有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会(第1回)議事録

1.日時

平成29年12月21日(木) 14:00~17:01

2.場所

環境省第1会議室

3.出席委員

委員長  新田 裕史

委員   青木 康展   大久保 規子   片谷 教孝    島 正之    鈴木 規之

武林 亨    田邊 潔     長谷川 就一   山崎 新

4.委員以外の出席者

環境省

早水環境省水・大気環境局長、廣木環境省水・大気環境局総務課長

前田環境省水・大気環境局総務課 課長補佐、嶋田環境省水・大気環境局総務課 主査

5.議題

 (1)有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会の設置について

 (2)トリクロロエチレンの大気環境基準の検討経緯・再評価の進め方について

 (3)トリクロロエチレンの有害性について

 (4)その他

6.配付資料

資料1   中央環境審議会大気・騒音振動部会有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会委員名簿

資料2-1 有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会の設置について

資料2-2 中央環境審議会大気・騒音振動部会の専門委員会の設置について

資料3-1 トリクロロエチレンの大気環境基準の検討経緯について

資料3-2 トリクロロエチレンの大気環境基準の再評価の進め方について(案)

資料4   トリクロロエチレン有害性について(案)

参考資料1 中央環境審議会関係法令等

参考資料2 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(諮問)

参考資料3 トリクロロエチレンに係る環境基準専門委員会報告(「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第三次答申)」抜粋)

参考資料4 「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」の改定について(「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十次答申)」抜粋)

参考資料5 トリクロロエチレン健康リスク評価作業部会等の検討経過

参考資料6 IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans,Vol.106(トリクロロエチレン部分抜粋)

参考資料7 トリクロロエチレンの有害性に関する文献の概要

参考資料8 Kawamoto T et al. (2011) Historical review on development of environmental quality standards and guideline values for air pollutants in Japan, International Journal of Hygiene      and Environmental Health214,296-304.

6.議事

【廣木総務課長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会(第1回)有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会を開催いたします。

 委員の先生方におかれましては、年末の大変ご多忙の中にもかかわらず、ご出席いただき大変ありがとうございます。

 私、本日の司会を務めます、環境省水・大気環境局総務課長、廣木と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 この専門委員会は、本年5月31日に開催されました、第12回の大気・騒音振動部会におきまして設置がお許しをされまして、その際、畠山史郎部会長より、委員長につきましては、新田裕史臨時委員が指名され、委員につきましては部会長に一任されたところでございます。その後、14名の先生方が委員に指名されております。委員名簿につきましては、お手元に資料1として配付しておりますので、ご参照ください。

 それでは、本専門委員会に開催に当たりまして、環境省水・大気環境局長の早水より、ご挨拶申し上げます。

【早水局長】 環境省の早水でございます。この7月より水・大気環境局長を拝命しております。よろしくお願 いいたします。

 本日は、年末の大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ご審議いただきます有害大気汚染物質でございますけれども、平成8年の大気汚染防止法の改正で、その対策が制度化をされまして、ベンゼン、トリクロロエチレン、それからテトラクロロエチレンなど、これまで13物質につきまして環境基準、または指針値が設定をされてきております。

 この専門委員会は、先ほど廣木のほうから申し上げましたが、こういった有害大気汚染物資の環境基準や指針値の設定、再評価、それから有害大気汚染物質のリストの見直しなどについて、専門的、技術的な事項を検討するということを目的に、本年5月の部会におきまして新たに設置されたということでございます。新田委員長を初め各委員の皆様におかれましては、この委員就任をご快諾いただきまして、厚く御礼を申し上げます。

 本専門委員会でございますけれども、まずトリクロロエチレンの大気環境基準の再評価につきまして、ご審議をいただくこととしております。トリクロロエチレンにつきましては、平成9年に環境基準が設定されて以降、初めてこの基準の再評価ということになるわけですけれども、有害大気汚染物質全体につきましても、まだ環境基準の再評価というのは、これが初めてということになりますので、今日の委員会におきましては、まずその再評価の進め方について議論をいただいて、それからその後、トリクロロエチレンの有害性につきまして、ご議論いただくという形で進めていただければと考えております。

 本日、大変申し訳ないのですが、ほかの公務がございまして、私自身は途中で退席をさせていただきますけれども、時間の許す限りご審議をいただきたいということをお願いいたしまして、ご挨拶とさせていただきます。今日は、よろしくお願いいたします。

【廣木総務課長】 続きまして、本日の会議でございますけれども、中央環境審議会の運営方針に基づきまして公開とさせていただきます。

 次に、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の裏面に配付資料一覧を記載しておりますので、それをご覧いただきながら、ご確認いただければと思いますけれども。

 まず、資料1といたしまして、今のこの中央環境審議会大気・騒音振動部会有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会委員名簿でございます。資料2-1が、有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会の設置についてという紙でございます。それから資料2-2が、中央環境審議会大気・騒音振動部会の専門委員会の設置についてという、これも1枚紙でございます。続きまして、資料3-1でございますけれども、トリクロロエチレンの大気環境基準の検討経緯についてという、ホチキスどめをした紙でございます。それから資料3-2が、トリクロロエチレンの大気環境基準の再評価の進め方について(案)ということでございます。そして続きまして、資料4がちょっと厚手の資料でございますけれども、トリクロロエチレンの有害性について(案)というペーパーでございます。

 それから、参考資料でございますけれども、参考資料1が、中央環境審議会関係法令等ということで、委員の先生方にはお手元の青いファイルのところにございますけど、そこにございます。参考資料2が、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(諮問)。参考資料3が、トリクロロエチレンに係る環境基準専門委員会報告(「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第三次答申)」抜粋)ということでございます。それから、参考資料4が、「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」の改定 について(「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十次答申)」の抜粋)。これは、いわゆる有害大気汚染物質の指針値を決める際のガイドラインということでございます。参考資料5が、トリクロロエチレン健康リスク評価作業部会等の検討経過。参考資料6が、IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans,Vol.106ということでございますけど、このトリクロロエチレン部分の抜粋ということで、これはIARCの発がん分類を変更した際の文献そのものということでございます。参考資料7が、トリクロロエチレンの有害性に関する文献の概要。これは平成28年度までに、環境省の業務において整理した内容をまとめたものでございます。それから参考資料8でございますけど、これは我が国の大気環境基準や指針値の設定過程をまとめた、産業医科大川本先生、これは本委員会の委員でございますけれども、このほかの論文ということで。これは著作権の関係でウエブ配付の資料には掲載しないというふうな性質のものでございます。

 以上、配付資料一覧ということで、ご紹介させていただきました。

 また、この環境省では、環境負荷削減の観点から、審議会等の資料のペーパーレス化に取り組んでおります。傍聴の皆様方には、前日までに環境省ホームページに掲載します資料について、お持ちのノートパソコン、あるいはタブレット等の端末に保存の上、当日ご持参いただく等、ペーパーレス化へのご協力をお願いしているところでございます。

 そのため、既に公開済みの資料であります、資料1から4及び参考資料1から7につきましては、傍聴の皆様には紙で配付しておりませんので、ご了承ください。具体的な中身につきましては、また環境省ホームページ等をご確認いただきますよう、お願いいたします。

 また、参考資料につきましては、このお手元の青いファイル、委員の先生方は、お手元青いファイルの中にとじてございますけれども、必要に応じてご参照いただきたいと考えておりますが、今後も継続して使用する予定にしておりますので、会議の終了時には机の上に残してご退室をいただきますよう、お願い申し上げます。

 以上、資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。特によろしいでしょうか。 それでは、続きまして、今回第1回の専門委員会ということでございますので、ここで委員の先生方を順にご紹介させていただきます。

 まず最初に、委員長、新田裕史先生でございます。

 続きまして、私のほうから左側から順番に、青木康展委員でございます。

 上田佳代委員は、本日ご欠席でございます。また、内山巌雄委員につきましても、本日ご欠席ということでございます。

 続きまして、大久保規子委員でございます。

 続きまして、片谷教孝委員でございます。

 続きまして、上島通浩委員、それから川本俊弘委員につきましては、本日ご欠席ということでございます。

 続きまして、島正之委員でございます。

 続きまして、鈴木規之委員でございます。

 続きまして、武林亨委員でございます。

 続きまして、田邊潔委員でございます。

 続きまして、長谷川就一委員でございます。

 続きまして、山崎新委員でございます。

 以上、本日は委員全14名中10名の委員が出席になっておりますことを、ご報告させていただきます。

 次に、本委員会の事務局を紹介させていただきます。

 先ほどご挨拶いたしました、早水水・大気環境局長でございます。

 続きまして、前田総務課課長補佐でございます。

 それから、総務課主査の嶋田でございます。

 それでは、以上でご紹介を終わりましたので、それでは、これ以降の会議の進行につきましては、新田委員長にお願いしたいと思います。それでは、よろしくお願い申し上げます。

【新田委員長】 皆様、ご多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。中央環境審議会大気・騒音振動部会長より、本専門委員会の委員長に指名された新田でございます。

 先ほど早水局長からのご挨拶にもありましたように、本専門委員会での審議事項、詳しくは後ほどの議題でも事務局からご説明いただきますけれども、有害大気全体の環境基準指針値等を議論していくということでございます。

 当面の課題、ここに専門委員会に与えられたものは、トリクロロエチレンの大気環境基準の再評価ということでございます。これは早水局長のお話にありましたように、有害大気汚染物質の大気環境基準の再評価、環境基準としては初めての取組ということになりますので、委員の皆様におかれましては十分な議論を踏まえて、結論を出したいと思いますので、よろしくご議論をいただければというふうに思っております。

 それでは、早速ですが、議事に進みたいと思います。まずは、第1の議題、有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会の設置について、事務局から説明をお願いいたします。

【前田課長補佐】 専門委員会の設置について、それでは資料2-1をご覧ください。座って説明させていただきます。

 有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会の設置についてですけれども、冒頭におきましても説明がありましたとおり、本専門委員会は5月31日に開催されました、大気・騒音振動部会におきまして設置が了承された委員会でございます。

 1に設置の趣旨を記載しております。平成8年の大気汚染防止法の改正により、有害大気汚染物質対策の制度化がなされ、同年10月には、平成7年にございました「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について」の諮問に対する中央環境審議会第2次答申におきまして、有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質及び優先取組物質が掲げられたところでございます。

 そして、平成9年2月には、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンについて、平成13年4月にはジクロロメタンについて、それぞれ環境基準が設定されました。

 また、平成15年から26年の間になされた中央環境審議会の答申を受けまして、9物質について指針値の設置がされたところでございます。平成26年にWHOの外部機関であります国際がん研究機関(IARC)が、トリクロロエチレンの発がん分類をグループ2Aから1に見直しました。これを受けまして、環境省では、平成9年に設定されたトリクロロエチレンの環境基準を再評価するため、最新の科学的知見を集積して、検討を進めてまいったところでございます。

 並行しまして、指針値の設置がなされていない物質の設定や既存の健康リスク評価のあり方、いわゆるガイドラインの改訂につきましても検討を進めてまいりました。

 このような状況を踏まえまして、従前の健康リスク総合専門委員会を再編しまして、新たに専門委員会を設置し、トリクロロエチレンを初め優先取組物質の環境基準や指針値の設定、再評価、健康リスク評価のあり方の改訂、さらには必要に応じ有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質、優先取組物質のリストの見直し等について、調査検討を行うことといたしました。

 従前の健康リスク総合専門委員会との違いでございますが、これまで健康リスク総合専門委員会において検討してきた事項に加えまして、有害大気汚染物質の環境基準の設定や再評価について検討できるようにしたということでございます。

 2につきましては、主な調査検討事項を記載しております。また、本資料の裏面には、参考といたしまして、現在の有害大気汚染物質の位置づけを概括的に整理したものを載せております。

 続きまして、資料2-2をご覧ください。

 中央環境審議会大気・騒音振動部会の専門委員会の設置についてでございます。

 中央環境審議会議事運営規則第9条第1項の規定に基づきまして、部会の専門委員会は決定されるとなっており、1にありますとおり、健康リスク総合専門委員会を廃止しまして、有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会が、新たに設置されております。

 本委員会における所掌事務については、裏面の8のほうに記載をしております。

 なお、有害大気汚染物質の排出側での対策につきましては、表面に記載をしております有害大気汚染物質排出抑制専門委員会において審議されるため、本委員会では扱わないとして役割を明確にしております。

 専門委員会の設置についての説明は、以上でございます。

【新田委員長】 ありがとうございます。ただいま、専門委員会の設置の経緯、趣旨についてご説明をいただきました。ただいまの説明に関しまして、ご質問、ご意見がある委員の先生、いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【新田委員長】 それでは、今ご説明いただいたような専門委員会の趣旨ということでございますので、冒頭に申し上げましたように、かなり広い範囲、環境基準も含めてこの専門委員会で有害大気汚染物質について検討していくということでございますので、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、議題2といたしまして、トリクロロエチレンの大気環境基準の検討経緯・再評価の進め方についてでございます。事務局から説明をお願いいたします。

【嶋田主査】 それでは、まず資料3-1からご説明申し上げます。座ったままで失礼いたします。

 3-1、トリクロロエチレンの大気環境基準の検討経緯についてでございます。先ほど来、ご説明申し上げておりますけれども、現行のトリクロロエチレンの大気環境基準は、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第三次答申)、この後、説明では第三次答申と基本的に申し上げますが、第三次答申において、なされた内容をもとに平成9年2月に告示をされたものでございます。参考資料3に第三次答申のトリクロロエチレンの部分の写しを添付してございますので、あわせて詳細については、そちらをご参照いただければと思います。

 3-1の1ページの点線、枠囲みの部分ですけれども、こちらは、第三次答申の中の「終わりに」という、一番最後のまとめの部分を抜粋したものでございます。一応、第三次答申の中でのページ番号は107から108になっておりますけれども、そのまま「終わりに」の部分を引用してございます。

 枠の中をご紹介いたします。まず、トリクロロエチレンの発がん性につきましてですけれども、疫学的研究にはトリクロロエチレンの発がん性を肯定するもの、否定するものが相まじり、現時点ではヒトに対するトリクロロエチレンの発がん性に関する疫学的証拠は必ずしても十分とは言えないと考えられるというふうに、このときは判断をしております。そうした上で、今後とも発がん性に関する疫学研究に注目する必要があると。

 一方、動物を用いたトリクロロエチレンの発がん性実験では、B6C3F1マウスに肝がんの発生を促すということについての証拠は十分であるが、ラットに肝がんを起こすという証拠はなく、その毒性に種差が存在することが明らかとなっているというふうに指摘をしております。

 また、発がん性以外の毒性につきましては、トリクロロエチレン曝露により現れる一般毒性の主なものは、急性毒性としては皮膚・粘膜に対する刺激作用と麻酔作用であると。

 また、慢性毒性としては、高濃度において肝・腎障害が認められることがある。比較的低濃度の長期間曝露では、神経系への影響として現れることが一般的というふうに指摘をしています。

