中央環境審議会 水環境部会 総量削減専門委員会(9次)(第5回) 議事録

議事次第

1.開会

2.議題

(1)水質将来予測について

(2)第9次水質総量削減の在り方についての構成案

(3)その他

3.閉会

配付資料

  • 資料1 総量削減専門委員会委員名簿
  • 資料2 水質将来予測について
  • 資料3 第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告)構成案
  • 資料4 指定水域における水環境改善の必要性及び対策の在り方について(骨子案)
  • 資料5 前回委員会における指摘事項等への対応
  • 参考資料1 水質総量削減の実施状況
  • 参考資料2 指定水域における水環境の状況

議事録

午後3時00分 開会

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第5回総量削減専門委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。

 本日は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくいなど、不具合がございましたら、事務局までお電話、またはWEB会議のチャット機能にてお知らせください。

 なお、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいており、環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。

 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。

 なお、御発言の際は、お名前の横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言の意志はこのマークで確認いたします。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、御協力よろしくお願いいたします。

 本日の出席状況でございますが、委員16名中、14名の御出席をいただいております。

 なお、長田委員、吉住委員からは、御欠席との御連絡をいただいております。

 委員につきましては、お手元にお配りしております委員名簿をもって、御紹介に代えさせていただきます。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。事前に御案内のとおり、議事次第のほか、資料1が委員名簿、資料2が水質将来予測について、資料3が第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告)構成案、資料4が指定水域における水環境改善の必要性及び対策の在り方について(骨子案)、資料5が前回委員会における指摘事項等への対応となっております。

 また、参考資料として、参考資料1が水質総量削減の実施状況、参考資料2が指定水域における水環境の状況、となっております。

 以上が本日の資料でございます。

 なお、資料につきましては、WEB会議システムの資料共有機能により、事務局より画面に掲載いたします。事前にお送りしております資料は、必要に応じお手元で御参照願います。

 それでは、この後の議事の進行につきましては、岡田委員長にお願いしたいと思います。岡田委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 了解いたしました。

 委員の皆様方におかれましては、大変御多用の折、御出席いただき、誠にありがとうございます。

 本日は17時30分の終了を目処に議事を進めさせていただきます。よろしく御協力のほどをお願いいたします。

 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。

 最初の議題、水質将来予測について、となっております。第4回委員会での審議を踏まえて、水質将来予測を実施した結果をまとめたものでございますので、事務局から、資料2により御説明をお願いいたします。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名ございます。いつもお世話になっております。

 それでは早速ですが、本日の資料2を用いまして、水質将来予測について御説明させていただきます。

 また、最後のほうで、大分分厚いので別冊にしておりますが、水質将来予測についての資料編にも少し触れてまいりたいと思っております。

 それでは、水質将来予測についてです。

 前回、今、委員長からお話のありましたとおり、11月の第4回専門委員会におきまして、今回の予測で用います数値シミュレーションモデルについて御説明いたしました。詳細は割愛いたしますが、指定水域の全流域から海域へ流れる流入水量と汚濁負荷量について、別途、環境省業務にて国立環境研究所が作成したモデルを用いまして算定してございます。

 1-1が陸域汚濁負荷流出モデルということでございます。詳細は、前回御説明したものと一緒でございます。

 そして、次のページですが、1-2で海域モデルということで掲載してございます。

 次に、3ページでございますが、現況再現計算についてでございます。

 まず、2-1.現況再現計算の考え方についてでございます。こういったシミュレーションモデルによる予測を行う上で信頼性の鍵を握る現況再現についてですが、現況再現年次は第8次の水質総量削減の基準年である平成26年度を採用しておりまして、更に複数年での変動を確認するため、平成21~26年度までというのも対象にしております。

 また、再現計算の条件としましては、気象、流量、負荷量、境界条件を設定いたしまして、広域総合水質調査の結果と比較しまして、再現性の確認というものを行ってございます。

 次に、同じページの下、2-2でございます。比較の結果ということでございますが、水質の再現性を確認するに当たっては、広域総合水質調査の観測値を用いておりまして、この調査の測定頻度というのは、御承知の方も多いかもしれませんが、春・夏・秋・冬の年4回となってございます。東京湾、伊勢湾、瀬戸内海それぞれの観測地点については、4ページから4、5、6と続きますが、それぞれの海域にプロットしてございますので、説明中、適宜御参照いただければと思います。

 それでは、各海域、それぞれについての結果について御説明させていただきます。

 まず、7ページからでございますが、7~11ページが東京湾についてでございます。8ページ、水質項目ごとに再現性を整理しております。

 8ページを見ていただければと思います。まず、図の読み方でございますが、図の4(1)というところで、表層CODの比較と書いてございますが、これは更に上の段と下の段に赤と黒のグラフが上に、そして黒いグラフが下にありますが、まず上段についてですが、こちらは平成21~26年度の6か年の平均値とその変動の幅を整理したものです。赤色が計算値で、黒色が観測値、そしてエラーバーがそれぞれの期間の最大値及び最小値です。

 次にこの下段の黒いグラフですが、平成21~26年度の6年間の計算値/観測値ということの平均値を出しておりまして、エラーバーは標準偏差でございます。

 8ページの上の図表というのが、表層のCOD、下が底層のCOD、そして9ページの上が表層の全窒素、下が底層の全窒素、10ページの上が表層の全りん、下が底層の全りん、それから11ページが底層DOとなっております。

 8ページの下の底層のCODのところを少し見ていただければと思います。例えば、読み方の例としてですが、地点13、18、23など計算値のほうが高いというところが見られますが、こういう、それから表層では8ページのCOD、それから9ページの全窒素、10ページの全りんとも観測値がほぼ再現できているのではないかなと、傾向が見られるのではないかなと思っておりまして、これらのグラフから東京湾の水質の特徴を概ね表現できているのではないかと事務局としては考えているところです。

 また、11ページの底層DOに関してですが、東京湾の湾奥部の千葉県側、地点でいいますと8番、9番、30番などで、計算値の貧酸素化がやや強い傾向が出ているわけですが、地点による夏季の平均濃度の違いは再現できていると思っておりまして、全体としてはこちらも東京湾の特徴を表現できているのではないかと考えております。

 12~16ページが伊勢湾でございます。掲載項目と図表の表現ぶり、読み方といったものは東京湾と同じでございます。

 13ページ上の表層CODについてですが、地点4、8、11、15、18、23、それから三河湾は全体的に計算値のほうが低く出ているという状況でございます。

 14ページの全窒素、それから15ページの全りんは、比較的きれいに再現できてるのかなと考えております。

 16ページですが、底層DOは地点6、4、8で計算値が低い傾向が出ていますが、伊勢湾全体としては、地点による夏の平均濃度の違いが再現できていて、伊勢湾の特徴が表現できているのではないかと考えています。

 17~24ページまでが大阪湾を含めた瀬戸内海の図でございます。

 18ページ、表層CODでは、地点2ですとか、その隣の、数値は振っていませんが、地点番号でいう5番、11番、23番といった大阪湾の湾奥の地点や、周防灘で計算値が観測値よりもやや低い傾向がありまして、また19ページの底層CODでは大阪湾の湾奥域の計算値がやや高い傾向となってございます。

 20、21ページの全窒素、それから22、23ページの全りんについては、大阪湾の湾奥など一部を除いて概ね計算値と観測値が一致しているという傾向が見てとれます。

 24ページの底層DOについてですが、大阪湾の湾奥、それから広島湾の湾奥で濃度が大きく低下する傾向が再現できていると考えております。

 続いて、25ページでございます。3.将来予測計算ということでございまして、将来予測年次には第8次水質総量削減の目標年度である令和元年度の更にその5年後、令和6年度としています。予測を行ったケースについては、記載のとおりでございますが、読み上げたいと思いますが、現況ケースといたしまして、平成26年度を基本とし、計算期間は平成21~27年の7年間、将来ケース①、線形トレンドで負荷削減が進んだケース、これは令和6年度の負荷削減を想定しています。

 将来ケース②番、こちらは将来ケース①に対して、CODの負荷削減のみを考慮したケースでございます。

 将来ケース③でございますが、こちらは、逆に将来ケース①に対して、窒素・りんの負荷削減のみを考慮したケース。

 将来ケース④、これは、将来ケース①に対して、生活系の負荷削減のみを考慮、ここでは、CODも窒素もりんも削減したケースとしております。

 将来ケース⑤でございます。これは、比較対象用ということではありますが、面源負荷のみを考慮し、点源負荷を0にしたケースとして、計6個のケースを実施いたしました。

 3-2.将来負荷量の設定についてです。平成16~26年度までの発生負荷量調査をもとに、線形のトレンドを算出いたしまして、令和6年度の発生負荷量を推定し、モデルに設定しております。東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の将来負荷量は、それぞれ26、27、28ページの図のとおり推計しております。

 29ページでございます。環境基準点における環境基準値との比較ということでございまして、ここの①~③番の手順で推計いたしました将来ケースにおける各海域の環境基準点において、予測された将来水質濃度について環境基準値との比較を行っております。

 結果は、次の30ページからの表1~9です。なお、ここの30ページからの表の中での丸、バツというのは、個別の環境基準点に環境基準値との適合状態を表しておりまして、水域における環境基準の達成状況とは異なることについて御留意ください。

 項目ごとに細かく載せていますので結構多くなってしまいますが、続きまして、46ページでございます。環境基準の達成状況についてでございます。

 先ほど3-3で整理いたしました各環境基準点での予測濃度に対して、各水域での達成状況を評価し、海域全体での達成率を算定しております。

 その結果は、47ページに示しておりまして、少し読みづらいところもあるかもしれません。青文字で表記しているところが、現況ケースに比べまして達成率が上昇したことを表しております。

 個別に申し上げますと、まずCOD、全窒素、全りん、それを線形トレンドで削減したケース①についてですが、東京湾では全りんの環境基準の達成率が上がっています。これは、伊勢湾についても同様です。大阪湾については変わっていませんが、大阪湾を除く瀬戸内海はCOD、全窒素で僅かに上がっています。CODは現状と同じとしまして、全窒素、全りんのみを削減したケース③についてですが、東京湾はCOD濃度の低下が見られる状況です。だからといって、全窒素、全りんを削減すべきだと短絡的に申し上げたいわけでは全くなく、ここでは、取り上げている趣旨といたしましては、窒素、りんの負荷削減はシミュレーション結果上からもCODの水質改善に一定程度効果があるといったところが示唆されるという状況を御説明しようということでございます。こちらは、伊勢湾でも同様でございます。

