微小粒子状物質等専門委員会(第8回) 議事録

日時

 平成3028日(10011202

場所 

 環境省第1会議室

出席者

(委員長)  大原 利眞

(委  員) 畠山 史郎

(臨時委員) 飯田 訓正

(専門委員) 石井 和哉

       鵜野 伊津志

       梶井 克純

       金谷 有剛

       坂本 和彦

       柴田 芳昭

       田邊  潔

       奈良 恒雄

       野中 正浩

(事務局)  早水水・大気環境局長

       江口大臣官房審議官

       高澤大気環境課長

       青竹大気環境課課長補佐

       船越大気環境課課長補佐

       廣田大気環境課課長補佐

       渡辺大気環境課主査

       五十嵐大気環境課係長

       田路環境管理技術室室長

       山田環境管理技術室係員

議題

(1)大気環境中のPM2.5の状況について

(2)PM2.5対策に関する取組状況について

(3)大気環境中の光化学オキシダントの状況等について

(4)その他

配付資料一覧

資料

  • 資料1    大気環境中のPM2.5の状況
  • 資料2    中間取りまとめにおける短期的・中長期的課題に関する検討・実施状況
  • 資料3    中間取りまとめにおける今後の検討課題に関する検討・実施状況
  • 資料4    国際協力の取組状況
  • 資料5    大気環境中の光化学オキシダントの状況等

参考資料

  • 参考資料1  委員名簿
  • 参考資料2  平成28年度大気汚染状況について(平成30年3月20日環境省報道発表資料)
  • 参考資料3  今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十三次答申)
  • 参考資料4  排ガス中のばいじん及びNOx濃度の施設数/排出量別の累積分布
  • 参考資料5  微小粒子状物質と野焼き行為との関連について(通知)
  • 参考資料6  環境研究総合推進費によるPM2.5に関する主な研究の概要について
  • 参考資料7  光化学オキシダント調査検討会報告書(概要・委員のみ報告書)

議事

【高澤課長】 それでは定刻になりましたので、ただいまから、中央環境審議会大気・騒音振動部会第8回微小粒子状物質等専門委員会を開催いたします。委員の皆様には年度末の大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。開会に当たりまして、早水水・大気環境局長よりご挨拶申し上げます。

【早水局長】 おはようございます。水・大気環境局長の早水でございます。

 前回までは審議官ということで、この会に出席させていただきましたが、昨年4月より局長を拝命しておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 専門委員会の開会に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 委員の皆様方におかれましては、年度末の大変お忙しいところお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。環境省におきましては、平成28年度の大気汚染の状況というものを、先日公表したところでございますけれども、本日議題となります微小粒子状物質PM2.5につきましては、その環境基準達成率が一般環境の大気測定局で88.7%、それから自動車排出ガス測定局で88.3%ということで、前年度に比べて改善をしております。その一方で、地域によっては達成率の低いところもまだ残っているということで、引き続き国内外で原因物質の排出抑制を進めていくことが必要というふうに考えております。

 この委員会におきましては、平成27年3月に微小粒子状物質の国内における排出抑制策のあり方について中間取りまとめを行っていただきましたけれども、この委員会自身は一昨年8月以来の開催ということになります。本日につきましてはこの後、中間取りまとめに位置づけられました短期的、あるいは中長期的課題につきまして、これまでの取組の報告をさせていただければと思います。また、現在の光化学オキシダントの状況、もちろんPM2.5の状況も含めてですけれども、そういったものについても報告をさせていただく予定でございます。

委員の皆様方におかれましては、引き続き格別のご指導をお願いしたいと思います。今日も忌憚ないご意見をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【高澤課長】 それではお手元の配付資料の確認をさせていただきます。

 1枚目が座席表でございます。その次が議事次第で、こちらのほうに配付資料の一覧が記載されております。資料1が大気環境中のPM2.5の状況、資料2が中間取りまとめにおける短期的・中長期的課題に関する検討・実施状況、資料3が中間取りまとめにおける今後の検討課題に関する検討・実施状況、資料4が国際協力の取組状況、資料5が大気環境中の光化学オキシダントの状況等ということでございます。資料のほうは1~5までで、続きまして参考資料が1~7までございます。

参考資料1が委員名簿でございます。参考資料2が3月20日に公表いたしました大気汚染状況についてという資料でございます。参考資料3が自動車排出ガスの第十三次答申でございます。参考資料4が、排ガス中のばいじん及びNOx濃度の施設数/排出量別の累積分布という資料でございます。参考資料5が、こちらのほうは昨日発出しましたPM2.5と野焼き行為の通知ということでございます。参考資料6が、環境研究総合推進費の概要ということでございまして、最後参考資料7が、光化学オキシダント調査検討会報告書の公表についてということで、委員の皆様方には報告書の本体のほうも机上に置かせていただいております。

資料のほうは以上でございますが、不足等ございましたら、事務局のほうにお申しつけください。特に大丈夫でございますでしょうか。

それでは、今回1名の委員の交代がございましたので、ご紹介させていただきます。福岡県の佐竹委員の後任といたしまして、野中委員でございます。

【野中委員】 福岡県庁の野中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【高澤課長】 よろしくお願いいたします。

 なお、本日の委員のご欠席でございますけれども、上野委員、上前委員、杉澤委員からご欠席とのご連絡をいただいております。

 続きまして環境省、事務局のほうの紹介ということで、前回から交代がございましたので、ご紹介をさせていただきたいと思います。

 まず初めに早水局長でございます。

 江口審議官でございます。

【江口審議官】 どうぞよろしくお願いいたします。

【高澤課長】 私、大気環境課長と自動車環境対策課長をしています高澤です。よろしくお願いいたします。

 カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただきますので、これ以降の撮影のほうはご遠慮いただきますよう、お願いいたします。

 それでは、これよりの進行は大原委員長のほうにお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【大原委員長】 皆さんおはようございます。ご多忙のところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 先ほど局長のお話にございましたように、微小粒子状物質、全国的に低減傾向にある。環境基準達成率も上がってきているといったような状況にあります。一方、先日3月25日だったでしょうか、日本海岸地域を中心にして、かなりPM2.5の濃度が上がったという事例も報告されていますし、本日も首都圏でかなり濃度が高いといったような状況にあります。ということから、まだまだ予断を許さない状況にあるといったように考えたほうがよろしいかと思います。

 一方、オゾンにつきましては、対策効果と思われる都市域での高濃度の低減傾向というのは見てとれる。しかしながら全国的には依然として高い濃度レベルにあるといったような状況かと思います。こういったように、中国等の大気汚染対策の進捗の影響もあり、国内における大気物質の構造が、ドラスティックに変化しつつあると思います。そういう中で、今の状況をきちんと把握し、今後の対策について検討していくということは、非常に重要だと考えております。本専門委員会でその辺りのご議論をいただければと考えているところであります。

 本専門委員会、一昨年の8月に開催しましたが、今日はこの間に公表されました大気汚染状況、あるいは2015年3月、ちょうど3年前になりますが、国内の排出抑制策に関する中間取りまとめを取りまとめていただいたところでありますが、それに対する短期的・中長期的な課題の取組状況等について、環境省からご報告いただいて、それに基づいてご議論いただきたいと考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

 それではまず議題の1番目、大気環境中のPM2.5の状況について、事務局から資料でご説明をお願いいたします。

【船越課長補佐】 それでは議題の1番として、大気環境中のPM2.5の状況について、資料1と参考資料2を用いて、ご説明させていただきます。

 先ほど局長挨拶でもありましたとおり、参考資料2が先週、3月20日付で「平成28年度の大気汚染状況について」として、記者発表した資料です。表裏2枚で構成されておりますが、これ以外にも資料編があります。ホームページには、そちらも公開しています。

 大気汚染防止法第22条に基づき、大気汚染状況の常時監視を行った結果ですが、今般28年度における主な大気汚染物質の測定結果の概要としましては、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、それから二酸化硫黄、一酸化炭素、いずれも環境基準達成率はほぼ100%に近い形です。

光化学オキシダントにつきましても、達成状況としては極めて低い水準ですが、近年の域内最高値については概ね横ばい傾向にありましたが、26年~28年度に長期的な改善傾向を評価するための指標を用いた数値につきましては、関東地域において、減少傾向が確認されております。

 微小粒子状物質につきましては、先ほどよりご説明いただいておりますように、環境基準達成率が一般環境大気局で88.7%、自動車排出ガス測定局で88.3%ということで、27年度に比べ改善した状況であるとご報告させていただいております。

 それでは資料1に移りまして、ご説明させていただきたいと思います。

 資料1の構成は、PM2.5の常時監視結果と6ページ目からPM2.5の高濃度要因、そして最後のページでまとめという形になっております。

最初に常時監視結果としましては、平成22年度の常時監視が開始されて以降、26年度までPM2.5質量濃度の年平均値は横ばいで推移しておりましたが、平成27年度におきまして、初めて長期基準の基準値、15μg/m3を下回った形になっております。1ページの下の図1の右です。それにあわせて棒グラフで環境基準達成率の推移を書いております。平成27、28両年度でいずれも高達成率になっておりますが、28年度では北部九州地域や四国地方の瀬戸内海に面する地域におきましては、県別の環境基準達成率が、一般局で30%~60%程度の低い地域が、依然として残っております。

 環境基準の非達成局数につきましても、1,045局中、有効測定局が1,008局でございますが、一般局で89局、自排局ではまだ26局が残っており、非達成局のうち約7割が長期基準のみ非達成という結果に終わりました。こちらは、2ページ目の表1に書いております。表1の都道府県は、環境基準達成率が100%でなかったところになります。

 また、PM2.5の濃度が上昇した場合に国民に行動の目安を示すため、暫定的な指針値として日平均値70μg/m3を超えることが見込まれた場合に、注意喚起を実施するという取組を行っておりますが、地方自治体による注意喚起件数は、平成25年度には37件ございましたが、平成29年度2月末時点で1件となっておりましたが、3月25日、長崎県壱岐市で注意喚起が発令されておりますので、平成29年度としては2件です。本日も関東地方では80μg/m3に近い1時間値が観測されている状況です。注意喚起件数につきましては、2ページ目の下の図2に推移を書いております。

 それでは3ページに移りまして、平成28年度のPM2.5質量濃度の年平均値につきまして、地域ごとに異なっている状況を、図3で示しました。首都圏、瀬戸内海周辺、北部九州地域で黄色、オレンジ、赤で示された地点が環境基準を超過した15μg/m3以上の濃度になっております。平成25年度~28年度、この3年間での年平均値の濃度差というものを計算したところ、九州・沖縄地方では全国に比べ濃度差がまだ小さく、改善の程度は少ないということがわかっております。これを次ページの図4の棒グラフで示しており、濃度差については緑色の折れ線グラフで示しております。九州・沖縄の25年度から28年度では、まだ2.75μg/m3しか下っていないことがわかります。北海道・東北につきましてはそれより少ない濃度差ですが、これは観測されている濃度がもともと低いことが影響しているためと思っております。

