中央環境審議会 水環境部会 総量削減専門委員会(9次)(第2回) 議事録

議事次第

1.開会

2.議題

(1)水質総量削減制度に係る取組の実施状況について(関係者からのヒアリング)

(2)その他

3.閉会

配付資料

  • 資料1 総量削減専門委員会委員名簿
  • 資料2 総量削減専門委員会におけるヒアリングの予定
  • 資料3 下水道における汚濁負荷対策等の取組状況について
  • 資料4 農業集落排水事業の取組状況について
  • 資料5 環境保全型農業の推進
  • 資料6 畜産環境をめぐる情勢
  • 資料7 養殖漁場の環境改善及び海域における気候変動の影響
  • 資料8 港湾における海域環境改善の取組みについて
  • 資料9 日化協における水質総量削減の取り組み及び今後の課題と要望
  • 資料10 鉄鋼業における総量削減への取組み
  • 参考資料 東京湾(観音崎・富津岬ライン以北)の単位面積・体積当たりの負荷量の推移

議事録

午後3時00分 開会

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第2回総量削減専門委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。

 本日は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくい等、不具合がございましたら、事務局までお電話、またはWEB会議のチャット機能にてお知らせください。

 なお、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいており、環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っております。

 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。

 なお、御発言の際は、お名前の横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言の意志はこのマークで確認いたします。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、御協力をよろしくお願いいたします。

 本日の出席状況でございますが、委員16名中、15名の御出席をいただいております。

 なお、西村委員からは遅れて御出席との連絡を頂いております。

 委員につきましては、お手元にお配りしております委員名簿をもって御紹介に代えさせていただきます。

 続きまして、今回の議題(1)でヒアリングを予定している関係省庁・産業界の方々をヒアリング順に御紹介いたします。

 国土交通省水管理・国土保全局下水道部流域管理官付の松澤課長補佐です。

 農林水産省農村振興局地域整備課の中邨課長補佐です。

 農林水産省生産局農業環境対策課の松下総括補佐です。

 農林水産省生産局畜産部畜産振興課の川島課長補佐です。

 農林水産省水産庁増殖推進部研究指導課の鈴木研究管理官です。

 同じく水産庁漁場資源課の上田課長補佐です。

 同じく水産庁栽培養殖課の鏑木係長です。

 国土交通省港湾局海洋・環境課港湾環境政策室の栗田係長です。

 一般社団法人日本化学工業協会環境安全部の四家部長です。

 一般社団法人日本鉄鋼連盟土壌・水質分科会主査の御福様です。

 また、事務局に異動がありましたので、御紹介いたします。

 水・大気環境局長の小野が異動となり、後任に山本が着任しております。

 水・大気環境局総務課長の関谷が異動となり、後任に小森が着任しております。

 閉鎖性海域対策室長の中野が異動となり、後任に行木が着任しております。

 それでは、水・大気環境局長の山本より御挨拶を申し上げます。

【山本局長】 皆さんこんにちは。ただいま御紹介がありました、7月21日付で水・大気環境局長を拝命いたしました山本と申します。

 委員の皆様方には、大変お忙しい中御参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、関係各省あるいは産業界の方々にも、今回のヒアリングに際しまして、資料の作成、発表の準備など、大きな協力を頂きまして、誠にありがとうございます。

 私自身は、もう十二、三年前になりますか、この総量削減の専門委員会を担当しております閉鎖性海域対策室長を1年間務めさせていただきました。そのとき以来の水環境行政ということでございますので、何と言いますか、非常に巡り合わせを感じている次第です。

 この総量削減ですけれども、第1回の委員会におきましては、総量削減の実施状況、あるいは水環境の現状について御審議をいただいたと聞いております。本日と次回、第3回におきましては、関係者からのヒアリング、取組の実施状況に係るヒアリングを行うと聞いております。

 長きにわたる制度ですが、より望ましい制度の運用となりますように、委員の皆様方には忌憚のない御意見、御助言を賜れればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局】 続きまして、資料の確認をさせていただきます。事前に御案内のとおり、議事次第のほか、資料1が委員名簿、資料2が本委員会におけるヒアリングの予定について、資料3から10までがヒアリング資料です。

 資料3が下水道関係、資料4が農業集落排水関係、資料5が農業関係、資料6が畜産関係、資料7が水産関係、資料8が港湾関係、資料9が化学業界関係、資料10が鉄鋼業界関係となっております。

 なお、鉄鋼業界関係の資料として、資料10のほか、「委員限り」と記載した資料を1枚事前に配付しております。非公開を前提に収集したデータが記載された資料ですので、取扱いには十分御留意いただきますようお願いいたします。

 参考資料が、東京湾(観音崎・富津岬ライン以北)の単位面積・体積当たりの負荷量の推移となっております。

 以上が本日の資料でございます。

 なお、資料につきましては、WEB会議システムの資料共有機能により、事務局より画面に掲載いたしますが、事前にお送りしております紙資料も、必要に応じお手元で御参照願います。

 それでは、この後の議事の進行につきましては、細見委員長にお願いしたいと思います。細見委員長、よろしくお願いいたします。

【細見委員長】 かしこまりました。

 委員の皆様、また関係省庁の皆様、産業界の皆様、大変御多用の折、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は18時の終了の予定で議事を進めさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 それでは早速ですが、議事に入りたいと思います。

 議題の1番目、水質総量削減制度に係る取組の実施状況について。最初の議題はこの実施状況についてとなっており、まず、事務局から本日のヒアリングの予定について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【浜名室長補佐】 環境省閉鎖性海域対策室室長補佐の浜名でございます。

 ただいま細見委員長から御指名ございました資料2でございますけれども、前回、第1回におきまして、今後の進め方ということで、ヒアリングについて御説明させていただきました。その後、ヒアリングの対象について、座長に御一任ということで頂きまして、対象につきまして座長と御相談いたしまして、資料2のとおり決定いたしました。

 まず本日でございますけれども、関係省庁、それから産業界からということでございまして、関係省庁といたしましては、先ほど資料説明の折にもありましたけれども、国土交通省、農林水産省から取組についてヒアリングをさせていただきたいと思っております。また、産業界におきましては、本日は日本化学工業協会様、それから日本鉄鋼連盟様から活動について御聴取させていただきたいと思っております。

 次のページでございます。

 第3回ですけれども、こちら、まだ日時は決まっておりませんけれども、8月下旬から9月上旬で開催できればと考えているところでございます。

 関係省庁といたしまして、今回、都合により出席できなかったんですけれども、我々環境省の浄化槽担当の部局から1点、それから産業界から日本製紙連合会様、それから、前回、三浦委員から御指摘がございまして、漁業関係者からということで、千葉県漁業協同組合連合会様からヒアリングをさせていただけることになりました。また、関係都府県といたしまして、東京湾関係から千葉県と東京都、伊勢湾関係から愛知県と三重県、それから瀬戸内海関係から大阪府と兵庫県、そして環境団体としまして、NPOの海辺つくり研究会様から御意見を頂けるということになってございます。

 ヒアリングの対象については以上でございます。

【細見委員長】 ありがとうございます。各省庁・業界の担当者の皆様から発表していただく時間は10分程度として、関連するヒアリング対象者ごとにまとめて質疑応答という形で進めさせていただければと思います。

 ヒアリングの進め方について、何か、御質問等ありますでしょうか。

 ないようですので、それではこの進め方に従ってヒアリングを行います。時間が限られておりますので、説明10分という議事進行に御協力のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、最初に下水道関係・農業集落排水関係について説明をお願いします。これは2件続けて説明いただいた後に、まとめて質疑応答を行います。

 まずは、資料3について、国土交通省の松澤補佐より説明をお願いします。よろしくお願いします。

【松澤課長補佐】 今委員長より御紹介いただきました、国土交通省下水道部の松澤と申します。よろしくお願いいたします。

 本日、私のほうからは、下水道における汚濁負荷対策等の取組状況についてということで御説明さしあげます。よろしくお願いいたします。 本日は、この4項目につきまして、概要を御説明したいと思っております。

 それではまず、最初に、下水道処理人口普及率について御説明いたします。

 データは平成30年度末現在のものでございまして、スライド左下のグラフを御覧いただきますと、過年度からの普及率の推移が記載されてございます。

 下側の水色の四角が下水道処理人口普及率となってございまして、平成30年度末、79.3%となってございます。

 一方で、汚水処理人口普及率でございますけれども、こちら、上側の濃い青の折れ線グラフになってございまして、平成30年度末91.4%というような状況になってございます。

 右側につきましては、各都道府県の下水道及びその他の処理施設における普及率の状況を示したものとなってございます。

 次のスライドは汚水処理施設の効率的な整備でございます。上段の四角の枠の中に、二つポチがございますけれども、地方公共団体におきましては、下水道、農業集落排水施設、浄化槽といったこれらの各施設の特性ですとか経済性、それから地域の実情等、こういったものを勘案いたしまして、最適な整備手法として、「都道府県構想」というものを取りまとめ、各施設の整備を推進しているところでございます。

 2点目のポチでございますけれども、各都道府県におきましては、令和8年度末をめどに汚水処理の概成を目指しておりまして、将来の人口動態等も見据え、計画区域の見直し等を検討しておるところでございまして、令和2年3月末に47都道府県で構想の見直しが完了してございます。

 スライドの左下側にポンチ絵を示させていただいておりますけれども、三つの処理施設の役割分担といたしましては、右側の右下にございます青丸の中のように、都市部につきましては下水道で整備をして、一方で左側の緑色の丸の、農村部の集落ですね、こういったところにつきましては農業集落排水施設で整備、右上の水色の丸で囲まれているように、家屋が点在しているような地域におきましては浄化槽で整備するといったような考え方になってございます。

 右側の計画区域の見直しイメージでございますけれども、こちらは、黄色い区域が市町村の全体区域でございますけれども、その中の水色の点線で示されていたものが、当初の下水道の整備区域でございましたけれども、こちらを人口の減少等を踏まえまして、整備手法の見直しを図ることによりまして、下側の水色の実線の計画区域に見直しを図るといったところでございます。

 一方で、一番下の濃い青丸、非整備区域とございますけれども、さらに外側に向けて、未普及の地域に向けて、早期に低コストで下水道を整備できるような手法も検討しているところでございます。

 次のページは、水質改善対策でございます。公共用水域の水質保全のために、下の三つの枠で囲まれている施策を実施しているところでございます。

 一番左側は、公共用水域の水質保全ということで、下水道の終末処理場において汚水を適切に処理するというものでございます。

 右の二つの高度処理、それから合流改善とございますけれども、こちらの詳細につきましては後ほど御説明させていただきます。

 それでは、高度処理につきまして、まず御説明いたします。

 現在の導入状況でございますけれども、スライド左下のグラフを御覧ください。過年度からの高度処理実施率をグラフ化したものでございまして、平成30年度末現在、51%といった進捗となってございます。スライドの右側には、各都道府県別の高度処理の実施率、こちらの一覧表を記載させていただいております。

 次のページは、段階的高度処理の推進でございます。

 一番上に青文字で、「しかし、耐用年数等の問題から全面的な増改築は当面見込めない」ということでございまして、高度処理の導入に当たりまして時間がかかると、それからコストもかかるというような課題がある中で、少しでも処理水質をよくしていこうというような取組でございます。

 イメージといたしましては、左下の四角の中に模式図、グラフをつけさせていただいております。縦軸が放流水質で、下にいくほど処理水質が良くなるというものです。横軸が時間軸を表しておりまして、従来ですと、青い点線でお示ししていますとおり、長い期間にわたって現状のまま横に行っている、つまり時間が経過しているかと思うんですけれども、将来的に施設を全面的に改築する段階で、初めて処理水質が現状から目標に達するというものでございますが、段階的高度処理につきましては、赤い実線でお示ししていますとおり、例えば処理場の運転の仕方を工夫したりですとか、それから既存の施設を全部壊して造り直すのではなくて、部分的に改造しながら段階的に処理水質をよくしていこうというような取組でございます。

 次に、下水処理場における季節別運転管理というものでございまして、地域によりましては、きれいなだけではなくて、豊かな水環境、こういったものも求められているというところでございます。

 左下にイメージの図を記載させていただいておりますが、例えばノリの養殖をされているような水域におきまして、近くに下水処理場がある場合に、その放流水に含まれる栄養塩の濃度をコントロールしてあげようというものでございます。

 右側に、右下のほうにグラフが記載されているかと思うんですけれども、夏場の海域に栄養塩が豊富にあるとき、このときは、いわゆる今までどおりの通常の運転、放流水の栄養塩の濃度を下げる運転をいたしますが、その右側、冬場でございますけれども、海域の栄養塩が少なくなっているとき、こういうときには、あえてその濃度を高めにするような運転管理、こういったものを実施しているエリアがございます。

 ただし、上の四角の中の赤字で書かせていただいておるんですけれども、あくまで水質環境基準の達成維持、こういったものを前提に、地域の方々と御相談しながら対応しているというところでございます。

 続きまして、合流式下水道の整備状況というものでございます。御案内のとおり、国内のいわゆる大都市におきましては、汚水と雨水を1本の管で流下させる合流式下水道を採用してございます。こちらの左の上のイメージを描かせていただいていますけれども、雨が降った場合には、雨水で希釈された汚水が公共用水域に流れるといったようなシステムでございます。

 これに対しまして、左下の枠で囲わせていただいておりますけれども、下水道法施行令を平成15年度に改正してございまして、こちらにお示ししていますとおり、雨水吐の構造基準、それから雨天時における放流水質の基準ということで、各吐口からの放流水のBOD、こちらの平均的な水質を、1L当たり40mg以下、それから、暫定基準と書いてございますが、対象のエリアの区域の面積が大きい場合には、対策に期間を要しますので、そういった都市につきましては、暫定的に1L当たり70mg以下というような規定を設定してございます。

 次に、合流式下水道の改善に向けてというものでございまして、その改善対策メニューのイメージでございますけれども、スライドの右側に模式図を記載させていただいております。

 赤書きで書かせていただいているのが、その主な取組でございまして、例えば左側のほうに雨水貯留施設の整備ということで、降雨初期の汚れた水を一旦こちらの池のほうに貯めまして、晴れている日に終末処理場のほうに返水いたしまして処理するというものでございます。