 48ページでございます。3-5ということで、類型指定水域ごとの平均水質の変化でございます。各海域における類型指定水域ごとの各水質濃度を予測ケースごとに整理しております。なお、底層DOについては、類型指定がなされていないということから、便宜上ですが、CODの類型指定をはめた形で整理しております。

 48ページからが東京湾、50ページからが伊勢湾、52ページからが瀬戸内海、それぞれの類型指定水域ごとの水質項目の比較表を掲載しております。

 先ほどの47ページの環境基準の達成率の変化がないところであっても、例えば大阪湾などでは水質濃度の低下が見られる状況というのが確認できます。

 次に、54ページからですが、54ページからの3-6.各水質項目の濃度分布及び濃度変化分布についてでございます。

 まず、東京湾からですが、今回の再現ケース、それからケース①~⑤までの6パターンについて、55~62ページでそれぞれの項目ごとにまとめております。その上で、シミュレーション結果を用いまして、63ページからですが、63ページではCOD、64ページでは全窒素、65ページでは全りん、66ページでは底層DOということで、それぞれにつきまして、少し簡単な分析をしておりまして、まず、ケース①と現況の差というのから、生活系負荷と産業系負荷、両方を削減した場合の効果というものを算定していまして、次に、ケース④と現況の差から、生活系負荷のみを削減した場合の効果というものを算定しております。それからケース①とケース④の差から、産業系負荷のみを削減した場合といったものの効果を推計しているということを行っています。

63ページを見ていただきますと、東京湾においては、生活系の負荷削減による水質改善効果が、これは右上の「ケース④-現況ケース」というものが載っていますが、それが産業系の負荷削減、こちらは「ケース①-ケース④」という左下のものですが、これと比べますと、生活系からの負荷のほうが大きな割合を占めているということが示されておりまして、更なるCODの数値の改善のためには生活系での削減対策というのが有効だということが示唆されていると考えます。

 次に、67ページからが伊勢湾でございます。ここも東京湾と同様の処理を行っておりまして、分析の傾向としましては、76ページでございますが、76ページの左上が産業系と生活系の両方を削減した場合の効果、右上が生活系のみを削減した場合の効果、左下がそれぞれの差から産業系のみの効果を推計したものとなっておりまして、ここからも生活系の負荷削減による水質改善効果としましては、産業系と比べまして、やはり生活系のほうが大きな割合を占めているんだなということが示唆されるという結果が出ております。

 80ページからが瀬戸内海でございます。シミュレーションの都合上、大阪湾を分けた表記にはなっていないのですが、ここでも東京湾と伊勢湾の同様の処理を行っております。全体的に結構白いところが多くなっているかなと、東京湾、伊勢湾に比べてという印象がございます。

 資料2の説明は以上ですが、続きまして、少々資料2の資料編について触れたいと思います。

 前回、会議の中で江口委員から将来予測につきまして主要河川でのモニタリングとの検証はできるのかと、そういった御指摘がございました。資料編の45ページ以降、少し膨大になるものですから、資料2本体には入れなかったのですが、45ページからが河川での観測値との計算値の比較表ということになってございます。

 それから、古米委員から予測ケース①と②で窒素、りんを維持するか、削減するかに対する水質への影響を見るのに分かりやすいと思うので、ということでリクエストがありまして、資料編の120ページからのところで、まず、120ページからのところが流入負荷量と水質濃度の図というものを用意しまして、それから123ページからが物質の収支図というものを掲載してございます。

 資料2の説明につきましては、以上でございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関する御意見、御質問等がございましたら、お願いいたします。先ほどお願いしたように、挙手ボタンをクリックしていただければと思います。

 平沢泉先生、最初に挙がりましたので、どうぞ。

【平沢委員】 すみません、久しぶりに参加でどうも御迷惑かけます。

 まず、一番最後に説明したところの削減した場合、しない場合とあったのですが、あれはそれぞれどの程度、全部削減した場合でしょうか。その辺が私、よく分からなかったのですが。将来シミュレーションでN、Pを削減した場合、CODを削減した場合という、いろいろやられたと思いますが、その削減というのは全部ととっていいのでしょうか。

【岡田委員長】 事務局どうぞ。

【浜名室長補佐】 すみません、お答えいたします。

 ゼロということではなく、線形トレンドの範囲で削減したということになっておりますが。

【平沢委員】 それはどういう意味でしょうか、線形トレンドというのは。今の状態と、例えば何割削減とかという計算ですか。

【浜名室長補佐】 資料の26ページを御覧いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

【平沢委員】 分かりました。この面での削減のプロファイルで直線的に下げた場合という話ですね。

【浜名室長補佐】 はい、左様でございます。

【平沢委員】 よく分かりました。

 それで次の質問ですが、よろしいでしょうか。

【岡田委員長】 どうぞ。

【平沢委員】 こういうシミュレーションの場合は、現況解析が大事だということで、前段の5年ぐらいでしたか、21年か26年のデータを使って、ほぼ相関がいいということで予測をしているのですが、その21年、26年の現況をうまく表現できるなら、もう少し過去のほうまで、できる範囲で削減効果が非常に見られたときの解析も、以前も言ったのですが、ぜひこれからはトライしてほしいなと思いました。

【浜名室長補佐】 よろしいでしょうか。

【岡田委員長】 はい、どうぞ。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名でございます。

 平沢先生から第4回の会議の後に、今、お話のあった御指摘はメールでも事務局側に頂戴いたしておりまして、個別にも、メールでも御説明を差し上げたのですが、やり取りといたしまして、この場で御紹介させていただければと思います。我々としてもある程度再現性があるということであれば、過去からもきちんとできたらいいなというのはもちろん思っていることではありますが、確かにそれは有益だとは思っていますが、やはり一方で、今回、陸域からの条件というのが大変精緻に入れると、これはスーパーコンピューターを使ったからできたわけですが、やるということでやったのですが、今回のようにモデルの精緻化を図れば図るほど、逆に過去に同質のデータを溯って用意するということがなかなか難しいという事情もございまして、モデルの入力に耐え得る過去の詳細条件というのがなかなかなというのが問題点としてあります。

 あと、例えば一部の海域とかで入手可能な海域が仮にあったとしてもですが、少し今回の作業の膨大さをスーパーコンピューターでカバーしただけですので。

【平沢委員】 それは分かります。

【浜名室長補佐】 事情もございますので、少し難しいかなと思っていまして、ただ我々としても課題として難しかったのはそうですが、課題があるというのはよく分かっていますので、実は5年前の第8次の専門委員会の場でも同じような御指摘をいただいているところでございますので、引き続き、そういった問題点の、問題点というか課題の解決にはトライしてまいりたいとは思っているんです。少し歯切れが悪くて大変申し訳ないのですが。

【平沢委員】 歯切れは悪くないです。大変だと思いますが、やはりかなり削減しているのに、濃度が下がってこないという懸念が随分あったので、長期期間にわたって。やはり、そこはやはりクリアしておかないとなかなか次に進みにくいなと、私は考えていましたので、こういう意見を述べさせていただきました。

 それと、もう一点、よろしいでしょうか。後は簡単です。

【岡田委員長】 はい、どうぞ。

【平沢委員】 相関係数、現状解析の中で値が高い側がずれが多いのですが、これは何か理由があるんでしょうか。乗っているのもあるんですけど、割と高めのところがずれているなと思う。相関係数もこういう計算ですから、大変だと思いますが、いま一つかなと、私は思っているのですが。

【浜名室長補佐】 例えば、どのページ辺りを今御覧になっておっしゃっているのか教えていただいても大丈夫ですか。

【平沢委員】 今のページでもいいのですが、このページの上です。大体低い側は乗っていますが、下に下振れしていますよね、データが。そこはそのまま全部乗っているとは言えないですよね。

【浜名室長補佐】 何ページでしょうか。

【平沢委員】 今出ているページです。

【浜名室長補佐】 今画面上に掲載しているのは9ページでございます。

【平沢委員】 そうです。これはT-Nとか、ほかのもちょっとあったと思うのですが、あと、DOなんかもかなりぶれているような気がします。だから、あまりうまく合っていないのではないかなと思うんですが。それは意見です。これを合わせるのは大変だと思いますので、分かりますが、その辺をもう少し、何か理由があれば教えてほしい。

【浜名室長補佐】 東京湾のところ、特にということで、今御指摘いただいたと思います。実は、先ほど申し上げました今回のモデルですが、我々の別業務で瀬戸内海の水質の予測というのをベースにつくったモデルを基に作業をしていまして、もしかしたらですが、東京湾と瀬戸内海の大きな違いとしまして、大きな河川がどれだけあるかというのが結構違っているというのがあるので。

【平沢委員】 そうですね。そういうことですね。

【浜名室長補佐】 もしかしたらそこら辺があるのかなとは思いますが、少し詳しい分析まではできてない現状があります。

【平沢委員】 私も陸域じゃないかと思ったので、分かりました。どうもありがとうございます。以上です。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 ほか、少しお待ちください。手が挙がっているのは、古米先生、どうぞ。

【古米委員】 古米です。

 今回、資料の2の資料編で、計算結果を水面積当たりの負荷量と平均濃度という図を作っていただいたり、物質収支の図が出てきて、非常に魅力的です。確認として、資料2の資料編の121ページに出ているプロットですが、CODのケースでは、東京湾で一番右側に二つプロットがあって、全部で六つのプロットがあります。これは、現況の状態と①~⑤の将来シナリオのプロットが出ているというように理解しました。

 したがって、一番右の二つあるというのは、現況のプロットとN-Pのみを削減したというシナリオ③が縦に並んでいると思います。COD負荷の削減量に応じて左のほうにプロットは移動していて、左のほうに緑と青と赤とオレンジが四つ並んでいます。例えば、面源だけにしたといったような、生活系と産業系をゼロにしたときの自然汚濁負荷だけのプロットがここにあると思います。そうすると、点源をなくしたベースになる条件においてここら辺の水質になるということが表れていると考えます。伊勢湾の場合には、基本的に水質は高止まりをしていますが、他の水域ではプロットはそれなりに左下がりに並んでいるように、CODについては見えます。あと、T-N、T-Pについても若干トレンドとはずれているようなプロットがあったりします。今見たばかりなので、詳細は分かりませんが、プロットの傾向などを少し解釈して整理できると魅力的かなと思いました。

 もう一つは、物質収支の絵を先ほど紹介いただいて見たのですが、一番最後に瀬戸内海という収支図が135ページから瀬戸内海というのがあるのですが、これは大阪湾を除いた結果でしょうか。それとも、大阪湾を含んだものでしょうか。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名です。よろしいでしょうか。

