中央環境審議会水環境部会環境基準健康項目専門委員会(第9回)議事録

日時

平成20年12月25日 


議事録

午前10時00分 開会

○川﨑課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから第9回中央環境審議会水環境部会環境基準健康項目専門委員会を開会いたします。
 本日は、委員総数14名中、11名のご出席が予定されておりまして、ただいま10名のご出席をいただいたところでございます。既に、定足数を満たしております。
 それでは、議事に先立ちまして、今回から新たに内山先生に本専門委員会に加わっていただくことになりましたので、ご紹介をさせていただきます。

○内山委員 内山でございます。よろしくお願いいたします。

○川﨑課長 また、前回から本日までの間に、事務局の一部異動がございました。私は水環境課長、前任の河﨑和明から川﨑正彦にかわりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きましてお手元に資料を配付しておりますが、この議事次第と書いておりますもの、それからファイルでとじたもの、2つございます。資料等ご確認いただき、もしないようでございましたら、お申し出いただけますでしょうか。
 それでは、ただいまから専門委員会を開催させていただきたいと思います。以後の進行につきましては、須藤委員長にお願いをいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○須藤委員長 かしこまりました。委員の先生方、事務局の皆様、また関係省庁の皆様、大変ご多用の中を、また大変押し迫った中にお集まりをいただきまして、大変ありがとうございます。本日もまた傍聴の方もたくさんおいでいただきましたことを、お礼を申し上げたいと思います。
 それでは前回からの、前回は第8回でございましたが、環境基準の健康項目の検討をやっているところでございますが、本日の議題というのは議事次第に書いてありますように、主として前回答申において再検討することとされた項目、6項目ございますが、それを中心に議論をするということでございます。しかし、その前に資料2をどうぞごらんなってください。前回の議事録(案)が準備されております。本資料は、委員の先生方にご確認をいただいた後、事務局で修正し再度各委員の先生方に送らせていただいた資料でございますので、この場で前回議事録としたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 特にご異議がないようでございますので、資料2を前回の議事録とさせていただきます。では、本議事録を前回議事録といたしますので、事務局においては公開の手続を進めてください。
 それでは、本論に入っていきたいと思います。それでは、今申し上げましたように、最初に前回の議論の中で委員の方々から指摘のあった事項をまずは事務局から説明をお願いいたします。参考資料2、3でございましょうか。事務局どうぞご説明ください。

○辻原課長補佐 それでは、参考資料2をまずごらんいただきたいと思います。前回、幾つかご指摘があったものの1つでございますけれども、水質汚濁防止法の規制効果はどうであったのかというご質問がありまして、一応私のほうから、法施行後、急激に改善をしているというお話はいたしましたけれども、資料はございませんでしたので、きょうはその資料を用意してございます。
 参考資料2のほうを見ていただきますと、図が1つついてございますけれども、昭和46年以降の、これは重金属、PCBを中心とした当初健康項目として設定をされていた物質についての超過率の経年変化の図でございます。
 昭和46年に水質汚濁防止法が施行されておりまして、施行当時につきましては、ごらんいただくとおり、やはり超過率というものが場合によっては1%を超えるというものもございました。というわけでございますけれども、46年に水質汚濁法が施行された後、数年のうちにかなり急激に下がってきています。平成に入ってきてから、ほとんど超過はないというような状況になっております。平成5年度以降、2物質、鉛と砒素について見かけ上この率が上がっているように見えておりますけれども、これにつきましては、平成5年度から環境基準の値が厳しくなったという状況がございますので、見かけ上悪くなったというふうに見えておりますけれども、基本的にこの超過につきましては自然由来がほとんどであり、あるいは休廃止鉱山がほとんどということでございますので、水質汚濁防止法の効果というものは一定の効果を上げているということがこの図から見てとれるかと思います。
 続きまして、参考資料3でございますけれども、これはご指摘いただいた点についてのその後の対応ということでございます。要調査項目というものが平成10年度以降、私どものほうで設定をいたしまして随時調査をしておりますけれども、その結果について平成17年度までしか載せておりませんでしたけれども、18年度それから19年度の結果が取りまとまっておりますので、最近これをホームページのほうに追加をいたしましたということで、お知らせでございます。
 以上でございます。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 完結におまとめいただきまして、ありがとうございます。ただいまのところについて、何かご質問ございますか。よろしいですか。
 それでは、これは宿題としてお願いをしたことでございますので、先ほど申し上げましたように、本日の中心となる議題である「前回答申において再検討された項目に属する知見について」ということで議題1に挙げられているわけでございまして、ご承知のとおり前回の第1次答申において課題の指摘がされた6項目について、その後得られた知見に基づき議論を行うものでございます。複数の項目になりますので、幾つかに区切って議論を進めたいと思います。初めに①から③までの3物質について、事務局から資料に基づいてご説明をお願いします。じゃ、奥田係長。

