中央環境審議会水環境部会水生生物保全排水規制等専門委員会(第6回) 議事録

日時

平成18年4月25日開催

場所

環境省水・大気環境局水環境課


議事録

午前10時03分 開会

○村山水環境課長補佐 それでは、定刻となりましたのでただいまから第6回水生生物保全排水規制等専門委員会を開催いたします。
 本日は、委員11名のうち10名の委員の方々のご出席を予定しておりますが、現在は9名でございます。すでに専門委員会開催の定足数を満たしております。
 それでは、議事に入ります前に本日お配りいたしました資料の確認をお願いいたします。
 本日の配付資料は資料1から資料4となっており、さらに参考資料がついてございます。
 資料の不足等ございませんでしょうか。

○松尾委員長 番号がついていないのが1つあるけれど。

○村山水環境課長補佐 資料3は1枚紙と、パブコメ結果の資料と、そのあと報告書(案)ということで、(パブリックコメント開始時の案)となっています。

○松尾委員長 わかりました。

○村山水環境課長補佐 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 議事運営規則に従いまして、本専門委員会の委員長でいらっしゃいます松尾先生に今後の議事進行をお願いいたします。

○松尾委員長 皆さん、おはようございます。よろしくお願いします。今回が第6回というこの専門委員会であります。予定ですと、きょうで一応報告書をまとめていただいて、水部会に報告させていただくという手順をとりたいと思っていますので、どうぞよろしくご審議にご協力いただきたいと思います。
 それでは、議題の順番でいきますが、まず前回議事録の案についてということであります。これについてはすでに事務局の方と先生方との間で2度ぐらい往復して確認をいただいてきているところでありますが、何か特にお気づきの点があればお申し出いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 終わりまでにもう一遍確認していただいて、お気づきの点があればご指摘いただくということで、そうでなければこれを案として取りまとめて公表の方へ手順を進めていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、そういうことでこれは扱わせていただきたいと思います。
 それでは、2番目が水生生物の保全に係る排水規制等の在り方について(報告案)に係わるパブリックコメントのとりまとめ結果についてということで、ご報告をいただきたいと思います。
 では、よろしくお願いします。

