長期低炭素ビジョン小委員会(第15回) 議事録

日時

 平成29年8月2日(水)10時00分~12時25分

場所

 全国都市会館 大ホール

 東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館2階

議事録

午前10時00分 開会

木野低炭素社会推進室長

 おはようございます。

 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球部会長期低炭素ビジョン小委員会の第16回会合を開始いたします。

 本日は、ご到着が遅れている委員もいらっしゃいますが、委員総数18名中12名の委員にご出席いただく予定であり、定足数に達しております。

 なお、本日はご欠席の日本経済団体連合の根本委員の説明員として池田様にお座りいただいておりますので、委員の皆様にはご承知おきいただきますようお願いいたします。

 また、既に地球環境部会長決定とされております本委員会の運営方針でございますが、原則として会議は公開とされていることから、本日の審議は公開といたしております。

 最初に、委員に交代がありましたので、ご報告いたします。

 桜井委員が辞任され、今回より、加藤日本気候リーダーズ・パートナーシップ代表代行が新たに就任されました。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、夏の環境省の人事異動でも、地球環境局長が鎌形から、後ほど挨拶いたします森下にかわるなど、事務局メンバーも入れかわりがございましたので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、以降の議事進行は浅野委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

浅野委員長

 おはようございます。

 それでは、議事を進めさせていただきます。

 まず、7月に交代された新しい地球環境局長からご挨拶をいただきます。

森下地球環境局長

 おはようございます。

 本日は、本当にお暑い中、お集まりをいただきましてありがとうございます。7月14日付で、鎌形の後任として地球環境局長を拝命しました森下でございます。よろしくお願いいたします。

 昨年度は、長期低炭素ビジョンを取りまとめていただきまして本当にありがとうございました。この長期低炭素ビジョンですけれども、パリ協定で策定、提出がインバイトされています長期戦略の土台となるものというふうに認識をしております。その主な内容は、環境白書などで閣議決定するなど、政府内でも基本的な考え方について、今、共有が進んでいるというところでございます。

 ご承知のとおり、昨年の伊勢志摩サミットで、2020年の期限に十分先立って長期戦略を提出するとコミットしております。今後、予定されているCOP等の国際交渉の状況も踏まえながら、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。この長期戦略、地球温暖化対策計画の見直し等の国の政策を初めとしまして、あらゆる主体に長期・大幅削減を見据えた投資や行動判断にかかる方向性を示すものだというふうに認識をいたしております。骨太の長期戦略の策定のためには、長期大幅削減実現に向けまして、その道筋を示す必要があるというふうに認識をしております。長期低炭素ビジョン小委員会における検討を加速化してまいりたいというふうに思ってございます。

 委員の皆様方におかれましては、どうぞ引き続き活発なご議論をお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

浅野委員長

 それでは、事務局から本日の配付資料の確認をお願いします。

木野低炭素社会推進室長

 お手元にお配りしております議事次第の下に配付資料一覧というのがございます。本日は、資料1から資料3の3種類の資料に加えまして、参考資料として、この委員会の名簿をつけてございます。

 もし、資料の不足等ございましたら事務局までお申しつけください。

 カメラはここで退席をお願いいたします。

 以上でございます。

浅野委員長

 それでは、議事に入りたいと思います。

 前回の委員会でご了承いただきましたので、本日からヒアリングをさせていただきたいと存じます。では本日のヒアリングについて、事務局からご紹介いただきます。

木野低炭素社会推進室長

 今、ご紹介がありましたとおり、今回から、関係者のヒアリングを実施してまいりたいと考えております。長期・大幅削減実現に向けた道筋の検討に当たりまして、今後、特に必要性が高いと考えられる具体的分野に係るヒアリングをこれから行ってまいりたいと考えております。

 本日のヒアリングですけれども、お三方にお願いしております。

 お一人目として、海外のエネルギー事情と低炭素化対策につきまして、相澤善吾一般社団法人海外電力調査会前会長よりご説明いただきます。

 また、お二人目といたしまして、電力自由化の進展と電源ミックス及び温暖化ガス排出量への影響につきまして、A.T.カーニー株式会社の笹俣弘志パートナーよりご説明いただきます。

 さらに、三人目といたしまして、低炭素社会のエネルギー・ビジョン、「ゼロベースでのパラダイム構築を」という題名におきまして、スプリント・キャピタル・ジャパン株式会社の山田光代表取締役よりご説明いただく予定でございます。

 3名の方々には、本日、貴重なお時間をいただきまして誠にありがとうございます。

 また、委員の皆様におかれましては、ぜひ忌憚のないご議論をよろしくお願いいたします。

 以上です。

浅野委員長

 それでは、ヒアリングに入りたいと思います。本日は、お一人ずつ発表いただきまして、その後、委員の皆様方からの質疑応答をさせていただくということにいたします。ご質問については、お手元のネームプレートを立てていただきまして、指名に従って順次ご質問をいただきたいと思います。それから、ご発表の方にお願いでございますが、委員の質問については一括して差し上げたいと思っておりますので、恐縮ですがメモをおとりいただいて、適宜お答えをいただければと存じます。

 それでは、まず、最初のご発表を相澤様からお願いをしたいと思います。海外エネルギー事情と低炭素化対策ということで、25分程度ということでお願いしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

相澤善吾氏

 相澤でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、今、ご紹介いただきましたとおり、全般的なことにつきまして、海外の様子、中でも何点かございますが、こういった内容でご紹介をして、若干、私なりに思うところも挟ませていただきますが、皆さんご専門家でいらっしゃいますので、少しニュアンスの違うような感じをお受けになる場合もあるかもしれません。ご容赦ください。

 それでは早速、まず、1番目のエネルギー・気候変動政策、各国のというところから始めたいと思います。

 これは、もうご承知のとおりで、さっといきたいと思いますが、欧州では、気候変動対策重視、省エネ・再エネ開発に重点的に注力ということで、どこの国に行っていろいろな関係者にお話ししても、全く言っていることが基本的には揺るがない。ポーランド辺りは少し別ですが、それでも再エネ・省エネというものの重要さというのは、皆さん十分把握していると、で、それを積極的に発言されるという状況であります。

 アメリカでありますが、これはオバマ政策の「全てのクリーン・エネルギー開発」ということで、石炭火力からの撤退と、シェール革命で自給率を大幅改善といったところでありますが、トランプ政権によって今後どうなるかという心配というか、懸念というか、あるいは希望というふうに思う人もいたかもしれませんが、ありましたが、どうも州レベルでの動きというのは非常に強うございまして、なかなか変わりそうもないという印象であります。

 中国につきましては大気汚染が深刻化しておりまして、この辺ですが、CO2も増大しているということで、原子力が増加して、石炭消費量は下降気味ということで、また、省エネにつきましても、かなり積極的に行っているという状況であります。技術的な中身を見ましても、決して昔のような信頼性が劣るというようなものをつくっているというわけではないというのが、現場を見てきた印象であります。

 日本もちょっとつけ加えてみましたけれども、これは「エネルギー基本計画」は14年、17年に次のやつが出るのではないかということでありますが、省エネ、再エネは推進、原子力は重要電源として明記ということで、でも、政権は、原子力は減らすよと言っていると、その辺のところが今後の第5次計画でどのように出てくるのかというのが興味深いところであります。

 次のページに参ります。これは各国の電源構成、データの出元は海外電力調査会です。すみません、それが記述がなくて大変申し訳ございません。で、何が言いたかったかというと、欧州が、2015年の合計の発電電力量で3.2TkWh(3.2兆kWh)、米国4.1TkWh(4.1兆kWh)、中国が6.0TkWh(6.0兆kWh)、日本が約1TkWh(1兆kWh)です。だから、3対4対6に対して日本が1だと、このくらいのレベル感だということをお知らせしたかったのと、それから、ほかの地域・国に比べまして、石炭の率がちょっと高いかなと。それから、原子力が実情から言うと少し厳しいんじゃないかなと。それから、再エネも、少しほかと比べて低いんじゃないかな、こんな印象が残る絵ではないかなというふうに思っております。

 次のスライドに移りますが、これは、先ほどのEUのことを細かに書いたものですので、飛ばさせていただきます。

 フランスのエネルギー政策でありますが、基本的には、原子力が一次エネルギーの40%、発電では、発電の75%を賄っているということであります。そして、すみません、次の太字、「現」と書いてしまいました、すみません、もう「前」になりましたが、オランド社会党政権のエネルギー政策というのがあって、その中で原子力は、現在の75%を、25年には50%に引き下げるということを言っておりました。当時、フランスに行って、EDFの要人とそんな話をしますと、あれはそういうふうに言っているけど、なかなかそうはいかないんだと、需要も増えるだろうし、分母が増えればいいんだからみたいぐらいなことで、なかなか、その本気度というのは感じなかった。ところが、マクロン大統領、一番最後のところですが、になりまして、かなり強く、ユロ環境相、7月10日に、原子力を50%まで下げると、そのためには17基ぐらい潰すんだと、廃止するんだという発言がありました。ふーんと思っていたら、その1週間後、7月18日には、やっぱり無理だとこういうご発言を、ついこの間されていました。とってもフランスでも揺れているところだというふうに思います。

 次に行きまして、ドイツでありますが、これは、ご承知のとおりで、原子力につきましては直ちに破棄・閉鎖、22年までには、この全て閉鎖ということでありまして、ともかく再エネ、あるいは、まあまあ再エネによるその電源構成というのに非常に大きな自信を持っていまして、後悔をしていないというのが、あちらの方に、何人かお話を聞いた結果でありました。で、今回、FITの補助金の巨大化によりまして、少し閉めまして、それでコントロールをしているんだと、賦課金が高くなったからじゃないんだとこういうニュアンスで、こういうために、コントロールするためにFITというのはあるんだと、こういう考え方を盛んにおっしゃっています。問題は、ガス、石炭・褐炭火力だと思います。最近になって褐炭火力、まだつくっているんですね。ただ、建設中のものはつくっているんで、過渡期であって、その後の計画というのは一切なくなっていると。少しね、褐炭火力、まだつくり続けているし、これからもつくり続けるんだろうというようなとり方を、捉え方をされている方もいらっしゃいますが、褐炭火力は、既に建設しているもの以外の計画というのも今後一切ないというのがドイツの実情です。ただ、廃止するに当たっては、雇用創出という意味で非常に苦しんでいるという感じではないかと思います。

 次、イギリスでございますが、ガスの枯渇以来、エネルギー・セキュリティ、環境対策ということで、その環境対策とか低炭素電源というものを開発していきました。で、低炭素電源の開発目標も比較的高いもの、かつ、原子力も新設をしておりまして、比較的順調に原子力が新設されていっているということであります。一方で、その再エネ、あるいは配電と送電線をうまくつなげた、大電力と配電を同じ土俵の上で、うまくバランスをとっていこうというやり方もかなり導入の方向で検討をしているというのがイギリスの方向ではないかというふうに思います。

 次、アメリカですが、これは、ご承知のようにオバマ政権でクリーン・エネルギーの開発というものがあったわけでありますが、その後、トランプ政権になったと。オバマ政権の気候変動対策に大きく方向変換があるのではないかなという懸念も、いろいろな方がお持ちになったんですが、そうでもないようだというのが印象、あるいは現実の動きではないかと思います。特に再エネというものにつきましては、あるいはRPS(目標値)というのは各州が独自につくっているものなので、連邦の話とは別に、相当強い取組をしているので簡単には動きはしないと。専門家の人に言わせると、5年間は今までの予定どおりにいくんじゃないかと、その先はどうなるかと、5年というのは(トランプ政権の)1期は終わってしまいますから、さあ、この先、一体どうなるんだろうというのがアメリカの現状ではないかというふうに思います。

 次のページですが、同じくアメリカの2番目ですが、特に、カリフォルニア、ニューヨークというところは非常に強い、あるいはハワイですね、強い意志を持って、そのGHGの削減を立てております。カリフォルニアは、2030年に50%ということを言っていたんですが、5月31日、上院で可決された案は2045年に100%であると、削減、要するにゼロにしようということを言っております。ちょっとここが、まだ古い情報しか入っていなかったんですが、2030年に50%じゃなくて、今、2045年に100%、ハワイと同じ目標に立て直しているというところであります。ニューヨークは50%ということであります。

 次のスライドで中国でありますが、これは、もともと非常に大気汚染がひどいので、かなり、自ら排出規制を強化したということもあります。中国の火力発電所の排出基準というのは、日本の、新設のですね、日本の火力発電所の排出基準と同等か、それ以上厳しいと、水銀規制が厳しく入っている分、日本より厳しいのかもしれないなというところもあり、そのぐらいの状態になっていて、石炭に対する排除というのは非常に大きいと。いずれにしても、原子力と再エネというものが非常に鍵を握っているという、特に再エネ、風力ですね、ちょっとこの最後に書いておりますが、この辺が中国の今後の鍵を握るところではないかと思います。

 中国の2ページ目になりますが、とりあえずページ数は11ページになりますが、新しい13次五カ年計画というのが出ましたが、前の計画とあまり変わっていないですね。だから、今までの方向でいくだろうという話です。

 以上が概略、すごい早足で参りましたが、各国のエネルギー政策。

 次、ネットワークについてお話をしたいと思います。欧州のネットワークはどうなっているかというと、これは、非常にネットワークの強化が必要だというスタンスです。で、それが安定供給なり、あるいは再エネを導入するなり、持続可能な電力システムの構築、あるいは低廉な電力供給のためには不可欠だ、これが基本的な考えのように見受けられます。特に、送電線系統の整備の必要性というところで、何カ所か、かなりその必要性が強いところがありまして、ここに挙げたようなところであります。

 次のページに行きます。米国のネットワーク、これが欧州とちょっと趣が違いまして、送電への、送電関係への投資の動向というのは、再エネの、一番上のほうですが、再エネの拡大や需給調整範囲の拡大によって、送電投資の必要性は高まっていたんだけれども、2016年をピークに減少傾向になってきた。すなわち、送電線だけで強引に、大電力からいろいろなところに給電をするというよりも、デマンドレスポンスや配電系統への接続電源が増加して、送電投資の需要の見通しというのが不透明になってきたというのがアメリカの――これは、先ほどイギリスについても申し上げましたような、同じ傾向というのがアメリカでも生まれていると。

 下の、一番下、ここですが、米国の卸電力市場について、市場は、大体リアルタイム市場と1日前市場、それから容量市場、それからアンシラリーサービス市場、こういう四つがあるんですが、容量市場は3年先、国によっては4年先というのがありますが、アメリカでは3年先、すなわち、3年先の容量市場というのは、コンバインドサイクルか再エネしかつくれないですよね。そういうつもりに、もうなっているのではないかと、裏を返すと、そんなふうに見てとれます。それで、アンシラリーサービス市場というのは、非常に、ちょっと注目、最近されておりまして、応答速度の速い蓄電池が高い収益を得られるということで、AES Energy Storage社、これが一番先に実用機的なものを、蓄電池を入れているんですが、大変商業的にも利益を上げた、そういうアンシラリーサービス市場への入り方をしている。これから、少し注目されるのではないかというふうに思います。

