長期低炭素ビジョン小委員会(第11回) 議事録

日時

平成29年1月19日(火)13時00分~15時30分

場所

全国都市会館 大ホール
東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館2階

議事録

午後1時00分 開会

○低炭素社会推進室長
定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会長期低炭素ビジョン小委員会の第11回会合を開始いたします。
本日は、ご到着が遅れている委員もいらっしゃいますが、委員総数18名中16名の委員にご出席いただく予定であり、定足数に達しております。
また、既に地球環境部会長決定とされております本委員会の運営方針において、原則として会議は公開とされていることから、本日の審議は公開としております。
初めに、山本環境大臣よりご挨拶申し上げます。

○山本環境大臣
環境大臣の山本公一でございます。本日はお忙しい中、お集まりをいただきましたことに御礼を申し上げたいと存じます。
本委員会では昨年来、精力的にヒアリング等を実施していただきましたが、本日からビジョンの取りまとめに向けた議論と相なります。開会に当たり、一言ご挨拶を申し上げたいと存じます。
パリ協定のもと、世界が脱炭素社会の構築に向けて、既に走り出しておりますことは、ここにお集まりの第一線の皆様はご承知のことと思います。今や国際社会においては国や地方公共団体といった公的部門のみならず、ビジネス、金融、市民社会等、さまざまな主体が加速度的に長期大幅削減に向けた取組を進めております。脱炭素社会に向けた世界の潮流は、もはや後戻りすることはありません。この潮流に乗り遅れることは、我が国の将来の国益を損なうことにつながりかねません。
我が国が世界に先駆けて大幅な削減を実現することで、国際社会をリードし、世界全体の排出削減に貢献することは環境先進国としての責務であります。そして気候変動対策をきっかけとし、経済成長、地方創生、国際社会における対応といった我が国の抱える経済的、社会的課題を同時に解決するという意欲的な視点を持つことが重要であります。
我が国は、2050年に80%削減を目指しています。この大幅削減に挑み、大がかりな社会変革を実現するには、経済・社会システム、技術、ライフスタイルのイノベーションを創出していくこと、そのために既存の技術や知見を最大限活用することに加え、カーボンプライシングなどの施策を効果的に取り入れていくことが必要であります。
パリ協定は各国に長期戦略の作成提出を求めております。この長期戦略は温室効果ガス削減のためだけのものではないと私は考えております。我が国の未来の発展戦略そのものであると考えております。未来への責任を果たす長期戦略につながるよう、委員の皆様には意欲的・積極的なご議論をいただきますことをお願い申し上げます。
ありがとうございました。

○低炭素社会推進室長
山本大臣は、次の公務があるため、中座させていただきます。

○山本環境大臣
どうぞよろしくお願いいたします。

(大臣中座)

○低炭素社会推進室長
では、以降の議事進行は浅野委員長にお願いいたします。

○浅野委員長
それでは、議事を進めさせていただきます。
まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

○低炭素社会推進室長
では、配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第がございます。その次に配付資料の一覧がございます。資料1としまして、名簿がございます。資料2としまして、長期大幅削減・脱炭素化に向けた基本的考え方がございます。資料3として長期大幅削減の絵姿がございます。資料4-1として、長期大幅削減の実現に向けた政策の方向性がございます。資料4-2としまして、カーボンプライシングについてがございます。
参考資料1としまして、これまでのヒアリング等における意見のまとめ、全体像がございます。参考資料2としまして、地方ヒアリングの開催結果についてがございます。また、委員の方の机上には、委員からのご意見というので、手塚委員、根本委員、廣江委員からいただいたご意見がございます。
資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。カメラはここで退席をお願いします。

○浅野委員長
それではよろしゅうございましょうか。
では議事に入ります前に、前回第10回長期低炭素ビジョン小委員会の資料に関しまして、後に追加でいただきました委員からのご意見とその対応、さらに、1月12日と13日に岡山市と名古屋市において実施をいたしました本小委員会の地方ヒアリングの結果の概要などを、事務局から報告いただきます。

○低炭素社会推進室長
前回小委員会の資料に関し、後日追加でいただいたご意見を委員の皆様の机上に配付してございます。資料番号は付さずに、委員からのご意見として手塚委員、根本委員、廣江委員からいただいたものを一つのホチキスでとじております。
このご意見に関しまして、参考1のとおりヒアリングの結果まとめについて、反映できるものは反映しております。修正箇所がわかるように赤で書いております。委員の皆様には修正箇所がわかる形で配付させていただいております。ホームページのほうには修正後の資料というのを掲載しております。また、前回資料の3及び4につきましては、今後スライドを使用する際の参考とさせていただきますことをご報告申し上げます。また、昨年12月21日には、地球環境部会のほうでヒアリング概要をご報告し、委員の皆様からご意見をいただいたところです。大変恐縮ですが、現在委員の皆様に議事録を確認いただいているところです。次回には参考資料としてご用意させていただきます。
また、先週1月12日、13日で地方ヒアリングを実施しております。参考資料2をご覧ください。それぞれ表と裏になっておりますけれども、下のところに記載した委員、説明員の皆様にご出席をいただいたところでございます。進め方としましては両日とも浅野委員長に基調講演をいただき、資料のとおり自治体の取組についてヒアリングをいたしました。自治体の取組につきましては、本日の資料2の参考としてつけておりますので、後ほどご紹介させていただきます。
また、名古屋会場では高村委員にもご講演いただきました。各会場において傍聴にいらした皆様からもご意見、ご質問をいただいております。地方ヒアリングにつきましても、取りまとめに向けた参考とさせていただければと考えてございます。
事務局からのご報告は、以上です。

○浅野委員長
地方のヒアリングにご参加くださいました委員の先生方には、大変お忙しい中、ご協力いただきましたことを、心からお礼を申し上げたいと存じます。
それでは議事に入りたいと思いますが、本日冒頭に山本環境大臣からもご挨拶をいただきましたけれども、この小委員会の役割ということでございましょうか。パリ協定で求められている締約国としての長期の戦略そのものの案をつくるということは、まだ政府の中でどのように策定するのかということが、はっきり決まっていないようでありまして、この小委員会のとりまとめがそのまま我が国の戦略案であるというようには理解をしないでいただきたいと思います。むしろ政府が行う長期の戦略の策定のための指針として、パリ協定の趣旨を踏まえながら、この国のあり方としてはどのようなビジョンを持つべきかということを、中央環境審議会の立場でまとめ提言すると、このようなことになろうかと思います。
幸いにも中央環境審議会はいろんな立場の方にメンバーに加わっていただけるという構成になっておりまして、むろん、環境政策の見地から考えることを役割にするところではありますが、これまでの京都議定書に関連するさまざまな提案についても、バランスのとれた提案をしてまいったと思っておりますので、私はその線は今後とも維持すべきだと考えております。
なお、ここでビジョンを考えるときに、やはり留意すべきことがあるだろうと思っております。それは、現在、政府が決めております地球温暖化対策計画の中で、2050年の目指すところということが記されていますけれども、これを実現するのはこれまでの取組の延長ではとても困難である。抜本的な考え方を示していかない限り駄目だろうということが書かれておりまして、従来型の議論の積み上げの中で答えを出そうということには限界があると既に政府は言っておりますから、この委員会としても政府の既に考えておられることをふまえつつ、大胆に考え方をまとめていくことが必要だろうと思います。どうぞこのような趣旨を踏まえながら、今後のとりまとめにむけたご議論をお願いしたいと思います。
本日は三つの議題になっております。これは事の性質上三つに分けたということでございますけれども、ご議論を賜るときにこういうふうにして議論をしたほうがいいだろうと考えて整理をしたものでございますので、一つ一つについて事務局の出した資料についての説明を聞いた後に、意見交換をしたいと思います。
前回は自由に皆様方にご発言をいただくために、ともかく全員にご発言ということでございましたが、今日は2時間半の時間の配分の中でも、かなり時間がタイトだろうと思いますから、最初にご発言ご希望の方を募りますので、募った方についてのご発言をいただくことを中心に進めてまいりたいと思います。
それでは議事1、大幅削減・脱炭素化に向けた基本的な考え方ということで、事務局がつくっております資料についての説明をいただきます。

○低炭素社会推進室長
資料2について、説明させていただきます。
資料2、めくっていただきますと、ご議論いただきたい論点というのがございます。脱炭素社会を見据えた気候変動問題に取り組むに当たって、この資料については、こういう点でご議論いただきたいと考えております。
まず一つは、どういう「理念」を持つべきかということでございます。その時間軸としてどう考えるべきか。その理念を踏まえてどのようなビジョンを持つべきかというような観点でご議論いただければと思っております。ただし、そのビジョンのほうにつきましては、この資料2に基づくご議論では大きな総論的な観点からのビジョンについてのご議論をお願いしたいと思っております。それぞれの絵姿としてのビジョンにつきましては、この次の資料3のほうでご議論いただければと考えております。
資料の3ページ、見ていただきますと、取組の方向性、これまでに気候変動関係であった閣議決定等をまとめております。【日本再興戦略】などでは、環境問題と経済成長の関係を説き起こしておりますし、また【まち・ひと・しごと創生総合戦略】などでは、地域と環境との関係について記載しております。また、【国家安全保障戦略】などでは、安全保障と気候変動等々の関係についてこれまでも記載をしておったというものでございます。4ページにつきましては、【地球温暖化対策計画】について、どういうふうに書かれているかということを記載してございます。
また5ページにつきましては、環境政策の基本的考え方ということでございまして、第三次環境基本計画から第四次環境基本計画に向けても、環境・経済・社会の統合的向上を図ることが持続的な社会を築くために必要だといったようなことですとか、低炭素の政策と循環の政策、自然共生政策の各分野を統合的に達成すべきことの重要性を基本的な考え方として書いているところでございます。
また6ページのほうでは、これまでもご覧いただいたものですけれども、パリ協定についての記載がございます。例えば気候に関する強靭性を高めるといったようなことについても記載をしておるところでございます。
7ページでございます。取組の方向性として、(脱炭素社会に向けて)と書いてございますけれども、これは我が国の温室効果ガスの排出量の推移と、それぞれの年での目標値というのを書いておりますけれども、それぞれ目標としては2020年とか2030年ということで、ピンポイントとして置いておりますけれども、問題としましては、この累積の排出量というものが問題になってきますので、それぞれの年に出した、その下に色を塗っている部分の積分値を、できるだけ小さくしていくということが必要だということを記載してございます。
資料8ページ、9ページにつきましては、これもこれまでもご紹介したものでございますけれども、昨年の2月にまとめました、気候変動長期戦略懇談会の提言について、記載をしております。
めくっていただきまして、10ページでございますけれども、カーボンバジェットについて記載をしております。気温の上昇を66%以上の確率で2℃に抑えるには、2011年以降の人為起源の累積CO2排出量を1兆トンに抑える必要があるということでございまして、下の左の図で書いてございますように、CO2の排出量と気温の変化というもののグラフになっておりまして、上のほうに矢印を加えておりますけれども、2℃目標達成のためには排出量を約3兆トンに抑えることが必要でございまして、既に約2兆トンを排出しているという状況でございます。ちなみに世界のエネルギー起源のCO2排出量、2014年現在では322億トン排出しているということでございます。
また、時間軸の観点では、11ページでございますけれども、ロックインというのがございます。インフラものなど、温室効果ガス排出するようなものにつきまして、一度整理されると排出量が高止まり(ロックイン)するということでございまして、その影響は長期にわたって生じるということでございます。資料としましては都市構造が及ぼす影響ですとか、発電についての参考資料を載せております。
めくっていただきまして12ページ目でございますけれども、取組を進めていくにも、新しい技術などが普及するには一定の時間が必要だということで、普及を後押しする施策によって普及が加速した事例があるというようなことを記載しております。
また13ページでございますけれども、環境政策の原則としまして、予防的な取組方法に基づくべきというようなことが、これまでも環境基本計画などでも書かれておりますので、それを引用しております。
次のページ、14ページでございますけれども、世界の動向としまして、パリ協定を踏まえまして世界各国、自治体、企業、市民社会の動向というのをざっと記載しております。
15ページでございますけれども、脱炭素化による経済成長としまして、需要面では「約束された市場」というようなことが言われておるところでございます。経済財政白書等でも、失われた20年の原因の一つは、慢性的な需要不足であるとか、企業が現預金を積み増している理由として、「使い道がない」といった消極的な理由も考えられるといったようなことが書かれております。
その矢印の下のほうの二つ目のポツですけれども、IEAによれば、2℃シナリオにおいて電力部門を脱炭素化するためには、2016年~2050年までに約9兆USドルかかるといったようなことも言われておりまして、これを市場マーケットとして見ていくということではなかろうかと考えております。
また16ページ目でございますけれども、経済成長のために「量から質へ」の転換というのが考えられるかというふうに考えております。上の左のほうで、労働投入量分のGDP付加価値というのが書いておりますけれども、労働投入量が我が国、これから人口減少等で抑えられるということになろうかと思いますけれども、そうした中で付加価値を増していくためには、付加価値生産性というのを上げていかないといけないのではないか。
また右側にいきまして、炭素投入量、これも炭素が出せない状況になっていく中で、GDP付加価値というのを上げていくには、炭素生産性というのを上げていかないといけないのではないかということで、いずれも高付加価値化によって量ではなく質で稼ぐというような方向を目指すということではなかろうかと考えておりまして、右側のほうでは昨年1月の総理の施政方針演説を抜いておりますけれども、そういったようなことも言われております。
17ページ目は、その中で付加価値生産性についてもう少し詳しく記載したものでございます。
めくっていただきまして18ページ目でございますけれども、こちら炭素生産性についてもう少し詳しく書いたものでございまして、カーボンバジェットを表す絵なども記載しているところでございます。
19ページ目でございますけれども、そういった課題、経済的な課題解決の方向性と、パリ協定に向けた炭素生産性を上げていくというような取組について、非常に親和性があるのではないかということで、まとめて記載をしておるところでございます。
めくっていただきまして20ページでございますけれども、一方我が国、先進諸国と比べてどういう状況にあるかというのをグラフで示しておりますけれども、左側が二次産業の炭素生産性の推移、右側が二次産業以外の炭素生産性の推移というのを記載しております。90年代半ばから2010年代にかけて記載しておりますけれども、世界的には順位を下げているというような状況がございます。
21ページ目でございますけれども、労働生産性と炭素生産性との関係につきまして、記載をしているものでございます。左側のグラフ、1990年の段階ですけれども、こちらの段階では相関は確認できないというふうに考えますけれども、右側の2014年については労働生産性が高い国は炭素生産性が高いという現象が観察されるのではないかと考えております。
めくっていただきまして22ページ目でございますけれども、これはそれぞれの自治体において、エネルギー代金としての収支を見ておるものでございます。赤色で書いているのが地域内総生産に対するエネルギー代金の収支の比率で、赤字額が10%以上のところを赤で、赤字額が5~10%のところをオレンジでというふうに記載しております。全国の自治体のうち95%の収支が赤字だというような状況になっております。ちなみに我が国全体では左のほうの四角に書いておりますけれども、2013年で約27兆円が海外に流出しているというようなことを記載しております。
また次のページ、23ページ目では、地域構造のコンパクト化について記載をしておりまして、地域構造をコンパクト化することが、温室効果ガス排出量の削減に寄与しているということを記載しておりまして、左の図ではヒアリングでもおいでいただいた森本先生、それから右のグラフでは谷口委員からも論文をいただきまして、記載をしております。
めくっていただきまして24ページ目でございますけれども、世界全体の排出削減ということで、我が国のすぐれた環境技術を積極的に海外展開することは、世界全体での温室効果ガスの削減につながる可能性というのを記載しておりまして、国内で大幅削減を達成して、それによって蓄積した技術・ノウハウ・制度等を長期に海外に貢献するというようなことが可能になるのではないかということを記載しております。
また25ページ目は、気候安全保障でございまして、気候変動が世界に既に存在する脅威を増幅させるということで、各国の安全保障の中での気候変動の捉え方を記載しているものでございます。
めくっていただきまして26ページ目以降は、参考資料でございまして、今説明したようなことに関連するような図、数字データ等々を載せておるところでございますけれども、少し地域の取組について見ていただこうと思いますので、44ページ目をご覧いただけますでしょうか。44ページ目は水俣市の例でございまして、地域内総生産の約8%がエネルギー代金の支払いに資金が流出しているというようなものを記載しております。そういうものを受けて水俣市では45ページ目でございますけれども、再生可能エネルギーとか、環境金融とか、低炭素型の観光等を進めているというようなものを記載しております。
まためくっていただきまして46ページ目では、兵庫県豊岡市の例でございますけれども、付加価値を増加させることで、どういうふうに変わってきたかというようなことを記載しております。
また少しめくっていただきまして、59ページ目でございますけれども、今回ヒアリングさせていただきました、岡山県真庭市さんの例を書いておりますけれども、真庭市さんにおいてはバイオマス産業杜市(とし)と読みますけれども、「自然」「連携」「交流」「循環」「協働」というのをキーワードにして、取組を進めているというようなことをおっしゃっておられました。
まためくっていただきまして、60ページもそうでございますけれども、地域内経済循環を生み出して、持続可能な都市づくりを目指しているということをおっしゃっておられました。
61ページ目は、これもヒアリングをさせていただいた津山市さんの例でございますけれども、自然と調和した快適な暮らしができるまちというのを目指しておられるということで、地域の活性化とか、自然環境の保全も併せて考えておられるということでございます。
めくっていただきまして62ページ目では、その一つの例として(超小型モビリティ)等も活用して、まちづくりに生かしていらっしゃるとか、63ページ目では、カーボンオフセットを使いまして、津山市で生まれた環境価値を津山産品に付加して、温暖化対策に貢献しているというようなことの取組をやっていらっしゃいます。
めくっていただきまして64ページ目でございますけれども、これは徳島県さんの取組ですけれども、徳島県さんは脱炭素社会に向けた気候変動対策推進条例というのをつくっておられまして、「緩和策」「適応策」を両輪として、「自然エネルギー」「水素エネルギー」を導入するような取組をやっていらっしゃいます。
次のページ、65ページ目ですけれども、長野県さんの取組ですけれども、長野県さんでも地球温暖化防止県民計画というのをつくっておられて、地球温暖化対策と環境エネルギー政策を統合した計画で、低炭素な環境エネルギー地域社会をつくるという取組を進めておられます。
次のページ、66ページ目では、固定価格買取制度を活用した自然エネルギーを地域主導で普及することなどもやっていらっしゃいます。
また、それ以外、ヒアリングではございませんけれども、それ以外の例としまして、67ページ目では、札幌市さんとか、愛知県さんも取り組んでいらっしゃるのを例として挙げておりますし、68ページ目では福岡県のみやま市さんの取組、69ページ目では北海道の下川町さんの取組、次のページ、70ページ目では愛知県豊田市さんの取組、それから71ページ目では協働で、連携して取り組んでおられる例としまして、北海道の津別町さん等と東京都の港区さんが一緒に連携して取り組んでいらっしゃる状況などを記載しておるところでございます。資料2については、以上でございます。

