中央環境審議会水環境部会環境基準健康項目専門委員会(第5回)議事録

日時

平成15年10月17日開催

場所

環境省環境管理局水環境部企画課

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    (1) 前回議事録(案)について
    (2) 各項目の取扱いについて
    (3) 水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準項目及び要監視項目の見直しについて(第一次報告)(素案)について
    (4) その他
  3. 閉会
   

配布資料

 
資料1   中央環境審議会水環境部会環境基準健康項目専門委員会委員名簿
資料2   中央環境審議会水環境部会環境基準健康項目専門委員会(第4回)議事録(案)
資料3   個別項目の取扱い(案)
資料4   個別項目の測定方法について(概要)
資料5   環境基準項目等の設定根拠等
資料6   水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準項目及び要監視項目の見直しについて(第一次報告)(素案)
  
参考資料1   1,4-ジオキサン検出井戸の構造等について
参考資料2   滋賀県におけるアンチモン汚染事例とその対応事例について
参考資料3   神奈川県における1,4-ジオキサンの排出実態調査事例について



議事録

午前10時00分開会

○熊谷補佐 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第5回環境基準健康項目専門委員会を開催させていただきます。
 大塚委員のほう、御出席の御連絡ですけれどもお見えになっていないようです。
 本日、14名のうち10名の委員に現在御出席をいただいております。
 議事に先立ちまして、吉田水環境部長から御挨拶させていただきます。

○水環境部長 おはようございます。本日も先生方には御多用の中を御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日は第5回の環境基準健康項目の専門委員会の会議でございます。これまで4回の審議を重ねていただきまして、環境基準の項目についての、あるいは要監視項目についての検討課題で基本的な考え方あるいは環境基準導出方法等について御議論をいただいてまいったわけでございますが、本日はそれをさらに進めていただきまして、これまでの御審議を踏まえた上での各項目の取り扱いについて、可能なところから最終的な取りまとめ、収束に向けての御審議を賜りたいと考えております。
 また、併せてこれまでのこの専門委員会の中で各委員会から提起をされました環境基準にまつわるさまざまな課題についても併せて整理をしたペーパーを提出させていただいておりますので御審議を賜りたいと思いますが、いずれも非常に重要な課題でございますので、まずはそれをきちんと整理をして、この中央環境審議会の俎上に乗せておくということが大事でございましょうし、中には直ちに答えを出すにはまだ若干バックグラウンドの情報整理というものが必要になってくるものもあると思いますので、それはそれとして併せてこの専門委員会で引き続き御審議をいただくといった形で仕分けをして御議論をいただくことが適当ではないか、かように考えております。
 いずれにしても、これから具体的に資料をもって御説明をさせていただきますので、どうぞ熱心な御審議をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○熊谷補佐 議事に入ります前に、本日お配りしております資料について確認をさせていただきたいと思います。
 配布資料1から6までございまして、資料1で委員の名簿、資料2、前回の議事録、事前に皆様方のほうに一応確認のお願いを差し上げておりますけれども、それを反映された最終的な案でございます。
 それから、資料3としまして「個別項目の取扱い(案)」ということで、これまで御議論いただいた内容、また今後の課題等々をまとめた資料として資料3を作成させていただいております。
 資料4に個別項目の測定方法の概要の1枚紙、それから資料5としまして環境基準項目の設定根拠ということで、各物質、既定項目を含めまして、過去の審議会の議論も含めまして御用意させていただいております。
 資料6としまして前々回の時点で報告書の骨子というものを御提出させていただいておりますけれども、それに記述を加えまして素案ということで資料6を御用意させていただいております。
 そのほか参考資料としましては、前回の御議論がありました1,4-ジオキサンの検出井戸に対する構造に関する参考資料、また参考資料2としまして滋賀県においてアンチモンのいわゆる横出し規制を行っておりますけれども、それの関係のレポートの概要、抜粋を御用意しております。
 また、参考資料3としまして前回、中杉委員からお話のありました神奈川県の排出実態調査の事例の概要を御用意しております。
 以上になりますけれども、不足はありますでしょうか。もしございましたら、事務局のほうにお申しつけください。
 それでは、議事に入らせていただければと思います。
 議事運営規則に従い、本専門委員会の村岡委員長のほうに議事の進行をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○村岡委員長 皆さん、おはようございます。本日はお忙しい中を委員の先生方にはお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 本日の議題としましては水質汚濁に係わる人の健康の保護に関する環境基準項目及び要監視項目の見直し等について審議いただくことになっております。先生方には審議のほどよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、早速議事に入ります。議題の1は前回議事録(案)についてでございますが、資料2に前回の議事録(案)が準備されております。この資料は委員の先生方に御確認いただいた後、事務局で修正いたしまして、再度各委員の先生方に送付されている資料でございますので、この場で前回議事録としたいと思いますが、御異議はございますか。
(「異議なし」の声あり)

○村岡委員長 よろしいですか。
 それでは、この資料を前回議事録といたしますので、事務局におかれましては公開の手続きをおとりいただくようお願いいたします。
 議題の2でございますが、「個別項目の取扱いについて」でございます。関係の資料は資料3、4、5ということになります。これにつきまして順次事務局のほうから御説明いただきたいと思います。