○奥田係長 そうしましたら、私のほうから最初に資料3-1から3-3まで、3項目に関しての説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料3-1をお願いします。「1,4-ジオキサンについて」の情報をまとめた資料でございます。まず、1.としまして、「第1次答申の指摘事項」をもう一度記載させていただいております。その中での課題とされた部分が下線部分になろうかと思いますけれども、公共用水域での検出状況、1,4-ジオキサン取り扱い状況、環境への排出状況についての知見の収集に努める必要があるというようなことで指摘をいただいております。これにつきまして、まず2.ですけれども、「常時監視における検出状況」として整理しております。まず、表2-1ですけれども、これにつきましては、自治体の水質測定計画等による公共用水域からの1,4-ジオキサンの検出状況を取りまとめたものになっております。
 ごらんいただきましておわかりになりますように、河川で平成18年度2地点、指針値の超過をしております。その他湖沼、海域のほうでは指針の超過は見られませんけれども、10%超過につきましては同じく河川で複数地点検出が見られているところでございます。
 なお、この表の見方ですけれども、河川、湖沼、海域の下に公共用水域全体というふうにしておりますけれども、この公共用水域全体というのは、上の河川、湖沼、海域のデータを合計して整理し直したデータになっております。
 この中で平成19年度、指針値の超過地点がゼロということになっておりますけれども、これにつきまして、この表の下の※印、2つ目のほうを見ていただければよろしいかと思います。2地点超えたうちの1地点、黒津川というところのポイントが平成18年度超過しておりましたけれども、19年度は測定されていなかったことにより指針値の超過事例なしということになっております。平成20年度の速報値につきましては、まだ現段階、速報段階でございますけれども、2回の測定で平均0.46mg/Lということで、これは指針値超過をしているということになっております。ということで、指針値超過地点の現状も継続して存在しているということになろうかと思います。
 続いてページをめくっていただきまして、表2-2をごらんください。こちらにつきましては、地下水に関して同様に自治体の水質測定計画等による検出状況を整理したものです。これにつきましては、毎年公表しております自治体の水質の測定計画の調査によるものに加えまして、その後、自治体独自で実施している調査をヒアリング調査して、今現在、自治体で実施されている地下水測定でどのような検出事例かということで、再度集計し直したものになっております。平成16年度は13地点の超過、その後、平成19年度に1地点の指針値超過と、こういった状況になってございます。
 続きまして、3.「用途」になります。これにつきましては、表3に示しておりますとおり主な用途として、業種としましては化学工業、医薬品製造業、繊維工業、一般機械器具製造業といったところが、1,4-ジオキサンの主に使用されている業種ということで、用途としましては、主に有機合成反応の溶剤として使用されているようでございます。
 続いて、4.「その他の発生源」です。1,4-ジオキサンにつきましては、上記の溶剤として使用されている以外にも、発生源として現在の知見で考えられている部分があります。それを整理しましたのが、表4でございます。
 まず1つ目には、「重合過程の副生成」ということで、エトキシ化反応、エチレンオキシドの重合反応の過程で、副生成物として生じるということが知られております。似たようなところで、界面活性剤の生成の際にも副生成して生じるということが知られております。
 3ページ目に移りまして、その次、「1,1,1-トリクロロエタンの使用/過去の汚染」としております。1,1,1-トリクロロエタンにつきましては現在基本的に使用されていないところですけれども、1995年まで1,1,1-トリクロロエタンに対しまして、この1,4-ジオキサンを安定剤として加えていたということが知られております。
 その他発生源としましては、廃棄物の埋め立て処分場なり、あと家庭からの排出もあるということが知られております。
 続いて、5.「製造量、排出量等」になってございます。これにつきましては、ページをめくっていただきまして、図5-1をごらんいただいたらよろしいかと思います。
 近年5年間で、この1,4-ジオキサン製造・輸入の量及び輸出量というところを整理しまして、日本の国内でどのぐらいの量が供給されているかということを整理した図になってございます。
 統計データとしましては、製造・輸入量というものが統計データとして存在しているのみでございますけれども、輸出量につきましては、その上の表5-1の欄外に※3で示しておりますけれども、最後に輸出量が調査されました2000年度のデータをもとに、製造・輸入量に対して一定割合で出されていると仮定して計算をさせていただいております。
 経年的な傾向につきましては、図5-1を見ていただいてわかりますように、平成15年度に1回減少しておりますけれども、その他の年度につきましては右肩上がりの状況になってございます。
 続いて、(2)「排出量」です。これは平成18年度のPRTRデータをもとに、まず表5-2としましてその排出・移動量の状況を整理してございます。大気への排出が57.3%に対して、公共用水域へは42.7%というような状況になってございます。その業種ごとの内訳につきましては、4ページ目の表5-3に示してございます。PRTRの届け出データ状況につきましては、平成18年度においては、化学工業からの届け出のみということで、100%の届け出状況になっているということです。このPRTRでの届け出の状況を、図5-3に示させていただいております。若干、年によってふえたり減ったりということですけれども、総じて横ばいな状況になっているかと思います。
 続いて6ページ目のほうに移っていただきたいと思います。6.としまして「超過原因の整理」をしてございます。これは、河川において2地点指針値超過をしました、その2地点についてその原因、その後の状況ということで整理してございます。
 表6につきましては、その両地点での濃度推移ということで示しております。この2事例のうちの大北川につきましては、その測定点での上流地点で医薬品製造業が所在しており、また、エチレンオキシド関係の工程を有する化学工業が存在していることがわかっております。自治体によりまして、これらの事業場に対しての排出抑制指導がなされまして、平成19年度はごらんいただいていますとおり指針値以下の状況になっております。
 福井県の黒津川のほうにつきましては、これはその上流地域にポリエチレンテレフタレートを製造、重合する工程がございますので、ここからの副生成による影響というふうに考えられます。これにつきましては、排水の1,4-ジオキサンを処理する施設整備を現在進めているというふうに聞いております。
 続いて、7.「その他の検出事例」です。1,4-ジオキサンにつきましては、公共用水域及び地下水の測定計画に基づく常時監視調査以外にも、水質事故等で検出されている事例が存在しておりますので、そういった常時監視で拾い切れていない情報を事務局のほうで調べさせていただいたものを、ここに掲載させていただいております。
 まず、(1)「利根川流域」です。これは平成20年3月下旬に利根川流域におきまして、1,4-ジオキサンがかなり高濃度で検出されたという事例でございます。そのときの検出状況、これは複数の地点で調査した結果のうち、その最高濃度を示したものを表7-1ということで整理させていただいております。渡良瀬川の上流の地点です。秋山川のほうで最高4.9mg/Lという高い濃度の検出が見られております。この検出の原因ですけれども、秋山川のほうに排出をしております下水処理施設、その下水処理施設のほうに廃液を投入しております廃棄物処理業者で受け入れた廃液の中に1,4-ジオキサンが混入していたことから、この1,4-ジオキサンの河川への流出ということが発生しております。廃液につきましては、廃棄物の処理業者のほうでも活性汚泥等の処理をしております。また、下水の処理でも当然、活性汚泥など処理をしておりますけれども、そういった浄化処理では処理しきれずに公共用水域に出てきてしまった例というふうに考えられます。
 7ページ目の上段の表7-2につきましては、高い濃度を示した秋山川の周辺での地下水での状況です。17地点の調査に対して、検出地点ということが調査により明らかになっております。
 続いて、(2)「綾川水域(香川県)」での検出事例です。これにつきましては、平成17年1月に綾南町における水道水質検査で1,4-ジオキサンが検出された基準値超過ということで、それを契機に調べた結果、周辺での河川及び地下水でも検出が見られたという事例でございます。河川のほうからは、最大で5.1mg/L、地下水で最大0.1mg/Lというような検出が見られたということでございます。
 続いて、(3)「その他水域での調査」ということで、主に文献情報ということで把握できたものにつきまして、掲載させていただいております。
 まず1)「多摩川水系における検出」です。これにつきましては、多摩川水系における1,4-ジオキサンの動態調査ということで、東京都のほうで昨年なされた調査結果でございます。結果につきましては、表7-3に示しておりますとおり、各支川及び本川で検出がされているということが知られております。
 2)で川崎市における事例です。これにつきましては、データとしましてはページをめくっていただきまして、表7-4のほうに記載しております。河川、海域、地下水、いずれにつきましても検出されているという実態があります。また、地下水におきましては、指針値の超過も見られるということでございます。
 続いて、3)「東京都(地下水)における検出」ということです。立川市及び昭島市のほうで実施されました地下水での1,4-ジオキサン調査の結果でも、1,4-ジオキサン検出が見られております。データにつきましては、表7-5に示しているとおりでございます。
 4)で柏市ということで、柏市におきましても、これは地下水において指針値の超過が判明しております。
 といったところで、1,4-ジオキサンにつきましては、常時監視以外にも複数の検出事例があるということでございます。あと、本日紹介した以外にもまだ調べればほかにも検出事例があろうかと思いますけれども、事例としまして紹介させていただきました。
 続いて、8.「1,4-ジオキサンに対する排水処理の効果」です。1,4-ジオキサンにつきましては、好気的な条件及び嫌気的な条件で、ともに難分解性ということが知られております。
 先ほど多摩川の事例で紹介させていただきました、東京都の実施されました調査の中で、下水処理場の流入と流出において、1,4-ジオキサンの負荷量の算定をされたデータがございます。それは9ページに移りまして、表8でございます。このデータを見ていただいてもおわかりいただけますように、活性汚泥等の処理では、1,4-ジオキサンはなかなか処理がされていないということがわかります。
 10ページ目に移っていただきまして、「まとめ」です。まとめとしましては、1,4-ジオキサンについては、1次答申以降これまで公共用水域、地下水ともに複数の指針値を超過する検出事例が見られております。また、全国的な使用料、用途等に大きな変化が見られていない、またその使用も特定の地域に限定されていないと考えられます。
 以上のことから、当該物質については全国的に指針値を超過する汚染事例が今後も発生する可能性は高いのではないかというふうに考えております。ということで、1,4-ジオキサンにつきましては、このようなまとめをさせていただいております。
 続いて、資料3-2に移らせていただきます。「塩化ビニルモノマーについて」です。資料の構成につきましては、1,4-ジオキサンとおおむね同じような並びで整理させていただいております。
 それでは1ページ目1.ですけれども、まず「第1次答申での指摘事項」、これにつきましてはアンダーラインを引いているところにありますように、共存物質を含めた公共用水域等の検出状況、環境中での挙動等の知見の収集に努める必要があるとされております。
 2.としまして、「常時監視における検出状況」です。表2-1は、先ほどと同じように河川、湖沼、海域における検出状況です。指針値の超過につきましては、河川におきまして16、17、18年度に各1地点、指針値超過ということでなっております。それぞれ1地点になっておりますけれども、16から18につきましては、すべて同一の地点での超過事例になっております。詳細につきましては、後ほど説明をさせていただきます。
 ページをめくっていただきまして、表2-2が地下水の状況でございます。これにつきましては1,4-ジオキサンと同じですけれども、自治体による水質測定計画による調査と独自の調査のデータをあわせて評価しております。ごらんいただいてわかりますように、16年度から19年度まで毎年複数、2けたの指針値超過地点の事例が見られております。
 3.としまして「用途」ですけれども、これにつきましては表3に示しておりますように、化学工業、プラスチック製品製造業ということでございます。主には、合成樹脂の製造の原料ということになっております。
 4.としまして「その他の発生源」ということです。この塩化ビニルモノマーにつきましては、実際、塩化ビニルモノマーそのものの使用による公共用水域等での検出というもの以外に、別のルートでも発生をしていることが知られています。その中で、特によく知られておりますのが、次の3ページ目の一番上、図4のほうで示されているものです。もともとの汚染としましてテトラクロロエチレンなり、トリクロロエチレンといった、そういった有機塩素系化合物が微生物の分解によって塩化ビニルモノマーまで行き着くことがあるということが知られております。
 ただ、この微生物の分解というのが嫌気的な状況でどうも起こっているということでありまして、その排水処理等での微生物の処理ではどうなっているかということに関して、それに関連する情報を調べた結果が表4でございます。これを見ていただいてわかりますように、塩化ビニルモノマーの直上の前駆物質になりますcis-1,2-ジクロロエチレン、tras-1,2-ジクロロエチレン、塩化ビニリデンといったものにつきまして、好気的な条件での分解性というものはかなり難分解ということが知られております。こういったことから、排水処理等の好気的な条件での微生物処理の中では、塩化ビニルモノマーが分解生成するということは余り考えられないのではないかなというふうに考えております。
 続いて5.「国内供給量、排出量等」です。これにつきましては、ページをめくっていただきまして、図5-1をごらんいただければと思います。この中で、先ほどの1,4-ジオキサンと同じように、国内での製造・輸入量から輸出量を引いたものを国内供給量として算定しておりますけれども、そのグラフは経年的にも右肩下がりということで、減少傾向にあるというふうに考えられます。
 続きまして、(2)「排出量等」です。PRTRデータのほうですけれども、表5-2にありますように、18年度のデータからは、大気への排出が98.1%、公共用水域が1.9%ということで、かなりの部分が大気のほうへ排出されているということが知られております。
 その業種の内訳につきましては、次の5ページ中ほどの表5-3に示しております。PRTRの届け出上は、化学工業とプラスチック製品製造業ということで排出がされております。それぞれの業種の経年的な変化を見ているものをが、図5-3になってございます。化学工業、プラスチック製品製造業ともに、18年度においてかなり減少をしているのがわかります。この減少の原因としましては、それぞれかなり大口の排出事業者による届け出の減少が影響しておるわけなんですけれども、それぞれの事業所でどうやら工程内での塩ビモノマーの回収処理ということをされた結果、公共用水域への排出ということは減っている算定になっているというふうに考えられます。
 続いて6ページ目、6.「超過原因の整理」でございます。最初の常時監視のところでも、少しお話ししましたけれども、平成16、17、18、各1地点で指針値超過しておりますけれども、すべて表6に示しております福島県の、これは「びんだ」川と読みますけれども、その蛭田橋という場所において、指針値超過をしております。経年的な状況で見ますと、16、17、18と指針値超過して、19年度につきましては、指針値以下というような結果になっております。
 あわせて、塩化ビニルモノマーの前駆体と言われております有機塩素系化合物の検出状況につきましても、表に載せさせていただいております。テトラクロロエチレンと1,1-ジクロロエチレンにつきましては、検出されている年もございます。
 この蛭田川における指針値超過の原因としまして、上流地点を調べましたら塩化ビニルモノマー自体を原料として使用している化学工場が存在しております。自治体による調査の報告によりますと、その化学工場の塩化ビニルモノマー自体の工程から出てくる排水口ではなく、冷却水・雨水のみを排出する排水口から指針値超過した塩化ビニルモノマーが検出されているので、こちらのほうが原因であろうというようなことであります。
 この冷却水・雨水のみを排出する排水口につながっている配管系統のほうを調べておりますと、やはり塩化ビニルモノマーを扱う工程はその集水域において存在していなかったんですけれども、過去に塩化ビニルの残渣を近くに埋めたというようなことがあったということでございます。そういったことから、自治体のほうでは塩化ビニルの残渣を場内に埋め立てたものが、地下水に乗って雨水・冷却水の排水管、土中に埋められた排水管が古い排水管ということですけれども、そこに何らかの形でしみ出して、その排水口から検出されたのではないかというふうに整理されております。
 それで対策としまして、地下水のくみ上げ等の対策及び平成18年度には、埋め立てられたその廃棄物からの汚染の流出をとめるという意味での矢板の打ち込みというような対策をされまして、結果として19年度は指針値以下になっておりますので、おおむねそういったところも妥当なところであったのかというふうに思っております。
 続いて、7.のほうで「地下水におけるその他の指針値超過事例」を整理した結果を載せております。平成16年から19年までの調査において、4自治体で塩化ビニルモノマーが指針値の超過をしているという測定結果があります。山形県及び川崎市、静岡市、高槻市ということでございます。今回の塩化ビニルモノマーに対して付されております課題である共存物ということで、視点で整理をさせていただいております。
 (1)で「前駆物質の検出事例」です。前駆物質、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等と塩化ビニルモノマーが同時に検出されているというような事例は、山形県、川崎市、高槻市のそれぞれの事例で見られております。それぞれ周辺での前駆物質の汚染の確認が実際されているというようなもの及び同時に前駆物質が検出されているということでの事例でございます。
 それぞれクリーニング溶剤や金属洗浄剤としての使用による、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンの漏えいでの地下水汚染が、もともと契機でなかったかというような整理が各自治体によってされております。
 データにつきましてましては、7ページ目の表7-1、表7-2、それぞれ山形県及び川崎市の事例のデータのほうを掲載させていただいております。濃度としましては、ここにごらんいただいているような状況でございます。
 (2)として「前駆物質の未検出事例」もありましたけれども、それにつきましては静岡市の平成18年度の調査、高槻市での平成19年度の調査、それぞれ1地点での状況ですけれども、前駆物質が同時に検出はされてはいない。2事例とも周辺での塩化ビニルモノマー扱い事業場について調べてみましたけれども、特にそういった取り扱い事業ではないので、原因については現在のところ不明というような事例が2例あります。
 そういった情報を踏まえまして、8ページ目の8.「まとめ」として、次のように整理させていただいております。まず塩化ビニルモノマーによる水質汚染ですけれども、特に地下水における事例では、その多くが有機塩素系化合物の嫌気性分解による生成というふうに考えられます。また河川では1地点、指針値超過事例がありましたけれども、廃棄物として出ました塩化ビニルの残渣を工場敷地内に埋設したことによる地下水汚染の経由の事例であったというふうに推測されるものです。
 このように塩化ビニルモノマーにつきましては、現在のところ工場、事業所における製造工程から塩化ビニルモノマーそのものの排出での水質汚染事例ということは、今のところ見られていないというふうに考えております。
 続いて、次の項目に移りたいと思います。資料3-3をお願いします。「エピクロロヒドリンについて」でございます。
 まず、1.としまして「第1次答申の指摘事項」です。公共用水域等の検出状況の知見の収集に努める必要があるということで、課題をいただいております。
 2.としまして「常時監視における検出状況」。まず表2-1です。河川においては、17、18、19年度、それぞれ2、3、4と複数地点での指針値の超過が見られております。
 ページをめくっていただきまして、表2-2についてですけれども、これは地下水の状況です。地下水につきましては、エピクロロヒドリンは10%超過も含めて今のところ検出は見られておりません。
 3.の「用途」ですけれども、表3に示しております。業種としましては、化学工業、パルプ・紙・紙加工品の製造業、医薬品製造業、金属加工業ということで使われております。化学工業につきましては、化学物質の合成の原料として使用されております。パルプ・紙・紙加工品の製造業につきましては、湿潤の紙力増強剤という形で、紙に塗布するような形での使用がされているというふうになっております。
 続いて、4.の「国内供給量、排出量等」です。まず、国内での供給量等です。ページをめくっていただきまして、図4-1をごらんください。先ほどまでと同様に、国内での供給量のほうを統計データから算定しておりますけれども、ほぼ横ばいの状況が続いております。
 続いて、(2)の「排出量等」ですけれども、これは表4-2をごらんください。大気へは92%、公共用水域へは8%の排出割合というようなことになっております。
 エピクロロヒドリンの排出業種及びその経年的な状況は、次の4ページ目の図4-2になっております。排出の届け出をされている業種ですけれども、平成18年度につきましても化学工業が100%ということになっております。
 経年的な状況のほうをグラフにした図4-2ですけれども、平成18年度にかなり急激に増加をしておりますが、これもまた大口での届け出事業所のデータ自体が急激に増加ということで、このようになっております。ヒアリングをした結果によりますと、17年以前のほうがむしろ届け出の算定上のミスがあったのではないかということで、今事業所のほうでそのあたりは確認をしているというようなことでございます。
 続いて5ページ目、5.ですけれども「超過原因の整理」です。これまで平成16、17、18、19と調査した中で、指針値超過した地点としましては、表5-1、2に示しております7地点になっております。この7地点の中で、自治体のその後の調査等で、おおむね原因と考えられる部分が明らかになったものが、このページ中ほどの①、②、③で示しました3河川です。
① 白子川につきましては、上流に製紙業者というところで、紙力増強剤にエピクロロヒドリンを含むものを使っているというようなことが明らかになっております。
 ②ということで浅水川ですけれども、これにつきましては上流に繊維の染色加工業者が存在しておりますけれども、その業者で使用している仕上げ材の原料としてエピクロロヒドリンがあるので、恐らくそのあたりではないかというふうに考えられております。
 ③で、江川のほうですけれども、これにつきましては、その上流の流域内で、水のほうでの届け出はないんですけれども、PRTRで大気にエピクロロヒドリン排出を届けていた化学工業がございます。また、その化学工業からの廃液を受け入れて処理していた廃棄物処理業者も近傍にございまして、ただその廃棄物処理業者のほうでは油水分離程度の処理しかしていないようなところでエピクロロヒドリンが混入する可能性のある廃液を受けていたということなので、恐らくそのあたりが原因ではないかというふうにされております。
 それぞれにつきましては、自治体のほうで指導がされているところでございます。その他の4地点についてですけれども、原因が今のところ不明でございますけれども、表5-2としまして、それぞれの地点の上流川でまずどういった業種が存在しているのかということを地図上にそれぞれの事業場をプロットしまして数えた結果が、表5-2ということでございます。
 それぞれの地点ですけれども、前段に説明させていただきましたエピクロロヒドリンの使用されている業種に該当する事業場、そういったものが複数それぞれ存在しております。どこが原因かというところにつきましては不明ですけれども、使っている可能性のある事業場も存在しているポイントになっていたということがわかります。
 これらの情報を踏まえまして、6ページ目で「まとめ」ということで整理をさせていただいております。エピクロロヒドリンにつきましては、これまでに複数の地点での指針値の超過事例があるということが、これで明らかになっております。
 ただ、エピクロロヒドリンにつきまして、指針値そのものについても若干下記のような点で留意するべき部分があるのかというふうに考えております。参考表ということでつけさせていただいております。「要監視項目(第1次答申)」におきましては、毒性評価と国際機関であるWHOの評価と同じ評価を用いまして、指針値ということで算定をしております。そのもとになっておりますWHOの飲用水質のガイドラインにつきましては、この表の真ん中の列に整理しておりますけれども、その中で、中ほどですけれども、不確実係数ということで1万というような値で算定をされております。WHOのほうでの飲用の水質ガイドラインとしましては、暫定値ということで整理がされております。理由としましては、毒性に関する不確かさ、採用した不確実定数の大きさというようなことが示されております。こういったところも踏まえて、この指針値超過の意味を考えていく必要があるのかなというふうに考えております。
 まず最初の3物質について、以上です。

