中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第74回)議事録

日時

令和2年3月4日(水)13:30~16:30

場所

WEB会議システムにより開催

出席委員

委員長   白石 寛明

委員    細見 正明

臨時委員  赤松 美紀

      浅野  哲

      浅見 真理

      天野 昭子

      五箇 公一

      後藤 千枝

      根岸 寛光

専門委員  稲生 圭哉

      内田又左衞門

      川嶋 貴治

      山本 裕史

      (敬称略、五十音順)

      (欠席は、小泉臨時委員、佐藤臨時委員、築地臨時委員)

委員以外の出席者

環境省

 浜谷室長、上迫室長補佐、秋山係長、野口係員

オブザーバー

 農林水産省

 独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)

 国立研究開発法人国立環境研究所

議題

(1)生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について

(2)水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定について

(3)水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定について

(4)その他

配付資料

 資料1   中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿

 資料2   生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申)(案)

 資料3   諮問書(写)及び付議書(写)

 資料4   水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する

       資料(案)

 資料5   水産基準値案と水産PECの関係及び基準値設定後の対応について

 資料6   水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)

 資料7   水濁基準値案と水濁PECの関係及び基準値案設定後の対応について

 資料8   「水産動植物の被害防止に係る公約登録基準値(案)」に対する意見募集の結果について

 資料9・10 「水質汚濁に係る農薬登録基準値(案)」に対する意見募集の結果について

 参考資料1 農薬評価書 クロルピクリン(食品安全委員会資料)

 参考資料2 農薬評価書 ジクワット(食品安全委員会資料)

 参考資料3 農薬評価書 セトキシジン(食品安全委員会資料)

 参考資料4 農薬評価書 ベルメトリン(食品安全委員会資料)

 参考資料5 農薬評価書 ベンズピリモキサン(食品安全委員会資料)

議事

【浜谷室長】 皆様、お疲れさまです。環境省の浜谷です。
 定刻前ではございますが、委員の先生の皆様方がおそろいになられたようですので、第74回土壌農薬部会農薬小委員会を開催させていただきたいと思います。
 本日は、小泉委員、佐藤委員、築地委員がご欠席とのご連絡をいただいていますが、本委員会開催の定足数を満たしておりますことをご報告いたします。
 本日、諸事情により、WEB会議の開催となりまして、先生方にはご不便をおかけすることになるかもしれませんが、何とぞご容赦をいただきたいと思います。何かご不明な点があれば、事務局まで、右下のチャット欄か、お電話にてお知らせください。
 続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。

【野口係員】 それでは、資料のご確認をお願いいたします。
 本日メールでお送りした配付資料一覧に沿いましてご説明いたします。資料は1~10まで、参考資料はCDでお送りしたもので1~5までとなっております。資料3、資料8~10以外の資料については事前に紙でお送りしていますので、お手元にご準備をお願いいたします。事前送付資料からの変更箇所については、その都度ご説明いたします。
 また、ホームページにも資料を掲載しておりますので、本日お送りしたメールのホームページのリンク先からご確認いただければと思います。
 資料については以上です。

【浜谷室長】 それでは、議事に入らせていただきます。
 議事中、委員長及び発言者の方以外は、基本的にマイクをミュートに設定をさせていただきます。ご発言がある先生は、ご自分でミュートをご解除いただくか、挙手ボタン、映像、チャット欄でお知らせください。不具合がございましたら、電話、メールでのご連絡でも結構です。
 それでは、議事の進行につきましては、白石委員長、よろしくお願いいたします。

【白石委員長】 では、初めに、本日の会議、資料の公開の扱いについてご説明します。
 本日の農薬小委員会は、2月27日に決定されました「中央環境審議会における新型コロナウイルス感染症対策について」を受けて、WEB上での開催となっていることから、傍聴を取りやめて開催します。資料及び議事録についてはホームページで公開させていただきます。
 次に、農薬小委員会の決議の取り扱いについて、ご説明させていただきます。
 小委員会の設置についての土壌農薬部会決定では、農薬小委員会の決議は、部会長の同意を得て土壌農薬部会の決議とすることができることになっています。したがいまして、この農薬小委員会で決定いただきましたら、土壌農薬部会の細見部会長の同意をいただいた上で部会としての決定としていくことになります。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。よろしくお願いします。
 議事1番目ですが、生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定についての審議に入ります。
 まず、野生ハナバチ類の取り扱いに係る第二次答申案について、事務局から資料の説明をお願いします。

【上迫室長補佐】 それでは、事前にお送りしました資料2をお手元に置いていただければと思います。事前にいただきました意見を踏まえまして、若干の変更を施しております。これについても、こちらの画面で共有をさせていただきます。少々お待ちください。
 資料2の画面が共有されましたでしょうか。もし、ご覧になられないという方がいらっしゃいましたら、お知らせをいただければと思います。
 それでは、資料2の説明に移りたいと思います。生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申)(案)でございます。
 第二次答申(案)は、前回、第73回の農薬小委員会においても一度ご審議をいただいております。今回は、その審議及び事後の皆様方からの意見を踏まえて修正したところを主に説明させていただきます。
 まず、第2、野生ハナバチ類の影響評価に係るこれまでの取組、1ページ目の下のところでございます。具体的には、ミツバチの評価方法について「令和2年度から農薬の登録審査において導入する」という文言を追記しております。また、浸透移行性の用語解説のところで、「これらを摂食した害虫や病原菌等に対し効果を示す性質」と修正をしております。
 第3、野生ハナバチ類に係る農薬登録基準の設定方法について、改めてご説明をさせていただきます。
 1の基本的考え方、これは大きくは変えておりません。野生ハナバチ類については、第一次答申において示したとおり、植物の授粉に重要な役割を果たす花粉媒介昆虫であることに加え、欧米等において、農薬による被害のおそれがある対象としてリスク評価、規制が行われていること。我が国でも、農林水産省が、養蜂用ミツバチに対する新たなリスク評価の導入を予定していること等を勘案すれば、評価対象動植物に加えることが適当である。
 その一方で、改正法に係る参議院農林水産委員会の附帯決議において「リスク評価手法の早急な確立」と「農薬メーカーの負担への配慮」が指摘されていることについても十分に考慮する必要があることから、野生ハナバチ類については、試験方法が公的なテストガイドラインとして確立しており、摂餌量等のデータが充実しているセイヨウミツバチを供試生物とした試験成績に基づき、リスク評価を行うとしております。
 また、2の農薬登録基準の設定方法についても改めて説明をさせていただきます。
 第一次答申において示したとおり、陸域の生活環境動植物は、その種類によって環境中での農薬のばく露経路が異なることを踏まえ、鳥類とは別に、野生ハナバチ類について農薬登録基準を設定する。具体的には、(別紙)「生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定における野生ハナバチ類の取り扱いについて」を踏まえることとし、以下の方法により行うことが適当である。
 3ページ目に移ります。①評価対象は、社会性を有する在来の野生ハナバチ類とし、野生ハナバチ類の個体群の維持を保護目標とするが、個体群の評価方法は科学的知見の集積が不十分なため、蜂群が維持されれば個体群は維持されることを前提とし、蜂群を評価対象とした段階的な評価法を採用する。
 ②第1段階評価では、セイヨウミツバチを供試生物とした毒性評価、及び、セイヨウミツバチの摂餌量等のデータを用いたばく露量の予測により、リスク評価を行う。リスク評価は、③~⑦です。
 ③成虫の単回接触毒性試験を必須として要求するほか、成虫または幼虫について、農薬が残留した花粉・花蜜の摂餌に伴う経口ばく露が想定される場合、それぞれ単回経口毒性試験を要求する。ここで注釈をつけております。3ページ目の下をご覧ください。1巡目の再評価スキームにおいては、セイヨウミツバチ成虫の単回接触毒性試験以外は対象を限定するとの旨です。これは、別紙においては既に書かれている内容ですけれども、本文にも書かせていただいております。具体的には、一定以上の毒性、11μgを下回るLD50を示すもの及び脱皮阻害等を幼虫に引き起こす影響が懸念される昆虫成長制御剤を対象とするとしております。また、幼虫の単回経口毒性試験は、反復経口毒性試験をもって代用できるといった旨もあわせて注釈に記しております。
 それでは本文に戻ります。④です。要求された毒性試験ごとに、セイヨウミツバチの毒性値(LD50)を種間差による不確実係数で除して、野生ハナバチ類の毒性値(換算値、LD50相当)を算出する。自然死亡率10%を蜂群に影響があるとはみなせない水準として、LD10に変換する係数(0.4)を乗じることで、野生ハナバチ類基準値(LD10相当)とする。
 セイヨウミツバチの接触ばく露量は、1頭当たりの農薬付着量(70 nL/bee)に、有効成分濃度を乗じることにより推計する。セイヨウミツバチの経口ばく露量は、摂餌量(成虫:150 mg/day、幼虫:124 mg/day)に、花粉・花蜜の農薬残留量(予測濃度)を乗じることにより推計する。
 ⑥、⑤で得られるセイヨウミツバチの予測ばく露量に「ばく露確率」を乗じて、野生ハナバチ類の予測ばく露量、成虫の接触ばく露量、成虫の経口ばく露量及び幼虫の経口ばく露量、この3種類を算定する。
 ⑦先ほど申し上げました三つのばく露経路のうち、いずれかのばく露経過において、⑥の予測ばく露量が④の基準値を超過する場合は、花粉・花蜜の農薬残留試験による実測値等を用いた予測ばく露量を精緻化するとともに、使用方法の見直し等、リスク管理措置の検討を行うことにより、予測ばく露量の低減を図る。
 また、④において、成虫の経口ばく露(単回)に係る野生ハナバチ類基準値が算出されている場合、当該基準値を10で除して、成虫の経口ばく露(反復)に係るLDD10推定値といたします。⑥で得られる成虫・経口ばく露量が当該推定値を超過する場合、蜂群への反復影響が懸念されるものとして、さらに成虫の反復経口毒性試験を要求し、④の野生ハナバチ類基準値の設定及び⑦の予測ばく露量との比較・精緻化等を再度行うこととしております。
 次のページをお願いいたします。
 ⑧、⑦によっても、なお予測ばく露量が、野生ハナバチ類基準値を超過する場合には、第2段階評価として、使用実態を模した蜂群単位での試験を実施し、ばく露量の推定及び蜂群の状態の観察を行う。
 最後、⑨ですが、②から⑧に掲げたリスク評価の結果、リスクが許容できないと判断される場合には、野生ハナバチ類への著しい被害のおそれがある、すなわち登録拒否といたします。
 3、適用開始についてもご説明をいたします。養蜂用ミツバチに係るリスク評価が令和2年度から導入されること、また、野生ハナバチ類に係る農薬登録基準の設定に当たっては、セイヨウミツバチを供試生物とする試験成績を用いることを踏まえ、可能な限り早い時期に、野生ハナバチ類に係るリスク評価を導入することが適当であるとしております。
 第4については、大きな変更はございませんが、変更のあった箇所について説明をいたします。野生ハナバチ類の基準値の案ですけれども、ここの「幼虫の経口ばく露」のところに「単回」ということを書いております。先ほど申しましたとおり、反復の経口毒性試験については、これを単回とみなして使うことができます。
 最後に今後の課題です。今後の課題については、別紙に書かれておりました第2段階評価についての課題をこちらでも示してございます。特に野生ハナバチ類に関する蜂群を対象とした試験のガイドラインはまだ確立していないことから、第2段階評価に係るばく露量の推定方法及び蜂群の状態の観察方法について検討する必要があるとしております。
 本文については以上でございます。
 別紙は大きな変更はございませんが、1点、試験要求について、フロー図を前回の資料では載せておりました。フロー図が少し分かりづらいというご指摘がありまして、結局、このような表形式に変更をしております。具体的に申しますと、この試験要求の基本的な考え方というところですけれども、単回毒性試験と反復毒性試験を横軸に、接触(成虫)、経口(成虫)、経口(幼虫)を縦軸にとっておりまして、接触については必須、経口については、成虫は経口ばく露経路が想定される場合に単回試験を実施し、左記試験に基づく基準値の10分の1を経口ばく露量が超える場合に反復試験を実施するとしております。幼虫については、同じく経口ばく露経路が想定される場合に実施(単回を基本とするが反復の提出も可)としております。
 大きな変更としては以上です。説明を終わります。

【白石委員長】 どうも丁寧なご説明ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見等ございましたらお願いします。いかがでしょうか。事前に送付されて十分に見られたと思います。発言される方は、お名前をお願いします。

【内田専門委員】 いいですか。内田ですが。

【白石委員長】 はい、内田先生、お願いします。

【内田専門委員】 第二次答申(案)の1ページの29行目、「ネオニコチノイド系農薬である」とありますが、フィプロニルなどは、ここに書いておかなくていいのですか。

【白石委員長】 いかがでしょう。

【上迫室長補佐】 ここの「ネオニコチノイド系農薬である可能性」というところだと思いますけれども、フィプロニルについてもご指摘のとおりかと思います。

【内田専門委員】 だから並列で書いた方がいいような気がしますが。

【上迫室長補佐】 そうですね。ネオニコチノイド系農薬等とするか、あるいは、並列にするかは検討させていただきます。

【内田専門委員】 はい、結構です。

【上迫室長補佐】 ありがとうございます。

【内田専門委員】 その下の脚注ですけど、これは病原菌ですか。摂食するのだから、害虫ではないですか。

【上迫室長補佐】 殺虫剤に限らない解説にしております。

【内田専門委員】 害虫や病原菌等ということですか。

【上迫室長補佐】 はい。

【内田専門委員】 分かりました。

【白石委員長】 よろしいですか、内田先生。

【内田専門委員】 はい、そこはいいです。

【白石委員長】 ほかの方、いかがでしょうか。

【内田専門委員】 続けていいですかね。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 次のページですけど。