 で、その蓄電池でありますが、かなり蓄電池の需要、あるいは供給というのは伸びておりまして、ここにあるAES Energy Storage社の場合でありますが、最大3万kWぐらいの蓄電池というのが既に運転をしているということです。それで、ちょっと、その真ん中辺ぐらいの行で「米構内」と、すみません、これはちょっと「米国内」でございまして、間違いです。米国内での初の商用機として、採算性も問題ないという状態になっております。リチウムイオン電池とパワーコンディショナからなるユニットの組み合わせで、40~数十万kWまで組み合わせられると。他社との結合もできるというのが売りの一つになっております。蓄電池の運用で何がいいのかというと、アンシラリー市場で大きく利益を上げられると。それから、昼夜間の価格差を利用して利益を上げられる。それから、密集地で、ビルの地下や何かにも発電所がわりとして設置できる。それから、発電設備としての設置が多いんだけれども、送電線の設備の増強のかわりに、この電池というのを入れるということも考え方によってはできる。さらに、ここには書いてないんですが、テスラ社も、ギガファクトリーを1年前につくりました。で、今年の7月からサザンカンパニー社と蓄電池実証プロジェクトを開始しております。かなりアメリカでの蓄電池の需要というのは、あるいは役割というのは大きくなってくると思います。

 次、再生可能エネルギーなんですが、これは、欧州では本当に大きな電源の中心的な存在になってきている。で、実は、その欧州にある五大電力といいましょうか、四大電力が非常に経営不振になっている。この理由というのを、欧州の電事連に当たります、今はBDEW、(ドイツ・)エネルギー・水道事業連合会のほうにいろいろ聞いてみますと、やっぱり再エネだと言っているころに、そのあり余る資金を大型の発電所の買収に躍起になっていて、気がついたら周回遅れになっていたと、再エネについて、ということで、今、建て直しをしているというぐらいに急速な変化があったと。で、日本の場合は、ここに書いてあるとおりです。日本の場合の一番の問題は、再エネプラントが非常に高いということです、最後の行にあります。ここを何とかせにゃいかんという話になります。

 で、欧州の再エネというのをちょっと見てみますと、ここに書いてあるようなとおりで、エネルギーロードマップ、2050年に電力起源のGHGをゼロに目指すシナリオでありまして、2050年は、この再エネの率がこれだけになって、残りは原子力とCCSつきの火力になると、こういうようなもくろみになっています。再エネの価格もどんどん下がっていまして、一番今のところ安いのはデンマークで4.99セント/kWh、大体5円ぐらいですね、で落札していると、洋上風力がですね。洋上風力は高いものだと思うとそうでもないというようなことなわけです。

 次に参りまして、ドイツの再エネの事情ですね。これはアゴラエネルギーベンデ、あるいはBDEWのヒアリングの結果を一緒にしてつくってみましたが、自然エネルギー財団とアゴラは、かなり親密な関係になっていて、それで、そこでいろいろお話をされてもいます。同じようなことをお聞きになったことはたくさんあると思いますが、22年には原子力を止めるんだと、で、再エネの転換は2050年に8割以上を賄うんだということです。それから、再エネの見通しですが、ここに書いてあるとおり、かなり大きな量を見通している。ちょっと太陽光の鈍化が最近、ここ1年あったけれども、それでコントロールしているんだと、また来年になると、今、最高は700万kW毎年入ったんですが、2016年は100万kWしか入らなかった。来年は200万~250万kWだろうということです。再エネの発電コストは、今は6.5セント/kWhぐらい、最終的には2~3セント/kWhになるんだろうということであります。それぐらい再エネって、日本以外では安くなっているというところなんですね。

 それで、同じく、次のスライドに、18ページになりますが、再エネコストの大部分は家庭用に転嫁していると、家庭用料金が倍近くにまで上昇しているんじゃないかという質問がよく向けられます。で、2013年以降は、再エネコストは既存電源レベルが低減をしてきているので、家庭の電気料金もこれから下がってくるんだろうと、それから、産業用には賦課金を課してないじゃないかと、それはどうなんだと、それは産業は大事だからと、そういう方針についてはあまり国民から異論はないよという答えが返ってくるので、ちょっとびっくりです。それから、CO2が増えているだろうという話がよくあるんですが、実際には減っていますよということをよく言われます。

 次のページに行きますが、再エネを組み入れるコストの低減というのは非常に大事だということですね。再エネって設置コスト以外にさまざまなコストがかかるということなんですね。これをいかに低減するかということで、大分下がってきましたよと。設置コスト以外って何ですかというと、ここにも書いてありますが、TSO、送電運用者との協力をもっと円滑にするとか、要するにだめだ、だめだと拒否をしていると、時間と手間ばっかりかかる。そこのところをうまくやれば、協力するような仕組みをつくればスムーズにいく、時間もかからない、それから、需給調整市場の活性化、風況予測の高度化など。それから、日本では、さらに価格が下がらないのは、許認可、それからマージン、設計コスト、規格、それから工事期間、こういったものの改善の余地がとってもあるんじゃないかというのが彼らの言い分です。大体我々も調べましたが、非常に日本は再エネが高いですね。2~3倍になっています。それから、柔軟性の確保ということで、これは、やっぱりその原子力や石炭火力も負荷調整を持たせる、そういうつもりで、それで、その再エネがたくさん集まれば、それが一つのベース電源になるんじゃないかとそういうような考え方、逆に、原子力や石炭も負荷調整を使えばいいじゃないかと。フランスなんかは、もう原子力は負荷調整していますからね。それは、ちょろちょろ、ちょろちょろ動くんじゃなくて、今度の土日は70%出力まで落とそうとか、週末は、そういう運用は普通にもうしていますから、そういうこともやっていったらいいんじゃないんですかという話です。それから、下から二つ目の3に、北部で発電、南部で消費と、これで送電線をつくらなきゃいけないことになっていて、今、つくるつもりでいるんですが、さらに、地域市場という考え方もあってもいいんじゃないのと。すなわち、南北の価格を分けると、そうすると、南にある工場が北に行くでしょうと。でも、海外に出ていくよりはいいんじゃないのというところまで言っていらっしゃるということです。石炭火力が一番政治的にネックになっていくだろうというのが、このアゴラとBDW、どちらも共通の認識でした。

 時間がどんどんなくなってきますので急ぎます。

 米国の再エネ事情ですが、これ、非常に米国も増えているということで、FITはもちろんありません。連邦レベルとしては投資税額控除、それから発電税額控除、この二つでありまして、あるいは、そのほかにRPS制度というのが各州でかなり強烈に使っているということです。で、その下にカリフォルニア、2050年に50%、これ、ちょっと混乱していますね。当初は2030年50%だったんですが、先ほど申し上げましたように、今は2045年100%というふうになっています。ハワイの場合は、もう、その法案は通過しています。カリフォルニアの場合は、まだ最後までいっていないんですが、いずれそういうことになるでしょうということです。

 再エネをめぐる最近の動向ですが、テスラ社がギガファクトリーをつくって、さらに、先ほど申し上げました、先ほどのAES Energy Storage社に続いて、テスラ社も実証実験を始めたということです。よく、回転体が系統にないと、電池だけで本当に安定性が保てるのかと、これは本当に難しい問題で、いろんなことをおっしゃいます、技術屋さんは。本当のところは私もよくわかってないんですが、そういった実験、実証試験もかなり活発に行われています。そういったところに注目していきたいというふうに思います。

 それから中国ですが、中国も非常に強い力で再エネを入れています。で、再エネ、せっかく北西側に、中国の場合は風況がよかったりして、風力がどんどんできているんですが、そのうちの17%ぐらいはもう使えないと、送れないからということで、送電線の建設を非常に進めて、強い力で進めてきました。この辺なんですが、真ん中ぐらい。北西部から東部への直流送電線は、もう建設して、既に1万2,300kmの直流送電線があるということですね。で、さらに建設を続けているということです。それから、最近の動向として太陽熱ですね、太陽光じゃなくて太陽熱発電、太陽光より少し高いんですが、の料金を中国は決めまして、太陽熱17円/kWh、太陽光は11円/kWh、風力は8円/kWhというのが買収、これ、強制的に買わされるんですが、その送電事業者が、これが買うべき値段だということで決められている。だから、風力の8円というのは、なかなか安いなというところです。

 それから、次なんですが、太陽光発電コストの現状ですが、非常に下がっています。2010年は、平均コストが0.35ドル/kWh、2016年が0.13ドル/kWh、火力と遜色ないですね。これが急増の理由でもあります。それから、最安ケースでは、ここに書いてあるように0.05ドル/kWhというのがあって、国によって違う最高ケースの5分の1ぐらいになっていると。一番安いのは中国とドイツですね、日本が一番高いと。で、モジュール価格、すなわちハード部分というのは各国とも同じです。そんなに変わらない。ソフト部分が変わるんですね。事業用の場合で言うと、中国・ドイツはkW当たり500ドル、イギリスやイタリアが1,000ドル弱、アメリカが1,200ドル、日本が1,600ドルですね。で、何でこんなに日本は高いのかというと、先ほども言いましたように、こういったことですね。こういったことをまだまだ見直して、安くできる余地があるんじゃないでしょうかという話です。

 次に火力発電に行きたい……。

浅野委員長

 恐れ入ります。5分ほど、既に時間を超過しております。

相澤善吾氏

 すみません、じゃあ火力発電のところで、もう終わりにします。

 火力発電は一つだけ、それではすみません、申し訳ございません、ずっとページを飛んでいただきまして、27ページになります。火力発電各種の性能と価格ということで、いろいろ火力発電が、そうはいってもまだまだ残るわけでありまして、特にしわとりに使わなきゃいけないというのがあります。一言、とーんと、どすんと言ってしまうと、火力、石炭火力という場合はUSC、すなわち超々臨界圧、これがkW建設単価が20万円ぐらい。それから、ガスタービンによるコンバインドサイクル、これは熱効率が64%近くになってきておりますが、大体10万円/kWぐらい。それで、建設コストが石炭火力の半分で、熱効率も大体5割とは言いませんが3割ぐらい増し。で、CO2の発生量も石炭火力の半分というところをよくよく考えてみたほうがいい。さらに、たまにしか使わないということであれば、固定費が安ければいいわけですから、ガスタービン単体という手があって、このガスタービン単体の建設コストというのは、石炭火力の大体4分の1ぐらいになってくるわけで、熱効率も、昔は29%とか30%とか低かったんですけど、今は40%以上でありますので、かなりいける設備であると、これは使えるんじゃないかなというふうに思います。

 で、発電原価はどうなっているんだということですが、実は、その火力燃料単価というのは、今年の1月から3月の価格を使って、そして、コストは、コスト検証ワーキンググループの試算と同じやり方でやりますと、LNGコンバインドサイクル発電は8.9円/kWhであります。それから、石炭火力の発電原価は11.8円/kWhになります。一方、そのコスト検証ワーキンググループですと、LNGの単価は13.7円/kWh。石炭火力は12.3円/kWh、原子力が10.1円/kWhということで、燃料費が、化石燃料費が非常に安くなっていると。それで、それは化石燃料の価格というのはふらふらしますから、ずっとこういうわけにはいかないかもしれませんが、現実的には、今、こういう状態だということです。検証ワーキングでは、燃料費は、World Energy Outlookの2014年版を使っています。非常に高い数字になっている。で、最新版の2016年版では、少し安くなっているんですが、まだ現実の値段よりは高い。だから、World Energy Outlookを使っていると、かなり高いことになる。また、原子力発電は稼働率70%で、稼働年数40年でやっていますから、原子力の稼働年数40年でのコスト試算というのは、ちょっと厳しいのかなということで、この辺、もう少し見てみる必要があるのではないかなというふうに思っております。

 時間がなくなってしまいました。原子力のことにつきましては、また、別の機会にいろいろお話をさせていただければというふうに思っております。

 すみません、時間のないところ、最後、まとめというのが33と34ページにございます。ちょっと今までのことを、以上のことをまとめて、私なりに思うところも含めて、まとめてみたところです。お時間があるときに、お読みいただければありがたいと思います

 すみません、時間をオーバーして。以上で終わります。ありがとうございました。

浅野委員長

 どうも、急がせてしまって申し訳ございませんでした。委員の皆さまからご質問がおありかと思います。ご質問をご希望の方は、どうぞ名札をお立ていただけませんでしょうか。後からというのは困りますので、今のうちに名札をお立てください。何人ぐらいご質問をご希望かを、まず皆さん、お互いに確認をしていただきたいと思います、ほぼ20分程度でお答えもいただくということになると思いますのでよろしくお願いいたします。

 それでは、一番最初に廣江委員がお立てになりました。廣江委員、諸富委員、池田さんの順にお願いいたします。

廣江委員

 ありがとうございました。大変詳細なお話を感謝申し上げます。3点ほどお聞き申し上げたいと思います。

 一つは、ドイツの再生可能エネルギーの話であります。既に、お話の中にも言及がありましたが、ドイツの場合には、基本的に産業分野というのは、ほとんどその賦課金が免除されていると、日本にも減免制度はありますが、多分、投入されている金額は一桁違うのではないかなと思います。全体の賦課金はあまり、日本とドイツでは多分数倍、せいぜい2倍ぐらいの差だと思いますけれども、実際に、産業の減免のために投入されている金額というのは一桁違う。さらに言えば、日本の場合には、石油石炭税が一部導入されていますけれども、ドイツの場合には全部FITでやられている。そういう意味では、非常にドイツの国民の皆さん方というのは、しっかりした考えを持ってやっていらっしゃるなとこういうふうにも思うところではありますけれども、果たして、こういうような状況というのは日本で可能なのかどうなのか。もちろん再エネはこれから下がっていくと思いますから、今のような状況でどんどん増えていくことはないかもわかりませんけれども、果たして日本で、そのようなことが可能かどうかというのを1点お聞きしたいと思います。

 それから、2点目でございます。これは、もうこれも既に触れておられますが、なぜ日本の再エネのコストが高いか、それは、ここでおっしゃっているソフトの部分ですねと、こういう項目を幾つか挙げておられますが、何か具体的に、これを下げるためにこういうことをやったらいいのではないかというようなお考えがあれば、ぜひお聞かせをいただきたいというのが2点目です。