 閾値の有無につきましては、initiatorというよりもpromoterとしての機構によるもので、細胞毒性を示すほど大量かつ長期間の投与によって初めて発現すると考えられると。したがって、ヒトに対して発がん性があるとしても、遺伝子障害性がないと思われることから、その発がん性には閾値があるとして取り扱うことが妥当であるというふうに、この当時は判断しております。

 量-反応アセスメントにつきましてですが、トリクロロエチレンの毒性につきまして、代謝経路や代謝活性に関して種差があること。先ほど少しラット、マウスの話を申し上げましたが、あること。それから、低濃度でのトリクロロエチレンによる健康影響は、主として神経系への影響であることなどから、ヒトの神経機能に対する慢性影響を用いて量-反応アセスメントを行うことが適当というふうにしております。

 それを踏まえまして、各種の報告等をもとに総合的に判断しまして、2ページ目に参りますが、NOAELに相当する気中濃度を200mg/m3(37ppm)前後の濃度域に存在するというふうに、このときは考えています。

 不確実係数としては、労働環境で得られたデータを一般環境に外挿すること、NOAELではなくLOAELを用いること等を考慮して、総合的な係数として1,000を用いるというふうにしております。

 また、曝露アセスメントにつきましてですが、トリクロロエチレンの物理・化学的性質、排出経路やこれまでの環境中での濃度の調査結果を考慮すると、トリクロロエチレンの曝露はほとんどが空気由来であり、特に固定発生源の周辺環境での曝露が問題になると考えられるというふうにしてございます。

 そして、これらを踏まえまして、最終的に指針としての環境濃度の提案につきまして、現行の環境基準になっておりますが、低濃度長期曝露による健康影響を未然に防止する観点から、トリクロロエチレンの長期曝露に係る指針として、年平均値0.2mg/m3(2×102μg/m3)以下の環境濃度を提案するというふうになってございます。

 不確実係数に関しましては、同じ第三次答申のページ番号でいうと105になるんですが、その部分を引用して、再び枠囲みで書いてございます。

 不確実係数については、一般的な不確実係数の考え方を参考に、さらにヒトの労働環境におけるデータを用いて、一般環境における数値に換算するための係数を含めてということで、以下の四つの点を挙げております。

 一般環境には労働環境と違い、乳幼児、高齢者などの高感受性が存在すること。労働環境(一般に1日8時間、週40時間の断続曝露)と一般環境では曝露時間及び曝露の状況が異なること。それから、NOAELを明確に示すことは困難であることから、LOAELに相当する気中濃度を用いて評価を行うこと。さらには、ヒトに対する発がん性は除外できないものの、トリクロロエチレンの発がん性には閾値が存在すると考えられることなどの点を考慮して、総合的な係数として1,000を用いることが適当と考えるというふうなことで、総合的な係数を決めてございます。

 かなり発がん性に関しては非常に微妙なと申しますか、発がん性もある程度、この不確実係数の中に考慮には入っておりますが、なかなか判断としては、恐らく当時も迷ったんだろうということがにじんでいる答申というふうに考えてございます。

 3ページに参ります。2.トリクロロエチレンの環境基準の再評価に係る検討の経緯でございます。

 トリクロロエチレンの大気環境基準は、平成9年に年平均0.2mg/m3以下であることというふうに設定してございます。一方で、この平成9年の基準設定後に新たな疫学研究が蓄積をされまして、平成26年6月に世界保健機関(WHO)の一機関でありますIARCが評価書を出しまして、トリクロロエチレンの発がん分類をグループ2Aから1に見直したということになってございます。

 このIARCのこのグラフ自体も参考資料の6に添付してございますので、詳細、この会議中、折に触れてご覧いただければと思っております。

 そうしたIARCの判断の変更というものを受けまして、環境省では、平成26年度より疫学・毒性学・労働衛生学等の分野の有識者から成る、トリクロロエチレン評価分科会、これは平成27年度にちょっと会の名前は変わりまして、トリクロロエチレン健康リスク評価作業部会を設けまして、IARCの発がん分類変更等において参照された文献を中心に先生方にご検討をいただいたところでございます。

 また、現行の環境基準設定において定量評価に用いました神経系への影響などの発がん性以外の有害性に係る文献についても、あわせて確認をしてまいったところでございます。この検討経緯につきましては、参考資料5にごく簡単ではありますけれども、検討会の委員の皆様の名簿、それから開催経緯につきましては、簡単でございますが掲載してございます。参考資料5でございます。

 続きまして、3.我が国の大気環境基準以外の諸外国等の基準等の状況ということでございます。

 トリクロロエチレンに関しまして、我が国の大気環境基準と同様の基準を設定している国というのは、欧米諸国では存在しません。この同様の基準というふうに申し上げておりますのは、評価の仕方と申しますよりかは、我が国の大気環境基準の法的な位置づけと申しますか、行政上の効力と申しますか、そういったところとひもづいた意味での大気環境基準というのは、なかなか諸外国にはないと、トリクロロエチレンについてはないというのが、我々の調べた範囲での情報でございます。その上で各国、また各国際機関におきましてさまざま定性評価、定量評価がなされておりますので、そちらを整理してございます。

 (1)、まず定性評価でございます。トリクロロエチレンの発がん性に関するIARC、それから米国産業衛生専門家会議(ACGIH)、それから日本産業衛生学会における評価は、表1のとおりでございます。IARCは、2014年に発がん分類1に変更してございます。96年に第三次答申が出てございますが、95年に3から2Aに上がったというのもございますけれども、そういった経緯も踏まえて第三次答申は一応できているというふうに理解をしてございます。

 それからACGIHでは、2007年にA2ということで、ヒトに対する発がん性が疑われている物質というふうに評価をしてございます。また、日本産業衛生学会では、2016年に第1群ということ、ヒトに対して発がん性があると判断できる物質・要因というふうに評価をしてございます。

 4ページ目に少し説明を書いてございますが、IARCは、2Aから1に変更しました際に、労働環境における疫学知見に基づいて、ヒトにおいて腎臓がんを引き起こすと評価するとともに、トリクロロエチレンの曝露と非ホジキンリンパ腫、また肝臓がんについては関連性が観察されたが、一貫したものではないというふうにしてございます。

 また、肝臓がんとの関連性については、ヒト及び動物実験の腎細胞内で確認されているグルタチオン抱合代謝物、GSH抱合代謝物の関与が示唆されており、GSH抱合代謝物に遺伝子障害性が認められること等が考慮されております。

 ACGIHにつきましては、平成18年に発がん性分類A2とすることを提案し、19年にA2に設定をされてございます。その中でATSDR、米国環境有害物質・特定疾病対策庁の文献等を引用しまして、トリクロロエチレンのチトクロムP-450やGSH抱合代謝物は弱い突然変異誘発性があり、実験動物で腫瘍発生の報告があるというふうにしてございます。

 また、ヒトについてトリクロロエチレンに曝露した労働者を対象とした広範な疫学研究で、がん発生の明らかな増加は示されていませんが、幾つかの症例対象研究で長期間にわたる高濃度曝露が腎臓がんの増加をもたらすということが示唆されたとしております。

 産業衛生学会につきましては、平成28年に発がん性分類について、従来の第2群Bから第1群に変更しておりまして、この改定につきましては、IARCの発がん分類の変更を契機としているというふうに産業衛生学会の文書に書いてございます。平成9年以降の疫学研究で有意なリスク増加が確認されたこと、それから動物実験においても腫瘍の発生を認める十分な証拠があることや、発がんメカニズムについてもGSH抱合代謝物の遺伝子障害性が観察されること等を理由としております。この辺りの定性評価を見ますと、ある程度それぞれの機関におきまして、発がん性のメカニズムと申しますかというところ、比較的似たようなところに着眼しているのかなというふうに整理をしたところ、わかりました。

 続きまして、(2)定量評価でございます。トリクロロエチレンの有害性を踏まえた国内外の政府・国際機関の定量評価の結果を、表2に一般環境、それから表3に労働環境について整理をしました。なお、平成26年のIARCの発がん分類の見直し以降、現在までに定量評価結果を変更した機関等というのはございません。

 表2に参りますけれども、WHOの欧州事務局のAir Quality Guidelineの中のGuideline Valueですけれども、2000年に設定されましたユニットリスクで4.3×10-7ということで、このときに考慮しました健康影響は、ラットでの精巣の腫瘍ということでございます。

 5ページに参ります。アメリカのEPAでは、IRISですね、米国EPAのIRISの評価結果では、発がんに着眼したユニットリスクで申しますと、2011年に4.1×10-6、それから非発がんに着目しまして、RfC、吸入参照濃度につきまして、2μg/m3ということで、それぞれ表の右側の列に書いてあるような健康影響を考慮したというふうに言ってございます。

 なお、これらの定量評価結果もさることながらなんですが、そもそもこの定量評価結果に至るまでにそれぞれの評価において参照されました文献につきましても、これまで環境省で実施をしてまいりました作業部会等々でご検討いただいておりますので、そういった文献にある種立ち返って、今回の委員会でもご検討をいただくというようなことで、従来からそのようになっていたかというふうには思いますので、そのように進めていくというふうに事務局としては理解をしてございます。

 続きまして、表3でございますが、労働環境についてです。ACGIHはTLV、許容濃度値の時間加重平均について2007年に10ppm、さらに短い時間、短時間曝露の限界値について、同じく2007年に25ppmというふうな値を設定してございます。それぞれ健康影響につきましては、中枢神経系などなどというふうに記載してございます。

 また、日本産業衛生学会につきましては、許容濃度を1998年に25ppmというふうに設定をしておりまして、これ以降、実は動いておりません。神経影響を考慮したということになってございます。

 また、我が国の労働安全衛生法、これは厚生労働省のほうの話になりますけれども、労働安全衛生法の管理濃度につきましては、ACGIHのTLV-TWA、時間加重平均のほうの許容濃度値の2007年の改定というものを受けまして、2009年に10ppmということで変更されているというふうになってございます。

 6ページに参りまして、その他の法令による基準ですとか指定の状況ということでございまして、トリクロロエチレンに関しましては、水質の環境基準というものを設定されてございますが、こちらにつきましては、平成26年に実は改定が行われてございます。そもそものきっかけとしまして、平成22年に食品安全委員会において、妊娠期のラットにトリクロロエチレンを飲水投与した場合における胎児の心臓異常発生の影響が確認されたということに基づきまして、トリクロロエチレンの耐容一日摂取量が新たに評価をされたこと。また、WHOの飲料水水質ガイドラインの第3版1次追補におきまして飲料水の直接経口摂取以外の入浴時における吸入曝露及び経皮曝露の考え方が少し変わったということを踏まえまして、23年4月に水道水質基準値が変更されたと。0.03mg/Lから0.01mg/Lへと変更されたと。これを受けまして、平成26年に水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準、それから地下水の水質汚濁に係る環境基準が従来の0.03mg/Lから0.01mg/Lに変更されているということでございます。

 最後に、化審法・化管法での取り扱いでございますが、化学物質審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)におきましては、平成元年に第2種特定化学物質に指定されてございます。いわゆる2特の制度が始まったときから指定されているということでございます。また、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)においては、平成12年のスタート以来、第1種指定化学物質に指定されているという状況でございます。

 続きまして、資料3-2に参ります。トリクロロエチレンの大気環境基準の再評価の進め方について(案)ということでございまして、こちらにつきましては、今回初めて、有害大気汚染物質の大気環境基準の再評価ということで初めてでございますので、全体的な進め方等々につきまして委員長からご提案をいただきまして、事務局のほうで少し資料に整理をしたものでございます。

 まず、専門委員会報告(素案)の取りまとめ方についてでございます。

 トリクロロエチレンに係る大気環境基準の再評価については、既に第三次答申が出たものから、新しい知見について入れ込んでいくということで考えてございます。まず1点目でございますが、専門委員会報告(素案)の目次構成につきましては、第三次答申における目次構成をある程度踏襲をしていくということで考えてございます。

 また、第三次答申のときと比べて現在のほうが充実している、実際のご議論は次回ということになりますけれども、PRTR等に関する情報については、必要に応じて新たに追加をしていくというふうに考えております。

 また、具体的な記載内容については、トリクロロエチレン健康リスク評価作業部会報告について、これは29年3月に大気環境学会誌に掲載されておりますけれども、そちらに示された内容というものをベースにしまして事務局案を作成しまして、各回の会議資料としてご審議いただくということで考えてございます。今回でいうと、資料4がその資料になってございます。

 続きまして、再評価に用いる文献でございますが、再評価には、以下の条件に合致する文献を用いることとするとしております。まず、第三次答申において参照された文献。それから、平成8年12月、これは第三次答申が出たそのタイミングですけれども、それ以降平成29年10月末日までに国内外の学術論文誌に掲載された文献ということでございまして、作業部会報告において参照した文献以外で、近年公表された文献につきまして、事務局で整理の上、必要に応じて第2回の専門委員会において追加的なレビューを行うということで考えてございます。

 続きまして、3.大気環境基準の再評価に当たっての基本的な考え方ということでございまして、これまで参考資料2に挟んでございますが、有害大気汚染物質に関する大臣からの諮問に対しまして、中央環境審議会からは十次にわたる答申を出していただいているという状況でございますが、それぞれの中から大気環境基準の設定、再評価に係る基本的な考え方について、少し抜き出してご紹介をいたします。 まず、一つ目ですけれども、有害性に係る評価値の算出に必要となる定量的データは、人から直接得られる疫学研究からのデータの優先度が高いということでして、第十次答申ですけれども、その中で疫学研究は人から直接得られるものであることから優先度が高いと。これまで環境基準を含む環境目標値、この環境目標値という言葉の中には指針値も入っているわけなんですが、環境目標値の設定の検討においても、原則として疫学研究の知見から得られる人のデータに基づいて評価値が算出されてきているところであるというふうに書いております。

 2ページに参りまして、2点目です。動物実験の知見は、物質の体内動態や有害影響の作用様式の人との共通性、結果を人へ外挿することの適否等を慎重に検討することが求められるということでして、同じく第十次答申ですが、動物実験の知見の場合、それを人に外挿し、有害性に係る評価値を算出するには不確実性が大きい場合が多いと。動物実験の知見に基づく有害性に係る評価値の算出に当たっては、当該物質の体内動態、有害影響の発現メカニズム等の知見を収集し、観察された有害影響の作用様式の人との共通性、人への外挿手法の妥当性についての検証の上、慎重に行うことが重要というふうに指摘されてございます。

 続いて、三つ目ですが、環境基準は、確実性の高い知見をもとに検討すると。疫学研究の知見と動物実験の知見でどちらも確実性の高い知見がある場合には、疫学研究を優先するということでございます。こちらも十次答申に記載がございまして、環境基準の設定について検討される対象となる知見というのは、Ⅰに書いてございますが、確実性の高い科学的根拠を有する疫学研究または動物実験の知見というふうに指摘をしてございます。