【白石委員長】 2ページ目ですか。

【内田専門委員】 はい。27~29行、「野生ハナバチ類については、試験方法が公的なテストガイドラインとして確立されており」とここまではよいのですが、「摂餌量等のデータが充実しているセイヨウミツバチを供試生物とした」云々というのが、ここ、「おり」の後に読点だけではなくて、「なおかつ」のような接続詞で続けたほうがいいと思うのですよ。そうしないと、「野生ハナバチ類については、試験方法が公的なガイドラインとして確立されており、」と読めてしまうのです。

【上迫室長補佐】 なるほど、分かりました。

【内田専門委員】 だから、「なおかつ」と続けられたらどうかと思います。

【上迫室長補佐】 はい。「確立されており、なおかつ、摂餌量のデータが充実しているセイヨウミツバチ」ということでよろしいでしょうか。

【内田専門委員】 はい、そうです。

【上迫室長補佐】 ありがとうございます。

【白石委員長】 では、その点は修正していただきたいと思います。

【内田専門委員】 あともう一点、疑問点なのですが。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 2ページの39行目。

【白石委員長】 39行目。

【内田専門委員】 「社会性を有する在来の野生ハナバチ類」とありますよね。

【上迫室長補佐】 ここですね。

【内田専門委員】 次のページ1行目にかけてです。野生ハナバチというのは、どちらかというと、社会性を有するのがむしろマイナーであるのですよね。ですから、ここで言われているのは、ニホンミツバチやマルハナバチ、クロマルハナバチ、或いはトラマルハナバチ、そういうものが主体ですよね。ですから野生ハナバチ類には、社会性を有しない単独性の野生ハナバチがほかにもたくさんいるのだという含みを残しておいたほうがいいと思うのですね。

【上迫室長補佐】 ご指摘ありがとうございます。そうですね。ここで評価対象としているのは、あくまでも社会性を有するものですけれども、最終的に目指すのは、それ以外の野生ハナバチ類も含めてということが分かるようにという、ご指摘でしょうか。

【内田専門委員】 そうです。

【上迫室長補佐】 分かりました。ちょっと文章は検討させていただきます。

【内田専門委員】 はい。

【白石委員長】 では、そこ、検討をお願いします。続けてお願いできますか。

【内田専門委員】 はい。それでは次のページの13行目ですね。この「自然死亡率10%を蜂群に影響があるとはみなせない」は「みなさない」ではないのですか。

【白石委員長】 3ページ目の13行目ですね。

【内田専門委員】 13行目。「水準」の前。

【上迫室長補佐】 ここですね。

【内田専門委員】 はい。「自然死亡率10%を蜂群に影響があるとはみなせない水準として」の「みなせない」という表現は何か変ではないですか。

【白石委員長】 これは、何か試験結果を解析した結果、影響が出たとはみなせない、という。

【上迫室長補佐】 これは、農水省のガイダンスを引っ張っておりまして、原文を読みますと、「室内の急性毒性試験における対象群の死亡率は10%であり、この数値を超えた場合に蜂群への影響があるとみなす」としております。

【内田専門委員】 はい。だから「みなさない」でしょう。

【白石委員長】 「さ」ですね。

【上迫室長補佐】 「みなさない」ですね。はい、分かりました。

【内田専門委員】 あと、22~23行目ですけど、その下の。

【上迫室長補佐】 はい。

【内田専門委員】 「⑦いずれかのばく露」、これは接触も経口もという意味ですね。

【上迫室長補佐】 はい、そうです。

【内田専門委員】 経口ばく露しかないと思うのですけど、この場合はそうではないのですか。

【上迫室長補佐】 精緻化をするのは経口ばく露量の推計においてということになります。

【内田専門委員】 そうですね。だから経口でもいいのではないかと思いました。

【白石委員長】 「いずれかの経口ばく露経路において」ですか。

【上迫室長補佐】 ただ、精緻化については、経口ばく露量の推計のみにかかっているのですけれども、使用量の見直しやリスク管理措置については、接触ばく露も含めてということです。

【内田専門委員】 だから、接触ばく露量は、精緻化していないのですね。

【上迫室長補佐】 接触ばく露量は、精緻化はしない。そのとおりです。

【内田専門委員】 だから、そこは「いずれかの」は要らないと思ったのですが、入れないといけないのですか。

【上迫室長補佐】 分かりました。そうすると、「いずれかのばく露経路において」というのを削除するというご意見でしょうか。

【内田専門委員】 だから、経口ばく露において評価する場合ではないかと。或いは、評価する場合であれば、要らないと思うので。

【白石委員長】 ④、⑥だけでいいのかもしれない。

【上迫室長補佐】 まあ、そうですね。なくても意味は通じると思いますので、単純に「⑥が④を超過する場合は」でもよいかと思います。

【内田専門委員】 はい、そうですね。そのほうが読みやすいような気がします。

【上迫室長補佐】 分かりました。

【内田専門委員】 あと、⑧の2行目ですけど。

【白石委員長】 次のページ、2行目。はい。

【内田専門委員】 この「使用実態を模した蜂群単位での試験を実施し」、これは、野生ハナバチではできないですよね。だから、「ミツバチのデータを勘案し」とか、そういうことではないですか。

【上迫室長補佐】 はい。「ミツバチの試験を勘案し」ということでございます。

【内田専門委員】 「試験を実施し」と書かれると、試験を実施しなければいけないような感じになってしまいます。野生ハナバチで試験を実施しなければいけないように読めてしまうのですが、これは書き過ぎではないかと思ったのですが。

【上迫室長補佐】 ご指摘は分かりました。どのように直すべきか、分かりませんが。

【白石委員長】 あまり何も決まっていない状況ですよね。ミツバチであるか、野生バチであるかが分からない。

【内田専門委員】 だから、いまのお話のとおりだと、現状では「ミツバチの試験成績を勘案し」程度の表現が妥当ではないですか。

【上迫室長補佐】 はい。これは、あくまで方針としてはこのように考えてはいるのですけれども、現状では、このような試験を実施するのは困難ですので、それについては課題としております。あくまで最終的にといいますか、基本的にはこういった形で、第2段階評価で試験を実施するということを目指すと、最終形とするといったように捉えております。

【内田専門委員】 だから、現時点でそこまで書いていいのかという気がしたのです。試験を実施しなければいけないのは、将来の可能性の話ですよね。

【上迫室長補佐】 そうですね。

【白石委員長】 「試験を実施」が書き過ぎ、ということなのですかね。でも「検討し」では、おかしいですしね。これは、一般的に、スキームとしてこういうふうに考えているということだと思うのですけど。

【上迫室長補佐】 はい。

【浜谷室長】 内田委員、よろしいでしょうか。いま、白石委員長がおっしゃったとおり、答申本体については、評価の枠組み全体をお示しするという趣旨で作成させていただきました。
 一方で、内田委員がご指摘のとおり、今後の課題のところについて、こういうところに載せるのは違和感があるというご指摘も理解できますので、そこは少し表現ぶりについて考えたいと思います。そこを、今後の課題のところにつなげるというところを明確にするかどうかについては少し考えさせてください。

【内田専門委員】 ありがとうございます。

【白石委員長】 分かりました。それでは、具体的にどうするか考えるということで。

ご指摘ございましたら、続けてお願いできますか。内田委員、もうよろしいですか。

【内田専門委員】 同じことですけれども、7ページの22行目。

【白石委員長】 ここに書いてありますね。

【内田専門委員】 同じ内容があるので。

【上迫室長補佐】 分かりました。

【内田専門委員】 その下の37行目ぐらいには、セイヨウミツバチ云々というのが、下に説明があるので、だから、蜂群単位に対する影響評価というのは、現状はやはりミツバチのデータを勘案して、というのを明確にしておいたほうがいいと思います。

【白石委員長】 そうですね。「セイヨウミツバチによる代替」と書いてありますね。

【内田専門委員】 そうですね。野生ハナバチでそういう蜂群単位の試験、影響評価ができるかどうか、まだ分からないですよね。

【白石委員長】 そうですね。現時点では、これをつけたほうがよいのではないですかね。このセイヨウミツバチに代替の内容、いかがでしょう。4ページ目ですね、⑧番。これは結局、農薬小委のところで考えるというご主張、方向性として、その形でいかがでしょう。

【五箇臨時委員】 ちょっといいですか。五箇でございます。
 この野生ハナバチの第2段階評価という部分に関しては、多分、将来的にセイヨウマルハナバチも、いわゆる商品コロニーとして、使用可能であろうということを考えています。考えているというか、念頭に置いています。少なくともマルハナバチとセイヨウミツバチでは、やはり生活史が全然違いますし、コロニーの形成の仕方とか、そういったものが違っていますから、影響の出方は、むしろ野生ハナバチのほうが非常に重篤に出る可能性が高い。その意味では、第2段階評価がもし必要となるならば、そういったこともいずれ考えていかなければいけないという意味で、こういった記述にしてある、というようにご理解いただければと思います。

【白石委員長】 ですから、⑧番のところは、別紙のところで、将来的には野生ハナバチの試験もあり得る、別紙だと7ページ、内田委員から指摘があった22行から39行目辺りのところを要約するような形で書いたらいかがでしょうかね。これは事務局で検討していただくということでよろしいでしょうか。

【上迫室長補佐】 すみません、もう一度、どのような方針で検討すればよいか、よろしいでしょうか。

【白石委員長】 要は、この4ページ目の上の⑧のところでは、「使用実態を模した蜂群単位での試験を実施し」と書いてありますが、この「蜂群単位」という意味は、読む人によって異なり、「蜂群単位」をセイヨウミツバチと考える人もいるだろうし、野生ハナバチと考える人もいるということです。ただ、それは全く決まっていない。将来の課題になっているということですよね。それは7ページ目に書いてあり、第2段階評価としては、「セイヨウハナバチの蜂群単位に対する影響試験を行う」ということになっている。33行目に「セイヨウミツバチによる代替」と書いてあり、野生ハナバチに対する試験が現時点ではできないので、セイヨウミツバチの試験結果を勘案しつつ、総合的に判断することとすると書いてある。ばく露量について、蜂群の状態の観察を行うという。セイヨウミツバチにおける半野外試験ですか。ここまで書いてよいかどうか分からないのですが、セイヨウミツバチのほうがどうなっているか分かりませんが、セイヨウミツバチの試験で代替して野生ハナバチの蜂群への影響評価を行うというような形で、いかがでしょうか。

【上迫室長補佐】 それを、4ページ目の⑧のところで、セイヨウミツバチで代替するということを書いておくということですね。

【白石委員長】 「実施し」と書いてあるところですね。そこの2行を別紙のように修正してください。

【上迫室長補佐】 分かりました。ありがとうございます。

【内田専門委員】 続けていいですか。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 次のページ、8ページの4行目ですけど、前回も指摘したと思うのですけれども、4ページのところは、「経口毒性試験(単回及び反復)」と書いているけど、括弧の中は、「及び、或いは」ではないのですか。

【上迫室長補佐】 経口毒性試験の単回を。

【内田専門委員】 括弧の中は、「及び/或いは」に修正したほうがよいのでは。

【上迫室長補佐】 成虫はそうですね。どっちもあり得るので、単回及び反復、両方のうち必要となるものを要求するというふうにお考えいただきたいと思います。

【内田専門委員】 そうですね。だから、「及び/或いは」と書いておかないといけないですよね。「及び」では両方要るとなってしまうので。

【白石委員長】 そうですね。どのように書きますかね。両方あってもいいし。

【浜谷室長】 内田委員、ここは、成虫の場合は、単回と反復については、単回のみ、もしくは単回及び反復なのですよ。ですから、「及び」であっても「或いは」であっても、正確ではないので、例えば「単回・反復」では、いかがでしょうか。

【内田専門委員】 「或いは」ですか。

【浜谷室長】 いや、orはないのですけれども、andもしくは単回のみというケースなのですよね。ですから、「単回・反復」でいかがでしょうか。

【内田専門委員】 「及び」、それでスラッシュして、「或いは」と書いたらよいと思うのですよ。

【上迫室長補佐】 いや、単回及び反復、スラッシュして、もしくは単回のみという言い方になりますけれども。

【内田専門委員】 それでもいいですよ。

【白石委員長】 ここも何か文章の書き方の問題ですので、事務局で考えていただけますか。「単回のみ」というのと、「単回及び反復」があり得るということですね。決めてしまいましょうか。

