中央環境審議会 地球環境部会 気候変動影響評価等小委員会(第8回) 議事録

日時

平成27年1月20日 10:00~12:40

場所

TKPガーデンシティ永田町 ホール3A

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1) 日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申)(案)について
  2. (2) その他

3.閉会

配付資料一覧

資料

中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会 委員名簿

  • 資料1   気候変動の影響のとりまとめに向けた課題等の整理について
  • 資料2-1 日本における気候変動による影響に関する評価報告書(案)
  • 資料2-2 日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申)(案)
  • 資料3   今後のスケジュールについて(案)

【参考資料】

  • 参考資料1 中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会(第7回)議事録
  • 参考資料2 気候変動予測結果をもとにした影響評価の結果について
  • 参考資料3-1 気候変動の影響に関するアンケート結果について(Webアンケート)
  • 参考資料3-2 気候変動の影響に関するアンケート結果について(シンポジウムアンケート)
  • 参考資料4 気候変動影響評価等小委員会の趣旨等について

       (中央環境審議会地球環境部会(第114回) 資料1-2)

午前 10時00分 開会

研究調査室長
おはようございます。まだお見えになっていない委員の方がおられますけれども、定刻となりましたので、ただいまより第8回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会を開催いたします。
私は、事務局の環境省研究調査室長、竹本と申します。よろしくお願いいたします。
まず、大臣官房審議官の田中からご挨拶申し上げます。

大臣官房審議官
皆さん、おはようございます。大臣官房審議官の田中でございます。
本日はご多忙の中、気候変動影響評価等小委員会の第8回会合にお集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。
もう言うまでもなく、国際的にも適応の重要性というのは、日に日に高まってきているというところでございますけれども、我が国においても、今年の夏ごろを目処に、政府全体としての適応計画を策定しようということで考えているところでございます。
この委員会では、その適応計画の策定に向けて、既存の研究による気候変動予測ですとか、影響評価等について整理をしていただいて、気候変動が我が国に与える影響の評価について審議をしていくということで、設置をしていただいたわけでございます。
我が国における気候変動の影響につきましては、これを網羅的に、また、統一的な観点でまとめようということでありまして、そういう観点で、我が国初めての取組ということになるかと思います。適応対策を進めていく上で、非常に重要かつ画期的な取組ではないかと考えております。
これまで、この委員会、それからこれをサポートする形で開催をしていただきました五つの分野別ワーキンググループ、それぞれにおきまして、関係する委員の皆様には、大変短い検討時間で、非常に申し訳なかったというところもございますけれども、大変精力的に、かつ積極的にご検討、ご執筆をいただきましたことにつきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。
本日ですけれども、これまでの議論を踏まえまして、日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題についてということで、意見具申案をそのパブリックコメント案という形でまとめていただければと思っておりますので、委員の皆様方には、本日も活発なご議論を賜ればと思っております。よろしくお願い申し上げます。

研究調査室長
本日の会議ですが、現在、委員総数の過半数の委員にご出席いただいており、定足数に達しておりますことをご報告いたします。
また、本日の審議は公開とさせていただきます。
また、本日、倉根委員、田中委員は、所用により途中退席されますので、あらかじめお伝えいたします。
続きまして、先ほどご挨拶した田中以外の環境省の出席者をご紹介させていただきます。
環境省の市場メカニズム室長の川上でございます。
あと、室長補佐の野本でございます。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。まず、お手元に議事次第がございます。その下に、委員名簿。それから、資料1、「気候変動の影響のとりまとめに向けた課題等の整理について」。資料2-1、「日本における気候変動による影響に関する評価報告書(案)」。資料2-2、「日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申)(案)」。資料3、「今後のスケジュールについて(案)」。
参考資料1、「中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会(第7回)議事録」。参考資料2、「気候変動予測結果をもとにした影響評価の結果について」。それから、参考資料3はA3になっております。まず、参考資料3-1、「気候変動の影響に関するアンケート結果について(Webアンケート)」。参考資料3-2が「気候変動の影響に関するアンケート結果について(シンポジウムアンケート)」。参考資料4が「気候変動影響評価等小委員会の趣旨等について」。以上でございます。
資料の不足等がございましたら事務局までお申しつけください。
それでは、以下の議事進行は、住委員長にお願いします。

住委員長
どうも、皆様、おはようございます。お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
長く2年間にわたってやってまいりました小委員会及びワーキンググループの、今日、最終案の取りまとめということで、活発なご議論をお願いいたします。
また、テレビが入っていますように、世間の関心も非常に高いということでありますので、それを受けて、やはり今後、適応計画の策定に向けて、色々なことがあると思いますが、引き続きご協力をお願いしたいと思います。
それでは、まず本日の議題は、議事次第にありますように、1番目として、日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申)(案)について、ご議論をお願いいたします。それから、その他となっております。
まず、議題1について、まず前回の小委員会や第3回ワーキンググループでの議論された課題とその対応方針について、資料1を事務局より説明いただき、その後、質疑応答に入りたいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。

研究調査室長補佐
カメラはここまででお願いいたします。
資料1につきまして、ご説明させていただきます。「気候変動の影響のとりまとめに向けた課題等の整理について」ということで、これまでに、この小委員会の議論をサポートするような形で、分野別のワーキンググループを3回ずつ開催しております。これは五つのワーキンググループから成っておりまして、1枚目の真ん中にございますけれども、「農業・林業・水産業」、「水環境・水資源、自然災害・沿岸域」、「自然生態系」、「健康」、「産業・経済活動、国民生活・都市生活」の五つのワーキングから成っております。ここでは、真ん中の検討事項にございますけれども、収集しました気候変動の影響に関する各情報の精査、また、現在の状況の整理、将来予測される影響の整理、あと、整理された情報の重大性・緊急性・確信度の評価を行っております。
1枚おめくりいただきまして、次が、ワーキンググループの委員名簿となっております。
3ページ目に、1回目、2回目、3回目の議事と日程が書いておりまして、前回、小委員会を12月に開催しましたけれども、その後に3回目の会合を12月の末から1月の初めにかけて行っております。
前回の小委員会及び第3回目のワーキンググループで、幾つか課題が提起されております。それの課題に対する、課題のまず状況と、それへの対処方針(案)、一部、対応済みのものも含んでおります。それについて、簡単にご紹介させていただきます。
4ページ目ですけれども、分野共通の課題といたしまして、まず一つ目が、影響の前提というものですけれども、文献が少ないと言っていますけれども、分からないことに対策をとるのかとなってしまうのではないかという懸念を提起されておりまして、こういうところに関しては、少し丁寧に言葉を補うべきとご意見をいただいております。そこに関しては、対応方針のところですけれども、意見具申ですとか報告書の中に、少し丁寧にその辺りは言葉を補って記載をしたいと思っております。
続きまして、2番目ですけれども、将来予測される影響の概要では、気候のシナリオですとか、モデルですとか、その辺りをしっかり書くべきというご意見がありましたので、そこは可能な範囲で、モデルですとかシナリオに関しても、しっかり書いていきたいと思っております。
また、3番目ですけれども、全球の気温が何℃上がれば降水量がどうなるですとか、何℃の上昇はいつごろ起きるとか、そういう形で、分かりやすい情報とすべきというご意見もございました。この辺りは、可能な範囲で、意見具申の中等でも工夫をしたいと思っておりまして、検討をしています。
続いて、5ページ目の分かりやすさですけれども、こちらで、メカニズムを簡単に伝えようとすると、誤解があるのではないのかというご意見がございました。特に農業・林業・水産業のワーキングなどでは、なかなか対応が難しいというお話もありました。
対応方針ですけれども、ここは、そのメカニズムの書きぶりが誤解を生じさせないように、語尾を、ここに書いてあるような統一的な書きぶりとしたいと思っておりまして、あと名称も、可能なものは「気候変動による影響の要因」という書き方としまして、内容としても、書ける分野に限って書くという形で対応しております。
続いて、現在の概要と、将来予測される影響の概要は、一般の人が読んで理解しやすいように修正する必要があるというご指摘をいただいていまして、ここは可能な限り、そのような形で修正を行っています。
続いて、(3)の評価・影響の内容についてということで、影響については最もあり得ることを書くことも重要だけれども、最悪の場合についても書くべきというご意見がありましたので、その点も考慮して、内容を確認しています。
2番目ですけれども、重大性の評価で、全分野を見て違和感がないか、チェックする必要があるというご意見をいただいております。これは、まさしく、この委員会で分野横断的な形で確認していただければと思っております。
三つ目ですけれども、重大性の評価で、評価の考え方を総論的に述べている場合と各論的に述べている場合があるということがございまして、これも可能な範囲で、細かく書けるところは書いていくという記載方針として、お願いしております。
続いて、重大性の評価のところで、発生確率を考慮した重大性と、起きた場合の現象の重大性が混在しているのではないのかというご意見がございました。この辺りは、重大性の判断の手法をまとめておりますけれども、その中では、重大性に関しては「影響の程度」だけではなくて、その影響の「可能性」も含めて評価するとなっておりますので、基本的には、その発生可能性も含めて評価いただいたと思っております。先生方にも、そういう観点で、再度、確認をさせていただきました。
続いて、6ページ目の5番目ですけれども、同じく重大性の評価のところで、自然災害のようにもともとその問題自体が重要なものが、重大性が「特に大きい」と評価されている印象があり、気候変動の影響が重大なものと、もともと重大で気候変動がなくても重大なものが混在しているのではないのかというご指摘がございました。ここも、もともとここの委員会の趣旨が、気候変動の影響について把握するという趣旨ですので、基本的には、気候変動の影響部分の付加分を評価していると考えております。ただ、なかなか抽出するのが困難なものもございますので、そういった場合は、そういうことをした上で、評価もしていただいているという形でございます。
あと、6番に関しましては、言葉の表現で、「強い台風の増加」ということが正しいということですので、それに統一をしております。
また、日本で文献がないものに関しましても、世界でどうなっているかということも書くべきということもございましたので、その辺りはIPCCの報告書などから補完しております。
もう1点、8番目ですけれども、今回の影響評価につきましては、科学的知見に基づくものとしておりますけれども、文献に書いていないことは書いてはいけないというわけではなくて、それらの文献を踏まえて、エキスパートジャッジを行っているものに関しては、それをネガティブに捉えて否定するべきではないというご意見がございました。この観点は、意見具申の中にもエキスパートジャッジに関する記述を加えております。
続いて、(4)文献についてですけれども、気候変動の影響という観点で研究はされていませんけれども、その分野では当たり前となっているような事象もあるということもございました。この辺りは、まず意見具申においては、メインでは、その気候変動の影響を取り扱った文献を中心に選んでいるということを記載した上で、それ以外の文献でも活用できるものは活用しているというスタンスを明確にしております。
もう1点、環境省が追加の影響評価を行っておりますけれども、その結果を活用するのは良いけれども、間違いがないようにということで、そこはよく確認しながら対応していきたいと思っております。
続いて、7ページ目ですけれども、文書の位置づけ・その他というものでして、まず1番目ですけれども、各委員が執筆を行った「日本における気候変動の影響(一覧表)のとりまとめに向けた情報の整理」という分厚い資料、今日で言うと資料2-1に相当する資料がありますけれども、これ自体も一つの成果ではないかというご意見をいただいております。これについては、今日の形でも、この分厚い評価報告書自体も小委員会の一つの成果としてまとめることとしておりまして、またそこから概要を抜き出したものを意見具申としてまとめるようにしております。
次に、2番目としまして、国民にわかりやすい情報発信として、温度上昇と影響の関係を図示してはどうかという話がございましたけれども、それは難しいのではないかというご意見もございまして、今回は、まずは意見具申を取りまとめることに注力いたしまして、図示化は今後の検討課題としていきたいと思っております。
7ページ目の下以降には、各分野における課題をそれぞれ記載しておりまして、時間の都合上、全てをご紹介することは難しいですけれども、例えば農業・林業・水産業の分野で言えば、2番目のところでございますけれども、気候変動問題とは別に、農林水産業そのものが抱えている問題も触れるべきということもありましたので、この辺りは、記載を先生方にもお願いして、ご相談して、記載しております。
ほかにも、次のページが、水環境・水資源ですとか、自然生態系、健康、国民生活というような形で、それぞれの課題が記載されておりまして、既に対応を行っています。
あと、あわせて、参考資料2に関しても、今の時点でご紹介したいと思います。先ほど、環境省の気候変動による影響の評価に関するご指摘がありましたけれども、その一つの成果でございまして、ここでご紹介しているのは、ウンシュウミカン・タンカンの関係と、ブナとかハイマツなどの関係です。こちらは、IPCC第5次評価報告書で使われている気候変動のシナリオに基づきまして、将来、日本で、例えばそのウンシュウミカンの栽培適地がどうなるかというのを環境省のほうで計算を行いました。手法としては、既存の手法をそのまま当てはめるような形で、新しい気候シナリオに基づいて計算をしたというものでございます。結果は、詳細は割愛いたしますけれども、ここに書いているとおり、栽培適地がかなり北上するなどの結果が出てきております。
同じく、スライド番号で言うと5枚目のところですけれども、5枚目からが、そのブナ、ハイマツ、シラビソ、アカガシの分布に関して、将来予測を行っておりまして、7ページ目以降のところで、その分布の変化が示されております。例えばブナに関しては、気温が非常に上昇するシナリオのもとでは、分布域、潜在生息域がかなり減っていくということがわかっております。これらの二つの結果は、今日、まとめていただいている評価報告書の中にも取り上げていただいております。
あと、アンケートも環境省のほうで行いまして、それが参考資料3-1と3-2ということでつけておりまして、まず参考資料3-1が、Webアンケートの結果です。これは一般の方1万人に、11月末から12月の頭にかけまして、Webで気候変動に関する意識調査という形でアンケート調査を行いました。1枚おめくりいただきまして、これも詳細は割愛いたしますけれども、2枚目のところで結果概要を書いています。調査自体は、年代ですとか居住地がばらつくようにアンケートを行いました。また、アンケートの質問としては三つございます。一つ目が、「気候変動の影響は、すでに現れていると思いますか?」ということで、「強くそう思う」という方が4割、「どちらかといえば、そう思う」という方が5割、残りの選択肢を選んだ方が1割という結果になっています。
また、2問目の質問としましては、「どのような気候変動が【1.既に現れている】、【2.今後現れることが心配】と感じますか?」ということで、夏の猛暑ですとか、渇水の増加とか、そういったことを聞いておりまして、それらについては、左側のオレンジのところから、「既に現れている」という方が、例えば猛暑だと8割の方、「今後現れることが心配」という方がピンクで表していまして、そのどちらかに丸をつけた方が右側の棒グラフのところに載っていまして、86%の方がそういう問題意識を持っているという結果となっています。
続いて、問3が、「どのような分野に【1.気候変動の影響が既に現れている】、【2.今後現れることが心配】と感じますか?また、【3.今後対策が必要と考えられるのはどのような分野】ですか?」という質問を行っていまして、こちらも農業から始まりまして、その他まで、22項の選択肢がございまして、どういったところに「既に現れている」、もしくは「今後現れることが心配」かというところを選択してもらっています。例えば農業だと、どちらかに丸をつけた方が8割という結果が出ています。
あと、参考資料3-2は、同様なアンケートを、気候変動に関するシンポジウムを行いましたので、そこでも同じように行いました。こちらは特に全体で11カ所のシンポジウムを行っていまして、アンケートの回答数としては869名ということになっていまして、こちらも同様な形でアンケート結果が出ていますので、説明は割愛いたしますけれども、ご紹介でございます。
説明は以上になります。