 全国のPM2.5濃度の年平均値は緩やかな改善傾向が続いておりますが、ほとんどの測定局でも同様の傾向をたどっております。しかしながら、平成28年度の全国平均値が一般局において11.9μg/m3でしたが、これを上回る測定局のうち、全国平均値の推移、25年度から漸減傾向にあったものと違う傾向にあるものを抜き出したところ、12カ所の測定局で、そういった違う傾向であることが確認されております。

 続きまして5ページで、PM2.5質量濃度の月平均値を経度別で整理したものを、図6として示しております。そのほか28年度は27年度等に比べ、どのような違いがあったかということを下の棒グラフで示しております。こちらでは、局数が25年度~28年度につきましては、測定局数が増えておりますので、その増えている形で全体の傾向を捉えると間違える可能性がありますので、ここでは、いずれも25年度から局数を同じにした継続局という考え方で示しております。

 その結果、図7では平成28年度の特徴として、夏季、特に9月を中心としたところと冬季、2月を中心としたところで、ほかの年度より月平均値が下っている傾向が見えます。また図6では、西から東に向けての経度順で、上から4月、5月と年平均値を色で表しており、西高東低といった分布具合が見られます。

28年度の夏季の気象状況につきましては、梅雨前線や台風の影響等で豪雨水害等が発生するなど、降水量が多かったため、過年度に見られた光化学反応により生成された二次生成粒子が蓄積することによって、広域で濃度が上がり続けるような高濃度現象が発生しなかった。冬季につきましては、寒気の南下が弱く、全国的に暖冬傾向でしたので、局地的な気象条件、接地逆転層の生成や弱風、そういった高濃度現象が発生しにくい気象状況であったのではないかと考えております。これらの気象要因により、短期基準の非達成日数が減少し、環境基準の達成率が改善した可能性があると考えております。

それでは次のページをお願いいたします。PM2.5の高濃度要因ということで、最初に国内発生源の影響とそれから越境大気汚染の影響として、まず国内発生源の影響について記載しております。

我が国における近年のPM2.5の高濃度事例の要因としましては、越境大気汚染によるものに加え、自動車排出ガスの影響、広域気象、例えば海陸風、風の収束など、それから局地気象、例えば接地逆転層の生成や多湿など、こういった影響によるもの、特定の固定発生源の影響によるもの、野焼き等に代表されるバイオマス燃焼によるものなどが考えられております。

そのうちの(1)としては、自動車排出ガスの影響を見たグラフを、6ページの図8に示しております。自動車排出ガスにつきましては、近年の自排局でのPM2.5濃度の年平均値は低下傾向が見られております。これは最初のページの図1で示したとおり、13年のころにはかなり道路近傍と都市部では乖離があったものの、徐々に一般局と自排局では縮まってきているという状況が見られております。

28年度の自排局の環境基準達成率は一般局とほぼ同程度でしたが、その一方で、図8に示すような、PM2.5の年平均値のヒストグラムで比較したところ、自排局のPM2.5濃度分布が一般局に比べて割と高い濃度域にある。赤で示したところが、ちょうど15μg/m3の年平均値のラインですが、自排局の分布が一般局より高い濃度域にあることが確認できます。

また28年度に全国で実施されましたPM2.5の成分分析の結果によりますと、図9に示すとおり、自排局で元素状炭素ECが3%程度高い成分割合を示しており、自動車排出ガスの寄与が考えられます。こちらについては四季の平均になっておりますので、冬季の結果だけで確認したところ、さらにNO3-の成分割合についても、道路沿道がやや高いことが確認されております。それから関東地方におきましては、自排局を中心に12月と3月に短期基準である日平均値35μg/m3を超過する日が多くなる傾向というのが、図10にて確認されております。

次に8ページの気象の影響ですが、まず広域気象の影響として考えられる事例を図11で示しております。大都市部において日中のオキシダント濃度の上昇とほぼ同時にPM2.5濃度が上昇したような事例、これは晴天・弱風が数日続いたことにより、国内広域での光化学反応による二次生成が進み、そういったPM2.5が大気中に蓄積したことが要因であると考えております。そちらの蓄積を確認できるグラフとなっております。

そして局地気象の影響が確認された事例としまして、平成28年12月21日の東京湾周辺の事例が挙げられます。こちらを図12で示しておりますが、高度300m以下での接地逆転層の形成が見られており、地上で弱風または無風に近い状況であった結果、千葉県の湾岸部や東京都から神奈川県にかけての湾岸部等の局所的な地域において、一時的にPM2.5濃度が高濃度になった事例と考えられております。

続きまして9ページ、特定の固定発生源の影響としましては、例えば九州地方のある測定局で、卓越する風向によってPM2.5濃度に差が見られており、北北西風で最大、東風で最小となっている状況があり、測定局から北~北西方向に位置する工場の密集地帯が発生源となって、その影響を受けている可能性のあることが示唆されております。こちらが越境による影響でないことは、この周辺の測定局との比較により確認されております。

野焼き等に代表されるバイオマス燃焼の影響ですが、平成29年度に地方自治体へ野焼きに関するアンケートを行った結果、ヨシ焼き、土手焼き、花などの焼却、祭り等のイベント、害虫駆除や山焼き、漁業廃棄物の焼却等、こういった事例と同時にPM2.5の濃度の上昇が報告されております。

続きまして越境大気汚染の影響としまして、中国における状況を書いておりますが、習近平国家主席が「生態文明建設を大きく推進」することを公約して以降、いろいろな取組を記載しておりますが、29年のPM2.5等の削減目標は全て達成されており、PM2.5濃度が低減傾向にあることを、10ページの図14で、それぞれ日中韓のPM2.5濃度の年平均値の推移を示しております。

それらから近年の中国、韓国の近況を考慮いたしますと、日本への越境大気汚染は軽減してきているものと考えられておりますが、中国、韓国における今後の動向は、既存の政府間の政策対話等を活用して、継続的に把握していく必要があるものと考えております。

また、日中韓のPM2.5環境基準値につきましても、表2として書いておりますが、年平均値、日平均値、環境基準が異なっております。なお、韓国の日平均値につきましては、強化される見込みと伺っています。

最後11ページになりますが、中国、モンゴルの砂漠地域から我が国に飛来する、特にこの時期、2月~5月にかけて多く飛来する黄砂ですが、黄砂の観測日は、14年度から19年度にかけては概ね25日~40日程度観測されていたものの、近年では10日前後の観測日数ということで、やや減っている傾向にあります。また、全国11カ所に設置しているライダーにより測定された黄砂粒子につきましても、我が国に飛来する黄砂の頻度・量が近年減少傾向にあると考えられております。28年度のPM2.5環境基準非達成局のうち、黄砂影響により非達成となったと考えられる局は、約1割の10局でございました。

 以上、まとめとしまして我が国のPM2.5濃度は、国内及び東アジア地域におけるさまざまな対策・取組の効果によって改善傾向にあります。しかし、PM2.5濃度に影響を与える要因が様々あり、地域や季節によっても異なっているという状況から、引き続きPM2.5濃度の長期的傾向を継続的に把握して、分析していく必要があるものと考えております。

 以上でございます。

【大原委員長】 どうもご説明ありがとうございました。

 それでは今ご説明いただいた資料1並びに参考資料2につきまして、ご質問あるいはご意見がございましたら、お願いいたします。発言をされる方は名札を立てていただけますでしょうか。

ありませんか。坂本先生だけですか。では坂本先生、お願いします。

【坂本委員】 今、PM2.5の環境基準達成率が非常によくなってきたということは、まさに確かで結構なことなんですが、その一方でここの資料にも書いてございますように、やはりこれは地域別に見ると、要は測定局の分布、数、これが違いますので、結果的に全体として関東のほうとか、やや良好になっていたところの測定局数が多ければ、全体の環境基準達成率は上がる。一方、エリア別に見ていった場合にはそうではないということで、まだまさにここの対策を考えるべき必要があるのではないかという気がいたします。

 そういったところは今回、この1ページにも書いてある内容、それから自動車排ガス測定局と一般局の比較において、先ほどこの文章には書いていなかったんですが、冬季について見てみると、ナイトレートも道路沿道のほうがやや多い。自動車の場合ですとアンモニアも同時に排ガスとして出ていると、そういったことも考えれば、そういうことはあり得るわけです。今回解析をよりいわば季節別に見る、それから地域別に見る、そういったことで考えていく必要があるんではないかというふうに思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。地域別あるいは季節別に丁寧に解析する必要があるというご趣旨のご発言だったと思います。

 それ以外ではいかがでしょうか。金谷委員、お願いします。

【金谷委員】 細かい点なんですけれども、6ページのところの上の2.1国内発生源の影響というところの3行目のところで、局地気象で接地逆転層というお話は、先ほど事例も含めてご紹介いただいたと思うんですけれども、多湿等と、その後に書いてある「多湿等」ということがどういう事例なのかということや、PM2.5が高濃度になると考えられるメカニズムというのは、何か少しわかっていることがあるんでしょうか。

【大原委員長】 ありがとうございます。とりわけ「多湿等」という文言につきまして、何かご説明できますでしょうか。

【船越課長補佐】 多湿等によるPM2.5の高濃度事例ですが、こちらは資料の説明の中に入れていない形ですが、過去からの報告では、多湿、それから弱風等の状況下において、観測される事例が多かったというところです。さらに、海面等の影響で質量濃度が高くなるといった事例がありますので、水の取り込み等が行われているといった面はあるかと思います。ただ、それがPM2.5の高濃度に全て起因しているかという点は難しいところであると思われます。

あと一方で、多湿という点以外にも湿度は非常にPM2.5の測定に大きな影響を及ぼしているということがわかってきており、田邊先生にもご協力いただいて、1時間値の測定精度の向上という検討を進めてきておりますが、今後も湿度等の測定には注意して実施していきたいと考えている次第です。

【大原委員長】 金谷委員、よろしいですか。

 それでは梶井委員、お願いします。

【梶井委員】 10ページに中国、韓国、日本のトレンドみたいなものが書いてあって、政治的には中国が随分と環境を守るような方向にかじを切ったということはよく知られていることで、それで25年度からかなりネガティブトレンドになっているということは、多分そうなんだろうと思っているんですけれども、もしもこれを反映したとしたら、越境汚染が非常に心配されているような地域で、これに似たようなトレンドが観測結果の中から現れているのか、いないのか、ちょっと知りたいところなんで、もしデータがあれば教えていただきたいと思います。

【大原委員長】 いかがですか。回答できますか。

【渡辺主査】 ありがとうございます。中国の濃度は、この赤で書かせていただいたとおり、72μg/m3から50μg/m3と、大きく下っておりますが、国内の測定局ではここまでの下がり具合は観測されておりません。特に直近では気象の影響などもございまして、中国からの越境汚染が直接日本にダイレクトに影響する状況でもなかったという解析もございますので、ダイレクトに中国での濃度低減を日本では確認できておりません。

ですが長期的に見ていけば、中国での濃度低減の影響のトレンドが見てとれるだろうと思いますし、また資料3でもご説明しますが、シミュレーションモデルの精度化、高度化ということでやっていけば、より越境汚染の割合等、正確に見てとれていくことができると思いますので、ここの関係性についても、これから解析をさらに深めていきたいと思っております。

