中央環境審議会土壌農薬部会(第36回)議事録

1.日時

平成31年1月29日(火13:3114:55

2.場所

環境省第1会議室

3.出席委員

部会長   岡田 光正    臨時委員  佐藤  洋

委  員  大塚  直          谷口 靖彦

      白石 寛明          田村 洋子

      松永 和紀          築地 邦晃

臨時委員  赤松 美紀          寺浦 康子

      浅野 直人          根岸 寛光

      浅見 真理          細見 正明

      天野 昭子          三浦 啓一

      太田 信介          矢内 純太

      川崎  晃          山本 廣基

      五箇 公一          

(欠席は、川本臨時委員、平田臨時委員、福島臨時委員、和気臨時委員)

4.委員以外の出席者

環境省

田中水・大気環境局長、上田大臣官房審議官、庄子総務課長、神谷土壌環境課長、中村土壌環境課課長補佐、小笠原農薬環境管理室長、羽子田農薬環境管理室室長補佐

5.議題

(1)生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について

(2)中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について

(3)報告事項

  ①水質汚濁性農薬に係る指定の見直し(農薬取締法施行令の改正)について

  ②農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令の改正について

  ③最近の農薬環境行政について

  ④最近の土壌環境行政について

(4)その他

6.配付資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿
資料2 農薬取締法の一部を改正する法律について
資料3 生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(諮問・付議)
(参考)生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定についての検討経緯
資料4 生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第一次答申)(案)
資料5 生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第一次とりまとめ)(案)に対する意見募集の実施結果について
資料6

中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について(改正案)

資料7 水質汚濁性農薬に係る指定の見直しについて
資料8

農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令の改正について

資料9

最近の農薬環境行政について

資料10

最近の土壌環境行政について

参考資料1

中央環境審議会関係法令等

参考資料2 農薬取締法(昭和23年法律第82号)平成30121日施行、平成3241日施行

参考資料3

農薬取締法施行令(昭和46年政令第56号)平成30年12月1日施行、平成32年4月1日施行

参考資料4

農薬取締法新旧対照条文

参考資料5 農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成15年農林水産省・環境省令第5号)
参考資料6

農薬取締法第4条第1項第6号から第9号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準(昭和46年農林省告示第346号)

参考資料7

土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)・土壌汚染対策法施行令(平成14年政令第336号)・土壌汚染対策法施行規則(平成14年環境省令第29号)に係る三段対照表 平成30年4月1日施行

参考資料8 土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第46号)
参考資料9 土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について(第三次答申)
参考資料10

改正土壌汚染対策法等に係る新旧対照条文等 平成31年4月1日施行

7.議事

(小笠原農薬環境管理室長)

 定刻となりましたので、ただいまから土壌農薬部会第36回を開催させていただきます。委員の皆様には、ご多忙中にもかかわらず、ご参集賜りまして誠にありがとうございます。

 本日は、川本委員、平田委員、福島委員、和気委員よりご欠席とのご連絡をいただいておりますが、委員総数25名中21名の委員にご出席いただいておりますので、定足数を満たしておりますことをご報告いたします。

 続きまして、昨年の6月に開始しました前回の土壌農薬部会以降、事務局に異動がありましたのでご紹介をさせていただきます。

 初めに、水・大気環境局長の田中でございます。

(田中水・大気環境局長)

 よろしくお願いいたします。

(小笠原農薬環境管理室長)

 続きまして、総務課長の庄子でございます。

(庄子総務課長)

 庄子でございます。よろしくお願いいたします。

(小笠原農薬環境管理室長)

 続きまして、土壌環境課長の神谷でございます。

(神谷土壌環境課長)

 よろしくお願いいたします。

(小笠原農薬環境管理室長)

 ほか、大臣官房審議官の上田でございますが、少し遅れて到着する予定となっております。

 それでは、議事に先立ちまして、環境省水・大気環境局長の田中からご挨拶を申し上げます。

(田中水・大気環境局長)

 ただいまご紹介をいただきました、水・大気環境局長の田中でございます。土壌農薬部会第36回の会合の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 委員の皆様方におかれましては、日頃より土壌農薬を初めとする環境行政の推進にご指導、ご尽力を賜っております。厚く御礼を申し上げます。また、本日はご多忙のところ、ご参集をいただきまして誠にありがとうございます。

 まず、農薬の関係でございますけれども、農薬の安全性の向上を図るため、昨年の6月に農薬取締法の改正が行われました。前回の土壌農薬部会、昨年の6月でございますが、まだ、その段階では法案だったようですけれども、法案についてご説明をいたしました。今般の改正によりまして、農薬の動植物に対するリスク評価の対象が従来の水産動植物から陸域を含む生活環境動植物ということで拡大をされたところでございます。これによりまして環境大臣が新たな農薬登録基準を定める必要があるということでございまして、中央環境審議会に諮問をさせていただいて、農薬小委員会において具体的な検討が進められ、取りまとめをしていただいたということでございます。本日は、その答申案について、部会のほうでご審議をいただきたいと考えております。

 また、農薬取締法の改正に関係する政省令につきましても、昨年12月1日に改正、施行をされましたので、そういったことを含む最近の農薬環境行政についても後ほどご報告をさせていただきます。

 それから、土壌汚染対策でございますけれども、平成29年5月に土壌汚染対策法の一部を改正する法律が成立、公布されました。改正法の一部につきましては、平成30年4月1日より第1段階分として施行されました。それから、本年4月1日から次の第2段階分ということで施行されることとなっておりまして、これをもって改正法が全面的に施行されるということになっております。

 環境省におきましては、昨年4月に中央環境審議会において取りまとめをいただいた、今後の土壌汚染対策のあり方について(第二次答申)を踏まえまして、改正法の第2段階の施行に必要な政省令などの整備を進めてまいりました。政令事項の改正につきましては、昨年9月に公布をし、省令事項の改正につきましては、昨日、今月の28日に公布をしたところでございます。

 また、土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しなどにつきましては、昨年6月に1,2-ジクロロエチレンに係る第三次答申を取りまとめていただきました。これを踏まえた政省令の改正についても、その整備をしたところでございます。

 本日は、こういったさまざまな状況について、あわせてご報告をさせていただきたいと思っております。

 以上、申し上げました内容について、本日は短い時間ではございますけれども、忌憚のないご議論を賜りますようお願い申し上げまして、冒頭のご挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

(小笠原農薬環境管理室長)

 続きまして、本日の配付資料につきましてご確認いただきたいと思います。

 本日は、一部の資料を除き、タブレットを用いたペーパーレスでの会議となっております。資料の一式につきましては、全てタブレットの中に納めております。なお、議事次第と配付資料一覧、座席表、それから、資料4の本文と別紙1、別紙2につきましては、タブレットでは見づらい場合がございますので、委員の皆様にはお手元に紙資料として配付させていただいております。

 もし資料が足りない場合や、タブレットのトラブル等がございましたら、途中でも事務局までお知らせください。

 また、本日の会議と資料の扱いにつきましては、土壌農薬部会運営規則に基づきまして、いずれも公開とさせていただきます。

 それでは、これより議事に移りたいと思います。

 議事の進行は、岡田部会長にお願いいたします。

(岡田部会長)

 はい、かしこまりました。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。早速、議事に入ります。

 初めに、議題の1、生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定についてでございます。

 じゃあ、事務局からご説明をお願いいたします。

(小笠原農薬環境管理室長)

 それでは、タブレット「資料02」となっておりますが、そちらをお願いいたします。

 資料の2でございます。こちらは農薬取締法が昨年の6月に改正されまして、前回の部会におきまして、法案の国会審議中でございましたが、法案内容につきましてご説明をさせていただきました。本日は、これに関係する答申のほかに、政省令の改正につきましても後ほどご説明をさせていただきますので、再度、今回の改正につきまして、環境省に関係する部分ではございますが、ご説明をさせていただきます。