住委員長
どうもありがとうございました。
それでは、今までの説明に関して、質問あるいはコメント等ございましたら、名札を上げていただければと思います。よろしいですか。
では、秋元さん。

秋元委員
どうもありがとうございます。何点かなんですけども、まず資料1のところで、ここで確認なのですけども、野本補佐のご説明で、意見具申案について、書きぶりを検討中で、まだ今、検討作業中だというお話だったような気がしたのですけども、この今日の資料2-2はまだ途中段階で、今後直すということなのか、何となく私の今日のイメージからすると、これを今日承認するというプロセスかと思って、座長のお話もそういう話のように伺いましたので、承認プロセスがどうなっているのか。今日、まだ承認しなくて、まだ修正を行って、最後、回覧して、委員の承認を得るのか、一応これ、委員会の名前になっていますので、その承認プロセスについて、1点教えてください。
あと、コメントですけれども、5ページ目のところで、その「影響について、最もあり得ることを書くことも重要だが、最悪の場合に起き得ることも書くべき」ということで、基本的に全然これで私はいいと思うのですけども、ただ、今後、適応計画ということを考えたときに、やはり最悪の場合も全部考えて、全部適応をとるということをすると、場合によっては、非常に大きなコストがかかるという場合もありますので、そこが非常に小さい確率なんだということがわかるように、区別してきちんと書くべきで、何か全部一緒くたに書くということにならないように、全部精査できていないので、そういうところがないかどうかというチェックで、一応コメントさせていただきました。
それで、あと、アンケートなのですけども、これはワーキンググループのときも申し上げたのですけども、このアンケートをどう使われるのかはわからないですけども、一応参考資料として出てきていますので、コメントさせていただきますと、Webアンケートに関しては、一応これ、幅広くいろいろモニターを散らして問われたということなのですけども、ただ、ワーキンググループでもお聞きしたときからの私の理解ですと、Webアンケートで、こういうものをやりますと投げて、モニター170万人の中から手を挙げて1万人になるまでやって、そこで締め切ったということですので、若干その気候変動に興味がある人が割と申し込みやすいかなという感じがあるので、完全な国民的な全体のサンプルからとったというよりは、少しバイアスがかかっているのではないかという感じはしますので、それは解釈なので、別にこのアンケート自体は価値があると思いますけども、そういう理解をとる必要があるかなというのが1点目です。
もう一つは、問いの仕方で、既に、例えば問2で行きますと、どのような気候変動が、1番目、「既に現れている」と。これは現れているかどうかだけを問うていて、2番目のほうは、「今後現れることが心配」と聞いているので、今後現れるかどうかを聞いているのではなくて、心配という要素が一つ加わって聞いているので、この「既に現れている」というところと、「今後現れることが心配」というところの差をそのまま比較するのは、ちょっと違うのかなという感じを持っています。
もう一つは、コメントですけども、例えばこれで行くと、問2の中の回答で、「既に現れている」というところで、海洋酸性化が非常に小さいわけですね。14%しかないと。ただ、海洋酸性化は明らかに起こっているので、ここは普通の科学的な知見から行くと、海洋酸性化は明確で、ほかのほうが不確実性が高いという感じがするのですけども、ここはすごく、やはり一般的な人のバイアスというか、そういうものが見えるような気がするので、やはりそのアンケート結果というのは一定の価値はあるにせよ、そういう科学と、若干ギャップがある中での結果になっているということを理解しておく必要があるかなということを思いました。これは感想です。
以上です。

住委員長
どうもありがとうございました。
では、ほかに、江守さん。

江守委員
ありがとうございます。僕もアンケートについてお伺いしたいことと、思ったことを申し上げたいのですけれども、まず資料に質問文というのはついているのでしょうか。よく調べられていないんですけれども。

研究調査室長補佐
アンケートの質問文については資料の最後のところに様式で載せています。

江守委員
一番最後についている。わかりました。どのように聞いていたのかなと思ったので、それは見ていないで質問をして、すみませんでしたけれども、質問文をよく見ればわかるかもしれませんけれども、まずWebアンケートの問1の「気候変動の影響は、すでに現れていると思いますか?」というところで、ついついこういうのを見ると気になってしまうのは、気候変動といったときに、その人為起源の、人間活動が原因である気候変動であるというように明確に伝わった上で答えているのかどうなのかなと。人によっては、気候変動はあるけど、別に人間のせいではないという言い方をする人がいらっしゃいます。だとすると、「既に現れている」というのは、どういう意味かというのがよくわからなくなってくるのですけれども、そういう議論というのは世の中にありますので、そこは少し気になりました。
それから、もう一つ、「既に現れている」と「今後現れることが心配」の関係は、僕も秋元さんと同様なことも気になったのですけれども、「既に現れている」のは、現れているという認識であって、それが問題であるかどうかということは特に問うていない。現れることが心配であるというのは、現れることが予測されて、かつ、それが問題であると思っているという違いがある点には気をつけなくてはいけないのだろうなと思いました。
それで、結果をざっと見ると、そのWebアンケートのほうは、「既に現れている」は、ものによって非常に高くて、「今後現れることが心配」というのは、押しなべてかなり低い。3割か、低いというか、3割前後で割とそろっている感じがするのですけれども、会場アンケートのほうを見ますと、幾つかぱらぱら見ただけの印象で、最初のほうしか見ていないのですけれども、どうも「既に現れている」で高いのがついた項目、例えば最初の会場の結果の猛暑であるとか豪雨であるとかは「既に現れている」が非常に高くついて、「今後現れることが心配」というのは低くついている。逆に、「既に現れている」が低いような項目で、今後心配というのが高くついているような傾向が何となく見えまして、これは、要するに、今後現れるというのは、まだ現れていないけど、今後現れるという意味にとられていると、こういうつき方をしておかしくないと思うのですけれども、そうなのかなと。だとすると、Webアンケートと傾向が違うのはなぜなのかなということは気になったものです。
それから、秋元さんがおっしゃった海洋酸性化が、人々の、何というか、既に現れているというように認識していない人が多いということは、これはある意味当然だと思いまして、これは、要するに、人々のパーセプションを聞いているので、知らないということも含めて、そういう答えになるのだろうと思います。人々のパーセプションを聞いているというのは、当然正しい認識を持っているかどうかを聞いているのではなくて、人々が素朴に何が気になっているかという声を聞いているという、そういう位置づけとして捉えればよろしいかと思います。
以上です。

住委員長
そのほか、よろしいですか。

木所委員
アンケートのほうの議論になっていたので、アンケートの見方というか、私の感覚なのですけども、この資料をどう使うかはわからないのですけども、今、何か、このアンケート結果と、専門の人の見解が違うような感覚が色々出ていたと思うのですけども、基本的にここの小委員会の方は皆さん専門家だと思いますけども、このアンケート結果は一般の人ということで、例えば酸性化もそうですけど、一般の感覚と、私たちというか、専門家のほうのギャップというような認識で私のほうは見て、それを何かに使えばいいのかなと、そんなふうに考えているところです。

八木委員
私もアンケートについて一つコメントしたいのですが、Webも会場も見ていますと、心配という回答の割合が多いのに比べて、「今後対策が必要」、青いバー、これがほとんどの分野で低いのですね。これがどうしてかなと。国民の意識がどうしてこういう結果になるのかなということを少し考えなければいけないと思います。対策しても、対策のとりようがないと考えられているのか、あるいは、将来の影響が十分理解されていないのか、そういったことを今後考えていく必要があると思いました。
以上です。

住委員長
そのほか、よろしいでしょうか。
私は、やはり今回で基本的には小委員会を終わりにしたいと、まず考えております、報告書に関しては。ただし、これからパブコメをするとか、字句の修正等、さまざまなことがありますので、これでこのままの文章で終わりという形には多分ならないだろうと思いますが、基本的に、これからまた大きくああだこうだ変えると、そういうようなことは、まずほとんど考えていないというのが状況かと思います。
それから、アンケートなのですが、これは僕の意見でもあるのですが、本当にアンケートをきちんとしてとるのだったら、もう少しきちんとしたほうが良いと思います。そもそも、どういう目的で、どうやって、どうとるかということを、やはり誰か責任持ってやってくれる人がいないと、それはまずいと。これは、ある意味で環境省の担当者が、どうなっているかといってサーベイしたという、一つのトライアルと考えるべきであろうと思います。だから、これを解析して、だから、こうだという結論を出してくるには、まだ mature ではないなと思いますので。ただ、だから、それは全て、パブコメにも言えていまして、パブコメって、ただ、 excuse のためにやっているだけではないかと。いや、やったことなんかはほとんど反映されていないという不満もありますし、では、逆に言うと、そんな聞いていたら、とてもできないねということもありますので、そういう点で、どのように意見を集約してやっていくかというところの問題は、恐らく今の行政なり政治の根幹的な問題でもありますので、その辺は、それほど、そう簡単に行ける問題ではないと思います。そういう点で、一つの材料として考えていただければいいなと思っております。
それで、本当にアンケート調査をみんなが納得するような形でリサーチとしてやるのだったら、こういうことをやっているプロの専門家がいますので、そういうところの人に聞いて、設問の仕方も、適当に書けばいいというわけでは多分ないはずなんですね。きちんと考えた設問の仕方とか、色々なことが多分その業界にはあると思いますので、そうすることが大事なのかなと思います。
ただ、初めてこういうことをやったのは非常に意味があることで、これを少しサーベイしてみたところ、おもしろそうであれば、今後、本当に検討して、次年度以降、本格的なキンゼイ・レポート、要するに、社会科学の分野では、そういう統計調査って、一つの研究の手段ですので、そういう形になるような仕組みでやっていただければなと思っております。
それでは、時間が押しておりますので、次に行きたいと思います。
次は、資料2-1ですが、5つの分野別ワーキンググループをつくって、色々と報告書が案としてまとまっておりますので、まず、事務局から各部分について説明をいただき、その後、座長もしくは座長がいない場合は代理の委員からご説明をいただきたいと思います。
それで倉根委員が、エボラ出血熱のことがあって、急遽、委員会があるとおっしゃいますので、まず健康分野から入りたいと思います。