○熊谷補佐 議題の2、個別項目の取扱いということですが、資料3、4、5を用いまして、これまでの議論を一応整理したつもりでございますので、その関係を御説明させていただきたいと思います。資料3を見ていただけますでしょうか。
 資料5のほうは先程御紹介しましたけれども、これまでの環境基準の設定に対しまして各物質の情報または環境中の挙動であるとか、検出状況等をまとめたものです。併せて見ていただければと思います。
 WHOその他、また水道の水質基準の改定に係る審議会の状況等を併せてこれまで御紹介させていただいておりますけれども、基本的に既存の環境基準の項目について基準値等、特に大きく取扱いを変える必要はないのではないかと思っております。
 また、既存の要監視項目について、これまでの御議論の中でp-ジクロロベンゼンについて指針値を見直すべきではないかという議論があったかと思います。また、アンチモンにつきましてはこれまで指針値がない要監視項目ということで取り扱ってまいりましたけれども、これについてはこれまでの御議論で新たに指針値をつくり直すということで御議論いただいているかと思います。
 p-ジクロロベンゼンにつきましては前々回までのところで長谷川委員にもいろいろ御検討いただきまして、従来の指針値0.3mg/lから0.2mg/lに見直すべきという御議論であったかと思います。
 このほかに従来、個別項目ということで御議論いただきましたのはアンチモンを合わせまして6項目。これにつきまして1ページ目の後段のところから「3.追加項目等」というところで各項に記述をさせていただいております。
 まず、アンチモンにつきましては既定項目の中で指針値がないという状況の物質でありました。そのような状況、それから現在の検出状況を踏まえてこのような整理ができるのではないかと考えております。
 従来からの要監視項目として挙げられているものの、指針値を設定していなかった項目である。過去の検出状況を見ると、今回の指針値を超過する状況も見られるが、非常に限定的な水域において検出されており、また、その中には自然由来によると考えられる検出も含まれている状況にある。指針値が今般設定されること等も踏まえ、当面要監視項目として設定し、公共水域等における検出状況等の知見の収集に努めることとするが、その結果を踏まえ3年を目途に環境基準項目に追加するか否かについて再度検討を行う。
 このような整理でいかがかと考えております。
 [2]はマンガンについてですが、前回の中でも検出状況、また人への曝露状況、いろいろ御議論いただいたところかと思います。それらの御議論を踏まえまして以下のように整理ができるのではないかと考えております。
 公共用水域等において指針値の超過が相当程度あり、直接飲用による健康影響に関して懸念はあることから、環境基準等に設定するか否かについて検討を行ってきているが、土壌中に普遍的に存在する物質であること、水道がほぼ完全普及している現状で浄水処理において除去可能な項目であることを考え合わせれば、検出状況如何に関わらず、環境基準として設定すべき性格の項目か否かについては議論があるところである。
 このため、当面、要監視項目として設定し、現状の曝露経路等について知見を収集しつつ環境基準、環境管理において如何に取り扱うべきかを含めて今後とも検討を継続する、というような整理でいかがかと考えております。
 [3]としましてウランになります。3ページの中程になりますけれども、公共用水域等において指針値の超過が見られるものの、工場、事業場等の人為排出源を起源とした検出状況とは考えにくいことから、現時点においては、要監視項目として設定した上で、公共用水域等での挙動、検出地点における原因究明など今後とも知見の収集に努める、というような整理はいかがかと考えております。
 [4]の塩化ビニルに進みたいと思います。地下水において指針値の超過が見られるものの、ジクロロエチレン類の分解生成物として塩化ビニルが検出されるといった知見もあり、必ずしも塩化ビニルに起因する検出状況とは言えない状況にある。このため、現時点においては、要監視項目として設定し、共存物質を含めた公共用水域等の検出状況、環境中での挙動等の知見の収集に努める、という整理でいかがかと考えております。
 4ページにまいりまして[5]を振っておりますが、1,4-ジオキサンについてでございます。公共用水域等において指針値の超過が見られるものの限定的な検出状況であること、またその中には汚染機構が不明なものも含まれることから、現時点においては,要監視項目として設定し、公共用水域等の検出状況、1,4-ジオキサンの取り扱い状況,環境への排出状況等についての知見の収集に努める、というような整理でいかがかと考えております。
 個別項目の最後になりますが、[6]エピクロルヒドリン。公共用水域において指針値の超過が見られるものの測定地点が少ないなど限定的な検出状況であることから、現時点においては、要監視項目として設定し、公共用水域等の検出状況等の知見の収集に努める。以上のような整理はいかがかと考えております。
 後段の御説明は後に回させていただいて、資料5のほうを併せて簡単に御説明させていただきたいと思います。
 資料5に関して、これまで農薬については検出状況等を含めて、さらに知見を収集した上で検討を行うということで今回の検討対象から外したという経緯がございます。そのため資料5に関しては環境基準項目及び要監視項目の中から農薬類を外しまして、残りの物質について平成11年までの答申の内容を踏まえて全体の項目の整理をさせていただいております。
 これの中で特に要監視項目におきまして、30ページのトルエン、32ページのフタル酸ジエチルヘキシルですけれども、厚生科学審議会で答申されております水道の水質基準関係の安全性評価や基準値の導出方法を見ておりますと、従来と違った取り扱いがされているようです。今回の資料の中にトルエン、30ページの一番最後のところを見ていただければと思うんですけれども、要監視項目17番、トルエン、ページ30ですが、ここに指針値の導出方法等ということにしまして従来の環境基準の議論の際、要監視項目を設定した際の導出方法と今回の水道で御議論されているような内容の両方を御紹介させていただいております。フタル酸ジエチルヘキシルについても同様ですけれども、水道の水質基準にしましても健康項目の設定にしましても直接飲用を想定しているという部分については同じような問題設定をしているかと思います。後程、このあたりについて水道の関係を審議していただきました眞柄先生にコメントをいただければなと考えております。
 併せまして、資料の関係で後程測定方法のほうを御説明させていただきたいと思いますが、資料3のページ5以降で「今後の課題及び検討の方向」というところの御説明を先にさせていただきます。
 これまで第4回までの御議論の中でいろいろと健康項目、もしくはこの健康項目に関連する内容としていろいろと課題なり議論なりをいただいているところでございます。その内容につきまして4番としまして[1]から[6]まで以上6項目ということでこれまでの議論を整理させていただいております。この内容に限られるものではございませんけれども、特に今までいただいた議論を中心にここにまとめさせていただきましたので、これを中心に御議論いただければと思います。御紹介させていただきます。
 [1]で人間への曝露状況に関する知見の収集、またこれに基づく環境管理のあり方の検討ということで、実際、人間に対して水、食品、大気、そのようなものを含めてどういうような曝露になっているか。そういうことをもうそろそろきちんと調べるべきではないか。知見を収集すべきではないかというような御議論をいただいているかと思います。
 これまで、水の寄与率について10%を基本というか、まず前提に基準の設定を行ってきております。人への曝露形態を考えれば、食品、水、大気と主に3つの経路が想定される。これらの実際の寄与率に関する基礎的情報が乏しい状況にあり、今後これに関する知見の集積に努める必要がある、というような内容かと思っております。
 [2]としまして、公共用水域等の水域特性に基づく項目の取扱いについての検討の継続。この健康項目の中で1つは淡水と海水、水域の利用また実際上の人間の曝露の関係を考えますと、かなり状況が違うと思われます。また、淡水の中でも表流水と地下水、これは環境基準の告示としては別のものとして構成しておりますけれども、これらについては水域の特性、当然のことながら異なる性格を持ちうるものと考えられる。しかしながら、健康項目については全水域一律の適用を原則として環境基準設定当初から御議論いただいてきていると思いますが、検討対象項目が初期のころのまさに公害対策、健康被害からスタートしたものから、非常に多種多様、複雑な性格なり挙動なりを持った物質というものに検討対象が移りつつあります。そのような状況の中でこれまで原則として持っていた全水域一律適用というものと実際上の水域の特性に基づいてどういうふうに考えるべきなのか。こういった部分はそもそも健康項目の立て方の基本論かと思っております。このような基本的な概念整理というか、考え方の整理というものを今後継続していく必要があるという御意見をいただいたかと思っております。
 [3]につきまして、前回で御議論いただいた部分ですけれども、各項目で挙げられる物質や元素であったり分子であったり、そういったものについて形態の変化や環境中での分解、また場合によっては生成、そういったような環境中での挙動、それに関連します毒性に関する知見、これについてきちんと体系立てて、どういう知見があるのかというものを調べるべきではないかという御意見を前回あたりにいただいているかと思います。このようなものについてなかなか難しい課題だと思いますけれども、今後とも収集する必要がある、そういう努力をすべきであるというような御意見をいただいていたかと思います。
 [4]は先程ちょっと御説明させていただきましたが、今回、農薬について、検出状況等をもうちょっと調べた上で今回の議論の後に御議論いただきたいということで、当初からお話をさせていただいておりますけれども、農薬についてゴルフ場暫定指導指針対象農薬を含めて、引き続き環境中の検出状況に関するデータを収集した上で、その取り扱いについて検討することとするというふうに整理させていただいております。
 [5]としまして悪臭物質の取り扱いの検討ということで御議論いただいているかと思います。水環境で取り扱うべき悪臭問題、一般環境においての悪臭問題というものと、そこの水域の水を使ったときの利水障害、特に水道などで問題になっております水源水質に起因する水道水での悪臭問題と悪臭問題といいましても大きく二つに分けることができるのではないかと考えております。
 前者については生活環境項目として、例えば河川のBODの10mg/lという基準値は貧酸素もしくは嫌気性予防のための基準としてつくられておりますし、そういう意味では生活環境項目として取り扱ってきたというふうに言えるのではないかと思います。
 後者についてはこれまで確かに明らかな取り扱いについて議論があまりなされていなかった新たな問題という部分かと思っております。従来、健康項目につきましては身体的な健康被害という、ある意味WHOの健康の定義から見ますと狭義の健康関係というふうに言えるかもしれません。そういう内容について検討を行ってきております。このような経緯を踏まえますと、利水障害としての悪臭問題についてどんなふうに考えるかといいますと、健康項目の中ではなかなか扱いにくい内容かなと思います。
 生活環境項目の中では利水障害排除、今でも類型の区分、各利水をも念頭に置いたような体系になっておりますので、このような問題をどちらで扱うかということを考えれば、生活環境項目として扱うべき問題というふうに整理できるのではないかと考えております。
 水道水質基準において2-MIBであるとかジェオスミンといった項目として新たに悪臭を対象とした基準が取り上げられておりますけれども、主にこういった問題、湖沼とかダム湖であるとか、そういった閉鎖性の水域の富栄養化の結果生じる物質であるというふうに整理できるのではないかと思います。そう考えますと、従来からの富栄養化対策を踏まえた上で、この範ちゅうにとどまるものなのか、そうでないのか、そのあたりについて今後検討を行っていく必要があるのではないかとに考えております。
 最後に[6]、以上[1]から[5]までの内容も踏まえまして環境基準健康項目等の設定についての基本的考え方の再整理ということで各論でいろいろ御議論なり御指摘をいただいている内容をまとめますと、こういう議論が必要だという御意見に整理できるのでないかと考えております。
 従来から、健康項目は、直接飲用と水域の魚介類の食用摂取を前提に検討がなされてきている。しかし、環境基準設定当初の前提にあった人間への曝露形態の状況が、特に直接飲用については、水道の普及状況など異なる状況となっている。このような状況を踏まえ、今後どのように環境基準等の設定を行っていくべきかについて、今後、基本的な考え方の再整理を行う等、議論を深めていく必要がある、ということで整理をさせていただいております。
 各項目の取り扱いから今までの環境基準の考え方まで併せて御説明させていただきました。内容は多岐にわたりますけれども、資料4の測定方法の測定方法の概要について併せて御説明させていただいて上で、この内容について御議論いただければと思います。

