中央環境審議会大気・騒音振動部会 石綿飛散防止小委員会(第5回) 議事録

1. 日時

令和元年6月24日(月)13:30~16:10

2. 場所

環境省第一会議室

3.出席者

(委員長)

大塚 直

(臨時委員) 

島  正之

勢一 智子

高岡 昌輝

谷口 靖彦

山神 真紀子

(専門委員)

浅見 琢也

出野 政雄

笠井 賢一

神山 宣彦

小坂  浩

外山 尚紀

中村 弘造

廣田 善夫

本橋 健司

吉住 正浩

(環境省)

田中水・大気環境局長

上田審議官
高澤大気環境課長
清丸大気環境課課長補佐
秋山大気環境課課長補佐
吉田大気環境課課長補佐
西條大気環境課課長補佐

4. 議事次第

  1. (1) 今後の石綿飛散防止の在り方に係る論点について②

    (2) その他

5. 配布資料

資料1
中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止小委員会委員名簿
資料2-1
特定粉じん排出等作業中の大気濃度の測定(関係情報の整理)
資料2-2
特定粉じん排出等作業中の大気濃度の測定(論点と対応の方向性)
資料3-1
石綿含有建材の除去作業が適切に終了したことの確認(関係情報の整理)
資料3-2
石綿含有建材の除去作業が適切に終了したことの確認(論点と対応の方向性)
資料4-1
その他(制度の履行の促進)(関係情報の整理)
資料4-2
その他(制度の履行の促進)(論点と対応の方向性)
資料5
今後の検討スケジュール(案)
参考資料1
中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止小委員会(第4回)議事録
参考資料2
石綿飛散防止に関する法令(抜粋)
参考資料3
建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル2014.6 環境省
参考資料4
建築物の解体等現場における大気中の石綿測定方法及び評価方法について 平成25年10月 アスベスト大気濃度調査検討会

6.議事

【髙澤大気環境課長】 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会第5回石綿飛散防止小委員会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところ、また足もとのお悪い中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。

 私は本日の司会を務めさせていただきます、大気環境課長の髙澤でございます。

 部屋の中に冷房は入っているんですけれども、蒸し暑くなっておりますので、適宜、上着等をとっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日の会議は、小委員会の運営方針に基づきまして、公開とさせていただいております。

 委員の皆様の出席状況でございますが、委員19名中、本日は16名の委員の方にご出席をいただいておりまして、定足数に達していることをご報告させていただきます。

 続きまして、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。議事次第に配付資料一覧を記載しております。

 本日、紙の資料で配付しているものが、議事次第と、その裏に座席表がついておりまして、あと資料の2-1、2-2、3-1、3-2、4-1、4-2ということで、こちらのほうは紙の資料でお配りしております。

 そのほかの資料1、資料5、参考資料につきましては、タブレットを使用して閲覧していただきます。なお、タブレットの不調や資料データの不足、ご操作上の不都合等がございましたら、お近くの事務局の者までお申しつけ願います。

 傍聴の皆様方には、先週の金曜日までに環境省のホームページに掲載いたしました資料について、お持ちのノートパソコン、タブレット等の端末に保存し、ご覧いただくなど、ペーパーレス化へのご協力をお願いしているところでございます。そのため、既にホームページに掲載済みの資料については配付せず、議事次第、座席表、資料の2-1、2-2、3-1、3-2、4-1、4-2を配付させていただいております。よろしくお願いいたします。

 また、傍聴の皆様におかれましては、会議の妨げとならないよう、ご静粛にお願いいたします。遵守されない場合にはご退場いただくことがありますので、ご留意願います。

 委員の皆様方におかれましては、飲み物でございますけれども、毎回でございますが、ワンウェイプラスチックの使用削減に係る環境省の取組の一環として、水筒などのマイボトルのご利用をお願いしております。なお、セルフサービスにはなりますが、会場の2カ所にお水をご用意しておりますので、ご自由にご利用いただければと思います。ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 報道関係者の方におかれましては、恐縮ですが、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、これ以降のカメラ撮りはご遠慮いただきますよう、ご協力をお願いいたします。よろしいでしょうか。

 それでは、これ以降の会議の進行につきましては大塚委員長にお願いいたします。大塚委員長、よろしくお願いいたします。

【大塚委員長】 はい。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは早速、議題に入りたいと思います。

 議題の(1)今後の石綿飛散防止の在り方に係る論点についてでございます。

 本日は論点についての2回目ということでございまして、三つの課題について議論してまいります。事務局から資料を説明していただいた後で、区切って議論いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日は2時間半の会議ですが、内容が盛りだくさんとなっております。スムーズな進行にご協力くださいますよう、ぜひともよろしくお願いいたします。

 では、事務局から資料2-1、2-2について、説明をお願いいたします。

【秋山大気環境課課長補佐】 はい。それでは、大気環境課の秋山でございます。どうぞよろしくお願いします。私から資料2-1、2-2について説明させていただきます。

 お手元の、まず資料2-1をご覧ください。

 1ページをめくっていただきまして、2ページ目でございます。

 まず2ページ目には現状の大気汚染防止法上の作業基準における漏えい監視ということで、まとめてございます。

 平成25年2月の中央環境審議会の中間答申を踏まえまして、平成26年6月に大気汚染防止法の施行規則を改正してございます。そちらの中では特定建築材料を掻き落とし等により除去する作業基準としまして、粉じんを迅速に測定できる機器を用いた集じん・排気装置の正常稼働の確認等を義務づけたところでございます。粉じんを迅速に測定できる機器につきましては、下の3種類の表をご覧いただければと思います。

 めくっていただきまして、3ページでございます。

 今ほどの作業基準の詳細でございますが、施行規則の作業基準の中で、初めて特定建築材料の除去を行う日の除去の開始前に、集じん・排気装置が正常に稼働することの確認、

除去を行う日の除去開始前に、作業場及び前室が負圧に保たれていることの確認、三つ目に、始めて除去を行う日の除去開始後速やかに集じん・排気装置の排気口における装置が正常に稼働することの確認ということを新たに義務づけたというところでございます。下の図につきましては、空気の出入り等を参考に、記載してございます。

 4ページ以降につきましては、5年前の中間答申の議論の経緯について、参考でまとめてございます。

 まず4ページでございます。

 中間答申では、集じん・排気装置等の性能を確保することについて、作業基準での規定や技術指針の策定を検討する必要があるとするほか、作業期間中に敷地境界等における大気濃度の測定を行わせる必要があるとする一方で、規模の小さい、もしくは工期の短い解体工事等について、一律での義務づけについては慎重に検討すべきとされたところでございます。

 続きまして、5ページでございます。中間答申の続きでございます。

 そのうち、大気濃度測定結果の評価方法につきまして、こちらにつきましては敷地境界等の基準については管理基準として設定することが適当ということで、その基準につきましては一般の大気濃度の状況を参考に、引き続き検討が必要とされたところでございます。

 続きまして、6ページでございます。大気濃度の測定方法、測定対象物質についてでございます。

 こちらにつきましては、総繊維数濃度ですとか石綿繊維数濃度について速やかに精度の高い結果が得られる方法を検討すべきとされたところでございます。また、測定場所につきましても、敷地境界等を基本としながらも、排気口ですとかセキュリティゾーンの出入口での測定結果の活用ということも検討する必要があるとされたところでございます。

 さらに、工事を施工している間に、集じん・排気装置の排気口やセキュリティゾーンの出入口で繊維状粒子や粉じん等の飛散状況を定期的に、または連続で測定、記録することにより、意図しない石綿飛散が発生していないことを確認する方法も有効というふうにされたところでございます。

 続きまして、7ページでございます。

 こうした中間答申でさらに検討が必要とされた部分につきまして、7ページで、アスベスト大気濃度調査検討会での検討について、検討会の報告についてまとめてございます。

 中間答申を受けた検討では、検討会におきまして、敷地境界における大気濃度測定方法ですとか、発生源となりやすい箇所からの漏えいを確認する方法について、技術的な検討が行われました。検討会での検討結果につきましては、敷地境界等における大気濃度測定については技術的課題を克服して有効な手法を確立する必要がある一方で、粉じん等を迅速に測定可能な機器を用いまして、集じん・排気装置の不具合の有無、これを確認することが有効とされたところでございます。この検討結果につきましては、平成25年10月に専門委員会のほうに報告され、後ほど部会のほうで報告されたところでございます。

 なお、検討会報告の中で、資料の下の四角の一番下ですが、この中で漏えい監視の観点からの目安として、石綿繊維数濃度1本というのが示されたところでございます。

 続きまして、8ページでございます。こうした検討会での検討課題につきましての検討経過でございます。

 まず、測定の迅速化に向けての検討ということで、課題につきましては環境省で検討を重ねまして、アスベストモニタリングマニュアルを平成29年7月に改訂したところでございます。改訂の要点といたしましては、下の2点でございます。

 1点目が、測定箇所の選定です。こちらについては作業場からの石綿飛散の影響を確実に捉える観点から、敷地境界ではなくて、施工区画周辺、作業場の直近で人の通行がある場所など、こういったところの4カ所、風向きを考慮した4カ所で測定することをマニュアルの中で示したところでございます。

 2番目の測定方法の検討につきましては、発生源近傍、集じん・排気装置出口等における漏えい監視、管理のための測定方法を位置づけまして、迅速測定法、従来の位相差顕微鏡と電子顕微鏡を組み合わせた方法よりも早く測定結果が得られる方法として、位相差/偏光顕微鏡法と位相差/蛍光顕微鏡法をマニュアルの中で位置づけたところでございます。

 続きまして、9ページでございます。

 先ほど説明いたしました29年7月にアスベストモニタリングマニュアルに追加しました迅速測定法につきまして、さらなる検討ということで、一般の大気環境中に概ね1本/L前後の濃度中で測定に活用できるか確認するため、分析走査型電子顕微鏡での測定結果との比較検討を行ったところでございます。その結果につきましては、ちょっとサンプル数もそんなに多くはなかったのですけれども、位相差/偏光顕微鏡ではなかなか相関は見られなかったんですが、位相差/蛍光顕微鏡につきましては1本付近においても比較的、相関が読み取れることが見られたところでございます。

 下のグラフの点線のところが1対1の場所でして、横軸が電子顕微鏡の石綿繊維数濃度、縦軸が位相差/蛍光顕微鏡、位相差/偏光顕微鏡、それぞれの測定値でございます。

 しかし、位相差/蛍光顕微鏡でも1対1の線よりも少しずれているという部分がございましたので、ある程度スクリーニング的に活用できることはわかりましたけれども、敷地境界での大気濃度の調査の測定として用いるには、まだ精度として技術的な課題があるということで考えてございます。

 続きまして、10ページ目は参考でございます。

 こうしたところで、石綿繊維数の測定の部分にまだ課題があるところでございますけれども、さらなる迅速化というか、自動化に向けた研究開発状況でございます。サンプリングからアスベスト検出までの全工程を自動化しまして、連続的にアスベスト濃度、石綿繊維数濃度が測定できる装置について、今年度から環境研究総合推進費で研究開発が進められておりますので、参考にご紹介させていただいております。

 続きまして、11ページをご覧ください。こちらからは、都道府県等の自治体の立入検査時の測定状況等でございます。

 まず、都道府県等に行いましたアンケートによりますと、立入検査を行う際に大気濃度調査を行う場合があるという回答した都道府県等につきましては、130のうち51、4割弱というところでございます。

 また、自治体の顕微鏡の保有状況でございますけれども、下の右のグラフのとおりでして、位相差顕微鏡、分析走査電子顕微鏡、位相差/偏光、位相差/蛍光と、それぞれ青が所有している自治体の数、赤が所有していない自治体の数というところで、位相差顕微鏡であっても22%ぐらいにとどまっているというところでございます。

 次に、12ページでございます。各都道府県等の条例、こうした大気濃度調査測定についてでございます。

 都道府県等の条例で施工区画周辺等の大気中のアスベスト調査を義務づけている、工事期間中に行うように義務づけている都道府県等は16ございました。そのほか、75の自治体では条例等による義務づけではありませんが、調査の実施を指導しているという状況でございました。各都道府県等、全体に聞いた、アンケートの中で聞いた課題についてですけれども、やはり測定結果が判明するまでに解体工事が終了するということが一番多くございました。こうした課題があるというところでございます。

 続きまして、13ページでございます。

 ここからは石綿の飛散事例ということで、13ページのほうは都道府県等の立入検査での飛散事例につきまして、漏えいが疑われる事例というのが10件ありましたので、そちらを挙げてございます。原因につきまして確認したところ、事前調査の不備ですとか集じん・排気装置の使用における不適切な管理、出入りの不適切な行動というふうなところがございまして、この辺り、作業基準で求められているような管理の不徹底により発生した事案が多いというように考えております。

 続きまして、14ページにつきましては、前回の小委員会でのレベル3建材のものと同じ資料でございますけれども、環境省が実施した調査では、養生を行った現場で、養生の外側においては1本、石綿繊維数濃度1本/Lと同水準以下というところでございます。こちらのほうも測定数がそんなに多いわけではありませんけれども、飛散が非常に高いという状況は見られていないというところでございます。

 続きまして、15ページでございます。

 15ページにつきましては、また別の視点でして、現行の大防法の中でも石綿含有断熱材、保温材、耐火被覆材を掻き落とし、切断、または破砕以外の方法、いわゆる原形のまま除去する場合につきましては、除去部分周辺の養生と湿潤化等を求めているところでございます。こうしたところでの飛散の状況というところも現状把握に努めているところですけれども、今、測定できているところで1本検出された事例はないということで、下の表は1地点でございますけれども、測定調査結果が判明したものを掲載してございます。下の表の調査結果のところでございますが、総繊維数濃度は作業場近傍、バックグラウンド、それぞれ1本/L以上ありますけれども、石綿繊維数濃度につきましては1本/L未満というところでございます。

 続きまして、16ページでございます。大気濃度調査の精度を担保する取組ということで、測定の部分でございます。

 アスベスト濃度調査につきましては、計量法の計量証明の対象外となっているところでございますが、分析精度を担保する取組につきましては、民間機関でのそれぞれの取組により行われておりまして、実技研修ですとか分析技術評価事業など、そうした技能試験が行われているところでございます。

 下の表に、そういった精度担保の取組を行っている実施機関と事業の名称等につきまして、一覧表にまとめてございます。

 最後に、17ページでございます。海外の規定につきまして、どうなっているのかというところで、幾つか確認してございました。

 海外におきましては、全ての国ということではありませんけれども、作業中の、隔離作業現場周辺における大気濃度測定に関する規定を定めている国が見られるというところで、イギリス、韓国につきましては周辺での大気濃度調査等の義務づけがされているというところでございます。

