長期低炭素ビジョン小委員会(懇談会)議事録

日時

 平成29年9月19日(火)15時00分~17時10分

場所

 全国都市会館 大ホール

 東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館2階

議事録

午後3時00分 開会

木野低炭素社会推進室長

 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会長期低炭素ビジョン小委員会の第18回会合を開始いたします。

 本日は、ご到着が遅れている委員もいらっしゃいますが、委員総数18名中9名の委員にご出席いただく予定であり、定足数に達しております。

 また、既に地球環境部会部会長決定とされております本委員会の運営方針におきまして、原則として会議は公開とされているところから、本日の審議は公開といたしております。

 では、以降の議事進行は浅野委員長にお願いいたします。

浅野委員長

 それでは、議事を進めさせていただきます。

 まず、本日は中川大臣にお越しいただいておりますので、一言、大臣からご挨拶をいただきます。

中川環境大臣

 環境大臣の中川雅治でございます。本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして感謝申し上げます。開会に当たりまして、一言、ご挨拶をさせていただきたいと思います。

 私は、本年8月3日に環境大臣、そして内閣府特命担当大臣(原子力防災)を拝命いたしました。以前、環境省で、もう14年前になりますけれども、14~15年前ですね、総合環境政策局長と事務次官を務めておりましたので、そのときにお世話になった先生方も多くいらっしゃいまして、改めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 長期戦略は、2050年に80%削減を目指すに当たっての基本的な方針や対策、施策の方向性を示すものでございまして、あらゆる主体に長期大幅削減を見据えた意思決定や投資に導く方向性を与えるものとなります。本委員会では、本年3月に長期低炭素ビジョンを取りまとめていただきましたが、この長期低炭素ビジョンは、長期大幅削減に向けた基本的な方針等を示した、まさに長期戦略の土台になるものと認識しております。こうした方針を取りまとめていただきまして、改めて感謝を申し上げる次第でございます。骨太な長期戦略策定のためには、これに加えて、長期大幅削減の実現に向けた道筋を示すことが必要でございまして、委員の皆様方には、引き続き、本委員会においてご議論いただいているところでございます。

 大臣就任に当たって、安倍総理からは、パリ協定の実施に向けた長期戦略の策定など、世界の温暖化対策をリードする大胆な経済社会の変革に挑戦してもらいたいとのご指示をいただいているところでございまして、私自身、長期戦略の策定につきましては、特に強い使命感を持って取り組んでいく所存でございます。

 この小委員会での議論を政府全体での長期戦略の策定につなげていきたいと考えておりますので、委員の皆様方におかれましては、引き続き、活発なご議論をいただけますようお願いを申し上げまして、ご挨拶にさせていただきます。よろしくお願いいたします。

浅野委員長

 どうも、大臣、ありがとうございました。

 それでは、続きまして、事務局から配付資料の確認をしていただきます。

木野低炭素社会推進室長

 配付資料の確認をさせていただきます。

 なお、中川大臣でございますけれども、次の公務があるため、ここで中座させていただきます。

 資料確認に戻ります。

 本日、お手元に議事次第がございます。その下に配付資料一覧の紙がございます。本日は、資料1、資料2がそれぞれヒアリングに関する資料、あと参考として委員名簿を載せてございます。

 もし資料の不足等ございましたらお申しつけください。

 あと、カメラがありましたら、ここで退室をお願いいたします。

 以上です。

浅野委員長

 それでは、議事に入ります。本日も有識者からのヒアリングを続けたいと存じます。

 本日は、ヒアリングにつきまして、事務局からご紹介をいただきます。

木野低炭素社会推進室長

 本日のヒアリングでございます。お二方お願いしてございます。

 まずお一人目といたしまして、「低炭素化に向けた電力システムの方向性と課題」につきまして、東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長の岡本様よりご説明をいただきます。

 また、お二人目といたしまして、「再生可能エネルギーの系統連系問題はなぜ日本で顕在化するのか?」につきまして、京都大学大学院経済学研究科の特任教授でいらっしゃいます安田様よりご説明いただく予定でございます。

 お二人の講師の方々には、本日、貴重なお時間をいただきまして誠にありがとうございます。

 また、委員の皆様におかれましても、ぜひ忌憚のないご議論をよろしくお願いいたします。

 以上です。

浅野委員長

 それでは、ただいまからヒアリングに入りたいと思います。

 今日は、お一人ずつご発表の後、それぞれについて委員の皆様方からのご質問をいただきたいと思います。ご質問の際は、いつものとおりですが、お手元のネームプレートをお立てくださいますように。ご発表の方にお願いでございますが、委員からの質問は、一問一答の形ですとちょっと時間が大変厳しゅうございますので、幾つかまとめて質問を差し上げますので、まとめてお答えいただくという形をとらせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず岡本さんからご発表いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

岡本浩氏

 東京電力パワーグリッドの岡本でございます。本日は、よろしくお願いいたします。

 座って説明させていただきます。

 本日は、長期の低炭素に向けた取組の中で、私の関わっている部分についてお話をするということでございますので、これは低炭素という非常に長期の取組でございますので、本日は主に長期の話をさせていただきたいと思いますが、当然、足元での話もございます。そういった中で、少し過去のですね、私どもは電力システムと言っておりますけれども、その歴史を振り返りながら、長期的な方向性というのはどうなって、今後、どういう課題があるのかというところをお話しさせていただきまして、ご参考にしていただければという思いでございます。

 お手元の資料、あるいは画面のほうをご覧いただきたいと思いますけれども、私どもの事業の基盤となっておりますのが電力システムというものでございます。これは、この絵にございますように、お客様は電気をお使いになる。この絵では一番右側に描いてあります。その反対側には、電気をつくっている人という、すなわち発電者がいまして、間に送っている人と設備があると。つまり、電力のネットワークを介しまして、電気をお使いになるお客様と発電をマッチングさせているということでございまして、こういった需要と発電をマッチングさせる基盤、プラットフォームであるという言い方もできるかというふうに思います。

 このシステム、最初につくられましたのが1882年のことでありまして、有名なトーマス・エジソンが、ニューヨーク市のパールストリートに当時は直流の配電のネットワークをつくりました。いわゆるウォール街なんですけども、半径1キロにある白熱電灯1,000個ほどに電気を届けたと。そのために、写真にあるような中央ステーションというのを設けまして、ここに発電機ですね、これを置きまして、お客様に、大体30キロぐらいのネットワークを引いて、半径1キロのお客様にお届けしたというのが最初の電力システムではないかというふうに言われています。

 この電力システムというのは、実は最初は直流でできていたんですけれども、途中で交流に変わっていきます。直流の問題としまして、電圧を高く上げるということが非常に難しかったのに対して、交流では変圧器というのが発明されまして、非常に安価で効率よく電圧を非常に高く上げることができると。ですから、発電した電気を高い電圧で遠くに送り、大量に送り届けることができると。電圧を上げるというのは、たくさんの電気を効率よく送れるということにつながっていまして、ですから、交流を採用するようになって、システムの地理的な広がりというのは一気に広がったということであります。先ほど申し上げました半径1キロの中で成り立っていたネットワークを、何百キロも離れたところをネットワーク化するようなことをやろうと思うと、当時は交流の技術が必要だったということです。

 この交流が電力システムの基盤になってまいりますけども、非常に特徴的なところがございまして、交流でつながっている範囲では、実は巨大な貯水池、我々はパワープールと言っていますけれども、その水位が場所によらず一定になります。この水位というのは、交流の場合ですと周波数に当たっておりまして、東京など東日本で見ますと50ヘルツ、あるいは大阪ですとか名古屋ですとか、西日本では60ヘルツという二つの周波数が日本にはありますけども、周波数が水位であると。この貯水池を見ていただくと、山のほうに水源があって、そこで水を注ぎ込んでいますけど、これが発電機の発電所のイメージでございます。これはもちろん山のほうだけじゃなくて、もっとお客様に近いところにも発電所というのはあるわけですけども、この貯水池に水を注ぎ込んでいるのが発電所。同時に、取水口のところから電気を、お客様に送り届ける電気を引っ張り出している、この取水場のところへ引っ張り出しているのが、先ほどのネットワークの絵の一番右側に実は配電用変電所というのがございましたけれども、その役割でございます。このプールの水位が一定に保たれるということは、毎時毎時注ぎ込まれている水の量、つまり発電量と、ここから引き出されている電気の需要の量が常に一致しているということでありまして、これがどちらかが上回りますと、水位が上がったり下がったり、周波数が上がったり下がったりしてしまうという課題があります。こういったネットワークをパワープールというふうに申しておりますけれども、これは実は大きくなればなるほど安定だという、大きくなればなるほど、いわゆる大数の法則がききまして、いろんなお客様をまとめて、その変動をですね、需要の変動というのがありますけども、昼間たくさんお使いになるお客様もいれば、朝晩お使いになるお客様もいますし、夜間お使いになるお客様もいらっしゃいますので、これをまとめて扱ったほうが、トータル、1日あるいは1年間で見た変動というのは少なくなりますので、このプールは、ネットワークを広げれば広げるほど経営効率がよくなるということで、これでアメリカでも日本でも、基本的には全国は電力のネットワークでまとまってつながってきていると。こういうことでございます。

 実はパワープールの拡大というのは、電気事業の飛躍的な拡大につながっておりまして、例えば1951年に日本の今の電力会社というのが設立・発足しておりますけども、そこから需要の規模で見ますと大体40倍ぐらいですね、これはGDPの伸びに比べて、さらにはるかに大きな電力の伸びがあったと。これを支えるのが今申しあげました仕掛けであったということです。ただ、ちょっとこの絵を見ていただくと、2011年の震災ですが、その前から電力需要についてはやや伸び悩んでいると、あるいは踊り場に差しかかっているというのが見えていると。こういう状況でございます。

 こういった中、電気事業のビジネスモデル変遷がありまして、これを私どもはUtility1.0、2.0、3.0という言い方をしております。1.0といいますのは電力システムというものが構築されまして、急激にネットワークでつながって、発電所がつながり、大きな発電所がつくられ、お客様がどんどん大きくなって、またそれがどんどんつながっていくということで、急激な発展を遂げた時代が1.0でございます。2.0は、昨年から電力市場も全面自由化ということで、発電・小売の競争が入っております。また、2020年には送配電会社の法的な分離ということも位置づけられておりまして、これは実は、先ほどのパワープールということから申し上げますと、電気事業の基盤になっておりますパワープールですね、その管理をいわゆる送配電事業者に委ねた形になりまして、そこに自由に小売ですとか発電事業者さんが参入できる形をつくるというのが2.0の状態であります。ただ、恐らくそこで電力システムの変革というのはとまらずに、むしろどんどん進んでいくだろうというふうに思っておりまして、それが分散化・脱炭素化、それから日本の場合は特に人口減少、それからデジタライゼーションという大きな流れがございまして、電力システムあるいは電気事業というのは大きく変わっていくということで、それをUtility3.0というふうに申し上げております。それはどんなものかというのは、後ほど簡単にご説明させていただきます。

 電力システムが2016年の全面自由化に始まりまして、その前、2015年に広域的な電力広域的運営推進機関というのができておりまして、それから2020年に法的分離が入ると。この一連の電力システム改革が終わった後の電力システムをこの絵では示しておりますけれども、先ほどの絵にございましたネットワークのうち、お客様に近いネットワークをこの絵で言うと右側に描いています。言葉で言うと配電というふうに書いています。左側の部分は、電圧の高い大容量の電気を送り届けていますネットワークでございまして、これを送電と言っております。この配電と送電でそれぞれいろんな動きがあると。特に配電のネットワークでは、分散型電源がどんどん増えてきています。今、現実に太陽光発電であるとか、そういったものが非常に増えてきているのは、右側の主に配電のネットワークになっているわけです。こちらには、これから電気自動車であったりコジェネであったり、スマートハウス、スマートコミュニティというのは、基本的にこの世界でのことでありまして、分散化がどんどん進んでいると言えます。一方で、送電系統といいますのは、今、広域機関ができておりまして、広域的運用というのを推進しております。九つの一般送配電事業者のネットワークをできるだけ切れ目なくといいますか、あたかも一つのネットワークであるかのように広域的に運用すると。こういう考え方がどんどん起こっているということなんですけれども、当面の電力需要というのは、やはり人口減少と省エネルギーの進展で縮小しているというのが足元では見えているところでございます。