 資料2の左側をご覧ください。今回の改正は農薬の安全性の向上と、効率的な農業への貢献のための農薬に係る規制の合理化のために行われたものでございます。

 右側に法律の概要とございますが、改正によりまして、新たに再評価制度が導入されることになりました。

 また、農薬の登録審査の見直しといたしまして、安全性の審査の充実を図るため、動植物に対する影響評価の充実として、評価対象を水産動植物から陸域を含む生活環境動植物に拡大されることになりました。

 次のページになります。指で移動させてください。参考資料でございますが、農薬取締法は、農林水産省との共管によりまして、農薬の製造・流通・使用に至るまで規制が行われています。特に製造・輸入におきましては、農薬登録制度によりまして、人の健康や環境への安全性等の審査を行い、環境省の役割といたしましては、登録時の審査に必要な農薬登録基準の設定を行います。

 また、右側になりますが、使用におきましては、農薬使用者に対して定められた使用方法の遵守を求め、省令によりまして、農薬を使用する者が遵守すべき基準の設定を行っています。さらに、都道府県におきましては、上乗せ規制が可能となるよう、水質汚濁性農薬の指定を政令によって行っています。

 以上、本日ご説明させていただきます農薬取締法の改正の関係でございます。

 一旦、軽く画面をタッチしていただいて左上の「戻る」という矢印を押していただきますと、資料一覧に戻ります。

 次に、資料の3番、「資料03」と書かれてあるところのタッチをお願いします。こちら資料3になります。改正後の農薬取締法の規定に基づき、環境大臣が定める農薬登録基準のうち、生活環境動植物に係る基準の設定についての諮問文になります。

 指で動かしていただきまして、次のページが当部会に付議されたものでございます。

 もう一度ずらしていただきますと、参考となっておりますが、これまでの検討の経緯についてご説明をさせていただきます。昨年の6月5日に土壌農薬部会が行われまして、法改正に伴う制度の具体的な審議は農薬小委員会で行うこととされました。6月15日に改正法が公布され、7月10日に諮問がされました。7月18日に農薬小委員会では設定方法の検討、また、9月、11月には農薬小委員会で藻類、水草の取り扱いと、鳥類の取り扱いについて審議がされ、11月9日の農薬小委員会で取りまとめが行われました。この取りまとめに対しまして、11月16日から12月15日まで1カ月間、パブリックコメントの募集を行い、本年1月16日の農薬小委員会におきまして、パブリックコメントの結果についての整理を行うとともに、第一次答申(案)として取りまとめされたところでございます。

 一番下になりますが、今後の予定になります。本部会におきまして、答申案が了承された後に答申の手続を行いまして、3月には本答申を踏まえ、告示の改正を行い、平成32年4月1日から生活環境動植物に係る影響評価を開始する予定としております。

 以上が資料3の関係でございます。

 もう一度軽くタッチしていただきまして、「戻る」に戻っていただきまして、「資料04」をお願いいたします。資料の4になります。こちらは生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について、第一答申(案)でございます。

 1ページずらしていただきますと、目次になっております。本答申案は、本文と別紙1、別紙2、それから参考資料で構成されています。このうち本文と別紙1、別紙2につきましては、お手元の印刷された資料をご覧いただければと思います。参考資料につきましては、タブレットの中にあります。

 それでは、もう1ページずらしていただきまして、1ページ目をご覧ください。タブレット等でトラブル等がありましたら事務局のほうにお知らせください。

 では、1ページになります。第1、経緯です。農薬の動植物に対します影響評価の対象が拡大され、生活環境動植物に係る農薬登録基準を定める必要があるため、評価対象動植物の新たな選定、毒性試験、ばく露評価及びリスク評価の方法を検討し、早期に示す必要があるとされております。

 第2といたしまして、農薬の生態影響評価に係るこれまでの取組です。

 初めに、我が国における取組です。

 一つ目が、水産動植物についてですが、農薬登録制度では、1として魚毒性による評価の導入です。昭和38年の法改正によりまして、水産動植物の評価が導入されましたが、初めはコイの毒性試験による登録保留基準を定め、魚毒性の強い農薬を規制しました。

 2といたしまして、生態リスクによる評価が平成17年から導入され、魚類のほかに甲殻類等、そして、藻類を追加し、環境中での農薬のばく露量を考慮すること、水田のほか、畑や果樹園等で使用される農薬も評価対象に追加されました。

 次の2ページ目をご覧ください。3といたしまして、ユスリカ幼虫試験を平成28年度からネオニコチノイド系農薬等の殺虫剤に求めることとしました。30年度からは、全ての新規登録を申請する殺虫剤も対象とし、さらに、新たに始まります再評価におきましては、再評価の全ての殺虫剤で対象とすることにしました。

 二つ目が、水産動植物以外の動植物に対する知見の集積でございます。

 1)といたしまして、陸域における生態影響評価に関する検討です。平成10年に検討会を設置し、調査を行い、平成25年には鳥類を評価対象とした「鳥類の農薬リスク評価・管理手法マニュアル」を作成し、農薬メーカーにおいて自主的に活用がされています。

 2)といたしまいて、ネオニコチノイド系農薬等の陸域における生態影響評価に関する検討です。農薬の野生のハチ、トンボに対する影響に関する調査研究が進められているところですが、平成29年11月に、「我が国における農薬がトンボ類及び野生ハナバチ類に与える影響について」、検討会報告書が取りまとめられました。内容につきましては、前々回の土壌農薬部会で報告をさせていただいております。

 次に3ページ目をお願いいたします。3)といたしまして、農薬の水域における生態影響評価に関する検討です。これまで、水産動植物を対象とし、一次生産者では、緑藻のムレミカヅキモを用いてきましたが、これまでの調査により、農薬の種類によっては、他の種類の藻類や維管束植物である水草の感受性のほうが高い場合も相当程度あることが示唆されたため、環境省では、藻類、水草等の感受性差に係る知見の収集等を行いました。

 (3)といたしまして、農林水産省におけるリスク管理でございます。農林水産省では、農薬登録申請時に、鳥類、ミツバチ、蚕、天敵昆虫等の急性影響試験成績の提出を求めており、毒性が強い農薬につきましては、製品のラベルに注意事項を記載し、安全な取り扱いを求めています。

 以上が我が国における取組でございます。2といたしまして、次に、海外における取組が整理されております。

 一つ目が欧米の取組になります。4ページ目にかけてです。まず、欧州では欧州食品安全機関(EFSA)が、陸域では鳥類、ハチ類等、水域では魚類、甲殻類、藻類、水草等を対象としてリスク評価を行っています。

 米国では米国環境保護庁(EPA)が、陸域では鳥類、花粉媒介昆虫としてミツバチ等、水域では魚類、甲殻類、藻類、水草等を対象としてリスク評価を行っています。

 こちら(2)といたしまして、OECDの取組です。OECDでは、農薬を含む化学物質の評価のための試験成績の作成手順(テストガイドライン)の国際的な標準化に取り組んでおりまして、国際的な試験成績の受け入れの促進を行い、不必要な動物実験の回避等に貢献をしています。

 ここまでが、これまでの国内外での取組についての整理となります。

 第3は、生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定方法です。ここでは具体的な基準の設定方法が整理されました。

 1といたしまして、評価対象動植物の選定です。

 選定に当たっての基本的な考え方が(1)になります。考え方といたしまして、我が国における評価手法に関する知見の集積状況や海外における評価の状況等を踏まえるということ。そして、改正法に係る国会の附帯決議での指摘として、「リスク評価手法の早急な確立」と「農薬メーカーの負担への配慮」、これらを考慮するというものでございます。

 このため、諸外国で既に評価に取り入れられているもの、我が国において、これまで農薬登録申請時に毒性試験成績が提出されているもののうち、国際的な標準との調和を図る観点から、試験方法がOECD等による公的なテストガイドラインとして確立されているものを優先的に選定するとしております。