 以上で、2-1の説明につきましては終わらせていただきまして、続きまして2-2について説明させていただきます。2-1のほうでまとめた関係情報の整理から、どのような方向というか、論点や対応の方向性について、こちらについてご議論をお願いしたいと考えてございます。

 まず1枚めくっていただきまして、2ページでございます。モニタリングの実施の方法について。

 こちらの大気濃度測定の論点につきましては、2ページの上にありますとおり、特定粉じん排出等作業において、どのようにモニタリングを実施するのかという論点と、最後の6ページのところの迅速特定法をどのように活用するかという、二つの論点があるところでございます。

 まず1点目の特定粉じん排出等作業におけるモニタリングの実施についてですが、上の四角の中でございます、漏えいを防ぐためには事前調査の徹底、こちらはもちろんでございますけれども、それに加えて作業基準で求められている管理の徹底が重要であると考えられます。

 三つ目のポツでございますけれども、集じん・排気装置の使用中における異常を早期に発見するためには、現在、作業基準の中で作業開始時に集じん・排気装置の排気口における粉じんの監視を義務づけておりますけれども、例えば事例の中で、物が当たってダクトが外れたとか、そういった事例もいろいろございました。ですので、やっぱり装置の正常稼働を作業中においても随時確認するということが考えられるところでございます。

 また、漏えい監視の強化という部分では、四つ目のポツでございますが、負圧管理ですね、こちらについても作業開始時の最初の確認しかないのですけれども、これをしっかり定期的に行うということが考えられるところでございます。

 こうしたことから、対応の方向性としていまして、下の四角でございます、まず石綿除去作業現場からの、隔離を行う現場での石綿繊維の漏えいを防ぐためには、引き続き作業基準の求める管理、これをしっかり徹底することが重要ではないかというふうに考えてございます。

 さらに、前回の専門委員会、検討会で大気濃度調査における漏えい監視の観点からの目安として、石綿繊維数濃度1本/Lというのが示されたわけでございますけれども、これを迅速に測定するにはまだまだ分析方法の技術的な課題があることから、作業基準において集じん・排気装置の正常な稼働の確認を開始初日だけでなく随時行うこと、あとはセキュリティゾーンの出入口における負圧管理の確認、これを作業中においても定期的に行うことを義務づけるべきとしてはどうかというように考えてございます。

 続きまして、3ページにつきましては、隔離・負圧管理を伴わない作業についての監視でございます。

 こちらについては、養生ですとか湿潤化といった石綿飛散防止の措置を適切に行うことで、周囲への石綿の飛散を抑えられているというように考えられますので、対応の方向性としましては、隔離・負圧を伴わない作業現場における石綿含有建材の除去においては、そういった湿潤化、養生といった飛散防止措置の実施の徹底、これをしっかり求めることにしてはどうかというふうに考えてございます。また、環境省のほうでも、現場の状況を引き続き調査してまいりますけれども、実態の把握に努めるべきではないかということで考えてございます。

 続きまして、4ページでございます。測定の部分につきまして、これまでヒアリング等の意見で事業者、自治体の役割分担ということも少し意識してはどうかという意見がございまして、論点に加えてございます。

 まず、上の四角の中の一つ目のポツでございます。事業者につきましては、作業基準に従いまして、しっかり石綿の飛散防止措置、これを行っていただいて、あと負圧管理を行う場合は漏えい監視を実施するというふうなことで、先ほどの方向性で案としてお示ししたところでございます。

 ただ、記録につきましては一定期間の保存というか、長期に求めているものではございませんので、そこは事業者が実施する石綿除去作業における飛散防止措置、漏えい監視の措置が適切に行われているということを、都道府県等が立入検査を行う際に確認するために、記録を作成して一定期間は保存するということが必要になってくるかと思っております。

 あと、四つ目ですね。立入検査時の測定につきましては約4割の自治体で行われているというところ。あとは、都道府県の条例で義務づけ、事業者に義務づけているのは約1割というところでございますけれども、なかなか結果が判明するまでに解体作業が終了してしまうというふうな課題等についても、自治体のほうから示されているところでございます。

 こうしたことから、対応の方向性としまして、まず事業者につきましては、石綿含有建材の除去作業時における石綿の飛散防止措置の徹底、負圧管理を行う場合には漏えい監視、負圧管理を徹底するということをしっかり義務づけまして、その結果についても記録するということを義務づけるべきではないかというように考えてございます。

 都道府県等につきましては立入検査を通じて、今は自治体の判断で周辺大気濃度調査等々をされておりますけれども、飛散防止措置、漏えい監視の徹底を図っていくということ。

さらに、施工区画周辺での大気調査につきましては、現在でも条例等で義務づけているところでございますが、実施者に対して都道府県等が、地域の実情を踏まえながら、必要に応じて実施させるというふうな方向ではどうかというように考えているところでございます。

 続きまして、5ページでございます。大気濃度調査の精度の担保の部分でございます。

 現在は、民間機関での精度担保の取組が行われておりまして、これらのノウハウを活用していくということが一つ、考えられるところです。また、大気濃度調査につきまして、環境省のほうでも調査するときには委託しておりますけれども、やはり施工者ですとか都道府県等が大気濃度調査を委託するときに、こうした精度管理の取組に参加しており、一定の分析精度を有している機関に委託することが望ましいと考えてございます。

 つきましては、対応の方向性としましては、こうした大気濃度調査の担保、精度の担保について、民間機関での取組に環境省が協力して、実際に分析等を行う者に精度管理の取組に参加するように促すべきではないかというように考えてございます。また、環境省においては、施工者、都道府県等がこうした者に分析を委託できるように、情報発信を強化すべきではないかという方向で考えてございます。

 最後に、6ページでございます。論点の二つ目の迅速測定法の活用についてでございます。

 迅速測定法につきましては、平成29年7月にモニタリングマニュアルを改正しまして、位相差/偏光顕微鏡法と位相差/蛍光顕微鏡法を迅速測定法として明記したところでございますけれども、現在の体制としましてもまだ、分析結果を示すまでには、分析機関等の体制を踏まえると数日程度を要するということが課題としてございます。

 ですので、なかなか石綿繊維数濃度1本/Lの測定につきましては、まだ技術的な課題が残っているというところでございまして、対応の方向性としましては、石綿繊維数濃度の迅速測定法による分析について、精度についての技術的な課題、さらなる迅速化の可能性を含めて、引き続き検討を進めるべきではないかというところでございます。

 また、石綿繊維数濃度の測定につきまして、分析をリアルタイムに示すことが可能な分析装置の開発研究などを環境省において進めるべきではないかというところで、二つの方向性を考えているところでございます。

 以上で、2-1、2-2については説明を終わらせていただきます。

【大塚委員長】 はい。どうもありがとうございました。

 では、資料の2-1、2-2につきまして、議論を行いたいと思います。石綿含有建材の除去作業中の大気濃度調査についてでございますけれども、ご意見、ご質問がおありの方は名札を立ててください。4、5人で区切ってから、事務局に回答いただくようなことを考えております。

 じゃあ、外山委員どうぞ。

【外山専門委員】 質問もあるんですが、まず一つ、意見として重要なことを述べたいと思います。

 やっぱり資料2-2、2ページ目の部分、2番目の丸ですけれども、大気濃度調査で石綿繊維数1本前後を迅速に測定するのは分析法上、技術的な課題があることから、結局は濃度測定の義務化は見送るということのようですけれども、ここはやはり非常に大きな問題があるというふうに思います。

 前回の答申、私も参加しましたけれども、ここでは大気濃度測定を行わせる必要があるというふうに言い切っているわけで、その後の濃度調査の検討会の中でも引き続き検討を進めるということになっていて、今回の改正では当然これは義務化されるものだと考えています。

 大前提ですけれども、石綿は非常に強力な発がん物質であって、中皮腫の死亡者数は年間1,555人に上っています。大気汚染防止法では、ばい煙ですとか、ほかの物質も規制していますけれども、石綿のような被害を発生させる物質はほかにないわけです。石綿除去作業以外の物質では濃度測定義務があって、排出基準が決められているわけですけれども、石綿の除去でこれがないという現状です。これに対して測定を行いなさい、基準を決めなさいというのが前回の答申であって、これはやらなくてもいいということには、今回は当然ならないだろうと考えています。

 大防法の第1条にありますけれども、人の健康に関わる被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めるということがあるわけですけれども、石綿の除去については、仮に被害が発生したとしても濃度がわからないわけです。そうすると損害賠償責任を問えないという異常な状況が続いているということであって、測定を早急に行うべきだと思います。

 濃度測定が非常に難しいかというと、そんなことはないと私は思います。環境省はマニュアルを策定していますし、今回の資料でも大半の自治体では条例で義務を課すか、仕様を指導しているという状況ですので、多くの自治体ではやられているということです。気中濃度測定ができる作業環境測定機関は431機関ありますし、私自身は環境測定分析協会、それからここにある作業環境測定協会の分析技術者の養成ですとか技能試験等に関わっていますけれども、日本では数百人が恐らく石綿の分析ができるということですので、十分に人的にも資源があると考えていますし、数日で除去作業が終わってしまって意味がないじゃないかという指摘もありますが、これはあくまで通常の納期であって、現場で分析する等の措置をとれば、分析自体はサンプリングに1、2時間ですし、30分で結果が出ますし、電顕であっても翌日には結果を出すところが最近は増えています。電顕も最近は非常に普及してきているので、その辺りも考慮すべきと思います。

 やっぱりリスクを把握するということもありますので、仮に迅速測定ができないとしても、第1条の目的のためにも測定は必要であるというふうに考えていますので、ぜひここは再検討というか、対応の方向性の部分では、例えば技術的課題を早急に解決して、気中濃度測定を実施すべきというのが適切と思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では山神委員、お願いします。

【山神臨時委員】 私は実際、解体現場の分析をしている立場の者なんですけれども、やはりリアルタイムモニターだけでは不十分だというふうに考えています。名古屋市では粉じん計で測定して、フィルター採取の電顕も両方やっていますけれども、粉じん計がゼロでも、アスベストが1本以上見つかる場合はよくあること、よくというか、あることなので、フィルター法というのは義務化するべきだと考えています。

 私がいます名古屋市では、フィルター測定をして、結果を出すまで、その日のうちに結果を出すというふうにしております。兵庫県などでは現場でできますので、多分、数時間で結果が出るということになりますので、名古屋市の場合は一定規模以上の解体現場でフィルター採取の電顕法を使っていますけれども、顕微鏡法を使っていますけれども、一定規模以上の解体現場だと解体作業自体が数日かかるということがありますので、初日のうちに結果が出れば、少なくとも翌日以降のアスベストの飛散を防ぐことができるというふうに考えます。

 また、一日だけで作業が終わるところだとしても、粉じん計で測定がゼロでも、アスベストが出ることがあるというふうに解体業者さんに認識していただくことができるので、ほかの現場でそういった対応をしていただけるきっかけにもなると思うので、測定は必要だというふうに考えています。

 名古屋市や兵庫県で、なぜその日のうちに結果が出せるのかというと、測定自体を地方環境研究所の職員がしているからです。地方環境研究所の職員というのは一般環境のアスベストの測定を通常していますので、一般環境の測定と、こういう解体現場の測定で何が違うのかというと、サンプリングの時間が違う。一般環境は4時間のサンプリングですけれども、解体現場は30分から2時間、それぐらいの違いですので、地方環境研の職員というのは環境省の研修所でアスベストの研修というのを受けておりますので、一定の技術がありますし、そういった人間が全国にいるわけなので、そういった人間を活用して、その日のうちに測定できるという体制をとるべきだというふうに考えております。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では谷口委員、お願いします。

【谷口臨時委員】 ありがとうございます。

 2-2の4ページです。一番上のポツですけれども、解体等工事を行う事業者は基準に従って監視を実施する、いきなりこういうことになっているんですけど、多分、解体等工事を行う事業者の役割分担というのは、もっと前の段階で言うと、事前調査の結果をよく把握し、適切な工事の計画を立てるとかということがあろうかと思うわけです。

 なので、ここに書くのが適当かどうか、ちょっとよくわからないんですけれども、受注者と解体等工事を行う事業者の関係をどこかに明記してほしいなと思います。そこのところが不十分であれば、もし不適切なことが生じたときに、解体等工事を行う事業者が悪いのか、それとも受注者が悪いのか、ここの判断ができない。そのことでもって、都道府県の指導が迅速に行えない、そうこうするうちに解体工事が終わってしまうという、非常に困ったことに至るのではないかなと思うわけです。

 ですので、この辺の関係を明確にしていただけたらなと思います。

【大塚委員長】 高岡委員、お願いします。

【高岡臨時委員】 はい。ありがとうございます。私の方からは、一つは単純な質問でありまして、もう一つは意見になります。

 一つは、2-1の17ページの最後の海外における大気濃度調査の状況というところですが、ここでは届け出対象の要件といいますか、いわゆる規模の要件とか、そういったものがもしあるのであれば、教えていただきたい。

 やはりいろいろとリソースを割かないといけないとは思うんですけれども、規模を限っているのかどうかというところをお聞きしたいと思います。

 もう一点につきましては、2-2の方のスライドの2ページ目の対応の方向性の一つ目になりますが、作業基準で求められている管理を徹底することが重要ではないかと思います。もちろんこれは、このとおりだと思いますが、上の方でも書かれていますが、随時確認するということが一つの方向性として出されていると思うんですが、随時というのはどういうことを指されるのか。下のところのアスタリスクには、ぶつかったときとか書かれているんですけれども、連続的に測定するというわけでもなく、随時というのは、何かがあったときのみのことを言っておられるのか。そうすることに限ることで、どのぐらい時間とか費用が省略できるのか、あるいはあまり変わらないのか、その辺りがもしわかるようでしたら教えていただきたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 勢一委員、お願いします。

【勢一臨時委員】 ありがとうございます。勢一です。私も2点、意見というかお尋ねかもしれませんけれども。

 1点目は、今、高岡委員がご指摘になったところと重なるのですが、2-2の2ページのところです。現行は開始前に装置が正常に稼働するかを確認するという基準になっているのですが、正常な稼働の確認を随時行うというふうに変えるということが方向性となっております。私もここの趣旨をいまいちはかりかねておりまして、通常、開始前に装置の稼働がきちんと行われるかどうかを確認する、チェックするということは、なぜそのような作業をするのかという趣旨・目的を考えれば、作業が終わるまで稼働し続けることを担保することは当然入っているのだろうと考えざるを得ないわけです。