○田熊補佐 私は企画課の田熊と申します。測定法を担当しております。
 資料4の個別項目の測定方法についてでございますが、環境基準項目及び要監視項目の測定法については公定法といったような形で呼んでおりますけれども、本日御出席の森田委員に委員長をお務めいただいた形で、別途、公定法の検討委員会を設けさせていただいておりまして、その場で検討を進めさせていただいておりました。
 これは先般、水生生物の項目で検討させていただいたわけですけれども、同様の形で検討を進めさせていただいたということでございます。既存の測定方法につきましては日本工業規格ですとか、あるいは上水試験法、それから要調査項目のマニュアルの測定法といったような既存の測定法を中心に検証、検討を行いまして精査を行ってきたものがこの表にまとめてあるものでございます。
 測定法の選択に当たりましては、評価値の10分の1の値が測れるということが1つと、それから測定機関、自治体等が含まれておりますけれども常時監視を行う測定機関で操作が容易である、あるいは通常所持している機器により分析可能かということを考えながら選択をしていたということでもございます。
 マンガンにつきましてはフレーム原子吸光法、それから電気加熱原子吸光法、ICP発光分光分析法、それからICP質量分析法で、海水については妨害物質の影響がある場合は前処理として溶媒抽出を行うということでございます。
 ウランについてですけれど、直接、ICP質量分析法を使うということと、キレート樹脂を用いたイオン交換法により前処理を行った上でICP発光分光分析法、それからICP質量分析法を用いるということがございます。
 1,4-ジオキサンですけれども、活性炭抽出を行った後、ガスクロマトグラフ質量分析法、それから固相マイクロ抽出を行った上でガスクロマトグラフ質量分析法を行うというほうのいずれかということでございます。
 アンチモンですけれども、ICP質量分析法、それから水素化物を発生させた後でICP発光分光分析法あるいは原子吸光法、これは加熱吸収セル方式でございますけれども、こういった方法。
 塩化ビニルにつきましてはパージ・トラップ-ガスクロマトグラフ質量分析法。エピクロルヒドリンについてはパージ・トラップ-ガスクロマトグラフ質量分析法ということでございます。
 表1にはございませんですけれども、今回、指針値を変更しますp-ジクロロベンゼンについてですけれども、これはすでに要監視項目となっておりますので、その測定法をそのまま引き継ぐという形で考えております。
 以上でございます。

○村岡委員長 どうもありがとうございます。ただいまは個別項目の考え方、それから今後の課題について、そして今の測定方法について御説明いただきました。先程事務局のほうから説明がありましたように、トルエンとフタル酸ジエチルヘキシルにつきましては水道のほうでその指針値の導出方法が違うということで、そのあたりにお詳しい眞柄委員から御説明をということですので、よろしくお願いいたします。

○眞柄委員 私は水道の専門委員会の委員長を務めたのでありますが、実質的には毒性評価につきましては国立医薬品食品衛生研究所の先生方に御指導いただいております。幸い長谷川先生が御出席でございますので、足りないところは補足をお願いしたいと思います。
 まず、トルエンでありますが、これまでは毒性試験結果のうち、神経毒性について考慮を払っていなかったわけでありますが、トルエンでは神経毒性が認められるということから、従来の不確実係数が1,000から5,000に上がりました。その結果、評価値が従来の3分の1になったわけであります。
 水道で調査をしておりますが、この0.2mg/lを超える例はないということが1つと、では放っておいていいかということになりまして、評価値が3分の1に下がったということであることから、今回の水道法の水質基準の枠組みの中の水質管理、目標設定項目ということに位置づけまして、いわば要監視項目に近い性格かもしれませんが、0.2としたということでございます。
 それから、フタル酸ジエチルヘキシル、32ページですが、これにつきましては表の3番目にございますようにWHOのガイドラインあるいはEPAのMCLは0.008あるいは0.006ということでありますが、それに対して我が国として厚生労働省でフタル酸ジエチルヘキシルに関しまして全く違う枠組みで評価が行われまして、結果的にNOAEL3.7mg/kg/dayということにして不確実係数を100といたしますと、耐容1日摂取量が0.04~0.14mg/kg/dayということになったそうであります。この低いほうの0.04の値を適用いたしますと、水道の水質基準値としては0.1mg/lになるということでございます。
 0.1になりますが、従来の0.06の値よりは高い値になっている。ただし、国際的にはかなりの乖離があるということであります。これは長谷川先生からもう少し詳しくお話をしていただいたほうがよろしいかと思いますが、フタル酸ジエチルヘキシルは精巣毒性の問題があったり、あるいはそれの関係で内分泌攪乱の問題もあったりして、毒性評価が日進月歩と言うわけではないですが、どんどん変わっているのが事実だと私も承知しておりまして、現段階ではとりあえず0.1にするというのが厚生労働省の見解ということで、水道でもその見解に従って0.1にした。
 ただし、実際水道のほうでこの0.1を超える例はございませんので、そういう意味では先程のトルエンと同じように水質管理目標を設定項目に位置づけられているということでございます。
 長谷川先生、よろしくお願いいたします。

○長谷川委員 ただいま眞柄先生から御説明がございましたが、30ページと32ページの解説で、特段間違いはございません。
 もう少々細かいことを申しますと、私はトルエンとフタル酸ジエチルヘキシル、DEHPと言わせていただきますが、この二つの物質については今回のWHOの基準値の見直しで見直しをしないということになったそうです。したがいまして、WHOのほうの数字あるいは根拠は変わっておりません。
 一方、私の研究所でこの2つについて見直しをしましょうということで見直しまして、トルエンに関しましてはただいまの眞柄先生からの御説明のように神経毒性を基準とした評価をするということで行いました。
 リスクアセスメントの考え方のところでプラスアルファというところもあります。と申しますのは、人へ外挿するときの不確実係数でございますが、今までは毒性の質ということで発ガン性と催奇形性、この2つを通常適用しておりました。従来は神経毒性ということは適用しておりませんでしたが、ここ数年いろいろな委員会で神経毒性、実質的には組織学的変化を伴った神経毒性という現象が起きた場合には、それに対して不確実係数を追加するというようなことで、したがいまして全体の不確実係数が大きくなった。ただし、その根拠となった無毒性量のレベルは前の310mg/kg/dayから、実はそのちょっと上の625mg/kg/dayという数字になっております。
 もう一つ、フタル酸ジエチルヘキシル、DEHPのほうでございますが、これは32ページの上のところのMorton(1979)についてここには細かいことは書いていないんですけれども、実はこれは前から問題がありました。これはたしかアメリカだったと思いますが、博士論文から引用しているもので、当時は肝臓のペルオキシゾームの増殖が肝腫瘍の原因になる。これをそのまま人に外挿するということで、このペルオキシゾームの増殖が起きない根拠の無毒性量2.5を使っておりました。その後、実際には2000年の発ガン性の評価のときにこのペルオキシゾーム増殖という現象、齧歯類に非常に強く起きる現象は人に外挿することは不適切であるということで、これをアセスメントする場合に除外することになりました。したがって、われわれも数年来、このDEHPの評価に当たってはそういうスタンスでやってまいりまして、その結果としてここの下段にありますような、1つは精巣毒性、もう一つは生殖毒性ということを根拠にして、実は幅のあるNOAELというか、TDIを設定した。
 この低いほう、精巣毒性だけになぜしなかったのかという根拠もまたございまして、実は霊長類、マーモセットとか、あるいはカニクイザルを使った実験では精巣毒性が全く見られないということがわかっております。それをそのまま人にあてはめるにはまだ情報が不十分である。しかしながら、それだけでTDIを設定するのも不適切であろうということで幅をもってTDIを設定しております。
 ただ、こういうような基準値等を設定する場合は現時点では低いほうの値を使うのが適切であろうということでございます。
 以上でございます。

○村岡委員長 どうもありがとうございます。
 それでは、ただいまのトルエンとフタル酸ジエチルヘキシル、この2項目に関しましていただきましたお2人の委員の説明も含めまして、事務局の説明の対象になった資料3、4、5、この内容につきまして御議論いただきたいと思います。何かございますでしょうか。
 森田委員、どうぞ。

