中央環境審議会土壌農薬部会(第28回)議事録

1.日時

平成23年 3月30日(水)13:00~14:46

2.場所

環境省第1会議室

3.出席委員

部会長 中杉 修身
委員 浅野 直人
大塚 直
岡崎 正規
臨時委員 井上 達
上路 雅子
太田 信介
岡崎 正規
河内 哲
佐藤 泉
臨時委員 佐藤 雄也
白石 寛明
平松サナエ
藤井 絢子
細見 正明
松本 聡
森田 昌敏
山本 廣基
渡部 徳子
専門委員 眞鍋 隆

(欠席は、佐藤(洋)委員、稲垣臨時委員、岸井臨時委員、五箇臨時委員、佐藤(福)臨時委員、関田臨時委員、染臨時委員、髙橋臨時委員、平田臨時委員、眞柄臨時委員、和気臨時委員、碓氷専門委員、)

4.委員以外の出席者

環境省

鷺坂水・大気環境局長、関水環境担当審議官、西嶋農薬環境管理室長、柴垣土壌環境課長、根木土壌環境課課長補佐、紺野土壌環境課課長補佐、布施土壌環境課課長補佐

5.議題

(1)
土壌汚染対策法施行規則の見直しについて
(2)
農用地土壌汚染対策について(報告)
(3)
最近の農薬環境行政について(報告)
(4)
その他

6.配付資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿
資料2 改正土壌汚染対策法の施行状況
資料3 土壌汚染対策法施行規則等の改正案の概要
資料4 土壌汚染対策法施行規則等の改正案に対するパブリックコメントの結果と対応案
資料5 農用地土壌汚染対策について
資料6 最近の農薬環境行政について
参考資料1 平成21年度 土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果(3月29日プレス予定)
参考資料2 平成21年度 農用地土壌汚染防止法の施行状況について

7.議事

(布施土壌環境課長補佐)
 それでは皆さん、定刻になりましたので、まだ若干の委員の方が見えておりませんが、本日は参加されるというふうに聞いてはおりますので、これより第28回中央環境審議会土壌農薬部会を開催したいと思います。本日の進行を担当いたします、土壌環境課の寺田と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、本日の委員の出欠状況でございます。欠席ということで連絡をいただいている方は、佐藤洋委員、稲垣委員、岸井委員、五箇委員、佐藤福男委員、関田委員、染委員、髙橋委員、平田委員、眞柄委員、和気委員、碓氷専門委員より欠席の連絡をいただいております。
 いずれにいたしましても、本日は委員総数32名中、21名の委員のご出席をいただいておりますので、中央環境審議会令第7条第3項により、準用する同条第1の項の規定に基づき定足数を満たしております。本部会は成立しておりますことをご報告いたします。
 また、本日の会議は、中央環境審議会の運用方針に基づき、公開とさせていただきます。
 次に、本年度、所属委員の改選がございました関係で、所属委員の交代がありましたので、ご紹介させていただきます。
 まず、ご退任された委員を順に紹介させていただきます。
 石原委員、鈴木委員、西村委員、中野委員の4名の委員がご退任されております。
 また、土壌農薬部会の新たな部会長、部会長代理、委員となられた委員をご紹介させていただきます。
 これからお名前を申し上げますので、一言だけお名前を紹介していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、新たに部会長になられました、上智大学大学院地球環境学研究科元教授の中杉修身部会長です。よろしくお願いします。

(中杉部会長)
 中杉でございます。1月の中央環境審議会で、鈴木会長から部会長のご下命を受けました。微力ではございますけれども、環境省の土壌農薬行政に微力を尽くしてまいりたいと思いますので、委員の皆様方、ご協力のほどをよろしくお願い申し上げます。

(布施土壌環境課長補佐)
 続きまして、新たに部会長代理ということで、福岡大学法学部教授の浅野直人委員です。よろしくお願いします。

(浅野部会長代理)
 部会長から部会長代理をご指名いただきました。部会長を精一杯補佐していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(布施土壌環境課長補佐)
 続きまして、今回の部会から新たに委員になられた方は、放送大学教授の岡田光正委員です。
 続きまして、全国地域婦人団体連絡協議会理事の平松サナエ委員です。
 続きまして、全国中小企業団体中央会専務理事の眞鍋隆専門委員です。
 次に、本日欠席されている委員のご紹介をさせていただきます。
 社団法人日本鉄鋼連盟環境・エネルギー政策委員会副委員長の関田貴司委員、国立大学法人和歌山大学理事の平田健正委員及び社団法人不動産協会環境委員会副委員長の碓氷辰男専門委員でございます。総勢で32名という形で、今後また2年間になりますが、委員の先生方にはご足労をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、引き続きまして、資料の確認ということで、それぞれ皆様方の手元のほうに資料番号という形で振られておりますので、これから読み上げる資料があるかどうかというのとあわせて、資料に若干の訂正がありますので、お願いいたします。
 初めに議事次第がありまして、次に座席表。座席表の中に、傍聴席側の下のほうになります真柄委員が、本日、急な用が入りまして出席できないということで、名前が載っておりますので、そちらのほうは抹消していただきたいと思います。
 続きまして、資料№1、委員名簿になっております。1の次に、資料№1-1、土壌制度小委員会名簿になっています。1-2のほうが農薬小委員会の名簿になっております。
 次に、資料ナンバー2、続きまして、資料ナンバー3、1枚物になりますが、資料ナンバー4。次に、資料5。一番最後に参考資料2という形でこの資料がついておりますので、そこの訂正をお願いいたします。続きまして、資料ナンバー6、続きまして、参考資料1、参考資料2になっております。
 今、読み上げた中で、資料が抜けている等がございましたら、事務局のほうに教えていただきたいと思います。それとあと、もう一部、「土壌汚染対策法のしくみ」という冊子になっているものが1冊入っております。
 以上の資料になっております。不足のものがございましたら、事務局のほうにお伝え願いたいと思います。
 それでは、会を始めるに当たりまして、私どもの鷺坂局長よりごあいさつをいただきたいと思いますので、局長、よろしくお願いします。

(鷺坂水・大気環境局長)
 水・大気環境局長の鷺坂でございます。本日は年度末の何かとお忙しい中、また、地震の影響で何かと交通機関等、いろいろご不便な中、お集まりいただきましてありがとうございます。また、委員の皆様あるいは関係者の方にも被災された方がおられるかと思いますけれども、この場をおかりしてお見舞いを申し上げたいと思います。
 環境省といたしましても、震災発災後、直ちに災害対策本部を立ち上げまして、基本的なテーマは災害廃棄物の処理ということが中心になろうかと思いますけれども、そういった形で日夜活動をしているところでございます。
 今後とも、私ども水・大気環境局関係につきましても、廃棄物の処理とか、そういった中での水質汚染あるいは大気汚染等に十分注意をして、全力で取り組んでまいりますので、委員の皆様方にも、さらなるご指導、ご鞭撻等をいただければと、このように考えているところでございます。
 さて、土壌農薬部会ということでございますけれども、昨年の5月以来、約10カ月ぶりの開催ということになるわけでございます。この間、農薬につきましては、農薬小委員会が4回開催されまして、農薬登録保留基準について、精力的にご審議をいただきました。
 その結果、水産動植物の被害防止に係る基準については31、水質汚濁に係る基準については23の農薬について、新たに基準が設定されたところでございます。
 それから、農用地の関係につきましても、昨年、カドミウムに係る農用地の土壌環境基準及び農用地土壌汚染対策地域の指定要件等の見直しにつきまして、答申をいただいているところでございまして、昨年6月、改正・施行を行ったところでございます。
 また、一方でございますけれども、昨年の4月に改正土壌汚染対策法が全面施行されて1年たとうという時期にございます。その間、その法の施行状況をかんがみながら、土壌汚染による人の健康被害防止という法の目的を確保しつつも、これまでに明らかになりました運用上の課題等への対応、あるいは法の円滑施行の観点から、土壌汚染対策法施行規則等の一部を改正する省令案等の概要につきまして、今年の2月からパブリックコメントを実施したところでございます。
 そういったこともございますので、本日は、まず土壌汚染対策法施行規則等の見直しにつきましてご審議をお願いし、引き続き、最近の農用地土壌汚染対策、あるいは農薬環境行政につきまして、ご報告をさせていただきたいと、このように考えているところでございます。
 委員の皆様には、これからもさらに土壌環境、それから農薬につきまして、さらなるご指導あるいはご協力を賜りますことをお願い申し上げまして、私からのあいさつにさせていただきたいと思います。どうぞ本日はよろしくお願いしたいと思います。

(布施土壌環境課長補佐)
 それでは、これより中杉部会長に、議事の進行をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(中杉部会長)
 本日は、皆様、ご多用の中、お集まりいただきましてありがとうございました。
 先ほど局長からお話もありましたように、東北地方、関東も少し含めということでございますけれども、大変な震災がございまして、亡くなられた方、また深刻な被害を受けられた方がたくさんおられます。この部会の委員の中にも被災をされて、やむを得ず欠席されている先生方もございます。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、震災に遭われた方、震災に遭った地域の一刻も早い復旧を祈りたいと思います。
 それでは、早速でございますけれども、本日の部会の議事次第に従って、部会を進めたいと思います。
 一番最初は、土壌汚染対策法施行規則の見直しについてでございます。そのほか2点でございますけれども、最初に施行規則の見直しについて、資料のご説明をお願いいたします。