 また、右下のほうには、雨水吐における堰上げ、また遮集量の増大ということで、なるべく公共用水域に水を出さずに処理施設のほうへ流すといったような取組を実施してございます。

 次に、改善状況でございます。こちら、平成25年度目標で実施しておりましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、対象区域が大きい大都市におきましては、平成35年度、令和で言いますと令和5年度までの実施事業というふうになってございまして、その各年の実施状況というものが図でお示ししているところでございます。

 なお、先日お手元にお配りしましたが、ちょっと図の記載内容にミスがございましたので、こちらのほうのスライドを差し替えさせていただいております。

 最後に、流域下水道整備総合計画というものでございます。こちらは、下水道法に基づく法定計画でございまして、左側の模式図に示されておりますように、A県、B県、それからA県の中でもC町、D市、E市と、こういったような複数の二つ以上の市町村の区域にまたがるような、そういった公共用水域に終末処理場による放流がある場合には、その放流先の水質環境基準を達成させるための下水道終末処理施設の整備計画、こういったものを規定する計画を策定するといったような規定になっているものでございます。

 非常に雑ぱくでございますが、説明は以上でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございます。

 それでは引き続きまして、資料4に基づいて、農林水産省の中邨補佐より御説明をお願いしたいと思います。中邨様、よろしくお願いします。

【中邨課長補佐】 農林水産省の農村振興局の地域整備課の中邨です。私からは、農業集落排水事業の取組状況についてということで説明をさせていただきたいと思います。

 まず、農業集落排水事業の目的ですけれども、紫のところに書いてありますように、公共用水域の水質保全をはじめ、農業集落排水なので、農業用水の排水の水質保全とか、あとは農村に住む方々の生活環境の改善、あとは汚水処理過程から出てくる処理水だとか汚泥を農村地域で資源循環するということの目的で、事業内容としては、汚水処理施設の整備だとか、資源循環施設の整備を行うというのが、農業集落排水事業の目的となっております。

 次のページは、そういった農業集落排水事業のイメージですけれども、ちょっと左下のほうを見ていただくと、集落排水施設については、小規模集合処理方式の汚水処理システムというふうに言われるんですけれども、先ほど説明のあった下水道のほうが大規模集合処理方式ということで、ここの場合は街区というふうに書いてありますけれども、街区を一体的に管路でつないで、大規模な処理施設で汚水を処理して河川で放流するということに対して、農業集落排水のほうは、小規模集合処理方式ということで、農村ごと、農村集落ごとに、処理施設を小規模なものを設けて処理をすると。その過程で発生した処理水だとか汚泥については、農業に利用していく、農業用水や肥料として使っていくという形で、小規模分散型で施設を整備しているという特徴があります。

 右上のほうに、そういった一つ一つの処理区の対象人口とかそういうものがどれぐらいあるかというのを示したものが右上の絵になりますけれども、大体1,000人未満というのが大部分を占めると。1地区当たりの平均で言うと、上に書いてありますけれども、650人程度という形になっております。

 こういった地区が、その上の白丸の二つ目に書いてありますけれども、全国の900市町村で約5,000か所整備がしてあるような状況になります。

 今の整備の状況ですけれども、右下を見ていただきたいんですけれども、新規整備が青になりますけれども、平成7年に大体470地区ぐらいの新規着手をしていたピークがあったんですけれども、これが今はどんどん減っていって、30年の最新のデータで言うと6地区程度という形になっています。今で言うと、造った施設を適切に更新整備していくということが今はメインになってきているような状況です。

 次に、集落排水の特徴である資源循環ですけれども、処理の過程で出てきた、処理水として出てきたものを農業用水として使っている割合としては、円グラフでちょっと見づらいですけれども、再利用の率として79.2%を使っていると。一方右側ですけれども、出てきた汚泥をリサイクルということについては、全体としては71%と。いずれも30年度末時点のデータですね。71%をリサイクルしているということです。内訳については53%が農地還元、建設資材として利用しているのが18%という形になります。

 次に、汚水処理施設の整備ということで、ここは先ほど下水道からも説明があったんですけれども、都市部の下水道、農漁村部の集落排水、その周辺部の人家がまばらなところを浄化槽で整備するという形で役割分担をして行っておりまして、これについても、先ほど下水道のほうから話があったように、経済性だとか地域の実情に応じた最適な整備手法で整備していくということで、各都道府県が定める都道府県構想に基づいて整備を推進しているという状況になります。

 その整備の状況については、30年度末の汚水処理人口普及率と重複しますけれども、下水道が79.3、集落排水が2.7となっております。

 次のスライドは、左側のグラフが、先ほど説明した汚水処理人口普及状況を、黄色い枠がそれを示しております。一番下の計を見ていただくと、91.4%ということで、全国の汚水処理普及率の平均値が出ております。

 それで、先ほども言いましたけれども、このうちの農業集落排水施設等としては、2.7%をシェアとして持っているという状況です。

 下のほうがちょっと見づらいですけれども、人口規模別の処理状況、汚水処理人口普及率の状況を示したものになります。

 一番右が5万人未満の人口規模ということで、これについてはちょっと見づらいですけれども、平均値が91.4%に対して80.3%ということで、平均値よりも少なくなっていると。そういったところについて、集落排水については、この黄緑色のところは集落排水になるんですけれども、そういったところを中心に担っているというのが集落排水になります。

 右側のほうになりますと、その集落排水施設の整備率という形になります。これは分母、分子。分母が、先ほど説明をした各都道府県の都道府県構想で、集落排水でどれだけの整備をするかという計画を求めたものが340万人という形になっています。それで30年度末時点で既に整備が終わったものというのが321万人ということで、率にすると94.5%の整備率になっているという状況になります。残りが5.5%という状況です。

 次のページは、この中で、高度処理の対応状況がどうなのかというところなんですけれども、集落排水については、平成18年3月に、放流水質をさらに向上させるということで、従来であれば放流水質目標がBOD、SS、それぞれ20、50、左に書いていますけれども、そういった目標値を持っていたんですけれども、これを努力目標ということで、それぞれ15、30mg/L以下という形で目標の設定をしております。集落排水施設については、こういった努力目標だとか、こういった達成するために、それぞれ地域の特性だとか、人口だとか、目標とする処理水質に向けて実現するために、生物膜法だとか浮遊生物法で、それぞれ所定の放流水質が確保できるようになっておりますので、そういった適切な処理方式を選択して、汚水処理を行うという形で整理、事業のほうを進めています。

 その結果ですが、高度処理の導入状況ということで、平成30年度末の時点のデータですけれども、4,974地区のうち、1,157地区で高度処理を導入しているという状況になります。

 次のページ、集落排水施設については、こういった高度処理を含む全体の汚水処理を継続的に行うために、ちょっといろいろな課題がありますけれども、ちょっとこの場を借りてそういった課題のほうを御紹介したいというふうに思います。

 一つは、左のグラフを見ていただきたいんですけれども、これが集落排水施設の供用開始の年度別の施設を示したものになっています。これはピークが平成10年前後になっているんですけれども、時間の経過とともに老朽化した施設がどんどん増えているという状況になります。

 これは平成30年度のデータですけれども、15年経過した時点で4,100か所、また200~300は増えていると思いますけれども、そういった形で老朽化していると。こういったものを適切に、方針を整備していく必要があるというのと、二つ目ですけれども、地方の財政が最近は逼迫しているということで、その中でも汚水処理を効率的に行っていく必要があるということで、維持管理費の軽減ということがよく言われています。その維持管理費の集落排水施設での内訳を示したものが、右側の円グラフになります。

 内訳としては、汚泥処理費が大体60%、いろんな曝気だとかをする電気料が23%という形になっております。

 次に、こういった課題に対しての取組方法として、農水省の中で、農地だとか農業用水路を計画的に整備するための、土地改良事業で計画的に整備するための土地改良長期計画というものを策定しているんですけれども、平成28年から令和2年度までの土地改良長期計画の中で、集落排水施設についても取組が定められているところです。

 具体的に見ていくと、左側ですけれども、政策課題として、美しく活力ある農村というところで、施策8:農村基盤の効率的な保全管理というところで、赤文字になりますけれども、「農業集落排水施設の機能診断等を適切に行い、老朽化対策を効率的に推進」とか、次の赤ですけれども「施設の集約・再編、下水道施設への編入などを通じたストックの適正化に取り組む」というようなところが位置づけられております。

 それらの具体的な成果目標と達成状況を右に示しております。

 重要業績指標(KPI)として、農業集落排水施設の維持管理費の削減目標を設定した再編計画の策定市町村数ということで、令和2年までに約300市町村、平成30年時点で、これに対して220市町村で策定している状況です。あと、活動指標として、農業集落排水施設の機能診断実施率ということで、これは10割を目標にしているんですけれども、平成30年時点で76%という形になっております。

 これらについては、計画期間である令和2年度までには概ね目標を達成するような見込みにはなっているような状況になっております。

 残り、汚水処理人口普及率だとか、汚泥の再生利用率というのも、記載のとおり位置付けられているところでございます。

 次に、先ほどが、農水省、農業集落排水施設としての取組方法だったんですけれども、関係4省庁、総務省、農水省、我々ですね、国交省、環境省の4省庁でも、目標を設定して取り組んでいるところです。それが広域化・共同化の推進に向けた目標設定ということで、広域化・共同化というのは右下のイラストを見ていただきたいんですけれども、先ほどの土地改良長期計画の中でもあった施設の処理、ハードということで、施設の処理区の統合ということで、ということで、各処理施設の統合だとか、集落排水を下水道併設にするだとか、そういったものだとかが再編というものなんですけれども、それ以外にも、右側にあるような、処理施設の統合はできなくても汚泥の共同処理を行っていくだとか、下に行って、ソフト対策として、維持管理を複数の市町村から一つの民間事業者のほうに委託をするような形で効率化するだとか、あとはICT化ですね、そういったものを使って、一つの処理施設の中で複数の処理を集中管理していくというようなことを広域化・共同化と言っているんですけれども、こういったものに取り組むという形で、4省庁挙げて取り組んでいるところです。

 その中で、左上の施設の処理区の統廃合について具体的な目標を定めておりまして、これは4省庁全体で所管する処理施設について、平成29年度から令和4年度末までに削減する、統廃合する施設として450か所というものを位置づけているということになります。これについては平成29年度末で138か所の取組が進んでいるという形で、達成実績としてはそういった状況になっておるところです。

 集落排水施設については、こういった施設の老朽化だとか維持管理の効率化というところが課題となっておりますので、こういったことを対応していきながら、継続的な汚水処理を進めていきたいというふうに考えております。

 農水省からは以上です。

【細見委員長】 ありがとうございました。ただいまの資料に対する説明に対して、御意見とか御質問があれば挙手マークを上げていただけますでしょうか。いかがでしょうか。風間委員から挙がっていますので、風間委員、どうぞ。

【風間委員】 風間です。資料3、国土交通省について質問したいんですけど、よろしいでしょうか。

【細見委員長】 はい、どうぞ。

【風間委員】 スライド10と11の部分です。合流式下水道対策、雨天時対策に関する内容です。

 平成13年度にCSOが話題となって、その対策が始まりました。しかし、CODとか窒素、りんに対して、その大きさが明確になっていません。10ページのように、降雨時に糞便性大腸菌が一時的に大きな濃度で排出されているという資料は見られますが、総量削減で対象としている項目であるCOD、窒素、りんについては公表されていません。

 東京都の環境科学研究所の年報では、神田川で、ある降雨時にアンモニア性窒素が35倍、そのほかが2倍から7倍の負荷量であったとの結果が示されています。排出負荷量に対して雨天時負荷量がどの程度なのか、一時的には大きいけれども、年間では例えば1割程度なのか、下水からの排出負荷量と、年間負荷量の比率は、COD、窒素、りんについてどのぐらいなのか、分かる範囲で教えていただきたいと思います。その大きさにもよりますけれども、場合によっては、前回委員会で示されました水域面積当たりの発生負荷量とCOD濃度の推移の図に対応する各期間の発生負荷量を修正する必要があるかもしれません。よろしくお願いいたします。

【細見委員長】 国土交通省の松澤さん、よろしいでしょうか。

【松澤課長補佐】 下水道部、松澤でございます。今風間委員から御質問がございました件について、お答えいたします。

 雨天時の吐口からのCOD、窒素、りんといったような汚濁負荷量のデータですけれども、残念ながら、体系立てて整理しているというものを、当方のほうでは持ち合わせていないというのが実態でございます。我々といたしましては、下水道法関連法令に規定されておりますBODをターゲットにいたしまして、雨天時におけるモニタリングといったものを実施しているといったような状況でございます。

 以上でございます。

【細見委員長】 ありがとうございます。

 引き続いて、平沢委員、小川委員と挙がっていますが、まず平沢委員からどうぞ。

【平沢委員】 私も下水道の資料の3のところの質問です。

 1点は今の風間委員と同じでございます。

 2点目は、資料6ページの高度処理の導入状況ですけれども、実施率というのは出ているんですが、どのぐらいNPの削減効果があったのか、あるいは今後どうなるのかというような展望が、やはりこれ総量負荷削減なので、この見通し等あれば教えていただきたいというのが2番目の質問。

 それからもう一点、3番目ですが、季節的に施設を運転するというお話ですね。冬場はちょっと窒素、りんを出すような運転をするというようなお話ですが、それも実情、具体的にどこでどの程度そういう運転をされているのか、あるいは今後どういう計画でやろうとしているのかという内容が分かれば教えていただきたい。

 以上でございます。

【細見委員長】 松澤さん、どうぞ。

【松澤課長補佐】 今の平沢委員の御質問でございますけれども、まず、最初の高度処理実施率に関連いたしまして、窒素、りんといったものの削減効果の見通しといった御質問でございますけれども、大変申し訳ございません、各都道府県、強いて言えば終末処理場ごとに流入、流出といったようなそういった条件が異なっておりまして、ちょっとお答えできるような材料を持ち合わせていないというところが正直なところでございます。

 それから、2点目の御質問でございました季節別運転の実施状況でございますが、まず実施している状況といたしまして、昨年度末時点での状況でございますが、全国の23都市、終末処理場の箇所数で言いますと31か所にて実施しておりまして、エリア的には瀬戸内海を中心に実施されているという状況でございます。