○森田委員 まず質問したいんですが、トルエンとフタル酸ジエチルヘキシルの御説明をいただきましたけれど、ここの考え方についてお伺いしたいと思います。
 まずトルエンですけれども、固体差・種間差を100、神経毒性を10、短期試験5というふうな不確実係数を採用されていますが、1つは短期試験5と神経毒性が10というこの種のバランスというのはリーズナブルなんでしょうかということ。
 それから、神経毒性の中でも、神経毒性というのは多分非常に広い意味が存在をして、例えば農薬の殺虫剤というのは基本的には神経毒ですけれども組織学的な変化が起きたものを示すような神経毒性にだけかなり高い不確実係数を与えるというポリシーのようにお聞きましたけれども、その場合そういう組織学的な変化というのが比較的高濃度の動物実験で見られたことが比較的低いレベルでも継続して起こるというふうに判断されているんでしょうかということが、まずトルエン側です。
 もう1つ、フタル酸ジエチルヘキシルにつきましてはWHOのガイドライン、あるいはUSEPAのガイドラインからかなり乖離して、そしてそれは毒性試験そのものをきちんと見直した結果の結論になるということで大変よくわかりますが、この場合の質問というのは水への溶解性は果たして0.1mg/lという溶解度をこの物質が持っているのでしょうかというのが2番目の質問です。
 つまり、本当はもっと溶けなくて、したがって飲料水中にはほとんど出ないというのはむしろ溶解度で決定されている可能性も結構あるような感じがしているんですが、このあたりはどういうふうにお考えになっているか。

○村岡委員長 それでは、まず長谷川委員、いかがでしょうか。

○長谷川委員 それでは、トルエンのほうの問題についてお話しいたします。御存知のように、リスクアセスメントの考え方というのはあくまでも安全性を担保するために非常に不確実な状態の多い中で、実際上どうするかということの、いわゆるプラクティカルな部分でございます。したがいまして、細かい情報を全部サポートすることは実態としては無理であります。
 そこで一応どういう条件のときはどうしましょうというある程度の取り決めをして、したがいまして例えば非変異原性の発ガン性の場合に不確実係数を10とる。じゃあ、その10とは一体何ぞやといったときに明確な根拠はもちろんございません。ただ、そういう発現する毒性の種類から安全性をさらに担保するためにプラスアルファしましょうという考え方です。
 したがいまして、もう1つの部分の発生毒性の部分も母体毒性の現れない状態で催奇形が現れた場合に10。同じ並びで例えばトルエンという、いわゆる神経性の毒性でかつ組織学的に変化が現れた場合は、これはいわゆるイリバーシブルという判断をいたします。例えば農薬のような、いわゆるアセチルコリンエステラーゼインヒビターという、そういうストレイトインヒビターという形よりも、やはり神経組織そのものが組織学的にダメージを受けると、全部とは言わないんですが一般にはイリバーシブルではある。そうすると、やはり毒性としてはより考えなければいけない。その細かい段階で人と動物との細かい違いはなかなかよくわからない部分が実態としてはほとんどである。そういうことで現時点でかなりの部分、その3つのキーポイントについては考慮するという形で行われているということで、そこで取り入れております。それに対しては通常10というファクターを使っています。
 一方、ここで短期で5という数字をどうしたかというところなんですが、通常、13週間の場合は期間が短いということに対しては10という数字を使っております。ここの部分はこういう神経毒性、トルエンという種類の神経毒性の場合にはいわゆるライフタイムの2年間という発ガン性等に関する期間に対してのファクター10を適用する必要はないであろう。じゃあ5か3かということなんですが、そこのところはいろいろ難しい面があって、提案のほうは5とさせていただいて、それがそのまま生きているという状況になっていると思っております。

○村岡委員長 眞柄委員、追加の御説明はありますか。

○眞柄委員 溶解度の関係ですが、フタル酸ジエチルヘキシルは条件によっては水溶解度で0.1を超えることがあるというのが一つ。それから、水道の水質基準は水道水だけではなくて、水道用に利用する資機材、すなわちフタル酸が入っている合成樹脂管その他にも適用しますので、そういうときの浸出基準の前提となる水質基準として0.1というものを定めるというのが水道の水質基準の枠組みでございます。ですから、合成樹脂管で新管の場合には溶解してなくても水に移行してくる部分があるという意味では、この0.1という数値を水道では適用した、そういう背景がございます。

○村岡委員長 森田委員、よろしゅうございますか。

○森田委員 トルエンの神経毒性のところの扱いだけはちょっと不明確だなという感じがしたのは何かといいますと、神経毒性のうち、例えばコリンエステラーゼ阻害のようなものはカウントしなくて、組織的な変化の見られたものについてはある高い不確実係数を与える。それは例えば10であるということの説明だったと思うんですが、この実験におけるNOAELの中には、625mg/kg/dayの中にはその段階で組織的な変化が起こっていないと考えられるんですが、そのNOAELを使ってなおかつ10を与えなければいけないというところの根拠がよくわからなかったんですが、そのあたりはどういうふうに整理されていますか。

○長谷川委員 先程御説明しました3つのケースすべてにそうですが、もちろんNOAELを用います。それにプラスというか掛ける10になるんですが、通常の評価に10倍安全性を担保するほうがいいであろうということです。例えばNTPのこの評価のときに上のほうではマウスの312、これは何かと申しますとこれは実は肝臓の重量増加だったんだろうと思うんです。いわゆる毒性のエンドポイントが違う。
 今回の神経毒性に関しては神経毒性の観点からNOAEL625を設定して、それで外挿して最後に基質的変化を伴う神経毒性の場合は人に外挿する場合はわからない部分が多いので安全性を加味してさらに10で割るというプラスアルファの考え方でございます。

○眞柄委員 私はトキシコロジストではありませんけれども、エンバイロメンタル・ヘルス・クライテリアなりWHOのガイドラインを検討するときに、NOAELそのものと、それにプラスしてどういうエンドポイントがあるかということを考慮して水道のガイドラインを決めています。この場合は明らかに脳神経細胞の壊死というのが認められていて、それは戻らないという判断でこの神経毒性の項を見なければいけないよというのが今回の見解です。
 したがって、先程森田先生がおっしゃられましたように農薬の登録保留基準のときでも必ずしも今までそういう観点から見てきていませんし、がんの関係でもWHOのガイドラインではがんというエンドポイントがあったときにはそれはまさにイリバーシブルであるという意味で、その分もファクターとして見ているということですので、先程事務局からお話がありましたけれども細かく見ていくと厚生省でやっているやり方と、今まで環境省で健康項目の環境基準値なり何なりを決めている決め方とは若干違いがありますので、今後検討課題にはそういうポイントも入ってくるでしょうし、それから新しい制度として食品安全委員会で安全評価をするようになりますので、逆に言えばそちらのほうの安全委員会の安全評価のルールがこれからは重要視される、それに従うという形になると思います。
 そういう意味では今、ある意味ではそれぞれの差があるということが表面に出てきたと私は理解しております。

○村岡委員長 ほかにこの2物質につきましての関連する御意見等はございますか。
 中杉委員。

○中杉委員 事務局からこの2物質についてこういう議論が出されたことはどういうことを言われているのか。単に議論をしろということなのかどうかということ、御趣旨を理解しかねているんですが、単に議論をすればいいという話であれば、今十分議論されたであろうと思いますけれども、これをどう反映するかというところまでの議論だということであると、それなりにその面での議論をしなければいけないのだろうと思うんですが、仮に私が後ろで申し上げたようなことで考えていきますと、1つは実際問題としてこの数字を変えることによって何らかの意味が出てくるかどうかという観点で見ていく必要が一つあるんだろうと思うんですね。
 フタル酸ジエチルヘキシルとトルエンですけれども、トルエンは実際には指針値を超えているところはなくて、フタル酸ジエチルヘキシルは昔一度1つ超えているのがあって、それがこれになると超えるのか超えないのかちょっとわかりませんけれども、実際問題そういうところだろう。ただ、トルエンでも現実問題としては今まだそう大きなものは出てきておりませんが、油の汚染みたいなところではものすごく高濃度で、指針値をはるかに超えてしまうようなところが出てくる。そういう意味で言うと地下水のほうでベンゼンが一緒にあるから大体大丈夫だろうということにはなるんですけれども、逆に言うと何らかの形でそれを反映した数字を置いておく。これは当然指針値、要監視項目のレベルでとどめるのだろうと思いますけれども、それは少し見直しておく必要があるのかなと考えております。
 これは今の段階でそのまますぐやるのかどうかというのは、また1つの議論にはなると思いますけれども、これはこのまま少し動かしたから何らか影響がないかというと、必ずしもそうではないのではないかと思います。
 そこら辺のところがほかのところにも絡むんですけれど、多分今回の話で課題になってくる話なのかもしれませんけれども、ここでは表流水と地下水とどう分けるかという話がありました。そこら辺ともものすごく絡んでくる話だろうと思います。