 先ほど申しましたとおりパワープールというものが、全面自由化によりまして役割分担で運営されるようになりました。パワープールの水位というのは、厳密に一定に保たなければいけないんですけども、発電事業者あるいは小売事業者は、あらかじめ計画を立てまして、需給を一致させまして、その計画に合わせて発電されたり、小売して、お客様がお使いになっているということでございます。実際には、そのずれ分というのが必然的に生じますので、このずれ分を合わせるというのが、一般送配電事業者の役割の一つでございます。もちろん、発電者からお客さまに電気がネットワークの中を流れていきますので、円滑に電気が流れていくように、電圧が高くなったり低くなったりしないように、あるいはどこかの送電線の容量をオーバーしないようにということを加味しながら、このプールの水位の微調整をやっているのが私ども一般送配電事業者でございます。

 こういった形で、今までは一つの会社がやっていた仕事が、複数の発電事業者さん、たくさんの小売事業者さん、それと一般送配電事業者との関係において成り立つように、これは制度が変わってきていると、こういうことであります。

 その中で、ちょっと一言だけ申し上げておきますと、従来、バンドリングされました電力会社の中では、今申し上げたことを全部一体的に運営していればよかったわけですけども、たくさんのプレイヤーがここに関わってきますので、いわゆるいろんな発電所の持っている価値を、それぞれを市場で取引するようにできる必要があるわけです。今考えられておりますのは、この中で、電気で言いますと、いわゆるエネルギーのキロワットアワー、こちらは一番皆さんが想像しやすい取引でして、1キロワットアワー幾らで何キロワットアワーを買ったと、こういうことをお考えになると思います。実際には先ほどのパワープールの維持というところから言いますと、あと、この2の容量、キャパシティと言っていますけども、容量という価値と柔軟性、フレキシビリティとも言っていますけども、柔軟性の価値も取引する必要があります。と申しますのは、電気自体は実はためておくことが非常に難しいということがありますので、例えば明日の最大需要が5,000万キロワットあるということを仮にわかったとする、想定したとしますと、5,000万キロワットの供給力、実際には需要が気温の変化でもっと増える場合もありますし、発電所自体が一定の確率でトラブルが起きますので、そういった需給の変動に備えまして、ある、予備力と言っていますけれども、これを見込んで、さらに5,000万キロワットプラスアルファの設備をそもそも用意しておく必要があると。これを用意していなければ、もはや明日になってからでは電気を送り届けることはできないので、あらかじめ容量を確保している、発電容量を確保している必要があると。これはキャパシティというものでございます。したがって、これは何キロワットというのではかられる価値であります。それから、柔軟性と申しますのは、先ほどプールの微調整は送配電会社がやるというふうに申し上げましたけれども、実際に水位を見ながら、ちょっと下がったらどこかの発電所に指令、指令といいますか、制御信号を送りまして、発電所の出力を増やしたり、あるいは逆に減らしたりということを実際にはやります。今後、再生可能エネルギーが増えていきますと、どうしても自然エネルギーということで、自然に出力が変動してしまいますので、その自然変動電源の変動分もほかの発電所が出力を上げたり下げたりして調整をするということになりますので、この調整力ですね、いわゆる柔軟性の必要性というのは、どんどんこれから増していくということになってまいります。ということで、この三つが主に電気としての価値と。これに加えまして、CO2という観点といいますか、非化石価値というのを取引する市場もできてくるということになりますので、この四つの価値が今後取引されていくようになると。これは2020年以降であるということであります。そうしますと、今度、発電所の収益というのは、1次エネルギーとして化石燃料を投入したり、あるいは再生可能エネルギーの場合は燃料費はただですし、原子力の場合も非常に安いわけですけれども、それに固定費の分が投入されていまして、設備の減価償却ですとか、O&Mといったことを賄っています。これによって電気というのが出てくるわけですけども、そこで得られる収益というのは、この1から4の総和となります。これの合算したものが発電所の収益になっていると。これによって利益が出ないということになると、今後は発電所が閉鎖されるし、あるいは、これで利益が出そうだとなれば、新しい発電所が計画されるようになると。これが自由化後の発電所の経営となります。

 ここに書いておりませんけれども、これと似たようなことを需要側でもできると言われておりまして、例えばキロワット、明日の容量が足りない、供給力が足りないというときに、お客様に節電をしていただくという、ネガワットということがあります。あるいはそれによってキロワットアワーを減らしていただくということもある。あるいはお客様側に蓄電池があって、それをうまく制御すると、柔軟性も提供できるというようなことがありますので、今申し上げました価値ですね、これは発電側だけでなくて、需要側からも提供できるようになってくるということが考えられています。

 さて、低炭素に向けた取組の本題に入らせていただきたいと思いますけども、低炭素あるいは脱炭素に向けたシナリオということで、私どももさまざま検討をしております。その中で一つ、これは各国の研究者ですとか、あるいは事業者とも話をしていく中で、大体こういうことなのかなというふうに整理しておりますのが、このエネルギーフローの絵であります。このフローの中で、左側が最終エネルギー消費、右側が1次エネルギーを示しておりますけれども、一番左に薄く書いていますのが現状であります。最終エネルギー消費は、電力によるものと非電力の化石燃料を燃やしているものがあり、これらを何らかの方法によって、できるだけ省エネルギーをするというのが第一歩になります。私どもが考えますのには、恐らく電化を進めるということが一番の省エネルギーになるだろうというふうに考えておりまして、そうしますと非電力の部分が大きく圧縮されて、全体の最終エネルギー消費が大きく減少することになります。同時に1次エネルギーも脱炭素化を進めるために、バイオ燃料を使ったり、化石燃料の場合はCCSと組み合わせたり、あるいは再生可能エネルギー、あるいは原子力といったものを1次エネルギーとしつつ、この1次エネルギーから、バイオ燃料は直接燃焼できますけども、それ以外の電気あるいは水素という2次エネルギーをつくりまして、これらをもって最終エネルギー消費に充てていくと。こういうことになりますので、恐らくこのエネルギーフローに大体のことが集約されてしまうのではないかというふうに考えています。このときにキーテクノロジーに恐らくなると我々が考えていますのが、いわゆるPower-to-Xというシナリオでございまして、Powerというのは電力を示していまして、Xはいろんなものが入ってきます。例えばXがtransportationだとすると、電気によって運輸部門のエネルギー消費を賄う。あるいはPower-to-heatであれば、熱の消費を電気で賄う。これはヒートポンプ等の技術が使われるということになります。水素の場合には、水素を何からつくるかということになり、化石燃料からCCSを組み合わせてつくるということもあると思いますけれども、電気からつくることもでき、これはPower-to-gasになります。つまり電気をどうやってつくるか、それをどうやって使うかということが非常に重要になってくるということをこの絵は示しております。

 これは私どもだけが言っているわけではありませんで、ドイツにおけるPower-to-Xのシナリオというのがあります。これは一番左側が電気部門で、こちらは電気を基本的には再生可能エネルギーで全部つくろうじゃないかというのが、これがドイツの計画ですね。熱については、現状は化石燃料を燃やしてロスが生じながら熱需要に充てているというのが上なんですけど、真ん中の下の絵は、大気の熱をヒートポンプで取り込むということをやって、もちろんロスはあるんですけれども、こういった形をすると、340%の効率だと書いていますけども、これは恐らくヒートポンプの成績係数を言っていると思いますけれども、こういった高い効率が得られると。運輸部門については、Transportと一番右側に書いていますけども、現状の内燃機関の熱のバランスというのが右上に書いてあって、右下には、これを電動化したらどうなるかと。これは電動機を使いますので、非常に高い効率が期待できるということであります。

 これをやっていくと、基本的には、実はこの上が運輸部門なんですけども、最終エネルギー消費、運輸部門、熱部門では非常減っていきまして、ちょっと真ん中が、黄色が電気なんですけれども、効率化を進めることなので、いわゆる従来型の電力需要は減っていくんだけれども、それ以外に、運輸部門ですとか熱部門を、電化を進めることでの電気の消費は増えていくということなので、全体として見ると、最終エネルギー消費は減りつつ電気は増えると。こういう絵に、ドイツの政府の言っているところはなっているということであります。

 これと同じような試算をアメリカの電力研究所(EPRI)もしておりまして、こちらを見ていただくとわかりますけれども、左側が最終エネルギー消費です。これは電化を最大限進めると、ローカーボンシナリオということなんですけれども、大体、電気の部分がちょっと増えまして、この絵だと40%ぐらい増えているようですけども、最終エネルギー消費は大きく減っています。化石燃料消費が結果として減るということなので、CO2のエミッションということで言うと、この右側の絵だと大体70%程度の削減が2050年までに可能ではないかというのが、これはアメリカの電力研究所の試算であります。

 これと同じような試算を、我々も非常に簡単ではありますけども、やっております。この試算は、あくまで試算としてお示ししていますので、根拠となっております数値は資料につけておりますので、当然、この辺がおかしいんじゃないかとか、いや、もっとここはこうなるんじゃないかというご議論があろうかと思いますけれども、これは一つの数字であるということでご覧いただければと思います。現状、最終エネルギー消費で見ると、1018ジュールという単位で表現していますが、電力が3.5で、非電力が8.4で、合計、約12であると。ちょっと端数の関係で最後の数字は合っていませんけども、ここに人口減少ですとか、いわゆる省エネルギーが進展すると大体どのぐらい減るかというのをざくっと見積もって、12が9.6ぐらいになるというのが2050年度の姿です。これを先ほどの最大電化ということで、電気にできそうなものは電気にしてみるということを仮にやったらどうかということで試算をしましたところ、現状の12を6.4まで減らすポテンシャルがあるということがわかったということであります。この中の電気については、現状1兆キロワットアワーの電力、これは自家発電といわゆる事業用の電力を全部合わせたものですけれども、大体1兆キロワットアワーあるんですけども、これが自家発電と系統の電源を合わせて1.23兆キロワットアワー程度まで増える可能性があるということを示しています。

 そうしますと、実はこれから2050年までどういうことが起きるかというのを、俯瞰的に絵で示しておりまして、私どもで勝手につくった造語なんですけども、BERという大規模電源で、例えば原子力ですとか火力であるといった大規模な発電所であるというふうにお考えいただいて、DERというのは、いわゆる分散型電源ですね。あとStorageというのがそこに加わっていると。これは緑とか黄色で描いています。仮にこういったものが非常に増えたとして、電化も実は進むと。何を言っているかといいますと、運輸部門で電化が進むというのは、車両に載った蓄電池が大量に普及するということを示しております。これは非常に極端ですけれども、仮に1,000万台の車に大量の現状の蓄電池が仮に積まれたとしますと、そこで生み出されているStorageというのは、私ども東京電力が運用しておりますStorageとして、いわゆる揚水式発電所というのがございますけれども、その量の何倍にもなるというポテンシャルがありまして、こういった分散型のStorageが2050年の段階になれば増えている可能性があると。つまり、これはStorageの分散化ですね。要するに電気の分散化、エネルギーの分散化ということと、それによって運輸部門が電化されるということが同時に進んでいるということになりますので、社会ではもっと電気を使うようになる、だけれども、それは分散型電源、あるいは分散型のStorageが賄う部分が増えてくるということを恐らく意味すると考えていまして、それをちょっと図式的に描いてみると、この水色の部分と緑の部分と黄色の部分のようになるのではないかと。こういう試算をしているということであります。

 私が申し上げました最大電化とはどんなことかというのは、詳細は割愛いたしますけども、配付資料のほうにお示しさせていただいています。基本的には、家庭用の給湯とか暖房はヒートポンプにしていくとか、あるいは運輸部門は、航空、海運以外は、100%電動化するのではないかという、非常に大胆な仮定を置いています。それから、産業用途につきましては、直接加熱以外については100%電化をすると。ボイラーをヒートポンプで置きかえる。比較的温度の低いボイラーをヒートポンプで置きかえたり、あるいは、それ以外についてはIHを使うというようなことをやると。非常に大胆な仮定を置いています。試算に用いました機器の効率等は資料にございますので、ご覧いただけばというふうに思います。

 今申し上げたのが、一つの試算であるということでございます。

 いずれにしましても、申し上げたかったのは、中長期的に低炭素化を進めるということは、実は電化を相当進めるということであり、当然、これは同じく電化とイコール実はエネルギーの分散化というのも実は同時に進んでいきまして、同時にそれは再生可能エネルギーのような低炭素の発電設備を増やしていくことだということにもなるということですので、これからそういったことが起きていくというふうに考えています。