 それから、3点目は、質問というよりは、ちょっと意見になりますが、火力燃料、火力発電の最後に触れられた点でありまして、確かに今、足元で見ますと、LNGと石炭ではこういった形で、むしろ石炭のほうが変動費が高いという状況、これは事実だと思いますが、過去にもこういうことは、多分、火力燃料の変動の中であったというふうに思っています。先ほど、火力燃料はふらふらするとおっしゃいましたが、まさにそういうところはあります。ということで言いますと、やはり石炭の値打ちというのは比較的安定した、特に、その火力燃料の中でも、そのLNGとか石油は振れますので、その中で、やっぱり比較的安定した価格で発電が継続できるという意味での、やはり石炭の値打ちというのは、特に日本の場合には重要ではないかと考えるんですが、この辺りにつきまして、もし何かご意見がありましたら、よろしくお願いいたします。

浅野委員長

 諸富委員、どうぞ。

諸富委員

 大変興味深いお話をどうもありがとうございました。私自身からは、今、先ほど出ました、やっぱりコストの問題ですね、国際比較した場合の日本の再エネコストの高さに、やはりソフトの面については要因を、私も、ぜひ、より詳しく、つまり、政府の裾野、規制といいますか、その土地取得とか認可に関して、恐らく政府の規制改革で何とかなるんじゃないかなと思います。マージンとか設計とか、こういうふうになると民間事業者自身の何らかの努力が必要かなというふうに思います。その辺りについて、もう少し、どうやってコストを下げていけるのかという点についてご教示いただきたいと思います。

 それから、COの6ページ、この、私の、もう1点だけなんですけれども、ドイツのその石炭火力・褐炭については、なかなか減らせないということで、ドイツ自身も苦慮してきたところですけれども、私の聞いたところでは、これについては、ドイツは容量市場、容量メカニズムは入れないということを決定したんですけれども、かわりに戦略的リザーブの制度を入れて、こちらの石炭火力については、褐炭を含めて、この戦略的リザーブに組み入れて、何かあった場合の、その発電量が足りない場合に石炭に頼るけど、普段は、もう休止してもらうという形で、事実上、安楽死させていくというようなシナリオだというふうにお聞きしておりますが、この点、もしご存じであれば、ご教示いただければと思います。

 以上です。

浅野委員長

 池田さん、どうぞ。

池田説明員

 ありがとうございます。時間もないので手短に、ご質問させていただきます。

 ドイツの再生可能エネルギーFITについては廣江様と同じ認識です。我が国も産業政策の観点からFITを見直すべきではないかと考えます。我が国のFITの今後のあり方について、何かご見解があればお伺いしたいと考えます。

 次に、19ページのところでご説明がありませんでしたが、「カーボン・プライシングでガス火力に移行させることは困難」という記述について、ご説明をいただければと思います。

 最後に、これもご説明にはありませんでしたが、CCSについて、我が国のような国土の条件でCCSが可能なのかどうか、至るところに穴を掘らなければいけないのではないかと少し心配になりますが、どうお考えでしょうか。また、日本で発生したCO2を、海外のCCSに持っていく考え方もありますが、それは可能なのでしょうか。要するに、CO2は廃棄物ではありませんが、廃棄物については、基本的には、外に持っていくということが認められていない中、そうしたことが可能なのかどうか、先生のお考えをお聞かせいただければと思います。

 以上です。

浅野委員

 あと4人ほどおられますが、あまりに大量の質問が集中すると、相澤さんもお困りになろうと思います。ここまでのところで、二、三分ぐらいでお答えください。

相澤善吾氏

 二、三分、わかりました。

浅野委員長

 あと、また4人からご質問がございます。

相澤善吾氏

 ありがとうございます。ご質問いただきましてありがとうございます。

 まずFIT(の負担)の工業向けは安く云々かんぬんという、日本でそれができるのかという話なんですが、私は、できないことはないんじゃないかなというふうに思っているんですね。で、その基本は、最後のほうに書いてありますが、もう少し日本もエネルギーということに対する理解、これは、例えば、3E+Sなんだから原子力なんだ、だから石炭なんだと、そういう言い方じゃなくて、もうちょっとニュートラルに物を申し上げてお伝えするということの中で、我々の生活とか暮らしというものとのどういう位置づけになっているのかというものに持っていけばいいんじゃないかなと思います。もちろん、技術的には、先ほどの炭素税云々、石油税云々、それらの組み合わせをもう一回整理し直して、それで、本当に産業用はこうなっていると、家庭用はこうなっているというものを、逆に隠すよりもはっきり表へ出して、これはこういうことなんですよとはっきり、そして相手の目線でお伝えするほうがいいのではないかなと、それをしないと、原子力と同じ神話的な話につながってしまうんじゃないかと。ここは一つ、そういうお話をして、ここの、今がそういうチャンスじゃないかなというふうに思っています。それが1点目ですね。

 それから、再エネの高い、日本は高い、具体的には何でかと、抽象的なことばかりじゃなくてというお話ですが、結局、その配電業者あるいは送電業者と言葉が合わない。規格がないから、標準語がないんですね。しかし、そこで、もたもたやっていて、物すごく時間がかかってしまう。ヨーロッパなんかでは、本当に一日で終わることが1週間や2週間は平気でかかってしまう。そういうものがあるので、そういう基準というものを日本でも整備して、それで、すぐに会話ができて、すぐに工事が着手できるというようなことも一つの大きなものであるというふうに思います。

 それから、やはり、もうちょっと工事会社の透明性というのも必要なのかなということがありますよね。再エネを促進するんであれば、少しその辺も、強制的にというわけにはいきませんが、何らかの手だてをして、例えば、(電力自由化後、)会社ごとに電力利金を比べるサイトというのがありますが、再エネをつくるときのコストの比較サイトみたいなものがあるとか、そういうこともできるんじゃないかと思います。

 それから、さっきは、その言葉が違うからと言いましたが、それ以前の問題として、今度は規制とか規格とか、そういったものも全然その統一されていないという面があります。そういうものもつくれば、物すごく時間、スムーズにいくと、これが物すごく大きいんじゃないかなというふうに思っています。ちょっとね、何か、その邪魔者を入れるのは嫌だなというスタンスがあると、なかなかそういかないんですが、もっとうまく活用するんだというスタンスで取り組むのがいいのではないかなというふうに思います。

 それから、ドイツの褐炭の話ですが、もうあれは、政治的な妥協の産物だというふうにドイツ人も思っていますし、私も思っています。要するに今、メルケルさんが言っていることは、褐炭の発電所を全部停止したいと、でも、停止するって難しいから、褐炭がある地域に別の雇用を創出するような産業をつくって、それからやってあげましょうというのを二、三日前に言っているんですね。もう苦しいんです。そのぐらい、その地元というか、その事業者、あるいはそこで就労している方々に対する配慮というのが、今なくてはならない状態で、非常に厳しくなっていると。だから、容量リザーブというのは、普段は絶対に動かしてはいけない、容量市場というのは普段も動かしているわけですよ。で、ちゃんと、いつもとれるようになっているわけ。容量リザーブというのは、普段は回しちゃいけませんと、そのかわり、止まっている間も料金をお払いします、いざとなったら回してねというのが、(関連産業の)救済策という見方もできるという感じでありますので、その辺がドイツの一番の悩みの点ではないかなと。今後の動きが注目される、非常に難しい問題を抱えていると思います。

 それから、CCSが日本で可能なのかなという話なんですが、おっしゃるとおり非常に難しい点はありますよね。EOR(Enhanced Oil Recovery)、油田のご専門の先生もおられますが、油田というのは、放っておいても自分の圧力で出てくるのは最初の10%から20%ぐらいで、あとは水で押したり、CO2で押したりするんですね。だから、そのCO2って非常に重要なんですね。で、比較的高価に売られ、石油会社が買ってくれるんです。そういうところがある場合には、非常に経済性も成り立つのですが、それがないと、なかなか経済的な問題が厳しい。それから、日本の場合は苫小牧でうまいこといっておりますが、なかなかああいう、そのキャップ状の漏れないような地層がないと(できません)。今、それを盛んに探しているところなので、日本のどこにそういうものがあるかというのがだんだん明確になってきたら、まだ可能性はあるとは思いますが、結構、簡単ではないというふうに思っています。

 大体よろしいでしょうか。

浅野委員長

 ありがとうございました。あと4人ほどいらっしゃるんですけれども、残りの時間が5分程度しかないので、大変恐縮ですが、次は逆の順番にいたしますので、お1人1問ぐらいにしていただけませんか。

 末吉委員からお願いいたします。

末吉委員

 じゃあ1点だけお尋ねしますけれども、いろいろ、このエネルギーの問題は、内外の話を聞いておりますと、どうも日本という国は、新しいエネルギーを考える上で重要な基本的な物の考え方で海外に非常に遅れてしまっているという気がしてなりません。このベース電源の話、負荷調整力の話などを含めて。それで、日本で進まない理由をいろいろ挙げつらいますけれども、一つ一つがお互いにすくんで、足を引っ張り合っているような気がします。そういったことは、やっぱり全体で正していくには、やはり国全体としての再生可能エネルギーの目標を高く置く必要があるんだろうと思います。しかも、それをしっかりとした法律によって国家目標として掲げる。で、こういったことをしないと、いつもお互いが足を引っ張り合って、すくみ合って前に進まない、そういう具合に私は考えておるんですけれども、いかがでしょうか。

浅野委員長

 加藤委員、どうぞ。

加藤委員

 大変貴重なお話をありがとうございました。再エネを今、末吉様、おっしゃっていましたけれども、どんどん、どんどん取り入れるためには企業もいろいろ苦労するわけでございますけれども、昨今、全世界でさまざまな再エネの取引市場といいますか、取引形態というのがいろいろ多様化してきているというふうにお伺いしておりまして、いろんな国で、いろんなパターンで再エネが導入できるというプログラムが用意されていると。例えば、先日も中国のEMS……。

浅野委員長

 恐れ入りますが、質問を簡潔にお願いします。

加藤委員

 その多様性のある市場というのが、どういうふうに建設されているのか、各国の事情がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

浅野委員長

 荻本委員、どうぞ。

荻本委員

 供給側の議論がどうしても出てくるんですが、長期的には、需要側がどう電化されるかというところが非常に大きいと思いますので、それは各国でどのように違いがあるかということをコメントいただければと思います。

浅野委員長

 大塚委員、どうぞ。

大塚委員

 一言だけ、すみません、スライドの13ページのところで、アメリカに関して、今、荻本委員が聞かれたこととも若干関係すると思いますが、系統に対しての投資がピークに、2016年がピーで、多少減っているということですが、これは一時的な現象なのか、今後、こちらのほう、そのデマンドサイドのレスポンスとか、そちらのほうを重視する方向に変わっていくというふうに考えたほうがいいのかという辺りを、ちょっと教えて、それで、それだけでうまくいくのかという問題もあると思うんで、教えていただければと思います。

浅野委員長

 それでは、恐れ入りますが、できるだけ短くお答えいただけますでしょうか。

相澤善吾氏

 再エネに関して、あるいは新エネルギーに関して(日本は)周回遅れじゃないかと、やっぱりそうだと思います。で、何が悪いのかというのは、なかなか難しくて、一言で言えませんが、何らかの手を打ってもいいのではないかなと。今までの電源が悪いと言っているのではなくて、今までの電源プラス、より、いろいろな電源を使っていくというスタンス、そういう意味では、ちょっと周回遅れになってしまっているのではないかと。ドイツの大電力会社は、みんなその経営判断の遅れでひどい目にあったわけですね。日本の場合もその傾向があります。また新しいことに対して抵抗する傾向も小さくありません。そういうことがないように何か考えなきゃいけない。法律というのも一つかもしれません。結構ここは厳しいかもしれません、抵抗が、また余計に強くなるかもしれません。

 それから、再エネを取り入れている企業が苦慮すると、多様性をいかにしていったらいいのかと。大電力って、あるいは大企業というのは、大手と組んでいろいろ考えますね。そうじゃなくて、もっとベンチャー企業といろいろ相談をするとか、ベンチャー企業と組んで話をする、新しいものを考えていく、こういうことって結構効果があるんじゃないかなと。実際にそういうことをやっている日本の電力会社さんも既にいますし、海外では、それが当たり前なんですね。もう数十人のベンチャー企業と大電力が、もうかなり熱い議論を交わして、それを採用していくという動きもあるようですから、そういうことをやっていったらいいんじゃないかなと、例えばの例です。

 それから、需要側の工夫というのも必要だと、全くそのとおりであると思います。デマンドレスポンスということに対して、より、その協力的という、協力をするというよりも積極的になるような、そういう話の仕方、あるいはお伝えの仕方というのが非常に大事だと思いますし、それは決して嘘をついているわけじゃなくて、お互いのためになるんだという話を――都合の悪いことを隠すというよりも、ちょっと厳しいよと、でも、その結果、最後はよくなるよと、こういう物の言い方をしないと、ちょっと厳しいよというのを抜いて、いい話だけするから、信頼されなくなる、何とか神話みたいになっちゃうんだというふうに思います。

 それから、米国のデマンドレスポンス的な考え方だけで、本当に米国はやっていけるのかと。もう本当に、それは、まだまだ様子を見なきゃいけない、確かに。だから、ニューヨークとカリフォルニア、ここで相当そういった実証をやっていますので、かなり実証から商用に変化しつつあります。ちょっと現地の話を聞くと、そんな面倒なことをできるのかとの印象が残る場合もあります。これは、よくよく注目して、我々日本に使えるのかどうか、見極める必要があると思います。でも、日本も、そういった検討とか実証というのを始めていかなくては、また周回遅れになってしまうという気はしています。

 すみません、よろしいでしょうか。

浅野委員長

 ありがとうございました。限られた時間なものですから、盛りだくさんのお話をもっとお聞きしたかったのですけれども申し訳ございません。どうもありがとうございました。

相澤善吾氏

 どうもありがとうございました。

(拍手)

浅野委員長

 それでは、続きまして笹俣様から、電力自由化の進展と電源ミックス及び温暖化ガス排出量への影響ということでお話をいただきます。

笹俣弘志氏

 A.T.カーニーの笹俣でございます。本日は、どうかよろしくお願い申し上げます。

 私からは、どちらかというと足元の延長線上から、今後どのような形になっていくのかといったことを、少しフォーカスを置いてお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 大きく三つのお話をさせていただきます。

 まず自由化、これは福島原発事故を受けて、法改正も経て、既に進んでおりますけれども、これが開発、電源を開発していく上でどのような影響を、これまでもたらしてきたのかといったところ、特に、これまでを見ますと電力の小売料金、これに着目をして、本格的に他地域に産業していく、あるいは電力業界に異業種から入っていくといったときに、やっぱり自主電源、競争電源が欲しいというようなことで火力電源開発が進んできたといったところを整理をさせていただきます。ただ、これの中で、ほかの電源についてもお話をさせていただきますけれども、原発、なかなか再稼働をしていないと、こういったところも含めて、お話を差し上げたいと思います。

