、順次登録されまして、現在7剤について登録されております。剤型としましては、粒剤とか水和剤とかいろいろなものがございます。適用作物もここに書いてありますように、かなり広範の植物に適用がなされているといったようなところであります。
 57ページのほうに物性を載せておりますけども、加水分解性とか水中光分解性といったところで、かなり分解性は安定しているといったものもございます。原体の生産量としましては、平成23年度ではアセタミプリドの440tが一番多いというような状況になっております。
 また31ページ目に戻っていただきたいんですけど、今回の措置の概要といったことで、1の(1)でございます。5月24日に欧州委員会が発表した内容としましては、クロチアニジン、シミダクロプリド、チアメトキサムの3種類を有効成分とする農薬をミツバチの嗜好性が高い作物や穀物に種子処理、土壌処理、茎葉散布で使用することを制限する。例外として、温室で使用する場合ですとか、ミツバチは花に寄っていくので花が咲いた後の野外では使用は可能。ただしそれでも使用は農家とか職業的使用に限定されるといったことであります。
 この措置は12月1日からで、2年以内に新たな科学的な情報の再検討を開始するということになります。この経緯が(2)でございますけども、まず1)で欧州連合、EUでは域内の加盟国で、後ほどフランスとかご紹介しますけども、一時的に使用を中止する措置をとっていることも踏まえまして、これをどうするかということになりました。それで2)2012年春に、ハチに対するネオニコチノイドの亜致死影響に関する新たな科学的情報も公表されたといったことで、委員会は、欧州食品安全機関(EFSA)にこのリスク評価を要請いたしました。
 32ページ目でございますけども、EFSAは、今年の1月16日にこの3剤についてのリスク評価の結果を提示しまして、後ほど概要でクロチアニジンについては簡単にご紹介しますけども、播種時に生じる粉じんによる暴露、汚染された花粉とか花蜜中の残留成分の摂取等によって、ハチへのリスクがあるとしました。ただデータが不足しているものもあるということでございます。
 4)でございますけども、委員会としては農薬の承認基準を満たさない可能性があるんじゃないかといったことで、5)で、まず3月15日に食品生産流通過程・家畜衛生常任委員会で審査されました。その際には過半数にかなかった。4月29日に改めて審査する際は、過半数の国が賛成したんですけども、特定多数には至らなかったといったことで、ここでは結論が出なかったんですけども、委員会として制限を課すこと以外にハチにとっての高いリスクを排除することはできないだろうということで、最初に冒頭申し上げました5月24日のプレスリリースになったといったことであります。クロチアニジン、チアメトキサム、イミダクロピリドにつきましては、2013年11月30日までに、その猶予期間が満了するとしまして、2年以内に新たな科学的情報の再検討を始めるということ。
 そのEFSAの概要なんですけども、43ページ目をちょっとご覧いただければと思っております。これは例としてクロチアニジンについての評価手法の概要ですが、これはあくまでもEFSAが公表したもの翻訳しまして、それを我々事務局の責任でまとめたものですので、正確には原典を当たっていただけたらと思っております。まず、毒性のエンドポイントとしまして、急性経口毒性、これはハチ1頭当たりのマイクログラム、有効成分換算ですけども、急性経口毒性が0.00379、それから摂食毒性は0.275、慢性毒性は10日間のNOEL、無毒性量、免疫容量ということで10、ミツバチの幼虫は20といったことになっています。
 2段目の0.0275は、これは農薬の抄録に出ているのは0.04426です。上の急性経口毒性につきましては、抄録にあるものと毒性値は同じということになります。
 44ページ目ですけども、ばく露経路として、種子処理剤と粒剤、二つありまして、まず一つ目が粉末飛散によるリスクといったことで、この急性リスク評価ですけども、これは農薬を処理した際に、周辺にドリフトした量、これ付着量と書いていますけれども、それを7%と見込みまして、推定のほ場外散逸量が1.75g。それと先ほどの1段目の急性経口毒性HQとありますものは、急性毒性LC50、0.00379㎍で割りましたもので、ちょっと単位が違うんで、一応計算しましたところ、周辺に7%ドリフトして、100cm2分の量の農薬がハチ1匹にかかるといった量で計算されているようでして、461となっています。この場合、一応50を超えると急性リスクがあることは排除できないといったことで、トリガー値設けられていますので、トウモロコシですとかなたねとか穀類については50を超えているものが多いので、これはリスクが排除できないだろうとしています。てんさいについては0.26ということですので、あまりリスクはないんじゃないかといった結論になっていると思います。
 それから②の慢性リスク評価というものを出しまして、これは10日間のLC50と、1日に蜜や花粉を摂取する量とLC50や慢性の毒性を比較しようとしたんですけれども、ちょっとこれはデータがなくて実施できなかったというようなことです。いろいろこの後、植物の蜜や花粉への残留量とか、それから植物の朝露といいますか、溢液と書いてありますけれども、そういったもの、いろんな試験の結果をまとめてありまして、それが49ページ目をご覧いただければと思っています。
 これがいろんな試験結果を表としてまとめたものでして、一番上に穀類のものがございますが、それぞれのリスクでありますけども、Xの入っているものはデータが足りないとか、合意したリスク評価スキームがないということで評価が完了していないもの、ミツバチの急性毒性リスクにRとありますが、Rにつきましては高リスクがあるというふうにされたもの。この空欄のものは、リスクの懸念はないだろうといったものでありまして、49ページ目から50ページ目、51ページ目と、いろんな多数の試験一覧をまとめてありますけども、Rというものがミツバチの急性毒性では結構あります。それは粉末による暴露で、51ページですと蜜や花粉中の残留でRというものがついておりますが、多くはXでデータが欠落しているというようになっています。
 48ページ目に、今回のEFSAの報告書がまとめが出ていますけれども、粉末、汚染された蜜、花粉、植物排水液経由の暴露については、ミツバチ以外の花粉媒介者へのリスクに関する情報とか、雑草とか後作物経由のリスクに関する情報ですとかいろいろな事項でデータがないといったことでした。
 ただし、一番最後にありますように、トウモロコシ、なたね及び穀類の種子処理使用に伴う農薬の粉末飛散を通じてミツバチに農薬が暴露することによる急性リスクとなたねの蜜及び花粉の中の残留農薬の暴露による急性リスクはあると判明したとしています。
 また32ページ目へ戻っていただきまして、こういったことをもとに、欧州委員会で使用を制限するといったことになっております。
 33ページ目から各国の動向で、まずフランスでは1994年にミツバチの憂慮すべき兆候の報告が出たといったことで、二つ目の丸で、この製造会社は、影響ないだろうと報告していますけども、98年に検出事例があるといったことで、1999年にフランスの農林大臣はヒマワリの種子粉衣に関する使用も禁止した。これに対してB社はフランス国務院に提訴したんですけども、1999年に養蜂家と大臣の予防原則による禁止の支持を裁断したとなっています。それから2004年にヒマワリの種子粉衣だけでなくて、トウモロコシの種子粉衣も一時的使用禁止になっているといったような経緯で、フランスにつきましては制限にかなり熱心に取り組んでいるということでございます。
 次のページ、ドイツでありますけれども、ドイツも2008年にミツバチの大量死に伴いまして、原因究明のためにドイツの連邦消費者保護・安全局が調査し、クロチアニジンを有効成分とする処理剤が原因と疑われたといったことで、トウモロコシ種子処理剤を一時的に禁止いたしました。2011年3月にクロチアニジンを有効成分とするトウモロコシ種子処理剤以外の使用は解除されたという状況になります。
 3)で英国でございますけども、英国は一番下の丸にありますように、英国の環境・食料・地域省は、2013年3月に公表した文書において、ネオニコチノイド系農薬のミツバチ個体群へのリスクは低いというふうにしております。
 そういったことで、評価はいろいろあるんですけども、総体としてはEUでは制限している。2.でEU以外ですけれども、まずアメリカでございますが、アメリカの環境保護庁は殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法のもとで、15年ごとに基準を満たすかどうか再評価するということになっていまして、下の表のようなスケジュールで再評価をするということになっています。その際にはミツバチ及び花粉媒介昆虫の潜在的な影響も一応考慮するといったことにされているといったことであります。
 それからページの一番下のミツバチの「蜂群崩壊性症候群(CCD)」に関する利害関係者会議が2012年10月に開催されまして、そこではハチの害虫とか病原体とか栄養とか殺虫剤がハチに及ぼす影響であるとか、ハチの生物学、そして遺伝学、育種学に関する知見を集めて、CCDをどうしていくかというようなことで、議論がなされています。利害関係者が現実に組み込むことができる最良の管理基準を作成して、遂行を促進することとか、それからCCD運営委員会で考えられる優先テーマを地域社会に働きかけていこうというようなことがなされています。
 会議ではハチの健康に影響を及ぼす四つの問題、栄養と殺虫剤と寄生者・病原体、それから遺伝学・生物学・育種学、この四つの問題についてグループ討議がなされまして、殺虫剤に関するところでは、殺虫剤を管理する農家へ、さらに働きかけるプログラムが必要だろう。生産者と養蜂家においてコミュニケーションしていくことが必要だろうといったようなこととしています。
 それから下の丸ですけども、2013年8月15日にU.S.EPAは、ハチの関係の新しいラベルを発表したということで、ちょっとまた飛んで55ページを見ていただけたらと思っております。55ページに、この四角のハチのマークがありますけども、こういったマークがついているものは、ハチに対する毒性が強いということで、注意しましょうといったこと、こういった新しいマークをつくったということが、プレスリリースされております。
 また戻っていただいて恐縮ですが、36ページ目、今度はカナダでございますけども、カナダにつきましても、15年サイクルで再評価するということで、クロチアニジンとチアメトキサムの2剤が再評価中であるといったことになっています。その際には世界的な動向を踏まえて花粉媒介者に対する潜在的な影響を考慮することが変更点になっているということだそうでございます。
 それから次のページにいきまして、2013年4月に保健省病害虫管理規制局は、この3剤、クロチアニジン、チアメトキサム、イミダクロプリドについて、ミツバチの被害防止するための対策として、それをもう公表しているということで、一つ目が、農薬使用者と養蜂家の情報交換の促進、それから2ポツ目として、種子播種時の粉じんの発生を低減するための利用可能な技術開発の促進、それから、種子播種時に発生する粉じんに起因するミツバチへの被害を防止するための使用上の注意事項というものを農薬のラベルに明記しようといったような対策が公表されております。
