中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第72回) 議事録

日時

令和元年11月12日(火)13:30~16:35

場所

法曹会館 高砂の間

出席委員

委員長   白石 寛明

臨時委員  赤松 美紀

      浅野  哲

      浅見 真理

      天野 昭子

      小泉 弘子

      後藤 千枝

      佐藤  洋

      築地 邦晃

      根岸 寛光

専門委員  稲生 圭哉

      内田 又左衞門

      川嶋 貴治

      (敬称略、五十音順)

委員以外の出席者

環境省

 小野局長、浜谷室長、髙松室長補佐、上迫室長補佐、秋山係長、野口係員、羽生室員

オブザーバー

 農林水産省

 独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)

 国立研究開発法人国立環境研究所

議題

(1)生活環境動植物に係る農薬登録基準に関する検討状況について

   1)野生ハナバチ類の取扱い

   2)農薬の鳥類に対する影響評価について

(2)水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定について

(3)水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定について

(4)その他

配付資料

 資料1   中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿

 資料2   生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定における野生ハナバチ類の取扱いについて

 資料3   農薬の鳥類に対する影響評価について

 資料4   諮問書(写)及び付議書(写)

 資料5   水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資(案)

 資料6   水産基準値案と水産PECの関係及び基準値設定後の対応について

 資料7   水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)

 資料8   農薬登録基準の設定を不要とする農薬について(案)

 資料9   「水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準値(案)」に対する意見募集の結果について

 資料10   「水質汚濁に係る農薬登録基準値(案)」に対する意見募集の結果について

 資料11   ゴルフ場で使用される農薬に係る平成30年度水質調査結果について

 参考資料1 農薬評価書 ブロフラニリド(食品安全委員会資料)

議事

【浜谷室長】 皆様、お疲れさまです。
 定刻には少々早いのですが、出席予定の委員の方々にはご在席いただいているということで、これから土壌農薬部会農薬小委員会第72回の会合を開催させていただきたいと思います。
 本日、水・大気環境局長の小野が陪席をさせていただく予定ですが、ただいま国会に行っておりまして、戻り次第、皆様にご挨拶をさせていただきたいと思います。とりあえずは議事を進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、座らせていただきまして、本日の委員の出席状況を報告させていただきますと、本日は細見委員、それから五箇委員、山本委員がご欠席で、また、浅野委員より遅れるとのご連絡をいただいております。
 ただし、本委員会の開催の定足数を満たしておりますことをご報告いたします。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。

【野口係員】 それでは、資料のご確認をお願いいたします。
 お手元の机上配付資料として議事次第と配付資料の一覧がございますので、そちらをご覧いただければと思います。
 タブレットに、ちょっと順番が分かりにくくなってはいるのですが、資料2から資料9までと、上側の列に資料10、資料11、それから、一番左上に参考資料1の計11種類の資料がございます。それから、机上配付資料としまして、議事次第、配付資料一覧の資料と、委員名簿の裏面が座席表になっている資料、それから、委員限りの机上配付資料としまして、机上配付資料1から4まで、4種類の資料がございます。ここまでご確認いただけましたでしょうか。
 また、スミレ色のファイルにとじた資料が置いてありますが、こちらは農薬小委員会における過去の審議で整理した考え方等をまとめたものです。適宜ご参照いただきたいと考えております。
 なお、こちらは今後も随時差しかえいたしますので、会議が終わりましたら机の上に残しておいていただきますよう、お願いいたします。
 なお、傍聴者の方々につきましては、お持ちいただいたタブレット等での閲覧をお願いいたします。昨日までに環境省ホームページで公開されなかった資料につきましては、紙資料を配付させていただいております。もしお持ちでない場合は受付までお越しください。

【浜谷室長】 それでは、議事に入らせていただきます。
 議事の進行は、いつもどおり白石委員長、お願いします。

【白石委員長】 では、議事進行を務めさせていただきます。
 皆様、本日、お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。
 初めに、本日の会議と資料の公開の扱いについてご説明いたします。
 本日の農薬小委員会は、中央環境審議会の運営方針の非公開とする理由に当たらないことから、公開とさせていただきます。また、資料につきましても公開とさせていただきます。
 次に、農薬小委員会の決議の取扱いについてご説明させていただきます。
 小委員会の設置についての土壌農薬部会決定では、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て土壌農薬部会の決議とすることができることになっています。
 したがいまして、この農薬小委員会で決定いただきましたら、土壌農薬部会の細見部会長の同意をいただいた上で、部会としての決定としていくことになります。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
 議事の1番目ですが、本日は順番がちょっと変わりますが、生活環境動植物に係る農薬登録基準に関する検討状況についての審議に入ります。
 まず、1)として、野生ハナバチ類の取扱いについて、事務局から資料の説明をお願いします。

【上迫室長補佐】 それでは、資料2及び机上配付資料1をご覧いただければと思います。生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定における野生ハナバチ類の取扱いについて、といったタイトルのものでございます。こちら、委員の先生方には事前に資料2をご覧いただいたかと思いますが、本日の説明は、机上配付資料1を用いて説明をさせていただきます。これは概要ということでございますけれども、質疑は、資料2の内容についていただければと思います。
 説明に入ります前に、こちらの野生ハナバチ類の取扱いについて、改めてご説明をさせていただきますと、本年2月の第一次答申において、後ほども説明いたしますとおり、養蜂用ミツバチにおけるリスク評価方法との整合性に留意しつつ、評価対象に加えられるか検討をすることとされていた、いわば宿題に当たるものでございます。今回、五箇先生を座長とする検討会のもとで検討を重ねまして、そのリスク評価の手法の案を提示するに至ったものでございます。
 それでは、前置きが長くなりましたが、報告書の概要、こちらのパワーポイントに基づきましてご説明をさせていただきます。
 初めに、「1. 経緯①(国際的な動向)」に関するものでございます。
 IPBES、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォームが2016年に公表しました報告書によりますと、ハチを含む花粉媒介生物は、作物生産量の5~8%を支えており、その経済効果は2,350~5,770億米ドル/年間に相当するものとされています。また、この報告書では、花粉媒介生物の減少要因の可能性として農薬を挙げております。その対応として、リスク評価に基づく農薬の管理が必要であると指摘しております。
 また、環境省においても、2017年に報告書を出しまして、これは資料2に書いてありますけれども、農薬ばく露量の把握が十分でないということも踏まえ、それも考慮して総合的に見ると、これまでの科学的知見から、農薬の影響であるということは明らかではないとしつつも、引き続き試験研究を実施している、といった段階でございます。
 続きまして、スライドの2番、「2. 経緯②(国内の動向)」をご覧いただければと思います。農薬取締法の一部改正は、もう皆さん、ご承知のとおりでございますけれども、昨年6月に改正をされまして、農薬の動植物に対する影響評価の対象が、従来の水産動植物から、陸域を含む生活環境動植物に拡大されるということが決まっております。これを踏まえ、先ほど申しました第一次答申が2月7日に出されておりまして、鳥類に加えてハチ類についても、評価対象に加えるか検討を行うべきとされております。また、それに当たっては、欧米等において、リスク評価、規制が既に行われていること、わが国の養蜂用ミツバチについて、新たにリスク評価の導入について検討が進められていること、これを踏まえて、評価対象に加えられるかを検討するということとされておりました。
 次に「3. 野生ハナバチ類の被害防止に係るリスク評価の考え方①」をご覧ください。この、今回ご提案をいたします野生ハナバチ類の取扱いについてでございますけれども、基本的な枠組みは養蜂用のミツバチ(セイヨウミツバチ)の評価方法を参考とすることとしたいと思います。評価に用いる摂餌等の基本データも、過去の蓄積が豊富なセイヨウミツバチのものを使用することとしたいと思います。
 具体的な保護目標などは以下のとおりでございますが、保護目標としては、野生ハナバチ類の蜂群・個体群が維持されること。評価対象とするハチの種は、社会性を有する在来のハナバチ類、具体的にはニホンミツバチやマルハナバチ等を想定しております。評価対象とするばく露経路ですが、外勤蜂と内勤蜂、幼虫に分けております。外勤蜂は、農薬を使用したエリアにおける直接接触、及び花粉・花蜜の摂餌によるものとしております。一方、内勤蜂、幼虫に関しては、外勤蜂が巣内に持ち込んだ花粉・花蜜の摂餌としたいと思います。評価の流れですが、これは養蜂用のミツバチ同様、2段階を考えております。第1段階では、蜂群・個体群を構成する個体に対する影響評価を行います。その第1段階においてリスクが許容できないと評価される場合には、第2段階の蜂群・個体群全体に対する評価を行うということとしたいと思います。それでもリスクが許容できないと評価される場合には、登録を不可とすることとしたいと思います。
 続きまして、次の「4. 野生ハナバチ類の被害防止に係るリスク評価の考え方②」をご覧いただければと思います。野生ハナバチ類のリスク評価は以下のa、b、cの順で実施をしたいと思います。
 まず、aですが、野生ハナバチ類の活動形態を考慮しつつ、ばく露量を推定する。そのaについては、左下にあります予測ばく露量のボックスをご覧いただければと思います。接触ばく露については、農薬付着量及び有効成分濃度から推定、経口ばく露については摂餌量及び花粉・花蜜中の農薬残留量から推定をいたします。続いてbですが、毒性試験の結果をもとに基準値を算出いたします。こちらは右下のボックスをご覧ください。ばく露量を考慮し、以下の試験成績から算出することとしたいと思います。接触ばく露については、単回の接触毒性試験、経口ばく露については、単回経口毒性試験、反復経口毒性試験を必要に応じて行いたいと思います。cにおいて、aとb、ばく露量と基準値を比較して登録の是非を判断することとしたいと思います。
 なお、基準値の設定において要求される試験につきましては、接触ばく露については、単回接触毒性試験を必須といたします。経口ばく露については、経口ばく露経路が想定される場合に試験を行うことといたします。ただし、再評価の1巡目のスキームにおいては、実施できる試験機関の受け入れ能力に限りがあることを踏まえ、次のような農薬に限り、経口ばく露試験を要求したいと思います。
 まず、単回接触毒性試験の結果、一定以上の毒性、具体的には、11μg/bee未満を有する農薬について、もう一つは、脱皮阻害等幼虫に起こす影響が懸念される昆虫成長制御剤、この二つについては、1巡目からも経口ばく露試験を要求することとしたいと思います。
 続きまして、「5. 野生ハナバチ類のばく露量の推定に係る検討の視点」でございます。こちらは、先ほどaとご紹介したものについてでございますけれども、ポイントとしては、農地がある人の生活環境の外を含む開放系の領域で広く活動する野生ハナバチ類のばく露量をどのように見積もるかということでございます。イメージとしましては下の図のとおりでございますけれども、農地を含む活動領域において、どのぐらいばく露するか、といったポイントがございます。
 これについて、次のページで予測ばく露量の算定方法を先にご説明させていただきますと、野生ハナバチ類のばく露量を推定するに当たりまして、以下を含む「ばく露確率」の概念を導入します。そして、以下のとおり、農地等での採餌確率と対象農薬の使用割合、これを掛け合わせてばく露確率とする、というふうに考えております。それで、先ほどのポイントと申しましたものの答えといいますか、我々の考え方としましては、農地等での採餌確率、これを非常に保守的に見積もっております。野生ハナバチ類の行動圏内における活動実態に関する試験が不足しているということから、現時点では保守的に100%、つまり農地等、農薬がまかれるところで全ての採餌活動を行うものと仮定して、100%と設定しております。そして、対象農薬の使用割合ですけれども、農薬の有効成分投下量、出荷量から、全ての農地に対して使用される農薬の普及率というものを推定しまして、水田が10%、非水田が5%と設定しております。つまり、10%の水田において特定の農薬が使われる、非水田であれば5%と、そういった意味でございます。こちらは、水産基準値の考え方と基本的に数字は同じでございます。
 「7. 野生ハナバチ類の予測ばく露量の算定方法②」すけれども、先ほどの6ページに戻りまして、一つ重要なことをご説明いたします。セイヨウミツバチの予測ばく露量が既に所与のものといたしまして、そこに野生ハナバチ類のばく露確率を掛けて、野生ハナバチ類の予測ばく露量とする、といった考え方でございます。
 改めまして、7.の「算定方法②」でございます。先ほど説明いたしました予測ばく露量の計算は、接触ばく露、経口ばく露ともに共通でございますが、ミツバチの接触ばく露量については、1頭当たりの農薬付着量に有効成分濃度を掛け合わせて算出をいたします。1頭当たりの農薬付着量は70nL/beeでございます。一方、経口ばく露量については、摂餌量に花粉・花蜜の農薬残留量を掛けて算出をいたします。摂餌量は、成虫が150 mg/day、幼虫が124 mg/dayとしております。一方、農薬残留量については、ご覧のとおり茎葉散布、土壌処理、種子処理によると、その使用方法によって変えております。
 続きまして、基準値の算定、先ほどのa、b、cのbに当たるところの算定に係る検討の視点をご説明したいと思います。基本的にセイヨウミツバチの毒性評価を利用するということでございますが、セイヨウミツバチと比べて感受性が高いのか、低いのかといったところがポイントとなってくるかと思います。もう一つは、野生ハナバチ類の蜂群・個体群の維持が可能な水準を、この毒性試験の成績からどのように推定するのかと、どれぐらいであれば、蜂群・個体群が維持できると言えるのか、これら2点が、ポイントになろうかと思います。
 それを踏まえまして、「9. 野生ハナバチ類基準値の算定方法」となります。Arenaら(2014)が結論したセイヨウミツバチとそれ以外の種の農薬に対する感受性に係る種間差「10」から不確実係数10を設定することで、その95%信頼区間のほとんどの場合がカバーできるであろうといった数字でございます。95%信頼区間下限値である10を不確実係数としてEUでも採用しておりますので、これを不確実係数としたいと思います。
 ②の蜂群・個体群の維持が可能な水準でございますが、欧米では、EUで10.6%、アメリカ環境保護庁(USEPA)で10%を、蜂群・個体群が維持可能な死亡率として評価指標としておりますので、これに倣いまして、わが国でも、その死亡率10%、すなわち評価指標についてLD10を採用することとしたいと思います。
 具体的には、野生ハナバチ類の基準値(LD10)を下のような数式で求めることとしたいと思います。すなわち、セイヨウミツバチの毒性値(LD50)を不確実係数10で除し、さらに、ミツバチの評価において、LD50とLD10の間には、約0.4という比例関係があるとされていますので、こちらの野生ハナバチ類についてもLD10、変換係数として0.4を採用することとしたいと思います。繰り返しになりますが、セイヨウミツバチの毒性値(LD50)を10で割って0.4を掛けるということで野生ハナバチ類の基準値を求めるというものでございます。そして、先ほどのa、b、cのスライドのように、ばく露量と基準値を比較しまして、ばく露量が基準値を下回るということであれば登録可とすることとしたいと思います。
 最後に、今後の課題でございます。ここまでは主に、その第1段階の評価についてご説明しましたけれども、第2段階の評価については、その確立には時間を要するものと考えております。すなわち、蜂群・個体群への影響を直接評価するということに時間を要すると考えておりますので、セイヨウミツバチの第2段階評価の結果をもとにした評価方法を参考としながら、専門家の意見も踏まえて、どのように評価していくのか、引き続き対応を検討する必要があるだろうと考えております。
 二つ目といたしましては、野生ハナバチ類の種ごとの不確実性です。先ほど、不確実係数10というふうに紹介をいたしましたけれども、野生ハナバチ類と一言で言いましても、いろんな種がいるということで、種間・個体間の感受性差については、引き続き試験、調査研究を進めて、将来に向けて、精緻化を図っていく必要があるのではないかと考えております。
 そして、ほ場、採餌確率の精緻化でございます。先ほど、ばく露量の計算のところで100%というふうに安全側で見積もっておりますけれども、野生ハナバチの生息領域における農薬のばく露の可能性について、引き続き調査研究を進めまして、精緻化を図っていく必要があるかと考えております。
 これらの知見を得ながら、今回は、先ほど説明させていただいたようなリスク評価手法で、まずはやってみて、知見が得られ次第、随時アップデートをしていくような形で考えているところでございます。
 事務局の説明は以上です。