【大原委員長】 ありがとうございます。越境汚染の影響が低減しつつあるということに関しましては、鵜野委員が最近論文を出されておりますので、少しコメントいただけますでしょうか。

【鵜野委員】 中国の北京等のPM2.5の濃度は、年間大体10%ぐらい減っているんです。化学輸送モデルを使ったPM2.5のソース・リセプターの関係、中国起源のものがどれぐらい日本に来るかというのを解析すると、例えば福岡だと国内域は2割強ぐらいしかない。外から来るのが8割近く。そのうちの中国起源が5割とか6割ぐらいだったです。2014年の計算です。

ですから中国の濃度が例えば3割減ったら、国内濃度がどれぐらい減るのかというのをソース・リセプターの関係から出てきて、減少率は当然中国が10%減ったから日本が10%減るということはならないんですけど、ソース・リセプターの関係から見ていくと、中国が例えば3割減ったら、福岡の濃度は10%とか10何%減るというのは、推定はできます。で、推定してみたんですけど、減り方は概ね説明がつく。完璧じゃないです。年間平均ですと、大体説明がつくんじゃないかと思います。よろしいでしょうか。

【大原委員長】 ありがとうございます。中国で排出量が減っているというのは科学的な知見をもとにすると事実だと思うので、それによって日本の大気質がどういうふうに変わってきているのかということに関する詳細な解析は、引き続き行う必要があるだろうと。それはPM2.5だけではなくて、オゾンについても言えるのではないかと思っております。どうもありがとうございます。

 それでは奈良委員、お願いします。

【奈良委員】 図9のPM2.5の成分分析における地点分類別成分割合、7ページのところで、ちょっとお聞きさせていただきます。

 一見しますと大きな違いはないのかと思ったのですが、今ご説明ありましたとおり、EC、元素状炭素が3%程度自排局のほうが高いということで、自動車排ガスの寄与が考えられるという考察、そうかと思いました。ただ一方でEC、元素状炭素の由来を考えますと、当然炭化水素が高温で不完全燃焼する際などに生成したものと認識しておりますので、我々産業界のほうのボイラー、加熱炉、乾燥炉、焼却炉といった、いわゆるばい煙発生施設も、当然関係してくるとは思っております。

 また一方でOC、有機炭素の由来はこれとは違っていろいろあると思いますので、一次粒子に加えてVOCの凝縮、粒子化による二次生成粒子も当然寄与してくるかと思っております。

 そこでこのデータ解析の結果として、こういったデータをお持ちであれば追加でお聞きしたいのですが、測定局の四季とかあるいはデータの平均といった解析とは別に、例えば一般環境でも結構ですが、1局ごと、それぞれのデータを解析したときに、平均のデータと大きくかけ離れたおもしろい要素といいますか、成分分析値があった地域とかエリアがあったら、我々の産業界のことやそれへの対策にも、考察もできるかと思いますので、そういったデータ解析をされているのであれば、知見があれば教えていただけますか。

【大原委員長】 ありがとうございます。もし情報をお持ちでしたらお願いします。なければまた後ということで。

【船越課長補佐】 そういったおもしろい要素ということは存じておりませんが、基本的に環境省では、測定した各地点ごとの4季節、2週間ごとの値については全て公開しておりまして、そちらのデータは、全ての方々に見ていただくようにしております。

また、シミュレーションされている先生方も、そういったデータを使っていただいていると聞いておりますので、現在はその成分分析の得られたデータの精度向上、それを目指す取組を続けているところで、昨年4月にその精度目標等を定めたところです。今後ともそういった、何か特徴のあるデータが得られないか、これは自治体の方が特に注目してあるところですので、新たな知見等が得られることも含めて、進めてまいりたいと思っております。

【大原委員長】 ありがとうございました。地域ごとの違いもさることながら、地点別に見たりすると、より違うといったような状況もあろうかと思いますので、できるだけ丁寧に解析していただけると、非常にいいかなと感じます。

 畠山委員、お願いします。

【畠山委員】 まず確認させていただきたいんですが、図12の「接地逆転層等の局地条件により」ということで、先ほど説明がありましたけど、この説明ですと、これ季節が12月ですから、基本的にはこの時期にPM2.5は主に一次発生源による濃度上昇だというふうに捉えているということでよろしいでしょうか。

【大原委員長】 いかがですか。図12の高濃度要因として、主には一次粒子ではないだろうかと。お願いします。

【船越課長補佐】 図11では光化学反応による蓄積と書いておりますが、こちらのほうは夜間も進んだりするようなときもありますので、一次粒子という面もあるかもしれませんが、基本的には二次生成粒子として、風で抜けていくことがなるべく少ない気象状況により進むのではないかと。

【畠山委員】 いや、図11のほうじゃなくて、図11は間違いです。図12のほうです。これ12月ですよね。

【船越課長補佐】 そうですね、12月で接地逆転層の生成によると考えており、一次で出ているかと申しますと、こちらはあまり一次、二次ということは。

【畠山委員】 光化学は割と起こりにくい季節だと思うんですけど。

【船越課長補佐】 時間的には8時~14時ですので、十分起こりうると見ており、このときは、高気圧で天気は晴れております。

【畠山委員】 やっぱり光化学の影響がある。

【船越課長補佐】 多少の影響はあるのではないかと思っております。あと弱風ということも大きかったかと思います。

【畠山委員】 あと10ページの韓国の日平均値は25μg/m3から15μg/m3にと書いてありますけど、これは本当に日平均値ですか。こんなに下げちゃうんですか。

【船越課長補佐】 すみません、年平均値の間違いでした。失礼しました。

【畠山委員】 わかりました。

それとあと先ほどの多湿の件なんですけど、最近の中国の論文を見ていると、南のほうから湿った空気が入って、fogが発生した後にヘイズが出やすいというような報告があって、どうも湿度の影響で表面反応が加速されて、それでPM2.5が高濃度になっているんじゃないかというような論文が出ているんです。

ですからそういう意味で、日本と中国では表面反応の様子が多分NOxとかSO2の濃度が全然違うんで、同じようには取り扱えないかもしれないですけども、そういうことも加味しておく必要はあるかもしれないと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。先ほどご指摘いただいた10ページ目のところ、日平均値を年平均値に後で修正しておいていただければと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。最後にということで。

【坂本委員】 今図12について一次か二次かという話ですけど、これまでも多分産総研の兼保さんが発表したと思いますけども、冬季かなりナイトレートが上がる。それからあと、今の話で出てきましたけれども、酸性物質があると表面反応が非常に早く進むということも、湿度が高くてacidityの高い状態のときは、そういう反応が進むということも、触媒反応としてはあり得るわけで、そういう意味では中国のほうがSO2がより高いということによって起こりやすいけれども、日本でもそういうことは多少はあり得るということは考えておいたほうがいいのかなというふうに思います。

【大原委員長】 ご指摘ありがとうございました。国内の発生源の影響というのはまだまだ結構大きいといったようなことも言えるのではないだろうかと思います。図8とか図10とか、あるいは先ほどの図12あたりを見てみますと、どう見ても都市スケールでの大気汚染、PM2.5の発生によるものと思いますので、そういったような意味においては、国内における排出抑制策の検討ということに関して、引き続き検討していく必要があるだろうと思われます。

 それでは議題(2)に移らせていただきたいと思います。議題(2)PM2.5対策に関する取組状況についてということで、事務局から資料のご説明をお願いいたします。

【青竹課長補佐】 環境省大気環境課の青竹でございます。

 そうしましたら私のほうから、まず中間取りまとめにおける短期的・中期的課題に関する検討・実施状況、この資料2と、それから今後の検討課題に関する検討実施状況、資料3のほう、続けて説明をさせていただきたいというふうに思います。

 まず資料2でございますけれども、1番として自動車排出ガス・燃料蒸発ガス対策でございます。検討・実施状況でございますけれども、まず中間取りまとめの中では短期的課題としまして、自動車につきましては大気汚染防止法に基づく自動車排出ガス量等について予定されていますNOx・PM等の規制強化の着実な実施、低公害車の導入など、自動車排出ガス対策の推進に取り込むことが適切であるとされているところでございます。また、車両への給油時における燃料蒸発ガス対策についても、対策の強化を検討すべきということでございました。

 (1)まず自動車排出ガス対策でございますけれども、我が国におきましては、昭和41年以降、順次強化をしてきているというようなところでございまして、現在燃料の種別ごとですとか、自動車の種別ごとに規制が実施されているところでございます。

 中間取りまとめの中で、中期的課題として掲げられておりました自動車排出ガス低減対策に関しましては、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方ということで、第十三次答申を平成29年5月にいただいたところでございまして、こちらにつきましては参考資料3のほうでも、その答申のほうを示させていただいているところでございますので、あわせてご確認をいただければと思いますけれども、この十三次答申に基づきまして、二輪車の排出ガス低減対策、ガソリン直噴車から排出される微小粒子状物質に関する対策、及び駐車時の燃料蒸発ガス対策につきまして、大気汚染防止法に基づく告示を改正することにしているところでございます。

 またオフロード車につきましては、オフロード法に基づき排出ガス規制の強化が行われているところでございます。次世代自動車につきましても、2030年までに新車販売に占める次世代自動車の割合を5~7割とするという政府目標が設定されているところでございまして、関係省が連携して普及促進政策を展開しているところでございます。また自動車NOx・PM法に基づきまして、総合的な自動車排出ガス対策が進められているところでありまして、平成28年度の中間レビューでは、PM・NOx法の対策地域内の各都府県における自動車、NOx・PM排出総量の削減は概ね順調ということでございますけれども、引き続き目標達成が確実に図られるよう、必要な措置を講ずるということでございます。

 次に燃料蒸発ガスでございますけれども、こちらにつきましては先ほどご紹介しました第十三次答申の中で燃料小売業界により自主的取組計画を策定することですとか、駐車時の燃料蒸発ガス対策として、車両側の規制を強化することが適当ということが示されているところでございますが、このような中、29年3月には全国石油商業組合連合会のほうで「揮発性有機化合物に関する自主行動計画」を策定していただいたというようなところでございます。

環境省では、燃料蒸発ガスを回収する装置を有する給油機を設置した給油所を、大気環境配慮型SSということで認定して、広く公表して、その普及を促進するということとしてございまして、本年夏を目途に、認定の申請の受付を開始するということでございます。

 今後の検討実施予定でございますけれども、大気汚染防止法に基づく自動車排出ガスの量等に関する規制の着実な実施に加えまして、PMの排出量のさらなる低減に向けて、ディーゼル車及びガソリン直噴車に対するPM粒子数の規制の導入、ブレーキ粉塵の量を適切に評価できる測定法等について検討することとしております。

 またオフロード車についてはオフロード法に基づいて、それから自動車NOx法に基づく総合的な自動車排出ガス対策につきましても、引き続き取り組んでまいりたいということでございます。