研究調査室長補佐
では、資料2-1に基づきまして、まず健康分野、278ページでございますけれども、かいつまんで検討内容についてご紹介させていただきます。
一つ目が、冬季死亡率というものでございまして、初めに、構造をご紹介いたしますと、こちらは、現在の状況に関して収集した文献が2件ということで、それらについて、文献の概要について表形式で記載しております。さらに、将来予測される影響の概要ということで、1件文献がございましたけれども、それの内容と、その予測手法の概要について記載をしています。
その下に、重大性・緊急性・確信度等の情報ということで、それらを文献などからまとめて、ファクトベースで、基本的には言えるような内容というのを中心に記載をしております。
続いて、次の279ページに行きまして、気候変動による影響の要因ということで、冬季の気温上昇に関して、その死亡数を低下させる可能性があるというのを、簡単ですけれども、要因は書いておりまして、続いて、現在の状況について、枠囲みのところで、冬季の気温の上昇に伴い冬季死亡率が低下しているという具体的な研究事例は現時点では確認できていないという状況を書いております。
その下に、少し詳細なものを書いておりまして、続いて、枠囲みが、将来予測される影響ということで、冬季の平均気温は、今世紀末に今と比べて1.8℃上がるシナリオでは、2030年代に、全国的に2000年代よりも上昇して、死亡に占める低気温関連死亡の割合が減少することが予測されていると。ただ、ここに関しては、まだ季節の影響ですとか、冬季における気温の相違による影響を分離できてはいないという注もございます。
続いて、将来予測される影響の詳細を少し書いておりまして、280ページのほうに、重大性・緊急性・確信度の評価と、あと、それらの判断した根拠を文章で書いているところでございます。この場合だと、例えば、重大性は「『特に大きい』とは言えない」。緊急性は「低い」。確信度は「低い」となっておりまして、こちらのこういう評価に関しては、一覧表としまして、同じ資料の375ページからですけれども、それぞれの分野に関して、重大性・緊急性・確信度を色分けした資料を配付させていただいております。以上が、報告書の構成と、あと、この冬季死亡率の内容になっていまして、ここからは各項目の内容を簡単にご紹介いたします。
281ページが、暑熱の死亡リスクとなっておりまして、283ページのところで、現在の状況が書いておりまして、気温の上昇による超過死亡の増加は既に生じていることが世界的に確認されているということが分かっております。
また、将来予測される影響に関して、東京を含むアジアの複数都市では、夏季の熱波の頻度が増加して、死亡率ですとか、罹患率に関係する熱ストレスの発生が増加する可能性があることが予測されているとなっております。
重大性・緊急性・確信度の評価に関しては、重大性は社会の観点で「特に大きい」となっていまして、緊急性・確信度ともに「高い」という結果になっております。
続いて、熱中症、285ページですけれども、現在の状況が287ページに書いてございまして、気候変動の影響とは言い切れないものの、熱中症の搬送者数の増加が全国各地で報告されているということがございます。
また、将来予測される影響としまして、288ページの枠囲みですけれども、熱中症の発生率の増加は、2031年~2050年、2081年~2100年のいずれの予測も、北海道、東北、関東で大きく、四国、九州・沖縄で小さいことが予測されているということが分かっております。ほかにも、ここに書いてあるような内容が分かっています。
289ページのところで、重大性は、「特に大きい」。緊急性・確信度は、それぞれ「高い」となっています。
続いて、感染症のまず水系・食品媒介性感染症ですけれども、290ページからで、現在の状況が292ページにありまして、気候変動による水系・食品媒介性感染症のリスクの増加について、現時点で研究事例は限定的にしか確認されておらず、気候変動との関連は明確ではないとなっております。
また、下の将来予測される影響については、気候変動による水系・食品媒介性感染症の拡大が懸念されるが、現時点では研究事例は限定的にしか確認できていないということで、293ページに評価が載っておりまして、重大性は、「現状では評価できない」。緊急性も同様な評価で、確信度は「低い」となっています。
続いて、294ページからが、節足動物媒介性感染症ですけれども、こちらにつきましては、現在の状況が299ページにございまして、デング熱等の感染症を媒介するヒトスジシマカの生息域が東北地方北部まで拡大しています。気候変動とは直接関係しませんけれども、2014年には都内の公園で多数の人がデング熱に感染する事象が発生したということが書いています。
同じページの下の枠囲みの将来予測される影響ですけれども、今世紀末に3.7℃上昇するシナリオでは、ヒトスジシマカの分布域が北海道の一部まで広がることが予測されているということがございます。ただ、分布域の拡大が、直ちに疾患の発生数の増加につながるわけではないということもございます。
評価としましては、300ページのほうで、重大性は、「特に大きい」と、緊急性・確信度は、それぞれ「中程度」となっています。
301ページからが、その他の感染症ということで、現在の状況に関しては302ページですけれども、その他感染症においても、発生の季節性の変化や、発生と気温・湿度との関連を指摘する報告があります。ただ、まだ知見が十分ではないところがあるとなっております。
303ページのところで、将来予測される影響ということで、気温の上昇に伴いまして、季節性の変化、発生リスクの変化が起きる可能性があるものの、文献が限られており、定量的な評価が困難であるとなっています。
評価ですけれども、重大性・緊急性・確信度ともに、「現状では評価できない」という結果になっています。
続いて、その他が、304ページから始まっていまして、現在の状況が307ページにございます。1ポツ目が、健康に係る複合影響として多く報告されているのは、気温上昇と大気汚染に関するものということがございます。
三つ目のポツとしましては、暑熱に対して脆弱な集団としては高齢者が取り上げられることが多いけれども、米国では、例えば小児もしくは胎児への影響というのもあるというようには言われています。
四つ目ですけれども、労働効率への影響等についても、あり得るとは思うのですが、国内の報告では限られているという状況です。
308ページに、将来予測される影響が書いておりまして、まず一つ目の、気温上昇によるオキシダント濃度上昇に伴う健康被害の増加が想定されるものの、今後の大気汚染レベルによっても大きく左右されると。あと、脆弱な集団に関しては、特に小児の影響の情報が不足していると。あと、労働効率に関しても、国内ではまだ文献が少ないという状況です。
以上を踏まえて、309ページのところで評価がございまして、温暖化と大気汚染の複合影響に関しては、重大性が、「現状では評価できない」。緊急性・確信度が「中程度」。脆弱集団への影響につきましては、重大性は、「現状では評価できない」。緊急性は「高い」。確信度は「低い」となっています。
臨床症状に至らない健康影響に関しましては、重大性は、「現状では評価できない」。緊急性・確信度ともに「低い」という結果になっています。
事務局からは以上になります。

住委員長
それでは、倉根先生。

倉根委員
健康影響のグループ、一番最初に、温暖化の影響が、必ずしもそれのみで起こるわけではなくて、他にいろいろな要因が入っていますということを簡単に入れております。それが278ページの健康のところの3.5の下に※印で、「人の健康に対しては、気候変動だけでなく、グローバル化に伴う膨大な人と物の移動、土地開発に伴う自然環境の著しい変化など、さまざまな要因が関与している。気候変動による影響を評価する際にはそのような他の多様な要因も存在していることを理解したうえで影響評価を検討する必要がある」ということをここに入れております。
それから、健康班から一つだけ、この委員会でご承認いただきたいというか、ご審議いただきたいのが、実はもともと、最後の複合影響のところに花粉症の話が入っていたのですね。自然生態だとか農業水産系の先生から、温暖化によって、その花粉の飛散量が増えるというデータはないということで、そこは科学的ではないので、きちんと証明されたものではないので、抜くべきであるというご意見をいただきました。
健康班でも、そこで幾つかの議論をいたしまして、特にこの担当していただいた渡辺教授にも、そこのところ、ご意見をさらに伺っております。もともと我々がここに載せたのは、例えばIPCCのAR5のワーキンググループにも、generally としてairborne allergen が増えるというような記述があると。ただ、必ずしも日本における文献が十分そろっているかと言われると、そこは恐らくそうではないということ。ただ、文献として、富山市ですか、寺西先生という方が、それに富山のデータを出しているということで、そこに載っているということでありました。しかし、我々、植物の生態と気候の関連を専門としている者ではありませんので、専門の先生からは、そこについては、まだ実際わからないということのご意見をいただきましたので、花粉症については削除しております。ですから、ここに載っておりません。そういう事情で載っておらないということをここでご理解いただきたいということが一つ。
それから、あと、逆に、これは教えていただきたいのは、平均の気温と花粉の産生量に正の相関があるけれども、温暖化によって花粉の飛散量が増加するとは考えていないのか、考えられないのか、あるいは、現状では、温暖化と花粉飛散量の関係をサポートするデータがないと。気温とその花粉飛散量には関係がないのだと考えられているのか、ここら辺、今日、ここにご専門の先生がおられるかどうかはわかりませんが、もし、そこを教えていただければ、現行案として、次にこの研究を進めるに当たっても参考になろうかなと思います。ですから、ちょっとこの二つの点、まずは削除しましたということでご了解いただきたいと。それから、2番目のところは、こちら、健康班からのお願いというか、質問といいますか、そういうことでございます。二つです。

住委員長
どうもありがとうございます。
それでは、木本さん。

木本委員
花粉症のことは知りませんけれど、国民の皆さんが、花粉症が一言も書かれていない報告書を読まされるというのは、僕、違和感がありまして、わからなければ、わからないと書けばいいのではないかと思うんですけど。400何ページもある本が出ていて、花粉症が一行もなかったら、何やっていたんだって思われても仕方がないと思うので、わからないことはわからないと書くって決めたのではなかったでしたっけ。こういう事情でわかっていないと書けばいいのではないですか。

高橋(正)委員
森林総研ですので、植物の専門ではないですけども、知っていることを説明します。要は、花粉にしろ、種にしろ、温度が上がって、木の成長が良くなって、非常に稼ぎといいますか、光合成が盛んになれば発生量は増えるでしょう。けれども、人工林の推定などで見れば、温度が上がって光合成が増えても、呼吸が増えれば、消耗も増えるので、直接生産にはつながりません。温度が上昇して、前年より温度が高ければ、翌年の花粉は増えるというデータは確かにありますけども、それが2年、3年続けて温度が上がった場合、今度、連続しては増えないという報告もあるので、調査データから見ると、必ずしも長期的に気温が上昇することが花粉の生産につながらない。同じように、人工林の成長も、必ずしも温度が上がれば長期的に成長が増えるというような予測になっていなくて、逆に、成長が落ちて適域が変化したりというような生態的な面もあります。生理的な面、生態的な面の両方が関わるのであって、温暖化で花粉が増えるというような推定結果は得られていないと私は理解しています。

住委員長
そのほか、よろしいでしょうか。

江守委員
ありがとうございます。今の花粉の件は、僕も項目は残したほうがいいのではないかなと思いました。それで、このように増えないと考えられるのだったら、そう書いておけばいいのではないかなと思いました。
もう1点ですけれども、289ページの暑熱のところで、重大性の観点が社会になっていて、経済影響はないのかどうかということなのですが、その前に、288ページには、IPCCには労働効率への影響等があるということが書かれているけれども、国内での報告は少ないと書いてあるのですけれども、どうなのかなと。要するに、国内でも影響はあるのだけれども、リサーチギャップになっていて、あまり調べられていないということなのかどうかと思いました。ちょっと気になったということです。
関連する部分は、309ページ、310ページの臨床症状に至らない健康影響というところでもあると思うのですけれども、要するに、経済的な影響は、日本においては研究がないので、よくわからないということで、重大性の観点に含めないという判断が明示的にされたのであれば、それでも結構かなと思いますけれども、ちょっと気になったということです。

住委員長
よろしいでしょうか。

倉根委員
ここ、実は、かつて3省庁合同で作成した統合レポートには、花粉について、「気候変動が花粉症の原因となるスギ花粉等の飛散に及ぼす影響も指摘されている」という記述があることは、昔のレポートにあるということも含めて入れたのですが、その花粉症ということはもともと入ってはいたのですが、ここで、やはりわからないことはわからないと書くにしても、復活させて、危惧はされているがわからないとか、そういう書き方で持っていくとすれば、それ事態を入れるということは、それほど大きな作業にはなりませんので。

住委員長
よろしいですか。やはりわからないことと取り上げないことは、全く多分違うと思いますね。だから、明らかに関心は高いのですよ。国民的な関心は高いので。だけど、その物事がそう単純ではないよということを言うのは非常に大事なことで、何でも温暖化があればこうなるというのは、本当にそれをやるとほとんど信用をなくしますので、やはりそこはきちんと正しく、世の中ってそんな単純なわけではないということはきちんと書かれたほうがいいと思いますが、項目的にはやはりあったほうがいいと思います。
それから、多分恐らく労働効率との問題も、もともとそう効率は高くないので、大したことないと言うかもしれないし、物凄く主観的な評価があるので、非常に難しいですよ。客観的にどのようなあれで、そういう生産性をというのは、なかなか僕は専門ではないですが、ルポルタージュ的なそういう表現だと結構あり得るけど、どう合理的にデータ的にやるかというのは難しいような気がする。

江守委員
僕も詳しくないので想像ですけど、農業なんかだと、かなり感覚的にしかわからないかもしれないですけれども、土木工事とか建設工事なんかですと、何℃を超えると休憩しなくてはいけなくて、それで、その休憩時間が長くなるので工期が延びてしまうとか、コストが余計にかかるとか、多分そういう統計はあるのではないかなと思います。

住委員長
それはわかりませんけども、それはないことはないと思いますが、社会という中で経済も入っていると考えたほうがいいと思いますけどね。その辺は後で検討したいと思います。
そのほか、よろしいですか、健康面。いいですか。

倉根委員
花粉については、書きぶりをまた考えますけれども、記述はすると。ただ、恐らくデータがあまりはっきりわからないので、きちんとしたデータがないので、わからないというような書きぶりで入れるというようにして。

住委員長
だから、入れ方はいろいろあると思いますけど。
竹本さん。

研究調査室長
すみません、確認でございますけど、どの箇所に入れるかをご指示いただければと思います。

倉根委員
健康分野のこの複合影響のところが、一番、我々とすれば適切かなと。もともと実はそこに入っておったので。

住委員長
それでは、よろしく。注でもいいですし、何でもいいですけど、全く触れていないというのは、やはり答えていないと。よろしくお願いいたします。
では、続いて、次に行きたいと思います。
次は、農林水産業。