【浜谷室長】 座長、進行中、申し訳ございませんが、局長の小野が到着いたしましたので、挨拶をさせていただきたいと思います。

【小野局長】 遅れて参りまして、大変失礼いたしました。水・大気環境局長の小野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の先生方、常日ごろから、農薬をはじめといたしまして、さまざま環境行政につきましてご指導・ご尽力を賜っておりまして、大変感謝いたしております。どうもありがとうございます。
 さて、昨年6月に、農薬取締法が改正されまして、これにより、来年の4月からは、農薬の動植物に対する影響評価の対象が、従来の水産動植物から、陸域を含む生活環境動植物に拡大されるという予定になってございます。本影響評価の対応につきましては、本年の2月に第一次答申を取りまとめていただきまして、水草、それから鳥類に関するリスク評価がまとまったところでございますが、先ほどご説明もいたしておりますように、野生のハチについては、養蜂用のミツバチにおけるリスク評価手法との整合に留意しつつ早急に確立し、陸域の生活環境動植物として評価対象に加えられるか、早急に検討を行う必要があるとされてございます。これを受けて、検討会を設けて議論を行ってきたところでございまして、先ほどご説明をさせていただいたとおり、一定の方向性を整理されたということで、今回、ご提案をさせていただいたところでございます。この後、ぜひご審議をお願いできればと考えております。
 また、水産基準、それから水濁基準の設定等に係る審議等についても、本日、あわせてお願いいたします。
 先生方におかれましては、本日も専門的な立場からご意見・ご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 どうも、ご挨拶ありがとうございました。
 それでは、先ほどの説明につきまして、ご意見、ご質問等がございましたらお願いします。事前に資料をご覧になっていると思いますので、そちらについてもお願いいたします。いかがでしょうか。
 また、今後の課題として、野生ハナバチの第2段階の評価と種の不確実性及び、そのばく露評価の精緻化ですね、生息域におけるばく露の可能性と、普及率も関係してくると思いますけれども、その精緻化がまだ課題として残っているけれども、一定の方向性は出たということですので、これについて忌憚のないご意見をお願いいたします。
 今日、五箇先生がお休みなもので、経緯を説明していただけないのですが、どうぞ。いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 ご説明ありがとうございました。読ませてもらったのと、今、説明を聞いたのとで、少し読み込みが足りなかったかなと反省しているのですけど、冒頭で、目的とそれ以前のところで述べられていましたけれども、環境省が2017年に公表された報告書、これでは、その影響は明らかでないと結論されたものの、引き続き試験研究を実施されているということです。これについては、何か進展とか、新しい知見とか、あるいは、それに基づいて、今後変更されたり、あるいは改善されたり、そういうところがあるのか、というのが1点目の質問になります。
 2点目は、リスク評価の目的なのですが、2つある目的の1つ目は非常に分かりやすいですね。野生ハナバチの「蜂群・個体群維持に著しい被害を及ぼすおそれがある場合に、その被害を未然に防止する。」というのは非常に分かりやすくて、理解しやすいのですけど、その後の保護目標は、「蜂群・個体群を維持することとする。」とあります。これについては、農薬が原因であるかどうか分からないところで、こちらをメインに、今、説明されたような気がするのですが、そこを考え直してもいいという気がするので、その辺、ちょっとご説明願います。

【白石委員長】 では事務局、お願いします。

【上迫室長補佐】 ご指摘ありがとうございます。
 ご質問の1点目の、引き続き試験研究を実施しているということですけれども、先ほどからお名前が出ております五箇先生に研究をお願いしているところでございます。現在のところ、農薬が個体群に及ぼす影響というところが明らかになったわけではないというところで、状況はあまり変わっていないと考えております。
 ご質問の2点目についてですが、農薬に関する影響というのが明らかではないとしつつも、今回、あくまで農薬の評価として、個体群を崩壊させるものではないということを確認するといった意味で、保護目標として書かせていただきました。ですから、ハナバチ類の個体群の減少の要因が農薬であるかどうかということでは直接ないということで私は認識をしております。

【白石委員長】 内田委員、よろしいですか。どうでしょう。

【稲生専門委員】 順番が逆になると思うのです。そもそもの保護目標があって、いろんな要因がある中で、農薬に限って言えば、その農薬の影響によって個体群、蜂群に著しい被害を生じる場合は、その農薬を使ってはいけませんよ、というのだったら分かるのです。けれども、保護目標が後に来ているというのは非常におかしい文章なので、そこが多分、内田委員のひっかかったところではないかと思うのですけど。

【内田専門委員】 ありがとうございます。そのとおりです。特にリスクを検討する場合、このように特定してしまうと、それが新たなリスクになったりするので、やっぱり、まだ農薬がリスク要因であるというのははっきりしてないわけですから、あまりそちらに集中してしまうと、ほかの要因をかえって見失ってしまう可能性もあるので、稲生委員がいま言われたように、ちょっと逆にされたほうが、なじみやすいなと私は思いました。

【浜谷室長】 内田委員、ご指摘ありがとうございます。
 まず、2点目のご質問に関して申しますと、おっしゃるとおりだと思いますので、文章については見直しをしたいと思います。
 それから、1点目の部分につきましては、平成29年の報告書で、確かに総合的な見地から、農薬が野生のハナバチ等に影響を与えるかどうかについては明らかでないという結論にはなっているものの、一部ハチの個体レベルで見ると、影響を与えるというデータもあるという記載があります。そういうこともございまして、昨年、農薬取締法の改正があって、影響評価の対象が陸域の生活環境動植物に拡大されたことが一つ。二つ目として、農林水産省が養蜂用のミツバチについて、リスク評価書を明らかにして、来年度以降、運用を開始するという意思表明をしたのが二つ。そういう中にあって、同じポリネーターとしての役割を持つ野生のハナバチ類についても何らかの管理措置を検討しなくてはいけない、ということが今回の検討経緯です。
 そういう中にあって、試験研究はいま何をやっているのだということですが、まさに上迫からご説明をした最後の10ページのところの今後の課題の部分について、一定の結論は出てはいなくて、実は、ここはまだ引き続きやっているところなのですが、こういうところを今後蓄積していく課題としつつも、とりあえず、ミツバチの評価手法に準拠しつつ、評価手法をセットしようというのが今回の提案でございます。

【白石委員長】 ご説明ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 多分、五箇先生のお話は、室長からご説明があったとおり、今後の課題のところに集中されていて、うまく結論が出ていれば、今回出てきたのでしょうけれども、そこがなかなか難しいというところもあったということは繰り返しておきます。
 ほかはいかがでしょうか。せっかく1ページ目から来ていますので、それでは1ページ目の2番、目的のところは入れかえるというところで、段落を入れ替えていただいてよろしいですか。私は、蜂群と個体群で、ポツ(・)で分かれていますけど、これ、何か意味が違うのですか。蜂群と個体群、ちょっと素人っぽい質問ですみませんが。

【浜谷室長】 いや、すみません、参考にした文献等にコロニーと書いてあるものとポピュレーションと書いてあるものがございますので、それをそれぞれ並べて記載しました。

【白石委員長】 よろしいですか。蜂群をつくらないハチもいるということですか。

【浜谷室長】 野生のハチの中には、ミツバチと同じように巣をつくるものと、それから社会性を有しない、いわゆる単独性ハチと言われるものがございまして、今回の評価については、その社会性を有するハチを対象にしたいと考えております。それはなぜかと申しますと、リスク評価の成果を測定できるものがないものですから、そういう形にさせていただいたということです。

【白石委員長】 蜂群なら蜂群1個だけというのもあり得るのですけど、個体群も含めてということでしょうかね。川嶋さん、生物の関係で何か知見があれば。

【川嶋専門委員】 昆虫は専門外で、ちょっとお答えできないのです。

【白石委員長】 このままでよろしければ、いいと思うのですが。このままで。いろんな解釈が生じたらと困るなと。

【羽生室員】 基本的に、毒性試験をする評価対象が個体ですが、室長がいま話しましたように、現時点では社会性を有するハチを保護対象として設定していますので、保護対象である蜂群と評価対象である個体とを関連付ける必要があります。外勤成虫の個体群の死亡率も当然蜂群の存続に大きく影響していますので、個体群と蜂群を二つ並べています。
 つまり評価対象個体としての概念を上迫室長補佐と室長から説明がありましたようにほ場の中に来る外勤成虫個体群の採餌確率という概念を取り入れて、個体から個体群、さらに蜂群へと概念を広げて行きます。このため、蜂群と個体群とを併記しています。

【浜谷室長】 もちろん、生態学的に用語の使い方が誤っているようでしたら、ご指摘いただければ、それは修正をいたしますので。

【白石委員長】 他はいかがですか。それでは、生態学の人と。

【内田専門委員】 ついでですから、もう一つ。いま野外というか農地等での採餌確率を精緻化しているということですが、これ、ハチの種類によってばらばらだと思うのですよ。そういったときに、どのようにこれを総合的に考えるかということです。採餌確率を100%にしてしまうと非常に簡単なのですけど、ほ場内とほ場外の採餌割合が本当にばらばらになってくると思うのです。そういったことを踏まえたときに、どうするのか。何か想像するにね、ばらばらで結論の出ない非常に悲しい検討になるような気もするのですけど、その辺、何か予測とか、今のところで分かっていることがあれば教えていただきたい。

【浜谷室長】 今回、そういうご質問があるかと思いまして、私もいろいろ図書館で調べたりもしたのですが、ちょっと年代を忘れてしまったのですけど、ドイツの研究者が出されている本で、マルハナバチの生態として、1日当たり1kmから5kmぐらいの移動距離はあるだろうということです。それから、単一のコロニーであっても、その働きバチの個体によって、花粉・花蜜を持ち帰る花の種というのが変わり得まして、結果的に個々の個体は、例えば明日は有楽町、明後日は新橋の店しか行かないのですけど、結果的に東京都内のいろんなとこから花粉・花蜜を、コロニー全体としては花粉・花蜜を持ち帰るというような形になっているというような話がありました。
 ただ、そういった生態について検討会の中でも議論をしたのですけれども、そこは、なかなか今の評価の枠組みの中に織り込むことはできないということになりまして、今後の検討課題になったという次第でございます。