 他方、ばく露評価及びリスク評価の方法につきましては、我が国における自然条件や農薬の使用実態等を踏まえ、検討を進めるとしております。

 5ページ目でございますが、(2)が評価対象動植物です。(1)の基本的な考え方を踏まえ、当面の対象動植物としています。

 一つ目が水域の生活環境動植物です。従来の魚類、甲殻類等、藻類のほか、「水草」を新たに加え、これらをまとめて「水域の生活環境動植物」としてリスク評価を行い、農薬登録基準を設定します。

 二つ目が陸域になります。まずは「鳥類」を評価対象動植物とするとしています。鳥類は農薬の残留した餌等を通じたばく露により被害が生じるリスクが想定されることから、諸外国では対象に取り入れられ、農林水産省では、既に農薬の経口投与試験成績等の提出を求めてきたこと、また、環境省では、既に「鳥類マニュアル」としてリスク評価の方法に係る知見の集積があり、農薬メーカーによるリスク評価が自主的に行われていることによります。

 他方、ハチ類についてですが、欧米等では規制が行われ、農林水産省では、養蜂用ミツバチに対する急性毒性試験成績の提出が求められており、さらに、リスク評価の導入についても検討が進められています。こうした中、我が国における野生のハチ類についても農薬の影響を示唆する知見が得られていることから、早急に野生のハチ類に対するリスク評価の方法についても検討を進め、必要に応じ、評価対象動植物に加えるとしています。

 続きまして、6ページになります。2といたしまして、評価対象動植物ごとの農薬登録基準の設定方法です。

 (1)が水域の生活環境動植物です。基本的には、現行の水産動植物のリスク評価の方法を踏襲し、藻類、水草等については、別紙1「生活環境動植物の農薬登録基準の設定における藻類、水草等の取扱い」、こちらを踏まえることとして、農薬登録基準の設定方法を①から⑦に整理しています。

 特に①で、農薬試験方法は、OECDテストガイドラインに準拠する。③で、全ての農薬については、魚類、甲殻類等のオオミジンコ、そして、藻類等のムレミカヅキモを必須とするほか、殺虫剤については、甲殻類等のユスリカ幼虫、そして、除草剤及び植物成長調整剤については、水草のコウキクサも必須とする。④で、環境中予測濃度を算出する地点につきましては、現行の水産動植物の算定方法を踏襲するとしております。そして、⑦で、リスク評価の結果、水域環境中予測濃度、こちらが農薬登録基準値を超える場合には、水域の生活環境動植物への著しい被害のおそれがあるとするという整理になっております。

 (2)が陸域の生活環境動植物についてです。動植物によって環境中での農薬のばく露量が異なりますので、動植物ごとにリスク評価を行うことが適当としております。まずは「鳥類」について、別紙2「生活環境動植物の農薬登録基準の設定における鳥類の取扱いについて」を踏まえることとし、その上で農薬登録基準の設定を行うとして整理をしております。

 続きまして、7ページです。この別紙2をまとめましたのが、以下の①から⑦になります。主なところといたしましては、①で、小型鳥類を評価対象とすると。これは仮想指標種というものになります。②で、急性毒性試験はOECDテストガイドライン223に準拠する。④で、鳥類へのばく露経路のうち、我が国の農薬の使用実態を勘案し、リスクが最も大きいと考えられる餌及び飲水経由の急性影響で評価を行う。⑤で、鳥類予測ばく露量は、穀類(水稲)、果実、種子、昆虫及び田面水のいずれかのみを1日に摂取または飲水すると仮定して算出する。そして、⑦で、リスク評価の結果、鳥類予測ばく露量が鳥類基準値を超える場合には、鳥類への著しい被害のおそれがあるという整理になっております。

 次に、第4のところですが、生活環境動植物に係る農薬登録基準の内容でございます。

 生活環境動植物に係る農薬登録基準は以下のように考えることが適当としています。(1)が「基本告示」と呼ばれているものでございます。昭和46年農林省告示第346号、こちらの第3号と備考の関係になります。これにつきましての生活環境動植物に係る農薬登録基準は、水域と陸域とでばく露経路が異なることから、それぞれ分けて設定をしております。

 水域につきましては、これまでの水産動植物の整理の仕方を踏襲しておりますが、用語といたしまして「水産動植物」となっていたところが「水域の生活環境動植物」になり、また、「水産動植物被害予測濃度」のところも「水域環境中予測濃度」ということでかわっております。

 8ページ目になります。備考のところにつきましては、考え方はこれまでと同じでございます。

 次に、陸域の生活環境動植物についてですが、水域と違いまして、ばく露のところの表現が変わります。公共用水域への農薬の流出ではなく、ここでは当該農薬が飛散し、もしくは農作物等に残留した場合に陸域の生活環境動植物の被害の観点から予測されるほ場周辺に生息または生育する当該動植物がばく露による当該種類の農薬の成分の量ということで、濃度ではなくて農薬の成分の量により定めることにしております。

 (2)が、個別の農薬ごとの「環境大臣が定める基準」になります。(1)の基本告示第3号を受けまして、陸域と水域について分けて整理をするとしております。

 水域につきましては、これまでの水産動植物と整理は同じでございますが、9ページ目をお願いいたします。こちらは陸域の生活環境動植物になりますが、ここでは鳥類の場合を整理しております。基準につきましては、次の表の農薬の成分の欄に掲げる農薬の成分の鳥類予測ばく露量、これが同表の基準値の欄に定める値を超えないこととするという形になります。

 注書きで「なお」としておりますが、鳥類以外の動植物を評価対象動植物に導入する場合には、別途農薬登録基準(基準値)を設定するということで、陸域につきましては、個別の動植物ごとに定めていくという整理でございます。

 9ページの第5、今後の課題になりますが、三つの課題が整理されております。(1)が、野生のハチ類の導入についてです。欧州では、昨年の12月からネオニコチノイド系農薬の3剤について野外での使用禁止が決定されていること。また、米国では、一部のネオニコチノイド系農薬では再評価が終了するまで新規使用及び適用拡大に係る登録を停止しているという状況にあります。

 また、農林水産省では、養蜂用ミツバチに対するリスク評価、これを農薬登録制度に導入しようとし、検討をしているところであります。農薬の使用時において巣箱を移動する等の管理ができない野生のハチ類についての影響を懸念する声があることから、我が国の農薬の使用方法のもとでの野生のハチ類への被害、これについての評価方法についても早急に確立をし、陸域の生活環境動植物として評価対象に加えられるか早急に検討を行う必要があるとしております。

 (2)が長期ばく露の関係です。今回の農薬登録基準の設定は、農薬の急性影響の観点から行おうとするものでございますが、第五次環境基本計画の中でも長期ばく露について示されており、農薬の長期ばく露による影響の観点からのリスク評価の必要性や方法について検討を行う必要があるとして、今後の課題として答申案で整理をしております。

 10ページ目、最後ですけれども、(3)といたしまして、その他の評価対象動植物の選定についてになります。今回は、これまでの科学的知見に基づきまして、水草と鳥類を新たに加えることが適当であるとされております。

 今後は、野生のハチ類に関する検討を進めるとともに、その他の動植物に対する環境中での農薬の影響についても、諸外国における評価の状況、我が国における農薬の使用実態等を踏まえつつ、知見の集積を進めることが必要であるとして整理をしているものでございます。

 答申案につきましては以上でございます。軽くタッチをしていただいて、また「戻る」、そして、「資料05」のほうをご覧ください。資料の5、これは昨年11月から12月にかけて行いました第一次取りまとめの段階のパブリックコメントの結果でございます。結果といたしましては、全体で430通のご意見いただきまして、延べ件数では566件となっております。主なご意見だけご紹介をさせていただきます。

 2ページ目の下、(2)評価対象動植物に関するご意見ということで、水草について、農薬登録基準を設定することは大変よいというご意見、そして、2番として、ユスリカ幼虫試験については、全ての農薬にも義務づける必要があるというご意見をいただいております。