【内田専門委員】 でも、論文などでよく読みますよね、及びスラッシュして或いは。

【白石委員長】 単回/単回。

【内田専門委員】 単回及び、それでスラッシュして、或いは反復。

【白石委員長】 スラッシュ或いは、なるほど。

【上迫室長補佐】 「単回/単回及び反復」でしょうか。

【内田専門委員】 and/orでしょう。

【上迫室長補佐】 反復のみということはないので、書くとしたら単回又は単回及び反復と。

【白石委員長】 and/orを日本語にすると「及び/或いは」だから、そうしたらどうですか、という提案だと思いますけど。

【内田専門委員】 それはお任せします。

【白石委員長】 それでは、そこは正確に修正するということでお願いします。

【上迫室長補佐】 分かりました。

【白石委員長】 続けてお願いします。

【内田専門委員】 この下の16~18行ですけど、幼虫の「反復経口毒性試験の提出も可とする」とありますよね。これはミツバチも同じですかね。

【上迫室長補佐】 これはミツバチの試験ですが、成虫とは違います。成虫は別々です。

【内田専門委員】 そうですか。ミツバチと同じ条件で書かれていると理解してよろしいのですね。

【上迫室長補佐】 これ、試験自体、セイヨウミツバチで行っております。

【内田専門委員】 分かりました。

 では、次のページの3行目。

【上迫室長補佐】 次のページの何行目ですか。

【内田専門委員】 3行目です。「また、海外で実施された試験成績についても、内容を精査の上で利用を可とする」。これ、必要な場合だけですよね。海外で試験があれば、必ず提出しなければいけないのか、或いは、必要がある場合だけ提出するのか。

【上迫室長補佐】 必ずということではないです。

【内田専門委員】 だから、必要な場合には、海外の試験を使うということですか。

【上迫室長補佐】 そうです。

【内田専門委員】 ここは、もし海外で試験があれば、迷ってしまいますよね。必要でない場合も提出しなければいけないように読めてしまわないですか。

【上迫室長補佐】 利用可としているということですので、別に出さなければいけないということではありません。

【内田専門委員】 分かりました。そういう意味です。そこだけ確認したかった。
 私の質問は、以上です。

【白石委員長】 ありがとうございます。何点か指摘がありましたが、少し修正するところがございます。よろしくご検討ください。
 ほかの委員の方、いかがでしょうか。

【山本専門委員】 山本です。質問させていただいてよろしいですか。
 10ページの15行目のところで、LD10の変換係数について、LD50の値とLD10の値の比の中央値である0.4を採用する、とあるのですけれども、これは多分、第1段階の評価だと思いますが、何らかの形でLD50をLD10に変換しないといけないというのは分かるのですが、そういった場合、通常は90パーセンタイル値や95%パーセンタイル値などを使うことが多いと思います。中央値を使われた経緯等を教えていただければと思います。

【白石委員長】 それでは、事務局からどうぞ。

【上迫室長補佐】 もともとこれは、農水省のガイダンスから引っ張ってきているのですけれども、EPAで「Guidance for Assessing Pesticide Risks to Bees」というものを発行しておりまして、この中で中央値の0.4というのを使っております。そこがなぜ中央値なのかというところまでは、私どもも調べ切れてはおりません。

【山本専門委員】 中央値を使うと、50%の剤については0.4を上回る値になる可能性があるという意味にも逆にとれてしまうのですけれども、この辺りについてEPAで何か議論されたのですか。この0.4をつくるときに、何らかの考え方は整理されていないのですか。

【上迫室長補佐】 確認できる限りでは、ないと思います。

【白石委員長】 生のデータを見てみないと分からない。割とばらついている。できるだけこの値を…。これもまたリスク評価の整合性を…、まず農水省に値があって…、中央値で…、マイク、聞こえないですか。
 いかがでしょうか。

【上迫室長補佐】 すみません、もう一度お願いします。

【白石委員長】 要は、リアリスティックな値ということで中央値になっているのだと思うのですけど、同じ試験成績を使ってリスク評価をしていくわけですので、この辺はやはり農水省の値や考え方と合わせていく必要もあると思いますけれども、その辺、何かないのでしょうか。

【上迫室長補佐】 そうですね。

【白石委員長】 特に、それでは中央値については、ご指摘いただいたので。

【五箇臨時委員】 よろしいでしょうか。五箇です。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【五箇臨時委員】 農水省のガイダンス検討会でも、この部分の資料が出てきまして、それを改めて見直してみると、そこの議論はないのです。一応、基本となるペーパーがUSEPAから出しているペーパーに基づいてということで、その原文の中でも非常に乱暴に0.4としか出していない。中央値をもって0.4にするとしか、出していないのですね。

【山本専門委員】 いずれにせよ、EPAなり何なりで、原典をということだったかと思うので、その辺りを引用していただいて、農水省の考え方に従って評価したということであれば、そういった整理をはっきりしていただきたいと思います。これまで環境省側で生態リスク評価をやっていた観点からすると、こういった、どちらかというと、第1段階に近いリスク評価では、やや安全側にとって90パーセンタイル値や95パーセンタイル値を使ってきた、と私としては思うのですけれども、その中で、今回、この50パーセンタイル値は0.4を超える可能性がある中で、この0.4という値をあえて使用したということであれば、何らかの根拠をここに追加したほうが読みやすいのではないかと思います。先ほどのEPAでも構いませんが、何かいま、農水省がそのように言ったので、というふうにも取れてしまうので、そこのところを少し工夫したほうがよいと思いました。
 以上です。

【上迫室長補佐】 ありがとうございます。

【白石委員長】 分かりました。それでは、その辺の資料をどうしましょうかね。引用先を追加するなり、あるいはデータを整理していただくということでお願いします。その整理したものを後ほど委員に見せていただければよいかと思います。その資料を農薬小委に提出するということで、お願いします。
 ほか、いかがでしょう。よろしいでしょうか。

【内田専門委員】 いいですか、内田ですが。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 全般的なところですけど、ミツバチの場合などでは、ばく露をしないと推測される作物ってありましたよね。こういうものが、この野生ハナバチにも共通するのですか。

【白石委員長】 除外するものですよね。

【内田専門委員】 ばく露をしないと推定される作物。

【上迫室長補佐】 基本的に、野生ハナバチ類、種類が多岐にわたるということもありまして、明らかに野生ハナバチ類が訪花しない植物を限定するというのは難しいと思いますので、そこは、ミツバチとは完全に一致しないところはあろうかと思います。

【内田専門委員】 それでは、いまはデータがないのですか。

【白石委員長】 14ページ目ですよね。14ページ目の、リスク評価の対象から除外する農薬というのが書かれて、具体的にはまだ。

【浜谷室長】 内田委員、浜谷ですけれども、前々回の小委員会で申し上げたとおり、ハナバチ類がコロニー全体としてどの花の種、作物種を好むかという情報については、持ち合わせておりません。
 しかしながら、コロニーの中でさまざまな花を好むハチたちがいて、前々回の小委でも申し上げましたが、Aというハチは、例えば穀類の花を好みます。Bというハチは、果実の花を好みます。ということで、コロニーの中で、各外勤蜂が、どの作物に訪れるかというのが、嗜好が大体決まっているというような知見については確認をしておりますが、それではコロニー全体としてどの花を好むか、それがミツバチと同じなのか、異なるか、という知見についてはございません。

【内田専門委員】 ミツバチでも、EU(欧州連合)とアメリカとでは、かなり判断が違いますよね。昨年11月のFAMICの研究報告を読んでも、そういうことが書かれていたような気がするのですけれども、やはりハチの周囲にどのような蜜源があるかによって、来たり来なかったりするのではないかといったことが書かれていたと思うのです。そういうことはあると思うのですよね。だから、日本では、どの作物を除外するというのは、ミツバチの場合には特定されると思い、それを流用されるというような気がしたので、お聞きしたのですけど。

【白石委員長】 事務局、いかがですか。また見ていただいて。

【浜谷室長】 内田委員、おっしゃることは分かりました。内田委員ご指摘のとおりの部分はあると思いますので、基本的には、ミツバチのものを参考としつつ、他方、作物でなくとも野生のハナバチが立ち寄るような植物はあり得ると思います。そういったケースについては整理をして、テストガイドラインの中には記載しようとは思っておりました。

【内田専門委員】 分かりました。それは今後の課題ですか。

【浜谷室長】 はい。

【内田専門委員】 あと、もう一点だけですが。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 ミツバチの場合、リスク管理措置が多分あると思います。そういった措置は、野生ハナバチの場合できないこともあると思います。避難や遮蔽、巣箱の移動等いろいろな措置がありますよね。野生ハナバチだけを対象とした、そのようなリスク管理措置は考えられないのですか。

【上迫室長補佐】 確かに、巣箱を移動したりというようなリスク管理措置はないとは思いますけれども、ミツバチと共通して、農薬の使用時期を変えたりとか、使用濃度、量を下げる、或いは、野生ハチがばく露をしないような使用場所に限定するなどのリスク管理措置というのは考え得るかと思います。

【内田専門委員】 分かりました。そういうのがしっかりあるとよいと思うので、よろしくお願いしたいと思います。

【上迫室長補佐】 ありがとうございます。

【白石委員長】 ありがとうございます。ほかの委員の方、いいでしょうか。
 よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 ほかにご意見がなければ、幾つか修正点がありますが、これに関しましては、一応、私にご一任いただいて、本答申案については、本日の意見を踏まえてパブリックコメントを実施したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 それでは、修正したものを見せていただいて、パブリックコメントにしたいと思います。事務局はいかがですか、よろしいですか。

【上迫室長補佐】 分かりました。ありがとうございます。

【白石委員長】 スケジュールの面では、どんな感じですか、パブリックコメント。

【上迫室長補佐】 事務局で修正いたしまして、委員の先生、委員長にご確認をいただきまして、それが整い次第、パブリックコメントを開始させていただきます。パブリックコメントを1カ月実施しまして、その結果につきましては、次回の農薬小委員会で改めて報告、場合によっては議論させていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、この議題はこれで打ち切りたいと思います。
 それでは、議事の2番目、水産動植物被害に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議を始めます。
 事務局から諮問書を紹介してください。

【野口係員】 それでは、WEB会議システムの画面に資料3がお示しされているかと思いますので、それに沿ってご説明いたします。
 こちらが本日の基準値の審議をいただく剤の諮問書となっております。
 一つ目としまして、平成30年7月2日付の諮問書となっておりまして、別紙1の中に、本日、水産基準のご審議をいただくカルボスルファンがございます。
 また、4ページ目、平成30年7月2日付で土壌農薬部会への付議となっておりまして、平成29年10月23日付の諮問書の中に、本日、水産基準、2件目のご審議をいただくジアフェンチウロンが諮問されております。こちらが、その付議書となっております。
 3剤目、平成29年6月27日付の諮問書となっておりまして、本日、水産基準3件目でご審議をいただくスピネトラムがこちらに記載されております。また、こちらはスピネトラムの付議書となっております。
 こちらは令和2年1月9日付の諮問書となっておりまして、本日、水産基準でご審議いただく4件目、ソルビタン脂肪酸エステルがございます。こちらは付議書となっております。
 最後、令和2年3月3日付の諮問書となっておりまして、本日、水濁基準でご審議をいただく5剤が諮問されております。
 後ほどご説明いたしますが、本日、ご審議いただくジクワットにつきまして、説明として、こちらの表記になっております点について、後ほど、ジクワットを説明する際に説明させていただきたいと思います。
 諮問書についてのご説明は以上です。

【白石委員長】 それでは、審議に入ります。
 本件につきましては、農薬小委員会に先立ち「水産動植物登録基準設定検討会」において、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や公表文献情報について精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定し、基準値案を策定していただいております。
 事務局から資料の説明をお願いします。

