中央環境審議会 水環境部会(第49回)議事録

中央環境審議会 水環境部会(第49回)

議事次第

1.開会 

2.議題

(1)PFOS及びPFOAの目標値等の設定について

(2)第五次環境基本計画の点検について

(3)その他

3.閉会

配布資料

資料1  水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第5次報告)(案)
資料2  第五次環境基本計画(水環境部会担当分野)の点検結果について(案)
資料3  瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について(答申)
参考資料1  意見募集(パブリックコメント)の実施結果について
参考資料2  第五次環境基本計画(水環境部会担当分野)の点検関係資料(関係者ヒアリング資料)
参考資料3  第五次環境基本計画(水環境部会担当分野)の点検関係資料(白書・政策評価)

議事録

午後3時06分開会

【事務局】 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第49回水環境部会を開会いたします。

 本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議での開催とさせていただいております。会議中、音声が聞き取りにくい不具合等がございましたら、事務局までお電話、またはWEB会議のチャット機能でお知らせください。

 なお、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいておりますので、環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っております。

 WEB会議の開催に当たりまして、通信環境の負荷低減の観点から、ライブカメラの映像は冒頭、局長及び部会長のみとし、議事以降につきましては音声のみの中継といたしますので、あらかじめご了承ください。このため、カメラ機能はオフにしていただきますようお願いいたします。

 また、議事中、マイク機能は、委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。

 なお、ご発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、ご発言の意思はこのマークで確認いたします。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、ご発言いただきますようお願いいたします。ご発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるように操作をお願いいたします。挙手アイコンは事務局でオンオフ操作ができないため、ご協力よろしくお願いいたします。

 本日の委員のご出席状況でございますが、所属委員26名のうち、20名の委員のご出席をいただいており、過半数の定足数を満たしておりますので、本部会は成立しておりますことをご報告いたします。

なお、本日、古米委員におかれましては16時40分頃、大塚委員におかれましては16時頃、中座いたしますのであらかじめご了承ください。

 それでは、ここで水・大気環境局長の小野よりご挨拶申し上げます。

【小野水・大気環境局長】 水・大気環境局長の小野でございます。

 本日は、ご多忙の中、多くの委員の先生方にご参加をいただきまして、誠にありがとうございます。

 新型コロナウイルス対応ということでWEBでの開催となっておりますが、これも言わば新しい行動様式の一つとして定着してきたのかなと考えております。どうぞご協力をよろしくお願いいたします。

 さて、2月に開催されました前回の部会におきましては、住宅宿泊事業、いわゆる民泊でございますが、これに関する水質汚濁防止法の施行令の見直しの検討についてご審議をいただきました。現在は、政令改正に向けて作業を進めているところでございます。改めてお礼を申し上げたいと思います。

 本日の部会でございますが、PFOS及びPFOAの目標値等の設定、そして、これまでヒアリングを行っていただいた第五次環境基本計画の点検について議題としております。

 PFOS及びPFOAでございますけれども、最新の国内外における動向や、水環境中における検出状況等を踏まえまして、水質環境基準体系における位置づけや目標値の値について検討してまいっております。

 本日は、令和2年3月31日の環境基準健康項目専門委員会、それから、パブリックコメントを経まして、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第5次報告)(案)を取りまとめたところでございますので、これについてご審議をいただきたい。できましたら今日、その報告の内容を確定していただければと考えております。

 第五次環境基本計画の点検でございますけれども、前回までの関係団体からのヒアリング等を踏まえ、報告書(案)を事務局において取りまとめましたので、ご審議をいただければと考えております。

 そのほか、前回の部会で検討状況をご報告した、瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について、これについては本部会の下の瀬戸内海環境保全小委員会においてご審議をいただき、3月に答申が出されたところでございますので、ご報告をさせていただきたいと思います。

 以上の点について、本日のご審議の内容でございますが、委員の先生方におかれましては、専門的見地から忌憚のないご意見を賜りますよう、改めてお願いを申し上げます。

 以上でございます。

【事務局】 ありがとうございます。

 次に、事務局に人事異動がございましたので、紹介させていただきます。

 海洋環境室長の山下でございます。そして、海洋プラスチック汚染対策室長の中島でございます。2名の異動がございました。

 それでは、カメラ映像はここまでといたします。これ以降は音声と資料映像のみとさせていただきます。

 続きまして、資料の確認でございます。事前にメールでご案内のとおり、議事次第のほか、委員名簿、資料1~3、参考資料1~3となっております。

 なお、本日は事務局が画面上に資料を掲載し進行させていただきますので、ご案内の資料は必要に応じお手元でご参照いただけますようお願いいたします。

 それでは、議事に移ります。

 ここからの議事進行につきましては、細見部会長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。

【細見部会長】 はい、かしこまりました。

 それでは、本日の議題については、先ほど小野局長から丁寧にご説明がありました。また、WEB会議は、この水環境部会におきましては初めてのことでございまして、今、私も実は環境省におりますが、スタッフの方は初めてですので、それなりに密の状態で、私自身もマスクをさせていただいて進めたいと思います。

 それでは、早速議事に入りますけれども、審議事項が2件、報告事項が1件でございます。

 まず、議題の(1)番目、「PFOS及びPFOAの目標値等の設定について」です。

本議題につきましては、環境基準健康項目専門委員会の委員長であります白石委員から、まず、ご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【白石委員】 では、私のほうから経緯をご説明させていただきます。

 もう局長からご説明がありましたけれども、令和2年3月31日に、第18回環境基準健康項目専門委員会をWEB上の会議として開催いたしました。昨年度の最後になります。水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて審議しました。人の健康の保護に関する環境基準等の見直しにつきましては、平成14年以来、第4次答申までなされておりまして、この度第5次報告という形になろうかと思います。

 専門委員会では、PFOS及びPFOAを対象に、これは有機フッ素系の化合物ですけども、これを対象に、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準における取扱いの見直しについて質疑を行いました。PFOS及びPFOAにつきましては、平成22年度から環境保全上の課題とされておりまして、情報の整備が始められております。

 平成26年には要調査項目に位置づけられまして、知見の収集が進んでいたところであり、最新の国内外の動向もございますので、水環境中における検出状況も踏まえまして検討を行いました。

 結果ですが、目標値につきましては、PFOS、PFOAそれぞれにおいて、まず諸外国、諸機関の行った有害性評価で妥当と考えられるものの中から、安全側の観点に最も低い耐容一日摂取量(TDI)、または参照容量(RfD)を採用して、これまでに環境基準算定に用いている係数をそのまま適用しまして、PFOS、PFOAそれぞれにおいて50ng/Lが妥当であろうというふうに結論づけました。

 また、両物質の毒性が類似している、あるいは検出状況も同時に検出されるということを踏まえまして、安全側の観点から、PFOSとPFOAの合計値をトータルとして指針値とし、これも要監視項目にするべきことが妥当とされました。これは、第5次報告(案)としてまとめたものを令和2年4月20日月曜日から、令和2年5月4日月曜日まで、パブリックコメントを実施しまして詳細については事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 多少、今、白石委員から概略を報告いただきましたけれども、ちょっと聞こえにくい部分があったかもしれませんが、これは後ほど、今から詳細について、事務局から資料1に基づいて説明いたしますので、委員の皆様、これでご確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【筒井水環境課長】 環境省水環境課の課長をしております筒井でございます。

 私から資料1に沿いまして、ご説明をさせていただきたいと思います。

 先ほど、白石委員長からお話がありましたけれども、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第5次報告)(案)という形でまとめさせていただいております。中身としては、PFOS、PFOAに係る目標値の設定についてでございます。

 めくっていただきまして、2ページ目でございます。「はじめに」というところで書いてありますけれども、前半のところは、従前の環境基準要監視項目、要調査項目についての一般的な説明でございますので略させていただきます。

 2ページ目の下のほうから、PFOS、PFOAについての説明がございます。

 PFOSにつきましては、2009年、平成21年5月に、ストックホルム条約の附属書B(制限)への追加掲載が決定されまして、翌平成22年、2010年の4月より化審法の第一種特定化学物質に指定されているところでございます。

 一方、PFOAのほうでございますけれども、これは、昨年4月から5月にかけて開催されましたPOPs条約の第9回締約国会議において、附属書A(廃絶)に追加されることが決定されたというのが昨今の状況でございます。

 それらの中で、我が国の水道水の水質管理に係る枠組みの中では、これまで、従前は、PFOS、PFOAにつきましては要検討項目という毒性値が定まらない水道水中の存在量が明らかでない物質で、知見・情報の収集に努めていくべきものと位置づけられておりましたけれども、こちらは近年、各国などで飲料水の目標値の設定などの動きがあるということを踏まえまして、厚生労働省で、PFOS及びPFOAを水質管理目標設定項目という浄水施設における水道水の水質管理を適切に行う観点から、そういう項目に位置づけまして、暫定目標値50ng/Lを本年4月1日から施行したところでございます。

 環境省におきましては、これまでということでございますが、先ほど委員長からお話もありましたけれども、平成26年3月に、PFOS、PFOAについては要調査項目に位置づけているところでございます。

