自動車排出ガス総合対策小委員会(第17回) 議事録

開催日時

令和4年3月29日(火)15:00~17:00

開催場所

WEB会議

出席者

(委員長)  飯田 訓正

(委 員)  大久保 規子

(臨時委員) 石田 東生

(専門委員) 織  朱實

       草鹿 仁

       横田 久司

       小林 雅文

       庭野 文雄

       入江 真久

       渡邊 昇

             

(事務局)松澤水・大気環境局長

     森光水・大気環境局担当審議官

     飯田総務課長兼自動車環境対策課長

     長坂大気環境課長

     山崎大気環境課課長補佐兼自動車環境対策課課長補佐

     小林自動車環境対策課主査

     森山環境管理技術室長補佐

議題

(1)今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について

(2)その他

資料一覧

資料1   パブリックコメントの結果について

資料2   「今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(答申)案」

資料3   「今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(答申)案」(パブリックコメント資料からの

       見え消し)

参考資料1 自動車排出ガス総合対策小委員会 委員名簿

参考資料2 中央環境審議会大気・騒音振動部会自動車排出ガス総合対策小委員会(第16回議事録)

参考資料3 「今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(答申)案」参考資料集

議事録

【山崎自動車環境対策課課長補佐】 定刻となりましたので、ただいまから第17回自動車排出ガス総合対策小委員会を開会いたします。

 私は司会を務めさせていただきます、自動車環境対策課の山崎でございます。

 本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議での開催とさせていただいております。

 会議中、音声が聞き取りにくい等、不具合がございましたら、事務局までお電話もしくはWeb会議のチャット機能にてお知らせください。

 なお、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいており、環境省方式の動画チャンネルでライブ配信を行っております。

 Web会議の開催にあたりまして、通信環境の負荷低減の観点から、音声と資料映像の中継といたしますので、あらかじめご了承ください。このため、カメラ機能は通常オフにしていただきますようお願いいたします。

 また、議事中、マイク機能は委員長および発言者以外はミュートに設定いただきますよう、お願いいたします。

 なお、ご発言の際は、挙手ボタン等は使用せず、ミュートを解除し、直接お話しいただきますようお願いいたします。

 なお、議事録作成等の関係上、まず、お名前をお伝えいただき、委員長から指名を受けた方からご発言をお願いしたいと思います。

 本日の委員のご出席状況でございますが、所属委員12名のうち10名のご出席をいただいております。村木委員と遠藤委員からは欠席のご連絡をいただいております。

 続きまして、資料の確認でございます。

 事前にメールでご案内いたしましたとおり、議事次第のほか、資料1から3、参考資料1から参考資料3までございます。

 なお、本日は、事務局から画面上に資料を掲載しながら進行させていただきますので、ご案内の資料は、必要に応じ、お手元でご参照いただきますようお願いいたします。

 それでは、今後の進行を飯田委員長にお願いいたします。

 よろしくお願いします。

【飯田委員長】 委員の皆様、こんにちは。飯田でございます。

 それでは、早々、議事に入らせていただきます。

 議事次第の(1)今後の自動車排出ガス総合対策の在り方についてです。

 第16回の自動車排出ガス総合対策小委員会では、事務局が作成した答申の素案についてご審議いただきました。

 その結果を反映させ、2月10日から3月10日にかけてパブリックコメントを実施してきたところです。

 本日は、パブリックコメントでいただいたご意見に対する対応案について、事務局で資料を作成していただいております。

 なお、本日の議論を踏まえて、中央環境審議会の答申としてまとめることを予定しております。

 事務局から資料を説明していただいた後に、議論をいたします。

 それでは、事務局から、資料の1、資料の2につきまして、ご説明をお願いいたします。

【長坂大気環境課長】 環境省大気環境課長をしております長坂でございます。私の方からご説明させていただきます。

 まず、資料1をご覧ください。

 今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(答申)案について、意見募集、パブリックコメント手続きを行いましたので、その結果でございます。

 概要に書いてあるとおり、約一月の意見募集を行いまして、2.にありますが、意見の提出状況は、意見提出数が93通ございまして、内訳はそこにあるとおりでございます。

 意見数としては196件ということで、今回整理させていただきました。

 お寄せいただいたご意見と対応につきまして、これからご説明しますが、非常に意見の数が多いこともございまして、要点を押さえて、なるべく簡潔に説明させていただきたいと思いますが、やや長時間にわたることをご容赦いただければと思います。

 2ページ目をお開きください。

 順にご説明させていただきますが、いくつか同様な意見はまとめております。

 それから指摘箇所で意見を整理している都合上、違う場所で同じような意見をいただいている部分がございますので、そういった場合は、同様の回答とさせていただきますというご説明をさせていただくことがございますので、ご承知いただければと思います。

 それでは、まず1.の経緯についてのご意見でございます。

 1番は、世界保健機関のガイドラインを十分に取り入れてこなかったと反省することを入れるべきというご意見でございます。

 こちらについての考え方ですが、環境省では、引き続き、国内外における科学的知見の集積に努めるとともに、今般、WHOが公表したガイドラインで採用された知見や考え方を確認し、必要に応じて環境基準の再評価を検討してまいりたいと考えており、今の時点で、このご提案のように記載することは適当ではないと考えておりますという考え方です。

 2番のご意見でございますが、こちらについては、環境基準の考え方に関するご意見をいただきまして、今回の答申案に対する考え方ではないと考えますので、参考にさせていただきますという回答でございます。

 3ページ、3番でございますが、こちらについては、経緯の文章に括弧書きで入っていますが、「(微小粒子状物質は対象外)」という文言を追加すべきとのご意見でございました。

 こちらについては、浮遊粒子状物質につきましては定義が規定されてございますので、ここでは、この文意が明らかであるために修正が不要であるというふうに考えてございます。

 続きまして、2.(1)NOx・PM法の施行状況についてのご意見でございます。

 まず4番ですが、こちらは対策地域内では全て適合車となったとしても、車種規制非適合車の問題は解決していないというご意見でございます。

 こちらについては、答申案に、自動車NOx・PM法に基づく各種施策が大きく進んだことから、環境基準の確保に繋がった。こういった状況から見ますと、自動車NOx・PM法に基づく各種施策が適切に機能しており、現時点では、新たな追加的対策を講じる必要はないとしているところでございます。