 それから次世代の自動車につきましても、導入及び普及を進めてまいります。燃料ガス、蒸発ガス対策につきましても、大気環境配慮型SSの認定等を含めまして、具体化を進めてまいりたいということでございます。

 次にばいじん・NOxですけれども、まず短期的課題というところでございますが、中間取りまとめの中では、短期的課題としまして、ばいじん・NOxの大気汚染防止法に基づく排出規制の状況及び排出抑制技術の開発・普及の状況等を踏まえて、経済的及び技術的考慮を払いつつ、追加的な排出抑制策の可能性を検討すべきとされているところでございます。

このばいじん・NOxの排出規制の状況及び排出抑制技術の開発・普及状況でございますが、まず排出規制につきましては、現在33の施設を対象としているというところでございますけれども、概ね昭和57年~平成3年以降、排出施設や排出基準の見直しは行われていないというような状況でございます。

基準につきましては、全国一律のものに加えまして、都道府県が条例によりさらに厳しい上乗せ基準を定めているところが5県、NOxの総量規制基準を定めている地域が3地域ございます。技術につきましては、ばいじんについてろ過集じん装置、もしくは電気集じん装置が用いられており、NOxについては排煙脱硝技術が、個別の施設の状況に応じて使用されているというような状況でございます。

 こういった中、環境省のほうでは固定発生源からのばいじん・NOxの排出状況につきまして、大気汚染物質排出量総合調査の結果を用いて解析をしておりますので、ご紹介をさせていただきたいと思います。

 参考資料の4をご覧ください。参考資料4では、排出ガス中のばいじん及びNOx濃度の施設数それから排出量別の累積分布ということで解析を行っておりますけれども、こちら先ほども申し上げた調査の中で、ばいじんまたはNOxの排出量がそれぞれ上位5位までの施設の種別、こちらの円グラフで示しているものになってきますけれども、こちらについて解析をしてございます。

具体的にはボイラー、金属精錬・無機化学工業品製造焙焼炉等、窯業製品製造用の焼成炉及び溶融炉、乾燥炉、廃棄物焼却炉、ディーゼル機関の6施設種でございまして、こちらの施設種で全国の排出量の8割以上を占めているというような状況でございます。こちらの6発生源について、ばいじん及びNOx濃度の階級別の施設数及び排出量を解析してございます。

 結果につきましては、3ページから6ページまで、前半の3ページ、4ページがばいじん、それから5ページ、6ページがNOxというところでございます。一つ例をご説明したいと思いますけれども、3ページの図2のボイラーの排ガス中のばいじんの濃度の施設数と排出量別の累積分布のところをご覧ください。

 左側のほうが施設数の分布で、右側が排出量の分布でございます。横軸につきましては、各施設から排出されているばいじんの濃度をとっておりまして、この階級別の分布ということになってございます。

 こちらの、まず左のグラフを見ていただければと思いますが、基準値より左側の低いところでばいじん濃度になっている施設数が、ほとんどであるということが見てとれますけれども、基準値よりも少し低いレンジのところの数がそれなりに多くて、非常に低い範囲で、コントロールしているところばかりではないというようなところがわかるかと思います。

一方で、相対的に高いばいじん濃度を出している施設というのは、少ないというのが左のグラフの、施設数のところから見てとれます。一方で右側の排出量のほうを見てみますと、ばいじん濃度が高いところの排出量というところのものが、それなりに多いというようなものが、このグラフからは見てとれるのではないかなというふうに考えてございます。

 今ご説明したのはボイラーの傾向でございますけれども、同じような考え方でそれぞれの図のほうもご確認いただければと思いますけれども、申し上げた傾向が見られる施設、もしくは見られない施設もございますので、施設の種類によって異なる傾向があるというようなところでございますけれども、資料2のほうに戻っていただきまして、3ページでございました。

こちらの一番下のところで、解析の結果見られた傾向のところ、まとめさせていただいておりますけれども、排出基準値よりも非常に低い排出濃度の施設がある一方で、排出基準値に近い排出濃度の施設も一定数存在するということでございます。また、濃度が相対的に高い排出施設数は比較的少ないものの、施設種ごとのばいじんまたはNOxの総排出量に対して、これらの施設の排出量が占める割合が大きい施設種類、こういったものが存在するというところでございます。

 めくっていただきまして4ページでございます。今後の検討・実施予定でございますが、こういったとおり、施設種ごとに排出濃度に違いが生じているというふうに考えられますので、この原因、例えば導入されている排出対策技術、施設設置時期、規模等について調査を行いたいというふうに考えてございます。この際には技術的な側面だけでなく、経済的な側面も含めて調査します。特に効果的に低い排出濃度を実現している優良事例につきましては、利用可能な最善の技術、BATの観点も含めて調査をしていきたいというふうに考えてございます。

 次にばいじん・SOx・NOxの中長期的課題でございますけれども、凝縮性ダストにつきましては、インベントリの精緻化のためにも、適切な測定方法の開発や排出実態の解明等、検討すべきということが中間取りまとめに記載をされてございます。また、二次生成に関する化学的知見の充実を踏まえて、効果的な排出抑制策を検討すべきとされているところでございます。

 (1)凝縮性ダストでございますが、こちらは研究を進めてきておりまして、その中で低濃度の排出源にも適用可能である、精緻な方法と、それから簡易な方法の二つの凝縮性ダストの測定方法が提案されているところでございます。またその研究の中のケーススタディから、三つの燃料種の凝縮性ダストについて、凝縮及び揮発のしやすさ別の排出係数が取得されたというところでございます。

 それから(2)の中小事業所、調理に伴う排気については、検討はしてきておりますけれども、排出量を把握するためには、さらなる調査が必要というような状況でございます。

 それから(3)のSOx・NOxからの二次生成につきましては、一般的に冬の硫酸塩を過小評価、硝酸塩を過大評価としてしまう課題が確認されてございますので、これに関係する調査研究を進めているというところでございます。

 今後の検討・実施予定でございますけれども、まず凝縮性ダストにつきましては、提案された二つの測定方法を用いて、さらなる排出実態の把握により、凝縮性ダストの排出係数の把握を進めるとともに、排出された後の変質過程の解明を行い、凝縮性ダストのPM2.5全体への寄与の把握に取り組みたいというふうに考えてございます。あわせてSOx、NOxからの二次生成に関する化学的知見の充実も行ってまいります。

 次にVOCでございます。まず検討・実施状況でございますが、中間取りまとめにおきましては、PM2.5及び光化学オキシダント生成能の高いVOCをそれぞれ明らかにすること。植物起源のVOCの排出量の実態把握等を進めることにより、VOCの排出削減によるPM2.5及び光化学オキシダントの低減効果の、定量的な予測精度の向上を図るとされているところでございますが、まずPM2.5及び光化学オキシダントの生成能の高いVOCにつきましては、こちらも研究を行っておりまして、VOCのPM2.5生成能把握のための代表的な指標となる成分の、多成分測定手法の確立が行われるとともに、低揮発性成分が有機粒子の生成に重要な寄与を持つことが見出されて、それを含めたPM2.5生成機構の解明・モデリングが行われたというところでございますけれども、一方で、生成した半揮発性粒子の消失機構の解明が課題とされているところでございます。

この研究の内容につきましては、参考資料6のほうにも関連して資料をつけてございますので、あわせてご確認いただければと思います。

(2)のVOC排出量につきましては、近年緩やかな減少傾向となっているというところ、インベントリの作成において確認をしているというところでございます。

今後の検討・課題としましては、半揮発性粒子の消失機構の解明に取り組むとともに、光化学オキシダント生成能の高いVOCに関する調査を進める。またインベントリの発生源の拡充、推計方法の改善を図るとともに、物質別の排出量の推計に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

次に7ページの船舶、NH3、野焼きの状況でございますけれども、船舶につきましては、船舶の燃料油に含まれる硫黄分濃度を現状の3.5%以下から0.5%以下とするという国際的な規制の開始が2020年1月と決定してございますので、これに適切に対応していきたいというふうに思っております。

NH3につきましては、水質汚濁防止法に基づく汚水等の排出規制、地下水規制を行っているところでございますけれども、これらの取組を継続してまいりたいと思います。

野焼きにつきましては、先ほど事例を資料1のほうでご紹介したところでございますけれども、今般野焼きの事例とそれから野焼き以外のすき込みなどの方法によって、稲わら等処理している取組ですとか、条例の制定状況などを取りまとめて、自治体のほうに通知をしたというところでございます。

こちらについても参考資料5のほうで示させていただいておりますので、あわせてご覧いただければと思います。

続きまして資料3でございますけれども、こちら今後の中間取りまとめの中で検討・課題とされていましたものについて、それぞれまとめておりますが、常時監視体制の整備、排出インベントリの整備・更新、シミュレーションモデルの精緻化といったような課題でございます。

1番の常時監視体制の整備でございますけれども、資料1の冒頭で結果のほう、ご紹介したところでございますが、測定局の数のほうにつきましても、28年度1,045局まで増加しているということで、かなりきめ細やかに測定のほうができるようになってきているところでございます。PM2.5の濃度の測定精度の担保・向上に向けた取組ということで、例えば自動測定機の示すマイナス値の運用等、自治体へ周知したりというようなことをしてございます。

また、PM2.5による汚染原因の解明に向けて、成分別の濃度測定が開始されてございまして、こちらも先ほどの中でも、その結果を使っているところがございましたけれども、現状全国191地点で実施しているというようなことでございます。それから成分・分析の精度管理の目標を定めたり、マニュアルに関するQ&A、こういったものを自治体に周知するなどして、精度管理にも取り組んでいるというようなところでございます。また、平成29年度からは、全国10カ所で連続の成分の測定を開始しているというところでございます。

今後の検討・実施予定でございますけれども、先ほど来お話がありましたけれども、PM2.5濃度に影響を与える要因は時期や地域によって異なることから、さまざまな発生源からの寄与を解明するため、PM2.5の濃度の測定、成分の分析をより効果的に実施するということで、その実施方法に関する検討を進めてまいりたいと思います。またPM2.5濃度の国内の測定データを管理し、精度管理まで一元的に行う体制の構築に向けた検討を進めてまいります。

次に排出インベントリでございますけれども、こちら、27年度版のインベントリを整備しているところでございます。今後につきましても排出インベントリを定期的に更新するとともに、その精緻化を進めてまいりたいと思います。

シミュレーションモデルの精緻化でございますけれども、こちらについては多方面で取組が進められておりまして、国立環境研究所の大気汚染予測システムについても、高度化が進められたりなどしてございます。また、シミュレーションモデル間の相互比較プロジェクトも実施しておりまして、解析対象物質、期間ごとの目的別の信頼性の高い規範的モデルの確立に向けた研究が進められているところでございます。

今後の予定としましては、地域別の大気汚染予報・対策のための予測・効果評価等に必要な精度の確保に向けまして、凝縮性ダストの排出実態の解明等を取り組み、シミュレーションモデルのさらなる精緻化をしてまいりたいと。そのモデルを活用しまして、できる限り削減効果を定量的に評価・検証します。そしてその際には地方自治体等による地域別の対策検討についても支援できるように留意をしたいということでございます。