 そのような状況から、今般、最新の知見、水環境中の検出状況などを整理いたしまして、この取扱いの見直しについて検討して、結果を委員会報告として取りまとめているところでございます。

 次に、4ページ目でございます。

 検討事項等と書いてありますけれども、見直しの必要性、もう今までに説明させていただいたとおりでございますけれども、各国、各機関で飲料水中の目標値等の設定の動きがある。厚生労働省において、今年の4月に水質管理目標設定項目ということで、暫定目標値が設定されているという状況でございます。

 一方、水環境中の検出状況につきまして、これは29ページ、別紙3に細かく書いてありますが、紹介させていただいておりますけれども、国内外の法規制等を受けまして、我が国における排出源は限定されているものの、やはり公共用水域、地下水から検出される状況が確認されております。また、各都道府県などが独自に実施した調査においても検出報告があるという状況でございます。このような状況を踏まえて取扱いの見直しを行ったというものでございます。

 (2)のところ、検討に当たっての基本的考え方ということでございまして、これは今までの考え方を踏襲しているという、第4次答申のところの考え方を基本に以下のとおりとしたということで、4ページ目の中ほどから書かせていただいております。

 基本的考え方として、環境基準健康項目につきましては、「水環境の汚染を通じ人の健康に影響を及ぼすおそれがあり、水質汚濁に関する施策を総合的にかつ有効適切に講ずる必要があると認められる物質」を選定する。

要監視項目につきましては、「人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とせず、引き続き知見の集積に努めるべきもの」として、モニタリング等の対象とすべき物質を選定するということになっております。

 選定のポイントということで、4ページの下に書いてありますけれども、対象項目につきましては、毒性情報の知見などに基づきまして、人の健康の保護の観点からの基準値、指針値を勘案して、さらに我が国における水環境中の検出状況、それから、生産・使用実態などを踏まえて項目の取扱いを判断するということになっております。

 次に、5ページ目の上のほうに移らせていただきますけれども、その基準値ないし指針値の設定の考え方ということでございます。こちらにつきましては、我が国、WHOなどの国際機関において、検討、集約された科学的知見、関連する基準値の設定状況を基に設定するということになっております。

 基準値及び指針値は、基本的に飲料水の摂取、魚介類等の食品としての摂取による人の健康影響を想定して設定しているという状況でございます。直接飲用による影響につきましては、WHOの水質ガイドラインなどの設定に当たって広く採用されている方法に基づいて、生涯にわたる連続的な摂取をしても健康に影響が生じない水準を基に安全性を十分考慮して設定するという状況でございます。

 少し飛ばしまして、3)のところで、適用等に当たっての基本的考え方と書いてありますけれども、こちらについては河川、湖沼、海域、地下水、これは一つの水循環系を構成しているということで、これを問わず、全ての水域に同じ基準を適用するということを基本とするということでございます。

 それから、4)のところにつきましては、今回対象、自然的原因の物質ではございませんので、ここの説明は略させていただきます。このような従前の考え方を踏まえた上で検討したということでございます。

 その検討の結果が5ページ、3.から書かせていただいております。

 先ほど委員長からありましたけれども、結論としては、現在、PFOS、PFOAは要調査項目でございますけれども、これを要監視項目に位置づけを変更して、指針値(暫定)として50ng/Lを設定することが適当であるという結果でございます。それで、目標値についてということでございますけれども、目標値の設定式が5ページの一番下についております。

 次のページでございます。これを踏まえまして、水の飲用に関する寄与率をどういうふうに設定したかということでございますけれども、様々な曝露経路からの摂取の割合の情報が十分得られない場合というのは、今まで10%という割当率を採用してきたところでございます。PFOS、PFOAにつきましては、やはり食品群及び生物からの検出事例が報告されております。必ずしも水からの摂取が主要な曝露経路であるという明確な根拠は今のところないということから、寄与率につきましては、今までそのようなケースで採用してきた10%を用いることが適当であるとしております。

 2)のところ、体重及び1日当たりの摂取量、耐容一日摂取量でございますけれども、体重及び1日当たりの摂取量につきましては、従前どおりの50kgという日本人の一般的な体重、そして、2Lという飲水量を用いさせていただいています。

 耐容一日摂取量(TDI)につきましては、先ほど委員長からもお話がありましたけれども、各国・各機関が行った毒性評価のうち妥当と考えられる評価値のうちから、安全側の観点から最も低い値を採用すると。PFOSについては、米国がラット2世代試験で得られた結果での子どもの動物、子どもについての、体重減少を根拠にした無毒性量から最終的に20ng/kg/dayという数値を算出しており、これを採用することとしました。

 また、このPFOSの値につきましては、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機構も米国と同様にラット2世代試験の結果を用いておりまして、最終的に同じく20ng/kg/dayという値を算出しているところでございます。

 PFOAにつきましては、米国がマウスの妊娠期強制経口投与曝露による子どものほうの個体の前肢近位指節骨の骨化部位数の減少、それから、子どもの性成熟促進などを根拠とした最小毒性量からこれを計算して、20ng/kg/dayを算出しております。これを採用させていただくという形になっています。

 各国の評価値につきまして、22ページのところ、別紙1、付表13のところに載せさせていただいているところでございます。

 これらから目標値を算出しますと、6ページの下の計算値という形で50ng/Lが導き出されるということでございます。

 なお、アメリカではPFOSとPFOAの合計値を飲料水の生涯健康勧告値としているところでございますけれども、これは、やはりPFOS、PFOAは類似の発達影響に基づいて参照容量が算出されているということでございます。そのようなこと、さらに飲料水中からPFOS、PFOAは同時に見られるということから、安全側の観点から、合計値として暫定目標値を設定しています。これは、厚生労働省の水道水における水質管理目標値の設定でも同じような考え方でございます。

 こういうようなことから、今回、我々のほうの要監視項目の目標値の導出におきましても合計値として50ng/Lとすることが適当であるということとさせていただいているところでございます。

 次に、要監視項目に位置づけることにつきましてでございますけれども、こちらのほうは、毒性の情報につきましては、これまでもご説明してきましたとおり、米国とか欧州、オーストラリア、ニュージーランドなどで様々な有害性評価値が提案されるなど、ある程度の知見が集積してきているところでございます。

 また、我が国における生産・使用等の実態などは、法規制を受けて、我が国における排出源は限定されていると考えられますけれども、やはり水環境中から検出される状況が確認されているという状況で、水環境中における検出状況については引き続き注視する必要があるということから、要監視項目に位置づけることが適当であるということとさせていただいております。

 (3)指針値(暫定)とすることについてでございますけれども、我が国の水環境に係る基準値、指針値につきましては、特に直接飲用による影響につきましては、WHOの水質ガイドライン値の設定の際に採用している方法を基に、これまで検討を行ってきております。しかしながら、PFOS、PFOAにつきましては、現時点でWHOの水質ガイドライン値は設定されておりません。

 一方で、近年、何度も申し上げておりますけれども、各国・各機関で毒性評価や目標値設定等が行われているというところで一定の知見が蓄積されておりますけれども、やはりその値に相当のばらつきが見られている。国際的にもその評価というものが動いている時期であるというふうに考えられます。

 このようなことである一方、我が国においては、PFOS、PFOAが検出される状況が確認されているということから、監視強化の観点から目安となる値を示すことは意義があるということから、現時点で毒性学的に明確な基準値及び指針値の設定は困難であるものの、やはり各国・各機関が行った評価の中で妥当と考えられるものを参考に、指針値(暫定)とすることが適当であるという結論とさせていただいております。

 次に、4.測定方法のところでございますけれども、これにつきましては、今、環境省において有識者のヒアリングを実施して、「要調査項目調査マニュアル」に示されている測定方法についてヒアリングを行った上で、内容の見直しを行った上で公表をさせていただきたいというふうに考えております。

 最後、「おわりに」でございますけれども、引き続き様々な曝露経路、それから我が国における新しい知見、各国における毒性評価や目標値の設定状況につきましては引き続き注視する必要があると。それで、新たな知見が得られた場合には、必要に応じて見直しを検討することとするということを終わりに書かせていただいております。

 この委員会報告につきましては、パブリックコメントを4月の下旬から5月の上旬にかけて、させていただいているところでございます。

 こちらの結果を、参考資料1に示させていただいております。4月20日から5月4日までの間に意見募集をさせていただきまして、21件の意見を頂いて、本件に関するご意見としては15件ということでございました。

 その内容につきまして、別紙のところでまとめさせていただいております。表にして、別紙としてまとめさせていただいております。

 1番上では、指針値の値について、より厳しい値を設定すべきだというような話の意見がございました。ここにつきましては、右に書かれていますとおり、今、各国・各機関などの評価で妥当と考えている値から最も低い値を選定させていただいたと。

 欧州の基準(EFSA)の基準につきましては、この有害性評価の基となっているエンドポイントにつきまして疑義が生じ、オランダなどから疑義が出されているということも踏まえて、今回のリスク評価の中で妥当と考えるものから除外しているという状況でございます。