 5番でございます。

 NOx・PM法の第36条以降を引用されまして、各実績を取りまとめ、評価すべきではないかというご意見でございます。

 こちらにつきましては、答申案におきましては、必要な施策の実績を、そこに記述してあるような感じで整理をしてございます。こうした施策の効果を担保しつつ、合理化を検討していく必要があると考えております。

 6番のご意見ですが、NOx・PM法が平成19年に改正された際に、重点対策地区指定制度が導入されましたが、なぜ指定される地区がなかったのか、その原因を分析すべきというご意見でございます。

 こちらについては、第13回自動車排出ガス総合対策小委員会で、関係都府県の質疑を行いましたが、その理由としては、制度が使いにくかったからということではなく、他の対策で対応するとしたこと、必要がなかったことといった点が挙げられております。

 続きまして、2.(2)地方公共団体における取組でございます。

 7番のご意見ですが、愛知県等の要綱は、他県と比べてどの程度効果があったのか評価すべきという意見でございます。

 こちらは、この答申案2章ですが、自動車排出ガス対策の実施状況を整理したものでございまして、ご指摘の点については今後の参考とさせていただきますという考え方でございます。

 2.(3)単体対策の進捗でございます。

 8番ですが、PN規制の実施時期を明確にすべきというご意見でございます。

 こちらについては、「今後の自動車排ガス低減対策のあり方について」の第14次答申におきまして、対象車両により、2023年もしくは2024年度末までに開始とされているところでございます。

 3.(1)環境基準の達成状況でございます。

 9番のご意見、それから、15番までのご意見を、同じような考え方ということで回答を一つにまとめさせていただいております。

 9番のご意見をご紹介させていただきますが、まず、NO2の環境基準の達成状況を評価しておりますけども、これは「1時間値の1日平均値0.04~0.06ppmのゾーン内またそれ以下」になっておりますが、この評価について0.06ではなく、0.04ppmを基準として判断すべきではないかというご意見です。

 それに加えて、それぞれの地域で取り組んでいる内容との齟齬というのを生じることになりかねない。そして、WHOは2021年9月に新しいガイドラインを発表してございますが、これを考慮しないのかというようなご意見でございます。

 10番のご意見も、0.04ppmを上回る局がある、下限値をクリアしたものでないということを指摘せざるを得ないということ、それからWHOのガイドラインのご指摘をいただいています。

 これが、15番まで同様のご意見がございまして、これに対する考え方でございますが、9番、右の方でございます。二酸化窒素の環境基準による大気汚染の評価につきましては、1日平均値の年間98%値が0.06ppm以下の場合は環境基準が達成され、0.06ppmを超える場合は環境基準が達成されていないものと評価することとされてございます。

 そして、0.04ppmから0.06ppmのゾーン内では、少なくとも非悪化を原則とし、0.04ppm以下は、これを維持するということとしてございます。

 これにつきましては、自動車NOx・PM法制定時から非悪化状況について確認をいたしまして、いずれも悪化は見られなかったということを確認してございます。

 それから、WHOの新しいガイドラインにつきましては、これが発表されることは承知してございます。環境省では、引き続き、国内外における科学的知見の集積に努めるとともに、今般、WHOが公表したガイドラインで採用された知見や考え方を確認し、必要に応じて環境基準の再評価を検討してまいります。

 最後に、それぞれの地域で取り組んでいる内容との齟齬については、なお書きで、対策地域の解除の要件は、都道府県による申請の要件を整理したものでございまして、各地域の実情を勘案の上、都道府県によって検討される必要があるという考え方でございます。

 9の回答は、後でいっぱい出てきますので、記憶にとどめていただければと思います。

 続きまして、16番でございます。

 16番は、環境基準の達成状況については、PM2.5でも評価すべきであるというご意見でございます。

 こちらについての考え方ですが、まず、PM2.5の環境基準達成状況につきましては、令和2年度、一般局で98.3%、自排局で98.3%でございます。環境基準の達成状況を、対策地域内と対策地域外とで比較をしても、その差はほとんどないということを確認しております。

 PM2.5はDPFで捕集されることから、自動車からの排出寄与率は小さくなっていると認識していまして、二次生成粒子の割合が大きくなるというデータがございます。自動車に限らず、総合的な対策が必要でございまして、引き続き、PM2.5の削減に必要な施策の推進に取り組んでまいります。

 また、PM2.5の測定については、2009年より以前はデータが十分でなく、充実した監視体制が行われてきた期間は限られているため、NOx・PM法による政策の効果を評価するに当たりましては、一貫した評価ができるSPMでの評価が適していると考えております。

 この16番の回答も、後ほど何回か出てきますので、記憶にとどめていただければと思います。

 続きまして、3.(2)環境基準確保に係る評価のところです。

 17番をご覧ください。

 こちらは、全ての測定局のデータを用いて評価すべき。傾向を見るだけでは不十分であるというご意見でございます。

 こちらについては、自治体や道路管理者等が独自に実施している測定局のデータについても可能な限り収集の上、常時監視測定局と同様の手法で評価をしてございます。具体的にはということで、少し細かく書いてございますが、いずれにしても傾向のみを見ているわけではございません。

 その他、大防法に基づかないという測定局を含めた結果公表の枠組みについてのご意見については参考とさせていただきたいと考えております。

 18番の意見ですが、こちらは、WHOのガイドラインを基に評価基準を改定すべきというもの。0.04ppm、可能なところは0.02ppm以下を評価基準にすべきですという意見でございます。

 こちらについては、9で先ほどご紹介した意見の回答と、基本的には同じ回答になるのですが、まず、WHOについては、今般、WHOが公表したガイドラインで採用された知見や考え方を確認し、必要に応じて環境基準の再評価を検討してまいりますという考え方でございます。

 実は、回答が一部漏れてございまして、0.04、可能なところは0.02ppm以下を基準にすべきというところにつきましてのご回答は、この9番で回答させていただいた最初のポツのご回答でございまして、環境基準の評価と考え方と、あと0.04~0.06のゾーン内、0.04ppm以下については非悪化を確認していると、そういった回答が抜けていると思われますので、ここはそれを追加させていただきたいと思っております。

 続いて、19番のご意見です。

 大井中央陸橋下交差点ですが、これは測定局が樹木に囲われているということで、いただいたご意見では、同測定局の測定値は実際より低値を記録してきたことになります、というご意見から、訂正すべきという内容でございます。