(柴垣土壌環境課長)
 土壌環境課長の柴垣と申します。それでは、資料2、3、4を用いまして、ご説明させていただきます。座って説明をいたします。
 議題にありますように、土壌汚染対策法の施行規則の見直しということでございますが、その前提として、資料2は、昨年の4月に改正土壌汚染対策法が施行されて1年ということでございまして、この間の施行状況から簡単に説明をさせていただきます。それを踏まえての施行、運用の改善ということでございます。
 まず、資料2でございますが、1枚めくっていただきまして、若干の復習のような話でございますが、改正後の土壌汚染対策法の概要ということでございます。
 土壌汚染対策法は、人の健康被害の防止の観点から、土壌汚染の調査・対策のルール化ということでございますが、まず、調査ということで、改正前は、一番上の第3条、有害物質使用特定施設の使用の廃止時ということで、工場の跡地などの調査が中心でありましたけれども、改正によって、そこの二つ目でございますが、一定規模、3,000m2以上の土地の改変のときに届出を出していただいて、それに対して土壌汚染のおそれがあるかどうかを施行者である都道府県知事、政令市長が判断して、命令を出すということで、新たな、これはかなりいろんなケース、道路ですとか、ビルプロジェクトですとか、いろんなケースで土地の改変が行われる際に、土壌汚染のおそれを判断した上で調査が行われるということで、調査の機会の大きな拡大の道筋になるかなと期待をしているところでございます。
 それから、もともとありますが、地下水汚染があって、健康被害が生ずるおそれがあると認めるときに命令を出すというものがございます。
 それから右側に、この間の旧法の施行の段階で、土地取引などでの自主的な調査が非常に多数行われていて、それが全体の調査件数の9割ぐらいを占めているというようなこともありまして、そういった自主調査をどういうふうにこの制度の中に生かしていけないかというようなことから、この審議会でもご議論いただいた上で、新たに、自主調査などに基づいて自主的に申請した場合、それに基づいて区域指定をするという、14条の自主申請がございます。これは義務規定ではなくて、できる規定ではございますが、いろいろとそういう柔軟性といいますか、いろんな活用の仕方があろうかと思っております。
 その調査の結果、区域の指定というところに参りまして、ここはもう大きく今回の改正の制度で、最初から二つに分けておりまして、まず摂取経路があって、健康被害のおそれがある。地下水が汚染されていて、周りの地下水を飲んでいるというような場合には、もう即、措置が必要であるということで、要措置区域に指定すると。
 それに対して、摂取経路がなくて、地下水が飲まれておらないとか、地下水自体が汚染されていないと。水道が敷設されているというような場合に、健康被害が生ずるおそれがないということで、特にすぐには措置をとる必要がないということで、汚染を管理すると。何か形質変更をして掘削する場合に、届出をするというような形質変更時要届出区域という二つに指定を分けております。旧法では一つの指定区域で、措置が必要な場合に措置命令ということでありましたが、最初から二つに区域を分けるということでございます。
 その下の部分は、措置の場合、それから4条の場合は形質変更をするという届出ですから、形質変更によって、掘削をして土壌を搬出する場合、指定区域から土壌を搬出する場合の規制というのが、今回の法律改正で新たに設けられている部分でございまして、これにつきましては、搬出の届出、運搬、処理の基準・規制、処理については処理業の許可制度、それから、いわゆるマニフェストといわれる管理票の制度化というような、かなり厳しい搬出以降の規制が今回創設されております。
 ということで、あとは指定調査機関の信用の向上ということで、技術管理者の試験制度が導入されたりということがございます。
 3ページ目でございますが、この間、統計上はまだ11カ月でございますが、新たな区域指定の件数を掲げておりまして、もともとやっていた3条は69件ということで、これは旧法施行時の平均的な数字よりも若干少な目かなという具合でございます。
 新たに3,000m2の土地の改変の届出を受けて、調査命令を出して、調査をさせていただくということによる指定の部分が84件。
 それから、第5条の健康被害のおそれがあるというものは、今回は0件。これは改正前の施行の7年間で3件ということですので、なかなか件数は出てこないと。
 それから、新たな自主申請の部分が40件。
 それから、最後の右端の第4条と第14条、これは4条の届出をした上で命令を受け、さらに、その周りを自主的に14条で申請をしたというケースが5件ということでございます。4条は掘削をする場所が区域指定の範囲になるということで、敷地全体を14条でさらに自主申請をして、指定をもらおうという場合に、この4条と14条がプラスされた申請があると。これは5件。これは今後かなり増えることも考えております。
 次のページ、1枚めくっていただきまして、これが今言ったものの累計で、さらに先ほど言いました区域を二つに分けるということで、形質変更時要届出区域が167件、要措置区域が31件でございます。これ以外に、改正前からの指定区域が改正後に届出区域になっております。それが165件あります。ですから全体では、343件が今現在区域指定されているということでございます。
 それから、搬出後の処理業の許可でございますけれども、累計で2月までに57許可業者が許可を得ていると。
 1枚めくっていただきまして、その許可の種類ごとがどういうふうに推移してきたかということでございまして、この中で一つ特徴的なのが、最初にセメントが4月に1業者で少なかったのですが、今は6まで来ているということでございます。先ほどの57件と数が合っておりませんが、1業者が幾つか複数の処理施設を持っているということで、この種類別の件数は89件と多くなっております。
 以上が、この1年間の施行の数字的な概要でございます。
 今回の議題に絡むんですけれども、ちょっととじ方が見にくくて申し訳ありませんが、これは中環審の2年前の部会でも議論していただいて、搬出以降の運搬処理の規制を創設するということで、改正前には、自然的原因の土壌汚染は、解釈において除いていたんですけれども、搬出の規制を創設すると、搬出以降は、掘削という人為が加わりますので、人為的な汚染か、自然的な汚染かという区別が意味がなくなるということで、この審議会でも議論いただいた上で、搬出以降の規制は自然的汚染にもかけるべきであるということになり、その搬出以降の規制にかけるということになりますと、やはり区域指定の中に自然的な汚染を入れる必要があるということで、そういった改正に伴う解釈の変更ということで、自然的な原因の汚染が、法の対象になっているところでございます。
 これは非常に大きな影響もあるということで、そこの縦長のフロー図がありますが、改正法施行時に、まず自然的原因の汚染は、そこの最初の箱にありますように、地質的に同質な状態で汚染が広がっているということから、指定される調査を行ったところだけで浄化などをやっても効果がないということから、要措置区域、措置を行う必要がある区域に指定しても意味がないということもありまして、これは都道府県のほうで、上水道の敷設とか、利水地点における摂取経路の遮断のための措置を講じ、つまり地下水の飲用による健康被害のおそれということをあらかじめ防止した上で、形質変更時要届出区域に指定するように、都道府県のほうにお願いをしているというところでございます。
 そういう意味で、自然由来については、搬出以降が問題で、その区域にあるということで、浄化や除去の対策まで求めるものではないということがまずあります。ただ、今、形質変更時要届出区域というのは、先ほどもちょっと申しましたように、形質変更の際には届け出をして、何か問題があれば、計画変更命令というものがかかる規制がございます。もともと自然由来の汚染について、その区域の中で形質の変更をする場合に、そういった規制が本当に必要なのかどうかと。また、それは自然由来の区域、まだあまり指定は進んでおりませんが、これから指定されてきた場合に、その区域でいろんな形質変更を行う場合の制約ということが、果たしてそもそもの搬出以降を規制するという審議会での提言を踏まえても妥当なのかどうかということが議論になりまして、この件につきましては、政府の規制制度改革委員会のほうでも指摘がございまして、我々のほうも施行状況も見ながら検討をしてきたわけでございますが、やはり人為由来と自然由来は、区域に指定した段階で、搬出以降は同じような規制をかけるとしても、搬出を伴わない区域内での土地の形質変更は、やはり分けるべきではないかということで、そこにありますように、形質変更においての帯水層に接しても差し支えないと、搬出を伴わないような土地の形質の変更については、特段の制約をなくそうという方向で検討を進めてまいりました。
 資料3の本日ご報告する施行規則の改正という、今の作業といいますか、これはその部分が今申し上げました自然由来の区域指定をしたとして、その区域内での形質変更の制約を極力なくしていこうという部分が柱でございます。
 資料3は、申し訳ございません。縦長の省令案の概要という部分と、それを解説しております別添のカラーの資料と、それからもとの省令の条文を示した参照条文と、三つに分かれておりますが、適宜、ご参照いただきながらお聞きいただければと思います。
 資料3の部分でありますけれども、趣旨のところは今申し上げましたように、自然的原因による有害物質が含まれた汚染された土壌への対応を中心に、法の運用上の課題、施行の円滑化という観点から、法施行規則=省令の改正を行うということでございます。
 最初の2の(1)でございますけれども、まず、そういう意味で、同じ形質変更時要届出区域の中で、自然由来の汚染の区域、それから、従来、埋立てにつきましても、埋立てはいろんなものが入ってくることがあるわけですけれども、運用において、自然由来と同じような扱いで対象にしていなかったという運用の経緯がございますので、またこれは中環審の2年前のご審議の中でも、埋立地はもともと地下水をほとんど使わない、飲まないということも踏まえて、特例区域の指定ということも審議会の答申の提言の中に書かれていたということもあって、今回、自然に準ずるということで、埋立地についても、全く埋立用材だけのところにつきましては特例区域、それから埋立地で上に工場が立地していても、工場地域などの飲用理由がほとんど考えられないような区域については、埋立地管理区域ということで、その他の区域と一応区別して台帳に記載しようというのが、最初の(1)でございます。
 別添の図-1というところに、一応、要措置区域も含めて、区域を並べて、定義なり、ちょっと細か過ぎますが、比較なりという一覧表がございますので、また見ていただければと思います。
 (2)のところは、その表でいうと、右から二つ目のところ、帯水層への汚染拡散を招かない施行方法という部分の規制の緩和といいますか、形質変更の制約をなくそうという部分でございます。
 それで自然由来の特例区域、埋立地特例区域。埋立地特例区域というのは、そこの表で定義が書いておりますが、一番下のところでございますが、基本的には、埋立地の上に工場が乗っていて、その工場による汚染がないところと。それでもう一つ、52年以降と書いておりますのは、これは52年以降は、廃棄物の処分場の制度が確立しまして、廃棄物の処分場と区別ができるということでございますので、その廃棄物の処分場ではなく、また埋立地に立地した工場などによる人為の汚染がないというところでございます。
 それに対して、埋立地管理区域は、そういった制限はなくて、人為の汚染があってもいいと。ただ、そこはもう一つの地下水の飲用の可能性がほとんどないという意味から、工業専用区域か、またはそれと同じ程度に、地下水が将来にわたって飲用に供されないというところという定義を設けております。
 自然と埋立地の特例区域につきましては、この帯水層に接しても差し支えないと。今は帯水層に接してはいけないという基準が、省令の53条の第2号という参照条文のところに書かれておりますけれども、それを適用除外したいということでございます。
 それから、埋立地管理区域も、それに類するけれども、若干、工事において、やはり工場の汚染がまじっておりますので、かなり濃い汚染があることが想定されますので、そこは隣の区画に汚染が広がらないように、これは次の資料3の2ページに、これは埋立地管理区域における施行方法の告示と、これを守っていただければ、帯水層に接しても構わないと。この部分は、カラーの別添資料の2枚目の裏表に、どういったことかという方法が図で示されておりますけれども、基本的には地下水位を管理して、そこの工事によって、少し汚れてしまった地下水が周りのほかの区域に行かないように、工事による地下水位を管理してもらおうということが1点。
 それから、裏面の図-2.2というところは、もう一つの方法として、それは地下水質を監視して、周りに汚染が広がっていないということを常に監視してもらおうと。工事の間ということであります。