 3ページに参りまして、4点目ですけれども、閾値のある物質、ない物質の評価値の考え方でございますが、閾値のある物質については、最大無毒性量(NOAEL)を求め、そこから不確実係数を考慮して環境目標値を求めると。最大無毒性量を求めることが困難な場合には、かわりに最少毒性量(LOAEL)を用いる。トリクロロエチレンの第三次答申の場合は、LOAELを用いているということでございますが、そのようにすると。閾値のない物質については、ユニットリスクを算出し、生涯過剰発がんリスクレベルの当面の目標である10-5に相当する環境目標値を求めるというふうにしてございまして、まず、中間答申の中で閾値のある物質については、物質の有害性に関する各種の知見から人に対して影響を起こさない最大の量(最大無毒性量)を求め、それに基づいて環境目標値を定めることが適切。閾値のない物質については、曝露量から予測される健康リスクが十分に低い場合には、実質的に安全とみなすことができるという考え方に基づいてリスクレベルを設定し、そのレベルに相当する環境目標値を定めることが適切としております。

 また、第二次答申におきまして、生涯リスクレベルについて10-5を当面の目標とするというふうに決められております。

 また、第六次答申におきましては、ある濃度レベル以下で毒性が発現しないとみなされる場合、疫学的研究や動物実験から得られた健康への悪影響が見られない濃度レベルを不確実係数等で割ることで、一般公衆の健康を保護する上での指針となる濃度レベルを算定するという手法が一般的というふうに書いてございます。

 これらの、これまで積み重ねてきました環境基準設定の基本的な考え方というのを、今回も基本的には踏襲するのがよろしいのではないかというふうに委員長からご提案をいただいているというところでございます。

 最後に4ページ、今後の検討スケジュールでございます。本日、第1回の専門委員会を開催させていただいてございますが、1月下旬に第2回。第2回におきまして、先ほど少しご説明申し上げました追加的な文献レビュー、それからトリクロロエチレンの曝露評価、さらには環境基準の再評価についてご検討いただきまして、3月下旬の第3回の専門委員会におきまして、報告書の素案についてということでご議論いただければというふうに当面のスケジュールとしては考えてございます。

 また、専門委員会報告(素案)につきまして、パブリックコメントを実施した後で、専門委員会報告書(案)として取りまとめていただくというふうなことを予定してございます。

 長くなりましたが、以上でございます。

【新田委員長】 ただいまの資料3-1、3-2につきまして、事務局からご説明いただきました。資料3-1では、トリクロロエチレンの大気環境基準の設定やその後の検討の経緯、国内外での有害性評価の状況についてご説明いただきました。資料3-2につきましては、私と事務局でこれまでの有害大気汚染物質の大気環境基準の設定に関する考え方を整理しつつ、トリクロロエチレンの大気環境基準を再評価するための審議をどのように進めればよいかを相談いたしまして、私のほうからの提案という形でお示ししたものでございます。

 ただいまの説明、提案につきまして、ご意見、ご質問がある委員の先生方、名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。ご質問、ご意見はございませんでしょうか。

 資料3-2の進め方につきましては、基本的には第三次答申の再評価ということでございますので、それを踏まえたやり方、それから第十次答申までに至る中央環境審議会の答申の考え方を踏襲してということで整理したものでございます。

 よろしゅうございますでしょうか。特にご異議がなければ、特に資料3-2、再評価の進め方については、ご承認いただいたということで、今後のこの専門委員会の審議を進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 異議なしということで、ありがとうございます。

 それでは、今後検討を。片谷委員、どうぞ。

【片谷委員】 異議は全くございません。3-2の1ページ目の再評価に用いる文献の話ですけれども、私自身、近年きちんとフォローしていないんですが、既に近年の文献というのは、かなり事務局で収集済みという理解でよろしいんでしょうか。

【嶋田主査】 調べ始めているところでございますけれど、まだちょっと整理をし切ったというところまでは、今至っていないというところでございます。今回、進め方につきましてご承認いただきましたら、本格的に進めまして、次回の委員会にお示しできればというふうに考えてございます。

【片谷委員】 既に、でも、物としては、お手元にある程度あるということですね。

【嶋田主査】 ちょっと実は、現物は実はまだ見られていない状況なんですけれども、調べは少しずつ、今始めつつあるということではございます。

【片谷委員】 わかりました。ありがとうございます。

【新田委員長】 私のほうからちょっと補足をさせていただきますと、説明の中にもありましたように、トリクロロエチレン健康リスク評価作業部会というのを、平成26年、27年と作業をして、その報告が大気環境学会誌に掲載されております。ですから、そこまでの作業でかなりの部分、収集して整理してあるということで、今回、追加、ごく直近なものと、万が一その過程で漏れているものを含めて再度文献を精査した上で、必要に応じて追加をしたいというふうに思っているところでございます。

 それでは、今、片谷委員からもご質問がありましたように、事務局におきまして10月末、期限を切りませんと文献の検索、収集、難しい、この専門委員会の議論の途中で、また新しいのというと、ちょっと際限がないということもありますので。ただ、非常に何か重要な知見がこの審議途中であれば、委員の先生からもご指摘いただくというようなことを排除するものではございませんけれども、一応区切りとしては10月末までということで切らせていただきまして、それまでに学術雑誌に掲載された知見について、追加レビューの要否を事務局のほうで確認をお願いしたいと思います。

 それで要否の確認の後に、私のほうで専門的な見地からレビューを要すると判断した場合には、大変申し訳ありませんが、委員の先生に追加レビューをお願いしたいと思います。恐縮ですが、今回先ほどありましたように、疫学知見を中心にということですので、その分野の専門家であります山崎委員、それから並びに本日ご欠席ではありますが、上田委員、上島委員に追加レビューのご協力をお願いいただきたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。

(はい)

【新田委員長】 ありがとうございます。今日は、上田委員、上島委員につきましてはご欠席ですので、後日、私のほうから依頼をさせていただきまして、次回の専門委員会において必要に応じた追加的文献レビューができるように準備を進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、議題の資料3-1、3-2については、よろしいでしょうか。

(はい)

【新田委員長】 続きまして、議題3につきまして、トリクロロエチレンの有害性についてでございます。資料4に基づいて審議をいたしますけれども、少々分量が多うございますので、まず資料4の途中、18ページのところ、トリクロロエチレンの資料4の構成、1、物質に関する基本事項、それからその後、代謝に関すること、それから健康影響について発がん性に関することと、その後に非発がん性についてということになりますので、この非発がん性の前まで、まず審議をいただいて、続いて、発がん性以外のところということで分けてご検討いただければと思います。

 それでは、まず18ページの前半部分、特に発がん性につきまして、事務局よりご説明をお願いいたします。

【嶋田主査】 それでは、資料4の主に前半部分でございますけれども、発がん性、有害性の中でも発がん性の部分までご説明をいたします。この資料4につきましては、先ほど資料3-2でご説明申し上げましたように、トリクロロエチレンの有害性に関して、その作業部会報告を29年3月に大気環境学会誌に掲載してございます。その内容を基本的には引用しまして、こちらに掲載をしてございます。 まず、トリクロロエチレンの物理化学的な性質ということでございます。トリクロロエチレンにつきましては、クロロホルム様のにおいを有する、揮発性の無色透明の液体と。不燃性、水に難溶、アルコール、エーテル、その他の有機溶剤と混和するということで、物理化学的性質につきましては、表1に記載のとおりでございます。

 続いて、体内動態でございます。吸収ですけれども、トリクロロエチレンは比較的低分子量の親油性の溶剤でありますので、生体膜を容易に通過するということ。

 それから、2ページに参りまして、二つ目の段落ですが、経口摂取時の吸収につきましては、職業上の事故等の症例報告から得られた情報があるということが記載されてございます。また、トリクロロエチレンの摂取量が不明であったことや胃の洗浄などが行われたため、経口摂取による生物学的利用能については、定量的な推定は困難でありましたが、血液、尿でのトリクロロエチレン及びその代謝物が検出され、曝露後13時間に血中濃度が最大になったというようなことがわかってございます。

 続きまして、(2)の分布でございますけれども、こちらも、まず実験動物の話を書いてございますが、ラットにトリクロロエチレンを吸入させた実験といったものがございまして、曝露後2時間で血中濃度、脳の組織中の濃度が最高値。また、肝臓、肺についても最高値に近い濃度となっているということ。また、人におけるin vivoの組織分布に係る知見について、多くの場合曝露レベルが不明でありますが、事故による中毒または環境中からの曝露患者から得られた情報があるということでございます。

 事故によるトリクロロエチレンの中毒者の組織検査では、脳、筋肉、心臓、腎臓等々広く分布していたと。また、環境中から曝露した集団では、肝臓、脳、腎臓、脂肪等さまざまな組織や母乳での検出可能な濃度であったということでございます。この後ご説明します疫学知見につきましては、その大半のものが労働環境における知見ということでございます。もともとトリクロロエチレンは、そういったところで使われることが多いということでございますので、基本的には労働環境の知見というものがほとんどというふうにご理解いただければと思います。

 続いて、代謝でございます。代謝のところから、少しずつ発がん性の話とも関連をしてまいります。この資料4にも、ある程度それぞれの知見の内容というのは書いてございますが、さらにそれぞれの知見に関しまして詳細なものにつきましては、青のファイルの参考資料7に平成28年度までの環境省の業務で整理をしてございます、主な疫学ですとか動物実験に関する知見なども書いてございますので、これからご説明する中で、もし個別に気になるというものがあれば、ひとまず参考資料7をご参照いただきながらということで考えてございます。

 また、さらにご不明な点等ございましたら、ご質問いただければと思いますし、できるだけお答えしたいと思いますが、難しければ次回までに何らか織り込んだりということは、それはさまざま、すみません、考えさせていただければと思ってございます。

 代謝のところでございますけれども、ヒトや実験動物におけるトリクロロエチレンの主要な代謝経路は二つありまして、チトクロームP450(CYP)による経路、これを以下CYP経路と言います。また、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)による経路、GST経路とこれから呼びますが、それぞれ二つに分かれてございます。

 この二つに分かれていること自体につきましては、実は第三次答申でも同じことを言ってございます。参考資料3の95ページのところに、同じように代謝のことについて議論されてございますが、代謝経路が二つあるということでございます。

 一つ目のCYPの経路につきましては、比較的低い用量で飽和するんですけれども、迅速に反応が進んで、反応量も多いということで、一般的にはトリクロロエチレンのほとんどがCYP経路で代謝されるというふうに理解されているということでございます。

 一方でGSTの経路による代謝物は、量的には少ないんですけれども、化学的に不安定で反応性が高く、腎臓の細胞内に蓄積して活性種を産生するということが知られてございます。

 今、実は資料4を少し読み上げましたけれども、参考資料3の中でも、3-2と書いてあるところの少し上のところですけれども、実はほとんど同じことが書いてございます。第三次答申のときには、最後の一文ですけれども、システイン抱合体には変異原性があると言われているが、トリクロロエチレンの発がん性との関係は明らかではないということが、こう書いてあったりですとか、若干、代謝の経路の関係と発がんというのが、なかなか完全に結びついていなかったというのが、第三次答申での見解ということでございますが、その辺りが、今回その作業部会報告の中では、もう少し細かく書かれているというところでございます。

 CYP経路についてでございますけれども、CYP経路につきましては、代謝の起きる臓器は主に肝臓であるということではありますが、多くの臓器組織で代謝が起きるというふうなことが書かれてございます。すみません、資料4に戻ってございます。CYP経路は、図1にお示ししているような経路ということでございます。資料4では5ページに行っておりますけれども。

 すみません、6ページに移りますが、CYP経路につきまして、幾つか三つほど、その経路がさらに分かれるということでございますが。最終的には6ページの「以上をまとめると」というところでございますが、トリクロロエチレンに曝露したヒトや動物の尿に見られる主要なCYP由来酸化代謝物は、TCA、すみません、これ略になっておりますけれども、トリクロロ酢酸のはずです、すみません。TCA、それからTCOHで、そのほかにジクロロ酢酸、モノクロロ酢酸、シュウ酸などがあるということで、基本的に尿から出ていくというようなことが書かれてございます。

 続いて、GST経路でございますけれども、GST経路につきましては、6ページの下から5行目辺りです、肝臓における初回通過代謝及びGST高発現のために主に肝臓で生じていると。なお、IARCのモノグラフでは、実験動物及び人の知見から、DCVGと略していますけれども、数行後に正式名称を書いてございますが、これが生成される部位として、肝臓及び腎臓を挙げていると。

 あるLashらの文献によれば、DCVGはヒトで100ppm以下のトリクロロエチレンに4時間曝露した後30分以内に血中に出現し、最大12時間残存というようなことが書かれてございます。DCVG産生は男性が女性よりも多く、トリクロロエチレンによる腎臓がん発症の感受性の性差と一致しているというようなことを指摘しております。

 7ページの最後のほうの段落でございますけれども、GST経路による代謝物の尿中排泄については、中間生成物の多くが反応性を有するため、トリクロロエチレンまたはその生成物に曝露した実験動物及びヒトの尿中から回収された代謝物は、ここに略で書いてあるんですけど、NAcDCVCのみであったと。さらに、この物質はトリクロロエチレンの代謝生成物として尿から回収されるわけなんですけれども、さらなる代謝変化が生じる可能性もありますので、尿中代謝物の測定結果ではGST経路の代謝量の推測は困難というようなことが、代謝のそのメカニズムの中では言われてございます。

 8ページに参りまして、排泄でございます。ヒトでは、吸入曝露後に吸収されたトリクロロエチレンの10から28%は未変化体として呼気中に排出されると。48%から85%が代謝物として経過した上で尿中に排出されるということでございます。70から75ppmのトリクロロエチレンを5日間、1日当たり4時間曝露した人志願者実験では、曝露後5日間の尿中の代謝物の量は、吸収量の2割から4割程度であり、肺からの排泄は2割から3割強であったということなどなどという結果が言われてございます。また、肺胞気におけるトリクロロエチレンの半減期は6から44時間というふうに推定をされております。

 こういった形で、その代謝の経路ということで整理をされてございます。

 続いて、健康影響評価の中での発がん性ということでございます。

 IARCの評価書では、トリクロロエチレンの労働環境における疫学知見に基づきまして、ヒトにおいて腎臓がんを引き起こすと評価するとともに、非ホジキンリンパ腫及び肝臓がんについては関連性が観察されているが、一貫したものではないというふうに評価をしてございます。

 そこで、IARCの発がん分類の見直しの根拠を含むトリクロロエチレンの発がん性に関する疫学知見49編についてレビューを実施しまして、さらに腎臓がん、非ホジキンリンパ腫及び肝臓がんに関する疫学知見のうち、曝露レベルや影響の見られた気中濃度等の情報が得られている文献を中心に概要を取りまとめ、各知見の信頼性、量‐反応関係に関わる事項についても整理、検討したということでございまして、IARCの評価の中では、とりわけ腎臓がんについてかなり取り上げられていて、腎臓がんを引き起こすというふうに評価がなされているということでございますので、とりわけ発がんに関しては腎臓がんに着目をして、収集、整理をしておるというところでございます。