○浅野委員長
それではこれまで各委員に自由にご発言をいただく機会、2度ほどつくっておりましたが、伊藤委員には不幸にもその機会にご出席いただけませんでしたので、今日は、伊藤委員に最初にお話をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。その後委員のみなさまをご指名申し上げますので、どうぞ名札を立てるご準備をお願いいたします。

○伊藤委員
ありがとうございます。今日は後でカーボンプライスの話が出るんですけども、私は経済学を専門としておりますので、経済学的視点からコメントさせていただきたいと思います。
皆さん、釈迦に説法でございますけども、地球環境問題に対応するためには多様なアプローチがあります。特に我々のような経済学者の視点から見ると、二つのものが重要だと考えています。
一つはいわゆるエンジニアリングアプローチと呼ばれているもので、例えば企業が目標を立てて、いろんな改革をしていくとか、今日ご参加いただいている方もいらっしゃるんですが、例えば自治体や地域がある種の課題を持ってやっていくと。工学的にいろんな投入と産出というんですか、成果と取組というのを見ながらやっていくなどです。
これは極めて重要なことであるんですけども、ただもう一つ今日のカーボンプライシングとも関係するのは、いわゆる市場的アプローチと言われているもので、価格的なものを調整することによって、いろんな人たちの行動だとか、社会構造を変えていくということがあるわけで、カーボンタックスとか排出権取引のようなものは、この市場的なアプローチに多分対応します。
市場的アプローチだけでうまくいくはずはありません。ただ市場的アプローチをなしに、工学的、エンジニアリング的なプロジェクトだけでうまくいくはずもないわけです。
もしエンジニアリング的アプローチだけでうまくいくんであれば、社会主義経済はうまくいっているはずであるわけですから、好むと好まざると、やるとやらざると、市場的な要素が経済活動、社会活動へ入ってくることが重要であって、であるんであれば、そこにより好ましいインセンティブを植え込むようなことを、できるだけ早く考えていただくということが重要だろうと思います。
市場的アプローチの特徴を幾つか申し上げたいと思います。大事なことは、これが人々のインセンティブを変えるということです。人々というのが非常に重要でございまして、要するに取組に参加する人、あるいは影響を受ける人は、一言で言えば地球上の全ての者、しかも現代世代だけではなくて、これから出てくる将来世代にも関わってくるわけで、簡単に言うと誰がどういうふうに影響を受けるかということを、エンジニアリングアプローチでほぼ詳しく網羅することは不可能です。不確実な世界の中で、特に時間軸が非常に長いということで、いろんな想定外の影響が及ぶということで、そういう意味で市場的アプローチの最大の強さというのは、影響が全ての人に非常に広範に及び、しかも人々、一人ひとりがその活動に参加するインセンティブを持つということが非常に重要だと思います。
具体的には生活スタイルですとか、都市の姿ですとか、あるいはこれからどういうイノベーションが出てくるのか、あるいはそのためにどういう取組が行われてくるのか、あるいは産業構造がどういうふうに変化してくるのかと、こういうことについては、もちろんエンジニアリング的にある種のイメージを持ちながら、しっかり議論することは極めて重要ではあるんですけど、過去のずっといろいろな経緯を見て、別に環境問題だけではなくて、あらゆる問題がそうなんですけど、10年、20年たってみると、我々が想定したイノベーションの姿とか、あるいは我々が想定した社会の姿というのは、想定外の状況になっていることが非常に多いわけで、それだけ経済社会というのはいろいろな不確定な要請があるわけで、そういう中である種の方向性を持って考えるためには、価格メカニズムの役割は非常に重要だろうと思います。
特にイノベーションについて一言コメントさせていただきたいと思いますが、これだけの大きな、しかも長期にわたる取組をやるためには、イノベーション、つまり今我々が必ずしも利用できていない、あるいは今、我々が必ずしも目にしていない技術革新を含めて、やることが必要だろうと思います。
例えば、かつては原子力発電所を活用することによってCO2を削減しようということで、ある意味でエンジニアリング的アプローチ的にそれを推進してきたわけですけど、いろんな課題が見えてきていて、我々これを社会主義Aと呼ぶ。それが難しいから今度は太陽光を一生懸命やりましょうという形で、それをいろいろ取り組む、これももちろん大事なんですけども、ただこれは社会主義Bなんです。
もちろん社会主義Aも社会主義Bもそれなりの成果はありますから、意味がないとは申しませんけども、10年後、20年後に何が我々にとって非常に有効な技術であるのかということを考えてみますと、残念なんですけど、これは今の時点で完全に予想することは難しい。であれば、どういう可能性とどういう変化が起きてきても、それに社会が柔軟に対応できるような仕掛けを今からしておく必要があるんです。
特にイノベーションの場合非常に大事なのは、教科書的な話で申し訳ありませんけども、いわゆる改良型イノベーション、今あるものをよりよくしていくというイノベーションと、それから破壊型のイノベーション、今の仕組みを壊しながら次世代の新しいものをしていく。この二つがあります。例えばウオークマンをよくするのは改良型なんですけども、それが例えばiPadに変わるのはいわゆる破壊型となります。その破壊型イノベーションのいわゆる主体というのは往々にして今のいわゆるインカンバントではなくて、今ここに存在しないベンチャーだとか、あるいは存在しない組織だとかいろんなところだろうと思うんです。それはやはり、そういうきっかけとかインセンティブをいかに引き出すかということを考えてみますと、価格的、市場的なアプローチというのは非常に重要であろうと。
さらに市場的アプローチの特徴として、時間軸が極めて重要だと考えております。影響は長期に及び、最終的な姿があらかじめ特定できるものではないということは、今申し上げたんですけど、それに加えて短期的にあまり乱暴に、例えばカーボンタックスだとか、排出権取引を入れるということは、もちろん成果が非常に強くに出るというメリットはあるかもしれませんけども、結果的に非常に経済に大きな痛みをもたらすこともあります。これ我々は「弾力性の問題」と呼んでいるわけで、短期的には需要や供給の弾力性というのは極めて低いものですから、そこで価格だけいじるということは単にコストとか分配を変えてしまうだけになりかねない。ただ長期にわたるんであれば、先ほど言いましたようにイノベーションとか社会の変化とか、人々の行動変化があるわけですから、したがって非常に単純な結論で言えば、できるだけ早くこういう制度を入れながらも、しかし長期的な効果を最大限に引き出しながら、短期的な混乱をできるだけ回避するような、そういういわば有効な活用の仕方というのは極めて重要であろうと思います。
三つ目に、手法のことについて一言だけコメントさせていただきたいと思います。カーボンタックスと排出権取引、この二つが恐らくカーボンプライスの重要な手法なんですが、この両者には極めて大きな違いがある。それぞれ特徴があって、そのメリット、デメリット、きちっと考えておく必要があるだろうと。
最も大きな話は、ちょっとここは詳しくここでお話しする時間はありませんけど、我々の世界で言うquantityかpriceかという議論です。quantityとpriceというのは需要曲線の上では対応関係があるわけですけど、ただいろんな不確実性があるために、影響に違いが出てくる。排出権取引は数量を決める上では有効ですが、それは価格に非常に大きな変動幅をもたらす可能性がある。逆にカーボンタックスは価格を設定するということでは有効だが、量に対して非常に確定性がある。量か価格かという問題は、例えば貿易の世界でも関税と数量割り当ての比較などの問題で議論されています。ここはきちっと議論していって、どういう目的のためにどういう形でやるかということを考えるときに非常に大事であると思います。
それからもう一つ申し上げたいのは、排出権取引は、カーボンタックスに比べて対象者を特定することがどうしても必要になってくる。カーボンタックスというのは、今存在しない人も含めて、いろんな人にくまなく影響するわけですけども、排出権取引の場合、対象はあらかじめ決められている。キャップ・アンド・トレードの例を考えれば明らかです。だからもちろん効果があるという面もあるんですけども、同時にそこに限界があるということも考えておく必要がある。
最後にこれは非常に論争になる点なんですけども、税収をどうするかという話、これが非常に大事な問題です。排出権取引の場合には当事者の間で支払いが行われれば、あくまでもレベニューニュートラルということになるかもしれません。ただ、カーボンタックスはそうではない。ご案内のように経済の世界ではカーボンタックスの話が、Pigovian taxと、ピグー税というふうに呼ばれているわけですけど、これの基本的な特徴というのは、税をかけることにより価格を調整することが一番重要な論点として議論されている。そこから発生した税収をどう使うかということについては、いろんな議論があり得るということだろうと思います。
価格効果だけを強調するんであれば、そこから発生した税収はほかの目的、例えば社会保障だとか、ほかの目的に使うということが考え方としてあるわけです。ただ後で議論が出てくると思いますけども、実際の地球環境の対応に対する資源配分を考えていけば、膨大な資源が必要であるということで、その税収を環境対応のために有効に使っていくという考え方も他方であるわけです。いずれにしても本格的な排出権、排出の削減のためのタックスのレートを考えると、収入はかなり高い水準になると考えると、そこから出てくる膨大な税を、どういう形で社会全体として活用するかという議論は、今から必要なのかなと思います。
どうも機会を与えていただいて、ありがとうございました。

○浅野委員長
どうもありがとうございました。
それでは先ほどの事務局のお話ししました資料2について、ご発言ご希望の方、恐れ入ります、名札をお立てください。
大塚委員、荻本委員、崎田委員、そして桜井委員、末吉委員、谷口委員、手塚委員、根本委員、それから増井委員に諸富委員ですね。それでは大塚委員からお願いいたします。

○大塚委員
2点、申し上げさせていただきたいと思います。資料に関して2点申し上げます。一つはカーボンバジェットの考え方が、非常に重要だということを指摘させていただきたいと思います。
10ページと13ページが特に関係してくることになりますけども、今予防的アプローチの問題、もちろん言ったほうがいいと思いますけども、予防的アプローチをそれほど強調しなくても、66%以上の確率で2℃以内に抑えるためには、3兆トンに合計するところまでしかCO2を排出できないというところは、非常に重要だと思います。
66%以上というところについて議論がないわけではありませんが、これは要するに半分以上の確率で、これだけにしなくちゃいけないという話ですので、34%についてはわからないだろうという議論があるかもしれませんけども、そこは飛行機にお乗りになるときに半分以上の確率で落ちるという飛行機にお乗りになるかどうかということをお考えいただければ、この点について何らかの対応をしなくてはいけないということは明らかではないかということを申し上げておきたいと思います。
カーボンバジェットとの関係ですと、日本は3.7%出しているので、歴史的な排出も見ながら、ある程度の一定の責任を負っているということになると思いますけども、2030年あるいは2050年に向けて、その時間軸の中でカーボンバジェットの考え方を入れながら、PDCAのサイクルを国内で考えていくということが、ぜひとも必要ではないかと思います。
そういう意味で2030年、あるいは2050年の目標だけではなくて、先ほど積分値の累積が大事だという話もございましたけれども、ラインを引いて、そこについて各年について進捗管理をしていくということが非常に大事ではないかということを、まず第1点として申し上げておきたいと思います。
それから第2点ですけれども、これは今までもお話ししたことがある点と関係いたしますが、20ページのところで我が国の炭素生産性がかつては90年代の初めのころは、少なくとも二次産業に関しては世界のトップレベルだったわけですが、今や残念ながらそうではない。二次産業以外に関してはますます、むしろ先進国の中で低いレベルになってしまっているということを十分に考慮する必要があると思います。
これは乾いた雑巾ということが本当に今でも言えるのかとか、あるいはCO2の限界削減費用が高いということについて、今でも言えるのかどうかという問題と関係してきますので、限界削減費用についてはさらに、例えば国立環境研究所などでぜひ検討していただきたいと思いますけども、昔の議論をいつまでも引きずっているわけにはいかないという状況が発生しているということを申し上げておきたいと思います。
以上でございます。

○浅野委員長
ありがとうございました。それでは次は大野委員お願いいたします。

○大野委員
私も2点、申し上げたいと思います。
一つはこの冒頭の資料の論点にも入っていますけども、時間軸の問題ということであります。昨日ですけども、欧米の三つの機関が2016年の世界の平均気温の結果が出たという報告があったと思うんですけども、2016年も前年2015年よりも世界の平均より高くなったと。3年連続して前の年を上回った。これは観測史上初めてであると発表されておりました。不確実性という話もあるんですけども、それでは本当に、確実に気候変動、温暖化が進んでいて、取り組んでいく必要がますます明確になったということだと思います。
今日大塚先生も触れられましたけども、7ページに累積排出量の問題のグラフが出ておりました。これを見てみても、問題はまさに積分値を減らしていくことなので、いち早く使える手段を使って取組を進めるということの重要性が明らかだと思います。ややもすると、もちろん革新的技術が必要なんですけども、革新的技術を待ってからやったほうが削減コストは小さいんだというご議論もありますが、その一方で実際には将来いつ、どこの段階でどういうものが生まれるかわからない革新的技術だけを待っていては、もう手遅れになってしまうという状況があるんだと思うんです。ですから、そういう意味では、今現に使える技術もたくさんあるわけですから、それを早く使うための方策を考えていくことが必要だろうと思います。それが1点です。
もう1点は、改めて世界に対して日本が持っている責任ということも考える必要があるだろうと思います。議論の中ではこのグラフもありますが、日本のCO2排出量が3.7%、GHGで見ると3%、これは非常に小さいじゃないかという議論もあるわけなんですが、二つの点でもう少し考える必要があると思っているのは、3%にしても3.7%にしても、いずれにしても世界の中で有数の排出国であるという事実は変わらない。3%ないし3.7%を日本が国内での削減をおろそかにしていいということであれば、ほかの国はもっとやらないということになってしまうということだと思います。
それから同時にもう一つの論点は、これからも世界全体が80%削減に向かっていくわけですから、海外で削減した分を日本の削減にクレジットで当てるという方法は、もう通用しなくなっていくということになりますから、日本自身が80%削減を目指して早く取り組むということが、ますます明らかになっているだろうということです。
最初はその2点を申し上げておきます。

○浅野委員長
ありがとうございました。荻本委員、どうぞ。

○荻本委員
私からは多くの人が参加しないといけないほう、低炭素化であるということなので、そこで何を考えないといけないかということについて、コメントさせていただきたい。
先ほど12ページにテレビ、ハイブリッド自動車、PVが代表的に並んでいるわけです。この三つとも今となっては日本の失敗例だということは、もう明らかになりつつあって、薄型テレビ、もう日本は主導権を取っていない。ハイブリッド自動車はカリフォルニアで近い将来優先レーンを走るような次世代自動車ではなくなっている。それから太陽光発電も日本の産業はそんなに潤っていない。
ですから、いろんなことを考えてやったはずなんですけれども、必ずしも成功していないんだということをよくわかった上で、そのときに何を考えないといけないかというと、恐らく思いつきではない実証的な制度設計が要るんだろうと思います。こういうことをしたいということで、いろんな制度を考えるわけなんですけれども、エネルギーまたは低炭素化というのは、あまりにも大きなトータルのシステムになっていますから、どこかだけを押せば、どこかは引っ込んでしまうということが出てきてしまうと思います。なので、ぜひ私は工学ですが、制度が非常に大事だと思っている工学者でございます。なので、その制度設計を非常にうまくやっていただきたいということを言わせていただきたい。
最後の例は、先ほど流出というのが何か問題であるような表現があったと思います。ある地域はエネルギーをつくるのに適した地域であったり、そうでなかったりする。ある地域は同じ地域が別のサービスを提供するのに適した地域であったり、なかったりするということですから、一つの費用が流出しているからいいのか、悪いのかというふうに考えるのは、恐らく間違いなんだろうと思います。
すみません、私はここでそれが間違いかどうかを、はっきり断定することはできませんけれども、今から非常に膨大な制度を含めたイノベーションをやらないといけないというときに、ぜひ実証的に考えて、常にPDCAが回せるようなやり方をしていかないと、FITのようにいつの間にか年間2兆円の支出になっても止まりようがないということもあり得るということは、非常に慎重で実証的な進め方をしていただきたいと思います。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。崎田委員、どうぞ。

