中央環境審議会地球環境部会「目標達成シナリオ小委員会」第8回会合議事録

開催日時

平成13年6月28日(木)15:07~16:55

開催場所

東条インペリアルパレス 3F 扇の間

出席者

(委員長)西岡 秀三
(会長)森嶌 昭夫
(委員)飯田 哲也
浦野 紘平
木谷 収
佐土原 聡
槌屋 治紀
藤井 美文
山地 憲治
内山 洋司
太田 勝敏
熊崎 實
大聖 泰弘
中上 英俊
水谷 洋一
渡辺 征夫
(事務局)後藤総合環境政策局調査官
竹内地球温暖化対策課長
石飛地球温暖化対策課調整官
世一地球温暖化対策課長補佐

議題

  1. 目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ(案)について
  2. その他

配付資料

資料1目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ(案)
資料2目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ(詳細版)(案)
資料3目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ 参考資料

議事

午後3時07分開会

○西岡委員長 今日は、ほとんどの委員の方がご出席の予定なんですけれども、暑いせいか出足がいまいちです。(笑)
 ちょっと遅れましたけれども、中央環境審議会地球環境部会の「目標達成シナリオ小委員会」第8回の会合を開催いたします。
 議事に入る前に、資料の確認を事務局の方からお願いいたします。

○世一課長補佐 資料の確認をさせていただきます。
 まず最初の1枚紙が議事次第でございます。裏に、名簿が書いてございます。それから、会合座席図です。
 資料は、基本的に3種類ございまして、資料1が目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ(案)でございます。それから、資料2がその詳細版でございます。それから、資料3が、それの参考資料でございます。以上がきょうの配付資料でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。大体間に合っていると思いますが、不足している資料がありましたら事務局までお申しつけください。
 本日は、予定としては18時までの審議を予定しておりますけれども、それより早く終わればそれにこしたことはございません。
 これまでと同様、本日の小委員会も公開で行っておりますし、また会議の議事録についても出席された委員のご了承を得た後、公開することとしたいと思いますので、よろしくご承知おきください。
 議題の1でございますが、目標達成シナリオ小委員会の中間取りまとめ(案)について審議を行いたいと思います。
 前回の第7回会合、その後、委員からの意見を踏まえ事務局で修正したものを用意しておりますので、事務局から資料の説明をお願いいたしますが、本日が、一応このシナリオ小委員会としては最終の会合になるかと思います。最終と申しましても、これはもともと中間取りまとめでございますので、一旦中締めをしまして、その後また続くことになるかと思います。今日で前半の中間取りまとめとしての論議は一応終了いたしまして、その後、次週に予定しております国内制度小委員会の方にも報告し、かつ7月9日だったと思いますが、地球環境部会の方に報告されるという予定になっていると思います。COP6前に、ひとつ全体をまとめてみようということで予定が進んでおります。
 そういうわけでございまして、今日はこの論議は、資料1の中間取りまとめ(案)でご審議いただきまして、大体の合意及び了解を得たいと考えている次第であります。
 前回、幾つかの点につきましてご指摘ございましたし、また制度小委員会の方に報告いたしましたところ、かなりの委員からも幾つかの修正点が出されました。そういうものを踏まえて、事務局の方で修正しておりますので、もう一度、皆さんのお目通しをいただきたいと考えている次第であります。
 それでは、報告をお願いいたします。