 次のページの3番のところで、野生のハチ類については、「必要に応じ」評価対象動植物に加えるとされている部分については、「早急に」、「直ちに」としてほしいというご意見をいただいております。

 その下、5番から12番まで、他の生物についても要望があります。トンボやカエル、ミミズ、オタマジャクシ、こうしたものについても評価対象動植物に加えてほしいというご意見をいただいております。

 それから、主なものといたしまして、8ページまで移ってください。今後の課題のところになります。8ページの(1)野生のハチ類の導入に関するご意見ですが、農薬からミツバチ、野生のハチ類を守ってほしいというご意見158件、そして、野生のハチ類を早急に評価対象に追加すべきというご意見147件、ほか野生のハチ類に対してご意見をいただいております。

 最後になりますけれども、10ページのその他のご意見というところで、ネオニコチノイド系農薬の使用を禁止すべきというご意見57件ということで、こういったご意見も今回いただいているところでございます。

 全体をまとめてご説明をさせていただきました。事務局からは以上でございます。

(岡田部会長)

 はい、どうもありがとうございました。本件につきましては、これまで先ほどの資料にございましたように、農薬小委員会において審議が進められ、取りまとめていただきました。

 ただいまの事務局からの説明に関しまして、農薬小委員会の委員長を務められた白石委員から補足説明がありましたらよろしくお願いいたします。

(白石委員)

 では、補足の説明をさせていただきます。繰り返しになるかもしれませんが、よろしくお願いします。

 農薬小委員会では、諮問事項に当たります生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について審議を行い、第一次答申(案)として取りまとめさせていただきました。答申案の内容については、ただいま事務局から説明があったとおりですけども、審議の進め方としましては、まず初めに、これまでやっております水産動植物に係る登録保留基準の設定におけるこれまでの経験や課題、農薬の生態影響評価に係る現時点での知見の整理をまず実施し、その上で評価対象動植物の選定に当たっての基本的考え方、先ほど説明がありました4番というところになりますけども、それをまとめさせていただきました。今回の答申案では、この基本的考え方を踏まえて、新たに、今まで第一次生産者は緑藻、ムレミカヅキモだけだったんですけども、それに加えて珪藻、シアノバクテリアから4種の藻類、単子葉の植物である水草及び陸域の生物として鳥類を対象に加えるとともに、調査・検討にさらに時間を要するものは今後の課題ということで整理させていただきました。

 次に、これまでの検討経緯について補足させていただきます。1年と少し前になりますけども、平成29年12月に開催された第34回土壌農薬部会において、事務局から農薬登録制度における農薬影響評価の見直しについての報告がされました。この報告では、見直しの背景について説明がされて、農業競争力強化支援法がその年の平成29年5月に制定されたことから、国は農薬の登録に係る規制について、まず安全性の確保、次に国際標準との調和、最新の科学的知見による見直しを行うということになり、環境省としては、国民の生活環境の保全に寄与する観点から、生態影響評価の見直しについて取り組むというものでありました。その際、生態影響評価の見直しの方向性として、まず、評価対象を水産動植物から拡大すること。この見直しの進め方として、農薬取締法の規定の一部を改正する必要があるため、関係省庁と対応を協議すること。具体的な評価対象動植物やリスク評価の方法は、専門家から成る検討会において、まず予備的な検討を行い、その後、中央環境審議会の意見を伺った上で、告示等を改正するということが示されました。これまでの検討は、この進め方に沿って行われております。農薬取締法が昨年6月に改正され、生活環境動植物に対する影響評価については、来年、平成32年4月1日に施行ということで、1年前の今年の3月には告示を改正する必要があると大変急いだ話でしたので、去年7月の諮問を受けてから7カ月間の間に農薬小委員会5回開催し、随分、委員の方々には議論に参加していただき、精力的な審議が行われました。

 また、農薬小委員会の審議に先立って、藻類、水草等と鳥類の取り扱いにつきましては、別途、専門家による検討が行われまして、藻類、水草等については、水産検討会というところで5回、鳥類については鳥類検討会が3回行われ、農薬小委員会ではこれらの検討結果をベースとして、鳥類については臨時に専門家の参加もお願いしながら審議を進め、答申案を取りまとめました。

 取りまとめに当たっては、今紹介がありましたけども、去年11月から1カ月間、パブリックコメントの募集を行い、それに対する農薬小委員会としての考え方を整理しております。パブリックコメントでは大変多くのご意見をいただきました。水草、鳥類の導入に関する意見は、いずれも賛成するもので、導入に反対する意見はありませんでした。また、最も意見の多かったのは野生のハチ類についてで、早急に評価の対象に加えるべきと、あるいは野生のハチ類を守ってほしいということでありました。野生のハチ類に対する意見については、現在、環境省で野生のハチ類に関する評価方法について調査・検討が行われているということがございますので、野生のハチ類を評価対象に加えるかについては、その結果を踏まえた検討が必要であるとの考え方を示しております。また、野生のハチ類に対する多くの意見をいただいたということも踏まえ、答申案では、「早急に」の文言を加えて、早急に検討を行う必要があるとさせていただきました。

 さらに、今後の課題としておるんですけども、長期ばく露による影響評価等について検討しておりますけども、この検討に対する要望も多くございました。今回の答申案は、これまでの知見を踏まえた現時点での取りまとめであるため第一次答申(案)としました。今後、新たな科学的知見の集積状況を踏まえつつ、さらに課題に関する審議を進めることにより、第二次答申(案)として取りまとめていきたいというふうに考えております。

 答申案に関する説明は以上でございます。

(岡田部会長)

 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

 どうぞ。

(浅野臨時委員)

 外国でも大変関心が高い野生のハチ類ですね、小委員会でも「早急に」ということを書いておられるわけですけど、大体どのぐらいの時間、最低かかるのかという見通しがあるのでしょうか。

(岡田部会長)

 では、これは事務局から、はい、どうぞ。

(小笠原農薬環境管理室長)

 今回の答申案には具体的なことは記載できませんでしたが、最低でも1年はかかるかと考えております。

(岡田部会長)

 よろしいですか。

(浅野臨時委員)

 はい。

(岡田部会長)

 はい、ほかにございますでしょうか。

 はい、どうぞ。

(浅見臨時委員)

 すみません、ありがとうございます。今のご説明をお伺いしまして、ちょっと安心といいますか、そういうふうに進んでいるんだなと思ったところなんですけれども、今回のパブコメのお返事で一番件数の多かったところが、ネオニコチノイド系の農薬に関するところで、それに関して皆様、やはり関心が高いのかなと思うんですけれども、その意見に対する考え方のところが、ちょっと今のご説明のほうがすごく丁寧に進行状況がわかったんですけれども、ちょっと個別農薬のは対象じゃありませんというふうに書かれているので、ちょっともったいないと思いますので、もう少し文言を加えていただいたほうがよろしいのかなと思いました。

(岡田部会長)

 事務局、よろしいですか。

(小笠原農薬環境管理室長)

 このパブリックコメントの結果につきましては、農薬小委員会において整理をされておりますが、こちらの意見については今回の意見募集の対象ではありませんとしつつ、農薬登録等については科学的知見に基づき、評価結果により判断されることが重要であると考えますという基本的な考え方は示しております。このため、今後、具体的な取組については、また示していきたいと思いますが、今回のパブコメにつきましては、このような整理にさせていただきたいと考えます。

(浅野臨時委員)

 そういうこともあろうと思って、わざわざ発言をして議事録にとどめてもらいました。

(岡田部会長)

 はい、ありがとうございます。ほかによろしいですか。

 はい、どうぞ。

(松永委員)

 今の件、最低でも1年はかかる見通しということなんですが、もう少しこの場で、多分、科学的にやっぱりこういう評価手法をつくるというのは非常に難しい、今のいろんな論文を見てても、いろんな形で触れていて難しいので、その辺りの科学的な難しさというのを少しこういう場でももう少し説明しておいていただけると、それが一般の方にも伝わるということになるんじゃないかと思うんですが。