 2点目でございますけれども、足元で起きている二つの状況変化といったところをお話したいと思います。1点目が、この、今、1点目でお話ししましたけれども、電力小売料金ではなくて、実際に発電所をつくるとなったときに、卸売市場価格、これをかなり見に行くように、事業者さんのほうの投資決定の際の観点が変わりつつあるのかなとこういったところが一つ。

 それから、原発事故以降、資源価格、まあ高い状態が続いておりましたけれども、足元、急落をいたしております。これが火力発電、あるいはほかの電源に対して、どういうような電源開発への影響を及ぼしていくのかについてお話を差し上げます。

 以上を踏まえて、資源価格、それから、1点目でお話を差し上げました、原発があまり動いていかない、あるいは、動いていく、これはどうしても読みにくいところがございますけれども、原発比率が高い、安い、そうしたこの二つを変数にしたシナリオとしてどういったものが考えられるか、電源ミックスとCO2の排出量への影響といったところを語りたいというふうに思っています。

 細かな文字で恐縮ですけれども、米印を書かせていただきましたけれども、3点目のところは、あくまで現行制度を前提として、例えばCCSであるとか、そうした抜本的なイノベーション、あるいは制度改定なども抜本的なものはないという前提とした「思考実験」というふうにご理解いただければと思います。

 足元のおさらいになります。原発事故、これを受けて、日本の原発は停止を余儀なくされました。電力会社さん、それぞれを見ますと、原発依存度というのは違っております。その結果として、電力料金といったものは結構ばらつきが大きくなりました。右側をご覧いただければと思います。で、これと縦軸のほうに離脱率を重ね合わせますと、電力料金が高いところといったところが離脱率もやはり高いと、こういったことが読み取れようかと思います。これ、よく報道なんかでは、大規模な需要がある都市部に集中なんていう言い方をされますけれども、北海道というのは必ずしもそうではございません。やっぱり価格といったものが大きく影響しているとこういうふうに読み取れようかと思います。

 そうした中で、冒頭申し上げましたけれども、この火力の新設の計画が多く発表されました。こちらのほうのスライドでは石炭火力を取りまとめさせていただいております。2016年8月時点での累計となっております。新設のほうで21.8GW、この石炭火力、40年で廃炉されるということは多分ないと思いますので、このうちの幾分かは、少なくとも純増になっていく。仮に40年廃炉だとしても、9.9GW廃炉されて、21.8GW新設されますので、現行の30.6、現行よりも増えていくとこういうことが読み取れようかと思います。

 LNG火力についても同様でございます。LNGのほうがどうしても炉年は短くなってしまうでしょうから、40年ぐらいになっていくのかなというふうにも思われます。そういたしますと、大きくは変わっていかない可能性もはらんでおりますけれども、新設計画、競争電源として多く計画が公表されているという状況です。

 これに対して原発でございます。これ、さまざまな見立てがございますけれども、ここではBloomberg New Energy Financeの予測をお持ちいたしております。政府の目標が20から22%というふうにされてはおりますけれども、当該社の予測に基づきますと10%程度といったところ。彼らがそうしているところの根拠といたしまして挙げられていることが幾つかございますけれども、右側でございますが、この原子力発電所の経済性といったような観点で疑義を呈しているというと、こういったところになります。後ほど、私どもからも一つ、分析をご提示差し上げます。

 最後に再エネでございますけれども、ご案内のとおりでございます。左側ですが、設備容量、認定済のものも加えますと、太陽光を中心に、政府目標に対してはかなり超過をしているというような状況になっております。足元でいきますとバイオマスも、そういった色彩を強めており、いわばバブルのような状況となりつつあります。結果として、これも電力小売料金に大きく効いてくるものとして、右側でございますけれども、再エネ賦課金のところ、足元でも、もう全体の料金の1割弱を占めるまでに至っているとこういう状況でございます。

 そういう中で、政府目標としては、2030年にCO2排出量を全体として26%減、そして、長期目標として80%減、前提として2030年のミックス、原発が20~22を進めるといったところでなっております。

 こうした状況の中で、足元の二つの変化というところをご案内を差し上げたいと思います。

 まず、一つ目でございます。第1章のところでは、電力小売料金が高いところに競争力がある電源を接続していって、そこでシェアを取っていくというのが事業者の新規参入者、あるいは他地域の事業者の基本的な戦略でした。ただ、ここに来て、卸売市場の活性化といったところが経産省主導で大きく進められてきています。左側ですけれども、これはあくまでイメージですが、現状は3%程度のボリュームしか全事業に対して占めていない卸売市場の取引量ですが、グロスビディング、間接オークション、FIT電源の市場での販売、ベースロード電源市場、これも売り残ったものがどういった形で処理されていくのかといったところが論点として、市場関係者の中ではJEPXの取引量を引き上げる方向になってくるのではないかというふうに考えられています。

 こういう中で、右側で、ちょっとコメントを二つ載せさせていただいておりますけれども、この市場取引に関わっておられる方ですと、30%ぐらいになっても不思議ではないよねというようなことをおっしゃっていたり、それから、発電の関係者にお伺いしますと、その建設に当たっているのは、卸売市場価格全てをどなたかの小売事業者にPPA、Power Purchase Agreementという言い方をしますけれども、固定費は基本的に全額回収、燃料費も、そのかかった分をいただく、発電会社から見たときにですね。それで、適正利潤、若干の利潤を安定・確実に取っていくというような契約ばかりではなくなっていく、欧米、特に米国の自由化州であるとか、あるいは、ドイツでも社内での取引価格というのは市場価格見合いになっていたりもしますけれども、この卸売市場価格で仕切られていく世界といったものも出てくるのではないかというのが一つの変化になります。これは大事なことで、発電事業者にとって、その売電価格が決定される構造が変わっていくということを意味しております。

 もう一つの変化が、この火力の発電、どんどん計画が公表されていたころというのは資源価格が高かったです。これの非常にシンプルな、WEO、World Energy Outlookの2013年、2014年、2015年、2016年、当時の予測値及び実績値を取りまとめをしておりますけれども、特に、予測値の破線のところを見ていただきますと、13、14はあまり変わっておりませんけれども、15、16と大きくLNGの価格が低下していくというふうに、足元なってきております。この二つを重ね合わせますと、どういうことが起きるかといったところをご案内したいと思います。

 右側、少しアニメーションになっておりますけれども、先ほど申し上げましたが、PPAでの契約ではないとき、新鋭の火力発電所はどうやって儲けるかというお話を、卸売市場価格で売っていたとき、どうやって儲けるかという話を差し上げます。この図でいきますと、右側ですけれども、青いもの、バーチャートとか載っておりますけれども、例えば、再エネであれば供給するに当たっての可変費0円ですね。固定費を含めるならば非常に高いですけれども、それは既に参加コストとしての扱いになりますので、これは発電所を市場で売っていく場合、幾らで値をつけていくかといえば、0円プラスアルファでも合理的という形になります。原発であれば、その可変費だけですね。で、石炭、そしてLNGの燃焼効率の高いもの、そしてLNGのコンベンショナル、石油という形でなっていきます。これがいわば供給曲線になります。で、需要、電力ですので、非常にそのelasticityは低い、高い、すみません、ちょっと忘れましたけれども、ほぼ垂直な形になっていくと。この交点がシステムプライスという形になっていきます。グリーンのところで置いておりますけれども、ここに、例えば自社が建設しようかなと思っている新鋭の火力があったりすると、この可変費と、そのときの卸売市場価格の差分、これをスプレッドという言い方はしますけれども、そこで固定費を回収して、さらに利益が出るかと、こんな考え方をしていきます。

 一つ目の変化で、先ほど申し上げました資源価格が下がるというふうになったときには、石油の火力も下がりますし、主にLNGのコンベ、燃焼効率の悪いやつの価格も下がってきます。もちろん、自社電源の燃料費も下がるんですけれども、トータルのスプレッドは同じ比率で、これ、圧縮されていきますので、固定費、これは固定です。そうすると利益は上がらない方向に動いてまいります。

 ついでに申し上げますと、再エネが入ってくる、原発が入ってくるというような形に、自社の電源、今の火力よりもメリットオーダー上左側に位置するような電源が入ってくると、全体に供給カーブをシフトさせますので、市場価格がさらに下がり、スプレッドが小さくなっていくと、こんな構造で物事を見るようになってきて、先ほど申し上げたような資源価格の低下というのは、大きな、火力発電所にとっては、やや違和感を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、卸売市場価格で決まるという形になりますと、火力発電の建設をストップさせる方向に効いてきます。

 そういう中で、それだけが原因というふうには決めつけることはもちろんできません、個別の事情はあろうかと思いますけれども、相次いで二つの火力発電所の建設計画が撤回されるとこういう事象が起きております。一つ目が石炭火力ですね、JXTGさんと関電エネルギーソリューションさんの石炭火力。それから、JXTGと東京ガスのLNG火力、どちらも最新鋭のものになりますけれども、一因としては、この収益性の悪化、特に、資源価格の低下といったところは効いているのではないのかなというふうにも想定されます。

 理論値として少しシミュレーションをしてみました。その結果がこちらになります。やや見にくいスライドで大変恐縮でございますが、縦軸のほうに資源価格をとっております。真ん中のところが最新の、もう少しでこれはアップデートされますけれども、WEO2016の新政策シナリオにおけるLNG価格を真ん中にとっております。で、シミュレーション上、感度分析として上側に行きますと、LNG価格もプラス10%、プラス20%というふうな形でずらしたり、下側に行きますと、マイナス10%、マイナス20%というような形でずらしています。

 横軸でございますが、CO2価格をご参考までにつけてみました。無しの状態、現状ですね、これがだんだんとついていくというふうにされているのがWEOでございます。カーボン・プライシングでございます。現政策シナリオ、新政策シナリオ、それから、450ppmシナリオで100ドル近い、現状から考えると相当高いカーボン・プライシングがなった場合と。

 で、ご覧いただきたいのが、すみません、一つ一つのセルのところでございますけれども、上段が石炭火力、USCを前提。下段がLNG、MACC2を前提としております。

 ご覧いただきますと、まず資源価格が高い状態から低い状態になっていくと、総じて石炭火力もLNG火力も収益性が悪化していくということが見られようかと思います。これは先ほどアニメーションを使ってご案内を差し上げたとおりで、資源価格が下がっていくと火力発電所というのは、どちらかといえば建設をストップさせる方向に働くということが、まさに如実に表れています。

 特にLNG火力について、下段のほうを見ていただきますと、例えばCO2価格がゼロの場合ですと、現行の資源価格の見通しにおいても既に、そのプロジェクトIRR、すみません、ご説明が遅くなりましたけれども、この数字は、そのプロジェクトの見通しをしたときに、どれだけの内部収益率が得られるか、レバレッジをかける前のものとしての数字になります。それを見ますとn/aという形になっておりますけれども、これはマイナスになってしまうということを意味しております。

 今度、横軸に、同じ資源価格で横軸に目を転じるというような形で見ていただきますと、CO2価格が上がっていくというのは、いわば資源価格を引き上げていくと同じような、可変費を引き上げていくような形の効果になってまいります。したがいまして、LNG火力について見ますと、例えば2016年のWEOの新政策シナリオの価格ですと、だんだんと収益性がよくなっていくと。そして、ほかの価格帯においても、資源価格においてもよくなってくることがご確認いただけようかと思います。

 他方で、石炭火力ですけれども、こちらにつきましては確かに市場価格は引き上がって、おいしい面もあるんですけれども、それ以上に自社電源のカーボン・プライシングの効果、これが引き上がっていく、燃料費が上がっていくということの効果がありますので、オフセットされてあまりあるものがあり、資源価格が高くなっていくと、だんだんと収益性は悪くなっていく。

 ただし、これは非常に大きな示唆に富んでいると思うんですけれども、カーボン・プライシングは相当高い値段をつけないと、一番右端のようなところまで行かないと、緑の状態、あるいは濃い緑の状態だったりもします。濃い緑の状態というのは、右側で少し書かせていただいておりますけれども、私どもの感覚ですが、プロジェクトIRRで8%、レバレッジ3倍を掛ければ24%の利益に当たると、こういう形になります。これは大変儲かると、このようなもの。4%だとしても12%ぐらいの利益水準ですので、決して悪い投資ではない。極端にカーボン・プライシングをやっていくとしても、極端な値段がつかないと、石炭火力の建設を止めるということに対して有効性を欠くといったことが見受けられます。

 あと、足元の状況の中で原発、そして再エネといったところがございますけれども、これも料金というような観点で見にいったときにどういう影響があるのかということをまとめさせていただいております。まず、原発の再稼働の遅れ、そして最終的に生きている原発が廃炉になっていくというようなことになったとすれば、ということです。あるいは、そうならずにちゃんと動かしていくかといったところです。

 まず1ポツ目でございますけれども、原発再稼働がちゃんと進んでいって、60年運転になっていくというような形で既存ユニットの有効活用が進むとすれば、先ほどのメリットオーダーを思い出していただきますと、可変費が非常に低い電源が、メリットオーダー上、左側に入ってくる形になりますので、卸売市場価格を低下させて、結果として小売料金を引き下げる形になってきます。ただ、これが逆に転じた場合ですけれども、原発再稼働が進まない、かつ、市場価格、後ほどまた分析をご案内を差し上げますけれども、これよりも高くなってしまったような安全対策費が出てきたようであれば、これは何らかの形で小売料金を引き上げるような形になってきます。そして、結果、廃炉されるとすれば、積立金に対して不足する分というのは、先般ルール化されましたけれども、廃炉会計を通じて小売料金を直接的に引き上げていくという形になります。

 それから、再エネの拡大は、先ほど相澤先生のご報告からもございましたけれども、日本の再エネはまだまだ非常に高い状態にございます。確かに、私が申し上げたようにゼロ限界費用電源として卸売市場価格を引き下げる効果はありますが、FIT価格は非常に今のところは卸売市場価格よりも、いまだ高い時代が続くかなというふうに、当面は少なくとも、というふうに思われます。したがいまして、賦課金を通じて小売料金を引き上げる要因としても働きます。

 どっちのほうが大きいかといったことですけれども、例えば大分下がってきた事業者用の太陽光発電、それでも現状の卸売市場価格に比べれば10円以上高いというような状況。で、市場価格自体が10円を切ったり、ちょっと足元は高くなっておりますけれども、そういう状況ですので、卸売市場価格が若干安くなるような効果よりも、今のFIT価格と市場価格との差分10円以上というのがはるかに大きいと。これがだんだんと下がっていけば、やがては、このような状態は変わってきますけれども、少なくとも当面で言うと、FIT価格、再エネの拡大というのは小売料金を大きく引き上げていくというような要因として働いてまいります。