 腎臓がんの疫学知見につきましては、大きく四つございまして、9ページに参りますが、「これらの疫学 知見のうち」の段落でございますが、トリクロロエチレンへの曝露レベル、それから影響の見られた気中濃度等の情報が得られている知見が四つございます。コホート研究が1編、それから症例対照研究が3編得られてございます。基本的には、この研究について検討していくということが重要というふうに考えてございます。

 一つ目のコホート研究でございますけれども、航空・宇宙産業の労働者を対象として実施したコホート研究ということで、曝露量を低・中・高というふうに三つに分類した労働者のうち、高曝露群で腎臓がんの罹患率の相対リスクが4.90ということで示されていると。また、曝露レベルに依存した腎臓がんの相対リスクの増加傾向も認められたと。がん死亡率については、どの曝露群についても有意な増加は認められなかったというふうな結果でございますが、ただ、この研究については、喫煙習慣、それから社会経済的要因の交絡因子に関しては調整されておりません。また、個人の曝露濃度、それから作業上での気中濃度等の測定値に関しましては記載をされていないということでございます。

 続いて、症例対照研究のうちのCharbotel、これはフランスの方ですけども、Charbotelら(2006)、それから(2009)の研究でございますが、フランスのネジ切削業が盛んな地域の労働者を対象とした症例対照研究でございまして、曝露の有無で比較した調整オッズ比が、1.64ということになってございます。この調整オッズ比には、喫煙、それからBMIで調整がなされているということでございます。

 また、有意なリスク増加が見られたのは、高曝露群。これは症例の累積曝露量の平均が1,126±1,139ppm/年、中央値885で、範囲はこの程度の範囲、かなり広いですけれどもの高曝露群のみでありまして、調整オッズ比が2.16というふうなことでありました。

 また、ピーク曝露の有無を考慮した場合に高曝露群でさらにピーク曝露ありにおいて、非曝露群に対する調整オッズ比が2.73であったということでございます。また、対象者を曝露評価の信頼性が高いもののみに限定して解析した場合でも、同様に有意な結果が得られたというふうに書いております。

 また、Charbotel(2009)では、この(2006)と同じデータに基づいて、トリクロロエチレン及び切削油への曝露と腎臓がんのリスクとの関連性について補完的な分析を行った結果、切削油に曝露している者で、トリクロロエチレンへの曝露が時間加重平均で50ppm以上で、少なくとも1種類の職業の従事期間が1年以上であった調査対象者の腎臓がんの調整オッズ比が2.70であったということで、切削油は単独曝露群よりもリスクが増加するということであります。トリクロロエチレンまたは切削油への単独曝露群は、それぞれに対象者が少なく、統計学的な有効性が乏しかったということも指摘しています。

 Charbotel(2006、2009)における調査対象者の曝露評価につきましては、JEMというふうに書いておりますけれども、これは少し前に書いてございますけれども、職務‐曝露マトリックスということで、曝露レベルが曝露なし、低、中、高という曝露のスコアに従事年数を掛けたというもので算定をされているものを使っているということでございます。

 それから疫学研究の四つ目ですが、Mooreら(2010)でありますけれども、こちらについては、中央及び東ヨーロッパ4カ国において実施した症例対照研究だそうですけれども、トリクロロエチレンの曝露職場を経験していない群と比較した腎臓がんの調整オッズ比は、トリクロロエチレンの平均曝露の中央値以上の群で2.34となったということであります。

 一方で、平均曝露濃度が中央値未満の曝露群については、腎臓がんのリスクの有意な増加というのは認められなかったというふうに書いてあります。

 このMooreら(2010)の論文では、調査対象者の曝露評価に関しまして、曝露の頻度、それから強度についてカテゴリーに分類したデータというものを用いていますけれども、そのカテゴリーに分けるときの、どういった分け方というふうにしたかということの方法ですとか、あるいは各カテゴリーに何人ぐらい属しているのかということは、文献に記載されていないということでございます。

 米国EPAのIRISの評価書では、この研究の曝露評価方法について、Charbotelら(2006)に比べると、正確ではないというふうなことを指摘しております。それ以外にも幾つかIARCのモノグラフでも、幾つかこの文献については指摘がなされているというようなところでございます。

 これらの文献を勘案しまして、資料4で申しますと、11ページの終わりのところから12ページにかかるところでありますけれども、「以上に示したとおり」で始まる段落ですが、トリクロロエチレンのヒトの曝露と腎臓がんのリスクについては、疫学知見4編では、高濃度曝露群、あるいは高濃度曝露した労働者を含む群において腎臓がんのリスクの増加が認められていると。また、一定の基準を満たした疫学知見に基づくメタ分析でも腎臓がんのリスクの増加が認められており、曝露評価の誤分類の可能性はあるものの、異質性、それから出版バイアスは認められておりません。これらを踏まえますと、トリクロロエチレンの曝露による腎臓がんのリスク増加が認められるものと作業部会報告の中では判断をしているということでございます。ただ、これらの疫学知見等々をもとに累積曝露量に依存したリスクの増加傾向というのは見られなかったというふうに整理をしてございます。

 続いて、IARCのモノグラフの中で同様に取り上げられております非ホジキンリンパ腫、それから肝臓がんでございますけれども、こちらについても疫学知見を参照したところでございます。

 これらにつきましては、いずれにつきましてもリスクの有意な増加というのが見られた研究というのもございますけれども、各種のバイアスということもあり得ますし、またメタ解析につきましても、そのメタ解析の中に含まれる研究の分類体系が異なるということもありまして、なかなか難しいということでございまして、「以上のことから」の段落でありますが、非ホジキンリンパ腫については、トリクロロエチレンの曝露との関係を示す報告というのは幾つかありますが、全体としては明確な関係があるものとは判断できないというふうに記載してございます。

 続いて、肝臓がんでございますけれども、こちらも幾つかのコホート研究では、トリクロロエチレンの曝露と肝臓がんのリスクとの関連性というものを評価してございますけれども、一方でリスクの有意な増加を認めなかったとする報告もございます。また、症例対照研究では、有意な調整オッズ比の増加というのは認められておりません。これらを踏まえますと、肝臓がんについては限定的な情報に限られているので、トリクロロエチレンの曝露との関連性について明確な関係があるというふうな判断ができなかったというふうに整理をしてございます。

 続いて、動物実験でございますが、動物実験につきましては、ごく端的に申し上げますと、マウスとラットで、やはりその傾向が違っているというようなところが全体感としてはございます。

 (2)の2パラ目ですけれども、吸入曝露または経口投与によって曝露した複数系統の雌雄のラットにおいて、腎腫瘍の発生率にわずかな増加が見られていますが、統計学的に有意であったのは、雄のF334/Nラットの試験及びOsborne-Mendelラットの試験のみであったということでありますが、IARCは、これらの試験の非曝露群では腎腫瘍の発生が観察されなかったこと、それから複数施設の背景データ、幾つかその括弧内にはラットの系統の名前が書いてございますが、それで腎腫瘍の発生率が非常に低いことを考慮すると、生物学的に有意というふうに判断をしているということでございます。

 また、IARCのモノグラフでは、腎腫瘍の発生率の増加が統計的に認められなかった試験において、曝露を受けた群の1匹以上でまれな腎腫瘍が発生していることにも言及されているということでございます。一方で、マウスの発がん性試験では、腎腫瘍の発生率増加というのは認められていないということになってございます。

 ラットを用いた強制経口投与試験におきましては、雄のSprague-Dawleyラット、雄のAugustラットの白血病、吸入曝露試験では雄のSprague-Dawleyラットの精巣の間質細胞腫瘍などが観察されていると。Marshallラットの強制経口投与試験においても、精巣の間質細胞腫瘍の増加が見られていると。

 このほかの系統のラットでは、こういった精巣の腫瘍の発生率が高いので、統計学的な検出力に限界ということも指摘をされてございます。

 マウスの腫瘍発生の知見というのは、ほかにも幾つか次の段落以降にも書かれてございます。 また、マウスの吸入曝露試験での肺腫瘍の発生の増加を認めている報告もありますが、一方でラット、ハムスターでは認められていないということで、かなり動物実験では結果がまちまちになっているということでございます。

 第三次答申との関連で申しますと、14ページの黒ポツの二つ目ですけど、肝腫瘍は、B6C3F1及びSwissマウスで発生が確認されているが、他の系統のマウスやラットでは認められておらず、系統や動物種による違い(種間差)がある可能性があるという指摘があります。またこの原因として、マウス(B6C3F1)の肝臓のCYP活性がラットに比べて高い。また、肝臓腫瘍の発生に関与していると考えられるペルオキシゾームの増殖性がラットでは低いということを挙げまして、関連してヒトのCYP活性はマウス、ラットと比較してさらに弱いとの報告というのを、第三次答申で書いてございます。

 こういった形になってございまして、恐らくマウス、それからラットの代謝の機構と各種の腫瘍の発生する状況というのが関連をしていて、かなり種間差があるのではないかというのが、動物実験の状況でございます。

 14ページの最後の行から、遺伝子障害性でございますけれども、トリクロロエチレン及びその代謝物で発がんの標的臓器であります腎臓での反応性の高い中間代謝物を産生するGST経路の代謝物の遺伝子障害性について、in vitro、それからin vivoの試験結果を精査いたしました。さらに遺伝子障害性の知見の中でも、DNAとの反応性に基づく突然変異に係る重要な試験結果を精査したところでございます。

 in vitroの試験系でございますが、トリクロロエチレンを投与した試験について見ると、これも実はかなり試験の種類によりましてばらついているというのが状況でございます。

 細菌を用いた復帰突然変異試験、(Ames試験)では、代謝活性化系の添加なしの場合には、ほぼ全てが陰性。代謝活性化系の添加ありの場合であっても、限られた試験でのみ陽性ということで、また、他の微生物を用いた遺伝毒性試験においても陽性結果が散見をされましたが、ほとんどが陰性であるということ。また、幾つか試験を書いてございますけれども、これらの試験での明確な陽性の結果というのは得られていないというところであります。

 トリクロロエチレンのGST経路の代謝物の投与した試験については、幾つか不定期DNA合成試験、それからDNA単鎖切断試験で陽性の結果がありましたが、小核試験では陰性であったと。一部の代謝物については、Ames試験で陽性の結果が得られているということであります。

 in vivoの試験系でございますけれども、トリクロロエチレンの曝露による遺伝子障害性を評価する上で重要となりますのが、げっ歯類を用いた吸入曝露によるin vivoの試験の結果でございます。小核試験については、骨髄赤血球細胞では陽性を示しましたが、他の臓器では小核誘発、その他ここに書いてございます試験については、陰性でありました。ただ、トランスジェニック・マウスを用いた変異原性試験、それからコメット試験では、陰性でありました。

 表2に、とりわけ重要と考える知見につきまして遺伝子障害性試験結果というものを抜粋してございますので、ご覧いただければと思います。

 この節の一番最後、17ページの(c)の直前の段落ですけれども、GST経路の代謝物であるDCVCをラットに単回経口投与し、その2時間後に腎臓のコメット試験を行い、DNA切断が有意に増加するということを報告しているというものもございますが、これも16時間後にはDNA切断の有意な増加が見られなかったということで、陽性と判断するには不十分というふうに言っている結果がございます。

 続いて、17ページ、(c)遺伝子障害性の有無でございますけれども、in vitro、それからin vivoの試験結果に基づいてトリクロロエチレン及びそのGST経路の代謝物の遺伝子障害性の有無の検討を行いました。トリクロロエチレンを用いた試験では、Ames試験では陰性の結果が多いわけですけれども、in vitroの試験系の哺乳動物の培養細胞を用いた小核試験で、複数の陽性結果が得られております。また、GST経路の代謝物については、哺乳動物の培養細胞を用いたin vitro試験で陽性の結果が得られており、Ames試験でも陽性の結果が得られております。

 以上のことから、トリクロロエチレン及びそのGST経路の代謝物というのは、DNAを損傷する作用を有しており、遺伝子障害性があるものと作業部会では判断をしているということになってございます。

 その後、さらに閾値の有無について検討してございます。遺伝子障害性のある物質のうち、DNAとの反応性に基づく遺伝子突然変異、変異原性とも言いますが、それが生じるものについては、発がんリスクに閾値がないというふうに考えられてございます。in vivoの試験結果というものを見ますと、吸入曝露試験でラットを用いた小核試験でのみ陽性の結果というものが得られておりますが、18ページに参りまして、その他の幾つかの試験では、一貫した陽性の結果が得られていないということでございます。また、経口投与試験につきましても、陽性の結果が一部得られているものもありますけれども、DNA切断の誘発というのが示されていない試験というものもあるというような状態でございます。

 次に、トリクロロエチレンの発がんの主たる標的臓器であります腎臓の突然変異を誘発するかについて見ますと、これもげっ歯類での試験で小核誘発が観察をされておりますけれども、別の試験で検出されて、そして誘発が検出されていないというものもございます。

 GSTの遺伝子タイプによってトリクロロエチレンの代謝活性が異なるということが知られており、その結果として発がんリスクにも差異が生じるということが推測されております。労働者を対象とした疫学調査では、トリクロロエチレンの曝露を受けた労働者のうち、不活性型GSTT1の遺伝子型を有する労働者では、腎臓がんの発がんリスクが上昇しないといったトリクロロエチレンのGSTによる抱合代謝物の産生と肝臓がんの関連性を示唆する報告というものもございます。

 作業部会報告では、これらを総合しますと、原理の異なったin vivo試験系で実施されているものの、ほとんどの陽性結果は小核試験で得られていること。それから吸入曝露試験による小核誘発は、DNAに対する直接作用によるものではないということが考えられること。腎臓でのDNA切断や突然変異の誘発が明らかではないことから、トリクロロエチレンが体内で変異原性を有するかについては不確実と考えられ、発がん性の閾値の有無は判断できなかったというふうにまとめてございます。

 この部分につきまして、第三次答申では、先ほど資料3-1でご説明しましたように、閾値があるとして取り扱うことが妥当というふうに第三次答申では書いてございますが、そういった意味では、少しここは判断が変わるかもしれないというポイントでございます。

 最後、18ページ、米印のところでございますけれども、作業部会報告では、この後に健康影響評価の、とりわけ発がん性のまとめという部分で、19ページ以降にハッチをかけてございますけど、まとめの文章が書いてございますが、今ご説明申し上げましたところの検討の結果、それから先ほどご審議いただきました資料3-2を踏まえました追加文献レビューの結果をあわせて、最終的にまとめていこうというふうに考えてございますので、このまとめの部分につきましては、第2回の専門委員会において審議をするということを想定してございます。

 ただ、最終的に作業部会報告では、一応こういうふうにまとめているというイメージをご覧いただくという意味で、この資料4にはそのまま掲載をしてございますけれども、そういった趣旨でございます。

 なお、この後の発がん性以外の有害性の評価に関しましても、同様にまとめの部分には網かけをしております。31から33ページでございますけれども、そちらについても同様に、今回ご覧いただいてイメージを見ていただくということはいたしますけれども、直接審議をしていただくということではないというふうにご理解いただければと思います。