【秋山係長】 それでは、資料4をご覧ください。水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準値(案)に関する資料でございます。本資料は、水産動植物登録基準設定検討会においてご審議いただいておりますので、検討会でどのようなご指摘、審議が行われたかについても簡単にご紹介させていただきます。
 今回は、こちらに記載してあります4剤について、ご審議いただければと考えております。
 それでは、カルボスルファンの説明に移らせていただきます。こちらは第68回の農薬小委員会で一度ご審議いただいているものです。継続審議となった経緯について簡単に説明します。
 まず、資料の10ページをご覧ください。前回、ご審議いただいた際、こちらの水産PEC算定表に記載されている全てのデータから水産PECが算定可能となるように整理をするように求められたところです。例えば、こちらに記載してあります単回・単位面積当たりの有効成分投下量、こちらは登録がある製剤の中で投下量が最大となる5%粒剤による値を記載しておりましたが、有効成分投下量については第3段階のPEC算定、すなわちドリフトを考慮しない場合においては必要なデータとは言えません。また、単回・単位面積当たりの有効成分投下量につきましては、5%粒剤による値を記載しておりましたが、PEC算定の根拠となりました実水田を用いた水田水中農薬濃度特定試験成績、こちらのデータについては3%粒剤で実施したものを記載しておりました。このように、こちらのPEC算定表については、非常に分かりにくい記載となっていましたため、第3段階PEC算定表の記載事項について整理を行いました。
 1ページ目に戻っていただきまして、こちらの原体の輸入量については最新のものに修正しておりますが、2ページ目から6ページ目にかけては、前回ご審議いただいた資料から変更はございません。
 それでは、7ページに移りまして、本題になります。
 その前に、昨日、電子データにてご送付いたしました机上配付資料をご覧ください。こちらの資料については水産PEC算定の考え方について整理したものです。
 まず、1ページ目ですが、こちらについてはPEC算定の考え方について整理したものです。簡単に説明させていただきますと、こちらが環境モデルとなりまして、第2段階、第3段階のPECを算定する際は、圃場の中で実際の作物の栽培管理状況にあわせて農薬が散布されることを考慮し、地上防除の場合は、圃場の中で5日程度散布日がばらつくと推定されています。例として、例えば、1日目にF1のみに散布した場合は、2日目にはF2、5日目にはF5のみに農薬が散布されるというイメージです。
 続いて、河川中への農薬の流出経路としましては、水田水尻からの流出と畦畔浸透による流出、また、散布日における河川ドリフトと散布日における排水路ドリフトの4パターンを想定しています。なお、こちらに括弧書きで記載しておりますが、止水期間を設定することとした場合は、止水期間中は水田水尻からの流出はないことが想定されますので、止水期間中と止水期間終了後で流出の経路については異なります。
 以上の流出経路を考慮しまして、こちらの③に記載してある式に当てはめて水産PECを算定しています。
 続いて、2ページに移りまして、こちらが第2段階水産PECの計算方法について示したものです。まず、1番、こちらのセルに、第2段階ですと水質汚濁性試験、第3段階ですと実水田田面水中農薬濃度測定試験の結果を入力します。こちらの値に沿って、それぞれ畦畔からの流出量や水尻からの流出量、またドリフト量などを計算するのですが、先ほど1ページ目の概念図に示したとおり、5日間、散布がばらつくことが想定されているため、1日目に散布した区に残留している農薬が、徐々に河川中に流出してくるイメージとなっております。また、ドリフトにつきましては、散布日のみ考慮されております。それぞれの流出量を合計し、各毒性試験期間に応じた日数で最大となる流出量を算出しまして、底質への吸着を考慮した上で、河川中の水量で割ったものが、PECということになります。
 では、資料4の7ページに戻ります。
 こちらのページでは、水産PECの算定に用いるパラメータについて整理しております。先ほどお見せしました10ページの表では農薬の散布面積などが記載されておりましたが、こちらについては固定値となっておりますので、条件によって値が変わるわけではございませんので、削除しております。
 また、本剤は粒剤による地上散布となっておりますので、単回・単位面積当たりの有効成分量については、ドリフトを考慮しないため、算定結果には考慮しないということで記載を追加させていただきました。
 続いて8ページをご覧ください。まず1点、修正がございます。試験条件のところに供試有効成分量ということで記載しておりまして、育苗箱当たり70gということで記載してありますが、こちらは有効成分量ではなく、カルボスルファンを含む製剤としての投下量になりますので、訂正させていただきます。失礼いたしました。
 では、本題に入ります。先ほどの机上配付資料にも簡単に記載しておりましたが、現在の局長通知では、第3段階水産PECの算定において、実水田田面水中農薬濃度測定の試験区ごとに行うこととし、試験区ごとに求めた値の水産PECの平均値を第3段階PECとするということで記載されております。
 しかし、具体的な平均値のとり方や数値の取り扱いについてまでは記載していなかったため、そちらについて水産検討会で審議いたしました。まず、平均値のとり方についてですが、カルボスルファンについては3%粒剤と5%粒剤で、それぞれ実水田を用いた水田水中農薬濃度測定試験成績が提出されており、こちらの試験については同等の試験条件で実施されていることも踏まえまして、全ての試験成績を考慮し、試験区ごとに水産PECを算出し、その平均値をとることで第3段階の水産PECといたしました。
 具体的に説明いたしますと、例えば、こちらの表に記載してあります試験区1の水産PEC、こちらにつきましては、こちらの5%粒剤の試験区1のデータのみを用いて算定したものです。
 同じように、5%粒剤と3%粒剤で、それぞれ2試験区で試験が実施されておりますので、それぞれの試験区ごとの結果を用いて水産PECを算定し、そちらの算術平均値をとっております。その中で最高の濃度となるものを、第3段階の水産PECということで整理させていただきました。
 また、提出されている試験成績について、このように、カルボスルファンについては非常に分解が早いこともありまして、ほとんどのデータが定量下限値未満となっておりました。
 こちらの取り扱いについても、水産検討会で審議しまして、より安全側の評価となるように、定量下限値、カルボスルファンで言えば、0.001を用いて水産PECを算定するということで整理されております。
 11ページに移りまして、水産検討会で水産PECの算定方法について整理をしたところですが、カルボスルファンについては、非水田における水産PECが最も高濃度となっておりますので、資料に変更はございません。
 また、毒性値についても変更はございませんので、基準値案につきましては、0.04μg/Lということで、前回ご審議いただいたときから変更はございません。
 なお、カルボスルファンにつきましては、分解が早いということもあり、こちらの参考1のとおり、代謝分解物であるカルボフランのPECも算出しております。
 計算方法につきましては、先ほどのカルボスルファンと同じような方法で計算しておりまして、算出結果については、0.039μg/Lとなっております。
 続きまして、資料5をご覧ください。カルボスルファンについては、基準値案と水産PECが近接していたことから、モニタリングの対象とするということで整理したいと考えております。
 しかし、このように基準値案が非常に低い濃度となっておりますので、技術的に、実際にモニタリングが可能であるか、知見の収集及び分析技術の高度化について進めていきたいと考えております。
 説明は以上になります。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 では、これが、毒性か、PECのところが修正になっている。PECのところで何かコメントがありましたらお願いします。よろしいでしょうか、随分検討されて、分かりやすく資料も作っていただきました。

【内田専門委員】 ちょっといいですか。

【白石委員長】 お名前、どうぞ。

【内田専門委員】 内田ですが、この水田のPEC計算のところで、5%粒剤と3%粒剤を併記するのですか。

【秋山係長】 第3段階のPEC算定について、こちらの剤は粒剤で地上防除、箱処理となっておりますので、ドリフトについては考慮されないこととなっています。もし仮に、ドリフトが考慮される場合はこちらの単回当たりの有効成分投下量、こちらが考慮されることになるのですけれども、カルボスルファンについては、ドリフトについては考慮されませんので、こちらのデータについては、今回のケースにおいて、PEC算定に必要なデータというわけにはなっておりません。そのため、単回成分投下量の項目については、ドリフトを考慮しないため、算定結果には影響しないということで追記させていただきました。

【白石委員長】 内田委員、よろしいでしょうか。

【内田専門委員】 全て箱処理ですよね。

【秋山係長】 はい。

【内田専門委員】 ですから、ドリフトを考慮しないのは分かるのですけども、投下量が多いのは、5%粒剤に決まっていますよね。だから、3%粒剤と両方書いてあるのは初めて見たので、よく分からなかったのです。

【秋山係長】 水産検討会でも、仮に5%粒剤の大きいほうだけを記載してしまうと、こちらがPEC算定に影響しているような印象も与えてしまいますので、今回は5%粒剤と3%粒剤を併記するという形で整理し、注釈を記載することで整理をしたところです。

【白石委員長】 すみません。1点修正がございましたよね。8ページ目の、ここがよく分からなかったのですけど、上の表と下の表は5%粒剤と3%粒剤、全く同じ数字になっているのですけど、70g/育苗箱、製剤というと、どこを直せばよいのですか。

【秋山係長】 供試有効成分量ということで、育苗箱当たり70gと記載しているのですけれども、こちらの70gというのは5%粒剤を含む製剤の投下量になりますので、実際の有効成分量については、こちらの70gに0.05を掛けたものになります。このため、こちらの供試有効成分量という記載を、製剤量といった記載に修正したいと考えています。

【白石委員長】 下は、製剤量ですか。

【秋山係長】 はい。製剤の量です。

【白石委員長】 下の表、3%粒剤も間違いですね。

【秋山係長】 こちらも同じ間違いです。同じように修正したいと思います。

【白石委員長】 ご指摘は、5%粒剤の投下有効成分量のほうが多いということですよね。

【秋山係長】 濃度が高くなりますので、実際投下される有効成分量については、こちらの5%粒剤のほうが多くなります。

【白石委員長】 それで、いまのご指摘は、5%粒剤と3%粒剤を併記する理由についてですが。

【稲生専門委員】 すみません。稲生です。よろしいですか。

【白石委員長】 稲生先生、音量を大きくしてください。

【稲生専門委員】 稲生ですけれども、聞こえますか。

【白石委員長】 聞こえます。お願いします。

【稲生専門委員】 よろしいでしょうか。先ほど、内田委員からありました7ページの表の左ですけれども、ご指摘のとおり、「2.水産PECの算出」のところで、説明では「単回・単位面積当たりの有効成分量が最大となる」と書いておきながら、下の表では5%粒剤と3%粒剤を併記しているところがあります。この文章と表の記載部分で混乱することもあると思いますので、事務局で、この3%粒剤の記載を削除するか、又は文章で補足説明をするか、について検討していただければと思います。どうすればよいか、私もすぐには思いつかないのですが、そこだけ検討させていただければよいかと思います。
 以上です。

【内田専門委員】 よろしいですか。内田ですが。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 8ページの表も、70g/育苗箱というのは分かったのですが、この下の3日から14日の間も、処理方法、箱処理、これは70g/育苗箱のことですかね。

【秋山係長】 5%粒剤と3%粒剤は、処理方法が同じとなっております。

【内田専門委員】 それが70g/育苗箱ではないのですか。

【秋山係長】 3%粒剤の投下量が育苗当たり70gとなっておりまして、それは5%粒剤の投下量とも同じです。

【内田専門委員】 だから、なぜ1日目、2日目と、5日目~14日目は、別々のカラム(欄)になっているのですか。

【秋山係長】 すみません。もう一度お願いします。

【白石委員長】 70g/育苗箱は、下線がなぜ入っているかといったような。

【内田専門委員】 よく分からないな。

【白石委員長】 これは0にしたのですかね。処理方法。

【内田専門委員】 全くおかしい、表になっていないですからね。

【白石委員長】 表のつくり方がちょっと悪いのですかね。

【内田専門委員】 そうですね。表の作り方を少し考えてもらわないといけないですね。それと、この処理日ですけども、移植当日ですか、処理しているのは。

【秋山係長】 すみません。処理日については、試験成績を確認した上で回答ということでもよろしいですか。

【内田専門委員】 はい。

【白石委員長】 ほか、ご意見、ご指摘、ございますか。
 5%粒剤と3%粒剤の二つを使ったというのは、3%粒剤を切ると、Tier 3の、つまり3段階目のPECが変わってきますよね。3%粒剤のほうでPECの値が高くなっているので、そういうこともあって3%粒剤を評価対象に入れたということではないのですか。

【秋山係長】 確かに、3%粒剤のほうで濃度が高く出るのですけれども、出ている試験成績について全てを考慮することとして、その平均値をとるということで整理をしたところです。

【白石委員長】 水産PECの算出のところの、初めの(1)の「単回・単位面積当たりの有効成分が最大となる」というところは、あまり考慮していないということですね。
 この辺、稲生委員からもご指摘がありましたが、少し分かりにくいと思います。

【秋山係長】 そうですね。この書きぶりは確かに混乱を招くかもしれませんので、ここら辺の文章については修正いたします。

【白石委員長】 はい。ほかにありますか。どうぞ。

【内田専門委員】 もう一点ですが、内田です。
 非水田のほうですけど、これは、今回PEC計算のところで特に必要性がなければいいのですけど、適用表を見ると、5%のキクなどは結構多くて20 kg/10aとかあるのですよね。それは議論にならなかったのですか。同じ花きですけども、キクのネグサレセンチュウとかは、5%粒剤で20 kgぐらい適用する例があるのですけど。適用表には。

【秋山係長】 そちらのPECについても計算はしておりますが、値については、この場でお答えできないので、確認の上、折り返し回答します。

【内田専門委員】 これのほうが高かったのですかね、逆に。

【秋山係長】 はい。こちらのほうが高かったということです。

【内田専門委員】 それだったら、分かりました。

【白石委員長】 ほかにご質問、ご意見は。
 それでしたら、7ページ目の書きぶりを、3%粒剤と5%粒剤の扱いについて議論があると思いますが、PECの値が若干変わるかもしれませんが、整理した上で承認いただくということだと思いますが、この整理の仕方は事務局にお任せでよろしいですか。最終的に確認いただきますが。

【秋山係長】 はい。事務局で整理した上で、またメールでお返ししますので、それでまた、ご意見等いただければと思います。

【白石委員長】 最終的に、非水田のPECが算出されますので、12ページ目は登録基準値(案)が欠落しているだけで変わらない。この資料でご修正いただいて、ご承認いただくということでよろしいでしょうか。皆さん。

(異議なし)

【白石委員長】 特にご異論がないようでしたら、修正したものを委員に回していただいて、ご確認いただくということでいかがでしょうか。小委員会としては、こういう段取りで、ご確認いただいたということにさせていただいてもよろしいですか。
 ほかにご意見はありますか。
 ないようでしたら、そういう形で進めさせていただきたいと思います。
 では、次、お願いします。