 こちらについては、樹木に囲われることによる影響としては、減衰も起こり得るところですが、吹きだまりや汚染物質の滞留等によって高濃度になる事もございます。このような観点からは、原案のとおりが適当と考えております。

 20番の意見です。

 工場・事業場からの排出量がどうなるか、検討結果を追加してくださいというご意見です。

 こちらについては、参考資料の目録の3のほうに、大気環境将来予測については、発生源として、自動車以外に、工場・事業場、船舶等について考慮しているということで記載してございます。

 21番の意見。

 環境基準の達成状況が継続的、安定的に確保されているかどうかの評価については、至近3年度の評価では不十分である。N020.055、SPM0.08を、少なくとも10年度にわたってクリアすることが求められると考えるべきであるというご意見でございます。

 こちらについては、答申案の3(2-1)で記載しておりますが、長期的及び短期的な変動から、環境基準値を超過する可能性が十分低いと考えられることを評価しております。

 具体的には、短期的な評価については、至近3年度で環境基準値を超過する可能性が十分に低い濃度レベルであることを確認することとしていますし、これに加えて、長期的な評価としては、至近10年度の測定局における年平均値等の濃度が減少傾向、あるいは低濃度で横ばいにあることを確認しておりまして、原案のとおりとしたいと考えております。

 22番でございます。

 こちらの意見は、NO2につきましては0.04ppmとすべき、それから、PM2.5につきましても「環境基準」での評価を追加すべきというご意見でございます。

 こちらについての回答は、まず、最初の1個目のポツは、9番と同様の考え方でございまして、NO2環境基準の評価の考え方について記述させていただきました。

 そして、二つ目のポツ以降、PM2.5の環境基準達成状況の考え方については、これは16番の回答と同様でございまして、PM2.5での評価の考え方について記述させていただきました。

 次のページに参りまして、4.大気環境状況の将来予測でございます。

 23番のご意見。

 将来予測の詳細が不明だということ。国土交通省資料についてアクセスできるようにしてください、というご意見。それに加えて、「NOxマニュアル等に準じたモデル」等々、具体的な数値、手法を本文に記載してくださいというご意見。さらに、どのように「各種発生源データを整理」したかを追記してくださいというご意見でございます。

 こちらについては、国土交通省の資料につきましては、参考資料、目録3のほうで国交省の資料「新たな将来交通需要推計」を用いている旨を記載してございます。また、「各種発生源データを整理」につきましては、参考資料目録3のP6-8に追加いたしました。

 次のポツで、「NOxマニュアル等に準じたモデル」につきましては、参考資料の目録1に記載してございます。そのほかのものについても、参考資料の目録3に記載してございます。このような細かいデータにつきましては、参考資料に整理するということで整理をいたしました。

 24番のご意見です。

 こちらは、予測の中に県外からの非適合車の流入を考慮したのか。解除するなら対策地域以外からの流入を入れた予測をすべき、というご意見でございます。

 こちらについては、規制廃止ケースにおきましては、対策地域外からの車両の流入を想定したケースを設定しております。具体的にはということで書いてございますが、対策地域外から対策地域内に流入するという仮定をした上での計算を行ってございます、という回答でございます。

 続きまして、5.(1)今後の自動車排出ガス総合対策の在り方の、対策の必要性の部分でございます。

 ご意見の25番ですが、こちらは警察による取締りがない、あるいは警察と連携して取締り装置の開発を行っていただきたいというご意見でございますが、こちらにつきましては、参考にさせていただきますということで書かせていただきました。

 26番でございますが、こちらはWHO等を引きまして、日本の環境基準の見直しが最優先の課題であるということ。これからの大気汚染対策は脱炭素社会を目指す。その目標の達成に向けた社会変革との整合が欠かせないという、そういったご意見をいただきました。

 こちらについては、WHOガイドラインを確認した上での環境基準再評価の検討、9と同様の考え方を書かせていただきました。

 それから、大気汚染対策、地球温暖化対策の双方に資する取組は重要でございますが、そちらについては、今般の答申案についても、その旨を記述させていただいているところでございます。

 続きまして、27番のご意見から29番のご意見は、環境基準とWHOのガイドラインの関係のご意見でございますが、こちらも9と同様の考え方を書かせていただいております。

 30番ですが、同じくWHOの新ガイドラインの改定ということを受けて、以下のように修正すべきということで、東京都のPM2.5基準値の改定等も踏まえてという記述も挿入した上での文章の修正案をいただいております。

 こちらについての考え方は、まず、上の方で、9と同じWHOと環境基準の再評価の考え方を書かせていただいた上で、今の時点でご提案のように記載することは適当ではないと考えております。

 また、東京都を含む各自治体で、各地域の実情に合わせた目標を設定するということは尊重されるべきでございますが、当該箇所は制度の在り方全体を総括する箇所でございますので、原案とさせていただきたいと考えております。

 31番の意見ですが、自動車NOx・PM法、この車種規制の排出規制基準は見直しをされていないということ。今後は車種規制基準の強化を検討すべきである、そういった意見でございます。

 こちらについては、NOx・PM法の規制基準につきましては、本法律が特別措置法であることに加えまして、今回の答申案におきまして、「自動車NOx・PM法に基づく各種施策が適切に機能しており、現時点では新たな追加的対策を講じる必要はない」とされておりまして、さらなる規制基準の強化は必要ないと考えているところであります。

 32番の意見でございますが、こちらも、NO2の環境基準につきまして0.04以下とすべき、最終は0.02とすべき、それからPM2.5による規制強化をすべきという、そういったご意見でございます。

 こちらにつきましては、一つ目については、9番と同様のNO2の環境基準の評価の考え方を最初の方で書かせていただきまして、それ以降、PM2.5については、16番と同様のPM2.5対策と評価の関係を記述させていただきました。

 33番のご意見ですが、制度の在り方は、5年後に改めて検討するということであれば、この期間は地域指定を解除する都府県が出てこないようにしてくださいということでございます。

 こちらは、NOx・PM法では、従来より対策地域の指定とその解除について、都道府県が申請することができることとなってございます。今整理した指定解除の考え方に基づきまして、各都府県において検討し、申請があった場合には環境省で個別に判断することになります。その結果、5年を待たずに指定解除するということもあり得ます。