研究調査室長補佐
続きまして、農業・林業・水産業に関して、18ページからですけれども、ご説明いたします。
初めが、水稲でして、文献がずっとございまして、現在の状況が26ページですけれども、既に全国で、気温の上昇による品質低下等の影響が確認されています。また、一部の地域では、極端な高温の年には収量の減少も見られているという状況でして、次の27ページで、将来予測される影響ということで、全国のコメの収量は今世紀半ばまでで、将来、今世紀末で2.8℃上がるようなシナリオですとか、3℃までの気温上昇では収量が増加して、それ以上の高温では北日本を除いて減収に転じると予測されております。品質に関しては、一等米の比率が全国的に減少するということが予測されております。
評価に関しては、28ページにございまして、重大性、「特に大きい」。観点、社会/経済。緊急性・確信度ともに「高い」という評価結果になっています。
続いて、野菜が29ページからございまして、現在の状況が30ページでして、過去の調査で、40以上の都道府県において、既に気候変動の影響が現れているという報告がされているというのがございます。
31ページですけれども、将来予測される影響ということで、野菜は、生育期間が短いものが多くて、栽培時期の調整や適正な品種選択を行うことで、栽培そのものが不可能となる可能性は低いと想定されるとあります。
評価ですけれども、31ページの下のところにございまして、重大性は、「現状では評価できない」。緊急性・確信度は両方とも「中程度」となっています。
続いて、33ページからが果樹でございまして、果樹の現在の状況が37ページにありまして、こちらも全都道府県における果樹関係の公立研究機関からの回答ですと、果樹農業において、既に気候変動の影響が現れているという報告がなされております。
38ページの将来予測される影響ですけれども、ウンシュウミカン、リンゴにつきまして、栽培に有利な温度帯というのは年を追うごとに北上しているということがございまして、例えばウンシュウミカンでは、2060年代には現在の主力の産地の多くが現在よりも栽培しにくい気候になるということがございます。
39ページに、重大性の評価など書いてありまして、「特に大きい」。観点としては社会と経済。緊急性・確信度も「高い」となっています。
続いて、麦、大豆、飼料作物等ですけれども、こちらの現在の状況が43ページにございまして、例えば小麦に関しては、冬季及び春季の気温上昇により全国的に種をまく時期の遅れ、穂が出る時期の早まりが見られるということがございます。
44ページに、将来予測される影響というのがございまして、小麦に関しては、種をまいた後の高温に伴う生育促進による凍霜害のリスクの増加、また、高CO2濃度によるタンパク質含量の低下が予測されているということがございます。そのほか、大豆ですとか牧草等についても予測が書いています。
45ページのところで、その評価結果ですけれども、重大性に関しては「特に大きい」。社会と経済の観点と。緊急性・確信度は、それぞれ「中程度」となっています。
続いて、畜産ですけれども、畜産の現在の状況は48ページにございまして、家畜の生産能力の推移から判断して、現時点で気候変動の家畜への影響は明確ではないというのがございます。
将来予測される影響に関しては、影響の程度は、畜種や飼育状態によって異なると考えられますけれども、温暖化とともに、肥育去勢豚、肉用鶏の成長への影響が大きくなることが予測されており、成長の低下する地域が拡大し、低下の程度も大きくなることが予測されています。
評価ですけれども、49ページに、重大性は「特に大きい」。観点は社会/経済。緊急性・確信度はともに「中程度」になっています。
病害虫・雑草ですけれども、現在の状況が52ページにございまして、西南暖地(九州南部などの比較的暖かい地域)の一部に分布しておりましたミナミアオカメムシが、近年、西日本の広い地域から関東の一部まで分布が拡大していると。これらは気温の上昇の影響だと指摘されております。
将来予測される影響としましては、53ページに書いていますけれども、害虫につきましては、気温上昇により寄生性の天敵、また、一部の捕食者や害虫の年間世代数が増加することから、水田の害虫と天敵の構成が変わる可能性があるということが予想されています。
評価に関しては54ページでして、重大性としては「特に大きい」。観点は社会/経済。緊急性・確信度は、ともに「高い」となっています。
続いて、55ページからが農業生産基盤ということで、ここでいう農業生産基盤というのは、農地、農業用水路などを指しております。
それの現在の状況ですけれども、59ページにございまして、農業生産基盤に影響を及ぼし得る降水量の変動につきましては、1901年~2000年の最大3日連続降雨量の解析では、短期間にまとめて強く降る傾向が示されていまして、その傾向は四国や九州で大きくなっています。そういったことが農業生産基盤にも影響を与えるとなっています。
60ページで、将来予測される影響が書いておりまして、水資源の不足、あと、融雪の早期化等によりまして農業生産基盤への影響というのがあるということが書いております。
評価としましては、61ページに重大性が「特に大きい」。観点は社会/経済。緊急性も「高い」と。確信度は「中程度」となっています。
続いて、63ページからが林業で、まずは木材生産(人工林等)ということですけれども、現在の状況は66ページにございまして、一部の地域で、スギの衰退現象が報告されており、その要因に大気の乾燥化による水ストレスの増加を挙げる研究事例もあると。ただし、それが気候変動による気温の上昇あるいは降水量の減少によって生じているかどうかという明確な根拠というのは、今のところ、まだないという状況です。
将来予測される影響としましては、67ページですけれども、現在より気温が3℃上昇すると、蒸散量が増加し、特に降水量の少ない地域でスギ人工林の脆弱性が増加する可能性を指摘する研究事例があります。
68ページで、評価が書いておりまして、重大性は「特に大きい」。観点は社会/経済/環境。緊急性は「高い」。確信度は「低い」という結果でございます。
続いて、70ページからが、特用林産物(きのこ類等)ということでして、現在の状況ですけれども、71ページにありまして、シイタケ栽培に及ぼすヒポクレア属菌について、夏の高温がヒポクレア菌による被害を大きくしている可能性があるとの報告があります。
将来予測される影響は72ページですけれども、シイタケの原木栽培におきまして、夏季の気温上昇と病害菌の発生あるいはシイタケの子実体の発生量の減少との関係を指摘する報告があるとなっています。
評価としては、重大性は「特に大きい」。観点は社会/経済/環境。緊急性は「高い」。確信度は「低い」という結果でございます。
続いて、73ページからが水産業でして、まず回遊性魚介類(魚類等の生態)ですけれども、現在の状況が76ページでして、海水温の変化に伴う海洋生物の分布域の変化が世界中で報告されています。
将来予測される影響も同じページの下に書いていますけれども、回遊性の魚介類については、分布回遊範囲ですとか、体のサイズなどに関して影響予測があると。例えばシロザケですとか、そういった例が幾つか載っております。
77ページに評価がございまして、重大性に関しては「特に大きい」。観点は社会と経済。緊急性も「高い」。確信度は「中程度」という結果でございます。
79ページからが、増養殖等ということでして、現在の状況が82ページにございまして、各地で南方系のその魚種数の増加や北方系の魚種数の減少が報告されています。
将来予測される影響は、次の83ページにありまして、生態系モデルと気候予測モデルを用いた影響評価というのは行われていないものの、多くの漁獲対象種の分布域が北上することが予測されているという状況です。
評価としては、84ページで、重大性は「特に大きい」。観点は社会/経済。緊急性も「高い」と。確信度は「低い」という状況です。
農業関係は以上になります。

住委員長
それでは、八木さん。

八木委員
農林水産業のワーキンググループです。ただいまご紹介いただきましたように、小項目が非常に多くありまして、それぞれの小項目につきまして、ご専門の方にワーキンググループに参加していただきました。ですから、それと研究も比較的数がそろっているということで、比較的、各小項目の現在の影響、将来の予測される影響、しっかり書いていただいたと思います。
ただ、その半面、もしかしたら、取りまとめの文章が専門的過ぎるですとか、マニアックになっているようなことが少し懸念されますので、もし、そういうところをお気づきになられましたら、ご指摘をお願いいたします。
これまでのこの小委員会ですとか、あるいはワーキンググループの中で出た意見については、それぞれ対応して、改訂を進めていただきました。
重大性・緊急性・確信度の判断で、前回から大きく変わったところが2番目の野菜でありまして、ここが、特に重大性ですが、「現状では評価できない」という選択肢も必要であれば使うということになりましたので、野菜の場合は、将来の研究成果があまりありませんので、ここでは重大性は、「現状では評価できない」ということを選択しました。
あとは、ほかのワーキンググループと少々異なるところが、各小項目の最初の記載に、ほかのワーキンググループですと影響を与える要因という項目があって、箇条書きで書かれていたと思いますが、農林水産業ワーキンググループの中では、ここについて、ワーキンググループで大分意見交換をしました。結論としては、ここは書かないで、そういった要因、メカニズムについては、その中の本文で書くということに決めました。それは、一つは、メカニズムが複雑であって、プラスの影響もあり、マイナスの影響もある。その相互作用もあるということで、書きにくい部分が、書くと非常に量が多くなってしまう。それが、もう既に書かれたその中の本文にも書かれてあって、大分重複してしまう、量も多くなるということで、この中に書くということで進めました。
それと、もう1点、18ページの農業・林業・水産業の冒頭に、少し断り書きを4行ほど、小さいな字で書いてあります。これはワーキンググループでは、まだ検討しておりませんで、取りまとめの段階で、ほかのワーキンググループでもこういった記載をしているということで、それを合わせるということで、事務局と私、座長のほうで相談をして、この文案を考えました。ですから、農林水産ワーキンググループの方も初めてご覧になったかと思います。これ、事務局と私、意見交換をしていったときに、ここに書くのが少し唐突で、言い訳じみているかなというようにも思って、意見具申には何らかのこういったことは必要かなとは考えたんですが、そう考えたんですが、先ほどの健康分野の花粉のお話ですとか、わからないところ、これもきちんと書いておくべきだということから、このいわゆる社会・経済・環境によって農林水産業の将来の影響というのは、また大分影響があると変わってくるといったことについて、ただし書きですが、ここにこう書いてもよろしいのかなと今は考えております。これについてもご意見をいただければと思います。
以上です。

住委員長
どうもありがとうございました。
それでは、農林水産業について、コメント、ご質問等ございましたら、名札を上げていただければと思いますが。江守君。

江守委員
ありがとうございます。前回、質問させていただいたところで、コメの26ページ、27ページなのですけれども、現在は多分対応をしていただいて、一部の地域や極端な高温年には収量の減少が見られていると。将来予測は、途中まで全国的には増えるという予測なわけですけれども、その整合性についてご質問させていただいたのですが、これは、要するに、こういうことでしょうか。その将来の傾向としては、全国的には増収が予測されているのだけれども、現状、その増収というのは検出されていないというか、その効果は現状では小さいので、よくわからないということでしょうか。一方で、一部の地域や高温年の減収というのは現状でも見られていると。

八木委員
現状の増収ということにつきまして、お米の収量は毎年変わります。作況指数が100を基準にして出されていますが、その毎年の変化に比べた現在の明らかな有意な上昇というのは見られていないということであります。一方、将来的には、数十年の予測をしたところ、明らかに増収、上昇するという結果であります。

住委員長
そのほか、よろしいでしょうか。
あまり素人には手が出ない分野であろうかと思いますので、これだけいろいろ整理されたというのはなかなかのことだと思います。これに関しては、概要はそれをまとめたのが出るので、割と専門的になっても、それは仕方がないとは思いますので、より厳密に書こうということであれば、それはよろしいかと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、次の水環境・水資源、自然災害・沿岸域に移りたいと思います。