(岡田部会長)

 じゃあ、この辺は、はい、白石先生。

(白石委員)

 ハチ類については、環境省のほうでも何年かやられていて、多分、ここの五箇委員が座長を務められてやっておるんですけども、まず、試験法からして難しいというところがございまして、試験法を定めるためのまだ基本的データが得られていないという状況で、コロニーの試験みたいなものを当然考えなきゃいけないんですけども、その試験が難しいということで、評価に値するようなデータの収集がまだちょっと足りないかなという判断で少し検討を今回は先延ばしさせていただいたということでございます。

(岡田部会長)

 ありがとうございます。

(白石委員)

 農水省のほうでもミツバチの試験をしている。それの整合というのもとる必要があろうかと思いますので、その辺も含めて、農水省と協議しながら進めていっているところであります。

(岡田部会長)

 ということですが、五箇先生、もし補足があればお願いいたします。

(五箇臨時委員)

 ただいま環境省のほうで野生のハチ類に対する影響評価の手法開発ということで国立環境研究所のほうで研究及び法改正を目指してのシステムづくりということを今進めさせていただいていますが、まず、そもそも野生のハチ類がどの程度影響を受けているかというデータですね、これがまだ科学的にしっかり集まっていないというのがまずベースにあって、皆さん、ご存じのとおりIPBESと言われる生物多様性の総合的な評価ですね、こちらが、いわゆる生物多様性条約の中で進められる中で、これハチ類に対する影響評価、特出しで先行してやられて、2014年度にまとめられたんですが、世界中のデータを集めても、実はハチ類に対する影響というのが抽出できなかったんですね。農薬そのものの影響というのを抽出することができないということで、いまだ世界的に見てもグレーゾーンにある中で、ただ、グレーゾーンということは、やっぱりリスク回避という観点から早急に農薬のリスク評価は進めるべきであろうということで、今、環境省のほうでも先行して、こういった野生ハチ類の影響というものは見なくてはならないと。

 そういった中で、今、農水省のほうではセイヨウミツバチですね、家畜ミツバチの保全というか、保護という観点で、そのセイヨウミツバチに対するリスク評価を進めてますが、実は農水省のほうがかなり進んでいまして、相手が家畜ミツバチということもあって、試験そのものが、試験対象種が決まっていて、試験する機関もある程度決まっていてという中で、先ほど出てきました社会性昆虫なので、巣に対する影響が一番、実はフォーカルなポイントになってくる中で、セイヨウミツバチに関しては、それをカバーするために幼虫の毒性試験をやっていこうということを今検討していると。ただ、問題は野生ハチ類について、それを外挿しようとすると、野生のハチ類の幼虫試験というのは到底無理だということで、いかに感受性差というものを外挿することでそれをカバーしていくかということを今検討を進めているという状態になってます。

 あと、もう一つは、その社会性昆虫だけじゃなくて、単独性のハチ類もやっぱり野生のハチ類においてはかなり大きなウエートを占めているということで、環境研としては、今後、研究課題としてこういった単独性ハチ類の感受性調査というものを進めていこうということで、やっぱりちょっとデータ収集というところを並行しながらやっていくという意味では、かなり時間も要するんですが、柔軟に逐次そういったシステムの見直しということができるような体制でこのハチ類の影響評価というものを実装していきたいというふうに考えております。

(岡田部会長)

 どうもありがとうございました。よろしいですか。はい。

 ほかにございますでしょうか。

(なし)

(岡田部会長)

 はい、ほかにご意見なければ、ただいまご紹介いただいた第一次の答申案のとおり、土壌農薬部会として了承し、中央環境審議会会長へ報告させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(はい)

(岡田部会長)

 はい、どうもありがとうございます。

 それでは、次の議題に移らせていただきます。議題の2、中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置についてでございます。

 事務局からご説明をお願いいたします。

(羽子田農薬環境管理室室長補佐)

 ご説明いたします。資料一覧をご覧ください。「資料06」をおめくりください。中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について、こちらは既にある規定でございますけれども、こちらの改正案でございます。今回の農薬取締法の改正に伴いまして、農薬取締法の条番号が大幅に、全体的にずれております。これに伴いまして、私どもが定めております農薬登録基準ですとか、先ほどご説明しました農薬の使用の規制でございますけれども、農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令というものがございますけれども、これの根拠となっている条番号がずれております。今回、5番のところに小委員会の役割が書いてございますが、こちらの規定を技術的に改正させていただきたいと思います。下線を引いてございますところが今回の条ずれに伴いまして改正をする点でございます。

 説明は以上でございます。こちらについて、部会のほうで決定をいただければと思います。

(岡田部会長)

 はい、ありがとうございました。ということでございますが、よろしいでしょうか。

(はい)

(岡田部会長)

 はい、ありがとうございます。

 それでは、本件につきましては、現在の改正案どおり、土壌農薬部会の決定というふうにさせていただきます。

 次に、議題の3、報告事項に移ります。案件は4件ございます。

 初めに、水質汚濁性農薬に係る指定の見直し、次に、農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令の改正についてでございますが、いずれも関連する法令の改正でございますので、事務局よりまとめてご説明をお願いいたします。

(羽子田農薬環境管理室室長補佐)

 そうしましたら、資料の一覧にお戻りいただきまして、「資料07」番、水質汚濁性農薬に係る指定の見直し、政令の改正についてご説明をいたします。

 冒頭、事務局のほうからご説明いたしましたが、農薬取締法におきましては、登録時から使用時まで規制を行っているところでございます。こちらの水質汚濁性農薬は、それの使用時の規制の一種でございます。制度の概要でございますが、水田、畑地等で使用された農薬は、分解されない限り、かんがい水や雨水に溶けて、河川や地下水に流入することとなりますが、分解されにくい性質の農薬がまとまって使用された場合には、地理的に、農薬が使用されている地域の水の多くが流入する河川にあっては、その河川では当該農薬の濃度が高くなります。その結果、水産動植物の被害が発生し、または公共用水域の水質汚濁が生じて、水の利用が原因となって人畜に被害を生ずることが想定をされます。農薬の登録時には、登録基準により登録保留という、今までは登録保留と言っておりましたけれども、そのことで一定のシナリオに基づいて規制をかけておりますが、現場の使用段階でまとまって使用されるという場面が想定されますので、こういう場合の規制でございます。

 このため、農取法の26条では、四角囲みの要件を全て備える種類の農薬を水質汚濁性農薬として政令で指定することとされております。これについて、都道府県知事は、使用許可制にしたり、地域における農薬の使用総量を規制ができるという仕組みが設けられております。

 要件といたしましては、当該種類の農薬が相当広範な地域においてまとまって使用されているか、または当該農薬の普及の状況から見て近くその状態に達する見込みが確実であること。それから、②といたしまして、当該種類の農薬が相当広範な地域においてまとまって使用されるときは、一定の気象条件、地理的条件、その他の自然条件のもとでは、その使用に伴うと認められる水産動植物の被害が発生し、かつ、その被害が著しいものとなるおそれがあるか、または水質の汚濁が生じて人畜に被害を生じるおそれがあるかのいずれかが生じるということ。この①と②両方を備えるものが水質汚濁性農薬として指定をされます。

 下のほうに1号から6号まで掲げておりますけれども、これまで政令の2条では、6種類の農薬が指定されておりました。古くは46年に指定をされた、1号から5号まででございますけれども、テロドリン、エンドリン、ベンゾエピン、PCP、ロテノン、それから、平成6年に指定されましたシマジンでございます。しかし、右側を見ていただきますと、登録状況といたしまして、現在登録があるのはシマジンのみ、販売禁止に指定をされているものも2号から4号まで該当するというところでございます。