 そうしますと、今回の方向性は、これまでの基準の考え方を明確化するにすぎないのか、それとも新規の義務を課すということになるのか、これがちょっと私はよくわからないので、これについてお考えを教えていただきたいというのが1点目です。

 もう一つは、2-2の5ページの大気濃度調査の精度担保のところで、民間機関の取組が行われているので、これを活用するということで、民間機関の取組に環境省が協力し、精度管理の取組に参加するよう促すというような形になっています。

 これは要するに民間機関の自律的な対応に委ねるという趣旨になるのでしょうか、という点です。その場合は、2-1のほうの資料で、16ページに民間機関の認定制度、資格とか技能の認定制度があるので、これを活用するということになるのかと思いますけれども、この場合、例えば、ランクが設定されているような場合について、これをどういう基準で活用していただくようなことが可能になるのかというところが、今後の取組の方向性として、私はよく理解できていないので、ご説明をいただきたいと思います。必ずしも今の対応の方向性の案に沿うような形で民間機関の研修や資格の制度ができているかどうかは、よくわからないですし、そこの担保は難しいのかなと思いますので、この辺りのお考えを教えていただきたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 すみません。一旦ここで切りますね。

 では、事務局のほうからご回答をお願いします。

【秋山大気環境課課長補佐】 はい。それではいただいた質問について、順次お答えしてまいりたいと思います。

 まず外山委員からいただきました今回の測定の義務づけにつきましては、平成25年の検討では、漏えい監視の観点からの目安として、一般大気環境中の総繊維数濃度を参考に、石綿繊維数濃度を1本/Lとする、こういうことが示されました。しかし、分析結果が出るまで数日かかるといった分析方法等の課題があることから、漏えい監視の観点から敷地境界で大気濃度測定を実施することについては引き続き検討する必要性が示されたところでございます。

 環境省では、現在、石綿繊維質濃度の連続自動測定装置の研究を進めているところですが、まだまだ、研究を始めたばかりですので、自動化できる段階にはないということで、今回、現場における対応としましては、集じん排気口からの漏えい監視の徹底を図る観点から、機器の正常な稼働、作動というか、そうしたことをしっかり確認すること。確認する現場ですので、空気の出入り口というのは、基本的には入るところは前室から入って、出るところが集じん排気装置というところがありますけれども、その入るところのセキュリティゾーンの負圧の部分の確認についても、除去作業開始前のみならず、作業中においても確認させることによって、しっかり漏えい防止を徹底してもらいたいというような考えのご提案でございます。

 続きまして、山神委員からいただきました測定の体制でございます。

 確かに、電子顕微鏡をお持ちの自治体というか各自治体によって、必要な機器の整備につきましては各自治体の判断で整備されているというところでございます。山神委員のおっしゃるとおり、環境省での研修所の分析研修ですとか、そういったところでの分析につきましても、いろいろ支援を行っているところでございますけれども、これを一律に全てのところに義務づけるというのはなかなか難しいのかなと。今の体制からすると難しいのかなというように考えてございます。

 あと、いただいた質問の中で、ちょっと順が逆になるんですけれども、高岡委員と勢一委員からいただきましたご質問の部分でございます。

 作業基準の随時確認というタイミングにつきましては、資料2-2の2ページの四角の中の中ほどに※で示させていただいております。フィルター交換、集じん・排気装置を移動したと。日々の作業の中でフィルターを最終的には技術基準にあるHEPAフィルターを設置して、これで最終的にはろ過するんですけれども、その前に何枚かのフィルターを通すということが、そういう体制になっております。

 ですので、そのフィルターを、HEPAフィルターは毎日交換するものではないんですけれども、その前のフィルターについては1日に数回交換したりというタイミングがございますので、そういうフィルターを交換するタイミングですとか、あとは工事の中身によっては、集じん・排気装置、一つの機械を別の場所に移動して使ったりということがございますので、そういう移動したりですとか、そういうタイミングを捉えて確認をするということを、想定してございます。

 あと、正常に稼働するというところの確認の部分ですけれども、今、技術基準の中で正常に稼働することを確認することになっているのですけれども、そのほかにもHEPAフィルターを設置するですとか、作業場全室を負圧に保つということで、ほかの作業基準も設定されているところでございます。集じん・排気装置の稼働が正常であれば、こうした室内が負圧に保たれまして、なおかつ集じん・排気装置のHEPAフィルターのろ過機能も適正に発揮されれば、その排気装置出口の粉じん等については、基本的には出ないということですので、そういったことを全部含めての正常稼働というところでございます。

 ですので、そういった意味では、現在の作業基準を引き継ぎながら、点検部分の回数頻度を頻繁にしていくことで、漏えい監視を徹底していくというところの考えでございます。

 あと、分析機関の形につきましては、今ABCランク、資料2-1の16ページの(公社)日本作業環境測定協会の分析の中では、Aランク、Bランク、Cランクとございます。こちらは基本的にAランクのほうが難易度高い。Cランクから順番に、配付された試料を分析しまして、その結果が、要はほかの方と合っているかというチェックを受けるというところで、Cランクから、Bランク、Aランクのほうが上級になっていくというところでございます。

 ですので、この辺り、基本的にAランク、Bランク、こうしたところの活用を促していくというところが、一つの方向性かなというように考えてございますけれども、そういった取組自体につきましても、さまざまな機会を捉えて、こういう機会の取組に向けた情報発信を図っていくことで、民間機関の取組に参加を促すということと、精度管理に参加している機関の活用を促していくということを、環境省のほうでもできないだろうかということを考えてございます。

 あと、海外の事例の規模要件のところでございます。こちらにつきましては、イギリスと韓国のほうで、大気中濃度調査を義務づけているところでございます。イギリスにつきましては、特に規模要件はありませんで、基本的には全てということになっておりまして、韓国のほうでは、吹付け材ですとか、石綿を含有している保温材とかのいわゆる建材につきましては基本的に全て対象と。成形板等につきましては、面積が500平米以上の建物が対象というふうな形になっているところでございます。

 最後に、谷口委員からいただきました、その受注者と実際に解体等を行っている業者の関係につきましては、確かにおっしゃるとおり、今は大気汚染防止法の基準ですと、基本的には受注者、施工者と受注者と自主管理者に基準がかかるというふうなところでございます。

 ですので、この辺りは、後ほど、本日もほかのテーマのところでも出てくるところでございますけれども、やはり、実際に作業をされている関係者というのも、大防法の規制の中で少し出していく方向を考えられればというふうに考えてございます。

 以上でございます。

【髙澤大気環境課長】 若干補足させていただきます。

 大気濃度測定のご意見をいただきまして、事務局のほうから、5年前の検討の経緯なども踏まえて、まだ速やかに測定結果、これは漏えい監視の関係からの目安の石綿繊維数濃度1本/Lを考えるということですなんけれども、まだなかなか迅速に測定できる方法がないという話を説明させていただいたところでございます。ご意見の中では、もちろん自治体のほうでしっかりと体制をとっているところでは、速やかにできるといったところもあるかと思いますが、まだそこまで全国でそういった体制はないのかなという心配がありますということと、引き続き研究開発も進めるんですけれども、なかなかそういったところで現場のほうがうまく回るのかという心配も正直ございます。このところはすごく重要なお話ですので、ほかの委員の方のご意見もいただければと思っておりますので、よろしくお願いします。

【大塚委員長】 勢一委員の一つ目の質問についてですが、今までの装置の動作の基準について、変えるのか変えないのかどっちかという、そういうご質問でしたけれど、そこはどうでしょう。

【秋山大気環境課課長補佐】 今お示しした案につきましては、変える部分は、点検の頻度です。初日の最初の開始の日に確認をするというところから、それを初日だけではなくて、都度都度、排気口出口ですとか負圧の状況を確認していくということで、そこは充実させたい、変えたいというふうに考えてございます。

【大塚委員長】 現在のところではそういう趣旨だということでございました。

 では、第2ラウンドに移りたいと思います。

 小坂委員からお願いします。

【小坂専門委員】 私の質問は、私自身は兵庫県の公害研究所で、1988年から環境省がアスベスト測定を始めたときから分析に関わったんですが、神戸の震災以降、家屋の解体でアスベスト飛散が大きな問題になりまして、それ以降、兵庫県下の政令市以外は県の管轄ということになるんですが、解体除去工事の届け出があったところは、研究所のほうで全て現場へ行って測定をすると、飛散監視をするということをやったんですね。やり始めてわかったことは、早く出さなければどんどん漏えいがあるということで、除去が始まってから30分間、集じん・排気口と人の出入り口の2カ所でサンプリングを行って、顕微鏡を持って行ってその場で即分析をするということをやると、工事が始まってから、分析そのものは、漏えいがあるかないかはなれたら10分ぐらいでできると思うんですよ。

 ですから、かなり早い段階に止めることができたんですが、そういうことを全ての自治体でできるかどうか私はわからないんですけれども、環境省として、解体工事現場の管理をきちんとしようとすれば、そこまでやらないと、私は徹底できないんじゃないかと思っています。

 現にやった経験がある者がいるわけですから、多分できると思うんですが、いかがでしょうか。

【大塚委員長】

吉住委員、お願いします。

【吉住専門委員】 ありがとうございます。経団連の吉住でございます。産業界を代表した考えというのを述べさせていただきます。

 我々産業界のほうも、この石綿に関しましては、非常に社会的にも地域的にも非常に重要な問題だということで、これは真摯に対応していきたいというふうに思っております。その中で、今大気測定の話が出たんですけれども、当然ながら、我々産業界としましては、その解体現場なりセキュリティゾーンから絶対石綿を出さないということが一番大きな、まずやらないといけないことだと、そうした場合の管理として、今回こういう説明をされました。当然ながら負圧管理をして出てくるガスに対しては、そこにそういうものが含まれないということをこの法律などで義務化しようということに関しましては、当然合理的な内容だというふうに考えております。

 一方で、その周辺の空間におけます大気濃度をはかると、これも一般的に考えれば、そこは出ていないよということを、バックチェックをするということが非常に重要かというふうに思いますが、今現在の技術、例えばその精度におきましても、数日遅れるということを考えたときに、今同じ土俵で、先ほど出さない、漏えいしないということと同じ土俵で、この義務化ということになると、産業、実際の解体なり受注者のところで管理をするというのは、非常にまだ現時点では難しかろうと。

 当然ながら、数日後に結果が出たときに、それまでの漏えいということに対しての対応がすぐとれるということではございませんので、当然ながら、自治体とか県の立ち入りで測定する、あるいはこれは自主的に行うということに関しては、それを否定するものではございませんので、やはり漏えい防止ということに対して、まずはそこをきちっと抑えるということを抑えた上での、次のステップあるいは自主的な管理としての大気中の測定濃度としていただけるのが、現時点では一番合理的なのではなかろうかというふうに考えております。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、外山委員、お願いします。

【外山専門委員】 環境省のお答えですと、私が指摘をした大気汚染防止の第1条、損害賠償の責務についてというところが、ほかの物質は排出基準がありますから担保されていると思うんですね。石綿だけは担保されていないという状態になっていて、しかも石綿というのは発がん物質で被害が実際に出ている。一昨日、尼崎市内の旧建材メーカーの工場での石綿の被害が355人に上ったという、これは未曽有の被害だと思いますが、そうしたことが解体の現場の周辺で起きているんじゃないのかという懸念が、実際あるわけです。

 ですので、たとえ終わったとしても、この濃度測定をして、きちんとリスクを把握しておくということは絶対必要であって、これはもう諸外国では当然行われているわけです。

 米国でなしになっていますけれども、実際には作業場の中での測定は行われていますし、訴訟社会なので、ほとんどの現場で実際には測定されているというふうに、私は聞いていますので、ぜひここは、第1条の損害賠償についてどのようにお考えなのかということを、お答えいただきたいと思います。

【大塚委員長】 では、笠井委員、お願いします。

【笠井専門委員】 日建連の笠井でございます。

 小坂委員や外山委員がおっしゃったみたいに、大気濃度の測定をしてすぐに答えが出るよというお話をされまして、現場に顕微鏡を持っていけば、それこそそんなに時間のかかるものじゃないよというお話なので、我々としてはそういう迅速に答えが出るというのは、非常にありがたい話なんですが、一方で、私どもの会社でもあったんですけれども、環境局あるいは保健所の方が測定に来られて、結果が出たのは解体が終わってから2カ月後だったと。

 それで、大量の石綿があんたのところの現場で飛んでいましたよと、ところが我々が測った結果では、大気濃度では石綿は飛んでいなかったんですけれども、そういう違う結果が出て、しかももう現場が終わってしまっているということで、非常に困ったケースがありました。

 だから、すぐに出るという方法があるのであれば、ぜひともそれはやっていただきたいんですが、ただ小坂委員もご心配されていますように、本当に数ある現場全てでそのことに対応できるのか。それだけの機関が本当に育っているのかというところが、私どもとしては非常に不安なところでございますので、その辺をお教えいただければありがたいと思っています。

【大塚委員長】 出野委員、お願いします。

【出野専門委員】 解体工事業団体連合会、出野でございます。

 何回かご指摘をしたと思いますけれども、私は全現場測定しろと、特に大気環境の測定をしろということには反対というスタンス。現場周辺、東西南北、必ず全工程、全期間測定をしなさいということについては反対というスタンスです。

 何回も申し上げましたけれども、血を出さずに肉を切れと皆さん方はおっしゃるんですけれども、我々としては、血を出さない肉の切り方を教えてほしいと。どういう作業基準を守れば血が出ないのかと、石綿が出ないのかと、そういうことを教えていただきたいと、そういうことを真剣に議論していただきたいというのが本心です。

 幾ら測定をやってもやらなくても、私どもにとってはあまり意味がない話だと。作業基準さえきちんとつくってもらって、この作業基準でやればアスベストは飛ばないと、この基準では甘いから飛ぶと、そういうことを示していただいて、この作業基準を守れば石綿は出ないはずだと、あとは、その作業基準を守っているかどうかだけを、行政の方に監督していただけばいいだけの話で、測定が目的ではない、目標ではないと常々申し上げておりますけれども、それを再度強く申し上げたいと思います。

 具体的には誰がやるのか、人間は足りないし、石綿ピークは2030年と言われていますけれども、今から人材を育てても多分間に合わないでしょうし、そんな優秀な機器がたくさんあるのかとか、最初だけとか最後だけというのはまだ考えないことはないですけれども、全工程全て測定しなさいということは合理的か可能かどうか。