○村山水環境課長補佐 資料3に基づきましてご説明いたします。資料3の1枚目でございますが、パブリックコメントの概要を記載してございます。募集期間は4月6日から4月20日までの2週間でございました。
 ご意見の提出者数でございますが、全体で11名、内訳としましては事業者が9名、研究者が1名、自治体職員が1名となっておりました。
 ご意見の件数としましては1人で何件かの意見を出された方もいましたので、合計で33件となっています。ご意見を大きく分類しますと規制の考え方に係わるものが3件、規制の効果に係わるものが1件、上乗せ基準に係わるものが4件、諸外国の規制に係わるものが2件、暫定基準に係わるものが5件、技術開発に係わるものが3件、流量の確保に係わるものが2件、企業の自主管理に係わるものが1件、今後の課題についてが2件、その他のご意見が10件ございました。
 それでは、次の資料、横長の資料の中で結果をとりまとめてございますのでご紹介いたします。
 まず1ページ目でございますが、規制の考え方として特にここでは濃度規制のみ議論しているのではないかということとか、総量規制的なものが必要ではないかというようなご指摘がございます。
 これに関しましては報告書(案)の「はじめに」の一番最後のところに数行でとりまとめてございますが、対応方針(案)としまして、専門委員会では新たに水生生物の保全の観点から生活環境項目として設定された全亜鉛の環境基準の維持・達成を図るための方策について議論、検討を行いました。その結果、その超過が全国的に見られること、汚染の未然防止が必要であること及び亜鉛の排出源の業種が多岐にわたっていること等から一律排水基準の強化を行い、その基準値の設定に当たりましては亜鉛の特殊性を勘案したうえで、社会的、経済的、技術的観点等からの適用可能性に十分配慮することが適切であり、併せて補完的に企業の自主的な取組が重要であるとの結論を得たものです。
 なお、比較的高濃度な工場排水等が河川に流入する場合の下流で環境基準を超過する傾向がみられること等から濃度規制が有効であると考えていますというような答えとしました。
 次に1ページの一番下でございますが規制効果について具体的な効果を明らかにすべきであるというようなご指摘がありました。それに対しては前回の専門委員会におきまして本報告書案において示しました排水基準、最大値2mg/lに基づく規制を実施することにより、約4割の基準超過地点の解消が期待できるとの検討結果が示されています、というようなことにしております。
 2ページに移りますと上乗せ基準についてふれられております。特に例えば一番上でございますが、一律基準適用であろうと暫定基準適用であろうと、流量が少ないために環境基準を超過する場合、自治体による上乗せが懸念される。貴省から自治体に過度の上乗せをしないよう通達できないのであれば、自治体に助言にお願いしたい。同じような趣旨の意見がいくつか上乗せ基準には寄せられております。
 対応方針(案)としては、報告書案の中で亜鉛の用途は多岐にわたっている等、その特殊性については随所に記載しているとともに、「全水域、全業種を対象に1mg/lの上乗せ排水基準を設定している都道府県は、琵琶湖を有する滋賀県のみで水源地の水質を確保する等、自治体独自の特殊な事情を持っているところとなっている。」と、都道府県による上乗せが限定的に設定されていること等、個別具体的に記載しております。なお、本専門委員会における審議の状況や亜鉛の特殊性等につきましては、様々な場を通して自治体に対して周知徹底を図っていくべきと考えています、という対応案といたしました。
 2ページの下の方でございますが、諸外国の規制に関してご意見がございました。例えば1つ目でございますが、2mg/lへ誘導するために記載が偏っているのではないかということでございますが、それに対しまして諸外国の規制状況につきましては、環境省で調査した結果に基づき客観的な事実を記載したものです。また、一律排水基準値については亜鉛を含む排水に関する排水処理の技術水準や排水濃度の実態を踏まえ、一般的に用いられている排水処理技術で現実的に適用可能な濃度水準、諸外国における排水規制の動向、各自治体における上乗せ排水基準の適用状況等を総合的に勘案して検討いたしました、というような答えをしております。
 次に3ページの上からいきますと暫定基準について何点かご意見が寄せられておりまして、3ページの一番上では業種の絞り込みの点で、例えば表面処理施設というのは細かく見ますとほかにもいろいろあるでしょうという指摘や繊維工業についてはどうなのですかというご指摘でございます。
 それに対しましては、環境省で所管しております基礎データ及び産業界からのヒアリング結果等を踏まえ、暫定基準を適用する業種の絞り込みを行いまして、対象業種の選定を行ったものであり、適切と考えています、としております。
 次ですけれども、事業者からのご意見として鍍金業の方からご意見が3件寄せられておりますが、例えば暫定基準などを設けずに鍍金業は除外とすべきであるとか、暫定期間なしで5mg/lにしてほしい。3ページの下から2番目のところはご意見を寄せられた鍍金業の方の実情が書いてございます。
 それに対しましては、全公共用水域、全特定事業所を対象とする一律排水基準として設定することから、鍍金業だけを対象外にすることは不適切と考えております。ただし、亜鉛の特殊性等に鑑み、暫定基準を設定することが適切と考えています。暫定排水基準の適用については、亜鉛を主に扱う業種の特殊性、工場等の排水濃度実態、適用可能な排水処理技術等についての評価を的確に行い総合的に判断していくこととしています、というような対応方針といたしております。
 3ページの一番下は休廃止鉱山の関係で排出源自体を制御できないということであれば、暫定基準ではなく別の基準とするべきであるという事業者からのご意見でございました。
 休廃止鉱山につきましては、報告書案の中で特に休廃止鉱山については経済活動を行っていないことに加え、以下のような理由により対応困難なところがある点に留意する必要があるということで、ここに書いてあります[1][2]の留意点を記載しているところでございます。
 なお、これまでも5mg/lの排水基準を遵守いただいているところでございますので、暫定期間中は引き続きその値を遵守していただきたいと考えております、というお答えにしております。
 次に4ページにいきまして技術開発について何点かこのようにふれられております。技術開発といっても一番上のご意見のところでは、実際に限られた敷地の中で限られたコストで生産を行っている等々のご意見が記載されております。それに対しましては第4回専門委員会では産業界の方々に亜鉛の排出実態等について発表いただき、ヒアリングを行う等対策に当たっての問題点等の把握に努めてまいりました。今回はそれらの事情を踏まえまして社会的、経済的、技術的観点等からの適用可能性に十分配慮したうえで全国一律の排水基準を検討したものです。何とぞご理解のほどお願いいたしますというふうにまとめてございます。
 次の2つが技術開発でございますが、報告書案にもあるとおり、今後も国等が技術的支援に努めることが必要と考えています、というふうにまとめてあります。
 流量の確保について、最初のご意見では流量の確保はだれがどのようにするのか具体的に記述願いたいということでございましたけれども、流量の確保につきましては水利権の問題等がございまして難しい問題であると認識しておりますが、今後とも関係省庁等に提案していきたいと考えています、というような答えとしております。