【秋山係長】 続きまして、17ページをご覧ください。ジアフェンチウロンになります。物質概要については、こちらの表に記載のとおりとなっておりまして、作用機構等についてですが、ジアフェンチウロンは、チョウ目、半翅目、アザミウマ目害虫に対して効果を示すチオウレア系の殺虫剤であり、その作用機構は、生体内で脱硫され、その生成物であるカルボジイミド体がミトコンドリア内膜のタンパク質と特異的に結合し、呼吸阻害作用を生ずるものと考えられております。
 本邦での初回登録は1997年でありまして、製剤には水和剤が、適用農作物等は野菜等がございます。
 各種物性については、こちらの表に記載してあるとおりとなっております。
 続いて、水産動植物への毒性についてですが、まず、魚類急性毒性試験について訂正がございます。事前送付した資料ですと、LC50については1.63μg/Lということで記載しておりましたが、こちらは設定濃度1.86μg/L区と、1.86μg/L区以上の高濃度の、こちらの3濃度区のみのデータを用いて算出されたものです。
 しかし、当該試験においては、0.466μg/L区と0.933μg/L区、こちらの両区においても、2匹ずつ死亡が認められていますが、当初、申請者からの考察では、こちらの死亡については、被験物質の影響ではないとするものでした。このため、毒性値の算出には考慮されておりませんでしたが、水産検討会におきまして、申請者の考察については不適切ということでご意見がございましたので、申請者に、さらなる説明を求めたところです。
 その結果、より安全側の評価となるように、こちらの低濃度区で認められた死亡個体についても被験物質の影響によるものとして再計算された毒性値が提出されております。その値が0.946μg/Lということになっております。
 以上の点が、前回お送りした資料からの変更点ということになっております。
 続いて、甲殻類です。オオミジンコによる試験が提出されておりまして、48hEC50=0.539μg/Lということになっております。
 続いて、藻類です。イカダモによる試験が提出されておりまして、72hErC50>48,500μg/Lとなっております。すみません。設定濃度32,000μg/L区のところですけれども、こちらは一つゼロが追加されておりましたので、誤字になりますので、訂正させていただきます。失礼いたしました。
 続いて、水産PECです。ジアフェンチウロンについては、適用農作物等は野菜等ということで記載しておりますが、お茶にも適用がございますので、そちらの適用を考慮しまして、非水田使用第1段階PECを算出しております。算出結果については、0.0079μg/Lとなっております。
 総合評価です。先ほど、魚類の試験について毒性値が変更になる旨、説明させていただきましたが、最小の値は甲殻類となりますので、こちらの値を採用しまして、登録基準値(案)は0.053μg/Lとさせていただきます。
 リスク評価についてですが、水産PECは0.0079μg/Lでありますので、登録基準値(案)を超えていないことを確認しております。
 続きまして、資料5をご覧ください。ジアフェンチウロンにつきましても、基準値案と水産PECが非常に近接していたことから、モニタリングの対象にしたいということで考えております。しかし、先ほどのカルボスルファンと同じように、非常に基準値案が低い値となっておりますので、技術的に、実際にモニタリングが可能か否か検討も進めていきたいと考えています。
 説明は以上になります。

【白石委員長】 それでは、ただいまのジアフェンチウロンにつきまして、ご質問、ご意見をお願いします。

【山本専門委員】 山本です。補足させてもらってよろしいでしょうか。

【白石委員長】 お願いします。

【山本専門委員】 水産検討会でも魚の試験については少し議論になりました。低濃度区のところで2匹の死亡が起こっているということで、これが化学物質、この剤によるものなのか、バックグラウンド的なものなのかということですが、原因として考えられるのが、12時間ごとに換水しているので、そのストレスが一つ考えられるだろうということです。通常、1匹までが化学物質ではない影響と言えるのですが、試験としてはあまりよくないということになります。現在、魚類の急性毒性試験ガイドラインが改訂されておりまして、低い側の濃度で必ず死亡数が0にならないといけないということではなくなったということもあります。また、安全側の判断をしていただいたということなので、致し方ないとは思います。ミジンコについては、特に問題はありませんし、藻類については、ご提出いただいたとおりで、特にそこのところについて議論はなかったと思います。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 ほかにご意見、ご質問、ございましたらお願いします。

【内田専門委員】 内田です。魚類、甲殻類、藻類全て共通ですけども、アスタリスクの算出値というのがあるので、これはどういう意味で書いてあるのですか。

【秋山係長】 もともと試験成績に記載されているデータを用いまして、事務局で時間加重平均値を算出しております。こちらの表には事務局で算出した結果を記載しておりますので、算出値については事務局で算出したという意味です。

【内田専門委員】 それについて脚注に入れておかないと、何の意味か分からないです。

【秋山係長】 分かりました。では、修正いたします。

【白石委員長】 全体を脚注に書いたほうがいいかもしれませんね。よろしくお願いします。
 ほか、いかがでしょうか。物性面、毒性面、よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 PECのほうはよろしいですか。

(発言なし)

【白石委員長】 特にご意見がないようですので、23ページ目の総合評価をご確認ください。登録基準値(案)を0.053μg/Lとするとなっております。水産PECは0.0079μg/Lであり、基準値(案)を超えていないということですけれども、近接しているのでモニタリングしたいということでした。よろしいでしょうか。
 特に、ご意見、ご異論がないようですので、基準値(案)はお認めいただいたということにさせていただきます。
 次、スピネトラムをお願いします。

【秋山係長】 それでは、24ページをご覧ください。スピネトラムになります。こちらについては、一度、基準値については設定されておりますが、第50回の農薬小委員会での決定を踏まえまして、ニコチン性アセチルコリン受容体、またはGABA受容体に作用する殺虫剤につきましては、ユスリカによる急性遊泳阻害試験を提出させ、基準値の見直しを行ってきているところです。
 今回の、こちらのスピネトラムが最後の剤ということになります。したがって、物質概要や、その他の水産動植物への毒性試験成績については、特に変更はございません。
 原体の輸入量につきましては、前回ご審議いただいたときから大分時間もたっておりますので、最新のものに修正しております。
 それでは、28ページをご覧ください。こちらの(2)に記載してあるユスリカの試験が申請者より再提出されたものです。試験の結果、48hEC50=0.23μg/Lということになっております。
 続いて、水産PECについてですが、こちらについては、前回ご質問いただいたときから、こちらの土壌吸着係数を用いて計算するということで修正しております。なお、こちらの※の2にも記載しておりますが、スピネトラムについてはJ体とL体の混合物ということになっております。そのため、土壌吸着係数は二つございますが、今回は安全側の評価となるように、J体の値を用いることといたしました。
 非水田PECについては、変更はございません。
 続きまして、総合評価です。ユスリカの試験が提出されておりますので、試験結果はかなり低い濃度となっておりますので、そちらの値を採用しまして、新しい登録基準値(案)は0.023μg/Lとさせていただきます。
 リスク評価についてですが、水産PECは0.0055μg/Lでありますので、登録基準値(案)を超えていないことを確認しております。
 続きまして、資料5をご覧ください。スピネトラムにつきましても、基準値(案)とPECが非常に近接していたことから、モニタリングの対象としたいと考えております。しかし、先ほどご審議いただいたカルボスルファン、ジアフェンチウロンと同じように、非常に基準案が低い値となっておりますので、スピネトラムにつきましても、実際にモニタリングが可能か否か、知見の収集と検討を進めていきたいと考えております。
 説明は以上になります。

【内田専門委員】 よろしいですか、内田ですけど。PEC計算の表ですけど、安全側というと、吸着係数が小さいほうではないのですか、L体。

【秋山係長】 底質に吸着することによって河川中への流出が抑えられるというような考えですので、今回、安全側ということで、大きいほうの値を採用しています。

【内田専門委員】 実際は安全側ですけども、いまのは、どちらかというと高いほうが、評価としては安全側になりますね。だから、L体のほうが濃度は高目に出るのではないですか。

【秋山係長】 承知しました。

【白石委員長】 そうだと思いますが、水中濃度ですよね。具体としては。

【秋山係長】 こちらについては、実際にJ体とL体の土壌吸着係数を用いて、それぞれPECを算定しています。結局、どちらの土壌吸着係数を用いても同じ値となりましたので、値については、変更はないのですけれども。

【白石委員長】 稲生委員、よろしいですか、コメントをいただけますか。

【稲生専門委員】 聞こえますでしょうか、稲生です。
 内田委員が言われたように、感覚的というか、本来ならば土壌吸着が低いほうが移動しやすいということですので、そのとおりだと思うのですが、実際にこれを計算してみて確認しないといけないので、事務局で再度確認していただければと思います。結局、畦吸着と支川の底質への吸着、そこの部分に土壌吸着係数が絡みますので、その結果、いろいろ複雑な計算をするので、結果的にどうなるかというのは、本当にエクセルの計算シートを確認しないといけないということになると思います。このままだと、感覚的にこの記載が反対ではないかと思われるのは、ご指摘のとおりだと思います。
 以上です。

【白石委員長】 先ほど、事務局から同じ数値になるとお聞きしたのですけど、もう一度確認していただいて、感覚的には、小さいほうが水中濃度は高くなると思いますので、もう一回確認していただきたいと思います。

【秋山係長】 はい、分かりました。

【白石委員長】 ほかにいかがでしょうか。本剤はユスリカの急性遊泳阻害数試験が出てきたということで、その点について、何かコメントはございますか。特にないですか。
 ほか、ご意見はございますか。

(発言なし)

【白石委員長】 ないようでしたら、PECのところを確認いただいて、数値はほとんど変わらないと思いますので、32ページの総合評価をご確認いただきたいと思いますが、ユスリカの試験が出てきまして、0.23μg/L=48hEC50値をもとに、登録基準値(案)を0.023μg/Lということで、水産PECの0.0055μg/Lは基準値(案)を超えていないと確認しております。PECの計算における吸着係数については後でご確認いただくということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 特に、ご異議がないようですので、PECの確認をいただいて、登録基準値(案)をお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。
 では、次、ソルビタン脂肪酸エステル、お願いします。

【秋山係長】 それでは、ソルビタン脂肪酸エステルの説明に移ります。
 物質概要については、こちらに記載のとおりとなっております。
 作用機構等についてですが、ソルビタン脂肪酸エステルは、殺虫殺菌剤でありまして、ソルビトール、ソルバイド、ソルビタンの各脂肪酸エステルの混合物となっております。形成皮膜により対象病害虫を物理的に包み込むことにより防除するものです。
 本邦での初回登録2002年でありまして、製剤は乳剤が、適用農作物等は野菜、いも、豆、花きがございます。
 各種物性については、こちらの表に記載してあるとおりとなっております。
 34ページに移りまして、二つ目の表ですが、ソルビタン脂肪酸エステルについては、こちらにも記載してありますとおり、ソルビタンラウレートを用いて毒性試験が実施されております。そのため、事務局でECHA(欧州化学物質庁)やSDS(安全データシート)などからソルビタンラウレートの各種物性について調べまして、こちらの表に記載しております。
 なお、こちらのソルビタンラウレートとソルビタン脂肪酸エステルの関係性について申請者に確認をとりましたところ、化学名としてのソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンと各種脂肪酸エステルとのエステル物を広く含む名称とのことですが、農薬としては、ソルビタンラウレートがメインのものが、ソルビタン脂肪酸エステルとして登録されているとのことです。
 続きまして、毒性試験に移ります。まず魚類ですが、コイによる毒性試験が提出されておりまして、96hLC50=15,100μg/Lとなっております。
 続きまして、甲殻類です。オオミジンコによる試験が提出されておりまして、48hEC50=143μg/Lとなっております。
 なお、こちらの49.2μg/L区の実測濃度につきましては、注釈欄にも記載してございますが、実測濃度が検出限界となっておりました。そのため、こちらの設定濃度の比率にあわせて、こちらの実測濃度も公比で除して、22.2μg/Lという濃度を記載しております。
 続きまして、藻類です。ムレミカヅキモによる試験が実施されておりまして、72hErC50=4,790μg/Lとなっております。
 続きまして、水産PECです。適用農作物等は野菜、いも、豆、花きとなっておりますので、非水田使用第1段階ということで、PECを算出しております。算出結果については、0.017μg/Lとなっております。
 総合評価に移りまして、登録基準値(案)は、最初にありました甲殻類の値を持ってきまして、14μg/Lとさせていただきます。
 リスク評価について、水産PECは0.017μg/Lでありますので、登録基準値(案)を超えていないことを確認しております。
 説明は以上になります。

【白石委員長】 それでは、ソルビタン脂肪酸エステルにつきまして、基準値(案)について、ご意見、ご質問がありましたら、お願いします。

【内田専門委員】 内田ですけども、表2のミジンコの実測濃度は検出限界未満ですけど、これは加重平均なので、初期の濃度はきちんと出ているのですか。時間加重平均だから、初期濃度が正しく出ているのか、どうか、教えてください。

【秋山係長】 すみません、いま、お調べします。

【内田専門委員】 24時間目もね。

【白石委員長】 設定濃度が49で、実測濃度が48というのがあるから、それも……。

【秋山係長】 失礼しました。いま、お調べしたところ、この試験については24時間後に換水を行っておりまして、0時間目と24時間目と、あと換水後の24時間目については実測濃度が測定されております。しかし、48時間目の古い水では試験物質の濃度が検出限界未満となっておりまして、そちらの平均をとりますと、その値についても、すみません、少々お待ちいただけますか。
 すみません、失礼しました。先ほどいただいた質問については、確認後に事務局からお返しさせていただきます。

【内田専門委員】 分かりました。

【白石委員長】 内田委員、この質問のポイントは、どこでしょうか。初期濃度が検出されていた場合に。

【内田専門委員】 48時間目の濃度だけを外挿したのか、それとも全体を外挿したのか、ということだったのですよ。48時間目だけ外挿したのであればまだ理解できると思ったのですが、ほかのところを無視されて加重平均と書いてあるから、ほかのところが測定できているなら、それを無視する必要はないと思ったのです。