 以上を踏まえまして、最後の章でございます。あくまで試行実験でございますけれども、資源価格と原発比率に応じたシナリオというところをご案内を差し上げたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、CCSのような抜本的な技術革新といったものがないという前提に立っています。それから現行制度、あるいは今議論されているような制度の延長線上でという形で書かせていただいております。少し文字ばかりのスライドで大変恐縮でございますが、ちょっと丁寧にご案内を差し上げたいと思います。

 1、2、3、4というふうに順番を振っておりますけれども、それぞれ原発再稼働が大なのか、資源価格が高なのか、原発再稼働が小なのか、資源価格が低なのかというところで、2掛ける2の、ツー・バイ・ツーのシナリオになっております。

 まず1でございます。原発再稼働が大、それから政府目標程度、そして資源価格が高い、ちょうど日本でエネルギーミックスが検討される、あるいはその検討が始まったころぐらいの水準だというふうにご理解いただければと思うところでございます。そうだとするとですけれども、まず一つ目、中期的に原発比率がまず高くなっていくということは、まさに日本のエネミ、政府が言っているような形で達成されていくわけですから、太陽光、バイオマスとかってちょっとバブっている状況にありますけれども、これを、認定取り消しも含めて、だんだんと、そこまで入れなくてもいいよというふうに形に、足元になっていくんだろうなと。そうすると、再エネ全体としては規制される方向になってまいります。エネミどおりになってきますので、火力のメリットオーダー上、有意な電源というのは政府目標を大きくは上回らないのかなというふうになってきます。他方で資源価格は上がっていくというお話ですので、先ほど少し丁寧にご案内したプロジェクトIRRでお話ししたとおりですけれども、火力の増設は進展する圧力が高まってきます。特に石炭火力に関して申し上げますと、カーボン・プライシングが導入されたとして、かつCO2価格がかなり現行のイメージよりは引き上がらない限りは、卸売市場での売電というのは相当収益性が高い、建設のインセンティブが強くなるというふうにご理解いただければと思います。

 その次ですけれども、こういう状況に対して少し、私個人として思っているところを申し上げますと、現行の省エネ法あるいは高度化法、これは改正されたわけですけれども、そのもとで石炭火力の建設というのは直接的に規制することは容易ではないのかなというふうに思っております。詳細はまた後ほど申し上げますけれども、特に省エネ法で各事業者単位で見て44%の燃焼効率を達成せよといったようなことというのは、今新設を考えておられるような会社さんというのは、いわゆる電力の中でも大手、そして都市ガスの中では大手ばかりになります。したがって、LNGが相当多いところで、彼ら自身は、この基準は一般に言えばたやすく達成できます。もちろん地方電力を中心にして、達成できないというようなところになってきますので、ここを何とかしていくというようなやり方もあるのかもしれませんが、新設させておいて、既存のすごい儲かっている償却済みの石炭火力を止めるというのは、かなり無理のある話に、私には、事業者の感覚としては見えます。共同でこれは達成せよというような話も枠組みとしてありますけれども、地方電力が、例えば大手の都市ガス会社と組んで新設を止めさせる、地方電力から自らというのは、なかなかこれは想像もできません。したがって、これはあまり有効に機能するというふうには、私には、個人的な見解でありますけれども、あまりよく思えないということになります。

 それから二つ目のシナリオ、原発再稼働が小、そして資源価格が高といったところです。中期的に原発が少ない場合というのは、日本の国際社会上の立ち位置を考えたときに、パリ協定からそんなに簡単に脱退していく、そこからずれていくなんていうことはなかなかないんじゃないかなというふうに想定されます。そうだとすれば、やっぱり再エネでまず引き上げていく、補完していくというような形になっていく。そうだとすると、二つ目のポツですけれども、火力のメリットオーダー上の位置というのは結局ゼロエミッション電源、左側のところの総量はあまり変わらない、もしくは原発が動かない分を再エネが少しだけ補完するんだとすれば、むしろ火力のメリットオーダー上の立ち位置というのは左にシフトしていって、むしろ良化します。そういう中で資源価格が高いとなれば、シナリオ1よりも、もっともっと火力、特に石炭火力の建設インセンティブは強く働いてくるというような形になってきます。

 ただ、これがずっと続くとどうなっていくのかなという長期的なところ、2030年以降をイメージしたところですけれども、これも後ほどご案内を差し上げますが、分散電源に対して系統電力というのが、どのように、再エネの賦課金の上昇の効果もあり、分散電源をそのままつけたほうがよほど経済的であるというようなふうになってまいります。分散電源、特に太陽光のルーフトップPVみたいなものが浸透していく、あるいはその中でも、この委員会の中でも議論されておりますが、自動車蓄電池との組み合わせ等で自家消費が進んでいくというような世界を後押ししていく形になっていくというのがシナリオ2の長期的な姿かと想定いたします。

浅野委員長

 恐れ入ります。あと3分でお願いします。

笹俣弘志氏

 了解いたしました。

 右側に目を転じます。原発の稼働が大、資源価格が低といったところです。これは単純に1の逆になりますので、中期的には火力建設が進みにくくなります。ただ、長期的には火力の新増設が全くもって進まないと、だんだんと需給が不安定化していきますので、容量市場といったもので、ある程度は戻ってくるのかなと思います。 

 一つ留意しなければいけないのは、そういう形で少なくとも長期的には、ある程度、LNG火力も建っていくという形になって、市場の需給バランスがとれるとすると、資源価格が低、原発既存ユニットが大ですので、最も卸売市場価格は低くなるものになります。新設するには、市場価格と比べると非経済、不合理という形になっていきます。長期ビジョンの達成は原発という観点で危ぶまれるということが、ここでの示唆になります。

 最後、シナリオ4、今までの話の統合版になります。最終的な結論から申し上げますと、資源価格の低だとしても、原発比率が少ないということもあって、系統の小売料金だけが引き上がっていくことから、時間はちょっとずれるかもしれませんけれども、分散電源化、地産地消といったような形に至る機運が高まっていくシナリオと考えられます。

 今申し上げましたもの、少しポイントだけ、最後に数枚ご案内して、私からのプレゼンテーションを終わります。

 シナリオ1、2。特にこのシミュレーションですけれども、メリットオーダー分析を施したものになりますが、2016年8月時点、2基の新設というものがない、そのまた脱という前提に立ったときですけれども、CO2の削減目標に対して大きく右側にずれてしまって、0.42。特に原発下限ケースになると0.45kg/kWhというような形になってしまいます。

 それから、途中でお話ししました現行法が本当に有効に機能するかと。右上のところで書きましたけれども、石炭火力の新設を検討する大手電力、大手都市ガス会社はLNG火力比率が高いので達成は容易。一部、地方電力などに対しては共同で目標達成を促すことになるけれども、やや迂遠なアプローチな感じが拭い去れません。これが有効に機能するか、不透明感があるというふうに、私は見解として持っております。

 それから、シナリオ3のところで少しご案内を差し上げましたけれども、原発の新設に関して、卸売市場価格とぶつけたときにどうよといったところの分析になります。前提として、帯で入っているところというのがWEOの2015年、少し古い分析をちょっと持ってきておりますけれども、そのときの市場価格のシミュレーションの結果は7.1円から7.6円、2014年のコスト検証WGの中で社会費を除いたところでも、この費用よりも高い、卸売市場価格よりも高いという形になっています。

 ちなみにですけれども、太陽光が本当に7円まで下がっていく、経産省も言っている目標ですけれども、そうなったときに相当、原発というのは、新設していくとなると国民の理解を得ないとなかなか難しくなってくるのかなというのが、客観的には見てとれるかと思います。

 最後に、分散電源のお話でございますけれども、ちょっとこちらのほうは差しさわりがあって、お持ちできていませんが、一番下の帯で書かせていただいているところになります。私どもはかなり保守的な設定、原発は結構戻ってくる、それから太陽光パネルは現行延長線上でしか下がっていかない、そんなに国際価格に収斂していくなんていうような見立てを施さないという保守的な前提でも、地域ごとによって異なりますけれども、系統電力よりも3円から8円、分散電源のほうがkWh当たり安いという形に見てとれました。この価格の差というのは、シナリオを幾つか申し上げましたけれども、シナリオ3とか4、2とか4というところでもっともっと広がっていく形になっていきます。分散電源が経済合意のもとでおのずと浸透していく世界というのもあるのかなということでございます。

 すみません。少しオーバーいたしましたけれども、私からのプレゼンテーションは以上となります。

浅野委員長

 どうもありがとうございました。

 それでは、ご質問がありましたら名札をお立てください。

 それでは、荻本委員が最初にお上げになっていますので、どうぞ。

荻本委員

 市場に、卸電力市場に関して1点。足元から見ると今回の分析というのはあると思うんですが、欧米ではエネルギー市場の価格がどんどん下がっていると。それに対して、調整力の価格を見ないといけない。これが非常に大きな影響を与えるということで、ヨーロッパでは市場の再設計、アメリカはもうちょっと実務的にやっているんですが、市場を再設計していると。これが今回お話しされた視点にどういう影響を与えそうかということについて、お願いできますでしょうか。

浅野委員長

 下間委員。どうぞ。

下間委員

 失礼します。7ページの図に関して、3点ございます。

 一つは、原子力の割合が実際厳しいという見方は,専門家の方、あるいは事業者さんから見て、かなり一般的な見方なんでしょうかという質問が1点です。

 それから二つ目に、もしそうだとすれば、原子力が減った分を化石燃料ではなくて自然エネルギーでなるべく補っていくべきというふうに考えるんですけれども、そのために、分散電源とか地産地消の話もありましたが、市民や事業者の選択によって、自然エネルギーを拡大していくために有効な手だてとしてどんなことを考えられるか、ヒントがあれば教えていただきたいと思います。

 それから三つ目、細かい点ですが、水力の割合が減っているんですが、これは何か理由があるのでしょうか。割合も減っていて、量も減っていると思うんですけど、これはどういう考え方か。細かい点で恐縮ですが。

浅野委員長

 末吉委員。どうぞ。

末吉委員

 はい。ありがとうございました。私がちょっとお聞きしたいのは、今日のお話はどちらかというと国内要因ベースのシナリオに承りました。でも、私は日本の電力のマーケットに、これから海外の要因が非常に大きなインパクトを与える。例えばアジア・スーパーグリッドですよね。大陸と結ばれた途端、激変が始まると思うんですけれども、それ以前に、もう既にビジネスの中で、例えば自然エネルギーを100%使うということが、商業ルール化が始まっていると思うんですね。サプライチェーンに入るにはRE100%でないとだめだ、あるいは私はバックグラウンドが金融ですけど、金融自身もRE100%とか、貸出審査、与信審査の中にカーボン・フットプリントを反映させていこうと、そういった話が出てきますと、国内要因で日本の電力市場を考えていると、やはり日本の企業にとってみて非常にまずい日本の電力事情になってしまう。そういった点を私は非常に懸念するんですけど、その辺りはいかがでしょうか。

浅野委員長

 大塚委員、どうぞ。

大塚委員

 大変興味深い話をありがとうございました。13ページとか15ページのところで教えていただいたように、資源価格が上がると石炭火力とか収益性がむしろ上がるという話で、これはカーボン・プライシングにとっては大変いい話なんだろうと思うんですけれども、必ずしも石炭火力の発電業者さんが、このように考えているのかどうかということに対して若干疑問がございますが、その辺の違いというか、そういうふうに必ずしも考えられていないのはなぜかという辺りを、ちょっと教えていただけるとありがたいんですけれども。

浅野委員長

 それでは、まずここまでのご質問にお答えいただけますか。

笹俣弘志氏

 ありがとうございます。順番にお答えさせていただきたいと思います。幾つかちょっとご質問の意図が少しわからなかったところもあるので、確認させていただきながらという部分も一部に入りますが。

 まず一つ目、卸売市場価格のお話に対してですけれども、欧米を見ますとエネルギー市場は確かに下がっているけれども、アンシラリーサービス市場価格というのは引き上がっていて、そういう影響というのを日本に置き換えたときにはどういうふうに見ればいいのかといったところのご質問かと思います。

 私が理解している限りです、すみません、どちらかというと、コンサルタントですので、クライアントさんが実際にIPP事業をやろうと思っているような地域の知識のほうが、私はどうしても多いんですけれども、したがいまして、米国です。

 米国で言ったときにですけれども、特に自由化市場の中でアンシラリーサービス価格というのは確かにやや高くなっている傾向というのはありますが、発電会社、そこにIPPプラントをつくるといったときの収入の構造を見ますと、アンシラリーサービス市場からの注入というのは、イメージですけれども、エネルギー市場からの収入に比べますと、本当に1割とか2割とか、その程度におさまるのかなというふうに、実際の市場に対してビットしていくというところを最適化していくプログラムで計算していったら、そうなりました。

 それから、もっと大きい部分というのがエネルギー市場あるいはAS市場からの収入よりも、もっと大きな部分というのは容量市場からの収入。前提としてLNGの、すみません、ガスのコンバインドサイクルを建てるという前提に立ったプラントの収益性分析をやったときのお話です。申し訳ないのは、確かにAS市場というのは細かな調整をしなければいけなくなっているところから、若干需要が高まっている。その辺を市場価格というのは反映していると思いますけれども、そこの収入というのはそんなに大きくないということ。

 日本においてこれからどうなっていくかというところですけれども、系統規模で行けば大きいと見るのか、小さいと見るのか、これからの系統連携のあり方にもよりますけれども、その中で再エネの量が特定の地域に対してどのぐらいの比率として高まっていくのか、これによって需給調整市場、今後創設されますけれども、そこの値づけがどうなっていくのかではありますけれども、私の感覚としては、そこまで大きくならないんじゃないかなというふうに思います。

 あと、これは余談になりますけれども、今の……。

浅野委員長 

 すみません。まだあと3人ほど質問ご希望の委員がいらっしゃいますので、お答えをお急ぎください。

笹俣弘志氏

 失礼しました。

 次ですけれども、原発の比率低下、政府目標に対して、これは一般的かというご案内でございます。まず、これは私ども自身の見立てとしても幅としてやっぱり検討しておりますが、政府のミックスというのはなくはないですけれども、幅の中の上限と言わざるを得ないのかなと思っています。私自身、こういった分析を本当にユニットごとに見ておりますけれども、最小で行けば10%内外、Bloombergさんの分析というのは、その幅で言うと最少ぐらいかなと。いろんな事業者さん、電力会社さんを含め、お話しする機会は仕事柄ありますけれども、このぐらいの幅だよねと言われている20から10の間ぐらいというふうに見ていることが多いんではないかというふうに思います。

 再エネ、これが少ない場合、原発比率が少ない場合、対応して補完していくわけですけれども、どうやるというお話ですが、一番簡単なのはFIT価格の落とし方に少し手心を加えるということかなというふうに思います。これも、事業者さんの感覚に合致するものでございます。