 その中で、一つグリッドから見て大きな課題となっていますのは、再生可能エネルギーの導入の拡大ということであります。ここに三つ書いておりますけれども、私は、三つの課題がやはりあって、一つは我が国の再生可能エネルギーの経済性をいかに確保するかということ。それから、もう一つは風力とか太陽光などの自然変動電源の出力変動に対してどうやって柔軟性を確保するかと。それから、三つ目は、ちょっと右下にポンチ絵で描いていますけれども、どうしても自然変動電源が需要地からは遠い場所にあるということがございます。そうしますと、この間の送配電ネットワークの容量をどう確保するのかと。これが大きく三つあるだろうと。もちろん柔軟性確保、容量確保というのは、これはお金がかかりますので、これをどうするのかということもあるわけでございます。

 まず、順番にちょっと簡単に申しますと、これは日本のPVのロードマップ、この絵に示したとおりです。ここにあるとおりではあるんですけれども、実はNEDOあるいは環境省さんのロードマップがあって、それに向けて実は価格が下がっていってほしかったわけなんですけれども、実は今は導入は拡大しているんですけれども、当時のロードマップで想定していた価格になっていないと。本来であれば、今の普及量であれば、7円から10円ぐらいに、キロワットアワーあたりですね、なっていそうな感じがするんですけども、今の買い取り価格ですね、あるいは買い取り価格が前提としている発電コストというのはもうちょっと高いということがあって、今、欧米あるいはその他の地域中心に再生可能エネルギーの価格がどんどん下がってきていますので、大体、中国とかインドに比べても5年ぐらい以上は遅れているような感じがいたします。これは大きな課題だと思います。

 もう一つは、現状、柔軟性をどう拡大するかということで、これはまさに現状の取組ですが揚水発電という柔軟性の資源というのを持っています。これは通常は夜間にくんで昼間の電気が足りないときに発電していたものをですね、再生可能エネルギーの変動にも使えるじゃないかと、こういうことなんです。

 これをさらにエリアをまたいでやったらどうかと。例えばエリアAというのが東京電力で、エリアBというのが北海道さんのような風力資源に恵まれた地域で、ところがフレキシビリティ(柔軟性)はあまりないと。域内に揚水式発電とか火力発電がそんなにたくさんあるわけではない。もともと需要が小さいということですので。そういった場合は、実はエリアAに余っているというか、余力のある柔軟性資源を連系線を通してエリアBに提供することができれば、エリアをまたいで柔軟性を活用できればいいということであります。

 この実証ということで、北海道電力さんと東京電力パワーグリッドで、今年度から、これによる風力の拡大の実証というのを始めておりますけれども、これが実際にうまくいくと期待しておりますし、その結果、さらにこういった取組で広域的に柔軟性を活用しやすい仕組みというのを考えていくということが、これが足元といいますか、2020年に向けて、あるいはそれ以降に向けて必要になるというように思っています。

 それから、これも足元の話ですけれども、送配電ネットワークの容量の有効活用というのが課題でありまして、どうしても需要の少ないエリアに適地が多いという課題がありまして、ところが、ネットワークを増強しようとすると、これは非常に時間もコストもかかるということであります。また、再生可能エネルギーの利用率というのが低いということなので、これでネットワークを増強すると、ネットワークの稼働率も下がるということがあります。そこで、現在、広域機関等を中心に、ネットワーク容量の配分をですね、市場メカニズムを活用するとか、既存のネットワークを工夫して、導入余地を増やせないかということは検討をされていますので、もちろん必要があればつくるし、増強するわけなんですけど、まず今あるものをもっとうまく使えないかということを考える必要があるということであります。ただ、そのルール変更に当たりましては、既存の事業者に不利益をこうむらないための条件整備が不可欠であるということであります。まず、こういったネットワークの利用を最適化した上で、便益が費用を上回る場合に増強がなされるということを考えていく必要があると。

 この後、中長期的なところをお話しさせていただきたいんですけども、これはややちょっとわかりにくい絵で恐縮ですが、電気の需要を8,760時間並べかえたものでございます。左側からたくさん使っているほう、右側に行くほど電気が使われなくなる時間帯を示しています。ここからいわゆる分散型電源とか再生可能エネルギーが需要を賄っている分を引いたもの、これを残余需要というふうに我々は言っていまして、この残余需要というのは、赤い点線からだんだん減っていって、再エネが増えていくと、この黒のようになっていくわけですね。こうなっていくと、残余需要の部分をいわゆる系統電源が賄っている形になるので、ちょっと見ていただきたいのは、実はピークはあまり減らないというのが左側でわかることです。ですから、必要容量はあまり変わらないんですけれども、デュレーションカーブと我々は言っていますけど、この面積が、系統電源が発電している年間のキロワットアワーに相当しますので、発電できる機会は減るんだけれども、設備の容量としてはなきゃいけないと。必要なときに調整力として使えなきゃいけないと。こういうことであります。

 キロワットアワーの価値が低下していくので、そこで失われる利益をどうやって補えるようにするのか。簡単に言いますと、2020年時点では、キロワットアワーとデルタキロワットというものとキロワットと、これが三つの分かれた市場で取引されるようになるんですけども、だんだんキロワットアワーの取り分がどんどん減ってしまうので、キロワットとデルタキロワットの取り分を増やさないと実は発電所を維持できないということになります。発電所を維持できないと、この絵にありますように、ピークの供給力が賄えないという問題があると。いずれは蓄電池が非常に安くなってくれば、蓄電池によって賄われるということになります。

 いろいろまだ話を用意しておりましたけど、ちょっと時間も押しておりますので、簡単にお話しさせていただきますけれども、中長期的に見ると、今みたいなことというのは、実はかなりの部分はキロワット、それから、いわゆる系統電源が担っています容量とか調整力といった機能も、この右側にありますような、プロシューマーというのはお客様が分散型電源を持っている、あるいはEVが入ってくるのでEVの調整力が使えるといった、この絵で言う右側のところからも賄われるようになっていくと。そのためにリソースアグリゲーターというのが入って、分散エネルギーの取引市場みたいなものができてくるだろうと。一方、今既にあります大規模のエネルギー取引所があって、この二つが連動するようになるだろうということ。それから、我々、グリッドの会社も、特に配電の部分と送電の部分、それぞれの役割が恐らくあって、送電部門については、特に大規模なエネルギーの取引市場と一体になって円滑な運用をすると思いますし、配電部門については、むしろ分散エネルギーを取り込むということとか、あるいは社会インフラですね、実は右側にありますように、EVの充電ステーションというのがグリッドと非常に一体不可分になってきますので、そういったものを一緒に整備していくとか、そういう新しい仕事になるのではないかと。今日は時間がないので詳しく申し述べませんが、日経出版さんから最近共著で出版した本を、配付資料にも出典として書いておりますけれども、『エネルギー産業の2050年』という本を出させていただいていますので、その中に詳しく書かせていただいております。

 まとめますと、我々、電力グリッドの保有者として、低炭素化を支えるプラットフォーム化というのを進めていくわけなんですけれども、これはもっと分散と集中といったエネルギーシステムの統合、それからEVが進んでいくと、物流とか、あるいはほかのインフラとの統合、それからデータを使って価値を創出するという、業界の垣根がなくなっていく、こういったデジタルなプラットフォーム、これをいろんな事業者さんとの共創によって、いろんな事業者さんの持つプラットフォームと融合して、新しい世界ができていくんじゃないかと。2050年という非常に長期のビジョンですので、こういった大きな枠組みで考えています。

 まとめでございますけども、自由化・分散化・脱炭素化・デジタル化というものを契機に、超長期にわたるエネルギーシフトが起きるというのが、欧州でもアメリカでも同じような方向を向きつつあり、グローバルに需給両面で進む。そのときに、CO2の大幅削減は、特に需要サイドの電化によるエネルギー効率の向上と、供給サイドの脱炭素化の同時達成の必要性があるということです。我が国で人口減少とか省エネ進展を考慮しましても、やはりここまで低炭素化を進めようと思うと、長期的に電力需要が漸増する可能性が高いと見ておりまして、原子力、再エネ、高効率火力、CCSなど、低炭素な電力供給手段の多様化というのが、より重要性を増してくると思っています。それから、需給両面の変革を支えるプラットフォームとしての電力システムの進化ということが非常に重要でして、分散エネルギー、需要サイドに分散した柔軟性資源を有効に活用可能とする市場ですとか技術ですとか、さまざまな領域でのいろんな事業者さんとの共創といったものが必要になってまいります。また、この中で、日本の特に需要サイドの電化とか低炭素の電力供給など、我が国が得意としている技術領域は多いと考えておりまして、これをグローバルな問題解決に貢献していくという視点も重要ではないかというふうに考えております。

 若干、ちょっと時間がオーバーしておりまして恐縮ですけれども、私からのご説明は以上とさせていただきます。ご質問をよろしくお願いいたします。

浅野委員長

 どうも、岡本さん、ありがとうございました。

 それでは、ご質問がございましたら名札をお立てください。よろしゅうございますか。

 では、安井委員からどうぞ。。

安井委員

 どうもありがとうございました。

 8ページの絵に最初に出てくるんですけど、柔軟性というものが非常に重要であるというのは、私もそのとおりだと思うんですけれども、現在、揚水が使われているのも、これも常識的なことなんですけど、先ほどお話しになったところだと、将来、EVの持っているバッテリーだけでその強制力が十分だとお考えになっているのかどうか、ちょっとその辺りがよくわからなくて、海外ですと、新しいエネルギー貯蔵というか、電力貯蔵の技術がいっぱいチャレンジされているんですけど、日本はあまりされていないような気がするんですね。その辺りの見通しがどうかということが一つ目の質問です。

 それから、もう一つは13ページなんですけど、これはちょっとあまり関係ないことで申し訳ないんですけど、2050年に、この絵で、一番右の棒グラフの2.0エクサジュールみたいなところがありますけど、これの中身として、今、何をお考えになっているかもちょっとお教えいただきたいと思います。もしわかればで結構です。

 以上です。

浅野委員長

 続けてご質問いたします。

 増井委員、どうぞ。

増井委員

 どうもありがとうございます。

 確認なんですけれども、15枚目から17枚目にかけて表がありますが、これは御社のものの数字なのか、あるいは全国レベルでの数字なのでしょうか。

 2点目、もう一点なんですけれども、最終的な姿というのは、例えば26枚目のように非常によくわかったんですけれども、いわゆる過渡期ですね、現状からこういう将来に向けて、過渡期においてどういう点に注意が必要なのか、もし検討されていましたら教えていただきたいと思います。

 以上です。

浅野委員長

 廣江委員。どうぞ。

廣江委員

 3点お伺いいたします。

 まず9ページ以降ですが、一定の条件下でCO2あるいは全体のエネルギーの消費量を減らそうと思えば、電化が必要であると。したがって、その結果として電力需要が増えるというようなことになっていますけど、これは全く私ども同感でございます。したがいまして、一定の条件の一つであります再エネであったり、原子力をできるだけたくさん入れるということを頑張っていかないといけないと思っています。その上での質問ですが、例えば再エネにつきましてはFIT制度ということで、現実的には補助金が消費税の1%相当する部分が投入されているのが現状だと思いますが、電化を促進するための政策というのは、少なくとも震災以降はあまり明確にとられていないと思います。この辺り、何かとるべき政策があるのかどうかということにつきまして、お考えがあれば1点お聞かせをいただきたいというふうに思います。

 それから、2点目でございますが、22ページのネットワークの有効活用というのがありまして、既存のネットワークの利用方法を工夫して導入の余地を増やせる可能性がありますよと。「ただし」と、こういうふうにあります。現在、ご承知のように、運用の基準のA基準からB基準、C基準ということを検討しようということで、もう既にこの検討は始まっていると思っていますし、岡本先生もそこに参加いただいているというふうに認識をしていますが、ここにも書いてございます、何かそれを検討するに当たって留意すべき点というものがあれば、ご示唆いただきたいというのが2点目であります。

 それから、最後ですが、24ページに電力の価値ということで三つが右手のほうに書かれています。この中で、容量でありますけども、これは非常に大事な問題だと思います。これも現在既に日本でも議論が始まっていますが、どうしても容量というのは、海外の例を参考にいたしますと、キロワットの総量を確保するというところに主眼が置かれてしまって、中身の質といいますか、特に日本の場合にはエネルギーミックスという明確な目標がありまして、低炭素で自給率の高いものを入れていこうとしているわけですけども、多分、容量市場だけではそれが達成できないと思いますが、この辺り、どういうものを考えるべきなのかということについて、もしお考えがあればぜひ聞かせていただきたいと思います。

