フロン類等対策小委員会 産業構造審議会 製造産業分科会 化学物質政策小委員会 フロン類等対策WG 合同会議(第5回) 議事録

日時

平成29年4月11日(火)
10:00 ~12:00

場所

経済産業省本館地下2階 講堂

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1)モントリオール議定書改正を踏まえた新たな代替フロン規制の基本的事項等について

    (2)その他

3.閉会

配付資料一覧

  1. 資料 議事次第・配布資料一覧
  2. 資料 委員名簿
  3. 資料 座席表
  4. 資料1 平成29年度における産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会フロン類等対策ワーキンググループ、中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会合同会議での検討事項について
  5. 資料2 キガリ改正を踏まえた新たな代替フロン規制の基本的事項等について

議事録

○谷化学物質管理課課長補佐  それでは、定刻となりましたので、産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会フロン類等対策ワーキンググループと中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会の第5回合同会議を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

 私は、経済産業省オゾン層保護等推進室の谷でございます。よろしくお願いいたします。

 昨年10月にルワンダのキガリで開催されましたMOP28におきまして、代替フロンを新たにモントリオール議定書の規制対象とする改正提案が採択されました。本合同会議につきましては、議定書改正を踏まえた新たな代替フロン規制の基本的事項等の検討を深めるために、両委員会の合同会議として開催することとさせていただきました。

 司会進行につきましては、産構審、中環審、それぞれの長が交互に務めるということになっておりますので、本日の第5回の合同会議の開催に当たりましては、産構審側の飛原座長に司会進行をお願いいたしたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

○飛原座長  皆様、おはようございます。本日の進行役を承りました飛原でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 本日の合同会議につきましては、先ほど事務局より説明がありましたように、昨年の10月にキガリ改正が行われました。その改正を踏まえた新たな代替フロンの規制の基本的事項についての検討を進めるために中環審と産構審の合同委員会を開催するということになりました。

 まず初めに、事務局を代表して、環境省地球環境局の鎌形局長より一言ご挨拶をいただきたいと思います。お願いいたします。

○鎌形地球環境局長  おはようございます。環境省の地球環境局長・鎌形でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 お忙しいところご参集賜りまして、まことにありがとうございます。また、日ごろからの環境行政へのご協力、ご理解、感謝申し上げたいと思います。

 先ほど来、話が出ておりますけれども、昨年10月のいわゆるモントリオール議定書のキガリ改正ということで、地球温暖化防止の観点から代替フロン、HFCが規制対象に加わったということ、そしてまた、昨年11月には、気候変動の国際的な枠組み、パリ協定、全ての国が参加する新たな枠組みが発効いたしました。地球温暖化防止に向けて、大きな一歩が、歴史的な進展があったというふうに考えております。

 こうした背景を受けまして、ここの会議では、モントリオール議定書の改正議定書を国内で担保、実施するというための制度的な枠組みなどについてご議論をいただきたく、お願いしたところでございます。改正議定書は、発効要件が整いますと、2019年1月1日の発効ということになります。これまでのできるだけ早いタイミングで制度的な措置を講じていきたい、このように考えているところでございます。

 我が国のフロン類対策のさらなる強化に向けて、委員の皆様からご指導、ご助言、よろしく賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○飛原座長  どうもありがとうございました。

 続きまして、経産省の製造産業局の土田審議官より一言ご挨拶をお願いいたします。

○土田審議官  皆さん、どうもおはようございます。ご紹介いただきました経済産業省製造産業局担当の大臣官房審議官の土田でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、年度初めの大変お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。感謝申し上げます。

 本合同会議は、前回の開催から約3年ぶりということでございまして、前回は25年の法改正の施行に向けての検討ということをお願いしたところでございますが、今回は、先ほど来、お話がありますように、昨年10月のMOP28を受けての検討ということでございます。

 早ければ、キガリ改正は再来年の2019年1月から発効ということでございまして、先進国では同時に規制が開始されるということでございます。先進国の一員として、パリ協定を初めといたしました地球温暖化対策に積極的に取り組んでいるという姿勢を対外的にも示す観点から、2019年の規制開始に間に合わすように国内制度の整備、検討を行うことが必要であるという観点から、既に3月から産構審のほうでは検討を始めているところでございます。

 このキガリ改正では、最終的には2036年にハイドロフルオロカーボンの使用を基準値から85%削減するという内容になっております。この規制でございますけれども、主に入り口を規制するものでございまして、直接規制の対象となるのは、製造業者、輸入業者ということでございます。そういった規制の仕組みにつきましては、当省及び産業構造審議会を中心に検討を進めるということにはなりますけれども、このハイドロフルオロカーボン、地球環境に悪影響を与えるという物質でもございますので、そういった観点から環境省及び中央環境審議会と共同で議論、検討を行っていくという事項がございます。

 そういった観点から、本日、大きく3つの事項についてご議論をいただきたいと考えております。

 1つは、議定書を遵守するための仕組みでございます。オゾン層保護法に基づきまして、いわゆる割り当て制度を現在とっておりますが、ハイドロフルオロカーボンにつきましても、同様の制度とすることにつきまして、ご議論いただきたいと思っております。

 次に、議定書で定められております我が国の基準限度でございます。いわゆる製造上限の取り扱いでございますが、議定書では、各国の基準限度というものが決まるということになっておりますが、一方で、我が国では既にフロン排出抑制法に基づきまして、フロン類使用見通しというものが存在しております。独自にこのハイドロフルオロカーボンの段階的削減に取り組んできたところでございますが、この両者の関係性についてご議論いただきたいというふうに思っております。

 3点目は、破壊数量の確認についてでございます。議定書では、破壊した数量については生産量に含まないと規定されていることから、現行のオゾン層保護法でも同様の趣旨の規定が設けられているところでございますが、このHFCにつきましても同様に適用するということにつきまして、ご議論いただきたいと考えております。委員の皆様方におかれましては、ぜひ忌憚のない率直なご意見をいただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○飛原座長  どうもありがとうございました。ただいま2名の方からご紹介がありましたように、地球温暖化防止のパリ協定、それからモントリオール議定書のキガリ改正、2つの環境規制が成立する見込みということになっておりまして、冷凍空調業界にとってみれば非常に厳しい状況がこれからやってくると思っております。

 今回の合同委員会は、そのスタートを切るための審議をするということであります。長期的目標を達成するに当たって、十分なのか、新たな何か対策が必要なのか等については、中長期的な視点でまた別の機会に審議していくということになろうかと思います。

 ちょっとご紹介を忘れましたけれども、お隣に中環審側の座長でいらっしゃいます浅野先生がいらっしゃいます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、平成26年8月の合同委員会の開催からしばらく時間が経過しておりますので、委員の交代等もあるようでございます。本日の委員の出席とあわせて、委員のご紹介を事務局よりお願いいたします。

○谷化学物質管理課課長補佐  それでは、まず、産業構造審議会のフロン類対策ワーキンググループの委員をご紹介させていただきます。

 初めに、本ワーキンググループの座長をお務めいただいております東京大学大学院の飛原委員でございます。続きまして、時計回りでご紹介させていただきます。日刊工業新聞の赤穂委員でございます。主婦連合会の有田委員でございます。一般社団法人フランチャイズチェーン協会の宇都委員でございます。日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の大石委員でございます。一般社団法人日本冷凍空調設備工業連合会の大沢委員でございます。一般社団法人日本冷凍空調工業会の岡田委員でございます。日本チェーンストア協会の金丸委員でございます。日本フルオロカーボン協会の北村委員でございます。一般社団法人日本冷媒・環境保全機構の作井委員でございます。弁護士の佐藤委員でございます。一般社団法人新日本スーパーマーケット協会の島原委員でございます。諏訪東京理科大学の須川委員でございます。住環境計画研究所の中村委員でございます。東京都の松永委員でございます。

○馬場フロン対策室長  続きまして、中央環境審議会フロン類等対策小委員会の委員をご紹介いたします。なお、数名の委員におかれましては、産業構造審議会と兼務いただいておりますので、重複いたしますので、ご紹介を割愛させていただきます。

 初めに、フロン類等対策小委員会の座長をお務めいただいております福岡大学の浅野委員でございます。次に、公益社団法人全国解体工事業団体連合会の出野委員でございます。横浜国立大学の浦野委員におきましては、本日ご出席との予定でございますが、若干遅れていらっしゃいます。首都大学の奥委員でございます。日本労働組合総連合会の小熊委員でございます。名古屋大学大学院の高村委員でございます。高知工科大学の中根委員でございます。群馬大学の西薗委員でございます。群馬県の根岸委員でございます。国立環境研究所の花岡委員でございます。一般社団法人日本ビルヂング協会連合会の牧野委員でございます。一般社団法人日本建設業連合会の米谷委員でございます。

 続けて、環境省の事務局を紹介いたします。地球環境局長の鎌形でございます。審議官の森下です。地球環境局総務課長の角倉です。地球温暖化対策課長の松澤です。私はフロン対策室長の馬場と申します。よろしくお願いいたします。また、フロン対策室の藤田でございます。

○谷化学物質管理課課長補佐  最後に、経済産業省の事務局を紹介いたします。大臣官房審議官の土田でございます。なお、化学物質管理課長の山内と課長補佐の町井につきましては、国会関係の用務が急に入りましたので、本日は欠席させていただきます。最後に、私は化学物質管理課オゾン層保護等推進室の谷と申します。

 続けて本日の委員の出欠についてご案内いたします。本日は、産業構造審議会フロン対策ワーキンググループの小川委員と中央環境審議会フロン対策小委員会の大塚委員より欠席のご連絡をいただいておりますが、両委員会ともに過半数の委員にご出席いただいておりますので、定足数に達しております。

 なお、先ほどご紹介がありましたとおり、浦野委員は遅れて到着される予定でございます。

 なお、大塚委員につきましては、本日の審議事項に関して、事前にご意見の提出がありましたので、資料として配付させていただいております。

○飛原座長  ありがとうございます。

 それでは、議題に入る前に、事務局より配付資料の確認をお願いしたいと思います。マスコミの方々におかれましては、カメラの撮影はこれまでということにさせていただきたいと思いますので、以後の撮影は、ご遠慮いただきたいと思います。

○谷化学物質管理課課長補佐  それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。

 本日は、委員の皆様にはタブレット端末を配付させていただいていますので、そちらの番号でご紹介させていただきます。もし不都合等あれば、事務局にお声がけください。

 まず、01議事次第、02配付資料一覧、03委員名簿、04座席表、そして、05としまして、資料1「本会議での検討事項について」、06としまして、資料2「キガリ改正を踏まえた新たな代替フロン規制の基本的事項等について」、最後に、07としまして、大塚委員の提出資料という形で配付させていただいております。

 以上でございます。

○飛原座長  配付資料、よろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。――ありがとうございました。

 それでは、これから議事に移らせていただきますけれども、本日の議事は公開とさせていただきます。また、議事概要につきましては、これまでと同様に、事務局において作成し、公表していただきます。詳細な議事録につきましては、委員の皆様に確認をしていただいた後に公表するということにさせていただきます。