【白石委員長】 分かりました。では事務局、確認をお願いします。
 ほか、ご質問はございますか。
 よろしいですか。

【上迫室長補佐】 先ほどのご質問ですけれども、48時間目以外の濃度は全て、測定しております。48時間目の濃度だけ検出下限値未満ということでございます。

【白石委員長】 そこを外挿したということですか。

【上迫室長補佐】 はい、そうです。

【白石委員長】 検出下限値未満である48時間目の実測濃度の22.2μg/Lというのは、ほかの実測値を設定濃度の公比で割って計算したものであると。

【上迫室長補佐】 はい、そうです。

【白石委員長】 そうですか。よろしいでしょうか。

 念のため、もう一度確認していただいて、そういった計算であるということで、内田委員、よろしいでしょうか。

【内田専門委員】 はい。

【白石委員長】 ほか、ご質問はありますか。

【山本専門委員】 よろしいでしょうか、山本です。
 これは水産検討会のときに指摘したことですけれども、試験自体はソルビタンラウレートで行われているのですが、最初のところも、評価対象物質はソルビタン脂肪酸エステルのままですかね。その部分の説明が少し分からなかったのです。ソルビタンラウレートについての物性とか、その関係性については、いま整理いただいたということですが、A、B、Cの混合物というような形で最初に書かれているのですが、この辺りのところで言うと、これはソルビタンですからCですね。CのところのRが、多分Cが12個のものですかね、ラウレートですから。そのようなものなので、混合物の中の一部の物質について試験がされたということですが、実際に使われているのはこれだということであれば、最初のところもそういった整理にすることはできないのでしょうか。
 以上です。

【白石委員長】 事務局、お願いします。初めにご説明がありましたけど、構造式のところが書かれているだけなので、もう少し細かい説明があってもいいのかもしれませんが、Rのところが、カルボニルまで含まれているので、Rが11ですかね。ソルビタン自体はCですか。ソルビタンという混合物は、A、B、Cの混合物ということでもない。

【秋山係長】 ソルビタンについてはAとCで、Bがソルバイドと理解しています。申請者からの聞き取りによると、AとCで7割、Bが3割という回答をいただいております。

【白石委員長】 農薬の登録名がソルビタン脂肪酸エステル。ここに、物質概要の初めに、化学名の欄に書くのは農薬の化学名ということになっているので、それを書いたということですか。それなら、構造式をもう少し細かく書く必要があるかもしれないというご指摘だと思います。
 そういうことですか、山本委員。あるいはC10、ソルビタンのどれを試験物質にしたのか。Cだったのか、Aだったかというのは、Cなのですかね。

【山本専門委員】 Cかと思ったのですが、Cではない。逆に言うと、そこがすごく気になったのですけど、Cだったら、Cのうちの、ある炭素酸のものについて実施したということだったら、そういうのでもいいのかなと思ったので、発言させていただいたのですが。

【白石委員長】 物性は、混合物の物性値。試験物質について、ここには何も書いていない。毒性のところには、原体と書いてあります。試験は原体で行っていますけど、この原体というのが混合物ではないのですか。

【秋山係長】 すみません、失礼しました。いま、試験成績を確認しまして、各毒性試験に使われている試験物質の名称については「ソルビタン脂肪酸エステル」で、その略称については、レオドールSP-L10と記載されています。こちらについて調べましたところ、レオドールSP-L10とはソルビタンラウレートのことでしたので、各種物性についてはソルビタンラウレートを調べて追記したところです。

【白石委員長】 よく分からない、すみません。ソルビタンラウレート自体もいろいろなものになる可能性があると。いわゆるソルビタンがCなのですか。ソルビタンのラウリン酸エステルとしても、OHがいっぱいあるので、どこにくっつくか分からないですね。普通の混合物だろうと思いますし、モノラウレートでなく、ジラウレートもあるかもしれないので、それが製品の原体を試験したというならば、ソルビタンラウレートを主成分とする混合物の試験ではなかろうかと思います。そういうことではないですか。
 33ページのCの構造式の、この位置に結合したラウリン酸エステルではないような気がいたします。この試験物質、混合物と思いますけれども、単品だとしても、そこから外挿できるということでよろしいですか。とりあえず、この試験成績を使って評価はできるということで、その試験物質の情報とか、もちろん物性の情報、あるいは構造式の書きぶりについては補足が必要と感じますが、それらを除いて、試験結果についてはご了承いただけるものと、ソルビタン脂肪酸エステルの評価に代え得る試験として認められるということでよろしいですか。それから、この試験物質に関する情報をもう少し正確に書いたほうがいいと思います。

【秋山係長】 はい、分かりました。

【白石委員長】 あと、ミジンコのところの実測濃度は、多分超えるような回答ですか、もう一回ご確認いただくということでよろしいでしょうか。

【秋山係長】 分かりました。

【赤松臨時委員】 すみません。赤松です。

【白石委員長】 どうぞ。

【赤松臨時委員】 構造式のところにA、B、Cと書いてあり、下にはソルビトール、ソルバイド、ソルビタンと書いてあるので、それぞれA、B、Cがどれかというのは、やはり入れていただいたほうがよいと思いますけど。

【白石委員長】 そうですね。構造式のところ、もう少し親切に書いたほうが分かりやすいですね。A、B、Cの混合物と書いてある。

【赤松臨時委員】 それから、もう一つ。次のソルビタンラウレートのオクタノール/水分解係数の値が3.15-6.10になっているのですけれども、次のページ、34ページですが、これ、計算値と下に書いてあります。このように幅広いのはなぜなのか、教えていただきたいのですけど。

【秋山係長】 こちらの情報については、ECHAのデータから持ってきたものでして、QSAR(定量的構造活性相関)からの算出値という情報以外は詳しいことが書いていなかったので、正確なことについては申し上げられない状態です。

【赤松臨時委員】 ただ、一つの化合物だったら、一つの値になるかと思うものですから。混合物で幾つか計算したというのだったら、分かるのですけども。

【白石委員長】 ご指摘、ありがとうございます。私も受けていますが、ECHAのデータを参照して、ここに載せたことは1回ありましたでしょうか。かつてここに、評価書に1回載せたような気もするのですが、参考として、純粋に参考として。

【秋山係長】 はい、物化性に関する情報が足りないものについては、事務局でお調べして追記したことはございます。

【白石委員長】 1回、私も記憶があるのですが、それはもう本当に参考として、という形にしたような気もするのですが。

【秋山係長】 はい。

【白石委員長】 「参考」としたほうがよいと思います。

【秋山係長】 はい。

【白石委員長】 農薬抄録にはないのですね。

【秋山係長】 物化性については、表を二つ記載しておりまして、下の表については事務局で調べたものになりますので、抄録に記載されているデータというわけではありません。

【白石委員長】 そうですね。これは「参考」としたほうがよろしいかと思います。

【秋山係長】 分かりました。

【白石委員長】 ソルビタンラウレートと書いてありますけど、これが何を指しているのかよく分からないということがございますので、いわゆるソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンラウレートと同じような混合物。
 では、農薬としてのソルビタン脂肪酸エステルの毒性としてはお認めいただくということでよろしいですね。
 あと、水産PECのほうはよろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 特にご意見がないようですので、総合評価は、オオミジンコの急性遊泳阻害試験の48hEC50が143μg/Lになっていますが、不確実係数10で除して、登録基準値(案)を14μg/Lとするということよろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 特段、ご意見、ご異論はないようですので、総合評価、基準値について、お認めいただいたということにさせていただきたいと思います。
 あと、評価書の書き方については、もう少し工夫が必要と思われますので、少し工夫していただきたいと思います。お願いします。
 ほか、コメントはございますか。

(発言なし)

【白石委員長】 ないようでしたら、以上で水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準の設定についての審議を。

【内田専門委員】 ちょっといいですか。

【白石委員長】 どうぞ。お名前をどうぞ、つながりません。ちょっと聞こえません。

【秋山係長】 聞こえますか。

【白石委員長】 聞こえます。

【秋山係長】 すみません、いま回線のトラブルが発生したので、少々お待ちください。

【白石委員長】 ほかにご意見がなければ、10分間、休憩に入りたいと思いますが。

【内田専門委員】 ちょっといいですか。内田ですが、1点だけ確認です。

【白石委員長】 内田委員ですね。

【内田専門委員】 少し遡るのですけど、スピネトラムの抄録を見ると、水濁性試験成績の0.0005 mg/L未満というのは、L体とかJ体のみなのですよ。本来は、合算しないといけないのではないですか。30ページ。

【秋山係長】 スピネトラムのデータでしょうか。

【内田専門委員】 これは、0.0005 mg/L未満と書いてあるのは、L体だけではないでしょうか。本来はL体とJ体の合算値を算出しないとだめなのではないですか。

【秋山係長】 そうですね。はい。

【内田専門委員】 そうすると、数値が変わってくるような気がします。

【秋山係長】 分かりました。こちらの値についても、合算値ということで修正して、再計算したいと思います。

【内田専門委員】 ちょっと抄録を確認してください。

【秋山係長】 はい。すみません。ありがとうございます。

【白石委員長】 ご指摘、ありがとうございました。でも、これは全部、検出下限値以下なのですかね。それを合算してということなので、よろしくお願いいたします。
 ほか、よろしいですか。よろしければ、ここで10分間休憩に入りたいと思います。どうでしょうか。15時50分に再開ということで、お願いします。

(15時40分 休憩)

(15時50分 再開)

【野口係員】 それでは、水濁の評価書の説明に移ってよろしいでしょうか。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【野口係員】 事務局のほうで回線のトラブルがありまして、失礼いたしました。
 それでは、資料6、水質汚濁に係る農薬登録基準値についてご説明させていただきます。
 資料をお示しします。
 資料6が表示されているかと思います。

【白石委員長】 はい、大丈夫です。

【野口係員】 資料6をご覧ください。水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料でございます。今回は最初の1ページ、こちらにお示しの5剤についてご審議をいただきます。最後のベンズピリモキサンは新規剤となっておりまして、ほかは既登録となっております。
 さっそく1剤目、クロルピクリンです。以降、ページ番号は、ページ下部に記載の数字でご説明いたします。まず、物質概要ですが、1ページ目の表に記載させていただいたとおりでございます。
 作用機構等ですが、クロルピクリンは、殺虫、殺菌、除草効果を有する土壌くん蒸剤でして、生体組織のSH基を有する酵素活性を阻害することにより、土壌病害虫、雑草等に効果を示すものと考えられています。
 初回登録が1948年、適用農作物等は陸稲、麦、雑穀、果樹、野菜、いも、豆、樹木、花き等となっております。
 本剤は、土壌くん蒸剤です。
 続いて、次のページですが、各種物性等はこちらに記載のとおりとなっております。
 その下、一日摂取許容量(ADI)ですが、食品安全委員会は、平成30年12月25日付で、クロルピクリンのADIを0.001 mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。
 この値は各試験で得られた無毒性量の最小値0.1 mg/kg体重/日を安全係数100で除したものとして設定されております。
 続いて、3ページ目に移りまして、水濁PECですが、今回、稲の適用は陸稲のみとなっておりますので、非水田での2段階目の算出を行っております。こちらにお示しのとおり、適用農作物等を果樹及び桑、同じ条件となっておりまして、99.5%のくん蒸剤、当該剤の単回・単位面積当たりの最大使用量ですが、30㎝四方の面積に1回薬剤を注入するということで、10a当たり11,111穴に使用し、mLに直しますと、こちらの値となっております。
 地上防除、土壌くん蒸、1回使用としまして計算したところ、単回・単位面積当たりの有効成分使用量が、こちらの数字となっております。
 河川のドリフトを0としまして、地表流出寄与分を計算したところ、PECとしましては、0.00032 mg/Lが結果となっております。
 また、登録基準値の案ですが、ADIの0.001 mg/kg体重/日をもとに、こちらの計算式より算出をしまして、登録基準値は0.002 mg/Lを案としてお示ししております。
 リスク評価ですが、水濁PECは0.00032 mg/Lであり、登録基準値(案)を超えないことを確認しております。
 また、資料7ですが、クロルピクリンにつきましては、非水田Tier2の結果が登録基準値(案)の10分の1の値を超過しておりますので、モニタリングの対象とすべき剤であると整理したいと考えております。
 クロルピクリンについてのご説明は以上です。

【白石委員長】 では、ただいまの基準値につきまして、ご意見をいただいていいですか。毒性について、コメントがございましたらお願いします。

【浅野臨時委員】 浅野です。聞こえますか。

【白石委員長】 はい、聞こえます。

【浅野臨時委員】 クロルピクリンですけども、この各種毒性試験で見られた毒性所見の主なものは、ラット、マウスの前胃ですね。前胃で粘膜上皮の過形成、角化亢進、それから様々な動物種で貧血が認められております。この剤は非常に刺激性が強く、恐らく経口投与した場合の前胃に表皮の障害が生じて、それによる過形成、そして角化亢進が認められていると考えられています。
 また、マウスの発がん性試験でも、扁平上皮の良性腫瘍又はがんの発生が認められております。そのほか、マウスでは細気管支の肺胞腺腫、それから、がん、ハーダー腺腫、こういったものが認められておりますけども、遺伝毒性が認められておりませんので閾値が設定できます。
 最終的にNOAEL(無毒性量)が一番下がったものが、イヌを用いた慢性毒性試験で、イヌでも小核症状が出てきますので、それの嘔吐を指標にして、それが認められない1 mg/kg体重/日を指標としましてADIが設定されています。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。ご意見、PECについて、よろしいですか。製剤密度を1 g/mLとしているということですが、これは妥当ですか。「各種物性」欄では密度1.7g/cm3になっていますが。