 なお、申請があった際の審査については慎重に進める必要があると考えてございますので、このご指摘を踏まえまして、その旨を答申案に追記いたしました。これは、後ほどご説明させていただきます。

 34番ですが、解除に当たっての留意事項の末尾に「必要がある」というのを「必要」、「モニタリングを行うことが望ましい」の「望ましい」を取って「行うこと」と訂正してくださいということで、このご指摘、「必要がある」を「必要」に変えるのは特に意味は変わらないと思いますが、「モニタリングを行うことが望ましい」という記載につきましては、ご指摘を踏まえて文章を修正しておりまして、書きぶりは「具体的には、常時監視測定局の環境濃度のモニタリング及び走行車のうち非適合車の比率の動向といったデータのほか、数値解析の手法も利用して多角的に解析を行うこと」と修正をいたしました。

 35番のご意見です。

 ステークホルダーとの調整について、これが指定解除の必須条件とならないように、一定の指標に基づいて機械的に解除を行うようにした方がよいという意見。プラスして、車種規制については地域を限らず継続すべきというご意見です。

 今の一つ目の意見については、対策地域の指定解除に当たっては、機械的に実施するのではなく、住民との対話を進めるとともに、指定解除後も実施する大気環境の改善に資する様々な取組を事前に整理しておくことが必要であると考えてございます。

 この後段の意見につきましては、対策地域が継続される地域においては車種規制等を継続する必要があると考えているという状況でございます。

 36番、指定解除の際には国民の声を聴くべき。都道府県が指定地域解除を申し出る際には、該当地域の人々の声を反映できるような仕組みを作ってほしいというご意見でございます。

 こちらですが、答申案において、指定解除の検討における留意事項として、「住民に対しては、既に環境基準が確保されている地域であることを前提とし、今後、車種規制等が廃止された場合の大気環境について、保守的に予測した場合でも環境基準を超過する可能性が低いことを入念に確認していることなど、指定解除を行う理由を丁寧に情報発信し理解を得るべく対話を進める必要がある」と整理してございます。各自治体において当該留意事項を踏まえた対応が必要と考えております。

 37番でございます。

 以下の理由により答申案には反対ということで、1番、PM2.5の環境基準については検討された様子はなし。2番、指定地域が解除されれば・・・、単純に常時観測局で環境基準が達成されていればよいという問題ではないということ。3番、「気候危機」回避のために化石燃料使用車の大幅な削減が世界の流れになっている。今なすべきことはディーゼル車等への規制を強化していくことである、というご意見でございました。

 こちらについて、まず、PM2.5につきましては、これは16番と同様のPM2.5の対策と評価の考え方から、上から三つのポツで回答させていただいております。

 この2番目の部分については、常時監視測定局がない場所においては、それを考慮して、面的評価というのを今回は実施しているということで、考え方を書いてございます。

 3番目につきましては、気候危機等に対応するためという、その考え方は今般の答申案にも、その旨を盛り込んでございます

 また、その後段ですが、これは31番の回答と同様の考え方でございますが、「自動車のNOx・PM法の規制基準については、本法律が特別措置法であることに加えまして、答申案において、現時点では新たな追加的対策を講じる必要はない」とされていることから、さらなる規制基準の強化は必要ない。これは自動車NOx・PM法での対応という意味でございます。

 ただし、ディーゼル車等への規制の強化につきましては、「今後の自動車排出ガス低減対策の在り方について(第14次答申)」に基づきまして、PM粒子数規制(PN規制)の考え方を導入してございます。運用開始時期については、対象車両により、2023年もしくは2024年末までとされてございます。

 38番でございますが、指定解除の条件に「環境基準値を超過する可能性が十分低い濃度レベル」とありますが、これを撤回すべき。まずは、「現状の環境基準」を改定することを最優先して実施すべきというご意見でございます。

 こちらについては、環境基準設定の考え方をご紹介させていただいた上で、引き続き、国内外における科学的知見の集積に努めるとともに、必要に応じて環境基準の再評価を検討してまいりますという考え方でございます。

 39番のご意見でございますが、こちらは愛知県から「対策地域の指定解除に係る要望が提出されており」という事実を確認していただきたいというご意見でございまして、こちらについては、令和3年4月22日の第13回小委員会の資料2-5の6ページをご覧くださいということでございます。

 40番の意見ですが、「環境基準値を超過する可能性が十分低い濃度レベル」にPM2.5を追加すべきというご意見でございます。

 こちらは、16番と同様の考え方を書かせていただいてございます。PM2.5の評価の考え方はこのようなものです、ということで記述してございます。

 5.(3)総量削減基本方針に定める目標及び定める施策です。

 41番、東京都はPM2.5基準値を新たに10μg/m3としましたがということを引きまして、以下のように修正してくださいということで、鍵括弧がありますが、「新たに東京など各自治体がPM2.5基準値や期限を設定するなどの動向を踏まえ、今後、新たな規制措置を追加的に設けるなどを検討する必要があります」というご意見です。

 こちらについては、各自治体で各地域の実情に合わせた目標を設定することは尊重されるべきことでございますが、当該箇所は制度の在り方全体を総括する箇所でございますので、原案のとおりとさせていただくと考えております。

 42番、こちらも以下のように修正してくださいということで、以下のことから、総量削減基本方針につきましては、施策の追加・拡充を行う、そういった修正の提案でございます。

 こちらについては、今回の答申案におきまして、「法に基づく各種の施策が適切に機能しており、現時点では新たな追加的対策を講じる必要はない」とされているところでございまして、原案どおりとさせていただきたいと考えております。

 次、43番ですが、こちらはWHOの新たなガイドラインも引きまして、より高い目標に変える(変わる)可能性があるということを示すべきではないかというご意見でございます。

 こちらについては、まず、9番で書かせていただいたWHOと環境基準の考え方をお示しした上で、総量削減方針の目標については、令和2年度に概ね環境基準を確保できていると評価できる点、排出ガス量が基準年度と比較して大きく削減されている点などを踏まえ、「現状の目標を維持・継続することが適当である」とされているところでございます。

 5.(4)でございます。その他の自動車排出ガス対策についてです。

 44番。これはWHOを踏まえ我が国の環境基準をもっと厳しく改定すべきというご意見でございまして、こちらは9番と同様のWHOと環境基準の考え方を記述させていただきました。

