微小粒子状物質等専門委員会(第2回)議事録

日時

平成26年5月26日(月)

10:00~12:00

場所

環境省第一会議室

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1) 現象解明に向けた取組(平成26年度)について
  2. (2) PM2.5の越境大気汚染の寄与について
  3. (3) 光化学オキシダントのモニタリングデータの解析結果について
  4. (4) 光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示す指標案について
  5. (5) その他

3.閉会

配布資料

【資料】
資料1 委員名簿
資料2 微小粒子状物質(PM2.5)の現象解明に向けた取組(平成26年度)について
資料3 日本のPM2.5はどこからくるのか~越境汚染の寄与をさぐる~(金谷委員)
資料4 PM2.5に関わる化学輸送モデルの現状と問題点(鵜野委員)
資料5 光化学オキシダント対策に向けた調査検討結果について
参考資料1 微小粒子状物質等専門委員会のスケジュール(案)
参考資料2 PM2.5に関する総合的な取組(政策パッケージ)(平成25年12月、環境省)
参考資料3 PM2.5発生源情報の整備について(第1回 資料5)
参考資料4 二次生成粒子の挙動解明に関する検討について(第1回資料6)

議事録

午前10時00分 開会

【中村課長補佐】 定刻になりましたので、ただいまから第2回微小粒子状物質等専門委員会を開催いたします。

 参加者の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 私は、本日の司会を務めさせていただきます、環境省大気環境課の中村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本委員会の開催に当たり、井上副大臣からご挨拶を申し上げます。

【井上副大臣】 皆様、おはようございます。環境副大臣の井上信治でございます。

 本日、委員の先生方には、大原委員長を初めとして、月曜の朝一から大変恐縮ですけれども、ご出席いただきまして、感謝を申し上げます。また、ちょっと室内は暑いですけれども、どうかご容赦をいただきたいと思います。

さて、先月末、韓国におきまして第16回の日中韓3カ国環境大臣会合が開催をされました。その結果、大気汚染問題が最も重要な議題であることで3カ国の認識が一致をし、PM2.5を初めとする大気環境改善が今後5年間で、3カ国が協力して取り組む九つの優先分野のイの一番に掲げられました。

 日中の協力につきましては、来月の10日、今年度第1回目の日中都市間連携に関する関係者の会合を開くこととしております。中国から提案のあった揮発性有機化合物の対策、また、オフロード自動車からの排ガス対策についての協力、そして昨年12月以降の各都市間の調整状況も踏まえ、今後の具体的な協力について議論したいと考えております。

 また、韓国につきましても、来年1月からのPM2.5の環境基準の施行に当たり、常時監視体制の整備など、我が国の経験を参考にしたいとの要望がございますので、積極的に対応してまいります。

 このように、国レベルや都市間での連携などを通じて、我が国の経験や技術を活用し、アジアの大気環境の改善を進めてまいりたいと考えております。

 そうした協力を進めるに当たって、越境大気汚染の寄与割合などをしっかり把握した上で協議していきたいと思いますし、また、国内の排出抑制策もきちんと打ち出していくことが重要だと考えておりますので、本日は、これらの議題につきまして、委員の先生方よりさまざまなご意見を賜れますよう、お願いを申し上げます。また、あわせまして、光化学オキシダントにつきましても、本日、第四次環境基本計画において必要とされている環境改善効果を適切に示す指標の案をご提示させていただきますので、幅広いご知見に基づく重要なご指摘を賜れればと考えております。

 よろしくお願い申し上げます。

【中村課長補佐】 続きまして、前回(第1回目)より委員の交代がございましたので、ご紹介させていただきます。

 前回、ご出席いただいておりました東京都環境科学研究所の樋口様が、この春、同研究所をご退職されたことを受けまして、今回より、同研究所調査研究科副参事研究員でいらっしゃいます上野広行様に、委員としてご出席いただくことになりました。

 上野委員、よろしくお願いいたします。

 続きまして、出席状況についてでございますが、本日は、畠山委員、弓手委員からご欠席とのご連絡を受けております。ですので、本日の出席状況といたしましては、委員16名中、14名の委員にご出席をいただいております。それゆえ、定足である過半数に達していることをご報告させていただきます。

 次に、お手元の配付資料の確認でございますが、議事次第に配付資料一覧を記載しております。資料1、委員名簿。資料2、微小粒子状物質の現象解明に向けた取組について。資料3、日本のPM2.5はどこからくるのか。資料4、PM2.5に関わる化学輸送モデルの現状と問題点。資料5、光化学オキシダント対策に向けた調査検討結果について。参考資料1、微小粒子状物質等専門委員会のスケジュール(案)。参考資料2、PM2.5に関する総合的な取組(政策パッケージ)。参考資料3、PM2.5発生源情報の整備について。参考資料4、二次生成粒子の挙動解明に関する検討について。以上でございます。

 また、委員のお手元には、議題の(3)、(4)に関連いたしまして、光化学オキシダント調査検討会報告書を配付させていただいております。この報告書は、次回も同様に参考配付したいと考えてございますので、本日の終了後に回収をさせていただきたいと考えてございますので、あらかじめよろしくお願いいたします。

 なお、この報告書につきましては、環境省のホームページでも公開してございます。

 以上、資料の不足などございましたら、事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。

 それでは、カメラ撮りの方は、恐縮でございますが、会議の冒頭のみとさせていただきますので、これ以降のカメラ撮りはご遠慮いただきますようお願いいたします。

 では、以降の進行は大原委員長にお願いいたします。

【大原委員長】 皆様、おはようございます。

 それでは、早速でございますけれども、議事次第にのっとりまして議事に入りたいというふうに思います。

 それでは、まず第1番目、議題の(1)現象解明に向けた取組(平成26年度)につきまして、まずは資料2に基づいて事務局からご説明をよろしくお願いいたします。

【中村課長補佐】 それでは、資料2に基づきましてご説明させていただきます。

 この資料では、現象解明の取組が、昨年末に公表いたしました政策パッケージにおいてどういう位置づけであったかのおさらいをまずいたしまして、その上で、26年度に行おうと考えている取組とか、削減対策の方向性についてご説明いたしまして、皆様よりご意見を頂戴できればというふうに考えているものでございます。

 それでは、資料2の1ポツの現象解明に向けた取組についてのところでございます。

 政策パッケージにおける三つの目標、下の図で目標1、目標2、目標3とございますけれども、その真ん中の目標2、環境基準の達成につきましては、微小粒子状物質等専門委員会においてPM2.5の現象解明と削減対策の検討を行うこととしてございまして、その目標達成に向けた基盤となる事業といたしまして、図で言うと下の緑のところでございますけれども、発生源情報の整備、二次生成機構の解明、シミュレーションモデルの構築、大気環境モニタリングの充実に取り組む必要があるということで掲げられてございます。

 それらの具体的なアプローチでございますけれども、具体的には、発生源情報、二次生成機構、越境大気汚染、それらにつきまして、定量的な現象解明を行いまして、それらの知見をもとに、シミュレーションモデルなどの精緻化に取り組む。その上で、各排出源の寄与度や低減効果について定量的な解析を行いまして、そこで得られた定量的な結果とかをもとにいたしまして、排出抑制対策を検討する。こういったアプローチを想定しているというところでございます。

 1枚おめくりください。1枚おめくりいただきますと、先ほど取組の基盤となる事業という形で位置づけられているというふうにご説明いたしました四つの項目につきまして、それぞれの進捗状況を記載してございます。

 まず、一つ目の発生源情報の整備でございます。発生源情報につきましては、今、環境省のほうで暫定的な排出インベントリ、発生源プロファイルを策定しつつございますけれども、これからも活動量や排出原単位をできるだけ最新のものないしは国内の実測値に基づいたものにしていくなど、精緻化に向けた取組を進めているところでございます。平成26年度につきましては、平成25年度までに策定いたしました排出インベントリ、発生源プロファイルにつきまして、大規模固定煙源の活動量や排出原単位の更新、実測値の反映に向けた検討などを行いまして、主要な発生源の排出状況を取りまとめようというふうに考えているところでございます。

 次、二つ目、二次生成機構の解明。二次生成機構につきましては、既に幾つかの三次元大気シミュレーションモデルが存在しておりまして、それらを利用した解析が多々行われていると。ただ、さらに、より再現性を高めるための取組が必要であるといったような状況でございます。環境省の取組といたしましては、26年度から3カ年計画で、環境研究総合推進費を活用いたしまして、シミュレーションモデルの計算精度の向上のための研究を行うこととしております。具体的には、既存のPM2.5シミュレーションモデルにVBSモデル(揮発性基底関数モデル)というものを導入いたしまして、揮発特性パラメータの改良、排出量のデータの改良などを行いまして、計算精度の向上を目指すということをこの3カ年で計画しているところでございます。そのうち、26年度につきましては、先ほどのVBSモデルを導入いたしまして、試験的な計算を行う。それとともに、有機エアロゾルの揮発特性や窒素化合物の排出量に関するデータの収集・整備などをあわせて行うといったことを計画してございます。

 次に、シミュレーションモデルの構築のところでございます。シミュレーションモデルの構築というのは、いろんな視点がございまして、一つは予報・予測といった点もございますけれども、幅広くシミュレーションモデルの構築ということを捉えまして、ここに書いてございます。まず、越境大気汚染の寄与につきまして、現象解明に向けた取組がさまざま行われているところでございますけれども、環境省の取組といたしましては、環境研究総合推進費を活用した研究におきまして、25年度までに一定の知見を整理したところでございます。これにつきましては、議題(2)の関係で後ほどご紹介をさせていただこうというふうに考えてございます。それで、26年度からでございますけれども、26年度からにつきましては、発生源情報の充実を図るとともに、発生源ごとの寄与割合の推計が可能なシミュレーションモデルの構築に取り組もうというふうに考えてございます。そのうち、26年度は推計のフレームワークを検討する。このフレームワークというのは、使用するデータ、モデル、対象時期、地域などを選定するといったことを26年度に行うというふうに考えているところでございます。また、別の取組といたしまして、環境研究総合推進費を活用した取組といたしまして、PM2.5の主要成分である有機粒子について、その発生源を探索する際に指標となる有機マーカー成分、これに着目した発生源寄与評価手法の確立を目指してございます。この成果につきましても、シミュレーションモデルの高度化に役立てていきたいというふうに考えてございます。

 次、(4)大気環境モニタリングの充実。地方自治体の常時管理測定局は、25年度末時点で約850カ所まで来てございます。また、現象解明に直接寄与する取組といたしまして、国と自治体が役割分担しつつ、PM2.5の成分測定も実施してございます。26年度も引き続き測定体制の充実を図ることとしてございまして、地方自治体の常時監視測定局数は、年度末には1,000カ所ぐらいになる見込みでございます。国といたしましても、人為起源の大気汚染影響を受けにくい地点での測定局の設置を進めてございまして、26年度は、10カ所程度測定局を設置するといったことでございます。