○崎田委員
ありがとうございます。今荻本委員から最初に全員参加が対策としては大事だ、そういう時代になったという話がありました。私もこの点は共感しておりまして、全員参加で全ての立場の人が取り組むというところですが、今ここで一つ発言したいのは、個人とかそういうことも全て含めた上での、都市づくりや地域づくりというところに、早くきちんとしたビジョンや計画を入れていくというのが大事なのではないかと思っております。
私は、たまたま今日の午前中に人口30万人の基礎自治体の、環境基本計画の見直しの審議会に参加をしておりました。そこでやはり環境審議会や地球温暖化対策の基本計画だとなかなか都市づくりのところまでいかないということで、今回はその上位計画の都市マスタープランを計画している部署の方が来て、その説明をしてくださいましたけれども、やはり大きな計画のところには「環境・持続可能性」という言葉が出てこない。その次の段階の8項目取り組みますというところに、初めて環境の視点で取り組みますということが入っている。かなり今日議論もしてきましたけれども、やはりこれから2030年、その次の2050年、その先ということを考えれば、やはり基本的な都市のありようのところから、しっかりとまちづくりのところから入れていくというのが大変重要だと思いますので、そういう意味で早い段階から自治体のほうにそういう情報を出していく。そしてそういうところを強調するのは大変重要なことだと思っております。
そういう視点から言うと、今回の資料で今までは地域でこんな事例がありますというお話だったんですが、例えば22ページで地域内総生産に対するエネルギー代金の収支の観点ということで、環境エネルギーにしっかり取り組むことが地域経済にどういう影響を与えるのか、いい影響になっていくのかということを感じさせるような資料を、きちんと入れていただきました。44ページの水俣市の健康診断というところでも、そういうような視点で、地域がどういう経済の健康診断を始めているのかというようなことを入れていただきました。やはりこういう視点を、単にこういう地域にこんな政策を入れていますという話だけではなく、こういうところの話をしっかりとしていただき、これからの地域づくりというものの総合的なところを伝えていくというのが、大変重要だと思っております。
例えば脱炭素化で持続可能な地域活性化を果たすんだということを明確に伝えるというのが、今非常に重要だと思いますが、そのときに大事にしていただきたいポイントが三つぐらいあります。一つは地域の個性と、個性を生かす総合戦略を立てる、いわゆる地域のいろいろな対策、施策、全部の総合力を生かしながら、地域の自然環境とかそういうものも生かすというところの視点を明確にすること。
そして2番目は、技術とかそういうものだけではなく、それをいかに住民の方や地域企業の方に定着させるかという、地域を巻き込みながらそれをしっかりと実現できるような施策をつくっていくということ。そして、そういうことが評価されていくということを明確にするような、カーボンに費用をつけていくなどいろいろなやり方があると思いますけれども、きちんと評価されていくということを明確にしていく、そういうような総合戦略が必要なんではないかと感じております。
今そういうものに取り組み始めた自治体の例が、かなり今回たくさん出てきて、私はすばらしいと思いますが、ここがきちんと定着するかどうか、そこが大事だと思いますので、そこまできちんと把握をして、情報のPDCAサイクルを回すという、そこが基本的に大事だと思っております。よろしくお願いいたします。

○浅野委員長
ありがとうございました。桜井委員どうぞ。

○桜井委員
二つ意見を述べさせていただきます。
まず第1に、この前もちょっと言ったんですが、今回のビジョン委員会は、まず理念をどうするかということ。企業経営の場でしか私は知りませんけども、理念というのはその企業の存在意義、あるいは社会に対する責任、役割という、それがビジョンというふうに言うとするならば、ここに参考に資料がずっとありますけども、もっと理念として高い理念を打ち出すということが大事だろうと。
経営においてはマーケットシェア1位を狙うんだということは、もう当然のことなんですが、マーケットシェア3位を、4位をという話じゃないわけです。やはりこれだけ重要な経済社会の今後の持続可能性を担保するためには、COP21のあの目標値を達成する。そうすると低炭素、脱炭素社会をいかにつくるかと。目指す脱炭素、低炭素社会というものの世界のモデルをつくるんだというぐらいの理念があってほしいなというふうに思うのが一つです。
それから2番目では、急に忘れちゃいましたけれども。何かもう一つ。後で思い出して。

○浅野委員長
ありがとうございました。それではまた後で。末吉委員、どうぞ。

○末吉委員
どうもありがとうございます。私ページ2の論点について幾つか意見を申し上げます。
まず理念なんですけども、理念そのものというよりも、理念を持つベースとして、私は次のようなことを大事にしたいと思っております。
それは、日本は世界の欠かせない責任がある一員である。その上で気候変動の危機感を世界としっかり共有するべきである。それがスタート地点だと思います。ですから、ぜひ予防原則を大事にして、これからつくり出そうとする新しいシステムや、いろんな仕組みについて、できるだけ本質を捉えた議論をしていきたいと思います。あまり欠点をあげつらうようなことではないという意味であります。
それから最も重視すべきは、起きてしまったら本当に困る失敗を何とか回避する、そういう考え方が重要だと思います。これは間違いなく次世代に対する我々が裏切りをしないんだと、そういうようなことであります。
それから時間軸について申し上げれば、パリ協定は既に世界を動かし始めております。ゼロエミッションは2050年以降に始まる話ではありません。もう既に始まっています。例えば一つだけ例を申し上げますと、グーグルは今年中に自社で使う電気を100%、再生可能エネルギーに置き換えるそうです。何と彼らが手に入れている、あるいは入れるであろうと再生可能エネルギーによる発電能力は2.6GWだそうです。すごいですよね。こういうことが今年実現するわけであります。これはIEAも言っていますとおり、エネルギー市場における自然エネルギーをリーダーとするエネルギーの転換が始まっているんだと。こういったことですから、時間軸で考えれば遠い将来の話じゃなくて、もう既に始まっている。私はこの時間軸の考え方、非常に重要だと思います。
それからビジョンですけれども、私はやはり日本が脱炭素社会にいくというのが、一番のビジョンといいますか、ゴールだと思っておりますけれども、そこに至るパスウェイで、国際競争が既に始まっているんだと。日本自身が国として、社会としてあるいは産業として、脱炭素経済や脱炭素社会に向かう、始まっている国際競争の中に勝つにはどうしたらいいのかという話ではないでしょうか。
これ正しいかどうかですけれど、最近聞いたニュースでは、例えば中国は2020年までに、自然エネルギー部門に40兆円規模の投資をするという話であります。こういったことですし、中国は私の関心のあるグリーンファイナンスで申し上げれば、国全体でグリーンファイナンスシステムを構築するという大きなガイドラインを出しております。これは単純に金融の話ではなくて、その中に例えばキャップ・アンド・トレードをこうやって入れるんだとか、グリーン産業を育成するためのナショナルレベルのグリーンファンドを構築するんだというようなことなどがいっぱい入っております。ですから、このことを別な意味で申し上げれば、明らかに総合的な政策の競争が始まっていると、こういうようなことであります。ですからぜひこの理念、時間軸ビジョンのところでは、こういったことを念頭に置いての議論を進めていければと思っております。
以上です。

○浅野委員長
どうもありがとうございました。桜井委員、思い出されたそうですのでどうぞ。

○桜井委員
思い出しました。
カーボンプライシングなんですけども、これは説明では1ページ目に、まず最初に出てくるんですが、カーボンプライスをつけることによって、結局カーボン量の多い商品、サービスというものが高くなるわけですから、それでその需要が減ってくると。裏返せばカーボンプライシングが非常に少ないものは、トータル的には値段が少ないということで、こちらはかなり需要が上がってくる。
こういうような経済システムというものが、経済環境が整えられると、今までいろいろと考えてなかなか手が出せないという、大きなコストをかけて、投資をかけて低炭素化を狙うということに対するリターンが、やっぱりこれカーボンプライシングで合う経済システムになる。それが非常に大事なことだと思うんです。企業をいかに新たな技術革新、そしてシステム革新、サービスの革新に向かわせるかというときに、経済合理性、低炭素に努力したそれなりの消費と購入というものが成り立つということで、経済合理性が出てくるわけです。この辺も一つの感覚に入れておいた方がいいというふうに私は思います。

○浅野委員長
ありがとうございました。谷口委員、どうぞ。

○谷口委員
理念で、特に時間軸に関係することでコメントさせていただきます。末吉委員がご指摘されたような外に対する理念、外国に対する理念に対して、国内や内に対する理念みたいなものもあるかと思います。内に対する理念として、キーワードとして「共有と継承」ということを、ぜひ含めていただきたいと思っています。
それは例えば部署間の「共有」といった身近な内の話もあれば、「継承」も時間軸というのは何も長いだけの話じゃなくて、すぐに意思決定して、大事なことをすぐに動かすとかという、そういう意味での時間軸もあると思っているんですが、実際問題での共有と継承の課題として一つの事例ですが今日ちょうど地方ヒアリングで岡山に行かれたお話があったんですが、私2009年まで岡山大で教授していましたので、対象とされた両方の地域に実は関係しておりました。行かれるということで津山市さんにお電話して、「昔やっていた低炭素化のためのまちづくり(エコロジカル・フットプリント指標を活用した低炭素化政策の評価等)の話、今はどうなっていてどう話されますか。」ということをお尋ねすると、人もかわっていて、「いったい何のことでしょう」という回答で驚きました。ほんの少し前に一生懸命やっていたことが全く継承されていないんです。環境の部署が新しくできて、そのこと自体は非常にいいと思うんですけども、部署間でも部署内でも共有・継承できていない実態を身をもって知りました。
今回の資料の後半に各地方自治体でのすごくいい事例がいっぱい出てきているんですが、恐らく「共有と継承」という問題で、委員長が最初おっしゃったような形で、時代を変えるような形で本当にCO2削減につながっていくのかというと、そこの部分がないと次につながりません。幾ら理念を出しても、共有と継承がなされないのなら、何も変わらないのです。完全に制度で縛るとか、それからカーボンプライシングも、もちろん有効だと思いますけれども、この課題を共有し継承していくというより上位の理念が無いと何の意味もないと感じています。

制度で強く縛るというわけではなくて、例えばイギリスで共有性を高めるためにやっている例としては、ガイドラインのような形で、共通の方針をある程度示して、各自治体とか各企業とかで、それぞれ能力とか人的資源も違いますので、なるべくそれに沿うようにするというやり方で継続して仕組みを変えていくというやり方もあると思いますので、そういう観点から高い理念で、かつ実行できる理念を考えていただければと思います。
以上でございます。

○浅野委員長
ありがとうございました。それでは手塚委員、どうぞ。

○手塚委員
18ページで炭素生産性の向上という概念をご提示いただいたんですけれども、これは私は非常にそのとおりだと思っていまして、ぜひこういうことをやっていかなきゃいけないと思います。ちなみに炭素生産性の式なんですけども、GDP割ることの炭素投入量、これは実際の我々の行動を考えていったときには、もう一回因数分解して、GDP割ることのエネルギー×エネルギー割ることの炭素投入量、つまりどれだけのエネルギーでGDPを生み出すかというエネルギー効率と、それからどれだけのエネルギーを、どれだけの炭素投入量でつくるかというエネルギーのクリーン化の、実は二つの項目に分かれるわけでした、これは茅恒等式そのものだろうと思います。
問題は低炭素のエネルギーを安くつくれるかという、つまり低コストの低炭素のエネルギーが投入されるのでなければ、必要十分なエネルギーを投入してGDPをつくり出すことができていかないと、こういうふうに考えることも当然できるわけです。
21ページの散布図、これは因果関係はないというふうにおっしゃいましたけども、よく見ますと、実際に炭素生産性が高くて労働生産性も高いという国は、スイス、スウェーデン、オーストリア、ノルウェー、こういった水力発電が物すごくたくさんあって、安い低炭素電源が大量に投入できている国だということをただ示しているだけじゃないかと思います。それらの国を除いてしまうと、実はこの散布図というのはばらばらで、いわゆる有意な回帰線が出てこないような性格の図になるんじゃないかという気がいたします。
つまり事の本質は、安い低炭素電源、化石燃料よりも低コストの低炭素エネルギーをつくることが条件になるわけです。そういう技術が、実は先ほど末吉先生から「カリフォルニアでは」という話がありましたけども、多分気象状況とか自然環境が大分違うんだろうと思いますけども、そういうものが日本には実際にはまだ存在していない。したがってカーボンプライスをつけるというのは、つまり意図的に化石燃料にペナルティをかけるだけということだと思うんですけども、それは逆に言いますと、我が国だけで意図的にオイルショックを起こすということと同等でございますので、GDPは棄損していくということじゃないのかなと思います。
ちなみにFITの成果で今太陽光発電が大分広がってきていますけども、今年度のネットの賦課金の総額は1.8兆円ということですから、消費税1%分ぐらいのコストが全国民の使っている電気にひとしく乗っかっているわけです。逆に言いますと消費税2%の増税を景気が悪くなるからといって先送りした効果の半分は、このFIT賦課金でもって足を引っ張っているという現実が多分起きているんじゃないのかと思います。
私は経済学者じゃないんで詳しいことはわかりませんが、そういうようなことが起きるということを念頭に置いて、エネルギー消費量が少なくてもGDPが生み出せる、つまりエネルギー効率が改善していくスピードと、低炭素電源でより高コストなものを入れるもののスピードというのは一致させない限り、GDPというのは減っていくんじゃないのかという、こういう観点でこの式を見ていく必要があるんじゃないかと思います。
伊藤先生がおっしゃったイノベーションというのは、今考えていないようなものを入れなきゃいけないんだという話があったと思いますけども、要は化石燃料よりも、より低コストで安定的なクリーン電源、これがきちんと開発されて、社会に広がっていかないと、環境か経済かのどちらかがひずんでくると、こういう結果をもたらすんじゃないかということが、懸念されます。
20ページに日本の炭素生産性が最近落ちているという話がありますけども、これはもう2011年の震災以後、原発が全停止しているために急激に下がっているということは明らかだと思います。こういう低炭素で既にsunk costになっている電源が、全国でアイドリングしているという状況が、どういう結果をもたらしているかということを考えると、いかにこういう安価で安定的な低炭素電源を社会に広げていくかということが重要だということが、ここの図からもわかるんじゃないかと思います。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。根本委員、どうぞ。

○根本委員
まず、資料2ページ目の理念については、「環境と経済」の両立、すなわち将来にわたって活力ある経済社会を実現していくという視点を中心に据えない限り、地球温暖化問題は解決しないという考え方を十分踏まえるべきだと思います。
時間軸については、パリ協定を考えますと、2050年とか今世紀後半展望していくことになろうかと思いますが、温暖化対策とエネルギー政策は表裏一体の関係ですので、まずは2030年のエネルギーミックスを着実に実現することが不可欠です。2030年の中期目標の26%という数字は、現存するありとあらゆる技術を投入し、普及させていくことを前提につくり上げたものであり、2030年以降については、イノベーションに期待しなければいけない部分が、相当程度出てくると思います。その中で、2030年以降のエネルギー政策についても、S+3Eのバランスをとることを基本に、地に足のついた検討を進めていくことが必要だろうと思います。
ビジョンにつきましては、国内の排出削減に閉じたものは、地球的な規模の課題を解決する手法としてふさわしくないと考えております。人為的な排出と吸収のバランスという究極のゴールを目指しながらも、環境と経済の両立という理念に基づき、イノベーションを軸とした対策を進めていくことが必要だろうと思います。
7ページに2050年80%という長期目標が掲げられていますが、この80%という数値につきましては、2030年目標とは大きく異なり、具体的な積み上げはないということは、この場に参集している皆様は知っている話かと思います。すなわち、コミットメントではなく、目指す方向性という位置づけであるということを、もう一度明確にしていただきたいと思っております。
また、資料全体を通して、「2050年80%削減」を所与のものとした内容になっていますが、「主要国が参加する公平で実効ある国際枠組みが成立していること」、「主要排出国の能力に応じた排出削減努力がなされること」、「経済と環境の両立がなされること」の三つが、温対計画での前提条件になっていたことを、改めて確認させていただきたいと思います。
最後に、長期の温室効果ガス削減に不可欠となるイノベーションは、申し上げるまでもなく、毎年連続的に生じるわけではございません。7ページの図のようにリニアの削減パスを描けるものでないことは自明ですし、技術だけ開発しても社会に実装されなければ、それはイノベーションとは言えませんので、実装期間まで考慮しながら、イノベーションについて検討していくべきだろうと考えます。
なお、資料の一枚一枚につきましては、それぞれいろいろ申し上げたいことがございますが、時間がありませんので、後ほど追加意見を提出させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○浅野委員長
ありがとうございました。増井委員、どうぞ。