 それから、45番の意見、46番の意見を、回答を一つにまとめさせていただいております。

 45番の意見は、PM2.5の環境基準達成評価と、これを踏まえた今後の総合対策の在り方が検討されるべきということ、それからWHOのガイドラインについての記述がございます。

 46番、PM2.5の評価がないという、そういったご意見をいただいております。

 こちらについては、16番と同様のPM2.5の対策と評価の考え方を上の三つのポツで記述させていただきまして、もう一つ加えまして、WHOと環境基準の考え方を最後に加えさせていただいたもので考え方を示しております。

 47番でございます。

 こちらは、PM2.5の測定が行われていない常時測定局への設置を急ぎ、という、測定局の数を、PM2.5については増やしてほしいという意見。

 48番、大気測定体制の充実、大気の環境基準の改定をすることと、そういったこの二つのご意見をまとめて回答させていただいておりますが、回答は、測定局については、地方公共団体において、事務処理基準に基づいて、PM2.5濃度の状況を勘案しながら、順次、整備が進められているところでございます。環境省としても、必要な測定局の設置を引き続き働きかけてまいりたいと考えております。

 環境基準の考え方につきましては、これまでの回答と同様の考え方で、必要に応じて環境基準の再評価を検討してまいります。

 49番、自動車排出ガス総合対策において、PM2.5やオキシダントも評価対象にすべきではないか、というご意見でございます。

 こちらは、PM2.5につきましては、二次生成粒子の割合が大きい、また、光化学オキシダントについても二次生成で生じるということから、自動車に限らず総合的な対策が必要と考えています。引き続き、大気環境の改善に向け、前駆物質としてのNOx、VOCの削減に関する必要な施策の推進に取り組んでまいりますという考え方でございます。

 続きまして、50番と51番のご意見をまとめて答えさせていただいていますが、いまだにPM規制については進展がないという、そういったご意見でございます。

 こちらについては、これも前に回答させていただいた内容ですが、「今後の自動車排出ガス低減対策の在り方について(第14次答申)」に応じて、PM粒子数規制(PN規制)の考え方を導入してございます。適用開始は2023年もしくは2024年の末ということでございます。

 52番のご意見でございますが、こちらは、指定地域を解除することにより不適合車の流入が増え、大気の状況が悪化する可能性が高く、いずれの地域においても指定地域の解除は時期尚早と言えるのではないかというご意見。

 それで、下の方に、2022年3月には日野自動車によるディーゼルエンジンの排出ガス試験と燃費性能試験における改ざんが発覚したばかりでございまして、環境適応車両への移行が適正に行われているのか疑問が残るというご意見をいただきました。

 こちらにつきましては、まず、対策地域指定の解除の考え方を答申から引用してございまして、なお書きで、推計で用いる規制排出ケースにおいては対策地域外から車両の流入を想定したケースを設定しているという、これは前に書かせていただいたものと同じような考え方を書いてございます。対策地域外から対策地域内に流入すると仮定してちゃんと計算をしていますという回答でございます。

 日野自動車の件でございますが、この排出ガス・燃費性能試験における不正事案につきましては、国土交通省において型式指定の取消しを行う方針を示す等の厳正な対応をしてございます。環境省としても、国土交通省と情報を共有し、今後の大気環境への影響を注視してまいりたいと考えております。

 53番のご意見です。

 先日の日野自動車によるエンジン排出ガス、燃費試験での不正の件もある。また、タイヤはマイクロプラスチックとなって環境中に放出される懸念があるというご意見でございます。

 こちらの日野自動車の件については、前と同様の回答をさせていただいております。

 タイヤ粉じんにつきましては、道路沿道について、PM2.5のタイヤ粉じんが占める割合を調査するなど、実態の把握に努めてまいりたいと考えております。

 54番のご意見ですが、指定地域の解除は気候変動対策と矛盾している。気候変動対策を推し進めるためにも、大気汚染対策を緩和せずに厳格化を続ける必要があるというご意見でございます。

 こちらについてですが、大気汚染対策・地球温暖化対策の双方に資する取組は重要でございまして、今般の答申案にもその旨が盛り込まれているところでございます。

 なお、自動車NOx・PM法に基づく対策につきましては、本法律が特別措置法であること、それから、法に基づく各種施策が適切に機能しており、現時点では新たな追加的対策を講じる必要はないとされていることから、同法に基づくさらなる施策の追加等は必要ないと考えてございます。

 最後のくくり、その他のご意見ということで、結構たくさんのご意見をいただいてございますが、まず、55番と56番については一つの回答にさせていただいてございますが、この被害者の声を事前に聞いていないことは問題である、被害者の声にもちゃんと耳を傾けるべき、こういったご意見を頂戴いたしました。

 こちらについては、同趣旨のご指摘を、令和3年12月の「第13回東京地域の交通環境改善に関する連絡会」でいただきました。これを踏まえまして、年明けの1月に全国公害患者の会連合会の方々と意見交換をさせていただきました。そして、そこで頂戴したご意見を踏まえまして、第16回、前回の自動車排出ガス総合対策小委員会に提示した答申案の作成を行ってまいりました。今後の政策検討に当たりましても、しっかりと被害者の意見にも耳を傾けてまいりたい、というふうに書かせていただきました。

 最後、57番ということで、多くの方から、自分や家族が気管支ぜんそくに苦しんできたという意見をいただきました。きれいな空気が欲しいということ。そういったことから、対策地域の指定解除には反対というご意見をいただいております。

 こちらについては、大気環境の状況としては、将来予測によりますと、自動車単体対策の進捗等の総合的な成果により大気環境は改善傾向にあると推計されております。環境省としては、よりよい大気環境の創出に向け、国際動向も踏まえながら対策を進めてまいりたいと考えていますということで、考え方を記述させていただきました。

 以上が、パブリックコメントでいただいたご意見に対する考え方の案でございました。

 これを踏まえまして、本日の資料2に答申の案を修正したものを溶け込ませた形でご用意させていただいているもので、資料3の方が、修正部分を見え消しで用意させていただいていますので、資料3の方をご覧いただきたいと思います。