 以上です。

浅野委員長

 谷口委員。どうぞ。

谷口委員

 14ページをお願いしてよろしいでしょうか。すみません、私、都市計画、交通計画の観点から、スマートグリッドの成立可能性を研究しているもので、電気のことはよくわかっていないんですが、一つだけ質問で、この図は非常にそのとおりだと思うんですけれども、今日のお話では、Storageでカバーするのは、個人の世帯が個人の内部でカバーするという観点からのお話だったんですが、例えば都市計画の面から言うと、ある地域で見ると、Storageが余っている人と足りない人とがいて、それを組み合わせると、かなりStorageが受け持つ割合というのがもっと増えるまちがかなりあるわけですね。北海道と関東をわざわざ割り振りしなくても、エリア単位で都市計画とセットでやっていくと、かなりの割合がまだStorageで持つことができるということなんですが、そうすると東京電力さんの売れる分がちょっと少なくなって申し訳ないんですけど、そういう議論というのはされていますでしょうか。もしそれで問題点があれば教えていただければと思います。

浅野委員長

 それでは、とりあえずここまでのご質問でお答えいただきたいと思います。

岡本浩氏

 それでは、幾つかまとめながらお話をさせていただきたいと思います。

 最初に、安井先生と谷口先生からStorageに関するお話があったかと思いますので、そこをご説明させていただきます。

 私の説明がまずかったんですけども、Storageは、多分、言うほど簡単ではないと思っていますけども、基本的にはあいている分をみんなで使えるようにしないといけないんだろうと。自動車が電気自動車に変わっていくと、基本的には、今ある例えば乗用車は95%は駐車場にとまっていますので、この95%の駐車されている間に蓄電池をうまく使えればいいよねと。ただ、実際にはEV化が進むと、今度、自動運転化も進み、車両自体も保有ではなくシェアリングされるようになってきますので、もっと稼働率が上がっていきますので、電池が遊んでいる時間帯は減っていきますけど、それでも相当余っていますので、そのときに、全体から見て、今、電気が足りないのか、あるいは余っているのかと。あるいは、ある配電ネットワークで、ここで電気を今充電されると嫌なのか、もっとほかの場所ならいいのかということを考えながら、うまく最適化が、2050年の姿として申し上げていますけども、そういったことができるように仕掛けをつくっていく必要があると思っていまして、あいているときは誰かに使わせるということをやらないと、余分に蓄電池がいるということになってしまいます。

 EVで十分かどうかという御質問は、EVがどのぐらい普及するのかということ、それから、実は先ほど申しましたけども、EV化と自動運転化が進みますと、今ある乗用車がそのままEVにかわるということでは恐らくなくて、全く違う使われ方になっていきますので、そうしますと、蓄電池容量がどのぐらいになっているのかというのは想定が難しいところはあります。ただ、オーダーで言いますと、我々が今持っています揚水式発電所を全部足したよりも多いぐらいになる可能性がかなりあるということですので、あとは、じゃあそれをどう考えるかを、一緒に考える必要があるだろうと。もちろん、それだけで足りればハッピーですし、そうでない可能性もあります。あるいはEVの普及ということですと、時間軸が、これは2050年だけ見ていればそういうことかもしれませんけど、途中が足りないということもありますので、系統側に設置する大容量の電池というのも当然選択肢としてはあるというふうに思っておりまして、そういった技術開発も日本も含めた各国でなされていますが、これは各電力会社によっても、実際に変電所に設置して実証したり、使っていくということを進めております。

 ただ、恐らく2050年まで行って、もっと再生可能エネルギーを増やすんだというと、そういったものを系統用設置の蓄電池だけでやろうとすると、これは莫大なことになるので、そのときにはやはりEVといったような新しいものを考えていかないとだめじゃないかという趣旨で申し上げたものですので、EVだけがあればハッピーということではありませんが、EVが相当入ってくると、ゲームチェンジャーになるということで申し上げました。

 それから、この14ページの中身は非常にざくっとした試算をしていますので、これは実はいろんな置き方ができますので、例えばこの中で環境省さんの出されている再生可能エネルギーの2050年の高位ケースというところで仮に考えるとすると、大体、ほぼ2050年時点のこのときの電力需要の55%程度に相当していると思います。したがって、その場合でも45%程度は足りていないという計算をしています。この中味についてはどのように考えることもできますので、むしろ皆様のご議論をいただきたいというふうに思っています。

 それから、幾つかの数字を私は出しておりますけども、これは私どもの研究所における試算ではありますけども、基本的には、これを全国に当てはめたらどうなるかという観点でやっていますので、ここの表も、試算結果、エネルギー消費のジュールで出していますけど、これは全国の合計の数字になっております。

 それから、もう一つ、やはり一番難しいのは、最終形はわかったけれども、その過程はどういうふうになるのかということでございます。実は私どもも最終形と言うかどうかは別としまして、2050年の相当先の話を検討してから、そこからバックキャストしたほうがいいとと考えてこれを検討しました。今、社内もそうですし、いろんな関係者の方もそうだと思いますけども、じゃあ、この後、何をどう目指していったらいいのかということは、まさにこれから議論をしていかなきゃいけないのかなと思っています。2050年の目指すところに、電動化とか電化とかということを置くのか置かないのかということによって全く話が違ってきますので、まず、私どもとしては、電化による非常に大きなポテンシャルがわかってきたので、その道筋をどういうふうにしていったらいいのかというのを今まさに検討し始めたフェーズでございます。

 それから、廣江様からもお話があって、電化というのがやはり必要ではないかというお話で、全くそのとおりだと、私どもも改めて検討してみてそのように感じたということなんですけども、これは政策的に何かというのは、ちょっと先ほどの申し上げたことの中にもあると思うんですけども、まさにこれからよく考えなきゃいけないなと。

 何を留意しなきゃいけないかという観点で言いますと、やはりCO2を減らすという観点で見たときの、少なくとも現状、あるいは中長期的に見て、限界費用というのがどうなのかと。より合理性のあるものから先に手だてがなされているのかというのが非常に重要だろうと思っておりまして、そういう意味では、電化について言うと、限界費用の面で見ると、得策になるんじゃないかというふうに思っていますので、そこを見ていただきたいとは思っています。ただ、実際に電動自動車の普及ということで考えると、充電設備の普及ですね、これも巨額の費用を要するというものでもないんじゃないかというふうに思いますけども、どういうふうに合理的に普及を図るのかとか、そういったことを十分に練っていく必要があろうかと思います。現状も、急速充電器も国の補助金をいただいて国内に7,000基ほど配備されておりますけれども、どうしても実際に乗ってみて思うんですけども、疎密がやはりありまして、私の家のような比較的便利な場所だと、こんなになくても大丈夫なのにというぐらいありますし、ちょっと不安になってくる場所まで走っていると、非常に疎であるということがありまして、一方で、充電器を置く方から考えれば、人がいっぱい来る、車が来るところに置きたいということがあるので、そういった両立をどういうふうにやればいいのか、最適な充放電の配置ですね。

浅野委員長

 すみませんが、あと3人質問がありますのでよろしくお願いいたします。。

岡本浩氏

 すみません。失礼しました。

 あと、ネットワークの運用基準につきましては、これは書かせていただいたとおりです。基本的には既存のネットワークの利用者との調整、あるいはその利益を損ねるということがないような工夫をする必要があるというふうに考えております。

 容量価値について、これは容量のことだけを言っていますので、中身については別途の手だてが要るというふうに思います。

 失礼しました。

浅野委員長

 それでは、末吉委員、どうぞ。

末吉委員

 今のお答えの中で、バックキャスティングという意味で、将来どこに目標を置くのかということが重要だとおっしゃっていたので、それに関連して二つ質問します。

 一つは、5ページにUtilityの2.0から3.0に移行するところで、分散化・脱炭素化・人口減少・デジタライゼーション、四つ書いてあるんですけども、私は大きく欠けているのが他のネットワーク、他の市場との、特に海外ですね、とのネットワーキングということが大きく欠けているんじゃないかと思うのであります。今日のご説明も、日本という閉鎖的なマーケットの中での、その中でのベストのような感じで受け止めております。これ、一般的な他のビジネスを考えても、グローバルになればなるほどネットワーキングが広がっているわけですよね。簡単に言うとThe bigger the betterだと思います。そういったことを考えますと、なぜ電力だけが閉鎖的なマーケットに残っているのかですね。将来、大陸と1本のケーブルで結ばれた途端、人々のマインドセットががらりと変わるんじゃないかと思います。そうしたことは今から議論する必要があるんじゃないかということでお尋ねします。

 それから、二つ目は、18ページの再生可能エネルギーについて、三つの課題を挙げていらっしゃいますけども、これは当たり前の話ですよね。だって、今、あまり大きく伸ばそうとしていないんだから。例えば中国やインドに5年遅れている現状が起きるのは、私は当然だと思っています。もっと別な言葉で言えば、日本に大きく需要をつくらないから、こういう状況に陥っているというように私は感じております。どのマーケットも、この三つの課題はかつてはあったのを政策でもって再生可能エネルギーを大きく育てようという、そういう方針、政策をとってきたからこそ、こういった問題の、あるいは課題が克服されてきたのではないでしょうか。特に今、企業が再生可能エネルギー100%でビジネスをやっていきたいと。そういったことがビジネスを続けていく上での、あるいはサプライチェーンにとどまる上での要件になり始めていると。そういったことをしますと、やっぱり電力会社の事情だけで日本の電力市場を考えるのではだめではないのかなというふうに思っております。そういった点について、どうお考えか教えてください。

浅野委員長

 加藤委員、どうぞ。

加藤委員

 今日はどうも貴重なお話をありがとうございました。

 需要側からの視点でご質問なんですけども、今、末吉様からありましたけども、全世界、もうビジネスシーンではバリューチェーン全体で再エネのゲームチェンジが始まっているという中で、そこの中での世界での競合力を高めるためには、やはり日本でも全面的な再エネ、あるいは完全分散型での再エネの有効活用とか、何か、今日お話のあった内容では、28ページにもありますように、まだまだ低炭素電力供給手段の多様化ということで、高効率火力とか入っているんですけれども、何かBプランとして、再エネ100%での選択肢を需要側でも選べる、こういう事情がありながらも、再エネでも選べるというような選択肢の研究開発もされているのかどうかというところをぜひお聞きしたいなと思いました。よろしくお願いします。

浅野委員長

 大野委員、どうぞ。

大野委員

 私は1点だけ。将来の電力需要の姿として、自然エネルギー、再生可能エネルギーを中心とする分散型の電源が相当なウエートを占めて、蓄電池についても分散型のものが大きく占めていくと。そんなふうな姿をお示しいただいたわけなんですけども、岡本さんのお話にもあったとおり、こういう変化というのは日本だけで始まっているんじゃなくて、むしろ世界的に、例えば欧州なんかははるかに進んでいると。電力会社の対応、欧州の電力会社の対応を見ていると、そういう変化にうまく適応して、新しい発展を遂げている電力会社もあるし、必ずしも対応が追いつかずに、かなり苦しい局面に立っている電力会社もあると思うんですが、日本の電力会社がこういう将来像を見たときに、どんなふうなことを今注意すべきかということについて、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。

浅野委員長

 それでは、時間があまりございませんので、難しいと思いますが、簡潔にお願いいたします。

岡本浩氏

 手短にやらせていただきます。

 末吉先生からのお話ですね、まず、国際連系ということだと思いますけれども、ほかのネットワークとの連系ということについては、これは恐らく閉鎖的であったということもそうなんですけども、別に鎖国政策でそうなったということでは恐らくなくて、基本的には、冒頭申し上げましたように、ネットワークというのは、つながればつながるほど価値が増えると。一方で、そこにつなげるだけの技術的な成立性があるのかとか、あるいは経済性があるのかというところに、恐らく以前は課題があったと思います。例えば日本の海を渡ってケーブルが引けるのかとか、あるいはその経済性がどうかというところにハードルがあって、それが実は特に欧州を中心に直流の連系といいますか、プロジェクトが非常に増えてきていますので、以前に比べると、経済的および技術的なハードルが下がってきているということですので、これは今すぐということではないわけだと思ってはおりますけども、いずれそういったものが当然選択肢に入ってくるんじゃないかと思いますので、今後は常に選択肢に置いていけばいいじゃないかというふうに思います。

 もう一つは、これはちょっと価格の問題で言いますと、ちょっと私自身は、やはりなかなかうまくいっていないというふうに思っています。つまり本来であれば、民間の我々事業者が需要を創出していくということが一番いいんだろうと思っていますが、現状はフィードインタリフという形で導入が進んでいます。FITでかなりのボリュームの需要が創出されたにもかかわらず、まだ値段が高いという課題があって、これは恐らく、今の時点では日本固有に近いと思っていますけども、この値段のままで増やすということはまずいということで、これは経産省さんもお考えだろうと思いますし、我々が考えなきゃいけないのは、フィードインタリフの後といいますか、これをどうするのか、あるいは、その先をどうするのかと。民間のビジネスとして、どこがどういうふうに回るのかということをやはり考えなければいけないんだろうというふうに思っています。