研究調査室長補佐
85ページからが、水環境・水資源ということで、初めが、湖沼・ダム湖です。現在の状況が89ページにございまして、全国の公共用水域の過去約30年間の水温変化を調べたところ、4,477観測点のうち、夏季では72%、冬季では82%で水温の上昇傾向があり、各水域で水温の上昇が確認されています。また、水温の上昇に伴う水質の変化が指摘されているというのが現在の状況でございます。あと、ただし書きとかも少し書いておりますけど、気候変動との影響と断定できるわけではないとあります。
89ページの下のところで、将来予測される影響というところですけれども、今世紀末で2.8℃上がるシナリオにおきましては、琵琶湖では、2030年代には水温の上昇に伴う溶存酸素の低下、水質の悪化が予測されております。
評価ですけれども、90ページのほうに書いておりまして、重大性は「特に大きい」。観点としては社会/経済/環境。緊急性に関しては「中程度」、確信度、「中程度」となっています。
続いて、河川ですけれども、92ページからで、現在の状況が94ページにございます。先ほどの調査結果は河川も含まれておりますので、それを書いております。
95ページのほうが、将来予測される影響ですけれども、おのおのの河川に対する水温の将来予測はないという前提ですけれども、例えば、一つ、雄物川の例ですと、これも、将来、今世紀末で2.8℃上がる場合では、1994年~2003年の水温が11.9℃であったのに対して、2030~2039年には12.4℃に上昇するということもございます。
評価に関しましては、96ページで、重大性は「『特に大きい』とは言えない」。緊急性・確信度は、それぞれ「低い」という結果になっています。
続いて、沿岸域、閉鎖性海域ですけれども、現在の状況が98ページでして、こちらも全国207地点の表層海水温データを解析した結果ですけれども、132地点で有意な上昇傾向が見られます。
将来予測される影響ですけれども、現時点で定量的に予測した研究事例は確認されていないものの、海面上昇に伴って、沿岸域の塩水遡上域の拡大が予測されております。
99ページで、評価がございまして、重大性に関しては「『特に大きい』とは言えない」。緊急性が「中程度」、確信度は「低い」という形です。
続いて、水資源、水供給(地表水)ですけれども、現在の状況が104ページでございまして、年降水量の年ごとの変動が大きくなっており、無降雨・少雨が続くこと等によって、給水制限が実施されるケースというのが確認されているというのがございます。
続いて、将来予測される影響ですけれども、105ページでして、将来、2.8℃上がるシナリオにおきましては、北日本、中部山地以外では、近未来から渇水の深刻化が予測されています。また、融雪時期の早期化による需要期の河川流量の減少、これに伴う水需要と供給のミスマッチが起きる可能性が予測されています。
評価ですけれども、重大性は「特に大きい」。観点は社会/経済。緊急性は「高い」。確信度は「中程度」となっています。
続いて、107ページからが水供給(地下水)でして、現在の状況が108ページの下にございます。気候変動による降水量や降水波形の変化に伴う地下水の変化の現状につきましては、現時点で具体的な研究事例は確認されていません。
将来予測される影響ですけれども、こちらも同様な状況でございます。ただ、海水の海面上昇に伴って地下水の塩水化ですとか、そういったことに懸念があるということはございます。
重大性としては「『特に大きい』とは言えない」。緊急性は「中程度」、確信度は「低い」となっています。
続いて、水需要ですけれども、現在の状況が112ページにございまして、気温の上昇と水使用量の関係について、東京では、気温の上昇に応じて水使用量が増加することが実績として現れています。
また、将来予測される影響ですけれども、現時点で、気候変動による影響を定量的に予測した研究事例というのは確認されていないものの、気温上昇による飲料水の需要増加が懸念されます。
評価につきましては、重大性が「『特に大きい』とは言えない」。緊急性は「中程度」、確信度も「中程度」となっています。
続いて、212ページに飛びまして、こちらからが自然災害・沿岸域の河川の洪水の分野になっています。
現在の状況が222ページにございまして、既往の降雨データの分析によると、比較的多頻度の大雨事象につきましては、その発生頻度が経年的に増加傾向にあることが示されています。この傾向が、ただ、気候変動によるものであるという十分な科学的根拠はまだ得られていないという状況です。
将来予測される影響が223ページにございまして、今世紀末で2.8℃ぐらいになるシナリオにおきましては、洪水を起こし得る大雨の事象が、日本の代表的な河川流域におきまして、今世紀末には現在と比べて有意に増加します。同じ頻度の降雨量が1~3割のオーダーで増加することについて、多くの文献で見解が一致しています。そのほか、以下の点のようなことが予測されています。
評価ですけれども、225ページにございまして、重大性は「特に大きい」。観点は社会/経済/環境。緊急性は「高い」。確信度も「高い」となっています。
続いて、内水ですけれども、内水は、ちょっと言葉が難しいと指摘がありまして、そこは229ページのところで、内水の説明を入れていただいています。
現在の状況が230ページにございまして、既往の降雨データの分析によりますと、比較的多頻度の大雨事象については、その発生頻度が経年的に増加傾向にあります。年超過確率1/5、1/10の短期間に集中する降雨の強度が過去50年間で有意に増加しています。ただ、これも気候変動であるという十分な科学的根拠が得られているわけではございません。
続いて、将来予測される影響ですけれども、局所的な強雨事象を対象とした気候変動影響の推定は、詳細な解像度の確保ですとか、局所的強雨をもたらす気象擾乱をモデル化すること自体が難しいため、本格化には至っていないという状況でございます。ただ、大雨の傾向ですとか、そういった可能性を示唆する文献というのは出てきています。
評価に関しては、231ページでして、重大性に関しては「特に大きい」。社会/経済/環境。緊急性は「高い」。確信度は「中程度」となっています。
233ページからが、沿岸の海面上昇でして、海面上昇の現在の状況が240ページにございます。1980年以降、日本周辺の海面水位の上昇傾向(1.1mm/年)であることが、潮位観測記録の解析結果から報告されています。
将来予測される影響としては、海面上昇に関しては多くの研究がありまして、IPCCでは、例えば最大のシナリオでは82cm、今世紀末に水面が高くなるということがございます。
241ページに評価がございまして、重大性は「特に大きい」。観点は社会/経済。緊急性は「中程度」、確信度は「高い」となっています。
続いてが、高潮・高波でして、現在の状況が252ページですけれども、気候変動による海面上昇や強い台風の増加が高潮・高波に与える影響及びそれに伴う被害に関して、現時点で具体的な研究事例は確認されていないと。ただ、高潮に関しては、極端な高い潮位の発生が、1975年以降、世界的に増加している可能性が指摘されています。
将来予測される影響ですけれども、高潮をもたらす主要因は台風がありますが、台風を予測する技術というのは開発途上にあるということがございます。そのほかも、ここに書いているような将来の予測がございまして、重大性に関しては「特に大きい」ということで、社会/経済の観点。緊急性は「高い」。確信度も「高い」となっています。
続いて、海岸侵食ですけれども、現在の状況が258ページにありまして、気候変動による海面の上昇や強い台風の増加が、既に海岸侵食に影響を及ぼしているかについては、現時点で具体的な研究事例は確認できていません。
将来予測される影響ということですけれども、例えば、海面上昇で30cmもしくは60cm高くなりますと、我が国の砂浜が5割もしくは8割減少するという研究事例がございます。
評価については、260ページで、重大性は「特に大きい」。観点は社会/経済/環境。緊急性、確信度ともに「中程度」となっています。
続いて、山地の土石流・地すべり等ということですけれども、現在の状況が268ページでして、気候変動と土砂災害の被害の規模とを直接関連づけて分析した研究・報告は多くなく、また、気候変動と土砂災害の発生形態との関係は現時点で不明確な部分が多くなっています。ただし、過去30年で1時間当たりの降雨量が50mmの豪雨の発生頻度は増加していまして、土砂災害の年間発生数も増加しているというのがございます。
将来予測される影響ですけれども、270ページにありまして、降雨条件が厳しくなるという前提の上で、以下のことが言えるということで、その集中的な崩壊とか、がけ崩れ、土石流の頻発などがあるということが挙げられます。
272ページでして、ここに評価がありますけれども、重大性は「特に大きい」。観点は社会/経済。緊急性は「高い」。確信度は「中程度」となっています。
その他、強風等ですけれども、現在の状況が276ページでして、気候変動に伴う強風・強い台風の増加等による被害の増加について、現時点で具体的な研究事例は確認できていません。
将来予測される影響ですけれども、今世紀末で2.8℃上がるシナリオでは、近未来から気候変動による強風や強い台風の増加が予測されているという状況がございます。
評価は、重大性は「特に大きい」と。観点は社会/経済/環境。緊急性は「中程度」、確信度は「中程度」となっています。
以上です。

古米委員
私のほうから、水環境・水資源についてお話ししたいと思います。言葉としては、水環境には、水位、水量だとか、あるいは水質、さらには水生生物、あるいはハビダットということも含んでおりますけども、ここで整理するのは、他の項目で淡水生態系だとかは扱っておりますので、基本的には水質を中心に、研究成果を取りまとめて整理をしたというのが、水環境に関する考え方です。
湖沼・ダム湖に関しては、比較的データがございましたので、ある程度、はっきりした書き方をするということと、先ほど申しましたように、水域生態系のほうにも河川、湖沼がございますので、その内容との整合性ということで、注意して整理をさせていただきました。
あと、沿岸域、閉鎖性水域については、文献が少ないと。言いかえると、水資源のほうの地下水だとか、水需要についても限られておりましたので、限られたということで、わからないことはわからないということで、懸念することと、わからない点を文章として記載するというように、注意してつくりました。
あとは、水資源のほうに関しましても、表流水のほうに関する河川中心のものは、比較的、水量の情報がたくさんございましたので、その内容をしっかりと整理をするということで、水環境・水資源については、取りまとめを行ったというところでございます。

藤田委員
では、引き続きまして、自然災害・沿岸域です。洪水、内水、海面上昇、高潮・高波、海岸侵食、土石流・地すべり等、強風とありますが、このうち、洪水、それから内水、これ、いずれも氾濫の災害が増えるかどうかという、そういうものです。それから高潮・高波、それから土石流・地すべり等、これらは共通性があって、もう既に、こういうハザードに対して問題になっていて、取組がずっとなされてきているという構図です。したがいまして、外力とか、それから、それが大きくなるとどういうことが起こるかという、この全体のフレームについては、もう概ね既知なので、主に気候変動モデル、あるいは現在のトレンドを踏まえて、ハザードの外力がどうなるかということが予測の重点になるという構造でありました。
その中で、大きく分けますと、時空間の比較的でかい極端事象と、それから、かなり突発的かつ局地的な事象が支配的になるもので、ちょっと予測の信頼性に差が出るということで、前者に当たる洪水、それから高波・高潮は確信度も「高い」という評価になり、それから内水と土石流・地すべり等は、かなり局地の豪雨の話なので、現在、既にトレンドは出ているのですけれども、確信度という意味では「中程度」としています。
それから、もう一つのポイントは、今申し上げたように、取組が既になされているので、評価におきましては、防災・減災のインフラ、その他の方策の現状とその機能の発揮の仕方、その辺が評価で大きなポイントになりますので、その辺についての記述もそれなりに充実させているというのが、この項目の特徴だと思います。
その上で、インフラのシステムが、気候変動そのものによって、さらにベースが侵されるような、そういう問題が起きないかということについても、若干記述しているということをやっております。
あと、残りの海面上昇と海岸侵食、これはかなりもう国土の管理の基盤がどう変わるかという話であります。そのかわり、進行状況は平均値が徐々に進むということなので、その点から、緊急性は「中程度」と。様子見ながら、ある程度、できるだろうということにしておりますが、重大性については、やはり今申し上げた四つと同じように、重大であるということにしています。
大体、全体像はそんなところで評価いたしました。

住委員長
どうもありがとうございました。
それでは、この水絡みのところで、ご質問、ご意見。
河宮さん。

河宮委員
ありがとうございます。水環境・水資源の(3)水需要についてなのですけれども、113ページ、重大性の評価ということで、「『特に大きい』とは言えない」と書いてございますが、これは次に続く説明を読むと、比較的、大事なのではないかという記述が多くて、何か、たしかほかの項目だと、いや、大事な分野もあるのだけど、相対的に、全体的に見れば、影響は大きいと言えないみたいな、そういう説明も書いてあるところも多かったのですが、ここは、何か素直に読むと、大事そうかなと思ってしまうので、書きぶりが一つと、これ、農業用水とかについて触れてあるので、さきの農林水産業の農業生産基盤のところとも関わってくると思うのですが、そう思って見て、61ページ、農業生産基盤のところ、重大性の評価を見ると、「特に大きい」と書いてあって、これは好意的に読めば、必ずしも矛盾はしないのでしょうが、これはどうでしょう。素直に読むと、少し整合性の観点で問題があるかなと思うので、書きぶりに注意が必要かなと思いました。
以上です。

古米委員
私のほうは水環境が中心ですけれども、ワーキンググループの中での議論としては、先ほどご指摘のように、農業のかんがい用水の話と、この水資源というのはつながっております。その意味では、最後の水需要というところではなくて、水供給の地表水というところの重大性については、「特に大きい」というところで、しっかりと農業関連のことも踏まえて記述し、緊急性が「高い」、確信度は「中程度」というような整理をしております。
地下水についても、もちろん農業用水でございますけれども、それ自身の挙動だとか、そういったものについては、明確な知見がございませんでしたので、そういう意味においては、特定していないと。
最後、ご指摘の水需要のところを、そういった農業用水だとか、いろいろな用水を含めたときに、ある特定の用水に関して整理するのか、全体的な分かれ目というところで、実は今回の場合は、「特に大きい」か、「『特に大きい』とは言えない」という二つで、実は中間的なものがあると非常にありがたいようなところもあったんですけれども、最終的には、ほかの「特に大きい」というものに比較すると、それと同等に書くのは、かえって、混乱があるのではなかろうかという判断で、「『特に大きい』とは言えない」というように、ワーキンググループでは記載したということでございます。

住委員長
ありがとうございます。その意味からとれば、わかりにくいかもしれない、全体に。
では、中北委員。

中北委員
すみません、今ごろのちょっと確認で申し訳ないですけど、地下水のところの将来予測される影響の概要のところで、1個目で、具体的な予測の研究事例は確認できていないというところなんですけど、これは日本、例えば全体についてという意味でしょうか。あるいは、どこの狭い領域、地域に関しても見当たらないということでしょうか。趣旨は、やっているところが論文としてあるのはありますので、「確認できていない」を少し何かやわらげる、あるいは、あまりないのだけど、まだ信頼性については高くはないとか、何かそのような感じにはならないかということで、質問です。細かい話で申し訳ないです。

古米委員
ワーキンググループのときに、やはり地下水については、どこまで書き込むのかという議論がございまして、実際上、私自身が検索したわけではないのですけども、もしあるとするならば、この限定的な「確認できていない」という言葉から、もう少し文献を入れながら、表現を変えるということは検討すべきかなと思っております。

木本委員
ちょっと細かい質問で、かつ、私は形式的にはこのワーキンググループに所属している者で、恐縮なのですが、98ページの、ここは沿岸域及び閉鎖性海域というタイトルの部分で、現在の状況のところに、全国207地点の表層海水温データを解析した結果、これこれで、0.039℃/年の上昇が報告されていると書いてあるのですが、これ、100年当たりに直しますと、3.9℃になるのですか。普通、海面水温の上昇は、世界平均で100年当たりで1℃弱、1℃に満たない量なので、ここは、その207地点の沿岸及び閉鎖性海域というのはどこのデータなのか、ちょっと私でもわからないので、どういうところの何をはかって、何年分ぐらいのあれにこういう傾向が見られたのかというのをはっきり書かないと、ここだけ読みますと、すごい勢いで上がっている、もしくは、都市化なんかと区別がついていないのではないだろうかみたいな疑問が生じてしまいますので、もう少し、何といいますか、工夫をされることを望みたいなと思いましたが、いかがでしょうか。

住委員長
これは文献の、22028という文献から引いているのだよね。

野尻委員
環境研です。環境研地域センターになっています。地公研、共同研究になっていますね。

住委員長
だから、100年延ばしていいかという問題もあったけど、確かに100年で3.9℃は高いですね。報告はされているのですよね。この文献が引用されているから。それは検討したほうが。本当かな、これ。
では、次は山田委員。