 次のご意見は、環境基準を維持するために河川等の流量を確保するという考えはということでこのように書いておりまして、それに対する答えとしましては特に流量が枯渇している河川等に限定して、少しでも流量を確保する必要があるということを述べているものでございまして、流量の確保だけをもって環境基準を達成しようという趣旨ではございませんというようなお答えをしております。
 4ページの一番下に企業の自主管理ということで、特にここのご意見としましては企業に無理に自主的な取組を強要しているといいますか、そういうイメージのご意見のようでございますが、これに対しましてはそういう意図は全くございませんで、企業の自主的な取組も尊重しようという趣旨で報告書案に盛り込んだものです。
 5ページにいきまして今後の課題ということで、特に今後の課題については今後もしっかり確実に実施してほしいというようなことでございます。これに対して当然ご指摘のとおり重要であると認識しており記載したものでございますというまとめにしております。
 あとはその他の意見としまして何点かございますが、1点目は裾下げの量ということで、表現が妥当ではないのではないかということと、もう1つは上乗せがいろいろな都道府県でやっているような表現のようになっているのではないかというご指摘でございます。
 裾下げの0から30ということに関しては資料の中で1日当たり50m3未満という表現が誤解を生んでいるようでございますが、これは排水量にかかわらず亜鉛の規制を行っているという意味でございまして、そういうことで考えますと裾下げとしては0から30の間に裾下げが設定されているということになります。
 あとは限定して上乗せが設定されているということは、先ほど琵琶湖を有する滋賀県ということでご紹介しましたが、そのように報告書に記載しておりますし、都道府県による上乗せが限定的に設定されていることを記載しているということで、ご趣旨が反映された形となっていると考えています、としています。
 次の下から2番目のご意見は、第1回目の専門委員会で、環境基準超過地点の全国分布図とか、平均的な亜鉛濃度が1mg/l超過する排水を排出している事業所の全国分布図、さらには亜鉛鉱床等が存在する地帯の分布をお示しして、環境基準超過地点の全国分布図は、1mg/l超過する排水を排出している事業所の分布にほぼ分布が似ているといいますか、それに加えて東北地方を南北に貫くような地点は亜鉛鉱床が存在する地点に一致するような傾向がありますねというご説明をしたと思うのですが、これに対して定量的な分析をしていないのに一致するというのはどうでしょうかというご意見です。これに対してはこれらの図を比較検討いたしまして、定性的な分布の状況について記述したものでございますというような答えにしております。
 5ページの一番下ですが、個別河川の分析というのもやっておりまして、1mg/l超過する事業所からの排出水が河川に流入する場合、その下流で環境基準を超過する事例があることとあるが、流量の少ない河川では事業所の排水により環境基準を超過することがある等の表現に改めるべきであるという意見がございましたが、これに対しては、ここの記述は第1回の専門委員会の資料でお示ししたポンチ絵に対して記述したものでございまして、結論からいいますとそこで紹介した2河川は、例えば低水流量では1秒当たり数トンレベルの河川の事例でございます。必ずしも大河川の本川並みの流量は持っていませんが、比較的流量を有している河川の事例となっております。
 6ページにいきまして一番上で道路の路面排水で降雨初期において0.7mg/l程度であり、その後0.3mg/lとあるが、影響が無視できるかのような表現はするべきではないというご意見でございますが、そのような認識は事務局としましてもないわけでございまして、そのような影響が無視できるような表現を避けるために、比較的低濃度ではあるものの全国的にこのような傾向にあるものと考えられると、全国的に同じような傾向にあるということを記述しております。
 次は農薬関係でございますが、何が検出されていないのかを明確すべきということでありますが、これは物質自体が検出されていないということでございまして、詳しくはこれまでの専門委員会の資料でお示ししましたが、水質測定結果を数百回行っても1回も検出されない。精度を上げたら1回だけ検出されたということをもって、ほとんど検出されていないということにしております。
 次は凝集沈殿法と吸着法としながら、凝集沈殿法のみの説明になっているのではないかということでございますが、それに対しては一律排水基準値設定に当たっての考慮事項の1つとして、一般的に用いられている排水処理技術で現実的に適用可能な濃度水準というのがありますので、ここでは亜鉛の処理として最も一般的に用いられている凝集沈殿法に絞った記述としております。
 次のご意見は、資料3の次に報告書案(パブリックコメント開始時の案)としているものがありますので、それの8ページをおそれいりますが見ていただきたいのですが、上から3行目イのところで休廃止鉱山等の影響を受けている地域があること、ここの文面についてのご意見でございます。ここの文面に対しまして、休廃止鉱山付近で環境基準を超過するのは周辺の非鉄金属鉱床の影響もあります。その点も反映した内容とするか、ここの部分を削除してくださいというご意見がございまして、それに対しましては、表題のところが「休廃止鉱山等」と「等」を入れているのに対して、文面では「休廃止鉱山」と平仄が合わない面もございますので、文面のところを「休廃止鉱山等」ということに訂正したいと考えております。
 次のご意見ですが、排水濃度が低いが負荷量が多い下水道業に排出濃度基準、1mg/lを適用するのであれば、表1に新たな枠を設けるべきであるとの意見です。表1というのは一律排水基準の表ですが、この意見に対しては、一律排水基準の設定であるため、ある特定の業種だけさらに基準の強化を行うことは適切ではないと考えています、という答えにしております。
 次のご意見は、三大都市圏を中心とした都市部において工場・事業場等からの人為的な原因による超過事例が顕著に見られるとあるが、工場・事業場という言葉を削除するべきであるという事業者からのご意見でございます。
 これに対しましては、汚濁源を把握するため、各種基礎データ、自治体ヒアリング等から環境基準超過地点の汚濁源を特定してみると、工場・事業場の排水が排出源と考えられるものが全体の3/4程度という結果が得られたこと、及び工場・事業所を対象とした立入検査の実際の実務を担当している自治体職員に対するヒアリング結果等から判断したものでありまして、適切な表現と考えております。
 次ですが、先ほど出てきたご意見と同じような趣旨ですが、企業は法を遵守し、利益を追求するため排出基準値で管理をしている。基準値以上の厳しい社内基準値で管理することを強いるような表現は国が暗に、この厳しい基準値を要求できる根拠となるため削除すべきであるという事業者からのご意見に対しては、先ほどと同じですが企業の自主的な取組も尊重しようという趣旨で盛り込んだものです。その点、ご理解いただきたいと思います、としています。
 意見の最後になりますが、募集期間が短すぎる。この情報が末端に流れるまでに募集期間が終わってしまう。最低でも4~6週間の募集期間が必要との事業者のご意見でございます。これに対しては、今般の報告書案等を受け、排水基準を定める省令を改正しようとする場合には、行政手続法に則り、同令の改正案を公示し、30日以上の意見提出期間を設けてパブリックコメントを適切に実施することとなります、ということで今回、専門委員会報告書案に対するパブリックコメントでしたが、行政手続法に基づきまして省令改正のときは、その趣旨のもと、改めてといいますか、別の目的でパブリックコメントを再度行いますということでございます。そのときは適切な期間を確保したものとなりますという答えでございます。
 以上でございます。