 このような状況に鑑みまして、1ページ、おめくりいただきまして、指定の見直しをこの際実施をしたというところでございます。

 まずは販売禁止農薬、2号から4号でございますけれども、こちらにつきましては、POPs条約に基づきまして、既に製造などが禁止されておりますので、我が国でも販売禁止農薬として指定されています。これらの農薬につきましては、今後使用される見込みがないことから、水質汚濁性農薬の指定を解除することといたしました。

 それから、(2)でございますけれども、販売禁止農薬には該当しておりませんが、1号のテロドリンと5号のロテノンにつきましては、失効から既に10年以上が経過しておりまして、これらを農薬使用者が保有して、万が一使用したとしても、まとまって使用されるという状況が想定しがたいことから指定を解除することといたしました。こちらにつきまして、政令を改正し、12月1日に施行したところでございます。

 このほか、現在は水産動植物ということで評価対象が規定されておりますけれども、32年4月1日に「生活環境動植物」のほうに規定が変更になるということに伴いまして、こちらの規定の整備もあわせて行ったところでございます。

 新旧対照表につきましては、おめくりいただきまして、4ページ、5ページにございますので、ご参照ください。

 それでは、省令の改正についてご説明をいたします。一度お戻りいただいて、資料一覧から「資料08」番をご覧ください。こちらが農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令の改正でございます。こちらのほうですが、農薬取締法に基づきまして、農薬の登録制度を設けることにより、効果があり、人の健康や環境に対して安全と認められたものだけを農薬として登録し、製造・販売・使用できるようにするとともに、「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」を農林水産省と環境省が一緒に示すことによって、農薬の安全かつ適正な使用を確保し、この両輪で農薬の安全を確保しているというところでございます。

 今回、農薬取締法の改正の機会に、こちらの省令のほうも見直しをしましたのでご報告をさせていただきます。

 まず、改正の概要でございます。農薬使用者の責務といたしまして、第1条に責務が書かれてございます。4ページ目の新旧対照表を眺めながら説明を聞いていただければと思います。第1条には、農薬を使用者の責務として、人畜に被害が生じないですとか、そのような配慮事項が書いてございますけれども、こちらにつきましては、法律の用語と平仄を合わせるための技術的な改正を行ってございます。

 それから、2条の表示事項の遵守というところでございますが、これまで食用については表示事項は守らなければならないという規定がございましたけれども、芝ですとか樹木ですとかの非食用の農作物であっても、農薬の表示事項については全ての農薬について守るという努力義務を今回設けさせていただきました。1ページ、スクロールしていただいて、第2条の2項の部分でございます。「農薬使用者は、農薬取締法十六条第四号、第九号及び第十一号に掲げる事項」と書いてございますけれども、これは表示事項ですとか注意事項のことを指しております。こちらを守るということです。

 それから、3番目に、ゴルフ場における農薬の使用について、これまでも環境省のほうが指導指針などを出して技術的な助言を行っておりましたので、これまでは農林水産大臣に対して、使用の計画書を提出するということになっておりましたが、環境大臣にも提出するように改めました。

 加えて、2号のほうで、ゴルフ場外への農薬の流出防止措置について、努力義務を課すことといたしました。

 それから、第6条でございますが、住宅地における農薬の使用につきましては、これまで住宅地通知という「住宅地における農薬の使用について」という指導指針を農林水産省、環境省のほうで出しておりますけれども、この中で住宅地等ということの定義を書いてございますが、こちらの省令のほう、住宅地等がどこの範囲を指すかというものが不明確であったところもございましたので、今回、学校ですとか保育所なども対象であるということを書かせていただいております。

 それから、水田における農薬の使用、1ページおめくりいただきますと、下のほうに別表第一というふうに長く続いております。この省令のほうで、水田における流出防止措置を講じなければならないものが定められていたのですが、現在では、全ての農薬について、必要なものについては流出防止措置を講じるよう指導を行っているところでございますので、別表で個別に指定をする方式をやめたというところでございます。

 それから、最後、12ページのところでございますけれども、別表の第二というものが、これは土壌で被覆を要する農薬でございますけれども、こちらのほうでクロルピクリンと臭化メチルということで規定をしておりましたけれども、既に臭化メチルについては検疫用途しか用途がないものでございますので、こちらの省令から削除をしたというところでございます。

 施行は、30年12月1日から、既に施行をしております。

 説明は以上でございます。

(岡田部会長)

 はい、どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問等がございましたらお願いいたします。

 特段よろしいですか。

(細見臨時委員)

 すみません。

(岡田部会長)

 はい、じゃあ、どうぞ。

(細見臨時委員)

 質問、よろしいでしょうか。先ほどの臭化メチルは何ておっしゃったんでしたかね。

(羽子田農薬環境管理室室長補佐)

 はい、検疫です。

(細見臨時委員)

 検疫用途、だから実際のハウスとか、ああいうところにはもう使わない、使えない。

(羽子田農薬環境管理室室長補佐)

 はい、そういう登録がもう廃止をされているということでございます。検疫のみということになっております。

(細見臨時委員)

 検疫のみだと、はい。

(岡田部会長)

 はい、どうぞ。

(寺浦臨時委員)

 今の新旧対照表の6条の住宅地等というところの改正の部分ですけれども、これ「住宅、学校、保育所、病院、公園その他の」というところで「人が居住し、滞在し、又は頻繁に訪れる施設の敷地及びこれら」というふうになってますが、ここについては、どの程度の範囲で含まれるのか。例えばビル、ビジネスのビルであるとか、コンプレックスみたいなものというのは含まれてくるというふうなことになるんでしょうか。

(羽子田農薬環境管理室室長補佐)

 例えばそういうところに植栽があって農薬で防除をしなければならないときには対象に、配慮の範囲に入るということでございます。

(岡田部会長)

 よろしいですね。はい、ありがとうございました。

 ほかにございますか。

(なし)

(岡田部会長)

 それでは、今ご紹介いただきました新たに施行された法令に基づいて引き続き取組をお進めいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、報告事項の3に移ります。最近の農薬環境行政について、事務局からご説明をお願いいたします。

(小笠原農薬環境管理室長)

 それでは、一旦閉じていただきまして、また、「資料09」をお願いします。資料の9になります。

 最近の農薬環境行政についてということで、1ページおめくりいただいて、2ページ目になります。こちらは農薬取締法改正による新たな施策に係る検討状況ということでございます。農薬取締法の一部を改正する法律が昨年の6月15日に公布されまして、生活環境動植物に対象が拡大をされました。昨年の12月1日に施行されたところでございますが、この規定につきましては、平成32年4月1日に施行されます。

 また、新たに再評価制度、これは既に登録されている農薬も最新の科学的根拠に照らして安全性等の再評価を行うというものですが、こちらにつきましては平成33年度から導入される予定となっております。

 下の表は、先ほど一度ご説明しました生活環境動植物に係る検討経緯、そして、今後の予定でございますので、説明は省かせていただきます。

 続きまして、3ページ目をお願いします。2として、農薬登録基準の設定状況についてでございます。農薬取締法の規定に基づきまして、環境大臣が定める基準といたしまして、水産動植物の水産基準、そして、水質汚濁に係ります水濁基準とがございます。

 また一方で、ばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬等につきましては、基準値の設定不用として整理がされております。

 中段の表でございますが、基準値の設定状況です。前回の土壌農薬部会の報告は、平成29年12月12日に行っておりますので、それ以降のものになります。

 まず、水産基準のところでございますけれども、新たに基準値を設定した農薬数は30あります。括弧書きで「このほか、ユスリカ幼虫により、2農薬で基準値を改定」としておりますのは、新たに基準値を定めたものは30ですが、このほか、既に一度基準値は設定してありましたが、ネオニコチノイド系農薬などで、ユスリカ幼虫の試験が必要になったものについて、再度、基準値を設定し直したというものが2件ございました。

 その隣が新たに基準値設定を不要とした農薬数ということで3件、これにつきましては、ばく露のおそれが極めて少ないとされたものでございます。

 これまでの累積といたしましては、530の農薬につきまして審査等が済んだというものでございます。農薬は、全体で成分数で約600ございますので、そのうち530について評価が済んだという状況でございます。