○須藤委員長 大変簡潔に要領よくご説明された、資料もよくまとまっていると思いますので、ありがとうございました。
 それでは委員の先生方、この3物質について、ただいまのご説明に対してのご質問あるいはご意見をいただきたいと思います。結論は、まとめのところに書いてあるところが結論なんですが、今の段階では何をどうしようというところは必要まだないんだろうと思いますが、今後まとめのところを中心に、最終的な結論に持っていきたいと思います。どうぞ、お願いをいたします。
 ありますか、佐々木委員どうぞ。

○佐々木委員 最初に1,4-ジオキサンについてですけれども、前回、都内の実態から見ると、お示ししていただいたデータがちょっと低いかなというふうに感じて発言させていただきました。行政側に確認いたしましたところ、確かに環境基準となっていない関係上、調査した地下水など少ないので、たまたま検出されてない箇所であったということは確認できました。今回フォローしていただいてかなりデータを拾っていただいていると思いますけれども、特に水道サイドのほうで、資料の7の(1)の利根川流域のところですけれども、この部分につきましては、水道サイドでかなり問題意識を持っているようです。1,000μg/L超えるようなものが廃棄物処理施設のほうから出た事例があって、河川で希釈されましても非常に高濃度になる。受け入れる側の水道としては対応がなかなか困難ということもございまして、ぜひ環境基準等々にお願いしたいというふうな話も聞いておりますので、お話しさせていただきました。

○須藤委員長 水道の立場のほうから、ぜひこれを基準化してちゃんと採用して、些少なりとも排出基準等を設定できるわけですから、そういう管理をしてほしいというようなお願いであるということですか。

○佐々木委員 はい。

○須藤委員長 わかりました。
 そのほかの委員の先生いかがですか。1,4-ジオキサンのところだけではなくて結構です。どうぞ。

○中杉委員 1,4-ジオキサンについてあれですけれども、ここに挙げられている地下水のデータで、東京都の地下水における数値というのがありまして、これは眞柄先生のほうがよくご存じなんですけれども、ほかにたしか大阪のほうでも、もう1けた高いぐらいの井戸の汚染があって、これも水道水源だということで、環境省のほうがそこまで網を広げられなかったみたいなんですけれども、それが1つがある。
 それと、もう一つ大きいポイントは、排水処理ができないということは、環境中でも全然減らないということで、佐々木委員と一緒に東京の多摩川を上流から下流まで調べてみて、見事に物質収支がとれてしまうという話なので、環境に一度出ると、もうそのまま流れていってしまう。薄まるのは希釈だけという観点で、そこをもう少し留意をする必要があるかなというふうに思います。