 それから、下世話な話かもしれませんけれども、費用はどうするのか。おそらく、我々の直感的には数十万円、下手をすると1棟何百万かかると思われるが、そういう費用を誰が負担するのかと。施工業者だけではない、発注者も負担していただかなければいけない。製造業者にも負担してもらわないといけない。誰が負担するのか、そういう議論は当然発生するでしょう。

 測定結果の評価についてです。先ほど笠井委員からお話がありましたけれども、1週間、2週間後に、測定結果が出て、たくさん出ていましたよと、その評価をどういうふうに利用するのかと。もう一回最初から工事をやり直せと、そういうことを言うのかと。

 いろいろな課題がたくさんあると思います。ということなので、何回も申し上げますけれども、私としては作業方法の規制といいますか、国のほうで、こういう作業をすれば石綿は出てないはずだという保証つきの工法を、ぜひご指導いただきたいというふうに思います。

 以上です。

【大塚委員長】 次の議題もありますので、浅見委員。小坂委員までで一応打ちどめにさせていただきます。

 では、浅見委員。

【浅見専門委員】 JATI協会の浅見です。やはり、測定は迅速測定が無理であっても、フィードバックして、解体除去事業者のレベルアップにつなげていけるという意味においても、山神委員からもそういう意見がございましたけれども、そういう面でも活用していけるのではないかということで、測定を行うのはそれなりの意味があるかなとは思います。

 あと、もう1点ですけれども、資料2-2の2ページの下のほうです。対応の方向性の下ですが、セキュリティゾーンの出入り口での粉じん測定というのも話は出てきますけれども、ほかからの粉じん等も入ってくる可能性があります。それら周りの作業現場を含めまして、適正な測定をできるような形までもっていただければなという感じがいたします。

【大塚委員長】 小坂委員、お願いします。

【小坂専門委員】 今、笠井委員のほうからご意見がありましたが、私、その測定に関与していて、集じん機からの漏えいが多かったというお話をしたと思うんですが、いろいろ現場の作業の状況を見ていると、時々集じん機をトラックから下すときにガターンと激しく衝撃があるような下し方をしたりとか、そういうことを、推定ですよ、で、フィルターがずれたりとか、単純なことだと思います。フィルターがずれるから、パッキンがずれるから、漏れが生じるわけで、きっちりしておれば、HEPAフィルターですから、99.99%の捕手効率はあるわけですよね。そういうことが業者さんを見ていると時々そういうミスじゃないのに、仕方なく何かの拍子に事故的にボサッとショックを与えるようなこともあるのかもしれませんが、結構雑なことをやっているようなケースも見受けましたので、これは想像ですけれども、そういうときに集じん機の不具合が生じるのではないかと、分析結果からそういうふうに想定しています。

【大塚委員長】 では、事務局のほうから回答をお願いします。

【秋山大気環境課課長補佐】 はい、ありがとうございます。

 測定の実施の体制につきまして、小坂委員からもいただきましたし、いろいろいただいたところですけれども、笠井委員からもいただいたところですけれども、今行政機関のほうですと、顕微鏡を全てのところで持っているというわけではないので、各自治体が全部現場に行ってというのは、なかなか現状としては難しいのかなと。民間の機関の顕微鏡の保有数のところまでは把握しておりませんので、ここは少しできる範囲で調査をしたいというように考えてございます。

 あと、健康リスクの部分ですけれども、基本的には、前回も健康リスクの観点からの基準というか、そういったものを設けるべきというような意見もあったところでございますが、どうしても解体工事の規模ですとか期間とか、そうしたことが異なったりですとか、使われている石綿の種類等でも毒性は異なるというところから、なかなか一般的な有害大気汚染物質と同様に、そのリスクの基準、観点から、設定するというのは難しいというのが前回も示されておりまして、今回もその辺りについては、特に変わっていないというふうなところで、なかなか実態としては難しいのかなというように考えてございます。

 あとは、作業基準等につきましては、出野委員等からもございましたけれども、今外に飛散しないための監視ということで、お答えをさせていただいたところでございますけれども、また小坂委員のほうからも、その扱いについてというふうなお話もいろいろあったところでございます。

 それで、測定のところは、今回の議題につきましては、皆様からいろいろな多方面からご意見をいただいたところですので、少し事務局のほうで、いただいた意見を踏まえて検討させていただきまして、また次回少し検討の方向等々、またご意見をお伺いしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 以上でございます。

【大塚委員長】 では、この議題はまた事務局のほうでさらに整理していただいて、再度扱うことにさせていただきたいと思います。基本的に、行政が対応することを含めて、管理が難しいことをどうするかということを、事務局は気にされているところですが、今後につなげていけるようなことを、ぜひお考えいただければと思います。

 では、続きまして、資料3-1、3-2について、事務局から説明をお願いいたします。

【吉田大気環境課課長補佐】 大気環境課の吉田と申します。資料3-1、3-2について説明させていただきます。よろしくお願いします。

 資料3-1、3-2に関しましては、石綿含有建材の除去作業が適切に終了したことの確認に関する資料でございます。

 まず、資料3-1、関係情報の整理から説明させていただきます。

 資料3-1、開きましてまず1ページ目でございますけれども、こちらは、平成25年2月の中間答申の指摘について、過去の経緯について記載しておりまして、過去、平成25年2月の時点において、「現時点において、第三者による実施は将来の課題とした上で、作業基準に規定することや立入検査時の指導項目とし、報告を求めることも視野に、施工者が適正に除去作業や飛散防止対策を実施する仕組みを検討することが適当」とされてございます。

 それを踏まえまして、2ページ目の下に記載がございますけれども、現行におきましては、マニュアルでちゃんと検査をするということですとか、また検査項目はどういうものを検査すべきかということを示しているというのが、現在の整理になってございます。

 めくっていただきまして、3ページ目でございます。

 3ページ目は、そのような状況を受けて、どのような検討をするかというところで整理させていただいたところでございます。こちらは、適切に終了したことの確認ということの言葉の意味することを、具体的に整理してございます。

 まず、四角の中の上のほう、①から④でございますけれども、まず確認をするということは、①記録等によって特定建築材料の除去の施工が適切であった。作業が適切であったということを確認すること。②ですけれども、特定建築材料の取り残しがないこと。③ですけれども、特定粉じんの処理が適切になされた。除去したもの等をちゃんと処理していますということの確認が必要ということと。④ですけれども、隔離・養生を解く際の措置が適切になされたことを具体的に確認するということで、整理させていただいております。

 現状の扱いですけれども、①においては、現在、省令において隔離を行った場合は、その確認の経過を保存することにしてございます。その他①から④については、マニュアルにおいてチェックリストを示すとともに、周知しているというのが、現在の扱いでございます。

 めくっていただきまして、4ページ目でございますが、こちらは、マニュアルの現在での記載の状況を参考までに示しております。順序でございますけれども、作業が終了した後、ちゃんと取り残しの確認をして、その後、負圧管理をしている場合は負圧を解くというようなことをして、最後は清掃ですとかそういうところを確認するという流れになってございます。

 5ページ目でございます。

 こちらは、関係法令における完了確認に係る規制について示してございます。関係の深いところでいきますと、安衛法の石綿則においては、技術指針において完了の確認をするということについて記載してございます。

 また、関係する法令の中でも、建設リサイクル法の中では、発注者に書面で報告するということですとか、実施状況について記録の作成・保存を義務づけているというものが、関連の制度としてございます。

 めくっていただきまして、6ページ目でございます。

 こちら6ページ目は、関係の深いところでいきまして、厚生労働省において石綿則における扱いというのを、現在検討してございます。その状況を参考までに載せてございますが、厚生労働省においても、作業員の健康管理の観点や行政による施工者に対する指導時の基礎資料とするため、作業の実施状況等の記録を写真等で残し、保管するということを検討されている状況でございます。

 めくっていただきまして、7ページ目でございます。

 7ページ目に関しましては、この完了確認に関しまして、都道府県における取組を整理しているところでございます。

 アンケートの結果でいきますと、上のポツでございますけれども、131都道府県等のうち49においては、取り残しの確認ですとか、清掃の実施というところの確認を求めているところでございます。また、条例等で義務づけているところは、131のうち16ということで、アンケート結果をまとめてございます。

 めくっていただきまして、8ページ目でございます。

 こちらが立入検査等において、都道府県が確認した結果、課題があった、問題があったということについて報告を受けてございます。こちらにおいては21件、立入検査に入った中で、取り残しがあったとか、そういう問題・課題があったというところについて、報告がきてございます。

 主なこととしては、作業員の見落としですとか、あとは除去作業及び事前調査の不備というところで、挙げられているところでございます。

 めくっていただきまして、9ページ目でございます。

 こちらは、完了確認ということで議論する上で参考として、解体等工事が年間どれくらい行われることになるかということを推計したものでございます。

 こちらは、前回の検討会の資料でも出してございますけれども、前回の検討の中でレベル3建材と言われております石綿含有成形板等も規制の対象にしたらどうかという方向性で、議論を進めていたところでございますけれども、仮にですが、レベル3も解体等の工事を対象として考えた場合は、年間10万件から34万件辺りが、年間の工事数になるのではないかということで、推計した資料でございます。

 めくっていただきまして、10ページ目でございます。

 こちらは、海外の規制の情報を載せてございます。アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国について整理しております。

 アメリカ、イギリスにおきましては、完了確認のときに、目視の確認というのと、気中濃度測定ということを求めているところでございます。また、ドイツ、韓国においては、気中濃度測定を求めております。詳細については割愛させていただきますが、括弧の中で詳細について整理させていただいております。

 以上が3-1の基礎情報となっております。

 資料3-2に移らせていただきます。

 資料3-2のところでは、具体的な論点と対応の方向性について整理をした資料になってございます。

 まずめくっていただきまして、2ページ目でございます。

 論点としましては、取り残しの有無ですとか除去作業が計画どおりに終了したことの確 認を行うよう定める必要があるのではないかということについて、論点設定をさせていただいております。

 まずは、四角の上のほうですけれども、ポツの上からいきますと、都道府県が立入検査のときに確認した結果から、取り込残しや清掃が不十分といった事例が確認されております。また、一番下で、同じポツの下でございますけれども、年間の作業が、推計ではございますけれども、10万~34万件という多数の工事が今後、想定されるというようなところが、前提の情報になっております。

 そのところから、対応の方向性について記載してございますけれども、除去作業の完了に際しては、石綿含有建材の取り残しがないことですとか、飛散防止措置が適切に行われていたこと、除去作業が計画どおりに終了したことを確認し、記録するよう、受注者及び自主施工者に対して義務づける必要があるのではないかということで、方向性を整理してございます。

 めくっていただきまして、3ページ目でございます。

 確認の適切な履行を担保するための方策として、どのようなことがあるかということについて、次の論点について設定させていただいております。

 こちらの対応の方向性ですけれども、まず、上のポツの一つ目でございますが、除去作業の完了時に、計画どおりに行われたかということを確認するためには、記録等が必要かと思いますので、実際に作業を行う事業者に対して、石綿含有建材の除去作業及び飛散防止措置について、写真等を用いて記録することを義務づけてはどうかということで、方向性の一つ目にしてございます。

 また、二つ目でございますけれども、記録についてでございますが、こちらは除去作業の現場の管理者の方が作成していただくのが適切ではないかということで、整理しております。また、除去作業の終了時を含めて、記録を確認するということについては、受注者、自主施工者が行うということで、整理させていただいております。

 また、記載事項の詳細は、引き続き現在のマニュアルを整備していくというようなところで記載してございます。

 4ページ目でございます。

 こちらは、完了の確認をどのように行うかですとか、完了の確認を行う者の要件ということについての議論をさせていただいてございます。

 まず、白抜きの四角の一番上でございますけれども、石綿含有建材の除去の見落としを防止するためには、一定の知見を持った方、石綿含有建材の知見を持って、どこにどのようなものがあるかということをちゃんと確認できる方が、その確認をする必要があるというふうに考えております。

 また、現在マニュアルで指導を行っておりますが、こちらについては、マニュアル等では強制力というところで一定の限界がございますので、今回そういうところの義務化というところも検討するというようなことで考えてございます。

 4ページ下の対応の方向性でございますけれども、そのような状況を踏まえまして、石綿除去作業が終了した際の確認ですけれども、受注者、自主施工者に対して、除去作業が事前調査の結果と照らし合わせて、取り残しがないことを確認することを義務づけるべきではないかというふうにしてございます。

 また、石綿の取り残しがないことの確認は、事前調査を実施する者と同等の知識を有する者が行うべきではないかと考えておりまして、やはり石綿含有建材がどこに使われているかという知見を有する者ということで、事前調査のところで前回議論をさせていただきましたが、そのような調査の能力のある方が、最後の取り残しについても確認いただくということが適切ではないかというふうに考えてございます。

 また、隔離を実施した場合ですけれども、こちらは、隔離を解く際に、ちゃんと作業場合の石綿濃度が十分低下したことを確認することが必要ではないかというふうに思ってございまして、そちらのほうも、こちらの方針として整理させていただいてございます。

 めくっていただきまして、5ページ目でございます。

 受注者、施工者等が完了の確認を行うというところの議論の次のところでございますけれども、特定粉じん排出等作業に該当する場合は、発注者が作業の届け出ということを行うということにしておりまして、その発注者も関わってくるということが適切ではないかというふうに考えております。

 また、受注者及び自主施工者がしっかりと確認した結果を、都道府県が立ち入り等で確かめるということも必要かというふうに考えてございます。

 そのような観点から、対応の方向性として2点整理してございます。

 まずは、完了確認の結果でございますけれども、こちらは、受注者が発注者に報告するということを義務づけてはどうかというふうに考えてございます。

 続きまして、二つ目のポツですけれども、除去作業が適切に実施されたことの確認を、都道府県がちゃんと行えるように、受注者及び自主施工者に対して、完了確認の結果の記録を一定期間保存するということを義務づけてはどうかというふうな方向の整理がございます。

 めくっていただきまして、6ページ目は、作業中の記録と作業後の報告、完了確認・報告というところの流れを、時系列においてわかりやすく整理したというものでございます。

 資料は以上でございます。

【大塚委員長】 では、資料3-1、3-2について、ご議論いただきたいと思います。

 除去工事が適切に終了したことについての確認についてでございますけれども、ご意見、ご質問がある方は名札を立ててください。

 最初に、事務局から簡単に一言だけおっしゃっていただくとありがたいですが、現在の、資料3-1のところでご説明いただいている状況と比べて、どこを変えるというご提案なのかというのを、簡単におっしゃっていただけますか。現在は規則に義務が全くないわけではないので、そことの関係で、どこが変わることかというのを一言、さっき勢一委員が質問したようなことは、また多分、問題になると思いますので、一言お願いできますか。