 また、水濁基準のほうでございますけども、新たに基準値を設定した農薬数は17で、基準値設定を不要とした農薬数は2ありまして、これまでの評価実施済みの累計ですと411となります。

 その下の表は、これまでの農薬小委員会などの開催状況でございます。農薬小委員会は8回、水産動植物被害防止の登録基準設定検討会が6回、それから、非食用農作物専用農薬安全性評価検討会、こちらを1回開催いたしました。

 この非食用農作物専用農薬安全性評価検討会といいますのは、通常、水濁基準値の設定のうち、食用農作物に適用のある農薬につきましては、食品安全委員会によるADI、一日摂取許容量、これを用いておりますけども、芝や樹木などの非食用農作物の専用農薬につきましては、このADIがありませんので、こちらの検討会でもって安全性の評価が行われているものでございます。

 続きまして、4ページ目をお願いします。平成29年度の河川中農薬モニタリング調査結果でございます。農薬登録基準と環境中予測濃度、いわゆるPEC、これが近接している場合には、農薬小委員会におきましてモニタリング調査の実施が必要とされます。そうしますと、検討を行い、河川におけるモニタリング調査を実施しているところでございます。

 29年度におきましては、全国で6道府県のご協力のもと12農薬を対象に、水産基準値、それから水濁基準値の調査を行いましたが、いずれも基準値の超過は見られておりません。

 その下の表が具体的に取り組んだ殺虫剤、除草剤、それから実施をした道府県になります。

 続きまして、5ページ目をお願いします。こちらは具体的な調査結果のデータでございます。左側が水産基準値との比較で、いずれも水産基準値の超過は見られません。右側が水濁基準値でございますが、水濁基準値の超過も見られません。

 右下に※を付けておりますが、これは左の水産基準値の調査結果の表の一番下、プレチラクロール、水稲用除草剤でございますけども、これにつきまして、※で注が書かれておりますとおり、平成27年度の調査におきまして、茨城県の3地点においてプレチラクロールによる水産基準値の超過がモニタリング調査結果から見られたということがございました。その後、県の指導などにより、散布後の止水期間を十分に設けるなどの措置が講じられたことによりまして、平成28年度、それから、今回の29年度で、同地点での調査において、いずれも基準値の超過は見られていないという状況でございましたので報告をいたします。

 続きまして、6ページ目でございます。こちらはゴルフ場使用農薬に係る平成29年度の水質調査結果でございます。ゴルフ場で使用される農薬につきましては、水・大気環境局長の通知によりまして、水質汚濁の防止及び水産動植物被害防止に係る指導指針というものを定めております。これに基づきまして、都道府県、市町村、ゴルフ場などは、ゴルフ場からの排出水の水質調査を行い、その結果を環境省へ提供するよう求めているものでございます。

 29年度の水質調査の結果ですが、全国、ゴルフ場は大体2,000余りありますが、1,435カ所のゴルフ場を対象に、延べ3万8,900余りの検体について調査結果を取りまとめました。その結果は9月に開催された農薬小委員会にご報告をし、公表をしております。

 調査の結果、水濁指針値を超過する事例はありませんでしたが、水産指針値を超過する事例が3件ありましたので、都道府県に対し関係方面への指導等を求めたところでございます。

 その下の表が結果でして、超過した農薬であります。ダイアジノンという殺虫剤が1検体で、また、ピロキサスルホンという除草剤が2検体でありました。それぞれダイアジノンは145検体行っておりますが、そのうちの1検体で、ピロキサスルホンは81検体のうち2検体で超過が見られたというものでございます。

 表にありますが、水産指針値と水濁指針値を並べております。いずれも水産指針値のほうが水濁指針値よりも小さな値になっているという状況でございます。

 一番右側に超過不明検体数というのが57と4とございますけども、これは分析する際の定量下限値、これが水産指針値を上回っていたために、超過の有無が不明であった検体数がこれだけあったというものでございます。従来は水濁指針値のみの比較でありましたので、もしかしたら分析をする際に、水産指針値を考慮せず、定量下限値を十分とらなかったということが考えられますので、これもあわせまして、一番下の枠内のとおり、都道府県に対しまして、ゴルフ場関係者への新指導指針の周知、そして、農薬使用における一層の注意を促すとともに、分析においては定量下限値に十分に注意するよう求めたところでございます。

 農薬関係のご報告は以上になります。

(岡田部会長)

 はい、ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等を承りたいと思います。いかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

(浅野臨時委員)

 前の経過を忘れてしまったのでおたずねいたしますが、この水産指針値が設定された理由は何だったのでしょうか。ゴルフ場から出てくる水が直ちに放流先で水産に影響を与えるということではなくて、もっと流れ流れていってということなのか、それとも直接に排水口のところで水産上の問題を防ぐためにはそれが必要だということだったのか。ゴルフ場も随分、それぞれで立地条件が違うと思うので、それはどういう考え方だったんだろうと思いました。随分ここに出ている数字が小さいものですから、こういう下限値の話をお聞きしてもで何となく変な感じがしておりますので、おたずねします。

(岡田部会長)

 はい、じゃあ、事務局から。

(小笠原農薬環境管理室長)

 経緯でございますけれども、もともとは水濁のほうの指針値というものを平成2年に定めておりました。その際には、当時バブルの影響等でゴルフ場が全国的に立地されて、その際の排水管理が十分でないということがありました。水濁指針でもって県、それからゴルフ場関係者には水質調査をしていただいていたのですが、既にこの指針値といいますのは、今の基準値、水濁であれば水濁基準値の10倍の値を指針値としております。考え方は公共用水域よりも、そのもとであります排水口での値は公共用水域に入れば10倍以上薄まるだろうという考え方で10倍の値を設けておりました。しかしながら、水濁の基準値と水産の基準値を比べますと、大体半分程度の農薬においては水産の基準値のほうが水濁の基準値よりも小さいというのがわかってきておりまして、そうしますと、環境への影響ということもゴルフ場に求めてきているところでございましたので、水質調査の際に水濁を見るのであれば水産、環境への影響も見るべきではないかということが言われてきておりましたので、水産の指針値というものを別途定めて、今後の農薬のより適正な使用に活かしていこうということで29年度からはじめたところでございます。

(浅野臨時委員)

 わかりました。ただ、さっき言ったように、その水産の指針値というものが一律に決まっているわけだから、ゴルフ場の状況によっては違いますね。公表するときに、このゴルフ場の排水口の水がどういうふうになっていて、その辺がどういう生物の生息状況なのかということを、調べていただいて、そのこともあわせて発表しないと、無用な不安感を与えるのは困るなと思ったんで質問したわけでして、ぜひ、検討してみてはいかがでしょうか。

(岡田部会長)

 はい、ありがとうございました。ほかにございますか。

 はい、どうぞ。

(寺浦臨時委員)

 この調査のところなんですけど、同じページで、例えばダイアジノンですと、調査検体数が145で、そのうち1が検出ということになってますが、ゴルフ場が全国1,435カ所を対象としたということになっているということですと、10分の1程度ですか、のところでこのダイアジノンについては調査をしたというふうな理解になるということでしょうか。それはどういうことでこういうふうなことになっているのか、ちょっと教えていただけますか。

(岡田部会長)

 はい、どうぞ。

(小笠原農薬環境管理室長)

 この調査でございますけが、基本的にご協力いただけるゴルフ場、そのゴルフ場で使っている農薬について、基本的には全部もしくは主として使っている農薬ということで協力を依頼しております。ダイアジノンの場合ですと、145検体の結果が出てきておりますが、ゴルフ場で実際にダイアジノンを使っているところですが、一方で、あまり使っておらずほかの殺虫剤を主に使っている場合、もしくはあまり使っていないというところについては、こちらの調査に上がってきてないものもあるというふうに理解しております。

(岡田部会長)

 よろしいですか。はい、ありがとうございます。

 はい、どうぞ、大塚先生。

(大塚委員)