 次に、指針値(暫定)の位置づけ、環境基準にすべきというような意見も頂いております。これも中に書いておりますけれども、検出状況から、やはり直ちに環境基準とせず、要監視項目に位置づけるべきと。毒性評価や目標値もばらつきがあって、今の毒性学的に数値を設定することはできないと。これらから、要監視項目という設定とさせていただきたいということでございました。

 あとは、他のPFASについても規制すべきというようなご意見でございますけれども、これについては引き続き知見を集めさせていただきたいと。

 測定方法につきましては、炭素鎖の直鎖状、分岐状、両方を合算して評価することということですが、これはこういう方向で考えさせていただいております。

 それから、あとは修辞上の意見ですので、これは訂正した部分もございます。

 その他はコメントなどでございますので、今後の検討の参考にさせていただきたいと、このように考えております。

 私からは以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明について、ご意見とご質問を頂きたいと思っていますけれども、ただいま事務局では各委員の皆様の挙手マークが確認できなくなってしまいました。これは、ちょっとどういうわけかよく分かりませんが、ちょっと確認できませんので、各委員の皆様が、発言があれば声を出していただきたいと。私が指名をさせていただきますので、決して声が大きいから採用するわけではなくて、必ず発言いただきたいと思いますので、申し訳ありませんが、まず委員の皆様のご自身の名前を言っていただいて、それから順次質問を受け付けて、議論をさせていただきたいというふうに思います。これは、挙手マークがうまくコントロールできないというのは初めての経験かもしれませんが、委員の皆様、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、先ほどの説明でご意見とかご質問等がございましたら、委員の皆様の発言をお願いいたします。よろしくお願いします。

【西川臨時委員】 西川です。よろしいでしょうか。

【細見部会長】 はい、どうぞ。

【西川臨時委員】 この目標値については妥当なところだと思います。要監視項目ということですが、注目すべきは、PFOSについては発がん性のデータが十分でないから国内外において評価がなされていない。一方、PFOAについてはIARCで2B(ヒトで発がん性の疑いあり)と評価されており、米国EPAでも人及び動物データは十分でないが発がん性が疑われるとされ、最近の米国ATSDRの評価では動物に対しては発がん性ありとされています。したがって、これらの物質については、特に今後の発がん性のデータに注視していただければと考えております。

 以上です。

【筒井水環境課長】 ありがとうございます。水環境課の筒井でございます。

 ご指摘ありがとうございます。先生のご意見を受け止めまして、今後、引き続きしっかり注視していきたいと思います。

【細見部会長】 基準項目の委員長の白石委員は、今のコメントで何かご意見はございますでしょうか。

【白石委員】 白石です。

 おっしゃるとおりだと思いますので、この毒性につきましては、まだ十分に評価し切れていないところがありますので、よろしくお願いいたします。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 ほかにご発言の方はいらっしゃいますでしょうか。

【福島(武)臨時委員】 福島ですが、よろしいでしょうか。

 目標値の決め方等には、意見はございませんが、29ページ、別紙3、国内での検出状況の部分に意見がございます。この表を見ますと、2014年から16は指針値(案)を超えているものがないようなデータになっているのですが、最近、沖縄の基地周辺ではかなり高い数字が出て、この指針値を超えているということがありますので、その辺の値を超えているということを、この別紙3の中に書かなくていいのかということです。

 表の上のところの「調査においても検出が報告されている」という表現なのですが、「指針値(案)を大きく超えるケースもある」というような書き方のほうが、こういった基準値を決めることに関して理由があるということになるのかなと思いまして提案させていただきました。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 事務局から。

【筒井水環境課長】 水環境課の筒井でございます。

 ここではどのぐらい、確かに沖縄では大きな値が報告されているというようなことがあります。そのようなことから、環境省としましては、昨年度の後半に全国のPFOS、PFOAの存在状況について改めて調査をさせていただいているところでございます。そういうようなところをしっかり、これはまた別途、早く取りまとめて公表させていただきたいと思っております。ご指摘のご意見につきましては、専門委員会としてこのような表現にさせていただければと思いますけれども、環境省としてしっかり調査をしていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

【福島(武)臨時委員】 どうもありがとうございます。

【細見部会長】 よろしいでしょうか。

 今、事務局では、挙手のマークが確認できるようになったというふうに報告を受けましたので、発言のある方は挙手をお願いします。

 まず、その前に挙手が挙がっていたのは、二階堂委員のほうから挙がっていたようですけれども、いかがでしょうか。

【二階堂臨時委員】 ありがとうございます。全水道の二階堂と申します。

 私は水道で、あるいは住民というような観点で、少し意見としてお話をさせていただきたいと思います。

 今日のレジュメの中でもお示しのとおり、今年の4月1日から、水質管理目標設定項目の暫定目標値として設定をされました。私も厚労省の生活環境の水道部会の中でもこの問題について発案させていただいたんですが、このPFOS、PFOAの問題は、先生方もご承知のとおり、今年の4月に沖縄の普天間基地から流出して、大きく報道されました。その後、昨年の12月にも同基地で流出したことが20日の衆議院の外部委員会でも明らかにされています。

 特に、沖縄ではPFOS、PFOAによる水質汚染問題ということで、この事故前からその危険性などが指摘をされてきました。そこに暮らす住民の不安は解消されることなく、特に水道水源の河川や井戸でも検出されているということは、先ほどご説明でもございましたけれども、そうした住民の不安が直接、水道水、飲料水として共通している水道事業体に向けられてきているというのも事実でございます。

 そんなことから、安全な水道水の確保のために、特に沖縄では水質管理で現場の苦闘が続いてきています。まさに水道水で言えば、水源から蛇口に至る各段階でのいわゆる危害管理の実効性が高まらなければ、住民の不安の解消、あるいは水道現場の苦闘はさらに続きます。さらに言えば、住民の命と安全を守るための地方自治を停止するような危機にもなりかねないとも考えています。

 そうしたことから、改正水道法が施行されまして、その基本方針では、安全な水道水の確保ということで、この基本方針で明確に示されていることは、安全な水道水の確保において「水源からと給水栓にいたる各段階で危害評価と危害管理を行うための水安全計画を策定するとともに、同計画に基づく施策の推進により、安全な水道水の供給を確保することが重要である」と示されています。

 すなわち、水源と言われる公共水域や井戸水は、今回、要監視項目に設定することになったわけでございますけれども、設定されることで住民の不安が解消されるわけでもございませんし、同時に、これは直接この環境省の会議で申し上げるべきことではないんですが、汚染源が特定できないと、そういう中で、今後ぜひこの部会の中では、この要監視項目に留めることなく、いわゆる住民の健康不安につながるということからすれば、水質環境基準健康項目として位置づけることでより実効性を高めていくということが重要ではないかというふうに考えておりますので、意見として申し上げます。

よろしくお願いいたします。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。

 事務局からどうぞ。

【筒井水環境課長】 水環境課の筒井でございます。

 ご指摘をしっかり受け止めたいと思います。ここの中でもありますけれども、引き続き毒性についての知見の収集、そして、要監視項目にすることによりまして、我が国の水環境中の存在状況がさらに明らかになってくると思いますので、そういうような情報をしっかり環境省として収集した上で、引き続き必要な検討を進めていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

【二階堂臨時委員】 よろしくお願いいたします。

【細見部会長】 よろしいでしょうか。

 それでは、挙手が挙がっているのは古米委員ですが、いかがでしょうか。

【古米臨時委員】 先ほどの福島委員からのご指摘にも関連するんですが、要監視項目は従来の要調査項目よりもその監視をしっかりする、あるいは存在状態の実態調査を進めていくということだと思います。先ほどの別紙に出てきているように、全国レベルで、2016年で48カ所という調査地点がありますけれども、要監視項目になった場合に、環境省としてはどのような形で調査地点を増やしていって、しっかりとした知見を増やしていくのかということも非常に重要かと思います。調査の充実があることによって、先ほどのご指摘のように、さらには基準値に持っていくというようなことにもつながるかと思うんですけれども、そこら辺のお考えというか予定はどのように、考えておられるんでしょうか。

【細見部会長】 事務局からどうぞ。

【筒井水環境課長】 事務局、水環境課の筒井でございます。

 要監視項目に位置づけられることによりまして、地方公共団体におきまして、必要に応じて監視などが行われるという形になります。そういう形で監視地点などが増えてくるというふうになると考えています。

 また、環境省としても、やはりこの地方公共団体と連携を取りながら、必要に応じて地方公共団体のほうの支援をしていくというようなところで、しっかり水環境中の存在状況について把握に努めていきたいと、このように考えております。

【古米臨時委員】 今のお答えに関連して、地方公共団体というのは先ほどのように、水道水源を有する地方公共団体であれば水道局等が測定している結果があります。そういったものも環境省のほうの要監視項目の調査結果として取り込まれて公表されるようなことになるんでしょうか。

【筒井水環境課長】 すみません、そこのところにつきましては、基本的に環境省が取るのは公共用水域の測定結果ということですので、水道水の原水としての測定結果の取扱いについて、今どういう形にするかということは、ちょっと申し上げることはできませんけれども、いずれにせよ、この件につきましては、厚生労働省の水道担当部局とも連携しながら取り組ませていただいておりますので、そういうことも含めて、できるだけ我が国における水環境における状況が分かるようにお示ししていく努力をさせていただきたい、このように考えております。