【吉田大気環境課課長補佐】 こちら、方針の方向のところで示させていただいたところでいきますと、現在の扱いについては、資料3-1の3ページに、記録の保存のみということで、そのほかはマニュアルというふうにしてございますが、こちらの3-2で示した方向性でいきますと、まずは資料3-1の①で整理しております記録により、特定建築材料除去の施工が適切であったことということですが、まず記録を実際に作業する方につけていただくという義務と、その記録をちゃんと受注者ですとか自主施工者の方が確認をするという義務を、今回方向性として考えているところでございます。

 また、資料3-1の②のところですけれども、特定建築材料の取り残しがないことの確認ですが、こちらも受注者の方にちゃんと確認をしてもらいたいというふうに、現在はないところですけれども、新たに義務づけを考えてございまして、さらに、この取り残しがないことを確認する人は、資格としては、事前調査を行う方と同等の知見がある方に行っていただくということを考えてございます。

 また、資料3-1、3ページ目の③ですけれども、特定粉じんの処理が適切になされたことということで記載してございますが、こちらはちゃんと清掃が行われているかとか、ちゃんとその廃棄物として、ちゃんと適切に処理するというところまでも確認の範囲ということで義務づけようというふうに考えてございます。

 丸の四つ目のところでございますけども、隔離・養生を解く際の措置というところも……。

 すみません、資料の3-1の3ページのところからです、資料3-1の3ページのところの、現在の扱いのところを①から④に沿って説明させていただきましたが、新たな義務づけというところの①から④、それぞれが現在、隔離をするときの記録以外は規定がございませんので、①から④については、新たに義務化ということで考えているところでございます。

【大塚委員長】 ありがとうございました。では、よろしくお願いします。

 では、廣田委員から、お願いします。

【廣田専門委員】 ご説明ありがとうございます。

 資料3-2の最後の6ページ目、これが完了に係る確認のイメージ図ということなんですけれども、前回ちょっとご質問したんですが、一応、今回その成形板等も含めるということで、住宅も想定されていると。

 ということは、今後ここでいう発注者という方が個人の方ということも、当然想定されるというか、多分その件数が非常に多くなるのじゃないのかなという気はしています。

 果たして、その個人の方に、これまでのことを要求して、うまく運用できるかどうかというのが、ちょっと前回のお話からずっと疑問に思っていまして。そこは実際、その個人の宅地ということであれば、特定建材が使用されているということは報告がなくて、ほとんどが成形板だとは思うんですが。そういった建材の飛散性とかも無視して、全ての石綿含有建材を含む建物の解体について、この資料3-2の6ページのようなイメージが適用するということをお考えになっているのかどうかということを、ちょっと確認をしたくて申しました。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 中村委員、お願いします。

【中村専門委員】 自治体代表として、ちょっとお願いなんですけど。

 資料3-2の2ページのところに、石綿含有建材の取り残しのないことを確認するよう義務付けることは、大変重要だとは思っておりますけど、一方、行政のリソースと言いますか、一定の限界がありまして、自治体側が効率的に検査できるよう、何をどう確認するか等をちょっとマニュアル等で明確にしていただきたいと考えております。

 以上です。

【大塚委員長】笠井委員、お願いします。

【笠井専門委員】 日建連の笠井でございます。

 先ほどもありましたけれども、取り残し、あるいは見落としの防止を図るために、一定の知見を持った者がということなんですけど、この一定の知見を持った者というのが、なかなかどういう人なのかということなんですが。調査者というのが、一つ例として挙がっていますけれども。実際は、やはり作業の除去をする方、例えば石綿の作業主任者とか、そういう方々というのは、やはり常々その現場で除去作業をされていて、取り残しとか、そういうことについては非常にノウハウがあるというか、経験があるといいますか、持っているんで、そういう人たちの知見を集めた何か事例集みたいなものとか、写真で示すとか、あるいはこの時代ですとITを使って、CADか何かわかりませんけれども3Dで示してあげるとか、そういうものをつくると、一定の知見の持った者という個人で言っちゃうと、その人が引退しちゃうと、次に引き継がれるのかという話もありますので、何かそういうものを蓄積していくような仕組みというものを、つくれないのかなというふうに思っております。

【大塚委員長】 出野委員、お願いします。

【出野専門委員】 全解からの出野です。2点だけ意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず1点目は、先ほどの私のスタンスから言うと、施工者が作業基準を守る、これは大前提ですので、それを守ったということを証明させると、写真等で記録を残させると、そういうことについては賛成でございます。やっていただきたいと思います。これが1点です。

 それから、もう1点、先ほどどなたかがおっしゃいましたけども、完了報告を発注者にさせると、建設リサイクル法もそうなっておるんですけども、建設リサイクル法ができて動きだして、もう十数年たちますけども、結構これ話題になっています。ほとんど意味をなしてないんじゃないかという、マイナスの意見ですけども。

 要するに、一生に一回しか解体工事をやらない発注者に報告をして、意味があるのかと、多分意味がないであろうと思います。業者もそういうことを考えて、多分報告してないんじゃないかと、調査したことはありませんけども、ヒアリングをしますとそういう傾向が伺えます。

 これは、やっぱり行政に事前に届け出をした以上、+完了もやっぱり行政に完了届といいますか、完了報告を形だけでもさせるべきではなかろうかなというのが、私の意見でございます。

 以上、2点です。

【大塚委員長】 二つ目というのは、建設リサイクル法でも、よく問題になっていた点でございます。

 島委員、お願いします。

【島臨時委員】 簡単なことについて、少しお尋ねしたいと思います。

 資料3-1の7ページで、今もお話のあった完了報告の件でございますが。完了の報告・届出を義務づけている都道府県等が、12.2%しかないということでございますけども。この義務づけているところでは、実際にどの程度の割合で届出があるのか、義務づけていないところでは、届出がどの程度なのかということがおわかりでしたら、教えていただきたいと思います。

 それから、同じく8ページでございますが、立入検査で取り残しが21件、6.5%あったということであります。これは実際に取り残しがなかったという報告があったところに立入検査をした結果という理解でよろしいのかという点を教えていただきたいと思います。

 あと、もう1点でございますけども、これは質問というか意見ですが、作業終了後の大気濃度、気中濃度について、3-1の7ページでは、131都道府県等のうち作業区域内で26、作業区域周辺で19が求めているということでありますが。実際に、この大気濃度を測定されている、作業終了後の大気濃度を測定されている事例がどの程度あるのかということがおわかりでしたら教えてください。

 それから、諸外国の事例を見ますと、ここ10ページで紹介されている4カ国全てにおいて、気中濃度の測定が確認内容に含まれているわけでありますが。資料3-2の今後の対応の方向性というところでは、特に気中濃度についての記載がないようなんですけども、その辺りはどのように今後、対応をお考えなのかという点をお聞かせていただければと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 じゃあ、外山委員。

【外山専門委員】 基本的な方向性は、私も賛成です。事前調査を実施する者が取り残しの有無を確認するということも、現状ではやむを得ないのかなというふうに思いますけれども。やはり、大分取り残しの検査というのは違うノウハウがありますので、資料3-1の10ページですけれども、諸外国を見るとおわかりのとおり全ての国で、米国とイギリスでは第三者が行うということで、第三者制が求められるということで。英国は法的にはそうではないんですが、ISO認定を受けた機関ということで、かなり専門性が高いので、現実には別の機関、除去を行った業者とは別の機関が完了検査を行っているということで。ここは、やっぱり第三者制、将来的には第三者的な資格をつくって、そういった人が検査をするという方向性が必要と思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 では、一旦区切りまして、回答を事務局からお願いいたします。

【吉田大気環境課課長補佐】 まず、いただきましたご質問を順に回答をさせていただきます。

 まず、廣田委員からいただきました住宅のところが今後、対象になってくるのでというところですけれども。こちら発注者ということですので、基本、個人の方も含まれるというふうに考えてございます。

 関わり合いの仕方につきましては、資料3-2の最後のイメージで書いてありますように、現在の方向性の案では、受注者の方に完了の確認をしていただいて、報告を発注者の方にしていただくというところで関わっていただくというふうなことで考えてございます。

 続きまして、中村委員からいただきました自治体のところの立入検査のところですけれども、こちらも今回、方向性について議論をいただきまして、方向性がある程度見えてきましたら、自治体の方々の立入検査のところをどうするかというところも、整理させていただきたいというふうには考えてございます。

 また、笠井委員からいただいたところも、事例集というところでご意見として承っておきたいというふうに思います。

 また、出野委員からいただきました発注者に対しての報告ですけれども、参考にしているところは、建設リサイクル法のところの整理も出させていただきましたが、発注者が届出の責任者というところで、現在においては発注者に報告をするというところと、行政のところも一定のリソースの有効活用という観点から、現在におきましては、発注者に報告させていただきつつ、その現場において、都道府県の判断において立入検査等を行うことが有効ではないかというふうに、現在のところでは整理させていただいてございます。

 また、島委員からいただきましたデータ関係は、ちょっとこの場では手元に資料ございませんので、また再度整理して、確認をとらせていただければというふうに思います。

 また、あと隔離を解く際の大気濃度測定の関係でございますけれども、こちらに関しましては、資料3-2の4ページ目でございます。

 4ページ目の対応の方向性のポツの三つ目に記載してございますけれども、隔離をした場合は、ちゃんとその隔離を解く際に、ちゃんと隔離作業内の石綿濃度が十分に低下することを確認することが必要ではないかということで、記載させていただいてございます。

 また、外山委員にいただきました第三者性のところでございますけれども、こちら現在の状況から見ると、なかなか全くの第三者というところは、現在の整理においては難しいところかと思いますけれどもいただいたところは、意見として、まだ意見として受け止めておくというところでさせていただければというふうに思います。

 一旦、回答をさせていただきました。

【大塚委員長】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

 そうしたら一言だけ、さっきの出野委員の話の回答で、ちょっと追加して補足していただきたいんですけど、この完了確認の結果を、受注者が発注者ではなくて自治体に報告するというような手続を、出野委員がさっき提案されましたけれども。それは、難しいということなんですか。そこの説明が、まだ少し足りないように思いますので、お願いできますか。

【吉田大気環境課課長補佐】 はい。申し訳ありません。

 現在のところでございますけれども、工事の件数が推計のところですけれども、10万件から34万件というところで推計されているところでございます。こちら現在の、資料3-2の2ページ目に記載させていただきましたけれども、こちらの報告を受けるというところも、自治体の現在の行政のリソースというところを考えますと、全部を受けて、その完了確認を都道府県が全部確認をするというところではなくて、現場に立ち入りによって確認をしていくというところが、現在の都道府県等のリソースを考えた場合には、有効ではないかというふうに考えているところでございます。

【大塚委員長】 そういう現実的な話だそうです。

【出野専門委員】 出野ですけども。

 ついでですけど、じゃあ発注者が報告を受けると、その発注者、例えば個人であっても、その書類を3年間保存するという義務を課すという理解でよろしいんですかね。ちょっと具体的過ぎて申し訳ないんですけど。

【大塚委員長】 それは後でまたお答えいただきます。

 じゃあ、浅見委員、お願いします。

【浅見専門委員】 浅見です。

 ようやく完了確認まで話がいってきたのかなということで、ほぼ賛成です。

 これは質問というより、提案なんですけれども、「取り残しがないこと」というのは、よく出てくるんですけれども、吹付け材の除去ですと、どうしても除去できない部分があって、意図的に残して封じ込めをやるというのがあるんです。ちょっと文言的なことで、細かいことで申し訳ないんですけど、その辺りの表現をちょっとわかりやすくしていただければいいんではないかなと思います。

 取り残しということになってしまいますと、自治体の立ち入りがあった場合に、残っているじゃないかというようなことで指摘を受ける場合もございますので、その点はお願いしたいと思います。

 あともう1点、やはり完了検査ですけれども、検査する者、もちろん現状やむを得ないかとは思うんですけれども、第三者という以外に、もう一つ、現場の解体・除去のことをよく知っている人、なおかつ石綿含有建材を知っている人ということが、望ましいと思っております。

 以上です。

【大塚委員長】 本橋委員、お願いします。

【本橋専門委員】 浅見委員が言ったのと似ているんですが、出野さん、発注者が知らなくちゃいけないこととして、今言った、意図的に封じ込めて残した部分とか、事前調査のときにも、実は調査できないところはあるわけです。例えば、カーテンウォールの内側に吹付けアスベストがあったら、外壁壊さないと、それは調査もできませんし、工事もできないわけですから。大規模の改修工事では、そういう部分は残っているというのを知ってなくちゃいけないし、施工後の報告にもそれは書きますし、事前調査報告のときにも調査ができなかったので、調査できるところがあれば工事中にはやりなさいと記録することが、いろんなマニュアルに書いてあるんで。発注者は、なくなればいいですよ、なくならない限りは、ちゃんと報告書をもらってまだあることを覚えておいてもらわないと困るんです、というのが私の意見です。

【大塚委員長】 どうも有益なご指摘をありがとうございます。

 では、よろしいでしょうか。

 では、事務局、お願いいたします。

【吉田大気環境課課長補佐】 まず、出野委員からいただきました、資料の保存の義務でございますけれども、6ページ目、資料3-2の6ページ目のところでイメージを書いているところで説明をさせていただきます。

 現状におきましては、保存の義務をかけるのは、受注者にかけるということで想定しておりまして。発注者におきましては、報告を受けるというところで、そこから保存の義務までは、現在検討をしていないというところでございます。

 また、浅見委員からいただきました、封じ込め等を配慮した表現ということは、こちらも必要なところかと思いますので、また改めさせていただければというふうに思います。

 本橋委員からいただいたところは、また意見としていただいたというふうに理解しておりますので、今後の整理の中で、また反映させていくということを考えていきたいというふうに思います。

 ありがとうございます。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、続きまして、資料の4-1、4-2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【吉田大気環境課課長補佐】 では、引き続きまして、資料の4-1、4-2について説明していきます。まず、こちら資料の4-1、4-2でございますけれども、その他ということで、制度の履行の促進ということに関しまして、数々の議題について整理してございます。

 まず、資料の4-1のほうで関係情報の整理をしてございますので、そちらから説明させていただきます。

 まず、めくっていただきまして、2ページ目でございます。制度の履行の促進に関しまして、大防法に関しては、パンフレットですとか講演会等で周知を図っているところですけれども、発注者ですとか、施工者に対する認識の不足がまだあるのではないかということで、ご指摘もいただいているところでございます。