 それから、加藤先生のお話でありました完全分散型というのは、実は我々試算してみて思ったんですけども、2050年の日本ではなかなか難しいんじゃないかと。これは実は電化を進めることで電力エネルギーの必要性は増すんですけれども、それを満たす低炭素の供給力が、全国的、全体で見たら、やっぱり足りていないんじゃないかと、こういう考察です。一方で、個別の地域で見ると、もっと成り立つ場所もあるよねと、こういうこともあって、今度は、逆にそちらのほうは、実は系統技術面で分散型ばかりになって大丈夫なのかという、こういう課題があると。これについては、我々も技術検討を進めておりまして、そういった分散型ばかりになったときに、安定なシステムとして成り立つようなことができるか。これができるとされれば、離島のようなところでは再エネによる分散型比率が非常に高くなる可能性がありますので、そういったことも技術開発の課題として入ってくるだろうというふうには思います。

 あと、大野先生のお話がありましたけれども、これはちょっとお答えが非常に難しいですけど、変化に応じて我々も変わっていかなければいけないと思っております。ただ、現状は、Utility1.0から2.0に向かっていく過程でいろいろなことが私どもの社内でも起きて、かなり苦しんでいるところもありますけど、やはりさらに何とか頑張って3.0にすすみたい、もっといろんな事業者さんとのコ・クリエーションとかコ・イノベーションとか、オープンイノベーションという形になっていくだろうと思っていまして、そういった中で電力会社の姿もいずれ変わっていくんじゃないかというふうに、私自身は、そういうふうにやっていくんだというつもりでやっております。

 ありがとうございました。

浅野委員長

 どうも、岡本さん、ありがとうございました。

 それでは、次に安田さんからお願いします。

安田陽氏

 京都大学の安田でございます。本日は、このような場にお招きいただきまして、ありがとうございました。お役に立てればと思います。

 仕事柄、立ってしゃべったほうが、習慣なので、立ってうろうろしながらしゃべらせていただきます。

 まず、本日は、系統連系問題に関してお話しさせていただきますけども、その前に、私自身の簡単な自己紹介をさせていただきます。今、ご紹介いただきましたように、現在、いろいろご縁がありまして、京都大学の経済学研究科に所属させていただいておりますけども、実は昨年の8月まで別の大学で工学系の研究、工学系の学部で電力工学を教えておりました。20年間ずっと電力工学の研究者でございました。この歳になりまして、文転をいたしまして、なぜかと言いますと、「こういった電力問題は、エンジニアリングだけ、技術の面だけ考えても、最適問題にはならない、最適化にはならない。経済や政策もきちんと考えて、総合的に考えないといけないのではないのではないか?」という考えを自分自身持ちまして、今は経済学としてはまだまだひよっこでございますけども、エンジニアリングと経済や政策をつなげる仕事をしております。

 というわけで、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、このような目次を立てさせていただきました。最初に、これはイントロダクションで、ここにいらっしゃる委員の先生方には、もう釈迦に説法かと思いますが、まず、なぜ世界中で再エネが促進されているのか、裏を返すと、日本でなぜ再エネがなかなか入らないのかということを少しおさらいをしながら、お伝えしたいと思います。ここにもう答えが書いてありますけども、費用便益比とか、外部コストとか、ちょっと経済学的な用語がございますけども、そのことを確認いたします。

 そこから、その確認をしてから、ではなぜ日本で系統問題が発生するのか、日本では再エネが入らない、入らない、これ以上系統がいっぱいだ、いろいろ難しいと言われていますけど、それは本当かということを解決するために、技術的な問題だけではなくて、最初に申し上げました、こちらの問題からちょっと考えてみたいと思います。そうすると、いろいろなソリューション、問題点というのが見つかってくるのではないかと思います。

 最後に、まとめにかえさせていただいて、世界の中で日本がどういう立ち位置にあるのか、あるいは日本がこれから世界に対して、どうやって発信をしていくのか、イニシアチブをとっていくのか、そういう形、そういったものを簡単にまとめさせていただきます。

 では、なぜ世界で再生可能エネルギーが促進されるのでしょうかということを、先ほどもう既にお答えをお見せしておりますけども、こういう形でまとめました。なぜ、再エネかというと、一般的には、例えば、地球に優しいから、あるいはシロクマがかわいそうだから、そういうような形で考えられている方が多いかと思いますが、国際的には、少なくとも、我々研究者のレベル、あるいは国際合意のレベルでは、もっと実際的です。要するに数字が絡みます。費用便益比が大きいから。費用と便益ですね。かけた費用よりも、市民、あるいは地球環境にもたらせるリターンが大きいです。このリターンも何となくふわっとしたものではなくて、数値に換算して、金銭に換算して、やはり「お金をかけるよりももっといいことがありますよね。特に、次世代に対していいことがありますよ」ということが、定量分析されているから、再エネをやりましょうということになります。ところが、残念ながら日本では、コスト、コスト、再エネは高い、高い、そればかりが言われて、将来に得られる便益という理論がなかなかなされていません。これは、ちょっとここで申し上げるのは、釈迦に説法で、実は、この辺の費用便益分析をきちんとしているのは、実は環境省のこういった一連の審議会がもう大分昔からされていらっしゃいます。が、残念ながら、例えば今日も、傍聴席にマスコミの方とかもいらっしゃったと思いますが、マスコミレベル、一般市民レベルでは、まず再エネの便益という言葉がほとんど報道されない。私も経験がありますけども、新聞とかテレビとかでお招きいただいて、しゃべったり、書いたりするときに、便益と書くと、必ず赤で直されます。それは難しいからもっと別の言い方にしてください。ということは、国民全体で便益という概念がほとんど知られていない。なので、再エネはコストが高い、高い、何か罰ゲームのような形になっている。そうではなくて、便益があるからやるというのが、世界的な発想です。それが日本で希薄ではないかというところが、出発点でございます。

 あともう一つ、同様に、外部コスト、これは隠れたコストになります。隠れたコストをきちんと暴かないと、いつまでたっても安いだろうと思われていたものが実はそうではなかったということになります。安いというのは、誰かが誰かに迷惑をかけて、自分たちだけがハッピーになっている可能性がある。それはやはり、公平性の観点から許容できないというのが今の地球環境の問題です。この辺りをきちんと数字で定量計算をしているので、欧州でも、あとアメリカでもいろいろ今、トランプ大統領の問題とかがありますけれども、やはりきちんと再生可能エネルギーを入れましょうという方向に進んでいます。それは何となくではなくて、数字で計算されているからです。

 この辺りは、非常に基本的なところなので、簡単に飛ばせていただきますけども、例えば、こういうIRENAの世界国際再生可能エネルギー機関のレポートとかが出ていますけども、これから投資が毎年約3,000億ドルかかる。ここだけ見ていると、再生可能エネルギーは高い、高い、コストがかかる、どうするんだということになりますけども、便益を考えると、この投資をしないと、これだけの損害が発生する。あるいは、この投資をすれば、これだけのリターンが返ってくる、そういう試算がここだけではなくて、いろんなさまざまなところで出てきております。だから、投資をする。コストをかけるというのは、罰ゲームで何か罰金を払わされるのではなくて、投資をして、それは将来、回収できるもの。しかも、一部のセクターが儲かるのではなくて、国民全体、地球市民全体が利益を、便益を得る。この辺りの共通理解をいま一度きちんとしておかないといけません。

 というわけで、費用便益分析(CBA)をやろうというのは、先ほど岡本様のお話でも少し出てきましたけども、コストがかかっても、便益のほうが大きいのであれば、推進しましょうということになりますので、コストの理論だけをしても、片手落ちになってしまいます。コスト理論と同時に、必ず便益の定量化をしなければいけない。この辺りが、日本ではちょっとまだまだ希薄だということです。先ほど申しましたように、環境省ではいろいろされておりますけども、それから幸い、最近は広域機関さん、それから監視等委員会でも費用便益という言葉がどんどん出てくるようになりましたが、翻ってみれば、ヨーロッパでもアメリカでも、国プロレベルで産業界が競い合って、コストベネフィット(費用便益)分析をやっています。というよりは、コストベネフィットアナリシス(費用便益分析)をやらないと、もうスタートラインに立てないぐらいですので、一部の研究者がやるとか、一部の政府機関、審議会がやるではなくて、産業界が競い合って、みんなこっちのコストベネフィット分析のほうが正確だとか、こういう考え方がある。さまざまなセクターで、さまざまなお立場があると思いますけども、そういうCBAを競争し合う環境というのが一番健全かもしれません。そういう意味で、日本は、マスコミ、国民全体も含めて、まだCBAの文化があまりなっていない。浸透していないのではないかというのが、私がここ数年、いろいろ追いかけてきて、わかったことでございます。必ず、やはり定量分析、何となくふわっとではなくて、数字で議論するということが重要になります。

 外部コストに関しましては、こちらもIPCCが出したレポートで、環境省さんが翻訳をしたものでございます。これは、実は、私も翻訳のプロジェクトに携わっておりまして、ここの章ではないんですけど、別の章を翻訳させていただきました。ざっとこういう形で出ていますけども、ご覧いただいておわかりのとおり、横軸は対数グラフですので、桁違いです。ですので、石炭火力というのは、これぐらいの外部コストが出ているということです。特に、青いラインというのは気候変動ですので、将来に対して、外部コストが発生するということで、日本は石炭が安い、安いと言っておりますけども、安いということは、誰かに迷惑をかけて、我々がハッピーになっているだけだということです。これは、気候変動の問題だけではなくて、倫理性の問題にもなります。これで、国際社会は許されるんでしょうかというところになってくるということで、こういう電源が退出するということは、実はいいことだということは、経済学的にも倫理的にも、それから技術的にも合理性があるということになります。

 実際問題、風力発電というのは、これは海外の議論で、日本での研究が少ないので、日本でのデータではないんですけども、外部コストが非常に低い電源となっております。風力発電も問題がある。騒音とか景観とかがありますけども、定量計算をすると、何となくふわっと大変だ、迷惑がかかるではなくて、こういったような数値で議論をする。エビデンスで誰もが同じデータを見る。そういう議論が日本には必要ではないでしょうか。

 ここまでが、イントロダクションでございまして、費用便益分析とか、外部コストとか、そういったキーワードを用いて、では系統連系問題、日本ではどうなっているんでしょうかということをお話ししたいと思います。

 キーワードとしては、先ほど便益という言葉が出てきましたので、もうここでお答えをお見せしてしまいますけども、残念ながら、日本では、従来と書いておりますので、今大分改善されていますけども、それでもまだ、原因者負担の原則が再生可能エネルギーに課されている状況でございます。つまり、再生可能エネルギーという新しい新規技術が、今までにないものが入ってくると、特に変動性、再エネは不安定だとかと言われておりますけども、海外では不安定なではなくて、変動するというふうに単純に言われます。ニュートラルに言われます。その変動というのは、「入ってきたおまえらが悪いんだろうと。じゃあ、入る前に何とかしなさいという」と、なるほどなと、日本では多くの方がそうやって納得してしまいます。ただ、先ほど申し上げましたように、再エネというのは、変動成分を与えるだけの電源ではなくて、将来的にわたって、多くのベネフィットを生み出すものです。ですので、原因者、悪さをするという原因者ではなくて、将来便益を与えるものになります。だとすると、この原因者負担というのは、これは公害対策などで使うものでございますけども、何か悪い、外部コストを発生したものは、その発生させた人が負担をしなきゃいけない、それは当然なんですけども、なぜかそれが新規技術に適応されております。これは、残念ながら、実際に、今はなくなりましたけども、ESCJという電力利用協議会という、かつての組織がございましたけど、そこにはっきりルールに明記されていました。原因者負担という言葉が。幸い、日本でもその考え方が変わってきまして、広域機関のルールとかでは、原因者負担の原則とか、経済産業省さんの審議会の資料でもこういう言葉がたびたび出てくるようになってきまして、少しずつ変わってきております。ただ、まだ多くの方のマインドでは、再エネは不安定で迷惑を、系統に迷惑をかけるもの、だから、あなた方が、入ってくる人たちが何とかしなさいと、そういうような状況がまだ色濃く残っております。