山田委員
この水関係のところに属しながら、今ごろ、ここの委員会に出てきて、初めて気づくのです。そういうことがあるのですけども、106ページ、見ていただけませんか。106ページの上から4行目に、「森林のもつ洪水緩和と水供給の両機能を総合して、気候条件や流域条件に応じた森林管理方法の選択が必要となる」と、こう書いているのですけど、これは要するに、この論文は、山に木がどんどんあると、そこの流域から蒸発散が多くて、川の規定流量、一番普段の水みたいな量ですけど、それが減ってしまうから、水資源として減らさないためには森林を伐採しなさいという論文ではあるのですよね。これが、まず文章として、「森林のもつ洪水緩和」といって書いてしまうと、この数年間、八ッ場ダムの問題で、山に木があったらダムは要らないだろうというような論争を随分やって、非常に大きな洪水のときには、山に木があろうがなかろうがというか、関係ないよということはもうわかっていて、巷に言われている緑のダムという言い方が、洪水緩和を予想させるような誤った情報になってしまって、それに関しては、もう10年以上前に、日本学術会議で、大洪水のようなときの森林のもつ洪水緩和機能はほとんどないという結論を出しているのですよね。だから、あえて書くとしたら、「森林のもつ中小規模の洪水の緩和機能」というぐらいだったら、まだいいかと思うのですよね。
それと、これを載せるかどうかというのとかが気になってきて、例えば去年では、アメリカのカリフォルニアで大渇水が起きるたびに、山の木があるから渇水が起きるのだという論争をするのだけど、いや、そんなもの関係ないという論争等もあるので、「必要となる」と書いてしまうと、何というか、森林管理はもう少し別の観点から、例えば渓流への土砂供給量を減らす機能を持つというのは、これは事実あるようなので、そういうところで組み込んだほうがいい文面かと思うのですね。これが一つ。
それから、もう一つは、インタビュー的に来られたときに、言っていたのだけど、水需要とか水資源というときに、我々、研究者って、工業用水のことをほとんど議論しないのですよね。工業用水を使っている人たちは、どちらかというと、物言わぬユーザーみたいなところがあって、特に瀬戸内工業地域の辺りのコンビナートでは、水を2~3年に1回、渇水調整していると。これが実態としてあるのですね。そのときに一番最初に水の使用を止められるのは工業用水なのですよね。ところが、そういうことはあっても、彼らは何も言ってこないし、論文にも何も出てこないしというところがあるのですよね。だから、その辺ちょっと書き加える、1行、2行は書き加えることが必要かなと思っています。
それから、もう一つが、その工業用水で言えば、これは極めて最近の話題で、この何十年間、日本の大きな工場が海外に行ってしまったのですよね。つまり、産業の空洞化を起こしましたよね。ところが、円安になってくると、今、帰ってくるというのが、今、動き出し始めましたよね。そのときに、工業用水がそのままとれるかどうかという問題もあって、帰ってきたときに、それも、そんなこともあるので、工業用水というのもちょっと1行、2行入れておく必要が、農業関係の水はいっぱい書いてあるのだけど、工業用水というのはほとんど出てこないので、そこのところ、一つ、入れる必要があるかと思っています。

住委員長
よろしいですか。一言、私は今の問題は、やはり水利権の問題という、本当にくくられてしまう問題ではないのかと。

山田委員
本当は、それは水利権の見直しが必要だろうと、どこかに、私、書きたいのですけども、例えば融雪期が早まって、阿賀野川なんかは典型的に起きているのですけど、融雪期が早まって、肝心の代かき期に水がかつかつになっているとか、あるいは量的にはいいんだけど、土日農業になってしまっているので、土日に猛烈な農業用水が要るとか、ボリューム的にはあるのだけど、その日に水があるかとか、そういうようなこと。だから、それを考えると、水利権の時期を早めるとかいうような見直しも必要かなという。

住委員長
ずっと昔から水利権の問題は言われているので、どこかに少し書いておいても悪くはないと思いますけど、いろいろ物を考える上ではね。

山田委員
あるいは、水利権の弾力的運用とかでも結構ですね。

住委員長
それから、今の山田先生が言われたところで、「選択」という言葉があるのはちょっとあれだよね。だって、決まったら、どっちか選ばなければならないような気がする。考案するとか、何かそれ、ポジティブなことを入れたほうがいいような気がしますね、そこの言葉的には、森林管理部分。そのほか、よろしいですか。

木所委員
すみません、113ページの、またこの水需要のことなのですけども、水の需要と供給との関係、なかなか難しいかなと思うのですけど、例えば「さらに河川においては、渇水による」とか、こういうのはほとんど需要というよりは供給のような感じがするので、やはりこの水需要のところの書き方に注意しないと、何が問題なのか、わかりにくくなるのかなと思うので、この辺、整理していただけたらと思いました。

住委員長
それは、ここの立ち位置は、河川を維持しようとするならば水が要るというわけで、維持しないという様相もあるからではないですか。だから、これは需要側で書いたのも、こういうことだと思いますけども、違いますか。

古米委員
ご指摘のところ、丁寧に私自身が十分にレビューしているかどうかは別として、読んでいただく内容としては、「維持用水」という言葉が入っていますので、それに対して需要があるかどうかというような考え方で書いていますので、ご指摘のような水供給という観点とは、若干内容的には違う文章として入っていると思います。ただ、ご指摘のような、誤解があるようであれば、それがわかるように、先ほどの重大性のところの記述もそうですけれども、それは精査をするということで、再整理させていただきたいと思います。

住委員長
こういう分野、立ち位置によって、若干とる印象が大分変わってきたりしますので、なかなか難しいですが、わかるところは直していきたいと思います。
それから、何かちらっと見たところ、表の中で、地域の中に「日本」というのと「日本全国」というのと二つあるのは気になって、どっちか一本にしたらいいと思うのですけどね。それも最後に細かい不整合があるところは直していきたいと思います。
何かあれば。

研究調査室長
すみません、確認ですけれども、今、工業用水に関しての記載についてのご意見ありましたが、これ、記載位置については、どのようにすればよろしいでしょうか。

住委員長
どこか、総論的なところはないですか、古米君。

古米委員
私自身の工業用水の認識は、需要は伸びないという判断ですので、そういったことを含めて、水需要のところに書くということはあり得るかなと思います。

住委員長
工業用水ということを特記して書くよりは、やはり水利権の固定化というのは非常に大きなあれになっていますので、そこのところにまとめたほうがいいと思いますけどね、僕は。

古米委員
今回の場合に、水利権という概念と、温暖化、気候変動の影響というところのちょうどはざまにあるのが、需要なのですけども、改めてその「水利権」という言葉が、こういった影響報告書というところに入って、水利権のあり方を再考すべきであるというところの基礎的なメッセージを出すことが、今回の委員会のまとめとしていいかどうかは、私は若干疑問に思います。

研究調査室長
先生おっしゃるように、これはあくまでも影響評価に関して、ご専門の立場から記載していただくことにしておりますので、対策や政策に関するその記載というのは、基本的には行わないとご理解いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

住委員長
それを行わないなら、水利権ということは外したほうがいいですね。では、それは古米さんに任せましょう。

高橋(正)委員
さっきの山田先生の森林の洪水緩和ですが、その大規模ではないかもしれませんが、小規模にはあるので森林は管理されています。大陸的な視線でなく、日本のような急傾斜の比較的短い河川の中での森林の緩和機能、ごく治山的な意味では機能があるのかなと思います。ただし、森林管理との関係の書き方がわかりにくいので、工夫は必要かと思います。

住委員長
だから、無限にあるわけではないと言いたいけど、それはそうだと思いますよ。物には限界がありますのでね。
よろしいですか。

研究調査室長
では、また確認ですけど、106ページの森林のもつ洪水緩和と水供給の両機能とを総合して、ここについては修正を。

高橋(正)委員
文章は、少々変えたほうがいいのかなとは思います。

研究調査室長
かしこまりました。

山田委員
それに伴って、103ページの表の中の適応の可能性の中の「森林管理(伐採等)」というのが入ってしまっているので、どちらかといえば、適切な森林管理というぐらいのほうがいいのではないでしょうか。

中北委員
今の中規模、大規模という話が、かみ合っているのかどうかだけ確認したいのですけど、山田先生が今おっしゃったのは、中規模、大規模というのは、出水が中規模、大規模ということですよね。流域が中規模、大規模という意味ではないですよね。今、そこのところが意見がかみ合っていなかったと思うので、コメントしました。
だから、そういう意味では、大規模な出水に関しては、森林の効果というのはそんなにもないというように、もう大体、日本におけるあれですけども、認められ、もう一致していて、ただ、中小規模の出水に関しては、まだ地面が吸う効果というのはあり得るだろうというのがさっきの話なので、そういう意味では、僕は正しいと思っていますので。

住委員長
出てくれば、それはないだろうと思うけどね。いいです。その辺はお任せしますけど、言葉がひとり歩きしないように、やはり何かしたほうがいいと思います。
それでは、次は、生態系。