【白石委員長】 それはパワーポイントの6ページ、7ページぐらいにかかると思うのですけれども、セイヨウミツバチのばく露量に確率を掛けるということで、これはもうハチによって行動が違うわけで、当然、ここが変わってくるとは思うのですけれども、行動というか、ばく露量は下のページ、7番で計算されてくるのですけれども、いまの経口ばく露量もハチによって、幼虫の食べる量とか、いろいろ食物も違うでしょうし、そのことは、いまの研究状況だと、規制に持ってくるまでの知見がないということで、セイヨウミツバチのデータを持ってきましょうということになっているのだと解釈します。
 だから、精緻化する余地があるとすれば、ここの部分で、2段階の試験等々、もしもあれば、ここが精緻化されてくるだろうということです。よろしいでしょうか。
 では、1ページ目は、順番入れ直しと、この蜂群・個体群について、もう少し説明を加えるようお願いいたします。
 2ページ目からはいかがですか。いまセイヨウミツバチの代替というところで、ご質問がございましたけれども。まず全体、その基本的な考え方は、これでよろしいでしょうか。
 特にご異論はないので、基本的考え方はこれで進めていただくということで、あと、細かい数字や考え方で微妙なところがございましたら、お願いします。お気づきの点があれば、お願いします。

【稲生専門委員】 基本的な考え方は私もこれでいいと思います。少しひっかかるところはいろいろあるのですけど、いまここで議論すると、話が拡散するので、やめておきたいと思うのですけれども、スライドの7番のばく露量の算定方法ですが、言葉の使い方の問題で、試験の内容には問題ないと思うのですが、接触ばく露量のところで、1頭当たりの農薬付着量に有効成分濃度を掛けると、そのとおりですが、一般的に農薬というと、農薬製剤のことを想像します。ここ、正確に言うのだったら、薬液として調製した農薬の付着量、そのように調製した農薬の有効成分濃度、が正しいと思います。これは、農水省が先行していると思うのですが、誤解を生じる表現は直さなくてはいけないと思いますので、その辺は農水省とうまく連携してやっていただければと思います。

【白石委員長】 これは製剤で試験されるということですか。試験結果は製剤を用いたものが出てくるということなのですか。接触ばく露量、有効成分濃度。

【稲生専門委員】 散布液濃度で。

【農水省】 すみません、農水省の石原です。毒性試験自体は全て有効成分の試験になります。いま稲生委員のおっしゃったとおり、農薬付着量のところは、実際にまいている製剤を調製した散布液の付着量になります。

【白石委員長】 分かりましたね。

【稲生専門委員】 要は製剤をそのままぶっかけたという誤解が生じますので。

【白石委員長】 そうですね、はい。私もそう誤解しました。
 はい、では。

【天野臨時委員】 いまのところで1点教えていただきたいのですが、接触ばく露量1頭当たりの農薬付着量が、1頭当たり70 nLと表記されています。これ、散布剤をまいた場合だと思うのですが、粉剤の場合はどう評価されるのか、幾つの数字になるのか、教えてください。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【農水省】 粉剤の場合も、現段階では同じ70 nL/beeに相当する量、重さにして、比重1と考えて、その分、付着するというような形で計算する予定です。

【白石委員長】 ほか、いかがでしょうか。

【天野臨時委員】 もう一つ加えてですが、では、上から散布される粒剤の場合は、ばく露なしと判断されるのかどうかも教えてください。

【農水省】 粒剤の場合は、接触ばく露の評価は行わないということになります。

【天野臨時委員】 そうしますと、粒剤を散布して、例えば花の咲かないような作物に使う場合には、接触ばく露も経口ばく露もなしということでよろしいのですか。

【農水省】 そのとおりでございます。

【白石委員長】 経口ばく露が想定される場合には評価をやるということですね。はい、分かりました。その場合には、接触ばく露の試験がないですが、でも、原体であるかは分からないか。

【農水省】 こちらの資料の記載では、接触ばく露は、ハザード評価ということで、全て提出を求めるということで、必須になっています。

【白石委員長】 それはあるわけですね、はい、分かりました。

【浅見臨時委員】 あまり詳しくなくて恐縮ですけれども、今回、予測ばく露量の考え方で使われるのが、接触と経口ということですが、気体中に農薬がまかれて、その気層の中に漂っているとか、あと、気体から吸い込むとか、神経系にちょっと作用して、方向が分からなくなるとか、何かそういったものに関する評価は、この中に含まれるという考え方でよろしいのでしょうか。

【浜谷室長】 大気経由の吸入ばく露については、今後の課題だと思うのですけれども、現段階では、評価の対象とはしないというところで、あくまでも農薬への接触と食べ物を通じて入るほうの二つのばく露経路を評価の対象としております。

【白石委員長】 ほかに、いかがでしょうか。いま本文で言うと3ページ目辺りの試験要求の基本的考え方というところになっていると思いますが。この辺の試験要求に関しては、いかがですか。
 単回接触毒性試験は必須で、全てに要求される、どのような剤形でも要求されるということになるわけですか。それで、経口ばく露経路が予見される場合には、単回経口毒性試験を要求すること。ただし、これについては、11μg/bee未満ということでしたっけ。この辺も含めて、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。あまりご意見がないと。ここの11μg/bee未満というのは、何か根拠があるのですか。

【浜谷室長】 EPAが、農薬について三つの濃度帯で区分をしています。一つが2 μg/bee、もう一つが11μg/beeという数字です。2 μg/beeを下回るものについては極めて毒性が強くて、2から11μg/beeの間は中くらい、11μg/beeを超えるものについては毒性が低いだろうということで分類していることに基づくものです。
 これにつきましては、いまでも農水省の評価の中で一つの指標として11μg/beeという数字を使っていますし、今回のミツバチの評価の中でも、上迫が申しましたように、全ての農薬について最初から経口試験をするのは大変なので、スクリーニングという意味で11μg/beeというのを一つのカットオフ値として使っているということもあります。今回、環境省もそれに準拠させていただいたということです。

【白石委員長】 はい、ありがとうございます。農水省の試験と整合性をとったということですね。
 ほか、いかがでしょうか。

【後藤臨時委員】 この11μg/beeですけれども、何がというのは書かなくていいのでしょうか。

【上迫室長補佐】 先ほどの11μg/beeというのはLD50、50%の死亡率ということになります。これは書いても問題ないかと思いますので、これは書かせていただこうかと思います。

【後藤臨時委員】 文章が随分ずれちゃっているので。

【白石委員長】 読めば、試験と分かると思うのですけれども。

【後藤臨時委員】 ここに明確に書いていただきたいです。

【白石委員長】 エンドポイント、試験法とそのLD50でやるということを明確に書いたほうがいいと思いますね。
 その後の「及び脱皮阻害等を幼虫に起こす」という記述の中に「等」がついていますけど、この「等」については何か含みがあるのですか。

【浜谷室長】 必要なかった場合には削除いたします。

【白石委員長】 後半部分が、幼虫に起こす影響が懸念される昆虫成長制御剤のみになっていますので、ほかに何かあれば差し支えないですけれども。要は、成長制御剤を対象にするということですかね。メカニズムはともかく、そういうことでよろしいですか。違いますか。昆虫成長制御剤のうち、脱皮阻害等を対象にするという、まあそうですね。
 これはよろしいですか。何かほかの剤で懸念されるものがあるというような議論もあるかと思いますけれども、これでよろしいと。ただ、行動に異常が見られた場合には、観察結果についても報告してください、ということになっていますので、この辺で、多分、いろいろ見られるのではないかと思います。もうちょっときちんとやっていただいたほうがいいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 はい、どうぞ、浅見委員。

【浅見臨時委員】 この機会に教えていただけるとありがたいのですけれども、社会性のあるハチという表現を何回かいただいておりまして、この試験法の中で、社会性があるというのをどのようにチェックされるのか教えていただけると思いましたので、お願いします。

【浜谷室長】 すみません、私が社会性のあるハチと申しましたのは、今回、保護対象がコロニー、ちょっと表現はまた検討しますが、コロニーつまり蜂群とご説明した中で、単独性ハチというのはコロニーをつくりませんので、同じようにリスク評価をしても、評価ができないということなのですね。それで、社会性のあるハチという表現でご説明を進めさせていただいたのですけれども、お答えになっていますでしょうか。

【浅見臨時委員】 群れをつくって、集団で同じ場所に居住するハチという理解でよろしいのでしょうか。集団でほかのところに移動してしまう場合は、社会性に入るのですか。いなくなってしまったり、ばらばらになって戻ってこられなくて、いなくなってしまったり、多分、試験方法でエリアを決めて、そこで試験をして、戻ってきたものを数えるか、落ちたものを数えるかと推測したのですけれども、それで社会性があるという定義をされているので、そこで、戻ってきたものがコロニーということで正しいでしょうか。

【羽生室員】 いまのお話が、Tier1の試験についてのお話しであれば、Tier1は社会性のある野生ハナバチ類の代替評価としてミツバチの試験を実施します。今、お話しの試験内容はTier2試験のことで、より精密化した試験となります。Tier2試験は、今、農水省で検討中の試験と聞いていますが、現実的に日本では物理的な問題で非常に難しいだろうというふうに言われている試験です。
 室長が説明しましたように、評価対象として、コロニーをつくる社会性を有するミツバチを使って毒性評価を実施しますので、現時点では環境省では社会性を有する野生のハナバチ類を保護対象として設定しました。また、野生ハナバチ類はミツバチとはいろんな意味で生態が異なっており野生ハナバチ類の詳細なデータがありません。これも、野生ハナバチ類を評価対象とするのではなくて、ミツバチの評価方法を保護対象である野生ハナバチ類の評価方法として代用する理由です。その中で、不確実係数などを入れて、ミツバチのデータを保護対象である野生ハナバチ類のデータに変換すると認識していただければいいかと思います。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【川嶋専門委員】 不勉強で申し訳ないのですけれども、2点教えてもらいたいのですが、まず、資料2の4ページ目ですけれども、OECDの試験ガイドラインという記載があって、これ、全部見ると、幼虫がターゲットになっていると思うのですけれども、毒性試験は幼虫だけをターゲットにしているという理解でいいのですか。例えば、成虫や卵はターゲットにしてないのでしょうか。また、反復毒性試験では何をエンドポイントにしているのか。例えば、神経性の毒性を反復で見ているのか、それとも繁殖毒性を次世代まで見ている試験法なのか。その辺はどこをターゲットにしているのかを教えていただきたいと思います。

【上迫室長補佐】 まず、1点目ですけれども、幼虫のほうは、幼虫専用の試験ガイドラインになります。こちらの表でも、このLarval Toxicity Testとありまして、これで幼虫ということでございます。
 2点目の反復毒性試験のエンドポイントですけれども、具体的には、このLDD、Lethal Dietary Doseといった指標を、この反復試験で使うこととしておりまして、Lethalということですので致死量ということになります。繰り返し、混餌投与したときに半数が致死に至る量、Median Lethal Dietary Doseということでございます。

【川嶋専門委員】 質問の趣旨の1点目は、幼虫のみの試験しかやらないのかという点があるのですけれども、要は、成虫や卵のばく露による毒性評価は今回の試験には含まれないという理解なのでしょうか。

【羽生室員】 幼虫の試験は幼虫のみです。

【白石委員長】 これはガイダンスドキュメントですよね、試験法にまだ正式になってないということですかね。

【羽生室員】 はい。

【白石委員長】 237のリピーテッドドーズ版みたいなものですかね。No.239で、まだガイダンスドキュメントになっているので。

【上迫室長補佐】 239のみは、これはテストガイドラインではなくて、おっしゃるとおりガイダンスドキュメントでございます。

【白石委員長】 あと、ついでですので、ハチの試験だとOECDにマルハナバチの試験がございますよね。これは今回取り入れないということですか。セイヨウミツバチを使うと、いまご説明があったとおりだと思いますけれども。

【上迫室長補佐】 おっしゃるとおりでございます。

【白石委員長】 これは第2段階の話になってくるのですかね。この段階で書いておいてもいいという気もしますけれども、とりあえず第2段階に回すということでよろしいですか。
 はい、4ページ目まで来ました。よろしいでしょうか。
 はい、どうぞ。

【後藤臨時委員】 3ページの図1ですが、この幼虫の試験を四角で囲んであって、それの出る先が記載されていないのですけど、これはどのように考えればよろしいのでしょうか。