○須藤委員長 ありがとうございます。それじゃ眞柄先生、一番ご存じだというふうなご指摘をいただいたんで、もう少し具体的に何かありましたらお願いします。

○眞柄委員 資料を整理していただきました。資料にありますように、ジオキサンを製造している工場の事業所からの排水が1つの要因だということと、それからもう一つは多摩川というか東京の多摩流域の地下水のように、かつて溶剤の中に混入していたジオキサンが要因であるということがあると思いますが、その次にもそうなんですが、いわゆる廃棄物の処分場なり処理場からの排出がしばしばあると。ところが、そういう業をしておられるところは、常時同じ廃棄物が入ってきて処理をしていないということがありますので、もし水濁法の対象等にする場合に、要するに監視、モニタリングの頻度を従来と同じようにしていては、そういう現象を把握できないおそれが非常に高いということを、やはりこの際、留意をしておかなければいけないんじゃないのかなというふうに思います。
 それから、一応ジオキサンは長谷川先生や広瀬先生にお伺いするのがいいと思いますが、今のいわゆる安全性評価というか、リスク評価がかなり前の状況でありますので、環境基準を設定しようというときには、できれば食品安全委員会の評価をしていただいて、その上で環境基準値をどうするかということを考えたほうがいいんじゃないかと。
 特に今の指針値は発がんを前提にしておりますので、発がんの評価というのが、その当時から少しずつ変わっているというか進歩してきていますので、1度やるんだったら食品安全委員会でもう一度再評価していただくほうがよろしいんじゃないかと思います。
 以上です。

○須藤委員長 ありがとうございました。長谷川先生、その辺のところで何かコメントはございますか。じゃどうぞ、どちらでも両方でも結構です。
 広瀬委員、じゃ、どうぞ。

○広瀬委員 発がん性の評価ではありますけれども、TDIの評価でも実は同じぐらいの基準になるという評価に、多分WHOではそういう評価となっていると思います。
 食品安全委員会の評価も最近行われて、それはTDIによる評価、つまり閾値のない発がんではなくて、閾値があるだろうという設定で、ほぼ同じような値が設定されています。水道の基準も多分それを受けて結果として同じような値なので、評価の中身は少し違うんですけれども、値自体は変わらないということで変えていないということになっています。

○須藤委員長 では、長谷川委員何か追加、いいですか。

○長谷川委員 はい。

○須藤委員長 そうしますと、再度というということではなくてよろしいですね。今、ご専門家のほうの毒性評価のほうの解説もございました。
 ほかに委員ございますか。1,4-ジオキサンだけではなくて、よろしいですよ。
 中杉委員どうぞ。

○中杉委員 塩ビモノマーですけれども、まず最初に資料のちょっと訂正というか追加をお願いしたいのは、3ページの図4で分解生成の代表的経路というのは、テトラクロロエチレンからトリクロロエチレン行って、ジクロロエチレン行って塩ビというのは、これも1つの経路なんですけれども、もう一つ1,1,1-トリクロロエタンから化学的な脱塩素で塩化ビニリデンに行って、それから塩化ビニルモノマーに移行するという経路も、これは一般的に知られていますので、それもつけ加えていただいたほうがいいのかなというふうに思います。
 それと、塩化ビニルのもう一つ基準を超過しているところの残渣というのがどういうものなのかというのがちょっと気になるんですね。これ自体、汚泥みたいなものであればいいんですけれども、製品のくずみたいな話になると、ポリ塩化ビニルそのものから、ひょっとしたら溶け出しているなんていう話になると、これは全然話が広がりないし大きくなってしまうので、そこら辺のところ確認をしていただいて、この塩化ビニル残渣ってそもそも何なのか、いわゆるプラスチックのくずではないのかということを確認いただく必要があるかなと思いますが。

○須藤委員長 じゃ、2つ問題、分解経路のほうの追加と、それから今の残渣の問題、どうぞ。

○辻原課長補佐 初めのほうのご意見につきましては適宜また修正のほうをしていきたいと思いますけれども、残渣ですけれども、一応残渣と書いてあるんですが、いわゆる製品の中の不良品、これを埋めているわけですけれども、塩化ビニルポリマーは、不良品ポリマーが分解したということではなくて、要は不良品に原料が付着していると、ちょっと濡れたような状態の不良品を埋めたということですので、これについては恐らくその不良品の周りについていた原料の残りかすのようなものが溶け出してきているんではないのかというふうに考えております。

○須藤委員長 いいですか。じゃ、どうぞ。

○中杉委員 それからもう一つ、前駆物質は無検出の事例というのがありますけれども、これは地下水の中での分解をしていく経路というのは、親物質よりも分解生成物が多い例が多いですが、これは場所ごとにまちまちで、親物質が全く消えてしまう場合もありますので、それはこのケースがそうなのかどうかと証明はできないですけれども、そういうことが十分あり得る。どこの部分が多いかというのは、その場所その場所でどんな状態があって、どういう微生物がいるかによって変わってきてしまうということなんです。
 それからもう一つは、これは地下水での検出例が何カ所かありますけれども、実際にはこれよりもはるかに多いところで塩化ビニルが地下水の基準を超えているというのは一つの事実ですので、それをどう考えるかという話になるかと思います。

○須藤委員長 ありがとうございます。
 あれでしょうか。先ほど眞柄先生がおっしゃったのが、廃棄物の処分場だったらそれは過去のものでも、変わってもそれなりの調べ方なりモニタリングできるんですけれども、その前に埋設したり、不法投棄とは言っちゃいけないんでしょうけれども、そういうようなもの、捨てられたもの、これがこういうところに出てきてというようなことも多分あり得るんですね。そういうほうがやりにくいですよね。基準は決めても、その後の対応がしにくいという部分があります。排水規制だったら、廃棄物処分場の水でもいいんでしょうけれども。
 どうぞ。

○眞柄委員 実に、そこが悩ましいところで、先週の土対法の改正の議論の初期に、環境基準で新しいものが入ってきたときにどうするんですかということを申し上げたことがあるんですが、現実にこういうものがもし環境基準にするとすれば、土対法の規制の対象の物質として浮かび上がってくるということだというふうに我々も理解しておかないといけない。もしそうだとすれば、ということだと思います。

○須藤委員長 ありがとうございます。

○中杉委員 もう一つは、今、眞柄先生の言われた話なんですけれども、ここで今、水質の環境基準の健康項目の議論をしていますけれども、この後の話が当然あるので、先ほどの1,4-ジオキサンもそうですけれども、土壌だとか廃棄物のほうにどう絡んでくるかという話になりますので、ここで排水のほうは大丈夫だという話で物事を終わらせては多分いけないんだろうというふうに思います。

○須藤委員長 はい。そういうこともあるんで、地下水・地盤環境室長にもおいでいただいているのは多分そういう意味があると私は理解していますので、先ほども重要な議題なんだからお願いしますと言ったのはそういうことがあったわけですので、こういうような物質というのは工場・事業場排水規制で済むものではないので、土壌やら地下水に広くかかわってきますので、後での対応は十分中で相互に検討してください。
 ほかは、よろしゅうございましょうか。
 はい、どうぞ。

○鈴木委員 直接的には環境基準とつながる話ではないんですけれども、今回1,4-ジオキサンの利根川流域での流出事故に関しまして、ちょっとどういう状況だったかということをお話ししたいと思います。
 水道側の測定で、下水処理場から出てきているんじゃないかという話になりまして、下水道側でも下水道区域内でどこから出ているかというのを追跡しようとしたんですが、環境基準項目になっていない、要監視項目であるがゆえに環境基準とか、それを受けての下水道法を根拠にした調査ができなくて、結局、廃掃法を根拠にして立ち入り調査をやったというふうに聞いております。
 という意味で、要監視項目の位置づけについてですが、事故があった場合に下水道の処理区域内で対応ができないというようなこともありますので、将来的な課題として考えていただければと思います。

○須藤委員長 いわゆる問題が起きたときに、要監視項目じゃなくて環境基準項目で、しかも排水規制ができれば立ち入りもでき、そういうことですね。そういう体制が、水質規制の中の下水道のほうの規制もそれと対応できると、連関しているからすぐできると、こういうことでよろしいですね。

○鈴木委員 はい。すべてを環境基準項目に挙げるのは難しいとは思いますけれども、その前の段階で水質が超過しているようなものが見えた場合に、それを水域としてどう管理するかというような体制も必要ではないかと。

○須藤委員長 基準じゃなくても、その対応ができればいいということですね。今のやり方だと、なかなかそこは多分ないと思うんで、後でまたご返事いただきますが、ないと思うんで、やっぱり今までの仕組みを動かすのは多分一番早いのかなと、こう思っていますので。
 それでは、ほかはよろしいですか。まだ後半がありますので、それでは後半の3つについてご説明ください。それで総合的に議論したいと思います。