 そういった帯水層にさわるような工事によって、汚染が周りに広がらないような工法上の注意を払っていただいた上で、工事自体は制約をなくしていこうというものでございます。それが埋立地管理区域の施行方法ということでございます。
 それから、縦長の資料の3ページ目でございますが、自然由来の場合は、先ほど申しましたように、汚染が均質に広がっていると。地層というイメージで、水平方向にかなり広がっていると。ですから、部分的に対策をしてもあまり意味がないということは考えられまして、そういった自然的な汚染の状況を踏まえて、やはり調査方法もきちんと特例を設けておく必要があるだろうということで、これは新たに規則に加えたいというものでございます。
 自然由来汚染というのは、第二種特定有害物質で、シアンを除く8物質が考えられまして、それが認められるおそれがあるときの調査方法ということでございます。
 通常ですと、10mメッシュに切って、また汚染のおそれが少ないという関連施設部分は30mメッシュで、ですから900m2というような区画で調査を行うということになっておりますが、やはり自然の汚染が広がっていて、その広がりが同じような汚染で広がっているということなので、その広がりを把握するという意味で、対象地域における最も離れた2地点でボーリングすればいいだろうと。ただ、やはり自然汚染は、工場のように重金属が一定の地表なり、工場があったところにあって、そこから広がるというよりは、地層というような形で、深さ方向の地層の広がり、幅によってはかなり広がることも考えられますので、2地点のボーリングで、深さのほうは、地層がわかれば、その地層の部分、わからなければ、表面も含めて、基本的には1mごとに10mまでの間、もしくは帯水層の底面が10m以内にあれば、そこまで1mごとにはかってもらうというような特例方法を決めようというものでございます。
 その評価の方法ですけれども、③のところでありますが、これは2地点で1mごとにはかって、そのすべてが溶出量基準または含有量基準に適合しなければ、溶出量基準に、適合していない、また旧含有量基準に適合していないと、そういう汚染状態にある土地とみなすというのが、最初の3行であります。
 それで、3行目からのところでありますが、その2地点すべてがそれぞれ溶出量基準、含有量基準のすべてが適合しているということになれば、そこは汚染状態がない土地とみなそうと、白の土地とみなそうということでありまして、2地点はかりますので、1地点に不適合が見られ、もう1地点はすべて適合しているという場合には、適合するほうのところは30m格子で適合しているという、白とみなして、そこは外そうと。さらに、その周りなどを30mメッシュで絞り込みをしたいということは、また認めていこうというような調査の特例を省令で新たに規定しようというものでございます。
 それから4ページ目でございますが、これは議論が後なされて、パブコメも追加ということで、今はまだパブコメ期間中でございますが、埋立ての地域についても、やはり調査の特例を設ける必要があるのではないかということでございまして、ただ、自然のように、一定の平面的なといいますか、地層の広がりということは全然想定できませんので、これは、ただ工場のように、特定のところにかなり汚染のおそれといいますか、汚染の濃い部分があるとも言えませんので、汚染がかなり不均質に広がっているみたいなことを想定いたしまして、基本は水平方向は、工場でいえば汚染のおそれは少ないに相当する30mメッシュ、工場の場合、汚染のおそれがあるということになりますと10mメッシュになりますので、それではない30mメッシュで水平方向はとると。やはり埋立てですから、深さ方向に幅があるだろうということで、これはなかなか埋立てを地層のように特定することは難しいということで、10mまで、基本的には1mごとに試料採取といいますか、測定をしてもらおうという割り切りの決め方でございます。
 ②と③は従来のやり方ですけれども、第1種、VOCの場合は30mの中心の1点でボーリング1本。それから、重金属やPCBの場合は、30m格子の5区画でボーリングをして、その5区画からの採取を重量混合して分析するという、これは従来どおりのやり方でやってもらおうということでございます。
 (5)は少し細かい話ですけれども、自然由来、埋立地の特例の場合は、自然由来はそんなに第二溶出量基準を超えるような汚染はそもそもないだろうと。それから埋立ての場合も、一応、浚渫土砂の海洋汚染防止法の基準がありまして、重金属については第二溶出量基準よりかなり低いと。溶出量基準の10倍ということで定まっておりますので。通常ですと、省略した場合には、第二溶出量基準不適合とみなすということを自然由来、埋立ての特例基準については、第二溶出量基準不適合とはみなさずに、単なる溶出量基準に適合しないというふうにみなすことにしようというもので、これは搬出をした場合に、いわゆる埋立処分地に持っていけるか、持っていけないかというところで、かなり影響が出るところでございます。
 それから5ページにいきまして、これは特に自然というだけではないんですけれども、自然にも非常に影響は大きい。搬出の規制を決めたということで、指定区域からの土壌の搬出はすべて、原則は汚染土壌とみなされて、処理業者に持っていかなければならないということになるわけですけれども、ただ、それではあまりにも大量の土砂がすべて処理業者にということでありますので、搬出段階で仕分けを認めようと。それで認定調査という、参照条文にも法律の規定からつけてございますが、かなり厳しい調査をやった上で、その上で25物質すべて測定をして、白であれば、それは健全土として利用することを一応認めようというものがございます。ただ、これがやはり新たに搬出以降の規制をつくったと。それで汚染の拡散を防ごうということがありましたので、非常に厳しい要件になっておりまして、何が指定物質になっている地域であっても、25物質全部はからなければならないと。それも10mメッシュではかると。さらに深さ方向を1mごとで、搬出の深さまでということになっております。
 その部分はかなり負担が重いということと、今後、自然の、先ほどの特例区域などから搬出される場合も、これは同じでございますので、自然由来の膨大な土砂がすべて処理業者にいくと、もしくは認定調査ということになるということもありますので、この部分は、とりあえず、まず今の段階での負担軽減といいますか、規制の合理化改善でございますが、今後の見直しがあり得るとしても、まず第1弾でやろうというものでございます。
 まずは認定調査の段階で、汚染のおそれの把握といいますか、今回の改正で、地歴調査といいますか、土地の履歴を調べると。汚染のおそれをさかのぼって把握するという考え方が導入されておりますので、その考え方を若干入れまして、まず、シマジンとかチオベンカルブとかチウラム、有機りん化合物、いわゆる農薬系の第三種の4物質については、そこの土壌で指定以降の汚染のおそれがないと、使われていないということが認められる場合には、その25物質から4物質は除こうと。21物質でいいということがまずあります。
 それからさらに、この四角の中で三つに分けておりますけれども、区域を指定した後に、いろいろと土を入れると、埋め戻しをするということが行われることがありまして、そういったことで、区域を指定した後に、新たな汚染がなく、また埋め戻しをしたところが、最初の四角でありますが、処理業者による浄化済み土壌であるとか、認定調査によって、基準の適合、健全土というふうに認定された土砂をまた埋め戻したということでありますれば、その部分はこの25物質の認定調査は必要なく、健全土とみなしていいというものでございます。
 それから、真ん中の四角の部分でございますが、これは搬入時に何らかの検査をやっていると。それが検査の密度によって、若干分けておりますけれども、基本的に検査がきっちり行われているということで、900m3ごとの、通常は100m2、100m3ですけれども、それを900m2、900m3ごとの調査でいいと。
 もう一つは、ちょっとわかりにくいんですが、または以下で、区域指定のときの対象物質は当然100m3、100m2ごとですが、対象物質でないものは、原則は今は25物質すべてということですが、そこは対象物質になっているものと、なっていないものを分けて、対象物質になっていないものは900m3、900m2でいいということにしようということでございます。そういった認定調査に、地歴の汚染のおそれという考え方を入れて、少しやり方を緩和といいますか、分けようということでございます。
 それから、もう一つが、図を見ていただいたほうがいいのですが、別添図の3のところ、これは汚染のおそれが生じた位置がかなり工場があったところで深くて、ここでは5mの深さと。その後に、盛土をして、従来ですと、この盛土をした部分をまた掘削して搬出する場合も、省略してしまっていれば、土壌汚染状況調査をやり直さない限りは認定調査が認められないということであって、それはあまりにも不合理だということが言われておりまして、こういった汚染のおそれがある場所がわかっていて、その上に盛土をしたような場合は、その上の部分が汚染のおそれがその後、生じていないという汚染のおそれの把握をした上で、その部分の掘削については認定調査が認められるということをはっきりさせようというものでございます。ちょっと個別の話ですが、かなり影響が大きいものですから、これもあわせて、この認定調査に地歴を汚染のおそれの把握という考え方を入れることの一環として明記するということでございます。
 あとは少し細かい話ですので、はしょりますが、掘削後調査というものを、去年の施行段階では保留になったものをきちんと定めるということと、それから6ページの(7)の部分は、これは若干規制緩和というよりは、規制強化の部分で、宿題の部分ですけれども、いわゆる5条の調査命令、健康被害の生ずるおそれがある土地の調査については、通常は10mまでなんですが、地下水汚染が確認された位置が10mより深い場合は、そこまで。ですから、少し深くなる可能性があるというような改正でございます。
 それから8番も、汚染土壌を搬出する場合に、溶出量基準には適合しないが第二溶出量基準には適合するという場合には、その旨を搬出の届出書の記載事項に追加すると。従来ですと、省略した場合にはすべて第二溶出量基準不適合とみなされてしまうということでありまして、この第二溶出量基準に適合しない要措置区域などにおいて、搬出する場合に、搬出のときの調査で適合するということが判明した場合には、それは第二溶出量基準に適合するということで、搬出届出書に書くと。それによって、埋立処分場に第二溶出量不適合であれば、持っていけないものが、その段階では持っていけるようになるという効果がございます。そういった、やや細かい施行の改善の部分でございます。
 それから、もう1点、処理業省令のほうで、これは細かい規定ではありますが、一つは、分別等の処理施設において、第二溶出量基準に適合しない土壌と、それ以外の土壌を混合してはならないという規定がございます。ただ、その先が、セメント製造施設に持って行くことが、分かっている場合には、混合してはならないという部分を適用除外にしようというものでございます。
 それから(2)は、これも汚染の拡散の防止の観点から、処理業者には厳しい処理業基準になっておりまして、大気汚染物質の測定項目で、ダイオキシン類をすべての浄化等処理施設やセメント製造施設に測定を義務づけておりますが、測定の合理化といいますか、その観点から、ダイオキシン類を生ずる可能性のない施設については、その義務を除外しようと。ダイオキシン類を生じる可能性のある施設に限定しようという部分でございます。
 以上が、ちょっと駆け足になってしまいましたが、自然由来の特例を中心として、施行の円滑化という観点から、幾つか施行規則を改正していこうというものでございます。
 資料4でございますが、この間、先ほど埋立ての調査の特例の部分以外は、23日にパブリックコメントを終えておりまして、47団体、211件の意見が参っております。こういった大震災の状況の中ではありますが、真摯に検討をいただいて、非常に参考になる、有益なご意見を多数いただいております。
 一つ特徴は、やはり地方自治体が地方公共団体が多いと。これは、かなり自然由来の汚染をどうとらえるか。また、4条で工事の前提として届出があった場合には、自然由来かどうかも含めて、自治体が検討して、命令を出さなければいけないということもあって、非常に自治体に施行者として負担が重くなっている部分。それから、自治体の中でも、道路、水道、港湾といった、公共事業として規制を受けながら、適正に事業をやろうというところは、いろいろと疑問を持っていたというような意見をいただいております。また、企業のほうも、今日は欠席ではありますが、鉄鋼連盟など、もしくはゼネコン系ですとか、調査会社関係以外にも、石油化学などの企業からも意見をいただいているというところでございます。
 主な意見のところで、さらなる規制緩和、運用の改善というような意見もありますし、認定調査の合理化というようなこと。それから、やはり港湾においては、もともとの海防法の基準と土壌法の指定基準の整合性というような意見、これはそもそも論でありますけれども、そういった意見ももらっているということでございます。
 長くなりましたが、以上でございます。