【上迫室長補佐】 これは、基本的に成虫のほうと考え方は同じですので、ここで終わりという意味ではないです。矢印を書くのに、ちょっと工夫をさせてください。

【白石委員長】 では、修正をお願いします。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 では、あと、具体的なことになりますので、まとめて9ページぐらいまで、何かご意見がございましたらお願いします。多分、この文章にLDDというのが出てくると思いますが、そこの説明が全く書いてないので、説明を入れておいていただいたほうがいいと思います。
 この図表はずっと残ると思いますが、こんな図でよろしいですかね。基本的な概念図というわけで。
 7ページ目は、説明があったとおりですが、よろしいでしょうか。この辺は農水省の計算方法と一緒ということになろうかと思います。
 それでは、8ページ、9ページでお願いします。よろしいでしょうか。農取法の場合、規制対象は「著しい被害」なのですね。この「著しい被害」についての考え方がここで示されています。こんな考え方になります、ということですね。
 はい、特にご意見がないようでしたら、最後の10ページ目で、まだこんなことが足りないというようなご指摘を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【内田専門委員】 リスク評価をされて、リスク・ミティゲーション(リスク低減)という考え方が全然入ってこないのですよね。だから、例えば、花が咲く時期にまで残らないように使用するとか、そういうリスク低減策が、どこかにあったほうがいいような気がするのですけど。その辺何か配慮があるのかなと思いました。

【白石委員長】 早朝に農薬をまけば、被害は半分になるとかね。そういった話もあるみたいですので。
 はい、事務局、お願いします。

【上迫室長補佐】 今回の文書自体は、あくまでリスク評価について書かせていただいたものでして、リスク評価はリスク評価でまとめさせていただきますけれども、いま内田委員からご指摘をいただいたミティゲーションの考え方についても、何らかの形で、例えばリスク評価の考え方を答申として出すときに、第二次答申という形で出そうかというふうには考えております。そこでリスクマネジメントの考え方についても少し言及させていただき、今後の考え方として書かせていただくことを考えております。

【白石委員長】 よろしいでしょうか。
 では、ほかに、こんなことも考えておいたほうがいいというご意見がございましたら。よろしいですか。
 はい、では最後。

【後藤臨時委員】 先ほどから何度か略語の説明部分の記載が抜けているというお話があったと思うのですけれども、記載を徹底していただく方がよろしいので、お願いしたいと思います。

【白石委員長】 では、わかりやすく修正をお願いいたします。
 ほかはよろしいですか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、ほかにご意見がなければ、本日のご意見を踏まえて、基本的方向はこれでよろしいということですので、引き続き検討を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 では、次に、2番目の農薬の鳥類に対する影響評価について、事務局より説明をお願いします。

【髙松室長補佐】 続きまして、農薬の鳥類に対する影響評価について、ご説明をさせていただきます。資料3をご覧ください。
 農薬の鳥類に対する影響評価につきましては、昨年度の農薬小委員会で審議をいただいて、評価方法については決定しているところです。今後、実際に評価を実施することになりますので、現状について簡単にご説明をさせていただきます。
 初めに、これまでの経緯ですが、鳥類の影響評価については、平成25年に環境省が策定しました「鳥類の農薬リスク評価・管理手法マニュアル」に基づきまして、各農薬メーカーで自主的なリスク管理が行われているところです。
 昨年の農薬取締法の一部を改正する法律が公布されたことを受けまして、農薬の動植物に対する影響評価の対象が、陸域を含む「生活環境動植物」に拡大されたことを受けまして、本年の2月に、中央環境審議会の第一次答申という形で、農薬の鳥類に対するリスク評価手法が示されたところです。こちらの鳥類のリスク評価手法については、第一次答申の冊子がスミレ色のファイルにとじてありますので、そちらもご覧ください。
 続きまして、2番目の農薬取締法に基づく鳥類に対する影響評価の実施についてご説明をいたします。
 改正農薬取締法の施行に合わせまして、来年度、令和2年4月1日以降に新規有効成分として登録申請される農薬につきましては、鳥類に係る影響評価と農薬登録基準の設定を行うこととなります。なお、既登録の有効成分を含む農薬を対象とした鳥類の影響評価につきましては、再来年、令和3年度から開始される再評価から実施する予定としております。
 鳥類に対する影響評価につきましては、先ほども申し上げましたとおり、第一次答申の中で示されているところですので、基本的な評価方法については、第一次答申で示された方法によって実施されることになりますので、この第一次答申の中から、鳥類に対する影響評価に係る記載を抜粋して整理したものを、「鳥類の被害防止に係る農薬の影響評価ガイダンス」として整理をいたしました。
 この鳥類ガイダンスについては、次のページに別添として添付させていただいております。こちらに記載されている中身については、第一次答申の中で記載されています評価方法を踏襲しておりますので、ここで内容の詳細についてご説明することは割愛させていただきたいと思います。
 この評価ガイダンスの取扱いですけれども、来年から実施されます鳥類の影響評価については、こちらの記載の評価方法で実施されることになりますので、この会議終了後、環境省のホームページに掲載をさせていただきたいというふうに考えております。また、この鳥類ガイダンスについては、今後、評価を行っていく上で、さまざまな科学的な知見等の集積に応じまして、随時見直し、更新を行っていきたいと考えております。
 農薬の鳥類に対する影響評価については、以上になります。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、ご質問がありましたらお願いします。ご質問はございませんか。
 来年4月以降、新規の剤から開始するということです。
 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 語句なのですけど、この対象生物が水産動植物から生活環境動植物に拡大されたのですか。水産動植物にプラスされたというのか、それとも、考え方が変わったのか。今まで水産という、要するに水産業として価値を持つ動植物だったのが、生活環境動植物に変更されたのかと、私はずっとそういうふうに思っていたのですけど、拡大というのですか、プラスされただけだと。

【浜谷室長】 用語の使い方はともかくとして、対象の生物が増えるという意味では拡大ということです。ただ、法律上、生活環境動植物ということに用語が明記されまして、それについては、人の生活に影響を与え得るような、その生物に対して影響を与えることによって人の生活にも影響を与え得るというような定義が法律上されていますので、そういう意味においても、その内容的には拡大がされているというご理解でもよろしいかと思います。

【白石委員長】 ありがとうございます。ほか、質問はございますか。
 細かくても、それでは結構です、はい。

【後藤臨時委員】 7ページです。下から4行目になりますけれども、括弧内の記載ですが、ちょっとわかりにくいという印象を受けたので、ご指摘させていただきます。「餌となる昆虫の評価対象農薬にばく露された餌の割合は」というところが、読んでいても、何か明確に伝わってこない気がするので、端的に言うとどういうことになるのか、お聞きしたいところだったのですが。

【髙松室長補佐】 いま読み返してみまして、「餌となる昆虫の評価対象農薬にばく露された割合は」で通じるかと思います。

【白石委員長】 「餌」を除くと分かりやすくなるということですね。

【後藤臨時委員】 昆虫が摂食する餌のうち、農薬にばく露されている割合、という意味なのでしょうか。

【髙松室長補佐】 ここで書かれているのは、鳥が餌とする昆虫が農薬にばく露されている割合ということになるので、割合の前に書かれている「餌の」を削除させていただきたいと思います。

【白石委員長】 それでもまだ分かりにくければ、もう少し修正していただければいいと思いますけれども、とりあえず今のところ、「餌」を除くで、通じるようですので。
 ほか、いかがですか。よろしいですか。
 では、よろしいようでしたら、もうこれはホームページに公開されてしまいますので、もう少し細かい点で気がついたところがあれば、お願いしますが、いまの「餌」を取り除いて、公開するという形でよろしいですか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、よろしいようですので、次に移らせていただきます。
 それでは、議事の2番目、水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議を始めます。
 初めに、事務局から諮問書を紹介してください。

【野口係員】 資料4をお開きください。今回のご審議いただく農薬についての諮問書をご紹介させていただきます。
 1ページ目が平成30年10月31日付の諮問書となっておりまして、1枚おめくりいただいて、5剤書かれておりますが、上から三つ目、四つ目、五つ目が、今回ご審議いただくメタムアンモニウム塩、メタムナトリウム塩、メチルイソチオシアネートとなっております。
 3枚おめくりいただきまして、その件に関する付議書となっております。
 もう1枚おめくりいただきまして、令和元年11月11日付の付議書となっております。その後ろが、本日、水産・水濁基準をご審議いただく審議剤となっております。
 ご説明は、以上となります。

【白石委員長】 それでは、議事の2の水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入ります
 この件につきましては、農薬小委員会に先立ち、水産動植物登録基準設定検討会において、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や、公表文献情報について精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定し、基準値(案)を策定していただいています。
 事務局から、資料の説明をお願いします。

【上迫室長補佐】 それでは、資料5をご覧ください。水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準値(案)に関する資料でございます。
 本資料は、水産動植物登録基準設定検討会においてご審議いただいておりますので、検討会でどのようなご指摘、審議が行われたかについても、簡単にご紹介をさせていただきます。
 説明に入ります前に、机上配付資料2から4についてもお手元にご用意をお願いいたします。
 まず、机上配付資料2をご覧ください。こちらの6剤が、今回のご審議をいただきたい対象剤でございます。1から5が、全て既登録の剤でございますが、1から5が設定、6の硫黄のみが設定不要ということで審議をお願いしたいものでございます。1のダイファシン系が殺そ剤、2と3、トリクロピルトリエチルアンモニウムとトリクロピルブトキシエチルが除草剤、4と5、4のメタムアンモニウム塩(カーバム)及びメタムナトリウム塩(カーバムナトリウム塩)、そして5のメチルイソチオシアネート(MITC)が殺線虫・殺菌剤などとなっております。
 それでは、まず、ダイファシン系のご説明に移ります。資料5を改めてご覧ください。
 まず、作用機構等のご説明に移ります。1ページ目です。ダイファシン系はインダンジオン構造を有する殺そ剤でございまして、抗血液凝固作用により、ネズミを死亡させるものでございます。
 製剤は粒剤が、適用農作物はさとうきび、野そが加害する農作物等がございます。
 原体の国内生産量、近年0.0tというふうになっておりますけれども、調べたところ、年によって10kg程度のわずかな生産があるようでございます。
 各種物性は、ご覧のとおりでございます。右下の水溶解度のところですけれども、1.18×103、およそ1 mg強といった水溶解度になっております。これを踏まえまして、毒性試験の結果をご説明させていただきます。
 まず、初めに魚類急性毒性試験でございます。コイを用いた急性毒性試験が実施されております。96hLC50が1,790μg/L超となっております。これは、先ほど申しましたとおり、水溶解度がおおよそマイクログラムで申しますと1,000強ということでございますので、ほぼ飽和濃度以上というふうに考えられます。
 続きましてミジンコでございます。オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されております。48hEC50が1,790μg/L超でございます。
 続きまして藻類です。ムレミカヅキモを用いた藻類成長阻害試験が実施されております。72hErC50が1,490、こちらは若干設定濃度と乖離しておりますので、実測濃度をとっております。1,490μg/L超でございます。
 なお、72時間後に対照区、0のところで若干有効成分が検出をされております。
 続きまして、5ページ目、水産PECでございます。農薬登録情報提供ステムによりますと、本農薬は製剤として粒剤があります。そして、適用農作物等はさとうきび、野そが加害する農作物等がございます。したがいまして、非水田使用時のPEC、河川ドリフトを計算しております。ご覧のパラメーターを用いて計算しておりますが、これによりますと、算出結果は0.0000030μg/Lと非常に低い値を示しております。
 最後に総合評価です。各生物種のLC50、EC50は先ほどご説明させていただいたとおりでございます。魚類、甲殻類につきましては、不確実係数10で割りまして、それぞれ179μg/L超となります。これらのうち、最小のAECf・AECd、魚類・甲殻類の毒性値÷10を用いまして、登録基準値(案)を179、これは切り捨ていたしまして170μg/Lとしたいと思います。
 水産PECは、先ほど申しましたとおり非常に小さい値でございますので、登録基準値170μg/Lを超えていないことを確認しております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 では、審議は1剤ずつお願いします。
 まず、ただいまのダイファシン系につきまして、ご質問、基準値(案)についてのご意見をお願いします。
 はい、どうぞ。

【浅見臨時委員】 名称についてですが、ここに「系」がついている理由を教えてくださいというのが一つ目の質問です。
 もう一つ、4ページの最後のところに、72時間後に対照区で有効成分ダイファシノンが検出されているという記述があります。つまり、有効成分としてダイファシノンとあるということなので、ダイファシン系とダイファシノンの関係をどのように理解すればいいのか、教えていただければと思います。

【秋山係長】 まず、いただいたご質問に対する回答です。登録上はダイファシン系ということで登録されておりますが、有効成分はダイファシノンのみとなっておりますので、ダイファシノンとダイファシン系については同じものと考えていただいて問題はございません。登録上はダイファシン系という名称で登録されておりますが、系がついている理由については、現時点ではお答えできませんので、こちらについては確認をして、折り返し回答ということで対応させていただきます。
 失礼しました。