4番のその他でございますけれども、こちら中間取りまとめのほうに記載されていた項目ではございませんので、関連するものとしてご紹介させていただきます。

まず健康影響につきましては、知見の充実を図るために調査を実施しているところでございますけれども、健康影響に関する知見を中心に、国内外での疫学研究等の科学的知見の収集を進めていき、必要に応じて基準の再評価を検討したいというところでございます。

次に地球温暖化対策との関係でございますが、PM2.5の一成分であるブラックカーボン及び光化学オキシダントの主な構成物質のオゾンにつきましては、短期的に地球温暖化に影響を及ぼすというものとして、活動が進められているというような状況でございます。また地球温暖化が進むことにより、PM2.5やオゾンの濃度が変化するということが示された研究などもございますので、国際的な動向を適時把握してまいりたいというふうに考えてございます。

以上、資料2と資料3の説明、長くなって恐縮でございます。

続きまして資料4のほうも関連しますので、あわせて説明させていただきたいと思います。

【渡辺主査】 それでは右肩、資料4をご覧ください。国際協力の取組状況についてご報告いたします。

 まず背景でございます。環境省では平成25年にPM2.5に関する総合的な取組(政策パッケージ)を策定いたしまして、こちらの中で国内対策、それから国際協力に取り組んでいくことにしております。また、専門委員会の中間取りまとめにおきましても、モニタリングデータ、発生源情報の集積・共有ですとか、大気汚染対策を推進するための技術協力に取り組む必要があることが指摘されておるところでございます。

 こうした国際協力の推進によりまして、越境大気汚染の軽減、国際的な課題への貢献、我が国の技術の輸出、諸外国の優良事例、科学的知見の把握、こういったことが求められておりまして、これらが私ども国際協力進めております目的になってございます。

 少し具体的に申しますが、(1)につきましては、こちら特に北東アジア地域から越境移動がPM2.5または原因物質に関してございますので、北東アジア地域における排出抑制策、これが適切に行われるように国際協力を推進、技術的な支援をしていく必要があると考えています。

 それから(2)につきましては、例えばSDGsにつきまして、2030年の大気に関する目標がございます。または直近では昨年12月に開催されましたUNEA3におきまして、大気に関する決議が採択されておりまして、各国に対して大気汚染対策を具体的に進めていくことが求められております。

 また、先ほどご説明がありましたSLCP、短寿命気候汚染物質に関しましても、CCACというパートナーシップ活動が国際的に動いておりまして、我が国も参加しております。また特にアジア地域におきましては、大気汚染が大変喫緊の課題でございますので、こうした課題解決に向けた国際的な貢献を行うことが求められておりますし、またそうした国際貢献を行うことで、我が国のプレゼンス向上にもつながると考えております。

 (3)につきましては、我が国の環境技術、特に温室効果ガス、大気汚染物質、双方を削減する、コベネフィット効果を有する環境技術を我が国は有しておりますので、これらをアジア地域におけるニーズとマッチングしていくことで、我が国の技術、またはインフラの輸出ということが推進できるというふうに思っております。

 次のページ、(4)でございますが、こちらに関しましては、特に最近では中国、韓国等、大規模な研究が国家レベルで進められているものがございますので、こうしたところと共同研究をしていくことで、彼らの先進的な事例、知見を得まして、国内での対策、政策にフィードバックしていくという、こういう双方の協力というのも、これからも必要になってくるというふうに思っております。

 具体的な取組、活動内容につきまして2.でご紹介します。項目としましては、アジア各国、各都市等のニーズに応じた能力向上に係る取組、また我が国の優れた技術、設備等の紹介、導入促進、それから成分分析、凝縮性ダスト等の新たな課題に対する科学的知見の向上、政策、技術、科学的知見等に関する情報共有、またモニタリングデータの交換、評価と、こういった主に5項目の内容につきまして、具体の活動を進めておるところでございます。

 具体的には主な活動について少しご紹介します。(1)ですが、日中都市間連携協力というのを平成26年から両国環境省が推進してございます。この中では中国の地方都市のニーズにあわせた訪日研修、専門家派遣等を日本の各都市に行っていただいておりまして、また昨年6月には中国の多くの地方都市をまとめて集めましたVOCモニタリング技術等に関する講習会の開催といったような取組をしてございます。

 また、国際NGO団体でございます、クリーン・エア・アジアと日本国環境省が連携しまして、IBAQと呼ばれる能力向上プログラムを、こちらも平成26年から開始してございます。この中で中国・インド等の地方都市に対して、彼らの計画策定支援といったことを行ってございます。

 (2)につきましては、同じく日中都市間連携協力の中で、例えば福岡県と江蘇省の間では、紡織染色工場における高効率テンター、これは日本の技術でございますが、これを福岡県の紹介で江蘇省の事業者が購入して、今モデル実証試験を行っているというような事例がございます。また両国環境大臣の覚書に基づいて行っていますコベネフィット協力につきましては、中国におけるこちらもVOC排出削減技術のモデル実証事業を、これから行うということで合意しておりまして、具体の調整を行っているところでございます。

 また3カ国では、TEMMの取組といたしまして、技術ネットワークというものを立ち上げておるところでございます。これから環境技術に関する情報交換を、このネットワークを通じて進めてまいりたいと思っています。

 (3)につきましては、こちらも都市間連携でございますが、例えば川崎市、瀋陽市におきましては、PM2.5成分分析による発生源解析に関する共同研究が行われております。または日韓でのPM2.5、日中韓での黄砂に関しまして、さまざまな枠組みで国際的な共同研究が行われてございます。

(4)につきましては、例えば日中間では政策対話というものを毎年1回開催しておりまして、特に直近の政策等に関する情報共有を行っております。またUNEPと連携してアジア太平洋クリーン・エア・パートナーシップ(APCAP)と呼ばれるパートナーシップを平成26年に立ち上げておりまして、ここで科学パネルにおきます報告書の作成ですとか、また合同フォーラムの開催というものを行っております。先週になりますが、タイのバンコクで第2回合同フォーラムが開催されまして、34カ国、311名の非常に多くの関係者間での議論が行われたところでございます。またCCACに対しても、ブラックカーボンの排出量等に関する我が国の知見の提供といったことを通じまして、協力をしておるところでございます。

(5)につきましては、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)を通じたモニタリングデータの交換、評価等を行っております。また直近では昨年11月の政府間会合におきまして、中国から拠出金等を含めたEANETに対する協力の意思が強く示されたところでございまして、今後中国とも連携してこのEANETの発展を進めていきたいと思っています。

最後に3.今後の取組の方向性でございますが、我が国、アジア地域の大気質の向上を図るために、各国のニーズを踏まえた効果的な国際協力を推進してまいります。また、アジア地域における大気汚染対策が、さらに継続的かつ効果的に行われるよう、既存の国際協力の枠組み、これらの発展を目指していきたいと考えております。

以上です。

【大原委員長】 ご説明ありがとうございました。中間取りまとめ、3年前にできたわけですけれども、そこで短期的あるいは中長期的な課題というのが示されました。それに関する検討状況、あるいは今後の予定等についてご説明いただくとともに、政策のパッケージに基づく国際的な協力等が、さまざまな形で進んでいるというご報告をいただきました。ありがとうございます。

今日はこれらの内容につきまして、この場でご意見いただきまして、それをもとに事務局でその内容を踏まえ、今後の検討を行っていただきたいと考えているところであります。

 三つの資料についてご説明いただきましたので、順番に資料2、3、4の順にご議論いただきたいと思います。よろしくお願いします。

まずは資料2の短期的・中期的課題に関する検討・実施状況に関するご質問、ご意見、いかがでしょうか。ご意見ある方は名札を立てていただければと思います。

 それでは奈良委員、お願いいたします。

【奈良委員】 それでは1点ですけども、前々回の第6回の本専門委員会において、各課題別の検討スケジュールというのが示されまして、今日私持ってきているのですが、こういった各検討の検討スケジュールという、A4の1枚ものですけれども、この中で、ばいじん・NOxの排出抑制策の検討という項目がありました。

それによりますと、一昨年の平成27年度中に、追加的な排出量抑制策の対策は全て終了して、昨年度、平成28年度中には対策の具体化ということで、必要なものは審議会等で議論の上、制度化するということが語られておりました。そうはいいましても、現実の進行状況を見ますと、いろいろ検討が、いわゆる深掘りされているということで、結論として、このようなスケジュール感では進んでいないというふうに理解しておりますので、もう一度現在の検討状況をリスケジュールされて、見直しをされるのかという点が1点と、それとこれと非常に関連したお話でもう1点ですが、今申し上げましたばいじん・NOxの排出抑制策の検討というものですが、仮に進展を図るとしましても、技術面でのポイントとなりますのは、集じん、脱硝、それからサーマルNOxの抑制といったことだと思いますけども、こういったところは、いわゆるばい煙発生設備とそもそも一体化していると思いますので、各産業界それぞれのところが設備導入時のいk¥仕様、それから機器性能で得られる排出削減のレベルというのは一義的に決まってしまうのではないかと考えます。

 だから言いかえますと、設備導入した後で、付加的な、はやりの言葉で言いますと、エンド・オブ・パイプ的な排出削減対策の取組は、正直なじまないといいますか、なじみにくいものではありますので、産業界としましては、ばい煙発生設備の老朽化に伴う更新の時期とか、あるいは新設とか増設のタイミングをねらっての対応にならざるを得ないということに、留意する必要があるのではないかと思います。したがいまして、今後対策の具体化というのをスケジュールの中に押し込んでいく場合でも、取組の時間軸としましては、やはり長期的なものを考えていっていただきたいということで、ご理解をお願いしたいと思います。

以上でございます。

【大原委員長】 ありがとうございました。中間取りまとめで示されたばいじん・NOxの短期的な課題について、確かにスケジュールはこの場で示されたと思います。それに関して追加的な対策の現状の認識と、今後どのように考えているのかと。それからさらには実際に対策を導入していくという場合に、留意すべきことがあるといったようなご指摘かと思います。

 環境省のほうからご回答をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

【青竹課長補佐】 このばいじんとNOxの短期的課題のところについては、確かにおっしゃったようなスケジュールを示していたところでございますけれども、本日ご説明したところが、今日までの検討状況というようなところでございますので、今後どういったスケジュールで進めていくのかといったところは、本日の議論も踏まえまして、また今日の冒頭のところでも話がありましたけれども、やはり地域的な課題と季節的な課題と、また大陸のほうの状況も変わってきている、いろいろな変化が起きているところだと思いますので、こういった状況も含めて検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 その際には実際の施設側での対応の可能性、こういったところというのは十分考慮しまして、産業界の皆様の状況等もよくお伺いして、検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

【大原委員長】 今後検討を継続して進めるという趣旨かと思いますが、よろしいでしょうか。ほかには、どうぞ。

【飯田委員】 飯田でございます。青竹さん、あるいはその前の船越さんから説明していただいた資料1、2、3、4についてコメントさせてください。これらの内容に、特に異議があるということではございません。ただし、記載の順番については、自動車を最初に書くべき時代ではなくなってきているという認識がございます。