【古米臨時委員】 どうもありがとうございました。

【細見部会長】 よろしいでしょうか。

 それでは、挙手は高村委員から挙がっていますが、いかがでしょう。

【高村委員】 高村です。

 魚介類の値が高いのがちょっと気になったんですが、魚介類といってもいろいろありますので、その中の魚介類の食性ですとか生息地の違いによる値のばらつきのような情報は把握されておられるのでしょうか。お教えください。

【筒井水環境課長】 水環境課の筒井でございます。

 魚介類の値につきましては、まだデータが非常に限られているというふうに考えております。環境省の環境保健部のほうでやっております化学物質の実態調査などでデータが一部出てきておりますけれども、まだ知見が十分存在するという状況ではないというふうに考えておりますので、この辺につきまして、引き続き、関係部局でのデータや関係の省庁などでのデータについては引き続き注視をしていきたいというふうに考えております。

【細見部会長】 高村委員、よろしいでしょうか。

【高村委員】 はい。ありがとうございました。

【細見部会長】 ほかにございますでしょうか。

 大塚委員が挙手されています。いかがでしょうか。

【大塚委員】 一言だけ申し上げたいと思いますけれども、大分前の三位一体改革のときから発生した問題点ですが、環境基準になっていれば必ず測定しなければいけないということになるんですけれども、要監視項目だと、やはり自治体によっては必ずしも十分対応しないところもあり得ないわけではないので、今回、要監視項目のほうの指針値ということにされるわけですけれども、ぜひ環境省におかれましても、そこは気を付けて対応していただけるとありがたいと思います。

 私は専門委員会の委員もさせていただいているんですけれども、すみません、一言だけ申し上げさせていただきました。恐れ入ります。

【細見部会長】 ありがとうございます。

【筒井水環境課長】 ありがとうございます。水環境課の筒井でございます。ご意見を受け止めて、今後の対応をしっかり進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

【細見部会長】 ほかにございますでしょうか。

 西嶋委員のほうから挙手がありますが、いかがでしょうか。

【西嶋臨時委員】 聞こえますでしょうか。ご指摘のところではないのですが、ページ目のところに目標値の導出の式が書かれています。ここの最後の10%というのは0.1と書くべきではないのでしょうかというのが一つと、その前のところの、PFOAのほうの計算式の計算のところで、LOAELを0.053で設定されて、不確実係数が300で計算すると、200ngになります。だから、どっちかの数字が間違っているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

【細見部会長】 すみません、今ちょっと確認します。

【筒井水環境課長】 水環境課の筒井でございます。

 数値の10%のところは、確かにそういう形のほうがよろしいかと思いますので、修正をさせていただきたいと思います。

 それから、算出値のところはちょっと確認をさせていただきたいと思います。すみません。

 以上でございます。

【西嶋臨時委員】 お願いいたします。

【細見部会長】 今ちょっと確認しますので、ほかの委員の先生方でご質問があれば、あるいはコメントがあればお願いしたいと思います。

 それでは、この件については、間違いかどうかというのは少し時間を頂いて、本日が終わるまでに、この委員会が終わるまでに回答したいと思います。

 ほかにご意見、ご質問はございますでしょうか。

 ないようですので、先ほど西嶋委員から指摘されました6ページですか、10%というのは修正するということと、あとのPFOAのTDIについては、少し確認してからお答えをさせていただきたいと思います。

 最初、西川委員のほうから、このPFOA、PFOSの発がん性の問題で、もう少し注意が必要だろうというご指摘も頂きましたし、それから沖縄では指針値を超えているようなデータもあるということで、各都道府県のデータも非常に重要ではないかと。これに関しましては、特に水道のほうのデータ、原水のデータについては、厚生労働省と連携をしながら、かつ、先ほど沖縄県の問題もありますように、地方公共団体と連携しながら引き続きデータを拡充していきたいというふうに思います。また、魚介類に関する濃縮に関しても、まだデータが少ないということですので、これについても引き続きデータの収集に努めていきたいということで、基本的には本日お示ししました案を承認していただいたと思いますけれども、引き続きデータの拡充ということに関しては、各委員の、今ご指摘いただいた先生方からの意見を真摯に受け止めて、事務局としてもデータの収集に努めてまいりたいというふうに思います。

 よろしゅうございますでしょうか。特に今ご意見がなければ、そのような形でまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。

 すみません。今、事務局でもう一度計算の確認をしておりますので、この点だけはちょっとまだペンディングにさせていただいて、そのほかのことに関してはご了承いただいたというふうに考えます。

【筒井水環境課長】 すみません。水環境課の筒井でございます。

 0.053mg/kg/dayのところですけれども、0.0053mg/kg/dayが正しいかと思います。

【細見部会長】 西嶋委員、いかがでしょうか。

【西嶋臨時委員】 はい、多分そうだと思います。確認して訂正をお願いいたします。

【細見部会長】 今の段階では、この数値を10分の1にした形で進めたいと思います。

これから再度、もう一回、私も含めて、事務局でここの数値に関しては確認させていただくということを前提として、本日この案をご了承いただいたというふうに、そうさせていただいてよろしいでしょうか。ご異論があれば挙手をお願いいたします。

(了承)

【細見部会長】 ありがとうございます。

それでは、これを部会の決議として中環審の武内会長へ報告させていただきます。その上で、武内会長の同意が得られましたら、中央環境審議会議事運営規則第6条第1項の規定に基づいて審議会の決議としていただき、大臣への答申の手続を取らせていただくようにしたいと思います。

本日、審議結果を踏まえて、今後の予定ですけれども、事務局から何かありますでしょうか。

【筒井水環境課長】 事務局、水環境課の筒井でございます。

 本日は水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の目安につきまして報告案を審議いただきまして、取りまとめいただきましてありがとうございます。

 この後、先ほど部会長からあったようなかたちでの修正、確認をさせていただいた上で、中環審からの答申を頂きましたら関係自治体への通知を行っていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 引き続きまして、議題の2番目です。第五次環境基本計画の点検についてです。

 まず、事務局からご説明をお願いいたします。

【谷貝政策企画官】 水・大気環境局総務課政策企画官の谷貝と申します。

 それでは、資料2をご覧いただけますでしょうか。

 こちらのほうが、第五次環境基本計画(水環境部会担当分野)の点検結果についてということでございます。暫定版とさせていただいてございますが、これは、意図といたしましては、今日、委員の皆様からご意見を頂きまして、また直すことを想定しておりますので暫定版という言い方をさせていただいてございます。

 1枚おめくりいただきまして、目次でございます。「はじめに」ということで前説をさせていただいた後、Ⅱ番目のほうで点検の進め方について、Ⅲ番目、Ⅳ番目が中身の部分でございまして、Ⅲ番目が重点戦略、Ⅳ番目が重点戦略を支える環境政策、最後に「おわりに」となってございます。

 順を追ってご説明させていただきます。

 次のページが「はじめに」となってございます。

 ここは、経緯や背景を説明させていただいてございまして、前回、前々回と3回にわたって既にご検討いただいてございますけれども、第五次環境基本計画の水環境部会分につきまして、具体的な中身といたしましては、「2.国土のストックとしての価値の向上」の中の「(1)自然との共生を軸とした国土の多様性の維持」、また「4.健康で心豊かな暮らしの実現」の中の「(3)安全・安心な暮らしの基盤となる良好な生活環境の保全」といったところが重点戦略でございまして、それに加えまして、それを支える環境政策としての「(1)水・大気・土壌の環境保全」といったところが、当部会、水環境部会の担当分野となっているところでございます。

 これにつきまして、前回、前々回とヒアリングをさせていただきました。役所に限らず経団連さんでありますとかJEANさんといったNPOの方にも来ていただいてお話をお伺いさせていただいたところでございます。

 それに加えて、こちらの資料の後ろのほうに参考資料3としてつけてございますけれども、環境白書あるいは環境省が作っております政策評価、そういったものを参考にさせていただいて、本紙を作成させていただいたところでございます。

 戻りまして4ページ、Ⅱ番目の第五次環境基本計画の点検の進め方についてということでございます。

 こちらにつきましては、ここが既に第1回、第1回と申しますのは前々回です。前々回の際に既にご了承いただいてございますが、点検の観点でございますとか進め方について、改めて書かせていただいてございます。

 (1)点検の観点につきましては、可能な限り定量評価を交えながら、ただ施策の進捗状況を確認するというだけではなくて、今回の基本計画の肝でありますマルチベネフィットということで、環境だけではない経済・社会への効果といった観点、あるいはイノベーション、あるいは地域循環共生圏といった観点から、気づき、あるいは新しい取組といったものを生み出すといったことが、点検の目的とされているところでございます。

 (2)の点検の進め方でございますが、これは復習でございますけれども、関係者へのヒアリングを前回、前々回とさせていただきまして、今回の報告書の中に施策シートといったものを作らせていただきました。これについても、前々回の部会の中で様式について確認いただきまして、その様式にのっとって記載させていただいているところでございます。