 (3)がオーストラリアでございますけれども、オーストラリアも今回のEFSAの評価書とか、それから専門家の助言とか信頼できる文献で、規制措置のオプションを検討する旨を公表しているということであります。
 我が国におけるネオニコチノイド系農薬の取組なんですけれども、まず(1)が登録保留基準、これが環境省に一番かかるところですけれども、リスク評価といったところで、60ページをご覧いただけたらと思っております。60ページ目でして、水産と水濁それぞれ基準があって、若干まだ基準値はできていないものがありますけれども、まず水産のほうでは魚類、ミジンコ、槽類のLC50なりEC50の値を載せまして、それに基づく水産基準が真ん中にあります。水産PECと比較する仕組みになっていまして、それぞれPECは基準値より小さくなっていると。基準値がPECを大きく上回っている状況にあるということでございます。水濁はこれはADIも設定していますけれども、これも基準値がPECより大きくなっていまして、登録可能な状況になっています。
 ちなみに61ページにネオニコチノイド系のADI、TMDIというのですが、このTMDIというのは理論最大摂取量ということで、残留基準を各作物の摂取量を駆け足で出したものでして、アセタミプリド、イミダクロプリド、いずれも2割とか3割とか、こういった程度におさまっております。チアメトキサムにつきましては77%ということで、8割に近いということで、EDI、これは推定一日摂取量といったことで、こちらで確認しますと28.5ということで、いずれもADIの範囲内におさまっている状況にあります。こういったことで登録がなされているところであります。
 63ページ目ですけども、我が国におけるモニタリングの結果ですけれども、アセタミプリドにつきましては、24サンプリングで1個検出といったことで、これは基準値が5.7でございまして、検出値はそれを大幅に下回っている。ミリグラムで書いてありますが、マイクログラムに直しますと0.01㎍/Lなり、0.005㎍/Lと。それから、クロチアニジンにつきましても、こういった値の検出があると、24サンプリング中7回とか、49回サンプリング中5回。ジノテフランにつきましても、こういった検出事例があります。いずれにしてもこれは水産基準が2万4,000、それから水濁基準が0.58mgといったことですので、水濁基準に比べてもかなり小さい値になっているといったところであります。数は少ないんですけども、モニタリングのデータとしてはこんなデータになっております。
 それから65ページ目をご覧いただければと思います。農薬につきましてはミツバチに対する試験成績も、登録申請時に求めていまして、その毒性によってハチに対する注意事項というものを記載するようになっていまして、アセタミプリドはそれに大きい値になっていますので記述はない。イミダクロプリドにつきましては、ミツバチの巣箱及びその周辺に飛散するおそれがある場合には使用しないとか、ミツバチを放飼中の施設や果樹園では使用を避けることといったような注意事項が提示されています。クロチアニジン、ジノテフランにつきましても注意事項が書かれまして、チアクロプリドは記述なしといった、こういった注意事項が一応パンフレットにはなされているといったことであります。
 それから68ページ目を見ていただきたいと思うんですけども、68ページ目は農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組ということで、これは農林水産省のホームページに出ているものでございます。EFSA、EUでの制限措置を踏まえ、関心も高まっているということで、QアンドAの形で紹介していました。まず69ページは農薬の一般論ですので省略しまして、70ページ目ですけども、蜜蜂の被害を防ぐために日本ではどんな対策がとられていますかといったところで、養蜂が行われる地区では都道府県の畜産物局と連携して、蜜蜂の危害防止に努めるとかの注意事項をラベルに表示しているとのことであります。
 それから2段目ですけども、養蜂家の方は季節によって花のある地域へ巣箱を移動させることがあるので、農水省としては都道府県を通じまして、農薬を使用する農家と養蜂家との間で、いろいろな情報交換をするといったような取組を指導しているといったことが紹介されております。
 それから71ページ目で、引き続きダニとかウイルス、いろいろな原因が考えられていますので、調査もして、取りまとめていきたいといったことがご紹介されております。
 それから72ページ目が、我が国における蜜蜂の被害の発生状況ですけども、都道府県から上がった報告ですと、年間数件程度だということで紹介がされています。2013年度からは蜜蜂の被害事例について、より詳細な調査を行うといったことで、被害があった場合には周辺住民の農薬の使用情報とか、整理して調査するといった取組が紹介されています。
 それから73ページ目は、2008年に日本でも蜜蜂が不足したということで、その原因は何ですかといったことで、これは天候不順や寄生ダニの被害等で、蜜蜂が十分繁殖できなかったことやオーストラリアから女王蜂の輸入が見合わされたことが原因だと。ただ。養蜂家からは農薬の影響じゃないかという声もあったということだそうですが、いわゆる「蜂群崩壊症候群」(CCD)といったものは日本では見られていませんというふうに書いております。
 それで、下の段でこの養蜂、ハチ不足が起こらないようにということで、蜜蜂の減少の原因を科学的に明らかにするための調査研究を実施しますといったことと、都道府県の範囲を超えて花粉交配用蜜蜂のハチ群の需給調整を行うための「需給調整システム」を立ち上げましたということが紹介されています。
 それから74ページ目で、どのような研究を実施していますかといったことで、特に水田地帯の農薬による被害が発生する仕組みの解明に取り組みましたといったことで、夏場の水稲のカメムシ防除で、夏場、蜜蜂が利用できる花が少なくて、稲の花粉を求めて蜜蜂が水田を訪れることが関連しているのではないかと言われているということで、殺虫剤を散布する時期に蜜蜂がどう飛んでいるのかとか、そういったところを調査したので、いずれ取りまとめたら公表するとしています。
 それから三つ目の段ですけども、蜜蜂が農薬に暴露される経路を推定するための研究を実施中ということで、稲の花粉への農薬の移行量を把握するための研究を行っているということです。
 問6のEUの措置は略しまして。Q7、77ページは日本での使用状況ですけども、これも最初物性のところでご紹介しましたように、稲、果樹、野菜などに広く使われているといったようなことであります。
 79ページ目で、EUと同様に制限しなくていいんですかということですが、これはカメムシとかに、かなり防除効果が高い薬剤なんだといったことと、蜜蜂は被害が生じないような措置を講ずることで取り組んでいきたいといったことが書かれております。
 80ページでネオニコの影響を考慮し、いろんな調査をやりまして、使用方法の変更なども必要であれば検討していきたいといったことが書かれていると思います。
 38ページ目に戻っていただきまして、我が国におけるネオニコチノイド系農薬に関する研究例といったことで、まず一つ目がミツバチ不足に関する調査研究、これは独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の畜産草地研究所のプロジェクトです。半数致死量以下のクロチアニジンを塗布したところ、異常行動は見られなかったとか、致死量の1/10、1/100の濃度を噴霧したところ、対照区との影響は見られなかったとか、半数致死量の半量を塗布したところの帰巣率を調べた結果、対照区より低下する傾向にあったが、統計的に有意でなかったといったことで、この段階では影響があったというような結果は得られなかったんですけども、引き続き試験研究を行っていくとしております。
 2番目が、金沢大学の山田先生ほかの研究ですけども、これはジフノテランとクロチアニジン、10ppm、2ppm、1ppmといったことで、先ほどの急性影響濃度がマイクログラムオーダーなんで、それからしますとこれかなり高い値ではありますけれども、こういったものを与えたところ、蜜蜂のハチの数とか、子どもの数が減少したといったような結果が報告されているといったことであります。
 それから3番目ですが、これは国立環境研究所の研究例ですけども、イミダクロプリドとフィプロニル、フィプロニルはネオニコチノイド系農薬ではありませんが、これにつきまして水田群衆への累積した生態系への影響やその回復について調査したといったところ、底生生物の量が農薬を処理したほうが対照区より有意に減少した。それから、2年連続でやったところ、2年目のほうが1年目よりかも影響が大きかったといったことから、農薬の通常使用の影響は短期間の問題の調査では実際には評価できないといったことが示唆された、とまとめられています。
 その次も同じく国立環境研究所ですけども、メソコズムを使用してモニタリングを行ったといったところですと、40ページ目ですが、動物性プランクトンや底生・水表生物の群衆が有意に減少したといったことで、実験室の試験とは異なっていることとしている。群衆レベルでの農薬の評価は、種間の感受性だけじゃなくて、農薬の物理化学的性質の違いも考慮に入れるべきだといったようなことでまとまっているところでございます。
 今後の環境省の取組ですけれども、こういったような状況も踏まえまして、まずネオニコチノイド系農薬の生物への影響に関する文献の検索と整理といったことで、一応調べまして、500件程度の知見が得られました。そのうちミツバチ、マルハナバチの研究は30件以上だといったことで、これらの文献とそれから農薬抄録との毒性情報をもとに、ネオニコチノイド系農薬のミツバチを含む非標的生物への影響の整理、それからミツバチへの毒性についてのネオニコチノイド系農薬と、それ以外の農薬との比較というものを行っていきたいと考えております。
 それからメソコズム試験法ですけども、現在の登録保留基準が魚、甲殻類、藻類3点セットなんですが、より生態系を考慮した評価のほうが望ましいだろうといったことで、農薬による生物多様性影響評価事業といったものに取り組んでいまして、その地域の固有の生態系に対する農薬の影響を把握して、地域における生態系を保全するための農薬の使用方法なり使用時期には検討するようなツールというものを開発するよう取り組んでおりまして、こういったものを開発して、リスク削減に努めていきたいと考えております。
 それからモニタリングにつきましては、先ほどあっただけなので、もう少し実態分を把握する必要があるということで考えておりまして、こういったモニタリングを実施していきたいなと考えているところでございます。
 6ポツのその他ですけども、欧州委員会は先ほど言いましたフェニルピラゾール系のフィプロニルについても8月15日に使用を制限するということを公示したといったものがありましたので、これについてもご紹介をさせていただけばと考えています。
 冒頭申し上げましたように、これは環境省がいろんな公開情報から訳してまとめたものですので、ひょっとしたら訳が間違っている場合もあるかもしれませんので、正確には原典を当たっていただけたらと思っております。
 最後ですけども、82ページ目以降を見ていただければと思っています。これは環境省では農薬の環境リスク評価管理手法の改善に資するべく、環境研究総合推進費で、この4課題を取り組んでおります。以上です。