(中杉部会長)
 はい。土壌汚染対策法を改正した後、いろいろご意見、ご要望が寄せられたものを踏まえて、改正すべき点について議論をした結果、現段階での改正案ということでございます。
 細かいところに入りますので、なかなかわかりにくいかと思いますけれども、以上のご説明について、ご質問、ご意見等がありましたら、お願いをいたします。

(浅野委員)
 制定のときからの課題だったことが、これでかなり解決されるということでありますので、私はこのご提案に賛成をしたいと思います。とりわけ、埋立地について、パブコメの中にもありましたけれども、実際に私も経験したことがございますが、海洋汚染防止法上は埋立ての材料として使ってもいいとされているのに、埋立ててみたら、土対法にひっかかって問題になるという事態が、起こりまして、大変困ったわけです。
 そのときは一つの考え方として、両方の基準を一致させてはどうかという議論もしたことはしたのですが、やはり海洋汚染防止を目的とする法と、土対法の目的は違うから、そうもいくまいというようなことでしたので、その点から言うと、今回はうまく問題を解決しているということであり、この方向でよろしいのではないかと考えます。

(中杉部会長)
 ありがとうございました。それでは、大塚委員どうぞ。

(大塚委員)
 私も基本的に賛成ということで、意見を申し上げたいと思いますけれども、自然由来の汚染に関しては、先ほど規制改革委員会のご意見もあるということも説明がございましたけれども、土壌汚染対策法自体の自然由来については、何も書いていないものですから、そこで現在のような規制の仕方を維持するのは若干難しいところがあるということがございまして、今回のような規制緩和を自然由来に関してするということは、当面やむを得ないところではないかと思っております。
 一つ質問をさせていただきたいんですけれども、基本的なことで恐縮ですが、資料2の4ページですけれど、これは全然今の点と関係ない話で恐縮ですが、改正前からの指定区域数165件というのは、これは指定区域というままで、要措置区域が4件と書いてありますけれど、どちらかわからない。要措置区域か形質変更時要届出区域かという区別がないまま、これまで現在も維持されていると考えてよろしいのでしょうか。これは質問です。
 以上でございます。

(中杉部会長)
 それでは、質問にお答えください。

(柴垣土壌環境課長)
 すみません、ちょっと説明が不足して。経過措置におきまして、旧法の指定区域は、まず形質変更時要届出区域に経過措置で指定されると。それは自動的に指定がされると。それでそのうち、やはり措置の必要があるということで、4地域については、その後、要措置区域に変わっているということでございます。