○村岡委員長 事務局のほうで何かお答えいただけますか。

○熊谷補佐 指針値の数字が決まった後でいろいろ検出の状況とか、また環境の中でどういうふうに考えるかという部分はおっしゃられるとおりいろいろあろうかと思います。こちらで今回説明の中において先行議論をいただきたいと思った部分は、まずはこれまで環境基準を決めてきたさまざまな評価方法の中で問題の設定というか、健康項目で考えています人間への曝露経路ということを考えれば非常に類似のもの、こういうものについてなるべくなら基本的な考え方というものは審議会は違うとはいえ、もし異なる見解を出すのならやはりどういう理由でやるか。合わせるのであれば合わせるという、まずは特に安全性評価の部分ですから、そこの部分についてどういう健康項目、その他の関係も考えた上でどういう結論を持つべきなのかということをぜひともこの委員会の中でお決めいただければなと考えて、今回問題提起させていただきました。
 幸いなことながら、先程水道の検出状況も眞柄委員からいろいろ御紹介いただきましたけれども、今回のこの範囲の中での数字の動き方であれば、検出状況については大きく変化がありませんので、そういう意味では指針値を決める以前の問題でそちらを先に議論するのもちょっとどうかとは思いますけれども、そういう意味では取り扱いについては、検出状況という意味で考えればあまり大きな変化がなくてもいいのではないかと考えております。
 ということになりますと、安全性評価をいかに考え、最終的に指針値というものをどういうふうにしておくべきか。また、その他の議論がありまして、もう少し議論した上で結論を出すべきという御意見をいただけるのであればそのような対応の仕方、先程言われた今後の課題ということもあり得るものと思っております。そのような問題意識で御審議をいただいている部分を斟酌いただいて御議論いただければと思います。

○中杉委員 多分、検出状況うんぬんの話でいくと、今の環境基準の調査、水質測定計画の調査の中ではあまり問題にならない。それは熊谷さんの言われたとおりだと思います。ただ、実際問題として土壌とか地下水の浄化、これはその議論から少しずれてくるかもしれませんが、そういう話を考えたときにひょっとするとベンゼンではなくてトルエンが問題になって来る可能性が出てくる。これは規制ではございませんけれども、1つの目標としてそんなことを議論しなければいけないかもしれないなというような気がするものですから、そこをどうするかというのを、私もどうしたらいいか明確な答えを持っていませんけれども議論をさせていただければと思います。

○村岡委員長 資料3で御説明いただいた個別項目の取り扱い、これに関しましてはこれまでもいろいろ議論してきまして、それを案としてまとめた形になっておりますけれども、この6項目の取り扱い等につきまして御意見あるでしょうか。

○中杉委員 資料3の中で文章上おかしいなと思うのは、3ページのところの塩化ビニルのところなんですが、塩化ビニルの第2行目のところで「必ずしも塩化ビニルに起因する検出状況とは言えない」というのは文章としてはおかしい。塩化ビニルであって塩化ビニルに起因するというのは、もう少し説明が要るように思いますので、修文をしていただければと思います。
 それから、これはマンガンのところですけれども、水質環境基準の設定という意味では全くそのとおりであろうと私も考えていますけれど、先程の話でここの議論ではないところなんですけれども、土壌の環境基準みたいな話を考えていくと、浄水で処理できるという話では必ずしもない。それをどう考えていくかというのは、土壌のほうの環境基準で考えていただくときに、少しそこら辺のところは頭に中に入れておいてもらう必要がある。
 だから、後ろのほうで課題のところに出てきます全体の見直しというのは、この環境基準の中だけの見直しではなくてほかの、もちろん排水基準とか土壌の基準、あるいは廃棄物の基準みたいなところとの間をもう少し整理していかなければいけない。そういうところの中で一歩踏み出したマンガンの考え方で考え方を整理していく必要があるのではないかと思います。

○村岡委員長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。

○長谷川委員 2ページのアンチモンの指針値の根拠のところですが、私先週問い合わせを受けて、お答えが不十分だったかもしれないんですが、ここの記載によりますとLynchによる実験というふうに受け取られるんだろうと思いますが、実際にはほかの方の実験を、いろいろたくさんの実験を再評価いたしましてNOAEL6が適切であろうという結論を出したのがこのLynchのいわば総説のようなパブリケーションです。したがいまして、このままの記載では誤解を招くと思いますので、再検討をお願いしたいと思います。

○村岡委員長 ほかにございますか。
 宮崎委員、どうぞ。

○宮崎委員 資料3のことについて、私はこういう方向でいいのではないかと思いますが、資料3以外のことで御質問してもよろしいですか。

○村岡委員長 関連することでございましたら。

○宮崎委員 資料4なんですけれど、細かい御質問なんですがマンガンの測定法で、海水については妨害物質うんぬんというのがありますけれども、これはここに挙げてあるすべての項目についてこういうことが適用されるというふうに考えてよろしいですか。
 例えばICP質量分析法のところだけに適用されるということではなくて、すべての測定法の場合にこういうことをやるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

○田熊補佐 日本工業規格に準拠しますと原子吸光、それからICP発光においては溶媒抽出が必要ということになっております。このあたりについてはそういった2つの方法についてということでございます。

○村岡委員長 宮崎委員、よろしいですか。

○宮崎委員 はい、わかりました。

○村岡委員長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 大塚委員からどうぞ。

○大塚委員 今後の課題のところで2点ございますけれども、最後の[6]の基本的な考え方の再整理ということでございますが、井戸水を飲んでいるということをどう考えるかという問題が1つ関係してくると思いますが、井戸水を飲まざるを得ないところが今どのぐらいあるかということについてお伺いしたいのと、災害用の井戸については必ず必要になってくると思いますが、これは当然お考えになるはずだと思いますけれども、ぜひその点を御考慮いただきたいということがございます。
 どうしても水道水のことを中心にお考えになっていると思いますが、現在の国民の状況というのはむしろミネラルウォーターを主として飲んでいる人もかなり多いわけです。水道水のことだけを中心に考えていって本当にいいのか、水道水がこれだけ省みられていないということをどう考えるかという大問題があるんだと思うんです。フランスの水を買っているということをどう考えるのかという問題が一つあると思うんですが、そういうのは本当はどこで考えていただくのかなという感じはしていますが、国民の需要は必ずしも水道水だけで足りるとは全然思っていないというふうに現在はなってしまっていますので、そこをよく御考慮いただきたいと思います。
 もう一つの点ですが、[5]のほうの利水障害ということですが、これは生活環境項目で扱うか、健康項目で扱うかというのは、国民の観点からかなり難しいところもあるような気もするのですが、ここで健康項目として扱うか、生活環境項目として扱うかの違いというのはおそらく行政のほうが直ちに対処しなければいけないのか、段階的に対処すればいいのかというところではないかと思いますが、ほかに違いがあれば教えていただきたいところです。つまりこれは生活環境項目にすることの意味を教えていただきたいということでございます。
 以上でございます。

○村岡委員長 それでは、まず事務局でお答えいただけると部分を1つお願いします。

○藤井委員 その前に関連する意見を。

○村岡委員長 では、関連する意見ということで藤井委員どうぞ。

○藤井委員 6番の大塚先生の意見に付け加えると、いわゆる環境庁が選定された名水100選を含めて湧き水の利用が今結構ブームになっていると思います。人口的には非常に少ないと思いますので、この点もどのように扱っていくか考えていかなければいけないなと思っています。
 東京都内にも結構ありまして、行列ができる湧き水も現存します。
 以上です。