 今後の見通しにつきましては、こちらにつきましても、各水域の各関係機関との協議によって、今後の展開というものがなされていくのではないかというふうに思っております。

 以上でございます。

【平沢委員】 どうもありがとうございました。

【細見委員長】 松澤さん、確かにこの委員会は総量削減に関してですので、実施率だけではなくて、削減負荷量が分かるようなデータというのは、なかなかまとめるのは難しいのでしょうか。

【松澤課長補佐】 検討させていただければと思います。

【細見委員長】 はい。御検討のほど、よろしくお願いいたします。

【松澤課長補佐】 承知いたしました。

【細見委員長】 ありがとうございました。

 それでは、小川委員、どうぞ。

【小川委員】 よろしくお願いします。平沢先生と質問が被ってしまうんですが、季別運転について、1点お伺いしたいと思います。

 これまで、総量を削減するということで、高度処理も50%以上導入してきている、また浄化槽事業のほうでもかなり高度処理型の浄化槽が普及しているという中で、今回、季別運転、先ほどの御回答ですと31か所で実施中ということですが、それによる効果というのは果たしてあるのでしょうか。せっかくここまで水質改善を図っていきながら、例え冬場という季節条件はあるんですが、削減することについて、私自身はちょっと疑問を持っています。いかがでしょうか。この1点です。よろしくお願いします。

【細見委員長】 松澤さん、いかがでしょうか。

【松澤課長補佐】 はい。今の小川委員からの御質問についてお答えいたします。

 季節別運転の効果というところでございますけれども、実際に各水域、終末処理場がある周辺水域の条件によりまして、多分効果のほうは様々かと思っております。各下水道管理者、それから地元の環境部局さんと連携して、モニタリングということで事後評価等々行われているところが実態かと思います。

 また、実際に季節別運転を実施している処理場におきましても、中には思ったほど栄養塩がうまく排出できていないというような課題も幾つか見受けられておりまして、そういった課題解決に向けまして、鋭意各自治体さん等でいろいろ工夫をされているといったところが現状でございます。

 以上でございます。

【細見委員長】 ありがとうございます。あと、田中委員から挙手がありますが。

【田中委員】 私は資料4について、農林水産省の件で、ちょっと2点、この機会なので、ちょっとお聞きしたいんですが、1点目は先ほど農業集落排水事業の汚泥系がかなりうまくリサイクルされていると、農業用に53%使われているというお話を聞いたんですが、逆に汚泥処理の費用内訳を見てみると、60%が汚泥の処理費用にかかっていると。この辺がどうしてこういう、今の現状と、この汚泥の処理コストがかかっているのかという点が1点です。

 もう一点は、先ほど言われるように、かなり農集排は老朽化が始まって年数がたっていると思うんですが、老朽化対策でこれから更新が必要になってくると思うんですが、統合化していって下水道に入れるということもあると思うんですけれども、末端部分のパイプなどを含めた更新に関わる経費というのが、下水道の場合だと使用料金にある程度上乗せしていくような体系になっているのですが、農集排の場合には、こういう体系というのはきちんと今何か出来上がっているのでしょうか。要するに、総合削減計画の長期的な展望として、どの程度汚泥とか老朽化の対策を今計画としては持たれているのか、この機会にちょっと教えていただけると有り難いです。

 以上です。

【細見委員長】 じゃあ中邨補佐、よろしくお願いします。

【中邨課長補佐】 7枚目の資料で汚泥処理費が710万60トン、大体1,000人の処理施設で言うと、設計値当たりで710万60%という話を申し上げましたけれども、これについては、下に書いてありますように、汚泥処理費を大体1立米当たり1万円という仮定をして設定した金額になります。これについては、集落排水施設の資源循環施設だけで処理をするだけではなくて、し尿処理施設のほうでも処理をするようなことを念頭に置いた金額設定をしておりますので、冒頭のリサイクル率についてもそういうことなので、し尿処理施設を通じた資源循環率というのも加えたもの、処理の量というのも入ったものになっております。

 2点目についてですけれども、集落排水事業で使用料の収入だとかそういったものによって、施設の更新だとかそういったところの展望ですけれども、下水道のほうは、公営企業会計の移行だとか、そういったことで計画的に事務が進んでいるようなところです。集落排水施設についても同様に、市町村の事務として下水道と集落排水を一体的にやるような部署も増えてきておりますので、同じく総務省さんの音頭の下、公営企業会計に移行しつつ、使用料収入で極力そういった維持管理費だとか更新だとか、そういった費用を賄えるような形で、どこまでやれるかというところはありますけれども、目指すというところで公営企業会計化を進めているというふうな状況でございます。

 それを進めていく中で、どうしても下水道に比べると、コスト的に厳しい面がございますので、維持管理費をいかに低減するかというところでいろいろ知恵を出していきながら、自治体と進めているところでございます。

 以上です。

【田中委員】 ありがとうございました。

【細見委員長】 ありがとうございます。

 あとお一方、長田委員から挙がっています。実は、この進行につきましては、それぞれの説明に対して10分弱の質問時間ですが、もうかなり超過しています。委員の皆様、申し訳ありませんが、質問のポイントを出来るだけ簡略によろしくお願いしたいと思います。

 では長田委員、どうぞよろしくお願いします。

【長田委員】 長田のほうから、農林水産省の中邨さんに御質問いたします。

 6ページにございます処理方式と処理性能についてという、生物膜法と浮遊生物法についての御説明がございますけれども、その上段のほうの汚水処理方式の中から地域の特性を踏まえて適切な処理ということが書いてございますけれども、ここの部分、どのような形式で選択をしておられるのかということがもしありましたらお教えいただきたいというふうに考えております。

 以上です。

【中邨課長補佐】 お答えします。地域の特性を踏まえてという形ですけれども、具体的に言うと、大体処理方式ごとに、設計する人口だとか、放流する水質目標、基準値というのが定められておりますので、そういったものに、人口だとかそういった放流水質に対して、コスト的に建設整備費的にどれが一番経済的だというところを、経済比較をしながら、適切な処理を選定するという、そういう概略をして、最終的には経済比較をして処理方式を選定するということを、地域の特性を踏まえてという表現で記載しているところでございました。

 ちょっとこれで解答になっているかどうかあれですけれども、よろしいでしょうか。

【長田委員】 短くお話しいただきましたけれども、結局生物膜法だとかなり汚泥の濃いものから、汚水の濃いものから薄いものまで安定して処理ができるのかなと考えましたので、生物膜法をまず導入して、だんだん間欠ばっ気法あるいはほかの方法にも適用を広げていって、努力目標を達成するということなのかなと理解いたしました。どうもありがとうございます。

【細見委員長】 あと一方、江口委員が挙がっています。よろしく。

【江口委員】 資料3と資料4に通じての質問ですけれども、下水処理の方式には3種類あって、下水道と農業集落排水と浄化槽があると。農業集落排水と下水道についてはそれぞれ高度処理があると理解しました。

 私は素人でよく分からないのですが、これらの、浄化槽とか農業集落排水施設というのは、下水道と全く同じ能力で、窒素やりんやCODを除去できるものなのか、あるいは、下水道と農業集落排水と浄化槽では、それぞれCOD、窒素、りんの除去率に対して、それぞれどれが一番いいとか悪いとかというのがあるのか、その辺りを、簡単な表みたいなものがあると非常に有り難いなと思ったんですけれども、今もしざっくり教えていただけるようであれば教えていただけると大変助かります。

【細見委員長】 どなたに対して。答えられますか。松澤さんと中邨さん、どうでしょうか。

【中邨課長補佐】 そうしたらまず私から、ちょうど今、集落排水の処理性能が出ておりますので、ちょっと先ほど説明が足りなかったんですけれども、生物膜法だとか浮遊生物法の中でも、それぞれいろんな処理方式があるんですけれども、それの中で、ここではばくっと書いてありますけれども、それぞれのBODだとかSS、それとまたCODだとかT-N、T-Pについても処理性能が設定されておりますので、そういった中で処理をしているというのが農業集落排水施設になります。

【江口委員】 その農業集落排水施設というのは、下水道や浄化槽に比べると、どちらが処理能力が高いとか低いとかいうのはあるのでしょうか。

【中邨課長補佐】 ちょっと私の認識が間違っていないことを恐れずに言うと、そこは最終的な処理性能というか水質で出しておりますので、その数値に応じた水質が出ていると思いますので、そこの性能というか放流水質を見ていただければ、それぞれの施設によってどれがいい、悪いというのは見ることができるのかなと思います。

 松澤さん、それよろしいですか。

【松澤課長補佐】 そうですね、数字的なものをすぐにお答えできなくて恐縮ですけれども、そのような認識でおります。

【細見委員長】 ありがとうございます。最後の質問は非常に難しいと思います。規模だとか、いろいろ考慮すべき要件がありますので。

 充実した質疑もしていただきましたけれども、ちょっと予定の時間が過ぎていますので、どうも松澤さん、中邨さん、ありがとうございました。

 それでは引き続いて、環境保全型農業関係、畜産関係、水産関係について、説明をお願いしたいと思います。3件続けて御説明していただいた後に、まとめて質疑応答をいたします。

 それでは、まず資料5の農林水産省の松下補佐から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【松下総括補佐】 それでは、環境保全型農業の推進について、御説明いたします。農林水産省生産局、農業環境対策課の松下と申します。よろしくお願いいたします。

 こちら、化学肥料の国内需要量及び施肥量ということでございまして、農作物を生育するためには、窒素、りん酸、加里など栄養素が必要となっております。そのために肥料が必要になるわけでございますが、農地へ化学肥料が過剰に投入されてしまいますと、地下への浸透により地下水の水質汚濁の原因となったり、農地からの排水に肥料成分が含まれると、湖沼や海域の富栄養化の一因となります。このため作物生産のためには、過不足なく施肥を行うことが重要となっております。

 農林水産省では、これまで土壌診断に基づいた適正な施肥の推進など、施肥量を低減するための取組を進めてまいりました。

 こちらのグラフにつきましては、化学肥料の国内需要量と、米の10a当たりの施肥量でございます。どちらのグラフも減少傾向であることが分かります。

 国内需要量につきましては、農作物の作付面積の減少などの影響もありますが、平成2年のものと比べまして、平成28年には窒素は約4割、窒素は緑のところですが、続いてりん酸と加里、青とピンクのところでございますが、これは約6割減少していることが見てとれます。

 右側のほうですが、米の10a当たり施肥量につきましては、窒素、りん酸、加里の各成分について、平成2年と比較して、平成28年は約4割減少しているような状況になっております。

 次のページで施肥量低減の取組について御説明いたします。

 つまり、化学肥料の使用量を低減させるということをやっているわけでございますが、平成20年度からの取組の説明をさせていただきますと、肥料原料の供給の価格等を背景といたしまして、肥料価格が高騰したことがありました。その問題に対応するために、減肥基準に基づく施肥指導を徹底するよう通知を発出しております。

 減肥基準と申しますのは、土壌診断の結果、ここの左側の中ほどにございますが、土壌診断の結果、土壌中に肥料成分を過剰に蓄積していることが明らかになった場合には、作物の収量、品質に影響のない範囲で施肥量を調節する際の基準のことでございまして、これは都道府県ごとに定めておりまして、標準的な施肥量よりどの程度施肥量を減らすことができるかを示す基準になっております。この減肥基準は、令和元年度現在、37道府県で策定されております。

 現在はこうした土壌診断によりまして、土壌の不足する養分と過剰な養分を把握した上で、それらのほ場に必要な養分を必要な量で施肥する適正施肥を推進しています。そのための技術の導入といたしましては、右上のところにありますが、肥効調節型肥料の利用や側条施肥技術の導入ということで、これはそれぞれ肥料の量を調節するような技術でございますけれども、肥効調節型肥料につきましては、肥料の効果を持続させるために、肥料成分の溶け出す具合を調節した肥料のことでございます。施肥直後の降雨とか長雨により肥料成分が流出していくことを防ぎまして、植物が肥料成分を効率的に吸収することができるようになっております、これで施肥量は10~40%低減と、そういう効果を持っております。

 続きまして、側条施肥といいますのは、施肥を全面にするわけではなくて、田植えと同時に、苗が植え付けられた付近に肥料を土壌中に散布する技術のことでございまして、肥料の吸収効率が向上しまして、肥料成分の流出を減らすことができるということになっております。

 これらの取組を推進するために体制を整えておりまして、右下になりますけれども、農業者の農業技術や経営を向上するための技術の支援を行う県の普及指導員という、そういった方々がいます。それからJAや、全国肥料商連合会等の関係団体においても技術者を養成しまして、農業者への指導を行っていくと、そういった形としております。

 次のスライドは、施肥量低減の取組を推進する制度としまして、エコファーマーについて御説明いたします。

 平成11年に、「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」が制定されました。農業者が作成した土づくりと、化学肥料・化学合成農薬の使用低減技術を一体的に導入する計画を都道府県知事が認定いたしまして、認定された農業者をエコファーマーとして支援するというものでございます。

 左下のグラフになりますが、平成29年までに、累積認定件数は30万件に達しております。

 エコファーマーが実施する化学肥料の使用を低減する技術としては、ほ場全面に散布せずに、畝の一部だけに使用するような技術がございますが、技術の導入状況につきましては、右側のちょっと赤の部分の白字の、化学肥料使用の低減といたしますと、有機質肥料の施用というのが49%、それから先ほどの肥効調節型肥料の施用というのが39%、局所施肥という一部分だけ、必要なところだけ施肥するような技術が34.7%ありまして、化学肥料使用の低減に取り組んでいない農業者は18.7%と少数派となっております。8割強の農業者は何らかの肥料低減の取組を行っていることが分かります。

 次のページ、こちら、環境保全型農業直接支払交付金の制度ということで御説明させていただきます。環境保全型農業を支援する制度でございます。

 この環境保全型農業直接支払交付金、略して環直と申しておりますけれども、この環直につきましては、化学肥料、化学合成農薬を原則5割以上低減する取組と合わせまして、地球温暖化防止や生物多様性保全等に効果の高い営農活動を支援しております。中ほど左側になりますけれども、取組としては、有機農業、堆肥の施用、カバークロップなどの土壌中に炭素を貯留することなどによりまして、温室効果ガスの排出を削減し、地球温暖化防止に効果を発揮する、そういう取組があります。それから右側になりますが、生物多様性保全に効果が高い取組としましては、冬期湛水管理、それからIPM、IPMと申しますのは、右側に総合的病害虫・雑草管理と書いておりますけれども、こちらは病害虫の発生状況に応じまして、天敵の利用などの防除方法を適切に組み合わせて、環境負荷を低減して病害虫の発生を抑制するという技術のことでございまして、農薬の使用などを減らすことができます。