【浅見臨時委員】 かなり古い剤だと、そういう名前がついていることがあるというのはお伺いしましたけれども、この4ページには、有効成分が72時間後だけ検出されているように見えるのですけど、そうではなくて、全部のところでダイファシノンが有効成分として働いて、最後だけチェックをしたので、こういうふうに書いてあるということでしょうか。普通、一般的に考えたら、やっぱりダイファシノンという名前にしていただいたほうが本当はいいのかなと思いますが。

【上迫室長補佐】 特にそこは、大きな意味はありませんので、用語は統一したいと思います。

【浜谷室長】 すみません、ここにこう書いてはございますが、対照区でと書いてございまして、対照区から、普通に考えれば有効成分は検出されるはずがないのですが、ここは結果として検出されてしまったということで、水産検討会の中でも議論になったのですが、コンタミネーション(汚染)だろうというふうに結論をしています。
 ただ、その毒性試験自体は有効成分を添加した試験区のもので決めていますので、今回、こういうものが提出をされたけれども、基準値の設定については、これを根拠として進めるのはやむを得ないというようなコメントをいただいています。

【内田専門委員】 同じところですけれども、これ、設定濃度は10.8μg/Lというのはおかしいですよね。設定は対照区であって、最後に検出されている。だから、実測濃度は何がしかの濃度は入っているべきではないですか。

【秋山係長】 すみません、事前にお送りした資料ですと、設定濃度のところに10.8μg/Lということで記載していたのですが、正しくは実測濃度ですので、修正したものをタブレットに格納しておりますので、そちらでご確認いただければ思います。
 失礼いたしました。

【内田専門委員】 もう一点ですけれども、この各種物性のところですけど、加水分解性というのは、温度によって相当変わるような気がするのですけど、これ、温度はないのですか。

【上迫室長補佐】 すみません、申請者からの情報で、温度は書いていなかったのですが、ここは確認をさせていただきたいと思います。

【白石委員長】 では、分かれば追記していただくということをお願いします。
 ほか、ございますか。この名称は登録の名称を書くということでよろしいですね。諮問書を見たら、何か物質名が書いてあり、(別名ダイファシン系)になっていました。その辺の整合性はどうなっているのでしょうか。

【浜谷室長】 確認します。

【白石委員長】 ほかは、いかがでしょうか。よろしいですか。
 基本的に事務局案どおりでよろしいということですが、PECについてもよろしいですか。
 では、6ページの総合評価をご確認いただきたいと思いますが、登録基準値(案)を170μg/Lとするということで、水産PECはこれを超えていないということで、よろしいでしょうか。
 修正点はないですけれども、加水分解のところで、温度が分かれば、入れてくださいということをお願いいたします。
 では、次をお願いします。

【上迫室長補佐】 続きまして、トリクロピルトリエチルアンモニウムのご説明に移ります。
 資料5の7ページ目でございますが、その前に、机上配付資料3をご覧ください。トリクロピルの動植物及び土壌等における代謝分解経路図という机上配付資料です。ただいま見ていただいておりますのがトリクロピルトリエチルアンモニウム、上の剤でございます。次に出てきますのが、その右にありますトリクロピルブトチル、登録上はトリクロピルブトキシエチルとなっておりますが、同じものでございます。これをご覧いただきますと、トリクロピルトリエチルアンモニウムは、解離することによりトリクロピル(酸)に変化をいたします。一方、次にご説明いたしますトリクロピルブトチルについては、加水分解によりトリクロピル(酸)となるといった関係性がございます。
 資料5に戻ります。
 作用機構等でございます。トリクロピルトリエチルアンモニウムは、ピリジンカルボン酸を持つ浸透移行性のホルモン型除草剤であり、その作用機構は、トリクロピルトリエチルアンモニウムが解離して生成したトリクロピル(酸)が雑草の茎葉から吸収され、体内を移行して過剰のオーキシン活性を示すことにより、生理機能を撹乱し、枯死させるものでございます。
 製剤としては液剤、適用農作物等は樹木、芝等がございます。
 生産量はご覧のとおりでございます。
 各種物性については、これ、トリクロピルトリエチルアンモニウムとしては7ページ下の表のとおりでございます。
 8ページ目に移ります。先ほど申しましたとおり、この物質、環境中ではイオンとして存在しますので、基準値としましては、この解離した後のトリクロピル(酸)として設定をすることとしたいと思います。トリクロピル(酸)の構造、各種物性についてはご覧のとおりでございます。
 それでは、毒性試験の結果のご説明に移ります。
 初めに魚類でございます。コイを用いた魚類急性毒性試験が実施され、96hLC50が122,000μg/Lとなっております。続きまして、魚類がファットヘッドミノーも出ております。こちらについては96hLC50が86,100μg/Lでございます。
 続きまして、甲殻類、ミジンコ類の急性遊泳阻害試験でございます。48hEC50が301,000μg/L超となっております。
 藻類でございます。ムレミカヅキモを用いた藻類成長阻害試験が実施されております。72hErC50が34,300μg/Lとなっております。
 水産PECでのご説明に移ります。先ほど申しましたとおり、本剤は液剤がありまして、製剤としては液剤があり、適用農作物等は樹木、芝がございます。したがいまして、非水田使用時の地表流出のパラメーターを用いてPECを計算しております。パラメーターはご覧のとおりでございます。これらのパラメーターによりまして、非水田使用時のPECは0.013μg/L、これはトリクロピルに換算した値となっております。
 最後に総合評価に移ります。各生物種のLC50、EC50は先ほどご説明をさせていただいたとおりです。魚類につきましては、影響濃度につきましては、不確実係数10で除しまして、ファットヘッドミノーを用いまして、8,610μg/Lでございます。甲殻類の急性影響濃度については、同じく10で除しまして、3,100μg/L超となっております。藻類の急性影響濃度については、34,300μg/Lでございます。これらのうち、最小の魚類急性影響濃度によりまして、登録基準値はトリクロピル(酸)として8,600μg/Lとさせていただきたいと思います。
 リスク評価ですが、水産PECは0.013μg/Lとなっておりますので、登録基準値8,600μg/Lを超えていないことを確認いたしました。
 評価書は以上でございます。
 引き続きまして、水産検討会での議論について補足をさせていただきます。

【秋山係長】 それでは、水産検討会での議論について補足させていただきます。
 9ページのコイの試験をご覧ください。こちらの試験についてですが、溶存酸素濃度が農薬取締法テストガイドラインの規定である飽和濃度の60%から逸脱しておりまして、非常に低い値となっておりました。以上について、申請者からは、溶存酸素濃度が60%以上であった224,000μg/L区の24時間後に、全ての供試生物で死亡につながる異常行動が既に認められている点と、別途、文献データから引用してきました10ページ目のファットヘッドミノーの試験による毒性値とコイの試験による毒性値に大きな差がないことから、溶存酸素濃度の低下により被検生物が死亡したわけではないとの考察が提出されております。また、コイの試験につきましては、農薬取締法テストガイドラインに記載されている試験の上限濃度である100,000μg/L区を超える濃度区で異常が認められていないこともあり、毒性値については問題ないとして、水産検討会で了承をいただいたところです。
 説明は、以上になります。

【白石委員長】 では、ただいまのトリクロピルトリエチルアンモニウムにつきまして、ご質問、基準値(案)に対するご意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

【赤松臨時委員】 物性ですけれども、8ページのトリクロピル(酸)のオクタノール/水分配係数をpH7で測っていますが、pKa3.97ですので、もっと低いpHで本来測らなくてはいけないはずです。多分そういうデータがないのだと思うのですけど。だから、このままpH7では解離していますので、データを確認する必要があるのではないのでしょうか。

【白石委員長】 どうしましょうか。logDとでも書いておきますか。

【上迫室長補佐】 ちょっと確認をさせていただけますか。
 確認に手間取っておりますので、先に進ませていただいてよろしいでしょうか。

【白石委員長】 今までにも何回かこういったものはございましたが、この表記の仕方はこのままでやっていたのですね。差し支えなければ、調べていただいて、ほかにご質問、ご意見をお願いします。

【上迫室長補佐】 申請者からの情報では、あくまでこのpH7とあるのですが、ご指摘を踏まえて、改めて確認をとりたいと思います。ありがとうございます。

【白石委員長】 では、ほかは、いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 適用農作物ですが、「樹木、芝等」とあって、PECの計算は「樹木等」でされているのですよね。どちらかというと、これは除草剤なので、芝と樹木等が中心ではないかと思います。一部樹木の下草などに適用はないことはないとは思うのですけど。

【白石委員長】 すみませんけど、どこですか。

【内田専門委員】 「樹木、芝等」は7ページの中段、「樹木等」は13ページのPECの表の上にある表5の上段に書いてあります。

【白石委員長】 13ページに「樹木等」で出ています。

【内田専門委員】 樹木と芝ですけれども、表5は「樹木等」とありますよね。「樹木等」は裸地のことなので、全然違うと思うのですよ。

【秋山係長】 適用表を確認しましたところ、「樹木等」の適用があり、PECについては、「樹木等」への適用が最大投下量になるので、そちらの結果を記載しています。しかし、PEC算出表の上に記載されている適用農作物については、樹木、芝ということで記載しておりまして、「樹木等」については考慮されていないような書き方となっておりますので、検討の上、修正したいと考えています。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、検討の上、修正等をお願いします。

【内田専門委員】 あと、もう一点、このトリクロピル(酸)の表記についてですが、例えば13ページの表5の下の注釈では「トリクロピル換算値」と記述されていますが、その下のPECの表の中では「トリクロピル(酸)換算値」とあります。14ページでも、「(トリクロピルとして)」と「(トリクロピル(酸)として)」と両方出てきます。これ、統一してほしいと思うのです。

【上迫室長補佐】 ご指摘ありがとうございます。そのようにいたします。

【白石委員長】 どうしますか、設定濃度はトリクロピルアン、これ、何だ。しかも、何かアンモニウム換算値というのもありますけど、これはトリエチルアンモニウムのことなのですか。それとアンモニウムとは全然違いますけど。トリエチルアンモニウムのことなのですか。

【内田専門委員】 換算値からするとアンモニウムですか。

【白石委員長】 これ、例えば9ページ目の魚類急性毒性試験で、設定濃度はトリクロピルトリエチルアンモニウムで設定しているのですよね。それを、わざわざまたアンモニウムに換算しているのですか。何か、よく分からない。ここは全部要らないと思ったのですけれども。

【秋山係長】 設定濃度については、有効成分であるトリクロピルアンモニウムで換算した値を記載しておりまして。

【白石委員長】 トリクロピルトリエチルアンモニウムね。ここを欠かれてしまうと、ただのアンモニウム塩になってしまうので。誤解があるので、この辺は全部要らないのではないですか。

【秋山係長】 失礼しました。記載はトリエチルアンモニウムに統一して修正したいと思います。

【内田専門委員】 そうされると、この換算値が合わないような気がするのですよ。もっと大きな比率になる、低い数値にならないと、理論的にはあり得ないような数字になりませんか。そういうことはないですか。換算値もこれで合っていますかね、そうした場合。

【白石委員長】 そうですね、ただ、分子量換算するだけなので、これ、それほどおかしくないような印象は受けますけれども。

【内田専門委員】 でも、分子量が358ぐらいですよね。それが酸だったら256ですよね。相当な比率なのに、例えばコイだったら、例えば112,000μg/Lが86,000μg/Lぐらいになっているから、これ、高過ぎるのではないでしょうか。

【上迫室長補佐】 今、ご指摘の112,000μg/Lのところでいいますと、分子量から計算すると、大体80,000μg/Lぐらいにはなるとは思いますが、ご指摘を踏まえて、ここの記述については確認をさせていただいて、必要に応じて直させていただければと思います。

【白石委員長】 では、もう一回再確認いただいて、これは純度換算みたいなのもあるのですよね、どこかにね。その辺も絡んできているかもしれないので。

【上迫室長補佐】 一つ補足をさせていただきますと、設定濃度がどうかということは、改めて確認をさせていただきますが、実測濃度については、トリクロピル(酸)で出していますので、基準値に関しては、変わることはないと考えております。

【白石委員長】 分かりました、はい。
 そういうことですね、トリクロピル(酸)でやったものを換算する必要も何もないような気がします。基準値(案)については変わらないですね。実測濃度でやっているということ。
 では、表については、もう一度再確認して、間違いがあれば修正していただくということをお願いします。
 基準値(案)については、特に変更はないですので、PECに関して何かコメントはございますか。よろしいですか。
 では、総合評価の数字はこのままということで、登録基準値(案)は8,600μg/L、トリクロピル、何ですか、酸として、ですか、トリクロピルとしてと、そこら辺は統一していただいて、それでよろしいでしょうか、PECは、これを超えていないということでございます。

(異議なし)