○増井委員
ありがとうございます。理念ということで2点あるんですけれども、まず1点目は例えばカーボンバジェットのように、科学としてわかっていること、そういうことをベースにきちんと議論することが必要ではないかと思っております。特に更新されたいろんな客観的なデータ、そういったことで議論していくことが重要であるということで、バジェットということで、将来にわたって使える炭素の量が決まっている、そういった中でどう使うのがいいのかということも、これはある程度自明のことだと思いますので、そういった中での議論というのは必要だろうと思っています。
2点目は時間軸の話で、やはり長期的な話ということではあるんですが、長期というのは短期の積み重ねが、先ほど谷口委員のほうから「継承」というお話もありましたが、短期の積み重ねが長期につながっていくということですので、長期的な目標に対して今、我々に何ができるのか、何をしないといけないのかということを明確にするようなもの、それがこの理念というようなものにつながっていくのではないかなと思っております。
そういう中で、浅野委員長冒頭に申し上げられましたように、現在の延長線上ではこの取組としては無理なんだ、大幅なトランジションということが必要であって、そのために我々は何を共有していかないといけないのかということを、理念の中で強調されることが重要ではないかなと思っております。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。諸富委員、どうぞ。

○諸富委員
今回のこの資料は非常に勉強になりましたので、特に印象的だったのは、15ページから21ページ、先ほどから議論の対象にもなっているスライドですけれども、ここは非常に低炭素戦略、あるいは脱炭素戦力が、すなわちこれは成長戦略である。なので環境問題取り組むことは、成長に反するんだという形の前提で、議論が数多く行われてきたんですが、ここの示すとおり、非常におもしろかったのは、つまり成長戦略と等しいということだと思います。
特に日本経済の現在の根本問題は、やはり投資機会の喪失だと思うんです。企業の留保利潤が右肩上がりで積み上がっている。投資機会がないということです。これに対して脱炭素戦略というのは、どのようにしてこれから我々が必要とする低炭素社会に向けて投資を行っていくべきか、これは民間投資もそれから公的な投資もそうですけども、こういった軌道を描くものだというふうに理解をいたしました。
そういう意味では、低炭素戦略が単に需要を増やす、この面は確かにあるわけですけれども、需要を喚起する面はありますけれども、同時にこの資料を示すところは、やはり炭素生産性、向上を通じて供給面から成長に寄与するということも、また同時に示しているということだと思います。
大塚委員がおっしゃったように、20ページの資料というのは、逆の意味で非常に印象的なんですけれども、日本の炭素生産性が単にこれは確かに手塚委員がおっしゃったように、原発の停止によって日本の生産性が下落した。それはそうなんですけども、ずっと見ると90年代半ばから低迷している。しかもどっちかというと下落傾向にある、悪化する傾向すら見られる。それに対して、北欧を初めヨーロッパの諸国はその間かなり大きく伸ばしてきているということです。この大きな開きは一体何なのか。炭素生産性を伸ばしていると、いずれもカーボンプライシングを導入している国であることが多いということは、何らかの因果関係があったということだと思うんです。
それがコストをもたらして経済にダメージということであれば問題なんですが、興味深いのは次のページの21ページにあるように、これが労働生産性の向上と、あるいは付加価値を伸ばすということ、つまり成長に資するということが、同時に炭素生産性を向上させるということと、どうもパラレルである。少なくとも矛盾はしていないということが示されていること、これは2010年以降ですか。
恐らくこの背後に私も大変ここは興味深いところでもあるし、これから研究が必要なところで、「無形資産」という言葉が出てきております。恐らく産業の稼ぎ方が大きく何か構造転換が起きていて、これは第4次産業とも呼ばれている革命の背景でもあるんですけれども、物づくりで単純に稼ぐ時代はそろそろ終わりを告げていて、無形資産、研究開発はそのバックにある人的資本投資も非常に重要なんですけれども、こういった中から無形資産で非常に大きく稼いでいくビジネスモデルへの転換というものが、恐らく起きている。それと低炭素化というものが何らかの関係を持っているということだと思うんです。
ですので、低炭素化のほうに向けて投資をしていくということは、恐らく日本の経済構造の形、産業構造の姿を変えながら、むしろ成長へ向かっていく経路をたどるということを、この資料は示そうとしているんだと思うんです。ですからこの点については、しかし因果関係本当にあるのかとか、本当にそうかという点については、もっと深いデータが必要だと思います。
最後のエネルギー転換についても手塚委員からございましたが、やはり原発を増やすということは、既に廃炉コスト等で、口頭で現に送電コストに上乗せをするという形で、じりじり電気量、むしろ上乗せさせる方向にいっているわけです。原発を増やしていくということは恐らく今後廃炉コストを含め、コストを増やす方向にいくんじゃないか。それに対して確かに再エネは賦課金の負担が増大しつつあるんですけれども、発電コストそのものは非常にもうcompetitiveになっていて、最も競争力のある電源として陸上、風力と太陽光があり、既に火力発電その他を駆逐し始めているわけです。
そういう中で、短期的に恐らく2030年ごろにピークが来ると思うんですけれども、欧州でも日本でも30年から30年代前半ぐらいまでに、恐らく賦課金のピークが来ますけれども、そこで頂点を打って、その後負担が下がっていきます。その後はむしろ再エネに依存を強めていくほうが、国民経済に与える負担は小さくなっていくことは、ほぼ見えてきておりますので、私自身は再エネの比率をやはり増やしていく戦略が望ましいものだと考えています。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。それではここまでのご発言は以上にさせていただきまして、次に資料3について事務局から説明いただきます。

○低炭素社会推進室長
では資料3につきまして、説明させていただきます。
資料3では長期大幅削減の絵姿ということで、80%減を実行していくと、社会がどういう状況になっているかというのを書いたものになっております。そういうことですので、基本的にどういう状況になっているというような記載ぶりになっております。
めくっていただいた2ページ目でございますけれども、これは総論的な考え方になっておりまして、真ん中辺りに絵で描いておりますけれども、1としてエネルギー消費量の削減、方向性としてはエネルギー消費量を削減していく。それから2としまして、エネルギーの低炭素化を図っていく、それから3としまして、利用エネルギーの転換ということで、エネルギーの転換を図っていくことで、こういったものを総合的に進めていくというような方向性になっております。
3ページ以降は、まず建築、建物・暮らしという観点でございますけれども、めくっていただきまして4ページ目、住宅やビルなどの建物、徹底した省エネ、それから電力の低炭素化とか、低炭素燃料への利用転換が一般化している。ストック平均でゼロエミッションに近づいているという状況でございまして、現在でもエネルギー消費量の削減、電化の電力の割合は増加しつつあるところでございます。
5ページ目、住宅・建築物の省エネでございますけれども、断熱性が高いということで、例えば地域固有の条件をうまく使ったパッシブ設計などが一般化しておって、例えば空間利用についても必要なエネルギーだけを利用するというようなものが普及しているという状況でございます。
6ページ目でございますけれども、断熱性などの向上ですとか、省エネ機器・創エネ機器の導入というのが、多面的なコベネフィットを有するという価値が一般的になっているという状況でございます。
また7ページ目も似た形でございますけれども、災害にも強い強靭性をあわせ持ったような社会になっていると。建物のオーナーについても、こういうコベネフィットを享受するために、ストックの建築対策もなされているという状況を考えております。
8ページ目、新築住宅でございますけれども、建物をつくるところから解体するところまで、ライフスタイルでカーボンマイナスとなるような住宅が、普及しているという状況でございます。
9ページ目、関連しますけれども、地域の特性に応じた建物が一般化している。地域の木材が十分に活用されているとか、CLT等の木質の新素材の開発・普及も進められている状況でございます。
10ページ目でございますけれども、またエネルギー効率の高い機器が普及しているという状況でございますけれども、全体的にシステム全体として有機的に省エネが進展しているという状況になっていると想定しております。
11ページ目でございますけれども、例えば建築物・機器等についても消費するエネルギーですとか、低炭素社会にどれぐらい貢献しているかといったような情報がわかりやすく入手できるような状況を想定しております。めくっていただきまして12ページ目でございますけれども、ライフスタイルにつきましても、行動科学の知見等も踏まえて、低炭素な行動変容というのが実現しているという状況でございます。
13ページ目でございますけれども、低炭素電源に対する需要の姿としまして、エネルギー需要というのが再生可能エネルギー等から賄われて、需要超過分については蓄電や水素としての貯留などがあって、必要なときに自家消費したり、またそれぞれが融通されているような状況を想定しております。また情報通信技術なども使って、全体として連動したエネルギーシステムが成立しているという状況を想定しております。
次に移動の分野でございますけれども、15ページ目でございますけれども、次世代の自動車、乗用車では電気自動車が主流になっているということでございまして、その電気自動車については、電力の需給バランスの調整とか災害対応に貢献している。また貨物車等の大型車両についてはバイオ燃料ですとか、カーボンフリー水素による自動車が普及しているという状況を想定しております。
めくっていただきまして16ページ目でございますけれども、セルロースナノファイバーの例を挙げておりますけれども、軽くて丈夫な素材が普及しているとか、エアロダイナミクスですとかバイオミメティクスなども活用されているという状況を想定しております。
17ページ目、自動運転でございまして、ICT技術ビッグデータなどを活用して、最適ルートの選択などが自動的になされている。一般化しているという状況でございます。
18ページ目、関連しますけれども、自動運転化したものと電気自動車を組み合わせて、安全な移動ができるようになっている、また需給調整機能などについても書いております。
19ページ目、ライドシェア・カーシェアということで、乗車率の向上ですとか、移動手段をシェアするというようなことが行われている状況でございます。
20ページ、物流ですけれども、生産拠点と消費地の距離の短縮化等もございますけれども、AIとかIoT技術の活用によって、効率的な低炭素型の物流が実現している社会でございます。
21ページ目、鉄道、船舶、航空でございますけれども、省エネが向上しているということでございますけれども、ただ船とか航空については、なかなか電気等々では難しいものがございますので、バイオ燃料の導入等で、動力源の低炭素化が実現しているという状況でございます。
めくっていただきまして22ページ目でございますけれども、公共交通機関が利用されているモーダルシフトが推進しているという状況でございます。
23ページ目以降、産業・ビジネスでございますけれども、24ページ目、低炭素型の製品サービスの提供に取り組んでいて、それが普及することで我が国の経済成長力の向上につなげるとともに、そういう製品サービスを国外に展開することで、世界のマーケットを獲得しているという状況を描いております。
25ページ目ですけれども、化石燃料を購入するために国外に流出していた資金が国内の企業活動の原資になる、またそれが世界市場での我が国の位置づけを高めるという好循環が実現しているということを描いております。
26ページ目でございますけれども、エネルギー多消費産業において、世界最高効率の技術が導入されまして、現在もやられておりますけれども、エネルギーのカスケード利用が徹底されている。一部にはCCSが設置されて稼働を始めているという状況を想定しております。
また27ページ目でございますけれども、革新的な技術としまして、超高効率のデバイスの実装ですとか、高効率な産業用ヒートポンプの活用などで、徹底的な省エネが実現しているという状況でございます。
28ページ目でございますけれども、ハードだけでなくてソフト面でもCO2の省エネ診断やアドバイスを実施する事業というのが今後発展している状況を描いております。
29ページ目でございますけれども、素材ですけれども、軽くて丈夫な素材が開発・普及しているという状況を想定しております。
めくっていただきまして30ページ目でございますけれども、都市鉱山ということですけれども、循環可能な資源の有効利用が徹底されているということでございまして、我が国、人工構造物としては、かなり飽和に近づいているということですので、そういう資源を循環して利用するということでございます。
ただ一方で、例えば粗鋼・鉄鋼についても世界の鉄鋼生産量はまだ増えるということを想定しておりまして、そうした場合はまだ鉄鉱石から鉄をつくるというものもあるんではないかという状況ではないかと想定しておりますので、例えば海中資源で賄えない輸出資材については、国際競争力の確保に留意が必要だというような状況ではないかと想定しております。
それから31ページ目でございますけれども、炭素リスクも含めた事業性の評価が一般的になっているとか、財務情報とともに炭素情報を開示することが一般化しておりまして、脱炭素を念頭に置いて資金が振り向けられているという状況でございます。
めくっていただきまして32ページ目でございますけれども、IoTの進展で、例えばペーパーレス化、在宅勤務などが一般的になっているとか、二つ目ですけれども、気象データが産業活動、エネルギー供給において有効に活用されているというような状況でございます。
33ページ目、地域資源の活用ということで、地域散在、地域固有の資源というのを活用されておりまして、地域経済が循環する地域社会が実現しているという状況でございます。
34ページ目、これまで主にエネルギー起源のCO2の観点で見てまいりましたけれども、非エネルギー起源の温室効果ガスにつきましても、例えば新しい冷媒の開発・普及ですとか、廃棄物の分野、農林水産業の分野で低炭素化が進んでいるという状況を想定しております。
関連しますが35ページ目、特に廃棄物の分野ですけれども、バイオプラスチックが普及することで、廃棄されてもカーボンフリーになるような製品の普及が進んでいるという状況でございます。
めくっていただきまして36ページ目以降、エネルギー供給についてでございます。
37ページは先ほどご説明したものでございます。
38ページ目でございますけれども、発電部門、低炭素電源が9割以上を占めるような状況ということを想定しております。低炭素電源としては再生可能エネルギー、CCS付火力、原子力発電などを想定しております。ただ9割以上としているのは、例えば再エネ、気候に影響されるような太陽光とか風力というのが非常に増えた場合に、一部予備電源とか、あと一部の自家発電みたいなものは火力で必要なのではないかということを、まだ30年後ですので想定しておりまして、今のところ9割以上ということを記載しております。
39ページ目でございますけれども、電化ですとか低炭素燃料への転換が進んでいるという状況を描いております。
40ページ目ですけれども、系統安定化ということで、地域内・地域間の電力網の強化などが行われていて、系統が安定した状態で運用されているとか、また需給調整とか周波数調整のために蓄電池、水素、蓄熱、デジタルグリッド等の研究開発が進められて、系統への負荷が最小化されているという状況でございます。
41ページ目でございますけれども、再生可能エネルギーにつきまして、ポテンシャルの大きい洋上風力とか、中小水力、地熱、バイオマス等、それから潮流発電などについても実証・開発・活用がなされていると。また二つ目でもハード・ソフトを含めて、再生可能エネルギー関連産業が価格競争力を有しているという状況でございます。
42ページ目でございますけれども、再生可能エネルギー関連産業が全国に普及していることで、地域間の所得格差が小さくなっていることなどを想定しております。
また43ページ目では、電気だけではなくて、熱につきましても再生可能エネルギーの熱が最大限活用されているという状況を想定しております。
次のページ、44ページ目ですけれども、水素につきまして、(CO2フリー水素)が供給されているということでございまして、これガス協会さんのほうで想定しておられる絵を持ってきておりますけれども、2050年にはこういう状況を想定しておられるということでございます。
45ページ目でございますけれども、一部の産業につきましてはCCSですとかCCUが実装されているという状況であろうと考えております。
46ページ目でございますけれども、革新的技術の研究開発ということで、産官学が連携して、イノベーションを創出するなどの研究開発が効率的、効果的な形で進められているという状況を想定しております。
47ページ目以降、都市・地域ということでございますけれども、48ページ目、都市のコンパクト化ということで、まちがコンパクト化することで、徒歩ですとか自転車での移動の割合が増加して健康的で安全安心な地域社会が享受できているという状況でございます。

また49ページ目、そういう人が集まったということで、人とか情報が交錯して「対流」することで新たなイノベーションの創造につながるといったようなことを想定しております。
50ページ目、そういう状況でございますけれども、ヒートアイランドにつきましても、さまざまな手法をとることで、ヒートアイランド現象が緩和され、快適性が増している状況でございます。
51ページ目でございますけれども、地域ごとに自立した分散型エネルギーとして、再生可能エネルギーが導入されておりまして、国土強靭化、低炭素化ということで、整合的な取組が進められている状況でございます。
めくっていただきまして52ページ目でございますけれども、農林水産部門、高効率な機器とか照明などを入れるということでございますけれども、例えば施肥とか水管理技術も活用したりとか、飼料の転換等を行って低炭素化が進んでいるという状況を想定しております。
53ページ目でございますけれども、森林が適切に保全・管理されて、その素材として国産材の利活用が促進されているといったような状況を描いております。
資料3については以上でございます。

○浅野委員長
それでは資料3は、言ってみればこんなふうになるかもしれないよねという話をしているわけなのですが、言い出せば切りがないことで、いやこれもあるだろう、あれもあるだろうというような話になりそうでもありますし、これ今日ここに出ました事柄は、それぞれ全部出典が示されているわけです。
だから誤りがあるというようなことはあまりないのかもしれませんが、今日は次に論議のあるそうなテーマがございますので、ここについては委員長の職権乱用で申し訳ないのですが、技術の専門の先生方のお目から見て、これはちょっと問題があるなみたいなことがあれば、その点を特に増井先生、谷口先生、荻本先生にコメントをいただいて、それから後の委員の方には、どうしても言いたいことがあれば、もちろん言っていただいていいのですが、こういうようなことも考えるべきではないかという点ですね。
どうせこの資料をそのまま生の形で報告に使うということは考えておりませんで、これをもとに報告をつくっていこうということわけですから、将来の絵姿を示すなら、こういう点はぜひ入れておかなきゃいけないということがありましたら、できましたら申し訳ないことですが、紙に書いていただけるのが一番事務方としてはテープ起こしの手間もかからないものですから、助かります。ご協力をいただけませんでしょうか。よろしゅうございますか。それでもし今日時間が余りましたら、またこのテーマについてもご発言いただあきます。