○奥田係長 それでは資料3-4、アンチモンから引き続き説明させていただきます。
 まず1.で「第1次答申の指摘事項」ということです。これにつきましては、公共用水域における検出状況等の知見の収集に努めるということになっております。
 続いて、2.「常時監視における検出状況」です。表2-1ですけれども、河川において16、17、18、19年と毎年複数の地点での指針値超過が見られております。また、海域においても、平成19年度、1地点超過が見られております。
 ページをめくっていただきまして、表2-2ですけれども、地下水の状況につきまして、ごらんのとおり16、17、18年と毎年指針値超過の地点が存在しているような状況でございます。
 続いて3.で「用途」ですけれども、表3に整理させていただいているとおりですけれども、業種としまして、鉄鋼業、非鉄金属製造業における使用から繊維工業、化学工業、パルプ・紙・紙加工業、電気機械器具製造業、窯業・土石製品製造業というようなことで、多用途で使用されております。
 鉄鋼につきましては、金属としての使用ですけれども、繊維工業におきましては、合成繊維の触媒の原料として使われているようです。また、化学工業においては難燃剤としての使用があるというのがございます。
 続きまして、4.の「国内供給量、排出量等」です。これにつきましては、ページをめくっていただきまして図4-1をごらんください。アンチモンの中で、特に化学薬品等で使われていますアンチモン酸化物について、国内での供給量の経年変化を示しております。この図4-1にありますように、おおむね横ばいの状況が続いているということでございます。
 続いて、(2)「排出量等」です。PRTRのデータです。表4-2としまして、平成18年度のデータですけれども、これにつきましては、その大部分が埋め立てで99.1%の排出になっております。それに対しまして、公共用水域では0.7%というような状況になってございます。
 それぞれのPRTR届け出上での排出業種等につきましては、4ページ目の表4-3に示しております。これにつきましては用途のところで知られている状況を反映しておりまして、非鉄金属製造業、鉄鋼業、化学工業、石油製品・石炭製品製造業、繊維工業、その他というようなところで他業種からの届け出がされているというような状況です。
 経年的な変化につきましては、図4-3に示しているとおりです。若干、年によってそれぞれの業種ごとでの排出量の状況が大きく上がったり下がったりというようなことが起こっております。幾つかの、特に大きな変化を示した事業所のほうに伺ってみましたところ、生産量が大きく減りましたというようなお答えをいただいたところから、排水量に水量を掛けて算出している事業所におきましては、前年まで不検出というようなことなのでゼロ算定していたものが、次の中に検出があったのでそれをカウントしたところ、排出量がかなり大きいので大きく増えたというようなお答えをいただいたところ、また、関連する生産自体が増えたというようなお答えをいただいたところ、そのようなお答えをいただいた事業所がございました。
 そういったところで、業種ごとに見ていけば、大きく上がったり減ったりというようなことがありますけれども、全体で見ますとこのような状況になってございます。
 続いて、5ページ目からが5.としまして「超過原因の整理」ということです。まず最初に5-1としまして、公共用水域の状況です。データにつきましては、6ページ目、表5-1ということで横長の表にしております。アンチモンにつきましては、第1次答申前から要監視項目になっておりましたので、平成8年からデータがございましたので、さかのぼってすべて評価をしております。
 これまでに、指針値の超過をしたという地点数は11ございますけれども、その中で複数の年で超過が見られたのは、その中での8地点です。そういったところから、その8地点については、特に継続してというのがアンチモンの超過の特徴的なところでございます。
 7ページ目の表5-2としまして、複数の年で指針値を超過した河川の状況を少し発生源を踏まえて整理したものが表5-2でございます。
 まず、事業所の由来として考えられるものにつきましては、福井県の4河川について考えられます。それぞれの河川は大体似たような状況でございまして、その流域にはポリエステル繊維の染色業がございます。ポリエステルの繊維の中には、触媒で用いたアンチモンがどうも含まれており、それを減量加工、アルカリをかけて風合いを出すような処理なり、あと加圧して染色をするといったときに、取り込まれてしまっていた触媒に使ったアンチモンが、どうも出てきているんではないかというふうになっております。
 その他、②としまして地質及び休廃止鉱山の由来ではないかと考えられる地点が3地点で、③として最近5年間では超過がないということで1地点。これにつきましては、その当時はアンチモンを使用していた事業所がございましたけれども、現在ではアンチモン使用をもう終了しているというようなご回答をいただいております。また、実際の環境中での検出もなくなってしまったということですので、そういったことで、最近ではもうなくなってしまったのが1地点というのが、平成8から18で複数の年度で指針値超過した地点での内容の内訳ということになります。
 5-2.としまして「地下水」ですけれども、これにつきましては、滋賀県と仙台市で指針値の超過事例が見られております。仙台につきましては、特にアンチモンの発生するような事業所は見られず、現在のところ不明で、平成20年度の速報ではアンチモンが検出されていないということがございます。一方で、滋賀県につきましては、前回第1次答申のときにご議論に参加いただいた先生方がご存じだと思いますけれども、滋賀県でアンチモン公害ということが発生しておりまして、それ起因の地下水汚染ということになっております。そのため、例年のように指針値超過をしているということでございます。
 続いて6.で、「事業場由来のアンチモンの指針値超過状況の特徴」を整理しております。
 まず(1)としましてアンチモンの排出事業場による公共用水域の汚染状況の全国的な状況を整理しております。
 これは、平成18年のPRTR情報の中から、アンチモンの水系への排出について年間100キロ以上の14事業場、これでPRTRの水系への排出の89%を占めるわけですけれども、その14事業場の下流地点で行った水質調査の結果、アンチモンの検出状況がどのようであったかというようなデータでございます。
 そのデータにつきましては、8ページ目の表6-1に整理しております。ごらんいただきましておわかりになりますように、排出量の多い事業場は14事業場ありますけれども、河川等での濃度が高い事業場としましては、上段のほうにあります福井県での繊維工業など限られたところになっております。
 福井県でなぜそう高いかというところを、少し突っ込んで整理したのが(2)でございます。そのうちの(ア)ですけれども、まず「水域の特徴」を整理いたしました。その結果、表6-2でございます。磯部川、狐川、馬渡川、八ヶ川ということで4河川ございますけれども、それぞれに排出源になっているであろう染色事業場ですけれども、それぞれこの表のとおり存在しております。その排水量届け出ベースを合算したのが、その隣のデータになっております。
 それに対しまして、それぞれ放流先の河川での流量を調べた結果が、その隣のデータになっております。括弧書きにしているのが、それぞれの調べたデータそのものです。上のものが平均値ということでやっております。磯部川につきましては、7,780m3/日から22万m3/日まで、かなり大きく変動しているところもある。また一方で狐川、馬渡川というところについては、今のところそれほど大きな変動までは把握していないということでございます。
 これらの河川流量と排水量の関係を希釈倍率ということで整理したのが、一番右側の列でございます。その中の特に括弧書きの部分が、それぞれのデータを比較したものなんですけれども、ごらんいただきますように通常、排水10倍希釈をされているであろうというようなところで排水規制等も考えているわけなんですけれども、ごらんいただきましたとおり10倍の希釈水量のないような河川への放流になっているというような実態になっております。磯部川等につきましては、季節によってそういう条件になっております。
 そういった状況がありまして、福井県のほうでも幾つか対策を講じられているのが、(イ)ということでございます。平成20年度の11月より、馬渡川に環境用水の導水ということを実施しております。狐川につきましては、同様の環境用水の導水ということができないかということを関係者と協議・検討を今現在行っているところというふうに伺っております。
 また、一方で事業場の排水からのアンチモン除去につきましては、これまで排水処理技術の開発に係る研究のほうを今まで実施してきているということで伺っておりますけれども、ただ残念なことに実用化のほうまでちょっと至っていないというような状況だということでございます。
 こういった状況を踏まえまして、9ページ目にアンチモンの「まとめ」ですけれども、このアンチモン、かなり地域的に限られたところで指針値超過が続いているということは、第1次答申の検討段階のときとも状況は同じであった。それも、その他の部分もよく見てみましたけれども同じだったということが今の新たな知見ということでございます。
 その中で、人為的な要因で指針値超過する福井県での公共用水域の事例につきましては、流域に所在するアンチモン排出事業場の排水量に対して十分な希釈水量を有していないというような、そういう地域的な特性が明らかになったということでございます。
 続きまして、資料3-5に移りたいと思います。次は「全マンガンについて」ということでございます。
 まず第1次答申での指摘事項ですけれども、これにつきましてはアンダーラインの部分ですけれども、現状での暴露経路、バックグラウンド濃度等についての知見を収集しつつ、いかに取り扱うべきかを検討するということになっております。
 まず、2.で常時監視の状況です。これにつきましては、表2-1に示しておりますとおり、河川、湖沼につきまして、複数の年度におきまして超過事例が見られております。海域については、19年度に2地点のみ一部超過が見られたというような状況でございます。
 ページをめくっていただきまして、地下水の状況でございます。地下水につきましても、16年、17年、18年、19年と例年複数の指針値超過が見られているような状況でございます。
 続いて「用途」ですけれども、用途につきましては、表3に整理して示しているところでございます。ごらんいただいておわかりになりますように、複数の業種で広く使われているということがわかります。化学工業、鉄鋼業、非鉄金属製造業等々、ここの表にございますとおりであります。
 このマンガンにつきまして、3ページ目で「国内供給量、排出量等」でございます。図4-1で、特に化学工業等で使われております二酸化マンガンのほうの国内供給量等の経年変化を示しております。これにつきましても、国内供給量、黒丸の実線ですけれども、おおむね横ばいというような状況が続いております。
 続いて、(2)の「排出量等」ということです。PRTRのデータでございます。4ページ目の表4-2にその状況を示しておりますけれども、排出先としましては、埋め立てで86.6%、公共用水域で12.8%、大気で0.6%というような状況でございます。
 業種ごとに見てみた結果が、その下の表4-3になっております。用途で多業種であったことも反映して、公共用水域への排出量の届け出をされている業種も多岐にわたっております。その中で多いのは、やはり化学工業ということのようでございます。
 経年的な状況は、5ページ目の図4-3ということで示しております。
 続きまして、今回マンガンについて課題として挙げられていました暴露経路ということで、化学物質の環境リスク初期評価での暴露評価手法に倣いまして、若干手元にある既存のデータで、現在国内でどのような暴露状況にあるかということを算定をしてみました。算定方法としましては、表5-1にやり方を示しております。やり方としましては、先ほども言いましたように初期評価ガイドラインの方法に倣って算出をいたしました。
 算定した結果は、6ページ目の表5-2ということで整理しております。媒体としましては、大気、水質、土壌、食品ということで整理しております。水質につきましては、水道での摂取ということと、仮に河川の水で摂取した場合ということで、水質については2通りのパターンで計算をさせていただいております。
 この計算の結果、合計値というのがこの表の下のほうにございますけれども、水道水での推計で、平均で0.175mg/kg/dayというようなことになっております。
 この値なんですけれども、ちょっと5ページのほうに戻っていただきまして、5.の文章で書かせていただいております一番最後の行ですけれども、WHOの飲料水水質ガイドラインの根拠とされているデータが、無影響が確認されたマンガン摂取量11mg/dayというようなデータがございます。これは、体重60kg想定ということですので、割り戻した結果が0.183ということなので、その全体量としましては、その値以下ということでございます。
 表5-2のほうに戻っていただきまして、マンガンの摂取の媒体ごとの状況ですけれども、この数値、一番右側の列ですけれども、単位体重当たりの1日暴露量ということで、各媒体ごとのデータ、数値を並べさせていただいております。一見しておわかりになっていただけますように、食品経路が圧倒的な経路となっておりまして、割合としましてはおよそ98%ぐらい食品経由というような状況でございます。
 続きまして、6.で「水環境中でのバックグラウンド濃度」ということです。主には地質での影響でどのようなバックグラウンドがあるかというような視点で、少しデータを整理しております。これにつきましては、まず産業技術総合研究所の地質調査総合センターのほうでやられております「日本の地球化学図」というものがございます。それによるデータとしまして、図6-1で図をつけさせていただいております。この図で示してありますように、かなり地域的な濃淡がございます。北海道、東北、中国、四国、九州といったところが高濃度地点、比較的多い地点として存在しているような状況です。
 このデータの中から、幾つかの河川の流域上にデータを整理し直したものが、表6-1でございます。幾つかの河川での比較ではございますけれども、ここにありますように平均値としましても、値として木曽川などでは0.49というような低い値から熊本の緑川につきましては1.49ということで、かなりのばらつきがあるような実態になっております。
 8ページ目に移っていただきまして、その上段で表6-2ということで整理しているものです。これは河川での常時監視データのうち、その測定ポイントをそれぞれ地図上で確認しまして、上流に事業場なり排出源がおよそないと確認できた45地点をピックアップして、そのデータの状況を整理したものです。平均して値を出しますと、0.02というような値になっております。
 続きまして7.ということで、「超過原因の整理」でございます。マンガンにつきましては、先ほど見ていただきましたように複数、多くの地点で指針値の超過をしておりますけれども、その状況をまず整理したのが表7-1でございます。複数の年度で連続して指針値超過しているような地点は、この中では今のところ17、18年度までの整理ですけれども、9地点ということでございます。
 これらの地点に対しまして、その指針値超過の要因を若干整理させていただきましたのが10ページ目以降でございます。
 まず、10ページ目にこれらの地点に対して、どういった影響がその指針値超過の理由として考えられるかということを整理するための考え方のフローでございます。底質の巻き上げ由来ではないかというところから始まりまして、自然由来、鉱山由来、事業場由来、ダム・湖沼の由来、その他、やはり複合的な要因で判断し切れないというようなところを整理してございます。その整理に当たっての個々の視点につきましては、表7-2ということで整理させていただいております。また、これにつきましては、ご確認いただければと思います。
 結果のほうなんですけれども、11ページ目の表7-3、マンガンの指針値超過原因の整理結果一覧ということです。今回、検討しましたのは44地点ございますけれども、その中で最も多かった判定としましては、複合原因でなおかつ特定のどれが影響が大きいということもわからない、不明というような整理になったものでございます。
 その他、底質の巻き上げ由来ではないかと思われるものが、11地点というようなところでありまして、その他固定の原因がおおむねはっきりしていそうな部分としましては、鉱山で1つ、ダム・湖沼由来というのが2つというような状況でございます。そういったところで、現在のところまだその指針値超過の要因がはっきりとわからないというような状況が、かなり多くの部分を占めているところでございます。
 12ページ目につきましては、検証しました44地点それぞれの地点での検討結果ということでございます。
 続きまして、13ページ目で7-2ということで「地下水」でございます。地下水につきましても、複数での地点超過が例年続いているわけですけれども、これにつきましてはそれぞれ自治体で原因について調査をされておりますが、その中では自然由来という回答が一番多く、事業場由来ということで推定されている事例はなかったというようなことでございます。
 こういった情報を踏まえまして、14ページ目に「まとめ」をさせていただいております。
 まず、暴露経路ですけれども、これは現状はほとんどが食品由来と想定されます。人為的な汚染源の影響を受けない地点での水質の平均濃度、これは指針値の大体1割以下ぐらいでございます。地質的には、地域的な偏りが多くて火山帯や列島の構造線上に高濃度地域が見られることが多いというような状況でございます。
 マンガンにつきましては、他の物質と比べれば非常に多くの地点で指針値超過をしております。現在得られるデータでは、先ほどのフローで判定したようなところですけれども、要因としましては、さまざま関係しております。その中で、工場・事業場由来というようなことが、指針値を超えているというような断定できるものは今のところないというような状況です。
 今回の整理につきましては、PRTR情報なり排出量総合調査という事業所からの届け出データをベースに負荷量に割り戻して検討したわけなんですけれども、幾つかの地点につきましては実際の現場での水質調査なりで補足・追加調査ということをしているところでございます。それにつきましても、また結果が明らかになりましたら紹介したいと思います。
 続いて、資料3-6で「ウランについて」です。ウランにつきましては、第1次答申での指摘事項としましては、公共用水域での挙動、検出地点における原因究明というようなことが指摘されております。
 ウランにつきましては、第1次答申の段階でも、海水中でも指針値を超過するぐらいの濃度になっているんではないかというようなことが言われていたような物質です。
 2.で常時監視ですけれども、これにつきまして表2-1ですが、河川では平成16年、18年、19年に指針値超過が見られている状況です。海域につきましては、毎年のように半数以上の地点で指針値超過というような状況でございます。
 ページをめくっていただきまして、表2-2でございますけれども、地下水につきましては、平成17年度に1回だけ超過をしているような状況でございます。
 次は3.の「用途」ですけれども、ウランは原子力発電用の核燃料が主な用途ということであります。用途としましては、そういったところに限られてくるわけですけれども、先ほどご紹介しました海水中での状況というようなことが1つ大きな情報になります。
 表3に海水での平均組成ということで、「環境科学辞典」のほうから引っ張ってきたものですけれども、これの右側の表の中に、微量元素ということでウランということで濃度のほうが示されております。0.0033mg/Lということで、指針値を超えるようなレベルでの濃度がそもそも入っているというようなことが示されています。
 続いて、4.で「保有と使用状況」ということで整理しております。ウランにつきましては、これはまずPRTRの届け出対象となっていないということで、環境中への排出情報は今のところありません。ただ、生産等に関する情報ということも特にはございません。
 一方で、放射性物質ということで、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律というものに基づきまして、保有量、移動量というような形で管理が行われております。
 その結果を整理したものが、3ページ目の表4でございます。この一番下の合計部分に当たるものが、先ほどまで国内供給量という形で整理したものと同じレベルのものではないかと思いますけれども、数字としましては経年的に若干上がってきているような、そういうような状況かと思われます。
 続いて5.の「超過原因の整理」です。5-1の公共用水域ということで整理しております。これにつきましては、海域につきましては途中、表3で紹介いたしましたように、そもそもの成分で指針値超過があるというような話もありますので、河川での超過に注目して整理をいたしましております。
 表5-1で、これまでに超過した8地点の状況を掲載させていただいております。その指針値超過の原因につきまして、(2)以降で整理しております。まず、1つ要因として明らかになってきたのが、海水の影響ということです。これはページをめくっていただきまして、表5-2で整理しております。
 先ほど、8地点あるうちの6地点までにつきましては、表5-2に示しておりますとおり、それぞれの調査地点での塩化物イオン濃度がかなり高くなってございます。つまり、海水の入ってくる感潮域とも言われるようなエリアでの調査になっております。そういったことから、それぞれの調査の結果ウラン濃度が高くなっているのは、海水のほうに含まれているものの影響を受けたのではないかというふうに考えております。
 続いて、②で自然由来です。愛媛県の石手川というところですけれども、ここにつきましては、図5-1ということで、先ほども紹介しました「日本の地球化学図」のウラン、四国の部分の拡大版のほうを載せております。矢印で示したところがおおむね測定地点でございますけれども、ウランの濃度がおおむね高い地点での測定ということですので、地質の由来、自然由来というような可能性が大きいのではないかなというふうに考えております。
 周辺上流部には温泉の存在もございます。また、この調査地点に近いところにございます松山市の浄水場での原水の調査結果につきましても、同様にウランについて高い濃度で推移しているということがわかっております。データにつきましては、表5-3に掲載しております。こういったところで、この地点につきましては、自然由来ではなかろうかというふうに考えております。
 最後に1地点、大阪府の西除川のほうなんですけれども、平成18年度に指針値超過の値が見られましたが、17、19と両方とも0.0002mg/L未満検出ということなので、これについてはちょっと原因がわからないままということでございます。
 5-2.としまして、「地下水」です。平成17年に1地点、愛知県ですけれども指針値超過している事例ですが、これの調査井戸なんですけれども、かなり海域に近い場所にあるということで、そちらのほうの影響も入ってきたのではないかというように考えております。現段階ではそのような考察にとどまっております。
 こういった状況を踏まえまして、6ページ目にまとめをしております。ウランの河川における指針値の超過は、ほとんど海水の影響を受けたものであると考えられます。その他の地点につきましても、先ほどの愛媛の事例ですけれども、地質の由来ではないかというふうに考えております。こういったことから、ウランにつきまして、人為的な汚染による指針値超過は今のところ見られていないのではないかというふうに考えております。
 以上です。