【白石委員長】 はい、よろしいようでしたら、次をお願いします。

【上迫室長補佐】 引き続きまして、トリクロピルブトキシエチルについてご説明をさせていただきたいと思います。
 先ほど、机上配付資料3でご説明させていただきましたとおり、こちらも加水分解により、トリクロピル(酸)を生ずるものでございます。
 改めまして、資料で作用機構等についてご説明をさせていただきます。
 トリクロピルブトキシエチルは、ピリジンカルボン酸を持つ浸透移行性のホルモン型除草剤です。その作用機構は、トリクロピルブトキシエチル及び、これが加水分解して生成したトリクロピル(酸)が、雑草の茎葉から吸収され、植物体内で過剰のオーキシン活性を示すことにより、生理機能を撹乱し、枯死させるといったものでございます。先ほどの物質と同様でございます。
 各種物性については、ご覧のとおりです。
 引き続きまして17ページ、魚類の急性毒性試験についてご説明をさせていただきます。コイとブルーギルとニジマス、3種類が提出されております。まず、コイですけれども、96hLC50が1,390μg/Lです。続きまして、ブルーギルは96hLC50が360μg/Lです。最後、ニジマスですが、同じく96hLC50が650μg/Lとなっております。
 続きまして、甲殻類でございます。オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験が実施されております。48hEC50が2,350μg/Lとなっております。ただし、先ほどの物質同様、対照区で48時間後に有効成分トリクロピルブトキシエチルが検出されております。
 続きまして、藻類の成長阻害試験です。ムレミカヅキモを用いた試験が実施されております。72hErC50が525μg/L超となっております。
 続きまして20ページ目、水産PECの説明に入ります。農薬登録情報提供システムによれば、本農薬は製剤として粉粒剤があり、適用農作物等は樹木、芝がございます。したがいまして、非水田のPEC、河川ドリフトを算出しております。パラメーターはご覧のとおりでございます。これらのパラメーターによりまして、非水田使用時のPECは0.071μg/Lとなっております。
 最後、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は、先ほどご説明させていただいたとおりです。魚類の急性影響濃度につきましては、3種以上の生物種が行われた場合に該当しますので、不確実係数は4を使用しております。したがいまして、最小の360μg/Lを4で除した90μg/Lとしております。甲殻類等につきましては、EC50を10で除して235μg/Lとしております。藻類につきましては525μg/L超でございます。これらのうち、最小の魚類急性影響濃度によりまして、登録基準値は90μg/Lとしたいと思います。
 水産PECは0.071μg/Lですので、登録基準値(案)を超えないことを確認しております。
 引き続きまして、水産検討会での議論について紹介させていただきます。

【秋山係長】 それでは、18ページをご覧ください。
 先ほど、上迫からも説明がありましたが、ミジンコ類急性遊泳阻害試験において、48時間後に対照区で60.8μg/Lの有効成分が検出されております。こちらについては、先ほどのダイファシン系と同じように実測濃度からEC50を算定しておりますので、毒性評価に及ぼす影響はないと、水産検討会で判断されております。
 説明は、以上になります。

【白石委員長】 では、ご質問、ご意見をお願いします。よろしいでしょうか。物性もよろしいでしょうか。
 毒性も特にご意見はないですか。はい、どうぞ。

【稲生専門委員】 物性のところで、16ページの水中光分解の括弧書きで書いてある光の強さの単位が何かおかしいと思います。「W min/cm2」となっているのですけれども、ミニッツというのが、何かおかしいような、数字的にも何かおかしいと思います。これ、そのまま要らないのではないかと思うので、確認をとってください。

【上迫室長補佐】 ちょっと確認をして、直させていただきます。

【白石委員長】 では、時間も。はい、どうぞ。

【内田専門委員】 PECを計算されているところの樹木ですけど、これ、具体的には何ですかね。例えばクズとか、そういうものを対象にしているのですか。これは除草剤ですよね。

【上迫室長補佐】 樹木については、確認をさせていただければと思います。

【内田専門委員】 樹木等という適用もあるはずですよね、この除草剤は。

【秋山係長】 まず、適用についてですけれども、樹木として、具体的にはスギ、ヒノキへの適用があります。適用雑草は、属名がクズ、一年生及び多年生の広葉雑草ということになっています。また、樹木等への適用もございます。
 続いて、稲生先生からいただいたご質問の水中光分解性についての単位ですけれども、抄録を確認しますと、「W min/cm2」と記載されておりまして、誤りはなさそうですが、申請者等に確認した上で、正しいものに修正したいと思います。
 失礼しました。

【白石委員長】 ありがとうございました。この樹木等にも適用があるということですので、いつも書いてないのは、何か理由があるのですか。ここは幾つか、代表的なものだけを書いているのですよね。必要でしたら「樹木等」も入れておけばいいと思いますが。
 ほか、ご意見、ご質問はございますか。
 なければ、21ページの総合評価をご確認ください。登録基準値(案)を90μg/Lとすると、水産PECはこれを超えてないということですね。ご確認はよろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、必要があれば修正していただくということで、基準値(案)は事務局案どおりとさせていただきます。
 では、次をお願いします。

【上迫室長補佐】 引き続きまして、メタムアンモニウム塩(カーバム)及びメタムナトリウム塩(カーバムナトリウム塩)についてご説明させていただきます。
 机上配付資料4をご覧ください。これは委員限りの配付とさせていただいております。表面にメタムアンモニウム塩(カーバム)の代謝分解経路、裏面にメタムナトリウム塩(カーバムナトリウム塩)の代謝分解経路を記載させていただいております。簡単にご説明をいたしますと、カーバム及びカーバムナトリウム塩が、水系ではイオンとして存在をしております。これがメタムでございます。これが比較的短時間で活性成分メチルイソチオシアネート(MITC)に分解するといった代謝経路になっております。
 裏面のカーバムナトリウム塩についても、ほぼ同様でございます。メタムから分解しまして、MITCになるといった代謝経路になります。
 それでは、資料5に戻っていただきまして、22ページ目でございます。
 今回は、そのカーバムとカーバムナトリウム塩をあわせてご紹介をさせていただきます。いずれも、水系ではイオンとして存在しますので、基準値はメタム、こちらも先ほどのトリクロピル(酸)と同様、酸体として基準値を設定することとしたいと思います。
 初めに、23ページ目、作用機構等でございます。
 最初に、カーバム(メタムアンモニウム塩)はジチオカーバメート系の殺線虫・殺虫・殺菌・除草剤でございます。その作用機構は、土壌中で速やかに活性成分であるメチルイソチオシアネート(MITC)に分解して気化し、ガス体として土壌中を拡散・移行し、土壌中の病害虫や雑草種子等のSH基を有する酵素を阻害するものと考えられております。
 カーバムナトリウム塩についても同様でございます。
 なお、製剤は両方とも液剤、適用農作物は、カーバムについては果樹、野菜、花き、樹木、芝等、カーバムナトリウム塩については野菜、いも、花き等がそれぞれございます。
 各種物性については、24ページ目、25ページ目に記載のとおりでございます。説明は割愛させていただきます。
 この毒性試験の結果でございますけれども、カーバム、カーバムナトリウム塩につきましては、先ほど申し上げましたとおり、比較的短時間で、メタムを通じてMITCに分解をされるということでございます。したがいまして、この毒性試験中も一部、この分解されたMITCが混在する状態になっております。しかしながら、少し複雑ですけれども、メタムアンモニウム塩につきましては、このMITC濃度は計測されておりません。また、メタムナトリウム塩につきましても、藻類の成長阻害試験のみ、MITCの濃度が計測できなかったと申請者から聞いております。したがいまして、メタムナトリウム塩の魚類急性毒性試験、メタムナトリウム塩のミジンコ類急性遊泳阻害試験のみ、メタムとMITC双方の濃度を測っています。
 ただ、私どもとしましては、MITCの毒性、濃度が測れていないとしても、数値が小さめに出ると、その双方の毒性が影響している中で数値が小さめに出るということで、安全側に評価される、仮にMITCが測れなかったとしても、安全側に評価されているのではないかと考えておりまして、そこについては再試験を求めるということはしておりません。
 前置きが長くなりました。改めまして、魚類、各種毒性試験の結果をご説明させていただきます。
 まず、初めにメタムアンモニウム塩の魚類急性毒性試験の結果でございます。96hLC50が1,460μg/Lとなっております。一方で、メタムナトリウム塩については、96hLC50が208μg/Lとなっております。
 甲殻類につきましては、27ページ目、28ページ目に記載のとおりでございます。オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施をされております。メタムアンモニウム塩については、48hEC50が780μg/L、メタムナトリウム塩については、同じく260μg/Lとなっております。
 続きまして、藻類でございます。それぞれムレミカヅキモを用いた藻類成長阻害試験が実施をされております。それぞれ72hErC50が84μg/L、220μg/Lとなっております。
 31ページ目、水産PECのご紹介に移ります。農薬登録情報提供システムによれば、本農薬は製剤として液剤があり、適用農作物等は、メタムアンモニウム塩では果樹、野菜、花き、樹木、芝等があります。メタムナトリウム塩としては、野菜、いも、花き等がございます。
 非水田使用時のPECとしましては、まず、メタムアンモニウム塩では、地表流出を計算しております。パラメーターはご覧のとおりでございます。これは、なお、土壌くん蒸剤として使用されるものでございます。メタム換算値として、メタムアンモニウム塩は0.94μg/L、メタムナトリウム塩としては0.86μg/Lと計算されました。したがいまして、水産PECとしては0.94μg/Lとなります。
 総合評価に移ります。二つ一緒にご紹介しているので、少しわかりにくかったところもあろうかと思いますけれども、結果を並べてみますと、魚類については、1,460μg/Lと208μg/L、甲殻類が780μg/L、260μg/Lで、藻類が84μg/L、220μg/Lとなっております。魚類の急性影響濃度については、不確実係数10で割りまして20.8μg/L。甲殻類についても、同様に10で除して26.0μg/L。そして、藻類の急性影響濃度は84μg/Lとなっております。これらのうち、最小の魚類急性影響濃度の値を用いまして、登録基準値(案)は、メタムとして20μg/Lとしたいと思います。
 水産PECは、先ほど申しましたように0.94μg/Lでございますので、登録基準値(案)を超えていないことを確認しております。
 評価書の説明については以上です。
 水産検討会の議論については、特段ご紹介はございません。

【白石委員長】 では、ご質問、基準値(案)についてご意見をお願いします。よろしいでしょうか。
 はい、どうぞ。

【浅見臨時委員】 すみません、こちらのメタムと、あと、次のMITCもですが、水道でもよく検出される農薬の一つで、MITCに変換するために、MITCとして検出をして、メタムが使われているところではメタムに換算してというような方式で評価をしているのですけれども、今回の評価が、土壌くん蒸で用いられているということで、水にあまり入ってこない形で換算のPECをされているのかなと思ったのですけれども、ちょっと、この換算のときに、ドリフト率とかをこのように考えていいのかどうかというところを教えていただければというのが一つと、あと、これ、恐らく計測はMITCで、水に溶解したものをMITCで検出してメタムに換算したということだと思うのですけれども、そのような理解でよろしいかどうか、ということを教えていただければと思います。

【秋山係長】 まず、水産PEC算出におけるドリフトについて、こちらの剤につきましては、使用方法が土壌くん蒸ということで、基本的にドリフトはないものとして、ドリフトは考慮しないで水産PECを算出しております。

【浅見臨時委員】 水に来ている感じもするのですけれども、揮発するわけではなくて、土壌に残ったものが溶出して水の中から検出されるという理解でよろしいですか。

【秋山係長】 PECについては、ドリフトではなくて地表流出ということなので、土壌中に散布したものが水に溶出したりして、河川中から検出される場合を想定して、PECを算出しています。

【白石委員長】 計測ですね、実測値の計測はどうやっているのですか。

【浅見臨時委員】 恐らくですけれども、ここにメタムナトリウム塩換算値とありますので、MITCで検出をして、それをメタムに分子量を掛けて戻して、換算していらっしゃるということではないか思うのですけれども、そのような理解でよろしいでしょうか。

【上迫室長補佐】 はい、カーバムナトリウム塩の毒性試験のうち、魚類と甲殻類については、おっしゃるとおりMITCも両方測って、メタムに戻して足し合わせています。

【白石委員長】 MITCだけ測っているのですか。

【上迫室長補佐】 MITCとメタムです。

【白石委員長】 両方測っているのですね。

【上迫室長補佐】 両方です。

【白石委員長】 両方はかって合算しているということですか。

【上迫室長補佐】 はい。

【白石委員長】 MITCが出たり出なかったりしていたと、全てそういった分析法をなさっているというふうに。あるときの試験だけそういう試験で、ほかは、今。

【上迫室長補佐】 そうですね、メタムアンモニウム塩については、MITCが残念ながら測れていない状態です。

【白石委員長】 測れていないのですね。

【上迫室長補佐】 測っていないと申し上げたほうがよいかと思います。

【白石委員長】 わかりました。もう一個のほうは、その浅見委員がおっしゃるような分析方法をやられていたということですね。

【上迫室長補佐】 はい。

【白石委員長】 ほか、ご意見、ご質問は。

 はい、どうぞ。

【赤松臨時委員】 また物性で申し訳ないのですけれども、まず、24ページのメタム酸のオクタノール、あ、メタムのところのアンモニウム塩のオクタノール分配係数が、先ほどと一緒で、メタム酸がpKa3.6ですので、また、pHが書いてないというのが1点と、それから、25ページのメタムナトリウム塩で、まず、この下の注釈の1、2が2、3の間違いだと思いますが。
 2番の土壌吸着係数なのですけれども、ここに、このMITCの値であると注釈に書いてあるのですが、この後、MITCが出てくるのですけど、34ページの、34ページかな、MITCの値と土壌吸着係数が違っているのですけれども、これ、どちらが正しいのか確認をしていただきたいと思います。
 それともう一点、注釈の3のメタム、25ページの一番下ですが、メタム及びメタムナトリウム塩として、pKa1、pKa2と書いてあるのですけど、この意味がよく分からないのですけど、これ、2段階解離しないので、pKa2というのは、どういうことなのかがよく分からないのですが。