【岡田委員長】 はい、どうぞ。

【浜名室長補佐】 ここは、モデルの計算上、大阪湾を分けていない計算をしているので、ここの計算は大阪湾を含めた瀬戸内海となっております。

【古米委員】 だけど、その前には大阪湾だけの物質収支図はありますよ。

【浜名室長補佐】 そうですね。

【古米委員】 だから、大阪湾だけを取り出していただけると、非常に魅力的です。そして、収支計算における各負荷量の定義を明確にしていただくとよいかと思います。大阪湾では結構大きな負荷量がありそうなので、瀬戸内海の中で大阪湾だけでどう影響しているのかなと思いました。

 基本的に全てのシナリオ計算で、外洋からCOD、T-N、T-Pが入ってきているかを見てあげると、りんのほうが外洋から入りやすくなっていることが分かります。その次が窒素で、CODでは外洋の影響は少ないみたいなことが分かります。面源だけの負荷を与えたシナリオ計算を除くと、ほとんど外洋へ出る状況になるのですが、りんの場合には他の削減シナリオでも外洋から入るような事例が出てくる。この収支計算のデータをしっかり見ることが大事と思います。非常に魅力的な収支の図になっているかなと思いました。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

【浜名室長補佐】 すみません、補足がありますが、よろしいでしょうか。

 今、ここの部分、大阪湾込みの瀬戸内海と申し上げたのですが、内部でもう一度確認した上でより正確なお答えを差し上げたいと思います。今、もっとよく見てみたいとおっしゃっていただきましたので、できるだけ早めに確認して、すぐ御連絡するように差し上げたいと思います。すみません。

【古米委員】 ありがとうございます。

【岡田委員長】 よろしいですか。

 それでは、では、風間先生、どうぞ。

【風間委員】 すみません、今の古米先生の質問と同じでしたので、結構です。ありがとうございます。

【岡田委員長】 そうですか。

 では、次は小川先生、手が挙がっているようですが。

【小川委員】 すみません、資料2の93ページについてですが、毎年白書を見ますと、どうしても総量規制区域、生活系が非常にやり玉に挙げられるということで、それで東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海について、毎年3省、国交省、農林省、環境省で示されます汚水処理人口普及率、これと少し比較をしましたら、東京湾に関しては、東京、神奈川は90%をもう遙かに超えた達成率になっているのですが、千葉県が非常に低いという、従って雑排水が未処理で放流されているという、それがやはりもろに影響してきて、将来シミュレーション結果でもそれが反映されているのかなと感じました。

 それから、大阪湾では、一部の水域において栄養塩類の不足が進む可能性が示されたということですが、実は大阪府は合併処理浄化槽については他の地域と違いまして、あえて窒素除去型でないと駄目だという条例を出していますから、何か、ようやくその効果が現れてきたのかなと思います。地元住民からはわざわざコストの高い浄化槽を設置するということで大分反感は買っていたのですが、むしろ窒素、りんの濃度の低下には結びついたということで、今後、量を調整していくという上においては、その方面の調整も必要かなと思いました。

 質問というよりは、コメントに近いものです。以上です。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。これは、事務局が後で、この予測結果等のデータを考える上で、大変参考になりますので、活用していただければと思います。ありがとうございました。

 次に、江口先生、どうぞ。

【江口委員】 ありがとうございます。

 河川レベル、各流域レベルでのモデルとデータとの検証結果を載せていただきまして、非常によく合っているなと、私は感じています。

 それで、2点ほど質問ですが、一つは、前回の会議のときにも私から少し質問してお答えいただいてはいるのですが、例えば農業における化学肥料が長期的に削減されたり、あるいは今後将来予測をするときに農業、畜産業のほうで窒素の排出量をこれだけ減らしたら、では、河川の水質はどうなって、東京湾の水質はどうなるかといったようなシナリオ分析をするときに、前回の会議でのお答えですと、原単位は変えないと、一定値を使うというお話だったと理解していますが、そうしますと、農業の側で、例えば化学肥料をこれだけ減らしましたというときに、では、どうやったらそれを水質改善にどれぐらい影響するかというのをこのモデルで予測できるのかなというところに少し懸念があります。これが1点目です。

 もう一つは、これはモデルの一般的なキャリブレーションと検証の仕方のステップのやり方ですが、一般的には、例えば今回約6年間のモニタリングデータとモデルのシミュレーション結果の比較を見せていただいていますが、一般的な水質モデルのキャリブレーションと検証の仕方は、例えば最初の3年間でモデルのパラメータのキャリブレーションをして、残りの3年間はそれをせずに、全く最初の3年間でキャリブレーションしたパラメータを使って残りの3年間をきちんとそれなりのレベルで予測できるのかというのを検証する、キャリブレーションの期間とバリデーションの期間というのを別々に設定することが一般的だと思いますが、できればそういったアプローチで統計的な指標を使ってこれだけありますと。例えば全窒素はこれぐらい、全りんだとこのぐらい、CODだとこのぐらいと、こういった点ではモデルは予測精度は悪いが、こういった点では非常に高い予測精度があるとかという、そのモデルの特徴を把握する上でも、そういったものを出していただけると今後議論もしやすいのかなと思います。よろしくお願いします。

【岡田委員長】 御指摘ありがとうございます。事務局、どうぞ。

【行木室長】 御指摘ありがとうございました。後段のところなど、モデルに詳しい方に、少し補足もいただけると有難いかなと思っておりますが、まず、その前段の農業のあたりの点について、回答させていただきたいと思います。

 今の御指摘のところは、面源負荷の把握をより適切にしっかりしていくべきということとも関わりのある、かねてからいろんな先生方からも御指摘をいただいていたところでございます。

 今回使用しておりますこのモデルの中では、陸域の計算格子ごとに土地利用に応じて汚濁物質の流出量や濃度のパラメータを設定していて、降雨によって各計算格子から発生する汚濁負荷量を算定するという形を取っております。パラメータは既存研究の値を基に設定をしているということで、過去、これは8次の際とはやり方が異なっておりまして、今回はこのような形にしております。これまでの値として決まった原単位をそのまま使っているという形ではございません。

 ですので、この農業等がいろいろ変化をしていく中、面源からの負荷がどうなっていくのかというあたり、まだ科学的に把握が十分されている段階ではないと思いますが、今使っているモデルでは、今分かっている範囲では新しい知見を基に、より現状に近いものを反映できるような形にはしているところでございます。

 今お話いただいたようなことも、今後更に精緻化をしていくということは課題だと思っておりまして、前回とか、その前の議論の中でも、気候変動で雨の降り方も変わってきていて、そうすると負荷量として水域に入ってくる量なども変わってきているのではないかという御指摘も出ていたところでございました。

 そういったあたりも、まだ変わってきているということは見えつつあるという段階であり、具体的に、定量的にどう変わってきているのかというのが、分かっている段階ではまだないと理解しておりまして、そういった知見の充実も含め、この先、よりその精緻に把握できるように努めてまいりたいと考えております。

 事務局から以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。モデルの詳細については、東先生、入っておられると思いますが、補足をしていただけますか。

【東委員】 東です。

 今、事務局から御説明があったとおりでございまして、今現状では土地利用の内部の循環を解いていないので、化学肥料とか畜産業からの排出量の変化に対する流出への影響の直接的な予測はできないということになります。ただ、流出量のほうで、もし何か「こういう循環型の農業をやったから流出量がこれだけ減った」というような知見があれば、それを流出のパラメータに反映することは可能です。何か、農地のほうで循環が変わっているなど、知見がございましたら、モデルに今後適宜反映していきたいと考えております。

 あと、もう一つ、モデルのキャリブレーションの件ですが、まさしく御助言いただいたとおりのことを今後努めてまいりたいと思います。ただ、今回の件は、事務局から御説明がありましたように、瀬戸内海で調整したものを東京湾と伊勢湾に展開・微調整し、陸域も含めて、調整パラメータは全て同じものを与えて進めております。このような過程を経たことで、モデルの特性とか、海域の特性とか、誤差の特性など、色々と見えてきたのではないかと考えているところでございます。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございます。ということで、江口先生、よろしいですか。

【江口委員】 すみません、御回答ありがとうございました。

 一つ目の質問につきましては、少なくとも国レベルでは化学肥料の使用量が大きく削減されているという実態が統計データからも明らかになっていますので、そういったあたりを、例えば、この流域によってもしかしたらその化学肥料の減り具合というのは全然違う可能性もあるとは思いますが、例えば国レベルで何割減っているという統計データがあるのであれば、では、東京湾の流域でそれを適用したらこれは水質の計算結果にどのぐらい影響するのかなといったものを見せていただけると、大して効かないんだなとか、結構効くんだなとかというのが分かると思いますので、そういったところを、もし今後考慮いただけると有難いなと思います。

 以上です。ありがとうございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。今後の政策にも関わる重要な御指摘ですので、事務局で、また今後の運用時に御検討いただければと思います。

 それでは、田中先生、手が挙がっているかと思いますが、どうぞ。

【田中委員】 どうもありがとうございます。

 僕も2点です。1点は、今の点にも少し関わってくるのですが、雨のときに結局流出してくるものがどうかということで、今回参考資料で河川の計算値と、それから実測と思われる負荷量の比較をいただいて、幾つか見えるんですけども、肝心の流量が増えたときの、やはり測定というのが、これまでのところ、結局ピーク付近の比べる値が、結局今のこの測定をやっている限りでは出てこないという理解でいいですね、ということを少し聞きたいということです。もしそうだとしたら、全て捉えるのは無理にしてもこの中のピークの幾つかぐらいは、これから本当にそれぐらいの負荷量が入ってきているのかどうかというような測定の計画というのか、それをやる必要はないのかということです。それが1点です。

 もう一点は、シミュレーションの比較、実測の平均的な数字と、それから予測値が、まあまあ、ある程度の値としては合い始めているということは分かってきたわけですが、やはり少しずれているのが、ばらつきがあるのが、底層DOの数字だと思うんです。東京湾では湾奥付近の低いところでどうもかなりずれているというお話があったのですが、やはり伊勢湾もよく見ると、低いほうから少し中程度ぐらいのところにずれがあったり、それから大阪湾のほうでは、瀬戸内まで一緒に多分入っているから、係数は高いところが引っ張っているのでよく合っているように見えるのですが、恐らく大阪湾付近を見ると、結構低いところでばらつきが大きいので、湾奥付近がやっぱりばらつきがなかなかまだ合っていないんだろうと。そうすると、総量規制で何をこれから目標にしてやっていくかというときに、CODと、それからT-N、T-Pの水域の情報のモデルとしては、まあまあ合っているが、もし底層DOがどこら辺ぐらいまでコントロールする必要があるかということの議論には、まだまだ課題があるのではないかと。今回、底層DOを何かコントロールするために総量規制というところまでいかないと思いますが、そういう部分についての今後の検討をやはり、今回の総量規制は間に合わないとしたら、以降の総量規制で、そこの部分も含めて、測定の計画、それからモデルの改良、こういうところもやはりやるべきなのではないかなという、少し気がしました。