○須藤委員長 後半も簡潔にご説明いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方からご質問なりご意見を伺います。後半の3つについて、お願いをいたします。
 森田先生、どうぞ。

○森田委員 アンチモンのケースなんですが、アンチモンというのは金属と非金属のちょうど中間みたいな性質を持っているような元素なんで、ちょっとセレンとかなんかに似ているんですが、少し様子が違っていて、それは何が違うかというと、例えば有機金属形態をつくりやすい、そういう元素なんですね。そういうものについて、毒性の評価に使われているアンチモン化合物と、それから環境に露出しているアンチモンの化合物と同じ色の議論をしているかどうかということを含めて、ちょっと精密に考えておく必要があるかなという感じがします。
 最初にアンチモンの個票の中に書かれているんですが、例えばアンチモンはヨウ化アルキルあるいは臭化アルキルと反応して塩をつくるので、製錬鉱滓の埋め立てにはこれが起こるとか書いてあるんですが、多分ここで塩をつくると書いているという意味は、多分アルキル化されて、有機アンチモンになっているやつがさらにヨウ化アルキルなんかと反応すると、4級アンチモンイオンのような、そういう有機物になって、しかしそれは水溶性が結構高いので、結構動くということなのかなと思ったりしたんですが、ちょっと普通の鉛とかそういう金属と様子が違うんだということを含めて、少しロジックを組み立てていただければという感じがします。
 それから、なおもう一つ、少し気になったのは、アンチモンの地域性の議論があって、その地域性の1つは環境水での希釈が効率が、倍率がひどく悪いというんで、それをどういうふうに考えるかなんですが、希釈倍率が悪いと読むのか、排水量が多過ぎるというのか、そこのところは若干もうちょっと精緻な議論も要るかなという、そういう感じがいたしました。

○須藤委員長 じゃ、中杉先生。

○中杉委員 希釈倍率の話のところでいくと、これを考えれば排水基準を守っても、ここは基準を超えてしまうよという話になりますよね。10倍高いわけですから、そこのところはどういうふうに考えるか。環境用水を導入するというのは1つの考え方かなと思いますけど、排水量を減らすという話があればまた別ですけれども。