○石飛調整官 それでは、資料の説明をいたします。
 資料1から3までございます。これは中間取りまとめとしては、この3部冊が一体となって取りまとめというふうに考えております。
 資料1は、資料2の詳細版の主要な部分をまとめたものでございますので、本日はこの資料1を中心にご説明をしたいと思っております。
 それでは、資料1の1ページからでございます。
 前回から変わったところを主としてご説明をしたいと思っております。「はじめに」のところは基本的に変えておりません。COP3以降の国内での対策の取り組み、そして検討の経緯を書かせていただいております。また、この京都議定書の目標達成に向けての検討ではございますけれども、京都メカニズム、吸収源の活用につきましては、今後、国際交渉で詳細ルールが決定されることになっておりますので、本小委員会では国内における温室効果ガスの排出削減対策に限定して検討を行った、これも当初からの検討の方向性をもう一度確認させていただいているものでございます。
 そして、1ページの後半部分から第2章になりまして、2010年のわが国の温室効果ガスの排出削減見通しです。
 (1)は、各ケースと活動量のシナリオの説明でございます。
 2ページの表1、これも前回と同じで、固定ケース、計画ケース、こういうような考え方で設定をしております。
 それから、図の1は、この固定ケース、計画ケース、その差が計画ケースの削減量ということになりますし、さらに計画ケースよりも追加的な削減をするための検討を行ったわけでございますので、これを追加的削減量とし、その削減に必要な削減費用を検討したということを記させていただいております。
 それから、2ページの終わりの方、[2]の活動量のシナリオ、これも前回と全く同じものを示しています。
 今までは、計画ケースはケース1とケース2でずっと議論をしてきたわけですが、これ以降、一応取りまとめの整理の都合上もございまして、また今後の原子力発電の立地状況は不透明なところはありますけれども、むしろ温暖化対策としては厳し目のケースに当たりますケース2を基本としてこの資料1はまとめさせていただいております。もちろん、ケース1につきましても、経済的な評価のところでは一部言及をさせていただいております。それは、後ほどご説明したいと思います。
 続きまして、4ページの(2)2010年の温室効果ガス排出量の予測(計画ケース)でございます。図の2と、次のページの表3で、計画ケース1では、基準年を 100とした場合には 105、計画ケース2の場合には 108で、いずれも基準年を上回る予測結果になっているということは、これまでもご説明したとおりです。
 5ページの後半から、削減ポテンシャルということで、5ページには削減ポテンシャルの示し方で幾つか留意点を書いております。それぞれのポテンシャルには、不確定要素が多いために、推計値にある程度の幅を持って示すことにしたわけでございまして、上限、下限をそれぞれ「高位水準」、「低位水準」と呼ばせていただいております。
 また、次の6ページの一番上になりますが、それぞれの対策が発電電力量に与える影響分だけ節電をするということになった場合に、その発電電力量はどういうCO2 の排出の係数になるのかということが、これまでも随分議論になってきたわけです。その節電した分、削減された分の見方として6ページの一番上に書いてありますけれども、1つは全電源の平均で対応する、すべての電源の発電電力量が同じ割合で削減される、現在、原子力、火力がそれぞれ何割という構成割合がありますが、仮に将来的にもその割合は変わらないようにそれぞれの電力量が削減されるという考え方であります。
 それから、[2]は火力平均対応ということで、これは節電をした分だけ火力発電所の電力量が削減されるという考え方をとったものでございます。火力の平均でありますので、石油、天然ガス、それから石炭、これらの割合はほぼ現状の構成割合に即した割合で削減されます。
 この2つの方式でそれぞれ考えたわけであります。これにつきましては、どちらが絶対に正しいということはもちろん言えませんので、これについてはこの資料の中では併記をさせていただいているわけでございます。
 表の4には、この全電源平均と、火力平均の場合の排出係数を示したものでございます。
 そういう前提に立ちまして、7ページから結果を示しているわけであります。
 まず最初に、火力の平均排出係数を用いて算定した場合でございます。表の方をごらんいただきますと、計画ケースは先ほどお示ししたものでございますが、削減ポテンシャルを含む温室効果ガスの総排出量を計算しますと、計画ケース1では94から90、計画ケース2では96から93という指数になっています。
 続きまして、8ページの表7は、現在の地球温暖化対策推進大綱上、示されたそれぞれの削減見積もりと、今回、この小委員会でご議論いただきました計画ケース、ポテンシャル、そして削減割合を示したものでございます。
 一番右側の削減割合の一番下をごらんいただきますと、マイナス4からマイナス7となっております。これが前のページの96から93ということに対応する数字でありまして、火力平均の場合にはマイナス4からマイナス7までの削減のポテンシャルが見込まれるということでございます。
 次に、9ページは、全電源平均排出係数を用いて計算した場合でございます。表の8の削減ポテンシャルを含む総排出量で見ますと、計画ケース1では96ないし92、ケース2では98ないし95となっております。
 同じく10ページには、推進大綱の削減見積もりとの比較を載せています。削減割合、一番右側の欄をごらんいただきますと、全電源の場合にはポテンシャルはマイナス2からマイナス5となっております。
 以上が削減ポテンシャルの計算結果でございまして、11ページから対策技術の評価に基づく経済性評価ということで、いわゆるボトムアップ方式での経済性評価を行った結果でございます。
 [1]には、この削減費用の算定方法をお示ししております。基本的には変わっておりませんが、[1]の削減費用の定義の式につきまして、前回の国内制度小委員会で幾つかご指摘をいただきまして、一部誤りもございましたので修正をいたしておりますが、基本的な考え方は全く変わっておりません。
 それから、[2]の追加的削減費用の評価結果でありますけれども、削減の総量としては、ここにありますように1億 5,100万トンCO2であります。後でもまた出てきますが、これらの削減対策の中には、温暖化対策以外を主目的とした対策も含まれておりますので、これらの対策についてすべての費用を温暖化対策のための追加的削減費用として計上しており、過大評価をしている可能性がありますので、そのことを注意書きとしてつけ加えております。
 12ページの表の11、13ページの表の12、これはまず火力の平均排出係数を用いた場合のそれぞれの対策技術の一覧でございます。前回のシナリオ小委員会では、この表の構成に関して、追加的削減費用と削減量の欄が逆になっておりましたけれども、それを修正するようにとの指摘がありましたので、そこは訂正をさせていただきました。また、前回から幾つかご指摘いただいたことを踏まえて、対策技術を少し見直し、あわせて費用や削減量につきましても若干の修正を行っております。
 例えば、13ページの表12のちょうど中ほどにありますが、10万円以上の分類の中に、地域熱供給施設(工場の未利用エネルギー利用)というのがございます。これにつきまして、前回ちょっと数字が間違っておりまして、ご指摘をいただきましたので、それは一応訂正いたしました。
 それから、この表12の下に「原子力発電利用率の向上」を別枠で記載しております。その下に注書きがございまして、これちょっと読ませていただきます。「原子力の利用率向上については、計画ケースで利用率が84.2%になると見込んでいる一方、削減ポテンシャルとしては、定格熱出力運転への変更と、連続運転期間の長期化及び定期点検期間の短縮化により、利用率が90%になるとして算定している。なお、原子力の利用率を90%とする対策を実施した場合、表中の数字を元にした算定により、追加的削減費用は約 1,870億円削減されるとともに、この対策により削減することが可能となれば、目標達成のために必要なより高額の対策を導入する必要がなくなる。」ということを注書きしております。
 ここにも書いておりますように、既に計画ケースの中では、現状よりも利用率を84.2%まで上げるということで、現状の施策の延長線上ということで、ここまでは既に追加的費用を計算する際の前提としては入れ込んでいるわけです。この84.2%からさらに90%に上げるところにつきましては、前回もご議論いただいたところでが、今回は別枠で記載しております。
 続きまして14ページには、同じく火力平均排出係数を用いた場合に、それぞれの価格分類にどういう対策があるかということを、数字に合わせて少しわかりやすいように、それぞれの削減量を面積で表すような図をつけました。
 15ページからは、全電源の平均排出係数を用いた場合の表で、表の13と表の14です。基本的には、同じような構成になっていますが、特にこれらの対策の中で節電につながるような対策の場合には、火力に比べて全電源平均の方が、削減量の欄の数字が小さくなってくる。これは当然のことでありますけれども、そういう違いが先ほどの火力発電平均とはあるわけでございます。
 16ページの表14の下の「原子力の利用率向上」につきましては、これは先程と全く同じものをつけさせていただております。
 それから、図の4には、全電源平均排出係数を用いた場合の各技術の類型ということで、価格分類別のそれぞれの対策のウエートがどのぐらいあるかを示しております。
 続きまして、18ページの図の5でございます。これは価格の安いものから順に並べていって、それぞれの炭素トン当たりの費用がどのようになっていくかという曲線を示したものでございます。前回は火力平均だけを示しておりましたが、今回は全電源平均もあわせて表示しております。おわかりいただけると思いますけれども、火力平均に比べて全電源平均の方が、少しグラフが左側にシフトしており、費用的に見ると、より立ち上がりが早く、大きく立ち上がってくるという傾向になっているわけであります。
 次に、(2)の追加的な費用別の削減量でございます。これも価格分類ごとにどのぐらいの削減量が見込めるかを図にしたものでございます。
 出発点は計画ケース2の 108%で、そこからどれだけ削減できるかという図になっております。
まず、0円未満のマイナスコストの対策技術による削減量が 3.7%分見込まれておりまして、 108からこの分を引きますと 104.3ということになります。さらに、0円から 5,000円、 5,000円から1万円の分が合計2%ぐらいありますので、これをさらに差し引きますと 102.3%ぐらいまでいきます。さらに、1万円から10万円のものが 3.5%ございますので、それをさらに差し引くと97.8%までの削減ができるということになります。さらに、10万円以上の比較的コストの高いものをすべて入れますと、 2.2%さらに削減できますので95.6%までいきます。その次に、費用未算定分とございまして、これは、追加的な費用がどのぐらいになるかという計算をする前提の置き方、そして計算方法が非常に難しいもので、今回の私どもの検討では費用を算定することができなかったものが 1.3%分ございます。これは価格分類に入れるわけにはいきませんので、とりあえず別にしておりますが、これまですべて入れると、94.2%まで削減できるということになるわけであります。
 この図の6の下に注書きを入れておりまして、原子力発電所が新たに13基建設されるとした場合、これは計画ケース1ですが、この場合には105が出発点になりますので、上の棒グラフから、ざっと計算しますと3%相当分、さらに削減できる方向にいくわけですので、その点だけを見ると目標達成が一層容易な計算結果になるということを注書きとして入れております。
 続きまして、19ページの図の7でありますが、これは全電源平均排出係数を用いた場合でございます。同じく価格で見てみますと、0円未満で 2.3%ですから、 105.7%までいきます。さらに、 5,000円まで、さらに 5,000円から1万円まで含めますと、これが 104.5%までいきます。さらに、10万円までいきますと 100.1%、さらに10万円以上のものを加えると97.9%、費用未算定の分を加えると96.3%ということになるわけでございます。削減量としては、先ほどの火力に比べて余り下がらないという結果にはなるわけです。
 図の7の下には、同じような注書きをこちらにも入れさせていただいております。
 それから、第4章の数量モデルによる経済性の評価でございます。
 背景は、前回と同じでございまして、温暖化対策を検討する上での削減の可能性を分析するための数量モデルが幾つか開発されてきている。ここでは6種のモデルを用いまして、目標達成のために必要な経済的な措置、そしてこの対策が国内経済へ及ぼす影響について分析をしたわけでございます。
 シミュレーションの結果の比較つきましては、まず経済的な措置を入れるということを前提にしておりまして、ここでは2010年時点の二酸化炭素排出量を1990年比マイナス2%程度まで減少させるというケースを想定しました。特に2%が特別な理由を持っている、根拠を持っているということではありませんで、とりあえず2%という数字を想定したわけであります。このマイナス2%まで減少させるために必要な炭素税の額をシミュレーションした結果、炭素トン当たりで1万 3,000円から3万 5,000円の範囲になったわけです。
 20ページの上になお書きがございまして、技術データの積み上げによって省エネルギー量を推計するという特徴を持つAIMエンドユースモデル、それからGDMEEM、この2つはそういう積み上げ方式を取り入れたものでございますので、当然どのぐらいの技術を取り込むかということによって結果が違ってくるわけですが、今回も一定程度の対策技術は積み上げており、さらにこれを拡張すると炭素税額がより低くなる可能性があるわけです。また、廃棄物対策、環境汚染対策のような、温暖化対策以外の対策とあわせて実施することになると、炭素税額が低額になることもあり得ます。
 さらに、このモデルでは経済合理的な判断によって技術が選択されます。そして、エネルギーの価格の変化がエネルギー効率を弾性的に改善させるということを前提としておりますが、個別の対策が有する社会的制約がそもそも受け入れられるかどうかといったようなことは、この経済モデルでは反映されていない、そういう制約要因はあるわけです。
 表の15には、先ほど紹介しました炭素税額の結論を表にまとめて記載しております。
 それから、[4]の経済的措置の導入が我が国の経済に与える影響ということで、前提は先ほどと同じでマイナス2%まで削減するために必要な炭素税を導入した場合にGDPの損失が幾らになるかというシミュレーションの結果は、基準となるケースを想定して、それとの比較では0.06%から0.72%の範囲におさまっているということがわかったわけでございます。
 表の16に、そのGDPの損失の割合を示しております。
 また、図の8には、GDPの損失と、先ほどご紹介しました炭素税の関係を示しております。
 そして、[5]の二酸化炭素の排出量削減の可能性については、各モデルの結果から1万 3,000円から3万 5,000円程度の炭素税によりまして、二酸化炭素の排出量が90年比マイナス2%程度になることが示されたわけであります。また、AIMエンドユースモデル、GDMEEMモデル、これは先ほどの積み上げ方式による制約があるというわけですが、一方でWWFシナリオも今回の6種類のモデルの中に加えておりまして、AIMエンドユースモデルでは扱っていないような将来の技術、それから現状のコストではまだまだ市場性を持っていないけれども、今後の技術開発によって価格がさらに低下されるような技術も、ある程度将来を見越して対象に入れています。さらに、ライフスタイルや商業システムが変換することによる効果も考慮したわけです。そういった可能性を含めて検討した結果によりますと、2010年における二酸化炭素の排出量は90年比でマイナス10%というところまで計算結果としては出されたということで、この数字は京都議定書の目標を上回る対策のポテンシャルということになります。
 以上の数量モデルによる経済性評価の結果をまとめたのが(3)であります。ここをかいつまんで申し上げますと、炭素トン当たり1万 3,000円から3万 5,000円程度の炭素税の課税をすることによりまして、90年比マイナス2%まで削減するということが可能という結果になったわけでございます。
 次の段落は、炭素トン当たり 3,000円という低額の課税であっても、その税収を対策技術導入のための補助金として最適に還流することができれば、炭素トン当たり3万円の炭素税と同程度の導入インセンティブ効果を発揮するということを紹介しています。これはAIMエンドユースモデルのシミュレーションの結果わかったことでございます。
 次の段落は、GDPの損失でありまして、これもマイナス2%までという想定の場合には、0.06ないし0.72%の範囲であるということがわかったわけであります。
 次に、ただし温暖化以外の対策をあわせて実施することによって、温暖化対策にかかるコストやそれによって生じる経済的な損失は小さくなると考えられます。
 さらに、先ほどのWWFのモデルシナリオで行ったシミュレーションの結果では、ポテンシャルとしては10%減までいくのではないかという結果が出たわけであります。
 最後になお書きがありまして、これにつきましては前回のシナリオ小委員会でも、この経済数量モデルと、ボトムアップの積み上げ方式の結果の関係をどう見るかということについて記述すべきではないかというご指摘をいただきましたので、このような記述をさせていただいております。
 読ませていただきますと、「対策技術の評価に基づく経済性評価」と「数量モデルによる経済性評価」との前提条件を比較すると、前者--これは積み上げ方式でありますが、6ガスすべてを対象にしております。また、原子力発電所の新規立地を7基と想定して、炭素税の課税に伴う効果は考慮していないわけであります。一方、数量モデルによる経済性評価では、エネルギー起源の二酸化炭素のみを対象にしております。それから、原子力発電所の新規立地は、この場合、ケース1とケース2のちょうど平均値ということで10基を想定しております。それから、炭素税の課税に伴うエネルギー価格の上昇分、エネルギー需要自体を抑制する効果、こういうものも経済モデルの中で考慮されています。やはりこういった前提条件がかなり異なりますので、それを無視してこの両者の結果のみを単純に比較するということはやはり適切ではないということを書かせていただいております。
 それから、最後に、この中間取りまとめの最後のまとめでありまして、本小委員会では、温室効果ガス削減のための個々の対策技術について、削減可能性と経済性の評価を行いました。6種類の温室効果ガスを対象として、全部門横断的に多くの具体的な技術について費用評価を行ったのは、我が国では初めての試みであります。
 温室効果ガス削減対策の中には、温室効果ガスの削減の効果だけでなく、エネルギー費用の低減等の利益を伴う対策がありますので、特に民生、産業部門では、設備投資費用を考慮してもなお利益の得られる、費用がマイナスになるような対策が数多くあるということがわかったわけであります。
 また、各設備の耐用年数で計算した場合に、追加的削減費用が 5,000円以下で、しかも追加的削減量が 200万トン以上期待できるという対策は、優先順位が非常に高いと考えられるわけであります。削減量の多い順に並べておりますが、高性能工業炉の導入、コージェネレーションシステムの導入等々、以下省略いたしますが、こういった対策が有力である。したがいまして、これらの対策は、もちろん制度的な課題、社会的な課題がありますので、それは詳細に検討する必要がありますが、そういった課題を克服することができるのであれば、優先的に取り組みを推進していくことが必要であるということであります。
 次に、今回検討した対策技術は、すべての技術を網羅しているわけではありません。また、エネルギーの節約、自動車の走行量の抑制等、活動量の抑制を誘導するような経済的措置等による効果は含んでいません。したがいまして、このようなボトムアップの積み上げ方式では、京都議定書に定められた目標を達成するための総費用が厳密に幾らかということを正しく見積もることは必ずしもできないわけであります。しかしながら、そういう条件つきではありますが、今回検討しました追加的な削減費用の算定によれば、火力の平均排出係数を用いた場合を例にとりますと、以下に示すような計算結果が出たわけでございます。
 大変申しわけございませんが、この23ページから24ページにかけての数字、ちょっと私どものチェックミスでございまして数字が間違っております。今、それを申し上げますと、先ほどご紹介いたしました18ページの図の6にあります数字が正しいわけでございます。この図の6の説明の際に、私が何%まで削減という数字を申し上げましたが、その数字に対応する増減割合をここに示していただいております。大変申しわけございませんが、ご訂正をいただきたいと思います。
 読み上げますと、まずマイナスの追加的削減費用の技術的導入によりまして、基準年の排出量と比較して 4.3%増という結果になっております。次に、炭素トン当たり1万円未満の対策費用の導入まで入れますと 2.3%増になります。さらに、1万円から10万円未満の対策まで入れますと、ここでようやくマイナスに転じまして 2.2%減となります。さらに、10万円以上のコストの高いものまですべて入れるといたしますと 4.4%減まで削減することが可能という結果が得られました。
 ただし、これだけを見ますと、非常に高コストのものまで入れないとなかなか削減が進まないと見られがちですが、これは先ほども申し上げましたように、費用の算定が非常に過大評価されている可能性があります。
 ここに4つほどその理由が書いてありまして、まず費用の算定のできなかった技術があります。また、費用が安いものが検討に加えられていない可能性もまだまだあるわけですので、そこら辺は今後の検討課題ということでございます。
 それから、今回、費用の算定を行った対策技術にしましても、今後さらに技術的な進展が見られたり、量産効果で価格がさらに低下してくることも期待されますが、今回の検討では将来の価格の低下までは考慮していないわけであります。
 それから、燃料税等をかけた場合にどうなるかという検討は、この積み上げではやっていません。仮にその効果を見込みますと、削減量はさらに多く見込まれるわけでありますが、今回それは考慮していないということです。
 4つ目は、特にコストの高い対策、これは先ほどの表に個々の対策の価格分類別の一覧表がございましたが、その中にも別目的の対策、例えば大気汚染の対策、それから利便性の向上であるとか、都市の景観上の問題であるとか、そういう別目的の対策をやることによって副次的な効果が期待できる対策も多く含まれております。ですから、どの対策のための費用かということが、1つの対策に複数組み込まれているわけでありまして、それを適切に分類する手法は必ずしも見出されているわけでありません。したがって、別目的、副次効果があるような対策分の費用は今回差し引いている訳ではなく、そういったものをすべて温暖化対策のためと仮定した場合になっておりますので、その分、コストが過大方向にシフトしているのではないかと思うわけであります。
 一方、6種類の経済分析モデルによりまして、基準年に比べて二酸化炭素の排出量がマイナス2%レベルまで削減するというケースを想定した場合には、炭素トン当たり、炭素税として……。失礼しました。これは1万 3,000円から3万 5,000円の間違いです。また、GDPのロスは0.06から0.72という結果を紹介しております。
 今回、この優先度が高いと判断された対策につきましては、早急にその具体的検討に入るとともに、推計結果については、今後、国民各界各層からの批判、意見を取り入れて、より確実なものとすべきである。また、国民一人一人の負担をできる限り公平なものとして、経済的にもすぐれた効率的な削減を可能とし、かつ我が国の求めるべき将来に合ったシナリオへと継続的に改善していく必要があるということを述べております。
 さらに、今回は2010年を見据えたシナリオを対象としたわけですが、2010年以降を展望した中長期的な視点に立って、温室効果ガス削減のためのシナリオもあわせて、今後の検討課題とすべきであるということを述べています。
 最後に、締めくくりの文でありますけれども、本報告書は、これまでの審議結果を中間的に取りまとめたものであり、今後、本小委員会においては、COP6再開会合の結果も踏まえまして、引き続き京都議定書の目標達成のためのシナリオの検討を深めていくこととしておりますけれども、政府においても、本報告書を踏まえて、我が国として京都議定書を締結できるよう、目標達成のための国内制度の構築に向けて全力で取り組むことを期待するということで、結びとさせていただいております。
 以上が資料1の説明でございます。
 あと、資料2につきましては、簡単に構成だけご紹介をしたいと思います。
 資料2の表紙の次に目次がございます。これは基本的にはこれまでの小委員会で提出してご審議いただいた資料をまとめたものでございます。
 第1章は、温室効果ガスの排出実態とその要因分析で、過去のトレンドがどういう要因によって増減しているかという分析をした結果でございます。
 それから、第2章は各部門別の排出実態と対策の現状を述べたものです。
 第3章は2010年の我が国の温室効果ガス排出量の予測、これはいわゆる計画ケースの予測結果を示したものです。
 第4章は、2010年の温室効果ガスの削減ポテンシャルをまとめて記載しております。
 第5章では温暖化対策の費用評価ということで、これは小委員会の後半の主要テーマであります経済性の評価の結果を示したものです。ボトムアップの経済性評価の結果でございます。
 それから、第6章は対策技術の主要課題と普及促進に必要な対策手法の選択肢ということで、各部門別の対策技術ごとに、もちろん経済性評価とあわせて、この小委員会では制度的、社会的な課題、それからどういう対策が選択肢として考えられるか、こういうことも検討議題の1つであったわけでありますので、それをこのような形でまとめさせていただいておりますので、先ほどのポテンシャル、そして費用評価にあわせて、この第6章の部分も国内制度小委員会、さらには今後の検討に反映させていきたいというふうに考えているものでございます。
 第7章が、数量モデルによる評価結果をまとめているものでございます。
 第8章、それからまとめ、これは先ほどの資料1とほぼ同様のことが記載されております。
 次に、参考資料として、4種類の資料を用意しております。これは本日は資料3ということで、別冊にしています。参考資料の1が、個々の対策技術ごとの技術シートであります。それから、参考資料2は対策と効果の関係図、それから参考資料の3は、前々回ご審議いただきましたが、運輸部門についてのみ、一般均衡モデルを用いて限界削減費用がどうなるかということをあわせて検討しました。今回の報告書の本体としては、あくまでもボトムアップ方式のものに統一したわけですが、あわせてこの部分についてはモデルによる検討もしたということで参考資料につけ加えております。最後に、EUによる経済性評価の結果がレポートとしてまとまっておりますので、その概要をご紹介しているということでございます。
 以上が中間取りまとめ(案)のご説明でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 中間取りまとめ(案)のご説明がございました。この報告書につきましては、これまでも何度となく議論してきました。特に、最終的に幾つかの論点が残されたわけですが、1つは原単位の問題、電力の原単位をどう取り扱うかという点が1つありました。これにつきましては、本レポートでは併記という形にしようということで進めております。
 それから、原子力の取り扱い、これは原子力の特に稼働率を上げるという問題でございますが、これにつきましては先ほど13ページの方で説明ございましたけれども、この表の中の注記という形で、その可能性も十分考慮しているという形にしております。
 さらに、ポテンシャル、この積み上げのポテンシャルをどう見るか、これは大きな技術の抜けもあるだろうし、それから技術間の相乗作用、あるいはダブっているところもあるかもしれないとか、いろんなことがあるわけですけれども、そのことにつきましては、主としてまとめのところの議論で、こういうところは考慮してもらいたいということで入っているかと思います。
 さらに、この委員会では、言ってみれば2種類の作業があったわけですが、1つは積み上げの計算、もう1つはモデルを幾つか走らせて評価するという2つをやったわけですが、その間の関係についての論議がございました。これにつきましてはまとめのところで、これはそれぞれ別途の作業であり、単純に比較することはできないけれども、大体の方向については同じようなものが示されているという形で書いてございます。
 あと、幾つか、私は国内制度小委員会の方にも出ておりますけれども、例えばこのような積み上げの計算をしたときに、それがこの制度とどういう関係になっているんだろうか。ある制度を打ったときに、この技術のどれに効いてくるんだろうかなんていうことも、いつかはっきりさせてもらいたいという話もございましたし、これだけ技術のデータがそろっているんだったら、モデルの方のボトムアップスタイルの方にも、こういうデータを反映させてやるのもどうかというご意見も出ております。こういうことにつきましては、多分、今後の宿題ということで、まだこれは中間でございますので、その後、時間をかけてやる必要があるかと思っております。
 以上のように、大体この資料1にありますように、この報告書の方向、大体の形はこれで私はまとまったのではないかなと思っておりますが、今日のご議論はやはりここのところは根本的にこう書き直した方がいいということがございましたら、ご指摘願いたい。あるいは、骨格はこれでいいけれども、もう少しこういう文書を足し込んで、例えば私が申し上げますのは、先ほどのポテンシャルをどう見るかということに対してここに書いてございますが、まだこれでは書き足りないんでしたらつけ加えればいいかなと思いますけれども、そのような点につきまして、委員の方のご意見をいただき、それをあと1週間ぐらいありますので、盛り込む作業をしていきたいと考えております。
 そういうことですので、それではフロアオープンということでご意見いただきたいと思います。ご意見ございます方は、名札を立てていただくと私の方としては助かります。
 それでは、まず飯田委員から。