 なお、この冬期湛水管理、IPMの取組につきましては、全国共通の取組として支援しているわけではなくて、地域の環境や農業の実態等を勘案した上で、地域を限定して支援の対象とする取組としております。改めて後ほど御説明しますが、この地域特認取組の中に水質保全に貢献する取組として、滋賀県の「緩効性肥料の利用および長期中干し」という取組も含まれております。

 こちらの支援に対する交付単価というものは、取組を実施した際にかかる掛かり増し経費というものに基づいて設定しております。

 次に、この環直の実施状況について、でございます。平成23年度の制度開始から、環直の実施面積は増加傾向にあります。平成30年度の実施面積は約7万9,000haでございました。

 この制度は、平成26年に農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮を図るために、中山間地域等直接支払、多面的機能支払とともに日本型直接支払制度として位置づけられまして、平成27年度から農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律に基づく制度として運用されることとなっております。

 最後のページですが、こちら先ほど申し上げました、環直の水質保全効果の高い取組の支援につきまして、御説明いたします。

 こちらにつきましては、昨年度、平成27年度から令和元年度までの5年間を第1期として施策の評価を行いまして、その評価結果に基づきまして制度を見直しました。今年度、令和2年度から第2期として運用を開始しております。

 第1期からの見直し内容といたしましては、地域特認取組については、これまでは地球温暖化防止、生物多様性保全に効果がある取組のみを支援対象としておりましたけども、現場の環境課題を解決できるように、水質保全などに貢献する取組を支援対象とするなど、地域特認の取組の運用について都道府県の裁量を拡大することといたしました。

 現在、水質保全効果のある取組としましては、こちらに御紹介しています滋賀県の「緩効性肥料の利用および長期中干し」がございます。

 対象作物は水稲、交付単価は10a当たり4,000円で、要件のうち窒素成分を含む化学肥料のおおむね全量を緩効性肥料とすること、被膜殻の流出防止対策を講じることが水質保全に貢献する取組、それから14日以上中干しを実施することは、水田からのメタン発生を抑制することにより地球温暖化防止に貢献する取組となっております。

 緩効性肥料につきましては、普通の化学肥料と比べまして肥料利用率が高いため、作物に利用されず、土の中に残る肥料成分が少なくなりまして、農地からの全窒素流出負荷が低減されますため、水質の保全効果につながると考えております。

 環境保全型農業の推進については、説明は以上でございます。ありがとうございました。

【細見委員長】 ありがとうございました。じゃあ、引き続きまして、資料6について、農林水産省の川島補佐からお願いいたします。

【川島課長補佐】 ただいま御紹介いただきました、農林水産省畜産部畜産振興課の川島でございます。

 私からは、資料6に基づいて、家畜排せつ物の適正管理を中心に、畜産環境をめぐる情勢について御説明させていただきます。

 まず、畜産環境問題の現状として、家畜排せつ物の発生量について御説明させていただきます。家畜1頭当たりの排せつ物の量は、家畜の種類、体重、飼料、飲水量、飼養形態、季節等により変化します。全国で発生する家畜排せつ物の量は、1年間で約8,000万トンです。右上のグラフのとおり、近年、総じて家畜・家きん飼養頭羽数が増加傾向であることから、家畜排せつ物の総発生量もそれに連動して、僅かですが増加しています。

 右下の表のとおり、畜種別では乳用牛、肉用牛、豚が各約3割を占めています。残りの1割が鶏です。これらの家畜排せつ物については、約9割が堆肥化等により有効利用されています。

 2ページでは家畜排せつ物法の仕組みについて、御説明させていただきます。家畜排せつ物の管理の適正化と資源としての利用の促進を図ることで、畜産業の健全な発展に貢献することを目的として、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律が、平成11年に成立しました。移行期間を経て、平成16年から本格施行されています。

 下の図でお示ししているとおり、管理の適正化と利用の促進の2本の柱から法律は構成されています。

 次に、管理の適正化について、御説明させていただきます。管理の適正化については、家畜排せつ物法では、畜産農家が最低限守るべき基準として、家畜排せつ物の不適切な管理、野積みや素掘りを禁止し、管理施設は雨による流出や地下浸透が起こらない構造とすることのほか、施設の定期的な点検や修繕等を義務づけています。

 右下の表を御覧ください。こちらでお示ししたとおり、平成29年12月1日時点の調査では、法の対象農家のうち99.9%が基準を守っており、今後とも畜産農家が基準を遵守するよう指導していくことが重要と考えております。

 一方で、令和元年における畜産経営に起因する苦情発生戸数ですけれども、右のグラフのとおり1,491戸発生しております。苦情発生率は2%となっており、近年横ばいで推移しています。悪臭の苦情が過半数を占めていて、次いで水質汚濁となっています。

 このように施設の確保がなされている中でも畜産環境問題が継続的に発生していることから、地域と共生し、畜産農家が経営を継続するためには、引き続き臭気対策や汚水対策の強化が重要と考えております。

 また、家畜排せつ物法に基づいて家畜排せつ物の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、農林水産大臣が家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針を策定しています。現在の基本方針は、令和12年度を目標として、耕種農家のニーズへの対応を通じた堆肥の利用拡大、堆肥利用が困難な場合のエネルギー利用の推進、環境規制や大規模化を踏まえた畜産環境問題への適切な対応をポイントとして、今年策定しました。

 家畜排せつ物は、主に堆肥として農地還元することにより再生利用されていますが、堆肥の利用拡大に関する最近の大きな動きとして、昨年の肥料取締法の改正で、堆肥と化学肥料の混合に関する規制が緩和されたことが挙げられます。基本方針もそれを踏まえた内容となっており、具体的には、耕種農家のニーズに合った堆肥の生産、供給を推進するために、堆肥の完熟化の取組に加えて、化学肥料との配合やペレット化等を行うことによって、耕種農家における施肥作業の負担軽減につながるような高品質化を推進する新たな取組を進め、広域流通を進めていくことの重要性を記載しております。

 こういった基本方針に即した取組を推進するために、農林水産省では畜産環境対策総合支援事業を措置し、耕種農家のニーズに対応した堆肥の生産や堆肥の広域流通、高度な畜産環境対策のための悪臭防止、汚水処理設備の導入を支援しています。

 また、家畜排せつ物法の本格施行から約15年が経過しました。法施行時に整備された家畜排せつ物処理施設の老朽化が顕在化してきています。そのため、本事業のほかにも、老朽化した家畜排せつ物処理施設の能力低下や悪臭の発生、汚水の漏出等を防ぐため、堆肥舎や汚水処理施設の補改修を支援しています。さらに、堆肥化や汚水処理に関する高度な知識の習得並びに指導力の向上のため、研修も実施しております。

 最後に少しだけお時間を頂き、畜産の中でも排水処理を行っている経営体が多い養豚について、現在の状況を御説明させていただきます。

 豚の排せつ物は水分量が多いため、水分の処理が重要です。糞尿分離し、それぞれを処理する方法が主流であり、分離後の液分は浄化処理後に放流するのが一般的です。そのような養豚の現状ですが、まずは左上のグラフを御覧ください。養豚農家の戸数は小規模層の離農により減少傾向で推移しており、この10年で戸数は約4割減少しております。大規模化が進展しており、畜舎や家畜排せつ物処理施設等の整備に多額の資金が必要であることから負債も多く、近年は1経営体当たり平均5億円程度の負債を抱えております。そちらについては、左下のグラフでお示ししております。

 また、右側の二つのグラフを御覧ください。輸入飼料を多く給与していることから、経営は飼料価格にも大きく影響されます。天候や為替といった外部要因により飼料価格は上下します。飼料価格高騰で利益が減少し、運転資金が不足すれば借金の必要も出てきます。

 一方で、このような中、汚水処理施設の更新が必要となれば、8ページでお示ししたように、施設の整備には数億円がかかります。負債も増加している中、施設の更新は経営に与える影響が大きく、難しい場合も多いと考えられます。畜産農業に関しては、このような状況にも御留意いただけますよう、よろしくお願いいたします。

 以上で、本日の説明は終了させていただきます。畜産部局としても、今後とも適切な家畜排せつ物管理と利用拡大、また今回は御説明の時間の関係から省略させていただきましたが、処理技術の開発を進めていきます。本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。

【細見委員長】 ありがとうございました。それでは、続いて、資料7に基づいて、水産庁、よろしくお願いいたします。

【鏑木係長】 水産庁栽培養殖課の鏑木と申します。

 資料7の3枚につきまして、まずは御説明をさせていただきます。事前に頂いておりました項目ということで、私からは、養殖に携わっている立場から、養殖業の環境改善に向けた取組、それから自然にある栄養塩類とか餌を利用して行う藻類養殖、あるいは貝類養殖を使った水質改善に向けた試みにつきまして、それから若干ですけれども、気候変動の影響について取り組んでいる内容について御説明をしたいと思っております。

 最初のページでございます。御承知かと思うんですけれども、水産庁では、平成11年の持続的養殖生産確保法というものを制定したことに伴いまして、大臣が持続的な養殖生産の確保を図るための基本方針というものを定めておりまして、これに基づきまして、各都道府県で養殖漁場ごとに、そこで養殖を営んでおります漁協等が共同、または単独で養殖漁場の改善に関する計画を策定して取り組むということを行っております。

 さらに、平成24年3月からは、水産基本計画ということの中で、改めて環境負荷の少ない持続的な養殖業の確立ということを掲げ、漁場改善計画の、後ほど御説明いたしますが、その中の特に適正養殖可能数量というものを遵守することによって、例えば餌のやり過ぎによる水質環境の悪化とかいうことを防止するような漁場環境の改善を推進するということに取り組んでまいっております。

 次に、漁場改善計画の概要につきまして、スライドを御用意させていただいております。この右側にあるんですけれども、漁場改善計画では、主に水域及び養殖水産物の種類、それから実施期間、養殖漁業の改善目標ということで、改善目標につきましては、水質、底質、それから飼育生物の病原体のことも書いてありますけれども、そういったようなものを目標として定めております。

 具体的な目標につきましては、ここでは事例ということで、各漁協、計画を定める海域の実情に応じまして目標を定めていきますので、丸という形になっておりますけれども、先ほど申し上げました大臣の基本方針におきましては、その目安といたしましては、溶存酸素量として1L当たり4.0mL、硫化物につきましては軟泥1g当たり0.2g、生物指標としましては、ゴカイ等の多毛類などの底生生物が生息していることといったようなことを挙げております。

 また、適正な養殖可能量ということにつきましては、基準年の養殖量に対しまして、ブリ、カンパチでは10%以上、その他の養殖対象種について5%以上は、活け込みと言っておりますが、最初に養殖生けすに入れるときの尾数、もしくは養殖に使う生けすの台数そのものを削減しているかというような形で、過度な養殖が行われないような抑制に努めているということでございます。

 それで、無給餌につきましては、そういったものが施設の数ですとか、あるいはそこで実際に養殖をする稚貝の数ですとか、そういったものを使って適正可能量を定めて、その遵守に努めているというところでございます。

 改善計画の作成状況でございますが、左側のグラフとなっておりますけれども、31年1月末現在の集計になりますけれども、策定都道府県数は28で、計画数については380行われております。それからカバー率と書いてありますが、これにつきましては海面養殖業の総生産に対する漁業改善計画が策定された養殖漁場との生産量の割合ということになっております。全体では91.4%、うち魚類の場合で91.5%、貝類で92.8%、藻類で90.7%ということで、およそ生産量の9割については、この改善計画の下で養殖が実施されているというところまで普及しているということでございます。

 次に、スライドをめくっていただきまして、これはノリを中心にしているんですけれども、環境変化ということになっておりますが、先ほど申し上げました、栄養面での、漁場の環境条件に合わせた新しい養殖の在り方ということで。まず、今、ノリにおきまして、色落ちということが非常に問題になっております。このノリの色落ちというのは、漁場の栄養塩類の不足ということが原因と言われております。その一方で、ノリ養殖というのに、対抗するような植物プランクトンというのがあって、それが餌を横取りしてしまうということと、それからその海域での栄養塩類の量が必ずしもノリの養殖に十分ではないといったようなことが考えられます。

 そういったことを解消するために、ノリ養殖とカキ養殖を組み合わせて、カキに、ノリと競合するような植物プランクトンを吸収してもらうと、カキの餌にするということです。それから、同時にカキから窒素成分等の栄養塩類を供給してもらうということによって色落ちの軽減を図ることができないかということにつきまして、平成19年から基礎的な調査から始めまして、今、24年以降で実際に現場でもこういったノリ養殖とカキ養殖を組み合わせた養殖を実施いたしまして、狙いどおりの色落ちの効果があるかどうかということについて、今現在検証を進めているということを行っております。まだ細かい結果については分析等が続いておりまして、正確な結果についてはまだ出ていないんですけれども、どうもそういった一定の効果が期待できそうだというような状況だと聞いております。

 それから、近年、地球温暖化と言われておりますけれども、ノリの実際の網入れを行うところの秋の温度が下がる時期というのが、どうも遅くなっていくということがありまして。その結果、ノリが張れる時期というのも限られてきて、養殖生産量が減少するというような傾向があります。こういった傾向に対処していくために、そういった高水温に対応したノリの新しい品種ができないかということにつきまして、現在でもそういった品種の改良というか探索ということを行っておりまして、これにつきましても、ある程度期待できそうな品種がどうも出てきておりまして、引き続きそれの確立とか、その内容の確認といったようなことを続けているということでございます。

 私からは、そういったことで3枚目のスライドまで御説明をいたしました。

 それで、あと、その調査につきましては、人が代わりますので、ちょっとお待ちください。

【上田課長補佐】 水産庁漁業支援課の上田と申します。

 4枚目の調査の部分につきましては、海洋の気候変動の影響の現状と調査研究という部分に関しまして、こちらのスライドで水産資源調査・評価推進事業という中で取組んでいる部分があります。