今回、本日議論いただきましたものを、報告書案として取りまとめさせていただきまして、今後予定されております総合政策部会において部会長からご報告いただくといったような段取りとなっております。

続きまして、2.各ステークホルダーからのヒアリングの実施ということで、ここも復習でございます。前回、前々回とヒアリングをさせていただきました。

前々回の昨年9月でございますが、そのときには、当局の水環境課、海洋環境室、閉鎖性海域対策室、それぞれの所掌についての説明をさせていただきました。

また、加えまして、内閣官房の水循環政策本部のほうからも水循環基本法関係のお話をしていただきました。さらに、一般社団法人JEANさんから海洋ごみへの取組についてのお話を頂いたところでございます。さらに、前回の今年2月の部会におきましては、日本経済団体連合会さんのほうから海洋プラに対する取組についての発表をいただいたところでございます。

こういったヒアリング結果を踏まえつつ、3.施策シートについて担当課室が作成をさせていただきまして、それに加えまして環境白書及び政策評価といったものを使って説明をさせていただいたところでございます。

続きまして、中身でございます。

7ページの、Ⅲの各重点戦略の取組状況についての説明とさせていただきます。

最初に申し上げましたが、当部会の担当分野といたしまして、まず重点戦略2の国土の部分の自然との共生を軸とした国土の多様性の維持といったところと、戦略4の健康で心豊かな暮らしの実現の中の安全・安心な暮らしの基盤となる良好な生活環境の保全となっております。

(1)重点戦略点検の観点ということで、これも復習となりますけれども、先ほど申し上げたとおり、今回の基本計画全体を通底する理念といたしまして、横串の観点から点検を行います。つまり、環境だけではなく経済・社会へのマルチベネフィットを点検します。また、それに加えまして、地域循環共生圏といった新しい考え方にどの程度貢献できているかについても点検を行います。それに加えまして、有機的な連携でございますとかイノベーションの可能性といったものを点検するとさせていただいているところでございます。

続きまして、(2)点検項目でございます。こちらは前々回の部会で様式を確認いただきましたシートでございまして、それにのっとって書かせていただいてございます。

最初は、国土の中の特に海洋環境の保全といったところでございまして、計画本体から抜粋をさせていただいてございますが、特に後段です。マイクロプラスチックを含む海洋ごみへの対応、海洋汚染の防止、沿岸域の総合的管理、海洋の開発利用と環境保全との調和、海洋環境を的確に保全するための基盤となるモニタリング・調査研究などの施策を総合的に推進するとなっております。

その次に、取組の進捗状況についてつらつらと書かせていただいてございます。事細かにご説明はいたしませんが、今回行ったヒアリングの結果あるいは白書、あるいは政策評価といった取組からそれぞれ記載、点検計画本体の記載に対応する部分について抜粋をさせていただいているところでございます。

その下が、今度は環境面での効果及び評価指標といったところでございまして、環境面につきましては、いわゆる水質保全だけではなくて、漂着ごみ、廃棄物の話であったりとか、化学物質あるいは生態系、あるいは気候変動にも関わってくるというところが言えるかと思います。

それに関係して、評価指標でございます。これについては、すみません、正直なかなか適切な指標というのが難しいところはございますけれども、現状、我々が思っている指標を列挙させていただきまして、例えば海ごみ法に基づく地域計画の策定自治体数、これらの47都道府県のうち38自治体が作っているとか、あるいは海洋汚染の発生件数、あるいは海上環境関係法令違反送致件数といったものをデータとして示させていただいているところでございます。

次のページ、9ページでございますけれども、今度は環境面以外の経済・社会面での効果及び評価指標ということでございまして、例えば、定性的に言えば、海洋環境の保全によって景観の維持でございますとか観光・水産業への好影響、あるいは災害対策といった効果があると考えてございます。ただし、残念ながら評価指標については、現状では、我々としては持っていないというところでございます。

また、その下のイノベーションの可能性ということでございまして、こういった海洋環境の保全の取組から、どういった分野のイノベーションがあり得るかということでございますけれども、特に、また後ほど海洋ごみについては出てまいりますけれども、今、耳目を集めております海洋ごみ、海洋プラスチックごみに通じて、社会あるいはライフスタイルあるいは技術のイノベーションといったものが期待できると考えております。また、それに加えまして、モニタリングの関係からは衛星等を用いた新たな技術といったものが生まれてくる可能性があると考えているところでございます。

次が、他の重点戦略との連携の状況ということでございまして、この重点施策は国土となってございますが、計画では六つの重点戦略がございまして、それ以外の1番の経済、3番の地域づくり、4番の暮らし、5番の技術、6番の国際貢献といったものにそれぞれ貢献すると考えているところでございます。

続きまして、課題及び今後の取組方針でございますけれども、こちらについては、主に白書のこれから講ずる取組といったところから適宜抜粋をさせていただいてございまして、基本的には各分野ごとに、それぞれ引き続き取組を進めていくというふうにさせていただいているところでございます。

以上が海洋環境の保全でございまして、続きましてシート2枚目でございます。

今度は、おめくりいただきまして、10ページの水循環の維持または回復ということでございまして、水循環基本法に基づく取組についてのシートとなってございます。

こちらにつきましては、実は内閣官房の水循環政策本部さんのほうで各省の取組を取りまとめていらっしゃいまして、また、水循環基本計画といったものがございまして、その中で点検や会計といったものを今作業されていらっしゃいます。そちらから基本的に引用させていただいてございますので、あまり事細かに説明いたしませんけれども、例えばその下の経済・社会面での効果につきましては、防災対策あるいは水源としての、水資源としての貯留・涵養機能、あるいは魅力的なまちづくり、あるいは文化の継承や地域社会の活性化といった効果があるとされているところでございます。

また、右側の11ページでございますけれども、他の重点戦略との連携ということにつきましても、地域あるいは暮らし、あるいは国際といったところと密接に関わってくると考えているところでございます。

課題及び今後の取組方針につきまして、これは水循環基本計画の改定の中で議論されている話と一緒でございますけれども、流域マネジメントのイノベーションといった観点、あるいは安全・安心な社会の実現、さらには次世代への健全な水循環による豊かな社会の継承といったところが挙げられているところでございます。

続きまして、3番目のシート、今度は健康で心豊かな暮らしの実現ということで、水環境の維持・回復ということで、これはまさに当局で対応させていただいているところでございます。

おめくりいただきまして、12ページでございますけれども、主に水質の保全といった観点もございますが、それだけではなくて、豊かな水環境ということでございますので、水質以外の生態系への好影響であったりとか、そういった部分も配慮しなければならないとされているところでございますので、例えばでございますけれども、この後、今日ご説明がございますけれども、瀬戸内海の見直しの点検における栄養塩管理といったような話もございますし、また里海づくりといったような新しい取組も進めていかなければいけないということになってございます。

その下に、環境面での効果及び評価指標ということでございますけれども、水質汚濁対策だけに限らず生態系ネットワークの維持といったような環境への効果があるのではないかとさせていただいてございます。

13ページでございますけれども、経済面・社会面での効果及び評価指標につきましては、これも海洋環境とかぶってまいりますけれども、観光業、水産業への好影響、あるいは魅力的なまちづくり、感染症対策といったところに好影響があるのではないかと考えてございます。

イノベーションにつきましても、社会あるいは技術のイノベーションにつながっていくということを書かせていただいてございますし、他の重点戦略との連携につきましても、国土あるいは地域、あるいは技術、あるいは国際といったところと関わってくるとさせていただいてございます。

課題及び今後の取組方針につきましては、環境基準あるいは瀬戸内の今後の在り方についてといったところについて、引き続き検討を進めていくとさせていただいているところでございます。

おめくりいただきまして、今度は4枚目のシートでございまして、マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策の推進となってございます。先ほど海洋環境の中にも出てまいりましたが、特にこちらでは、プラスチックを含む海洋ごみということに特化をした記載となってございます。

取組の進捗状況につきましては、これもヒアリングでいろいろとご説明させていただきました国際的な大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの取組を中心といたしまして、国内では様々な計画あるいは戦略といったものを策定して、それに基づき各省が取組を進めているところでございます。

15ページでございます。

環境面での効果で、これも重複いたしますけれども、廃棄物3Rであるとか生態系あるいは気候変動と密接に関わってまいります。

評価指標といたしましては、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの共有国数ということで 59カ国、あるいは先ほども申し上げましたが、海ごみ法に基づく地域計画策定数38、あるいは回収された海洋プラスチックごみの量といったところで出させていただいているところでございます。

経済・社会面の効果あるいはイノベーションの関係につきましては、先ほどの海洋環境の保全と近しいところがございます。

他の重点戦略との連携につきましても同様に、ほかの重点分野に幅広く関わってくるというふうに整理をさせていただいてございます。

今後の取組方針につきましても、引き続きこれらのビジョンあるいは戦略にのっとって取組を強化していくというふうにさせていただいてございます。

以上を踏まえまして、全体評価と課題ということになります。これは、今まで申し上げてきた四つの分野をまとめて整理させていただいてございます。

まず戦略の進捗状況でございますが、こちらにつきましては、基本的には非常に広範に様々な取組がされているというふうに評価をさせていただいてございます。ただし、一方で指標面を捉えますと、まだまだ十分に指標ができていないということで、定量的な評価は困難かなというふうに考えてございます。