○飯田委員 私は、前回出ませんでしたので、今週月曜日に電子メールで意見をお送りしたんですが、先ほどの原子力の稼働率のところですね、注記に、計画ケースで利用率が84.2、利用率で長期的には90%という可能性があるということですが、まず計画ケース84.2というのがそもそも高過ぎないかと。これは最近の稼働率で見ても、いわゆる定検が、正式には12で、14カ月40日検査に変わってから、1995年が80.2、96年が80.8、97年が80.3、98年のみ瞬間的に84.2ですが、またその翌年80.1ですね、それから80.7、こうきている数字で、ここで計画ケース84.4を見るというのは、かなりアクロバティックな数字になるんじゃないかと。
 今日午前中、多数決で決まってしまった総合資源エネルギー調査会地球部会の見通しですが、ここですら長期的に85%ということを言っているにすぎないので、ここについては少し、もうちょっと慎重な数字を見てはどうかと。
 それから、長期的に90%というのも、これもかなり、やはり行き過ぎではないかと。これ前々回、ちょっとコメント、内山さんとコメントして、それ以上のコメントをしなかったんですが。内山さんもこの前、アメリカで実績があるとおっしゃったわけですが、アメリカでも一部のPWRでたしかに、それこそ18カ月運転とか実施していますので、単発的にはあるわけですけれども、まず規制の実態が全然違う、日本とアメリカではですね。NRCと、今回、経済産業省の中で出てしまった推進と規制が一体となったような規制、これも全然違う。
 それから、現場の状況というのは、これはつい先日、私は美浜で聞いた話なんですが、本当に24時間でかなりぎりぎりの検査をしていると。その中では、ある意味、何らかのエラーが出ると、その40日という計画期間ができないようなことがあって、かなり危うい場面で目をつぶるような局面があると。今の80%平均でも、こういう現状になっていて、この規制の実態の違いと、それから現場の本当に独立した検査機能を持っていない状況で、さらに85、90というのを目指すかどうかということに関しては、少なくとも中間審の報告ではもう少し引いた方で、慎重になっていただいた方がいいんじゃないかというふうに思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 内山委員、ちょっとこの論点を先に進めたいと思っていますので、もしその論点で内山委員もご意見お持ちでありましたら。