 左側の事業の内容の3番です。海洋環境要因の把握というのがありまして、水産資源、資源評価をやっているんです。いろんな魚種の分布、回遊、生残等に影響を及ぼす海洋環境を把握するために、調査船や観測ブイ等を利用し、水温、塩分、海流等の情報をモニタリングしてデータを集めていますということです。部分的には、例えばスルメイカの水温と分布の関係とか、カタクチイワシで水温と資源の加入量の関係だとか、そういうような分析等も行いつつデータ収集を続けているというところです。

 資料の説明は、以上です。

【細見委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、これまでの説明に対して、御意見とか御質問をお願いします。挙手をお願いします。

 岡本委員から挙手があります。どうぞ。

【岡本委員】 ありがとうございます。資料5と資料7について、それぞれ一つずつ質問をしたいと思います。

 まず、資料5の2ページ目、施肥量低減の取組で、土壌診断結果を基に肥料を減らしていくということで、37道府県で実施と全国的にもかなり効果が大きいと思うのですが。この結果、水田などからの栄養塩の流出負荷の削減効果がどうなのかといった調査、研究の事例があれば教えていただきたいというのが、一つ目の質問です。

 それから、二つ目は、資料7の養殖漁場の中で3枚目の裏になります、ノリ養殖技術の御紹介があり、今日の御紹介は、カキの養殖と組み合わせた栄養塩の供給ということでした。先ほど資料3では国交省本省から季節別に栄養塩を供給している事例紹介がありましたけれども、その効果はなかなか下水道管理者が評価しづらいと思いますが、水産庁さん、あるいは水産試験場さんのほうで、主にノリ養殖対象だと思いますが、この栄養塩供給の色落ちの軽減の効果などの調査はやられていないか、以上2点、質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

【松下総括補佐】 まずは、資料5の環境保全型農業の減肥基準に基づいた削減の効果の事例・研究があるかということでお答えしたいと思いますが、私が、今そういうものがあるとは、存じ上げていないところではございます。農作物については、適正な施肥を行うため、過剰に施肥をしないための減肥基準ということで、このぐらいの施肥量を減らすことができるという、そういうのを作物の生産の観点から定めていまして、それが流出していくときに削減というのはどのぐらい、という、私が今把握している事例とか研究というのはございません。

【向江課長補佐】 水産庁漁場資源課の向江と申します。

 今、委員から頂いた御質問の2点目の、資料7で、例えば下水処理場の管理運転による、その栄養塩供給によるノリなどへの効果についての御質問について、お答えしたいと思います。

 こちらにつきましては、当庁のほうで平成30年度から主に瀬戸内海をフィールドとしているんですけれども、栄養塩がアサリなどの二枚貝の餌であったり、あとは海藻類、ノリであったり藻場の位置、あとはカタクチイワシの資源に与える影響の調査を実施しています。

 その中で、例えば下水処理場の管理運転をしている地域で、その栄養塩の波及の範囲のデータを蓄積したりですとか、あとはノリだったり、アサリの餌、植物プランクトンとの因果関係について情報を収集しているところでございます。

 現時点では、まだ情報を集めてデータを蓄積しているところで、明確な定量的な結果というのをまだお伝えすることができないんですが、一定程度因果関係が示唆されている成果等もありますので、今後引き続き、そのデータを収集して取りまとめていきたいと思っております。

 以上になります。

【細見委員長】 ちょっと今の私も質問ですが、水産庁は、その調査には関わっていない。

【向江課長補佐】 水産庁の委託事業で、水産庁の水研機構と県の水試に参画していただいて、この調査を実施しています。

【細見委員長】 ありがとうございます。

【岡本委員】 ありがとうございました。

【細見委員長】 それでは、引き続き、あと4名の委員から挙手がありますが、進行上、できるだけコンパクトに質問をお願いいたします。まず、西嶋委員から、続いて田中、平沢、江口委員に行きます。

【西嶋委員】 一つ目は要望です。環境保全型農業のところで、ただいま質問があったところと関連しますが、原単位というか流出のほうは見積もられてないということですが、過去を見ると、産業系の削減はすごく進んでいるので、徐々にその他系の耕地のほうから出ている負荷が比較的多くなっているというような数字になっています。多分それは今やられているような肥料の削減というのが流出のほうの原単位に反映されてないからというところもあると思います。なので、ぜひそういう数字は出していただきたいというのが一つ目です。

 もう一つは、補助金を出して、50%以上の施肥量の削減がなされたというところに対しては、計画に対して補助金を出しているという話でしたが、それで出されている金額と削減の量というような、費用対効果の面から何か解析なりをされているのかというのが、これは質問です。

 もう一つは、自主的に施肥を減らされているという農家はたくさんいらっしゃると思いますが、そういうトータルの削減に対して、こういう補助金を出して支援をしている削減の量がどういう割合になっているのかということについて、教えていただきたいと思います。

 以上です。

【松下総括補佐】 まず、原単位の関係ですが、そこは環境省さんのほうで原単位を見積もっているのかなということで、私からは回答は差し控えさせていただきたいと思います。

 あと水質保全の関係につきまして、最後に滋賀県の一例というのを御紹介しておりますけれども、こちらのほう交付単価、10a当たり4,000円というので、これは掛かり増し経費として、農家のほうでかかるものというのでやっております。それが窒素の流出負荷低減の効果があるということは、それは評価をしております。6ページ目です。

 トータルの削減の量につきましては、ここには資料は用意しておりませんけれども、第1期の評価というときに、温室効果ガスの削減の量というのは、どれだけ効果があったのかというのは、それは評価しておりますし、あとは水質保全についても評価をさせていただいているところでございます。

 以上で、お答えになっておりますでしょうか。

【西嶋委員】 具体的な数字をちょっと知りたかったのですが、それは報告書に出ているということですね。

【松下総括補佐】 そうですね。

【西嶋委員】 分かりました。

【細見委員長】 ちょっと私からも、西嶋委員の最初の質問というのは非常に重要で、特にこの総量削減において、原単位がどのように努力によって減っていったのかというのはすごく重要な情報ですので、ぜひ環境省と農林水産省と協議していただいて、その辺の努力の結果が計算とか評価にどのように結びついているのかというのは、ぜひ今回議論をさせていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 松下補佐、よろしくお願いします。

【松下総括補佐】 はい。

【細見委員長】 それでは、田中委員から、次、質問があります。どうぞ。

【田中委員】 今の話にもかなりかかわるんですが、原単位にいきなり行く前に、農地にインプットとして一体どれぐらいどう変化しているのか、この結果、原単位でどう変わるのかということになると思うんです。それで、今回農業環境対策課さんと、それから畜産振興課さんのほうで情報を頂いたんですが、資料5のほうの化学肥料と言っているものの概念が、ちょっと私が十分は理解してないのかもしれませんが、この中に畜産振興課さんの言われている、いわゆる堆肥、有機系の堆肥、これが含まれた傾向で全部まとめられているんでしょうか、それとも、それらは入っていないんでしょうか。これがまず1点目です。もし入っていないのであれば、全体をまとめた形でどれぐらいインプットが変化してきているのか、それを知りたいということです。

 2点目は、これは畜産振興課の畜産排水の処理の話で、やはり老朽化の話がいろいろ出てきて、特に豚の話が出てきたんですが。鶏は多分排水出ないと思うんですけど、牛についても同じような問題を抱えているのか、もしそういう更新の問題があるときには、現在の制度で補助、農林省の補助のようなもので更新が可能なのか、この2点を教えていただけますでしょうか。

【松下総括補佐】 続きまして、お答えします。化学肥料の中には堆肥は入ってございません。化学肥料と堆肥をまとめた形で国内の需要量があるかということにつきましては、今手元に数字がなくてお答えできないところがありまして、申し訳ございません。

【川島課長補佐】 畜産振興課の川島です。

 田中委員、御質問ありがとうございました。御指摘いただきました老朽化のお話ですが、御指摘のとおり、牛についても同じような問題はあります。

 2点目の更新が補助で可能かということについては、一定の要件を満たせば可能な場合もあります。しかし、原則として畜産の家畜排せつ物については、自分できちんと処理をするということになっておりますので、廃棄物処理法でそのようになっております。ですので、原則、自らきちんと費用を積み立てて、ちゃんと更新をすると。その旨については、先ほど私がお示ししました資料の5ページですけれども、3の畜産環境問題への対応というところで、上から二つ目のポツ、修繕や更新のための費用を計画的に経営内に留保し、適切な再投資を確保することが必要であるということを畜産農家の皆様に意識を浸透させることも非常に重要だと考えております。

【田中委員】 ありがとうございます。特に1点目は、先ほど言われたように、全体像としてどれぐらい投入されたのか、畜産系のほうは一生懸命堆肥化されて、堆肥化を進めているということは、逆に農地にインプットを今しようとしていると思うんです。化学肥料系のほうは削減しているんだけど、全体量、像としてどれぐらい減少しているのか、多分恐らくかなり減少しているだろうなと思うんですが、その全体像が同じような土俵で見えるような資料を、やっぱり農林省としては作っていただかないといけないんじゃないかなと思います。

 それから、2点目のほうは、やはり今の堆肥化の問題も含めた排水処理がうまくいかないと、結局どこかで詰まってしまうわけで、そこの部分がまた環境に戻ってきますので、そこの部分のやはりこれからの更新なり、技術の導入というのは、やっぱりぜひとも前向きに考えていただけると有り難いと思います。

【細見委員長】 特に全体として農地に化学肥料、有機肥料、堆肥ですか、その辺の量が分かるといいということですけれども。ちょっとそういう形で取りまとめられれば、農林水産省のほうで、一つのグラフで堆肥の量、それから化学肥料の量がどうなったのかというのを示していただけるといいなというのが要望ですので、もし答えられたらよろしくお願いいたします。

【川島課長補佐】 生産されている量については、統計がございます。

【細見委員長】 分かりました。

【田中委員】 それも参考になると思いますね。

【細見委員長】 参考になると思いますので、お願いいたします。

【川島課長補佐】 今データを持ち合わせてないんですけれども。

【細見委員長】 後ほどで結構ですので。

【川島課長補佐】 後ほどで、分かりました。

【細見委員長】 お手数ですが、よろしくお願いします。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。平沢委員、どうぞ。

【平沢委員】 平沢でございます。

 畜産のところですが、2ページに家畜排せつ物法というのがあって、管理基準の遵守とかあるんですけれども。現実、老朽化というよりは、施設があってもきちっと運転してないという問題がたしかあったと思うんです。その辺の改善がどのぐらいなされているのか、どういう対応をして運転管理をうまくしているのかという、その最近の情報があれば教えていただきたいですが。

【川島課長補佐】 平沢委員、御意見ありがとうございます。老朽化よりも運転管理というお話ですが、そちらについては、もちろんこちらも重要だと考えております。一方で、それをこちらで指導をしたりとか、研修をしたりとか、あと都道府県も指導していたりします。それがどのように変化しているかということをお示しするのは、ちょっと難しいかなと思います。

【平沢委員】 すみません、以前うまくいってないというデータをかなり見せていただいているんで、それが何年かたっているので、どのぐらい改善しているんだろうか、あるいはどういう管理を指導している、あるいはそういう業者みたいなものがやりだしたのか、その辺のところの進展があれば教えていただきたいというような質問です。

【川島課長補佐】 ありがとうございます。データについては、農林水産省は汚水に関しては持ち合わせておりません。環境省であるかもしれないんですけれども、申し訳ございません、今、私の手元にはデータは持ち合わせておりません。

【平沢委員】 分かりました。それで、すみません、もう1点、最後に資料7、水産庁のやつですが、このお話は分かったんですが、閉鎖性海域で漁獲量の推移、そういうデータもできればお示しいただきたい、こことはちょっと関係ないのかもしれませんが、水産庁で閉鎖性海域の漁獲量の推移等のデータがあれば、そのうちお示しいただきたいなと思った質問でございます。

【細見委員長】 いかがでしょうか。じゃあ、これは環境省も関係していますので、ちょっと浜名さん、どうぞ。

【浜名室長補佐】 平沢委員に今御指摘いただきました、漁業のデータ、漁獲量のデータでございますけれども、第1回のときでも同じような御指摘いただきまして、第4回もしくは第5回で披露できるように、環境省のほうでデータの整理を行っているところでございます。しばらくお待ちいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【平沢委員】 どうもありがとうございました。

【細見委員長】 それでは、続いて、東委員、どうぞ。

【東委員】 では、資料6の畜産につきまして2点質問させてください。

 一つ目ですが、2ページ目の家畜排せつ物法の仕組みのところですが、上の四角の二つ目のポツのところで、畜産業を営む者で「(小規模農家を除く)」とございますが、負荷の観点からして、この小規模農家というのが一体どれぐらいの量の割合を占めているのか、もしご存じであれば教えていただきたいと思います。

 そして、もう一つですが、6ページ、こちらのほうで畜産の廃棄物が農地のほうに還元する、堆肥として還元するといったような形になっています。恐らく小規模農家でもかなり行われていると思うのですが、例えば1ページの原単位、これは多分その辺が入ってない数値だと思われるのですが、これに対してどれぐらい農地のほうに戻っているのか、ざっくりとした割合等で結構ですので教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【川島課長補佐】 東委員、御質問ありがとうございます。こちら小規模農家から排出される量ですけれども、そちらについて数字は残念ながら持ち合わせておりません。一方で、こちらですけれども、私が示させていただいた資料の3ページ、管理基準の適用対象外ということで、牛又は馬10頭未満、豚100頭未満、鶏2,000羽未満となっておりまして、それほど多くなく、御自分で持たれている農地に還元されている場合も多いかと推測しております。

 以上です。

【細見委員長】 もう1点、質問がありましたかね。それでよろしいですか、東委員。

【東委員】 堆肥で戻る分の割合はどれぐらいでしょうか。

【川島課長補佐】 もう一度お願いしてよろしいでしょうか。

【東委員】 二つ目の質問は、資料6ページの土づくり堆肥の生産・流通支援のところですが、これは畜産廃棄物が堆肥に変わるというイメージでよろしいでしょうか。

【川島課長補佐】 こちらの6ページの新事業というところでお示しさせていただいているのは、畜産の家畜排せつ物を元にした堆肥のことです。

【東委員】 ですよね。そうなると、例えば1ページ目の原単位は、多分恐らくこの堆肥として戻る量、農地に還元する量が入っていない排出原単位だと思うのですが、それが今現在、例えばどれぐらい農地のほうに戻っているのか、ざっくりとした数字でもあれば教えていただければと思います。