 本日は、モントリオール議定書改正を踏まえた新たな代替フロン規制の基本的事項等についてという題目でご審議いただきたいと思います。

 その前に、資料1について、事務局よりご説明をお願いします。

○谷化学物質管理課課長補佐  資料1についてご説明差し上げます。委員の皆様は、05とナンバリングされている資料1をお開きください。

 平成29年度における産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会フロン類等対策ワーキンググループ、中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会合同会議の検討事項についてという形で資料1を用意させていただいております。

 この資料の位置づけとしましては、先ほどご紹介がありましたとおり、本合同会議を開催するのが約3年ぶりということもございますので、今回、とりあえず本年度と位置づけておりますが、どういうことを議論いただくかということを改めて確認の意味で配付させていただいております。

 そして、資料の中で1つ目で挙げさせていただいていますけれども、検討事項としまして、モントリオール議定書改正を踏まえた新たな代替フロン規制の基本的事項についてご審議いただきたいと考えております。

 この第28回モントリオール議定書締約国会合、いわゆるMOP28で採択されました新たな代替フロン規制、キガリ改正に関しまして、この改正内容を国内で担保、実施するための制度の枠組みなどのいわゆる基本的な事項等について審議を行っていただきたいと考えております。

 なお、経済産業省のみの所管にかかわる事項については、本合同会議ではなく、産業構造審議会で扱わせていただきたいと考えております。

 また、※で書いてありますとおり、今回はキガリ改正に関する内容でございますけれども、今年度におきましても、今後、状況に応じて検討事項を追加する場合もあるということを付言させていただいております。

 以上でございます。

○飛原座長  ありがとうございました。

 ただいま事務局よりご説明がありました本合同会議の検討事項についてですけれども、今年度の検討項目としては、資料にありますようにモントリオール議定書改正を踏まえた新たな代替フロン規制の基本的事項等についてという項目について検討するということでございます。

 ご承知のように環境省、あるいは経済産業省、それぞれ独自の検討会の中で審議する内容は別途あるかもしれませんけれども、この合同委員会の中では、この事項について検討するということでございますが、いかがでしょうか。何かご意見ありますでしょうか。札を立てていただければと思いますが。どうぞ。

○高村委員  ありがとうございます。基本的に資料1の確認事項について異論はございません。先ほど両省からありましたように、2019年1月1日からモントリオール議定書のキガリ改正をきちんと国内担保して締結するという意味で、そこに焦点を置いて迅速に議論するというご趣旨だと理解いたしました。

 もう1つ、やはりお願いをしたいのは、これも両省、先ほど審議官、そして局長からもありましたように、このキガリ改正自身は、パリ協定と連動していて、最終的には排出を抑制するというところに効果がなければならないという趣旨のものだと思います。そういう意味では、制度をつくるときに、上流、下流を見渡した実効性の担保というのが、もう1つ次のステップとしてはあると思っておりまして、そういう意味では、これだけ業界も含めて専門家の方がいらっしゃるところですので、議論の中から実効性を高める制度という点で、課題を拾っていただいて、議論の中で今年度中も検討課題を整理するという作業もあわせてお願いしたいと思います。その趣旨が資料1だという理解でよいかということを事務局に確認したいと思います。

 以上です。

○飛原座長  いかがでしょうか。

○谷化学物質管理課課長補佐  そういう趣旨と理解していただいて結構でございます。

○飛原座長  よろしいでしょうか。ここに書いてありますのは、前も申し上げたように、とりあえずスタートするための必要事項を確定しておかなければならないことのみです。それと、今、高村委員がおっしゃったような実効性を高める対応というのは切り離したほうがいいと思っておりまして、一応今回はスタートに必要なことだけに絞っておりますけれども、当然効果を高めるためのいろいろな諸政策をどうするかということも非常に重要な項目ですので、それは追って、審議していかなければいけないことだと理解しております。――よろしいでしょうか。

 それでは、資料1の内容につきまして、ご了承を得たということにしたいと思います。

 引き続き、資料2の「キガリ改正を踏まえた新たな代替フロン規制の基本的事項等について」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○谷化学物質管理課課長補佐  それでは、資料2についてご説明させていただきます。

 タブレットでは06の資料2「キガリ改正を踏まえた新たな代替フロン規制の基本的事項等について」をお開きください。

 資料につきましては、まず1ページ目に表紙がございますが、以後、パワーポイントの右下のページ番号でご紹介させていただきますので、よろしくお願いいたします。もし操作等、不都合があれば事務局にお申しつけください。

 それでは、1ページおめくりいただいて、1ページ目でございます。キガリ改正遵守のために検討が必要な事項という形で挙げさせていただいております。先ほど来、ご説明差し上げているとおり、昨年10月のMOP28におきまして採択されたモントリオール議定書のキガリ改正を遵守するために、国内制度に関しては、以下の事項について検討が必要ではないかという形で論点を網羅的に挙げさせていただいております。

 表を2つに分けさせていただいておりますけれども、本日ご議論いただく事項としまして、左側の基本的事項等という形で5点挙げさせていただいております。右側の具体的な運用方法といいますのは、資料1でもご説明させていただいたとおり、基本的にこちらについては、少し細かい実際の運用方法等になりますので、まだ日程は未定でございますけれども、次回の産構審フロンワーキンググループで別途議論をさせていただきたいと考えております。

 本日、議論いただく事項はその他も含めて大きく5点用意させていただいております。まず1点目としまして、国内担保の基本的な方針、2点目として、規制対象物質、3点目としまして、基準限度の取り扱い、例えばフロン類等の使用見通しとの関係性でありますとか、設定年度、また、その中間年度の取り扱いについてご審議いただきたいと考えております。そして、4点目、破壊量の取り扱い、最後に5点目として、その他の検討事項としまして、国民の理解及び協力、一次ユーザーにおける取り組み、機器ユーザーへの配慮、研究開発の推進という形で本日はご審議いただきたいと考えております。

 それでは、次の2ページ目をごらんください。1つ目の論点としまして、国内担保の基本的方針という形で挙げさせていただいております。モントリオール議定書のキガリ改正では、国全体のHFCの生産量及び消費量、条約上は消費量となっておりますが、生産量プラス輸入量、そこから輸出量を引いた量のことを消費量という形で定義されております。その双方を一定の水準以下に抑えるということが主な内容となっております。

 下のグラフでも提示させていただいているとおり、2019年から規制が開始されるということを踏まえて、国際的な協調の観点、または先進国として我が国が地球温暖化防止対策に積極的に取り組んでいるという姿勢を示すためにも議定書を遵守するための法的な仕組みを早急に設ける必要があるのではないかと考えております。

 ページをおめくりいただきまして、3ページ目でございます。この基本的な方針につきまして、現状と考えられる対応方針というものをまとめさせていただいております。上の四角の左側、現状でございますけれども、我々経済産業省のほうの調査を踏まえますと、我が国の消費量の基準値というものは、まだ精査中ではございますが、約7,000万CO2トンぐらいであると考えております。2019年にはその10%減の約6,300万CO2トンとする必要がございます。ただ、別途、こちらは産構審フロンワーキンググループでも一度ご議論をさせていただいていますけれども、直近の2015年の実績が約4,852万CO2トンでございます。そういうことを踏まえれば、数量的には多少議定書との関係では余裕はあるかと思いますけれども、確実に議定書の目標を達成するためには、法的な仕組み自体は2019年の規制が始まる前、具体的には2018年中には確立して、2019年から実効性をもっているということが不可欠ではないかと考えております。

 また、関連としまして、左の2つ目の丸でございますが、我が国では、議定書承認の前提となる国内の担保方策につきましては、確実性が厳しく求められるということでございます。このことから、現在のモントリオール議定書での規制対象物質、いわゆるHCFCを含むオゾン層破壊物質ですけれども、そちらに関しましては、オゾン層保護法に基づき、我が国の生産量及び消費量の基準限度、いわゆる上限を定めた上で、オゾン層保護法に基づく製造許可及び外為法に基づく輸入承認、いわゆる割り当て制というものをとって、個別の事業者に対する割り当てを行うことで、議定書の削減目標を達成するという仕組みをとっているという状況でございます。

 こういうことを踏まえまして、右側の水色で囲っている部分でございますけれども、まず1つ目の丸ですが、我が国全体のHFC生産量を議定書に定められた一定水準以下に抑えるということにつきましては、オゾン層保護法の例に倣いまして、HFCの製造業者に対して、HFCの製造数量を許可制に係らしめるということによって規制を行うこととしてはどうかということでございます。

 2つ目、また、国全体のHFCの生産量だけではなくて、消費量につきましても、議定書に定められた一定水準以下に抑えるということが必要でございますので、先ほどご説明しました生産量の規制に加えまして、HFCの輸入につきましても、外為法に基づく承認制の対象にするとともに、また、輸出の量につきましても、オゾン層保護法の例に倣って、適切な管理を行うこととしてはどうかと考えております。

 端的に申し上げると、HFCにつきましても、従来のオゾン層保護法と同様の仕組みとしてはどうかということで、挙げさせていただいております。

 なお、下のほうに、留意事項として2点挙げさせていただいておりますけれども、この法的な仕組みを設けるに当たりましては、当然ながら他国、特に欧米がどのように議定書を遵守するかということにつきましても考慮する必要があると考えております。我々が調べた限りにおきましては、後ほどご説明しますけれども、米国及びEUにつきましては、新たな制度をつくるというのではなくて、今ある既存の規制によって、このキガリ改正の内容が担保できるというように考えているのではないかと考えております。

 また、2点目としまして、オゾン層保護法の仕組みに倣えばどうかというお話をさせていただいておりますけれども、具体的に、最終的にどの法律で国内担保という形にするかという点につきましては、この審議会の場で議論をして結論を得るという趣旨のものではないと思っておりますが、仮に従来のオゾン層破壊物質、いわゆるオゾン法の例に倣った法的仕組みをHFCについても適用するのであれば、オゾン層保護法の規制対象物質としてHFCを追加するということがシンプルではないかと考えております。

 続きまして、ページをおめくりいただいて、4ページ目でございますが、ここからは少し現状の制度のご説明になります。4ページ目は、オゾン層保護法におけるフロン等の製造規制の概要という形で挙げさせていただいておりますけれども、今のオゾン層破壊物質の製造数量の許可及び輸出量の指定というものはどのような形で行われているかというような流れを示しております。毎年度、規制年度というのは、基本的にモントリオール議定書の場合、1月から始まりますので、実際、その翌規制年度、1月に向けて許可書を交付するわけですけれども、真ん中あたりの図にあるとおり、まず9月あたり、秋ぐらいに事業者のヒアリングをさせていただく。それに基づきまして、事務局である経済産業省で許可数量を検討、これは内部で検討するということですけれども、検討させていただく。そして、11月あたりに事業者から許可申請書というものを改めて提出いただいた上で、年末までに許可書を交付する。その許可書に基づいて次の1月から製造を開始するというような仕組みになっております。