○松尾委員長 ありがとうございました。今、暫定的なパブリックコメントというのはちょっとおかしいかもしれませんが、この専門委員会の答申に係わるパブリックコメントを2週間ぐらいやっていただいたという趣旨で、最終的にはもう一度最後の段階で行政手続法に基づくパブリックコメントがある、こういう趣旨であります。
 今ここにあるような意見が出てきて、それに対する事務局側の原案が対応ということで示されたわけであります。今日はこれについての皆さん方のご意見をいただければありがたいと思います。
 それでは、最終的に水環境部会の方へ提出する最終報告案を確認させていただければありがたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
 対応方針にもう少し踏み込んでおくべきではないかとか、その辺が議論のポイントかと思います。
 説明をお聞きしながら考えたのですが、総量規制の2番目の問題、これに対する対応案が明確ではないなという感じがするのですが。でも、ここはなかなか書きにくいところだと思うんです。資料2の前回の議事録のところでも最後の32ページのところで、森田先生が少しコメントをつけたらどうかと言われたことに関連して、なぜ総量規制まで今やらないのかということも多分問題だろうと私もここで言っているのですが、結局、総量規制まで議論するほどのデータがわかってきていないというのが実態だと思うんです。底泥の問題とか。そのときに、今のこの段階で総量規制まで必要だとか考えなければいけないとか、そこまでまだ踏み込めないような印象を持っているのですが、そのことをどこかに書けるかどうかというのが1つのポイントかなと今思っていますが。
 対応方針のところに一言総量規制に関して今回入れなかったのはどういうことなんですかね。まだ状況がわかっていないということに尽きると思うんですけど。すべての生活環境項目というか、環境基準にないものについても基本的には総量規制が必要だと言えば言えるかもしれないので、この亜鉛だけについて総量規制までふれるかどうかというのは、今の段階ではまだ早いのではないかという印象を持っていますが、それはどうでしょうね。
 あと、暫定基準で繊維工業が外れているのはなぜか。問題が難しいものがあるのではないかということで、それに対して環境省では調べたデータからいえばこれは外してもいいんだ、こういうことですが、そこは考え方としてはそれでいいわけですかね。環境省のデータ、基礎データ及び産業界のヒアリングで十分絞り込んでありますという趣旨なんですよね。