 欧州とかでは、やはり10年、20年前にそういう議論があって、やはりベネフィットがあるので、それは受け入れる側が責任、送電会社の責務で系統の増強とか、変動対策をしましょうということになっております。そうしたほうが、社会コストが最適化されます。先ほど、私が自己紹介で述べたように、技術的な、ローカルな技術的な問題だけでは、そこだけではいいかもしれませんけども、それは決して最適化にはなりません。数学的に言えば、それは不適切解になる可能性もあります。ですので、こういった考え方に基づいて、再エネが入ってくる人が何とかするのではなくて、受け入れる側が何とかする、頑張る。そのほうが、コストが全体的に下がるでしょう、それから、技術のイノベーションとか投資が下がるでしょうというのが、欧州や北米で議論されていることで、実際にそうなっております。後ほど、データをお見せいたします。

 というわけで、私が最近書いた論文で述べさせていただきましたけども、三つの仮説をここで提示させていただきたいと思います。仮説と控え目に言っておりますが、1番目はほぼ解明されて、2番目も最近ちょっと私が書いている論文で、何とか立証しつつあります。3番目ももうそろそろデータをもとに立証できると思いますが、まずご紹介しますと、現在日本で系統連系問題と言われているもののほとんどが、技術的な要因ではなく、日本では技術的に無理だ、無理だというようなイメージがありますけども、技術的な問題ではありません。ほとんどが。一部ありますけども、それはごく小さいものです。それではなくて、市場設計や法制度の不備や不調和によるものだと。制度的な要因に帰すると。これは、私が勝手に言っているのではなくて、後ほどご紹介しますけども、欧州など海外文献でたくさん見られます。

 それから、こういった市場設計や法制度が不調和・不備の場合は、新規参入者である風力発電や太陽光発電、これVREというのは、バリアブル・リニューアブル(変動性再エネ)という意味ですけども、風力発電や太陽光事業者に過度なリスク転嫁が行われる可能性がある。実際、日本では行われております。このような過度なリスク転嫁があると、経済効率性が損なわれ、発電コストを不合理に押し上げる原因になります。原因者負担で入ってくる人たちが何とか解決しなさい。そうじゃないと、市場に参入できませんというのは、高い、高い参入障壁であって、これは最終的に、市場全体の健全性を損なって、コストが無駄に押し上がる可能性があります。

 先ほど1番目の問題で申し上げましたけども、これはちょっと若干古い文献で恐縮です。2009年に発表されましたので、もう既に古い、海外では古い話ですけども、でも古い話でも、我々にとっては非常に有益かもしれません。「技術的・実務的な制約よりも、むしろ経済的・法的な枠組みである」ということが、もう既に10年近く前にヨーロッパで言われています。それから、技術的・実務的な問題が発生することなく、電力需要の20%までを占めることができます。これはキロワットアワーで20%です。現在、日本は5%です。繰り返しますけど、これは古い数値です。20%以上まで頑張るには、もっと変革が必要ですねということで、欧州や北米ではそういう変革を行っております。

 これは、世界の論調1と書いてありますので、後ほど、2や3が最後のほうにお見せできると思います。

 さて、不適切なリスク転嫁の例ということを一覧でまとめました。今日は、あまりお時間がないので、全部が説明できないんですけれども、現在ちょっとこれは私が投稿論文としてまとめている最中ですので、それができ上がりました暁には、ちょっと発表させていただきたいと思います。

 わかりやすいところで言いますと、そうですね、こちらでよろしいでしょうか。まず、例えば、どうしましょうか。これがよろしいですね。2番目ですけども、接続可能量という言葉がございます。接続可能量という言葉は、実は日本特有で、これを英語に翻訳して海外の研究者に言っても、何のことかさっぱりわかりません。「なぜ、まだ全然入っていないのに、接続の可能があるの?日本はそんなに技術力がないの?」と言われてしまう場合もあります。これは、後ほど説明、時間がないので説明できるかどうかはわかりませんが、結論から申しますと、技術的な問題ではなくて、これは単なる法制度の法的な解釈の問題です。結果的に、欧州では、あるいは国際的な議論ではどうなっているかというと、優先接続をして、送電事業者がいろいろなリスクを緩和することを頑張っております。ところが、残念ながら、日本は接続可能量という言葉がひとり歩きをして、接続制限が事実上行われたり、それから、出力抑制という無制限・無保証の出力抑制がある可能性があるということが発表された瞬間に、事業リスクが非常に高くなって、投資家がさあっと撤退してしまいます。これは、結局のところ、本来リスクを緩和すべき主体、そこによって社会コストを下げるべき主体が、こちらのほうにリスクを転嫁しているので、こちらの事業リスクが無用に上がって、コストが下がらないようになるということになります。

 それから、蓄電池、先ほど岡本様のお話でも蓄電池の話が出ましたけども、日本では再エネには蓄電池という言葉がさも当たり前のように言われておりますけども、それは世界とは全く180度違います。日本は、今5%です。導入率が5%。導入率5%ということは、蓄電池は全く要らない状態です。ゼロでも全然オーケーです。なのに、高コストの新しいデバイス、先ほど岡本様のお話でもありましたけど、既存の電力設備をうまく使うことが先決なのに、それをしないで、新しいデバイスを市場投入する、しかも補助金をつけるということは、これは合理性があるでしょうか。しかも、それが義務づけられたりした場合、これはやはり、リスクが再エネのほうにかかってきます。もちろん、海外でも蓄電池の研究は進んでいますが、それは再エネが40%、50%入ってきたときなので、規模感からいうと、今の日本の10倍ぐらいの再エネが入ってきたときにどうしますか。あとは、市場との取引です。そういったものが全くなしに、原因者負担で発生させるところに、蓄電池を入れなさいというのは、これは技術的にも不合理ですし、経済学的にも合理性がありません。というところが当たり前のように何となく議論されてしまっているというところが、日本の現状です。

 そういった形で、ざあっとこう述べさせていただきましたけども、これだけ見ると、じゃあ送電事業者が全部ババを引いて、何か面倒くさいことを引き受けなければいけないのか、罰ゲームか、ということになるかもしれませんが、そうではなくて、欧州、あるいはアメリカでも独立送電系統運用機関 (ISO) とかはそうですけども、こういったリスクは我々は技術力があるから引き受けられますと。技術力があるから、そういうリスクをテイクすることによって、投資をします。それでビジネスをします。そういう形になっております。実際に、2009年ぐらいまでは、「欧州でも再エネがこんなに入ってきて、しかも電力の安定供給もしなきゃいけない、そんなことは無理だ、無理だ」というふうに言っている、TSO(送電会社)もありました。ところが、2010年になって、発送電分離が、しかも法的分離ではなくて、所有権分離がきちんと行われると、送電会社は送電ビジネスに特化しますので、再エネをたくさん引き受けて、エクスチェンジ(取引)をすることによって、送電ビジネスとして成り立っていくと。ですから、後ほどデータをお示ししますけども、海外の送電事業者というのは非常に儲かっています。設備投資も物すごいです。というふうに、ビジネスモデルが完全に変わります。そういったマインドをセットしない限り、従来型の考えで、新しい技術を持っている人たちにリスクを転嫁させようということは、これは日本のイノベーションが進まないことにもなりますし、コストが無駄に、無用にかかってしまうことになります。この辺りを誰のせいだ、例えば電力会社がとか、政府がとかというふうに言われる場合もありますけども、そういった問題ではなくて、調和の問題です。政策の調和の問題ですので、省庁を超えて、いろいろ最適化を図らなければいけない。セクターを超えて考えなきゃいけない。そういうところに我々は来ているのではないかと思います。

 先ほどの例で、例えば一番最初のディープとシャローの話ですけども、一般負担と特定負担というお話があります。一般負担というのは、一般に負担しましょうということで、受益者負担に相当するものだと解釈できますけども、先ほど経産省で出たガイドラインでは、特定負担という言葉が残っています。特定負担というのは、新しく入ってくる人が負担してくださいということで、一部負担してくださいですから、昔に比べれば大分前進ですけども、それがどれぐらいになるのかというのは見えない限り、やはり事業リスクがかなり大きいです。ですので、こういったところで、ループホール、抜け穴が発生する可能性があります。本来、産業政策として重要なのは、新規参入・新規技術が市場参入するときに、市場参入障壁をできるだけ下げるというのが公平性の問題ですけども、新規技術にリスクを与えてしまっては、これは参入障壁が下がりません。こういったところの政策全体の調和ということを考えないといけないと思います。

 それでは、送電会社のほうから見たらどうでしょうかということで、実際に定量分析をしてみますと、ヨーロッパと日本の例でございます。これは記号で書いてございますけども、インターネットのドメインと一緒で、各国の名前になっております。国際連系線は日本の会社間連系線にほぼ相当するような形ですので、同じ指標で並べてみますと、欧州というのは結構60%から70%ということは、交流線でもこれぐらい使っているということは、相当使い倒しているということです。相当使っているということは、これで託送料、ネットワークコストのインカム(収入)がかなり入ってくるということになりますし、これだけ使って、もうパンパンですといったら、次の2本目の送電線を使うことに正当性が出ますので、投資家、いわゆる銀行とかもお金を貸してくれるということで、政府があまり補助金を与えなくても、民間がどんどん、どんどん走っていくということになります。

 一方、日本は、これは2015年のデータですので、2016年ぐらいですと、少しずつ伸びてきていい方向にはなりますけども、まだまだ利用率が低い線路もあります。これはせっかくのインフラコストが十分活用されていない、非常にもったいない状態になります。ですので、再エネが入らないのは、もういっぱいだからではなくて、実は空いているんですね。実際に、これは広域機関様から勝手にお借りしてきた、引用したものでございますけども、連系線利用状況を見ましても、この水色の部分は空き容量でございますけども、結構なパーセンテージであいております。これは、関門線でございますね。空いております。こういうのを見ると、電力会社が使わせないとかって、そういう意見も出てくるんですけども、これは私はそうではないと思います。これは、誰かが使わせないのではなくて、使い勝手のいいルールに変えなきゃいけないんです。これは、実際、広域機関さんでも連系線の間接オークションという形で、つい最近ルールが変わりましたので、今後改善していくと思いますけども、そういったものを新規参入者にも使いやすいようにする。それから、新規参入者の側も使えるようにトレーニングしていく、そういった全体の努力が必要だと思います。これも、やはりルール設計の問題で、現状ルール設計はいい方向には少しずつ進んでいるとは思いますけども、そういったことをやはり、みんなでコンセンサスを取りながら進めていかなきゃいけない。誰かが、悪いとかけしからんとかそういう問題ではないということを確認したいと思います。

 それから、中立性の問題でございますけども、これは例えばの例として、EUのダイレクティブ(指令)、各国の法律の上位に立つ、EUの指令という法律文書から引用して、日本語化してまいりましたけれども、例えば、この2009/72/ECというのは、通称「自由化指令」と言われていまして、電力自由化に関する指令でございますけども、そこの一節、ある条項では、透明で非差別的な、非差別的な、透明なというような言葉が結構多く出てきます。英語では、トランスペアレンシーとノンディスクリミネイトリーですけども、こういったものというのは、ヨーロッパだけではなくて、アメリカの連邦エネルギー規制庁 (FERC)の命令(オーダー)などでも法律文書、法令文書として見られます。こちらもそうですね。こちらは、再生可能エネルギーに関する指令でございますけども、やはり透明で非差別的な、透明及び非差別的なということで、発送電分離が行われると、送電会社はあらゆる発電会社から独立して、中立になります。ですから、どの発電所、どの電源種がではなくて、どの電源種でも、どの発電所でも、市場を通じて、流通をさせることになる。ということは、これは新規参入者にも参入障壁が下がるということを意味しています。発送電分離と再生可能エネルギーの促進というのは、実はヨーロッパでは、二つの、2本の車、両輪であって、そういった形でフェアに市場で戦うような土壌を形成するというところが、特に世界各国で議論されていることになります。

 残念ながら、日本の電気事業法関連法では、非差別的なということは、数カ所出てきますけども、透明性とか客観性というキーワードはございません。ちなみに言いますと、電気通信事業法では透明性という言葉は1カ所、数カ所出てきておりますので、こういった形で法体系自体をもっと議論しなければならないというところにまで、踏み込めると思います。