(大塚委員)
 では、4件だけが要措置区域に。

(柴垣土壌環境課長)
 はい、そうです。

(中杉部会長)
 残りは形質変更時要届出区域に入っていると。

(柴垣土壌環境課長)
 残って入っています。

(河内臨時委員)
 私も今回の改正は一歩前進したのではないかなと考え、産業界としても、評価をしたいと思います。ただ、今いろいろ聞かせていただいても、こういった自然由来と、いわゆる埋立地に限定したような処理が、実際にどのぐらい効果があるかというのが、まだこれから見きわめていかないといけないだろうということで、これは第一歩と考えます。今はこの二つの区域だけに対して限定した、処理方法なり、調査とか簡易にし、やりやすい形に決めていただいているんですけれども、そこをもう少し対象を広げていって、実際に健康被害という観点から見て、その土地の状況を見て、リスクベースで対応できるよう次にぜひ進めていただきたいと思います。
 それからもう一つ、先ほどパブコメの主な意見という中で、最初の二つなどは一般的な話なんでしょうけれど、後ろの三つのところを少し具体的に、これに対する回答をどういうふうに考えておられるのかと、追加パブコメというのが、4月16日までということになっていますが、この処理の仕方を今後どうしようとされているのか伺わせていただきたい。

(中杉部会長)
 お答えください。

(柴垣土壌環境課長)
 主な意見のところの考え方を簡単に説明いたします。
 まず、一つ目、二つ目は、さらなる規制緩和による改善ということと、それから区域の基準の厳格化ということで、一つ目は、これはまだ、おっしゃるように、この今回の効果といいますか、今後の状況も見ながら、引き続き自然由来の土壌汚染に対する対応というのが継続検討かなとも思っておりますので、今回はとりあえずの改正ということだと思っております。
 あと、区域の特例区域、特に埋立地の特例区域も、52年以降の埋立てというような限定をしてしまっておりますけれども、また、埋立地管理区域とのダブりといいますか、整理といいますか、これは都道府県の段階で、今の届出区域から移行するなり、新たな申請に対して、台帳で書いてもらうわけですけれども、このあたりは施行通知なり、ガイドラインなどにより、明確に示していきたいと思っています。
 三つ目、説明をはしょってしまいましたが、これにつきましては、パブコメの段階では、先ほどの2本ボーリングをしてという特例の中で、土壌溶出量基準それから含有量基準のいずれかも適合していなくても、またどちらかが適合していなくても、もうその区域は両方の基準の不適合とみなすというようなことで、パブコメ案をつくっていたのですが、今日説明させていただいたのは、この意見を入れて、やはり、それはあまりにも乱暴で厳しい方向に偏り過ぎていると。やはり適合しなかったものは含有量基準もしくは溶出量基準のどちらかであれば、その区域自体をどちらかの基準の不適合ということで、それが通常でもあるというふうに思いますので、三つ目のところについては、この意見に従って対応したいと。今日の資料は、この意見を受け入れた形の資料になってございます。
 それから、次の認定調査のところで、今回とりあえず、PCBを除く農薬系の第三種の有害物質だけは使っていなければ外して、25物質を21物質にしていいというふうに言っていまして、それ以外の、このご意見にあります区域指定の対象になっていない、もしくは地歴調査で汚染のおそれがないというふうにされた物質については、今回の改正では、今までの100m2、10mメッシュという厳しい細かい測定密度、分析密度を緩くして、30mメッシュ、900m2、900m3の調査密度を緩和するというところにとどめているというか、そこの改正を考えたわけですけれども、さらには、ここの意見は、それを農薬系の4物質と同じように、おそれがなければ、対象物質測定分析から外せという意見でございまして、認定調査をどこまで変えるかということは、今回の改正で搬出の規制を入れて、汚染拡散を防ぐという考え方との整合性といいますか、そことの調整といいますか、その中で考えるべきだと思っていまして、今回ですべて終わったとは思っていませんで、今後、特に自然由来がたくさん搬出されるとなると、それに対する対応などはいろいろ考える必要があると思っていますが、これについては、今後の課題ということでございます。
 最後の5番目は、今、浅野委員からもご指摘があって、なかなか難しい。浚渫で水底土砂の基準を満たしていて、それが埋立地の基準には不適合になってしまうというところが問題ではあるとは思っておりますが、そういう形で制度があるという中で、今回それの不都合を、極力実態ベースでないようにといいますか、区域の中での工場の建てかえですとか、評価の更新ですとか、そういうことにあまり支障がないようにしようということの制度改善にとどまっているところでございまして、このあたりの問題も、施行状況を見ながら、引き続き課題として考えていきたいというふうに思っております。

(中杉部会長)
 よろしいでしょうか。認定調査の部分は、これは処理によってどう変わるかというところもありますので、それはよく見きわめないと。どうするか等は今後の課題だろうと思いますし、海防法の話は、廃掃法のほうで担保はしていますけれども、そこでもずれというのは同じようにありまして、これも今後の課題であろうと。一番上にあります自然由来の土壌汚染も含めて、土対法の見直しといいますか、それも含めて、これで議論が終わるという話であるというふうに私も認識しておりませんので、またこれは環境省と議論しながら、さらに進めていく必要があるだろうと認識しております。
 佐藤委員、どうぞ。

(佐藤泉臨時委員)
 まず、資料2について伺いたいのですが、施行状況の概要について、数字が幾つか出ていますが、以前の概要では、例えば3条については、猶予の件数と、それから実際に調査した件数というような分け方があったと思います。それから4条については、届出の件数と命令が出た件数と、命令の結果、汚染が確認されたという件数というふうに、比較的細かい数字が出ていたように思いますので、今日お答えを出すのが難しければ、ぜひホームページ等で施行状況については、もう少しわかりやすい数値を出していただきたいと思います。
 それから、2点目として、今回非常に大きな災害がございまして、これに伴う、かなりの公共工事あるいは民間工事が行われると思いますが、この土壌汚染対策法のままでできるか。さらに言えば、今後、防災が少し足りないところがあって、いろんな補強もされると思います。かなり沿岸部防波堤やダムとか、そういうところが補強されると思うんですけれども、そういうところについても、この土壌汚染対策法のまま適用すると期間的にも、また費用的にも、防災対策が進まないのではないかと、ちょっと懸念がありまして、これに対して特例的なことを考えないのかということです。
 それから、あとは意見ですが、今回、自然由来、海面埋立てのところについて、一定の規制緩和をしていただきまして、これは大変、私としても適切だというふうに思うわけですが、そもそも最初に制度をつくるときに、議論が十分されず、国民にどのような影響が起きるかということをあまり厳密に考えなかったため混乱が生じたのではないかと思います。自治体の運用にしても、また国民の受ける印象としても、非常に混乱が起きたのではないかと思います。
 それから、さらに今回規制緩和したわけですけれども、これについても、非常に告知期間が短く、突然行われたという印象を持っております。やはりここは非常に国民の土地利用に影響を与える問題ですので、最初につくるときも、それから改正するときにも、土地をたくさん持っている方々、不動産関係の人、地方自治体の運用する担当者、こういうところの意見をもう少し吸い上げてからするというのが今後は必要ではないかと思います。ぜひ今後の改正も含めて、そのような対応をお願いしたいというふうに思います。
 以上です。

(中杉部会長)
 それでは、最初のご質問が2件ございました。

(柴垣土壌環境課長)
 施行状況につきましては、一番詳しいものは、1年遅れの施行状況調査というので公表しまして、ただ、これを少し補完するような、今おっしゃっていただいたような届出件数ですとか、命令件数ですとか、そういうものは、少なくともこの範囲でわかると思いますので、ホームページで見られるように、工夫できることはしたいと思います。
 2点目の今回の災害の関係でございますが、土壌汚染防止法の基本的な4条の届出義務ですとか、9条と12条の区域の形質変更のいずれも災害対応は適用除外になっておりまして、そういう意味では、災害時ではなくて、平常時の義務ということになっております。ただ、逆の意味で、そういう意味では障害にはならないと思いますし、また、それをきちんと徹底しろと言われておりますので。ただ、逆に土壌汚染の対策が災害復興の何か役に立たないのかという問題はあろうかと思いますので、そういったことは、まずは支障にならないように、それから、何か役に立たないかという意味で検討が必要かなとは思います。
 それから、今回の改正、特に自然由来の対応でありますけれども、中環審の段階でも議論があり、あの段階では、かなり汚染の拡散を防止しようという観点から、搬出以降の規制を決めると、その観点からの議論だったと思います。
 その後、確かに施行までの間に、届出区域に指定して、浄化等の措置は要らないというところまでは決めていますが、確かにそれ以降の、中環審の議論があった搬出前の規制をかけるのかというところの議論とか、中環審であった特例区域、埋立てところの問題とかの議論が、置き去りといいますか、あまりされていなかったことは事実でありまして、今回、そういう意味で、まさに宿題というふうに認識して、若干、自治体のほうの施行が非常に難しく、また負担もあって、進んでいないということもあって、それが進んできて、問題が顕在化する前に、やはり対応が必要があるということで、少し拙速だったかもしれませんが、早い対応が必要ということで、検討をお願いし、進めてきたという経緯がございます。
 おっしゃるように、これは、そういう意味では、とりあえずの対応でありまして、引き続き、また自治体、関係者の状況を聞き、また意見を聞きながら、引き続きの対応が当然必要だと思っておりますので、また今後ともそういう意味ではよろしくお願いしたいということでございます。