○村山水環境課長補佐 今のご指摘に関しまして、繊維業につきましては当然、染料の中に亜鉛は含まれているわけでございますが、環境省の基礎データではいわゆる工場・事業場からの排出水の濃度のデータを見ています。
 染料の中に入っているので排水濃度がどうなのかという視点は当然頭に置きつつ、排出水の濃度を分析した結果、うちのデータでは特段暫定を設定するような必要性がデータからは認められなかったということです。あとは、産業界からも詳細にヒアリングを受けていますので、そういう2つを合わせて総合的に勘案して今回の暫定基準の業種を設定しております。

○松尾委員長 ということでございます。

○村山水環境課長補佐 最初の総量規制のからみでございますが、対応方針にも記載しておりますが、今回いろいろ分析したところ、比較的濃度が高い工場からの排出水が原因で環境基準を超過しているということです。下水道は業種全体として負荷量が多いという話がございました。ただ、下水道については1事業場当たりの負荷量という面で見るとそれほど多くないという話もあります。要は一見負荷量が多いと見られるものについて、濃度はどうかと見た場合に、下水道も濃度が0.06mg/lでありますし、あと路面排水なども1オーダーさらに高くなるのですが、0.3mg/lぐらいということで比較的低濃度であります。
 そのような低濃度のものについては報告書案の終わりに示したとおり、マテリアルフローとかのさらなる解明、非特定汚濁源の解明をさらにしていかないとわからない面があるのも事実だと思います。
 そういう中でまず有効な対策は何かといったら濃度が高い排水で河川の亜鉛濃度が高くなっているのだとすれば、優先的に従来の濃度規制をまずやるべきであろうということかと思います。