【川島課長補佐】 現在ですけれども、大体8割ぐらいが堆肥として戻っていると推測されます。

【細見委員長】 そうすると、この原単位の値というのは、8割減らした値が流出すると考えていいんでしょうか。

【川島課長補佐】 数字で言うと、再生利用されていますのは、現在、試算されているところでは大体87%ぐらい、残りについては、豚の尿、こちらについては適切に処理をしております。あとは、廃棄物処理されているものも若干あると考えています。

【東委員】 一度、その辺何かフローみたいなものをご整理いただいて、最終的にどれぐらい公共用水域に出されるかを示していただければと思います。

【川島課長補佐】 どのようなものがお出しできるか、検討させていただきます。

【細見委員長】 ぜひ、この1ページ目の原単位というのが、いろいろ努力されてリサイクルされて、有効利用されている分が含まれた値なのか、そうでないとするならば、その辺の評価について環境省とちょっと協議していただいて、どの値を使って計算すればいいのかというのを、我々としてはぜひ知りたいので、発生する量と、それからリサイクルされた量を踏まえた上で、本当に総量として負荷がどのぐらいあるのかというのは、我々としては知りたいので、ぜひその辺の協力をお願いしたいと思います。川島さん、よろしくお願いします。

【川島課長補佐】 はい、検討させていただきます。

【細見委員長】 じゃあ、長田委員から、あと挙手が上がっていますが。

【長田委員】 今の論議について、1点だけ勘違いがあるというふうに考えておりますので御説明したいんですけど、よろしいですか。

 1ページ目のこの家畜排せつ物、これの原単位というのは、家畜が排せつするそのものの量で、環境負荷の量ではございません。例えば、搾乳牛が1日に45kg、尿として13.4kgの排尿があるということを示しているだけであって、この全てが環境負荷になる、そういうような計算ではございません。それはよろしいでしょうか。

【細見委員長】 理解では、東委員、どうですか。

【東委員】 そのように解釈しております。

【長田委員】 ですから今の川島さんの話で言えば、堆肥として使ったものが環境負荷にそのままなるのではなくて、農地利用された後で負荷が、農地に使われたもの以外のものが流れていくというような計算をするものだというふうに考えております。よろしいでしょうか。

【東委員】 はい、了解いたしました。

【長田委員】 すみません、もう1点だけ余計な話をさせていただいてよろしいですか。

 家畜排せつ物の処理に関して、老朽化、あるいは排せつ処理のほうの不適切な浄化について改善が図れているかどうかということについて御質問があったかと思うんですけども、本件に関しましては、畜産環境整備機構というところからJRAの予算で汚水浄化処理に関するマニュアルが何件か作られております。最近では、硝酸性窒素等の対策として対応するようなものが農水省の監修の元で出ておりますので、そのようなものを見ていただくと対応の状況が分かるかと思います。情報提供でした。

 以上です。

【細見委員長】 ありがとうございました。質問をこのあたりで打切りをしたいと思います。どうも農林水産省の関係者の皆様、どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、港湾関係について移りたいと思います。資料8に基づいて、国土交通省の栗田係長から御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【栗田係長】 国交省港湾局海洋・環境課の栗田と申します。私のほうからは、港湾における海域環境改善の取組みについて、御報告させていただきます。

 資料1ページに進みまして、まず初めに、干潟・藻場の分布状況、整備及び保全・再生の推進について、御説明いたします。昭和54年から平成30年度末までに、全国の港湾におきまして、累計約80の干潟・藻場の造成に取組んでいる状況でございます。

 干潟・藻場の造成には、港湾整備で発生します浚渫土砂を有効活用し、取組を進めている状況であります。

 資料の左寄りには、港湾の名称、それと干潟・藻場を造成した位置をそれぞれ示しております。

 右のグラフですが、干潟・藻場を造成した箇所数、累計のグラフ、昭和54年から平成30年度までをグラフ化したものでございます。

 資料2ページに進みます。浚渫土砂の有効活用による水質・底質の改善につきまして、三河湾の事例を御紹介いたします。

 中山水道航路整備事業(国交省)、漁場改良事業(愛知県水産課)、三河港内の干潟・覆砂事業(愛知県港湾課)、それぞれの関係者による合意形成により、中山水道航路の浚渫土砂を有効活用しまして、干潟620haを造成しております。

 この造成整備の期間でございますが、平成10年から平成16年度まで。整備後のモニタリング調査を平成10年から平成25年度まで実施しております。

 浚渫土砂を有効活用した造成区域におきましては、周辺海域と比較し、DO値、溶存酸素が高くなる傾向が確認されておりまして、水質・底質の改善や底生生物の増加、生物の多様化といった改善効果が確認されている状況でございます。

 左下の航空写真ですが、中山水道航路、ここを浚渫した箇所になりますが、位置を示してございます。造成した箇所につきましては、赤丸が国、国交省が整備した箇所を明示しておりまして、緑丸が愛知県水産課の箇所を示しております。青丸は愛知県港湾課が整備した箇所を、それぞれ示してございます。

 資料右側のグラフにつきまして、上の折れ線グラフですが、この折れ線グラフはDO値、溶存酸素の濃度の変化を平成10年から継続した記録をグラフ化したものでございます。下寄りの棒グラフにつきましては、ゴカイや二枚貝などの底生生物が確認された年ごとのグラフを棒グラフで示したものでございます。

 続いて、資料3ページに進みまして、窪地の埋戻しによります水環境改善の取組について、御説明いたします。

 窪地内におきましては、窪地外と比較しまして海底の水深が深いため、海底に酸素が行き渡らない状況で、いわゆる貧酸素状況にあります。貧酸素化が進みますと海底に堆積している植物プランクトンの死骸等、分解が進まないこともありまして、硫化物の濃度が高くなる傾向にあります。このため底生生物が住みにくい環境になるとともに、窪地周辺海域の青潮発生等の原因の一つと言われております。このため環境改善の一環としまして、港湾整備で発生しました浚渫土砂等を有効活用して、窪地の修復に努めている状況であります。

 資料4ページに進みまして、窪地の埋戻しによります水環境改善につきまして、大阪湾の事例を御紹介いたします。

 大阪湾には、過去に行われました土砂採取によりまして大規模な窪地が21か所確認されております。窪地の修復は優先度の高い北泊地、阪南2区沖、阪南4・6区沖を優先的に修復している状況でございます。直近で令和2年3月時点におきましては、阪南2区沖の窪地の修復につきまして、8割以上の修復が進捗している状況でございます。

 5ページに進みまして、次に、環境配慮型(生物共生型)港湾構造物の整備について、御紹介いたします。

 護岸の一部に干潟や藻場等を付加する等、環境に配慮した生物共生型港湾構造物の整備を実施している状況であります。取組事例につきましては、まず北九州港におきまして、護岸前面に干潟及び藻場を整備し、多様な生物の生息を目標として進めている状況です。

 その下、石垣港につきましては、サンゴの移植に適した小段を有する環境共生型護岸として改良を行っております。サンゴの着生・生育、生物の生息を目標として整備を進めている状況でございます。

 三つ目、秋田港におきましては、護岸の改良とともに護岸の前面部に砂泥性藻場、岩礁性藻場を整備しまして、多様な生物の生息を目標として進めている状況にあります。

 この中で直近の状況としましては、北九州港におきまして、平成29年度から環境配慮型の消波ブロック、波消しブロックの製作を始めておりまして、今年度よりこのブロックの設置が進められている状況にございます。

 6ページに進みまして、同じく、環境配慮型(生物共生型)港湾構造物の整備の事例を御紹介いたします。

 釧路港の事例になりますが、防波堤背後の盛土上の起伏ブロックへの藻場の形成、環境改善を目指し、防波堤整備、全長2,500mとともに、防波堤背後に浚渫土砂を活用した盛土等を設置している事例でございます。

 左寄りに釧路港西港区の航空写真を示しております。防波堤は、赤の楕円で囲んだ位置になります。この防波堤の周辺におきまして、藻場造成面積6.6haを造成している状況にあります。

 右側の背後盛土イメージを断面図で示してございます。防波堤の内側におきまして、マウンド、土砂を設置することでケーソン、防波堤自体が安定するとともに、藻場の繁殖に寄与する構造となっております。

 資料7ページに進みます。これは釧路港の整備後に水中の写真で撮影された小魚、それと花咲ガニが撮影された写真を添付しております。

 8ページに進みます。海域環境の改善としまして、全国海の再生プロジェクトについて、御説明いたします。

 都市再生プロジェクト第三次決定、平成13年12月及び国土交通省環境行動計画、平成16年6月を受け、東京湾、大阪湾等の閉鎖性海域の水質改善に向けて、関係省庁及び関係地方公共団体等が連携して、水質環境改善のための行動計画を策定し、総合的な施策を推進している状況であります。

 東京湾では、平成25年5月に東京湾再生のための行動計画(第二期)を策定しておりまして、同年11月23日に東京湾の環境改善に向けた活動や行動の輪を広げつつ、豊かな海への再生を目指し、企業やNPO等の多様な主体で構成されます、東京湾再生官民連携フォーラムが設置されております。平成27年5月には、東京湾再生のための行動計画(第二期)の評価指標を決定している状況にあります。

 大阪湾では、平成26年5月に大阪湾再生行動計画(第二期)、広島湾では、平成29年3月に広島湾再生行動計画(第二期)、伊勢湾では、平成29年6月に伊勢湾再生行動計画(第二期)が策定されて、それぞれ計画に従って取組が推進されている状況であります。

 資料左の下寄りに、東京湾再生推進会議の構成が記載されておりまして、このような構成団体で取組が推進されている状況にあります。

 資料9ページに進みまして、先ほど御説明ありました、東京湾再生官民連携フォーラムにつきまして、活動内容等について御説明いたします。

 東京湾再生官民連携フォーラムの活動内容につきましては、東京湾再生に関わる課題や知見等を共有し、改善方策を検討しております。それに加えまして、東京湾の魅力を発掘、創出、発信する取組に参画・協働しております。それと多様な主体の交流・ネットワークの構築、東京湾再生推進会議への提案などを行い、活動を進めている状況にあります。

 10ページに進みまして、東京湾の再生活動に関連しまして、UMIプロジェクトを御紹介いたします。

 UMIプロジェクトにつきましては、生物多様性を確保するとともに、その活動を通して、人々の海への理解や関心を高めることを目標とし、東京湾の公共水域において、NPOや一般市民等の多様な主体と協働でアマモ場再生に取り組む企業を横浜市及び関東地方整備局が募集し、取組を推進しているプロジェクトになります。

 実施者につきましては、応募がありましたセブン・イレブン記念財団さん、株式会社高千穂さん、東洋建設株式会社さん、マルハニチロ株式会社さん、東京ガスグループさん等が主体となって取組を推進しております。

 この取組に関しましては、港湾管理者であります横浜市さんが活動の場を提供しております。活動の場につきましては、横浜市の海の公園におきまして、アマモの苗を植えたりなどの活動を取組している状況であります。

 資料11ページに進みまして、活動状況の写真を添付してあります。この写真は、令和元年度の活動状況の写真になっております。

 資料12ページに進みまして、最後に、東京湾大感謝祭について御紹介いたします。

 東京湾大感謝祭は、東京湾再生の取組を広く世の中の方々に知っていただき、多くの人が楽しみながら東京湾再生の活動に参加するきっかけとするとともに、大感謝祭を核とした他のイベントとの連携など、活動の輪を広げることを目的に、毎年開催されております。

 毎年10月の下旬の土曜日、日曜日の2日間で、横浜赤レンガ倉庫を中心に開催されております。主催は、東京湾大感謝祭実行委員会となっておりまして、共催は御覧のとおりとなっております。昨年度の来場者につきましては、約10万人程度の来場者となっております。

 今年の開催につきましては、新型コロナウイルスの影響を受け、ウェブ開催の方向で調整が進んでいると聞いております。

 私のほうからは、以上、報告となります。ありがとうございました。

【細見委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、質問がある方は、挙手をお願いいたします。

 吉住委員から上がっていますので、どうぞ。

【吉住委員】 ありがとうございます。経団連の吉住でございます。

 質問ではなく、産業界を代表しまして、意見を述べさせていただきたいと思います。

 先ほど9ページで御説明があったと思いますが、東京湾の水の環境改善に向けた啓発活動、あるいは政策提案の場として、国交省が東京湾の再生官民連携フォーラムを設立されております。このフォーラムには経団連自然保護協議会が参画しております。行政や企業、あるいはNPOなどの多様な主体が連携し、協働で取り組むということは非常に意義があり、かつ効果もあると思いますので、東京湾に限らず、このような活動に産業界として今後とも貢献していきたいと考えております。また様々な機会によろしくお願いしたいと思います。意見でございました。

 以上です。

【細見委員長】 ありがとうございます。そのほかに、御質問とかどうでしょうか。

 御質問がなさそうですので、かつ時間がちょっと迫ってきていますので、これで港湾関係の質疑を終わりたいと思います。栗田さん、どうもありがとうございました。

【栗田係長】 ありがとうございました。

【細見委員長】 それでは、引き続いて、産業界から化学業界と鉄鋼業界について説明をお願いします。2件続けて説明していただいた後に、質疑をお願いしたいと思います。

 それでは、資料9について、日本化学工業協会の四家様から御説明をお願いします。

【四家氏】 日化協の四家と申します。よろしくお願いいたします。

 今日は、化学業界としてということですが、日化協会員における水質総量削減への取組及び今後の課題と要望について説明させていただきます。次、お願いします。

 今日の説明内容としては、こういった内容で説明させていただきまして、最後の3、4に要望と、あとは自主活動について簡単に紹介させていただければと考えております。

 最初に、化学工業の特徴ですが、ここの表に表しましたように、非常に多くの業種から構成されているというような特徴がございます。製品も製造プロセスも使用原料等もみんなばらばらであるということもありまして、排水中の含有物質とか水質も大きく異なっています。しかしながら、最終的には主体は活性汚泥で処理するというところについては、どこもほとんど同じでございます。具体的には、その一例を、次のページに示させていただきます。

 このページについては、上の四角で囲ったところが製造工程、下の四角で囲ったところが排水処理工程と分かれてございます。まず、製造工程の中で、例えば反応プロセスの中でアンモニアが出てくるといった場合には、それを回収して再利用することで、排水の負荷を低減するということを考えて取り組んでおります。