 以上が基盤となる取組の現状でございます。

 その後、2ポツのところでございますけれども、現象解明を踏まえた削減対策の検討という、今年度、この検討会で行っていこうとするところでございますが、先ほどまでご説明いたしましたとおり、現象解明の精緻化の取組は、26年度以降も継続的に推進する必要があると。そういった状況であるかと思います。一方、26年度の取組といたしましては、その時点における成果を踏まえて行われる試行的なモデル計算の結果、いろいろと試行的なモデル計算の結果というのは行われておりますので、そういったものを集積して解析をすると。それによって、今後の精緻化に当たって必要な事項を洗い出すとともに、年度内に、国内における排出抑制策のあり方、中間取りまとめを取りまとめる際の検討材料としていきたいというようなことで考えてございます。ただ、モデル計算結果を解析する場合には、精緻化の進捗やモデルそのものの特性に十分留意して活用する必要があるということでございます。最後、「また」でございますけれども、PM2.5の現象解明は、政策パッケージの目標の一つである「国民の安全・安心の確保」にも、予報・予測モデルの改善を通じて寄与するというものでございます。このため、現象解明で得られた成果は随時活用いたしまして、注意喚起の精度向上を図っていくということでございます。

 以上が26年度の取組の概要でございます。

 以上です。

【大原委員長】 ご説明いただきありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、取組へのご意見、ご助言、あるいは、ご提案などございましたら、よろしくお願いいたします。

 なお、今し方事務局のほうからご説明がございましたように、基盤となる取組につきましては、平成26年度ないしは来年度以降に検討が進むと、成果がこれから出てくると考えられますけれども、本委員会でそれらの成果をうまく活用していくといったようなことも重要かと考えておりまして、そういったような視点からのご指摘も、もしありましたらいただければと考えております。

 それでは、ご質疑をよろしくお願いいたします。どなたかいかがでしょうか。

 上野委員、どうぞ。

【上野委員】 質問なんですけれども、大気環境モニタリングの充実のところに、「PM2.5の成分測定等も実施しているところ」とあります。自治体で、恐らく昨年度ぐらいからかなりのデータが出てきていると思うんですけれども、その成分測定のデータを何か活用される予定というのはないのでしょうか。

【中村課長補佐】 ご質問ありがとうございます。

 成分測定の結果につきましては、シミュレーションモデルを回す際に、PM2.5の濃度だけではなくて、成分の組成につきましても、シミュレーションモデルを回したりしてございますけれども、そういったときに、実測の成分分析のデータとシミュレーションモデルの結果がどこまで合致しているかといったことを比較するなどいたしまして、そのシミュレーションモデルの精緻化、再現性の確認とか、そういったことに役立てるなどしているというふうに認識してございます。

【大原委員長】 上野委員、いかがですか。

【上野委員】 ありがとうございます。

 そのときに、ちょっとお願いといいますか、希望なんですけれども、結構、自治体で行っている成分分析というのがかなり大変なことでして、いろんな機関が直営でやっていたり、委託でやったりしていますので、精度管理というのでしょうか、そういうところが課題があるというふうに私個人としては認識しています。

 それから、時期につきましても、四季2週間というのが推奨されているんですけれども、昨年の夏などは、ちょっと時期的にあまり適切でないときにやってしまった感もありますので、そこら辺の今後の成分分析のあり方みたいなことも、ちょっと考えていただけたらなという気がします。

【大原座長】 ありがとうございます。

 今の点につきまして、何かコメントありますか。

【中村課長補佐】 貴重な意見をいただきましたので、参考にしながら取り組んでまいりたいと思います。

【小林局長】 改めましてですけども、東京都さんはかなり成分分析もじっくり分析されて、いろいろ報告されているのは承知しておりますので、またそこら辺もぜひ研究させていただいて、全国的にどうやって展開していけばいいかということも進めていきたいと思いますので、引き続きご協力をお願いしたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 成分データにつきましては、今、環境省事務局のほうからご説明がありましたように、シミュレーションモデルの検証という点と、それからレセプターモデルに使うといったような、二つ考えられると思います。そのアプローチを具体的にどうするのかという検討も必要だし、それから、今、ご指摘いただいたように、データの精度管理、それから、いつ測定するのかというような辺り、大変重要な課題であると考えておりますので、これからこの委員会等でもできれば検討をさせていただければと考えております。

 以上です。

 ほかにいかがでしょうか。

【坂本委員】 資料2の(2)と(3)のところに、推進費で幾つかの研究をなされるという形で書いてございますが、この辺の部分についてのもう少し情報があれば、特に有機粒子の場合、シミュレーションをした場合に、かなり観測値とモデルの値が違う、それに対してどういったことをやろうとしているのかというのが明確になっていたほうが、例えば私たちがもう少し何かを提案なり助言することができるかと思うんですが、いかがでしょうか。

【大原委員長】 事務局から答えることはできますか。

【中村課長補佐】 ご質問ありがとうございます。

 私どもももう少し詳細をご説明したかったところなんですけれど、まだ正式に採択されておらず、課題としての枠があるといった状況でございまして、もう少し、採択が決まりまして、細かい取組の内容がわかりましたら、改めてご紹介させていただきたいというふうに考えてございます。

【大原委員長】 採択は正式にされていないということかもしれませんが、もし、可能な範囲内で説明できることがありましたら、せっかくの機会ですから。もし無理でしたら、次回にお願いします。

 今の点につきまして、田邊委員から、この課題(2)のVBSのところですね、補足説明をもしできればお願いできますか。

【田邊委員】 それでは、わかる範囲で。研究に参加している者として、わかる範囲でこういった研究の内容をお話ししたいと思います。

 アメリカで、ここ10年ちょっとぐらい、非常に有機二次粒子のモデルの改良が進んでおりまして、その代表格をVBSモデルと呼んでいて、そのモデルは、今までの過小評価をかなり改善できると言われています。実際にアメリカでの検証データを見ますと、有機二次粒子の濃度予測というか、有機粒子の濃度予測が大体観測値と合うというところまで来ています。その中身は、チャンバー実験の結果を粒子収率の形で与える際に、粒子収率を蒸気圧クラスごとに分けて計算結果を出すようにして、それがまた大気中でエイジングをして粒子が揮発しにくくなっていくという二つの計算をすることと、もう一つは、排出源から出ている揮発性の有機粒子の計算をしています。今までは有機粒子といえば一緒くたにしていましたけれども、非常に揮発しにくいものから、比較的容易に揮発するものから、さらにはVOCと呼ばれる通常ガス状のものまでありますので、ちょうど半分揮発性のあるものについて、やはり蒸気圧クラス別に発生源からどれぐらい出ているかということを入れて、それが大気中で反応して揮発しにくくなって、二次粒子として増えてくるというプロセスを入れた、そういうモデルになっています。

 ただ、このモデル自身が完全に検証されているわけではありませんので、そのために、例えば揮発特性パラメータ、先ほど言いましたどういう揮発特性の二次粒子が生成するか、そういったところの検証ですとか、排出量データが、今は単純にOCとして、データとして報告されているものをそのまま使っていますので、揮発特性別にどれぐらい出ているかという情報を得るには、実はもとになるOCのデータが、どう測られたOCかわからないと、どう揮発特性配分していいかわからないというような状況にございます。ですから、その部分を、データがないものはないといって手をこまねいているわけにはいきませんので、文献値等から使えそうなデータを試行的につくってみて、そういう形でモデルを回すというのが現状になっております。

 そのような意味では、(1)の排出源に関する検討のところで、実際の国内の実測値を求める際に、半揮発性の有機成分の測定もお願いしたいということは、こちらのグループから声をかけて、検討していただいているところであります。

 そんなことと、あと、これを使って試験的な計算をしたことが、ボックスモデルですが、したことがあります。ただ、その結果を見ますと、先ほど検証が必要だと言った理由になる現象が実は見えておりまして、このモデルで計算した粒子の揮発性と、実際の大気中で有機粒子がどんな挙動をしているかというところに、そんなに大きな乖離ではないのですけれども、気温が上がったときにどういう挙動をするかというところに若干の矛盾がありました。そういうことで、ちょっとそこに関係する反応機構そのものに立ち返った検討が少し必要ではないかという議論になっています。

 これが(2)番の概略でございます。

【大原委員長】 丁寧に説明していただき、ありがとうございました。

 坂本委員、よろしいでしょうか。

【坂本委員】今、お話がそのとおりだと思いますので、お話がございましたように、発生源粒子の測定、エミッションインベントリがまさに凝縮性粒子も含めた形できちんと測定をされないと、その後のモデルに使えるものにならない。それから、これまで、ガス粒子エコーは、ナイトレートとか、そういうものについては相当注意が払われてやられているけれども、有機成分についてはやられていなくて、トータルのカーボンとして見られている部分を分子ベースでこれからはある意味で測定をしていくことによって、そこから(3)のほうのマーカーに相当するようなものが出てきたりして、全体の組成をつかむことによって、検証に値するようなデータが出てくるんだというふうに思います。

 そういう意味では、この大気環境モニタリングの充実は、どちらかというと常時監視的な発想だけなんですけれども、成分分析のところも、きちんとした組成をつかむような測定がどこかでなされるのが非常に今後役に立つというふうに思いますので、その辺もお考えいただけると、今後の対策に意味があるのではないかというふうに思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ここに(1)から(4)まで項目等を個別に整理されておりますが、これらの項目については、お互いに密接に連携して仕事をしていく必要があると私も考えております。坂本委員、ご指摘いただきありがとうございました。

 それから、(3)番目の推進費の有機マーカー成分に関わるところにつきましては、また後日、ご説明いただければと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

【柴田委員】 発生源インベントリの件でございますが、我々は、経産省の補助で、JATOP/JCAPで10数年来、大気予測の研究をしていますが、エミッションインベントリや発生源プロファイルは、日本のナショナルのものがなくて、我々も、苦労してつくって予測計算をしてきました。そういったことを踏まえると、今年つくっていただくことを非常に期待していますが、インベントリというのは、今年つくったらそれで終わりではなくて、定期的にあるピッチで更新していくというような形が必要だと思いますので、ぜひ、そういう体制になるような形に進めていただけると、我々としてもありがたいと思っています。

 それから、もう一つ、インベントリに関して、排出原単位のような測定みたいな話とは別に、日本の場合にはいろんな発生源がございますので、全ての発生源をはかるわけにいかないので、いろんな統計量を使って活動量を算出して推計しています。我々の経験からお話しすると、我々は、2000年、2005年、2010年、のインベントリーを必要に迫られてつくってきたわけですが、統計値が、同じような統計があっても、統計の調査をされる項目がちょっとずつ変わってきて、今までやってきた形と同じような形でインベントリを更新していけないという不具合もあります。そういったところも少し考えて対応いただけると更に良くなると思っています。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 日本には温室効果ガスに関するインベントリがありますが、大気汚染物質に関するナショナルインベントリがないという状況の中におきまして、PM2.5に関わる対策を進める上で、ナショナルインベントリをつくる、更新する、それから、その不確実性を評価することは非常に重要な仕事と考えておりますので、ぜひ、この場でもいずれ詳細に議論、検討をできればと考えている次第であります。

 環境省事務局のほうから、何かございますか。よろしいですか。ありがとうございます。

 ほかには、もう一つぐらいいかがでしょうか。

【奈良委員】 すみません、一つだけ。最後のほうの着地点のところだけ、少し確認させてください。

 最終的に、国内における排出抑制策のあり方を取りまとめるということを今お聞きしましたわけですけども、今回のいろいろ取組を見ますと、平成26年度から複数年度の計画で、これからまた取組も加速されるようなお話を伺いましたけども、今、現時点でそこそこ、いわゆる基本的な方針といいますか、戦略的なところを今回取りまとめられるということで、その戦略を蓄積するために、いわゆる戦術とかというのは、また26年以降、来年以降、再来年、そういったのも蓄積された段階で、方針も見直しながら、またその戦略を実行するための戦術というのは別のところでまた掘り下げていくという、こういった理解でよろしいでしょうか。ちょっと確認させてくださいませ。