 長くなりましたが、以上でございます。

【新田委員長】 ありがとうございます。ただいま、トリクロロエチレンの有害性のうち代謝関係と発がん性に関しての文献の評価をご説明いただきました。ご意見、ご質問がございましたら、お願いいたします。名札を立てていただければと思いますが。いかがでしょうか。

 島委員、どうぞ。

【島委員】 一つ教えてください。11ページの一番下の行です。これはmeta-analysisの結果について、異質性や出版バイアスが認められていないということが記載されています。この出版バイアスが認められていないというのは、どういう根拠に基づいてこういう記載がされているんでしょうか。

【嶋田主査】 これは文献自体に、恐らくこういった記載が多分あるんだと思います、あるはずです。参考資料7の5ページのところに、例えばKaramiら(2012)の文献の概要というものを書いてございます。この参考資料7につきましては、基本的に価値判断は入れずに文献の内容を書いてございますので、基本的にはそうしたものであるというふうに考えております。

【新田委員長】 研究論文、今、島委員からご指摘の点、確認いたしますけれども、私の理解は、レビュー、こういうメタ解析の中での異質性の評価基準、たしか出版バイアスも、異質性は明確ですし、出版バイアスは認められなかったというところも、解析上の処理があったと記憶しておりますので、確認の上、ご質問に明確に答えられるように事務局と整理したいと思いますが。

 ここは、ですから、今事務局から説明ありましたように、この事務局側の判断というよりは、その文献自体にそういう記載があったということで、今日のところはご理解いただければと。

【島委員】 恐らくそうだと思いますけど、ないことの証明というのは、難しいなと思ったものですから。

【新田委員長】 ほか、いかがでしょうか。

 鈴木委員、どうぞ。

【鈴木委員】 単にこの資料の質問ですけども、これは作業部会で既に実施されたものをおまとめいただいているという理解をいたしましたが、疫学に関しては、今委員長のほうからレビューをする、改めて何かレビューをするとおっしゃったような気がしますけども、疫学以外の知見に関しては、もうこの作業部会でレビュー的な作業を完了しているということになるんでしょうか。

【嶋田主査】 動物実験に関しましても、ご覧いただいているところではあります。ですので、この参考資料7のざっと一覧は6ページ以降に書いてございますけれども、動物実験に関しましても作業部会の中でレビュー作業は進めていただいたというところでございます。

【新田委員長】 健康影響評価以外のところは、この内容の記載ぶりは次回以降、今日も含めてご議論、ご審議いただくということですが、文献追加、検索、レビューの対象とは、現時点では事務局、私のほうでも考えていなかったということでございます。よろしゅうございますでしょうか。

 大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】 すみません、恐らく私だけが社会科学の人間なので、きちんと理解していないかもしれないので、教えていただきたいのですが、先ほど資料3-2で再評価の進め方のご説明があり、異論なく認められたところだと思います。それとの関係で、先ほどの説明では、閾値があるかないかについては、どちらともつかないというのが、従前の答申とこの報告書との違いであるというふうに理解しました。3-2のほうの2ページでは確実性の高い知見をもとに検討して、両方とも確実性の高い知見がある場合には、疫学研究を優先するということで、その確実とは何かということが、2ページの一番下の米印のところにあります。先取り的になってしまうのかもしれないのですが、これを今回の発がん性の部分の動物実験と疫学に当てはめますと、疫学のほうは、確実性の高い知見というふうに、結論のところを見ますと評価されているという理解でいいのでしょうか。それに対して動物実験のほうは、何かいろいろまちまちだという話が出ていますけれども、これは確実性がそもそもない、疫学と動物実験はどっちが優先するかという話より以前に、動物実験は確実性がないという、そういう理解でよろしいのでしょうか。

【新田委員長】 事務局、いかがですか。

【嶋田主査】 確実性、資料3-2の2ページ目の一番最後の3行ほどに書いてございますけれども、定量的でかつ大気汚染物質の曝露と健康影響との関連性が相当に確からしいということで、疫学の知見だと、とりわけ先ほど四つご説明申し上げましたけれども、これ以外にもあるにはあるんですけれども、基本的には曝露状況がなかなか文献の中から読み取れないといったものも少なくないということでございます。とりわけ、その曝露状況も含めてある程度しっかり固まっているということでいえば、この四つなのかなというふうに作業部会では検討していただいたというところでございます。

 動物実験に関しましては、その曝露の状況というのは、動物をこういう条件で動物実験をやるということで、必然的に書いてはあるわけでございますけれども、一方で結果がまちまちということでありますので、そのまちまちであるところからすると、なかなか一つの方向性というのは見出しづらいというのが、この作業部会での検討の結果であるというふうに理解してございます。

【新田委員長】 基本的には、今日参考資料4に有害大気汚染物質のいわゆる評価のガイドラインが示されておりまして、その中で疫学知見の抽出の考え方というところで、確実性を判断するための要素が参考資料4の15ページ以降に書かれております。基本的には、この内容に基づいて判断するという、判断した結果、ここで作業部会では文献を整備しておりますけれども、その判断自体も恐らくこの専門委員会での審議の対象というふうに考えておりますので、ご議論、ご検討いただければというふうに思っております。

 基本的には、今のところの事務局の案は、疫学知見に確実性が高い知見が幾つかあるという、幾つかあるというところが疫学知見の整理のところでも重要かというふうに思っておりますけれども、複数の知見を基づいて判断という、明示的には資料3には書いておりませんけれども、観察研究である疫学知見を用いるということについては、それが前提になるのかなというふうに考えているところでございます。

 ですから、資料4はたたき台ということで、先ほどご説明があったとおりの位置づけということで、この専門委員会の議論の中で、この資料4を審議の上、必要があれば修正して仕上げていきたいということでございます。

 ほかにご意見。田邊委員、どうぞ。

【田邊委員】 動物実験については、新しい文献を改めて見直すことはしないというお話だったんですが、閾値の有無の判定が、少々論文が出てきても、判定できるようになるということはまずない。要するに、現段階は混沌としていて、そう簡単に判断できるようにはならないという理解でよろしいでしょうか。

【新田委員長】 そう考えておりますが、もしご専門の立場で青木委員、ご意見がありましたら。

【青木委員】 委員長のご発言のとおりでありまして、現段階で非常にかなり混沌とした状況でして、そういう中で急に確実な閾値があるなしを明確に判断するような実験が、ちょっと出てくるとも思えませんので、そのように判断をしております。

【新田委員長】 その点については、今後審議の上で重要なポイントであることは間違いありませんので、疫学研究、知見以外にも、今日ここで委員の先生方、ご同意をいただければ、閾値に関して念のために新たに文献が出ていないかどうか確認するということは可能かと思いますが。事務局、いかがでしょう、そこは。

【嶋田主査】 そうですね。ちょっとレビューの前段としまして、そもそもそういう文献があるかどうかも含めてになるとは思いますけれども、今回ご意見をいただいているところでもございますので、少しまずさらってみる作業というのは、何らかやってみたいと思ってございます。

【新田委員長】 多分、ここのところのポジティブな論文がもしあったとしても、ネガティブな論文の知見があったとしても、今青木委員からのお話にもあったように、発がん性、閾値の有無の判断できないという結論については、変え得るものではないかなと予測はしておりますが、やはり十分に精査をした上で判断をしたほうがいいかなというふうに考えますので、追加文献のレビューの対象に含めさせていただくということで、よろしいでしょうか。

 ほかにございませんでしょうか。

 ちょうど発がん性について、ちょっと私のほうで整理しますと、IARCは2Aから1に判断を変えておりますが、ご承知のとおりIARCはヒトに関する知見が十分かどうか、それから動物実験の知見が十分かどうか、二つの要素で判断した上で総合的にランクをつけているということで、今回、両方ヒトに関する知見も動物実験の知見も十分、sufficientということで、グループ1になったというふうに理解しております。

 この作業部会におきましても、定性的には再度この関係文献を評価した上で、定性的なことは腎臓がんのリスク増加が認められると判断したということで、資料4にも結論づけておりますけれども、一方で定量的なリスクの増加は認められなかったということもあわせて、IARCは定性的な評価のみでございますので、資料4では作業部会の報告も同様ですが、定量的な評価は発がんについては難しいのではないかという、そういう結論になっております。その結論自体も、次回以降、詳しくご審議いただければと思っております。

 それから、先ほど事務局の説明にもありましたように、第三次答申では、遺伝子障害性については、資料3-1にありますように、遺伝子障害性がないと思われると書いてありましたが、今回は、遺伝子障害性については、あるという判断をしております。その上で、閾値の判断は難しいと。

 前回の第三次答申におきましては、遺伝子障害性がないということで、閾値はあるとして取り扱うことが妥当ということで、閾値ありなしと遺伝子障害性の関係の理解で、そういう結論になっているということで、そこがその後の知見の集積で、遺伝子障害性については判断が少し変わったというところが、今後の審議の中でのポイントの一つになり得るかなというふうに思っております。

 最終的には、追加で文献レビューした上で、発がん性の知見の取り扱いをご審議いただいて、まとめを作成したいというふうに思っております。

 ほか、どうぞ、事務局から。

【嶋田主査】 大変恐縮でございます。先ほどちょっと動物実験のほうもレビューをということでお話になりましたけど、ちょっと多分動物実験になりますと、多分量が非常に膨大になる可能性もありますので、ちょっとレビューの仕方につきましても、ちょっと委員長とご相談していただきながらでお願いできればと思ってございます。すみません、そのことだけ。

【新田委員長】 動物実験のところは、資料3-2の2ページの冒頭に書きましたように、動物実験は物質の体内動態とか有害性の作用様式というようなところをポイントに、この知見を整理したいということですので、それについては、かなりもう十分整理がされているというふうに理解をしております。もちろん繰り返しですけれども、ご専門の立場から、今回資料4のその関係の記載について、代謝も含めてご意見があれば、今日お伺いいたしますし、また次回以降ご議論いただく時間をとりたいというふうに思っております。

 そのほか発がんのところまで何かご意見、ご質問がございましたら、委員の先生からお願いします。

 繰り返しですけども、発がん性につきましては、この再評価をスタートするというきっかけの一つはIARCランクづけの変更でありますけれども、第三次答申からかなり発がん性の知見が増えて、IARCも判断が変わって、我々も第三次答申のときの発がん性に関する認識よりは、より踏み込んだ形で資料4もまとめてありますけれども、一方で繰り返しですが、定量評価については、やはりこの環境基準設定に用いるには、かなり困難があるというような趣旨で、この資料4を作成しております。

 それから閾値に関しても、少し第三次答申とは異なっているということで、これは全体を総合的に判断して、今後結論を導くということになろうかなというふうに思っております。

 どうぞ、大久保委員。

【大久保委員】 すみません、もう一つ教えていただきたいのですが。資料4の2ページのところで、基本的に事故の場合と環境曝露の場合で、労働環境については、結局事故のものをもとにしているというのが、IARCの分析のもとになっているものであるというふうに理解したのですけれども、その前の答申との関係でいいますと、不確実係数で一般環境と労働環境は違う、曝露も違うということであったかと思います。そのこととの関係で、このIARCの分析では、環境曝露集団というのは、これはどういうところからものが想定されているのか、もしわかれば教えていただきたいです。

【新田委員長】 ちょっと私のほうから。IARCで引用というか、根拠にしているものは、今回資料4と同様にほとんどが職業曝露での知見に基づいて定性的に発がん性ありというふうに判断したということでございます。ここの事故のところは急性的なもので、IARCの判断は、やはり職業上慢性的に曝露した結果としての発がん性、特には腎臓がんについて十分な証拠があるという判断をしたというふうに理解をしております。

【大久保委員】 一般環境部分は、どういう集団になるのですか。

【新田委員長】 一般環境については一部知見がございますけれども、IARCの判断としては、もう労働環境での知見に基づいているというふうにご理解いただければと思います。

 島委員、どうぞ。

【島委員】 先ほどお話のあった遺伝子障害性の判断について、お尋ねします。17ページの(c)の部分です。遺伝子障害性の有無についての記載がございますが、第1段落は、in vitroの試験の結果が書かれています。この段落の最初には「in vitro及びin vivo試験系の結果に基づき」とあるんですけども、in vivoの試験系についての評価はここに書かれておりません。その前段の(b)のin vivo試験系について記載された内容を見ると、陽性の結果、陰性の結果がさまざまあるようですので、それについてどういうふうな評価をされたのかというのが、少しご説明いただけますでしょうか。

【新田委員長】 事務局、いかがでしょうか。

【嶋田主査】 この資料4自体が、作業部会報告を抜き書きしているという、今状態であるということを、まずお伝えしまして、その上で、確かにおっしゃるように、in vivo、in vitroと(c)の1パラで書いてあるにもかかわらず、in vitroの試験のことしか書いてないというのは、ご指摘のとおりかと思いますので、ちょっとこれは、何らか恐らく追加をする必要があるのかなと思ってございますが、島委員がおっしゃいましたように、in vivoの試験結果についてかなり錯綜しているというのが、実際でございますので、ちょっとそういった趣旨を(c)のところに何らか確かに書き加える必要があるなというふうに、すみません、今認識したところでございます。ありがとうございます。

【新田委員長】 15ページにはin vivo試験系の記載がございますが、そのまとめが17ページのほうに含まれていなかったということかと思いますので、再整理をして。15ページのところには、in vitro試験系とin vivo
  試験系とそれぞれ説明があった上で、17ページの(c)のところは、そのまとめ的な記載と思いますので、in vivoのところのまとめも17ページの中にin vitroと並べて記載するように整理をしたいというふうに思います。ありがとうございます。

 私の理解は、15ページのin vivo試験系、例えば小核試験も陰性、陽性両方あるというようなことだったと思いますので。

【島委員】in vivoについても、陰性、陽性両方の結果があるようですので、(c)の有無の判断で遺伝子障害性があると判断された理由が明確になるようにしていただきたいということでございます。

【新田委員長】 青木委員、よろしいでしょうか。

【青木委員】 そうですね。in vivoについても、随分錯綜している結果になっておりますので、そこに関しての基礎を整理して、入れていただくのかなと思いました。

 それと、あとやはり最終的に、特にこれ閾値の有無の判断についてというところと関連してくると思うんですが、やはりin vivoのデータとin vitroのデータと総合的に判断して、それで、この閾値の有無の判断がなされていると思いますので、そこはここは(c)と(d)は関連する内容になっておりますので、そういう点まで含めて、ちょっとここはまた今後ご議論いただくことになるのかなというふうに思っております。

【新田委員長】 ほか、ただいまの特に発がん性の知見の評価につきまして、ご質問、ご意見はいかがでしょうか。

 それでは、次回以降も今日いただきましたご意見を踏まえて、また先ほど来申し上げたとおり、追加のレビューの結果も踏まえまして、知見を取りまとめて、さらに評価のまとめの案も次回お示ししたいというふうに思っておりますので、またそこでご議論いただければというふうに思います。