特に、健全な水循環あるいは健全で豊かな水環境の維持・回復などにつきましては、従前の汚濁指標といったものとは違いますので、適切な指標の検討が必要と考えてございます。

また、同様に環境及び経済の効果につきましても、指標がなかなか難しいといったことがございますので、そちらについても検討が必要と考えてございます。

また加えまして、今回、経団連さんとかJEANさんからいろいろお話をお伺いしましたが、やはり行政だけでは限界がございますので、こういった産業界やNPO、あるいは自治体さんなどの取組というのも、きちっと聴取できるようにするような枠組みが必要というふうに考えてございます。

続きまして、環境・経済・社会上のマルチベネフィット/地域循環共生圏への貢献ということでございます。これについては、非常に前向きな評価ができるのではないかと思ってございます。

海洋環境、あるいは海洋ごみ、あるいは健全で豊かな水環境、いずれも環境だけではなく、経済社会に幅広く寄与するものというふうに考えてございます。取組例といたしまして、例えば瀬戸内海における取組でございますとか、あるいは海洋プラスチックごみにおける取組といったものが地域循環共生圏に貢献するといったことを説明させていただいてございます。

17ページでございますが、多少課題を申し上げますと、なかなかまだ他の環境政策あるいは他省庁との連携が十分ではないのではないか。あるいは実際の影響についてまだまだ評価あるいは指標が難しいのではないかといったことについては、引き続き科学的知見の集積が必要であるとさせていただいてございます。

イノベーション/気づきにつきましては、これは先ほどシートの中で申し上げましたけれども、幅広い分野において、社会あるいは技術あるいはライフスタイルといったところについて大きなイノベーションの機会になるのではないかと考えているところでございます。

特に、海洋プラスチックごみにつきましては、我が国が主導して作ったブルー・オーシャン・ビジョンを世界に広げることによって、世界全体でイノベーションを促すことができるのではないかというふうに考えているところでございます。

また、部会での個別意見といたしまして、前回、前々回で頂いたご意見を列挙させていただいているところでございます。

4番で、今後の取組方針でございますけれども、三つ挙げさせていただいてございます。

まず、サイエンス・ビジネスベースでの国際取組ということでございまして、国際的な取組を推進していくということを挙げさせていただいてございます。

(2)といたしまして、今度は国内でございますが、健全で恵み豊かな地域の水環境の実現ということで、いわゆる水質といった観点だけではなくて、豊かな水環境といったところで取組をさらに進めていく、あるいはその先回り(Proactive)型の環境マネジメントが重要であるといったことを挙げさせていただいてございます。

また、最後に、地方自治体や産業界・NGO等との連携強化ということでございまして、繰り返しになりますけれども、海洋プラスチックを含めまして、やはり行政だけではなく自治体、産業界、NGOの協力が不可欠でございますので、彼らとの連携を前面に打ち出して、新しいイノベーションにつなげていくといったことをさせていただきたいと思ってございます。

続きまして、重点戦略を支える環境政策ということで19ページ以下は書かせていただいてございます。

こちらにつきましては、従来型の、媒体ごとの取組についてということで、2枚シートを書かせていただいてございますが、1枚目が水質ということでございまして、今まで我々が一生懸命やってきたことを列挙させていただいてございまして、詳細は省かせていただきますけれども、20ページ、21ページに、政策評価に書かせていただきたいことを縷々書かせていただいてございます。

21ページのほうが、今度は地下水、地盤環境保全と持続可能な地下水利用ということでございまして、今度は地下水とか地盤沈下、さらに、それに加えまして熱利用とかそういった新しい観点も含まれているところでございます。

23ページで、全体評価と課題ということでございまして、これも皆様よくご承知かと思いますけれども、環境基準そのものについては、全体としては成果が上がりつつございます。

ただ一方で、一部の分野では十分な達成状況に至っていない、あるいは地域ごとの差異も認められますので、引き続き取組が必要でございます。

また、水資源、あるいは熱資源としての地下水利用等については、まだまだ十分な取組が進んでいないというふうに考えてございます。

さらに、環境基準あるいは類型指定についても実情に応じた枠組みの不断の見直しが必要であると考えてございます。

また、こちらについては部会での個別意見を列挙させていただいてございます。

今後の取組方針につきましては、すみません、各シートのところで、今後の取組方針を細かく書かせていただいてございますので、そちらを引用させていただく形とさせていただきました。

最後のページが「おわりに」ということでございまして、引き続き、基本計画のメインメッセージであるという、環境・経済・社会の統合的向上といったものを図っていくというふうにさせていただいているところでございます。

以上、駆け足になりましたが、説明は以上でございます。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 第五次環境基本計画の点検について案をご説明いただきました。

委員の皆様、ただいまの説明につきまして、ご質問あるいはご意見がございましたら、挙手マークでお願いいたします。

 まず、山室委員から挙手マークが挙がっています。いかがでしょうか。

【山室臨時委員】 プラスチックごみについて、ちょっとご確認したいんですけれども、以前の部会でも、私、これ海洋というのが必ずついているんですが、プラスチックごみの問題は、もしも海洋をつけてしまうと、例えば海なし県、琵琶湖なんかもそうですよね。滋賀県もそうですが、そういう海じゃないところに出ていくものというのが対象にならなくなってしまって、非常によろしくないのではないかというご意見を申し上げた記憶がございます。

 それで、例えば今回、まだこの海洋というのがついておりますので、そうすると、取組については、そういう海なし県についてはしないでもいいというか、特にしなさいということも言っていないとか、あと進捗状況はどうやって確認するのかといったことを教えていただきたいんですけれども。

【細見部会長】 事務局からお願いします。

【谷貝政策企画官】 基本的に、海洋プラスチックといった場合には、当然、排出抑制等々も含んでございますので、発生源である海なし県も対象となってまいります。実際、一部の海なし県におきましては海洋プラスチックごみをなくすという宣言を出されていたりとかもいたしますので、当然そこは日本全国津々浦々関係してくると考えてございますので、そこは別に区別することなく点検をさせていただくということで考えております。

 といったことで、お答えになっておりますでしょうか。

【山室臨時委員】 よろしいですか。そうすると、今後このプラスチックごみに「海洋」という言葉をつけないという、そういう検討は前回もお願いしたんですけれども、そういう方向はないんですかね。前回言ったかどうか分からないんですけど、例えば私のフィールドであるバイカル湖でも非常にたくさん出ているんですね。ですので、このプラスチックごみの問題というのは、必ずしも海洋だけの問題ではありませんし、たしかこれは前回申し上げましたけれども、海外では淡水の湖の、水道水源になっている湖でも入っているということが報告されておりますので、これはやはり、水圏環境全て、海洋に限らずの問題であるという捉え方から点検もしていただきたいし、各自治体にも取り組んでいただきたいなと思います。

【谷貝政策企画官】 おっしゃるとおり、分野に限らず横断的にやるべきというご指摘はごもっともだと思ってございます。

 一方で、すみません、デマケーションという言い方がよろしいか分かりませんけれども、我々のほうが行っておりますのは海洋環境といいますか、海洋に出てくるプラスチックが様々な影響を及ぼしているといったことがございまして、取組をさせていただいてございます。

 一方で、再生循環局におきましては、プラスチックを含めた資源の循環といったものを進めてございまして、当然、両部局あるいは両部会で連携をしていく必要があるかと思いますけれども、当部会といたしましては海洋プラスチックと、海洋といったことから取組をさせていただいてございますので、そういった形で分担、連携してやらせていただきたいというふうに思ってございます。

【山室臨時委員】 何かよく理屈が分かりませんけれども、当面はそういうふうに進めるということで理解いたしました。ありがとうございました。

【細見部会長】 海洋という言葉の中には、発生源も含めてであるという、そこは間違いないですか。

【谷貝政策企画官】 おっしゃるとおりでございます。

【細見部会長】 山室委員も、発生源も含めてということで、淡水域も含めて海洋ごみという、なかなか海洋という言葉を取りにくいのが今の行政組織かなと思いますが、その心は広く排出源も、それから資源循環局とも連携しながら、対策を講じながら、かつプラスチックごみに対応していこうという姿勢ではいますということで、その海洋というのを取ってしまえというのは、ちょっと今のところ正直難しいというのが事務局のお答えですけれども、よろしゅうございますでしょうか。

【山室臨時委員】 はい。そういう制度上のことだということで理解いたしましたが、先ほども申しましたように、このプラスチックごみの被害というのは海洋だけに限らないということはどこかで記憶しておいていただいて、淡水域での実態調査みたいなものも必要かなというふうに思います。

【細見部会長】 その点に関しては、先ほどの、この点検の案について、少し加筆できるかどうかはちょっと検討させてください。よろしいでしょうか。

【山室臨時委員】 はい、よろしくお願いいたします。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 ほかには、ご意見はございますでしょうか。