 こちら対応、解決策としましては、下のところで矢印で三つのポツ、整理してございますけども、法に基づく規制の内容について、通知・マニュアル等によって整理するということですとか。また、行政による監視・指導・必要に応じた強制力の行使というところが、二つ目のところではあると。三つ目のところでは、関係者への普及啓発というところがあるのではないかというふうに、履行の促進というテーマでは三つ整理してございます。

 このような取組を進めるために、どのようなことが必要かというところを、さらに①から③のところで整理してございまして。詳細については、3ページ目、次のページに行っていただければというふうに思います。

 3ページ目で①から③のところで整理してございまして、まずはライフサイクルを踏まえた関連制度の連携ということで、大防法のみならず、関連する建築関係の法令ですとか、安衛法との連携というところは考えられるというところで整理してございます。

 ②でございますけれども、大防法における制度の充足ということで、現在議論いただいている各論点におけるところで、充足を図るということとともに、関連制度との連携というところが重要ではないかというところで整理させていただいております。

 三つ目のテーマとしましては、普及・啓発の取組ということで、周辺住民へのリスクコミュニケーションの促進ですとか、または関係省庁、関係団体と連携した取組というところで、普及・啓発に取り組むということが必要ではないかということで考えてございます。

 めくっていただきまして、4ページ目でございます。

 4ページ目におきましては、建築物のライフサイクルにおける石綿対策ということで、先ほど書かせていただきました、①のライフサイクルを踏まえた整理について、関係法令のところで記載してございます。

 まず、建築物の使用中に関しましては、建築基準法のほうで吹付け石綿を使用しているところにつきましては、既存建築物の所有者等に対して、増改築のときにおきましては、除去等の対策を義務づけているというところでございます。

 また、解体工事におきましては、建設業法に基づく業の許可を得たところが、一部ですけども、実施するというところになっておりまして。こちら資格ですとか、施工技術の確保、工期・請負費用を含めた適正化というところを担保しているところもございます。

 また、建築物の解体作業時におきましては、大防法の石綿飛散防止に加えまして、また安衛法石綿則においても、作業員の石綿ばく露防止ですとか、あとは最後の廃棄物のところに行きますと、廃棄物処理法のところで収集運搬・処分の規制があるというところで、建築物の管理から、最後解体して廃棄するところまでということで、関係の法令があるというところで整理させていただいております。

 5ページ目は、こちらの関係法令のところを、流れに沿って使用中から廃棄物の処理まで時系列で並べておりますので、ご参考までに見ていただければというふうに思います。

 めくっていただきまして、6ページ目でございます。

 こちら大防法と関係法令の連携の中でも、特に関連の深い安衛法(石綿則)との整理について記載してございます。こちらは、法目的が異なるものです。建築物の解体作業においては、石綿対策として、実質的に多くの点で類似するというところがございます。

 また、必要とされる規制の内容に異なる部分が一部ございますけれども、建築物の解体等の各プロセスに対する規制については、石綿則との連携を強化することで、可能な規制の内容を統一することが望ましいというふうに考えているところでございます。

 このようなところで、以前の、このその他の前のところでも、各論点のところで議論をしてまいりましたが、事前調査の内容ですとか、行政への届出、また作業基準の遵守ですとか、行政の監視・指導という各点において、石綿則との連携ということは重要ではないかということで整理してございます。

 また、7ページ目でございます。

 7ページ目におきましては、関係機関による解体等工事の現場の把握の促進ということで整理させていただいております。こちらは大防法における届出以外も、安衛法ですとか、建リ法に基づいて、それぞれ労基署ですとか、都道府県の担当部局に、解体工事等の届出の情報というのが来ているところでございます。

 現行法令におきましても、大防法の規定に基づき、こういう届出情報の共有が可能であることを、環境省から各自治体には通知してございまして。それに従って、現在も適宜、自治体においては情報共有がされているというようなところで認識してございます。

 このような中で、現在のところでも連携を進めているところでございますが、丸の四つ目でございます。こちら労働安全衛生法の石綿則の中で、新たに一定の規模以上のところについては、解体工事について、石綿含有の有無にかかわらず、電子届出によって労基署のほうに届け出る仕組みの創設ということを検討しているというところもございます。こういうところの活用というところも今後、検討されるということで考えてございます。

 8ページ目でございます。

 こちらが7ページ目で示しました、各法令における現場の把握のところを、イメージとして示したものでございます。実践におきましては、現在の届出のところの範囲を示しておりまして、黄色の点線におきましては、今のところ安衛法の石綿則に基づく事前調査の結果の届出の範囲というのを、概念図として示しております。こちら参考までに提示してございます。

 続きまして、9ページ目でございます。

 9ページ目でございますが、こちらは関係機関による解体工事の現場の把握の促進ということでございまして、実際に大防法とは、大防法の石綿飛散防止対策とは直接関係ないものを建築物の解体において遵守すべき法令としまして、騒音規制法ですとか、振動規制法、またはフロン法に基づく規制というものがございます。

 この辺りは建リ法に基づく全国一斉パトロールというところと連携して、取り締まりを一斉的にやっているというところもございますので、このような取組を、引き続きやっていくことが有効ではないかというところで、9ページ目のところで記載してございます。

 10ページ目でございます。

 10ページ目におきましては、作業の質の担保というところで整理させていただいております。具体的には、事前調査者の育成ですとか、施工技術の確保というところでございますけれども、10ページ目の一番上では、昨年10月に整理させていただきました、国交省、厚労省、環境省、三省が連携して、建築物の石綿含有建材調査者の講習登録制度というものをつくったというところの経緯がございます。

 また、厚生労働省においては、戸建て住宅に特化した研修制度というところを、現在検討されているというところでございます。

 また、講習以外も、現在の建設業法の中で適切な施工の担保というところで、資格とか、そういうところを規定しているところもございます。そのようなところも連携できるのではないかというところで、記載させていただいてございます。

 また、一番下のところでございますけども、ポツの、石綿除去作業においては、一番関係法令の中でも関係が深い石綿則の中において、石綿作業主任者技能講習ですとか、特別教育というものも設けられております。このようなところをあわせて、大防法と連携することで、作業の質の担保というところがあるのではないかということで整理させていただいております。

 11ページ目でございます。

 11ページ目におきましては、廃棄物の処理の確保ということで、現在、解体工事を行った後の扱いということで、廃石綿等ですとか、石綿含有廃棄物ということで整理され、それぞれ廃棄物についても、廃措法の中で適切に処分することということが規定されてございますので、こちらは関係法令として載せてございます。

 また、めくっていただきまして、12ページ目でございます。

 こちらは通常使用時における石綿状況の把握ということでございまして、現状におきましても、災害時の対応ということを考えまして、環境省のマニュアルにおいて都道府県に対して、平常時から建築物における石綿の使用状況というのを把握することが重要だということです。あとは災害時に発生した石綿含有廃棄物の処理とか、地域の防災計画ですとか、災害廃棄物処理計画の中で、こういう石綿含有建材の使用状況というのを、情報を盛り込んでいくということが重要だということで求めているところでございます。

 続きまして、13ページ目でございます。

 13ページ目におきましては、こちらはまた整理、作業基準違反への対応というところで、項目を立ててございます。現在の大防法の改正後の都道府県による行政の処分件数について、表のほうでまとめてございます。

 平成25年の改正後、計画変更命令及び命令違反並びに届出違反ということで、告発件数は0件のまま推移しているという現状でございます。

 要因として、二つ整理してございます。

 まずは、その届出がない場合には、現在ですと、届出の義務が発注者にかかっておりまして、事前調査の義務というのが受注者というところで、その義務の主体が違いますので、なかなか問題が発生したときに、どちらに落ち度があるのか判断しづらいというところがあるのではないかということで、要因の一つ目としてございます。

 要因の二つ目でございますけども、解体工事は、大部分が短期間で終了するところも多くて、一旦作業基準違反に関しては、行政が作業基準違反を、まだ計画の変更命令等を出したことに対して、従わないというところで告発というところになりますので、そういうところが、なかなかそこの手続行く前に工事が終わってしまうというところがあるのではないかというところを、二つ目の要因として整理してございます。

 めくっていただきまして、14ページ目でございます。

 14ページ目にございますのは、関係法令の中でも、石綿則の違反というところでは、近年においても送検事例というものがございますので、そちらを参考までに載せているというものでございます。石綿則ですと、安衛法に基づき、その石綿の除去作業において不適切であった事例というのが、近年においても送検事例があったというところで、表をまとめてございます。

 15ページ目でございます。

 めくっていただきまして、15ページ目におきましては、このような大防法と石綿則というところにおいては、その石綿飛散防止という観点から見ますと、作業基準では類似の点も多くて、こちら労基署と大防法関係部局が連携していくということで、その作業基準違反への対応というところも、より取り締まりの強化ができるのではないかということで、連携について記載させていただいてございます。

 また、16ページ目でございます。

 こちらはリスクコミュニケーションに関しまして、周辺住民へのリスクコミュニケーション関係は、環境省のほうで29年4月のほうでガイドラインを示してございますので、その内容について載せてございます。

 また、17ページ目でございます。

 こちらは普及・啓発の観点でございますけども、所有者、解体業者においては、非常に多岐にわたる業界があるというふうに、ご指摘いただいてございます。こちらは関係があり、今後普及・啓発の連携を図るべき業界について、情報を一旦整理したというものを、表を17ページに載せてございます。

 以上が、4-1、関係情報の整理でございまして、資料4-2におきまして、それぞれの制度の履行の促進に関して、各論点とそれに対する対応の方向性について説明しているものでございます。

 まず、資料4-2をめくっていただきまして、2ページ目でございますけれども。こちら論点設定といたしましては、制度履行担保の在り方についてということで、改善を目指すべき点はないかということで、各議論のところで記載してございます。

 まず、一つ目でございますけれども、こちらはライフサイクルを踏まえたということで考えますと、建築基準法ですとか、また安衛法の石綿則、また廃棄物処理法というところで関係の法令がございますので、そういうところとの連携というのを図ることが重要ではないかということで記載してございます。

 めくっていただきまして、3ページ目でございます。

 各法との連携という中でも安衛法石綿則との連携ということで、非常に多岐の項目にわたるものですので、こちらで整理させていただいてございます。

 対応の方向性でございますけれども、こちら規制内容の理解の促進ですとか、法令遵守の徹底という観点から、また行政の監視、指導の強化というところも踏まえまして、建築物の解体等の作業の各プロセスについては、石綿則との連携を強化するということで、方向性を書いてございます。

 その中でも、可能な場合には規制内容を統一して、現場のほうで混乱が起きないというところも重要ではないかというふうに記載してございます。

 また、現在、大防法と安衛法石綿則のほうにおきましては、マニュアルがそれぞれ別で出ておりますけれども、こちらもマニュアルを統一して、現場において運用をわかりやすくするということが重要ではないかということで、3ページ目の下のほうで整理させていただいております。

 めくっていただきまして、4ページ目でございます。

 引き続き、石綿則との連携ということで記載してございます。こちらは石綿則、厚生労働省においての検討状況というのを、白抜きの一番上に記載してございます。

 白抜きの一番上のポツでございますけれども、解体工事の工事に関する一定の情報を記載した簡易な届出ということですけれども、事前調査で把握した内容というのを提出するということを受注者に求めていることを検討してございます。

 また、こちら簡易な届出の範囲としましては、現在、厚生労働省のほうで検討中ではございますけども、床面積80平米以上ですとか、または請負代金1億円以上というような条件について、検討がなされているという状況でございます。

 また、大防法の現在の整理について、白の三つ目のポツで書いてございますけども、大防法においては、受注者に対して事前調査の義務ですとか、発注者、事前調査結果の発注者への説明及び掲示を義務づけている状況でございます。

 また、発注者に対しては、作業実施の届出ということを求めているというのが、現在の大防法の整理でございます。

 このような状況を踏まえまして、対応の方向性のところに移らせてもらいます。

 こちらですけども、事前調査の結果の届け出につきましては、ポツの一つ目でございますけども、事前調査の結果について、都道府県等の担当部局に届け出るということを、大防法においても位置づけるべきではないかということで考えてございます。

 また、丸の二つ目でございますけども、こちら事前調査の実施の義務ですとか、調査の結果の掲示義務というところが受注者にあるということですとか、また、解体現場を把握するという目的のために、こちら事前調査の届け出ということを検討されているというところですけれども、こちらが非常に多くのものが出てくるということと、石綿則との連携ということを勘案した場合には、受注者、こちら大防法においても、受注者による情報の提供を求めるという制度がよいのではないかということで方針を整理してございます。

 また、三つ目の丸でございますけども、こちら現在の大防法においては、リスクコミュニケーションの観点から、事前調査の結果について掲示するということになっておりますが。この掲示の内容も、より周辺の方への周知ということを踏まえて、ちゃんと明確化するということを考えておりまして、期間中の掲示をよりわかりやすく徹底すべきではないかということで方針を考えてございます。

 めくっていただきまして、5ページ目でございます。

 こちらは関係機関との連携による解体等工事の現場の把握ということで記載してございます。

 白抜きの一つ目は、先ほど説明させていただきました、事前調査の結果の届出ということが検討されてございますけれども、こちら石綿則における検討状況とあわせることによって、現場の把握ということが進むということで考えてございます。

 また、白抜きの二つ目でございますけれども、下線のところでございますが、現在も安衛法の石綿則ですとか、建リ法の取組というところを行政機関において共有して、現在一斉に全国一斉パトロール等を行っておりますので、そのような取組は引き続きやっていくべきではないかというふうなところで、対応の方向性のところもまとめさせていただいているところでございます。

 次、めくっていただきまして、6ページ目でございます。

 こちら作業の質の担保というところでございますけれども、事前調査者の育成の観点から現在、白抜きの丸のポツの一番上でございますけれども、国交省、厚労省、環境省の三省の連携した取組ということで、建築物石綿含有建材調査者講習登録制度というところができております。

 こちらの活用については、事前調査ですとか、先ほどの完了確認というところで活用については検討をしているところですけども、現在、十分な人数がまだ確保できてないというところを、引き続き人数の確保というところで、三省連携で頑張っていくべきではないかというところで考えてございます。

 また、対応の方向性のところでございますけれども、除去業者の質の向上というところでございますが、こちらは大防法における規定のみならず、そのほか厚労省の制度ですとか、あとは建設業法における制度がございますので、そのような各省の制度と連携して取り組むべきではないかというところで、方針を整理させていただいているところでございます。