○内山委員 先に事務局から。

○西岡委員長 そうですか。それでは、事務局の方から今の。

○石飛調整官 まず、計画ケースの設定の根拠でございますが、今、まさしく飯田委員がおっしゃったとおり、将来2010年で現行の施策を実施した場合に、どのような削減量になるかという予測の前提としては、過去の最大の利用率が84.2%であったということで、これを計画ケースに置いたということでございます。ポテンシャルの90%につきましては、この前段のシナリオ検討会では、先ほどもご紹介ありましたけれども、アメリカ等の事例も参考にしながら、このぐらいまでポテンシャルとして可能性があるということで、90という数字を置いたというのが、これまでの検討での根拠になっているものでございます。
 この数字がいいかどうかということにつきましては、また議論をしていただいた上で、我々も考えさせていただきたいと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 今の件について、どなたか。
 内山委員。

○内山委員 利用率をどの程度にするのかという問題ですが、一応、今回提出されている数値は電気事業が達成できると判断したものです。そういう点では私としては別に問題ないと判断しております。また、90%の数字はポテンシャルという判断のもとに評価された値であります。今回のポテンシャルとは技術的に可能な推計で、社会や制度上での制約があっても構わないという条件のもとに推計されたものです。
 飯田委員がおっしゃったような制度的な対応というのは、今後検討せざるを得ない事項として考えられ、明記さえすればよいことで原子力を検討対象から除く必要はありません。
 この点についてだけ、ちょっとコメントさせていただきます。

○西岡委員長 今の件につきましてどなたか。
 山地委員、お願いします。

○山地委員 私も、実は内山委員と基本的に同じ考え方ですね。固定ケース、計画ケースとあって、それから追加的削減、そういうやり方をしているわけですね。固定ケースというのは、現状だという感じですよね。そうすると、現状が80かなと。計画ケースというのは、ウィズメジャーで多分、84ぐらい。そういうふうな感じが私はします。それで、計算のやり方等に整合性を持たせて追加的に90というのは、そう無理な論点ではないと思います。

○西岡委員長 ほかに委員の方でご意見ございましょうか。
 それでは、今のご意見を参照いたしまして、後ほど私の方でも考えたいと思います。
 ほかの論点で、それではいきたいと思いますが。
 内山委員。