【大原委員長】 それでは、事務局からお願いします。

【中村課長補佐】 戦略なのか戦術なのかというところだと思うんですけれども、まず、26年度に、今ご指摘いただいたとおり、現象解明の精緻化については、まだまだ継続的にやっていかなくてはいけなくて、まだ精緻化の途上の段階であるということであることは、それはもう間違いないと思います。

 ただ、その中で、どういったデータが得られて、どういった解析が行われて、そういった解析の中身とかを見ることによって、今ご指摘いただいたとおり、戦略のようなものをまとめるのが妥当だということになるかもしれないですし、もしかしたら、そもそもモデルというか、精緻化の熟度を加味した上で戦術のようなものも、もしかしたら何か見出せるかもしれない。そこについては、今、走りながらモデルの現象解明の精緻化が行われておりますので、現時点で戦略を立てられる、ないしは戦術を立てられるかどうかというのは、まだここの場で断言はできないのですけれども、いずれにしても、PM2.5対策というものを少しでも前進させていかなくてはいけないというふうに考えてございますので、そこにつながるようなものを今年度中にお取りまとめいただきたいなというふうに考えてございます。

【小林局長】 若干補足してですが、今、国内のPM2.5の濃度は、継続的に下がってきているのかなというふうに思っております。それで、PM2.5というのは、環境基準を平成21年度につくりまして、ですので、そこに焦点を当てての対策という意味では、これからということにはなるのかもしれませんが、PMの対策自体は、SPMの長らくいろんなところでご尽力いただいてやってきておりますので、そういう中で、PM2.5についても、対策というものも現に講じられているんだろうと思います。そういう意味で、PM2.5に焦点を当てて、今やられていることの効果、今でも、あるいは、例えば、将来的に継続していく、効果が継続していく対策もあると思うんですね。そういうものはしっかりよく見て、その上で、環境基準の達成率自体は、非常に、まだ残念ながら3割という低いところにありますし、アジアの空を意識してやっていこうということで、ぜひ日本はリーダーシップをとっていこうと思っていますので、そういう意味でいろいろ技術的な、あるいは科学的な対応というものは日進月歩ですので、皆様方の英知を結集して、先取りしているところがあれば戦略的にやっていくというのが、環境のためにもいいと思いますし、いろんな意味で日本の技術をアジアに広めていくという意味でも効果的だと思いますので、ぜひそういう広い視野で、この点については随時ご意見をいただいて、先取り、あるいは前向きにやっていくというような形で考えていければありがたいなと思っておりますので、ぜひ、引き続きよろしくお願いいたします。

【大原委員長】 活発なご議論をいただき、ありがとうございました。

 予定の時間になりましたので、議題の(1)はこれで終わらせていただきたいと思います。

 事務局につきましては、各委員よりいただきました貴重なご意見、これを参考にしながら各事業に取り組んでいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 それでは、議題の(2)に移らせていただきます。

 議題の(2)は、PM2.5の越境大気汚染の寄与についてということでございまして、この議題につきましては、国内で第一人者として研究を進めておられる金谷委員と鵜野委員から、これまでの研究成果をご紹介していただきまして、最新の知見を皆様と共有したいと考えております。

 なお、質疑応答につきましては、お二人のご説明が終わってから、まとめてお受けしたいと考えておりますので、よろしくご協力をお願いしたいと思います。

 それでは、まず金谷委員からご説明をお願いいたします。資料3になろうかと思います。お願いします。

【金谷委員】 では、資料3をご覧いただければと思います。こちらは前回の第1回の会合、3月12日のときにも配らせていただいたものを若干改訂させていただいたものになります。さらに、もとになってございますのは、1ページ目の右上に書いてございますように、環境省の環境研究総合推進費S-7-1というものの成果を、一般の国民の皆様にもご理解いただくために開かれました、「越境大気汚染への挑戦2013」という一般公開シンポジウムでの発表資料を改訂させていただいたものになっております。

 今申し上げましたように、S-7という推進費、戦略課題を5年間実行してまいりまして、この3月でそれが終了したというところで、そこから得られた知見をある程度まとめたものになってございます。

 「日本のPM2.5はどこからくるか」というタイトルで、特に越境汚染の寄与がどのくらいあるかといったことを、モデルシミュレーションをもとに出したものを紹介しております。

 ちょっと枚数が多いので、かいつまんで15分ぐらいにおさまるようにご説明していきたいと思いますけれども、ちょっと進んでいただいて、各ページの右下にグレーの数字でページ数が書いてございますけれども、5ページ目のところからご説明させていただければと思います。

 私たち、越境大気汚染のいわば入り口のような地域にあります九州の西方の福江島というところで観測所を設けまして、2009年、このプロジェクトの始まった年ですけれども、2009年から継続的にPM2.5の計測をしてまいりました。福江島というところは、この地図、左側の地図にございますような地点でありまして、福江のまちよりも西方のほうにある、できるだけ近傍の汚染の影響のない地点に観測所を設置しております。こちらは、私ども海洋研究開発機構だけではなくて、千葉大学、国立環境研究所のほうがむしろ主導して計測を、大気中の微量成分及び放射能測定などをしているところに私たちのPM2.5の測定装置も置かせていただいている状況になっております。

 そちらでの結果が6ページ目のところにございまして、まずは、ちょうど2009年という年は環境基準が告示された年でもありまして、それから1年間のデータだけを使って、まず速報として結果をまとめたものが、まず、6ページ目の左側に示されております。その結果、1日平均値35μg/?以下という環境基準がございますけれども、それを、こういった離島でさえその基準を超過してしまっているということを2010年に私どもで報告させていただいた図になります。

 左側が、そのPM2.5の濃度を濃度ランク別に区分しまして、ヒストグラムの形で日数、この濃度ランクのものが何日あるかといったことを1年間のデータに関して示したものになっております。こちらで見ますと、20とか10とか、非常に低い濃度の範囲の日の率が非常に大きいわけですけれども、それに対して、35を超える斜線を引いたところの棒グラフでございますけれども、そちらの日数もかなり多いというところで、この1年間に関して言いますと、26日間超過が見られたということであります。詳しく環境基準を読みますと、98パーセンタイルで評価をするということがございまして、上位の2%、すなわち1年間で365日に対応しますと7日ぐらいまでは、35以上あっても直ちに環境基準を超過ということにはならないわけですけれども、このように26日の超過日数があったということで、明らかに環境基準を超過したというふうに判定されました。

 その状況については、右上の図にございますように、福江島から、後方流跡線解析と申しまして、気象場を遡って、風がどちらから吹いてきたかといった情報を遡って調べる手法がございますけれども、それによる結果が、この青い線で、35を超えた高濃度日に関して後方流跡線解析をしたものが載っておりますけれども、概して、中国大陸側からこういう汚染、気塊がやってきているということで、高濃度日は主に大陸方向からの気塊の影響を受けているということもわかってまいりました。

 これは1年間の結果として最初に取りまとめたものではございましたけれども、その後、このプロジェクトの中で5年間にわたりましてPM2.5の計測結果をまとめたものが、右下の図になっております。各点は、各月の月平均値で示しております。

 今申し上げたように、2009年、2010年という、この青いようなデータをもとに最初の報告をしたわけですけれども、その5年間、2014年の3月までのデータをお示ししておりますけれども、それを見ても、この2009年、2010年というのも、非常に特異的な年であったわけでもなく、また、ほかの年もほぼ同じようなレンジに入りながら、ただ、年々の変動は大きいですけれども、そのような季節変動、特に、夏に小さくなるような季節変動、ほかの季節には高いような、平均的な季節変動の幅の中に入っているような変動をしているということが見てとれます。

 さらに申し上げますと、2013年の1月というときに、中国でかなり高濃度の汚染があるということが報道されたわけですけれども、その2013年の1月、福江島でどうだったでしょうかということを見ますと、このオレンジ色の1月のところに、ピンク色の点線で囲った点がその月に相当する値なわけですけれども、その値は極めてほかの年と比べて高いわけでもないと、低いわけでもないという、平均的な範囲におさまっているということが見てとれるかと思います。したがいまして、左側にも書いてございますけれども、さらに、あと5年間で急増しているわけでもないというところも見てとれるかと思います。2013年1月も、例年と大差はないというところで、これは平均濃度で見た場合ですけれども、高濃度日の日数で見ても、突出してこの年が高いわけではありませんでした。

 したがいまして、急に騒ぐということではなくて、10年規模でこういった現象を注視していく必要があると。10年で済むかどうかわかりませんけれども、そのぐらいの長い規模で見ていく必要があるのではないかということを示しております。

 少し進んでいただき、7ページ目は、これはもう私から申し上げるべきことでもないですけれども、今、私たちはどうしても福江島というところに重点的な観測を設けたことで、皆様にお伝えするのに、偏った情報が入ると、なかなか正しい情報が伝わらないというところもありました関係で、全国的な状況も、私たちからもお伝えしてまいっているところでございます。こちらは、ご覧のとおり、環境省から出ておりますPM2.5の基準の達成状況の図になっておりまして、2010年、2011年と、この3月に新しく出た2012年のを今回ちょっとまとめてみましたけれども、いずれにおきましても、西日本で概して非達成である地域が広がっていると。それに加えて、関東もやや高いという状況かと思います。測定局数は、先ほどありましたように、徐々に、年度を追うごとに増えてまいっておりますけれども、達成率は3割から4割ぐらいというところにとどまっているということで、ご紹介を私どもからもしております。

 首都圏では、8ページにありますように、徐々にPM2.5は下がってきているような傾向もあるということもありますし、9ページのところでは、ただ、去年の梅雨明け直後の7月の機会には、この左側の図がちょっと濃度が低い瞬間の図で、棒がとまってしまっておりますけれども、繰り返し繰り返し、梅雨が明けて太平洋高気圧が支配的で、大陸風がかなり卓越するようなときに、関東では汚染が徐々に、昼出たものが、1回、夜には陸風によって海に押し出されるものの、翌日、昼にまた海風によって首都圏に戻ってくるようなことが繰り返し起きまして、大気汚染が蓄積するような状況が発生しますと、夏季には、PM2.5の汚染というのもローカルに関東地域でも起きるというようなこともあるということなどもご紹介をしております。

 したがいまして、越境大気汚染、当然、西日本では影響が大きいわけですけれども、関東などのことも含めまして、全体的に、どこから来ている、どれだけ来ているのかということを把握することが重要であるということに問題を設定いたしまして、次のページからの説明をしております。

 10ページのところにございますように、観測とモデルシミュレーションをうまくS-7-1というプロジェクトでは組み合わせて、どこからどれだけ来るのかというシミュレーションをしました。モデルシミュレーションでは、最新のデータを組み込んで、どこからどれだけというような答えは出せるのですけれども、信頼性の検証というのがなかなか十分ではないところもありますので、観測と組み合わせましょうというスタンスに立って研究をしてまいりました。

 進んでいただいて、14ページのところをご覧いただけますでしょうか。

 私どもは、福江島だけではなくて、中国、韓国のグループとも協力いたしまして、上海の北の郊外の地域である如東(Rudong)というところ、あるいは韓国の済州島というところでも、PM2.5の総量及び各成分の測定というのを行ってまいりました。