 西垣先生、どうぞ。

【西垣臨時委員】 案として、非常にすばらしい案をありがとうございます。

 まず二つございまして、10ページのイノベーションの可能性につきまして、地下水に関する挙動の解明というのがございます。この挙動の解明というのは非常に難しい課題でして、人口、日本の国土なんて本当に小さな国土でも、日本の国土の地下の構造とか、地下のどういうふうな地層が構成されているとか、そういうようなものはまだ分かっていないというのが現状ですので、それをきちっとデータベースに入れるというのは、今、国土交通省のほうで国地盤ということで言っていますので、ぜひ環境省さんも、省間でその辺の挙動の解明のために地下水というのが、これを解明していきますと、ここでございますような、いろんな地下水の育水というのですか、地下水を育てることに重要な課題が解明されるんじゃないかなと思いますので。

 ただ、狭い日本といっても、非常に広い域を、全部のデータを蓄積するというのは、日本人にとって非常に下手くそな時代ですので、空気中じゃなしに、地盤内の三次元的な構造帯をきちっとモデルとして構築しないと、その挙動の解明というのは不可能だということを、ぜひどこかにうたい込んでいただければというふうに考えています。よろしくお願いします。

 それから、23ページのところで、地盤沈下、地下水採取の抑制とかということで、それに地下水をくむことによって地盤沈下が生じているという話でございますが、これに関しましても、日本は瑞穂の国ですので、表流水でどんどん無効放流というわけじゃないんですけども、表流水をできるだけ地下に涵養していくと。これは昔から大きな課題として、何回か環境省さんは人工涵養についての研究をしていただいてますが、なかなかきちっと成功していない。世界では、Artificial rechargeというのは大きな課題で、オーストラリアでもいろいろなところでこれからの気象変動に関してどうしたらいいかというのは課題として取り組んでおられます。日本も、できましたら人工涵養をもう一度大きな課題として取り扱っていただければというふうに考えています。

 それに関連して、23ページにあります地中熱利用のところで、今まではオープンループで長時間、それは何年単位ですけれど、オープンループで地中熱利用を成功している例というのはほとんどございません。ですから、これに関しましても、もっと10年、20年の長い単位で、オープンループで地中熱利用をするのには、くみ上げた水の熱を使わせていただいて、それを地盤の中に注入していくとなっていくと、これも人工涵養に関係しますので、この辺の課題に関しても、国の中でどこが一番有効なのか。そこがどうして井戸のスクリーンに目詰まりが生じるかということについても、基本から若い人たちに取り組んでもらえるような組織を作っていただければと思っておりますが、そこも今回の中で、どこかにそのような文言を読み込んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。

【細見部会長】 事務局、どうぞ。

【堀上地下水・地盤環境室長】 地下水・地盤環境室長の堀上です。よろしくお願いします。ご意見ありがとうございました。

 最初のご質問というかご意見ですけれども、まず挙動については、国交省とも連携しながらいろいろ情報交換はしておりますが、環境省としましても、硝酸性窒素のモデル事業をやっている中で、その挙動について実際の地域においてのデータベースづくりもしているところでございます。そういった点で、その辺り、関係省庁とも連携しながら、今後詰めていきたいと思っております。

 2点目の地盤沈下とそれから人工涵養の観点ですけれども、これも環境省だけではありませんけれども、関係省庁と連携しながらそこを整理していきたいと思っておりますが、地中熱利用につきましては、昨年度、実際大阪のほうでやっている部分もありますので、そういった事例を勘案しながら、今後さらに情報を整理していきたいと思っております。

 この中にどういうふうに書くかにつきましては、少し内部で議論しまして、できれば課題として整理していくようなことで考えたいと思っております。

 以上です。ありがとうございます。

【細見部会長】 西垣委員、よろしいでしょうか。

【西垣臨時委員】 はい。ありがとうございます。

【細見部会長】 それでは、次に挙手が大久保委員のほうから挙がっています。いかがでしょうか。

【大久保委員】 ありがとうございます。今回の点検に関しましては、評価指標の設定が難しいものが少なくなくて、特に数字で挙がっているものが限られているという印象を持っております。その中でも、数値が挙がっていますのが、例えば15ページの海洋プラスチックに関する評価指標のところです。この数値の挙げ方についても、例えば大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの共有国数59カ国というのは、どういうふうに、何をした場合に共有国としてカウントしているのかということと、それから、評価指標としてはこのぐらい抽象的で仕方がないとしても、今後の取組の書き方としては、例えばナレッジセンターの設立とか国別行動計画の策定とか、もう少し具体的な数字あるいは記載というものをしていかないと、かなり抽象的な評価しかできなくなるのではないかという危惧がありますが、この点はいかがでしょうか。

【谷貝政策企画官】 ご指摘ありがとうございます。全く先生のおっしゃるとおりでございまして、今回、課題として挙げさせていただきましたが、指標がまだまだ十分足りていないというのは、こちらも全く同感でございます。

 ご指摘がありました大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの共有国数につきましては、国際的な場で賛同するといったような表明をしていだいた場合にカウントさせていただいてございます。ご指摘があった国別計画の実施とかいったものにつきましても、現在そういった枠組みづくりを進めさせていただいているところでございますので、今後そういった指標化といったこともできてくるようになるのではないかというふうに考えているところでございます。

 いずれにしましても、指標化につきましては、引き続き精査・検討を関係各省と進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

【細見部会長】 大久保委員、よろしいでしょうか。

【大久保委員】 ありがとうございます。

【細見部会長】 今、西嶋委員と福島委員から手が挙がっています。

 まず西嶋委員、どうぞ。

【西嶋臨時委員】 西嶋です。ここの項目の中で、イノベーションの可能性というのがあるのですけれども、一般的にイノベーションというのに比べると、書かれている内容がちょっとイノベーションとは言いにくいものが多いのではないかというのが感想です。

 例えば、15ページのところに海洋ごみが説明されているのですが、そこに書かれているのは、排出抑制だとかリサイクルの徹底とか、代替プラスチックの利用拡大という、要は今やっていることの延長線上にあるのですね。もうちょっと徹底しましょうとか、ちょっと今、利用されていないので増やしていきましょうというような表現に聞こえるのですね。これだとなかなかイノベーションという言葉とマッチしないのではないかというふうに感じます。大阪ブルー・オーシャン・ビジョンなんかは非常に野心的な目標を掲げられているのですが、ああいう目標を達成するためには、やっぱりかなり社会の在り方を変えるとか、そういうことが必要になってくると思うので、実際のいろんなイノベーションが起こると思います。もう少し、書きぶりを変えていただいたほうがいいのではないかというのが1点目でございます。

【谷貝政策企画官】 ご指摘ありがとうございます。すみません、おっしゃるとおりイノベーションにつきましては、少し説明というか、書きぶりが簡潔というか、簡単過ぎるというご指摘だと思います。イノベーションにつきましては、暫進的なイノベーションもあれば破壊的なイノベーションもあって、なかなか我々としても、その扱いというか判断に苦慮するところがございますが、いずれにつきましても、もう少し丁寧に説明をさせていただきまして、こういうイノベーションになっていくんだということが分かるような書きぶりに直させていただきたいと思います。

【西嶋臨時委員】 ありがとうございます。

【細見部会長】 特に、従来の延長というふうにできるだけとらわれないように、言葉をもう少し選んで、修正できるところを修正したいというふうに思います。

それでは、挙手をいただいているのが、福島委員から、どうぞ。

【福島(武)臨時委員】 どうもありがとうございます。

 私、これを読ませていただいて、いろいろなところに「豊かさ」という言葉がよく出てくるなという印象を持ちました。今回、環境・経済・社会へのマルチベネフィットということで、後者のものを評価するために豊かさという言葉が出てきたのだと思うのですが、豊かさの使い方として、心豊かな、あるいは恵み豊かな、あるいは生態系の豊かなというような、いろいろな場面で使われていて、また、何の豊かというのが分からないような書き方をしているところもあるということが気になりました。こうしたことを当部会だけで考えるのか、総合政策部会のようなところで議論をしていただいて、その成果をこちらで議論するということもあるかなと思いましたので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

【細見部会長】 ありがとうございます。

【谷貝政策企画官】 かしこまりました。ご指摘を踏まえまして、「豊かさ」につきましてはもう少し丁寧な、しっかりとした整理をさせていただくように修正をさせていただきたいと思います。

 また、どこで議論するかということにつきましては、もちろん省全体、総合政策部会の議論もあるかと思いますが、まずは当部会の中でもしっかりとご議論いただければというふうに思っております。

 以上でございます。

【細見部会長】 よろしいでしょうか。

【福島(武)臨時委員】 はい。ありがとうございました。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 古米委員、挙手が挙がっていますが。

【古米臨時委員】 もうそろそろ私は退出するので発言させていただきます。今回のご説明を聞いていると、水環境部会の担当は、国土のストックとしての価値向上という重点項目と、健康で心豊かな暮らしの実現ということで、それぞれ2項目ずつ、海洋環境、あるいは水循環の健全だとか、あるいはマイクロプラスチックという項目で整理されていると思います。