 先ほど、送電会社がリスクテイクするというのは、罰ゲームではないということを申し上げましたけども、実際にデータで分析しますとこういう形になります。これは、例えばの例で一番わかりやすいイギリスの例をもってきましたけども、ヨーロッパの大抵の先進国はこんな感じです。過去10年間で総消費電力量は下がっております。これだけ見ると、先ほどの岡本様のお話でもありましたけども、将来どんどん下がると、もう右肩下がりだと、我々の産業はもう粛々とやるしかない、投資ができないという発想になってしまうかもしれませんが、実は消費が下がっても、増えているセクターもあって、これは右と左で軸が違いますけども、風力・太陽光、伸びております。それから、国際連系線の取引電力量も確実に増えております。これは、国際連系線がデータが取りやすいから取っただけですけども、国内の送電線のデータも恐らく増えていくと思います。つまり、消費が減る中で、エクスチェンジ(取引)が増えるわけです。なぜか。それは一つは、市場が活性化すること。それから、もう一つは、再生可能エネルギーがあること。再生可能エネルギーは不安定だからではなくて、変動するのでエクスチェンジが活性化します。という形で、再生可能エネルギーを受け入れる側が頑張って努力をするといいことがある。なので、入ってくる人が課題があって何とかしなさいではなくて、受け入れる側が何とかすることによって、国全体、地球全体がよくなるというのが国際的な議論で、少なくとも研究者レベルで、あるいは、研究者が報告する政策決定者向け要約 (SPM) とかいう形で政策決定者レベルでも、そういう議論が行われております。

 IEAとか、そういう国際機関でも、そういったお話が出ていまして、こちらで世界の論調2と出しておりますけれども、実は、こちらのIEAが出した報告書というのは、それこそ、岡本様とか、あと、こちらの委員でいらっしゃいます荻本先生とかが翻訳に携わっておられるものですけれども、先ほど2009年の世界の論調1に対して、数字が上がっていることがわかります。変動性再エネの低いシェアにおいて大きな技術的な課題ではない。低いシェアは5~10%です。繰り返しますけれども、日本はまだ5%です。たくさん太陽光が入っている九州電力さん管内でも10%を超えていません。低いです。まだ我々の国は、再生可能エネルギーが入っているレベルは低いんです。なのになぜ、入らない、入らない、系統連系問題というのが発生するのでしょうか、ということが考え直す必要があります。

 伝統的な考え方では、重要な点を見落とす可能性があるんです。実は、これも、この資料も、もう古くなりつつあります。こちらに、3番目に出したものは、今年の3月に出たばっかりで、まだ翻訳されておりませんので、ちょっと英語のままで恐縮でございますけれども、やはりIEAがさらに先を言った報告書を出しております。ここでは、フェーズ1、2、3、4と四つ分かれていまして、大体どれぐらい入ってくるかによって、系統の環境によっても違いますけれども、チャレンジブルであるか、あまり大きなインパクトではないかということが示されています。非常にわかりやすい図がございますけれども、こういった形で横軸がキロワットアワーでのパーセンテージでございますけれども、日本は5%ですから、この辺りなんですね。フェーズ2に入ったばかり。ところが、再エネ先進国と言われている国では、もう25%あるいは50%まで行っている国もある。じゃあ、日本はどうして入らない、入らないと言っているんでしょうか。これは、決して技術的な問題ではなくて、やはり先ほどから申し上げていますように、高精度の調和の問題、それから、人々のマインドセットの問題だと思います。日本は世界と違うからというような反論がすぐ出ますけれども、私もヨーロッパを中心に研究しておりますが、ヨーロッパは多様性があるのが特徴です。ヨーロッパは一枚板ではないですし、金太郎飴ではありません。どこも違うんです。ポルトガルもドイツもデンマークもアイルランドも全部違います。じゃあなぜ日本だけ違う、違うと言わなきゃいけないんでしょうか。仮に日本が違うとしたら、日本は違うので、ヨーロッパよりも、アメリカよりも、もっとできますというのが本来のビジネスの話だと思います。できない、できないという言い訳を考えて頑張って考えるよりも、できるということを世界に発信したほうが、日本の国民のためにも、地球環境のためにもなるんじゃないでしょうか。

 というわけで、ランキングを並べますと、これもキロワットアワーですけれども、日本は、やはり相変わらず5%まで達していなくて、22位です、先進国の中で。しかもこの図だけ見ていただいてわかるとおり、黄色の太陽光がたくさん入っている国というのは、実は少ないんですよね。太陽光が先にたくさん入るということは、世界的に見てどれだけ変なことか、奇異なことかということを認識しながら、じゃあどうするかということを考えないといけないと思います。

 そういう世界の立ち位置を考えなければならないということで、そろそろお時間ですので、この辺りでまとめたいと思いますが、先ほど言いましたリスク転嫁の例は、世界的な理論に比べて、日本はちょっと大分おかしなことになっています。これでいいんでしょうかと。しかも、リスクをテイクするというのは、これは、ビジネスのチャンスであって、イノベーションの源泉であるはずなんですけれども、それから投資の起爆剤であるはずです。今日はちょっと、残念ながら、非常に重要な図を1枚落としてしまったんですけれども、口頭で申し上げますと、ヨーロッパは2030年までに200件の国際送電線のプランがあります。200件です。ヨーロッパは大体日本の電力系統の3倍ぐらいの規模ですから、単純に割り算すると、日本が2030年までに60件ぐらいの送電線のプランがあると想像してください。どれだけ経済に貢献するでしょうか。ところが、日本は再エネは入らない、入らない、それから、投資はできない、できないになっています。それをネガティブなスパイラルではなくて、プラスのスパイラルにするにはどうしたらいいか、電力インフラに対して投資を行うにはどうしたらいいかという前向きな議論をしなければいけません。ちなみに、200件の案件は、総コストで言うと、日本円に直して大体20兆円です、2030年まで20兆円、そんなにかかるのか、そのコストは誰がかかるのかというのは、先ほど言いましたようにコストベネフィットを考えたときに、コスト論しかしないのは片手落ちです。20兆円をかけたときに、最終的に国民、ヨーロッパ市民にも便益がもたらせるから、それは積極的な投資になって企業の投資チャンス、イノベーションのチャンスになります。そういった形の発想の転換を考えていかなきゃいけない。

 ということで、なぜ日本で、今、こんなに系統問題が問題だ、問題だ、海外ではあまり問題になっていない、あるいは、既に解決されたことが問題になっているかというのは、こういった原因者負担の原則に起因する不適切なリスク転嫁があるからではないかというふうに考えております。

 最後に、これ、参考文献でございますけれども、日本語で読める文献として数年前からこのようなものを用意しております。特に一番下のものは、かなり技術的なものでございますけれども、この辺りは電力会社様とかにもご協力いただきながら翻訳をしたものですので、技術的にかなりしっかりしたものになってございます。こういったものも参考にお読みいただきながら、国全体でご議論を進めていただければと思います。

 ご清聴ありがとうございました。

浅野委員長

 どうもありがとうございました。

 それでは、ご質問、ご意見がおありだと思います。ご意見につきましては、時間がありませんので極力控え目にお願いいたします。

 大野委員、どうぞ。

大野委員

 一つだけお聞きします。今日は、原因者負担とか、受益者負担の原則、原理的なところから世界の中での立ち位置みたいな話までお話しいただいたんですが、そういう安田先生のお考えからみて、今、電力市場会議の中では、ベースロード電源市場にしようとか、それからキャパシティ市場とか、いろんな議論が出ていますけれども、こういうものについて、どんなふうに見ておられるかについてお聞きしたいと思います。

浅野委員長

 末吉委員、どうぞ。

末吉委員

 最後におっしゃった日本特殊論のところなんですけど、私自身もいろんなことで、日本という国は、世界と原理原則とか、もの考え方を共有していないんじゃないかと。その結果、新しい考え方と逆転されている、そういったことを強く感じておりますけれども、先生は、それは誰かれの問題じゃなくて、政策の調和というような、調和というお話をされたんですけれども、これは、端的に言えば、既得権益と新規参入間の調和ということなんでしょうか。つまり、オールドマネーとニューマネーの調和をどうしていくのか。私は、そういう調和もですけれども、結局は、日本の将来をどうしていくのか、ビジョンがないから調和もできない、新しいものの考え方も受け入れられない、そういったことになっているんじゃないかと思うんですけど、いかがなんでしょうか。

浅野委員長

 もう一人、廣江委員、どうぞ。

廣江委員

 ありがとうございました。11ページ、ちょっとお聞きしたいと思いますが、この11ページ、日本と海外の比較をしてある、こんなに違うぞと、こういうことだと思います。ちょっとここに書かれていることは極端に分類がされて、例えば、シャロー、ディープ、確かに日本はディープですが、海外でもディープ体制をとっているところはあるということだと思います。それに、あるいは、蓄電池のところでも、現在、蓄電池の併設をお願いしているのはごく一部でありまして、大半の会社は、そういうことをお願いしていないということだと思います。

 お聞きをしたいのは、最後の単独運転のところであります。単独運転防止装置は、確かに日本はお願いをしていて、フリッカー問題が起きまして、これはほぼ解決すると思いますが、海外でも実は単独運転については、ある程度の基準を設けている国があったというふうに記憶をしていますし、そもそも、やはり単独運転の防止というのは、電線の工事をしている方の生命であったり、あるいは、一般公衆の方のまさに安全を守るために極めて私どもは重要なことだと思っていますが、この辺り、どのようにお考えになっているかというのをお願いします。

 もう一点、これは感想でございますが、先ほど20ページのところで、日本の再エネのシェアが5ないし10で、多いと言われている九州でも10ですか、というふうにおっしゃったと記憶しましたが、多分、系統問題で再エネで大事なのは、キロワットアワーではなしに、やっぱりキロワットだと思いますし、そういう面から言いますと、九州電力も、たしか今年もう75%ぐらいまで再生可能エネルギーは到達したという実績があったと思います。ちょっとその辺りは、場合によっては誤解を与える可能性があるのではないかということが気になったところでございます。

 以上でございます。

浅野委員長

 それでは、ここまでのご質問に、どうぞ、お答えください。

安田陽氏

 ありがとうございます。お時間もないので端的に申し上げます。

 ベースロード電源市場と容量市場に関して、大野委員からご質問がありましたけれども、まず、容量市場のほうから申し上げますと、日本で容量市場の問題が議論されていること自体が問題だと思います。なぜかというと、容量市場自体が悪いわけではありませんけれども、どうやって、先ほど岡本様のお話でありましたけれども、キロワットの供給力を用意するかというのは、国際的な議論がありまして、それこそ容量メカニズムとか、それから市場オンリーでやるという話もありますし、さまざまなソリューションがあって、容量市場というのは、その中の一つの選択肢でしかないはずなのに、なぜかそれが当たり前のようにそれをやらなきゃいけないという議論になっていること自体が問題だと思います。これは、やはり国民がもっと賢くならないといけないと思います。

 ちなみに、容量市場というのは、マーケット、市場という名前がついておりますが、海外の文献を見ますと、容量市場は社会主義的だから嫌だと市場関係者が言っている声が非常に多いです。それから、ドイツでは、容量メカニズムを選択したときに報告書が出まして、「容量市場は政府の失敗、規制の失敗を招く可能性が高いので、我々は選択しません」というふうに言っております。もちろん、日本がさまざまな議論を経て、やはり日本には容量市場がいいよねということになれば、それはそれでいいかもしれませんが、繰り返しますが、キロワットの容量を安定供給しなきゃいけないときに、容量市場しか選択肢がないような議論の仕方というのは、非常に問題があると思っております。

 それから、ベースロード市場は、これもちょっと話が長くなって難しいんですけれども、名前が悪いですよね。ベースロード電源というのは、もはや時代遅れだというふうに数年前にイギリスの送電会社のCEOの方がインタビューで答えていました。ベースロード電源的な運用をするものは、世界中にもまだありますけれども、ベースロード電源という概念自体が20世紀の古いもので、21世紀にはもうなくなるだろうと予測されている海外文献はあまりにも多いです。その中で、なぜ日本だけがベースロードという名前を冠する市場をつくらなければならないのかというのは、これはやはりよくよく再考する必要があると思います。やはり世界の中の立ち位置で日本がどう海外に情報発信していくかという点にも関わると思います。

 そういう点では、末吉委員のご質問に戻りますけれども、やはり世界と情報を共有していないというのは、非常に私も強く思います。これは、私ども研究者の情報発信力が足りないという反省点もございますけれども、やはりマスコミの方々も含めまして、世界の動向がどうなっているかというインテリジェンスですよね。情報収集をやはりきちんとしなければならない。我々は、お茶の間にいながら、テレビとかインターネットで世界のあらゆる情報を手に入れているとばっかり勘違いしているかもしれませんが、実はそんなことはありません。新しい技術というのは、もうどんどん変わっていきますので、そういったものをキャッチしなければいけないという危機感を持たないといけないと思います。

 その中で、調和という感じで既得権益者と新規参入者の調和という話がありましたけれども、どうでしょうかね、基本的に、私はオールドテクノロジーは好きなので、オールドテクノロジーはいいと思います。ただし、ニューテクノロジーに無知な人の意見は聞かないほうがいいと思います。再エネはニューテクノロジーです。要するに、スマホを使ったことがない人が、今後の通信事業に対して意思決定をしたらどういうことになるでしょうか。ですので、オールドテクノロジーはいいんですけれども、ニューテクノロジーに関して勉強しない人たちの意見は聞かないほうがいいと、私ははっきり思っております。