○廣江委員
エネルギーについて発言させていただきたい。

○浅野委員長
わかりました。エネルギーについては、ぜひご発言いただきたいと思っていましたので、それでは、まずエネルギーについて廣江委員どうぞ。

○廣江委員
どうもありがとうございます。今日のお話の中で、基本的にエネルギー起源の温室効果ガスが90%以上あるということが非常に重要な問題だと思っています。この点につきまして電力シフトが重要なポイントであるというご指摘をいただきました。この点につきましては私どもも全く同感でございます。
ただ電力シフトといいましても、もう既に日本の電力小売市場は完全に自由化をされておりますので、そのことが私ども旧一般電気事業者の需要にどうつながるというわけでは、決してございません。激しい競争があるわけでございます。私どもといたしましては、低コストで低炭素な電気を安定的に多くお客様にお送りをするということで、何とか競走に勝ち残って、電力シフトを担えるような立場になっていきたい。数字そのものがいいかどうかは別にいたしまして、そのように考えております。
その上で1点申し上げたいと思いますが、これやはり原子力についてでございます。38ページに低炭素電源ということで、再生可能エネルギー、それからCCS付の火力として原子力発電所と、このようなことを挙げていらっしゃいますが、それ以降の記載につきましては、ほとんどが再生可能エネルギーとCCSで、原子力につきましての記載はほとんどないということでございます。
もちろん新しい技術に対する期待とか夢というものを語ることは、大変楽しい気分になりますし、また大変明るい、力強い思いをすることはできるわけでありますけども、やはり食料と並んで、あるいは食料以上に一旦対応を誤りますと、国民生活にとんでもない影響を与えるものにつきまして、ここは単なる夢ではなくて、現実的に考えていく必要があると考えています。
この点につきまして原子力、従来から申し上げておりますけども、もちろん今後とも絶え間なく安全性の向上のための努力をしていくとか、あるいは高レベル放射性廃棄物の最終処分地の確保をしっかりやっていくという課題はございますけども、経済性それから環境性、さらには安定供給という面では、非常にすぐれた特性を持ってございますし、先ほど大野委員からお話があったと思いますけども、軽水炉につきましては、少なくとも現在人類が手にしている技術ということでございます。したがいまして、今後確実に低炭素社会を目指していくとするならば、やはり一定程度の原子力発電というのを維持していく必要があると、私どもは考えております。
2050年を考えましたときに、現在我が国には42基の原子力プラントがございますが、仮に全基が60年運転をいたしましても、相当程度2050年では現役から離れてしまうということでございます。また、地元のご理解も含めますと、原子力発電の建設というのは非常な長期がかかりまして、2050年といいますのは決して遠い未来でもない。私どもは責任を持たないといけない期間だと考えております。そういうことの意義を申し上げまして、ぜひこの機会に現在は必ずしもわからないとになっておりますけども、原子力発電の新・増設、リプレースといった点につきましても、真剣に議論をしていただく必要があると考える次第でございます。
なお1点だけ、諸富先生から少し廃炉のお話がございましたので、多分ご理解いただいていると思いますけども、場合によっては誤解があったらいけませんので、皆さん方に少し確認をさせていただきますと、今回福島ではない一般の原子力発電所につきましても、一部廃炉費用について、託送費用にこれを振り替えるということが方針として決定されました。これは決して今回コストが上がったという結果ではございません。過去に小売料金で回収していたものを会計上の理由、あるいは一部負担の公平性という観点から、これを託送料金に振り替えるということにしたわけでございまして、少なくとも今回につきましては、廃炉コストが上がったから、託送に振り分けたというわけではございませんので、この点は確認をさせていただきます。
以上でございます。ありがとうございました。

○浅野委員長
ありがとうございました。それでは増井委員、コメントがおありでしたらどうぞ。

○増井委員
個別には特にないんですけれども、1点だけ、これ絵姿ということではあるんですが、いわゆる成り行きでこういったものが実現できるというものでは決してなくて、各主体がこういうことを、こういう取組をしたことによって、こういったことが実現するということは、非常に強いメッセージになると思いますので、その辺りぜひ書き込んでいただければなと思います。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございます。谷口委員、どうぞ。

○谷口委員
数字はやっぱりいろいろ考えたほうがいいかなという部分はあるんですが、委員長のおっしゃる、「抜けている」所があればという観点で見ると、交通の中でも都市間の交通がちょっと弱いかなというところです。あと工学とは関係ないんですが、農業分野でもCO2削減される部分というのは結構あるはずなんで、そこのところがないかなと思います。あと各省庁さんから調整も含めて資料をいただいていると思うんですけど、例えば国交省さんからの資料とかの公共交通のところだと、バスのノンステップ化みたいな話が出ていて、あまり低炭素化と関係ない話が出ていたりしているので。

○浅野委員長
そうですね、確かに。

○谷口委員
その辺りは、低炭素向けにメニューを精査されたほうがいいんじゃないかなと思いました。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。荻本委員、どうぞお願いします。

○荻本委員
一番申し上げたい話は、これで長期的絵姿が出たということなので、ずっと向こうにある景色が少し見えたということだと思うんですが、明日何をやろうかということに関しては、長期的なところに見えたものに真っすぐ行っても、恐らくうまくいかないということだろうと思います。
やはり人間の社会ですから、これ見えちゃうと、ここに向かって非常にたくさんの予算が欲しいという人がたくさん出てくると思います。ただそれは今、何をしたらいいかということを冷静に考える情報がまだ足りない。ですからこの絵姿が遠くのほうにうっすら見えたものの、中間に、つまり例えば今から10年後に、20年後に何を目指すのかということが間にはまって、初めて明日何をやるかというのが出てくるんだろうと思います。ぜひそこを忘れないように議論を進めていただきたいと思います。
それからちょっと細かい話ですが、10ページにCEMSという絵があります。これの本質は電気に限らず流通設備、または流通網がある範囲は全部ここの範囲内になる。ということは、電力ですと最大限国境まで行く。または大陸とつながることはあるかもしれない。そのぐらい広いものであることもありますし、熱だと非常にロスが多いので、町の中しか行けないという場合もある。ですからこのCEMSという概念は、運びたい物によって大分変わるんだというようなことはご理解いただきたいと思います。
それからちょっと電気っぽい話をしますと、41ページにだんだん安くなっていますという図が出ていて、実際外国では風力発電は3セント、太陽光発電でも6~7セントで、大規模なものが入るというのは事実です。ただしこれは単純に出てくる電気の量でコストを割っただけなんです。そこに至る送電線であるとか、変動を抑える設備、そういうのが全く入っていません。ということなので、これが下がったのでこの値段で電気が手に入るわけではなくて、むしろほかのところに非常に多くのコストが増えているということは、海外の例で明らかだと思います。なので、10年後、20年後、再生可能エネルギーであれ、どんな電源であれ、またはどんな設備であれ、どうしたいかというのは、そのときに我々が払わないといけないコストを、本当にトータルで考えていかないと、きっと行き着かないということをわかってやりたいかなと思います。
以上です。

○浅野委員長
どうもありがとうございました。それでは他の委員の方には、大変恐縮でございますが、もしありましたら、どうぞ後で事務局がお願いする期日までに紙をお出しくだされば、幸いでございます。
それでは次に資料4が二つございましたが、それについての説明をいただきます。事務局にはできれば3時までに説明を終わるように努力をしてください。

○低炭素社会推進室長
まず4-1から説明させていただきます。
この絵姿にたどり着くためにどういう政策をとっていけばいいかというような方向性として、オプションを書いたものでございます。
めくっていただきまして2ページ目のところでございますけれども、こういう視点が必要ではないかということで書いておりますのが、一つ目は既存技術ですとかノウハウ、知見を最大限活用するということ。二つ目では技術だけではなくて、ライフスタイルや社会システムにおける新たなイノベーションを創出していくというようなこと、三つ目ではあらゆる政策を総動員していくとか、さまざまな施策を組み合わせて、あらゆる施策に気候変動対策を織り込んでいくという視点が必要ではないかと考えておりまして、以降、政策の例として挙げております。
3ページ目、4ページ目のところでは、温暖化対策計画の着実な実施ということで、まず今やっていることを着実に行っていく重要性について記載をしております。
5ページ目でございますけれども、例としてカーボンプライシングというのがございますけれども、これ詳しくは次の4-2に載せておりますけれども、炭素に価格をつけることで効率的な削減を促す政策手段ということで記載をしております。
めくっていただきまして6ページ目でございますけれども、(規制)についてでございますけれども、適切な制度の環境規制というのは技術革新を促進するのではないかというようなことで記載をしております。
7ページ目でございますけれども、(情報的手法)ということでございますけれども、気候変動の観点も含めて、財・サービスの選択を行うことができるように、こういう環境的な情報の提供を促す仕組みが重要ではないか。またこれまでもご意見いただいておりますけれども、直接の排出量だけではなくて、サプライチェーン全体で減らしていくというようなことの重要性についても書いております。また優良事例ですとかコベネフィットについての情報提供についても整備の必要性を書いております。
めくっていただきまして8ページ目ですけれども、(革新的な技術の開発・普及)推進、研究開発実証・普及の流れを意識しながら、国として首尾一貫した形で支援していくことが必要だと書いております。
次のページ、9ページ目でございますけれども、(金融・資金の流れ)としまして、世界的な動きを書いておりまして、我が国においてもこうした世界の動きを踏まえながら民間資金が提供されるような流れをつくっていく必要があるというふうにしております。
次のページ、10ページ目でございますけれども、(低炭素土地利用の推進)ということでございまして、地方公共団体における積極的な関与を前提としまして、再エネの供給ですとか輸送についての土地利用、市街地でのコンパクトプラスネットワークへの取組についての推進のことを記載しております。
次のページ、11ページ目でございますけれども、(全ての主体における自主的取組)ということで、温暖化対策全ての者が自主的かつ積極的に取り組むことが重要というふうにしておりまして、左下のほうでも例えば【Science Based Targets】などの例を挙げております。右のほうでは2℃目標達成のためにさらなる深掘りが不可欠としておりますけれども、今の約束草案を総計しても2℃目標の経路には載っていないということで、こうした自主的取組を上の四角にありますように経済的手法とか情報的手法等々のポリシーミックスが必要ではないかと考えております。
めくっていただきまして12ページ目でございますけれども、(教育・学習)についての重要性について記載をしております。
13ページ目でございますけれども、科学的な知見の充実等々のための(調査・研究・観測)、右のほうでは気候リスクの情報等の共有についてプラットフォームを設けましたので、その例を記載しております。
めくっていただきまして14ページ目でございますけれども、(海外での削減)というのは重要でございまして、我が国の技術・ノウハウを広く普及させることが重要でありますので、国内で大幅削減をすることで技術・ノウハウ・制度を蓄積して、海外へも貢献していくということを記載しております。
15ページ目でございますけれども、CO2以外のものにつきましても、例えばフロン関係のモントリオール議定書関係の記載をしておりますし、メタンですとか一酸化二窒素についても適切な対応を講じることが必要だというふうにしております。
資料4-1については、以上でございます。

○市場メカニズム室長
続きまして資料4-2について、ご説明申し上げます。
カーボンプライシングについてでございますけど、これにつきまして前回の小委員会で議論の素材を示すようにというご発言がございましたので、それに基づいてご説明させていただくというものでございます。
まずこの資料の構成でございますけど、スライド1~11までで、環境政策上の意義や効果について説明しております。
次にスライド12~16までにかけて、経済や社会への影響・効果などについて説明しています。次のスライド17~20までですが、カーボンプライシングに関する論点について述べています。最後に国内外のカーボンプライシングの動向ということで、炭素税、排出量取引、民間企業の動向について、参考としてまとめております。
まずスライド1でございます。なぜカーボンプライシングなのかということでございますけど、OECDが次のように言及しています。
カーボンプライシングは炭素ベースのエネルギーの価格を引き上げ、これに対する需要を低下させるため、排出削減に効果的である。カーボンプライシングは、排出を削減するための費用効率的な政策ツールである。すなわち、最小のコストで削減目標が達成される。カーボンプライシングは、汚染者負担原則の履行に資し、経済的便益を増大されるといった、こういった内容でございます。
続きましてスライド2をご覧ください。本小委員会で長期ビジョンを議論しておりますので、長期大幅削減に向けてどのような意義があるかということについて、OECDが述べていることでございます。「市場ベースの施策が政治的に極めて困難で、他の効果的な施策が手の届くところにある場合に、より費用効率的でない炭素削減政策を選んでもかまわない。」「しかし気候目標が強く示唆しているように、更なる削減を追及するのであれば、低コスト戦略は、より重要な検討事項となり、市場ベース手法の訴求力は再び増大する。」と、このように言っております。世界銀行についても同趣旨の言及をしているところでございます。
続きましてスライド3でございますが、気候変動対策としてのカーボンプライシングは国際的にどのような評価をされているかということでございます。
1、3、4はG7の首脳宣言、あるいは環境大臣会合コミュニケといった主要先進国の共通の理解ということでございます。それぞれカーボンプライシングの重要性について述べているところでございます。また2についてはCOP21の決定でございますが、これも世界各国の共通認識ということで、カーボンプライシングの重要性を表明しているところでございます。
このような状況を踏まえまして4ページでございますが、これも世界銀行の公表しているところでございますけど、世界各地、世界各国、各地域でカーボンプライシングの導入が増えているという状況でございます。
続きまして資料の5ページでございますが、実効炭素価格と炭素生産性・一人当たりの排出量の関係でございます。
OECDでは明示的な炭素価格として炭素税と排出量取引制度による排出権価格、それから暗示的な炭素価格としてエネルギー課税、これらを合計いたしまして炭素価格を実効炭素価格ということで各国の値を算出しております。
まず左側の図をご覧いただければと思います。その実効炭素価格が高い国は、炭素生産性が高い傾向にございます。右側の図では実効炭素価格が高い国は一人当たりの排出量が低い傾向も見てとれます。また右側の図でございますけど、既に大幅削減を実現している国の実効炭素価格は高い状況がございます。2050年に一人当たり排出量2トンという長期大幅削減を実現する上で、カーボンプライシング制度の有効性が示唆されているところでございます。
続きまして6ページをご覧ください。6ページは今申し上げました実効炭素価格と炭素生産性の関係についてOECDが言及しているところでございます。OECDはより高い実効炭素価格のある国では、より低いGDP当たりの炭素強度が観察されているといった、こういったことを述べているところでございます。

続きまして7ページでございます。ここからは我が国のカーボンプライシングの実施状況ということでございます。7ページには我が国のカーボンプライシング制度ということで、地球温暖化対策のための税について記述がございます。全化石燃料に対してCO2排出量に応じた税率(289円/ CO2トン当たり)といったことを上乗せしております。
続きまして8ページ、スライド8をご覧ください。温対税の効果につきましては、環境省の検討会で議論されているところでございます。この温対税の効果としては、エネルギー価格の上昇により、エネルギー需要が削減されることに伴うCO2削減効果、すなわちプライシングによる効果である価格効果と、税収温暖化対策費用に充てることによるCO2削減効果、すなわち財源効果、この二つがございます。これらの2030年時点の効果は、ご覧のとおり推計されているところでございます。
続きましてスライド9をご覧いただければと思います。温対税の推計結果を国の削減目標との関係で見たものでございます。二つ円グラフがございますが、このうち左のグラフにつきましては、前のページでお示しいたしました2030年時点での温対税の効果が26%削減目標達成に必要な削減量に占める割合を示しています。二つある円グラフのうち、右側につきましては2050年まで期間を延長して、温対税の効果を推計いたしまして、それが80%削減の目標達成に必要な削減量に占める割合を表しているところでございます。