○村岡委員長 それでは、事務局のほうで何か。お答えしていただける部分だけでまずは結構かと思います。

○熊谷補佐 御指摘ごもっともで、本来事務局が答える問題なのかどうか微妙な問題だと思います。ただ、概況状況としてだけですけれども、水道の普及率は今約97%ぐらいです。ですから、ボトルウォーターで飲むということになれば、これまた食品の管理体制下の議論でしょうし、また水道の場合、食品のような特殊な処理をやった結果としての水道ではない。よく水道水源保全が叫ばれるというのは、法律上の役割分担はともかくとして概況的な問題としてあると思います。
 環境基準を初めに設定した昭和40年代、水道の普及率80%ぐらいの時期のようです。そのころですと5人に1人は水道以外の水を飲んでいた。まさに井戸を中心に飲まれていた状況かと思います。その辺の状況から今97%まで来て、よく言う一般的な国民の曝露というレベルの制度であれば、行政的な取り扱いから考えますとほぼ完全普及、それが介在した状況で人間に曝露されているんだという状況と言ってもいいぐらいの数字ではないかと認識しております。
 そのような状況を踏まえた上での議論が必要ではないかと、今まで委員からいただいた意見を総合しますとそのような議論であったのではないかと思ってこのような記述にしております。
 今までも水道と環境の役割分担みたいなものの御意見をいただいた部分もありますし、まさにそういう状況変化を踏まえて、今後、健康項目という構成をどういうふうに考えていくかというところを今後御議論いただければ。どういう結論にするかももちろんですけれど、その状況を踏まえてどういう認識にこの専門委員会として立つかという部分をぜひとも今後御議論いただければなというふうに考えております。
 それから、生活環境項目と健康項目の違い、これについては先に達成方法と大塚委員のほうから御意見いただきましたけれども、それ以前の問題としてどういうふうに考えるか。健康項目と生活環境項目をはっきりと分けて環境基準の体系立てをしているものは、環境基準いくつかありますけれども、水質の環境基準が唯一無二の例です。御存じのように生活環境項目はBODであるとかCODであるとか窒素、リンというある種の水質の総括指標で利水障害なり水域の使い方の障害を抑制していくという体系であった。まさに今、御議論、御意見をいただいております2-MIBやジェオスミンという各個別物質を取り上げてこういうような悪臭問題とか利水障害を語らなければならないぐらいのレベルに多分水道の水質基準の問題というのは来ているのではないかと思います。そのようなものを飲用で摂取するという立場を想定してつくっている健康項目としてどうとらえるべきか。これまでの健康項目で考えています人の健康という概念の範ちゅうからは若干離れるのではないか。もちろんこちらに入れるべきという御議論はあり得るものだと思います。
 今までのように健康項目と生活環境項目の間に介在するような物質群を検討せざるをえなくなったような私どもの今の立場の中で、これをどういうふうに整理していくか。
 これまでの経緯から言いますと、どちらかというと生活環境項目的な内容として整理すべきではないか。また、化学物質というか個別の物質を取り上げて環境基準の中でどう取り扱うか。今まで健康項目でしかありませんでしたけれども、一方でやっています水生生物の保全の問題は生活環境項目の中で個別の化学物質を取り上げていこうということを考えますと、1つの生活環境の今までの概念と違うものに変わりつつあるのだと思います。そういうような周辺状況も含めて、事務局としてはあえてどちらかという整理かと考えれば、生活環境項目ではないかということで御提案差し上げております。ここについてはぜひとも皆様方の御議論をいただければと思います。

○村岡委員長 今後の課題ということで、具体的に3点、4点の御指摘があったわけですが、この資料の文章としてそこに盛り込むというのはちょっとあれですので、議事録として残していただくということでまとめてさせていただきたいと思います。
 高橋委員、何かございましたら。

○高橋委員 私も今後の課題というところですが、健康項目について全水域一律ではなくて、利水の形態によっていろいろ見直していくことは賛成させていただきます。
 それから、[2]に書いてございますように例えば利水を単に淡水と海水で分けられるかというのは、下水道の立場としては非常に問題のあるところでございまして、従来の区分けでいくと河川区域と海岸区域と分けることになると思うのですけれども、実際大量の下水が放出されているところは汽水域です。汽水域については今までの仕分けですと淡水域ということになってしまうのですけれど、これは利水の形態から見ると海水に非常に近いと考えますので、そういうところも今後御議論いただければと思います。

○村岡委員長 ありがとうございます。
 森田委員、どうぞ。

○森田委員 3つ程あります。1つは先程からちょっと引っかかっておりましたトルエンのケースなんですが、何に引っかかっていたかと言いますと神経毒性で10倍するという新しいルールが導出方法の中に組み込まれたような感じがするんです。新しいルールが入りますと、それがほかに波及してきます。例えば今までの環境基準に波及しないのだろうか。あるいは、これから起こってくるいろいろな神経毒性物質全体にこの検算方法が適用されるのだろうかというところがちょっと見えなくて、若干不安があるので、それについて少しこの程度は最小限であるというぐらいの検算はできればしておいていただきたいというのがポイントの一つです。
 それから、第2番目はアンチモンを要監視項目にやるというのはある種の判断だと思います。あるいは、ウランなんかもある種の知見の収集ということになるんですが、これらのものの行き先は何だろうかということを考えてみますと、多分非常に特別な、非常に限られた数の工場からの排出みたいなものがむしろ問題になってきて、日本全体で相手にする必要は本当はないかもしれないとなると、全国一律の環境基準よりも個別の企業に対する排水基準だけを適用するような形であれば、全体をうまくコントロールできるのではないかという、今の環境基準、排水基準の一連の仕組みが少し固くなりすぎていて、個別の物質について必要があれば排水基準だけ設定する。そういったことを健康項目についても少し考えられないだろうかというのがもう1つの提案です。
 それから3番目、先程来議論になっていますのは、今後の課題の中でいくつか書いてありますが、とにかく全体がどんなふうになっているかということについてはすぐに結論は出ませんので、こういう形で整理されていくのが多分いいのだろうということで、ここに挙げていただいているのは極めて賛成しております。以上です。

○村岡委員長 ありがとうございました。
 何か関連する御意見等お持ちでしょうか。
 中杉委員、どうぞ。

○中杉委員 今の森田委員の考え、基本的に賛成ですが、1つは排出の規制といいますか抑制のほうの話なんですが、排出基準を単に決めるというだけの選択肢ではなくて、もう少し別な選択肢も当然あるのだろう。ごく限られたところでやれば排出規制という形ではなくて、当然指導なり業界団体等の指導、あるいは自主管理ということも十分選択肢としてありえる。そこまで広く考えて、第1段階としては例えばアンチモンについて現実問題としていくつか超えている。ある特定のところであるということであれば、しばらく猶予期間といいますか、業界団体のほうでしっかり努力していただく。それでも変わらないというのであれば、そこで改めて規制をしていくというような、そんな選択肢も多様に考えてやっていく必要があるだろうと思います。

○村岡委員長 ありがとうございます。
 眞柄委員、どうぞ。

○眞柄委員 今の中杉先生、あるいは森田先生の御意見はまさにそのとおりだろうと思います。アンチモンにしてもウランにしてもホットスポットはごく限定的でありますので、それを環境基準にというのはそろそろ考え直したほうが、もう少し大人の制度があってもいいかなと思います。しかし、もう一つ問題は前にも専門委員会か部会でお話ししましたけれども、アンチモンでもウランでもマンガンでも、それこそ砒素でも自然由来と事業所関係と混在している。札幌の豊平川の砒素のことを言えば、下水処理場から流れている砒素と、温泉の旅館から流れている砒素と、河床から流れている砒素と、結果的にそれが河川水の砒素の環境基準を高めているわけですよね。こういうのは今までもともとは温泉ではないかということで自然由来だったわけですね。
 そういうふうに考えてみますと、今までのように人為活動に伴う公害というか環境変化を何とかするためにこの制度が環境省ができて30年ずっと動いてきたわけですけれども、見直していただけるということであれば、それは法律を直すという大変な仕事にもなりますので、そこまでいかないにしても、やはり自然由来に対して、自然由来も結局、今札幌の豊平川のことをお話ししましたけども、食塩泉のところなわけですかね。日本は温泉がいっぱいありますけれども。そういう意味では、やはり淡水、海水、表流水、地下水というばかりではなくて、もともと環境基本法では国土利用というのも1つの枠組みの中に入っていますので、そういう観点も国土利用を考えられるような環境基準の制度に工夫していただければ、先程中杉先生がおっしゃった土壌との関係も当然リンクしてまいりますので、少し工夫をするように一緒に努力させていただければと思います。
 それから、悪臭物質の件ですが、これと似たようなものが水道で言えば非イオン性界面活性剤と陰イオン性界面活性剤が入っているわけですね、基準に。これは明らかに利水上の障害項目ですが、基準としては。実際には河川には非イオン、陰イオンを問わず今でも排出をされており、それがかなりの濃度で存在している。これはいわばノンポイントに相当するのかもしれません。
 そういう意味では従来のBOD、COD、SS、大腸菌という生活環境項目ではなくて、もう少し違う観点からの生活環境項目について御議論をしていただければありがたいと思います。
 それから、先程大塚先生が井戸のお話をされましたが、神栖町の件もありますが、井戸というのはだれも手をつけない範疇なわけですね。災害用の井戸だとすれば、これはまさにパブリックの危機管理用の重要な我が国に残っている資産でありますし、あるいは個人用の井戸で言えばまだ水道未普及で500万人ぐらいの人が使っているわけでありますが、そういうものを個人の資産だと言って公共が関与しないのが現実ですが、しかし環境あるいは環境衛生、あるいは公衆衛生ということから考えればパブリックがやはりコミットしなければならない部分がまだ残っているだろうと私も思いますので、ぜひその辺も検討していただければと思います。以上でございます。