○森田委員 今の件ですが、全体のアプローチは今の状態でバランスがいいのだろうと思うのですが、総量規制の必要性みたいなものについてまだ議論が必要かなという感じもしますので、終わりの(1)のところにマテリアルフローについては解明されていないということで、調査検討に努めること。その後あたりに総量規制の必要性についても検討するかどうかを1つ。

○松尾委員長 そうですね。私は今指摘されて思ったんだけれど、マテリアルフローという言葉、その思いが入れば、それでもいいのかなと瞬間思ったのですが、どうですかね。まさにそういうことではあるんですね、このマテリアルフローということは。ことさら総量規制という言葉を入れ始めるとちょっとどうかなという印象を思うんです。今後検討するということになると、すごく重い意味が出てくるかもしれないので、その辺の扱いでこのマテリアルフローについては解明が十分とは言い難いため……。対応の中にマテリアルフローについても今後十分対応していきますと書き込んでくれれば、私はそれでいいような、個人的には納得してしまうけれどもどうでしょうね。
 対応のところに全然それが一言も触れられないのが私はちょっと気になるところだから。

○紀村水環境課長 どうもありがとうございます。ご指摘の点についてはまさに事務局といたしましては委員長の言われたラインで工夫してみたいと思っています。すなわち報告書の中に手を加えるというよりは、具体的な対応方針の中で総量規制の件に関してマテリアルフローのこの文章の部分をふれながら、そういった趣旨について書いていきたいと思っています。

○松尾委員長 どうでしょうね。私はそれでご理解いただければ対応していくということになるのではないかと思うのですが。あとコメント的なものはありましょうか。
 もしよければ今の点は、この対応方針の中にマテリアルフローに関する文言を入れてもらって、そこで今後考えていくのだということでいきますか。
 流量の問題はこの前もここで議論になった部分で、どこまで書けるのかということがあったのだけれども、同じようなことが指摘されてきていると思うんですが、なるべく増やしてくれというのはそれ自体はどこかが言い出してもいいのではないかと私は思っているし、5ページの一番下の記述で、「流量の少ない河川では事業場の排水により環境基準を超過することがある。」との表現をすべきだという意見に対して、説明の方はどういう趣旨になっているんでしたっけ。対応方針の方に書いてあるのは。
 流量の少ない河川ではなかったということですか。

○村山水環境課長補佐 特に流量の少ない河川の事例を紹介しているのではないかというご指摘ですが、このご意見をいただいた方の考えている資料と、環境省で引用した資料が食い違っていたものですから、そこで第1回目にお示しした資料ということで答えています。

○松尾委員長 こちら側?

○村山水環境課長補佐 そうです。この河川についてはある程度流量を有する河川の事例でございます。

○松尾委員長 ということはある程度流量があっても、こういう排水が出てくると超過する事例がありますよということを言っているわけね。

○村山水環境課長補佐 はい。必ずしも1秒間に0.何トンとか0.0何トンとかいう本当に小さい河川だけでなくて、ある程度大きなイメージを持つような河川、例えば大河川の支川であっても比較的高濃度な工場排水が入れば基準を超過することもあると。もっと幅が広いということです。

○松尾委員長 そのことを報告書ではいっている。わかりました。よろしいでしょうか。
 あと1つ念のために議論すると、大塚先生がいっておられた心配というのかな。2mg/lぐらいにすると2の方に張りついてしまって自主的努力はしなくなるのではないか、こういうようなことをこの間心配されて、そういうことはないのではないでしょうかと言ったのだけれども、それに近いような対応が出てきて、法律家の懸念は当たっているのかなと思ったのですが、それはどうですかね。