【鈴木委員】 疫学じゃないので、とんちんかんだったらあれなんですが。腎臓がんの新しい疫学4編を詳しくレビューされているのですが、このまとめを見ると、そこから量‐反応的なアセスメントをするのは、あまり簡単ではないと書いてあるような気がするのですけれども、そのレビューというのは、何かそれができるかどうか検討するとかいうことなんですか。あるいは、それは後でこれから議論されるんでしょうが、基準とすれば、量‐反応的なアセスメントをどこかで入れなきゃいけないんじゃないかと思うんです。その作戦みたいなものは、あるいは委員長、お考えであれば、今。

【新田委員長】 そこも含めて、この場でご議論いただきたいということなんですが、作業部会の報告は、既に学会でも公表しておりますが、発がん性のエンドポイントとして、定量評価は困難というふうに判断をしたというのが、作業部会の結論でございます。その結論自体を前提にこの場で議論というよりは、そこも含めてご議論をいただきたいというふうに思っておりますけれども、作業部会としてはそういうふうに考えて、報告書をまとめております。よろしいでしょうか。

 それでは、続きまして、資料4の残りの20ページ以降の非発がん、発がん以外のところの有害性に関する部分についての審議をしたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

【前田課長補佐】 それでは、トリクロロエチレンの発がん性以外の有害性について、ご説明をさせていただきます。

 まず、参考資料3のほうに、100ページ、101ページのほうに第三次答申のときの発がん性以外の毒性ということで、急性毒性、慢性毒性、胎児への影響、免疫毒性について書かれているところでございますけれども、これ以降、かなり知見が充実したということで、今回ご紹介する内容は、これからかなりプラスされているということを、ご承知おきいただきながら、お聞きいただければというふうに思っております。

 それでは、資料4の20ページをご覧ください。発がん性以外の健康影響ということで、トリクロロエチレンの発がん性以外の健康影響につきまして、第三次答申において根拠とされた科学的知見(専門委員会報告1996)及びそれ以降に公表された疫学知見のうち、曝露レベルや影響の見られた気中濃度等の情報が得られているものを中心に概要を取りまとめております。各知見の信頼性、量‐反応関係に係る事項についても整理をしております。

 慢性毒性としては、第三次答申のときの主たる根拠となった神経系への影響、またそれ以外に新たに腎臓への影響に係る知見、さらに免疫系、生殖器系、発生影響に関する新たな知見についても精査をしております。急性毒性につきましては、参考情報として、最近公表された知見を中心に取りまとめております。

 では、最初に急性毒性について説明をいたします。

3行目です。事故による症例報告によりますと、ヒトが高濃度のトリクロロエチレンを吸入した場合に、主に中枢神経系に影響が現れると。特に視覚神経や三叉神経に影響が見られた報告がございます。1行下です、数時間の吸入の場合では、270mg/m3で視覚及び聴覚に影響を生じ、600から1,000mg/m3で精神運動の低下が見られるということでございます。

 神経系以外の影響に関しまして、循環器系につきましては、高濃度の曝露によって心室細動が生じ、死に至ることがあるという知見がございます。また、金属脱脂洗浄機の洗浄中の事故によりまして、腎障害を発症した事例がございます。そのほかトリクロロエチレンを含有する接着剤を乱用した男性が、急性の腎不全、肝不全を発症後、重度の脳浮腫となり死亡した症例がございます。

 実験動物の影響ですけれども、興奮状態とその後の中枢神経系の抑制と昏睡状態ということでございます。

 最後の行ですけれども、ヒトでは実験動物よりも感受性が高いということが示唆されております。

 めくっていただきまして、21ページをご覧ください。次に、慢性影響について、ご説明をいたします。

 まず、神経系への影響でございます。4行目です。最も報告事例の多いものが、神経系の自覚症状等の影響に関する職業曝露に係る疫学知見でございます。これから説明いたします四つの知見がございますが、いずれもトリクロロエチレンの曝露を受けた労働者を対象とした研究で、現行の大気環境基準の根拠となった主要な知見になります。また、現行基準に関しましては、Takamatsuらの文献も参考にはされております。これらは、欧州、日本、中国のドライクリーニング施設、金属加工・部品製造工場等の脱脂剤使用施設における知見でございます。

 まず、AhlmarkとForssmanの知見でございますけれども、労働者の自覚的神経症状の訴えや血液検査結果に基づきまして、トリクロロエチレンの影響の程度を4分類しております。「影響がない」、「恐らくない」、「影響がある可能性がある」、「影響がある」という4分類をしまして、尿中のTCA濃度、トリクロロ酢酸濃度との関係を調べております。尿中TCAが20mg/Lを超えますと、TCA濃度と比例してトリクロロエチレンの影響があると診断される割合が高いと。40から75mg/Lで約半数、100mg/L以上で大部分という報告をしております。ただし、30mg/L以下では、影響が明らかではない割合が高いという結果でございました。

 続きまして、Grandjeanらの報告でございます。気中濃度が40ppmを超える、これ平均85ppmですけれども、高曝露の作業場で神経症状の有病率が、低曝露群と中曝露群に比べて、高曝露のところでは高くなると。また、曝露期間が長くなるほど有病率が高くなるということ。また、尿中のTCA濃度、平均96mg/Lで慢性の中毒症状が引き起こされるということが報告されております。

 続きまして、BardodejとVyskocilの報告でございます。ドライクリーニング施設1カ所、金属部品脱脂洗浄工程の2カ所の労働者に種々の神経症状が認められるということで、神経系の症状(アルコール不耐性、振戦、めまい、神経衰弱等)が曝露期間と相関するということが報告されております。

 次に、Liuらの報告でございます。労働者を三つの曝露レベル群に分類しまして、業務中及び最近6カ月間の症状を調査しております。次のページに参ります。悪心や頭重感、健忘などの有病率について、10ppm以下及び11から50ppmの曝露群では、ほとんど変化はなかったんですが、51から100ppmの曝露群では、有病率の増加が見られたという報告がされております。

 Takamatsuは、通信機器製造工場の労働者を対象とした調査を実施しております。曝露濃度が150から200ppmの高曝露群で半数以上が症状を訴えております。また、50から100ppmの中曝露群でも半数以上に症状が見られている。50ppm未満の低曝露群では、半数以上に症状はなかったということが報告されております。

 そのほかにも、トリクロロエチレンの曝露と自覚症状の関連性については、報告が幾つかございまして、WHOからの引用でございます。ここはちょっと省略をさせていただきます。

 ページの真ん中、少し下辺りの「次いで」というところですけれども、自覚的神経症状以外、三叉神経系と末梢神経系の影響を調査したものが、2編ございます。これにつきましては、三叉神経系と末梢神経系には影響があるという報告があるということで、ここではちょっと省略をさせていただきます。

 次のページでございます。23ページでございます。上から11行目の「さらに」というところです。トリクロロエチレンの曝露による神経行動機能への影響に関する事例として、Murataらの事例がございます。金属部品洗浄または洗浄室近傍の作業に従事し、明らかな神経障害は持たない労働者で、開眼時の身体重心動揺及び利き手の震えの強度、計測値の一部が対照群よりは有意に大きいということ、トリクロロエチレンの短期曝露の指標である尿中の代謝物(TCOH)、トリクロロエタノールや長期曝露の指標である累積曝露量と身体重心動揺または手の震えとの間に相関関係や曝露レベルに依存した測定値の増加があるということが認められております。

 ただ、「なお」のところですけれども、使用された検査装置について書かれておりますが、3行下ぐらいなんですけれども、心臓拍動が手に伝わりまして計測値に影響する、つまりノイズが混入するという可能性が、これは指摘されております。

 以上より、神経系の影響につきましては、現行の大気環境基準の根拠となりました主要な知見及びWHOによって、労働者に種々の自覚的神経症状(頭痛、めまい、酩酊感、疲労感等)が現れていることを示す報告が見られております。

 また、曝露状況につきましては、本ページの下から7行目辺りですね、気中濃度で10ppmから100ppmを超える濃度、尿中のTCA濃度で20未満から100mg/Lを超えるという、比較的広い、広範囲にわたるものがありますので、有病の状況とあわせて量‐反応関係の検討に資することが可能であるというふうには考えております。

 一方で、第三次答申以降に新たに確認しました疫学知見(Mhiriら、Murataら)の2編ですけれども、あと、これは第三次答申でも紹介はされておったんですけれども、また今回再検討させていただきましたRuijtenらの論文では三叉神経系、末梢神経系、神経行動機能への影響があったということは報告されております。ただ、このような研究は少し注意するべき点がございまして、交絡因子の未調整があるということと、次のページでございます、先ほど言いました、ノイズの問題ですね。あと、上から3行目ですけれども、平均曝露濃度を推定しておるんですが、それに不確実性が高いということが考えられまして、健康影響の定量評価に考慮することは困難ではないかというふうには考えております。

 続きまして、腎臓への影響でございます。腎臓への影響につきましては、3編の疫学知見の報告がございます。いずれも腎機能のバイオマーカーを指標としております。

 5行目、「Greenら」というところですけれども、Greenらは、電子関連の工場の労働者70人を対象に横断研究を行っております。曝露群におきまして尿中のNAGとアルブミンの増加、蟻酸の濃度増加が認められたということでございますが、曝露群内で、NAGとアルブミン濃度とトリクロロエチレンの曝露指標の尿中のTCA濃度とか曝露年数との間には相関関係は見られなかったということでございます。ただ、蟻酸及びバイオマーカー、これもバイオマーカーの一つなんですけれども、GST-αというものの濃度と尿中のTCA濃度との間には有意な相関関係が認められるということでございます。

 次に「Seldénら」というところでございますが、Seldénらは、金属加工工場の労働者 29人を対象とした横断研究を行っております。労働者の尿中NAGの平均値と分析機関の保有する参照値と比較を行っております。結果は、実は同程度であったということです。

 なお、尿中のNAGと尿中のTCAとの間には相関関係が認められたんですけれども、曝露年数や個人曝露の濃度、累積曝露量等は、相関関係はなかったということです。

 最後のパラグラフで、Vermeulenらの研究でございますけれども、2行目ですね、種々の腎機能のバイオマーカーがあるんですけれども、それのうちKIM-1、GSTπの2種類につきまして、濃度が増加したと。特にKIM-1は累積曝露量とは強い関係、相関が認められたということでございます。

 次のページでございます。25ページでございます。腎機能のバイオマーカーにつきましては、従来、腎機能障害の指標として使用されてきたNAGとアルブミン、α1マイクログロブリン、β2マイクログロブリンというのと、より鋭敏なバイオマーカーとして研究が進んでおりますKIM-1、GST-α、GST-πというふうに分けられております。

 研究段階のバイオマーカーについて見ますと、それぞれ研究結果としては、トリクロロエチレンとの影響があるということの相関関係は認めておりますけれども、これらのKIM-1とGST-αなんですけれども、これらのバイオマーカーについてはいまだヒトの知見の蓄積が少ないということで、現時点では腎機能の影響の指標として用いることは困難ではないかというふうには考えております。一方、従来から使用されているバイオマーカーですけれども、尿中のTCA濃度や曝露年数との、これについては相関関係が認められていないということで、明らかな健康影響は認められない結果ということで、腎機能に関しましても、これをエンドポイントとした定量評価というのは難しいのではないかというふうには考えております。

 次、免疫系についてでございます。免疫系の影響でございます。ここでは、過敏症症候群(皮膚過敏性障害)に関する三つ、3編の報告と、免疫グロブリン、サイトカイン、末梢血リンパ球サブセット等への影響の5編の報告を取り上げております。

 二つ目のパラグラフです。まず、過敏症症候群は、トリクロロエチレンに対する免疫反応と潜伏感染していたヒトヘルペスウイルス6の再活性化が複合して生じて、実は重篤な肝障害を伴うということが報告されております。トリクロロエチレンに起因する過敏症症候群の感受性にはヒト白血球抗原というのが関与していることも示唆されております。そのヒト白血球抗原の中のHLA-B*13:01の保有者は感受性が高いといわれておりまして、アジア人に特有のものであるということで、日本人でもその遺伝子頻度は1.207%という報告もございます。

 最後から2行目のところ、Kamijimaらはということで、(2008)の報告ですけれども、中国の金属部品等の脱脂洗浄作業等の労働者を調査しております。

 次のページです。26ページ目でございます。労働者のトリクロロエチレンへの曝露状況の調査を行いまして、トリクロロエチレン溶剤に含まれるVOC成分や混入している金属成分を分析しまして、トリクロロエチレン以外に共通する物質が認められないということで、トリクロロエチレン自体が過敏症症候群を生じさせたということを特定しております。また、長時間労働等によってトリクロロエチレン代謝物が蓄積されるような工場で障害が生じたことを示唆されるということを報告しております。

 本研究では、患者の最終曝露後の尿中TCA濃度の推定、また工場内の個人曝露濃度、これは時間加重平均ですけれども、の最大値を患者の発生した工場と患者の発生しなかった工場で測定しているということでございます。

 「さらに」というところからです。さらに、Kamijimaら(2013)の報告でございますけれども、中国の広東省で、これ、HHV6(ヒトヘルペスウイルス6)の再活性化とサイトカインプロファイル、それらと過敏症症候群の皮疹表現型との関連について調査を行っております。過敏症症候群患者の89%にHHV6の再活性化が見られて、対照群と比較しますとHHV6及び種々のサイトカインの濃度が高い値であるという者の割合が有意に高いことを認められております。

 3行下でございます。結果として、HHV6再活性化及びサイトカイン増加はトリクロロエチレン過敏症症候群のバイオマーカーとなり得るということを報告しております。対照群の尿中TCAは58.4mg/L、患者は補正した値で153mg/Lということでした。

 次のXuらの文献については、省略をさせていただきます。

 下から4行目に参ります。「なお」からですけれども、なお、Kamijimaら、Xuらにおいては、過敏症症候群患者や対照群の、先ほどちょっと説明しましたけれども、アジア人特有のHLA-B*-13:01の保有状況や曝露濃度と過敏症症候群の関係については、情報は示されてはおりません、ということです。

 そのほかですね、これは最後の行です、免疫グロブリンとサイトカイン、次のページに参りますけれども、末梢血リンパ球サブセット等について5報ありますけれども、量的な変化は見られたんですけれども、健康影響との関わりについては明らかとは考えられないということでございました。

 以上、免疫系の影響について、過敏症症候群については、トリクロロエチレンの曝露によって引き起こされていると判断をされる。感受性に関するHLA遺伝子型がアジア人特有で、日本も1%を超えて保有すると推定されておりますので、健康影響としては重要かなというふうには考えております。

 また、Kamijimaらの研究になります尿中TCA濃度が測定されておりまして、この情報に基づきまして、曝露濃度の推定というのは可能であると考えられます。一方で、発生率の情報がこの論文ではありませんので、曝露濃度を尿中TCA濃度から推定して出しても、発生率の関係の検討は難しいということ。また、HLA-B*13:01の保有状況も示されていないので、発生との関係については、検討はなかなか困難ではないかというふうに思っております。