【上迫室長補佐】 すみません、ちょっと追いつけなかったので、もう一度、よろしいでしょうか。

【赤松臨時委員】 どこから言ったらいいですか。大丈夫ですか。

【白石委員長】 logPの話は、これ、問題なのはpKaが分かれば、あ、pHが分かればpHを書いていただければ、最低限、そのくらいは必要と思いますけれども。
 土壌吸着係数は、これはそれぞれ別の試験なのですよね。全体ですかね。そういうことだと思いますが、よろしいですか。
 3番目のこれも、私も疑問だったのですけど、Hが二つありますので、これ、1個ずつはがしていけば二つ、とりあえず理論的にも出ていくかもですね。片方、SHの部分とNHの部分しかないので、こうなっているのですけれども。強アルカリなので、Nのところと思いますけれども。事務局、わかりましたら、後でも結構ですのでお知らせください。
 ほか、特段、修正はなくてよろしいですね。
 ほか、よろしいですか。
 なければ、PECについても、はい、どうぞ。

【稲生専門委員】 PECは問題ないのですが、32ページ、表8の右側の各種パラメーターの値の一番下のところですね、農薬流出係数のところで、「※2」と書いてありますけど、これ、要らないと思いますので、削除してください。

【白石委員長】 はい、それでは、お願いします。先ほどの物性のところも、何か脚注のところで間違いがあったみたいです。
 ほかはいかがでしょうか。
 ないようでしたら、総合評価をご確認ください。登録基準値(案)は、メタムとして、20μg/Lとするということで、水産PECはこれを超えていないことで、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 はい、ありがとうございました。
 では、本当に最後の剤、お願いします。

【上迫室長補佐】 これが最後です。先ほどより少し話題になっておりますMITC、メチルイソチオシアネートです。
 作用機構等ですけれども、これも、先ほどから再三ご説明させていただいた作用機構とほぼ同じでございます。殺線虫・殺菌剤となっておりますが、土壌中で気化し、ガス体として土壌中を拡散・移行し、土壌中の微生物等のSH基を有する酵素を阻害するものと考えられております。
 製剤は油剤、くん蒸剤が、適用農作物等は、野菜、いも、樹木、花き、茶等がございます。
 各種物性につきましては、ご覧のとおりでございます。
 続きまして、毒性試験の結果についてご説明させていただきます。
 まず、初めに魚類の急性毒性試験ですけれども、コイとメダカ、ニジマス、ブルーギルの4種が提出されております。コイについては、96hLC50が144μg/Lとなっております。続きまして、メダカにつきましては、96hLC50が118μg/Lとなっております。ニジマスについては、これはEPAの、農薬登録時に提出されたニジマスの急性毒性試験に関するデータ評価レポートの概要でございます。96hLC50が89.2μg/Lとなっております。ちなみに、先ほどのメダカは環境省が実施した試験でございます。最後、ブルーギルですが、こちらもEPAの評価レポートでございます。96hLC50が134μg/Lとなっております。
 引き続きまして、オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験の結果でございます。48hEC50が55μg/Lとなっております。
 3番、藻類につきましては、ムレミカヅキモを用いた藻類成長阻害試験が実施されております。72hErC50が97.2μg/Lとなっております。
 水産PECの計算です。本農薬は、製剤として油剤、くん蒸剤がございます。適用農作物等は、野菜、いも、樹木、花き、茶等がございます。したがいまして、非水田使用時のPECを計算しております。これ、くん蒸ということでございますので、地表流出の非水田PECを計算しております。パラメーターはご覧のとおりでございます。これらのパラメーターにより、非水田PECTier1による算出結果は0.39μg/Lとなっております。
 総合評価に移ります。各生物種のLC50、EC50は、説明させていただいたとおりでございます。魚類につきましては、3種以上の生物種試験が行われた場合に該当することから、不確実係数は4を適用し、最小の値、89.2を4で除した22.3μg/Lとしております。甲殻類については、55を10で除して5.5μg/Lとしております。藻類については、97.2μg/Lとしております。これらのうち最小の甲殻類等急性影響濃度を用いまして、登録基準値5.5μg/Lを提案いたします。
 リスク評価といたしましては、水産PEC 0.39μg/Lが登録基準値5.5μg/Lを超えないことを確認しております。
 MITCについて、以上でございます。

【白石委員長】 では、MITCにつきまして、ご質問、基準値(案)についてご意見をお願いします。よろしいでしょうか。
 はい、どうぞ。

【浅見臨時委員】 本当は、作用有効成分といいますか、さっきの剤と同じなので、換算をすると、ほぼ同じぐらいになるような剤と思うのですが、大体オーダー的には近いと思うので、たまたまのことなのかと思います。あと、細かいところなのですが、34ページの作用機構等のところで、メチルイソチオシアネートの後に括弧がありますが、ここの括弧の中はイソチオシアン酸メチルではないかと思うので、ご確認いただければと思います。

【白石委員長】 名称です。確認してください。確認の上、必要なら修正をお願いします。
 ほかは、いかがでしょうか。よろしいですか。
 毒性はよろしいでしょうか。先ほどと同じような毒性を示すということです。
 PECについてもよろしいですか。
 では、41ページの総合評価をご確認ください。

【上迫室長補佐】 その前に、よろしいでしょうか。42ページ目に、MITCのリスク管理についてということを付しております。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【上迫室長補佐】 説明させていただきます。
 MITC、先ほどもカーバム、カーバムナトリウム塩から変化するということを説明させていただきましたが、かつてダソメットについて審議したときも、やはりMITCを生ずるものということとされております。したがいまして、これらを、その合わせてどうかということも試算しております。これら4種の農薬を使用したときの、PECの合計値が表のとおり1.7μg/Lとなっておりますので、4剤すべて合算したとしても、登録基準値(案)5.5μg/Lを超えないことを確認しております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。試算していただいているということですかね。
 それも踏まえまして、41ページの総合評価をお願いします。よろしいでしょうか。登録基準値(案)を5.5μg/Lとすること。水産PECは0.39μg/Lで、登録基準値(案)を超えていないこと。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしければ、確認の上、修正があるかもしれませんので、よろしくお願いします。
 基準値(案)につきましては、事務局案どおりとさせていただきます。
 随分、時間が超過しているのですけれども、よろしければ、ここで10分程度休憩に入りたいと思います。4時に再開ということでお願いいたします。

(15時50分 休憩)
(16時00分 再開)

【白石委員長】 では、皆様、お揃いになりましたので、審議を再開いたします。
 次に、議事の3、水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入ります。
 事務局から、資料の説明をお願いします。

【野口係員】 それでは、資料7をご覧ください。
 資料7、水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料でございます。今回は、1ページにお示しの1剤について、ご審議をいただきます。今回、ご審議いただく剤は、新規剤となっております。
 それでは、2枚スライドしていただきまして、3ページ目をご覧ください。今回ご審議いただくのがブロフラニリドになります。
 まず、物質概要ですが、1ページ目の表に記載させていただいたとおりでございます。
 作用機序ですが、ブロフラニリドは新規骨格を有する殺虫剤で、昆虫の神経細胞のGABA受容体に作用することで速やかな殺虫効果を示すものとなっております。新規剤となっておりまして、適用農作物等を野菜、いも、豆及び花きとして水和剤が登録申請されています。
 続いて、次のページですが、各種物性等はこちらに記載のとおりとなっております。
 安全性評価ですが、1日摂取許容量(ADI)が、食品安全委員会が令和元年7月12日付で、ADIを0.017 mg/kg体重/日と設定する通知を厚生労働省に出しておりまして、この値は、無毒性量の最小値1.7 mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されています。
 続いて、3ページ目に移りまして、水濁PECですけれども、今回、最大使用量となる使用方法が2通りございまして、①と②で併記する形で記載しております。どちらの場合も、最終的な使用量、各パラメーターは同じとなりますので、表の数値をもとに計算しまして、算出結果としましては、次のページになりますが、非水田での第1段階で0.0000035 mg/Lとなっております。
 また、次のページ、総合評価ですが、ADIの0.017 mg/kg体重/日をもとに、こちらの算出式により登録基準値を算出した結果、0.045 mg/Lを登録基準値の案として提案させていただいております。
 リスク評価ですが、水濁PECの0.0000035 mg/Lに対し、登録基準(案)の値が0.045 mg/Lですので、基準値(案)を超えていないことを確認しております。
 ご説明は、以上になります。

【白石委員長】 では、毒性の面からコメントをお願いできますでしょうか。

【佐藤臨時委員】 はい、こちらのブロフラニリドですけれども、食品安全委員会で検討されております。
 毒性のプロファイルですけれども、まず神経毒性、繁殖毒性、催奇形性、遺伝毒性、あるいは免疫毒性は認められておりません。種々の動物の実験から認められる毒性は、主に体重増加抑制、あるいは貧血、ラットで毒性がぱらぱら出ているのですけれども、副腎の皮質細胞の空胞化、重量増加を伴うような変化、あるいは卵巣の重量増加を伴う間質腺細胞の空胞化等が認められております。
 ラットを用いた2年間の発がん試験で、雄では精巣間細胞の腺腫、雌では子宮内膜の腺癌、あるいは卵巣の黄体腫、あるいは莢膜細胞腫、顆粒膜細胞腫などの腫瘍の発生率が高くなっております。
 こちらの発生機序については、ステロイド合成の阻害によるもののフィードバックによる、あるいは持続的なホルモンの不均衡による腫瘍の発生が考えられております。遺伝毒性がないということですので、閾値が考えられまして、ADIが設定されているという状況です。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今の毒性プロファイルのご説明を含めまして、基準値(案)につきまして、ご意見、ご質問をお願いいたします。
 いかがでしょうか。新規の骨格を有する殺虫剤ということで、物性についてはよろしいでしょうか。フッ素がたくさんついているということですね。特段、ご意見はないでしょうか。
 PECについてもよろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 特段、ご意見がないようですので、総合評価をご確認ください。ただいまの毒性値をもとに、登録基準値(案)を0.045 mg/Lとするということでございます。水濁PECはこれを超えていないということでございます。ご確認いただけましたでしょうか。
 では、これは事務局案どおりとさせていただきます。
 今回は1剤だけということですので、以上で、水質汚濁に係る農薬登録基準の設定についての審議を終了します。
 事務局より、本件に関する今後の予定について、説明をお願いします。

【野口係員】 本日、ご了解いただきました水産、水濁の農薬登録基準値(案)につきましては、行政手続法の規定に基づき、今後、パブリックコメントを1か月ほど実施します。その結果、もし何か修正等を求める意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うかどうかご相談をしまして、ご判断いただくことにしたいと思います。再審議の必要のない場合には、農薬部会長の同意を得て、中央環境審議会長に部会決定として報告を行い、さらに会長の同意を得られれば、中央環境審議会決定として環境大臣に答申いただくこととなります。そして、答申後、基準値を告示させていただきます。

【白石委員長】 今後の予定につきまして、何かご質問等はございますか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、そのように進めさせていただきます。
 次に、議事3、その他に移ります。案件は3件とのことです。事務局より説明をお願いします。

【秋山係長】 それでは、資料8をご覧ください。
 農薬登録基準の設定を不要とする農薬についてということで、ご審議いただければと思います。本日は硫黄1剤となっております。
 それでは、1ページ目をご覧ください。作用機構等についてですが、硫黄は殺菌剤として登録されており、その作用機構は、硫黄が直接、又はその還元生成物である硫化水素が電子伝達系を阻害すると考えられております。
 本邦での初回登録は1949年でありまして、製剤は粒剤、粉剤、水和剤が、適用農作物等は麦、果樹、野菜、いも、豆、花き、芝等がございます。
 単体の硫黄は無極性分子であり、水に不溶です。
 ここで1点訂正があります。事前にお送りした資料では、水に「不要」と記載しておりまして、誤字がございました。「不溶」に修正したものをタブレットに格納しておりますので、そちらでご確認いただければと思います。失礼いたしました。
 硫黄については、別紙1のとおり、原体を用いた魚類急性毒性試験、ミジンコ類急性遊泳阻害試験及び藻類生長阻害試験がそれぞれ提出されております。それらの試験につきましては、全ての試験において、有効成分換算値の設定濃度99,900μg/Lで影響は認められておりません。
 以上の試験結果から、その毒性が極めて弱いこと等の理由により、有害でないと認められる場合に該当するとして、水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準の設定を行う必要がない農薬として整理したいと考えております。
 説明は、以上になります。