(浅野委員)
 法令上は、今、課長が説明されたように、非常災害のための応急措置に関しては、形質変更についても届出も要らないということになっているわけですが、さはさりながら、一体その汚染土壌がどこへ行ったかさっぱりわからないという事態が、全国、かなり広い範囲で起こってしまうということがいいことではないと思うんです。ですから、可能な限り、情報はきちんと集めておくことが望ましい、届出を義務づけることはできないにせよ、災害復旧というのは、そんなに一個人とか一企業が勝手にやるということは少ないだろうと思うので、情報を可能な限りきちんと記録をしておくという努力をしていかないと、後々また大きな問題を起こしてしまう可能性がありますから、この点は、ぜひ運用上の工夫をして、情報を記録しておくという点で、万全を尽くしていただきたいという希望を申し上げておきます。

(中杉部会長)
 今、浅野委員からお話があった件ですけれども、やはり土対法をこのまま適用するというのは、とんでもない話といいますか、そんなことは当分できない話なんですけれども、先ほど河内委員も言われましたように、リスクの程度に応じて、やらなければいけないことは多分あると思うんですね。そこら辺はちゃんと精査をして、どういうふうに災害対策を進めていくか。その運用によって、土壌汚染の拡散を、深刻なものがあるとすれば、それを抑えるような、どういうふうにしたら抑えられるか検討する必要があるだろうと思います。これは土壌汚染の対策を始めるというのは、すぐに始まる話ではなくて、まず上のがれきを何とかするというところから始まりますけれども、まだどういう状況になっているかもわからないので、そこの実態をまず把握することから始めて、じゃあ、現実的にできるところはどこまでだということを見きわめていくということが必要だろうと思いますので、そこは環境省のほうでよく検討いただければというふうに思います。
 よろしいでしょうか。

(佐藤泉臨時委員)
 はい。

(中杉部会長)
 では、そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 いろいろご意見をいただきましたけれども、もう一つ、河内委員がパブコメ中の意見はどう扱うかというところに関して、お答えがなかったように思います。

(柴垣土壌環境課長)
 今後は追加のパブコメにつきましては、そこにありますように、4月16日までのご意見ということでございますので、今回のパブコメの意見、それから追加のパブコメに対するご意見、それから本日の審議会のご意見などを踏まえて、省令の改正を5月ぐらいまでに完了したいというふうに思っております。ですから、そういうスケジュールで、意見は検討に反映させていきたいということで考えております。

(浅野委員)
 あとは手続の問題ですが、この省令の改正については、必ずしも審議会の諮問・答申という形式をとる必要はないわけで、どちらかというと、これまでは事後的な報告で済ませるということが多かったわけですが、今回は早目に意見を聞くということでありました。ですから、この後に締め切られるパブコメ意見で追加的なご意見が出てきた場合に、どうしてものご意見の内容から見て、省令に反映させないといけないものがあるということが出た場合には、その扱いを部会長に一任をして、部会長の判断を審議会としても了承するということにしておいてはどうかと思います。

(中杉部会長)
 私が見させていただいて、または、どうしても委員のご意見を伺わなければいけないという判断をさせていただきましたら、申し訳ありませんけれども、土壌の部会をやらせていただく。さほどでないという判断をしましたら、お任せいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

(中杉部会長)
 では、そのようにさせていただきます。
 それでは、この資料2から4までの一連の1番目の議題についてのご説明、いろいろご意見をいただきましたけれども、ご了解をいただけたかというふうに思いますので、事務局のほうで改正に向けて作業を進めていただければと思います。
 それでは、次の議題でございます。これは報告事項でございますけれども、農用地土壌汚染対策について、資料のご説明をお願いいたします。

(紺野土壌環境課長補佐)
 環境省の土壌課で、農用地の土壌汚染対策のほうを担当しています、課長補佐の紺野と申します。資料5に従って、説明させていただきます。
 昨年度の5月に土壌農薬部会ということで、中央環境審議会に答申いただきまして、昨年6月16日に、カドミウムに係る農用地土壌汚染対策地域の指定要件の改正を行いました。従来の米1kgにつき、1ppmから0.4ppmに変更しております。
 (2)として、環境基準も同様に1ppmから0.4ppmに変更しております。
 続きまして、(3)ですが、検定の方法、検定省令について、従来、検定する場所の圃場の真ん中から試料を採取していたものを検定する圃場の5地点からとったものを混合して検定するというふうに省令を変更しております。
 (4)として、これらの変更点を関連する通知等において、都道府県等に徹底するようにしております。
 次に2番目としまして、平成21年度の土壌汚染防止法の施行状況についてなんですが、参考資料2のほうを後でご覧になっていただければと思いますが、簡単に説明しますと、21年度、新たに基準の超過が見られたところは特にありませんでした。また、新たに指定されたところも特にありませんでした。解除地域については、事業が終わって解除されたところが1地域、部分解除されたところが2地域あります。現在の進捗状況は、汚染が確認された地域に対する約88%の進捗状況となっています。
 続きまして、3番目の平成23年度の土壌汚染の対策費用について、環境省の分なのですが、特定有害物質については、カドミウムについて、畑作物等にも適用可能な調査手法を検討するとともに、土壌中のカドミウムに起因するリスクを的確に把握するための調査手法の実証調査を実施していきたいと考えております。
 また、中央環境審議会において指摘されました、土壌と米に含まれるカドミウムの新たな分析方法、ICPの発行とICPのマスを今後入れていくという方向に向けた検討を23年度も実施していきたいと考えております。
 また、カドミウム、同ヒ素以外の鉛やヒ素の生育障害ではなくて健康項目のほうについて、今後のことを考えまして、全国的な調査や文献収集を行うとともに、農作物の吸収特性についても調査を実施していきたいと考えております。
 また、関係府省の施策の取組状況についてですが、農林水産省でコメのカドミウム濃度低減のための実施指針の案を作成しまして、今、今年度1月28日から2月26日までパブコメを実施しておりまして、寄せられた意見等を参考に考慮した上で、農林水産省のほうから作成、発出される予定となっております。
 また、厚生労働省の関係なのですが、食品としての米について、こちらも今年の2月28日から、1ppmが0.4ppmに変更となっております。
 私からの説明は以上になります。

(中杉部会長)
 ありがとうございました。それでは、以上のご説明に対して、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。
 今、基準が厳しくなったのに、新たに見つからなかった。ちょっと奇異に思われるかもしれませんけれども。これはまだでしたっけ。まだ21年度だから、かかっていないと。そういう意味ですか、ごめんなさい。

(紺野土壌環境課長補佐)
 食品としての米については、今年の28日からかかっております。今報告させていただいたのは、21年度のです。それで、ちょっとお話ししますと、実は今までもたん水管理等でかなり抑えられておりまして、また農水省の関連のほうも行っておりまして、22年度産についても、まだ正確な数字はちょっとわかっていないのですが、大きな混乱は特に起きていないことになります。

(中杉部会長)
 その話をさせていただこうと思っていたのですが。たん水管理って、水田に水を張り続けてやると、カドミウムの吸収が悪くなるということで、米には移行しないということがありますので、そういうふうな努力をしていただいているので、基準超過が増えていないという状況にあるかというふうなことでございます。
 ご質問いかがでしょうか。どうぞ、細見委員。

(細見臨時委員)
 単純な質問です。2ページ目の一番最後の厚生労働省の規格が1ppm未満から0.4ppm以下というふうになっています。この未満と以下がどうしてこうなったのかと。ちょっと私もよくわからないので、ご示唆していただければと思います。

(紺野土壌環境課長補佐)
 すみません、ちょっと今すぐは出てこないんです。

(中杉部会長)
 井上先生、未満と以下、ご存じですか。

(井上臨時委員)
 このときの経緯ですか。香山先生からのご説明で、この0.4ppmのほうは、JECFAのほうの値で決まったと思います。1ppmのほうは、国内法だったんだろうと思うんですけれども、あとの詳細については覚えていません。

(中杉部会長)
 事務局、わかりますか。

(紺野土壌環境課長補佐)
 0.4ppm以下のほうは、もともとのコーデックスの基準が0.4ppm以下というふうに表現をしていますので、恐らくそれに合わせたのだと思います。

(中杉部会長)
 厳密に言うと、ぴったり0.4はどっちなんだというだけの議論だろうというふうに思いますけれども。
 よろしいですか。もし、事務局のほうでまた調べていただいて、はっきりしたら。

(紺野土壌環境課長補佐)
 厚労省とかにも確認しまして、またお伝えできればと思います。

(中杉部会長)
 よろしいでしょうか、2番目の農用地土壌汚染対策についての報告について。

(なし)

(中杉部会長)
 では、ご質問がないようでしたら、次の議題に移りたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、報告事項の2番目でございます。議題の3番で、最近の農薬環境行政についてであります。資料のご説明をお願いいたします。