 この資料3は、パブリックコメントに供した答申案に対しまして、今回のパブリックコメントでいただいた意見を踏まえて修正した分と、あと、時点修正等も入ってございますので、時点修正等につきましては、説明を飛ばすところもございますので、ご容赦いただきたいと思います。

 まず、こちらでご説明したいのは、9ページでございます。

 こちらの9ページは、一見、たくさん修正されておりますが、これは、実は時点修正でございまして、これまでの記述は、令和2年度の環境基準の達成の評価は速報値でやっておりましたが、確定値が先日出まして、この確定値によりますと、SPM、これまで速報値では一局非達成でありましたが、確定値では全局達成となりました。それによりまして、記述が簡潔に、NO2、SPMともに全局達成という記述に変更させていただいているものでございます。

 あと、3.(1)の1行目に「対策地域の」という一言を入れさせていただいております。

 こちらは、もともとここでは環境基準の達成状況と、裸で出すと全国の状況になるんですが、ここでは対策地域内の達成状況を記述させていただいていますので、そこを明確にするために「対策地域の」という言葉を入れさせていただいてございます。

 9ページの下の方の修正も、上の修正と同じような修正でございます。

 続きまして、10ページ。

 10ページにも少し修正がありますが、これを「走行量NOx排出量及びPM排出量」に変えましたのは、こちらは事実関係の修正ということでございます。

 ご説明する最後の部分が14ページでございます。

 14ページの対策地域指定の解除の考え方の②の部分ですが、こちらは、意見の34を踏まえまして、少し文章を修正してございます。

 見え消しに書いてあるとおりでございますが、「具体的には、常時監視測定局の環境濃度のモニタリング及び走行車のうち非適合車の比率の動向といったデータのほか、数値解析の手法も利用して多角的に解析を行うこと」という文章にいたしました。

 そして、その下に2行付け加えさせていただきました。

 意見の33を踏まえまして、次の文章を挿入しております。

 「国においては、自動車NOx・PM法の第6条第3項及び第8条第3項に基づく、対策地域の指定の解除に係る申出があった場合には、①~③の留意事項を踏まえて慎重に審査を行う必要がある」という2行を付け加えました。

 資料3の説明は以上でございまして、私からの説明は以上でございます。

【飯田委員長】 ご説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に対してご意見、ご質問等ありましたら、委員の皆様からご発言をお願いいたします。

 ミュートを解除していただいて、お名前を言っていただいて、ご発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【大久保委員】 大久保ですけれども。

【飯田委員長】 大久保委員、お願いいたします。

【大久保委員】 大変貴重な多くのご意見をいただいて、それに対して丁寧に対応の記載をして、本日も一つ一つ丁寧に説明をしていただいたかと思います。

 二つ、申し上げたいことがあるのですけれども、一つは、23番だったかと思いますが、データの話が出ていたと思います。この各種の基礎となるデータにつきましては、大変重要なものなんですけれども、これは国交省でも従来公表していないものがあったり、あるいは公表が遅いものがあったりしてきたところでございます。この点は、新しい社会資本重点整備計画の中でも、各種のデータのオープンデータ化、あるいは、DX対応ということが強調されておりまして、国交省内でもそうした形でのDX対応の一環としてオープンデータ化を含む、データの市民へのアクセシビリティの強化というものがなされると理解しております。

 他方、環境省でも各種のデータの公表については、従来から他の省庁に先駆けて提供してきたところがあると思いますけれども、恐らく、中期的には一朝一夕には出来上がらないと思いますけれども、国全体のDX対応として、そうしたデータが地域のデータとして、国交省のデータも環境省のデータも、少なくとも一つのポータルの中で、地域の人々が地域のデータとしてアクセスできるようになっていくというのが、DXの一つのよい面かと思っておりますので、これは、ここの範囲内の話ではないのですけれども、そういう方向で進んでいくべきものと考えております。

 もう一点は、より具体的な話ですが、WHOガイドラインへの対応ということに、かなり多くのご指摘をいただいていて、この点については、環境省としてもきちんと、今後考えていくという姿勢が再三再四示されているところであると思います。

 これは13ページですけれども、しかしながら、今回多くのご意見で、様々なものが、WHOガイドラインが出ているにもかかわらず、緩和に向かうのではないかという懸念が示された理由の一つは、この(2)の上の「なお」書きの上、4行目の最後の文章なのですが、「一方で」と始まるのがあって、これが、一つの文章で「改めて検討すべきである」と続いてしまっているために、その理由が「改善されていくことが想定されるから」のみにかかると、制度の在り方を検討すべきである理由がこの1点に限られるような誤解を与えるのではないかということを、今の説明を聞いていて、パブリックコメントの内容、それから、その対応を聞いていて懸念されました。

 むしろ、環境省としては、その前の部分、WHOガイドラインへの対応も、きちんと必要に応じてやっていくということなので、5年後の制度の在り方の検討の際にも、こちらのガイドラインのこともちゃんと踏まえて検討しますよというのが、本来的に言いたい文意であると考えております。

 そうだとすると、よりその趣旨を明確にするためには、この「一方で」の文章を二つに分けまして、「さらに改善されていくことが想定される。」で1回切って、「これらのことから、」というふうに複数形で入れる。「これらのことを踏まえ、」でもいいのですけれども、入れて、「5年後を目途に制度の在り方について改めて検討すべきである」とすると、その前の、WHOガイドラインに触れた前の文章のことも考慮して検討するんですよという趣旨がより明確になるという気がいたしますので、ご検討いただければ幸いです。

 以上でございます。

【飯田委員長】 大久保委員、ありがとうございました。

 一つは、根拠となったデータ、それらの市民への開示、それから、国のオープンデータ化やDX対応の流れについてということでした。

 もう一つは、WHOガイドラインへの対応について、今回のパブコメに対する回答で、環境省の対応をきちんとステートメントしてはいかがかということです。13ページの記載で具体的に例を挙げて、もうちょっと、はっきりとした記載を答申案に入れてはどうかというご提案と理解しております。

 まず、2点、そういうことでよろしいですね。

【大久保委員】 はい、そうでございます。

【飯田委員長】 はい、分かりました。

 じゃあ、これは事務局のほうからご回答いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【織専門委員】先生、よろしいでしょうか。

 私は、今の大久保委員と同じようなコメントがあるので、多分コメントを今、出して、一緒に答えていただいたほうがいいと思うので、併せて今意見を言ってしまってもよろしいでしょうか。