温対税には一定のCO2削減効果があると言える一報で、CO2削減に伴う税収減少によって、長期的な効果が現出するということが見てとれます。またいずれの年におきましても、ご覧のように、そのほとんどが財源効果ということでございます。赤い部で示した価格効果は極めて小さいというふうに推計をいたしているところでございます。
続きましてスライド10でございます。東京都の排出量取引制度でございます。ご承知のとおり我が国全体で排出量取引制度をやっていませんが、東京都とそれから埼玉県さんのほうで実施されているところでございます。東京都においては2010年より都内の大規模な事業所に対してCO2排出量の総量削減を義務づけ、排出量取引によって義務履行を可能とするという制度を設けているところでございます。この実績でございますけど、対象事業所の総床面積は増加する中でも、25%という大幅削減を実現しているところでございます。
すみません、1点訂正でございます。この10ページでございますが、下の4番目のポツの(スライド6、7参照)と書いてあるところでございますが、これは(5、6参照)ということで、訂正をお願いしたいと思います。
続きまして11ページでございます。我が国の削減ポテンシャルにつきましては、環境省がCO2削減ポテンシャル診断事業というものを実施しております。これによりますと5年以内に追加投資は回収できるにも拘らず実施率が低い対策も存在する。それらの未実施の対策を全て実施した場合は、業務部門で約20%、産業部門で約11%の削減が見込まれるということをお示ししております。
続きまして12ページ以降が、先ほども申し上げましたように、経済・社会への影響・効果といったところでございます。
12ページの資料は8月30日の当小委員会におきまして、三井物産戦略研究所の本郷様からご説明いただいた資料でございますが、このカーボンプライシングを例えば経営戦略の指標として使う、あるいは成長戦略として炭素価格による市場メカニズムを通じて民間投資を誘導するといった、こういった効果が述べられているところでございます。
また続きまして13ページでございますが、実効変動対策をきっかけとした高付加価値化と新市場の創造ということでございます。
このスライドでは、今申し上げました高付加価値化と新市場の創造のイメージということで記しております。これは昨年2月に取りまとめられました気候変動長期戦略懇談会の提言にも記載されているものでございます。
カーボンプライシングが導入されますと、炭素価格が図の真ん中の赤い部分、すなわち気候変動対策コストということで顕在化いたします。この結果右に述べる赤い矢印でございますけど、企業は総体的に高くなった化石燃料の使用を削減するために、再生可能エネルギーや省エネ機器などを調達しようとします。これによって新たな需要の創造が起きてくると考えられます。
また下に伸びる矢印ですが、企業はより効率的な生産方法を模索して、プロセスイノベーションが起こる可能性がございます。さらに左上に伸びる緑色の矢印でございますけど、これはカーボンプライシングによって財やサービスのCO2を削減する性能が評価されるということによって、環境価値、環境ブランドが顕在化するということになります。
他方でカーボンプライシングが入ることによりまして、財・サービスの生産コストは上がる可能性がございます。このため企業は生産コストに見合うような財・サービスの単価を引き上げるということは考えられます。これによって企業がより安いということではなく、よりよいもの、つまり高付加価値な財やサービスの供給を目指すきっかけとなる可能性がございます。その高付加価値化の源泉として、新たに顕在化した環境価値や環境ブランドが期待されますし、また消費者に受け入れられるような、そのほかの価値というのも追及されるということになろうと思います。このような形で一種のプロダクトイノベーションが起きる可能性があるということを示唆しております。
続きまして14ページでございます。14ページは実効炭素価格と投資・高付加価値化との関係のスライドでございます。
まず左側の図でございますけど、一人当たりの総資本形成、GDPに計上されている一国のフローの相当資格と実効炭素価格との関係を見たものでございます。よくカーボンプライシングによって投資が阻害されるといった指摘がございますが、この図からはそのような減少は観察されません。実効炭素価格が高くても一人当たりの総投資価格が高い国もございます。また他方スライド13とも関連いたしますけど、カーボンプライシングは高付加価値化、イノベーションを促進するといった指摘もございます。
先ほど諸富先生がおっしゃいましたように、近年無形資産というものが注目されていますが、そのうち統計上で把握されているものとして知的財産生産物と分類されているものがございます。ソフトウエア、文化・芸術品の原本、研究開発といったものが具体的に含まれるものでございます。その知的財産生産物への投資価格と実効炭素価格との関係を見ますと、正の相関が確認できます。実効炭素価格が知的財産生産物投資を促しているといった因果関係を示すものではありませんが、カーボンプライシングはイノベーションを促進するといった指摘と矛盾する現象ではないと考えられます。
続きまして15ページでございます。実効炭素価格と一人当たりのGDPとの関係でございます。OECDの分析によれば、一人当たりのGDPが高い国は全排出量に対して30ユーロトンといった、かなり高額の実効炭素価格がかかっているという、そういった実効炭素価格がかかっている排出量の割合が高い傾向にございます。この図からは実効炭素価格の相当程度の上昇が、マクロ経済に悪影響を与えているという現象は確認できません。温室効果ガスの長期大幅削減と経済的課題の同時解決の可能性が示唆されているというところでございます。
今、同時解決と申し上げましたが、そういった同時解決のイメージ図ということで、需要側で新市場が創出されるということ、それから供給側で高付加価値化が進むということ、それから行政においてこういったカーボンプライシングの収入を活用して、減税やあるいはその補助金として活用するといった、こういったことがイメージとして16ページでお示ししているところでございます。
最後に17ページ以降、カーボンプライシングに関する論点でございます。カーボンプライシングについてですが、IPCCの効果が限定的というふうに言っているという、たまにご指摘がございますが、IPCC自体のカーボンプライシングは原理的に費用対効果が高い形で緩和を実現できる手法と明言しています。効果が限定的といっているのは、カーボンプライシングの中でもキャップ・アンド・トレードの短期の効果というものでございます。その短期の削減効果につきましても、「キャップが緩い」といった、こういった理由で効果が限定的と述べているというのが現状でございます。
続きまして18ページでございます。カーボンプライシングの諸外国の動向でございますが、まず世界銀行についてはカーボンプライシングの効果達成に関してはまだ初期段階であり、最初のステップであると述べているところでございます。またEUにつきましては、制度の開始以来全体で24%の排出削減というのを実現する一方、他方でさまざまな問題が提起されていますので、今改革を実施しているというところでございます。
さらに19ページでございますが、我が国の限界削減費用・リーケージについてでございます。
先ほどもご説明させていただきましたように、現在の日本の炭素生産性というのは、過去20年間、各国が改善する中でほぼ横ばいという状況でございます。また限界削減費用につきましても、非常に高額のものを示しているものもあれば、削減費用がマイナスといった研究結果もいろいろばらばらに出ているところでございます。
またリーケージについては、世界銀行が述べているところでは、実証研究に基づけば、炭素税や排出量取引の導入は、炭素リーケージを大規模にもたらしていないと。リーケージのリスクは無償割当、免税等によって実効的に対応可能であるといった、こういったことを述べているところでございます。
最後20ページでございます。イノベーションと環境規制の関係でございますが、環境規制がイノベーションの原資を奪うことになるといった批判がございますが、国際的にはイノベーションの促進策には需要側の政策、カーボンプライシングなどが有効であるといったことが言われているところでございます。また国内におきましても、これは平成22年度の経済財政白書でございますけど、環境規制が強いことがマクロ的な生産性の上昇を大きく阻害したという事例は、2000年代の先進国では見出されないと言及しているところでございます。
以後、具体的に各国の炭素税、排出量取引制度、それから民間企業の動向についてお示ししておりますが、時間の都合上、説明は割愛させていただきます。
以上でございます。

○浅野委員長
どうもありがとうございました。多数ご発言があろうかと思います。ご発言ご希望の方、どうぞ名札をお立てください。ほとんど皆さんお立てですね。それでは今度は諸富委員からお願いいたします。

○諸富委員
ありがとうございます。細かい中身よりも、資料4-2のカーボンプライシングについてという資料の13ページ、非常に興味深い資料だと思います。形と低炭素化の関係、あるいは炭素生産性の向上。やはり先ほど発言させてもらったように、低炭素に向かうことはコストの上昇要因になるということで理解をされてきたんですが、そこの発想を変えていく、新市場を創造していく、あるいは高付加価値を生み出すにはどうするかという発想に転換をしていくということは、非常にこれ大事だと思いますし、多くのことを教えてくれているスライドだと思います。
なぜこの間国際競争力を失ってきたのかという問いに対して、基本的な製品はいい製品をつくっている、あとはコストをカットしていって、コスト競争力をつけるべきだという行動のもとに、例えば中国に生産基点を移すとか、それから賃金を抑える、こういったことをやってきたわけですけれど、残念ながらそれがその間に何が世界で起きたかというと、そもそも競走の土台そのものが変わってきて、新しい製品サービスや高付加価値やそれから無形資産というふうに先ほど言いましたが、無形資産を土台とする新しいビジネスが生まれてきた。この図で言うと要するに左から右のような移行が生じて、より高付加価値なものをつくり出していく、そのために研究開発投資や人的資本に対する投資はコストをしっかりかけていくというビジネスモデルだと思います。そしてそれを上回る高付加価値の市場マーケットをつくり出し、そっちへビジネスを移行させるということが起きてきたと思うんです。
そういう意味で、確かに右はコストも高いけれども、賃金はしっかり払って、それは逆に国民経済的には内需を増大させるという、プラス効果も当然あるわけなんです。それは単なる基本的に言えば、コスト増ですけども、国民経済的には需要が、消費が増えるということになります。
ただこのようなビジネス転換、どうしたら可能になるかということで、そこはカーボンプライシングと関係があるのかということなんですけれども、恐らくカーボンプライシングも一つ、こういった構造転換を後押しする一つの原因であって、カーボンプライシングのもとで、どういうふうにビジネスの姿を変えていくのか。単にエネルギーを節約しましょう、これは大事なことですけれども、それだけじゃなくて、そもそも脱炭素社会に向けてビジネスの姿をどういうふうに変えていくかという問いが、ここから生まれてくるのではないかなと思います。
特に製造業もサービス産業と融合しつつあります。その中で一番典型的な事例は例えばドイツのシーメンスが典型ですけれども、彼らはもう原発から手を引いて、そして再生可能エネルギーがドイツでは非常に高いとされていますので、ただ変動性があるという中で、どういう形で火力発電所、特に天然ガスを使って変動性の高い再エネを受け入れながら、系統を安定化させるかというノウハウ、ソフトの部分とセットで電力システムを売っていくビジネスをこれから展開していくんだという形で、かなりビジネス構造変えつつあるわけなんです。
だからこういったイノベーションをどこまでできるのか、そしてカーボンプライシングがこういった転換をどうやって後押しできるのか、できないのか、この辺りがこれから成長とカーボンプライシングという問題にとって非常にキーになるポイントだと思います。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。増井委員、どうぞ。

○増井委員
ありがとうございます。3点あります。
まず1点目は、カーボンプライシングというのは、価格というようなもの、シグナルを明確に示すものですので、これは絶対に必要だろうというふうに思っています。そういうふうに認識されているからこそ、世界の多くの国々が、炭素税なりあるいは排出量取引というような形で導入をしている、導入を始めているという、そういう表れなので、どういうふうに日本において実現する場合、導入する場合に拡張していく場合に、経済的な影響を回避しつつ、温室効果ガスの排出量を最大化できるのかということを検討することは重要であろうと思います。
2点目なんですけれども、フランス等のヨーロッパの国ではこういう温暖化対策税と、例えば高齢化とか年金というような、そういう諸問題と今後同時に解決するような分析というのがいろいろ行われ始めていますので、カーボンプライシングということを単にCO2削減のためのツールというふうにみなすのではなくて、いろんな問題を同時に解決する、OECDミックスの手段として位置づける、そういうことを検討することも重要ではないかなと思います。
3点目なんですけれども、今回の資料はどちらかといいますと現状どうかというお話だったかと思いますが、将来、特に2050年の8割減ということを考えますと、今の現在取り組まれているようなカーボンプライシングの炭素価格の水準ではとても足りないということで、短期的に今どういうことをやらないといけないのかということと、2050年に向けて高額な炭素価格、その辺りの切り分けといいますか、取り扱い方というものを分けて議論することも必要ではないかなと思っております。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。それでは根本委員、どうぞ。

○根本委員
まず資料4-1の2ページ目の記載についてです。
政策の基本的な方向性ですが、先ほど申し上げましたように、2030年の中期目標は、現在の低炭素技術・製品が、日本の社会全体に最大限浸透している姿を想定して設定したものと理解しています。したがって、既存の取組の延長線上では、2030年以降の削減余地は非常に小さいと考えられます。既存の技術やノウハウ、知見については、海外への展開普及を図っていくことで、世界全体での削減に貢献していくことが重要ではないかと思います。国内でさらに削減を行うためには、やはりイノベーションの創出が鍵であり、そのための環境の整備が非常に重要になります。イノベーションには、必ずしも温暖化対策を一義的な目的としない様々なものがあり、これらが結果的に温暖化対策にも貢献し得ることにも留意し、広い視野で、イノベーションを検討されてはどうかと思います。
また、最適なポリシーミックスは、各国の状況により一義には決まりませんので、国際的な潮流だからといって導入するのではなく、日本の国情を踏まえた丁寧な議論の積み重ねが必要だろうと思っております。
5ページにカーボンプライシングが施策の例として紹介されていますが、OECDによれば、主な例として挙げられている排出量取引と炭素税は、「明示的なカーボンプライシング」、あるいは「explicitなカーボンプライシング」とされており、これに加えて、温室効果ガス削減に効果を及ぼすあらゆる施策についても、「暗示的なカーボンプライシング」あるいは「implicitなカーボンプライシング」と整理され、同列に定義されています。日本としてカーボンプライシングを考えるのであれば、既に導入されている温対税という明示的なカーボンプライスに加えて、エネルギー諸税やFIT等の間接補助金、省エネ法等の規制的措置、自主行動計画といった暗示的なカーボンプライスの経済的コストについてもきちっと分析し、定量的な評価をした上で、施策を考えるべきだと考えます。
6ページ目にポーター仮説の紹介がありますが、単なる既存の技術の改善ではなく、現在想定されていないような、全く新しいイノベーションに期待するならば、規制に頼るのではなく、創意工夫を発揮し得る自由な環境を様々なプレーヤーに提供することに主眼を置くべきです。そうした環境の適切な設計が重要だということに言及いただきたいと思います。
次に資料4-2です。5ページから6ページでは、カーボンプライシングに関する分析が記載されています。資料の他のグラフも同様ですが、どこを見ても相関係数が記載されておらず、決定係数やP値もほとんどないため、議論の根拠として非常に困るところです。「見た目そうでしょう」ということでは議論になりませんので、ぜひ統計値も全部お示しいただいたうえで、慎重な議論をお願いしたいと思います。
6ページに「より高い実効炭素価格のある国では、より低いGDP当たりの炭素強度が観察されている。」との記載がありますが、先ほど手塚委員からもご指摘がありましたように、炭素生産性の高いスイス、ノルウェー、スウェーデンでは、電源構成に占める水力あるいは原子力のウエートが非常に高く、実効炭素価格の高さによって低いGDP当たり炭素強度がもたれされているわけではないと推論されます。ドイツ、イギリスについては、日本よりも高い実効炭素価格を持っているにもかかわらず、炭素生産性は日本とさほど変わらないなど、さまざまな事例が観察されますので、少なくとも統計値については出していただき、相関関係、さらには因果関係が本当に存在するのか、丁寧にご議論いただきたいと思います。
また、7ページの温暖化対策税ですが、2,600億の温対税の税収を、どこにいくら使っていて、その政策効果はどのぐらいかという資料がありましたら、ぜひ次回までに出していただきたいと考えております。議論の出発点だと思いますので。
10ページに東京都の排出量取引制度について言及がありますが、東京というのはオフィスビルの集積によって世界屈指の立地競争力を有している国際都市であり、いわゆる製造拠点ではありません。非常に特殊な大都市の事例をもって、全国規模の施策を議論することは適切ではないだろうと思います。
11ページの我が国の削減ポテンシャルについて、5年以内に追加投資が回収できるにも拘わらず、実行されていない施策があるとの指摘ですが、もし本当に回収できるのであれば、企業は必ず実行するはずです。にもかかわらずやっていないというのは、ほかに阻害要因があると考えなければなりません。こういった状況があるから炭素税や排出量取引を入れるべきとする論拠は弱いと思います。
次に14ページです。実効炭素価格と投資高付加価値化との関係についてですが、一人当たりではなく、マクロベースの数字もできましたら教えていただきたいと思います。また、グラフを見る限り、ここから正の相関関係を見出すのは厳しいため、統計値をお示しいただければと思っております。
15ページも同様に、マクロベースの数字をお願いいたします。
17ページから20ページにかけて、カーボンプライシングに関する様々な論点が出ています。
まず17ページのIPCCの報告書について、「キャップ・アンド・トレードの中長期の削減効果について言及がない」とか、「適切な水準のキャップを設定した場合の効果についての言及がない」ということは、結局、制度導入から10年以上にわたって効果が見出されていないことを示唆しており、我が国への導入には慎重になるべきという結論になるのではないかと思います。なお、適切なキャップを設定できなかった理由は、それによる経済や国際競争力への懸念があったからであり、そもそも適切なキャップが設定できるのかという問題は別途ありますが、排出削減のみを重視して、適切なキャップを設定することは非現実的と考えます。
18ページではEU-ETSについて、市場安定リザーブの導入など様々な改革が実施されているとの記述がございます。また、19ページにはリーケージのリスクについて、無償割当とか免税とか割引とか、国境調整措置等の制度設計で対応可能だという記載があります。しかし、こういったさまざまな措置、すなわち恣意的な介入を政策当局が行わなければ、機能しないような制度ということであれば、果たしてそれが本当に「市場」と呼べるものかという疑問がわいてきます。非常に規制色の強い制度ですので、効率性という観点からも疑問だと申し上げたいと思います。少なくとも、「費用効率的な政策ツール」とか、「最小のコストで削減目標が達成される」とは評価できない制度だと考えます。
同じく19ページで、実証研究に基づけば「炭素リーケージを大規模にはもたらしていない」とありますが、大規模でないとするならば、一体どの程度のリーケージが生じたのか、規模感の分かるデータを示していただきたいと考えます。
20ページでは、イノベーションの促進策として、「普及段階のものには需要プル型の政策が有効」とありますが、冒頭に申し上げましたとおり、2030年以降の長期の削減には既存の技術の普及ではなく、これまでにない革新的な技術開発をしなければなりません。そのため、大型炭素税とかETSのようなexplicitなカーボンプライシングは、長期であればあるほど効果がなく、むしろ革新的技術開発を阻害すると考えるべきではないかと思います。
以上です。

○浅野委員長
まだご発言ご希望の方が大変多いんですが、今日とても重要な議論ですし、今後の取りまとめをする上では発言を封じる、時間制限をかけるということはしたくないので、申し訳ありませんが、伊藤委員のご発言が終わるまで、もう確実に時間は延長になりますので、覚悟をお願いいたします。
では手塚委員、どうぞ。