 めくっていただきまして、7ページ目でございます。

 7ページ目におきましては、通常使用時における石綿使用状況の把握について説明してございます。現状の取組が白抜きの丸の一つ目に書いてございますけども、現在、環境省においては、災害発生時というところから、災害発生時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルというものを整理して、通常時からの把握というところを求めているところでございます。

 また、国交省のほうで、吹付け石綿等の使用状況というところは、アスベスト調査台帳等の整備を進めておりまして、そのような情報をこちらのマニュアルのほうでも活用するということを、現在もお願いしているという状況でございます。

 このような状況を踏まえまして、下の対応の方向性でございます。

 まず、丸の一つ目でございますが、災害時における大気中の石綿飛散防止の観点から、建築物の所有者の方が、ちゃんと通常時においても建築物に使用されている石綿含有建材の状況というのを把握しておくことが望ましいと考えておりまして、この辺りの把握に努めるということを、今回求めていってはどうかということで考えてございます。

 また、それに当たっては現在、国交省のほうで整理しております、アスベスト調査台帳というものと連携を図るということが有効ではないかということで整理してございます。

 また、丸の三つ目でございます。こちらは対応の方向性でございますけども、地域防災計画ですとか、災害廃棄物処理計画というところも、都道府県においては連携を図ることが好ましいということで考えておりますので、このような取組は引き続き環境省として求めていくべきではないかというところで、対応の方向性を整理してございます。

 めくっていただきまして、8ページ目でございます。

 8ページ目におきましては、作業基準違反への対応というところで整理させていただいております。

 まず、一つ目、対応の方向性の丸の一番上でございますけれども、現状におきましても建リ法ですとか、その他の法令と協力して一斉パトロールというところをやっておりますので、これは引き続きやっていくべきではないかということで丸の一つ目に書いてございます。

 丸の二つ目におきましては、大防法と安衛法の法目的に合わせますと一部違うところもあるんですけれども、なるべく規制の内容ですとか、マニュアルを一本化するということで、現場においても整合性をとって連携を図れるということが必要ではないかというところで整理してございます。

 丸の三つ目でございますが、現在、大防法の規定におきましては、作業基準等が全て元請業者にかかるというような整理がされてございます。この辺り、実際に作業をしている業者というところも、作業基準の順守というのを徹底すべきではないかというところで考えておりますので、こちらの適合範囲も下請等に広げるということが必要ではないかということで丸の三つ目、整理してございます。

 9ページ目でございます。

 9ページ目のところも引き続き罰則関係の説明になってございます。

 まず、白抜きの一つ目でございます。現在、発注者による特定粉じん排出作業の届出がない場合には、発注者自身に落ち度があるのか、それとも事前調査をした方に落ち度があるのか、なかなか判断しづらいというところがございます。

 そういうところですとか、丸の二つ目でございますが、こちらは現在作業基準違反というものは、作業基準の適合命令というものをかけてから、それに従わない場合、罰則がかかるということになっておりますが、こちらのように作業基準適合命令の活用ということは、将来の作業基準違反を未然に防ぐという一定の効果があるものの、現場が既にないというようなこともあるということで、課題が提示されているところでございます。

 そのような状況を踏まえまして、対応の方向性というところで丸を二つ整理してございます。

 まず、一つ目でございますけれども、事前調査の内容について明確化するとともに、事前調査の実施、現在は届出自体がなされなかった場合に罰則規定があるんですけれども、事前調査そのものについて何かしら義務を果たさなかった場合に、受注者に罰則ということが必要なのではないかというところで、こちら論点の対応の方向性として整理してございます。

 二つ目でございます。

 こちら丸の二つ目でございますが、作業基準違反については、現在ある仕組みとして、作業基準適語命令というものがありますが、これは引き続き積極的に活用するということが必要なんですけれども、それの作業基準違反に対して、現在あるような立法上のさまざまな課題もあるところですけれども、そういうところを踏まえつつ、直罰規定というものを検討すべきではないかというところで、対応の方向性を整理しているところでございます。

 めくっていただきまして、10ページ目でございます。

 10ページ目の論点としましては、発注者、施工者に更なる普及啓発をいかに進めるべきかというところで、こちら論点設定してございます。

 こちら、まず白抜きの一つ目でございますけれども、指摘があるところでございますが、石綿対策の関係者というのは非常に多岐にわたるというところで、その普及・啓発が課題というところでございます。

 また、建築物の新築したところから解体するところまで踏まえますと、またこれも関係者というところで見ますと非常に多岐にわたるというところでございます。

 そういうところを踏まえまして、対応の方向性というところで丸を整理してございます。

 丸の一つ目におきましては、環境省がさまざまな機会を通じて、ちゃんと関係者の方に周知するということが必要ではないかということで記載しております。

 また、関係省庁においては、建築物の解体のみならず、建築時等に関わるさまざまな法令等の手続がございますので、そのような機会を捉えて普及・啓発に努めるべきということで整理させてございます。

 また、丸の二つ目でございますけれども、こちらは関係する業界団体と連携するということが有効ではないかということで、整理させてもらっております。

 また、丸の三つ目でございますけれども、こちらは建築物の所有者に対しては、現在の資料ですとなかなか難しいところもあるかと思いますので、わかりやすいリーフレットを国交省、厚労省、環境省が連携して作成して、そのような周知のための手法というのもちゃんと整理すべきではないかというところで、対応の方針を示させていただいております。

 以上が4-1、4-2でした。

【大塚委員長】 では、資料4-1、4-2について、議論を行いたいと思います。

 制度の履行の担保についてでございます。意見のある方は名札を立てていただければと思います。

 では、本橋委員からお願いします。

【本橋専門委員】 ちょっと質問なんですが、資料4-2の6ページですね。

 事前調査なんですが、三省連携でこれを増やしていくべきだというのは全く大賛成です。今増えていないんですけど、できるだけ早急にやってほしいと思います。それなのに、その白抜きの二つ目ですね。厚労省のことなんですけど、木造戸建てに特化した内容の石綿作業主任者などに対する、これは事前調査に関する講習制度ということですか。言葉が微妙によくわからないように書いてあるんですが。

 事前調査だったら、三省連携で進めようとする者の他にまた違うものをつくるような。これができるようになると三省のこれを引き続き取り組んでいくのだけれど、ちょっとそれと相反するとは言いませんが、変わってくるような、これは環境省としてどう思うのか、ちょっとコメントを下さい。

【大塚委員長】 後でまとめてお願いいたしたいと思います。

 ほかにはいかがですか、外山委員、どうぞ。

【外山専門委員】 質問が一つです。4-1の14ページですね。

 労働安全衛生法違反でA、B、Cという三つの会社が送検されていますけれども、これが何で大気汚染防止法の違反として処罰されなかったのかというところが質問です。

 意見として、やはり罰則が軽過ぎるというところが大きな問題点で、軽過ぎるだけではなくて、全く適用されていないというところが抑止効果にさえなっていないと思います。最大でも50万円以下、半年以下の懲役ということですから、これでは抑止効果にならない。

 先日、5月中旬に長野県飯田市の保育園で石綿の漏えい事故がありました。園児が石綿にばく露した。これは20年前に東京の文京区で起きた保育園の事件と酷似しています。改修工事で業者が天井を開けてしまって、一部アスベストを除去してしまったということで、今回は前回よりもさらに重大なばく露があったと言われています。

 20年前と全く同じことを繰り返しているということは、やっぱりきちんと考えなくてはいけないと思います。やはり罰則が軽過ぎる。

 今回の場合も、最大でも50万円です。正直言って、きちんとした除去工事と改修工事をするともっともっとお金がかかっていたということですので、これでは話にならない。もっともっと罰則を強化する。直罰規定ももちろん必要です。

 あとは、前々回、私、お話、提案をしましたが、ライセンス制ということですね。これが果たして大防法の中にどう位置づけられるのかということは私もよくわかりませんけれども、厚労省の委員会の中でも申し上げています。

 英国では1980年代から建設業でのアスベスト取り扱いのライセンス制ということが導入されています。もう歴史があるというか、長い歴史がありますので、ぜひ、そういったことを学んで、日本でも導入するということをしないと、やはりこういった漏えいの事故、ばく露の事故というのが終わらないと思いますので、ぜひ考えていただきたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 吉住委員、お願いします。

【吉住専門委員】 ご説明、ありがとうございます。

 労安法とかの連携を図るということは、非常に合理性があってありがたいことだというふうに思っております。

 この中で、質問、確認になるんですけども、石綿を含む建材においての事前調査の結果の届出ということにおきまして、この大防法でも届出が要るのかどうかということと、仮に必要だといった場合に、この労安法での届出ということに対して、それをもって届出にかわらせて、一緒に届出ということにさせていただけないのかということを質問させていただきたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 高岡委員、お願いします。

【高岡臨時委員】 ありがとうございます。

 私の方からは資料4-2の4ページのところですけれども、ここで厚労省において解体等の工事前に工事に関する一定の情報を記載した簡易な届出を提出することを受注者に求めることを検討しているということで、これはいいことと思います。

 それに関連して5ページの一番上のほうで、大防法及び石綿則の下で、一定規模以上の建築物等の解体等の工事に係る事前調査の結果の概要について、電子届出をさせる仕組みが創設されれば極めて有用と書かれています。これも非常に有用なものになるだろうと思っております。

 その後、その下の対応の方向性で、ここでは事前調査の結果の概要について、届出と報告等をさせる制度を位置づけるべきではないかと書かれています。最初はこれなのかもしれませんが、先ほどの除去作業が適切に終了したことの確認というのは難しいのかもしれませんが、報告というのはこういう電子のところに報告するような形にしていけば、事前調査から最後まで一貫して電子で見ることができると思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 島委員、お願いします。

【島臨時委員】 私のほうは、普及・啓発の取組という点でお尋ねしたいと思います。

 資料4-1の3ページには、普及・啓発の取組として、周辺住民へのリスクコミュニケーション、それから関係省庁、自治体などとの連携といったようなことが記載されています。

 そして、資料4-2では、10ページに普及・啓発の取組の方向性が示されているわけでありますが、ここでは受注者等への普及・啓発、発注者への普及・啓発ということに限られていて、周辺住民、その他さまざまな団体等と連携した取組についての方向性というのが不十分ではないかと思います。

 周辺住民については、資料4-2の4ページに、解体工事現場に事前調査の結果について掲示をするといったことは記載されているんですが、やはりそれだけでリスクコミュニケーションとしては決して十分とは言えないのではないかなと、もう少し周辺住民、あるいはその他関係団体等で連携した普及・啓発を検討すべきではないかなというふうに思いますので、意見として出させていただきます。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では一旦ここで切らせていただいて、事務局から回答をお願いします。

【吉田大気環境課課長補佐】 では、順に質問のところから回答させていただきますけれども、まず、本橋委員のご指摘のところです。

 現在の厚労省のほうで戸建て住宅の木造住宅に着目したところの講習ということを検討されているというところは、前回の厚労省のワーキングのところで議論がされたところでございます。

 そちらと事前調査の位置づけというところは、まだはっきり整理できておりませんけれども、こちらが事前調査の方の人数の確保という観点から、現在、講習登録制度の登録者というところもまだ十分な人数が確保できていないところですので、活用できるというようなものが厚労省のほうから提示されるのであれば、環境省においても活用するということに十分検討できるものではないかなというふうに考えてございます。

 まだ、そこはまだ詳細が決まっていないというか、議論されているところですので、引き続き厚労省における議論の方向性を注視していくということで考えてございます。

 続きまして、外山委員からご指摘のございました罰則のところでございますけれども、まず、大防法でなぜ処罰されていないのかというところでございますが、個別の具体のところではありませんけれども、前のページ目の13ページ目で、こちらですね、こちらも課題として指摘しているところでございますが、作業基準違反に関しましては、今回、石綿則のほうでは送検されたのが作業基準違反に関するものなんですけれども、大防法においては一度計画の適合命令を出したというところでなければ、なかなか送検というさらに次のステップがいかないというところと、その間にもう既に現場がないというようなところが関係して、大防法においては同じような罰則規定が適用されにくい状況にあるのではないかというところが考えているところでございます。

 また、量刑についてもご指摘がございましたけれども、こちらは、まず量刑についての議論をするところとしましては、土台として、やはり実際の状況として命令違反の適合命令を出すとか、また、罰則の適用状況を見て検討する必要がございますので、ご指摘として、意見としては賜っておきますが、現時点において量刑の議論をするほどのデータですとか、事例がないというのが現状でございます。

 続きまして、あと、ライセンスのところでもご指摘をいただいております。現状においては、今回示させていただいた方針におきましては、作業基準の順守というところを、完了確認ですとか、また記録するというところですとか、そういうところで強化するというところで方針を考えてございます。

 また、各省の各工事に携わっている方の資格ですとか、そういうところも大防法以外のところで石綿則等建設関係のところで定まっているところもございますので、そういうところと連携することによって、適切な工事の管理というところを考えていきたいというふうに考えているところでございます。

 続きまして、吉住委員ご指摘の大防法における届出というところでございますが、事前調査の届出に関しましては、大防法での位置づけも今回考えるということでございますけれども、その内容はなるべく石綿則における事前調査の届出というところと整合性を検討するということでございますし、あと、電子届出についても言及がございますが、電子届出のシステムを作成した際には、なるべく現場の事業者の方が省力化を図れるように、ワンストップで電子届出がなされたら両方のほうに情報が行くというようなシステム設計というのを考えていきたいというふうに考えてございます。

 続きまして、あとは島委員ご指摘の掲示以外の連携というところでございます。

 こちらは、基本的には周辺住民へのリスコミというところで、義務として求めているところは掲示というところで求めているところでございますが、そのほかの取組というところでいきますと、マニュアルで現在整理させていただいているところでございます。

 そのような中で、マニュアルのところでいきますと、現在の資料の4-1の16ページ目に書かせていただいてございます。この中でいきますと、やはり地域の地方公共団体の連携ですとか、周辺住民の方へのコミュニケーションというところも記載させていただいてございますので、このような取組を引き続き求めるということが重要ではないかというふうに、環境省のほうでも考えているところでございます。

 また、高岡委員ご指摘の一気通貫して電子届出とした場合のシステムの構築というところでございますが、こちらに関しましては、現在、事前調査のところでまず作成の検討をしているところでございますので、まずはそちらで整備してから、今後の、ちょっと現状においては、まだどういうシステムになるか確定していませんので、今後の課題というところに当たるかというふうに思っておりますが、まずは事前調査について電子システムを考えているという状況でございます。