 次に、生殖器系への影響でございます。これにつきましては3編の報告がありまして、いずれもシンガポールの電子機器製造工場労働者を対象とした研究でございます。Chiaらの研究が2編、Gohらの研究1編がございまして、生殖器系への影響というのは見られておるということなんですけれども、ちょっと注意する点がございます。

 次のページでございます。上から3行目ですね、3編とも、全ての研究については工場内の対象群が設定されていない、曝露群と対象群で比較して見るんですけれども、その対象群が設定されていないということと、選択バイアスの可能性ですね、工場内で目的を知らされずに検査に同意した労働者ということで、選択バイアスの可能性があるということと、交絡因子に生殖器への影響の関連が考えられる飲酒とか年齢というのが含まれないことと、曝露指標としての曝露年数については、当該工場における曝露年数なのか、職歴を通じての曝露年数なのかというのが不明である、などが問題として挙げられております。Chiaらの論文においては、交絡因子が適切なのかという疑問もあるので、生殖器系への影響につきましては、現状では明確ではないというふうに判断をしております。

 最後に、発生影響についてでございます。過去に発生毒性という言い方もしておりましたけれども、疫学知見として、症例対照研究が4編、生態学的研究が1編ございます。これらの研究が労働者が対象ではなくて、一般集団を対象としたものでございました。

 あと、実験動物では、母ラットにトリクロロエチレンを飲水投与した結果、胎児の心臓奇形の発生率増加が認められたという知見が得られております。これに関しましては、食品安全委員会のリスク評価がキー試験というふうにされております。ただ、吸入曝露の試験では、このような知見はなかったということでございます。

 では、疫学知見についての結果を説明いたします。29ページからです。Yauckらの研究でございます。妊娠時の母親の住居とトリクロロエチレン排出施設との距離を規準として曝露群と非曝露群に分けまして、出生児の先天性心疾患の発生との関係を調査しております。その結果、母親が妊娠第5週時に38歳以上でトリクロロエチレンに曝露している場合、子どもの先天性心疾患のオッズ比に有意な増加が認められたということでございます。

 次に、Ruckartらの研究でございます。飲料水がトリクロロエチレンなどの複数の有害物質に汚染されていた地域で、出生児の先天異常と小児造血器がんの発生率について調査をしております。その結果、リスクの増加は認められなかったということでございます。

 続きまして、Brenderらの研究でございます。トリクロロエチレンを含む塩素系溶剤14物質への母親の曝露と先天異常を持つ子どもの出生異常との関連を調査しております。3行下でございます。結果は、心室中  隔欠損で関連は認められたんですけれども、その他の先天異常については関連が認められなかったということ。さらに、出産時の母親の年齢が 35歳以上の子どもについては、口唇裂、いずれかの心疾患、閉塞性心疾患、心室中隔欠損のリスク増加が認められたんですけれども、母親が35歳未満の子どものリスクと比較すると大きい値であったということでございます。

 最後の段落ですね、Swartzらの研究でございます。複数の大気汚染物質の母親への曝露と子どもの二分脊椎(出生異常登録)との関連を調査しております。

 次のページでございます。30ページでございます。トリクロロエチレンへの曝露レベルによりまして低・中・高曝露群に分けて調査を行っておりまして、単一汚染物質モデルでは、低曝露群と比較して中曝露群のみでリスクは増加していたんですけれども、曝露レベルに依存したリスクの増加は認められませんでした。複数汚染物質モデルにおいてはベイズ係数が1より大きくなったのはキノリンとトリクロロエチレンの中曝露群ということでございました。

 最後ですね、Forandらの研究でございます。土壌汚染地域において、屋内空気が汚染された住居に住む胎児、出生児への影響について研究を行っております。低出生体重、胎児発育遅延、満期低出生体重、円錐動脈幹異常について、調整後のリスク比の増加が認められたと報告はされておるんですけれども、屋内空気のトリクロロエチレン等の濃度が示されていないということで、曝露と健康影響との関係は明らかではないというふうに考えられます。

 以上から、発生影響についてまとめますと、先天性心疾患のリスクを分析しました症例対照研究が2編、それについては、いずれも高齢の母親が曝露を受けるとリスクが高くなるということが示唆されております。しかしながら、大気濃度の実測値が報告されていないということで、先天性心疾患のリスク増加との関係、それは不明であるということでございます。

 そのほかの症例対照研究2編は、リスクの増加が見られない、もしくは曝露レベルに依存した増加は見られないという結果でございました。

 また、生態学的研究では、曝露情報が得られていないので、健康影響との関係は明らかではないということでございます。

 ということで、31ページの上から2行目、最後に書いてありますけれども、このような状況から、発生影響をエンドポイントとした定量評価というのは困難ではないかというふうに考えております。

 これ以降の網かけ部分につきましては、先ほども説明がありましたとおり、最初のまとめの部分になりますので、次回に審議をお願いしたいと思います。

 説明は、以上でございます。

【新田委員長】 ありがとうございます。

 ただいまトリクロロエチレンの発がん性以外の有害性に関する文献に基づいてご説明をいただきました。ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたら、お願いをいたします。

 島委員、どうぞ。

【島委員】 まず、この部分の構成について確認をさせてください。20ページの最初の部分には、慢性毒性として、神経系、それから腎臓への影響、免疫系、生殖器系、発生影響というふうに書かれています。

 しかし、構成としては、20ページの(1)で急性毒性があり、21ページの(2)の慢性毒性という中には、神経系と腎臓への影響のみが記載されていて、免疫系以降は、慢性影響とは独立した項目になっています。これはどういう理由なんでしょうか。

【前田課長補佐】 特に何か、これが理由ということで分けているわけではないんですけれども。島委員、神経系と腎臓への影響については、急性毒性も書かれているというご質問でよろしかったですか。

【島委員】 まず、慢性と急性に分けているわけですから。

【前田課長補佐】 急性は急性、慢性は慢性で分けるべきではないかという。

【島委員】 免疫系、生殖器系が、慢性、急性とは別の分類になっているのはなぜですかという、単純な質問なんですが。

【嶋田主査】 すみません、参考資料3の、要するに第三次答申なんですけれども、第三次答申の柱立てが実はそうなっていて、もしかするとそれが実は合っていないということなのかもしれないかなと思うんですが、第三次答申の100ページのところで、発がん性以外の毒性のところで、(1)急性毒性、(2)慢性毒性、(3)胎児への影響と書いてあります。要するに発生毒性に相当しますが、第三次答申のときが、多分こうなってしまっていたことに引っ張られていると思います。

 第三次答申の目次立ても、よく読みますと、確かに神経は一言も出てきていなかったり、やっぱり言葉が足りなかったり、切り方があまり、何でしょう、体系立っていなかったりというところはあるかもしれませんので、資料3-2で、目次立てはある程度踏襲しますと申し上げたものの、ご意見を踏まえて、神経系でくくって、慢性、急性とするようにするのがいいのか、あるいはそれぞれの慢性、急性、多分曝露状況がなかなか見えてこないので、神経系以外のところは、慢性、急性で割るのはちょっと難しいところもあるかもしれませんけれども、その辺りはちょっと、整理を何らかさせていただければと思っております。

【前田課長補佐】 島委員としては、どのように分ければいいかなという、もしアドバイスをいただければ、ありがたいんですが。

【島委員】 いや、特にアドバイスということではないのですけれども、20ページの前段のところの書き方としては、慢性、毒性の中に免疫系なども入っているようですから、そこの部分をそのまま生かすのであれば、慢性、毒性の中にそれぞれを含めるのがいいかと思います。

【前田課長補佐】 そうですね、はい、わかりました。だから、急性毒性と慢性毒性で分けて、それぞれについて記載していくというような。急性毒性についても、これ、神経系には影響があるということなので、急性毒性についてはそれでまとめて、慢性毒性については神経もあるし、免疫もあるしということで、それを。

【島委員】 それにこだわるものではありませんが、環境基準ということを考えた場合は、やはり慢性毒性を重視すべきだろうと思いますので、そういう分類のほうがいいのではないかなというふうに思います。

【前田課長補佐】 ありがとうございます。

【新田委員長】 ただいまの全体のまとめで構成上重要な点だと思いますが、事務局から説明がありましたように、第三次答申がそういう目次立てだったということで、ちょっと第三次答申で何か特別の理由があってそういう構成だったかどうか、資料がある限り確認をさせていただいて、特別の何か理由があってのことでなければ、今のようなご指摘を踏まえて構成、通常の、何というか、慢性、急性の整理というようなことで構成をし直したいと思います。

 事務局から説明がありましたように、必ずしもそれぞれの知見で、この論文は慢性について議論をしています、この論文は急性について議論していますと、明確ではない場合も多いですし、論文の曝露状況を見ても、急性、慢性という判断は、何か境界領域というか、難しいところもありますので、いずれにしても環境基準の設定の趣旨にのっとって、誤解のないように、また漏れがないように整理をすべきかと思いますので、そのように再整理した上で、次回以降お示ししたいと思います。ありがとうございます。

 そのほかいかがでしょうか。

 長谷川委員、どうぞ。

【長谷川委員】 疫学についてはもちろん専門外でございまして、ちょっと教えていただきたいんですけれども、例えば(5)の発生影響のところの疫学研究の中で、曝露濃度がわからないというような研究が幾つか挙がっておりましたが、こういった疫学研究というのは、例えば、さっきの資料3-2の2ページのところに、確実性の分類がI、II、IIIとありますけれども、ここでは、例えばIIaですと、曝露評価及び交絡因子の調整等のさらなる科学的知見の充実を要するもの。IIIaですと、そういった水準に達しないものとなっているんですけれども、これは、IIIa辺りに相当するというふうに理解をすればよろしいんでしょうか。それとも、IIIaにも達しないような、かなり定性的な研究もあって、そういったものも含めて、レビューは行っておいて、参考情報というか、という形でこういった報告なり、資料に含めておくのかといったような辺りの考え方の整理を教えていただきたいんですけれども。

【前田課長補佐】 知見をいろいろ調べていく中で、定量的な評価ができるものが、恐らくというか、一番、有害性の評価をするに当たっては確実なというか、高い科学的根拠を有する研究ではないかと、それと関連性があるというのが、定量評価ができるということが大事なんですけれども、ただ、全ての知見が恐らくそうではなくて、調べていく上で、やはり定量評価には使えないという知見を調べていく中で、そう判断をされるものもあるかと思いますが、ただ、定量評価ができない定性評価であっても参考になるという知見については、一応この専門委員会報告の中では記していきたいなというふうには考えております。

【新田委員長】 恐らく、今のご質問に直接お答えするとすると、疫学知見と言えば、IIIaに相当するものを、報告書の中では参照はすると。そこの数字に達していないものは、その報告書で参照は直接するようなものではないと。その上で、具体的に環境基準の判断に使うものを、エンドポイント自体を採用するかどうか。そのエンドポイント自体の参考として個々の知見を、どの知見を参照するのかと、二段構えの判断になるのかなというふうに思っております。

 よろしいでしょうか。いずれにしても、総合判断というようなところが入りますので、少しそこは、特に第2回以降、この専門委員会でご議論をいただければというふうに思っているところです。

 そのほか、発がん以外のところでいかがでしょうか。発がん以外と、先ほどちょっと島委員からご指摘のところとちょっと関係しますが、基本的に発がん以外というところが神経系、それから腎臓、免疫系、生殖器、あと発生と、大体大きく五つの分野について、トリクロロエチレンのさまざまな知見が集積されていると。もちろん集積の程度、中の質の問題はさまざまでございますが、五つの分野で整理されているということで、まず五つの分野について、定量評価に資するものかどうかということが、今、資料4では、それぞれについてまとめ的なものを書かせていただいております。これは作業部会の結論ということですけれども、神経影響については、第三次答申の根拠にもなっているということで、その後も知見が蓄積されているということで、定量評価によって考慮すべきという結論。腎臓への影響については、定量評価で考慮することは困難という結論。それから、免疫系については、健康影響の関わりが明確ではないという結論。生殖器については、影響が明確ではないという判断。発生影響については、定量評価が困難という判断ということで、関連性自体の判断が難しいという評価をしているものと、定性的には関連が認められるものの、定量評価は困難というような整理をしているもの、五つのうち、幾つかの異なる判断になっております。これについても、環境基準の根拠をどのように考えるかというところで重要な点でございますので、今日も残りの時間がある限り、それからまた次回以降ご審議いただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

 武林委員、どうぞ。

【武林委員】 今、委員長がおまとめになった中で、発生影響の部分でありますが、疫学知見に関しては、定量評価ができないより以前の問題として、非常に明確にトリクロロエチレンとの関連を示す研究そのものがないというふうに読めるのではないかというふうに思っております。

 先ほどの、一つ前の発生も同様だというふうに思いますが、特に、まずこの生殖に関しては、そもそも一般集団で距離であったりとか、それから基本的には混合曝露になっているので、少なくとも疫学のレベルで定量の前の段階で、定性的にも評価が困難というふうに考えることもできるのではないかと思います。そこはもう少し整理をしていただいて、次回、そこは明確にしていったほうがいいのではないかと思います。

 それから、一つ前の発生のところに関しましても、先ほどはIIIaがという話がありましたが、過去に自分なりに読んだ範囲では、むしろIIIaにも達しないぐらいかなという気もしますが、ここについては動物実験が比較的明瞭な結果があって、全体として考えるためには、疫学研究はどれぐらいのレベルかということを知るためにも少し載っているのであって、ここに載っているから必ずしもIIIaということ、それも含めてぜひ、次回少し状況を整理していただいて、恐らくこの辺は定量は全部無理だと思うんですけれども、定性としての確からしさについても、やはり全体に総合リスクを考えるときに非常に大事な点になると思いますので、そこはもう少し明確に議論できるような、ぜひ扱いをしていただけるといいのではないかなと思います。

【新田委員長】 ありがとうございます。

 武林委員からご指摘の点、非常に重要な点だと思います。第三次答申でも、定量評価については神経系のエンドポイントをベースにしておりますが、最終的に不確実係数を掛けて環境基準としているという、その不確実係数のところにはさまざま、定量評価ができないというところも、重大な影響かどうかの考慮として不確実係数の判断の中に組み込まれているということがありますので、その点、今のご指摘も十分検討をした上で、定量評価にするかどうかだけではなくて、それが不確実係数の判断をするときに考慮すべきかどうかというような点で重要になってくると思いますので、事務局と相談をしながらしっかり整理をして、次回以降示したいというふうに思います。

 片谷委員、どうぞ。

【片谷委員】 今、話を伺っていて、大変難しいことをしなければいけないということを、再度改めて感じたような気がいたしますけれども、やはり定量評価を最優先に考えてしまえば、結局、第三次のときと同じ神経系だけの数字で決めて、あとは不確実係数に全部入れるというようなことにせざるを得ないんだと思うんですね。今のご説明でも、結局神経系以外では、定性的な関連は認められるものはありますけれども、定量的なということですと、ほかには何もないという状況というふうに理解をいたしました。