 この2点です。

【岡田委員長】 御指摘ありがとうございます。事務局、どうぞ。

【行木室長】 閉鎖性海域対策室の行木です。御指摘ありがとうございました。

 全くもって御指摘のとおりと思っておりまして、最初の点につきましても、現状では流量が非常に大きいときの流入負荷についてしっかり把握できるかというと、そうではないということで、仰せのとおり今後の課題と認識しております。

 それから、後段のばらつき、特に底層DOでのばらつきの関連のお話も、御指摘のとおりです。今、その第9次の総量削減の在り方を検討する中では、これまで総量削減の対象としているCOD、窒素、りんを中心に考えるということになりますので、その上では問題のない再現性ではないかと、私どもは考えております。一方、これまで先生方から御指摘がございましたとおり、いろいろ水環境も変わってきている中で、この先もこのような形の制度が適切なのかということを考えなければいけないということもあろうかと思います。底層DOにつきましても、環境基準ができまして、類型指定もこれからなされていくと、なされようとしているところに入ってまいりました。ということで、この先知見として充実してくるものも増えてまいりますし、その知見も踏まえ、今の水環境に合った仕組みということも考えていかなければならないと思っております。

 今回御検討いただいていることは、総量制度というものの中で第9次目をどうするかということですが、今御指摘いただいたように、この先は、今の延長線ではないことも必要になってくるかと、私どもとしても思っておりまして、御指摘を踏まえまして今後の課題としてしっかり検討してまいりたいと思います。

 以上です。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 ほかにございますか。ほかに手は挙がっていないようですので、今、いろいろモデルの精度、それからモデルの運用について、いろいろ御指摘、御要望をいただきまして、ありがとうございました。

 今、事務局からお答えのあったように、今のような御指摘を今後のモデルの改良、それから運用に生かしていただけたら有難いと思います。よろしいですか。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。

 二つ目の議題、第9次水質総量削減の在り方についての構成案でございます。事務局から資料3によって御説明をお願いいたします。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名でございます。

 第9次水質総量削減の在り方についての構成案ということですが、構成案と併せまして、資料4の骨子もセットで御説明を差し上げたほうがイメージが湧きやすいかと思いますので、そのようにさせていただければと思ってございます。

 まず、資料3ですが、構成のスタイル、第1~4節までという構造は、現行の第8次の総量削減のものと同じでございます。

 第1節で、水質総量削減の実施状況ということで項を設けておりまして、第2節で指定水域における水環境の状況、それから第3節で指定水域における水環境に係る分析としまして、こちら先ほど御説明を差し上げたようなシミュレーションの結果ですとか、そういったものが入ってまいります。第4節が、後ほど資料4で御説明いたします在り方の骨格になってくる部分、一番大事なところになってくるものでございます。

 まず、節を四つということで申し上げましたが、まず、第1節ですが、小項目としまして四つ入っておりまして、水質総量削減制度の概要ですとか、汚濁負荷量の状況、それから汚濁負荷削減対策の実施状況、汚濁負荷削減以外の対策の実施状況ということで、こちらは第1回の際に、我々から資料の御説明を差し上げ、またヒアリングにおいて関係都府県の皆様ですとか、企業、団体の方々とか、そういった方々からいただいた御説明も併せまして、資料を作成することになっておりまして、本日は、参考資料1としまして、これまで御説明したものをベースにしつつ、そういったヒアリングの際に得られた情報も組み込んだものをここに入れていきたいということでおります。今日つけております参考資料1が、ここにはまってくるようなイメージで考えております。

 第2節でございますが、こちらも資料の中に参考資料2を基に作成と書いておりますが、項目として6個入っておりまして、水質濃度の状況、環境基準の達成状況、障害の状況、障害というのは赤潮ですとか、貧酸素水塊、そういったものでございます。それから四つ目のこの水産資源の状況というのは、第8次に答申にはなかった項目ですが、昨今、栄養塩と水産資源の関係というのは瀬戸内海のみならず、伊勢湾、東京湾でもヒアリングの際に御指摘があったところでございますし、また委員会の場でも漁獲量の推計、推計ではないですね、漁獲量のデータをお示しいただきたいといった御要望もございました。せっかく集めた資料ですので、水産資源と漁獲量というのは必ずしも同じなわけではないのですが、参考になるデータでございますので、そういったものを掲載していこうと考えております。

 次が、藻場・干潟の状況ということでございます。こちらは、第8次のときにもあったものです。

 次に、6個目ですが、これは新しいものですが、底質・底生生物の状況ということでございまして、第1回の際に東京湾、伊勢湾、瀬戸内海それぞれにおいて、底質と底生生物の状況も御説明しておりまして、そういったものを中心に掲載することになるというイメージでございます。

 こちら、先ほど申し上げましたが、参考資料2をベースに作成してくという形を考えてございます。

 続きまして、3節目ですが、指定水域における水環境に係る分析ということで、この資料にございますが、前回の資料の資料3、資料5というもので、汚濁メカニズムというものを御説明させていただいたのですが、そちらを紹介するのが1項目で、藻場・干潟の機能というのも今回の資料5ですね、説明させていただきましたものをベースにしようと思っております。

 それから、3項目の水質将来予測の話は、先ほど資料2を用いまして御説明いたしました内容を、幾分ブラッシュアップした形で掲載させていただくことを考えてございます。

 4節ですが、第9次の総量削減の在り方についてということですが、こちらは項目としては3点ございまして、指定水域における水環境改善の必要性ということで、これまでの第1~3節を踏まえまして、必要性について整理をいたしまして、2項目の対策の在り方について記載をし、今回だけでは受け切れなかった内容について、今後の課題ということで、更に整理させていただくという構造を考えております。

 資料4について、ここの考え方を詳細、御説明を差し上げたいと思います。

 資料4ですが、指定水域における水環境改善の必要性及び対策の在り方ということで、今回、骨子案としておりますが、まず1.指定水域における水環境の現状と改善の必要性ということで整理しました。先ほどのシミュレーション予測の結果等も踏まえましてということではありますが、まず項目として前提的なものを五つ置いております。順番に読み上げます。

 指定水域では、全般的に有機汚濁の濃度レベルは低下してきているが、湾奥等、一部水域に汚濁が偏在し貧酸素水塊の発生等の問題がある。

 二つ目、窒素及びりんについては、第5次水質総量削減において、指定項目に追加され削減が図られてきたところであるが、環境基準の達成率は全ての指定水域において高い水準を確保。また、窒素及びりんは植物プランクトン等を基盤とする生態系の維持に必要な栄養成分であるが、水域によっては栄養塩類濃度が低いことによる水産資源への影響が懸念されている。

 三つ目、CODについては環境基準の達成率は依然として低い水域が多い。これには様々な要因が関わっていると考えられるが、原因が明らかになっていないのが現状。

 四つ目、なお、気候変動の影響等も相まって規制導入時とは水環境の状況が異なることが指摘されている。

 五つ目、平成28年には生物の生息等に対する直接的な影響を判断できる指標である底層DOの環境基準が新たに定められたところ。今後、更に知見を充実させるとともに、指定水域全体の水質を対象とした汚濁負荷の総量の規制から、生物の生息環境も併せた水環境管理の視点の検討が必要、と記載しております。

 次に、個別の水域ごとについて御説明いたします。

 東京湾についての分析、分析というか評価ですが、窒素及びりんの環境基準達成率は向上したものの、引き続き、CODの濃度レベルは横ばいである。また、大規模な貧酸素水塊も発生し、底層環境には明確な改善の傾向が見られない、と我々、現時点では認識しております。答申を書く段階におきましては、これを踏まえて今後の方向性について記載される予定でございます。

 続きまして、(2)番で伊勢湾でございますが、伊勢湾についても東京湾と基本的には文字にしてしまいますと、状況は違いますが、文字にしてしまいますと現状では同じような表現になってしまうという形にはなります。

 大阪湾についてです、(3)番。窒素及びりんは、環境基準が達成された状況が続いており、CODの濃度レベルはやや低下傾向が見られる。引き続き、湾奥部において大規模な貧酸素水塊が発生している一方で、底質や底生生物の生息状況が改善するなど底層環境の改善傾向が見られる。

 次のページ、(4)番ですが、大阪湾を除く瀬戸内海についてですが、第6次より、各項目ともその時点のレベル以上の削減は求めていないものの、窒素及びりんの環境基準は、ほぼ達成された状況が続いており、CODの濃度レベルもこれまでの水準が維持されているとしてございます。

 2.対策の在り方でございます。まず、前提的なもので二項目、御用意いたしました。

 これまで8次にわたる水質総量削減において、陸域からの汚濁負荷の削減を始めとした取組により、水環境の改善が進められてきた。全般的な水質は改善されたものの、湾奥等局所的に水質汚濁が依然問題となる水域もある。また、近年では、栄養塩類の不足による水産資源などへの影響が指摘されている状況が発生。

 二つ目、瀬戸内海については、令和2年3月の中央環境審議会答申において、湾・灘ごと、更には特定の水域ごとの実情に応じた対策が必要とされ、また、地域の合意による栄養塩類の管理の手続きのルール化が一つの方策として示されたところ、と記載してございます。

 続きまして、(1)番で、汚濁負荷削減対策及びその他の対策ということにしてまとめました。

 ①番、東京湾でございます。第9次水質総量削減における削減目標量の設定に当たって、従来の工場・事業場の排水対策など各種施策を継続して実施しながら、特に生活排水対策に力点を置いて、効率的に汚濁負荷量を削減。こちら、先ほど御説明いたしましたとおり、東京湾については特に生活系の影響が大きいのではないかということが示唆されましたので、このように記載してございます。

 伊勢湾についてです。②番、第9次水質総量削減における削減目標量の設定に当たって、従来の工場・事業場の排水対策など各種施策を継続して実施しながら、生活排水対策に力点を置いて、効率的に汚濁負荷量を削減。