【野口係員】 少々お待ちください。
 密度の件ですが、確かに本剤は密度が非常に重い剤となっておりまして、1 mL/gとする点について、少々お待ちいただいてよろしいでしょうか。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【野口係員】 お待たせいたしました。密度について、ご指摘のとおり、本剤1.7と重いところではあるのですが、これまでほかのくん蒸剤やほかの剤についても一律密度を1として計算してきたところでございまして、今回も1として計算させていただきたいと思うのですが。

【白石委員長】 ほかの剤の密度は、どのくらいだったのですか。

【野口係員】 重いものについて確認させていただきたいと思いますので、小委後に確認させていただきたいと。

【白石委員長】 そうですね。1.7倍になっても、評価には係わらない。

【野口係員】 そうですね。実際1.7倍になりますと、単純計算で1.7倍になりますと、2倍近くなって。

【白石委員長】 超えないですね。

【野口係員】 はい、超えないと思います。
 先ほど、説明を漏らしたところが1点ありますので、説明させていただきます。
 今回、資料7で、Tier 2(第2段階)のPECに、事務局算出値の記号をつけさせていただいておりますが、この事務局算出値の根拠としまして、検出されている土壌残留性試験の結果から、土壌中半減期15日という値を事務局で計算しておりますので、申請者からはまた少し違う値が提出されておりますが、こちらは事務局算出値を採用して、計算させていただいた結果となっております。
 以上となります。

【白石委員長】 分かりました。PECの密度の扱いについては、稲生委員、何かコメントはございますか。

【稲生専門委員】 稲生です。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【稲生専門委員】 過去に、水産か水濁か記憶していないのですが、同じ土壌くん蒸剤で、1,3-ジクロロプロペン(D-D)の評価をしたときにどうしたかということなのですけど、恐らく密度換算をしていなかったのではないかと思います。それも、基準値との関係性で、あまり問題がなければというところで、密度のことは特に考慮されていなかったと思います。今回の場合は2倍近くになりますので、例えば1.5倍以上になった場合は密度換算をするとか、そういった必要性があるのかを、ここで皆さんに検討していただくのもよいかなと思っております。
 以上です。

【白石委員長】 分かりました。それでは今回は、過去の事例を調べていただいて、判断したいと思います。

【野口係員】 過去のもの、確認いたします。

【白石委員長】 今後の課題については、確認作業の後に決めていただきたいと思いますが、とりあえず、リスク評価は以上で進めさせていただきたいと思います。今後の課題については、事務局に少し検討していただきたいと思います。

【稲生専門委員】 稲生ですけど、あと1点よろしいでしょうか。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【稲生専門委員】 PECが基準値に近接している。近接の度合いとしては、水濁ですので、それほどではないのですが、このクロルピクリンについては、実際に河川水や環境水中での分析法がありません。4ページの中段にある水質管理目標設定項目の表で「なし」と書いてあるのは、分析できないから「なし」としてある。モニタリングの対象になっても、現状では分析できないので、その辺りの取り扱いも含めて検討するということで、事務局、よろしいですか。

【野口係員】 はい。稲生先生、ありがとうございます。分析できないとのことですので、それも踏まえた上で、モニタリングの対象剤の一覧に加えるかどうか検討させていただきたいと思います。

【白石委員長】 ほかの委員の方、いかがでしょうか。

【細見委員】 細見です。聞こえますでしょうか。土壌中の半減期が、事務局が求めたものと、申請者によるものとで、違うという表現があったと思いますけど、具体的には、どうだったのですか。

【野口係員】 申請者から今回得られている半減のグラフは、かなりがたついたグラフとなっておりまして、申請者はそのうち部分的に解釈したのか分からないのですが、土壌中半減期5日という結果を算出しております。

【細見委員】 その5日よりは、事務局が今回算定したほうが長いので、だから安全側というか、それを見ているということですね。

【野口係員】 そのとおりでございます。

【細見委員】 そもそも土壌中の半減期について、分解が一次反応で示せるものなのかどうか分かりませんが、そういうときには、参考資料でもいいので、元のデータを1回見せていただきいと思います。元のデータがあれば、今後参考になるかと思います。
 以上です。

【野口係員】 ご指摘ありがとうございます。

【白石委員長】 どうしますか。これは公開の場なので、出せるデータは参考として出していただければと思います。

【野口係員】 そうですね。机上配布か事後の共有という形で、データをお示ししたいと思います。

【白石委員長】 はい。では、そういう形でお願いします。
 ほかに、ご意見はありますか。
 では、密度の件と分析基準の件、少し宿題が残りましたが、登録基準値(案)は0.002 mg/Lで、リスク評価としては、水濁PECは基準値(案)を超えていないということで、よろしいでしょうか。
 では、若干検討いただいて、必要な場合には、精査していただくようにいたします。
 では、その次のジクワットをお願いします。

【野口係員】 続いて、ジクワットです。
 まず初めに、最初の資料3、諮問書のところでご説明しましたが、本剤の基準値対象設定の剤の名前につきまして、今回諮問の時点では、ジクワットジブロミドまたはジクワットとして諮問されております。
 一方、農林水産省から環境省に送付された農薬登録基準の設定依頼及び食品安全委員会の評価書では、本剤の名称はジクワットとされていることから、今回水濁基準の設定においても、単にジクワットとして基準の設定をいただきたいと思います。実際、構造式としまして、ジクワットにはブロモが二つついた構造をしておりまして、ジブロミド体、ブロモが二つついたものをジクワットと呼んでおります。この件について、ご意見等はございますか。
 特にないようでしたら、ジクワットとして基準値の設定をさせていただきたいと思います。
 それでは、内容についてご説明させていただきます。
 まず、物質概要ですが、こちらにお示しのとおりとなっております。その下に注書きとして記載してありますが、食品安全委員会による食品健康影響評価では、本農薬の一日許容摂取量がジクワットイオン換算値として設定されていることから、水濁基準についてもジクワットイオンとして基準値を設定することとしたいと思います。ジクワットイオンといいますのは、ブロモが二つとれたもののイオンの構造を指しております。
 作用機構等ですが、ジクワットは、ビピリジリウム系の非選択性接触型の除草剤でして、作用機構としましては、茎葉面から吸収されたジクワットイオンが、光合成における電子の励起・伝達によって還元を受けてフリーラジカルとなり、さらに酸素によって酸化されてジクワットイオンに戻る際に生じる過酸化物が植物細胞を破壊することで、除草効果を示すと考えられております。本剤は、植物の地上部を即効的に枯死させます。
 初回登録は1963年。
 製剤は液剤が、適用農作物等は稲、麦、雑穀、果樹、野菜、いも、豆、花き、樹木等がございます。
 輸入量は、お示しのとおりです。
 各種物性等につきましても、こちらの表にお示しのとおりとなっております。
 安全性評価ですが、食品安全委員会は、令和元年10月8日付で、ジクワットのADIをジクワットイオン換算値で、0.0058 mg/kg体重/日と設定する通知を厚生労働省に通知しております。
 この値は各試験で得られた無毒性量の最小値0.58 mg/kg体重/日(ジクワットイオン換算値)を安全係数100で除して設定されております。
 水濁PECですが、適用のうち、稲と、水田と非水田それぞれありますので、それぞれについて算出を行っております。まず水田第1段階ですが、稲への適用、7%の液剤としまして、こちらの10a当たり1,000mLを使用する、雑草茎葉散布の条件で算出を行っております。こちらの375の値がジクワットイオン換算値となっております。
 また、非水田としましては、第1段階で果樹への適用とし、31.8%液剤を10a当たり500mL/使用する、総使用回数を5回として計算を行いまして、こちらもジクワットイオン換算値で851 g/haの使用量となっています。

水濁PECの算出結果ですが、こちらの表にお示しのとおりの結果、0.00151 mg/LがPECの結果となっております。
 また、農薬登録基準値の案ですが、ADI、0.0058をもとにこちらの計算式で計算をしまして、0.015 mg/Lを登録基準値の案としてお示ししております。
 リスク評価ですが、水濁PECは0.0051であり、登録基準値(案)を超えないことを確認しております。
 また、資料7ですが、ジクワットにつきましても、お示ししたTier 1のPECが基準値の10分の1を超えておりますので、事務局にてTier 2の水田PECを計算したところ、Tier 2と非水田Tier 1の合計値が基準値の10分の1を超えないことを確認しております。したがって、モニタリングは不要であると考えております。
 説明は以上となります。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、毒性の面からコメントをいただけますでしょうか。

【浅野臨時委員】 はい。ジクワットで認められた主な所見は、体重の増加抑制、それからラットで舌と口蓋の炎症、さらにマウスでは腎臓の尿細管の毒性所見が認められています。
 また、ラットやイヌで、目の白内障が認められております。この白内障のメカニズムについては、論文レベルですけど、ウサギの硝子体にジクワットを投与した場合に、これのフリーラジカル体が生成されて、生じた過酸化水素によって白内障が誘発されるというのがあるのですけども、実際に申請者が詳細に行った実験では、特にアスコルビン酸とかGSHがその投与部位にも残っているということで、まだ詳細なメカニズムはよく分かっていません。そして、発がん性、遺伝毒性等はありません。最終的に、ADIの設定根拠としましては、ラットの2年間の発がん性試験で、やはり白内障が認められなかったNOAEL、これを根拠にしてADIが設定されています。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 では、コメント、ご意見をお願いします。
 これは、先ほどの密度の話ではないですけど、密度1.6と書いてありますが、これはブロムが重いので、イオンの場合には、この製剤密度を1.0 g/mLとしての換算でいいと思いますが、コメントはいかがでしょうか。

【稲生専門委員】 稲生です。事務局に確認していただきたいのですけども、7ページで水田使用時のPECを計算されています。稲に適用があるということだったのですが、恐らくこれは、水稲の栽培時期には使われずに、例えば入水前の適用などであり、入水時には使えないのかと思っていたのですけれども、そういう適用があるのでしょうか。

【野口係員】 事務局です。ご指摘ありがとうございます。使用時期について確認をした上で、再度修正について確認させていただきたいと思います。

【稲生専門委員】 じかまきで使える。水田直播で。

【野口係員】 いま、水田直播で使えるという情報がありましたので。

【稲生専門委員】 あの、直播で入水までに使用するとして、いまの農水省のTG(テストガイドライン)だと、14日以内に水を入れたら水田PECを算出するとなっているので、それに該当するという、そういう理解でよろしいでしょうか。

【野口係員】 そのとおりでございます。

【稲生専門委員】 ありがとうございます。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、これは、修正は必要ない。
 ほかにコメントはいかがでしょうか。
 ないようでしたら、一日許容摂取量の表に、登録基準値(案)を0.015 mg/Lとするということで、水濁PECは基準値(案)を超えていないということで、それから、水濁PECと基準値(案)は近接していますが、Tier 2の水濁PECを計算したところ、PECが基準値(案)超えることはないため、モニタリングの対象としないということで、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、基準値(案)は、ご承認されたとさせていただきます。
 次、お願いします。

【野口係員】 それでは3剤目、セトキシジムについてご説明いたします。
 物質概要につきましては、こちらにお示しのとおりとなっております。
 作用機構等ですが、セトキシジムは、シクロヘキサンジオン系の除草剤でして、作用機構は、植物体内の脂肪酸生合成に関与する酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼの活性を阻害するものと考えられています。 
 1985年に初回登録されております。
 製剤は乳剤とし、雑穀、野菜、いも、豆、花き、樹木、いぐさ等が適用農作物として登録されております。
 国内生産量は、こちらにお示しのとおりです。
 各種物性等につきましても、こちらにお示しのとおりとなっております。
 安全性評価ですが、食品安全委員会は、平成30年12月4日付で、本剤のADIを0.088 mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を通知しております。
 この値は各試験で得られた無毒性量の最小値8.86 mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 PECの算出ですが、今回、水田作物であるいぐさに対しての適用がありますので、水田PECをいぐさへの適用について算出しております。
 お示しのとおり、20%乳剤を10a当たり200 mL使用としまして、3回使用で計算を行っております。
 また、非水田の条件としましては、樹木への適用としまして、20%乳剤を10a当たり1,000 mL使用として、こちらの条件で算出を行っております。
 結果ですが、こちらにお示しのとおり、水田使用時、非水田使用時の合計値としまして、0.016 mg/Lを水濁PECとして算出しております。
 総合評価ですが、ADI、0.088をもとに、こちらの計算式をもとに、0.23 mg/Lを登録基準値の案としてお示ししております。
 水濁PEC、0.016は基準値を超えていないことを確認しております。
 また、こちら、旧水濁基準が設定されておりますが、当時のADI、0.14という値がございましたので、いまよりもおよそ2倍掛ける10倍、20倍ほど高い基準値が設定されております。
 説明は以上となります。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、セトキシジムにつきまして、毒性の面からコメントをお願いいたします。

【浅野臨時委員】 セトキシジムの毒性影響としましては、主に肝臓の重量ですとか肝細胞肥大、それから肝細胞脂肪変性等、それから体重の増加抑制と、イヌで貧血が認められております。この肝臓の変化は薬物代謝酵素誘導によるものということが示唆されています。
 ほかに遺伝毒性、それから発がん性等は認められておりませんので、イヌを用いた1年間の慢性毒性試験で認められた肝臓の変化を指標としまして、ADIが設定されております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、コメント、ご質問、ご意見をお願いします。
 水濁PECもよろしいですか。
 特にご意見ないようですので、総合評価、登録基準値(案)を0.23 mg/Lとするのと、水濁PECは0.016 mg/Lであり、基準値(案)を超えていないということで、お認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、本剤につきましては、事務局案どおりとさせていただきます。
 次、ペルメトリンをお願いします。