 次のページ、5ページ目でございますが、こちらもいわゆる製造許可の一種ではございますけれども、製造の事前確認という形で、上の四角の根拠法規の中に3つ挙げさせていただいております。原料用途、試験研究・分析用途、検疫用途とございますが、こちらにつきましては、議定書上、また、当然ながら国内ではオゾン層保護法上ですけれども、生産量、製造量の枠外になるという形になりますので、こちらは個別に確認を、その都度、申請があるたびに確認をしているということでございます。

 左の真ん中あたりに図がありますけれども、その都度申請書を提出いただいて、およそ2週間程度で審査をして確認をするというような形で実施しております。

 続きまして、6ページ目でございますけれども、こちらは輸入割り当て、外為法に基づきますフロンの輸入割り当ての流れでございます。真ん中に図がありますけれども、基本的には4ページでご説明差し上げた製造許可と同様の仕組みをとっております。

 まず、事業者ヒアリングをした上で割り当て量を検討する。こちらは許可書ではなくて輸入承認になりますので、内示書という形で申請をいただいて、その交付をする。そして、次の年から輸入を実施していただくというような流れになっております。

 続きまして、7ページ目でございます。先ほど欧米の状況という形を少し注視しなければいけないというお話をさせていただきましたけれども、他国の、特にまず7ページ目は米国のフロン規制の概要という形で簡単にまとめさせていただいております。

 米国では、SNAPプログラムというもので代替フロンも含めてフロンは規制されております。簡単に申し上げますと、一番下の表にありますとおり、使用可能な物質と使用不可の化学物質をそれぞれリスト化するということによって、使えるもの、使えないものという形、それぞれ物質ごとにどういう用途に使えるか、使えないかという形で規制を行っているというような状況であると聞いております。

 続きまして、8ページ目でございます。こちらはヨーロッパ、EUの状況でございますけれども、制度の概要でございますが、EUのほうは、Fガス規則というもので規制をしております。このFガス規則といいますのは、下の青囲いの中でございますけれども、大きく3つございまして、まず1つ目としては、製品・機器に関する禁止事項ということで、高GWPのFガスを使用しているものの市場販売を禁止している。2点目としまして、サービス用途についても高GWPのガスについては使用禁止をしている。そして、3番目でございますけれども、これはキガリ改正が採択される以前からEUのほうではHFCの総量規制と割り当て制度というものを実施しているということでございますので、こちらが実施されれば、当然ながらEUにおいてはキガリ改正の内容が遵守されるというような位置づけになっております。

 続きまして、ページをおめくりいただいて、9ページ目でございます。2点目の論点としまして、規制対象物質という形で挙げさせていただいております。今回のキガリ改正は、HFCが対象になったわけでございますけれども、今回、具体的に対象となったのは、真ん中の表にあるとおり、18種類のHFCでございます。現行のオゾン層保護法におきましては、規制対象である特定物質は、議定書で規制対象となっているオゾン層破壊物質となっております。ですので、キガリ改正に対応するという形でございましたら、キガリ改正において新規に対象になったHFCを新たに規制対象とする。そして、これまではオゾン層破壊物質でしたので、数量をはかる指標がODP、いわゆるオゾン層破壊係数でございましたが、HFCにつきましては、ODPがゼロですので、新たな指標、数量の算定方法としまして、GWP、地球温暖化係数での計算方法を採用するのが適当ではないかと考えております。

 この中で、留意事項で挙げさせていただいておりますけれども、留意事項の2点目、黒丸の2つ目でございますが、別途、我が国の規制としてフロン排出抑制法がありますが、こちらにつきましては、京都議定書の対象となっているHFCが規制の対象となっております。実はこの18種類以外にHFCの161と呼ばれるものを加えた計19種類が規制対象となっております。少なくとも我々のほうで知る限り、この161が実用化されているでありますとか、近い将来実用化されるという情報は特段ございませんので、実質上、これが規制をされていないからといって、何か抜け穴になるとか、規制が漏れているということはないのではないかと捉えております。

 続きまして、ページをおめくりいただきまして、10ページ目でございます。3つ目の論点といたしまして、基準限度の取り扱いという形で挙げさせていただいております。基準限度といいますのは、いわゆる上限でございます。10ページ目の上の青囲いで挙げさせていただいておりますけれども、フロン類の製造業者においては、フロン排出抑制法の規定に基づきまして、フロン類代替物質の製造等その他フロン類の使用の合理化というものを計画的に行うということを目的としまして、国が策定するフロン類の使用見通し、いわゆる削減目標というものを踏まえまして、フロン類使用合理化計画を策定いただいております。

 そして、その各社の使用合理化計画には、現在は2020年度、平成32年度のフロン類の出荷相当量、議定書上でいいますと、ほぼ消費量に相当するものでございますけれども、その削減目標をそれぞれ明記していただいて、それに対して既に削減に取り組んでいただいているという状況でございます。

 フロン類の製造業者等からしますと、今回、キガリ改正によって削減が導入されることによりまして、製造等というのは製造と輸入でございますけれども、HFCの製造等に関して議定書上の基準限度と使用見通しのいわゆる2つの基準が存在するということになりますので、この双方の位置づけを明確に整理するということが必要なのではないかと考えております。

 その使用見通しとキガリ改正の削減スケジュールというものの関係性を図示したものが10ページの下の図になります。緑の棒グラフが議定書上の削減スケジュール、いわゆる上限、基準限度になります。そして、赤丸で2点示させていただいておりますけれども、こちらがフロン排出抑制法に基づく使用見通しという形で、2020年と2025年というものが既に定められているということでございます。

 この点につきまして、次の11ページをごらんください。この基準限度の取り扱いにつきまして、現状と対応方針という形でまとめさせていただいております。上の左の青囲い、現状でございますけれども、先ほどもご説明差し上げましたとおり、我が国におきましては、キガリ改正が採択される以前より今後の国際的な動向も見据えて、2015年からフロン排出抑制法に基づきHFCの使用合理化には取り組んでいるところでございます。

 2点目としまして、このことからフロン類の製造業者等においては、引き続き、概ね現状では議定書上の基準限度より厳しい基準であるフロン排出抑制法に基づく使用見通しを踏まえて製造等をするフロン類の量の低減に取り組むべきではないかと考えております。

 それを踏まえまして、右側の水色の部分でございますけれども、HCFCを含めたオゾン層破壊物質につきましては、現状、オゾン層保護法の3条に基づく基本的事項というものに議定書上の基準限度というものを規定して、その基準限度の中で各事業者に対する許可等をしているということでございますが、HFCを規制する際におきましても、仮にオゾン層保護法で規定するということであれば、その基本的事項につきましては、同じように議定書上の基準限度を規定し、その基準限度内で許可をする。法律上はそのような形にするということでございますけれども、その上で、実際に許可等をする実務上の運用としまして、使用見通しについては、毎年度の各事業者への製造及び輸入の割り当ての上限のいわゆる目安と位置づけてはどうかと考えております。ただ、これはあくまで目安ということでございますので、後ほどご説明しますけれども、状況に応じて、結果的にその目安以上、当然ながら議定書上の上限である基準限度は超えてはいけないですが、目安以上の割り当てが行われる可能性もあるということでございます。

 今、ご説明したことを少しイメージ図として紹介させていただいているのが、11ページの下の図でございます。2025年を例として挙げさせていただいておりますけれども、2025年の現状での目標値というものは、我々の想定でいきますと、議定書上の上限である基準限度というのは、約4割減になりますので、約4,200万CO2トンになろうかと考えております。

 他方で、割り当て上限の目安として使おうと考えておりますフロン排出抑制法に基づく使用見通しというものは、3,650万CO2トンという形になります。そして、先ほど目安と申し上げましたけれども、実際、オゾン層保護法と同じような仕組みを設けて、各事業者に割り当てをするということになりましたら、原則としては、左側の図のグラフの黄緑の部分でございますが、この使用見通しの数量の範囲内、2025年であれば3,650万CO2トンになりますが、その範囲内で申請のあった各社へ割り当てを実施するという形にさせていただく。当然ながら、吹き出しにもございますけれども、各事業者にとりましては、使用見通しに基づき割り当てられた数量が、その会社につきましては、例えばA社であれば1,000、B社であれば500とありますが、その1,000なり500なりというものがその会社の限度数量となりますので、その数量を超えて製造等を行うのであれば、罰則の対象になるというような制度になるということでございます。

 また、左の図の斜線で表しておりますけれども、基準限度と使用見通しの間に差分が生じるということに2025年の場合ではなります。約550万CO2トンでございますけれども、そちらにつきましては、こちらの上の吹き出しのほうにも書かせていただいているとおり、いわゆる突発的な需要対応でありますとか、HFCに積極的に取り組んでおられる事業者に対するインセンティブ、このインセンティブの考え方については、事務局のほうでもう一度再整理させていただいて、これは直接事業者の割り当てにも関係しますので、次回の産構審のほうで議論させていただきたいと思いますが、何らかインセンティブという形、特別枠というような形で活用してはどうかと考えております。

 続きまして、12ページでございます。同じく基準限度の取り扱いに関することでございますけれども、使用見通しの設定年度という形で挙げさせていただいております。上の左側でございますけれども、現在、2020年と2025年度について使用見通しというものが設定されております。この使用見通しは、フロン排出抑制法の指定製品制度に基づき設定されていますので、指定製品制度の見直し、例えば新たな指定製品の拡大をするであるとか、今あります目標値の引き下げ等を行いましたら、その都度使用見通しを見直すべきというものでございますが、余りに頻繁に使用見通しの数量の変更を行うと、いわゆる製造業者等の生産等の計画にも混乱を生じさせることになるのではないかと考えております。

 そこで、フロン排出抑制法が2015年に施行されましたので、これまでは施行後5年、10年ということで、2020年度、2025年度について使用見通しを設定させていただいておりましたが、2025年度以降の使用見通しにつきましては、従来通りの5年刻みということも考え方としてはあるのですけれども、議定書で削減スケジュールがもう既に先まで決められておりますので、議定書上の基準限度が切り下がる時点、具体的には2029年度と2036年度、ただ、2034年度も切り下がるのですが、2036年度と少し近接しておりますので、こちらは2036年度のほうに統一をさせていただいて設定するということとしてはどうかと考えております。

 下の表では、使用見通しの設定見直し及び使用合理化計画の策定は、以下のような流れとしてはどうかというものを図示したものでございます。簡単にいいますと、現状でも2020年と2025年の使用見通し、つまり、直近のもの、さらに次のものを策定しておりますので、常に直近と、その次の使用見通しを設定していくというような形で考えてはどうかと考えております。2036年度以降は、現状ではまだ書いておりませんけれども、こちらは今後議定書の目標がどうなるかも含めて検討していきたいと思っておりますが、基本的には5年程度ごとに使用見通しについて再設定していくということとしてはどうかと考えております。