○大塚委員 こちらの委員会としては自主的な努力を期待するということなのではないでしょうか。それで多くの事業者さんはやってくださるでしょうし、なかなか難しいというところも少しは出てくるかもしれないということは認識しておいた方がいいと思いますが、こちらとしては多くの事業者さんがそうやってくださるということを期待するということではないかと思っております。

○松尾委員長 そういう意味ではこういう対応方針ということでしようがないですね。基準を決めるとすべての基準でそういう問題が出てくるわけですが、逆に最大時を守ろうとすると平常時はそれよりもずいぶん低いところでないと守れないということは事実だと思うんです。現実のオペレーションでは。そういう意味では十分効果はあるだろうと判定できると思いますが。
 特にご発言がなければ以上のようなことで対応方針案の1ページ目に若干マテリアルフローに関する記述を入れ、そこで対応していますということを検討するということでいかせてもらいたいと思います。
 あとは原案どおりということでよろしいでしょうか。
 そういたしますと資料4として水部会への報告書の原案が出ているわけでありますが、パブリックコメント開始時の案と相違点は「等」が1か所入るということになりますね。

○村山水環境課長補佐 結局、そういうことになりますので。

○松尾委員長 最終的にまとめて議題の3の報告案についてはということで、よろしくお願いいたします。

○村山水環境課長補佐 今の委員長からのお話のとおり、変わった点だけお話しすると8ページの先ほどのところとなりますが、パブリックコメントに入る段階で一部、文言を追加しているところがございます。これは委員の先生方のご意見を踏まえてということでございますが、その場所が1ページの「はじめに」というところの、これは2ページにまたがっているわけでございますが、2ページの上の部分、6行ほどの文章を追加した状態でパブリックコメントに入っております。ここで今回の結論的なものを集約したということになります。
 あとは前回の専門委員会の中でもひととおり通しで時間をかけて説明したところでございまして、内容的には同じということでございます。

○酒井委員 確認をさせていただきたいのですが、これで暫定の業種がいくつか決められているのですが、この業種を受け入れる下水処理場というのは今回のこの規制がスタートするときどういう扱いになるのでしょうか。

○村山水環境課長補佐 下水処理場については下水処理場から公共用水域への排出水が水質汚濁防止法の適用を受けますので、そこの濃度の実態がどうであるかということがまず基本となります。ほかの工場につきましても同じように工場からの排出水の濃度の実態がどうかということで判断しております。ただ、下水道につきましては確かにいろいろな工場の排水を当然受け入れているということもありますし、あと下水道の処理として基本的には亜鉛に関しては処理できない類の物質ということもございますので、結論としましては、そういう状態の中で下水道はそのような性質を持っているという話と、あと実際の暫定排水基準値の設定という面では、下水道終末処理場からの排出水の濃度の実態がどうかということで判断するということになります。

○酒井委員 その場合は実態によって下水道全体ということですか。それともそういう事業場を受け入れている処理場に対して個別に暫定を適用する適用しないの判断をする。どちらなのでしょうか。

○村山水環境課長補佐 今回は下水道は暫定基準の対象になっておりませんが、仮に下水道を暫定とした場合、そのような例は過去にございまして、そういった面では単なる下水道処理場ということではなくて、どのような業種の排水を主に受け入れているか等で、受け入れるのはどんな業種とかを限定したうえで必要があれば暫定基準を設定するというのがこれまで過去の例でございます。

○平沢委員 パブコメにもありましたが、「おわりに」のところ、特に(1)(2)(3)と非常に重要なことだと思いますので、こういうのがありますといつやってくれるかわからないような状況、失礼な言い方ですがございますので、書いてしまえば安心ではなくて、具体的にいつまでにどういうことをされるのかということを環境省さんのお立場として意見をいただければありがたいなと思いました、具体的に。以上です。