○手塚委員
今根本委員が大分言いたいことをカバーしてくださったので、私はそれ以外のところを指摘します。
まず4-1の政策のところなんですけども、基本的にこれからこの取組をしていく中で、国民に負担をかける、あるいは経済活動に何らかの制約をかけていく、あるいは税金を使っていくというような政策をやる場合は、そこにかけるコストとベネフィットのバランスをちゃんととるべきだろうと思います。
ここで言っている負担は想像できるんですけども、ベネフィットは何なんだろうかというと、これは究極的には80%の温室効果ガスの排出削減が行われる、つまり日本の13億トンのうち10億トンを減らすということなんだろうと思うのですが、残念ながらそれだけでは本当のベネフィット出ないです。つまりその結果として地球温暖化が抑制されるということが、究極的な国民に対するベネフィットなわけなのですが、もし日本がコストをかけてこれをやったときに、ほかの国が10億トン増やしてしまうと効果は帳消しになるわけです。
つまり、この問題は単独の国が莫大なコストをかけたからといって、その国の国民にメリットが戻ってこないという、非常に本質的に大きな課題を抱えています。つまり日本がやるという、その努力は、少なくともほかの国がやっている努力と同程度でなければならず、ほかの国も日本に追従してやってくれるということが保証されていないと、日本国民はコストだけ払ってベネフィットがとれないという、帳尻の合わない結果になりかねません。この点について実際個々の政策を導入していく際に、実際その政策の成果がCO2の排出トン数ではなくて、地球温暖化に対してどういうcontributionがなされているのかということもきちんと踏まえて、評価をしていく必要があるのじゃないかというのが1点目です。
2点目は、カーボンプライスです。これは伊藤先生がおっしゃったとおり、価格効果があることは間違いない。カーボンプライスをかけることで、化石燃料の使用に抑制がかかって、CO2が下がるというのは、そのとおりだと思いますが、これはあくまで世界全体でカーボンプライスがかかってきたときの話でございます。
先ほど申し上げた話と同じで、日本だけが強烈に高いカーボンプライスをかけて、ほかの国がかけないと、何が起きるかというと単にリーケージが起きて日本の、例えば炭素強度の高い産業、あるいはエネルギーをたくさん使う活動が海外に出ていって、世界トータルでは排出量が変わらない、こういう結果を招きかねないわけです。つまりカーボンプライシングの議論というのは、あくまで世界全体で、ほぼ同等のカーボンプライスをかけて、世界全体で化石燃料に対する使用のコストを上げていくという概念であると私は考えております。
ちなみにご説明にもありましたけれども、OECDの定義ではカーボンプライスにはimplicitと explicitがあって、implicitカーボンプライスというのはエネルギーの使用に関わるさまざまな活動に価格をつけているわけです。一応資料ではそのことも説明されているわけですけれども、そうだとすると、例えば日本で言う石石税であるとか、あるいは揮発油税であるとか、場合によってはこれ直接エネルギーにコストはかけていないですが、低炭素エネルギー普及に伴う国民負担という意味ではFITの賦課金といったものも、実は日本国民が直面するカーボンプライスの一部になっているということだと思います。
そういう意味で、これからカーボンプライスの議論をしていくときには、まず実際に日本はimplicitと explicitあわせてどういうカーボンプライスを今、社会全体が負っているのかについて明らかにし、それを今後世界の状況を見てどういう水準に今後変えていくべきなのか、べきでないのかと、こういう議論をする必要があるんではないかと思っております。
それから資料の4-2の8ページに、財源効果に関する試算が書かれておりまして、温対税の2,600億円で、5,166万トンの削減効果がもたらされているということが書かれているんですけども、私が出ている資源総合エネルギー調査会の省エネ小委員会では、省エネのために1kl原油の省エネのために、つまりCO2換算で2.6トンの削減のために、5万円程度の投資が必要になってくると、こういう試算がなされているんです。お氏名栄頂いた資料で、5,166万トン削減の財源効果が出るためには、どれだけの資金が投入されているのか、総事業費がどうなっているのかということに非常に興味があるわけです。エネ庁の資料と実はまるで桁が違う数字になっておりますので。
ですので、先ほど根本委員からもございましたけども、この財源効果に付随する総事業費、特に省エネ関係の事業でやられているんだと思いますけども、これがどうなっているのかということをご開示いただきたい。例えばエネルギー需給構造高度化対策事業といったものが、この効果の計算の中に入っているとすると、これは実は分母のほうに温対税だけではなくて、石石税の財源もカウントされているんじゃないのかという、そういうことも含めて弁別した内訳を教えていただきたいということでございます。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。谷口委員、どうぞ。

○谷口委員
2点ございます。
流れとしてはこういうことが要求されるようになってきているということは、理解できるということなんですが、その上でいろいろ議論があると思いますので、理論的にちゃんと詰めておかないところは、詰めないとまずいのかなというふうに思っています。
その意味で1点目は、資料4-2の9ページのところなんですが、弾力性の問題なんですけれども、ここの予測では将来的にCO2が削減されるので、税収は減収されて、長期的には効果が減衰するとあるんですけど、そのような推測について個人的には疑問に思っています。
というのは、ガソリンの価格によって、ドライバーがどういうふうに行動を変えるかという研究をずっとやっていたんですが、価格の弾力性でいくと、短期的な弾力性と長期的な弾力性があって、価格があがるとそのときはみんながっと反応するんですけれども、時間がたつと高い価格になれちゃうんです。そういう意味で、価格が高くても中長期的にはみんな車を使うようになっちゃうというのがガソリン価格の反応実態からは見えています。そういう意味でいくと、むしろここでの資料とは逆で、長期的にはCO2は削減しないが、税収は減らないという解もあるんじゃないかなと思っています。
だから駄目ですよというつもりは、実はあまりなくて、それはちゃんと見た上で、本当は使途のところでそういうことも含めて、先ほど増井委員さんがポリシーミックスをちゃんと考えるようにというふうにおっしゃったこと、僕は非常に大事だと思っているということが2点目です。ちなみに、この税収の効果をコストベネフィットでばしっと見せろというのは、僕は突き詰めすぎない方が社会的な観点からよいのではないかと思っています。そうではなくて、例えばポリシーミックスで、これを使ったらトータルとして経済的にプラスになる部分というのがその連関性まで含めてうまくはかれないけれどあるわけです。税収の具体的な使い道でいうと、例えばそれは社会保障のエリアではありません。そういうところに使うべきではないと個人的には思っていて、ここのメニューで書かれている、例えば都市をコンパクト化するとかというところで、それを支える公共交通というところには、実は社会保障などと比較して全く財源がないわけです。そういうところは確かにCO2削減できるんですが、コストベネフィットで見たときに、CO2単独だけで削減が満たせるかというとそれほどではないわけです。けれども、そこに税収を的確に充てることで、悪化する地域経済をとめられるとか、地域内の産業を興せるという別の効果というのも見られる。そこがはっきりあるわけなので、そういうところも含めて、コストベネフィットを広く見られるかどうかということだと思っています。
それを拡大解釈して不適切なものにまで税収を充てるようになると、要するに行政の失敗ということが起こるわけで、市場の失敗という異なるタイプの失敗を避けながら、計画性を有する部分をきちんと信頼性を持って見られるかどうかということがポイントになると思う。それは我々が問われていることだと思うんですけれども、そういう仕組みが将来にわたってきちんと構築できるかどうかということが問われているんだと私は思っています。
以上でございます。すみませんあとアポがあるんで予定時刻になると抜けてしまいます。申し訳ありません。

○浅野委員長
ありがとうございました。末吉委員、どうぞ。

○末吉委員
ありがとうございます。今ご説明いただいた、資料3と4に関連してなんですけども、政策のあり方とか制度をどうするかとか、あるいは個別商品やサービスをどうしていくのかという、こういうことに全部共通していることがあるように思います。それは全てがビジネスの取引条件になり始めたということだと思うんです。一番典型例は公的な規制です。キャップ・アンド・トレードも、多分それになるでしょうし、例えばカリフォルニアのゼロエミッションビークルはそうです。もうCO2出す車、いずれ走れなくなっちゃうと。四の五の言っていられないわけです。
それから当然サプライチェーンの参入条件です。CO2を削減しない企業は、これから取引しないはずです。もっとCO2の削減目標、意欲的な目標を出させるとか、場合によっては再生可能エネルギー100%を要求するんだと、そういったような参入条件になり始めているんじゃないでしょうか。
それから2番目は金融の取引をする際の信用調査、審査のプロセスにこの問題が入り始めている。財務的条件だけでいい企業だという時代は終わりました。こういった問題に企業としてどう取り組んでいるのかです。しかもただCO2減らすんじゃなくて、2℃を守るためのCO2削減目標を持っているかどうかを企業自身が言い始めると、そういう時代が始まっておりますし、この会でご説明のあったTCFGも間もなく完成します。コスト企業会計原則とか、情報開示、上場基準、そういうようなところにこの問題がどんどん反映されていくはずです。
それから私はビジネスにとって一番怖いのは、消費者だと思います。消費者がグリーン消費者に変わり始めると、消費者側がそっぽを向けば、どんなに自分たちがいい商品だ、サービスだと言ったって誰も買わないわけです。それはもうビジネスアウトです。
しかも私が申し上げたいのは、こういったことは、国境なきルールが始まっているということです。別に日本の政府がつくらなくても、例えばウォルマートがつくれば、それがあっという間に世界中に広まるわけです。いやうちはできません、日本はそういうことできないんですといったような、日本特殊論で太刀打ちできる話ではないんじゃないかと思います。ああそうですか、じゃあ結構です、別なサプライヤーに行きますと言われたら、それでおしまいなんです。ですから、そういったビジネスの条件になってきているということは、私は相当頭の中に入れておく必要があると。
そうすれば、ここで今いろいろ議論になっていることは、本当に実行していかなきゃいけないわけです。そうするとどんなに高邁なビジョンをつくっても、実行のプロセスがいいかげんであれば、まさに絵に描いたもちです。ですから、いずれこの議論の先にあるのはどうやって日本の中で、ここでうたわれるいろんなことが本当に実現されていくのか、その社会的仕組みをつくる必要がありますし、私はその中で一番重要なのは、政治による担保だと思います。諸外国のイギリスの気候変動法を見るまでもなく、やはり政治が長期にわたって国の方針、温暖化政策のあり方の方向性をしっかり示して、visibleに示してそれを守っていく、それがあるがゆえに、日本の企業は安心してその方向で投資もできるし、商品プロダクトのポートフォリオも変えていけるんだと、そういった状況をぜひつくるということが、最後には本当に大事になってきます。
先ほど諸富先生からシーメンスの話がありましたけども、シーメンスを訪問したときに私一番感動したのは、創業者がこういう言葉を残しております。「目先の短期利益のために企業の将来を売ることはしない」と言っていっているんです。なかなかいい言葉だと思います。
以上です。

○浅野委員長
ありがとうございました。崎田委員、どうぞ。

○崎田委員
ありがとうございます。資料4-1の政策の方向性について、まず意見を申し上げたいと思います。
2050年の目標を見据えて今、そこに向かってどうやっていくかという、しっかりとした大きな足を踏んだ積み上げが必要だと思いますが、ここで今2ページのところに視点の1、2、3で技術のことと、2番は技術のみならず新たなイノベーションの創出というところに書いてあります。私はこの2番が大変重要だと思っております。ここをやはりこういうところが大事なんだということを、多くの社会の市民とか事業者の方にわかりやすく伝えていただくというのが、非常に大事ではないかと思っております。この技術だけではなくて、ライフスタイルや社会システムへのイノベーションにというときには、私がすぐに思い出すのが一つあります。
実は以前、日本の国内のスマートシティの新しい、先進的なモデル的なマンションだということで視察をさせていただいたことがあります。非常に最新のシステム、省エネが完璧にできるようなシステムが整っているんですけれども、実際には少し割高なマンションになってしまったために、エネルギー消費の少ない高齢世帯の方が入居をして、エネルギー消費の多い若い世帯の方が全く入っていないので、結局その技術は使っていないというような現状を伺ったことがあります。
やはりそうじゃなくて、そういうところをしっかり機能させるのが大事なわけですけれども、私はEUのある都市開発を視察したときに、高齢の方と子育て世代が一緒に住めるようなマンションをというときに、その業者さんは住む人を先に募集をして、住む人参加型でどういうマンションにしたらいいのかということを一緒に話し合うというようなことをやって、高齢世帯も若い世帯も一緒に住めるような地域開発をしているというところを見たことがあります。本当に大それたことじゃなくてもいい、自分たちの仕事の仕方、暮らしの仕方をちょっと変えるだけで、大きな変化が起きるんだということを明確に伝えていくことが、こういうところでは大事なんではないかと思っております。
なお、こういう資料をまとめていただくときに、今回ここにSDGsのことなどは一切入っていないんですけれども、2015年に国連が採択した17の目標と169のターゲットがありますが、こういうのは世界の国々、先進国も途上国もこれから持続可能な社会に向けて何が課題かというのを、それぞれの国が話し合って共有したものですので、そういうところをうまく使ってモデルを整理していくとか、そういう考え方もあるんじゃないかと思っております。今私はちょうど目標12の、持続可能な消費と生産というところを一生懸命やろうとしております。都市とかそういうところもあります。
なお簡単に申し上げて、カーボンプライシングのところで一つだけ。私はやはりこういう経済的インセンティブをつけていくというのが、自主的に取り組むということを広げるときには大変重要だと思っております。今ある中で、実は資源エネルギー庁の非化石価値取引市場をつくるという検討に参加をしていて、大体のモデルができて、今パブリックコメントにかかっておりますけれども、これも言ってみればいわゆるエネルギーの中の再エネ価値、いわゆる再生可能エネルギーか原子力か、両方別々に証書をつくって買うということもできるわけですので、社会がどういうふうに非化石価値を受容していくのかということが、明確に出てくる話だと思っております。
2019年には再エネはスタートし、2020年には原子力とかほかの再エネ価値取引市場も入れていくというような話になっておりますので、こういうところがどう動くのか、あるいはどういうふうにしたら今後の展開につながっていくのか、いろんな関心を持っていくことが大事なんではないかと考えております。
よろしくお願いいたします。

○浅野委員長
ありがとうございました。荻本委員、どうぞ。

○荻本委員
私からは、先ほど言葉だけ申した話ですが、非常にたくさんの人たちを、ビジネスも含めて巻き込まないといけないということに関して、ここの4-1の資料をずっと読むんですけど、必ずしもそこが非常に重要であるにも拘わらず、何でもやろうと書いてあるだけで、どうやってやろうという、どうやったらたくさんの人が巻き込めるのかというところが非常に弱いなと思います。
その例として、第3章と書いてあるピンク色の中に、公的機関における取組というのがあって、国民運動の展開というのがあります。ちょっと若干けちをつけるようで申し訳ないんですが、公的機関は仕事でやっているはずなんです。仕事でやっている人たちを何とかしましょうというものと、国民みんなに参加してもらいましょうというのが同時にあってどうするんだと。つまり公的機関ではこんなふうにうまくいっているんですから、世の中早くついてきてくださいというふうに見せないといけないはずなのに、みんな並んでいる。だからたくさんの人をどうやったら巻き込めるかというところに、あまりにも記述が足りないかな。
もう一つは、それもダッシュ、ちょっと違う話ですが、再生可能エネルギーを入れるというようなことをやると、先ほどの車と似ているんですけれども、天気に応じて行動を変えないといけないんです。天気に応じて行動を変えるというのは、人間にとってはとても困難なことですから、大体飽きてしまってできなくなります。そうするとオートでやらないといけない。今日はPVがたくさん発電しているので、自動で昼間にお湯をわかすことができるというようなことは、人間がやってできないわけではないんですけれども、オートでやらなければ長続きはしません。
だからそういう何をやらないといけないかということによって、やる手段が変わってくる。やはり手段のところも詰めが甘いかな。非常に気になるのは、「あらゆる政策の総動員」と書いてあるんですけれども、ちゃんと選択した制度であれば総動員するのはいいんですけれども、どう見ても役に立たないような政策が総動員されていてということにぜひならないように、どうやって正しい、またはより適切なものを選ぶのかというプロセスを、ぜひちゃんとつくっていただきたいかなと思います。
以上です。

○浅野委員長
今言われた国民運動のところは、現在の温対計画の中にそれが入っているという記述です。温対計画について国民運動の展開の必要を強く言われたのは産業界の方々で、これが特に最後の段階で章にまで格上げになったという経過があります。ですからこれはきょうの事務局の説明の流れとは若干違いますので、誤解のないようにしていただきたいと思います。
この全体の50年先の話をするときに、国民運動を温対計画同様に、これを同列に並べるかどうかということを言っているわけではありません。