【飯田委員長】 はい、分かりました。関連したご意見ということですので、追加で織委員ご意見をいただいて、その上でまとめてご回答するという手順で進めます。よろしくお願いします。

【織専門委員】 ありがとうございます。

 私も大久保委員と同じように、今回のパブリックコメントについて3点あるかと思っています。

 まず、一つの特徴としては、通常、パブリックコメントを公募しますと、多くは企業の方が意見を言うことが多いんですけど、今回は、88のコメントが全て環境保護団体や地域住民という、非常に住民サイドからのご意見が多かったかというところが大きな特徴の一つだと思っております。

 その中でも、今、大久保委員がおっしゃったように、三つの大きなポイントがあるかと思います。

 それは、0.04ppmから0.06ppmで判断がなされるということについて、なぜ、0.04ppmのほうで判断をしていかないのかというところが1点。それから、PM2.5というものについてもきっちりと判断すべきであるということと、3点目が、WHOのガイドラインについて配慮すべきではないかという、この3点に大きく集約されていっていると思うんです。

 この3点について、きちんと回答をしていかなければならないのではないか。もちろん、個別のところできちんとご意見に対する考え方というのは出されているんですけれども、それが、住民の方、あるいは環境保護団体の方が納得してくださるかどうかというところが、リスクコミュニケーションの観点からも、うまく報告書に反映できるかが重要になってくるかと思います。

 例えば、先ほどのWHOのガイドラインなんですけど、14ページのパブリックコメントの回答ところなんですけれども、環境省では、引き続き国内外の知見の集積に努めるとともに、WHOガイドラインで採用された知見や考え方を確認し、必要に応じて環境基準の再評価を検討してまいりたいと考えておりますというのは、方針としては分かるんですけれども、じゃあ、一体、この現時点でWHOガイドラインで採用された知見や考え方をどのように考えていて、それが環境基準にどういうふうに検討するということに入ってくるのかというのが、この答えを見ると、すごく疑問に思ってしまうんです。

 今の時点で、なぜWHOのガイドラインを反映していかないのか、あるいは、今の環境省の総合的な対策の中と、今までの環境基準の考え方の中で、十分健康については配慮しているということについて、何らかの言及がないと、この回答でもなかなか納得できないのではないかなというところが1点です。

 これは例えばの話なんですけど、全体的にそういうことがあると思うんです。

 それで、PM2.5についても、15ページのほうを見ていただけますか、今のこの回答のところ。

 15ページのところで、今後も各施策を引き続き、総合的な対策の中で吸収していきたいというような表現がどこかにあったかと思います。

 PM2.5の環境基準について、各施策の実施と総合的に見ていくという話がどこかであったと思うんですけれども、PM2.5についても、大気汚染の対策の中で総合的にやっていくということは、具体的にどういうことなのかということが、もう少し分かりやすくする。多分、全体を通じて0.04ppmか0.06ppmの判断というところについても、大気汚染の総合的な取組を行っていることは、結果としては今回の報告書に示された政策が地域への健康に資するという、住民の方の安心につながるような説明というものが具体的に必要なんではないかなというふうに思いました。

 もう一回整理すると、0.04から0.06ppmのところと、WHOのガイドライン、それから、PM2.5についての全体を含めて、総合的な対策というものが地域の健康にもきちんと資するということを、何らかの形で、もう少し説得力をもって書くような一文が必要なんではないかというふうに思いました。

 以上です。

【飯田委員長】 織委員、ありがとうございました。

 じゃあ、大久保委員、織委員からの二つのご指摘、ご意見に対して、事務局のほうから回答させていただきたいと思います。

【長坂大気環境課長】 まず、大久保委員にいただいたDX関係のご意見ですが、これも水・大気環境局として、あるいは環境省としての取組になりますが、省としてもデジタル化というものは推進していくという方針で、今後検討をしていく予定となってございます。

 水・大気環境局としても、貴重な測定のデータというのはたくさんございまして、これをデジタル化して、どのようにしてオープンデータ等々にして、皆さんが容易にアクセスできるようになるかというところについて、これから検討してまいりたいと思っておりますので、いただいたご意見を踏まえて、省内、あるいは水・大気環境局内での検討を進めてまいりたいと考えております。

 続きまして、答申案の13ページ、5.(1)の最後のほうのところでご意見をいただいた、「一方で」以降のところを、「想定される。」で一旦切って、「これらのことから、」というふうにしたほうが文章の意味としてよろしいのではないかというところにつきましては、そちらは、ご指摘いただくと、よりよい文章になるのかなという気がいたしますので、そのような方向で修正させていただければと考えております。

 続きまして、具体的な修正のご意見というよりは考え方かと思いますが、PM2.5の総合的な対策というものが、地域住民の健康に資するものだというようなことが分かるような記述をどこかで入れられるように、検討させていただきたいと思います。WHOガイドラインの見直しの考えと、環境基準の考え方につきましても、それが、今後どのように検討されるかということについて、どこか書ける部分で修正できれば修正していきたいと考えております。

 以上でよろしいですか。

【飯田委員長】 大久保委員、織委員、いかがでしょうか。追加のご質問、ご指摘があればお願いします。

【大久保委員】 大久保は結構でございます。ありがとうございます、ご対応いただいて。

【織専門委員】 織です。大丈夫です。住民の方に、より説得力のあるというか、納得がいくような形で追加していただければ、このパブリックコメントで出てきた質問をうまく反映して入れていただくような姿勢が見られればいいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【飯田委員長】 ご指摘及びご意見、ありがとうございました。じゃあ、そのように対応させていただくことにいたします。

 ほかに、ご意見、ご質問、あるいはコメント等はございませんか。

【草鹿専門委員】 早稲田大学の草鹿ですけれども、よろしいでしょうか。

【飯田委員長】 はい、草鹿委員、お願いいたします。

【草鹿専門委員】 9ページのところで、NOxは0.06か0.04かというところの質問が多く、具体的に言うと(1)のところの上から11行目ぐらいのところです。文章は、「NO2の環境基準の達成については0.06ppmで判断しているが」という部分が、逆説的な言い方になっていて不自然な流れになっていますので、おやと思う方も多いのではと思います。まず、NO2の環境基準が、いわゆるゾーン内で0.04から0.06ppmか、またはそれ以下ということを、これが法規なんですよということを書いていただいて、0.06ppm以下は当然この中に入ってくるという、そういう流れの文章にされたほうがいいのかなと思いました。いかがでしょう。