 福江島では、14ページの左上の棒グラフにありますように、Total PM2.5と書いてございます連続モニタの値よりは、恐らく水分の影響で、各成分の積み上げというのはやや低くなっておりますけれども、硫酸、アンモニウム、有機物、有機エアロゾルですか。この緑色のところ。これが主な成分となっているということが明らかになっておりまして、モデルとしても、このぐらいの再現性があるというところでございます。

 先ほど来からご指摘のとおり、有機エアロゾルに関しては、非常に再現性が今のモデルの大きな課題になっているというところでございまして、同じような傾向が、如東や済州島でもあります。緑のところが、モデルのほうが小さいという関係ですけれども、それによって、1/5ぐらいしかモデルのほうが表現されていないということで、未知の成分があるのではないか、あるいは二次生成がうまく表現されていないのではないかというところに関して、今後も検討が必要だということです。これは日本だけの問題ではなくて、中国、韓国で観測を再現する上でも、非常に重要な課題になっております。

 進んでいただいて、16ページのところでは、最新の排出インベントリを考慮いたしまして、モデルシミュレーションとしても、残念ながらVBSに関してはこの時点では入れていないものでありますけれども、CMAQと呼ばれます領域規模の化学輸送モデルにおいてPM2.5を表現したものと、観測値を、2010年の平均値ですけれども、それを比較したものがこの図になっております。ここでは、先ほどの水分や有機物の影響でモデルのほうがやや低い値にはなっておりますけれども、西日本から東日本にかけて濃度が低減していくような状況に関して、及び右下に示しておりますような月平均値の変化などは、モデルでも非常によく再現されているということがわかりました。

 それを踏まえて、17ページのところで、これは、どこからどれだけ日本がPM2.5の地域の影響を受けているのかといったことをまとめた、最も重要な表ということになるわけですけれども、これは先日、3月12日にご紹介したものと数字は変わっておりませんけれども、西日本地域、九州から近畿地方にかけては、5割から6割、中国からの寄与があるのではないか、あるいは、関東地域に関して言いますと、日本の影響が51%ということで、中国の寄与は39という数字が書いてありますけれども、それよりも日本の影響のほうが大きいのではないかといったことを私たちは結果として得ることができました。

 しかしながら、このモデルにはさまざまな限界がございまして、80kmメッシュでのモデルで評価をしているために、都市の内部での寄与率ということを十分に解像できているわけではないという点ですとか、あるいは、これは初めてのモデル計算による試算結果ということになりますので、今後、複数のモデル比較をすることによって、不確かさの幅を抑えていくことが必要であろうということになります。

 高濃度日に着目いたしましても、寄与率というのは、18ページに書いてございますように、東京周辺、九州でそれぞれ表現しておりますけれども、先ほどの17ページで申し上げた平均的な値とあまり大きく変わらないという結果も得ました。

 さらに行きまして、18ページのところでは、じゃあ、今度はどのくらい、仮にですけれども、モデル計算の中で排出量を20%削減したときにどれだけ濃度が下がりますか、環境基準を満たせますかといった計算をしたものです。これは福江での計算をしたものですけれども、20%を仮に中国、韓国で削減すると、割と国内の濃度も、少なくとも福江では20%近く下がって、かなり改善も見られるのではないかといったことを表現しています。

 PMの話は、そんな寄与率なわけですけれども、オゾンとか対比してどうかというところで、21ページのところにオゾンの結果が書いてあります。

 オゾンは、春季に特に高濃度になりやすいという結果が越境大気汚染では出ているわけですけれども、そのときの寄与率で見ても、日本では中国からの越境の寄与率が平均的に12%ということで、PMの値はかなり低くなります。この特徴は、PM2.5のほうが大気中での存在している時間というのが短いということがありまして、オゾンは、より遠くから、ヨーロッパから、あるいはアメリカからも、遠くから飛んでくるという寄与率もありますので、相対的にPMのほうは中国からの寄与率が大きく出るということもあろうかということが見出されました。

 一方、対策の側から言いますと、PMに関しては中国が圧倒的に恐らく支配的な要因になっているというところもありますので、そこへの対策が重点的にとられれば、ある程度改善も見られる可能性があると。一方、オゾンのほうは、中国一辺倒の対策では、なかなか改善していくことは難しいといったような関係になってくるというところもあります。

 最後に、ちょっと時間を使わせていただいて、23ページ以降のもうちょっと踏み込んだ解析結果についても、簡単にご紹介できればと思います。

 こちらは、さらにモデルシミュレーションの中で、どの地域からということに加えて、どういった発生部門から出ている前駆物質がPM2.5なりオゾンなりに影響していますかといった、もう一歩踏み込んだ解析をしていることになります。ここでは家庭・産業・発電・輸送といった4部門に分けて、排出量をモデルの中で操作してあげることによって、その寄与率を出したものです。

 24ページのところでは、オゾンに関して、しかも、日本での高濃度イベントを減らすには、どこのどの部門のものを減らしたらよいかといった計算結果をまとめて示しているものです。左側の積み上げの棒グラフを見ていただければいいのですけれども、こちらによりますと、日本でのオゾンの高濃度現象を抑えるためには、日本のこの棒が大きいということは、その削減効果が大きいということなんですけれども、日本の輸送部門及び産業、このグレーやブルーのところを減らすことが意味があると。それに次いで、中国の北部での産業・発電というところも重要ではないかといった結果も得られております。

 25ページのところでは、同じことを、今度は日本の高濃度イベントではなくて、中国中東部での高濃度イベントを減らすにはといった関係で見たものです。その結果もほぼ同様でして、もちろん日本の削減にはあまり見出せませんけれども、中国北部で言いますと、中国北部の発電及び産業の部分を減らすことが意義があるということであります。

 同じことをPM2.5に対して行ったのが、26、27ページにございまして、まず、26ページのPM2.5の日本域での高濃度イベントを減らすには、今度はオゾンの部分と対応して、24ページと対比して見ていただければわかるんですけども、日本で減らすことにはあまりPMの場合は意味があまり大きくないという結果がここでは出てきています。一方、中国の北部での影響を取り除くということが非常に重要だと。その場合のセクターとしては、発電・産業というところが重要であるというところになっています。

 めくっていただいて、27ページでは、同じことをPMに関して、中国中東部での影響というのを見ているところですけども、中国北部での発電・産業の部門の削減に意味があるということを見出しております。このことは、日本の高濃度日を減らすのと同じ対策で中国中東部自身の対策も進むというところでありますので、中国の方にも同じ、例えば発電・産業に関して対策をとってくださいと。そうすると、日本のところもある程度一緒に下がってくるのではないかといったことを示唆する結果になっております。

 ただし、これは非常に高度なシミュレーションでありまして、細かく発生源というのを分割してシミュレーションしておりますので、それぞれの不確かさの影響が非常に大きいというところがありますので、ここでは参考として捉えていただいて、今後、複数の同じようなモデル、シミュレーションでの結果及び観測からの寄与率の解析の結果などとの整合性を見ていく必要があるというところであると思います。

 ちょっと時間が超過しましたけれども、説明はここまでにさせていただきたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 引き続きまして、鵜野委員からご説明をお願いいたします。資料4になろうかと思います。

【鵜野委員】 それでは、ご説明いたします。

 PM2.5に関わる化学輸送モデルの現状と問題点というふうにしています。これからお話しする内容は、昨年の1月の中国を例とした化学輸送モデルを用いた場合に、どれぐらいPM2.5の再現性があるかと、またアンモニアガスがどれぐらいPM2.5の形成に重要であろうかということのモデルの解析の結果、モデルの現状のまとめ、あと、モデルの不確実性を低減するためにはどのようなことをしなくちゃいけないかということについて、思いついたことというか、考えていることをまとめました。

 2番目のスライドは、越境輸送モデルの概念と必要な「パーツ」の不確実さと書いていますけども、下のほうの絵は、大気汚染の化学輸送モデルが構成されている要因・要素を描いています。発生、反応、輸送とか、沈着の過程が描いていますけども、各成分について、発生、湿性除去、鉛直輸送、化学反応、それらを含めてどれぐらい不確実性があるのかということについて、アイオワ大学のCarmichael教授というのが論文にまとめているのが赤い線で囲ったところです。SO4(硫酸塩)については、発生は1.3、湿性除去が1.3、鉛直輸送が1.5、化学反応過程が1.3、全部合わせると1.8と。80%ぐらい不確実性があるというふうに考えるんだと思いますけど、そのようなことがリストされています。当然、黄砂ですとか、海塩粒子は、発生過程が非常に複雑でわからないですから、不確実性が高いことになります。モデルでは、PM2.5というのは直接計算しているわけじゃなくて、いろいろな化学成分のシミュレーション結果を足し算していますから、不確実性も全部足し算されていると。非常に複雑なことになると思います。Carmichael教授の表の中にはなかった硝酸塩ですとか、アンモニウム塩については、特にアンモニウム、これはアンモニアが後で出てきますけれども、発生については物すごく不確実です。ですから、不確実性としては非常に高いというようなことになります。

 2枚目、今使っているモデルとしてはどんなものがあって、どんなことなんですかと。先ほどから出てきた金谷さんの話ですとか、国立環境研で運用されているVENUSというモデルの中で使われているのは、CMAQというアメリカ製のモデルです。今日お話しするのは、ハーバード大学のグループが使っているGEOS CHEMというモデルを使ったらどうなるかという結果です。CMAQの結果とGEOS CHEMの結果は、基本的にほとんど同じような結果が出てきます。私がやっている計算はGEOS CHEMで、全球モデルなんですけども、アジア域を50km格子、ですから、CMAQとほとんど同じような格子を使って計算をしています。発生源データについても、大原先生のグループがつくっているREAS2というバージョンのエミッションインベントリがあります。それを使っていたり、化学反応過程も50成分ぐらいのものを扱っていて、その中には二次生成のSOAと言われるものも再現できるようなモジュールも含まれています。ですから、基本的な性能はCMAQとほとんど同じということというふうに私は理解しています。このモデルを使って、2013年の非常に問題になった1月のシミュレーションをしています。

 4枚目のスライドが、北京、上海、福岡と書いていますけど、観測は、北京と上海はアメリカ大使館・領事館のPM2.5のものです。福岡は、福岡市の4局の中央値を使っていると思います。観測はPM2.5の濃度しかないんですけども、モデルでは組成が出てきますから、組成を硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩という、組成を積み上げた形で書いています。北京も上海も福岡も、横の濃度スケール、ちょっと見づらいんですけども、北京が非常に高くて、600μgを日平均で超えるような例もあります。ぱっと見た感じ、モデルは観測された点線のPM2.5の日変化が大体再現できていると。大体再現できている。一番下は、中国の大気物理研究所のグループが測定している硫酸塩の時系列をモデルと比べた結果が出ています。赤が観測で、黒がモデルだと思います。硫酸塩濃度については大体いいところが。最後の30日ごろがちょっとうまくいかないですけども、それは気象モデルの精度がちょっと問題だというふうに考えています。一応、どの地点についても大体、相関係数は0.78ぐらいなので、濃度レベルは、モードよりは非常にまだ過小なんですけども、高い・低いのめり張りについては、大体再現できている。このことは、金谷さんのモデルについても、CMAQについても、同じことが多分言えると思います。モデルをやる上で、シミュレーションの結果を解釈する上で非常にうまくいかないと。例えば北京の1月の12、13のころは観測が600μgぐらいあるんですけれども、モデル計算は200前後ぐらいまでしか再現できないですね。それについて、5ページ目の絵で少し解説しているんですけれども、モデルのシミュレーションは鉛直の格子が100mぐらいなんですね。モデル計算で見ると、非常に低いところに硫酸塩が固まっている。まだ公表されていないんですけれども、大気物理研で設置しているライダーのデータ、ライダー観測の結果というのがありまして、それを見ても非常に低いところに硫酸塩粒子が、PMがたまっている。ですから、モデル、現状100m格子では絶対こういうことは再現できなくて、鉛直解像度をかなり細かくしないとできない。ですから、非常に高いところの再現をするには、水平解像度のほかに鉛直解像度も上げていかないとできない。ただし、高い低いのめり張りはまだ見える、ということが今までの解析でわかっています。