(西嶋農薬環境管理室長)
 農薬環境管理室長の西嶋でございます。資料6に基づきまして、最近の農薬環境行政についてご説明をさせていただきます。こちらにつきましては、農薬小委員会のほうでご議論いただいておりまして、その小委員会での議論を中心に、今年の動きをご説明をさせていただきます。
 資料6の1ページ目、1番と2番に、登録保留基準という形で書いておりますけれども、農薬の登録を実際に認める場合に、安全性に関する審査基準が一部ございまして、そのうち四つ、五つについて、環境省のほうで基準を設定すると。それを農薬登録保留基準というふうに申しております。そのうち、二つの農薬登録保留基準、1、2の水産動植物の被害防止に係る基準、それから水質汚濁に係る基準、この二つについては、個別農薬ごとに基準を設定するということで、農薬小委員会のほうでご議論をいただいております。
 1に書いてございますが、今年につきましては4回、小委員会を開催いたしまして、新たに31農薬、個別の中身については3ページの別添1に掲げておりますけれども、31農薬について、新たに基準値を設定いたしまして、累計で132農薬の基準値が設定されてございます。
 それから2番目でございます。水質汚濁に係る登録保留基準でございますが、これにつきましては、ADIに基づきまして、水質の基準のほうを設定をいたしております。それから、ADIが設定されていない非食用の農作物の専用の農薬につきましては、環境省のほうで食用のADIを設定いたしております。それらを含めて、水質汚濁に係る農薬登録保留基準につきましては、今年度新たに23農薬について新しく基準を設定をいただいております。それから、15農薬につきましては、小委員会のほうでご議論いただいて、今、保留の手続中でございます。合計で55農薬について、基準が設定されております。個別の基準につきましては、別添2に書かれております。
 それから3番目でございます。特定防除資材、特定農薬と書いてございますけれども、農薬取締法上、農薬について審査なりをした上で登録をするというものになっておりますけれども、原材料から見て、安全なものにまでが登録を義務を課すというのは、非常に厳しい過剰な規制になるということで、安全性評価を行って、人畜等に害を及ぼさないというものにつきましては、農林水産大臣と環境大臣のほうが、特定農薬という形で指定をするというような、一応そういう形になっておりまして、それも特定農薬についての議論でございます。
 (1)でございますが、特定農薬分科会ということで、これまで農薬小委員会と農業資材審議会、これは農水省の審議会でございますけれども、そちらとの合同会合で審議しておりましたけれども、1番目、2番目にございますように、個別の農薬について審査が非常に多くなってまいりまして、効率的に審議を行うということで、下線を引いておりますけれども、農薬小委員会のもとに、特定農薬分科会というのを設置をいただきまして、個別の資材について、安全性について専門的な評価を行っていただいております。7ページに合同会合の委員名簿をつけさせていただいております。
 昨年の10月に合同会合を開かせていただきまして、4資材について議論を行っていただいております。そのうち焼酎につきましては、安全性に問題がないという旨の結論が得られまして、今後、農薬小委員会等でご審議をいただくというような予定になってございます。
 それから、(2)でございます。その特定農薬でございますけれども、これまで15年3月に、食酢、重曹、それから使用場所と同一の都道府県内で採取された天敵を特定農薬という形で指定はされておりますけれども、それ以降、この特定農薬の候補になるような資材をこれまで情報収集を行ってまいりました。
 その結果、個別の材について、この対象にしないというものをお決めいただきまして、今年の2月に通知を出しております。その結果、今、35資材について、特定農薬の候補となり得るものという形で上っておりまして、それにつきまして引き続き、先ほど申し上げました合同会合のほうで議論していくという形になってございます。
 それから2ページ目、4、その他の取組ということで、1番目、ゴルフ場使用農薬暫定指導指針ということで、平成2年から、ゴルフ場のいわゆる排水について、暫定の指導指針を設けまして、個別に水質のチェックをいたしておりまして、こういった場合に、ゴルフ場に対する指導というような形でさせていただいております。去年の9月に指針のほうを改正いたしまして、新たに29農薬を追加いたしました。それから、指針値を18農薬改正いたしまして、あと、登録がなくなったような農薬で、もうあまり水質で出てこないようなものを二つ除きまして、しめて72農薬について指針を設定をしたという形になってございます。
 それから、(2)でございます。公園・街路樹等の病害虫・雑草管理マニュアルでございますけれども、いわゆる市街地等、街路樹等で農薬飛散による国民の影響リスクを軽減するということを観点に、個別具体的に公園なり、街路樹に散布するときに、どういったことを留意すべきかというようなところのマニュアルを、平成20年5月に暫定版をつくらせていただきました。
 これを新たに立ち入り制限措置なども今後とも踏まえまして、昨年の5月に改訂版のほうを策定させていただいております。委員の先生方に、「公園・街路樹等病害虫・雑草管理暫定マニュアル」の本を配らせていただいております。この冊子は、いろいろ関係のところがございますので、地方公共団体、関係団体あわせて2万5,000部刷らせていただきまして、都道府県、関係団体の会議等で、普及啓発に努めてまいっておりまして、引き続き、周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

(中杉部会長)
 ありがとうございました。以上のご説明に関して、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。いかがでございましょうか。

(浅野委員)
 さっきの細見委員のご質問の点ですが、これは確認してもあまり意味がないような気がいたします。

(細見臨時委員)
 そうですか。

(浅野委員)
 あのときのいきさつから言うと、要するに、環境基準が以下であると決めているわけです。環境基準は以下ですから、規制のほうはそれを超えるものということにしているわけですね。多分、聞いたら、おまえらの決めたことだろうと言われる可能性があるのではないでしょうか。

(中杉部会長)
 よろしいでしょうか。そこは。
 最近の農薬環境行政についてのご説明に関して、ご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

(中杉部会長)
 それでは、この議題の3につきまして、以上にさせていただきます。
 その他でございますけれども、その他でご質問ございますでしょうか。

(太田臨時委員)
 先ほどの農用地土壌汚染対策の最近の状況のところでもお伺いしようかなとも思ったんですけれども、今回の大震災に関して、我々もこの委員の一人として、土壌関係、農薬関係に強い関心を抱かざるを得ないのですけれども、既に震災復興対策として、土を動かすということについては、一定の配慮もしながら対応していこうという議論がなされたと、こう理解しておりますけれども、お話しできる範囲で結構なんですけれども、もう一つ、やはり農作物の原発に伴う風評被害を含めた放射能汚染の議論がなされています。そういう中で、最近の報道では、土壌汚染みたいな言葉も出てきておりますので、こういう現状をどのようにとらえられ、また、どんな体制、あるのかないのかわかりませんけれども、今の現状で話せる範囲で結構なんですけれども、情報提供をいただけたらと思いまして、質問させていただきます。この範疇じゃないということであれば、それはそれでも結構ですけれども。

(中杉部会長)
 はい。では、大塚委員。

(大塚委員)
 便乗した話なので、ついでに私も意見を申し上げさせていただきますけれども、今回の震災で、原発の放射能汚染の問題が出てきていますが、土壌汚染が出てきていることは、既にマスコミによって報道されています。環境基本法の13条だったかにありますように、放射性物質に関しては、環境省の管轄ではないということになってしまうのだと思うんですけれども、果たしてそれでよかったのかということが若干、今、気になっているところではございますけれども、その仕分けがすぐに変えられるとはなかなか思いませんけれども、文科省のほうも、多分、土壌汚染のことなど今まで考えたことがあまりないと思いますので、環境省のほうで、今まで法律を持って、知見を持っていらっしゃることをぜひ生かしていただけるとありがたいと。だから、働きかけをしていただいて、生かしていただけると、大変ありがたいと思っておりまして、管轄じゃないからほうっておくということはぜひされないで、当然、何かおやりになると思いますけれども、お願いとして、要望として申し上げておきます。
 以上です。

(中杉部会長)
 それでは、その件について。

(鷺坂水・大気環境局長)
 ちょっと現状だけ申し上げますと、今、原子力災害につきましては、原子力災害対策本部、それから現地のオフサイトセンター、そういったところで総合的に原子力災害対策をしているという状況の中で、私ども、実は放射線のモニタリングにつきましては、文科省と若干すみ分けのような形をしておりまして、環境省は日本海側の離島を中心に、今、災害に遭っているところとは全然異なるんですけれども、大気と水と土壌、こういったものについてモニタリングをしております。そのほかの全体と、原発の周辺等々については、文科省が中心、原発施設については、もちろん原子力安全保安院が中心ということです。
 災害対応は、基本的に原子力安全保安院が中心になって行いますが、原子力災害対策本部、それからオフサイトセンター等に、どちらもその中の放射線班に環境省の職員も1人出して、現在やっていると。
 さらに今後、原子力災害対策本部の下に、原子力災害によって被災者支援チームというのができる、もうできたのかもしれませんが、できるということでありまして、そういった中にも放射線班というのができまして、そこに、また環境省もそれなりの知見を持った者が一応出ることにはなっております。
 今現在の状況は、今10キロ以内は避難指示が出ておりまして、基本的には、皆さん外に出ておられると。20キロ、30キロについては、屋内待避の要請ということで屋内待避。ただ、その地域にいる人口が今は6万7,000人ぐらいいると思うんですけれども、現在、2万人ぐらい、ほとんどかなり、要するに30キロ以内になかなか物資が届かないということもあって、今は政府としては、自主避難される方については支援をしていくと、このような構造でそれぞれ対策をとっていると、こういうのが現状でございまして、今後土壌にどういう状況になるのかとか、避難指示地域には入れませんけれども、その後どういうことになるのか、これは今後の状況を十分注視していく必要があると、このように考えております。