 それから、水力が下がっているBloombergのやつという話でありますけれども、すみません、これはちょっと私自身、分析を直接やっているわけではないので、お答えしかねます。

 三つ目のご質問で、海外要因、アジア・スーパーグリッドというようなこと、それから企業にとっての低炭素化の意義といったことがご質問だったと思いますけれども、すみません、アジア・スーパーグリッドというのは、シナリオを考える上でですけれども、ほとんど私にとっては超非連続なものというふうな受け止めで考えておりました。そういう意味では、CCSと同様に、こういうことが起きれば全然また世界は変わると思いますけれども、それはちょっと考慮の対象外という上での試行実験というふうにご理解いただければと思います。

 それから、企業にとっての低炭素化の意義、これは私はすごく、日本を低炭素化に持っていくとすれば一番大きなドライバーになり得るなというふうに、個人的は思っています。すみません、簡潔に申し上げたいんですけれども、日本の一般家庭は、ドイツの一般家庭と違うところがあろうかと思います。もちろん低炭素あるいは安全がいいと言いながら、高い電力料金は嫌だというような国民性、あえて言いますとね。これに対して、企業というのはもう少しちゃんとした社会的責任を負わざるを得ない立場というふうに見られます。彼らが本当にグローバルで商売をやっていく上で、例えばRE100に代表されるような、そういう立ち位置でなければ商売できないのがグローバルでのスタンダードになっていくんだとすると、おのずと彼らの圧力によって低炭素化というのが推進されていく。そして彼らが低炭素な社会、あるいはそういう商品というのが格好いいというようなイメージ、実際にそういったものを、経済をシフトさせていくような形に持っていく可能性をはらんでいるんではないのかなというふうに、個人的な見解ですけれども、思うところであります。

 最後のご質問、石炭火力の収益性に対する見立て。これは本当に個別性があるので、今回、今ご覧いただいているスライドの中で申し上げているような形ですけれども、確かにまだ、今の価格帯でも全然儲かるじゃないかというところもあり、いろんな見立てが分かれるところではあります。そういう中で実際、特定の事業者さんは計画を撤廃するというような話にもなっているので、すみません、個別性が高いとしか、私にとっては言いようがないというところでご理解いただければと思います。

浅野委員長

 それでは、増井委員。どうぞ。

増井委員

 ありがとうございます。1点だけなんですけれども、今回いろいろ試算された内容なんですけれども、それらの前提というのは公開していただけるものなのでしょうか。

 以上です。

浅野委員長

 では、廣江委員どうぞ。

廣江委員

 ありがとうございました。3点お聞きしたいと思います。

 18ページのシナリオですけど、メカニズムはこういうことなんだろうなというふうに思います。その上で、1点目は、今、増井先生がおっしゃいましたけど、私も前提が、このときの需要がどうなっているのかというのを一つ、お聞かせいただきたいということが一つございます。

 それから、18ページのシナリオ1のところで、いろいろ記述があるわけでありますけれども、やはり私どもは供給、安定供給というところは絶対にこれは守らないといかんと思っていますけど、それを超えてどんどん金儲けするために、石炭火力をつくった以上、動かすんだということでは基本的にはないと思っていまして、こういう法律があるかどうかは別にしまして、やはりこれはしっかりと守っていくつもりがございますし、ちょっとそういう前提が違うんだろうなという感じを受けましたので、1点申し上げます。

 最後に、原子力の比率の話であります。さっきのBloombergの数字は下限値と、まさにおっしゃいました。そういうことなんだろうと思いますが、少なくとも誤解がないように申し上げておきますと、現在稼働しております5基が全部、年間を通して動きますと原子力比率は2.5%。それから現在、もう既に認可を受けて工事に入ったものを加えますと7%、もうこれは認可を受けたものであります。さらに現在、審査をまだ受けておりますが、基準地震動、もう既に了承を受けたものを加えますと10%を超えるという状況でございまして、この数字はやはり、いかにも下限値ではないかなという感想を持ちました。

 以上でございます。

浅野委員長

 では池田さん、どうぞ。

池田説明員

 興味深いご説明ありがとうございます。最後の資源価格と原発比率に応じたシナリオについて、これらのシナリオにおける電力料金の水準について、シミュレーション結果があれば教えていただきたいと思います。また、このシミュレーションは現行制度を前提としており、今後、創設することとされている「容量市場」の影響は加味されていないという理解でよいか、確認させていただきたいと思います。以上です。

浅野委員長

 それでは、ただ今のご質問にお答えください。

笹俣弘志氏

 ありがとうございます。前提の公開についてですけれども、すみません、控えさせていただければと思います。大変恐縮ながら、隠し立てというよりは、いろんなクライアントさんでの仕事を、そのまま持ってきていることはございませんが、どうしてもデータとかで若干そういった部分もはらんで、含んでいる部分もゼロとは言いがたいかなというところも少しあって、全てを公開するのはちょっと難しいなというところが、大変恐縮ながら。細かなところは、前提であるとか、そういったところにもしご興味いただけるのであれば、別途ご連絡をいただければ、ご対応させていただきます。

 二つ目のところで、需要の想定でございます。政府の想定をそのまま需要については置いています。OCCTOでもなく、特定の事業者さんが見ているようなものを足し上げたようなものでもございません。政府の想定に対してですけれども、やや感覚値としてはGDPの伸びが大き過ぎて、それから、やや感覚値としては、もちろんそうなっていけばいいんですけれども、省エネの効果が大き過ぎて、これはオフセットしていけば、政府の言っているとおりぐらいの数字になっていくのかなというような感覚で、そこに置かせていただいております。

 廣江様から……。

浅野委員長

 2番と3番はコメントということでお聞きいただければいいと思いますので、池田さんの質問にお答えください。

笹俣弘志氏

 わかりました。ありがとうございます。

 石炭火力の建設、もちろん金目だけではなく考えていますというところ、全くもってそのとおりだと思います。一つ、今回は経済性という観点で見れば、こういうふうなインセンティブが働きかねないというところでございます。コメントだけでございます。

 それから原発は、これはやっぱり下限値ではないのか、そのとおりではないかなというふうに思って……。

浅野委員長

 もうそれはさっき、お答えは必要ないと申し上げましたが。

笹俣弘志氏

 わかりました。

浅野委員長

 池田さんの質問について、お答えください。

笹俣弘志氏

 はい。

 最後、容量市場の価格、乗ってくればどういう影響があるか。ご覧いただいているスライドですけれども、この分というのは当然ながら市場価格、その分が、例えば原発なら原発の新たな収入としてなってくる分、市場価格に対しての影響はありませんけれども、例えば8.5円と7.6円の差分、マイナス分というのを、ある程度は補完していくという形になろうかと思います。簡潔に言えば、そういうことになります。

池田説明員

 その四つのシミュレーションに欠けている電力料金のシミュレーション結果、水準について、何か数字や傾向があれば教えていただきたく思います。

笹俣弘志氏

 失礼しました。電力小売料金ですね。

 直接的にシミュレーションしているわけでは、実はないので、あまり正確なところは申し上げにくいんですけれども、安いものから順番に言えば、まず下側の二つのシナリオは高目になりがち、それから左側の資源価格が高いというのは、当然ながら若干なりとも高目になりがち。したがいまして、一番高いのは2、一番安いのは3で、1と4を比べればですけれども、これは本当に原発の止まりぶりとか、その分の再エネの入りっぷりにもよります。そしてタイミングにもよりますが、今一気に再エネで原発の足りない分を補完するというような形になったとすればですけれども、4のほうが高目になっていくと思われます。

浅野委員長

 どうもありがとうございました。大変おもしろいご発表をいただきまして、私どもの参考になりました。ありがとうございます。

(拍手)

浅野委員長

 それでは、本日最後になりましたが、山田様から、低炭素社会のエネルギー・ビジョンということで、ご発表をお願いいたします。

山田光氏

 山田でございます。よろしくお願いいたします。前のお二方がかなり細かい議論をされてらっしゃったので、私はどちらかというと、ざっくりしたビジョンと長期的な話でお話しさせていただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さきに書きましたように、多分これからは今までとは違うパラダイムが入ってくると考えています。今のシステムと違ったものになるときに、今のシステムをつくっている、支えている、もろもろの制度やマーケット、法律、会計基準などもやはり見直していかなきゃいけないのではないでしょうか。今までのものをあまり引っ張っていくと、新しいパラダイムになかなか行けないのではないかなというのが、私のテーマでございます。

 今までは、エネルギー需要は続伸というのが、基本的な考え方だったと思います。OECD、先進国はやはり省エネ、再エネもありますし、皆様方お話しいただいたように燃料価格も下がってきています。これからは電力需要があまり伸びないと思いますし、政府の需要想定は少々楽観的かなと思っています。アメリカの中でも、電力需要が増える、あるいは経済が発展していると思われるテキサス州でさえも、たしか、2年前に電力需要の伸びをかなり下方修正しています。そういう意味で、経済成長しているエリアでも電力需要は成長していないというのが多分、長期的な見方なのかなと思います。

 次の点ですけれども、資源は希少、資源確保が重要な命題というストーリーは多分、今までは正しかったと思いますし、昭和の高度経済成長期では非常に重要だった。ただ、ここに来て、やはりさまざまな意味で、省エネですとか節約が浸透しています。特に日本の場合は地震がありまして、一旦、節電あるいは省エネしたときには、なかなかそれが基の需要レベルに戻らないというふうに言われております。ですから、需要はやはり戻ってこないのかな、資源は今までのような考え方とちょっと違った見方なのかなと思っています。

 今までの考え方、3点目ですが、これまでは垂直統合型で安定供給というのが命題でしたし、小売料金という意味での料金査定、行政指導がありました。市場は必要ないという考えが、私はあったかなと思います。

 地域独占、垂直統合型が安定供給に資する。いわゆる燃料を買ってきて、例えば電気をつくって需要家やお客様にお届けしますというシステムでした。非常に安定的に事業者としても収益をいただいたということですので、それが今までのシステムだった。

 あとは、大規模設備があり、高圧レベルの供給システムで長距離輸送したというところが今までの特徴だと思います。

 前提としては、各々の地域でうまく安定供給しましょう、業界もきちんとそれで自分の仕事をしましょうということだったと思います。

 多分これからどう変わるのかというと、基本的には脱化石燃料、低炭素社会へとシフトします。今申しましたように、多分エネルギー需要の伸びは低下している、伸びない、あるいはひょっとしたらマイナスになるというのが、OECD、ヨーロッパ、アメリカの傾向になっていると思います。つまり、これからのエネルギー費量は減るのかなと。

 先ほどのご議論でもありましたように、小売料金は若干上がっても、全体的な量が減れば、消費者の払うエネルギーコストというのは下がるかもしれないというところでございます。

 あとは、資源供給に関していいますと、やはり先進国ではオーバーサプライ、オーバーコミットメントになっていて、特に日本の場合はそうです。長期契約に基づく燃料を買っているところは、どうしてもオーバーサプライ、オーバーコミットメントになっていてこれが続くのかなと思います。

 その前の点ですけれども、再エネ・省エネ・資源安というところで、エネルギーの卸市場価格は低下しています。これはヨーロッパもアメリカも同じような状況になっています。その結果、欧米では電力会社さん、ガス会社さんというエネルギーを供給している企業の収益がやっぱりよくない。左から右へエネルギーをデリバリーするビジネスがなかなか成り立っていかなくなってきていると思います。

 また、再エネを中心にネットワークが主体となり、安定供給は調整力で達成というビジョンが増えてきていると思います。ですから、自由化していますヨーロッパでは、エネルギー企業が垂直分割(アンバンドリング)していまして、電気で言いますと発電会社、送電会社、配電会社、小売会社と分かれています。やはり今までの垂直統合型と違って、ネットワークの方々が安定供給の責任をもち、需給調整しています。ですから、再エネに対応したマーケットとしましても、需給調整市場が、まず重要になります。これは日本で言う前日市場や、リアルタイム市場になります。ただ、本来、市場というのは需給調整市場だけではなくて、価格のヘッジをしなければならないフォワード(先渡し)市場もあります。ですから、日本ではスポットの需給調整市場だけではなくて、フォワード市場も本当は必要なのです、両方を含む市場デザインをどうするかというのが課題でございます。いずれにしても、ネットワーク調整力で安定供給は達成することが基本的な考え方です。

 先ほどおっしゃいましたように、信頼度というのは電力システムの中で一番重要でございます。停電したときの社会的損失の経済価値(Value of Lost Load)というのが一番ダメージ大きいものですから、停電させないための工夫は必要です。ただ、その前提の上に、コスト効率化を図っていくというのが多分、今の自由化の流れだと思っております。

 そして今後は、消費生産者(プロシューマー)という言葉のように、分散型システムが広がり、電気自動車(EV)、太陽光発電(PV)、蓄電池(ストレージ)が主体になる世界が多分2040年よりも前に来るのかなと思います。今までの知見をまとめてみますと、恐らく低圧の配電網を中心とした電気のシステムがベースになり、それからプロシューマーによる取引のプラットフォームが入ってきて、そこでサービス・プロバイダーがさまざまにつながっていくビジョンが描けます。今、皆様方もご利用しているかもしれないのですが、アマゾンとか楽天のように、消費者がいくつかの取引プラットフォームを利用して、いろんなサービスを受けるという、共通プラットフォームを基盤としたビジョンを描けると思います。

 今申しましたように、これまでの規制モデルでは信頼度が一番重要です。電気の場合はためられないので、これはもう欠かせません。その次にコスト効率性という議論が入ってきて、ヨーロッパでもアメリカでも卸電力市場を自由化しました。これは市場モデルです。1番目の規制モデルでは、どちらかというとコストをかければ事業者さんは報酬率をもらえるという意味で、コストを積み上げるインセンティブが働いた。それによって、いいものをつくりましょう、いい供給体制をつくりましょうとことになった。

 ただ、次の時代で市場モデルに入ってきますと、コスト効率性を重視する考え方が入りますから、これはコストをかければいいというわけじゃなくて、やっぱり効率性、あるいは市場によってお客様が選べるメニューをつくらなきゃいけない、あるいは事業者も競争しましょうということになり、経営者の発想がかなりここでAからBへ転換しています。

 Cの世界に行くと、気候変動(クライメイトチェンジ)や環境エネルギー政策が入ってきているものですから、恐らく分散モデルに行くのかなと言われております。

 ただし、新しいシステムに移行するためには、法整備ですとか行政改革、それから経営改革が必要でございまして、と同時に市場デザインも変えなければなりません。ですから今の市場デザインである垂直統合型を2020年にアンバンドリングしますと、発販分離しないにしても、発送電を中立化する必要があります。そしてとくに送電ネットワークが広域性を高めていくことにメリットが生まれます。そのときの市場デザインというのは今と違いますし、取引ルールも変えなければなりませんし、規制も変える必要があります。自由化するということは監視体制も強化しなきゃいけない。ですから今とは違うパラダイムを2020年以降は作る必要があるのです。