【野口係員】 4剤目、ペルメトリンについてご説明いたします。
 物質概要は、こちらにお示しのとおりとなっております。
 作用機構等ですが、ペルメトリンはピレスロイド系の殺虫剤でして、昆虫の神経細胞膜のナトリウムチャンネルに作用して持続的に脱分極を生じさせ、神経機能を撹乱することにより殺虫作用を示すと考えられております。
 初回登録は1985年です。
 粒剤、水和剤、乳剤、液剤、エアゾル剤、マイクロカプセル剤が登録されており、適用農作物等は麦、雑穀、果樹、野菜、いも、豆、飼料作物、花き、樹木、芝等となっております。
 国内生産量は、こちらにお示しのとおりです。
 各種物性等につきましても、こちらにお示しのとおりとなっております。
 安全性評価ですが、食品安全委員会は、令和元年5月21日付で、ペルメトリンのADIを0.05 mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働大臣に通知しております。
 この値は各試験で得られた無毒性量の最小値 5 mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 続いて、水濁PECの計算ですが、本剤、非水田のみの適用となりますので、非水田第1段階で計算を行っております。
 果樹を適用とし、20%の乳剤で10a当たり700mL使用、5回使用としまして、計算結果ですが、こちらのとおり、0.00011 mg/Lが水濁PEC算出結果となっております。
 また、登録基準値の案ですが、ADI、0.05をもとに計算を行いまして、0.1 mg/Lを登録基準値の案としてお示ししております。
 リスク評価ですが、水濁PECが登録基準値(案)を超えていないことを確認しております。
 また、旧水濁基準が設定されておりますが、こちらは当時0.048で、ほとんど同じ値が設定されておりまして、そちらをもとに、10倍高い基準値が設定されております。
 ご説明は以上となります。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、ペルメトリンにつきまして、毒性の面からコメントをお願いいたします。

【浅野臨時委員】 ペルメトリンに関しましては、毒性の特徴としましては、大量投与で神経系の異常、これは剤の特徴だと思いますけども、振戦等の神経系異常が認められています。それから、体重の増加抑制、肝臓では重量増加の所見がラットで認められております。
 また、副腎で皮質限局性の変性と壊死が、認められています。
 マウスの発がん性試験において、肝臓と肺で良性腫瘍の発生頻度増加が認められておりますけれども、肝臓では、PPARαの活性化で肝細胞の増殖が亢進してきますので、ヒトに外挿されない変化です。
 また、肺はクララ細胞の代謝が異常を起こして腫瘍化したのではないかという考察がされていますけれども、詳細は不明です。
 いずれにしても遺伝毒性はありませんので、イヌの長期の試験で認められた毒性変化、副腎皮質の変性等についてのNOAELが一番小さい数字になりますので、これを根拠としてADIが設定されています。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。ご意見、ご質問はありますでしょうか。
 水濁PECはよろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 いいですか。特にご意見がないようでしたら、登録基準値(案)はADIをもとに0.1 mg/Lとし、水濁PECを事務局案どおりということにさせていただき、水濁PECは基準値(案)を超えない、ということにさせていただきます。
 では、次に、ベンズピリモキサンをお願いします。

【野口係員】 最後、5剤目、ベンズピリモキサンについてご説明いたします。
 こちらは新規剤となっておりまして、こちらは令和元年5月8日付の農林水産省からの事務連絡にて、優先審査の対象として指定された農薬となっております。優先審査の対象とされた理由としましては、新規の作用機作を持つこと、適用病害虫の範囲及び使用方法が類似する既登録の農薬と比較して、人畜や水産動植物への毒性が十分低いことが理由となっております。
 資料に戻りまして、まず物質概要ですが、こちらにお示しのとおりとなっております。
 作用機構等ですが、ベンズピリモキサンは、新規骨格を有する殺虫剤であり、詳細な作用機構は不明であるが、水稲ウンカ類幼虫・ツマグロヨコバイ幼虫に特異的に脱皮異常を引き起こすことにより、殺虫効果を示すことがわかっております。
 未登録の新規剤となっておりまして、稲を適用とする粉剤、水和剤が登録申請されております。
 各種物性等は、こちらにお示しのとおりとなっております。
 ADIですが、食品安全委員会は、令和2年1月28日付で、ベンズピリモキサンのADIを0.026 mg/kg体重/日と設定する結果を厚生労働省に通知しております。
 この値は各試験で得られた無毒性量の最小値2.68 mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 水濁PECの算出ですが、今回、適用が稲となっておりますので、水田PECの算出を行っております。
 適用、稲、0.5%の粉剤を使用しまして、10a当たり4,000g、3回を使用しまして、計算結果は第1段階(Tier 1)で、0.0080 mg/Lとなっております。
 また、登録基準値ですが、0.026をもとに計算を行いまして、0.069 mg/Lを登録基準値の案としてお示ししております。
 こちら、水濁PECが基準値の案を超えないことを確認しておりますが、資料7に移りまして、ベンズピリモキサンにつきましても、非水田Tier 1のPECが基準値の10分の1を超過しておりますので、事務局にてTier 2の水濁PECを算出したところ、こちらの0.000061 mg/Lとなりましたので、モニタリングが必要のない剤として考えております。
 事務局からの説明は以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、毒性の面からコメントをお願いします。

【浅野臨時委員】 本剤投与による毒性所見の主なものとしては、体重の増加抑制、貧血、それから肝臓の肝細胞肥大や肝重量の増加が挙げられます。それからラットとマウスに限ったことですけれども、腎臓の尿路系の結晶形成による閉塞性腎症、並びに腎盂上皮過形成といった変化が認められております。
 詳細な検討の結果、ラットでは、イヌやヒトに比べて尿の濃縮率が高く、代謝物M5が濃縮されて結晶化し、障害を引き起こしたものと考えられています。
 イヌでは、この濃縮による結晶が生じないため、腎臓に毒性は現れなかったということで、ヒトにおいても、その代謝経路を考えますと、イヌに類似したものと考えられ、閉塞性腎症等の可能性は低いと考えられています。
 そのほか、神経毒性、発がん性、遺伝毒性等は認められておりません。
 最終的に、イヌを用いた長期間の試験で、肝臓の肝細胞のわずかな変化が認められなかった量、これを根拠としましてADIが設定されています。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、ベンズピリモキサンの基準値(案)につきまして、ご質問、ご意見をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。

【稲生専門委員】 稲生です。23ページの水濁PECの算出ですが、PEC自体に問題はないと思うのですが、表の右側の各パラメータの値のIですね、単回の成分量で、一番下に「製剤の密度は1g/mLとして算出」と書いているのですけど、今回の場合は粉剤ですので、不要ということでお願いします。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございます。
 では、削除をお願いします。

【野口係員】 はい。修正させていただきます。

【白石委員長】 ほか、いかがでしょうか。
 それでは、24ページの総合評価をご確認いただきたいと思いますが、登録基準値(案)を0.069 mg/Lとするということで、水濁PECは基準値(案)を超えていないということです。先ほどご指摘の部分を削除した上で、これは事務局案どおりとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、ベンズピリモキサンについては登録基準値(案)を0.069 mg/Lにするということでご承認いただいたことにさせていただきます。
 以上で、水質汚濁に係る農薬登録基準の設定についての審議を終了します。
 事務局より、本件に関する今後の予定について説明をお願いします。

【野口係員】 今後の予定ですが、本日ご了解いただきました農薬の登録基準値(案)については、行政手続法の規定に基づき、今後パブリックコメントを1か月ほど実施させていただきます。その結果、もし何か修正等を求める意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うかどうかご相談をして、ご判断いただくことにしたいと思います。再審議の必要がない場合には部会長の同意を得て、農薬環境審議会長に部会決定として報告を行い、さらに会長の同意を得られれば中央環境審議会決定として環境大臣に答申いただくことになります。
 そして答申後、基準値を告示させていただきます。
 また、今回水濁基準でご審議いただいたベンズピリモキサンにつきましては、前回1月の小委でイプフルフェノキンという優先審査対象剤がございましたが、そのときと同様に優先審査対象となっていることから、パブリックコメントの募集が終わり次第、速やかに次回の小委員会の報告を待たず告示の手続をとらせていただきたいと思いますので、ご了承願います。
 パブリックコメントで何か修正等を求める意見が寄せられた場合には、委員長に採用についてご相談させていただきたいと思います。
 水産基準、水濁基準でご審議いただいた剤については、通常どおり、次回の小委員会にてパブコメの募集の結果をご報告させていただきます。
 以上となります。

【白石委員長】 今後の予定につきまして、何かご質問はございますか。
 ないようでしたら、次に、議事(3)「その他」に移ります。
 案件は1件です。事務局より説明をお願いします。

【野口係員】 画面に資料8が表示されていますでしょうか。
 資料8から10についてご説明いたします。
 昨日お送りした電子メールに資料8~10をまとめた資料がございます。
 本件は1月10日に開催した第73回の農薬小委員会で審議されました水産基準及び水濁基準についてパブリックコメントを募集した結果の回答案となっております。
 まず、資料8ですが、水産基準のほうで2件、基準に関するご意見が寄せられました。こちらですが、まず1件目のご意見としましては、水産PECの算出に関して、PECを算出する地点よりも農薬濃度の高い地点に関する影響へのご意見と、複合影響に関するご意見となっています。
 冒頭の出だしが「水濁」となっておりますが、「水産」PECに関して回答を作成しております。回答としましては、水産PECの算出に関する基本的な考え方というものと、複合影響に関する現時点での状況について回答しております。
 続いて、二つ目のご意見ですが、画面上で表示するには少し長くなるのですが、ご意見としましては、農薬の毒性影響に関するご意見と複合影響に関するご意見となっております。
 回答としましては、毒性影響の評価に関する基本的な考え方と複合影響については一番目の質問と同じ回答を記載しております。
 資料8については以上となります。
 続いて、資料9ですが、今回意見が長くなっておりますので、メールから開いていただいた個別の資料をご覧いただいたほうがよろしいかと思います。
 資料9ですが、こちらは前回ご議論いただいた優先審査対象剤イプフルフェノキンについて個別にパブリックコメントの募集を行った結果となっております。
 ご意見が1件寄せられまして、ご意見としましては、先ほどの水産の一番目の質問と同じ、水濁PEC算出時における農薬濃度の高い地点についての考え方に関するご意見と、複合影響に関するご意見となっております。
 回答としましては、やはり水濁PECの設定に関する基本的な考え方と複合影響に関する現時点での状況について回答しております。
 続きまして、最後に資料10、こちらは水濁でご審議いただいた剤のうち、ほかの4剤についてパブリックコメントを募集した結果となっておりまして、ご意見が2件寄せられております。1件目は、先ほどまでのご意見と同じ内容となっておりますので、回答も同じ内容で作成しております。
 二つ目のご意見ですが、複数の農薬の安全性に関するご意見となっておりますので、複合影響に関する評価の考え方について回答を作成しております。寄せられたご意見と回答案については以上となります。
 今後の流れですが、今後、省内での手続をいたしまして、基準値を定める告示と今回ご確認いただいたパブリックコメントの回答を同日付で公布・公開することとなっております。
 説明は以上でございます。

【白石委員長】 では、ただいまの説明について、ご意見、ご質問がありましたら、お願いします。
 よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 ちょっと反応が見えないので確認なのですが、よろしいようですので、パブリックコメントの結果につきましては、これで公表することとします。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 それでは、本日の審議がひととおり終了しましたので、その他、本日の審議の全体につきまして、何かご意見、ご質問はございますか。

【五箇臨時委員】 すみません、五箇です。
 先ほど冒頭で、ハチの生態影響評価のところですけれども、山本委員からご指摘があったとおり、0.4とする根拠ですね。その原文というのが、米国のFIFRA(連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法)科学諮問委員会に提出されているレポートです。2012年に提出されているこのレポートの中で、先ほど山本委員からご指摘があったとおり、実際のところはこういった基準値の幅というのはありまして、一番厳しいところの0.12から、一番緩いところの0.64ぐらいまでの幅がある。この中間値が0.40ということで、このレポートの原文を読んでも、やはり何の根拠もなく中間値をとる、としか書いていないのですね。
 それで、農水省のガイドラインでは、その数字だけを抜き出して、0.4という数字をいま入れているという状態なので、環境省もそれを受けて、ここで0.4という数字を採用しているという状態になっています。

【白石委員長】 事務局でその辺の資料をまとめていただけますか。今後の議論の対象になるかもしれませんので。

【五箇臨時委員】 何というか、要はアメリカに右ならえ、で入れた数字が0.4ということです。有り体に言えば、それが内情ということです。

【白石委員長】 はい。その元データを含めて、少し検討したほうがよいと思いますので、資料をまとめていただければと思います。
 ほか、ご意見はありますか。
 よろしいですか。
 特段、ご意見がある人は、シグナルを送ってください。

(発言なし)

【白石委員長】 ないようでしたら、進行を事務局にお返ししたいと思います。

【浜谷室長】 白石委員長、どうもありがとうございました。本日はWEB会議ということで、一時不手際が生じてしまいまして、委員の皆様にはご不便をおかけしまして大変申し訳ございませんでした。
 今年度の農薬小委員会については、本日で終了となります。
 来年度につきましては、また後日連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして、第74回土壌農薬部会農薬小委員会を終了させていただきます。
 本日は、どうもありがとうございました。