 と申しますのは、自動車排出ガスである窒素酸化物はかつては50万t/年ぐらいでしたけども、もう近い将来30万t/年ぐらいまで減っていきます。今日の添付資料の参考資料4で、いわゆる上位5位までの定置施設の集計した分のNOx排出量(NO2の分子量46で換算)は、63万t/年という数字です。上位5位分で全自動車分を逆転してしまっている。

それから船舶が使用している燃料中のサルファーが3.5%、それを今後0.5%を目標に削減にしても500ppmというオーダーですから、大量の硫黄酸化物、硫酸ミストが排出されています。既に自動車用の軽油もガソリンも市場で実際分析しますと、6ppm以下という、数値です。確かに資料の1で自動車排ガス測定局の計測データを一般局のそれと比べれば、自排局は発生源である沿道の近くで測っていますから、当然PM2.5中のエレメンタリーカーボンが多いこととなります。自動車以外のところでも、一般に排出源のサイト近くで測定した数値と離れたところで測定した数値を比較すれば、これ以上に大きな差が出ている。坂本先生が指摘をされている「自動車からアンモニアが排出されると沿道で、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムが、生成される可能性があるのではないか」ということは今後も注視する必要があります。それらをしっかりと認識して寄与度の高い順に記載することが望まれます。今までどおりの書き方では間違いではないのですが、誤認をもたらす可能性があります。PM2.5に係る国内対策が進む中、国外からの越境汚染の寄与度が70%~80%と相対的に高くなっている。本日報告があったように中国のPM2.5が減少の傾向にあるものの、まだ高いレベルです。

過去のイベントリ解析を調べると、自動車、船舶、産業分野等の各分野の排出量の経年変化を見ると、自動車分野の排出量の低減は著しいものの、他の分野は横ばいの傾向にある。

 今の実際のインベントリのレベルと、それから減少のベクトル、これらをあわせて将来何が来るかという、そういう章の構成を考え直すべき時に入ったと思います。以上が

私のコメントでございます。すみません、長くなりまして委員長申し訳ありません。

【大原委員長】 ありがとうございました。非常に重要なご指摘だと思います。排出実態を踏まえたような形での対策の策定が重要だというご指摘かと思いますけれども、いかがでしょうか、事務局からご回答ありますか。あるいはコメントなので、特に回答していただく必要もないかと思いますが、もし何かご発言ありましたら。なければ結構ですが。

【青竹課長補佐】 ありがとうございました。今回の取りまとめの中では、前回の中間取りまとめの中から、どのぐらい進捗してきたのかというようなところをご報告させていただくという趣旨が強かったものですから、いろいろな対策をとってきている自動車のほうを、先に記載させていただいているような状況でございますけれども、今後につきましてはご指摘いただきましたとおり、インベントリをしっかり見て、どういったところの対策を進める必要があるのかというのが、非常に大変重要なご指摘だと思いますので、こういったことを踏まえて検討のほうを進めてまいりたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 ほかには、坂本委員、お願いします。

【坂本委員】 先ほどの飯田委員の発言に、まさに私も同じところが考えられると思いますけれども、例えば資料の1でしたか、9ページである方向から風が吹いているとき、高濃度になるというようなデータがございました。これは自動車排ガス測定局というのは道路沿道のすぐそばにある。そして工場は敷地境界に置いて濃度をはかっているわけではない。有害化学物質は敷地境界ではかつて、そういったことを考えているというようなことを考えた場合には、自動車側の対策がここまで進んできた場合には、工場についてもそういったことを考えて、濃度に大きく寄与している発生源であれば、それなりの対策をしていくことが望まれる。それからNOx・PM2.5法においても、あれはあまねく環境基準を達成するというような形で考えて進めてきているわけでございますので、そういう意味では、先ほど88とか89%といっても、そういう話ではなくて、地域なりそういったものできちんと見た形で考えていく必要があるんではないかというふうに思うところでございます。

そういう意味では、今回まとめていただいた参考資料は、確かにこういった工場等で対策技術を付加する場合に、工場が既に稼働しているところにやるというのはなかなか大変で、リプレイスするときとか、そういったことがあるときでやらないといけないから、リードタイムをかなり長く設定して考えるようなやり方も、同時に必要ではないかというふうに思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 今の点に関しまして、事務局から回答ありますか。

【青竹課長補佐】 ありがとうございます。モニタリングのやり方についてのご指摘、一つあったのではないかなというふうに考えてございます。こちら資料3のほうにはなってしまうんですけれども、常時監視の中では現在一般局と自排局というところで、その二つに焦点を当てて、PM2.5の観測をしてきているというところでございます。

 一方で有害汚染大気物質などにつきましては、固定発生源周辺といったところについても、あわせて常時監視を行ってきているようなところでございますけれども、本日のご議論にもありますように、地域的な状況ですとか、固定発生源の周りのほうがどうなっているのかと、こういったところの把握も進めていくべきというご意見かと思いますので、こういったところも含めて、今後検討してまいりたいというふうに思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。それでは田邊委員、お願いします。

【田邊委員】 皆様からも、今のいろいろな考え方について出たんですが、少しだけ視点を、私は変えておりまして、そもそもいろんな健康影響が出る、あるいはそういう出るリスクがあるといった場合に、どれぐらいのリスクがあるかをきちんと評価して、一番効率よく削減するというような、教科書的な話が存在すると。それを真面目に見た場合には、どういう濃度のところに、どれぐらいの人が住んでいるかということが一番大事になりますので、多分人への曝露というところからそこの環境濃度、その環境濃度にどの発生源が一番効いているかというような視点で、全体を眺め直していただけるといいかと思います。

 そういう観点でいきますと、飯田先生に反論するわけじゃないんですけれども、自動車というのはどうしても身近なところの発生源で、直接人への曝露に結びつきやすいので、そういう観点からは重視しなければいけないかもしれないし、非常に大きな排出源なんだけれども、離島にありますというと、人は曝露されないからいいじゃないですかというようなケースもあり得るので、そういう総合的な見方を、ぜひしていただきたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。今リスクといったような視点も、取り込んだような形での検討が必要ではないだろうかというご指摘だったと思いますけれども、いかがでしょうか。なかなか答えにくいかもしれませんが、できる範囲内でお願いいたします。

【青竹課長補佐】 地域的な解析をいろいろ進めていく必要があるのではないかというようなところ、本日もご指摘をいただいているところだと思います。この中でどういったことができるかというのはまだわかりませんけれども、どのぐらいの人が周りで住んでいるかとか、そういったところも含めて、丁寧な対応ができればいいのではないかなというふうに思いますので、今後の検討課題とさせていただければと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。どうぞ。

【飯田委員】 田邊委員からコメントをいただきありがとうございます。 飯田も全く同じ考えです。最終的には国民の健康、への影響があるとしたら、あるいは相関の認められるときにそのリスクをいかに減らすか、自動車の排出ガスの場合には、沿道住民の曝露を考慮すべきです。同様に、船舶、定置発生源、越境汚染についても曝露の機会について総合的な見方をすべきです。

 ただ、そういう観点に立って誰が曝露して、被害を受けているのという視点で見ると、やはり隣国からの越境汚染、特に福江島のデータを見ると、それが福岡で80%、瀬戸内を経由して大阪の方向まで流れていくという、これは紛れもない事実となってます。

 ですから、この報告書にて、最初の項目が越境汚染になることは別の視点での配慮が必要となるかもしれませんけども、(それはそれで国際協力ということできちっと押さえていただいて)根拠としているインベントリ解析およびシュミレーションの結果を統合して科学的視点で見たときに、何が寄与率高いかという点をたいせつにして、いい施策になるようご検討できたらと思っています。

【大原委員長】 ありがとうございます。非常に重要なご議論をいただいているものと思います。大気汚染政策を考える上での、どういうふうに考えるのかという、考え方、それに関するご提案をいただいたものと思いますが、田邊委員、追加の発言ございますか。

【田邊委員】 今のこととちょっと違います。先ほどばいじんの話が出たので、資料を見ていると、そのすぐ下に凝縮性ダストの話が書いてあったので、コメントさせていただきます。

 凝縮性ダストは、改めて定義を申し上げる必要もないかもしれませんが、排ガスを常温まで冷却すると粒子になるようなものというような、厳密ではありませんが、そのようなものですので、発生源が高温の排ガスの中ではガスになってしまっていて、なかなか把握されていない。

その測定方法ができてきて、少し前に東京都さんが大分いろいろ発生源で試験的にはかられていて、最近は埼玉県さんのデータを大分収集されているようですが、手元に入るものを使って、それなりにインベントリをつくってみて、VBSモデルを使って回してみますと、気温が低いときの一次有機粒子ですとか、二次粒子の計算結果が、どう見ても増える方向に、それも有意に増えそうだと。

まだこれは研究途上の話で不確実性があるんですけれども、そういう増える、結構増えそうだというのは、燃焼発生源の重要性が改めて、今まで以上に凝縮性ダストを考慮に入れると重要なのかもしれないという懸念を持っておりまして、先ほどばいじんその他について、いろいろ長期的に考えていく必要があるといった場合には、そういう新たな排出物による重要性が増えるかもしれないという点をぜひ考慮に入れていただきたいという、まだ懸念段階ではっきりは申し上げにくいんですが、中長期的な課題としては大事かなというふうに思っております。

【大原委員長】 ありがとうございます。凝縮性ダストの重要性については、環境省のほうも十分認識していて、中長期的な課題の中に入れ込んでいただいているということだと思いますが、今後の取組等に関しまして、何か追加のコメント等、もしございましたらお願いします。なければ結構です。

よろしいですか。どうもありがとうございます。

それでは資料2につきましては、以上で終わりまして、その次に資料3、その他の検討課題に関する検討・実施状況について、こちらのほうについていかがでしょうか。

それでは野中委員からお願いします。

【野中委員】 それでは自治体の立場から、自治体との連携、ご支援の強化を中心に、発言の機会をお願いします。

西日本地区のPM2.5の環境基準達成率につきましては、本県を含めここ数年改善傾向も見られておりますけれども、オキシダントとともに、依然として低い状況にございます。その中でいろいろとご議論いただいていることにつきまして、感謝申し上げたいと思います。

全国知事会におきましても、PM2.5の生成メカニズムの解明、大陸からの越境大気汚染に関する発生国への技術協力の強化、広域的なシミュレーションモデルの早急な構築等を要望させていただいております。

県としましては、移流そして固定発生源の寄与を評価する場合には、風向・風速による評価に加え、シミュレーションモデルをより的確に活用していくべきと考えておりまして、本県でも来年度から県の保健環境研究所で独自のモデル構築に取り組むこととしております。

大気環境に関する県民・報道機関など、社会的な関心は非常に高いものがございまして、西日本地区を中心とした大気環境改善のため、国と自治体が連携をより強化して、早急にモデルを構築して的確な評価・対策につなげていく必要があると考えておりますので、今後ともご尽力、そしてモデル構築をはじめ、PM2.5・オキシダント対策に取り組む自治体へのさらなるご支援をお願いします。