○荻本委員
わかりました。じゃあそうではないと。

○浅野委員長
はい。その通りでございます。では、大野委員、どうぞ。

○大野委員
大きくは二つ申し上げたいと思います。
一つはカーボンプライシングのことなんですけれども、皆さんいろいろと発言をされたんですが、私はカーボンプライシングに関して3点申し上げようと思っているんですが、一つはなぜカーボンプライシングなのかという、1ページに、OECDの言及が引用されています。今日、主に議論になったのは、最初のコストで削減目標を達成するということ、これが市場を活用している方法であるということなんですが、それはそのとおりで、まさしくそういう意味があります。
同時にもう一つ注目しなければならないのは、この三つ目のところでありまして、ここにカーボンプライシングは汚染者負担原則の履行に資すると書いてあるんです。この論点というのも忘れてはいけないんだと思います。まさにCO2はGHG、特にCO2が地球温暖化という気候変動というのをもたらす最大の要因であるということは明らかになっているわけなんですけども、今日本ではどれぐらい出しても自由に出せる、それからただで出せる。もちろん温対税ありますので、ただじゃないという話もあると思いますが、これ極めて低いです。それを除けば基本的に本当にはかかっていない、法的には強制力のある削減義務がないわけです。こういう状態というのを放置していいのかということがあるんだと思うんです。
公害物質であるとか大気汚染物質であれば、必ずいろんなコントロールが入ってきます。だからそういう意味から考えても、やはり何らかの形で温室効果ガスに価格をつける、あるいは排出の上限をつける、あるいは両方であると思うんですが、そういう意味というのをカーボンプライシングは持っているんだということも、そういう意味もあるんだということを忘れてはいけないんじゃなかろうかと思っております。
それから2点目は、今日は根本委員や手塚委員からいろいろカーボンプライシングというご意見がありましたけれども、これを報道するときに経済界が反対していたみたいな話になっちゃうと、ちょっとまた違うんだろうなと思います。今回ずっとヒアリングをやってきたわけなんですけども、非常に印象に残っているのは、第9回のヒアリングでシェルの方が発言の資料の中にも、政府の主導するカーボンプライシングというのは非常に大事なんだということをおっしゃっていました。これもいろんな例があるので、挙げれば切りがないんですけども、世界的に見てみると経済界の方がカーボンプライシングは必要なんだと言っていることは幾らでもあるわけです。だからそういう意味では世界的に常識的なルールになっていて、それが日本で入っていないんだという状況だということを、把握する必要があると思います。
3点目は、それに関連するんですが、カーボンプライシング、特に排出量取引については、早く実際の制度設計を始める段階なんじゃないかなと思います。幾らこういう入り口の議論をしていても、あまり何も変わってこないということだと思います。
先ほど根本委員から東京都の事例に関して、東京都は特殊だからというお話がありました。おっしゃるように東京は非常に業務部門が多いという形になります。ただこれは業務部門が多いところについては、こういう制度が有効に働くんだということを認めていただいたのかと思って非常にうれしかったんですけども、というのは2007年、10年前、私はまさに東京都が排出量取引制度の導入を担当した責任者だったんですが、そのときにまさにこういう場を設けて、ステークホルダー会議をやりました。
そのとき経済連の方、ああいう方もお見えになったんですが、東京の排出量取引制度、キャップ・アンド・トレードについても、その当時の経団連の方は、これは絶対に反対である。いかなる変更を加えても絶対反対なんだということをおっしゃっていたの、非常によく記憶をしております。ただそれに対していろんな工夫をして、まさに東京の特殊性に合った制度設計をすることによって、実際に制度ができたわけです。
ですからそういう意味で、入り口の議論を繰り返すのではなくて、日本で本当にどういう制度であったらば有効に作用するんであろうかと、幅広い経済界の方も含めてご賛同いただけるような制度はどうなんだろうかという、制度の設計をしていく段階に入っているんじゃないかなということを申し上げたいと思います。それがカーボンプライシングに関してです。
それからもう1点、5ページに皆さんも言及されている炭素生産性のグラフがあります。これに関連して、自然エネルギーのことちょっと申し上げたいと思っているんですが、手塚委員も言及されているノルウェーとかスウェーデンとか、こういうところは確かに豊富な安い自然がたくさんあるところです。ただここで大事なことは、今までは地理的条件によって大規模な水力発電が手に入るというところでないと、こういうことが実現できなかったんだけども、それがこの間の風力発電や太陽光発電の技術開発の普及によって、そういう地理的に大規模な水力発電がなくても、これを実現できる時代になってきているということだと思います。
たまたま今手元にある資料で見ると、スウェーデンは電力の54%を大規模水力発電で供給しているんです。だからおっしゃるようにスウェーデンを代表している水力発電があるんです。ただここだけから言うと、例えばデンマークという国には水力発電はございません。ございませんけども、最近発達した風力発電が42%を供給しています。バイオマスが12%で、あわせて55%ですから、地理的条件に恵まれていなくても、スウェーデンと同じぐらいの安い自然エネルギーを供給できるという状態になっているんです。まさにこういう状態になってきているということだと思うんです。これは決して将来の夢の物語を語っているんじゃなくて、まさに今手にできるようなものとして入ってきているということだと思います。
荻本委員からもご指摘があったように、風力発電は条件がいいところではもう1kW当たり3セント、3円程度で供給できます。太陽光発電も一番安いところでは2.3円ぐらいで供給されています。これもちろん日射が非常にいいとか、稼働率が非常に高いとか、そういうところで使われているから、なかなか日本ではここまでいきませんけども、ただそういうところがもう手が届くところまで来ているということなんです。
ですから大事なことは、自然エネルギーを大きく、日本の期間的に早くしていくのだったら目標を立てて、そのために何が必要なのか、荻本委員がおっしゃった系統のコストも含めてどのぐらいかかるんだろうということを、そこを正面の制度で書かれていくことが一番大事じゃないかと、そういうふうに思っております。

○浅野委員長
ありがとうございました。大塚委員、どうぞ。

○大塚委員
カーボンプライシングとそれ以外の点について、4点申し上げておきたいと思いますが、カーボンプライシングについては、先ほど荻本君も言われたように、多くの人を巻き込むという観点から特に重要であると思います。中でも税、賦課金に関しては特に多くの人を巻き込むことができるというメリットがあると思われます。
このスライドの中にもありましたように、現在の温暖化対策税については、財源効果のほうがほとんどで、価格効果は非常に少ないということでございまして、今まで例えば自動車税のグリーン化などが行われてきましたけれども、だんだん皆さんが自動車でしたら自動車のほうが対応してくることによって、エコカー減税のようなものは非常に広がってきたというようなことがございまして、税についても皆さんが炭素について関心を持つようになって、税をあまり払わないように炭素に関しての脱炭素のほうに向かっていかれると、税収が減ってくるというのが一般でございます。
現在自動車関連税についてはとっても減ってしまって困っているわけですけども、そういう傾向が一般的にあると思われますので、価格効果をあまり考えずに財源効果だけを重視しているという現在の温暖化対策税だと、いつまでも税収が入ってくるわけでないということになってしまいますので、価格効果についてもう少し考えるような新しい温暖化対策税というのを考える必要があるのではないかという問題があろうと思います。
あとスライド5ページです。資料4-2の5ページの実効炭素価格と炭素生産性の関係というのは、非常に興味深いというふうに思いましたが、6ページのところにあるように、今、OECDの考え方ですと、実効炭素価格と炭素生産性の間には関係があるということが出ているわけでございますけれども、これによると実効炭素税率に含まれない施策の効果というのは限定的だということになっておりまして、80%削減という大幅削減を2050年に達成するということを考えれば、費用効果性の高い施策、つまりカーボンプライシングというのが非常に重要になってきているということだと思います。
2050年に向かって、費用効率性のことを考えますと、どうしても温暖化対策というのはお金がかかりますので、費用効率性のことを長期的には考えていかないといけないという、先ほど伊藤先生おっしゃったような問題がございますので、本格的なカーボンプライシングというのはぜひ考える必要がありますし、これを排除するような議論というのは、とれないのではないかということを申し上げておきたいと思います。
あと3点目ですけども、温対化対策税を別のものを新しく入れるということにした場合に、社会的に見てほかの問題との同時解決ということを考えるとすれば、社会保険料のほうを減らすとか、あるいは法人税の減税をするとか、さらに財政赤字の補填に充てるとか、いろんな方法があると思いますが、もちろん温暖化対策に使うということにしたり、あるいは都市のコンパクト化に使うという方法もあると思いますので、そこは必ずしも一つに限らずに、柔軟に議論していけばいいと思いますけども、現在ある日本の問題を同時解決するという観点も、税の導入に当たっては非常に重要になるだろうということを申し上げておきたいと思います。
それから4点目でございますけれども、もっと一般的な話としては、先ほど申し上げたカーボンバジェットとの関係で、現在GHGだと3%ですけども、排出しているということがありますので、最低限これについて日本は責任を負っているということがございますので、将来世代との関係で、これを2050年8%削減に向けて減らしていくというラインを書いて、それに向けたPDCAサイクルを回していくということは非常に重要だと思います。コストとベネフィットの関係という問題もあると思いますけど、ベネフィットはまさに日本が責任を果たすというところにあると思われますので、そういう観点が重要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
GHGの低排出の開発戦略というのも2020年までの早い時期にはもう決めなきゃいけないということに、パリ協定でなっておりますし、さらに2023年にはグローバルストックテイクとして世界全体の実施の条件について確認するという手続が行われることになっておりまして、予備的には2018年に行われることになっておりますので、それに向けて早く対応する必要があるという状況があると思われます。
それから19ページに関してキャップ・アンド・トレードのところのご指摘もございましたけれども、排出枠取引において無償割当をするというのは、別に導入時には当然のことでございますし、それから炭素税との関係で税を引くというのも一般的に考えられることでございますので、別にこれで市場が新しく特別のことをしているということではなくて、まさに排出枠取引というのは人口市場であることは事実ですけれども、これは最初から排出枠取引制度を入れるときに普通に考えられることだということを申し上げておきたいと思います。
以上でございます。

○浅野委員長
ありがとうございました。伊藤委員どうぞ。
大変お待たせしました申し訳ありません。

○伊藤委員
3点だけお話をさせていただきたいと思います。
私経済学者という立場で、価格とか費用とか便益とか、そういうのをみんないろいろ考えて行動しているから、そこをきちっと考えなきゃいけないということを申し上げたんですけど、最初にちょっとそうじゃない話をさせていただきたい。これは経済学では行動経済学という、つまり人間ってそんなに合理的に動かない。しかし予想できる程度には非合理に行動している。
こ有名な研究ながあります。なぜ省エネするんですかと、省エネのモチベーションについてアンケートをした研究がありまして、四つ理由を挙げて選んでもらうわけです。一つは省エネにすればもちろん電気料が安くなるとか、いろんな形で要するに自分にとって得であると、これは金銭的なインセンティブというわけです。
二つ目は省エネするということは、道徳的に正しいことだ、だからやるんだというのがモラルインセンティブということです。
三つ目は省エネやることによって日本の環境問題が解決されるとか、あるいは電力需用量が減るとか、要するに社会にとって好ましい効果があるからだという、これは社会的インセンティブです。
そして、四つ目は何かというと、みんながやっているから自分もやるんだと、これをハードインセンティブ、群衆的インセンティブというんですけど、答えはわかると思いますけど、圧倒的に4番目が多いんです。
つまりみんながやるから自分もやるんだ、あるいはみんながやらないから自分もやらないんだ、つまり人間というのは群れの動物だということを改めて確認したわけですけども、環境問題で非常に重要なのは、それをやることが何となく自分たちの生活パターンであるという方向に向かわせえることです。別に金銭的損得を計算してやるとか、そういう話ではありません。
もうちょっと経済学的な議論をすると、こういう議論にどこまでつながるかわかりませんけど、例えば信号が赤だったら止まります。信号が青だったら先に進むわけです。それは政府がそう命令したからそれをやるわけじゃなくて、赤で突き進んでいったら、自分が事故を起こす確率が非常に高いわけです。つまりそういうルールを設定することにより、そこにある種の社会の秩序が生まれるわけですから、ですからこういうビジョンをつくるときに、そういう人間の持っている社会としての動きみたいなことをきちっと考えることが重要です。カーボンプライスも価格の話だけではなくて、そういう社会の方向性みたいなことが、重要なのかなというのが一つ目の話です。
二つ目は時間軸の話で、資料3のタイトルは、方向性ということが書いてあるわけで、方向性というのはどっちに向かっていくかという話だけじゃなくて、どういうペースで、どういうスピードでということが重要で、そこをもうちょっと本当はきちっと議論すべきだったのかな。例えば2ページの三つの大きな視点が書いてありまして、二つ目に「技術のみならずライフスタイルや社会システムにおける新たなイノベーションの創出」と書いてございまして、そのとおりだと思うんですけど、こう書いちゃうと物すごい平板なんです。
先ほどの技術はデマンドサイドが重要か、サプライサイドが重要かという話にも関係するんですけど、私が見ている限りの最近の文献では、イノベーションというのは、最初出てきてからそれが広がって社会にずっと使われていくまでに物すごく時間がかかるわけです。ベンツが内燃機関を発明したのは1890年ぐらいらしいんですけど、フォードがT型フォードをつくったのは1910年ぐらいで、アメリカのモータリゼーションが本当に普及するのは1920年代の後半なんです。それで終わるわけじゃない。
恐らくそういう意味では、サプライサイド、技術的なものでは利用可能なものがすでにいっぱいあるのかもしれませんけど、それが温暖化の対策になるような形で広がっていくためのプロセス、これがここで言う、恐らくライフスタイルとか社会システムの新たなイノベーションであり、あるいはデマンドサイドであって、重要な課題はそのスピードをいかに速くするかということだと思うんです。
今までいろんな技術が実際に社会に広がって使われていくための、それが恐らくデマンドプルということだと思いますから、そういう意味で見るとシークエンスだとか、あるいは時間軸だとかいうことは極めて重要だと思うんです。
時間軸でもう一つ重要なのは、カーボンプライスの話で、先ほどカーボンタックスをかけることは、石油ショックを起こしたようなものだという議論は、僕はおかしいと思うんです。石油ショックは1ドル50セントだった原油が、わずか1年か2年で9ドルに上がったということ。それが影響があるのは当たり前なんです。
だけどじゃあ今我々50ドルの石油、いいとは言いませんけど、50ドルの原油の価格で生活している。これ1ドルに戻るという議論していて、ほとんどあり得ない話ですし、要するにそういう言い方、時間をかけても社会が吸収していくということです。
消費税もそうです。消費税0から3に上げるときに大議論して、3から5に上げるときに議論して、また5から8に議論して、確かに上げるのは大変なんです。いろいろな問題ありますよね。でも今、日本はもう一回消費税0%に戻すべきですかということを国民に問うたときに、多分恐らくそういうことに対して賛成する人はほとんどいないんだろうと思う。ですから、そういう意味で炭素税を一つ例にとりますと、大事なことはできるだけ早く、しかしあまり大きくなくやっていくという、時間軸が極めて重要なのかな。もちろんそういう中で産業だとか社会がそれをどうやって吸収していくかということが問われてくるだろうと思います。
三つ目は、国民はどういうふうに同意するかということに関わって、一つだけ気になること、議論させていただきたいと思います。例えばレポートの10ページに、(低炭素土地利用の推進)というメモがあって、ここのキーワードはいわゆるコンパクト・アンド・ネットワークということだろうと思うんです。
実は今経済財政諮問会議などでも、コンパクト・アンド・ネットワークの話でずっと議論しているんですけど、私は直接その議論を担当しているわけじゃないから、あえて申し上げますけど、議論ばかりで全然進んでいないなと、どこにコンパクトシティができているのか、どこにネットワークが一部ありますよ、ないとは言いませんけど、という話で、それは何かというと、誰が動くのかという話なんだと思うんです。それはもちろん政府、国がやることもあるだろうし、住民がやることもあるし、企業がやることもある、結局は自治体とか政府という意味だけじゃなくて、地域が本当に動くかどうかということで、そのためにどうやってやるかということ、やっぱりもうちょっと議論していかないといけないのかなと。
今、この問題で我々非常に苦しみながら議論している最大の典型的な例が、医療費なんです。ご存じだと思いますけど、高知県や徳島県や熊本県の一人当たりの医療費というのは、東の例えば長野とか神奈川とか静岡に比べて、かなり高いんです。医療の西高東低と呼ばれる現象です。なぜ高いかわからないんだけど、よく見てみると病院の数は多いし、平均在院日数も長いし、それから薬もたくさん投与しているわけです。そこに因果関係があるかどうかわかりませんけど、明らかに地域の差があるわけです。
その地域の差を一つの指標として、できるだけベスト・プラクティスに近づけていくという形で、どうやってやるかということが医療改革の非常に重要な一つの流れで、そのときのポイントというのは、やはり見える化であり、そして比較だろうと。学生でもそうなんです、一人の学生の答案を見て、この学生は優だとか、この学生は良だというのは難しい。だけど点数つけてみて、上からずっと並べてみると、この子はこの子よりできるという形で、相対比較のほうがはるかに重要で、そういう意味では地域だとか自治体だとかいうところがこういうものの中で非常に重要なプレーヤーであるとすると、ぜひほかの経済・財政問題で議論しているような見える化とか、優良事案の横展開だとか、もっと言えば成果を上げていないところには申し訳ないけど、少しディスインセンティブを与えるような、そういう仕組みみたいなものを考えていかれると、このインプリメンテーションのところがさらに広がってくるのかな。感想でございますけども、以上3点です。

○浅野委員長
どうもありがとうございました。今日は本当に申し訳ありませんが、28分オーバーしてしまいました。
それでは本日はこれで終了させていただきますが、事務局から連絡事項がありましたら、どうぞ。

○低炭素社会推進室長
本日は委員の皆様におかれましては、活発なご議論をありがとうございました。次回の日程については、2月3日金曜日、10時から12時30分を予定しております。よろしくお願い申し上げます。

○浅野委員長
それでは次回、2月3日でございますが、この次はとまとめの素案を用意する予定にしておりますので、よろしくお願いいたします。本日はこれで終わります。

午後 3時58分 閉会

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