 ③番、大阪湾でございます。生活排水対策及び従来の工場・事業場の排水対策など各種施策の継続実施が必要。湾奥など一部の水域において貧酸素水塊などの問題が発生しているが、これに対する汚濁負荷削減による改善効果は限定的であることから、その他の対策を局所的に講じていくことが妥当、と書いてございます。

 ④番、大阪湾を除く瀬戸内海でございますが、従来の工場・事業場の排水対策など各種施策の継続実施が必要。また、生物多様性・生物生産性の確保の重要性に鑑み、地域における水域利用の実情を踏まえ、必要に応じ、順応的かつ機動的な栄養塩類の管理等を、特定の水域ごとのきめ細やかな水質管理を行うことが妥当と。

 そうしまして、⑤番として、全ての水域に対してのことでございますが、藻場・干潟の保全・再生等を通じた水質浄化及び生物多様性・生物生産性の確保等の重要性に鑑み、地域の実情を踏まえた各種取組の確実な推進が必要。とりわけ、湾奥部における栄養塩類の偏在等、局所的な問題に対しては、個々の場の特性も考慮した、局所的対策を講じることが有効、とまとめております。

 続きまして、目標年度でございますが、こちら、これまで水質総量削減の取組は、各回、5年を目処に行ってまいりまして、今回も第9次水質総量削減の目標年度は、5年後の、第8次が令和元年を目標年度にしておりましたので、第9次につきましては令和6年度を目標とすることが適当ではないかと考えております。

 3.今後の課題でございます。第9次水質総量削減の実施に併せ、関係機関及び関係者が連携して取り組むべき主な課題を以下に示しております。

 一つ目は、調査研究の更なる推進ということでございますが、矢印を6個用意してございます。

 気候変動の影響、こちら、先ほど室長の行木からも説明がありましたが、影響が出始めているということが分かっているのだが、まだよく分からないことが多いという状況であるので、ここは引き続き重要であると考えてございます。

 二つ目ですが、赤潮・貧酸素水塊の発生に影響を与える要因・発生状況の変化ということで、こちらは気候変動の影響との関係も指摘されているところではありますが、更に情報が必要だと考えてございます。

 三つ目ですが、底質・底生生物に係る状況の調査ということで、今回第1回の際にお示ししましたが、瀬戸内海については東京湾、伊勢湾に比べ比較的多数の情報があるわけですが、東京湾、伊勢湾については、それぞれ7地点とか、8地点の情報しかないということもありますので、ここは更に詳細に調査していかなければいけないと考えてございます。

 四つ目、洪水時を含む陸域からのより正確な負荷量の把握ということで、先ほど江口委員や田中委員からもこれに関わるような御指摘をいただいたものと考えてございます。

 五つ目でございますが、水環境の総合的な評価の在り方ということで、ここは特に有機汚濁関連と書いておりますが、先ほど、底層DOの話題もありましたが、CODそのものもなかなかよく分からない挙動を取るということもございますので、引き続き更にメカニズムも含めて調査していく必要があると考えてございます。

 次に、6個目でございますが、藻場・干潟を含む水環境に関する各種モニタリングの継続実施ということでございまして、藻場・干潟は重要であるということを先ほど御説明を差し上げたのですが、更なる取組の推進という点で関係省庁も含めて一緒に取り組んでいくことが必要だと考えておりまして、我々も更に調査が必要ではないかと考えています。なお、瀬戸内海の藻場・干潟の分布状況については平成27年から3か年、環境省で衛星画像を用いまして、分布状況の調査を行っておりまして、今年度東京湾と伊勢湾も同じように衛星画像を分析することで分布状況の調査をしているところでございます。

 少しこの答申がまとまるまでに、データがいい形でまとまるかどうか分かりませんが、併せて御説明いたしました。

 こういったものは、継続してやっていくことで意味が出てくると思っておりますので、引き続きやりたいと考えております。

 次の○で、将来的な指定水域及び指定地域の縮小・解除に向け考え方を整理・検討ということになっておりまして、第1回でしたか、中村委員から御指摘としまして、東京湾で、例えば東京湾の南部と、それから東京湾の奥のほうとで、大分雰囲気も違うので、一旦区切って負荷量の計算をしてみたらどうかといったような御指摘もあったとおり、状況がいろいろ変わってきております。瀬戸内海についても栄養塩がまだ多いことが課題という地域と、少ないことで漁業に影響が出ているのではないかという地域が出ているとか、いろいろ状況がございますので、この指定水域、指定地域の縮小・解除といったものも視野に入れて、どういうことがクリアになれば縮小・解除といったことがあり得るのかとか、そういったものも今後整理・検討していく必要があると考えております。

 次に、水域利用の現状を踏まえた、必要に応じた環境基準の類型指定の見直しに係る検討ということで、類型指定をしたときから大分時間も経っておりまして、社会状況も変化しておりますし、またその海域の利用状況といったものも場所によっては当然変化していることがあるわけですので、それも踏まえて、必要に応じたと書いておりますが、様々な検討が必要ではないかと考えております。

 最後に、情報発信及び普及・啓発の充実ということで記載させていただきました。

 資料4の説明は、以上でございます。

 そして、本日、実は御欠席の吉住委員から、欠席ではありますが、ということで、今回の資料4につきまして、事前に御意見を頂戴しましたので、この場を借りて読み上げさせていただきたいと思っております。

 吉住委員から頂いたペーパーは、公開してくれて構わないと言われておりますので、会議の後に資料が掲載されているページに併せて掲載することを考えております。

 それでは、読み上げさせていただきます。

 標記会合における「資料4 指定水域における水環境改善の必要性及び対策の在り方について(骨子案)」等に関し、書面にて以下の意見を提出いたします。

 1.指定水域における対策の示し方・内容。関係者が納得感を持って各水域における取組を進めることができるよう、答申においては、水環境改善の必要性及び対策の在り方に関し、以下の点を明確に示すことを求める。

 (1)総量削減基本方針・総量削減基本計画策定に際する具体的指針の提示。現段階の記述では、「2(1)汚濁負荷削減対策及びその他の対策」の東京湾・伊勢湾について、追加の負荷削減を求めているのか、現状維持を求めているのかが不明確であり、東京湾・伊勢湾の負荷に関して、産業系の対策は「現状維持」とするのが妥当である。CODの環境基準は、沿岸に隣接する水域の類型であるC類型では、東京湾・伊勢湾を含め、全体の水域で100%達成されている。資料2本編の「3-5類型指定水域ごとの平均水質の変化」の、実現可能性があるケースである将来予測①からのグラフを見ても、東京湾・伊勢湾におけるA類型、B類型の環境基準達成に向け、陸域からの負荷削減が果たす役割は小さく、産業系の更なる負荷削減による水質改善効果は限定的である。

 ページめくりまして、次の2ページでございます。効果が限定されるにもかかわらず、追加で削減を行うにはエネルギー使用に伴うCO2排出といった環境負荷も伴う。改善効果を得るためのコストを十分考慮する必要がある。なお、資料5に掲載されている各指定水域のCOD年平均値の推移のグラフと同様、資料2本編の「3-5類型指定水域ごとの平均水質の変化」においても、グラフの中に類型ごとの環境基準値を追記すべきである。シミュレーションの各ケースにおける環境基準達成への影響を判断する上で、基準値との比較は不可欠と考える。

 (2)結論に至る理由の分かりやすい提示。現段階の骨子案においては、「1.指定水域における水環境改善の必要性」において各指定水域の方向性に関する記述部分と、「2(1)汚濁負荷削減対策及びその他の対策」の記載部分が分離している。また、水質総量削減の実施状況、水環境の状況に関する資料も別添で参考資料として掲示されているのみである。このような資料全体の構成にも起因し、それぞれの資料のどの部分のデータをどのように分析あるいは評価して、骨子案における対策に記載される結果を導くに至るのか、その理由や論理展開が分かりにくい。

 また、現在の骨子案では、水環境改善の必要性について、COD・窒素・りんの環境基準、有機汚濁の濃度レベルや貧酸素水塊の発生に関する記述はあるが、赤潮等の障害、水産資源、藻場・干潟の状況や底質・底生生物の状況に関し、どのように評価した上での結論かに関する記述はない。答申では、水環境改善の必要性と対策を記述する箇所において、指定水域ごとに記述をまとめるなどにより、今回の専門委員会の過程で得たデータ分析資料の該当部分を引用しつつ、当該対策を結論づける理由あるいは解説を分かりやすく提示すべきである。

 骨子案の冒頭には、CODの環境基準の達成率が低い原因が明らかになっていないのが現状と指摘されている。この点、今後の検討課題を明確化・具体化する観点からも水環境の分析等として答申に付属させる資料につき、その情報・分析を専門委員会としてどう評価したか、何か分かるか、あるいは分からないか。また、陸域の汚濁負荷削減の要否・程度を判断する上で今後何を明らかにする必要があるかにつき、理由と共に明示すべきである。

 このような丁寧な分析・解説を行うことは、規制の在り方を提言する当専門委員会の重要な役割であると考える。

 2.当委員会が検討・方向性を示すべき課題。骨子案では、全ての指定水域について、地域の実情を踏まえた各種取組の確実な推進が必要と指摘され、個々の場の特性も考慮した局所的対策が有効と記述されている。この点、局所的問題は残るが、全般的な水環境が改善している現状に鑑みれば、更に踏み込んで、答申では、指定水域における一律の負荷削減に代わる総合的な水環境対策の在り方を検討すべきとの方向性を明確に提示すべきである。

 今般の第9次総量削減の在り方についての環境大臣からの諮問においても、意見を求める目的につき「総合的な水環境改善対策を推進するため」と明記されている。このような観点から、骨子案では「3.今後の課題」を挙げ、特に、指定水域及び指定地域の縮小・解除に向けて考え方の整理・検討を含めていることは評価できる。加えて、今回の答申では、閉鎖性海域の総合的な水環境改善という望ましい方向性に照らし、必要な地域に対策を絞り、また水域ごとの特性に応じた対策により、費用対効果を高める観点から、水質汚濁防止法に基づく総量削減制度の抜本的な見直しを提言することが適当と考える。瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について(答申)においても、特定の水域ごとの実情に応じた対策の必要性や地域の合意による栄養塩類の管理の手続のルール化が一つの方策として示されている。その妥当性も含めて検討しつつ、国として水環境改善のために実効性ある法的基盤を提供すべきである。その際、「総量削減」という従来の名称の変更や総量削減制度自体の廃止も排除することなく、速やかに現状に即した在り方について結論を出すことが必要と考える。生態系を含めた水環境回復が困難であることや、エネルギー使用や環境負荷を伴う対策であっても効果が薄いことを、十分考慮する必要がある。今後の課題の検討の仕方については、幅広く調査研究を継続することよりも、むしろ、必要な範囲での知見を計画的かつ効率的に収集して結論を導くことを重視すべきである。必要な制度改正や新規の法的枠組みの実現を含め、今後の実現すべき内容と検討スケジュールも併せて示すべきと考える。以上。と、御意見を頂戴しているところでございます。