(中杉部会長)
 大分長いご説明になりましたけれども、資料8のご説明につきまして、ご質問、ご意見等ございましたら、名札を立てていただければと思います。よろしいでしょうか。それでは佐藤泉先生から。

(佐藤(泉)臨時委員)
 佐藤でございます。質問と意見を述べさせていただきます。
 まず4ページの6番です。無人ヘリコプターによる農薬の散布が行われているという点についてなんですが、こういう空中散布については、例えば公園の街路樹等のマニュアルはございますけれども、空中散布についてのマニュアルというのは、環境省として現在つくられているのか、つくる予定があるのか、いかがでしょうか。

(更田農薬環境管理室長)
 航空防除のマニュアルは、農林水産省のほうでつくられて、それに基づいてやられているといったものであります。

(佐藤(泉)臨時委員)
 農林水産省で航空防除マニュアルを作っているということなんですけれども、私の希望としては環境省として、それが本当に環境の影響から適切なものなのかということについては、できれば共同でマニュアルを作成するような方向で検討していただきたいと思います。農水省ですとどうしても農業者の立場からと思うんですけれども、農地と住宅地が近いとか、それからその他の全般的な大気の影響ということも考えますと、環境省が関与するということが重要ではないかと思います。
 私も旅行で農村に行きますと、車が走っているところで農薬を散布して、慌てて窓を閉めたという経験があります。近隣住民への情報提供とか、そういう思わぬ暴露がないような方法についても、環境省としては関与していただきたいなというのが私の希望であります。
 それからもう一つ、ネオニコチノイドの件ですけれども、いろいろな資料がついておりますけれども、肝心のネオニコチノイド系の農薬が現在どのぐらい使われているのか、そしてそれが急激に増えているのかという現状の統計がないというふうに、私は思います。過去の化学物質の経験からいくと、よく効く、便利である、しかも長く効くというようなもので安定していると言われて、大量にその使用が始まったものというのは、後で非常に問題が顕在化するということが起きています。農薬についても、有機リン系とかネオニコチノイド系とか、幾つかの農薬があると思いますけれども、それが全体でどのぐらい使用されていて、そしてその使用の傾向がどういうふうになっているかということは、まず全体量の把握をして、急激に増えたものについては、一定程度注意するということが必要ではないかと思います。
 それから、これは農水省が作成した資料だと思いますので、環境省が直接つくったものではないと思うんですが、例えば資料の77ページのところでは、「これら3種類のネオニコチノイド系の農薬は、日本ではどのように使われているのですか。」というところについて、例えば1段落では「農家による害虫の防除に欠かせません。」と書いてあります。特定の農薬を欠かせませんというのは、これがないと農業ができないように読めますが、実際はこれを使用しない農家の方もいらっしゃると思います。特定の農薬を推奨しているというような、ちょっと危険な書き方だと思います。
 それからその次の段落では、「カメムシを確実に防除する必要があります。」「米の商品価格が著しく下がってしまうので、」ということで、これも確実に防除するということまで言うと、相当の使用量を、推奨してしまうというんですか、こういう斑点米を除去する方法は、例えば光選別のような形で、現在では流通の段階でもう排除しているはずなんです。ですから、生産の段階でゼロにしろというのは、これは農薬の過剰な使用を推奨しているような印象を受けますので、ちょっと偏った資料のように私としては見受けられます。
 79ページも「これらの農薬は水稲のカメムシ防除に重要です。」というふうに書いてあって、非常に推奨されています。全体として日本の国家として、このネオニコチノイド系の農薬を推薦しているようなパンフレットに見えて、私としては意外な感じがした資料でございます。農薬については、全体として使用量を減らしていくということが持続可能な農業としては正しいと思いますので、そういう方向から生態系への影響評価、そして農薬の使用量の適正化ということを環境省としては考えて、農水省と一緒に取り組んでいただきたいというのが、私の希望であります。