○内山委員 報告書全般を見まして、今回の作業の中心は個別技術の積み上げ作業であると思います。この積み上げというのは私も以前行ったことがあり、大変な作業で、その大変さは重々承知しています。それから判断すると、よくまとまっているのではないかと思います。現在の技術レベルとデータ精度を考慮すると、今回得られた報告書の内容が情報として限界かなという感じがしております。また、データの収集において問題のあった点は個別技術データシートに明記されているのでわかりやすくなっています。原子力技術についても技術と同様に公平に扱われており、評価したいと思っております。しかし、残念なのは、原子力技術だけが表には入っているのに14ページと17ページの図に入ってないのか疑問に思います.表だけでなく図にも入れるべきだと思います。
 それから、1つお願いがあります。18ページの図5になりますが、これは非常にわかりやすい図ですが、できましたらもう1つ図を追加してください。それは何かといいますと、このx軸の値とy軸の値を掛けた値、それを積分すると累積金額が出てきます。累積額の推計は削減に要するトータルの費用がわかりますので、一般的にわかりやすい表示方法ではないかと思います。さらに横軸が何%削減という変数ことになれば、もっとわかりやすいかもしれません。いずれにしても総額がどのくらいになるのかというイメージを掴むためにも、累積金額のグラフがほしいです。既にこれだけデータがあるわけですから簡単に計算できます。よろしくお願いします。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 今のは、多分、一般的なお話でございますが、幾つかご要望ございましたが、最後の件につきましてはいかがでしょうか。

○石飛調整官 当然、こういう経済性評価をする最終的なアウトプットとして、ご指摘のような総コストがどうなるかを計算することを考えるわけでありますし、我々も実際、こういう表をつくるべきではないかということを検討いたしました。最後でも述べておりますが、全体的にコストを非常に過大評価しているきらいが大きくて、これをそのまま出すと、もちろん計算すれば、機械的には出てくるわけでありますけれども、それが果たして確からしい結論であって、そして正しい情報を広く皆さんに与えるのかどうなのかという点を非常に懸念いたしました。そこで、今回のこの案ではそこはとどめて、この単位当たりの削減費用まで出しています。もちろん計算すれば全部出てくるわけでありますけれども、図にして、そしてそれが一目瞭然であらわれて、それが正真正銘の総コストなんだというようなことを図で示すというのは、まだコストの精査の状況から見て必ずしも適切ではないのかなということで、躊躇いたしまして、その図を最終的に入れるのを思いとどまったというのが正直なところでございます。

○西岡委員長 今の点につきまして、どなたかご意見ございますか。

○山地委員 どなたが聞いても、今ので納得された方はいないんじゃないですか。だって、限界費用価格は出しているんですね。それをよりはっきりした総費用を出すと誤解を与えるというのは、限界費用なら誤解を与えないんでしょうか。全く論理的に、論理じゃないと思います。当然、だから不確実だということを留保すればいいわけでね。また、私、不確実性に関しては、後で申し上げたいことがあるんですけれども。私はせっかく計算した、きちんとした計算をわかりやすく人に伝えるというのが非常に重要なことですから、しかも作業をされているようでもあるんですから、なぜ避けるのか一向にわからない。

○西岡委員長 ほかにご意見ございますか。
 私も、普通に累積をやった方が、まあわかるんじゃないかなという気はいたしますので、一応その方向で考えさせていただきたいと今のところは委員長としてはそう考えております。
 ほかに、今の件でございませんか。熊崎委員。

○熊崎委員 この前のときに休んで、もうちょっとここは論議あったかもしれませんけれども、対策技術の評価に基づく経済評価というの数量モデルの評価ですね。この両方の関係で、僕は全体として今の段階ではよくまとまっていると思うんですけれども、ずっと読んでみてここがちょっとわかりにくいところがあるんじゃないかなという感じがするんですね。この22ページの一番最後のなおというところで、これ2つの比較があるわけですけれども、これは専ら、直接比較できないということの言いわけがずっと並んでいるわけなんです。
 これずっと見ますと、やっぱり前提の置き方が違うということがここで強調されているわけですけれども、ではこれは前提の置き方が同じだったら比較できる性格のものなのかどうか。それで、片一方のボトムアップの方のとらえ方というのと、それから数量モデルの方のとらえ方というのは、そのとらえようとする対象というか、それが違うのか同じなのか、前提が同じでも、なおこれが違っているというふうに見るべきかどうかというようなことについて、やっぱりもうちょっとちゃんと書いておいた方がいいんじゃないかなという感じしますし。
 それから、先ほどの座長の言われたことの中で、この2つのやり方が大体似たような結果になってきたという、その指摘があったわけですよね。そうすると、そのことがもし重要な意味を持っているんだったら、やっぱりここの中にちょっと書いておいた方が、この2つのアプローチがこれとこれで、要約のところですね。その関係というのをもうちょっと丁寧に書いておいた方がいいんじゃないかなという、ちょっと感じがしたんですけれども。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 その件については、前回でしたか、前々回でしたか、幾らか議論もございました。それで、そのことも踏まえて、先にちょっと事務局の対応はいかがでしょう。

○石飛調整官 ここで確かに、前提条件が幾つか違うということを書いておりますが、今ご指摘のとおり、もちろんもともとの経済性の評価を何を対象にしているのかというところも、それぞれの特徴があります。そこは少し書き足りないところもあるかと思いますので、少し工夫して書き込むような努力をしていきたいと思っております。
 それから、大体似た評価結果であるということも、口頭で言うのはいいのですが、何を持って似た評価というのかということも、中間取りまとめ案といえどもレポートに書くとなると、やはりそれだけのきちっとした根拠が必要ではないかということで、そこまでの検討が我々としても済んでいないこともありまして、ここではその違いがありますと。単純な直接的な比較はできないということで、とどめさせていただいたわけでございます。

○西岡委員長 今の件について何かございますか。前回、議論ございまして、確かに原子力、それぞれのモデルによって原子力の節電、それからどのガスまで含んでいるかという前提も、対象もいささか違うところがあるというカバーと前提の話がまずあるだろうと。
 それから、もちろん積み上げでやったときとモデル等々で、モデルにしてもいろんなタイプがございますので、その考え方自身がやっぱり変わっているから、これは同じ土俵ではちょっとまた難しいかなという感じがいたしまして、このような書き方になったんです。さはさりながら、先ほどの話ではないんですけれども、ではなんでこんなものを2つ並べてやったんだと言われれば、やはりお互いにチェックして、そんなに飛び離れてないなということで、一つ安心するかといった感じがあったわけですね。それを書き込むかどうかについて、いささかリステンしているという状況にはあります。
 熊崎先生のおっしゃる指摘は、まことにごもっともであるという具合に……。
 今の件について何かございますか。よろしいですか。
 それでは、次へ進みたいと思います。佐土原委員、お願いします。

○佐土原委員 先週から今週にかけて、私の方で地域熱供給についての数字を出させていただいたんですが、それを先ほど12、13ページの表のところで説明いただきました。
 ちょっとまだ訂正したいところがあるんですけれども、12ページの1万から5万の2番目に、地域熱供給施設の都市熱源ネットワーク整備というのがありまして、これは今の時点での地域熱供給に未利用エネルギー等を供給するということのポテンシャルが書かれておりますが、これを2010年ごろまでに自然増で地域熱供給が普及する割合をここに加えて、過去10年のトレンドで考えて大体3倍近くということですので、熱量的には3倍近くで 800になっているのを 2,400というふうに訂正をしたいと思います。
 それから、これに連動して13ページの10万の中ほどに地域熱供給施設と。これは末端まで供給する施設の部分ですが、これが 6,200という数字が出ているのを 5,600というふうに、少しダブルカウントになる部分を減らすということで訂正をしたいと思います。
 それで、あとこの表現ですけれども、工場の未利用エネルギー利用となっていますが、工場に限らずですので、「工場の」というのはちょっとふさわしくないのでカットしていただいて、あと分野が産業というのがやはりちょっと十分表現できてないかと思います。産業と民生にまたがるというところですので、産業という分野に入れるのがふさわしいかどうかというのは、ちょっとメールでコメントをお送りしたんですけれども、ここは使う側でいえば民生というふうになると思いますが、どういう分類にするのがいいか、ちょっと再検討をお願いしたいと思います。
 あとは、細かい数字の出し方については、最終のまとめまでにまた連絡させていただきます。以上です。

○西岡委員長 今の件につきましては、作業を担当していただいた委員からのお話ですので、よくご意向を確かめて入れてもらった方がいいと思います。
 よろしゅうございますか。

○石飛調整官 最初の数字は、今、ご指摘いただいたとおり訂正をしたいと思います。
 分類で産業に入れているというのは、確かに実際には産業分野に限らず民生でもおっしゃるとおりだと思います。これはシナリオ検討会で、部門別に分科会を設け、どこでこれを扱おうかということで、どこかに割り切りで入れざるを得ないということで、産業部門で検討していただいた経緯があって、このような分類にしてしまっているわけですので、これは今、委員のご指摘もあった民生にもかかわる問題であるということがわかるような表記の仕方を、少しこの表の中でも工夫をしたいと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、山地委員、お願いします。