 また、各プロセスから出てくる排水については、最終的には活性汚泥でもって処理しますが、その活性汚泥をいかに安定化するかが、基本的なキーになってくると考えてございます。そのために、排水については、そこに書いてあります高負荷排水は、前処理①と書いていますが、別取りをして、湿式酸化処理の実施、あるいは油水分離槽を用いて油分を分離するといった取組を行っております。

 また、前処理②としては、活性汚泥の直前に活性炭素繊維吸着とか、嫌気処理、液中燃焼処理というようなものを用いて、活性汚泥に入ってくる変動を安定化させる工夫をしているところでございます。

 さらに、活性汚泥そのものについては、最近では、硝化菌の高密度培養設備を入れて、窒素の除去に取り組んでいます。そして、通常では活性汚泥は沈降処理をして上澄みを流しますが、そこから出る余剰汚泥も環境負荷になるため、MBRを使った膜分離を導入している先進的なところもございます。

 最後は、末端で連続分析器を持って行って水質を常時監視しております。これがこれまでの環境負荷削減対策でございます。

 それでは、最近の8次はどうしているかということですが、次のページの二つの大きな取組でございます。一つは、その表の一番左側にありますように、今までと同じように排水処理の向上の継続的な取組、もう一つは、管理強化に取り組んでおります。

 1ポツのところについては、前にも申しましたように、活性汚泥をいかに安定的に保って、変動をなくていくかというようなところを中心に、具体例として、前にお示ししたとおりの対策を継続して実施しています。2ポツ目の1)のところですが、異常の早期検出、早期対応というところで、連続分析計を導入しています。2)のところでは、さらに製造工程と排水処理工程を同時監視することによって、水質の安定化を図っています。その具体例としては、自動監視システムを導入して、アラームマネジメントを確立するということでございます。これは排水基準を守るということは当然ですが、基準を超過してから対応を取ったのでは遅いため、自主管理値というものを排水の基準より低いところに設定し、排水水質がその設定値を越したときにどんな対応を取らなければならないのかということについて、全部マニュアル化しているというような管理方法を確立してきているところでございます。

 あと、3)については、データを適切に活用して、排水管理の徹底をしているということで、これはデータ管理システムを構築しまして、トレーサビリティーやトレンドによって予兆管理をしているというところにも取り組んでいるという状況でございます。

 その結果、次のページです。この表については、さきの6次、7次でのCOD、全窒素、全りんの数字をここに入れさせていただきました。参考としまして、一番下に2001年度のデータを入れております。7次で見ますと、2001年度に比べて、CODで約45%、T-Nで30%、りんで40%の負荷削減をしております。ただし、最近はどうなのかというと、その下のグラフから、CODについては、ある程度削減傾向にありますが、全窒素と全りんについては、基本的に横ばいという状況が続いておるという状況でございます。

 以上をまとめますと、次のようになります。

 まず、国内の化学工業各社では、これまで法管理及び自治体の協定等の遵守とともに、さらに自分たちで厳しい自主管理基準を設けて、負荷削減に取り組んでいます。

 あと、もう一つは、排水処理の削減効率向上のために、主体となる活性汚泥の処理設備における削減効率の安定化、すなわち活性汚泥に対する負荷変動の抑制と負荷低減を図っております。

 三つ目としては、管理の強化ということで、先ほど言いましたように、連続分析計、自動監視システムによって、管理強化、管理体制を確立したということでございます。

 あと、データの適切な管理によって、予兆管理や異常原因の特定と未然防止により排水の水質向上を安定的に図っていくということに取り組んでまいりました。次、お願いいたします。

 ただ、これらには投資が確実に必要になります。日化協における水質環境設備投資額について、簡単に御説明させていただきたいと思います。

 このグラフで、グラフの下に括弧書きで書いてあるのが会社数でございます。ですから2018年度は77社で154億円の設備投資を行っています。最近でも大体100億円超の設備投資を毎年行っているというところでございます。

 続いて、さらに今後の排水処理に係る課題についてということですが、二つの課題を抱えていると考えております。

 一つは排水処理設備、活性汚泥設備の老朽化で、大体30年選手ぐらいの活性汚泥がだんだん増えてきて、現在でも保全費用が増加しております。さらに、それを新増設、大規模修繕というものを考えますと、相当なコストアップということを考えなければならないし、新しいものを作るとなれば用地の確保というものも必要になってきます。

 次に、運転管理につきましては、課題としては、先ほども申しましたように、今後も前処理、後処理の設備を増強していくということになりますが、新たにその他の環境保全、例えば省エネとか、CO2の排出量の削減等というものに対する管理というか、対応もしていかなければならないということになります。あと、さらに自動分析装置を導入することについては、高精度化というのも図っていかなければなりません。規制強化に自動分析装置の分析精度がなかなか付いていけていないため、限られたものしか導入しておりません。そこで、そういうものの高精度化を図ることによって充実させていく、そのためには、我々もその開発に協力していくというような形で進めていきたいと考えてございます。

 次に、今後の水質総量削減に対する要望としては、現状、排水のCOD、T-N、T-Pというのは、かなり低濃度で推移していると考えてございます。

 今後の方針としては、一律に削減を求めるというものではなくて、効率的、合理的対応をお願いしたいと考えてございます。それは具体的にどういうことかですけども、地域ごとのこれまでの対応と成果の科学的、定量的な検証と解析の継続と、それによって地域ごとの事情に合った水質というものを検討していただきたいというように考えてございます。

 2)につきましては、汚濁メカニズムの解明と汚濁要因の整理ということで、それによって、それらの地域でのターゲットを絞り込むということも考えていただきたいと思います。

 3番目としましては、総量削減シミュレーション等により、将来の姿、ビジョンを策定し、示していただきたいと考えてございます。

 最後に、我々の抱える課題についても、ぜひ御配慮を頂けると有り難いと思ってございます。

 最後に、我々が取り組んでいる自主活動について、簡単に御説明させていただきたいと考えております。

 一つは、レスポンシブル・ケア活動でございます。これはどんなものかと言うと、その下に書いてあります、自主的に環境・健康・安全を確保し、成果を公表し、社会との対話・コミュニケーションを行う自主活動でございます。

 日化協の方針としましては、化学産業は製造時、製品自体、使用後の3つの段階での安全と環境に対する配慮をより高め、社会から信頼される取組を進めていくという基本的な方針がございます。

 その中で、レスポンシブル・ケア活動の一つとして、レスポンシブル・ケア賞という表彰制度を設けております。その表に、2019年、2018年、2017年度の最近の環境関係の受賞会社と受賞内容について示させていただいております。

 その目的は、表彰をすることによって、活動のさらなる活性化を目指していきたいと考えてございます。

 次は具体的な活動についてですが、一つは、事業所及び公共用水域周辺の清掃活動でございます。これについては、現在では会員、ほとんどが取り組んでございます。頻度については、多いところでは毎月やっているところから、多くは四半期ごとにやっているというところでございます。

 さらに、地元の自治体が主催する海岸清掃等にも積極的に参加するというところでございます。

 また、これから一歩進んで、森を守る活動への参加にも取り組んでいる会社が、少しずつ出始めています。豊かな海を育むための森づくり等を支援しているというような考えで、この写真にあるような活動をしています。

 最近の取組として、海洋プラスチックのごみの対応ということで、流出防止について説明させていただきます。

 もともとは樹脂ペレットの漏出防止マニュアルということで、平成5年にこのようなものが作られております。排水溝のところにスクリーンを入れて、ペレット等の流出を防止することが示されておりますが、最近では、それをもっとブラッシュアップしたような形のものが導入されてきているというところでございます。

 それは米印のところ、下の絵にありますが、製造プラントの出口の油水分離槽をうまく活用するというものでございます。絵の左側がプラント側ということになります。この赤丸がペレットを表し、例えば側溝の底にあるペレットが浮いてくるまでの時間を計算しまして、側溝の蓋の位置と長さを決定し、その油水分離槽で浮いたペレットを回収し、排水は壁に沿って、下層だけが流れきます。最後には、ストレーナーを入れることによって、ほとんど99%以上のペレットをカットするというようなものでございます。

 こういうものを日化協としても各社に推奨していきながら、さらに海洋プラスチックの陸域からのごみ問題について、一つの突破口にならないかと考えてございます。

 以上でございます。

【細見委員長】 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、資料10に基づいて、日本鉄鋼連盟の御福様から御説明をお願いいたします。

【御福氏】 説明させていただきます。

 まずは、鉄の製造工程を簡単に御説明させていただきたいと思います。まずは、図の左上のほう、主原料としては鉄鉱石、石炭を用いて、おのおの焼結炉、コークス炉で処理した後、高炉で還元溶融、転炉や電気炉で精錬、それを固めて鋼片としたものを熱間圧延、10番以降ですが、熱間圧延、品種によっては冷間圧延、パイプにしたり棒鋼にしたりと様々な加工処理を行った後、お客様にお届けをしているというところでございます。

 水に関して申しますと、鉄の製造では、高温物を取り扱うというところもあって、大量の水を使いますけども、左のほうに書いてございますが、その9割以上は循環利用した水を使っているというところでございます。

 次に、負荷物質の発生源についてなんですけども、りんについては、特に発生源となるようなものはございませんので、COD、窒素についてになりますけども、主には石炭を蒸し焼きにするコークス炉の排ガス洗浄水、いわゆる安水や、圧延設備から出る含油排水、それから鋼材表面の酸洗い設備から出る廃酸等が発生源でございまして、安水についてはアンモニア除去、それから活性汚泥、油については加圧浮上処理、それから廃酸は膜交換等で回収を行った後、排水をしているというところでございます。

 次に、まず、CODについてなんですが、こちら3海域につきまして、鉄鋼業のこれまでのCOD対策の設備投資額の累積額と、それからCOD負荷量の3海域の合算値の推移を示したものになります。設備対策の進展に伴って、負荷量も低減してきたということがお分かりいただけるんじゃないかと思います。

 次に、どのような対策を行ってきたのかということになりますが、COD対策は活性汚泥がベースとなりますけども、特に第6次以降は、既存の処理設備にさらに設備・装置を追加して、負荷量を減らしたり、監視機器の充実、例えば排水系統の末端だけではなくて、工場の出側にも連続機器をつけて監視をしたりと、そういったところです。それから製鉄所には多くの従業員がおりますので、生活排水対策も行ってきたというところでございます。

 次に、既存設備に装置類を追加した実例を、幾つか御紹介したいと思います。

 こちらは既存の加圧浮上タイプの含油排水処理設備の後段に、図の下段でございますが、活性汚泥設備を追加して、CODを低減するという事例でございます。

 次に、こちらは活性汚泥設備の後ろに高速ろ過と活性炭吸着設備を追加して、CODを下げた実例というところになります。

 続いて、ここからは窒素になりますけども、この図は3海域について、これまでの窒素対策の設備投資の累積額と窒素負荷量の推移を示したものになります。おおむねですけども、設備投資に伴って負荷量低減傾向が現れているところかと思ってございます。

 どういった対策をしてきたのかというところでございますけども、大きなところでは、コークス炉から出た安水を処理するためのアンモニアストリッピング設備の増強でございますとか、酸洗工程で発生する硝酸を含む排水の処理設備の増強などを行ってきたというところになります。

 次に、実例でございます。

 こちらはアルカリストリッピングの増強の事例でございます。コークスから出た安水について、活性汚泥の処理の前にアンモニア除去を行って窒素負荷を下げるということをやっているんですが、その下のほうにアンモニアストリッパと書いてあるところで、安水に活性ソーダを添加して、アンモニアの除去を促進し、排水側の窒素負荷を下げたという実例でございます。

 次に、これは硝酸を含む排水の生物処理になりますけども、嫌気性条件下で排水にメタノールを水素源として加えて、窒素をガスで抜くという装置になりますが、生物処理でございますので、温度管理がシビアであるということもあって、脱窒素槽のところに工業用水と書いてありますけども、温度管理の目的で必要に応じて工業用水を投入して、操業の安定化を図ったという例でございます。

 それから、こちらは酸洗設備で膜分離で酸回収をして、回収した酸を再利用している実例です。赤枠で囲ったところ、ここに膜分離設備を増強したというところになります。

 ここまでは設備投資のイメージを、事例をもって御説明させていただきましたけど、設備装置を動かすためには、当然のことながら修繕やランニング、人件費等々経費が必要となるわけでございます。その規模感を御説明させていただくために、委員の皆様のお手元に1枚の資料、鉄鋼3社の環境保全コストという紙をお配りさせていただいておりますので、そちらを御参照いただきたいと思います。

 こちらは、高炉3社、日本製鉄、JFE、神戸製鋼になりますけれども、この3社の環境保全コストを年度ごとに整理したものになります。

 下の図のほうで御説明をさせていただきますが、見方ですけども、各年度、2本の縦棒があって、右側、グレーのほうが当期の利益で、左側が環境保全コストを示しておりまして、その中で赤枠、太線で囲っているのが、水にも関わる項目でございます。さらに折れ線は、粗鋼生産の推移を示したものとなります。御覧いただきましたとおり、今、収益の変動が非常に大きい中で、特に2019年度は経済動向に伴って需要減があったとか、それから足元のコロナの影響もあって、残念ながら大幅な赤字となってございますが、その中にあっても、御覧いただいたとおり、環境保全コストをかけながら取組を継続させていただいているというところでございます。

 本紙に戻らせていただきまして、12ページから14ページにつきましては、設備投資額と排出実績の推移を海域別に整理したものになりますけども、こちらは御参照いただければと思いますので、説明は割愛させていただきます。

 15ページになりますけども、ここまで御説明させていただきましたように、鉄鋼業においては、負荷量の削減のために設備対策に加えて、経費も投じながら取組を行っているというところでございますが、積極的に水質改善等に貢献するという意味では、副産物であるスラグを海域で御利用いただくための技術も持ってございますので、簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。

 三つほど事例を挙げてございますが、一つ目がカルシア改質土、これは浚渫土とスラグを混合して、硬化させて強度を持たせることで、例えば深堀の埋め戻し等に活用できて、硫化物抑制等の効果もある技術でございます。