(藤井委員)
 私もネオニコについて質問をしたいと思います。
 今まで何回か質問する中で、今回はとりわけ分厚なご説明がありました。これは多分、欧州連合における規制措置が出てきたということで、各国の動向を含めておまとめになったと思うんですが、いずれここの委員会の中で、このネオニコはどう扱っていくかということは議論になるのかなと思いながら、部会長の顔も拝見しているんですが。
 今、佐藤委員からも出たようなことを伺おうと思っていました。私たちのところの滋賀県で言えば、私たちは2008年のときに、本当に果樹の受粉をするのにミツバチが減る、それから花粉を人工授粉するときにも市場価格が上がるということを農家から随分聞いて、2008年は随分異変があったなというふうに思っています。NGOの中では、もう随分前からそういう話は出ていたんですが、今佐藤委員がなさったように、この言い方ですると大変問題があるなというふうに思っています。
 あともう一つ、日本で使われている7種について、例えばどこのページでも出ていたんですが、メーカー名はホームページを見たら書いてありますかね。前は、土壌農薬部会で農薬を議論するときには、どこどこメーカーというふうに書いてありましたが、この7種については全部メーカー名は出ていますか。もしここでもおわかりになれば教えていただけたらと思います。
 以上です。

(中杉部会長)
 じゃあ大塚委員も関連ということで。

(大塚委員)
 私もちょっとネオニコチノイドについてお伺いしたいところがありますが。フランスのところで予防原則という話があって、これも予防原則の適用の問題だとは思うんですけども、予防原則適用のときにリスク・リスク比較というのをやらなくちゃいけないので、カメムシとの関係の話はもちろん非常に重要だと思います。ですから、ここで書いてあるようにいろいろお考えになっていらっしゃるんだろうとは思っているんですけども、そうは言っても例えば使用の方法に関しての限定をするような規制は、恐らく農薬を使う人にとってもそれほどのデメリットがないと考えられるので、そういうことはぜひお考えいただきたいと思います。
 それから、このラベルに書いてあることは、そもそもラベルにどのぐらいのことが書かれているか、それが守られているかどうかについて何か調査をされているかをお伺いしたいと思います。
 文献調査をしておられて、かなり慎重に検討されていますが、この手の対応はスピーディーにやらないと、いつまでも調べていますと言っていると、もしこれで養蜂家のほうに何か大打撃があると、将来訴訟が起こる可能性もないとは言えないことを指摘しておきたいと思います。

(中杉部会長)
 五箇委員も関連ですか。

(五箇臨時委員)
 ネオニコ関連で。うちの研究所自体がネオニコ関連の研究対応させていただいていますので、幾つか今出た質問の一部についてお答えするのと、あとちょっと環境省のほうにも質問というかご意見がありまして。先ほどこの剤の普及率とか使用量はどれぐらいかということですが、このネオニコチノイド、大体1992年から1996年ぐらいに一斉に開発し、上市されまして、そのときの生産量・流通量が大体150t弱だったものが、現在は450t弱まで伸びているということで、15年間で約3倍ぐらいまで生産・流通量は増えているということですから、やっぱり非常によく普及しております。
 普及している成功要因としましては、先ほど環境省のほうからも説明がありましたように、箱苗施用という形で、箱内の段階で稲の苗に処方することで、それを田植えすれば、もう薬がワンシーズン必要なくなるという、一発処理剤としての機能があるので、非常に高齢化した農村社会では重宝しているというのが現状です。実際問題、全く科学とは関係ない話ですけれども、農業人口の平均年齢が今や水田は70歳近くまでなっていることを考えると、動力噴霧器をかついで殺虫剤をまくという作業自体が難しい中では、こういう薬が重宝されてしまうということです。それで、普及率自体も、代表的なイミダクロプリドで全国で18.9%、あとフェニルプラゾール系という新しいタイプのやはり浸透移行性も25%ということになりますから、主に西南日本を中心にウンカ、ヨコバエ、カメムシの被害がひどいところを中心に、ほぼ全都道府県が使用しているという状況になっています。そういった意味では、普及率が高いという背景には、やっぱり使用者そのものの省力化という部分に大きな効果があるということで普及しているという現実があります。
 そういった中で、欧州連合を含めて欧米ではすごくこの薬に対しての警戒心が強い。特にミツバチに対する依存度が非常に高いということがあって、そのミツバチに対する影響が非常に深刻であるということから、今規制に踏み出していて、我が国については残念ながらネオニコチノイドに関しては、水生生物に対する急性毒性評価のみで水産PECと照らし合わせて、登録保留基準値が設定されているという以外の規制は、今のところできていないということで、この薬に関しては、実はいわゆる死なない濃度での影響が大きいということが問題になっておりまして、いわゆる慢性毒性ですね。
 先ほど環境省の説明に、日本においても一応ミツバチに対する影響は幾つかデータを集めておりますが、農薬の影響なのか寄生生物の影響なのかよくわからないということで、原因不明とされていますが、実は欧州での最新の情報ですと、低濃度でのネオニコチノイドが、そういった昆虫やさまざまな生物、両生類も含めて、免疫系に攻撃をして免疫が低下することで、農薬の毒性でなくて免疫低下による病原体の蔓延によって、実は死亡もしくはCCDが生じているという結果が出てきていますので、そういった意味ではEPAも含めて、欧米のほうでは従来のOECD型の急性毒性影響評価ではこの薬は、影響評価不能であるという声明を2010年に既に出しているという背景からも、我が国においても、もう少し生態影響という部分に関しては、より高度化した調査が多分今後求められるであろうということ。
 それから、ご指摘がありましたように農水省サイドではこの薬、なくてはならないと推奨してしまっている背景としましては、農家さんたちの先ほど言いましたように、農業生産の現場においては、この薬に対する依存度があまりにも高くなっていて、今これを引っこ抜いてしまうという影響があまりに大きいがゆえに、農水省という立場上は、若干農薬を擁護しているようなスタンスになってしまっているところがあるかと思いますが、環境省としてはより安全な管理というものをどうつくっていくかということが求められるであろうということで、ご指摘のとおり今の現状ですと日本全体は、まだこのネオニコに対するリスク感とか、そういったものが、まだ科学的には切迫した状況にはなっていないというところはあると思います。
 一応以上意見でございます。