【大原委員長】 ありがとうございました。シミュレーションモデルに関する、引き続き改良を進めていく必要があり、それを自治体と連携して進めることは非常に重要な視点かと思います。どうもありがとうございました。

 それでは柴田委員、お願いします。

【柴田委員】 1点、進め方の話でございますが、今モニタリングとかインベントリとか大気モデルとか、いろんなそれぞれの課題について検討されているというのは理解できたんですが、いつまでにどういうことを明らかにして、どういうふうに進めていくかという、全体的な日程感というのがよく見えていません。前回の中間取りまとめのときにはスケジュール表がありましたけども、そういうのも必要じゃないかなというふうに考えています。

 例えば先ほど話に出ました凝縮性粒子の話にしても、今限られた発生源で得られたデータから測定方法が提案されているんですが、実際にインベントリを考えた場合に、くくり方、分け方によっていろいろあると思うんですが、100ぐらいの発生源がございますので、そういうところにどういうふうに適用していくかというのを考えたり、それからデータをとっていくということを考えると、今後まだ数年かかってしまう。また先ほど言ったVOCの成分ごとの反応性の研究にしても、まだ基礎的な研究の段階だというふうに思いますので、全体を統括的に取りまとめる体制が、ちゃんと要るんじゃないかなというふうに考えました。そういうことを考えていただくといいのかなと。それでロードマップみたいなものを、ちゃんと明確にして進めていかないと、なかなか答えにたどり着かないんじゃないかなというふうに考えています。

 またもう1点、今年環境管理技術室さんのほうでやられています排ガス低減に対する基礎調査の中で、排出量低減に対する費用効果みたいな比較をされていましたので、そういった知見も活用して、対策を考えていただけるといいかなというふうに思っております。

 以上、提案でございます。

【大原委員長】 ありがとうございました。3年前のこの場でスケジュールが示されて、それをアップデートしていくというようなことも、多分これから必要でしょう。ロードマップを示すということは、またある意味では重要な仕事かと思いますので、ぜひご検討をお願いしたいと思いますが、多分今日の議論を踏まえて、これから検討されると理解しております。

 ではほかには、坂本委員、お願いします。

【坂本委員】 資料3のところでいろいろな測定法の問題が書いてございますけども、今1時間値について注意喚起をやっている。そうするとその測定精度がかなり問題になる。それと同じようなことが、実は先ほど来出ている凝縮性粒子固定発生源、それから大気環境中で測定をした場合のガス粒子分布を持つ硝酸塩のようなもの、そういったものがちゃんとした質量としてはかり込まれているかどうか。実はこれはシミュレーションをやる際に、最終的にシミュレーションモデルが合っていたかどうかというときに、実測値とあわせる形で検証を行っていく、そういったデータの点からも、測定法がきちんとしていないといけないというようなところがございます。

 そういう意味で、できるだけ早くPMのきちんとした質量の測定方法を考える必要があるだろうということ。それについてはただ少し私自身あれなのは、環境基準を決めるときにもPMそのものはきちんと測定をする方法がある意味ではないんですね、厳密な意味では。

そういうところで、一方健康影響についてはFRMではかったデータに基づいて健康影響を評価しているから、それを使って環境基準値を決めましょうというところで、ある程度の妥協をしながら、そういったことをやってきた。ところが今モデルといろんな形で考えていった場合に、環境濃度をきちんと測定をするということも非常に重要になってきて、そういったことを考えた場合には、そういう測定方法についてもきちんと考えていく必要があるんではないかということを申し上げたいというふうに思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。環境濃度の測定方法に関する、さらなる検討が必要だというご意見だったと思いますけれども、事務局から何かレスポンスありますか。

【青竹課長補佐】 今回の資料の中にも記載をしているところでございますけども、2ページ目の上のところに、精度管理についてもきっちりとできる体制の構築に向けた検討を進めるというふうに記載をさせていただいているというところでございますけれども、やはりいろいろな測定をしているところでございますし、重量だけでなく成分、さらには新たに測定をしていく必要がある凝縮性ダストといったもの、こういったものについての測定をきちんとしていくということ、大変重要なご指摘だと思いますので、精度管理のほうについても引き続き努めてまいりたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。坂本委員、よろしいですか。ありがとうございます。

田邊委員、お願いします。

【田邊委員】 今、坂本先生が比較的遠慮がちにおっしゃったことに関して補足が一つあります。

現在使っている自動測定機は、日平均値、要するに環境基準の評価のために、きちんとはかれるということが証明されている装置が使われているんですが、時間値は参考値とせよというふうになっています。しかし実際には皆さんそれを使って、モデルの検証をしたり、注意喚起をしたりしているんですが、実は除湿しながらPM2.5を連続で毎時間測定する装置を私ども研究でつくっておりまして、それでFRMと比べますと、FRMは明らかに低いんです。24時間採取で揮発をしてしまうために。

 市販の自動測定機はFRMにあわせるために、加熱をして湿度を下げて数字が合うようにしているんですが、実は加熱をしても湿度はそこらの湿度がうんと高い場合には、湿度が35%以下には全然なっていない。濃度が高いときには当然加熱をしますので、揮発が起きる。そういうのを取りまぜて一日の平均値が合うようになっているんです。ですから1時間値の精度管理を実施するというのは、除湿不足と揮発とがどうなっているのかがよくわからない状態でやらなければいけないという状況になっていて、これは多少今すぐ答えは出ないんですけれども、どこかできちんとやっておかないと、日本の自動測定機の1時間値は何だということになるおそれがあって、ちょっと心配しております。

 以上、補足です。

【大原委員長】 ありがとうございました。1時間値に関する測定の重要性に関するご指摘をいただいたと思います。

特に回答いただかなくても、コメントということで、今後の参考にしていただければというふうに思いますが、奈良委員、お願いします。

【奈良委員】 3ページのところですけれども、本検討会で扱うメインイシューには当然なり得ないとは思っておりますけれども、健康影響とか地球温暖化対策との関係について拾っていただくことは大変ありがたいことだと思っております。現にPM2.5がヒト健康や、地球温暖化という側面でどれだけ脅威になって、日々深刻さを増しているのかと。それが理由で結果としてスピード感を持って対策を講じていく必要があるのかどうか、こういった諸点について本専門委員会の委員の方々、正しい理解を持った上での議論が必要ではないかと思います。

そういった意味では、中長期的な取組はこれからスケジュール管理が尽くされると思いますけれども、スケジュールの時間軸の決定には、これらの諸点が前提として十分に勘案したものでつくっていただきたいということと、先ほどの繰り返しでありますが、環境省の皆様には、私はもう少しページを割いて、情報共有していただいても構わないと思っているんですが、健康影響とか地球温暖化といった側面でもそのリスクの評価とか、実際の検討の状況、この場でも、もうちょっとだけ時間があればお時間を割いていただいて、前提のところの認識の共有を皆さんで図らせていただければ、重要度と時間軸という両方の面で共通の認識基盤、これができ上がるのではないかと思いました。

 以上でございます。

【大原委員長】 ありがとうございます。PM2.5等の対策の必要性を検討する上で、健康影響あるいは地球温暖化との関係が非常に重要だということでありまして、もっともだと思います。ここに一定の記述がございますけれども、こういったようなことをこの場でも情報共有して、対策等を検討する際の参考資料にできればいいかなと思います。ありがとうございます。

 それでは次の資料、資料4、国際協力につきまして、いかがでしょうか。もしご意見等ございましたら、名札を立てていただければと思いますが、ございませんか。

 金谷委員、お願いします。

【金谷委員】 資料4で、さまざまな取組について確実に進められている様子を拝見しておりますけれども、1点、資料4、1ページ目のところでございますが、ブラックカーボンなどをSLCPという短寿命気候汚染物質というような形で取り上げるということと、3ページのところにも引き続きCCACに対する取組ということで、ブラックカーボンの排出量の知見を提供することで、全球的な温暖化の削減効果もねらっていくという方向だと思いますけれども、あわせまして北極の温暖化に関連して、北極評議会に関係した動きとして、そちらからもたしか外務省を通じて、ブラックカーボン及びメタンが北極の政策に特出しされていると思いますけれども、そちらの観点からブラックカーボンの排出量に関しても要請が来ているということを、私も認識しておりまして、たしか今年度中にある程度そちらのほうにも報告値を挙げていくというような動きも少しあったかと思うんですけども、最新の状況を少しお聞かせいただきたいと思います。

【大原委員長】 ではお願いします。

【渡辺主査】 ありがとうございます。ご指摘いただきましたとおり、北極評議会でもブラックカーボンに対する影響評価、または対策検討ということが進められております。 私どものほうでは、CCACのほうにブラックカーボンの日本の排出量ですとか、算出方法等に関するレポートを提出いたしましたが、北極評議会のほうにもボランタリーな提出として、同様のレポートを提出しておるところでございます。今後こういったCCAC、北極評議会での国際的な議論がさらに進んでいくと思いますので、日本としてもさらに積極的に議論に貢献していきたいと思っています。

【大原委員長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。ほかにはよろしいですか。では最後に畠山委員。

【畠山委員】 この資料の中ではどうも日本の優位性といいますか、科学技術の優位性みたいなことがたくさん書いてあるんですけども、最近の科学技術の進歩から言うと、韓国、中国の科学技術、相当進歩してきまして、このままでいって日本がそのまま優位性を保っていけるのかというのは、非常に心配な部分なんです。

ここでの議論で言う話ではないかもしれませんけども、論文数についても、もうどんどん追い抜かれて、日本の論文数、どんどん減っていますから。このまま日本の技術を輸出するみたいなことをとくとくと書いていていいのかという、そういう感じもしないではないわけです。だからもう少し環境省の推進費でもそうなんですけども、科学技術のところの将来的な展望というものも考えていかなきゃいけないんじゃないかと。ここの中の話ではないんですけど、今やろうとしている話ではないんですけど、ちょっと雑なコメントですけど、しておきます。

【大原委員長】 ありがとうございました。日本における調査研究の必要性、どう見ても中国あるいは韓国辺りにこのごろは負けていると思われる状況の中で、日本の科学者も頑張っていかなくてはいけないと、そのためのサポートをぜひお願いしたいという趣旨だったと思います。

 この資料4の中の2ページの一番上のところに、先進的な事例や知見を得て、国内にフィードバックという記述がございますし、多分中国、韓国とうまく連携して知見の共有を図りつつ、国内の対策にも生かすといったようなことをお考えなのではないかと思いますが、もしコメントがございましたらいかがですか。簡単にお願いします。

【渡辺主査】 ご指摘のとおりだと思っております。中国、韓国との連携をさらに深めまして、ウィンウィンの関係として、こちらからの提供だけではなく、彼らの知見を日本にフィードバックしていく、この点も意識して国際協力を進めてまいりたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。それでは議題(2)につきましては以上で終わらせていただいて、議題(3)の光化学オキシダントの状況についてということで、資料のご説明をお願いいたします。