○山地委員 前回欠席したものですから、しかも今日ちょっと遅れて来て、十分、全部見ているというわけじゃないんですけれども、ただ、大変な作業で、わかりやすくまとめていただいたと思って、その点、本当に感銘を受けていますけれども。
 ちょっと細かいところまで申し上げると、先ほどの例の原子力の設備利用率の件ですけれども、内山委員もおっしゃったように、表の中で出るけれども、図のところですね、わかりやすい図ですけれども、これは確かに、図の3とか図の4とか、あるいはさっき限界利用率となっている図の5、これから抜けているので、こういうところに入れろとまで言いませんけれども、抜いてあるという注をつけたらどうですかね。そうじゃないと、やっぱり何かそこだけ抜けているような気がするんですよね、せっかく検討したのに。
 もう1つは、これも本当に細かいんですけれども、図4の数値を見ていまして、私、家庭用ヒートポンプに興味があるものですから見てて。この図4では、家庭用 1,100、これ 1,000トンCO2 だと思うんですけれども。ですけど、表の14を見ますと 940になるんですね。何かちょっと違っているみたいですね。太陽光発電の方を足しましても合わない。ちょっと細かいですから、後でチェックしてください。
 もうちょっと、内容的なことを申し上げると、資料1の22ページの経済性評価の結果のところの丸ポツの3つ目のところで、GDP損失0.06から0.72%の範囲でありはいいんですけれども、これを軽微なものであると書いてあるんですよね。GDPの0.72とかというのを軽微と言えるかどうかというのはかなりの問題ですね。やっぱり数兆円になるわけですから、 0.7ですと。軽微という印象づけは、やっぱりこの場では控えた方がいいんじゃないか。0.06から0.72というような結果で出ているんですが、軽微と言えるかどうか。
 それから、もう1つは、先ほどちょっと議論になったんですが、24ページのところに、3行目から後の積み上げの費用算定が、次の理由により過大評価されている可能性があるというんですけれども、私はこれは正確にいうと不確実だと言うべきであって、過大評価もあれば過小評価もあると。
 例えば、サマータイムを取り上げて、0円以下のところに入っていますけれども、サマータイムを実施しようと思ったらどれぐらいコストがかかるか、相当コストがかかると思います。ゼロじゃない。もっと端的な例を言うと--端的じゃないかもしれません、問題になるということで。先ほどの原子力で出ているように90%、対策としてはあり得ると思って、私は当然やったんだから入れるべきだと主張しましたが、これがマイナスのコストで出ている評価になっているわけですけれども。飯田委員初め、国民のみんながそれを納得して受け入れるために、より厳しい管理、あるいは設備設計の変更、監視体制の変更とかやれば、コストがかかる可能性が十分にあるわけです。だから、過大評価、過大評価というのは決めつけです。不確実だということで、私は過小評価している可能性だってあると思いますから。その点は、こう言うと明らかにこれより安くできるんだみたいですけれども、そうは言えないんじゃないかということ。
 以上です。

○西岡委員長 今の点につきまして、まず事務局の方。

○石飛調整官 図の3から5にかけての原子力の利用率の向上につきましては、今のご意見のとおり注の形で入れる方向で検討したいと思います。
 それから、図の中の数字につきましては、まだ十分チェックし切れてないところがありますので、これはもう一度チェックして、図と表の整合をとるようにいたしたいと思います。
 それから、過大評価でなくて不確実だということにつきましても、確かにそういう面を全く無視、つまり過小評価であるものが全くないと言い切ることもできないものも含まれておりますので、今のご指摘を踏まえまして、24ページの表現は少し委員長とも相談させていただきたいと思います。

○西岡委員長 私は、今のお話はもっとも、特に過大評価、過小評価の話ですが--あるかと思いますので、その不確実ということで過大になる場合はこういう場合もあるし、過小になる場合はこういう話もあるだろうということを明記したらどうなんでしょうか。
 それから、図なんですけれども、図のところのもう少し説明で、簡単な話なんです。実は、この四角が何を意味しているのかみたいな、書いていただきたいと思うんですけれども。
 ほかにいかがでしょうか。

○山地委員 軽微の問題が残っています。

○西岡委員長 そうだ、軽微の話を言っていただきます。

○石飛調整官 ここはまた検討させていただきたいと思っております。これはまだ思いつきなんですけれども、IPCCが、こういうGDPに与える影響についての一定の検討結果を出しておりますので、それとの比較をするであるとか、ちょっと何か、もしここで単に結果を0.72%までであったということだけでなく何か書くとすれば、より客観的な記述ができるようなことも含めて、検討させていただきたいと思います。

○西岡委員長 以上のような説明ですが、本当に何をもって軽微にするか、私にとっては3兆円は自分の個人財産では物すごく高いし。ちょっと考えさせてください。
 山地委員、いいですか。
 そうしたら、こちらの渡辺委員。

○渡辺委員 それほど大きい問題じゃないんですが、今の山地先生の話とちょっと重複するものがあるんですが。太陽熱を利用した温水器ですね、これはどういう--事務局に載っているかもしれませんが、民生用と産業用でかなりの大きな単価の違いがあるんですね。民生用ですと3万円ぐらいで、それが業務用になると20万円ですか、いわゆる単価がですね、非常に大きい差がありまして。この辺は、かなり国民的レベルから見ますと、比較的一般市民が導入しやすい技術でもあるわけなんで、全体としてそれは大きな削減効果はないようなんですが、ちょっとこの辺の内容で説明があった方がいいかなと。
 それと同時に、図の3と図の4のところに太陽熱温水器の位置が書いてあるんですが、図の3のところですと20万円というのかな、かなり費用の高いところにありまして、図の4になりますと1万円前後のところにきているんですね。これもそういうことで温水器の場合、業務用と民生用でかなり違うんですよという説明も、これにやっぱりある方がよろしいかなというふうに感じます。

○西岡委員長 いかがでしょうか。
 それでは、中上委員、お願いします。

○中上委員 多分、急にごらんになるとそういう疑問を抱かれると思いますけれども、家庭用の場合には自然循環式で、業務用は強制循環しないと、やっためたらどかっとは使えませんので、恐らくシステムが全然違うということで、それでこの価格差になったと思います。それは、そういうふうに書きますと、この表の中にいろんな注釈をつけないといけない……

○西岡委員長 それは資料の方に……

○中上委員 資料には出ていますね。確認します。この算定資料の中には、ちゃんとシステムとして入っていますから、おわかりいただけるので。そういうのは、私もほかにもちょっとそういうのがあるんですが、多分こちらに戻ればわかると思うので。ですから、そういう意味で一々注釈つけられないとするならば、詳しくはこっちを見ろとか書いて出しておいた方がいいかもしれないですね。

○西岡委員長 では、全体的な説明をしますと。今の話は、そんな話はこちらの資料の方に書かれているということですね。しかしながら、それ全部について、そういうケースが幾つかありますので、まとめて詳細は資料を参照のことというのを、本文、まとめの方に入れておくということで。

○渡辺委員 そうですね。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。それでは、槌屋委員。

○槌屋委員 今のをちょっと補足しますと、太陽熱温水器は、どういう燃料にとってかわるかという相手の燃料の価格がかなり業務用と家庭用で違うので、家庭用ではかなり有利なものになる。
 それから、2つ目に違うのは、CO2 の排出係数が違うので、それによって上の方向へ移動しているということになっております。
 それから、私の質問というか、この報告書は、もう1つ、これをより深めるために追加的な意見を申し上げるということなんですが、費用がマイナスだということが、経済学者はよくわかるらしいのですが、私のような常識人--自分を常識人と……。(笑)わかりにくい。費用がマイナスだということは、非常にわかりにくいので、これが一体どういうことを意味しているのかというのを、何か説明をつけるといいと思います。
 私は、いろいろ計算している過程で感じたことは、費用がマイナスのものに2つあるんですね。1つは、もうそれが安くていいとわかっているから普及し始めているというのが1つありますね。それから、もう1つは、いいとわかっているんだけれども、なかなか既存のものとの取りかえがきかないというふうなメカニズムが働いている。あるいは、もう1個は、全く新しく登場したばかりだと。そういうものがあるので、マイナスの大きさが大きいものは、マイナスの度合いが小さいものに対してどういう意味があるのかとか、これをもう少しわかりやすく何か説明していただけたら、報告書がもっとわかるんじゃないかと思いました。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 これはどこか入りそうなところございますか、今のような説明は。