【大塚委員長】 よろしいですか。

 どうもありがとうございます。

 吉住委員のご質問に対するお答えとしては、できるだけ石綿則に近づけるけれども、ここは違うということをおっしゃっていただかないと多分、ご回答にはなっていないに思いますが、何か補足していただけますか。

【吉田大気環境課課長補佐】 そうですね。

 現在、石綿則のほうで事前調査の届出というのが、作業している事業者が労基署に届け出るということで考えられてございます。

 その中で、今回大防法のほうで位置づけるとなると、今回どういう方がその届出を出すべきかというところと、届出先というところも論点の方向性で示させておいていただいていますが、そちらが仮に石綿則と一緒のような受注者の方が届け出るということになれば、システムとしては同じ事業者の方が電子システム等を通じて労基署と大防法の関係、都道府県部局に届出なり、もしくは報告を送るというような制度設計を現在の方向性では考えてございます。

【大塚委員長】 調査の項目とか内容とかは全く同じですか。

【吉田大気環境課課長補佐】 調査の項目に関しましては、一部石綿則ですと、作業の状況ですとか、また法律の目的の観点から少し違ってくるところもありますが、事前調査の届出という観点から見ると、ほぼ同じような制度にしようということで考えてございます。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 では、第二ラウンドいきたいと思います。

 中村委員、お願いします。

【中村専門委員】 すみません、自治体代表として、私も電子届出システムについて興味がありまして、こちらのほうは事業者、行政側も双方事務の軽減という点ではメリットがあると思いますけど、一方でやっぱり電子化しても、届出審査に関する事務量は膨大なものになるということは変わりないのかなと思っています。

 川崎市では、建築リサイクル法の届出は今の大防法の特定粉じん届出と比較すると大体7倍以上あるのかなと。270件に対して2,000件以上あるというような状況でございます。 そういうことですから、審査しやすいシステムをぜひ構築していただきたいと思っております。

 あとは、一戸建てみたいな小さなところになりますと、大体手書きで申請される方が多いかと思うんですけど、この辺はちゃんと考慮もされないと、なかなか中小の業者にとっては逆に軽減にならない可能性もあるので、調整をしてほしいということと、あと、届出のタイミングなんですけど、建築リサイクル法だと1週間前、7日前で、アスベストだと14日前になるんですけど、実際一戸建てですとぎりぎりまでお住まいになっていまして、2週間前に出ていくというのはあんまり多くないのかなと。

 川崎ではレベル3の届出も受けておりますけど、なかなか部屋の中といいますか、台所とかそういうところまでガリガリと壊してまで事前調査できませんので、そういうのは見落としが多いというような状況があります。

 その辺のタイミングもちょっとご検討されればと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 はい。では、神山委員、お願いします。

【神山専門委員】 資料の4-1の12ページと4-2の7ページにあるアスベスト調査台帳についてご質問したいんですけれども、これは災害時を想定して、地方公共団体があらかじめアスベストがどこにあるかを調査するのが進んでいるというふうなことが書かれているわけですけれども、12ページの右の図では、都道府県等がアスベスト調査台帳を整備し、その下向きの矢印で、建築物の所有者にその結果を知らせるというイメージで理解したんですが、これは一般に公開したら不動産価値が変わってしまって大変だろうと思うんですが、あくまでも所有者だけに自分の家やビルのアスベストの有無を知らせてくれるという理解でよろしいのかというのが一つと。

 それで、4-2の7ページの最初の丸で、アスベスト調査台帳等を通じた行政との情報共有において、あくまでも災害時を想定している調査台帳ですが、これが解体等において届出が義務づけられてくると、今では電子情報、電子ファイルで1対1ですぐ確認できますので、そういう仕組みが進むのかどうかという、この2点の質問です。

【大塚委員長】 どうもありがとうございます。

 では、笠井委員、お願いします。

【笠井専門委員】 日建連の笠井でございます。

 資料4-2の4ページのところの、大防法と安衛法(石綿則)との連携ということは、我々かねてからの希望ですので、非常に大歓迎のところなんですけれども、それを期待しまして、1点簡易届出の対象につきまして、これ今、厚労省の委員会でも非常に議論を呼んでいるところなんですけれども、建リ法の関連づけるということは一つわからなくはないし、パトロールであるとか、あるいは情報共有という意味ではいいんですけれども、改修工事の請負金額が1億円以上というのは非常に金額として大きいので、網掛けから漏れるのが非常に多いのではないかという話がずっと続いています。

 したがいまして、ここにつきましては、まだ検討中ということなんでどうなるかわかりませんけれども、建リ法にとらわれずに、いろいろな角度でちょっとここの辺りは決めていただきたいなというふうに思っております。

 それから、8ページ目の作業基準違反等の対応というところで、一番下の2行目、作業基準の順守の義務は元請以外にも事業者にもというふうなことが書かれてあって、この件につきましても、元請の我々としては非常に歓迎すべき内容だと思っておりますけれども、どのように区別するといいますか、区分をして、どのような形で適用されるのかというところ、あまり曖昧にならないようにはしていただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

【大塚委員長】 これで、今立てていらっしゃる方でおしまいにしたいと思います。

 出野委員、お願いします。

【出野専門委員】 全解工連の出野でございます。

 4点ほど、意見あるいは提案ということで、述べさせていただきます。

 資料4-2が中心ですけども、今、笠井委員がおっしゃったように、今後も三省連携しての、マニュアル、作業基準の統一、ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。

 2点目が、4ページの一番最後ですけども、これも先ほどどなたか委員の発言がありましたけども、解体工事の期間中の掲示、掲示板整備ですね。これの徹底もぜひ、またよろしくお願いしたいと思います。

 厚労省の安衛法の掲示板はもちろんあります。大気汚染防止法の看板、これは地域住民向けにわかりやすく具体的に解体工事現場の外に掲示するということを、もう少し徹底していただければというふうに思います。

 例えば建リ法ですと、この現場は届出が終わっていますというシールを張らせるとか、そういうことをやっていますけども、「この現場は石綿があります」、「何月何日にどこどこに届出してあります」とか、そういうことがはっきりわかるような掲示板をぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 3点目が、6ページになりますけれども、解体業者の施工技術の確保云々とありますけども、そこに解体工事を営む許可を得るための解体工事の技術者が受ける講習、監理技術者の5年に1度の講習とありますけども、この辺りはちょっと私が申し上げると失礼かもしれませんけども、理解不足かなという感じがいたします。

 例えば解体工事現場、普通の現場であれば主任技術者、ちょっと難しい現場であれば監理技術者と二つに分けてございますけども、監理技術者は5年に1回講習を受けるとなっています。そのときに石綿に関する講習も受けるであろうとは思いますけども、聞くところによると、そんなに詳しい講義はないというふうに聞いております。

 主任技術者については、これは1回こっきりで基本的には継続学習制度というのはないと。ということで、1回資格を取ったら、その後、石綿のことを勉強する機会は、積極的に自分でやらない限りは多分ないのではなかろうかという感じがしております。

 そういう方々が解体工事の元請、下請の場合は主任者になりますけども、基本的には解体工事の施工計画や管理をなさっているのが現状です。

 ですから、全員がそうだとは言いませんけども、中には不十分な方もいらっしゃるんじゃなかろうかという感じはしております。

 そこの辺りは、ぜひ、もう少し講習制度なり、資格制度までは言いませんけども、徹底していただければというふうに思います。

 もう一つ、ついでに、解体工事業の許可を取るときに石綿の勉強をしないと取れないとか、そんなことは一切ありません。解体工事を営業している事業者や施工管理者が石綿に関する勉強を全くやっていないと、そういうパターンも当然あると思います。そこのところは何か手当てをしないと、末端の作業員ばかり教育をして、上のほうは何も知らないと、それじゃあちょっとまずいんじゃないかと、そういう気がしております。

 それから、9ページに参りますけども、罰則関係ですけども、罰則は強化することについては、賛成とは言いませんけど、積極的に反対はしません。特に直罰規定、これはある程度私は賛成のスタンスです。

 解体工事というのは、早けりゃ1週間、遅くても2週間で終わってしまう場合もある。後から命令をかける云々をやっても遅いということで、現場に立入検査をして、例えば無届現場だったら、即座に罰則を科すというぐらいの厳しさはあってもいいのかなというふうに思います。

 それから、罰則に関しては、あと、元請責任の強化ですね。下請ばっかり責めるんじゃなくて、元請責任の強化と、これもぜひお願いをしたいと思います。

 元請さんが丸投げして自分はお金をもらうだけで何も施工しないというパターンは、最近は減ってはおりますけども、ないことはないと。ちゃんとしたゼネコンさんとかだとそういうことはないんですけども、地方に行くとまだ多々残っております。そういうことのないように、元請責任の徹底、これもお願いしたいと思います。

 できましたら、三方一両損じゃないですけども、実際の施工者、それから元請、それから発注者、所有者ですね。三者に罰則がかかるような、そういう規定も考えてもいいのかなという感じがしております。

 以上です。

【大塚委員長】 関係者でいらっしゃるのにも関わらず、非常に前向きなお話をありがとうございます。

 勢一委員、お願いします。

【勢一臨時委員】 ありがとうございます。手短に。

 石綿則を含め、関連制度との連携をしっかり進めていただいていることは、私も何度かお願いしましたとおりで、非常にありがたいと思っております。引き続き頑張っていただきたいと、応援しております。

 その上で、建築物のライフサイクルに着目をして、連携した制度を組んでいただいていて、とても重要だと思います。それに合わせて、情報共有の連携も進めていただいておりますけれども、こちらについても、全体の関連する手続・制度の流れの中で、適宜一通りの情報が連携・共有できるような視点で、全体的に見て設計をしていただければ非常にありがたいと思います。

 その際には、やはり電子化は、むしろ強力に、進めていただきたいと思っています。政府の方針としても、Society5.0というような形で、社会全体のメカニズムを変えようというモチベーションがありますので、今回をきっかけに色々な形で働きかけを進めていっていただければと思っています。

 それと、通常時の石綿使用状況の把握は、災害時のことを考えると非常に重要になってくると思います。確かに財産価値の関係で難しい点もあるかと思いますけれども、いつ、どこで災害が起こるかわかりませんので、その災害対応時に困らないような備えは、社会にとって非常に重要なリスク管理だと思いますので、ここはぜひご検討をお願いしたいと思います。

 最後に、罰則関係ですけれども、確かに直罰制を置くと極めて強いイメージはありますが、罰則量刑の程度ということになると、直罰制は軽くならざるを得ないというのが恐らく相場観だと思います。また、命令前置があったほうが機能するような局面も当然あり得るわけですから、トータルの設計として、現場が一番ワークしやすいような仕組みを追及していくということに尽きるのかなと感じています。

 確かに立法技術等いろいろ難しいところもあろうかと思いますけれども、罰則というのは一番強力な担保の手段でございますので、ここをどう活用するかは一つの戦略だと思いますので、制度全体の中でご検討いただければと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 今の作業基準の適合命令が、すぐに工事が終わってしまうと出せないので、罰則まで行かないというのが今の最大の問題ですので、その辺を踏まえて、議論していただければと思いますが。

 4のところまでは結構うまく進行していたんですけど、最後、4のところのご意見が多くて、私の不手際で4時を過ぎてしまって誠に申し訳ないですけれども、では、手短にご回答をお願いします。

【吉田大気環境課課長補佐】 今、いただきましたところ、回答していきます。

 まず、電子届けのところ、中村委員からいただきました手書きへの対応というところでございますけれども、こちら、システム上手書きで提出されたものをどう反映するかというところも、システムで現在検討しております。また、厚労省と連携して、システムの中でなるべく省力化できるように考えていきたいというふうに考えてございます。

 あとは、神山委員ご指摘のアスベスト台帳でございますけれども、こちら国交省の制度でございますが、調査自体は所有者、管理者が行って、それを行政に報告するという流れになってございます。ですので、所有者は石綿含有建材の使用状況については把握をされるというような制度設計になってございます。

 今回、環境省のほうでも大防法において、災害時を見据えて所有者、管理者においては、そのような石綿含有建材の把握に努めるということを求めてはどうかというところで方向性とさせていただいてございます。

 また、そのような情報が集まって、行政のほうに集まれば、もちろん解体工事のときの立入検査ですとか、その辺りの参考資料として活用できるということは、将来の発展としてあり得るというふうには考えてございます。

 また、笠井委員ご指摘の下請へのところで規制の関係でございますけれども、下請と元請の責任というところを曖昧にしないようにというところはご意見として賜りまして、制度設計の中で明確に整理していくように考えていきたいと思います。

 また、出野委員にいただきましたところも、基本的にはご意見としてこちらで受け止めるところかなと思ってございます。掲示ですとか、そういうところもわかりやすくというご指摘ですとか、あとは現在の各省連携の中でも、管理者の方のほかの法令の方の資格者に対する普及・啓発というところも課題として承って、検討していきたいというふうに考えます。

 また、続きまして、勢一委員からご指摘いただいたところですけれども、電子化というところを進めるというところは、手始めにまずは現在事前調査について電子化いたしますけども、その後の発展の課題というところで受け止めさせていただければというふうに思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 では、最後に議題2、その他につきまして、事務局から資料5の説明をお願いします。

【秋山大気環境課課長補佐】 それでは、資料5について、説明させていただきます。

 お手元のタブレットのほうで資料5をご覧ください。

 今後の検討スケジュール(案)でございます。

 本日、第5回の小委員会で論点の②ということでご議論いただきました。

 次回、第6回ということで、今9月上旬で予定を調整させていただいておりますが、今後の石綿飛散防止対策のあり方の方向性の骨子(案)ということで、今日の議事、前回の第4回の議事の確認結果の報告も含めまして、骨子(案)についてご検討いただきたいと考えているところでございます。

 秋以降に答申案についてご議論いただきまして、パブリックコメント実施の後に答申とりまとめという流れでお願いできればと考えているところでございます。

 以上でございます。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、本日予定された議題は終了いたしましたので、進行を事務局にお返しします。連絡事項等ございましたら、お願いいたします。

【髙澤大気環境課長】 本日、委員の皆様方におかれましては、長時間にわたり活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。

 今回及び前回ご議論いただきました内容を踏まえまして、ただいまスケジュールのところでもお知らせがございましたけれども、方向性の骨子(案)ということで整理を進めさせていただきたいと考えております。

 次回の小委員会につきましては、9月上旬ころの開催を予定しております。日程が決まり次第、ご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 本日の議事録につきましては、各委員のご確認をいただいた上で、環境省のホームページにて公開することとさせていただきます。

 それでは、第5回小委員会はこれで終了いたします。本日は誠にありがとうございました。

【大塚委員長】 どうもありがとうございました。