 それから、3番目の廣江委員のお話でございますけれども、確かに欧州とかでも例外を探せば、ディープ接続をしているところとか、それから単独運転をやっているところもございますけれども、基本的に再エネをたくさん入れているような先進的な国では、そういったものはどんどん変わっていっておりまして、方向性としては、ディープからシャローへということになるかと思います。蓄電池も、日本も例外的に蓄電池を事実上義務化しているところもあるとおっしゃいましたけど、その例外自体が問題であるということになります。

 それから最後、フリッカーに関しては、ちょっと時間の関係であまりお伝えできなかったんですけれども、まさにそうです。作業員の安全性です。重要なのは作業員の安全性です。じゃあ作業員の安全性を守るためにどういう対策をして、どういうコストがかけたら、どういうベネフィットなのでしょう。これはやはり費用便益分析をしなければなりません。そのときに、では、規制として、例えば系統連系規程に書いて、民間規程に書いてございますけれども、そういった太陽光発電などの新規参入者、新規技術に、新しいそういう義務を課すことが本当に費用便益的に妥当なのか、これは、私もちょっと一生懸命調べました、過去の審議会とかNEDO様の報告書を調べましたけれども、なかなかそういう議論が行き当たりません。やはり日本で費用便益分析の概念が希薄だからではないかと思います。

 繰り返しますけれども、作業員の安全は非常に重要ですけれども、だとすれば、なぜそれを送電会社が責務を負わないで、新規参入者が負わなければいけないんでしょうかというところになりますので、作業員の安全性を軽視するのではなくて重視するからこそ、適切なコスト配分をもっともっと議論しなければならない。

 最後に、キロワットの問題でございますけれども、九州電力様、頑張ってキロワットで70%を受け入れるようになっておりますけれども、一方、例えば旧東ドイツの50ヘルツという送電会社、実は、旧東ドイツですから、旧西ドイツとあまり送電腺が太くつながっていません。陸の孤島です。それなのに150%入れていて、我々は技術力があるからまだ入りますと言っております。ですので、九州電力様、日本の一部のたくさん入っているところも頑張っておられると思いますけれども、やはりこれがもういっぱいだというふうにメッセージを発してしまうと、国際的に技術力が日本にはないのというふうに見られてしまう可能性がありますので、ぜひこうすればもっと入るというようなポジティブな情報発信をしていただければありがたいんではないかと思います。

浅野委員長

 では、増井委員、どうぞ。

増井委員

 ありがとうございます。1点だけなんですけれども、日本とヨーロッパとの間で大きな違いがあるということだったんですけれども、具体的に例えば割引率ですとか、あるいは、投資回収年数、そういったところに日本の考え方とヨーロッパの考え方に違いというのはあるんでしょうか。

 以上です。

浅野委員長

 安井委員、どうぞ。

安井委員

 ありがとうございました。経済的、法制的要因というご指摘、そうかもしれないなと私も思うんですけど、一方で、日本の地理的要因ということを考えたときに、何か先ほど欧州のグリッドのサイズが日本の3倍とおっしゃったように思うんですけど、国土面積で比較すると、フランス、スペインというか、フランスとイベリア半島ぐらいで3倍ですよね、日本の。ですから、グリッドのサイズは国土のサイズと違うのかもしれませんが、いずれにしてもグリッドは小さいと。しかも、一次元的であって、魚の骨みたいな格好をしているような格好にならざるを得ないということで、さらには、その幹線の骨も50ヘルツ、60ヘルツ域があって2カ国があるようなものだというようなことがあって実効的に半分。さらに言えば、人口分布が日本というのはあまり均一じゃなくて、大都会があって、それでどん詰まりの送電線というのが随分多いと。こういうところがヨーロッパと随分違うんじゃないかなと思うんですけど、この辺りを考察されると結論は変わりますでしょうか。

浅野委員長

 ということでございます。お答えをよろしくお願いします。

安田陽氏

 恐縮です。増井委員からご質問があったのは、割引率と、あと何でございましょうか。

増井委員

 投資回収年数。

安田陽氏

 具体的に割引率がどうだという話というのは、いろいろな報告書で見ますと、感度分析をしておりますので、そういう意味では、日本とヨーロッパが違うとか、そういう議論にはならないと思います。割引率がさまざまあったとしても、どうであるという、そういうシナリオ設定、あるいは解析が出ております。

 それから、投資回収に関しましては、これも民間のいろんな報告書が出ておりますけれども、例えば欧州の地中ケーブル、失礼しました、海底ケーブルとかというのは、海底ケーブルは架空送電線よりも大分コストが、7倍や10倍ぐらい高いんですけれども、投資回収としては、もう数年でできる、早い場合には7年できる、あるいは、10年、15年もあれば十分できると、そういったような、それこそコストベネフィット分析が多く出ておりますので、そういう点では、日本もそういうような分析、シナリオづくりというのをどんどん民間のほうで活性化していくのがよいのではないかと思います。

 それから、安井委員からいただく質問というのは、非常に多く私も受けておりまして、それに対する回答はきちんと用意しております。

 実は、国土面積が広いと申しましても、ちょっと待ってくださいね。串形のほうから行きましょうか。これは、私も大学で教えていましたので、日本の串形で1点連系の場所はどこですか、具体的に述べなさいとか、そういったような質問をするんですけれども、実は、日本では、九州電力さんと中国電力さんの関門線とか、それから北本の北海道さんと東北さん、そういう1点だけしかつながっていないところもございますけれども、相当のところで直流でつながっております。阿南紀北線、それから南福光線という形で、実は、ループ潮流を回避しながら、直流でうまく制御できるような非常にすばらしい電力システムというのが2000年代までに整備されていて、むしろ、これは、再生可能エネルギー受け入れにとって有利なんではないかと私は見ております。

 地理的な要因としても、日本は国土面積が狭いとかグリッドが小さい等はありますけれども、グリッドというのは、基本的にトポロジーの問題でございますので、単純に面積が大きい、小さいでは比較できません。

 それから、「ヨーロッパは」という、そういった枕詞が一番問題がございまして、ヨーロッパの中でもヨーロッパの中央大陸と、それからピレネーを超えたイベリア半島、それからさらにはグレートブリテン島、アイルランド、それから北欧、それぞれ全く違います。例えば、ヨーロッパは送電線がたくさんつながっていていいよねとありますけれども、実は、アイルランドは北海道と同じぐらい連系線は少ないです。それから、フランスとスペインの間の連系線も非常に小さいです。それでもいろいろやっている。それはなぜかというと、多様性があってさまざまな選択肢があって、各国が気象環境、それから電力系統のトポロジー、電源構成、さまざまに工夫しながら、さまざまな柔軟性、先ほどの岡本様のお話でもありましたけれども、柔軟性を供給しながらやっているというのがありますので、日本とヨーロッパはというふうに単純比較すること自体がステレオタイプな発想を生み出してしまう要因になってしまっているのではないかというのが私のここ数年の研究の結論でございます。

浅野委員長

 どうもありがとうございました。時間はもう既に過ぎておりますが、せっかくの機会ですので、同じような趣旨のお話をお二方から別々に聞いていますから、岡本さんからも今の安田さんのお話に対するコメントがありましたら簡単にコメントをいただければ、我々も参考になります。

岡本浩氏

 単純比較じゃないというお話もあったんですけど、いわゆる11ページに不適切なリスク転嫁の事例というのがあって、廣江委員からもやや一面的じゃないかというご指摘があったんですけど、私も実はそう思いました。

 どういうところかというと、最後の単独運転防止というのは、これは公衆とか、それから送電線・配電線を工事する人の作業安全に関わるものなので、ここを対策しないと、リスクが転嫁されるのは、公衆あるいは作業者なんですね。私は国際電気標準会議で系統連系規程の各国のものをみんなで並べるということをやったことがありますが、そのときの記憶では、これを規定していない国はなかったと思います。要するに、安全に関わる話なので、あまり再生可能エネルギーの導入とは関係なくて、要するに電気保安上必要な規定ですので、ただ、これをやると発電装置側にこういったものを具備しなきゃいけない。これ以外にも、Low Voltage Ride Throughとか、いろんな連系要件が実はグリッドコードとして多くの国で課されていまして、今はインバーターという連系装置に基本的にはそういったものというのは標準的に組み込まれているので、これが参入障壁になる、あるいは、日本で特に問題になっているという認識はありません。

 あと、その他も若干ちょっと強く書かれ過ぎているかなと思っていますし、ただ、一般論として日本の一般送配電事業者が過度に保守的なのではないかというご指摘を我々としては謙虚にお聞きしなきゃと思うんですけど、ややそうではないところがあるのかと思ったのが一つです。

 あと、もう一つは、最後の安井様のご質問に関わるところで、これはいろんな見解があるのかなと私は思って伺っていましたけれども、ヨーロッパと日本とで、これは幾つかやはり違いがある。これは、やはり一つは大きなところは、連系点が何点あるかという問題です。安田先生から2点でつながっているところもあるから、あまり効かないじゃないかというお話があったんですけど、実際にネックになっているところは、1点でしかつながっていない。例えば北海道と本州とか、あるいは東北と東京みたいなところです。1点でつながっていると、結構な頻度でそのルートがとまる可能性があるものですから、そうすると、とまったときに、隣接するエリアに調整力、柔軟性を期待できないことがあるよねということを前提にいろんなことを考えるか、いやいや、連系点が複数あれば、もうそれが隣とつながっていないということは基本的には考えなくていいと考えて、全面的にそういったものをみんなでシェアしていればいいじゃないかと考えるかによって、そこの評価方法の保守性がが変わってくるところがあります。ただ、恐らく、北海道・本州も新しいルートが新設されますし、東北、東京間も2点目の連系点というのが検討されていますから、今後は欧州にだんだん近づいていくという面はあるかと思うんですけど、ただ1点でしかつながっていないというときには、そこが切れちゃったらどうするのか、そのときにも周波数とか、あるいは需給が保てるということを考えながらやっているという中で、欧州よりもやはり、実際に隣接エリアの調整力に依存すると、その分だけリスクが高くなるという配慮が働きがちであるというのは間違いないだろうというふうに思っています。これから連系点はだんだん増えていきますから、その部分をどういう考え方をとっていくかというのは、まさにこれからの選択の問題になっていくのだろうというふうに思って聞いておりました。

 その他いろいろ連系線のあきが多いという話もあって、これは、実際に我々自身がブロックしてこうなっているというより、やはりあいているものはうまくみんなで活用する仕掛けを、安田先生からもそう言っていただきましたけれども、今、あきのあるものをどうやってみんなでうまく利用して価値を上げていくのかということを、知恵を絞るときなんじゃないかというふうに思いますので、ぜひ我々も考えていきたいですし、皆さんでしっかりそのネットワークをうまく使いながら、世の中の便益が増えるということを考えていければというふうに思っておりますので、今後もよろしくお願いしたいと思います。

 私からは以上です。

浅野委員長

 どうもありがとうございました。多角的にいろいろなお話を伺いましたので、私どもも本日は大変勉強になりました。

 それでは、事務局からお願いいたします。

木野低炭素社会推進室長

 二人の発表者の方、また委員の皆様方、活発なご議論をありがとうございました。

 次回の日程のご案内です。次回、10月6日、金曜日、15時から17時半を予定しております。中身は、引き続き関係者のヒアリングを実施するとともに、あと、以前宿題をいただいておりました国際的貢献に関しまして事務局資料に基づきご議論いただきたいと考えております。ヒアリング対象者、または事務局資料につきましては、追って事務局より連絡を差し上げます。よろしくお願いします。

廣江委員

 今回、非常に重要な議論をするんですけど、資料を頂戴するのが非常に直前になってしまって、我々も十分に勉強する時間がございませんでした。ぜひ、事務局も大変だと思いますけれども、できるだけ早く資料を頂戴したいということと、それから、本日の件につきまして、十分検討できませんでしたので、後日確認事項とか意見等を書面でまた出させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

浅野委員長

 毎回でございますが、どうぞご自由によろしく。

木野低炭素社会推進室長

 先ほどの安田先生に最後、拍手を。

浅野委員長

 どうもありがとうございました。お忙しい中、今日、お二人の方には大変有益なお話を聞かせていただきましてありがとうございました。最後までおつき合いいただきましたことも感謝いたします。

 それでは、本日はこれで終わります。

午後 5時10分 閉会

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