 続きまして、13ページ目でございます。同じく基準限度の取り扱いということですけれども、先ほど5年置きなり、2029年、2036年に使用見通しを設定するということでご説明しましたが、議定書上の基準限度というものは毎年達成しなければいけないものでございますので、例えば、今既にあります2020年から2025年の間におきましても、当然、途中の各年度についても議定書の目標は達成しなければいけない。そして、もしその割り当ての目安として使用見通しというものを使うのであれば、使用見通しについても毎年度設定する必要があるということで考えております。

 右側の青の部分にございますとおり、あくまでそこは目安という形で使用見通しを設定させていただくということでございますので、2020年度までの中間年度につきましては、2015年から2020年までの期間の間、また、2020年から2025年度までの間の期間につきましては、使用見通しについては、一定の割合で減少するとみなして、いわゆる等分割するような形で設定させていただいてはどうかと考えております。

 続きまして、14ページ目でございます。同じく基準限度の取り扱いに関連する事項としまして、その他の関連事項として2つほど挙げさせていただいております。

 まず、1つ目としまして、使用見通しは、現時点では、議定書上のいわゆる消費量に相当するものだけが設定されております。他方で、冒頭にご説明差し上げたとおり、議定書上では生産量の規制というものが別途かかります。いわゆる正味の生産量でございますけれども、そういう意味で、製造量についても、何らか目安のものを設定する必要があるのではないかという議論があろうかと思います。

 ただ、この点につきましては、右側に書かせていただいていますとおり、実態としまして、フロン類の製造業者、フロンの製造業者というものは、おおむね輸入を行っておられるということで、製造と輸入というものは、シンプルに考えますと、単なる製造場所の違いに過ぎないと捉えることができますし、他方で、消費量と違って将来的に製造がどういう動きをするのかというものについては不確定要素が多い。どこでつくるかということについては、なかなか想定がしにくいという部分があろうかと思います。

 また、消費量というのは当然製造量も含めた形で、出荷相当量の見通しを設定しているということを踏まえまして、製造量の割り当ての上限については、使用見通しというものを定めずに、あくまで議定書上の生産量の基準限度のみを用いることとしてはどうか。使用見通しということでしっかり消費量のほうで規制しておりますので、生産量については、議定書の基準限度をしっかり守るという形にしてはどうかと考えております。

 続きまして、2つ目で挙げておりますけれども、仮にHFCについて、オゾン法に倣った割り当て制度というものが導入されるのであれば、使用合理化計画で各社が削減計画を定める必要というものは、もう既に規制があるので必要はないのではないかというような議論があろうかと思います。これにつきましては、右側に書いてありますとおり、仮に割り当て制度が導入された後であっても、実際に割り当てられる量にかかわらず、製造業者等につきましては、その使用見通しを踏まえて、計画的に削減していただくというようなことは、フロン排出抑制法に基づき引き続きございますので、各社において将来の削減目標をしっかり定めていただいて、取り組んでいただく必要があろうかと考えております。

 基準限度の取扱いに関連しまして、さらに留意事項として3つほど挙げさせていただいております。1つだけご紹介差し上げておくと、2つ目の丸でございますが、フロン排出抑制法に基づくフロン類製造業者等の判断となるべき事項、いわゆるガス判断基準と呼ばれるものですけれども、こちらは主務大臣、具体的には経済産業大臣の指導、勧告の対象になります。現状では、このガス判断基準の中で使用見通し等が定められているのですけれども、直接の罰則はないのですが、フロン類の製造業者等に対する実質的な規制措置となっています。ただ、記載しているとおり、フロン類の製造業者等が自らの使用合理化計画を達成できなかったということをもって、即時に指導、勧告の対象となるわけではございません。他方で、今あるオゾン層保護法及び外為法におきましては、許可や承認を受けた数量以上に製造を行った場合には罰則規定がございますので、その時点で罰則の対象となるということに違いがあるということでございます。

 基準限度については以上でございます。

 続きまして、4点目の論点でございますけれども、破壊量の取り扱いということで15ページでございます。モントリオール議定書におきましては、規制対象の1つであります生産量については、破壊量等、すなわち破壊量と原料用途の量については減じた量という形になっております。それに基づきまして、現行のオゾン層保護法におきましても同様に破壊数量の確認の仕組みというものが設けられております。この仕組みは、少なくともこれまでは活用されたことはないのですけれども、今回、HFCの規制導入にあわせて、改めて活用の是非を検討する必要があるのではないかと考えております。

 下の図は、今申し上げた議定書とオゾン層保護法の仕組みについてご説明をした図になっておりますけれども、左のほうでは議定書上の考え方ということで、議定書上は、実際に生産した量から破壊量を引いたものが議定書上の生産量というような形で取り扱いをしているということでございます。

 他方、オゾン層保護法上の破壊数量の確認というものは、右側の表にありますとおり、吹き出しに書いておりますけれども、破壊をしたら、それを確認して、その分製造できるという仕組みなのですが、議定書上の考えのように生産量から破壊量を引くというような方式ではなくて、破壊数量の証明を行った範囲の中で新たに製造を認めるというような方式をとっておりますので、そういうことによって、議定書上の基準限度を超えないような仕組みにしている。一旦作ってしまってから減らすのではなくて、破壊したものだけを再製造できるというような仕組みにして、確実に議定書上の基準限度を超えないような仕組みになっております。

 この破壊の仕組みに関しまして、16ページ目でございますけれども、現状と対応方針という形で挙げさせていただいております。左の青線で囲っている部分でございますけれども、破壊量を生産量から減じるということは、議定書上の制度でございますので、制度自体を我が国独自で否定するということはなかなか難しいかと考えておりますが、実態としては、当初割り当てた許可の量を超えて製造できるという側面があるのは確かでございますので、そういった点を踏まえて、何らか国内でその制度を運用するに当たっては留意する必要があるのではないかと考えております。

 2つ目の現状としては、廃棄時回収率の向上というものが我が国のフロン政策の現状の大きな課題の1つとして挙げられますので、フロン排出抑制法では、本来、回収の責務、厳密にいいますと、引き渡しをするという責務は廃棄を実施する者に課せられているものなのですが、フロンメーカーをはじめとするフロン類の製造業者が破壊数量の確認という、この仕組みを使うために回収を率先して行うという誘因が働くことによって、回収インセンティブを向上させるものとしてこの制度を位置づけるということもできるのではないかと考えております。

 それを踏まえまして、右側の水色の部分でございますけれども、1つ目として、現行のオゾン層保護法におきましては、破壊数量の確認の仕組みは、これまで活用されたことはございません。また、それに加えまして、基準でありますとか、申請手続等を定めた関係の省令というものは、実は現時点では整備されておりません。そういうことを踏まえて、今後、冒頭にも説明したとおり、数量的にはしばらくは余裕があるのですけれども、2029年の7割減というようなものの大幅な削減も見据えて、少なくとも手続や基準を定める関係省令というものは整備をして、HFCについてもこの仕組みを活用できるという環境を整えておく必要はあるのではないかと考えております。

 2つ目としまして、破壊数量の確認については、例えば、確認申請時のHFCの需給の動向を勘案して、申請を行った年度内の需要に限って確認を受けるというような運用にするなど、先ほど申し上げたとおり、この仕組みによって再製造する、できるという側面があることも確かでございますので、HFCの段階的削減でありますとか、環境中への排出抑制というものをこれまで我が国のフロン対策の方針としまして進めておりますので、きちっと運用するに当たっては、そういった方向性とも整合のとれた形にしてはどうかと考えております。

 最後に、3点目でございますけれども、当然ながら不正はないような仕組みにしましょうということでございまして、破壊量のダブルカウント――ダブルカウントといいますのは、同じ破壊量を複数回計上するとか、また複数の者が同じものを計上するとかというものや、また、当然虚偽記載などがないようにというような形で不正は防止しなければいけない。そのための1つとして、既にフロン排出抑制法で破壊証明書等の仕組みもありますので、そういったものも活用して不正がないようにするべきではないかと考えております。

 ちなみに、この破壊に関する留意事項ということで、下に2つ挙げさせていただいておりますけれども、オゾン層保護法におきましては、破壊数量の確認申請の主体は「製造しようとする者」という形で規定されておりますので、現状のオゾン層保護法では、この破壊の確認というものは、自ら製造する者しか申請を行うことができませんので、輸入業者等がこの破壊の確認の申請をすることはできないような仕組みになっております。

 また、破壊確認という形で、確認ということでございますが、どういう性格をもっているかといいますと、一般的に確認というものは、一定の法律事実であるとか、法律関係のあるかないか、存否を確定するものでございますが、オゾン層保護法におきましては、この確認を受ければ、原則的には禁止されている製造ができるというような位置づけですので、実際は許可とほぼ同じような効果を有していると考えております。

 次のページでございますけれども、最後としまして、その他の検討事項でございます。17ページから18ページにかけて、大きく4点挙げさせていただいております。

 まず1つ目としまして、国民の理解及び協力ということで、オゾン層保護法では、基本的事項として議定書上の上限である基準限度を定めるほかに、オゾン層の保護に関する国民の理解及び協力を求めるための施策の実施に関する重要な事項を定めて公表しているということでございますので、今回HFCの関係に製造等の規制をするに当たっても同様に定めるべきではないかと考えております。といいますのも、右側に書いてありますとおり、今回のキガリ改正といいますのは、基本的にはHFCの製造業者及び輸入業者にかかる規制でございますけれども、このHFCの規制というものは、その製造業者だけではなくて、製品の製造業者、また、製品のユーザー、さらには充填回収業者でありますとか、破壊業者、再生業者といった関係者それぞれが趣旨を理解して、課せられた責務というものをしっかり果たしていかなければ、スムーズに転換していくということはなかなか難しいのではないかと考えております。そういったことも踏まえまして、モントリオール議定書に基づくHFC規制、すなわち削減スケジュールの遵守というものを通じて、先ほどご紹介した各主体が地球温暖化の防止にどのように取り組むべきかということについても改めて定めて公表する。いわゆる普及、啓発していくということが重要なのではないかと考えています。

 その中で、そういった国民の理解等を深めるためには、フロンのみならず、地球温暖化の状況であるとか、また、HFCが地球温暖化に対してどのような影響を与えるのかというような調査、研究なども推進して、それをしっかり普及していくということが重要なのではないかと考えております。

 続きまして、2点目として、一次ユーザーにおける取り組みと書いておりますけれども、一次ユーザーといいますのは、基本的にはフロンを業として、HFCを業として使用する者、製品のメーカーでありますとか、また一部、洗浄用途等で実際使う場合があるかと思いますが、オゾン層保護法においては、一次ユーザーに対して、排出抑制・使用合理化指針というものを定めて、フロン類の排出抑制及び使用合理化を進めるという形で進めていますので、HFCについても同様のものを定めるべきではないかと考えております。

 先ほども申し上げましたとおり、このHFCの生産、消費の削減のためには、当然ながら製造業者だけではなくて、こういった業として使用するHFCの一次ユーザーという方々についても取り組みを進めていく必要があろうかと思います。ただ、右側の2点目に書いていますとおり、そういった形で何らかの指針を定めるということも重要かと思いますけれども、既にフロン排出抑制法のほうで関連の指針でありますとか、また、指針に基づく関係主体の判断基準というものもそれぞれ定められておりますので、それらとの整合性をとるということは別途必要であると考えております。