 ちょっとシンプルな質問ですが、これは、ここ数年の傾向というのはどういう感じになっているのかというのをちょっと教えていただけますか。このゴルフ場の農薬についての超過のケースですけども、分母が違うと思うので、多分そんなに簡単に比べられないのかもしれませんけど、傾向をちょっと教えてください。

(小笠原農薬環境管理室長)

 従来、29年度から水産の指針値というのを設けましたが、それまでは平成2年からずっと水濁のみでやってきました。水濁につきましては、ここ10年以上前から超過の事例というものは1件も見られないという状況が続いております。そうした中で28年から新たに水産の指針値を設けたということで、その結果として、水産の指針値については合計3検体で超過があったという状況でございます。

(大塚委員)

 はい、ありがとうございました。

(岡田部会長)

 はい、ありがとうございました。ほかによろしいですか。

(なし)

(岡田部会長)

 それは、報告事項の4に移ります。最近の土壌環境行政について、事務局からご説明をお願いいたします。

(神谷土壌環境課長)

 はい。資料10をご覧ください。土壌汚染対策法につきましては、平成29年5月に改正をされまして、ただいまその下位の政省令・告示等の改正作業を行っております。あわせて、土壌環境基準と土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しにつきましても、この審議会でご議論をいただきまして、答申を昨年6月にいただいております。これを踏まえた関係法令の改正作業を行っております。本日は、これらの進捗状況をご報告させていただきたいと思っております。

 資料の3ページをご覧ください。土壌汚染対策法の改正法の概要をまず簡単にご紹介したいと思います。土壌汚染対策のリスク管理の適正化という観点から、大きく4点の改正を行っております。

 一つ目の課題の部分でございますけれども、土地の汚染状況の把握状況が不十分ではないかということで、操業中の工場と土壌汚染状況調査が猶予されている土地において、土壌汚染状況の把握が不十分である懸念があるということで、調査の実施対象の拡大を行っております。

 それから、課題の2でございますけれども、汚染の除去等の措置に関するリスク管理が不十分ではないということで、新たに要措置区域内の措置内容に関する計画提出命令、基準に適合しない場合の変更命令等の導入というのを図っておりまして、これらのリスク管理の強化というのが二つ目のポイントでございます。

 それから、あと課題の3のところでございますけれども、臨海部の専ら埋立材等に由来する工業専用地域において、健康被害のおそれが低いところについては、その土地の形質変更を行う場合の都度届出は必要ないのではないかということで、都道府県知事の確認を受けた場合、工事等の事前届出に代えて、年1回の事後届出とするという改正。それからもう一つ、基準不適合な自然由来等による土壌であって、区域外に搬出される場合には、処理施設での処理が義務づけられているということについてなんですけれども、これを同一の地層の自然由来等による基準不適合の土壌がある他の区域への移動を可能にするといった、この後の二つについては、リスク管理の合理化ということになりますが、大きく4点の法改正というのを行っておるところでございます。

 次のページをお願いします。その経緯でございますけれども、29年5月に改正土壌汚染対策法が公布されておりまして、その後、今後の土壌汚染対策の在り方についてということで、昨年の4月に第二次答申をいただいております。この内容を踏まえて下位法令を整備してきておりますというのが一つの流れでございます。今年の4月からは改正法の第2段階の全面施行を行うということにしております。

 それから、もう一つの動きなのですけれども、この資料の最後のページをご覧いただきたいと思います。物質の見直しの関連でございます。平成25年の諮問を受けまして、昨年の6月に第三次答申というのをいただいております。この中で、1,2-ジクロロエチレンに関しまして、これまでのシス体のみの基準から、シス体とトランス体の合計の基準値の導入をするという方向性をいただいているところでございます。これに対応した改正作業を現在行っているところでございます。

 資料をちょっと戻っていただきまして、5ページにもう一回戻ってください。まず、政令レベルの改正の状況でございます。昨年の9月に土壌汚染対策法の施行期日、政令を定めまして、この第2段階の施行を平成31年4月1日とするということを定めました。

 それから、同時に土壌汚染対策法の施行令の一部改正政令を定めまして、特定有害物質に1,2-ジクロロエチレンを導入すること、それから、国が行う土壌汚染の処理の特例の規定に関する読み替え規定の整備等を行っております。

 次のページをご覧ください。続いて、施行規則の関係でございますけれども、これは昨日1月28日に公布されたところでございます。3本の省令改正を行っておりまして、1本目が、土壌汚染対策法施行規則の一部改正でございます。先ほどの法改正のそれぞれの事項について詳細を定めるということでございます。1番目の土壌汚染状況調査の実施対象の拡大に関しましては、猶予されている土地について調査を行うということなのですけど、軽易な行為等を除くということになっておりました。この軽易な行為等を除くということについて、具体の対象として、900m2未満の土地の形質の変更等を届出の対象外とすること等を省令で決めております。

 2番目に、汚染の除去等の計画提出命令の創設の関係でございますけれども、省令の中で土地の所有者等が提出する汚染の除去等の措置内容に関する計画記載事項等を規定しております。

 3番目に、健康被害のおそれのない土地の形質の変更について、事後届出とするということでございますけれども、その具体の内容について、省令の中で臨界部の工業専用地域であること等を規定しております。

 それから、もう一つですね、地質等が同じ自然由来等による基準不適合の土壌がある他の区域への移動を可能とするというところの具体的な条件というのを、やはり省令で定めておるところでございます。

 2番目の省令としまして、汚染土壌処理業省令の一部改正を行っております。この中では、自然由来等土壌に関しまして、自然由来等土壌の受け入れを行う者が都道府県知事に処理業の許可を受けた上で、盛土等の構造物や水面埋め立てに利用することを可能にすること等を規定したところでございます。

 それから、3番目に、指定調査機関及び指定支援法人に関する省令の一部改正省令でございますけど、この指定調査機関が定める業務規程において、技術管理者が調査に従事する他の者を監督する方法というのを新たに定めたところでございます。

 次のページ、7ページ、告示の改正の関係でございます。告示については、本日1月29日に、法改正第2段階施行に係る告示の新設ということで、4本の告示を出しております。1番目と2番目のものは、施行規則に由来する施行方法ですとか、調査方法等を定めるもの。それから、3番目と4番目は、処理業省令に関して措置や調査方法等を定める告示ということで出しております。

 それから、2番のほうは、物質の追加の関連でございまして、環境基準、それから特定有害物質の基準の改正に伴う告示レベルの改正を行っておりまして、土壌ガス、地下水、土壌含有量、溶出量といったものの測定方法の一部改正を行っております。こちらは、予定でございますけれども、明日1月30日に公布を予定しておるということでございます。

 ということで、さまざまな法令改正の対応の作業を行っておりまして、少し作業が遅れてしまったのですが、今後、この内容を周知していくことが重要と考えておりまして、全国の6カ所で、都道府県、指定調査機関、それから汚染土壌処理業者向けの説明会を今月末から来月にかけて精力的に開催し、4月1日からの改正法の施行に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

(岡田部会長)

 はい、ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

 特段よろしいですか。

(なし)

(岡田部会長)

 はい、それではご報告を承ったということにさせていただきます。

 議題の3、その他でございますが、事務局から何かございますでしょうか。

(小笠原農薬環境管理室長)

 特にございません。

(岡田部会長)

 はい。

 本日の審議全体に関しまして、何かご質問、ご意見等がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

(なし)

(岡田部会長)

 特になければ、本日の議事につきましては以上となります。

 進行を事務局にお返しいたします。

(小笠原農薬環境管理室長)

 岡田部会長、ありがとうございました。

 また、委員の皆様におかれましては、お忙しい中、ご審議をいただきましてありがとうございます。

 本日の議事録につきましては、事務局で案を作成し、後日お送りさせていただきます。ご発言の内容につきまして、ご確認いただいた後に公表をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして、本日の第36回土壌農薬部会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

(了)