 6枚目のスライドが、モデル計算は10年スケールで計算しています。2012年と13年あって、排出量全く同じに計算してみて、入れてみて、気象条件だけ変えたときにどういうことが起こるかで見ています。6枚目のスライドの上段が2012年1月、真ん中にあるのが2013年1月です。ですから、排出量全く同じで、色のつき方が全然違って、2013年1月のほうが非常に高くなっています。これはどういうことかというと、2013年の気象条件がPM2.5の濃度を非常に高くしやすい。非常に特異的な気象条件であったということになります。下のほうの図側に、2013年の濃度と2012年の濃度、差をとっています。ですから、気象条件の違いだけで非常に高濃度が北京を、華北平原ですか、その辺に存在しているということがわかります。ですから、気象条件、年々変化を含めた気象モデルの再現性がPMの濃度を再現する上で非常に重要であろうということがわかります。

 次は、あと、先ほど申し上げましたけれども、アンモニアガスの排出量が非常に不確実です。大原先生のグループのエミッションインベントリ、アンモニアもあるんですけれども、アンモニアは非常に季節変化の与え方が非常に難しいです。季節変化を与えないと、冬に排出量が多分多くなって、アンモニアガスと硝酸ガスと硝酸アンモニウムの平衡関係が非常に難しいところにいきます。アンモニアが非常に多いと、夏でもアンモニウムイオンが粒子化しちゃいます。ですから、そこの与え方をどうするのか。あと、排出量をどうするのかというのが非常にわからない。現状で一番信頼できそうなのは、中国の人が出している7枚目のスライドの左側にあるような、季節変化を与えたエミッションのインベントリが多分一番信用できるのではないかというふうに言われていますので、それをもとにモデル計算をしてみます。

 それが8枚目のスライド、北京のシミュレーション、これは2010年のシミュレーションをしています。赤い線がアメリカ大使館のPM2.5の濃度。モデルを積み上げたのが色でずっと積み上げたところで、ぱっと見ると濃度の高い低いは大体うまく再現するんですね。ただ、物すごく高いところはやっぱり再現できない。硫酸塩イオンは大体モデルがうまくいっていると思います。夏でも非常に高い硫酸塩イオン。モデル計算、このまま見ると、硝酸粒子が非常に高い濃度になっています。これは先ほど申し上げたアンモニアガスの与え方によって硝酸ガスが硝酸粒子になりやすい。ですから、ここの与え方によってアンモニアが、アンモニア粒子、アンモニウムイオンがどちらに振れるのかというのは非常に重要な問題になっています。ここ、まだこれぐらいの排出量が十分であろうかというのがまだちょっとよくわかっていません。

 その辺を漫画チックに書いたのが9枚目の絵で、アンモニアは農業生産とかいろいろなところから出てくるんですけれども、それが増えてくると、今までガスであった硝酸ガスが粒子化する方向に行きます。ですから、それを、PM2.5はアンモニウムイオン、硝酸粒子全部入っていますから、どれぐらいの感度があるのかというのを見極めなくちゃいけない。中国のアンモニアの排出量は、多分、農業生産とか増えていますから排出量としては増えていると思いますけど、その把握はまだわかっていない。中国で多分、硝酸ガスが硝酸粒子になると思います。それがどの程度まで日本に輸送されてきて、日本のPM2.5、先ほど金谷さんの話ではPM、越境の割合が西日本だったら5割とか6割あって多くありましたけれども、そのうちの中の組成がどうなのかというのはまだよくわからないというところがあります。

 10枚目のスライドは、最近、エアロゾルの自動分析装置というのを使って、1時間ごとにエアロゾルの測定をしています。これは1月の例だと思いますけれども、福岡ですと、硝酸ガス、硝酸粒子が高くなるとき、ほとんど越境です。越境汚染で硝酸粒子が、この日はPM2.5の濃度が1月13日ごろは50、60で非常に高いレベルです。そのときの硫酸粒子は15μg動いています。それとほとんど同じ形で硝酸ガス、硝酸粒子ですか、それが10μgぐらいのレベルになっていますから、多分、福岡市自身でもNOX出していますから、福岡市で排出されたものが硝酸粒子になる割合はあると思いますが、ほとんど同期していて、硝酸塩粒子の寄与が大きいということですので、今までモデルではあまり硝酸粒子の割合、あまり注意していなかったんですけども、こういう観測とあわせてエアロゾルの組成の変化がどうなるのかが非常に重要だと思います。硫酸、SO2の排出量は中国では火力発電所に脱硫装置の普及がある程度進んでいますから減っていると思うんですが、NOXは多分増えていると思いますから、NOXの増加に伴って硝酸粒子が増えて、それが経年的にどういう変化をしているのかというのはよく考える必要があるのではないかというのが測定の結果からわかったことです。

 最後、現状と課題みたいなものをまとめています。モデルの現状のまとめ、11枚目なんですけど、モデルはPM2.5の面的な時間的な変化はほぼ再現できます。濃度が高くなりそうかとか、どの範囲まで広がっているかというのは多分再現できます。PM2.5の濃度は、観測で見ると20~30%ぐらい過小です。その11枚目の図が入っていますけど、これは昨年、国立環境研究所の記者発表の図なんですけども、観測点と比べても2割~3割ぐらい低い。先ほどの金谷さんの話でも同じぐらい、もうちょっとかもしれません、ちょっとモデルのほうは過小です。昨年の1月についてまとめると、いわゆる「激甚汚染」なんですけど、気象要素の影響が非常に大きいということがわかっています。あと、これは金谷さんが、越境の寄与が5割ぐらいだという。5ポツ目も、先ほどの金谷さんのやつをもう一回言い直していますけれども、排出量削減の目安を与えることはある程度可能である。あと、可能性があるのは、観測されたガスとかエアロゾルの濃度をもとに、排出量がどれぐらいあるべきかというのを逆推定する方法が逐次、開発が進んでいますので、例えば硫酸塩の濃度がどれぐらいだと、どの辺の排出量がどれぐらいでなくてはいけないかというソースレセプターの関係を使った解析が可能ですから、それをいろんな成分について展開することが可能だと思います。

 あと、モデルの現状と課題なんですけれども、一番の課題は、中国の排出量の推計が直近で2010年までしかないです。ですから10年以降の計算をしようとすると、ある程度の仮定を置いて計算しなくちゃいけない。ですから、排出量の整備、国内も重要なんですけれども、海外の排出量がどれぐらいなのかというのが非常に重要になってきます。アンモニアの排出量が非常に難しい。ここをどうやって与えるかが非常に重要だということです。あとは、PM2.5の再現性を上げるには、モデルの鉛直解像度を上げる必要がある。気象条件もうまくシミュレーションできていなくてはいけないということがあります。

 不確実性を減らすためにというのを簡単にまとめていますけれども、越境の寄与とか国内起源の寄与はモデルの精緻化、先ほどの資料にもあったと思いますけど、それが重要である。

 あと、硝酸塩をもう一回見直す必要がある。

 2010年以降の排出量の求め直し。

 あと、モデルのPM2.5は過小なんですけれども、有機エアロゾルとか、先ほどから出ていますが、その原因をもっと詰める必要がある。

 あとは、国内はエアロゾルの組成データはある程度入手できるんですけれども、やっぱり越境の寄与が非常に大きいですから、中国国内の組成のデータがどれぐらいのモデルで再現できるのかを考える必要がある。

 あとは、観測データとして、地上のデータ、日本国内はたくさんあるんですけれども、ライダーですとか地上設置型の粒子カウンターの利用が非常に有効です。特に今は黄砂ライダーネットワークというのが活用されているんですけど、黄砂ライダーネットワークは、大気汚染粒子も分離してはかることができますから、PM2.5ライダーネットワークみたいな形に変更が可能です。ライダーは10カ所以上設置されていますから、このデータをモデルとうまく使うというのが非常に重要です。

 あとは、衛星データの活用、面的にどれぐらいエアロゾルが分布していて、どう流れてくるのかというのは、衛星データを活用すると非常にモデルの精緻化につながりますので、この辺を含めて観測とモデルを連携した不確実さを減らすような方向に進むのが重要だと思っています。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの金谷委員、鵜野委員のご説明につきまして、ご質問、ご意見等ありましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

【河野委員】 すみません、ちょっと細かい質問なんですけれども、鵜野先生の今のご発表なんですが、例えばそれを有名な東京都の資料での、どうやって生成されるかというのは、これはたまたま金谷先生の資料3の4ページ目にあって、これはどこでも、東京都が最初に昔つくって、いろいろなところで使われている図なんですけれど、この図の中に硝酸及びアンモニウムのところを入れるとすると、どこにどういうふうに入ってくるということになるのでしょうか。つまり大きく見て、PM2.5がどうやってできるのかという図が、東京都がつくった図というのが、このたまたま金谷先生の図の4ページ目にあるんですけれど、さっきご指摘の硝酸塩であるとかアンモニア、あるいは農業活動といったことがちょっとご指摘というか、今、ご研究の中にあったと思うんですが、例えばこの4ページ目の人為起源の図の中にはもちろん農業活動みたいなのってあまり、これはあくまでも一つのポンチ絵なのでないと思うんですけれど、こういう図の中に入れ込むとすると、どこに入ってくるようなことになるのでしょうかという質問なんですが。

【大原委員長】 私からお答えしたいと思いますが。この金谷委員の資料の4枚目の図には、アンモニアがダイレクトには入ってきていません。ただ、この中の黄色い部分ですね、硫黄酸化物SOXが化学反応で二次生成してPM2.5になるプロセスにつきましては、具体的には粒子で言うと硫酸塩ができますが、その硫酸塩ができるときにアンモニアが関係する。それから、その左のほうの窒素酸化物が化学反応で二次生成して硝酸塩になるプロセスについては、硝酸塩になるときにアンモニアが関係する。そのような意味合いであります。で、よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでしょうか。

【坂本委員】 今のお話で、昨年の1月12・13ぐらいですか、そこの高濃度のところの現象として、最近のペーパーで、NOXと、それから粒子がSO2の酸化を促進する条件が起こっていて、そして、サルフェイトが非常に高濃度になったのではないかというのを、チャンバーのモデル実験等を使って示している論文が最近出ている。なぜそういうことがあり得るかというと、いろんなこれまでの汚染の形態の起こり方としては、石炭由来の汚染である程度そういうものが一段落して窒素酸化物関連の汚染という形ができているんだけども、中国の場合には、石炭由来と、それから窒素酸化物由来の汚染が同時に起こっていることによって少し特別な反応が促進されるような触媒反応があるのではないかというようなものも出ていますので、少しメカニズムの点では別の観点を入れて見ていく必要があるのかなという気がいたします。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