 最後になりますけれども、18ページ目、最後のページでございます。その他の検討事項の続きでございますけれども、3点目としまして、機器のユーザーに対する配慮という形で挙げさせていただいております。こちらにつきましては、HFCの削減の促進のためには、先ほども申し上げたとおり、HFCに関わる関係者全てが取り組む必要がございますので、当然ながらHFCを使用した冷凍空調機器のユーザーにおいても転換ということが必要かと思いますし、低GWPの製品、またはノンフロン製品に対して、転換支援を行っていく必要もあるのではないかと考えております。また、このHFC規制というものは、直接は機器のユーザーにかかる規制ではございませんけれども、結果的には、そのユーザーの機器更新にも影響を与えるということでございますので、何らか転換の目安となるようなものが必要ではないかというような論点があろうかと思います。

 それにつきましては、右側に挙げさせていただいているとおり、まず、冷凍機器については、多くの機器で自然冷媒なりを中心にHFCの使用製品の代替製品というものが実用化されていると認識していますけれども、主にコスト面、特に初期導入費用に課題があるなどして、広く普及するまでには至っていないと聞いておりますので、例えば今も環境省さんのほうで実施いただいています自然冷媒機器の導入に関する補助制度というものを拡大していくということがユーザーの転換支援には当然有効なのではないかと考えております。

 また、2点目とまして、機器のユーザーさんが計画的に更新を行うためには、冷媒又は機器の技術開発動向というものも踏まえた何らかのロードマップみたいなものが有効ではないかと考えております。ただ、そのロードマップにつきましては、誰が策定するのかという主体の問題でありますとか、どういうことを盛り込むのかという内容については、当然ながら詳細に検討が必要かなと考えております。

 3つ目として挙げさせていただいていますけれども、その他、ユーザー側の転換に伴って、何らか考慮すべき規制でありますとか、手続というものがあるのであれば、その見直しも含めて検討する必要があると考えております。

 そして、最後でございますけれども、4点目、研究開発の推進という形で挙げさせていただいています。左側は現状でございますけれども、キガリ改正の採択以前より我が国を含む先進国の冷凍空調企業は、HFCの代替物質や代替物質を使用した製品の開発、実用化に取り組んでいて、先ほど申し上げたとおり、多くの製品で代替製品というものは実用化されているということでございますが、例えば、中小型の空調でありますとか、そういったものについては、代替製品の実用化のめどが立っていない分野というものも数多くあるということも事実でございます。

 そういうことも踏まえて、2029年以降の大幅な削減を達成するというものに対しては、HFC使用製品の代替製品の開発と実用化も当然やっていかなければいけないと考えておりますので、企業でありますとか研究機関において、研究開発をしていくものについて、必要な部分については、国としても支援をしていく必要があろうと考えております。

 この点に関しては、右側の最後に書いてありますとおり、HFCの代替物質を開発して、それを製品として諸外国に先駆けて実用化するということは、当然ながらこの議定書の目標を達成するということにもつながりますし、地球温暖化の防止にも資するということでございますけれども、そういったものをいち早く実用化して、世界展開するということで、ある意味では、我が国の冷凍空調産業にとっては、さらに競争力を強化するチャンスになるのではないかと捉えております。

 そういうこともありまして、経済産業省のほうでは、以前よりNEDOとも連携しまして、HFCの代替となる物質の開発でありますとか、それの実用化の技術開発プロジェクトというものを実施して、企業並びに研究機関における開発を支援しているということでございますけれども、引き続き促進していく必要があろうと考えております。

 少し長くなりましたけれども、資料2については以上でございます。

○飛原座長  ありがとうございました。

 この後、委員の皆様からご意見を伺いたいと思いますが、その前に、冒頭お知らせいたしましたとおり、本日は大塚委員が欠席でございますが、コメントが提出されておりますので、事務局より紹介をお願いします。

○馬場フロン対策室長  では、タブレットの07、大塚委員提出資料というのがございますので、これを開いていただきまして、読ませていただきます。

 まことに申しわけございませんが、別件のため、第5回合同会議に出席できません。

 オゾン層保護法における破壊数量確認制度の活用について一言意見を申し上げておきます。

 モントリオール議定書を受けてオゾン層保護法第11条は「特定物質を製造しようとする者は、その種類及び規制年度ごとに、特定物質が……当該規制年度内に破壊されたことまたは破壊されることが確実であることを……証明して、当該証明に係る数量の特定物質……を製造することできる旨の経済産業大臣の確認を受けることができる」と規定している。

 今後この規定を活用し、このような製造を認めることは、サプライチェーンを用いてHFC等の回収破壊をしようとしている一部生産者の行動を後押しするものとして適切であると考えるが、他方、ダブルカウントや虚偽記載の可能性もあることから、破壊について真に確証のあることが必要となる。また、市中にストックされているHFCのうちの一定量が環境中に放出される可能性がある中、確認を受けた破壊数量の全量が生産量として認められた場合、この手続を認めることによって、市中ストック量のフェーズダウンを阻害する可能性があるのである。この点に対応する1つの方法としては、破壊されたと考えられる量に一定の係数を掛けたものを破壊量と認めることが考えられる。いずれにせよ、破壊量のカウントに当たっては、特に慎重な算定、確認が必要となることを強調しておきたい。

 また、再生についても一言申し上げておきます。

 再生については、モントリオール議定書及びオゾン層保護法において生産量とみなされないこととされている。すなわち、再生を何度でも行うことが可能であり、破壊されない限り、最後は環境中に放出されることになる。

 一方、平成25年3月の中環審フロン小委・産構審フロンワーキングの報告書「今後のフロン類等対策の方向性について」では、「再生により、ユーザーの費用負担が軽減されれば、回収率向上に一定の効果が期待される。加えてフッ素資源の有効活用も促進される」とされた一方で、「対策の方向性」において、「③再生量の拡大について、市中におけるフロン類の利用量のフェーズダウンの観点と整合的になるよう、ノンフロン・低GWP化等とあわせて、その意義を評価していく必要があることに留意する。」とある。今回の検討会において、まさにその意義を評価し、フェーズダウンに向けた取り組みを着実に進める必要がある。

 ということでございます。

○飛原座長  ありがとうございました。大塚委員のご意見は非常に重要でありまして、破壊量、あるいは再生量を生産量にフィードバックさせることができるということは、条約上は認めているわけで、それを今回いろいろ議論するわけでございますけれども、それを公にインセンティブとして認めてしまうと、生産量の削減、あるいは消費量の削減を阻害してしまう。生産量をふやすことができるという逆の効果を生んでしまうのでないかという心配でありまして、私もこういう心配は前からしていて、本当にこれを活用していいのかどうかということも含めて、皆さん、ご意見をいただければと思っております。

 それでは、これからは会場にいらっしゃいます委員の皆様からご質問、コメント等を受けたいと思います。それでは、いつものようにご意見、ご質問がある場合は、名札を立てていただければと思います。人数が多いので、なるべく簡潔に質問、ご意見をお願いしたいと思います。

 では、こちらから順番に質問していただきたいと思っております。では、まず赤穂委員、お願いします。

○赤穂委員  ありがとうございます。もうワーキングのほうでも発言しているのですけれども、10ページです。今のところ使用見通しと消費量の関係は、日本はきっちり下のラインを来ているのですが、2029年に果たしてこれが逆転になるのかどうなのかという、ここの見通しをある程度立てなければ、達成できないのであれば、より厳しい対応が必要であるし、今の仕組みのままで何とか達成できそうだということであれば、今の仕組みをしっかりとやっていけばいいということですので、そこの見通しをまずは、どこかの時点ではしっかりと検証しないといけないと考えております。

 その上で、15ページの破壊量の取り扱いについて、大塚先生はいろいろご心配はあるかと思いますが、私は今後何が起こるのかわからない。順調に減っていくだろうと思いますが、急に温暖化が進んで、冷凍空調機の需要が急増するというような事態も考えられると思います。そういうときに、何らかの担保をする仕組みというのはあったほうがいいと思いますので、この破壊量の制度というのも、しっかりと日本の中で取り組んで、今はまだ申告の仕方とかがきっちりと整備されていないということですので、そこら辺もしっかりと設けておく必要があるのではないかと思っております。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。事務局からの回答等につきましては、後である程度まとめてやっていただきたいと思いますので、しばらくは順番にご意見を伺いたいと思います。では、宇都委員。

○宇都委員  意見でございます。この資料をまとめてみさせていただきましたが、基本的な事項ですが、今までのフロン改正法の数字よりも、今回のキガリ改正の数字のほうが短期的には余裕があるため、「排出量をフロン改正法より上振れさせてもいよね」ということを議論する雰囲気に感じます。破壊量の取り扱いをどうするのか、使用見通しと基準限度の差をどうするのか、排出量上振れの議論になるのではないかと思っています。今後、具体的な内容を詰めていくのでしたら、下振れを目指す議題も入れていったほうがいいのではないかと思っております。

 続きまして、排出量の見通しなのですけれども、今総量での見通しが出ております。そういう中で我々はロードマップを考えなければならないが、総量での見通しではなくて、もう少しブレークダウンして、冷媒別・設備別の内容の入った見通しがあれば、おのずとそれぞれのロードマップがみ、各ユーザーも中長期冷媒転換計画を作成しやすくなるのではないかと思っております。

 以上の2点です。

○飛原座長  ありがとうございました。続きまして、岡田委員、お願いします。

○岡田委員  私どものほうの基本的な考え方といいますか、スタンスですけれども、まず、キガリ改正に対応した国内担保法という部分では、やはりきょうお話があったように、オゾン層保護法の改正を時間も非常に限られた中で淡々と項目を追加していくということがベストであると考えています。

 その上で、2つほどコメントをさせていただきたいのですけれども、1つ目は、前段のところで高村委員からもありましたが、やはりこれはCO2排出、パリ協定のほうとの絡みというのも当然出てきますし、特に我々で考えていかなければいけないのは、エネルギー起源でのCO2排出量というのは、GWPといいますか、温暖化係数の部分よりも数字的には大きいということで、やはりこれらのバランスのとれた議論をしていかないと、そういうことにはならないと思うのですが、GWPだけの視点でいろいろ議論が進むとやはり方向がちょっと違ってくるのではないかということで、やはりエネルギー起源のCO2排出量とのバランスをしっかりと考えて議論をしていただきたいというところが1つ目です。

 もう1つは、今回の議論は、当然日本国内のいろいろな法規制の議論になるわけですけれども、やはり海外のいろいろな動きというところもあわせて、これは議論というよりも注視するといいますか、みていかなければいけないのかなと思ってございます。これは今、冷凍空調の業界というのは、日本国内だけの事業で閉じているわけではなくて、やはり海外、グローバルな中で動いております。なので、日本だけが何か特質したような、俗にいうガラパゴスみたいな形になっても、海外の中で日本がリードしていくという部分では逆行してしまう部分もあるのかなということで、やはりそういう視点もぜひあわせて議論していただきたいというのが2点目でございます。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。では、金丸委員、お願いします。