 そうなると、やはり今、委員長がおっしゃったように、不確実係数をどう決めるかというところにそれをどのように、定性的な知見しかないようなものをどう取り込むかという判断なんだろうなというふうに認識をいたしました。私は、それはやむを得ないことだと思っていまして、これ、次回議論をされることだと思いますけれども、私のように曝露のほうをもともと扱ってきた人間からしますと、そもそも曝露のほうにだって物すごくいろんな不確実性があるわけで、そういうことも、それは絶対否定できないわけですから、この基準を決めるときの判断の中にも、そういういろんな不確実性があって、それを不確実係数の中に押し込んでいくという考え方は、これはどうやっても避けられないことだというふうに思っておりますので、今、委員長がおっしゃったような方針で、私はよろしいかというふうに感じました。

【新田委員長】 今後の審議の進め方、先ほど資料でもお示しをしておりましたけれども、次回以降、具体的に環境基準の定量的な評価に向けての議論の上で、ただいまの片谷委員のご意見は非常に重要な点でございますので、関連して、もし何かご発言があれば。

 どうぞ、鈴木委員。

【鈴木委員】 これはどこかに書いてあるのかもしれませんが、大体、三次だっけ、前回の専門委員会報告の中に書いてあるところで、100ページ、101ページに、急性毒性、慢性毒性、その他に関しても、胎児への影響と書いてあるんですけれども、用量反応関係がとれるかどうかというのは、それはもちろん、考えるのは当然重要だと思うんですが、3番の胎児のところに、ヒトが通常曝露されると考えられる低濃度では確認されていないと書いてあって、4番は、証拠がないと書いてある。多分、この結論は非常に重要でして、私が読むからそう思うのですが、それぞれのここでレビューされる新しい知見についても、あり得る曝露量についてありそうかどうかという定性的な判断は常に必要だと思うので、もちろん関係ないのは関係ないんですけれども、それは、ちょっとあまりはっきりとこの案には読み取れない感じがしますので、今度の案でも検討していただいたほうがいいんじゃないかなと、できる範囲になると思いますけれども、と思います。

【新田委員長】 曝露状況については、追加情報というのは。

【嶋田主査】 曝露の状況、作業部会報告の中では、曝露の状況の評価も書いてございますが、モニタリングの結果等々につきまして整理したものは、第2回でお示しをしようと思っております。

 今、鈴木委員からご指摘をいただいたところも、ちょっとその、部会報告、これは今日の議論の対象になっている部分でということにもなると思いますけれども、少し書き方を工夫ということは考えたいというふうに思ってございます。何らか用意できればというふうに思ってございます。

【鈴木委員】 これ、多分、前のとともに一つの書き方だと思いますので、これはご専門の先生に対してあれなんですが、私がこのあたりを勉強した限りでは、あるいは神経毒性が大ざっぱに、ほかの毒性よりも非常に鋭敏であるというようなレビューをされているときもあるような気がしますので、例えばそういうので僕はいいと思うんですが、大ざっぱなレビューで見るのであれば、別に必ずしもそれ自体は、直接曝露量を比べなくても、注目するべきところはここだと。したがって、そこに注目するレベルを設定すると書いていただければ、読む側はいいと思います。方法はいろいろあると思うんですけれども、いずれにせよリスクやレベルの異なるエンドポイントと言っていいんですかね、の相対的な強さを半定量でも可能な限りレビューすることは必要じゃないかなと、僕は思います。

【新田委員長】 今の鈴木委員のご指摘、何かこの専門委員会の中で、全体を俯瞰できるような形の、そういうご意見というふうに理解してよろしいでしょうか。ちょっと事務局と相談して、またご意見に沿うような形のものを整理させていただければと思います。

 田邊委員、どうぞ。

【田邊委員】 鈴木委員の質問と非常に近いのですが、やはり、これは計算できませんどうしても、と考えられたんだと思うのですが、曝露の情報が何があるのかということは、それぞれの報告について書いておいてほしい。例えば、汚染地域に住んでいるという曝露情報しかありませんと。もしくはそういうことであれば、汚染地域に住んでいると、どれぐらいの曝露の可能性があるのかということさえ考慮すれば、何か影響が出た、出ないというのは理解できると思います。もう少し踏み込めば、鈴木先生がおっしゃったように、曝露可能性がもうちょっとわかるといいということになるのですが。

 ちょっとそこを、あまりにも定量評価を中心に考えて、曝露評価は難しいからやめますと言ってしまうと、実はその毒性が重要な場合に、実はもっと低い濃度で精緻に実験をやれば影響が出たんじゃないのというような懸念がどうしても生まれてしまう。曝露情報と毒性との比較で、その毒性は低濃度で現れないというような比較もできます。今の状態ではそういう情報もありませんので、曝露濃度がその毒性が現れた場合に非常に高かったはずだというような知見がもしあれば、非常に安全の確認に役立つ。そういう意味で、やはりちょっと情報が足りないかなという気がしました。

【新田委員長】 ありがとうございます。

 文献の整理の中で、可能な限り今のご指摘の情報を付加できるかどうか、少し事務局で検討させていただいた上で、可能なところは情報、不確実というのは、そもそもやむを得ない、先ほど片谷委員からもご指摘をいただいたところですので、それを前提にしても、何か情報を加えられるところは整理をさせていただければと思います。現実難しいものもあるかと思いますけれども、そこはご理解をいただければと思います。

 青木委員、どうぞ。

【青木委員】 もう少し前に発言すればよかったかもしれないのですが、ただ、今のクリティカルな影響に、定性的でもどういうものがあるかということの整理が重要かというご指摘があったところなので、ちょっとそこで発言をさせていただきたいのですが、先ほど毒性の分類ですね、発がん性、あとそれ以外の毒性ということで臓器の分類をされている。それは非常に一般的な分類で、非常に適切だと思うのですが、発生影響のところ、よくほかの評価書を読んでいますと、がんとそれ以外、ただ発生影響、特に胎児への影響に関しては、これは曝露形態がほかの影響とやはり、今度クリティカルという、曝露期間の時期が限られているという意味で、ある意味クリティカルな影響でもありますし、それは分けて記述していただくことは必要なのかなというふうに思います。もちろんこれは後でご相談になると思います。

 あともう一つ、これ、トリクロロエチレン独特の問題かもしれないんですが、現実に水環境基準のほうがトリクロロエチレンの発生毒性がエンドポイントになっておりますので、やはりそこは人でどうかということは、当然関心は持たれることだと思いますので、やっぱりそこはちょっと、発生影響という項立てをするのかどうかということは、またご相談なんですが、前回の第三次答申のときの胎児への影響ということで一つ項立てをしているということもあり、そこに関しては少し詳細な記述、動物実験の知見と、あと人の疫学ですね。あまり、これから見ますと、非常に研究は多い中で疫学知見でどういうものが得られているかということは重要なことになってくると思いますので、そこは項立てに一工夫はしていただけたらと。はっきり言えば、それだけ項立てを別にするというのも一つのアイデアだと思いますが、そこはご検討をいただけたらと思うところでございます。

【新田委員長】 青木委員のご指摘の趣旨は、第三次答申では、ご指摘のとおり、発がん性以外のところの項目の一つとして、胎児への影響(催奇形性を含む)というようなところがあって、今回はそこは何か発生影響と大きくくくっているというところを、やはり第三次答申の目次立てのように、胎児への影響は別立てにしたほうがよいのではないかというご指摘と。

【青木委員】 それは、そうですね、そういうふうに、いろいろ今クリティカルな影響ということで議論を伺って、思った次第で、そうですね、そこが主なポイントです。

【新田委員長】 武林委員、どうぞ。

【武林委員】 今の点について、むしろ青木委員に伺いたいんですが、ちょうど有害大気のリスク評価の全体のガイドラインを整理なりまとめたというふうに、承知をしておりますが、こういったものを整理していくときに、例えば私が関わっている産業政策会のリスク評価の中では、結局、最終的にある許容基準をつくるのと一緒に、発がん性とか生殖に関する毒性に関しては、別に分類をつくるという目的があるものですから、あえて発がん影響と、それから生殖毒性という項をつくって、そこに詳細に記述をして、それを後で評価をするときに使えるという目的があるんですね。

 恐らく今後こういった有害大気全体を整理していくときに、全体で考えるにしても、生殖毒性をどの範囲にして、生殖毒性ということも、実は我々の委員会でも議論をしたのは、そこに発生毒性を含むか含まないのか、多分言葉の定義で、これは、トリクロロエチレンが大事なことはもちろんとして、恐らく今後全体で見直していくときに、少し整合性がある整理のほうが、これは随分前に島先生からご指摘があった点も同じだと思うんですけれども、もし何か、このガイドラインをつくられたときに、そういう議論があったのであれば、それに従ったほうがいいのではないかと思いますし、特に理由がなければ、重要なものは別に取り出すという原則を持っていれば済むというふうに思います。その辺は何か、今までの議論というのはあるんでしょうか。

【青木委員】 今の議論を振り返ってみたんですが、どちらかというと、重大なものがあったら、取り出そうという意識の中で議論が進んでいたと思います。ですから、例えば産業衛生の場合には立場の、いわゆる化学物質のグルーピングという目的があって、そういうことをされているということ、従来から承っているところなんです。そういうのとはまた違った観点で、むしろ対象とする化学物質それぞれが独特な問題を持っているだろうと。それをどのように合理的に取り上げて議論をしていくか、そういう考え方の中でこのガイドラインをつくっていたというふうな経緯があったというふうに、記憶しております。

【新田委員長】 よろしいでございましょうか。ほかに、発がん性以外のところで、今日ご説明をいただいた点、資料4の内容についてご質問、ご意見はございませんでしょうか。

 大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】 免疫系のところで教えていただきたいのですが、27ページのところで、過敏症症候群については、日本人も含めたアジア人特有のものであり、健康影響として重要であるという理解で良いですか。健康影響として考慮すべきというまとめであるという理解でいいんですよね。

 その後の一番最後のところの、健康影響との関わりは現状では明確ではないというような、免疫グロブリン等との関係という理解でよろしいのですか。

【新田委員長】 そのようにご理解いただければと思いますが。

【前田課長補佐】 そのとおりでございます。

【大久保委員】 ありがとうございます。

 それで、本当はもっとすごく前に聞かなければならなかったことなんですけれども、今議論をしていることと、一番最初の3-1の議論のときに、日本の大気環境基準と同様の基準を設定している国は米国や欧州では存在していないという説明があり、これは大気の環境基準と同様の基準という意味だと思うのですが、今後考えていく上では、アジアとか日本人の特性というものをどう考慮するのかということは重要だと思うのですけれども、よその国では、大気環境基準と同様の基準は設定していないけれども、ほかのものは設定しているという、そういうことなのでしょうか。

【嶋田主査】 法体系も実は必ずしも、多分国によって違うということも相まって、すみません、大久保先生にはちょっと釈迦に説法になってしまうかもしれませんが、法体系も少し違うというところもありますので、必ずしもそれとピタリ当てはまるような評価をしているということは、あまり多くないです。ただ、我々のほうで、念のためアジア圏でそういう基準なり、基準なりと申し上げるのは、同じ行政上の扱いではないかもしれませんけれども、何らかそういう定量評価的なものがあるのかどうかということについては、いま一度確認をしたいと思います。

【新田委員長】 今のところの事務局の整理は、少なくとも一般環境に対して何か数値を示している国はないというような理解を私もしておりましたが、基準値とか、いろんな基準とか、いろいろな使われ方をしておりますので、もう一度、少なくともアジア地域については整理をさせていただければというふうに思います。

 武林委員、どうぞ。

【武林委員】 今、大久保委員からご指摘のあった点、もう一度ぜひ次回までに確認していただきたいと思うのですが、日本人においても1%超が保有すると推定されることから、健康影響として重要という意味は、もし関連があるのであれば、重要という意味であって、つまり1%なので、無視はしないほうがいいのではないですかということで、そもそもトリクロロエチレン曝露と過敏症症候群という話は非常に新しい話で、恐らくどこでも評価をされていませんし、ここに因果関係があるということまでまだ誰も評価をしていませんので、これは、この文章から影響が重要であるということではなくて、1%あるので、HLAともし関連があれば、決して無視できないというような、重要という意味ではないかというふうに、私は理解をしていますので、むしろそこも踏まえて次回きちんと、どういう証拠でそこが判断できるのかということを、議論を整理していただくことが大事かなというふうに思います。多分そういう意味ですよね、この文章、違いましたか。

【前田課長補佐】 お答えになっているかわからないんですが、25ページのところに、HLA-B*13:01との関連で、Liらが、2007年ですけれども、発表した論文で、過敏症症候群の感受性にはヒト白血球抗原が関与していると。HLA-B*13:01の保有者の感受性が高いということが示唆されているという報告がありますので、これを受けまして、1%超えるぐらいのものですけれども、日本人は、アジア人特有というか、あるんですけれども、推定をされるから重要であるというふうな書き方をしておりますので、武林委員のおっしゃることについては、特に異論はありませんけれども、そういった論文もあるということで、ご紹介だけさせていただきます。

【新田委員長】 このKamijimaらの論文は、今日ご欠席の上島委員のご発表されている知見でありますので、次回でも、上島委員に直接ご見解をお伺いする機会もあろうかと思いますが、今のところ、今の事務局の理解、武林先生のご指摘の趣旨かなというふうに、私も理解をしているところでございます。

 そのほか、いかがでしょうか。

(なし)

【新田委員長】 それでは、今日、今、発がん性以外のことをご議論いただきまして、また発がんのところも既にご議論をいただいております。ほかにご意見がなければ、今後、本日いただきましたご意見を踏まえて、事務局のほうと整理をさせていただいて、発がんのところも含めて、追加文献のレビューの結果も加えて、取りまとめを進めていきたいと思います。特に、今日の資料4で網かけの部分、それからご指摘いただいた本文中の内容を整理した上で、次回お示しして、その内容についてのご審議をいただければと思っております。

 それでは、ほかに何かご意見等がなければ、本日予定された議題は全てご議論をいただきました。長時間にわたりましてご審議・ご協力をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、本日の第1回有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会を終了いたしたいと思います。進行を事務局にお返しいたします。

 連絡事項等がありましたら、お願いいたします。

【廣木総務課長】 事務局より連絡事項をさせていただきます。

 本日は、委員の先生方におかれましては、長時間にわたりご審議いただきありがとうございました。

 次回の専門委員会でございますけれども、来年の1月下旬を予定しております。具体的な日程・場所等につきましては、事務局から改めてご連絡させていただきますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 なお、本日の議事要旨及び議事録につきましては、各委員の先生方にご確認をいただいた上で公開することとさせていただきたいと思います。

 また、本日委員の先生方にお配りした資料につきましては、郵送をご希望の場合にはその旨を書きおいていただければ、後日事務局よりお送りさせていただきたいと思います。

 また、お手元の青いファイルの中にとじてございます参考資料につきましては、今後も継続して使用する予定にしておりますので、先ほども申し上げましたけれども、机の上に残してご退席いただきますよう、改めてお願い申し上げる次第でございます。

 それでは、本日は本当にどうもありがとうございました。

午後5時1分 閉会 

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