○村岡委員長 大変興味があって、貴重な御意見をたくさんいただきました。今後、考えるべき課題の荷物がどんどん増えてきたという、そんな感じでございますが。
 それでは、この辺でいったんこの議題につきまして打ち切らせていただきまして、時間の関係もございますので議題の3にいきたいと思います。
 「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準項目及び要監視項目の見直し(素案)について」でございます。これは専門委員会の報告書の素案ということでございまして、まずその素案の御説明をいただきたいと思います。

○熊谷補佐 資料3につきましてはいろいろ御議論いただきまして、本当に重要な部分、たくさんあると思います。当初、この資料を用意をさせていただいたのは資料3の内容で大体方向が決まりましたら、この資料3の内容を資料6の中に折り込みまして、それが最終的な第1次の専門委員会の報告というような構成になるかなというようなイメージでおりました。ただ、先程の安全性評価の部分ともどもいろいろ御議論ありますので、今後の進め方も含めてこの資料6、報告の素案に関して御議論をいただければと感じております。
 資料6でお示ししておりますのは、方向の「はじめに」から基本的考え方、これは従来の既定の項目でどういうような取り組みをしてきたか。原則論を「はじめに」「基本的な考え方」の(1)項目の選定、(2)環境基準項目及び要監視項目の選定の考え方、再度記述をさせていただいております。
 (3)としまして環境基準の基準値及び要監視項目指針値の設定の仕方、従来のアプローチを含めて記述をしております。
 (4)につきまして環境基準の適用の考え方、先程ちょっとコメントさせていただきましたけれども原則的には一律の適用であるといったような部分、その根拠をどういうふうに今まで考えてきたかというところを記述しております。
 また、今たくさん御議論いただきました自然的原因に基づく汚濁の考え方、単純に自然か人為由来かということであればまさに議論はかなり単純なものかと思いますが、今、眞柄委員からいただいたようにそれがいくつか合わさった結果として検出状況が見られるようなときにどのようなこと考えるかというのは確かに今後の課題かと考えております。
 この3番の新規項目、既定項目以下に先程の資料3をもとにいただいた議論の結論をここに入れまして、あと測定方法、今概要だけですけれども最終的な結論を4番として入れる。また、資料3の後段で御議論いただきましたような内容を整理して、今後の課題ということでまとめて、最終的な報告のとりまとめに向かいたいと事務局として考えておりましたが、これまでの議論も踏まえて、今後どういうようなステップで御議論をいただくのもいいのかも含めて、ぜひともお願いしたいと思います。
 以上です。

○村岡委員長 それでは、事務局の今の説明に対しまして何か御意見がございましたら。
 今日は大変具体的な今後の課題として特に討議しないといけない課題をたくさん挙げていただきまして、それらをもう1回整理していただいて、その内容をこの資料6に盛り込むということかと思いますけれども、そういったことでうまくここに表現できるかどうかということも、今の判断では難しいと思いますので、次回には整理した資料ができることかと思いますが、それも含めまして何か御要望等はございますか。
 大塚委員。

○大塚委員 先程私が申し上げたこととは別の点で申し上げたいんですが、先程中杉先生がお話になってきたこととの関係でちょっと気になっているんですが、そういう項目を今後の課題として立てたほうがいいということではないですので、もし先程中杉先生がおっしゃったような規制とか自主管理等の関係のことで、何か項目を立てるのであればということで申し上げておきたいと思いますけれども、水生生物のほうでもそういう議論がありましたけれども、環境基準を立てるとそれとの関係で当然排出基準がリンクされてくるので、それも一定の値が予想できるということが今のところあって、そちらのほうが最初に念頭に置かれて環境基準がなされることが結構増えてきているのではないかと思いますが、先程中杉委員が言われたこともその点が関係しているのではないかという気がしますけれども、法律上は環境基準と排出基準が必ずしも一体になっているわけではありませんので、もちろん排出基準は環境基準が達成されることを考えて設定されるはずですけれども、例えば10倍とかそういうことが当然に出てくるわけではないわけですから、規制でやっても自主管理でやっても行政指導でやっても、いろいろな方法は考えて対策はとっていくということが本来は当然の前提なんだと思います。
 私が危惧するのは排出基準のことを考えて、環境基準がいろいろなぶれを起こすのはよくないというふうに思っていて、環境基準というのはあくまで行政上の目標ですから、目標はむしろ安全性の観点からちゃんと決めてほしい。自然由来のものも含めてちゃんと決めていただきたい。その後、どういう対策をとるかというところはもちろんある程度柔軟に考えていかないといけないと思っていますけれども、後ろのほうの話が先に念頭にあって環境基準がぶれを起こすというのは、必ずしもよくないのではないかというふうに思っておりますので、意見として申し上げさせていただきます。

○村岡委員長 大変重要な内容ですけれども、関連する御意見はございますか。
 宮崎委員、どうぞ。

○宮崎委員 私も今の大塚委員の御意見には賛成でございます。環境基準が決められて、今までの方向ですと10倍則ということで割合一律にといいますか、排水基準が決められてということになっているわけですが、今回例えば要監視項目なりを決めたとき、実際排水の規制などをやっていくときに技術的に可能であるかどうかという、これは今回の委員会の役割ではないと思いますけれども、排水のほうの規制をやる場合にはそのあたりのこともよく踏まえて、可能な限りできる対策をとる。しかし、経済的なこともあるでしょうし、技術が普及しているかということもあると思いますので、そのあたりのところは今までの例えば10倍則ということだけではなくて決めていただければというふうに要望したいと思います。
 もう1つこの中で、先程委員長がおっしゃいましたけれども、今回の議論の中で今後の課題及び検討の方向というところをこの中に盛り込んでいただくということですけれども、特に先程も議論もありましたが、この資料6の3ページの(4)(5)のところですね。「環境基準の適用に当たっての基本的考え方」ということで、例えば河川、湖沼、海域、地下水を問わず全ての水域に適用すると。一律に適用するとは書いていませんが、例えば淡水と海水をどうするかという話もあるわけですから、そのあたりの考え方というのを今後検討していく必要があるのではないかというところを入れていただければと思います。
 (5)の「自然的原因による水質汚濁の取扱い」のことですけれども、先程眞柄先生がおっしゃいましたが、自然的な要因による扱いと、人為的な要因による扱いをどうするかというところも、ここでは一律にということが書いてありますが、もう少し踏み込んだ記述にしていただければと思います。
 以上です。

○村岡委員長 ありがとうございます。
 この(4)(5)のこの案による文章としては今までの考え方を踏襲すれば間違いではないというふうにとれるんですけれども、その中に今後考えるべき課題があるということだろうと思うんです。それは後のほうの今後の課題のほうで拾っていく、そういう精神でまとめていけばいいのではないかと、そのようにとらえますが。
 ほかに何か御意見は。
 林委員、どうぞ。

○林委員 資料6の(3)2行目の「集約された科学的知見、関連する各種基準の設定状況」、この間に科学的評価法という言葉を入れるべきだと思います。
 例えば、先程森田先生が眞柄先生、長谷川委員への御質問の内容も科学的知見の問題ではなくて評価法の問題なんですね。WHOその他でも知見だけではなく評価法が重視されています。環境省としてもこの点を十分考えていただきたい。
 例えばトルエンの評価の際に長谷川委員が神経毒性をとり入れたのは、新しい考え方ではないかと言われましたが、全くその通りでこれは決して新しい知見ではありません。神経への影響は1990年代の評価でも取り入れられています。大事なことは影響の大きさです。ただ単に神経に作用するというだけだったら長谷川委員は10倍はしなかったと思います。しかし、長い期間作用すると神経に基質的な変化がおこることになると、安全係数を10倍にすることが適切だということです。そういう意味で国際委員会で問題になっている科学的知見を集めることも大事ですが、その科学的知見の意義についても調査をしていただきたいと思います。