○石飛調整官 そうですね、今具体的にどこかというところまで確定はできませんけれども、ご趣旨はよくわかりましたので、それは入れさせていただきます。

○西岡委員長 それでは、藤井委員、お願いします。

○藤井委員 1つは、マクロモデルというか、数量モデルの評価ですが、GDPロスの表現は、このモデルがいずれも輸出入の影響などの議論はされていなくて、一国モデルになっていると思うのですがいかがでしょうか。特に国内の経済界の方々は、GDPロスの影響の小ささを議論するときに、多分、一番懸念しているのは国際競争力を通じた影響だと思います。エネルギー価格、炭素税による価格上昇の効果の議論を一番したいんだと思うので、価格競争力を通じた影響は考慮していない旨をエクスキューズしておく必要があると思います。そこのところが多分、GDPロスをめぐる議論の一番大きな問題だと思います。
 それから、技術ポテンシャルの議論のところでは、積み上げの方はあくまでも、さっき山地さんもおっしゃいましたけれども、技術の限界削減費用になっているわけです。それに対して、炭素税額を算定しているマクロモデルの方は、エネルギー需要関数を通じて得られた価格弾性値から限界削減費用を求めていると思うので、これらの両者の相違を明確にしておく必要があると思います。だから、ポテンシャルの話も最初に断ってはあるんですが、削減ポテンシャルというのがあくまでも、技術の削減ポテンシャルを意味している点に留意が必要だと思います。ですから、全体の整合性の議論は、よく書かれていると思うんですが、理解する人に同一の概念じゃないということはちゃんと断っておく必要があると思います。その2点です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 まず、第1点についてはいかがでしょうか。第1点、すなわち、私が知っているところでは、SGM、あるいはGDMEEMモデル等々は、これは全体の均衡モデルではないかなという気もするんですが、ちょっと事務局の方で。

○石飛調整官 モデルによっては、そういう輸出入を考慮し得るものもありますが、今回の計算では確かに国内だけの経済ということで考えておりますので、そこはそういう条件でやったということを書かせていただきたいと思います。

○西岡委員長 第2点の方ですが、第2点につきましてはいかがでしょうか。

○石飛調整官 これも今、ご指摘いただいたとおりに、対象の違いがあるということを、先ほどの経済性評価の結果のところに書かせていただきたいと思います。

○西岡委員長 先ほど、熊崎委員の方からの問題提起も、同様のところを含んでいると思いますので、モデルの方の計算に、数量モデルの計算についてと、それから積み上げの違いについても、もうちょっと聞きたいと思います。
 熊崎委員。

○熊崎委員 23ページの上の方にありました、山地さんが言っておられた費用過大評価というところですが。それは座長も言われたように、やっぱり過小なんとかでない、両方あるということは明記しておいていただいた方がいいと思う。ただ、僕はこの前もちょっとお話ししたんですけれども、EUであるとか、いろんなところと比べて見て、特にバイオマスのところというのが少し多く、これは過大に、過大というか大き目の数字が出ているんじゃないかなという気がするんです。それは何でというとやっぱり、現在の日本のいろんなコストからやってったらどうしても高くなってしまうわけですけれども、この前、申しましたように、これが一たん入り始めて、例えばバイオマス利用コストなんていうのは10年かそのぐらいで、かなり大幅にみんな低下してきているものですから。やっぱりそういう面からいったら、これ新しいことになるものですからね。こういうふうに、今のこの推計というのが比較的高めに、この限界削減費用というのが出ているということは、やっぱり考慮しておく必要があるのではないかなというふうに1つは感じています。
 それともう1つ、これもバイオマスに関係することですけれども、それがどのぐらい入るかというのは、これ化石燃料との、化石燃料価格との相対的なあれというのは物すごく響いてくるわけですね。ですから、どのぐらいの炭素税がかかってくるかということで全然様子が違ってくるものですから。また、現実問題として、そういったバイオマスが入っているというところは、大抵、化石燃料に対して炭素税がかかっているとか、そういうことになるものですから。これからの課題としては、そのある一定の炭素税がかかった場合にどのぐらいになるかというような推計が、この技術の積み上げの方からもどうしても必要になってくるんじゃないのかなという感じがしているんですね。そうすると、炭素税の論理というのと、こっちの技術的なあれというのが、やっぱりどこかでまた、そういう局面ではつながっていく可能性があるんじゃないかなという感じはしています。ただし、これはこれからのこの次の段階、非常に重要な課題になるだろうと私は思っています。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにご意見ございますか。浦野委員、お願いします。

○浦野委員 コメントだけなんですけれども、主なHFC等3ガス部門を担当しているわけですけれども、削減ポテンシャルの全体に占める3ガスの割合というのはかなり大きくなっておりまして、この削減ポテンシャルそのものについてはそう大きな違い、間違いはないだろうと私自身も思っているわけですけれども。ただ、この分野についてのコストなんですけれども、これについては確実性評価のところのCについているものが非常に多いわけですね。
 その理由、ちょっとだけコメントさせていただきますと、2つ理由がございまして、1つは今現在の法制度等も含めて非常に大きく動いていて、社会制度がどういうふうにできるかによってコストが物すごく変わってくるということが1点ございます。そういう意味で言いますと、これをいつ発表するかによりますけれども、今度、フロンの回収法案も成立しましたので、文書の中に、今、法制度を検討する必要があるという表現があるのは、もう制度が、法律ができましたので、そういうところ発表できたら合わせて修正していただきたいんですが。
 それはそれとして、もう1点、問題があるのは、例えば自動車にしても冷蔵庫等にしても、フロンを回収するためだけに作業しているわけでなくて、車ないしは家庭用電気器具を回収して、全体のリサイクルを義務づける方向にあるわけで、その中でフロン回収部分についてだけのコストを幾らかという数え方が非常に難しいということで不確実性があるんですが。これについてはもう少し精査して、最終的な報告、その他、もう一段、議論を深めていくと、かなり変わってくる可能性もありますよということだけお断りして、その辺の事情だけご説明を追加させていただきます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、今の幾つかの点について、修正できる点についてはよろしくお願いします。
 ほかにご意見ございましょうか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、幾つか宿題が残っております。特に、私の方には、1つは原子力の扱いをどうするかということが1つございます。それから、2つ目が、このGDPロスをどう見るかというところが2つ目。それから、最後に、また熊崎委員からのご意見もございまして、過大評価、過小評価の書き方をどうするかという点がございますが、この3点につきましては事務局と私の方で考えさせていただきまして、皆さんのご意見を反映させた形でまとめたいと考えております。
 もし、そういうことでよろしければ、ご一任いただきたいと考えております。
 はい、どうぞ。

○飯田委員 まず、簡単な方からいくと、先ほど地域熱供給が産業か民生かという話については、最初のこの用途に、産業と非常に違和感がやっぱりあって、恐らく産業の熱を使うという意味だというふうに理解したんですが、やはりこれは用途として民生というのが、恐らく普通の感覚ではないかと思いますので、民生というふうに書いた方がやはりしっくりいくように思います。
 それと、先ほどやっぱり原子力の話に戻ると、山地さん、先ほど計画はウィズメジャーだからという話なわけですけれども、計画という言葉をとった瞬間には、それは暗に対策をとるというふうに一般としてはやっぱり受けとめられてしまう。今回の総合部会の取りまとめでも、いわゆる目標係数ですら77から83、いわゆる平均80%をとっているわけです。これは、ただし85%の可能性があると。それに関しては、私もまた議論も述べたわけですが、あれはあそこで原子力保安員と、それから原子力発電委員会で今後議論するという意思が込められているわけですが。それに関しては、ここ、少なくとも環境省、今の日本の政治構造では一歩離れたところにあるわけなので、そこはやはり一段階落とした形で見ておかないとまずいんではないかというのが、まずテクニカルな意味において。ですから、ここは計画はやはり80、ポテンシャルで85というのがせいぜいだろう。
 さらに、もうちょっといえば、原子力というものに関して、単に技術だからということで、余りナイーブに中立性を装うべきではないというのは、これは前々回で私が申し上げたわけですけれども。その稼働率の向上というのは非常に微妙な問題が絡んでおりますので、確かにポテンシャルあるわけですけれども、この日本社会というのはおととしJCOの事故を経験したばっかりですし、もうほとんど政府部内では忘れ去られたかのような感もありますけれども、実際に現場ではすさまじいリストラも進んでいるわけですね。こういったところを背景ににらみながら、ある種の良識をここに反映すべきだというふうに思っております。
 それをちょっと、そういった私の最後のコメントも配慮していただいて、この処理をしていただきたいと。

○西岡委員長 わかりました。
 ほかにご意見ございませんか。
 もしないようでしたら。
 内山委員。

○内山委員 原子力で、飯田委員とどうも対立して困っているんですけれども。私は今回出された数値については、先ほど山地委員からも指摘がありましたけれども、それほど不自然な値ではないと思います。また、業界全体もそう判断しています。なぜ、そこまで考えるのかというのはちょっと理解できませんね。何となく、飯田委員個人の考え方という感じがしますけれども。アメリカですら既に85%を超えた状態で運転されているわけで、それに対して何ら反対意見が出ているというわけでもありません。ヨーロッパでも稼働率は高くなっている状況にあるわけで、そういうことに対して批判があるわけではないです。飯田委員の意見をきいていますと、何かちょっと偏見に感じますけれども、それを最後にコメントさせていただきます。