○金丸委員  私たちユーザー側の立場でいえば、最後の5番のその他の検討事項というのはとても大事だと思っておりまして、こういった形でまとめていただいて、大変ありがたく思っております。ぜひこの検討も進めていただきたいと思っています。

 特に国民の理解及び協力というところは、私たちチェーンストア協会はお店という場の提供やお客様への普及という視点でいろいろな形でお役に立つこともできるとは思うのですが、このキガリ改正をどのように伝えるかは非常に難しいと思います。社内でもこの話をする上で、オゾン層保護のところから順番に進んできて、私たちはある程度理解できていると思うのですが、フロン排出抑制法とキガリ改正を同時に理解していただくのはなかなか大変なのではないかと思っております。ぜひ皆様方の知見もいただきながら、せっかくいろいろな業界の方が1つの方向を目指して努力をするわけなので、それをきちんとお客様、国民の方に理解していただいて評価していただくよう、何かうまく伝える方法をぜひ検討していきたいと思っていますし、協力をさせていただきたいと思っています。

 また、当然、私たち機器のユーザーとしては、先ほど来出ておりますロードマップ等について是非お願いしたいと思います。今ベストな選択はこれですといっていただければ一番いいわけなのですが、それは難しいとは思いますので、現状の選択肢はこういうものが幾つかあって、それについてのメリットとデメリットという部分をしっかり表記するような形でお願いできたらと思っております。よろしくお願いします。

○飛原座長  ありがとうございました。では、北村委員、お願いします。

○北村委員  基本的にオゾン層保護法を改正してHFCを加えるという方法が、やる上で時間も労力も一番少なくて済む方法だと思っておりますので、ぜひそういうことで進めていただければありがたいと思っております。

 もう1つが、その他の検討事項の中で、自然冷媒に関する記載がございますけれども、自然冷媒なら何でもいいということではございませんので、例えばCO2を使ったものではある温度帯域ではエネルギー効率が非常に悪くなるところもありますので、岡田委員が仰ったように、やはりエネルギー起源のCO2ということを考えると、エネルギー効率ということも十分考慮する必要があるということを申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。では、作井委員、お願いします。

○作井委員  15ページに書いてある破壊量の取り扱いについては私は賛成します。今のフロン排出抑制法の活性化をますます浸透させるためにも有効ではないかと思います。今まで回収がなかなか進んでいないので、こういう制度を持ち込めば、回収に対してのインセンティブが働くようになると思います。さらに、その回収した量の証明は破壊証明書に書いてございます。これは賛成いたします。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。では、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員  環境法の中でもフロン回収の排出抑制法や温暖化対策関連規制というのは、国民にわかりにくいと思います。企業のコンプライアンスでも、一定の法律があることはわかっているけれども、自主的取り組みと罰則等で強制力のある規制の区別が混在しています。さらに、罰則の規定があっても、現実にはその適用がほとんどされていないのが現実です。したがって、ルールはあるけれども、自分がそもそも規制を受けていることを知らない、またこれに違反したらどうなるかということがわかりにくいということがあるのだと思います。

 そういう意味では、法改正、またキガリ改正を法律に取り入れていくということは大事だと思いますけれども、それによってどのような具体的なサンクションがあるのかとか、これを守らないことにどういう効果が発生するかということを明確にすることが必要だと思います。

 もう一点は、規制に対応するための代替物質があるのかというところも情報が不十分だと思います。代わりに何をすればいいか、ということを明確にしなければ、実務的に対応することは困難です。国民の理解、それから遵法意識の啓蒙のためには、すべきこと、しなかったらどうなるか、あるいはかわりに何をすればいいかがもう少しわかるようにする必要があるのではないかと思っています。

 以上です。

○飛原座長  大変重要なご指摘ありがとうございました。半分ぐらい行きましたので、まとめて事務局よりコメントがあればお願いします。

○谷化学物質管理課課長補佐  では、いただいたご質問、ご意見等に対して順番に回答させていただきたいと思います。

 まず、赤穂委員からご指摘がございました2029年度以降どうなるのかという見通しでありますとか、具体的には、今の仕組みで達成できるのかというお話がありましたけれども、基本的に現時点では、我々としては何ともいいようがないのですが、基本的にはそういうもの、少し次の宇都委員のお話とも関係しますが、当然ながら議定書上の削減目標が守れないから上振れをどんどん考えていこうという趣旨ではございませんで、基本的には当然フロン排出抑制法に基づく、今やっている基準に基づいてしっかり取り組んでいきたいと考えております。2029年にどうなるかということにつきましては、資料のほうにもございますが、使用見通しというもの、いわゆるフロン法に基づく厳しい基準というものをしっかり作っていきたいと考えていますので、どのような姿、どのような形で達成するかということも含めて使用見通しを設定するときにご提示させていただきたいと考えております。

 宇都委員からいただいたご意見につきましては、先ほどの上振れ、下振れの点については申し上げたとおりで、あくまでより積極的に取り組んでいくということがメインですけれども、少し資料の見え方がそのようになっていたら申しわけございませんということですが、他方でそういう点もきちっと、保険という形ではないですが、留意もしておく必要があろうかと考えております。

 また、見通しの総量ではなくて、もう少し内容が入ったものになればということがございましたけれども、こちらも別途、金丸委員からご指摘がありましたロードマップとも少し関係するのではないかと考えておりますので、そういった点につきましても、どういった形で関係者の皆様が転換していく、また、今後の見通しというものが見えるような形にできるかというものはしっかり、この制度の枠組みとあわせて検討していきたいと考えております。

 岡田委員からいただきましたコメントのまず1つ目としまして、いわゆるCO2の排出の関係ともバランスのとれた議論をするべきではないかと。関連しまして、北村委員からもエネルギー起源、エネルギー効率のほうも考えて議論していくべきではないかということについては、おっしゃるとおりだと思いますので、そういった点にもしっかり配慮しつつ、検討は進めていきたいと考えておりますし、もう1ついただいておりました海外の動きもしっかり注視していって、日本だけが独自の規制で損をするということがないように、しっかり取り組んでいきたいと考えております。

 続いて、金丸委員からいただきました国民の理解並びに協力をどのようにしていくか。具体的にどのように伝えていくかということが重要だと。同じような趣旨のご質問を佐藤委員からもいただいたかと考えておりますけれども、そういう観点は当然重要だと思っていまして、当然今回のキガリ改正だけではなくて、フロン対策全体について、残念ながら理解、協力というのが十分に行き渡っているという形ではございませんので、そういうことも踏まえて、フロン対策全体に対する理解、協力ということに対して、我々もフロン排出抑制法等を施行して、周知、啓発をしている中でも取り組んでおりますけれども、さらにどういった形でやっていくか。先ほど佐藤委員からもご意見をいただきましたけれども、実際罰則がどのようなものがあるか。そもそもフロンというものがどういうものなのかということも含めてきちっとご理解いただけるような形で周知、普及というものを進めていきたいと考えております。

 あと、作井委員からいただきました破壊の件につきましては、大塚委員からいただいた意見とも関係しますけれども、確かに破壊確認の仕組みというものは、回収率の向上に資する制度という形で活用できるのだというように我々としても考えております。

 他方で、大塚委員からのお話にもありましたし、我々事務局の資料にも書かせていただいております。あと、飛原座長からのお話もありましたけれども、この制度は破壊分を再製造できるということですので、いわゆる市中のストックを増加させることにつながるということも事実でありますので、そういう点も留意する必要があると思います。いかにそのバランスをとるかということも含めて検討しなければいけないと思いますので、もう少し我々のほうでも、また、環境省さんとも相談して、整理させていただいた上で、法律成立後の細かい省令事項等を決めるときに改めて議論したいと考えております。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、ご意見を伺うこと、後半に進めたいと思います。では、米谷委員。

○米谷委員  私も破壊量の取り扱いについてです。前回の中環審の委員会で私、この制度の存在を初めて認識したのですけれども、正直いってかなり違和感を感じました。今、削減していこうという中で、破壊をしたということで、100%それを減じた数量という扱いにするという部分は、一般的な感覚としては非常に理解しにくいという思いを抱きました。とはいえ、2029年以降、この数値を達成できるかどうかというところがやや不安であるとか、多少なりともインセンティブとして回収率が上がるという面があるとすれば、この制度自体を決して否定するものではございません。そういった意味合いで、やはり破壊量を100%減ずるという部分がちょっと全体として削減していこうというのにどうなのかなという気がいたしますので、そこを半量を削減するとか、そのような扱いも検討していただいてもいいのではないかという大塚委員と同じ意見をもっております。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。では、引き続き、花岡委員、お願いいたします。

○花岡委員  ありがとうございます。私から2点意見があります。

 1つ目の意見は、スライドの2とスライドの10のところの階段状のグラフのところについてであります。キガリ改正のポイントは2点ありまして、1点目は、このグラフを描くに当たって、基準値の算定の期間というのが先進国は2011年から2013年の平均的な消費量にさらにHFCの繰り上げ分を入れるということ。2点目が、この単位がトンCO2換算であるということであります。そこで、この階段状のグラフをみたときに、基準値をどう設定するかで、将来の階段状のグラフが全部決まってきてしまうので、私自身もこのグラフを描けないかと、キガリ改正の意味を理解するために試みてみました。そのときに、このグラフを描くためには、ガスの種類別の生産と消費と輸入と輸出の値の統計データがないと描けなくて、それに必要なデータというのはインベントリーのガイドラインの元データだとか、今まで会議の資料だとかをみても、全くどこにも公表されていなかったので、このグラフ自身を描くことができませんでした。

 そこで、現在、使用見通しの方がこのキガリ改正の階段状のグラフよりもより厳し目の設定だというご説明なのですけれども、基準値の値が変わってくると、この階段状のグラフも変わるため、使用見通しの方が本当に厳しいのか、厳しくないのか、どれぐらい余裕があるのかという議論が変わってきますので、今後のキガリ改正の議論の透明性を高めるためにも、基準値の推計の仕方のもととなる統計データを公開していただきたいというのが1つ目の意見であります。

 2つ目の意見は、今までもご意見がありましたが、スライド16と15の部分の破壊の取り扱いについてであります。今までは、このようなルールを使っていないということでありますが、ここの資料の中に、このルールを使うに当たってHFCの需給の動向等をよく勘案し、と書かれております。今までのマテリアルフロー推計の資料をみてみますと、HFCの排出量の全体のうち、使用時漏えいによる排出量が大体7~8割、廃棄時の排出量が2~3割ぐらいであります。そこから回収、破壊処理できた分を生産に上乗せできるというルールの活用をみるときに、現在、マテリアルフローの推計の部分はあくまで推計であるので、今後、この推計をもう少し精度を上げていって、実際に回収、破壊できる量がどれぐらいになるのかを把握する必要があります。生産量に対して、破壊処理できる割合の規模がどのぐれぐらいなのかということをよく確認してから、破壊処理できた分を生産量に上乗せするルールをどのように活用するかを議論していかないといけないと思います。今後、手続の仕方とか活用の仕方の議論も必要なのですけれども、まずは現状のマテリアルフローの部分をよりきちんと把握して、その破壊処理できる量が生産量に対してどれぐらいになるのかというのを理解するほうが重要かと思っております。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、西薗委員、お願いいたします。