 長くなりましたが、説明は以上でございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見をいただければと思います。先ほどのように挙手ボタンを押していただければと思います。

 では、風間先生、どうぞ。

【風間委員】 この必要性のところですが、文章を作っていくときに気をつけていただければいいのかもしれませんが、貧酸素水塊の発生というのが、何か、すごく軽く見えてしまいます。何か、もう少し貧酸素水塊というものを、すごくこれからの重要な課題ですので、もう少し詳しく書いてほしいということで、例えば、貧酸素水塊の、必要性のところに、貧酸素水塊の発生によって生物の生息に影響を与えるなどの問題があるという話、それから、(1)の東京湾のところにも大規模な貧酸素水塊も発生し、なんて書いてありますが、これは広範囲の貧酸素水塊が長期間発生し続き、年最大値の縮小傾向や一部改善箇所があるものの安定的な改善傾向とはなっていない、これはその方向性だけですので、実際にはどのように書かれるかは分かりませんが、その貧酸素水塊というものの扱いが少し気になっているところであります。

 この関係で、対策の在り方というところにつきましても、やはり貧酸素水塊の話があるわけで、湾奥部など局所的に貧酸素水塊が発生し続けており、その要因となる窒素、りんの削減が必要とされる水域もあるというようなことで、各々のところに貧酸素水塊の扱いを少し大事にしてほしいというのが1点目です。

 それから、もう一つ、雨天時の話になります。対策の在り方の中で、東京湾で雨天時という言葉を使わなくてもいいのですが、先ほど田中先生がおっしゃった洪水時の負荷といいますか、そういうときのことをもう少し何とかならないのかなというので、例えば5番のところに、最後のところ、局所的対策を講じることが有効と書いてありますが、局所的対策というのもさることながら、通常時だけでない総合的な対策というような表現か何かで、この通常時以外のときの話、そういうのももう少し考慮したような書き方が欲しいなと思いました。

 最後ですが、今後の課題のところに、底質・底生生物に係る状況の調査と括弧して、特に東京湾・伊勢湾の知見が不足と書かれていますが、環境省さんとしては広域総合調査しか、あまり御覧になっていないのかもしれませんが、東京湾の場合は九都県市の首脳会議で毎年、底質調査報告書というのを出しております。それなりに底質とかいろいろやっているわけでありまして、ここで言っているのは瀬戸内海でやられている面的といいますか、大規模な話なのかなと思いますが、その辺、環境省以外の調査なども、もう少し見てほしいなと思っております。

 以上です。

【岡田委員長】 御指摘ありがとうございます。では、事務局、御指摘に従ってこれから検討すると思いますが、いかがでしょうか。

【行木室長】 閉鎖性海域対策室、行木でございます。御指摘ありがとうございました。

 今回は、骨子案ということで出させていただきまして、この後、次回は御議論を踏まえまして、これを基に肉づけをし、記載を充実させまして、答申案を作成して御議論をいただくということを予定しております。本日、今ほど風間委員から御指摘いただきました点、答申案を作っていく上で、参考にさせていただきたいと思っております。

 特に最後の底質・底生生物の関連、御指摘のとおり、ここで私どもが意図しておりましたのは、瀬戸内海では私どもの瀬戸内海環境情報基本調査という形で400地点以上の調査を複数回にわたって実施したということがございます。一方で東京湾、伊勢湾では私どもの広域総合水質調査では地点数は10点弱となっておりまして、より高密度で精緻な調査が必要と考えているところです。御指摘ありました九都県市の底質調査報告書も含め、私どもが行った調査以外の知見も収集して検討したいと思います。御意見ありがとうございました。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。よろしくお願いします。

【風間委員】 ありがとうございました。

【岡田委員長】 では田中先生、どうぞ。

【田中委員】 どうもありがとうございます。

 骨子なので、かなり言いたいところがあまり切られていて、勝手に思ってしまうのかも分かりませんが、言葉で、例えば東京湾、伊勢湾、特に大阪湾、この三つを並べたときに違いが、逆にクリア、この表現でクリアな違いが幾つかあって、それがどういうことを意味しているのか、まず少し聞きたいと思います。

 まず、骨子案の1の下の(1)、(2)、(3)。これを比べたときに窒素、りんの達成率やCODの話が書いてあるのですが、大阪湾のところで、引き続き湾奥部において貧酸素水塊が発生している、これは分かりますが、一方で、底質や底生生物の生息状況が改善するなど底層環境の改善の傾向が見られると、大阪湾だけ書かれています。東京湾、伊勢湾と比べて。これは何を意味しているのかと。それから類似のことが右側の2ページ目の負荷削減対策のところ、それからその他の対策のところで、東京湾と伊勢湾は、先ほど御説明あったように、もうほとんど一緒、というか全く一緒かな、表現が、この中では。大阪湾になると、上では第9次水質総量削減における削減目標の設定に当たってという言葉がなくて、生活排水対策及び従来の工場・事業場の排水対策など各種対策の継続実施が必要、上のほうは継続して実施しながらというようなことが書いてあって、何が違うのか。

 三つ目は、その次ですが、特に、湾奥などの一部の水域においては貧酸素水塊などの問題が発生している、これは先ほど言われたとおり。これに対する負荷量削減による改善効果は限定であることから、これはどこから来るのか。先ほどの参考資料で御説明いただいたいろんなケースを計算されている、例えば図44とか、それからその次、48だったか。その辺を見ると、負荷量削減すると流量は、特に大阪湾の湾の奥、それから東側の沿岸はDOが上昇する方向に行っているのが明らかに計算されているので、何でこの言葉から出てくるのか。その次、その他の対策を局所的に講じることが妥当、これは何のことを言っているのか。この辺が分からないので、少し補足をいただけますか。

【岡田委員長】 では事務局、お願いします。

【浜名室長補佐】 では、まず一番簡単なところから御説明させていただければと思いますが、まず1ページ目のところの大阪湾で、底質や底生生物の生息状況がといった部分、これは何かといったことですが、先ほど風間先生からの指摘と、室長の行木からの回答のところでも出てまいりましたが、大阪湾含めて瀬戸内海については、底生生物と底質の調査というものもかなり出ていまして、過去からの比較ということができる状況ですが、大阪湾についても無生物地点というものがなくなったですとか、生物の生息量ですとか、あるいは種類数といったものが増えているという状況を確認できているということをもってこの環境、底質層環境の改善傾向が見られるという表現にしております。

 一方で、東京湾、伊勢湾については、先ほど風間委員からも資料について紹介がありましたが、我々がこれまで持っているデータとしましては、その評価に値するような十分なデータがないということで、現状記載できていないという状況でございます。

 それから、2ページの(1)番の各湾の記載ぶりの違いについてですが、少し今回骨子ということで、各項目を3行、もしくは多くても4行とまとめる都合上、少し雑駁になってしまってはいるのですが、一応意図はそれなりにあるのですが、少し今回いただいた御意見も踏まえまして、答申案を作成していこうと考えておりますので、この違いは何かとなると、少しこの先どうなる分からない文言ではありますが、現状、今我々の考えているところとしまして、東京湾、伊勢湾はもう少し更に取組をしなくてはいけないのではないかなというのが、特に生活排水の対策のところです。先ほど御説明しましたシミュレーション結果などからも読み取れるのではないかと思って、このような記載ぶりにしてございます。

 あと、大阪湾のところで、局所的に対策を講じるというところの記述ぶりでございますが、少し、これ、今回の総量削減の議論の中では説明を省きがちではありましたが、大阪府さんからヒアリングの際にも取組の紹介がありましたが、湾奥部の運河状になっているようなところとかで、植生基材みたいなものを用いまして、藻場的なものを造成するようなモデル事業を実施されていたりですとか、個別の取組をいろいろ積極的に進めていらっしゃるといったことが紹介されておりまして、そこら辺も対策として重要ではないかということを意識した記載となってございます。

【田中委員】 今、回答ですか、今のが。何か、よく分からないのは、いや、確かに底質改善、それから底生生物が戻ってきている、結構あると思いますが、上にまず大規模な貧酸素水塊が発生しているんですよね。これ、大阪湾ではやっぱり相変わらず問題で、底層付近では、やっぱりそこは生物環境としてはかなり問題があるところが残っていて、それは、この言葉がほかの湾に比べて特段改善しているということを意味しているのかが、もう一回、前のいただいたいろんな情報を基に、果たして本当に言い切ってしまっていいのかというのが分からないというのが1点。

 右側のほうは、これから書きぶりによって変わってくるのでしょうが、特に底層DOは大阪湾、今、低いと認めているわけです。さらに、先ほどのシミュレーションの結果から、図44を見ると、効果は、特に栄養塩の削減によって増えているところがかなりあるんですよ。問題は、低いところは、やっぱり湾奥部分なので、そこのところでは、これはやはり栄養塩は、やはりそこのところは削減しないといけないはずです。ところが今の話だと、いや、そこはあまり関係ないですというようなトーンになっていて、ほかの対策のほうが重要なんですと言われているのですが、それは本当なんですかというのが、どこから、一体どういう論理で出てくるかをきちんとこれから整理しないと理解できないのではないかと思いました。これ、これからなので、これから検討ください。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

【行木室長】 少し補足させていただいてよろしいでしょうか。

【岡田委員長】 どうぞ。

【行木室長】 すみません、ありがとうございます。

 今の田中先生の御指摘踏まえまして、この次、答申案を書いていくときに記載を充実させていきたいと思います。

 一つは、ここまで浜名からも申し上げておりますが、たまたま今回この総量削減委員会で御議論いただいているのと並行して、ちょうど中央環境審議会の別の委員会、瀬戸内海に関する小委員会というところで、大阪湾を含む瀬戸内海につきまして、今後の環境保全の在り方につきまして、いろいろと議論がされてきているところでございます。大阪湾と、それから瀬戸内海に関する知見では、その小委員会のための資料の中でかなりいろいろな知見がありまして、確かに御指摘のとおり、この総量削減のテーブルに乗っているものの中で必ずしも十分御説明させていただけていないところもありまして、次の答申案をまとめていく際には、御指摘も踏まえまして、どういう考え方でこうなったのかということが分かりやすい説明に努めたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