○須藤委員長 眞柄先生どうぞ。

○眞柄委員 前にもお話ししたかもしれませんが、滋賀県が唯一アンチモンの横出しの条例を設定したことがあります。今はまだ残っているかどうかわかりませんけれども、そういう意味でアンチモンの毒性はかなり昔から知られていまして、沖縄に米軍が基地をつくって、その基地の水源のダムをつくったんですが、そのダムの流域にかつてアンチモンを掘っていた鉱山があった。その坑内排水をダムに流入させないように分流をした水路をつくってアンチモン対策をやったという、かつての事例があります。今そのダムは沖縄県の水道が使っておりますけれども、そういうようにアンチモンの毒性というか、健康影響というのは昔からかなりみんなが注意をしていたものであります。
 そういう意味で、アンチモンについては、慎重に今回の資料等を参考にしてどうするかというのは、判断をする時期に来ているんじゃないだろうかなというふうに私は考えております。
 ただ、問題は先ほど森田先生がおっしゃったように、アンチモンというのは最初の前段のところのジオキサンと同じで、水の中の形態が複雑で有機物があると余計なんですが、処理がほとんどできないという特性を持っています。
 福井県で処理の実験をやられたというふうに書いてありますが、コンベンショナルの処理ではほとんど効きませんので、かなり特殊な処理を導入しなければいけないだろうと。繊維工場であれば、バッチで精練をやっていますから多分できるだろうと思いますが、それ以外の事業所について、もし排水規制をするとするとどうやったらいいかということも、あわせて考えておくべきことじゃないだろうかなと思います。
 ついでにウランのことを申し上げますが、ウランはこのようなことで、これ以外にも若干ウラン濃度が高いところがありますが、これは明らかに地質由来だというふうに考えていいと思います。
 もう一つ悩ましいのは、マンガンですね。要因がいろいろ書いてありますけれども、底質由来だというと自然由来だということなんですが、要するに底質が嫌気化をしてマンガンが溶出してくるということですので、それが自然由来というわけにもいかないと。特に、ダムあたりですとこれはちょっと難しいかもしれないけれども、河川の底質が嫌気化してマンガンが出てくるというような、かつてで言えば坂川のような問題は、やっぱりこれは自然由来ですよとは言えないだろうということになると、もう少し総合的な公共用水域の水質保全をどう進めるかということもあわせて議論していかないと、マンガンについては基準や規制を従来どおり進めていっても結果は出てこないだろうという懸念は持っています。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 今、眞柄先生がおっしゃったように、マンガンについては検出率というか、超過率が高いんで、これで結構ですというわけにはなかなかいきかねるだろうなと思うんで、これはもう少し議論をする場を設けて、さらに今のような資料があるならば出していただいて、それとアンチモンについて私は追加をしておきますと、これは福井県に集中しているようですけれども、横出しをやるというつもりは県にはあるんでしょうか。それを調べておいてください。それで対応できるんなら、福井県に責任押しつけちゃよくないけれども、福井県でおやりくださいというのも1つの方法かなというふうに思うんで、横出しと、それからあと地下水、2番目のやつだっけ、検出率の高いやつを地下水だけ環境基準をつけて、それで公共用水域のほうの健康項目は要らないということも可能なのかどうか、これも後ほど調べておいてください。そのときにまた、そうした場合に排水規制をどうしたらいいかということですね。その辺のところも。
 先生、どうぞ。

○眞柄委員 アンチモンで1つ言い忘れました。ことしの土木学会の仙台の年会で、たしか中部工大の先生だと思いますが、愛知県の三河地方の、原因は休廃止鉱山ですが、全くもう地権者のないような、そういう地域でアンチモン濃度が高いという学会発表をされていらっしゃいましたので、全国的に見ればそういうところも結構あるんじゃないだろうかなという。
 ですから、いわゆる鉱山法はとにかく対象外になってしまって、昔あそこにあったよというようなところで高いところがどうもぽつぽつあるという、そういう印象を持ちました。

○中杉委員 マンガンですけれども、マンガンは先ほどの説明で、食品も含めて全暴露量を計算するとアメリカのを持ってきて大丈夫だよと言っているけれども、この水質環境基準指針値をつくっている根拠としているTDIと比べると、それを超えてしまっている。この議論が非常に厄介な話だろうなというふうに思いますね。そこら辺のところも少し議論を整理しなきゃいけない。
 それから、食品が大きいからというのは、だから水のほうはどうなのかという、これもまた難しい議論で、バックグラウンドといいますか、ある程度どうしようも、下げることができない部分が高ければ、それは仕方がないと。それ以上の負荷を抑えるべきだという話に逆になってきかねないんですよね。だから、そこら辺のところをどうするかなんですね。アメリカのを持ってきても、そんなに余裕がある話じゃないですよね。天井とほとんど接しているんで、これはよほどうまく議論をしないと難しい話になりかねないな。場合によったら基準値を決めたらバックグラウンド全部、日本じゅうどこもだめという話になりかねないんで、非常にそこら辺もよくよく考えて議論をしていく必要があるだろうというふうに思います。

○須藤委員長 ありがとうございます。
 岡田先生どうぞ。

○岡田委員 今、中杉先生おっしゃったことと近いんですが、マンガンの6ページにある表5-2は、どういう意図でつくったんでしょうか。要するに今までの議論とこれは何が違うのか、この表において、例えば水道は0.01にしても、河川は0.04になっているんですが、問題になっている濃度は0.4とか0.6とかあって、指針値も0.2でしたか、それを使えば多分超えるはずなんですよね。
 要するに食品に対して昔は10%かなんかと仮定したと思うんですが、多分それと同じになるんで、これは今までと同じことを確認したと言いたいのか、それとも別の意図があるのか、要は、私は初めてでよくわからないんですけれども、昔どういう議論だったかよく知らないけれども、第1次答申のときに、現状の暴露経路について知見を収集しつつと書いてあるんですが、それがこの表だとすると、昔問題になった現状とはどういう定義であって、0.02で現状というんだったら昔からオーケーという話になるだろうし、0.4とか0.2が問題だといえば今も同じじゃないかと、こういう印象を受けたんですが、そこのところがどういうふうに整理するのかというのが、ちょっと気になります。
 それと、ちょっと全体の話でいいですか。ここで、知見を収集しつつとかモニタリングとかというのがずっと全項目に書かれているんですが、知見の収集のターゲットもモニタリングのターゲットも全く示されていない、示されないと思うんだけれども、じゃどこまでモニタリングしたら我々は判断するのか。モニタリングの仕方も一たん出た後、モニタリングしない年もあったとか、1度出たら要するに徹底的に毎年モニタリングすれば検出率は上がるだけのことだよね。しょうがないことを言ってもあれですが、だからどういうところで着地点を見出して、次の判断に持っていくのかというのがちょっとよくわからなかったんですが、難しい質問かもしれないけれども、あえて。

○須藤委員長 岡田先生のご質問は難しいけれども、ちょっとこれは前年度のことを受けて今年度こうしましたなので、これからの宿題というよりも、宿題の回答の一部の中だと2つ思いますので、再度お答えくださいますか。今の2つの問題。要するに暴露経路のところと、今のようにこのモニタリングをどういうふうにやるというふうになっているのか。要するに前回の課題に対しての答えですよね。最初のところの、そういうことですね、先生ね。

○岡田委員 うん。例えば知見の収集というのは、どういう知見を収集しろと前回議論したのか、例えば具体的な目標を示さないと、それはいつまでやっても答えが出ないことは明らかですから、すみません、前回いなかったんで私は気楽に言えますので。

○須藤委員長 おられた先生もいるけれども、そういったやつは16年の、5年前なんで、お許しいただいて。事務局も、それはそう言われて困るでしょうけれども、とりあえずそういう整理をした上で、これをやってくださいというんで、特に表5-2ですか、これの意図とか前のモニタリングのこと等、今わかる、わからなければまた次回の宿題にしますので、どうぞ。
 辻原さん、どうぞ。

○辻原課長補佐 まず、この表の意図ですけれども、とりあえずは暴露経路を整理しなさいということですので、正直にそれについてお答えをしたということだと思います。
 やはり、計算してみないとわからないので、我々もこれを見て少し問題としては非常に複雑だなという感想を持ったというのが正直なところでして、やはり食品由来がほとんどということで、アメリカのそのデータの11mg/dayというところは、多分日本人の体重で計算しても超えないというところには来ているんですけれども、かなりそのぎりぎりのところには来ていると。
 それで、水道も環境水もそうですけれども、大体10%ぐらいの配分をTDIから通常やるわけですけれども、現状のレベルで行けば問題ないんですけれども、こういう食品の状態で水で10%とってしまうとどうなるかということもありますので、ただ、実際にもう少しその配分を少なくしたときに、ほとんどのところがその指針を超過する可能性もあるということですから、実際その対応はとりようがないというものを指針にしてもどうしようもないというところもありまして、正直、今ちょっとどうしようかと考えているというところであります。

○須藤委員長 ということは、岡田先生のご意見も伺いたいわけですよね。

○岡田委員 はい。

○須藤委員長 当然ね。

○岡田委員 いや、そうじゃなくて、ということは、こういう数値が、前回は10%と大体やったんだけれども、今回は実態の数値を入れて明解になったと、こういう理解でいいですね。

○辻原課長補佐 そうです。

○岡田委員 わかりました、結構です。

○辻原課長補佐 それからモニタリングにつきましても、モニタリングの1つの目的としては、全国標準的な状況を監視していくということもあるでしょうし、超過地点について継続的に監視をするという意味合いもあるかとは思っております。
 要監視につきましては、なかなか現状の自治体の財政的な理由もありまして、どうもその件数が伸びていかないというところもありますので、その辺についてはどういうふうに効率的にやっていくのかというのは、全体の中で少し整理をしていかなくてはいけないかなというふうに思っておりますけれども、マンガンにつきましては、こういった形でいろいろなところで高濃度のものが出ておりますので、そういう意味では少しそういったところにも留意をしつつ、継続的に監視をしていくということも必要なのかもしれないなというふうに思っております。

○須藤委員長 ありがとうございます。
 じゃ、まず中杉先生。その次は森田先生。

○中杉委員 私が逐次この弁護をする必要はないのかもしれませんけれども、5年前にいたから。多分、今回、前と違うのは、前は測定結果だけが出てきて。

○須藤委員長 計算。

○中杉委員 いや、計算というよりも測定結果だけが出てきて、その結果をどう解釈するかというのは全くわからなかった。それに長い十分なデータがなかったということで、それともう一つは、前回から加わっているところは、PRTRの排出の事業場の状況がわかったということと、もう一つは汚染原因についていろいろ調べて情報を提供してくださったということが、議論をする上で非常に情報としてはふえたなというふうに、私は印象として持っていますけれども。