 それから、二つ目のマリンストーン、これは事前混合ではなくて、覆土、あるいは覆砂のイメージで使用して、カルシア改質土と同様の効果を得るもので、これにつきましては、エコプロダクツ大賞で農林水産大臣賞も頂いたものとなります。

 あと、三つ目の人工石材は、スラグを岩石状に加工いたしまして、天然石同様に使用できるようにしたもので、漁礁ブロック等でも活用可能なものでございます。

 また、これ以外にもスラグ中の鉄やカルシウム等といったミネラルを活用した藻場再生技術もございまして、様々な用途で水質改善、環境保全にも御活用を頂けるものと考えてございます。

 スラグ海域利用、ブルーカーボンも含めてのお話は、地域連携とか社会貢献の視点からも非常に重要と考えてございますので、引き続き御指導を頂ければと思っております。

 次が、最後でございます。鉄鋼業の意見を簡単に申し述べさせていただきます。

 読ませていただきますが、鉄鋼業は、8次にわたる総量規制に対応して、設備投資、管理強化を進め、汚濁負荷物質の排出抑制に努めてまいりました。

 第9次総量規制を検討するに当たっては、藻場・干潟・深堀修復や栄養塩類の適切な管理等も含めた閉鎖性海域の水質改善をより効率的に実施する方策について、科学的知見を充実した上で、陸域からの汚濁負荷量の低減に偏重することなく、総合的・継続的な対策を検討していただきたいと考えてございます。

 以上でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、お二方の御説明に対して、御意見、御質問があれば、挙手をお願いいたします。

 吉住委員から挙手が上がっています。どうぞ。

【吉住委員】 経団連の吉住でございます。

 今、意見というよりも、事業者を代表しまして二つの説明ありましたので、経済界として、私から総論を補足させていただきたいと思います。

 まずは、今、二つの説明がありましたとおり、経済界はこれまで、大規模な設備投資を含めた負荷削減に最大限努力をしてきておりまして、当然ながら、今後とも改善に向けた取組をしていきたいというように、まずは考えております。

 さらに、総量削減という規制の対応のみならず、日化協から紹介があった森づくりとか、あるいは海洋プラスチックごみの流出防止とか、あるいは鉄連からありましたような、鉄鋼スラグを用いた藻場の再生など、当然技術開発とか実装で、そういった面でも水開発の改善に貢献をしてきておりますし、今後もしていきたいというふうに考えております。

 さらに、今日説明なかった電力業界とか、建設業界におきましても、生分解性シートを用いた人工干潟とか、浅瀬の造成、あるいは炭プレートを用いた、海藻が育ちやすくなるような藻場を形成すると、こういった技術もありますので、ぜひこういうところの貢献をしていきたいというふうに思っております。

 一方で、先ほど鉄連からありましたように、今、非常にコロナウイルスの影響から、事業ということに対する見通しも不透明になってきていると、そういった中で総量の削減の対策のための設備投資と、あるいは管理のためのコストの負荷のアップということが非常に今心配になってきております。さらにCO2の流出ということで、エネルギーの増加ということも、また考えないといけないということがありますので、こうした中で今日の今回の議題であります総量削減ということを継続していくには、やはり効果的かつ合理的なやり方ということが重要になるかというふうに思っておりますので、これは第1回目の会合でも申し上げたんですけども、やはり事業所から出る、特に陸域からの負荷削減にどの程度水質改善の効果があるのか、あるいは投資が必要なのかということを、ぜひ水域ごとに科学的な検証を併せまして、検討を進めていただきたいと思っております。

 以上でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、挙手が上がっているのは小川委員、それから後で西村委員、お願いします。

【小川委員】 よろしくお願いします。日化協さんに御質問なんですが、排水量の大きい企業については、今日御説明いただいたような形で、かなり削減効果が発揮されていると受け止めました。ただ、小規模の事業所排水については、どのようにお考えでしょうか、もしありましたら、よろしくお願いします。

【細見委員長】 いかがでしょうか。

【四家氏】 小規模事業所については、日化協の会員の中でのデータとしてはございます。それも含めて平均的なところで、今、数値として出させていただきましたが、この小規模なところだけを抜き出してどうかというような解析までは、ちょっと行っておりません。

【小川委員】 分かりました。ありがとうございます。

【細見委員長】 それでは、西村委員、どうぞ。

【西村委員】 鉄鋼連盟さんの資料の7ページ目について質問させていただきたいんですが、窒素に関する5次、6次、7次と新規投資をたくさんやっていただいて、ほぼ倍増の投資をしていただいているようですが、窒素T-N負荷量に関しては横ばいのように見えるんですけれども、そういう理解でいいのかということと、何か投資に見合った効果が得られてないように思えるんですが、何か理由とかあるんでしょうか。

【御福氏】 CODも含めてですけど、排水対策としての活性汚泥やアンモニアストリッピングといった主要な設備対策は既に打ち終わって、標準装備化しているという中で、特に6次以降は、各々の事業所の特徴から規制遵守に当たって能力不足があるようなところに手を打ったり、あるいは監視機能とか異常時対応の対策等とか、そういった対策が主立ったものとなってきたということも一つ、御指摘のような状況になっている要因ではないかと思います。いずれにしても細部の改善も継続しているところでございますし、基本的には、大きな流れとしては打てる手はほぼ打ち切っているという状況と認識しているところでございます。

 以上です。

【細見委員長】 御福さん、この図で確認ですけれども、縦軸は累積投資額ですので、例えば第7次とか第8次の例えば96という数字がありますね、これは数字が同じということは、第7次から第8次にかけて投資は増えなかったということですか。

【御福氏】 0.2だけ増えたということです。

【細見委員長】 0.2だけ増えたということですね。ですので、西村委員、この窒素の負荷量が横ばい的なのは、そういうことかなというふうに私は思いましたけど。

【西村委員】 7次から8次は、ちょっとT-N負荷量のデータがないのですが、例えば5次から7次にかけて投資額はトータルで倍増しているんですね。あと窒素の除去のための設備投資をされていたとしたら、期待にそぐわないというか費用対効果の得られない技術を導入してしまった可能性がないのかなという質問でした。

【細見委員長】 そうですか、分かりました。改めて、御福さん、何かコメントありますでしょうか。

【御福氏】 繰り返しになりますけども、直接的に窒素を削減するものだけではなく、監視を含めて流出防止をするというような施策も含めて投資をしてきたというところも一つあるのではないかというふうには考えてございます。

【細見委員長】 ありがとうございます。

 それでは、江口委員、いかがでしょうか。

【江口委員】 アルカリストリッピングについて質問させていただきます。アンモニアを水酸化ナトリウムを添加することによって除去されているんですけれども、発生したアンモニアガスの利用方法といいますか、どういった形でそのアンモニアを回収されて、何らかに利用されているようでしたら、それを教えていただけるとありがたいです。

【御福氏】 アンモニア回収したものは、この図では、Cガス精製工程というところでございますけども、9ページでございます。そちらのほうでアンモニア回収いたしまして、これは硫安、硫酸アンモニウムの原料として使っているというところでございます。

【江口委員】 ありがとうございます。

【細見委員長】 よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。

 古米委員、最後にしましょうか。どうぞ。

【古米委員】 鉄鋼の御説明の中で、14ページにちょうど瀬戸内海の投資額と排出実績ということで内容を示していただいています。瀬戸内海については、湾・灘レベルで、その水質をしっかり見ていこうという流れがありますので、この総量として窒素がどれだけ出ているのかというものを、湾・灘レベルで整理をしていただくということは可能でしょうか。

【御福氏】 この窒素の負荷量につきましては、これは我々が整理したものではなくて環境省が御提示されているものを載せていただいてございます。そちらを御活用いただけるのではないかと思います。

【細見委員長】 それでは、予定の時間が参りましたので、四家様、御福様、御説明どうもありがとうございました。

 それでは、約束の6時に近づいてます、あるいは過ぎてしまったかもしれませんが、あと、もし全体を通して、委員の方々から何か御意見がありましたらお願いいたします。

 それでは、質疑については、これで終わりにしたいと思います。

 議事次第において、その他のところで、事務局のほうから説明お願いします。

【浜名室長補佐】 環境省の閉鎖性海域対策室の浜名でございます。

 我々のほうから2点ございまして。まず、1点目ですけれども、第1回が終わった後に、御欠席の委員もいらっしゃいましたので、1週間程度御質問、御意見を頂戴できればということで御案内させていただいておりました。風間委員と西嶋委員から御質問と御意見がありましたので、議事録を残すという観点で概要を御紹介させていただきたいと思います。

 まず、風間委員からでございますけれども、「第1回でお示しがあった資料は紙面の制約があるかと思いますが、大ざっぱになっています。東京湾についてですけれども、昨今は一部改善傾向が出ていることを示してほしいと思います。また、丸めた資料だけでは見えてきませんので、今後のヒアリングで聴取できればいいのですが、東京湾に関して、以下のページの再考をお願いいたします」ということで、資料4-2について、御指摘を4点頂戴いたしております。

・17ページ、底層DOについてですが、4mgの範囲でのコメントですが、19ページの図では、赤い部分、2mgの部分の変化が著しいですし、安藤らの研究成果でも近年9月ではありますが、状況の変化が認められます。

・40ページの赤潮の項目についてです。ほぼ横ばいとされていますが、質が変わってきているように思います。風間の水環境学会発表資料や、東京都のH30報告書口絵2を添付しますので、御参照ください。

・46ページ、貧酸素水塊の情報についてですが、存在にしか言及がありませんが、その結果のコメント、近年の縮小傾向は継続している図3を示してほしいと思います。

・58ページ、クロロフィルの図、平均すると何も分からなくなってしまうように思います。②の資料にあるように、近年、高濃度のクロロフィルは発現しなくなってきているように思いますので、情報整理をしてください。

ということでございまして、ここでは、まだ情報の収集・整理の途中段階でございますので、今回お示しできるわけではないんですけれども、後日、第4回、もしくは第5回の頃には、頂いた御意見も踏まえまして、情報整理させていただいたものをお示ししたいと思います。

 また、あわせまして、「漁業、漁獲量のデータについて、東京湾の事例としては、東京湾岸自治体報告書H29の59ページですとか、あるいは底質の報告書につきましては、9都県市の底質報告書には底生生物の評価と、その推移が掲載されています。H30版、45ページ、47ページを御参照ください。」ですとか、「東京湾再生推進会議官民連携フォーラム指標活用PTについても、指標ですとか、近日開催されると思われる第2期第2回中間報告の内容を御参照ください。」ということで、情報提供を頂いてございます。

 また、西嶋委員からでございますけれども、前回の資料3-1の6ページについて、西嶋委員からの御指摘がございました。「表3に基づいて第6次までにおいて削減量は計画どおり目標を達成している。第7次においては、一部の海域において、りんの削減実績値が人口増加の影響等により削減目標に僅かに届かなかったと記載してあります。100%に達していないところが多いように感じるのですが、どのように読めばよろしいでしょうか。」といった御質問を頂いておりまして、これは排出の実績値と目標値の割合でパーセンテージを出してございまして、これは100%を超えてしまいますと目標を達成できなかったという、表3についてはそのように読みます。ですので、これは東京湾のりんのところだけ1か所、100%を超えてしまっている部分がございまして、ここだけ達成できていなかったという読み方をさせていただきたいということで、資料の読み方について御説明させていただきました。

 ほか、続きまして、資料3-2についてで、「資料5にあるとおり、瀬戸内海では生物資源の減少に対する栄養塩類の負荷削減の影響、また栄養塩負荷の季節ごと、地域ごとの管理など年間の全域の管理からきめ細やかな管理に向けた議論がなされている。負荷削減が続いている東京湾、伊勢湾でも、地域的に底質の状況は大きく異なっており、現状課題の整理の検討課題として整理してはどうでしょうか。」と御意見を頂いております。

 また、資料4-1の26ページ、27ページ、こちらは負荷量算定の方法について御説明したページになっているんですけども、「負荷量原単位を示しておいていただきたい。総量削減の取組により、生活系、産業系で削減が進み、窒素、りんに関して、特に伊勢湾で顕著であるが、土地系の負荷率が増加している。土地系の原単位に関しては課題もあると認識しているので、これを課題として取り上げるかどうかは別にしても、負荷原単位は示しておくべきではないかと考えます。」ということで、御意見を頂いております。

 こちらについても、ほかに頂いていますたくさんの御意見、御指摘を踏まえて整理させていただく中で、できるところまでお示ししてまいりたいと思っております。

 もう1点、これは簡単にできたことでしたので、本日参考資料としてお示ししたんですけれども、中村委員から、前回環境省において、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の各水域での負荷量のグラフをお示しした後に、これだけでは例えば瀬戸内海の面積がとても大きいので、瀬戸内海だけまだまだたくさん負荷量があるように見えてしまうという観点もありましたので、参考という形で、面積で割ってみたり、あるいは体積で割ってみたりといったものを作成したものをお示ししました。そうしたところ、中村委員から、東京湾については観音崎・富津岬のラインの北と南で大きく状況が異なっているので、東京湾に関しては、そこで一旦切って、それより北の部分で見ていただいたほうが、イメージが湧きやすいのではないかということで頂きましたので、作成しましたのが今回の参考資料でございます。

 1ページ目が面積割りしたもの、それから2ページ目が体積割りしたもので、観音崎・富津岬というのがそれぞれどこかというものと、指定水域ということで線を引いている場所と地図の関係を3ページ目に載せてございます。

 以上、御報告でございます。

【細見委員長】 どうもありがとうございました。

 あまり時間ないんですが、今のお二方の委員の意見とかに対して、何か御意見、御質問あれば、お願いしたいと思います。

 挙手がないようですので、本日の議題は以上ですけれども、全体を通じて、何か御意見ございますでしょうか。

 ありがとうございます。挙手がないようですので、最後に、事務局から何か連絡事項等ありますでしょうか。

【事務局】 本日の議事録についてですが、速記がまとまり次第、皆様にお送りいたしますので、御確認をお願いいたします。全員の御確認を頂いたものを環境省ウエブサイトにて公開いたします。

 また、次回の日程は別途調整の上、お知らせいたします。次回は、関係機関等から取組の実施状況に関するヒアリングを行う予定です。よろしくお願いいたします。

【細見委員長】 どうもありがとうございます。

 それでは、以上をもちまして、第2回の総量削減専門委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午後6時12分 閉会