(中杉部会長)
 上路委員、どうぞ。

(上路臨時委員)
 今の五箇さんの説明の中で、生態影響のほうだけよく説明されていましたけれども、なぜこの剤がよく使われるかというのに、一番大きいのは、もちろん使いやすさというのもあるんですけれども、人間に対する毒性が、61ページを見ていただきますと、これ今までいわゆる殺虫剤として有機リン系の殺虫剤がメインだったんですけれども、このADIが一つしか載っていないので、比較にならないかもしれませんが、有機リン系アセフェートというのが一つ載っています。これは比較的有機リン剤の中ではそれほど毒性がないというふうなものですけども、これと比べてみても、リン剤と比べてネオニコのほうが人間に対する毒性が弱いと、そういう哺乳動物に対する毒性が弱いということも、ネオニコ剤が普及したということになるかと思います。ということでつけ加えさせてください。

(中杉部会長)
 大塚委員。

(大塚委員)
 一言だけちょっと言うの忘れていたんですけど、環境省としてはネオニコの有用性の観点から擁護されるということもあると思うんですけど、他方でやはりミツバチとの関係では問題がありそうなので、人にももちろん影響がないような新しい農薬を開発することについてインセンティブを与えるようなことをぜひお考えいただきたいと思います。

(中杉部会長)
 佐藤福男委員。

(佐藤(福)臨時委員)
 臨時委員の佐藤でございます。私は農業現場にいるものですから、この薬のありがたみというんですか、効果というのをよくわかっているつもりです。具体例を申し上げますと、秋田県では今年カメムシの警戒警報が出まして、昆虫に関する警戒警報はこれが初めてです。具体的には何をすればいいかというと、従来より2倍以上ネオニコチノイド系の農薬をまいてくださいという指示を出しています。これは警戒は初めてのことで、非常にカメムシの害が多いということで、我々警戒しているわけです。あとこれは直接に稲にかけています。その場合には箱施用剤としてこれ育苗箱にやって、非常に効果が高いです。なぜかというと育苗箱の場合は田植えのときしか使いませんので、一応水系には漏れ出さないという生態的な考慮というのがあるというふうには聞いています。
 何を言いたいかというと、要はこの薬がある意味生態系には非常に優しい、今おっしゃったように人間にも優しい。ところがヨーロッパのほうで、このような問題が出てきたということであれば、もしかして今までのリスク評価のやり方というのは、見直す必要があるんじゃないかというふうに現場の我々も考え始めています。マスコミのほうでもう既に取り上げられて、この薬というのは危ないんじゃないのと、こういうふうな識者の評価が出てきていますので、それに対する答えを我々は持っていないわけです。それが問題だと思います。
 あともう一つなんですけど、これ素人の疑問で申し訳ないんですけど、種子処理剤として使われたものが、どうしてこんなにミツバチまで行くのか。なぜならば種子処理剤として使われて、トウモロコシとかなたねに使われるわけですけど、花が咲いて花粉ができるまでいったら、時間的に物すごくたっていますし、それから種が成長して大きくなるということは、希釈されているわけですから、こんなに時間と希釈があって、何ゆえこんなに毒性があるのかというのが素人的にわかりにくいですので、ぜひそこら辺の疑問も、消費者サイドに伝わるような形で対応していただければありがたいかなと思っています。
 以上です。

(中杉部会長)
 吉田委員もネオニコですか。

(吉田臨時委員)
 ネオニコチノイド、文献調査ということについて1点お願いがございます。先ほど上路臨時委員から説明が、ADIの設定は全てGLP、Good Laboratory Practiceに基づいた試験機関で行われているのですけれども、文献というのは単にパブリストされたものですから、クオリティが全くわからない。ここでは確かに「質」と書いてあるのですが、この点について十分注意して公表論文については、たとえネイチャーやサイエンスに載った論文でも注意していただきたい。ここはGLPの試験とは大きな違いですから、同様に考えないでいただきたいというのが、一つのお願いです。
 以上です。

(中杉部会長)
 いろいろご意見が出まして、環境省としては農水省がこういうことをしていますよということの紹介が。五箇委員、関連ですか。

(五箇臨時委員)
 補足ということで。浸透移行の殺虫剤で、種子処理をするものがなぜミツバチに影響するかという部分については、幾つかルートが考えられていまして、一つはミツバチ自体は実は水も飲みますので、水田の水を飲みに来るという行動もとりますし、あとは稲の花粉も採取に参りますので、花粉に移行している場合は花粉の影響も出てまいります。それからクロチアニジンと言われるネオニコチノイドの一つは、特にカメムシ防除のためには散布も行いますので、ドリフトの影響も出てまいりますので、幾つかのルートでそういう訪花性昆虫に対しての影響は出てくる可能性はあります。
 あとそれから先ほどのADIのデータについても、精査が必要ということで、実際手元にあります情報だけ見ますと、こちらの資料では、イミダクロプリドのADIが0.057mg/㎏体重/日になっていますが、GLPですと0.084mg/㎏体重/日という具合に、やはり若干の違いは生じてまいります。
 あと追加になりますけど、先ほど上路委員から浸透移行性殺虫剤が非常に安全性が、特に人畜毒性が低いということが一つの利点としてなっているということですが、最近実はこのネオニコチノイドに対しても害虫のほうが抵抗性を発達させているということで、参考に入っているフィプロニルというのが、これが今一番よく使われている薬です。
 要するに代替剤として使用されていますが、こちらの薬は実はもともと農業殺虫剤として開発されたものではなくて、シロアリ駆除剤、アリ駆除剤、ゴキブリ駆除剤という衛生害虫用の殺虫剤でして、実はADIが0.0002mg/㎏体重/日という、かなりオーダーが低いものが農業殺虫剤として使われざるを得ないという状況があって、安全性という観点だけから、もはや浸透移行性が利便性があるというわけでも、もう既になくなって、使える農薬がなければ若干危ないものでもこれからどんどん開発していかなくてはならないという、逆方向のセレクションがかかってしまっているという現実はあります。
 その背景に、やっぱり試験法そのもの、毒性評価そのものが水生生物を3種の3点のみというところをまずベースにしているので、こういった特殊なタイプの農薬が出てきてしまいますと、実際はこれ登録されている農薬は全て3点の生物に対しては極めて安全性が高くて、従来の有機リンよりも確かに格段に安全性が高いと評価されてしまうんですが、ピンポイントでミツバチであったりとか、ユスリカであったりという、対象になっていない生物に対しては非常によく効いてしまうので、野外では大きな影響が出てしまうということが現実として起こっているということがあるということになります。一応補足になります。

(中杉部会長)
 では佐藤泉委員、どうぞ。

(佐藤(泉)臨時委員)
 簡単に追加でございます。
 先ほど、今年は暑かったので、非常に農薬をたくさん使うということになったということを、私は初めて聞いたので驚いたのですが、今後も暑い夏が来ると、農薬の使用量はどんどん増えるというようなことになってくると、どうなってしまうんだろうと、心配いたします。環境省の立場としては、農薬が安全性だけではなく、総使用量の把握と種類別の利用傾向を把握する必要があると思います。農薬が効かなくなるともっと危ないものを使わざるを得ないということもあるかもしれません。農薬の総使用量とそれが全体の大気環境や水にどう影響しているかを把握し、ぜひそういう統計をこの委員会でも来年度から出すようにお願いしたいというふうに思います。

(中杉部会長)
 いろいろご意見が出て、とりあえずよろしいですね、今の段階では。それじゃあ環境省で答えられる部分、答えられない部分があると思います。まず環境省からお答えください。