 ただ、少しセクショナリズム的で、担当のところだけまとめましたという感じがあります。やはり全体として、地域循環共生圏には言及されていましたけども、気候変動に対してどうであるのかだとか、全体的な課題と水環境を絡めてどうなっているのかだとか、あるいは生態系サービスに対してどういう位置づけなのかというような観点が見えにくくなっています。項目立てされないまでも、どこかで整理されることがとても大事だと感じました。

 各部会から点検結果が全体会合へ持ち上がっていき、全体会合の場でそれらが反映されるということであれば問題はないと思います。項目を立てて、それだけに特化して整理をしましたという感じがありますので、ぜひ環境基本計画の全体像の中の水環境部会あるいは水環境関連でどういったことがなされてきて、今後さらにどうあるべきなのかを追加いただければと思います。気候変動であれば、湖沼への影響については非常に重大で、適応策等のことをしっかり考えなければいけないという議論もされています。例えば、そういった話もぜひ取り込んでいただければいいかなと思います。

 以上です。

【細見部会長】 どうでしょうか。

【谷貝政策企画官】 ご指摘、ごもっともかと思います。今回、計画が、前回の計画から横串の計画に変わってございますが、点検の枠組みというのは各部会ごとにやるというのは変わってございません。本来であれば、総合政策部会なり横断的な場で、おっしゃるように全体像の中でのネットワークというか連携といったものを議論すべきと思ってございますが、残念ながら現状では各部会ごとに点検を行ったものを最後に総合政策部会で統合するというような形になってございます。ただ、ご指摘の点については、部会としてのご意見としても書かせていただければと思ってございますし、総合政策部会の場でも議論をしていただくように、こちらのほうから申し上げておきたいと思ってございます。その上で、部会報告書の中で、一応、地域循環共生圏の例示といったものを、例えば16ページのほうで書かせていただいたりをさせていただいて、何とか全体の中での水環境、水環境部会の取組といったものが分かるような形にさせていただくつもりではございますが、もう少し、もっと全体像の中での位置づけが分かるような書きぶりができないかといったことは、部会長とご相談させていただいて検討していきたいと思ってございます。

 ご指摘ありがとうございます。

【古米臨時委員】 どうもありがとうございました。

【細見部会長】 古米委員から今頂いたご意見に関しては、総合政策部会に上げる段階で少し議論があるかと思います。今回、こういう点検というのが新しく入ってきたので、まだ足りないというか、本来の意味が十分浸透していないところで、とにかく水環境部会としての枠組みをまず決めて、その中で案を作っていただきました。ただ、これだけだと環境全体に対してまだ足りない部分が確かにあるかと思いますので、総合政策部会でそういう議論ができるかどうかという提案をさせていただきたいというふうに思っています。頂いたご意見をそのまま総合政策部会の一つの議論の材料にさせていただければというふうに思います。

 ありがとうございました。

【古米臨時委員】 ありがとうございます。

【細見部会長】 それから、あと、挙手が挙がっているのは高村委員からですが、いかがでしょうか。

【高村委員】 ありがとうございます。

 10ページのところなんですが、水循環のところです。こういうふうな、環境省が地方自治体等が中心となる組織とか計画などをバックアップしていくとか、連携や協力の推進を後押ししていくものというのは、やっぱり今期非常に重要な課題になるんじゃないかなと。それに対する評価指標があまりないのがちょっと残念だなというふうな気がいたします。例えば、ポチの四つ目、五つ目、取組を推進しますとか支援を推進しますというふうな文言を書いていただいているんですが、具体的にどういうふうにやっていくのか。やはり、瀬戸内海の委員会でも思ったんですが、県をまたがった協力とか、そういうのは非常にやりにくそうなんですね。でも、流域というのは県をまたがった協力をしていただかないといけないようなところで、やっぱりその地域のいろんな活動がある、成功例もあると思うんですが、そういった知恵を全体に共有するとか、何か環境省が自治体とか地域のNGOをエンカレッジする、何かそういうふうなものというのを一つ、やっぱりお考えいただければ、それをまた評価する指標もお考えいただければありがたいなというふうに思いました。

 以上です。

【細見部会長】 ありがとうございます。

【筒井水環境課長】 水環境課の筒井でございます。

高村先生、ご意見をありがとうございます。ここの部分、環境省としての取組の部分ももちろんございますけれども、政府全体として内閣官房水循環政策本部というのがございまして、そこの中で各省連携して取り組んでいるところでもございます。今日頂いたご意見につきましては、関係の部局にもお伝えして、反映できるところについて反映させていただく形で相談していければと思っております。

以上でございます。

【細見部会長】 高村委員、よろしいでしょうか。

【高村委員】 はい。よろしくお願いします。

【細見部会長】 ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。ご意見のある委員の方はいらっしゃいますでしょうか。

 それでは、今、貴重なご意見も頂きました。それを踏まえて、事務局において再検討していただいて、部会長である私が最終的に確認させていただくということでよろしいでしょうか。

 もし異議があれば、挙手をお願いいたします。

(了承)

【細見部会長】 ご異議がないというふうに理解いたしましたので、これまでのご審議のとおり、当部会の決定というふうにさせていただきたいと思います。

 この審議結果を踏まえた今後の予定につきましては、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【谷貝政策企画官】 3回にわたって活発なご議論をいただきまして、誠にありがとうございました。本日の審議結果を踏まえまして、部会長にご確認いただいた上で水環境部会としての点検報告書とさせていただきたいと考えてございます。

 その後は、今後予定されております総合政策部会におきまして、細見部会長からご報告をいただき、政府全体として計画の点検報告書をまとめることとなってございます。

 どうもありがとうございました。

【細見部会長】 ありがとうございました。

 活発なご議論を頂いていて、若干ちょっと遅れぎみですが、議題の(3)番目、その他でございます。本日は、報告事項として「瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について(答申)」がございます。

これについては、事務局よりご説明をお願いいたします。

【浜名閉鎖性海域対策室室長補佐】 閉鎖性海域対策室の浜名でございます。

 本来であれば室長の中野からご説明させていただくところではございますが、本日所用で不在のため、私からご説明させていただきます。

 資料3につきましては、事前にお送りさせていただいているのでお気づきの方も多いかと思いますけれども、大変データ量が大きいものですから、このシステム上で動かすということはせずに、お手元にお持ちの方はそれをご確認いただきつつ、また、手元にないという方は、先ほどちょっと先走ってチャットのほうに、16時の時点で私がリンクを貼らせていただいたんですけれども、環境省のホームページに掲載されていますこのリンク先を適宜ご覧いただくという形で進めさせていただければと思っております。

 資料3「瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について(答申)」でございます。こちらにつきましては、前回、令和2年2月の本部会において、当該答申の案に係る検討状況というものをご報告させていただきました。この答申案については、成案とすることについては、本部会、瀬戸内海環境保全小委員会の決定をもって水部会の決定とすることができるということになっているんですけれども、ちょうど同じタイミング、令和2年2月7日から同28日でパブリックコメントを実施していた関係で、本部会にも内容をご説明してございます。

 なお、パブリックコメントでは、全部で13通、整理いたしますと38件のご意見を頂いてございます。本部会やパブリックコメントで頂いたご意見等を踏まえまして答申案の修正を行いまして、本年3月25日の瀬戸内海環境保全小委員会(第22回)においてお諮りいたしまして、本小委員会において取りまとめいただき、本年3月31日付で武内和彦中央環境審議会会長から環境大臣の小泉進次郎宛に答申を頂きました。本資料のPDFのちょうど3ページ目にその公文書が掲載されているところでございます。

 頂いた答申を踏まえまして、今後さらに具体的な取組を進めてまいります。

 本日は、答申を頂いたことのご報告と、本部会においてご意見を賜りましたことのお礼、さらに、本日もご出席いただいている多くの先生方にこの小委員会にも参画していただきまして取りまとめいただきましたので、改めてこの場でお礼をということで、発言させていただきました。ありがとうございます。

 以上でご報告を終わります。

【細見部会長】 ただいまのご説明について、何かご質問等がございましたら挙手をお願いいたします。

 なければ、事務局のほうから何かありますでしょうか。

【筒井水環境課長】 事務局、水環境課の、水環境課長の筒井でございます。

 本日はどうもありがとうございました。次回の部会等の日程ですけれども、今のところ決まっておりませんので、また改めて、議題などなど含めて決まりましたら調整させていただければと思います。私からは、特にそれ以上はございません。

 以上でございます。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 それでは、本日全体を通して何かご意見とかがございましたらお願いしたいと思います。

 いかがでしょうか。

 ご意見がないということで、以上をもちまして、本日の水環境部会を閉会とさせていただきたいと思います。

 それでは事務局にお返しいたしますので、連絡事項等があればお願いいたします。

【事務局】 ありがとうございます。本日は、活発なご審議をいただき誠にありがとうございました。

 議事録につきましては事務局で案を作成し、委員の皆様にご確認いただいた後、ホームページで公表する予定としておりますので、またご協力よろしくお願いいたします。

それでは、これをもちまして本日の部会は終了いたします。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

午後4時56分閉会