○須藤委員長 ありがとうございます。
 じゃ、森田先生どうぞ。

○森田委員 実は、このマンガンの非常に難しい点は、これも実は化学形態なんですが、その化学形態も有機とかなんか、そういう話じゃなくて、泥がついているかどうかなんですね。したがって、水の中のマンガンをはかっていますと言っているけれども、実際、環境の測定法でやっているやり方は、水の中に分散しているものを全部はかっていますから、一言で言えば土をはかっているんです。これがまず第1ですね。
 じゃ、食品のほうはどうかと、実は同じなんです。あれも付着している土をはかって、それじゃ、そのマンガンのほうの毒性はどうしているかというと、純物質を与えてしちゃうと。ここは全然、実はつながっていない。つながっていないんだけれども、割合大ざっぱに動かしてしまっているので、そこが実は政策決定する一番難しい要素ではあるんですね。
 その中で、例えば溶解性のマンガンとか、そういう新しい概念を導入しないと、ここはきちんと平和的に解決しない可能性は高いですね。というのはどういうことかというと、毒性実験に使われたのは、マンガンの塩を水に溶かしてそれを与えていますので、そこの部分は溶解性のマンガンで多分影響を観察している。それは、もしかして圧倒的に大量が土で運ばれているマンガンがあって、ご存じのようにマンガンというのは、土壌成分の中でも非常にメジャーな成分で、土には大体0.1%ぐらいあるでしょうか、そのぐらいたくさんありますので、しかも食品も実は同じなんです。これは皆さん、食品のことは違うと思っていらっしゃるかもしれませんが、マンガンをたくさん含む食品は、例えば貝とかですね。貝は要するにプランクトンフィーダーで、水の中に分散している土をどんどん飲み込んでいて、お腹の中にため込んでいて、それで魚みたいに可食部を分析すれば大丈夫なんですが、貝は可食部といって丸ごと食べていますので、したがって腹にため込んでいる土を全部、それを実際は分析しているので、それを同じ次元で議論できない要素がかなりあるんですね。
 そこを、だけど、どうやって整理できるのかというのはずっと考えてはいるんですが、そういう切り口でもう一回少し見ていただいて、それでどういうふうにつなぐかですね。それで何が違うかというと、一番大きな違いは吸収率なんです。つまり、土壌みたいなやつにくっついているマンガンの吸収率は相当低いので、吸収率のところで補正ができるようであれば、つなぐことはできるかもしれません。ちょっとその辺が情報ですけれども。

○須藤委員長 ありがとうございました。毒性評価のところにちょっと戻って、もう一回見ないといけないと、こういうことだと思います。
 じゃ、長谷川委員、広瀬委員、続けて行きましょう。

○長谷川委員 今、森田先生から、まさにそのとおりだと思います。特に金属系統はいろいろ形態があるし、毒性試験は多分一番やりやすい形でやっているのがほとんどだと思います。
 したがって今、暴露形態あるいは吸収率というお話が出ましたけれども、実は毒性試験のTDI、実は先ほど眞柄先生が言われたようにTDIの出し方とかあるいは発がん性の評価にしてもある程度変化しつつありますので、それも今の段階で決定的ではないんですがその後、TDIを出した後、水道水と同じ概念で1日2リットルを生涯飲み続けた場合の値なんです。そこで、ちょっと上がったか下がったかというのがいきなり健康影響かということで評価しているんですというところで、どこを一番大事にするのかということは、やっぱりしっかり考えないと余分な時間と努力を費やしてしまうのではないかというのがちょっと懸念されます。

○須藤委員長 じゃ、どうぞ。

○広瀬委員 全体的には今のと同じ意見ですが。ただ、ちょっとマンガンのところだけで補足させていただくと、マンガンのTDIは人の疫学データに基づいているので、動物実験によるものではないので、ちょっと考え方が異なります。アンチモンは動物実験に基づくTDIなので毒性実験と環境の測定は違うんですけれども、マンガンの場合は実際の食べている量をはかってTDIを設定して、その辺は疫学的に見ているので、条件は少しマンガンは違うということを補足いたします。

○須藤委員長 ありがとうございます。
 ますます複雑になってくるんですけれども。

○眞柄委員 それを補足すると、日本人のマンガンの摂取量の調査をもう少し広いサンプル数でやって、それで一応シンケイルということになっていますけれども、その多い人と少ない人と差がないという値を求めて、それを同様にするわけです。
 今のデータは外国人のデータですから、日本人のデータじゃないんで、ですから、やるんだったらそこまでやってその科学的な合理性を高めるのか、それをやるのが大変だったら政策的にこの方法でやろうというふうに判断をするか、要するに判断をどこでやるかということを、もう腹くくらないと決め切れないというのが実態だということです。
 水道のほうは、まずどうやっているかというと、マンガンが入ると要するに着色なり何なり、とにかく利便性の障害が出るのは明らかですから、しかも塩素処理をやっていますから、塩素処理をすれば当然のことながら二酸化マンガンになって、それの影響が、ますます着色障害が出てきますので、それをベースにやっているわけです。
 それをやれば健康障害も出ないだろうというふうに水道のほうはやっているので、ですから、環境基準を水道水の着色ということじゃなくてヘルスリスクでいこうとすれば、違う考え方で対応しなければいけないだろうと。
 ただ、水道のほうはマンガンはとりにくいですから、当然のことながら原水で低くしていただかないと、我々のほうはそれにかかる費用がかかれば、国全体としての費用も損失もふえるわけですから、それができるだけ少なくしていただきたいというのが水道の側です。

○須藤委員長 水道の水利用の立場から言えば、それは低濃度であることにこしたことはないと、そういうことですよね。ということは、もしかしたら健康影響というよりも、生活環境項目のそういう基準のような感じでも、あるいは、例えば規制の場合だったらそれでもいいわけですね。もう少し健康リスク評価ができるまでは、そういう考え方もあってもいいということですね。わかりました。
 内山先生、どうぞお願いします。大塚先生もですか。じゃ、続いてどうぞ。

○内山委員 1つ追加ですが、マンガンの6ページの暴露量の推計結果ですが、ここはこの場ですので恐らく河川でやっておられると思うんですが、普通は地下水でしかやったことはないですね。河川を一年じゅう、一生飲み続けるということは我々は考えていないので、普通は地下水で水道水、井戸水を飲んでいる地域があるのでということでやりますので、括弧して参考値ぐらいにしておいたほうが、一般的には推計での場合には地下水でやる場合が多いと思います。

○須藤委員長 ありがとうございます。大塚先生どうぞ。

○大塚委員 さっき、須藤先生がおっしゃった地下水だけの環境基準というのをつくったらという話、検討されるべきだと私も思っていまして、可能性は検討していただきたいと思っているんですけれども、同時に考えておかなければいけないのは、先ほど中杉先生とかがおっしゃっていたように、土壌の基準とも関係してくるということがございまして、人為由来の場合は地下水の浄化の基準とか、あるいは土壌汚染対策法の指定基準と恐らく関係してきますし、今回、土壌のほうでは自然由来の汚染についても、搬出される場合には、場合によっては搬出汚染土として扱うということが出てくると思いますので、その場合に搬出汚染土の汚染の基準、これは多分、指定基準と同じだと思うんですけれども、これとも関連してきますので、その辺を踏まえて、ぜひご検討いただけるとありがたい。私はやったほうがいいと基本的に思っているんですけれども、その辺を考えなくてはいけないという趣旨でございます。

○須藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、そろそろ時間が近づきましたが、今までの先生方の方向から考えて、これはもう検討してもしょうがないとおっしゃったわけではございませんで、いろいろ課題が出てまいったわけでございまして、さらに検討していただくということですが、例えば1,4-ジオキサンのように、恐らく早目に環境基準がいいというような意見もあったし、それから塩化ビニルモノマーなんかですと地下水汚染が非常に大きいのでその辺をどう扱うかとか、アンチモンと全マンガンは存在形態を含めて排水規制等をやるときにどういうことをまず考えなくちゃいけないかというようなこともあって、しかしながら全マンガンのように指針値をかなり超えているということもあるんで、その扱いをさらにお勉強していただいて、次回までにその辺を整理していただいて、環境基準にすべてこの6項目をするということは多分ないわけなんで、特に6は自然由来が圧倒的なんでそれはいいのかもしれませんが、それ以外のところはもう少し検討する必要があるのかなということです。事務局、そんなところでよろしいですか。
 まだ宿題になってしまっている部分がありますが、ここでこれにしましょうと安易に言っちゃうわけにもいきませんので、もうちょっとやりましょうということで、それじゃ、その他何かございますか。

○辻原課長補佐 その他でございますけれども、きょうは参考ということで、最後のほうに参考資料1ということで現状の毒性評価がどうなっているのかという資料をおつけしております。この辺につきましては、次回以降また本格的にご議論いただきたいというふうに思っております。きょういただいた宿題についての整理をした上で、最終的に環境基準項目をどうするのかといったところとあわせて、この辺の毒性評価のあり方の指針値の考え方というものもご検討いただきたいということで、きょうは参考までにおつけをしておりますので、以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 そのほか何か事務局、それだけでよろしいですか。ほかの皆さんは、よろしいですか。

○辻原課長補佐 すみません。あと日程につきましては、また後日調整をさせていただきますけれども、本日もたくさんの宿題をいただきましたので、またちょっとお時間をいただいた上でやっていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○須藤委員長 最初の委員会のときに、中杉先生が3カ月置きなんて言わないで、早目に早目にやりなさいと、こういうご指摘をいただいているんで、余り間隔はこだわらずに、そろい次第やっていただいたほうが私はよろしいかなと思いますので、そういうことで何カ月に一遍じゃなくていきましょうね。早目にやりますということにさせてください、ということで、スケジュールの日程が決まり次第、先生方にお知らせをいたします。次回の日程はそういうことでございます。
 それでは、この辺で本日の委員会のすべての議事を終了いたしましたので、閉会とさせていただきます。大変ありがとうございました。お疲れさまでした。
 すみません、審議官にごあいさついただくんでしたね。よろしいですか。
 じゃ、課長。

○川﨑課長 日程調整は後ほど、可及的速やかに行うという前提でやらせていただきたいと思います。それでは、これをもちまして本日の専門委員会を終了させていただきたいと思います。どうも皆さん、ありがとうございました。

午前11時59分 閉会