(小林水・大気環境局長)
 まず環境省の基本姿勢についてお答えをしたいと思います。
 専門的に今いろいろいただきました。大変幅広い課題については、またしっかり対応、調査、勉強した上で、審議会のご指導をいただきたいと思っております。ネオニコチノイドの問題につきましては、環境保全、特に生態系を守るという観点から大変重大な関心を持っております。国会でも質問もございますし、大臣からもこれについてはしっかりした対応で臨むべきだという指示を受けておりますので、私からも担当にはしっかり対応していくべきと、こういう指示をしているところでございます。
 そういう意味で、ちょっと今日資料が大変大部で恐縮でございましたが、EUがかなり予防的な観点から対応をとっているという認識をしておりますので、そういう意味ではいろいろ研究途上の中で対応をとっているのが各国の状況かなということで、一体どのように各国が動いているかということもしっかりフォローしていけという指示をいたしましたものですから、そういった資料も多くなったということでございます。
 それで、ミツバチの問題もあれでございますが、生態系上の課題もございますので、それに対してどうしていくかということもしっかり見ていく必要があるということが1点、それから科学的な究明というのは、常に無限にやっていかなきゃいけないところがありますので、そういう中でいつどういうアクションをとるかということを視野に入れてやっているというとこでございます。
 農業サイドでの実態ですとか、農水省なり農業者の皆様方とどうしていくかということは、行政官としては当然やっているわけでありますが、それはどういう対応をとるべきかという中で、具体的に行政としては詰めていく課題でありますので、そこの物事の順序はわきまえてやっているつもりでございますので、引き続きご指導をお願いしたいと思っております。

(中杉部会長)
 とりあえず環境省、いいですか。多分農薬の管理についていろいろご意見が出ました。これはこの審議会で議論するのかという藤井委員からのご意見が出ましたけれども、まずは農薬小委員会のほうで少し議論をさせていただく。農薬小委員会は基本的にはそこで決議したものは、土壌農薬部会に諮らないでいいということになっていますけれども、この観点に関してはいろいろご意見いただきましたので、農薬小委員会で議論をさせていただいて、その結果をご報告させていただこうかというふうに思っています。いろいろと変えなきゃならない部分があるんですが、変えるとすると今までの農薬の審査の体制を全部、根底から覆すことも必要かもしれないしということなんで、そういうことも踏まえて少し農薬小委員会のほうで、環境省と議論をしていただければと。
 それから農水省が担当しているところには中央環境審議会でこういうご意見があったということはしっかり伝えていただく。場合によっては環境省として、これに対してどう考えるかという考え方も整理をして、向こうと話し合いをするというようなことも必要かというふうに思いますけど。
 ちょっとそんなことで、とりあえず今日はいろいろご意見をいただいてありがとうございました。多分こういうふうないろいろご意見が出るだろうというふうな想定をして、かなり詳し目のご説明をお願いしたわけですけれども、そういう扱いにさせていただければと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