○西薗委員  今、花岡委員からご指摘のあった点とちょっと重複する点もございますが、フロン排出抑制法は、もともと上流から下流までをきちんと仕組みをつくっていこうという法律でございますけれども、今回はその改正にかかわるところは、最上流の部分、つまり出発点でフロンがどれだけ使われているかというところをどのように管理していくのかというのが今回のキガリ改正の絡み方だと思います。

 それに当たりまして、製造許可量と輸入割り当て量をガスごとにきちんと公表していただくことが必要だと考えています。これは、花岡委員がいわれましたように、この仕組みの、最終的にフロン排出抑制法全体にかかわると思いますけれども、透明性をきちんと確保するためには、誰がみてもきちんと計算できるというのでしょうか、出発点のガスごとの数値が製造許可量、輸入割り当て量が明らかになるようなことが必要であると考えております。

 それから、破壊に関しましては、皆さんから意見が出ておりますけれども、私はやはり慎重に考えるべきであると考えております。

○飛原座長  ありがとうございました。割り当て量をガスごとにということだったのですけれども、冷媒には混合物などがありますよね。そのときに一個一個の組成ごとの話にするのか、あるいは混合物としての話、どちらをイメージされていますか。

○西薗委員  混合物の場合でも、組成が明らかであれば。

○飛原座長  組成が明らかになればいいというお考えですか。

○西薗委員  はい。

○飛原座長  わかりました。どうも済みません。では、中根委員、お願いします。

○中根委員  基本的な方針としては賛成なのですが、それに加えて、破壊に関して大塚委員のご指摘は非常に大事だと思います。それを補強する形になるかと思いますが、質問なのですけれども、破壊ついて、物質ごとに破壊量の確認、それから、それを生産量に転換できるというのを物質ごとにやるのか、それともGWP換算で物質ごとの、例えばHFC23を破壊してHFC32を生産量に上乗せできるようにする。そのようなことをするかというところが1つポイントかと思います。

 その場合に、100年GWPでは同じCO2換算の温室効果をもつとしても、将来、例えば500年GWPでみると、HFC23はHFC32の約3倍以上の温室効果が出てしまう。将来世代にそれだけ余分な負荷をかけてしまうということになります。また、逆に20年GWPでみると、HFC32はHFC23のまた3倍以上の温室効果がある。近未来で大きな温室効果、温暖化をもたらしてしまう。そういうことがありますので、もし物質間の換算をするのであれば、500年GWPにおいても20年GWPにおいても下回るように運用なりガイドラインなり、何らかそういうことができるように制度設計していただきたい。大塚委員の係数をかけるということに加えて、20年GWP、500年GWPもどちらでも下回るようなそういう運用をする必要があるのではないかということを申し上げたいと思います。

 もう1つは、花岡委員と西薗委員のご意見です。透明性を高めることが大事だと。これは対策を行った効果をインベントリーに反映するという意味でも重要ですので、そこの重要性も強調したいと思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。では、高村委員、どうぞ。

○高村委員  ありがとうございます。大きく3つでありますけれども、1つは、削減スケジュールについてです。今回、使用見通しを割り当ての水準にされるというのは、私は非常によいと思っております。キガリ改正の水準よりも日本として一歩踏み込んで削減の水準を決めていくということだと思う、そういう意味で非常にポジティブに評価をいたします。

 何人かの委員からありました上振れといいましょうか、割り当て上限を変える可能性というのは全くないとは思いませんけれども、やはり真面目に転換をしていった事業者が不公平と感じない制度であり、運用でないといけないと思いますので、やはり上振れというのは、極めて例外的、抑制的に行われるべきであると思います。これが1つであります。

 2つ目はスライドの12以下のところでありますけれども、割り当ての水準となる使用見通しの設定年度、スケジュールについてです。今回、事務局からご提案いただいているように、頻繁な見通しの変更というのは、事業者にとっても混乱を起こすというように私も思います。他方で、もう1つ、何人かの委員からございましたけれども、最終的にはほぼゼロを目指すような形というのが、このキガリ改正にしても、パリ協定の趣旨からしても目指されているところで、そういう意味ではロードマップというのをしっかりつくっていくことが必要だと思います。

 恐らくロードマップと使用見通しというのは、イコールにしないほうがいいのかなと思っているわけですけれども、つまり、実際の割り当ての水準となる使用見通しの設定というものと、もう1つは、技術開発を促して、機器のユーザーさんが選択するときの判断基準となるロードマップというのは、2つの異なるコンセプトとして分けてやったほうがいいのではないかと思います。特にロードマップが必要だと思いますのは、転換を図る政策がしっかりとられていかないと、結局使用見通しというのが、ビジネス・アズ・ユージュアルのベースにとどまってしまうのではないかということも考えると、ある意味で野心的なロードマップということを示していくことが必要ではないかと思います。

 ロードマップのつくり方について、ぜひここでも議論したらよいと思っておりますが、特にやはり考慮の事項として入れていただきたいと思いますのは、既に閣議決定されている温対計画のもとでは、かなり大胆なといっていいでしょうか、ノンフロン、低GWPの製品導入が前提となった2030年の目標になっているはずで、そういう意味では、その施策をきちんと入れると、どういう施策を入れることがそういう転換を引き起こすのかということを盛り込んだ検討をしながらのロードマップの作成をお願いしたいと思っております。

 3点目は、既に議論がありました破壊量の点については、大塚委員の意見書、それから飛原先生もおっしゃった点、あるいは何人かの委員からもあった点と同じでかなり慎重に議論すべきだろうと思います。回収、あるいは排出抑制に明確な効果があるということがない限りにおいては、やはり制約的に運用すべき。特に2029年までは見通し上は、今のベースでもできるという見通しをもっているわけですので、そういう意味では、回収、排出抑制に明確な効果があるという範囲において行うべきではないかと思います。

 最後は、既に委員からありました、例えば佐藤委員からありました実効的な制度にするための排出抑制の情報提供ですとか制度における罰則といいましょうか、違反者に対する対応、あるいは花岡委員や西薗委員からありました種ごとの情報整備、公開という点については全く同意見であります。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。引き続き、小熊委員、お願いいたします。

○小熊委員  ありがとうございます。今般、議論しております議定書の本来的な目的ということで、冒頭、高村委員からもありましたけれども、やはり温室効果ガスを大気中に放出する。それをいかに減らしていくかということだと思います。そういった意味では、やはり川上から川下まで、総合的な対策が必要だということで、今回は上流の部分についての議論を中心に行われたわけなのですが、18ページのスライドにあるように、その他の検討事項でユーザーや、それから、それを使用した機器の製造といったところについても、やはり目配せをしていく必要があると思っています。

 ガスの製造メーカーについて、ここについては先ほどの破壊量の取り扱いというところでインセンティブの議論をされたわけなのですけれども、HFCの排出の可能性があるユーザーのところのインセンティブということもやはり同時に検討していくということで、川上対策と川下対策が有機的に絡まり合って、効果的な排出抑制が図られると考えておりますので、そうした川下の対策についても、この場で十分な議論をしたらいかがかと思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。では、奥委員、お願いします。

○奥委員  今の小熊委員のご意見とほぼ同じ趣旨なのですけれども、今回はキガリ改正を国内的にどう担保するかというところに絞っての議論ということでは理解しております。ただ、最終的に50%、70%まで回収率を上げていく、そして排出抑制を図っていくということを考えますと、やはり今ご指摘のあったスライドの18にあります機器ユーザーに対しての働きかけの部分、そこまで視野に入れて、しっかりと検討していくということが重要ではないかと思っております。

 ここでは、機器ユーザーへの配慮ということで、特に支援的な措置について、念頭に置かれた記述になっておりますが、水色の四角の枠の3つ目のぽつ、こちらがやはり非常に重要になってくると私自身は思っておりまして、特にフロン法の改正を通した規制的な措置のより強化ですとか、それから罰則の厳格化といったところもしっかりとやっていかないことには、この資料のスライドの2でいっております地球温暖化対策における日本の積極的な姿勢を示すという意味では非常に不十分ではないかと考えておりますので、ぜひキガリ改正を受けた最小限の対応をすればいいということではなくて、日本として世界のリーダーとしての役割を積極的に果たしていくという上で、川下までしっかりと見通した対策という意味では、ユーザーに対しての働きかけの部分も今後しっかりと議論をしていただきたいと思っております。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。では、浦野委員、お願いします。

○浦野委員  それでは、ほかの委員の意見と重ならない部分をちょっと。15枚目と16枚目で破壊の量を算定して製造に配慮するようなことも是非を検討する必要があるのではないかと書いてあるのですが、これは現実に回収率も低くて、回収業者と破壊業者の実態をいろいろ私もみているわけですが、そういう実態を考えると、かなり難しいと思います。特に破壊業者がGWPごとにこういうものをこれだけこう破壊したというものをきちっと把握できるか。あるいは仮にしたとしてもそれは非常に大きな負担になるし、余り信用もできないということを考えると、やはりメーカーとユーザーのレベルでしっかり把握して、破壊のほうを余り当てにしない。破壊量は把握しなければいけないけれども、正確にはGWPとして幾つ破壊したというのは、余り信用できるデータは出てこないと思いますので、その点、考慮して検討する必要がある。

○飛原座長  ありがとうございました。では、最後になりますが、出野委員、お願いします。

○出野委員  解体業連合会の出野と申します。

 きょうは川上の議論ということで、この場にそぐわないかもしれませんけれども、1つだけ意見をいわせていただきたいと思います。

 資料の17ですか、スライドの17の最後に、国民の理解及び協力というのがありますけれども、これもきょう議論するような内容ではないかもしれませんが、これに関しまして、国民の理解及び協力、この国民の中には建設業者、解体業者、一般国民も含まれていると理解しておりますが、これはその他に入れるような項目ではなくて、もっと重要度が高いのではなかろうか、一番先にもってきてもいいぐらいだというような率直な感想をもっております。

 特に、この場にいらっしゃる委員の先生方、専門家の先生方が多いわけですけれども、専門の話は専門家の先生にお任せしていいのですが、一般国民、解体業者を含めてほとんど議論についていっていないというのが現状かと思います。難しい話をされてもさっぱりわからん。ただ何をやれ、かにをやれといわれたからしようがなくやっている。こういう現状があるということをぜひご認識いただいて、専門家の先生方は、このフロンの状況がどんな状況にあるのかということをもうちょっと一般国民にわかりやすく説明をしていただきたいと思います。フロンそのものを知らないという国民、業者はまだたくさんおります。そういうそもそもといいますか、基本的なところをぜひお願いしたいと思います。