【船越課長補佐】 議題(3)で、資料5のご説明をさせていただきます。

 資料5、大気環境中の光化学オキシダントの状況等ということで、1ページ目で光化学オキシダントの状況をご説明させていただきます。

 PM2.5と原因物質(VOC)やNOx等が共通しております光化学オキシダントにつきましては、現在でも環境基準達成率は極めて低く、PM2.5対策とあわせて光化学オキシダント対策も進めていく必要があります。

 環境省では平成26年9月に光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示すための新指標、(8時間中の日最高値の年間99パーセントタイル値の3年平均値)を設けたところでして、自治体にも同指標に係る取り扱いについて周知したところです。

 国内の4地域、関東、東海、阪神、福岡・山口地域につきまして、新指標相当値の推移を図1に示しております。平成26~28年度につきましては、やや低下傾向にあるということを先ほどご説明させていただきましたが、大防法に基づきますVOCの規制、いわゆるベストミックスで行われてきた規制につきまして、平成18年度付近から高濃度域における光化学オキシダント濃度が低減傾向にあるということと、注意報等の発令日数が改善傾向にあるということは確認できるとおりです。

 続きまして2ページ目で、長期変動要因等の調査結果ということで、1年前になりますが、環境省ではシミュレーションモデルを用いて、光化学オキシダントの濃度の長期的な傾向に影響を及ぼす要因の解明、それから原因物質の削減による感度解析等に取り組みまして、平成29年3月に光化学オキシダント調査検討会報告書、こちら机上には報告書の実物を置いておりますが、参考資料7に公表時の資料として、報告書概要をつけております。

概要につきましては以下のとおりでして、(1)としてはオキシダント濃度の長期変動要因ということで、三つの要因をオキシダント調査検討会で挙げていただきました。

まず、前駆物質の排出量変化(固定蒸発発生源のVOC排出量削減)の影響ということと、それから越境大気汚染の増加の影響、そして3番目としましてはNOタイトレーション、例えば自動車から排出されるNOxに含まれるNOが、光化学オキシダントを消費してしまうという現象で、実際自排局では光化学オキシダントの1時間値の濃度というのは、一般局よりも低く出るという状況がそれを証明しているものですが、それぞれの影響について示すような結果が確認されております。

固定蒸発VOC排出量の削減対策によって、関東地域ではオキシダントの新指標相当値、先ほどの新指標値をシミュレーション計算するために、相当値ということで、暖候期のみ98%値としてそれに相当する値、ということで確認しておりますが、それが低下して、東京都の東部から埼玉県東部における地域で、削減効果が大きいということが確認できました。

それから2番目につきましては、越境大気汚染の影響を確認するために、東アジア大陸における前駆物質、VOC及びNOxの排出量の増大、これが平成13年度から21年度にかけて増加しているということを入力して、日本国内の広い範囲で光化学オキシダントの新指標相当値が増加し、増加割合は関東地域よりも九州地域で大きいことが確認できております。先ほどのタイトレーションの影響としては、NOxの排出削減に伴うタイトレーション効果が低下して、光化学オキシダント濃度の減少抑制が示唆されております。

こういったことを確認したシミュレーションモデルを構築しており、10km格子のシミュレーションモデルを用いて前駆物質排出量削減の感度解析を行いまして、この場合、関東地域においては平成20年~22年度の3年間を対象として感度解析を実施し、以下の3点が確認されました。

まず、関東領域内のVOC及びNOx排出量を一律に25%~100%に削減した場合のシミュレーション結果を示しておりますが、VOC削減は光化学オキシダント高濃度事例の減少につながるが、NOx削減だけを実施しますと、東京湾周辺の南関東では高濃度事例が増加する可能性が示されております。また北関東ではVOCとNOx排出量を同時に削減いたしますと、VOCのみの削減時より光化学オキシダントの低減効果が同等か、やや大きくなる可能性が示されております。

また、物質別の排出効果、削減効果においては、内陸域でVOC及びNOxの同時削減が、光化学オキシダントの低減に有効であるのに対して、東京湾周辺域では特にVOC削減による効果が顕著となっております。

続きまして3ページですが、中間取りまとめにおきましては、今後の検討課題として、PM2.5の発生源や原因物質は多様であり、光化学オキシダントと共通するものが多く、それらの物質の相互作用、トレードオフ等がPM2.5の生成に影響していることから、環境基準を達成していくためには、種々の対策に総合的に取り組むことが必要となるとされておりまして、光化学オキシダント調査検討会で取りまとめられた、このような科学的知見を踏まえ、光化学オキシダントの原因物質の搬出抑制対策の検討など、より効果的な政策の立案に向けて、今後とも取り組んでいきたいと考えております。

資料5の説明、駆け足でございましたが、以上になります。

【大原委員長】 ありがとうございました。それでは今ご説明いただきました資料5につきまして、参考資料7というのもついておりますけれども、これにつきましてご質問、ご意見等、お願いしたいと思いますが、いかがですか。名札を立てていただけますか。

梶井先生、どうぞ。

【梶井委員】 ありがとうございます。

2ページ目の(2)の中で、モデリングをした結果を使うと、こういうふうにすればオキシダントが減るだろうという予測を立てているということで、これに対して反対する気持ちは全くございませんが、これはあくまでもモデリングの結果なものですから、やはりこれをもう少し科学的に、本当にその場所でNOxのほうを削減したほうがよいのか、VOCを削減したほうがよいのかというのは、その場所、場所によっても、これもかなり違うので、それは我々は専門的にはレジームの判定と呼んでいますけれども、そういうものをモデリングだけじゃなくて、やはりもう少し実際に観測して、それで確かにそのほうが有効であるというようなことを、もう少し知見を積み上げていかないと、このモデリングだけがひとり歩きしてしまって、それで規制をかけることによって、効果がもしたかしたらなかったかもしれないというようなことにもなりますから、ぜひその辺は少し慎重に科学的知見を積み上げた上で、そういう判断をするのがよいのじゃないかなと思って、ちょっとコメントさせていただきました。

【大原委員長】 ありがとうございます。モデルの結果に関する検証が必要だと。とりわけ削減した場合にどのくらいオゾン濃度に感度があるのかという辺りのご指摘だと思いますが、何かコメントございますか。

【船越課長補佐】 おっしゃっていただきましたように、そういったモデリングだけに頼ることなく、観測における実証も含めて、きちんと取り組んでまいりたいと考えております。

【大原委員長】 ありがとうございます。ほかにはよろしいですか、どうぞ鵜野委員、お願いします。

【鵜野委員】 コメントなんですけども、2ページ目の光化学オキシダント濃度の長期変動要因のところで、②九州、越境大気汚染の影響ということで、平成13年度から21年度にかけて、図1を見ると九州の濃度が増えているので、起こっていることは非常に整合的だと思うんです。

その後13年から最近にかけての九州のオゾンの濃度は減っている。それが多分最近の論文を見ていると、中国のSO2の排出量というのは、ピークに比べると4分の1くらいに下っていて、NO2の濃度もそれと同じということはないんですけど、NOxの排出量もかなり下っているんです。ですからオゾンの生成が多分減っている可能性があるので、この先平成21年から直近にかけては今後の課題ということで、次の光化学オキシダント検討会の課題として考えていただければ幸いです。

【大原委員長】 ありがとうございました。最近の中国の排出量の変化に応じた日本への大気汚染の影響がかなりあって、それに伴うオゾンの変化もあるのではないかということです。今後の重要な課題だろうと思います。

 ほかにはいかがで。田邊委員、どうぞ。

【田邊委員】 今の話にどれぐらい関係するか、半分しかわかっていないんですけれども、VOCのインベントリを見ていますと、家庭などのエンドユースに相当する部分の推計が実は入っていなくて、モデルにそういうデータを自分で入れない限りは、人口密集地域のVOC排出量がどうしても低目に入っているというのが、実は気になっていまして、そこら辺の、先ほどインベントリという項目がありましたので、そういう抜けの拡充もぜひやっていただきたいなと思います。

【大原委員長】 すみません、確認なんですが、家庭のエンドユースの排出量とはどういうものですか。

【田邊委員】 家庭での溶剤とか化粧品とか、多分そういうたぐいのものだと思うんですが、多分総排出量のかなりの比率を占めているものが、今のVOCインベントリには入っていないと。

【大原委員長】 ありがとうございました。今後の課題ということかと思います。

 ほかにはよろしいですか。そろそろ時間が参りましたので、では議題(3)について、これで終わらせていただきたいと思います。

 先ほどの議題(2)に関しましても、たくさんご意見いただきましたので、事務局におかれましてはいただいたご意見、ご指摘を踏まえて、今後検討していただくようによろしくお願いいたします。

 それでは議題(4)として、その他、事務局からございますか。局長、お願いします。

【早水局長】 全体、今日の議題、ほぼ終了かと思いますが、一言私のほうからもコメントさせていただければと思います。

 今日、本当にさまざまなご意見いただきましてありがとうございました。中でもご指摘がありましたように、我々の説明にも一部入っておりますが、やはり以前は環境基準の達成率も非常に悪くて、全体的な対策をこういうあれのとおりに進めていかなきゃいけないということで、このPM2.5の議論は始まっていたかと思いますが、中国の状況が改善し、また自動車の対策も進んできてというような状況の変化もございまして、今日のデータを見ても、もう少し個別に要因を解析していかなきゃいけない状況かなと。

これは有害大気汚染物質の対策、以前やってきた、これも結構似たような傾向をとっていまして、最初のころは全体でいろんな対策、だんだん個別に見ていくということで、モニタリングについても、どちらかというと全体的というより個別のところを見ていくというほうが大事だという形で変わってきておりますので、そういったことも踏まえまして、今後、中でもご説明しましたように、よりきめ細かく地域なり季節なり、そういうところを見て、あるいは地点ごとというのも出てくるかと思いますので、そういった形で検討をしていく必要があるかなと思います。そうしますと、個別の発生源ということになってきますので、産業界の方にまたいろいろご意見を伺いながら、今後の対策について検討をしていきたいと思っております。

 もう一つ、今日スケジュールについてのご指摘もありまして、確かにばいじん・NOxのところの短期的課題のスケジュールが今日、大分遅れているということになってしまっております。私どもも気にはしておったんですが、どうしてもいろいろ時間がかかったという事情もございました。

ただまさしく状況の変化もありまして、今日ご指摘の点もいろいろありましたので、全体的にスケジュールを組み直して、やはり我々としてもある程度目標というのは必要かと思いますので、その辺り今日いただいたご意見も踏まえて、さまざまな今後の施策について、もう一度中でもよく検討して、この委員会にもまたご相談をしながら進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【大原委員長】 最後にまとめのご発言を局長からいただきまして、どうもありがとうございました。

 用意された議題は以上ですけれども、その他としてもし何かご発言ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがですか、よろしいですか。

 なければ事務局にお返ししたいと思います。

【高澤課長】 本日は長時間にわたりまして、ご議論いただきましてありがとうございました。委員の皆様方から本当に多数の貴重なご意見、ご指摘をいただきましたので、それを十分踏まえまして、引き続き検討を進めさせていただければと考えております。

 本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、環境省のホームページで公開いたしますので、後日確認のほどをよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の委員会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。