【梶井委員】 先ほどの鵜野先生の垂直分解能のことでちょっとお聞きしたいんですけれども、100mぐらいの分解能だと、どうしても高濃度の現象なのが説明ができないと、そういうお話だったんですけれども、それが例えば越境して我が国に飛来してくるところまで含めて考えたときに、どのぐらいまで垂直分解能を上げておくと、ある程度再現ができるのか、それとも、そういうことをしてもあまり意味がないのか、その辺はお考えがありましたらちょっと教えていただきたいと。

【鵜野委員】 今、モデルを大体100mにしていますから、100mで薄まった形で計算しています。それを20m、30mにすると、下のほうの濃度が3倍とか4倍で再現するようになります。それは排出量の非常に大きいところは物すごく効きますけれども、ある程度流れてくる過程では上流方向にまざりますから、日本の再現を考える場合には、全域を全部細かく必要は多分なくて、排出量の高いところは鉛直を少し細かくしなくちゃいけないと思いますけど、中国から日本に流れてくる過程を考えると、全域を細かくする必要がなくて、100は多分まだ大きいと思いますけど、下は多分50mぐらいにして、中国は少し細かくするというような、複雑なネスティングになりますけど、それで多分解決するのではないかというふうに考えています。

【大原委員長】 梶井委員、よろしいですか。

 もう一つぐらい、どうぞ。

【飯田委員】 金谷先生にお伺いしたいんですが、26ページのご説明いただいたスライドで、これは日本中央部に対して各セクターの寄与というのを計算していただいている。その中で、家庭、輸送、産業、発電という分類をしていただいているんですが、まず、この輸送は運輸部門という理解でよろしいですかということと、それから、26ページの図だけが、なぜ中国北部、中国南部の寄与が、輸送のところがほぼゼロになっているのかという、これの原因について教えていただきたいと思います。

【金谷委員】 1点目に関しては、輸送部門というところには自動車などの排出が含まれているという理解で間違いないと思います。結果、私たちも詳細になぜかというところまでちょっとまだ踏み込めていないところはありますけれども、相対的に見て、ほかの部門も影響が大きいという結果が出て、まずは結果として出たというところだと思います。

 大原先生、何かありましたら。

【飯田委員】 素人の考えでは、やはりサルファーと、それから窒素酸化物、これだけ寄与率がゼロになるようなといったことは、日本への拡散の過程の中で、これらの原因物質が全て寄与率がなくなるという、そういう理解を示しているんだと思うんですが、その辺の解析、中身の分析をされていましたら、ちょっとお教えいただきたかったんですけれども。

【金谷委員】 次の27ページのところでは、日本へ流れてくる前といいますか、中国中東部自身でのまずどれだけの寄与率がある、その高濃度イベントに関してあるかということが示されておりまして、そちらでは輸送の部門の割合、少ないですけれども、このぐらい表現されているのがもとになって、それが日本へどの程度影響を及ぼしているかというような見方もすることができるかと思います。それが日本に来るときに相対的に率が減る原因については、ちょっとまだ私どもも把握できていないところです。

【大原委員長】 よろしいでしょうか。

【飯田委員】 ありがとうございます。すみません。もう一点だけ教えていただきたい。先ほど坂本先生から、石炭由来と、それから窒素酸化物由来、その両者のシナジー効果というのがあり得るよという文献の紹介いただきましたけども、その辺のリソースを解析するために、今後の不確実さを減らすためにというご提案の中に、いわゆるアイソトープ、同位体の分析というものが挙げられていないんですけども、例えば、カーボンとかサルファーについての同位体解析というのは、これは非常に重要かなというふうに思っていますが、ちょっとお二人にご意見いただければと思います。

【大原委員長】 これにつきましては、金谷委員、よろしいですか。

【金谷委員】 同位体に関しまして、私どもも、その有機物に関してですけれども、14ページのところで示しましたように、やはりモデルの再現率が5分の1程度しかないというところも踏まえまして、私どもも実は先ほどのご紹介とは独立にVBSのモデルを少し組み込もうとしておりまして、そのモデルである程度量は表現、再現されたとしても、それが本当に起源の理解として正しいかどうかを判断する上で、放射性同位炭素、同位元素のC14の分析を併用して評価を今後していこうとちょうど考えているところであります。

【大原委員長】 よろしいでしょうか。

 そろそろ予定の時間が迫ってまいりましたので、議題2を終えたいと思います。どうもありがとうございます。今後、PM2.5対策を考える上で、非常に重要な、貴重な知見を共有できたと思いますので、今後の議論に生かしていきたいと考えております。

 それでは、次の議題3になります。議題3、光化学オキシダントのモニタリングデータの解析結果について、それから、議題4、光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示す指標案について、この二つにつきまして、事務局のほうからご説明をお願いします。

【中村課長補佐】 それでは、議題3、議題4につきまして、資料5を用いてご説明させていただきます。議題は分かれておりますけれども、資料が一つになってございます。議題の3につきましては基本的にご報告事項と、議題の4につきましては次回、中間取りまとめを行うに当たって、いろいろとご意見などをいただきたいというふうな意味を込めまして議題のほうは分けてございます。

 それでは、資料5を用いまして、光化学オキシダント対策に向けた調査検討結果につきまして、ご説明させていただきます。

 まず、一つ目の検討の背景・目的でございます。オキシダントの前駆物質でありますVOC、NOXは削減対策によって減少している。一方、オキシダントにつきましては、昼間の日最高1時間値の漸増傾向がある。また、注意報発令地域は広域化している、環境基準達成率も極めて低い水準にある。そういったことで、その対策が急務となっているといった状況でございます。このため、3年前ほどになりますけれども、「光化学オキシダント調査検討会」というのを環境省の中に設置いたしまして、必要な調査研究のあり方について検討してまいりました。2年前の3月には報告書を取りまとめまして、モニタリングデータの多角的解析を進めましょうといったことなどが取りまとめられているところでございます。

 また、同じく2年前の4月、第四次環境基本計画が閣議決定されましたけれども、その中におきまして、光化学オキシダントにつきましては、「広域大気汚染の気象条件の変化などの影響を大きく受けやすい注意報とは別に、環境改善効果を適切に示す指標について検討を行い、結論を得ることを目指す」とされております。これらを踏まえまして、24年度以降、2年間ほどかけまして、今後必要な光化学オキシダント対策等の検討並びに環境改善効果を適切に示す指標の検討に資することを目的としたデータの多角的解析などを行いまして、環境改善効果を適切に示す指標案を取りまとめたといったような背景・経緯でございます。

 これ以降、大きく分けて、モニタリングデータの解析結果のご説明というものと、環境改善効果を適切に示す指標案のご説明、この二つについてご説明させていただきます。

 まず、モニタリングデータの解析結果のご説明ということで、2ポツの光化学オキシダントのデータ解析結果をご説明いたします。この解析結果につきましては、これまでの20年以上にわたる常時監視データ、これを光化学オキシダントの長期トレンドを解明するために、さまざまな角度から解析したものでございます。

 以降、基本的に図をたくさん載せておりますけれども、その図を見ながら、順次見ていただければというふうに思います。

 1枚おめくりいただいて、2ページ目の図1と図2をご覧ください。図1は、オキシダント濃度の平均濃度を単年度ごとに整理したグラフでございます。赤い線が関東地域、青い線が東海地域といったような形になってございます。これを見ていただきますと、各地域の長期的な濃度の上昇傾向が確認できると思います。ただ、一方で、年々の変動がございまして、グラフが上下に振れておりまして、短期的な傾向はちょっとわかりにくいかなというふうに思います。

 次に、図2をご覧ください。これは図1を3年移動平均で計算して表したものでございます。3年移動平均につきましては、図の横軸に書いてございますとおり、「平成2~4年度」「3~5年度」というように1年ずつずらしまして、3年間の平均をとっていったものといったものでございます。これを見ていただきますと、年々の変動の影響が軽減されて、長期的な平均濃度の上昇が明瞭に確認できるようになったと思います。また、例えば関東で見ますと、平成8年から10年度、そのころから上昇傾向が見られると、そういった形で短期的なポイントで変化も見やすくなっているというふうに思います。このように光化学オキシダントの平均濃度の経年変化を検討する上で、3年移動平均をとってみることが有効のようだというふうに思われるわけでございます。それゆえ、以降、この3年移動平均を多用して評価を行っているといったグラフがたくさん表れてまいります。

 次、(2)でございます。光化学オキシダントの濃度の経年変化というところでございます。まず、図3と図4をご覧ください。図3は前駆物質でございます、NOXの濃度の経年変化でございます。また、次のページの図4は、非メタン炭化水素、「NMHC」とか書いていますけれども、その濃度の経年変化でございます。いずれも、この20年間は概ね減少しているといったことがわかると思います。この前駆物質が概ね減少しているということは、この後の解析のいろんな前提になってまいりますのでご記憶いただければというふうに思います。

 次に、図5と図6をご覧ください。図5が春の平均濃度の経年変化でございまして、図6が夏の平均濃度の経年変化でございます。両方ともオキシダント濃度の経年変化でございます。図5と図6を比べますと、図5、つまり春のほうが右肩上がりになっていて、濃度がより上昇しているのがおわかりいただけるかと思います。また、図5の春のほうで4本のグラフを比べますと、黄色の九州地域、これがより上昇していることもわかると思います。これらの傾向は、春は大陸からの越境汚染の影響が表れやすいということに関連しているのではないかというふうに推察されるところなんですけれども、詳しくはまた後ほどご説明させていただきます。

 次に、1枚またおめくりをいただきまして、図7と図8をご覧ください。この二つの図は両方とも光化学オキシダントの濃度の経年変化でございますけれども、年間98パーセンタイル値というものの経年変化を見てございます。この98パーセンタイル値といいますのは、よく皆様ご存じかと思いますけれども、例えばデータが100個あったら、98番目に大きいデータ、そこに該当するといったようなイメージでございます。つまり100番目の一番大きいデータと99番目の次に大きいデータくらいは、もしかしたら極端な値かもしれないと。それを見ていると傾向を見誤るかもしれないといったことで、それらを排除して98番目のデータを使って傾向を見ていこうといったことが、この世界ではよく行われるというわけでございます。特に光化学オキシダントが問題になりますのは、特に濃度が高いときでございますので、この98パーセンタイル値を見て、高濃度の傾向を見ていくといったことも重要だということで、このような図を用意してございます。

 というわけで、前置きが長くなりましたけれども、図7と図8を見ていただきますと、各地域ともあるときを境に濃度がずっと上昇傾向だったのが減少傾向に転じているといったことが見てとれるのではないかと思います。特に図8を見ていただきますとわかりやすいと思いますけれども、例えば関東地域では、平成17、18年ごろ、そこの辺りから減少傾向に転じていることがおわかりいただけるのではないかと思います。この高濃度域の減少要因につきましても後ほど考察をしてございますので、後でご説明をしたいと思います。