○紀村水環境課長 ありがとうございます。まさにおっしゃったように「おわりに」の(1)(2)(3)(4)は非常に重要な事項だと思っています。とりわけ(1)の部分、イメージ的に書いてありますが、国、地方自治体、産業界が一体となってということで、私どもとしては環境省だけでこれをやるというよりは、地方自治体あるいは産業界と一丸となりながらやっていきたいと考えております。ほったらかしにしてはいけないということは認識しておりますので、関係者の間で早急に調整をとって、できるだけ早めにどういうタイミングでどういうことを行っていくのかということについてはコンセンサスをつくってしっかり対応してまいりたいと考えております。

○松尾委員長 よろしいでしょうか。今の発言が議事録に残るということで、やっていただけると思いますが。
 ほかに何かご発言はありますか。

○東海委員 先ほど、自主管理に関する意見要旨は2か所あったと思います。それらへの対応方針として、例えば4ページのところで、「企業の自主的な取組も尊重しようという趣旨で報告書に盛り込んだもの」と説明なされております。もう1つが6ページ目の下から2つ目の項目で、同じような対応の表現が使われています。これらのところはむしろ自主管理というものが、いわば補完的な柱として位置づいている、ということを表現に加えられた方がいいのではないかと思います。すなわち資料4の2ページ目の上から1行目から6行目に書いてありますように、併せて補完的に企業の自主的な取組が必要であるとの観点に基づいていることと、これが、今回の排出規制の在り方の設計をされたときの補完的な柱である、そういう位置づけの意味合いであることをもう少し込められた方がふさわしいのではないかと思います。

○松尾委員長 そうですね。実質的なものを尊重しながらというのが1つの前提でもありましたからね。
 文言としてはどうですか。

○村山水環境課長補佐 今の先生のご指摘に沿った形で付け加えたいと思います。

○松尾委員長 はい。それでは、よろしいですか。では、そういうことで。
 それでは、意見もないようなので今日の委員会、とりまとめ的にお話しさせていただくとパブコメの意見が出てきた。それに関して対応方針案の説明があって、いくつか総量規制の問題と今の問題と、それから若干の質疑があったということでありますが、原則的にはパブコメのものについて、字数といえば1字ですが、8ページのところの「等」を入れた。しかし、パブコメでのいろいろな意見については対応方針という形である種の決意表明といいますか、環境省側からなされて、今最後の平沢先生のご意見もありましたが、今後とも積極的に対応していくというご発言があったということで、それを残すことでこの資料4を今度は金曜日になるのでしょうか。水部会の方に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、皆さんご異議なしということで、そういうふうにまとめさせていただきたいと思います。
 その他、何か議題はございますか。

○村山水環境課長補佐 事務的なお話でございますが、前回と同様に議事録を作成いたしまして公表することとなっておりますので、後日今までと同じように事務局から議事録案を作成し、各委員の方々にお送りいたしますので、発言内容についてご確認いただきますようよろしくお願いいたします。
 本委員会も今回で最後となりましたので、水環境担当審議官の坪香より一言先生方にお礼のごあいさつを申し上げます。

○坪香水環境担当審議官 水環境担当審議官の坪香でございます。
 この水生生物の保全に係る排水規制等の在り方につきましては、平成16年8月に中央環境審議会に諮問させていただき、平成17年2月3日に第1回の専門委員会を開催させていだきました。それ以来、6回にわたり、熱心なご審議をいただきまして、本当にありがとうございました。
 本日をもちまして、いったんのとりまとめとしてのご報告をいただき、一段落を迎えたことになります。
 このたびご報告いただいた事項については、今後、4月28日を予定しております水環境部会において、松尾委員長からご報告をいただくことになります。その後、中央環境審議会から答申をいただいたうえで、排水基準を定める省令の改正手続きを行う運びとなります。
 この間、事務方としまして、いろいろと行き届かない点がございました点については、おわびを申し上げさせていただきます。
 今後も引き続き、水環境保全行政の推進にご協力いただきますようにお願いさせていただきまして、わたしのご挨拶とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○松尾委員長 専門委員会の皆様、本当にありがとうございました。大変積極的なご協力をいただけたと思います。誠に感謝をしたいと思います。
 皆さん、ありがとうございました。

午前11時05分 閉会