 では、2030年はどうかとなると、多分Cのような分散形になるのかなということが今言われております。

 今申しましたように企業改革はヨーロッパでは少し始まっていまして、ドイツの大手エネルギー企業のE.OnとRWEがおのおの、分散ビジネスを切り分けております。2016年1月に切り分けて、9月にIPOしたE.On、それから2016年10月にIPOしたRWEは、いずれも小売、配電、再エネという安定した収益をとるビジネスを切り出し、IPOしております。恐らく、このトレンドというのはヨーロッパでは大きな流れになってきているのかなと思います。

 一つ重要なのは、この2社が分散型ビジネスを切り出したと同時に、市場ビジネスのほうの発電設備ですとか、上流投資をかなり大胆に減損した点でございます。今までの電力設備が不良資産(ストランデット・アセット)になりつつあるという話を前の講演の方もされてらっしゃったのですが、それをいつ、どういうタイミングで償却を始めるのかが重要ですし、それを大胆に実行している企業がヨーロッパでは現れています。

 もう一つ、大胆な企業がございましてエンジーです。ここは、以前のGDFスエズというフランスの国営ガス会社なんですが、ここはかなり大幅な減損計画を打ち出していますし、実行を始めています。

 今申しましたように再エネ・省エネ・資源安で、今までの発電事業者さんというのはかなりビジネス的にはよくありません。そこで、単に事業を縮小(シュリンク)するのではなくて、大胆に再エネビジネスですとか小売ビジネス、配電ビジネスに移っているわけです。同時に、今まであった投資を償却しなきゃいけない。これを早目早目にしていることが、非常に特徴的かなと思います。つまり、できるうちに減損しようということだと思います。ある意味で言うと、こういった小売、配電で得られる収入をうまく使いながら、今までの古いアセットを償却しているということが、優れた経営だと思います。

 環境エネルギー・ビジョンのキーワードはもちろん低炭素化です。今まで皆様方がお話を聞いてらっしゃるように、これは先進国のビジネスのベースになっています。ヨーロッパでは命題になっていますし、アメリカでも州によってはかなり大きな低炭素化のゴールを設けています。これから外れることは多分ないと思います。

 そうしてきますと、やはりオール電化ということになるだろうと思います。石油製品は多分かなり使われなくなってきますし、石炭もある程度、環境上かなり使われ方は変化をするだろうと。天然ガスは恐らくブリッジ・エナジーで、化石燃料の中で一番環境的に優秀なものですから、産業用と調整力で使われるのかなと考えます。また、ストレージという意味では、Power To Gasというふうに水素を使ってくるという見方があります。

 次のポイントは、コストと競争力です。先ほどお示ししましたように、垂直統合型のシステムから一度、欧米では市場型にシフトしています。市場型に入ることによってコストの考え方、需要家目線がかなり出てきます。ですから原子力も全てトゥルー・コストベースで考えなければならなくなってきています。

 あとは競争力です。競争力があることが、やはり求められる時代です。それは先ほどお示ししましたように、最初の垂直統合型のシステムとは全く違った発想になることが重要なわけです。垂直統合型では競争力というのは必要なかったわけです。コストを上手に積み上げて、事業収益をいただいた。ところが競争しますので、勝ち負けが出てきます。勝つためには、やはり自分たちのコストを下げなきゃいけない、例えば人件費を減らすなり、あるいはオフィスを、きれいなオフィスから、もうちょっと普通のオフィスに変えるという形になります。

 三つ目のキーワードは多分、分散型システムになります。これは皆様方が今まで聞いてらっしゃったように、大規模発電、大規模送電から、かなりプロシューマーが使えるものになってくる。なぜできるのかというと、それは分散型発電のコストが下がっているからです。太陽光パネルのコストも随分下がってきますし、さらに下がるだろうと。今ご議論いただきましたように、多分、日本では高いと言われる設置コストにもメスが入ってきて、さまざまな工夫がなされて、欧米並みに下がるトレンドになるだろうと考えます。逆に、下がらなければ日本の再エネ産業の競争力が落ちるわけですから、再エネも競争を介した最適化が行われるだろうと考えられます。

 先ほど申しましたように電力の低圧分野、いわゆる大規模発電や高圧送電を使わないシステムが、やはり2030年、40年には生まれてくるだろう。そのときには、やはり五つのDというふうに最近よく言われておりまが、人口減少、低炭素、自由化、分散化、デジタル化という世界に非常に近づくのかなと思います。

 このシフトにおいては、フレキシビリティのない設備、契約、ファイナンス、ビジネスというのは、やはりかなり苦しくなると思います。フレキシビリティのないというのは発電もそうです。発電機に関しましても最近は、例えば私も昨年米国メーカーの工場に行ったのですけれども、アメリカの、タービンをつくってらっしゃる方々の自慢は、例えば5%の出力から95%までに、例えば数十分で上げられる、非常に速い速度で出力の変化ができるというのが売りだと言っています。ですから発電効率が50%、60%という議論ではなくて、発電機の柔軟性が売りだというような世界になってきています。そういう意味で、まさしく再エネが入り、ダックカーブが入り、ですからピークシフトという意味ではなくて、ダックカーブの調整力をいかに安く効率的にするかが必要になってきます。多分、今までの考え方と違ったパラダイムになるのかなと思われますし、昔の設備はどうするのかが課題になるのです。例えば石炭火力を最近つくりましたが、これはいつまで稼げるんでしょうか、稼げなくなったとき、どのタイミングで償却を始めるんですかというのは非常に大きな経営判断になります。さらにそれをサポートするスキームが必要になってくると思います。

 論点としましては、やはり今まで制度としまして、環境省さんがおられて、経産省さんがおられて、エネ庁さんがおられる。全体的な、総合的な政策判断が、欧米を見ますと一元的に行われている。ご存じのようにイギリスもフランスも環境とエネルギーは同じ省庁で行政を行っております。環境エネルギー、それから経済発展、あるいは技術ですね。ですから今までの役所さんの行政の仕方やパラダイム、これも欧米型がいいとは言いませんが、参考にすることはできると思います。環境、エネルギー、産業政策、これは多分、一つの考え方に収斂する必要があるのかなと思います。今はかなり個別で、異なった行政のもとにあるのかなと感じます。

 もう一つの論点は、やはりカーボン・プライシングです。これも今言いましたように環境省さんだけの話ではなくて、エネルギー政策でもあり、経済政策、産業政策でもあり、全体的に大所高所から判断して導入していく必要があります。中長期的にはやはり天然ガスという立てつけ方、それから最終的にはオール電化というところに行くでしょうから、どのようなスキームで、どのようなステップで行くのかということを考えなきゃいけないと思います。

 長期的には、やはり非化石電源が再エネの調整力になるのかなとも予想できます。今は恐らくガス火力で調整力の役割があるのですが、それも恐らく変化していくだろうと思います。

 あと、先ほど話に出ましたデマンド・レスポンスなんですが、日本のデマンド・レスポンスの仕組みというのはかなりフランス型を入れ過ぎて、なかなかこれでは進展しないのではないでしょうか。これも制度設計の変更が必要と思っています。

 さらには、低炭素電源には、例えば送配電料金を割り引くとか、いろんな制度設計もあると思います。つまり政策目標が、環境政策、エネルギー政策、経済政策、あるいは産業政策を束ねる形でつくっていくことが大切で、今までのように、どちらかというと縦割りの政策目標では整合性が取れない部分もあります。

 また、再エネコストは下がってきています。パネルの値段も下がっていますし、風力発電の調整力も改善しています。したがいまして、原子力を含めてトゥルー・コストの議論をしなきゃいけない。

 イギリスのヒンクリー原発は、なかなかまだコストが高いという議論です。キロワット時のコストで12円~13円ですね。卸電力の市場価格は、春・秋はやっぱり3円、4円に、ヨーロッパでは下がってきています。アメリカの卸電力市場価格もやっぱり春秋で3円、4円です。12円で40年、原子力発電の電気を買わなければならないイギリス政府の難しさがあると思います。

 さらに、上流政策もそうです。化石燃料あるいは火力発電の話をすると、上流投資はどうするかという話になります。これも切り離しては議論できません。ですから、上流投資に対して、今までは資源は希少あるいは資源は大事だということで、どうしても投資しなきゃいけない、確保しなきゃいけない、日本は資源がありませんという話なんですが、それもいろんな形で長期的には考える必要があるのかなと思います。

 私が勝手に言っているのは、再エネには国防価値がるという点です。つまり再エネでは資源は輸入しなくて済むわけです。再エネは日本国内産のエネルギー資源ですから、この点にもうちょっと光を当ててもいいんじゃないかと思います。まさしくCO2フリーですし、CO2の価格の見合いで再エネのバリューは上がります。当然、原子力の価値も上がります。特に再エネの場合は小さい電源が多いので、手離れも早いです。石炭火力発電所を例えばつくりますと、ヤードの面積も非常に大規模になります。あとは灰処理ですとか、バックエンドのコストもかかります。再エネはほとんどそれがない、つまり手離れがいいということは、フレキシビリティ、柔軟性につながります。つまり、産業構造を変えていくときに変えやすいわけです。そういう意味からも、大型から小型化へというのは多分世の中の流れなので、その意味で、さまざまなフレキシビリティあるいは手離れコストを考えたときの価値というのがあると思います。

 ちょっとスライドに戻りますと、上流投資ですとか資源政策、これも多分、再エネが入ってきたときには多分シフトしなきゃいけないだろうなと。いきなりやめるわけにはいきません。当然コミットメントしています。ただ、しかし上流事業もコストカットしなければいけない。上流投資の経営効率をどんどん進めて、上流投資の、例えばLNGの上流でも、さまざまな上流投資の権益に関してコストカッターを強力に入れて推し進めなければいけない。それからエクイティを例えば転売するようなスキームにしたり、あるいは日本の例えばJBICさんが絡んでくると、かなりロングタームのコミットメントになります。これもやはりいろんな形でフレキシビリティを入れて、上流投資も設備もフレキシビリティを目がけた変化をつくっていかなければいけないのかなと思います。

 LNGに関していいますと、2022年までは日本はオーバーコミットメントです、買い過ぎているわけですね。これも転売しなきゃいけません。ですから市場もつくらなきゃいけない。買いすぎた量をいかにリスク管理するかという点に関していいますと、ファイナンシャルマーケットだけじゃ足りませんから、転売市場をつくらなきゃいけないということもあります。ですから、低炭素化に構造を変えます、あるいは再エネを登用します、重要視しますといったときには、今までの潮流を変えなきゃいけないわけですね。それを同時並行で考えていく必要があるというふうに考えております。

 あと、先ほど申しましたようにインフラ利用、これはプラットフォーム利用になりますので、高度化していきましょうと。

 それから配電網は、今までは上から下に電気を流すだけだったんですが、これをもう少し見直して、フレキシビリティのある配電網にしていかなきゃいけないので、これもちょっと工事が必要です。

 というところで、私が2年前に勝手に書いてお示ししている画なんですが、いわゆる上のほうにこういう高圧の電力プラットフォームがあります。上のほうのブルーのところのプラットフォームは今言われている卸市場のようなものです。これと、恐らく低圧の取引プラットフォーム……

浅野委員長

 恐れ入ります。あと3分ぐらいでご説明を終えてください。

山田光氏

 取引プラットフォームがあって、恐らく小さい発電リソースですとかデマンド・レスポンス、ストレージ、あとは料金プランですね、これを全体的に取引、いわゆる低圧取引でもって最適化しましょうというプラットフォームが求められてくると思います。これは恐らく2030年、40年の間にはできるかなと思っていますので、日本がやらなければ多分ほかの、例えばアメリカの事業者さん、恐らく今アメリカでいいますと重電メーカーさんがやるだろうと思います。ヨーロッパの重電メーカーさんがかなりメジャーでして、例えばABB、シーメンス、アルストムといった3社の重電会社さんが世界で上のブルーのプラットフォームをつくって運用しています。彼らが欧米を席巻しているわけです。ですから日本は恐らく、下のほうの低圧の取引プラットフォームをいち早く開発して競争力を高め、上のほうで負けた分を取り返したいと、私は思っています。

 政策イシューにつきましては、今申しましたように多分ゼロベースでの検討が必要なのかなと。今までの仕組みがあるからこうだとかではなくて、これは多分、ガラガラポンしながら、ゼロベースで検討したほうがいいんではないのかなと。それから低圧ベースでの市場機能拡大ですね。先ほど言いましたようにEVを含めた配電技術の高度化、あるいはサービス・プロバイダーをどうやって入れていくのかといったような開発研究が必要です。

 あとは、オーバーコミットした上流投資、燃料契約ですね。これをいかに市場機能を使ってこなしていくかということだと思います。当然、アジアのLNG市場への輸出も必要です。

 その意味でいいますと、産業政策、エネルギー政策、環境政策を統合するですとか、補助金から炭素税で産業交代しなきゃいけないとか、保護政策から競争政策にということで、多分パラダイムをかなり変えなきゃいけないのかなと。逆に言うと、エネルギー業界が普通の業界になっていくということだと思います。安定供給はもちろんマストです、その上にこれらのシフトを、という話でございます。

 最後のご提言ですけれども、やはりある意味で事業者さん主体、あるいは消費者団体さん主体の考え方も良いのですけれども、やはり中立的なシンクタンクがビジョンを作成すべきかなと。それを環境、エネルギー、産業政策を総合的に行う行政機関がビジョンを選択して決定していくと。さらに言いますと、オールジャパンだけではなくて、やはり海外の有識者、経験者を入れながら、このビジョンをつくり判断していくことが必要になろうかなというふうに思っております。

 以上でございます。よろしくお願いします。

浅野委員長

 どうもありがとうございました。

 それではただいまのご発表に対して、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

 それでは、諸富委員からどうぞ。

諸富委員

 大変興味深いお話ありがとうございました。最後の辺りですね、8ページ目の図をご提示いただきましたけれども、こちらの部分ですね。2001年に発送電分離後の送配電会社のところに当たると思うんですけれども、特に配電と送電が分けられていて、今、送配電会社ということになるんだと思うんですけれども、配電の部分が切り離されてプラットフォーム化されていく、ちょっと具体的なイメージがまだ沸きにくいんですけれども、このような、山田さんが想定されているような絵が実現するためには、どういう法制度やルール化が必要なのかという点、お教えください。

浅野委員長

 では、増井委員どうぞ。

増井委員

 どうもありがとうございます。1点だけなんですけれども。ここではビジョンというところから、さらにロードマップを検討しているわけなんですけれども、今回ご説明いただいたのは、どちらかというとビジョンの話なんですが、こういうビジョンを達成するためにロードマップ、実際に過渡期において、どういうことをしないといけないのか、そういうこともご検討されているんでしょうか。