 例えば、前回、花岡先生に地球全体の平均気温が産業革命以前より1度から2度上がったら様々な環境影響が起こりうるというお話をご教示いただいたことがあったのですけれども、一般国民には何のことかよくわからんと。きのうよりもきょうは気温が10度下がっているぞ、大したことないではないか。2度と10度、ほとんど感覚がわからない。こういう状況ですよね。というので、例えば平均気温が2度上がれば、津波みたいな莫大な破壊力、エネルギーがあるのだと。日々の2度、3度の気温の変化はさざ波程度だと。そういう一般的な国民にわかりやすくぜひ説明をしていただきたいとお願いしておきたいと思います。

 少し長くなりますけれども、あと、末端の回収量が少ないというのでお叱りを受けているところなのですが、これは製造者責任とか利益享受者、受益者責任、こういうところの議論は行われているのか、する必要はないのかというご提案を申し上げたいと思います。これもアスベスト関係とよく似ていますけれども、アスベスト、あるいはフロンを製造して事業活動をなさった方がたくさんいらっしゃいます。それを利用した国民、業者もたくさんいます。最後に、建設業者、解体業者がそれを回収、破壊をしろということになっているのですけれども、最後に任務を任された建設業者、解体業者が適正な回収をしなかったら捕まえて処罰するぞ、おまえたちだけが悪いというのはちょっと理にかなわないのではないかという意見も業界にあるということをお伝えしておきたいと思います。

 ここらあたりを解決する手段としては、例えばフロン税などで財源を確保して、末端で回収してくれた業者の皆さん方、ご苦労さんという経済的なインセンティブを与えるとか、何らかの方策も考えていただきたい。余り専門家の先生だけが先走って、先へ行ってしまう。一般国民、業者はおいてけぼり、何をやっていいかよくわからんという状況だけはぜひ避けていただくように、この場をおかりしてお願いしておきたいと思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。

 では、まとめて事務局より回答をお願いします。時間が逼迫してきましたので、簡潔にお願いします。

○谷化学物質管理課課長補佐  簡潔に回答させていただきます。

 まず、複数の委員の先生からご指摘がありました破壊量の件ですけれども、先ほども少しご説明したとおり、当然ながらこの破壊量を何とか有効に使って、議定書上の基準をこれでクリアしようということは基本的には考えておりませんが、資料にも書かせていただいているとおり、将来的に目標達成が厳しくなった際の仕組みとして用意しておく、また、回収率の向上にも当然資することにもなるかと思いますので、そういう形で活用するという形ですので、議定書の達成のために破壊量を積極的に活用しようという趣旨は基本的にはありませんということを付言させていただきたいと思います。

 それに引き続きまして、花岡委員並びに西薗委員等からご指摘をいただきましたけれども、ガス種別ごとの統計データであるとかそういったもの、ガス種別に許可量を公表するというようなデータの公開の点をいただいておりますが、確かに基準値の議論並びに許可量に対して、データを公表するということについては、透明性の確保から必要な観点だと認識しております。

 他方で、フロン排出抑制法に基づくフロン類の製造業者等の実績公表のときにも議論になりまして、我々のほうも公正取引委員会等とも相談させていただいたことがあるのですけれども、そのデータの公表、透明性の確保ということは当然必要なのですが、公表によってデータ提供元でありますとか、データ公表の対象となる企業が競争上不利な立場にならないように配慮しなければいけないという側面も当然あるかと思いますので、そういうところも関連の法令、例えば独占禁止法でありますとか、情報公開法とか、さまざま関連法令がありますので、そういう趣旨とも少し照らし合わせることが必要であると考えています。他方で、しっかり透明性というものも確保した上で、どのような仕組みができるかというものはしっかり我々のほうでも検討させていただきたいと考えております。

 中根委員からいただいていた破壊量の確認について、どういう形で再製造、GWP換算でやるのか、物質ごとなのかというところですけれども、厳密にいいますと、現状ではまだ決まってはおりませんので、これからの議論ということでございますが、基本的には、議定書上の換算の数量の計算方法がGWP換算ですので、原則はGWP換算で、例えば100CO2トン破壊したのであれば、100CO2トン分つくれるということで考えております。ただ、ご説明差し上げたとおり、それがどういう形で今後、将来的に再製造されたものがどのような経緯をたどるのかということも含めて、そこに対して、何らかの制限なり条件を課すのかということについては、いただいた大気寿命等の500年寿命、20年寿命の件も含めて、今後もう少し検討させていただきたいと考えております。

 高村委員からいただいていましたロードマップと使用見通しの関係の件ですけれども、こちらにつきましてもロードマップと一言でいいましてもどういったもの、恐らく委員の皆様方が発言されている中でもイメージされているものがもしかしたら少しずつ違うのかもしれません。小熊委員や奥委員等からもお話しいただきましたが、今回はこの合同会議で、資料1にも挙げましたとおり、キガリ改正についてご議論いただきましたけれども、もともとこの合同会議といいますのは、フロン排出抑制法に基づいて、中下流の検討をする場として設けられているものですので、当然ながら、そういう議論が今後必要だと認識していますし、そういうものを排除するわけではございませんが、現状で当然課題はたくさんあるので、検討しなければいけないこと、今後の周知をどうするか、またロードマップをどうしていくか、そういうことも踏まえてキガリ改正を達成するために中下流もどういう形で、それはフロン法の今の課題の認識でありますとか、今後どうしていくかということも含めて議論する場は必要だと思います。どういう場になるかは今後我々のほうでも調整させていただきたいと思いますけれども、この合同会議の場というものも活用していくことは有効な方策だと思いますので、そういうことも含めて検討させていただきたい。検討しないというわけではなくて、検討させていただきたいと考えております。

 小熊委員と奥委員からのユーザーの件も今申し上げたとおり、しっかり対策していく必要があると思いますので、検討していきたいと考えております。

 浦野委員からいただきました破壊業者の関係ですけれども、しっかり把握できるのかという話がありましたが、一例として破壊証明書を資料の中で挙げさせていただいておりますが、当然、破壊証明書の保存義務等ありますので、ある程度フロン排出抑制法に基づいた取り組みをしっかりやっていけば把握できる部分があると思います。今のオゾン層保護法の仕組みを申し上げると、この破壊量確認の仕組みにおいて、実際にどうやってどのくらい破壊したのかどうかというのは、製造業者が証明するということになっていますので、その運用を考える中では、当然おっしゃったようなGWPベースでどれぐらい破壊したのかというものもしっかり確認できるような仕組みにするべきだと考えております。

 最後に、出野委員からいただいていました国民の理解等を最初にもってくるべきではないかというお話等もありましたけれども、今回はキガリ改正の議論でしたので、それを初めに挙げさせていただきましたが、当然必要な視点だと思いますので、今回は後ろのほうにもってきさていただいたということでございます。

 以上でございます。

○飛原座長  ありがとうございました。やや時間が十分なくて、まだ発言し足りないという委員の方々もあるかもしれませんけれども――では、1分ぐらいでお願いします。

○大石委員  時間がないところ。今のお話を聞いていて、一言お願いです。今回は製造と破壊のところのお話でしたが、やはり使用があって、その先の回収時にしっかり集めることを考えますと、現在の状況では不十分だと感じています。回収の面では、今現在ある家電のリサイクル法ですとか、自動車リサイクル法ですとか、その法律との関連というのがすごく大きいわけですが、特に家庭用のエアコンの場合には、その法律のはざまにあるということで、やはり法律の見直しを行って、家庭用のエアコンも含め、確実に回収量を増やすことをぜひ考えていただきたいと思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。業務用以外のフロンの回収というのは、こういう委員会で余り議論にならないので、大石委員のご指摘の点は、私自身はよく認識しておりますので、今後の検討に生かせればと思っております。――では、最後になりますが、浅野委員、どうぞお願いいたします。

○浅野小委員長   長期的な見通しをしっかりもってやらないといけないというご発言が何人かの委員からありましたように、とりあえず今のところは何とかなるだろうからまあいいだろうみたいな考えではまずいだろうということがはっきりしてきたと思います。

 それから、特に重要だと思うのは、キガリ改正に対応するので、少なくともオゾン層の法律を改正しなければいけないわけなのですが、改めて考えてみると、オゾン層の法律のほうがフロン法よりも先に走っているのです。最初にこれをつくったときからつき合っていますので、オゾン層保護法がどういういきさつでできたかというのはよく知っているのですが、もともとはこの法律しかなかったのです。このオゾン層破壊防止を考えた条約の国内履行担保のためにこの法律をつくって、しかし、ただ単に製造段階での規制だけではだめだというので、20条に使用合理化指針というようなものも入れなければいけないということで入っているわけです。そしてその後にフロン法ができているわけです。フロン法をつくったときに、本当はオゾン層の法律の使用指針のところをいじらなければいけなかったかもしれないのだけれども、そのときには少なくともオゾン層破壊防止を目的とした条約であり、その条約の国内担保の法律ですから、とりあえずこれでいいでしょうということでこれまで来たのですが、今回の改正はオゾン層破壊ではなくて、パリ協定の関連で、温室効果ガスそのものにこの条約が首を突っ込み始めたものですから、そうなりますと、従来のようにオゾン層の問題だけを考えた法律です、では済まないはずです。明らかに今回の改正では、オゾン層の保護並びに温暖化のということを正面に入れなければいけなくなります。そうなると、20条でいっている指針とフロン法でいっている指針というものがどういう関係になるのかということももう一度考えなければいけなくなるわけです。

 ですから、ここは余り簡単に考えてもらっては困る。今のようなやり方で下手なことをやりますと、誰かが訴訟を起こしたときにどうするのでしょう。要するに、この法律で書いてあることと、フロン法に書いてあることとミックスして運用しろというのだけれども、かなり無理筋な話でもありますね。ですけれども、今回の改正をうまくやると無理筋でなくなる可能性がありますから、今まで以上にフロン法との関連性を十分に意識した法律に変えるチャンスだろうと思うのです。そこは事務局にしっかり考えていただきたいと思います。それ抜きに、ちょっとオゾン層保護法を変えれば済むことだというのは余りにも安易だと思います。よろしくお願いします。

○飛原座長  どうもありがとうございました。回答はよろしいかと思いますけれども、十分留意していただければ。将来的には1本の法律にして、この矛盾がなくなるというのが私自身は理想だと思います。多分それには間に合わないので、2019年への対応をよく十分注意してやっていただければと思います。

 ありがとうございました。本日いただきましたご意見は、今後の検討に反映させていただきたいと思います。

 それでは、その他の議題がございましたら、事務局よりお願いします。

○谷化学物質管理課課長補佐  特段ございません。

○飛原座長  わかりました。貴重なご意見をいただきまして、どうもありがとうございました。

 本合同委員会の今後の具体的日程につきましては、両会議の長と事務局で相談させていただいて、事務局より開催のご連絡の案内をさせていただきたいと思います。

 本日の議事録につきましては、事務局でとりまとめを行いまして、委員の皆様にご確認をいただいた後に、ホームページに掲載をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の第5回合同会議は、これにて終了させていただきたいと思います。ご協力どうもありがとうございました。