(中杉部会長)
 それではもう一つ報告事項が残っておりますので、3番目の報告事項でございます。放射性物質の除染の状況についてでございます。お願いいたします。

(森下放射性物質汚染担当参事官)
 それでは資料9をご覧ください。放射性物質の除染の状況についてという資料でございます。簡潔に説明させていただきたいと思います。
 おめくりいただきますと、除染の進捗状況についての総点検というパワーポイントが出てまいります。これは先月、9月10日になりますけれども、私どもの除染の進捗状況につきまして、総点検というものを行いまして、それを公表させていただいております。この1枚目のパワーポイントは、その総点検の結果というのを1枚にまとめた概括表というようなものでございます。除染に関しましては、これまで特に国直轄除染につきましては、一律に2年間で除染を行いまして、仮置場への搬入を目指すという、こういう目標を掲げて取り組んでまいりました。
 発災後一斉にこの除染ということが始まったわけでございますけれども、一律の目標を掲げて取り組んでまいりましたけれども、いざやはり除染を始めてみますと、それぞれ個々の市町村に応じていろいろ状況が異なってまいります。このためにこの除染の進め方ということも、今後は個々の市町村の状況に応じた取組を進めてまいりたいというふうに思っておりまして、さらに復興の動きと連携をした除染の推進をするということを、一つの中心的な考え方にして今後取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 オレンジのところを見ていただきますと、現行の除染計画等についてということで、それを評価した内容が書かれております。国直轄除染とそれから市町村除染と、この二つのアプローチがございますが、国直轄除染につきましては、これはこれまでのやり方を見直しまして、地域の実情に対応したインフラ復旧等の復興の動きと連携した除染を推進していく、これを基本とする。また市町村除染につきましては、これまで既に先行的な取組、いろいろ工夫をなされていらっしゃる自治体、そんな取組が出てきております。こういったいい取組を共用する、横展開をしていくということをベースに、今後取組を進めていきたいというふうに思っております。その際には除染の加速化、円滑化ということが非常に大事になってまいります。そのための施策を今後総動員していくということで考えております。
 それから、右側の緑と青のところでございますけれども、こちらのほうには課題を書かせていただいております。現行除染実施後のフォローアップ等という表題になっておりますけれども、一度除染を実施いたしまして、その後どうしていくのか、どうフォローアップをしていくのかということについて、きっちり考え方を整理をしていくという必要がございます。また広大な森林、そして非常に線量の高い帰還困難区域、これにどう取り組んでいくのかということも大きな課題でございます。こちらについて後ろにまたパワーポイントが出てまいりますので、そこの際にご説明をさせていただきます。
 2ページ目のほうに入らせていただきます。現行の除染計画(国直轄除染)等についてということでございますが、これまで国が自ら直轄で除染を行うという、この国直轄除染でございますが、これは避難指示が出ている区域に対して、国が直轄で除染をするということをやっておりました。一律2年間で除染を行って発生する土壌等を仮置場に搬入するということを目的に実施をしてまいりましたけれども、先ほど申し上げましたように、仮置場、なかなかこれが確保できない。あるいは除染につきまして住民の方々の同意を得てから除染を実施するという、そういうステップを踏まなければなりませんが、なかなかそれがはかどらないこともあるということで、当初の想定と、どうしてもずれてきているところもございます。それから帰還困難区域というところがございます。有効線量のエリアでございまして、こちらについては、モデル事業を実施して、その結果を踏まえて今後検討するというのが従来の方針でございました。
 1枚おめくりをしていただきまして、3ページでございますけれども、こちらのほうは現状、国直轄除染の進捗状況、どうなっているのか、それをまとめさせていただいております。対象になりますのが11市町村ございまして、一番上、色が変わっております田村でございます。こちらについては現在除染計画に基づく除染が終了いたしております。本年6月に終了いたしておりまして、現在事後モニタリングといいます除染の効果を確認するということをやってございます。
 そのほか黄色で書かれているところが、現在除染計画を策定し、そしてその除染について作業中、あるいはその準備中というところでございます。もう一つは双葉でございますけれども、こちらのほうはまだ除染計画がつくられてございません。こちらの除染計画をつくるということにつきまして、地元との調整をさせていただいているということでございます。ご承知のようにこの除染でございますが、幾つかのキーになるところがございます。一つは除染計画をつくるという段階、もう一つは仮置場をしっかり確保していくと、この辺がキーになってまいります。この除染計画をつくるという段階におきましては、これは自治体においては区域見直しということがございまして、住民の方々がいつ帰還できるかということと関連してまいりますけれども、そういった地域にとっていろんな重要な事項がございまして、なかなか区域見直しということが確定をするまで、除染計画をつくるというところに入っていけなかったところもございます。
 それから仮置場につきましては、本当に仮置場なんですか、この仮置場に置いた後に、じゃその後どこに持っていってもらえるんでしょうかというご質問等もございます。今、国では中間貯蔵施設というのをつくらせてくださいということで、市町村にお願いをしまして、調査をしておりますけれども、除染をして出てきたものを仮置場に置いて、そして中間貯蔵施設に搬入する、そういった一連の流れがないと、なかなか仮置場で本当に仮置場になるのか、それがずっとそこに置かれてしまうんではないか、そういったご懸念に対するしっかりとした回答をすることもできません。しっかり国としてもこの中間貯蔵施設をつくるということに、今後全力をまた尽くしていきたいというふうに思っております。
 4ページに参らせていただきます。これは市町村ごとの除染の進捗状況を、宅地、農地、森林、道路というカテゴリー別に整理をさせていただいております。田村では全て100%終了いたしております。楢葉、川内等で例えば宅地、森林、道路といったところで、こういった進捗が見られますが、また一方で、まだまだこれから進捗がというところもございます。
 そういった総点検の結果を一まとめに書かせていただきましたのが、5ページということでございます。国直轄除染の点検結果でございまして、先ほど申し上げましたように市町村ごとの事情が異なるということで、進捗に差が生じてございます。これまでの経験を踏まえた今後の課題への対応として、復興の動きと連携をしてしっかりやっていくということが非常に大事で、市町村とご相談をしながら、その状況に応じて除染の進め方を見直すということを考えていきたいというふうに思っております。そのポイントは一番下にあります今後の方向性というところに三つ書かせていただいておりまして、これまでの2年間で一律に搬入を目指すという、一律の目標を改めまして、復興の動きと連携して除染を推進する。その際加速化、円滑化のための施策を講じるとともに、その進展に応じて柔軟に進め方を見直していくということ。
 それから、各個別の市町村の取組につきましては、田村は先ほど申し上げましたように、除染等の措置が終了しておりますが、楢葉、川内、大熊では現行除染計画どおり、平成25年度内の完了を目指すと、それから南相馬、飯舘、川俣、葛尾、浪江、富岡の市町村では今後自治体、地元の市町村と引き続き調整をさせていただいて、年内を目途に現行の除染計画の変更を行うということを考えてございます。当初想定していた道路に除染が進捗していないというところにつきましては、お詫びを申し上げたいというふうに思っております。それから双葉については事務方と引き続き調整をさせていただきたいというふうに考えております。
 6ページにまいります。こちらのほうは市町村除染でございます。市町村が除染の計画をおつくりになって、それに基づいて除染を行っていくということでございます。国直轄除染2年間の目標、これまでの目標とは違いまして、市町村除染では福島県内を中心に5年間で除染を行う。それ以外は2年から3年かけて除染を行う、そういった計画期間を設けております市町村が多うございます。この市町村除染でございますけれども、市町村としては汚染状況重点調査地域として指定を受けている市町村が計画をつくるという流れになっておりまして、現在計画をつくられておりますのが94市町村でございます。基本的に計画をおつくりになるということを考えておられるところは、もう既にこの計画をおつくりになっておられるというふうに理解をしておりまして、現在そのつくられた計画に基づいて、除染が実施をされているということでございます。
 進捗状況7ページに入ります。こちら福島県外とそれから県内で状況について分けさせていただいております。いずれにしても学校、保育園ですとか、公園、スポーツ施設ですとか、あるいは住宅・農地・牧草地、そういったところの除染の進捗が進んできております。特に子ども空間、お子様がいらっしゃるようなところ、公共施設、そういったところは除染が進捗をしているということでございます。かなり終了に近づきつつある部分もございますが、全体が終了するまでにはまだ数年がかかるという見込みでございます。
 8ページに入らさせていただきます。こちら市町村除染の点検結果ということでございますが、先ほど申し上げましたように、いろんな工夫がされております。そういった市町村の独自の工夫されたお取組を横展開をしていくということで、優良取組事例集(グッドプラクティス集)といったようなものをつくらせていただいて、その情報の共有ということも図っておりますし、いろんな情報交換の場を設定するということもやってきているというところでございます。
 駆け足で恐縮ですが、9ページに入らせていただきます。こちらのほうは点検結果というふうに書いてございますが、除染は特措法という法律がございますが、この法律に基づきます基本方針の中に、どれだけ年間追加被ばく線量を減らしていくかという目標を掲げております。真ん中にございます一般公衆の年間追加被ばく線量につきましては、これは50%の減少ということを目標として掲げております。これは発災時から本年25年8月、平成23年の8月から平成25年8月の2年間で、物理減衰等を含めて一般公衆の年間追加被ばく線量を50%減らす、そういう目標でございます。
 それからもう一つお子様についても特別の目標を掲げておりまして、こちらの場合は物理減衰等を含めて60%減少させるという目標を掲げております。今のところまだ暫定的な計算でございまして、特にデータはまだ市町村除染のデータしか整理ができておりませんけれども、これまでやってきておりまして、利用可能なデータをもとにこの計算をしてみますと、一般公衆の年間追加被ばく線量については約61%、お子様の年間追加被ばく線量について約64%という数値が出てきておりまして、この基本目標の暫定評価ではございますけれども、ある程度達成をできているレベルになっているのかなというふうに考えております。ちなみに、この減少の割合の中には、当然物理減衰ですとか、あるいはウエザリング効果というものが入っておりまして、大体約40%程度がその範囲かなというふうに思っております。
 10ページに入りますが、今後の国直轄除染の進め方のイメージということでございまして、これまで申し上げてきましたようなインフラ復旧、復興の動きと連携した除染を推進するということを含めて、書かさせていただいております。その市町村の状況に応じて、今後スケジュールを地元とご相談させていただいた上で設定をして、今後の見通しというものをしっかり住民の皆様方にお示しをしていくということが非常に大事だというふうに考えております。
 11ページのほうに入らせていただきますと、こちらは今後除染をいかに加速化・円滑化していくかということでございます。今後こういった施策を総動員していきたいというふうに思っております。具体的には復興との連動、例えば道路、ダム等のインフラ復旧、そういったものが出てまいりますが、そういったものと連携をしまして、除染というものをうまくその中に線量低減効果というものをうまく盛り込んだような形で、無駄のない取組を進めていきたいというふうに思っております。営農再開ですとか、大規模圃場の整備計画と、そういうところともしっかり連動してまいりたいというふうに思っております。
 それからリスク・コミュニケーションというのを非常に重要な要素だと思っております。除染の考え方ですとか手法ですとか、除染の効果などにつきまして、しっかり皆様方にわかりやすい形で情報を提供していきたいというふうに考えております。どうしてもこれまで除染を一生懸命するのに労力を割いてきておりまして、まだまだ成果をまとめてわかりやすい形で住民の皆様方にお示しをするというところについて、今後改善の余地があるというふうに考えております。
 それから12ページでございますが、今申し上げましたような円滑化・加速化のための施策として、赤文字で示させていただいておりますけれども、いろいろ効率的・効果的な除染を実施するためのいろんな工夫を展開してまいりたいというふうに思っております。それから除染を支えるための体制整備として、執行体制を抜本的に強化する、それから民間委託の拡大をしていくあるいは安全管理体制を徹底していくと、そういったことについても取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 それから13ページに入らせていただきます。先ほど申し上げました課題の一つ、一応除染を実施した後、それをどうフォローアップをしていくかということでございます。これについての考え方をこちらのほうでお示しをさせていただいております。一度現行の除染の実施をしまして、その終了後でございますけれども、終了後には住民の皆様方に安心を確保していくということで、必要な事後モニタリングというものを行いまして、除染の効果が維持されているのかどうかというのを確認していくというふうに考えております。
 その際に新たに汚染が特定された地点ですとか、仮に取り残しがあった地点、そういったことが発効されました場合には、線量の水準等に応じましてフォローアップの除染を行いたいというふうに考えております。具体的には水道のように、汚染されたものが移動をしてくる、再度蓄積をして、周辺と比べて相当程度線量が上がるというようなことで、周りと比べて線量が高くなっているというような除染効果が維持されていないような地点というのを、新たに汚染が特定された地点というような形で考えてございます。フォローアップの除染の実施でございますが、これは極めて多様な現場の状況を含めて判断する必要がございます。今後除染計画に基づく除染が終了した市町村における事後モニタリングの結果等を踏まえて、考え方を示していきたいというふうに思っております。
 フォローアップ除染という言い方は、私ども使わせていただいておりまして、一度除染が終わった後は、もう知らないよということではありませんで、アフターケアといいますか、しっかり必要があればそこにケアをさせていただくというようなことで、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 それから14ページでございますが、森林・帰還困難区域の取組でございます。森林につきましては、幾つかのアプローチをA、B、Cということで書かせていただいておりますが、ちょっとこれは後ろの一番最後のページを見ていただきますと、森林における今後の方向性ということで、全体のイメージ図を示させていただいております。これは林野庁さんとも調整させていただいてつくった資料でございまして、環境省と林野庁、今後連携して引き続き調査研究を進めて、新たに明らかになった知見等について対応を検討していくということを進めていきたいというふうに思っております。
 環境省でございますが、住民の皆様方の安全・安心の確保のため、一番左の下のところを見ていただきますと、例えば森林から生活圏への放射性物質の流出拡散がどういう実態なのか、そういったことを把握していく。あるいはそれを試行的に流出・拡散防止を進めていくということをやっていきたいというふうに思っております。それから林野庁、左の上のブルーで囲まれたところを見ていただきますと、林野庁におかれては放射性物質の影響に対処しつつ、適正な森林管理を進めていくための方策の推進をしていかれるということで、それぞれの観点から両省連携をいたしまして、森林について今後も取組を進めていきたいというふうに考えてございます。
 1枚お戻りをいただきまして、14ページの一番下のところを見ていただきますと、帰還困難区域というところが出てまいります。線量が非常に高い区域でございますが、こちらについて現在モデル事業を実施をしておりまして、通常行う除染の手法で、一体どれぐらい高い線量のエリアで除染によって線量が下がっていくのか、今そういったデータを収集中でございます。既に双葉町とそれから浪江町で事業を発注しておりまして、これは年内に結果を公表してお示しをしていくというふうな予定でございます。こういった地域は、やはり将来の復興の絵姿がどうなっていくのかというのが、非常に大きな要素だというふうに思っておりまして、私のそういったものの検討に役に立つ資料を提供したいというふうに考えております。
 除染につきましては、以上でございます。ありがとうございました。