【白石委員長】 では、ご質問、ご意見をお願いいたします。いかがでしょうか。毒性が極めて弱い等の理由により、設定を不要とする農薬とするということ。硫黄です。よろしいでしょうか。特段、ご意見はないですか。
 せっかくですので、2ページ目に「SXと書いてありまして、このXについて、申請者に問い合わせたところ、自然界では、X=8が安定結晶体だという回答ですけど、これ、自然界のことを聞いているわけではないですよね。農薬について聞いていると思いますので、これは実際の農薬について書いていただいたほうがいいと思うのですが。

【秋山係長】 失礼しました。一般的な硫黄の形態ということで、記載してしまったのですけれども、申請者に確認をとりまして、農薬としての正確な値に修正したいと思います。

【白石委員長】 お願いします。

【秋山係長】 はい、失礼しました。

【白石委員長】 ほかは、いかがでしょうか。
 あと、下の表で、例えば、土壌吸着係数は、天然にも存在する無機物であるため試験省略というのは、これ、天然にあるものは試験省略というルールがあるのですか。その辺がよく分かりません。水中光分解性、天然に存在する無機物は試験省略なのですか。この辺、もう少しきちんと書いていただいたほうがいいと思います。試験省略の基準に関する記述が不十分なので、天然にも存在するために試験省略なのか確認できましたら、お願いいたします。
 ほかはいかがでしょうか。
 はい、よろしいようでしたら、あ、どうぞ。

【浅見臨時委員】 先ほどの形態にもよるかと思うのですけれども、何か無臭と書いてありますが、製剤としても全く無臭なのかどうかに関して分かれば、後で加筆いただければと思います。

【白石委員長】 各種物性のところをもう少し詳しく。
 よろしいですか。それでは対応をお願いいたします。
 いろいろご質問がございましたけれども、登録基準の設定を不要とする農薬ということに関してはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 はい、特段ご意見はないようですので、初めの評価対象の農薬の概要について、もう少し加筆・修正するところがあればお願いいたします。
 あとは、事務局案どおりとして、農薬登録基準の設定を不要とする農薬として、硫黄を認めるということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 では、次の議案をお願いします。

【野口係員】 それでは、資料9、10に関してご説明いたします。
 本件は、9月18日、前回開催した第71回の農薬小委員会で審議されました水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準値(案)及び水質汚濁に係る農薬登録基準値(案)について、パブリックコメントの募集を行った結果の回答(案)となっております。
 まず資料9、水産基準に関するパブリックコメントの結果ですが、2件寄せられましたが、いずれも農薬登録基準に関係のないご意見となっておりましたので、意見なしとして、結果を作成しております。
 資料10をご覧ください。こちら、水質汚濁の基準の関係ですが、意見3件のうち、やはり2件が関係のないご意見でしたが、本件に関係のあるご意見が1件寄せられました。
 2ページ目ですが、ご意見としましては、農薬の殺虫、殺菌、除草の効果をもって生態系への影響と考え、農薬登録を拒否するべきではないかというご意見になっております。
 回答(案)としましては、右側に記載のとおり、まず、農薬取締法の目的として、農業生産の安定、国民の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的としていることを説明した上で、農業生産のためには、ほ場内では殺菌、殺虫、除草等の薬効を有しつつ、ほ場の外部では環境に影響を及ぼさないかどうか審査を行っており、どのようなときに農薬登録を拒否するかについて説明しております。
 また、今後の流れですが、今後、省内での手続をいたしまして、基準値を定める告示と、今回、ご確認いただいたパブリックコメントへの回答を同日付で公布、公開することとなっております。
 説明は、以上でございます。

【白石委員長】 ただいまの説明について、ご意見、ご質問はございますか。いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

【浅見臨時委員】 書き方としてはいいと思うのですけれども、今のご回答の最後から5行目の表現で、「人畜等に影響を及ぼさないレベル」と書いてありますが、いわゆる家畜だけではなくて、生活環境動植物に関して評価をする方向になったところもありますので、もう少し幅広く考えているというようなことを書かれてもいいのではないかと思います。

【白石委員長】 ありがとうございます。そのとおりではないかと思います。

【野口係員】 ご指摘のとおりでございます。ただ、今回は水濁基準に関するパブリックコメントということで戴いたご意見になっておりますので、もともと水濁基準自体、人畜を対象とした基準ではあるものの、等をつけた回答にさせていただいているところです。

【浜谷室長】 今回、パブリックコメントをかけました対象農薬につきましては、いま野口が申しましたとおり、水濁基準の案になっています。これに対する意見募集になっています。ご承知のとおり、水濁基準値につきましては、ADIに基づき設定をしております。ADIに体重を掛け、ADIの10%をアロケーション(配分)し、飲料水の1日摂取量としての2Lで除しています。そのような計算をして基準値を設定していますので、基本的に人畜等を意識した基準値の設定になっています。これがもし、水産基準値として設定されているものに関する意見募集でしたら、いま先生がおっしゃったとおり、生活環境動植物という文言を明記する必要があると思います。

【白石委員長】 はい、よろしいですか。

【浅見臨時委員】 続けて見ると、もっと全般的なことを書いていらっしゃるように見える。

【白石委員長】 あ、上のほうで全般的なことを書いている。

【浜谷室長】 これは一般論なのか、今回の対象農薬に関してなのか、文章が曖昧になっているというご指摘を受けて、そこは少し工夫をさせていただきます。

【白石委員長】 では、よろしくお願いします。
 ほかは、いかがでしょうか。
 では、文章を少し修正ということですので、確認はどうしましょうか。私に一任で、よろしいですか。それでは、私一任ということでお願いします。
 そのほか、いかがでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、文章を直していただいて、私が確認した上で、公表とさせていただきます。
 それでは、最後の案件です。事務局より説明をお願いします。

【髙松室長補佐】 続きまして、資料11をご覧ください。
 ゴルフ場で使用される農薬に係る平成30年度水質調査結果について、ご報告いたします。
 初めに、本調査の経緯ですけれども、平成2年に、ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針を環境省で定めておりまして、その後、平成29年に、この平成2年の指針に水産指針値を追加した形で、ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止及び水産動植物被害の防止に係る指導指針を策定したところです。都道府県等におきましては、本指導指針に基づきまして、ゴルフ場で使用される農薬についての調査・指導が行われてきたところです。この度、平成30年度の調査結果を取りまとめましたので、ご報告をさせていただきます。
 1ページめくっていただきまして、別表1として、都道府県別の水質調査結果を添付させていただいております。
 その次のページに、別表2としまして、農薬別の水質調査結果を掲載させていただいております。この中で、今回、水濁指針値を超過した農薬はありませんでしたが、水産指針値を超過した農薬が2剤ありました。
 1ページめくっていただいて、64番のダイアジノンが、1検体、水産指針値を超過しておりました。次のページの100番になりますけれども、ピロキサスルホンについては、4検体が指針値の超過をしているという結果になっています。
 この調査結果については、この後、プレスリリースをさせていただく予定としております。
 今回、水産指針値を超過した事例が見られました。また、分析におきましては、定量下限値が指針値を上回っていたため、指針値超過の有無が不明な事例も見られました。このため、全ての都道府県に対し、ゴルフ場関係者への指導指針の周知を改めて行いまして、農薬の使用に関して一層の注意を促すとともに、分析においては、定量下限値に十分に注意するよう求めることといたしたいと思います。
 ご説明については、以上になります。

【白石委員長】 ありがとうございます。ただいまの説明について、ご質問などございますか。
 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 定量下限値が指針値を上回ったというのは、平成29年度の調査結果では485検体ぐらいあったと思うのですよ。平成30年度の調査結果では175検体。これを改善と見るのか、どう見るかで、この調査結果に対する対応も異なってくると思います。去年、たしか室長補佐が農薬メーカーの協力を得て、分析法をどうする、こうするという約束があったはずです。その成果として、今回公表の調査結果を理解していいのかどうかが1点目。あと、平成30年度の調査対象の農薬製剤は174で、平成29年度も同じだったと思うのですけれども、平成29年度調査の有効成分の数は157だったと思います。平成30年度調査の有効成分数は156だから、1成分減っている。調査対象の農薬が結構入れ替わっているのですかね。この2点について教えてください。

【髙松室長補佐】 1点目ですけれども、定量下限値については、私どもも問題だと思っておりまして、おっしゃったとおり、平成29年度の水質調査結果の際は、超過不明検体数は485検体となっておりまして、30年度は175検体ですので、数は減少しております。超過不明検体が出ている農薬について、検出方法がホームページ上に掲載されているかどうかを確認しました。一部、銅の関係は検出方法が掲載されてないのですけれども、それ以外の農薬については、検出方法がホームページに掲載されておりますので、それに従って検出作業を行っていただけていると思っているところです。
 ただ、30年度についても100検体を超える検出不明の検体がございますので、このところについては、改めて、都道府県を通じまして、定量下限値を適正に設定して検査をするように周知を行っていきたいと考えております。
 2点目ですけれども、29年度の調査対象農薬数は157成分で174製剤、30年度の調査では156成分で174製剤になっておりますが、調査対象農薬はそれほど大きく入れ替わっているものではないと認識をしております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 ほかにご質問はございますか。
 はい、どうぞ。

【天野臨時委員】 参考のために教えていただきたいのですが、調査対象としたゴルフ場数は1,481か所とあります。都道府県別に見ますと、多いところ、ゼロのところ、様々でございますが、実際には、全国のゴルフ場の何割を調査したのでしょうか。

【髙松室長補佐】 こちら、都道府県に調査を依頼して、取りまとめていただいているのですけれども、分母となる、その都道府県内のゴルフ場ということでは、数値を把握しておりませんので、全国のゴルフ場の何割という回答は、ちょっとここではできません。

【天野臨時委員】 都道府県に依頼して、出てきたものを取りまとめるということで、(調査を)幾つやりなさいという強制力はないとは思うのですけれども、また、都道府県によって力を入れているところ、そうでないところというのもあるとは思いますが、調査結果を把握したときに、調査対象のゴルフ場の総数から推測して、それが全国的な傾向を示しているものかどうかということも一応興味はありますので、数値を把握されるべきではないかと思います。
 それから、もう一つ。これは多分、環境部門に調査を依頼されていると思うので、なかなか回答は得られないとは思いますが、この超過したところは、農薬の使用を間違って超過しているのか、農薬を適正に使っても超過するのか、という超過の原因に関する質問です。超過が続くようであれば、抑えておくべきところではないかと思いますので、これもご検討いただければと。

【髙松室長補佐】 ご指摘ありがとうございます。今回、2農薬が超過しましたが、この2農薬は、実は29年度も超過しております。ただ、検出した県が異なりますので、特定のゴルフ場がいつも超過しているということではない、ということは把握しております。
 今後の調査については、より良い、適切な方法で調査を行えるように検討していきたいと思います。

【白石委員長】 はい、貴重なご意見をありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 この調査結果に対する対応が5行書いてありますよね。資料11の「3.調査結果に対する対応」の5行は、29年度と全く同じですよね。だから、さっき申し上げたように、内容が変わっているのか、変わっていないのかによって、書きぶりを少し変えたほうがいいような気がするので、検討いただければ、ありがたいと思います。

【髙松室長補佐】 都道府県への文章については、また別途文章をつくりまして、送らせていただきますので、ご指摘の点も踏まえて、次回からの改善を促進するような文面で連絡をしたいと思います。

【白石委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほかは。

【上迫室長補佐】 ゴルフ場の数ですけど、いまネット情報を調べまして、一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会が本日付で出した資料によりますと、2018年、2,248か所ということでございます。

【白石委員長】 ありがとうございます。(今回調査したゴルフ場は、全国のゴルフ場総数の)まあ半分超くらいですかね。
 ほか、ご質問、ご意見はございますか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、いろいろたくさん貴重なご意見を伺えましたので、都道府県に発送する前には、それらを踏まえて文章を考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、本日の審議が一通り終了しましたので、その他、本日の審議全体につきまして、何かご意見、ご質問がありましたらお願いします。

(発言なし)

【白石委員長】 はい、特にご意見なければ、事務局にお返しします。

【浜谷室長】 白石委員長、どうもありがとうございました。また、委員の皆様方におかれましては、長時間のご審議、どうもありがとうございました。
 本日、いただきましたご意見を踏まえまして、まず、ハチに関しましては、2月の部会に提出する二次答申(案)について、この小委員会でお諮りをさせていただきたいと思います。また、水産基準値及び水濁基準値について我々のチェック漏れがあったところをご指摘をいただいた部分につきましては、修正をさせていただきまして、皆様に、公表前にまたお送りをさせていただきたいと思います。
 次回の小委員会の日程につきましては、来年1月10日の金曜日を予定しております。また近くになりましたら、ご案内申し上げますので、ご出席をお願いしたいと思います。
 それでは、本日は、以上をもちまして終了させていただきます。どうもありがとうございました。