 以上です。

浅野委員長

 それでは、廣江委員どうぞ。

廣江委員

 手短に3点。1点が質問で、2点が感想を申し上げます。

 まず質問でございます、需要でございます。エネルギー需要減少、低下というふうに書いていらっしゃいます。多分エネルギーと書いてらっしゃるのは電力のことをおっしゃっておられると思います。一方で、オール電化という言葉もありますが、例えば環境省さんの2050年のビジョンでも電化率を上げるということから実は需要は増えるということになっていますし、IEAなんかでもそういう想定をしております。足元の実績も、実は4年ほどずっとエリア需要は下がってきたんですが、昨年の後半から今年にかけまして対前年プラスを続けていると。我々はこれで単に、単純に下げ止まったと見るのは早計かもわかりませんが、やはり一方的に下がっていくということではないんじゃないかと考えていますが、この辺りをどう考えていらっしゃるかというのが質問になります。

 あと2点、感想であります。

 一つは政策の統合という話がありました。現在のエネルギー基本計画あるいはエネルギーミックスといいますのは、もちろん経済産業省が中心になってつくっていますが、さまざまな省庁が関与されて、単に安定供給とかコストだけではなしに、CO2も含めて総合的に考えようという結果が出ておりますので、統合されていないというわけではないのではないかなと。さらに申しますと、トゥルー・コストという言葉がありました、反対側はフェイク・コストかもしれませんが、実はエネルギーミックスのときにも政府の委員会の中でいろんな立場の方が参加されて、もちろん全てが同じ思いであったかどうかというのは若干の議論がありますが、一応は統一的なコストについての見解ができているということはあると思いますので、ちょっとこういう言い方はどうかなという感じがいたします。

 三つ目でございます。今後は垂直統合型からむしろネットワーク、調整力で達成だと。まさにそういうことだと思います。今の電力システム改革もそういう考え方をとられています。基本的には小売事業者さんが自らの事業に対して責任を持って供給力を確保する。ただし最後は、送配電事業者が何かあったときには確保するんですよという、そういう考え方です。

 ところが、残念ながら、今の小売業者さんは400社ぐらいありまして、そのうちの200社が事業をしていらっしゃいますが、ほとんどというのは言い過ぎですが、かなりの部分で実は先ほど来から出ています卸電力取引所から調達する、自ら電源を確保することを、いわばしていらっしゃらない。卸電力取引所に出てくる電源は何かといいますと、実は旧一般電気事業者が持っていた電源というケースが多いんですが。

 ということもありまして、本当に10年先、20年先は大丈夫かという議論は一方ではあります。これが先ほど来から出ている容量市場という話につながるんですが、いずれにしましても、そう簡単に楽観的にネットワークでうまくいくんですよねということではないのではないかなという懸念がございます。

 最後に、いろんな、今日ご指摘がありましたので、ぜひ後ほどまた改めて書面等々でも質問等させていただきたいと思いますので、お許しを賜りたいと思います。

 以上でございます。

浅野委員長

 池田さん、どうぞ。

池田説明員

 1点目として、雑ぱくな質問で恐縮ですが、9ページに「ゼロベースでの検討、既存の産業設備のしがらみから離れた議論」とあります。エネルギー産業は基本的に設備産業であって、多大な投資が必要です。高度経済成長期ならまだしも、我が国がこういう状況にある今、ゼロベースでの議論が果たして現実的なのか、投資資金をどのように呼び込むのか、コストをどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

 2点目として、再エネは今FIT賦課金があって初めて成り立っていますが、再エネの自立シナリオについて、どのように考えているのかもお伺いしたいと思います。

 最後に、「産業政策、エネルギー政策、環境政策の統合」という考え方には基本的に賛同したいのですが、「環境エネルギー政策が産業政策を兼ねる」ことで本当にうまく回るのかと思いました。我が国で国民が豊かな生活を継続していくために、日本は何で稼いでいくのかと。今後の日本の産業構造のあり方、特にものづくり産業についてのあり方について、先生のお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

 以上です。

浅野委員長

 あと3人、まとめて質問を差し上げますので。

 末吉委員、どうぞ。

末吉委員

 どうも大変興味深いお話ありがとうございました。1点、やや会計処理についてのコメント、質問です。

 先ほどE.OnとRWEの会社分割の話が出ました。私は従来から非常に関心を持っておりまして、こういった大胆な会社分割ができる、そういうことを断行できるドイツの経営者、CEOを非常にうらやましく思っております。その彼らが言うには、お話がありました古い設備等の減損処理をちゃんとやるべきであると。ちゃんと会計制度で許されているんだから、なぜ日本の経営者はそれを利用しない、活用しないのかというコメントです。

 それから2番目に、9ページにストランデド・アセットの償却スキームの構築が必要だと。これも大変に私は重要な話だと思っております。こういったことを考えますと、先ほどおっしゃっていた環境エネルギー政策と産業政策の統合だけではなくて、企業会計原則も含む金融政策、広い意味での金融政策も統合的に、エネルギー問題を解決する上での日本の政策に立てるべきだと私は思っております。これは海外では非常にそういう例が出ておりますよね、フランスにしかり、それから中国にしかりであります。ですから、こういったような政策の統合をどうしていくのか、こういったことを日本の中で進めていくにはどうすればいいんでしょうかという、いつもある単純な質問でございます。

浅野委員長

 加藤委員、どうぞ。

加藤委員

 私も同じ5ページなんですけれども、今、半分、末吉様のほうからご回答いただいたような気がするんですが。これだけ欧米の企業、エネルギー企業が大胆な政策の変更、戦略の変更を行っている、痛みを伴う変更を行っていると思うんですけれども、真意、本当のところの真意は何なのかというところをお聞かせ願えればと。

浅野委員長

 荻本委員、どうぞ。

 はい。荻本です。

 質問は、ごめんなさい、今日の全体の流れは本当にそのとおりだと思います。低圧の部分、先ほどまで上がってきたところ、今海外では非常に話題になっていて、実は日本は遅れている、このままだと手遅れです。ただ、その中で重要なのはEV、バッテリー、それからちょっと長期で見たときの水素、これが電化と調整力と大量貯蔵、この三つの視点から見て、どのように今お考えかということをお教えいただければ。

浅野委員長

 それでは、以上のご質問がございましたので、お答えいただけますでしょうか。

山田光氏

 すみません。順番がばらばらにお答えするかもしれないのですけれども。

浅野委員長

 結構でございます。

山田光氏

 欧米では高圧送電と低圧配電のグリッド系統の運用者、つまり送電事業者と配電事業者に分かれております。日本は電力システム改革のときに、私は経産省さんに配電会社さんと送電会社を分けてくださいと言ったのですが、一緒になったというところでございます。実は低圧のほうの配電会社さんをやはり分離して、配電の営業をしなければならなくなったときに、スマートグリッドとか、スマートシティといったプロジェクトに協力することになると思います。ですから、2020年に正しいアンバンドリングをした、あるいは送電会社や配電会社が中立化した後には、再エネの進展は進むだろうと思っています。そこでEVは動くバッテリーですから、これが恐らくかなり有用視されてきて、配電ネットワークの調整力になっていくのかなと思います。

 企業での経営改革につきましては、これはやはり株主からの突き上げが随分あると思います。今まで、いわゆるユーティリティ株式投資というのは非常に安定収益をもたらしました。ローリスク、ローリターンだったわけです。ところが市場を自由化しますと、やっぱりハイリスク、ハイリターンになるわけです。つまり、今まで伝統的なユーティリティの経営はリスクがなかったのですが、さまざまな意味でリスクが発生したわけです。ヨーロッパでも発電所をつくればいいという話があったのですが、発電所をつくっても、やはり燃料価格がうんと下がってきて、卸市場価格が下がったときに、新しい発電所でも回らなくなったのです。つまり経営として、やはり市場がどうなっていくのか、あるいは再エネの価格が下がるのか、あるいは再エネの浸透がどういうふうに市場価格に影響をもたらすのかという、やはり経営判断、市場の読みが重要です。この点について欧州の主要なエネルギー企業のE.OnやRWEも失敗したと認めていますし、フランスのGDFスエズもそう言っています。つまり、俺たちは過去にあまりそういう経営をしていなかったから失敗したんだということでして、これはある意味で言うと、エネルギー事業者さんにとっては大きなチャレンジになるわけです。相場観を読まなきゃいけない、マーケットがどうなるか読まなきゃいけない。ただ、それにあまり慣れていなかった方々が、こういうふうになったということだと思います。

 そしてこれからは配電プラットフォームの実現、法整備、ルールの整備が重要ですね、これは恐らく地道にやらなきゃいけない部分があります。日本は10社の電力会社さんがあって、つまり10社の配電部門があるんですけれども、恐らくおのおのの、彼らのルールだとかスタンダードが異なっていると思います。例えばAという電力会社さんの配電部門と、Bの電力会社の配電部門が、例えば川を隔てていれば、同じ配電工事ができない可能性があります。つまり配電のスペックだとか作業工程が多分10とおりあるのですね。これも変えていかなければなりませんし、スタンダードにしなければなりません。いわゆる配電事業の標準化が多分、低圧プラットフォーム構築の初めの一歩かもしれません。

 それとともに、やはり変電設備をどうやってうまく使うのか、逆潮流はいいのか悪いのか、全体的なモニタリング&コントロール、あとはデータをどういうふうにとっていくのかが重要です。配電会社さんの中でもデータをうまくとれているところと、とれていないところがあると聞いていますので、データの取り扱いをもう少し細かくやっていく必要があると感じます。

 この将来の低圧を中心にしたビジョンに行くためには、ロードマップを書かなければなりません。ですから、この図は一応、ロードマップの一断面のようなものであります。欄外に書きました、Peer to Peerというのは非常に最近はやっています。Peer to Peerができてきますと、タクシー会社さんは要らなくなりますね。ですから、アマゾンさんも個人の人に運んでもらうという話になるので。ですから、多分2040年になると電力会社とかガス会社、そういった概念がなくなるのかもしれないと思います。ですから、取引プラットフォームがあり、低圧のネットワークがあり、そこにサービス・プロバイダーがつながっていると、そういう絵になります。

 また、先ほどご指摘いただきました需要が下がるというのは、多分ここ2、3年、5年はアップ&ダウンがあると思います。ただ、いろんな技術改革、技術革新で、例えば車が自動運転になりますと、かなり自動車産業が変化します。EVでも変化します。ですから、全体的な物の生産量はかなり下がると思います。家庭は、そんなに下がらないけど、ただ産業用の電力需要あるいはエネルギー量は減ると思います。ですから、2030年、40年断面で言うと、大幅に今までと生活の仕組みが変わると思います。例えば車を所有する人が多分減ります。例えばアメリカでも家に3台持っている車を1台でうまく使えるようになると、全体的な自動車産業がシュリンクします。それはOECDや先進国でそうなると思いますので、その意味からも、長期的には需要が下がるという想定をしています。

 ゼロベースでどうやるのか、これは非常に難しい問題ですが、先ほど委員の方がおっしゃったように、会計基準の部分も非常に大きな役割を果たします。ですから、産業政策、金融政策(減損も含めて)、あとは有価証券報告書の記載のしかたも変化することになります。経営のやり方の開示にしても、例えば今の電力会社さん、これからの発電事業者さんは、例えば先物・先渡し市場でどのぐらいヘッジしているかが安定収入につながるわけです。JEPXというスポット市場は、日ばかりで買ったり売ったりするところです。それだけに頼れば収益がどのぐらい不安定かということは、欧米ではわかっているわけです。ですから、先物市場、先渡し市場が必要になります。それから金融マーケットとの連携も非常に重要です。ですから、企業経営としても市場設計がどのようになるか、というのが非常に重要になるので、市場設計に参加しなければなりません。マーケットデザインというものがこれからの低炭素ロードマップに反映してくるのです。

 あとは、環境エネルギー政策と産業政策が一体運用できるのか、ですが私はできると思います。先ほど言いましたように、上のブルーのプラットフォームはヨーロッパの重電メーカーにとられてしまいました。下のグリーンは日本でぜひ頑張って競争的な産業に育てたいと思いますし、これがつくれれば世界で勝てます。これはまだまだヨーロッパの中でも試行錯誤していますし、日本の技術力とアイデアとコスト競争力をつければ、これは期待したいというふうに思っております。

 大体そのぐらいでございましょうか。

浅野委員長

 池田さんからのご質問がありましたね。

池田説明員

 先ほど、先生より「日本がシュリンクしていく」というお話がありましたが、私どもとしては、政策として、豊かな生活を築く努力をしていく必要があると考えています。先生は、環境エネルギー政策と産業政策との統合といったときに、どのような日本の産業構造をお考えなのか、特に製造業、ものづくり産業をどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

山田光氏

 すみません。高齢化も非常に効いていますので、マニュファクチャーというか、いわゆる熟練技術者(スキルドレイバー)の方は欧米でも退職してしまうので、それをAIですとかプラットフォームが置き換えていくということで、使いやすい世界に入っていくのかなと思います。熟練した人たちが活躍する世界ではなくて、皆さんが平均的に使いやすい、非常に安心安全の高いエネルギー供給システムを担保するのが配電プラットフォームであり、同時に取引プラットフォームもきちんと安心安全が担保されると、将来の低炭素の世界につながると思っています。

 ただ、モノに対する欲求というのが多分減ってきて、我々の世代の子どもたちというのは、物はあまり要らないんですね。モノから、コトへの産業転換になるのかなというところなので、ものづくりには大変申し訳ないんですが、やっぱり趣味の世界ですとか、健康ですとか、モノからコトへのシフトが産業構造の変化に大きく反映すると思います。

浅野委員長

 どうもありがとうございました。山田さんのお話、最初にもありましたように長期的なビジョンをもって、先のことを考えての報告をするとおっしゃいましたので、その辺りで少し、かみ合わない部分があったのかもしれませんね。どうもご発表ありがとうございました。

(拍手)

浅野委員長

 それでは、本日のヒアリングは以上で終了とさせていただきます。

 事務局から、何かご報告がありましたら、どうぞお願いいたします。

木野低炭素社会推進室長

 ありがとうございます。改めまして、発表者の皆様におかれてはご説明、また委員の皆様におかれましては活発なご議論ありがとうございました。

 次回でございますけれども、引き続き、関係者の皆様へのヒアリングを実施する予定であります。日程及び対象者等の詳細につきましては、現在調整中でございますので、決まり次第、またご連絡を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。

浅野委員長

 それでは、次回については、また追ってご連絡するということでございますので、どうぞ皆さんよろしくお願いいたします。

 ほかに特にございませんようでしたら、本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。

午後 0時25分 閉会

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