○村岡委員長 ありがとうございました。
 その点はこの文章の上でまた修文ができるのではないかと思いますね。
 ほかに何か御意見はございますか。
 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 先程の大塚先生のお話と関連して、今持っている感想をお話しさせていただきたいのです。環境基準と排水基準について考えてみますと、排水基準が適用されるポイントソースと適用されないノンポイントソース、この格差といいますか、これは非常に痛感しているところであり、特に前回の硝酸性窒素の基準設定をノンポイントソースからの排出ということが取り上げられてきたわけです。今回、要監視項目のマンガンについて見ますと、これもノンポイントソースが関連してくる可能性が高い。その一方がかなり緩い排出基準、環境基準から見るとかなり緩い。この不公平感というものがどうしてもぬぐい去れない。今、答えていただく必要はないのですが、私が実際に関与している場面ではそういう不公平感を非常に強く持っている。できるだけこの差を縮めていただくようにお願いしたいと思います。

○村岡委員長 ありがとうございます。何か関連した御意見はございますか。
 土屋委員、どうぞ。

○土屋委員 (5)の自然的原因による水質汚濁の扱いなんですが、これは従来からこういうことで、基本的にはいいんですが、ただ歴史的に見ると自然的原因の汚濁というのは生態系ももうそれに順応しているという要素があるのではないかという感じがするんです。ですから、そういうことも十分考えた上で、これは実際に水域をコントロールする立場から言うとコントロールできないことなんで、そういうことも考え方の中には入れておいたほうがいいのではないか。そういうふうに思います。

○村岡委員長 ありがとうございました。
 ほかの点で御意見をいただくようなことはありますか。
 中杉委員、どうぞ。

○中杉委員 先程からの議論の中で水道の普及状況というのが新しい項目として挙げられていて、それを考慮しよう。それはそのとおりだろうと思うんですけれど、もう一つあれなのは水道普及率が例えば九十数パーセントでも残りの数パーセントの人は水道はない。そういう人たちをどう考えるかという話で、これは社会全体としてみれば率としてはある割合であるんですが、個人として見ると別の意味でのリスクがある。そういうところをどういうふうに考えていくか。
 これは使い分けはいろいろできると思うんです。先程言いました個別の指導みたいなこともできます。ただ、土屋委員が言われることも絡むんですけれども、環境基準を何というふうに見るか。まさに望ましい基準ということであれば、その望ましい数字としてはこんなもんだよというのを示してあげるということは非常に重要な話で、それが後ろにすぐに、排出抑制をどうするかということと一律であるとまた問題であるという、そこら辺のところの柔軟性を持たせることが必要だ。ただ、基準にするか指針値にするか、これはそういう意味では同じ意味合いを持っていると思いますけれども、そういうものを積極的に出していくことは必要だろう。そこのところはこの数字が増えると何らかの影響がある可能性がある。これは自然由来であれ、人為由来であれ、淡々と出していく。それは全国一律にこういうものだというのがあって私はおかしくないだろうというふうに思います。

○村岡委員長 ほかにございますか。
 大変貴重な意見をたくさんいただきました。これは今後のことになるかと思いますが、今後どうするかということにつきまして、この委員会としてまた事務局の方針をお聞かせいただきたいと思いますけれども、全体を通して何か御意見はございますでしょうか。
 なければ次回以降に、もう一度今日いただきました意見をまとめた形で、例えばこの報告の素案ももう少し具体的な文章で、あるいはいろいろ修文の必要なところもありますが、そういったところも勘案していただいて、新たな素案をつくっていただくということにしたいと思います。
 ということで、一応この専門委員会の今日の討議の内容としてはあらかた御理解いただいたのではないかと思いますが、議題の4でその他ということになりますと、今後のスケジュールも決めましてどういうことになるでしょうか。

○熊谷補佐 資料3、資料6、いろいろ御議論いただきました。また、新たな観点もいただいているかと思いますので、今回の議論をまとめまして、次回は1つの資料にしてまだ御議論いただく場をつくらせていただければ。また、安全性評価の関係も今回いただい情報を含めて再度事務局のほうで勉強させていただいて、内容をまとめた形としてもう一度御議論いただくようなことで考えさせていただければと思います。その進め方、委員の皆様方の御意見もいただいた上で決めていただければと思います。
 スケジュールというか、次回に関しては事務局としてはそのようなことを今回の議論を踏まえまして考えさせていただいております。
 併せて、私どものほうほから「健全な水循環構築のための計画づくりに向けて」というので、情報提供がございますので、お時間をいただければと思います。

○村岡委員長 その前に今後のスケジュールのことで、この専門委員会で。多分これはまたパブリックコメントということになると思うんです。だから、次回パブリックコメントとして出すべき資料についても固めないといけないということになりますと、今度、答えが返ってきたときにもう1回開かなければいけない。そういうふうなスケジュールということでよろしいですか。

○熊谷補佐 よろしければ、次回パブリックコメントにかけるようなものの原案をもう一度議論させていただいて、ですから結論に向けた議論。今回のあと2回ぐらいでいかがかなと考えますけれども、よろしいでしょうか。

○村岡委員長 事務局はそういうふうなお考えですが、よろしゅうございますか。
 そうしますと、次回は今日のまとめとしての、もう一度精査をするということは、パブリックコメントの資料にもかかわっていくということが主な議題になると考えたいと思います。
 どうも失礼しました。それでは、安藤さん、どうぞ。

○水環境管理課長 では、私のほうから昨日公表いたしました「健全な水循環系構築のための計画づくりに向けて」ということで、その概要を紹介させていただきたいと思います。
 なお、本件につきましては環境省のホームページでも見られるようにすでに掲載をしているところでございます。
 2枚目を御覧いただきたいんですけれども、2の「検討経緯」というところにございますように、「健全な水循環系構築に向けて」ということで、平成10年8月に水に関係する省庁ということで現在5省ございますけれども、関係省庁の連絡会議というものを設置いたしまして、取り組みについていろいろ検討を行ってまいっているところでございます。
 平成11年10月には検討の中間まとめというようなことで、基本的な考え方、方向について整理、公表しているところでございますが、それ以降、2の(2)にございますような各種の調査も行ってきております。そういった成果も踏まえて今般、「健全な水循環系構築のための計画づくりに向けて」ということで、内容的にはそのあとページを振っていなくて恐縮でございますけれども、3枚目の紙の裏のほうですけれども、計画づくりに向けての構成ということで、基本的考え方、ツール、推進方策、事例ということで、各流域で計画づくりを進めていくための基本的な考え方なり手法なり、これまで取り組んできている事例といったものを紹介して、それらを参考に取り組みを促進していただこうというものでございまして、お手元の資料はこの計画づくりに向けてというものの概要でございます。
 本編自体は二百数十ページにわたるものでございまして、それらにつきましては現在、1ページ目にございますが、関係省庁連絡会議のホームページがございますが、そこに近日中に掲載予定ということでございまして、アドレスはそこの1枚目の下のほうに注意書きにあるようなところでございます。
 なお、この計画づくりにつきましては昨日公表いたしておりますが、1枚目の四角の中にございますように私ども環境省が実施しました手賀沼の関係の調査につきましては、その成果は千葉県が引き継いでおりまして、本年7月に千葉県のほうで手賀沼水循環回復行動計画といったものも策定されているところでございます。そういったものも紹介しております。
 それから、私ども環境省におきましては今後の取り組みとしまして関係省庁のも連携しつつ、流域ごとの計画策定が促進されるということで、基礎的な情報の整備とか普及啓発、地方公共団体との支援といったことに取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 簡単ですけれども、以上で説明を終わらせていただきます。

○村岡委員長 どうもありがとうございました。
 せっかくですから、何か御意見でもあれば。
 ございませんか。
 では、事務局からほかにその他はございませんか。
 ありませんか。
 それでは、今日の討議はこれで終わりたいと思いますが、次回に向けて多分事務局から各委員の先生方に、また細かい内容の問い合わせ等あるかもしれませんので、そのときには御協力方、よろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして本日の専門委員会を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

                     

午前11時47分閉会