(中杉部会長)
 ありがとうございました。それでは今の説明につきまして、ご質問、ご意見等ある方は名札を立てていただければと思います。それでは太田委員。

(太田臨時委員)
 本当にご苦労さまです。除染対策は初めてのことですが、それでもこの間環境省としてさまざまな経験を積んでこられたので、いよいよ加速されるのかなという感じはしています。そのために大事なのは、私も農村の振興に関わる仕事をしてきまして、やっぱり現場の状況が非常に多様だということを十分踏まえて対応することだと思います。自然条件だけではなくて、現在のインフラの状況もありますし、さらに言えばコミュニティの運営のされかた自体がやっぱりさまざまですので、そうした現場の実情に沿った取り組みを進めていただきたいなと思います。これまで環境省として、そういう現場対応を相当やってこられた中で、大体こういう感じかなというのが見えてきたときに大事なのは、大きな方針を共有して、現場に権限といいましょうか、判断をできるだけ委ねていくということだと思います。その意味で、この資料の中にそういう体制といいましょうか、進め方について具体的に書いてあるところがなかったように記憶しているんですけども。この点は、環境省の皆さんの思いも同じだと思いますけども、ここまでは本省に上げる、ここはもう現場の裁量でやっていいというようなところをきちっと役割分担してやっていただくと非常にスピードアップするのかなと感じています。被難されている方々が、もとの場所へ戻れるのが一日も早くなることを祈りたいというふうに思います。よろしくお願いします。

(中杉部会長)
 今のはサジェスチョンというような形で、ご意見を伺って対応して、できるだけその報告で対応していただければと思います。大塚委員。

(大塚委員)
 2点質問です。1つは簡単な質問で、9ページのさっきご説明いただいた40%がウエザリング効果というのは、もともとの40%ですよね。61%の40%ではないですよね。ちょっとそれは確認させてください。
 それからもう一つは、14ページの帰還困難区域の件ですが、今後帰還困難区域についてはどういうふうにされていくかは、これから考えると思ってよろしいんでしょうか。除染については早くやっていただきたい一方で、費用対効果について批判する方もいらっしゃり、いろんな意見があって、私も何か定見があるわけではないんですけども、この辺の政府の今後の方向性を教えていただければありがたいと思います。

(中杉部会長)
 特に後ろの問題は、環境省だけで答えられる話ではないように、私も思いますけど、環境省のほうから回答を。

(森下放射性物質汚染担当参事官)
 最初のご質問でございますが、9ページ目の年間追加被ばく線量の減少の暫定評価でございますけれども、61%減少、64%減少とございます。ウエザリングあるいは物理崩壊、物理減衰というものはこの内数でございまして、約40%がその中の数。21%、24%が除染による効果と。これは23年と25年、2年間、間があいておりますので、こういう数値になりますが、これを例えば除染直後で見ますと、もっともっと大きな数字になるということでございます。
 後段につきましては、もう。

(中杉部会長)
 ちょっと環境省でお答えできるのかどうかというような感じがいたしますけど。

(小林水・大気環境局長)
 これは政府全体の課題でございまして、役所でいいますと復興庁あるいは内閣府なども全体の目配りをしまして、除染も一つの要素として関わりますが、いろんなインフラの復旧ですとか、医療体制の問題ですとか、いろんなことがあるので、政府、横の連携をとって考えていこうという方向にございます。そしてそこについては何よりもやっぱり地元にどういうご意向があるかということをまず踏まえた上で。ただ、決断というのは地元の決断もあると思いますし、国の決断というのもあるだろうというようなことが大きな方針でございます。

(中杉部会長)
 ほかによろしいでしょうか。ちょっと私のほうから細かい点なんですけども、リスク・コミュニケーションといったときに、地元へのリスク・コミュニケーションということを、先ほど言われたんだけど、この問題に関しては地元だけのリスク・コミュニケーションではだめなんですよね。基本的には風評被害等の問題もありますから、そこら辺のところを念頭に少し考えてやっていただく必要があるだろうということも一つ。
 それからもう一つは、モニタリングの結果の評価の13ページのそのほかのところで、線量基準に応じた防護措置に関する減災法での議論を踏まえということが書かれていますけれども、これは環境省のほうでも常時監視のところで議論をしているわけです。そこでどういう議論をしているかということを、ちゃんと踏まえていただかないと、両方を齟齬が出てくると、またこれは変な話になってしまいますので、そういうところまで目配りをしていただければというふうに思います。二つお願いだけですけど。
 そのほかいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

(中杉部会長)
 ではほかにないようでしたら、質疑は以上とさせていただきます。
 その他、本日の審議全体、あるいは本部会について何かご意見、ご質問等ございますでしょうか。

(なし)

(中杉部会長)
 特にないようでしたら、本日の議事は以上となります。進行を事務局へお返しいたします。

(更田農薬環境管理室長)
 長時間ご議論賜りまして、ありがとうございました。最後にちょっと事務局のほうで遅れてまいりました、紹介だけさせていただきます。
 まず、水環境担当の平岡審議官でございます。
 それから水・大気環境局総務課長の真先総務課長でございます。
 それでは、大変ご多忙の中、ご出席いただき、ありがとうございました。以上をもちまして第30回の土壌農薬部会を閉会させていただきます。どうもお疲れさまでした。

(了)