【飯田委員長】 草鹿委員、どうもご指摘ありがとうございました。

 これについても、事務局から回答させていただきたいと思います。

【長坂大気環境課長】 ご指摘ありがとうございます。

 まず、前回の小委員会でも似たようなご指摘をいただいて、そこについては、実は環境基準の考え方を1ページの注釈の部分に書かせていただいております。

 1ページの注釈の小さい2でございますが、NO2の環境基準は、昭和53年告示におきましてということで、説明書きを前提として書かせていただいておりまして、こちらで対応させていただいたと考えてございます。

 以上です。

【草鹿専門委員】 だから、例えば、ここをもう一回、この文章の中でリファーして、判断している「が」というと、文章の流れが質問したくなる雰囲気を出しているんじゃないかな。そういう意見です。

 逆に言うと、その0.04は、いわゆる法律がありますよね、ゾーン内で。あるいは0.06以下であると。なので、0.06ppmで判断したという、そういう流れだったら何かいいような感じがするんですけど。

【長坂大気環境課長】 ご指摘ありがとうございます。

 今ご指摘をいただいて、考えていたんですけども。

【草鹿専門委員】 そうですね、お任せします。

【長坂大気環境課長】 いや、今、修正案を考えたんですが、ここの「なお」となっているところを、「なお、NO2の環境基準については0.04から0.06ppmのゾーン内は少なくとも非悪化を原則とし」としてはいかがでしょうか。

【草鹿専門委員】 達成については0.04ppmから0.06ppm以下だと思います。

【長坂大気環境課長】 「達成については」でなく、「なお、NO2環境基準については0.04、ゾーン内では非悪化、0.04ppmは維持」。

【草鹿専門委員】 「としている」と。そうですね、それだったら大丈夫だと思います。

【長坂大気環境課長】 では、そのように修文させていただきます。

【草鹿専門委員】 今回のシミュレーションで0.06ppmで判断したということは、また別のところで書かれているんですね。

【飯田委員長】 どうもありがとうございました。そのような形で修正させていただきたいと思います。

 ほかにご意見ございますでしょうか。

【大久保委員】 すみません、大久保ですけれども。

【飯田委員長】 はい、大久保委員、お願いします。

【大久保委員】 今のところですけれども、今のご提案でより明確になったと思うのですけれども、さらにいうと、「なお」というと、これは本当に細かな話なんですけれども、別のことを単に付け加えるときにも「なお」というふうに使うので、ここも、先ほどと同様に、趣旨をより明確にする意味で、「なお」の代わりに「ただし」として、そして、先ほどご提案の修正にしていただけると、より趣旨が明確になるかなというふうに思いました。

 以上です。

【飯田委員長】 ありがとうございます。検討をさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 特にないようであれば、ここで一旦、審議、あるいはご意見を伺うのを終了させていただきます。

 それで、答申案についていくつかのご指摘をいただきました。いずれも、大きな改定をするものではなくて、パブリックコメントでいただいた多くの意見、それが分かりやすく説明されるように、せっかくのパブコメを生かしてほしいという内容であったというふうに理解しております。

 これらについては、事務局のほうで修正をいただければと思います。

 それから、修正した後の案なんですが、これについては、座長に一任いただければというふうに思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【飯田委員長】 ありがとうございます。

 それでは、最後の修正案については、飯田で責任を持って確認をさせていただいて、ブラッシュアップを図りたいというふうに思います。どうもありがとうございました。

 それでは、繰り返しになりますが、修正した案については座長一任とさせていただきまして、修正後、私から、大気・騒音振動部会長に報告させていただきます。よろしくお願いいたします。

 続いて、今日の議題(2)その他でございます。事務局から今後の進め方についてのご説明があるとのことです。事務局からよろしくお願いいたします。

山崎自動車環境対策課課長補佐】 自動車環境対策課の山崎でございます。

 今回、先ほどの修正を反映して取りまとめられる答申案を基に、環境省としては、今、目標年度が平成32年というふうになっている総量削減基本方針ですけれども、こちらの改定作業について、遅滞なく進めさせていただきたいというふうに考えております。

 具体的には、この目標年度の更新作業というような形になりますが、こちらのほうにつきましては、適宜、関係省庁と連携しながら進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

 以上です。

【飯田委員長】 ありがとうございます。

 全体を通して、何かご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。

 それでは、特にないようですので、本日の第17回自動車排出ガス総合対策小委員会を終了いたします。

 事務局にお返ししますので、連絡事項等があればお願いいたします。

 本日は、ありがとうございました。

【山崎自動車環境対策課課長補佐】 本日は長時間にわたりましてご議論いただき、ありがとうございます。

 最後に、水・大気環境局長の松澤より、一言ご挨拶させていただきます。

【松澤水・大気環境局長】 水・大気環境局長の松澤でございます。

 本自動車排出ガス総合対策小委員会におきましては、一昨年の9月から6回開催させていただきまして、委員の皆様方には、大変ご丁寧なご議論をいただき、誠にありがとうございました。

 今後は、この答申案にありますとおり、答申案は最後に微修正をさせていただきますけれども、自動車NOx・PM法の基本方針に基づくNO2、SPM、この環境基準確保の目標については、ほぼ達成したというふうに評価できるということでございますが、一方で、スポット的に課題が残っているということもございます。

 こうしたことを踏まえながら、今後も気候変動対策と連携した取組を推進しつつ、全国的な大気汚染対策も進めて、5年後の制度の検討に向けて、私どもとしてしっかり取り組んでいきたいと考えております。

 最後になりますけれども、飯田委員長をはじめ、委員の皆様方におかれましては、本当に建設的なご議論をいただきまして、誠にありがとうございました。

 今回の答申取りまとめを受けまして、私どもとしてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【山崎自動車環境対策課課長補佐】 それでは、最後に一つ伝達事項がございます。

 本小委員会の議事録につきましては、事務局のほうで案を作成し、委員の皆様にご確認いただいた後、ホームページで公表する予定としておりますので、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上で本日の第17回自動車排出ガス総合対策小委員会を終了いたします。

 本日は誠にありがとうございました。