 次に、(3)でございます。NOタイトレーション効果の低下と越境大気汚染の増加の影響で、①、全国的特徴といったところでございます。ここでタイトルにありましたNOタイトレーション効果とか聞き慣れない言葉が出てまいりますけれども、5ページ目の上段に説明を記載しているのでご覧ください。まず、NOタイトレーション効果というものでございますけれども、3行目にございますとおりオゾン、光化学オキシダントの大部分はオゾンということなんですけれども、オゾンがNOと反応してなくなってしまうといったことが起こります。つまり簡単に言いますと、NOがありますとオゾン濃度を引き下げる効果があるということでございます。しかし、逆にNOX規制などでNOがなくなりますとオゾン濃度を下げるものがなくなって、オゾン濃度が逆に高くなってしまうといったことが考えられます。これをNOタイトレーション効果の低下というふうな形でここに記載しているものでございます。今ご説明しましたとおり、NOがあったり、なかったりすることによってオゾン濃度が影響を受けてしまう。そうすると、実質的にオゾンがどれぐらい増えているのかがわからなくなってしまうというふうなことが起こってしまいます。それを避けるためにというか、それの改善策といいましょうか、それに対して、このオゾンが反応して生じるNO2、これを足し算したもの、これをポテンシャルオゾンと定義することによって、実質的なオゾンの量が増えた減ったというのを解析しようというようなことで、このオゾンとNO2を足したポテンシャルオゾンというのが有効な指標になってくるということでございます。

 以上を踏まえまして、ページをまたいで申し訳ないんですけれども、図9と図10をご覧ください。まず、図9は、光化学オキシダント濃度の経年変化で、右肩上がりの上昇傾向にありますが、今度、図10を見ていただきますと、今度は、これはポテンシャルオゾンの濃度の経年変化でございますけれども、多少右肩上がりのところもございますけれども、図9に比べると横ばいになっているというふうに見受けられると思います。このことから、この光化学オキシダントの平均濃度の長期的な上昇には、先ほどご説明いたしましたNOタイトレーション効果の低下が影響しているのではないかというふうに考えられるといったことがこの図からわかるということでございます。

 次に、一つ飛ばして図12をご覧ください。これは春季、春のポテンシャルオゾンの経年変化でございます。ここに4本の線がございますけれども、四つの地域とも実質的な光化学オキシダントの増加が見られると。ポテンシャルオゾン濃度が4地域とも増加していると。中でも黄色の九州地域、これの右肩上がりの上昇が顕著だというふうに見られます。これはポテンシャルオゾンのところでございますので、何の原因でオゾンが増えたかと考えますと、先ほども述べましたけれども、大陸からの越境汚染の影響があって、このポテンシャルオゾンが増えたのではないかというふうなことで、大陸からの影響が示唆されるといったところでございます。

 同様に、図14をご覧ください。これは今度、夏のポテンシャルオゾンの平均濃度の経年変化でございますけれども、九州地域におきましては、春と同じように実質的に濃度が増えているというふうに見られると思います。ただ、一方、この赤・青・緑の関東・東海・阪神におきましては、比較的横ばいになっているのかなというふうに思います。つまり関東・東海・阪神につきましては、実質的な光化学オキシダントは増加していないんだけれども、先ほど冒頭の図とかで見ていただきましたとおり、光化学オキシダントの濃度自体は増えているわけですから、これらのデータから考えますと、関東・東海・阪神におきましては、その濃度上昇の原因は、NOタイトレーション効果の低下によるものが強いのではないかというふうに推察されるわけでございます。

 続きまして、1枚おめくりいただきまして、8ページ、今度は地域別に深掘りして見ていきたいというふうに思います。まず、関東と東海でございますけれども、図16をご覧ください。赤線の98パーセンタイル、つまり高濃度域はほぼ横ばいというふうに見られます。一方で、この緑と青につきましては、要は低濃度域につきましては上昇傾向にあると。ということは、高濃度域ではあまり変化がないものの、全体的には濃度が底上げされてしまっているといったような結果がここでは表れてございます。

 次に、図17をご覧ください。今度の赤線と青線はそれぞれ光化学オキシダント濃度とポテンシャルオゾン濃度で、これはグラフの一番左をそろえて、その濃度差が表れてくるタイミングを見ている図でございます。平成10年ごろから、この赤線と青線が離れていっているのがわかると思いますけれども、そのタイミングと、赤点線のNOX濃度、ここが急激に減少に転じたタイミングが重なっているというのがおわかりいただけると思います。これがまさにNOタイトレーション効果の低下によるものではないかというふうに推察するわけでございます。ただ、もちろん関東でも越境汚染の影響がないわけではなくて、前のページの図とかでもご説明いたしましたとおり、関東のオゾン濃度はやや右肩上がりになってございますので、越境汚染の影響の増加によるというものも多少あるのではないかというふうに推察されてございます。

 東海は関東とほぼ同じ傾向ということでございまして、あと、阪神地域もちょっと時間の関係上はしょらせていただきますけれども、関東と東海と似たような傾向を示しつつも、九州に近い傾向を示しているといったような概略でございます。

 次、九州地域でございますけれども、11ページの図22と図23をご覧ください。図22におきましては、高濃度域も低濃度域も上昇傾向にあることがわかると思います。図23をご覧いただきますと、先ほどの関東のグラフとは似ているとは思いますけれども、赤線と青線が離れるタイミングと、赤点線のNOX濃度が低下するタイミングが、先ほどの関東に比べるとずれていると。また、図23の青線のところ、これはつまりポテンシャルオゾンでございますけれども、これは長期的に上昇傾向にあるというのが関東とかに比べると顕著なのかなというふうに思います。以上を勘案すると、定性的ではございますけれども、九州地域におきましては、NOタイトレーション効果の低下もないわけではないんですけれども、越境汚染の増加の影響のほうが強く表れているのではないかというふうに考えられる次第でございます。

 次に、(5)の前駆体物質濃度低下による高濃度域の光化学オキシダントの改善のところでございます。すみません、資料の作成上のミスで(4)がございません。単純なミスでございます。申し訳ございません。資料上は(5)のところでございますけれども、次、12ページの図24と図25をご覧ください。図24は、年間98パーセンタイル値の域内の最高値の経年変化でございます。図25は、同じく98パーセンタイル値の域内の平均値の経年変化でございます。域内の最高値と平均値、それぞれの図でございます。これらを見ますと、各地域ともある年を境に減少に転じていると。つまりデータからわかることとして、全国的に高濃度域の光化学オキシダントは改善しているということがデータによりわかります。この改善要因についてなんですけれども、例えば図24にしても図25にしても、平成18年ごろを境に減少に転じている、ないしは減少の度合いが強くなっているということがわかるかと思います。この平成18年といいますと、ちょうどVOCの規制が始まってVOCの削減が加速化した年に当たります。よって、これは定性的な評価にはなってしまうんですけれども、VOCの削減が高濃度域の光化学オキシダントの改善に寄与しているのではないかというふうに推察されます。

 また、同様に、NOXの削減につきましても、ご存じのとおりずっと進んできていると。先ほどまでご説明いたしましたような、タイトレーション効果もあって複雑ではあるんですけれども、これは別の研究によりますと、VOCとかNOXの低下は高濃度域のオゾンの低下をもたらすというようなことが知られていますので、それらがそれぞれ改善に寄与しているかというところの定量的なものはまだわからないんですけれども、NOXの減少につきましても高濃度域の改善要因の一つなのではないかというふうに考えられているところでございまして、今後、定量的な解析を行っていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 最後、(6)のまとめのところでございますけれども、オキシダント濃度の長期トレンドは、以下の少なくとも三つの要因による効果が組み合わさったものであることが強く示唆されたと。これら三つの要因の寄与割合は季節、地域によって異なり、定量的な議論は今後のモデルシミュレーションを用いた解析に委ねられるというふうに書いてございますけれども、その三つの要因というのが、①窒素酸化物の排出抑制による局所的NO濃度低下によるNOタイトレーション効果の低下による都市部におけるオキシダント濃度の増加、②が越境汚染の増加による光化学オキシダント濃度の増加に基づく中位、下位及び平均の光化学オキシダント濃度の増加、この傾向は、特に大陸に近い西日本で顕著であると。③がNOX、VOCの排出抑制による高濃度域のオキシダント濃度の低減といったもので、この三つの要因が長期的トレンドの大きな要因ではないかというふうに示唆されたわけでございます。

 今後の課題につきましては、(7)のところでございますけれども、①番として、NMHCとNOXの比がオゾンの生成速度にとって重要であるとか、②番といたしまして、オキシダント濃度に影響する要因として、この資料では定性的な傾向を示したまでであるというふうなことが書いてございますけれども、いずれにしても、そういった課題を含めて今年度はシミュレーションなどを行って定量的な解析をしていきたいと考えております。

 以上がモニタリングデータの解析結果のご説明、ご報告になります。

 次、指標の話でございます。14ページでございます。まず、指標を検討するに当たりましては、先ほどからご説明しましたとおり、年々変動が大きいので、その対処が必要だということでございます。先ほども出てまいりましたけれども、図26、図27をご覧いただければ、これは98パーセンタイル値のものでございますけれども、3年移動平均をとることが有効であるといったことがわかるかと思います。

 次、②でございますけれども、今度、日最高8時間値に着目した指標の検討でございます。この日最高8時間値というのは国際的にも評価指標として使われているものでございますので、その指標について検討いたしました。図28をご覧いただきたいと思うのですけれども、これは域内の最高とか、域内の平均とかにつきまして、99パーセンタイル値、98パーセンタイル値みたいな形で、幾つかグラフを示したものなんですけれども、これを見ますと、年最高値についてはやや長期的な、これは一番上の赤点線でございますけれども、年最高値につきましてはやや長期的な傾向が安定していないように見られるものの、上位数パーセントを外れ値として除外すれば、長期的な変化傾向が安定するといったことがわかるかと思います。

 また、次、時間的な観点から見た外れ値の検討結果というところなんですけれども、その外れ値をどこに設定するかということで検討したものでございますが、要は具体的には何パーセンタイル値を採用するかの検討でございます。この検討に当たっては、統計的な観点から、ほかの値から大きく外れた値を外れ値として除外するという、その統計的な観点と、あと、最も問題となり得る高濃度のイベントを除外し過ぎてはいけないという、この二つの矛盾することのバランスをとるといったことが重要になってくるということでございます。

 16ページの枠内にいろいろとグラフが描いてございますけれども、ここでは、まず特異的な高濃度が出やすい暖候期について解析を行ったものなんですけれども、例えば真ん中の表1をご覧いただきますと、暖候期最大値を採用してしまうと、最大値を特異的な高濃度であっても除外しないというふうなことにした場合には、全地域の平均で65%が統計的な観点から外れ値であるというようなことになってしまうと。これはさすがに統計的によろしくないということで、99%、98%、97%それぞれ全地域ないしは地域ごとに解析をしたところ、表1のようになったわけなんですけれども、ここは感覚的なものかもしれませんけれども、この暖候期98パーセンタイル値が全地域でも4.5%、地域別に見ても関東がやや8%と高いですけれども、この辺りがちょうどバランスが一番いいのではないかというふうに考えたわけでございます。

 16ページの下の半分は、その暖候期のことで検討したわけなんですけれども、これはやはり行政上の利用のしやすさを考えると、年間統計値のほうが扱いやすいのではないかという観点で検討しましたところ、暖候期98パーセンタイル値は年間の99パーセンタイル値にほぼ同じ値であり、高い相関もあるということがわかったということでございます。

 以上を踏まえて、最後の(2)のところでございますけれども、環境改善効果を適切に示す指標といたしまして、その枠内にございますオキシダント濃度の8時間値を基礎として、その日最高値を算出する。その年間上位1%を除外した99パーセンタイル値を代表値といたしまして、その99パーセンタイル値を3年移動平均すると。これが指標として適切なのではないかという形でご提案申し上げる次第でございます。今後、この指標を用いまして、環境改善効果とか長期的な濃度の変化の傾向を把握していって、それらを踏まえまして削減対策の検討を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上、長い説明になりましたけれども、説明は以上でございます。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見等ありましたらよろしくお願いいたします。