研究調査室長補佐
生態系ですけれども、114ページからが自然生態系になっていまして、初めが、高山帯・亜高山帯です。現在の状況ですけれども、120ページにございまして、気温上昇や融雪時期の早期化等による高山帯・亜高山帯の植生の衰退や分布の変化が報告されているというのがございまして、将来予測される影響としましては、高山帯・亜高山帯の植物種について、分布適域の変化や縮小が予測されているということで、ハイマツの例などが書かれています。
重大性の評価につきましては、生態系への影響は「特に大きい」ということで、観点は環境。また、生態系のほうは、生態系への影響と生態系サービスへの影響という2種類に分かれていますので、順番に説明しますと、生態系サービスへの影響については、「現状では評価できない」。緊急性に関しては、生態系への影響が「高い」。生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」。確信度ですけれども、生態系への影響は「中程度」、生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」となっています。
続いて、自然林・二次林ですけれども、こちらについては、現在の状況が133ページにございまして、気候変動に伴う自然林・二次林の分布適域の移動や拡大の現状について、現時点で確認された研究事例は限定的であるとなっています。
将来予測される影響につきましては、冷温帯林の構成種の多くは、分布適域がより高緯度、高標高域に移動し、分布適域の減少が予測されています。特に、ブナ林は面積が小さくなるということがございます。
評価については、重大性の生態系への影響が「特に大きい」。観点は環境。生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」。緊急性、生態系への影響が「中程度」、生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」。確信度、生態系への影響が「高い」。生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」となっています。
続いて、里地・里山生態系ですけれども、現在の状況は138ページにありまして、気候変動に伴う里地・里山の構成種の変化の現状について、現時点で網羅的な研究事例はないとなっていまして、将来予測される影響ですけれども、一部の研究で、自然草原の植生帯は、暖温帯域以南では気候変動の影響は小さいと予測されています。一方で、その標高が低い山間地や日本南西部での、アカシデ、イヌシデなどの里山を構成する二次林種の分布適域は、縮小する可能性があるとなっています。
評価ですけれども、重大性については、生態系への影響が「『特に大きい』とは言えない」。生態系サービスへの影響が、「現状では評価できない」。緊急性について、生態系への影響が「中程度」、生態系サービスへの影響が、「現状では評価できない」。確信度につきまして、生態系への影響が「低い」。生態系サービスへの影響が、「現状では評価できない」となっています。
続いて、人工林ですけれども、現在の状況が144ページにありまして、一部の地域で、気温上昇と降水パターンの変化による水ストレスの増大により、スギ林が衰退しているという報告があります。
将来予測される影響ですけれども、現在より3℃気温が上昇すると、年間の蒸散量が増加して、特に降水量が少ない地域で、スギ人工林の脆弱性が増加すると予想されています。ただ、生育が不適になる面積の割合は小さいという予想です。
評価ですけれども、重大性について、生態系への影響は「特に大きい」。観点は環境。生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。緊急性について、生態系への影響は「中程度」、生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。確信度について、生態系への影響は「中程度」、生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」となっています。
続いてが、野生鳥獣による影響というものでして、現在の状況が150ページにあります。日本全国でニホンジカやイノシシの分布を経年比較した調査において、分布が拡大していることが確認されています。
将来予測される影響ですけれども、気温上昇や積雪期間の短縮によって、ニホンジカなどの野生鳥獣の生息域が拡大することが予測されていますが、研究事例は少数であり、今後の研究が望まれるとなっています。
評価ですけれども、重大性で、生態系への影響が「特に大きい」と、観点は環境。生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」。緊急性ですけれども、生態系への影響が「高い」。生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」。確信度ですけれども、確信度は、両方とも「現状では評価できない」となっています。
続いて、物質収支というところで、物質収支とは、生態系における炭素、窒素等の循環を示したものです。
こちらの現在の状況が155ページにありまして、気候変動に伴う物資収支への影響の現状について、現時点で研究事例が限定的です。
また、将来予測される影響につきましては、年平均気温の上昇ですとか、無降水期間の長期化によりまして、森林土壌の含水量の低下、表層土壌の乾燥化が進行し、細粒土砂の流出や濁度回復の長期化、最終的には降雨流出応答の短期化をもたらす可能性があります。ただ、さらなる検討が必要ですとなっています。
評価については、重大性が、生態系への影響が「特に大きい」。環境の観点。生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」。緊急性につきましては、生態系への影響が「中程度」、生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」。確信度も同様になっております。
続いてが、淡水生態系の湖沼ですけれども、現在の状況が160ページにありまして、湖沼生態系は、流域土地利用からの栄養塩負荷の影響を受けるため、気候変動の影響のみを検知しにくく、直接的に気候変動の影響を明らかにした研究は日本にはないとなっています。
将来予測される影響ですけれども、現時点で日本における影響を定量的に予測した事例は確認できていません。ただ、富栄養化が進行しているような深い湖沼では、水温の上昇により湖沼の鉛直循環の停止・貧酸素化と、それに伴う貝類等への底生生物への影響が懸念されるということがございます。
評価としましては、重大性について、生態系への影響が「特に大きい」。観点は環境。生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。緊急性ですけれども、生態系への影響は「中程度」、生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。確信度は、生態系への影響が「低い」、生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」となっています。
続いて、河川ですけれども、河川については、現在の状況が165ページにありまして、我が国の河川は取水や流量調節が行われているため気候変動に伴う変化を探知しにくく、現時点で気候変動の直接的影響を捉えた研究事例は確認されていません。
将来予測される影響ですけれども、最高水温が現状より3℃上昇すると、冷水魚が生息可能な河川が分布する国土面積が現在と比較して20%に減少するということがあります。
評価としましては、重大性が、生態系への影響が「特に大きい」。環境の観点。生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。緊急性については、生態系への影響が「中程度」、生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。確信度は、生態系への影響が「低い」と。生態系サービスのほうは「現状では評価できない」となっています。
続いて、湿原ですけれども、現在の状況が170ページにありまして、湿原の生態系は気候変動以外の人為的な影響を強く受けており、気候変動による影響を直接的に論じた研究事例はありません。ただ、一部の湿原では、気候変動の影響も指摘はされているという状況です。
将来予測される影響ですけれども、現時点で定量的に予測した研究事例は確認できていないものの、以下の影響が想定されるということで、例えば、北海道の湿地への影響とか、そういったところが、実際、あり得るのではないかとなっております。
評価ですけれども、重大性としては、生態系への影響が「特に大きい」。生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。緊急性、生態系への影響は「中程度」、生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。確信度は、生態系への影響は「低い」。生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。
続いて、沿岸生態系の亜熱帯ですけれども、現在の状況が177ページで、沖縄地域で、海水温の上昇により亜熱帯性サンゴの白化の頻度が増大しています。
将来予測される影響ですけれども、今世紀末に3.4℃上がるシナリオにおきましては、熱帯・亜熱帯の造礁サンゴの生育に適する海域の水温上昇と海洋酸性化により2030年までに半減、2040年までには消滅するという予想があります。ただ、生育に適さない海域から外れた海域で、完全に消滅するかどうかというところは、予測はされていないということもあります。
続いて、評価ですけれども、178ページで、重大性は、生態系への影響は「特に大きい」。生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。緊急性について、生態系への影響は「高い」、生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。確信度は、生態系への影響は「中程度」、生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」という結果でございます。
続いて、温帯・亜寒帯ですけれども、現在の状況が184ページにありまして、日本沿岸の各所におきまして、海水温の上昇に伴い、低温性の種から高温性の種への遷移が進行していることが確認されています。
将来予測される影響としましては、海水温の上昇に伴いまして、例えば、エゾバフンウニからキタムラサキウニへといった高温性の種への移行というのが想定されています。ただ、研究事例は限定的という状況です。
評価ですけれども、重大性の生態系への影響が「特に大きい」。生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。緊急性に関しては、生態系への影響が「高い」。生態系サービスへの影響は「現状では評価できない」。確信度については、生態系への影響が「中程度」、生態系サービスへの影響が「現状では評価できない」という形です。
続いて、海洋生態系ですけれども、現在の状況が190ページでして、日本周辺海域では、特に親潮域と混合水域におきまして、植物プランクトンの現存量と一次生産力の減少が始まっている可能性があります。ただし、未だ統一的な見解に収束していません。
将来予測される影響ですけれども、気候変動に伴いまして、植物プランクトンの現存量に変動が生じる可能性があります。全球では熱帯・亜熱帯においては低下して、亜寒帯海域では増加すると予想されているけれども、日本はその中間なので、なかなか言いにくいということです。
評価ですけれども、重大性は、生態系への影響が「特に大きい」。生態系サービスのほうも「特に大きい」。社会の観点で「特に大きい」となっています。緊急性ですけれども、生態系への影響が、評価は「中程度」、生態系サービスのほうは「現状では評価できない」。確信度は、生態系への影響が「低い」。生態系サービスへの影響も「低い」となっています。
続いて、生物季節ですけれども、現在の状況が198ページにありまして、植物の開花の早まりや動物の初鳴きの早まりなど、動植物の生物季節の変動について多数の報告がなされています。
将来予測される影響ですけれども、生物季節の変動について、ソメイヨシノの開花日の早期化など、多様な影響が想定されています。
評価ですけれども、重大性の生態系への影響が「『特に大きい』とは言えない」。生態系サービスのほうは、「現状では評価できない」。緊急性については、生態系への影響が「高い」。生態系サービスのほうは「現状では評価できない」。確信度について、生態系へ影響は「高い」。生態系サービスへの影響は、「現状では評価できない」となっています。
続いて、分布・個体群の変動ですけれども、現在の状況が208ページにありまして、昆虫などにおいて、分布の北限が高緯度に広がるなど、気候変動による気温の上昇の影響と考えれば説明が可能な分布域の変化などがあります。ただ、どこまでが気候変動と言えるかは難しいということがあります。
将来予測される影響というのは、気候変動により、分布域の変化などがあるほか、その種の移動・局地的な消滅などというのもあり得るということが書いています。
重大性に関しては、生態系への影響が「特に大きい」。これは在来生物と外来生物に書き分けて、書いております。時間の都合上、読み上げは、終わりにしますけど、ここに評価が書いているという状況です。
以上になります。

住委員長
では、野尻委員。

野尻委員
座長の中静先生、不在ですので、私がかわって簡単にご説明いたしたいと思います。
今、順次読んでいただいたところで、おわかりになったかと思うのですけれども、生態系に関して言えば、変化が重大かという意味では、生態系そのものの変化は非常に起こる分野が多いので重大なのですが、では、一体それが、社会的あるいは国民生活の問題かというと、そこが非常に評価ができないものがほとんどでして、そういう観点で、面倒には見えますけれども、最初から二つに分けたという経緯があります。生態系そのものの影響に対する評価と、それが生態系サービス、国民生活への影響という形で現れるかと。結果、やってみましたら、生態系サービス、国民生活への影響というところで、評価ができたものはほとんど1項目ぐらいで、あとは評価できないということになってしまいました。
あるいは、その確信度が、ほかの分野に比べて相当「低い」というものが多いのですけれども、これには幾つか理由がありまして、研究が全くないのかと、そういう理由で確信度が非常に低いと、そういうことだけではございませんで、実際、どういう変化をするかと、どういう変化が予測されるのか、そういう研究はあるのですけれども、それがほかの人為的影響との境界が非常に切り分けにくいということが原因になっています。ですから、研究が足りない分野もあるのですが、研究が相当されていても、その人間活動の影響と分けられない。ですから、それは文章の中では、気候変動との直接の因果関係あるいは寄与度の評価がなされていないと表現されています。この辺が各委員の方に苦労していただいた点です。
それから、もう1点あるのが、緊急性のところで、影響の発現時期というのは、きちんと評価できている部分が多いのですが、既に影響が出ている、あるいは近い将来出ると。そういったものは十分多いのですけれども、意思決定の必要な時期という命題を与えられたので、各委員、非常に困ったわけです。だから、何らかの意思決定による適応が可能なものについては幾つか立てて、評価しているのですが、多くのものが温度が上がる、あるいは二酸化炭素が上がるということが、もう本質的であって、温暖化そのものをとめないと適応対策がないと、そういう分野について、意思決定の必要な時期の欄が、「現状では評価できない」とならざるを得ないと。そういったところが、ちょっとほかの分野との違いということで、ご理解いただけたらと思います。
以上です。

住委員長
ありがとうございます。時間がありませんので、産業・経済活動にも説明を行ってください。

研究調査室長補佐
すみません。では、311ページからが産業・経済活動で、ごく簡単にだけご紹介します。初めが製造業になっていまして、現在の状況が312ページに、さまざまな影響が想定されているけれども、限定的というのが書いていまして、将来影響のほうは313ページに、研究事例が乏しいとなっています。
評価は、読み上げは割愛しますけれども、下のほうに書いている通りです。
続いてが、エネルギー需給ですけれども、現在の状況につきましては319ページということで、これも研究事例が少ないという状況です。
将来予測される影響についても、事例が少ないけれども、エネルギー消費の観点ですとか、その辺から、幾つか言えることを書いています。
続いて、商業ですけれども、322ページからありまして、現在の状況は、これもなかなか事例がないということがありまして、将来の影響に関しては、例えばアパレル業界とか、そういったところで、幾つかあるものを書いています。
続いて、325ページで、金融・保険ですけれども、これについては、現在の状況は329ページにありまして、保険の損害が増加しているとか、そういったことがあるのと、将来予測される影響としては、今後、それらの保険の支払い額が増える可能性があるということがございます。
続いて、観光業が332ページからありまして、特にレジャーですけれども、現在の状況としては、例えばスキー場への雪の減少などがあります。
将来予測される影響としては、夏は観光快適度が下がるけれども、冬とかは観光快適度が上がるというのがございます。
続いて、建設業ですけれども、建設業、なかなか研究事例がないという状況で、342ページからの医療も同じような状況です。
344ページからが、その他(海外影響等)ということで、海外の影響も、なかなか事例は難しいのですが、現状の状況、347ページですが、タイの事例などがありまして、気候変動の影響とは断定できないけれども、影響はあるという結果になっています。あと、将来の影響というのも、今後、そういう影響もあり得るということがされています。
続いて、都市インフラ、ライフラインですけれども、これについても、現在の状況で、これはさまざまな影響が確認されています。
将来予測される影響としては、今後、極端な気象現象の影響があるとなっています。
358ページから、生物季節、伝統行事・地場産業などがございまして、ここに関しては、現在の状況で、先ほどの生物季節の話と近いですが、そういう影響があるということが書いて、将来もそういう影響があるということが書いています。
続いて、暑熱による生活への影響ということで、ここは気候変動の影響に対して脆弱性を高めるヒートアイランドの関係ですとか、そういったことを、現状、あと、将来予測について書いています。
以上になります。

住委員長
では、原澤君。

原澤委員
簡単に補足いたします。前回、この小委員会でいただいたコメントと、その後、関係省庁からいただいたコメントを踏まえまして、若干修正をいたしました。特に前半部分の経済的なところについてはご意見をいただいて、かなりコンパクトな形にしていると同時に、若干評価も、文献がないというようなことを重要視されたということも反映しまして、トーンが少し下がっているかと思います。
ワーキングとの関係につきましては、熱中症と生物季節について、両方で書き分けをしようということで、各節あるいは項目のところに注書きをすることにして、道に迷わないよう工夫をしております。
あと、今の二つの熱中症と生物季節につきましては、重大性等々の評価については、ほぼ同じということに結果的になりましたけども、若干重大性については、国民生活のほうは社会/経済という形ですけども、自然あるいは熱中症のほうは社会というような、若干視点の違いが出てきているというところだけであります。
あと、議論の中で、降雪のいい影響があるのではないかとか、また、労働環境としての暑熱の影響についてご意見がありましたが、なかなか文献がないということだったものですから、例えば、341ページの脚注に、そういった議論もしましたということで書かせていただいております。こういったところに、そういう追記的なことを書くのがいいかどうかというのは、ちょっと問題があるのですけども、現時点では、研究論文としてはないけども、こういった視点についての議論があったというようなことがあります。
大体、以上です。

住委員長
それでは、まず生態系について、ご意見、コメント、ご質問ある方がいましたら。

藤田委員
専門外なので、印象だけ言うと、何か生態系の保全の重要性が、国として非常に低い認識をしているという誤解を受けないような、何か書きぶりはないのかなと思いました。全部を丁寧に律儀に現状で評価ができないと書いているのですが、気候変動によって、例えば湿地が侵されて云々かんぬん、それがどうかということまでわかっていなくても、湿地の保全は今まですごくやっているし、生態系サービスそのものについてのいろんな研究はありますよね。それから実務でも、環境保全のためのいろんな代替措置もやっていると。そういう大きな流れの中で、もう少しまとめて、どこか前向きな部分を書くとか、そういうことにならないかなという印象を受けました。

住委員長
では、河宮君。

河宮委員
ありがとうございます。自然生態系のところについて、若干揚げ足取りのような面があり恐縮ですが、190ページで、海洋生態系の現形について述べてあるところ、真ん中辺りで、親潮域を言って、温暖化に伴う一次生産力の低下が始まっている可能性があると触れてありながら、下のほう、将来では、亜寒帯海域では、一次生産が増加すると予測されていると書かれておりまして、素直に解釈すると、親潮域は亜寒帯海域に属しますので、ここ、少し説明があったほうがいいのかなと思いました。
あと、もう1点、全体に関わることなのですけれども、以前、委員会で、シナリオごとに結果をまとめるのではなくて、全体的に2℃上がったらどうです、4℃上がったらどうだと。あとはシナリオ、細かいところは見てくれというようなまとめ方はいかがかというような提案がなされたと思いますが、なかなかそうはなっていないのは、大変だったのだろうなとは思いますし、かつ、シナリオの名前が出てくるたびに、脚注でどんなもののシナリオかというのが書いてあったりして、ご苦労が忍ばれますけれども、これはどこかにグラフを載せてしまうのが、一番手っ取り早いのかなと思うのですが、これは委員の皆様というよりは、環境省の方々に対して、ご検討いただければと思います。これは全体に関することです。
以上です。