【岡田委員長】 どうもありがとうございます。田中先生の疑問が解消されるように、検討をお願いいたします。田中先生、よろしいですね、そういうことで。

【田中委員】 そちらのほうの意見でいいでしょう。

【岡田委員長】 次に、古米先生、どうぞ。

【古米委員】 どうもありがとうございます。

 資料4を一通り見て、内容を確認したのですが、水環境の現状と改善の必要性というところで、水質だけでなく、確かに生物生息環境を併せた水環境管理の視点というようなキーワードも入っています。お話のあったような瀬戸内海のような豊かな海で、きれいであることを目指す新しい方向性に対してどう考えるのかという丁寧な記載がここに期待されているのかなと思います。これはコメントです。

 そうだとしたときに、瀬戸内海の議論を聞いていると、やはり瀬戸内海を一まとまりではなくて、すでに大阪湾を除いた議論があるわけですが、湾灘レベルできめ細やかな管理をしなくてはいけないというのが打ち出ているときに、先ほどあったように東京湾も湾奥部と太平洋に接している海域があることを考えると、東京湾一つでいいのかという議論と、ある意味つながっていきます。伊勢湾であれば三河湾と別の部分はどう考えるのかというように、今までの海域だとか、指定水域という考え方から、もう少しきめ細やかなものを考えていくきっかけが出ていると思います。このことに対して、今後の課題のところには将来的な指定水域というよりは、水域の捉え方として環境基準が深く関わり、基準の達成評価をするということになりますが、やはりその水域が一塊であるか、ということを改めて確認していくということが必要なのではないかなと思います。

 その意味では、前回か、前々回ぐらいから総量規制制度の検討の中で水質シミュレーション計算をやっていますので、そういったモデルシミュレーションの結果を使いながら、どういった水塊をひとまとめとすべきかを検討して、同じような挙動をしているところを見つけてきて、そこに代表的な基準点を設けて総量規制を考えていくというような方向性が出ることが期待されます。

 次に、対策の在り方の部分ですが、今回シミュレーションモデルを使って六つの比較シナリオ計算を実施したわけですから、それでもって対策はどうあるべきか、例えば生活排水を十分に行った場合と、そうではない場合にどのような違いがあるのかを整理しているので、もう少し整理した内容など対策の必要性の判断に関係するバックグラウンドを示しながら本文を記述することが重要だと判断します。これは骨子なのでいいのでしょうが、もう少し定量的な評価の基で対策の在り方を考えたというような記述があったほうがいいのではないかなと。そのときに、総量削減ですから、生活系と産業系と、工場、事業場というのが主体になってしまいますが、やはり農業だとか畜産農業だとか、そういったところの発生源への言及が必要です。2ページ目のところの東京湾、伊勢湾、大阪湾、大阪湾を除く瀬戸内海ではなくて、全ての指定水域というところで書かれるのでしょうか。そこら辺が少し私は分かりにくいかなと思いました。

 そして、全ての指定水域のところに、藻場・干潟のことは書いてありますが、底質環境改善という重要なその他の対策の記述が、何か、地域ごとにということだけで終わっているような気がしております。この前の委員会、別の検討会でも海底耕耘みたいな底質の改善の方策が幾つか出てきています。流れの場を工夫して底層DOを改善するというようなところは、かなり削減以外の水環境をよりよくするための水理学的な対策技術だとか、あるいは人的な撹乱ということもあるので、そういった言葉も書き入れるチャンスではないかなと思っております。

 ということで、ポイントはもう少しきめ細やかな指定水域の捉え方を今後考えるかどうかというところを、将来の指定水域の縮小・解除という言葉につながりますが、書いていただきたいなということと、また、科学ベースのシミュレーションモデルによって検討しているというようなところをもう少し明示していただくといいかなと思っております。

 以上です。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。これは、事務局、よろしいですね、古米先生の御指摘のとおり御検討いただくということで。

【行木室長】 御指摘踏まえて、検討させていただきます。ありがとうございました。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

 それでは、中村先生、どうぞ。

【中村委員】 1の水環境の現状と改善の必要性のところですが、まず、最初に項目の整理として、環境基準がある窒素、りんとCODが並べて書かれております。その次に、私としては環境基準として新たに加わった底層DOに関する記述があって、なお気候変動云々というようなところを並べたほうが論理的に説明しやすいのではないかと思いました。

 それから、その下にあります1、2、3、東京湾、伊勢湾、大阪湾というところで、現状の整理ですが、窒素、りんについては環境基準達成率という評価で整理をされている。CODについては、濃度レベルの増減で整理をされている。貧酸素水塊については、よく分かりませんが、面積、あるいは期間というようなことがあるのかもしれません。それぞれ、少し違う尺度で整理をされているというのが少し違和感があります。

 さらに、整理の結果、東京湾と伊勢湾が同じような整理の結果になっおり、大阪湾とは少し違うという整理になっているのも、私は非常に大きな違和感を持ちます。例えば、濃度レベルで比較をしますと、基本的には東京湾の次に大阪湾が高くて、それから伊勢湾になるという順番になっていると思いますが、なぜこのような整理になるのかというのがよく分からないです。これは、多分、今申し上げたような達成率、基準達成率、あるいは濃度レベルというのをそれぞれ別個に拾い出しているので、こういうことになってしまっているのではないかと思いますので、もう一度各項目の基準達成率、それから各項目の濃度レベル、それから貧酸素水塊の現状というところを横並びで整理をした上で、東京湾、伊勢湾、大阪湾の整理をしていただければ、ではこの次に、今後何が必要なのかというところの論理がつながりやすくなるのではないかなと思いました。

 以上です。

【岡田委員長】 どうも、御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思いますが、事務局もよろしいですね。

【行木室長】 はい、御指摘踏まえて検討いたします。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 先ほどからいろいろ御意見いただいて、今日は御意見、御質問で質疑応答するということもありますが、むしろ今後の整理のために参考になるというか、こういう形でやってほしいという御注文をいただくほうが今後のためにいいかと思いますので、細かいことでも結構ですので、ほかにございませんでしょうか。

 はい、岡本先生、どうぞ。

【岡本委員】 ありがとうございます。

 今の中村先生の御指摘にも被りますが、やはり環境基準の達成状況ということをCODに関しても見ていく必要があるのではないかと思っています。私が関わっている下水道ですと、その下水道の計画をつくる前提として、海域であればCOD、あるいは窒素、りんの環境基準達成ということを目標にして計画をつくってまいります。一方で、この資料4の前半でもあるようにCODと窒素、りんの環境基準達成率、状況がかなり変わってきているのは明らかですし、先ほど水質予測の将来予測の結果を拝見しましたが、その一番極端な将来ケース⑤のような点源をゼロにしてもCODの環境基準達成がされないという地点もあると。そういう中で、当然、瀬戸内海のような栄養塩の管理のきめ細やかな管理というものがなかなかしづらいという状況も、これは地方公共団体の方からもお聞きしています。そういうことで、例えば伊勢湾なども生活排水対策に力点を置いてとあるので、効果的に、効率的に汚濁負荷量を削減とありますが、前のヒアリングの中でもやはり能動的な栄養塩のコントロールをしてほしい、していきたいという、そういった声もありますので、ぜひ、もう少し水域ごとに環境基準の達成・濃度、それぞれ見ていって、今後の答申の策定のほうにつなげていただきたいと思います。

 以上です。

【岡田委員長】 どうも、御指摘ありがとうございました。これもよろしいですね、事務局、特段。

【行木室長】 御指摘踏まえて検討いたします。ありがとうございます。

【岡田委員長】 よろしくお願いします。

 あと、西嶋先生、どうぞ。

【西嶋委員】 西嶋です。1点、ちょっと確認かもしれませんが、今後の課題のところで、将来的な指定水域及び指定地域の縮小・解除に向けた考え方の整理・検討、これは非常に重要、将来に向けてとあるので、非常に重要なところだと思っています。例えば、今、瀬戸内海だと、大阪湾とそれ以外の瀬戸内海というような形で管理の仕方を変えているということがあるのですが、例えば東京湾は、今、東京湾で、全体で管理されていますが、東京湾の、例えば湾奥部と南部みたいな、今後管理を分けていくということもあると思いますが、この縮小・解除という書き方に、そこまで読み取るのが少し難しいかなと思います。要は今まで入っているものを3分の1にします、北部だけにしますとかいうことであれば、この書き方でいいのですが、そういう管理範囲は総量削減の中に入っているが、今までと管理を変えて、少し地域を分けてやりますよという部分がもう少し分かるように書いてもいいのかなと思ったのですが。以上です。

【岡田委員長】 では、これは事務局から御説明ください。

【行木室長】 承知いたしました。

 ありがとうございます。今の西嶋先生の御指摘は、先ほどの古米先生のより細やかな水域の状況に応じた管理ということに関する御指摘とも関わってくる点かと思います。今、今後の課題で記載しているところは、確かに御指摘のとおり、今のところですと地域指定の縮小・解除というところしか読めないのですが、ここまで御指摘ありましたとおり、場所によってその水域の状況に応じた管理を考えていくということも当然検討していかなければならないと思いますので、何か、その辺りも読めるような工夫を検討したい、記載の仕方を工夫したいと思います。御指摘ありがとうございました。

【西嶋委員】 お願いいたします。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。ということで、西嶋先生、よろしいですね。

【西嶋委員】 はい、結構です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 あと、古米先生、もう一度、どうぞ。

【古米委員】 古米です。追加で。先ほどシミュレーションの関連です。定量的な評価ができるモデルになったと理解しておりますが、前回の第8次と大きく異なっているのは、陸域のモデルがかなりレベルアップして、面源負荷量が従来の原単位法で計算しないで、科学的な現象を捉えた形で流出する負荷量を用いて、水質将来予測をしていると。ただ、今回のシナリオ計算では、面源は共通で、生活排水を削減したときにどういう効果があるかということで、現況とその他のシナリオで対策の効果を見るという形で使われています。しかしながら、あれだけの水質の再現性が高いとするならば、モデル計算結果を面源の原単位とするとはいいませんが、将来的には面源負荷量や面源の原単位の取扱の考え方を見直すことが示されつつあるのではないかなと思います。