 なお、本件につきましては、環境省が設置いたしました検討会の座長を務められました、アジア大気汚染研究センターの秋元所長にオブザーバーとして参加していただいておりますので、もし専門的なご質問等ございましたら、秋元様にもご協力いただければというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、質疑をよろしくお願いしますが、いかがでしょうか。

 ちょっと資料のボリュームが多くてわかりづらいところが多々あったかと思いますが、ポイントは13ページ目のボックスの中に書き込まれているところが一つですね。日本の光化学オキシダントはかなり複雑に変化していること。長期的には増加トレンドを持っていること。これらの変動を規定しているものは三つあるということ。一つは、NOによるタイトレーションの効果、もう一つは越境汚染の効果、さらにそれに、その地域の中のNOXとVOCの排出によるローカルな生成による効果、これが複雑に絡んでいるのではないだろうかと。定性的にはそういう説明がつく。ただ、定量的な議論等につきましては、これからシミュレーションモデルも使って解析していく必要があると、そういうまとめだと考えております。

 それから、もう一つの重要なポイントは指標ですね。最後にご説明がございましたけれども、17ページ目に光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示す指標として、どういったような指標を使っていったらいいのかということに関する提案がなされておりまして、これにつきましては、次回のこの専門委員会でまたご検討いただくと考えているところであります。いかがでしょうか。何かございますか。

もし、秋元先生のほうからコメント等ございましたらお願いいたします。

【オブザーバー】 じゃあ、一言。大気汚染研究センターの秋元です。

 そもそもこのオキシダント対策調査検討会が立ち上がったきっかけは、VOCの規制が数年間、非常に強化されて、現実に大気中の濃度が下がってきている。にもかかわらず、なぜオゾンが下がらないんだということが、特に業界辺りからは非常に突き上げがあったわけですね。それをやっぱりきちんと説明しなきゃいけない。そもそもVOC規制をするときに、これをそれだけ、例えば30%削減すれば注意報は出なくなりますよとというように言っていたようなんですね。今から昔のその辺のものを見てみると、非常にその辺の論理があまり研究者から見て妥当なものだとも思えないようなことでやっていたということも見えてきましたので、この際、その辺をきちんとしたい。そのときにまず、じゃあ、VOCが下がったのにオゾンが本当に下がっているのか下がっていないのか。今までは大体、注意報が出た日数ですとか、高濃度日、主に日数が多いですね、何かそういうことを目安にしているものだから、最近、注意報がまた出るようになった。じゃあ、これはちっとも下がっていないのではないかというような議論があったんだけども、注意報が出る出ないというのは、非常に1時間値が120超えるか超えないかということで気象要素の影響が非常に大きいので、前駆体物質を下げたときに本当に下がらないということの指標としては非常に統計的に脆弱であるということも前からわかっていますので、それにかわるようなものを何かきちんとして、本当に今後こういう対策をとったらば、本当にこれだけ下がるはずだというようなことの議論に持っていきたいということがそもそものこの検討会の一つの趣旨でございました。それに沿ってやってまいったうちの、特に最初にまず、これだけ全国1,000カ所以上にあるモニタリングデータから何が言えるのかということをはっきりさせようということでやったのが、今ご説明いただいた報告書で、少なくとも三つの要因というのが見えてきたと。これだけでもかなり見通しはよくなったと思います。シミュレーションで、これを、ただ相対的にどこの場所はどっちがどれだけきいている、どこの季節はどちらできいているということを定量的な議論につなげて、じゃあ、さらにあとどれだけ国内のNOX、VOCを下げればいいのかというようなことを議論するのは、やっぱりシミュレーションの結果を使わなきゃいけない。これを今年度、来年度ぐらいでというふうに、この検討会としては要請されているというふうに理解しております。その辺が全体の背景と意義づけかと思うんですが、こういうオキシダントのほうの検討会をやらせていただいて、特に今思っていますのは、要するにオキシダント対策なくしてPM2.5対策なしということなんですね。これはいろんな意味がありますけれども、PM2.5の前駆体になるようなNOX、VOC──SO2はちょっと別ですけれども──そういうものは、まさにオキシダントの前駆体でもありますし、PM2.5の主成分の一つである有機エアロゾルというのはオゾンとVOCの反応でできてくるようなものですので、これもオキシダントに非常に関係がありますし、それから、モニタリングとモデルの結果を活用して、それを対策に結びつけていくという、この論理構造そのものが非常に共通なので、まず、オゾンのほうはもう過去30年以上の歴史がある、PM2.5のほうはここ10年、15年ぐらいだということもあって、ともかくオキシダントのほうが、そういう意味で、いろんな意味で成熟している部分がありますので、そっちでまずできない限りは次のPM2.5で確かなことは言えないのではないかというような感じがございます。そんなことで今こちらのほうをやらせていただいていますので、何かご質問ございましたらどうぞ。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ご質問等がございましたらお願いいたしますが。

 それでは、飯田委員からどうぞ。

【飯田委員】 3年平均を活用して総合的な統計解析をしていただいて、非常にわかりやすい指標が得られたことに、まず感謝申し上げたいと思います。これは半分素人の質問で恐縮ですが、VOCが高くて、それでNOが少ないと。そうすると、日没後でもオゾンがなかなか減っていかないというのは、川崎市さんなんかのデータを見ても知っているところで、ということは、オゾンがNOによって還元されないというか、O2に戻らないという趣旨なんだと思うんですね。そうだとすると、オゾンのスイングですね、減少の速さ・遅さ、それが実はノンメタンハイドロカーボンと、それからNOのレイシオ等と強い相関があるのではないかというふうに拝察されるんですけども、要するに生成のときにハイドロカーボン系の、いわゆる低温酸化反応的なプロセスでOHを経由してつくっていって、あまり日照によって並行計算できるような領域じゃないところでできていて、それのオゾンの破壊のほうも実はNOがなくて、なかなか減っていかないと。それで、夕方になってもオゾンの値が落ちていかないんだとすると、スイングについては、オゾンのスイングと気象条件、あるいはノンメタンハイドロカーボンとNOXのレイシオ、これについては何か知見はありますでしょうかというような質問です。

【オブザーバー】 スイングとおっしゃったのはどういう意味でしょうか。

【飯田委員】 スイングというのは増えたり減ったりするという、日平均の時系列に対して増えたり減ったり、スイングという意味です。

【オブザーバー】 日変化のですか。

【飯田委員】 はい。

【オブザーバー】 日変化については、まさにおっしゃるとおり、NOが減ってきたお陰──じゃないですね。NOタイトレーション効果の低下のせいで夜間のオゾンが下がらなくなったということはもう明らかにあちらこちらで観測されていると思いますね。それが、だから夜間が下がらなくなった分だけ単純平均をとると値が上がってしまう。これが一つの、NOタイトレーションの配置はわかりやすいかと思います。

【飯田委員】 減らないから、要するに上がるということなので、そして、そのオゾンの減り方ですね、日照が終わった後の。それの減り方と、要するにノンメタン、それから窒素酸化物のレイシオ等に相関がないかという質問です。

【オブザーバー】 それはないと思います。というのは、日照が終わった後の減るというのは、ほんの分のオーダーで減ってくる、1時間といっても今は数分、30分といってもいいですけども。それはもうNOプラスオゾンの反応というのは数分のタイムスケールの反応なので、それはもう単純なただのタイトレーションで減りますので、VOCは全く関係ないと考えて結構かと思います。むしろ、その日中のピークのほうが下がるか上がるかというところがNOX、VOCにまさに光化学で関係している。それが今、両方が下がってきているので、当然そこの部分が下がっていいのではないかということで今やってみたらば、確かに高濃度のほうについてはそれが見えている。だけど、そうでない部分については、ほかのものが打ち消し合って見えていないよということかと思います。

【飯田委員】 ありがとうございました。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 それでは、最後に一つ。時間が押してまいりましたので、先に上野委員にお願いします。

【上野委員】 すみません、もうちょっと単純な質問なんですが、図24におきまして、そのVOC規制の効果で高濃度のオキシダントが減ってきたと考えられるというお話だったんですが、大気中のノンメタンとかNOXの濃度は、この平成2年~4年から一貫して減少しておりまして、それを考えると、このラインも平成2年~4年から右肩下がりになってもいいのではないかというふうに素人的には思うわけですが、その辺のことを教えていただけたらということです。

【大原委員長】 お願いします。

【オブザーバー】 その辺の定量的なことは、さっきちょっと申し上げたようにシミュレーションをかまさないと。要するに三つの効果がそれぞればらばらにきいてきているわけですね。越境汚染の影響にしても平成2年、当時は2000年ごろの増加率と2010年以降の増加率とは当然変わってきていますし、それから、タイトレーションの引き方も違ってきている。それから、NOX、VOCが下がっているといっても、最初のうちはNOXはあまり下がらなかったですよね。VOCだけが順に下がってきている。その辺の引き方の組み合わせで、たまたまこういうふうな形の経年変化になっていると。今は定性的にはそう理解しています。それはそれほどおかしくはないのではないかと定性的には思いますが、ご質問にきちんと答えるには、すみません、シミュレーションをやらないとわからないということかと思います。

【上野委員】 ありがとうございます。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 では、最後に河野委員から。

【河野委員】 すみません、環境改善効果を適切に示す指標そのものについてはわかったんですが、大事なことは、それをどういうふうに使って、どういう見せ方をするか。つまりそれは報道発表であるとかホームページですね、環境省のホームページでどういう見出しをつけて、その専門家ではない一般の人が見て、どういう理解をできるかというところが非常に重要だと思いますので、第3回目、その光化学オキシダント指標の中間取りまとめになっておりますが、それをどういう見せ方をすべきかというところもあわせて、例えば今までだったらこういう発表をしていて、今までどおりの発表だと、例えば同じデータを発表するとこういうことになるけれども、今回この新たな指標を入れるとこういう発表というか、こういうふうなまとめ方になるという比較も入れて、専門家というか普通の市民を対象として、どういうような情報発信をしていくのかという観点も入れてご検討したものを中間取りまとめに反映して、それをベースに議論をするという形にしていただきたいと思います。

【大原委員長】 貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

 それでは、事務局のほう、第3回に向けて、その対応をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、そろそろ予定の時間が迫ってまいりましたので、議題3、4を終えたいと思います。事務局につきましては、今年度事業に取り組んでいただくとともに、環境改善効果を適切に示す指標について、次回の中間取りまとめに向けたご検討をお願いいたします。

 議題4まで終わりましたが、その他、何かございますでしょうか。

【中村課長補佐】 次回の委員会でございますけれども、8月ごろの開催を予定しております。皆様方の日程を確認させていただきまして調整したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 また、本日の議事録につきましては各委員にご確認いただいた上で公開いたしますので、後日、確認のほどをよろしくお願いいたします。

 本日、委員のお手元にお配りしました報告書につきましては、次回の委員会でも使用したいと考えておりますので、そのまま机上に置いておいていただければと思います。

 以上でございます。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 何かございますでしょうか。

 もしなければ、それでは、本日の委員会をこれで終了させていただきたいと思います。ご協力いただき、どうもありがとうございました。

午後00時00分 閉会

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