住委員長
では、木本君。

木本委員
細かいことで恐縮ですが、生態系サービスというのは、個人的に何のことを指すのか、僕にはあまりよくわかっておりませんので、脚注でも何でもいいですから、1~2行で説明していただきたいと思います。特に具申のほうはたくさん読まれると思うので、お願いしたいと思います。
それから、今、河宮さんのおっしゃったシナリオの説明、環境省の人でいっぱい書きかえてくれたのはいいのですけど、細かいことで、これも恐縮です。450とか、IS92aシナリオというのは、濃度のシナリオですので、そこは排出量云々で計算したら何℃になるという、RCPなんかの説明と同じのをコピーすると少々変ですので、後で考えてください。
以上です。

住委員長
秋元君。

秋元委員
本当に些細なのですけども、165ページ目の現在の状況というところがありますけど、ここで「気候変動に伴う変化を探知しにくく」とだけ書いてあるのですけども、何を探知できないのかということをもう少し言葉を足していただいたほうが、この概要だけ出ていくと、少しわかりにくくなるかと思いますので、ぜひお願いします。

住委員長
そのほか、よろしいですか。
それでは、割と細かいことと、書きぶりのところは、若干、あと、一人が主観的にばっと書いている分には書きぶりはよくなるのですが、割と、やはりこういういろんなものを集めたというところがあって、限界があろうかと思いますが、再度、そういう意見を受けて、訂正するところは訂正したいと思います。
では、次、経済のところについて、ご意見。どんどん専門分野から外れていっておりますので、あれなんですが、何かございますでしょうか。
よろしいですか。
それでは、どうもありがとうございました。いろいろ細かいところ、よくよくそう思って読むと、いろんなところが目につくと思いますので、そういうところは、別途、事務局のほうにお伝えいただければ、最終の取りまとめまでには、また改訂したいと。
事務局から何かありますか。

研究調査室長
河宮委員からご質問のありました、気温の上昇と影響をまとめるというご意見につきましては、一部のワーキンググループでもご議論いただきましたけれども、まだまだそこを確度の高い情報としてお示しするのは難しいという意見が多数ありまして、一覧にすることは難しかったということで、今後の課題とさせていただきたいと思います。

河宮委員
いや、シナリオの濃度のグラフだけ載せてみたらいかがでしょうかという。これは脚注でいっぱい説明していることを図で示したほうが楽なのではないですか、読むほうはという。

研究調査室長補佐
ご指摘を踏まえて対応を検討したいと思います。

住委員長
だから、そういう資料の図みたいなのがあっても悪くはないと思いますよ。

秋葉委員
ちょっと産業のところでの意見なのですが、見ていて気になったものですから、342ページですけども、医療で、ほとんど文献がないのでわからないということでありますけれども、影響の要因として、災害リスクの増加や降雨量の変化で渇水の増加と書いてあるんですが、具体的に、例えば水が断水になりますと、非常に大きなところが、透析医療は1回150リットルぐらい使って、2~3日に一遍やらなければいけないのですけども、やはり災害が起こると、こういったことで、透析医療にかなり影響を及ぼすということもありますので、もう少し何か、浅いところではなくて、少しそういった具体的なところも、こういったところは言われていますので、ご検討いただけたらなと思いました。
以上です。

住委員長
ありがとうございます。参考にしたいと思います。よろしいですか。
それでは、続きまして、資料2-2のご説明をお願いしたいと思います。

研究調査室長補佐
資料2-2ですけれども、これは意見具申になっておりまして、初めに目次に沿って構成をご紹介しますと、初めは目的というのが1ポツにございまして、続いて、2ポツ目が、日本における気候変動の概要というのがございまして、その後、気候変動による影響の概要というのを書いております。最後、4番目として、課題をまとめているというような流れです。
2ページ目ですけれども、背景としては、IPCCの状況ですとか、国際交渉の状況、あと、海外の状況について書いていまして、適応が必要だとしていまして、3ページ目のところで、目的ですけれども、ここだけ、読み上げさせていただきますけど、政府全体の「適応計画」策定に当たっては、気候変動が日本にどのような影響を与えるのかを把握して、それを踏まえる必要があると。そのため、この中環審の小委員会において、既存の研究による気候変動の将来予測や、気候変動が日本の自然や人間社会に与える影響の評価等について整理して、気候変動が日本に与える影響の評価について審議を進めてきたということがございまして、あと、重大性、緊急性、確信度なども含めて検討を行って、政府全体の「適応計画」の策定の際に、どういう影響が現れるかという、どういう対策が必要になってくるかというところを抽出することを目的として行いました。
検討の進め方は、この小委員会の経緯が書いています。
続いて、4ページ目のところが、日本における気候変動の概要ということで、初めが、気候変動の観測・予測の取組、気象庁などが行っている取組を書いていまして、2.2のところで、その予測ですとか、観測の結果が書いていまして、6ページ目のところからが、温室効果ガスの状況、あと、気温の状況、降水量の状況などが書いているという構成でございます。
12ページに飛びまして、12ページの3ポツからが、気候変動による影響の概要ということで、初めに、取組内容ということで、環境省などが行っている研究の内容ですとか、文科省さんの取組などを記載しています。
13ページ以降のところで、個別分野の取組で、各省が取り組んでいる内容について、それぞれの分野を書いていまして、3.2のところで、その評価の取りまとめ手法ということで、前回の小委員会でもご議論いただきました重大性の評価の方法、手法が書いています。
24ページに飛びまして、気候変動の影響の予測の概要ということで、初めに、その留意点ということを幾つか書いていまして、エキスパートジャッジによって行ったことですとか、全てのものが気候変動の影響だと断定できるものではないとか、そういった留意点を書いています。
25ページ目のところからが、各分野の内容でして、先ほどご議論いただきました報告書の枠囲みの概要のところなどがピックアップされています。これがずらっとございますので、先ほどの議論を踏まえて、この辺りも修正をしていきたいと思っています。
67ページのところが、影響の一覧表でして、これも同じものが、先ほどの報告書と同じものが書いています。
最後、83ページのところが、その課題が書いていまして、課題としては四つ挙げています。
1つ目が継続的な観測・監視、あと、研究調査の推進、情報や知見の集積ということを、2つ目は、定期的に気候変動の影響評価をやっていく必要があるということを書いています。
3つ目が、地方公共団体等の支援ということで、地域性が気候変動の影響もありますので、その辺りは、国にもしっかり支援していく必要があるということを書いています。
4番目としては、海外における影響評価等の推進ということで、海外のところはまだまだ知見がないので、その辺りは、環境省としても情報収集をしていく必要があると思っております。
以下は名簿になっています。
以上です。

住委員長
よろしいですか。これは資料2-1のある種の要約版という形で、これを外に出していこうという形になっております。
木本君。

木本委員
今まで見たことのない文章であるというわけではないけれど、これ、送られてきたのは夕べですよね。今、見て、今、もう30分過ぎていますよね。パブリックコメント、26日までに始めると書いてありますが、何ぼ何でも無茶ではないでしょうか。我々、一応著者の一人ということになっているので、あとせめて1週間、コメントと、その対応する時間をいただけないでしょうかというのが一番大きな提案で、そのほかに、これ、国民が見ることからすると、いろいろ用語なんかがちょっと難しい説明等が、「フェノロジー」がいきなり出ていたりとか、僕は指摘しましたけど、「降水パターン」というのがまだ使われていたりとか、それから何ページかで、いろいろ細かい点がありますので、一つだけ、9ページに、kimoto(2005)というのを引用していただいていますが、これは本文で梅雨前線のタイミングについて書いてありますが、私の論文ではタイミングについては触れていませんので、これは引用は妥当でないと思いますのでというようなコメントがたくさんありますので、できれば、1週間ぐらい延ばしてくれないかな。

住委員長
では、木所委員。

木所委員
すみません、この意見具申のところで、この一番上に気候変動の影響の要因ですか、前回も、この小委員会で結構メカニズムという、この書き方、問題があったと思うのですけども、基本的に、その将来予測される影響のところの重複みたいな形で、可能性があるとか想定されるとか書かれているのですけども、まず最初にこれがあると、何かこれでわかった気になってしまって、大事な将来予測される影響とか、その辺が読み飛ばされる、関係が薄くなってしまうので、これ、要らないのではないかなと思いますので、その辺も検討していただけたらと思います。

住委員長
そのほか、秋元さん。

秋元委員
この報告書の中身はもう少し細かく読みたいとは思うのですけども、中身というよりは、この後、適応計画をつくるということで、その参考資料の根本となるような資料だと理解しているのですけども、どのように、ここ自体では適応計画は策定せずに、適応計画は政府がやると、政府がつくるのだということで私は理解しているんですけども、お願いというか、あれなんですけども、基本的に適応計画を政府がやるというのは、適応策が一般社会において不適切に過小なレベルになると思われる場合に、政府が介入して、それを適切なレベルに引き上げるということだろうと思いますので、ただ、政府が過剰に反応すると、政府の失敗を呼んで、これは、私、委員会で多分去年ぐらいに申し上げたと思うんですけども、あまりやり過ぎると、過剰にそれを論拠に、異常に、例えば不当というか、過剰な予算づけとかになったりとか、過剰な規制であるとか、過剰な誘導みたいなものが起こって、市場をゆがめてしまいますので、適切な情報発信が必要な分野とか、もしくは、政府がやはり介入しないといけない分野とか、いろいろあると思いますので、それは多分影響の大きさであるとか、あとは適応策が不適切に過小になりやすい分野とか、そういうものをきちんと見極めた上で、そういう適切な政策をとらないといけないと思いますので、そこはぜひお願いしたいと。何かでこういう物が出ると、そのまま過剰に政府が介入するということになりかねないという懸念があるので、私の懸念だけだったらいいのですけども、それだけ、一言お願いしたいと思います。

住委員長
よろしいですか。
それでは、どうもありがとうございます。いろいろと木本君の言い方は結構本当でありまして、時間が足りない、そう言われても、そうわからんということで、できる限り、その意を酌みたいと思いますが、パブコメの日程というのは何で決まっているの。全体のスケジュールのことを説明してくれる。

研究調査室長補佐
では、スケジュールにつきましてご説明したいと思います。資料3ですけれども、今回、その20日に小委員会を行っていまして、今度、26日に地球環境部会がございまして、そこでパブコメ案の報告と書いておりますが、パブコメ案の報告をしたいとは思っております。次回が2月ごろの予定ですけれども、9回目の小委員会を行いまして、パブコメ後の意見について議論して、ここで意見具申を確定させたいとは思っております。

住委員長
パブコメをやるのは、26日に地球環境部会があって、そこに報告したいというのが主たる理由だよね。急ぐ理由はそういうこと。

研究調査室長補佐
はい。あと、次回の小委員会が2月の下旬もしくは3月の頭になりそうですので、パブコメの期間を十分とろうとすると、早急にやりたいという気持ちとしては、事務局はあります。

住委員長
そういうことですので、ご了承いただければと思います。
それで、あと、この案のいろんな部分の微調整等々は、パブコメの実施とは別として受け付けているわけですよね。だから、これで、もうはい終わり、一切、物を聞かないというわけではないですよね。

研究調査室長補佐
はい。まずは、本日ご意見頂いた内容に対する修正を行うとともに、最終的な確定は次回の小委員会にはなりますので、それまでは、もしどうしてもという観点がございましたら、それは議論したいとは思っております。

住委員長
それでは、そういうことですので、今日いただいた意見をもとにして、一応座長に預かるということで、パブコメに対するものはそれにしたいと思います。
あと、ファイナルな意見具申の案としては、2月の最後の委員会が、そこで了承という形ですので、まだ時間がありますので、個々の個別のいろんな文言等々のことは、その場でお願いしたいと思います。
それから、秋元さんの言われた部分は、やはりそれは政治の問題でありまして、一応建前的には、この場所では努めてそれにコミットしないように、謙虚に材料を提供するという立ち位置に立っていると思います。それを受けて、環境省がどうするか、それはちょっと別の話でありますが、この委員会としては、その原点を守っていると思いますし、あと、コストの問題とか、いろんな現実に展開するところの問題はさまざまあって、それは中央環境審議会とか、産業構造審議会とか、そういうレベルの多分意見でありますし、現実に適応策に関しては、地球環境部会でも、いざ始まるとなったら、よく考えてもらわないと、またもや各省庁の暴走が始まるというのはやめてほしいねというのは、皆さん思っていらっしゃいますので、これを本当にする上においては、新しいことを考えていく必要があろうかと思います。ただし、そんな政治の分野に偉そうに言うと、怒られたりすることもありますので、それは考えてやっていかなければだめだと思います。
長い時間どうもありがとうございました。特にワーキンググループで入られた先生方は、非常に膨大な時間をお使いいただきまして、ありがとうございます。こういうことも第一歩でありますし、より客観的に物を整理していくのは非常に重要なことだろうと思います。この厚いのも一応公開資料になりましたので、それから、文献等も、わかる形で一応整理されておりますので、そういうことはこれからも継続してやっていくことが非常に大事だろうと思います。

研究調査室長
事務連絡でございます。本日は、ご活発なご議論ありがとうございました。
この今日の机上の資料でございますけれども、郵送ご希望の方は、そのまま席に置いていただければと思います。また、議事録につきましては、事務局で取りまとめを行い、委員の皆様にご確認いただきました後、ホームページに掲載をさせていただきます。よろしくお願いします。

住委員長
それでは、どうもありがとうございました。では、これでお開きにしたいと思います。

午後 0時40分 閉会

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