○西岡委員長 この議論、また始めますと長くなりますが、この辺で打ちどめにしたいと思います。両方のご意見はよく拝聴させていただきました。
 ほかにございませんでしょうか。
 もしなければ、ただいまの議題1についてはこれで終わりにいたしまして、議題2に移りたいと思います。
 その他でございますけれども、何かございますか。

○石飛調整官 それでは、一応、委員長の方で、きょうのご指摘を受けての修正のご指示をいただきまして、私どもも作業を進めていきたいと思っております。できるだけ早く、修正した後のものを、皆様には、できればメール、もしくは郵送の形でお送りしたいと思っております。7月9日の地球環境部会には、その修正したもので報告をさせていただくという形で、今後の作業を引き続き進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

○西岡委員長 それでは、特に……
 どうぞ、水谷委員。

○水谷委員 中間取りまとめの文言については、この段階でいろいろ申し上げてもなと思いまして申し上げなかったんですが、ただしこれの取り扱いについては、考えておかないといけないと思うんですね。つまり、中間取りまとめはこの小委員会でしましたと。そして、地球環境部会に報告しましたというだけでいいのかと。つまり、私たちの報告の内容を改善していきたいと考えているんであれば、パブリックコメントを求めて、国民各界各層からの意見を求める、それも糧にしてCOP6再開会合後に、引き続き審議を進めるというふうにした方がいいと思うんですね。この会合も毎回公開されておりますけれども、しかし成果物そのものも公開して、ちゃんと国民各界各層からコメントを求めるという、何度も繰り返した公開のプロセスというのが非常に重要だと思いますので、それについて少しご議論いただきたいというふうに思います。

○西岡委員長 今の件につきまして、事務局は何か案はございましょうか。

○石飛調整官 もちろん、この会そのものはずっと公開で行われてきておりまして、資料そのものもここにおいでになっている方には公開されておりますし、またインターネットでの入手は可能でございまして。今のところ事務局としては、この7月9日に地球環境部会で報告した後、もちろんその形でのオープンをしていくことは当然のこととして考えておりますけれども、パブリックコメントまでするかどうかにつきましては、そこまで今正直考えておりませんでした。むしろ今、水谷委員からそういうご発言があったということで、もう少しできれば委員の皆様のご意見もいただいた上で、最終的にと委員長とも相談した上で、やるかどうか考えていきたいと思いますけれども、いかがでございましょう。

○西岡委員長 それでは、今の件につきまして、もし何かご意見ございましたら委員の方お願いいたします。
 この報告書をさらによくしていくために、どういうプロセスが考えられるか。あるいは、よくするという意味はいろいろございますが、むしろ我々の役目はやったことを国民に広く知らせる必要があるかなとは思っておりますが。例えば、先ほどのところででき具合だとか、そういうのがあると思いますし、また全体の見方については別な意見も外から出ることもあるかと思いますが、いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

○浦野委員 資料1の24ページ、最後のところですけれども、ここに「推計結果については、今後、国民の各界各層からの批判、意見を取り入れて、より確実なものとするとともに」という用語が入っているんですね。ですから、これはそういう方向で私はそれなりに取り扱われるという理解をしたんですが。ただ、具体的な方法論として、完全に普通のパブリックコメントだけでいくのか、あるいはもうちょっと各業界とかいろいろな団体から意見を、ヒアリング、その他で意見を聞くことが、今後ちょっとやるのか、いろいろなやり方があると思うんですが。基本的には、こういう姿勢でやっているというふうに、記述されているので当然何かしらされるというふうに理解したんですが。こことの関係は、何か特に具体的なことを事務局で考えていたわけではないということですか。

○西岡委員長 これから考えるということで。
 ほかにいかがでしょうか。木谷委員。

○木谷委員 今回、十分に検討できなくて、この技術の一覧の表の中に入らなかったものがあるわけですね。これはあとの詳細版の方の 101ページなどにも、そのことが記述されておりますけれども。こういう残された課題について、今後やはりどこかで拾って、計算できるものは計算していくと。それから、費用が出せなかったものについては、やはりどういう理由でやっぱり出せなかったか、もう少し詰めていただければ出せるものも出てくるかもしれませんので、そういうものについてどうか。この委員会で、これまた細かいことをやっていくというふうなことは、また事務的にも大変だと思いますから、何かサブのあれをつくって、そういう地道な努力を続けて、やっぱり新しい資料を追加していくという、そういうことがやはり必要ではないかという気がいたします。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかに。中上委員。

○中上委員 この報告書をどこに向けて一番主張したいのかというのに尽きるんじゃないかと思います。上の部会に上げて、上の部会でさらにもんでいただいて、その段階でオープンにするというのならまだ時間はあるんだと思うんですが、これそのものが出るとするならば、だれに向かって言っているのかというのは極めてわかりづらいところがあると思うんですね。特に、いろんな数字が出てまいりますから、一般の方々がごらんになって、我々の仲間では炭素税がトン当たり幾らなんて言っても、何となく共通の理解ができるんだと思うんです。一般の方には、炭素税が何なのか全然わからないわけで。私、よく言うのは、トン当たり幾らといったら大体年間、車を除いて1トンぐらい出していますから、あなた方のご負担がふえるというふうに考えてくださいという言い方をするんですけれども。そのトン2万円だということは、多分掛けると6兆円とか7兆円という話になるわけですから、それはGDPどのくらいかという話になるわけで。何かそういうふうな一段、二段、かみ砕いた報告のやり方をしないと、この中に、すべて同じ論調でいくというのは多分無理だろうと思うんですが。そういう意味で、いつも、こういう報告書というのはどこに向かって実際発表しているのかと。ほかの省庁審議会もそういうところあるかもしれませんけれども、特に今、水谷委員さんからそういうお話がありましたので、そういう点について今後の展開の扱いについてのご意見など、お考えを教えていただければと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにご意見ございますか。
 それでは、事務局の方はいかがでしょう。
 水谷委員。それでは、先に水谷委員、お願いします。

○水谷委員 少し追加させてください。先ほど中上委員がおっしゃった、どこに向かってというのは、ずっと地球環境部会に向かっての報告書だと僕も理解しているんですが、それはそういうものとしてパブリックコメント等を求めるということは言えるんじゃないかと思うんですね。ただし、いわゆる素人の方も含めて意見がほしい場合には、書き方は考えるべきだろうということなんですけれども、これまでの策定の過程では、地球環境部会に向かっての報告書ということで私も理解しております。それだからこそ、パブリックコメントが必要だ、必要じゃないという議論にはちょっと直結しないかと思うんですね。
 それともう1つは、パブリックコメントをするということと、そして情報を公開するということは、私は基本的に質的に違うと思っているんですね。情報は公開されるべきだし、ここでの議論も非常にオープンである。しかし、だからオープンにやってきたからいいんだじゃなくて、コメントを求めるということは、それに対してレスポンスを求めて、それを自分たちの審議の中に何らか参考にさせていただきたいという態度を示すということなんですね。だから、オープンに議論してきたからパブリックコメントはしなくていいんだというふうに切らないでいただきたいと思います。
 その上で、事務局からのレスポンスというか、お答えもいただきたいと思います。

○西岡委員長 ほかにご意見ございますか。
 それでは、まとめて事務局の方でお願いします。

○竹内課長 資料をオープンにする、だれでも入手できるようにするというのは当然でございますけれども、その後、秋に向かって検討に際してさまざまなご意見やご批判、あるいは新しいデータ、新しい分野の数字とか、そういったものに取り組むことは恐らく必要だと思います。したがって、それはパブリックコメントという形、あるいは先ほどご提案ございましたようなヒアリングという形もあろうかと思います。それと、中上委員の言われた、でき上がったものをよりわかりやすく示していくというのと両方やっぱり必要かと思います。したがって、そのやり方につきまして、ちょっと事務局の方で検討させていた
だけますでしょうか。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 両方について、前向きの意見であると私は受けとりました。
 よろしゅうございましょうか。
 それでは、どうも皆さん、本当に長い間ありがとうございました。非常に大変な作業だったし、皆さんのご意見を十分反映できたかどうかわからんところでございますけれども、かなりの仕事はできたんじゃないかなと思っております。今後、今、話がございましたように、また幾つかの外からのコメントも取り入れたり、あるいはPRをしながら、よりよいものになっていくことを期待しております。
 どうも本当に皆さんありがとうございました。
 これで、中間取りまとめまでの作業を終わりたいと思います。

午後4時55閉会