(中杉部会長)
 多分、直接放射能をばく露されるというのは、単に土壌の濃度がどのぐらいかという、土壌からのばく露だけじゃなくて、大気からといいますか、空中のちりから全体のばく露を受けるので、一つだけ取り出してという話には、どうもならないですね。ですから、なかなかどう考えるかというのは難しい話で、私も少しどうリスク評価していいのかなというのを検討してみたんですけれども、まだ放射性リスクについては、リスク評価のやり方というのはよく理解をしていないところもありまして、明確なことは言えないんですけれども、将来的には、少しそういうことも勉強していく必要があるだろうと。これは大気だとか、そういうものがきれいになった後、どうなのかという話は、どうしても土壌のところが最後に残る可能性がありますので、それをどうするのか、少し勉強をしていく必要がある。当座は全体で考えて、それこそお任せしておくしかないのかなというふうに思いますけれども。そのままで必ず済むという話でもないように思いますので、少し勉強をしておく必要があるかなというふうに、私も認識しております。
 環境省のほうも、少しそういうところを。

(藤井臨時委員)
 今の太田委員のお話に続いてですが、国民は今ほど不安に感じていることはなくて、そこの中で、水、土壌を含めての安心・安全は、環境省はなぜもっと発言しないかというのがすごく聞こえます。
 すみ分け、確かに放射線のはありますが、これだけの被害は国際的にもないわけで、言ってみたら、世界始まって以来のことが刻々と動いているのに、リスク評価云々の話以前に、もう体制をぐんと変えてやるというふうな形は、各省庁の連携の中に出てきていないのでしょうか。
 先ほど、文科省と原子力安全委員会と、保安院というのをおっしゃいますが、そのいずれもが国民が今安心できる状況ではない。そういうところの中で、私は今こそ環境省がイニシアチブをとって、何か入り込むという、そこのところを打ち出せないかということを本当に切に思います。
 体制上、そこに手を入れることはできないということを言っている時期なのかどうなのか。刻々と動いていることの中の、その向き合い方が、なぜこんなにもどかしいのかなということを思っているのですが、そこを一歩出るということが、実は動いているのですということ、新しい状況はないんですか。

(中杉部会長)
 いかがでしょうか。

(鷺坂水・大気環境局長)
 実は、先ほど大塚委員からもありましたように、環境基本法の中からも、放射性汚染物質の問題が除かれておりまして、実は環境省にそれだけの知見の蓄積といいますか、そういったところがまだ不足しているというふうに理解しております。
 そういった中で、今は原子力安全災害対策本部に全国の知見を集めて、今、一生懸命政府としては対応していると、こういう状況であると思います。

(中杉部会長)
 藤井委員よろしいですか。

(藤井臨時委員)
 とりあえず。よくはありませんが。

(大塚委員)
 追加で一つだけ申し上げたい。さっきのはわかりましたけれど、原子力発電審査会もそのうち立ち上がるんですけれども、賠償の問題とか運送処理の問題で、恐らく土壌汚染をされた農民の方とかからの賠償請求が多分出てくると思うんですけれども、それはもちろん、賠償請求は大事なんですけれど、賠償を支払っても、土地が浄化されるわけではないので、もちろん浄化する方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、されないかもしれないので、そういう意味では、農地をどうするかとか、土地の汚染をどうするかと、割と公的な問題が残ると思うんです。賠償だけに任せておくわけには多分いかないと思いますので、そういう面からも、環境省、今のところ何も、なかなかおやりになれない状況で、それはもちろん法改正が必要じゃないかと。ドイツのように原子力と環境省が一緒というところも国によってはありますので、そういうことも、原子力を全部じゃなくても、放射性物質に関しての対策で、環境省がもうちょっと権限を持ってもいいかなと思うんですけれども、それは立法論なので、すぐには難しいと思いますけれども、今のような問題意識が残るということを申し上げておきたいと思います。

(中杉部会長)
 はい、どうぞ。

(太田臨時委員)
 私の期待は、まさにカドミとかああいう対策でいろんなことを打ってこられましたね。つまり、そういう行政手法とかそういうことを含めて、恐らくどこがやるにしても、そういうノウハウが要るわけで、そういう今の知見・経験をうまくつないでいけるように、政府の中でやっていただくと、非常にいいんじゃないかなということですので、だれが権限云々よりも、結果的に国民あるいは農家の皆さんが安心して物をつくれるという環境づくりが大事だという視点で申し上げたつもりですので、よろしくお願いします。

(中杉部会長)
 藤井委員は、ご意見は十分のご納得いただいていませんけれども、承ったということで、ご意見の趣旨を汲み取っていただければと思います。よろしいですか。

(藤井臨時委員)
 現状がわかりました。

(佐藤泉臨時委員)
 法律の改正は非常に時間もかかりますし、現状、国民が求めているのは情報の提供と、安全に関する考え方です。その点については、環境省とほかの省庁が共同で声明を出すとか、そういうことというのはできると思いますので、規制的側面ではなくて、情報の提供という側面で、リスクコミュニケーションに関して、環境省がもう少し大きな役を負ってもいいのではないかというふうに思っております。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

(中杉部会長)
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。森田委員どうぞ。

(森田臨時委員)
 実は放射能の問題、今、非常にひどい状態で、情報はほとんど開示されない。これは私の見る限り、基本的に原子力村の人たちが、そこだけで、そしてほかの人の言うことを全く聞かないで展開していて、非常に汚染はもっと広がります。広がっていって、今の私の推定レベルで、代表的な事故というのは、一つはスリーマイル島で、それからチェルノブイリですね。その間には、大体100万倍ぐらいの放射能の差があるんですが、今の段階で、私のざくっと推定では、チェルノブイリの大体1.5%ぐらい。それからスリーマイル島の1万倍ぐらいのヨウ素131が放出されたという状況で、多分、いろんな専門家が同じような推定を個別にやっているんだろうと。ほぼ、その辺で落ちつきそうな感じはあります。これがまず第一です。
 第二は、この放出はとまっていなくて、しかも状況は悪化しつつある。その中で、今起こっているのは、原子炉のある種の加熱を防ぐことができていなくて、それをやろうとする努力は、一番最初の時点で、まず水素爆発で話が、ストーリーがぐちゃぐちゃになって、これも予想された出来事なのにもかかわらず、この関係者は防げなかったということです。
 その次に、第二のミステイクは、冷やすことが大事。それは大事なんですが、海水を投入して、したがって、そのために状況はさらに悪化しているというのが状況だと思うんです。多分、ひょっとしたら、あの炉の中は、かなりカラカラというのがすごく心配されている状態ですが、ただ、環境省のほうも、つかさみたいなところがあって、現状ではほとんど発言できない。それでどうしたらいいかという状況なんです。
 今も、これからさらにメルトダウンが繰り返されて、拡大すると、チェルノブイリを超えます。それはみんな心配しています。そこだけはとめてほしいのですが。
 それから、もう一つは、環境への大気・水のリリースが、もう避けられなくなってきているんですが、それでも膨大な量の水の中に、非常に高濃度の放射線を含むものが入っているんです。これを多分、今までずっと繰り返してきた失敗の例から見ると、多分海洋投入が始まると思うんです、未処理で。これも相当、悲惨なことが起こりそうなんだけれど。これは、本当は首相官邸で処理してもらわなければしようがない話なんですが、そこが対策本部長ですから、なかなかそこには声が届かないというのは、多くの人が心配されているということで、環境省からも、できるだけ心配しているから、何か考えろというぐらいのことは言っていただきたいなという感じがします。
 それから、私どもは、そういった少し学会などを通じて、できれば発信したいというふうに考えていまして、4月7日には講演会、1,000名を予定していますけれども、なかなか皆さん、立場立場でご発言するのが難しいという、そういう状況もあります。非常に強い危機感を持っているという、そういう感想であります。

(中杉部会長)
 それでは、最後に、私から本日の資料の取り扱いについてご説明しておきたいと思います。
 土壌農薬部会の運用方針を公開することにより、公正かつ緻密な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することによって特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、部会長の判断に基づき、非公開とすることとされています。本日配付した資料は、いずれもこれに該当しないことから公開とします。
 また、今回の議事録に関しましては、事務局で調整後、発言委員等への確認をお願いいたします。
 それでは、その他、本日の審議全体について、何かご意見、ご質問等ございますか。よろしいでしょうか。

(なし)

(中杉部会長)
 特にないようでしたら、進行を事務局にお返しいたします。

(布施土壌環境課長補佐)
 それでは皆さん、大変お忙しい中、長い間、ご論議いただきましてありがとうございました。
 本日の第28回土壌農薬部会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(了)