 第8次のときにも申し上げましたが、あの負荷量の内訳を示した円グラフにおいて、面源、その他のところが本当にあんなに小さいのか、もっと大きいのかよく分かりません。現在の評価は、かなり昔の調査による原単位のままでの計算に基づいていますので、そろそろ原単位の見直しの必要性があるかの検討が必要です。従来の原単位を踏襲しながらも、面源負荷量の評価や原単位法を総量負荷削減においてどう扱うのかというような点も、今後の課題に書いていただくといいかなと思いました。

【岡田委員長】 ありがとうございました。今の点、事務局、よろしいですか。

【行木室長】 はい、御指摘のとおり、将来的な課題の一つと私どもも認識しておりまして、御指摘踏まえて答申案では検討させていただきます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 特になければ、以上にさせていただきますが、この議題、構成案につきましては、一番最初に御紹介いただきました吉住委員の文書によるコメント、それから今たくさんの先生方から御意見をいただきました。それを踏まえまして、事務局は答申案をまとめていくということにしていただければと思います。

 よろしいですね、そういうことで。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、三つ目の議題、その他でございます。前回の委員会における指摘事項への対応について、事務局から、これは資料5になりますかね、御説明をお願いいたします。

【浜名室長補佐】 ありがとうございます。

 資料5と併せまして、実は前回委員会の後、欠席された委員も、そうでない委員も併せましてですが、メールで御意見をいただいていた部分がございますので、そうしたものも紹介させていただいた後に、資料5について御説明させていただければと思っております。

 メールのほうから行きます。

 まず、西嶋先生からいただいた御意見としまして、CSOの関係で難分解性CODの割合、大きな処理水が排出されていると、一方でCSOは未処理の下水が含まれるので、易分解性のCODの割合が大きくなると、その意味で水環境への影響はここで提示されているCOD寄与率より実際は大きくなるので、その整理などによって排出されるCODの分解性、あるいは難分解性、あるいは易分解性との割合というのが異なるということは記載しておいたほうがよいのではないかといった御指摘をいただいております。御意見に感謝しておりまして、そのとおりだと思っていまして、CODの内訳とかについては重要なポイントだと思っておりまして、CSOを含めて雨天時の負荷についてより精度の高い負荷量の把握に努めていきたいと考えてございます。

 また、もう一点いただいてまして、この関係でモデルの説明の中で、海域の溶存態、懸濁態有機物を易分解性と難分解性に分けて評価するということになっていますが、流入CODは分けているのかと。それで、分けているのであれば、上記のCODの中身の違いは重要であるといったことをいただきました。流入CODについては、通常の下水処理を想定して難分解として与えているものでして、易分解性有機物は海域における内部生産で発生するモデルというように取り扱ってございます。

 平沢委員からもメールを頂いていたのですが、先ほど資料のシミュレーションモデルの結果の説明の中で御紹介させていただきましたので割愛させていただきます。

 また、平沢委員からもう一点いただいておりまして、マクロな解析ということで、閉鎖性水域の単位体積当たりの栄養塩流入負荷と、その水質の漁獲量の相関といったものについても御関心があるということで、一応、作業は我々してみたのですが、今回資料に載せてはいなかったのですが、一応関係があるともないとも言い難い図ができましたということだけ、ここで口頭で御紹介させていただこうと思います。

 また、風間委員からも会議の場で御発言があったこともありますし、なかったこともありますので、会議の場で御発言のなかった部分について御紹介させていただきつつと思ってございます。

 本文を読みますということでいただきましたが、覆砂及び浚渫事業が実施されている、そして、次に深掘りの話と海砂の話があり、窪地対策の資料が添付されています。肝心の覆砂・浚渫事業がどこに行っているのか資料がないということでして、先ほど御紹介のありました九都県市による底質調査報告書について紹介いただきました。御紹介いただいた資料を踏まえまして、本日の参考資料1の49ページに事例の紹介として追加させていただきました、東京湾の浚渫についての事例を紹介させていただくという対応を取ってございます。

 先ほど申し上げましたとおり、この参考資料1、もちろんこれから精査いたしますが、この参考資料1の中から答申の中の第1節の水質総量削減の実施状況のところに組み込んでいきたいと思いますので、引き続き使わせていただけないかなと考えているところでございます。

 もう一点、海洋プラスチックの関係でもメールにて御指摘をいただいているところでございます。第1回で頂いた瀬戸内海の資料では、各所に記載がありますが、環境省の資料として添付7に示すものでレジ袋など、東京湾、大阪湾、伊勢湾など閉鎖性水域で人口密集に応じて多いことが見えます。東京都では添付資料も頂いていますが、東京都のポイ捨てが太平洋のごみとなっているというパンフレットを出しています。市民のレジ袋辞退率についてNHK情報、添付9によれば、7割を超えているとのことですということで、御指摘いただきました。プラスチックの発生抑制といった観点についても、同じく参考資料1の14ページで記載しました。今後、具体的に答申に反映させるに当たって更に精査していきたいと思っておりますが、頂いたものを踏まえて対応してまいりたいと考えてございます。

 また、それから将来予測の関係でも御指摘をいただいておりまして、トレンドでの設定ということについてですが、大きな経費と人的作業にしてはあまりに無策でないか。ケース②の窒素、りん固定は少なくとも東京湾においてはあり得ない設定であると。現在の下水道の計画を鑑みて、このままの予定されている施策で行けばというケースと、気候変動から一時的な雨天時負荷量が増大した場合の貧酸素水塊の面的、時間的広がりの不安を試算するのはいかがでしょうかということで、御提案いただいているところでございます。

 線形トレンドという表現が、先ほど平沢先生からもどういうことかという御指摘があったとおり、ちょっと誤解を招いたかもしれませんが、ここでの趣旨というのは、これまでの削減の傾向を見て、それと同様の削減が進んだ場合というのを仮定したケースと整理してございます。

 総量削減では、指定地域における人口ですとか、産業の動向、それから汚水、排水の処理の技術の水準ですとか、下水道の整備の見通しとか、そういったものも勘案しまして、実施可能な限度において削減を図るということになってございまして、平成16~26年度の負荷量の実測値の推移を見ると、大体一定の割合での削減が進んでいて大きなばらつきがないという状況が見てとれますので、これを踏まえて将来についても規制の転換等がなければ同様の傾向になるのではないかという考えの下で設定したという趣旨でございます。

 メールで頂きましたものから抜粋というか、少し端折りまして簡単に御説明いたしました。

 続きまして、資料5を用いまして、前回いただきました御意見等も踏まえて御説明させていただければと思います。

 まず、資料5の1ページですが、1-1の関係ですが、吉住委員からいただいた御指摘でございまして、ここを踏まえまして、本文に赤文字で注釈をつけましたが、文言を追加するということを行っております。併せて、この資料5の1-1関係では岡本委員、風間委員からの御指摘というのもございまして、瀬戸内海、グラフですね、瀬戸内海のところがごちゃごちゃとして分かりにくいので、そこだけ少し縮尺を変えてみてはどうかといったものですとか、雨天時の負荷量の関係もあるかもしれないので、水域ごとの検討もお願いしたいといった御指摘をいただいているところでございます。

 続きまして、資料5の1-2ですが、5ページになります。ここは中村委員から御指摘ございまして、第5次以降の内部生産と窒素、りんの負荷量の削減の関係などについて、今後の在り方の検討に重要なので、関係づける整理をしてほしいということでございまして、内部生産と、それから窒素、りんの関係などについて文章を追記させていただいたという対応を取ってございます。

 続きまして、田中委員からいただいた意見がございまして、そちらはこの資料5の1-3でございます。ページでいいますと14ページですが、前回の御指摘は、底泥からの溶出速度について、ほかの項目では大阪湾と、それから大阪湾を除く瀬戸内海に分けているが、前回、ばらばらに分けずに一緒に瀬戸内海ということでまとめていたわけですが、やはりそこを分けて見てはどうかと。それから得られたデータのその情報が古いということはあるので、直近の状況とギャップがある可能性があるので、書きぶりは要整理であるということで御指摘いただいておりまして、御指摘を踏まえまして、少々表現ぶりなどを見直してみたという次第でございます。

 続きまして、古米委員からは、資料5の1-4のところで御指摘をいただいているところでございます。ページでいいますと20ページからの部分、藻場・干潟の機能ということでございますが、いただいた御意見としては、前回、汚濁負荷のメカニズムについて御説明させていただいたときに、全体像の図の中にはあるが、説明として触れられていなかったもの、具体的には藻場・干潟、赤潮、DO、貧酸素水塊、青潮、透明度などといろいろあるわけですが、そういうのも可能な範囲で情報を入れてほしいということでございました。今回、藻場・干潟の機能ということで、1-4に追加させていただいたということでございます。

 また、併せまして藻場・干潟関連では、風間委員からブルーカーボンということで御指摘がありまして、ブルーカーボン、最近いろんなところで取り沙汰されているわけですが、いわゆる炭素貯留機能ですね、そういったものについても明記すべきということでございました。この表の中での座り具合というのを考えまして、ブルーカーボンという文字にはしなかったのですが、光合成による吸収といったこと、それから炭素貯留、底生生物や堆積による固定ということで、炭素固定のことについて言及させていただいたというところでございます。

 もう一つ、今度、資料5の2.でございます、23ページからのところですが、気候変動の御説明を前回させていただいたときに、古米委員から自然生態系の影響図というものも気候変動の議論の中で出ているはずなので、その資料も、図も追加してほしいという御指摘がございましたので、このように対応させていただいたという状況でございます。

 資料5につきましては、以上でございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局の説明に対しまして、御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。

 特段よろしいですか。 特になければ、ただいまの説明のみならず、全体を通じて何か御質問、御意見、追加があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 特段ないようですが、また後でお気づきの点、もしくは追加の御意見等がございましたら、本日の後1週間ぐらい目処、というかもう年末になりますので、ぎりぎりですかね、場合によっては年当初ぐらいまででしたら恐らく対応できると思いますので、一応形式上1週間目処ということで、事務局にお知らせいただければ有難いと思います。よろしく御協力のほどお願いいたします。

 それでは、事務局からほかに何か連絡事項ございますでしょうか。

【事務局】 本日の議事録についてですが、速記がまとまり次第皆様にお送りいたしますので、御確認をお願いいたします。全員の御確認をいただいたものを環境省ウェブサイトにて公開いたします。

 また、次回の日程は、既に調整させていただきましたとおり、令和3年2月1日、月曜日の16時からを予定しております。次回は、第9次水質総量削減の在り方についての答申案について御審議いただく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして、第5回の総量削減の専門委員会を閉会とさせていただきます。本日は、いろいろな御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。

午後5時11分 閉会